2017年
「高齢者、総人口の27.7%=90歳以上、初の200万人超−総務省」(9月17日)
「2030年の平均余命、韓国女性は90歳超 日本の伸び鈍る」(2月22日)
「高齢者は75歳以上、65歳は「准高齢者」 学会提言」(1月5日)
2016年

「高齢者の見守りビジネス 企業の参入相次ぐ」(12月3日)
「高齢ドライバー事故防止へ 日本老年精神医学会が提言」(11月15日)
「「人生は完結」と思う高齢者の自殺ほう助認める動き、オランダ」(10月14日)
「到来するタイの少子高齢化社会」(6月20日)
「長寿の質、沖縄は全国最下位 「健康寿命」男47位、女46位 聖徳大教授調査」(6月12日)
「川崎 火災から1年 生活保護高齢者に住宅の壁 簡宿暮らし なお900人」(5月17日)
「高齢者の身元保証」(3月31日・4月1日)
「世界最高齢の男性はアウシュビッツ生存者、112歳」(3月12日)
「日系介護施設売却で揺れるロサンゼルス」(2月6日)
「世界最高齢の男性・小出さん死去 名古屋市、112歳」(1月19日)
2015年
中国の高齢者を誰がみる?(12月21日/BBC)
「一人暮らし高齢者の半分が貧困!親子共倒れの孤独死が急増する理由とは」(12月9日)
「上海の高齢化に学ぶ」(12月8日)
「国高齢化、巨大市場に ニチイ学館など積極投資」(11月30日)
「下流老人が増える日本 五木寛之「今の社会福祉は暴動予防」」(11月16日)
「80歳以上、初の1000万人超え 総務省推計」(9月20日)
「「健康寿命」日本が首位 男性71・11歳、女性75・56歳 英誌に188カ国調査」(8月28日)
「孤立死」の片づけ費用を補償する保険が増加中」(8月7日)
「女性86.83歳で3年連続世界一 14年の日本人平均寿命」(7月30日)
「東京圏の高齢者、移住支援を=候補は函館、高知など41地域−民間会議が提言」(6月4日)
「百寿者調査で分かってきた 知られざる長生きの世界」(4月15日)
「インドで子供の世話にならない高齢者が増加」(4月11日)
「中国は2035年に超高齢社会に突入 養老問題が深刻化−専門家」(3月23日)
「世界最高齢の大川さん祝福 5日の117歳誕生日前に」(3月4日)
「高齢化率25%を超す 十勝管内全市町村」(1月29日)


過去の情報

2014年
2011年〜2013年
2009年〜2010年
2006年〜2008年
2005年
2004年
これ以前


高齢者関連資料


2017年


★「高齢者、総人口の27.7%=90歳以上、初の200万人超−総務省」(9月17日/時事通信)
「敬老の日」を前に総務省は17日、65歳以上の高齢者の推計人口を公表した。15日時点で前年同期を57万人上回る3514万人となり、これまでで最も多い。総人口が減少する一方で高齢者は増え続けており、全体に占める割合は0.5ポイント増の27.7%と過去最高を更新した。90歳以上は206万人に上り、初めて200万人を超えた。
男性高齢者は1525万人で男性全体の24.7%、女性高齢者は1988万人で女性全体の30.6%を占めた。
総人口に占める高齢者の割合は先進7カ国(G7)で日本が1番高い。2番目のイタリアは23.0%で、日本と4.7ポイントの差がある。最も低いのは米国の15.4%だった。
2016年の高齢者の就業者数は前年比38万人増の770万人となり、13年連続で増加。15歳以上の就業者総数に占める割合は0.5ポイント増の11.9%だった。少子化で労働力が不足する中、高齢者の就業が進んでいる。
雇用形態では非正規が増えた。16年は前年より33万人多い301万人で、企業役員や自営業者らを除く就業者の75.1%を占めた。総務省は「自分の都合に合えば働きたいという意欲を持っている人が多い」と分析している。 
jiji.com 2017/09/17 原文のまま
関連資料:平成29年9月17日 総務省 統計トピックスNo.103  統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)−「敬老の日」にちなんで−

★「2030年の平均余命、韓国女性は90歳超 日本の伸び鈍る」(2月22日/CNN日本語版)
世界の平均余命は出生時、65歳時とも2030年までに上昇し、特に韓国女性は90歳を超えるという予測が21日、英医学誌ランセットに発表された。長寿化の要因として、妊婦や子どもの健康状態も高齢者の健康状態も改善を予想している。
この予想は英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが先進国と新興国を含む工業国35カ国の寿命などに関するデータをもとにまとめた。
2030年に生まれた女性の平均余命は多くの国で85歳を超えると研究チームは予想。トップの韓国女性は90.8歳としている。インペリアル・カレッジのマジド・エッザティ教授によると、これまで多くの専門家は、平均余命が90歳を超すことはないと考えていた。だが「私たちは長寿に備える必要がある」と同教授は言う。
世界保健機関(WHO)によると、2015年の出生時の平均余命は世界平均で71.4歳だった。
一方、男性は喫煙率の高さや飲酒量の多さなど不健康な生活スタイルの影響で、平均余命は女性に比べて短い傾向がある。
韓国で2030年に生まれた男性の平均余命予想は84.1歳。しかし男女間のライフスタイルの違いは薄れつつあり、平均余命の差も縮まる見通しだ。
米国は女性が83.3歳、男性は79.5歳で、メキシコやクロアチアと同程度だった。こうした平均余命が短い国では、40〜50代で死亡する人が多いといい、その原因として肥満や殺人、交通事故などが挙げられる。米国では医療保険が普及していないことも一因とされた。
35カ国の中で全体の平均余命予想が最も短かったのは、女性がマケドニア、男性はセルビアだった。
韓国の長寿の鍵としてエッザティ氏が挙げるのは、幼児期の栄養や教育、技術に投資していることや、低血圧、喫煙率の低さ、医療機関の受診しやすさなど。
一方で、長年長寿国と見なされてきた日本の場合、平均余命は微増にとどまる見通しだという。「日本のストーリーは終わりに差し掛かり始めている」とエッザティ氏は言い、健康的な食生活や活動的なライフスタイルで有名だった日本文化が変わり始めていると指摘。「依然として肥満は少なく血圧は低い」としながらも、食生活には欧米の影響が出ていると分析した。
英オックスフォード大学のサラ・ハーパー教授も「韓国は生活水準が向上し、日本に追いついている」と見る。ただ、「アジアの多くの地域では若者が欧米的な食生活になっているので、(かつての)健康的な食生活は、若者が高齢期に差し掛かるころには維持できないかもしれない」と予想している。
CNN.co.jp 2017年2月22日 原文のまま
関連情報:Future life expectancy in 35 industrialised countries: projections with a Bayesian model ensemble 21 February 2017 Lancet.

★「高齢者は75歳以上、65歳は「准高齢者」 学会提言」(1月5日/日本経済新聞
日本老年学会と日本老年医学会は5日、現在は「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだとする国への提言を発表した。心身が健康な高年齢者が増えたためで、65〜74歳は「准高齢者」とし、社会の支え手として捉え直すべきだとしている。社会保障や雇用制度をめぐる議論に影響を与える可能性がある。
提言をまとめるに当たり、両学会は高年齢者の様々な健康データを解析。日本老年医学会副理事長の秋下雅弘東京大学教授によると、医療の進歩や健康意識の高まりで、現在の高齢者は10〜20年前に比べ5〜10歳若返った状態にあるという。
提言は、前期高齢者とされる現在の65〜74歳は「心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能な人が大多数」と分析。健康な間は仕事を続けたり、ボランティアに参加したりするなど、支えられる側から支える側に回る必要があるとした。
この世代を過ぎた75〜89歳を高齢者と定義し、平均寿命を超えた90歳以上を「超高齢者」と呼ぶのが妥当だとしている。
2016年9月の総務省の推計によると、65歳以上は人口の約27%。高齢者を75歳以上とした場合、約13%と半減する。
日本では「65歳以上を高齢者とする」と定めた法律はないが、医療制度や人口統計上の区分などで「高齢者=65歳以上」が定着している。高齢者を65歳以上と定義した1956年の国連の報告書が契機とされる。海外でも60歳以上や65歳以上を高齢者とする国が多い。
ただ、56年に男性63.59歳、女性67.54歳だった日本の平均寿命は2015年にそれぞれ80.79歳、87.05歳に延びた。内閣府の14年度の意識調査では、高齢者だと考える年齢は男性が「70歳以上」(31.3%)、女性は「75歳以上」(29.9%)が最多。65歳以上が高齢者だと答えたのは男性が7.1%、女性は5.7%にとどまった。
日経Web版 2017年1月5日 原文のまま
編者:年金受給資格年齢の引き上げなど社会保障制度改悪の露払いや「学術的裏付け」にならなければよいが。それにしても「提言」本文がネット上で見つからない。
関連資料:高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関す る定義検討ワーキンググループからの提言(概要)(pdf180K)


2016年


★「高齢者の見守りビジネス 企業の参入相次ぐ」(12月3日/NHK)
高齢化と過疎化を背景に、お年寄りの健康状態などを離れて住む家族が確かめることができる「見守りビジネス」に新たに参入する企業が相次いでいます。
大手IT企業の楽天は、全国のLPガス会社など18社が加盟する団体と提携し、来年春から見守りビジネスに参入する計画で、今月から鹿児島県内で試験的にサービスを始めました。
具体的には、ガスボンベの交換を担当する社員と団体の担当者が家庭を訪問し、面談の形でお年寄りの健康状態などを確認します。さらに、認知症の予防に向けた運動や食事のアドバイスを行うために社員が今後、専門の講座を受けて、内容を充実させることも検討しています。
訪問を受けた薩摩川内市に住む大重五男さんは(73)「今は元気ですが認知症への不安があるのでありがたいサービスだと思います」と話していました。離れて暮らす長女の美樹さんは、「毎日、電話するようにはしていますが長年つきあいのある方に見守ってもらえると安心です」と話していました。
LPガス会社代表の上薗真歩さんは「利用者の自宅でガス機器の点検をしながら直接、話を聞くことができることが強みで他社との差別化を図りたい」と話しています。
このLPガス会社と電気の小売り事業で提携している楽天は、都内の本社で、見守りビジネスの対象となる全国の家庭の電気の使用状況をリアルタイムで監視します。家電製品の使われ方や電気を使っている時間帯などからお年寄りが外出していなかったり、夜中も起きている日が続いたりといった異常を確認すると、LPガス会社に連絡し、ガス会社の社員が駆けつけます。
楽天エネルギー事業部の菅原雄一郎ジェネラルマネージャーは「料金面だけでなく、安心や地域貢献のサービスがお客様に選ばれる重要な要素になる」と話しています。
見守りビジネスをめぐっては、日本郵便がNTTドコモや日本IBMなどと新会社を設立して全国の郵便局の局員が定期的に自宅を訪問するほか、地域の商店街と連携しタブレット端末で食料品の配達の注文もできるようにする計画で、来年2月から順次、事業を展開することにしています。
また、東京電力はパナソニック、日立製作所と共同で高齢者の安否を確認するため、家電製品など電力の使用状況のデータを集める事業に参入することを先月発表しました。
社会の高齢化が進む中で、企業としては高齢者の見守りや認知症の予防など社会課題の解決にも取り組む姿勢を打ち出すとともに、高齢者との接点を深めることで拡大するシニア市場での競争を優位に運びたいという狙いがあり、こうした動きはますます活発になりそうです。
IT大手との連携で顧客をつなぎ止める
見守りビジネスへの新たな参入をめぐっては、高齢者世帯と接点のある会社と、高齢者世帯とのつながりを深めたいと考えるデータ分析が得意なIT企業といったように、異業種の企業の組み合わせが目立ちます。
このうち楽天が提携するLPガス会社各社は、社員が月に1回はガスボンベの交換で顧客の住宅を訪れるうえ、緊急時に備えて、いつでも30分以内に住宅に駆けつける体制を整えている会社も多く、顧客との結びつきが強みです。楽天としてはLPガス会社のネットワークを生かして高齢者世帯との接点を深める狙いがあります。
一方、中小企業が多いLPガス会社は自社で電力データを分析したり、ポイントを付与したりすることは難しいのが実情です。ことし4月の電力小売りの自由化や、来年4月から始まる都市ガスの小売りの自由化でエネルギー間の垣根を越えた競争が激しくなる中、IT大手との連携で新たなサービスを提供し、顧客をつなぎ止めたい狙いがあります。
また日本郵便とNTTドコモや日本IBMなどとの提携や東京電力とパナソニック、日立製作所との提携も、高齢者世帯と接点のある会社とデータ分析が得意なIT企業や大手電機メーカーなどとの組み合わせとなっています。
進む高齢化と拡大する高齢者向け市場
国がまとめた、ことしの厚生労働白書では、高齢化が世界に類を見ないスピードで進んでいると指摘されています。65歳以上の人たちが総人口に占める高齢化率は、毎年、上昇していて、去年は26.7%に達し、2020年に29.1%、2025年には30%を超える見通しです。
また65歳以上の高齢者がいる世帯数は、去年、2372万世帯で30年前の2倍以上に増えています。このうち1人暮らしは620万世帯余りで全体の4分の1以上を占め、夫婦のみの世帯を合わせるとおよそ1370万世帯と、高齢者のいる世帯数の半数を超えています。
国がことし2月に40歳以上の男女3000人を対象に行った調査では、80%以上が高齢での1人暮らしに不安を感じると答えています。1人暮らしで期待するサービスとしては通院や買い物など外出の手伝いが51.1%、急病など緊急時の手助けが37.8%、日常的な家事支援が37.5%、配食サービスの支援が27.9%、見守り・安否確認が22.1%などとなっています。
一方、厚生労働省によりますと、認知症の高齢者は去年の時点で全国で520万人と推計され、2025年には700万人に達し高齢者のおよそ5人に1人に上ると見込まれています。
民間の調査会社「シード・プランニング」によりますと、高齢者の見守りや緊急通報サービスの国内の市場規模はおととし142億円でしたが、2025年にはおよそ60%増え227億円に拡大すると予測しています。また、認知症の予防など認知症ケア支援サービスの市場規模は、ことしのおよそ230億円から2025年には3倍近い679億円に達すると予測しています。
NHKNewsWeb 2016年12月3日 原文のまま

