2017年
「認知症見守る サポーター店登録 伊勢崎市」(11月29日)
「既存3薬で原因物質減=アルツハイマー病、iPSで発見−京大」(11月22日)
「そーせいグループ、認知症の治療薬を開発」(11月9日)
「「認知症の人にやさしいむら」大桑村が宣言」(11月5日)
「兵庫県内の行方不明者届5000件 16年受理分」(11月4日)
「ハンディある有権者の投票 「代筆」めぐり葛藤も」(10月27日)
「「Aβ仮説に確信」エーザイ アルツハイマー薬開発で勝負に―アデュカヌマブ前倒しで共同開発」(10月25日)
「「認知症が死因」認識弱く 予防や治療の壁に」(10月13日)
「島田君の新聞エッセー「地域の見回り」が入選」(9月30日)
「高齢ドライバー、認知症の恐れ365人 免許取り消しは4人」(9月23日)
「笑顔、大盛り認知症レストラン 注文・配膳間違い「まあいいか」」(9月15日)
「認知症月間 優しく照らす 宇都宮で啓発活動次々と」(9月10日)
「認知症初期に集中支援 「はつらつチーム」稼働へ/豊橋市が来月から」(8月28日)
「当事者・家族ら情報交換の場 広がる「認知症カフェ」、県内に30ヵ所」(8月27日)
「警察庁、改正道路交通法の施行から81日間分のデータを公表 免許更新時「認知症のおそれ」の18%が認知症 専門医は「例年より認知症の診断が少ない印象」と指摘」(7月5日)
「認知症で行方不明1万5000人 16年、4年連続最多」(6月15日)
「<消えた有権者>(上)代筆投票 法改正で家族付き添えず(下)代筆投票 「秘密」を保障した憲法と矛盾」(5月18・19日)
「開発中のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」、先駆け審査指定制度の指定を獲得」(5月15日)
「アルツハイマー、日本連合で創薬 原因物質抑制で新戦略」(4月30日)

「徘徊防止へ靴にGPS 大和市が認知症者に無料提供」(4月14日)
「<消えた有権者>(上)国も把握できぬデータ(下)投票所まで行けない、書けない 」(4月5・6日)
「「認知症が影響」不起訴 登校の列に車、運転の88歳」(4月1日) 
「BACE阻害剤elenbecestat、早期アルツハイマー病対象の第3相で症例登録開始−エーザイ」(3月31日)
「被告が認知症、裁判打ち切り 札幌高裁「再開不可能」」(3月15日)
「日医が認知症診断書作成の手引き12日の改正道交法施行を前に」(3月7日)
「徘徊者にやさしい群馬に 全市町村と県警が協定締結」(3月4日)
「道交法の認知症検査強化で医師困惑 事故の責任負えず、診断困難な場合も」(2月11日)
「認知症と保険(上)後見人向け商品を改定 物損なくても賠償補償」(下)認知症の診断で一時金 保険金請求をサポート」(2月7・14日)
「高齢者の運転 相次ぐ事故で日本認知症学会などが提言」(1月12日)
「富士見で認知症カフェ 身近な交流の場に」(1月1日)
2016年
「介護に備える 道交法改正でどう変わる? 認知症のドライバー対策」(12月29日)
「徘徊老人にQRコード付「爪シール」 便利なのか、人権問題か」(12月21日)
「女性の死因、アルツハイマーが初めて10位- 厚労省、2015年版の人口動態統計」(12月19日)
「高崎市の「はいかい高齢者救援システム」 9割、1時間以内に発見」(12月10日)
「認知症患者の行動」家族が背負う責任の重さ 法的問題と加害者になるのを防ぐのは別問題」(12月4日)
「夢のアルツハイマー治療薬で大化け期待の銘柄は メガファーマも開発に傾注」(11月30日)
「認知症の学習療法 「効く」と信じる工夫で意欲が向上 学習療法を取り入れたデイサービス 現場リポート」(11月29日)
「アルツハイマー型認知症の診断薬を了承- 薬食審・第一部会、年内にも正式承認へ」(11月1日)


過去の情報(2004年〜2016年(1〜10月))


2017年


★「認知症見守る サポーター店登録 伊勢崎市」(11月29日/上毛新聞)
認知症の人や家族が安心して暮らせる地域づくりに向け、群馬県伊勢崎市は認知症を正しく理解し、見守る「認知症サポーター」=ズーム=がいる店舗の登録制度を始めた。一定の知識と理解がある店を明示することで本人や家族が利用しやすい雰囲気をつくり、周囲を気にして外出を控えてしまうことを防ぐ狙い。日常生活に関係する幅広い業種に登録を呼び掛ける。市によると、県内自治体では初の試み。
◎患者や家族に安心利用PR
登録の条件は店の窓口などで接客する人の1割以上が認知症サポーターであること。市は店から申請を受け付け、条件を満たしていれば店舗掲示用の表示板を交付し、市ホームページに掲載する。
認知症になると本人や家族が周囲の視線や店への影響を気にして閉じこもりがちになり、生活の質が低下してしまうケースがある。認知症サポーターは養成講座を通じて認知症を引き起こす病気や症状、接する際の心構えなどを学んでいるため、安心して利用してもらえるとみている。
登録店は金融機関や商店、食品スーパー、コンビニエンスストア、薬局、旅館、飲食店、郵便局や警察、消防、交通機関などを想定。すでに市内の理・美容店でつくる伊勢崎理容師会や県美容業生活衛生同業組合伊勢崎支部がサポーター養成講座を受け、登録申請に動いている。
伊勢崎理容師会の綿貫晴通会長は「組合としてお年寄りが安心して利用できる取り組みに力を入れている。さらにスキルと知識を身に付けたい」と強調。市は「認知症になっても今まで通りの社会生活ができる地域を目指したい」としている。
群馬医療福祉大リハビリテーション学部の山口智晴教授は「認知症の人が行き慣れた店を変わらず利用できるだけでなく、長年の付き合いがある店側がお年寄りの変化に気付くことで適切な対応や見守りにつながることも期待できる」と指摘している。
◎ ズーム 認知症サポーター
 認知症の正しい知識と理解を持ち、各地域の認知症の人や家族を可能な範囲で手助けする。約90分の養成講座を受けた人が対象で目印のオレンジリングを贈っている。厚生労働省が2005年から推進し、全国に939万6千人、群馬県に11万6千人いる(9月末現在)。
上毛新聞 2017年11月29日 原文のまま

★「既存3薬で原因物質減=アルツハイマー病、iPSで発見−京大」(11月22日/時事通信)
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ってアルツハイマー病患者の細胞を再現し、既存の薬3種を組み合わせて原因物質を3割以上減らす方法を発見したと、京都大iPS細胞研究所の近藤孝之特定拠点助教らのグループが発表した。論文は21日付の米科学誌セル・リポーツに掲載された。
アルツハイマー病は、たんぱく質「アミロイドベータ」が脳内に長期間蓄積することが一因と考えられている。
研究グループは、患者の皮膚と血液から作ったiPS細胞を大脳神経細胞に変え、病気の状態を再現。既存薬1258種からアミロイドベータを低減する効果がある3種の組み合わせを選んだ。3種はパーキンソン病などの薬「プロモクリプチン」とぜんそく薬「クロモリン」、てんかん薬「トピラマート」。
遺伝性のアルツハイマー病患者5人と遺伝性でない患者4人、健康な4人のiPS細胞から大脳神経細胞を作製して効果を調べた結果、遺伝性患者は健康な人に比べアミロイドベータ量が3〜4割程度まで、遺伝性でない患者は6割程度まで減った。どのような仕組みで効果が表れたかは不明という。
近藤さんは「アルツハイマー病の薬は長期間飲む必要があり、安全性が分かっている既存薬で研究した」と説明し、治療薬の開発進展に期待した。
jiji.com 2017年11月22日 原文のまま
関連情報:論文 iPSC-Based Compound Screening and In Vitro Trials Identify a Synergistic Anti-amyloid β Combination for Alzheimer’s Disease
編者:基礎研究の段階だがアルツハイマー病の薬物療法の研究とその手法に注目したい。

★「そーせいグループ、認知症の治療薬を開発」(11月9日/日本経済新聞)
そーせいグループは9日、認知症の治療薬を開発すると発表した。提携先のアイルランドの製薬大手アラガンから日本国内での開発販売権を得た。2018年に第2相の臨床試験を始め、20年代前半の製品化を見込む。国内で約100万人の患者がいる種類の認知症に対応し、将来は年間300億円以上の売上高を目指す。
開発するのは認知症患者の2〜3割を占めるレビー小体型認知症の治療薬。認知症の約半分を占めるアルツハイマー型に次ぐ患者数だ。
新たに開発する治療薬は神経間の物質伝達を補助することで症状を改善できる。そーせいはスイスのノバルティスなど製薬大手と提携し、肺疾患などの薬を開発してきた。アラガンとは16年からアルツハイマー型認知症など中枢神経系の疾患の薬の開発で提携している。
日経web版 2017年11月9日 原文のまま

★「「認知症の人にやさしいむら」大桑村が宣言」(11月5日/信濃毎日新聞)
木曽郡大桑村の貴舟豊村長は4日、野尻地区館で開かれた認知症啓発セミナーの中で「認知症の人にやさしいむらづくり宣言」をした。認知症の人を地域全体で支え、行方不明になった時に素早く見つけるための仕組みも強化する。宣言は県内では珍しい。
貴舟村長は「認知症の人の笑顔があふれる村にしたい」とし、「(認知症の人が)住民と関わる機会をつくる」「最期まで住み慣れた自宅で生活できるむらを目指す」など5項目を約束するとした。
村にはこれまでも認知症の人が行方不明になった際、登録した事業所や個人に情報を流して捜すネットワークがあった。今後は家族の了解を得て身体の特徴などを聞いておき、不明時に流す。改めて協力を求めたところ、従来の2倍の60事業所が登録したほか、個人40人も登録。認知症の人の情報を提供したいという家族の申し出もあるという。
今後は月1回、関連情報を発信するなどしてネットワークの形骸化を防ぐ。木曽署の伊藤聡志署長は「地域全体で認知症を正しく理解すれば、解決できることは多い。村に協力したい」とした。
画像説明:「認知症の人にやさしいむらづくり宣言」をする貴舟村長(中央奥)=4日、大桑村
信毎WEB 2017年11月5日 原文のまま

★「兵庫県内の行方不明者届5000件 16年受理分」(11月4日/神戸新聞)
所在が分からなくなったとして、兵庫県警が2016年に受理した行方不明者届(捜索願)が約5千件に上り、うち30歳未満の若年層が4割を占めたことが分かった。神奈川県座間市のアパート一室から9人の切断遺体が見つかった事件では、行方不明になった女性の兄の届け出が端緒となって容疑者が浮上。兵庫県警は「行方不明者の早期発見のため、ためらわずに届けてほしい」と呼び掛ける。(石川 翠)
届け出の名称は10年に家出人捜索願から行方不明者届に変更された。県警によると、受理件数は毎年5千件前後で推移し、16年は全国(8万4850件)の6%に当たる5183件だった。
16年の行方不明者のうち、65歳以上が1789人と全体の35%を占めた。若年層も多く、10歳未満が129人、10代が1190人、20代が751人で、30歳未満が4割に上った。
発見された若年層で不明になった原因を調べると、「家庭関係」が最多の34%で、不詳(21%)▽疾病(8%)▽学業(5%)▽職業(5%)−と続いた。
届けは親族以外に、福祉事務所の職員や雇い主でも可能で、行方不明者の住所地を管轄する警察署のほか、届出人の最寄りの警察署や交番でも受け付ける。その際、行方不明者の氏名や生年月日とともに、訪れそうな場所や考えられる要因などを尋ねられる。県外に出た可能性のある場合、他府県警とも情報を共有する。
県警によると、届け出内容に応じて警察犬を投入したり、立ち寄り先周辺の防犯カメラを解析したりし、95%以上が届け出のあった年内に発見されるという。徘徊(はいかい)していた認知症高齢者や帰宅が遅くなった子どもなどが大半だが、事件や事故に巻き込まれたほか、自殺などで遺体となって見つかるケースも後を絶たない。
神奈川県座間市の事件では、女性の兄が警視庁に届け、行方不明になる直前に女性がツイッターに書き込んだ内容などから逮捕された男が発見された。
兵庫県警は「事件の解明はもちろん、行方不明者がトラブルに巻き込まれたり、自殺したりする前に発見するには手掛かりが必要。届け出時には思い当たる内容を落ち着いて考え、詳しく知らせてほしい」としている。
神戸新聞NEXT 2017年11月4日 原文のまま

★「ハンディある有権者の投票 「代筆」めぐり葛藤も」(10月27日/東京新聞)
高齢や障害などのため、投票する意思があるのに投票できない人たち。これまでの連載「消えた有権者」(四月五、六日、五月十八、十九日)、「届かぬ声」(十月四〜六日)で登場した人たちは、今回の衆院選ではどうしたのか。 (三浦耕喜)
二十二日の投票日。ニュースから党首たちの声が流れてくる。ある党首の話にはうんうんとうなずきながら、別の党首には文句を飛ばす。そんな母・克江さん(77)の声を背中で聞きながら、名古屋市中川区でパン店を営む佐藤奈美さん(53)は心で泣いていた。克江さんを投票に連れ出すことを、ついにあきらめたからだ。
克江さんの認知症が進み、要介護度は4に。「なのに、今回は突然の衆院選。投票所では小選挙区、比例代表、最高裁裁判官と、見知らぬ選管職員に連れ回されて、母が混乱に陥るのは明らか。投票所内では家族の付き添いもできず、母に怖い思いをさせることになる」。考え抜いた末の結論だが、政治家の声に一喜一憂する母を見て思う。「本当は選挙に行きたかったんだろうな…」と。
大阪府豊中市の中田泰博さん(45)も投票を断念した。脳性まひで枠内に候補者名を書くのが困難。代筆投票を利用したいが、手伝えるのは公選法上、選管職員のみ。それでは憲法で保障する「投票の秘密」が侵されるので、せめて信用できる身近なヘルパーに頼みたいと願っている。
だが、期日前投票に行っても、当日投票に行っても対応は同じ。中田さんは投票の秘密を定める憲法一五条に基づいてヘルパーの代筆を求めたが、選管職員は公選法の規定を繰り返し述べるだけ。中田さんは投票を断念した。
公選法の規定は違憲だと大阪地裁に訴えている中田さん。「大阪以外にも、高齢者の中にも私と同じように悩んでいる人たちがいる。これからはそういう人たちともつながっていきたい」と話している。
一方、サッカーJ2のFC岐阜元社長で筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う恩田聖敬(さとし)さん(39)は選管職員による代筆を受け入れ、期日前投票で一票を投じた。車いすでの入場はスムーズだが、投票の仕方は選管職員と協議することとなった。「選管職員が候補者や政党の書かれた紙を指さし、私がうなずく方法になったのですが、私の車いすは大きく、投票台の下に入りません」と恩田さん。
「やむを得ず、指さしは、投票所の真ん中で行った」。隠そうにも、見ようと思えば、見られる状況。「のぞかれないかヒヤヒヤでした」と振り返る。
嫌な思いもした。「最後の裁判官の審査ですが、職員が『分かるかなあ』とボソッと言ったのを聞き逃しませんでした」と恩田さん。「車いすでガーゼをくわえ、手も動かせず、一言もしゃべれない私の姿を見たら、理解力に疑問を持つのも無理もありませんが、悲しかった」と振り返る。
一方、私事で恐縮だが、私の母(81)は認知症で要介護5の寝たきりながら投票できた。入院している病院が地元選管が施設内での投票を認める「指定施設」だった事情もあるが、病院のスタッフが丁寧に母の意思を読み取ってくれた。
投票の意思があるかどうかを聞く当初のヒアリングでは「意思なし」とされていたが、私が面談した際に地元の選挙の話になって、だれかれと地元政治家の話題をふると、母は「今度はだれを選ぼうかね」と。私は病院事務室に飛び込み、居合わせた担当スタッフに報告。スタッフも本人の意思を確認した。
具体的にどこに投票したかは家族に対しても明かさない守秘義務があるが、投票日の翌日に聞くと、スタッフから「お母さん、投票できましたよ」との知らせを頂いた。「今回は急な選挙で準備の時間が足らず、急いでやってしまったのかもしれません」とむしろ恐縮するスタッフ。丁寧に意思を読み取る姿勢と仕組みが重要と感じた。
画像説明:衆院選の結果を伝える本紙を読む佐藤克江さん(右)。認知症が進んで投票はできなかった。「この人が1番のままなのね」と安倍首相の写真を見る=名古屋市中川区で
TokyoWeb 2017年10月27日 原文のまま
編者:認知症の人も含め心身の障害者の投票について議論が乏しい。基本的視点は投票しやすい環境づくりだ。私の経験では、認知症の妻と投票場へ一緒に出掛け、投票用紙に私が代筆したが、会場の担当者から指摘はなかった。

