認知症の情報(海外)2009年
アルツハイマー病の研究報告書2008年版(12月29日)
モントリオールの警察はアルツハイマー病の人のためのGPS導入の是非について検討(12月21日)
認知機能が低下しているがん患者の予後は悪い(12月14日)
認知症と運転のガイドブック(12月14日)
医療に関する認知症の人の意思決定の能力について(12月14日)
アルツハイマー病の中国人物理学者、ノーベル賞授賞式で受賞(12月11日)
アルツハイマー病の文化的背景についての研究に参加するラテン系アメリカ人(12月6日)
認知症の人にふさわしいクリスマスプレゼント(11月30日)
アルツハイマー病の妻と心中(11月27日)
認知症は低中所得国にとって大きな脅威(11月27日)
認知症の非異性愛者(11月24日)
高齢者介護施設での虐待(11月22日)
がんの夫、認知症の妻と心中(11月19日)
音楽療法は認知機能も改善(11月17日)
病院の貧しい認知症ケア(11月17日)
アルツハイマー病の遺伝子治療の第2相臨床試験始まる(11月16日)
「第7回全国記憶機能スクリーニングデー」を開催(11月15日)
低中所得国における認知症ケアパッケージを提言(11月3日)
アルツハイマー病の発病前の症状(10月13日)
警報システムは認知症の人に必要か(10月12日)
認知症マニフェスト「自分だけで病気に立ち向かうべきではない」(10月8日)
認知症を知ることが認知症の人を助ける鍵(10月8日)
ノーベル賞受賞者がアルツハイマー病(10月8日)
バンガロールでアルツハイー病の人写真展(10月8日)
エイズウイルス認知症の関心が低い(10月4日)
ダウン症に伴う認知症が見逃されている(10月4日)
認知症の倫理的課題に関する報告書(10月1日)
政府がアルツハイマー病協会を助成(9月27日)
認知症の人の介護者は早く死亡しやすい(9月24日)
健康な人への「記憶増進剤」の処方の指針(9月23日)
チェンナイで認知症デイケアセンター開設(9月22日)
アルツハイマー病はまだミステリーだ(9月16日)
認知症の人とコミュニケーションが悪いと身体拘束を招く(9月14日)
「メモリーウオーク」、マサチューセッツ州でも始まる(9月12日)
グループで昔のことを語るのは認知症高齢者の認知機能によい(9月11日)
感染がアルツハイマー病の認知障害を促進(9月7日)
アルツハイマー病の人の高血圧治療で認知機能の低下が遅い(9月7日)
認知症高齢者と介護者の「高齢者ことば」(9月4日)
ヨーロッパの擁護者、アルツハイマー病の人の「絶望的な動画」放映を取り下げさせる(9月2日)
アルツハイマー病の人で高血圧など血管危険因子の治療で進行が遅い(9月1日)
2050年までに認知症の人は4倍(9月1日)
アルツハイマー病の人にもタンゴ(8月31日)
啓発活動を続けたアルツハイマー病協会会長を表彰(8月30日)
悲喜こもごもの負担(8月23日)
アルツハイマー病の死亡率が上昇(8月19日)
アリセプトのジェネリック発売(8月11日)
「シリーズ介護:報酬魅力、家族が同居 韓国の制度、施行1年」(7月30日)
診断や認識が乏しくてアルツハイマー病の人が間違って扱われている(7月27日)
ショッピングモールに認知症デイケア(7月25日)
認知症も対象とした介護保険制度の導入準備(7月24日)
開発を競い合っているアルツハイマー病薬の効果がなく製薬会社に不安(7月20日)
アルツハイマー病薬として期待されている薬の意外な結果(7月15日)
「ソウル型デイケアセンター、きょう47カ所オープン」(7月15日)
緊密な介護関係はアルツハイマー病の進行を遅らせる(7月14日)
アルツハイマー病国際会議2009、ウイーンで始まる(7月12日)
糖尿病薬がアルツハイマー病の治療に効果なし(7月12日)
指圧とモンテッソーリ法で認知症の人の興奮が軽減(7月1日)
軽度のアルツハイマー病の人は大切なことも覚えくい(6月25日)
アルツハイマー病の人の新しい介護冊子(6月24日)
認知症の日系アメリカ人に勧めたい介護(6月18日)
アルツハイマー病のスクリーニングをめざした新しい記憶テスト(6月10日)
台湾アルツハイマー病協会が政府に要請(6月8日)
認知症の診断で自殺が増える(6月3日)
アルツハイマー病に有効な医療食品が発売(6月2日)
サウジアラビアにアルツハイマー病協会発足(6月2日)
アルツハイマー病薬で徐脈、失神(5月31日)
施設における認知症の人の人権擁護を呼びかける(5月28日)
アルツハイマー病の早期発見のための10つの症状(5月17日)
アルツハイマー病協会の5つの認知症対策の提言(5月12日)
「記憶・認知治療の世界市場は2014年に360億ドル規模へ」(5月11日)
認知症予防のサイトを開設(5月6日)
ビタミンEと抗消炎剤とコリンエステラーゼ阻害剤の併用はアルツハイマー病の進行を遅らせる(5月5日)
うねりのような認知症の増加に介護者の増加と地域ケアの充実を(5月5日)
アルツハイマー病の根本治療薬の開発は順調ではない(5月3日)
運動で認知症の人の興奮が少なくなる(4月30日)
「『老人性認知症の基礎知識』 5月2日宮城青葉福祉祭りで講演会」(4月30日)
アメリカ人の半数以上は周囲にアルツハイマー病の人がいる(4月27日)
アルツハイマー病の非薬物療法の長期効果は認められていない(4月15日)
経管栄養が重度の認知症の人に利益になるという証拠はない(4月14日)
アルツハイマー病の免疫療法の第3相臨床試験、一部変更(4月2日)
高齢者に認知障害を起こす薬(4月2日)
認知症の人の死因は気管支肺炎と虚血性心疾患が多い(4月1日)
アルツハイマー病研究者、世界トップ100(3月)
アルツハイマー病について知っておきたい10項目(3月25日)
アルツハイマー病に関する最新の報告書(3月24日)
認知症による死亡が増加(3月23日)
投稿「認知症になったら、薬は無視しよう」(3月19日)
アルツハイマー病の新薬が出ないと悲惨な事態(3月19日)
チャールズ皇太子が認知症について警告(3月17日)
介護施設でパーソン・センタード・ケアは認知症の人の興奮に有効(3月11日)
コリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンの併用療法はアルツハイマー病の症状を遅らせる(3月3日)
全国シルバーアラート法が採択(2月15日)
「認知症国家戦略」最終報告書が発表される(2月12日)
「宮腰講堂を予防医学の拠点に=憩の園=日系社会に福祉広げる=県人会等に活用呼びかけ」(2月11日)
初期アルツハイマー病の高齢者の運転能力は低下(2月9日)
認知症の人の行動の問題で介護者を支援(2月7日)
すべての病院と施設に認知症の専門家を置く(2月3日)
「北欧人ヘビー級元王者のヨハンソン氏死去」(2月1日)
認知症の人の自殺は少ない(1月31日)
介護者への電話支援グループ発足へ(1月23日)
抗精神病薬は認知症の人の死亡率を高める(1月9日)
オバマ新大統領への声明(1月8日)
65歳未満の認知症は7.1万人以上(1月5日)
「上海市、認知症の65歳以上高齢者、推定で19万人」(1月1日)
2009年
★アルツハイマー病の研究報告書2008年版(12月29日/アメリカ)
アメリカの国立加齢研究所National Institute on Agingは「2008 Progress Report on Alzheimer’s Disease: Moving Forward in Discovery」と題するアルツハイマー病の研究報告書2008年版を公表しました。今年の報告書も、同研究所の助成を受けたアルツハイマー病の疫学、原因、診断、治療、予防、介護者支援などの研究成果がまとめて報告されています。今回の特徴として、アルツハイマー病の予防と治療に関する数多くの臨床試験の一覧が掲載されています。なお同報告書の結語では、アルツハイマー病についてはまだ多く知らなければならないことが多いと述べています。
(Alzheimer's Disease Education and Referral (ADEAR) Centerより)
報告書:2008 Progress Report on Alzheimer’s Disease: Moving Forward in Discovery
(pdf1.9M)
★モントリオールの警察はアルツハイマー病の人のためのGPS導入の是非について検討(12月21日/カナダ)
モントリオール警察Montreal police forceは、出歩くアルツハイマー病などの人を保護するのにブレスレット型GPS機器を採用するべきかどうかについて検討しています。今月、モントリオールでアルツハイマー病の女性高齢者が3日間の捜索のすえ雪のなかで死体で発見され、GPSを使えば生きて発見されたかもしれません。この女性は家族の話によれば以前も出歩くことがあったとのことです。
試験的ではあるが、費用対効果を検討してGPSブレスレットが行方不明になるおそれのある人に提供されるべきか、また政府が助成るべきかについてのある程度の結論が得られることになっています。
モントリオール警察の主任警部で広報部長のポール・シャブロPaul Chablo氏(写真左)は、次のように述べています。
「この計画の実施を期待するには早すぎます。検討は3カ月前に始り、結果は来年に公表されるでしょう。最も優先されなければならないのは人間で、できるだけ早期に発見することです。明らかなことですが、税金も正しく使われなければなりません」
いくつかのグループは、この方法への是非を留保しています。驚くことに、モントリオールアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Montrealもその一つです。
協会の教育調整担当者のローラ・ゲルシャニックLaura Guerschanik氏は、「私たちの気にかけているのは、GPSを使用することで安全性への間違った考えによって人間的な接触が必要ないと思われるのではないかといくことで。GPSが役立つ場合もあるしょうが、アルツハイマー病の初期のなんとか自立している人たちにとって、GPSは家族が行っている安全対策の補完にすぎません。アルツハイマー病の人に必要な人間的な接触や管理に代わるものではありません」
協会がまとめた統計によると、アルツハイマー病の人は、行方不明になって12時間以内に発見されないと。死亡や外傷の危険は50%です。
(canada.com December 21, 2009 Montreal police studying GPS for Alzheimer patientsより)
編者:アルツハイマー病の人が携帯するGPSブレスレットの導入について、警察は費用対効果を検討し、協会は人間的接触を重視すべきと述べている。こうした考え方は、わが国には少ないようだ。もっとも、「徘徊対策」に地域の人を取り込んだ活動を行っているところもあるが。
★認知機能が低下しているがん患者の予後は悪い(12月14日/アメリカ)
アメリカのジョージア大学University of Georgiaとフロリダ州タンパにあるモフィットがんセンターMoffitt Cancer Centerの研究グループは、認知症を含め認知障害があるがん患者が、認知障害がなりがん患者と比べて、生存率がかなり低いことを認め、認知症の人にがんスクリーニングや適切ながん治療を勧めていないのではないと主張しています。この研究論文は、医学雑誌Critical Reviews in Oncology/Hematologyの電子版2009年8月26日号に掲載されました。
論文の主任執筆者でジョージア大学公衆衛生学部UGA College of Public Healthの準教授のクレール・ロッブClaire Robb医師(写真左上)は次のように述べています。
「人口が高齢化しがん治療が向上して、今後、認知症とがんをもつ患者をもっと多くみるでしょう。認知症の人のがんをどう治療するかについての腫瘍学臨床医師のガイドラインがありません」
ロッブ医師とモフットの高齢者腫瘍プログラムSenior Adult Oncology Programの研究者は、認知障害のあるがん患者86人と認知障害のないがん患者172人とを比較検討しましたその結果、認知症のあるがん患者は余命が平均4年短いことを認めました。
ジョージア大学がんセンターUGA Cancer Centerの研究員でもあるロッブ医師は述べています。
「この違いの理由ははっきりしません。二つのグループの患者は同じような治療を受け、年齢、がんの型や進行度を同じ条件で生存率の違いが生じているのです。また認知障害のある人たちのあいだでも、軽度認知障害の人と中程度から重度の認知症の人との間では、生存期間がかなり違います。軽度認知障害の人は思考や記憶に問題はあるが一人で生活できます。中程度から重度の認知症の人は最近の出来事を忘れ、自覚が乏しくなり、料理したり適切な衣類を着るといった基本的な日常行為が困難になります。中程度から重度の認知症の人の平均生存期間は8カ月ですが、軽度の認知症の人は4年半です。生存期間が短いからと軽度認知障害の人の治療に反対る人がいますが、53か月、ほぼ4年半は生きることは意味ある期間です」
ジョージア大学とモフィットの共同研究に参加した患者は、認知機能の状態は異なるが同じ治療を受けました。他の研究によると、認知症の人はがんスクリーニングを受けることが少なく、積極的ながん治療を受けることも少ないと報告しています。また別の研究によると、認知症の女性には認知症のない女性よりマモグラフィーをあまり勧めません。さらいある研究によると、認知症の人は、死後に報告された結腸がんが2倍多いのです。乳がん患者の研究によると、認知症の人では外科的に腫瘍を切除する人は52%少なく、放射線療法を受ける人は41%少なく、化学療法を受ける人は39%少ないのです。治療を受けない人が約3倍多い。
論文の共同執筆者のモフィットのマーチン・エクスターマンMartine Extermann医師(写真左下)は次のように述べています。
「私たちの高齢者腫瘍プラグラムでみた認知障害のある人が障害のない人と似た治療を受けたが、治療結果は疫学的結果にかなり異なっているという事実は考えさせられます。この研究にボランティアとして参加した人たちが一般の人たちと異なることを考慮しても、認知障害のある人たちは老年腫瘍学プログラムでの特別な評価や管理によって利益が得られると思われます」
さらにロッブ医師は、述べています。
「重度の認知症の人に積極的な治療を擁護するものではないが、認知障害のあるがん患者が適切な治療を受けられるガイドラインを早急に作るべきと強調したい。人口の高齢化ががんと認知症に影響することを考えると、二つの病気がともにある場合に何が生じるのかあまり注意を払いませんでした。私たちは、これから、こうした事例をもっと見るでしょう。いずれにせよ、私たちの研究がこうした状況の啓発となることを希望します」
(University of Georgiaニュース Dec 14, 2009 UGA Study finds significantly worse outcomes in cancer patients with cognitive
impairmentおよび論文Patterns of care and survival in cancer patients with cognitive impairmentより)
編者:わが国でも認知症もがんも増えるなかで両方の疾患をもつ人も増えているであろうが、データを知らない。両者をもつ人へのインフォームド・コンセント、認知症の人に相応しい治療方法など課題が多いにもかかわらず関心が薄いようだ。なお、この貴重な論文は電子版8月に掲載されたが大学の発表が12月と遅い。
★認知症と運転のガイドブック(12月14日/アメリカ)
70秒に1人、アルツハイマー病になっています。12月6日から12日までの「全国高齢者運転安全啓発週間(National Older Driver Safety Awareness Week)」にあわせ、指導的な研究者が、できるだけ速やかにオープンに話せるようにと認知症の人と家族のための運転に関する作業に参画しました。2005年以降、ハートフォードファイナンシャルサービスグループHartford Financial Services Groupとマサチューセッツ工科大学エッジラボMIT AgeLabとボストン大学医学部アルツハイマー病臨床研究プログラムBoston University School of Medicine’s Alzheimer’s Disease Clinical and Research Programが共同して認知症と運転について介護者が直面している問題にどう対処するかの研究を行いました。
老年学者でハートフォードアドバンス50チームHartford Advance 50 Teamのアシスタント副会長のジョディ・オルシェブスキーJodi Olshevski氏(写真左上)は述べています。
「人に運転を減らしたり止めたりお願いするのはデリケートで、とても感情的なことです。おもに家族は衝突や感情を害することを避けるために、こうしたことについての話し合うことを遅らせます。しかし、話し合うことは親切なことであり、認知症の人にこれから運転をどうするかについて考えさせることになります。車のカギを取り上げるのは最後の手段です」
ハートフォードは、MITエッジラボやボストン大学と共同して認知症のドライバーの危険な兆候を見つける作業を進め、さらに運転に関して自立と安全とのバランスをとる方法を提案しています。以下がその方法です。
認知症の人へ
○ 運転があなたにとってどのような意味を持つのかを友人や家族に語りましょう。
○ あなたに必要なことを満たす移動方法を家族と一緒に作りましょう。
○ あなたの自立と安全のバランスよくする方法としてガイドブック「十字路で(At the Crossroads)」にある「運転に関する家族との合意」といった文書について検討しましょう。
介護者へ
○ 認知症の人に運転しないことで感じることを認めましょう。
○ 運転や移動の必要性について、早い時期に何度も話し合いすことを始めましょう。
○ 軽度の認知症の人の運転を観察してみましょう。
○ 認知症の運転について時間をかけて観察しその行為を記録に残しましょう。
○ 認知症の人と家族で安全でない運転方法も一緒に観察しましょう。
○ あなたなや他の人が認知症の人を乗せて運転する機会を持ちましょう。
○ 家族以外の専門家に頼んで運転の安全性についての質問してみましょう。
○ 地域にある運転評価サービスの情報を得ましょう。
ボストン大学準教授でアルツハイマー病臨床研究プログラムの副所長であるロバート・スターンRobert Stern医師は述べています。
「家族は、常に、必要があって安全に運転したい人のことを尊重したくなります。記憶障害が認知症の初期の症状で困難だからといって、かならずしも安全でない運転をするわけではありません。しかし、明らかなことは、判断や複合的作業の問題、遅くなる反応時間、空間認識の障害、その他認知障害によって、すべての認知症の人がいずれは安全に運転する能力がなくなるのです。」
認知症の人と介護者が安全な運転について重要な決断をするのをサポートするため、ハートフォードとエッジラボはガイドブック「十字路で:アルツハイマー病、認知症、運転のガイド(At the Crossroads: A Guide to Alzheimer’s Disease, Dementia and Driving)」を出版しました。ガイドブックは、どのように運転を評価するのか、よい運転と悪い運転があったことを日付と一緒に記憶する「危険サインワークシート(Warning Signs Worksheet)」も掲載しており、明快で実際的な助言が得られるでしょう。ガイドブックは無料でオンラインwww.safedrivingforalifetime.comからダウンロードできます。このサイトは、衝突の危険性の評価、視覚能力の危険サイン、運転のお楽しみ計画など無料の出版物も提供しています。
エッジラボの研究者のリサ・ダムブロシオLisa D’Ambrosio医師(写真左下)氏は述べています。
「人々は病気の初期には安全性をアピールすることができます。重要なのは、この初期に運転を制限したり止めるときに、どのような選択をするかが有益なのです」
(Medical News 12/14/2009 At the Crossroads: A guide to Alzheimer’s disease, dementia and driving
より)
ガイドブック:At the Crossroads: A Guide to Alzheimer’s Disease, Dementia and Driving(pdf600K)
関連サイト:アメリカ・アルツハイマー病協会のSafety Center
★ 医療に関する認知症の人の意思決定の能力について(12月14日/アメリカ)
イギリスの医療情報サイトのひとつ「精神科タイムズPsychiatric Times」に認知症の人が医療に関する意思決定の能力判定についての論文が掲載されています。日本ではあまり論じることがない、興味ある内容の論文なのでその抄訳を紹介します。
論者はアメリカンのニューヨーク在住の二人の精神科医、アビゲイル・ダーハンAbigail Dahan氏とスペンサー・イースSpencer Eth氏(セントビンセント病院Saint Vincent’s Hospital精神科副科長)です。
論文抄訳はこちら
★アルツハイマー病の中国人物理学者、ノーベル賞授賞式で受賞(12月11日/スウェーデン)
12月10日、物理学者のカオ・クエン Kao Kuen(高錕)博士は、スウェーデンのカール・グスタフ王King Carl Gustafから、特別のはからいでノーベル賞を受賞しました。博士はアルツハイマー病で、メダルと賞金を受け取るために檀上のグスタフ王のところに上がれなかったからです。かわりにグスタフ王が檀上から降りて彼のところに行き、「光ファイバーの父」である博士が数歩前に出て固い握手をしました。
上海生れで76歳の香港中文大学Hong Kong’s Chinese Universityの元学長が、賞を受け取る檀上までの距離を認識できるかどうか主催者が疑たがい、特別のはからいがされたのです。グスタフ王との会釈や握手などの一連の儀式、檀上の椅子に座っているその他のノーベル賞受賞者と1500人の聴衆へのお辞儀を行わないですますことができました。
授賞式の前日、50年間連れ添った妻のグエン・ウオン・メイワンGwen Wong May-wan氏は、博士に代わりストックホルム大学Stockholm Universityで講演したあと、メディアに博士が直接に受賞するだろうと伝えました。妻と子供たちとストックホルムに来ていたカオ博士は、記者たちのまえで興奮して「あなた方がしなければならないことは実践だけです」という余り使われない完全な英文で話しました。授賞式の数時間前、夫はリハーサルをよくできたと妻は述べています。
カオ博士は、ノーベル賞選考委員会が公表しているように、今日のネット社会の基礎を築いた光コミュニケーションに欠かせない光をファイバーで伝えることに関する画期的な業績により物理学賞を受賞しました。賞金は現金で1000万スウェーデンクローナで、その半分をカオ博士が受け取ります。残りは、同じ物理学賞を受賞した半導体とデジタル画像のパイオニア的業績をもつアメリカのウイラード・ボイルWillard
Boyle氏とジョージ・スミスGeorge Smith氏が折半します。
カオ博士は、1979年のエリクソン賞Ericsson Prizeの受賞、および1988年の王立スウェーデン工学アカデミーRoyal Swedish
Academy of Engineering Sciencesの外国会員になる時からして、グスタフ王からは3度目の受賞となりました。
(South China Morning Post December 11, 2009 Kao gets special royal treatment at Nobel awards ceremonyより)
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★アルツハイマー病の文化的背景についての研究に参加するラテン系アメリカ人(12月7日/アメリカ)
ホセ・マリア・バルエルJose Maria Burruel氏(写真左上)は、アリゾナ州フェニックスの郊外で祖母の住いであるドブと排水路の間にあるテントで生まれました。幸い、生まれる時、の黒人医師が診てくれました。当時、近くの白人医師はラティーノLatino(ラテン系アメリカ人)の赤ん坊を診たくなかったのです。教師を引退して84歳になった今、バルエル氏は、ほかのラテン系アメリカ人の医療がよくなるようにと、近くにあるセントヨゼフ病院医療センターSt. Joseph's Hospital and Medical Centerのバロウ神経学研究所Barrow Neurological Instituteのアルツハイマー病研究に参加することにし、友人にも勧めています。
第2次世界大戦の退役軍人でもあるバルエル氏は、次の世代の人たちにとってよりよくするための義務があると述べています。
10年以上、バルエル氏と妻のフランチェス、それに近くの高等学校を卒業した友人が、わかりやすく「エルグルッポEl Grupo」とよぶグループを作り、レストランに集まっていました。(写真)
そのうち、バルエル氏は、グループにバロウ研究所の医師を招待して話を聞き、20人のメンバーがアルツハイマー病研究に参加することを決めました。研究所のレスリー・バクスターLeslie Baxter医師は次のように述べています。
「グループの参加者は研究者に特別の機会を与えてくれます。ラテン系アメリカ人のコミュニティにおいて文化が加齢とアルツハイマー病にどのように影響するかを理解するのに大いに役立ちます。ラテン系アメリカ人がどのように年をとるかについて白人のようにはよくわかっていません」
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、530万人のアメリカ人がアルツハイマー病です。同協会の医学科学担当の専務理事のマリア・カリーヨMaria Carrillo氏(写真左中)によると、約20万のラテン系アメリカ人がアルツハイマー病で、その数は2050年までに600%増えると予測されています。
カリーヨ氏は次のように述べています。
「多くの研究から、心臓血管系疾患、高コレステロール血症、高血圧、糖尿病にヒスパニックHispanics(中南米スペイン語圏系アメリカ人)はとてもなりやすいが、これらの疾患はラテン系アメリカ人にとってもアルツハイマー病の危険因子なのです。ラテン系アメリカ人は平均してアルツハイマー病に7年早くなりやすいのです」
アルツハイマー病とは診断されていないブルエル氏は、年に一度、研究所を訪れ、彼によれば面倒な認知機能のテストを受けています。グループのメンバーのなかには研究に参加するのを躊躇する人いるそうです。
ブルエル氏は、次のように述べています。
「私はそうした人たちに支えなければなりません。確かに、人生の短い終わりの時間を取られるのです。ラテン系アメリカ人は他人に邪魔されるのがとても嫌なのです。聖域である自分たちの人生に侵入してほしくないのです」
全国ヒスパニック加齢委員会National Hispanic Council on Agingのヤニラ・クルスYanira Cruz代表(写真左下)は「多くのヒスパニックにとって病気に関するタブーがあります。家族が認知症と認めることは恥ずかしいことであり、極秘なのです」
受診を勧めたが数年かかり3週間前に義母がアルツハイマー病と診断された神経学者であるカリーヨ氏は次のように述べています。
「否定することで診断が遅れることになります。症状を軽減するかもしれない治療を受ける機会を失うことにもなります。これは文化的な課題です。高齢者がなれるはずの聡明さではないようだというだけで尊敬しないことはありません。彼らは私たちの支配者です」
アルツーロ・フローレスArturo Flores氏( 38歳)は、父のリカルド氏(67歳)を6年前に始まった記憶障害のために無理やり受診させました。次のように述べています。
「私は、医師のところに行きましょうと言って、自分より大きな彼を車に押し込みました。この日まで父はどうもないと言っていたのですが、今は、毎日、入浴、ひげそり、服の着替えを母にやってもらっています」
しかし、リカルド・フローレスの診断の道は長かったのです。ロサンゼルスのニッケルメッキ会社を長く経営していましたが、民間の医療保険に入っていませんでした。リカルド氏をメキシコのティフハナに住む家庭医で神経科医に診せたのですが、仕事のストレスが記憶に影響したのだろうとその医師は助言してくれました。
数か月のち、家族がリカルド氏を医療保険が必要でないロサンゼルスの研究に参加させたのち、アルツハイマー病と初めて診断されました。たまたま、長期入院と詳しい検査が必要となり、今はメディケアで医療を受けています。
バックスター医師は、認知症に対処して家族を助けることになるであろうやり方の受容、忍耐、尊敬についてフローレス氏のようにラテン系アメリカ人の介護者から学ぶことは多いと思っています。
クルス氏は次のように述べています。
「スペイン語による医療情報や文化にヒスパニックに理解あるスタッフがいる高齢者向けヘルスセンターによくアクセスすることによって家族は必要な支援を得ることになるでしょう。推奨されている医療スクリーニングや健康的な習慣を早く始めることで認知症の予防を促すかもしれません」
しかし、バルエル氏は次のように述べています。
「地域の医療を改善するためではあるが、ラテン系アメリカ人が喜んではしない何かの理由がありました。バロウ研究所は研究参加者に死後、脳バンクに献体することを希望しています。そのことで私の気持ちは揺れています。私たちヒスパニックはこのように生まれたようにこの世から離れたいのです」
(USA TODAY 12・06・2009 Latino friends join Alzheimer's study, tackle 'cultural' issueより)
注:ラティーノLatinoとヒスパニックHispanicとの違いがはっきりしないが、前者は中南米系アメリカ人をいい、後者は中南米のスペイン語圏系アメリカ人をいい、後者が狭い概念のようである。記事のような場合、メキシコ系アメリカ人では同じ意味らしい。
編者:多文化国のアメリカではアルツハイマー病など認知症に関しても多文化を考慮したさまざまな取り組みが行われている。
★認知症の人にふさわしいクリスマスプレゼント(11月30日/アメリカ)
この季節にはクリスマスプレゼントを何にしようか考えます。アルツハイマー病など認知症の人に家族や友人は相応しい贈り物は何か悩むことが多いのです。認知症などの高齢者の居住施設を最も多く提供している組織のひとつであるブルックデールシニアーリビングBrookdale Senior Livingは次のような提案をしています。
○ 好きな歌を聴くオーディオセット
○ 大き目の家族写真
○ 認知症の人のそれまでの人生、生活、表彰などがわかるスクラップブック
○ 過去の楽しい家族の様子がわかる写真にあふれたアルバム
○ 認知症の人が特に関心にあることに家族全員が関わった個人的で豊かな生活がつまった思い出箱
○ 聖書、説話、詩の朗読のテープやCD
○ ローション、クリーム、好きな香
○ オルゴール
○ 記憶の写真パッチキルト(参照:.patchworkmemoryquilts)
○ 好きなデザートやご馳走
○ 好きな場所でのゆっくりした散策
○ 地元の教会へ行く
○ クリスマスの電飾を見るドライブ
○ 新しい枕、シーツセット、掛け布団
○ やわらかい肘掛
