認知症の情報(海外)2014年


行方不明のアルツハイマー病の人の写真を公開(12月25日)
認知症の人を元気づけるために連携が必要と訴える―母の日に―(12月22日)
「ヤルマルの災い」―若年性アルツハイマー病―を科学して治癒に繋げる(12月19日)
認知症の人が凍死(12月14日)
行方不明の認知症の人の懸念が増す(12月7日)
カナダの学生が東京の認知症サミットで報告(11月25日)
アルツハイマー病啓発月間で元介護家族の活動が称賛(11月23日)
認知症介護の研修で介護家族の状態、長期に改善(11月21日)
アルツハイマー病にやられる前にこの病気をやっつけよう(11月20日)
アルツハイマー病と闘う地球規模の共通の課題(11月12日)
個人財務:家族へのアルツハイマー病の勘定書:月額4000ドル(11月11日)
認知症介護者への支援を切望(11月8日)
「マレーシアで認知症ケア 介護各社、相次ぎアジア進出」(11月7日)
「認知症の国際会議始まる 東京」(11月5日)
フランスのアルツハイマー病ケアはイギリスより進んでいる(10月29日)
アルツハイマー病は増えるが反応は遅い―ネパール―(10月22日)
国家アルツハイマー病計画の議論のための新しい「節目となる提案」(10月20日)
南アジア人居住区で認知症の診断事例が増える(10月17日)
つぎはぎケアで認知症の人が不必要な苦しみを受ける(10月13日)
ガーナでの世界アルツハイマーデー(10月9日)
認知症支援サイトを開設(10月1日)
アルツハイマー病の人がメモリーカフェで社会とつながる(9月28日)
「認知症サミットの後継イベント、11月5日から日本で開催へ」(9月25日)
世界アルツハイマーデーに神経科医は国レベルの認知症指針を要請(9月22日)
少年がアルツハイマー病の人の安全のため優れた機器を発明(9月19日)
重度の認知症の人が効果の曖昧な薬を服用し続けている(9月9日)
認知症の人の投票権は問題(9月8日)
認知症を避けたいと妻自殺、夫幇助(8月20日)
認知症の人のための「開かれた村」の創設を(8月16日)
認知症の人たちが集う「メモリーケアセンター」(8月12日)
介護職はアルツハイマー病の人を告訴できない(8月5日)
「高齢者デイケア施設の開設に住民が猛反対」(8月3日)
アルツハイマー病のためのK2登頂(7月27日)
認知症予防の小さな変化と希望(7月15日)
「認知症合併患者の白内障手術で一石二鳥のベネフィットの可能性」(7月15日)
「認知症国際会議を日本で開催へ 11月、サミット後継行事」(7月9日)
「『地域全体で協力しよう』オンタリオ州の認知症安全プログラム」(7月7日)
信頼性がより高くより簡便なアルツハイマー病の新しい診断基準(7月4日)
「中国で介護事業をスタート ニチイ学館」(7月3日)
アルツハイマー病の臨床試験が減少(7月3日)
口述物語:アルツハイマー病の人の心を和らげる(6月22日)
アルツハイマー病を治す鍵は治療薬の開発への投資を変えることになるもしれない(6月20日)
忘れられた愛:介護施設でのセックスと親密さと認知症(6月18日)
アルツハイマー病と戦った父(6月16日)
急性期身体医療で認知症の病院文化を変革する必要(6月13日)
認知症の高齢者が大学を卒業(6月8日)
認知症の人の法的・倫理的グレーゾーンを探る(6月5日)
「アルツハイマー病と脳の啓発月間」に参加する方法(6月1日)
アルツハイマー病の男性はもの忘れしても「心は覚えている」ことを示す(5月28日)
「<韓国療養病院火災>放火容疑で80代の認知症患者を緊急逮捕」(5月28日)
国家アルツハイマー病計画の新たな成果(5月25日)
地域病院が認知症の人向けの病棟を開設(5月23日)
マン島の認知症啓発週間の催し(5月16日)
認知症とパーキンソン病の行方不明男性の遺体発見(5月15日)
認知症高齢者の増加に直面する中国で医療危機が顕在化(5月12日)
アルツハイマー病をめぐる医師たちの沈黙(5月8日)
5万人以上のイギリス人が認知症の家族の介護のために離職(5月7日)
「認知症:患者家族に年6日の休暇、韓国政府が推進」(5月7日)
メディケアで給付する認知症スクリーニングの有益性を示す証拠は乏しい(5月6日)
「世界認知症委員会」の初会合(5月1日)
緑茶が作業記憶を改善する根拠(4月8日)
「アルツハイマー病アカンタビリティ法」の成立で研究推進の期待(4月6日)
認知症の人への医療ユニット開設(4月4日)
「A4スタディ」はアルツハイマー病ワクチン療法への第1歩(3月30日)
「高齢者の認知症スクリーニングに関する勧告を11年ぶりに改訂」(3月28日)
認知症の人による自殺や他殺の危険性が見過ごされていないか(3月27日)
認知症の人との結婚は無効(3月22日)
女性の方が男性よりアルツハイマー病になりやすい(3月19日)
認知症の人を穏やかにするバーチャルな空間(3月17日)
メモリーカフェは認知症の人の社会的繋りを作る(3月13日)
アルツハイマー病の人が亡くなった妻と二日間過ごす(3月13日)
「日本型の介護、アジアの課題を救えるか」(3月13日)
カトリック教会が認知症に優しくなる取り組み(3月10日)
血液検査でアルツハイマー病の発症を予測可能(3月9日)
認知症の人が「認知症にやさしい街」作りを呼びかける(3月8日)
アルツハイマー病は死因の第3位(3月5日)
先住民の認知症に関わる不利益への取り組み(3月3日)
ウオーカソンでアルツハイマー病に挑む(3月2日)
「スイスの老人ホーム 介護士不足を補うには」(2月26日)
専門職に認知症の人の終末期の権利についての知識が乏しい(2月12日)
在宅の認知症の人への連携ある働きかけで施設入所が遅れる(2月10日)
「認知症ケアショップ」は認知症の壁と偏見を壊す(2月7日)
アルツハイマー病の人の生前遺言に反して栄養補給を命じる判決(2月3日)
「徘徊」中の認知症の人が列車にはねられる(2月2日)
中国はアルツハイマー病の危機に直面(1月28日)
急性期病院での認知症ケアに大きな隔たり(1月28日)
アルツハイマー病の治療薬の失敗で研究者は予防に向く(1月25日)
「カナダの老人ホームで火災 8人死亡、30人行方不明」(1月25日) 
認知症の「ケアの三角形」で介護者の生活が改まる(1月21日)
アルツハイマー病のアミロイド画像診断の有益性はまだ不確か(1月15日)
自分でできる新しい認知症スクリーニングテスト(1月13日)
映画も楽しめる新しい認知症病棟(1月7日)
ガーナに認知症教育が必要(1月6日)
催眠療法士は認知症の人の介護者を支援する(1月6日)
アルツハイマー病にビタミンEは有益らしいが(1月1日)


2014年

★行方不明のアルツハイマー病の人の写真を公開(12月25日/レバノン)
警察はアルツハイマー病の人の写真を公表しました。24日ベイルートで行方不明となり家族が捜しています。この男性は、名前がアハマド・アベルガーニ・アルダースAhmad Abel-Ghani al-Daas氏(写真)で、71歳のシリア国籍の人です。彼は、24日午前10時半頃、リヤディRiyadiスポーツクラブに近いラスベイルートのマナラManara area of Ras Beirut地区で見失われました。警察の発表によると、男性はアルツハイマー病で、一人で帰宅したり家族と連絡を取ることができません。男性の外観は色白、白髪で、薄い口髭をはやし、身長は165cmほどです。警察は、彼を見たか、彼の情報を持つ人はだれでもハムラHamraのラスベイルート警察署を訪れるか電話(01/740942 または 01/856915)してほしいと要請しています。
The Daily Star Dec. 25, 2014 Beirut police release photo of missing Alzheimer's patient
編者:中近東での行方不明の認知症の人の珍しい英字記事として紹介した。シリア難民の一人かもしれない。なおレバノンにはADI に加盟するレバノンアルツハイマー病協会Alzheimer's Association Lebanonがある。中近東で最も活発な団体のようだ。

認知症の人を元気づけるために連携が必要と訴える―母の日に―(12月22日/インドネシア)
スハルヤDY Suharya氏(写真左上)は、アルツハイマー病と診断された母親に、当初、苛立ったりしました。しかし、病気のことをもっと学ぶなかで、こうした態度を後悔しました。インドネシアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Indonesia(訳注1)の創設者であるスハルヤ氏はこの病気に関わる家族の経験を語ります(訳注2)。

ことは、金曜日の午後の父からの電話から始まります。父は、母が老年科医と歯科医から栄養不良と診断されたと教えてくれました。これは2008年のことで、私は西オーストラリア州パースに在るカーティン大学Curtin Universityで公衆保健の博士課程を始めたばかりでした。
1年後、状況は悪くなりました。母は栄養不良だけでなく、MRIの検査などで血管性認知症と診断されました。これは二番目に多い認知症の型で、すべての認知症の20から30%を占めます。
医師による正式な診断を2009年に受け取りました。私は、衝撃を受け、いずれはオーストラリアを離れるきっかけとなり、事実、2012年初め、母の近くに住むことになりました。こうして2013年8月に、新たにインドネシアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Indonesia (ALZI)の設立に繋がりました。この団体は、インドネシアの認知症の人と介護者の生活の質を改善することを目指す非営利団体です。
インドネシアの認知症の人の推計数は2013年で100万人、2030年に200万人、さらに2050年に400万人です。
WHOの資料によると、この病気によるインドネシアでの経済的影響は年間17億ドルに達すると推計されています。
今年9月の世界アルツハイマー月間World Alzheimer’s Monthに、ジャカルタエラスムスハウスErasmus Huis Jakartaで開催されたワークショップで、RSCMチプト・マングンクスモ記念国立総合医療センター(訳注)の院長ハリアワン・フォエジョノHeriawan Soejono医師は(写真左下)は「アルツハイマー病は男性より女性の方が4倍なりやすい。女性が男性より長生きするためで、アルツハイマー病は年齢を共に増加する」と指摘しました。
母は、10歳代に、西ジャワのスバンSubangで弟と所有する映画館の館長でした。しかし、1958年、彼女は父と結婚すると生きることに関心を失うようになりまた。次第に反社会的になり、近隣での身体活動や地域企画に参加しなかったのです。
75歳のとき母は認知症と診断を受けました。思い起こすと20年間、母は次第にアルツハイマー病の10の兆候を示していました。母の行動が、私が母を避け、海外へ住むことになった理由の一つでした。
しあkし最終的に私は、口論、ぎくしゃくした関係、もの忘れへの私の苛立ち、同じことを何度となく聞き返す、家族全員の口論、こうしたことが病気のためと理解しました。その病気は、家族が気づかないまま何年もかけて忍び寄ったのです。
もしあの時、母が認知症と日々格闘していることを私が知っていれば、母の頻繁な質問をからかうことはなかったでしょう。近所での身体活動や地域作業に母をもっとも引きずって連れていったでしょう。このことが母の脳を刺激し、生きる力と価値を体感させたと思います。
2012年保健省戦略計画Renstra, Ministry of Health, 2012によると、過去10年間、インドネシアで平均寿命が68.8歳から72.7歳に延びました。平均寿命と障害が増加して、認知症に関係する高齢者の生活の質は、経済、心理社会、政治、法律の分野でますます家族、地域、政府に重くのしかかります。
オーストラリアで学生として生活した数年間、私はバスの運転手としてパートタイムの仕事に就きました。仕事は、高齢者や特別に必要性がある人を乗せて自宅から仕事場あるいは事務所に運転して送ることです。そこでは、彼らはカンタス航空のヘッドホーンセットやホールマークのクリスマスカードを作ります。政府および社会的責任として民間企業から月額2000オーストラリアドルが彼らに支払われます。おなじようなシステムがインドネシアでもできると信じています。鍵なる言葉は「連携」です。
認知症に応えて公的および私的部門および政策立案者のあいだで全国的な連携運動が立ちあがったばかりです。この運動のキャッチフレーズは“Jangan Maklum Dengan Pikun(もの忘れを見くびるな)”で、アルツハイマー病の発症の危険性を減らす啓発活動も含まれています。これには、保健省、社会省、大ジャカルタ市政府と製薬企業、銀行、日用品企業、メディア、NGO、研究機関の民間分野の企業などの支援を受けた公民的連携です。
私が学んだことは、人の可能性を活性化することはすべての年齢層に重要だということです。関係する課題について認識して知識を得ることはとても重要で、高齢者を元気にさせることにも繋がります。こうして高齢者も生産的で意義ある形で地域に貢献できるのです。
また私は、心臓によいことは脳にもよいことも学びました。栄養は、明らかに認知症の危険性を少なくするのに重要です。危険因子とは年齢、家族歴、脳血管障害、糖尿病、肥満、高コレステロール血症、うつ状態、身体的不活発です。
私の夢は、政府、民間、NGOおよび地域の間で連携の活動と社会的貢献を開始し、高齢者が身体的にも精神的にも活発であり続けるように元気づけることです。いずれは、認知症にやさしい街がこの国のしかるべきところで支援しながら出来るのを見たい。
現在、母はアルツハイマー病の最後の段階です。私は、病気を無くすためにできることは何もないことを知っています。治癒させる方法がありません。しかし、母は、将来の連携―先に述べた政府、民間、施設、支援グループ、地域などの―を私が始めるように力づけてくれ、認知症や心臓血管系でない病気になる危険性を少なくするようにします。
私の忠告を聴いてください:「身体的に活発になる」「心臓に気を配る」「健康的な食事を守る」「脳へ挑戦する」「社会活動を楽しむ」
さらなる私の展望は、認知症の人と高齢者が散策し、集まり、楽しむことができるような街を持つことです。そこでは公民の連携の枠組みのなかで刺激的な楽しみ、生産的で元気づける活動―歌、ダンス、竹楽器(アンクルン)、チョンクラッゲーム(注4)―のすべてを提供します。
こうした発想で母に感謝します。母の日、おめでとう、愛をこめて。
寄稿者:スハリヤ氏は、インドネシアアルツハイマー病協会事務局長。
The Jakarta Post December 22 2014 Mother’s Day: Collaborative endeavors needed to empower dementia-sufferers)
訳注1:インドネシアではAlzheimer's Associationが2000年に結成され、2013年にAlzheimer's Indonesiaと名称変更した。2009年にADIに加盟し、全国7つの都市の代表から成る。
訳注2:インドネシアの母の日は12月22日 。
訳注3:RSCM はRumah Sakit Umum Pusat Nasional Dr. Cipto Mangunkusumoの略称で、Dr. Cipto Mangunkusumoはインドネシア独立運動の指導者で医師(写真右上)。
注4:アンクルンは写真右中、チョンクラッゲームの道具は写真右下。

★「ヤルマルの災い」―若年性アルツハイマー病―を科学して治癒に繋げる(12月19日/コロンビア)
アルツハイマー病は「心を奪う」病気として知られています。もっとも有名な患者は元アメリカ大統領のロナルト・レーガンです。世界保健機関(World Health Organization)の推計によると、既に現在、全世界にアルツハイマー病の人は3600万人以上いて、治癒方法が見つからなければ、その数は2030年までに6600万人、2050年までに1億1500万人になります。これはほぼ4秒毎に1人の患者が生まれていることになり、HIVの感染より3倍速い。
科学でもって可能性のある治癒方法を求め、通常には無い資源が注目されています。
それはコロンビアのアンデス山脈に在るヤルマルYarumal村です。その村人は若年性アルツハイマー病を発病しやすい遺伝変異が多いことで苦しめられています。
ジョン・ハイロJohn Jairo氏(写真左上の中央)は几帳面な夜警でしたが、雇用主の窓を開けたままにしたとして失職しました。家族は彼がヤルマルの呪いにかかっていると知りました。
アンデス山脈の高地にあるコロンビア人の村ヤルマルは、住民にアルツハイマー病を発病する遺伝変異の発生がとても高い。科学者は、希望のないこの遺産を、目下、治療から予防まで繋げようと希望を示しています。
ハイロ氏は、ちょうど49歳で、既に脳はアルツハイマー病で犯されています。この病気は、脳細胞を破壊する毒性蛋白が原因で、記憶障害そして死に至らします。彼は衰え、娘のジェニファーJenniferさんをうつろに見つめています。娘は18歳の時、既に父親の悲運を恐れていました。
彼女は次のように述べています。
「自分にも起きるだろうといつも恐れています。何かを無くした時はいつも、この病気にかかったのかと自分に言い聞かせます。父は、昔、とても幸せでしたが、今は弱って落ち着きがなく、攻撃的な亡霊の姿になることがあります」
昨年、同じような症状の隣人が、誰も気づかないまま外出しました。近くの丘陵で凍死しているのを家族が見つけました。
この村のヨーロッパ系先祖から受け継いだ「ペイサpaisa遺伝変異」は、破壊的に若年期アルツハイマー病を発病させます。ペイサは、コロンビアのアンティオキアAntioquia地方の住民のことです。両親の一方がこの変異―14番目の染色体に在る―を受け継ぐと、アルツハイマー病になる―多くは40歳までに―割合は50%です。
多くの家族で両親や子供たちが共にこの病気―記憶障害そして認知症へ―になります。
有能な神経学者のフランシシコ・ロペラFrancisco Lopera医師(写真左中)は、ヤルマルで育ち、この村の呪いに幸せになることを望んでいます。
30年前、ロペラ医師は、アンティオキア大学University of Antioquiaの神経科学プログラムの主任で、自分に大いなる役割を担うことに決めました。全世界で認知症で最も多い型であるアルツハイマー病を防ぐ治療法を見付けることにしたのです。
彼は「ほとんどの治療法が失敗しました。病気に介入するのが遅すぎたのです。私たちの戦略は病気で脳が破壊される前に介入することです」と述べています。
彼は、数か月間、パイサ変異をもった30歳から60歳の健康な300人のグループに試験的な薬で試みました。この試験は、アメリカの国立保健研究所National Institutes of Healthとバナー研究所Banner Research Instituteおよびスイスの製薬企業グループのロッシュRocheによる100万ドルのプロジェクト資金の一部で行われました。
ヤルマル内や周辺には発病の危険性がある人は5000人と推計するロペラ医師は次のように述べています。
「薬の活性分子は脳を攻撃するベータアミロイド蛋白を標的にしています。私たちはまだアルツハイマー病の原因を知りません。しかし全世界でアルツハイマー病の1%は遺伝で発症します。予防的治療の発見へ向けたとても重要な窓を開けことになるのです」
大学の小さな部屋には冷蔵庫やフォルムアルデヒド入りの甕で一杯ですが、これらは「脳バンク」として、この地方の住人からの臓器提供されたものです、とても価値のある研究資源です。
ルチア・マドリガルLucia Madrigal氏)(写真左下の右)は、患者のため認知刺激活動を組織した神経科学部の看護師ですが、次のように述べています。
「病気なることに加え家族の脳を提供することを受け入れるのはとても困難でした。しかし社会的な繋がりがなければ科学の計画は日の目をみることは決してないでしょう」
彼女自身は健康な60歳代で引退する予定はなく住民とともにヤルマルの悪夢を生きています。
さらに彼女は「自殺した方がよいという人もいますが、その後発病し、そのことを忘れる」と述べています。
マルタMarta氏は、ヤルマル出身で精力的な72歳の祖母で、この地方の首都メデリンに住んでいますが、次のように述べています。
「私はロペラの治療に効果あることを祈っています。二人の娘―43歳と47歳―は記憶障害があり小さな子供に戻っています。53歳のもうひとつの娘アリテーAliteeはほとんど物体です。哺乳瓶を使って飲みます。私は子供たちを神に任せています。神の決めたことです」
記者:フィリップ・ジゲルPhilippe Zygel氏(写真右)はAFPのコロンビア特派員。
BizNews December 19, 2014 Alzheimer’s - how the ‘Yarumal curse’ could lead science to a cure
サイト内関連記事:FDAはアルツハイマー病薬の臨床試験の規制緩和へ(2013年2月7日)
関連情報
First-ever Alzheimer's prevention trial to take place in Colombia (NIH May 15, 2012)
Alzheimer's Prevention Initiative Trial Marks Milestone(BRI Dec. 23, 2013)
編者:コロンビアでのアルツハイマー病予防的治療の介入試験については既にいろいろ報じられているが最新の記事として紹介した。

★認知症の人が凍死(12月14日/台湾)
認知症高齢者の死は、多分、寒い天気のなかにいた結果と思われますが、認知症の人へのより緊密な注意が必要なことが明らかになりました。
台北の住む63歳の男性―姓が余Yu―は、先週の日曜日、新北市林口地区の友人に会いに出かけました。彼は、帰路、バスを間違えて乗り、行方不明になりました。先週の金曜日、彼の遺体が林口地区の空き地で発見されました。
余氏に明らかな外傷はなく、最近台湾を襲った寒冷前線による死亡したと警察は推定しています。
当初の捜索によると、バスの運転手が余氏を警察署に連れて行きました。勤務中の警察官は彼が質問に正しく答えるとして、署から出したのです。
余氏の取り乱した家族は、警察官の不注意な扱いを非難し、少なくとも家族に知らせるべきだと話しています。
今年10月、余氏は新北市淡水地区で同じように行方不明になった時、警察官は彼を警察署に連れて行き、家族に連絡しました。
その後、MRT(台北新交通システム)の淡水駅Tamsui Stationまで彼を送り、電車の職員に双連駅Shuanglian Stationまで同伴するように頼みました。その駅で家族が彼に引き取ったのです。
国家警察庁National Police Agencyの資料によると、行方不明になる高齢者は、過去3年間の平均で、年間約3400人、毎日10人近くが行方不明になっているのです。
台湾アルツハイマー病協会(台湾失智症協會社團法人台灣失智症協會 Taiwan Alzheimer’s Disease Associationの邱銘章 Chiu Ming-jang会長(写真左)は「通報される行方不明の認知症の人が増加していることは、認知症の人の数が増加していることに現れです。こうした人たちは見当識障害があるので難しい」と述べて、高齢者が認知症と疑われると人々の支援を拡げることを要請しています。
Taipei Times Dec 14, 2014  Dementia sufferer freezes to death
編者:台湾での「徘徊」する認知症の人への対策については情報が乏しい。位置確認ができるGPS機器の公費負担はあるようだ。

★行方不明の認知症の人の懸念が増す(12月7日/イギリス)
5日金曜日の午後7時、スティーヴン・ヒューイットSteven Hewitt氏(56歳)(写真)がオールドハム・ロイトンRoyton, Oldhamのキャッスルトン通りの自宅に居るのを見かけた後、6日の土曜日の午前中、チャダートンChaddertonのブロードウエイのジャンクション付近のミドルトン通りを歩いていたのを見かけたという隣人の報告が最後です。
警察は、5日の金曜日に行方不明になったこの認知症の人に懸念を強めています
ヒューイット氏は、中肉中背、身長170センチで、青いジーンズと黒いコートを着ていたと思われます。
彼は認知症で、毎日、介護職が訪問し、料理、掃除、洗濯、その他基本的な世話をしていました。
警察は、数年前撮られた彼の古い写真を公表しましたが、現在、髪はもっと白く、眼鏡はかけていません。
マイク・ハイマン巡査刑事Detective Constable Mike Hymanは次のように述べています。
「スティーヴン氏は認知症で、金曜日の夕方から行方不明です。当然のことながら、かれの身の安全がとても心配です。どうぞ、彼の居場所を知っている人がいれば、連絡をお願いします」
どなたでも彼を見た人は101番で警察に報告してください。
manchester evening news Dec 07, 2014  Fears grow for missing dementia sufferer Steven Hewitt
参考情報:Walking about(Alzheimer's Society)
編者:認知症の人の行方不明報道はアメリカで多いが、イギリスの例として記事を紹介した。マンチェスターの地区では、早期発見・保護に体制は旧来の警察以外に無いのだろうか。 なおイギリスアルツハイマー病協会のサイトではWandering(徘徊)ではなく、walking about(歩き回る)を使っている。

★カナダの学生が東京の認知症サミットで報告(11月25日/カナダ)
認知症の啓発と教育を広め、偏見を少なくすることに熱心な活動家で、カナダのサイモン・フレイザー大学Simon Fraser University(SFU)の老年学博士課程の学生ロウラ・ブーイLaura Booiさん(写真)が、日本での契約講演から帰国しました。
彼女は、今年9月、オタワで開催された「カナダ認知症青年指導者会議Canadian Young Leaders in Dementia Event」でブリティッシュコロンビアBritish Columbia(B.C.)州を代表する青年としてBCアルツハイマー病協会Alzheimer’s Society of B.C.から初めて指名されました。
彼女は「会議で最も声だかに主張した一人です。オタワの会議を基に新しい世界認知症委員会World Dementia Councilのために声明を書いた」と述べています。
オタワ会議に参加したことで、彼女は、「イギリス科学革新ネットワークUK Science and Innovation Network」から、今月初め日本で開催されたG8認知症サミットG8 Dementia Summit継続会議に参加するカナダ青年の代表に選ばれたのです。昨年、ロンドンで開催された認知症サミットをフォローアップする会議として計画された4つのうちこれら二つがこれらの会議なのです。ロンドンの会議でキャメロン首相は世界認知症会議を創設しました。
ロンドンのサミットは、G8の大臣、研究者、慈善団体、製薬企業が参加し、認知症の課題に向かって国際的な取り組みを立ち上げました。
彼女は、来年2月にワシントンDCで開催された最終サミットに参加する予定です。その後3月、世界保健機関(WHO)が初めて開催する地球規模の認知症サミットに青年を代表して参加することを希望しています。
ブーイさんは、2012年にSFUの博士課程に入学しました。ブリティッシュコロンビア大学University of British Columbia(UBC)―健康心理学の修士資格を取得―で博士課程を修了できる学資を得たにもかかわらず、老年学課程と老年学研究センターGerontology Research Centreで学びたいとSFUを選びました。
彼女は「この課程で十分によいとは言えませんが、私をとても育んでくれた」と述べ、介護施設の介護職員の姿勢をテーマとした卒業論文に取り組み計画でいます。さらに、彼女の家族がみんな第一線の介護者ですが、「第一線の介護者と彼らの姿勢に関する研究はほとんどありません。しかし彼らの姿勢が提供される介護の質に直接関係することをよく知られていま」と述べています。
ブーイさんは、2年間の「高齢者分野技術革新ネットワークTechnology Evaluation in the Elderly Network(TVN)」学際研究奨学金を獲得していますが、次のように述べています。
「認知症は、本当に女性の課題です。TVNは虚弱な高齢者のケアを改善することを目指した組織です。認知症の60%は女性です。第一線の職員の多くも女性で、介護家族も同様です。こうした認知症サミットの報告者や参加者の95%は男性です。若者はほとんど参加していません。私たちは将来の世代を教育する必要があります。男性が自分達の視点に基づいてあらゆることを議論し決定しています」
彼女のTVN奨学金は、部外実習を条件としています。今月彼女は大学を離れ、BC州のベラベラBella Bellaで1月過ごします。この遠隔地の先住民共同体が認知症高齢者をどのようにケアしているかを学びます。
彼女は、認知症擁護の分野でキャリアを計画しています。既にブログDementia Healthを開設し、BCアルツハイマー病協会でボランティアとして活動し、協会の「認知症フレンドキャンペーンDementia Friends’ Campaign」―地域で認知症の啓発推進―の拡大を支援しています。
最後に彼女は「認知症についての考えを伝え続けられたら、とても幸せです」と述べています。
SFU news November 25, 2014 PhD student Laura Booi takes her message about dementia around the world
関連情報
2014 年9月11~12日
Second Global Dementia Legacy Event Co-hosted by Canada-France Harnessing the power of discoveries: Maximizing academia-industry synergies Ottawa, Canada
2015年2月9~10日
Alzheimer's Disease Research Summit 2015: Path to Treatment and Prevention, National Institutes of Health Bethesda, MD,USA
2015年3月3~4日
First WHO Ministerial Conference on Global Action Against Dementia (Geneva)(pdf400K)
編者:活発、聡明で優れた美人の学生だ。こうした経歴と計画を持った学生が日本に居るのかな?

★アルツハイマー病啓発月間で元介護家族の活動が称賛(11月23日/アメリカ)
ジム・マクリスJim Makrisさん(写真左上の左)は、アルツハイマー病をいつとはなしに進行する病気と表現しています。妻のバーバラBarbaraさん(同の右)が知る世界は、ますます小さくなり、何も感じなくなったのです。
現在、マクリスさんは、妻を介護した6年間に学んだすべてのことを率直に他人と共有しています。他の介護者に熱心に助言と希望を伝え、「全国アルツハイマー病啓発月間および家族介護月間National Alzheimer's Disease Awareness Month and National Family Caregivers Month」に相応しいメッセージを送ります。
マクリスさんは、約10年前に長女が近くに住むテネシー州チャッキーChuckeyに移住しましたが、「人は介護を経験して、なんとかやってきた他人たちに話すことで自信を持つものです」と述べています。
マクリスさんは、妻が決まった日課を過ごせるように自分のすべての時間を捧げました。夜間、妻が起きてないか、浴室への廊下を迷ってないか、階段で転倒してないかと心配して起きることもありました。一人で介護した数年の後でも、彼は地元のアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationと接触することに躊躇しました。しかし、娘の励ましの言葉で最終的に支援グループに参加したのです。
マクリスさんは次のように述べています。
「とてもストレスの多い状態でした。疲れ果て現実をみようとしなかったのです。しかし地元に支えがありました。私の世代の人は、こうしたことを話したくなく、自分の抑えようとします。でも泣いてもよいことを知りました」
支援グループは、アルツハイマー病に影響を受けた家族が利用できる多くの資源のうちの一つです。
アルツハイマー病協会は、24時間の無料の電話相談24/7 Helpline(番号:1-800-272-3900)を受けており、オンラインで「アルツハイマー病と認知症の介護者センターAlzheimer's and Dementia Caregivers Center」を開設しています。このサイトは、利用者を地元の資源に繋げ、家族や友人のあいだ介護の責任に関して調整するために「チーム介護カレンダーTeam Care Calendar」が活用できます。さらに自宅内や外での安全、出歩いて行方不明になること、認知症と運転に関しての資源を持った「安全センターSafety Center」も運用されています。
「アルヅコネクトALZConnected」は、アルツハイマー病の人と介護者のための社会的ネットワークの共同体です。アクセスした人は、掲示板に伝言を書くことでアルツハイマー病独自の課題を理解する人たちとの繋がりやコミュニケーションを持つことができます。
地元の「アルツハイマー病協会中南支部Mid South Chapter北東テネシー地域事務所Northeast Tennessee Regional Office of the Alzheimer's Association」は研修を受けた進行係による支援グループを進め、介護者研修教室や教育ワークショップも開催します。
アルツハイマー病協会プログラム・教育担当Manager of Programs and Education for the Alzheimer's Associationのタビタ・エベートTabitha Ebbert氏(写真左下)は「介護者は、自分で対応できると思うことが多いのですが、私たちは将来を見通せない事柄についての事前計画を立てることを支援する」と述べています。
アルツハイマー病協会の「アルツハイマー病:事実と数値2014年版2014 Alzheimer's Disease Facts and Figures」(pdf2.5M)によると、テネシー州にアルツハイマー病の人が11万人、41万8000人の無給の介護者がいます。
マクリスさんは、2012年に妻が亡くなるまで献身的な介護者の一人でした。介護付き施設に妻を入居させたことによる心痛を含め、自分の物語を他の人たちと分かち合ってきました。男性介護者に話すことがうまくいっていることに気付き、彼らの互いの反応は苦労話を交わすこととであると気付き、次のように述べています。
「率直になってアルツハイマー病の影響を受けた人たちを支援することは妻の遺言の一つです。妻はとても共感的な人で、つねに他人の視点に立って考えていました。他の人に尽くすことの必要性が今の私を動かしています」
TimesNews November 23rd, 2014 Caregivers honored during Alzheimer's Awareness Month
編者:アメリカのアルツハイマー病協会、一層多彩で実用的な介護者支援を進めていることを改めて知った。

★認知症介護の研修で介護家族の状態、長期に改善(11月21日/イギリス)
イギリスの研究者によると、認知症の人の介護家族に対処方法を教える8週間のプログラムで、介護者の臨床的に重要なうつ状態を2年間にわたり劇的に低下しました。
ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジUniversity College Londonのギル・リビングストンGill Livingston医師(写真左上)らの報告によると、対処方法やストレス軽減訓練を受けなかった介護家族に比べ、「在宅家族のための戦略START (STrAtegies for RelaTives)」プログラム(訳注1)に参加した介護家族は、うつ状態スクリーニング検査のひとつである「病院不安うつ状態スケールHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)」(訳注2)で判定すると有意に良好な点数を示しました。
報告は医学雑誌Lancet Psychiatryに掲載されましたが、この論文によると、STARTプログラムは、介護家族でも認知症の人でも、費用対効果が認められ、イギリスの国民保健サービスNational Health Serviceおよび国立医療技術評価機構National Institute for Health and Care Excellence (NICE)のガイドラインに沿っていました。
リビングストン医師はMedPage Todayに次のように述べています。
「介護家族が自分にとった正しいと選択できるような効果的な認知症対処戦略を学ぶことはSTARTの重要な目的です。介護者はそれぞれ自分の戦略に頼っていますが、約60%の介護者が意識的に2年後も、私たちが教えたことを使っていると知りました」
研究の詳細
論文によると、認知症の3人のうち2人は在宅で介護を受けています。その介護はほとんどは家族が行っています。
リビングストン氏らが以前行った系統的な評価によると、認知症の人の介護家族の約40%は、臨床的にうつ状態や不安を持っています。これらは介護中断や施設入所の有意な危険因子です。この8か月間の追跡調査で、STARTが介護家族の不安やうつ状態を軽減し、生活の質を改善すること、および介入することの費用対効果も認められました。
しかしながら、研究者たちは「これらは短期的な結果で、効果がどれだけ持続するかは不明だった」と論文に記述しています。
マニュアルどおりの学習介入によって長期的利益をもたらすかどうかを確かめるため、リビングストン氏らのグループは、2年間、260人の介護家族を追跡しました。
2009年11月から2011年6月の間に集められた260人を無作為にグループ分けして、そのうち173人の介護家族が、STARTの8つの研修課程に参加しました。これらはアメリカ・カリフォルニアのスタンフォードにあるスタンフォード大学医学部Stanford School of Medicineの研究者によって開発された「介護対処介入法Coping with Caregiving Intervention」のマニュアルにかなり依拠したものです。
他方、無作為に選ばれた対照グループの87人の介護家族は、通常のケア―認知症の人を焦点を当てた医学的、心理学的、社会的サービス―を受けました。
参加者は8つの研修課程を受けました。
第1:ストレスとよい状態の管理のための能力を高める
第2:認知症の人の行動の理由を理解する
第3:認知症の人の行動へ向けた計画
第4:行動戦略と無援という思い
第5:コミュニケーションの方法
第6:認知症の人の将来必要なことへの計画
第7:対処能力の向上―リラクセーション方法、楽しめる活動の実施など―
第8:学んだ能力を将来使う
研修の各課程の最後にリラクセーション方法を取り入れ、介護者は各過程の間に在宅で意識的にリラクセーションを実施することが求められました。
このため療法士(臨床研修を受けていない心理学卒業生)が、介護家族と1対1で取り組み、より関心の高い戦略が実施できるように支援しました。ほとんどの事例でこうした活動は在宅で行われました。
介入グループの介護家族のほとんど(75%)は、少なくとも5つの課程に出席し、8人(5%)はどの課程にも出席しないで脱落しました。
10人の療法士が一人11人から32人の介護家族の自宅で関わり、基本的な臨床上の分析は209人(80%)(内訳:介入140人、対照 69人)の参加者に12か月目と24カ月目にHADSで判定しました。
有意な利益
24か月目のHADSの点数の平均差マイナス2.58点に加え、24か月間にわたりうつ状態になった介護家族の人数も有意な少ないことを認めました。
「健康状態質問票The Health Status Questionnaire (HSQ)」(訳注3)などのスクリーニングで精神的健康と生活の質を測定しました。この結果、STARTグループは、通常のケアを受けたグループと比較して改善を示しました。
リビングストン氏らは以下のように記述しています。
「2年間の追跡で、対照の通常のケアを受けたグループの介護家族は、介入グループと比べ、7倍、臨床上有意にうつ状態になりやいことがわかりました。これは当然なことですが、臨床的に意義があります。介入によって介護者のうつ状態だけでなく不安についても軽減することが認知症の介護家族で示された初めてのことです」
費用は同じ
費用対効果の分析は、介護者にかかわる費用、介護者と認知症の人に関わる費用を合わせたもので行いました。合計費用の主要な分析によると、認知症の人について低額との違いがありましたが有意なものではありませんでした。
認知症の人の生活の質―アルツハイマー病基準―quality of life-Alzheimer's Disease measures(訳注4)で判定―は、二つのグループで有意な違いは認められませんでした。
さらに研究者は次のように記載しています。
「療法士は在宅でほとんどの人に関わりました(173戸のうち153戸)が、NHSの緊急性のないサービスより柔軟に対応しました。こうした在宅サービスの提供の仕方での費用対効果に関する今回の証拠からして、望ましいサービスの提供され方が示唆されました」
この介入モデルは利益を生む
リビングストン氏らは指摘しています。
「アメリカで行われた同様の介入の調査では私たちと同じ結果を示しています(訳注5)。しかし8回の課程のほとんどは在宅をモデルとしたもので、多くの介護家族にとって実用的だったようです。決められた時間に研修を受ける必要がないからです。いくつかの介護者への介入モデルで、効果がほとんどないことを示していますが、私たちの結果は時間と関心を提供した療法士にのみによって有効だったわけではありません」
イギリス・ブライトンにあるブライトン・サセックス大学医学部Brighton and Sussex Medical Schoolのサベ・バナージーSube Banerjee医師(写真左下)は、論文の関連論説でこの論文の結論に同意して、次のように記載しています。
「こうした結果を基にSTARTの介入は、時機を得た診断支援の一部として認知症の人の介護家族のすべてに個別の対処方法として提供されるべきです。さらSTARTは、イギリスの管理機関から委託された認知症の診断サービスの特別な部門とされるべきです。認知症介護者は、非介護者より不安、ストレス、うつ状態を多く持ち、他の障害の人の介護者より認知症の人を介護者はより負の影響を受けます。認知症介護者の3分の1にうつ状態が認められます。このため、介護者に負の負担をもたらす危険性を少なくするいかなる介入に関心を払うことを歓迎し、STARTはこうした介入の一つのようです」
MedPage Today  Nov 21, 2014 Dementia Caregiver Burden Eased With In-Home Counselingおよび論文:Long-term clinical and cost-effectiveness of psychological intervention for family carers of people with dementia: a single-blind, randomised, controlled trial
訳注1:The START study (STrAtegies for RelaTives, Gill Livingston(pdf500K) 
訳注2:Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS)(pdf50K)
訳注3:Health Status Questionnaire(pdf500K)
訳注4: Quality of Life-AD Measure(pdf46K)
訳注5:Dementia Caregiver Intervention Research: In Search of Clinical Significance
参考資料:CAREGIVER EDUCATION AND SUPPORT PROGRAMS:BEST PRACTICE MODELS(RONALD W. TOSELAND, Ph.D. DECEMBER 2004)(pdf260K)
編者:新薬の臨床試験のような厳密な二重盲検法をとることができない人を対象した人による試験であるが、介入により介護家族の状態が改善し、経費は同じだとみてよいだろう。ところで非介入グループの介護家族に今回の試験をどう納得させたのだろう。なお紹介記事には統計に関する記述があるが省略した。

アルツハイマー病にやられる前にこの病気をやっつけよう(11月20日/アメリカ)
アルツハイマー病は高齢期の最も恐れる病気となった
おれは本当です。エッジウエーブAge Waveとメリル・リンチMerrill Lynch共同による新しい調査報告書「健康と退職:大いなる未知への計画Health and Retirement: Planning for the Great Unknown」は、3000人以上のアメリカ人を代表標本として調べ、健康と医療費に関する希望と関心が明らかにしました。
圧倒的なことに、調査に回答して人たちは「幸せな退職に最も重要な要因は健康です」と話しています。
退職後、いかなる病気でも健康と財産を破壊することがありますが、なかでもすべての年層の人たちは「高齢期の最も恐れ支障をきたす状態はアルツハイマー病です」と回答しています。
確かに、アルツハイマー病は、がん、心疾患、脳血管障害、糖尿病を合わせたより多く関心が高いのです(図1)。この病気が、対処しにくく、蔓延し、恐れるものであるかに関して人々の認識、そして速やかに止めなければならない理由からして重要な転換点に達したようです。
アルツハイマー病について最も心配する理由を尋ねると「自立と尊厳が失われ、家族へ影響を及ぼす能性に関心がある」と回答しています。
アルツハイマー病と診断されると、何年も、時に何十年も衰え、十分な介護が必要になり、その介護は家族が担うことが多く、ほとんどいつも情緒的でかつ経済的な損失が生じます。その居心地がいかに乱暴で、これから流行る病気を止めるために何ができるかを理解したいのなら、メリール・カマーMeryl Comer氏(写真右)の感動的な新著「異人とゆっくり踊る:アルツハイマー病時代の損失物Slow Dancing With a Stranger: Lost and Found in the Age of Alzheimer's」を読んでみましょう。
アルツハイマー病は、健康と財産を共に破滅させるブラックホールとなった
伝染性ではないアルツハイマー病は、退行性疾患で、確実に―恐ろしく屈辱的なやり方のことが多い―記憶と判断を奪い、自分の最も基本的な機能が出来なくなり、最終的に脳を破壊します。アルツハイマー病と関連する認知症は、中年期以前にも稀に起こりますが、65歳以降は5歳毎におおよそ2倍増え、85歳以降の有病率がなんと恐ろしいことに47%です!現在、500万人の患者がいて、1500万人の介護者がいるのです。この数は、将来、治癒方法が見つからなければ、3倍になると予測されています!
現在、アルツハイマー病は100%治りません。性別、生活様式、教育レベルに関係なく人々を陥れるのです。私たちの経験と新たな科学から以下のことを私たちは知っています。
「定期的な医学的検査を受けていても、ジムに通っても、クロスワードパズルをしてもアルツハイマー病を避けることはできません。ロナルド・レーガンもマーガレット・サッチャーも、ともに刺激の多い生活を送り、愛おしむ家族を支え、最善の医療を利用したにもかかわらず、この病気の被害を受けたのです」この病気は、科学でもってやっつける必要があるでしょう。必要なことは、病気の原因を直接に攻撃する新しい革新的な医学あるいは治療なのです。そして今必要なのです!
アルツハイマー病の発病を単に5年遅らせることができれば、アメリカのすべてのナーシングホームのベッドの半数は空くでしょう。この病気を無くすことができれば、だれもが、長く健康的で生産的な生活を送れる可能性がおおいに高まるのです。同時に、数兆ドル、節約できます。私は、来たべき「高齢の波」の研究に40年間没頭し、人生に肯定的な影響を与える長寿革命というすばらしい姿の証拠を観てきました。しかしながら、人生を長く生きることに伴い、アルツハイマー病が悪のブラックホールのように、何千万人の人、そして愛する人たちを破滅させるだろうことと私は認識しています。
私は「すべてのアメリカ人が目的をもった長寿や幸せな退職にむけたチャンスを活かすために最高に賢明で費用対効果があることは、アルツハイマー病を一掃すること」と確信しますが、それを成し遂げるために必要な歩みをしていません。
アメリカ合州国は、アルツハイマー病の人のケアに年間2000億ドル近くを費やしています。現在の貨幣価値でみると、2020年までの累積値札は2兆ドルとなるでしょう。治癒方法がなければ、2050年までにその額は経済を破壊するほどの20兆ドルとなるでしょう。しかしながら現状は、アルツハイマー病の人へのケアに使う1ドルに対して、国立保健研究所National Institutes of Healthは、アルツハイマー病研究に半セント以下しか費やしていません(図2)。これは改革されなければなりません!
アルツハイマー病を終わらせるための構想、直感、知性を私たちは持っているか?
1981年、私が30歳頃のとき、ある本のことでジョナス・ソークJonas Salk博士と一緒に仕事をしていました。ある夕方、食事をとりながら、1940年代のアメリカでポリオの流行で怯えていたという思い出を話していました。多くの善良な人たちは、解決方法は鉄の肺の生産を増やすことだと思っていたのです。しかしソーク博士は完全に不同意だったのです。必要なことは、この病気を一掃することだと思っていたのです!本当に幸運なにも彼は、1953年に科学的革新を成し遂げました。私たちは、アルツハイマー病でも同じことをしなければなりません。アルツハイマー病にやられる前にこのおそるべき病気をやっつけなければなりません!
腹立たしいことですが、二つの政党とも政治家は、アルツハイマー病をただちに止めるための現代の「マンハッタン計画」あるいは「アポロ計画」を立てるに必要な指導性を示していません。2025年までにアルツハイマー病を阻止する目標を一生になって設定しなければならないのは私たち次第なのです。それが流行病になる前に止めなければなりません。集団として未来を守るために十分な資源(エイズと闘うために最終的に必要とされたに近い100億ドルが必要だと専門家は確信している)、科学的に有能の人、問題を解決する技術を配置しなければなりません。
私たちが実行できる7つのこと
1.生涯にわたって脳が健康であるちう新時代を創造するために必要な資金を増やすよう政治的指導者に働きかけましょう。これは党を対立させる問題ではありません。アルツハイマー病が増大するとともに誰もが失っていくのです。アルツハイマー病を一掃して初めて誰もが勝利するでしょう。
2.「アメリカアゲインストアルツハイマー病USAgainstAlzheimer's」―私は名誉なことにこの団体の理事会に加えられました―、「アルツハイマー病協会Alzheimer's Association」、「ブライトフォーカスBright Focus」といったすごい団体の活動を支援し、さらに団体について広く宣伝することです。こうした団体や他の擁護グループは、みなさんの熱心な支援とお金を必要としています!
3.製薬企業が、革新的なことを起こす可能性を高めるため脳の健康に関する知識や情報を共有し一本化することを要求します!
4.アメリカ連邦食品医薬品局FDAを促して、期待される治療への手順を一層速くするようにしましょう。また小さな選手、型破りの人、製薬起業家が同じように献できる機会を提供しましょう!
5.新しい財政支援の参入を促しましょう。これは「ソーシャルインパクト債Social Impact Bond」(多くの社会的問題を解決するために活動できるように促す資金)と呼ばれるもので脳に関係する科学的な革新事業に資金を提供します!
6.大規模な技術と情報を持つ企業、と専門家チームに話しかけ、新たも生じる困惑の時間を少し短くし、将来の深刻な健康や加齢の問題を解決する時間を少し長くできるようにしましょう!
7.希望を持ちましょう。私たちは創造力と集中で以て大きな問題を解決してきました。アルツハイマー病についても解決できます。この病気を終わらせるために、私の寄稿を他の人に知ってもらい、同じことを繰り返すようにしましょう!

