2017年
「母親を暴行の疑いで逮捕 「認知症で言うこと聞かず」」(11月13日)
「高齢者虐待1万6384件=施設職員408件、過去最高-厚労省」(3月21日)
家族が訪問介護職の虐待を疑いカメラを設置し発覚(1月28日)
「<高齢者虐待>山形で過去最多 介護中が過半数」(1月24日)
2016年
「介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を...」(12月5日)
「認知症の父たたき…「虐待」で面会禁止 行政の判定にトラブル増」(11月27日)
「 <介護か虐待か 苦悩する家族>(上) 暴れる母を止めただけ 傷害致死容疑 (下) 密室の危うさ」(11月16・17日)
「「おむつ交換嫌がった」負傷の認知症母を浴室に放置して死なせる 神戸」(7月21日)
認知症に関係した暴力はとても多い(7月13日)
「高齢の息子、長年連れ添った配偶者…韓国で家庭内「老老虐待」が増加」(6年14日)
「加害者は男性7割 妻を殺める夫の「介護殺人」なぜ減らない」(3月17日)
「高齢者虐待、26年度300件、2年で倍増 被害者77%が認知症」(2月5日)

その他の情報
高齢者虐待の定義
関連情報
関連サイト
出版物


高齢者虐待の定義

1.高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること(身体的虐待)
2.高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置(無視または放置という虐待)
3.高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)。
4.高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
5.高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること(経済的虐待)。
(「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(略称:高齢者虐待防止法)」より)


関連情報

「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」全文(pdf 45KB)
「防止法」来月施行 虐待なき老後へ一歩(朝日新聞2006年3月30日号より)(pdf400K)


過去の情報(2005年~2015年)



2017年


★「母親を暴行の疑いで逮捕 「認知症で言うこと聞かず」」(11月13日/NHK)
名古屋市中村区の住宅で12日、86歳の母親に平手打ちなどをしたとして60歳の次男が逮捕され、母親はその後、死亡しました。次男は「認知症の母親が勝手に外出しようとして言うことを聞かなかった」と供述しているということで、警察が詳しいいきさつを調べています。
12日午後3時半ごろ、名古屋市中村区元中村町で、「家の中で大声でけんかをしている」と通りかかった男性から通報があり、警察官が駆けつけたところ、この家に住む武藤節子さん(86)が玄関に倒れていて、およそ1時間半後に搬送された病院で死亡しました。
警察の調べによりますと、一緒に住む次男で契約社員の武藤清孝容疑者(60)が平手打ちをしたり下半身を蹴ったりしたと認めたということで、警察は暴行の疑いで逮捕し、死亡との関係を調べています。
警察によりますと、調べに対して「認知症の母親が勝手に外出しようとしたので止めたが、言うことを聞かなかった」と供述しているということです。
節子さんはことし6月以降、行方がわからなくなって警察に14回保護されていたということで、警察が事件のいきさつを調べています。
NHK news web 2017年11月13日 原文のまま
続報:「半年で14回保護された認知症の母、外出を止めた息子の暴行で死亡」週刊女性2017年12月5日号 プライム2017/11/24

★「高齢者虐待1万6384件=施設職員408件、過去最高-厚労省」(3月21日/ 時事通信)
2015年度の高齢者への虐待件数は、前年度比2.2%増の1万6384件だったことが21日、厚生労働省の調査で分かった。家族らによる虐待が1万5976件と大半を占めたが、介護施設の職員による虐待が調査を開始した06年度から9年連続で増え、36.0%増の408件と過去最高を更新。厚労省は相談や通報の件数が増えたことが要因と分析している。
調査は、高齢者虐待防止法に基づき毎年度実施。地方自治体が通報や相談を受け、虐待と判断した事例を集計した。
調査によると、虐待による死亡は21人。うち20人は家族らによるものだが、1人は調査開始以来、初めて施設職員による虐待で死亡したケースだった。
職員による虐待を要因(複数回答)別にみると、業務への理解不足など「教育・知識・介護技術等に関する問題」が65.6%と最も多く、「ストレスや感情コントロールの問題」が26.9%で2番目に多かった。
家族らによる虐待の要因(同)では「介護疲れ・ストレス」が25.0%で最多。次いで介護する家族らが認知症を患うといった「障害・疾病」(23.1%)などだった。 
厚労省は調査結果を踏まえ、施設での研修に職員のストレス対策を盛り込むなど対策強化を自治体に近く要請する。
JiJi.com  2017/03/21  原文のまま
関連情報:平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果 平成29年3月21日 老健局高齢者支援課