○ 大きな活字の本
○ やわらかい毛羽立ったナイトウエアーやスリッパ
○ ドアや建物を飾るクリスマスの飾り
ブルーックデイルの認知症ケアプログラム主任のジュリエット・ホルトJuliet Holt氏は次のように述べています。「能力が衰えてもアルツハイマー病など認知症の人は贈り物に感謝し反応するでしょう。提案した贈り物で認知症の人は人生を知り勇気がわくでしょう。休日のあいだに、家族らがよいチャンスを持つことを勧めたい」
(PRNewswire Nov. 30,2009 Gift Ideas for Loved Ones with Alzheimer's/Dementiaより)
★アルツハイマー病の妻と心中(11月27日/イギリス)
今月25日、北アイルランドのファーマナ県で死体で発見された二人の悲劇は前々から計画されていた死であると、息子のジェームス・バーブーJames
Barbour医師が明らかにしました。古典とラテン語の教師であった父親のビルBill氏は近くの湖で死体で発見されましたが、家の勝手口に、二人が「あまりに長生きした」と書かれたノートを残していました。
その前に、母親のアンAnn氏は、かなり進行したアルツハイマー病でしたが、自宅で死体で発見されました。
バーブー医師は次のように述べています。
「母は10年前にアルツハイマー病と診断されました。彼女の母もアルツハイマー病で亡くなっています。母は以前からもし同じ状態になったら、尊厳が失われている状態になることは受け入れられないと父に話していました。母は父に約束したのだと思います。今回起こったことは、何年も前から母によってなかば決められたことです。父の行ったことは、たぶん、いつかは起こることでした。父は彼女なしに生きることにはできないと、最後の役割を実行したのだと強く思います」
BBCのテレビインタビューにバーブー医師は、関係するだろう安楽死が容認されないように要請し、涙を抑えながら、次のように話しています。
「父が一人で事件を起こし、私たちが彼からこの課題を奪うことを恐れて話ができなかったという孤独にいたことを悲しんでいます。母の望みをかなえるように父が行ったのです。暗く天候が悪い日に凍えそうに冷たい湖のなかに父ははまってゆきました」
二人の死亡解剖が行われ夫人は窒息死と、夫は溺死と判断されました。
4人の子供がいる夫婦は、地域でよく知られ、1960代から今の家に住んで地域で広く尊敬されていました。夫はアイルランドの同盟党員として地方政治の関わる優れたサイクリストで、友人によると夫婦を分けることはできないとのことで、街中を二人で自転車を乗っている姿がありましたが、最近、夫人の状態はかなり悪化していました。また家族の友人によるとは、退行性疾患の人の介護の重圧は相当なものであり、夫人は施設介護を受ける状態になっっておりアルツハイマー病の人のための施設もありましたが、入居することは二人にはできなかったのでしょう。
(Belfast Telegraph 27 November 2009 My parents had planned their deathsより)
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編者:またイギリスから認知症介護に関わる夫婦の心中ニュースだ。妻が夫に殺される日本とよく似ている。
★認知症は低中所得国にとって大きな脅威(11月27日/イギリス)
ロンドン・キングスカレッジ精神医学研究所Institute of Psychiatry at King's College Londonのレナタ・ソウサRenata Sousa氏(写真)らのグループは、低中所得国の高齢者の障害についてほとんど研究されておらず、世界疾病負担Global
Burden of Diseaseの推計では視力障害が最も主要な障害とされており、身体、精神、認知機能の慢性疾患の影響の評価と社会人口学的特徴について調べる必要があるとして、今回、中国、インド、キューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、メキシコ、ペルーの7つの低中所得国の11の地域で65歳以上の高齢者15万22人を対象に横断的調査を行いました。
調査では、障害は12項目のWHO障害評価で行い、認知症、うつ状態、高血圧、慢性閉塞性肺疾患は臨床症状から確認し、糖尿病、脳血管障害、心疾患は自己報告の疾患名により、感覚、消化器、皮膚、四肢、関節の疾患の障害は己報告によりました。
その結果、インドとベネズエラの農村地域以外の地域では、認知症が障害のなかで最も重く障害全体のなかで25%を占めることを認めました。これに脳血管障害、四肢障害、関節炎、うつ状態、視力障害、消化器系疾患が続きました。
この結果から研究グループは、低中所得国の高齢者の障害は視力障害ではなく認知症が最大の独立した要因として在り、脳と精神の慢性疾患が最優先課題であることを認めました。障害とは別に、認知症は依存性を高め、介護者へストレスが多く複雑で長期の負担を強いることになり、さらに、高齢化が進む低中所得国では社会的費用は膨大になるとみています。
この論文は、イギリスの医学雑誌The Lancetの2009年11月28日号に掲載されました。
何年もの研究にもかかわらず、医師は、現在、全世界で約3500万人と推計される認知症への効果的な武器を持っていません。アルツハイマー病は認知症の最も多い原因疾患ですが、国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Internationalは、20年後ごとにその数が倍になり、2030年には6600万人、2050年には1億1500万になると推計しています。しかも、低中所得国で大幅に増えます。
(Reuters Nov 27, 2009 Dementia big threat for elderly in poorer nationsおよび論文 Contribution of chronic diseases to disability in elderly people in countries with low and middle incomes: a 10/66 Dementia Research Group population-based surveyより)
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編者:認知症が高所得国だけでなく低中所得国にとっても医療、社会、経済などの最重要課題であることを示す初めての調査論文として貴重である。
★認知症の非異性愛者(11月24日/オーストラリア)
オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Australiaは、このたび報告書「認知症:レスビアンとゲイ‘Dementia, Lesbian and Gay men’」を公表しました。それによるとオーストラリアにゲイ、レスビアン、両性愛者、トランス・ジェンダーの非異性愛の認知症の人が2031年までに3万7000人以上になると推測され、サービス提供者に知られることを恐れ、職員や利用者から否定的な対応を取られるかもしれません。さらに報告書は、ゲイやレスビンは孤立して生きいていることが多く、このためうつ状態や社会的孤立に陥りやすいと述べています。
オーストラリアアルツハイマー病協会のグレン・リースGlenn Rees事務局長(写真左上)は、この分野での研究が欠落していると次のように述べています。
「報告書では、こうした問題が抜け落ちた課題として取り上げることにしました。この分野では、水準の高い啓発、教育、研修が必要でしょう。良いことには、私たちがすべきことが本当に多いということです。たとえば、その人中心のケアに関して、ゲイやレスビアンと話し合うことが多くあると思います」
さらに報告書は、高齢者のケアではパートナーがどちらかの性であると宣言できる包括的なイメージと方法のそった書類を用意すること、またゲイの文学や出版物が
サービス利用者に利用できることも提言しています。
この報告書は、元高等裁判所判事のマイケル・カーバイMichael Kirby氏(写真左下)によってシドニーで公表されましが、この問題を追及してきたオーストラリアアルツハイマー病協会を賞賛しています。
彼は報告書の前書きで次のように述べています。
「認知症やアルツハイマー病の問題に直面し始めたこうした人たちが、オープンにまた半ばオーブンに、恥ずかしくなくまた不当な恐れなく、生きている第一世代の人たちを代表しています。法律の改革が、性的少数派が直面する現在の法的不利益の多くを取り除くために法律の改正が提案され採用されてきましたが、なお差別的態度やいくつかの差別的法律が存在します」
(Australian Ageing Agenda 24/11/2009 Non-heterosexual dementiaより)
報告書:‘Dementia, Lesbian and Gay men’(pdf2M)
報告書で紹介されている事例のひとつ
「何年も一緒の生活してきた二人の女性が介護施設に入所し、カップルとして隣り合わせの部屋に住むことになった。ジーンは認知症で、サリーは在宅で介護を受けていたが、身体的に弱くなった。入所した二人について、ジーンの息子は自分の母はレスビアンではないので別々に住まわせてほしい、またラウンジでは同じテーブルや椅子に座らないようにしてほしいとも望んだ。施設はこの要求に応じたが、二人の女性はとても落ち込み、ジーンはますます混乱し興奮するようになった」
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関連サイト:Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender (LGBT) Support group(Alzheimer's
Society UK)
編者:わが国ではほとんど話題にも問題にもならないが、潜在的にあると思われる課題だ。
★高齢者介護施設での虐待(11月22日/ニュージーランド)
ニュージーランドのブレナムにあるアバーライレストホームAberleigh Rest Homeのレストホーム(注)で女性職員が認知症の人に暴力を振るったと申し立てがあり、警察が調査しています。この施設での最新の事例は、レストホームのおける高齢者虐待ついて保健省Ministry of Healthが現在行っている調査対象の23事例のひとつで、今週、103歳の認知症の女性がベッドに脚を縛れられました。この施設の代表者でニュージーランド高齢者ケア協会New Zealand Aged Care AssociationのCEOのマーチン・テイラーMartin Taylor氏(写真)によると、施設の同僚が、この事実を報告しました。
テイラー氏の話では、この職員は、施設で3年間勤務していましたが、虐待のほとんどは言語的なもので身体的虐待は限られていましたが、一時出勤停止となり、そののち解雇されました。その職員が認知症の人をベッドからの移動を助けるときに行われました。
テイラー氏は、どの程度の暴力かについては述べてはいませんが、申し立てがあったときに、その職員が解雇されていたのは良かったと述べています。
さらにテイラー氏は次のように述べています。
「完全な世界などないことと思います。だれもが弱い高齢者を介護しています。このことを念頭においておくべきです。全国に多くの介護職員者がいるわりには発生率はかなり低いのです。すなわち、3万5000の職員と750の施設があります。これらの介護職員がいつも正しいことを行うとしなければならないのでしょうか。1000人のうち一人が悪いことをしたとすると、1年にたった35事例です」
テイラー氏は、今後の事故を防ぐためにレストホームの入居者への虐待の前歴のある職員の記録を作りたいとのことです。
ブレナムの警察は、10月20日から11月13日まで職員が行った一連の暴力についてレストホームの管理者からの批判を受け付け、取り調らべは続けられていますが刑罰は科せられていません。
(nzherald.co.nz Nov 22, 2009 Abuse claim at rest homeより)
注:レストホーム(rest home)?家庭環境のように自立、プライバシーがある程度認められる。大半が85歳以上の女性。人数により最低1人、呼び出し1人の介護スタッフが常勤。正看護士が週何時間か勤務。(角谷 裕子;オーストラリア・ニュージーランド高齢者福祉比較 静岡福祉大学紀要 第3 号(2007 年1月)(pdf55K)より)
編者:ニュージーランドの施設での虐待の一端を知ることができる記事なので紹介した。同国で高齢者虐待にどのような取り組みが行われているのかよく知らないが(Age Concern New Zealand Incのサイトに情報あり)、参考にした上記の論文は、わが国ではあまり知られていないニュージーランドの高齢者介護について最新の情報を得ることができる。
サイト内関連ページ:高齢者虐待防止
★がんの夫、認知症の妻と心中(11月19日/イギリス)
イギリスのマンチェスターに住むアイリン・マーチンEileen Martinさん(76歳)は認知症で、夫のケネス・マチンKenneth Martinさんが自宅で介護していました。夫は、もと技師で脳血管障害、糖尿病、前立腺がんになり、悩んだ末、子供のそばで生活することにしました。妻は、もと画家で、認知症になり家から外出して夫が探さなければならないことがありました。夫は、「自分ががんで病弱な妻より先に逝って残った子供たちに負担をかけるわけにはいかない。私が逝くときは妻も一緒だ」と言っていました。
55回目の結婚記念日の前夜、自宅で、夫は妻をハンマーで叩き殺し、その後、自分の首を吊りました。
審問の記録によると、介護がとても難しくなっていたのですが、夫は、社会サービスの利用を拒みました。娘のエレーヌ・トンElaine Tongさんは「母はだんだん悪くなっていました。そのため父は気が狂ったのです。私が逝くときはお母さんも逝く、重荷を残すわけにはゆかないとよく言っていました」と話しています。これに対してトンさんは「お母さんの命を勝手にしないで」と反対したのです。
悲劇が起こる前数週間、マーチンさんのもう一人の子供その夫は、毎日、マーチンさんの家に行って家事を手伝い、二人の食事を用意し、入浴の手伝いもしていました。昨年の10月10日の55回目の結婚記念日の前夜、トンさんとその夫が電話をかけても返事がないので、家に行ったところ、二人がガレージで死んでいるのを発見し、死体のそばに遺書がありました。
自殺と違法な殺人についての判決記録によると、副検視官のジョアン・カースレイJoanne Kearsley氏は、家族に次のように述べています。
「ご両親の死は想像し難いことです。あなた方がよく知っている状況に置かれていました。
両親が多くの病気に悩まされていたとき、あなた方は彼らを愛し、とても熱心に世話をさされました。認知症の人の介護は、時に身体的なものだけでなく精神的なものでもあります。ご家族としてあなた方はその場にいて介護されました。悲しいことに、ケネス・マーチン氏は、他人が妻に関わることはできない、かかわるべきでないという間違った信念を持っていてようです」
審問のあと、トンさんは「母と父をなくして本当に悲しい。私たち家族はがんばってきました。母は愛らしい人で、父は人生と戦った古い男性だったのです」と話しました。
(Mail Online 19th November 2009 Cancer-stricken husband killed dementia-suffering wife and then himself 'so she didn't become a burden on family'より)
編者:わが国では少なくない介護心中がイギリスでも起こっていることを知って紹介した。しかしこうしたことは同国では稀なことのように思われる。
★音楽療法は認知機能も改善(11月17日/アメリカ)
介護者は、アルツハイマー病の人が名前や顔がわからなくなったあとも、しばらく音楽を覚え歌をうたうことができることを見てきています。多くの病院やナーシングホームでは、音楽が喜びを与えるとレクレーションとして音楽を利用しています。しかし、音楽はエンターテイメントの価値以上に、音楽を聴くことによって見かけ上失われた記憶を呼び起こしたり認知機能が改善するのを助けるという証拠が増えています。
1995年にニューヨークのベス・アブラハムに設立されたNPOの音楽神経機能研究所Institute for Music and Neurologic Functionの事務局長のコネセッタ・トマイノConcetta Tomaino(写真左上)は、「情緒あるいは聴くというもっとも基本的なことに関わることで退行性疾患であるがゆえに介入できなかった停止した脳の部分に音楽が刺激していと信じています」と述べています。
30年以上、音楽の治療効果について研究してきたトマイノ氏は、在宅のアルツハイマー病の人に音楽療法の利益をもたらすように特別仕様の曲目が入ったアイポッドを提供する新企画を率先して進めています。オペラ、クラッシック、ジャズ、宗教音楽が好きなら、あるいは家族が家で歌ったり踊ったりができるのが好きな、そうした音楽をクリエイトして昔を再体験するのを助けることができるのです。
トママイノ氏は、「認知症の人が音楽療法のあとに認知機能が改善していることをよくみる」と述べています。まだ公表されていない論文で、ニューヨーク州保健局の助成による研究によると、中期から後期の認知症の45人について個別的に音楽療法を週3回、1回1時間で10ヶ月行ったところ、認知機能が平均50%改善しました。研究対象の一人の認知症の人は何ヶ月の間で初めて妻を認識したのです。
音楽療法士で臨床心理士のダビッド・ラムゼイDavid Ramsey氏は、ベス・アブラハムの研究所で週2回、担当し、小グループの患者が親しみのある歌をうったたり踊ったりしています。マルゼイ氏は、時々、歌を止めて歌の空白部分を埋めるようにさせて認知機能を働かせるようにしていいます。親しみのない歌にすぐに親しくなったりして進行したアルツハイマー病の人が新しい記憶を形成する兆候を見ています。
アルツハイマー病の人に役立つだけでなく、何十年の研究のなかで音楽が、未熟児の体重を増やし、自閉症の子供のコミュニケーションを獲得し、脳血管障害の人の言語や運動を改善し、歯科や整形外科での痛みを和らげ、精神疾患の人の不安やうつ状態をコントロールするのを助けてきました。現在、音楽によって心と体をどのようにつないでいるのか、その背景にある脳機能について神経科学者の研究が始まろうとしています。これには新しい治療方法の開発のために音楽療法士との共同研究を計画されています。
音楽の単一の心の中心はありません。脳は音楽のために配線が張り巡らされているようです。こうして音楽を聴くこと、言語、運動などの多様な機能に連携しているのです。しかし、カリフォルニア大学デイビス心と脳センターUniversity of California, Davis's Center for Mind and Brainの認知神経学者のペツル・ジャナタPetr Janata氏(写真左下)は、最近、額の後ろにあたる内側前頭前皮質を音楽、記憶、情緒のハブ的な役割があると確かめました。
学術雑誌Cerebral Cortexのオンラインの2月号に掲載された論文によると、ジャナタ氏は、13人の学生に彼らが8歳から18歳までの時代のトップ100チャートから無作為に選んだ30の歌を聞かせました。同時に、機能性MRIで脳の活動を記録しました。かれらにとって親しくない歌は脳の聴覚経路に反応を起こし、情緒的反応があった歌では脳のほかの部位に刺激を認めました。歌が特別で個人的記憶を呼び覚ますとき、内側前頭前皮質に特別に強い活動を確認しています。同じ内側前頭前皮質がアルツハイマー病の進行によっても最後に脳萎縮の部位のひとつとして以前の研究から確認されています。
ジャナタ氏は、同じ現象が高齢者やアルツハイマー病の人の脳の同じ部位で起こっているかどうかの研究は始めたいと望んでいます。「音楽で活性化された記憶は認知症のような神経疾患をよくしたり、治癒することができないが、親しい音楽を聴くことで、認知症の人の気分、反応、生活の質を有意に改善することがよくできる」と同氏は述べています。
音楽療法は、アルツハイマー病など認知症の人に対して広く試みられていません。マンパワーや資金不足が主な原因です。アメリカにはわずか5000人程度しか音楽療法士はいません。そのため高齢者患者の20%以下の人にしか試みられていません。このため音楽神経機能研究所が患者の在宅での音楽療法を導入させよとしています。
介護者や家族は、家庭でレコード、テープ、アイポッドを使うことができます。研究所は、時代やジャンルによって一定の歌を研究所のサイトwww.imnf.orgから提供しています。しかし、時間がない人ややり方がわからない人には、音楽の好みを回答した質問紙を沿えて研究所にアイポッドを送れば、特別仕様の音楽を記録します。また研究所は、アルツハイマー病のために使ってないアイポッドの寄付を要望しています。
トマイノ氏は、介護者に認知症の人が関心を示すだけ長く音楽を聴くように勧めています。認知症の人はヘッドフォンやスピーカーをとおして一人で聴いたり、友人や家族と一緒に聴くことを望んでいるかもしれません。トマイノ氏は、「音楽で思い出すことについて、親密に手を握ったりしながら一緒に語り合うのもよいでしょう」と述べています。さらに彼女は、音楽が互いに作用して家族全体の巻き込むことも勧めています。子供がドラムをたたき、おじいさんがビッグバンドを聴くというふうに。
音楽療法で起こりうる不都合なことについての注意が必要と、トマイノ氏は次のように述べています。
「歌は、不幸な思い出―愛する人の死や関係が悪くなったことなど―を呼び覚ますことがあります。ワグナーの音楽を聴いてとても緊張したホロコーストの生き残りの人を思い出します。家族がどのような音楽が不適切なのか知らないときは、一般的に親が10代の最もポピュラーな音楽を取り上げるのが安全でしょう。でもその人の10代の音楽はもっとも記憶を呼び覚ましますが、その理由はよくわかっていません」
(Wall Street Journal NOVEMBER 17, 2009 A Key for Unlocking Memoriesより)
編者:音楽療法により積極的な効果があるとの記事で紹介した。でも長期効果はどうなのだろう。
★病院の貧しい認知症ケア(11月17日/イギリス)
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは、イギリスの病院における認知症の人へのケアに関する実態調査を行い、”Counting the Cost”と題する報告書を11月17日に発表しました。
この調査は知症の人の介護者1291人、看護師657人、看護管理者479人からの質問表によって行いました。
その主な調査結果は次のとおりです。
介護者は次のように述べている。
○47%は、入院することは認知症の人の健康に悪い影響がある。
○54%は、入院することは認知症に悪い影響がある。
○77%は、病院の認知症ケアの質に満足していない。
○35%は不満を伝えたが、36%は伝えたいと思ったが伝えなかった。
看護師は次のように述べている。
○34%は、十分な認知症研修を受けていない。
○54%は、認知症研修をまったく受けていない。
○看護師の89%は、認知症の人は尊厳と尊敬をもって治療されていると述べているが、介護者の36%はそうではないと述べている。
○自宅から入院した認知症の人の36%は介護施設へ入所した。
同協会のネイル・ハントNeil Hunt事務局長(写真左上)は次のように述べています。
「認知症の人が病院のベッドの4分の1を占め、認知症ケアの質についてはスキャンダルな多くの事例があることに驚きました。次の10年でさらに100万人の認知症の人が生まれます。国民保健サービスNHSは、認知症を真剣に取り上げ始めるべきです。もし認知症の人が1週間早く退院できれば、少なくとも年間8000万ポンドあるいは多分、数億ポンドの経費が節約できるはずです。認知症の人が病院で悪くなることを止め、介護施設へ退院する頻度を減らして、さらに入院期間を減らすように努めるべきです」
キャスターでジャーナリストでアルツハイマー病協会大使であるアンジェラ・リッポンAngela Rippon氏(写真左下)は次のように述べています。
「認知症の人が入院することがどれほど危なっかしいことか私もよく知っています。私の母は、多くの知らない人々いる奇妙で騒がしい環境のなかで傷つきやすく怯えるのをこわごわ見ていました。多くの認知症の人たちは、適切なケアがなくて食べることも飲むこともできません
。また、尊厳と尊敬をもって治療を受けてはいません。しかし、よい病院では正しい投資と研修によって認知症ケアの質を保つことが可能なことも知っています」
アン・ライドAnn Reid氏(63歳)は、母親が認知症ですが、次のように述べています。
「私の母は病院してすぐに混乱し怯えるようになりました。ある日、職員がベッドにメモを置いていました。それには、『あなたは健康ではありません。病院に居る必要があります。座って、休み、リラックスしてテーブルを叩かないこと』と。でも、母はそのことを理解できません。読むためのめがねを持ってなかったし、2秒後には何もかも覚えていないのです。これには私もとてもびっくりしました。その6ヶ月前に夫が亡くなるまで私は夫を介護していました。彼も病院で貧しいケアを受けました。彼は歩いて入院したのですが10日後には歩けなくなり、ほとんど話すこともなくなりました」
(Alzheimer's Society 17 November 2009 Poor dementia care in hospitals costing lives and hundreds of millionsより)
報告書Counting the cost (PDF)全文600K
報告書Counting the cost (PDF)要約60K
編者:公的病院が中心のイギリスと同じようにはいかないだろうが、わが国の病院の認知症医療、認知症看護はどうなっているのだろう。わが国の介護施設と比べても。
★アルツハイマー病の遺伝子治療の第2相臨床試験始まる(11月16日/アメリカ)
マウントサイナイ医科大学Mount Sinai School of Medicineは、アルツハイマー病の遺伝子治療の初めての第2相臨床試験を行う全国12箇所のひとつです。これはアルツハイマー病の多施設での神経外科的介入試験です。
ウイルスを使った遺伝子の植え込み実験は、神経成長因子Nerve Growth Factor (NGF)を産生するCERE-110の遺伝子を使います。NGFは、自然にある蛋白で脳の神経細胞が生存するのを助けます。CERE-110は、動物実験によると、高齢の猿やラットの脳の退行現象をもとに戻す働きが認められました。CERE-110がアルツハイマー病で神経死が起こる脳のマイネル基底核に直接、神経外科的に注入されます。
動物実験で、NGFはアルツハイマー病で破壊される神経の生存と機能を助けることが確認されています。これらの神経はアセチルコリンという物質を産生し、この物質は記憶や認知機能に重要なものです。この機能改善によってアルツハイマー病の人の記憶の改善につながることが期待されています。
第1相臨床試験は、ラッシュ大学Rush Universityとカリフォルニア大学サンディエゴ校University of California San Diegoで行われ、幾人からのアルツハイマー病の人につい6から12ヶ月の追跡で脳のいくつかの部位の皮質で代謝が増大したことが認められました。さらに臨床試験後の6ヶ月から4ヶ年間の追跡中にCERE-110によると思われる副作用は確認されませんでした。
第2相の臨床試験の参加者は無作為に2つのグループに分けられ、ひとつのグループではCERE-110が注入され、別のグループは偽の手術を行い脳内に注入することはしません。試験が終了して結果がよければ、偽手術を受けた人はCERE-110の治療を受ける資格があります。すべての参加者は、医学的検査、認知機能検査を受けることになっています。さらに、参加者は2年間医師チームによる詳しい観察を受け、長期の追跡も勧められるでしょう。
マウントサイナイ医療センターMount Sinai Medical Centerでは、50歳から80歳で軽度から中等度のアルツハイマー病の4人から6人を受け入れることになっています。詳しくはセンターまで電話でお聞きください。
また、第2相臨床試験については、アルツハイマー病共同研究Alzheimer's Disease Cooperative Study (ADCS) のサイトや国立加齢研究所アルツハイマー病教育情報センターNIA’s Alzheimer’s Disease Education and Referral Center (ADEAR)のサイト で知ることができます。
なおこの研究は、国立保健研究所NIHの国立加齢研究所NIAからADCSへの助成によるもので、CERE-110を開発し提供するセレジーンCeregeneの協力を得て行われるものです。
(Newswise 11/16/2009 Researchers to Test First Gene Therapy For Alzheimer’s Patientsより)
編者:新しいアルツハイマー病治療の研究が具体化してきたが、アルツハイマー病の根本治療というよりは姑息的なアリセプトの薬物治療の外科治療版と位置づけでよいのだろうか。
★「第7回全国記憶機能スクリーニングデー」を開催(11月15日/アメリカ)
記憶に関するスクリーニングの効果や記憶障害の早期発見が有益であることについては多くの研究がされています。アメリカアルツハイマー病財団Alzheimer’s Foundation of America (AFA)は、11月17日に第7回全国記憶機能スクリーニングデーNational Memory Screening Dayを実施します。
全国、2000箇所以上の会場で、無料で守秘の記憶機能スクリーニングが実施され、記憶に関すること、上手な年のとり方、地域的な社会資源についての啓発冊子も配布されます。実施会場は、診療所、高齢者センター、介護施設、Kマート薬局Kmart Pharmacyなどです。有資格の医療専門職が1対1でスクリーニングの検査で5分すませます。開催会場などの情報はサイトwww.nationalmemoryscreening.org をご覧ください。
記憶障害に関心のある人、認知症の兆候を経験している人、家族や友人が変化に気づいている人、アルツハイマー病などの家族歴あって発病の危険があると思っている人、現在と将来の記憶機能を比較したいと望んでいる人たち、記憶機能スクリーニングがふさわしいAFAは信じています。
財団のエリック・ハルEric J. Hall会長(写真左上)は次のように述べています。
「まだ今日もある記憶障害に関するかなりの偏見や否定を打ち破らなければなりません。それは全国的にも、高齢化するベビーブーマーにも特に注意が必要であるというメッセージでもあります」
俳優のヘクター・エリゾンドHector Elizondo氏(写真下)は、母親がアルツハイマー病でしたが、基金の名誉議長であり、アメリカ人にスクリーニングを勧めています。彼は次のように述べています。
「記憶に関心があれば、問題を回避することは自分自身にも家族にもよいことではありません。行動を起こし記憶機能スクリーニングを受けましょう。スクリーニングによって実際に何が起きているかを知り、自分に必要なケアと家族に必要な支援につなげることができるのです」
