2015年 国内の情報



「認知症見守るサポーターに 網走の商店など講座受講」(12月30日)
「明日は我が身…日本の高齢化対策に興味津々の海外紙 政府より地方の取り組みを評価?」(12月24日)
「不整脈の薬、認知症にも効果 長寿研などマウスで実験」(12月17日)
「精神障害者ら7.9万人、受給減額・停止も 年金新指針で 医師団体推計」(12月12日) 
「さいたま市認知症情報共有パス「つながりゅう ささえ愛ノート」を配布しています」(12月11日)
「【傾聴記】増えるホームホスピス 「みとりの文化」再び」(12月10日)
「なぜ「痴呆症」と呼ぶのをやめたことがよかったのか」(12月9日)
「施設入居者のマイナンバー 扱い困った 帯広」(12月8日)
「高齢者捜索で県警嘱託犬の出動増 認知症の徘徊頻発10年前の2倍超」(12月3日)
「「認知症カフェ」全国に600カ所、関心あれば誰でも 悩みや不安を相談、専門家アドバイス」(12月3日)
「認知症の母の介護の心労で無理心中か」(11月23日)
カナダから日本の認知症ケアの報告記事2編(11月22日)
「警視庁 認知症の対応ハンドブック作成」(11月21日)
「ドライバー認知症を専門的に判断 熊本県免許センターに看護師配置」(11月20日)
「高齢者見守りで連携 郡山の57企業・団体連絡会を発足」(11月14日)
「軽乗用車暴走 運転手 認知症の治療受ける」(10月29日)
「認知症になったら施設希望47% 内閣府が初の意識調査」(10月23日)
「認知症に早期対応 駒ケ根市の集中支援チーム活動2年」(10月20日)
「千歳地域SOSネット まちづくり賞受賞」(10月17日)
「屋内や地下でも距離と方角を特定……認知症徘徊探知機器「HITOCOCO」」(10月13日)
「独居140万人が餌食に マイナンバーで子供や後見人が搾取するリスク」(10月8日)
「大阪府 認知症高齢者の行方不明にかかる実態を調査」(10月6日)
「認知症、地域の支援を 宇都宮で全国研究集会」(10月5日) 
「認知症医療センター、各地で拡充の動き- 専門医確保など課題も」(10月4日)
「「認知症」対応力磨く警察官、講師の資格取得が続々」(9月28日)
「認知症はたったの1割 「逆走事故」は健康な高齢者に多い?」(9月28日)
「家族の会、大型店でアルツハイマー病の周知活動」(9月25日)
「認知症ケア 探り続けた 家族の会岐阜県支部創設者・敷島妙子さん(93)永眠」(9月19日)
「認知症の不明者早期発見へ、大阪府がコンビニとタッグ」(9月18日)
「認知症高齢者の靴に「番号」を貼るふじみ野市 地域で進める徘徊対策」(9月16日)
「情報交換に期待 認知症カフェ連絡会発足 西播磨」(9月11日)
「改正道路交通法で認知症診療はどう変わる?」(8月28日)
「<な~るほど介護>温かく見守る、信条に 「認知症サポーター」養成講座ルポ」(8月26日)
「認知症の悩み分かち合い25年 当事者団体県支部」(8月18日)
「認知症ケア大賞受賞 豊橋の元町グループホーム」(8月12日)
「認知症相談4年連続最多、全体の7割 兵庫県まとめ」(8月11日)
「猟犬ブン、タマお手柄 行方不明の男性発見」(8月10日)
「警視庁全職員 認知症講座の受講義務化へ」(8月10日)
「名古屋全区に認知症患者支援チーム 専門職で早期発見」(8月9日)
「認知症看護認定看護師 653人に! 過去3年で約2.5倍に増加」(8月7日)
「認知症の高齢者に抗精神病薬 重い副作用も」(8月6日)
「広がる「認知症カフェ」は志の高いNPO任せでいいのか」(7月22日)
「「徘徊」使いません 大牟田市、訓練の名称変更」(7月22日)
「病状理由の運転免許取り消し・停止、2.5倍の7700件」(7月16日)
「認知症の母殺害、殺人容疑で大阪・枚方の71歳長男逮捕」(7月8日)
「認知症不明者、2年連続で1万人超 所在未確認168人 14年届け出、警察庁まとめ 」(6月25日)
「認知症の兆候を血液検査で、精度80%で識別」(6月29日)
「警察官250人が「認知症サポーター」に認定 認知症患者の行方不明10年で3倍超増加 大阪府警」(6月23日)
「認知症疑いの路上生活者など約130人保護」(6月16日)
「ベトナムで施設経営、ブイ・ドゥンさん 北海道・紋別で先進の介護技術学ぶ」(6月13日)
「認知症疑いなら医師の診断義務付け 改正道交法成立 免許取り消し急増も」(6月11日)
「認知症疑いの4割が車運転 長寿研が再訓練プログラム開発へ」(6月7日) 
「認知症見守りセンサー、三進社印刷所が開発 スマホと連動」(6月6日)
「避難所、認知症の人に配慮を 専門家が実態調査報告」(6月5日)
「認知症SOSネット発足 石垣市」(6月5日)
「また認知症に気付かず 男性保護されず」(6月4日)
「免許返納に悩む高齢者 認知症運転で事故相次ぐ」(5月31日)
「認知症の社会コスト14兆円 慶大医学部グループ推計」(5月29日)
「徘徊高齢者QRコードで身元確認 小野市、兵庫初」(5月29日)
「「徘徊」と呼ばないで イメージ払拭へ言い換え模索」(5月20日)
「横浜市保土ケ谷区で認知症患った91歳女性が車3台にひかれ死亡」(5月7日)

「「特発性正常圧水頭症」治療法の効果、東北大が立証」(5月2日)
「GPS機能を使わず、より“正確な居場所”を捜索できるサービスを活用し、半田市認知症徘徊捜索の模擬訓練を5月8日に実施」(5月1日)
「認知症研究で協定 県・大分大学・臼杵市・東芝」(4月29日)
「65歳以上の15%認知症 県調査、前回より悪化」(4月9日/中日新聞)
「認知症の男性、警察が保護せず死亡 脱水・栄養失調か」(4月8日)
「市長が「認知症の人を地域で支えるまちづくり」を宣言 下関市」(3月27日)
「【暮らし】<な~るほど介護>認知症の人 GPSで見守り 徘徊も居場所を即座に確認」(3月25日)
「船橋の高根木戸「居酒屋みんと」で認知症カフェ-認知症患者と家族が懐メロ」(3月19日)
「県が「認知症コールセンター」廃止へ NPOが自主継続」(3月17日)
「5年目を迎えた「3.11」(上):被災民が直面する「老々介護」の悲惨な現実」(3月12日)
「「認知症カフェ」広がる、地域で患者らサポート」(3月10日)
「認知症高齢者にQRコード “ものづくり”東大阪の徘徊対策 個人情報保護に課題」(2月17日)
「高齢者の足、どう確保 免許保有者に認知症診断」(2月13日)
「認知症疑いの運転者対策に学会意見 日本精神神経学会、「驚きと疑問」と厳しく指摘」(2月10日)
「認知症の妻を夫が殺害か 札幌」(2月8日)
「認知症の人と家族の会、10月に宇都宮で全国集会」(2月7日)
「医療・介護 大転換 第23回 認知症になると精神科病院に連れて行かれる? 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」が描く逆行ケア」(2月4日)
「認知症対策の国家戦略『新オレンジプラン』策定」(1月29日)
「認知症と暮らすまちづくり」宣言10年 あらゆる世代心一つに 大牟田で集い」(1月26日)
「和装でお点前、昔を回想 京都・向日、認知症療法に初釜」(1月22日)
「こころ元気塾  「ダンスセラピー」認知症患者 歌に合わせ運動」(1月22日)
「進行止める認知症新薬へ治験急ぐ エーザイや富士フイルム」(1月22日)
「道交法改正試案:認知症疑いで受診義務…75歳以上の免許」(1月15日)
「高齢運転者の免許更新時、認知症で18人取り消し 該当者は増加の見込み」(1月13日)
「認知症、若年対策強化へ…地域の支援体制充実」(1月9日)
「認知症高齢者10年後は730万人…5人に1人」(1月7日)
「KEY PERSON INTERVIEW 「日本の認知症ケアに世界中が注目しています」世界保健機関(WHO)精神保健・薬物乱用部長 シェイカー・サクセナ氏」(1月5日)
「知りたい! なるほど!認知症(9)「認知症カフェ」で能力発揮」(1月5日)
「認知症高齢者の見守り事業スタート 神戸・西区社協」(1月5日)


★「認知症見守るサポーターに 網走の商店など講座受講」(12月30日/北海道新聞)
【網走】市内でも比較的高齢化率の高い大曲地区で認知症の高齢者を見守ろうと地区の商店が動きだした。12月中旬、地区の5事業所が認知症の人や家族を支援する「認知症サポーター」の養成講座を受けた。来年12月には市の養護老人ホーム「静湖園」(呼人)が民営化されて大曲に移転する予定で、参加者は「緊急時に最低限の支援ができるようにしたい」と話している。
「日常的にお客と会話して関係をつくれば、変化を見過ごさなくなります」。11日に西コミュニティーセンターで開かれた講座。参加者が「サポーターはどこまで支援するのか」と質問すると、講師が答えた。
認知症サポーターは厚労省などが養成を進めており、市内では、介護事業者でつくる市認知症介護研究会から講師が派遣される。今回、網走市社協の市ボランティア活動登録事業所でもある大曲郵便局が呼び掛け、ローソン網走大曲店や流氷の丘カンパニーなどから7人が参加。認知症の症状や関わり方を学んだ。
4月時点の大曲地区の高齢化率は33・08%で、市全体の28・32%より高い。地区の商店でも、訪れた高齢者が自宅を忘れてしまい、帰れなくなる―などの事態が起こっており、対応を学ぼうと企画された。市や社協によると、地区の商店が集まって養成講座を開催する事例は珍しいという。
大曲には17年度、日体大特別支援学校も開校する予定だ。同郵便局の猪沢航局長は「日頃の業務に生かすとともに、これを機会に事業所間の横のつながりをつくり、共助できる地区になれば」と話していた。
市によると、市内には昨年度末で1270人が認知症サポーターとして登録されている。(米田真梨子)
どうしん ウエブ 2015年12月30日 原文のまま

★「明日は我が身…日本の高齢化対策に興味津々の海外紙 政府より地方の取り組みを評価?」(12月24日/ニュースフィア)
現在、日本の人口の25パーセントにあたる65才以上の人口は、2060年には40パーセントに達する。75才以上にいたっては、現在の11パーセントから2倍以上の27パーセントになる見込みだ。
世界で最初の「スーパー・エイジド・ネイション」と呼ばれる日本の超高齢化社会に対する数々の取り組みに、海外各紙の注目が集まっている。ガーディアンは年1、2度の割合で特集を組んでいるようだ。カナダのトロント・スターやグローブ・アンド・メールも先月、相次いで異例の長編特集を組んだ。
その背景にあるのは、やがてほぼすべての西側先進諸国が同じように超高齢化社会と向き合わなければならないという事実だ。そこで、日本の一挙手一投足を見守り、その成功と失敗から学ぼうと、各国が注目しているようだ。
◇政府より地域の活動を評価
日本の直面する試練は、世界最大の長寿国であるとともに、世界最大の債務国でもあることである。その負債額はGDPの230パーセントにもおよぶ。高齢者の健康を守り独立を促すことによって国庫を圧迫する医療・保険関連の支出を減らすことは、政府にとって死活問題である。2010年に頂点を迎えた1億2700万の人口も、その後は下降するいっぽうだ。昨年の死者数から出生数を引いた自然減は26万8千人で、自然減は8年連続となっている。
これらの事実を踏まえて、日本政府は大胆な措置をとらざるをえなかった。数々の試みのなかで各国からとくに注目されるのが、2000年に導入された介護保険だ。グローブはこれを「完璧からは程遠い」としながらも、試行錯誤を重ねる姿勢は評価している。
また各紙とも、政府よりもむしろ地方自治体や地域社会の取り組みをより評価している。ガーディアンは横浜市、和光市、大阪府や長野県の各種取り組み、グローブは埼玉の「介護ローソン」を紹介。地方レベルの比較的小さな取り組みにまで各紙が注目しているのには驚く。
◇認知症とともに歩む
また、ガーディアンとスターは日本の認知症対策にとくに注目している。現在世界で4700万人と言われる認知症患者人口は、2050年には1億3千万になるといわれる。日本では現在460万人を超え、10年後には730万人に達する見込みだ。昨年は1万人以上の患者が行方不明になり、大多数は見つかったが、168人は未だ消息不明のままだ。
「介護地獄」という日本語まで紹介するスターが着目するのは、厚生労働省が提案する新オレンジプランの一環で、2018年までに認知症初期集中支援チームを全市町村に設置する試みや、デイケア、小規模多機能型居宅介護など。ガーディアンは全国に540万人の訓練されたボランティアを擁するNPO法人「認知症フレンドシップクラブ」を紹介する。
65才以上人口が30パーセントを超える2025年が「クライシス・ポイント」といわれる。スターは、それまでに日本は認知症患者がよりよい暮らしを送れるよう「誰もが貢献する」社会を実現するという、ロンドン大学キングス・カレッジ老年学研究所の林真由美氏の意見を紹介している。ミシガン大学名誉教授で日本の介護保険に詳しいクレイトン・キャンベル氏によると、日本は、「認知症ケアにおいて世界のどこよりも優れている」そうだ(スター)。
またガーディアンは、面倒な手続きなどのお役所仕事から解放された、思いやりにあふれる非公式のサポートや草の根運動が効果を生んでいると指摘。こういった社会の連帯力こそ、日本の強みかもしれない。
◇ビジネスチャンスを求めて
日本の「シルバー・ウェーブ」には明るい側面もある。グローブはシルバーマーケットの経済効果にも着目しており、カナダ企業と資生堂のプロジェクトを紹介。バンクーバーのレプリセル・ライフ・サイエンス社は資生堂から3500万円の融資を受け、社の細胞技術を毛髪再生医療にあてた臨床試験を行っている。可処分所得が多いのも高齢者だ。「大きな、大きなマーケットです」と、神戸の資生堂新領域研究センター再生医療プロジェクト室長の岸本治郎氏は言う(グローブ)。
とはいえ、高齢化問題はもう一方の側面―少子化問題―とともに対策を練らなければ、真に効果的とはいえないかもしれない。ただ1紙、グローブが指摘するように、2060年で13パーセントを切るのが19歳未満の人口。今後、若年層への金銭的・肉体的負担の増加により、さらに少子化に拍車がかかる。一枚紙の裏と表でもあるのだ。(モーゲンスタン陽子)(写真)
NewSphere 2015年12月24日 原文のまま
関連情報
Japan's population continues to age as number of children hits new low  (the guardian 4 May 2014)
How Japan is training an entire country to help with dementia (thestar.com Nov 22 2015)
JAPAN’S BOLD STEPS (the globeandmail Nov. 16, 2015)

★「不整脈の薬、認知症にも効果 長寿研などマウスで実験」(12月17日/日本経済新聞)
国立長寿医療研究センター(愛知県)や理化学研究所(埼玉県)、同志社大(京都府)などのチームは17日までに、不整脈の治療薬がアルツハイマー病で起こる脳の神経細胞の減少を防ぐ効果があるとのマウスの実験結果を英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
この薬は不整脈や気管支ぜんそくの治療に使われる「イソプロテレノール」。チームの高島明彦・同センター分子基盤研究部長(写真)は「認知症の進行を止める世界で初めての薬になるかもしれない。人での効果をできるだけ早く明らかにしたい」と話している。
アルツハイマー病の患者では、神経細胞の中で「タウ」と呼ばれるタンパク質が異常に集まり、細胞が死んでしまうことが知られている。
チームは特定の構造を持つ薬剤が、タウが集まるのを抑えることを発見し、同じ構造を持つイソプロテレノールに着目した。
タウが過剰に作られ認知症のような症状を起こすマウスは通常、3カ月後に神経細胞が11~28%減少するが、餌に混ぜて投与したところ、3カ月後でも減少しなかった。脳機能の低下や行動の異常も抑えられた。
アルツハイマー病の患者の脳で異常に蓄積するタンパク質「アミロイドベータ」を標的とした薬の開発も進められているが、症状の進行を止める効果が証明されたものはないという。〔共同〕
(日経Web 2015年12月17日 原文のまま
論文:Toxic tau oligomer formation blocked by capping of cysteine residues with 1,2-dihydroxybenzene groups
Nature Communications 6, Article number: 10216 doi:10.1038/ncomms10216
Received 16 July 2015 Accepted 13 November 2015 Published 16 December 201

編者:わが国のアルツハイマー病治療研究陣の久しぶりのヒットだ。臨床への実用化は不透明だが、既存薬に注目したのがよい。

★「精神障害者ら7.9万人、受給減額・停止も 年金新指針で 医師団体推計」(12月12日/日本経済新聞)
国の障害年金の支給・不支給判定に大きな地域差があるのを是正するため、厚生労働省が来年から導入予定の新しい判定指針について、全国の精神科医でつくる団体が「障害基礎年金を受け取っている精神・知的・発達障害者のうち、1割に当たる約7万9千人が支給停止や支給減額になる恐れがある」との推計を12日までにまとめた。
日本精神神経学会など7団体でつくる「精神科七者懇談会」で、同会は「年金を受給できなくなると障害者は大きく動揺し、症状の悪化や意欲の低下につながる」と指摘。厚労省に柔軟な対応を申し入れた。
障害年金では、日本年金機構の判定にばらつきがあるため、不支給とされる人の割合に都道府県間で最大約6倍の差がある。これを受け厚労省は、最重度の1級から3級まである等級を判定する際の指針を作成。精神障害者らの日常生活能力を数値化し、等級と数値の対応表を判定の目安としてつくった。
2009年時点で障害基礎年金を受け取る精神障害者らは約79万人おり、団体側は対応表に当てはめた場合、等級が下がる人が何人出るかを推計。その結果、1級の受給者約5万6千人が2級への変更が予想され、支給が減額される。2級の約2万3千人は3級となる可能性が高い。障害基礎年金は3級では対象外のため支給停止となる。
▽障害基礎年金 国の障害年金はその原因となった病気やけがで初めて医療機関にかかった「初診日」にどの年金制度に加入していたかによって、受け取れる種類が異なる。初診日が国民年金加入中や20歳前などの場合には障害基礎年金となる。受給者は身体障害者を含め約180万人。更新の審査が1~5年ごとにあることが多い。支給額は1級で月約8万1千円。2級になると約6万5千円に減る。3級では支給されない。〔共同〕
日経web 2015年12月12日 原文のまま
編者:認知症の妻も障害年金を受給している。どうなる?

★「さいたま市認知症情報共有パス「つながりゅう ささえ愛ノート」を配布しています」(12月11日/さいたま市)
さいたま市では、認知症の方とその家族が地域で安心して暮らせるよう支援するため、医療機関や介護関係者など、地域の様々な異なる役割を持つ関係者の情報共有と連携強化を図る認知症情報共有パス「つながりゅう ささえ愛ノート」(写真)を作成しました。
さいたま市認知症情報共有パス「つながりゅう ささえ愛ノート」とは
認知症の方に関する情報を地域の様々な関係者で共有し、より適切な医療や介護サービスの提供を目指すものです。
例えば、医療職は介護職では判断できないこと(適切な治療を継続するための注意点など)を、介護職は医療職では知りえないこと(本人の生活条件、生活リズムなど)をこのノートを介して伝え、お互いの不足する情報を補い合い、認知症の方と家族の生活をトータルに支援します
さいたま市 2015年12月11日 原文の一部)

★「【傾聴記】増えるホームホスピス 「みとりの文化」再び」(12月10日/西日本新聞)
「虫の音、鳥の声など自然の気配や四季が感じられる」「子どもを臨終の場から遠ざけない」…。12月上旬、熊本市であった「第4回ホームホスピス全国合同研修会」で紹介されたホームホスピスのケアと運営の基準が興味深い。「暮らしの中で死にゆく」とはどういうことかを考えさせられる。
ホームホスピスは、がんや認知症などの高齢者5~6人が、空き家などを利用した「家」で共同生活しながら終末期を過ごす。介護職や医師、訪問看護師など多職種が連携して24時間体制で見守る。在宅介護の一形態で、あえて国の制度の枠組みに属さず、柔軟なケアを実践している。
2004年、宮崎市のNPO法人「ホームホスピス宮崎」(市原美穂理事長:写真右下)が開設した「かあさんの家」を草分けとして、全国23地域32軒に広がり、九州でも熊本市、福岡県久留米市、長崎県新上五島町などに計8軒ある。さらに、全国10カ所以上で開設が準備され、じわじわと浸透している。
市原さん(68)たちはよりよい形で取り組みを普及させるため、今夏、宮崎市に「一般社団法人全国ホームホスピス協会」を設立。五つの基本理念と八つの基本条件、これらを具体化する約150の基準を制定した。
基本理念の中で「新たな『みとりの文化』を地域に広げます」という一文が特徴的だ。
みとりのあり方として「死期が近づいたときに、一人にしない」「みとりの経験がない家族を支え、見守る」「日々の生活の延長線上にみとりがある」「死を忌むものとせず、死を隠さない」などを挙げる。
本人の意思を確認した上で、延命のみを目的とした本人に負担のかかる医療行為は避け、生活の音やにおいを感じながら、そばにいてほしいと思う家族に見守られて静かに逝く。かつては当たり前だった「暮らしの中で逝く」文化を取り戻そうとしているのだ。
こうしたケアを実践するだけでなく、地域に広げるため、市民向け講演会や遺族の体験発表の機会を設け、積極的に情報発信していくことも基準に掲げている。
厚生労働省によると、1951年の死亡場所は自宅が82・5%、病院が9・1%だったが、2012年は病院が76・3%、自宅が12・8%と完全に逆転した。ただ、ここ数年は病院が微減、自宅と老人ホームが微増傾向にある。
「自宅で最期を迎えたい」という希望の根強さに加え、「みとり難民」の存在が指摘されている。高齢者の増加に医療機関が追いつかず、医療機関で最期を迎える風潮が変わらない限り、安心して最期を迎える場所を確保できない人が増える恐れがある。
制度化されていないホームホスピスは、利用料金が特別養護老人ホームなどの介護保険施設に比べて割高になったり、人手不足に悩まされたりと、課題も多い。半面、宮崎市が独自にホームホスピスの賃料を半額補助する「地域ホスピス支援事業」を展開するなど、各自治体の工夫で地域に合った取り組みを定着させることもできる。
市原さんは著書「暮らしの中で逝く」に書いている。「次の10年が過ぎた時、ホームホスピスがどのような形で存在しているのか、今はわかりません」。各地に溶け込んでいるのか、みとりの文化が浸透して役割を終えているのか、新たな役割を担っているのか。
「本人にとって安心できる空間」で過ごし、「本人が望むように生を全うできる」。ホームホスピスの基本条件が、当たり前に満たされる社会であってほしい。
写真説明:家庭的な雰囲気で終末期の高齢者が過ごす宮崎市のホームホスピス「かあさんの家・霧島」(2012年12月撮影)
西日本新聞 2015/12/10 原文のまま

★「なぜ「痴呆症」と呼ぶのをやめたことがよかったのか」(12月9日/DIAMOND)
浅川澄一 福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)(写真) 医療・介護 大転換【第44回】
かつて「痴呆症」「痴呆」と言われてきた言葉を政府が「認知症」と言い換えたのが2004年。まだ10年しか経っていない。だが、瞬く間に浸透し、認知症への見方が大きく変わりつつある。
「痴」とは「愚かなこと」であり「呆」も「愚か」「鈍い」「のろい」で、人間としてまるごと否定されたような表現だった。上から目線の医療用語をそのまま使っていた。尊厳を謳う介護保険の時代にふさわしくないと、言い換えはすんなり決まった。
言葉の用法によってその内容は随分変わってしまう。とりわけ日本語は、ひとつひとつの漢字が意味を持つ表意文字。語感から受ける印象が強い。
介護や医療の分野では、こうした言葉について違和感を抱くようなことがまだまだ多い。もともと、「お上」からの授かり、あるいは医師など特別の専門家からの「有難いこと」と言う意識が強かったことも影響している。受け手の人たちに、対等意識がなく、こなれない専門用語を鵜呑みにしがちであった。
だが、名は体を表す。どんな分野でも、きちんと中身を適確に著す用語は基本のキであるはずだ。
なぜ「介護予防」を強調するのか
介護保険の利用者が増えていく一方なのに、財源が追い付かない状態を乗り切るため、国が打ち出したのが軽度者への介護サービス縮減策だ。併せて、できるだけ重度にならないようにと「介護予防」のアピールに力を入れている。
このところ、至る所に「介護予防」と言う言葉が溢れてきた。
現行制度でも、最も軽度の要支援1と2の高齢者へのサービスは「介護予防・訪問介護」「介護予防・通所介護」などと表記されている。要支援の人たちは、介護予防のサービスを使うことで、予防になるのだから、本格的な介護保険利用者にならないようにしましょう、ということだ。
また、今年の4月から始まった「新しい総合事業」でも「介護予防」が頻出している。
新しい総合事業は、要支援者を国の介護保険制度から外していく長期プランの第1弾。要介護認定作業が不要な地方の市町村事業へと移し、介護保険の費用を少しでも削減しよういうのが狙い。まず、訪問介護と通所介護を対象に、今後3年の間に全国で全面移行する。
要支援者が新しく受けられるサービスとして「介護予防・生活支援サービス事業」を設け、さらに自立高齢者も受けられるサービスとして「一般介護予防事業」を作るという2本立ての構成である。そのどちらにも「介護予防」の言葉が念仏のように入っている。区別がつき難く、サービス受ける高齢者にはちんぷんかんぷんだろう。
それだけ、「介護予防」を強調したいのである。つまり、あくまでも「予防」なのだから、十分な介護サービスでなくてもいいのです、プロの仕事ではありません、この程度で足りるのです、と言外に伝えたいわけだ。
では、そもそも「介護予防」とはどういうことなのか。
「介護予防」は日本語として間違っている
「介護を受けなければならない状態を迎えないように『予防』に努めましょう。そのために、無理に体を動かすのでなく、ヘルパーの手助けを受けながら、一緒に掃除や洗濯、調理などできる範囲内で行いましょう」。そこで生活支援サービスの提供となる。
「介護を受ける状態にならないように予防する」という内容を縮めて4文字に略したのだろう。しかし、出来上がった熟語は、「介護を予防する」とはなんじゃいな、である。「介護」は「予防」すべきものではないだろう。
実は、「要介護」状態を防ぐのだから、「要介護予防」と言わねばならない。
例えば、「火災予防」とは言うけれど、「消火予防」とは言わない。火災という事故に対応、処理するのが消火である。その消化作業を予防するとは言わない。同様に、要介護や障害状態に対応、向き合うのが介護であり、それを予防できるはずがない。介護予防という表現は、どう見ても日本語としては間違いである。
間違った用語には、「いかがわしさ」が伴うのは歴史が証明している。先の大戦のスローガンを思い起こせば明らかだろう。
では、「介護予防」のいかがわしさとは何か。「予防すれば、介護受ける状態にならない」という間違った発想が根底にある。認知症になるのは、予防の努力が足らないから、と言わんばかりである。
生物はすべて死ぬ。次世代を育て上げれた後に年を重ねるのは、死への道程を毎日歩んでいること。完璧な予防に取り組めば、死を免れるとでもいうのだろうか。アンチエイジングは幻想に過ぎない。
2000年4月に制度が始まった介護保険。将来の膨大な利用者増が想定されることに不安を抱いた厚労省内では、その発足時から「予防」が検討されてきた。要介護認定で最も軽度の判定を受けた「要支援1、2」の高齢者向けサービスの見直しが俎上に上っていたのである。
介護保険のスタート前は、むしろ「保険料を支払ったのに介護サービスを使えない」という不満が出て来ることを回避するために、利用者を増やそうとした。軽度者の範囲を広げて、できるだけ多くの高齢者が介護サーボイスを使えるようにという作戦をたてた。そのため、介護保険制度で先行していたドイツと違って、要支援者まで認定対象者に含めた。ドイツでは、日本の要介護認定のほぼ3以上の中重度者が保険対象者だった。
この作戦は奏功した。65歳以上の高齢者のうち15%前後が介護サービスを受けられることになる。家族介護からの解放感を多くの国民が享受することになり、アンケート調査では制度への支持率は90%を大きく超えた。
軽度者への介護サービスの抑制は2006年4月から始まり、「介護予防」が喧伝されることになる。そして、今年度から着手された「新しい総合事業」で本格化し、各地の市町村で「介護予防教室」や「介護予防リハビリ」など介護予防が花盛りとなりつつある。
介護保険は「卒業」させるものではない
その中で、厚労省から称賛されている自治体が埼玉県和光市である。
地域包括支援センターが作る要支援者向けのケアプランを保健福祉部長が自ら先頭に立って点検し、指示を飛ばす。きめ細かなプランの作成に全市を挙げて取り組んでいる。
「介護予防」に力を入れて取り組んでおり、23種類もの介護予防プログラムを実施してきた。トレーニング機器を使った運動や口腔ケア、栄養指導などだ。
こうした結果、要支援者の人数が激減していった。2013年度の要支援認定率はわずか9.6%となっている。埼玉県全体では13.7%で、全国では17.6%である。和光市は際立って低い。他地域では要支援認定レベルの人でも、同市では「自立」へ向かわせる様々な手立てが成果を挙げ、認定者を減らしたわけだ。
この事実を成果として強調し、同市では介護保険を「卒業」させるシステムと誇る。同市のこうした仕組みを紹介した本は、保健福祉部長が監修して「埼玉・和光市の高齢者が介護保険を“卒業”できる理由」(メディカ出版)と銘打っている。果たして、介護保険は「卒業」するものだろうか。
60歳代、70歳代の軽度の高齢者が運動などで心身の機能を活性化することにより、引きこもり状態から脱して、要介護認定のレベルが良くなることはあるだろう。一時的に介護保険から「離脱」することは十分想定される。
だが、後期高齢者になると心身の状態がままならなくなるのが自然である。前日まで元気で、翌朝旅立っていたというようなピンピンコロリ現象は極めて稀だ。老人にとって全身の細胞劣化は避けられようがない。その衰えた機能を、社会的なシステムで支えられながら日常生活を送るのが大多数の高齢者であろう。
その社会システムこそが介護保険制度である。「卒業」すべきものではない。「卒業」とは、「一つの業を終えること」であり、「ある段階を通り越すこと」(いずれも広辞苑)。学校を卒業するのは、履修を終えて戻って来ないことだ。
心身が衰弱した段階になれば、家庭状況もあるが、介護保険を必要とする高齢者は必ず存在する。それを、いったん要介護認定から外れれば、もう戻らないでほしいと言わんばかりの「卒業」を使うのは疑問だろう。「卒業」と言う用語で要介護者を追い返しかねない。制度の根幹が揺らいでしまう。
「卒業」して、利用すべきものではないのが制度の本旨なら、なぜ保険料を毎月支払わねばならないのか。利用者が増えれば、当然、保険料が上がっていく、即ち利用者に跳ね返っていく。それが保険制度である。ハードルを高めて利用者を絞り込むような制度ではないはずだ。まして「卒業」する制度ではない。
厚労省が和光市の「奮闘」ぶりを高評価し、多くの自治体が先駆的な試みとして同様な仕組みを取り入れる動きが広がろうとしている。その指標として、地域住民の要介護認定率が、全国や当該府県の平均に比べてどれだけ低いかが挙げられる。
「介護予防」の成功事例として、厚労省は和光市のほかに大阪府大東市や岡山県総社市を褒め称えている。大東市の要介護認定率は2012年に16.7%と大阪府の19.7%を下回り、総社市も18.6%で岡山県の20.3%より低い。いずれも介護保険「卒業」者が多いためだ。認定率が下がれば、介護サービス費が少なくなり、制度の持続性はより安定に向かうという「近視眼的」発想が根底にありそうだ。
「ケアハウス」も誤解を生んだ
間違った用語を使い、現場が困惑したことはかつてもあった。代表例が「ケアハウス」。
自宅での食事作りなど日常生活に不自由をきたす高齢者の住まいとして、1990年代に制度化された。段差をなくし手すりを付けたバリアフリーの集合住宅である。1人で入浴できなくなったり、日常生活に介助が必要になれば出て行かねばならない。
名前に「ケア」が付いていれば、ケアサービスがあるだろう思われてしまう。だが、ケアサービスは全く併設されていない。そこで、名前をもじって「ケアなし住宅」とも揶揄された。「終の住処」にならないと知れ渡ると、入居者が途絶えてしまった。単なるバリアフリー住宅を間違えて命名した罪は重い。
その後、特養の待機者問題が起きて来ると、介護保険の特定施設入所者生活介護の指定を受けることで、要介護者の受け入れが始まった。
用語問題でこれから見直しが進むのは認知症ケアの分野だろう。
認知症の人が自宅から外へ勝手に(自由に)出て行ってしまうことを「徘徊」と呼んでいるが、それでいいのかと言う声が挙がってきた。周囲の人たちが「困ったこと」「あってはならないこと」という思い込みからの命名ではないか、という反省からだ。
当人の気持ちでは、何らかの目的があって外出したに違いない。ところが、十数歩歩いているうちに、その目的を忘れてしまう。認知症の人の記憶は、直前のことから消えていくからだ。目的がなくなると、歩くことだけに気がいってしまい、思いのほか遠くまで出かけてしまう。
これが、何の脈絡もない動作にしか見えない。そこで、「徘徊」、つまり「どこともなく歩き回ること」(広辞苑)というレッテルを張られてしまう。
もともと目的や理由があって歩き出した。途中で忘れてしまうことがあっても、問題行動という烙印を押されるべきことではない。
認知症ケアには、本人本位、本人側に立ったケアが必要と指摘されるようになった。当事者自身にも感情があり、気持ちがある。「何も分からない人」ではないと、認知症当事者たちが各地で発言するようになった。特に、若年性認知症の人は、仕事をこなし趣味のカメラ撮影などを楽しみながら生活を送っている。セミナーやテレビ出演、あるいは体験記の出版などが増えている。
そこでは「私たちの気持ちを知ってほしい」「私たちに普通に声を掛けてほしい」と必ず訴えている。
こうした理解が次第に深まっていくと、「徘徊」をそのまま使うことにためらいが生じ、言い換えが模索され出した。
認知症ケアが最も進んでいると言われる福岡県大牟田市では、「徘徊」を使わなくなった。全市を挙げて認知症ケアの実践体験として名高いのが「徘徊模擬訓練」。
市民たちが、認知症になったと仮定して街を「徘徊」し、そこへ様々な職種の人が声をかける訓練である。認知症ケアへの理解を深め、「認知症になっても安心して徘徊できる街」を目指そうとする試みだ。
今年の9月で12回目を迎えたが、その名称を新たに「認知症SOSネットワーク模擬訓練」と改め、「徘徊」を外した。
8月から市役所全体で「徘徊を極力使わないように」と取り決め、状況に応じて「外出」や「帰宅困難」などと言い換えている。だが、「徘徊そのものを別の決まった言葉に決めてはいない」と、悩みを打ち明ける。
先駆的なのは神戸市内などに特養など多くの施設を運営する社会福祉法人「きらくえん」。30年以上前から「お出かけ」「お散歩」「外出」と言い換えをしている。
「ディメンシア(認知症)」の英語表現も疑問
もうひとつ、相当前から気になっていたのは認知症の英語表現、「ディメンシア?Dementia」である。精神的活動、あるいは心的状態が、「de」で否定される。心が空っぽ、精神が通常でないという、かなり大雑把な外見的な捉え方のように見える。
「痴呆」とまで激しくはないが、認知症の当事者にとってはあまり歓迎される表現ではないだろう。そこで、用語に敏感な英国人の認知症当事者に尋ねてみた。
11月初旬に英国スコットランドからジェームズ・マキロップさん(74歳)(写真)が来日した。マキロップさんは、認知症の人のグループを世界で始めて2002年に立ち上げ、当事者の声を国際的に発信し続けている。
「電車の運転士や医師、看護師、介護者などは皆それぞれのグループがある。認知症の人だけないのはおかしい」と考えて、多くに人に呼びかけ、当事者の組織作りに奔走した。「スコットランド認知症ワーキンググループ」である。いまでは、130人もの会員が集まっている。
そこで、まず手掛けたキャンペーン活動は、自分たちへの呼称であった。当時は、「Dementia Sufferers(認知症に苦しむ人、認知症患者)」と呼ばれていた。それを「People with Dementia(認知症のある人)」「People Living with Dementia(認知症と共に生きる人)」に変えた。
「初めはPatient(患者)と言う表現を止めてもらうようにしました。私は病気そのものではなく、銀行員であったし、今も夫であり、父親ですから」とキャメロンさん。英国や欧州のアルツハイマー協会が今では、「認知症と共に生きる人」と言う表現を使うようになったと言う。
そんなキャメロンさんに、Dementiaの用語に疑問はないのかと質問した。返ってきた答えはいささか意外だった。
「私たちのワーキンググループでも、疑問視する声が挙がったことがだいぶ前にありました。代わりの用語が提案されましたが、それがとても難しい専門用語だった。それを普及させようとしましたが、残念ながら広まらなかった」
同じ記者会見の席で、「徘徊に相当する言葉あるか」と問われマキロップさんは、「wanderingは、あちこちさまようという意味になり、相手を見下したことになります。スコットランドでは、大学教授が『Walking Not Wandering』という書名の本を出しています」と話した。
やや説明口調ではあるが、Walking Not Wandering?とはなかなか適確な表現のように思える。
普段は何気なく読んだり、話したりしている言葉だが、時には立ち止まって、その意味を考えてみることで、事の本質を見極めることにたどりつきそうだ。
Diamond Online 2015年12月9日 原文のまま
編者:浅川氏の見解には基本的に異議なし。ただし、「介護予防」が日本語としておかしいなら「認知症」もおかしいとなる。言葉は生き物で文法的に間違っていても市民権を得れば定着してします。マキロップ氏のいう「とても難しい専門用語」というのはdementiaの代替用語としてアメリカ精神医学会が提唱しているmajor neurocognitive disordersのことか。「徘徊」はときに生死にかかわる重大行動で、「お出かけ」「お散歩」「外出」あるいはWalking Not Wanderingといった軽い状態ではない。「徘徊」は「徘徊」でよろしい。浅川氏が「どこともなく歩き回ること」と「広辞苑」の語意を引用するのは「広辞苑」を揶揄しているように聞こえる。学生時代、岩波の「広辞苑」は金科玉条的であったが、おびただしいネット情報が交錯し新しい日本語が生まれ消えて、語意も流動的ななかでその「権威」は低下している。しかし必要性がなくなったわけではない「印刷された辞典」の役割は何なのかあらためて考えさせられる。