★家族が訪問介護職の虐待を疑いカメラを設置し発覚(1月28日/アメリカ)
ブレンダ・フロイドBrenda Floydは、灯を消して、有給で介護している94才のアルツハイマー病の高齢のアルツハイマー病の婦人(ドロシー・ブラッテンDorothy Brattenさん)の寝る準備をしていました。その時、彼女は床に在る食物の皿に気づきました。犬が逃げたので彼女はこの婦人に怒りをぶつけました。
ヒューストンクライム・ストッパーズHouston Crime Stoppers(訳注)が共有する行動のビデオを観ると、
フロイドは「犬に人間の食べ物を与えるのを止めるようい言ったでしょう」を叫び ブラッテンさんの頭を叩いてすべての会話を中断しました。さらに「犬を病院に戻すには4000ドルをかかるの?どうして人間の食べ物をやっているの?犬にやるのを止めるように言ったでしょう。やみなさい!」と叫んでいます。
ブラッテンさんは歩行器まで足を引きづって歩きますが、フロイドは返事を聞きたいと立ちはだかります。ブラッテンさんは口ごもって答えられません。さらにフロイドは邪魔をして「嘘を言うのは止めなさい。犬にあげているんだ。ベッドに行きない」と叫んでいます。わめきと叩く音が続いて、二人とも部屋から出てゆきました。
ブラッテンさんの椅子の反対側の壁に設置されたカメラがふたりのすべての行動を把握しました。ブラッテンさんお家族が虐待を疑ったのです。警察は「元旦のビデオが明らかにした」と話しています。
フロイドは高齢者虐待で有罪―第2級の重罪―となりました。捜査官は、話すのが困難なブラッテンさんに過去に起きた同様の事件がないか判断するようです。
メモリアルヴィレッジズ警察署Memorial Villages Police Departmentの次席レイ・シュルツRay Schultz氏(画像)は次のように話しています。
「フロイドは3年間、ブラッテンさんに介護をしていました。また15年間介護職として働きました。彼女はヒューストン郊外のメモリアルヴィレッジに住み、ブラッテンさんの介護を週6日間行っていました。59才の彼女は、ブラッテンさんの家族と親密でした。この家族は彼女のために車を買うのを助けたほどです。しかし、ここ数か月間、彼女の成人した子供があざを見つけました。しばらく―少なくとも2月間―、あざを認めました。しかし、とてもひどいというわけでもなく、異常なものでもなかったのです。そのあざは腕の下面にありました。だれかを起こそうと手助けるときにできたようでした。子供は母親に聞きましたが、コミュニケーションはまったく成り立ちませんでした」
息子さんが疑って、大みそかにべビーシッター用監視カメラを取り付けました。リビングで母親がテレビを観たり食べる時によく座る椅子に面して設置しました。
暴行が疑われた次の日、息子さんはビデオを観て、母親への暴行が疑われると理解しました。
しかし、シュルツ次席は「地区検事長に相談し、ブラッテンさんに対する容疑で面接し、その後逮捕した」と話しています。
フロイド氏から入浴のために起こすとき婦人を殴ったり叩いたりしたことを認めるような経緯を警察が聞きました。その2,3日後、フロイドが逮捕されるとき、彼女は所在不明となったのです。
ヒューストンクライムストッパーズは、フロイドの逮捕につながる情報への報償を発表しユーチューブでビデオを公開しました。このことは地元のニュースでも報じられ数百万人が観ました。そして情報が殺到し始めまたのです。
次席は次のように話しています。
「誰もがブラッテン婦人はおばさんのように受け止められました。多くの人が彼女の養子のようなものです。警察署には花が届けられ電話もありました。間違いなく人々のこの事件に困惑し不愉快に思っています」
その後、今月27日の早い時刻に、警察は有用な情報を得ました。
フロイドは北ヒューストンのアパートに居たのです。彼女の買い物を助けたレクサス・ブラッテンLexus Brattenさんの家族は外に待たされ、警察がドアをノックして、彼女を問題なく逮捕しました。
警察の発表によると、ブラッテンは5000ドルの保釈金で釈放されました。27日現在彼女のコメントは無く、弁護士を雇ったかどうかは不明です。
全国高齢者問題協議会National Council on Agingによると、60才以上のアメリカ人10人のうち1人がなんからの高齢者虐待を経験しています。毎年500万人の被害者がいるとの推計もあります。また協議会によると、なんらかの障害のある人が虐待を受けやすいのです。また最近の研究によると認知症の人の半数近くは虐待か無視を経験し、暴力は障害高齢者でとりわけ高い比率で起こっていると協議会は報じています
Washington Post  January 28, 2017 A family suspected a caregiver was abusing an Alzheimer’s patient. So they installed a camera.)
訳注:クライム・ストッパーズとは?
クライム・ストッパーズは、ビクトリア州警察と一般市民が犯罪解決に協力する組織です。過去の犯罪情報について、または犯罪計画について、薬物や売買の所在地などについての情報を専門のオペレーターが記録して、ビクトリア州警察の担当部署に連絡し、捜査に使用します。情報提供者は匿名でも構わないことが大きな特徴です。(伝言ネットより)
編者:アメリカの高齢者虐待についてはいくつかの情報をネットで得られるが、ワシントンポストが報じる事件に関しての警察の姿勢は過剰ではないのか。

★「<高齢者虐待>山形で過去最多 介護中が過半数」(1月24日/河北新報)
山形県内で2015年度に確認された高齢者への虐待は前年度より9件多い計194件で、過去最多となったことが23日、山形市で開かれた「県高齢者・障がい者虐待防止県民会議」で報告された。障害者への虐待は、前年度より6件少ない13件だった。虐待に対する認識が広まり、通報が増えたことが件数増加の要因とみられる。
高齢者への虐待のほとんどは家庭内で起き、190件(被虐待者198人)を占めた。前年度に比べ、7件(7人)増えた。施設での虐待は前年度から2件(6人)増え、4件(8人)となった。
家庭内の虐待の被害者は女性が142人、男性が56人。介護保険の認定を受けている人は130人に上り、65.7%を占めた。そのうち、認知症の症状がある人は94%だった。
虐待をしたのは、息子が41.1%と最も多く、夫18.7%、息子の配偶者12%が続いた。被害者の介護を主体的に行っている人が53.2%を占め、中でも介護の協力者がいない人は49.6%に上った。
障害者への虐待の内訳は家庭内が11件(11人)、施設が2件(2人)だった。
県健康長寿推進課の小林敏子課長補佐は「増えている実態を重く捉え、男性を対象とした企業内での介護研修実施などを検討していきたい」と話した。
河北新報OnlineNews 2017年1月24日 原文のまま
関連資料:山形県健康福祉部健康長寿推進課 「平成 27 年度の高齢者虐待の状況について」プレスリリース 平成 29 年1月 23 日(pdf885K)


