稲沢市教労                                     不定期発行   '05 No. 4

   稲沢市教労ニュース2005.10.11

                続 教員評価を考える その2

 

C」「D」は定昇3ヶ月延伸と「指導・育成

                          東京都の場合

 文部科学省を始め教員評価を導入しようとする人たちは、「努力すれば報われる」という言葉で、導入を正当化しようとしています。しかし、残念ながら「アメ」をもらう報われる人より、「ムチ」を受ける報われない人の方が多くなることは、民間企業の人事考課制度の流れをみても明らかです。人事考課制度は、人件費抑制の切り札にほかならず、教員を始め公務員の場合も同じ流れだからです。

 見出しは、この制度の「先進地」東京都で、報われる教員より多くなるであろう、報われない教員(総合評価「S,A,B,C,D」の5段階の内、下位の評価「C、D」の場合)が受けることになった、ムチの一例です。2004年度から始まったそうです。その中身はといえば?

 

 ・定昇3ヶ月延伸は、内容が極めて「明解」なので説明するまでもありません。では ・「指導・育成」とは?

 教員が「C」評価の開示を受けると、校長から「日誌」を渡され、1日の詳細な行動記録と反省を毎日書く、校長はそれを毎日目を通し、その教員を「指導・育成」する、

という段取りとのこと。「C」でさえこれですから「D」は推して知るべしでしょう。まるで、大きな脱線事故を起こした、どこかの鉄道会社の「日勤教育」のようです。これでは、かえって教員のやる気をそぐことになりそうです。

 またこれとは別に、評価の資料となるのでしょうか、校長の手もとには「服務実績記録」があり、その内容は「教育職員の実績・行動」、「校長の指導・指示等」、「結果等」の欄が横に並び、行末には校長と副校長の捺印欄があります。「熱心な」校長先生にかかると、職員会議での発言等、日頃の行動や言動が逐一記録されて…、知らない間に良くない評価に直結などといったことが起きてきそうです。

 

    誰とも相談しない(教員の孤立化) 

 もうひとつ、教員評価制度にともなって起きているのが、教員の孤立化です。今回の教員評価の目玉の一つが、年度始めに自己目標を立てることです。

 この「自己目標」を立てるときにどうするか。今まででしたら年度始めに、その年の方針を同僚と話し合うことや、実践上の悩みを相談することも当たり前でした。しかし、宮城県高等学校教職員組合のアンケートは、次のような実態を明らかにしています。

 自己目標設定時に、評価者(校長)以外の同僚と話し合いましたか?

  ・しなかった         60%

  ・学年の同僚と話し合った   14%

  ・教科の同僚と話し合った    7%

  ・それ以外の同僚と話し合った 19%

 人事や賃金にも影響をしかねない、教員評価につながる「自己目標」ですから、めったなことは話せなくなるわけです。

 学校教育の困難が指摘される今、学校現場では、教員集団全体での取り組みが不可欠のはずです。ところが、教員評価制度導入のもと、教員同士の横のつながりが壊されていく、こんな学校をお望みですか?