★「施設入居者のマイナンバー 扱い困った 帯広」(12月8日/十勝毎日新聞
国民に12桁の番号を振り当てることで、税や社会保障など行政事務の効率化や利便性の向上を図ることが目的の「マイナンバー制度」は、施行から2カ月が経過した。番号は原則、各個人で管理するが、認知症患者らが入居する管内の介護施設などでは、自ら管理が難しい入居者の番号の扱いについて、独自に対応を求められている。 
介護施設に住民票を移した入居者の中には、高齢や認知症で判断能力が低下し、自身でマイナンバーを管理することが難しい人もいる。こうした施設利用者らのマイナンバーの取り扱い方法について、厚生労働省は10月中をめどに通知する予定だったが、8日時点で通達は届いていない。
帯広市内の社会福祉法人帯広太陽福祉会が運営する特別養護老人ホーム太陽園(大正町西1線、杉野全由施設長)では、定員100人のうち、同施設に住民票がある29人全員に通知カードが送付された。25人には家族、残り4人には後見人がおり、このうち2人は家族に渡したという。同会の谷正三常務理事は「他の通知カードは未開封のまま金庫に保管してある」と言い、杉野施設長は「できるだけ家族や後見人に渡していきたい」と話している。
社会福祉法人博愛会が運営する地域密着型介護老人福祉施設・小規模多機能型居宅介護事業所「コムニの里おびひろ」(東9南13、三杉由美総合施設長)でも「開封せずに保管している。身寄りのない利用者はいないので、利用者の家族に、受取証書を書いてもらって手渡ししている」(三杉総合施設長)という。
帯広市役所保健福祉部介護保険課では、11月末までに管内事業所から数件の問い合わせを受けた。同課の下野一人課長は「ルールが届いていない以上、行政として明確な指示は出せない。相談を受ける形で、対応している」と話し、国に対しては「扱いに関するルールを早く知らせてほしい」と困惑した様子。
行政に相談しているが、“独自”のマイナンバー管理には施設側も不安を抱えている。「詳しいルールが通知されるまで、マイナンバーの扱い方は明文化しない」(三杉総合施設長)と細心の注意を払った慎重な取り扱い姿勢を崩さず、早期の管理方法の通達を望んでいる。
写真説明:配達された通知カードの封筒を未開封のまま金庫に保管している帯広市内の福祉施設
WEB Tokachi 2015年12月8日 原文のまま

★「高齢者捜索で県警嘱託犬の出動増 認知症の徘徊頻発10年前の2倍超」(12月3日/山陽新聞)
認知症高齢者の徘徊(はいかい)による行方不明が頻発する中、捜索に当たる「岡山県警嘱託犬」の出動が近年増加傾向となっている。他のケースも含めた行方不明者の捜索で今年出動した件数(11月末現在)は222件と、10年前(2005年)の2倍以上。県警は向こう10年のうちに年間400件を超すと予想し、徘徊の恐れがある高齢者の情報を警察に事前に登録しておくよう呼び掛けている。
県警によると、行方不明者捜索のための嘱託犬の出動は、記録が確認できる11年以降では11年185件、12年200件、13年263件、14年209件。05年は出動件数全体でも103件のため、行方不明者の捜索目的の出動はこの10年間で少なくとも2倍以上に増えた計算になる。捜索対象の行方不明者は、ほとんどが認知症の高齢者とみられるという。
今後の出動について県警は、認知症の高齢者の増加に伴って17年ごろに300件を、23年ごろ400件に達すると見込んでいる。
一方、県警に出された認知症の高齢者らの行方不明届は、統計のある12年以降年間166~255人で推移し、今年は11月末現在で216人。県警嘱託犬は、人間の数千倍ともいわれる嗅覚を生かし、行方不明になった高齢者が使っていた枕カバーや靴のにおいを基に自宅周辺を捜す。14年度は委嘱した7月から9カ月間に出動した172件のうち5件で発見に至った。
「一人でも多く発見するため日々訓練を続けたい」と、14年度から雄のシェパードを嘱託犬に登録している岡山市南区の女性(71)。(写真右)
行方不明者の捜索を所管する県警子ども女性安全対策課は「万が一の際速やかにバスやタクシー会社に協力を求めるためにも、家族は認知症の症状がみられる高齢者の名前や特徴、顔写真を警察署に登録しておいてほしい」としている。
 ◇
県警嘱託犬 警察犬の一種。警察が直接飼育・訓練する直轄犬と異なり、民間の訓練士らが委託を受けて活動する。県警の直轄犬は現在4匹で、主に事件現場で犯人や遺留物を捜索。嘱託犬は主に高齢者らの行方不明での捜索を担う。嘱託犬は、県警が毎年開く審査会に合格する必要があり、2015年度は31匹が委嘱されている。
(さんデジ 2015年12月03日  原文のまま

★「「認知症カフェ」全国に600カ所、関心あれば誰でも 悩みや不安を相談、専門家アドバイス」(12月3日/日本経済新聞)
認知症のお年寄りや家族などが集う「認知症カフェ」が全国で広がっている。お茶を飲みながら困りごとなどを語り合い、専門家のアドバイスも受けられる。運営側は認知症について正しく理解してもらおうと、当事者以外の人にも「来店」を呼びかける。カフェはどういう仕組みなのか。各地の施設を訪ねた。
「母はここに来ると笑顔が絶えない。私もひととき介護を忘れられる」。11月下旬、認知症カフェ「Dカフェ・リハビリ工房」(東京・目黒)を訪れていた50歳代の女性は話した。80歳代後半の母は車椅子に頼る生活で要介護度は最も重い5。認知症でコミュニケーションはとれない。昨年、女性は介護で疲弊していたときにカフェのことを知り、母と一緒に通い始めた。
Dは認知症を指す英語「Dementia」の頭文字。女性の何気ない話にも男性スタッフは共感し、女性が何でも話せるようにする。一方で母親は作業療法士の介助で木づちを使ってコースター作りに夢中だ。リハビリ工房という名前は、ものづくり体験ができるという意味を込める。症状の進行を抑えるとされるプログラムだ。
□一人で悩まずに
同カフェを運営するNPO法人Dカフェnet代表理事の竹内弘道さん(71)は「一人で悩まず気軽に立ち寄って話し合ってもらう場所で、医師など医療関係者もふらっと訪れるのが認知症カフェ」と話す。認知症とひとくちに言っても、アルツハイマー型、レビー小体型など様々な種類がある。カフェでの医師とのやりとりがきっかけで病気の型が分かり、有効な治療に結びついた例もある。
竹内さんは自宅や区の施設を利用し、目黒区内にカフェを8カ所営む。営業は毎日ではなく、週1回から月1回程度で、1回あたり2時間ほど。「一人300円払ってもらえれば、だれでも利用可能」という。地域に大きく窓を開いているのが特徴だ。
認知症関連の集まりには、家族会や介護者の会などが以前からあった。カフェは集まる人を限定しないのが特徴で、認知症の人自身にも「来店」を促す。国も認知症対策として、自治体に設置を促しており、全国に多めに見積もって600カ所ほどあるといわれる。オランダと英国の取り組みがモデルとなっており、運営主体も様々だ。
□働く場の試みも
認知症の人を特別視せず、希望すればボランティアとしてスタッフの側に回ってもらう試みもある。公益社団法人認知症の人と家族の会栃木県支部(宇都宮市)が、同市内で運営するカフェ「オレンジサロン石蔵」はその一つ。ここでは65歳未満で発症した若年性認知症の人たちが働く。
訪れた11月半ば、57歳の女性がランチの料理を皿に盛り付けていた。「体が動く限りは、何でもしたい」と話す。カフェの責任者の金沢林子さんは、「他の若年性の人も配膳や接客をする。だれかに必要とされていると感じてもらい、生きがい創出につなげる」と話す。若年性の人たちが働くありのままの姿をみんなに見てもらい、病気への理解を深めるのが狙いだ。
カフェは広がりつつあるとはいえ、歴史は浅く一般にはまだあまり知られていない。「オレンジカフェ えんむすび」(東京・江東)は全国でも珍しい常設のカフェで、情報発信にも熱心だ。入り口に高齢者が懐かしいと感じるようなお地蔵さんを置いたり、足湯コーナーを設けたりして、関心を引こうとつとめる。近隣地区で新聞の折り込み広告を出したこともある。
介護会社のすこやか(同)が運営し、介護福祉士も立ち寄る。地域には独居のお年寄りが多い。認知症の相談だけでなく「介護全般のよろず相談所を目指している」と話す。
家族の介護に悩む人、認知症に漠然と不安を感じている人、どんなことでも認知症に関心のある人ならカフェ利用が可能。最寄りの自治体の介護担当者や地域包括支援センターに問い合わせれば、どんなカフェがどこにあるかを知ることができる。
 ◇            ◇
□正しい理解へ セミナー続々
認知症への理解を促すセミナーも増えている。介護大手のベネッセスタイルケア(東京・新宿)は、認知症など高齢者が気をつけた方がいい病気の早期予防を目的に、全国で定期的に無料の「地域医療セミナー」を開く。医師を講師に招き、正しい理解を広める。
11月下旬は都内で「認知症の正しい理解と予防」を開催。慶大病院の三村将副病院長が、会場に集まった90人の受講者に外に出て歩くことを勧め、「前向きに生きよう」と呼びかけた。介護関連各社も同様のセミナーを手がける。
厚生労働省研究班は、認知症高齢者は2012年時点で462万人と推計。発症に影響する糖尿病がこのまま増加すれば、25年には730万人に増えると予測する。高齢者の5人に1人にあたる。ベネッセスタイルケアは「認知症は人ごとではない。セミナーで予防の大切さを訴えたい」と話す。(保田井建)
日経Web版 2015年12月3日 原文のまま

★「認知症の母の介護の心労で無理心中か」(11月23日/NHK)
22日、高齢の両親を車に乗せて川に入り、無理心中を図ったとして、埼玉県深谷市に住む47歳の三女が殺人と自殺ほう助の疑いで逮捕された事件で、三女は認知症の母親の介護を続けていたということで、警察では病気で父親が働けなくなった生活苦のほか、介護の心労も背景にあったのではないかとみて、詳しいいきさつを調べています。
22日午前、埼玉県の深谷市から熊谷市にかけての利根川で、深谷市の藤田慶秀さん(74)とヨキさん(81)の夫婦が川の中で死亡しているのが相次いで見つかり、警察は川岸に倒れていた三女で無職の波方敦子容疑者(47)が、車に乗ったまま川に入り、無理心中を図ったとして、殺人と自殺ほう助の疑いで逮捕しました。
警察の調べによりますと、一家は3人暮らしで、慶秀さんが新聞配達の仕事で生計を支えていましたが、病気のため、先月から働けなくなったということで、波方容疑者は「収入がなくなり、父親から『一緒に死にたい』と言われた」と話しているということです。
また、近所の人によりますと、ヨキさんは認知症の症状があり、波方容疑者が介護を続けていたということです。
警察は、病気で父親が働けなくなった生活苦のほか、介護の心労も背景にあったのではないかとみて詳しいいきさつを調べています。
近所の人は
近くに住む48歳の女性は「父親は雨の日も雪の日も新聞配達を休まない勤勉な人だった。逮捕された三女も母親の介護をしていて、時々、両親をドライブに連れて行ったりと、よく面倒を見ていました。三女は自分が両親をしっかりみるんだという意識が強く、ほかの人に頼ろうとしなかったのかもしれません。ニュースを聞いてびっくりして、ことばが出ません」と話していました。
別の48歳の女性は「ごみを出しに午前4時ぐらいに藤田さんの家の前を通ると、母親がずっと何か話しているのが聞こえてきて、三女は眠れていないのではと思っていました。最近は姿を見かけず、介護でつきっきりになっていたと思います。生活保護など福祉につながっていれば結果が違ったかもしれず、残念です」と話していました。
NHK NewsWeb  2015年11月23日 原文のまま
続報:「親子無理心中 逮捕の三女が生活保護申請」(11月24日/NHK)
22日、埼玉県の利根川で認知症の症状がある母親と病気の父親を車に乗せて無理心中を図ったとして、47歳の三女が逮捕された事件で、三女が事件の前、生活苦を訴えて市に生活保護の申請をしていたことが関係者への取材で分かりました。警察は、行政に支援を求めながら事件に至ったいきさつを詳しく調べています。
22日、埼玉県の深谷市から熊谷市にかけての利根川で、深谷市の藤田慶秀さん(74)と妻のヨキさん(81)が死亡しているのが見つかり、三女で無職の波方敦子容疑者(47)が両親を車に乗せたまま川に入り無理心中を図ったとして、殺人と自殺ほう助の疑いで逮捕されました。
警察の調べによりますと一家は3人暮らしで、ヨキさんには認知症の症状があり、敦子容疑者が介護をしていたということです。また、父親の慶秀さんは今月、病気のため新聞配達の仕事を辞め、一家の収入がなくなったということです。
その後の関係者への取材で、敦子容疑者が今月17日、生活苦のため深谷市に生活保護を申請し、2日後には市の職員が自宅を訪れるなどの対応をしていたことが分かりました。また、今月2日には市にヨキさんの介護サービスを受けるための申請をしていたということです。
警察は、行政に支援を求めながらなぜ事件に至ったのか、いきさつを詳しく調べています。
家族を知る人は
亡くなった藤田さん夫婦の自宅の近くに住む70代の女性は、「とてもほほえましい家族で、母親を支えながら自宅周辺を散歩する父親と娘の姿を見かけることがあった。介護が大変な状況だったが、娘さんが献身的に母親を見ている様子で、声をかけるといつも明るく『大丈夫です』と話していた。家庭の外からは見えない認知症の介護もあるので、子どもが同居しているから助けが不要だとは言えない。近所に住んでいながら支えられなかったのが悔やまれる」と涙を浮かべて話していました。
慶秀さんが今月半ばまで働いていた熊谷市内の新聞販売所の坂井正美所長は、「何十年も働いてくれてまじめで明るい方だった。奥さんの認知症は日に日に悪くなったようで『寝られないし大変だ』と話していた。しかし、『自分が最後まで面倒を見る』と言い、サポートを受けるつもりはなく、介護を生きがいにしているようだった。自分の体も動かなくなり仕事もついに『無理だ』と辞めてしまったので、今後の介護のことなどを考え心が折れてしまったのではないか。残念でならない」と話していました。
一家が住む地区で自治会長を務める清水幸男(77)さんは数年前、三女から「自治会費を払えないので自治会から抜けさせてほしい」という申し出を受け、了承したということです。清水さんは「自治会を抜けると市の広報なども届かなくなり、孤立しがちになるが、家庭の事情もあるようだったので、こちらから積極的に介入できなかった」と話していました。また、今回の事件を受けて、「これからは地元とのつながりを保つために自治会で何ができるか対策を考える必要がある」と話していました。
NHK NewsWeb 2015年11月24日 原文のまま
編者:自らとことんまで頑張って公的支援を受けることを躊躇し、自殺・他殺を選んだ家族なのだろう。貧困に陥った母子家庭が支援を受けることを躊躇し最終的に自殺・他殺に至るのと似ているのか。ところでこの場合「心中」という実態を正確に伝えないあいまい用語はさけるべきだ。

★カナダから日本の認知症ケアの報告記事2編(11月22日/カナダ)
「日本は認知症に役立つためにどのように国全体を教育しているか」
How Japan is training an entire country to help with dementia(Thestar.com Nov 22 2015 )

「日本:世界の最高齢化国からの認知症学習」
Japan: Dementia lessons from the world’s oldest country(Thestar.com Nov 22 2015)

編者:ジェニファー・ヤングJennifer Yang記者(写真右)の記事内容は私たちには特に真新しくはないので翻訳を省略した。なお記事のなかの興味深いコメントとして
上段の記事で、ロンドンの老年学研究所の研究者である林真由美氏は、認知症サポーター制度について、「ヨーロッパではすべてのことが監視と評価がなされるが、日本は異なる。政府は評価や証拠を重視しない。実験を推奨し、地域で良いと思うことは何でも実施する」と述べている。
下段の記事で、ミシガン大学政治学名誉教授で日本の介護保険に詳しいジョン・クレイトン・キャンベルJohn Creighton Campbell氏は、「介護の分野でとても多くのサービスが急速に発展している。介護保険制度なくしてはありえない。日本は認知症ケアの分野で世界のどこよりもよいと思う」と述べている。
なおヤング記者には下記の記事もある。
The growing impact of dementia ― are we ready?(Thestar.com Nov 21 2015)

★「警視庁 認知症の対応ハンドブック作成」(11月21日/NHK)
認知症の高齢者などの対応を警察官が迫られるケースが相次いでいることから、警視庁は保護が必要な状態かどうか対応する際の注意点をまとめたハンドブックを作成し、すべての警察官と職員4万6000人に配布して、現場で活用することになりました。
認知症の高齢者がはいかいして道に迷ったり路上で倒れたりして、交番勤務などの警察官が対応を迫られるケースが相次いでいます。
都内では去年、中野区の路上で倒れていた高齢者が、対応した警察官に認知症と気付かれないまま保護されず、後日死亡しているのが見つかったほか、ことしも、北区の介護施設から行方がわからなくなっていた高齢者が認知症と気付かれず、保護されなかったケースがありました。
こうした現場の対応で問題が生じたことを教訓に、警視庁は専門医の意見を取り入れ、認知症の高齢者などに対応する際の注意点をまとめたハンドブックを作成しました。
まず、全般的な注意点として認知症と気付くために、▽名前や住所、連絡先などがしっかりと説明できるかや、▽赤信号に注意を払って歩いているか、などをチェックするよう書かれています。
そのうえで、過去の事例を教訓にしたチェック点も記され、例えば中野区のケースでは、高齢者が警察官に生年月日を伝えたものの、実際とは生まれた年が違っていたことから、▽生年月日だけでなく年齢も聞いて、整合性が取れているか確認することが盛り込まれました。また、公園で座り込んでいる高齢者を見つけた場合は、▽公園に来た理由をうまく説明できず、不自然な点があれば保護することや、▽保護しない場合でも、警察官どうしで情報共有を行って見守るよう求めています。
警視庁は今月中にすべての警察官と職員4万6000人にハンドブックを配布し、現場で活用することにしています。
認知症で行方不明 2年連続で1万人超
警察庁によりますと、認知症やその疑いで行方不明になったと全国の警察に届けられた人は、去年1万783人に上り、2年連続で1万人を超えました。
警視庁では、公園で座り込んでいる高齢者への声かけを積極的に行って、はいかいによって行方不明になっている人ではないかなど確認するようにしています。しかし、認知症かどうか見分けるのは難しく、警視庁では認知症の専門講座を全警察官に受講させるほか、今回のハンドブックで現場の対応で問題が起きないようにしたいとしています。
警視庁生活安全総務課の露木秀幸管理官は、「事件の検挙に限らず、認知症の高齢者のはいかいなどに適切に対応することも警察官には求められている。ハンドブックによって警察官一人一人が、認知症の知識を蓄え、対応に迷った時によりどころにするなどして、社会の期待に応えられるようにしたい」と話しています。
過去の保護されなかったケースでは
去年8月横浜市の介護施設から行方が分からなくなった、当時83歳の認知症の男性は、東京のJR中野駅近くの路上で倒れているのが見つかりました。対応した警察官は、男性が名前や生年月日を言うことができ、「1人で帰れる」と話すなど、しっかり会話できたため、認知症とは気付かず保護しませんでした。しかし男性は、後日近くの公園で死亡しているのが見つかりました。
このケースでは、男性は実際は昭和6年生まれでしたが、警察官には昭和26年生まれだと伝えたということです。
作成されたハンドブックでは、▽生年月日だけでなく、年齢も聞いて整合性が取れているか確認することで、認知症だと気付くきっかけになるとしています。
また、ことし5月、東京・北区の介護施設から行方がわからなくなった70代の男性は、近くの路上で倒れているのが見つかり、病院に搬送されましたが、消防も病院も認知症だと気付きませんでした。
その後、引き継いだ警察官は、男性が自宅だと話すアパートに行ったところ、住んでいる形跡はみられませんでしたが、それ以上突っ込んだ質問をせず、認知症と気付かないまま保護しませんでした。アパートは男性がかつて住んでいた場所でした。
ハンドブックでは、▽認知症は自宅の記憶が以前住んでいた場所にすり替わる場合もあり、注意が必要だとしているほか、▽質問にすらすらと答えられる人もいるため、同じ質問を繰り返したり長めに話したりして、つじつまが合っているか確認する必要があるとしています。
認知症の高齢者 10年後には730万人に
認知症の高齢者は、全国で462万人と推計され、10年後の2025年には、最大で高齢者の5人に1人に当たる730万人に増加するとされています。
認知症に詳しい東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一研究部長は、「道に迷っていたり、トラブルになっていたりする認知症の高齢者に、警察官が接する機会は確実に増えていくと思われる。認知症の方は不安な気持ちに陥っている場合が多いので、警察官はゆっくり話を聞いたり、安心できる場所に保護したりするなど、相手の気持ちを考えて対応しないといけない。さらに、ハンドブックによって認知症の知識を得ることは大切で、こうした動きは全国に広まってほしい」と話していました。
NHKNewsWeb 2015年11月21日 原文のまま

★「ドライバー認知症を専門的に判断 熊本県免許センターに看護師配置」(11月20日/産経新聞)
高齢化の進展に伴い、認知症など意識障害による交通事故が、大きな社会リスクとなっている。10月末には宮崎市で暴走した軽乗用車が6人をはね、うち2人が死亡する事故があり、73歳の男が自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)容疑で逮捕された。男はてんかんを患っていた。熊本県警は、こうした事故を防ごうと、県運転免許センターに今年1月、全国で初めて看護師を配置した。(南九州支局 谷田智恒)
「ドライバー本人から日常生活の様子を聞くだけでなく、家族からの相談も受けます。威圧的な警察官より、ソフトに対応できている上、専門知識があるので、より正確な判断ができるんです」
県警運転免許課次席の沖田茂行警視は、看護師配置の効果をこう語る。
運転免許センター(菊陽町)(写真)には、熊本都市圏に住むドライバーが運転免許更新に訪れる。配置された2人の看護師は、適性相談などを通じて、ドライバーに認知症などの症状がないかを発見する。
平成26年6月の道交法改正により、免許の取得時や更新時に、過去5年以内に意識を失った▽体を思い通り動かせなくなった-など5項目を尋ねる質問票の提出を義務付けた。
認知症、てんかん、統合失調症など、運転に支障が出かねない病気にかかっていないかを確認するためだ。1つでも当てはまれば、適性相談を行う。
だが、適性判断は従来、警察職員が担っており、病状の正確な把握は難しい。熊本県警は、専門知識を有する看護師配置に踏み切った。
高齢化に伴い、適性相談の受付件数も急増している。熊本県だけで、25年の660件(県内警察署含む)から26年は2211件に膨らんだ。
センター内の相談窓口で看護師は相談を受け、認知症などが疑われる人には、病院の受診を促したり、場合によっては免許の自主返納を勧める。
今年の適性相談をみると、35件(10月末まで)が認知症関連の相談で、うち12件は免許の自主返納につながったという。
沖田氏は「認知症でも本人にその意識がない人が多い。いかに早く病気について把握するかが大事であり、周りが気づいて、相談できる態勢づくりも重要だ」と指摘する。
警察庁の統計によると、26年末時点の高齢者(65歳以上)の免許保有者は約1638万人で、10年前の約1・7倍に達した。26年に高速道路で起きた「逆走」事案224件のうち65歳以上は7割近い152件で、認知症が疑われるケースは26件だった。
厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上になる平成37年、認知症の人は約700万人に達すると推計する。
高齢者の交通事故が問題となる半面、地方では移動手段をマイカーに頼らざるを得ない事情もある。高齢者にとって、車は必要不可欠な生活の足なのだ。
運転適性を厳しく見極める必要とともに、高齢者に対する行政の支援も課題となる
産経ニュース 2015.11.20 原文のまま

★「高齢者見守りで連携 郡山の57企業・団体連絡会を発足」(11月14日/福島民報)
郡山市内の57の企業・団体による「市認知症高齢者SOS見守りネットワーク連絡会」は13日、発足した。
警察や自治会連合会、報道機関などで構成している。新聞や郵便物がポストにたまるなど高齢者の生活状況に異変が起きたり、高齢者が行方不明になったりした場合に情報を共有し、安否確認や早期保護につなげる。
市役所で行われた発足会議には各企業・団体の代表ら約70人が出席し、会長に太田健三市社会福祉協議会長(写真左上)を選んだ。太田会長と品川萬里(まさと)市長(写真左下)が見守りに関する協定書にサインした。太田会長は「他市町村とも連携した広域活動にしたい」と述べた。
福島民報  2015/11/14  原文のまま

★「軽乗用車暴走 運転手 認知症の治療受ける」(10月29日/ NHK)
28日、宮崎市中心部で軽乗用車が歩道を暴走し、7人が死傷した事故で、警察が軽乗用車の73歳の運転手の主治医などから話を聞いたところ、認知症の治療を受けていて、事故の2日前まで入院していたことが、警察への取材で分かりました。警察は持病と事故との関連を詳しく調べることにしています。
28日午後、宮崎市中心部の大通りで軽乗用車が歩道をおよそ700メートルにわたって暴走し、いずれも宮崎市に住む藤本みどりさん(66)と会社員の高木喜久枝さん(50)の2人がはねられて死亡したほか、軽乗用車の73歳の運転手を含む5人が重軽傷を負いました。
警察は29日午前、鹿児島県日置市の軽乗用車の運転手の自宅を過失運転致死傷の疑いで捜索するとともに、家族や主治医から話を聞いていて、これまでの調べで、認知症の治療を受けていて、事故の2日前まで入院していたことが、警察への取材で新たに分かりました。
また、軽乗用車の記録などから、この車は28日に鹿児島を出たあと、最短距離で宮崎に向かわず、さまざまな場所を回りながら来ていて、事故の直後、「今、どこにいるかが分からない」という趣旨の話もしていたということです。
警察は持病と事故の関連を詳しく調べることにしています。
NHKNewsweb 2015年10月29日 原文のまま
編者:痛ましい事故だ。防げなかったのか?事故に至る経過を知りたい。
追加情報「暴走事故、認知症の症状出たあと2~3回物損事故も」(10月31日/TBS)
暴走事故、認知症の症状出たあと2~3回物損事故も
認知症の症状がみられた男性は、過去にもたびたび物損事故を起こしていたことがわかりました。
宮崎市で車が歩道を暴走し、7人が死傷した事故で、運転していた73歳の男性が認知症の症状が出たあと、少なくとも2~3回、物損事故を起こしていたことが新たにわかりました。
この事故は28日、宮崎市の中心部で軽乗用車が歩道をおよそ700メートル暴走。女性2人が死亡し、男女5人が重軽傷を負ったものです。
運転していた鹿児島県日置市の男性は、数年前から認知症の治療を受けていることがわかっていますが、捜査関係者によりますと、ここ数年で少なくとも2~3回、鹿児島県内の商業施設の駐車場などで物損事故を起こしていたことがわかりました。
TBS News 2015年10月30日 原文のまま)

★「認知症になったら施設希望47% 内閣府が初の意識調査」(10月23日/日本経済新聞)
自分が認知症になった場合、介護施設で暮らすことを希望する人が47.7%と半数近くに上ることが23日、内閣府が初めて実施した意識調査で分かった。一方、今まで暮らしてきた地域での生活を望む人は43.7%で、結果が二分した。
調査は認知症に関する国民の意識を探るため、9月に全国の20歳以上の3千人を対象に個別面接形式で実施し、1682人から回答を得た。
介護施設で暮らしたい人は「周りの人に迷惑をかけてしまうから」(27.5%)、「身の回りのことができなくなってしまうから」(20.2%)などと回答した。
地域での生活を希望する場合は「医療・介護などのサポートを利用したい」が30.3%、「できないことを自分で工夫して自立的に生活したい」が13.4%だった。
国や自治体に求める施策を複数回答で尋ねたところ、介護施設の充実が62.2%で最多だった。
厚生労働省は今年1月に策定した認知症対策の国家戦略で、認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現を掲げた。厚労省は「今後の取り組みの参考にしたい」としている。〔共同〕
(日経Web版 2015年10月23日 原文のまま
関連資料:「認知症に関する世論調査」の概要 平 成 27年10月 内閣府政府広報室(pdf360K)

★「認知症に早期対応 駒ケ根市の集中支援チーム活動2年」(10月20日/長野日報)
駒ケ根市が国のモデル事業で設置した認知症初期集中支援チームは、先行実施期間を含めると活動を始めて間もなく2年になる。これまでの支援実績は19人で、このうち9割近い17人が要介護認定前の早期の人だった。認知症に対する啓発や市地域包括支援センターの顔の見える地域活動等が市民の気付きを促し、早期対応で成果を上げている。
支援チームは、地域での「連携」の推進役となる認知症サポート医を中心に複数の専門職で組織している。認知症が疑われる人や認知症の人、その家族を訪ね、初期支援を集中的に行って自立生活をサポート。早い段階から支援に入ることで、自立した日常生活が少しでも長く続けられるようにしていく。国の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では2018年度までに、全ての市町村で設置することを目標としている。
同市では、地域包括支援センターと市から委託された認知症サポート医(精神科医)・看護師・作業療法士でチームを構成し、相談支援に当たっている。重点は▽医療機関への受診▽服薬支援▽活動・外出支援▽活動量向上―の4点。13年11月から取り組んだ先行実績を踏まえ、最初の2~3カ月に集中的に関わる初期支援プログラムを構築し、15年4月から正式スタートさせた。
初期集中支援には、その後の医療や介護に緩やかにつないでいく架け橋的な役割が期待されている。同市の認知症対策では早期診断・早期対応に重点を置いており、支援の前段になる気付きを重視。地域包括支援センターを中心に認知症サポーター養成講座等の出前講座を開き、地区担当職員による顔つなぎやネットワークづくりなどの地域活動を展開している。
認知症の場合、これまでは症状がかなり進行してから相談に来るケースが目立ったという。市地域保健課では「認知症も早期に診断し、上手に対応していけば、その後の経過や介護の負担も変わってくるといわれる。まずは早期に相談できるようにしないと初期集中支援チームは機能しないだろうし、そのためには、より多くの人に認知症のことを知ってもらう必要がある」と強調。今後も早期診断と早期対応に力を入れ、初期支援後の介護予防や生活支援サービスの充実も並行して進めていく考えだ。
Nagano Nippo 2015年10月20日 原文のまま
編者:「認知症初期集中支援チーム」は今後普及する本当に有効なグループなのだろうか?