2016年


★「介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を...」(12月5日/BIGLOBEニュース)
介護殺人や心中が、2013年以降全国で少なくとも179件発生し、189人が死亡していた。今朝の読売新聞がこんな衝撃的な数字を報じ話題となっている。
高齢者の介護をめぐって、介護者である"家族"による殺害や心中などの"介護殺人"。長年連れ添った高齢の夫を妻が殺害する、また高齢の両親と心中しようとした娘がひとり死に切れず逮捕される──。警察庁の犯罪統計でも、2007年から2014年の8年間で「介護・看病疲れ」を動機とする殺人での検挙数は実に356件に上る。
そんな介護殺人の実態に迫ったのが『介護殺人 追いつめられた家族の告白』(毎日新聞大阪社会部取材班/新潮社)だ。本書では介護殺人に焦点をあてるだけでなく、加害者となった"介護者"本人に直接会いインタビューを行っているが、そこで語られる介護の"内実"と、その末に起こった"家族間殺害"はまさに壮絶だ。
2012年に妻・幸子(71、仮名)を殺害した木村茂(75、仮名)は、20代で結婚し、3人の子どもにも恵まれた。高度成長期で仕事に追われ続けた茂だったが、退職後は車を購入し、妻と旅行をすることで恩返ししたいと考えていた愛妻家だ。退職後は新聞配達のアルバイトをして旅行資金を貯めた。
〈お金が貯まると遠方に出かけた。2カ月に1回、北海道の知床や旭川、沖縄県の石垣島などを旅行した。中国、カナダなど海外にも行った。カナダのナイアガラの滝では船で滝のそばを通り、2人ともびしょ濡れになって大笑いした〉
幸子に異変が起こったのは 2009年頃だったという。
〈家の中で突然、タンスの引き出しを繰り返し開閉したり、使わないアイロンを用意したりした。パートとして働いていた飲食店でも簡単な注文を取り間違えるようになった〉
そのため幸子はパートを辞めたが、当初、茂は妻が認知症だとは思ってもいなかった。しかし2011年、幸子が事故で左腕を骨折し家事ができなくなって以降、その症状は急速に悪化していった。
〈骨折のために家を出ようとした時、幸子は下着しか身につけておらず、茂が慌てて連れ戻した〉
医師に連れて行くと、認知症とパーキンソン病の症状も併発している珍しいケースと診断された。茂は妻の介護に専念する。
しかし幸子はスーパーでの買い物中に尿を漏らしたり、人格が変わったように怒りっぽく暴言を吐くようになる。そして入浴、着替えもひとりでできなくなった。次第に茂のことも誰だかわからなくなる。かつて仕事から帰った茂を包み込むような笑顔で癒してくれたという妻は、もう別人のようだった。さらに夜はあまり眠らなくなり、大声で叫び近所からも苦情が来るようになる。そのため茂は夜中に幸子を車に載せ、ドライブをする毎日。茂がヘトヘトになるのは当然だ。8月22日深夜。幸子は茂をしつこく罵った。「お前みたいなもんは帰れ」「お前はどこの誰や」。
〈幸子はとうとう狂ってしまったのだろうか。それとも、本当に自分を憎んでいるのだろうか。
寝苦しい熱帯夜だったので、幸子の首には保冷剤を包んだタオルを巻いていた。茂は衝動的に、タオルの両端をそれぞれつまみ、首もとで交差させるようにして引いた〉
茂はその後、大量の睡眠薬と焼酎を飲んだが、一命は取り留め、逮捕。保護観察付きの執行猶予判決が下された。
ほかにも脳梗塞と認知症を発症した夫・武(65、仮名)を2年間の在宅介護の末殺害した当時61歳だった山下澄子(仮名)の告白もある。夫は左半身が麻痺しトイレも介護が必要となった。そして1日数十回もトイレに行きたがった。
〈真夜中も武は「おーい」と、トイレに連れて行くよう合図を出すから、何度も起こされた。
身長が150センチもない澄子は身長約170センチの武をよろめきながら支え、トイレに連れて行った〉
夫妻は経済的にも困窮した。入院や治療費で貯金を使いきり、借金もしたという。当然、介護施設を利用するだけの費用はなかった。
そして2007年9月15日、転んで大声で「痛い、痛い」と叫ぶ武を部屋までひきずるように運んだ澄子は、夫の姿を見てかわいそうで、情けなく、気づくと馬乗りになりタオルで武の首を締めていた。澄子は取り調べで検事に「他になにか方法があったやろ」と怒られた際、「検事さんには私の苦しみは分からん」と号泣したという。
また母親の介護で離職し、生活保護も拒否され困窮の中で母親と心中しようとした54歳の男性、交通事故で寝たきりになった母親を12年間介護した末に心中しようとした46歳の無職女性、先天性の脳性まひの44歳の息子を献身的に介護し続け、ついに鬱状態になり殺害してしまった73歳の母親など、同書では数多くの"介護殺人"が当事者やその関係者たちの口から語られている。
そのほとんどが、過酷としか言いようのない家庭内在宅介護の末に、慢性的睡眠不足や、将来への悲観、そして経済的、精神的に追い詰められた結果、最愛だったはずの家族を殺した、いや殺さざるを得ない状況に追い込まれたものばかりだ。
こうした多くのケースを見てわかるのは、介護は家族だけでは無理ということだ。もちろん同書には施設やデイサービスを活用しようとしたケースも紹介されている。しかし例えば冒頭の妻を殺害した木村茂の場合、施設に頼ろうとしたこともあったが「空きがない」と断られている。また夫を殺してしまった澄子は最低月に10 万円前後はかかる施設に入れる経済的余裕がなかった。
加えて、本サイトでも以前報じたことがあるが、近年、施設での人手不足、虐待、手抜き介護などが社会問題化したことで、施設への不信感を持つ介護者も多い。さらには「他人に迷惑をかけられない」「介護は基本的に家族がやる」という根強い"家族介護幻想"が介護者を追い詰めていく。
にもかかわらず安倍政権は、現状を無視するかのように、"家族による在宅介護"を推し進めようとしている。
安倍政権はアベノミクス3本の矢のひとつとして、年間10万人以上といわれる「介護離職ゼロ」をぶち上げ、介護サービスの整備計画を2020年までに「50万人分以上に拡大」と打ち出した。しかし50万という数字にしても、実際にはすでにある38万人の計画に12万人を上乗せしただけだ。
さらに15年4月には介護保険法が改正され、特別養護老人ホーム(特養)の入所条件が厳しくなった。それまで「要介護1」以上だったのが「原則要介護3以上」と引き上げられ、それが介護保険法の施行規則に明記された。政府はこれまで問題となってきた特養の待機者が大幅に減ったとうそぶくが、しかし入居したくても申込みすらできなくなり、門前払いされる要介護者が増加したにすぎない。また入居できたとしても補助認定が厳格化され、さらにこれまで全員が1割だった自己負担割合が、年金収入280万円以上の場合で2割に倍増した。
同時に要介護者が利用できる訪問介護と通所介護については、2018年までに自治体が行う「地方支援事業」に移行される。これでは自治体によってサービスや費用に差が生じ、要介護者にとって不利益になるとの指摘もある。
さらに介護保険料が値上げされた一方、介護報酬は実質マイナス4.48%と過去最大規模の引き下げになり、デイサービスなど小規模施設の閉鎖が相次いで問題になった。現在でも不足している介護職員の確保も課題だ。政府は介護職員の賃金を平均で月1万円程度引きあげるというが効力は未知数であり、今後も高齢化が進む日本で国民の負担が増大することは容易に想像できる。
こうした政策は、右肩上がりの介護保険制度の財政を抑えるため、家族間による在宅介護に重点を置くものだ。要介護者が必要なケアを受けられないというだけではない。家族にとっても、これまで以上に精神的かつ肉体的、そして経済的な負担が増加するということでもある。「介護離職ゼロ」どろこか、はっきり言って、介護サービスの崩壊と高齢者の切り捨てだ。
さらに家族による在宅介護を強要する"根拠"とすべく安倍政権が意欲を燃やすのが、来年の国会で提出を目指す「家庭教育支援法案」(仮称)だ。これは家庭教育を「家庭、学校、地域が一体となった支援体制の強化」(自民党プロジェクトチーム事務局長・上野通子参院議員)を狙いとするというが、実際には国家が家庭のあり方を規定し、家庭教育に介入するというトンデモなシロモノとみられている。実際、安倍政権は「家族は、互いに助け合わなければならない」という自民党の改憲草案の憲法24条、いわゆる"家族条項"の新設に見られるように、家族による「助け合い」を義務化しようとしており、「家庭教育支援法案」もその同線上にあることは間違いない。
つまり、安倍政権が目指すのは、家族こそが基礎的集団であり、なおかつ家族は国家を支えねばならないという、戦前のような価値観が支配する社会なのである。そこでは当然、在宅介護が推奨され、社会保障の削減にお墨付きが与えられる。ようするに、国や自治体がすべき社会保障を"家族"に丸投げするという"自己責任論"だ。しかも、現状でも、在宅で介護をする人々を支えるための政策や取り組みがほとんどない状態なのだから、いっそうたちが悪い。
さらに言えば"介護殺人"だけではなく、介護者自身の自殺という問題もある。警察庁によると、2011年から2015年の5年間だけで、介護や看病疲れを理由に自殺した人数は実に1375人に上る。いずれにせよ、このままでは、さらに行き場を失う高齢者が溢れ、それを支える家族が疲弊し、"介護殺人"や"介護自殺"に追い込まれる──そんな人々が増加の一途をたどるのは間違いない。(伊勢崎馨)
BIGLOBEニュース 2016年12月5日 原文のまま