★「「Aβ仮説に確信」エーザイ アルツハイマー薬開発で勝負に―アデュカヌマブ前倒しで共同開発」(10月25日/AnswersNews)
エーザイがアルツハイマー病向け新薬の開発で勝負に出ました。
10月23日、米バイオジェンとのアルツハイマー病治療薬開発に関する提携を拡大すると発表。同社の抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブについて、保有していたオプション権を前倒しで行使し、共同開発に乗り出すことを明らかにしました。
Aβをターゲットとした新薬開発は失敗が相次いでいますが、果たしてエーザイの勝算は。内藤晴夫CEOは「最新の研究やこれまでの臨床試験から、Aβ仮説に基づく創薬に確信を深めている」と語りました。
「開発加速に期待」
「アデュカヌマブは世界で最も開発が進んでいるアルツハイマー病の次世代治療薬候補。今回の提携拡大で両社の知や経験が結集し、アデュカヌマブの開発がいよいよ力強く進行することを期待している」
10月24日朝、急遽開いた記者会見で、エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは、抗アミロイドβ(Aβ)抗体アデュカヌマブの開発加速に強い期待を寄せました。アデュカヌマブは今、最も注目されているアルツハイマー病に対する新薬候補と言っても過言ではありません。16年9月には、同剤投与によってAβが除去された脳の画像が、英科学雑誌ネイチャーの表紙を飾りました。
開発費の45%を負担 利益配分も見直し
エーザイはこの前日の深夜、アルツハイマー病治療薬の開発に関する米バイオジェンとの提携を拡大すると発表。同社が臨床第3相(P3)試験を行っているアデュカヌマブについて、保有している共同開発・共同販促のオプション権を行使し、予定より前倒しして共同開発に着手することを明らかにしました。
オプション権の行使によりエーザイは、アデュカヌマブの開発費用のうち、2018年4〜12月は15%、19年1月以降は45%を負担することになりました。あわせて、従来の契約では全世界で両社折半することとしていた発売後の利益配分も変更。米国と欧州ではバイオジェンが利益のそれぞれ55%と68.5%を得る一方、日本とアジア(中国・韓国を除く)ではエーザイの取り分を80%に引き上げ、売り上げもエーザイに計上されることになりました。
共同開発を前倒しで開始した「3つの理由」
エーザイとバイオジェンは14年3月、アルツハイマー病治療薬候補3品目の開発・販売で提携を結びました。対象はエーザイのBACE阻害薬エレンベセスタットと抗Aβ抗体「BAN2401」、そしてバイオジェンのアデュカヌマブ。前者2品目は両社で共同開発・共同販促を行うこととし、アデュカヌマブについてはエーザイが共同開発・共同販促のオプション権を持っていました。

オプション権の行使についてエーザイはこれまで、17年末から18年はじめに取得予定のBAN2401のP2試験のトップラインデータを見た上で判断すると説明していました。
それが今回、なぜ前倒しで権利を行使し、共同開発に乗り出すことになったのか。両社が契約拡大の交渉を始めたのは今年初めからと言いますが、内藤CEOは会見で、その判断に至った理由を、
▽アルツハイマー病に対する次世代治療薬の開発加速
▽新薬を普及させるための環境整備にいち早く取り組む必要性
▽「Aβ仮説」への自信と確信の高まり
にあると説明。「非常に機を得たタイミングでの権利行使と考えている。両者の全面的な関与により、アルツハイマー病の次世代治療薬の創出に一層拍車がかかることを期待している」と強調しました。
「Aβは主要な病因。開発成功の確度は高い」
アルツハイマー病の研究では長年、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積することで発症するとする「Aβ仮説」が有力視されてきました。ところが近年、この仮説に基づいて開発された新薬候補が相次いで臨床試験に失敗。一部の研究者からはAβ仮説に懐疑的な声も上がり始めています。
一方、内藤CEOはこの日の会見で「最近の遺伝疫学的研究はAβを標的とする創薬アプローチを支持している。アデュカヌマブのP1b試験結果や、他社の抗Aβ抗体の臨床試験からも、Aβのリポジショニングを改善することが、認知機能の改善に結びつくことが示唆されている」と強調。「Aβが主要な病因の1つであるとの自信を深めているし、アデュカヌマブの開発成功の確度は高いと判断した」と述べました。
Aβ仮説に疑義が生じていることに対しては、タウタンパク質が関与している可能性が指摘されるなど「研究が進んだことで、アルツハイマーの病理自体が複雑化していることが、疑念を生んでいるのではないか」との見解を披露。Aβ仮説は依然有力で、これに基づいた新薬開発を進めていくと繰り返しました。
他社ではP3失敗が相次ぐが…
内藤CEOの言う通り、アデュカヌマブはこれまでの臨床試験結果は良好。ただ、米イーライリリーの抗Aβ抗体ソラネズマブや米メルクのBACE阻害薬ベルベセスタットも、P2までは順調に進んだものの、P3試験で有効性を示せず開発が頓挫しました。
内藤CEOは、他社で失敗が相次いだのは、Aβ陽性でない患者を組み入れたり、アルツハイマー病が進行した患者を対象としたりしたことが原因と指摘。「いかに早期の患者をセレクションしていくかが重要だ」と話しました。
普及に向け環境整備
エーザイとバイオジェンはアデュカヌマブの開発を加速させると同時に、新薬の普及に向けた医療環境や社会環境の整備にも取り組む考えです。
内藤CEOは会見で「早期診断・早期治療を啓発するとともに、客観的指標による診断法の開発も積極的に行っていかなければならない」と強調。エーザイはシスメックスと血液からアルツハイマー病の診断を行う技術を共同開発しており、これが成功すれば「大きな革新となる」と言います。さらに「がんと同様に、認知症も公的な枠組みで多くの国民が検診を受けられる姿が理想」とも述べました。
「薬剤の価値をどう評価するか」
中・低所得国で新薬へのアクセスを高めるとともに、薬剤の価値をどう評価するかも重要な課題になると内藤CEOは指摘。日本でも医薬品の費用対効果評価の議論が進んでいますが、「アルツハイマー病の新薬の価格を決めるには、医学的な評価だけでは不十分。従来のHTA(医療技術評価)の方法で正しい価値判断ができるかどうか」と疑問を示しました。
認知症にかかるコストは医療費以外も含めて世界で110兆円に上ると言われますが、30年にはこれが倍増すると予測されています。しかも、このうち8割は医療費ではなく、介護など社会的費用とされ「家族の負担軽減なども含めた価値の評価を実現することが必要」と訴えました。
期待の新薬が相次いで失敗し、閉塞感が漂っているアルツハイマー病の新薬開発。国際アルツハイマー病協会によると、世界の認知症患者は4700万人に上り、2050年には3倍に増えると予測。日本でも25年に700万人を超える見通しです。
立ちはだかる高い壁を越え、エーザイとバイオジェンは新たな治療の道を切り開いていくことができるのでしょうか。患者や家族のみならず、社会全体が新薬の開発成功を待ちわびています。
AnswersNews 2017年10月25日 原文のまま
関連情報:エーザイニュースリリース 2017年10月23日 「バイオジェンとエーザイが臨床第III相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大」
編者:アルツハイマー病薬の失敗が続き、治療薬の開発が混沌とするなかで企業が手をこまねいているわけにはいかない。内藤CEOの決断に期待したい。

★「「認知症が死因」認識弱く 予防や治療の壁に」(10月13日/日本経済新聞)
アルツハイマー型認知症が原因で死亡したのに死因として算定されにくい実態が明らかになってきた。2025年に患者数は700万人超と試算され、死を招く病であるはずだが、肺炎などアルツハイマーが引き起こした別の疾患による死亡と医師が認定するケースが多かった。統計データや文献の不足につながり、治療薬がほとんどないことと並んで予防や治療を阻む壁となっている。
国内の認知症患者数は直近の12年調査で462万人にのぼるが、死因としては16年時点でも1万2千人弱しか記録されていない。死因別の順位でも女性の10番目に登場するだけだ。一方、米国では14年に死因の6番目(9万3千人)となった。今年5月には米疾病対策センター(CDC)が14年の認知症による死者が99年比で55%増えたとして、「fatal(命に関わる)」な疾患との言葉で警告した。
米国の認知症の患者数は10年調査で500万人と日本と大きく変わらず、死亡総数で8倍の差が生まれる要素はない。統計上の日米の差は死亡診断書に医師が記載する死因の取り扱い方の違いから生まれるようだ。
「直接的な死因を記載する傾向がある」(医療関係者)という日本で、特に関連が指摘されるのが肺炎だ。うまく飲み込めなかった食事や唾液が細菌を伴って肺に入ることで発症する誤えん性肺炎に認知症患者が多く含まれるとみられている。岡山大学大学院の阿部康二教授は「肺炎死には認知症による寝たきり患者が相当数含まれるのではないか」と話す。
アルツハイマー型認知症に対する日米の捉え方の違いも影響するようだ。認知症介護研究・研修東京センターの山口晴保センター長は「欧米では診断時に余命宣告がなされるなど、以前から致死性の病と認識されている」と指摘する。欧米は生存期間の研究も盛んで中央値は発症から7〜10年とされている。
日本では医師も含め「重症化すると歩行や飲み込む動作が困難になるなどの疾患の重さが十分に理解されていない」(山口氏)。偏見も根強く、直接の死因として扱わない傾向がある。10年から3年間、大阪府内の病院で実施した調査では高度認知症の患者31人のうち21人で、病状の進行に伴う摂食や飲み込みの障害が死亡につながっていたと報告されている。かねて認知症が死を招くとの現場からの報告はあったのに死亡診断書には反映されてこなかった。
アルツハイマー型認知症は発症の原因がはっきりせず、病根に直接働く治療薬がない。それでも上位の死因として正しく認識されれば疾患への理解も深まり、多くの人が適度な運動など生活習慣の見直しによる予防に向かう。発症が確認された後の生活計画づくり、後見人の選定といった作業も、より重視されるようになる。
エーザイの内藤晴夫社長はがん対策基本法成立でがん検診が浸透したことを念頭に「認知症も基本法が必要」と訴える。ケア体制の整備や治療法確立に向けた検証データの集積のためにも実態通りに死因として認定され疾患への啓発を進める必要がある。(山本夏樹)
日経WEB版 2017年10月13日 原文のまま
関連情報:Alzheimer's Society responds to figures showing dementia remains leading cause of death 12 October 2017 Alzheimer's Society
編者:アルツハイマー病の場合、死因とみなしてよいが、血管性認知症の場合、病因の脳血管障害が死因なることも少なくないので、認知症があったからといって死因とすることはできない。病因によって判断されるべきだ。

★「島田君の新聞エッセー「地域の見回り」が入選」(9月30日/長野日報)
日本新聞協会は29日、「第24回新聞配達に関するエッセーコンテスト」の入賞者を発表した。「小学生部門」で、下諏訪南小学校6年の島田怜央君(12)=下諏訪町東四王=のエッセー「地域の見回り」が入選した。
新聞配達や新聞販売所に関するちょっといい話、新聞販売所スタッフとの心温まるエピソード、新聞配達の経験などを400字程度にまとめたエッセーを募集。3541編の応募の中から、「大学生・社会人部門」「中学生・高校生部門」「小学生部門」の3部門でそれぞれ最優秀賞や、特別審査員を務めるタレントの春香クリスティーンさんが選んだ審査員特別賞などを決定した。
表彰式は、10月14日に東京都千代田区のプレスセンターホールで行う。
「小学生部門」で入選した島田君のエッセー「地域の見回り」は、母の亜由美さん(40)が働く新聞販売店の所長が、冬場の配達途中、認知症で家路が分からなくなり凍えていた高齢男性を助けて、警察から感謝状をもらったエピソードを基に書いた。
「新聞配達は地域の見回りのようなもの―」という所長の言葉を「カッコいい」と感じたといい、「普段は家に届く新聞を読むだけだったけれど、この出来事から、新聞を配ってくれる人の気持ちや、人助けにつながる見守りの力、安心感など、いろいろなことを勉強できた。新聞や新聞配達への考え方が広がった」と感想。
入賞を聞き「びっくりしたけれど、とてもうれしい。これからも、いろいろなことに意識を広げながら新聞を読んでいきたい」と話した。
画像説明:新聞配達エッセーコンテストの小学生部門で入選した島田玲央君
Nagano Nippo Web 2017年9月30日 原文のまま

★「高齢ドライバー、認知症の恐れ365人 免許取り消しは4人」(9月23日/秋田魁新報)
75歳以上の高齢ドライバーに対する認知機能検査を強化した改正道交法の施行から半年が過ぎた。秋田県内では、今月11日までに365人が「認知症の恐れがある」と判定され、うち医師に認知症と診断された4人が運転免許を取り消された。診断の有無にかかわらず自主返納する高齢者は増えているが、交通死亡事故全体に占める高齢者の割合は依然として高い。県警は運転に不安がある高齢者には積極的に免許返納を呼び掛けていく方針だ。
3月12日に施行された改正道交法では、75歳以上のドライバーを対象とした認知機能検査で、記憶力や判断力が低く「認知症の恐れがある」と判定された場合、医師の診察を義務化。医師に認知症と診断されると免許の取り消しか停止となる。検査は主に免許更新時に実施され、信号無視や逆走などの交通違反をした場合も臨時で行われる。
県警運転免許センターによると、施行後に認知機能検査を受けた高齢者は1万412人。このうち3・5%に当たる365人が認知症の恐れがあると判定され、医師の診察を受けた結果、4人が認知症と診断されて免許取り消しとなっている。
秋田魁新報電子版 2017年9月23日 原文のまま

★「笑顔、大盛り認知症レストラン 注文・配膳間違い「まあいいか」」(9月15日/東京新聞)
聞いた注文を忘れたり、メニューを別のテーブルに運んだりするかもしれない。接客する店員は全員、認知症の人たちだからだ。「間違えられても『まあいいか』と一緒に楽しんじゃおう」。そんなレストランが十六日から三日間、東京・六本木にオープンする。 (梅村武史)
名前は「注文をまちがえる料理店」。テレビ局ディレクターの小国士朗さん(38)が発起人の実行委員会が企画した。注文取りや配膳の店員は、首都圏の介護施設から募っている。調理はプロの料理人が担当し、麺類や洋食、デザートなどのオリジナルメニューを提供する。会計はボランティアスタッフが務める。
きっかけは五年前、認知症の高齢者が暮らすグループホームの取材だった。入所者の食事に同席した際、予定外のギョーザが出てきた。あれっ、ハンバーグでしたよね? 思わず口にしようとした言葉をのみ込み、考えた。
「ハンバーグがギョーザになったって別にいいじゃないか。おいしければ」
たいして困らない間違いを指摘して、何が生まれるのだろう。言われた方も、言った方も心が窮屈になるだけじゃないだろうか。
厚生労働省は二〇一五年に約五百万人だった認知症患者は、二五年に約七百万人に増えると推計している。グループホームで働く介護福祉士の和田行男さん(61)と話し合い「注文をまちがえる料理店」のアイデアが浮かんだ。認知症の人と、そうでない人とが気持ちよく交流できる「社会実験の場所」だ。昨年十一月、IT、飲食、デザインなど多彩な職業の人たちに呼びかけ実行委員会をつくった。
今年六月、都内で二日間のプレイベントを開いた。八十人の来客があった。同じテーブルに水を何度も運んでしまったり、ホットコーヒーにストローを付けたり…。客へのアンケートでは注文の三分の二に間違いがあった。だが、反応は上々。九割の客が「また行きたい」と回答した。
接客を担当した認知症の人は「昔、食堂で働いていたときは間違えたら怒られた。でもここのお客さんは優しい。だれも怒らない」。内心で「不謹慎といわれないか」と心配していた小国さんは、この言葉に自信を深めた。「寛容な気持ちは、働く人にも客にも居心地のよい空間がつくれる」
六本木の企画の運営費は、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで集めた。四百九十三人が賛同、寄付総額は千二百九十一万円に上った。てへっと笑い、舌をぺろりと出す「てへぺろマーク」が活動のシンボル。今後は、運営のノウハウを希望する飲食店に提供し「てへぺろマークを全国に広める」(小国さん)ことを目指す。
    ◇
「注文をまちがえる料理店」は十六〜十八日の午前十一時から午後五時半、アークヒルズアネックス「ランディ」(東京都港区六本木一)で開店。一日四回入れ替え制。客は原則として寄付を行った人が対象だが、若干の当日席があり、各日午前十一時から整理券を配布する。フェイスブックで問い合わせに対応する。
◇「注文をまちがえる料理店」のルール
1 間違いを笑顔で許せちゃう雰囲気づくり
2 認知症の方のやりがいがあるイベントに
3 わざと間違いを誘導する仕掛けはしない
4 食中毒やアレルギーがある客に万全対応
画像説明
「社会が寛容になるきっかけになれば」と話す小国士朗さん
シンボルの「てへぺろマーク」=実行委員会提供
Tokyo web 2017年9月15日 原文のまま