今月はアルツハイマー病啓発月間Alzheimer's Awareness Monthです。私たちは、この病気がいかに恐ろしく、破壊的で、高くつくものか、またアルツハイマー病が私たちをやっつける前にこの病気をやっつけるために必要な関心と資源を取り込むことへの認識を高めることを私は提案します。

寄稿者のケン・ダイチャトワルド博士Ken Dychtwald Ph.D.(写真左) は優れた老年学者、心理学者、著述家、起業家そして講演者です。
Huffington Post 11/20/2014 We Must Beat Alzheimer's Before It Beats Us! And Here's How!
関連資料:Health and Retirement: Planning for the Great Unknown(pdf 4.2M)
編者:アメリカで有名らしい高齢者に詳しいライターの提案で激励文だ。寄稿者は!を良く使う。行き詰まった感のあるアルツハイマー病治療の現況からか、こうしたアルツハイマー病研究のあり方への提案をアメリカのネットで散見する。

★アルツハイマー病と闘う地球規模の共通の課題(11月12日/スイス)
現在、アルツハイマー病の治癒方法はありません。アルツハイマー病の効果的な治療を開発するための主な壁は、この病気に関する不完全な理解、断片化した資源、臨床試験のためのデザインと実施に関わる課題です。スイスのローザンヌで11月11日から12日に開催された会議に専門家が集まり、衰退した製品パイプラインに応え、薬剤開発の過程の生産性を高めるための将来の方針を話し合いました。
アルツハイマー病はますます増大する課題です。地球の人口が高齢化して、この病気の患者は飛躍的に増加するでしょう。専門家の推計によると、2050年まで全世界で1億3500万人がアルツハイマー病になり、低中所得国で最大の影響がみられるでしょう。
今回の経済協力開発機構Organisation for Economic Cooperation and Development (OECD)のワークショップのテーマは「アルツハイマー病とその他の認知症のトランスレイショナルな研究と臨床開発の増進―前進―"Enhancing Translational Research and Clinical Development in Alzheimer's Disease and other Dementia: The Way Forward"」で、スイス政府Swiss Governmentが主催し、「アルツハイマー病国際CEO指針Global CEO Initiative on Alzheimer's Disease (CEOi)」および「国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease International (ADI)」が協賛しました。参加者は、薬剤と診断の開発を推進させる方法についてのそれぞれの考えを伝えました。目標は、アルツハイマー病や認知症の効果的な治療の革新的研究への転換を推進することです。例えば、重要な機会を提供することとして、新しい臨床試験のデザイン、地球規模の臨床試験の基盤、柔軟な管理過程が挙げられます。初期の病気の治療は、現在の生物医学と保健改革の戦略の基軸とみなされます。
このワークショップは、2010年ドイツのベルリンで開催されたOECDのワークショップ「生物医学を通してよりよい健康―先駆的管理―"Better Health through Biomedicine: Innovative Governance"」を引きついだ催しです。
OECD生命工学作業部会OECD Working Party on Biotechnologyの議長で、スイス連邦政府の教育研究革新省Swiss State Secretariat of Education, Research and Innovation (SERI)の代表であるイザベラ・ベレッタIsabella Beretta氏(写真上から1)は次のように述べています。
「OECDの加盟国は、薬剤開発を推進させるためのより革新的な研究と適切な管理モデルに向けて国際的な連携にもっと応えられる必要がある革新的な問題について確認したことを表明しています。神経退行性疾患、とりわけアルツハイマー病は、研究開発と公衆保健の主要な課題で、今回のワークションプの焦点です」
ローザンヌの会議は、政府、国際組織、規制機関、指導的研究者、製薬企業が、課題と機会を検討し、より大きな革新と連携への動きを推進する特異な機会を提供しました。会議の成果は、地球規模で応えられていないニードに応えるために安全で効果的な治療の開発に向けた道程に関して、すべての利害関係者において継続的な対話のための基礎を形成することになるでしょう。フォローのための会議の計画は、現在、検討中です。
OECDの科学技術革新局Directorate for Science, Technology & Innovationの局次長であるディルク・ピラットDirk Pilat氏(写真2)は次のように述べています。
「この会議は、2025年までに病気の進行過程を変える薬を確認するための共通の努力を私たちすべてが共に実行することで、直面している課題に関して重要な対話を作りました。OECDの加盟国は、現在の全世界の認知症の人の半数近くを占め、革新的な治療と診断方法の研究と開発と評価を促進させる努めに特別な責任を持っています」
CEOiの議長のジョージ・ブランデンブルグGeorge Vradenburg氏(写真3)は次のように述べています。
「この会議は歴史的です。規制機関、企業、科学者、患者の擁護者が、アルツハイマー病や認知症に取り組むため全地球規模で集まったのです。治癒と予防を発見するために、多くのこうした連携が必要です。1980年代のエイズ会議を連想させます。地球規模の規制機関は、この戦いでパートナーです。革新的な規制モデルによって、アルツハイマー病の人を助けることができるということを今、保証し、将来の世代にはこの病気を無くすことが必要とされています」
ADIの事務局長であるマーク・ワルトマンMarc Wortmann氏(写真4)は次のように述べています。
「もし、1年早く薬剤の開発過程を早めることができると、800万以上の認知症の人が新しい治療を利用できるでしょう。私たちにできることの一つは、認知症の人とその介護パートナーにこの過程にもっと関わってもらい、研究へ参加することがどのようによい認知症に優しくするかをこうした人たちから学ぶことです。こうすることで人々が臨床試験に参画することになるでしょう」
地球保健大使Ambassador for Global Health でスイス連邦公衆保健連局次長Vice-Director General of Swiss Federal Office of Public Healthのタニア・デュッセイ・カバッシーニTania Dussey-Cavassini氏(写真5)は「認知症は、医療政策の課題であり、スイスは2014~2017年国家認知症戦略National Dementia Strategy 2014-2017を承認している」と述べています。
またイザベラ・ベッタ氏は「スイスは、国内外のパートナーや企業との活動に関わり、認知症に対する戦いでの連携を推進する」と述べています。
イギリスの世界認知症特命大使World Dementia Envoyであるデニス・ギリングスDennis Gillings医師は次のように述べています。
「会話を通して革新的なことが形となり、この会議での話し合いは、2025年までにアルツハイマー病を治すということへの正しい道をたどり続けさせます。しかし、患者への治療の革新への転換を促進させることで障壁に応えないと、私たちは目標に到達しないでしょう」
会議の組織者と参加者は、対話を続けることを約束しました。そして2015年にフォローのためのフォーラムで進展状況を評価するために再結集するでしょう。
GLOBE NEWSWIRE  November 12, 2014  A Shared Global Agenda to Fight Alzheimer's Disease
関連情報:Enhancing Translational Research and Clinical Development in Alzheimer's Disease and Other Dementia: The Way Forward (Final Programme pdf2.1M)
編者:国単位の国際的会議であるG8の認知症サミットDementia Summitとは異なる組織単位によるこの国際的会議は治療薬と診断技術の開発が重視されているようだ。OECDらしい会議だ。

個人財務:家族へのアルツハイマー病の勘定書:月額4000ドル(11月11日/アメリカ)
アルツハイマー病の家族を介護している1500万人のアメリカ人は、介護がとても苦しいことは知っています。しかし、どれかだけの人―今月は「全国家族介護月間National Family Caregivers Month」であることから特に気付ことでしょうが――が、金銭的にも苦しいことをどれだけ認識しているでしょうか。
エイジングケアドットコムAgingCare.com―家族介護者を繋げるサイト―の新しい調査によると、アルツハイマー病の介護者の25%は、介護のために毎月、4000ドル以上―年間で5ドルほど―を出費しています。
「2014年ジェンワース介護費用調査2014 Genworth Cost of Care Survey」によると、こうした費用は、在宅介護などのサービスの費用(年間平均で約4万5000ドル)とナーシングホームの介護(個室で8万7600ドル)の費用を含みます。
「アルツハイマー病協会Alzheimer’s Association」によると、月額4000ドルの支出は何年も続く可能性があります。アルツハイマー病と診断された人は、平均、おおよそ8年から12年間生存します。
お金を多くか、時間を多くか使うか
AgingCare.comによると、お金を多くは使っていない介護者は、時間を多くとっていることが多い。アルツハイマー病の介護者の38%は、アルツハイマー病の人への無給の介護を週に30時間以上提供しています。
AgingCare.comの創設者で会長のジョ・バックハイトJoe Buckheit氏(写真左上)は「調査の結果から言えることですが、この病気に一定の支出があり、その額は大きいのです。逃げ道がない」と述べています。
このサイトが、アルツハイマー病など認知症の家族を介護している1600人以上を調査しました。親を介護している人が最も多く64%で、配偶者を介護している人は18%でした。
介護によってアルツハイマー病の費用を負担している多くの人に深刻な金銭的な犠牲を強いています。
さらにバックハイト氏は「私たちが調べた介護者の52%以上は、家族の財務状態がアルツハイマー病のために緊迫していると回答しています。約19%の人はかなりの借金を抱えています」
また介護は、介護者の職歴の妨げになります。介護者の30%近くは、勤務時間を減らさなければなりません。25%の人は仕事を辞めなければなりません。また17%の人は減給されるか、在宅での無給の介護を止めるなければなりませんでした。
前以て計画を立てて支出を抑える
いずれは介護が必要となる可能性があって家族が財務計画建てると、アルツハイマー病の介護者の多くは、お金をもっと少なくてすむようにするいとは可能なことだと思います。AgingCare.comの調査によると、介護者の61%が将来の介護のために財務計画を立てていなかったと回答しています。
またバックハイト氏「私が助言したいことは、アルツハイマー病の可能性があれば早期に計画を立て、そのことで家族とよく話し合うことです。こうして節約して誰もの望みをかなえられる」と述べています。
特に両親あるいは配偶者がメディケアの受給資格があるか助言を得たいなら、高齢者専門福祉弁護士を持ち込むこともできます。
今回の調査を受けたある介護者は「私たちはいいことができました。とても多くの時間と心配とお金を節約した」と述べています。
「アメリカ高齢者福祉弁護士協会National Academy of Elder Law Attorneys」のサイトで高齢者介護の専門弁護士を見付けることができます。
政府から財務支援を得る
メディケアは、在宅やナーシングホームの介護費用を給付することはほとんどありませんが、メディケイドは給付することがあります。しかし、アルツハイマー病の人が、資産や収入がとても少ない場合に限定され、規則は州によって異なります。
「老いた親を介護する方法How to Care for Aging Parents」の著者であるヴァージニア・モリスVirginia Morris氏(写真左中)によれば、おおよそ月収が2000から3000ドルを超えないで自宅、車、そのほか若干の物以外の資産が2000から1万5000ドルを超えない人はメディイドの受給資格があります。
アルツハイマー病の親にかなりの支出を負担していれば、アメリカ市民であることで個人財務の負担の少なくするのに役立てるのに今はよい時期です。その支出をあなたの2014年の納税申告書にアルツハイマー病の人のためと申請し病気による確かな医療費と記入することは可能です。
2014年の扶養控除3950ドルを得るためには、親の年間の総収入が3950ドルより少なければなりません。またあなたはアルツハイマー病の人の支援としてその半額以上を提供していなければなりません。あなたが、ほとんどの財務的支援を行っている主たる人であれば、11月から12月にその基準を満たすためにさらに支出しなければならないことともあります。
投稿者:リチャード・アイゼンバーグRichard Eisenberg(写真左下)は、Next Avenue のMoney & Security とWork & Purpose の上級ウエッブ編集者で、サイトの編集局次長であり、さらにForbesの寄稿者です。
Forbes 11/11/2014 PERSONAL FINANCE Alzheimer's Tab For Families: $4,000 A Month)
編者:アメリカでは不整備な医療保険のために医療格差が生まれているらしい。オバマケアの成果はどうなのか。同じく介護も公的な介護支援が乏しいなかで個人資金に頼り、介護格差が生まれているのだろう。こうした状況をアメリカ人たちはどう生き抜き、どう改善しているのか。

★認知症介護者への支援を切望(11月8日/インド)
本日、発表された「アジア太平洋地域の認知症Dementia in the Asia Pacific Region」によると、インドの認知症の人数が増えていることから、政府、医療提供者、地域が家族と認知症の人の介護者への支援の提供に努めることを推進することが要請されています。
この報告書によると、インドでの寿命が延びるなかで認知症の人は、2015年の400万人から2030年までに600万人以上になると推計されています。
報告書の勧告では、アジア太平洋地域のいくつかの国々と同様に、インドでは認識が乏しいために記録にのらない認知症があり、認知症が自然な加齢の一過程とみなされ、専門的な介護者の研修も不適切とされています。
国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease International―情報を提供し認知症の人を支援する非政府組織の世界的連合体―の議長であるジェイコブ・ロイJacob Roy医師(写真左上)は「認知症は加齢による自然な結果ではなく、喜ばしいことでもありません。多くの危険因子―管理されない糖尿病から高血圧まで―は、認知症の危険性を高める」と述べています。
この報告書の推計によると、アジア太平洋地域での認知症の人数は2015年に2300万人、2030年までに3900万人に増加するでしょう。人口規模に応じて、インドは中国に次いで増加します。中国では2015年に認知症の人は1000万人以上となるでしょう。
ニューデリーに在る「全インド医学研究所All India Institute of Medical Sciences」の老年医学部のアパラジット・デイAparajit Dey部長(写真左下)は次のように述べています。
「インドの伝統的な家族制度にため多くの認知症が医学的な記録に挙がらないままでいします。伝統的な家族支援制度はとても強いでの、認知症に伴う軽い障害は介護できます。大きな行動上の問題がなければ、配偶者、子供などが認知症の人を介護しています。農村地帯から都市への労働者の移動、また若者の他の都市や外国への移動によって伝統的な家族支援構造は崩壊することにつながるでしょう。こうした環境の変化のなかで、介護者―家族や専門的な介護者―への強力な支援を必要とします。認知症の人には、興奮したり、罵倒的になり、同じことを繰り返すといった状態が起こりえます。これは介護者にとって不満なことであり、とりわけ悪くなるばかりだとの思いに陥ります」
多くの医療専門職は、認知症の人のためのデイケアセンターという構想を推進する必要性を強調します。インド政府は、高齢者総合的制度Integrated Programme for Old Personsのもとで認知症デイケアセンターを支援する資金を提供します。
しかし、非政府組織の「インドアルツハイマー病・関連疾患協会Alzheimer’s and Related Disorders Society of India」は、「認知症の人のデイケアセンターを設置するためのわずかばかりの資金はほとんど利用されないままです」と指摘しています。
インド人の寿命は、現在、男女ともに60歳代の初めですが、2050年までに73歳、2100年までに81歳になると推計されています。2年前にアメリカのワシントン大学University of Washingtonの科学者が公表したインド人口の変化に関する研究によると、退職者―65歳以上―に対する就労者の割合は急速に低下し、2010年の高齢者11人に1人が、2050年に5人に1人となるでしょう。
The Telegraph  Nov. 8, 2014 Cry for support for dementia caregivers)
関連情報:Dementia in the Asia Pacific Region(ADI Nov.7, 2014)(pdf1M)

★「マレーシアで認知症ケア 介護各社、相次ぎアジア進出」(11月7日/日本経済新聞)
介護各社がアジアで認知症の悪化抑制に重点を置いた老人ホームの運営に乗り出す。介護大手のメディカル・ケア・サービス(さいたま市)は2016年度にマレーシアに進出。ウイズネット(同)も近く中国・大連市で開業する。アジア各国は高齢化が急速に進む見通しだが認知症の対処は遅れ気味。各社は日本のノウハウを生かして海外に事業を広げる。
メディカル・ケアは認知症の高齢者を受け入れるグループホームを全国で約200カ所運営する。同社は15年度中にマレーシアの医療大手HSCヘルスケアグループと合弁会社を設立する。
HSCがクアラルンプールに建設する複合医療施設に、メディカル・ケアが主導して認知症対応型の老人ホームを運営する。日本貿易振興機構によれば、日本の介護事業者がマレーシアに進出するのは初めて。入居費用は月4千~7千リンギット(約13万~24万円)で富裕層の需要を狙う。
施設の設計と運営の両面から、入居者の症状悪化やけがを防ぐ自社のノウハウを提供する。スタッフがサポートしながら入居者自ら身の回りの作業をこなし、心身機能の維持につなげる。転倒した際のけがを減らすため軟らかい床にするなど認知症に適した設備にする。
合弁会社設立後に日本人指導者を派遣し現地でスタッフを育成する。初年度の売上高は1億円以上を目指す。将来はシンガポールでも認知症対応の老人ホームを展開する。
首都圏で老人ホームなどを約120カ所運営するウイズネットは月内に大連市で老人ホームや日帰り介護のデイサービスなどの機能を持つ施設の運営を始める。計算問題を解いたり専門スタッフと会話したりする認知症の悪化防止プログラムを提供する。老人ホームの利用料は月4千元(約7万円)程度に抑えて中間層を開拓する。
リエイ(千葉県浦安市)は中国・上海の老人ホームで認知症患者の受け入れを急ぐ。現在の入居者は65人だが、年内に計100人に拡大する。家族にも認知症ケアの知識を教え、進行防止の効果を高める。東南アジアでの事業化も検討する。
国連によれば50年時点で日本の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は35.6%で20年と比べて7.2ポイント上昇する見通し。同じ期間にマレーシアは7.9ポイント上昇して15.0%に、中国は13.6ポイント上昇の25.6%となる。日本を上回るペースで高齢化が進む。厚生労働省などによるとアジア諸国では認知症ケアが遅れており日本の介護事業者に商機が広がる。
日本経済新聞電子版 2014年11月7日 原文のまま

★「認知症の国際会議始まる 東京」(11月5日/NHK)
高齢化に伴い患者が急増している認知症について、「ケアと予防」をテーマに先進各国の政策担当者などが意見を交わす国際会議が、5日から東京で始まりました。
東京・港区の会場には、アメリカやイギリスなど主要な先進国の政策担当者や研究者、それにWHO=世界保健機関の担当者などが出席しています。
はじめに厚生労働省の三浦公嗣老健局長が、「認知症に関し日本は多くの実績を積み重ねている。国際的な連携に向け有益な情報を交換したい」と協力を呼びかけました。
高齢化に伴い認知症患者は急増し、世界で4400万人に上ると推計されています。
治療薬の開発や効果的なケアの確立は各国共通の課題となっていて、去年12月には、G8の閣僚級が話し合う「認知症サミット」がイギリスのロンドンで初めて開かれています。
今回の会議は、去年の認知症サミットの後継会議と位置づけられていて、サミットに参加した参加国が独自にテーマを決め、持ち回りで開くものです。
会議は3日間の日程で開かれ、最新の予防研究が報告されるほか、効果的なケアの普及に向けた国際社会の連携などについて意見が交わされることになっています。
NHKNewsWeb 2014年11月5日 原文のまま

★フランスのアルツハイマー病ケアはイギリスより進んでいる(10月29日/フランス)
私は、認知症に関するローズ・ジョージRose Georgeの記事(10月29日の「How not to solve the dementia crisis認知症の危機が解決できない」)を読んで、イギリスでいかに悪いか知って悲しくなりました。17年前にフランスに移住したことを感謝します。4年前、妻が記憶を失い始めました。4週間以内に、専門家と心理士の診察を受け、初期のアルツハイマー病と診断されました。すぐに薬物療法を受け、その後、進行して家庭医と専門家とが継続して診ました。
1年前、妻は身体を洗ったり衣類を着たりすることが不可能になり、介護職aides-soignantが付けられました。午前8時30分頃、その介護職が訪れ、彼女を浴室に連れてゆき、トイレを済ませ、シャワーをして髪を洗い、必要があれば乾かし、衣類を着せます。同時に、在宅生活で問題を持っている人への介護職サービスも受けました。妻については評価を受けてから支援が決まったのです。現在、妻と過ごす介護職に私が支払うための小切手を毎月受け取ります。小切手で1週間3時間までを支払い、超過時間については私が払います。妻は、1週間に2時間の2回の在宅介護を受けています。また、地域のデイセンターに通いっています。よく似た人たちのグループに入っています。このグループは定員が15人で、専門的訓練を受けた5人の看護師が付き、作業をしながらの介護で一日過ごします。妻は、毎朝、タクシーが迎えにきて、夕方、同じように帰宅します。このサービスに1日55ユーロ支払います。デイセンターは1週間1日から始めますが、1週間に2日まで増やすこともできます。
明らかに、フランスはイギリスのはるか前に進んでいます。とても悪口の多い前大統領ニコラス・サルコジ氏におおいに感謝しています。彼は、問題が大きくなり国が準備しなければならないと認識する先見の明を持っていたのです。何時になったらイギリスは追いつくことでしょう。
アイアン・クーパーIan Cooper(フランスのモリ・レ・バンMolitg les Bains在住)
The Guardian 29 October 2014  French Alzheimer’s care miles ahead of UK
関連資料
「認知症ケアの先進地 オランダ・フランス・イギリスの現状 と日本の課題」桜新町アーバンクリニック 遠矢純一郎・片山智栄 2013.03.14(pdf11M)
「フランスの国家認知症戦略」Benoit Lavallart 1月29~30日2013年 世界の認知症国家戦略(pdf2M)
編者:認知症の在宅介護支援でフランスとイギリスを比較した貴重な投書だ。フランス生まれの「ユマニチュード」が有名になったがフランスの進んだ在宅介護支援の情報が乏しい。

★アルツハイマー病は増えるが反応は遅い―ネパール―(10月22日/ネパール)
最近、ネパールでは、アルツハイマー病で早期に死亡する人が急速に増えています。専門家は、認識が欠けているための死と批判して。
精神科医のラチャナ・シャルマRachana Sharma医師(写真左上)によると、農村地域の人たちは、都市地域の人たちよりこの病気で早期に死亡することが多い。農村地域の人たちは、精神疾患のなかでアルツハイマー病が高齢者に多い病気であることは知っていますが、病気の人が適切な治療を受けるために病院に連れて行かないで家で亡くなっています。
アルツハイマー病は、記憶を悪化させ、最終的に死に至る病気で、認知症のなかで最も多い型です。
地球規模の問題
ネパールでは信頼できる調査は行われていませんが、2013年の国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease International(ADI)が行った調査によると、アルツハイマー病の人は全世界で約4435万人で、2030年に7562万人、2050年に1億3546万になるとされています。
さらに報告書によると、認知症の人の32%はG8の国に、38%は高所得国に住、62%は低所得国に暮らしています。
啓発の試み
人、地域、施設での認知症に関する認識を高めるため、「ネパールアルツハイマー病・関連疾患協会Alzheimer's and Related Dementia Society Nepal (ARDS)」は、国内のいくつかの地域でさまざまな取り組みを組織しています。
ARDSの副議長のシュリーダー・ラミチャネShreedhar Lamichhane氏(写真左中)によると、団体は、現在、医師と看護師に認知症に関する研修を行っています。
2012年に発足したARDSは、アルツハイマー病への戦いで重要な役割を担っています。
副議長は「団体は、アルツハイマー病の人のために「もの忘れ外来」とデイケアセンターを開設する計画でいます。もの忘れ外来とは診断センターのことです」と述べています。
症状を知る
シャルマ精神科医は次のように述べています。
「アルツハイマー病は人の脳の神経細胞を破壊し失わせる病気です。60歳以上の人のほとんどがこの病気になります。この病気になると、時や場所が分からなくなり、攻撃的になり、短期記憶を無くし、気分や性格が変化します。最近、40歳以上の人でこの病気になった人をみました」
シャルマ医師によると、病気は男性より女性に多く、これは女性が介護者として家の負担を担い、それが心理的負担となるからと説明しています。
予防と治療
さらにシャルマ医師は次のように述べています。
「病気の進行を遅らせる特別の治療はありません。この病気に効くたった一つの薬をネパールで使えます。アルツハイマー病の予防として可能性のあるのは、毎日の運動、食事、人と接する、週2回の血圧測定、脳を活発に保つことです」
副議長のラミチャネ氏によると、アルツハイマー病の人は医師の診察を受けるべきで、家族は病気にやさしい環境を造り、雰囲気になじめるようにします。
地球規模の連携
国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International:ADI)は、1994年から9月21日を毎年世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Dayの記念日をしてきました。
また2014年の世界アルツハイマー月間のテーマは、「認知症:危険性を減らせか?Dementia: Can we reduce the risk?’」です。
第29回国際アルツハイマー病協会国際会議は、アメリカのプエルトリコ(自治連邦区)で開催され、2014年5月1日にネパールを含む5つの国が会員となりました。
この国際会議にラミチャネ氏は、ネパールを代表して参加しました。
保健人口省Ministry of Health and Populationは、省内に精神保健課Mental Health Divisionを設置する予定です。
保健人口大臣Minister for Health and Populationのカグラジ・アディカリKhagraj Adhikari氏(写真左下)は、10月10日、「新保健計画2071 New Health Policy 2071の目標として、精神保健課を立ち上げ、精神保健の問題に応え、地域病院のサービスを拡げることにしている」と述べました。
The Himalayan Times 2014-10-22  Alzheimer's in Nepal: Rapid increase but slow response
編者:必ずしも正確な記事ではないが、認知症に関するネパールの現状の一端を知ることができる。ちなみに、ネパールの人口は2933万人(2008年)、1人当りのGDPは1500ドル(2013年)、高齢化率は5.0%(2012年)。

国家アルツハイマー病計画の議論のための新しい「節目となる提案」(10月20日/アメリカ)
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの作業部会は、アメリカ政府が2025年までにアルツハイマー病の予防と効果的治療に向けた主要な取り組みを始めるという計画を議論するための提案を公表しました。40人近いアルツハイマー病の研究者や科学者から成る作業部会は、アメリカ政府の「アルツハイマー病に取り組む国家計画National Plan to Address Alzheimer's Disease」において節目となる研究は、目的を成功裏に達成するために対象範囲を拡げ、資金を適切に供給しなければならないと見解を述べています。この国家計画を拡大し強化することを意図した作業部会の一連の提案は、「Alzheimer's & Dementia: the Journal of the Alzheimer's Association(アルツハイマー病協会発行の雑誌アルツハイマー病と認知症)」に本日、掲載されました。
新たに公表された論文の著者達―アルツハイマー病研究のすべての分野を網羅するアメリカで活躍する学術領域および業界の科学者―によれば、「多くの優秀な探究者は、いくつか障壁―科学面、管理面、もっと重要な財政面の―が乗り越えられるなら、10年以内に障害をもたらす症状の発症を遅くすることは達成可能な目標であると信じています。適切に資金が提供されないと国家計画の研究目標を達成するための進歩とって最大の障壁のままでしょう」
アルツハイマー病協会の報告書「2014 Alzheimer's Disease Facts and Figures(アルツハイマー病の事実と数字2014年版)」によると、現在、アメリカには500万人以上のアルツハイマー病の人が居て、国の経費は2140億ドルです。アメリカ人がより長く生きることにより、2050年までにアルツハイマー病の人は1600万人に急増し、国の経費は1兆2000億ドルと維持できない額になるでしょう。
アルツハイマー病協会の医学・科学担当副会長で今回の論文の共同著者のマリア・カリーヨMaria Carrillo氏(写真左上)は次のように述べています。
「計画達成の2050年までにわずか11年しかありません。無駄な時間はないのです。国立加齢研究所U.S. National Institute on Aging(NIA)が、国家計画に連動した基本的な「節目となる提案」(以下原文のmilestonesを「提案」)を創り、定期的に「提案」を改定することを推奨します。さらにNIAが、2015年2月に開催される「アルツハイマー病研究サミットAlzheimer's Disease Research Summit」と連携することで、こうした「提案」を最新のものすばらしい機会が生まれました。私たちの作業部会は、現状況からして「提案」が2050年の目標に到達すのに十分とは信じていません。他方、最新の「提案」が速やかに実行され資金的裏付けがあるなら、2050年までにアルツハイマー病を予防し効果的に治療する可能性は劇的に増すると信じます」
アルツハイマー病協会医学科学諮問委員会Alzheimer's Association Medical and Scientific Advisory Councilの議長で論文の共同著者のウリアム・クルンクWilliam Klunk氏(写真左下)は次のように述べています。
「この論文は、指導的な科学者がアルツハイマー病や他の認知症を予防し効果的に治療するため現行の計画に協調することの必要性を勧告したものです。論文で示された「提案」の概要は、アルツハイマー病研究の範囲と規模において明確に増大させることを確認したものです。アルツハイマー病研究の取り組みは、がんやエイズの場合のような他の重要な疾患に対しても実質的な進歩を成し遂げるに必要が活動の規模で密接な共同した歩調を取るようにします。新たな「提案」は、国家計画の2050年の目標を達成するに必要が研究の型と量の両方で適切なレベルにあることを保証するという意図があります」
クランク氏は、ペンシルバニア州ピッツバーグにある「ピッツバーグ大学医学部University of Pittsburgh School of Medicine」の精神医学神経学の著名な教授で、ピッツバーグ大学アルツハイマー病研究センターAlzheimer's Disease Research Centerの共同所長です。
作業部会による新しい改定された「提案」
国家アルツハイマー病計画法National Alzheimer's Project Act (NAPA)は、2011年立法化されましたが、法律は初めアルツハイマー病に取り組む国家計画の作成を要請しています。2012年に公表された国家計画は、医師のための改良されたアルツハイマー病のツールを提供すること、介護者とアルツハイマー病など認知症の人を支援すること、病気についての一般国民の理解を高めること、研究を推進することといった一連の計画を提示しました。これには2025年までにアルツハイマー病を予防し効果的に治療するための積極的な研究も含まれています。
さまざまな戦略が創られました。このなかに研究の優先順位と@提案」も含まれています。保健社会福祉省U.S. Department of Health and Human Servicesは、2013年、一連の 暫定的な「提案」をしまし、2050年の目標を達成するための計画プロセスを公開しました。
2014年にアルツハイマー病協会は、専門家による作業部会を招集し、「提案」を評価して達成するためにはどのような分野を取り上げ、「提案」の項目別に改革案を提示し、対応できないことの差異を確認し、この違いを埋めるための追加的な「提案」を勧告することにしました。作業部会は、アルツハイマー病研究や政策の分野で世界的に著名な専門家で構成されました。
作業部会の目標の一つは、NIA主催することになっている「アルツハイマー病研究サミット」で計画に関する「提案」を検討することを促し、それによって生じるであろう議論を深めることです。
今回の論文の勧告は、2050年を目標とした計画に応えるためにアルツハイマー病の研究の取り組みの規模が拡大され、分野が拡がり、そしてより協調的でなければならないことを明確に示しています。論文の著者たちによると、必要なことは次のとおりです。
より多くの臨床試験、より多くの標的としたより多くの薬試験とより多くの非薬物的戦略で、これにはより多くの人々が参加し、より多様な多くの人々が加わり、さまざまな症状の治療と予防を目指します。
またより基礎的な研究分野で、追加すべき生体指標を発見しその意義を確かめ、新たな治療につなげる標的を明らかにすることです。
そして、より多くの資料を共有し協調することでのより強力な研究体制と基盤がより学際的な方法で実施されら、効果的な治療を確認して医療として利用できることが拡がるようにすることを研究の上で強調されるものです。
著者達は、現在の計画への「提案」で多く改定を提案し、25項目の新しい「提案」を示しています。最も緊急性があり可能性が高い影響をおよぼすもののいくつかとして、「薬の開発」「危険性の軽減」「新たな概念のアルツハイマー病モデル」を挙げています。
薬の開発
6項目の現在の「提案」は、効果的な治療に向けて優れた標的を開発することを重視しています。作業部会は、これらの標的についての「提案」の全般的な目標として支持しました。しかし、歴史的にみて第3相試験に移行できる薬は臨床前の新薬のわずか約13%であるという見解を述べています。
このことから成功する可能性のある基準を達成するためには、おおよそ23の新薬の標的が確認され、特異性を見付け、有効とみなす必要があることを提案しています。現在の「提案」ではその標的は6つにすぎません。
実際のところ、優れた標的は多くの経過や仕組み(例えば、アミロイドを減少させる、炎症を抑える)のなかで確認されなければならないので、作業部会は、もっと多くの標的数数―60―を獲得する必要があると提案しています。
作業部会は、今回の「提案」での標的の数や推計される費用が、薬の開発の現実により正確に反映するように修正されるべきと勧告しています。既に知られた標的に対する薬の開発については今回の「提案」では、3つから6つの第2相試験を始めることを要請し、そのうち少なくとも1つは症状に対するであるべきとしています。
作業部会は次のように見解を述べています。
「以前の第2相試験での削減率は高いことを考慮すると、成功する基準に見合うためには、おおよそ12か、それ以上の試験を開始しなければなりません。また「提案」は、3つから6つの治療につながる標的に相応しい物質の試験も要請しています。これらの試験はアミロイドを越えた標的となる必要があるでしょう」
今回の論文によると、これらの標的とは、タウ、炎症、ニコチン拮抗受容体が含まれます。
今回の「提言」は、少なくとも3つの知られた標的への第3相試験を始めることを要請しています。このうち1つは症状がないが発症の危険性のある人を対象としたものです。現在、症状のない人への4つの第3相試験は既に実施されています。
著者達は「「提案」が3つの成功する可能性のある臨床試験が完結するように多くの第3相試験を反映するように改定されるできで、そのうち少なくとも一つの試験は対症療法的な治療であるべき」と提言しています。
危険性の軽減
疫学的研究によりアルツハイマー病やその他の認知症を発症する危険性を左右する多くの可能性のある因子について重要な情報が得られました。その因子とは、遺伝性、血管系、心理社会的、食事に関する、その他の生活様式に関わる因子です。疫学的研究の有用性と重要性については、アルツハイマー病協会国際会議2014(2014 Alzheimer's Association International Conference)で報告された最近の成功例で確かめられました。それは「フィンランド認知機能・能力障害老年医学的介入研究Finnish Geriatric Intervention Study to Prevent Cognitive Impairment and Disability (FINGER)」による多項目の予防試験の早期の分析結果です。この試験での介入に使われたすべての要因―食事、身体運動、認知機能訓練、社会的活動、血管系危険因子の管理―が疫学的研究で確認されました。しかしながら、こうした方法論による強みを十分に利用するためには、よい多くの資源が疫学的基盤と研究に関わる必要があります。
作業部会は、生涯に渡る危険因子の問題を認知機能障害および認知症の予防に関してより広く重要視するために計画を「提案」のなかで再構成することを要請しています。こうした「提言」に応える研究は、人口構成の変化および人口の人種的民族的偏移に注目した資料収集の方法に統合させるべきです。
さらに作業部会は、アメリカで変更可能な危険因子を重視した大規模で多項目の予防試験を開始し、より大規模でより多様な人でFINGERの結果を再現することを勧告しています。
新しい疾患モデル
治療に向けた現在の取り組み方法では、効果的な新しい治療が生み出されないなら、戦略として現在のパラダイムを再検討し、新しいアルツハイマー病の概念モデルを考慮しなければなりません。アルツハイマー病協会は、2006年と2012年に研究円卓会議Research Roundtablesを招集し、現在の支配的なアミロイド説―アルツハイマー病に至る神経退行性変化にアミロイドが関与するとする説―のほかの仕組みを探りました。追加的な治療標的となるだろうと確認された過程とは、シナプスの喪失などを伴う加齢、低下する神経新生、細胞内の仕組みによる細胞死、インスリン抵抗性であり、また細胞循環事象や炎症を伴う細胞の変化、ミトコンドリア機能障害、多種の蛋白変性です。
こうした研究の障壁は、代替的仮説に関わる基礎科学や臨床前研究の方法、基盤、資源が乏しいことです。この分野に関して勧告された新しい研究の「提言」には次のことが含まれます。
脳と神経の加齢、脆弱性、疾患の基礎生物学、および超高齢の生物学の基盤に関わる十分な研修や研究プログラムを資金面で支えるいくつかの仕組みを創設すること、さらにアミロイドを越えたアルツハイマー病の概念モデルを再検討するためのシンクタンクを開設すること。
news-medical October 20, 2014 Researchers propose new milestones to augment National Alzheimer's Plan
論文:2014 Report on the Milestones for the US National Plan to Address Alzheimer’s Disease
関連資料:SCIENTISTS SAY NATIONAL ALZHEIMER’S PLAN RESEARCH MILESTONES MUST BE STRENGTHENED TO MEET ITS PRIMARY GOAL BY THE 2025 DEADLINE(Alzheimer's Association)(pdf150K)
編者:作業部会も迷いが多く明確は提案を出せないと読む。アルツハイマー病のアミロイド説について初めて疑問を呈してはいるがこの仮説を越えた仮説が出ない。

★南アジア人居住区で認知症の診断事例が増える(10月17日/イギリス)
南アジア人居住区では、全居住区より認知症と診断される事例が増えています。
イングランド・ウエールズの黒人・アジア人・少数民族black, Asian and minority ethnic (BAME)グループの認知症の人は2万5000人以上います。
この数は、2026年までに2倍に、2051年までに17万2000人以上になると予測されています。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは、ロッチデールRochdale地域での宗教関係者や団体と共に活動して、週ごとの情報提供やヒンズー語のボリウッド流のDVDなど目的にかなったサービスを提供してきました。
プロジェクト担当のダイアナ・バーボサDiana Barbosa氏(写真左上)は「ロッチデール方式の成功によって、今後数か月間、イングランドの15カ所以上の地域―オールダムOldhamを含む―にこのサービスを拡げる」と述べています。
言葉の壁
しかし、認知症に関する全政党議会グループAll Party Parliamentary Group on dementiaの報告によると、BAMEグループの人たちは診断や支援を受けることが少ないのです。
認知症のサリーマ・ベガムSaleema Begum氏(写真左下の右)は、パンジャブ語を話しますが学んだ英語をほとんど忘れ、提供されている一般的な多くのサービスを利用することができません。
息子のサイード・アンワーSaeed Anwar氏(写真左下の左)は次のように述べています。
「母は保健サービスを提供する人たちを理解することもコミュニケーションをとることもできないでしょう。このためハラール食品の必要性といった文化的ニーズに関わる問題に突き当たるのです」
認知症は、南アジアの多くの言語にはない単語です。
さらにアンワー氏は「地域共同体で認知症は一つの精神保健上の問題以上のものです。人々はpagalという単語を使います。狂っているという意味です」と説明します。
診断の遅れ
イギリスでは50歳代、60歳代、70歳代で南アジア人の人口が増え、このため65歳以上の人が急速に増えることになるでしょう。
政府は、BAMEグループの認知症の人は今後40年間で7倍近くに増えると予測しています。
保健推進員のサイード・モハメドShahid Mohammed氏(写真右上)は「しかし認知症に関しては偏見が多く、文化的違いのため必要な支援を利用することが拒まれる」と述べています。
彼はBBCノースウエストツナイトBBCNorth West Tonightのレポーターのギル・ダミガンGill Dummigan氏(写真右下)に「南アジアの家族にとって、通常、高齢者を介護するのは家族の責任です。在宅でできるだけ長く自分で身の回りのことをすることが文化なのです。このため診断が遅れることが多くなります」と述べています。
さらにモハメッド氏は次のように述べています。
「認知症の人の家族に情報を提供することはとても重要です。彼らはそのことについて多く語りたいのです。こうしてサービスへの手順を提示できます。かれらと共に動ける人を知っています。そうして人々の心開かせるという見方からすると私たちはそのようになってきました」
直接会って話す機会を持つこと以外に、アルツハイマー病協会のロッチデールのプロジェクトのより、ヒンディー語や英語版ユーチューブでいくつかのビデオが公開されています。
マンチェスター市議会Manchester City Councilと認知症関連団体は「南アジア居住区の家族や介護者のあいだで認知症に関する認識を高めることが最優先です」と見解を述べています。
今週は毎日、BBCのノースウエストツナイト、ラジオマーセイサイドRadio Merseyside、ラジオランカシャーRadio Lancashire、ラジオマンチェスターRadio Manchesterで、一連の特別報告のなかで認知症に関連する課題の特集放送を行います。
BBC News  17 October 2014 Dementia: Diagnosis rates rising in South Asian community
編者:元大英帝国の多民族国家の課題だ。

★つぎはぎケアで認知症の人が不必要な苦しみを受ける(10月13日/イギリス)
「ケアの質委員会Care Quality Commission(CQC)」の評価によると、つぎはぎケアを受けることで認知症の人が避けられる苦しみを受けることになる恐れがあります。
国民保健サービスNHSの監視官が行った重要な評価に基づくと、イギリスの介護施設や病院は認知症ケアのいくつかの分野を担っていますが、10カ所のうち9カ所で、場当たり的あるいは劣悪であり、認知症の人が標準以下のケアを受ける恐れがあります。
今月13日に公表された報告書"Cracks in the pathway(「ケアの流れの亀裂」)"でCQCは次のように見解を述べています。
「129カ所の介護施設と20カ所の急性疾患病院での評価の結果、悪いケアより良いケアを多く認めましたが、ケアの問題が広範囲に及ぶことを考慮すると、ほとんどの認知症の人がケアの影響を受ける可能性があります」
CQCは、こうした状況を受け入れがたいとみており、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyは今回の結果は驚くものとしています。
同協会のジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長(写真左上)は次のように述べています。
「この報告書は、多くの認知症の人が直面している苦境に注目したものです。報告書で明らかにされている一定しないケアは、多くの人が入院や介護施設への移住の時、本当に気にかけていることです。病院で認知症の人が食事や水分を摂らないで何時間も置かれたり、痛がっているのに誰も気付かないとくことを家族から聞きます。職員は認知症の人とのコュニケーションがとても難しいことと理解できるだろう。また病棟や新しい介護施設では案内表示で混乱することがあります」
協会の推計では、来年までに認知症の人が85万人になり、なにも対策を取らなければ2025年までに100万人以上、2051年までに200万人以上となります。医療制度におよぼす大きな課題であることを示しています。
報告書の前文でCQCは次のように述べています。
「介護施設に居る40万人のほとんどの人は認知症かあるいは同様の障害があり、入院中の65歳以上の人の約40%は認知症です。介護施設のおおよそ29%の人、病院の患者の56%の人で、評価する際に個々人のすべてのニーズを確認していません」
注目された課題の一つは、疼痛管理です。認知症の人は不快であっても職員に伝えられないこともあります。いくつかのケアプランで個々の人にどのような痛みがあるかをどのようにコミュニケーションを取るかに関する情報を集めておらず、職員自身の判断に任せていることが認められました。このため患者の持続する苦痛が放置され、興奮していることを認知症のためと見間違い、痛みを軽減するにふさわしい処置をとらないという危険性があるのです。
介護施設の3分の2また病院の42%で、身体的および精神的な健康、情緒的および社会的なニーズにどのように応えるかに関して、いくつかの場面で一定しないか劣悪なケアが認められました。
調査された病院の半分以上、また介護施設の4分の1で、認知症ケアに関する職員の理解や知識がまちまち、あるいは乏しいことが認められました。また制度上の支援間で移動する時、情報を共有することがばらばらだったり、乏しいために認知症の人のニーズに応えられていないことも認められました。
さらにCQCは次のように見解を述べています。
「調査したいくつかの施設や病院の多くで職員は、認知症の人の、叫ぶあるいは大声をあげるといった行動の変化―これらは、混乱、不安、不満を感じているときよくある―に対応していません。」
また調査官は、転倒、尿路感染、栄養不良といったよく知られた危険の管理に失敗した事例も認めています。
成人社会ケア分野のCQC主任調査官のアンドレア・サトクリッフAndrea Sutcliffe氏(写真左中)は次のように述べています。
「私たちの今回の評価作業で、いくつかのすばらしいケアを知りました。献身的で技術を持った熱心な職員によるものです。しかし、これはどこにでもある事例とは言えません。制度上の同じ支援のなかでも無いことがあります。余りに多くの認知症の人が劣悪なケアを受ける恐れがあるのです。変革しなければなりません。私たちの豊富な指針は認知症の人に優れたケアを提供することを促します。すべての介護施設と病院が最善の支援で知っている高い標準のケアを勝ち取ることを保証しなければなりません」
また監視官は、「今回の報告書は認知症ケアの評価を強化することになるでしょう。将来、病院に関する報告書では課題別、部門の評価をも含むことになる」と述べています。
またジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣(写真左下)は次のように述べています。
「劣悪なケアは容認できません。は認知症の人と家族が、今までにないほど生活を改善することを重視します。このため、何千人というNHSの職員が研修を受け、認知症の偏見の兆候を認識し、認知症にやさしい施設や病院に向けて投資しています」
The Guardian  13 October 2014  Patchy dementia care puts patients at risk of unnecessary suffering, says CQC
関連情報:報告書"Cracks in the pathway"(pdf3.5M)
編者:我が国にではこうした認知症ケアに関する第3者的な調査報告がない。最近は身体拘束や虐待が話題にならない。余り問題がないのか?