★「千歳地域SOSネット まちづくり賞受賞」(10月17日/苫小牧民報)
認知症や障害者の見守りのため市内の行政、福祉施設、商業の各関係者らが連携する千歳地域SOSネットワーク事業運営協議会(力示武文会長)が16日、道から2015年度北海道福祉のまちづくり賞を受賞した。認知症高齢者などの徘徊(はいかい)や行方不明に対応する、地域のネットワークづくりが高い評価を受けた。
同ネットワークは08年7月に発足。福祉事業者や行政のほかに市町内会連合会、市老人クラブ連合会、コンビニエンスストア、タクシー、新聞販売店などの民間事業所で組織する。認知症の高齢者を中心に障害者など徘徊防止、事故防止を目的にした「地域SOSネットワーク事業」を展開する。
行方不明者が発生した場合には、警察からの情報を基に協議会に加盟する団体や事業所にファクスが送られる。団体、組織がそれぞれ目を配り、異変の早期発見や安否確認などを通して早期発見と保護につなげ、不幸な事態の発生を防ぐ狙いがある。
また昨年10月からは、孤立死の防止のため関係者が地域のお年寄りを見守る「地域見守りネットワーク事業」も展開している。
受賞は、行方不明に対応するための密なネットワークづくりが高く評価された。多様な主体が協議会に参加し、日常業務の中で見守りを行うことで、地域で支え合う機運の高揚に役立っていることが注目されている。
16日に札幌市で開かれた表彰式に出席した力示会長は、受賞について「高齢社会はお互いに目を配り、気を配り、ちょっとした異変にも気付くことが大事。隣近所との付き合いが希薄化する中、『未然防止のために何か行動しなくては』と考えた」と発足の背景を説明。「地域での活動を評価していただき、ありがたい。(受賞は)今後もいろいろな活動をする出発点。これを糧により一層努力したい」と話した。
写真説明:受賞した千歳地域SOSネットワーク事業運営協議会の力示会長
WEBみんぽう 2015年10月17日 原文のまま

★「屋内や地下でも距離と方角を特定……認知症徘徊探知機器「HITOCOCO」」(10月13日/RBB TODAY)
東京ビッグサイトで開催された「国際福祉機器展 H.C.R.2015」にて、日建リースは認知症徘徊探知機器「HITOCOCO(ヒトココ)」の展示を行った。
「HITOCOCO」は親機と子機で構成されたシステムで、子機を装着した利用者が親機から一定の距離を離れた際に通知を行う「見守りセンサー機能」と、親機を使って子機の居場所を探す「徘徊捜索機能」がある。
親機と子機の間で免許不要の無線による通信を行うため、通信費用はかからない。「徘徊捜索機能」では、平面的な位置情報しか得られないGPSとは異なり、高さの概念も反映して探すことが可能。GPSが機能しにくい屋内や地下でも探知することができる。
子機を探す際には、親機の液晶画面に子機までの距離・方角と電波強度が表示されるので、それを手掛かりに探していく。子機にはそれぞれ個別のIDが設定されており、そのIDで子機を特定するという仕組みなので、親機のエリア内にある複数の子機をまとめて探したり、複数の親機で1台の子機を探すといった使い方ができる。また親機で別の親機を探すことも可能だ。
機器はレンタルで利用可能。子機の寸法が60×40×12mmで重さ20gと小型なので、お守り袋に入れて高齢者に持たせることなどもできる。ブースでは見守りセンサー機能のみの「居宅介護モデル」と徘徊捜索機能を追加した「ハイブリッド」モデルが展示されており、「居宅介護モデル」には介護保険が適用されるという。
また、今回は高齢者の見守りを想定した展示だったが、機能的には登山者の遭難対策ツールや子どもの見守り端末としても使うことができる。
写真説明
右上:「HITOCOCO」の親機と子機。GPSではなく電波による直接通信で位置を特定する。距離の制限はあるものの、高い精度で探し出すことができる(撮影:防犯システム取材班)
右下:子機は重さ20gと小型なので、お守り袋に入れて高齢者に持たせることができる。GPSが苦手とする屋内や地下でも距離・方角を特定可能だ(撮影:防犯システム取材班)
(RBB TODAY 2015年10月13日 原文のまま

★「独居140万人が餌食に マイナンバーで子供や後見人が搾取するリスク」(10月8日/dot.)
10月から個人のマイナンバーの通知、来年1月から実際に運用が始まるマイナンバー制度。しかし、そこには弱者の視点が抜け落ち、認知症高齢者が喰いものにされる危険性を孕んでいる。
昨今は、高齢者が老後の糧とするアパート家賃や年金などの収入を、働き口のない子供が搾取する事例が相次ぎ、介護サービスを十分に受けられない高齢者が続出している。親の年金や収入を把握できる機会となるマイナンバー手続きにそうした子供を関わらせることは「リスク」かもしれない。本来は認知症高齢者を守る立場のはずの後見人だが、被後見人から搾取をする問題は現状でも多いと牧野二郎弁護士(写真右上)は指摘する。
「後見人が被後見人のお金を使い込むといった不祥事は今、とても多いんです。マイナンバーを使った、後見人による犯罪も起こりかねません。また、認知症高齢者の通知カードを使ってなりすましをして、消費者金融からお金を借りるということも起こり得るでしょうね」
政府は今後、マイナンバーや個人番号カードの普及のために、クレジットカードとの連結など利便性をさらに高めようとしている。
日本弁護士連合会で情報問題対策委員会委員長を務める坂本団(まどか)弁護士(写真右中)は言う。
「用途が広がるとリスクは高まる。なりすましで住所変更をしたり、キャッシュカードやクレジットカードを不正利用したりする懸念もあります。今でも健康保険証を勝手に使われて消費者金融の連帯保証人にされていたというケースがありますが、そのような犯罪のリスクが増えるでしょう」
何が起こるのか、実際に始まってみないとわからないが、参考になるのが、日本に先駆けてマイナンバー制度を取り入れた米国の例だ。
米国は社会保障番号制度で大失敗している。06~08年、社会保障番号を使ったなりすまし事件の被害者が1170万人、損害額は3年間で約15兆円に及んだという。
米国の場合は、写真による確認もなかったため「なりすまし」が広がった。
総務省は「厳格に写真での本人確認をするし、芋づる式にさまざまな個人情報が流れ出ないようなしくみになっている」と言うが、個人番号カード作成時点で写真が差し替えられていたら、なりすましは防ぎようがない。他人に悪用されても、認知症高齢者では、本人も周囲もずっと気づかない可能性すらある。
ただでさえ、リスクの高いマイナンバーを認知症高齢者に付与するメリットはあるのだろうか?
「メリットどころか問題のほうが多い」と、介護・福祉に詳しい外岡潤弁護士は強調する。高齢者がマイナンバーを受け取ったあとにも、問題は続く。12ケタもあるマイナンバーを受け取った高齢者が、紛失しないようにどうやってこれを保管し続け、そして活用していくのか。これが大きな問題としてたちはだかる。前出の司法書士は言う。
「いくら行政手続きが簡素化されるといっても、認知症高齢者がマイナンバーを使うこと自体が無理です。ところが、国も現場も<受け取り対策>までで手いっぱい。誰が高齢者に代わって責任を持ってナンバーを預かるのかということまで思い至っていない」
(本誌取材班)※週刊朝日 2015年10月16日号より抜粋
dot. 2015年10月8日 原文のまま
編者:今頃何を言っているのかと言いたくなる。アメリカの話は初耳だ。マイナンバーのメリットがデメリットを凌ぐと理解している。制度がスタートした以上、デメリットを少なくする取り組みが求められているのだろう。成年後見制度はデメリットが露呈しているが、かといって制度廃止という話にはならないのと同じか?

★「大阪府 認知症高齢者の行方不明にかかる実態を調査」(10月6日/認知症ネット)
今後の認知症の方策を検討する
大阪府は、認知症高齢者が行方不明になった実態を把握するために調査を行った。今回の調査は、平成26年4月1日~平成27年3月31日までの期間に、認知症などを理由に行方不明になった高齢者について調べた。
対象者のプロフィールや、市町村SOSネットワークの登録状況・配信状況をはじめ、警察への届出、要介護認定の有無を含め調査した。
調査結果から分かったこと
平成26年度の調査では、前年度の調査に比べて、行方不明になった場所から発見された場所までの移動距離が伸びていた。
考えられる理由として、認知症高齢者が、体力があり、元気な人が多いことが挙げられる。周囲の人からみたら、体力もあり、徘徊をしていると気づかれない場合が多い。
また、大阪府の交通利便性が良いことも理由として考えられる。発見者らは、住民や通行人など近場で発見するケースも多い。近隣で、高齢者の見守り活動が重要だということが明らかになった。
見守りとネットワークの必要性
前年度からみて今回の調査結果では、SOSネットワーク事前登録、ネットワーク配信、警察の届け出、持ち物などへの記名など、認知症高齢者を取り巻く環境において全てポイントが増加された。
これは、市町村での認知症高齢者の行方不明者を、早期発見、保護へ向けて積極的な取り組みを行っていると言える。
(画像は報道発表資料より)
▽関連記事
徘徊への対応
▽外部リンク
大阪府 報道発表資料
平成26年度認知症等高齢者行方不明実態調査結果

認知症ネット 2015年10月6日 原文のまま

★「認知症、地域の支援を 宇都宮で全国研究集会」(10月5日/下野新聞)
認知症の人と家族の会(本部・京都市)の全国研究集会が4日、宇都宮市の県総合文化センターで開かれた。超高齢社会にあって避けて通れない認知症をめぐる課題。「ことばより、心に寄り添う認知症」のテーマの下、全国から参加した870人が、認知症でも住み慣れた地域で暮らし続けられる態勢づくりなどについて考えた。
この集会は1985年から毎年開催。ことしで31回目を数え、本県では初めて開かれた。国によると、高齢者の約4人に1人が認知症の人または予備群。高齢化が進み当事者はさらに増えることから、対応は喫緊の課題となっている。
こうした点を踏まえ、家族の会県支部の金沢林子(かなざわしげこ)代表は「あらためて人と人との原点に返って、心豊かに安心して生活するために必要なことを考えたい」とあいさつ。同会の高見国生(たかみくにお)代表も、以前より認知症の理解が進んでいると歓迎しつつ「当事者や家族には、徘徊(はいかい)など深刻な問題も起きている」とさらなる取り組みの必要性を訴えた。
同市のひばりクリニック院長高橋昭彦(たかはしあきひこ)医師は、在宅でのケアやみとりについて講演。「亡くなるまで、どう豊かに過ごしていくかが大切。日頃から(家族や医療・介護機関などと)関係性をつくり、これなら安心という社会を皆でつくっていけるといい」と述べた。
SOON 2015年10月5日 原文のまま
関連情報:ポスター「認知症の人と家族への援助をすすめる第31回全国研究集会 in とちぎ2015」(pdf600K)

★「認知症医療センター、各地で拡充の動き- 専門医確保など課題も」(10月4日/キャリアブレイン)
国の認知症施策推進総合戦略(オレンジプラン)を受け、認知症疾患医療センターの整備が各地で進んでいる。千葉県は1日、同センターとして総合病院国保旭中央病院(旭市)を新たに指定。滋賀県や神戸市も同日付で指定しており、認知症の進行予防や地域生活の維持といった医療提供できる体制の構築に懸命だ。しかし、医師不足の地域では認知症専門医の確保が難しく、課題も多い。【新井哉】
認知症は、早期に発見して適切に対応することで、症状を軽減したり、生活機能の低下を緩やかにしたりすることが可能とされている。こうした状況を踏まえ、同センターは、認知症の鑑別診断や、身体合併症・周辺症状の初期診断や治療、かかりつけ医らへの研修会の開催など役割を担っている。
千葉県は「本人や家族など身近な人が、初期症状に気付く早期発見と、医師による早期診断が大変重要」とし、同センターの整備を進める意義を説明。県内に9つある二次保健医療圏で、それぞれ1カ所以上設置することを目標に掲げている。県は、今回指定した国保旭中央病院を含め、これまでに9施設を指定しているが、市原医療圏では未設置となっており、県は「準備中」としている。
滋賀県も1日付で、セフィロト病院(長浜市)と近江温泉病院(東近江市)、滋賀八幡病院(近江八幡市)の3施設を指定。神戸市も「認知症高齢者に対する医療や介護の充実を図る」とし、六甲アイランド甲南病院(東灘区)を指定したという。また、秋田県でも、秋田緑ヶ丘病院(秋田市)が1日、県内2カ所目の同センターを開設したことを明らかにした。
国のオレンジプランでは、2017年度末までに全国で約500カ所の設置を目標にしている。ただ、一部の自治体では、認知症専門医の確保が困難な地域もあり、全国で約300カ所と伸び悩んでいるのが実情だ。
自治体関係者からは「専門医の確保が思うように進まないため、新たな指定には時間がかかる」といった声も出ており、今後、自治体に対する国の積極的な支援や働き掛けが求められそうだ。
CB news 2015 年10月4日 原文のまま

★「「認知症」対応力磨く警察官、講師の資格取得が続々」(9月28日/産経WEST)
認知症の高齢者らが行方不明になるケースが全国で相次ぐ中、認知症について学ぶ講習の講師資格を取得する警察官が相次いでいる。徘(はい)徊(かい)している人を保護したり、交番で対応したりする際の接し方は、警察官にとっていまや欠かせないスキル。超高齢社会に突入し、今後も認知症患者が増えるのは必至で、警察も認知症患者への対応力向上に動き出した。
目線合わせ会話
認知症とみられる高齢男性を取り囲む数人の警察官。「おじいちゃん、どこから来たん? 家、分からんの?」。大柄の警察官が見下ろすように問い詰めると、男性は「もう帰る!」と激高。警察官らは必死に引き留め、ようやく名前などを聞き出した-。
大阪府警生活安全総務課の川崎隆昌警部補(42)は、ある警察署で目撃した光景に頭を抱えた。
川崎警部補は、厚生労働省が認知症の患者を支援するために提唱した制度「認知症サポーター」を養成する講師「キャラバン・メイト」に今年7月、府警で初めて認定された。
「横に座って目線を合わせ、ゆっくり質問をするだけで落ち着いて話ができる。認知症を理解し、接し方を学ぶだけでスムーズな対応が可能になる」と、認知症患者の特徴を理解する大切さを強調した。
10年後は1・4倍
警察の日常業務で、認知症の患者と接する機会は年々増えている。
警察庁によると、全国で提出された認知症患者の行方不明者届は、統計を取り始めた平成24年の9607件から、26年には1万783件に増加。大阪府の場合は府警が集計を始めた16年は537件だったが、26年は1922件と10年間で3・6倍に増えた。
数字には表れないが、認知症とみられる高齢者が交番を訪れるケースも増えている。
ある若手警察官は「『財布を盗まれた』などと言って、毎日のように来る人もいる。実際に盗まれたわけではないので、毎回なだめて帰ってもらう」と打ち明ける。
厚労省の推計では、認知症患者は10年後の37年には現在(525万人)の1・4倍の730万人になるとされ、警察官が認知症の患者と関わる機会はますます増えるとみられる。
警視庁は180人
「認知症患者への適切な接し方を学びたい」。現場の切実な声を受けて大阪府警は今年から、外部講師を招いて認知症に関する講習を始めた。だが、一般論に終始するケースもあり、受講者から「もっと実践的な話を聞きたい」との声が上がった。
そこで、認知症患者への対応経験が豊富な川崎警部補と太田靖人警部補(40)が講師資格を取得。今月10日、府警枚岡署で講師としてデビューした2人は、徘徊している認知症患者を見つけた場合の接し方などを実演し、署員からは「分かりやすい」と上々の評判だったという。今後、月に1~2署のペースで講習を実施する計画だ。
こうした動きは全国の警察でも始まっており、奈良県警では7月、3人の女性警察官が講師に認定された。警視庁では今年度中に約180人の講師を誕生させる計画で、4万人を超える警察官・職員全員の受講も目指すという。
講師資格の認定を進めるNPO法人「全国キャラバン・メイト連絡協議会」の菅原弘子事務局長は「警察官の資格取得が進めば、行政などとの連携強化も期待できる。認知症への理解を深め、支える社会を目指す上で、大きな役割を果たしてくれると思う」と話す。
写真説明:認知症の人を演じ、署員に対応方法を教える太田警部補ら=10日午前、大阪府東大阪市
産経WEST  2015.9.28  原文のまま
編者:認知症の妻の介護で徘徊時になんども警察のお世話になった。警察官の対応もよかった。この取り組みは心強い。

★「認知症はたったの1割 「逆走事故」は健康な高齢者に多い?」(9月28日/DOT.)
京都市で2011年2月、痛ましい事故が起こった。乗用車を運転していた60代の男性が、意識を失って信号待ちの車列に追突。6台が玉突きになり、バイクの男子大学生が2カ月後に死亡、12人が軽傷を負った。男性は08年ごろに認知症と診断され、医師から運転をやめるように忠告を受けていたという。
車に同乗していた男性の兄夫婦が診察に立ち会っていたことから、京都府警は11年9月、男性を自動車運転過失致死傷の疑いで、兄夫婦を、運転を止める注意義務を怠った重過失致死傷の疑いで、それぞれ書類送検した。家族の責任が問われ、介護を担う全国の家族に衝撃が走った。
相次ぐ高齢ドライバーによる悲惨な事故。警察庁によると、国内の交通事故の件数は、04年の約90万件から10年間で約54万件まで減少している。その一方で、65歳以上の高齢者による事故件数は、9万4817件(04年)から、10万1855件(14年)に増えている。
高速道路6社の今年4月の発表では、11~14年に発生した逆走事故は739件。65歳以上の高齢者による事故は7割。運転者の状態を調べたところ、認知症の疑いがみられたのは、約1割だった。
高齢者の運転に詳しい、月刊誌「JAF Mate」の鳥塚俊洋編集長(写真右上)が言う。
「逆走事故はイコール認知症の人が起こすもの、というイメージがありますが、1割という数字を見ると、そんなに多くはない。事故は高齢になると誰にでも起こり得るのです」
実際、認知症でなくてもこんな例もある。
「ブレーキとアクセルの踏み間違いなんかしょっちゅうある」
と、高笑いするのは、大阪府八尾市に住む男性(81)。
「毎日、朝と夕、家から畑まで2キロぐらい軽自動車を運転しているけど、慣れた道でも怖い思いをしたことは何度もあるね。この前なんか、自転車に乗っている子どもにぶつかりそうになっても、とっさにブレーキが踏めなかった」
男性は免許更新にあたって、「八尾自動車教習所」(八尾市)で行われている「高齢者講習」に参加した。高齢者講習では主に、講義やビデオなどで交通ルールを再確認するほか、機器を使って、判断の速さや正確さ、動体視力や夜間視力、視野などを測る。そして、車を実際に運転して、指導員から運転行動についての助言を受ける。
男性は検査に問題はなかったことから免許は更新するというが、「さすがにこれが最後かな」と話した。
同教習所地域安全推進課の浅田克子課長(写真右下)が言う。
「講習会等でご高齢の方が運転する車に同乗すると、本人は一時停止したと思っていても、実際は止まっていないことがよくあります。交差道路から接近する他車に気が付かないで、そのまま進む人もいます」
運転技術の低下はなかなか自覚されていないのが実態だ。
※週刊朝日 2015年10月2日号より抜粋
DOT. 2015年9月28日 原文のまま

★「家族の会、大型店でアルツハイマー病の周知活動」(9月25日/佐賀新聞)
世界アルツハイマーデー(9月21日)をアピールする街頭宣伝が同日、佐賀市のゆめタウン佐賀であった。アルツハイマー病の周知活動を行う「認知症の人と家族の会佐賀県支部」の13人が、買い物客にパンフレットを配った。
同団体が毎年この時期に開いている。県内の患者とその家族、医師、看護師も参加。自身も認知症を患った母の介護を経験した同支部の森久美子代表は「認知症は誰もがなりうる普通の病気。理解を深めてもらい、佐賀を患者にとって安心して暮らせる町にしたい」と話した
写真説明:パンフレットを配る「認知症の人と家族の会佐賀県支部」の会員たち=佐賀市兵庫北のゆめタウン佐賀
佐賀新聞 2015年9月25日 原文のまま
関連情報:「認知症の人と家族の会」の「2015年世界アルツハイマーデー月間」の催し

「認知症ケア 探り続けた 家族の会岐阜県支部創設者・敷島妙子さん(93)永眠」(9月19日/朝日新聞)
朝日新聞2015年9月19日岐阜版切り抜き記事(pdf1M)

「認知症の不明者早期発見へ、大阪府がコンビニとタッグ」(9月18日/産経新聞)
認知症の行方不明者を早期に発見しようと、大阪府は、コンビニエンスストアと協力した見守り活動を始める。徘徊(はいかい)中の高齢者らがコンビニに立ち寄ることが多い傾向を踏まえ、大手4社の店長らを「認知症サポーター」に育成。府内計約3500に上る店舗網を活用し、行方不明者の保護につなげる考えだ。認知症の見守りを目的に、大手4社と一斉に協力体制を築くのは全国初。
4社は、セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスで、松井一郎知事が4社の幹部と協定を結ぶ。
協定では、市町村などが開く、認知症の特徴的な症状や接し方などの基礎知識を学ぶ「認知症サポーター養成講座」(60~90分)を店長らに受講させるよう努めると規定。府内の自治体などとメールやファクスで行方不明者の特徴などを共有する「徘徊・見守りSOSネットワーク」に各社が参加するとしている。
ネットワークにはすでに学校や福祉事務所、公民館、鉄道・バス会社、ガソリンスタンドなどが参加。認知症などによって高齢者が行方不明になった際に、家族が警察署や市町村に通報(届け出)すると、ネットワークの関係機関にメールやファクスが一斉送信される仕組みとなっている。
府によると、認知症の行方不明者は、平成26年に全国で1万783人で、このうち大阪が1921人と最多だった。これまでにも実際に、コンビニで商品を購入する際に発見された認知症の高齢者もいたという。
産経ニュース 2015年9月18日 原文のまま)
編者:コンビニは発見場所として重要だ。店長の研修もよい。

★「認知症高齢者の靴に「番号」を貼るふじみ野市 地域で進める徘徊対策」(9月16日/日経ビジネス)
老後の不安として、貧困と同じく取りざたされるのが認知症だ。特に徘徊は、事件や事故につながりかねない。自治体も認知症の高齢者の徘徊に対策を打ち始め、地域で認知症の患者を支える仕組みができつつある。
「名前も住所も答えられない高齢者を保護しているのですが……」。ある介護事業所のスタッフから、埼玉県ふじみ野市役所の高齢福祉課介護支援係にそんな電話がかかってきた。
担当者は高齢者のいる場所に行き、話を聞いた。しかし高齢者は認知症のようで、身元の分かる話が聞き出せない。だが、ある言葉をきっかけに事態が好転した。
高齢者が口にしたのは、「5日が給料日」ということと、私鉄沿線の駅の名前だった。そこで担当者はピンと来た。5日が給料日ということは、この高齢者は生活保護を受けているのではないか。そして駅の周辺の自治体の生活保護の担当者に連絡したところ、身元が判明。高齢者は無事に自宅に帰ることができた。
認知症患者の増加は、貧困と同様に日本社会が抱える課題の1つだ。厚生労働省の調査では、2012年の認知症患者数は462万人に上る。認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)を含めると、65歳以上の4人に1人が該当する計算だ。2025年には患者数はさらに増え、700万人を超えると予測されている。
認知症の症状で問題になるのが、徘徊だ。警察庁によると、2014年に行方不明者届を受理した、徘徊症状がある認知症の行方不明者は1万783人。前年よりも461人増えた。
行方不明扱いのまま遠く離れた他県で生活
冒頭の高齢者のように、行方不明者届が出ていないケースもあるため、この数字は氷山の一角と言えるかもしれない。1人で電車に乗り、遠く離れた他県で保護されて、そのまま施設で何年も暮らしていたという事例も起こっている。
そこで、ここ数年、徘徊高齢者の「SOSネットワーク」事業に取り組む自治体が出てきている。高齢者に事前に登録してもらい、行方不明になった場合に家族が警察と役所に連絡する。そこから、ネットワークに協力しているコンビニエンスストアや銀行などの民間企業や、交通機関などの事業者に情報が発信され、地域ぐるみで高齢者を探す仕組みだ。事前に登録されていない高齢者についても、役所を通じて事業者に情報が伝わる。
だが、「1日に5~6人の情報が次々に上がってくる。服装の特徴や写真があったりなかったり、情報量が様々なので、発見に至るのに時間が掛かってしまう」と介護支援係の福田喜美江係長は話す。
そこで同市では、2015年7月に早期発見につながる簡便なグッズを作った。その名も、「ひとり歩き(徘徊)高齢者早期発見ステッカー」。65歳以上の高齢者を対象に、事前に名前や住所、写真を登録してもらい、「ふじみ野市」と番号が書かれたステッカーを無料で配布している。
ステッカーは、靴やサンダル、つえなどいつも持ち歩くものに貼ってもらう。このステッカーが貼ってある高齢者が徘徊していたり、うずくまっていたりとする。そんな様子を見かけたら、番号を市役所に連絡する。市役所から家族に連絡が入り、無事に帰れるという仕組みだ。この番号情報は、市内の警察署とも共有している。現在の登録者数は20人以上に上る。
ふじみ野市は徘徊する高齢者を発見するために、GPS(全地球測位システム)による位置探索ができる端末を月額500円で貸与している。だが、端末を持ち忘れたり、落としてしまったりしてしまえば意味がない。靴に貼れるステッカーであれば、こうした欠点を補えるというわけだ。
駆け込み寺の役割果たすオレンジカフェ
このように認知症の患者を支える仕組みとして地域に広がっているものの中で、最近増えているのが「オレンジカフェ(認知症カフェ)」だ。認知症の患者を理解したり、家族や本人の相談から介護サービスにつなげる窓口にもなる。
「最近、あの人、よく物忘れするし、性格も怒りっぽくなったような気がする」。例えば、身近な人にそんな様子が見られたら、どうすればいいだろうか。多くの人が病院に行くよう薦めるだろう。だが、そう簡単ではない。認知症の初期では、本人が自分の変化を認めたくないことから、頑なに拒否することが多く、それだけで1年以上経過してしまうようなケースがあるのだ。
そんなときに、家族や本人が相談に乗れるような場所がオレンジカフェだ。オレンジカフェでは、認知症の患者と地域住民が情報交換などを通じて交流している。
オレンジカフェは、国が作った「認知症施策推進5カ年計画」(通称:オレンジプラン)に基づき、地域での日常生活や家族への支援を強化するために始まった。その多くは自治体によって、公民館のホールなどで開かれているが、最近では、認知症の高齢者同士が共同で住むグループホーム(認知症対応型共同生活介護)で実施される例もある。
介護大手のセントケア・ホールディング傘下の「福祉の街」が運営する「グループホームふくしのまち鶴ヶ岡」も、その1つだ。2カ月に1回、ホームの食堂を兼ねている共有スペースに、地域住民や入居者以外の認知症患者などを招いている。
世代を超えた交流の場に
ホームの入居者が作ったお菓子がふるまわれ、介護や医療に関するミニセミナーと、入居者を交えた交流の時間をもうけている。参加者は入居者の家族や地域住民だけでなく、近隣の大学生もおり、世代を超えた交流の場にもなっている。
グループホームふくしのまち鶴ヶ岡では、オレンジカフェの開催日にはカフェのような小型の看板を入り口に置き、参加を促している。「あそこにいけば、認知症の相談に乗ってくれる」。そんな駆け込み寺のイメージが、地域に浸透しつつあるようだ。
高齢になれば誰もがなる可能性のある認知症。今もなお、家族が世間の目を気にする風潮はある。だが、既に高齢者の増加に伴って、認知症の高齢者が町にあふれつつある。地域で生みだされる仕組みを、もっと広く展開していく必要があるだろう。
写真説明:埼玉県ふじみ野市にある「グループホームふくしのまち鶴ヶ岡」で開かれているオレンジカフェ
記者:河野 紀子(日経ビジネス記者)(写真右)
日経ビジネスONLINE 2015年9月16日 原文のまま

★「情報交換に期待 認知症カフェ連絡会発足 西播磨」(9月11日/神戸新聞)
認知症患者や家族、医療関係者らが集う「認知症カフェ」を兵庫県の西播磨地域で運営している団体や個人などが「連絡会」を立ち上げ、10日、西播磨総合リハビリテーションセンター(たつの市新宮町光都)で初の総会を開いた。各施設の現状や課題について情報交換し、認知症への理解を各地域で広げていく必要性を確認した。(松本茂祥)
「認知症カフェ」は認知症患者や家族、医療・介護の専門職らの集いの場。西播磨県民局管内の4市3町では昨年から開設の動きが本格化し、現在は計18カ所で運営されている。
連絡会は、開設準備中を含む20の団体・個人と、各市町の地域包括支援センター、県、西播磨認知症疾患医療センターで構成。共通の目標として、カフェ利用者への支援の質の向上▽新たなカフェの立ち上げ支援▽認知症についての啓発-などを目指す。
総会では参加者から「地域に根差した活動の在り方が課題」「介護に悩む家族に何ができるか、皆さんと考えたい」など今後の情報交換に期待する声が上がった。カフェ開設を目指す人の研修会もあり、連絡会の7会員が取り組みを報告した。
県健康福祉部参事(認知症対策担当)で連絡会代表の柿木達也さんは「認知症カフェが中学校区に2、3カ所あれば、機能を補完し合えて望ましい。開設を後押ししたい」と話していた。
写真説明:新たに発足した「認知症カフェ連絡会」の初めての総会=西播磨総合リハビリテーションセンター
神戸新聞NEXT 2015年9月11日 原文のまま
編者:厚生労働省がオレンジプランで普及を図っている認知症カフェの地域的な連絡会も広がるのだろう。