★「認知症月間 優しく照らす 宇都宮で啓発活動次々と」(9月10日/東京新聞)
21日の世界アルツハイマーデーにちなみ、9月を「みんなで考える認知症月間」と定めている宇都宮市は、認知症に関する啓発活動を展開している。12日からは市内の商業施設などでパネル展と相談会を開くほか、16日には記念講演会を予定している。
考える月間は認知症への正しい理解と当事者や家族が安心して暮らせる社会実現を目指して、2011年から開始。パネル展と相談会は認知症への取り組み紹介と、市職員や支援団体の関係者が相談を受ける。
12、13日が同市陽東のベルモール、20、21日が同市今泉町のFKD宇都宮店、24日が「もったいないフェア」会場の宇都宮城址(じょうし)公園で開かれる。相談会はいずれも午前11時〜午後3時。パネル展は商業施設が午前10時〜午後4時、宇都宮城址公園のみ午後3時までとなる。
記念講演会は16日午後1時半から同市駒生町のとちぎ健康の森で開催。独協医大の医師が「認知症を恐れない」と題して講演する。参加無料。定員400人で対象は市内在住、在勤、在学者向け。申込制だが、当日参加も可能という。
このほか、17〜23日には八幡山公園内にある宇都宮タワーを認知症のシンボルカラーであるオレンジ色にライトアップする。昨年度から始まった取り組みで、点灯は午後6時〜9時。高さ89メートルのタワーが鮮やかに。
画像説明:オレンジ色にライトアップされた宇都宮タワーの昨年の様子=宇都宮市で(市提供)
Tokyo Web 2017年9月10日 原文のまま

★「認知症初期に集中支援 「はつらつチーム」稼働へ/豊橋市が来月から」(8月28日/東日新聞)
豊橋市は、認知症患者やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム(愛称・はつらつチーム)」を、9月から稼働させる。
厚生労働省の事業で、認知症の早期診断・対応に向けた支援体制を構築する狙い。試行的にチームが設置されるのは医療法人さわらび会・福祉村病院で、メンバーは小橋修院長と社会福祉士・精神保健福祉士の安達薫さん、認知症看護認定看護師の平田幸代さんの3人(画像)。
市内にある18カ所の地域包括支援センターが高齢者に関する相談を受け付ける中で、認知症を疑われながら受診したがらないケースや症状のコントロールが難しい人、初期の認知症と診断されて今後の暮らしを相談したいという場合などに、はつらつチームが対象者宅を訪問。地域包括支援センターやかかりつけ医と連携しながら初期の支援にあたり、最大6カ月間、自立支援に向けたサポートを行う。本年度は30人程度を想定する。
市長寿介護課の担当者は「認知症は初期対応が重要なので、早めに医療機関を受診してほしい」と呼びかける。
Tonichi News  2017年8月28日 原文のまま

★「当事者・家族ら情報交換の場 広がる「認知症カフェ」、県内に30ヵ所」(8月27日/愛媛新聞)
【必要な人への周知課題】
認知症の人や家族、医師・介護職といった専門家らが集まる情報交換の場「認知症カフェ」の開設が県内で相次いでいる。県によると、2016年度に市町が把握していた県内の認知症カフェは13市町30カ所で、前年度の10市町20カ所から着実に増加。一方で、カフェの情報を必要とする人に届ける広報活動が課題となっている。
国が認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」で設置を推進している認知症カフェ。運営側や利用者が挙げるメリットは、他者との触れ合いで心の余裕を持てることだ。
NPO法人それいけ夢工房は3月、松山市泉町で認知症カフェ「夢虹色カフェ」をオープン。月2回の開催日は、参加者が一緒に料理を作りおしゃべりなどを楽しむ。それいけ夢工房の菊池弘美代表は夫の若年性認知症に苦しんだ経験を基に「カフェでちょっとした余裕をつくってもらえれば優しい気持ちになれる」と話す。
認知症の専門医らのボランティア団体寄す処(よすが)は4月、松山市雄郡2丁目の特別養護老人ホームで「すまいるカフェ遊ぐん」を開いた。月に1回オープンし、来訪者は菓子を食べたり工作をしたり。愛媛大大学院医学系研究科の谷向知教授らが家族の相談を受けており、妻を介護する市内の男性(80)は「外出した方が脳の活性化になり情報交換もできる」と笑顔を見せた。
一方、内子町で2カ所のカフェを開く介護老人保健施設「アンビションうちこ園」の担当者は「周知が一番の問題」と悩みを語る。講演会や町の認知症ケアパスなどで広報に取り組んでいるが、介護サービスを利用していない人には情報が伝わりづらいという。
谷向教授は「地道にやっているところに光を当てるのも行政の役割で、県がカフェの活動を広報すべきだ」と指摘する。県長寿介護課は「カフェは届け出制ではなく、行政が全てを把握するのは難しい」と説明。国がカフェの担い手として期待する認知症地域支援推進員の養成研修の受講料を16年度から負担しており、人材育成に力を入れたいとの考えだ。
画像説明:認知症カフェの参加者がウクレレを披露するなどした「すまいるカフェ遊ぐん」=7月中旬、松山市雄郡2丁目
愛媛新聞online  2017年8月27日 原文のまま

★「警察庁、改正道路交通法の施行から81日間分のデータを公表 免許更新時「認知症のおそれ」の18%が認知症 専門医は「例年より認知症の診断が少ない印象」と指摘」(7月5日/日経メディカル)

3月12日の改正道路交通法の施行から5月末までの81日間で、免許更新時の認知機能検査を受検した75歳以上の高齢者は41万6608人。そのうち「認知症のおそれ(第1分類)」と判定された人は1万1254人(2.7%)で、この中で5月末までに医師の診断を受けたのは1278人であり、うち14人は免許取り消しの処分を受けていた。6月下旬に警察庁が開催した高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議で公表された。
また、「認知症のおそれ(第1分類)」と判定され医師の診断を受けた上記の1278人のうち、警察庁が把握している受験者873件の診断結果の内訳は、「認知症」が18.0%(157件)、「認知症ではないが認知機能の低下がみられ、今後認知症となるおそれ」が54.9%(479件)、「認知症ではない」が27.1%(237件)だった。
免許取り消し者数が14人と少なかったことなどについて、警察庁交通局運転免許課理事官の佐藤昭一氏は、「診断書提出命令の提出期限が原則3カ月以内とされていることや、認知症と診断されても、行政処分を行うには聴聞等の手続を経る必要があることなどから、医師の診断や行政処分の対象となる方の大部分はその手続の途上にあると考えられる。このため、医師の診断や免許の取消し等を受ける方の数については、施行後81日間の状況がこのまま推移するとは考えておらず、これらが本格化する本年夏以降、加速度的に増加することが見込まれている」とコメントした。
また、免許更新に訪れた75歳以上の高齢者のうち、「認知症のおそれ(第1分類)」と判定された人が2.7%だった点について佐藤氏は、「ここ数年、2014年が3.7%、2015年が3.3%、2016年が3.1%と減少傾向にある。近年、免許証の自主返納件数が急増していることから、認知症かもしれないとの自覚が本人にある場合や、そうした不安を家族が抱いている場合など、第1分類と判定される可能性の高い方が、検査を受ける前に免許証を自主返納したり、免許証の更新を断念したりするケースが増加していることも一因と考えられる」と話した。
一方、免許更新時に「認知症のおそれ(第1分類)」と判定された人のうち、18.0%が医師により認知症と診断された点について、日経メディカル Onlineで連載「プライマリケア医のための認知症診療講座」を執筆する八千代病院(愛知県安城市)愛知県認知症疾患医療センター長の川畑信也氏は、「例年よりも認知症と診断される割合が少ない印象がある。原因としては、改正道路交通法の施行以降により多くの認知症でない人が『第1分類』と判定されたか、もしくは実際には認知症である患者を認知症と診断していない可能性が考えられる」と指摘。「改正道路交通法の施行をきっかけに、非専門医が頑張って認知症診断に取り組んでいる様子を耳にするが、現実には『認知症』と診断するハードルは非常に高いようで、長谷川式スケールの点数が非常に低いなど明らかに認知症を疑う例でも、『認知症でない』もしくは『認知症疑い』と診断しまっていると聞いている」とコメントした。
なお、改正道路交通法が施行された3月を境に、診断協力医の数が増加したことも明らかになっている。診断協力医は、2017年2月末時点で指定医950人/指定医以外2192人だったが、5月末時点では指定医1087人/指定医以外3678人となっており、指定医以外の診断協力医の数が大きく増えている。
3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の高齢者は運転免許証更新時の認知機能検査で「認知症のおそれ(第1分類)」と判定されると、全員が公安委員会が指定する医師(認知症専門医)による臨時適性検査を受検するか、診断書の提出が必要になった。さらに更新のタイミングにかかわらず、75歳以上の高齢者が一定の違反行為を行った場合は臨時認知機能検査が課される(関連記事:免許更新の認知症診断に医療機関は対応できるか)。
□関連サイト(警察庁) 第5回 高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議
日経メディカル 2017年7月5日 原文のまま

★「認知症で行方不明1万5000人 16年、4年連続最多」(6月15日/日本経済新聞)
認知症が原因で行方が分からなくなったとして、2016年に全国の警察に届け出があった行方不明者は前年比26.4%増の1万5432人だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。12年の統計開始から4年連続で増え、過去最多を更新し続けている。警察や家族などによって98.8%は年内に所在が確認されており、早い段階の対応が重要になっている。
認知症による不明者のうち55.8%が男性で、女性を上回った。不明者の原因・動機は高齢層ほど認知症の割合が高まり、60代は人口10万人当たり7.3人だったが70代は48.1人、80代以上は74.3人となっている。
都道府県警別では、大阪府警が1830人で全国最多。埼玉1641人、警視庁1487人、兵庫1300人、愛知1265人と5都府県警で1千人を超えた。
15年以前に届け出を受けた73人を含め、16年に所在が確認された不明者は計1万5314人。警察の捜索活動や通報で発見されたケースが63.7%と最も多く、不明者の自力帰宅や家族による発見は32.3%だった。3.1%に当たる471人は死亡した状態で見つかった。
所在確認までの期間は、届け出を受理した当日(72.5%)と2〜7日(26.0%)の1週間以内がほとんどを占めた。それ以降は8〜14日で0.4%、15日〜1カ月で0.3%など。
16年の全体の行方不明者数は前年比3.4%増の8万4850人。年代別では10代と20代がそれぞれ1万7千人台、1万6千人台と多かった。80歳以上は1万118人、70代は9589人。9歳以下も1132人いた。全体の原因・動機別では認知症や病気苦などの「疾病関係」が最多で、遊び癖などの「その他」や「家庭関係」が続いた。
警察庁の担当者は認知症高齢者に関する届け出数の増加について「社会全体として認知症への関心が高まっていることが背景にあるかもしれない」とし、「冬場は凍死などの恐れもある。自治体などと連携して、素早い立ち上がりを徹底したい」と強調した。
日経Web版 2017年6月15日 原文のまま
関連資料:平成28年における行方不明者の状況について 警察庁 2017年6月15日

★「<消えた有権者>(上)代筆投票 法改正で家族付き添えず」(5月18日/東京新聞)
高齢となるなどで一票を投じることができない「消えた有権者」は全国で二百万人以上−。四月五、六日付の連載で、その可能性を指摘した。だが、あくまで八十歳以上に限った推計。八十歳未満にも障害者にもいるだろう。読者の体験が裏付ける。 (三浦耕喜)
名古屋市中川区でパン店を営む佐藤奈美さん(53)は悩んでいた。四月二十三日に投開票された名古屋市長選の一週間ほど前。認知症で要介護2の母、克江さん(77)を投票に連れて行くべきかどうか。ゆっくり話せば会話もできる。書くのは難しくなったが、読み聞かせれば理解できる。「でも、二度とあんな怖い思いをさせたくない」。佐藤さんは昨年七月の参院選を思い出していた。
混む当日は避け、期日前投票に連れて行った。だが、受付でこう言った途端、選管職員に母から引き離された。「代筆ですが…」
代筆担当という男性職員に記載台へ連れていかれる母。脇には別の男性職員が付く。不正がないかチェックする立ち会い役だ。両脇から見知らぬ男性に注視され、母はおびえている。近づくことも許されず、佐藤さんは投票所の出口から叫んだ。「候補を読み上げてください。そうすれば理解できます!」。職員の一人が佐藤さんに手をかざし、声を遮った。
佐藤さんのいとこ、母からみるとめいが東京で地方議員をやっていた。選挙で着るスーツは洋裁が得意な母が仕立てた。めいの活躍に目を細めながら、政治の動きを注視していた。母の一票は大切にしたい。「だから、もっとやさしくやってください…」
その時、別の職員が投票所から出てきた。佐藤さんは事情を詳しく説明した。その職員が仲立ちし、何とか投票にまでこぎ着けた。
「あのつらさをもう一度味わわせるのか」。佐藤さんは悩む。「家族になら意思を表せる人も多いはず。どうして、こんな仕組みなのでしょう」
以前は家族やヘルパーが付き添えた。記者がそう言うと佐藤さんは驚いた。二〇一三年五月の公職選挙法改正をめぐる衆参両院の議事録を見てもらう。この改正で「代筆などを担う者は選管職員に限る」との趣旨が定められた。
議事録には、政治家の良心が共鳴する議論がつづられている。法案は与野党各党の共同提案だ。改正の狙いは、成年後見を受ける人の選挙権を取り戻すこと。それまでは成年後見人を立てる際、被後見人の選挙権が剥奪されていた。それは理不尽との司法判断が出て、スピード成立したのが改正公選法だった。その際、被後見人の一票が悪用されないよう、公正を保つ目的で加えられたのが「選管職員に限る」の規定だった。
「そうでしたか。よかれと思ったのが裏目に出たと…」と佐藤さん。議事録にはこうある。「弱い立場にある人たち、この人たちの思いのこもった一票を国に届けないで何が民主主義か」(公明党・国重徹衆院議員)。その言や善し。だが、そのために消えた、あるいは消えかかっている一票もある。
思い立った佐藤さんは母を市長選の期日前投票に連れ出した。受付に笑顔の女性がいた。男性の立ち会い役がにらみを利かせるが、女性のソフトな案内で投票できた。「でも、次の選挙では母の症状は確実に進んでいます。今の制度のままで母の意思を受け止めてもらえるでしょうか」と佐藤さん。この一票を守る意思は政治にあるだろうか。
画像説明:「だれを選ぼうかね」。選挙公報を見る佐藤奈美さん(左)と母の克江さん=名古屋市中川区で
Tokyo Web 2017年5月19日 原文のまま
「<消えた有権者>(下)代筆投票 「秘密」を保障した憲法と矛盾」(5月19日/東京新聞)
投票所で代筆できる人を選管職員に限定したことで、認知症などで文字が書けなくなった高齢者の「一票」が届きにくくなっている。同じことは、障害がある人たちにも起きている。憲法が国民に保障している「投票の秘密」。この権利は、現在の代筆投票の制度で守られているだろうか。 (三浦耕喜)
「国家に『あなたは主権者ではない』と認定されたのかと、大変苦痛に感じました」。もつれてはいるが、はっきりした声が今月十二日、大阪地裁の法廷に響いた。投票所で代筆できる人を選管職員に限った公職選挙法の規定は憲法に違反するとして、希望する補助者の協力で投票する権利の確認などを国に求めた訴訟の初弁論だ。
陳述したのは、原告の大阪府豊中市に住む中田泰博さん(44)。先天性の脳性まひがある。文字は書けるが、所定の記載欄に収まるようには書けない。無効票にされかねないと、家族やヘルパーに代筆してもらっていた。
ところが二〇一三年の公選法改正で、それが不可能になった。見ず知らずの選管職員に投票先を伝えて書いてもらう制度になったためだ。
「投票内容は高度なプライバシーのはず。だからこそ憲法で明文化されている」と中田さんは言う。昨年七月の参院選では地元選管に何度も談判したが、改正法を盾に認められず、投票を断念した。
憲法は一五条四項に「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない」と定める。中田さんには「すべて」に、自分が入っていないように感じられる。だれに、どの党に、投票するのか。その秘密が守られることは民主政治の根幹だ。投票先が分かれば、不当な圧力を受けかねない。自由に投票先を選べる根拠でもある。
もちろん障害の制約はある。だから、せめて「この人なら教えてもいい」という人を選ばせてほしい。これが中田さんの願いだ。
一三年の法改正時の議事録を読むと、憲法が保障する「投票の秘密」を掘り下げた形跡はない。憲法は与野党ともこだわる政治の大事のはず。なのに、だれも憲法との矛盾に気付かなかったのだろうか。「当事者の声を聞かないから」。中田さんは、こうつぶやいた。
ALS患者として選挙権について話す恩田聖敬さん=岐阜市の長良川スポーツプラザで
写真
◇当事者の声をよく聞いて
サッカーJ2のFC岐阜元社長で筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う恩田聖敬さん(39)も昨年七月の参院選で疑問を感じた一人。恩田さんは言う。
     ◇
ほぼ動けない、話せない状態になって初の選挙でした。郵便投票は煩雑そうで断念。妻とヘルパーに連れられ、投票所に向かいました。バリアフリーで中まではスムーズに入れます。
妻が事情を説明すると、選管職員が私の意思を確認して代筆するといいます。しかし、選管職員は口文字ができません。候補者名を指さし、まだ動く首で意思を確認します。仕方ないので、そうしましたが、第三者に投票先を知られるのは気持ちの良いものではありません。大きな争点がある選挙なら、自分の信条を知られぬよう、棄権を選択するかもしれません。
例えば、家族や介助者をあらかじめ登録し、その代筆なら認めてはどうでしょうか。話せない私でも、家族や介助者とはコミュニケートできます。障害があっても人を守り、支えることは普通にあります。一緒に生きられる社会をつくるため、当事者の声をよく聞いてほしいと思います。
画像説明
(右上)中田さんの自署。以前は家族やヘルパーによる代筆で投票してきた(一部画像処理)
(右下)ALS患者として選挙権について話す恩田聖敬さん=岐阜市の長良川スポーツプラザで
Tokyo Web 2017年5月19日 原文のまま
編者:認知症の人の投票権についてはこのサイトで議論してきた。現行の制度では認知症によって投票権は奪われないが、どのように保証するかが課題であるとした。法改正については知らなかった。