★ガーナでの世界アルツハイマーデー(10月9日/ガーナ)
NGO「ガーナアルツハイマー病・関連疾患協会Alzheimer and Related Disorders Association of Ghana (ARDAG)」(略称:ガーナアルツハイマー病協会Alzheimer Ghana (AG))の共同創設者ヴェナンス・デイVenance Dey氏(写真左上)は、10月8日、アックラで開催された「2014年世界アルツハイマーデー2014 World Alzheimer Day」の記念会で次のように述べました。
「ガーナには認知症の人が1万7000人以上います。この数は20年以内に2倍になりることに関心を持たなければなりません。65歳以上の9人のうち1人、80歳以上では4人に1人が何年も続くこの進行性疾患であると推計されています」
認知症は、精神機能が低下する状態の一般名称で、日常生活や記憶に影響し、アルツハイマー病が最も多い認知症の型です。
認知症は特別な病気ではありません。また認知症は、記憶やその他の思考能力の低下を伴う幅広い症状を示す総合名称で、日常生活を営む人の能力をかなり低下させます。
さらにデイ氏は、「世界アルツハイマー病報告World Alzheimer Report」を根拠に次のように述べています。
「国別の集団調査に基づくと、世界中で4400万人の認知症の人がいます。この記念日は、認知症について、また認知症が治らないとしてどのように管理するかを知るようための知り啓発への踏み台でもあります。またこの日は、治療や新しい発見へ繋げるアルツハイマー病研究への資金を寄せることも促しています。退行性で不可逆的なアルツハイマー病をよく知ることは、この病気の人を介護するための理解にとても重要です。症状や病気の管理について教育を受けるべき第一の人たちは、発病した人がいる家族です。アルツハイマー病の初期の症状は、加齢に関連するもの忘れと間違うことが多く、病気が本人にも家族にも困難となるほど進んだ状態になって初めて診断されことが多いのです。アルツハイマー病を啓発することは、ガーナ人社会ではほとんど無い経験です。アルツハイマー病協会が発足してから地域社会での認知症の啓発が高まりました。この団体は、政府がすべての病気の人たちが質の高いケアを受け、必要とする支援が利用できるような制度を作ることを促すでしょう。協会は、啓発活動として一般の人たちを重視します。さらに優先課題の一つが、為政者に情報、支援サービス、初期診断の推進、認知症の人と家族への介入へ向けた政策変更を要請することです。現在、ガーナでは不適切な認知症研究があります。それは高齢での通常の認知機能の低下と進行性神経疾患とが区別されていません」
アルツハイマー病協会の事務局長エスター・デイEsther Dey夫人(写真左中)は次のように述べています。
「喫煙者は、非喫煙者より45%多く認知症を発症しやすい。全世界のアルツハイマー病の14%は、喫煙による可能性があると推計されています。抗酸化物質を含む赤ワインを中程度の飲む人は、認知症や心臓血管系疾患の予防といった健康上の利益を持つようです。しかし、長期にわたり多量に飲酒する人は、コルサコフ症候群として知られる認知症になる可能性があります。世界保健機関(WHO)は、受動喫煙が認知症の発症リスクを高めているようだと警告しています。認知症の原因については最も多い型は全認知症のおおよそ55%を占めるアルツハイマー病です。これは1906年にドイツのアロイス・アルツハイマーと言う神経科医が初めて報告したことでアルツハイマー病と呼ばれるようになりました。血管性認知症は2番目に多い認知症の型で約20%を占めます。その他、認知症になる可能性のある疾患としてパーキンソン病、ダウン症、エイズ、ビタミン欠乏症、重度の甲状腺機能低下症があります。認知症の症状は、日常活動での興味の減退、記憶障害、見当識障害、攻撃的、頻繁に物を無くする、うつなどです。認知症を発症する危険性を少なくする方法は、心臓を良く扱うこと、身体的に活発であること、健康的な食事を摂ること、脳へ挑戦すること、社会的活動を楽しむことです。しかし、私はガーナ人が協力して認知症に取り組むことを要請します。ガーナで密かに流行する認知症を少なくするために協力して戦うのは今です」
協会の副代表のデニス・ボーテイDennis Bortey医師(写真左下)は次のように述べています。
「全世界で認知症の人は2010年に3560万人と推計され、その数は20年毎に2倍近く増え、2030年に6570万人、2050年には1億1540万人と推計されています。毎年、全世界で新たに認知症となる人は770万人です。これは4秒毎に新しい患者が生じていることになります。認知症が加速的に増えることを考慮すると、直ちに行動を起こさなければなりません。とりわけ社会資源がほとんどない低中所得国で必要です。次第に自立する力が変化する認知症の人への統合的協調的な対応を要請します。ほとんどの認知症の人は、自分たちの地域で暮らし続けるので、保健や地域ケアの提供者はこうした人たちのニーズに応える能力を持つことが基本的に重要です。多職種チームの協調を要請したい。このチームは認知症の人と介護者へ専門的な教育を提供し、適切で実際的な指針を開発して彼らを支援すべきです」
Vibe Ghana  October 9, 2014 Over 17,000 people with dementia in Ghana
編者:アフリカの低中所得国の一つであるガーナでの世界アルツハイマーデーの取り組みの記事を紹介した。ガーナアルツハイマー病協会(右上がロゴ)は国際アルツハイマー病協会には加盟していない。ガーナは、人口2550万人(2012年)、一人当たりのGDPは2200ドル(2008年)、高齢化率は3.51%(2012年)。

★認知症支援サイトを開設(10月1日/ルクセンブルグ)
10月1日、国際高齢者年International Day of the Elderlyにあたってコリン・カーヘン家族大臣Families Minister Corinne Cahen(写真)は次のように述べました。
「ルクセンブルグにはおおよそ6000人の認知症がいます。この衰弱させる病気に関する新しいサイトを開設しました。認知症の人の数は比較的少ないようですが、2025年までに8500人に増えると予測されています」
この国際年に認知症に関する政府運営のサイトwww.vivreavecunedemence(フランス語とドイツ語)を立ち上げました。
サイトは、この病気について人々が話し合い、タブーを壊すことを意図してものです。サイトで認知症の家族がいる人たちの声とこの分野の専門職の話が提供されます。
さらに大臣は次のように述べました。
「タブーを避け、そして何にもまして認知症の人とのコミュニケーションをとる方法を学ばなければなりません。国民の寿命が延びるに伴い、認知症と診断される事例も増えるでしょう。この破壊的な病気の影響は本人だけではありません。2025年には認知症のために3万人以上の家族や友人が直接間接の影響を受けます」
サイトの開設は政府の認知症行動計画の一部で、計画では認知症の人を取り巻く家族を支援することに重視しています。
既に、政府は認知症の人の登録制度を導入していますが、これは行方不明になった時に発見に役立てるものです。認知症についてもっと知りたい方、認知症の人を支えたいと思う方は、こちらにメールinfo@liewematdemenz.luまたはinfo@vivreavecunedemence.luしてください。または家族省Families Ministryの高齢者サービスまで電話(番号:247-86000)してください。
Luxemburger Wort 1 October, 2014 Dementia support website launched
関連情報:同国の人口は約49万でAssociation Luxembourg Alzheimerがある。

アルツハイマー病の人がメモリーカフェで社会とつながる(9月28日/アメリカ)
ニュージャージー州モリスプレインズMorris Plainsの長老派教会Presbyterian ChurchのメモリーカフェMemory Caf?は、この1年間アルツハイマー病の人と家族介護者へコーヒー、ケーキ、交流の場を提供してきました。
この間、10組の軽度から中程度のアルツハイマー病の人と介護者にとってそこが避難場所でした。グループ全体をみると、認知症の型もいろいろで、信仰も異なり、職業上の背景も多様です。ランドルフRandolph在住のジニー・フィッシャーGinny Fisher氏と Jeff Fisher 氏の一組(写真左上)だけが教会員です。
すべての人にとって自分たちの日々の苦労を理解する友人のなかであたりまえで偏らない判断に基づく相互交流は当然のニーズなのです。
教会の長老でメモリーカフェのジニー氏とともに調整役であるキャロライン・グロッスマンCaroline Grossmann氏(写真左中)は次のように述べています。
「この人たちの集りでは、その他の普通にある社会的集まりではできない方法で動き参加することができるので多くの楽しみを見付けます。通常、他の人たちの集まりで会話が優れるか、あるいはまったく関わらないかもしれないです。しかし、ここでの集まりでは、みなが同じレベルで、とても心地よいのです。ほとんど人が初期から中程度のアルツハイマー病です。重度という人はいません」
グロスマン氏によると、他で行われる取り組みは、アルツハイマー病の人の問題、治療を重視するとのことです。しかし1997年にオランダの臨床老年心理学者のベレ・ミーセンBere Miesen氏(写真左下)によって始められたメモリーカフェ運動は違うのです。メモリーカフェは、日常の機能を重視し支援します。
マディソンMadison在住の活発なボニー・コートネイBonnie Courtney氏は夫のチャーリーCharlie氏(写真右上)―共に78歳―はメモリーカフェの常連です。
チャーリー氏は「一緒に出来るといこと、それがとても重要です」と述べています。
メモリーカフェにはそれ以上のものがあります。時々、グループはアクティビティ―工芸から音楽まで―を楽しみます。その後、コーヒーとケーキを楽しみます。ボニー氏は、少女時代から聖歌隊とコーラスグループのソロ歌手で、音楽活動が好きです。
彼女は「みんなが一緒に歌うのが好きです。歌を楽しみながら一緒にいることを続いてほしい」と述べています。
夫も歌い二人はローズ・シティー・ソングスターズRose City Songstersに所属―は、ともに大いに楽しんでいます。
またチャーリー氏は話しをするのが好きで、他の介護者と記録を見え合うことも好み、だれの話でも聞くのが好きです。今月、初期アルツハイマー病の80歳代の紳士と話したそうです。その人は、高等時代のアメフトの試合を思い出しました。その試合で、ニューヨークジャアンツNew York Giantsの選手でコーチもしたアレックス・ウエブスターAlex Websterにオープンフィールドタックルを行ったというのです。
ジニー氏は、52歳で幼稚園の教師ですが、次のように述べています。
「夫は71歳ですが、3年前、アルツハイマー病と診断されました。二人ともメモリーカフェに行くとくつろぎます。カフェのおかげで夫は外出できるのです。わが家に問題があります。私は働いているので夫はいつも家に一人でいます。夫はもう運転できません。私たちはともにカフェでお付き合いをしています。夫はいつもここで人と会うのが好きで、歓待されて夫の心が刺激されるのです」
メモリーカフェは、二つの重要な事実を思い起こさせます。ひとつは、彼らが一人ではないということ、もうひとつは同じような経験をしている人たちが他にいるということです。
2011年―データが利用できる最近年-、疾患管理予防センターCenters for Disease Control and Prevention(CDC)によると、ニュージャージー州ではアルツハイマー病で亡くなった人は1960人、モリス郡で105人です。死亡統計は病気の頻度を計るのに使われることが多い。
モリス郡の加齢・障害・退役軍人部Division on Aging, Disabilities and Veterans Morris County のテレサ・デイビスTheresa Davis部長(写真右中)は「結局のところ、死亡するまでに確定的な診断はありません」と述べています。
メモリーカフェの資金のためニュートン長老教会教区Newton Presbyteryの新規事業助成金2013ドルを申請する時、グロスマン氏は、モリス郡のアルツハイマー病の人数を7800人と推計しました。これは65歳以上人口の11%に当ります。
デイビス部長は「カフェのような制度は私たちの地区ではまだ十分ではない要求です」と述べています。
実際、アメリカで初めてのメモリーカフェは、2008年、ニューメキシコ州サンタフェSanta Feで開所しました。カナダでは、おくれて3年後の2011年です。
ジニー氏は、ネットで初めてその動きを知り、モリス郡から最も近くいメモリーカフェがマンハッタンのウエスト72番街のレストランで開催されることを見付けました。出かけるには遠すぎたのです。彼女は、アルツハイマー病協会ニューヨークシティ支部New York City Chapter of the Alzheimer's Associationがこのカフェを運営していること知りました。彼女はデンビルを拠点とするアルツハイマー病協会グレーターニュージャージー支部Greater New Jersey Chapter of the Alzheimer's Associationと連絡を取りました。
ジニー・フィッシャー氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病の支部は私とキャロラインとの活動でメモリーカフェを運営しています。教会は地域活動に熱心なので、その企画に大歓迎でした。教会は、アルツハイマー病の人10人と介護者10人の現在の中心的なグループよりもっと多くの人たちのための部屋をもっており、新しい参加者は大歓迎です」
初期アルツハイマー病の取り組み担当部長のモニカ・モレノMonica Moreno氏(写真右中)によれば、メモリーカフェは初期アルツハイマー病の人の社会参画を創る全国的な流れ一つの取り組みで、2013年、アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの全国事務局が関与するようになったのです。
モレノ部長は次のように述べています。
「特定の地域で試験的に2年間の研究した後、昨年、全国事務局は全国の70支部にツールキットを配布し、初期アルツハイマー病の人が参画できる体制を造ることを推奨しました。一つの特に興味深い事例は、「脳のための舞踏場Ballroom for the Brain」です。これはアメリカダンスUSA Danceとアルツハイマー病協会中央・北フロリダ支部Central and North Florida Alzheimer's Association 支部が企画したものです。初期の人はパートナーと舞踏場のダンス講習を受けます。本当に社会的催しで、参加者が普通の気持ちで過ごせ、参加することの目的を提供しているのです。社会的孤立を軽減することにくわえ、初期アルツハイマー病の人の社会参画と社会的偏見に対応したものです。アルツハイマー病と診断された人は特に初期に偏見に会います。一般の人はアルツハイマー病の人を思う時、末期の状態―自分の周囲の事がわからない、寝たきり、コミュニケーションが取れない―の人と思っているのです。確かに病気が最終的に至る状態かもしれません。始まった時の状態とは異なります。初期アルツハイマー病の人は、自分自身の生活に関与できる個人です。人々と一緒にいることで意義ある交流の機会を持ちます」
このことは明らかにボニー・コートネイ氏についても言えることです。彼女はメモリーカフェでの友人が好きです。
彼女は「一緒に歌い、何をどうしてよいか分からないこがあれば、互いに助け合います」と述べています。
夫は次のように述べています。
「妻は社会的状況なのかでうまくやっています。妻はとても寛大なので微笑みや美しい瞳を称えます。それが彼女の支援方法なのです」
メモリーカフェ
時:第3木曜日(11月と12月は第2木曜日)
所:モリスプラインズ長老教会(住所:400 Speedwell Ave., Morris Plains)
料金:無料
お問い合わせ先:Ginny Fisher at 973-229-4145 or Caroline Grossman at 973-993-9134
会議のお知らせ
会議名:ALZHEIMER'S DISEASE: THE INFORMED CAREGIVER, A MORRIS COUNTY CAREGIVER CONFERENCE
時: 8:30 a.m.-12:30 p.m. Oct. 11
所:Morris County Human Services Building, 340 W. Hanover Ave., Morris Township
お問い合わせおよび登録先:Call 973-586-4300 by Oct. 6.
Daily Record September 28, 2014 Alzheimer's patients socialize at Morris Plains' Memory Caf?
関連情報:Early Stage Programs(Alzheimer's Association)

★「認知症サミットの後継イベント、11月5日から日本で開催へ」(9月25日/官庁通信)
世界規模で患者が増え続けている認知症への対策に向けて、昨年12月に英国で開かれた国際会議の後継イベントが11月に日本で開催される。OECD(経済協力開発機構)が各国の現状や課題を調査・分析した国際比較を披露するほか、厚生労働省が「課題先進国」である日本の取り組みを紹介する予定だ。
厚労省は25日に開催した会議(写真)で、関係省庁の担当者にイベントの詳細を説明した。老健局の三浦局長は、「認知症はいまや世界共通の課題であり、日本の取り組みに世界が注目している」と語り、開催の意義を強調している。
イベントのテーマは、「新しいケアと予防のモデル」。11月5日から3日間にわたっての開催で、参加国が最適なアプローチについて詳しく話し合う。コミュニティのあり方やITの活用方法、最新のテクノロジーなども俎上に載せ、ブレイクスルーをもたらす意見交換にしていく計画だという。
介護・地域包括ケアの情報サイト Joint 2014年9月25日 原文のまま
関連情報:認知症サミット 11月に日本で開催 2014年7月10日 沖縄タイムズ
政府は9日、昨年12月に英国で開かれた初の「主要国(G8)認知症サミット」の後継イベントとなる国際会議を11月5~7日に東京などで開催することを決めた。
テーマは「新たなケアと予防のモデル」。世界保健機関(WHO)や各国から政府関係者、医療従事者らが集まり、日本の出席者も含めると約300人が参加予定だ。
会議では、ITの活用事例や日本の先進的な実践を紹介。住み慣れた地域で医療や介護、住まいなどの支援を一体的に提供する「地域包括ケア」構築に向けた取り組みも報告する。各国の認知症当事者の交流会も検討されている。
会場は東京・六本木ヒルズで、1日目は国立長寿医療研究センター(愛知県)が中心となって、認知症に関する研究や早期診断、啓発などの専門分科会を開く。2日目が本体の国際会議で、認知症のケアと予防について将来に向けた提言をまとめることを目指す。3日目は東京、愛知、京都で各国代表団による視察が予定されている。(共同通信)

「世界アルツハイマーデーに神経科医は国レベルの認知症指針を要請」(9月22日/パキスタン)
9月21日の全世界的な記念日である「世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Day」に、シファ国際病院Shifa International Hospital (SIH)で開催された地域啓発研修会で、同病院の顧問医師アルサラン・アッハマドArsalan Ahmad教授(写真左上)は、講演で「パキスタンで全国の神経科医や医師は、アルツハイマー病などの認知症の人の診断と治療を行うにあたって国レベルの標準的認知症指針を採用すべきだ」と述べました。また教授は医師や臨床関係者に向け認知症の診断と管理について教育講演も行い、次のように述べました。
「アルツハイマー病は、主に高齢者がなり有病率は加齢と共に増えます。65歳以上では5歳ごとに認知症の有病率が倍々になります。認知症は、知的機能、行動、性格を進行性に破壊します。アルツハイマー病は高齢者の認知症でもっとも多い原因です。この国の65歳以上では、現在、16万から24万人が認知症ですが、このうち8万から12万人がアルツハイマー病のよるようです。社会、医療提供者、保健予算にかなり影響する慢性疾患の一つとして、認知症はその重要性が行政、教育、医療の分野で当然なこととしえ認識されることで初めてこの病気がコントロールできます。認知症初期の症状を見付け、認知症の型を判定し、可逆的な認知症の原因を除外し、検査で確認することでしか認知症を管理することができません。うつ状態を見逃さないでください。アルツハイマー病など認知症は寿命が長くなるに伴う最大の課題となりつつあります」
SIHの顧問精神科医のワハブ・ユーサフザイWahab Yousafzai医師(写真左中)は、「認知症の行動心理症状」と題して講演し、認知症の人で生じる多様な心理的反応、精神症状、行動を明らかにし、さらに「認知症の人の80から90%は、病気の経過のなかで少なくとも一度は悲痛な症状を示す」と述べました。
またSIHの顧問神経科医のムハッマド・アザール・サイードMuhammad Azhar Saeed医師(写真左下)も「パキスタンのアルツハイマー病」と題する講演を行い、次のように述べました。
「記憶障害も含め知的機能の低下は、認知症の症状の一つです。アルツハイマー病で短期記憶、長期記憶、感情、気分、行動、言語が影響をうけます。さらに、認知症は、料理、掃除、運転などの日常能力を困難にし、症状は時とともに進行します」
The Express Tribune September 22, 2014 World Alzheimer’s Day: Neurologists call for adopting national dementia guidelines
関連情報:パキスタンアルツハイマー病協会Alzheimer's Pakistan
編者:世界アルツハイマーデーの一環としてパキスタンでは医療関係者向けの啓発講演会が開催されたという記事だ。

★少年がアルツハイマー病の人の安全のため優れた機器を発明(9月19日/アメリカ)
国際的な競技会「2014年グーグルサイエンスフェアーGoogle Science Fair2014」の13~18歳部門の受賞者が9月22日に発表されるでしょう。最終選考に残ったすべての人はとても素晴らしいのですが、「サイエンティフィックアメリカン実践科学賞Scientific American Science in Action Award」を受賞するケネス・シノズカKenneth Shinozuka君(写真)はとても実用的な発明で卓越しています。それはアルツハイマー病など認知症の人の家族の困難な介護を助けるものです。
YouTubeでの彼の発言「アルツハイマー病の祖父を介護することは家族にとてもストレスになります。特に、夜間、起床して徘徊して事故に在るあう時です。祖父はアメリカの520万のアルツハイマー病の人の一人です。この人たちの65%が徘徊します。これらの人たちの安全を守り、介護者の負担を軽減するために、廉価で身体に装着できるセンサーの技術を発明しました。徘徊をリアルタイムで信頼性の高い検知器です。
アルツハイマー病の人が床に降り立つと、足に取り付けたセンサーが速やかに体重による圧を検知し、無線で介護者のスマホに音で警告を発します。三つの実用的な技術を開発しました。一つ目は、とても薄いフイルム状のセンサーで不快なく身体に付けられます。二つ目は、貨幣大の無線回路で最新の「ブルーツースロウエナージーBluetooth Low Energy」を使ったものです。三つ目は、スマホを介護者のモニターとしてつかえるアプリです。
祖父で6カ月間使ってみたところ、私の仮説が正しいことがわかりました。このシステムは祖父の437回の徘徊を100%検知し、ベッドから降りて1秒以内に警告を発しました。間違った警告はありませんでした。現在、ナーシングホームで私の技術を試験中で、センサーデーターのパターンを解明しています。もとの問題を解決することに加え、もっと多くのアルツハイマー病の人を監視するセンサーを使って、基本的に徘徊の原因を理解し、徘徊を少なくしたり予防することに繋げることができるでしょう」
New York Magazine September 19, 2014 A 15-Year-Old Came Up With a Really Smart Invention for Keeping Alzheimer’s Patients Safe
関連情報(YouTube):Wearable Sensors: A Novel Healthcare Solution for the Aging Society
編者:アメリカ在住の日系アメリカ人の少年の認知症介護に関わる機器の発明記事として紹介した。

★重度の認知症の人が効果の曖昧な薬を服用し続けている(9月9日/アメリカ)
医学雑誌JAMA Internal Medicineの最新号(9月8日版)に掲載された調査によると、認知症で1,2年以内に亡くなるようなナーシングホームの入居者の半数以上は有効性がほとんどないか全くない、しかも不快の原因となるような薬が投与されています。
こうした薬の使い方が、認知症の人の生命を延長させたり、生活を高めるという時機を越えてまで医師や家族が続けることが多い。
アルツハイマー病薬は、実際のところ重度の認知症の人に効果はないのですが、ナーシングホームの進行した認知症の人にあまりにも頻繁に投与される問題の薬です。donepezil (Aricept)、 rivastigmine (Exelon)、 memantine (Namenda)といったアルツハイマー病薬の処方は、通常、発病早期に開始され、自分自身のことができなくなる時期までの進行を遅らせるようです。しかし、後期の人については、記憶や精神活動を改善するという証拠はほとんどありません。
こうした薬を使う有効性については証拠がほとんどなく、さらにこの種の薬は失神や不整脈といった副作用を起こし、骨折、尿閉を発症する危険性が高くなります。
今回の調査の対象者は2009年10月1日から2010年9月30日の間で「ミニマムデータセットMinimum Data Set」とリンクした介護施設(460施設)の薬局データベースにもとづく5406人です。
調査したナーシングホームの重度の認知症の入居者のうち3分の1以上がこの種の薬を一種類またはそれ以上服用していました。調査対象者の約4分の1は血中の脂質を下げる薬―もっとも典型的にはスタチン剤―の服用を続けていました。こうした人たちの生命が脂質を下げる薬で長くなるかもしれないという可能性はほとんどありません。こうした人たちの多くは、いずれ心臓発作があっても蘇生術を受けることはないでしょう。最近のいくつかの研究によれば、スタチンを服用している人の5人に1人は、筋肉の疲労感や痛みの症状があり、また最近アメリカ食品薬品局(FDA)は、高齢者の多くでスタチンが記憶障害や混乱を引き起こすかもしれないと警告しました。
今回の研究で、こうした問題ある処方の傾向には地域的、人種的な違いがあることが認められました。西部および東部の州の南部や中央部では処方の割合は高く、問題ある薬の少なくとも一つを服用している人は65%に及びます。大西洋岸の中部の州、ニューイングランドの州、西部の山間部の州ではその割合は最も低い。また認知症のラテンアメリカ系の人は、問題ある薬がかなり多く処方されています(約65%)。非ラテンアメリカ系の黒人や白人ではほぼ同等です(52%)。
男性は女性よりこの種の薬を多く服用しています(62%:52%)。問題ある薬がホスピス施設の人の44%、蘇生術を受けないと指示している人たちのほとんど半数に投与されていますが、これはホスピスサービス外の人(55%)より、また蘇生術を受けないと指示してない人と(64%)よりは服薬がかなりすくない。
雑誌の招待編者の老年科医で緩和医療の専門家でありインディアナ大学医学部Indiana University School of Medicineのグレグ・ザックスGreg A. Sachs教授(写真)は「今回の結果は、限りある生存期間の人たちの治療にあたる医師に自らの処方行動を再検討することを促すでしょう」と希望を述べ、次のように雑誌に記載しています。
「医師が病める人のケアを決める目標について本人や家族とより詳しく話し合うことを始めるなら、医師は多くの薬を処方したり検査をすることが減らすでしょう。その結果、医療費が減り、限りある生存期間の人たちがより快適に過ごすことになるでしょう。また必要ない薬が投与される人たちのより短命であることもないでしょう」
Los Angeles Times  September 09 2014 Dementia patients continue to get medications with little, no benefit および論文Use of Medications of Questionable Benefit in Advanced Dementia
編者:アメリカで重度の認知症の人に無駄と思われるアルツハイマー病薬やその他の薬が処方されている実態が明らかにした論文だ。わが国でも同様の傾向にあると思われるがデータがないようだ。もっとも医師が「無駄と思う薬」でも家族が希望すれば処方せざるをえない状況があるだろう。あるいは医師が経営的に有利であれば「無駄な薬」も処方するかもしれない。その逆で、薬剤費が丸めになっている老人保健施設では「無駄でない薬」まで処方しないことはないだろうか。
軽度・中程度のアルツハイマー病の人へのアルツハイマー病薬については、現在、わが国では複数の保険薬がありその種類と量の組み合わせは多様で、効果が求めて延々と薬が試されることはないだろうか。また一旦投薬が始まると何時止めるのかの広く認められた基準がない。本人や家族の負担が重いという経済的理由で服薬を止めることもあるかもしれないが、高価なアリセプトもジェネリックが出回るようになり、こうした負担は軽くなっているかもしれない。臨床を離れた医師の推測。

★認知症の人の投票権は問題(9月8日/ニュージーランド)
高齢者介護を提供する団体は、選挙法Electoral Actが重度の認知症の人に投票できないように再検討されるべきでだと、見解を述べています。
ニュージーランドでは50万人が認知症で、現在の法律でこの人たち全員が次回の選挙で投票する資格があります。
さまざまなレベルの記憶障害、見当識障害、思考障害を示す認知症は、脳を破壊する身体的な状態です。また人口高齢化の一兆候でもあります。2050年までに認知症の人は3倍になるでしょう。
「高齢者介護協会Aged Care Association」のマーチン・テイラーMartin Taylor事務局長(写真左上)は次のように述べています。
「この法律は検討されるべきです。認知症棟の入居者は自分では決定できないとみなさている時、この人たちが選挙登録して投票できるようにすることは矛盾しています。高齢者向け施設介護で利用できる認知症棟で誰が投票する意思と権利を持っているかを判定することはとても高いハードルと思います
家族などが認知症の人を支援して投票することができます。選挙法によると障害者が投票できるように支援する人はだれも、自分たちの政治的目的に合わせて投票を妨害できません。
投票期間中に投票ブースまで行けないときは、特別な投票用紙をこの人たちのために受け取ることができます。これは投票人であることを証明する特別な申告があれば、投票日の午後7時までに選挙管理官が受け付けなければなりません。
「選挙管理委員会Electoral Commission」は、投票人が支援者として誰―友人、家族、選挙担当官―もがなりえると見解を示しています。法定申請を偽造すると違反です。
「ニュージーランドアルツハイマー病協会Alzheimers New Zealand」のキャサリーン・ホールCatherine Hall事務局長(写真左下)は次のように述べています。
「認知症の人は自分の決定を理解できるかぎり投票する権利があります。投票人は自分のために決定できるときに限り投票できます。困難なことの一つは、投票する知的能力を持っているかどうかを判定することです。この問題は学問的であって、認知症の人の家族は投票を支援することよりは、本人のよい状態を確保することを重視することが多いのです。
認知症の人と介護者に関わって私たちが認識する多くの課題があります。投票はそのなかに含まれてないのです」
ニュージーランドアルツハイマー病協会と高齢者介護協会はともに、この課題は扱うことはとても難しいとしています。
両団体の見解は「自分たちができる最善のことは、認知症の人が投票する意思と認定機能を持っているかどうか観るだけでなく、それをもっているならこの人たちにどの支援するかということ」です。
さらにテイラー氏は「介護施設の管理者は特別な支援を求める人に限り投票登録をすることを援助すべきだ」と助言しています。
選挙管理委員会は、介護施設や病院に人を送って投票用紙を集めます。2011年、2万9000の投票がこの方法で受け付けられました。
Radio New Zealand 08/09/2014 Dementia patient right to vote questioned
サイト内関連記事:「アルツハイマー病の人は投票所へ行けるか?」(2012年10月28日)
編者:ニュージーランドでも認知症の人の投票権が話題となっているとの記事だが、法的な制限はどの国でも合意が得られていない。

★認知症を避けたいと妻自殺、夫幇助(8月20日/カナダ)
ジリアン・ベネットGillian Bennett氏(83歳)(写真左上)は、夫の傍で一緒に崖を見下ろしながら自らの希望に沿って人生を終わらせました。夫のジョナサンJonathan氏(写真左下)は、夫人の望んでいた決定を支持したと語っています。
バンクーバー在住のジリアン氏は、認知症に最終決定権を取られないようにしていました。
彼女は惨めな病気の初期でボーエン島Bowen Islandの自宅の近くで今月18日に自殺しました。
60年間共にした夫は、妻がマットレスを好きな場所に運ぶのを手助けしました。崖が見下ろせるところです。夫は妻の手を握り、妻はウイスキーを一ショットとネムベタールNembutalを一緒にのみ、直ぐに意識が無くなりました。その後しばらくして死亡が確認されました。
夫は次のように語っています。
「妻が何時逝きたいかを決めることを知っていました。それはよい決断でしょう。それに賛同することにしました。自分の人生を終える時、日に日に、弱くなり出来にくくなることを嫌って、それ以上長生きしたくなかったのです」
妻は認知症が進行する前に、自分のウエブサイトDeadatnoon.comを立ち上げ、自らの決定について、またそこに至る人生について詳しく述べました。ニュージーランド生まれの心理療法士で、イギリス、アメリカ、カナダで暮らしました。
彼女はサイトに雄弁に書きました。
「自殺するからといって望むことで何か諦めることは何もないと理解してください。病院で植物状態になり、国のお金を食いつぶしながら、自分だ誰であるか分からなで過ごすいつまで続くか分からない年月を避けることができるのです」
サイトで医師の自殺幇助に擁護して、次のように書いています。
「望むことは、医療専門職が、生前遺言に沿って慎重かつ適切な方法で、致死量の薬を投与し終末状態の患者の苦しみを終わらせる権限を持つことです」
また夫は次のように語りました。
「結婚生活で覚えていることは、高齢者が社会に強いる重圧と財政的負担についての妻が強硬な意見を持っていることです。この2、3年の間、この話題について議論しましたが、妻が認知症に支配される前にますます頻繁になりました。妻の決定を説得して止めようとすることは、彼女を混乱させるだけでしょう。妻は自分自身のために、家族のために、さらに国のためにも実行したのです。妻は自分にために出費を望みませんでした」
最後にひと時に、夫婦は自分たちの敷地を歩きました。また夫人は息子のガイGuy氏(55歳)と娘のサラSara氏(56歳)(共に写真左下)とも忘れずに過ごすようにしました。夫人には6人の孫と2人のひ孫がいました。
さらに夫は次のように語りました。
「妻は、自分の決断に自信があり、逝った時、本当に恐れてはいませんでした。また来世はないと確信していました」
二日後、夫は結果的に生じた複雑な気持ちと闘って次のように言い表しています。
「現在の状態はとても悲惨であり喜ばしいことです。妻が望んだことが起きたのです」
NEW YORK DAILY NEWS  August 20, 2014 Canadian woman commits suicide instead of facing crippling dementia
訳注:1ショットは25~50cc。Nembutalの一般名ペントバルビタールで鎮静作用、睡眠作用があり、抗不安作用は弱い。
編者:人生最期の迎え方として理解できるが、高齢者が長生きすることが社会や国家への負担を強いるとの考えには賛成できない。社会や国家は高齢者がよりよく長生きするために在る。

★認知症の人のための「開かれた村」の創設を(8月16日/シンガポール)
2030年までに60歳以上のシンガポール人の約8万人が認知症になると推測されています(訳注)。認知症は、脳の非可逆的な変性を伴う状態で、認識、論理、判断、記憶、人格という精神的能力を奪います。悪化するに従い、自分自身のことができなくなります。次第に、親しい人たちを認識することもできなくなります。2011年の国家記念集会National Day Rallyで、リー首相は、政府は認知症のシンガポール人により多くのことを実行すると話しました。今年の国家記念行事で、80億シンガポールドルを国の発展に寄与した世代への包括施策Pioneer Generation Packageが重度の認知症の人のための特別な医療施設の建設に使えわれることを私は希望します。De Hogeweykと呼ばれるオランダの「開かれた」認知症村をモデルにすることができるでしょう。政府の助成によるこの村のような集合区域は重度の認知症高齢者のためのもので、アムステルダムに近いウエースプWeespの小さな町にあります。 こじんまりした自己完結型の村は小さな2階建ての煉瓦造りの建物で、食料雑貨店、喫茶店、食堂、美容院、劇場があります。2010年に開設されたこの村の施設には、開かれた共有空間があり、広い道、脇道、広場、綺麗に駆られた芝生、よく手入れされた花壇があります。
(StraitsTimes Aug 16, 2014 'Open village' for dementia residents)
訳注:現在のシンガポールの人口や約540万人。
De Hogeweyk(Hogeweyに同じ)に関するサイト内関連記事:「オランダの「認知症村」に見る介護の最先端」(2013年7月21日)
編者:シンガポールのStraitsTimesのアンディ・ホAndy Ho記者(写真)は医療関係の有名なジャーナリストらしいが、同国の認知症対策の現状を検討しないで、「究極の施設」Hogeweyの導入を提案することに異議あり。

★認知症の人たちが集う「メモリーケアセンター」(8月12日/アメリカ)
ジェン・インゲルスJane Ingels氏は、いつも自分が自立していることを大切にしてきました。昨年まで、94歳の夫を亡くした夫人は、ミズリー州のレイモアーRaymoreの退職者共同施設の寝室が二つある家で幸せに暮らしていました。昨年10月、軽い脳血管障害になり車椅子生活になりましたが、それまでは自分で車を運転して銀行や食料品店に行ってました。しかし入院中、認知症と診断されました。
インゲルス氏は、もはや一人で暮らすことができなくなったのです。近くのカンザスシティに住む息子のヘリー・インゲルスHarry Ingels氏は、母親の介護のため徹底的な調査を行い、「施設を見付けるのが難しかった。母が生活するに相応しいところが見つからないのです。母が元気になるだろうと思われる施設が見つかりません」と述べています。
母親には認知症に特別な介護を提供しながら、かなり自由が保証された場所が必要だったのです。
今年の1月、息子は、最近メモリーケアセンターmemory care centerを開設したカンザスシティの退職者向け住宅「ウエックスフォードプレイスWexford Place(WP)」(写真右上)を見付けました。
これは今年、メモリーケアセンターを開設した二つの退職者向け共同住宅の一つです。もう一つはカンザスシティのオーバーランドパークOverland Parkに在る「タルグラスクリークTallgrass Creek(TC)」です。これらは14年前に開所した「スイートライフショウニーSweet Life Shawnee」などと共に他の地域に在るメモリーケアセンターの一つです。
国の人口高齢化に伴いこうしたセンターは、認知症やアルツハイマー病の人の介護に応えています。認知症は心がゆっくりと崩れますが肉体と霊は強いままなのです。
アルツハイマー病は、認知症の最も多い型で、アメリカ人の死因の第6位です。アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationによると現在、500万人以上のアメリカ人がアルツハイマー病です。医療の革新がなければ、2050年までに3倍の1600万人がアルツハイマー病になるでしょう。
年とともにアルツハイマー病になる危険性が高くなり、女性の方が高いのです。65歳までは、女性6人のうち1人がアルツハイマー病ですが、男性は11人に1人です。ベビーブーマー―1946年から1964年の間に生まれた人―が3年前から65歳以上のなり始めました。
カンザス大学医療センターアルツハイマー病センターAlzheimer’s Disease Center at the University of Kansas Medical Centerの共同所長のジェフリー・バーンスJeffrey Burns 医師(写真左上)は「この病気は治療法がわかっていません。いずれはどの脳細胞も失われるのですが、初期は記憶に関わる細胞です」と述べています。
こうした問題が、認知症やアルツハイマー病の人の介護の質を向上させる運動を刺激しましたのです。運動の先頭に立つ全国的な組織の一つがパイオニアネットワークPioneer Networkで、先週、カンザスシティで第14回の年次会議を開催しました。
会議では、その人中心の介護、メモリーケアセンターの中核となる考え方が重視されました。
例えば、WPのメモリーケアセンターでは、寝室があり、居間と中庭を共有する家庭のような形に作られています。看護師は「ケアパートナーcare partner」と呼ばれ、入居者が音楽、美術、パン焼き、ガーデニングなどの活動で参加します。
メモリーケアセンターの職員は、入居者が不安にならないように、間違いを正したり、記憶の世界から連れ出さないように訓練を受けています。
TCの医療営業部長のスタシー・シェルマンStacie Shelman氏は「私たちはどこでも彼らに応えます」と述べています。
施設の環境はストレスを軽減するように設計されています。開放的な中庭や多くの窓で、入居者がドアの鍵で拘束されているという感じを無くします。施設の棟―「ご近所」と呼ぶ―は入居者に居場所がわかりやすいように、落ち着いた色―WPではセージやパプリカの色―を塗っています。
すべての寝室の外に取り付けたガラスケースの箱は、入居者が自分の部屋に戻る道順を見付けやすくします。ジェン・インゲルス氏の部屋の外のボックスには、家族の写真、彼女が長く持っていたひまわりの形をした灰皿、パスポート―フランス、ドイツ、バハマのスタンプが押されている―が置かれています。
WPとTCの両施設とも、個人のよい記憶を刺激するように設計された場があります。
TCでは、企画管理担当のクガー・グレイCougar Gray氏は、ゴルフが好きな入居者のために小さなグリーンを設けました。浜辺で休暇を過ごした別の入居者には砂と貝殻が在る空間を用意し自分たちの記憶を再訪することができます。
またグレイ氏は、庭好きで活発な入居者のために鉢植えを買います。6月の活動の間、日よけ帽子をかぶり中庭を散策し、黄色のユリとマツカサギクのなかに新しいピンクの花を植えるに相応しい場所を探しました。
グレイ氏は冗談半分に「入居者を活発にするためにもっと草を植えなければならなかったでしょう」と述べています。
またWPには洗濯の場があり、そこで入居者がタオルを畳みます。
WPの親会社のシニアースターSenior Starのリリチア・ジャクソンLetitia Jackso副社長は次のように述べています。
「洗濯物を畳むといった外見的に日常的な仕事をこなすことは時間を正確には認識していない入居者には心地よいことです。こうしてあたりまえの日常的活動を刺激し、目標を設定するのです」
記憶は、視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚で刺激され、メモリーケアセンターはこの五感すべてを念頭に置いて設計されます。
TCでは、職員は入居者の食欲を刺激するためキッチンでクッキーを焼いたり、シチューを煮ます。WPでは、映画や州の催し物に関する記憶を呼び起こし、ジュークボックスからのフランク・シナトラのスタンダードの歌が入居者に踊ることを促します。
父親のための施設を探していたシンディ・アシュマンCindy Ashman氏は、妹とWPを訪れた時、「私たちの時のメモリーケアセンターのジュークボックスはジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリックスの音楽にしなければならない。自分たちのメモリーケアは、サイケデリックになるだろう」と冗談に述べています。
ベストフレンド方式Best Friends Approach
アルツハイマー病協会とパイオニアネットワークPioneer Networkの創設者の一人でシカゴ在住のビル・キーンBill Keane氏(写真左中)は次のように述べています。
「メモリーケアは1970年代から長い歴史があります。最も初期のメモリーケアセンターは、アルツハイマー病特別ケアユニットを呼ばれていました。入居者の脳や体を活発にするための設計された場も活動もありませんでした。職員は個々人のことではなく仕事中心に訓練されました。効率が尊厳より重要だったのです。半月板のテーブルが置かれた摂食部屋があり、職員は座って裏ごしの食事で4人に同時に食べさせていました」
キーン氏は1975年に母親がアルツハイマー病と診断されてから、その人中心のケアの提唱者となりました。これは、個人が必要なことに合わせ、共感を強調し介護者を勇気づける手法です。
さらにキーン氏は「当時私はラディカルと思われていました。アルツハイマー病協会の設立も支援した」と述べています。
1980年代遅くまでに、もっと多くの人々がその人中心のケアを熱心に求めました。その中に、デヴィッド・トロキセルDavid Troxel氏(写真左下の左)やヴージニア・ベルVirginia Bell氏(写真左下の右)がいました。
トロキセル氏とベル氏は共に、ケッターキー大学アルツハイマー病センターでUniversity of Kentucky Alzheimer’s Disease Centerで認知症の人のためのデイケアを行っていました。
トロキセル氏は現在、カリフォルニア州サクラメントに住んでいますが、次のように述べています。
「私たちは楽しいパーティーのような環境を創りました。そこでは参加者が運動したり、音楽を聴いたり、個人的にお互いを知ることができました。ストローベリーアイスクリームが好きか、ゴルフでホールインワンを打ったことがあるかを知るようにしました」
デイケアで両者はアルツハイマー病ケアのための「ベストフレンド方式Best Friends Approach」を起こし、これはトロキセル氏が「ちょっとの力」と呼ぶものです。
トロキセル氏は、ベストフレンド方式をアルツハイマー病と診断されていた彼の母親に使いました。母親が興奮した時、彼女が好きなアールグレイを一杯を出しました。コミュニケーションが取れにくい時、昔の音楽を流し一緒に歌いました。
現在の多くのメモリーケアセンターでベストフレンドの考え方と採っており、記憶の場と一連の活動が組み込まれています。
今年の初め、トロキセル氏はWPを訪れ職員の相談にのりました。その2月後、3000人の部屋を有する中国・上海の新しい介護施設で講演しました。
メモリーケアの費用は、一般的に介護付き住宅より高く、ナーシングホームより安い。例えば、WPで部屋を借りると、月額は5000ドルから5900ドルです。この料金には24時間介護と食事と活動が含まれます。ちなみにWPの介護付き住宅は月額3400ドルからあります。
シンディ・アシュマンCindy Ashman氏は、82歳の父親のジョージ・コルウエルGeorge Colwell氏のためにWPを見付けました。父親の認知症のため彼女が自宅で介護することはとても難しかったのです。悪い日には、製鉄工場で働き、朝鮮戦争でパラシュート部隊で服務したことのある父親は娘たちの名前を混同し、妻のドンナDonna氏が亡くなっていることを忘れるのです。
彼女は「父は『ドンナを迎えに行けるか?そのあとここに連れてこられるか?彼女に会いたいのだ』と言います。そのような時嘆き悲む」と述べています。
WPの費用は月額5450ドルで、すべて私費です。
さらに彼女は「それは高額ですが、父が家庭にいるように思っているので、それだけの値打ちはある」と述べています。
アシュマン氏の場合、彼女はメモリーケアセンターのケアパートナーが好きです。父親が午前4時半に起きると、彼女らはベッドのそっと戻します。すぐに仕事ができるようにします。その後、父をミズリー州キャメロン退役軍人ホームVeteran’s Home in Cameron, Moに転居させました。
キーン氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病の謎を明かす研究は続きますが、同時にメモリーケアセンターも関わり続けます。こうした記憶刺激の場の取り組みは続けます。良い記憶を刺激することは治療になるのです。しかし悪い記憶を刺激したくはありません。軍服は、ある人には深い自尊心を呼び起こすでしょう。しかし別の人には恐ろしい大量の記憶が溢れ出るのです。このため、メモリーケアの職員は、個々の入居者のこと知っておかなければなりません。人の心は多くの要素から構成されます。恐怖、希望、要求、必要なこと、モラル、霊的なことです。こうした要素は認知症と診断さらたからといって無くなるものではありません。認知症の人は単なる記憶を越えた存在です」
報告者:サラ・ギッシュSarah Gish(写真右下)はKansas City Starの記者で2011年Heart of America Journalism awardsの受賞者。
The Kansas City Star 08/11/2014  Memory care centers: Meeting Alzheimer’s and dementia patients where they are
編者:アメリカで認知症の人に比較的良い介護施設の現状と思われる。わが国が学ぶことがあるだろうか。キーン氏の思い出話は興味深い。トロキセル氏とベル氏は個人的に知る。

介護職はアルツハイマー病の人を告訴できない(8月5日/アメリカ)
8月4日、カリフォルニア州最高裁判所California Supreme Courtは、アルツハイマー病の人から損傷を受けた在宅介護職に関わる訴訟で、アルツハイマー病の人の場合は雇われた介護職が負った傷害についてその責任を問えないとの判断を示しました。
この訴訟について最高裁判所は5対2で、アルツハイマー病の人の介護のために雇用された人は、アルツハイマー病の後期に身体的攻撃や興奮が生じることが一般的であることを知るべきと判断しました。多数派は、攻撃的である雇用者を管理するなかで負傷した介護職が雇用者を訴えることは適切でないと結論づけました。
多数派の一人キャロル・コリガンCarole Corrigan判事(写真右上)は、「危険な状態を管理するために雇われた人は、直面すると考えられるとても危険なことで傷害を受けてもの雇用者を訴えられないだろう」と記載し、さらに次のように述べています。
「カリフォルニアなどは州の法律で既に、病院やナーシングホームといった施設での介護職に傷害を負わせたアルツハイマー病の人へ損害賠償を請求できないことが確定しています。個人宅で働く介護職について異なる基準を設けることによって、アルツハイマー病の家族をナーシングホームへ入居させる経済的な側面から奨励することになるでしょう」
しかし、最高裁判所の二人の反対意見の判事は次のように述べています。
「仕事の性格上、本質的に危険を伴うため、就労中の傷害で患者らを訴えることが禁じている警察官、獣医、その他の専門職などと同じ範疇に民間の介護職を含めることは不公平です。介護職は、アルツハイマー病の人の家族が責任を負い、他人に押し付けていることで費用に対する在宅介護の利益を計るべきと主張します」
ローレンス・ルビンLaurence Rubin判事(写真左中)はキャスリーン・ワーデガーKathryn Werdegar判事(写真左下)と共に次のような反対意見を記述しました。
「進行したアルツハイマー病の人すべてが暴力的ではありません。アルツハイマー病の初期は暴力が多くはありません。暴力に出くわすことはすべてのアルツハイマー病の人の介護では避けられないことです」
アルツハイマー病の妻と夫を告訴したことについては多数派の判決となりました。夫婦は、2005年、斡旋業者を通して妻の介護のため看護助手を雇いました。看護助手は、それ以前にアルツハイマー病の人に関わる仕事をしたことがあります。彼女は、その夫人が噛む、蹴る、引っ掻く、叩くことが度々あると知らされていました。
判決文の経過報告によると、数年前、看護助手が大きなナイフを洗っていると、夫人が彼女の後ろからぶつかり、台所の流しに手を伸ばしたのです。ナイフは看護助手の腕に当たり、その怪我のため数本の指の感覚が無くなったのです。看護助手は、夫婦を怠慢と暴行で告訴しました。下級裁判所は、最高裁の見解と同じ基準でその事例を却下しました。
多数派のコリガン判事は次のように述べています。
「今回の判決は、民間の介護職は顧客が暴力的ありうることを前以て注意されてはいませんが、将来の告訴は禁じました。あるいは、傷害がアルツハイマー病によくある症状に関連してはいない場合でも将来の告訴を禁じました」
さらに判事は次のとおり記述しています。
「立法機関は専門的研修の基準を向上させ、アルツハイマー病の人の介護職については労働保険補償を強化することの検討を要請します」
さらに彼女は「この病気で病むカリフォルニア人の数は、今後、ただただ増えるだけと与作されている」と述べています。
CBSNews August 5, 2014 Caregivers can't sue Alzheimer's patients, court rules
編者:アメリカでは認知症の人の在宅介護のかなりの部分を民間企業が担っているらしい。今回は、アルツハイマー病の人の責任能力とこうした企業の介護職のレベルも問われた裁判と思われる。わが国では、在宅の認知症の人は公的な介護保険による訪問介護職であるが、彼らが認知症の人から何度も殴ったからといって認知症の人を告訴することはないだろうが、同居する家族の責任が不問とは思わない。