★「高齢ドライバー事故防止へ 日本老年精神医学会が提言」(11月15日/NHK)
高齢者が運転する自動車による事故が相次いでいますが、日本老年精神医学会は、認知症検査などが強化される来年の改正道路交通法の施行を前に、高齢者の運転を支援するハードウェアの普及や免許証を返納した人への支援など、高齢者への配慮を求める提言をまとめ、厚生労働省などに送りました。
来年3月に施行される改正道路交通法では、75歳以上を対象にした検査で「認知症のおそれがある」と判断された場合には、医師の診断を義務づけるなど、認知症検査の態勢が強化されます。これを前に、精神科医などで作る日本老年精神医学会は提言をまとめ、15日に厚生労働省などに送りました。
提言では、まず高速道路の逆走を防止するゲートの設置のほか、自動ブレーキやペダルの踏み間違い防止装置を標準装備とすることなど、ハードウェアの普及や新たな研究開発を求めています。
そのうえで、運転免許証を自主返納するなどした高齢者に対しては、タクシーやバスの乗車券などの代替策を用意することのほか、高齢者講習会の際の教習所の運転試験では路上運転に不可欠な認知能力などが正しく評価できないとして、教習所の外での実車テストの導入を検討することなどを求めています。
日本老年精神医学会の新井平伊理事長は「運転免許の取り消しや自主返納だけに終始せず、事故事例を分析するなどして問題を解決するための課題を検討してほしい」と話しています。
(NHKNewsWeb 2016 年11月15日 原文のまま
関連資料:改正道路交通法施行に関する提言(pdf200K)
編者:今回は学会の対応は早い!

★「「人生は完結」と思う高齢者の自殺ほう助認める動き、オランダ」(10月14日/オランダ)
【10月14日 AFP】安楽死の合法化から約15年を経たオランダで、病気でなくても人生は「完結した」と感じている高齢者が自殺ほう助で死ぬ権利を法的に認めるよう、安楽死法の範囲を拡大する動きが出ている。
オランダ保健相と司法相は12日、議会に宛てた書簡のなかで「熟慮した末に自分の人生は完結したとの確信に至った人たちが、厳格な条件の下で、自身が選択した尊厳ある方法で生涯を終えられるようにすべきだ」と提案した。オランダは来年3月に総選挙を控えているため、提案が法案として審議される可能性は低いが、既にオランダ国内では激しい論争が巻き起こっている。
オランダと隣国のベルギーは共に2002年、世界で初めて安楽死を合法化した。ただし安楽死は、他に合理的な解決法がなく患者の苦痛が「耐えがたく改善の見込みがない」と2人以上の医師が認めた場合に限るとの厳格な条件の下で行われている。
昨年にオランダで実施された安楽死の件数は約5516件で、全死亡者数の3.9%を占めた。また安楽死による死を選択した人たちの70%以上が、がんと診断された人たちで、認知症または精神疾患の人たちが約2.9%だった。安楽死の件数は2010年の3136件から確実に増加している。
安楽死は繊細な問題で、12〜18歳の未成年の末期患者も安楽死を選択でき、認知症など、ある種の精神症状が「耐えがたい苦痛」とみなされるなど、国外ではいぶかしむ人も多い。画像説明:仏パリで、尊厳死協会が行った安楽死の合法化を求める集会に参加する女性たち(2015年1月31日撮影)
AFPBB News 2016年10月14日 原文のまま)  
編者:新しい動きで同意したい。人生に満足してこれ以上生きていたくない、生き永らえることが苦痛であるとの思いは編者にもある。自殺すればよいことだが、自殺できないあるいは困難な人をどう支援するかは難しい。法的な裏付けをすることで拡大解釈や不正な運用が生じる恐れはある。

★「到来するタイの少子高齢化社会」(6月20日/世界日報)
東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で平均寿命が最も長いのはシンガポールの82歳だ。続いてベトナム、マレーシアが75歳。タイが74歳となっている。
その一方、一人の女性が子供を産む指標となる出生率が低下している。既にシンガポールでは1・19、タイでも1・40とともに1・43の日本より低い水準だ。このためASEAN各国では日本より早いスピードで高齢化の波が押し寄せ、この問題への対応が今後の成長を左右するといっても過言ではない。
ASEANの中で少子高齢化社会の典型例がタイだ。タイでは今から6年後の2022年に、65歳以上の人口が全体の14%を超す高齢社会が到来するといわれている。
しかし、タイには日本の介護保険のような制度はないし、介護施設の数も限られている。そもそもタイの人々の間では、自分の両親は自宅で介護するという意識が強いため、介護施設の利用は日本のようには伸びていないのが現状だ。
このため高齢者の多くは自宅で満足なサービスを受けられず、症状が悪化して入院するという悪循環が続いてきた経緯がある。
ただタイでも核家族化の進行によって高齢者の一人暮らしが増えており、こうした状況をいつまでも続けるわけにはいかないとの危機感が高まっている。
日本は高齢化社会への対応経験が豊富で、日本と協力したいとの要望が強く、日本のノウハウへのニーズが高まっている。
世界日報 2016年6月21日 原文のまま
編者:少し古いが参考になるタイに関するアジア政経学会の論文(pdf1.2MB)

★「長寿の質、沖縄は全国最下位 「健康寿命」男47位、女46位 聖徳大教授調査」(6月12日/琉球新報)
平均寿命(余命)のうち、介護を受けたり寝たきりになったりせず健康に日常生活を送ることができる期間を示す「健康寿命(余命)」が占める割合は、全国47都道府県で沖縄は男性90・4%で47位、女性は83・7%で46位であることが分かった。男性1位は茨城の93%、女性は静岡の87・1%だった。茨城県立健康プラザ研究員の栗盛須雅子聖徳大学看護学部教授(写真)が2010〜14年の5年間について調べた。5年間にわたる調査の実施は初めて。栗盛氏は「沖縄は65歳の平均寿命は男性2位、女性1位だが、長生きしても障がいを持つ期間も長い。質を見ると、高齢者の健康は深刻な状態だ」と指摘している。
65歳の健康寿命については、沖縄は男女とも6位で、女性は平均寿命よりも順位は低い。障がいを持つ人の割合では少ない順に沖縄の男性は44位、女性は34位と下位に位置しており、割合は高い。要介護認定者や要介護度の重い人が多く、高齢者の生活の質が悪いことを意味しているという。
平均寿命のうち、健康に過ごせる期間の割合が高い都道府県を見ると、男性は1位の茨城から山梨、栃木と続き、女性はトップの静岡に茨城、栃木が続いた。
栗盛氏は「茨城県の男性は平均寿命は短いものの、生きている間は元気だ。一方、沖縄の女性は平均寿命は長いが、生きている間、障がいを持つ期間も長い」と話した。経年変化を見ると、沖縄の健康寿命は男女とも年々短くなる傾向にあることも強調した。
障がいのある人の割合は、要介護度の障がいの重みを数値化し、介護保険の認定者数を掛けて計算しているため、より客観的で実態に近い数字という。
栗盛氏らが開発した「健康寿命(DALE)と障がいを持つ人の割合(WDP)算出プログラム」は茨城県立健康プラザのホームページで公開されており、無料でダウンロードできる。「健康寿命(余命)と障害をもつ人の割合の算出プログラム」
琉球新報 2016年6月12日 原文のまま
編者:記事で紹介しているデータの出どころが不明だ。ネット上では「介護保険統計を用いた健康寿命(余命)と障害をもつ人の割合算出プログラムの指針と活用方法〜障害調整健康余命(DALE)と加重障害保有割合(WDP)〜」(栗盛 須雅子ら、茨城県立健康プラザ)(pdf 1.2M)が参考になる。それにしても京都が男女ともワースト3に入っているのが気になるが、一位と最下位の割合は大きな違いはないと思われる。

★「川崎 火災から1年 生活保護高齢者に住宅の壁 簡宿暮らし なお900人」(5月17日/東京新聞)
川崎市川崎区の簡易宿泊所(簡宿)2棟が全焼し11人が死亡した火災から17日で1年。市は惨事を教訓に、区内の簡宿に暮らす生活保護受給者を支援し、これまでに200人以上が民間アパートに転居した。しかし、簡宿には今なお多くの受給者が暮らし、住宅をめぐる貧困は解消されていない。 (横井武昭)
区内の簡宿は四十九棟あったが、火災以降、六棟が廃業した。ただ今も簡宿で生活を続ける人は多い。全焼した「よしの」に十数年暮らしていた七十代の男性は現在、別の簡宿で暮らす。あの日の猛火の記憶は鮮明だ。「何も持って出られなかった。自分の身だけ。忘れることはできない」
焼け出された後、現在の簡宿の三階に住んだが、三階以上は建築基準法に違反することが指摘され、今春、二階に移った。「好きでいるわけじゃないが、何とかやりくりして、しばらくはここにいようと思う」
「よしの」に十年ほど住んでいた別の男性(83)も、同じ簡宿に暮らす。「年齢も年齢だし、ここなら周りに知り合いもいるし、生活しやすい」とつぶやく。
一方、同区にある築約四十年のアパートに引っ越した男性(67)は、ホッとした気持ちで日々を送る。
福島県いわき市出身。電気工として京浜工業地帯で長く働いた。電柱など重い物も担ぐ仕事でヘルニアを患い両足が不自由に。働けなくなり簡宿で暮らしていたが、昨年十一月、市の支援を受けてアパートに引っ越した。
「私がいた簡宿は二畳一間で一畳が普通より小さい。寝るところしかなかった」。自炊する場所がなく、少しでも安い弁当を探し、つえをつきながら毎日歩いた。「生活は大変だった。でも年がいっちゃったし、簡宿を出るのは難しいと思っていた」と振り返る。
アパートの部屋は、三畳の和室と六畳の洋室。市に委託されて転居を支援した団体の職員も月に一度は見守りに来る。「再出発したいですね」。男性の言葉に少し力がこもった。
◇行政支援途上 孤独死や家賃滞納懸念
一九五〇年代以降、区内の簡宿は京浜工業地帯の労働者でにぎわったが、その後は身寄りのない高齢低所得者の受け皿となった。
火災を受けて市は昨年九月、転居支援に着手し、不動産業者探しや身元保証の手続きなどをサポートしてきた。身寄りのない高齢者は、孤独死や家賃滞納を懸念され、物件を借りにくいからだ。
市によると、昨年九月から今年四月までに二百六人が転居したが、区内の簡宿にはまだ受給者が約九百人おり六十五歳以上は約六百四十人。転居希望は約二百八十人残っているが、住みたい地域に空き部屋がなかったり、賃貸契約に必要な携帯電話を持っておらずなかなか進まないという。
ある簡宿の管理人は「動きやすい人は出て、認知症とか体の不自由なお年寄りばかり残る。経営が先細りの中、どうすればいいのか」とため息をついた。
<川崎市の簡易宿泊所火災> 昨年5月17日未明、同市川崎区日進町の簡易宿泊所(簡宿)「吉田屋」から出火。隣の簡宿「よしの」にも延焼し11人が死亡した。市の調査で24棟が建築基準法違反などを指摘されたが、解消されたのは今年4月末現在で11棟という。市消防局は吉田屋の玄関付近からガソリン成分を検出したとして、放火とする調査結果を発表。神奈川県警は失火と放火の両面から捜査している。
写真説明:転居を支援する団体の職員(左)と話す男性。再出発を目指すという=川崎市で
Tokyo Web 2016年5月17日 原文のまま