「開発中のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」、先駆け審査指定制度の指定を獲得」(5月15日/ノウナウ)
先月、バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鳥居慎一)は、アルツハイマー病の進行を抑制する治療薬として開発中のアデュカヌマブについて、厚生労働省より先駆け審査指定品目に指定されたことを発表しました。
アデュカヌマブは、アルツハイマー病患者脳内のオリゴマーおよびアミロイドβを標的とするモノクローナル抗体です。
以前nounowでも取り上げたとおり(速報!認知症の免疫療法でアミロイドベータ抑制に成功?初の認知症根治薬になるか)、
昨年8月、科学誌「Nature」に、米国とスイスの研究チームが、アデュカヌマブを月1回1年にわたり静脈注射することで、アミロイドベータが減少し、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることに成功したとする論文が掲載されました。
認知症の原因物質とされる脳内に蓄積されるアミロイドベータに対する抗体ベースの免疫療法はこれまで成功してきませんでした。
アデュカヌマブを、60代から80代の初期アルツハイマー病患者165人を2つのグループにわけ、一方に毎月1回、1年間静脈注射した(一方には偽薬を処方)ところ、患者の脳内アミロイドベータが減少、ほとんどのケースで進行を遅らせることができ、ほぼ健康な人と同じレベルまで改善した人もいたとしています。
現在、日本人を含む早期アルツハイマー病患者を対象に、認知機能ならびに日常生活機能の低下抑制を有効性の一次評価指標とする第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)において、有効性及び安全性を評価しているとのことで成果が非常に注目されます。
先駆け審査指定制度とは
これまで、厚生労働省では、海外では承認されていても国内では承認されていない未承認薬・適応外薬の問題(いわゆるドラッグラグ)を解消するため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査員の増員を通じて審査期間の短縮を図るとともに、学会等からの要望に基づき、医療上の必要性を評価した上で未承認薬・適応外薬の開発要請を通じてこれらの解消に努めてきました。
本制度は、この考えを更に推し進め、患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目(以下「対象品目」という。)に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を図るものです。
本制度では、原則として既承認薬と異なる作用機序により、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品を指定することとします。また、本制度はPMDAにおいて指名される審査パートナーを選任して、厚生労働省及びPMDA内部の関係各部との連携を強化するとともに定期的な進捗管理を通じて開発の迅速化を可能とし、新たに整備される相談の枠組みを優先的に適用し、かつ優先審査を適用することにより、審査期間を6ヶ月まで短縮することを目指します。(厚生労働省HPより)
アデュカヌマブは「既承認薬と異なる作用機序により、生命に重大な影響がある重篤な疾患(アルツハイマー病)に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品」として認められたということになります。
連敗続きのアルツハイマー病治療薬の中で
今年2月nounowで取り上げたとおりアルツハイマー病治療薬は連敗が続いています。(連敗が続くアルツハイマー病治療薬?米メルク、アルツハイマー病治療薬の一部研究打ち切り
βセクレターゼ酵素阻害薬のベルベセスタットが臨床試験を中止、抗アミロイドβ抗体のソラネズマブも失敗と期待された治療薬が最終段階で頓挫することが続いています。
その中で非常に期待されるアデュカヌマブが最終段階で良い結果が出るか、世界の注目が集まります。
nounow 2017.05.15 原文のまま
サイト内関連記事
アルツハイマー病治療は何処へ行く?(2016年12月29日)
「BACE阻害剤elenbecestat、早期アルツハイマー病対象の第3相で症例登録開始−エーザイ」(2017年3月31日)
関連情報
〇バイオジェン・ジャパン・ニュースリリース「アルツハイマー病治療薬として開発中のaducanumab厚生労働省による「先駆け審査指定制度」における指定獲得」(2017年04月21日)
〇NATURE  The antibody aducanumab reduces Aβ plaques in Alzheimer’s disease(online 31 August 2016
編者:「最後に残った薬」として期待されるが、3相で失敗した治験がいくつかある。エーザイのelenbecestat(E2609)も第3相の治験に入る。

★「アルツハイマー、日本連合で創薬 原因物質抑制で新戦略」(4月30日/日本経済新聞)
アルツハイマー病の早期発見や治療を目指し、国内の研究機関が連携して新たな研究を始めた。量子科学技術研究開発機構(量研機構)や順天堂大学、学習院大学などが協力し、原因物質の一つ「タウたんぱく質」を狙った新薬や検査法を開発する。国際的に創薬は失敗続きで、新たな研究戦略が求められている。日本発の技術の実現を目指す。
患者の脳には特徴的な変化が起こる。1つは、たんぱく質「アミロイドベータ」が蓄積したシミのようなものができる。2つ目は、タウたんぱく質がたまって繊維状の固まりができる。これらの結果、神経細胞が死んで脳の萎縮が起こる。
国内機関が新たなターゲットと注目したのがタウたんぱく質だ。量研機構や順天堂大、学習院大などは「タウコンソーシアム」を昨年設立した。日本発の治療薬と診断法の開発を目指す。エーザイなどの企業とも協力内容の話し合いを進めている。動物実験や評価方法の基準を作り、各機関の研究を参考にできる環境づくりを目指す。
学習院大学の高島明彦教授らは、タウたんぱく質の蓄積を抑える物質を見つけた。構造の似たパーキンソン病薬「ドロキシドパ」を使い、医師主導の臨床試験を順天堂大学で昨秋から始めた。
アルツハイマー病ではないが、遺伝的にタウたんぱく質がたまりやすい患者など13人に投与する。試験期間は約1年。蓄積を抑える効果を確かめる。
コンソーシアムはタウたんぱく質の蓄積を調べる診断法も開発する。新薬の効果を詳細に調べるには状態を可視化する技術が欠かせない。
量研機構放射線医学総合研究所はタウに結合する薬剤の出す放射線を陽電子放射断層撮影装置(PET)で測る手法を開発した。検査事業などに使える性能の診断用の物質を作った。技術供与先の台湾のベンチャー企業が先行して、米国での小規模な臨床試験で脳に届く様子を調べた。
量研機構はこの物質の性能評価法を決めるため、3月から人での研究を始めた。今年度内にも臨床試験を始める計画だ。日本医科大学や東京都健康長寿医療センターなどで実施を検討している。
アルツハイマー病の創薬が難しいのは、詳細な仕組みが不明なためだ。アミロイドベータとタウたんぱく質以外に目標になる有力な物質が見つからない。手探りの状況だが、タウたんぱく質の研究が一段と進めばメカニズムの解明に役立つ。
2000年代、アミロイドベータを狙った新薬候補などが次々と登場したが、成功しなかった。米国研究製薬工業協会が15年に公表した報告によると、1998〜2014年で臨床試験をした127剤のうち4剤しか実用化しなかった。
アルツハイマー病は認知症の6〜8割を占める。世界で約3000万人の患者がいるといわれる。根本的な治療法はない。
日経Web版 2017年4月30日 原文のまま

★「徘徊防止へ靴にGPS 大和市が認知症者に無料提供」(4月14日/東京新聞)
行方不明になった認知症の高齢者の早期発見を図ろうと、大和市は十三日、小型の衛星利用測位システム(GPS)端末を埋め込んだ靴の無料提供を始めると発表した。これまではGPSを頼りに探そうとしても高齢者が端末を持たずに徘徊(はいかい)するなどの課題があり、靴に埋め込むことで携行率を高める。市によると、こうした取り組みは県内初。
GPS端末と探索システムはNTTドコモの「かんたん位置情報サービス」を利用。長さ四・五センチ、幅三・八センチ、厚さは一・一センチ。重さは約三十グラムで、靴底部分に埋め込まれる。一度の充電で四百時間使える。靴の提供など事業の運営は警備会社「特別警備保障」に年間百八万円で委託する。
配布対象は、万一の時に探しやすくなるよう住所や氏名、生年月日などを市の「はいかい高齢者SOSネットワーク」に事前に登録している認知症の高齢者。二〇一六年度時点で市内に二百三十五人いる。
利用の際は、GPS端末ごとに割り振られた識別番号やパスワードを入力すれば、パソコンや携帯電話から探索できる。通信などにかかる月額利用料は、高齢者の家族の所得に応じて市が補助し、市民負担は無料〜千円とする。機械に不慣れな人のため二十四時間、三百六十五日対応のコールセンターも開設する。靴の無料提供は一足目に限る。
市では以前から行方不明の恐れがある高齢者らにGPS端末を貸し出してきた。だが携行せずに外出する問題に加え、探索に高額の利用料がかかる課題もあった。高齢福祉課の担当者は「GPS靴の導入で認知症の人や家族が安心して住み続けられる街にしたい」と話す。 (井上靖史)
画像説明:底にGPS端末を収納した靴と探索システムを示す職員=大和市役所で
Tokyo Web 2017年4月14日 原文のまま

★「<消えた有権者>(上) 国も把握できぬデータ」(4月5日/中日新聞)
「若者が低く、高齢者は高い」。国政選挙の投票率の常識だ。確かに七十歳代は、おおむね70%が投票している。なのに、八十歳以上では40%台に激減している。それは、昨年の参院選、二〇一四年の衆院選で共通している。この落差は何だろう。
七十歳代までは投票に行っていたのに、八十歳を超えると半分も行かなくなる。総務省の人口推計に基づいて、八十歳以上人口の七割と四割強をそれぞれ計算すると、その差は二百万人を超える。
一方、厚生労働省のデータで、外出が困難になりつつある要介護3が八十三万人、ほぼ寝たきりとなる同4が七十六万人、寝たきりの5が六十一万人。合計すれば二百二十万人になる。重なる二つの「二百万人超」。意味するものを検証する。
    ◇
介護を受けるようになるなどで、一体、どれくらいの人たちが政治に参加できなくなっているのだろう。介護など多くの高齢者がかかわる問題は国の重要課題なのに、当事者の声を聞かずによいものか。いま一度考えたい。
きっかけは、隔週水曜日に掲載している本紙の連載コラムで、二月一日付の「生活部記者の両親ダブル介護」への反響だった。投票には欠かさず行く人だったのに私の母(81)は認知症で、父(80)は煩雑な手続きに対するためらいで、いずれも投票できなかった話だ。
「まったく同感。私の母もそうですから」と語るのは、埼玉県春日部市の女性(66)。九十歳の母親は新潟市のグループホームで暮らす。認知症で要介護3。月に一度、母と空き家になった実家の様子を見に通う。
ある時、実家に昨年十月に投開票された新潟県知事選の通知が届いていたことに気付く。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が争点だった。だが、時すでに遅し。「社会への関心も高かった母です。分かっていれば、絶対に投票に行っていたでしょう」
厚生労働省によると、要介護(要支援)認定を受けた人は六百万人超。その人たちの参政権をどう守るか。選挙制度を所管する総務省も重視し、有識者会議で議論する。会議の概要は資料と共に公開されている。まずは現状を知るのが重要だ。介護認定者の何パーセントが投票できているのか。識者が集まる会議だ。データがあるに違いない。全資料に目を通す。
驚いた。ないのだ。同省選挙部管理課の担当者に確認する。申し訳なさそうに担当者は答える。「ご指摘通り、そういうデータを取っていないのです」。介護は状態や環境もさまざま。それによって投票へのアクセスも細分化されている。しかし、複雑な仕組みや手続きに埋もれ、全体像が見えないのだ。
ならば自分で調べるしかない。せめて、おおよその傾向をつかめないか。すると、注目すべきデータに行き当たった。昨年七月の参院選での投票率だ。二十〜三十歳代は30〜40%台なのに対し、六十〜七十歳代は七割前後が投票している。
ところが八十歳以上だと投票率は47・16%に激減する。過去の投票率を調べると、彼らが六十〜七十代だったころは七、八割が投票していた。つまり、少なくとも七割が選挙に行っていた世代が、八十歳を超えると半分も行っていないということだ。
同月の人口推計によると、八十歳以上の人口は千三十万人。投票率が70%だった場合、投票者数は七百二十一万人。だが、実際に行ったのは四百八十六万人だ。その差は二百三十五万人。この数字は何を意味するのか。同様の傾向は二〇一四年の衆院選でもみられる。投票率は七十代は70%ほどだったのが、八十歳以上では44・89%だ。
断定はできない。だが、「消えた有権者」は二百万人以上という可能性が浮かび上がってこないか。
一般財団法人「医療経済研究機構」の西村周三所長に聞く。社会保障政策を経済学の手法で解き明かす「医療経済学」の草分けで、国立社会保障・人口問題研究所の所長も務めた。京都大経済学部の元教授で、私の恩師でもある。
西村所長は「細かく言えば、施設入所者は施設内でも投票できるので、施設と在宅とは分けて考える点も大事だが、大まかな数値として『二百万人以上』という推計は当たっているのではないか」と言う。
二百万人以上いる可能性がある「消えた有権者」。投票しようとすると、どんな困難があるのだろうか。六日の(下)に続く。(三浦耕喜)
Chunichi Web 2017年4月5日 原文のまま
「<消えた有権者>(下) 投票所まで行けない、書けない」(4月6日/中日新聞)
5日付の前回は認知症や介護などで、200万人以上が「消えた有権者」になっている可能性を指摘した。衆院選で計算すると小選挙区ひとつ当たり、7000票弱が消えていることになる。この票数は、勝敗を左右するには十分だ。なぜ、そんな票が消えるのか。
「投票できずに戻ってきたよ」。そう聞かされると、何とも悲しい気持ちになる。金沢市の「石川勤労者医療協会」専務の国光哲夫さん(56)は、選挙のたびにそんな高齢者を見てきた。
例えば、特別養護老人ホームの施設長を務めていた二〇〇九年の衆院選。政権交代のかかる選挙だった。「戦争を経て、政治に参加する大切さを心に刻んだ世代。選挙は行って当たり前という人たちです」。国光さんはどう「一票」につなげていくか苦心した。
都道府県の選挙管理委員会が指定すれば、施設内で投票できる制度がある。だが、規模が規定に達していないと却下された。
ならば、期日前投票に行こう。だが、人手に限界があり、連れ出せる人数は限られた。何とか投票所に連れて行けても、「公正な選挙のため」と、投票所に入れるのは本人だけ。受付で生年月日を言えなかったり、期日前投票の理由に印を付けられないなどで、あきらめる人もいる。
受付が済んで投票用紙を手にしても、手書きで記入できるか怪しい人も。その時は選管職員がサポートする決まりだが、本人にとっては、いきなり見ず知らずの人の指図を受けるようなものだ。パニックになり、投票どころではなくなる。
「認知症でも軽度なら、家族やスタッフ相手には正常な判断・意思表示はできる」と国光さん。「投票所など建物のバリアフリーは進んでも、制度のバリアーはなお高い」と訴える。
施設内で不在者投票ができる「指定施設」でも、実際に「一票」につながるかどうかは、どれだけ手をかけるかに左右される。
名古屋市の介護老人保健施設「セントラル内田橋」事務次長の鈴木章夫さん(42)は「選挙があれば、まず投票するかどうかをヒアリングします」という。投票用紙を申請し選挙公報を配り、投票用紙に書いてもらう。体調などによっては代筆も可能だ。投票用紙は二重に封をし、確実を期して投票日の前日までに選管に届くよう日程を組んでいる。
「意思の表し方は人それぞれ。くみ取るには介護の技術が必要です」と鈴木さん。票を生かせるのはスタッフのスキルがあってこそだ。
在宅介護はさらに厳しい。郵便投票ができるのは要介護5だけ。4以下は基本、投票所に行かねばならない。父母を介護している私の感覚では、要介護3とされる範囲であっても重いと外出困難。4だと、ほぼ寝たきりなのだが。
「認知症が加わると、1でかろうじて投票できるとして、2では…」。腕を組むのは「認知症の人と家族の会」愛知県支部代表の尾之内直美さん(58)。出口のない問い掛けをして申し訳なくなる。
体の衰えなどで消えている票はどのくらいあるのか。明確な答えを得るのは難しい。それでも、これだけは伝えたい。世の中には投票したくてもできない人が、二百万人以上いる可能性があることを。(三浦耕喜)
Chunichi Web 2017年4月6日 原文のまま