★「認知症の父たたき…「虐待」で面会禁止 行政の判定にトラブル増」(11月27日/京都新聞
高齢者虐待の件数が増える中、介護を尽くしてきた家族がストレスで手を挙げるなどしたため、行政に「虐待者」と判定され、トラブルになるケースが増えている。虐待をしたと判定され、父親と1年以上面会できなかった女性に話を聞いた。
□大津の50代女性、市に不信感抱き解決まで1年
大津市の50代女性は認知症の80代の父親を5年前から、デイサービスなどを利用しながら一人で介護してきた。父親は昔から気性が荒く、認知症になってからも殴りかかってきたりしたので、女性も抵抗し、押さえつけたり、たたいたりした。
2014年7月、女性は「親族の財産問題があり、相談したが話が通じず、イライラした」と、父親をたたいた。ケアマネジャーらに相談し、虐待に当たることを指摘され、気をつけるようにした。父親を施設に入れる手配も進めていた。
だが状況は変わらず、女性は筒で父親をたたき、右目の上にこぶができるけがを負わせた。市は「父親に危険がある」と認定。父親は施設で保護されることになった。安全のため所在地は教えてもらえず、女性は父親と面会できなくなった。
15年1月、父親に手術が必要となったことから面会が可能になり、一緒に通院もした。女性は、父親の財産管理に関する市の対応などについて、各所へ相談に回った。だが女性が、必要な手続きを怠って父親の施設に面会に一度行ってしまったことから、市は再び面会禁止の措置を取った。
女性は「介護も頑張り、事前に相談しSOSも出していたのに、『虐待した』と言われたことがショックだった」と話す。市に不信感を抱いてしまったため、担当者とのやりとりはその後平行線のまま、1年近く時間を費やした。
今年8月になって、ようやく制限が解除され、父親の成年後見人のもと、面会できるようになった。女性は「父親と強制的に離れたことで、気持ちは落ち着き、結果的にはよかった。ただ長期間にわたって父の体調がどうなっているのかまったく分からず、ストレスで倒れそうだった。どうしてこうなったんだろう」と嘆いた。
写真説明:父親の写真を見つめる女性。「こんな形で父と離れるとは思ってもみなかった。いろんな人に相談したり、交渉したりして疲れた」とつぶやく(大津市内)
京都新聞 2016年11月27日 原文のまま