★「改正道路交通法で認知症診療はどう変わる?」(8月28日/日経メディカル)
連載: プライマリケア医のための認知症診療講座 第52回 2年以内の施行決定、その影響を予測する
川畑信也(八千代病院神経内科部長)
今回は、認知症と自動車運転、運転免許証について考えてみたいと思います。認知症患者さんは、どれくらいの割合で診断後も自動車の運転を継続しているのでしょうか。どのような交通事故を起こしやすいのでしょうか。今年6月、改正道路交通法が国会審議を通過し、今後2年以内に施行されることが決定しました。このことがわれわれ医師にどのような影響が与えるのかについて、現時点での私の個人的な考えを述べてみたいと思います。
認知症患者さんの自動車運転の実態
どのくらいの認知症患者さんが自動車の運転を継続しているのか、正確な統計はないと思いますが、筆者がもの忘れ外来で自動車運転について患者の家族にアンケートを行った結果を紹介します。
対象は外来通院中の認知症患者270人で、家族に自動車免許取得の有無、現在も運転をしているのか否か、過去2年間に交通事故(人身、物損事故)や交通違反(速度違反や信号無視など)を起こしたことがあるか、交通事故を起こしたことがあるとすればその内容、車庫入れの際に車をぶつけたり傷つけたことはないか、患者の車に同乗していてヒヤッとする、危ないと感じたことないか――などの項目を尋ねました。
図1は、その結果を示したものです。運転免許を取得している患者は161人で、そのうち28人は認知症と診断される前あるいは診断後に免許証を自主的に返納していました。残り133人のうち、現在も運転をしている患者は41人(30.8%)に及んでいました。つまり認知症と診断されても3人に1人は運転を継続しているのが実情なのだといえます。

図1 認知症患者の運転の実態―自験例での検討―
現在も運転している41人のうち、過去2年間に交通事故を起こした患者は7人、交通違反を起こした患者は5人でした。つまり、現在も運転をしている患者の3分の1は、なんらかの交通事故あるいは交通違反を経験しているということです。一方、現在運転をしていない92人のうち、交通事故を起こしたことがあるのは11人、交通違反は2人でした。
では、認知症患者がどのような交通事故あるいは交通違反を起こしているのでしょうか。表1に家族から情報が得られた、認知症患者による交通事故ならびに交通違反の具体例を示しました。
バスの停留所や停車している車への接触事故などの対物事故がしばしばあり、交通違反としては一時停止違反や信号無視が多いようです。認知症患者が起こす交通事故あるいは交通違反は、注意機能の低下あるいは障害に基づくものが多い印象を受けます。

表1 交通事故、交通違反の実例
2015年の改正道路交通法で打ち出された方針とは
2015年6月、認知症運転の対策強化を目指す改正道路交通法が国会で成立しており、2年以内に実施されることになりました。現行法との最も大きな違いは、75歳以上で免許更新の際に受検する認知機能検査で第一分類と判定された者は全員、交通違反の有無に関係なく医師の医学的診断を受けることが義務付けられたことです。
もう1つは、第二分類や第三分類と判定された場合でも、その後に特定の交通違反を起こしたときには臨時に認知機能検査を受検し、第一分類と判定された際には医師の診断が必要になったことです。75歳以上の免許保有者には、認知機能検査と医師による診断の機会が増えることになります。医師の診断を受けない場合には免許の停止あるいは取り消しとなります(図2)。

図2 改正道交法による運転免許更新の流れ(75歳以上)
新聞報道などによると、2014年に認知機能検査を受けた高齢者は約140万人で、そのうち第一分類と判断された者は5万人を超えているそうです。第一分類の割合は年々増加することが予想され、新制度開始後には相当数が医師の診断を必要とする事態になると思われます。
問題は、その際に認知症の有無を判断できる、あるいは判断しようとする医師がどれだけいるかです。現行では、臨時適性検査は、各都道府県の公安委員会が認定した認知症疾患医療センター、日本老年精神医学会、日本認知症学会等の専門医が施行していますが、それだけでは不十分なことが明らかです。今後は、広く認知症を専門としない医師も臨時適性検査を請け負うことが求められるかと予想されますが、実はここに重大な問題が潜んでいるのです。以下に2つほどの問題点を指摘してみたいと思います。
その1:臨時適性検査から認知症を診断することは難しい
筆者はこれまでの経験から、臨時適性検査から認知症を診断することは、外来を受診してきたもの忘れを主訴とする患者を診断するよりも難しいと考えています。その理由として、(1)認知症が軽度の場合が少なくない、(2)活発な行動障害・精神症状を示すことが少ない、(3)家族が認知症という視点で患者を見ていない――からです。
例えば、もの忘れ外来を始め、医療機関に「もの忘れが心配」と受診してくる患者の場合は、認知症が比較的進んだ結果として認知症の定型的な症状が出ている場合が多く、徘徊や暴言、もの盗られ妄想、幻視などの行動障害・精神症状を伴う患者が少なくありません。家族や周囲がおかしいと感じて医療機関に連れてくることがほとんどです。したがって認知症の診断を下すことはそれほど困難ではありません。
対照的に、臨時適性検査の対象者は、これらの症状が目立たないことが多いのです。なぜなら、迷惑する行動障害・精神症状が目立つ場合には、家族は運転免許更新のいかんにかかわらず早めに医療機関に相談に来るはずです。
認知症を判断する最大の根拠は家族や周囲の人々から収集する患者に関する情報です。もの忘れの状態や生活障害の有無などを確認することで認知症の診断を下すことができるのです。臨時適性検査を要する高齢者には、この要因が少ないことから診断が難しいといえるのです。
その2:認知症の診断精度を確保することができるのか
認知症診療で最も難しいのは、軽微あるいは軽度の患者の診断です。患者が示す症状が加齢に伴う生理的なもの忘れなのか、それとも認知症に進んだ結果としてのもの忘れなのかを判断することが実は最も難しいことなのです。
高血圧や糖尿病の診断のように数字で正常と病気の境目が決定されている疾患は比較的診断がしやすいのですが、認知症はどこまでの症状が生理的であり、どこからが認知症の症状かの判断が困難であり単純に割り切れない疾患なのです。
臨時適性検査の視点から考えると、もともと認知症の可能性を考えていなかった人間を対象に認知症の有無を判断することになりますので、一般の外来診療よりもさらに診断が難しくなるのは当然のことです。果たして認知症を専門とされないかかりつけ医や非専門医の先生方が臨時適性検査で認知症の有無を判断することができるのでしょうか。著者は判断することは相当難しいと考えています。
さらに、外来通院している患者の運転免許証を取り上げることになるかもしれない臨時適性検査をかかりつけ医の医師が積極的に取り組むことがどれだけ可能になるでしょうか。むしろ自分の医院・クリニックでの判断を保留し、認知症専門医療機関に任せる場合が圧倒的に多いと予測されます。
しかし、認知症専門医療機関の外来予約は数カ月先までいっぱいなことが多く、診療がなかなか進まない事態が予想されます。警察庁は、その問題についてどのような対策を講じるつもりなのか、現時点では判然としないように感じます。運転免許更新における臨時適性検査に限らず、認知症診療に対する国の方針には疑問を感じることが多々あるように感じるのは筆者だけでしょうか。
著者プロフィール
川畑信也(八千代病院〔愛知県安城市〕神経内科部長)(写真)○かわばた のぶや氏。1979年昭和大医学部卒。国立循環器病センター、秋田県立脳血管研究センター、成田記念病院〔愛知県豊橋市〕を経て2008年より現職。愛知県認知症疾患医療センターセンター長も兼任。
日経メディカル 2015年8月28日 原文のまま

★「<な~るほど介護>温かく見守る、信条に 「認知症サポーター」養成講座ルポ」(8月26日/東京新聞)
認知症の正しい知識を身に付ける「認知症サポーター」養成講座を、職員や社員に受講させる警察や企業が増えている。養成事業は、国の認知症対策の一つとして始まって今年で11年目に入り、延べ634万人がサポーターになった。サポーターの役割を知ろうと講座を受講した。 (稲田雅文)
「認知症はだれもがなる可能性がある。正しい知識を身に付けて偏見をなくし、認知症の人と家族を温かく見守ってほしい」。八月中旬、名古屋市の千種区西部いきいき支援センター(地域包括支援センター)が開いた養成講座。講師を務めた永池大介センター長が、市民に認知症サポーターの心構えをこう説いた。
認知症は、脳の神経細胞の一部が何らかの原因で死んでしまったり、働きが悪くなったりして日常生活に支障が出る。講座は、ビデオ上映も含め一時間半。原因や代表的な症状について解説を聞いた後、「ものを盗まれた」などと妄想を話したり、目を離した隙に外へ出てしまったりする人に、周囲の人がどのように対処したらよいか学んだ。
講座終了後、サポーターの証し「オレンジリング」が一人一人に手渡された。記者も手首に着けると、気が引き締まった。茶販売業の男性(59)は「最近、母親の認知症が進んだ。同じことを繰り返し話すようになったが、母親のペースで聴いてあげることが大切だと分かった」と感想を話した。
認知症サポーターになっても、何らかの活動が義務付けられることはない。「困っているお年寄りがいたら声掛けをしたり、認知症の家族がいて苦労している人にねぎらいの言葉を伝えたりと、できる範囲で活動すればいいんです」と永池センター長。認知症になっても住み慣れた場所で暮らせる街をつくるのが、サポーター養成の最終目標だ。
◇警察や企業 増える受講
警視庁は6月、全警察官と職員計4万6000人に対し、本年度中に養成講座を受講するよう指示した。認知症のお年寄りに警察官が対応する機会が増えたことが背景にある。
昨年8月には、東京都中野区の路上で倒れていた高齢男性が認知症であることに警察官が気付かず、保護しなかったため、死亡する問題が発生。警視庁担当者は「現場の警察官が認知症に対する知見を高めれば、違った対応になるはず」と狙いを話す。山形県警や大阪府警などでも講座を受けさせている。
企業にも同様の取り組みが広がる。中京銀行(名古屋市)は昨年7月、90の営業店すべてに1人以上の認知症サポーターを配置する体制を整えた。新入行員にはすべて養成講座を受講させており、現在259人。りそなホールディングスは昨年度、傘下の3銀行などの行員ら1万5000人が受講した。
身近なスーパーでも活躍する。アピタ桑名店(三重県桑名市)では店員170人が養成講座を受講。従業員が店頭に立つ際には、常にオレンジリングを模したバッジを身に着け、認知症とみられる人には、地域包括支援センターと連携して対応している。
養成講座の講師育成をする全国キャラバン・メイト連絡協議会(東京都)の菅原弘子事務局長は「企業などの大きな組織が取り組めば、認知症の人や家族が外出したときに適切な対応が期待でき、行動範囲が広がる意味でも意義が大きい」と語る。
写真説明:アピタ桑名店では、店員がオレンジリングを模したバッジを胸に着けて接客している=三重県桑名市で
Tokyo Web 2015年8月26日 原文のまま

★「認知症の悩み分かち合い25年 当事者団体県支部」(8月18日/大分合同新聞)
認知症の当事者団体「認知症の人と家族の会」の県支部が設立25周年を迎えた。認知症が「痴呆(ちほう)」と呼ばれた時代から、本人や介護家族が悩みを分かち合い、励まし合いながら、前向きに生きるよりどころとなってきた。当事者の訴えが実り、この四半世紀で社会の意識や行政施策は大きく前進。メンバーは「認知症になっても地域で安心して暮らせる社会に向け、さらに輪を広げたい」と話す。
設立は1990年。前身の「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会」の支部としてスタートした。当時は認知症の高齢者が家にいることを極力隠し、家族だけで悩みを抱え込んでいた時代。最初は困っている人たちがどこにいるのか分からなかったという。
だが、県内各地で介護家族らの「集い」などを開くうち、支部には「どうしていいか分からない」と、わらをもつかむ思いで相談してくる家族が増えてきた。現在は県内13カ所で定期的に集いを開催、電話相談も受け付けている。
3年ほど前から大分市内の集いに参加する50代女性は「ここに来て一筋の光が見えた」と話す。80代の義母に妄想や暴言などの症状が出始めたのは約11年前。在宅介護で「いっぱいいっぱい」だったころ、インターネットで認知症を検索し、支部の存在を知った。
それまで周りは「つらいのはあんた一人じゃないよ」と、気持ちを分かってくれなかった。でも、会のメンバーは「つらかったね」「頑張ってますね」と共感してくれた。集いで同じ体験をしている人の情報や知恵を知ることができるのも大きな支えだ。
支部代表の中野孝子さん(69)=大分市=は「個人の問題だった認知症を、社会の問題にしたのは大きい。国の制度や社会の関心は25年前とは雲泥の差で、認知症を診る医師が身近にいるようになるなど、医療も変わってきた」とみる。
県内の認知症高齢者は2010年の5万1千人から、25年には1・4倍の7万3千人に増えると推計されている。中野さんは「これからも当事者が一緒に悩んだり、笑ったりできる場をつくっていきたい。認知症の人が誇りを持って楽しく暮らせるように応援していきたい」と話した。
<メモ>
「認知症の人と家族の会」県支部は現在、約430の個人・団体が会員になっている。活動は(1)集いの開催(2)電話相談(3)会報の発行―が柱。若年性認知症の人の就労支援にも取り組んできた。集いは大分、鶴崎、稙田、別府、中津、佐伯、日田など県内13会場で定期的に開催。他にも「男性介護者の集い」「若年性認知症家族の集い」などがある。電話相談は毎週火~金曜の午前10時~午後3時にTEL097・552・6897(大分)またはTEL0972・22・7708(佐伯)で受け付けている
写真説明:「認知症の人と家族の会」の県支部が開いている「大分の集い」で交流する介護家族ら=6月、大分市明野東の県社会福祉介護研修センター
大分合同新聞 2015年8月18日 原文のまま

★「認知症ケア大賞受賞 豊橋の元町グループホーム」(8月12日/東日新聞)

医療法人豊岡会・元町グループホーム(豊橋市南大清水町)がこのほど、一般社団法人愛知県認知症グループホーム連絡協議会の認知症ケア大賞を受賞した。
同ホームは、認知症を地域に正しく知ってもらうための啓発活動に2011年から取り組んでいる。隣接する大清水小学校との交流を通して、偏見を持たずに地域に受け入れてもらうことを目指す。
認知症患者は5年生と行事を通して交流を始め、同ホーム職員が「認知症サポーター養成講座」を開講して、認知症の理解や関わり方を説明する。6年生になると同ホームに児童が来て、自分たちで考えた内容で交流会を催すという、長期的な交流を続けている。
小学校との定期的な取り組みは県内でも珍しく、交流した子どもたちは休日にも顔を見せ、中学生になって介護職に興味を持ち、職業体験に来る子もいるという。
伊藤治泰施設長は「認知症は誰でもなる可能性のある病気。この取り組みが、認知症を正しく理解し、周りの手助けによる共生のきっかけづくりになる」と話し、「子どもたちが遊びに来てくれる機会が増え、利用者の笑顔も増えた」と成果を実感している。
東日新聞 2015年8月12日 原文のまま

★「認知症相談4年連続最多、全体の7割 兵庫県まとめ」(8月11日/神戸新聞)
兵庫県民総合相談センターは2014年度の各種窓口の受付状況をまとめ、高齢者やその家族の悩みを聞く「認知症・高齢者相談」で、認知症についての相談が4年連続で最も多かったことが分かった。対応に疲れた家族などから寄せられることが多かったという。(斉藤正志)
同センターは、県政全般▽法律▽登記▽家庭問題▽エイズ▽交通事故▽外国人▽住まい▽国政-など、10の窓口を開設。電話や面談で声を聞いている。
うち認知症・高齢者相談は11年度から、寄せられた内容により、認知症▽介護▽虐待▽その他-に分類。14年度の認知症の相談は276件で、前年から127件減ったが、全体(406件)の約7割を占めた。
「本人が認知症と認めたがらず困っている」「介護に疲れてどうしていいか分からない」などの悩みが目立ったという。
各種窓口に寄せられた相談の総件数は1万6238件で、前年度比1372件増。うち外国人県民相談は3100件(前年度比239件増)に上り、14年度に配られた「子育て世帯臨時特例給付金」の申請方法などを聞く内容が多かったという。
同センターは「介護疲れなどは話すだけでも精神的に楽になる。県民に安心してもらえるように、さまざまな相談に耳を傾けていきたい」としている。
神戸新聞 2015年8月11日 原文のまま
編者:認知症電話相談の取り組みは多いが報道されることは稀なので記事紹介した。

★「猟犬ブン、タマお手柄 行方不明の男性発見」(8月10日/紀伊民報)
和歌山県田辺市内に住む認知症の男性(80)が外出したまま帰宅せず、上富田町岩田の山中で3日後、無事発見された。男性を見つけたのは、散歩中の猟犬。飼い主は「偶然が重なった」と驚き、男性の家族は「感謝の気持ちでいっぱい」と話している。
「ワンワンワンッ」
7日午前7時10分すぎ、上富田町岩田の山本弘之さん(40)は、散歩中の猟犬のうち2匹が林道を外れ、田熊川の上流(幅約2メートル)で普段と違うほえ方をするのが気になった。「イノシシかシカでもいるのか」。近づくと、岩に座り込んだ男性がいた。上半身は裸で、近くにシャツ。作業ズボンから出た足は、膝下まで川に入っていた。「大丈夫ですか」
男性は、4日午後7時ごろ家族が自宅にいたのを確認した後、行方不明になり、家族からの連絡を受けて消防団などが捜していた。その後、救急車で田辺市内の病院に搬送された。
山本さんは、現場近くにある「熊野山本猪犬訓練所」の代表。猟犬の朝の散歩は日課だが、この日は午後から予定があったため、普段よりも短い往復で15分ほどしかないコースを歩いていた。
男性を見つけたのは、生後4カ月のブン(雄)とタマ(雌)。猟犬として訓練を始めて2カ月ほどで、山本さんいわく「人間で言うと園児か小学生」。現場は木々が立ち並んで陰と湿気があり、男性の臭いが残っていたこともよかったという。
山本さんは「ほえ方を聞いて『何かおかしい』と思った。あんな場所で(男性を)見つけた時は驚いた。無事で本当によかった。2匹は猟犬としては訓練中だが、大仕事をやってくれた」と振り返る。
男性は手足や顔に小さな傷があり、医師には脱水症状や栄養失調とも診断されたが、快方に向かっている。「自分で歩いていた」と話しているという。
写真説明:和歌山県上富田町岩田の山中で行方不明の男性を見つけた猟犬のタマ(手前)とブン、飼い主の山本弘之さん
紀伊民報 2015年8月10日 原文のまま
編者:犬が徘徊の認知症の人を助けてくれることがある。

★「警視庁全職員 認知症講座の受講義務化へ」(8月10日/NHK)
認知症の高齢者への対応を警察官が迫られるケースが増える中、警視庁はすべての警察官と職員4万6000人に、認知症の症状などを学ぶ専門講座の受講を義務づけることを決めました。
認知症の高齢者がはいかいして道に迷ったり路上で倒れたりして、警察官が対応を迫られるケースが増えています。都内では、去年8月路上で倒れていた高齢者が対応にあたった警察官に認知症だとは気付かれないまま保護されず、後日、別の場所で死亡しているのが見つかり、現場の対応力の強化が課題となっていました。
このため警視庁は今年度中に、すべての警察官と職員合わせて4万6000人に、認知症の症状などを学ぶ専門講座の受講を義務づけることを決めました。
講座では、認知症の症状を見分ける方法や相手のプライドを傷つけない接し方など対応の際の注意点を学ぶほか、認知症の人が道に迷ったり万引きしたりしたケースを想定し、声のかけ方を考える実践的なグループワークも行われます。警視庁は「認知症を巡る事案の取り扱いが増えているので、適切に対応できるよう理解を深めたい」としています。
相次いだ認知症の見落とし
認知症の高齢者が急増する中、警視庁では現場の警察官が路上で倒れている人などが認知症だと気付かないケースが相次ぎました。
そのうちの1つが、去年8月、横浜市の介護施設からいなくなった認知症の83歳の男性のケースです。男性はその後、東京のJR中野駅近くの路上で倒れているのが見つかりましたが、対応した警察官は、男性が「1人で帰れます」と話すなどしっかり会話できたため、認知症とは気付かずに保護しませんでした。男性は、後日、近くの公園で死亡しているのが見つかりました。
ことし5月に東京・北区の介護施設からいなくなった70代の男性のケースでも現場の対応に課題が残りました。男性は近くの路上で倒れているのが見つかり病院に搬送されましたが、消防も病院も認知症とは気付かず、その後引き継いだ警察官も、男性がかつて住んでいたアパートの住所を話したことなどから認知症とは気付かず、その場では保護しませんでした。
警視庁はすべての警察署に再発防止の徹底を指示するとともに、幹部を集めた会議で認知症について学ぶ機会を設けるなど、対策に向けて検討を進めてきました。
(NHK NewsWeb 2015年8月10日 原文のまま
編者:安くて効果期待できるいい対策だ。他の道府県の警察も始めてほしい。既に始めているところもあると聞くが。

「名古屋全区に認知症患者支援チーム 専門職で早期発見」(8月9日/中日新聞)
認知症の患者や家族を地域で支えようと、名古屋市内の全十六区で十日から、看護や介護の専門職による支援チームが始動する。家庭訪問などを通じて、自分では症状に気付いていないお年寄りらを早期に見つけ、必要な支援や治療につなげていく狙いだ。
市高齢福祉部によると、今年三月時点で市内で確認している認知症患者は約五万三千人。ただ、この数は介護保険申請の際に把握できた患者に限られ、実際はさらに多いとみられる。一人暮らしで症状に気付いていないお年寄りや、家族が認知症に無関心なケースも多いという。
市が全十六区に配置する「認知症初期集中支援チーム」は、専門医や保健師、介護福祉士、作業療法士らが三人以上一組で活動する。昨年度は千種区でモデル事業を実施し、本年度から各区一チームずつに拡大。来年度は計二十九チームに増やし、市内全域を網羅する。
「地域包括支援センター」(いきいき支援センター)を窓口に、家族からの相談に応じ、近隣住民からの情報を収集。チームが訪問し、生活や症状に応じた助言をする。
認知症は早めの発見とケアが有効とされ、発見から半年間に集中的に対処。家族と密に連携し、通院や治療に結び付けて症状の進行や悪化を食い止める。
千種区東部のモデル事業所では昨年度、四十人の支援にあたった。ただ、六割が家族からの相談で、民生委員ら近隣からの連絡は七件にとどまり、第三者からの情報提供が課題となる。
市地域ケア推進課の石川隼主事は「病院や薬局にも情報提供を依頼するなど、地域のネットワークを広げ、認知症になっても住み慣れた地域で充実した暮らしを送ることができるようにしたい」と力を込める。
認知症の相談は、市認知症コールセンター=052(919)6633=か、各区のいきいき支援センター窓口へ。コールセンターは、月、水、木、金曜の午前十時~午後四時と、火曜の午後二~八時。相談無料。(本間貴子)
ChunichiWeb  2015年8月9日 原文のまま

★「認知症看護認定看護師 653人に! 過去3年で約2.5倍に増加」(8月7日/認知症ネット)
看護師資格認定3制度の総数は、2万65人に
公益社団法人日本看護協会(日看協)は、「第19回認定看護管理者認定審査」と「第23回認定看護師認定審査」を実施し、7月31日にその結果が明らかとなった。
認定看護管理者については458人が受験し、364人が認定をうけ総数2664人に、認定看護師認定審査は21分野1882人が受験し、1763人が認定をうけ、総数15935人となった。その結果、専門看護師数1466人と合わせた資格認定3制度の総数は、2万65人となった。
認知症看護認定看護師の設置
日看協では、「認知症に強い看護体制づくり」と「認知症の人が安心して暮らせるまちづくり支援」を掲げ、認知症看護認定看護師の育成に力を入れている。今回の認定審査では新たに181人が認定され、認知症看護認定看護師は653人となり、過去3年で約2.5倍に増加した。
認知症看護認定看護師は、超高齢社会を目前にして認知症の人がますます増加すると予想される社会に向け、2004年に分野を特定し、2006年より認定が開始された。
認知症看護認定看護師、全国的に増加
認知症看護認定看護師は、認知症ケアの実践、ケア体制づくり、認知症の行動心理症状の予防や緩和をおこなうほか、認知症の人にとって安心かつ安全な生活や療養環境を整える役割を担う。さらに、看護職に携わる人に対する指導や相談、地域におけるケアマネジメントなども重要な仕事となる。
認知症看護認定看護師の養成ならびに配置は、全国的にも進んでおり、「認定者0~10人以下」の県が、42県(2012年)から28県(2015年)に減少。さらに「認定者11~20人」が8県に、「認定者21~30人」が4県に、「認定者数30人以上」が7県にと全体に増加していることがわかった。
認知症ネットニュース 2015年8月7日 原文のまま
参考資料:資格認定3制度 認定者2万人を超える 認知症看護認定看護師は653人に(ニュースリリース 公益社団法人 日本看護協会 広報部 2015 年 7 月 31 日(pdf770K)

★ 「認知症の高齢者に抗精神病薬 重い副作用も」(8月6日/NHK)
はいかいなどの症状が出た認知症の高齢者に「抗精神病薬」と呼ばれる薬が投与された結果、寝たきり状態になるなどの重い副作用が出ていたケースがあることがNHKが専門医を対象に行ったアンケート調査で明らかになりました。「抗精神病薬」は慎重な使用が求められている薬で、厚生労働省は使用に関するガイドラインを見直し、副作用に対する注意喚起などを詳しく盛り込む方針を決めました。
これはNHKがことし6月、認知症の診断や治療について、日本認知症学会と日本老年精神医学会に所属する専門医を対象に行ったアンケート調査で明らかになりました。
回答した531人のうち、66%に当たる351人の専門医が診療している認知症の高齢者について、前に受診していた施設で「抗精神病薬」を投与され副作用が出ていたケースがあると答えました。
抗精神病薬は、はいかいや暴力行為などBPSDと呼ばれる症状を抑えるために家族などの求めに応じて使われることもありますが、国のガイドラインでは「基本的には使用しないという姿勢が必要」と定められ、慎重な使用が求められています。アメリカでも死亡率を高めるとして使用を控えるよう警告が出されています。
アンケートで具体的な副作用について尋ねたところ、薬の効きすぎで活動が鈍くなったり寝たまま、ぼーっとしたりする「過鎮静」を挙げた専門医が多く、中には歩くことが難しくなり寝たきり状態になったり、食事を飲み込む機能が低下したため、腹部に穴を開け、管から栄養を取ったりする深刻なケースもあったということです。多くの場合、薬を減らしたりやめたりすることで症状が改善したということです。
厚生労働省は、こうした実態を踏まえてガイドラインを見直す方針を決め、介護のしかたで症状を和らげるなど薬に頼らない対応の重要性を強調したうえで、副作用についての注意喚起をするほか、薬を使わざるをえない場合は用量や期間を定期的に見直すことなどを詳しく盛り込むことを検討しています。
日本老年精神医学会の理事長で順天堂大学の新井平伊教授は「認知症の人を介護をする家族の負担が大きく薬を使わざるをえない現状があるが、抗精神病薬は少量で短期間使うことが原則だ。かかりつけ医や専門医、それに介護職が連携して、薬以外の治療も含めて対応できるように態勢整備が必要だ」と話しています。
認知症に伴うBPSDとは
認知症に伴って、BPSDと呼ばれる幻覚や妄想などの心理症状やはいかい、それに暴力行為などの症状が出ることがあります。BPSDは必要な介護サービスを利用したり、家族の対応のしかたを変えたりすることなどで改善する場合もあります。しかし、BPSDが激しい場合は介護をする家族の負担も大きく、症状を安定させるために抗精神病薬などの精神科の薬が使用されているのが実態です。
医療経済研究機構が平成22年までの8年間に認知症の高齢者およそ1万5000人を対象に調査を行ったところ、5人に1人に抗精神病薬が処方されていました。認知症の高齢者への「抗精神病薬」の投与について、アメリカでは10年前、感染症や脳血管障害などによって死亡率が1.7倍程度高くなったとして使用を控えるよう警告が出されています。
抗精神病薬によるBPSDの治療法が確立していないため、日本では保険適用は認められていませんが、医療現場では処方箋に精神疾患など別の病名を書き抗精神病薬が処方されているのが実態です。こうしたことを受けて、厚生労働省は2年前、抗精神病薬などの使用に関するガイドラインを策定しています。
この中では基本的にはBPSDの治療に抗精神病薬は使用しないという姿勢が必要だとしたうえで、やむをえず使用する場合は、複数の薬を併用しないことや、歩行障害などの副作用が出た場合は直ちに薬を減らすか中止することなどを盛り込んでいます。
副作用で寝たきりになった女性は
抗精神病薬を長期間投与された副作用で寝たきり状態になり、食事も腹部に開けた管から栄養を取らざるをえなかった認知症の女性もいます。
6年前に認知症と診断された三重県松阪市の89歳の女性は病状が進み、幻覚を見るようになったほか、家族などに暴力をふるうなどBPSDの症状が現れました。
去年、対応に困った娘が近くの病院に相談したところ、BPSDを抑えるために「抗精神病薬」が処方されました。4か月以上薬を飲み続けた結果、女性の幻覚や暴力などの症状は収まりましたが、薬の副作用で飲み込む力が低下し腹部に穴を開け、管から栄養を取らざるをえなくなり、寝たきり状態となってしまいました。
なんとか自分で食べられるように回復してほしいと、家族が認知症の専門医に相談した結果、抗精神病薬の服用を中止することにしました。女性の状態は徐々に回復し、起き上がれるようになり、再び自分の口で食べられるようになりました。
女性の娘は「もう二度と口からものを食べられないと思っていたので再び、おいしいと食べられるようになって、とてもうれしい。認知症であっても、本人の尊厳を大切にしてあげたい」と話しています。
女性の治療に当たった認知症専門医で国立長寿医療研究センターの遠藤英俊医師は、「日本の抗精神病薬の処方は海外と比較して規制もないなかで漫然と処方されている傾向にある。抗精神病薬は適切な使用量や期間を定めて使うことが大切だ」と話しています。
NHKNewsWeb 2015年8月6日 原文のまま
編者:わが国での認知症への向精神病薬の投与の実態が少し分かりかけた。これからどうするかは根の深い問題だ。

★「広がる「認知症カフェ」は志の高いNPO任せでいいのか」(7月22日/Diamond online)
浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)(写真右)]
医療・介護 大転換 【第35回】

介護者たちの精神的負担が軽くなる場所

家族介護者や認知症本人の憩いの場「認知症カフェ」が増えているが…
高齢者介護の最も大きな課題は認知症への対応だろう。施設入所の理由として、第一番に上がるのは認知症のため家族との同居が難しくなったからだ。できるだけ長く自宅での生活を続けるために、「認知症カフェ」の活用が浮上している。

認知症に関わるいろいろな悩み事の相談を受けることができるスタッフがいるカフェである。お茶を飲みながらリラックスして、という点が従来の福祉事業と違う。だからカフェなのだ。

認知症の家族介護者だけでなく、認知症の本人が同行できるところも増えてきた。介護保険制度にはのらないため、運営費の確保が難しい中、志の高い地域のNPO法人が担い手として登場している。

医師などから受ける専門的な写真説明では得られない日々の生活の中での適切な言葉使いや仕草などを学べる。介護者がお互いの体験を披露することで介護のヒントをつかめる。それによって認知症の家族介護者たちの精神的負担が軽くなる。

国も1月に、新たな認知症の国家戦略「新オレンジプラン」を発表し、認知症カフェの開設に旗を振り出した。認知症者ができるだけ地域活動に参加し、社会的交流を続ければ、介護保険を利用する時期を遅れせることができる、という思惑からだ。財源難に陥っている介護保険制度を手助けすることになる。

東京都港区内の高輪区民センター。毎月第三金曜日に「みんなとオレンジカフェ」が開かれる。オレンジ色の幟を入口に立てた部屋には、臨床心理士や看護師、保健師などのスタッフ6人が待ち受けている。