★「高齢者の身元保証」(3月31日・4月1日/東京新聞)
(上)身寄りのない人と契約
 
身寄りのない高齢者の身元保証事業を行っていた公益財団法人「日本ライフ協会」(東京)が、巨額の預託金流用のため破産する見通しになった。身元保証事業を行う団体は全国で多く、高齢者に不安が広がっている。事業が広がった背景を探った。 (諏訪慧)
三月中旬、名古屋市近郊の特別養護老人ホーム。「少しは慣れましたか?」。NPO法人「おひとりさま」(同市)事務局員の丹波真理さん(66)と富田千草さん(49)が施設を訪れ、数日前に入所したばかりの女性(93)に尋ねた。
女性は「好きなコーヒーが飲めなくて困ってる」と不満を口に。丹波さんらは帰り際、特養の男性職員に「コーヒーが飲みたいそうです。今度買ってきますので、入れてあげてください」と頭を下げた。
NPOは、親族などに代わってお年寄りの身元保証を手掛ける。女性は丹波さんらと血のつながりはないが、事前に家族としての役割を代行する契約を結び、この日は施設での暮らしぶりを見に訪れた。
契約は昨年十一月。「身寄りのないお年寄りが、施設から身元保証人を求められ、困っている」と、女性を担当するケアマネジャーから助けを求められたのがきっかけだった。
女性は、ホームヘルパーの助けを受けて自宅で一人暮らしをしていたが、体調を崩して三カ月前に入院。体の衰えから「自宅で暮らすのは難しい」と判断したケアマネは、施設利用を検討。ただ、施設側から、利用料が滞ったときに肩代わりしてくれたり、亡くなったときに遺体を引き取ってくれたりする保証人を求められた。
丹波さんによると、女性の長男一家は同じ県内で暮らしているが、嫁姑問題などがこじれて絶縁状態にあったという。女性とは、危篤時の駆けつけや火葬立ち会い、遺品整理などを約八十万円で契約した。特養との契約時は丹波さんが立ち会い、引っ越しではNPO職員がトラックを借りて家具を運んだ。
NPOは他にも、役所での手続きや金銭管理、買い物、喪主代行、死亡後の入院代の精算などを手掛ける。本来なら主に親族が担っていたものだ。
二年前に事業を始め、いま契約しているのは二十八人。全く身寄りのない人もいるが、家族がいる人が二十人超。「子どもが遠くに住んでいて頼れない」「きょうだい一家には迷惑を掛けたくない」などと、助けを求めてくるという。
全国では、二〇〇〇年の介護保険制度の開始以降に、身元保証をうたう団体が増えてきたとみられる。施設入所時だけでなく、元気な一人暮らしのお年寄りが自分の死後を託す存在にもなっている。
「高齢者の身元保証」を掲げて活動している団体は、インターネット上に少なくとも二十以上ある。しかし事業の届け出は不要で、「実態は分からない」(厚生労働省)という。
少子高齢化や血縁関係の希薄化が進んで、多くのお年寄りが孤立化している。「あなたの周りを見渡して、老後に寄り添ってくれる家族は本当にいますか」。丹波さんは問い掛ける。
<日本ライフ協会の預託金流用問題> 高齢者らから将来の葬儀代などとして預かった9億円近くのうち、人件費などへの2億7000万円の流用と、1億7000万円の迂回(うかい)融資が発覚。契約者は全国で2600人。引き継ぐ予定だった福岡市の一般社団法人が撤退し、協会は破産する公算が大きくなった。
写真説明:女性から暮らしぶりを聞き取る丹波真理さん(左)と富田千草さん(右)=愛知県内で
TOKYO Web  2016年3月31日 原文のまま
(下)預託金流用防ぐには
破産する見通しとなった日本ライフ協会(東京)の財務状況に、公益財団法人を監督する内閣府の公益認定等委員会が最初に不審を抱いたのは二〇一四年夏ごろだった。
委員会事務局によると、一三年度の事業報告に不透明な支出を見つけ、協会幹部らから聞き取りを始めた。幹部は当初、「全く問題ない」と主張したが、一五年九月になって、ようやく二億七千万円の預託金流用を明らかにした。委員会はその後、流用で不足した預託金を回復するよう要請した。
一方、協会は、弁護士ら第三者が預託金を管理するとしていた仕組みを、直接管理する形式に勝手に変更していたことも判明。委員会は、第三者による預託金管理を行うよう勧告したものの、応じる意志は感じられなかったという。
ライフ協会は公益財団法人(三月十八日付で公益認定取り消し)だったため、委員会の監督下にあったが、高齢者の身元保証事業自体は行政への届け出が不要なため、管理監督する共通のルールがない。委員会が協会に対し、預託金の第三者管理の徹底を求めたのは、「預託金の流用を防ぐ手段として重要と判断したため」(委員会事務局)だ。
数千人規模の契約者を持つ団体は、すでに預託金の第三者管理を実施しているところが多い。
三千人余りと契約するNPO法人「りすシステム」(東京)の場合、預託金を管理する別のNPO法人を設立。契約者は別法人にお金を納め、実際にかかった経費を、りすシステムが別法人に請求して預託金から差し引く。「二つのNPOの役員は別々で、仮に経営難に陥ったとしても、日本ライフ協会のように預託金を運営に流用できない」としている。
 四千人ほどの契約者を抱えるNPO法人「きずなの会」(名古屋市)で預託金を管理するのは弁護士法人。以前は弁護士個人に依頼していたが、「弁護士本人が死亡したり廃業したりしたときに対応が難しい」として、法人委託に改めた。同会の小笠原重行専務理事は「費用はかかるが、不正を防いで運営を安定させるには必要だ」と説明する。
ただ、小規模なNPOでは、費用のかかる預託金の第三者管理は難しいという。東海地方のあるNPO法人は、預託金を自分たちで管理している一方で、契約内容によっては当初費用が三十万円ほどしかかからないように抑えている。契約後に生活保護を受給し始めるなどの困窮者も多いといい、「お金のない人を思えば、利用料は上げられない」と悩ましい現実を打ち明ける。
ライフ協会の預託金流用が発覚した一月以降、国民生活センターへの相談が目立っている。
センターによると、「解約時には預託金を全額返還すると事前に説明を受けていたが、実際は半分以下しか戻ってこなかった」という事例や、「判断能力のない認知症のおじが、無理やり契約させられた」などの相談も。高齢者の資産を狙った業者によるとみられる相談もあり、「今後も相談は増えていくだろう」とみている。
淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は、入院時の身の回りの世話などは介護保険を代表とする公的な制度で対応できておらず、「家族代行を行う民間団体が、制度の隙間を埋めているのが現状」と指摘。中にはもうけ優先の団体もあるが、利用者が見分けるのは難しいという。今後も需要は間違いなく増える見込みといい、「登録制度などルールを考える時期にきている」と、早期に行政が対応することを求める。 (諏訪慧)
写真説明:身寄りのない高齢者に身元保証することを誘うNPOなどのパンフレット(一部画像処理)
TOKYOWeb  2016年4月1日 原文のまま

★「世界最高齢の男性はアウシュビッツ生存者、112歳」(3月12日/CNN JAPAN)
ギネス・ワールド・レコーズ社は11日、イスラエル・ハイファに居住する同国人のイスラエル・クリスタルさん(写真左)を世界最高齢の男性と認定した。年齢は同日時点で112歳と178日としている。
クリスタルさんは1903年9月15日、ポーランドのジャルヌフ町近くで生まれた。ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の象徴とされたポーランドのアウシュビッツ強制収容所に1943年に入れられたものの、生き延びていた。
自宅で世界最高齢の認定証を受け取ったクリスタルさんは「長寿の秘密は知らない」とし、全ては神が決めたこととの気持ちを吐露。「私より賢く、強くて見栄えの良い男たちがいたが、存命していない」とした上で、「やるべきこととして残されていたのは出来る限りの勤労と失われたものを再度築くことだった」と続けた。
クリスタルさんは2度の世界大戦を経験。ギネスによると、43年にはアウシュビッツ収容所で妻を失っていた。また、イスラエルのエルサレム・ポストによると、子ども2人もナチス占領下にあったポーランド・ウッチで死亡していた。
クリスタルさんは50年にハイファに移住していた。
世界最高齢者は米国人女性のスザンナ・マシャット・ジョーンズさんで、年齢は116歳と249日となっている。
CNN JP  03/12/2016 原文のまま
サイト内関連記事:「世界最高齢の男性・小出さん死去 名古屋市、112歳」(2013年1月19日)

★「日系介護施設売却で揺れるロサンゼルス」(2月6日/WEDGE Infinity)
第2次世界大戦前、アメリカでは日本人が病院で診察や入院ができない時代があった。1913年に施行された外国人土地法によって、市民権を持たない日本人移民は土地の所有が禁止されていたからだ。そこで、日系移民1世を対象にした病院を設立しようと、政府を相手に最高裁判所で争い、 1929年にロサンゼルス日本人病院が設立された。
「この病院を一部に加え、1961年にジョージ・アラタニ氏(日系人の福祉向上、文化遺産・日本文化の保存・継承及び日本・アメリカ合衆国間の友好親善の増進に寄与したとして、日本政府から旭日重光章を授与)ら8人によって設立されたのが『敬老』だ」。こう話すのは、「敬老」を守る会執行部の井川斎・チャールス氏。このように、日系人が築いてきた遺産が「敬老」だ。 
「敬老」には、日本文化に配慮した2カ所の長期療養施設、中間看護施設、老人ホーム(リタイアメントホーム)の4つの施設が整い、アメリカにいながら日本にいるような手厚いケアが日本語で受けられる。
この「敬老」が営利目的の不動産会社に売却されようとしている。そうなれば、約600人の低所得層の高齢者が、クオリティの高いケアを失うことになる。
運営資金に対する意見の食い違い
今回、「敬老」の売却に至った「敬老」側の理由はこうだ。低所得層が受けられる健康保険「メディカル(カリフォルニア州のメディケイド。州によって呼び名が異なる)」は、州ごとに支払いの割合が定められており、カリフォルニア州は、低所得者層の人口が5分の1という非常に高い率だ。このため、施設に高齢者の割合が高いと、州からの援助が少なくなり経費がかかる。
また、入居当時に居住者は中間所得層でも、支払いを継続していくうちに、支払い能力がなくなっていく。現在の「敬老」には、これまでどおり支払能力がある居住者は、8分の1にとどまる。また、莫大な金額がかかるため、子どもが親を金銭面で援助することはできない(アメリカ《特にロサンゼルスなどの大都市》では、家族でも親と子それぞれが一家族ごとに経済面をやりくりすることが多い)。このため、現敬老理事は、「敬老」がそのすべてを背負うことができないと将来を懸念して、売却を申請した。
しかし、「敬老」はコミュニティで不足分を補っていき、恒久的に存在するという理念のもとに設立された施設だ。このため、法律で義務付けられている公聴会の開催なしに売却はできないことになっている。ところが、カマラ・ハリス州司法長官が、公聴会を開催せずに売却を認めたのが、今回の争点だ。
再吟味して欲しいと「敬老を守る会」が立ち上がった。マキシン・ウォータース下院議員とジュディ・チュー下院議員も、州司法長官が法律を無視して、「敬老」を私営の不動産会社へ売却することの中止を州司法長官に訴えるため、1月14日(木)午前10時から、ロサンゼルスにあるファースト・サザン・バプテスト・チャーチで、公開記者会見を開催した。(写真左下)
ウォータース下院議員は、この問題について「3つのことに対して憤っている」と表現し、次のように述べた。まず、前述どおり関係者に対して公聴会を開くことなく、私営の不動産会社「パシフィカ社」に敬老を売却しようとしていること。2つ目は、売却した場合、約600人の居住者に対して、日本文化に配慮した今のクオリティと同じケアが保障されていないこと。3つ目は、敬老施設の費用が上がるかもしれないということ。「これは、断じて許されることではない」として、ウォータース下院議員は、昨年12月にボランティアの弁護士を雇用。さらに、法的処置を検討するために、非営利団体「ロサンゼルス法律扶助センター」や非営利の法律事務所「ベト・ツェデック」などと、交渉やリサーチを進めていると話した。
「敬老を守る会」執行部のレイ・ハマグチ氏は、「寄付金や支援金もあり、財務上は健全。財務上の理由で売却するという理由は成り立たない」と指摘する。また、コミュニティが資金の不足分を補っていくということで設立しており、今後もそのように運営していくことになっていたと主張した。
ジュディ・チュー下院議員は、連邦下院議員16人に売却を中止することの同意とサインを求め、公聴会の開催なく敬老の売却を認めた州司法長官に、書状を提出したと話した。さらに、「これは公民権の問題だ」と、「敬老を守る会」執行部のモー・ニシダ氏は話す。健康が保証される権利は公民が持つ権利で、これが享受できなくなるという問題に対し、日系人や日本人だけに限らず、アフリカ系アメリカ人や太平洋諸島出身者など、さまざまな人種約300人が、公開記者会見に関心を寄せた。
質疑応答時には、「あなたがたの尽力をサポートするために何かできることはあるか」「これからも情報をアップデートしてほしい」など、日系人や日本人以外の人々からも「サポートしたい」という声があがった。ラテン系アメリカ人のガーデナ市議会議員、ダン・メディナ氏も、「売却の話を今日初めて知ったが、売却の中止に賛同する」と表明した。
「売却しても、他の施設に移ればいいだけではないか」という声も挙がってきそうだ。しかし、「ここは日本ではないから、そうはいかない」と話すのは、臨床心理学博士の池田啓子氏。「アメリカにも敬老以外に、日本人経営で日本人スタッフがいるリタイアメントホームはある。しかし、看護施設がないケースや、日本語を話すスタッフがいない、日本食がない、日本人ボランティアによる生け花や折り紙などのアクティビティがない」。アメリカ人経営のリタイアメントホームに移った日本人もいる。「しかし、ボランティアスタッフによるアクティビティがないため、結局、孤立してしまった」と話す。
現在、「敬老」の居住者の70%が65歳以上が受けられる健康保険「メディケア」や「メディカル」に頼って生活をする。「実際、看護施設の居住者の家賃は、年間約7万7000ドル(約900万円)かかる」と池田氏。彼らは、このような保険で「敬老」で生活をしているわけだが、営利目的の施設になると、メディカルではほとんど利益が得られず、受け付けない施設も多いという。「日本人なら、日本へ帰国すればいいのでは」という声も聞こえてきそうだ。しかし、多くの居住者は、すでに日本に家族がいない、家を売却している、未亡人であるなどの状況だ。
「敬老」の開発&広報部長のオードリー・リーサン氏は、次のように話す。
「『敬老』の売却は、2016年初旬に行われる予定。州司法長官は、2015年9月2日に売却を許可し、2015年11月5日には書式によって再度、許可している。売却は、『敬老』の使命に則ったプログラムとサービスを通して、日系人コミュニティの高齢者の幸福につながる利益をもたらすだろう。『敬老』は、今後、我々のコミュニティの高齢者やその家族の健康と幸福のために、よりよいプログラムを拡大する予定。敬老理事は、来年まで続く戦略計画を開始し、将来もコミュニティのニーズに応え続けることを約束している」
なお、売却による利益の3700万ドルは保護基金に入れ、利息だけが「元気リビング・プログラム(記憶力を向上させるための講座などさまざまな講座)」を推進するために使用される。賛成派の意見としては、このような声が挙がる。「時代と共に人々のニーズは変化するから、仕方がない」「英語が主流の日系3世、4世の人たちにとって『敬老』は必ずしも必要な施設ではない。むしろ、英語のほうが楽だから、売却は当然のこと」。
売却は止められるのか?
カマラ・ハリス司法長官事務所の報道官、レイチェル・ヒューネッケンス氏は、「敬老」売却に賛成の立場を取ることに対して、このように答える。
「『敬老』は、歴史的また文化的な重要性を持っているといっても過言ではない。日系人は、そのクオリティや文化的に配慮されたケアを提供する『敬老』に頼ってきた。このため、司法長官事務所では、日系人コミュニティに対して、引き続きクオリティの高いヘルスケアを確証することに賛成の立場を取っている。懸念の声が多くなっていることも聞いているが、だからこそ、『敬老』に頼る人々のヘルスケアのニーズに応えることを確証する努力を、積極的に行っている」
しかし、州司法長官は、「敬老」の居住者に対して何らかの保証をすることが仕事ではなく、売却を許可するかどうかの決断のみだ。
また、売却後、「敬老」の居住者は5年間は保障されているが、それ以降の保障はない。さらに、「パシフィカ」は高齢者ケアの専門業者ではなく、不動産業者であり、現在の「敬老」が所有する土地は今後、都市開発が進むといわれている地域にある。それを安値で入手したため、「敬老」を手放すことはないといわれ、今後は、裁判が予想されている。
「敬老を守る会」執行部は、2015年8月に池田氏を含む4人で発足され、現在10人で運営。「この4カ月半で約1万7000人から嘆願書に署名をもらい、政治家にも興味を持ってもらうことができた」と池田氏。また、「敬老」を守る会執行部は、州司法長官に訴訟を起こせるように、今年1月13日に非営利団体に申請されたばかりだ。
「公開記者会見には約300人が集い、アメリカの4大テレビネットワーク『ABC』など、数多くのメディアも参加。現在は、弁護士の助けも得られたが、2週間前にはなかったこと。さらにポジティブな展開を見せている。このまま前進していくのみだ」と、「敬老を守る会」執行部、松元健氏。ここからどのような展開が見られるのか、今後の動きに注目が集まる。
寄稿:大山真理 (ロサンゼルス在住フリーライター)(写真右)
WEDGE Infinity ウェッジインフィニティ 2016年2月6日 原文のまま
写真説明 左上:Keiroの管理棟
編者:公的な医療や介護の保険が乏しいアメリカでの日系の奮闘だ。