全国記憶機能スクリーニングデーの期間中、検査を行っている医療専門職は検査結果は診断ではないことを説明し、正常値より低い結果の人や記憶について心配している人に十分な医学的検査を受けるように勧めることにしています。記憶障害のなかには、ビタミン欠乏や甲状腺疾患など治療可能なものもあります。アルツハイマー病ように進行性疾患による記憶障害があります。アルツハイマー病の危険兆候は、人の名前や出来事を忘れる、同じ質問を繰り返す、言葉や書字の能力が低下する、日常的なことで混乱するといったことです。
このスクリーニングデーには、アメリカ神経学会American Academy of Neurology 、アメリカナースプラクティショナー学会American Academy of Nurse Practitioners、アメリカ心理学会 American Psychological Association、全国加齢関係州協会National Association of State Units on Aging、国家加齢委員会National Council on Agingなどの後援を受けています。
昨年の12月に公表した「記憶問題Memory Matters」(pdf600K)と題する報告のなかで、AFAは記憶機能スクリーニングの意義を強調しています。すなわち、今日の研究結果から、クリーニングが健康であることを確認し、上手な年のとり方を推進し、必要あれば適切な医療につなげるための、安全で経費-効果がよい介入方法であるからです。
(Alzheimer's Weekly November 15th 2009 Nov. 17 is National Memory Screening Dayより)
★認知症高齢者への抗精神病薬の使用制限へ(11月12日/イギリス)
イギリス保健省U.K. Department of Healthの委託による報告書によると、イギリスでは認知症の人へ危険な抗精神病薬が多く服用され毎年1800人ほどが死亡し1620人が脳血管障害を発症しています。政府は、11月12日、Zyprexa(日本の商品名:ジプレキサ)、Risperdal(リスパダール)、
Abilify(エビリファイ)、Seroquel(セロクエル)の過剰使用を抑える計画を発表しました。報告書をまとめたロンドンキングスカレッジ精神医学研究所King’s College London Institute of Psychiatryのサーベ・バナージーSube Banerjee教授(写真左上)によると、本来、統合失調症に使用されるこうした薬が認知症の人の問題行動の第1選択として不適切に使用されています。
バナージー教授は次のように述べています。
「イギリスでは、約18万人の認知症高齢者が、毎年、抗精神病薬を服用しています。それによって約20%の症状が改善していますが、3分の2の人ではなんら効果がなく早期死亡、鎮静、筋肉硬直、思考や会話の混乱といった副作用が起きています。こうした薬は、効果のある人にのみが使用されるべきで、しかも短期間、最低量の薬を処方されるべきです。こうした薬は、精神病ではなく認知症の行動・心理症状に使われていることが明らかです。
Haldol(セレネース)やThorazine(コントミン)といった古いジェネリックの薬を同じ作用があります。その結果、問題を解決するために医師はひとつの薬から他の薬に切り替えることができません。こうした方法ではなく、医師は、認知症の人の興奮の原因を確かめたり、状況を改善するといった行動療法などの基本的な技術を重視する必要があります。
多くの場合、睡眠不足、空腹といった簡単な問題が原因のことがあるからです。
イギリス保健省のフィル・ホープPhil Hopeケアサービス大臣(写真左下)は次のように述べています。
「抗精神病薬が認知症の人に日常的に処方されています。こうした薬を減らしてはきませんでした。しかし可能です。バナージー教授の勧告を受けて政府は、ケアの改善や不必要な薬を減らすことため臨床監視官を置く
計画があります」
イギリスアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyのネイル・ハントNeil Hunt事務局長(写真右上)は、次のように述べています。
「 抗精神病薬の化学的拘束のための使用は最後の手段とすべきです。私たちはこれまでこうした根深いケアの文化と手段を持ってしまいました。2005年、アメリカ食品薬品局U.S. Food and Drug Administrationは、抗精神病薬の製薬会社に抗精神病薬明確な注意事項として認知症高齢者に早期死亡の危険性が増えることを薬品梱包箱に記載するように要請しました。その2年後、イギリスで抗精神病薬を服用することで6ヶ月早く死亡するという報告がありました」
アルツハイマー病研究財団Alzheimer’s Research Trustのレベッカ・ウードRebecca Wood事務局長(写真右下)は、次のように述べています。
「抗精神病薬で早期に多くの人が死亡しており、この報告書の発表があまりに遅いのは悲しい。この新しい計画は、不必要な死、あまりに多くの家族があまりに長く影響受けた不正を止める可能性があり、早期に実施されなければなりません」
アストラゼネカなどの製薬会社の広報担当者は、認知症に関連した精神病症状がある認知症高齢者については抗精神病薬が有効だとの証拠はないと述べています。
リスパダールの製薬会社のジョンソンアンドジョンソンの広報担当者は、「認知症高齢者でのリスパダールの効果、耐久性、安全性、危険性については臨床試験で熱心に研究され、その結果、認知症高齢者で死亡率が少し高めるという報告があった」と述べています。
ブリストルマイヤーの広報担当者は、「エビリファイは証拠のある使用法に限り使われることを支持する」と述べています。
イーライリリーの広報担当者は、「ジプレキサは認知症高齢者に有効との証拠はありません。政府が認知症高齢者を守るための適切なバランスを提唱していると理解している」と述べています。
アストラゼネカの広報担当者は、「わが社は認知症に関連した精神病症状の認知症高齢者にセロクエルを使うことを擁護はしません。1997年この薬が使われるようになって以降、全世界で2200万人以上がこの薬を服用した」と述べています。
(Bloomberg Nov. 12,2009 Antipsychotic Drugs for Dementia To Be Curbed in U.K. より)
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編者:わが国でも認知症高齢者へ抗精神病薬が多量に使われているようだ、なぜかこうした議論がない。
★認知症の人の介護家族のインフルエンザ対策(11月9日/アメリカ)
アメリカアルツハイマー病財団Alzheimer's Foundation of America (AFA)は、11月9日、同サイトで介護者向けの以下の20項目のインフルエンザ対策を提案しました。
| 1. 発熱、咳、嘔気、嘔吐、下痢などのインフルエンザの症状に気をつけましょう。 2. 今年は二種類のワクチン―季節型と新型―が必要です。 3. 糖尿病や肺疾患などの慢性疾患を持っている人は新型インフルエンザのワクチンは鼻スプレーではなく注射で受けましょう。 4. 介護者と認知症の人の体温が定期的に計りましょう。認知症の人はほかの人より熱が上がりにくいことも知っておきましょう。 5. 介護者や認知症の人がインフルエンザにかかったらしいと思ったら、かかりつけ医師相談しましょう。 6. 認知症の人の食事や水分摂取の量を観ておきましょう。 7. 介護者か認知症の人がインフルエンザにかかると、二人ともマスクをつけましょう。 8. 介護者がインフルエンザにかかると、解熱剤の服用を止めて24時間、発熱がなくなるまで、ほかの人に介護を頼みましょう。 9. 介護者がよく手を洗い、できるだけ感染が広がらないようにしましょう。 10. 認知症の人の脱水を防ぐため、水分をよく摂っているか、排尿はどうかを観ておきましょう。 11. 計画的に認知症の人が口から十分な水分を摂るように注意しましょう。 12. 医師から勧められたアスピリンなどを服用しましょう。認知症の人は服用を忘れることがあるので注意しましょう。 13. 解熱剤は服用指示あるいは医師の指示どおりに服用しましょう。 14. 認知症の人はインフルエンザにかかったとき、対応が難しい行動をとることもあると予測しておきましょう。 15. 抗ヒスタミン剤などを含む風邪薬は認知症の人の混乱を憎悪させるかもしれません。 16. ペニシリンのような抗生物質はインフルエンザには効きません。インフルエンザの症状の重症化を抑えるかもしれないタミフルについては医師に相談しましょう。 17. 認知症の人がインフルエンザにかかっているとデイサービスに連れてゆかないようにしましょう。 18. 糖尿病、喘息、慢性肺疾患、ステロイド剤服用する病気などほかの病気についても観察しておきましょう。 19. 健康な高齢者でも1週間ほど弱ったり週間も続く慢性的な疲労になることが多いので介護者が病気になったときの交代の人を準備しておきましょう。 20. 認知症の人の介護で直面した多くの困難の際と同じく、インフルエンザの際も献身とユーモアのセンスを持つようにしましょう。 |
(Alzheimer's Foundation of Americaのサイト Flu Facts より)
★介護者が別な相手と付き合ったら不貞か(11月3日/アメリカ)
シッドSidさんは、40年以上妻を愛してきました。離婚するつもりもありません。しかし、70歳代のシッドさんは、マンハッタンの家で1週間に3日だけ妻と一緒に過ごしています。
そのほかの時間は、親しくなった60歳代の別の女性を一緒にいます。彼の成長した子供たちはその女性を好きで、二人の付き合いを認めています(ジットさんの希望で姓は伏せる)。
こうした状況は思っているほど特別なものではないのです。
シッドさんの妻は進行したアルツハイマー病です。このため彼はアルツハイマー病の配偶者を介護している間、自分たちの結婚とは別に情愛を抱く、最近目立つようになった50歳代から90歳代の人たちの集まりに入りました。
介護者は、しばしば厳しい選択に迫られます。それは、結婚外の関係を始めて友人や家族との関係が疎遠になる危険をとる―その場合、自分自身は罪はないの
と言っていますが―か、何年も望まない関係のなかで生きてゆくのかの選択です。こうしことで宗教指導者やカウンセラーらが何を不貞とみなしているかについて考えさられます。
病気の配偶者を介護している支援グループは、結婚のなかで持っていた親しみを回復することを望む人々が増えているとみています。アルツハイマー病協会ニューヨーク支部Alzheimer's Association's New York chapterの副代表のジェッド・レビンJed Levine氏(写真左上)は次のように述べています。
「以前は、この問題について話し合うことはありませんでした。新しい関係を望むことへの戸惑いや罪の意識によるためだと思います。現在は、この問題はもっと多く取り上げられているとみています。アルツハイマー病は深い喪失を経験し、結婚しているパートナーも動揺です。配偶者は、病気の初期には以前からの絆を感じているかもしれませんが、病気が進むと、それは失われてゆきます。セックスといったものではなく、多くの配偶者が失い寂しいく思い、夜一緒に過ごすといった特別な友人関係を求めるようです」
アル
ツハイマー病は、人間から記憶を奪い、人間性が劇的に変わってしまうことが多いのです。おおよそ530万人のアメリカ人がこの病気です。アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、アルツハイマー病の多くは高齢者ですが、10%ほどは65歳未満です。早期発症型のアルツハイマー病が増えていると医師らはみています。平均寿命が77歳を超えているなかで配偶者にジレンマが生まれるのです。
支援グループのリーダたちは、新しい人との関係を持ち始めた多くの介護者を知っています。80歳代のある女性は、グループで会った男性と新しい関係を始め、夫が亡くなったのち、結婚しました。介護者である配偶者は、結婚で誓いを破り、新しい相手を探すことが信念に背いたことになるのではないかと苦しみ悩むことが多いのです。
宗教指導者は、この問題について二つの側に分かれています。
全国統一メソジスト協会United Methodist Churchの高齢者聖職者センターCenter on Aging and Older-Adult Ministries長のリチャード・ゲンツラー・ジュニアRichard Gentzler Jr.氏(写真左中)は次のように述べています。
「私たちは、良いときも悪いときものために結婚の誓いをしたのです。健康なときも病気のときもそれは生きています。妻あるいは夫の痛みを認めはしますが、性的な関係は不貞でしょう」
ニューヨークの改教派ユダヤ教会Reform Jewishの指導者でユダヤ神聖加齢Jewish Sacred Agingと呼ばれるサイトを運営しているリチャード・アドレスRichard Address氏(写真左下)は次のように述べています。
「人類の長寿革命が問題を複雑にしています。私のサイトで『配偶者がアルツハイマー病でも不貞になるのか』という問いかけをしてい
ます。何人かの健康な配偶者たちのカウンセリングをしてきましたが、ユダヤ教の伝統は答えを見つけることに助けになると信じています。私が指導している学生は、聖書によって新たなパートナーを許すのかどうかについてアルツハイマー病をこれに含めることができるか研究をしています」
アルツハイマー病協会のベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真右上)は「非宗教的なグループのリーダが熱心にグループのメンバーに日々これについて考えるように努めている」と述べています。
全国団体の健康配偶者協会Well Spouse Associationの理事の一人であるリチャード・アンダーソンRichard Anderson氏は、「健康な配偶者は、容易にアルツハイマー病の第二の被害者になります。私たちの協会に参加した多くの人たちは燃え尽きています。かれらの人生が少しばかり不安定になったというものではありません。彼らも病気なのです」と述べています。
アメリカの医学雑誌ニューイングランドオブメディスンNew England Journal of Medicineに2006年に発表された論文によると、認知症や精神疾患の人の配偶者は、大腸がん、骨折、心疾患の場合より、この病気の場合のほうが、配偶者は、病人の死後1年以内に自殺することが多いと認められています。
ジョージタウン大学ケネディ倫理研究所Kennedy Institute of Ethics at Georgetown Universityで研究したアンダーソン氏は、「アルツハイマー病は夫婦の要であるコミュニケーションを結婚から奪いってしまう」と述べています。
ニューヨークに住む96歳の老年学者でアルツハイマー病研究者のエンマ・シュルマンEmma Shulman氏(写真右下)は次のように述べています。
「成人した子供は、新しい関係を持つのに最大の障碍になることが多い。子供たちは介護する両親が長く続いてきた結婚を壊してしまうと親を責めるでしょう。普通、この子供の反応は、解決が容易ではない問題に自分たちがなぜ関わらなければならないのかいったもんです。これには親を助けるために自分たちがもっと多くのことができなかったという罪の意識も含む場合があります。また、自分たちがすべての介護の負担を背負ってきたと思いながら、健康な親が新しい関係を求めることに腹を立てるのです」
元建築技師のシッドさんは、「妻の状態がとてもひどくなった後、何年も待った後に、新しい関係を別の人に求めるようになった」と述べています。
彼は、歴史学の教授であった妻が、後にアルツハイマー病の症状とわかった突然示した日のことを覚えています。さらに次のように述べています。
「私たちはヨーロッパのラベンダー畑にいました。香りがとても強かったのですが、妻には何も匂わなかったのです。そのとき彼女は50歳代の終わりでした。それは12年前のことです。私たちは40年以上すばらしい結婚生活を送りました。彼女は私の妻です。彼女が初めてアルツハイマー病と診断されたとき、その現実は受け入れられませんでした。それまで私はいつも問題を解決してきたのです。しかし、このときばかりはできませんでした。
妻をメンタル運動や薬の臨床試験に参加させましたが、すぐに脱落してしまいました」
数年間の介護の後、シッドさんはうつ状態になり身体的にも病気になりました。
またシッドさんは述べています。「そのとき、私は私の人生をこのように終わらせたくないと決心しました。新しい関係は、在宅のフルタイムでの妻の介護を頼むことができたから可能となり、新しい関係は孤立感を少なくすることができました。数年前の支援グループの人たちの当初の反応は恐るべきものでした。『それは不貞です。地獄へ行くことになるでしょう』と言われたのです。しかし、最近は、多くの人が自分たちも親しい人を探していると明らかにするようになりました」
シッドさんの長男は次のように述べています。
「最初、父の新しい友人を知って驚きました。しかし、私もほかの兄弟もその関係を受け入れるようになりました。父は病気でした。精神的にだんだん悪くなったのです。今、父は良くなり、身体的にも変わりました。母に悪い影響がなく、介護を受けているかぎり私は父のことを理解します。私は現実主義者なのですから」
( Wall Street Journal NOVEMBER 3, 2009版 Of Love and Alzheimer'sより)
編者:こうしたことはわが国にもあると思われるが、話題になることはないようだ。
★低中所得国における認知症ケアパッケージを提言(11月3日/イギリスほか)
インターネットの医学学術サイトPLoS Medicineでは、低中所得国における精神、神経、物質依存疾患に関する論文を連載していますが、その第5回として、イギリス・ロンドンにあるキングスカレッジロンドン精神医学研究所保健サービス人口研究部Health Service and Population Research Department, Institute of Psychiatry, King's College Londonのマーチン・プリンスMartin Prince(写真左上)らのグループによる認知症ケアの論文を11月3日に掲載しました。この論文では以下の提言を行っています。
現在、全世界で認知症の人は2430万人いますが、毎年、460万人ずつ増えています。20年ごとに有病率は2倍なり、2040年までに8110万人になると推計されています。このうち3分の2は低中所得国の人たちです。この国々で利用できるサービスは少なく、認知症の認知は低く、治療を求めることも少ないのが現状です。
こうした状況のなかで低中所得国の認知症の対応の基本的目標は、早期の診断ののち、認知症の行動・心理症状に早期に見つけ治療すること、認知機能、活動、幸せを最大限にすること、そして介護者への情報と長期的支援を提供することとしています。持続的で日常的なケアパッケージは、定期的なニーズの評価を伴う診断、身体的健康のチェック、介護者の支援から構成されるべきです。必要があれば介護者の研修と休息、認知症の行動心理症状の評価と治療をも含めます。さらにケアは、協同的ケア体制のなかで研修を受けたケアチームによって提供され、実践に基づく協力と地域に出る持続的なケアがあるべき姿の基本です。また低中所得国におけるケアの効果的提供は、他の慢性疾患や高齢者や障害者の地域プログラムと連携した認知症ケアとすべきです。
この論文は、マーチン・プリンスのほかに、ドミニカ共和国の国立ペドロエンリケスウレーニャ大学Universidad Nacional Pedro Henriquez Urena (UNPHU)在籍で国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease International議長のデイジ・アコスタDaisy Acosta(写真左中),ブラジルのレネ
ラチョウフィオクルス研究センターCentro de Pesquisa Rene Rachou/Fiocruzのエリコ・カストロコスタErico Castro-Costa、イギリスのスコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer Scotlandのジム・ジャクソンJim Jackson(写真左下)、インドのツリスール医科大学Medical College, ThrissurのK.S.シャジK. S. Shajiが共同執筆者です。
(PLoS Medicine November 3, 2009 論文Packages of care for dementia in low- and middle-income
countriesより)
編者:プリンス教授らは、これまで世界の低中所得国のおける認知症の疫学的研究を行ってきた。そうした研究と実践に基づき、低中所得国での認知症対策の基本を提言してもので,今後の議論の貴重なたたき台と言える。
★貧困な農村地域の認知症高齢者は肺炎やインフルエンザによる死亡が多い(10月27日/アメリカ)
アメリカのタフツ大学医学部Tufts University School of Medicineの公衆衛家庭医学科Department of Public Health and Family Medicineのエレナ・ナウモバElena N. Naumova教授(写真)らのグループは、アメリカの地域別の認知症高齢者の肺炎やインフルエンザによる入院を比較分析したところ、農村、貧困、医療への困難なアクセスがインフルエンザの有病率や死亡率を有意に上げている要因と認めました。この調査論文はアメリカ老年医学会の雑誌Journal of the American Geriatrics Society.の電子版2009年10月26日号に掲載されました。
ナウモバ教授らの研究グループは、アメリカの医療保険のメディケア・メディケイドセンターCenters for Medicare and Medicaid Servicesの記録から、アメリカ在住の65歳以上の高齢者の95%以上にあたる人口について、1998年から2002年までの5年間、肺炎とインフルエンザに罹患した627万7684人(このうち80万人以上に認知症を認める)の記録から入院率、平均入院期間、入院中の死亡率、および郡別の高齢者密度、ナーシングホーム入所者の割合、一人当たりの平均所得、農村傾向指標で比較分析しました。
その結果、農村であり貧困な郡ほど、肺炎とインフルエンザの罹患率が高いが、認知症高齢者ではインフルエンザの診断頻度が低く、入院期間が短く、死亡率が全国平均より1.5倍高いことを認めました。
この調査結果についてナウモバ教授は、次のように述べています。
「インフルエンザで入院した認知症高齢者の死亡率が高いのは、医療および医療サービスへのアクセスが不適切なためでしょう。インフルエンザがかなり流行している時期の認知症高齢者のワクチン接種、検査、治療のガイドラインを改善すべきだ。認知症高齢者は、認知機能が低下してインフルエンザの早期診断や治療のための障碍になっています。認知症高齢者は、症状を伝えたることが困難だったり、不適切な口腔管理や嚥下障害による合併症を持っています。さらに、医療へのアクセスが容易ではなく、不適切な検査で死亡率が高くなり、インフルエンザの診断が少なくなると思われます。地理的な分析をすると、肺炎とインフルエンザは貧困で農村地域の高齢者に多く、この地域では医療機関が少ない。特別な医療サービスへのアクセスが制限されてインフルエンザの診断や治療が遅れ結果的に高齢者の死因の第5位にある肺炎を合併します。この研究結果から、認知症高齢者への検査と予防接種の効果のあり方についてのさらなる研究が必要です」
(scienceblog October 27, 2009 Older patients with dementia at increased risk for flu
mortalityおよび論文Pneumonia and Influenza Hospitalizations in Elderly People
with Dementiaより)
編者:これは公的医療保険や公的医療機関が少なく、かつ広大な国土のアメリカでの話ではあるが、わが国での農山村、離島などではどうであろうか。また、認知症高齢者へのインフルエンザ対策が差別的に行われてはいないだろうか。
★「上海市で初めて認知症の高齢者を受け入れる老人ホーム 」(10月26日/中国)
上海市ではじめての認知症の高齢者を受け入れることができる「老年痴呆照料中心」が登場した。この施設は、オランダのシステムを導入し、上海第三社会福利院に登場した。250人の高齢者を収容でき、高齢者2人につき1人の看護担当者がつき、24時間の介護が行われるというもの。今まで、こうした中程度以上の認知症の高齢者を収容できる施設が上海になかった。
上海では、65歳以上の高齢者では認知症の発病率が年間1.4%といわれている。今までは、精神科医院などに入院させられていた。ただ、数が少ないため、十分に対応できる状態ではなかった。
(上海エクスプロア 2009年10月26日 原文のまま)
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★アルツハイマー病協会が居場所確認の「安全地帯」サービスを始める(10月22日/アメリカ)
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationはアルツハイマー病の人の居場所を確認する「Comfort Zone(安全地帯)」サービスを始めました。
アルツハイマー病協会の「安全地帯」サービスは、GPSによる居場所情報サービスを提供しているオムニリンクOmnilinkと提携したアルツハイマー病の人向けの居場所情報サービスです。これによって、地域でアルツハイマー病の人がより自由、自立して生活を営むことができ、家族にも安心をもたらされるでしょう。
「安全地帯」サービスは、家族が選んだコースによりますが、どのような認知症の状態でも20分から30分以内にアルツハイマー病の人の居場所を確認できるインターネットを利用したシステムです。「安全地帯」サービスでは、毎日24時間体制のセンターが家族を支援し、緊急のときはメディクアラートMedicAlert Foundationからの医療情報も提供されます。また家族自身が自分のパソコンで居場所を確認することもできます。
アメリカの530万人のアルツハイマー病の人の安全への関心は緊急の課題であり、同時に安全は1000万人の介護家族にとって大変な負担とストレスになっています。
アルツハイマー病協会の家族情報サービス部長で医療ソーシャルワーカーのベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真上)は次のように述べています。
「アルツハイマー病の増加は早く、アルツハイマー病協会は、アルツハイマー病の人ができるだけ長く地域でよりよく生活できるように家族に教育を行ってきました。さらに「安全地帯」サービスは、アルツハイマー病の人がより活発に生活できるように、また家族が同じ家に、通りに居ようが、仕事中であろうが、別の国に住んでいようが、安心できるようにするための相互的な安全サービスです。
「安全地帯」サービスは、最新のテクノロジーを駆使し、家族が機器を選択し、アルツハイマー病の状態と追跡の必要性に応じて柔軟に利用できるようにしたものです。GPSと携帯機能でオンラインで居場所を特定できる「安全地帯」サービスは、どの家族もアルツハイマー病の人の居場所をよりよく知ることができます。家族はメールと同じようにパスワードでインターネットを利用して居場所を知ることができます。携帯機器や利用サービスのコースにもよりますが、アルツハイマー病の人があらかじめ指定していた地域の外に出ることがあれば、15分か30分以内にメールで警告を受けることができます。病気の進行に応じてサービス内容を変えることもできます。さらに、1時間に2分ごとに最新の居場所を家族が知るサービスもあります。
オムニリンクのCEOのウエイン・ケラムWain Kellum氏(写真下)は次のように述べています。
「オムニリンクは、アルツハイマー病協会と「安全地帯」サービスを運営することをうれしく思います。家族に多様なサービスを提供し病気の進行に応じて選ぶことができる居場所確認サービスを利用できるようにしました」
アルツハイマー病協会の初期アドバイザーでアルツハイマー病でもあるビル・バイレイBill Bailey氏と妻のキッティ・ケネディKitty Kennedy氏は、バージニア州リッチモンドで「安全地帯」サービスを試してみました。バイレイ氏は、熱心な助言者ですが、アルツハイマー病と診断されて初めて義理の兄弟と600マイル(約970キロ)をバイクで移動してキャンプを楽しみました。同氏は、「妻が私を追跡しているので行方不明にはならないとますます確信した」と語っています。妻のケネディ氏は「介護者として、たとえ私が仕事をしていても用事をしていても休んでいても、ビルが自由にまた安全に移動できることが知って、このサービスが安心を与えてくれています。後ろポケットにある「安全地帯」は私たちに多くの時間と自立を与えてくる」と述べています。
カルマイヤー氏は次のように述べています。
「かっては、居場所探しサービスと機器は、扱いにくく、複雑で、とても高価でした。技術の進歩で、こうした問題が解決されて、個人用で、簡単で、家族でも入手可能となりました。「安全地帯」サービスは、簡単な操作で利用できます」
「安全地帯」サービスパッケージの利用料は、ほとんどの携帯電話で月額42.99ドルおよび緊急時料金45.00ドルからです。
(PRNewswire Oct 22, 2009 Alzheimer's Association Launches Comfort Zone(TM), The First Comprehensive Location Management System Designed For People With Alzheimer'sより)
アルツハイマー病協会のComfort Zone のサイト
編者:わが国ではGPS機能付きの携帯電話で認知症の人の居場所を確認でき、これを自治体のサービスとしてはあるが、多くは民間の有料のサービスを家族の判断で利用されている。これに対して「安全地帯」サービスはアルツハイマー病協会の有料のサービスではあるが、家族自ら探すことができ、またサービスセンターを通しても利用でき、インターネットに利用が苦手な家族も利用できるという利点がある。さらにComfort Zoneの狙いは、全国くまなく、さらには国を超えて利用できあるサービスであり、同時にアルツハイマー病の人ができるだけ長く地域で活動的に安全に生活できる支援としていることである。アルツハイマー病協会がこれまで提供してきた「安全帰宅」(Safe Return)より、リアルタイムでより有効な追跡機能であり、単に「徘徊高齢者」の安全と保護のためだけではない、より積極的なサービスの位置づけをしている。
★コリンエステラーゼ阻害剤を1年間服用していたのは半数(10月18日/カナダ)
カナダのトロントにある分析グループGroupe d'analyse, Lteeの医療経済や医療政策の専門家であるフランシス・ベクマンFrancis Vekeman氏らのグループは、経口のコリンエステラーゼ阻害剤の服用状況について調べました。
