稲沢市教労                                     不定期発行   '05 No. 4

   稲沢市教労ニュース 2005.9.10

                続 教員評価を考える その1

 

 私たちは一昨年、愛知県で検討されている教員評価の問題を取り上げ、その問題点を指摘してきました。わずかな改善は見られたものの、残念なことに今年は小中学校でも試行(稲沢では大里東中)が行われ、来年度からは全部の学校で導入が予定されています。おまけに一部の校長先生は、大里東中でもないのに、今年度自主的に「試行」を実施しておられます。まことに熱心なことです。

 ところで,この教員評価は公務員制度「改革」の一環として、文部科学省が積極的に推進しているもので、教員の資質向上をうたい文句に、東京都を始め全国各地で既に行われています。これだけを見れば何やら、良いこともあるのではと思いたくなりますが、実際のところはどうなのかを、今回皆さんと考えていきたいと思います。 

 

   教員評価の「先進地」では?

 そこで手始めに、すでに教員評価が行われている「先進地域」では、現場でどのように受け取られているかを、アンケートで探ってみました。

 

アンケート@

・人事考課制度によって、教員のもっと頑張ろうという意欲が高まっているか。

   YES     0.9%                   NO 92.4%    (80.4%)

・人事考課制度は、教員の専門的な力量向上に役立っているか。

   YES     1.9%                   NO    90.8%    (76.1%)

・人事考課制度による学校運営、教育活動への影響

   プラスの影響 1.1%    (0.9%)  マイナスの影響 83.0%    (75.5%) 

 

 これは、「先進地」東京都の高等学校教職員組合が、2003年に行ったアンケートの結果です。(  )内はそれより2年前の2001年の結果です。基本的に評価制度反対の立場に立つ組合のアンケート結果であることを考慮しても、教員評価のマイナス面が顕著であり、しかもマイナスの評価が、2001年より2003年の方が増えています。これは、教員評価が何をもたらしたかを、より鮮明に示しています。

 

アンケートA

・意欲・資質・能力の向上、教育活動等の充実、学校の活性化に「役立つ」か。

   YES     教職員 13.3%  校長 33.5%

・業績評価が「適正な手法である」か。

   YES   教職員    8.1%   校長 27.4%

 

 今度は組合ではなく、大阪府教育委員会の評価制度「試行実施のまとめ」のアンケート結果です。教育委員会はいわば教員評価の旗ふり役ですが、そこのアンケートでも、評価制度が全く効果を上げていない、という結果です。一般の教職員は無論ですが、評価を担当する校長でも、約3割しか効果を認めていません。

 

 ちなみに、わが小泉政権が「公務員改革」のお手本としているらしいイギリスの教育現場でも、教員評価に基づく成果主義賃金に対して、職務への意欲が高まったと認めたのは、校長でさも、初等学校で8%、中等学校で10%しかありません。

 これらの数字を見るだけで、教員の資質向上を名目に始められた(愛知では始められようとしている)教員評価が、実際には逆の働きをしていることが明らかです。

 そこで、次号では具体的にどういうことが起きているかを考えてみたいと思います。