★「 <介護か虐待か 苦悩する家族>(上) 暴れる母を止めただけ 傷害致死容疑」(11月16日/中日新聞)
認知症が原因となり暴れる親を制止したことで、家族が虐待を疑われる事例がある。中には逮捕され、職を失った人も。親の介護はただでさえ負担が大きいのに、虐待の疑いもかけられた家族は途方に暮れる。
「部屋で暴れてつかみかかってきた母の腕をつかんで、制止しただけなのに…」。大阪市東淀川区、元大阪大歯学部助教の佐保(さほ)輝之さん(56)は唇をかむ。
“事件”があったのは二〇一一年六月二十日未明。佐保さんによると、同居していた母親の重子さん=当時(80)=が突然暴れ始めた。佐保さんと妻のひかるさん(53)、父(88)の三人がなだめ、二時間後にやっと重子さんが落ち着いた。ところがその晩、重子さんが肋骨(ろっこつ)骨折による外傷性ショックで死亡。九カ月後、佐保さん夫婦は母親への傷害致死容疑で逮捕された。
佐保さん夫婦は一貫して無罪を主張したが、一審は懲役八年の有罪判決。二審では、重子さんが認知症の影響で暴れていた可能性を認め、肋骨骨折は佐保さん夫妻による暴行によるものとはいえないと判断。一審判決を破棄した上で、母親を止めるため体をつかんだことなどが暴行に当たるとして、暴行罪で罰金二十万円の有罪判決を言い渡し、確定した。
「母親への虐待事件」という検察側の見方が否定されたのは、認知症の人と家族の会(京都市)副代表理事で、認知症専門医の杉山孝博さん(69)による意見書がきっかけだった。
意見書で杉山さんは、重子さんは普段の言動から認知症の可能性が高かったと判断し、激しく暴れるのはその症状の一つと指摘。「肋骨骨折は、介護の混乱の中で偶発的に起こった出来事であって、虐待によって発生したものではない」と主張した。
「認知症の人が暴れるのはよくあること。逮捕までの九カ月間に、警察は介護関係者らに介護の実態がどのようなものであるのか聞いたのか」。杉山さんは警察の対応を批判する。
佐保さんによると、両親とは〇八年から同居。以前はおとなしかった重子さんが、父親のことを「このおっさんが」などと厳しくののしったりたたいたりすることがあり、精神的に不安定になっていると感じたためだ。佐保さんは、重子さんに受診をすすめたが、拒否したという。
暴れた時の重子さんは普段より素早く、力強かった。肋骨を折った時は、額には大きなたんこぶと切り傷ができていたが、痛そうなそぶりも見せなかった。「反発したら、よけい食って掛かってくる。ずっとがまんしていた」と父親は振り返る。
認知症はもの忘れや、外出して家に帰ってこられない徘徊(はいかい)が主な症状と思われがちだが、人によって暴れることが多いのはあまり知られていない。
佐保さん夫婦の主張が二審で認められたとはいえ、逮捕の代償は大きい。佐保さんは大学を解雇され、収入を絶たれた。「医療に関わる者の端くれなのに、認知症への理解が乏しかった。母も正しい助けを得られず、苦しかったと思う」と、母親の病気にきちんと向き合えていなかったことも後悔する。
今は、自分たちのような体験をする人をなくそうと、全国で講演している。(出口有紀)
ChunichiWeb 2016年11月16日 原文のまま
「介護か虐待か 苦悩する家族(下) 密室の危うさ」(11月17日/東京新聞)
家族らによる高齢者虐待と認定された件数は、年々増え続けている。厚生労働省の調査では、二〇〇六年度に一万二千五百六十九件(通報一万八千三百九十件)だったのが、一四年度には一万五千七百三十九件(同二万五千七百九十一件)になった。
増加の背景には、〇六年度に施行された高齢者虐待防止法がある。高齢者の人権を守るため、虐待と疑われる事例を発見した人に、市町村への通報を義務付けた。
端緒となるのは「体にあざができている」「頭にこぶがあった」などが多い。ただ、高齢者の骨や皮膚は若者よりはるかに弱く、自室で転んだり、頭をぶつけただけでも青あざやこぶができたりする。介護の現場ならよくあることだが、知らないと「こんなひどい傷は、自分でつけられるわけがない」と考えてしまう。
三重県内に住むパート女性(45)は、自宅で介護していた母親(76)への虐待を疑われ、九月から母親が自治体に保護されている。「母と会えなくなって二カ月以上たつ。心配で仕事も手に付かない」と悩む。
女性によると、母親は二年前、レビー小体型認知症の診断を受けた。この認知症は実際にはないものが見えるように感じる「幻視」や、動作の障害が特徴で、認知症全体の二割を占める。
今年に入り、母親は自室で着替えようとして転んだり、玄関でふらついてげた箱に頭を打ったりして、あざができるようになった。転ばないように手を貸すと嫌がることが多かった。八月、女性が夕食を作っていると、母親が外に出て行こうとした。女性は「母を止めようと玄関でもみ合いになり、母のおでこに私の頭がぶつかったため、母親の額にはこぶができ、後に内出血で黒くなった」と話す。
その二週間後、母親は通っていたデイサービス施設で自治体に保護された。女性には直接の連絡はなく、愛知県内に住む姉に自治体担当者から電話があり、「お母さんは他の施設に移られます」と説明されたという。女性は「母は細かい状況説明ができず、二人暮らしでは虐待ではないと証明もできない。住み慣れた地域で暮らしたいという母の思いを優先したのに…」。母親を保護した自治体は「個人情報には答えられない」とした上で、「一般的には、法に基づいて高齢者の身体と生命に危険があると判断した場合に保護する」としている。
暴力や暴言などの激しい症状のある認知症の人に、家族はどう対応すればいいのか。
「密室の在宅介護では、誰でも告発される可能性がある」。認知症の人と家族の会(京都市)副代表理事で、認知症専門医杉山孝博さん(69)はこう指摘し、「認知症の人を力で押さえつけたり、言葉で非難したりすると、混乱がひどくなることがある。家族は話を合わせながら、他の方へ関心を持たせるようにして」と助言する。
高齢者虐待問題が専門の日本大教授山田祐子さん(52)も「虐待との意識がなくても、結果的にけがをさせてしまえば疑われる場合がある。懸命に介護する家族にはつらいが、介護にはそういうリスクがある」と話す。
地域の包括支援センターに介護の状況を頻繁に伝えていると、介護者が孤立する状況は避けられる可能性があるため、認知症が進行して在宅介護が難しくなった時に備えて「早めに施設入所などのサービスを使うことを考えて」と勧める。 (出口有紀)
TokyoWeb 2016年11月17日 原文のまま