メドステイトMedStateのマーケットスキャンMarketScanのデータを利用して2004年1月から2008年6月までの間にコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル(アリセプト)、リバスチグミン、ガランタミンを処方された1万7717人について調べました。調査期間中に、1万5008人がドネペジル、1480人がガランタミン、1240人がリバスチグミンを最初に服用開始していました。1年後に服用を続けていたのは49.9%で、1種類だけに限定して服用していた人は45.9%でした。このうち3370人が調査期間中のある時期に抗精神病薬も処方されていました。さらに1年間に30日以上休むことなく服用している完全な服用者は36%でした。さらに2年後でみると20%でした。
調査結果について、ベクマン氏は、「この調査は、処方箋による請求内容に基づくもので、アルツハイマー病の人が実際に服用していることを保障するものではないという調査の限界があります。また処方箋請求の診断病名が正確であるという保障もありません。さらに病気の重症度についての情報を得ることもできませんでした」と述べています。
この調査結果は、10月11日から14日までアメリカ・バルチモアで開催された第134回アメリカ神経学会American Neurological Association (ANA)の年次大会で報告されました
発表論文のタイトル:Compliance, Persistence, and Outcomes in AD Patients Treated With Oral Cholinesterase Inhibitors
(Doctor's Guide October 18, 2009 Half of Patients With Alzheimer's Disease Adhere to
Cholinesterase Inhibitors After 1 Year: Presented at ANAy
おり)
編者:わが国でのアリセプトの服用状況についてのデータを知らない。
★ナーシングホームでのアルツハイマー病の人の終末期ケア(10月14日/アメリカ)
アメリカのボストンにあるヘブライシニアーライフ加齢研究所Hebrew SeniorLife Institute for Aging Researchの緩和ケア研究部長のスーザン・ミッチェルSusan L. Mitchell医師らのグループは、アルツハイマー病が終末期疾患として認識されず、ナーシングホームで進行したアルツハイマー病の人の経過についての報告が少ないと、「終末期の進行した認知症のケアへの態度と方法Choices,
Attitudes and Strategies for Care of Advanced Dementia at the End-of-Life(CASCADE)の一環として実態調査しました。
調査グループは、ボストン地域の22のナーシングホームに居住する重度の記憶障害、家族の顔を認識できない、わずかの単語しか話せない、寝たきり状態、全介助、完全失禁といった進行したアルツハイマー病の人323人について本人と家族などの医療代理人について18ヶ月追跡しました。入居者の生存状態、合併症、症状、治療についてデータを集め、代理人の進行した認知症の入居者の予後や予測される合併症の理解の程度についても調べました。
18ヶ月の追跡期間中に177 人(54.8%)の人が亡くなりました。この間の主な症状として、肺炎が41.1%、発熱が52.6%、摂食障害が85.5%に認められました。またこの間に、呼吸困難、疼痛、誤嚥、褥瘡などの苦痛を伴う症状を多く認めらました。生存最期の3ヶ月間、居住者の40.7%に、入院、救急外来、点滴などの非経口的治療、経管栄養など不愉快な介入がありました。進行した認知症の予後がよくなくことや合併症についてのよく理解をしている代理人の場合の方が、理解が乏しい代理人の場合より最期の3ヶ月間の不愉快な介入が少なかった。
この調査論文は、アメリカの医学雑誌New England Journal of Medicine10月15日号に掲載されました。
この結果について、ミッチェル医師は次のように述べています。
「認知症が進行したときに予測されることについて理解の乏しい医療職から家族への不適切な説明があり、そのことから認知症の人が不必要な苦しみを味わうようです。これは不適切な説明を受けた家族が、経管栄養や抗生剤治療のための入院など積極的治療を受けることを求める傾向があります。ゆっくり家族に説明し、予後や経過についてよりよい理解を持つことができれば、認知症の人がこうした苦痛を伴う介入を受けることが少なくなるでしょう。アルツハイマー病は終末期的疾患です。その病気で死を迎えつつある多くのアメリカ人がもっぱら症状を和らげことを重視する質の高い緩和ケアを受けられるようにすべきです」
(論文The Clinical Course of Advanced Dementia、Reuters October 14, 2009 Aggressive Treatments for Frail Elderly Questioned、Hebrew SeniorLife Institute for Aging Research ニュースリリース 14-Oct-2009 Institute for Aging Research study says dementia
is a terminal illness AP 10/14.2009 Studies: Some nursing home elderly get futile careより)
編者:アメリカのナーシングホームの現状も考慮しなければならない論文だが、認知症の終末期医療については多面的な検討が必要だ。延命が一概に、よくない、不愉快な介入とは言えないと思う。終末期には本人の思いと家族らの思いも考慮しなければならない。やや古いが編者の論文「終末期痴呆の医療に関する意思決定-患者と家族の関係-」(1999年)と「痴呆性老人のターミナルケアとQOL」(2000年)も参考になるだろう。
関連サイト
★アルツハイマー病の発病前の症状(10月13日/アメリカ・イギリス)
アメリカのカンサス大学心理学部Department of Psychology University of Kansasのダビッド・ジョンソンDavid Johnson氏 (写真)らのグループは、セントルイスにあるワシントン大学医学部Washington University School of Medicineのアルツハイマー病研究センターAlzheimer Disease Research Centerを利用する人で追跡中に認知症になった134人と認知症にならなかった310人について、4つに認知機能―全般的機能、言語記憶、空間視覚機能、作業記憶―について比較しました。
その結果、認知症になったグループでは、認知症の診断1年前に言語記憶と作業機能の低下を、2年前に全般的認知機能の低下を、3年前に空間視覚機能の低下を認めました。なお認知症の診断については死後剖検でアルツハイマー病と診断されて人は44人に限られていました。このことから研究グループは、アルツハイマー病の発病前の判断方法として空間視覚検査を重視することを提案しています。
この研究論文はアメリカ医師会の神経学雑誌Archives of Neurologyの10月12日号に掲載されています。
空間視覚機能とは、対象間の距離を判断する機能で、地図を読んだり、ジグソーパズルを完成させる認知機能のひとつです。アルツハイマー病の効果的な治療には発病前の介入が不可欠とされています。イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの研究部長のスザンナ・ソーレンセンSusanne Sorensen医師は「この研究はアルツハイマー病の症状がそろう前に脳の変化が始まっていることを裏付けるものですが、早期診断の技術を改善するためにもっと研究が必要だ」と述べています。
(BBC 13 October 2009 Memory not first Alzheimer's signおよび論文 Longitudinal Study
of the Transition From Healthy Aging to Alzheimer Diseaseより)
編者:アルツハイマー病は、症状がそろう前数年から10数年前から脳内の変化が始まっており、将来、アルツハイマー病の効果的治療には発病前介入が欠かせないと言われています。アルツハイマー病の発病前の状態を把握する方法が、画像、血液など多分野の研究が行われていますが、心理検査もそのひとつで今回の報告はこの分野で示唆を与えると考えられる。
★警報システムは認知症の人に必要か(10月12日/アメリカ)
アルツハイマー病協会ニューヨーク市支部New York City chapter of the Alzheimer’s Associationによると、アルツハイマー病など認知症の人が少なくとも毎年、市で300人が行方不明になっています。
2006年2月、ジョン・F・ケネディー国際空港John F. Kennedy International Airportである男性が行方不明になった事件はよく知られています。その男性は、エドアルド・サーティルEdouard
Certilさんですが、数日後、ブルックリンで発見されました。彼は風雨にさらされていたので病院で治療を受けていたところ、病院のスタッフがテレビをみて通報したのです。また、ある夏のこと、アッパーイーストサイドのアパートから12時間行方不明になった女性がいました。こうした事件は、時間との戦いで、アルツハイマー病協会によると24時間以内に見つからないと安全に発見される可能性は半分になるそうです。
こうしたことから、地域、州、国レベルでの全国的なシルバーアラーSilver Alertと呼ばれている全国的なアンバーアラートAmber Alert方式(注)の構築への要望があるのです。シルバーアラートは、アルツハイマー病など認知症の人を州を越えて助けようとするもので、警察関係部署、メディア、病院、死体公示所などの機
関に公表されることになっています。
1990年半ばから、ニューヨーク市支部はアルツハイマー病などの認知症のニューヨーカー1万3000人の登録制度を行い、市の警察局と密接に働きかけ認知症があるとわかっている人が行方不明になる事件に特別な関心を持たせました。2000年頃、行方不明の人を最後に目撃した近所に聞いて回るといった活動も含めた特別な対策を警察との協定事項に盛り込みました。支部によるとこのシステムに登録された人の99%は、最終的には安全に発見されています。ただし、登録されていない人の場合の割合はわかりません。
ニューヨーク市は交通の中心地であり、さまざまな交通手段でかなりの遠方から認知症の人が来ることがあります。支部の副代表のジェッド・レビンJed Levine氏(写真左上)は、「私はプエルトリコから来た人を見つけたことがあります。どのようにしてニューヨークに来たのかわかりませんでした。その人は、飛行機で来たのでしょう。ニュージャージやコネチカットから来た人もいました」と述べています。
高齢関連州全国協会National Association of State Units on Agingは、この問題についての報告書を公表しましたが、この連合によると、フロリダ、ジョージア、ノースカロライナ、ミズリーを含む少なくとも15州―ニューヨーク州は含まれていない―は、認知症の人に対する特別なシステムを持っています。
今年2月、連邦議会は、全国規模の同様のシステムを連邦政府に要請することを可決しました。その後、ニューヨークの民主党上院議員のチャールス・シュマーCharles
E. Schumer氏(写真左下)を含む何人かの議員がこの法案を支持する署名をおこなっています。また、シュマー議員は、最近、シルバーアラート法Silver
Alert Actとして知られている法案の共同提案者にもなりました。
この法案は、現在、上院司法委員会で検討されています。司法省は、4年間で1600万ドルを要する制度を進めることになるでしょう。
「これは簡単で安く、人を救うのです」とシュマー議員は述べています。議員は、ロックランドなどのニューヨーク州内の地域レベルで起こっている活動に啓発されてこの問題に関心を持つようなりました。
しかし、全国協会の調査によると、多くの州で、シルバーアラートが過剰に使われたり、乱用されたりしています。これに関連して、ニューヨーク州前知事のジョージ・パタキGeorge E. Pataki氏は、2003年、ニューヨークシルバーアラー法を、警報が普通になりすぎることを恐れて拒否した経緯があります。
(NYT October 12, 2009 “Is an Alert System Needed for People With Dementia?”より)
注:子供の誘拐に対して、警察関係、放送局、交通関係などが緊急に対応する自主的な連携システム
関連資料:National Association of State Units on Aging SILVER ALERT INITIATIVES IN
THE STATES Protecting Seniors with Cognitive Impairments 3/13/2009(pdf140K)
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編者:わが国の認知症対策として、徘徊高齢者早期発見システムが市町村レベルでは散在するが、アメリカのように全国を網羅するシステムが必要だ。
★「自分だけで病気に立ち向かうべきではない」(10月8日/イギリス・スコットランド)
今週、イギリスのスコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer’s Scotlandは、「認知症マニフェストDementia Manifesto」を公表し、スコットランド政府が次の5年間にアルツハイマー病のよりよいケアのために1500万ポンドを支出する必要があるとしています。
アルツハイマー病協会によると、スコットランドの全死亡の4分の1は認知症により、認知症は7万人の人とその家族に影響を及ぼしています。その数は、20年以内にほぼ2倍になります。現在この病気で、毎年、スコットランドで17億ポンドが支出されています。
認知症の人や家族との話し合いに基づいて作成されたマニフェストの主要な要求は、認知症と診断されたときに本人や家族らを助けるためにもっと多くのことをすべきということです。「自分だけでこの病気に立ち向かうべきではない」とマニフェストには訴えています。このマニフェストは、来春、スコットランドで初めて出される「スコットランド認知症戦略Scottish
Dementia Strategy」に反映させることが目的です。
マニフェストの主な内容は以下のとおりです。
今日、スコットランドには約69500人の認知症の人がいます。その数は人口の高齢化に伴い、2031年までに127000人になるでしょう。
認知症は高齢者の障害の最大の原因ですが、通常の加齢の一部ではなく、若い人も発病します。スコットランドアルツハイマー病協会は、医療や社会サービスの制度が高齢者の認知症という「高波」によって浸水してしまうのではという人騒がせな予測を拒否します。私たちは、スコットランドが将来に向かっての計画を今から進めることで認知症の人が増えることに有効に対応できると信じています。
私たちは、医療や社会サービスの重要な目的は、認知症の人と介護者(家族と友人)ができるだけ長く地域で通常の生活を送れるように支援することにあると信じています。そして、長期介護施設への入居は終の棲家ではなく、積極的に選択されるものと信じています。認知症の人と家族は、診断されてから7年から12年続く病気の破壊的な全過程において、時機を得て、質の高い医療と社会サービスに等しく利用できる権利をもっています。
スコットランドアルツハイマー病協会は、地域の担当部署やNHSを支援し、認知症の人と介護者への早期の介入や個別的支援のため、向こう5年間に1年あたり1500万ポンドを要求します。
私たちは、認知症を優先課題とするスコットランド政府の政策イニシアティブと、2010年春までに制定される「スコットランド認知症戦略Scottish Dementia Strategy を歓迎します。このため、戦略には適切な資源の裏づけがあり、複合的で長期的に戦略を確実なものとし、国民保健サービスNHS制度や地域の自治体などすべての関係機関との連携のうえに地域的な認知症戦略の策定・実施を促進させることです。
具体的要望として以下のことがあります。
1.早期診断と支援
○ 記憶について心配する人に、情報と支援を平等にかつ容易に利用できるようにすること。
○ 認知症についてGP(一般医)の研修を行って、時機をえて診断し適切な支援をするためにどのような援助があるかを理解すること。
○ 臨床的に適切であれば、あらゆる段階の認知症の人に抗認知症薬が使えること。
○ 診断後の多職種による支援グループからなる総合的ネットワークをスコットランド中に構築し、これにはNHS、地方の担当部署、ボランティア団体を含み、情緒的支援、具体的支援、記憶訓練、補助機器、サービス情報、金銭的法的事柄の情報を提供し、個人の資産のそって小規模で個別的で弾力性でその人中心の計画を立てること。
2.地域での個別的な支援
○認知症の人のひとたちが受ける介護や支援について、本人が選択し管理することができるようにサービスの資金的裏づけの制度を変革すること。たとえば、認知症の人に自分たちにとって最も重要なものは何かを決めてもらう、自分たちのケアの革新的な方法を見つけてもらうことです。初期の介入や地域の通常の支援を維持することで、将来の危機介入による高額で負担の重いリスクを少なくすることができる。
3.ケアの質の向上
○認知症の人の関わるすべての医療や社会サービスのスタッフに強制的な認知症ケアの研修を受けさせること。
○NHSは、認知症の人に不適切に処方される抗精神病薬の使用を減らすようにすること。
○NHSは、一般病院に認知症看護師Dementia Nursesを配置し、医療職の研修や支援に当たらせること。
○在宅や施設での認知症の人の終末期ケアに緩和ケアを導入すること。
4.研究への投資
○認知症の原因、予防、診断、治療、ケアの研究に資金を投じること。研究の目的は、認知症の人と介護者の健康と幸福の向上であること。
○認知症の発症を5年遅らせることで、医療や社会サービスの予算が半減する。
○イギリス政府は2006年から2997年にかけて医学研究予算の20%をがん研究にかけているが、認知症には2%しかあてていない。
(スコットランドアルツハイマー病協会のサイトおよびHerald Scotland 8 Oct 2009 “‘No-one should be left to face dementia on their own...’”より)
★認知症を知ることが認知症の人を助ける鍵(10月8日/マレーシア)
10月1日は国連の国際高齢者日International Day of Older Personsです。寿命が延びて認知症が増えています。イギリスのキングズカレッジロンドンKing’s College Londonからの報告によると、2050年までに世界の認知症の人が1億2500万人になると推計されています。BBCによると、貧しい国々での医療や栄養の改善によって高齢者が急速に増えています。国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s
Disease Internationalは、世界各国がオーストラリアなどの取り組みに続き、この病気の影響に対して行動計画を推進することを強調しています。
マレーシア大学University of Malayaの老年医学科のフィリップ・ポイPhilip Poi教授(写真)は、マレーシアにおける認知症の問題について、以下のとおり述べています。
「認知症は症状が重くなるまで普通の人にみえるので、多くのマレーシア人にとって、まだなじみのあるものではないようです。アルツハイマー病は認知症の原因として最も多く、80歳以上になるとおおよそ5人に1人がなります。認知症を知ることが認知症の人を助ける鍵です。糖尿病や高血圧に関連する因子をコントロールするといった健康的なライフスタイルの政府キャンーページは、ある種の認知症の予防にもなるでしょう。認知症に気づき、診断を受けることと、同時に認知症の人へのサービスを提供することとが両輪となって改善されるべきです。
認知症に対して次のようなことも提案します。
○ 認知症の人が行方不明になった時に適切な支援を得るため、医療用ブレスレットを身につける。
○ 研修を受けたヘルパーに在宅ケアを依頼する。
○ 研修を受けた介護職の国による支援を受ける。ただし現在、このサービスの利用は大都市に限られている。
○ 研修を受けたスタッフのいる認知症の人のための生活支援施設。
○ すべてのナーシングホームに各段階の認知症に対応できる基礎研修を受けた看護補助者を置くべきだ。
○ 認知症の人が道を間違えないようにわかりやすい標識が必要で、ショッピングモールで記憶障害の人に役立つわかりやすい集合場所が用意されるべきだ。
私たちは、認知症の人に耐え、心こもった介護を提供することで認知症の人を支えるようにすべきです。こうしたことで障害を私たちがどのように見るかの枠組みを変えることにつながります。」
(The Star October 8, 2009 “A growing concern Dementia is on the rise as life expectancy
increases”より)
★ノーベル賞受賞者がアルツハイマー病(10月8日/香港)
今年のノーベル賞受賞者のチャールス・カオCharles Kao氏(写真)は、アルツハイマー病のため通常の講義を行うことができないようです。カオ氏は、香港中文大学Hong Kong's Chinese Universityの前副学長でしたが、革新的なコミュニケーションをもたらした光ファイバー技術の業績で、今週、ノーベル物理学賞を受賞することが決まりました。
中華大学の別の前副学長のアムブローズ・キンAmbrose King教授は、サウスチャイナモーニングポストSouth China Morning Postに、「75歳のカオ氏は話をするのが難しいようです。カオ氏がうまく話しができなく、完全な文章を話すこともできないようですとカオ氏の妻が話していました。受賞が1年早ければよかったのに。カオ氏が、デジタルカメラのセンサーを発明した他の受賞者のウィラード・ボイルWillard
Boyle氏(85歳)やジョージ・スミスGeorge Smith氏(79歳)と共に受賞するにはあまりに遅すぎた」と語っています。
同紙は、上海生まれの科学者のカオ氏が12月のストックホルムでの授賞式には出席するでしょう、と報じています。しかし、カオ氏が、ノーベル賞受賞者が行うことになっている受賞に理由のテーマについての講演ができるかどうか疑わしい。
(Straits Times Oct 8, 2009 “Nobel winner has Alzheimer's”より)
追加情報:ノーベル賞受賞者は認知症との戦いについて語る(10月8日/香港)
アメリカ・サンフランシスコ地区で中国語テレビ放送局のKTSF26 のインタビューに、75歳のカオ氏は、マウンテンビューの自宅で次のように語りました。
「ときどき話しをするのが難しい。今、とてもよいとは言えません。心底から言いたいことを話すのはとても難しい。受賞してとてもうれしい」
妻のウオン・メイワン氏(写真)のインタビューで次のように語りました。
「12月のストックホルムでのノーベル賞祝賀会に出席するでしょう。この病気は夫を変えてしまいました。どこかへ行ってしまったようなものです。私は時々泣いています。前の夫とは同じではありません。夫は身体的にはよく、自分のことは自分ででき、定期的に私とテニスをしています。夫は、アメリカのアルツハイマー病のチャリティ団体と香港で高齢者に関わる福祉団体であるセントジェームスセツルメントSt James' Settlementにノーベル賞の受賞金を寄付するでしょう」
(channelnewsasia.com 08 October 2009 “HK Nobel laureate speaks of struggle with dementia”より)
★バンガロールでアルツハイー病の人写真展(10月8日/インド)
アルツハイマー病は認知症の原因として60から70%を占めます。認知症は人の知的活動や行動を変化させ、本人の生活だけでなく周囲に人にも影響―とくに日々介護している人―します。毎年、世界で460万人の人が認知症になっていると報告されており、インドでは現在、300万人がいて、20年後には2倍になると推計されています。
この病気の啓発のために、インドアルツハイマー病と関連疾患協会のバンガロール支部Bangalore Chapter Alzheimer’s and Related Disorders Society of India とナイチンゲール医療トラストNightingales Medical Trustは、マニパル病院Manipal Hospitalの協力を得て,バンガロールで「アルツハイマー病と生きるLiving with Alzheimer’s’」と題する写真展を開催しています。これはこの病気に関わる世界的に有名な写真家のキャシー・グリーンブラットCathy Greenblat氏の作品の展示です。彼女は、世界各地でこうした写真展を催し、いくつかの賞を受けてきました。彼女の作品と人々との相互作用でこの企画が有意義で役立つものとなるでしょう。これは、病気の啓発や理解をすすめるのに美術作品を使うという斬新な試みです。写真展は、10月11日までバンガロールの異なった場所で開催されます。
グリーンブラット氏は、次のように述べています。
「アルツハイマー病についての認識が欠けているため、多くの人は、この病気で愛し合う関係を終わり、笑いがなくなると思っていますが、これは正しくありません。私は、アメリカ、フランス、日本、インドで質の高い認知症ケアを写真に撮ってきました。それらの写真から、アルツハイマー病の人とそのパートナーを助けるためにすることがたくさんありることがわかると思います」
(Express Buzz 08 Oct 2009 “Bangalore Aware about Alzheimer’s”より)
編者:グリーンブラット氏とは、私が事務局長をした国際アルツハイマー病協会第20回国際会議・京都・2004で彼女からの依頼で写真展を行ってからの付き合いです。2004年に京都を訪問した際、いくつかのグループホームを訪れ、質の高いケアに驚いたとのことです。写真家としても彼女のサイトALIVE WITH ALZHEIMER'S で作品を見ることができます。
★エイズウイルス認知症の関心が低い(10月4日/ウガンダ)
ウガンダのナイロビにあるムラゴ病院Mulago Hospitalのノエリン・ナカスッジャNoeline Nakasujja医師は、「エイズウイルスHIVにともなう認知症は病気の終末期に起こると考えられ無視されてきましたが、ウイルスが脳細胞を破壊する早い時期におこる」と述べています。
ブタビカ病院Butabika Hospitalの臨床心理士のダビッド・バサングワDavid Basangwa氏は、「認知症はエイズウイルスをもっている人には少なくありません。ウイルスは脳組織で増殖しやすいのです。細菌や真菌などによる結核などの日和見感染症(注)も脳に影響します。最初の症状は、物忘れ、特に最近のことが覚えにくくなる」と述べています。
短期記憶障害が進み、認知症が悪化すると、自分のことができなくなり、自分がどこにいるかわからなくなります。金銭の管理もできなくなり、自分の清潔も保てなくなり、仕事も難しくなります。猜疑的になり幻覚も生じることがあります。
マケレレ大学保健科学大学Makerere College of Health Sciencesの神経科医師で、国際エイズ学会International AIDS Societyの会長でもあるエリー・カタビラElly Katabira医師(写真)は「ウイルスは私たちが考えているより早く、脳細胞に影響する」と述べています。
HIV認知症の人は、焦燥的になり、無関心になり、大切なことに注意が向かなくなり、また仕事ができたとしても、作業能率が低下します。
家族や友人は、高齢者の認知症には同情するのですが、不幸なことに、若い人の認知症には、戸惑い怒ることもあって病気の進行に気づかないことがあります。
ナカスッジャ医師は、「家族や友人は病気だと思いたくないようです。理解しにくくなるとその人はもの忘れが進んでいるのです。高齢者なら理解しますが、30代40代と若いと理解ができません。友人や家族は予期もできないし困惑する」と、述べています。
医療機関に受診する患者とみると、抗ウイルス剤の治療を受けないとおおよそ30%が認知症になります。
認知症の進行を遅らせる研究も進められています。認知療法や行動療法も有効なことがあります。音楽療法も認知症の人に有効です。大切なことは認知症の人の介護者にも研修や情緒的支援が必要なことです。アルツハイマー病の薬を血管性認知症に使う医師もいます。
2005年、医学雑誌ランセットLancetに掲載された論文によると、認知症の人が増える割合は、寿命が急速に延びている途上国のほうが早いと報告されています。
ウガンダのカスビで会計係りをしているリンダさんは、ラジオジャーナリストの経歴を持っていますが、夫と二人でHIV認知症になりました。エイズウイルスともって生活することによるストレスからラジオの仕事をやめ、自分たちの子供の世話と終末期の夫の介護をしています。リンダさんは、「いつか、お金の勘定ができなり、どこに置いたか忘れるほどもの忘れをするかもしれません。私が朝食をとるのを忘れ、夫が薬を飲むのを忘れるかもしれません。波が頭のなかを消し去るような感じのすることがあります。でも抗ウイルス剤が自分の記憶と健康を保っている」と述べています。
脳炎のような日和見感染症が認知症の原因なら、診療所で治療を受ける必要があります。アルツハイマー病がもっとも多い認知症の原因ですが、梅毒でも起こるのです。
ナカスッジャ医師は「6ヶ月間内の早期に治療を始めるとかなりの効果があります。抗ウイルス剤で認知機能の顕著な改善があります。早期治療で症状は元にもどりますが、治療が遅れると進行は早い。自分自身あるいは家族などが認知症になっているかどうかの関心があれば、診療所でスクリーニング検査を受けることができる」と述べています。
(allAfrica.com 4 October 2009 “Uganda: Dementia- Memory Loss Could Spell Danger”より)
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編注:日和見感染症opportunistic infectionとは、通常の健康体では感染しないような細菌やウイルスが免疫が低下するなどした人に感染する疾患群。
編者:アフリカでは、エイズによる認知症が無視できないようだが、治療体制が整っていれば、減らし無くすることができそうだ。エイズの治療法がなかった時代のアメリカではHIV認知症が少なくなかったと聞く。
★ダウン症に伴う認知症が見逃されている(10月4日/イギリス)
認知症をもったダウン症Down's syndromeの人が増えているが、十分な支援がなされていないと言われています。50歳代のダウン症の人の50%ほどは、アルツハイマー病になるかもしれません。他の人より早くアルツハイマー病になるのです。
イングランドの認知症ケアに関する最近のグリーンペーパー(注)には、この問題についてほとんど触れられていませんが、保健大臣は認知症ケアの改革を取り組んできたと述べています。イングランド保健省は、より公平で、より簡潔で、より利用しやすい制度を改めることで、ダウン症の人への支援となるとしています。