「高齢者デイケア施設の開設に住民が猛反対」(8月3日/朝鮮日報)
軽症の認知症患者が通う施設、住民は特養老人ホームと誤解
高齢者施設に対する住民の認識が不十分
先月13日、ソウル市竜山区青坡洞の住宅街に突然「老人療養施設の入居反対」と書かれた横断幕が掲げられた。今年4月まで保育所として使われていた5階建ての建物の1階に、高齢者のデイケアセンターが入るという知らせを受け、住民たちが一斉に反発しているのだ。
14日には、20人ほどの住民が建物の前で「療養施設は早く出ていけ」と叫びデモを行った。一部の住民は「痴呆(ちほう=認知症)や中風(脳血管障害の後遺症)になった老人の療養施設が入ったら、住民たちの生活の質が低下する恐れがある」と書かれたチラシを配布し、500人ほどの反対署名を集め、竜山区役所に提出した。「夜中に狭い路地に救急車が出入りすると、町内が騒がしくなる」「老人が死ねば町が駄目になる」といううわさも流れた。
8月にこのデイケアセンターを開設するため準備を進めている民間団体側は「デイケアセンターはお年寄りたちが療養院(特別養護老人ホームに相当)に行かずに済むよう支援する施設だが、住民たちは療養院と勘違いしている」ともどかしそうに話した。デイケアセンターは、家庭で日常生活を送っている高齢者たちが通う施設だ。認知能力は劣るものの普通に出歩くことのできる高齢者たちが、昼間だけ施設に通い、介護福祉士や社会福祉士など専門家によるサービスを受ける。高齢者たちを送迎車でセンターに送り迎えし、認知能力を向上させるための美術や音楽、遊戯などの治療プログラムを実施する。そのため「老人幼稚園」とも呼ばれる。運営団体側は約250平方メートルの空間で、午前9時から午後5時まで、最大20人の高齢者を受け入れ、介護福祉士3人と看護助手1人などが高齢者の世話をする計画だという。
イ・マルソン・センター長は「地域の高齢者が自宅から近い便利な場所でサービスを受けられるよう、住宅街に開設することにしたが、住民たちが『山の中にでも行け』と言って反対するため、困り果てている。だが、デイケアセンターがどういう場所なのか理解し、考えを変える方もいるため、引き続き住民たちを説得している」と話した。高齢者長期療養保険法によると、デイケアセンターは一定の要件を満たせば、管轄する区役所に届け出るだけで運営できる。
専門家たちは「高齢化によって高齢者福祉施設の需要は増加しているが、市民たちの反感は依然として根強く、理解も不十分なため、トラブルが生じている」と話した。統計庁によると、韓国の65歳以上の高齢者の人口は現在613万人で、全人口の12%を超えている。昨年57万人だった認知症患者の数は、2024年には101万人にまで増加すると予測されている。10年後には高齢者10人のうち1人が認知症になるという予測もある。
このため政府と地方自治体は、高齢者福祉施設や人材を増やす計画を立て、軽症の認知症患者も長期療養サービスを受けるよう勧めている。今月からは高齢者長期療養保険法施行令の改正により、これまで保険適用の対象外だった軽症の認知症患者約5万人にも保険が適用されるようになった。月11万ウォン(約1万1000円)程度の費用を負担すれば、1カ月に最長22日間、デイケアセンターを利用できる。だが、一部地域ではデイケアセンターの開設が住民の誤解や反対によって壁にぶつかっている。ソウル市中区にある新堂洞デイケアセンターのパク・チャンナム・センター長は「ほかの地域でも『デイケアセンターは療養院だ』という認識が根強く、設立時には住民の反対運動が起こるケースがたびたびある。だが、センターを視察し、実際に利用した住民や高齢者たちはほとんどが満足している」と話した。今年2月現在、デイケアセンターは全国に1447カ所ある。
韓国保健社会研究院のユン・ソクミョン研究員は「重症の認知症患者は療養型病院に入院して介護を受け、軽症の認知症患者は自宅から施設に通って治療を受けるという形の管理が必要だ。超高齢社会を迎えている韓国では、高齢者福祉に関するインフラを拡充するだけでなく、市民が認識を改め、理解する必要がある」と指摘した。
イ・ソンウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2014年8月3日 原文のまま
編者:以前、わが国でも地域住民の反対でグループホームが建てられないことがあった。今は無いと思うが皆無かどうか定かでない。それにしても「老人幼稚園」と呼ぶ記者のレベルも疑われる。

★アルツハイマー病のためのK2登頂(7月27日/アメリカ)
コロラド州フォートコリンズFort Collins在住の探検家、アラン・アーネットAlan Arnette氏(写真)は、アルツハイマー病への関心を高めるために大変苦労し危険な登攀の後、7月26日、彼の58歳の誕生日に世界第2位のK2(標高:8611メートル)を登頂しました。4人のアメリカ人と5人のネパール人シェルパによる登頂です。
彼の登山仲間のジム・ダヴィッドソンJim Davidson氏は、この登攀を追跡し、ブログalanarnette.comに報告してきましたが、次のように述べています。
「アランの母親、アイダ・アーネットIda Arnette氏は5年前に亡くなりましたが、生前、アルツハイマー病でした。アランは母親の介護グループの一人で、この問題を解決しなければならないと語っていました。K2とほかの7つの山の登頂を通して、アランはアルツハイマー病関連の非営利団体へ20万ドル以上の寄付金を集めました」
ダヴィッドソン氏へのその後の衛星電話で、アーネット氏は彼に「私たちはアルツハイマー病を克服できます。まもなく克服できるように支援者に寄付を要請してほしい」と要請しました。
アーネット氏は、ほぼ20年の間、登山家で、コロラド州のすべてのフォーティーンナfourteener(14,000フィート (4267メートル)を超える山)を登り、世界中で多くの登山遠征を行いました。
ウエブサイトXtreme Sportによると、K2は中国とパキスタンの国境にあり、世界で最も登攀が難しいとみなされています。
アウトドアー関連のウエブサイトEureka Tent!によれば、K2よりほぼ240メートル高いエヴェレストの年間登山死亡率は約5%ですが、K2は25%です。
アーネット氏はK2を登頂した16人目のアメリカ人です。
The Denver Post 07/27/2014 Fort Collins man summits K2 in a climb for Alzheimer's
編者:外国では登山を応援する形での寄付金集めは珍しくはない。

認知症予防の小さな変化と希望(7月15日/アメリカ)
正直に言って私たちが本当に望んでいることは、認知症になってしまうのではと心配しなくてよい錠剤や注射です。
これに代わって認知症の予防について知ることは、いくつかの方法-「健康的な生活様式」「行動の変容」「ストレスの軽減」―で、認知症以外の病気の予防について知ると同じことです。
今週、コペンハーゲンで開催中の2014年アルツハイマー病協会国際会議Alzheimer’s Association International Conference2014(AAIC2014)で、モンテフィオーレ医療センターMontefiore Medical Centerとイェシーバー大学Yeshiva Universityアルバートアインシュタイン医学部Albert Einstein College of Medicineの研究者は、脳のアミロイドに関してほとんど何もすることはなく、ただ生活をどう感じ、どう行動し、どう対処することの結果について発表する科学者たちの人たちでした。
同医学部の神経科医で「アインシュタイン齢研究Einstein Aging Study」―1980年からブロンクス在住の高齢者の認知機能を追跡―のリチャード・リプトンRichard Lipton部長(写真左)は次のように述べています。
「多くの人は、長く、生活様式を変えることに関心があり、最近、関心がたかまっています。少なくとも、一部は失望させた薬の臨床試験の結果に影響されています。何度となく、薬が、認知症性疾患の破壊的影響を防ぎ、治し、実際に遅くすることに失敗してきたのです」
それでは一体、何が私たちの助けになるのでしょう。
リプトン医師らのグループは、70歳から105歳までの約600人について観察してストレスの影響を調べてきました。
もっと具体的にいうと、「認識されるストレス―不愉快な出来事への反応-を測定しました。13項目の質問―例えば「前月、個人的な問題を対処する自分の能力についてどれほどの頻度で自信を持ったか?」「前月、乗り越えることができなかったほど大きな困難さの蓄積をどの頻度で感じたか?」―に答える方法で計測されました。
コペンハーゲンで発表された別の小さな研究では、記憶障害が主たる軽度認知障害amnestic mild cognitive impairmentがある111人(追跡開始時の平均年齢は83歳)を追跡しました。平均2.5年後、この人たちの約4分の1が認知症になりました。評価スケールでみるとこの認識できるストレスが最も高い人たちは、ストレスが少ない人たちより認知症になる危険性は2.5倍高いことが認められました。
別な大規模な研究―対象者は認知機能が正常な456人(平均年齢79歳)―では、平均おおよそ4年間の追跡期間中に約18%の人で記憶障害が主な軽度認知障害になりました。ストレスが高いことと認知機能障害とは有意に相関しました。そして神経症的傾向neuroticism―ほとんどが強い不安―は、この相関を強めました。
リプトン医師は「ストレスを軽減する多くの行動面での取り組みは、さまざま病気を減らす方法としてその有効性が認められてきた」と述べています。
彼は、一例として片頭痛のコントロールに役立つバイオフィードバック(生体自己制御)の技術について言及しました。
認知行動療法、マインドフルネス法(訳注)、リラックス法、ヨガ、こうしたものうちどれかがストレスを軽減するのに役立ち、認知機能が正常な人を認知障害に陥るか、あるいは認知機能障害を持った人が認知症に進行するのを遅くするのに役立つのかもしれません。
さらにリプトン医師は次のように述べています。
「人は機能障害になる前に介入すること望みます。その障害とは、ストーブを消し忘れること、馴れた環境で道に迷うこと、最終的にはあらゆることを忘れることです。私たちの医学部などではそうした介入試験は既に実施されてはいますが、多くは始まったばかりで、規模も小さい」
私たちは、生活様式の変化となんなくとても怖い病気の関係についてもっと知りたいものです。例えば、シカゴトリビューンChicago Tribune のジュディス・グラハムJudith Graham氏(写真右上)は、認知症とうつ状態の関係について、昨年、この国際会議について報告しました。この報告では、うつ状態の人が認知症になりやすいかどうか、あるいはうつ状態は既に始まった認知機能低下の症状ではないかどうかについて明確ではないとのことです。
今週の雑誌JAMAニユーロロジーJAMA Neurologyの論文は、ある種の多価不飽和脂肪酸が多い食事を摂ることが筋委縮性側索硬化症の発症の危険性を少なくしたり、発症を遅らせるかどうかに関する研究です(そうらしいという結論)。
コペンハーゲンの国際会議でフィンランドの研究者が大規模試験について報告しました。調査は、認知機能障害の危険性がある1260人の高齢者で行ったもので、無作為に2つのグループに分けました。一つのグループは、運動、社会的活動、栄養相談、認知機能訓練さらに心臓血管系健康の管理を受け、2年後に対照グループと比べて、いくつかの認知機能検査で有意に良好な相関を認めました。
認知症を打倒しようとする追及は、何度も苦しみや失敗をもたらしてきました。しかし、私たちは、こうしたことの多くを実践を続ける必要があります。その実践とは、知的に食事をする、運動する、うつ状態を治す、ストレスを少なくするということです。ただ楽しく健康的で活発な生活を送ればいいのです。そうしたことで、私たちの脳が破壊することに抗する助けになると考えることはとても素晴らしいことでしょう。
またリプトン医師は「心疾患や脳血管障害については心臓血管系の危険因子を減らすこのすばらしい20年あるいは30年でした」と述べ、さらに心臓専門医が既に学び、公衆保健を擁護する人たちが強調すること―血圧、コレステロール、糖尿病を管理する―についてよどみなく話し、さらに次のように述べました。
「私の望みは、認知症やアルツハイマー病に関して、20年前の心臓専門医が居た位置にいることであり、こうした悲惨な病気の負担を軽減するために速やかに活動できることです」
寄稿者:ポーラ・スパンPaula Span氏(写真右下)は、「時が来た時:高齢の両親を持つ家族は戦いと解決を共有する“When the Time Comes: Families With Aging Parents Share Their Struggles and Solutions.”の著者。
New York Times July 15, 2014  Small Changes, and Hopes, for Preventing Dementia
編者:今年のAAIC2104の傾向を伝える記事として紹介した。アルツハイマー病など認知症の予防に関する報告が多かったようだ。 なお「マインドフルネスMINDFULNESS」について日本マインドフルネス学会は“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” と定義している。

「認知症合併患者の白内障手術で一石二鳥のベネフィットの可能性」(7月15日/MTPro)
白内障と認知症の合併は高齢者にしばしば見られる。認知症に対してはいまだ根治療法がないのが現状だが,白内障の治療による認知症への影響についてはあまりよく分かっておらず,認知症患者への手術の安全性や周術期合併症を懸念する意見もあるようだ。米Case Western Reserve UniversityのAlan Lerner氏(写真)らは自施設を含む2カ所の医療機関で白内障合併の認知症患者を対象に白内障手術による視力および認知機能の変化を検討,国際アルツハイマー病会議2014(AAIC 2014,デンマーク,7月12~17日)で発表した。
手術群で視覚機能の改善や認知機能低下が抑制,介護者のストレスも減少
Block氏らは,自施設および関連病院の認知症外来または眼科を受診した両疾患合併患者43例を①試験登録直後に白内障手術を実施した群(手術群),②手術を遅らせる,または患者が手術に同意しなかった群(非手術群)に割り付け。ベースラインから6カ月時点の視力および認知機能の変化を評価した。
学会発表時点でプロトコルを終了していた手術群20例と非手術群8例の解析によると,手術群では非手術群に比べベースライン時からの視力改善(logMAR OD-0.329 vs. -0.072,logMAR OS-0.238 vs. -0.026)が大きかった他,視力関連QOLスコア(VF-14)の低下(+5.5 vs. -4.9)が見られなかった。
さらに,手術群では非手術群に比べ,認知機能の指標である数字抹消検査(DCT)(平均変化率-1.462 vs. -2.400)およびmini-mental examination state(MMSE)スコア(+0.625 vs. -2.125)の低下の程度が小さかった他,アルツハイマー病関連の日常生活動作(ADCS-ADL)スケールの悪化も抑制されていた(-1.2 vs. -3.5)。この他,介護者の回答に基づく患者本人の精神症状スコア(NPI),介護者のストレススコア(caregiver distress scores)の改善も認められた。
以上の結果から,Block氏らは予備的な結果ではあるが,認知症に合併する白内障の手術により視力の改善や視覚障害に関連したQOLの改善が確認されたと結論。また,記憶や実行機能の低下が抑制されていた他,問題行動に関連した指標の改善も認められたと述べた。
今回の検討についてAAIC副会長のMaria Carrillo氏は「認知症患者には“さらなる治療は必要ない”といった対応が取られることが非常に多いが,認知症患者への十分な医療によるベネフィットを支持する結果だ」とコメント。別の関係者は,今回の結果が確実になり,視覚だけでなく聴覚など,その他の感覚機能低下への介入に関する研究が進めば,認知症患者と介護者のQOL改善につながるのではないかと期待を示している。
MTPro 2014年7月15日 原文のまま
英語ニュース:Cataract surgery for people with dementia slows cognition decline, improves quality of life(July 13, 2014 news-medical)
編者:意義ある報告だ。わが国で認知症の人の白内障の手術についての報告は知らない。

「認知症国際会議を日本で開催へ 11月、サミット後継行事」(7月9日/西日本新聞)
政府は9日、昨年12月に英国で開かれた初の「主要国(G8)認知症サミット」の後継イベントとなる国際会議を11月5~7日に東京などで開催することを決めた。
テーマは「新たなケアと予防のモデル」。世界保健機関(WHO)や各国から政府関係者、医療従事者らが集まり、日本の出席者も含めると約300人が参加予定だ。
会議では、ITの活用事例や日本の先進的な実践を紹介。住み慣れた地域で医療や介護、住まいなどの支援を一体的に提供する「地域包括ケア」構築に向けた取り組みも報告する。各国の認知症当事者の交流会も検討されている。
西日本新聞 2014年7月9日 原文のまま
編者:こうした国際会議は政府主導型だけでよいか?

★「『地域全体で協力しよう』オンタリオ州の認知症安全プログラム」(7月7日/カナダ)
カナダ・オンタリオ州のユニークで公的な安全プログラムは、認知症の人が地域で安全で活発に暮らすことを意図したもので、介護者、家族、近隣者から運輸関係者や小店主らが関わり、さらに8つの言語で利用できるものです。「あなたの道を見付けようFinding Your Way」プログラムがうまく活動が展開して、一般の人たちがもっと広い地域で弱い立場の人たちをどのように守るかについて知った方法から多くのことを学びました。
「地域全体で協力しよう:オンタリオ州の認知症安全プログラムIt Takes a Village :Ontario's Dementia Safety Program」
認知症のもっともありふれた症状の一つは「徘徊wandering」で、道に迷うことです。「オンタリオ州アルツハイマー病協会Alzheimer Society of Ontario」によると、認知症の人の10人のうち6人が道に迷い、行方不明になります。24時間行方不明の場合、50%は重篤な外傷を受けるか死亡します。徘徊の緊急事態になると、時間が貴重で有効に使うことがきわめて大切です。認知症の人が行方不明になった場合、命を守るためにすべきことについて計画を立て、地域が関わります。
オンタリオ州アルツハイマー病協会とオンタリオ州政府Government of Ontarioが共同して「Finding Your Way」とよぶ先駆的な認知症公共の安全プログラムを展開しています。これは、オンタリオ州の多様で多言語の人たちの地域で介護者と認知症の人にとって道に迷ったり行方不明になる危険性を少なくするのに役立てます。こうした取り組みは、カナダで、そして世界で認知症が増え続けているなかえ、一層重要となるでしょう。
オンタリオ州の認知症
ベビーブーマーの世代が高齢化するのに伴い、アルツハイマー病などの認知症になる危険性のある人の数は、今後急速に増加すると予測されます。オンタリオ州アルツハイマー病協会のよると、アルツハイマー病は認知症の最も多いタイプで、カナダ全国で認知症の約64%です。年間の経済的負担は驚くほどで、2020年までとおして、認知症にかかる費用は平均して年間7億7000万ドル以上に増えると予測されます。
最近の報告書によると、現在、50万人のカナダ人が認知症で、これは65歳以上の6人に1人です。オンタリオ州の認知症高齢者の数は過去4年間で16%増加し、高齢者10人に1人で、65歳以上であらゆるタイプの認知症の人は20万人ほどになります。
同協会は「2020年までに、オンタリオ州の高齢者100万人の4分の1ほどが認知症になるでしょう」と述べています。
母の自由を奪わないで安全に暮らす
認知症の人が増えることを避けられないなかでのこうした困難に直面し、協会は多言語社会を考慮して「Finding Your Way」のプログラムを始めました。
協会のCEOのゲイル・ケアレイGale Carey氏(写真左)は「実際のところ、この病気にあらゆる人種、宗教、社会経済的背景をもった男女がなります。すべての民族文化の集団で病気の認識を高める必要性を強調したい」と述べています。
もっとやっかいなことに、このままアルツハイマー病が増加すると、「徘徊」もまた増えるのです。
この取り組みは2013年に始め、公的機関からの説明や安全情報は、英語とフランス語だけでなく、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、標準中国語、広東語、パンジャーブ語でも得られます。それ以来、認知症の人を介護している家族のためのこのプログラムは社会資源と安全キット―認知症の人の安全を保障し自立と尊厳を保つための方法一式―は協会のサイトで利用できるようになりました。

認知症安全計画を立てる工夫
1.躊躇なく911に電話します。認知症の人が行方不明になると、時間が貴重で、直ぐに911に電話します。警察に認知症の人が行方不明になったと伝えましょう。
2.前以て、本人識別書類をダンロードし記入し、緊急捜索者に渡します。この書類には、写真、本人の特徴、医療情報、見つかる可能性のある特別な場所の欄があります。
3.「メッディックアラートセイティホームMedicAlert Safely Home」のサービスを利用することも検討しましょう。これはカナダアルツハイマー病協会のパートナーで、IDブレスレットなどの支援があり、徘徊のおそれのある認知症の人の安全を保障します。
4.その他、位置を確認する機器に馴れておきましょう。道に迷った認知症の人の位置を確認する技術を活用するもので、「プロジェクト・ファイフセイバーProject Lifesaver」のような地域サービスと連携しています。
5.誰かに認知症の人と一緒に出掛けてもらいましょう。あなたが認知症の人と出掛けることが心地よいのなら、誰かにどこに行くか知ってもらい、予定通り戻るかを確認してもらいます。隣人、友人、家族に助けてもらいましょう。

認知症の症状のある人にも、認知症の人の介護者にも、地域で関心ある人にも、オンタリオ州アルツハイマー病協会とカナダアルツハイマー病協会は一体となって、こうした社会資源の利点を利用し、認知症について学び、徘徊の危険について知ることを推奨します。統計からはぞっとしますが、現在、認知症の人、そして将来認知症と診断されるだろう多くの人たちが満足な生活を送るなかで改善することは可能です。オンタリオ州の認知症ケアのコミュニティを見付けましょう。
認知症の人の安全を保つために、他の介護者に役立つ工夫がありますか?以下にコメントを書いて会話してください。
記者:サラ・スティーブンソンSarah Stevenson氏(写真右)は、北カリフォルニア在住のライター、アーティスト、エディター、グラフィックデザイナー。
aplaceformom Jul 07, 2014 It Takes a Village: Ontario’s Dementia Safety Program
編者:「徘徊対策」でオンタリオ州から何を学ぶか?

信頼性がより高くより簡便なアルツハイマー病の新しい診断基準(7月4日/フランス)
アルツハイマー病は認知症の最も多いタイプで、記憶、思考、行動、自律に影響する症状を示します。アルツハイマー病の早期に信頼ある診断は容易ではありません。患者3人のうち1人以上が不正確な診断を受けています。現在、より信頼できより簡便なアルツハイマー病診断に向けて10年間、作業してきた国際的研究チームが、雑誌「ランセット・ニューロロジーThe Lancet Neurology」に方針説明論文Position Paperとして提案を公表しました。
世界保健機関World Health Organizationによれば、2010年で全世界に約3600万人の認知症の人がいたと推計され、その数は2030年までに2倍に、2050年までに3倍以上になると予測されています。
認知症の約70%は、アルツハイマー病で、脳を衰えさせるこの病気は、脳細胞の内外に機能低下をきたす欠陥蛋白が蓄積し、脳細胞が破壊されて減少して起こります。アルツハイマー病の患者の行動や認知症状は、他のタイプの認知症と重複しており、臨床医や研究者は、信頼できる鑑別診断―特に早期の―を作ることになり、重要な課題に直面しています。
2005年、神経科医の国際的グループは、アルツハイマー病の人を特定するための一連の診断基準を再定義しました。それまでは、亡くなるのを待って死亡解剖で診断を確定していました。生きている人の場合は、ほとんどがアルツハイマー病らしいと推測するだけのことでした。しかも病気の最終的な段階―病気の重症度に基づく―で診断されていました。
その後の2007年、このグループは、生体指標の考えを取り入れて、診断基準を変えました。このことで初めて、初期の生物学的疾患の特徴を使って生存中の患者でより信頼できるアルツハイマー病を診断できる可能性がありました。
グループが新しい診断基準を公開すると大いに話題となりました。ある研究グループは、それ以前の臨床基準による患者―同じ基準で行った治療試験の事例も含む―の36%がアルツハイマー病でなかったと断言したと、ブルーノ・ヂュボアBruno Dubois医師(写真左)―フランス国立保健医学研究所(INSERM)の神経学教授で2007年の研究グループの調整役―が述べています。
今回の論文の筆頭執筆者でもあるデュボア教授は、次にように述べています。
「こうした発見による影響は重大です。患者は正しいケアと治療を受けてなかったのです。臨床試験に向けた曖昧な患者の選別で治療効果に関して欠落した結果が生じることになるようです」
2007年以降、状況は変わり、新しい研究視点からグループはアルツハイマー病の診断基準を再検討することになりました。
デュボア教授は論文で以下のように指摘しています。
「道程の最後に最も重要で洗練されたものに到達し、国際的な同意を得ることになりました。アルツハイマー病診断のより信頼できる手順と信じられるものに到達しただけでなく、より単純なものとしました。これは病気のすべての段階で臨床と生物学的診断基準の組み合わせに基づくものです」
診断方法は二つの部分から成り、一つは「示唆的臨床像suggestive clinical picture」でこれは三つに分類―典型的、非典型的、臨床前-され、もう一つは生体指標です。
グループは、ほとんどの場合として次の提案をしています。
「アルツハイマー病の診断は、基本的に示唆的臨床像によるでしょう。しかし結果的に二つの生体指標の一つを使うことでその診断が確定するか否定されます」
示唆的臨床像の3つの経過は次のとおり
□典型的事例Typical cases:(全事例の80~85%を占めると推測される)脳の変化によって出来事の長期記憶の問題が生じる。これは一連の言葉を想起することが困難になり、ヒントを与えても同様である。
□非典型的事例Atypical cases:(同15~20%)脳の変化によって言語記憶の問題やその他行動上の問題が生じる。
□臨床前状態:患者の症状が明らかであるようには見えないが、いくつかの理由―例えば、検査を受けることで―で生体指標あるいはアルツハイマー病の遺伝子突然変異が見つかる。
二つの生体指標―示唆的臨床像の診断を確定するか否定するために必要な場合に限って行う―は次のとおり
□脳脊髄液中の脳蛋白の異常値(高値のタウと低値のベータアミロイド蛋白)。髄液は腰椎穿刺で採取される。
□PET脳画像でアミロイド追跡物質の高い貯留を認める。
記者:キャサイン・パドックCatharine Paddock PhD(写真右)
MedicalNewsToday 4 July 2014 Researchers propose 'simpler, more reliable' Alzheimer's diagnosis
論文:Advancing research diagnostic criteria for Alzheimer's disease: the IWG-2 criteria(The Lancet Neurology, Volume 13, Issue 6, Pages 614 - 629, June 2014)
編者:興味深い論文だ。これまでの臨床症状による診断と生体指標とを組み合わせた新提案の診断基準の詳細については上記の論文を登録後、無料で読むことができる。

「中国で介護事業をスタート ニチイ学館」(7月3日/ケアNews)
介護大手が中国に初進出
株式会社ニチイ学館は、中国で政府系法人と提携し介護事業を始めることを、2014年7月1日に発表した。年内にも、北京市など約20都市で老人ホームなどの運営を手がける方針だ。
中国政府の外郭団体・中民養老企画院と1日付けでサービス運営の合弁会社を設立する契約を結んだニチイ学館。同社は最大49%を出資する。中国へ進出するのは、日本の介護大手としては初となる。
毎年500万人ずつ増える中国の高齢者
65歳以上の高齢者が、毎年500万人ずつ増える見通しの中国。中国政府は、2015年までに90%の高齢者を、社会的なサービスを活用しながらも在宅で介護することを目標としている。
認知症の高齢者数は約500万人で、日本とほぼ同じだ。高齢者の数は、2050年に、3億3000万人になると予測される。2013年の約3倍に当たる数だ。2015年の介護サービス関連市場は、6兆円と見込まれる。その一方で、介護企業の数は少ない。
同社は北京市以外にも、上海市など沿岸部に住む富裕層を中心に老人ホームを展開していく。モデル施設を各地域で立ち上げ、現地の介護スタッフの育成などを行う。日本で培ってきた介護のノウハウを伝えていきたい考えだ。
ケアnews  2014年7月3日 原文のまま
関連情報:中国における戦略的提携合意書締結に関するお知らせ(平成26年7月1日 株式会社 ニチイ学館)

★アルツハイマー病の臨床試験が減少(7月3日/アメリカ・イギリス)
アメリカの科学者は「有効性が期待される治療法の研究件数を増やすことが緊急に必要である」と述べています。
雑誌「Alzheimer's Research & Therapy」の論文によると、アルツハイマー病の
治療薬は2004年以降、わずか一つの新薬しか承認されていません。
アメリカ・ラスベガスのクリーブランドクリニックルールヴォ脳健康センターCleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain Healthの所長ジェフリー・カミングスJeffrey Cummings医師(写真左上)らは、臨床試験を記録している公的サイトを調べました。
2002年から2012年の間、アルツハイマー病の症状を予防、治癒、改善することを狙った薬の臨床試験の99.6%が、失敗したか中断していることを認めました。
これは、がん治療薬の失敗率81%と比較して、イギリスアルツハイマー病研究財団Alzheimer's Research UKの研究部長サイモン・リドレイSimon Ridley医師(写真左中)は次のように述べています。
「この失敗率はアルツハイマー病の人が増えている実態からして本当の厄介です。今回の研究の著者は、さらに近年のアルツハイマー病治療の臨床試験の数が心配するほど減少していることに注目しています。これまでの試験での失敗率が高いことは、製薬企業をアルツハイマー病研究に投資することに阻害するでしょう。アルツハイマー病を打破する唯一の方法は、質が高くて革新的な研究を続け、企業との連携を改善し、臨床試験への投資を増やすことです」
アストン大学生命健康科学部School of Life and Health Sciences at Aston Universityのエリック・ヒルEric Hill医師(写真左下)は次のように述べています。
「病気の背景にある複雑な仕組みを理解するためにもっと多くの研究が必要です。一連の研究に組み込めるだろうよりよい実験モデルの開発によって、アルツハイマー病の人の脳で起こっている変化を私たちが理解する助けになるだけでなく、病気の発症を遅くしたり阻止することができる新しい薬物療法の開発方法が提供されます」
イギリスにはアルツハイマー病の人が82万人以上で、年間230億ポンドの費用がかかっています。
記者:ヘレン・ブリッグスHelen Briggs (写真右)
BBC 3 July 2014 Decline in trials for Alzheimer's disease
関連情報:Alzheimer’s disease drug-development pipeline: few candidates, frequent failures( Alzheimer's Research & Therapy 2014, 6:37)
サイト内関連記事:アルツハイマー病を治す鍵は治療薬の開発への投資を変えることになるもしれない(2014年6月20日)
編者:ヒル先生の意見を採りたい。アルツハイマー病の理解が最重要だ。最近、アルツハイマー病治療薬の臨床試験の在り方について再検討が強まったようだが、先が見えない状況だ。

口述物語:アルツハイマー病の人の心を和らげる(6月22日/アメリカ)
祖母は、すべての記憶を失しなうずっと前、私に、もっとも若い頃の話をひとつしてくれました。
彼女は「父はフランス映画を観るのが好きで、小さな子供の頃に、連れて行ってくれました。私の世話をするためでしょう。私はフランス語が理解できませんでしたが映画館に坐って観るのが好きでした」と話しました。
祖母は、大恐慌の初期の頃の映画が曾祖父を思いさせるのでとりわけ関心があったのです。その曽祖父は、第1次世界大戦前のボストン大学時代にサイレント映画でドラムなどの効果音の鳴らす仕事をしていました。
こうしたことは、祖母が10年前に話す前には誰も知らない家族の物語で共有することになったのです。何時も、彼女は家族の歴史家で、徐々に私に手渡すようになったのです。何世代にもわたる親族の記録を伝えた後、しばらくして私にその記憶を録音させました。
その2,3年後内に、自分の名前を思い出すことにもできにくくなり、アルツハイマー病で記憶が壊されてから、こうした記録―全部で6時間―は彼女の人生―かなり初期からの―のすばらしくも意義深い記録を残したのです。
アルツハイマー病は治ることはありません。病気についてわかっていることもわずかです。本人にとっても残された私たちにとっても口述物語は、有用な心和ませるもので、心が壊れそうになっても声とその人となり保存する方法です。
アメリカ人は長命になりました。その長命に伴い認知症という亡霊がやってきたのです。ランド研究所 RAND Corporationによると、アルツハイマー病はとても犠牲を伴う大きな試練で、心疾患やがんと同じ負担を強いるのです。世論調査によると、わが国で唯一最も恐れられている病気です。今後医学的な進歩がないと、ベビーブーマーの半数が85歳までにこの病気を発症し、記憶、経験、自己意識がゆっくりと奪われるのです。ゆっくりやってくる記憶障害という津波と呼ぶこともできます。
もっとも、ブライハム・女性病院アルツハイマー病センターAlzheimer’s center at Brigham and Women’s Hospital のライサ・スパーリンブReisa Sperling所長(写真左上)は、最近、私に次のように述べました。
「そうではありません。津波はコラムニストの言い古した決まり文句だ。津波は早くやって来て、早く去ります。海面の上昇をみるとアルツハイマー病はまもなくやって来て、なかなか退かないのです」
亡き祖母のように人生91歳以上まで生きるとアルツハイマー病で死亡しますが、この病気は高齢者に限ったものではありません。
マサチューセッツ州ケープコッドCape Codのジャーナリストで、59歳でアルツハイマー病と診断されたグレッグ・オブライエンGreg O’Brien氏(写真左下)
は近く出版される回想録「冥王星で:アルツハイマー病の心の内“On Pluto: Inside the Mind of Alzheimer’s,”」でゆっくり荒廃させる病気の現実をすさまじい勢いで記録し、次のように書いています。
「ゆっくりした死です。ある日、私はこの暗く冷たい場所から戻れなくなるでしょう。そうなった時、家族や友人は私の居る場所を知ってほしいのです」
当然な人間的な衝動である保持し記録し証言することをすべて確保すべきです。もっとも詳しい家系や記述された記録や写真は、イライラするほどつまらないものかもしれません。しかし口述物語は最も質の高いデジタルで記録することができます。ちょっとクリックするだけで聞くことができるのです。グーグルドライブGoogle Driveに無料で記録されたものをアップロードすると、その記録は、永久に火災や洪水から安全に保護され、脳の病気からも守られるのです。
私の祖母の声と活き活きした心を、当時最先端のミニデスクに記録しましたが、現在は、MP3のファイルで聞くことができます。これは簡単に複製でき、オーストラリアと西カナダに住む彼女のひ孫も。またここニューイングランドの子孫やまだ生まれてない世代のとも共有できます。ほんのすこし彼女の独特な人間らしさをささやかな方法で保存されたことは、私たちの紙の記録がぼろぼろになってゴミになったあとも長く維持されるでしょう。
寄稿者: アレックス・キングスベリーAlex Kingsbury(写真右)はWBURのラジオボストン“Radio Bostonの上級副制作者。
Bostonb Globe June 22, 2014 Oral history: A palliative for Alzheimer’s-afflicted minds)
関連資料:Improving Dementia Long-Term Care A Policy Blueprint(RAND Corporation Jun 23, 2014)
編者:提案としては面白いが、一般人が口述を録音・編集するのは難しい。寄稿者はラジオ関係者だから簡単なのだろう。

アルツハイマー病を治す鍵は治療薬の開発への投資を変えることになるもしれない(6月20日/アメリカ)
マサチューセッツ工科大学Massachusetts Institute of Technologyの経済学者の分析によると、アルツハイマー病の新薬を造ることに成功する現行の確率からすると発見されるまでに260年かかることになりそうです。
6月18日版「サイエンストランスレーショナル医学Science Translational Medicine」に掲載されましたがっかりするような予測は、現在のアルツハイマー病薬の開発の戦略が続いたと仮定したモデルに基づきます。現在の戦略は、脳のベータアミロイド蛋白が形成されるという唯一の標的に向けて薬をほとんどひとつまたひとつと開発し試験を繰り返すというものです。
MITのスローン管理学部Sloan School of Managementの財政学のアンドリュー・ロAndrew W. Lo教授(写真左)は次のように述べています。
「こうして掘り出す薬が多ければ多いほど、私が薬の発見に妥当と思う薬の数は実際とはかなり違っていることを知ってびっくりしました。特別な物質を標的に追及すると時間はとても長くなり、さらに神経学的な検査を行われなければならず、成功する可能性はさらに低くなり、過去10年間でアルツハイマー病の新薬はゼロになったのです」
ロ教授と製薬会社ジェネンテックGenentechおよびカリフォルニア大学サンタバーバラ校University of California, Santa Barbaraの研究者は、切迫したニード―現在、500万人のアメリカ人がアルツハイマー病であることと、今年のメディケイドとメディケアの支出が1500億ドルと予測されること―に応える戦略について大胆な提案をしています。全く同じ過程を踏んで遂次的にひとつひとつ調べるという薬の開発を続けるのではなく、複数の標的に同時平行的に追及するという「ポルトフォリオ方式portfolio approach」を取らない理由はないとしています。ロ教授らは、こうした方式によって網を広げ、症状ではなく病気そのものを本当に治療する薬を発見する確率を高めることになると主張しています。
こうした試みには大きな投資が必要で、ロ教授らのグループは開発が進められる可能性のある64の計画の全体的に組織することにしました。ここではアルツハイマー病に関係する異なる生物学的な仕組みを標的とします。またグループは、その経費が384億ドルと推計しています。収支は損失となるが、承認される薬が生まれることはない可能性は実質13%でした。
こうしたリスクがあるため、莫大な金をプールしている民間と公的なメガファンドが、こうした研究を支える正しい方法であるとグループは勧めています。アルツハイマー病薬が有効であることによって公的医療制度と納税者が納得する節約につながるでしょう。
さらにロ教授は次のように述べています。
「政府がこうした多額のお金をどのように生み出すかを積極的に考えることが理にかなりかなっていると実感してほしい。実際、人口の高齢化により長期的には政府の予算が受けることになろう影響と比較すると、それはささやかなこであると主張したい」
ロ教授からみて、最近の抗がん剤の開発での成功は、1971年、ニクソン大統領が提唱した「がん戦争war on cancer」によって得られたもので、この時に研究への投資は実質的に増額しました。がん戦争前、国立がん研究所National Cancer Instituteの予算は2億7000万ドルでしたが、1987年までに7億7000万ドル以上となりました。
さらに教授は「アルツハイマー病で同様な進展は、研究と開発への投資が有意に増大することだけで可能となるだろう」と主張しています。
記者:キャロライン・ジョンソンCarolyn Y. Johnson(写真右)
Boston Globe June 20, 201411 Key to curing Alzheimer’s may be changing drug development funding 論文Parallel Discovery of Alzheimer’s Therapeutics
編者:行き詰まっているアルツハイマー病薬の開発への提案として「ポルトフォリオ方法」は耳を傾けるに値する。医学者でなく財政学者からの提案として面白い。もっとも彼らの提案の根拠を理解したわけではない。

忘れられた愛:介護施設でのセックスと親密さと認知症(6月18日/イギリス)
愛や人間関係をどのように取り扱うかを学ぶことは、片方あるいは両方の人が認知症である場合、容易ではありません。60歳からの愛とセックスのシリーズの最終回で、このことを学びましょう。
「あなたが寝室へ行く予定で、男性が勃起していたら、この状況で何が好ましい具体的な反応でしょう」
これは、ロンドンで行われた研修で介護施設の職員が一杯の部屋で提示された質問です。
セックスと認知症について語られることはほとんどありませんでした。しかし、認知症の人が増加するなかで、施設が一層その扱い方を学ばなければならなくなった課題です。
介護職に親密さや人間関係をよりよく扱うための研修を行っている認知症コンサルタント会社「認知症ケアの課題Dementia Care Matters」の創設者であるデビット・シャードDavid Sheard氏(写真)は、これまで多くの介護施設で、性的行動は抑えられるべき問題とみなされてきたと考えており、次のように述べています。
「身体的な密接さは、認知症の人が求める本当のことであることが多いのです。すでに事実や記憶に頼れなくなっているからです。より感情に頼るようになり感情により敏感になるので、より密接さを求めることは当然なことになるのです」
イギリス南部のブリストルに住むモーリーンMaureenさんとテリーTerryさんは、ともに認知症で、同じ介護施設に住んでいました。二人が人間関係を持ち始め、肉体的関係に発展しました。職員の当初の反応は、人間関係を絶つことで、同じ建物の反対側と二人を離しました。
しかし、まもなく、これが最善の方法ではないことが明らかになったのです。
二人の介護職のひとりであるジェス・ハメットJess Hammett氏は次のように述べています。
「二人が離されると、モーリーンさんに苦痛となり、テリーさんを探して歩き回り、別の人の部屋に入るようになりました。テリーさんを隠したと職員を責めるのです」
そこで、施設は、認知症コンサルタントを呼んで、二人を一緒にすることは可能だと助言されました。現在、再度二人は一緒になり、希望すれば性的関係を持つことができる部屋が用意されます。さらにジッス氏は次のように述べています。
「二人が施設の外の地域に居るなら、二人が一緒にいることは正常なのですが、施設ではこれが正常でないと言う私たちは何なのでしょう」
モーリーンさんとテリーさんの結果は良かった、いるもこうなるとは言えないのです。
人間関係を尊重するという立場に立つことができるのが施設の職員ではないように、家族も同じことが言えます。
ケンブリッジに在る介護施設で、スタンStanさんとブリゲットBridgetさんは、毎日のように手を繋いで座っていました。スタンさんの妻が70歳の誕生日の後、亡くなってからすぐに二人は親しくなったのです。亡くなった妻も入居者でした。まもなくしてスタンさんの気持ちが変わったことに職員も家族もショックを受け、戸惑いました。しかし認知症のスタンさんは、認知症のブリゲットさんと一緒に居ることがとても心地よかったのです。
スタンさんの娘ギルGill氏は次のように述べています。
「私たちがまだ悲しんでいる時に、二人の新しい人間関係を受け入れることはとても難しことでした。父にとっては生活が戻り、ブリゲットさんは彼をおおいに助けていました。すべて立ち直ったのですが、悲しいことに私たちは立ち直れませんでした」
ブリゲットさんの娘もまた状況を受け入れるのが難しいことを知りました。彼女は、母親の隣に座り、彼女の手を握っている男性の名前を知っているか問いました。母親は混乱したようにみえましたが、最終的にスタンさんであると答えました。
またギル氏は次のように述べています。
「手を握り、クロスワードを一緒に遊び、おしゃべりをして、かわいらしく、こうしている母が幸せなのです。間違ったことは何もありません。しかし、それ以上には進展してほしくありません」
しかしスタンさんとビリゲットさんの介護施設の管理者は次のように述べています。
「入居者が自分たちの生活を望むように決めることになると信じています。脱脂綿で二人を包むようなことはしません。彼らの邪魔をすることもありません。彼らを人間として扱うのです。認知症になっても感情は死なないので、認知障害があったとしても問題ではありません。だれもが感情を持っているのです」
認知症コンサルタントのシャード氏は次のように述べています。
「この感情に同感しますが、家族にとって難しいことも認識しています。夫や同伴者や娘に認知症の人が自分自身の時を生きていることを理解するように請うことは本当に大変です。実際、彼らが引き戻されることはできないのです」
結婚して何年も経っていると認知症による人間関係の変化を受け入れることはとりわけ難しいことです。
エルニーErnieさんは、バーバラさんと結婚して60年以上になり、毎朝、介護施設に彼女を訪問しますが、次のように述べています。
「ゆっくりと離れるのを見ているようなものです。最も難しいところです。私には何もできないことですから」
channel4.news 18 June 2014 Forgotten love: sex, intimacy and dementia in care homes
サイト内関連記事:高齢者の性的行為のケアでヘ際立つヘブライホーム(2013年7月23日)
関連情報:factsheet 514, Sex and Dementia (Alzheimer's Society)
編者:イギリスでは認知症の人の性的課題の議論が少ない?わが国は?