★「「おむつ交換嫌がった」負傷の認知症母を浴室に放置して死なせる 神戸」(7月21日/産経新聞)
転倒して動けなくなった同居の母親(88)を浴室に放置して死なせたとして、兵庫県警捜査1課などは20日、保護責任者遺棄致死容疑で次男のタクシー運転手、今脇伸二(60)と妻の真由美(46)=ともに神戸市灘区上野通=の両容疑者を逮捕した。伸二容疑者は「医師の手当ては求めなかったが応急処置はした」と容疑を否認しているが、真由美容疑者は認めているという。
同課によると、一家は3人暮らし。伸二容疑者は「母親には認知症のような症状があった」と説明しており、主に伸二容疑者が身の回りの世話をしていた。
逮捕容疑は17日午後11時ごろ、母の純子さん(88)が屋外で転倒して自力で動けない状態になっているのを認識していたのに、医師の治療を受けさせることなく自宅浴室に放置。約11時間後の翌18日午前、肋骨(ろっこつ)骨折による急性呼吸循環障害の疑いで死亡させたとしている。
事件当時、両容疑者はともに自宅にいた。伸二容疑者が浴室で純子さんのおむつ交換をしようとしていたが、純子さんが痛がったため「おむつを交換せずにそのまま様子を見た」と説明しているという。
18日午前、息をしていない純子さんに気づいた伸二容疑者がかかりつけの医師に連絡。全身にあざや傷があったことから医師が110番し、事件が発覚した。
産経WEST 2016年7月21日 原文のまま
編者:認知症の妻の介護で1日4回欠かせないのが紙パンツの交換である。私が疲れている時も辞められない。こうした時に拒まれると怒りを覚え暴力に及ぶことがある。事件の背景が不詳だが―例えば「どのように交換していたのか」―、同感する部分もあるようだ。

★認知症に関係した暴力はとても多い(7月13日/アメリカ)
「アルツハイマー・サンディエゴAlzheimer's San Diego(ASD)」(訳注①)のメアリー・バルMary Ball代表(写真)は、暴力的な行動の変化に直面した家族への介護支援の経験を検討して、以下のように述べています。
ラメサに在る介護付き住宅エルモクロフトElmcroft of La Mesaの不幸な状況(訳注②)は、タブーとされた話題を明らかにしました。話題とはアルツハイマー病など認知症に伴うことがある暴力的で攻撃的な行動のことです。
あまりに多くの人たちがこの病気を間違って理解しており、単に名前や場所を忘れるだけとみています。実際、この病気は多くの問題となる行動―暴力を含む―を伴います。
認知症の人の80%以上は、最期まで在宅で家族の介護を受けていますが、介護者の配偶者や成人した子供たちは本人の安全に優先して自分たちを孤立させ準備不足のままに置かれています。
私たちASDは、アルツハイマー病などの認知症で影響を受けた家族を支える取り組をしています。病気の治療や治癒が見つかるまで家族は一人でアルツハイマー病と共に生きるべきではありません。
ごく最近、ASDのソーシャルワーカーがある夫人から電話を受けました。夫人は認知症の夫から追い詰められ、恐れもいだいていたのです。
その夫人は「夫が私を掴まえ始めるようになって腕が傷だらけです。夫がいつもこのようなことをするわけではないが認知症が悪化するなかで攻撃的になった」と語りました。
ASDのとりわけ研修を受けたソーシャルワーカーは、彼女の話を我慢して聴き、完全に記録し、夫人が支援を求めていることが正しいことであると納得してもらいました。多くの事例で介護者は、認知症の人の介護を続けることを優先し自分たちの精神的、身体的なよ状態にあるべきことを無視しています。
こうした状態は介護者が身体的に危険だと感じる時点まで進行するので、ASDは成年保護サービスAdult Protective Services(訳注③)や警察に情況を報告することを勧めます。その夫人も保護の必要性に同意しました。
その日遅く、警察が自宅に来た時、警察官は夫人の腕が青黒い手の形で覆われているのを確認しました。夫人が語ったとおりだったのです。夫に対してあざについて聞くと、彼はその原因が自分にあると容易に認めましたが、認知症のため、情況の深刻さを理解できませんでした。
すぐに成人した息子が呼ばれました。彼は父親の行動の程度と母親が日々の行ってきたことについて考えたことがなかったのです。直接に彼を家族に会わせることで、ASDは行動のきっかけを特定し、その管理の仕方を教えました。さらに在宅での追加支援―休息ケアなど―も準備しました。
認知症の分の2以上の人は回りの人に攻撃的行動をとることがありますが、それにはそれなりの理由があるかもしれません。
認知症になると、行動はコミュニケーションの一つであることが多い。同様に攻撃的行動の背後にある理由を明らかにすることが重要です。認知症の人に疼痛や不快はないか?最近、薬が変わってないか?認知症の人が家族と認識しているか?自宅に害を加える知らない人がいるとみてないか?
こうしたことが状況を複雑にし、理解と忍耐と追加的支援が必要になることが多い。
認知症の人を介護していて苦労したり支援が必要であれば、私たちASDに電話くださるか、会いに来てください。
ASDの電話は (858) 492-4400で、サイトはこちら
the sandiego union-tribune July 13, 2016 Dementia-related violence all too common
訳注
①2015年、アルツハイマー病協会サンディエゴ支部から分かれて発足したサービスを提供する団体。
②ケッタッキー州ルイビルを拠点に介護付き住宅の経営を全国展開しているElmcroft Senior Livingのカリフォルニア州ラメサに在る施設で昨年、居住する認知症の人の暴力で別の認知症の人が死亡した事件。
③虐待を受けた高齢者または障害成人を保護する1970年代の導入された制度。日弁連の簡単な報告書(pdf70K)が参考になる。
編者:ASD代表の認知症の人の暴力に関する解説は簡明で正確だ。