★「世界最高齢の男性・小出さん死去 名古屋市、112歳」(1月19日/西日本新聞)
世界最高齢の男性とされる小出保太郎(こいで・やすたろう)さんが19日午前0時17分、慢性心不全のため名古屋市の病院で死去した。112歳。福井県出身。葬儀・告別式は21日午前10時から守山区苗代2の1812、平安会館守山斎場で。喪主は長女竹内澄子(たけうち・すみこ)さん。
1903(明治36)年3月13日生まれ。昨年7月にさいたま市の百井盛さんが112歳で死去したのに伴い、小出さんが男性で国内最高齢になった。同8月にはギネスが男性の世界最高齢と認定した。
厚生労働省によると、小出さんの死去で、国内最高齢の男性は東京都在住の111歳の吉田正光さんとなった。
写真説明:2015年8月、112歳でギネス社から世界最高齢男性に認定された小出保太郎さん=名古屋市
西日本新聞 2016年1月19日 原文のまま


2015年


★中国の高齢者を誰がみる?(12月21日/BBC)
中国は人類史上最も高齢化が進んでいますが、国は高齢者への支援をほとんどしていません。伝統的に高齢の親は子供らが世話をしてきましたが、今の中国にそうしたことは必ずあるというわけではありません。
中国には子供向けの養護施設はたくさんあります。しかし、吉翔寺Ji Xiang temple(写真左上)はまったく違った目的―高齢者の養護施設―を持っています。
中国南部の福建省の山岳地帯の高地にあるこの寺は 仏教の聖地に見られるようなすべての物を備えています。大きな仏像は洞窟内の主要な建物に在り金色に満ちています。その外部の美しく造形された庭に小さな石像が点在しています。
しかし、近づいてみると、その他の物は寺の主な働きを示しています。階段には手摺が取り付けられ、大広間の飾り戸棚には薬瓶が並んでいます。
数十人の高齢者が最期の時をここで過ごしています。貧しくて行く所が無い人たちもおり、世話をする子供が居ない人もいます。しかし、ほとんどの高齢者は、家族から見捨てられただけなのです。極端に貧しい地域では、働くことができなくなると彼らは重荷と見なされるのです。
寺の尼僧代表のネン・キンNeng Qing氏(写真左中)は次のように述べています。
「この地域では、家族の強い絆がありません。高齢者は本当に苦しんでいます。ある近隣の村では子供が8人の高齢者がいました。毎朝、その男性はそれぞれの子供たちの家へ行きましたが、だれも朝食に呼んでくれなかったのです。その村から私たちに話が伝えられあしたが遅すぎました。既にその男性は自殺していたのです」
81歳のネン・キン氏はすべての業務をこなし、介護のない死を迎えている高齢者を助けるために村に出かけています。
さらに彼女は次のように述べています。
「出かけてこうした人達を家から連れ出す時、心が痛みます。長い病であった人達が少なくないのです。義理の娘たちが夫に働けないからと母親を見捨てるようにさせることが時々あります。早く担架で連れ出さなければならないほど健康状態が悪いのです。しかし、その後私たちの介護で元気になっています」
この寺は厳しい日程で運営され、毎朝、4時に日課が始まります。すべての入居者は仏教経典を学ぶために起こることが求められます。1時間の詠唱儀式の後、朝食をとります。同じやり方が一日続きます。読書、詠唱、食事、休息、そして暗くなる少し前に床に入ります。
また彼女は次のように述べています。
「みんなでお互いに様子をみます。以前、私は一晩に2回起きて入居者のベッドカバーに下にある暖房用の物を換えていましたが、現在は入居者が助け合っています。80歳の人が100歳の人を助けているのです」
すべてがとても清潔で整頓され、入居者の多くが昔の悪夢から逃れたていることは簡単に忘れられています。
とても小柄な二人の姉妹は一階の一部屋で暮らしていますが、先に述べたことを示す完璧な一例です。シー・ユーピンShi Yupingさん(写真左下の左)は92歳で、シー・ガージShi Guaziさん(同の右)は86歳です。二人は、耳の後ろにこぎれいに白いヘアピンを着けています。妹のガージさんは姉を大切に世話をしながら髪を櫛でときピンを留めます。
妹は次のように述べています。
「家に居る時、誰も私の世話をしなかった。四人の息子は私の世話をしようとしません。私の家よりここの方が良い。その家が良ければ住み留まっていたでしょう」
シー・ガージさんがこの寺に来た時ひどく痩せていました。子供たちが1日一皿の米以外には食べ物を与えなかったのです。
1年後には姉が彼女を頼って来ました。ここ10年間、二人はこの寺で過ごしています。
ここに住む以外に中国の高齢者―現在、その数2億2000万人―を誰がみるのか多くの人が心配しています。世界銀行World Bankによると、中国は、人類史上、人口の高齢化が最も進行している国です。2050年までに人口の40%以上が60歳以上になるでしょう。
伝統的に中国人の族の複数の世代が同じ屋根の下で暮らしました。しかし、近代化し流動的な中国で、その仕組みは重大な挑戦を受けています。2014年に公表された中国とアメリカの研究者による大規模な調査によると、現在、60歳以上の人の38%は成人の子供たちと暮らしています。60歳以上の一人暮らしの人の半数強は子供たちからの金銭的支援を受けています。
成人の子供たちは親の近くで暮らしていることが多いのですが、近代的なアパートには複数世代の家族が一緒に暮らす部屋がありません。より貧しい家族では、子供たちは仕事のために国内の別の所に移住することが多く、高齢の親が残されるのです。
高齢者は人生最後の時の支援を受けることがほとんどありません。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットEconomist Intelligence Unitが、世界80か国で行われている終末期ケアを評価した最近の「死の質"quality of death"」調査で、中国は最下位の10位内でした。ホスピス施設が乏しく、入院医療が高額で地域支援も乏しいのです。同じ調査でイギリスの一位でした。
中国の都会では、政府がこの問題に進んで対応しています。福建省の三明市Sanming Cityは、吉翔寺から車でわずかの所にありますが、政府が率先して膨れ上がる高齢者人口のニードに応えています。新しい高齢者センター(写真右上と中)が開所し、無料の基本的な医療と地域サービスを同じ建物で提供しています。さらに13のセンターが近い将来開所する予定です。
しかし地区の共産党書記局は、これらのセンターを実験的と受け止めています。
スー・イータイSu Yitai氏は次のように認めています。
「高齢者ケアは政府に依存するだけでは十分ではない。このため政府と地域と家族が支援を連携させ中国社会に合った新しい仕組みを造る新しいモデルを計画しています。しかし、地方には大きな課題が在ります。中国の地方では貧困が深刻な問題です。農村地域に暮らす高齢者の65%が貧困ラインより下で、これが都会ではちょうど11%です」
比較的裕福な都会は密な関係にある近隣住民へサービスを提供すると努めても、中国全土の小さな農村の点在する高齢者にケアを拡張することはとても困難なことでしょう。
吉翔寺は、無料の終末期ケアを提供する中国で少ない場所の一つです。そこの入居者は彼らが受けとる物―暖かく保つ厚手の木綿のコートとベッドの分厚い毛布―へ心底から感謝している様子です。
毎日、午後4時、入居者はその日最後の詠唱儀式のために分厚い茶色のガウンに着替えます。寺の正殿で儀式が始めるのを待ちながら、何人かの婦人たちは互いに抱き合い、互いにガウンを褒め合っています(写真左下の下)。
ここには満足と共同体があります。中国のこの小さな場所では生きるなかに、そしていずれ訪れる死のなかに尊厳が在るのです。
記者のセリア・ハットン Celia Hatton(写真右の下)はBBCの中国特派員。
BBC News 21 December 2015 Who will take care of China's elderly people?
関連情報:Quality of Death Index 2015 Ranking palliative care across the world( Economist Intelligence Unit)