★「「認知症が影響」不起訴 登校の列に車、運転の88歳」(4月1日/日本経済新聞)
横浜市港南区で昨年10月、集団登校の列に軽トラックが突っ込み、小学生らが死傷した事故で、横浜地検は31日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で逮捕された男性(88)を嫌疑不十分で不起訴処分とした。
地検によると、男性は認知症の影響で、事故前日の朝から神奈川県内や都内を約24時間走行。道に迷ってどこにいるのかも分からなくなり、車で徘徊(はいかい)を続けていた。
地検はこうした長時間運転の疲労から、適切に車を操作する能力を失っていた可能性が否定できず、「過失責任が問えない」と判断した。
事故は昨年10月28日朝に発生。小学生の列に軽トラックが突っ込み、近くに住む市立桜岡小1年、田代優君(当時6)が死亡、小学生ら7人がけがをした。
田代君の父親は「息子の死を無駄にしないためにも、高齢者ドライバーに対する厳格な規制作りや運転免許証自主返納制度の認知向上などを強く望む」とのコメントを出した。〔共同〕
日経Web版 2017年4月1日 原文のまま

★「BACE阻害剤elenbecestat、早期アルツハイマー病対象の第3相で症例登録開始−エーザイ」(3月31日/QLife Pro)
早期ADかつ、Aβの脳内蓄積が確認されている患者1,330人が対象
エーザイ株式会社は3月29日、自社創製の経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤 elenbecestat(開発コードE2609)について、早期アルツハイマー病(AD)を対象としたグローバル臨床第3相試験(MISSION AD1)の、日本における症例登録を開始したと発表した。
Elenbecestatは、経口のアルツハイマー病治療剤として開発中のBACE阻害剤。アミロイドβ(Aβ)産生の律速酵素であるBACEを阻害することで、Aβ産生を抑制し、毒性種と考えられる脳内Aβのオリゴマーやプロトフィブリルへの凝集、その後のアミロイドプラーク(老人斑)の形成の減少に繋がると考えられている。エーザイは、同剤を米国バイオジェン・インクと共同で開発。米国での開発については、米国医薬食品局(FDA)より優先的に審査するファストトラック指定を受けている。
MISSION AD2も日本でまもなく開始予定
Elenbecestatの臨床第3相試験プログラム(MISSION AD)は、グローバル臨床試験である MISSION AD1(301試験)および、MISSION AD2(302試験)から構成。MISSION ADは、両試験ともADによる軽度認知障害および軽度認知症の比較的早期段階からなる早期ADで、バイオマーカーでAβの脳内蓄積が確認されている患者1,330例を対象に、同剤の有効性と安全性を検証する、多施設共同プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験。
投与期間は24か月で、実薬群は50mg/日の1用量。 Clinical Dementia Rating Sum of Boxes(CDR-SB)を主要評価項目として用いる。MISSION AD1は2016年10月に米国で症例登録が開始され、順調に進行中。また、MISSION AD2も2016年12月から米国で開始されており、日本でも間もなく開始予定という。欧州においても、両試験の臨床試験申請を提出済みで、現在は開始準備中だとしている。(大場真代)
QLife Pro医療news  2017年3月30日 原文のまま
関連情報:エーザイ ニュースリリース(2017年3月29日)「BACE阻害剤elenbecestat 早期アルツハイマー病を対象とした臨床第III相試験について日本における症例登録を開始」

★「被告が認知症、裁判打ち切り 札幌高裁「再開不可能」」(3月15日/日本経済新聞)
窃盗罪で有罪判決を受け控訴した後、認知症で公判が継続できない状態になり、裁判が3年以上にわたり停止していた男性(65)=入院中=の控訴審で、札幌高裁(高橋徹裁判長)は14日、公訴を棄却する判決を言い渡した。
関係者によると、病気で裁判が継続できなくなり、裁判所の判断で公訴が棄却されるのは異例という。被告自身が控訴していたため、本人の同意なしに控訴を取り下げて裁判を終わらせるのが難しい状況になっていた。
昨年12月に最高裁が、殺人罪に問われ、精神疾患が悪化した別の男性の上告審で「被告に訴訟能力の回復の見込みがない場合、裁判所の判断で裁判を打ち切ることができる」との初判断を示した。高橋裁判長も判決理由で「被告の完治が見込めず、訴訟能力も失われている。公判手続きを再開するのは不可能」と結論付けた。
判決などによると、男性は食料品などの万引きを繰り返したとして、2013年に窃盗罪で起訴され、一審で保護観察と執行猶予付きの有罪判決を受けた。その後、本人が控訴したが「前頭側頭型認知症」が進行して心神喪失の状態とされ、13年11月から控訴審の公判が停止していた。〔共同〕
日経Web版 2017年3月15日 原文のまま

★「日医が認知症診断書作成の手引き12日の改正道交法施行を前に」(3月7日/CBnews)
改正道路交通法が12日に施行されるのを前に日本医師会(日医)は、「かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」をまとめた。診断書作成の依頼があった場合の手順のほか、診断書の記載例やモデル事例などを盛り込んだ。すでに日医会員向けに公表している。
日医がまとめた手引きは、▽かかりつけ医の対応▽警察庁による改正道交法の解説▽診断書の記載例―などで構成されている。最終章には、高齢者の自動車などの運転と認知症の人を地域で支えるためのポイントが整理されている。
改正道交法施行により、75歳以上の運転者の認知症対策が強化される。改正前は、3年に1度の免許証の更新の時だけに、認知機能検査を受けることになっているが、改正後には、信号無視、通行区分違反、一時不停止などの一定の違反行為をすれば、更新時以外でも認知機能検査(臨時認知機能検査)を受けなくてはならなくなる。認知機能検査の結果、「認知症のおそれ」(第1分類)、「認知機能の低下のおそれ」(第2分類)、「認知機能の低下のおそれなし」(第3分類)の3つに分けられる。制度改正により、第1分類と判定されると、全員が医師の診断を受けることになる。
警察庁は2015年中に第1分類と判定された約5.4万人を基に、免許証更新時の認知機能検査と新設される臨時認知機能検査で第1分類と判定される人が年間約6万人、そのうち受診前に約2割が免許証を自主返納すると仮定し、そのほか家族からの相談や交通事故などを端緒に診断を受けるとそれぞれ見積もった上で、改正後は年間約5万人が医師の診断を受けると見込んでいる。
認知症は、道交法で「免許の拒否または取消し等の事由」とされている。警察庁が示している運用基準によると、認知症については、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)および、レビー小体型認知症と診断された運転者の免許は拒否、または取り消すことになっている。
□診断書作成手順、フローチャートで解説
診断書作成の依頼があった場合の手順は、フローチャートにしてまとめている。まず、かかりつけの患者か、かかりつけの患者でないかで、対応を大きく変えることになる。かかりつけの患者なら、これまでの診療を踏まえて対応し、臨床所見などから認知症と診断できるなら、診断の上、記載する。また、かかりつけの患者でも、臨床所見や検査結果などから診断しにくい場合には、専門医療機関の診断を受けるよう促している。
一方、かかりつけの患者でないなら、画像検査の必要などのために診断書に記載できない場合には、専門医療機関の診断を受けるよう促している。診断書の記載例では、アルツハイマー型認知症、血管性認知症などをモデルケースとして紹介、診断書の具体的な記載方法を説明している。
最終章では、高齢者の自動車などの運転と認知症の人を地域で支えるポイントの中で、「引きこもり防止・社会生活への支援」として、かかりつけ医は、運転免許取り消しまたは停止・返納後の生活・暮らしぶりの変化や本人・家族の状態変化にも注意する必要があるとしている。
また、「自動車運転をやめた高齢者の心のケア」として、高齢者が運転を続けたい理由には、生活の移動手段として欠かせないことや、「生きがい」「自尊心獲得」といった感情などがあることを考慮した上で、例えば、「生きがい」として運転している人には、それに代わるものを見つけてもらうことも重要だとしている。
CBnews 2017年3月7日 原文のまま
関連情報:「かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」(平成29年3月日本医師会平成)(pdf6.3MK)
サイト内関連記事:「道交法の認知症検査強化で医師困惑 事故の責任負えず、診断困難な場合も」(2017年2月11日)

★「徘徊者にやさしい群馬に 全市町村と県警が協定締結」(3月4日/上毛新聞)
行方不明になった高齢者らをいち早く保護するため、群馬県警は3日、沼田市など北毛8市町村と情報共有に関する協定を締結し、県内全市町村と結び終えた。認知症やその疑いのある人の行方不明の届け出は多い年で200人を超え、市町村境を越えてさまよう人もいる。県全域をカバーする情報共有体制の構築は全国でも珍しいといい、関係者は効果に期待を寄せている。
◎全国でも珍しく 成果早くも
協定の内容は、認知症患者や徘徊はいかいの可能性がある人の顔写真や身体の特徴などを家族らの同意を得た上で専用ネットワークに登録し、行方不明になった場合、名前や顔写真などの情報を「上州くん安全・安心メール」などで発信する。
協定締結は2015年9月の高崎市と高崎署を皮切りに急ピッチで進んだ。県警によると、都道府県警が全市町村と協定を結ぶのは珍しいという。
成果も出ている。今年1月、甘楽町の男性(65)は家族が行方不明を届け出た翌日に富岡市内で保護された。富岡署の要請に基づき、市が防災無線で男性の特徴などを情報発信したことがスピード解決につながった。協定が結ばれていなかったら、市外の行方不明者の情報発信は困難だったという。
認知症高齢者向けのグループホームなどを運営する認定NPO法人じゃんけんぽん(高崎市)の事務局長、佐塚昌史さんは「一度出歩くと、近隣の市町村まで行ってしまうケースがある。情報を一元化した協定を基に、スムーズに対応してほしい」と話している。
県警子ども・女性安全対策課によると、認知症やその疑いのある人の行方不明の届け出はここ10年間、年140〜220人台で推移している。全国では増加傾向にあり、15年は1万2000人を超えた。高齢化を背景に行方不明事案の増加が懸念されている。
◎広がるハイテク活用
高齢者が行方不明になるのを防ごうと、県内市町村で静脈認証や衛星利用測位システム(GPS)といったハイテクを活用した取り組みが広がっている。
前橋市は4月から、手のひらの静脈で身元を特定するシステムを試験運用する。事前に静脈のパターンを機械で読み取り、専用の端末に身元情報とひもづけて登録する。保護された際、手を機械にかざしてもらえば、端末内のデータと照合できる。
高崎市は2015年10月、GPSを無償で貸し出し、家族に代わって警察官などが保護に向かうことを可能とするシステムの運用を始めた。GPSをはじめとする位置探知機器を貸し出したり、購入費助成を事業化しているのは前橋など15市町村に上る。「靴に取り付けたGPS機器のおかげで早期発見につながった例が複数報告されている」(前橋市)という。
画像説明:高齢者の徘徊は群馬県内各地で保護の訓練が行われている。沼田市では徘徊者の特徴を確認しながら児童たちが下校する訓練も行われた(2016年11月11日付本紙より)
上毛新聞ニュース 2017年3月4日 原文のまま

★「道交法の認知症検査強化で医師困惑 事故の責任負えず、診断困難な場合も」(2月11日/福井新聞)
高齢運転者の交通事故抑制へ、認知機能検査を強化する改正道交法が3月12日に施行される。「認知症の恐れ」との判定で医師の診断が求められるようになるが、医師側は「診断は困難な場合があり、診断によっては医者が事故の責任を問われる可能性もある」などと負担と責任の大きさを不安視する声もある。2015年に診断が必要とされた運転者は福井県内で31人。改正後は年間500人程度に急増するとみられている。
改正法では、75歳以上の運転者は3年に1度の免許更新時に加え、信号無視や逆走など認知症の影響と見られる特定18項目で違反した場合にも認知機能検査が義務付けられる。検査で「認知症の恐れがある(1分類)」と判定されると、医師の診断を受けなければならない。県医師会などによると、診断は対象の高齢者のかかりつけ医が行う。対応が難しい場合は、専門医や認知症サポート医などがいる県内169の医療機関を紹介する。
認知症研究を専門とする濱野忠則福井大准教授は「認知症診断の難しさや責任の重さから、受け入れる医師は多くないのでは」と推測する。認知症の診断には、問診や認知機能テスト、血液検査、頭部CTなど受診が数回に及ぶこともあり、医師や対象者の負担は少なくない。さらに「認知症ではないと診断した高齢者が人身事故を起こし、医師が訴えられるケースも懸念されている」という。
また「初期の認知症などは運転能力に問題がない場合もある。認知症と診断され免許が失効すれば、引きこもることになって病状が悪化する恐れもある」と説明。「認知症でないと診断した場合は、進行を止める薬の処方ができなくなる」と治療への影響も懸念する。
濱野准教授が所属する日本神経学会や日本認知症学会など4学会は1月、政府に対し、運転中止後の生活支援や医学的な診断以外での運転能力を判断する制度を求めた。初期の認知症や軽度認知障害の運転への影響は明らかでないとし、運転不適合者との最終的な判断は医師ではなく運転の専門家がすべきだと提言した。
県警では、改正法のスムーズな運用に向け、県や県医師会との連携を強化。対象の医師全員に対し、診断受け入れの可否などを問うアンケート調査などを行っている。診断の費用負担や診断基準などの細則は、3月1日の日本医師会と警察庁などによる会合で決められる予定だ。
県内では16年の75歳以上の交通事故死者数は25人で、全体の5割を占めた。75歳以上が過失の割合が大きい第一当となる死亡事故は12件起きている。県警運転免許課は「改正法は、医師による診断の機会を増やし事故の抑止を目指すもの。スムーズな運用のため準備を進めたい」と話している。
Fukuishimbun online 2017年2月11日 原文のまま
関連記事:3月までに認知症診断書マニュアル〔CBnews〕日医、改正道路交通法施行に向け CBnews | 2017.01.12