★アルツハイマー病と戦った父(6月16日/アメリカ)
初め、父に記憶障害が現れました。初期のアルツハイマー病で多くの人が経験しているように、父は大切な物を置き忘れ、人の名前も忘れるようになりました。病気が進行すると、会話の能力がかなり低下しました。こうしたすべての変化するなかで、私たちの情緒的な繋がりは強いままでした。最終的に、再婚した義母が父を在宅で介護することができなくなり、介護施設に入居しました。
父がアルツハイマー病の典型的な経過をたどるっていることは理解していました。私は、老年医学医として35年以上働いてきましたが、多くの患者でこの破壊的な病気の進行を診てきましたが、父の心が崩れる姿をみることは、何にもまして苦痛でした。
絶望的にも父は私に「お前ができることは何かないのか? お前は世界的に有名な老年科医だろう」と尋ねました。この問いは、私の心を引き裂きました。父に最善の介護を受けることを保証する以上に、経過をよくするためにできることがほとんど無かったのです。病気の進行を遅くし、止める薬はありません。父の症状を和らげる有効な薬もなかったのです。
このことは現在も真実です。このため私は、「アルツハイマー病薬発見財団Alzheimer's Drug Discovery Foundation」の仕事に集中することにしました。私たちの財団は、この地球上で最も画期的な薬物発見の研究のうちいくつかを助成しています。その研究からいつか、父のような患者になにか正しいことができる日が来ることでしょう。アルツハイマー病やその他の認知症の予防し、治療し、経過を遅らせる薬が発見され開発される方法への道を開かれるでしょう。
現在、財団は。5か国、85種類の薬の開発計画に助成を行っています。しかし、このなかには一時的借入で実施している多くの研究があります。みなさんの支援によって、アルツハイマー病薬の発見研究を一層約束することができます。
最後に、アルツハイマー病のありふれた合併症で入院した父は、頭が冴えている稀なひと時がありました。最後に私が部屋を出るとき、父は私の名前を呼び、私を見つめて「息子、おまえを愛しているよ」と言いました。悲惨なことですが、父は心を失ってはいましたが、最期まで父親としての深い感情は残っていたのです。
私の父、その他の多くの父、母、兄弟姉妹、息子、娘にとって遅すぎました。しかし、現在、全世界の4400万のアルツハイマー病の人にとっては遅すぎるということはありません。将来、発病するさらに多くの人たちにとっても。
寄稿者:ハウォード・フィリットHoward Fillit医師(写真)。経歴はこちら
Huffington Post 06/16/2014  My Father's Battle with Alzheimers
編者:簡潔で感動的な寄稿だ。治療薬の開発に助成するといっても一財団の助成金は限度があろうし、助成の基準は簡単ではない。

急性期身体医療で認知症の病院文化を変革する必要(6月13日/オーストラリア)
本日、公表されたオーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Australiaの報告書"Dementia Care in the acute hospital setting: issues and strategies" は、不適切なスクリーニング、不十分な研修および認知症の人は難しいとラベルを貼る病院に文化が患者の最善の利益と相反していると指摘しています。
また報告書は、認知症の人が入院中に転倒、敗血症、褥瘡、骨折になりやすため認知症の人の入院中の死亡率が5倍多いことも注目しています。
このため報告書は、認知症の人の病院での帰結を改善するために、教育、病院文化の変革、および政策立案者、管理者幹部および医療職の持続的な関わりを要請しています。
報告書の詳細な課題や戦略は、今年4月にシドニーで開催された「病院の認知症ケアに関するシンポジウムDementia Care in Hospitals Symposium」(訳注1)での指導的な認知症研究者や専門家による議論を元にしたものです。
病院での認知症の人の帰結を改善するため、報告書で提案された戦略は次のとおりです。
1.入院時に当初から認知症を把握と管理および退院計画を行うこと。
2.患者の治療と支援に介護家族を関わらせること。
3.認知症をよりよく理解し、認知症の人とより効果的にコミュニケーションをとるために職員が研修すること。
4.抗精神病薬や鎮静剤の使用に代替する方法―心理社会的介入など―を利用すること。
5.認知症の人の動揺を軽くし、見当識を助けるために病院の物理的環境を整えること。
6.避けることのできる入院を減らすこと。
成功事例
報告書にはニューサウスウエールズ州の「緊急チーム高齢者ケアサービスAged Care Services in Emergency Team (ASET)」(訳注2)の成功した事例が記載されています。このチームは、認知障害のスクリーニングと評価、ケアのニーズの判断と計画、および施設間の途切れない移行を保証しています。
また、NSWのいくつかの病院では「TOP5体制」(訳注3)ですが、これは介護者が認知症の人に5つのケア戦略を医療職と共有するもので、よりよい質のケアを提供するためように試みます。
ビクトリア州の「認知症病院ケアプログラムDementia Care in Hospitals Program (DCHP)」(訳注4)も注目されました。この制度は認知障害のスクリーニングと病院の幅広い職員の研修を組み合わせ、さらに認知障害のある患者を確認できるベッドでの表示を組み入れたものです。
報告書は、認知症の人のための病院の改善に連邦政府が今後5年間に4000万ドルの高齢者ケア改革方針を称賛しています。この計画はすでに「認知症研修研究センターDementia Training Study Centres」(訳注5)の資金的裏付けとなり、研修と調査を通して病院の物理的環境の設計を改善するものです。また「オーストラリ医療の安全と質委員会Australian Commission on Safety and Quality in Health Care」が全国基準に基づくケアを改善するため病院の認知症に特化した資源の開発する資金的な裏付をしています。
しかしながら報告書は、この資金はまったく第一歩であり、認知症の人の急性期治療を改善するために成功したいくつかの制度があり、必要な文化的変革を達成するたにはもっと資金が必要であることを指摘しています。
制度改革
オーストラリア・アルツハイマー病協会のCEOグレン・リースGlenn Rees氏(写真左)は次のように述べています。
「改革のための資金の多くは、こうした戦略を実現させるために使うことができます。改革にはお金が必要ですが、文化、姿勢、計画にも課題があることを強調しておきたい。認知症の現状を病院制度が認識することであり、それを計画と思考に組み込むことです。そのなかには資金がいるだろう、いらないものもあります。新しい病院を立てるなら、高齢者や認知障害のある人に相応しい環境の計画がなくてよいわけはないでしょう。制度の改革は、変革を達成するために最も重要な要因です。全国的な基準を向上させる作業が不可欠です。個々の病院が認知症の人に医療を提供し介護面でよい実践を行っているいくつかのすばらしい事例を知ることはとてもよい。しかし体系的に病院が本当に改善する方法があることを理解するのなら、さらによいことです。認知症を早期に発見することと介護者との共同作業を推進する戦略にそって全国的基準による制度の変化が今後2年間で実現するなら、ケアの質になんらかの改善をみることになるでしょう。とても心強いことです」医療の安全と質のオーストラリア委員会は、ハンドブックの草案を作成しており、今年の中ごろ最終稿ができると期待されています。
AustralianaAgeingAgenda June 13, 2014 Acute care needs dementia culture change: report
関連資料:Dementia Care in the acute hospital setting: Issues and strategies: a report for Alzheimer's Australia paper 40 June 2014(pdf160K)
訳注1:DEMENTIA CARE IN HOSPITALS SYMPOSIUM 29 April 2014 Coogee Beach NSW(pdf90K)
訳注2:Aged Care Services in Emergency Team については"Aged, Chronic Care & Rehabilitation Services in Sydney Local Health District"(pdf1.6MK)に簡単な解説がある。
訳注3:TOP5については"Central Coast Local Health District"のサイトに解説がある。
訳注4: Dementia Care in Hospitals Program (DCHP)については"Aged Care in Victoria"に情報がある。
訳注5: Dementia Training Study CentresについてはNSW/ACT DEMENTIA TRAINING STUDY CENTRE  University of Wollongongのサイトが参考になる。
編者:わかりやすく深刻な認知症の人の「徘徊」がやっと話題になっているが、わかりにくく実態さえ把握されてない認知症の人の急性期病院の身体入院治療は未だ話題にならない。

★認知症の高齢者が大学を卒業(6月8日/台湾)
先週、認知症の高齢者(87歳)が、大学を卒業し、さらに修士学位を取得するため研究を続ける計画を立てています。彼は、学士論文に加え4年間で136単位を終了しました。
嘉義縣在住の林添發(Lin Tien-fa)氏(写真左)は、17年前に認知症の症状が出始めました。
運転中に眠くなり、家に帰れなく、自宅の電話番号も忘れ、後に認知症と診断され、IQは7歳児に等しかったのです。
2004年、状態からして永久に有効な「破壊的疾患カード」を引いてしまったのです。
しかし林氏は病気に負けませんでした。彼は「ホンダ高齢者福祉財団Hondao Senior Citizens’ Welfare Foundation」のボランティアステーションを嘉義縣大林Dalin鎮に立ち上げ、日本語を教えました。その結果、彼の症状は少なくなりました。
林氏は、職業高等学校の卒業証書しか持っていませんでしたが、4年前、学習を始め、後に南華大學哲学生命教育学部に合格して教育課程を続けることになりました。
最初、林氏は息子と義理の娘の援助を受けて通学し、授業に出てノートを取りました。
現在は、自ら対処でき、授業ノートで賞を受けました。
林氏のあるクラスメイトは「大学は症状のために彼を寛大に扱ってはいません。いつも最前列に座り、授業中に居眠りすることもなく、よく質問をする」と話しています。
林氏は、ほとんどのクラスメイトより熱心で真面目に学びました。
さらにクラスメイトは「彼は荘子の道教については特に優れている」と話しています。
林氏の学士論文は、彼が設立し活動していたボランティアステーションの社会的価値に関するものでした。
佛教慈濟大林綜合醫院Dalin Tzu Chi General Hospitalの心身医学部の徐鴻傑Hsu Hung-chieh医師(写真右)によれば、退行性または血管性の認知症は非可逆的で、治療できる貧血、低栄養、代謝性疾患による認知症は可逆性です。
徐医師は「林氏の場合、この範疇に入るかもしれない」と述べています。
しかし、嘉義縣の別の王家麟Wang Chia-ling医師は「林氏の場合、発症時から誤診だったと思う」と述べています。
Taipei Times Jun 08, 2014 Dementia fails to hold back graduate, 87
編者:混乱させる台湾の記事だが、おもしろいので紹介した。可逆性認知症か誤診認知症による事例で現在は「正常」な林氏。日本ではこうした記事は出ないだろう。

★認知症の人の法的・倫理的グレーゾーンを探る(6月5日/アメリカ)
事前指示advance directivesで認知症の人が、自分たちの死を早める方法として食事や水分を拒むことができるようにすべきでしょうか?その可能性について有益性と有害性に関する論評と事例研究が公表されました。
望まない介入を拒むための法的・倫理的な選択肢は、多くの認知症の人は利用できません。決定能力decision-making capacityを欠いているためです。しかし、こうした人たちが重度の認知症で何年も生きなくてもよいようにする唯一の方法は、事前指示でもって介護者に経口的に食事や水を与えるのと止めることを指示することです。これは法的・倫理的なグレーゾーンで、「ヘスティングスセンターレポートHastings Center Report」の5・6月号のトップに論評と事例研究の論文が掲載されました。
決定能力のある人たちは、いかなる治療も拒み、食べることや飲むことを自主的に止める法的権利があります。いくつかの州では、医師が死を幇助することは合法であり、終末期の重篤な病気を持つ決定能力のある人は、医師に生命を終わらせことを助けるように依頼できます。また決定能力が無くなった人たちは、事前指示で生命維持―経管栄養も含む―を拒む依頼を表明することができます。しかし、まだ呑み込めることができ決定能力が無い場合、事前指示をに経口の食事や水分を拒むために使うことが法的権利があるかどうかは疑問です。
論文のなかでポール・メンゼルPaul T. Menzel氏(太平洋ルーテル派大学Pacific Lutheran Universityの哲学名誉教授)のメンゼル氏と(写真左上)とコレット・チャンドラー・クレイマーM. Colette Chandler-Cramer氏(引退した医師補助者でワシントン州の病院ホスピスチームの一員)は、こうした事前指示を支援し、ほぼ間違いなくすでに合法であると見解を述べています。生命維持を拒み、飲食を自主的に止めることは法的権利から論理的に導き出せるとしています。二人は、誤解や虐待を防ぐために事前指示を実施するためのガイドラインを提案し、そのサンプルを提示しています。
レベッカ・ドレッサーRebecca Dresser氏(セントルイスのワシントン大学法学部Washington University School of Lawのダニエル・ノイエス・カービー法学教授Daniel Noyes Kirby Professor of Law、同大学の医療倫理の教授)(写真左中)は、論評で、「提案を魅力的であり不安なもの」と、事前指示のこうした使用法は魅力的で、進行した認知症の親族や友人をみてきた人たちが、長期にわたり機能が低下し極端に無能力になることを避ける方法を探している人たちにはなんらかの助けになると評価しながらも、決定能力のない患者を、守ることに失敗するかもしれないと注意しています。
論評付きの事例研究では、75歳のアルツハイマー病の女性に関するものです。夫との議論なのかで、その女性は、自分自身、夫、息子、娘を認識できなるなるかもしれない状況にならないことは決してないので、特定な日に飲食の自主的中断voluntarily stopping eating and drinking(VSED)の計画を立てました。
彼女は夫に、自分が動揺して栄養と水分補給を要請することがあれば、VSEDを求めることを選んだ訳を思い出させてくれるように要請しました。しかし、VSEDと決めた後に、この女性は介護者に、あるいは友人や雇った専門職に、飲食を要請したのです。彼女は、決定能力があることを時々示している間でもVSEDを選択したことを思い出せなかったのです。
論評では、医療職が進行した認知症のために規律ある自主的行動が困難になった時、VSEDを尊重することため家族の要請に従うことができるか検討します。
論評は以下の人たちによっています。
ロッス・フューイングRoss Fewing:パシフィックノースウエスト地区のピースヘルスシステムPeaceHealth Systemの聖ヨゼフ医療センターSt. Joseph Medical Centerの倫理部長。
ティモシー・カークTimothy W. Kirk:ニューヨーク大学・ニューヨーク市大学City University of New York, York Collegeの哲学准教授。
アラン・マイゼルAlan Meisel(写真左下):ディッキー・マッカメイ・チルコッテDickie, McCamey and Chilcoteの生命倫理教授でピッツバーグ大学医学・法学部University of Pittsburgh Schools of Medicine and Lawの教授。
.(sciencecodex 5-Jun-2014 Exploring a legal and ethical gray area for people with dementia
論文:Advance Directives, Dementia, and Withholding Food and Water by Mouth (The Hasting Center Report May-June 2014 volume 44, number 3)
編者:論文そのものを読んでいないが、認知症の人の事前指示に関する興味ある記事として紹介。残存能力に沿った自己決定権を認めるような事前指示の方法を示唆しているが、記憶障害のある認知症の人が事前指示と異なる意思表示をしたときの問題が生じる。

「アルツハイマー病と脳の啓発月間」に参加する方法(6月1日/アメリカ)
アルツハイマー病協会のサイトwww.alz.orgによれば、アメリカには500万人以上のアルツハイマー病の人がいます。死因の第6位で、毎年、この病気で約50万人が亡くなっています。
6月は「アルツハイマー病と脳の啓発月間Alzheimer’s Brain & Awareness Month」ですが、1年を通じてこの病気を支えるさまざまな方法があります。
○「アルツハイマー病を無くすためのウオークWalk to end Alzheimer’s」
開催日は次のとおり:
シカゴ:9月28日、グレンビュー:9月20日、ネイバービル:」9月21日、リバティービル:10月12日。
シカゴ地区での全開催全はこちらJoin one of our 10 Walks within 50 miles of 60614 in 2014.
○ロンゲストデイ(6月21日開催)
「ザロンゲストデイThe Longest Day」は、日の出から日の入りまでの催し、アルツハイマー病のケア、支援、研究の資金集めと啓発が目的です。協会のサイトに次のコメントがあります。
「アルツハイマー病に直面している人にとっては、こうした課題は毎日のことです。あなたにとっては1日だけですが、ザロンゲストデイは変化を起こす機会となります」
ロンゲストデイについてはこちら
○紫を着る
紫は、アルツハイマー病啓発を示す色です。アルツハイマー病協会のサイトにアクセスして衣類やアクセサリーを購入したり、「自分でやろう」DIYのアイデアや思い付きがあれば次のピンテレストPinterest( Alzheimer's & Brain Awareness Month Support)のボードを調べてみましょう。
○アルツハイマー病協会の教育プログラム(6月18日)
アルツハイマー病協会グレイターイリノイ支部Alzheimer’s Association, Greater Illinois Chapterの教育ブログラム「10の兆候を知る:早期把握の課題“Know the Ten Signs: Early Detection Matters”」が6月18日10時30分からエラタウンシップ高齢者センターEla Township Senior Centerで開催されます。詳細は以下のプレスリリースで。
このプログラムは、重大な記憶障害とされる10の警告的症状に関するものです。さらにプログラムは、アルツハイマー病の基礎、危険因子、診断、早期把握の利点についても触れます。ビデオを通して記憶障害の人を知ることがでます。障害を持った人たちが認知症に関わる恐れや虚構に対処し、病気の旅を共にしている家族から話を聞くことができます。
プログラムの担当者のローレン・ルヴィンLauren Levin氏が講演し、その後質問を受けることになっています。
「アルツハイマー病を無くする」の催しは当地で始まります。このプログラムに登録するのは無料で、電話(847-933-2413)するか、オンラインwww.alz.org/illinoisで登録します。
○アルツハイマー病のために走る又は資金獲得
シカゴマラソンChicago Marathonに参加するか、同じ地区の別のレースに参加するなら、資金獲得のためアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationやその他多くの非営利団体に登録できます。
ララソンの登録するほど元気でなければアルツハイマー病協会にこの病気のためのすべての資金集めに確実にエントリーできる登録ができます。
走らないなら、「アルツスターALZ Star」にサインアップして病気のための資金獲得する自分たちのチームを作ることもできます。
写真説明:インディアナ州メリルビルの公園で行われたアルツハイマー病メモリーウオークに参加する前に語り合うイリノイ州ポーター在住の介護家族のフロレンス・ドレッシュFlorence Dreshさん(左)とモンスター在住のスザンナ・セベンステSuzanne Sebensteさん。
Lincolnwood Review June 1 2014 Ways to get involved with Alzheimer’s & Brain Awareness Month)
編者:アメリカのアルツハイマー病協会が今月始める全国的な啓発月間活動などに関するシカゴの地方紙の地元情報記事を紹介した。

アルツハイマー病の男性はもの忘れしても「心は覚えている」ことを示す(5月28日/アメリカ)
アーカンソン州リトルロック在住のメルヴイン・アムリンMelvyn Amrine氏(写真中央)は、アルツハイマー病と診断されて生活上の些細なことを覚えてはいないようですが、最近の行動で妻への愛が記憶を乗り越えていることを示しました。
メルヴィン氏は、3年前、アルツハイマー病と診断されました。それから妻のドリスDorisさん(写真夫の右)は心休まることはありませんでした。夫は、時々、妻に頼んでこと、また妻から頼まれたことなど細かいことを覚えてはいません。しかし、最近、特別な休日に彼はもっとも重要なことを思い出したのです。
母の日の前日、メルヴィン氏は行方不明になりました。通常、散歩のときに誰か付くように頼まれていることからして、家族は、驚いて警察に通報しました。
警察が彼を家から2マイル(約3.2キロ)のところで見付けましたが、彼のしっかりと目的地を決めていることを知りました。店に行って母の日に妻のために花を買うことにしていたのです。夫婦は子供が出来てから毎年、彼がしていたことです。
ブライアン・グリグスビーBrian Grigsby巡査部長(写真左から2人目)とトロイ・ディラードTroy Dillard巡査は、メルヴィン氏の決意に感動して、老いたこの男性の目的をかなえようと店まで連れて行き、花代を払いました。
グリグスビー部長は「その花を買わなければなりませんでした。選択の余地はなかったのです」と述べています。
メルヴィニン氏の持ち帰った花は、60歳代の妻にとても素敵なサプライズで、愛に壁がないことを教えてくれました。
ドリス夫人は次のように述べています。
「夫が手にこの花を持って起きてきたのでびっくりしました。私を愛しているから、店にいって花を買ってきたと思いました。特別なことです。頭では何も覚えてなくても、心は覚えているからです」
The Huffington Post 05/28/2014  Man With Alzheimer's Proves That Even If The Mind Forgets, 'The Heart Remembers'
編者:わが国で最近とみに関心が高くなっている認知症の人の「徘徊」の問題はアメリカでも同様であるが、心温まる「徘徊事件」として話題になった出来事の記事を紹介した。

「<韓国療養病院火災>放火容疑で80代の認知症患者を緊急逮捕」(5月28日/中央日報)
長城(チャンソン)の療養病院火災惨事に関連して、警察が80代の認知症患者を防火容疑で逮捕した。
全羅南道(チョンラナムド)の長城警察署は28日午前、療養病院に入院していたキム氏(82)を放火容疑で緊急逮捕して調査している。
キム氏は火災が発生する直前の同日0時26分ごろ、最初に火災が発生した病院別館2階の多目的室に入って出てくる場面がCCTVに映っていたという。警察は火災後、長城病院で治療を受けたキム氏を確保して放火の有無を調査している。
今回の火災は28日午前0時27分ごろ、長城郡三渓面(サムゲーミョン)ヒョサラン療養病院別館2階で火災が発生し、高齢患者20人と看護職員1人の21人が煙にまかれて死亡し、8人が負傷した。また、負傷者のうち相当数が重傷のため死亡者がさらに増える可能性もある。
中央日報日本語版 2014年5月28日 原文のまま
関連記事:「<韓国療養病院火災>スプリンクラーもなかった…高齢社会守れない安全」(5月29日/中央日報)
あきれるようなことがまた起きた。28日0時27分、全羅南道長城郡三渓面の高齢者向け病院別館2階で火災が発生し、認知症の高齢者患者20人と看護補助者1人の計21人が煙のため窒息死した。負傷した8人のうち6人は重体という。別館2階にいた患者34人のうち5人は臥床患者で、25人は認知症だった。ほとんどの患者が自力で脱出するのが難しかった。
警察は入院患者K(82)を有力な放火の容疑者とみて捜査している。Kは火災申告2分前の0時25分、多用途室の3006号に入って放火した疑いだ。認知症のKは脳梗塞で今月1日に入院した。Kは現在、容疑を否認している。
今回の事故の死傷者はほとんどが60歳以上の高齢者だ。放火容疑者は80代。健康保険審査評価院によると、昨年この病院の入院患者は754人で、うち認知症が267人で最も多かった。そのほか、脳血管疾患・高血圧・関節炎・糖尿合併症・パーキンソン病などであり、韓国社会が急速に高齢化する中で避けられない病気だ。
3月末現在、全国の療養病院・療養施設5973カ所に入院した患者はそれぞれ13万8714人と11万7488人。約25万人の高齢者患者が危険に露出しているということだ。今年65歳以上の高齢者は639万人、認知症患者は58万人。世界で最も速いペースで高齢化が進み、2030年には高齢者が1269万人、認知症患者は127万人に増える。
韓国は2000年に高齢化社会(65歳以上が全体人口の7%以上)に入り、高齢化の爆発力に驚きながらも、投資を集中しなかった。少子化対策のため後まわしになった。ただ、2008年に長期療養保険を導入し、家庭で世話をしてきた認知症・中風の患者を「社会的ケア」対象に切り替えた。この制度の施行から6年になるが、恩恵を受ける認知症患者は重症高齢者(1-3等級)18万人にすぎない。最軽症を除いた約30万人が死角地帯に置かれている。
家庭でケアができない場合に頼るところが療養病院だ。子どもがケアするのが難しいため、ここで生涯を終える高齢者が多い。こうした背景から、この10年間、療養病院が大きく増えた。しかし数が増えただけで、質の管理が十分でなかった。
事故が発生した療養病院にはスプリンクラーもなかった。設置義務がないからだ。このため法律を改正しているが、改正されても従来の施設には適用されない。管轄消防署の119安全センターの関係者は「事故が発生した建物は、2010年の竣工後、消防安全点検を受けたことがない」と述べた。
この病院のように看護補助者1人が夜中に30-40人の高齢者患者をケアするのは物理的に容易でない。認知症の特性上、夜に動きまわったり異常行動をするなど症状が悪化する場合が多く、なおさら難しい状況となる。
車興奉(チャ・フンボン)韓国社会福祉協議会会長(元保健福祉部長官)は「子どもが高齢者を世話する時代は終わった。病院や療養院が引き受けるべきだが、ここの高齢者は挙動が不自由であり、火災・台風・水害の3大災難に非常に脆弱だ」とし「こうした施設の職員に安全教育を徹底し、高齢者がライターなどの危険物を保有できなくし、危険な行動をしないよう予防する努力が重要だ」と述べた。
中央日報日本語版  2014年05月29日 原文のまま
編者:事件事故の背景に関する記事。

国家アルツハイマー病計画の新たな成果(5月25日/アメリカ)
「アルツハイマー病に取り組む国家計画National Plan to Address Alzheimer's Disease」の2014年最新版が、ワシントンDCで4月29日に開催された「アルツハイマー病研究・ケア・サービス諮問委員会Advisory Council on Alzheimer's Research, Care, and Services」で明らかにされました。
保健福祉省Health and Human Services (HHS)のキャサリ-ン・セベリウスKathleen Sebelius長官(写真)は会合で「私たちは大きな課題に直面し、作業はまだまだ続きます。しかし、進歩があったことは確かだと思います」と簡単に述べました。
2012年に導入されて以来、毎年改められる計画には主要な次の5つの目標が設定されています。
1.2015年までにアルツハイマー病の予防と効果的な治療法を発見する。
2.アルツハイマー病の人のケアを向上させる。
3.認知症の人と家族への支援を拡大する。
4.一般の人たちの認識を改善する。
5.これらの努力を援助するため注意深くデータを監視する。

昨年に保健福祉省が取り上げた主な成果は次のとおりです。
○アルツハイマー病の発症リスクを持つ11の遺伝子を確認する。これらの遺伝子は病気の経過や薬の可能性のある薬の標的に新たな視点をもたらす。
○2万3000人以上の医療職に認知症の研修と支援を行う。
○集中的で連携ある公と民の努力によってナーシングホームの認知症の人への抗精神病薬の不適切な使用を減らす。
○各州に認知症に対応した介護サービスと支援体制を向上させ資金を提供する。

国家計画に関して保健福祉省はアルツハイマー病のよりよい研究と治療と予防に向けた次の行動計画を確認しています。
○アルツハイマー病の最も初期の段階を確かめ、介入の標的を向上させ試験を進める努力を促進させる。
○アルツハイマー病の専門家、医療職、介護者での科学とデータの共有および優先順位の設定に関して連携を高めて研究とケアを促進する。
○認知症ケアの指針と質の測定法―認知症の人と家族にとって意義する結果を含む―を強化するため現行の作業を拡大する。
○認知症の人の介護に関係する倫理的検討―プリバシーと自律と安全のバランスをどのようにとるかも含め―によりよく応えられるように医療職を支援する。
○認知症の地球規模の連携―2013年12月のG8認知症サミットG8 Summit on Dementiaに次ぐ2015年2月の会合の主催を含め―の支援を促進する。
国家計画の2014年最新版はこちらhttp://aspe.hhs.gov/daltcp/napa/NatlPlan2014.shtml
情報源:Alzheimer's Disease Education and Referral Center
Alzheimer's & Dementia Weekly May 25, 2014 New Achievements of the U.S. National Alzheimer's Plan

地域病院が認知症の人向けの病棟を開設(5月23日/シンガポール)
シンガポールの多くの地域病院が認知症の人向けの施設を整備しています。最も大きい病院の一つであるSt Andrew’s Community Hospital (SACH)」も22床の認知症棟(写真)を開設しました。
こうした病棟の多くは、より家庭的な環境を創りだすように設計され、リハビリテーションも提供しています。例えばSACHでは、備えられたアンティークな家庭用品や家具が昔の記憶を呼び起こします。またリハビリテーション機器は、バーチャルリアリティの技術を活用しており、芸術療法などさまざまな療法を提供します。
Ang Mo Kio-Thye Hua Kwan Hospital (AMK-THKH)では、家庭的な空間―5床のサンシャインケアコーナーSunshine Care Corner―が、認知症の人のために設けられ、自分のベッドを整えるといった機能的活動ができます。
一方、St Luke’s Hospitalの予備計画では、女性の認知症の人向けの16床の病棟を提供します。この計画では、来年の第2四半期に男性の認知症の人向けの病棟に拡張されます。
地域病院でのその他の計画によると、認知症の人向けのプログラムがあり、一例としてRen Ci Hospitalでは転倒予防計画があり、関係する介護者の研修もあります。
地域病院でのこうした認知症に特化した施設の導入は、保健省Ministry of Health が今年、8カ所の高齢者ケアセンターSenior Care Centreを増設する計画を発表したことで実現したものです。このセンターでは、デイケア、リハビリテーション、高齢者看護サービスに加え、認知症デイケアを提供することになっています。
メディア情報によると、シンガポールには60歳以上の認知症高齢者が約2万8000人いると推計されています。その数は2030年までに約8万人に増加すると予測されています。
昨日のメディアへの説明会で、SACHの事務局長 Loh Yik Hin医師は次のように述べています。
「病院は、患者の認知症に特化した施設へのニーズが増大しているとみています。新病棟は、身体的リハビリテーションを必要とする認知症の人に適正な量のケアと支援を提供することを重視したものです。以前、SACHは、リハビリテーション中心の施設として軽度の認知症の人に身体的リハビリテーションに限定して提供しました。これらはケアモデルとして中程度から重度の認知症の人にはふさわしいものではなかったのです。認知症の人は、認知機能的ニーズ、社会的ニーズなどを持ち、また対応困難な行動を示すことがあります。このたえ新しい認知症棟は、一新されて、専用の物理的環境を備えて、その人中心のケアモデルを実施します。病棟には、手すりを増やし、表示は見やすくし、トイレのコールベルも多くするなどして、動き回る認知症の人により安全な環境として造りました。
その人中心のケアモデルの一部は、個々の能力と好みを考慮したものです。例えば、認知症の人は、関心を持ち目的のある活動―麻雀や映画鑑賞など―に参加できます。10月の開設以来、SACHの新病棟は4月末までに78人の認知症の人が利用しました。
Today May 23, 2014 Community hospitals ramp up facilities for dementia patients
編者:シンガポールの医療機関が認知症へ積極的な取り組みを紹介する記事だ。

マン島の認知症啓発週間の催し(5月16日/イギリス)
「認知症啓発週間Dementia Awareness Week」の一環として全島で以下の催しが実施されます。19日(月)から24日(日)まで開催されますが、ブリテン諸島での2014年のテーマは「Don’t bottle it up(封じ込めるな)」です。
19日(月)
時間:午前11時~ 会場:ラムジーRamsey町役場(写真右上)
ラムジーグラマースクールRamsey Grammar Schoolの生徒が「認知症フレンズキャーンペンFriends of Dementia Campaign」の歌「With A Little Help From My Friends(訳注:ビートルズの歌で『友人のささやかな支えで』」を披露。
時間:午後2時~3時 会場:同じ
地域的な認知症に関する議論。
時間:午前10時~12時 会場:キャッスルタウン市民センターCastletown Civic Centre
認知症と高齢者精神保健局Older Persons Mental Health Serviceの情報展示。
20日(火)
時間:午前10時~12時 会場:ラムジー町役場
アダム・ダービースAdam Davies氏(会計事務所相談役)(写真右中)が社会保障に関する助言。
会場:クーイルニーマレイCooil-ny-Marrey複合住宅(ラムジー・ウオタールー通りWaterloo Road)
認知症に関する講演。
21日(水)
時間:午後2時~4時 会場:ラムジー町役場
「マン島エッジAge Isle of Man」のジョージ・ケイリーGeorge Quayle事務局長(写真右下)が同団体の支援について情報提供と助言。
22日(木)
時間:午後2:30~ 会場:ダグラスDouglas・マソニックホールMasonic Hall
ダンスとお茶のパーティー。
四つのデカフDecafグループ―認知症の人と介護者のためのソーシャルワーカーと精神保健専門職が運営するカフェ―の人たちが、いくつかの施設入居者と参加。パーティーチケットは電話642879まで。
時間:午後2時~5時 会場:キャッスルタウンメソジスト教会Castletown Methodist Church
介護者のための研修会。
23日(金) 
会場:ラムジー町役場
自助支援とクロスロードケアCrossroads Care(介護者支援の団体)に関する講演会。

その他:
啓発週間中、ラムジーグラマースクールとキャッスルラッシェン高等学校Castle Rushen High Schoolの生徒は、高齢者精神保健局の職員から認知症に関する知識提供。
認知症は一連の症状―記憶障害、思考障害、問題解決能力あるいは言語障害―を表し、アルツハイマー病や脳血管障害などの病気による脳障害で起こる。
IOMtoday MAY 16 2014 Events across Isle of Man for Dementia Awareness Week)
編者:イギリスで展開される認知症啓発週間の行事の一例としてオートバイレースで良く知られるマン島(UKの一部ではないイギリス王室属領自治領)での活動予告を紹介した。

認知症とパーキンソン病の行方不明男性の遺体発見(5月15日/アメリカ)
ニューヨーク州ウエストチェスターWestchester郡サマーズSomers在住で認知症とパーキンソン病で行方不明の男性ガリー・マッキオンGarry McKeon氏(67歳)(写真)は遺体で発見されました。今月5月15日午後、道路ルート202から離れた森のなかで木材会社の従業員によって発見されました。警察は、道路から森に迷い込み転倒したのだろうとみています。
家族は、フェイスブックFacebook(group:Missing Man from Somers NY)で次のように述べています。
「大変悲しいことに、父が今日、見つかったが亡くなっていたことをお知らせします。祈り、チラシを貼り、探してくれた友人、家族、そしてまったく知らない人たちからの多大なご支援に圧倒されました。心底から、みなさんに感謝します」
さらに家族は次のように述べています。
「父は9日の朝早く、マウンテンビュードライブMountain View Driveの自宅から出るところを見たのが最後です。1日5回、5種類の薬の服用していましたが、今回ほど長く服薬しないことはありません」
マッキオン氏が成長し永く働いていたニューヨーク市にいたる南まで捜索しました。遺体が発見される数時間前に4番目の孫が生まれましたと報じられています。
NBCNewYork May 15, 2014 Missing Westchester Man With Dementia, Parkinson's Found Dead)
サイト内関連記事:徘徊」中の認知症の人が列車にはねられる(2014年2月2日)
編者:最近、わが国で認知症の人の行方不明に関心が高いので、アメリカの最近の行方不明の記事を紹介した。余り参考にはならないが、この事例ではもっぱら警察と家族・友人・ボランティアの従来の捜索方法で、地域的な新たな取り組みはないようだ。ネットによる情報提供と発見依頼は行われた。

認知症高齢者の増加に直面する中国で医療危機が顕在化(5月12日/中国)
中国でアルツハイマー病など認知症高齢者の増加は、国家の社会的支援制度を破壊するかもしれない。
わずかこの半世紀で中国の平均寿命はほぼ2倍になりました。中国の平均寿命は現在76歳で、アメリカの79歳とほぼ同じです。しかしこの驚異的な恩恵には暗い側面―高齢化人口―を伴います。
中国の一人っ子政策は人口増加をうまく抑えましたが、中国での高齢者の割合が、現在、急増しています。2011年の中国社会科学院Chinese Academy of Social Sciencesの報告書によると、65歳以上の人口の割合は2000年から2050年の間に3倍になると予測されています。人口の高齢化に伴い、病気―高齢者に多い神経性退行疾患―のよる負担が大きくなります。ランセットThe Lancetの2013年の論文(訳注)によると、既に中国はどの国よりアルツハイマー病など認知症の人が多く、900万人以上います。論文の著者は「認知症は中国の医療・社会制度の唯一で最大の挑戦」と呼んでいます。
この潮流の傾向の結果は深刻で、中国国家は、ごく最近これに対する備えを始めました。2009年、政府は、医療整備に1240億ドルを使い、最終的に国民の90%に基本的な健康保険を提供することにしたのです。初めてこの計画で、最優先課題として精神保健サービスを取り上げています。昨年、中国は初めての精神保健法を制定しました。この法律によって全国の精神医療サービスを普及させることになっています。こうした政策で認知症について明確には触れてはいませんが、地域精神保健外来が緊急の必要事項と強調され、最終的に認知症の人の対応に苦慮している家族を支えることになると思われます。
中国の人口変化とこれを緩和するために国家が実施する方法の影響を詳しく見るため、当サイエンティフィックアメリカンScientific Americanは、マイケル・フィリップスMichael Phillips医師(写真左)にインタビューしました。彼は、中国に30年暮らした精神科医で、先週開催されたアメリカ精神医学会American Psychiatric Associationの年次会議の合間に話を聞きました。またフィリップス氏は、上海交通大学医学院Shanghai Jiao Tong University School of Medicineとエモリー大学世界精神保健連携センターCollaborative Center for Global Mental Health at Emory Universityの2か所で役職に就いています。
質問:高齢化人口の関わる中国の今日的な主要課題は?
フィリップス:認知症が今後のこれからの絶対的な負担です。そのなかで大きな課題は、認知症の人がどこで介護されるかということです。現在、医療を提供できるナーシングホームは中国には在りません。都会のナーシングホームは宿泊施設です。親が重篤な医療上の問題を持つと、施設は医療職がいないので世話をすすんですることはありません。都会に住んでいる場合、選択肢として農村部から誰かを雇って親を看てもらうか、精神科病院に入院させるかです。
質問:精神科病院はどうですか?
主要な都市の中心部に在る精神科病院には老年科病棟が開設されていますが、治療はとても高額です。数は増えてはいますが高額なままでしょう。
質問:農村地帯は?
ほとんどの若い人たちは都市に移住し、高齢者が故郷に残されています。異郷の街や外国に暮らす供の割合が増えて、困窮している高齢者に子供が支援することはますます困難になっています。明確な解決策はナーシングホームですが、現在、中国にはそのための医療職がいないことが最大の問題です。
質問:ナーシングホームに十分な医療職が居ない理由は?
中国では看護は地位が低い職業です。これが問題の一つです。精神医学も同様で、視点を変える必要があります。もう一つの問題は、高齢者へのサービスを提供するという考えに人が抵抗していることです。約50年前、いつも変化を先取りする上海市はナーシングホームが開設されましたが、高齢者が入居するのを拒んだのです。その結果、ナーシングホームを推進することを諦めました。
○この問題で儒教の孝は役割を果たさないか?
親は子供が自分の世話をすることを期待していますが、現在、この伝統的な考えは衰退しています。政府は、家族への子供の責任を回復させようとしています。国家はすべての人を介護することができないと理解しているからです。昨年、国はすべての成人した子供が親を頻繁の訪れることを強制する法律を制定しました。現在、この法律で子供が訪れないと親は子供を訴えることができるようになります。
○中国は急増する高齢化人口へどのような備えが?
社会的変化は両側面で起きる必要があります。中国で、十分に有能な医療職のサービスネットワークを構築する必要があります。また家族は、ナーシングホームの狙いを受け入れる方法を見付けなければなりません。アルツハイマー病治癒で受賞するかもしれないノーベル賞があることには触れませんが、中国はこの病気の研究にもっと投資すべきです。
○今後2,30年に精神科専門分野で中国はどのように展開するか?
過去10年間、特に新しい精神保健法により、想像したより物事が加速しています。現在も私は中国で起こってほしいと思うことが二つあります。一般の医師も精神科医ももっと思いやりをもつことが必要です。彼らは、自分を身体あるいは脳からなる構造体とみています。彼らは精神医学の生物学的視点を心底から受け入れています。しかし、思いやりという側面が中国では欠落していることがよくあるのです。今も思いやりは、私たちにとって最も重要な手段です。
執筆者:サンドラ・アプソンSandra Upson氏(写真右)は雑誌Scientific American MINDの編集長。
Scientific American May 12, 2014 Health Care Crisis Looms as China Faces Elderly Dementia Upsurge
訳注:Dementia in China: east-west collaboration bears fruit(The Lancet, Volume 381, Issue 9882, Pages 1967 - 1968, 8 June 2013)
サイト内関連記事:中国はアルツハイマー病の危機に直面(2014年1月28日)
編者:内容的に新しいことはないが、アメリカから中国の認知症を含めて高齢化社会の課題の文献がネットで散見する。わが国からの文献は知らない。

★アルツハイマー病をめぐる医師たちの沈黙(5月8日/アメリカ)
同僚は私に「死より悪い運命」とつぶやいていました。重度の認知症の高齢者を入院させる時の診察の際のことです。
患者の電子カルテから、その患者が熟達した彫刻家で、知的には逆の行動を取る人であったと知っていました。有名な美術学校で講義をし、作品はヨーロッパやアメリカで展示されました。人格のほんのわずかしか残らず、最悪の敵に望まなかったってあろう身体的に正しくないことで苦しめられているこの患者を診ることは心が張り裂けんばかりでした。
深刻にも侮辱されたこの同じ人間のことで証言をすることはとても恥ずべきことです。彼には気まずい思いをしました。もし以前の彼という自己が現在の自己を見ることができるとどれほど困惑するでしょう。現在の彼は自分の状態を認識できるほどの能力に欠け、このため満足を得ることはほとんどありません。
私と同僚は黙って部屋から抜け出し、個人的な混乱をきたし、話すこともなく別の患者のところに行きました。
認知症について、私たち医師が多くを語るテーマではありません。私たちだれもが多くの認知症の患者を担当しています。さらに年々ますます多くの患者が増えています。しかし、私たち医師は、腎疾患やがん治療を議論するようには認知症について語り合わないようです。肥満や肺気腫の困難さについて話すかもしれないが、認知症については決して語りません。
どうして沈黙するのでしょう? 確かなことは、認知症が稀な疾患ではないということです。最もありふれた認知症のタイプであるアルツハイマー病は、アメリカでは死因の第6位です。最近の分析では、実態は第3位とされています。たとえ、私たちが老年医学を専門としなくても、人口の高齢化により認知症があらゆる医療分野―小児科を除く―の診察室でみられるのです。
多分、認知症が見えにくい―特に早期に―からでしょう。ほとんどの外来診察では、臨床的により明らかな疾患―心疾患、糖尿病、高血圧など―で急を要する状態で占められています。このためちょっとした認知症の兆候を見逃しているかもしれません。
しかし私たちの沈黙はもっと深い課題から生じていると推測します。アメリカ人の殺人者上位10位のすべて―認知症を除く―は予防することができ、少なくとも病気を変えることもできます。医療分野は、心疾患、糖尿病、脳血管障害への医療の進歩に正当な誇りを持っています。多くのがんのスクリーニング検査をしており延命治療も行っています。自殺や事故死も予防しやすい状態です。
しかし、実際のところ、認知症について私たちが出来ることは何もありません。症状が出る前に病気を把握するスクリーニング検査のようなものもありません。しかも例え在ったとしても、その結果でかなりの違いを生む治療もないのです。
医師にとって、これはとても不満なことです。このため認知症が後回しにされることに疑いがありません。外来で嫌になるほどの限られた時間内に、医師は治療できる病気に向かうことを強いられているのです。
しかし、私は、認知症に関わる医師の沈黙はこうしたこと以上の原因があると思います。医師にとって、心が失われるということを考えると、多くの身体的破壊によるよりは唖然とさせられます。知的能力を失うということ―人格や自助能力のことではない―は、見過ごすこと以上に実存的恐怖を引き出します。
このことを思ったのは、雑誌「ヘルスアフェアーズHealth Affairs」の最近号(訳注:April 2014; Volume 33, Issue 4 The Long Reach Of Alzheimer’s Disease)を読んだからです。この号は、専らアルツハイマー病を取り上げ、200ページほどは徹底してアルツハイマー病の診断、治療、患者や介護者の経験、患者の配偶者や子供たちが受けるだろうとてつもない負担を調べています。多くの見解、研究の結果および作業部会の勧告は、臨床の現場での医師の沈黙と驚くほど明白に相対することです。
認知症は臨床医が、研究者、家族、活動家に引きずられた最初の病気ではありません。最近のエイズの歴史とは違う話です。医師自身の不快感と意図的な無視との平行関係を今回の場合も速やかに見て取れます。
こうした二つの事例から医師の行動は、診断と治療で実際に困難なことでほんのわずかなことで貢献できるのです。私たち医師が無視するか、あるいいはよくあることですがすべてに気付かないままという実存的でかつ情緒的な側面が混在しているのです。
ほとんどの医師は10年ごとに再免許を受けることが要請されており、一連の検査や研修を受けて最も新しい知識を持ちながら、医療技術の不足分を認めます。しかしながら患者のケアに影響するだろう医師の感情的な核となる部分での衰えを明らかするために内在的自己を定期的に調べるということはしません。
認知症の診断が難しく、治療が不満なほど限定されているということからといって、この病気を敬遠してよいということにはなりません。医師は自らの不安に立ち向かい、当惑するような反応に直面する必要があります。こうして私たちは、患者、家族、そして実際、自分自身のために在るのでしょう。

投稿者のダニエル・オフリDanielle Ofri氏(写真)は、ニューヨーク大学New York Universityとベルヴュー病院Bellevue Hospitalの医療准教授で、ベルヴュー文芸評論Bellevue Literary Reviewの編者で、「医師が感じること:感情がいかに医療行為に影響するか“What Doctors Feel: How Emotions Affect the Practice of Medicine”」の著者である。
NYT May 8, 2014 The Silence of Doctors Around Alzheimer’s)
編者:アメリカの医師の間で認知症とくにアルツハイマー病に関わる傾向についての医療行為の感情面に見識があるらしい医師の見解として紹介した。思索的記事のためか独特の表現が散見され翻訳に戸惑う。記事中のcognitive currency is our only currencyは理解できないので訳を省略した。なお、わが国ではアルツハイマー病を含め認知症へ前向きにとらえる医師が多いと思われる。

★5万人以上のイギリス人が認知症の家族の介護のために離職(5月7日/イギリス)
現在、認知症の人を在宅介護している8人に1人、すなわち数千のイギリス人Britonsが介護のために仕事を諦めています。
画期的な調査によると、認知症の家族を介護するために5万人以上のイギリス人が離職し、これは年間16億ポンドの経済的経費に当ることが明らかになりました。
ジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣は、昨夜、次のように述べました。
「社会基盤が認知症の攻撃を受けています。余りに多くの介護者が、雇用者や地域社会が提供する不十分な支援のため定年前の退職を強いられています」
イングランド公衆保健機構Public Health Englandが行った調査によると、現在イギリス人の8人に1人が認知症の人を介護し、その半数以上の人は介護の責任と有給の仕事との調整に苦労しています。
「認知症フレンズdementia friends」と登録することを一般大衆に勧めるキャンペーンが大手のテレビ広告の前に出ますが、認知症フレンズは認知症の人をどのように支えるか助言を受けます。
キャメロン首相が始めたこの制度は、企業、個人、地域が認知症の人と家族が必要とすること―孤立を少なくする保障―によく対応することの確かなものとすることを意図したものです。
公的機関が発表する数値によると、イギリスEnglandではおおよそ70万の認知症の人がいて、急速な人口高齢化のなかでその数値は30年以内に倍増します。
経済企業リサーチセンターCentre for Economics and Business Researchの報告書は、アルツハイマー病のような認知症が全国的にビジネスや雇用への影響について始めて調べたものです。報告書で以下のことが明らかにされました。
○現在イギリスで55万人が認知症の人を介護している。
○半数以上の介護者は有給の仕事に就いているが、平均して就労の他に18時間を介護の責任のために費やしている。
○しかしイギリスで5万人の介護者が仕事を辞めることを強いられ、仕事と介護の両者の負担があまりに重い。
○さらに6万6000人は、明らかに家族介護のため自分の仕事を調整―勤務時間を減らすなど―している。
○毎年、介護にために失われる時間数は16億ポンドに値する。
保健担当の公務員らは次のように述べました。
「調査から多分野の企業が、認知症の人とその介護者を支援するためにもっと多くのことを実施したい」と述べました。
しかし、フレキシブル勤務時間、長期休暇あるいはカウセリングへの紹介といった調整制度を導入した企業はほとんどありません。
雇用者の10人にわずか1人ですが、次のように述べました。
「認知症の人を雇いました。大企業は小企業よりこうした制度を3倍多く実施しました」
調査から、3万3000人の認知症の人が有給で仕事に就いています。
昨夜、ハント保健大臣は次のように述べました。
「認知症は単なる健康上の問題ではありません。私たちの社会の基盤を攻撃し、認知症の人の家族や友人にとてつもない犠牲を強いるのです。私は、家族、地域、企業が認知症の人が満ち足りて報われた生活を続いて営めるように保障することを促しています」
イングランド公衆保健機構のダンカン・セルビーDuncan Selbie理事長(写真左上)は次のように述べました。
「企業は、商品に金を払い、書式に記載するといったよくある困難なことを支援することで弱い消費者のためにもっと実施すべきです」
認知症の人についての調査から買い物に支払い預金することへの支援は彼らの主な優先事項に含まれことが認められました。
65歳以上の3人に1人が認知症になり、5歳毎に発病の危険性は倍に増えます。
今日から始まったテレビ広告キャンペーンには27人の有名人が出演します。このなかにはテリー・プラチェットTerry Pratchett卿、ミュージシャンのリリー・アレンLily Allen(写真左中)とクリス・マーチンChris Martin(写真左下)、司会のフィオナ・フィリップスFiona Phillips(写真右上)やイアモン・ホルメスEamonn Holmes(写真右中)が認知症フレンズを勧めていることが理解できます。
グループは音楽動画で主演となり、ビートルズの曲「With a little help from my friends友人のささやかな支えで」を演奏し、ポール・マカートニーPaul McCartney卿(写真右下)がアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyが指導する全国キャンペーンの大使と告げられます」
今月の後半、アルツハイマー病協会は新しい賞の受賞者を報告するでしょう。これはテレグラフTelegraphが後援して、より認知症にやさしい地域を創る努力を称賛するものです。
マーク&スペンサーMarks & Spencer、アルゴスArgos、ホームベースHomebase、ロイド銀行グループLloyds Banking Groupなどの企業は、40万人以上の従業員に登録させ、認知症の消費者を支援する研修を受けています。
アルツハイマー病協会のジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長は次のように述べました。
「この国の数千という労働者が雇用者から支援や理解がないなかで介護の責任を調整しているという事実は恐ろしいことです。私たちは、認知症について本当に語り始めていましょう。しかし社会は、仕事場でも日常生活においても認知症の人に未だ十分な支援を提供していません」
「認知症フレンズ」についてはこちらwww.dementiafriends.org.uk
記事は健康担当編集のローラ・ドネリーLaura Donnelly。
Telegraph 07 May 2014  More than 50,000 Britons quit work to care for relatives with dementia
関連情報:'I get by with a little help from my friends' -- PHE Dementia Friends advert (140secs)(YouTube)
編者:イギリスも日本と同様に介護離職が少なくないようだ。北ヨーロッパ諸国ではどうか?「有名人」が「先進国で介護離職は日本くらいだ」との発言があったと記憶する。