★「一人暮らし高齢者の半分が貧困!親子共倒れの孤独死が急増する理由とは」(12月9日/DIAMOND)
比較的、高所得者が住んでいると思われている東京都港区であっても、一人暮らし高齢者の半分は貧困に苦しんでいる。また、親子二人世帯での貧困も増えている。30年以上にわたり、高齢者の貧困問題を調査し続けてきた明治学院大学の河合克義教授(写真右下)に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
「港区は高額所得者が住んでいるはず」思い込みを打ち砕く衝撃のデータ
―7月に長年の調査をまとめた著書「老人に冷たい国・日本」(光文社新書)を出版されました。驚いたのは、高額所得者が住んでいると思っていた東京都港区であっても、山形県と同じ割合で、貧困に苦しむ高齢者がいる、という指摘でした。
出版をしてすぐ、内閣府の税制調査会から呼ばれ、高齢者の社会的孤立と貧困の実態について、話をする機会をいただきました。そこでお示ししたデータのうちの一つが、東京都港区と山形県で実施した一人暮らし高齢者の調査です。港区でも山形県でも、生活保護受給基準を下回る収入で暮らしている人の割合は、ともに半分程度でした。
これについて、参加者の方々からも「港区は豊かな地域のはずだと思っていた」と、驚きの声が上がりました。しかし、実際にはそうではないのです。全国的に見ても、一人暮らし高齢者の約半数は貧困水準だと思います。
孤立死も増えています。東京都監察医務院の事業報告によれば、東京23区で65歳以上高齢者が自宅で一人で亡くなるという、いわゆる孤立死者数は2002年には1364人でしたが、12年には2733人に増えています。
それでも、港区はまだ恵まれている方です。というのも、日本は公営住宅が不足していて、貧困世帯を直撃しているのですが、東京都と大阪府は比較的、公営住宅の数が多いのです。港区では一人暮らし高齢者の場合で25%の方が公営住宅に住んでいました。日本全体の公営借家率は、6%程度です。
神奈川県川崎市で今年5月、簡易宿泊所2棟の火災事件(11人が死亡)が起きました。居住していた人の多くは生活保護を利用している高齢者。同じく簡易宿泊所の多い横浜市寿町には、県内の他地域から、生活保護を利用している一人暮らしの高齢者が100人ぐらい送り込まれている現実もあります。
公営住宅が絶対的に不足しているから、ケースワーカーが送り込んでいるのです。群馬県で10年に起きた「静養ホームたまゆら」の火災事件(10人が死亡)も、似たような構造から生まれた悲劇です。
港区であっても「都営住宅に10回申し込んだけれど、外れてばかり」という声は良く聞かれます。その港区でさえ、他地域と比較すれば恵まれている。それほど、日本の高齢者をめぐる住宅事情は劣悪なのです。
さらに苦しんでいる「親子二人暮らし世帯」の現実
―高齢者の一人暮らし世帯で貧困率が比較的高いというのは良く知られた話ではありますが、一方で親子二人暮らし世帯の困窮についても触れていますね。
75歳以上の高齢者を含む二人世帯について、港区で全数調査をしたところ、うち2割が親子世帯であることが判明しました。何らかの理由で子どもに収入がなくて親の年金を頼りに暮らしていたり、親の介護のために同居しているケースです。
そして、実はこの「高齢者を含む親子二人世帯」の貧困も非常に深刻です。12月に入ってからも東京都中野区の住宅で、80代の母親と50代の息子の遺体が見つかったというニュースが出ていました。また、埼玉県深谷市在住の70代、80代の夫婦と、40代の娘が軽自動車ごと利根川に突っ込み、心中を図った事件も大きく報道されました。こうした世帯では、貧困に加えて介護問題も深刻にのしかかっています。
また、親の年金がないと生きて行けない、無収入の子どもたちが引き起こす「所在不明高齢者問題」もクローズアップされていますね。親が亡くなっても、生きていることにして年金をもらい続ける子どもたちがいるのです。厚生労働省は10年、所在不明者が全国に100歳以上で271人、80歳以上で800人いると発表しました。
―高齢者の貧困問題を語るとき、必ず「孤独」というキーワードが登場します。なぜ日本には、これほどまでに孤独に苦しむ高齢者が多いのでしょうか?
幾つもの理由がありますが、まず大前提として私は「貧困が孤独を招く」と考えています。1980年代の少し古いデータなのですが、生活保護世帯の交際費は、一般勤労世帯のおよそ4分の1に過ぎない、という数字があります。交際費が出せずに冠婚葬祭を欠席すれば、親族や友人・知人との関係は疎遠になっていきますよね。さらに飲み代など、人に会うためにかかるお金も削っていることでしょう。
貧困を加速させたのは、2000年の介護保険制度の導入だと考えています。なぜなら、介護保険は利用したい民間業者を自分で選ばなければなりませんが、本当に困窮している人は、どうしたらいいのか途方に暮れているような状態で、とてもではないけれど、自分で主体的に情報を集めて選べるような環境にはない。こうした人たちに必要なのは福祉サービスです。
実際、日本で介護保険制度を利用している65歳以上の高齢者は1割半程度です。残り8割以上の中に貧困と孤立問題に苦しむ人たちが数多く含まれているのです。にもかかわらず、介護保険を中心に社会保険制度が肥大化をして、福祉サービスがどんどん削られている。
また、福祉サービスが縮小する中で、行政が高齢者の状況を把握し切れなくなっている点も大問題ですね。港区では11年から「ふれあい相談員」事業を始めました。これは、困窮状態にありながら、制度利用につながっていない人たちに対して、行政側が訪問して情報を聞き取ったり、必要なサービスにつなげる取り組みです。こうした取り組みを全国的に行う必要があります
フランスでは月収19万円以下は貧困!?国際用語化する「コドクシ」
―福祉制度の不足に加えて、住宅事情も医療制度も、日本は高齢者に冷たい国ですね。
社会保障の構成要素として、年金、医療、福祉サービス、住宅などが挙げられますが、どれも日本は不十分ですね。
私はフランス・ナンシー大学の客員研究員を務めた経験から、フランスの研究者たちとの交流が多いのですが、グルノーブル大学の教授に孤立死について話をしたら、真顔で「それは自殺ですか?」と言われました。フランスでは、自分の意思で孤独に死のうと選択しない限り、孤立死なんて状況は聞いた事がない、と言うのです。不名誉なことに、「コドクシ」は今や、ドイツや韓国にも輸出されている言葉のようです。
また、フランスのカトリック救済会の高齢者貧困対策責任者に昨年、話を聞きに行ったときには、「月収19万円以下を貧困と捉えている」と説明を受け、われわれは絶句せざるを得ませんでした。
社会保障の構成要素である諸制度を見直すのは当然ですが、これに加えて、地域社会の活性化も重要だと考えています。
たとえば国際的に比較をして、日本は別居している親世帯と子ども世帯の交流が少ない。05年の内閣府の調査によれば、「別居している子どもとほぼ毎日接触している」人の割合は、米国で41.2%、フランスで28%であるのに対して、日本は16.7%です。
また、1ヵ月に親子で食事をする回数についても、フランスでは数回あるのに対して、日本はゼロに近い数字です。盆暮れ正月しか親と食事をしない人が多いのだから、1ヵ月あたりにならせば、1回にも満たないわけです。
フランスでは、大学は地方にも適正に配置されています。たとえば、政治学を学べる大学は8都市に分散されています。だからみんながパリを目指す必要がない。農業国でもありますから、地方にも若者がいっぱいいます。
小学校からの友人がずっと同じ地域にいる。今の日本で、そんな土地は沖縄くらいなものではないでしょうか。日本の地域社会は力を失っていて、若者は都市部を目指さざるを得ない。もちろん、先ほどお話したように、貧困が交際費捻出を難しくして孤独を加速させるという傾向も大きいのですが、それに加えて、日本の地域社会の弱体化が、希薄な親子関係、人間関係を作り出している側面もあると考えています。
高齢者の貧困問題を解消するためには、年金や福祉制度といった、直接的な部分だけを改善すれば十分、というわけではないのです。さまざまなジャンルにまたがる政策を考えて行く必要があります。
DIAMOND online 2015年12月9日 原文のまま
編者:介護保険制度の導入が貧困を招いて要因の一つとの指摘は知ったのは初めてだ。経済的先進国のなかで日本の高齢者の社会保障制度は貧困で脆弱というのだ。日本でも以前は大家族が高齢者を支え問題が顕在化しなかったのだろうが、核家族化のなかで高齢者が一人で生きざるをえなくなり問題が顕在化しだろう。さらに長く生きる高齢者が増えているので貧困がますます顕在化しているのだろう。河合氏が指摘するように年金は福祉制度の改革だけで貧困問題は解決しないとすれば、どうするか?ダイアモンドは高齢者の貧困を避けるための自助努力を勧めていると思ったら、社会問題と指摘するほど深刻なのだ。

★「上海の高齢化に学ぶ」(12月8日/ハフィントンポスト)
クレア・レポードClaire Leppold(写真)南相馬市立総合病院 研究者として勤務
私は、福島県南相馬市の南相馬市立病院に勤務している、クレア・レポードと申します。
イギリスのエジンバラ大学で国際保健・公衆衛生学の修士課程に2014年からの在学期間中、大変幸運なことに坪倉正治医師の知己を得て、南相馬の研究チームに参加することが出来ました。修士論文を書き上げるために滞在した今春の3ヶ月間が最初でしたが、卒業後、南相馬市立病院で常勤として働き始めています。
通常は福島にいますが、中国で最も有名な大学の一つ、上海復旦大学の公衆衛生学の教授の先生方との共同研究立ち上げの話があり、2015年10月に上海を訪問する機会が得られました。中国は急速な経済成長と都市化が進行しており、医学研究においても数え切れないくらい多くの課題が出て来ています(参考文献)。東京大学医科学研究所と福島県いわき市のときわ会の多大なる援助も頂き、今回私たちのチームは中国の研究者と一緒に仕事をする素晴らしいチャンスに恵まれることが出来ました。
上海では、趙根明教授と姜慶五教授による復旦大学の研究チームから厚いもてなしを受け、中国での新しい研究分野について学ぶたくさんの機会を頂きました。
世界の中でも上海と東京は飛び抜けて急速な高齢化を遂げつつある大都市であり、日中双方の研究チームで注目すべきトピックは高齢化であることが鮮明になりました。上海でも、高齢化対策について学ぶべきことが沢山あると改めて気付かされたのです。
復旦大学の方々に案内して頂き、養護老人施設や病院などを訪問したのですが、嘉定区の養護老人施設の居住者に提供されているケアの質の高さには驚きを禁じ得ませんでした。嘉定区は上海の中心部から1時間程離れたところにある、典型的な郊外の大きな住宅地です。けれども、ありきたりな郊外の町のように見えながら、嘉定区の養護老人施設は世界の模範となり得るようなものでした。
この施設では、公園のような7.7万平方メートルの広大な敷地に、それぞれのケアの必要性に応じて、異なるサービスの選択肢が用意されていました。中央棟では要介護者用に250床、要介助者用に274床、また敷地内には最大152床まである独立した居住施設が設けられていました。
施設の運営には80名の職員が従事しており、そのうち医師3名、看護師2名、看護介護士46名、薬剤師1名ということです。施設では多くの活動が入居者向けに提供されており、その幾つかを見学させて頂きましたが、参加している入居者の方々のこぼれるような微笑みを見ると、今回の訪問で最も心が洗われるような思いがしたものです。様々な面で入居者が楽しむことが出来るよう、カラオケやスピーチ大会、絵画や書画といった手作業などのイベントが常時開催されているようでした。
すると、イギリスでの老人施設で私の祖母を訪問したときのことを考えずにはいられませんでした。
建物は清潔で明るいのですが、入居者に提供されている活動の面では随分制約がありました。様々な活動ができる場所というよりも、時間が完全に静止した場所のように見えたのです。私の祖母の施設にいた認知症のご婦人方のことをよく覚えているのですが、何時間もドアが開いたり閉じたりするのを眺めながら、建物の出入り口ロビーの所にただ坐って日がな一日過ごしていたのです。
入居者が外に出る機会は限られていますし、そもそも簡単に外に出られるような通路も作られていません。嘉定区の養護老人施設の広大な庭園に立って、木立の周りを飛ぶ鳥を眺めながら、私は複雑な気持ちになりました。
私のおばあちゃんがこのような施設で過ごす機会を得られなかったことを残念に思うと共に、介護分野にはまだ世界に向けた未来がある、という希望です。「学ぶことはまだまだ沢山あるんだ」と、私は何度もそう考えました。
老人介護にかかる費用をどう賄うかは、どの国でも大きな問題となっています。
イギリスでは祖母のような施設の入居者の場合、国民保健サービス(NHS、イギリス国営の公的保健医療を提供する事業)が支払いを認可するような重篤な医学的障害がない場合は、入居費用を個人的に支払う必要があります。嘉定区の老人介護施設も個人的な支払いは必要とされますが、費用が低額で済むように政府が財政的な支援を行っています。両国の施設とも同じような財務計画で運営されていますが、入居者の生活スタイルは完全に違う形になっているようです。
高齢者に提供されるケアの質に格差があることは、世界的に高齢化が進む中でもっと議論されてよいように思いますし、私が今回挙げたような2つの事例を大きく超えた格差が存在しているであろうことは容易に想像されます。入居者が存在意義と尊厳を持って高い質の介護を受け生活できるようにすることが、達成困難な目標であることは論を待たないでしょう。ほとんどの国で、このような希望は財政的な面から妥協せざるを得ないのです。
上海は経済成長に加え、公的部門に支出することに利点があると考える地方政府に恵まれています。社会的な資源が正しく使われれば、高齢者向けの施設や介護がどのようになるかの良い具体例になるのが、嘉定区の養護老人施設なのだろうと思います。
恥ずかしながら、私の祖母が昨年養護施設に移るまでは、高齢者のケアについて真剣に考えたことはありませんでした。上海を訪問した後で、私はそれぞれの国で高齢者のケアの現状、さらにはその将来像について、一層の興味を持つようになりました。世界的に高齢化は進行しており、増加する高齢人口に最も良い生活の質を提供する方策を見つける必要性は高まっています。
イギリスと上海で私が経験した例は飽くまで限られた事例にしか過ぎず、それぞれの国全体を代表しているというわけではありませんが、より深く考えるための出発点にはなります。少なくとも、庭園、木立や鳥といった実例を見たあとでは、私の両親や祖父母世代の方々が、閉ざされたドアの後ろに坐ったままの生活で十分だと主張するようなことはとても難しいと、確信を持って言えるでしょう。
文献:ランセット:中国の健康保険改革の壮大な目標をどう達成するか。How to attain the ambitious goals for health reform in China Lancet 2015;386:1419.
原著:上海の高齢化に学ぶ Vol.242 2015年11月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
ハフィントンポスト 2015年12月8日 原文のまま
編者:本文の「。嘉定区の老人介護施設も個人的な支払いは必要とされますが、費用が低額で済むように政府が財政的な支援を行っています。」はそのまま受けっとってよいのか?富裕層向けの高齢者施設ではないのか?さらに高齢者向けの大規模施設を評価してよいのか?