イギリスには約4万人のダウン症の人がいますが、医療の進歩によって彼らは長く生るようになりました。しかし、彼らはアルツハイマー病になりやすいのです。アミロイドと呼ばれるアルツハイマー病の要となる蛋白が他の人より早く脳にたまりやすいからと考えられています。
ケンブリッジ大学University of Cambridgeの学習障害精神医学の専門家であるトニー・ホーランドTony Holland教授(写真左)は、「この問題は、政府によってうまく無視されています。この問題が政府レベルで認識され、明確な戦略が実施されることを望みます。サービスは、地域によってばらつきがあり、ダウン症の人が適切なサービスを全国どこでも利用できるようにすべきです。ある地域ではケアはかなり進んでいるが、遅れてる地域もある」と、述べています。
ニッキ・レービスNikki Lewis氏によると、弟のアンドリューAndrew(写真右は姉弟)を心やさしく、かわいく、社交的な人でした。ニッキは次のように述べています。
「彼はダウン症ですが、自立して生活していました。しかし40歳代に、行動が変化し、記憶が低下し始めました。とても痛ましいです。かれは自分の言葉を見つかれないことが嫌悪し、それまでできていたことがすべてできなくなることも嫌悪していました。私は戦わなければなりませんでした。まず、正確な診断を得るために。そして弟にとって必要なケアを受けるためです。でも弟は52歳で亡くなりました。
制度は改善してきました。ケアのレベルはもっと専門的になっていると思います。ある分野がとてもゆっくり改善し、とても早く変わった分野もあります。この問題は政府レベルで認識されてはいないと確信します」
サレー・ボーダーズ国民保健サービストラストSurrey and Borders NHS trust のカレン・ドッドKaren Dodd医師は、次にように述べています。
「コテッジCottageとして知られるサレー県協議会Surrey County Councilが運営する優れた例があります。そこではドアは赤く塗られ、病気で色の識別ができない利用者の助けになっています。それぞれのドアに部屋の内部かがわかるような絵がかけられ、トイレやテレビ室も同じように、キッチンは泡立つ鍋の絵がかけられています。資金が不足していると間違ったケアを受けることになるでしょう。80歳や90歳の人が生活するナーシングホームに40歳や50歳の人が入ることになるかもしれません」
ケアサービス担当のフィル・ホープPhil Hope大臣は次のように述べています。
「グリーペーパーは、すべての人のとってよりよいケアシステムを再構築する計画を立てるためのものです。グリーンペーパーは、すべての人にとって制度がよい公平で、より簡潔で、より利用しやすいことを基本としています。こうすることでダウン症の人がほかの人たちと同じような利益を得ることができるでしょう。学習障害の人の医療を改善する計画があります。たとえば、国民保健サービスで毎年の健康診断を受けることができます」
(BBC 4 October 2009 “Down's dementia risk 'overlooked'”より)
編者注:グリーンペーパーはイギリス政府の国会への政策提案書のこと。ここでは、保健省が2009年7月14日に発表した”Shaping the Future of Care Together Green Paper”のこと。
サイト内関連記事 記事1(2007年) 記事2(2003年) 記事3(2003年pdf)
編者:ダウン症の人が成人してアルツハイマー病になることがある。このことについてわが国では注目され、議論され、対策が立てられてきたとは聞いていない。
★認知症の倫理的課題に関する報告書(10月1日/イギリス)
イギリスのナッフィールド財団Nuffield Foundationの生命倫理ナッフィールド委員会Nuffield Council on Bioethicsは、10月1日、認知症の倫理的課題に関する報告書「認知症:倫理的課題Dementia: ethical issues」を公表しました。この報告書はオックスフォード大学医学倫理学のトニー・ホープTony Hope教授(写真右上)を委員長とする作業チームによって作成されたものです。
報告書は、認知症に関わる今日的課題として、以下のことなどを挙げています。
○ 診断について、いつ、どのように話すのか。
○ 認知症の人の自立と自由のニーズと安全のバランスをどうとるのか。
○ 介護や治療などについて決めるときなど、認知症の人にとってもっとも有益ことは何かをどう決めるのか。
○ 認知症の人のニーズが家族介護者などのニーズと衝突するとき、どうするのか。
○ 認知症の人への差別にどう対応するのか。
○ 認知症の人を支える資源をどのように配分するのか。
○ 認知症研究の優先課題をどう決めるのか。
報告書は、以上の課題にそって次のテーマについて勧告しています。
○ 認知症の人の診断、医療や社会的ケアの利用、終末期ケアについて。
○ 偏見、また認知症の人を社会に包括することについて。
○ 介護や治療の決定について。
○ 拘束、補助機器の使用、危険と自由のバランスなど日常的介護でのジレンマについて。
○ 家族介護者のニーズについて。
○ 研究の優先順位と研究への参加について。
主な勧告は以下のとおりです。
○ 認知症の人へケアを提供している医師職や介護職は、倫理的問題に対応できるように現在ある教育を利用すべきです。こうした教育を受けたいと望む家族介護者もできるようにすべきです。医療職、介護職、家族介護者が、すべて倫理的決定について共有して支援を受けることができる討論の場を持つことができるようにすべきです。
○ 認知症の人が自分を価値ある個人と感じるようにすることは、サービスの特別な仕組みよりはるかに重要なことでしょう。専門職は、家族内の連帯を反映させながら家族を「介護のパートナー」としてみなすべきです。
○ 認知症の人や家族が、認知症と診断を受ける可能性がある症状に関心を持ち始めるときから、良質の評価や支援が利用できるようにすべきです。認知症と診断する医師は、認知症の人に家族と情報を共有できるように積極的に働きかけるべきです。
○ 認知症の人を助けて適切なサービスや支援につなげる「認知症ケアアドバイザー」という考え方を歓迎します。
○ 認知症の人への終末期ケアを改善することが重要であると強調されていることを歓迎します。重要なことは、認知症にふさわしい終末期ケアのモデルを作ることでしょう。
○ 認知症の人が必要なサービスを利用するに際して、どのようなケアがあるかによって決められるべきではありません。資源の分配や標準的なケアを決めるについて、医療分野か社会的分野かの違いはなくすべきです。
○ 認知症の人が特別な介護機器を使うかどうかを自分で決められない場合、ケースバイケースで多くのことが検討されるべきです。たとえば、プライバシーについての認知症の人の見方や関心、利用することによる実際的利益、家族介護者の利益、さらに人間的な接触が失われる危険性などについてです。
○ 危険性の評価ではなく、危険性―利益の評価とすべきです。これには認知症の人の幸福と自立性、また身体的被害から守ること、他人のニーズや利益を考慮されるべきです。
○ どのようなときに拘束が「バランスの取れたもの」であるかの指針が必要です。家庭での拘束を最小限にする家族介護者への支援が、介護施設で働く人のために拘束に行う詳しくて具体的な指針が必要です。
○ 認知症における医師などの専門職の支援は、認知症の人を支えるためには家族をも支える広い視野を持つべきです。
○ 医療専門職、社会ケアの専門職、介護職は、家族介護者を信頼すべきです。こうした信頼が「介護のパートナーシップ」の要となります。
○ 認知症の人の立場に立った決定に関わる家族介護者に、ケアチームの人たちと同じレベルの情報が必要です。
○ 医師、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカーなどの専門職は、決定が困難なこと―とくに将来のケアの選択―を検討するとき、家族介護
者が自分のニーズについて考えるのを支えるのに重要な役割を持っています。
○ 主要な研究資金提供者は、利益をもたらす可能性がある研究分野間で、研究資金をどのような方法で、どのような理由で資金を分割するか、もっと明快に説明をすべきです。必要なら、認知症に関して質の高い研究を行う能力がある研究者を支援し激励する積極的行動を取るべきです。さらに認知症を生きること、認知症の人がどのように支援されれば最善の生活を送ることができるかにについての研究も行われることを推奨すべきです。
○ 現在の法的保護は被害から認知症の人を守るには適切な方法です。しかし、研究などに参加する意思を表明しやすいように改めるべきです。たとえば、「臨床試験ネットワーク」は、医師と研究に参加したい認知症の人を結びつけるものですが、こうしたネットワークを推進すべきです。また、研究に参加するという将来的な決定ができるよう、どのように事前決定が望ましいのかの研究も行われるべきです。また、研究計画の情報は認知症の人がその重要事項を理解し同意しやすいような方法が取り上げられるべきです。
この報告書について、イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのネイル・ハントNeil Hunt事務局長(写真右中)は「報告書は、認知症をよりよく広く理解すること、より多くの支援、研究へのより多くの資金の必要性について心打たれる証拠を提示している」と述べています。
アルツハイマー病研究財団Alzheimer’s Research Trustのレベッカ・ウードRebecca Wood事務局長(写真右下)は、「認知症研究はがん研究への政府資金の8分の1にすぎないことは、倫理的でなく容認できるものではありません。この報告書がイギリスで30年以内に認知症の人が140万人になるだろうという状況と戦うために努めている団体を資金的に支える督促とすべきだ」と述べています。
また保健省Department of Healthのスポークスマンは、「新しい認知症ケアの戦略を始める際に、この報告書の見解を慎重に生かしたい。初期診断の改善に関わりできるだけ早期に適切な支援、情報、助言を利用できるようにしたい。また、GPから友人や家族にいたるあらゆる場面で認知症への偏見に取り組みたい」と述べています。
(報告書Dementia: ethical issues、BBC 30 September 2009 Expert dementia support 'crucial'およびAlzheimer's Research Trust 1st October 2009 Research funders ‘must explain’ lack of dementia investmentより)
編者:報告書は認知症に関わる倫理的な課題について幅広く検討し、適切に勧告したものと思われる。イギリスの法制や社会制度に関係した部分も少なくないが、これは省いた。それにしても、暗黙の了解のもとに行われているかずかずの倫理的課題が多いわが国で、政府から独立したグループがこうした報告書を作れないものだろうか。なお、報告書Dementia:
ethical issuesは4種類発行されており、それぞれ以下からダウンロードできる:Full report (PDF, 3.9 MB)、Short guide (PDF, 0.8 MB)、Executive summary (PDF, 4.8 MB)、One page summary (PDF, 2.1 MB)
★政府がアルツハイマー病協会を助成(9月27日/パキスタン)
世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Dayの行事の一環として、9月26日、ラホールにあるキングエドワード医科大学King Edward Medical University (KEMU)で、同大学とパキスタンアルツハイマー病協会Alzheimer’s Pakistanが主催するセミナーが開催されました。
このセミナーで、パキスタンにはアルツハイマー病の人がおおよそ100万人いるが、これまでこの病気と治療についての啓発がほとんどされて行ってこなかったこと、高齢者の生活を脅かす主要な恐れとなり治療が必要な多くの人がこの国にいることなどが指摘されmさいた。
会議に出席した経済担当のヒナ・ラバーニ・カールHina Rabbani Khar大臣(写真)は、アルツハイマー病に関わっているNGOのパキスタンアルツハイマー病協会に資金的援助をすることを明らかにしました。さらに、大臣は次のように述べました。
「パキスタンの人口の60%は若者であるが、25年、30年後、彼らが高齢者になるとき、パキスタンはアルツハイマー病とその経済的支出に対処できるようにすべきです。私はパキスタンアルツハイマー病のボランティアであり、認知症を保健を国の優先課題とするように政府を説得したい。さらに、11月7日からラホールで開催される第12回国際アルツハイマー病協会アジア太平洋地域会議を支援した」
(Daily Times September 27, 2009 “Govt to provide finances to control Alzheimer’s disease:
Khar”より)
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★認知症の人の介護者は早く死亡しやすい(9月24日/オーストラリア)
オーストラリアの認知症啓発週間Dementia Awareness Weekの9月23日、キャンベラの国立プレスクラブNational Press Clubでアメリカ・ジョンホプキンス大学John Hopkins Universityの精神科のコンスタンチン・ライキツソスConstantine Lyketsos教授(写真)は、介護者の困難な状況へ関心を高めるようにと講演しました。その概要は以下のとおりです。
「認知症の人の介護者は適切に支援されないと早く死亡しやすい。認知症は、オーストラリアの高齢者の死因の第4位と推計されていますが、介護者の健康にも影響しています。認知症介護は身体的にも情緒的にも大変な負担を強いるもので、その結果、介護者の健康にかなり影響します。認知症の人のケアへの努力には介護者へのケアも含むことを忘れてはなりません。認知症の人は、心地よい情緒的な支援が必要ですが、孤独、疲労、ストレスに直面している介護者も同じです。もっとも大切なことは、介護者が直面している困難な旅の間に専門的な支援が必要なのです。認知症の人の介護者が自分たちの心身の健康にくわえネットワークや個人的な時間を持つことがとても重要です。介護者と認知症の人との前向きな関係を維持することによって認知症の進行を遅くすることが明らかにされています。進行した認知症の人は、ねたきりで、非言語的な面で、かつ全面的に依存をしていますが、合法的な安楽死に該当しないことは言うまでもありません。何十年にわたり脳を破壊する疾患をもちながらよりよい生活の質を保つことで、周囲の人の生活の質にも貢献することは可能なのです。アルツハイマー病の発症を遅くする治療は、5年から20年の間に開発されるでしょう。しかし、アメリカではアルツハイマー病関係の研究費は年間10億ドルに近いにもかかわらず、治癒法を発見する希望があれば、さらに10年間で10倍から20倍研究費が増えなければなりません。政府は、ポリオ、がん、心疾患、エイズに挑戦しました。私たちは、神経疾患―認知症は最重要ですが―に同じ熱意と関かりをもつ必要があります。アメリカの医師が20年前より現在、よりよく認知症を診断していないとすれば、症状がない早期に治療することです。他方、私たちは加齢や遺伝に関してできることは巣きわめて少ないが、ライフスタイルについては何かすることができます。身体的、精神的、社会的活動は、栄養とおなじく認知症の危険性を減らすのに役立ちます」
(Sydney Morning Herald September 24, 2009 Dementia carers face early death: expertより)
★健康な人への「記憶増進剤」の処方の指針(9月23日/アメリカ)
アメリカ神経学会American Academy of Neurologyは、9月23日、健康な成人から記憶を増強する薬の処方を要請されることが増えていることから、その指針として「神経増強のための成人からの要請に応じて:倫理・法律・人間性委員会の指針"Responding
to requests from adult patients for neuroenhancements: Guidance of the
Ethics, Law and Humanities Committee」と題する報告書をNeurology電子版で公表しました。
この10年間、医学的診断も受けず精神的に健康な人が、当面の目的で自分たちの記憶や認知機能を高める目的で、本来、注意欠陥多動性障害(ADHD)やアルツハイマー病の人に実行機能や記憶を改善する目的の薬を要請し、服用することが増えています。こうした行為―神経増強neuroenhancementと呼ばれていますが―が増えています。その結果、神経科医は、病気でない人が、記憶、認知集中力、注意維持を改善するための薬を求める人に出会うことが多くなったようです。神経科医が、通常の認知機能を増強させるための薬剤の使用に関わる倫理的、法的、社会的の課題について概要を知り、神経増強剤の要請に対応する具体的な指針を伝えるために、この報告書が作成されました。
報告書の主任執筆者であるバージニア大学医学部University of Virginia School of Medicineの神経科のダン・ラリビエDan Larriviere准教授(写真)は、つぎのように述べています。
「病気でないのに神経増強剤を服用して記憶、認知集中力、注意持続を改善すると信じて処方を求める成人が増えています。もともと、ADHDやアルツハイマー病の人の認知機能を改善するために開発された薬が神経増強剤―あるいは記憶増強剤―として、仕事や学校やスポーツで神経を研ぎ済ませたいと望む健康な成人のあいだに広がっています。その薬は処方箋が必要ですが、刺激剤(例:メチルフェニデートmethylphenidates)(注)とコリンエステラーゼ阻害剤(例:アリセプト)があります。処方の要請は、二つの理由で神経科医のジレンマになります。一つは、具体的な臨床指針がほとんどないこと、二つ目は医師がこの問題にどのように対応してよいのかについての専門的社会的な同意がないことです。健康な人に神経増強剤を処方することは臨床医のあいだでも広く議論されてきました。その議論は、薬は適切に使用されるべきとの強い信念に基づいたものが多かった。報告書の狙いは、神経増強剤の処方を求められたとき、臨床的また倫理的な判断をどのようにするかの基本的枠組みを神経科医に提示することです。報告書の要点は、処方するか処方しないかには、その法的、倫理的に阻むものがないことですが、記憶増強剤を処方する神経科医は処方した人への倫理的法的な責任はあるこということです」
神経科医の考慮すべき指針の概要は以下のとおりです。
○ 処方決定を医師―クライエントの関係のなかで行うこと。
○ 研究がさらに必要であるという医学的理由を伝えたうえで、神経増強剤の処方の要請に応じること。
○ 通常の医療と同じ医学的規範に従うこと。
○ 神経増強剤を服用することで意思決定能力が潜在的に影響を受けることを考慮すること。
○ インフォームドコンセントの基本に従うこと。
報告書が注意してことですが、神経科医は、神経増強剤の処方が潜在的には下火になっていることに気づくべきです。すなわち、健康な成人に処方される神経増強剤の安全性と効果に関するエビデンスが不十分であり、こうした薬を処方することで責任を取るとるリスクが不明確な不確なのです。
(University of Virginia Medical New October 1, 2009 “Increased Use of Memory-Boosting Drugs by
Healthy Adults Prompts Neurology Panel to Offer Prescribing Guidance”および報告書”Responding
to requests from adult patients for neuroenhancements. Guidance of the
Ethics, Law and Humanities Committee”より)
訳注:わが国では、ナルコレプシーとADHDの適応のコンサータがある。
編者:わが国ではこうした問題はあまり聞かないが潜在的に在るかもしれないと思い、認知症とは関係ない記事を紹介した。
★チェンナイで認知症デイケアセンター開設(9月22日/インド)
尊厳財団Dignity Foundationの支援でチェンナイ市内始めての専門的な認知症デイケアセンターがビシュラティ高齢者ホームVishranthi Old Age Home内に開所しました。デイケアセンターは既に3月16日から開かれてはいましたが、世界アルツハイマーデーの9月21日に正式にスターとしました。統合失調症研究財団Schizophrenia Research Foundationのサラダ・メノンSarada Menon医師(写真左上)と尊厳財団会長のシェイル・スリーニバサンSheilu Sreenivasan氏(写真左下)が開所を宣言しました。
チャンナイの尊厳財団のラダークリシュナンRadhakrishnan会長は「チャンナイの600万人の約30%の150万人には50歳以上で、このうち5~6%は認知症です。現在まで、彼らに組織的なリハビリテーションはありませんでした。このデイケアセンターは、認知症の人と介護者への助言、カウンセリング、支援を提供し、病気の啓発も目的としています」と述べています。
認知症と診断された家族はセンターに問い合わせをすると、ソーシャルワーカーが家庭訪問して評価します。ソーシャルワーカーのジョビー・ジョセJoby
Jose氏は「私たちは、午前中に高齢者を迎えにゆき、午後の5時頃までに家に送ります」と、述べています。チャイタンヤビルダーズChaitanya Buildersの創設者であるラメシュ・レディRamesh Reddy氏(写真右)から車が寄贈されました。
現在、4人の高齢者が開所した日からセンターを利用しています。73歳のKPサロジニSarojini氏は、息子さんのマーエシュ・クマールMahesh
Kumar氏は中央政府の公務員です。クマール氏は「妻と私はともに働いています。認知症の人を介護の準備ができていません。このため母にセンターを利用してもいました。終日家にいるとき、母は退屈でストレスがたまります。終日、何かに参加し、私が家にいるときに戻ります。母がセ
ンターに行かないと、もっとひどくなっているでしょう」と述べています。
分子生物学者のサンジュクター・ラマチャンドランSanjuktha Ramachandran氏も、彼女の79歳の父のKVラマチャンドラン氏のためにこのサービスを利用してきました。父は甲状腺機能低下症に伴う認知症があります。サンジュクター氏は、「父は可逆的な認知症です。しかし、最近、母を亡くしてからは、父が一人で家にいることを私は望んでいません。うつ状態になるからです。私が仕事をしているとき、父はほかの人と一緒に居る必要あります。センターに通うようになって改善していると感じています」と述べています。
デイケアセンターは月曜日から金曜日まで開所しており、利用料は月に一人当たり5000ルピー(約1万円)です。これには心理カウンセリング、栄養士のレシピによる食事、理学療法、家族カウンセリングの利用を含みます。ラダークリシュナンRadhakrishnan氏は「私はデイケアセンターでアクティビティを指導しています。センターには、テレビ、オーディオ、ゲームやヨガの施設があります。私たちが楽しみながら、思い出療法やメンタル運動を行っています。私たちは認知症の人に個別的に注目しています。家族の集いも毎月開いています。家族は認知症の進行について理解している」と述べています。
(The Times of India 22 September 2009 “Dementia day care centre opens its doors”より)
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編者:認知症デイケアセンターが開所したといっても、利用者が少なく、また利用料も安くはない。インドの中流家庭を対象としたサービスのようだ。なお、Alzheimer's and Related Disorders Society of Indiaのチャンナイ支部がある。
関連記事:Day care for memory malady October 5 , 2009 The Telegraph Calcutta (Kolkata) India
- Healing through games and interaction at Jadavpur centre
Subrata Raha, in his 60s, would often forget where he kept his car key till one day he couldn’t remember what the key was meant for. Mita Dutta, a middle-aged homemaker, often has trouble finding her way back home from the market while septuagenarian Sanket Guha kept his watch in his refrigerator.
People suffering from debilitating memory loss like Raha, Guha and Dutta now have a specialised care unit to turn to in the city.
Tucked in a quiet lane in Jadavpur, The Dementia Daycare Centre seeks to provide a secure and comfortable environment for those suffering from memory impairments. It is the latest addition to the Cochin-based Alzheimer’s and Related Disorders Society of India’s Calcutta chapter, founded by Shefali Chowdhury in 1999 after her daughter was detected with Alzheimer’s.
Described as a syndrome or a collection of symptoms caused by different diseases of the brain including Alzheimer’s, dementia is progressive degeneration of the brain, which is irreversible.
“Medicines can only slow down the degeneration to a certain extent but an important aspect of handling dementia is specialised care-giving,” says Nilanjana Maulik, the secretary and director (dementia services) of the society’s city chapter.
The centre, set up in Regent Estate last July, spreads across three spacious rooms and an adjoining lawn. It runs on donations and contributions by individuals and patients’ families.
“The most important part of dementia care is dealing with behavioural and psychological problems peculiar to each case. The day care centre tries to engage patients in activities that they might have difficulties pursuing at home,” says N.N. Sarangi, the neurologist and president of the society’s city chapter.
Trained staff members and volunteers from varied backgrounds guide the 11 dementia patients who spend time at the centre from 10am to 4pm. “We greet them warmly once they come in and discuss current topics over tea and biscuits. After a session of physical exercises, they’re served lunch. We then play mentally stimulating games and ask the patients to reminisce about special moments in their lives,” says Maulik.
The activity roster also includes yoga, meditation, laughter sessions and massages and outdoor games. The objective is to stimulate the brains of the patients and let them be part of normal life.
“The centre focuses on a person’s existing abilities instead of what he has lost. We don’t force patients to remember what they can’t. If someone has trouble buttoning his shirt, we give him different buttons to play with. It helps improve finger, eye and colour co-ordination,” says Maulik.
“There is a growing awareness about the disease and more people want to enrol at the centre. We plan to start more centres across the city by next year,” she adds.
The Dementia Daycare Centre, P5 Regent Estate, Calcutta-92. Phone: 32017044
★アルツハイマー病はまだミステリーだ(9月16日/アメリカ)
研究者はアルツハイマー病を誤解してきこなかったか?