「認知症:患者家族に年6日の休暇、韓国政府が推進」(5月7日/韓国)
認知症の高齢者を介護している家族に年6日程度の休暇を与える制度が、7月から導入される。
韓国保健福祉部(省に相当)は6日、こうした内容からなる「社会サービス利用・利用権管理法」施行規則改正案の立法予告を行うと発表した。立法予告は来月11日までに行われる予定だ。
認知症患者家族への休暇制度は、24時間運営の短期保護施設に認知症の高齢者を年間6日程度預け、家族の介護負担を一時的に軽減し、休息が取れるようにするものだ。申請の対象者は、挙動不自由な高齢者を抱えて高齢者介護総合サービスを申請している人のうち、認知症の高齢者を介護している家族。6日間まとめて使うこともでき、2-3日ずつ分けて使うこともできる。費用は、所得水準に応じて無料から一日数千ウォン(1000ウォン=現在のレートで約99円)程度とする方針だ。保健福祉部は、今月中に細かな申請方法や本人負担額、利用手続きなどを決める予定だ。
キム・ミンチョル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2014年5月7日 原文のまま
編者:認知症の妻を介護している私は毎月5日間のショートステイを利用してリフレッシュ旅行を楽しんでいる。介護保険制度では理由は何 であれ介護者はショートステイを利用できるが、日本でも1980年代初めに自治体の制度として認知症の人の介護者を対象に「短期保護事業」が始まったが、冠婚葬祭に限られ、「家族の会」は介護休暇も対象にすべきだと要望した。

メディケアで給付する認知症スクリーニングの有益性を示す証拠は乏しい(5月6日/アメリカ)
鍵を無くすことが心を失いことと心配する何百万人という高齢者にとって、健康関連法ではメディケアMedicare(高齢者向け公的医療保険)の給付として毎年の健康訪問の一環として認知障害のスクリーニングを認めています。
しかし最近、影響力のあるグループは、科学的研究を評価した結果、65歳以上の高齢者に通常の方法として認知症スクリーニングを実施することの意義に十分な証拠がないと公言しました。
認知症スクリーニングは、典型的には簡単な質問票で実施され、記憶、注意力、言語、視覚空間の能力などを調べるものです。もっとも一般的な検査の一つは「ニミメンタルステート検査mini-mental state examination(MMSE)」ですが、これは30の質問項目(「今月は何月?」「あなたがいる国は?」など)から成り、約10分で終了します。
「アメリカ予防サービス作業部会(U.S. Preventive Services Task Force)―医学専門家から成るグループ―」は、今回の評価で認知障害に関わるさまざまなスクリーニング検査についって、利益、害悪、臨床的有用性の証拠を評価しました。その結果、集団を対象としたスクリーニングの有用性の十分な証拠はないと結論づけました。このグループは、65歳以上の誰にも実施することを認めませんが、いくつかのスクリーニング検査は認知症を確認するのに有益であると指摘していました。
ニューヨークのマウントサイナイ医学部Mount Sinai School of Medicineの老年医学・緩和医学の教授で、認知症スクリーニング作業部会の指導者でもあるアルバート・シウAlbert Siu氏(写真左上)は次のように述べています。
「臨床医は、自分で判断する必要があります。症状のない人にスクリーニングを行うことが本当に利益になるという証拠がはっきりしないのです」
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの科学企画部長のディーン・ハートレイDean Hartley氏(写真左中)は次のように述べています。
「認知症発症の危険性は歳とともに増加します。71歳から79歳までの人で有病率は5%ですが、90歳以上では37%に増えます。軽度認知障害については、いくつかの定義がありますが、この用語は、一般的に認知障害が日常生活を管理する能力を損なうほど強くはない人に当てはまるものです。いくつかの推計によると、65歳以上の軽度認知障害の人は42%を占めます。軽度認知障害はひとつの警告ですが、アルツハイマー病へ進行しないこともあります。アルツハイマー病は、認知症のもっともありふれたタイプで、認知症の80%を占めます。その他のタイプとして、血管性認知症、あるいは多くのパーキンソン病やハンチントン病は認知症を伴います。症状のないスクリーニングの結果が悪い人は、記憶障害などの症状の原因としてる別の状態―うつ状態や睡眠時無呼吸症など―であるかもしれません。このため診察して患者や家族から良い病歴が取れる研修を受けた専門家がいるという条件で詳しい検査を受けることが重要です」
医学的評価が伴わないような健康行事やショッピングモールでの短時間の簡易検査を受けることには多くの疑問があります。
保健関連法の下でメディケアの受給者は年次訪問健診annual wellness visit(訳注)を自己負担なしで受けることができます。さらに、体重や血圧といった通常の検査項目に加えて、訪問健診では認知障害の評価が含まれます。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは「高齢者は認知障害スクリーニングと診察を受けて、今後の比較のための基準を決め、翌年からの定期的追跡評価を受けること」を推奨しています。
アルツハイマー病に治癒の方法がありません。アリセプトなどのいくつかの薬は一時的に記憶などの症状を改善するかもしれませんが、病気を止めたり、反転させるという医療はありません。
ジョンズホプキンスベイビュ医療センターJohns Hopkins Bayview Medical Centerの老年科医のアリール・グリーンAriel Green氏(写真左下)は次のように述べています。
「65歳以上の高齢者の大規模な通常のスクリーニングを反対する核心的な批判があります。このようにスクリーニング制度が認知症の人のケアを改善することを示す研究をこれまでしてきませんでした」
また専門家らは「それでもなお、もしアルツハイマー病の家族歴や記憶力の衰えがあることから認知症に関心を持っているのなら個人として医療専門職の診察を受けるべきです。こうした事例ではスクリーニング検査は相応しいのかもしれない」と述べています。
大規模スクリーニングが、全般的に認知症ケアの改善に有効であることを示す研究がないとしても、スクリーニングは個人や家族が認知障害や早期の認知症を認めることに役立つかもしれません。また現在使われている薬は早期にもっとも効果的なのです。
さらにグリーン氏は次のように述べています。
「スクリーニングは個人が認知症であると診断されることを知るのを助けるでしょう。もしそれが正確な診断であれば、その人が将来に必要なこと、そのための計画を予期することに役立てることはできます」
このコラムは、ワシントンポストとカイザ健康ニュースKaiser Health News(KHN)の共同作業による。KHNは、編集面でカイザーファミリーファンデーションKaiser Family Foundationから独立したニュースサービス。ファンデーションは、党派に属さない独立した医療政策組織でカイザーパーマネンテKaiser Permanenteに従属しない。
WashingtonPost  05/06/2014 Medicare covers routine dementia screening, but experts say evidence of its value is lacking
訳注:ここでいう訪問とは医療者が自宅訪問するのではく診療所や外来に受診訪問することらしい。
関連情報:Screening for Cognitive Impairment in Older Adults( U.S. Preventive Services Task Force March 2014)
サイト内関連記事:「高齢者の認知症スクリーニングに関する勧告を11年ぶりに改訂」(2014年 3月28日)
編者:今年3月に公表された勧告についての意見記事。スクリーニングを全面的に否定はしないで、よい面を活かすことを提言している。

「世界認知症委員会」の初会合(5月1日/イギリス)
「世界認知症委員会World Dementia Council」の初会合(2014年5月1日)で、新しい委員たちは、地球規模で認知症に取り組む世界認知症特命大使World Dementia EnvoyのデニスギィングスDennis Gillings氏(QuintilesクインタイルズCEO)(写真)を支援する計画を発表しました。
昨年12月のG8認知症サミットでの公約により、特命大使から任命された13人の委員で構成する委員会は、現在、認知症研究が私たちに必要なる結果をもたらしてはいないことを確認しました。また、この状況を変えるため、政府や規制機関や企業と共に革新的でというだけでなく実際的な計画を提案しました。
2010年、全世界の認知症の人は4440万人であり、地球規模の推計費用は6040億ドルであることから、全地球的な行動が緊急に必要なことは明白です。この目的を達成するために、委員会は、革新の障壁を除き、投資状況の改善し、そして最も重要なこととして全地球的に認知症への新しい研究を推奨することとしました。
これに関連してアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは次のような見解を発表しました。
「リーダーとしてイギリスは、認知症の取り組みで孤立することはできない。認知症は全地球的解決を必要とする全世界の人たちに影響する課題である。協会は今後10年間に認知症研究に少なくとも10億ポンドを使うことを誓約し、認知症という地球規模の健康課題に取り組む実質的な行動を要請している。認知症研究の展望を変革する根本的な見通しが重要であると同時に、この委員会が現在、認知症である人たちに本当の進歩を提供に向けた援助を希望する。また2015年までに生活を変えるような治療や治癒を発見することを目標としたWDCの作業を楽しみとする」
Alzheimer's Society  1 May 2014 World Dementia Council meets for the first time
関連情報:World Dementia Council meets for the first time(Press release Department of Health UK 1 May 2014)
編者:黒川清氏がWDC委員。

緑茶が作業記憶を改善する根拠(4月8日/スイス)
スイスのバーゼル大学精神科外来のUniversitäre Psychiatrische Kliniken Baselのステファン・ボーグワルトStefan Borgwardt教授(写真)らのグループは、緑茶エキスが認知機能によい影響を与えると認められ治療に使える可能性があるが、神経への影響についてはよく理解されてないとして、作業記憶working memoryの間、緑茶エキスが脳内の連結を調整しているか調べました。
試験は、二重盲検法、相殺性および被験者内計画に基づき、12人の健康なボランティアが緑茶エキス27.5gを含む乳清ベースのソフトドリンクまたは対照としてエキスを含まない同様のドリンクを飲みました。その後作業記憶を行いながら機能性MRIで脳内の効果ある連結を評価しました。
その結果、緑茶エキスが作業記憶を増大させ、特に頭頂と前頭の連結に強く関与している関係を認めました。
今回の結果は、認知機能、特に作業記憶の過程で、脳内の頭頂から前頭への連結が短期間に変化していることを示唆して、これまで推測された神経系での緑茶の有益性を初めて示す証拠です。このことが、認知症など精神疾患での認知障害の治療に緑茶が有効であること評価するのに役立つでしょう。
この論文は雑誌Psychopharmacologyの3月号に掲載されました。
MailOnline  8 April 2014 It’s official - green tea CAN make you clever: Drink improves memory and could help treat dementia 及び論文Green tea extract enhances parieto-frontal connectivity during working memory processing
サイト内関連記事:緑茶のアルツハイマー病予防効果を示唆―最近の4つの研究―(2013年6月30日)
編者:緑茶の認知機能への効果についての新たな知見を思われる。なおdynamic causal modeling(DCM)の訳語がなく編者はよく理解できてはいない。

「アルツハイマー病アカンタビリティ法」の成立で研究推進の期待(4月6日/アメリカ)
あなたがアルツハイマー病であれば、より多くの研究資金が必要なことは明白でしょうが、政府にはそうではありません。「アルツハイマー病アカウンタビリティ(説明責任)法Alzheimer's Accountability Act(H.R. 4351/S. 2192)」は、そのことを確立させる希望があります。そして議会にとってアルツハイマー病の関連経費が透明性のあるものとすることがわかるでしょう。
アルツハイマー病の人たちは、この法律の成立を歓んでいます。法律は、超党派的働きかけによるもので、議会がもっとも望まれる情報を確保して、資金の優先順位を決め、2015年までにアルツハイマー病の予防と効果的な治療を確立する「国家アルツハイマー病計画National Alzheimer's Plan」の目標を達成させるものです。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationは、この法制化への最大の力でした。この法律の成立には共和党のブレット・ガッシーBrett Guthrie議員(写真左上)や民主党のエドワード・マーキーEdward Markey議員(写真左中)らともに動きかけました。
この法律は、重要なアルツハイマー病研究への資金を正当化する予算―専門的判断予算Professional Judgment Budget―を議会に提出することを「国立保健研究所National Institutes of Health (NIH)」とすることを公に認めるものです。この専門的判断予算は、NIHの専門家によって策定され、2025年までの会計年度ごとに国家アルツハイマー病計画の目標を達成するに必要な資源を反映したものになります。また、アルツハイマー病研究状況を反映して、指導的科学者たちに基づき、もっとも約束される機会を活かすことになります。
アルツハイマー病協会のCEOハリー・ジョンズHarry Johns氏(写真左下)は次のように述べています。
「この法律は、科学分野で直面する現実を議会によりよく知らせる方法として役立つでしょう。科学者と議会とのこうした直接的な繋がりからの利益を得ることを他の病気の場合で知っています。国家アルツハイマー病計画の目標を達成することを望むなら、こうした戦略方法を駆使しなければなりません」
2010年、議会は超党派的に「国家アルツハイマー病プロジェクト法National Alzheimer's Project Act (P.L. 111-375)」を満場一致で通過させました。これは、保健福祉局Department of Health and Human Services (HHS)に急速に高まるアルツハイマー病の危機に応える戦略的計画に高めることを知らせたのです。
毎年、更新される「国家アルツハイマー病計画」が議会に提出しなければなりません。これには、毎年、成果に基づき勧められる目標、優先的行動の勧告、アルツハイマー病の研究、ケア、サービスですべてが連邦政府資金による制度が含まれます。
アルツハイマー病協会の報告書「2014年アルツハイマー病の事実と数値 2014Alzheimer's Disease Facts and Figures」(pdf 2.5M)によると現在、アメリカに500万人以上のアルツハイマー病の人がいます。その数は2050年までに1600万人に達する状況です。この数値に加え、アルツハイマー病のケアはこの国で最も高額なものですが、2014年には全国で2140億ドル、2050年までに1兆2000億ドルに達すると予測されています。これは、メディケアの費用のほとんど5分の1で、アルツハイマー病やその他の認知症の人に費やされています。
アルツハイマー病協会は、法制定に指導的だった国会議員に感謝しています。私たちが選んだ議員の超党派的な働きは、アルツハイマー病を国家的優先課題した重要な担い手です。
Alzheimer's & Dementia Weekly April 6, 2014 Kickstarting Big Research Dollars with the Alzheimer's Accountability Act
関連情報
H.R. 4351: Alzheimer’s Accountability Act of 2014(Apr 01, 2014 GovTrack.us)
Alzheimer's Association applauds the introduction of the Alzheimer's Accountability Act (4/2/2014  Alzheimer's Association)
編者:紹介記事はアルツハイマー病協会の4月2日付けニュースをほとんどコピーしたものだ。アメリカではアルツハイマー病が政府と議会とアルツハイマー病協会のからみのなかで展開しているという一面もある。

認知症の人への医療ユニット開設(4月4日/イギリス)
「オアシスユニットOasis Unit」は、「ペンニー急性期病院NHSトラストPennine Acute Hospitals NHS Trust」が運営するイギリス中部に在る「ロッチデール病院Rochdale Infirmary」での認知症の人のケアを支援する病棟ですが、本日、4月4日、公式に開所しました。この新しい施設の視察に特別の人たちが招待されました。
このユニットは、入院しているか、紹介された認知症の人や混乱状態の人に急性期医療を提供します。安全で適切さを意図した環境を備え回復を支えるもので、看護職や精神保健担当の職員から支援が受けられます。
このユニットは、この地域でこの種のものとして初めて開所しましたが、他の病院がこれと同じようなユニットを併設することが望まれます。
ロッチデールのサイモン・ダンチュクSimon Danczuk国会議員(写真後列左端)は次のように述べています。
「今日この場にいることをうれしく思います。ここに来て何をあるのかを知りませんでしたが、この施設が素晴らしく見えます。これは本当に、ペンナイン急性期病院NHSトラストPennine Acute Hospitals NHS Trust ペンナインケアNHS基金トラストPennine Care NHS Foundation Trustと議会の人たちとの連携の成果です。ロッチデールの人たちに代わり、職員のみなさんいお礼を申し上げたい。本当にあなたがたの仕事はとても感謝されるべきものです」
ショナ・マッカラムShona McCallum医師(写真後列左から3人目)は、ロッチデール病院のコンサルタント医で臨床指導医でもあり、ユニットを指導しますが、次のように述べています。
「私たち病院の職員、さらに支援者たち、重要なことですが、さらに患者や介護者にとってとても素晴らしい知らせだと信じています。このオアシスは国民保健サービスNHSとして地域と連携して運営され認知症の人たちへ提供するケアの変化の始まりです。将来に成し遂げられる変化の」
リン・ハンプソンLynn Hampson医師(写真後列左から2人目)は、NHSヘイウッド・ミドルトン・ロッチデール臨床委託グループNHS Heywood, Middleton and Rochdale Clinical Commissioning Group (HMR CCG) の急性期医療臨床指導医ですが、次のように述べています。
「この旅は、ずっと前から始まったものです。新しいユニットは、本当の、私たちにますます力をつけていることを示しており、ロッチデールをあらゆる正当な理由から本当に有名にすると思います」
ユニットは、同時に5人の患者まで収容でき、キッチン、リラックスラウンジとダイニングが備えられています。
ペニー急性期病院のCEOであるギリアン・フェアーフィールドGillian Fairfield氏(写真後列左から4人目)は次のように述べています。
「本当に今日、この場にいることを誇りに思います。ユニットはすばらしい。ケアがいかに難しいかを知っております。この施設がそうした支援を必要とするロッチデールの人たちにとって素晴らしいものになることことを確信しています」
元医師で修道女のライアノン・ロイドRhiannon Lloyd氏(写真右)は、このユニットで勤務することになっていますが、次のように述べています。
「ユニットにとても興奮しています。すべての職員もとても興奮していると思います。ユニットはこの種のものとして初めてで、病院の在り方を肯定に視点で示していると思います」
ルイーザ・ハークネス・ハドソンLouisa Harkness Hudson氏は、ユニットの臨床女性監督者ですが、次のように付け加えています。
「ユニットが最終的に開所してほっとしています。あらゆることで2年費やしました。ロッヂデールにとっててもすばらしいものになると思います。正しい方向への本当の一歩です」
ユニットは、病院の臨床評価部Clinical Assessment Unit (CAU)のならびに在ります。
Rochdale Online 04 April 2014 Dementia unit officially opened)
編者:急性期病院の急性期疾患の認知症の人への興味ある取り組みとして紹介した。記事は開所式の発言が主であり、ユニットの詳細な運用は不明だが、昨年の計画段階の以下の情報が参考になるかもしれない。
関連記事:New service to support hospitalised frail, elderly people(21 October 2013 NHS Heywood, Middleton and Rochdale CCG)
関連情報:OASIS Unit(2013/08/16 NHS Heywood, Middleton and Rochdale CCG)(pdf400K)

「A4スタディ」はアルツハイマー病ワクチン療法への第1歩(3月30日/アメリカ)
A4スタディA4 Study(Anti-Amyloid Treatment in Asymptomatic Alzheimer's Disease A4 Study)は、アルツハイマー病を発症する危険性はあるが症状のない人で発病を予防することを期待させます。今回は、発病の危険性について健康な人に前以て告げることに関する最初の研究です。
新しい臨床試験はまもなく始まりますが、雑誌「Science Translational Medicine」の論文によると、この試験はアルツハイマー病の危険性のある人に早期に医療的介入を行うことで症状が出る前に病的変化の進行を遅くできるかどうかを観るものです。初めてのことですが、アルツハイマー病の症状がない人が自分たちの発症の危険性を告げられて後に、無作為対照試験に参加するかどうかを尋ねられます。全体の予防的試験の一部として、「ペンシルバニア医療大学University of Pennsylvania Health System」の神経退行性疾患の倫理の専門家は、アルツハイマー病を発症について参加者がその危険性を知ることが、参加者にどのようにな影響を及ぼすかを監視することになっています。
アルツハイマー病は、65歳以上の人の13%以上が発病し、未だに高齢化に伴う最も恐れられていることとの一つです。
ペンシルバニア大学パレルマン医学部Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvaniaの医療倫理・公衆保健学科Medical Ethics and Health Policyのジェイソン・カーラウイッシュJason Karlawish教授(写真)は次のように述べています。
「患者が、アルツハイマー病を発病するチャンスが多いことを知るだろう今回の研究を倫理的な方法で進めるために、患者がアミロイドに関する結果を受け入れやすく、また告知された後、なんらかの不都合な反応を起こさないようにするために、試験の全過程で参加者になるだろう人たちに継続的な評価に完成させます」
また教授は、ペンシルバニア大学で神経退行性疾患の倫理および政策プログラムPenn Neurodegenerative Disease Ethics and Policy Programを指導している指導していますが、
「この研究は、認知機能障害が現れる前にアルツハイマー病に関する試験の結果をどう解釈するかの重要は段階です」と述べています。
A4スタディでは、試験に参加する人はアルツハイマー病で典型的に観られる病的変化のうちなんらか一つを持っている必要があります。しかし、アミロイドは脳PETで観察しますが、臨床的には正常な高齢者の約3分の2でアミロイド斑を認めるが、生活面で存命中に認知機能障害を示さないことが判明すれば、アミロイド斑陽性だけで試験に参加する人はアルツハイマー病を発病するかもしれなし、発病しないかもしれないのです。
さらに授は次のように述べています。
「今回の研究の当初の目的に加え、早期治療が認知機能の低下を遅らせることができるかどうかを注視しながら、アミロイド蓄積がある、またはないことを参加者に知らせることおが、認知機能検査の結果、認知機能の認識、生活の質、およびアルツハイマー病の受け止めらられている発病の危険性にどう影響するか注意深く観察します」
Alzheimer's & Dementia Weekly  March 30, 2014 A4 Study is 1st Step to an Alzheimer's Vaccination
関連情報
ニュースリリース:Alzheimer's Prevention Trial To Evaluate and Monitor Participants' Reactions to Learning of Higher Disease Risk Status (Perelman School of Medicine  March 19, 2014)
論文:The A4 Study: Stopping AD Before Symptoms Begin? (Science Translational Medicine, 19 March 2014
解説:Anti-amyloid treatment in Asymptomatic AD A4 Trial(Reisa Sperling, M.D.Paul Aisen, M.D. September 28, 2012)(pdf1.8M)
新聞記事:Penn launches Penn Neurodegenerative Disease Ethics and Policy Program(January 13, 2013 The Daily Pennsylvanian)
編者;いよいよ始めるのか。症状がないアルツハイマー病のリスクを持った人を選び、症状発症後に投与して無効だったとされるワクチンを投与する早期予防治療の臨床試験に関わる倫理面の検討が進められている。臨床試験を前提とした検討であって、この種の試験を倫理的に否定することを意図したものではない。こうした「合理的な試験」にはアメリカ人は抵抗ないのか? しかし論文偽造のわが国では不可能だ。

「高齢者の認知症スクリーニングに関する勧告を11年ぶりに改訂」(3月28日/Medical Tribune)
米国予防医療サービス対策委員会(U.S. Preventive Services Task Force :USPSTF)は,高齢者の認知症スクリーニングに関する勧告を発表した(Ann Intern Med 2014年3月25日オンライン版)。2003年の前回勧告から11年ぶり。
2003年の「エビデンス不十分」を据え置き
USPSTFによると,米国の認知症患者数は約240万~550万人と推計される他,加齢とともに有病率は増加し,80歳以上では24%,90歳以上では37%に達する。より軽度の認知機能障害(MCI)に関しては十分な推計が難しいが,65歳以上の3~42%が該当する可能性があるとのデータが紹介されている。
今回の勧告は,認知機能障害に関連する症状のない,プライマリケア医の診療対象となる65歳以上の地域住民に対するスクリーニングツールを用いた検診に関するもの。
推奨度の検討対象には最も検討が進んでいる検査ツールとしてMini-Mental State Examination(MMSE)が,エビデンスがより限定的なClock Drawing Test,Mini-Cog Testなどが挙げられている。
2003年時点では,高齢者に対する認知症スクリーニングを推奨,あるいは推奨しないかを結論付けるエビデンスは不十分(グレードⅠ)との勧告が示されていた。今回の改訂でも認知機能障害に対するスクリーニングのエビデンスは不足しており,ベネフィットと害のバランスを判定することができないとして,勧告は引き続きグレードⅠのままとされた。
2011年からメディケアが高齢者健診の項目に導入
USPSTFは現在の実地臨床では認知症の診断は主に患者の症状から医師が同疾患を疑う,あるいは家族の懸念による受診の結果診断されることがほとんどと述べている。一方,2011年からメディケアが高齢者健診(annual wellness visit)に認知機能障害に対する検査の導入を認めており,2013年にはアルツハイマー協会が健診時の認知機能検査に関するガイダンスを発表している。
今回のUSPSTFの勧告では,現時点で発表されている認知機能障害の危険因子に関連した推奨として,禁煙カウンセリング,アルコール,健康的な食事,身体活動,転倒予防,高コレステロール・高血圧・うつ病のスクリーニングが挙げられている。
MTPro 2014年3月28日 原文のまま
関連情報:Screening for Cognitive Impairment in Older Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement Virginia A. Moyer, MD, MPH, on behalf of the U.S. Preventive Services Task Force Ann Intern Med. Published online 25 March 2014 doi:10.7326/M14-0496
編者:わが国では自治体レベルで認知症スクリーニングを実施しているところがあるが、「やらないよい、やった方がよい」というレベルの判断で行われているようだ。

★認知症の人による自殺や他殺の危険性が見過ごされていないか(3月27日/アメリカ)
認知症高齢者による暴力―他殺と自殺を含む―の危険性が、たびたび見過ごされ、認知症の人に臨床医が銃を保持することについて問いかける必要性が生まれています。
ポウル・カーウインPaul Kirwin医師(写真右1)―アメリカ老年精神学会American Association for Geriatric Psychiatry (AAGP)の前会長―は、2014年のAAGP 年次会合AAGP 2014 Annual Meeting(3月14日から17日、フロリダ州オーランドで開催)で参加者に「高齢の白人男性は、若い人達と比べ自殺による死亡が5倍高いこと、そして他人への暴力で重大な報告があることも講演しました。
カーウイン医師は「高齢者による銃が絡んだ他殺は、稀ではあるが関心を持っている」と述べています。
2013年、アメリカ精神医学会American Psychiatric Associationのディリップ・ジェステDilip Jeste会長(写真右2)が主導して初めて「精神保健と暴力に関する連合体Coalition on Mental Health and Violence Issues」が締結され、AAGPを含めいくつかの組織が加盟しました。
その連合体は、精神保健制度に関して連邦政府と地方政府の担当部署の連携、およびすべての年齢層の一般人へ暴力の防止を要望しています。
しかし、カーウイン医師―「退役軍人援護局のコネチカット医療システムVeterans Affairs (VA) Connecticut Healthcare System」の代表で、ニューヘブンNew Havenにある「エール大学医学部Yale University School of Medicine」の精神医学科准教授―は次のように述べています。
「暴力の危険性は高齢者の患者で見逃されることがしばしばです。2004年、VAは軽度から中程度の認知症の退役軍人の40%が自宅に銃を持っていることを認めました。患者の自律の選択を重視することは、患者が論理的な決定ができる場合です。車と同様。銃は、自立と個人主義を意味するものです。そして、銃を所持が議論の対象となることはありません。しかし、身体的あるいは精神的な機能が崩れ始めすときに致命的な武器を扱うことの能力については一般の人たちの安全の問題です」
さらにカーウイン医師は次のように述べています。
「ジェスト医師とアメリカ医師会American Medical Association (AMA)の前会長であるジェレミー・ラザルスJeremy Lazarus医師(写真右3)は、ワシントンDCに連合体を招集しました。2012年、コネチカット州ニュートンNewtownのサンディフック小学校Sandy Hook Elementary Schoolでの銃乱射事件の直後のことです。AAGPは、高齢者を含めて安全を確保するために公的な立場を守り、政治的には中立を保ちます。患者についてこのテーマでの研究を検討することを望みます。2004年の全国調査によると、65歳以上の25%以上の人が銃を保持しています。別の最近の研究によれば、銃器は高齢期の男性、女性ともに自殺に使われています。アメリカ疾病管理予防センター(CDC :US Centers for Disease Control and Prevention)によると、2005年から2010年までの間、銃器は、65歳以上の自殺の72%で使われたのに対して、全年齢では51%で傷害を起こしています。アメリカではVAによると、男性高齢の自殺で79%が銃を使います。毎日、22人の退役軍人が自殺していると推測されています」
こうした事故を防ぐために、最近VAは、銃器と認知症の人に関する一般向けの啓発活動を立ち上げました。
その冊子―VAのサイトからダウンロードできます―に以下の記載があります。
「銃提供者は、認知症があると、本人と家族にすべての種類の銃器を手放すように話し合うべきです。不可能な場合、VAは、いくつかの安全上の工夫を勧めています。2008年には、無料の安全ロックが初めて提供しました」
カーウイン医師が臨床医に薦める方法もこうした経過を合わせたもので、さらに次のように述べています。
「1999年に発表された簡単な報告書は、認知症の精密検査に紹介された106人の連続した外来患者について観察されたものですが、報告書は、家族の60%が銃器を持っており、その45%は弾が充填されていたと明らかにしています。2004年の別の報告書は1000人の外来患者に関するものですが、その30%が自宅になんらかの銃器を持っていました。銃の保持についての問い合わせや銃の安全性に関する検討はケアの通常の一部とすべきです。多くの老年科の患者で自宅に安全対策のない銃器を持っている場合、自律的な決定ができる人ではなく、また、混乱、妄想、慢性的な疼痛によって時々重大な事件を起こす可能性があります」
2013年、イリノイ州立刑事司法情報局Illinois Criminal Justice Information Authorityのキャロライン・ブロックCarolyn Block氏(写真右4)は、1965年から2000年の間のシカゴでの高齢者の他殺について調べた研究を報告しました。報告によると、殺害された女性高齢者の25%は親しいパートナーの手で殺されています。多くの経過は、夫が妻を殺して自殺するというものです。
今回の講演後、カーウイン氏は繰り返して次のように述べています。
「この問題は政治的なものではありません。一般人の安全に関することです。私の講演のポイントは、認知症の人あるいは重症の身体障害のある人は銃を安全に使うことができないだろうから、その状態を評価されるべきことを示唆することです」
またラザルス氏は講演で次のように述べています。
「多くの人―そして医師たちも含めて―は、高齢者の社会でこのことば問題であることを認識していません。能力ある祖母や祖父から銃を取り上げることについて話し合うことはありません。そうでなく、納得される理由も基づいた方法で何をする必要があるのかを語り合いことが重要です。医師が自分たちの患者や家族と銃器の安全性や危険性について自由に話し合うことができるべきと信じます」
しかしながら、メディスコープメディカルニュースMedscape Medical Newsで報じられたように、フロリダ州は臨床医が銃の保持について問うことのないようにしました。さらに、9つの州で銃について医師と患者が話し合うことに関する法律を検討しています。
ラザルス医師は言います。
「これはいささか状況を激変させた法律で、私たちがしばらく反対して争ってきたものです。研究によると、銃の保持や安全な保管について問うことは、不幸な事件から人々を守るのです。ホワイトハウスからAffordable Care Act(訳注)では医師が銃の安全性について話し合うことを禁止したものではないことが明白にされたことはとても有益だと思います。そして、「医療保険の移行性と責任に関する法律のブライバシー規定Health Insurance Portability and Accountability Act [HIPAA] Privacy Rules」で、医師は罰則を恐れることなく、かなり起こりえる恐れがある暴力を報告することができるのです」
またジェステ医師は次のように述べています。
「この分野の多くの人たちは、将来を悲観的に見ており、変化が起こりにくい―特に政治的な内紛が原因で―と信じています。また個人の暴力を予測することに重大な制限―特に本人が治療を拒否した場合―があると信じています。しかし、社会的な知恵に基づく楽観的な見方もあります。
さらにジェステ医師は次のように述べています。
「精神保健同等法Mental Health Parity Actは、ゆっくりではあるが大きな進歩の一例です。社会は大きな発展を遂げました。私たちはより思いやりを持ち、より協調的になります。本当に良識と合理性が遅かれ早かれ支配的になると信じています。そして、それは意外に早くなるだろうことを希望しています」
Medscape Medical News March 27, 2014 Homicide, Suicide Risk 'Overlooked' in Dementia Patients
訳注:オバマ大統領による医療改革の法律Patient Protection and Affordable Care Act (PPACA)のことで "Obamacare"と呼ばれる。
関連情報
Coalition on Mental Health and Violence Issues (pdf 220K)
ウイキペディア:サンディフック小学校銃乱射事件(2012年12月14日)
冊子:Firearms and Dementia(Department of VA Affairs)
論文:Homicide Against or by the Elderly in Chicago 1965-2000( Carolyn Rebecca Block Homicide Studies May 2013)
解説:「米国のHIPAA法における個人情報等の保護に関する規定について」(厚生労働省 2010年)(pdf250K)
編者:銃社会のアメリカでの問題と思われるが、編者には理解しがたい銃への思いと依存が在る社会だ。

認知症の人との結婚は無効(3月22日/オーストラリア)
知的能力が問われた結婚の稀な事例が裁判所で判決が示されました。
それは老いの結婚でした。
男性は78歳でナーシングホームに入居することになる認知症の人でした。女性は49歳で元掃除人でした。
何週間も前のことですが、女性はフィアンセの彼を事務弁護士に連れてゆき、彼の遺言をすべての物を彼女に残すように変えようとしました。
しかし、本当の愛の流れはスムーズに進まないで、花婿の家族が家庭裁判所に結婚の異議申し立てをしました。
ありそうもない結びつきという昼ドラ的な話題を、ガレイ・フォスター判事Justice Garry Fosterが語りました。判事は、オーストラリアでは2,3人しかいな判事の一人で、ある患者の知的能力によって結婚を無効とする判決が求められました。
結婚した二人の名前を伏せて「オリバーズ夫妻Olivers」は、2011年4月に結婚しました。家族が出席した身内だけの結婚式でした。
男性の方の家族は、式は6月にあると伝えられたのですが、女性がかれらに日程の変更を知らせることを無視しました。
彼の孫娘は、結婚式の前に電話で「どのように結婚するの?ガールフレンドがいるなんて信用しないわ」と伝えると、男性も「私もそう思わない」と答えたのです。
あらに結婚式の後、孫息子が、男性の父親に「なぜ、おじさんはその婦人と結婚したの。その女性は元掃除婦で、男性とその亡き妻(2010年8月、死亡)の世話をしていた」と話しています。
男性は「私も知らない。何故、だれもとのことを私に言わないの」と答えました。
裁判所は次のことを聞きとりました。
「第一段階として、花婿の男性が朝食にラムや牛肉エキスを飲みながら、亡き妻がまだ生きているかのように話した」
「結婚式のおおよそ4か月後、男性はナーシングホームに移りました。彼は、明らかに認知機能が低下して認知症であり、その他の多くの健康課題があった」
男性の家族は裁判所に次のことを伝えました。
「ナーシングホームに居る彼を訪ねた時、新婦の方の新しい祖母と義母に会ったことがない。しかし新婦は新郎の銀行口座から定期的に引き落としていた」
彼の孫娘は、2012年に家庭裁判所に出頭して、男性が結婚の姿や影響について理解できていないという事実に基づき、二人の結婚は無効であると主張しました。
この事例が昨年12月に審問される前の9月に男性は亡くなりました。
フォスター判事のように述べています。
「男性の未亡人が速やかに結婚することを促したことは彼への彼女の愛だと主張し、それは夫への妻の愛のようものか訪ねられると、未亡人はある意味でそうだと話しました。その婦人が提出した証拠については保留します」
その婦人は何回かの結婚歴がありました。
彼女が多くの目撃者に声をかけなかったことは意味あることです。これらは彼女が高齢の花婿と知的に結び目を作ることが出来ことを証明するのに役立ったのです。
男性のかかりつけ医師(一般医)は、結婚からほんのすこし前、花婿が合理的な決断ができるだろうと評価することから手を引きました。
さらにフォスター判事は「結婚は知的能力が低下しているので無効と判断されるだろうという環境の中でオーストラリアでは事例が少ない」と指摘し、「関わったわずか二つの判決があるだけで、他の事例は知らない」と述べています。
その女性にとってありえる財産的な動機を考慮すると、二人連れと彼の認知機能の低下と認知症との間に財産に関しての不一致がありとして、さらに判事は「男性はその婦人との結婚の姿と影響を理解する能力は無かった」と結論づけています。
オーストラリアでのとても少ない判決に追加するように、フォスター判事はオリバーズの結婚は無効であることを公にしました。
Sydney Morning Herald March 22, 2014 Dementia patient's marriage voided by mental incapacity
編者:オーストラリアでも例外的な判決事例と知る。わが国でも起こり得る事例だ。

女性の方が男性よりアルツハイマー病になりやすい(3月19日/アメリカ
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの最新の報告書によれば、女性が一生の間アルツハイマー病になる危険性は6人に1人で、男性では11人に1人です。またアメリカでは女性がアルツハイマー病の親を介護する責任は背負っており、男性より2倍多くアルツハイマー病の家族の24時間介護を行っています。
介護に関わって失った賃金と無償の介護による費用は年間約2200億ドルです。その費用のほとんどは、入浴、食事、衣服の着脱、トイレの介助のためであり、有効な治療がない認知症の症状や記憶障害の治療のためより多い。
アルツハイマー病協会の医学科学関連部門副部長のマリア・カリーヨMaria Carrillo医師(写真右)は「このバランスを変えなければならない」と述べています。
最新の報告書の重要なことは以下のとおり。
○2050年までにアルツハイマー病の人は1600万人になるだろう。
○アフリカ系アメリカ人はヨーロッパ系よりアルツハイマー病に2倍なりやすい。
○アメリカで毎年死亡する高齢者の約3分の1はアルツハイマー病あるいは認知症である。
○60歳代の女性は、一生の間に乳がんなるより2倍アルツハイマー病になりやすい。
○2013年、アメリカ人―ほとんどは女性―はアルツハイマー病の親に1770億時間の無償の介護を提供している。
○2014年、アメリカ人はアルツハイマー病の親の介護に2140億ドルを使うだろう。2050年にその額は1兆2000億ドルになるだろう。
Time 03/19/2014 Women at Higher Risk of Developing Alzheimer’s Disease Than Men)
関連情報:Alzheimer's Disease Facts and Figures2014(pdf2.5M) Alzheimer's Disease Facts and Figures
編者:アメリカの多くのネットニュースで女性がアルツハイマー病になりやすいと報じているが、その理由として上記の報告書は女性が男性より長命であることによるものであり、年齢階層別の有病率の男女差は無いとしている。とはいえ、アルツハイマー病をより女性の課題とする視点はわが国と同じと思われる。

認知症の人を穏やかにするバーチャルな空間(3月17日/オーストラリア)
バーチャルな経験ができる技術を使って認知症の人が家庭でも施設でも楽しめます。この技術は、不安、興奮、うつ状態といった不愉快な状態から気をそらし、穏やかで心地よい状態に変えようとするものです。
オーストラリアアルツハイマー病協会ビクトリア支部Alzheimer's Australia Vicは、メルボルンに在るデジタル設計会社「オペイクマルチメディアOpaque Multimedia」と共同して、ビデオゲームに似た制御盤を使ったものです。
最初の計画はバーチャルな森です。認知症の人が自分たちのバーチャル環境を管理でき、腕を振って森のなかに突風を吹かすことができます。
ビクトリア支部のCEOマリー・マックケイベMaree McCabe氏(写真左上)は次のように述べています。
「認知症の人が視覚、聴覚、動的な相互作用といった完璧な感覚を経験できます。彼らが日々の経験から離れ、畏敬、感激、笑、喜び、驚き、楽しみといったことを経験できるバーチャルな環境に移れることを想像してみてください。この発想は、認知症であることを体感するのを助ける元のIT計画から得られたものです。森はほんの始まりです。海岸とか華やいだクリスマスの物語といった他のコンセプトについても試みたいと心躍ります」
オペイクマルチメディアのノーマン・ワンNorman Wang代表(写真左下)は次のように述べています。
「この技術を開発した人は、もっとも視覚的に印象深いビデオゲームと同じ技術を使います。安全、真新しさ、刺激といった感覚を創るバーチャル感覚療法の新たな分野を切り開くでしょう」
news.com.au March 17, 2014  Hi-tech serenity for people with dementia
関連サイト:A fun virtual forest for dementia (実際の画像を観ることができる)
編者:ITゲームの技法を認知症ケアに導入しようとする試みで未知の部分が多いが興味深い。

★メモリーカフェは認知症の人の社会的繋りを作る(3月13日/アメリカ)
ジョージ・セイラーGeorge Seiler氏(72歳)は、ミネソタ州ローズビルRosevilleのカフェで退職後の過ごし方の計画を建てませんでした。彼はフロリダで釣りをしたり、妻のアニー・セイラーAnnie Seiler氏(70歳)(写真左中)と旅行するのが楽しみのようでした。
二人は緊密で、2000年にフロリダ州に移住しました。
2008年、カジノでちょっと楽しんだ時、妻がスロットマシンをどう扱ったのか思い出せなくなったのです。2,3か月後、診察の結果、病名が告げられました。
夫は次のように述べています。
「医師は、何か変わっていることに気付き、妻に30項目の質問をしました。そのうち28を間違いました。私も何かおかしいと知りましたが、病気を受け入れませんでした」
50年間連れ添った妻がアルツハイマー病と診断されたのです。
6年前のことから先週のことに話を早送りすると、セイラー夫妻はローズビルのライス通りRice Streetに在るコーヒーショップ「Jアーサーズ・コーヒーJ Arthur's Coffee」のテーブルを囲み、手を取り合って坐っていました。記憶障害のある別の二人連れのグループと昼間ぼんやしている連れ合いについての会話を楽しんでいました。
夫婦がメモリーカフェMemory Cafeで出席者と会うことは、二人の生活を立て直すことで新たな注目すべきことです。
さらに夫は次のように述べています。
「私たちにこうした活動が必要です。活動を見つけるのはとても難しいことでした。妻は他人にオープンで、彼女自身にもよいことです。私たち二人にとってもよいことです」
夫妻は、ローズビルに隣接するリトルカナダLittle Canadaに住んでいますが、孤立しがちな病気であるにもかかわらず社会的な繋がりを求める増加する認知症の人の一人です。
3年前、ロリ・ラ・ベイ Lori La Bey氏(写真左下)が、このコーヒーショップで初めてメモリーカフェを始めた時、多くの人が出席しました。現在、ここで月に2回開催し、45人ほどの人が集まります。カフェへの要望が増えて、さらに近くの2か所でメモリーカフェを開催していますが、その一つはローズビル北部に介護付き住宅assisted livingの「シェリーウッドポインテCherrywood Pointe」で開催さえたばかりです。
ラ・ベイ氏自身、約30年前、母親がアルツハイマー病と診断された時、社会支援を見付けるのに苦労した経験から、イギリスでのメモリーカフェとは別のモデルを描きました。認知症の問題で活動しているラ・ベイ氏は、認知症に関わる話題を専門としてホームページ「Alzheimer's Speaks(アルツハイマー病の人が語る)」を開設しています。
活動の広がりは、州や国でアルツハイマー病と診断される事例が増加していることに相応しています。
「アルツハイマー病協会ミネソタ・ノースダコタ支部Alzheimer's Association of Minnesota and North Dakota」によると、ミネソタ州にアルツハイマー病の人は2025年までに11万人に達すると予測されています(2010年で約9万4000人)。
これまでの支援グループでの介護者と被介護者という関係のなかでその半数の人たちの堅苦しい会話とは異なり、メモリーカフェは、双方ともが招待され、出かけて友人と一杯のコーヒーを飲むというものです。
誰もが招待され、ほとんどの人は肩のこらない集いに二人連れで参加します。
またラ・ゲイ氏は次のように述べています。
「病気で奪われる要となる関係へ戻る機会をカフェは提供します。病気で私たちは、ときどき笑うことも愛することも忘れることがありますが、ここではそれがもとに戻ります。カードを使わないブリッジクラブのようなもので、仲間意識のなかで楽しいひと時を過ごします」
先週、Jアーサーズ・コーヒーの店でテーブルのまわりに座ったセイラー夫婦のお互いに思いやっていました。夫は妻の肩に手を置いて、ときどき彼女の顔を撫でていました。このとき彼は、介護のことで妻の兄弟姉妹と彼が直面している問題について話しました。
彼がその諍いで最近勝ったと話すと、出席者は拍手しました。
もっぱら彼が、リトルカナダの自宅から介護付き住宅に移ることを考えたことについえ語り、「そうでもしなければ争いです。ことを容易にするものではない」と述べました。
妻は、からかうような目つきで「争いって何」と問うと、夫はあからさまに「君に我慢していること」と言って、二人して笑いました。
夫は、「どうしてデイサービスに渡しを置きざりにして離れて休む必要があなたにあるのか」と盛んに尋ねたという最近の出来事を出席者に話して再び深刻な表情になりました。
このことについて夫は「難しいことです。寛大な返事をしないでしょうが、まだ話してはいない」と述べています。
妻は、その場の沈黙が破られるほんの少し前に夫の手を再び見付けて、冗談めいて「いつの日か夫はその訳を知るでしょう」と述べたのです。
ラ・ベイ氏は「メモリーカフェで、こうした現実的なひと時はよくあることです」と述べています。
別の集いで、出席者は"You Are My Sunshine"を一緒に歌いました。歌の前に、ラ・ベイ氏は、今年の2月28日に亡くなった母親が好きだった歌の1つだと話しました。
さらにラ・ベイ氏は認知症の人について次のように述べています。
「当初、世界で最悪のクラブです。人は自分が何をしているかをわかっていなかったのです。そして、それが当たり前として支援し、恐れや孤立を無くし、共に再び学ぶこと支える方法の1つです」
出席希望者は以下のところへ。
J Arthur's Coffee, 2441 Rice St. in Roseville
(毎月第2・4金曜日午後 1:00~ 3:00)
Homestead of Maplewood, 1890 Sherren Ave. E in Maplewood
(毎月最終火曜日午後1:00~2:30)
Cherrywood Pointe, 2996 Cleveland Ave. N in Roseville
(毎月第1水曜日午後 1:00~2:30)
twincities.com 03/13/2014  Memory Cafes offer couples dealing with dementia a social connection
編者:アメリカでも認知症の人と家族らが集うカフェが草の根的に増えているようだ。なお「メモリーカフェ」「もの忘れカフェ」「アルツハイマーカフェ」「認知症カフェ」など日本語でも名称が一定しないが、活動目的や内容はほぼ同じとみる。

★アルツハイマー病の人が亡くなった妻と二日間過ごす(3月13日/アメリカ)
当局の発表によると、アルツハイマー病の男性が少なくとも2日間、妻の遺体と過ごしました。
ロードアイランド州ジョンストンJOHNSTONの警察副署長ダニエル・パリーヨDaniel O. Parrillo氏(写真)は「今月11日、その男性がジョンストンのブリーチ通り1番地にある自宅に消防署に来るように要請しました。そこで査察官は夫人の遺体を発見し、州の検視局に通報し遺体を保管した」と述べています。
犯罪の兆候は認められませんでした。
副所長は、結論を避けて次のように述べています。
「当局は最親近者と接触しようとしています。67歳の男性は重度のアルツハイマー病で、診察のためファチマ病院Fatima Hospitalに連れていかれました。州の高齢者局も調査のため要請されています」
検視官は、地下室に犬の遺体を見つけましたが、死んだ時期や原因は不明にままです。
Providence Journal March 13, 2014 Johnston Alzheimer’s patient lived with wife’s body for days
編者:わが国で起こっている二人暮らしで介護者が死亡して認知症の人が残されるという事件がアメリカにもあることを知った。