★「国高齢化、巨大市場に ニチイ学館など積極投資」(11月30日/日本経済新聞)
日本企業が中国の急速な高齢化をにらみ、現地向けの製品・サービスに積極投資する。介護最大手のニチイ学館は中国企業を十数社買収し、2016年度にも訪問介護サービスを中国全土に展開する。エーザイは認知症薬を拡販する。すでに高齢化が進んでいる日本で培った事業ノウハウを活用し、巨大市場の変化を商機としてつかむ。
中国の国家衛生計画出産委員会によると、60歳以上の人口は現在約2億1200万人と全体の15.5%を占める。15年までの5年間は毎年860万人ペースで増加し、その後も増える見込みだ。
介護最大手のニチイ学館は中国の主要地域で家事代行企業の買収を進め、介護サービスを広域で展開する。6社を買収済みで、さらに10社の買収を決めた。
中国では家政婦が家事代行と兼ねて介護サービスをこなすケースが多い。ニチイ学館は買収企業に専門的な介護ノウハウを教え、介護中心でも収益を伸ばせるようにする。北京や沿岸部に加え、16年度にかけて重慶など内陸部もカバーする。
同社によると中国の要介護者は約3500万人おり、市場も黎明(れいめい)期で「少なくとも2兆3千億円規模」(寺田明彦会長兼社長)という。
高齢化に伴い、認知症患者の増加も見込まれる。エーザイは中国で認知症の治療薬「アリセプト」の販売を拡大する。15年4〜9月期の中国売上高は27億円と前年同期比23%伸びた。各地の医療機関と連携して外来診療所を今夏までに140カ所以上設置。認知症の進み具合を的確に診断できる医療体制を広める。16年度には、江蘇省の工場に新棟を建設して中国での本格生産に乗り出す。
10月に明らかになった中国の「一人っ子政策」見直しも、巨大な人口の年齢構成を変える可能性がある。新たに9千万人超の女性が2人目の子供を持てるようになり、子供向けの消費が伸びる公算が大きい。
花王は乳幼児向け紙おむつなどの増産に今後2〜3年で最大900億円を投じる。中国向けや訪日中国人のまとめ買いに対応し、国内外の6工場で紙おむつや生理用品の生産能力を高める。山形県や栃木県の工場に新棟を建設し、17年以降に順次稼働する。中国でも合肥工場(安徽省)や上海工場で増産する。
花王は当面、年800億円規模の投資額(販促費を含む)を計画し、増産投資が最大300億円程度を占める。肌に優しい日本メーカーの紙おむつは、訪日中国人の大量購入などで日本でも品薄が続いている。
大王製紙は中国で今年から大人用紙おむつの販売を始めた。乳幼児向けでは、16年にも江蘇省の工場設備を増強する方針だ。
日経web 2015年11月30日 原文のまま

★「下流老人が増える日本 五木寛之「今の社会福祉は暴動予防」」(11月16日/dot.)
「誰もが生活保護レベルの暮らしになり得る」「老人が極端に嫌われる時代が来た」──。今年、世間に大きな衝撃を与えた藤田孝典さん(写真右上)の『下流老人』(朝日新書)と、五木寛之さん(写真右下)の『嫌老社会を超えて』(中央公論新社)。9割貧困社会の危機を説く二人に、50歳という年齢差を超えて語ってもらった。
 *  *  *
藤田:平均値だけ見ると高齢者は豊かですが、平均という数値はあてにならない。高齢者の平均貯蓄が1200万円という数字がありますが、実際には「貯蓄ゼロ世帯」が16%を超えています。
五木:日本は今、実際にはそんなに豊かじゃないんですよ。だけど、表面的には豊かに見える。隠されているからです。その隠れた9割部分の貧困をきちんと直視するようにしないと、これから先に進めない。
藤田:僕らの世代は、ほとんどがウィンドーショッピングですよ。買わないし、買えないですもん。僕は、越谷レイクタウンという日本最大級のショッピングセンターの近くに住んでいるので、毎日買い物客の行き帰りを見るんですね。だけど、買っている人ってほとんどいないんですよ。ちょっとお茶を飲んで、どんなものが流行っているのか見てといったふうに、居場所としては機能しているけれども実際には買っていない。賃金も低くて将来も不安だったら、基本的には貯金しないといけないので。だから、個人消費って相当落ち込んでいると思います。
五木:少数の豊かな人と多数の貧しい人を作り出す構図が、今どんどん激化している。なのにそれが見えないというのが不思議ですね。
藤田:貧困って昔から見えにくいものとされてきた風潮があります。なぜかというと、本人が声を上げないから。高齢者の高所得者の人こそ楽しい姿を見せたがるけれど、貧困層の人たちは自分の姿をさらしたくないところが大きい。
五木:藤田さんが見るとそうかもしれないけれど、僕の実感では昔は貧困ははっきりと目に見えて、むき出しでした。東京でも、3大貧民窟などというのがあって、それは本当に別世界に行くような感覚だったし、昔のお寺や神社の祭礼では、境内の長い道の左右にずらーっと物乞いの人が座って。身体障害者とか、子ども連れとか、いろんな物乞いの行列だった。10年前までは港区の周辺なんかもホームレスがたくさん見られたけれど、今はもうほとんど目にしない。本当は貧困の度合いが進んでいるにもかかわらず、どんどん見えなくなっている。
──将来の下流予備軍とされる若者ですが、彼ら自身はそんなに貧困だと思っていないように見えます。
藤田:生まれつき貧困に慣れているんですよね。若者世代は「しょうがない」という諦め感に近いものをもっている。一生涯、貧困とは向き合わざるを得ないと思います。
五木:不思議なのは、抗議というものがあまりないこと。米騒動とか血のメーデー事件とか、そういったものが全然起こらない。今は、生かさず殺さずの微妙なラインにいるから、人生をなげうって反乱を起こすまでにはいかないとは思いますが。
藤田:歴史的に見ても、反乱が起きたころの貧困や格差と今ってあまり大差がなくて、今のほうがもっと貧困が広がっているんじゃないかと思います。いつマグマが噴出してもおかしくないところまで来ている。
五木:今の社会福祉は、暴動予防のためのものですよ。暴動が起こらないギリギリのところで、最小の予算で何とかやっていこうとしている。
藤田:社会福祉は、統制する側にいないと金にならないんです。例えば介護保険制度でこれぐらいしか予算がないから、これぐらいでサービスを提供しましょうとか、そういう統制側です。現状だと、そうした統制の手先にさせられるのが社会福祉で、本当に困っている人を「まあまあ」となだめるのが実際の姿です。本当は、困窮している高齢者自身がもっと声を上げてくれると、生きた問題提起になると思うのですが。
※週刊朝日  2015年11月20日号より抜粋
(dot. 2015年11月16日 原文のまま)
編者:「子供の貧困」、「シングルマザーの貧困」、「若者の貧困」そして「高齢者の貧困」。消えた「貧民窟」と現代の見えない「貧民窟」。どうする?自助努力?そして何が必要?五木の言う「社会福祉が暴動予防」はビスマルク的発想だが、この現代の日本に生き延びているのか?藤田氏の言う「貧困者自身はいつの世も貧困に耐え凌ぎ声を挙げられない階層」なのか?藤田氏の活動は心強いが、高齢者はどこから始めるか?

★「80歳以上、初の1000万人超え 総務省推計」(9月20日/日本経済新聞)
総務省が20日、敬老の日に合わせてまとめた15日時点の人口推計によると、80歳以上は前年比38万人増の1002万人となり、初めて1000万人を超えた。65歳以上の高齢者人口は前年比89万人増の3384万人で、総人口に占める割合は0.8ポイント上昇の26.7%となり、人口、割合ともに過去最高を更新した。
2010年の国勢調査をもとに、その後の出生数や死亡数などを反映して推計した。日本の高齢者人口の割合は欧米主要諸国の中で最も高く、イタリアの22.4%、ドイツの21.2%を大きく上回る。
65歳以上の人口を男女別に見ると、男性は1462万人(男性人口の23.7%)、女性は1921万人(女性人口の29.5%)。1947〜49年生まれの「団塊の世代」の全員が65歳以上になった。
総務省の労働力調査によると、14年の高齢者の就業率は20.8%で欧米主要諸国を上回る。就業者数は681万人で11年連続で増加。そのうち雇用されているのは半数弱の320万人で、パートやアルバイトなど非正規雇用が73.1%を占めている。
日経WEB 2105年9月20日 原文のまま
関連情報:統計トピックスNo.90 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)−「敬老の日」にちなんで− 平成27年9月20日 総務省

★「「健康寿命」日本が首位 男性71・11歳、女性75・56歳 英誌に188カ国調査」(8月28日/産経新聞)
世界188カ国の2013年の「健康寿命」を調べたところ、日本が1位だったとする調査結果を米ワシントン大(西部ワシントン州)などの研究チームが27日付の英医学誌ランセットで発表した。健康寿命は介護が必要だったり、日常生活に支障が出る病気にかかったりする期間を除き、自立して過ごせる期間を示す。
同チームによると、日本の健康寿命は男性が71・11歳、女性が75・56歳で、男女とも健康寿命は1位だった。この年の日本人の平均寿命は男性が初めて80歳を超え、女性は86歳台だった。健康寿命の男女平均で2位は72・1歳のシンガポール。アンドラ、アイスランド、キプロスが続いた。
同チームは1990年のデータも算出。世界では90年〜2013年に、平均寿命が65歳台から71歳半ばまで延び、健康寿命も57歳から62歳台に延びた。背景としてエイズウイルス(HIV)やマラリアなどの感染症対策が進んだことなどを挙げた。(共同)
産経ニュース 2015年8月28日 原文のまま
関連資料:Global, regional, and national disability-adjusted life years (DALYs) for 306 diseases and injuries and healthy life expectancy (HALE) for 188 countries, 1990?2013: quantifying the epidemiological transition The Lancet Published online: August 26, 2015

★「孤立死」の片づけ費用を補償する保険が増加中」(8月7日/Hoken Journal)
高齢のおひとり様の増加で、「孤立死」が増加傾向にあります。特に賃貸住宅のオーナーにとっては大きなリスクで、少額短期保険を中心に備えられる保険も登場。大手損保も備えられる特約などを発売し、今後はさらに広がりそうです。
おひとり様の増加で「孤立死」も増加
内閣府「平成26年版高齢社会白書」によると、65歳以上の1人暮らしの高齢者の数は、2010年に男性約139万人、女性約341万人と、かなりの高水準です。高齢者人口に占める割合は、男性11.1%、女性20.3%で、男性は高齢者の10人に1人、女性は5人に1人がいわゆる高齢のおひとり様と言えます。
30年前は、男性約19万人(高齢者人口に占める割合は4.3%)、女性約69万人(同11.2%)であったことを考えると、高齢のおひとり様が急速に増えているのがわかります。また、今後も増え続けると見られており、2035年には男女合わせて760万人を超える勢いです。その頃には、高齢男性の6人に1人、高齢女性の4人に1人がおひとり様になると予想されています。
高齢のおひとり様が増えるにつれ、社会問題になっているものの1つが「孤立死」です。「孤独死」とも言いますが、公的には「孤立死」という表現が使われています。
「孤立死」とはどのようなものかというと――
脳出血や心臓発作、入浴中の虚血、室内での転倒など原因は様々ですが、突発的な傷病で、誰にも看取られることなく自宅等で亡くなることをそのような言葉で表します。中には、発見が早ければ助かっていたはずのケースや、あるいは亡くなったことが誰にも気づかれず、日数が経過数してから遺体が発見されるケースもあります。社会やコミュニティから孤立することで起きる悲劇と言えそうです。
孤立死が問題視されるようになった後で、国が推進している「サービス付き高齢者向け住宅」は、常駐の介護スタッフによる見守りと生活相談などのサービスが最低でも提供されなくてはいけない賃貸住宅です(中には、「特定施設入居者生活介護」の指定を受け、ケア付き有料老人ホームと同様のサービスを行うところもあります)。
また、一部の自治体が飲料や弁当の宅配費用を補助する形で高齢者の見守りをサポートしたり、宅配業者が家族の依頼を受けて、配達とともに安否確認を行うサービスなども始まっています。
図表 増えるおひとり様

出典:内閣府「平成25年度版 高齢社会白書 高齢者の経済情報」
身寄りがない人が亡くなった後の片づけ
安否を気遣ってくれる家族や親族がいれば、おひとり様でも亡くなった後の葬儀や片づけは誰かがやってくれるかもしれません。「孤立死」の問題をより深刻にしているのは、むしろ亡くなった後に誰も頼れる人がいない場合でしょう。
昨今の「終活」ブームもあって、意識が高い人や資金的に余裕がある人では、「死後事務整理」など事前に業者と契約を結んでおく方法などもありますが、そうした対策もなく身寄りのない人が亡くなった場合、賃貸住宅には次のような問題が残ります。
未納がある場合は家賃の清算
部屋の家財の処分
部屋の原状回復・清掃の費用
部屋で孤立死し発見が遅れた場合などの風評被害
(遺体は警察で監察医によるが検案を受けたのち、遺族に引き渡されます)
実はこうした問題で、現状、リスクを負っているのは賃貸住宅のオーナーと言えます。身寄りがなかったり、たとえ親族がいても絶縁状態だったりして、高齢者が部屋で亡くなって部屋の片づけをする人がいない場合に、次の人に部屋を貸せる状態にしないといけないため、放置しておくわけにはいかないのです。国交省のガイドラインでは、滞納した家賃などは保証人に請求できても、原状回復義務までは難しいようです。
オーナー向け火災保険の特約が増加
こうした「孤立死」の増加に伴い、リスクに備えるための保険や特約が誕生しています。
入居者「孤独死」備える保険
三菱総研が2013年に行った調査では、入居者の孤独死によるや経済的リスクがあるため、管理会社や仲介業者の44%、オーナーの12%が「高齢者に貸さない」と答えた。こうしたリスクに備えるため、4年ほど前に登場したのが、孤独死に備えるオーナー向けの損害保険だ。室内の片づけや修繕にかかった費用などを一定額支払う。
まず、アイアル少額短期保険は、賃貸住宅を4室以上保有するオーナー向けに「無縁社会のお守り」という商品を販売しています。賃貸住宅の戸室内で孤独死や自殺、犯罪死が発生した場合に、部屋を元通りにする原状回復費用として1事故最大100万円が支払われるほか、事故後に空室や家賃の値引きになった場合に、最長12ヶ月間、1事故最大200万円まで補償される、などの補償があります。保険料は、1戸月300円。
こうしたオーナー向けの保険は、ほかにも次のような商品があります。
e-Net少額短期保険「賃貸住宅費用補償保険Re-Room」
少額短期保険ハウスガード「賃貸住宅経営あんしん補償保険オーナーズガード」
「孤独死」費用などを火災保険で補償
MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、10月から、賃貸住宅内での孤独死などに伴う費用を補償する特約を付けた火災保険を販売する。
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、賃貸住宅オーナー向け火災保険に付ける「家主費用特約」を共同開発し新設します。リリースによると、「賃貸住宅内での孤独死や自殺、犯罪死によりオーナーが被る家賃収入の損失や、清掃・改装・遺品整理等にかかる費用を補償」するそうです。該当の部屋だけでなく、上下左右の戸室も補償され、実情に合っています。
損保では初の特約だそうですが、今後、オーナー向け火災保険の特約として広がるのではないでしょうか。
「自分で備える」補償も広がる!?
一方、リスクを自覚しているのは、高齢者本人も同じです。孤立死をした時に周囲に迷惑をかけたくないという思いから保険で備えようという人もいます。そうした人を対象にする保険・特約も増え始めています。
例えば、ジック少額短期保険株式会社では、賃貸住宅総合保険に「孤立死原状回復費用特約」があります。同様に特約で備えられる少額短期保険はほかにもあります。
また、NPO法人「人と人をつなぐ会」が少額短期保険会社のメモリード・ライフと共同で開発した「希望のほけん」もユニーク。死亡保険(無配当災害死亡割増型1年定期保険)に加入することで、いざという時の葬儀や清掃、遺品整理、納骨等の支援を受けられます。見守り機器も有料で利用できます。ただし、更新できるのは90歳までです。
参考
入居者「孤独死」備える保険(YOMIURI ONLLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/life/homeguide/feature/CO016591/20150603-OYT8T50347.html
孤独死」費用などを火災保険で補償(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201506/2015062400702&g=soc
希望の保険(NPO法人「人と人をつなぐ会」)
http://npo-ppj.net/kibounohoken.html
筆者プロフィール