★「認知症と保険(上)後見人向け商品を改定 物損なくても賠償補償」(2月7日/日本経済新聞)
親の記憶力が衰え、認知症ではないかと心配しています。調べると成年後見人や介護施設向けなど、認知症患者を世話する側が入る保険が増えていると聞きました。どんな保険ですか。
認知症患者の数は2025年に約700万人となり、65歳以上の高齢者のおよそ5人に1人に達するという推計がある。当然、認知症患者が絡むトラブルの増加も見込まれ、生保・損保各社は対応を急いでいる。
特に損害保険分野で注目されるのは、認知症患者が起こしたトラブルによって成年後見人や介護施設が訴えられた場合に対応する「賠償責任保険」だ。
契機は07年、認知症男性が起こした列車遅延を巡り、JR東海が家族に賠償を求めた訴訟。昨年3月、最高裁は男性の家族に賠償責任はないとの判決を下したが、認知症を巡る賠償リスクは再認識された。
この判決で、賠償責任を負うか否かは「認知症患者との関係、同居の有無、日常的な接触程度、財産管理への関与状況などを総合考慮して判断する」という考え方が示された。認知症患者らの財産管理をする成年後見人や介護を担う介護事業者も、この観点で責任を問われる可能性があることに対応し、損保各社が商品の見直しに動いた。
損害保険ジャパン日本興亜は4月に成年後見人向け保険で、8月には老人ホームなど介護事業者向け保険で、認知症患者などが第三者に物損などを伴わない損害を与えた場合も補償範囲に加える。
具体的には、認知症患者が線路に立ち入り、電車は壊れなかったが、安全確認などで運行が遅れ、その賠償を求められる事態を想定した。従来は人のケガや物損を伴う賠償でないとカバーできなかった。
あいおいニッセイ同和損害保険も4月、介護・福祉事業者向け保険で同様の改定をする。同社は三井住友海上火災保険とともに1月、個人向けの賠償責任保険の一部でいち早く、物損を伴わない電車運行不能も補償範囲に加えていた。個人に続き、老人ホーム運営事業者などもより幅広い補償が受けられるようになる。
認知症患者に関連して増加が想定される賠償リスクはほかにも多い。例えば、昨年10月に法改正で、成年後見人は被後見人(認知症患者など)宛ての郵便を受け取れるようになった。
後見業務はスムーズになる半面、マイナンバーなど個人情報が記載された郵便物を万一、紛失すると情報漏洩で訴えられるといった新たなリスクも生まれた。
東京海上日動火災保険はここに着眼。昨年12月、こうした情報漏洩なども補償範囲に加えた成年後見人向け保険を新発売した。本格的な高齢化社会のなか、成年後見人のなり手不足が指摘されている。訴訟リスクを警戒する成年後見人の登録団体からの需要が見込めるとしている。
高齢化と核家族化が進み、認知症患者の世話を家族だけで担うのは困難になっている。後見人や介護施設に頼る世帯は、今後さらに増えるだろう。認知症患者関連の賠償責任保険の拡充は、このような社会情勢の変化を映す鏡といえる。
NIKKEI STYLE 2017年2月7日 原文のまま
「認知症と保険(下)認知症の診断で一時金 保険金請求をサポート」(2月14日/日本経済新聞)
認知症と診断されると一時金が支給される生命保険があると聞きました。どんな仕組みなのでしょうか。要介護認定を受けると、保険金が受け取れる介護保険商品とは違うのですか。
親が認知症になると治療や介護の費用に加え、子どもが離職して世話をしなければならなくなるケースもあり、家族の負担が増す。家計経済研究所(東京・千代田)などによると、重度の認知症患者の在宅介護費用は年間約110万円で、認知症がない介護(約52万円)に比べて約60万円の負担増になるという。
このような経済負担に備える「認知症保険」の加入者数が伸びている。太陽生命保険が昨年3月に発売した認知症保険の契約件数は今年1月、15万件に達した。過半数が60代以上で、「将来、家族に迷惑をかけたくない」と加入する人が多いという。
太陽生命が発売したのは少ない告知事項で契約できる「ひまわり認知症治療保険」。脳の組織の変化による認知症と診断され、所定の状態が180日継続すると認知症治療給付金を一時金で受け取れる。
「保険期間終身、一時金300万円、入院一時金2万5000円」などの条件にすると、月額保険料は60歳男性で5112円、同女性は8167円。がんや心筋梗塞、糖尿病など七大疾病による入院や手術、骨折も保障するので、シニア層向けの医療保険としても使えるのが特徴だ。
朝日生命保険は昨年4月、介護保険の中に認知症を保障する「認知症介護終身年金保険」と「同一時金保険」を加えた。要介護1以上に認定され、かつ所定の認知症と診断された場合に、終身年金か一時金、または両方を受け取れる。
「保険期間終身、年金額60万円、一時金300万円」の場合、月額保険料は60歳男性9807円、同女性1万4637円。要介護1以上の認定で、その後の保険料払い込みが不要になる。
認知症保険の場合、認知症と診断された加入者本人が保険金の請求手続きをできるのかが気になるところだ。太陽生命、朝日生命とも家族登録制度があり、家族の連絡で手続きに入る。
太陽生命は契約者の元に「かけつけ隊」という職員を派遣し、その場で請求手続きをする。かけつけ隊は認知症保険以外にも同社が販売するすべての保険の請求手続きを支援し、これまでに1万5000件を超える利用があったという。
また、70歳以上の契約者を毎年1回訪問する「シニア安心サポート活動」を展開。例えば白内障の手術をしたというような話を聞くと、契約者の了解のもと、保険金請求を支援する。
朝日生命も「シニアにやさしいサービス」として、要介護認定を受けた契約者を対象に診断書取得代行サービスなどの支援をする。
認知症と診断されても、適切な治療を受ければ、その進行を緩やかにできるといわれる。また健康体の人が認知症を発症すると、徘徊(はいかい)がもとで他人とトラブルになる可能性もある。治療やトラブル防止などにまとまったお金が必要になることも多く、一時金でもらえるメリットは大きいといえそうだ。
NIKKEI STYLE 2017年2月14日 原文のまま

★「高齢者の運転 相次ぐ事故で日本認知症学会などが提言」(1月12日/NHK)
高齢者が運転する自動車による事故が後を絶ちませんが、日本認知症学会などは、認知症検査が強化されることし3月の改正道路交通法の施行を前に、運転を中止したあとの生活の質の保証に努めることや運転能力の適正な判断基準の作成を求める提言をまとめました。
ことし3月に施行される改正道路交通法では、75歳以上を対象にした検査で「認知症のおそれがある」と判断された場合には、医師の診断を義務づけるなど、認知症検査の態勢が強化されます。
日本認知症学会や日本老年医学会など4つの学会が今回まとめた提言では、まず、高齢者、特に認知症の人の尊厳を守り、運転中止後の本人や家族の生活の質を保証することが重要だとしたうえで、社会から孤立しないよう公共交通システムを整備し直すなどし、可能なかぎり強制的な手段ではなく、運転免許証の自主返納を促進する必要があるとしています。
また、ごく初期の認知症の人や軽度認知障害の人と一般の高齢者の間では、運転行動の違いは必ずしも明らかではないとしたうえで、特に、初期の認知症の人の運転免許証の取り消しにあたっては、実際の運転技能を実車テスト等によって専門家が判断する必要があるとしています。
この提言は、高齢者の事故防止策を検討している国のワーキングチームにも送られていて、日本認知症学会の秋山治彦理事長(写真)は「社会の高齢化が進むなか、高齢者が運転をやめても生活の質を保てるような社会基盤づくりを、さまざまな分野の人が協力して、早期に進める必要がある」と話しています。
NHKNewsWeb 2017年1月12日 原文のまま
関連資料:「提言」日本神経学会 日本神経治療学会 日本認知症学会 日本老年医学会(平成 29 年 1 月 6 日)(pdf13K)
編者:簡潔で妥当な提言だ。

「富士見で認知症カフェ 身近な交流の場に」(1月1日/長野日報)
富士見町瀬沢新田の「喫茶フロイド」で、認知症の人や家族らが交流する「認知症カフェ」が始まった。「認知症について自由に語り合ったり、相談をしたりする身近な場所をつくりたい」という町社会福祉協議会の提案に店主の響谷千恵子さんが賛同。毎月2回開く。
高齢化の進行とともに今後も増加する認知症の人や家族を地域で見守る活動の一環として町社協が計画。認知症カフェには、町社協や介護職、ケアマネジャーらでつくる町認知症キャラバンメイト連絡会のメンバーらも参加し、家族の相談にも応じる。町社協は「認知症の予防につながり、家族が悩みを話して孤立化しない場所になっていったらいい」と期待する。
昨年12月に始まり、初回は近くにある小規模多機能型居宅介護事業所「一本松の家」を利用するお年寄りや介護職、キャラバンメイト、町社協職員ら約10人が参加。響谷さんが企画したクリスマスクッキー作りをし、アットホームな雰囲気でおしゃべりを楽しんだ。
響谷さんは災害救助犬育成のボランティア活動も行っており、茨城県守谷市から同町に移り住んで3年目。「地域の皆さんと交流したいと思っていた。少しでもお役に立ちたい」と話している。今後はまんじゅう作りなども企画している。
認知症カフェは毎月2回木曜日午後1〜4時に開く。店外の認知症カフェと書いたオレンジ色ののぼり旗が目印。問い合わせは響谷さん(電話0266・78・6886)へ
Nagano Nippo Web 2017年1月1日 原文のまま


2016年



★「介護に備える 道交法改正でどう変わる? 認知症のドライバー対策」(12月29日/日本経済新聞)
近年、高齢者ドライバーによる事故のニュースが増加している。背景には認知機能が低下しているにもかかわらず、必要に迫られ、あるいは認知機能の低下に気付かないまま、運転を続けているドライバーの存在がある。こうした問題を受けて2017年3月12日から道路交通法が改正され、75歳以上の運転免許更新時の認知症対策が強化される。高齢者による交通事故の実態と、道交法改正のポイントを解説する。
□高齢者ドライバーによる死亡事故割合は年々増加
「交通死亡事故の数は2005年から2015年までの10年間、年々減少しています。一方、75歳以上の高齢者ドライバーによる死亡事故件数はほぼ横ばいで、結果的に全体の件数に占める割合は増加しています」と話すのは、警察庁交通局運転免許課理事官の佐藤昭一さん。
警察庁調べ。第1当事者(過失が重いほう)が原付以上を運転している場合の死亡事故を計上している
背景にあるのは、高齢者ドライバーの増加だ。75歳以上の高齢者ドライバーは2005年の約236万人から2015年には約478万人と、10年間で約2倍に増えた(警察庁調べ)。また、75歳以上のドライバーのうち、死亡事故を起こした人の認知機能検査結果を調べたところ、約半分が「認知症のおそれ、あるいは認知機能低下のおそれ」があったことも分かっており[注1]、認知機能の低下が、高齢者による事故に何らかの影響を与えている可能性は高い。
今後も高齢者ドライバーの増加が見込まれる中[注2]、高齢者による交通事故を減らすには、認知症のドライバーを早期に見つけ、運転をやめてもらうことが重要なポイントとなる。
道路交通法では、認知症と診断されたドライバーは、免許取り消しあるいは停止(認知症について6カ月以内に回復の見込みがある旨の診断を受けた場合)処分となることが定められている。その点は、これまでも、2017年3月の道路交通法改正後も変わらないが、改正後は、さらに認知症対策が強化されるため、高齢者ドライバーの中から認知症のおそれがある人を今まで以上に見つけやすくなると期待されている。
□道交法改正で、75歳以上の免許更新はどう変わる?
これまでの運転免許制度では、認知症が見つかるケースは限られていた。
一つに、ドライバーの認知機能の現状をタイムリーに把握する制度が存在せず、3年に一度[注3]の運転免許更新時に、75歳以上を対象にした認知機能検査が行われるのみだったからだ。
また、75歳以上の高齢者は上記の認知機能検査の結果、「認知症のおそれ」「認知機能の低下のおそれ」「認知機能の低下のおそれなし」の3段階に分類されるが、「認知症のおそれ」に分類されても、必ずしも医師の診断を受ける必要はなかった。
「認知症のおそれ」と分類された人のうち、特定期間内[注4]に、信号無視、通行禁止違反など一定の違反行為をした人に限り、医師の診断を受けなければならず、認知症と診断されれば免許取り消しあるいは停止となった。その結果、2015年中に「認知症のおそれあり」と分類された人(約5.4万人)のうち、同年中に医師による診察に至った人はわずか3.1%(約1650人)、そのうち免許取り消しまたは停止に至ったのは565人だった。
一方、改正道交法の免許更新手続きでは、75歳以上の高齢者は、認知機能検査で「認知症のおそれ」があると判定された場合、違反の有無にかかわらず医師の診断を受けなければならなくなった。もちろん、これまで同様、医師から認知症と診断された場合には、免許取り消しあるいは停止となる。
「2015年に認知機能検査を受けた人のうち『認知症のおそれあり』と判定された人は3.3%(約5.4万人)いました。これまではそのうち医師にかかる人が千数百人だったのに、今後は、約5万人の方が診断を受けることになるので、認知症の方は見つけやすくなるはずです」(佐藤さん)
さらに改正後は、75歳以上のドライバーの場合、免許の更新時だけでなく、一定の違反行為をした場合にも、臨時の認知機能検査を受けなければならなくなる。そして、この場合も免許更新時と同じく、「認知症のおそれ」と判定された場合は、医師の診断を受けなければならない。その後の流れは同様である。
なお、改正後は、認知症の人を見つけやすくなるだけでなく、高齢者講習の内容も高度化される予定だ。
「これまでの高齢者講習は認知機能検査の分類に応じて実車指導の方法を変えるだけでしたが、改正後は『認知症のおそれ』『認知機能の低下のおそれ』と分類された人は、約3時間の高度化された講習を受けなければなりません[注5]。実車指導の際にドライブレコーダー等で運転している様子を撮影して、あとでそれを見ながら運転の個別指導をするといった手厚い内容となります。逆に『認知機能低下のおそれなし』と分類された人は、約2時間の合理化(短縮)された高齢者講習を受ければよくなります」(佐藤さん)
□運転免許の自主返納が増加
警察庁では、高齢者の安全な運転を支援すると同時に、「運転に自信がなくなった」あるいは「家族から運転が心配と言われた」という高齢者などに対して、運転免許の自主返納を促進する取り組みも始めている。
そうした取り組みもあって、近年、高齢者ドライバーの運転免許返納件数は増加している[注6]。理由の一つに2002年6月から始まった運転経歴証明書の発行が挙げられる。運転経歴証明書は過去の運転経歴を証明するもので、免許証と同様に身分証明書として使えるのが特徴。免許を返納した日から5年以内に申請すればもらえる。「免許を返納した人からは、『これまで運転をしてきた記念の品』としても喜ばれている」(佐藤さん)という。
また地方自治体によっては、運転免許を自主返納すると、バスやタクシー、鉄道の運賃割引などの特典を受けられる施策を行っているところもある。そうした支援策もあって、東京や大阪など交通インフラが整っている都市部では、75歳以上の運転免許保有者の免許返納率が5%を超えている[注7]。しかし、代替交通手段が少ない地方では返納率が1%台のところもある。
道交法の改正によって、認知症の高齢者ドライバーは減り、交通事故自体は減るかもしれない。だが、自家用車に代わる交通手段がない地域では、免許取り消しなどで日常生活がままならなくなる人たちが増えるのも必至だ。国を挙げての早急な対策が望まれる。
注1]75歳以上の高齢運転者による死亡事故(2015年、458件)にかかわるドライバーの認知機能検査結果を調べたところ、「認知症のおそれ」(7.2%)、「認知機能低下のおそれ」(42.2%)が合計49.4%だった。「認知機能低下のおそれなし」は50.6%(警察庁調べ)
注2]75歳以上の運転免許保有者数は2015年の約478万人から、2018年には約532万人に増えるという推計もある。2018年の数字は全日本交通安全協会による「運転免許保有者数等の将来推計に関する研究」(2012年3月)の運転免許保有者数の推計値に基づく
注3]75歳以上の場合
注4]更新期間満了日の1年前から申請書提出の前日、または更新申請書の提出後から次回の申請書提出日
注5]「認知症のおそれ」に分類された人でも、医師に認知症と診断される前であれば講習を受けられる
注6]75歳以上の免許の申請取消件数は2005年の6730件から2015年には12万3913件に増加(警察庁調べ)
注7]全国平均は2.77%(警察庁調べ)
 (ライター 伊藤左知子)
NIKKEI STYLE 2016年12月29日 原文のまま