そこへ、認知症の本人や妻に連れ添われてきた認知症の高齢者など5人がやってきた。参加費200円を支払って、テーブルごとに分かれて座る。それぞれにスタッフが横に並び、参加者の話を聞く。アロマセラピストの資格を持つボランティアの女性が、参加者の手を取ってハンドケアをしながら、思い出話に耳を傾ける。

認知症ではないかと気がかりな80歳代の女性は、近くに住む娘に勧められて毎月必ず顔を出すという。同じテーブルで終始笑顔で話しかけてくる女性は、画像検査で認知症の判定を受けた。

「自宅では一人なので、話し相手がいない。ここでは皆さんとおしゃべりができるので楽しい」と、二人が話す。15時過ぎからは、医師を招いて「認知症と食事について考える」というテーマの話を聞く。家族が同行できるバスツアーや音楽交流会も開いている。

港区がこのカフェを開設し、運営するのは委託を受けたNPO法人「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」。アラジンは、介護者たちのケアを活動目的にした法人である。

「みんなとオレンジカフェ」は、「港区在住の65歳以上の認知症の方やその家族、認知症予防に関心のある方のためのカフェ」ということだ。港区は区内を5地域分け、この高輪地区のほかに芝と荒川地区でやはりアラジンが月一回運営している。麻布と芝浦港南地区では、NPO法人「エブリィ」が、同じように同区からの委託事業として開催している。

こうして区内の全地域の住民を対象に認知症カフェを開設しているのは、全国の市区町村の中でも珍しい。同区の意欲がうかがえる。

認知症ケアに必要なのは「積極的に人と関わり合う場」

多くの認知症カフェは月2、3回の開催にとどまっているが、東京都八王子市の「八王子ケアラーズカフェわたぼうし」は、火曜から土曜日まで毎日開いている。

JR八王子駅に近いビルの2階。2人のスタッフのほかに、ケアマネジャーが家族の話に耳を傾ける。認知症の本人もその傍らで、お茶を飲みながら過ごす。専門的な相談事には、東京都の「認知症コーディネーター」の資格を持つ看護師が対応する。このほか11人の有償ボランティアが運営に参加。その多数は現役の介護者や介護経験者で、家族の悩みに共感しながら話を聞く。

その中に、若年性アルツハイマーと診断されて3年経つ男性(64歳)もいる。週一回このカフェに通っており、利用者たちの写真を撮ってプレゼントしている。認知症本人としては有効な社会参加であり、特技を生かしたボランティア活動でもある。認知症への対応としてはお手本のような試みと言えるだろう。話し相手がいない孤立感が認知症の症状を進めがちになる。こうした積極的な人とのかかわりができる場を作るのは認知症ケアには最適例だ。

このカフェを運営するのは一般社団法人「八王子福祉会」。八王子市内の9つの社会福祉法人が集まって2011年に設立した。同じビルの4階で「八王子地域包括支援センター子安」を運営しており、同市の認知症家族サロン事業に応募して、この2月に「わたぼうし」を開いた。

カフェは誰でも利用できる。お茶やお菓子を提供しており、運営協力費として200円を払いたい利用者は払うという仕組みだ。

「お世話をする・される」ではない関係

「Dカフェ・ラミヨ」。名前の意味は“誰でも・仲間”
自宅を開放した認知症カフェもある。東京都目黒区の祐天寺駅近くの閑静な住宅地。竹内弘道さん宅の2階が認知症カフェ「Dカフェ・ラミヨ」だ。Dとは、Dementia(認知症)、District(地域)、そして「だれでも」の意味を込めている。ラミヨは、Lami+イヨ。amiはフランス語で「仲間」。イヨは、竹内さんが12年間自宅で介護を続けてきた母親の伊代さんの名前である。4年前に伊代さんは自宅で亡くなった。安らかな自然死だったという。

伊代さんの死亡後に、竹内さんは自宅を大改築して「市民交流スペース・ラミヨ」の表札を掲げた。第2日曜と第4土曜の月2回、2階のフロア全体を使って様々な催しが開かれている。

「認知症をキーワードに、みんなでコーヒーを飲みながらコミュニティの話をしましょう」と言うのが竹内さんの思いである。認知症家族の介護者をはじめ、医師やケアマネジャー、介護福祉士、一般市民などが集まる。

竹内さんが強調するのは、カフェでの過ごし方。「お世話をする・される」という上下関係ではなく、水平で対等(ピア)な関係で過ごす。参加者が等しく300円の参加費を支払って、自律的に動く。「自由・平等・博愛のデモクラシーの考え方です」と竹内さん。医者や患者という肩書のない集いを目指す。

竹内さんは、自宅で母親を介護しながら1998年から任意団体の目黒認知症家族会「たけのこ」を主宰。認知症本人と家族、支援者が一緒に過ごす取り組みを続けてきた。本人の心の声に耳を傾け、介護者の悩みに一緒に向き合おうという活動だ。目黒区と目黒区社協の「めぐろボランティア・区民活動センター」との協働事業で、同区から保健師の派遣、社協から助成を受けている。

「Dカフェ・リハビリ工房」
こうした活動の延長線上に自宅カフェを開いた。自宅だけではなく、区内の各地から同様のカフェ開設の要望が来るようになり、デイサービスの休日活用に乗り出した。これがDカフェの2号店、3号店となる。14年7月に西小山で「Dカフェ・ニコス」を、15年2月には八雲で「Dカフェ・リハビリ工房」をそれぞれ開設した。

さらに病院内認知症カフェという画期的な試みが実現する。国立病院機構・東京医療センター内にこの5月、「Dカフェ・東が丘」が出来た。今年度中には、病院内型とデイサービス型をまたひとつずつ作る計画も進んでいる。来年度のプランも合わせると、全部で8カ所のDカフェが誕生するという。竹内さんは、今や認知症カフェの総合プロデューサーと言ってもいいだろう。

こうした東京都内の認知症カフェはいずれも東京都の「認知症の人と家族を支える医療機関連携型介護支援事業」によるものである。この助成事業は、1区市町村につき上限1000万円を投入して、認知症カフェの開設を後押しするもの。医療機関の専門職との連携が事業の条件となる。東京都が区市町村に補助を行い、区市町村が直営またはNPO法人などに委託して運営する。事業期間は3年。

2014年度までに港、墨田、板橋、目黒、豊島の5区と八王子市が名乗りを上げ。合計12ヵ所でカフェが開設されている。区市はカフェにそれぞれの区市名を被せてはいるが、費用はすべて東京都が拠出している。実質的には、他府県にはない東京都独自の先駆的事業と言っていいだろう

認知症ケアに力を入れている京都

市町村レベルでも認知症ケアに力を入れているところは、カフェの開設に前向きだ。その代表例が京都府の宇治市。

定期的に認知症カフェを開く宇治市
「れもんカフェ」と名付けた認知症カフェを市内の地域福祉センターやカフェなどで定期的に開く。この4月から9月までに16回を予定している。同市の初期認知症総合支援事業と位置付けて、市内の府立洛南病院の協力を仰いで、福祉サービス公社に運営を委託して開催。

もともと、洛南病院の医師、森俊夫さんが、若年認知症の人向けのサービスがなかったので、テニス教室を開いたのが運動の始まりだった。「認知症は緩やかに進行するもので、初期には仕事や生活がかなり普通にできる。だが、相当に深刻な状態になったケースが語られがち。認知症と診断されても暮らし続けることができるということを伝えていきたい」と森さん。

京都には、もうひとつ、認知症カフェの先駆的な事例がある。京都市の御所の西側。3階建ての住宅の一階が「まちの縁側・とねりこの家」と記されている。10年ほど前に開設されたコミュニティカフェである。

保健師の水無瀬文子さんが「年老いても、障害があっても、子どもたちも、みんなが集える場所。昔の縁側のようにのんびり世間話ができるような居場所にしたい」という思いで開いた。

多世代交流の場であり、子育て支援の場として知られている。それが、日曜日になると、一変。認知症カフェ「オレンジカフェ今出川」に変身してしまう。京都大学医学部付属病院「もの忘れ外来」の医師、武地一さんが主宰する。認知症の本人や介護者、支援者などが訪れる。

実は、京都府は、認知症への取り組みが全国的にも早かった。認知症の団体として大きな影響力を持つ公益社団法人「認知症の人と家族の会」(高見国生代表理事)が結成されたのは35年も前の1980年であるが、本部は京都市にある。京都市民の中から、認知症家族の団体作りの声が挙がり、各都府県に1つずつ団体が増えていき、今では全都道府県に及んでいる。

認知症の人と家族の会は、それぞれの地方組織で独自の活動を展開している。認知症カフェの先取りと言える「つどい」と呼ぶ集まりを定期的に開いているところが多い。自宅での認知症ケアは家族にとって心身の負担は大きい。抱える家庭の事情は違ってはいても、互いの実情を話し、聞くことで気持ちは相当和らぐ。

全国で広がりつつある認知症カフェだが、介護者家族の集まりがそのスタートとなっているところが多い。全国団体の「認知症の人と家族の会」だけでなく、地域の中で自主的な会合を重ね、それがより開かれた形としてカフェになるケースも。

「認知症カフェ」を誰が設置し、運営費をどうまかなうか

社会福祉法人や医療法人の中にも、認知症への理解が進み、利用者本位を打ち出すところでは、認知症利用者の家族団体の結成を手助けして、カフェへと繋げようとするケースも見られる。

行政の支援を当てにしないで民間事業者が独自に認知症カフェを開設する動きも高まっている。例えば、東京都江東区北砂の「オレンジカフェ・えんむすび」。

「オレンジカフェ・えんむすび」で行われている折り紙教室
7つのデイサービスを同区内で運営している有限会社「すこやか」が昨年6月、本社とデイサービスのある5階建て建物の1階に開いた。参加者は「だれでも無料で」と開放的だ。隣には足湯も作って利用者を待つ。日曜を除く毎日10時から15時まで開催。

絵手紙教室を始め、歌声喫茶、折り紙教室、お菓子作り、おにぎりを食べる会など様々なイベントを企画している。時には看護師を招いての健康相談も催す。

「オレンジカフェ・えんむすび」の「おにぎりを食べる会」
介護事業者だけに、利用者を観察する力がある。「介護保険が必要なのにまだ利用していない人を地域包括支援センターにつなげることもあった」。

「新オレンジプラン」をこの1月に発表した国は、その中で認知症ケアの設置推進を掲げている。「認知症に人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進」と書かれている。

だが、問題は誰が設置し、その運営費はどのようにまかなうかである。介護保険制度とは別に打ち出したのがオレンジプランだ。介護保険の報酬は全くない。個別の推進事業として予算は計上されているが、認知症カフェに特化した事業はない。自治体任せが実態だ。東京都や宇治市のように積極的な自治体は数少ない。

一方、要支援者の介護保険外しとして自治体に課せられた総合事業との関連も不透明だ。初期の認知症高齢者は、判定会議で要支援と判断されがちである。その要支援者へのサービス提供は市町村自治体が担う。

要支援者サービスとして、認知症ケアに的を絞ったサービスを取り入れる自治体は聞いていない。草の根のボランティア団体やNPOに認知症カフェ作りを委ねてはなるまい。

介護報酬の豊かな蓄積がある特養を運営する社会福祉法人は、こうした収支が取り難い分野にこそ一斉に参入すべきだろう。納税の義務を免除されていることへの世間の目は厳しい。厚労省の審議会では、社福法人の地域事業への参画を要請されている折でもある。
Diamond online 2015年7月22日 原文のまま
編者:浅川氏の見解に異議なし。「認知症カフェ」を規定、資金的裏付け、将来計画および意義などが曖昧なままで普及しているようだ。普及するといっても需要にどれほど応えているか疑問だ。ないより在った方が良い程度もものか。介護保険給付に組み入れるべきかどうかはよくわからない。なお、浅川氏の指摘するように「カフェ」は新しい取り組みにようだが、「家族の会」が当初から取り組んだ「集い」と基本的に同じだ。

★「「徘徊」使いません 大牟田市、訓練の名称変更」(7月22日/西日本新聞)
認知症のお年寄りを地域ぐるみで見守る取り組みとして、全国に広がっている「徘徊(はいかい)SOSネットワーク模擬訓練」。その旗振り役として知られる福岡県大牟田市が、名称から「徘徊」の文字をなくすことを決めた。「徘徊」という言葉が、偏見や無理解につながるとの指摘を受けての判断。訓練は全国100以上の自治体が実施しており、影響を与えそうだ。
訓練は2004年、市の住民団体が始めた。不明者の年齢や服装などの情報を警察や市がメールで住民に知らせ、地域を挙げて捜索する。こうした動きを受け、大牟田市は05年、全国に先駆けて「認知症の人とともに暮らすまちづくり」を宣言。07年からは訓練を市主催で毎年秋に行っている。
認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子研究部長によると、「どこともなく歩き回ること」を意味する「徘徊」は、1980年代から、精神的異常行動を示す医学用語として定着。今や、認知症の代名詞として広く使われており、大牟田市も「安心して徘徊できる町」とうたって訓練を続けてきた。
しかし、専門家や認知症の人を抱える家族からは「目的なく歩き回るわけではなく、帰宅や買い物など、その人なりに理由がある」といった声が寄せられるようになった。このため市は、関係者と名称変更を検討。「全国に定着しているだけにもったいない」「『徘徊』の文字がないと緊張感が出ない」との声もあったが、「認知症の人の心に寄り添うことが大切」(市長寿社会推進課の木下博文主査)として変更を決めた。
新名称は「認知症SOSネットワーク模擬訓練」とする方向で、8月上旬に住民代表者に説明し、正式に決める。市と取り組みを進めてきた市認知症ライフサポート研究会大谷るみ子代表(57)(写真右下)は「私たちが使ってきた言葉をあえて変えることで、社会に一石を投じ、認知症の真の理解を広げたい」。永田部長も「行動への正しい理解や適切な支援を阻んでおり、言葉を変える勇気が必要」と話す。
写真(右上)説明:腰をかがめ「徘徊役」の人に声を掛ける訓練参加者=昨年9月21日、福岡県大牟田市
西日本新聞 2015年7月22日 原文のまま
編者:「徘徊」が無くなる!これに代わる用語を見付けてほしい。障害者の代替用語「障がい者」あるいは「しょうがい者」に見習って「はいかい」とする?「徘徊」は「徘徊」でよいではないか。命に係わる深刻な言葉なのだ。あえて私の代替案を提示すれば「不適切移動」。

★「病状理由の運転免許取り消し・停止、2.5倍の7700件」(7月16日/日本経済新聞)
昨年6月の改正道路交通法の施行で、運転免許の取得・更新時に運転に支障を及ぼす可能性がある病気の症状の申告が義務付けられ、昨年6月~今年5月に11万1489人が病状があると申告したことが16日、警察庁のまとめで分かった。病状を理由にした免許の取り消しや停止などの処分は7711件あり、前年の同じ時期の2.5倍に増えた。
改正法では病状を虚偽申告した場合の罰則が設けられ、全国の8県警が8人を摘発していた。
免許取り消しや停止の理由となった病気の内訳は、てんかん2313件(前年同期比1497件増)、認知症1165件(同481件増)、統合失調症1006件(同566件増)など。
免許を取得・更新する全員に病状を質問票で尋ねているほか、本人や家族が申し出ることもある。警察庁の担当者は「法改正をきっかけに持病のある本人や家族による相談が増え、運転への意識が高まっている」としている。
患者を診断した医師が運転に支障がある疑いがあるなどとして任意で届け出たケースも184件あった。
虚偽申告の摘発例は、持病の発作で交通事故を起こしたケースや、免許取得の際に発作が起き、後日に別の運転免許試験場で免許を取得しようとして発覚したケースがあった。
日経WEB  2015年7月16日 原文のまま
編者:取り消しになった人は移動の手段、就労はどうしているのか?認知症の場合は家族が申請するのだろう。

★「認知症の母殺害、殺人容疑で大阪・枚方の71歳長男逮捕」(7月8日/産経新聞)
8日午前6時15分ごろ、大阪府枚方市田口の大阪府警枚方署山田交番に、男が「母親を殺した」と自首した。男に付き添って自宅を訪れた署員が、女性が胸から血を流して死亡しているのを発見、殺人容疑で男を緊急逮捕した。
逮捕されたのは、同市甲斐田新町の職業不詳、上田芳暉容疑者(71)。逮捕容疑は7日正午ごろ、自宅で母親のヨシ子さん(92)の左胸を小刀で2回刺し、殺害したとしている。
同署によると、上田容疑者はヨシ子さんの長男。約15年前から2人で暮らしていた。ヨシ子さんは認知症の症状があり、上田容疑者が介護していたという。
上田容疑者は「母親から『ものが無くなったから110番しろ』と言われて口論になった。カッとなって刺した」と供述しているという。
産経WEST 2015年7月8日 原文のまま
編者:悲しいことだが、理解できないことはない介護殺人だ。

★「認知症の兆候を血液検査で、精度80%で識別」(6月29日/日経デジタルヘルス)
血中バイオマーカーを筑波大などが発見
認知症の兆候を、血液検査でとらえる。そうした手法への道を開く技術を、筑波大学 医学医療系 准教授の内田和彦氏(写真)らのグループが、同大学発ベンチャーのMCBI(Molecular and Clinical Bioinformatics)などと共同で開発した(ニュースリリース2015年6月26日の記者会見資料のpdf(260K))。認知症の原因物質を排除したり毒性を防御したりするたんぱく質が、認知機能低下を示すバイオマーカーになることを発見。このバイオマーカーを使って、正常な認知機能と、認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)を80%の精度で識別することに成功した。
米学術誌「Alzheimer's & Dementia: Diagnosis, Assessment & Disease Monitoring」に論文が掲載された(論文のpdf)。論文タイトルは「Amyloid-β sequester proteins as blood-based biomarkers of cognitive decline」。
認知症の大半を占めるアルツハイマー病では、発症の20年ほど前から、アミロイドβペプチドと呼ばれる物質が脳内に蓄積される。プレクリニカル期と呼ぶ無症状の時期、さらにはMCIと呼ぶ段階を経て、認知症を発症する。認知症では早期の発見と介入が重要とされ、プレクリニカル期やMCIでの介入を可能にする上では、認知機能低下の目印となるバイオマーカーの開発が欠かせない。
今回の研究は「シークエスタータンパク質」と呼ぶ、アミロイドβペプチドの排除や毒性防御に働くたんぱく質の血中変化が、認知機能低下のマーカーになることを明らかにしたもの。「すぐにでも健診で活用できる」(研究グループ)という、一般的な血液検査で測定可能だ。
コホート研究で見出したバイオマーカーを活用
今回の研究は、共同研究者の1人である朝田隆氏(元・筑波大学教授、現・東京医科歯科大学)らが茨城県利根町で2001年から実施しているコホート研究に基づく。このコホート研究では、認知機能検査や臨床診断、採血を3年おきに実施し、内田氏らが血中バイオマーカーを探索してきた。
健常とMCI、認知症に分類にした参加者を、時間軸に沿って継続的に調査する「縦断研究」と呼ぶ手法を採用。シークエスタータンパク質の血中変化を明らかにした。これらのたんぱく質を他の臨床サンプルで調べた結果から、最終的に3つの血清たんぱく質(補体タンパク質、アポリポタンパク質、トランスサイレチン)を抽出。これらを組み合わせたマルチマーカーによる回帰分析を実施した。これにより、正常な認知機能とMCIを約80%の精度で識別することに成功。これとは独立したコホート研究でも、その再現性を確認したという。
今後は、検査精度をさらに高めることを目指す。加えて、バイオマーカーによる早期発見と介入が認知機能低下を防ぎ、認知症の発症を予防することを、長期的なコホート研究で示す狙いである。
日経デジタルヘルス 2015年6月29日 原文のまま
編者:数万円要する検査を誰が受けるのか?誰に勧めるのか?その結果をどう活かすのか?未解決な課題が多い実験段階の検査の報道は注意されたい。

★「認知症不明者、2年連続で1万人超 所在未確認168人 14年届け出、警察庁まとめ 」(6月25日/日本経済新聞)
2014年に認知症で行方が分からなくなったとして家族などから警察に届け出があった不明者が1万783人だったことが25日、警察庁のまとめで分かった。13年から461人増え、2年連続で1万人を超えた。大半は保護されているが、14年末時点で168人(1.6%)の所在が確認できていない。
厚生労働省によると、12年時点の認知症の高齢者は推計約462万人で、25年には700万人に達する見通し。高齢化が急速に進むなか、早期に発見するための仕組みづくりが課題になっている。
警察庁によると、不明者のうち14年中に所在が確認された人は、前年以前に届け出があった233人を含め1万848人。警察が発見して保護した人が6427人、自宅に戻るなどして家族が確認・保護したケースが3610人。このほか429人が死亡していた。
都道府県別の届け出をみると、大阪府が1921人で最も多く、兵庫県(1207人)、愛知県(894人)と続いた。東京都は253人、福岡県は396人。男女別では、男性が6130人、女性が4653人だった。集計は届け出のあった延べ人数。
所在確認までの期間は、届け出を受けた当日が7091人、2~7日間が3448人で、大半は1週間以内に確認された。一方、2年以上かかって確認された人も73人いた。
警察庁は昨年11月までに、保護した身元不明者の情報を記載した台帳を全国の警察署で閲覧できる体制を整備した。ただ今年5月末時点で警察署の台帳で閲覧可能なのは39人にとどまり、このうち22人は保護された都道府県に限られている。
台帳に情報を載せるかどうかは、警察から身元不明者の対応を引き継ぐ自治体の判断に委ねられているが、個人情報保護などを理由に慎重な自治体が多いとみられる。「認知症の人と家族の会」(京都市)の高見国生代表理事(71)は「一刻も早く発見してほしいというのが家族の願い。自治体は必要な情報を開示してほしい」と話している。
日経WEB版 2015年6月25日 原文のまま
関連資料:平成26年中における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課(pdf400K)
編者:1年間で届け出が1万783件ということは1日約30件。所在不明が168人。死亡429人。これはただ事ではない。大阪府が断トツに多いのは何故か、究明する必要がありそうだ。対策として従来の市町村での取り組みでは対応できないだろう。どこから手を付けるか?

「警察官250人が「認知症サポーター」に認定 認知症患者の行方不明10年で3倍超増加 大阪府警」(6月23日/産経新聞)
大阪府警本部で22日、認知症患者の症例を知り正しく理解する「認知症サポーター」の養成講座が開かれた。本部勤務の警察官や職員ら約250人が出席、約1時間の講座後、全員が認知症サポーターに認定された。府警によると、山形、奈良、宮崎各県警が同様の講座を実施。府内では警察署で開かれたことはあるが、府警本部では初めて。
認知症サポーターは厚生労働省が平成17年度に設けた制度で、患者をさまざまな面で支援する。自治体が認定した講師による講座を受ければ認定され、受講者は全国で600万人を突破。警察官に正しい知識があれば認知症患者への適切な対応ができ、急増する認知症患者の行方不明者の捜索でも役立てられる。
この日の講座では、認知症患者に接した経験が豊富な看護師が、大阪市認定の講師を務め、道に迷った患者に警察官がどう対応するかを解説。「質問を優しく投げかけ、答えを急がせないでください」などと指導した。
認知症サポーター講座を企画した府警生活安全部の多久竜一調査官は「今後は警察官一人一人の患者に対する接し方が問われるようになる」としている。府警では「今後も養成講座を開催していきたい」としている。
  □
今月上旬。府東部の警察署では、80代の女性が夫の写真を手に駆け込んできた。
「夫が『自転車に乗ってくるわ』と出かけたまま夜になっても帰ってこない。認知症なのでとても心配です」
警察署は行方不明届を受理すると、すぐに府内全署に手配。男性は翌日、大阪市内で無事に保護されたという。
認知症対策が全国的な課題となる中、府内でも認知症患者の行方不明者が急増している。
府警によると、昨年1年間で受理した認知症患者の行方不明届は1922件。認知症患者数の統計を取り始めた10年前の平成16年(537件)に比べ、3・6倍に増えている。行方不明届全体に占める認知症患者の割合も、16年の7・2%から昨年は23・6%まで拡大した。行方不明者の4人に1人は認知症という事態になっている。
認知症の行方不明者はほとんどのケースで発見されるが、中には何らかの理由で死亡したり、発見されなかったりすることもある。認知症で自分の名前や住所が言えず、身元が分からないまま施設などで保護されているケースもある。府内では16年以降今年5月末までで、46人が行方不明のままになり、9人が遺体で見つかった。
こうした状況を受け、府警は昨年9月、身元が分からないまま施設などで保護されている高齢者らの顔写真や特徴などを記した「身元不明迷い人台帳」を作成した。府内の全警察署に常備しており、行方不明届を出した家族らが閲覧でき、行方不明者捜索に役立ててもらうのがねらい。導入以降、今月22日時点で7人の身元が判明し、全員が家族の元に帰ったという。
西成署では、認知症患者の行方不明者情報を管内の行政機関にメール配信する取り組みを始めている。
一方、警察官が認知症の正しい知識を持たなかったため、現場で大きな失敗をするケースもある。
警視庁管内では昨年8月、警察官が公園で認知症高齢者を見つけたが、「大丈夫」と言われたためそのまま通り過ぎ、高齢者が脱水症などで死亡。今年5月にも同じく警視庁の警察官が高齢男性に接触しながら患者と気づかず、保護しなかった。
警察官に認知症の十分な知識があれば適切な対応ができた可能性がある。
厚生労働省によると、10年後の37年、認知症患者は全国で現在の約1・4倍となる約730万人と推定される。認知症患者に接する警察官の正しい知識が求められている。(大森貴弘)
産経WEST 2015年6月23日 原文のまま
編者:こうした講習は積極的に広げて欲しい。認知症の妻が4回行方不明になった時、警察官には大変お世話になった。また彼らの対応も良かった。顛末はこちら「認知症の妻の介護でみえたこと―介護家族と医師の視点から―」(「介護保険情報」2010年4月号~2011年3月号掲載 pdf2.6M)の第4回「徘徊」すべての警察官が認知症についての基礎知識を持つことが急務だ。

★「認知症疑いの路上生活者など約130人保護」(6月16日/NHK)
認知症が疑われる状態で、路上生活などをしていて保護された人が、首都圏を中心に130人近くにのぼることが各地の支援団体への取材で分かりました。
その多くが高齢者で、中には認知症の影響で生活保護の申請などができず、路上生活に追い込まれた人もいて専門家は、早い段階での「気付き」と支援の必要性を指摘しています。
路上生活者、いわゆるホームレスの実態について、NHKは全国の主な77の支援団体を対象に調査を行いました。
その結果、認知症が疑われる状態で、路上生活などをしていて保護された人は東京や神奈川など、首都圏を中心に合わせて129人にのぼっていることが分かりました。
その多くが高齢者で、支援団体によりますと中には、認知症の影響で、生活保護の申請や家賃の支払いなどができず、路上生活に追い込まれた人もいるということです。
また、路上生活をするようになる前に、別の病気で入院したり、物をなくして警察を訪れたりしたものの、その場では認知症と気付かれず、支援につながらなかったケースもあるということです。
認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子研究部長は「認知症の人は『助けて』と自分からうまく説明できない。家がなくなり、次にどうしたらいいか分からないまま路上生活に陥っているのが現実ではないか。超高齢社会で認知症がますます増えるなかで、早い段階で周囲が症状に気付いたり、対応したりできるような社会にすることが課題だ」と指摘しています。
認知症と気付いてもらえず・・・
周囲から認知症だと気付いてもらえずに、路上生活に追い込まれたのが、おととし保護された73歳の男性です。
男性はおととし2月の夜、JR池袋駅の構内で座り込んでいるところを支援団体に保護されました。
その後、認知症と診断され、現在は生活保護を受けながら、支援団体が紹介した東京・豊島区のアパートで1人で生活しています。
支援団体などによりますと男性は、調理師の仕事を退職した後、次第に認知症の症状が現れ2年前、アパートの大家とトラブルになって、ビジネスホテルを転々とするようになりました。
その後、持病の心臓病が悪化して病院に入院しましたが、医師には認知症とは気づいてもらえませんでした。
また退院後、財布や銀行通帳が入ったかばんをなくして警察に届け出ましたが、その際にも、認知症の症状に気づいてもらえなかったということです。
男性はお金などをなくして、このときすでに泊まる場所を失っていましたが「警察に自分の状況を話してもしかたないし、路上で暮らすしかないと思っていた。落ち着いて休める場所がない状況はきつかった」と話しています。
男性が入院していた病院の医師は「診察の際、普通に受け答えができていて認知症だとは思わなかった。ホテルを転々としていたことは看護師には話したようだが、自分は把握できなかった。病気のことだけでなく生活に関する聞き取りが出来ていれば、退院時にもう少しサポートができたと思う」と振り返っています。
男性を保護した支援団体は「男性は認知症の影響で問題を筋道だてて解決する能力が弱っていたが、周囲も気付かないままホームレスになってしまった。家族がいない1人暮らしのお年寄りがこんなにも簡単に1つのことがきっかけでホームレスになってしまう社会は怖いと思う」と話しています。
“橋の下で生活“を保護
秋田常太郎さん(78)は4年前、東京・墨田区の橋の下で生活しているところを保護されました。その直後、病院で認知症と診断されました。
現在は生活保護を受給し訪問介護を受けながら、東京・墨田区のアパートで1人で暮らしています。
支援団体などによりますと秋田さんは以前、建設会社の寮に住み込んで仕事をしていましたが、認知症の症状が出てきて働けなくなったと見られています。
それと同時に、寮を出て、橋の下で暮らすようになったということです。
秋田さんを見つけ、食事や布団を提供したという近所の男性は「話しかけてもうなずくばかりで意思疎通が難しく心配だった」と当時の様子を振り返ります。
また連絡を受けて秋田さんを保護した墨田区役所の担当者は「職員が聞き取りを行っても『過去のことは覚えていない』と話し、住民票がどこにあるのかも分からない状況だった」と話しています。
秋田さんは「誰かに相談してもむだだと思って路上で生活していた。特に冬場は寒かった」と話しています。秋田さんを支援している団体の平尾弘衆さん(写真右上)は「秋田さんは、保護されたとき、認知症がかなり進んでいて、この状態で長い間、ホームレスを続けるのはつらかっただろうと感じた。警察や行政の担当者には、認知症についてよく勉強して支援につなげてほしい」と話しています。
支援団体は見回り活動
東京・池袋を中心に活動するNPO法人「世界の医療団」はホームレスの人たちに食事を提供するなどの支援を続けています。
5月20日の夜、見回りの活動をしていたところ、高齢の男性が池袋駅の入り口付近に座り込んでいるのを見つけました。
NPOに所属する森川すいめい医師(写真右下)が話を聞いたところ、男性は67歳で年金生活をしていましたが、家賃が払えなくなり、家を出たということです。
その後、ホテルを転々としたものの宿泊費も払えなくなり、発見される2日前から路上で生活するようになったということです。
森川医師によりますと男性は軽度の認知症の疑いがあり生活保護の受給を勧めても「申請はしていると思う。大丈夫だ」と答えるばかりで、それ以上の話はできなかったということです。
医師は「認知症の疑いがあって生活上の問題に対処できず、路上で生活している高齢者に出会うことが年に数回ある。身寄りも相談できる人もいなくて、ちょっとしたきっかけで路上で暮らすようになる。そういう人には声をかけても『大丈夫だ』とか『助けは必要ない』と答えることが多く、話があいまいで支援に難しさを感じるケースが多い」と話していました。
NHKNewsWeb 2015年6月16日 原文のまま
編者:認知症のこうした問題もあるのだ。ホームレスの支援ボランティア団体に任せるだけでよいのか。難しい課題だ。

★「ベトナムで施設経営、ブイ・ドゥンさん 北海道・紋別で先進の介護技術学ぶ」(6月13日/北海道新聞)
【紋別】ベトナム最大の都市ホーチミンで介護施設を経営するブイ・ドゥンさん(45)(写真左上の上)が2~5日、紋別市の介護会社コミュニティ(羽田善紀社長)(写真左下)を視察し、日本の先進的な介護技術を学んだ。羽田社長は、将来的な人材確保も視野にベトナムとの連携を深めている。
ブイさんは、認知症の父親が十分な介護サービスを受けられずに亡くなった経験から、2013年に人口約800万人のホーチミンで初めて民間の介護会社を起業。会社は経済成長中のベトナムで順調に事業を広げ、施設の受け入れ人数も当初の15人から70人まで増えた。
一方、羽田社長は、少子高齢化が進む紋別市で介護事業に携わる人が不足していく危機感から、外国人技能実習生として多くの人材が日本で働くベトナムに注目。知人の紹介でブイさんと知り合った。
羽田社長は、13年10月にブイさんの会社を視察。その後も介護の情報が少ないベトナムに日本の介護専門書を送るなどの交流を続け今回の視察につながった。
滞在中は、コミュニティが運営する介護施設で食事や入浴方法などを視察。ブイさんは「ベトナムでは介護についての意識が低く介護保険もないため、認知症のお年寄りは病院に入るしかない。日本の施設ではお年寄りが楽しく生活している」と話し、両国の違いを実感した様子だった。
また、「ベトナムの職員を紋別で研修させて技術を身につけてもらい、ベトナムで技術指導できる人間を育てたい」(ブイさん)とこれからの目標を見据える。視察を担当したコミュニティの取締役・羽田三紀子さん(57)も「ベトナムは介護保険が始まる前の日本と同じ状況。日本が長年かけて培った介護技術を伝えていきたい」と語った。(川崎学)
どうしんウェブ 2015年6月13日 原文のまま
編者:ベトナムの認知症介護事情はほとんど知らない。地方レベルでの日本とベトナムの連携の動きだ。