アルツハイマー病は、多くの犯人がいるようで、漠然とした手がかりしかないような殺人ミステリーのようなものです。何年もの間、主な疑いはベータアミロイドという蛋白の断片でした。それは認知症の人の脳のなかで塊を作ります。大製薬企業は、1990年代から、アミロイドが脳細胞に毒性に働き、それを阻止することで患者の破壊的な機能低下を止めることができるとの考えに大いに頼ってきました。
しかし、こうした考えによる薬が、最終的な人への臨床試験によってアミロイドが関与しているという証拠をすこし揺らがすように見え始めたのです。ミリアドジェネティクスMyriad Geneticsが開発したアミロイドを減らす薬は、大規模な臨床試験で効果はまったく見られませんでした。ワイスWyethとエランElanが開発したアミロイドを取り除く抗体―バピネオズマブbapineuzumab―は、昨年の人に対する臨床試験の中間的な結果はまちまちでした。ある遺伝子の突然変異のない患者に限っては明らかに有効でしたが、脳脊髄液が漏れるという副作用が生じました。
さらに不思議なことは、今年の夏、ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学Mount Sinai School of Medicineの研究者は、最近、アルツハイマー病の患者に有効だとされるロシアで以前から使われていたアレルギーの薬について調べました。その研究者は、アミロイドが減ることを確認したいと望んでいたのですが、大規模なアルツハイマー病会議で報告された結果によると、驚いたことに、その薬が動物実験で短期間にアミロイドを増やしたのです。ファイザーPfizerは、20098年に2億2500万ドルと目標達成奨励金と合わせて、バイオテクノロジー会社のメディベイションMedivationから、このロシアの抗ヒスタミン薬の共同マーケティングの権利を取得し、両社は大規模な臨床試験を行っています。結果は来年に出る予定です。
こうしたことから科学者は、自分たちが間違った化学物質を標的にしているのではないかと思い巡らすようになっています。ロシアの薬の研究をしているがアルツハイマー病にアミロイドが関与していると考えているマウントサイナイのサムエル・ダンディSamuel
Gandy医師(写真左上)は、「アミロイド研究分野の中にいる人も外にいる人も、何か間違ったことをしているのではないかと考えています。間違った物を直そうとしたり、間違った方法で間違った薬を使って治そうとしていると考えているのです」と述べています。またメルクMerckのリチャード・ハーグリーブスRichard Hargreaves副会長は、「アルツハイマー病をなにか偏狭に追求をしてきたようです。アミロイド沈着は、病気のひとつの姿に過ぎないのです」と述べています。
さらに先を進む人もいます。スコットランドのアバディーン大学University of Aberdeenの研究者のクロード・ウシックClaude Wischik氏(写真左中)は「アミロイドはまったく何でもないと思っています。長い間、いかにあらゆる分野がこのことに夢中になったかについて誰かが本を書かなければなりません」と述べています。
500万人のアメリカ人がアルツハイマー病です。この数は、ベビーブーマーが年を取るにしたがい増えるでしょう。現在あるアリセプトという薬は症状を治療するのであって、細胞死を止めるものではありません。
研究費の大部分はアミロイドに費やされていますが、別のことに目を向ける研究者もいます。メルクは、アルツハイマー病研究費の半分をアミロイドを標的としない薬に当てています。ハーバード大学医学部Harvard Medical Schoolの神経科学者のジ・シェンJie Shen氏(写真左下)は、アミロイドは共犯者の一人の過ぎないと考えていますが、プレセニリンと呼ばれる二つの蛋白の間違った機能によるためとも考えています。もしこの理論が正しいとすれば、ガンマーセクレターゼ阻害剤と呼ばれる抗アミロイド薬のひとつは病気を悪くするかもしれません。
アミロイドの縁者を殺人者とみなしている研究者もいます。アミロイドは、ベータアミロイドを含む分断された多種の断片になる前の長い蛋白(アミロイド前駆蛋白)から産生されます。今日まで、こうしたその
他の物質の役割についてはあまり注目されませんでした。
ロッシュRocheのゲネンテックGenentechの主任科学担当者で神経科学者のマーク・テッシーラビーニMarc Tessier-Lavigne氏は、死滅受容体6death receptor
sixと呼ばれる脳細胞の何かに結合する断片が関与しているという証拠を持っています。この死滅受容体6は、細胞を死滅させ萎縮させて自然な自己破壊メカニズムに関わるのでこのように呼ばれています。この受容体はアルツハイマー病で全
滅する脳の部位でかなりよく見られます。
死滅受容体6がアルツハイマー病の殺人武器なのだろうか?テッシーラビーニ氏の証拠は、間接的なものでアミロイドの役割の除外したわけではありません。ロッシュはアミロイドに対する薬の研究もしています。しかし、アミロイドと違い、テッシーラビーニ氏の断片は脳細胞死の明確なメカニズムを提示しています。彼は、「このメカニズムは神経細胞を死滅させる強い力を持っている」と述べています。かれの概念によると、アルツハイマー病とは脳細胞の維持が破綻したことによることになります。さらにテッシーラビーニ氏は「脳細胞は常に初期の発達段階で、過剰な神経線維が除去されています。アルツハイマー病では、この過程が乱れて正常な細胞を死滅させているのかもしれない」と述べています。ロッシュは、死滅受容体6を阻害する抗体を作って記憶障害が止まるかどうかを確認するためアルツハイマー病の症状を示すマウスで実験しています。
アルツハイマー病に関係する二つの間違った機能分子を扱っている、その他の薬の研究を行っている人もいます。その一つは、アルツハイマー病の患者の神経に見られる神経原線維を作るタウと呼ばれる蛋白です。これを支持する研究者は、神経原線維はアミロイドより認知症ともっと関連していると主張しています。メルクMerck(アメリカ)、タウRxテラポイティックスTauRx Therapeutics(シンガポール)、アロンテラポイティックスAllon Therapeutics(カナダ)がタウに対する薬の研究を行っています。
もうひとつは、アポリポ蛋白Eと呼ばれる遺伝子の悪い変異型です。APOE e4と呼ばれる悪い型は1993年に発見されたものですが、二対の悪い型を持った人はアルツハイマー病の発病の危険性が高く、アルツハイマー病の50から60%に関わっています。アルツハイマー病の患者のわずか1%は若年性ですが、アミロイド産生を促す遺伝子を持っています。ケースウエスタンリザーブCase Western Reserve大学の研究者のマーク・スミスMark Smith氏はアミロイド説に批判的で、「APOE e4を原因とすることは間違っていると思います。主な遺伝的決定要因を解明しており、それに関する研究をしている人はほとんどいません」と述べています。
その数少ない人の一人がサンフランシスコにあるJ.ダビッド・グラッドストーン研究所J. David Gladstone Institutesの会長のロバート・マーレイRobert Mahley氏(写真右上)です。彼は、APOE e4遺伝子がミトコンドリアと呼ばれる神経細胞内の構造物の作るエネルギーを保持しており、その機能を破壊する不完全な蛋白を産生することを示しています。彼は、「長期にわたり神経がより破壊されやすくするようだ」と述べています。2005年、マーレイ氏は、APOE
e4蛋白を正常な形に戻す薬に似た化学物質を発見し、メルクと共同で研究して、いつか患者に試せるような形になるように研究しています。心疾患の危険性がある人が予防として抗コレステロール剤を服用するように、認知症になるのを予防するため中年期にAPOE
e4の遺伝子をもった人にこうした薬で治療をするという考え方があります。「このことに多くの注目がありません。これま
での研究分野はとても近視眼的でした」とマーレイ氏は悲しんでいます。
市場調査のデータモニターDatamonitorによると、アルツハイマー病の意義ある臨床試験が行われている41の薬のうち18がアミロイドを狙ったものです。残りのほとんどは症状を治療しようとするものです。投資額はますます大きくなっています。今年の7月、ジョンソンアンドジョンソンJohnson & Johnsonは、最終段階の臨床試験中のバピネオズマブの利益の多くを受け取るため15億ドルの取引に同意しました。アミロイド説を主張する人は、初期の試験は規模が小さく明快な結果が出せなかったと言っています。エランの主任科学担当者のデール・シェンクDale
Schenk氏(写真右中)は「私はアミロイドはアルツハイマー病の過程の中核と思っています。アミロイドに有利な遺伝子情報はたくさんある」と述べています。
こうしたアルツハイマー病に関する不釣合から、国立保健研究所National Institutes of Healthでアルツハイマー病研究を指導者であったザビン・ハチャトーリアンZaven Khachaturian氏(写真右下)は心配しています。彼は、もしアミロイドの薬が失敗すれば、製薬会社はアルツハイマー病は治らないとして引き下がるのではないかと恐れています。ロッシュのテッシーラビーニ氏は、もっと楽天的で、「まさに今は複雑な謎ですが、次の数年内にどのように関係にあるかが解明されるでしょう」と述べています。
アルツハイマー病ミステリー
アルツハイマー病の患者の脳細胞を殺すのは何者か?アガサ・クリスティー殺人事件よりもっと疑わしいものは次のとおりです。
○ アルツハイマー病患者の脳内に班を作るベータアミロイド蛋白断片
○ アルツハイマー病患者の死亡解剖で脳に見つかる異常な神経原線維
○ アルツハイマー病の危険性を高める遺伝子のアプリポ蛋白E e4
○ 死滅受容体6と呼ばれる脳細胞の分子に作用するアミロイド縁者のNアミロイド前駆蛋白
○ アルツハイマー病で神経を正常に働かせる反面、悪くもするらしい二種類の蛋白のプレセニリン
○ アルツハイマー病で弱くなる細胞内のエネルギーを産生する構造物のミトコンドリア
(Forbes 09.16.2009 “A New Look At Alzheimer's―Have researchers been barking up
the wrong tree?―より)
編者:アメリカの代表的な経済誌であるフーブスForbesのサイトに掲載された記事を紹介した。混乱しているアルツハイマー病薬の開発、その背景にあるアルツハイマー病の全体像の不完全な理解についてわかりやすく解説している。記者は、同誌で医療、医学関係の記事を書いている上級編集者のロバート・ラングレスRobert Langreth氏である。
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★認知症の人とコミュニケーションが悪いと身体拘束を招く(9月14日/スウェーデン)
スウェーデンのエーテポリ大学University of Gothenburgのサールグレンスカ・アカデミーSahlgrenska Academyの神経科学生理学研究所Institute of Neuroscience and Physiologyの理学療法士であるクリスティーナ・ウェンブラッドCristina Wångblad 氏らのグループは、施設における認知症の人の移動や身体拘束に関わる要因について調査しました。
スウェーデン西部にある3つの認知症の人の特別ケアユニットで勤務している16人の補助看護師に、認知症の人の移動作業の間に身体拘束を行った経験を聞き取り調査しました。その結果、移動に関わる身体拘束は、入居者の体重に関係なく、認知機能の低下やコミュニケーションの問題による誤解によって補助看護師が身体拘束を行うことが多くなっていました。このことから、補助看護師の認知症に関する知識、また入居者の性格によっても移動作業の場合の身体拘束を減らすことがわかりました。このことから、補助看護師に、入居者が個々人で異なる多様な機能をもっているため移動に際し臨機応変性が求められ、認知症ケアユニットに勤務する補助看護師に特別な研修が必要であります。さらに、認知症ケアユニットで勤務する理学療法士は、入居者の機能を評価し補装具や運動補助具を利用して、移動作業での補助看護師に訓練し監督する役割があるでしょうと提言しています。
この研究論文は、北欧の介護科学雑誌Scandinavian Journal of Caring Sciencesの2009年8月19日電子版に掲載されました。
報告者の一人であるウェンブラッド氏は次のように述べています。
「認知症の症状は個々人によって異なり、また日によってことなります。わずかの時間の違いでも異なることもあります。このため認知症ケアにおいて認知症の人の移動にはスタッフは多くのことが要求されます。認知症ケアのスタッフを訓練し教育する理学療法士は、人の移動の複雑さに気付かなければなりません。入居者がどのように動くのが望ましいかの指示は、個々の人のニーズと状況に合わせなければなりません」。
また、サールグレンスカ・アカデミーの作業療法学教授のシネンブ・ダーリン・イヴァノフSynneve Dahlin Ivanoff氏(写真)は次のように述べています。
「周囲の情報を読めない利用者、あるいは何をしてよいか忘れた利用者は、不安、混乱、抵抗といった反応をします。スタッフが、別が言い方で事を説明したり、ボディ・ランゲッジといった身体的表現でコミュニケーションの問題を少なくして、結果的に移動が容易になることがあります。個々の入居者の知識がとても役立ちます。たとえば、正しい高さの発音、入居者の好みにあった方法で支える、移動を早くするようにお願いできるかどうかといったことを知ることで移動が容易になるでしょう」
(ScienceDaily Sep. 14, 2009 “Communication Problems In Dementia Care Cause Physical
Strain”および論文”Experiences of physical strain during person transfer situations
in dementia care units”より)
編者:施設における認知症の人の身体拘束を減らすために認知症と認知症の人の理解およびコミュニケーションが重要だとの報告であるが、わが国では半ば常識となっている事柄だが、再確認しておきたい。
★「メモリーウオーク」、マサチューセッツ州でも始まる(9月12日/アメリカ)
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationが呼びかけ、毎年、全国で誰もが参加できるメモリーウオークMemory Walkが、アルツハイマー病協会マサチューセッツ・ニューハンプシャー支部Alzheimer's Association, Massachusetts/New Hampshire Chapterの活動の一環としてマサチューセッツ州内の9カ所で9月12日から10月14日まで開催されます。メモリーウオークは、アルツハイマー病の啓発と資金を集めることが目的としています。集まった資金は、研究やアルツハイマー病の人への支援に活用します。
アルツハイマー病協会が行う支援
○24時間ヘルプライン:専門家のカウンセラーによる電話やインターネットによる支援で、診断、支援、地域のサービスなどについての相談を行いいる。
○研究:アルツハイマー病の原因、治療の研究に助成を行っている。
○「安全帰宅」(Medic Alert + Safe Return):24時間体制で行方不明になったアルツハイマー病の人を探し出す。
○支援グループ:アルツハイマー病の人と家族への十分で有益な地域的支援。
○擁護活動:アルツハイマー病協会は、全国、州、地域レベルで、質の高いケア、研究資金の増加を推奨している。
○介護相談:カウンセラーがアルツハイマー病で直面する家族に一対一で相談にのる。
○家族教育:研究の最新情報、診断と治療の重要性、法的問題、介護計画、安全などについての教育を各地で提供する。
アメリカでは70秒ごとに、だれかがアルツハイマー病になっています。全国で500万人以上のアルツハイマー病の人がいますが、マサチューセッツ州では12万人います。この数は、ベビーブーマーの世代が高齢になるにしたがい、将来、アルツハイマー病の人が急激に増えます。65歳以上で10人に1人がなり、しかも治癒の方法がまだ見つかっていません。
マサチューセッツ州のメモリーウオークについては、www.memorywalkmanh.orgをご覧ください。
(Business Wire Sep 12, 2009 “Memory Walk? Raises Awareness and Dollars to Fight Alzheimer`s
in Massachusetts”より)
注:メモリーウオークのアメリカ全体の情報
編者:日本では3年前から千葉市でメモリーウオークが毎年行われており、今年は10月4日(日)開催。今年の予告。
★グループで昔のことを語るのは認知症高齢者の認知機能によい(9月11日/イギリス)
イギリスのエクセター大学University of Exeterのキャサリン・ハスラムCatherine Haslam教授(写真)らのグループは、70歳から90歳の認知症高齢者73人を3つのグループに分けました。第1のグループは、1週間に1回計5回、子供時代、結婚、家族休暇といったテーマで記憶を呼び起こし、話し合うようにしました。6週間後、このグループの認知症高齢者の記憶は認知機能テストで12%改善し、認知症の症状は8%改善することを認めました。他の二つのグループのひとつグループでは、玉を転がしてピンを倒すスキトルズを楽しむようにし、もうひとつのグループでは、通常の会話をするようにしましたが、これら2グループでは脳の機能改善はほとんど認めませんでした。
この研究結果は、今年9月5日から10日までイギリスのサレイで開始されたイギリス科学協会British Science Associationが主催するイギリス科学フェスティバルBritish Science Festivalで報告されました。
脳血管疾患や心疾患の患者は、友人や家族の大きな社会的ネットワークを持っているとはるかに病気の回復がよいことが示されています。また別の研究によると、孤独は、喫煙や肥満と同じくらい健康に有害であることが認められています。
神経心理学者であるハスラム教授は、「私たちが研究した人々は、戦争のことを話題にすることがとても幸せのようでした。これは、彼らの人生の最も重要な部分であることの証でしょう。記憶が改善し、とても喜びにひたる人もいました。実際、彼らの認知症を根本的に変えることはありませんでしたが、多くの残っている能力を使っているようでした」と述べています。
夫のアレックス・ハスラムAlex Haslam教授は、社会的グループに関する研究を行っていましたが、「今回の研究結果はとても有意義です。こうした効果がある薬があれば、多くの金を得たかもしれません。しかし、この場合の薬は社会的グループなのです。多分、脳機能の改善は、脳の運動によるものであり、記憶をもち続ける理由を与えたためでしょう。グループで話すことが生きる理由を与えたのでしょう。私たちは記憶を持っていることで、言語を持ち、社会的な生活に関わることができる」と述べています。
(Telegraph.co.uk 11 Sep 2009 “Do mention the war, say scientists”, University of Exeter Research news “Groups are key to good health”およびScientific American Mind September 2009号 “Groups as Therapy?--Socializing and Mental Health”より)
編者:回想法に加え、グループ活動、社会性が認知症の人も含め高齢者の認知機能や精神的健康に望ましいとする報告記事である。
★感染がアルツハイマー病の認知障害を促進(9月7日/イギリス)
イギリスのサザンプトン大学University of Southamptonの記憶評価研究センターMemory Assessment and Research Centreのクライブ・ホームズClive Holmes教授(写真)らのグループは、全身性の炎症が脳神経退行を促進することが実験で確かめられていることから、炎症の指標となる腫瘍壊死因子アルファーtumor
necrosis factorα(TNFα)と関係する全身性炎症がアルツハイマー病の長期的な認知機能の低下と関係するか確認するための追跡調査を行いました。
地域在住の軽度から重度のアルツハイマー病の300人(平均年齢83歳)について、認知機能を評価し、全身性炎症の指標を調べるために血液検査を行いました。対象者の介護者から、関節リウマチ、呼吸器系炎症、消化器系炎症など全身性炎症や感染につながる外傷の既往について聞き取りました。この追跡評価を、2,4,6ヶ月後にそれぞれ行いました。
全身性炎症疾患の既往は、対象者の約半数に認められましたが、この炎症はTNFαの血清濃度の増加と関係していることを認めました。追跡開始後6ヶ月以降、認知機能の低下の程度は炎症や外傷のないアルツハイマー病の人とくらべ2倍でした。追跡開始時にTNFαがすでに高濃度の人では認知機能の低下の程度は、TNFαが低濃度の人とくらべ4倍でした。もともとTNFαが低い人では6ヶ月間、認知機能の低下は認めませんでした。
この結果についてホームズ教授は以下のように述べています。
「認知機能の低下が早い人ほど炎症や外傷を受けやすいのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、こうした傾向を認める証拠は知りません。脳のTNFαの役割についてはもっと研究が必要ですが、このTNFαの指標を減らす方法を見つけることがアルツハイマー病の人にとって有益でしょう」
なお、この研究はイギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyの助成を受けました。研究論文はアメリカ神経学会American Academy of Neurologyの雑誌NEUROLOGの2009年9月8日号に掲載されています。
(American Academy of Neurology SEPTEMBER 7, 2009 “Infections May Lead to Faster Memory Loss in Alzheimer’s Disease”および論文”Systemic inflammation and disease progression in Alzheimer disease”より)
編者:アルツハイマー病が脳の炎症と関係するとする仮説はある。紹介論文はアルツハイマー病の人において全身性炎症と認知機能の関係についての新しい知見である。アルツハイマー病の治療に炎症の予防や早期治療が有効かもしれない。
★アルツハイマー病の人の高血圧治療で認知機能の低下が遅い(9月7日/フランス)
フランス・パリのブロカ病院Broca Hospitalのエマニュエル・デュロンEmmanuelle Duronらのグループは、メモリークリニックに通院するアルツハイマー病の人321人について調べました。この人たちに毎年、MMSEによる認知機能を毎年、検査しました。
対象者の平均年齢は78,1歳、54%の人が高血圧の治療を受けていました。高血圧で降圧剤を服用しているグループと、高血圧で降圧剤を服用していないグループでは、MMSEの値の平均はほぼ同じでした。平均34,1ヶ月追跡しました。降圧剤を服用していたグループの方が服用していないグループより1年、2年、3年後でともにMMSEが有意に高いことを認めました。年齢、性別、教育レベル、最大血圧、最小血圧、冠動脈疾患、高脂血症剤のスタチン、抗血小板剤の服用を同じとして比較したところ、降圧剤を服用しているグループが、認知機能の低下の程度が少ないことを認めました。
この調査論文はアメリカ医学雑誌American Journal of Hypertension2009年9月号に掲載されています。
(American Journal of Hypertension 2009;22,9 “Effects of Antihypertensive Therapy on Cognitive Decline in
Alzheimer's Disease”より)
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編者:降圧剤がアルツハイマー病の進行を遅らせるとする論文は多い。しかも、降圧剤のうち が有効であるとする論文もある。紹介した報告はこれらを補強するものである。
★認知症高齢者と介護者の「高齢者ことば」(9月4日/アメリカ)
カンサス大学医療センターUniversity of Kansas Medical Center (KUMC)の看護部のクリスチン・ウイリアムズKristine Williams准教授(写真)は、デラウエアー大学University of Delawareの「加齢に関する大学間企画Cross College Cluster in Aging Initiative (CCCAI)」の一環として認知症高齢者とのコミュニケーションについて9月15日に講演をします。
デラウエアー大学看護部のベロニカ・レンプシェスキーVeronica Rempusheski部長は「世界的な高齢化が進み、アルツハイマー病など認知症が85歳以上の50%を占めるという事実のなかで、ウイリアム氏の研究は、介護施設や病院の看護職にも、また高齢者を在宅介護している家族にとっても、科学的でまた臨床的に有意義なものです」と述べています。
ウイリアム氏らのグループは、心理言語学、観察、行動分析の視点からスタッフの高齢者ことば会話と高齢者の介護への抵抗や行動との関係を分析しました。こうしたコミュニケーションと介護の質との関係の研究が全国的に注目されました。
ウイリアム氏は「観察研究によって、スタッフのコミュニケーションが認知症の人の攻撃的行動や退行的反応を促していることが多いことがわかりました。またスタッフの介護へ高齢者が抵抗し、破壊的な反応と示すことで、スタッフのストレス、燃え尽き、離職、介護費用の高騰を招く」と述べています。
介護施設のスタッフが頻繁に使うコミュニケーションの方法は「高齢者ことばelderspeak」(編者注)です。これは、簡単な語彙と文法でのゆっくりした会話、「私たち」といった複数代名詞,短い文章、高くて大きな発音、「おじいちゃん」といった親密さを示すが不適切な親しみの言葉などのことです。
さらに、ウイリアム氏は「私たちの研究によって、コミュニケーションの在り様と介護施設入居者の行動とに関係があることがわかりました。これはアルツハイマー病の人とのコミュニケーションの最善の方法を示唆することになるでしょう。今後は、看護職の「高齢者ことば」によるコミュニケーションを減らすといった介入をすることで認知症の人の介護に大いによい影響があるかどうかを調べる必要があります」と述べています。
(University of Delaware Sept. 4, 2009 “Gerontologist to address effects of 'elderspeak' on Alzheimer's
patients”より)
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関連情報:論文”Elderspeak ? Is it helpful or just baby talk?”(英文.pdf150K)
編者注:「エルダースピークelderspeak」の適切な訳語が見当たらない。「おばあちゃん」「おじいちゃん」といった高齢者への幼児言葉と同義語とみてよいようだ。アメリカでは数年前から議論されているようであり、日本でも認知症の人への幼児言葉は不適切だとの認識が広がっている。
★ヨーロッパの擁護者、アルツハイマー病の人の「絶望的な動画」放映を取り下げさせる(9月2日/スイス・フランス)
スイスの友人であるジュネーブ大学University of Genevaのアン・クロード・ジュラAnne-Claude Juillerat(写真左)は、フランスアルツハイマー病協会French Alzheimer’s Associationが全国放送のテレビ放映し、協会のサイトで配信する計画がある短い動画に反対する運動を指導していた数週間前から私たちに連絡がありました。
この動画は、顔をしかめたくなるような数人の「アルツハイマー病の被害者」に注意もできず方向を見失った状況の姿を描いたものです。ある女性は、ひとり寝巻き姿で、どこかはわからないが近所の道をさまよっています。ある男性は、ドッグフードとは知らずにスプーン一杯のフードを口に運んでいます。またある女性は、最近の転倒によるぞっとする頭の傷があるのを知らず壁に向かってぼう然と立っています。また別の男性は、感情を害された孫にむかってイライラしながら怒鳴っています。最後ではあるが無視できないことで、よろよろしている女性が食品店の通路にしゃがんで排尿しています。(編者:下の画像をクリックするとYouTubeで見ることができます)
この動画の製作者は、認知症の人の最も嫌悪すべき姿を強調すること選びました。一般に公開するこうした影響力のある動画を流すことは、アルツハイマー病が一律に自我を破壊し、個人を尊厳のない自身の殻に閉じ込めるといった恐るべき状態であるという社会的な神話を広めるのに役立つだけです。私たちは、見るものとして思いやりや等しくもつ人間性より、恐れと恥ずかしさのある動画に心の貧困を見る思いです。
動画全体が美術面でも倫理面でも悪夢であり、アルツハイマー病協会が助けてくれるであろうという思いから私たちを引き離しています。しかし、ありがたいことに、アン・クロードさんは人間的なケアのもっとも大胆な改革者のひとりであり、ピータ・ホワイトハウスPeter
Whitehouse(写真右:左の人)とダニー・ジョージDanny George(同:右の人)とともに、スイス、フランス、ベルギーなどからの擁護者とともに、テレビ放映と協会のサイト配信を取り下げるようにフランスアルツハイマー病協会会長に手紙で要請しました。
手紙の主要な部分は以下のとおりです。
「あなたは、多分、動画がアルツハイマー病の研究への資金を増やすのを助けることになると望んだのでしょう。しかし、現実には、動画は恐れを増大し、アルツハイマー病の人たちをますます孤立させ、かれらを取り込み助けようとする計画を妨害することになるのです。アルツハイマー病を単純化し望みのない動画を提供し薬による解決や生物的な奇跡への期待を増強するかわりに、あなたの協会は、一般の人にアルツハイマー病について別の見方があることを教えるようにすべきです。加齢による脳は多様な姿で現われ、多少の問題と伴い、多くの要因に依存することを考えてみましょう。また薬に加えて、予防や心理的社会的介入に多くの方法があることも理解しましょう。また加齢による脳の変化が問題を生むとしても人間性を維持することができることを知りましょう。あなたの協会は、アルツハイマー病の別の話を語ることに貢献すべきです」
要請した数週間のち、私たちは最終的に勝利し、フランスアルツハイマー病協会が放映を止めることになりました。私たちは、立派な擁護活動を指導したアン・クロードさんらを称えます」
(themythofalzheimers September 2, 2009 “European advocates lobby to remove “apocalyptic” short
film by French Alzheimer’s Association”より)
関連記事:フランスアルツハイマー病協会会長の返事(フランス語)
YouTubeの動画ALZHEIMER "HEUREUSEMENT"

★アルツハイマー病の人で高血圧など血管危険因子の治療で進行が遅い(9月1日/フランス)
フランスの北フランスリール大学Universite Lille Nord de Franceのフローレンス・リチャードFlorence Richard医師らのグループは、1997年から2003年にメモリークリニックに通院する脳血管障害のないアルツハイマー病の人301人(平均年齢:71.1歳、男女比:30.6:69.4、初回のミニメンタルステート検査MMSEの平均点数:21.6、平均追跡期間:2.3年)について介入しない観察に限定する追跡調査をしました。高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、動脈硬化性疾患を血管危険因子としました。これらの血管危険因子のないアルツハイマー病の人は21人(全体の7.0%)で、その他の人はなんらかの血管危険因子を持っていましたが、血管危険因子の治療をまったく受けなかった72人(25.7%)、持っている血管危険因子の一部の治療を受けた人119人(42.5%)、持っている血管性因子のすべての治療を受けた人89人(31.8%)の3グループに分けました。この3グループについて追跡期間中にMMSEを行いました。その結果、3グループ間で初回のMMSEの点数はほぼ同じでしたが、持っているすべての血管危険因子の治療を受けたグループは、持っている血管危険因子の治療をまったく受けなかったグループより低下の程度が遅いことを認めました。持っている血管危険因子の一部の治療を受けたグループは、低下の程度はこの二つのグループの中間でした。この結果について、研究グループは、脳血管障害のないアルツハイマー病の人について血管危険因子の治療を受けることでMMSEの低下が遅くなることに関与しているが、この関係を確かめるには介入する無作為対照試験が必要である、しかし認知症だからといった血管危険因子の治療を行なわなくてよいわけではないと述べています。
この調査報告は、アメリカ神経学会雑誌Neurologyの2009年9月1日号に掲載されています。
(Neurology 2009 Sep 1 論文”Treatment of vascular risk factors is associated with slower
decline in Alzheimer disease”より)
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★2050年までに認知症の人は4倍(9月1日/オーストラリア)
オーストラリアの認知症の人は2050年までに今の4倍に増え、現在の24.5万人から110万人になると予測されています。有意義で画期的な医学の進歩がなければ、来年、65歳になる初めてのベビーブーマーの世代の7.5万以上の人が20020年までに認知症になると予測されています。
オーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaから委託されたアクセス・エコノミクスAccess Economicsの報告書によると、最新の国勢データを使ったところ、4年前の推計より認知症の人が55%多くなると推計し直しました。また、報告書は、増加する認知症の人を介護できる家族や専門職が今後、不足することを指摘しています。