豊田眞弓(写真)
FPラウンジ ばっくすてーじ代表
プロフィール詳細と全ての投稿を見る
Hoken Journal保険ジャーナル 2015年8月7日 原文のまま

★「女性86.83歳で3年連続世界一 14年の日本人平均寿命」(7月30日/日本経済新聞)
2014年の日本人の平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳で、ともに過去最高を更新したことが30日、厚生労働省の調査で分かった。女性は3年連続世界一、男性は前年の4位から3位になり、世界有数の長寿国であることを改めて示した。14年生まれの女性の半数近くは90歳の卒寿を迎えると試算した。
厚労省は「がんや心臓病、肺炎、脳卒中などによる死亡率が改善したことが要因」と分析。医療技術の進歩や健康志向の高まりに伴って「今後も平均寿命は延びる余地がある」(同省担当者)としている。
日本人の平均寿命は戦後、ほぼ一貫して延びており、女性は1984年に、男性は13年に初めて80歳を突破した。14年は13年と比べて、女性が0.22歳、男性は0.29歳延びた。男女差は6.33歳となり、03年の6.97歳をピークに緩やかに縮まってきている。
主な国・地域と比べると、女性は香港の86.75歳をわずかに上回り、3年連続で長寿世界一となった。男性は香港の81.17歳、アイスランドの80.8歳(13年)に続き、スイス、シンガポールと並ぶ3位だった。

厚労省の試算では、14年生まれの子供で、75歳まで生きる人の割合は女性が87.3%で、男性は74.1%。90歳では女性48.3%、男性24.2%になるという。
14年生まれが将来、がん、心臓病、脳卒中のいずれかで死亡する確率は女性47.80%、男性52.20%。仮にこれらの病気で亡くなる人がいなくなれば、平均寿命が女性は6.02歳、男性は7.28歳延びると推定した。
厚労省は平均寿命とは別に、健康上の問題で日常生活が制限されない期間を示す「健康寿命」も算出している。13年は女性が74.21歳、男性が71.19歳だった。
日経WEB  2015年7月30日 原文のまま
関連資料:「平成 26 年簡易生命表の概況」(厚生労働省 2015年7月30日)(pdf100K)
編者:香港人には失礼かもしれないが、なぜ平均寿命がトップなの?ネット情報では要因がよく分らない。

★「東京圏の高齢者、移住支援を=候補は函館、高知など41地域−民間会議が提言」(6月4日/時事通信)
有識者でつくる日本創成会議の首都圏問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相(写真))は4日、1都3県の東京圏で高齢者が急増し、2025年に介護施設が約13万床不足するとの推計をまとめた。これを受け、東京圏に住む高齢者の地方移住を進め、国や自治体に移住費用助成など支援策を強化するよう提言。北海道函館市や高知市、大分県別府市など介護サービスが整う41地域を移住候補地として公表した。
25年には1947〜49年生まれの「団塊の世代」が全て75歳以上となる。埼玉、千葉、神奈川3県を含む東京圏の75歳以上人口は今後10年で約175万人増える。全国の増加数の3分の1を占め、東京圏では十分な介護サービスを受けられない高齢者が生じる恐れがある。
分科会はまず、東京圏全体の特別養護老人ホームなどの高齢者の受け入れ能力を推計。15年時点では約1万床の余裕があるが、25年には約13万床不足、40年には約16万床足りなくなり、深刻さが増す見通しだ。 
分科会は、東京圏での介護需要の高まりを受け、介護人材が地方から東京圏に流入する可能性があると分析。地方では介護サービスが地域の雇用の受け皿となっているだけに、ただでさえ人口が減っている地方の「消滅」に拍車が掛かる恐れを指摘した。その対策として、高齢者を受け入れる環境がある地方への移住を促す支援策の充実などを掲げた。
移住候補として挙げられた41地域は、全国を344の地域に分け、病気やけがの状態が重い患者を対象とする急性期医療や特養などの介護施設の利用しやすさを数値化して選んだ。41地域は県庁所在市のほか、政令市、中核市も含まれ地方の都市部が目立つ。
日本創成会議は昨年5月、全国896自治体が将来「消滅可能性都市」になるとの独自の人口推計を公表。これを受け政府は、地方創生に向けた取り組みに乗り出した。
◇移住候補の41地域(各地域の中心都市)
道府県 各地域の中心都市
【北海道】函館、室蘭、旭川、北見、帯広、釧路
【青 森】弘前、青森
【岩 手】盛岡
【秋 田】秋田
【山 形】山形
【新 潟】上越
【富 山】富山、高岡
【石 川】金沢
【福 井】福井
【京 都】福知山
【和歌山】和歌山
【鳥 取】鳥取、米子
【島 根】松江
【岡 山】岡山
【山 口】山口、宇部、下関
【徳 島】徳島
【香 川】高松、坂出、三豊
【愛 媛】新居浜、松山
【高 知】高知
【福 岡】大牟田、北九州
【佐 賀】鳥栖
【長 崎】長崎
【熊 本】熊本、八代
【大 分】別府
【鹿児島】鹿児島
【沖 縄】宮古島
jijicom  2015年6月4日 原文のまま

★「百寿者調査で分かってきた 知られざる長生きの世界」(4月15日/日本経済新聞)
身の回りに、「センテナリアン」、つまり100歳以上の人はいるだろうか。実は近年、日本では100歳以上の人口が急増している。そんな「百寿者」について、20年以上にわたって研究を続けているのが、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井康通さんだ。
1992年から調査を始め、2000年からは性格や生活環境を含めた「百寿者調査」をスタート。さらに110歳以上の「スーパーセンテナリアン調査」も行っている。「100歳の人が1000人いるとしたら、110歳に到達する人はたった4人。そういった人の100歳のときを振り返ってみると、圧倒的に元気で、見た目も若いという共通点があります」(新井さん)。
健康な状態で長寿をかなえる人は、50代の頃はどのような食生活をしていたのか。「一概にはいえません。100歳の人の現在の食事は歯の状態に影響を受けているし、50歳のときの食事を正確に思い出すのは不可能だからです。そして皆さん、一口に100歳といっても本当にさまざまです」(新井さん)。
共通していえるのは、百寿者には糖尿病と動脈硬化が少ないこと。また、防御ホルモンのアディポネクチンが多く分泌されていること。そして、食べる意欲が旺盛でよく食べ、興味を持ったことに対して前向きで熱心に取り組むことなどが分かってきたという。
「人生70年ぐらいで太く短く生きたい」と思う人もいるかもしれないが、新井さんは「現在は5万人の百寿者も、50年後には50万〜80万人になるという推計がある」と話す。確かに、幼い頃に眺めていた70歳よりも今の70歳は格段に若々しい。「環境が人間にとって快適になり、栄養状態も医療水準も高くなったので、この推計はあながち間違いではないでしょう」(新井さん)。
自分が百寿者になっても元気に生きるために、今すべきことは…。「40〜50代のうちにカロリーコントロールをしてメタボを防ぎ、運動によって筋肉をつけておくことが、人生後半になって効いてきます。認知症やサルコペニア(骨格筋減弱症)予防につながりますよ」(新井さん)。
□センテナリアンの特徴 1:百寿者はこの10年で5倍に

(出典:住民基本台帳)
百寿者は急増している。今から60年前の1950年には全国で100人程度だったが、80年代に右肩上がりとなり、2009年には4万人超え。現在は5万4000人を超えた。男女比では、1対4で女性が圧倒的に多い。百寿者の急増は日本や欧米だけでなく、発展途上国にも共通した現象だそうだ。「栄養状態や社会環境の改善により暮らしやすくなったことや、医療の進歩も、百寿者増加に関わっています」と新井さん。
□センテナリアンの特徴 2:糖尿病患者は少ない。肥満はなし

(出典/Michiyo Takayama, el al.:Journal of Gerontology,2007,774-782.)
百寿者は、病気知らずなのか。都内に暮らす百寿者男女302人を対象に調べた調査では、百寿者のほぼ全員に何かしらの病気があったという。最も多かったのは高血圧で、白内障や骨折、心臓病などと続く。「特筆すべきなのは、糖尿病が6%と大変少なかったこと。70代の糖尿病罹患(りかん)率は20%程度ですから、糖尿病にかからず長生きできている、というのは百寿者の明らかな特徴といえます」と新井さん。また、肥満の人も少ないが、極端な痩せ型もいない。「栄養状態がいいと骨折も少なく、元気に活動ができます」(新井さん)。
□センテナリアンの特徴 3:防御ホルモン「アディポネクチン」が多い
糖尿病や動脈硬化を防御する働きがあるのでは、と注目されているのが「アディポネクチン」という物質。脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの一種で、内臓肥満の人には少ない。新井さんは「百寿者のアディポネクチン血中濃度は、若い年代の2倍」であることを突き止めた。「アディポネクチンは百寿者の体内で病気を防御してくれているのかもしれない。ただ、長寿の人にアディポネクチンが多いメカニズムは分かっておらず、今後調べていく必要があります」(新井さん)。
□センテナリアンの特徴 4:やはり沖縄は強い


(出典/J-M Robine,et.al,Experimental Gerontology,47(2012),660-671.)
2014年、「長寿日本一だった沖縄の平均寿命が女性3位に、男性も30位に後退」と発表された。しかし「70歳だった人の30年後の定住率(=100歳到達率)」という指標で全国都道府県を比較した研究によると、百寿者はダントツに沖縄県が多い。「この研究では都道府県別に、気温や日照時間、標高などの“長寿をつくる環境”を分析しています。1位だった沖縄をはじめ、百寿者が多いのは熊本県や高知県など温暖な地。冬の寒さというストレスが長寿の弊害となることを示していますね」(新井さん)。
□センテナリアンの特徴 5:性格は誠実
百寿者には、性格的な傾向もあることが分かっているそうだ。男女に共通していたのは「誠実性が高い」ということ。「具体的にいうと、決めたことはきっちりやり抜く意志の強さがあるということ。さらに、男性はマイペースでいろいろなものを集める凝り性タイプが多く、女性は外交的で面倒見が良く、新しいもの好き、という特徴がありました」(新井さん)。体にいいと言われる食習慣や運動習慣をこつこつと続けて、自分なりの楽しみを持つ。そんな百寿者像がイメージできる。
□センテナリアンの特徴 6:よく食べる。特に食べるのは果物や甘いもの
百寿者と70歳の人との食事を比較した調査では、体重当たりの摂取カロリーは同等、つまり「百寿者はよく食べる」といえるそうだ。「寝たきりにならず活動レベルが高い人は、栄養素もまんべんなく取っていました。特によく取るのは乳製品や果物、お菓子。これには歯の状態が影響しているでしょう。若い頃よく食べていたものを聞くと、好き嫌いなくいろいろなものを食べてきた人、また野菜や魚を好む人が多いという傾向があります」(新井さん)。
この人に聞きました
新井康通さん(写真)
慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター。慶應義塾大学医学部を卒業後、老年内科に入局。1992年から百寿者調査を始める。超百寿者(105歳以上)調査、長寿同胞調査、長寿家族調査などを進めながら、健康長寿の要因について研究している。
(ライター 柳本操)
[日経おとなのOFF 2015年2月号の記事を基に再構成]
日経web  2015年4月15日 原文のまま