★「認知症疑いなら医師の診断義務付け 改正道交法成立 免許取り消し急増も」(6月11日/日本経済新聞)
75歳以上のドライバーを対象に、記憶力や判断力を測る「認知機能検査」の強化を柱とした改正道路交通法が11日、衆院本会議で可決、成立した。免許更新時などの同検査で認知症の恐れがあると判定された人に医師の診察を義務付ける内容で、早期発見による事故防止が目的だ。免許取り消しが急増する可能性もあり、高齢者の移動手段の確保が課題になりそうだ。
75歳以上のドライバーは3年ごとの免許更新時に認知機能検査を受けている。現行法では「認知症の恐れ」と判定され、道路逆走や信号無視といった交通違反を犯していれば医師の診察を受け、認知症と判明すれば免許取り消しか停止となる。
改正法では同検査で認知症の恐れがあると分かれば、交通違反の有無にかかわらず受診を義務付ける。このほか一定の交通違反を犯した人も臨時に検査を受け、認知症の恐れがあれば受診が必要になる。近く公布され、2年以内に施行される。
昨年に全国で起きた高速道路の逆走は224件で、ドライバーが認知症と判明したのは1割を超える27件。全員が60歳以上だった。警察庁の担当者は「記憶力や判断力の低下は重大事故につながる恐れがる。チェック体制の強化が重要だ」と説明する。
厚生労働省によると、2012年時点の認知症の高齢者は推計約462万人。25年には700万人に達し、高齢者の5人に1人が認知症になる見込みだ。
警察庁のまとめでは、14年に認知機能検査を受けたのは約143万8千人。このうち認知症と診断され、免許取り消し・停止に至ったのは356人だった。改正法で検査や受診の機会が増えることで、免許取り消しなどが急増する可能性もある。
地方では鉄道やバスなど公共交通機関が少なく、車での移動が欠かせない。免許取り消しによって高齢者が外出の手段を失う恐れもあり、改正法には移動手段を確保する対策を求める付帯決議が付けられた。
日経Web版 2015年6月11日 原文のまま
関連資料:「認知機能検査の実施要領について」(警察庁丁運発第110号 平成25年6月21日)(pdf2.2M)
編者:今回の改正案の認知機能検査は上記の平成25年と同じものかどうか不明。

★「認知症疑いの4割が車運転 長寿研が再訓練プログラム開発へ」(6月7日/中日新聞)
国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が高齢者約一万人に実施した認知機能検査で、認知症の疑いが強いと判定された人の四割が自動車を運転していた。センターは、認知機能が低下した高齢者の運転能力を再訓練するプログラムの研究開発を始めた。検査結果は十二日から横浜市で開かれる日本老年医学会で発表する。
検査は二〇一一~一三年、名古屋市と大府市の六十五歳以上の約一万人を対象に「今日の日付や曜日」「今いる場所」など十一項目を質問し、三十点満点で測定。認知症の疑いが強いとされる二十点以下は二百九十二人で、約四割の百十九人が車を運転していた。
センターの島田裕之・予防老年学研究部長(写真)らは、認知機能が下がっても訓練で安全に運転できる「運転寿命」を延ばせる人もいると考え、再訓練プログラムを試作。計算問題や間違い探しをする認知トレーニング▽動体視力などを鍛える視覚トレーニング▽運転のシミュレーター講習▽教習所での実車教習-で構成し一人につき三カ月間行う。
センターは今年四月から新たに、大府市の六十五歳以上の全高齢者約六千人(要介護認定者を除く)に認知機能検査を実施。一部の認知機能に低下が見られた二百人がプログラムを受けている。今後、教習所などで運転能力が向上したかを検証。効果が確認できれば一七年以降に対象者を数千人に拡大し、実際の事故率も追跡する予定。
島田部長は「運転は多くの情報を選び、行動につなげる多重課題で、脳を活性化させる。運転できれば活動範囲も広がり、生活の自立度が高まる」と運転の効果も指摘する。
警察庁によると、一四年に七十五歳以上の人が運転中に起こした死亡事故四百七十一件のうち、認知症か認知機能の低下が疑われるケースは百八十一件(38%)だった。
道交法では、医師に認知症と診断されると免許取り消しか停止になる。七十五歳以上の人は免許の更新時に認知機能の検査を受ける。一三年では七十五歳以上で認知症か認知機能低下の疑いがある人は計28%だった。ただ、「認知症の疑いがある」と判定されても、信号無視や逆走などの違反をしない限り、医師の診断を受ける必要はない。このため政府は、検査で「疑いがある」と判定された人に、医師の診断を義務付ける改正案を国会に提出している。精神科医らからは「認知症と交通事故の因果関係は明らかではない」と法改正に慎重な意見もある。(生活部・山本真嗣)
Chunichi Web 2015年6月7日 原文のまま
編者: 期待される取り組みだ。

★「認知症見守りセンサー、三進社印刷所が開発 スマホと連動」(6月6日/岐阜新聞)
印刷業の三進社印刷所(岐阜市石長町、篠田芳治社長)は、屋外でセンサーを身に付けた認知症の人が近づくと、信号を感知してスマートフォンの音やメッセージで知らせる見守り支援システムを開発した。認知症の人が増加する中、居場所が分からない認知症患者の早期発見につながるとして提案していく。早ければ10月に発売する。

システムは、センサーと専用アプリケーションで構成。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」にアプリをダウンロードして使用する。普及が進むように、アプリは無料でダウンロードできるようにした。認知症の人の家族や介護従事者のほか、一般の人などの利用を想定している。

導入費用はセンサーと特製袋の5千円前後のみ。一般的なシステムは月額費用が発生するが、このシステムはトータルの費用を抑制できるという。福祉や医療施設などの屋内向けもあり、認知症の人が指定の範囲を出ると知らせる。同社は主力の印刷事業市場が縮小する中、成長が見込めるIT分野に注力。見守りシステムの売上高を3年後に3千万円に伸ばし、収益の柱にする。同社担当者は「認知症とその予備軍の人を地域全体で見守る社会づくりに貢献したい」と話している。
岐阜新聞web 2015年6月6日 原文のまま

★「避難所、認知症の人に配慮を 専門家が実態調査報告」(6月5日/北海道新聞)
鹿児島県屋久島町の口永良部島・新岳の噴火などで、あらためて災害への備えを考えた人もいるだろう。認知症の人は避難所生活が長引くと、ほかの避難者とのトラブルが心配になってくる。災害弱者向けの福祉避難所は道内で不足しており、認知症の専門家は「認知症の人に配慮した避難所の環境づくりを」と訴えている。
認知症介護研究・研修仙台センター(仙台市)は2012年、東日本大震災被災地で支援活動をした介護事業所などに、避難所で認知症の人や家族がどのように過ごしたかなどについて調査した。札幌市内で5月に開かれた日本認知症ケア学会で、同センター長の加藤伸司さん(58)=東北福祉大総合福祉学部教授=(写真)が「災害時における認知症ケア」と題して、結果を報告した。
報告によると、認知症の人の避難所での様子は「イライラして落ち着かない」が最多。「徘徊」や「帰宅願望」、「興奮・攻撃的言動」が続いた。イライラと帰宅願望は避難直後、徘徊は避難3日目ごろから起きるケースが多かった。
一方、いつもとは違う様子に戸惑ったり、家族が認知症の人を避難所に置き去りにしたりする介護放棄例もあった。「避難所では認知症の人と家族に理解があったか」との問いに、6割が「あまり理解がない」と回答。避難所生活の限界は「3日以内」が6割を超えた。
避難所生活の限界を感じた理由は、周囲の理解不足や苦情、排せつやおむつ交換のスペースがない、認知症の症状が急に進行することなどだった。排せつの問題は避難初日から起き、周囲の苦情は3日目から急増した。家族は周囲との関係に悩み疲弊していく実態が浮かび上がった。
  ◇
認知症の人など介護・介助が必要な高齢者、障害者、病弱者らが身を寄せるのが福祉避難所だ。阪神大震災で災害関連死が多かったという経験から生まれた。小学校区に1カ所程度、入所者10人に1人をめどに職員が配置される。ただ道によると、4月現在、福祉避難所は道内86市町村で742カ所(収容定員3万1183人)にとどまる。ケアが必要な認知症の人が、健常者と同じ避難所で過ごすケースはどこでも起こりうる。
認知症の人は音に敏感になりやすいため、できるだけ静かな居場所を選ぶことが大切だ。加藤さんは個室や専用スペースの必要性を強調し、「避難所に指定されている学校の教室を専用に使わせてもらえるよう、事前に話し合っておくといい」と話す。またトイレは認知症の人専用か優先を確保すべきだという。
個室の確保が難しい場合は、避難所の隅に仕切り板で空間を作る。認知症の人だけを集めるのでなく、家族や顔見知りの人が一緒に過ごせば、安心感を与えることができる。
認知症の人が長期間、避難所で過ごすのは介護する家族だけでなく、ほかの避難者にとっても、つらい状況に陥ることが予想される。避難所全体で認知症の人と家族を支える環境づくりが必要だ。加藤さんは「避難所で認知症介護の経験者や認知症サポーターなど認知症に詳しい人がいないか、呼び掛けて協力を求めてほしい」と訴えている。
  ◇
認知症介護研究・研修仙台センターがまとめた「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」は、ホームページ「認知症介護情報ネットワーク」のセンター研究報告書から閲覧できる。(藤本陽介)
どうしんweb 2015年6月5日 原文のまま

★「認知症SOSネット発足 石垣市」(6月5日/八重山毎日新聞)
警察やコンビニと連携 地域で見守りを 不明・発見の事例報告も
認知症の高齢者などが徘徊(はいかい)して行方不明になった場合、石垣市地域包括支援センターが警察や消防、コンビニエンスストアなどに情報を提供し、連携して捜索する「認知症SOSネットワーク」が4日発足した。同センターによると、石垣市で認知症として介護認定を受けている人は1213人。同センターの翁長珠江所長は「これまでは介護事業所や家族が単独で捜索してきた。ネットワークの構築で、より迅速に広い範囲に対応できるのではないか」と話す。
同ネットは家族などが事前に対象者を登録。対象者が足を運びそうな場所や身長と体重、写真を添付して申請すると、行方不明時に同センターが情報を提供する仕組み。
同ネットの発足は、同日午後、石垣市教育委員会2階大ホールで行われた本年度の第1回地域包括ケア会議(市地域包括支援センター主催)で決まった。会議には八重山病院や八重山署、消防本部などから27人が参加し、今後の対応などを確認した。
同会議では実際に起きた事例として▽病院に診察に来て、家の場所が分からなくなり帰れなくなった▽浜崎町の自宅から外出した高齢者が行方不明になり、家族がポスターを張って情報提供を呼び掛けたところ、高齢者が宮良の海岸にいるのを観光客が見かけて連絡してきた―などのケースが報告された。
うしおマネジメントの豊川将ケアマネジャーは「これまでは事業所や家族が捜索し、見つからない場合に警察に依頼してきた。一部の対象者には、すでにコンビニなどに協力してもらっている」と独自に進めてきた取り組みを紹介。
参加した委員からは「障がいを持った人なども含める(対応する)ことはできないか」などの提案もあった。
八重山毎日新聞 2015年6月5日 原文のまま

★「また認知症に気付かず 男性保護されず」(6月4日/N HK)
東京・北区の介護施設から認知症の70代の男性がいなくなり、近くの路上で倒れているのが発見されましたが、警察官が認知症とは気付かず、男性がかつて住んでいた住所を話すなどしたことから、保護していなかったことが分かりました。去年も、路上で倒れていた認知症の男性が保護されず死亡する事案があり、警視庁は再発防止に力を入れることにしています。
警視庁によりますと、先月29日の朝、東京・北区の介護施設から認知症の70代の男性がいなくなり、およそ3時間後、近くの路上で倒れているのが見つかりました。
消防が男性を病院に連れて行きましたが、消防も病院も認知症とは気付かず、警察に引き渡したということです。その後、警察官は男性がかつて住んでいたアパートの住所を話したことからパトカーで連れて行きましたが、空き家になっていたということです。しかし、周囲のことをよく知っていたことから土地勘があると判断し、保護することなく、近くにある板橋区内の公園で別れたということです。
その後、男性は認知症で介護施設からいなくなって行方不明の届けが出されていたことが判明し、再び居場所を探したところ、およそ6時間後に保護し、介護施設に送り届けたということです。
去年8月には、東京・中野区の路上で倒れていた認知症の男性が保護されず死亡する事案があり、警視庁が認知症が疑われる人への対応の徹底を都内すべての警察署に通知し、再発防止に取り組んでいました。
これについて、警視庁は「中野区での教訓が生かされておらず、すべての警察官に改めて指示を徹底し、再発防止に取り組みたい」とコメントしています。
NHKNews  2015年6月4日 原文のまま

★「免許返納に悩む高齢者 認知症運転で事故相次ぐ」(5月31日/中日新聞)
高速道路を逆走したり、線路を走ったりする認知症が原因とみられる交通事故が後を絶たない。免許人口に占める七十歳以上の割合が15・9%で全国一の県内では昨年、県警免許センターへの認知症に関連する相談が一昨年の三倍に増えた。自分はいつまで運転を続けるのか-。高齢者が直面する課題を追った。
「認知症に関する相談の九割は家族からです」。北信運転免許センター(長野市)の担当者によると、昨年ごろから認知症ドライバーの危険性が広まり、高齢の親に免許返納を促す家庭が増えているという。
県警によると、免許証を自主返納した高齢者はこの十年で約二十倍に増え、昨年は過去最多の約二千九百人が返納した。ただ、昨年末時点で免許を所有する高齢者は三十七万八千人いて、返納率は1%に満たない。
そんな中、認知症が原因とみられる事故は相次いでいる。
二〇一三年八月、乗用車の女性(68)が長野道を逆走してオートバイと衝突し、運転していた男性(56)が死亡。昨年十二月と今年一月に長野市内のJR篠ノ井線の線路に進入した車が列車と衝突する事故が二件続けて起きた。捜査関係者は「このままでは、いつ大事故が発生してもおかしくない」と語る。
道交法には七十五歳以上の運転手が三年に一度、認知症の検査を受ける規定があるが、症状が急に進むこともあるため、完全に網をかけることはできないという。
昨年六月の道交法改正で、免許を持つ患者に認知症などの疑いがある場合、医師が公安委員に報告できる制度が新たにできた。警察庁は医師会を通じて制度を周知しているが、県内で制度を利用した免許証の自主返納は数件にとどまっている。(五十幡将之)
◇返納者「生活に不安」
「運転中の急な判断に不安を覚えることが増え、思い切って返納しました。でも少し後悔しています」。昨年十二月に約五十年間の運転生活を終えた千曲市羽尾の農業小山かなえさん(85)は語る。
買い物や農作業、通院にも不便を感じ、免許が生活の前提だったと痛感している。「生活に不安を覚えるようになった」
返納を促す医師も悩んでいる。長野市の表参道内科クリニックの稲田浩之院長(49)は「危険を感じる患者は長い目で見て返納を促すが、交通手段を奪うことになるので指摘するのはつらい」と語る。
スムーズな免許返納を進めるにはどうすれば良いのか。高齢者支援をしている長野市中部地域包括支援センターの宮下真理子さん(46)は「家族が高齢者の車の用途を正確に把握し、支援する意思を伝えることが重要」と指摘する。
厚生労働省は二〇二五年に県内の高齢者の五人に一人が認知症になると推計する。宮下さんは「もはや特別な病気ではない。認知症を原因とする事故を防ぐには、家族や地域が病気を理解し、免許を返納しても暮らせる環境づくりが欠かせない」と語った。
写真説明:長野道を逆走した乗用車とバイクが正面衝突した事故現場=麻績村で(県警提供)
Chunichi Web 2015年5月31日 原文のまま

★「認知症の社会コスト14兆円 慶大医学部グループ推計」(5月29日/日本経済新聞)
認知症の人の医療や介護で社会全体が負担しているコストは2014年に14兆5千億円に上ることが29日、慶応大学医学部グループの推計で分かった。60年には24兆3千億円に達する。国内での認知症の社会的コストの推計は初めてで、主任研究者の佐渡充洋・精神神経科助教(写真)は「患者や家族の生活の質向上のための政策立案の基礎データになる」と話している。
推計は厚生労働省の科学研究費補助金を受けて実施。社会的コストの内訳は、(1)医療費1兆9千億円(入院約9703億円、外来約9412億円)(2)介護費6兆4千億円(在宅約3兆5281億円、施設約2兆9160億円)(3)家族などが無償で行う介護を金額に換算した「インフォーマルケアコスト」6兆2千億円――だった。
国際アルツハイマー病協会は、全世界の認知症の患者は30年に7600万人、50年には1億3500万人になると推計。米英など先進国では増大する認知症の社会的コストを推計し、国を挙げて認知症対策に取り組んでいる。
一方、日本では認知症の患者数が約462万人、予備軍は約400万人と推計(12年)されているが、社会的コストについての推計はなかった。
佐渡助教は「今後は限られた資源をどう使えば患者・家族の生活の質を向上させられるかを検討する必要がある」と強調している。
日経WEB 2015年5月29日 原文のまま

★「徘徊高齢者QRコードで身元確認 小野市、兵庫初」(5月29日/神戸新聞)
認知症などで行方不明になる高齢者が増える中、兵庫県小野市は6月中旬から、登録した高齢者にQRコード入りのシールを配布する。徘徊(はいかい)などに気付いた人がスマートフォンなどでコードを読み取ると、市の連絡先が表示される仕組み。シールに書かれた番号を伝えてもらうことで、市や警察による迅速な身元確認、保護が可能になる。(吉田敦史)
自宅連絡先などを携行するのに比べ、個人情報が守られるのが特徴。小野市などによると、同様の取り組みは大阪府東大阪市が2月に始めているが、兵庫県内では初という。
小野市の調査では、65歳以上の市民約1万2600人のうち、約13%の約1600人に認知症の症状がある。4月以降、4人が行方不明になり、警察に保護された。過去には市外や県外で見つかった事例もあるという。
家族やケアマネジャーから相次いで寄せられる相談を受け、同市は対策を検討。行方不明になっても、できるだけ早く身元を確認することが速やかな保護につながると判断し、QRコード付きのシール配布を決めた。
対象は認知症の有無に限らず、外出に見守りが必要な65歳以上の市民と40~64歳の介護保険認定者。希望者本人や家族は事前に、名前や特徴、写真などを登録する。登録者に市は固有の番号が表示されたQRコード付きシール10枚を配る。
「お出かけ見守りQRコードシール」はアイロンやドライヤーの熱で衣服や靴、つえなどに貼り付けられる。6月中旬に完成予定。同市地域包括支援センターTEL0794・63・2174
神戸新聞 2015年5月29日 原文のまま

★「「徘徊」と呼ばないで イメージ払拭へ言い換え模索」(5月20日/中日新聞)
認知症関連用語の言い換えを模索する介護関係者がいる。認知症の人の徘徊(はいかい)は「ひとり歩き」、介護施設の利用者は「メンバー」へ。痴呆症が認知症と呼び名が変わってほぼ10年。それぞれの用語に染みついたイメージを払拭(ふっしょく)し、職員とも心地よい関係にしていこうという気持ちを込める。
「認知症の人は目的なく歩き回っているのではなく、その人なりの理由があるんです」
名古屋市昭和区にある認知症対応型デイサービス「あつまるハウス駒方」所長の皆本昌尚(まさなお)さん(40)(写真)は力を込める。
皆本さんが言い換えを考えたのは五年前。当時、管理者を務めていたグループホームでは、認知症の人の行方が分からなくなると、徘徊の迷惑行為として扱い、職員の指導の失敗とみる風潮があった。徘徊の意味を辞書で調べると、「目的なく、うろうろと歩き回るさま」と書かれており、この扱いに疑問を持った。
皆本さんの知る認知症の男性は違った。毎年のように元日に行方不明になるが、習慣で初詣に出かけようとしたものの、途中で目的を忘れたり自分の居場所が分からなくなったりして、結果的にあてどなく歩いているように見えてしまうだけだった。
「徘徊は本人の思いを否定する失礼な言葉と感じた。ひとり歩きと表現することで、高齢者がなぜ外出するのかを考えてみようと思った」と皆本さん。使い始めると、職員の意識が変わり認知症の人との関係が良くなった。
皆本さんの思いは周囲に広がっている。名古屋市瑞穂区の高齢者相談窓口「いきいき支援センター」は、昨年作ったパンフレット「認知症『ひとり歩き』さぽーとBOOK」で使用。岡山県笠岡市なども、行方不明になった認知症の人を捜すメール送信事業に「ひとり歩き」を使っている。
     ◇
介護サービス事業者が一般的に使う「利用者」という名称に、違和感を唱える人もいる。
「サービスを一方的に利用するだけの人ではない。職員と対等な存在のはず」と話すのは、東京都町田市のNPO法人「町田市つながりの開(かい)」理事長の前田隆行さん(39)だ。
NPOが運営する通所介護事業所「DAYS BLG!」(デイズビーエルジー)では、通ってくる認知症の人を「メンバーさん」と呼ぶ。職員と対等という位置づけから、メンバーに希望を聞いてから昼間の活動を決める。
職員同伴で、おやつを買い出しに行く人もいれば、自動車販売店での洗車など謝礼付きの有償ボランティアをする人もいる。認知症でうまくいかない部分は、職員やメンバーさん同士でカバーしながら、それぞれの思いを実現する。
「認知症の人も、できることや、思いはたくさんある。デイサービスはその思いを実現するための場なんです」と前田さんは話す。
(佐橋大)
◇言葉の背景理解しフラットな関係を
認知症の母を撮影したドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー」の関口祐加監督の話 言葉は思考に影響する。ケアする人とのフラットな関係を目指し、言葉を換えるのは大切だ。ただ、言い換えて形を整えるのでなく、言葉の背景をよく理解し、関係性を築かないといけない。同時に古い言葉も忘れず、そこから過去の認知症ケアの良くなかった点を心に刻むことも必要だと思う。
Chunichi Web  2015 年5月20日 原文のまま
編者:言葉の議論は重要だが、「ひとり歩き」では「徘徊」の深刻さが伝わらない。「しょうがいしゃ」「障がい者」などが定着しないように、結局「徘徊」で言い表すしかないだろう。メンバーはカタカナ英語表記で不適切だ。利用者でよい。

★「横浜市保土ケ谷区で認知症患った91歳女性が車3台にひかれ死亡」(5月7日/FNN)
神奈川・横浜市の国道で、7日未明、認知症を患った91歳の女性が、車3台に次々にひかれ、死亡した。
7日午前2時前、横浜市保土ケ谷区の国道で、松本浪代さん(91)が、走行中の車にぶつかったあと、隣の車線に転倒し、さらに車2台に相次いでひかれ、死亡した。
警察によると、松本さんは、1年ほど前から認知症を患っていて、家族は、松本さんがいつ自宅を出たのか、わからなかったという。
警察は、松本さんが認知症により、徘徊(はいかい)していた可能性もあるとみて、当時の状況を調べている。
FNNnews  2015年5月7日 原文のまま

★「「特発性正常圧水頭症」治療法の効果、東北大が立証」(5月2日/河北新報)
頭に体液がたまって認知症などの症状が出る「特発性正常圧水頭症」をめぐる治療法の効果を、東北大大学院医学系研究科の森悦朗教授(高次機能障害学)(写真)らの研究グループが立証した。森教授は「この水頭症は『治る認知症』の代表格。脳を傷付けない治療法が近年普及してきたことも知ってほしい」と話す。
特発性正常圧水頭症は、脳脊髄液が頭蓋内にたまって脳を圧迫し、歩行障害、認知症、尿失禁の三つの症状を引き起こす。65歳以上の100人に1人が発症するとされる。
従来は頭蓋骨に穴を開け、脳室から腹腔(ふくくう)にチューブを通して髄液を流す「脳室-腹腔(V-P)シャント術」が主流だった。
脳を傷付けるリスクを避けるため、近年は腰椎から腹腔へ髄液を流す「腰椎-腹腔(L-P)シャント術」も普及している。ただ、明確な治療効果は立証されていなかった。
研究グループは、水頭症を発症した患者93人を二つの班に分け、1班(49人)にL-Pシャント術を実施。2班(44人)は体操プログラムで治療を続けた。それぞれの3カ月後の生活自立度の変化は図1の通り。
その後、2班にもL-Pシャント術を実施。1年後の生活自立度の変化を調べた(図2)。
3カ月後に生活自立度が改善した患者の割合は、1班が約65%だったのに対し、2班は約5%にとどまった。1年後の調査では1班が約67%、2班が約58%と同水準で改善した。

森教授は「脳を傷付けないL-Pシャント術の有用性を世界で初めて示すことができた。特発性正常圧水痘症は症状が進むと回復も難しい。三つの症状が出たら早期に治療を受けてほしい」と話す。
河北新報 2015年5月2日 原文のまま
編者:記事の裏付けとなる論文がネットで見つからない。森教授の論文ではないが、順天堂のグループの以下の論文:Use of External Lumbar Cerebrospinal Fluid Drainage and Lumboperitoneal Shunts with Strata NSC Valves in Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus: A Single-Center Experience (World Neurosurgery  March 2015 Volume 83, Issue 3, Pages 387-393)がある。また「正常圧水頭症」については難病情報センターのサイトが詳しい。
その後以下の論文を見付ける(2015/05/08)。
Lumboperitoneal shunt surgery for idiopathic normal pressure hydrocephalus (SINPHONI-2): an open-label randomised trial Published Online: 28 April 2015 The Lancet Neurology

★「GPS機能を使わず、より“正確な居場所”を捜索できるサービスを活用し、半田市認知症徘徊捜索の模擬訓練を5月8日に実施」(5月1日/Sankeibiz)
加藤電機株式会社(本社:愛知県半田市、本部:東京都千代田区、代表取締役社長:加藤 学、以下 加藤電機)と半田市役所福祉部高齢介護課(所在地:愛知県半田市)は、徘徊などの行方不明者が発生した際に早期発見・保護につなげる徘徊SOSネットワークを構築し、認知症の方が安心して暮らすことができるまちづくりを目指すため、加藤電機が開発した「SANフラワー見守りサービス」を活用し、認知症徘徊捜索の模擬訓練を2015年5月8日(金)に実施いたします。
【半田市の認知症支援体制の構築を目指す】
認知症の高齢者は10年後には730万人と推計(※1)され、安全確保の一環として地域での見守り対策が急務の課題となりました。この問題に取り組むべく、加藤電機は2015年4月27日(月)に日本で初めて(※2)GPS機能を利用せず、より“正確な居場所”の捜索ができる特許取得済の「SANフラワー見守りサービス」の提供を開始しました。
半田市は、地域包括ケアモデル事業での認知症対策として過去の取り組みを活かし、2014年から新たな認知症支援体制を構築するべく地域の実情にあった半田モデルの基盤整備を目指しています。これを受け、加藤電機は「SANフラワー見守りサービス」を活用し、半田市の認知症対応施策の一つとして『認知症徘徊捜索模擬訓練』を開催いたします。
(※1) 平成26年度厚生労働省推計
(※2) GPSを利用しない捜索システムにおいて(2014年12月 当社調べ)
【実施概要】
日時:2015年5月8日(金) 13:30~15:30 ※実際の捜索訓練は1時間の予定
会場:かりやど憩の家(愛知県半田市星崎町2-208-7)を中心とした半径1km程度
参加者:30名程度
    ・地域住民(住吉区)
    ・民生委員(半田地区)
    ・消防団
    ・知多地域安心ネット
    ・半田市包括支援センター
    ・行政(市・県)
    ・民間企業(加藤電機)
<内容>
かりやど憩の家を中心として半径1kmエリア内にて訓練を実施します。SANタグ(写真右上)を所持する徘徊役グループとSANレーダー(写真右下)を用いて居場所を捜索する捜索役グループに分かれ、捜査役の方が徘徊役の方を探しに行きます。
また、かりやど憩の家を拠点として捜索状況をモニターする予定です。
【「SANフラワー見守りサービス」のサービス概要】
~GPSを利用せずに正確な居場所を捜索~
従来のGPSを利用したシステムでは屋外で利用する自動車やバイクの盗難時の追跡には有効ですが、「屋内などGPS電波が弱いと位置の誤差が大きくなる」ことがあり、有効に利用できるケースが限られていました。また、「通信事業者に支払う月額利用料が発生する」、「携帯端末のサイズが大きい」、「電池切れが早い」などの課題を抱えていました。
しかし、「SANフラワー見守りサービス」は、GPSを利用せずに接続できる小型のタグで居場所の捜索ができるため、おおよそではなく、正確な居場所にたどり着くことができます。また、タグ(SANタグ)を購入・携帯していただくことで月額通信料は無料でご利用いただけます。
URL: http://www.anshin-anzen.com/san-flower/xeno.cgi
【“より早く”、“より確実に”、“より安く”機能強化を図る】
今回実施した模擬訓練の結果を基に、2015年秋に実施予定の「第2回認知症徘徊捜索訓練」にてより広い範囲にて見守り訓練を実施いたします。
また、「SANフラワー見守りサービス」を活用して頂くことで地域参加型の見守りシステムを構築し、企業、自治体、見守り隊を有機的に結び付けることで、連携による見守り方法を大幅に見直し、【“より早く”、“より確実に”、“より安く”】万が一の時に対応できるサービスとなるよう機能強化を図って参ります。
□会社概要
社名  : 加藤電機株式会社
代表者 : 代表取締役社長 加藤 学
所在地 : ・本社
      〒475-8574 愛知県半田市花園町6-28-10
      ・セキュリティラウンジ本部
      〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-4 田中ビル7F
創業  : 1965年11月
事業内容: カーセキュリティ及びセキュリティ機器の企画・開発、製造、
      販売。位置検索システムの開発・設計・販売、セキュリティ専門店「セキュリティラウンジ」のフランチャイズチェーン本部事業
URL   : http://www.kato-denki.com

【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】
・加藤電機株式会社 セキュリティラウンジお客様サポートセンター
TEL   :0569-26-0088
営業時間:月~金 10:00~17:00(祝日、年末年始などを除く)
・半田市役所福祉部高齢介護課
TEL:0569-21-3111(代)
Sankeibiz 2015年5月1日 原文のまま
編者:新しい探知機器だが、支援体制をどう作るかが課題だ。市区町村を越えた体制ができるか?)