ニューサウスウエールズ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Australia NSWのジョン・ワトキンJohn Watkins事務局長(写真左上)は「報告書は、私たちが考えていた以上に認知症の流行が劇的なほど悪化することを明らかにしています。医療や介護の計画に関わるすべての人への壊滅的ともいえる目覚ましです」と述べています。
報告
書によると、毎週、1300人以上の人が新たに認知症と診断されています。2030年までこの数は毎週7400人と予測されています。すでに、認知症は65歳以上のオーストラリア人の障害の最大の原因です。報告書によると、人口の高齢化が最重要な要因で、60歳以上のオーストラリア人の数は400万人から2050年までに1000万人になるでしょう。
オーストラリア・アルツハイマー病協会のグレン・リースGlenn Rees事務局長(写真左下)は、「今回の研究は人を驚かすとためのものではありません。実際、中位推計に基づいたものだ」と述べています。
報告書をまとめたラインネ・ペズーロLynne Pezzullo氏(写真右)は、「私たちの時代のうちに、認知症なそ退行性神経疾患は、健康や生活の質を最も脅かすような疾患でがんや心臓血管疾患を凌ぐでしょう」と述べています。
しかし、もし多くの人が運動に励み、タバコを止め、血圧をコントロールするなら、将来像はそれほど怖がるものではないと、報告書は指摘しています。
(brisbanetimes September 1, 2009 “Warning of fourfold rise in dementia”より)
報告書:Keeping dementia front of mind:incidence and prevalence 2009-2050 August 2009(pdf200K)
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★アルツハイマー病の人にもタンゴ(8月31日/アルゼンチン)
ブエノスアイレスの大きな精神科病院で患者が医師や看護師とタンゴを踊っています。そこでは、2,3ヶ月前、話すのを恥ずかしかった人も、歩くのにバランスをとるのが難しかった人も、今は、バンドネオンの物悲しい調べに合わせ、頬と頬をあわせて踊っています。
イタリアやオーストラリアでも医師は、アルツハイマー病やパーキンソン病の症状の治療に世界的に有名なアルゼンチンのタンゴを利用しています。
ブエノスアイレスのボルダ病院Borda Hospitalで毎週タンゴ療法教室の指導をしている臨床心理士のトリニダード・コチャTrinidad Cocha氏は「治療といっても特別な療法や薬のようなものではありません。患者に楽しんでもらう素敵なひと時を提供しているようなものです。みんなくつろぎ、肩書きをなくして医師も、看護師も、音楽家も、患者もタンゴを踊る人なのです。教室は患者を助け、自分の外観や衛生面に改めて関心を持つようになります。次回の教室には、入浴して着飾るでしょう。改善はよく、かれらの変化をみると報われます」と、病院の間に合わせのダンスホールで踊りながら述べています。
ワシントン大学医学部University of Washington School of Medicineの研究者は、パーキンソン病の患者がタンゴを踊ることでバランスが改善することを認めています。イギリスでは複雑なステップがアルツハイマー病の人の記憶を改善することが認められています。
イタリアでは、タンゴの強い抱擁と後ろむきのステップに欠かせない信頼が夫婦のカウンセリングに利用されます。
イギリスのウエールズを拠点とする国際タンゴ療法協会International Association of Tango Therapyのマーチン・ソテラーノMartin Sotelano議長は「タンゴでは、それぞれ特徴のある患者に合わせた多様なダンススタイルが有益です。カウンセリングを受ける夫婦には抱擁とコミュニケーションを重視したタンゴがあります。アルツハイマー病の人には8つの基本的なステップがあります。パーキンソン病の人にあったタンゴのステップがあります」と述べています。
今月、ブエノスアイレスの国際タンゴフェスティバル競技会に数百人のダンサーが集まりました。ほとんどのショーは市内で最も優雅な劇場で行われましたが、フェスティバルの主催者は、ボルダ病院の小さなコンクリートステージでの特別な発表会をも支援していました。
プロダンサーのフリオ・デュプラJulio Duplaa(70歳)やナターチャ・ポベライNatacha Poberaj(50歳)(写真:左の人)が、病院のステージで踊り、8つの複雑なダンスを披露しました。彼らが額を合わせて来場すると、患者たちは喝采しました。
患者のセルジオさん(37歳)は、アルゼンチンのスラムでよく使われる麻薬の一種のパコを何年も使って脳障害があり片麻痺になりましたが、タンゴ教室で運動が改善しました。
セルジオさんは「私は音楽が好きです。タンゴは私の歩行を改善するのに役立ちました」と述べています。
(Reuters Life! Mon Aug 31, 2009 “Patients embrace Argentine tango as new therapy”より)
編者:アルゼンチンでアルツハイマー病など認知症の人のケアにタンゴを積極的に取り入れていることは個人的にも知っている。
★啓発活動を続けたアルツハイマー病協会会長を表彰(8月30日/トリニダードトバゴ)
9月はアルツハイマー病啓発月間です。行事は、教会での礼拝、メモリーウオーク、講演会、研修などで、トリニダードトバゴアルツハイマー病協会Alzheimer’s
Association of Trinidad and Tobago (AzATT)が行います。全世界的には9月21日の世界アルツハイマーデーWorld
Alzheimer’s Dayが主要な啓発活動です。国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease International (ADI)は、世界の全国レベルの71のアルツハイマー病協会の連合体で1984年にワシントンで結成されました。
世界アルツハイマーデーは、支援を必要とする多くの人たちとの共同し連携して行う地球規模の共同活動です。トリニダードトバゴアルツハイマー病協会のノルマ・イニスNorma
Inniss会長(写真:前列右から2人目)は、10-年前から活動を始め、国際会議に参加し、カナダアルツハイマー病協会Alzheimer’s Society of Canadaとの「双子行動Twinning Programme」(注)を通し,研究の最新知見と病気の最新治療法について持続的に情報提供し地域の団体とのコラボレーションを続けてきました。
今年の世界アルツハイマーデーのテーマは「認知症の診断:少しでも早く受けよう“Diagnosing Dementia, See It Sooner.”」です。国際アルツハイマー病協会の報告によると、現在、全世界に3000万人の認知症の人がいます。こうした人たちの多くは、診断を受けていません。このことは、ケアを受ける方法も必要な治療も受けられないことなるのです。
診断は、適切な支援を受けるための重要な第1歩です。診断が遅れることで、認知症の人と介護者が、憤りや原因がはっきりしない、本来不必要な被害を受け、必要とする治療やケアを受けられないことにつながります。すべての人が病気について知り、症状を理解するのであれば、早期の診断を受けるようになるでしょう。
イニス会長は薬剤師でトリニダードトバゴ政府の社会的サービス部門の初めての薬剤師ですが、国際ソロプティミストSoroptimist InternationalのポートオブスペインPort-of-Spain支部の50周年優秀賞50th Anniversary Award of Excellenceを受け、支部のパメラ・ベンソンPamella Benson代表からその旨、発表されまし。代表は、イリス会長の主要な実績とトリニダードトバゴアルツハイマー病協会の結成のパイオニアーであるとして、次のように述べました。
「アルツハイマー病の人と介護者を助けようとするイリス会長の展望と関心から1997年から1998年の期間に会長が構想を作り上げました。この頃、この国には啓発と感性が欠落しています」
2004年、トリニダードトバゴアルツハイマー病協会が国際アルツハイマー病協会の正式会員に承認されました。2005年には、イニス会長は、アルツハイマー病協会の理事会委員に選ばれました。
(Newsday Trinidad and Tobago August 30 2009 “September is Alzheimer’s awareness month”より)
関連情報:今年の世界アルツハイマーデーの情報(国際アルツハイマー病協会)認知症の人と家族の会の本部と支部も、世界アルツハイマーデーに関わる街頭行動や記念講演会を全国各地で行う。また、アメリカのアルツハイマー病協会もMemory Walkを9月に全国的に展開する。
編者注:ADIが推奨する「双子行動Twinning Programme」は、先進国のアルツハイマー病協会が途上国のアルツハイマー病協会を一方的に助言、支援するのではなく、相互支援を意図したもので、「双子」と呼ばれている。現在、このプログラムで相互支援しているのは、ブラジルとポルトガル、スリランカとスコットランド、マルタとオランダ、ブルガリアとイスラエル、インドとイギリス、メキシコとロサンゼルス支部(アメリカ)、パキスタンと西オーストラリア支部(オーストラリア)である。日本の認知症の人と家族の会はこうした活動を行っていない。
★悲喜こもごもの負担(8月23日/マレーシア)
ある介護者の経験
Aさんは、夫が初めてアルツハイマー病と診断されたとき戸惑いました。最初、Aさんは、病気について何も知りませんでしたが、これまで多くのことを学びました。一人で夫を介護してきましたのです。その当時、地域に支援グループなどありませんでした。二人の子供は海外で暮らしていました。夫の病気のいろいろな時期を経験し、アルツハイマー病に伴うさまざまな困難に対応する方法に精通するようになりました。
Aさんは、軽度のアルツハイマー病の状態が最も対応が難しい時期と思っています。
次のような経験を持っています。
「ある夜、夫が早く眠ったと思い、くつろぐためテレビをつけ、編み物をしていました。耳のそばで大声を聞いてびっくりしました。夫が立って、私が二人の息子を殺したと非難しているのです。息子はどこにいるのだ、姿を見せてくれ、お前が息子を殺したなどと叫んでいました」
「夜間、夫が攻撃的になり言葉でも行動でも暴力的なったとき、怒りは予想以上に爆発しました。生活は耐えがたくなりました。夫が落ち着かなくて、自分の安全のため自動車で休みました」
「夫は、今はもう居ません。生存中、夫に十分なことができなかったと感じています。夫を失っても悲しいだろうと思ったことはありません。以前は、夫が亡くなることを望みました。でも今、彼は居なくなりました。この現実を直視するのは難しいことです」
高齢者の問題
マレーシアの高齢者数は急速に増えています。2000年に60歳以上の人の割合は、6.5%でしたが、2020年までに2倍になると推計されています。アルツハイマー病など認知症の人数は年齢とともに増加し、マレーシアで現在6万人と推計されていますが、2020年までに2倍になると予想されています。
介護
介護者は、受診、支払い、入浴や買い物、関係機関との連携などの助けを行います。アルツハイマー病など認知症の人の介護は日々の生活のあらゆる面に影響します。認知症の人が自分のことができなくなると、介護者に、耐える力、問題解決の能力、柔軟性が問われます。長く困難な旅のあいだ、コミュニケーションは乏しく、報われることが少なく、強力な支援がないと介護者にとって不幸になりかねない挑戦に直面します。悲しみ、うつ、怒りはよくある感情ですが、病気について学ぶことによって、不満を少なくし、正しい予測が持て、新たな挑戦への準備もできるようになります。
家族や友人が介護しやすくできない乏しい社会支援や地域の医療サービス、あるいは社会的孤立、病気についての無知は介護者によくない影響を与えます。
介護者の燃え尽きの危険な兆候があれば専門的な支援を探しましょう。よく眠れない、食欲がない、孤独に感じる、泣きなくなる、意欲がなくなるなどの状態は支援を探すときです。
アルツハイマー病の支援グループ
介護者にとって支援グループは助けになります。マレーシアアルツハイマー病財団Alzheimer’s Disease Foundation Malaysia (ADFM)はそのひとつです。この団体は非営利非政府団代で1997年に登録されました。財団は、ペナン、ペラク、メラカ、ジョホールバル(Penang,
Perak, Melaka ,Johor Bahru)で活動しています。団体の主な目的は、認知症の人と家族を支援することで、激励、最新情報、介護助言の提供などを行っています。
支援グループは、通常、介護している家族で構成され、ネットワークも持っています。支援グループは、法的なこと、休息ケア、経済的ことや保険関係、公的な医療補助、施設入所、罪悪感や怒りの感情の対応方法、高齢者手当、臨床研究、利用できる最新の薬などの情報や、絆、満足感なども提供しています。マレーシアの支援グループは、幅広い支援を提供するまでにはいたっていないが、大いに助けにはなっています。
休息ケア
休息ケアは、介護者の一時的なケアです。認知症の人を介護している人は、どれほど疲れているか緊張しているかを実感することなく介護を続けていることが多いのです。短時間の休息あるいは休日は、介護者をリラックスさせ心身の回復になります。
いろいろな休息ケアがあり、期間も数時間、数日あるいは数週間までさまざまです。もっともよく利用される休息ケアは、デイケアです。デイケアは、社会的な交流や多様な活動で認知症の人にも有益です。同時に介護者に必要な休息を提供します。研究によれば、デイケアは認知症の人の行動によい影響を与え、介護者のストレスを少なくしています。
マレーシアでは、認知症のデイケアはNGOによって運営されています。運転手、情報や法的な助言の提供者、理学療法士、ソーシャルワーカー、ヘルパー、資金援助などのボランティアを歓迎しています。
| 認知症の人の詩 思い出すように言わないで 理解できるように試さないで 休みがほしい、あなたが一緒にいることを教えて 頬に口付け、そして手を握って 私は、あなたが思っている以上に混乱し 私は、悲しく、病んで、戸惑っている ただ私は必要なのはあなた 何があっても私と居て 私に我慢して 叱ったり、罵ったり、泣いたりしないで 私がしていることは私にはどうしようもないの 私が試しても別なようにはできない あなたを必要としていることを忘れないで 私の最もよいことがなくなったことを知って 私のそばに立っていて そして私が死ぬまで私を愛してください (作者不明) |
(The star online August 23, 2009 “Bittersweet burdens”より)
関連情報:国際アルツハイマー病協会第24回国際会議24th International Conference of ADI(2009年3月シンガポール)でのマレーシアアルツハイマー病財団のLong
Heng Kow事務局長の報告DEMENTIA CARE IN MALAYSIA(ppt700K)
★アルツハイマー病の死亡率が上昇(8月19日/アメリカ)
アメリカの疾患管理予防センターCenters for Disease Control and Prevention(注)が8月19日に発表した2007年死亡報告書Deaths: Preliminary Data for 2007によると、2007年は全体の死亡率が低下し、心疾患、がん、脳血管障害などの死亡率も低下しているが、アルツハイマー病のよる死亡数は74,944人、死亡率は
24.8/人口10万人で前年より0.9ポイント上昇し、死亡率でみると第6位(1位:心臓疾患、2位:がん、3位:脳血管障害、4位:慢性閉塞性肺疾患などの慢性下気道疾患、5位;自殺他殺以外の事故)でした。
アルツハイマー病の死亡率が増加した原因として、「他の疾患による死亡が減少して長生きするようになったためだろう」と疾患管理予防センターの死亡統計部ボブ・アンダーソンBob Anderson,部長は述べています。
(AP 2009年8月20日 “Life expectancy in US up, deaths not, CDC says”および報告書Deaths: Preliminary Data for 2007(pdf500K)より)
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注:日本のマスコミでは「疾患センター(CDC)」と略称している。
編者:厚生労働省大臣官房統計情報部が2009年6月3日の発表した「平成20年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、わが国のアルツハイマー病の死亡数は3 092人 、死亡率は 2.5/人口10万人である。わが国では死亡の主な原因がアルツハイマー病でも、死亡診断書に記載することは稀である。
★アリセプトのジェネリック発売(8月11日/ニュージーランド)
ニュージーランドでは今年4月、アリセプトのジェネリック(後発品)が発売され、これまでのファイザーPfizer発売のアリセプトの価格が半額になりました。患者は、これまで月200から350ニュージーランドドル(1NZD、約65円)を支払っていましたが、急速にジェネリックに変えています。ニュージーランドでは、マイランニュージーランドMylan New Zealand社が販売し、関連会社がイギリスで生産しています。ニュージーランドでは、アリセプトもジェネリックも一般医が処方しますが、公的健康保険のファールマックPharmacの対象薬品でないため、全額個人負担となっています。マイラン社のロイド・プライスLloyd Price最高経営責任者は、「ファルマックが対象薬品に決定するべきであるが、当面、市場で質の高い薬品を提供したい」と述べています。プライス氏によれば、ジェネリックは地域の薬局では3分の1、病院では40%のシェアーを占めています。これに対してファイザーは、6月に卸し価格を半減しました。
ウエリントンのミラマール・ユニケム・ファーマシーMiramar Unichem Pharmacyの理事長で薬剤師のアン・プリベッティAnn Privett氏によると、家族は薬の効果について確信をもっていないし、価格についても心配していると述べています。しかし薬を止めると3ヶ月以内にアルツハイマー病の人の機能低下が急速に起こると述べています。
ニュージーランド・アルツハイマー病協会Alzheimers New Zealandの助言者のカッス・アレキサンダCass Alexander氏は、「価格の低下はよいことであり、これによって多くの人が利益を得るでしょう」と述べています。
オークランドでのもの忘れ外来所長で老年科のフィル・ウードPhil Wood医師は、「ドネペジルは広く処方されてきました。家族に説明して了解を得てから、ジェにリックを処方している」と述べています。
オタごOtago地区の老年科医師のジュリー・マダーJulie Mador氏は「ドネペジルをあまり勧めません。ドネペジルの効果はわずかであり、効果は3分の1に過ぎないという報告があるからです」と述べています。
(New Zealand Doctor 11 AUGUST 2009 "Generic forces Aricept discount"より)
編者:ニュージーランドでは、アリセプトの価格・効果の視点から有意義でないと、これまで医療保険の対象としていない。このためジェネリックの登場で価格低下が起こっている。日本では、コリンエステラーゼ阻害剤はアリセプトしか認可されていない独占状態が続き、薬価も高い。わが国でジェネリックが発売される予定は知らないが、インドでは既に、製造、販売されており、ネットによると個人輸入も可能だが、価格的には健康保険を利用した方が安い。
★「シリーズ介護:報酬魅力、家族が同居 韓国の制度、施行1年」(7月30日/毎日新聞)
韓国で昨年7月、日本の介護保険制度にあたる「老人長期療養保険制度」が始まってから1年が経過した。韓国の高齢化率はまだ10%程度だが、世界で最も早く少子高齢化が進んでいると言われ、家族による介護が難しくなっている状況は日本と似ている。現地を訪ね、現状と課題を探った。【有田浩子】
◇ヘルパー資格取得が条件/20歳から保険料徴収
ソウル市内にある真新しい10階建てのビルの中に「デミョン療養センター」はある。日本の特別養護老人ホームにあたり、昨年7月にオープンしたばかりだ。45年前から医院を経営していたが、介護分野への参入を決めて建て直した。6~9階部分で、介護が必要な高齢者98人が暮らしている。医院のスタッフが毎日回診するなど手厚いサービスが売り物だ。
エレベーターを降りると、車椅子に乗った女性たちが職員のかけ声で、ボールを頭の上に上げたり胸の前に出したりしていた。
チョン・アンモーさん(71)はソウル市内で娘と2人暮らしをしていたが、糖尿病と認知症の症状があり半年前ここに移った。韓国の要介護度は3段階で、チョンさんは真ん中の認定だ。「時間に関係なくいつでも面倒をみてくれる。自宅にいるより楽でいい」と話す。
自己負担額は生活保護などの低所得者を除き費用の2割。施設入所の場合、月額50万~60万ウォン(約3万9000~4万7000円)が必要だ。介護施設は急激に増えているが、介護保険からの支出増につながるため、「いかに在宅へ誘導するかが課題」(朴正培・保健福祉家族省療養保険制度課長)という。
介護サービスの柱は施設と在宅(自己負担15%)の二つだが、日本にはない家族介護への現金給付(家族療養費、月15万ウォン=約1万2000円)も導入されている。ただ、受け取っているのはへき地に住みサービスが受けられない場合などごくわずかという。
広く利用されているのは、療養保護士(ヘルパー)の国家資格を取り、介護事業所に所属する形で家族を介護する方法だ。在宅サービスの一つで、家族に要介護認定を受けた高齢者がいる場合に限られるが1日90分(約1700円)を上限に報酬が受け取れる。
必ずしも家族介護への支援を意図したものではないというが、受け取る額が多いため「要介護家族との同居が増えている」という。
不正のチェックは、唯一の保険者である韓国国民健康保険公団の担当だ。日本の介護保険に詳しく、韓国の制度創設にもかかわった金道勲・健保公団釜山沙下支社部長は「同居家族サービスにも(不正などの)問題があるのは事実だが、改善策を検討している」と話す。
40歳以上から保険料を徴収している日本と異なり、韓国では20歳以上の保険加入者すべてが保険料を負担する。国民はどう受け止めているのだろうか。
ソウル駅の売店でアルバイトしている女子大学生のハン・ソンヨンさん(20)は「高校、大学で新しい制度を勉強しました。いいことだと思います」と話すが、両親と同居のため、「いくら払っているかは分からない。友達との間でも話題にならない」と実感は乏しい。
*
韓国では、医療保険の健康保険料とあわせて介護保険料が引かれ、全国統一の料率になっている。利用者が少ないこともあり、09年の介護保険料は日本円にして平均月約330円、10年も同約450円と低く、大きな反発はないようだ。韓国の介護保険制度に詳しい増田雅暢・上智大教授は「小さく生んで大きく育てるのが韓国流。高齢化が進み、介護保険財政が膨らんできたときに国民の理解が得られるかがカギだろう」と指摘する。
◇ケアマネ不在、強制力ないプラン
韓国では、日本が介護保険制度をスタートした00年、当時の金大中(キムデジュン)政権の下で制度の検討が始まった。
介護サービスを受ける前提となる要介護認定の仕組みは日本と似ているが、中重度にしぼった3段階(10年から4段階に移行)になっている。今年4月末までの申請は約45万3000人で、25万1000人が認定されている。認定数は65歳以上の約5%にあたる。
公費の割合は日本が国・地方あわせて約5割なのに対し、韓国は2割。残りは保険料と利用料(自己負担)で賄われる。日本と大きく異なるのはケアマネジャーがいないこと。要介護認定の結果に基づき健保公団の職員が標準的なケアプランを作成するためだ。職員1人で100人以上を担当するため、「ニーズの把握が不十分」との指摘もある。公団作成のケアプランは強制ではないため、介護事業者が寝たきりの高齢者宅に使わない車椅子をレンタルするなど不正な利用も多く、国会にプランを強制する法案が提出されている。
(毎日jp 2009年7月30日 原文のまま)
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★診断や認識が乏しくてアルツハイマー病の人が間違って扱われている(7月27日/パキスタン)
パキスタンのラホールに住むファイゼル・カーンFaisel Khanさんに、彼の父親がアルツハイマー病かもしれないと助言したのは隣人でした。それまでカーンさんと家族は、父のおかしな行動、妻や子供の顔が分からなる、外を歩き回る、数十年知っている近所が分からなくなる、突然運転できなくなる、多い気分の変化が、悪い心の病の症状と思っていました。カーンさんは、「私たちはアルツハイマー病が何であるか知りませんでした。父の行動が脳の変化に関係しているとは知りませんでした。アルツハイマー病であることが分かるまで、一般医、精神科医、神経科医など12人ちかい医師を訪ねました。診断を受けることは容易なことではありませんでした。」と話しています。
カラチにあるジンナー卒後医療センターJinnah Postgraduate Medical Centre (JPMC)の神経科医長のシャウカト・アリShaukat Ali教授は、以下のように述べています。
「基本的に記憶障害を伴うアルツハイマー病を確定診断する技術はありません。多くのアルツハイマー病は年齢に関係します。MRIで脳の全般の萎縮などの変化を確かめることができ、これが診断の助けになります。ビタミンB12欠乏症、甲状腺機能低下症、うつ状態、頭部外傷などを除外しなければなりません。アルツハイマー病は、パキスタンに多い多発性脳血管障害と混同することが少なくないのです。」
アルツハイマー病の治療法はありませんが、薬で進行を遅くすることはできます。多国籍企業によって販売されている薬は月100ドルちかい価格で、多くの家族には手が届きません。国内で生産している薬は月25から37ドルです。
アルツハイマー病は、認知症の60から70%を占めますが、全世界でおおよそ2660万人のアルツハイマー病の人がいると推計ており、人口の高齢かに伴い2050年までにその数は4倍になると推測されています。
パキスタンの正確なアルツハイマー病の人数は分かっていませんが、ラホールを本拠とするNGOのパキスタンアルツハイマー病協会Alzheimer’s Pakistanのフセイン・ジャフリーHussain Jafri事務局長(写真左)は、「おおよそ約100万人でしょう。しかし、その多くのは診断を受けていないようです」と述べています。
ジャフリーさん自身の祖父は、1993年からアルツハイマー病でした。しかし、初めの頃、病気に気付きませんでした。診断されていないと教養ある家族でもアルツハイマー病の人を間違って扱ってしまうことを示しています。ジャフリーさんは「私の家族は、祖父が、注意を向けることが難しく意図的にしていると考えていました。祖父は何度も祈り、壁に落書きをし、何度も食べ物を要求していました。ところが家族は食事を与えなくなり、40キロも体重が減った」と述べています。
パキスタンアルツハイマー病協会は、アルツハイマー病の人ための無料のデイケアセンター(写真右)を運営しています。センターの管理者であるザビーア・シャーヒドSabiha
Shahidさんは、「センターを利用しているアルツハイマー病の人は常に見守りが必要です。見守りも家庭では大変困難です。とくに、拡大家族が崩れつつあり、女性がますます外で働くようになっているからです。このセンターは、アルツハイマー病の人に介護される場所が用意し、身体的精神的な軽い運動を提供している」と述べています。
JPMCのアリ教授は、「アルツハイマー病は高齢者にあいだでは最も多く、85歳以上では50%に認められます。若い人がなることもあります。遺伝はこの病気の一部に関係している。」と述べています。
西オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer's Australia WAのCEOであるフランク・シェイパーFrank Schaper氏は、「若い人では進行が早い。原因は特定されていないが、症状が出る10年以上前から脳に変化を認め病気が始まっている証拠がある」と述べています。
ジェフリーさんは、「最近の調査によれば、アルツハイマー病はインドと中国で特に多い。その理由は分かってはにないが、食事、喫煙、飲酒などのライフスタイルが発病の部に関係しているらしい」と述べています。
人々が長く生きるようになって、パキスタンでもアルツハイマー病の人の数は増えていると専門家は指摘しています。
シャーヒドさんは、「一般医が病気を探さなければと気付け事が大切です。家族は、通常、医師に初めて相談するからです。その医師がより支援を得られる専門家に紹介するが必要です。アルツハイマー病については、プライマリーケアを提供する医療専職の間でさえ、なお認識が不足している」と述べています。
(IRIN:Integrated Regional Information Networks 26 July 2009 “PAKISTAN: Alzheimer’s patients mistreated due to lack of diagnosis, awareness”より)
編者:パキスタンアルツハイマー病協会は、国内で初めての認知症専門デイケアを始めた。
これには西オーストラリアアルツハイマー病協会の支援がある。パキスタンアルツハイマー病協会が加盟する国際アルツハイマー病協Alzheimer’s
Disease Internationalは、こうした二つの国のアルツハイマー病協会(西オーストラリアの協会は、オーストラリアアルツハイマー病協会を構成する一協会であるが)が支援しあう「双子計画Twinning Programme(pdf)」を勧めている。
★ショッピングモールに認知症デイケア(7月25日/シンガポール)
高齢化が進むシンガポールで認知症の人は、次の10年内に4万人と倍増すると推計されています。こうした増加に対応してシンガポールのアルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Association(会長:Dr Ang Peng Chye 写真)は、認知症の人を対象とした国内4番目のニュー・ホリゾン・センターNew Horizon Centreを開設しました。このセンターはジューロンポイントJurong
Pointにあり、初めて、ショッピングモールのなかの認知症デイケアセンターであり、主に初期認知症を対象としています。25日の開所式に首相府のリム・ブーン・ヘンLim
Boon Heng大臣が出席し、大臣は、高齢化問題の担当大臣でもありますが、「センターがショッピングモールにあることで認知症に対する偏見を少なくし、地域で認知症の人への統合してみることを促進することになろう」と述べました。
(channelnewsasia.com 25 July 2009 “Dementia daycare centre opens in shopping mall”より)
★認知症も対象とした介護保険制度の導入準備(7月24日/台湾)
中華民国の保健省(衛生署、Department of Health)は、7月23日、導入予定の公的介護保険制度の法案作成の委員会を開催しました。
保健省の鄭守夏Cheng Shou-hsia副大臣(副署長)(写真)は委員会の議長もありますが、以下のとおり述べています。
「この新しい介護保険は認知症の人も対象なるだろう。多くの認知症の人は身体障害はありませんが、とても苦労の多い注意深い介護を必要とすることを認識しています。どの程度の認知症を介護保険の対象とするか今後の研究が必要です。委員会は、介護保険制度の法案を今年末までに提案し2011年か2012に導入することになるでしょう。現行の国民医療保険National Health Insuranceと同様に、介護保険は政府によって運営され、被保険者は病院で一部自己負担金を払うことになるでしょう。しかし、介護保険制度がすべての国民を対象とするのか、40歳以上を対象とするのかはまだ決まっていません。介護保険サービスが必要なのは高齢者であり、若い人や雇用者は保険料の支払いをよくは思っていないようです。」
台湾失智症協会Taiwan Alzheimer's Disease Associationによると、台湾の認知症の人は約16万人で、2056年までに62万人になると推計されています。毎年1万人増えていることになります。65歳以上の人口240万人のうち、約10%に障害があり、約5%に認知症を認めています。
台湾では、介護が必要な人は40万人近くいると推計されていますが、内閣は、次の10年間で介護者の需要は1万2000人から6万2000人になると推測しています。介護保険制度委員会の委員の一人であるアジア大学(亞州大学Asia University)の楊志良Yaung Chih-liang副校長(副学長)は次のように述べています。
「被保険者は、介護保険給付に相応しく有資格介護者を要望するでしょう。この制度によって、無資格の低賃金の外国人介護者の現状を変えることになるでしょう。さらに、外国人介護者を利用する人への保険の支払いはわが国の介護者の半分になるかもしれません。こうした制限によってわが国の介護者の給与を押し下げている外国人介護者の流入を防ぐことになるだろう。」
(Taiwan News 2009-07-24版 “Dementia sufferers to be covered by long-term care insurance” および 2009-07-23版 “Preparatory
panel for long-term care insurance launched”より)
編者:アジアでは日本、韓国についで、台湾でも認知症も含めた公的介護保険が始まろうとしている。台湾では、フィリッピン人など低賃金外国人労働者が介護のかなりの部分を担っていると聞いている。
★開発を競い合っているアルツハイマー病薬の効果がなく製薬会社に不安(7月20日/オーストリア)
アルツハイマー病薬の最先端の開発が、ワイスWyeth、エランElanなど製薬会社によって続けられてきましたが、新しい研究結果によって開発が怪しくなってきたようです。
脳に塊を作る蛋白の生成を阻止することでアルツハイマー病の進行を遅らせることを意図した12以上の薬の研究の臨床試験が行われています。薬によって、その蛋白は減っているようですが、記憶や認知機能が改善したという証拠がほとんどありません。研究によって多様で複雑な病気の姿が浮かび上がっており、科学者が神経を死滅させていると考えているベータアミロイド蛋白が、必ずしも悪いとは言えないようです。