「日本型の介護、アジアの課題を救えるか」(3月13日/PRESIDENT Online)
近年、日本に訪れた急速な「高齢化」。普段日本で暮らしていると、その事実を意識する事はあまりないが、世界的に見ると日本の高齢化は非常に稀有な例のようだ。
それを表すのが、各国の高齢化率の推移。たとえば高齢化の先進国とされるスウェーデンの場合、国民の高齢化率が12%台となったのは1960年代(※1)。これが23%台まで上がるのは、そこから70年経った2030年代だと考えられている。一方、日本は1990年代に12%台(※2)となったが、それからたった20年で23%台(※3)へ突入し、世界に先駆け「超高齢社会」を迎えた。これにより日本は、課題先進国として超高齢社会のモデルづくりに挑戦することになった。
その日本の介護モデルに注目しているのが、近隣のアジア諸国だ。日本の介護は今、アジア地域における介護のロールモデルになりつつある。
福祉機器の顧客は、近10年で10倍以上に
内閣府の「高齢化白書」によると、2010年に23.1%となった日本の高齢化率は、2015年に26.8%、2025年には30.3%まで増えると考えられている。こういった見通しの中で「多くの産業がシニアマーケットに目を向けている」と語るのは、介護業界の人材支援プロジェクト「HELPMAN!JAPAN」を担当する、リクルートの永田隆太氏(写真)だ。
「私たちは超高齢社会は内需産業を育てる機会でもあると捉えています。高齢化した社会では、すべての産業で高齢者に配慮した商品やサービスの開発が必須となります。北欧などの福祉先進国は、それを長年かけてじっくり作ってきました。しかし日本は特殊で、20年での急速な対応が必要となりました。その中で生まれつつあるのが、『日本型』の介護です」
介護に関わる領域には、介護施設から介護制度、介護福祉サービスや車イス、電動ベッドといった福祉機器などあらゆるものが含まれる。その中でも、日本で特に発達したのは福祉機器だという。
「介護保険制度が出来てから、国内の福祉機器の開発は飛躍的に進歩しました。結果、福祉機器の顧客は、10年で10倍以上に増加した、と言われています(※4)。日本は技術力が高いこともあり、この分野は『福祉先進国』である北欧に発信できる力を持っていると考えています」(同)
それを裏付けるように、2月1日にISO(国際標準化機構)に採択された生活支援ロボットの安全性に関する国際標準化規格は、日本の独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」が提供したデータ等が多いに貢献したという。
「日本の技術が信頼されているからこそ、この規格化において日本の方式が採用されたのだと思います。もちろんそれは、今後の介護関連のロボット開発競争において、日本がイニシアティブを取っていく可能性も十分にあるでしょう」(同)
台湾へと伝わった、日本の介護
世界に発信できる力を持つのは福祉機器だけにとどまらない。これから高齢化社会を迎えるとみられるアジア諸国が、日本型の介護を参考にする動きがはじまっている。
「中国の高齢者数は、2010年時点で1億1354万人。それが2050年には3億3131万人まで増えると予想されています。また韓国は、2010年の高齢化率が11.1%ですが、2050年には34.9%まで上昇する見込みです。」
国連の資料によると、中国・韓国に限らず、2050年にはシンガポールの高齢化率が31.8%、タイが25.1%、インドネシアが19.2%など、アジア諸国の多くが日本と同じ高齢社会になると見られている(※5)。こうした見通しの中で、日本の介護事業者もすでにアジア諸国へと目を向けている。
例えば、群馬県高崎市を拠点とする社会福祉法人「しんまち元気村」。その社員が数年前に台湾を訪れた際、介護サービスの未発達さを目の当たりにしたという。施設ではお年寄りの身体拘束が行われ、機器もそろっていなかった。
それをきっかけに、「しんまち元気村」が台湾で介護技術講座を行うと、現地の人から評判となった。やがて、台湾の医科大学の教授や政府の福祉関係者に向けた技術講座も開講。この活動や現地調査が元となり、「しんまち元気村」は、台湾の国立介護施設と2012年1月に友好提携施設契約を結んだ。
「『しんまち元気村』の例は、日本の介護の輸出を考える上でモデルケースになるでしょう。台湾も今後、急速に高齢化が進むと考えられており、だからこそ、日本の介護技術やシステムに対する需要があったようです。『しんまち元気村』は現在、介護施設だけでなく、現地の大学とも提携して人材育成のノウハウを伝えています」(同)
日本からアジア諸国へ。日本の高い技術力を活かした福祉機器はもちろん、施設運営や介護のノウハウが、その国に適した介護モデルづくりに役立つこともあるだろう。
「反対に、日本型の介護を学びに海外から留学してくる若者も増えるでしょう。それほど日本の介護は発達しています。日本からアジア諸国へ輸出するものとして、あるいは日本に人を呼び込む可能性もあるかもしれません」(同)
一斉に高齢化が進むアジア諸国で、日本独自の介護モデルが一般的になる可能性は高い。そのため、日本型の介護モデルはすでに「アジア型」とも呼ばれている。
「アジア諸国に日本の介護モデルを伝える上で、課題もあります。北欧やアメリカに比べれば地理的に近いとはいえ、どの国も日本とは生活や文化がそれぞれ違いますよね。あくまでも、その国にあった介護モデルづくりを後押しすることが大切です。そのためにも、まずは日本型の介護モデルを早期に確立し、その知見を少しでも多くのアジア諸国に活用いただくことが先決だと思います。」(同)
世界でも稀といえる、急速な高齢化が進んだ日本。同じようなケースが、今後多くの国で起こる事が見込まれるからこそ、日本の介護への取り組みは世界から関心を寄せられている。その課題を解決しながら「可能性」に変えていくことが重要であるといえよう。
※1UN「World Population Prospects:The 2010 Revision」
※2総務省統計局「国勢調査」
※3内閣府「高齢社会白書(平成23年版および24年版)」
※4ヘルプマンジャパンP270 より引用
※5UN「World Population Prospects: The 2010 Revision」
PRESIDENT Online 2014年3月13日 原文のまま
編者:高齢者介護についてアジアの経済先進国では途上国からの介護労働者で解決を図ろうと、また中国では国内の低所得者で介護労働を補おうとしているということを指摘したい。

カトリック教会が認知症に優しくなる取り組み(3月10日/イギリス
「全国祈りと認知症啓発週間National Week of Prayer and Awareness of Dementia」(3月12日~19日)に合わせて、カトリック系慈善団体は、教会が認知症に優しいコミュニティになるようにさらなる取り組みを要請しています。現在、イギリスには80万人の認知症の人がいますが、その数は2021年までに100万人、2050年までに170万人になると予測されています。
「カリタス社会行動ネットワーク(Caritas Social Action Network: CSAN)」の会員で、リバプールと北西イングランド全域の成人と子供への多様な支援を提供する慈善団体で、現在、認知症啓発活動を行い多くの施設を運営している「ナゲントケアNugent Care」の理事長であるキャサリーン・ピットKathleen Pitt氏(写真左上)は、次のように述べています。
「認知症の人が増え、ケアの提供はますます重要になっています。教会団体や教区は、慈善団体や医療制度と連携しながら、認知症の人のケアに相応しい環境を創り、認知症の人が安全で支えられていると感じながら自立を促し、重圧や不安を軽減するために重要な役割と担えます」
牧師ら(訳注1)のため認知症について教えることを専門としている非営利の地域活動団体「Welcome Me as I Am(訳注:「あるがままに私を受け入れて」という意味か)のベン・バノBen Bano代表(写真左中)は、認知症にやさしい教会コミュニティを創ることの重要性を強調して、次のように述べています。
「他の多くの地域と同様に、教区社会で認知症の啓発を行うことは難しい。教区や信仰集団が介護者と認知症の人を歓んで受け入れることは重要です。私たちの運動を通して、異なる型の認知症の原因と治療、どのように教会の建物を認知症によりやさしくするか、どのように牧師らが認知症の人と接する技術を向上させ、どのように進行した認知症の人のために礼拝を行うかについて理解を深めることを求めています」
CSANの高齢者サービスフォーラムOlder People’s Services Forumの 議長であるレベッカ・ヘッジズRebecca Hedges氏(写真左下)は次のように述べています。
「多くの認知症の人がますます不安になり孤立感を増しています。教会は歓迎される場所として重要な役割を持っています。現在、フォーラムは、教区の牧師のため認知症の人への「その人中心の接し方」を行い、認知症の人の身体的、感覚的、情緒的ニーズを応える方法を求め、教会が全体として地域に出かけてネットワークを広げるのに貢献できるか方法についての「認知症セットDementia Toolkit」を開発しています。」
なお啓発週間は今月12日から19日まで開催され、「司祭ケアプロジェクトPastoral Care Project」によって組織されます。
Independent Catholic News  March 10, 2014 Making churches dementia friendly)
訳注1:parish, deanery, chaplaincyの適切な訳語が不明で総称で牧師とした。
編者:イギリスの認知症にやさしい地域づくりの活動が教会まで巻き込んでいるようだ。イギリスで教会が認知症に無関心かまたは排斥的なことは興味深い。わが国の宗教団体の認知症への取り組みはよく見えない。

★血液検査でアルツハイマー病の発症を予測可能(3月9日/アメリカ)
アメリカ・ワシントンDCにあるジョージタウン大学医療センターGeorgetown University Medical Centerのハウォード・フェデロッフ Howard J Federoff神経学教授(写真左上)らのグループは、抹消血管の血液検査でアルツハイマー病の発症を正確に予測できると報告しました。かれらの研究によると、血液中の10種類の脂質の濃度を測定することで90%の精度でその後3年の間にアルツハイマー病を発症するリスクを予測できるとしています。
この研究結果は雑誌Nature Medicine電子版3月9日号に掲載されました。
アルツハイマー病は症状が現れる10年以上前から脳を犯します。これまでの薬の臨床試験が余りに遅い時期に行われたので病気の経過を変えることができなかったと医師らは考えています。このため、今回の検査の発見はアルツハイマー病の発症を予測できることから臨床試験の分野で貴重となるでしょう。
研究グループは、70歳以上の525人について5年間の追跡調査を行いました。このうち53人がアルツハイマー病あるいは軽度認知障害になり、その人たちの血液と、発病しないで知的に活発なままでいた53人の血液とを比較しました。二つのグループで10種の脂質の濃度の違いを認めらました。
フェデロッフ教授は次のように述べています。
「こう種の検査はとても必要性が高い。しかし、この方法が実際に臨床で使えるようにするにはさらに多くの人たちで試さなければなりません」
この検査の実際の力はまだ確かめられていません。この検査が早期にアルツハイマー病と本当に診断できるかその有効性も調べる必要があります。血液中の脂質の変化の原因が何であるかは正確には明らかにされていませんが、脳の早期の変化の残渣の可能性があります。
アルツハイマー病と早期に診断できる正確な検査によって、医学研究が改革され、治療薬を病気のはるか早い時期に試すことができるようになるかもしれません。
さらにフェデロッフ教授は「病気の進行を遅らせることはとても大きな影響があり、症状の発現が少しでも遅くなると介護費用にとてつもなく大きな経済的利益をもたらす」と述べています。
イギリスアルツハイマー病研究Alzheimer's Research UKのサイモン・リドレイSimon Ridley医師(写真左中)は次のように述べています。
「この研究結果は心強い。この種の血液検査は、本当に前進の一歩でしょう。可能性のある新薬の効果を試すのに、治療が最も効果があると思われる病気の早期に行われる臨床試験に参加者を集めることは重要です。この研究結果が確定的となれば、アルツハイマー病診断のよりよい方法を開発する助けることになるでしょう。そしてアルツハイマー病の人が大切な支援や現在行われている治療をより早く利用できるでしょう」
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの研究開発部長のドグ・ブラウンDoug Brown医師(写真左下)は次のように述べています。
「この検査についてはさらに研究される必要があり、また倫理的問題が生じるでしょう。将来、検査が開発されると、その検査結果を人が知りたくなることについて、またその影響を十分に理解しているかどうかといった課題については選択肢が与えられなければなりません」
BBC News 9 March 2014 Blood test can predict Alzheimer's, say researchersおよび論文Plasma phospholipids identify antecedent memory impairment in older adults
編者:予備研究の段階の報告であり、本サイトで紹介するに相応しい記事ではないが、アメリカやイギリスの多くのサイトが紹介しているので取り上げた。血液中の10種類の脂質の組み合わせで数年内のアルツハイマー病を含め認知機能の低下を予測できるとした研究報告である。

認知症の人が「認知症にやさしい街」作りを呼びかける(3月8日/イギリス)
トニー・ワトソンTony Watson氏と妻で認知症のジョイ・ワトソンJoy Watson氏(写真左上)は、「認知症にやさしい街」を作るための活動を始めました。二人は、買い物が「外傷的経験」であったことから認知症のある客に役立つように、大マンチェスターのエクルズEcclesの商店の案内冊子を作りました。
サルフォードとエクルズ地区の国会議員であるハゼル・ブレアースHazel Blears氏(写真左中)は、認知症の人を支える二人の「感銘した努力」を称賛しました。
サルフォード市長のアイアン・スチュワートIan Stewart氏(写真左下)は、エクルズの庁舎で企画を立ち上げました。
ワトソン夫婦は「支援パックの目的は、店員が認知症の人の症状に気付くことを助け、買い物がもっと心地よいものにするための支援を提供することにある」と述べ、夫は「認識することと理解の問題です」と述べています。
55歳の6月に認知症と診断された夫人は次のように述べています。
「最悪のことが押し寄せました。ストレスでお金を失い、買い物客としてとても苛立ちました」
現在、彼女は「私はアルツハイマー病です、どうか我慢してください」と書かれたバッジを付けています。立ち上げの式典に出席しました労働党のブレアース氏は、認知症の人が少しでも容易い生活が営める支援としたワトソン夫婦に敬意を表しました。
さらに彼女は「次の総選挙には立候補しません。認知症の母親を含めた家族ともっと時間を過ごしたい」と述べました。
なおブレアース氏は、「サルフォード認知症行動連盟Salford Dementia Action Alliance」の一翼を担い、「認知症全党国会議会グループAll Party Parliamentary Group on Dementia」の副議長もしています。
また彼女は次のように述べています。
「認知症の人ができるだけ長く自分たちの共同体の一部としてとどまることを希望します。地元の人や会社からとてもすばらしい支援が続いているかぎり、ここエクルズでこうした状況になることと確信します」
(BBC 8 March 2014 Eccles launched as 'dementia-friendly' town)
サイト内関連記事:認知症に優しい大学づくり(2013年11月17日)
編者:イギリスで認知症にやさしい街づくりが広がっているようだ。

アルツハイマー病は死因の第3位(3月5日/アメリカ)
アルツハイマー病は、脳を荒廃させ、記憶だけでなく飲み込むといった基本的な能力をも奪ってしまします。
今日、高齢化する患者に関する調査によると、アルツハイマー病による犠牲者は毎年50万人に達し、アルツハイマー病がアメリカでの最大の殺し屋リストで心臓疾患やがんに次ぐことになったことが示されました。
不治で退行性の脳疾患であるアルツハイマー病は、2010年アメリカでの死者数は8万3000人で死因の第6位でした。
シカゴにあるラッシュアルツハイマー病センターRush Alzheimer's Disease Centerの疫学者であるブライアン・ジェームスBryan James准教授(写真左上)は次のように述べています。
「しかし本当の死亡者数はその時点で6倍のようです。死亡診断書はアルツハイマー病などの認知症による死亡を過少報告されていることはよく知られています。通常、より直接的な死因―肺炎や心臓発作など―が記載され、その背景となっている死因については除外されるのが普通です」
3月5日版の雑誌Neurologyで公表された8年間にわたる研究は、65歳以上で2500人以上を追跡したところ、そのうち4分の1近くの人がアルツハイマー病を発病したにもかかわらず、この病気を死因と記載されたのは400人ほどです。
ジェームス氏とシカゴのラッシュ大学Rush University、カリフォルニア州のカリフォルニア大学サンフランシスコ校University of California-San Franciscoおよびサンフランシスコ退役軍人医療センターSan Francisco VA Medical Centerの研究者たちは、研究結果から年間のアルツハイマー病を死因とする人は50万3000人と推測しました。
2010年の心臓疾患の死者はおよそ60万人、がんの死者は57万5000人ほどです。この二つの死因は減少していますが、アルツハイマー病による死亡は増加しています。
ジャームス氏は「何時とは言えませんが、20年以内にがんに追いつくかもしれない」と述べています。
この研究は国立加齢研究所National Institute on Aging(NIA)とイリノイ州公衆保健部Illinois Department of Public Healthの助成を受けました。NIAでアルツハイマー病や認知症の集団調査を続けてきたダラス・アンダーソンDallas Anderson氏は次のように述べています。
「この結果は注目に値します。アメリカの死亡登録制度について明るいと私が思う人たちは公表された数値が低いことに驚くかないでしょう。しかし、今回のような違いを知ると多少は驚きます。同じような研究が進められており、同様の結果によってジェームスらの結論を補強することになるでしょう。こうした結果から、より多くの医師が死亡診断書を書くときアルツハイマー病に関心を示すことになるだろうし、多くの医師が既に行っています。もうひとつ注目されることは、アルツハイマー病が本当に重要な公衆保健の課題であり、そのための活動が必要だということです」
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの科学企画部長のキース・ファーゴKeith Fargo氏(写真左下)は次のように述べています。
「この新研究による死亡推計数は事実にかなり近い。これまでアルツハイマー病協会は、、8万人という数値は大雑把で過少な数値だとながく主張したきました。今回の新しい数値はアメリカ人がアルツハイマー病を単なるもの忘れするだけの病気ではなく、普遍的で致命的な脳疾患であることを認識するのに役立つでしょう。この病気の本当の影響を全体的に観ることの重要性を知る信頼すべき報告だと思っています」
アルツハイマー病協会は、病気の原因と治療に関する多くの研究を助成してきました。2013年時点で520万人のアメリカ人がアルツハイマー病と推計しています。
アルツハイマー病による死亡は、過去10年間で68%増加しています。他方、主要な死因は減少しています。アルツハイマー病の65歳以上の人が2015年までに710万人になるとも予測しています。
2012年、オバマ政権は、アルツハイマー病研究にさらに1億5600万ドルを投じる計画を発表しました。国立保健研究所(National Institutes of Health :NIH)のこの分野の現在の予算は約5億6000万ドルです。
さらにファーゴ氏は次のように述べています。
「しかしアルツハイマー病協会は、病気による費用は年間で2000億ドル以上と推計しています。多くの患者は高齢者なので、その人たちの多くはメディケアやメディケイドの連邦政府の医療制度が支払われています。公約された研究資金が増加することは正しい方向への第1歩ですが、十分ではありません。アルツハイマー病にはっきりとした変化をもたらするのであれば、今後10年間、毎年20億ドルの投資が必要だと科学者は話しています」
CNN March 5, 2014  Alzheimer's toll may rank with cancer, heart disease
論文:Contribution of Alzheimer disease to mortality in the United States(online March 5, 2014 Neurology)
関連情報:Alzheimer's Association 2013 Alzheimer's Disease Facts and Figures
サイト内関連記事:認知症の死亡が心疾患より多い(2012年12月30日/スウェーデン)
編者:主たる死因がアルツハイマー病とされる事例の実証的な追跡調査で質の高い結論を得ている。わが国ではどうだろう。2011年の死因統計によるとアルツハイマー病を死因とする死亡数は5394件。

先住民の認知症に関わる不利益への取り組み(3月3日/オーストラリア)
オーストラリアアルツハイマー病協会ALZHEIMER’S Australiaは、本日、オーストラリアで初めて先住民社会の不利益な隔たりを少なくするための新しい活動で認知症発症のリスクを下げようとします。
先住民社会では認知症の発症が早く、60歳から70歳の間で認知症になる割合は先住民の認知症全体の73%を占めます。先住民でないオーストラリア人の70歳以上に相当する割合です。
同協会のグレン・リースGlenn Rees事務局長は次のように述べています。
「五カ所の都市と地方の先住民地域社会で行われた60歳以上のすべての先住民の調査である「クーリ高齢者健康増進研究Koori Growing Old Well Study」の予備的結果によると、60歳以上の先住民の認知症の発病率は13%で、非先住民の人口構成に合わせると21%になります。この数値は全てのオーストラリア人の6.8%の3倍です」
同じ協会の「全国アボリジニ・トレス海峡島認知症諮問グループNational Aboriginal and Torres Strait Island Dementia Advisory Group」のフレッド・タナーFred Tanner議長(写真左上)は次のように述べています。
「認知症の発症を減らし、あるいは遅くするすべての方法が国家と家族への個人の繋がりを持続するのに役立ちます。世代を通して言葉で伝えられた多くの物語と伝統を失うことを遅らせたり防ぐことは、この先住民社会へ相当の影響を与えることができます。「協会の『あなたの脳に関心をThe Your Brain Matters』の活動は、すべてのオーストラリア人の脳の健康を改善することを意図しています。認知症の治癒方法はありませんが、精神的な刺激と調整と健康を保ち、心臓に関心を向けることが認知機能の低下の危険性を少なくするのに役立つことは知っています」
こうした取り組みの社会資源として、文化面で配慮した冊子やビデオが先住民社会で尊敬される人たちによって明らかにされています。このなかにはヒットした映画「ザ・サファイアイズThe Sapphires」の俳優シャリー・セベンスShari Sebbens(写真左中)も含まれます。
ノーザンテリトリー生まれの俳優、監督、製作者のベン・グレッツBen Graetz氏(写真左下)は次のように述べています。
「これらの資源は先住民のなかで改善されました。物語と文化の保存を重視するなかで、使われたすべての言語や音楽は、私の人々によって、また私たちの人々のために設計されました。共同体社会で会話と保存を強調したのです」
この社会資源は、認知症の先住民の相応しい医療職、介護者、家族によって利用されるでしょう。
さらにタナー氏は次のように述べています。
「妻は2008年の初め、若年期認知症と診断され、2013年6月に終り頃、亡くなりました。彼女は診断を受けて適切な支援を得ることが難しいことを知りました。アデレードで難しいのであれば、先住民への影響は深刻で、速やかな支援が必要です。この地域は隔たりを埋めることが重要です」
The Australian March 03, 2014 Indigenous disadvantage gap program to target dementia
編者:オーストラリアアルツハイマー病協会などの先住民の認知症への取り組み(Aboriginal and Torres Strait Islander resources and publicationsなど)がある。

ウオーカソンでアルツハイマー病に挑む(3月2日/オマーン)
モハメド・アリMohammad Aliは、すべてのかけた電話番号を覚えていました。67歳の時はすべての親戚の名前も言えました。しかし現在、出かけるまえに車のキーを忘れることがときどきあります。
「オマーンアルツハイマー病協会Oman Alzheimer's Society」の議長である、ハマド・アル・シナウィHamad Al Sinawi医師は次のように述べています。
「彼のような場合、いずれ明らかになるので、初期のアルツハイマー病か別の認知症の可能性があり、適切に検査を受けるのがよい。オマーンに現在、約5000人から6000人のアルツハイマー病の人がいます。しかし、人はこの病気のことを話したがらないので、もっと多いかもしれません」
交通事故の脳外傷の影響やアルツハイマー病の予防の啓発の一環として、スルタン・カブース大学Sultan Qaboos University (SQU) の「加齢・認知症研究グループAgeing and Dementia Research Group (ADRG)」は、「あなたの心に関わることです:覚えておこう2014年'Your Mind Matters: Remember 2014'」というウオーカーソンを準備しています。
このウオーカーソンは、明日、マスカットのバウシャーBausherに在る「サルタン・カーブーススポーツ競技場Sultan Qaboos Sports Stadium」で行われます。
ADRGは、SQUの食品科学栄養科Department of Food and Nutrition、医学保健科学部College of Medicine & Health Sciencesの行動医学科Department of Behavioural Medicine、神経学科Neurology Unit、病理学科Pathology、およびオマーン保健省補助薬剤研究所・薬学部Department of Pharmacology, Oman Assistant Pharmacy Institute, Ministry of Healthのスタッフで構成されます。
保健省医薬局Department of Pharmacology, Ministry of Healthの上級講師でのジニ・ヴァイシュナヴRagini Vaishnav氏(写真左上)は次のように述べています。
「このグループは、オマーン研究委員会Research Council, Omanによる研究企画助成金で活動し、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害および外傷性脳損傷についてオマーン産の食品サプリメントの有効性について研究しています」
SQUの食品栄養科の准教授のモハメド・エイサMohamed Eisa医師は次のように述べています。
「覚えておこう2014年」は、催しのテーマとして採用されました。組織した人たちが、被人々が道路の安全性の重要さを銘記し、アルツハイマー病の家族のことを記憶を留め、アルツハイマー病の人と介護者への支援する医療チームで元気になることを望んでいます」
催しへの参加は無料で、全員にTシャツ、帽子、ショー、飲み物が提供されます。参加登録は午後4時30分に始まります。
ADRGの上級補助研究者で審理学者で行動医学科に所属するルーパ・コシィRoopa Koshy氏は次のように述べています。
「催しには1500人ほどの参加者があると予測しています。この催しの主要なゲストとしてSQUのアリ・ビン・サウド・アル・ビマニAli bin Saud Al-Bimani副総長(写真左下)を予定しています」
さらにモハメド・エイサ医師は次のように述べています。
「ライフスタイルを変え、健康食品を摂ることがアルツハイマー病の治癒に役立ちます。私たちがこの病気を解決する方法は知りませんが、遅らせることはできます」
Times of Oman March 02, 2014  Walkathon in Oman to combat Alzheimer’s disease
写真:右上はオマーンアルツハイマー病協会の記者会見らしい(人物の説明なし)、右下は同協会のロゴ。
サイト内関連記事:アルツハイマー病:思い出のひと時(2012年6月13日)
編者:オマーンではスカーフをしてない女性が多いのか?

「スイスの老人ホーム 介護士不足を補うには」(2月26日/International Business Times)
高齢者の介護は将来、誰が担うのだろうか?社会の高齢化が進むスイスでは、65歳以上の人口は爆発的に増加している。だが、老人ホームで働く介護士の約半数は15年後には定年を迎える。
2月中旬、正確に言えばバレンタインデーに、たくさんのお年寄りがハート形のチョコレートで飾られたテーブルを囲んでいた。中年のスタッフが、記憶力のテストをする。
「恋をしていたとき、相手にどんなプレゼントをしたか覚えていますか?」。このスタッフは一人ずつに話しかける。
お年寄りのほとんどは、しばし考えた後、ゆっくりと答える。
「旅行。パリ行きだったかもしれない」と一人。
「ダイヤモンド一粒が付いた金の指輪」とまた一人。
「花。だけど近所の庭から取ってきたもの」。一人の女性が茶目っ気たっぷりに話す。
参加者たちは毎週金曜日、ベルン郊外の老人ホーム「ドミシル・バウムガルテンDomicil Baumgarten」に集まる。入居はしておらず、他人と触れ合ったり、介護家族に休息を与えたりする目的でやってくる。
需要拡大に対処
クルト・ヴェクミュラーKurt Wegmüller施設長(写真左上)によると、この老人ホームでは年間25人分しか空きがない。入居率は98%。自立型住居の入居待ち人数は300人。介護付き住居は急な入居に対応できるようになっているため
ここを含めた21の老人ホームを運営するドミシル(Domicil)はベルン州最大の介護施設運営会社だ。入居者約1500人の平均年齢は85歳で、平均居住期間は3.5年。そのうち500人が比較的自立した生活を送り、1千人が介護サービスまたは認知症ケアを受けている。
高齢者向け住宅及び老人ホームの需要は高まる一方だ。スイス健康調査機関(Swiss Health Observatory :Obsan)の2009年研究報告書によると、05年から30年までに65歳以上の人の数は66%に増加し、80歳以上の人の数は2倍に増加。また、介護士として現在働いている人のおよそ半数が、30年までに65歳以上に達する見通しだ。
介護職に興味のある人は多いが、今後定年退職する介護士の穴を埋めるのは容易ではない。
未来の介護士を育てる
スイスでは、初級介護士が10代の若者が選ぶ見習い職で3番目に人気の職業だ。初級介護士の資格は、上級介護士の資格を得る際のベースとなる。この職を選ぶのは主に女子だが、男子の数も増加している。ベルン大学病院では見習い募集人数40人に対し、毎年300人の応募が殺到する。ただし、「興味があるだけでは不十分」と、同院で従業員の教育・訓練を担当するヘンリエッテ・シュミードHenriette Schmidさんは断言する。
ドミシルのハインツ・ヘンニHeinz Hänni最高経営責任者(CEO)(写真左中)は言う。
「病院勤務に魅力を感じる若者は多いが、人生経験を積んだ人は長期的なケアができる勤務先を選ぶことが多い」
これには、介護士としての経験のあるシュミードさんも同意する。「私が20歳だったころは、医療技術、特に手術に興味があった。それが普通だと思う。若いときは、老齢や慢性の病気といった問題には特に向き合おうとは思わないから」
人材を引き留める
そこで重要となってくるのは、いかに介護士を職場に留めておくかだ。精神面、心理面、肉体面でハードな介護職だが、「職場の雰囲気が良く、仕事が評価されるのであれば、従業員を引き留められる」とシュミードさんは言う。
ドミシルでは従業員をねぎらうための制度を設けている。採用初年度には年5週間、45歳に達したら年6週間の有給休暇があり、退職制度も充実している。
人材を集めたいスイスの老人ホームにとっては、仕事の満足度がセールスポイントになるかもしれない。バーゼル大学が国内の老人ホームで働く介護士5千人を対象にした2013年調査報告書では、介護の質は高く、全般的に介護士は自分の仕事が好きだということが分かった。
しかし、時間に追われたり、仕事量が多かったり、人材が不足したりすることは仕事のストレスにつながっている。「従業員の数が減らされるのに仕事量はそのまま、ましてや増えるのであれば、じきに良い従業員を失うだろう」とシュミードさん。
外国人介護士の重要性
バーゼル大学 University of Baselの調査報告書によると、老人ホーム運営事業者の9割以上が介護士の採用は難しいと考えている。さらに状況を厳しくするのが、欧州連合(EU)出身の労働者を含めた移民数制限法案が今月9日に国民投票で可決されたことだ。事業者は介護士を採用・維持するには新しいアプローチを探らなけれなばらなくなった。
ドミシルの従業員は1350人おり、4人に1人が外国人だ。「スイス人よりも外国人を優先して採用しているわけではない」とヘンニさん。「募集してもスイス人が見つからないのだ」
国民投票の結果を受け、今後は外国人労働者の採用が「もっと、もっと複雑になる」と、ドミシルのフランチスカ・ホネッガーFranziska Honegger 人事部長(写真左下)。だが、必要な数の外国人スタッフは雇用できるようにしていきたいという。
ドミシルでは様々な戦略で人材を採用している。一度離職した人が職場復帰しやすいよう特別支援プログラムを設けるかたわら、見習いを141人受け入れ、EUのパートナー企業と協力している。また、EU域外出身の労働者受け入れプログラムにも参加している。しかし「(EU域外出身者向けの)労働許可を取得するのは非常に困難」とホネッガーさんは付け加える。
イノベーション
高齢化社会のニーズを満たすには様々なレベルでイノベーション(革新)が必要だと、バーゼル大学の研究調査の共同執筆者ザビーナ・デゲーストさんは話す。介護士の養成方法、老人ホーム、介護方法、病院及び家庭医との連携、研究などの分野で新しいアプローチが求められている。例えばシニアに優しいデザインの家具や、老人ホーム入居者の希望を直接聞くことはこれまであまりなかった。
デゲーストさんは言う。「年を取り、人に頼るようになることは、人生においてとても基本的なこと。(高齢者の介護では)テクノロジーは解決策にはなりえない。結局は人が介護をすることになる」
ジーニ・ヴルツ,swissinfo.ch
International Business Times 2014年2月26日 原文のまま
関連記事:英語版Meeting the urgent need for care in nursing homes
編者:写真右の女性はロシアからの外国人看護師。

★専門職に認知症の人の終末期の権利についての知識が乏しい(2月12日/オーストラリア)
本日「オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Australia」と「オーストラリア緩和ケア協会Palliative Care Australia」が発表した報告書「認知症の人の終末期ケア"END OF LIFE CARE for people with dementia 」によると、認知症の人の終末期の願望は応えられていないし、このことは治療を拒否する人権に関して医療と介護の専門職(以下「ケア専門職」とする)のあいだで知識が乏しいことにもよります。
オーストラリアアルツハイマー病協会が「ブパ健康財団Bupa Health Foundation」の支援のもと委託したこの報告書は、236人の介護家族と783人の医療と介護の専門職―登録看護師、一般医、専門医、看護学生、介護職など―から得られた情報に基づきます。
この調査で次のことが認められました。
「介護家族の5人に1人(20%)は、また多様文化言語共同体Culturally and Linguistically Diverse Communities(CALD)の介護家族にとってほぼ3人に1人(30%)は、認知症の人の願望が満たされなかった、あるいはとても満たされなかった。専門職のほぼ3人に1人(31%)は、認知症の人の終末期の願望に沿えなかった」
さらに報告書は「これは、ケア専門職が人の法的な権利を知らないことからもきている」と指摘し、次のことが認められています。
「多くのケア専門職は、人が終末期に食物や水分を拒否すること(29%)、抗生物質を拒否すること(22%)、あるいは医療を拒否したり行われている医療を止めること(14%)ができる権利を持っているということを知らないか、確信がない」
オーストラリアアルツハイマー病協会のCEOであるグレン・リース氏(写真)は次のように述べています。
「この結果は、認知症の人が終末期に法的は権利を持っていることをケア専門職がもっとよく理解する必要があることを示しています。認知症の人は、事前ケア計画を立てる権利を持っています。かれらは、抗生物質、食事、水分を含む医療を拒むことができます。また蘇生術を受けないという指示もできます。死の危険があっても適切な疼痛管理を望むのであれば、それを受けるべきです」
また調査によると、公的な介護職のほぼ4分の1(22%)は、認知症の人の終末期の痛みがよく管理されていません。
わずかのケア専門職(7%)は、認知症の人の痛みを評価したり管理する自分たちの能力に満足していません。死を早めるかもしれないが適切な痛みの管理はオーストラリア人の法的な選択肢であることをケア専門職の13%は考えたことがなく、14%は確信がありません。
これについてリース氏は次のように述べています。
「こうした課題は困難ですが、臨床医は人の願望に沿わないという正当な理由を持つ必要であることを理解しなければなりません。医療専門職の判断に私たちだれもが頼りまた評価しているにもかかわらず、専門職は個々人の願望と自分たちの判断および技術とのバランスを取ること、またそれを実施することが難しいことを知るべきです」
調査から言えることは、専門職の研修にギャップがあります。多くのケア専門職は、緩和ケア(26%)、非言語的コミュニケーション(28%)、終末期の認知症の人の法的権利(38%)、あるいは認知症の人の痛みの評価(41%)について研修を受けていません。
しかし、ケア専門職の大多数(90%)は、認知症の人に有利な終末期ケアの研修を見付けだろうと答えています。
またリース氏は「医療専門職のこうした認識は歓迎する」と述べています。
調査で、その他、次のような問題が確認されました。
○ケア専門職の75%は「医療の現場で緩和ケアは行われている」と答える。
○介護家族は、終末期に家族は緩和ケア専門医(58%)、ホスピス(68%)、認知症の人の在宅支援(49%)を利用していない。
○ケア専門職の60%は、「私たちの組織はCALDの背景のある人たちに適切な終末期ケアを提供してない」と答える。
○終末期の認知症の人を介護している家族の39%は、「事前ケア計画を持っている」と答える。
さらにリース氏は次のように述べています。
「認知症の人と家族にとって、調査から得られる明らかなメッセージは、終末期の課題は難しいということです。しかし、もし本人や家族がそれについて語らることがなければ尊厳と尊敬のある終末期を過ごすことはさらに困難でしょう」
介護家族や認知症の人の将来の資産、生活様式、医療計画を支援するため、オーストラリアアルツハイマー病協会は、オーストラリア緩和ケア協会、消費者健康フォーラムConsumers Health Forum、オーストラリアケアラーズCarers Australia、オーストラリア加齢委員会Council On The Ageing(COTA) Australiaなどの健康と高齢者のケアに関わる組織と連携して「さあ語りましょうStart2Talk」というサイトを立ち上げています。
AustralianAgeingAgenda February 12, 2014  Knowledge lacking on end-of-life rights
関連情報:"END OF LIFE CARE for people with dementia SURVEY REPORT FEBRUARY 2014"(pdf 400K)(要約)
編者:わが国では認知症の人の終末期の権利の法的裏付けがないなかで、認知症の人と家族と医療職と介護職はどうすべきか。

在宅の認知症の人への連携ある働きかけで施設入所が遅れる(2月10日/アメリカ)
ジョンズホプキンス大学医学部Johns Hopkins University School of Medicineの心理行動科学科のクインシー・マイルス・サムスQuincy Miles Samus准教授(写真左)らグループは、記憶障害のある高齢者が在宅から施設へ移行するのを遅らせ、応えられてない必要事項を減らすために認知症連携介入の活動について評価を行いました。
メリーランド州バルチモアBaltimoreの28郵便番号の地域を対象として、認知機能障害のある70歳以上で地域在住で英語が話せ、連れ合いがいる人303人が得られました。この人たちを無作為に分けこのうち110人について18か月間、個別的なケア計画に基づく働きかけを行い、他のグループについて通常にケアを行うという無作為対照試験を行いました。
個別的なケアとは、サービスの紹介と連携、認知機能教育とその技術の向上、多職種チームによるケアモニターであり、こうした介入―在宅自立向上Maximizing Independence (MIND) at Home―を行いました。
活動の評価は、在宅から施設への移行の時間と答えられなかった必要なケアをケア全体で占める割合で行いました。
その結果、介入したグループでは、いかなる原因であろうとも在宅から施設への移行への時間が有意に遅く、介入しなかったグループと比較して37%遅かった。応えられなかった必要なケアの減少については、対象グループと有意な差はありませんでしたが、介入グループでは安全、法的・事前指示の分野で有意に減少が認められました。また介入グループで生活の質についての自己報告で優位に改善されていました。しかし代行者がみた生活の質、神経精神医学的症状、うつ状態については両グループの間で違いは認められませんでした。
この活動を行った地域ワーカーである認知症ケアコーディネーターは、4週間の集中研修を受け、講義、ロールプレイ、認知症の人の臨床的観察が行われ、看護師や医師から実際的な支援を得て、さらにチームとして毎週、事例検討が行われました。
こうした活動を評価した結論として、地域ワーカーによる在宅での認知症ケアの連携ある介入によって、施設への移行を遅らせ、応えられなかった必要事項を減らし、自己報告による生活の質の改善を認めました。
この研究論文は、アメリカ老年精神医学会American Association for Geriatric Psychiatryの雑誌American Journal of Geriatric Psychologyの1月6日電子版に掲載されました。なお、この研究報告の一部は、2012年7月14日から19日までカナダのバンクバーで開催されてアルツハイマー病協会国際会議Alzheimer's Association International Conferenceでポスター発表され、報道機関に情報提供されました。
研究結果についてサムサ氏は「この結果から、将来、より広範な在宅ケアモデルが評価されるべきであり、メディケイドやメディケアなどの公的保険者へ費用対利益の情報を提供するができると示唆されている」と述べています。
MedicalXpress February 10, 2014 Experimental care program keeps people with dementia at home longer, study showsおよび論文A Multidimensional Home-Based Care Coordination Intervention for Elders with Memory Disorders: The Maximizing Independence at Home (MIND) Pilot Randomized Trial
サイト内関連記事:認知症の人の在宅生活を支援する新しい方法―認知症ケアコーディネーター―(2012年7月19日)
関連情報:Maximizing Independence at Home (MIND at Home)(pdf 150K)
編者:公的医療保険が限られ、公的介護保険もないアメリカでこうした研究によって証拠ある有効なサービスが私的あるいは公的な保険でカバーされることが期待されていると思われる。介入すれば期待される結果が当然出ると予測されるが、科学的な証拠がないと説得力がないのだろう。アメリカ的やり方かグローバルスタンダードか。

「認知症ケアショップ」は認知症の壁と偏見を壊す(2月7日/イギリス)
イギリス南西部のグロスタシャーGloucestershireでは、認知症に優しい地域を創る課題が掲げられ、昨年11月、初めて目抜き通りに1日だけの「認知症ケアショップ」が一般の人たち向けに開かれました。
このアイデェアは同地で認知症指導者賞を受けた二人の地元のナーシングホームの管理者によるものです。
このアイディアは、行動計画の作成と実施、またはケア改善のために革新的な構想を向上させるものです
介護施設の管理者であるルーシー・ヘネシーLucy Hennessey氏とベッキー・ヘイウッドBecky Haywood氏は目抜き通りで空いている店を使用することで議会と合意して計画を実施しました。二人は、宣伝活動を行い、チラシを送り、地元メディアに話しました。
その店は、チェルトナム目抜き通りCheltenham High Streetに1日限定でオープンしました。地元の弁護士、一般医、エッジUK Age UK、国民保健サービスNHSのマネイジングメモリーツゲザーManaging Memory 2getherが行う無料の専門家の相談が受けることができました。また認知症の人と介護者のための無料のマッサージも提供されました。さらに個人的なトレイナーが認知症の人のために考案された身体運動の技法の意義を提示しました。無料のコーヒーやビスケットが認知症についてのチラシと共に用意されました。店には、地元の子供たちによる認知症に関する前向きなイメージを表現した作品を展示しました。これは郡で行われた世代間の啓発活動の一環です。
店のスタッフとボランティアは、1日開らく店を支援、運営するために自分たちの時間を諦めました。助言、指示、情緒的支援を求めて80人以上の人が店に入ってきました。またそれ以上に多くの人たちが店の外で立ち止まりウインドウに展示された情報を読んでいました。多くの積極的な意見が聞かれ、そのなかには以下のものもありました。
「認知症について語ることを勧めてくれるのはとてもよい方法です。認知症は話すのがとても困難ですが、こうしたことでもっと受け入れられます」
「なんと革新的なアイディアでしょう。よくやっています」
多くの人は店に入るのを躊躇しましたが、たとえば「入りたくないが、アルツハイマー病についての説明書のようなものを持っていますか?」と話す人もいて、共有していることを感じました。
誰もが望んでいた目抜き通りの店を持って、認知症を人々の生活に加わり、偏見や誤解を壊す道筋を始めたのです。店はサービスを利用してない人に近づけました。このため速やかに店を郡内で移動開設し、あらゆるグループに接近し、グロスタシャーが認知症に優しく、認知症に前向きであることを住民に認識してもらうことを確かめることが必要と認識しました。
○もっと情報を得たい人は、メールmary.keating@glos.nhs.ukでコンタクトを取ってください。
(Nursing Times 7 February, 2014 'Dementia care shop breaks down barriers and stigma')
編者:紹介するほどの記事ではないと思うが、イギリスでの「認知症に優しい地域」作りの一例として紹介した。

アルツハイマー病の人の生前遺言に反して栄養補給を命じる判決(2月3日/カナダ)
マーゴット・ベントレイMargot Bentley氏(写真左上は1999年頃、左下は現在)の家族は彼女の最後の希望を尊重する方法を失います。
介護施設で栄養補給を止めて尊厳ある死を望んだアルツハイマー病の人の家族は、ブリティシュコロンビア最高裁判所B.C. Supreme Courtで闘争に敗れました。
ベントレイ氏の夫と娘は、裁判所に彼女のケアの事前指示書advance care directive―生前遺言living willと同様に知られている―の意思を実行することを要請しました。アボッツフォードAbbotsfordにあるメープルウッドハウスMaplewood House(居室例)の職員は、その意思に反して彼女にスプーンで食事を摂らせ続けていました。
家族は、彼女が不治の病になったとき、栄養あるいは水分を拒むことを意図した法的に拘束力のある文書に署名をしていると主張しています。
ベントレイ氏は、もはや話すことも、家族を認識することもできず、ほとんど動けません。この3年間、スプーンで食事が補給されました。
しかし、判事のグレイエルGreyell氏は、ベントレイ氏の行動を通して、栄養と水分の受け入れに同意していると見なし、栄養補給を続けるべきと判定しました。
判決文でグレイエル氏は、彼女の家族が食事を続けることを決定する能力はなく彼女の意思を実行するための最善の意図を持って行動しているとみなしました。
しかし、判事は、決定できない成人の代わって代替決定者が口からの栄養や水分の提供―スプーンあるいはコップで―を拒む権限を持っているという明確に決着のついた法律はないことも認めています。
ベントレイ氏は、元看護師でアルツハイマー病の患者への影響を直接に知っていました。自分で診断した時、彼女は栄養や水分を含む人工的な方法で活かしておいてほしくないという指示書に署名しました。現在彼女は、アルツハイマー病の7段階か最終段階(訳注)です。
メイプルウッドハウス運営者であるフレイザーヘルスFraser Healthは裁判所で施設のケア計画を主張しました。
CBC News  Feb 03, 2014 Alzheimer's patient must be fed despite living will, court rules
訳注:アメリカのAlzheimer's AssociationがSeven Stages of Alzheimer'sを解説している。

「徘徊」中の認知症の人が列車にはねられる(2月2日/カナダ)
認知症の高齢者が、今月1日の夜、メトロバンクバーMetro Vancouverにある介護施設エバーグリーンバプテストケアホームEvergreen Baptist Care Home(写真右)から外出した後、列車にはねられ重傷を負いました。
当日夜の8時頃、ホワイトロックビーチWhite Rock Beachの桟橋の東でバーリントンノーザンサンタフェBurlington Northern Santa Fe発の貨物列車にはねられました。
警察は「列車の技師は警笛を鳴らしたが、男性は列車に向かって歩き続けた」と述べています、
カナダ連邦警察Royal Canadian Mounted Police(RCMP)のブライオン・マッシーBryon Massie警部補(写真左)は「第一応答者が到着したとき、男性は意識があり呼吸をしており話していた」と述べています。
救急輸送隊のヘリコプターが到着して、男性を病院に搬送しました。病院では、頭部外傷で翌日、入院のままであること確認されています。
警察は、土曜日の夜、ハイストリートHigh StreetとベイストリートBay Streetの間のマリンドライブMarine Driveを通行禁止にして状況を調べて記録しました。ここは施設までおおよそ1キロメートルです。
また警察は「男性は衝突する約1時間後の9時頃までに施設から行方不明になったとの報告は受けていない」と述べています。
施設のスティーブン・ベネットStephen Bennett事務局長が施設の入居者と確認しました。
ベネット氏はCBCに書面で次のように述べています。
「彼は介護棟の1つで生活しており、当日の夕方、施設から出歩きました。私たちが最も関心あることは、本人と家族がよい状態であることです。またその入居者が、現在、病院で回復傾向がよいということもよく理解し、速やかな回復を希望しています」
CBC News Feb 02, 2014 Wandering dementia patient hit by train in White Rock
編者:カナダでも認知症の人の鉄道事故があるとのニュースを紹介した。
続報:Care home investigates dementia patient's escape-Evergreen Baptist Care Home launches investigation after senior struck by train in White Rock-(CBC News Feb 03, 2014)