★「認知症研究で協定 県・大分大学・臼杵市・東芝」(4月29日/大分合同新聞)
生活習慣との関連調査 千人のデータ収集へ
県と大分大学、臼杵市、東芝(東京都)は28日、認知症の共同研究に関する連携協定を結んだ。臼杵市の高齢者千人に手首に装着するリストバンド型のセンサーを付けてもらい生活・身体データを3年間継続して収集。生活習慣と認知症の発症にどのような関連があるのか調査し、予防に役立てる。大学によると、生活習慣と認知症の因果関係を客観的な生活データから解明する研究は全国初。
東芝がリストバンド型活動計と分析の技術を提供。医学部の松原悦朗教授、木村成志准教授らのチームが調査に当たる。市内3地区から協力者を募り、6月にも調査を開始する予定。
調査ではセンサーを装着し、睡眠時間や1日の活動量、発話量などのデータを24時間、取り続ける。年間4回、各回1~2週間程度の調査を3年間継続する。全員にタッチパネル式の早期認知症診断も実施し、物忘れなどの疑いのある人には医学的2次検診もする。
市と大学は2009年から認知症の検診や予防対策をしている。大学などによると、1人で長時間家にいる高齢者に認知症のリスクが高いことや、地域により物忘れのある人の割合が違うなど、生活習慣の違いと認知症の関連性は以前から研究されている。客観的な生活データから発症のリスクになる因子を見つけ、予防法の研究につなげる。
同日午前、県庁であった締結式では広瀬勝貞知事、中野五郎市長、北野正剛学長、東芝の各務正一常務が協定書に署名。北野学長は「日常の活動度を探ることで、認知症の予防法を見つけていく重要な研究。健康で長生きできる方向を目指したい」と話した。
写真説明:協定書を交わし、握手する大分大学の北野正剛学長(左から2人目)、中野五郎臼杵市長(右端)ら=28日午前、県庁
大分合同新聞 2015年4月29日 原文のまま

★「65歳以上の15%認知症 県調査、前回より悪化」(4月9日/中日新聞)
(富山)県内の六十五歳以上の高齢者の15・7%が認知症とみられることが県の調査で分かった。二〇〇一年の前回調査では8・8%で、高齢化を加味して年齢調整しても認知症の割合は前回から2・6ポイント増えた。県は生活習慣などの影響があるとみている。
年齢が高い人ほど認知症の割合が高く、八十五歳以上は44・5%、八十代前半では25・1%が認知症だった。
認知症の人のうち、糖尿病や高血圧、肥満などの生活習慣病やうつ病と関連が高いアルツハイマー型認知症が67・8%と最多で、前回調査の49・7%から急増した。認知症の程度別でも高度以上の人が41・8%を占め、前回調査の33・3%より増え、重症化している実態が明らかになった。
認知症高齢者の24・7%は意思表示が困難で、会話の理解が難しい人も28・8%いた。
介護者の高齢化も明らかになった。在宅高齢者を介護する家族らの平均年齢は六七・七歳と、前回調査の六〇・八歳より高齢化が進んだ。介護者は男性が22・7%、女性が77・3%。配偶者が44%で、息子の配偶者21・3%、娘16%、息子13・3%と続いた。
調査は、市町村担当者が自宅や施設を訪れ、千三百三人が回答。調査対象者の平均年齢は八三・二二歳で、前回の八一・九歳より高齢化しているため、年齢調整して前回調査と比較した。認知機能の低下が認められた二百五十二人を対象に、医師が帯同して二次調査も実施した。(豊田直也)
Chunichi Web  2015 年4月9日 原文のまま

「認知症の男性、警察が保護せず死亡 脱水・栄養失調か」(4月8日/日本経済新聞)
東京都中野区で昨年8月、路上に倒れていた横浜市の男性(当時83)が、警察などに保護されないまま2日後に遺体で見つかっていたことが8日、警視庁への取材で分かった。男性は認知症で、家族から行方不明者届が出ていた。死因は脱水症と栄養失調とみられる。
警視庁によると、男性が病院への搬送を拒んだことなどから、警察官は保護は不要と判断した。同庁は「受け答えがはっきりしており、認知症と判断できなかった」としている。
男性は昨年8月19日に通っていた介護施設からいなくなり、同21日、JR中野駅前で倒れているのが見つかった。警察官に対して病院搬送を拒み、同23日朝に駅近くの公園で死亡しているのが見つかった。
警視庁地域総務課は「今後は少しでもおかしな点があれば認知症を疑うよう全署に指示した」と話している。
日経WEB版 2015年4月8日 原文のまま

★「市長が「認知症の人を地域で支えるまちづくり」を宣言 下関市」(3月27日/ケアNEWS)
県内初めての宣言
下関市は、3月23日、「下関市認知症の人を地域で支えるまちづくり宣言」を、山口県内で初めて行うことを明らかにした。
なお、この宣言は、平成27年第1回定例会において市長(中尾友昭:写真)より行われる予定だ。 
市の意思を明確化
下関市は、認知症の人の増加に対し、認知症対策・施策の一層の推進を図るとともに、あらゆる世代の市民への普及・啓発活動に取り組んでいる。
しかし、1人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯が増加する中、高齢者の徘徊による行方不明の事案が多く発生するなど、地域全体で取り組まなければ対応が難しい状況もあるという。
国は、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」を策定。
下関市でも、新オレンジプランが目標とするところの実現を図り、かつ、施策の推進にあたって積極的に役割を担う意思を明確にしたい考えだ。
新オレンジプランを積極推進
日本は本格的な高齢社会を迎え、高齢者の約7人に1人が認知症であるといわれている。
下関市は、この宣言により、認知症の人を地域社会全体で見守り、支え合うためのまちづくりを、市民と一丸となって、推進していくかまえだ。
ケアNEWS 2015年3月27日 原文のまま
関連情報:定例記者会見(平成27年3月23日)下関市認知症の人を地域で支えるまちづくり宣言について(pdf84K)
編者:具体的内容を知りたい。

★「【暮らし】<な~るほど介護>認知症の人 GPSで見守り 徘徊も居場所を即座に確認」(3月25日/東京新聞)
認知症の人が一人で外出すると、自分の居場所や帰り道が分からなくなり、帰宅できないことがある。そんなときに、家族の強い味方になるのが、居場所を自動的に知らせる衛星利用測位システム(GPS)端末だ。警備会社が有料で貸し出しており、利用料金を助成する自治体が増えている。
父親(65)がアルツハイマー型の認知症を患う愛知県内の男性(33)は、父親が自転車に乗って出かけ、行方不明になることがしばしば。「お父さんが出て行ってしまったよ」と、同居する母親からSOSの電話が入ると、すぐにスマートフォンで位置情報を見ながら車で追い掛ける。
「赤信号で停車するたびに検索しながら、父の動きを追うんです」。自宅から直線で二十キロ以上離れた岐阜県各務原市で保護したことも。端末は父愛用の自転車の荷台に装着していたが、あまりに遠くまで行ってしまうことが増え、自転車を近く処分する。その代わりに、必ず着る上着のポケットに端末を入れる。
端末を持たせたのは二〇一三年十月。父親が夜になっても家に戻らず、男性は夜通し捜索。失語症もあり、意思疎通が難しいため、心配が募った。翌朝、父親は隣の市にいるところを警察に保護された。男性は、端末を借りる費用の一部を市が助成していると知り、早速契約した。
「父が家を出て行ってしまっても、どの辺りにいるか分かるので助かっています」と男性は話す。
男性が契約した端末は、警備サービス大手のセコム(東京)が貸し出している「ココセコム」。手のひらサイズで、重さはわずか四十六グラム。パソコンやスマホで専用サイトを検索し、契約番号と暗証番号を打ち込めば、端末のある場所が表示される。
東京都三鷹市にある同社のオペレーションセンターを訪ねた。「ここです」。コーポレート広報部の小谷健志さん(36)がタブレット端末の画面を指さした。道路や建物などが表示された地図上に十文字のマーク。端末がある場所を示す目印だ。
「誤差は五メートル以内なので、精度は高いですよ」。ただ、電波の受信状況の悪い屋内で検索した場合は正しく表示されない場合があるという。
利用料金は、加入料が五千四百円で毎月の基本料金五百四十円。検索回数が三回以上になると、一回に付き百八円かかる。現場まで同社員に行ってもらい保護してもらうサービス(別料金)もある。認知症の徘徊(はいかい)に悩む家族のために、全国で約四百五十の自治体が助成している。
ココセコム以外にも、GPS機能付きの携帯電話を持たせ、居場所を把握する方法もある。いずれの場合も、認知症の人が端末や携帯電話を外出時に身につけていないと役に立たない。どうやって持たせるのか、家族の工夫のしどころだろう。 (佐橋大)
写真説明:(右上)父親の上着にGPS端末をしまう男性=愛知県内で。(右下)GPS端末がどこにあるのか示すモニター画面=東京都三鷹市のココセコムオペレーションセンターで。
TokyoWeb  2015年3月25日 原文のまま
編者:認知症の妻にGPS機能付き携帯を持たせ、パソコンで居場所確認を試みたが使い勝手が悪く止めた。スマホだと機能的だろう。

★「船橋の高根木戸「居酒屋みんと」で認知症カフェ-認知症患者と家族が懐メロ」(3月19日/船橋経済新聞)
船橋・高根木戸にある「居酒屋みんと」(船橋市習志野台1、TEL 047-461-8868)で3月12日、「第2回オレンジカフェ(認知症カフェ)」が開催され、認知症患者とその家族、地域住民の50人が参加した。
1回目は昨年10月、「ふなばし福祉まつり」の中で開かれた。主催は船橋市認知症高齢者グループホーム連絡会。地域住民が認知症を理解し認知症の患者と一緒に楽しく過ごすことを目的に、同店を借りて開いた。
 当日は、カラオケと軽食を楽しむことをメーンとして行い、「カンカン娘」「哀愁列車」「別れても好きな人」など往年の歌謡曲が披露され、中には手拍子をしながら一緒に口ずさむ人も。認知症の夫と一緒に参加したという50代女性は「初めて参加した。夫と一緒に参加できたのがうれしかったので、また参加したい」と話していた。
「今回は、認知症の方、地域の皆さん、その家族に楽しんでもらいたいことと、市民の皆さんにオレンジカフェを知ってもらうことが目的。今後、認知症の人も一緒に楽しめるような場所を船橋市内に増やしていきたい」と同連絡会代表の形山昌樹さん。
今後は認知症の利用者だけでなく、認知症の人を支援する家族やスタッフ、地域の人なども集め、テーマや場所を変えながら市内での開催を目指していくという。
会場を提供した「居酒屋みんと」は、障がい福祉サービス事業所「ぐらすグループ(ふくしねっと工房 NPO法人「1to1」)が展開する施設の一つで、日中は近隣の高齢者がカラオケとして利用している。
店内はバリアフリー、ステージへも車いすで上がれる。車いす用のトイレも完備。「ステージで歌ったり踊ったり、皆さんとても楽しんでいる。今後も高齢者の方が安心して楽しめる場所を提供していきたい」と店主の友野剛行さん。
認知症カフェは、2012年9月に厚労省が発表した認知症5カ年計画(通称=オレンジプラン)の中で、「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき集える場」として2013年以降全国で普及が進められている。オレンジカフェは同連絡会が付けた船橋オリジナルの名称。
船橋経済新聞 2015年3月19日 原文のまま

★「県が「認知症コールセンター」廃止へ NPOが自主継続」(3月17日/信濃毎日新聞)
長野県は今月末で、2009年度から介護者らの相談に応じている「認知症コールセンター」の事業を打ち切る。県保健・疾病対策課は、開設当初から相談件数が減少したことなどが理由と説明。コールセンターの運営を県から受託してきたNPO法人県宅老所・グループホーム連絡会(上田市)は、「気軽に相談できる窓口は必要」として、受け付ける日数や時間を縮小した上で来年度も自主事業として続ける方針だ。
コールセンターは認知症のお年寄りが増える中、介護する家族らが専門家に気軽に相談できる窓口として設置。県は国の補助金も活用しながら、人件費や電話代などの委託費として年間約400万円を同連絡会に支払ってきた。
同課によると、09年度に449件あった相談はその後減少傾向で、13年度は204件。介護や認知症の相談を受けて支援する地域包括支援センターが県内約120カ所に増え、相談先が移ったことなどが理由とみている。本年度はコールセンターへの電話が増え、2月までに263件の相談があったが、同課は「費用対効果の面から、委託継続は難しい」と判断した。
このため、同連絡会は4月以降、ボランティアの協力で当面コールセンターを継続する意向だ。現在は月~土曜の午前10時~午後5時に受け付けているが、4月以降は火、木、土曜の午後1~8時にする。コールセンターの番号(電話0268・23・7830)は変更しない。
同連絡会の伝田景光副理事長(43)=長野市=(写真)は「気軽に相談できるセンターの灯を消したくない」と話している。
信毎WEB  2015年3月17日 原文のまま
編者:介護家族の相談の内容が多様化し、情報源も多彩になるなかでも電話相談の役割は無くならない。

★「5年目を迎えた「3.11」(上):被災民が直面する「老々介護」の悲惨な現実」(3月12日/ハフィントンポスト日本版)
東日本大震災から4年の節目が2日後に迫った3月9日。霧雨の降る福島県南相馬市の中心街が、最近見たことのないような人出でにぎわった。
地場の中堅建設業、石川建設工業の会長石川和夫氏の葬儀がこの日、市内の葬儀場で行われたのである。3月3日に死去した氏を送るために、県内外の同業者はもとより、南相馬市長、地元選出国会議員ら約600人が参列した。震災後は火の消えたようだった通りは久々に車であふれた。
太平洋戦争末期に創業者の父の後を継いでから、氏の率いる石川建設は南相馬と福島浜通りの歴史とともに歩んできた。戦後の復興、原子力発電所の誘致、バブル経済の栄華とその後の転落――今では、氏はそのすべてを知る唯一の生き証人だった。地域社会の相談役を務める長老を自他共に認め、戦争体験を交えて誇らしげにその人生を語って聞かせていたものだった。
その華やかな生き方は2011年3月11日を境に暗転した。氏の後を襲った石川俊・現社長は言う。
「あれから父はほとんど口をきかなくなり、毎日しかめっ面をして暮らすようになりました」
自分が造り上げた堤防や漁港、道路が津波の一撃で破壊された光景は何よりも和夫氏自身をたたきのめした。「経営者になってから70年、自分は一体何をやってきたのか」。時折、愚痴をこぼすようにもなった。
さらに、生まれてこの方、一度も離れたことのなかった南相馬から、放射能に追われ福島市への避難生活を強いられた体験も氏の気力を萎えさせた。かつては数々の修羅場をくぐり抜け、いわゆる「土建屋の親玉」と恐れられた氏の人格が、この時を境に変わってしまったのだ。
俊社長によると、「父にとっては戦争よりも震災、津波と原発事故の方がはるかに衝撃的なできごとだった」。それまではあらゆる決済に目を通していた会社の経営からもすべて手を引いてしまった。
折からの復興バブルで、年間10億円にすぎなかった会社の売り上げ規模はあっという間に40億円を超えた。しかし、そんな新しい世界を仕切っていく気力は和夫氏にはもうなかったという。
実際は、それまで進んでいた地域経済の凋落が、震災と原発事故で一気に露わになり、強気だった和夫氏もそれを認めざるをえなくなったのだろう。「父は、震災で自分のすべてが否定されたように感じたのでしょう。それからはものごとを判断する基準がなくなってしまったようなのです」。
坂を転がり落ちるように衰えていったそれからの4年間だった。
享年88。晩年の和夫氏の目には、一生をそこで闘った南相馬の前途に茨の道が横たわっているのが見えたのかもしれない。
「浪江に帰りたい」
震災と原発事故は、地域経済・地域社会のシステムを根底から変えただけでなく、そこに住む人々の心の中をも別の色に染め変えてしまった。時代が変わり、人が変わり、日本が変わったのである。
歴史が激動するとき、その流れは、常に弱者に厳しく襲いかかる。ことが起きたときに、まず冷たい風にさらされるのは弱者である。鎖は弱い輪からほころぶ。和夫氏とて例外ではなかった。
地域社会でも家族の中でも、最も弱い立場にいるのは老人だ。老人は、現実に対応できない自分の限界を身をもって知ってしまうから、自ら崩れていく。
地位も金も権力も手にした石川和夫氏も、大震災にあらがうことはできなかった。まして、何も持たない多くの「普通の老人」の場合、運命は残酷だ。
原発事故による放射能汚染のために、住民すべてが避難生活を強いられている浪江町は、隣の二本松市に役場ごと移転して仮住まいを続けている。住民の東京電力に対する損害賠償請求などの窓口になっている同町産業・賠償対策課で、60歳の男性Kさんに出会った。匿名を条件に彼が語ってくれた被災後の生活は、今、日本で進んでいる被災地切り捨てが、現場で老人にしわ寄せされていく事実を物語って壮絶だった。
原発から7キロの場所に住んでいたKさんは、事故後に避難を求められて、老いた両親と共に、娘の婚約者を頼って大阪に移り住んだ。
慣れぬ土地で、まず母親がたちまち体調を崩した。「大阪の人たちはとても親切だったのだけど」とKさんは言うが、「ストレスが原因の血液の病気」と診断された母は入退院を繰り返すようになる。一方、浪江で建築設計会社を経営していたKさんは、事業再開に向けて、大阪と二本松の間を往復する生活を迫られるようになっていた。会社には7人の従業員がいて、彼らの生活もKさんにかかっていた。
面倒をみる十分な時間がないままに、母が亡くなったのはその年の暮れだった。残された父が車いす生活になるのに、さほど時間がかからなかった。大阪に移った頃には元気に自転車を乗り回していた父は、借り上げのアパートで寝込みがちになり、「浪江に帰りたい」と繰り返すようになった。
もはや限界だった。Kさんは2012年、父をつれて二本松市に移った。しかし、既に遅かったのだろう。父はさらに弱っていき、翌春、故郷浪江への思いを訴えながら息を引き取った。
死が"伝染"する。「不幸の連鎖」である。
「東電に何とかする道はないのか、と言ったら、上司に伝えておきます、という答えが返ってきた」とKさん。不幸の連鎖を強者は分かち合ってはくれない。
「疲れました」とつぶやくKさんの話を聞いて、横にいた産業・賠償課の女性職員が大粒の涙をこぼした。
浪江にあるKさんの自宅は被災当時、まだ建ててから6年しかたっていなかった。住宅ローンも残っている。「原発の廃炉には40年かかるというから、どうせ住むことはできない」。
将来、仕事をやめたらどこか暖かい土地で暮らしたい、と言うKさんだが、それでも、この家を手放したり壊したりする気にはなれないのだという。「たまに様子を見にあそこに帰ると、なぜか気持ちが落ち着くんだよね。親のことを思い出すからだろうな」。
両親があれほど帰りたがった家。今はたった1人の悲しい"別荘"になってしまった。
すべてが老妻の肩に......
五十崎栄子さん(66)も不幸の連鎖の中にいた。やはり浪江町、原発から8キロほどの場所にあった自宅から、事故直後に夫の喜一さん(当時68)、義母のシズイさん(当時88)の3人で郡山市に避難したときには事態の深刻さに思いがいたらなかったが、シズイさんに認知症の兆候が出たときに、栄子さんは初めて前途に暗い影を感じた。シズイさんの徘徊が始まった。
弱い立場の人々は、限界までがんばるから、いつも手遅れになる。一家は二本松市に引っ越した。それらのことが喜一さんに、どれほどの負担になったのかは、今となっては分からない。震災から4カ月しか経ていない7月下旬。喜一さんは自らの命を断った。2年後、さらに喜一さんの弟、昭次さんが脳出血で倒れ、寝たきりの生活になった。すべてが栄子さんの肩にかかってきた。
シズイさんは昨年末に亡くなった。91歳だった。昭次さんは今も入院生活を送っている。
4年で人口2500人減
Kさん一家も五十崎さん一家も、究極の「老々介護世帯」である。誰も助けてくれない老人世帯。
町の人口は、高齢化していく一方だ。震災当時の浪江町は人口2万1542人、平均年齢は46.5歳だった。今年2月末現在、それは1万9037人、49歳になった。わずか4年間で人口が2500人減って、2.5歳年をとったのである。
福島県のどの市町村も、状況は浪江町と大同小異である。若者は町を離れて戻ってこない。あてもなくさまよう老人を支えるのは身内の老人だけ。Kさんや五十崎さんのようなケースは年と共に急増していくに違いない。
「地方創生」のかけ声の下で進むこの現実。
某中央官庁の幹部が筆者につぶやいた。
「地方問題の究極の解決策は何もしないことですよ。そうすれば時間が解決してくれる。老人たちはいずれ死んでいくのだから」
その通りにことが進んでいるようにみえる。緩慢な死を早めたにすぎないという意味で、現実政治家にとっては震災と原発事故はすべて想定内のできごとだったのかもしれない。(つづく)
吉野源太郎
ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数
写真説明:開通したものの車が少ない常磐自動車道、双葉町の第一原発付近。毎時5.4マイクロシーベルトという恐ろしい線量表示が目につく(筆者撮影)
ハフィントンポスト日本版 2015年3月12日 原文のまま

★「「認知症カフェ」広がる、地域で患者らサポート」(3月10日/日本経済新聞)
認知症の人と家族、専門家、地域住民が集い、お茶を飲みながらくつろぐ。そんな「認知症カフェ」という活動が徐々に広がってきた。専門家から助言を受けたり、地域で交流を深めたりする場になっている。認知症は誰にとっても無縁ではない。正しい理解を広める役割も担っている。
よく晴れた3月上旬の午後。川崎市宮前区にある町内会館の土橋会館を地域住民が次々と訪れた。
飲み物代の100円を払い、コーヒーや抹茶などを味わいながら、おしゃべりを楽しむ。高齢期の食生活について栄養士の話を聞いたり、簡単なゲームで体を動かしたりする時間もあった。月1回、町内会などの主催で開かれている「土橋カフェ」だ。
一見、普通の交流の場のようだが、実はもう一つの顔がある。認知症の人と家族を地域で支えるための「認知症カフェ」としての役割だ。
カフェのスタッフには、福祉の窓口である地域包括支援センターなどの専門家が加わっている。必要に応じて相談に乗り、医療・介護への橋渡しをする。
認知症の夫と参加した70代の女性は「夫はデイサービスには行きたがらないが、カフェは楽しみにしている」と話す。飲み物の配膳を手伝う70代の女性も認知症だ。「飲み物を運んで、喜んでもらうのはうれしい。カフェは楽しくほっとできる場」と笑う。
土橋カフェは2013年9月に始まった。「ここを中心に、地域で認知症への理解が広がっていけば」と、町内会副会長の老門泰三さん(75)。
立ち上げに関わってきたかわさき記念病院診療部長の高橋正彦さんは「誰もが気軽に参加できる、楽しいカフェ。しかし裏には専門家がおり、安心感がある」と話す。
国は認知症カフェを「認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場」と定義する。厚生労働省が13年度から始めた認知症対策「オレンジプラン」のなかで普及がうたわれた。15年1月に新たに国家戦略として定めた「新オレンジプラン」のなかでも柱の一つに位置づけられた。
本人や家族の憩いの場、まだ医療機関にかかっていない人の早期受診・診断につなげる場、地域住民への啓発の場――。様々な役割が期待されている。
先駆的に自治体が取り組む例もある。埼玉県川越市内には、現在19カ所に「オレンジカフェ」(写真)がある。うち17カ所は市の委託事業だ。14年度は4月から10月までに計87回開催し、延べ約1600人が参加した。
13年1月に、霞ケ関地区の地域包括支援センターがカフェを始めたのが広がるきっかけとなった。2月下旬のカフェには約40人が参加。ひな人形を前に、ひし餅の色をしたケーキを食べたり、歌ったり、楽しい時間を過ごした。
カフェに参加した72歳の男性は、認知症の妻を介護して10年になる。「妻と一緒に出かけられる場所は少ないので、カフェは大切な場所。認知症について理解してもらえる場所でもある」と話す。今では、介護者同士の家族会も組織し、様々な形でつながりが深まるようになっている。
東京都港区も14年5月から、「みんなとオレンジカフェ」の設置を始め、今年2月には区内5カ所の体制が整った。認知症の早期発見・対応と予防に重点を置いており、医師会などと連携して医師が参加するようにしているのが特徴だ。2月下旬のカフェでもさまざまな質問が寄せられた。
「医者にかかるほどではないが相談したい、認知症予防に取り組みたい、という人にも気軽に参加してほしい」と担当者は話す。
カフェはまだ歴史が浅く、運営主体も内容もカフェにより千差万別だ。開催する日数も少ない。だがいずれも、認知症の人や家族を孤立させず、地域で支えることを目指している。まだ実施していない地域でも、真剣に考える時期が来ているだろう。(編集委員 辻本浩子)
 ☆
認知症は決して人ごとではない。厚生労働省研究班の推計では、認知症高齢者の数は2012年時点では約460万人だった。正常と認知症の中間の状態である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いるとされる。
認知症の高齢者の数はさらに増加が見込まれる。研究班は認知症に影響する糖尿病が増加して有病率が上がる場合と有病率が一定の場合の2つの推計を出していて、25年には700万人前後になると見込む。高齢者の5人に1人にあたる数だ。
これらの人を支えるための計画が、15年1月に定められた新オレンジプラン。柱となるのは、住み慣れた地域で暮らし続けられる仕組みづくりだ。
カギを握るのは、早期診断・早期対応だ。従来は症状が悪化して初めて診察を受け、長期入院や施設への入所に至るケースが少なくなかった。早くから適切な医療と介護を受ければ、在宅期間をもっと長くできた可能性もある。
そのためには、認知症に詳しい医師や看護師、介護職らの養成が欠かせない。さらに、誰もが認知症を身近にとらえ、気になったら隠したり迷ったりせずに相談できる社会に変えていくことが大切だ。
国は認知症について学んだ「認知症サポーター」を17年度末に800万人に増やす目標も掲げている。
日経web版 2015年3月15日 原文のまま

「認知症高齢者にQRコード “ものづくり”東大阪の徘徊対策 個人情報保護に課題」(2月17日/ ITmedia)
認知症高齢者の衣服や靴などに、QRコードの付いたシールを貼り付ける徘徊対策が東大阪市で派始まった。ただ高齢者にシールを貼り付ければ、高齢者が認知症であることを公然と知らせるという“個人情報”に関わる問題も潜む。
大阪府東大阪市は、市に事前登録している認知症高齢者の衣服や靴などに、QRコードの付いたシールを貼り付け、徘徊(はいかい)して行方不明となった場合に、発見者がQRコードにスマートフォンなどをかざすと、市の連絡先が表示されるという全国的にも珍しいシステムの運営を始めた。“ものづくりの町”の技術を集結した取り組みで、市は徘徊対策の“切り札”としてシールの配布や登録への呼びかけを進めている。ただし、高齢者にシールを貼り付ければ、高齢者が認知症であることを公然と知らせるという“個人情報”に関わる問題も潜んでおり、慎重な運用を指摘する専門家も。導入を検討する他の自治体からも視察が相次ぐ中、今後、普及に向けて議論を呼びそうだ。(香西広豊)
シールで迅速な身元確認
「多くの市民の方にこのシールのことを知ってもらい、認知症高齢者に対する理解を深めてほしい」。
市福祉部高齢介護課の山内江美子さんは、今月から運用を開始した「見守りトライくんシール」を使った認知症高齢者対策に大きな期待を寄せる。
今回、市が配布した「見守りトライくんシール」は縦2・5センチ×横4センチのコンパクトなサイズが特徴。シールの左側には“ラグビーの町”東大阪市のキャラクター「トライくん」のかわいいイラスト。その上に、登録者番号を書き込める空欄があり、シールの右側にはQRコードが印刷されている。
このQRコードを読み取ることができるスマホなどをシールにかざすと、市が運用する徘徊高齢者の捜索支援システム「SOSオレンジネットワーク」の事務局の電話番号が画面に表示される。連絡を受けた事務局が、シールの空欄に書き込まれた登録者番号を確認することで、徘徊高齢者の身元確認がスムーズにできるという仕組みだ
「SOSオレンジネットワークシステム」は、徘徊する認知症高齢者などの早期保護をねらいに、平成25年2月から市が実施している事業。現在、市内の公共機関や企業など22団体が同システムの協力員となっている。具体的には、同システムに登録された徘徊の可能性がある認知症高齢者が行方不明になった場合、高齢者本人の情報が協力員へメールで送信され、捜査協力を依頼できるというものだ。「25年2月の運用から昨年11月までに22件の捜索事例があり、いずれも無事保護につながっている」(市福祉部高齢介護課の中岡未来(みく)さん)という。
今回の「見守りトライくんシール」は、この「SOSオレンジネットワークシステム」と連動しており、「システム登録者の身元判明がさらに迅速になることを期待したい」(山内さん)という。
“ものづくり”の技術活用
実はこのシールには東大阪の“ものづくり”の高い技術が生かされている。シールは熱圧着で靴や衣類などに貼り付けることができるが、一般的な熱圧着シールはアイロンを使って貼り付けなければならなかった。そのため、高い熱に弱い靴や一部の衣類には適さないという課題があった。
この課題を克服したのが、市内で印刷業を手掛けるアサヒプリンティング(同市弥生町)。シールには同社独自の高い技術が導入されており、「ドライヤーの熱でも貼り付けることができる」(山内さん)ため、誰でも安全・簡単に靴や熱に弱い素材の衣類に安全にシールを貼ることができるという。
市によると、市内に住む65歳以上の高齢者は約13万人で、認知症の症状があるとみられる人は1万人以上いるという。
だが、現在同システムに登録している高齢者は約90人。市は、今回のシール配布に合わせ、システムに登録できる高齢者の条件として従来の「家族がいて、その家族に連絡がとれる」から「一人暮らしでも、近隣の親しい人などに連絡がとれる」と、その対象を広げ、登録者を増やしていこうという考えだ。
さらに、一般の人々へのシールに対する周知を図り「認知症高齢者への理解も深めていきたい」(中岡さん)としている。
個人情報に関わる問題も
ただし、こうしたシステムに対し、運営面で懸念する声もある。シールを貼っていることで、その高齢者に認知症があることが不特定多数の人にわかってしまうことだ。
市内で認知症高齢者のケア事業を手掛ける関係者は、このシステムが「ケア事業者や警察などの関係者が情報を共有しやすくなるという利点はある」とする一方で、「シールを貼ることに対する抵抗感がないかといった高齢者本人の意思確認が大事だ」という。ただ、本人に意思確認ができればいいが、症状などによっては確認できないケースも考えられることから、「(高齢者)本人の人権が損なわれないような配慮が必要」と指摘する。
また、認知症に詳しい近畿大学医学部堺病院内分泌・代謝内科・糖尿病内科講師の藤本美香さんも、「見守りシールは新しい試みとして評価できる。シールがあることで、一般の人も高齢者に声がかけやすい」という。ただ、「認知症は突然症状が出るわけではない。症状がない状態で普通に散歩をしていても、(シールのために)徘徊していると思われるリスクもある」と指摘。「シールの活用については、本人や家族の意思確認をしっかりととることが重要」と説明する。
さまざまな配慮も
こうした懸念や指摘に対して市も「そのあたりで事件などにつながってしまっては困る」(山内さん)と、さまざまな配慮をしている。例えば、QRコードは事務局の電話番号しか表示されないようになっており、シールもあまり目立たない大きさに配慮したと説明する。
市では、家族の方が気になるのならば、下着などの見えない部分にシールを貼ってもらっても構わないとしている。警察が保護した場合、徹底的に衣類などを調べるので、シールに気付いて連絡が入るからだ。ただ、外から見えないところにシールを貼ると、一般市民からの情報が入りにくいことにはなってしまう。
山内さんは「いろいろ難しい面はあるが、それでも(シールを)外から見えるところに貼り付けたいという家族には活用していただくということで、(市としては)進めていくしかないのではないかと思っている」と話している。
今月に入り、市にはこの「見守りトライくんシール」事業について、ほかの自治体や市民から問い合わせが相次いでおり、その関心の高さをうかがわせていることから、今後の事業運用が注目される。
ITmedia ニュース 2015年2月17日 原文のまま

★「認知症疑いの運転者対策に学会意見 日本精神神経学会、「驚きと疑問」と厳しく指摘」(2月10日/m3.com)
日本精神神経学会(武田雅俊理事長)(写真)はこのほど、警察庁が道路交通法改正試案で行ったパブリックコメントに対し、認知症疑いの高齢運転者対策で疑義を呈する意見を提出したことを明かした。認知症と危険運転の因果関係がはっきりしていないことや診断する医師の確保策が講じられていないことなどを列挙し、「大きな驚きを禁じ得ない」として改正の見送りを要求している。
同学会が提出した意見書によると、特定の病名を挙げて運転免許の制限を行うことは病者への差別と指摘し、認知症診断で重視される短期記憶の障害が運転に与える影響は軽微との考えを示している。また、医師は見落としを防ぐため疑いも含めて病気と診断するケースもあることから、それに基づき運転者の権利を制限することは大きな問題を招くと危惧。交通事故と精神症状の関連について交通事故原因の究明に関する調査を警察庁に提案していたが、「拒否されたまま現在に至っている」と現状を指摘している。
意見書では、2013年に認知機能検査で認知症の疑いと診断された患者が34,716人に上り、こうした規模の診察を行う医師の確保策が不透明であったり、主治医が診察を担う場合に患者との信頼関係に影響を及ぼしたりしかねないとの見解を示し、改正見送りと患者家族や医療関係の団体、関連学会、司法関係者などで構成する検討会での議論を求めている。
【関連リンク】道路交通法改正試案」に対する意見(pdf250K)
(/m3.com 2015年2月10日 原文のまま)
サイト内関連記事:「<認知症5学会>運転免許証に係る認知症等の診断の届出ガイドライン示す」(2014年6月19日)