★「徘徊老人にQRコード付「爪シール」 便利なのか、人権問題か」(12月21日/ J-CASTニュース)
認知症高齢者の「徘徊(はいかい)」が深刻な社会問題となる中、埼玉県入間市が全国に先駆けて導入した、利用者の「爪」に直接貼り付けて使う「身元確認用シール」が注目を集めている。
入間市が2016年11月から配布を始めたのは、利用者の身元を確認できる番号などを登録したQRコード付のシールだ。導入に踏み切った市には、利用者の家族から感謝の声が寄せられているというが、インターネット上では、身体に直接シールを貼ることに「嫌悪感」を示す投稿も目立つ。
QRコードを爪に貼る「爪Qシール」
厚生労働省の推計によれば、高齢者(65歳以上)で認知症の人は2012年時点で462万人。その数は2025年には現状の1.5倍となる700万人に達し、高齢者の5人に1人が認知症になるとも予測されている。
こうした状況の中、認知症高齢者がフラッと自宅を出たまま「行方不明」となってしまうケースが全国で相次いでいる。警察庁の発表によると、15年に認知症およびその疑いで行方不明になった人の数は1万2208人。増加は3年連続だ。
すでに全国の多くの自治体が、認知症高齢者の徘徊に関する対策に乗り出している。防災無線やエリアメールでの情報共有をはじめ、高齢者の居場所を確認できるGPS端末を介護者に無料貸与するサービスを導入している自治体も多い。
こうした対策の一環として、入間市が全国で初めて取り入れたのが、利用者の手や足の爪に貼って使う「爪Qシール」だ。
シールに印刷されたQRコードをスマートフォンなどで読み取ることで、利用者の身元が確認できる仕組みだ。爪に直接貼り付けて使うため、利用者が発見時にどんな格好をしていても、簡単に身元確認を行うことができる。
QRコードに登録されているのは、入間市役所の電話番号と利用者に割り当てられる「身元特定番号」だけ。自宅の電話番号などの個人情報は表示されないため、第三者に悪用される危険性もない。
「なんかもう人権的な何かが放棄されてる気が」
シールの利用状況や反響について、入間市高齢者福祉課の担当者は16年12月19日のJ-CASTニュースの取材に、
「現在のところ、10件の利用申請があります。申請があったのは全て徘徊癖のある高齢者で、利用者の家族からは『この事業を始めていただいて、ありがとうございます』という感謝の言葉をかけられたこともあります」
と話す。
だが、インターネット上では、高齢者の身体に直接シールを貼ることについて、「抵抗感」や「嫌悪感」を示す声も目立つ。ツイッターやネット掲示板には、「これものすごい発想」「こういう手があったのか」などと導入を歓迎する声が出る一方で、
「若い人ほど理屈で割り切るけど、年寄り世代には抵抗感を覚える人もいるだろう」
「なんかもう人権的な何かが放棄されてる気がする」
「仕方がないとは言え...」
といった書き込みも数多く見つかる。
こうした批判的な意見がネット上に出ていることについて、市の担当者に聞くと、
「市では『爪Qシール』と同時に、QRコード付のキーホルダーと衣服用のステッカーも同時に配布しています。爪のシールに抵抗があるご家族には、こちらの使用を勧めています」
と説明した。
開発元も「やめた方がいいのではないか...」
では、シールの開発元は批判をどう考えているのか。製品を開発したIT企業オレンジリンクス(入間市)の広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、
「当然、批判の声があることは把握しています。もちろん、開発にあたって実施したヒアリングの中でも似たような意見は頂きました。実際、私どもとしても、開発中に『やっぱり、やめた方がいいのではないか』と悩む機会が何度もありました」
と話す。
だが一方で、実際に認知症の高齢者を自宅で介護している家族からは、実用化を期待する声が目立ったという。同社のヒアリングの中では、
「(認知症高齢者は)ふと目を離した間にいなくなってしまうケースが本当に多いため、身体に直接に貼ることができる商品があれば、どんな状況であっても安心できる」
といった好意的な意見が数多く寄せられたほか、
「自治体が導入するのを待てないので、個人で利用したい」
という問い合わせも複数あったという。その上で、担当者は「こうした期待の声が、開発を後押ししたことは事実です」としていた。
同社によると現在のところ、爪用のシールを導入している自治体は入間市だけ。ただ、担当者は「数多くの自治体から、導入に向けた相談を受けている」とも話していた。
J-CASTニュース 2016年12月21日 原文のまま
編者:使用範囲を限定するこで人権問題の側面は軽減されると考える。
なお爪シールはBBCでも12月8日に紹介された。"Japan tracks dementia patients with QR codes attached to fingernails" 

★「女性の死因、アルツハイマーが初めて10位- 厚労省、2015年版の人口動態統計」(12月19日/CBnews)
女性の死因のうちアルツハイマー病の死亡率が上昇し、2015年には死因順位の中で上位10位の中に初めて入ったことが、厚生労働省がまとめた人口動態統計(確定数)で明らかになった。死亡率は統計上、年々上昇しており、専門家はアルツハイマーについても認知症としてだけでなく、死亡率の高い全身病として認識を改める必要性を訴えている。【室谷哲毅】
厚労省は同統計の死因について、直接の死亡原因となった病気などの事象を引き起こす元になった疾病と定義。例えば、直接の死因が肺炎など別の疾患でも、それを誘引したのがアルツハイマーなら、アルツハイマーを死因と見なす。
同統計によると、15年の男女合わせた死亡者数は1万544人、死亡率(人口10万人対)は8.4だった。2000年には0.7だったが、10年には3.3と上昇している。男性は、2000年に0.5、10年2.5、15年5.4と徐々に高くなってきたが、女性では2000年0.8、10年に4.1となり、その後も11年5.5、12年7.0、13年8.5、14年10.0と上昇が顕著で、15年には11.2と死因の10位にランクされた。
男女共に死因の1位は悪性新生物、2位が心疾患。その他、肺炎、脳血管疾患などが上位を占めて、大きな違いはないが、女性の場合はアルツハイマーのほかに血管性等の認知症の死亡率も男性より高く、15年は12.4と前年に続いて9位だった。男性は、5.2で10位までには入っていない。
アルツハイマーは、脳の中のタンパク質の異常な沈着により、健康だった神経細胞が効率よく機能しなくなり、最終的には死滅する病気。この過程で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、日常生活の最も単純な作業を行う能力も失われていく。高齢者に発症する例が多い。
ベスリクリニック(診療科=神経内科・精神科・内科・心療内科)院長の田中伸明氏は「アルツハイマーによる脳細胞の脱落で、認知機能だけでなく、運動機能、特に嚥下などの微細な運動をつかさどる脳神経細胞や、心臓や呼吸を制御する自律神経機能も落ちていく」と説明。
その上で、田中氏は「認知だけでなく、生体維持機能も低下する死亡率の高い病態」であるというように「認識を改める必要がある」と述べ、これからは、予防的対応を重視して、「基本の生活習慣、特に睡眠と運動」に注意を払うよう促している。
CBnews 2016年12月19日 原文のまま
関連資料:平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況(平成28年12月5日 厚生労働省)

★「高崎市の「はいかい高齢者救援システム」 9割、1時間以内に発見」(12月10日/東京新聞)
衛星利用測位システム(GPS)を使って行方不明になった認知症高齢者を早期発見する高崎市の「はいかい高齢者救援システム」で、約九割の人が一時間かからずに発見保護されていることが市がまとめた運用状況で分かった。
同システムは、六十五歳以上の高齢者を介護する家族などが希望すれば市が無料でGPS機器を貸与。行方が分からなくなった場合に市が委託する「見守りセンター」に依頼すると、靴やバッグなどに装着している機器で分かる位置情報の提供を受けられる。
昨年十月の運用開始後、二百三台の申請があり、システムを利用して延べ百六人が発見保護された(十一月末現在)。発見されるまでの時間は「十分以内」が24%、「十〜二十分」は25%、「二十〜三十分」は20%など。「一時間以上」かかった事例は12%にとどまり、早期の発見保護につながっていた。
市は徘徊(はいかい)行動などがみられる人は市内で約五百人と推定しており、居宅介護支援事業関係者などを通じ利用を呼び掛けている。
今年七月からは障害者救援システムの運用も開始。十四台の申請があり、延べ十一人が保護された。同十一月からは施設入所者にも利用を拡大している。 (大沢令)
TokyoWeb 2016年12月10日 原文のまま
関連情報:はいかい高齢者救援システム(GPS)(高崎市)

★「認知症患者の行動」家族が背負う責任の重さ 法的問題と加害者になるのを防ぐのは別問題」(12月4日/東洋経済新報)
及川 修平 :司法書士 (写真)
横浜市港南区で集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、1年生の男児が死亡した事故。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕された合田政市容疑者(87)の刑事責任能力の有無を見極めるため、横浜地検は11月11日から3カ月の予定で合田容疑者を鑑定留置中だ。
鑑定留置とは「被疑者・被告人が精神障害などで刑事責任能力を問えない可能性がある場合に、精神・心身の状態を鑑定するため、被疑者・被告人を病院などの施設に留置すること」(コトバンク)。
各社の報道などを総合すると、合田容疑者は事故のあった日の前夜から軽トラックに大量のゴミを積み込んで夜通し運転し、高速道路を出たり入ったりしているなど、不自然な行動があったようだ。また、捜査関係者の問いにうまく回答ができずにいたりするなど、正常な判断力がない状況が推測され、認知症の症状が疑われている。
今回の事件、仮に容疑者が認知症を患っていて判断能力がないということになると、容疑者自身には刑事的にも民事的にも責任を問われないということもありうる。
被害者からすると、たまたま事故の相手が認知症患者であったというだけで、何らの責任追及もできないということになると、理不尽に感じるだろう。認知症が疑われるのなら、まともな運転ができる状態ではなかったはず。同居している家族がいるなら、運転を阻止する方策は取れなかったのかと考えても不思議ではない。
このような事故が発生した場合、その家族には何らかの責任が発生することはないのだろうか。
家族に責任が発生する場合もあり得る
事件や事故が起きた場合、誰が責任を取るのかは民法に規定がある。病気によって判断能力がない者が起こした事件や事故は、その者を監督する義務を負っている者が賠償する責任を負うとされている。今回のようなケースで家族に責任ありとされるためには、家族に「監督する義務」があったかどうかという点がポイントになる。
監督義務とは、未成年の子に対する親の義務をイメージするとわかりやすい。親権者である親は、子に社会性を身に付けるために教育し、ときには違法な行為に及ばないよう監督する義務を負っている。つまり子供に対する親の監督義務はかなり広範囲に及ぶ。
では、認知症患者が家族にいる場合、家族はその認知症患者の行動に対して、親の子供に対するように「監督義務」があるのだろうか。
結論からいうと、監督義務はかなり限定されている。監督義務の有る無しはケースバイケースで、明確な基準はないというのが現状だ。
これまで認知症患者の家族に責任追及をしたケースは多くないが、一つ参考になるケースがある。今年の3月に最高裁裁判所での判決があった事案だ。東洋経済オンラインでも「認知症患者の鉄道事故裁判、『逆転判決』の理由」(3月2日配信)で解説している。
過去の家族の責任が追及されたケースではどうだったか
これは、2007年12月7日、東海道本線共和駅で発生した鉄道事故の裁判である。認知症患者A氏(要介護4、認知症高齢者自立度W)が線路に立入り走行してきた列車にはねられたことにより、JR東海がA氏の遺族に対して、振替輸送費等の損害賠償を請求する訴訟を提起していた。
一審の名古屋地裁は、A氏の妻と長男に対して請求額約720万円全額の支払いを命じる判決を出した。これに対し、二審の名古屋高裁は、長男に対する請求を退け、A氏の妻にのみ損害賠償の支払いを命じ、かつ請求額の半額約360万円のみの支払いを命じた。
最高裁は、A氏の長男はもちろん妻についてもJR東海への損害賠償義務を否定した。最大の争点は、妻が民法第714条1項にいう認知症患者(責任無能力者)に対する法定の監督義務者としての立場にあるか、あるとした場合に監督義務者としての責任を果たしていたかどうか、という点であった。しかし最高裁は、そもそも妻は監督義務者の地位になかったと判断した。
A氏は自宅で妻の介護を受けて生活していた。その妻自身も85歳と高齢で、足に障害があり、十分な介護が難しい状況にあった。子は実家を出て20年は経っていて、度々帰省していたものの、直接、介護にかかわることはなかった。
事故があったのは夕方ごろだ。妻は自宅で片づけをしていて目を離したすきに自宅を出てしまう。普段は一人で駅に近づくということはなかったが、この日だけは駅に立ち入ってしまい、不幸にも列車と衝突してしまう。
この事故がもとでA氏は亡くなってしまったのだが、鉄道会社としては、A氏の妻や子の監督に問題があったとして訴えたのがこの裁判だ。
裁判所は、妻自身も高齢で障害があったこと、子も遠方に住んでいて20年以上もの間、同居していなかったという事情を考慮して、家族には列車事故を防ぐための監督義務はなかったという結論を出している。
認知症患者の徘徊(はいかい)を完全に防ぐということは難しい。妻自身また子自身の状況や生活などを踏まえると、突発的に自宅を出てしまうことを防ぐことはできないわけで、列車の事故を防ぐために義務があったとするには酷であるということだろう。
家族が責任を取ることになるケースとは?
ただ、どのようなケースでも責任なしとはならないので注意が必要だ。
判決の中では、同居の有無や日常生活でのかかわり方、認知症患者の日常の行動などを総合的に判断して、特別の事情があるようなケースでは、責任が発生する場合があることを述べている。
つまり責任があるかどうかは、日常のかかわり方次第ということになる。認知症の症状がある家族がいたとして、自動車を運転し、行った先で迷子になって自宅に戻れなくなってしまうことが度々あった……というような場合はどうだろうか。
行った先で迷子になってしまうというのは、認知症の症状から、記憶力や判断力が低下している状態にあることは明らかといってもいいだろう。
判断力が衰えている状態で自動車を運転した場合、交通事故を起こしたら、時に死亡事故に発展してしまうことは容易に察しがつく。
親の子供に対する監督義務のように生活全般に及ぶことはないだろうが、差し迫った危険があれば、この部分については限定的に監督をする義務が発生すると判断されることは十分にあり得る。
つまり、自動車の運転を止めさせることができるのは家族しかいないわけで、これを止めさせずに放置しているといった場合、家族の責任が問われるケースが出てきても不思議ではないということだ。
責任のあるなしは、生活状況の詳細を明らかにしないとわからない。法的な責任の所在があいまいであるということは、当事者にとってはとても難しい状況に置かれることを意味する。
被害にあってしまった場合、もちろん加害者がどのような生活をしていたのかということはわかるわけもなく、誰に責任の追及ができるのか、自ら調査し争っていかなければならない。一方、加害者となってしまった家族にとっても、どこまでのことをやっておけば自分たちの責任が免除されることになるかわからない。
一度事故が起こってしまうと、通常の交通事故とは違った困難な問題が待ち受けているのだ。もちろん、いちばんは事故を未然に防ぐことである。
家族だけで抱え込むことはない
自動車の運転など、他人に危害を加えることが予想される場合、それを取り除くべきだが、家族の間にはさまざまな葛藤があるだろう。車を取り上げればいい、免許を取り上げればいいと言うのは簡単だが、なかなかすんなりいくことではない。
司法書士を務める筆者は、日ごろ、成年後見制度を通して認知症の症状がある方々やその家族と接する機会が多くある。認知症の症状が出ている方でも「自分はできる」と信じているケースは多い。
自分では運転できると信じている方から車や免許を取り上げる行為は、その人の人格を否定するかのような感覚になることがある。家族にとっては、なおさらそれは辛いことだろう。このような状況は、家族だけで抱え込むことはない。
介護というものは、もはや家族だけで何とかする時代ではない。介護保険制度を利用するなかで、ケアマネジャーやヘルパーなど、第三者と一緒に対応を考えるのも一手だ。万事うまく行くということではないが、第三者からの客観的な意見を織り交ぜて本人に粘り強く伝えていくことが有効な時もある。
法的に家族の責任があるかどうかという点を書いてきたが、法的な責任があるかどうかと加害者になることを防ぐことは別問題だ。一度、加害者になってしまえば、責任の有無にかかわらず、その家族にとっても深い傷を残すことになる。
「○○すればうまくいく」という特効薬的な対処法はなかなかないだろうが、悲しい事故をなくすために、ときには第三者の助けを受けながら向き合っていく必要がある。
東洋経済ONLINE 2016年12月04日 原文のまま