中国はアルツハイマー病の危機に直面(1月28日/中国)
中国に900万人以上の認知症の人がいますが、治療する資格のある医師はたった300人しかいません。この不足のために家族は困り、国の高齢化に伴い、福祉制度の資源が脅かされています。
71歳のシ・アクアンShi Anquan氏は、中国北部の村で薪を切ったり市場を訪れるとき、妻のユーホワYuhua氏(71歳)が、後から黙ってとぼとぼと歩いています。農民のシ氏は、妻の介護―入浴させたり靴下を変えたりなど―のために十分な時間をさくため、農作業は諦めました。村唯一の介護施設は精神的病気をもった人をみません。最も近い病院に認知症の専門家はいうません。このためシ氏は、妻と遠出して北京の医師を受診します。バスを2回乗り換えて片道3時間の行程です。
高齢者ケアの市場について企業に助言するルビコン戦略グループRubicon Strategy Groupの管理医師であるベンジャミン・ショバートBenjamin Shobert氏(写真左上)は次のように述べています。
「アルツハイマー病になると、中国は厳しいところです。加齢現象が中国にとって今世紀紀最大の危機となるでしょう。アルツハイマー病はこの問題の中核です」
2013年6月、医学雑誌ランセットLancetに掲載された論文によると、中国はアルツハイマー病の人が最も多い国です。アメリカやフランスもアルツハイマー病と取り組んでいますが、中国の危機の度合いがとても高いのです。アルツハイマー病の人は人口の高齢化で急増し、さらに大気汚染から糖尿病までの危険因子によって増加しているからです。
限られた社会資源
中国の平均寿命は1990年以降で76歳と7年で伸びています。その進展の裏面に、高齢化人口が急激な近代化と共に起こり、うつ状態からアルツハイマー病までの精神疾患の急増の拍車をかけたのです。しかし国は高齢者へ社会的資源は限定的としています。
この論文の筆頭執筆者のキット・イェー・チャンKit Yee Chan氏(写真右)は次のように述べています。
「中国では、ほとんどの認知症の人の介護は家族に委ねられ、国からの研修や支援は皆無か限定的です。介護者にかなりの身体的、心理的、経済的な負担がかかっています」
ランセットに掲載された論文によると、2010年で中国のアルツハイマー病の人は570万人と推計され、その10年前より53%増加し、この数値は国際的保健団体の推計より2倍にあたります。
シ氏は妻のために専門家を見付けるのに数年かかりました。妻は、5年前、記憶障害や暴力的行為が始まり、夫が金を盗んだと責め、家の周りを追いかけ、鉄の棒で夫の脚を叩いたのです。
地元の医師はアルツハイマー病を疑いましたが、一番近い県立病院に専門の診療科はなく、公的な診断がないまま抗精神病薬が処方され、妻を朦朧となりました。
遠い親族
昨年、遠くの親族が隣村の女性について話しました。その人はユー・シンYu Xin医師(写真左中)に受診したらよくなったとのことでした。ユー医師は北京大学精神保健研究所Institute of Mental Health at Peking University(pdf1M)の臨床精神科の医師であり教授です。夫婦は、昨年7月に遠出して彼の診察を受けました。医師は抗うつ剤で治療し、前の薬よりは副作用は軽かったのです。
とはいえ病気によって二人の生活を混乱し続けています。妻は夫の傍にぴったり付き、見えなくなるとパニックを起こします。夫を探して外に出て行方不明になることもときどきあります。
こうした二人の日々の生活は以前の普通の規則正しい生活とほとんど似てはいません。結婚して50年間、北京の北部境界地の不毛の山間部に近い村―シンフアンインXinhuaying Cun県―でユーホワ氏は家事を取り仕切り、料理をして、平屋の煉瓦造りの家を掃除していました。
増大する依存性
現在夫婦は、若い息子夫婦と同じ家に住んでいます。義理の娘は家事をし、40歳の息子―シー・シュアンズShi Shuanzhu氏―は、化学肥料やトウモロコシの商いといった雑用でたびたび遠出します。老夫婦は、食事以外はほとんど自分自身の世話に費やします。ユーホワ氏は些細な日常行為でも夫への依存が高まっています。
シ氏は、自分の心臓病と闘わなければなりませんが、次のように述べています。
「現在、真夜中に起きて妻に毛布を掛けます。妻は自分ではできないのです。妻のことをどうするか気になります。妻は50年間私の世話もしました。介護のために健康でいることを望むだけです」
不足する介護者
シ氏とユーホワ氏は、中国の多くの老夫婦よりはるかにましです。中国では伝統的な家族構成がますますストレスとなっているのです。何十年間、中国の家族計画で国の多くの地域で夫婦にたった1人の子しか認められませんでした。この政策のため、今日、介護者不足をもたらしています。さらに国が急速に高齢化して寿命が延びているのです。
チャン氏は同僚とアルツハイマー病のデータを18か月間の個別訪問で得ましたが、次のように述べています。
「家族介護の私的なシステムはしばらくして崩壊するでしょう。多くの国内移住、急速な生活費の上昇、平均的な家族サイズの低下、ほとんどいない若い家族員ということが起きています」
アルツハイマー病は認知症の最も多い型で、ゆっくり進行し脳の神経細胞が適切に機能することを阻害するのです。
最初の変化は記憶能力を奪うことです。能力が荒廃したアルツハイマー病の人は歩くことや飲み込むことも困難になるのです。アルツハイマー病の人は初めて診断を受けてから5年から20年間生存します。
北京の老年科
何十年の間、認知症あるいは、標準中国語で呼ばれていたchidai癡呆は、中国―世界で最も人口が多い国―で不活発さや愚かさを連想し、介護の不足を招いています。
非営利の「中国アルツハイマー病プロジェクトChina Alzheimer’s Project」のおおざっぱな推計によると、認知症の専門家は300人ほどですが、実際に役立つ世界標準レベルの医師の数はもっと少ないとされています。
中国のアルツハイマー病の傾向は、シ氏が家族と行った48歳のユ医師の経過と重なります。医師は、大学の上司に頼んで1990年に認知症の関わる奨学生になりました。若い人に最も多い統合失調症の専門家になる替わりにこの道を選んだのです。
ユ医師は「当時、認知症の専門家になりたいとは思いませんでした。多くの患者がみつからなかったからです」と述べています。
何年か後、彼は上司に老年精神科の専門科を設けることを要請し、同意を得たのです。しばらくして医師は中国全土にアルツハイマー病のうねりがあることを認めました。
ユ医師は次のように述べています。
「とても速いものでした。ゼロから突然起こり、大きな問題となりました。その後20年から30年間で、大きな災難となり、社会的、学術的な資源をどのように活用することになり、実際、実施する必要がありました」
危険因子
アルツハイマー病の増加は変化する人口によるものだけではありません。近代化もまた関与しています。
香港大学University of Hong Kongの解剖学准教授で、「アルツハイマー病研究ネットアークAlzheimer’s Disease Research Network」の創設者でもあるレイモンド・チャンRaymond Chang氏(写真左下)は次のように述べています。
「研究に裏付けられた証拠によると、糖尿病、喫煙、脂肪の多い食事、高血圧はアルツハイマー病の危険因子です。既に中国には経済発展によって食事や生活様式が変化し、地球上で最も多い糖尿病の人がいます」
いくつかの最近の研究では、アルツハイマー病と大気汚染の繋がりが認められ、大気汚染は北京のような都会で悪化しています。研究結果は予備的ですが、「環境・公衆保健雑誌Journal of Environmental and Public Health」に2012年,掲載されたネバダ大学University of Nevadaの研究によると、脳の加齢に関係した酸化性変化が促進されることでアルツハイマー病になる危険性が高まるらしいことを示唆しています。
さらいチャン氏は次のように述べています。
「くすんだ大気、粒子状物質は肺には直接は影響しませんが脳に侵入します。また多くの分野―環境、生活様式、食習慣など―も影響し、アルツハイマー病になりやすかに関連するのです」
くすんだ建物
北京の老年科病院Beijing Geriatric Hospitalは、ほとんど公的な病院がないなかで、高齢者に特別なサービスを提供しています。精神保健棟は2階建てのくすんだ黄色の建物で各階にたった20室しかありません。
不動産投資家は、現在、介護不足なかでビジネスチャンスを見ています。10月に「ヴイキャンランドシニアーリビンググループVcanland Senior Living Group」は26病床の施設を天津Tianjin北部に開所し、認知症の中国人に知的な刺激になる活動や入居者が穏やかになれるような部屋を提供しています
しかしヴイキャンランドのような特別なサービスは稀で、シ氏のような家族は中国国内で自分たち自身による工夫を求められています。
シ氏は、自分たちの生活をダメにした病気に直面して、これが自分と妻の運命と諦めています。
彼は居間でユーホワと並んで座って「どちらかが亡くっても、それは天国の意思でしょ。ただ私は彼女をこの家で最期まで介護したいだけなのです」と述べています。
Bloomberg Jan 28, 2014  At 71 Farmer Dresses Wife as China Faces Alzheimer’s Crisis )
関連論文
Epidemiology of Alzheimer's disease and other forms of dementia in China, 1990?2010: a systematic review and analysis( The Lancet, Volume 381, Issue 9882, Pages 2016 - 2023, 8 June 2013)
Air Pollution, Oxidative Stress, and Alzheimer's Disease(Journal of Environmental and Public Health Volume 2012 , Article ID 472751, 9 pages)
サイト内関連記事:中国の認知症の人は900万人以上(2013年6月7日)

急性期病院での認知症ケアに大きな隔たり(1月28日/アイルランド)
アイルランドの急性期病院での認知症ケアの質に関する初めての国家監査報告書は、認知症ケアのレベルで大きな隔たりを指摘しました。
35の急性期病院の2013年に行われた監査は認知症ケアで職員の研修がきわめて不足が明らかにされました。また職員に強制的な認知症研修を行う病院はありませんでした。
不適切な評価
報告書は、認知症の人が入院中や退院時に認知機能、譫妄、気分、行動、心理学的症状の評価が不適切であることも取り上げました。
アイルランド国家認知症監査Irish National Audit of Dementiaは、コーク大学老年学・リハビリテーションセンター Centre for Gerontology and Rehabilitation, University College Cork、トリニティ保健科学センター加齢・神経科学・人間性センター、Centre for Ageing, Neuroscience and the Humanities, Trinity Centre for Health Science、ダブリンタラート病院Tallaght Hospital Dublin、およびHSE保健省・質と患者の安全委員会HSE Quality and Patient Safety Directorateによって行われています。
コーク大学の上級講師のスザンヌ・チモンスSuzanne Timmons医師(写真左上)は、この監査を実施している人の一人ですが、次のように述べています。
「今回の結果は2010年のイギリスで初めての監査で指摘されてことに似ています。2012年のイギリスで2回目の監査は、最初の時より多くの分野で改善が見られたことが示されました。同じことがアイルランドの病院で実現することが期待されます。今回の監査の中心的な指摘は、すべての急性期病院で医師、看護師、関連する医療専門職への認知症ケアの研修が十分ではないということです」
さらに彼女は次のように述べています。
「入院した認知症の人によくある譫妄の有無についてスクリーニングを行っている病院がありませんでした。認知症が慢性的な混乱であるのにたいして、譫妄は急性的な混乱で、その結果はとても悪い。入院中に譫妄のある人は、2倍死亡しやすく、また介護の必要性が4倍高い」
トリニティ大学の指導老年科医のデス・オネイルDes O’Neill教授(写真左下)は、監査の共同実施者の一人ですが、次のように述べています。
「報告書は、認知症ケアを提供するうえで大きな欠陥を明らかにしましたが、同様に大きな機会もあるのです。認知症はとても意味のある病気、典型的な一般病院の入院患者の25%以上にみられますが、システムが用意されていません」
さらに教授は次のように述べています。
「認知症の人を扱う人は誰でも認知症ケアを日常的に研修を受ける必要があります。入院時に譫妄の有無を判定したり認知機能の評価することはきわめてよい方法であり必要なのです。監査報告書の発行はとても時機をえたことで、その結果はまもなく公表される国家認知症戦略National Dementia Strategyに組み込まれます」
また教授は次のように指摘します。
「HSEはこの監査報告に賛同して参加しましたが、その責任は看護や医療の専門職に戻され、大学や卒後の研修でその技量が高められます」
監査報告書は急性期病院での認知症の人のケアに関する45項目の勧告を示しています。これには、個々の病院での研修計画を向上させること、譫妄の有無の確認と治療の方針を向上させること、入院時の認知症の人の精神状態を評価することなどが含まれます。
Irish Times Jan 28, 2014 National dementia audit in acute hospitals shows major gaps in care
関連情報:Report of the Irish National Audit of Dementia Care in Acute Hospitals 2014(pdf 14M)
編者:わが国でも取り組みが遅れている急性期病院での認知症の人への対応についてアイルランドで始まった取り組みを紹介した。まずは現状の確認から始めることのようだ。

アルツハイマー病の治療薬の失敗で研究者は予防に向く(1月25日/アメリカ)
先週、二つのかって約束されていたアルツハイマー病の治療薬が重要な第3相臨床試験で認知機能を改善しなかったことで、効果的な薬物療法が生まれることへの期待は急速に衰退しました。
アメリカで何百万人というベビーブーマーが、今後2,30年で認知機能が低下すると予測されるなかで、有効な介入に関して製薬企業が度重なる失敗をしたことで、研究者は、新たな圧力を受けて、高齢者が認知症へのと退行することを未然に防ぐ予防的方法を確かめたり、向上させることになります。
シアトルにある「グループ健康研究所Group Health Research Institute」の研究副部長のエリック・ラーソンEric Larson医師(写真左上)は次のように述べています。
「コントロールできる危険因子へのさらなる努力を始めるべきです。薬で糖尿病や脳血管障害を減らすといった分野に研究を集中させる必要があると率直に思います。個人的な信条は、たった一つの薬を発見することで解決することはないだろう。アルツハイマー病などの状態でなる前に人生を十分に全うできるように慢性疾患の進行を遅らせるためにいろいろな分野を組み合わせることです」
医療提供者、政府支払者、家族は、アルツハイマー病研究の進展と成功にとてつもなく利害を持っています。有効な治療や予防の開発に失敗することで、増大する精神的な疾患のある高齢のアメリカ人―ほとんどは介護保険に加入しない―のケアの役割を担っている関係者は財政的な負担が増大するでしょう。
こうした関係者にとって先週、よいニュースがありませんでした。医学雑誌New England Journal of Medicineに掲載された論文によると、二つのベータアミロイド阻害剤―ソラネズマブsolanezumabとバピネウズマブbapineuzumab―は、軽度から中程度のアルツハイマー病の人の認知機能を改善しませんでした。ベータアミロイド蛋白は、アルツハイマー病の脳細胞に形成され斑の主な成分です。
この論文に付随する評論で、ベータアミロイド阻害剤の研究を続けることが要請されています。しかし他の研究者は、研究開発があまりに薬に重点を置き過ぎ、人がコントロールできる分野での知見を見過ごしてきたと主張し、「認知機能の低下の要因の半分は、行動、食事、環境要因だ」と述べています。
クリーブランドクリニック脳健康センターCleveland Clinic's Center for Brain Healthのジェフ・カミングスJeff Cummings所長(写真左中)は、昨年、開催されたクリーブランドクリニックの医療革新サミットMedical Innovation Summit 2013 Cleveland Clinicで次のように述べています。
「発病に関わる多くの危険因子は、加齢や遺伝といったコントロール不可能な要因とつながっていますが、多くの研究からコントロール可能な要因も指摘されています。アルツハイマー病はこれまで、ときに3型糖尿病と見なされてきました。アルツハイマー病が肥満と強く相関しているからです。過体重によって、アルツハイマー病の発病の因子に関連する脳蛋白が増加します」
「アメリカ研究製薬工業協会(PhRMA)」の2013年の研究開発報告書によると,アルツハイマー病についてのアメリカでの開発中の薬は94種類あります。1998年から2011年までに101件の薬が開発されましたが成功しませんでした。わずか3種の薬の効果が認められましたが、病気の進行のかなりおだやかな影響を与えるにすぎません。
連邦政府の臨床試験登録に登録されているアルツハイマー病研究は、病気のさまざまな段階で1300以上の研究をみることができます。これらの研究の多くは、これまでの使われてきた薬による試験ですが、アルツハイマー病の進行を遅くさせる脳トレから食事の変更までさまざまな試みが明らかに多いのです。
医学雑誌Neurologyに掲載された研究は、オメガ3脂肪酸の血中のレベルが高い高齢女性で全脳容積が大きいことを認めています。その研究者にとっては、脳健康のよりは機能の保持が示唆しています。
この研究の筆頭執筆者は次のように述べています。
「高い値の脂肪酸は、食事によって得られます。この研究結果から、脳容積への影響は、加齢に伴う1年または2年の脳細胞が通常に失う期間を遅くしていることと同程度です」
「善玉」コレステロールを増やし、「悪玉」コレステロールをコントロールすることは有益で、医学雑誌JAMA Neurologyに掲載された研究では、その結果、人の脳のアミロイド斑が減少しています。さらに論文執筆者は「この関係を理解することで、斑の沈着を遅らせる、さらにはアルツハイマー病の発症を遅らせる新しい方法になりえるのです」
研究者は、ベータアミロイド阻害剤やその他の薬物療法の研究を止めたことを求めてはいません。バピネウズマブの研究論文の筆者は、「症状が現れる前にアルツハイマー病の人に薬を使うことについてさらに研究をすること」を要請しており、認知症が進んでしまってからではこの種の治療は遅すぎると指摘しています。
ソラネズウマブを製造する企業のイライ・リリーEli Lillyの報道担当者は「この薬で別の第3相臨床研究を行っている」と記述しています。
ニューヨークに在る「モンテフィオーレ医療センターMontefiore Medical Center」の老年精神科医のゲリイ・ケネディGary Kennedy医師(写真左下)は次のように述べています。
「これからの研究の流れはタウ蛋白の焦点を当てるようです。この蛋白は、通常、身体にありますが、アルツハイマー病の脳では形成され過ぎ、増殖されることで細胞死が起こります。この過程を止める試みは近い将来の新たな課題です」
なお、他の研究者や臨床医は、脳の退行経過を遅くしたり戻すといった特効薬への研究にあまりの信頼を置かないように警告しています。
シアトルのラーソン医師は「単一の異常な蛋白に焦点を絞るという考えに基づいた病気の唯一で効果的な方法があるとすることは甘くて単純な考え方です。これではまたもや失望することになる」と述べています。
最低限なことは、より多くの研究が必要でより早くということです。そしてアルツハイマー病の最大の危険因子は加齢であるということです。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの科学主導部長のディーン・ハートレイDean Hartley氏(写真右上)は「脳の斑や神経原線維だけでなく、アルツハイマー病に影響を当たれる複数の危険因子も視野に入れた幅広い領域の研究が必要です」と述べ、「最近、オバマ政権が、研究、教育、地域活動、介護者支援へ1億2200万ドルの2014年会計年度の予算は支えになる」と希望しています。
さらに彼は「答を見付けるだろう唯一の方法は研究によってであり、これでこの病気への十分の資金は得たとはまだ言えない」と述べています。
modernhealthcare  January 25, 2014 As drug trials fail, Alzheimer's researchers prevention
関連情報
Phase 3 Trials of Solanezumab for Mild-to-Moderate Alzheimer's Disease( January 23, 2014 NEJM )
Two Phase 3 Trials of Bapineuzumab in Mild-to-Moderate Alzheimer's Disease( January 23, 2014 NEJM )
Medicines in Development Alzheimer’s Disease 2013 REPORT(PhRMA)(pdf1.5M)
Higher RBC EPA + DHA corresponds with larger total brain and hippocampal volumes WHIMS-MRI( January 22, 2014, Neurology)
Associations Between Serum Cholesterol Levels and Cerebral Amyloidosis (December 30, 2013 JAMA Neurology)
編者:寄稿者のサブリヤ・ライスSabriya Rice(写真右下)氏はCNNの元保健医療関係レポーターで、よくまとまったわかりやすい記事なので紹介した。アルツハイマー病の治療の今後の研究で薬以外も重要視するとしても、限られた予算のなかで効率的な研究が行える体制をどう構築するかの課題がある。さらにアメリカのアルツハイマー病の国家研究費ががんや心疾患より少ない現状をどう改めるかも課題だ。他分野の研究者は研究や生活に関わる研究費の既得権を守るだろうし、アルツハイマー病研究者のなかでも適正な配分よりは政治的駆け引きで研究費を獲得するだろう。という難しさを指摘しておきたい。

認知症の「ケアの三角形」で介護者の生活が改まる(1月21日/イギリス)
昨日、認知症の「ケアの三角形Triangle of Care」が、国会議事堂でサルフォード・エックレス地区の労働党のハゼル・ブレアーズHazel Blears国会議員(写真左上)(認知症全党国会議員グループAll Party Parliamentary Group on Dementiaの副議長)が主催した会合で公表されました。
「ケアラーズトラストCarers Trust」の調査によると、認知症の人の介護者は、介護の役割が限界―結果的に認知症の人への否定的影響を及ぼす-にある時、適切に支援されていないことが明らかになりました。また調査による証拠から言えることは、支援に繋げることで介護されている認知症の人への実質的な違いが生じるのです。
ケアラーズトラストはこの指針が実施されることで認知症の人の介護者の生活が変えると信じています。
この指針は、介護者、認知症の人、実践者による共同作業で出来たもので、「認知症UK介護者連合Dementia UK’s Uniting Carers」のネットワークから支援も得ました。指針は、認知症の人と介護者と保健専門職のよりよい共働が達成することで認知症の人の介護を改善する6つの重要な基準から成っています。
ブレアー氏は、母親のドロシー氏が認知症ですが、次のように述べています。
「この指針は介護者へ適切な援助と支援を提供するのに役立つでしょう。介護者は家族を介護するというすばらしい仕事をしており、NHSへの負担を軽減しています。『ケアの三角形』は、スタッフ、認知症の人、介護者が病院で互いに語れるように保証するというすばらしい方法です。サルフォードロイヤルSalford Royal NHSが、この最善の実践の方法を導いたことをうれしく思います」
「ケアラーズトラスト」のテア・シュタインThea Stein事務局長(写真左下)は次のように述べています。
「いくつかの精神保健トラストMental Health Trustとの作業と『ケアの三角形』の実践することで、介護の質と介護者の健康状態に有意な違いが生じていることを知っています。しかし、基本的に視点を変えることが、介護者を外すという最も問題となる実践に必要です。政府の『精神保健行動計画Mental Health Action Plan』が介護者を含めることの重要性を認識しているということを歓迎します。しかし、『ケアの三角形』のようなモデルが十分にすべての精神保健提供者に取り入れられることなくして変化はないでしょう。『ケアの三角形』を政府の精神保健モデルに統合するという計画の委員の機会を歓迎し、NHSから介護者が受ける支援を向上させる機会を持つことを委員に望みます」
この「ケアの三角形」は、「イギリス看護協会Royal College of Nursing(RCN)」と連携して、「RCN財団助成金制度RCN Foundation Grants Programme」による資金で「ケアラーズトラスト」が開発したモデルが基になったものです。
Carers Trust 21/01/2014 Dementia Care guide launched in Parliament could transform lives of carers if implemented properly
関連情報
The Triangle of Care Carers Included: A Guide to Best Practice in Mental Health Care in England Second Edition ( Carers Trust 2013) (pdf800K)
Closing the Gap: Priorities for essential change in mental health (Department of Health UK January 2014)(pdf 230K)

「カナダの老人ホームで火災 8人死亡、30人行方不明」(1月25日/cnn.co.jp)
(CNN) カナダ・ケベック州の小さな町リルベルトにある老人ホームで23日朝、火災が発生し、少なくとも8人が死亡、約30人が行方不明になっている。地元警察が24日に明らかにした。
警察によると、厳しい寒さの影響で捜索は難航しているという。現場の気温が極めて低いため、消火に使用された水が凍り、老人ホームの3階建ての建物は氷に覆われている。警察は、この寒さのせいで機器が凍ってしまうなどのトラブルが予想され、捜索にどのくらいの時間を要するか予想がつかないとしている。
出火の原因は明らかになっていない。政府文書によると、この老人ホームには少なくとも52人が入居していたと見られ、そのうち少なくとも37人が85歳以上。
カロン市長代理によると、入居者の多くはアルツハイマー病を患い、車いすや歩行器を使用していた。
cnn.co.jp 2014年1月25日 原文のまま
関連情報:L'Isle-Verte seniors' home fire started in resident's room: source Resident's request to go out for a cigarette was refused by staff, source tells Radio-Canada (CBC News Jan 25, 2014)

★アルツハイマー病のアミロイド画像診断の有益性はまだ不確か(1月15日/アメリカ)
アルツハイマー病診断で「アミロイドベータ陽電子放出型断層撮影法Amyloid-β Positron Emission Tomography(AβPET)」の臨床上、有益であることを評価できるデータはとても少ないことが、新たな文献研究でわかりました。
ボストンにある「臨床・経済評価研究所Institute for Clinical and Economic Review」のスティーヴン・パールソンSteven D. Pearson医師(写真左上)が指導したこの研究の論文筆者は「AβPETの結果が陽性でもアルツハイマー病と診断できないばかりか、軽度認知障害MCIの進行の危険性について正確に予測するためことにも使えない」と記述しています。
脳の画像検査に関する現行の償還払いについての「Centers for Medicare and Medicare Services (CMS)( メディケア・メディケイドセンター)」の評価した資料も含めた今回の文献研究の論文がアメリカ医師会雑誌のJAMA Internal Medicineの2014年1月号に掲載されました。
2013年4月、「アメリカ政府食品医薬品局(FDA)」は、florbetapir F-18(イーライリリーEli LillyのアミヴィッドAmyvid)を使った脳のAβ 斑の蓄積を確認するAβPETを承認しました。この検査でアミロイド斑が認められない陰性結果は、認知機能障害がアルツハイマー病による可能性は低いと示唆するとしました。しかし、Aβ 斑が認められた陽性の結果についてアルツハイマー病と診断できることが確立されたわけではありません。
2013年7月、同センターは、公的意見のための決定草案を発表し、9月27日、最終判断覚え書が公表しました。この最終決定でCMSは以下のとおり結論付けました。
「社会保障法Social Security Actによる給付されていない画像検査であるAβPETを実施することは疾患、あるいは外傷の診断や治療、あるいは認知症あるいは神経退行性疾患をもつ被保険者の機能の改善のために合理的でかつ必要性があると結論付けるだけの十分な証拠はない」
しかしながらCMSは、この画像検査を向上させる二つのプロセスがあるとも結論付けています。第一は、アルツハイマー病と前頭側頭型認知症FTDといった狭義の臨床的鑑別診断が困難な場合にアルツハイマー病を除外するために行われる場合。第二は、アルツハイマー病の治療および予防に関する臨床研究を成果あるものにするための場合です。このようにしてCMSは、ある種の基準を満たす臨床研究に参加する患者についてはAβPETを給付対象とすることになるでしょう。
したがって、アルツハイマー病のよりよい治療や予防の開発、臨床的に鑑別が困難な診断の解決を目的とする研究に限定されます。この種の臨床研究ではCMSの承認が必要で、研究に参加する人が相応しい集団からの者であり、比較実行可能で縦断的な研究であるべきです。また研究が適切であるということは、前向きで無作為で最終的に剖検による診断を行えるということです。さらに、研究に使われる放射性追跡物質はFDAが承認したものに限られます。CMSの覚え書には「これらに該当しないその他すべての場合は給付されない」と記載があります。
新たに発表された今回の文献研究の論文は、CMSの結論を支持するに有効な研究結果の概要を示しているのです。この文献の研究者は、診断面の正確さを評価した14のAβPET研究と、診断に関わる印象へのこの種の検査の影響を評価した1つの研究文を取り上げました。予測されたとおり、臨床的なAβPET画像検査では無作為の研究がありませんでした。
診断の正確さを評価した14の研究のうち、13は臨床診断あるいはアルツハイマー病の「究極基準」である剖検と画像検査の結果を比較してものです。生体組織検査の結果と比較したAβPET結果の感受性と特異性に関する重要な研究では、医師によって診断された51歳以上の死期が近い患者が対象となり、これらと若年で健康な対象者とが比較されています。この研究では、生体検査によると、すべての患者の66%がアルツハイマー病と診断されました。
個々の画像を解釈する複数の人たちによる研究では、分析の結果、AβPETの感受性中間値は92%、特異性は95%でした。しかしながら、その幅は感受性においては69から95%、特性においては90から100%でした。
診断に関するひとつの研究は、MCIから完全な認知症になる進行の可能性という予後について有益な情報が得られるかのAβPETの能力を評価しています。この研究では、AβPETの結果が陽性である場合、複数の認知機能がかなりの低下することと相関するとされています。MCIの高齢者のうち、AβPETが陽性だった人の29%は18か月以内に完全な認知症になり、陰性の結果だった人では10%が完全な認知症になりました。
しかしながら、今回の研究論文の筆者は、「資料からみると、Aβ PET陽性の人で認知機能の著しい低下が起こるのかどうか、また何時起こるのかを予測するには証拠が不十分である」と指摘しています。
検査結果が診断に与える影響に関する研究は一つだけです。この研究ではアルツハイマー病と疑われる229人について調べ、医師はAβPETの検査の前後に仮の診断を示し、また患者の管理計画も立てます。
AβPETの画像解釈は全事例の54.6%で診断の変化に相関しました。少なくとも事例の85%で、少なくとも決めた管理方針の一分野―例えば、コリンエステラーゼ阻害剤あるいはメマンチンの使用―が変更されました。
これまでのAβPETに関する少ない研究では、AβPETの検査結果が臨床面で管理や患者の状態を改善しているかどうかについては評価されていません。さらに研究者は、アルツハイマー病以外の認知症の患者また生活設計能力について画像検査で生じる利害についても評価がありません。
その他の生じうる問題として、利用可能な研究結果から臨床検査を行うことを検討するには、結果がすべて患者を代表してはいないということがあります。その理由は、これらの研究では、かなり研修を受けた医師やアルツハイマー病の可能性の高い患者が参加していることです。
パールソン医師らは、「AβPET検査の陽性の結果について臨床的有用性はまだ不確実である」と結論づけ、さらに以下の指摘をしています。
「もし検査するならば、認知機能が正常な高齢者のおおよそ3分の1でAβPETで結果が陽性を示す。他方、陰性結果は、アルツハイマー病を基本的に除外できるという感受性は高いのでその臨床的有用性はおおいあるようだ。しかし検査結果が陰性の場合、その後の臨床管理の重要さの変化をもたらし、あるいはこうした変化によって患者や家族に健康面の本当の利益をもたらすかどうかについては不確かである」
雑誌掲載の論文に付随する「編者ノートEditor's Note」で、2010年から2012年まで「メディケア証拠向上・給付諮問委員会Medicare Evidence Development and Coverage Advisory Committee」の委員であったロバート・シュタインブルックRobert Steinbrook医師(写真左下)は次のように記述しています。
「CMSの提案は勇気があって革新的です。この提案によって、有意義な資料から何百万人のメディケアの被保険者の生活を改善する可能性をもった援助ができるからです」
そして彼は次のように結論づけています。
「こうした取り組みは公的な利益に提供することになります。CMSがAβPETの画像検査をアルツハイマー病やその他の神経退行性疾患に関して適切な証拠がないまま給付することは無責任です」
パールソン医師は研究に関して財政的利害関係はないと報告しています。
Medscape January 15, 2014 Utility of Amyloid Imaging in Alzheimer's Still Uncertain
論文:Amyloid-β Positron Emission Tomography in the Diagnostic Evaluation of Alzheimer Disease Summary of Primary Findings and Conclusions(JAMA Intern Med. 2014;174(1):133-134)
訳注:右のAβPETの画像で、左上は健康な人、左下はアルツハイマー病にならなかったMCIの人、右上はアルツハイマー病の人、右下はアルツハイマー病になったMCIの人のものである。
編者:わが国でも健康保険の給付になっていないAβPETは、最近「ねつ造か?」で話題となったJ-NDAIの研究で行われ、脳ドックで既に実施されているが、紹介記事にあるとおり画像検査結果の意義と解釈については注意したい。

★自分でできる新しい認知症スクリーニングテスト(1月13日/アメリカ)
新しい研究によると、紙とペンを使ったテストで認知症のための診察を受ける必要があることを高齢者が知ることができます。
10分から15分間、自分で出来るこのテストは、家庭や地域での催しなどさまざまな場所でも行える短時間認知症スクリーニングの手段として開発されたものです。
認知機能のうち言語機能、記憶、問題解決能力を評価する22点満点のテストで6点以上を取れない人は、認知機能障害の可能性があります。医師は、個別的なテストの結果によってこの障害の原因を知るためにさらに検査を行うしょう。
今回の研究は、健康祭りといった地域の催しで50歳以上の約1000人で行われて、28%に人に認知機能障害を認め、すべての参加者はテストの結果を理解するために受診することを勧められました。
今回の研究を実施した「オハイオ州立大学ウエックスナー医療センターOhio State University Wexner Medical Center」の神経科医ダグラス・シェーレDouglas Scharre医師(写真右上)は次のように述べています。
「このテストは認知症あるいはアルツハイマー病を診断するものではなく、むしろを認知症について医師と話し合うことを始めることためものであることを強調したい。こうした話し合いやその後の診察によって早期に認知症を把握し、よりよい管理や医療ができることになるかもしれません」
「多くの認知症の人は症状が始まって3年か4年後に初めて診断されています。認知症やアルツハイマー病の大きな問題は診断があまりに遅いことです」
「アルツハイマー病を治す方法はないがいくつかの治療方法はあります。治療を早く始めた人は進行が遅いことが研究からわかっています」
「さらに、認知症の人が服薬を忘れるといった危険な状況にならないように防ぐための見守りが必要ですが、このためにも認知症を把握しておくことは重要です」
'SAGE'テスト
認知症のスクリーニングテストは他にもいろいろありますが、その多くは医師が行う必要があります。テストに時間がかかるので、すべての医師が診察しているすべての高齢者の認知症のスクリーニングテストを行うことは容易ではありません。こうして医師は、診察室で診ている高齢者の少しの認知機能の変化に気付かないことがあります。
この問題のため、シェーレ医師らのグループは「高齢認知機能自己検査Self-Administered Gerocognitive Examination (SAGE)」を開発しました。この研究の早い時期の報告によると、思考や記憶の軽度の問題を持つ人の80%がこのテストで把握され、正常な思考能力の人の95%は点数が正常でした。
さらにシェーレ医師は次のように述べています。
「健康祭りなどの地域の催しでSAGEテストを行うことで、ふだんは受診しない人が受診することになるでしょう。また数年後に再度テストを受けることがあればれば、点数の変化から認知能力の変化が示唆されるかもしれません」
さらに研究が必要
しかしながら、SAGEテストが実際に認知症の早期把握に役立っているかは証明されてはいません。研究者は、この課題に関してさらなる研究を進めることを望んでいます。
またシェーレ医師は「現在の研究では、地域の催しでテストを受けた人たちがその結果について医師と話し合ったかどうかは追跡して調べてはいない」と述べています。
他の専門家はこのテストの背景にある考え方を支持しています。ニューヨークのレノックスヒル病院Lenox Hill Hospitalの神経科指導医のガヤトリ・デヴィGayatri Devi医師(写真左下)は次のように述べています。
「認知症の把握を向上させる多くのテストは有益だと思います。実際、認知症は把握されることが少ないからです。研究によると、かかりつけ医では中等度の認知症の人の50%、軽度の認知症の人の90%が把握されていないのです。SAGEや同様のテストが研究者によって有意義とみなされるまでには時間がかかるでしょう」
この研究論文は、雑誌「The Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences」2014年1月号に掲載されています。
Fox News January 13, 2014 Quick pen-and-paper test can spot signs of dementia
論文:Community Cognitive Screening Using the Self-Administered Gerocognitive Examination (SAGE)
関連情報:SAGE - A Test to Measure Thinking Abilities(Ohio State University Wexner Medical Center)このサイトからテスト用紙はダウンロードできる。英語版SAGEテストの一例(pdf260K)
編者:SAGEは未完成な認知症スクリーニングテストで紹介するに値しないが、多くの英語サイトニュースで報じられているので紹介することにした。

映画も楽しめる新しい認知症病棟(1月7日/イギリス)
イギリス南部のレディングReadingにあるプロスペクトパークホテルProspect Park Hospitalの新しい二つの施設は、浴室トイレ付の部屋や昔の映画が観れるホームシネマの部屋が導入されます。また、廊下は色分けされ患者がどこにいるか確かめられます。
職員と患者はメイデンヘッドMaidenheadにあるセントマークス病院St Marks Hospitalからこの病棟に移ることになっています。この移動は、地域のすべての精神病棟が病院に設置されることに伴うものです。
バークシャーヘルスケアBerkshire Healthcareの運営事務主任のダヴィッド・タウンセンドDavid Townsend氏は、この病棟を最善の施設と呼んでいます。
メイデンヘッドの施設とは異なりシングル部屋があり、面会する家族のために終夜利用できる施設もあります。
タウンセンド氏は次のように述べています。
「精神保健サービスの改革の意図することは、私たちのサービスを必要とする人は誰でも、入院が必要があろうが、地域で生活を続けるのであろうが、正しい方法で最善の場所で正しい治療を受けるべきということです。このロワン病棟Rowan Wardに居ることになる認知症の人は違った雰囲気を作る色分けや音楽を伴う新しく作られた感覚的な環境で恩恵を受け、自立を促すのに役立つでしょう。また私たちの庭を再設計して、患者の癒しを助けるような自然を使うことができます。興奮を減らし、新鮮な空気が吸え、リラックスが促されます」
バークシャーヘルスケアは、昨年7月にロワン病棟とオークウッド病棟の改革のために
保健省から99万6961ポンドの賞金を受け取りました。
BBC 7 January 2014 Cinema installed at Prospect Park Hospital dementia wards
関連記事:New dementia-friendly ward set to open at Prospect Park Hospital( 7 Jan 2014 getreading)(病棟の写真掲載)
サイト内関連記事:認知症を配慮したデザインを急性期病院に(2012年12月/イギリス)
編者:イギリスの精神保健サービスの改革がいかなるものか知らないが、改革により入院が必要な認知症の人を通常の病院の認知症病棟に移すことになったようだ。それに伴い病棟を認知症の人に相応しく改めたという記事だ。

ガーナに認知症教育が必要(1月6日/ガーナ)
「ガーナアルツハイマー病・関連疾患協会Alzheimer’s and Related Disorders Association of Ghana (ARDAG)」の事務局長のエスサー・デイEsther Dey夫人は次のように述べています。
「医学的状態である認知症の状態に関する教育は、この国にとって最も必要なことです。その主な理由は、認知症の症状が人の目には女のようにみえるためです。人は認知症を知らないし、迷信を信じています」
彼女は、テマTemaで開催されてアルツハイマー病協会の認知症に関する会議ののち、ガーナ通信社Ghana News Agencyとのインタビューでこのことを話しました。
その会議のテーマは、「21世紀のガーナの認知症―静かな流行―と戦うCombating Dementia in 21st Century Ghana-the silent epidemic」でした。
彼女は、2,3年前にこの国である事件に出くわしました。それは道に迷って話のつじつまが合わない高齢の婦人が数人の人に殺されたのです。彼らは彼女が魔女だと責めたのです。
彼女は次のように述べています。
「彼らに認知症の知識があると、むしろ助けが必要で命を守るということを知ったでしょう。認知症について一般の人が正しく理解することは、家族によって魔女扱いされれることなく魔女と責められた人たちが救うことができたでしょう。
認知症は脳のある病気に関わる多くの症状を網羅したものです。もっとも多い認知症の型は、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病です。典型的な認知症の症状は、人の能力―とくに記憶、理性的思考、コミュニケーション―が徐々に低下することです」
世界保健機関WHOは「全世界で認知症の人の数は2030年までに6570万人になると予測する」と報告しています。
デイ夫人は次のように述べています。
「2050年までに現在の3560万人の数値は70%増加するようです。認知症の新しい患者は毎年770万人と報告され、これは4秒ごとに1人の新患者が診断されていることになります。推測される年間経費は治療と介護で6040億ドルです。
不幸なことに、ガーナでの認知症の情報は多くはありません。認知症が病気と認識されていないためです。このねじれのために、誤診が生じます。ガーナアルツハイマー病協会は熱心に認知症に関する認識を高める活動を行います。また政府、関心ある個人や団体と連携して、認知症のよりよい理解を構築します」
GhanaWeb 6 January 2014 Education on dementia needed in Ghana - Mrs Dey
編者:ガーナのアルツハイマー病協会はADIに加盟してない。写真は同協会のサイトに載っている啓発集会の様子であるが、中央の女性がデイ夫人か不明。

★催眠療法士は認知症の人の介護者を支援する(1月6日/イギリス)
臨床催眠療法士は、認知症の人を介護者を招待して、リラックスして心地よくなるような無料で自由参加の教室を開催します。
有資格の臨床催眠療法士で全国催眠療法協議会National Council of Hypnotherapyの会員であるラッヘル・アームストロングRachael Armstrong氏(写真)は、イギリス中部のイルクリーIlkleyのハピネスセンターHappiness Centreで勤務していますが、次のように述べています。
「介護者支援は理にかなったことです。介護者の96%は介護のため健康や幸せの問題を抱えています。適切な支援がないと、介護によるストレスで介護者は虚弱になり、さらに大きな身体的情緒的問題―心疾患からうつ状態まで―が生じます。これは介護能力に影響し、介護者と被介護者の両者を損なうことになります。重要なことは、介護者も介護を必要としているということです」
ラッヘル氏は、認知症の人に催眠療法を行っていますが、さらに次のように述べています。
「私が治療上興味あることは、自己催眠を使ってうまく病気を治したり、ストレスを軽減することがグループで始まっているということです。こうして介護者は、アルツハイマー病などの長期にわたる病気の家族を長期にわたり介護することで自分自身が病むことになります。私は、アルツハイマー病の祖母を介護していた母の負担を思い出します」
現在ラッヘル氏は、母親が行ったようにストレスをかわす工夫を通して同じような状況にある人たちを支援したいのです。
また彼女は次のように述べています。
「介護者や高齢者を招待して、自由参加で無料の教室を開催し、リラックスして心地よい状態になるように援助します。ここで休憩をとり、リラックスし、ストレスに対処し、自分のエネルギーを高め、前向きに考えるように支援するような実際的な工夫を得ることができます。教室では認知症治療ための催眠療法についての解説もあります。自由に質問する機会もあり、グループでリラックスする教室も開設します。介護者が経験しているどのような特別なストレスや不安について話し合い、和らげるための助言をするでしょう」
参加希望者あるいは詳しいことを希望する人は電話(07851906696)またはメールRachael@progressthroughhypnosis.co.ukでラッヘル氏と連絡が取れます。
IlkleyGazette 6th January 2014  Ilkley therapist offers support for carers of dementia patients
編者:催眠療法の現状についてよく知らないが、イギリスでの認知症の人と介護者への催眠療法の試みの記事があり紹介した。英語のネット情報では認知症治療として催眠療法の論文などを散見する。

アルツハイマー病にビタミンEは有益らしいが(1月1日/アメリカ)
アメリカ医師会雑誌Journal of the American Medical Association(JAMA)に掲載された研究は、軽度から中程度のアルツハイマー病の人がビタミンE(アルファートコフェロールalpha tocopherol)を多量(2000 IU/d)に服用すると、偽薬より機能の低下の速度が遅く、アルツハイマー病の人が、より長く日々の生活を営むことができ、介護者の支援が少なくてすむと報告しています。
この研究では、軽度から中程度のアルツハイマー病の人613人を対象に、ビタミンEを服用するグループとメマンチンとして知られるアルツハイマー病薬とビタミンEを同時に服用するグループと、偽薬のみを服用するグループに分けました。日々の生活能力―洗う、衣服を着るなど―の変化を平均2年間追跡して調べました。
その結果、ビタミンEを服用しているグループでは偽薬を服用しているグループより機能の低下は年間19%遅いことが認められました。
また ビタミンE服用グループでは、介護者の支援がより少なくてすむことも認められました。
この研究を指導したミネアポリス退役軍人医療システムMinneapolis VA Health Care Systemのモーリス・ディスケンMaurice Dysken医師(写真左上)のチームは次のように結論づけています。
「この結果は、ビタミンEが軽度から中程度のアルツハイマー病の人にとって機能の低下を遅くし、介護者の負担を軽減するという有益性 を示唆しています」
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Society の研究・開発部長のドウグ・ブラウンDoug Brown医師(写真左中)は次のように見解を述べています。
「認知症の人が日々の仕事をこなすことを支えるという治療は、認知症の人ができるだけ長くいい状態で生活することを可能にする鍵です。しかし、どの程度の摂取量のビタミンEが認知症の人に有益なのか、また日々の仕事にこれだけの多量のビタミンEが安全であるかについてさらなる研究が必要です。この種のサプリメントを服用することを検討する前に、常にかかりつけの医師に助言を受けることはとても重要です。またこの研究に参加した人が服用したビタミンEの摂取量は1日の推奨許容量よりはるかに多く、人によっては明らかに有害になる可能性のあるレベルです」
イギリスアルツハイマー病研究Alzheimer's Research UKの研究部長のエリック・カランEric Karran医師(写真左下)は次のように述べています。
「今回の臨床試験はビタミンEが軽度から中程度のアルツハイマー病の人で日々の生活機能の低下をそこそこ遅くしているようですが、記憶や思考能力への効果は認められていません。このことから、ビタミンEをアルツハイマー病の治療薬として推奨するには早すぎます。今回の臨床試験の結果が再度確認されるまで、アルツハイマー病の予防や治療を試みるのに多量のビタミンEのサプリメントを服用することはお勧めしません。ビタミンの服用やダイエットについて関心あれば、自分たちの一般医GPに相談すべきです」
BBC 1 January 2014  Vitamin E 'beneficial' in dementia
関連論文: Effect of Vitamin E and Memantine on Functional Decline in Alzheimer Disease The TEAM-AD VA Cooperative Randomized Trial  JAMA January 1, 2014)
編者:ビタミンEのアルツハイマー病の予防や治療の効果についてはこれまで多くの研究が行われているが、その結果はまちまちだ。この問題を今回の論文は再燃させたようであり、アメリカの多くのネットニュースが紹介しているので本サイトで紹介した。
本サイトでビタミンEとアルツハイマー病に関係について以下の紹介記事がある。
予防効果ありとする結果:ビタミンEを食事で多く摂ると認知症になりにくい(2010年7月28日/オランダ)
予防効果なしとする見解:アルツハイマー病の予防の根拠の程度を分析(2010年4月28日/アメリカ)
ビタミンEの摂取量については、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によると、1日推奨摂取量は18~69歳の男女で6.5~7.0mg、上限は同 900mg(1mg はおおよそ1.5IU)。