★「高齢の息子、長年連れ添った配偶者…韓国で家庭内「老老虐待」が増加」(6年14日/ ハンギョレ新聞)
昨年、高齢者虐待が8.1%増加し3818件に 
息子に続き妻や夫が加害者第2位に
<事例1>
認知症を患う高齢者のKさん(92)は、息子(62)と共同名義で家を所有してきた。ところが、2014年に家を担保に事業を起こして倒産した息子は、競売で家を処分されるとどこかにいなくなった。何も知らされていなかったKさんが強制退去させられる日まで、息子は現れなかった。結局Kさんは、ソウル市北部の老人保護専門機関に移された。強制退去まで、Kさんは認知症の症状に対する適切な治療はもちろんのこと、食事もまともにできない状況だった。
<事例2>
Nさん(66)は昨年、夫(71)の常習的な暴力に耐え切れず、保護施設に駆け込んだ。Nさんの夫は酒を飲むと、ナイフを振り回し、乱暴な言葉で脅すことが多かった。繰り返される暴力に苦しんでいたNさんは何度も離婚を求めたが、聞き入れてもらえなかった。子供たちは皆結婚し、他の地域に住んでおり、Nさんはなかなか助けを求めることができなかったという。
急速な高齢化に伴い「老老扶養」が増える一方、「老老虐待」も大幅に増加していることが分かった。昨年の高齢者虐待事件のうち、高齢者の配偶者もしくは高齢の子供による「老老虐待」は41.7%に達する。
14日、保健福祉部が発表した「2015高齢者虐待の現状報告書」によると、昨年の高齢者虐待通報は1万1905件で、前年の1万569件に比べ、12.6%増加したことが分かった。このうち高齢者虐待として最終判定された事例は3818件で、前年より8.1%増加した。
特に60歳以上の高齢者の間で行われた老老虐待は、2013年に1374件から、2014年に1562件、昨年は1762件(全体の41.7%)に増加した。 60歳以上の夫婦間の虐待事件は、2013年に530件から昨年635件に増えた。
虐待を加えた人のうち、配偶者の割合が高くなったことも、高齢化の影響とみられる。昨年、高齢者を虐待した人は、被害者の息子(1523人)が最も多く、配偶者(652人)、娘(451人)、嫁(183人)がその後を続いた。保健福祉部高齢者政策課のイ・ジェヨン課長は「虐待者の中で最も大きな割合を占めている息子を除くと、2番目に多い種類が2006年には嫁だったが、2010年には娘、2014年からは配偶者に変わった」と指摘した上で、「高齢化により、高齢者が配偶者と暮らす期間が長くなったことが影響を及ぼしたものと見られる」と説明した。
昨年、自ら日常生活を放棄するか、または面倒を見てもらうことを拒否する「自己放任」の虐待も前年に比べ34.3%(463件から 622件に)も急増した。このうち一人暮らしの高齢者が85.1%を占める。経済的困難を抱えているか、家族との関係が断絶され隔離された状況で、普通の生活を放棄する高齢者が増えていると福祉部は分析した。イ・ジェヨン課長は「現在は家庭内虐待が85.8%で圧倒的に多いが、特別養護老人ホームや病院などの施設で行われる高齢者虐待が増えている点も注目すべきだ」と指摘した。
ファン・ボヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2016-06-14 16:37
http://www.hani.co.kr/arti/society/rights/748150.html訳H.J
図の説明:老老虐待の増加の推移(資料:保健福祉部)と高齢者を虐待する人の類型(資料:保健福祉部、2015年基準)左から息子、配偶者、娘、嫁//ハンギョレ新聞社
The Hankyoreh  2016年6月14日 原文のまま
編者:韓国での高齢者虐待の予防体制が不明だ。以下の論文が参考になる。
「高齢者虐待防止の関連法の日本と韓国の比較」金 東善 東洋大学大学院紀要 45 (社会学・福祉社会) 2008 p.313~327(pfg4.5MB)
6月15日が「世界高齢者虐待啓発デーWorld Elder Abuse Awareness Day」と初めて知った。韓国の事はこれに関連したものらしい。