★「夢のアルツハイマー治療薬で大化け期待の銘柄は メガファーマも開発に傾注」(11月30日/四季報)
製薬会社やバイオベンチャーの開発ターゲットはがん治療分野が圧倒的に多い。がん分野に次ぐ開発テーマとして各社が知恵を絞っているのがアルツハイマー認知症治療分野である。
日本の認知症患者の7割はアルツハイマー型認知症であり、第2位の脳血管性の認知症は全体の2割弱にとどまる。高齢化進展の中でアルツハイマー型認知症の患者は増加しているが、若年層に広がっている点も見逃せない。若年層のアルツハイマー型認知症は、介護をする家族への負担が大きい。認知症患者の増加は経済的な損失も大きく、政府は同分野の研究の支援を進めている。
日本初の認知症治療薬は1978年に承認された田辺製薬(現田辺三菱製薬、4508)の「ホパテ」である。同薬は認知症治療の画期的な薬剤として登場したが、副作用問題の浮上などから89年に劇薬指定となり、98年には効能も取り消された。
その後、「ホパテ」に続く医薬品が相次いで登場。さらには脳細胞の代謝を活発化させる薬剤と、脳に栄養分などを供給することで認知症を改善しようという試みが具体化し始めた。市場獲得に最も成功したのは武田薬品工業 (4502)の「アバン」(脳代謝改善薬)と「カラン」(脳循環代謝改善薬)である。
両剤をめぐっては併用による「キャラバン戦略」という販促活動が行われ、同社のドル箱商品に成長した。脳代謝改善剤市場は他の製品の発売もあり、トータルで8000億円のマーケットに成長したが、その後は効能を疑問視する意見もあって承認が取り消された。
ポスト「アリセプト」の開発が加速
日本のアルツハイマー認知症治療分野で初めて世界的な評価を受けたといえるのがエーザイ (4523)の「アリセプト」だ。「アリセプト」の作用システムは明快である。アルツハイマー型認知症では神経伝達物質のアセチルコリンが減少することが確認されている。脳内にはアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという酵素が存在。「アリセプト」はアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで脳内のアセチルコリン濃度を高め、アルツハイマー型認知症の悪化を防ぐ。
「アリセプト」は97年に米国で発売され、国内でも99年に投入された。米国では2010年に特許満了となるまで順調な拡大を遂げた。
日米両国を中心にピーク時には世界で3200億円強の売り上げを達成。米国だけで20億ドルの売り上げを計上した。しかし、特許切れに伴う後発医薬品(ジェネリック医薬品)の攻勢で、世界売り上げはピーク時の2割程度に激減した。
小野薬品工業 (4528)の貼付剤「リバスタッチパッチ」や「アリセプト」と併用される第一三共 (4568)の「メマリー」などの新薬も相次ぎ登場。一方で、認知症治療のブレイクスルーを目指して、ポスト「アリセプト」の開発が急速に加速する。
エーザイは現在でもアルツハイマー認知症治療薬の開発でトップを走る。「アリセプト」開発で培ったノウハウを生かし、自社の創薬に加えてバイオベンチャーの開発品目にも触手を伸ばす。「E2609」(米国、フェーズV)と「BAN2401」(日・米・欧、フェーズU)の2薬剤の開発を推進。同時に、米国のバイオジェン社がフェーズV試験を実施中の「BIIB037」の開発・販売のオプション権も取得した。この幅広い開発パイプラインが同社の武器だ。
治療薬の開発では、世界の大手製薬企業、いわゆるメガファーマもしのぎを削る。イーライ・リリー、ロシュ、ノバルティスといった企業は、認知症の発症前などをターゲットに新薬の開発を進める。
注目されるのは「薬剤」の開発だけではない。脳の細胞に薬剤を効率的に運搬する技術開発が進展もしている。新薬の候補物質がアルツハイマー認知症に有効でも、薬剤が脳の細胞に届かなければ意味がない。それゆえ、脳に対する薬剤の運搬という分野の研究が進んでいるのだ。
タンパク質製剤は通常、血液脳関門を通過することができない。だが、JCRファーマ (4552)が開発中の血液脳関門通過技術(J-ブレインカーゴ)を活用すれば、脳組織に薬剤を取り込むことが可能になるため、効能が飛躍的に向上する可能性もある。現在、エーザイを始めとして大日本住友製薬 (4506)、ペプチドリーム (4587)などとも開発提携をしており、今後の展開への期待が膨らむ。
写真説明:アルツハイマー認知症治療薬開発のトップランナー、エーザイの内藤晴夫社長
四季報ONLINE  2016 年11月30日 原文のまま
編者:わが国の認知症薬の不可解な開発の歴史とアリセプトに留まっている現状と先が見えない将来を簡潔にまとめた記事として紹介した。

★「認知症の学習療法 「効く」と信じる工夫で意欲が向上 学習療法を取り入れたデイサービス 現場リポート」(11月29日/日本経済新聞)
認知症の症状の維持と改善を目的とした「学習療法」は、認知機能が低下してきた高齢者とその家族にとって希望の光となっている。東京都調布市のふくろう舎は、認知機能が衰えてきた人も含む高齢の要介護者を対象に、学習療法を取り入れた、「脳にうれしい」デイサービス(通所介護)を行っている。今回はふくろう舎を取材して学習療法の可能性を紹介する。
□認知機能の維持と改善を目指すデイサービス
ふくろう舎は、2013年9月に東京都調布市で開設されたデイサービスだ。デイサービスとは、要介護者が日帰りで施設に通い、食事や入浴など日常生活上の介護や機能訓練などを受けることのできるサービスで、要支援1、要介護1から利用することができる(年齢等の条件により受けられるサービスは異なる)。健康な人を対象とした教室とは異なり、軽度認知障害(MCI)を含め、認知機能が衰えた人も多く通っている。
代表の山口雅之さん(写真)は、認知症と向き合い、立ち向かおうとしている人々の手助けをする目的で、公文教育研究会学習療法センターが提供する学習療法を取り入れたデイサービスを開設した。「学習療法を取り入れることで脳の活性化をはかり、明るく、楽しく、その人らしさを取り戻してもらえる施設をつくりたいと思いました」と話す。
以前はカメラマンだった山口さん。介護施設などを撮影する仕事で認知症の高齢者と接する機会があり、認知症の進行を抑えるような、より効果的なアプローチができないかと考えていた。そんなときに認知症の予防、認知機能の維持・改善を目的とした「学習療法」を知る。「これだ!」と思い、介護の世界へ飛び込んだという。
開設から今年で4年目。月曜日から土曜日の営業日は常に定員いっぱいまで利用者を受け入れており、8〜10人が空きを待っている状態だ。
そんな、ふくろう舎のデイサービスの1日の流れは次の通りである。
9:00 受け入れ開始
    健康チェック
9:30 朝の会(リアリティー・オリエンテーション)
    入浴開始
10:00 学習療法
11:30 全員体操(パラレルアクション・嚥下[えんげ]体操)
12:00 昼食
13:10 工作活動などの作業療法や音楽療法、回想法、フォトセラピー
15:00 おやつ
15:30 お帰りまで機能訓練など
16:10 送迎
利用者は朝、ふくろう舎に到着すると、まず健康チェックをして朝の会(リアリティー・オリエンテーション)に参加する。朝の会ではスタッフがボードを使ってその日の年月日の確認をしたり、ニュースや最近話題になっている事柄などについて話をする。認知症になると忘れやすい短期記憶に働きかけるのだ。脳のウオーミングアップといったところである。
□毎回必ず「効果」について説明するワケ
10時からは学習療法の時間。学習療法は、1人の支援者(スタッフ)が2人の学習者(利用者)を担当する。最初に、支援者は学習療法がなぜ認知機能の維持・改善に効果的なのかを説明する。学習療法を行うと、脳の前頭前野と呼ばれる部位を中心に脳全体が活性化する。それを脳の磁気共鳴画像装置(MRI)画像で示し(活性化している部位は赤く染まる)、学習療法の効果を学習者に納得してもらうのだ。
学習療法を始める前に、期待できる効果を説明しておくことで、学習者は普通なら簡単すぎると感じるテストでも、脳のトレーニングになると納得して取り組める。同じ説明を毎回行うのは、学習に対する意識を高めるためと、前回説明したことを忘れてしまっている可能性があるからだ。
学習療法で行うのは、前回の記事で紹介した認知症予防のための教室の内容と基本的に同じ。読み書き、計算のテストと「すうじ盤」の3項目だ。
読み書きや計算は、少し考えれば解けるレベルの問題になっている
読み書きは声を出して文章を読んだり、言葉の書き取りをするテスト、計算はたし算、ひき算などの問題を解くテスト。これらは知識を増やす勉強のためではなく、あくまでも認知機能の維持・改善を主眼に据えた脳のトレーニングが目的だ。そのため学習者の認知レベルに合わせて、少し考えれば解ける問題が提供される。支援者がさりげなくヒントを出すなど、コミュニケーションを取りながら行うことにより、全員が100点を取れるようにしている。
すうじ盤はゲーム感覚で行う脳のトレーニングで、数字が順番に書かれたシートの上に、同じ数字が書かれた磁石入りのチップを選んで置いていくゲームだ。こちらも脳を活性化させるために行う。最後に支援者と学習者が家であったことや最近関心のあることなどについて世間話をする。このコミュニケーションの時間を経て一連のプログラムが終了する。所要時間は約30分。1回に2組4人の利用者が学習療法のプログラムを受け、30分ごとに交代して全員が行う。
□朝から帰るときまで脳のトレーニング
ふくろう舎では、学習療法の順番が来るのを待っている人や、終わった人は、別のスタッフとグループ学習を行う。学習療法の要素を取り入れた脳のトレーニングをして過ごす。ここでは、利用者がぼーっと待っている時間はない。
「ふくろう舎を選んで来てくださる利用者さんやそのご家族は、認知症を予防・改善したいという強い意識を持って来ていますので、皆さん、学習療法を筆頭に脳のトレーニングを積極的に取り組んでくださいます」と山口さんは話す。
学習療法の後は、機能訓練を目的とした体操を全員で行う。言語聴覚士(ST)が口腔(こうくう)体操を行う日もある。口腔体操は舌や口の周りの筋肉を鍛え、食べ物を飲み込む力をつけるのが目的。体をほぐしたら、昼食の時間だ。ふくろう舎では昼食時も脳のトレーニングが結びついている。
「ふくろう舎では、朝から帰るときまで、利用者の皆さんには認知機能を維持・改善するために過ごしてもらっています。昼食時も例外ではありません。ただ食事をするだけではなく、食前には調理師が料理に使われた、いわしやさんま、ブロッコリなどの食材について、それらがいかに脳の活性化につながるかといった説明をします」と山口さん。
70歳代の女性利用者が「ここは昼食も脳にいい食材をたくさん使っていて、それを説明してくれるから、家でもまねができるのよ」とうれしそうに話していた。学習療法もそうだが、自分たちが今していることが、脳にどういうふうに効果があるのかを意識しながら取り組むことで、より脳の活性化に効果があると山口さんは話す。
午後は、工作活動(書道、絵手紙、調理実習など)の作業療法や音楽療法、回想法(思い出話をすることで認知症の進行を遅らせる心理療法)、フォトセラピー(写真を使った心理療法の一つ)を日替わりで行う。このようにして脳の活性化を促す1日が終わる。
□表情や口調がポジティブになる利用者も
うまく解ければほめることで、取り組む人のやる気にもつながる
山口さんは、「人それぞれですが、認知症になり社会との接点も限られてしまうと、表情や表現がネガティブになる傾向があります。そういう人が学習療法を行うと、その効果は脳が活性化するだけにとどまりません。支援者と対面でコミュニケーションを取り、100点を取れる達成感などが刺激となって、表情や口調、会話の内容などに徐々にポジティブな変化が見られます」と話す。
例えば、軽度認知症で精神的にもうつ傾向にあった女性利用者のAさんは、最初にふくろう舎に来たときは、笑顔が少なく、書道をしても震える字で小さく文字を書いていたという。しかし、ふくろう舎に通って数カ月もたつと、見違えるように明るくなり、服装にも気を使うようになったそうだ。書道の文字も大きくしっかり書くようになり、その変化に山口さんは驚いたという。
山口さんがデイサービスを実施していくに当たって心掛けているのは、「介護職は専門職、研究職である」という理念だ。専門職であるという意識を持ってもらうことで、スタッフの観察力が高まり、利用者の日常生活の変化に気づけるようになった。また利用者一人ひとりの可能性に気づき引き出す能力も高まっているという。
また、「より良い介護を提供していくためには、毎月の活動データを分析し、利用者のご家族、ケアマネジャーさんに報告し、私たちが行っている仕事をきちんと知ってもらう必要があると思っています」と山口さんは話す。
こうした努力により、ふくろう舎の利用者は、学習療法をしているときもグループ学習をしているときも、笑顔が絶えない。スタッフと、あるいは利用者同士でコミュニケーションを取りながら学習するのが楽しくて仕方がないという印象だった。
ふくろう舎は開設から4年目。認知機能の維持・改善の効果については、さらにこの先5年、10年後の報告を待ちたいが、利用者の様子から、学習療法が認知機能の維持・改善およびうつや問題行動といった周辺症状の改善に役立っていることは感じられた。
(ライター 伊藤左知子 カメラマン 室川イサオ)
日経Web版 2016年11月29日 原文のまま
編者:学習療法の効果を否定はしないが、限定的だ。

★「アルツハイマー型認知症の診断薬を了承- 薬食審・第一部会、年内にも正式承認へ」(11月1日/CBnews)
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は10月31日、アルツハイマー型認知症に特化した診断薬アミヴィッド静注(一般名フロルベタピル(18F))の製造販売承認を了承した。年内にも正式に承認される見通し。【松村秀士】
アミヴィッド静注は、アルツハイマー型認知症が疑われる認知症機能障害を有する患者の脳内アミロイドβというタンパク質のプラーク(沈殿物)の蓄積を可視化することができる放射性医薬品。通常、370メガベクレルを患者の静脈内に投与した後、30分から50分後までにPET(陽電子放射断層撮影法)で脳内を画像検査する。
国内では、アルツハイマー型認知症を診断する医薬品はない。診断機器としては、フロルベタピル(18F)を医療機関で合成するための装置が既に承認されているが、同装置で合成するにはサイクロトロン(専用の加速器)を設備しなければならない。一方、承認される見通しのアミヴィッド静注を使えば、院内で合成する必要がないため、従来よりもPET検査にかかる手間を省くことができる。
海外では、アミヴィッド静注と同様の効能を持つ医薬品が欧米など33カ国で承認されている(2015年4月時点)。このほか、第一部会で了承された医薬品は以下の通り。
CBnews 2016年11月1日 原文のまま



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