★「インドで子供の世話にならない高齢者が増加」(4月11日/AFPBB news)
【4月11日 AFP】インドの伝統を破り、高齢者ばかりが暮らす村に入居したウシャ・マントリさん(69)(写真左上)。数世代が一つ屋根の下で暮らすというインドの慣習を破りつつある草分け世代の一人だ。
彼女は今、インド西部の山岳地帯で幸せに暮らしている。近くにはヒンドゥー教の寺院もあるし、アーユルベーダのマッサージも受けられる。息子が住むムンバイ(Mumbai)まで車で2時間の距離だ。
「子供には完全に自由でいてほしかったし、私も完全な自由がほしかった」というマントリさんが住むのは、インドで初めて作られた高齢者専用居住区の一つ、「尊厳あるライフスタイル・リタイヤメント・タウン(Dignity Lifestyle Retirement Township)」の中にある自室のワンルームだ。
9年前に入居したマントリさんは、この控えめなリゾートのような複合施設の初期からの居住者だ。今では60人以上の隣人に囲まれている。インド全土でも、同様の引退者向け施設が増えている。インドではいまだ多くの高齢者が子供の家族と同居することを好むが、それ以外の選択肢に対する需要が高まっている。その背景には国が発展し、子供たちが移住したり、平均寿命が延びたりしたことがある。
マントリさんの施設には、共用の食堂があり、警備は24時間体制、医師も常駐している。認知症入居者のための特別棟がある一方、健康な高齢者のために月1回のショッピングや、折にふれてのピクニックも用意されている。
□上昇する従属人口指数
現在、インドの60歳以上人口は1億人を超える。2050年までに3億人以上に増え、全人口の2割を占めるようになると、慈善団体の「ヘルプエイジ・インディア(HelpAge India)」は予想している。このように従属人口指数(生産年齢人口に対し、年少人口と老年人口の合計が占める比率)の上昇に加え、高齢者の購買力が拡大し、高齢者入居施設の需要を押し上げている。
不動産会社ジョーンズ・ラング・ラサール(Jones Lang LaSalle)インド現地法人のコンサルタント、マニシュ・クマール(Manish Kumar)氏(写真右上)によれば、高齢者入居施設の年間需要は現在3万1200戸程度だが、新規計画は1〜1万5000戸で追いついていない。
高齢者はそうした居住区内の不動産を購入するか、あるいはマントリさんのように、一部払い戻し可能な権利金を払った上で毎月の賃貸料を支払う。マントリさんの施設で最も高い部屋の権利金は約350万ルピー(約675万円)で、これは退去時あるいは死去した場合に75%が払い戻される。月額賃料は1万ルピー(約2万円)で、食事代は別だ。
他方、多くの人々は、このような施設に入居する余裕がない。国営老人ホームは環境が劣悪な一方、高齢者が自分の子供に虐待される事件は社会問題化しているという。
さらにインドの高齢者の約90%は、小作農や家族経営の会社などで働いていたために年金が受給されていないと、ヘルプエイジ・インディアのムンバイ(Mumbai)支部ディレクター、プラカシュ・ボルガオンカール(Prakash Borgaonkar)氏(写真右下)は指摘する。政府から生活保護を受けられるのは、貧困ライン以下で暮らす人たちのみ。しかも、たとえ受給資格があっても、容易にはもらえないという。
ボルガオンカール氏は「社会が急速に変化し、家族で扶養するシステムが崩壊しつつあるため高齢者は孤立し、放置されている」と述べ、人口動態の変化にともなった高齢者福祉の政策が必要だと訴えた。(c)AFP/Rachel O'BRIEN
写真説明:左中、左下ともにDignity Lifestyle Retirement Township内。
AFPBB news 2015年4月11日 原文のまま

★「中国は2035年に超高齢社会に突入 養老問題が深刻化−専門家」(3月23日/新華ニュース)
中国は2035年に超高齢社会に入る。その時には全国で80歳以上の高齢者数は6000万人前後と総人口の5%以上を占める見通しだ。また、高齢者用おむつの消費量も乳児用おむつを超える可能性がある。
「中国2049戦略」超高齢課題グループの研究では、超高齢社会に入ったら、経済減速、資産価格の急激な変動、シルバー階層が貧困にあえぎ、高齢者のコミュニケケアを主とし、養老年金の不足分が大きく、医療保険給付金の不足が長期化し、定年退職の延期と高齢者の就職が普遍的な現象になり、高齢者の介護が難しくなるという8つの危機に直面することが分かった。
中国人民銀行(中央銀行)金融研究所の姚余棟所長は超高齢社会が直面する8つの挑戦をまとめた。まずは、経済の潜在的な成長率が下降し続け、需要刺激策の実施に伴い、テコ率も上昇している。第二、資産価格が急激に変動しかねない。そのうち、最も顕著なのは1線、2線都市の住宅価格が経済成長率と人口流動で変動している。第三、シルバー階層の貧困化は中国政府にとっての大きな悩みになり、大量の高齢者、特に農村部の高齢者が高齢化で貧困になる恐れがある。
同時に養老年金と医療保険給付金の不足は超高齢社会が回避できない問題になる。概算では、2050年までに中国の養老年金の不足分は6兆元を超える。姚余棟所長は「高齢者の就業問題を解決し、社会保険給付金に充てられる国有資産の割合を高めるのは養老年金の不足に対処する有効な措置だ」としている。
上記の挑戦に対し、姚所長は「第13次5ヵ年人口発展計画の中で低出産率の目標を放棄するべきだ。なぜならば、現在の出産率は世代交代のペースを大いに下回っているからだ。同時に現有の政府部門の職能転換をも促進し、出産を奨励する財政補助金の支出額を高めるべきだ」と提案した。(翻訳 劉英)
新華ニュース 2015年3月23日 原文のまま

★「世界最高齢の大川さん祝福 5日の117歳誕生日前に」(3月4日/日本経済新聞)
世界最高齢としてギネス・ワールド・レコーズ社に認定されている大川ミサヲさん=大阪市東住吉区=が5日に117歳となるのを前に、小倉健宏区長が4日、大川さんが暮らす区内の特別養護老人ホームを訪れ、花束を手渡して祝福した。
大川さんは「結構なお花だ」と喜び、訪れた家族に囲まれると「あー、幸せ」と笑顔を見せた。ホームは5日に誕生日会を開く予定。
ホームによると、以前に比べて耳が聞こえにくくなり、車いすで廊下を動き回る運動の回数も減った。しかし健康状態は良好で昨夏に細った食も最近は回復している。
大川さんは2013年、114歳の時にギネス社に女性の世界最高齢として認定され、その後、男女を通じた世界最高齢となった。
1898(明治31)年、大阪市生まれ。呉服店の四女で、子ども3人を育てた。〔共同〕
日経WEB版  2015年3月4日 原文のまま

「高齢化率25%を超す 十勝管内全市町村」(1月29日/十勝毎日新聞)
十勝管内市町村の高齢化率(人口に占める高齢者=65歳以上=の割合)は昨年12月末現在で音更町が25%となり、これにより全19市町村で25%を超えたことが十勝毎日新聞社の調べで分かった。今後、高齢化は各市町村でさらに進み、特に帯広市は最も早いペースで率が上昇する見通し。社会福祉関係の費用増大は確実で、超高齢化社会への対応はどの自治体にとっても重要な課題となる。
昨年12月末現在の高齢化率は、住民基本台帳を基に算出した。音更町は住宅団地造成で若い世代の定住が進んでいたことから、管内では最も遅い25%到達となった。町は「何も施策を打たなければ高齢化率は上がる一方」とし、来年度から行う町総合計画の中間見直し作業で、人口減少社会に向けた「地方創生」と併せて議論する方針。
最も割合が高かったのは池田町(38.7%)で、陸別(37%)、豊頃(36.8%)、浦幌(同)の各町が続いた。音更の他、帯広市(25.5%)や芽室町(25.7%)は25%台にとどまった。
2013年3月に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口推計によると、管内は25年にはほぼ全ての市町村で30%に、40年には14町村が40%に到達し、高齢化が一層進む。昨年12月末で率が高かった4町は40年時点でも高く、池田町は50.5%と半数以上が高齢者となる。ただ、多くの町村では今後65歳以上となる現在の40、50代が少ないため、伸び率は大きくはない。
音更、芽室の両町は十勝全体とほぼ同じペースで高齢化率が高まるが、帯広市は急激に伸びる。15年の帯広は26.9%で十勝(29.1%)と2.2ポイントの差があるが、40年には0.1ポイント差の39.8%まで接近する。この期間の増加率は48%と管内で最も高い。
5歳ごとの年齢別でみると、帯広市は現在の40〜50代が全人口の6.5〜7.4%と他町村に比べて多く、今後も高齢者人口を押し上げる。一方、0〜4歳、5〜9歳はともに3%台と少なく、率上昇につながるとみられる。
認知症高齢者や介護が必要な高齢者も増え、医療費や社会福祉関係費用の増大が懸念される。各市町村の担当者は「今、働き盛りの人の生活習慣病予防などに力を入れ、高齢者になっても健康で社会の担い手になってもらうことが重要」(帯広市保健福祉部)としている。(伊藤亮太)
WEB TOKACHI 2015年1月29日  原文のまま


高齢者関連資料


高齢者のための国連原則 (1991年)

後期高齢者医療制度の情報


高齢者のための国連原則 United Nations Principles for Older Persons (1991年)

Independence自立
1. Older persons should have access to adequate food, water, shelter, clothing and health care through the provision of income, family and community support and self-help.
一。高齢者は、所得の保障、家族と地域的支援および自助によって適切な食べ物、水、住居、衣服、保健が受けらるべきである。
2. Older persons should have the opportunity to work or to have access to other income-generating opportunities.
二。高齢者は、働く機会をもち、または所得を伴う他の方法が得られような機会を持つべきである。
3. Older persons should be able to participate in determining when and at what pace withdrawal from the labour force takes place.
三。高齢者は、何時また何処で労働から退くかを決めることに加わることができるべきである。
4. Older persons should have access to appropriate educational and training programmes.
四。高齢者は、適切な教育や研修を受けられるようにすべきである。
5. Older persons should be able to live in environments that are safe and adaptable to personal preferences and changing capacities.
五。高齢者は、個人の好みや変わりつつある能力に相応しいく安全な環境のもとで生活できるべきである。
6.Older persons should be able to reside at home as long as possible.
六。高齢者は、できるだけ長く自宅で生活できるようにすべきである。

Participation
参加

7. Older persons should remain integrated in society, participate actively in the formulation and implementation of policies that directly affect their well-being and share their knowledge and skills with younger generations.
七。高齢者は、社会とつながりを保ち、自分たちの幸せに直接に関係する政策の立案や実行に積極的に関わり、自分達の知識や技術を若い世代と共有すべきである。
8. Older persons should be able to seek and develop opportunities for service to the community and to serve as volunteers in positions appropriate to their interests and capabilities.
八。高齢者は、地域のサービスを受ける機会を求め、発展させることができ、自分達の関心や能力にふさわしい地位でボランティアとして援助することができるようにすべきである。
9. Older persons should be able to form movements or associations of older persons.
九。高齢者は、高齢者の活動を起こしたり、団体を結成できるようにすべきである。

Care
ケア

10. Older persons should benefit from family and community care and protection in accordance with each society's system of cultural values.
十。高齢者は、文化的な価値をもったそれぞれの社会に従って家族や地域のケアと保護を受けるべきである。
11. Older persons should have access to health care to help them to maintain or regain the optimum level of physical, mental and emotional well- being and to prevent or delay the onset of illness.
十一。高齢者は、自らを助けて身体的、知的、情緒的に幸せな最もよい状態を保ち、または再獲得するために、また発病を予防したり遅らせるために保健ケアを受けられるようにすべきである。
12. Older persons should have access to social and legal services to enhance their autonomy, protection and care.
十二。高齢者は、自分達の自己決定、保護、ケアを補強するために社会的、法的なサービスを受けられるようにすべきである
13. Older persons should be able to utilize appropriate levels of institutional care providing protection, rehabilitation and social and mental stimulation in a humane and secure environment.
十三。高齢者は、人間的で安全な環境のなかで保護、リハビリテーション、社会的で知的な刺激を提供する適切な施設ケアを利用できるようにすべきである。
14. Older persons should be able to enjoy human rights and fundamental freedoms when residing in any shelter, care or treatment facility, including full respect for their dignity, beliefs, needs and privacy and for the right to make decisions about their care and the quality of their lives.
十四。高齢者は、なんらかの住居、介護や治療の施設に居る時、人権と基本的な自由を享受できるようにすべきである。これには、高齢者の尊厳、信念、ニード、プライバシーおよび自分達のケアや生活の質について決定する権利への十分な配慮を含む。

Self-fulfilment
自己実現

15. Older persons should be able to pursue opportunities for the full development of their potential.
十五。高齢者は、自分達の能力を十分に発展させる機会を追求することができるようにすべきである。
16. Older persons should have access to the educational, cultural, spiritual and recreational resources of society.
十六。高齢者は、社会の教育的、文化的、精神的およびレクレーションの資源を利用できるようにすべきである。

Dignity
尊厳

17. Older persons should be able to live in dignity and security and be free of exploitation and physical or mental abuse.
十七。高齢者は、尊厳と安全のなかで生き、また搾取や身体的または精神的な虐待のないようにすべきである。
18. Older persons should be treated fairly regardless of age, gender, racial or ethnic background, disability or other status, and be valued independently of their economic contribution. .
十八。高齢者は、年齢、性、人種、民族的な背景、障害、あるいは他の状態に関係なく公平に扱われ、また経済的な貢献に関係なく尊重されるべきである。                                                                 
(訳:三宅貴夫)