★「加害者は男性7割 妻を殺める夫の「介護殺人」なぜ減らない」(3月17日/日刊現代)
安倍政権は1億総活躍社会の大風呂敷を広げているが、老後は暗いようだ。先日は、認知症の妻(77)の介護を苦にした夫(83)が妻を殺害。殺人容疑で逮捕された夫は留置場で食事をほとんど取らず、搬送先の病院でも食事を拒み死亡したという。このところ、介護をめぐる無理心中や殺人事件が相次いでいる。日本福祉大の湯原悦子准教授(司法福祉論)(写真右上)の調査によると、加害者の7割が男性だった。介護のつらさは男女で変わらないはずなのに、この違いはなぜか。
全国介護者支援協議会」理事長の上原喜光氏(写真右下)が言う。
「介護に苦しんで事件を起こしているのは団塊の世代より上、70歳以上です。その世代の男性は戦後復興を担い、国のために頑張った。営業でも製造業でも、とにかく一生懸命で完璧にこなすことが美徳とされた時代です。そういう意識が心身に深く刻み込まれているため、妻の介護にも完璧を追求する傾向が強い。しかし、特に認知症の介護で、完璧主義は長続きしません。それでも、愚痴を言えず、ひとりで問題を背負い込んでしまい、あるとき、暴発するように事件を起こすのです」
上原氏によれば、男性の介護を例えると“糸”で、女性は“ゴム”だという。張りつめたゴムは反発して緩むが、糸はそれより弱い力で切れてしまう。糸が切れるまで誰にも相談せず、頑張るのが男性なのだ。
□「愚痴を言う相談相手がいないから追い詰められる」
そういえば、妻・大山のぶ代さん(82)の認知症を公表した俳優・砂川啓介さん(79)は、徘徊や失禁のつらさから「妻を道連れに死んでしまった方が楽なのかもしれない」と語っていたが、「公表したことで楽になった」とも話していた。
「男性は、まるで生産ラインの作業を細かく段取りするように、妻の介護にも細かくスケジュールを決めようとします。ヘルパーさんに食器の片づけや部屋の掃除などをやってもらっても、自分のやり方と違うことにイライラして、ヘルパーさんを帰してからやり直すことさえある。“弱みを見せるのはよくない”という世代で、愚痴を言う相談相手もいないから追い詰められるのです」(上原氏)
ケアマネジャーや介護ヘルパー、地域の包括支援センターなどに相談すれば、介護負担を軽減するようなサービスも受けられるが、そういうところにアクセスしないのが男性介護者だ。では、父親が暴発しないためにはどうすればいいのか。
「ボクシングでセコンドがリングにタオルを投げて試合をストップさせるように、在宅介護をストップさせるしかありません。つまり、母親を施設に入所させるということです。これまで1500人近い方をカウンセリングした経験から、そういう提案をすると、父親も受け入れることがほとんどです」(上原氏)
子供がGWや盆暮れに帰省しても、父親はSOSを出さないだろうが、周りがチェックできるサインもある。寝不足がちな様子や、母親への暴力痕、排泄による臭い、働いている父なら職場への遅刻など。そのうちどれか一つでも当てはまったら、周りがタオルを投げ入れることだ。在宅介護を家族で分担するのも簡単ではない。追い詰められた父親と同居できない限り、“悲劇”は防げないという。
日刊ゲンダイDIGITAL 2016年3月17日 原文のまま
編者:2004年に設立された「全国介護者支援協議会」の実態がいまひとつよく理解できないが、介護殺人の意見として紹介した。

★「高齢者虐待、26年度300件、2年で倍増 被害者77%が認知症」(2月5日/産経新聞)
特別養護老人ホームなどの介護施設で平成26年度、職員による高齢者への虐待が確認されたのは300件と、2年前の24年度(155件)と比べほぼ倍増したことが5日、厚生労働省の調べで分かった。増加は8年連続で過去最多。被害者の約77%が認知症だった。家族や親族による高齢者虐待も前年度比で微増し、1万5739件だった。
厚労省は「知識の足りない職員による虐待が多く、市町村の体制整備のあり方を検討する」としている。
調査は厚労省が高齢者虐待防止法に基づき、18年度から毎年実施している。
施設職員による虐待の被害者は613人(79人が軽微な預かり金詐取被害にあったケースを1人と集計)。虐待の内容(複数回答)は「身体的虐待」が約64%と最多で、「心理的虐待」約43%、「経済的虐待」約17%、「介護放棄」約9%-が続いた。
被害者のうち、日常生活に支障がある認知症患者は474人で、全体の4人に3人超を占めた。虐待した理由は「教育・知識・介護技術などに関する問題」が最多の約63%だった。介護職員に占める男性の割合は約2割だが、虐待者の約6割が男性だった。
一方、家族や親族による虐待被害者は1万6156人。虐待者は息子(約40%)や夫(約20%)が多く、虐待者と被害者が2人だけで同居しているケースが約半数を占めた。被害者の要介護度が高く、介護保険サービスを受けていない世帯ほど、深刻な虐待被害を受ける傾向がみられた。死亡したのは25人(前年度比4人増)だった。
産経ニュース 2016年2月5日  原文のまま
関連情報:平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果 平成28年2月5日 老健局高齢者支援課


高齢者虐待防止の過去の情報
2014年~2015年
2012年~2013年
2005年~2011年


関連サイト

日本高齢者虐待防止学会
International Network for the Prevention of Elder Abuse
National Institute on Aging(USA)


出版物
「高齢者虐待に挑む増補版発見、介入、予防の視点」 高齢者虐待防止研究会 中央法規出版 2006/ 07
「高齢者虐待防止トレ-ニングブック発見・援助から予防まで」 高齢者処遇研究会  中央法規出版  2006/06
「高齢者虐待防止法活用ハンドブック」 日本弁護士連合会民事法研究会  2006/06
「高齢者虐待  実態と防止策」小林篤子 中央公論新社 2004/07
「高齢者虐待に挑む発見、介入、予防の視点」 高齢者虐待防止研究会 中央法規出版 2004/07
「高齢者虐待日本の現状と課題」 多々良紀夫 中央法規出版 2001/09