★「認知症の妻を夫が殺害か 札幌」(2月8日/NHK)
7日夜、札幌市の住宅で71歳の女性がベッドで死亡しているのが見つかり、警察は、同居する夫が「認知症の妻の介護に疲れ、殺してしまった」などと話していることから、詳しい状況を調べています。
7日午後7時半ごろ、札幌市東区の住宅で、長岡律子さん(71)が寝室のベッドでパジャマを着たままあおむけに倒れているのを、帰宅した42歳の息子が見つけました。
長岡さんは、駆けつけた救急隊によって死亡が確認されました。
警察によりますと、遺体に目立った外傷はありませんでしたが、同居する71歳の夫が調べに対し「妻は認知症で入院させるつもりだったが、介護に疲れて殺してしまった。自分も死のうと思った」などと話しているということです。
また、住宅の居間には夫が書いたというメモが残され、そこには「すまん母さん病院もういいわ」などと妻にわびるようなことばが記されていたということです。
警察は、8日朝から遺体を司法解剖して死因の特定を急ぐとともに、夫からさらに話を聴いて詳しい状況を調べることにしています。
NHKNewsWeb 2015年2月8日 原文のまま

★「認知症の人と家族の会、10月に宇都宮で全国集会」(2月7日/下野新聞)
約1万1千人の会員を数える「認知症の人と家族の会」(本部・京都市)の全国研究集会が10月4日に本県で初めて開催される。約1千人の参加が見込まれており、宇都宮市の県総合文化センターを会場に講演や事例発表を通じて、認知症への理解を深める。
介護者らでつくる同会は1980年に発足。「認知症があっても安心して暮らせる社会」の実現を目指す公益社団法人で、全都道府県に支部がある。
県支部の発足は2010年。全国45番目と後発だが、メンバーの働き掛けや認知症に対する関心の高まりで、会員は現在約200人を数える。
開催に先立ち、同会の高見国生代表(71)が9日に福田富一知事を表敬訪問。さらに同市若草1丁目のとちぎ福祉プラザで開かれる全国研究集会の説明会(午後6時半~同7時半)で、集会の意義などを語る。
全国研究集会当日のボランティアも募っており、県支部の金沢林子代表(69)は「心を一つにして集会を成功させたい。ボランティアの方々には案内役などのおもてなしをお願いできたら」と、説明会への参加を呼び掛けている。問い合わせは県支部、電話028・667・6711。
SOON 2015年2月 原文のまま

★「医療・介護 大転換 第23回 認知症になると精神科病院に連れて行かれる? 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」が描く逆行ケア」(2月4日/ダイアモンドオンライン)
浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)] (写真)
高齢者になるといろいろな生活上の障害が起きてくる。多くの人が最も恐れているのは認知症だろう。近年、認知症に関する映画や小説、あるいは政府の発症者数などの情報が一段と増えた。しかし、認知症はその発症原因や根治薬が分からないため、不安感が増殖される一方だ。
それは「認知症になったら大変」という言葉に集約される。関係者の努力で「認知症になっても暮らし続けられる地域」が各地でニュースになってはいるが、まだまだ圧倒的に少数派だ。そこへ、国民の不安をさらにかきたてるような施策が始まろうとしている。
「岩盤規制」の打倒を掲げている安倍政権だが、足元の「岩盤病院」の抵抗を崩せないことによるものだ。加えて、欧米基準に達しない国家戦略として海外からの批判も免れそうもない。国際会議で胸を張ったうえでの施策だから始末が悪い。
「精神科病院」の関与が大きくなった認知症施策
1月27日に政府が発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」のことだ。厚生労働省が2013年度から現在も進めている「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」に代え、この4月から着手する。
昨年11月に開かれた国際会議「認知症サミット後継東京会議」の場で、安倍首相が「初めての国家戦略として認知症施策を作る」と大見得を切り、急遽、練り上げることになった。内閣官房や農林水産省、国土交通省、警察庁など10府庁の共同作成と謳い、国を挙げて取り組む姿勢を見せている。大がかりな舞台仕立てで、「拙速」の声を封じ込めた。
まず始めに「基本的な考え」として「認知症の人の意志が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」と宣言。従来から言われていることで新味はない。
続いて「普及・啓発」「介護者支援」「やさしい地域づくり」など7つの柱を据えて具体的な手立てを列挙している。その内容は、1月7日に厚労省が自民党に示した当初案と全体としてはほぼ変わらない。引き継いだ旧オレンジプランをほぼ踏襲。認知症サポート医などの達成目標数を引き上げるなど、一見前向きな柱建てだ。詳細はこの連載の前号でも触れた。
ところが、柱の2番目「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」の中で、精神科病院に関わるところが劇的に大変わりしている。7日の当初案が、自民党関係者に説明している間に手が入り、27日の正式文書となった。
日本の精神科病院は、かねてから諸外国と比べて、その「異常性」は指摘されてきた。ベッド数があまりにも多いことだ。OECD諸国は人口1000人あたり1床以下がほとんどだが、日本は2.8床もある。3倍近い。
各国ともこの十数年の間に精神科病院のベッド数を減らしてきた。日本だけが突出して高止まりのままだ。全世界の精神科ベッドは約185万。そのうち20%近くが日本にある。
家庭や地域に戻すシステムがないため、診療を終えたのに退院しない人が多いからだ。「社会的入院」と言われる。精神障害者の退院後のベッドに認知症高齢者を誘導する病院もあり、全国の精神科病院には、認知症の人が5万3000人もいる。認知症で入院している7万5000人のうち約7割は精神科病院で日々を過ごしている。このような状態に対して、世界保健機関(WHO)は家族や地域での介護態勢を拡充するよう勧告してきた。
精神科の治療が必要な人と認知症高齢者は、同居家族を悩ます類似した症状が出て来ることがあるが、基本的には異なる対応が求められる。認知症高齢者の中には、一時的に薬剤投与を必要とされることはあるが、長期的に見れば本来の居場所ではない。これが欧米の定説である。
精神科病院で適切な認知症ケアは行えるのか?
精神科病院では、法律(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)によって入院患者への行動制限が認められている。ベッド上で手足をベルトやひもで固定したり、車椅子に乗っている時に腰をベルトで抑えてしまう。抑制と呼ばれるが、実態は拘束である。
一方、2000年に始まった介護保険制度では、虐待につながる拘束を禁止しており、原則として「抑制」は認められない。生命にかかわるなど緊急措置として、十分検討されたうえでなら、という例外規定はある。現場では原則論が行き渡り、様々な工夫をすることで拘束を回避する努力が成されている。
この基本的な認識、取組みの違いは大きい。画一的な処置に走りがちが病院の中で、個別ケアを必要とされる認知症ケアが十分行われるかは疑問視される。
悪化した臓器の再生を第一の目的とする病院の目的は「医療モデル」と呼ばれ、生活の質(QOL)を最優先させる介護の世界の「生活モデル」との両立は難しい。高齢者介護の分野では、医療モデルから生活モデルへの転換を目指す動きが近年急速に高まり、医療者の中にも在宅医療を手掛ける医師たちから、自宅や地域での生活の継続性を重視する考え方が広まりつつある。
だが、日本では医療への「盲目的な信仰」が根強い。介護保険業務に携わる専門職の間にもその傾向がある。要介護度が高まれば、自宅から施設へ、さらに施設から病院へという「思い込み」からなかなか抜け出せない。
認知症高齢者が引き起こす「暴言」「徘徊」「異食」などに、認知症ケアへの理解のない家族が一日中生活を共にするのは相当の困難を伴う。相談相手のケアマネジャーやかかりつけ医が、認知症ケアへの理解が浅いと、その指示で精神科病院に駆け込んでしまう。
その病院内での対応法を見ると、「やむを得ずとはいえ……」と深い悩みを抱え込まざるを得ない。「抑制」を当然視する精神科病院と認知症高齢者の関わり方を国家戦略として、どのように位置づけるかは大きな課題。
欧米諸国では、「生活の場ではない精神科病院での長期入院は、認知症の人への適切な対応ではない」として、退院促進に力を入れてきた。2012年1月に東京で開催された「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」で、スウェーデンや英国、オランダなどの関係者がその成果を得々と語った。フランス代表は「今や精神科病院に入院中の認知症高齢者は1000人以下です」と胸を張った。各国とも、どれだけ減らしてきたかを、数字を挙げて説明した。
では、新オレンジプランでは精神科病院についてどのように位置づけられたか。1月7日の当初案では、これまでの認知症ケアの経緯を踏まえた、それなりの内容であった。27日の正式プランと読み比べてみる。
正式決定された「新オレンジプラン」は疑問だらけ
正式決定された27日の新オレンジプランでは、精神科病院は「専門的医療サービスを集中的に提供する場」であり、「慢性の行動・心理症状(BPSD)等においては長期的に専門的な医療サービスが必要」と記す。
1月7日の当初プランでは、同じ個所で「専門的医療サービスを短期的・集中的に提供する場」であり、「長期的・継続的な生活支援サービスを提供する介護サービス事業所や施設と、適切に役割分担が成されることが望まれる」とある。
両者の違いは明白だ。7日版にあった「短期的」が27日版では削除。「長期的」なかかわり方も変更された。7日版では、介護サービス事業所や施設に「長期的」生活支援サービスを任せると「役割分担」を提唱していたのに、27日版では、精神科病院の業務として「長期的」を含めた。
精神科病院は「短期的・集中的」に医療サービスを提供し、生活支援サービスを担う介護事業者が「長期的・継続的」に関わるべき、と7日版ではもっともな住み分けを主張。「医療モデル」を長期的に継続させる27日版。「医療サービス」を終えたら早々に「生活サービス」に切り替えるべきとする7日版。
前述の「基本的な考え」で唱えた「住み慣れた環境」にできるだけ早く戻るのが高齢者施策の土台であり、その目指すべき目標の「地域包括ケア」に沿った考え方だ。
ところが、27日版では、逆に「短期も長期も」精神科病院の出番だと言わんばかり。認知症高齢者の長期入院を受け入れている現状をそのまま肯定した。
精神科医療の役割を重要視し、より強調するため加筆もされた。7日版で「精神科や老年科等の専門科による、医療の専門性を活かした介護事業所等への後方支援が重要である。」と、「後方支援」を役割とした。
それが27日版になると「…介護事業所等への後方支援と司令塔機能が重要」と、「司令塔機能」が加わった。後方支援と司令塔では大違いである。文字通り、後ろから支える立場だったのが、指揮命令権まで持つと変わった。医療が介護事業者より優位に立ちかねない表現だ。
逆に、7日版からの削除もある。精神科病院のあり方に釘を刺すところだ。「精神科医療は、機能や体制が具体的に『見える化』され、地域からみて、一層身近で気軽に頼れるような存在になっていくことが求められる」と願望した。
遠隔地からの入院者が多く、地元と疎遠な病院に対して「見える化」を促した。「地域包括ケア」の舞台で生き残るには、当然のアドバイスと言えよう。当事者には、触れられたくないのだろうか。だが、削除するとは。呆然となる。
なぜ、精神科病院の存在感が高まったのか
そして決定的な変更もある。7日版で「…精神科病院等からの円滑な退院や在宅復帰を支援する」としていたが、27日版では「医療機関・介護施設等からの退院・退所や在宅復帰を支援する」と変わったことだ。
精神科病院は退院すべき病院という印象が強かった7日版。欧米並みの基準に近づけようとした表現だ。これに対して、27日版では、介護施設も加えて、一般的な「脱病院・脱施設」へとイメージが拡散してしまった。
これだけ、書き換えが重なると認知症ケアへの見方も変わらざるを得ない。認知症ケアにとって精神科病院が重要と「納得」させられてしまう。入院を勧められても、疑問を抱かなくなりそうだ。
「時代錯誤も甚だしい」「40年以上前の『恍惚の人(有吉佐和子作)』への逆行」という批判が介護関係者から上がるのも当然だろう。
では、どうしてこのようなドラスチックな変更が起きたのだろうか。それも、時計の針を逆回転させるような方向に変わったのか。厚労省の担当部局が自らの意志だけで動いたとは思えない。
ヒントはある。旧オレンジプランのスタート台になった厚労省の認知症リポート、2013年6月18日の「今後の認知症施策の方向性について」に日本精神科病院協会が反論した事件である(詳細は連載第10回)。「精神科病院の関与なくして認知症施策は成り立たない」とする同協会が何らかの「圧力」をかけたと想像するのは容易い。これだけ、精神科病院の存在を高める方向に向かったのだから。
だが、日本独特の風習である「根回し」を考慮すれば、関連業界団体が7日版の発表前に知らされていないことは考え難い。国会議員からの相当な介入があった、とも言われる。本当だろうか。
首相が国際会議の場で高らかに宣言した初の国家戦略である。国際公約である。政府首脳の意向が反映されないはずはない。いずれ真相が明らかにされるだろうが、舞台裏での「暗闘」は続きそうだ。
DIAMOND online  2014年2月4日 原文のまま
編者:浅川氏の鋭い指摘に同意したい。昔の統合失調症、今の認知症で精神病院の悪夢の再来か。日精協の隠然たる力に驚いた。編者は、ブログで「認知症の人を支えるために精神科病院は必要か」(2011/08/23)と題して意見を述べた。

★「認知症対策の国家戦略『新オレンジプラン』策定」(1月29日/認知症ネット)
認知症とともによりよく生きられる環境整備を政府は1月27日、認知症対策についての関係閣僚会合を開き、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定した。現在の認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)に変わる新戦略として、12の関係府省庁による横断的な対策が実施される。
高齢者の4人に1人は認知症または予備軍と言われている現在。政府は10年後の2025年には、認知症患者が約700万人(約5人に1人)まで増加するとの推計を発表した。
新オレンジプランではこうした背景をもとに、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。」を基本的考え方に据えている。
初期段階に適切な治療を行う家庭訪問制度なども
新オレンジプランの内容は7つの柱をもとに構成されている。内容は以下の通りだ。
1.認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
3.若年性認知症施策の強化
4.認知症の人の介護者への支援
5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
6.認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
7.認知症の人やその家族の視点の重視
(厚生労働省の報道発表資料より引用)
具体的な内容としては、認知症の患者や家族の家庭を訪問し、早期治療につなげる認知症初期集中支援チームの設置を全ての市町村で2018年度から実施。また日本発の認知症の根本治療薬候補の治験を、2020年頃までに開始することなどを目標に掲げている。
新プランは団塊の世代が75歳以上となる2025年までを対象期間としているが、数値目標は3年後の2017年度末に設定し、具体的な対策が進められる予定だ。
認知症ネット 2015年1月29日 原文のまま
関連情報:「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について(厚生労働省 平成27年1月27日)

★「認知症と暮らすまちづくり」宣言10年 あらゆる世代心一つに 大牟田で集い」(1月26日/西日本新聞)
全国に先駆けて認知症高齢者の支援に取り組んできた大牟田市の歩みを振り返る集会が25日、同市不知火町の大牟田文化会館であった。2005年に「認知症の人とともに暮らすまちづくり宣言」をしてから今年で10年。古賀道雄市長(写真の左)が、多世代共生をキーワードに、あらゆる世代が心を一つにして認知症の人や家族に寄り添うという新たなまちづくりを宣言した。
集会は市と市介護サービス事業者協議会が、過去を検証し、今後の方向性を探るため企画。宮崎、長崎両県など県外も含め約1200人が参加した。
基調講演の後、65歳未満の若年性認知症の人たちでつくる「ぼやき・つぶやき・元気になる会」の女性メンバー1人が登壇。メンバーと三池山登山した体験から「人生に希望が持てた」「仲間って最高」とメッセージを伝えた。行方不明になった認知症の人を捜索する様子を寸劇にし、住民や小中学生らが熱演した。
最後に古賀市長が「大牟田市は子どもから大人まであらゆる世代の市民が心を一つにして、認知症の人やその家族の願いに寄り添い、地域社会において、誰もが人として尊重され、安心して暮らせるまちづくりを推進する」と宣言した。
西日本新聞 2015/01/26 原文のまま

★「和装でお点前、昔を回想 京都・向日、認知症療法に初釜」(1月22日/京都新聞)
認知症の回想療法としての初釜が21日、京都府向日市寺戸町のグループホーム「てらど」で催された。同施設の利用者や職員など約80人は、和柄や花柄があしらわれた美しい着物に袖を通して、たてられた茶を楽しんだ。
高齢者が着慣れた着物を身につけ、なじみのある日本茶に触れることで、認知症治療に役立ててもらおうと、毎年開いている。
会場では表千家宗泉会・山中宗泉さんの指導の下、職員が慎重な手つきで茶器を扱って茶をたてると、利用者からは「いい匂いがする」と喜びの声が上がった。
冬を思わせるカンツバキの和菓子もふるまわれ、利用者はたてたばかりの茶と一緒にゆっくりと味わった。「お点前を見ていると、昔を思い出す」と往時を懐かしむ声が聞かれ、にぎやかな時間が流れていた。
初釜に参加していた女性利用者の娘寺田優子さん(48)=同市寺戸町=は「母は茶道を習っていたので、いきいきしていた。今日は私の入学式の時に着ていた着物だったので、昔を思い出してじんとした」と喜んでいた。
京都新聞Web版 2015年01月22日 原文のまま

「進行止める認知症新薬へ治験急ぐ エーザイや富士フイルム」(1月22日/日本経済新聞)
エーザイや富士フイルムホールディングスなど製薬各社が認知症新薬の開発を急いでいる。従来の薬は認知症の進行を遅らせることしかできない。このため、病気の進行を食い止めるのにより効果的な新薬開発が課題だ。エーザイや富士フイルムHDなどが、世界規模で新薬の臨床試験(治験)を進めている。
アルツハイマー型認知症の治療薬はエーザイの「アリセプト」などがあるが、病気の進行を止めることはできない。2025年には国内の認知症患者が約700万人に達する見通しで、各社はより効果的な新薬の開発にしのぎを削っている。
エーザイは昨年11月、アルツハイマー病薬「E2609(開発番号)」で、患者を対象にした治験(第2段階)を米国内で始め、日欧でも治験に着手する予定だ。
開発中の新薬はアルツハイマー病の原因とみられるたんぱく質「アミロイドβ」の生成を抑えるものだ。エーザイは治験で患者の認知機能の確認に使うチェックシートを新たに作った。18年以降の発売を目指す。
富士フイルムHDは、独自の治療薬開発に挑む。子会社の富山化学工業が国内で第2段階の治験を手がけ、米国では世界最大のアルツハイマー病研究機関「ADCS」と組み治験を進める。開発中の認知症薬「T―817MA(同)」は、脳内の神経細胞を保護したり、細胞間の連係を密にしたりして認知機能の低下を食い止めることを目指す。年内にも山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS研究所と新薬が効きやすい患者を特定する研究を本格化する。よく効く患者の特徴が分かれば、最終段階の治験の規模を抑えて開発期間の短縮につながる。
大塚ホールディングス傘下の大塚製薬は、認知症患者にみられる独特の行動に注目する。治療薬「ニューデクスタ」を開発した米バイオベンチャーのアバニア社を、1月に4000億円強で買収した。この薬は突然泣き出すなど、自分の意思と関係ない行動を抑えることができる。今後は改良した行動障害改善薬「AVP786(同)」の最終段階の治験に臨む。
英アストラゼネカと米イーライ・リリーは、アルツハイマー病薬「AZD3293(同)」の最終段階の治験に昨秋着手した。「アミロイドβ」の生成を抑える新薬で、日本を含む世界15カ国で治験する予定だ。
英調査会社ビジョンゲイン社によると、診断薬を含めたアルツハイマー薬の世界市場は約70億ドル(8000億円強)にのぼる。国内では25年に高齢者の5人に1人が認知症になる見通しだ。
日経Web版 2015年1月25日 原文のまま


関連記事:「3割に「認知機能低下」=75歳以上の死亡事故受け皿整備が課題」(1月15日/JST日本版)
認知症が疑われる運転者のチェック体制強化を警察庁が打ち出した。背景には、75歳以上が起こす死亡事故が増えている上、その3割以上に認知機能の低下がみられたことがある。
 ◇割合が倍増
東京都板橋区の首都高速5号線で今月7日、逆走した軽乗用車がトラックと正面衝突し、軽乗用車を運転していた男性(83)が死亡した。男性は免許を持っていたが、家族から「認知症がある」と届けが出ていた。
 警察庁によると、75歳以上の運転者による死亡事故は2013年に全国で458件起き、10年前より77件(20%)増えた。全体の死亡事故が減少し続ける中で増加傾向にあり、割合は5.5%から11.9%に倍増した。
458件の運転者が受けた認知機能検査の結果を調べたところ、「認知症の恐れ」が7件、「認知機能低下の恐れ」が135件だった。31%に記憶力や判断力の低下が疑われた。
 ◇想定下回る
警察庁は「高齢ドライバーによる事故は今後も増える」と予想。認知機能の低下を適切に把握できていない現状を問題視している。
同庁によると、日本神経学会は認知症を疑われる患者の運転について「半年に1度評価を受けるべきだ」と指摘しているが、現在の制度では検査は3年に1度だ。
さらに、検査で「認知症の恐れ」と判定されたドライバーは13年に3万4716人いたが、医師の確定診断を受けたのは1.5%の524人。09年の制度導入前に警察庁が想定した年間20003000人を大きく下回っている。
 ◇網の目細かく
今回の改正は、制度の網の目を細かくする。タイムリーな検査で症状を把握し、運転の改善や免許証の返納につなげる狙いで、結果として移動手段を失う高齢者は増えるとみられる。
「本当は運転したくないが、他に手段がない」。公共交通が不十分な地域が少なくないことは警察庁も認識している。同庁は規制強化にとどめず、「受け皿」整備にも関わる方針だ。
「『交通機関の整備は警察の仕事ではない』という意識になりがちだった」。同庁の幹部はこう振り返った上で、自治体の公共交通協議会に参加し、バス停の設置要望を伝える後押しなどを積極的に行うよう、都道府県警を指導するという。
ただ、別の幹部は「交通整備は首長の姿勢に左右される」と指摘。地域間の格差拡大をいかに防ぐかが課題となる。[時事通信社]
WSJ日本版 2015年1月15日 原文のまま

「高齢運転者の免許更新時、認知症で18人取り消し 該当者は増加の見込み」(1月13日/徳島新聞)
高齢運転者の免許更新時、認知症で18人取り消し 該当者は増加の見込み 75歳以上の高齢者が運転免許を更新する際に義務付けられている講習予備検査(認知機能検査)で、認知症と診断されて免許取り消しとなった人が、2009年以降に徳島県内で18人いたことが分かった。今後も免許取り消しは増えると予想され、高齢ドライバーの事故も相次いでいることから、県警は免許の自主返納を呼び掛けている。
県警運転免許課によると、検査は道交法の改正を受けて09年6月にスタート。免許を取り消された人は09年4人、10年4人、11年3人、12年2人、13年2人、14年3人だった。
13年の場合、受検者は1万3320人で、記憶力と判断力が「低下」と分類された人は約3%の439人いた。このうち特定の交通違反をして専門医を受診したのは10人。最終的に認知症と診断され、免許取り消しとなったのが2人だった。
徳島市南田宮2の広沢自動車学校で受検し、「心配ない」と判定された同市中前川町1の林宏さん(80)は「記憶力の低下を実感したが、問題がなくて良かった」とほっとした表情。検査の必要性については「自分の現状を知る上で大切」と話した。
県内の14年11月末時点の免許保有者53万1773人のうち、75歳以上の高齢者は4万847人。04年の2万2623人から2倍近くに増えた。さらに、県内の認知症患者数(推計値)も02年の約1万8千人から13年は約3万2千人と右肩上がりで、認知症による免許取り消しは将来的に増えるとみられる。
認知症が原因となった事故件数の統計はないが、高齢者による事故は後を絶たない。13年は931件に上り、近年は増加傾向にある。
県警や自治体は運転に自信がない高齢者に自主的な免許返納を呼び掛けている。優遇制度を導入している市町もあり、徳島市や松茂町などは65歳以上の返納者に対し、身分証明書として使用できる通常500円の住民基本台帳カードを無料で交付している。タクシーやバスの運賃を割り引くサービスを事業者と提携して行っている自治体もある。
(石津遼)とはもの
講習予備検査 免許更新期間満了日の6カ月前から、徳島県内15カ所の指定自動車教習所で、高齢者講習と併せて受検できる。
<1>当日の年月日などを回答
<2>16枚のイラストを記憶
<3>時計の文字盤や指定された時刻の針を描く-に取り組む。時間は約30分。
記憶力と判断力を「低下」「少し低下」「心配ない」の3段階で判定。「低下」と判定され、免許更新の1年前から更新後にかけて信号無視や一時不停止など特定の交通違反をすれば、専門医の診断を受けなければならない。
【写真説明】講習予備検査で検定員から説明を受け、イラストを記憶する受検者=徳島市南田宮2の広沢自動車学校
徳島新聞 2015年1月13日 原文のまま

★「KEY PERSON INTERVIEW 「日本の認知症ケアに世界中が注目しています」世界保健機関(WHO)精神保健・薬物乱用部長 シェイカー・サクセナ氏」(1月5日/日経メディカル)
聞き手:増谷彩=日経メディカル
社会の高齢化で先頭を走る日本が、認知症ケアをどのように推進していくのか、世界中の注目を集めている。医療機関や施設だけでなく、地域と一体となった認知症ケアを進めるためには、「社会から偏見をなくし、家族や医療者が一体となってケアに当たることが大切」とシェイカー・サクセナ氏(写真)は語る。
─日本の認知症医療は世界各国からどのように認識されていますか?
日本は先進国の中で高齢化の進行が最も早い国であり、認知症ケアにも積極的に取り組んでいます。多くの国が、日本の経験から学ぶことになるでしょう。現在日本で行われている認知症への取り組みには、他国が見習うべき良い実践と、真似すべきではないものとの2つがあると考えています。
日本での良い取り組みとしては、既に500万人以上が参加している「認知症サポーター」が挙げられます。認知症に対する社会全体の認知度を高めるとともにスティグマ(偏見)を解消する取り組みで、社会が認知症の人を受け入れる上で大きく貢献する革新的なシステムです。この取り組みは世界的にも他に類を見ません。これを受け、欧米では英国が「フレンズオブ認知症」という認知症サポーターのような仕組みを導入しました。
認知症に対するスティグマは日本も他国も同じ状況です。認知症は治らない疾患であり、本人や家族が希望を感じられなくなってしまうのです。
しかし、そう感じさせてしまう現状は間違っています。治療方法が確立していないのは確かですが、症状を緩和したり障害を低減する工夫によって高いQOLを維持することはできます。WHOは、「care today, cure tomorrow」とメッセージを出しています。これは、「今はQOLを高めるケアを、根本的治療が見つかればキュアを」という意味です。
─一方で、日本の認知症医療が改善すべきポイントというのはどのような点でしょうか?
現状、日本では認知症治療のほとんど全てが専門医によって行われていますが、これは変えていくべきだと考えています。認知症の拾い上げや基本的なケアは、全ての医師、看護師ができるようにしておくべきでしょう。その上で、必要に応じて専門医に紹介し、診断や専門的な治療を依頼できるようにしておくとよいですね。全ての医師や看護師が認知症の拾い上げを行えるようになれば、早期診断・治療につながります。
次に、認知症のケアは病院や施設でなく、地域や家庭で行えるようにしていくべきです。日本では精神科病床が他の先進国に比べ突出して多いことが知られています。その精神科病床の多くを占めるのが、認知症の人となっています。しかし、入院患者の大部分が本来は地域や家庭でケアできる人なのではないでしょうか。
もちろん、認知症がかなり進行した人については病院や施設における専門的なケアが必要になると思いますので、医療機関によるケアを否定するものではありません。
─地域で認知症の人を支える上で重要なことは何でしょうか?
医療機関と地域とのバランスを適正化することは、日本のみならず多くの国が直面している課題です。地域や家庭で認知症の人をケアする場合、最も負担が大きくなるのが介護者で、多くの場合それは家族です。そのため、家族への手厚いサポートが欠かせません。
必要なサポートは3つ。まず適切な情報提供が必要です。認知症という疾患や病態への理解を深められる情報や、具体的なケアの方法をしっかりと提示すべきです。
次に、迅速で必要十分なソーシャルケアを用意することです。家族とともに認知症の人をケアする医師や看護師といった人材や、ナイトケアやデイケアといった仕組みの両方をさらに増やすべきでしょう。
最後は、家族への経済的な支援です。例えば、税負担を軽減したり、障害年金のような形で給付金を用意するといったインセンティブを与えるということです。こうした取り組みは、欧米のいくつかの国で実施されています。
この3つのサポート全てが揃えば、認知症の人の大部分を地域でケアできるようになると考えています。さらに言えば、認知症ケア全体の質が向上します。これまで以上にコストが掛かるように見えるかもしれませんが、医療機関でケアされている現状に比べれば、国家的支出は軽減するでしょう。
─介護家族へのサポート以外に、認知症を地域で支えるための施策としてはどのようなものが必要とお考えですか?
国、県、市町村と全ての自治体レベルで認知症ケアの仕組みを構築することが必要です。都市であったり農村であったり、自治体の置かれた環境もそれぞれ異なりますし、現時点での認知症の人の数や今後の増減傾向もばらばらです。各自治体が3年後、5年後と将来を見据えながら計画を考えていくべきです。
認知症の人を地域で支えるために市町村レベルの自治体が考えるべきなのは、認知症にサポーティブな環境を整えることです。具体的には、街中のバリアフリー化を進めたり、掲示物の文字を大きくして読みやすくしたりといった身体的な面での工夫や、店員が拒否的でなく協力的な態度を取るよう教育するといった社会的な面での工夫などが挙げられます。
もう1つは、地域で認知症を支えるための病院に代わるシステムを構築することです。デイケアやナイトケア、レスパイトケア(日常的なケアからの一時的な解放)などを充実させるべきです。また、施設が提供するものに加え、介護家族間でのレスパイトケアなどを進めると良いのではないでしょうか。
家族間でレスパイトケアを行う仕組みを持つ国はいくつかあります。認知症の人を他の介護家庭に預けている間に、介護者は数日間自由に過ごすことができています。家族間でレスパイトケアを行うことのメリットは、やはり施設とは違い家族ならではのケアができる点にあるでしょう。
国が認知症ケアの施策を考える場合は、政策として大きな仕組みを作っていくことになります。また、国が持つ経済資源をどう配分すれば適切なのかを考える必要があります。
研究の推進も国の重要な役割です。認知症の原因の解明や、治療法、薬剤の開発を促進すべきでしょう。日本は神経生物学研究のレベルがとても高いので、日本から良い成果が出ることを多くの国が期待しています。
─日本の認知症医療を担うプライマリケア医、認知症専門医にメッセージはありますか?
プライマリケア医には、「認知症を無視しないで」と伝えたいです。認知症は増加しているので今後は診療の機会も増えますし、他の疾患でプライマリケア医に通っていた患者が認知症を発症することもあります。実際、認知症は糖尿病や高血圧、骨粗鬆症など合併症を持つ人が多いのです。そうした場合に、適切な拾い上げをすることが求められます。
また専門医には「専門医以外の医師の助けを得ながら認知症ケアに当たってほしい」と思っています。医師のみならず、看護師、ソーシャルワーカーなどがチームとなってケアしていくことが大切です。
そして、認知症の人やその家族がどんなケアを求めているのかをしっかりと認識すること。医師が一方的に指示するのではなく、本人や家族が意思決定できるような形でケアを進めてほしいと思っています。
Shekhar Saxena氏:1956年インド生まれ。インドAll India Institute of Medical Sciences(AIIMS)卒業後、AIIMS勤務を経て1998年から世界保健機関(WHO)に勤務し、2010年から現職。2017年にWHOが発行予定のICD11の精神神経疾患の改訂を担当。
日経メディカル 2015年1月5日 原文のまま


「認知症高齢者の見守り事業スタート 神戸・西区社協」(1月5日/神戸新聞)
行方不明になった認知症の高齢者を早期発見する「西区徘徊SOSネット『みまもん』」を、神戸市西区社会福祉協議会が5日から始める。靴など高齢者の持ち物に番号シールを貼り、住民や警察と連携して発見する仕組み。導入後、効果を検証する予定で、同社協は「地域の皆さんに、認知症について考えてもらうきっかけにしたい」と活用を呼び掛けている。(阿部江利)
同区内のケアマネジャーらから、認知症で徘徊する高齢者への対応を求める声が上がっていたことに応えた。赤い羽根共同募金の同区分配金のうち、約115万円を使って実施する。
対象は同区内の認知症患者。靴やつえなどにシールを貼っておき、発見した人が神戸西署に連絡すれば番号から身元を割り出せる。本人確認に必要な情報は、家族らに事前に登録してもらい、神戸西署と番号、名前、緊急連絡先を共有する。
行方不明になった場合、家族が希望すれば、交通機関や宅配業者などの見守り協力事業者、地域の捜索協力者に番号や普段の呼び名、特徴をメール配信する。
同社協によると、同区内の認知症患者は推定で約5400人。番号シールは安価で人目に付きやすいことから採用した。同社協は「地域の力で認知症患者を見守る仕組み。ぜひ登録してほしい」とし、捜索協力者の登録も受け付けている。同社協TEL078・929・0001
神戸新聞 2015年1月5日 原文のまま