ジョンズホプキンス大学医学部Johns Hopkins University School of Medicine精神科のポール・ローゼンバーグPaul Rosenberg准教授(写真左上)は、次のように述べています。
「製薬会社は、ベータアミロイドがアルツハイマー病の原因であるとして数百万ドルを賭けていますが、私は、できるなら企業が正しいと望みたいのですが。アミロイド仮説が本当に正しいとは確信できないために、私の楽観論はいくぶん変わってきている」と述べています。
スウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ研究所Karolinska Instituteのアルツハイマー病研究センターAlzheimer’s Disease Research Centerのアンダース・ウイモAnders Wimo准教授(写真左中)によれば、認知症の患者数は全世界で2050年までに1億2000万人になると推測されています。アメリカでは、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationによると、2006年にアルツハイマー病で7万3000人が亡くなり、6年で47%増加しています。現在、この病気を止める薬は在りません。

先週、オーストリアのウイーンで開催されたアルツハイマー病国際会議International Conference on Alzheimer’s Diseaseで、グラクソスミスクラインGlaxoSmithKline、アストラゼネカAstraZeneca、マーテックバイオサイエンシズMartek Biosciences、ジョンソンアンドジョンソンJohnson & Johnson、アボットラボラトリーズAbbott Laboratories、ミリアドジェネティクスMyriad Geneticsから、実験的な治療が停滞していると報告されました。栄養補助剤から神経細胞受容体といった多様な方法で薬の開発が試みられまいますが、どの薬も病気の症状を改善したり、遅くすることに失敗しています。
クリーブランド脳健康外来センターCleveland Clinic Center for Brain Healthのランドルフ・・シッファーRandolph Schiffer所長(写真右上)は、次のように述べています。
「新しい治療に向けて20年間真剣に関わってきたが、アルツハイマー病協会の新しい標準的な治療を開発することが容易ではないことがわかりました。誰もがこのことに不満を感じています。こうした試みを始めてももう遅いのかもしれません。病気について十分に理解していないのでしょう。十分に長く人間を観ていないのかもしれません。こうしたことは私たちすべての関心事なのです。」
こうした失敗のあとに残っているものとして、もっとも期待されている治療はアイルランドのダブリンを本拠とするエランとワイスのバピネオズマブbapineuzumabです。この薬の開発で広がっている停滞がなければ、毎年50億ドルの売り上げがあると推計されています。エランとニュージャージー州マディソンを本拠とするワイスは、最終段階の臨床試験を始めました。エランの報道担当者のニア-マ・ライオンズNiamh
Lyonsは、「試験結果のデータは2010年の後半に公表されるでしょう」と、述べています。
ロンドンを本拠とするグラクソスミスクラインのマイケル・ゴールドMichael Gold副会長(写真右中)は、「バピネオズマブbapineuzumabには、誰もがハラハラしています。もし失敗すれば、アミロイド仮説を再考しなければならない」と述べています。
バピネオズマブは、初期の臨床試験では、アルツハイマー病になりやすい遺伝的な傾向がない人については現在の治療より記憶障害の低下を少くはしていますが、ほとんどの患者に効果は認められませんでした。最終の臨床試験では、遺伝的背景によって患者を分類して、薬にどのように反応するかを正確に観ようとしています。今月初め、ジョンソンアンドジョンソンは、エランのアルツハイマー病計画に10億ドルを投資して権利を買いました。
企業が開発しているアルツハイマー病と対決しようとする薬は600以上あります。最終段階の臨床試験が行われている6つの薬のうち4つは、アミロイドを減らすことによってアルツハイマー病を治療しようと目指しています。さらに、エランとワイスの薬に加え、イーライリリーEli Lillyは、異なった方法で蛋白に対する二つの薬を持っています。バクスターインターナショナルBaxter Internationalも、最終段階の薬を持っています。
イーライリリーのLY450139の初期の臨床試験によると、血中のベータアミロイドを減らすことが認められています。試験中の別の薬であるLY2062430は、初期の試験によると、脳の蓄積している蛋白が分離すことを認めています。バクスターのガンマガードGammagardの臨床研究によると、この薬は免疫障害を改善することが認められ、薬を服用した患者での心理テストや身体機能は偽薬の患者より改善が認められています。
アミロイド仮説はアルツハイマー病を進行させるとする指導的な理論です。死後の解剖で患者の脳に蓄積している斑の主な成分がアミロイド蛋白であることから名づけられましたが、最近の研究によると、アミロイドがなんらかの利益をもたらすらしい活発な分子であることも認められています。
ベータアミロイドの研究者は、その蛋白が学習や記憶に欠かせない神経伝達物質の副産物かもしれないことも認めています。今回の国際会議で、脳のアミロイドを正確に測る進歩した画像技術によると、記憶障害のない高齢者の20%にアミロイド斑を認めたと報告されています。
先週、さらに全体像を曖昧にさせたのは、ファイザーPfizerとメディベイションMedivationのが臨床試験中のディメボンDimebonという薬です。かってロシアでアレルギー薬として売られていたこの薬がアルツハイマー病を進行を遅らせる顕著な結果を示しており、指導的な医師たちがその有効性について確信しています。しかしマウス実験で、この薬が脳のアミロイドのレベルを上げているのです。
20年間、脳の蛋白の働きを研究し、この研究の主任者であるニューヨークのマウントサイナイ医科大学のアルツハイマー病研究センターAlzheimer’s Disease Research Center at Mount Sinai School of Medicineのサミュエル・ガンディSamuel Gandy副所長は、「今回の結果は、私たちがアミロイドを減らす物質の研究を目指すべきかどうかについての疑問のひとつです。長期的にアルツハイマー病の患者に何が起きているのか疑問がわく」と述べています。
アメリカ国立加齢研究所U.S. National Institute on Agingによると、アルツハイマー病は典型的には、軽いもの忘れから始まり、歯磨き、着替え、家族の確認ができなくなるほど悪化します。最期には、混乱し興奮して常時介護が必要となります。
企業は、アルツハイマー病に対して最善でもっとも進んだ方法がアミロイドと対決する努であることを支持しています。エランの科学事務職主任のデイル・シェンクDale
Schenk氏(写真左下)は、次のように述べています。
「普通の市民やこの分野に関わる人たちは、アルツハイマー病の進行を変化させる薬がすぐにでも症状を改善すると誤って期待しています。こうした薬は、当初、利益が少ないようでも、時とともに大きくなります。私たちは、こうした目標に近づけるような新しい物質を開発する困難な作業を始めたばかりです。私たちは間違いなく正しい道を歩んでいます。現在の研究は続けなければなりません。新しい発見によって現在の治療を失敗へと繋げてはなりません。」
アメリカのアルツハイマー病協会の医学科学担当主任のマリア・カリーヨMaria Carrillo氏(写真右下)は、「新しい発見が現在の臨床試験に直接に影響するとは言えません。こうした試験はまだ価値ある方法です。すべての試験にチャンスを与えなければなりません」と述べています。
(Bloomberg July 20,2009 “Alzheimer’s Angst Builds for Elan, Wyeth as Rival Drugs Fail”より)
編者:この記事を書いたマイケル・フェイ・コルテスMichelle Fay Cortez氏は、医学関係、とくに薬に関する記事を書くアメリカのフリーのレポーターのようである。アミロイド仮説に基づいたアルツハイマー病薬の開発が混沌としている現状について興味ある内容の記事なので紹介した。
★アルツハイマー病薬として期待されている薬の意外な結果(7月15日/アメリカ)
アルツハイマー病の薬として臨床試験第3相が行われているディメボンDimebon(メディベイションMedivationとファイザーPfizerの共同開発)について、マウスでの動物実験を行ったところアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドベータが脳内に増えることが認められたと、7月15日、アルツハイマー病国際会議2009(ICAD2009)で報告されました。
この研究結果は、アメリカ・ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学Mount Sinai School of Medicineのサミュエル・ガンディSamuel Gandy医師(写真)が報告しました。
ディメボンは、もともと、ロシアで抗ヒスタミン薬として使われていましたが、メディベイション(本社:アメリカ・サンフランシスコ)が開発し、アミロイドベータを減少させアルツハイマー病の症状を軽快すると考えられていましたが、今回の研究結果から薬がどのように作用しているのか新たな疑問が生まれたことになります。アミロイドがアルツハイマー病の原因なのか、あるいはアルツハイマー病の副産物なのかについて確かなことがわからなくなりました。
ガンディ医師は、「臨床的に有効と思われている物質がアミロイドを減らすことを期待したが、逆にアミロイドを増やすことになった結果は意外で驚いています。ディメボンが有害なアミロイドを神経細胞から効率的に排出させるように作用しているのか、あるいは、アミロイドによる脳の損傷を治す作用があるのかもしれない」と述べています。
(Reuters July 15, 2009 “Promising Alzheimer's drug boosts toxic protein”より)
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編者:アミロイドベータがアルツハイマー病の原因であるという説については、最近、多くの疑問が生まれている。この疑問を裏付けるような今回の研究結果はアルツハイマー病の薬物治療の研究をますます混乱させる。もっとも、足踏みするかもしれないが、ディメボンの臨床試験は続けられるだろうし、その結果に期待したい。
★「ソウル型デイケアセンター、きょう47カ所オープン」(7月15日/韓国)
夜10時まで老人性認知症(痴ほう)の患者を預けられる「ソウル型デイケアセンター」が15日、ソウル市23区(江北区・中区を除く)に1-4か所ずつ、合計47カ所オープンする。
ソウル市は「認証基準36項目を通過した47カ所の同デイケアセンターを15日午前8時から午後10時まで営業する」と発表した。同市によると、これらのデイケアセンターにそれぞれ400万-1000万ウォン(約29万-72万円)を補助して改・補修を終え、人材養成プログラムを補完し、午後6時までだった営業時間を午後10時まで延長することにしたという。同市福祉局は点検要員50人を投入して衛生・給食状態を調べ、会計管理が透明に行われているかどうかを管理する。同市は今年末までに80カ所へと増やし、10年までに120カ所追加、計200カ所のデイケアセンターを設ける予定だ。
一方、九老区は高尺洞のゴールデンタワービル4階に、高麗大九老病院に運営を委託した認知症支援センターを15日オープンすると発表した。 パク・ヨンソク記者
(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2009年7月15日 原文のまま)
★緊密な介護関係はアルツハイマー病の進行を遅らせる(7月14日/アメリカ)
ユタ州立大学Utah State Universityの家族・消費者・人間発達部Department of Family, Consumer and Human Developmentのマリア・ノートンMaria C. Norton准教授(写真)らのグループは、既に行っている「キャッシュ郡記憶スタディCache County Memory Study」の一環として、介護者と介護を受けるアルツハイマー病の人との介護関係の親密度の認知機能と生活機能への効果について調べ、関係が緊密であるとアルツハイマー病の進行を遅らせることを認めました。
調査は、アルツハイマー病と診断を受けた167人について、3年間追跡して、6回の面接、平均20ヶ月間の観察を行いました。調査参加者は、女性が64%、平均年齢は86歳、平均認知症期間は4年間でした。
この研究結果は、オックスフォードジャーナルOxford Journalsの「老年学シリーズB:心理科学と社会科学The Journals of Gerontology Series B: Psychological Sciences and Social Sciences」の2009年9月号に掲載される予定です。なお、論文はOxford JournalsのサイトのThe Journals of Gerontology Series Bのページで電子版2009年6月29日版(タイトル:Caregiver-Recipient Closeness and Symptom Progression
in Alzheimer Disease. The Cache County Dementia Progression Study)で読むことができます。
ノートン准教授は、以下のとおり述べています。
「これは、アルツハイマー病の進行を遅くする薬物療法に加え、介護環境いう非薬物面での方法によって認知症の人の生活機能と生活の質の低下を遅くするらしいことを示した初めての研究です。ベビーブーマーの世代が高齢化することを考えると、認知症の進行因子を抑え、機能の低下速度を遅らせる方法と見つけることは社会の保健分野の最優先課題です。これからは、認知症の人の脳機能のより長く質を高めるのに介護者のどのような活動であるかが効果をあげているかを見つけることに研究の焦点が絞られるでしょう。さらに、介護関係を高め、アルツハイマー病による機能低下を遅くするのに役立つ介入を試みるかもしれません」
ユタ州立大学は、1994年からデューク大学やジョンズホプキンス大学と連携して、キャッシュ郡記憶スタディを行っており、このステディでは65歳以上の5000人以上が参加し、アルツハイマー病など認知症の進行に影響する遺伝要因や環境要因を調べています。このステディで認知症と診断された人は、キャッシュ郡認知症進行スタディCache County Dementia Progression Studyで追跡されます。
ノートン准教授は、「地域で該当する人のうち90%以上の人が参加しているという異常に高い参加率と、ユタ州キャッシュ郡は平均以上の長寿地域(同郡は1990年の国勢調査で最も長寿の郡)であることは、大学にとって大規模で疫学調査には理想的な地域になっている」と述べています。
(Newswise 14-Jul-2009 “Close Relationship With Caregivers Slows Alzheimer's”より)
編者:論文を詳細を未だ読むことができていない。介護関係の親密さをどのように測ったのか不明であり、調べておきたい。こうした「科学的な方法」によらなくとも、介護者の認知症の人への思い、理解、介護、よりよい人間関係が認知機能の低下を遅らせていると経験的に知る。
★アルツハイマー病国際会議2009、ウイーンで始まる(7月12日/オーストリア)
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationが主催して毎年開催されるアルツハイマー病国際会議International Conference on Alzheimer's Disease (ICAD 2009)は、今年は、7月11日から16日までオーストリアのウイーンで開催され、60の国から5000人以上が参加者しました。
この国際会議では、アルツハイマー病などの原因、診断、治療、予防について最新の研究や情報が報告され、アルツハイマー病に関する最新、最大の国際的な学術会議です。
この国際会議の主催であるアルツハイマー病協会から、興味深い報告の概要がネットで毎日、紹介されています。
なお、来年のICAD2010は2010年7月10日から15日までハワイ・ホノルルで開催されます。
(ICAD 2009のサイト 2009年7月12日~ より)
主催者のニュースリリース(抄訳)
7月12日
○アルツハイマー病診断への医師の積極的な姿勢や地域の支援サービスとの信頼ある個人的な関係がアルツハイマー病の早期診断をおおいに可能にしている。
Doctors Talk Frankly About What Encourages and Impedes Early Diagnosis of Alzheimer's
○DHAの効果に相反する結果の報告ある。ひとつは、アルツハイマー病の人へ18ヶ月の服用で効果を認めなかった。もうひとつは、健康な人での6ヶ月の服用では認知機能の効果を認める。アルツハイマー病の早期発見と介入の必要性が示唆される。
Results from Trials of DHA in Alzheimer's Disease and Age-Related Cognitive
Decline Mixed Results Emphasize the Need for Earlier Detection and Intervention
○地域の医師とのパートナー関係、地域の診療所との作業、教育セミナーの開催、健康フェアーがアルツハイマー病の臨床試験への参加者を確保するに有効な方法である。
Three New Studies Give Clear Guidance on How to Better Recruit Volunteers for Alzheimer's Clinical Studies
7月13日
○心的外傷後ストレス障害PTSDは認知症の危険性を高める。少量の飲酒は認知症の危険性を低くする。
PTSD Associated With Higher Alzheimer's/Dementia Risk; Moderate Alcohol Consumption May Lower It
○80歳以上でも認知症の有病率も罹患率が加齢とともに上昇。
New Cases Of Alzheimer's And Dementia Continue To Rise, Even In The "Oldest Old"
7月14日
○MRIやPETの脳画像検査、記憶テストおよび脳脊髄液中の蛋白値測定の組み合わせによってアルツハイマー病の予後や診断のレベルが高まる。
Brain Imaging (MRI/PET) and Measurements of Proteins in Spinal Fluid May Improve Alzheimer's Prediction and Diagnosis
○心臓に健康なダイエットや持続した中程度の活動は加齢による認知機能の低下を防ぐようだ。
A "Heart Healthy" Diet and Ongoing, Moderate Physical Activity May Protect Against Cognitive Decline As We Age
7月15日
○アルツハイマー病の薬の臨床試験や新しい危険因子についての発表があった(これまでの発表のまとめ)。
Results From Drug Trials And New Risk Factors Announced At International Alzheimer's Conference
○第3相臨床試験中の薬が脳のアミロイドベータを増やす。しかし、薬の効果はある。
A Phase III Alzheimer's Drug Increase Levels of Beta Amyloid in the Brain - But Still Provides Benefits
★糖尿病薬がアルツハイマー病の治療に効果なし(7月12日/イギリス)
イギリスの国際的製薬会社であるグラクソ・スミスクラインGlaxoSmithKlineの糖尿病薬アバンディアAvandia(日本で未承認)のアルツハイマー病治療薬としての有効性を認められませんでした。
アルツハイマー病では、脳でインスリンが有効に働かないと認められ、インスリンの感受性を高める作用のあるアバンディアが脳内のブドウ糖値をよりよく調整することでアルツハイマー病の治療薬として期待されていました。
軽度から中程度のアルツハイマー病の人、553人について6ヶ月間、臨床試験を行ったところ、認知機能、行動、日常生活の面で改善が認められませんでした。
この研究結果は、オーストリア・ウイーンで開催されているアルツハイマー病国際会議2009(ICAD2009)で7月12日に発表されました。
(Bloomberg July 12 2009 “Glaxo’s Avandia Fails to Benefit Alzheimer’s Patients (Update1)”より)
編者:またひとつ、アルツハイマー病の治療候補薬が消えた。
★指圧とモンテッソーリ法で認知症の人の興奮が軽減(7月1日/台湾)
台湾の国立陽明大学National Yang-Ming Universityの臨床・地域保健看護研究所Institute of Clinical and Community Health Nursingのリチャン・リンLi-Chan
Lin教授(写真)らのグループは、施設の認知症の人へ指圧とモンテッソーリ法によるアクティビティを試みたところ、興奮や攻撃的行動が軽減したことを認めました。
リ医師らは、台湾にある長期介護施設の6つの認知症特別ケアユニットの133人の認知症の人を3つのグループに分け、指圧、モンテッソーリ法アクティビティおよび何もしない3つの期間の順序を変えて行いました。指圧とモンテッソーリ法アクティビティは1日1回、週6回で4週間行いました。その結果、指圧とモンテッソーリ法アクティビティを行った場合、興奮行動、攻撃的行動、および言語による攻撃的行動が減少することを認めました。
看護助手は「指圧かモンテッソーリ法アクティビティを行ったあと、食事、排泄、入浴、身づくろい、睡眠、歩行などで介助がしやすくなった」と指摘しています。
「この研究によって、伝統的な中国医学の方法と西洋の方法とが合わさる方法が認知症の人の介護に有用であり、また在宅や施設での公的介護者に対して現在行われている研修にも有益であると認められるだろう」と研究者は述べています。
この研究論文は、アメリカ老年医学会雑誌Journal of the American Geriatrics Society 2009年6月号に掲載されました。
(Reuters Health Jul 1, 2009版 “Relaxation techniques decrease anxiety in dementia”および論文”Using acupressure and Montessori-based activities to decrease agitation for residents with dementia: a cross-over trial”より)
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★軽度のアルツハイマー病の人は大切なことも覚えくい(6月25日/アメリカ)
アメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼル校University of California, Los Angeles(UCLA)心理学部のアラン・カステルAlan Castel准教授(写真)らのグループは、若年者、健康な高齢者、軽度のアルツハイマー病の人の記憶の仕方について調べ、アルツハイマー病の人は記憶すべき内容の重要性を認識した記憶ができにくことを認めました。この研究結果は、アメリカ心理学会American Psychological Associationの学会雑誌Neuropsychology5月号に掲載されました。
研究グループは、健康な高齢者109人(平均年齢75歳)、日常生活が営めている軽度のアルツハイマー病の高齢者54人(平均年齢76歳)および若年者35人(平均年齢19歳)を対象として記憶テストを行いました。テストの内容は、12の単語を一組をした8組で、各単語に1点から12点までの重要性のランク付けをし、1単語ごとにパソコンのディスプレイで1秒間表示し、30秒以内にそれを思い出しますが、重要性の高いランクの言語を優先的に記憶するようにし指示しました。単語は、「机」「財布」「りんご」といった簡単なものです。
テストの結果、若年者は、ランクの高い言語を選択的に多く記憶し、平均して12単語のうち5.7単語思い出せました。健康な高齢者では、3.5単語で少ないが、ランクの高い単語を選択的に記憶していました。これに対して、軽度のアルツハイマー病の人は、平均2.8単語を思い出せましたが、ランクの高さに関係になく記憶していました。
この結果についてカステル氏は、以下のとおり述べています。
「アルツハイマー病の最初に現れる症状のひとつは、記憶の問題ではなく、むしろ、集中することができないことかもしれません。アルツハイマー病の人は、覚えられる単語も少なく、選択して覚えるという能力も低下しています。これに対して健康な高齢者は、わずかしか言語しか思い出せないことは当然です。加齢とともに記憶を蓄える能力が低下しているからです。しかし、高齢者も若年者と同様に選択して記憶することができます。「記憶は限られた資源です。高齢で限られたことしか覚えられないのであれば、覚えることを選択する必要があります。上手に年取るための対策のひとつは、何が大切で何が大切でないかを覚えるということです。多くの高齢者は、なにもかも覚えておくことができなくなっているので、選択して覚えることを学ぶようにします。たとえば、旅行に行く前、2つ3つしか覚えられないのであれば、財布、航空券、パスポートを持っているかどうかを覚えておきましょう。ハンカチや櫛を忘れても、問題ではありません。また覚えておきたくないのならば、集中しないことが最善の方法です。すべてもことを覚えられません。上手の方法として、今日必要な最も重要な3つのことが何であるかを自問しておくのがよいでしょう。物ごとに優先順位をつけるのです。」
(UCLA Newsroom 6/25/2009 “Remembering what to remember and what to forget”および論文”Memory
Efficiency and the Strategic Control of Attention at Encoding: Impairments
of Value-Directed Remembering in Alzheimer’s Disease”より)
★アルツハイマー病の人の新しい介護冊子(6月24日/アメリカ)
アメリカ国立加齢研究所National Institute on Aging(NIA)は、介護者向けの新しい冊子「アルツハイマー病の人の介護:NIAからの使いやすいガイドブックCaring for a Person with Alzheimer’s Disease: Your Easy-to-Use Guide from the National Institute on Aging」を、付属のアルツハイマー病教育情報センターAlzheimer's Disease Education and Referral (ADEAR) Centerから発行しました。
この冊子は、デューク大学医療センターのアルツハイマー病研究センターJoseph and Kathleen Bryan Alzheimer's Disease Research Center の協力を得て、実際に、アルツハイマー病の人を介護している家族らの評価を参考に編集されたものです。
冊子は148ページですが、介護のポイントとして以下を挙げています。
○ アルツハイマー病に対処するために病気について学びましょう。
○ アルツハイマー病の人をより楽に介護できるように計画を立てましょう。
○ アルツハイマー病に人にとって家を安全な環境にしましょう。
○ アルツハイマー病の人の介護と同様に、介護者自身を介護も重要です。
○ あなたは一人ではありません。援助を求め得ることはよいことです。
○ もし家で介護ができなくなれば、アルツハイマー病の人ふさわしい生活の場を見つけることはできます。
○ アルツハイマー病の人が服用している薬について知りましょう。
○ アルツハイマー病の人の最期をどうするか考えておきましょう。
なお冊子はADEAR Centerから無料でダウンロードできます。
Caring for a Person with Alzheimer’s Disease: Your Easy-to-Use Guide from the National Institute on Aging(pdf2.4M)
(ADEARセンター 2009年6月24日付けのメールなどより)
編者:「アルツハイマー病の人の介護」(三宅部分訳)pdf500K。全訳進行中。
★認知症の日系アメリカ人に勧めたい介護(6月18日/アメリカ)
ハワイ大学University of Hawaiiの家族・消費者科学科Family and Consumer Sciences准教授であるマイケル・チャンMichael Cheang氏(写真)は、次のような話をしています。
「午前中にもっとも楽しんでいることは何か5つを考えてみましょう。その答えには、一杯のコーヒーを飲む、新聞を読む、散歩に出かけるといったことが含まれているはずです。こんなときに『都合が悪いのでできないよ』と言われることを想像してみてください。この例は、実際、家族が介護しているアルツハイマー病の多くの高齢者に行っている現実なことです。アルツハイマー病協会によると、認知症の50~70%はアルツハイマー病です。が、こうしたことが毎日起こっており、高齢者の自立性が損なわれています」
チャン氏は、今年の6月8日から10日までシカゴで開催されたアメリカ退職者協会American Association of Retired Persons(AARP)の大会での発表者のひとりです。この大会のテーマは、「21世紀の多様性と高齢化―包み込む力―(Diversity and Aging in the 21st Century: The Power of Inclusion)」でした。
以前、ハワイ大学加齢センターUniversity of Hawaii’s Center on Agingで仕事をしたことのあるチャン氏は、さらに次のように述べています。
「日系アメリカ人社会は急速な高齢化を受け入れていますが、介護家族は、家族の高齢者との関係を見直すことを勧めたい。私は介護提供者、あなたは介護受給者という理解にもとづく関係では不釣合いなのです。介護の提供者・受給者という関係を重視するより、高齢者をパートナーの一人として若い人が関係を受け入れることを主張したい。」
「ケイロー(敬老)高齢者ヘルスケアKeiro Senior HealthCare」の会長でCEOのシャウン・ミヤケShawn Miyake氏は次のように述べています。
「家族を介護するという挑戦―基本的に1日24時間1週間の絶え間ない仕事―によって縛られていることが多い家族と共に、南カリフォルニアの日系社会に貢献しているこのケイローは、問題が明確になる前に介護する家族のニーズを予測すると思っています。もちろん、こうしたニーズはとても大きなものです。アルツハイマー病協会によれば、アルツハイマー病など認知症によって、メディケア、メディケイド、その他の企業などに1年だけで1480億ドルの負担をかけています。この数値には、介護者が減らした労働時間も含まれています。
ケイローによると、日系アメリカ人の5人に1人が65歳以上の高齢者です。これは全国平均のほぼ2倍です。またアルツハイマー病協会の報告書によると、3年から20年間、ともに生きていかなればならない治ることがなく経過の長いアルツハイマー病に直面することとは、家族にとって心は張り裂け、重くのしかかってきます。
チャン氏は、次のように述べています。
「アルツハイマー病やその他の認知症の人は関わらないという仮定しないことが重要です。状態が進行するにしたがい、愛情を示し一緒のひと時を楽しむためにできることは簡単なことであり意義あることです。認知症の人が好きな料理を―多分、寿司でしょう―を美しい皿に盛ることは食欲をそそるのでお勧めでします。病気が進む前にしておきたかったことを思い出してみよう、聞くことは最後まで残る感覚なので、高齢者の世代の歌を楽しむことをも勧めます。もはや、聴覚や視覚によるコミュニケーションができなくなると、スキンシップがとても重要になります。これはあるアジア系アメリカ人の感覚に反するかもしれないことを認識しながら、認知症の人とベッドで寄り添うことも勧めます。これは基本的に人間的な要素です。私たちは誰もが好んで、触れ合い、抱き合うことで安心を得ているのです。」
(日米タイムズNichi Bei Times June 18, 2009 The Caring Power of Touchより)
編者:日系アメリカ人社会の認知症や高齢者の問題と取り組みの情報が少ないようなので、この記事を紹介した。情報をお持ちの方は教えてください。、なお、チャン氏は日系ではなくシンガポール出身の方です。
★アルツハイマー病のスクリーニングをめざした新しい記憶テスト(6月10日/イギリス)
イギリス・ケンブリッジにあるアデンブルクス病院Addenbrooke’s Hospitalの神経学科のジェミー・ブラウンJeremy Brown医師らのグループは、アルツハイマー病の早期発見をめざした新しい記憶テストを開発しました。テストは「あなたの記憶テストTest
Your Memory(TYM)」とよび、10項目(50点満点)からなり、誰もが1人でもでき5分程度で終えるように工夫されたものです。このテストを、もの忘れ外来memory
clinicを含む3つの病院の外来で18歳から93までの認知障害がないと思われる540人と、認知症や軽度認知障害でもの忘れ外来に通院している139人について行いました。
結果は、認知障害がないと思われる人では、平均47点、アルツハイマー病の人では、平均33点でした。また、TYMの点数は、世界的に広く使われているミニメンタルテストMMSEと相関を示してはいますが、TYMは、MMSEよりアルツハイマー病を発見する感度が2倍近く高いことも認めました。アルツハイマー病の把握感度の分岐点は42でした。なお31人のアルツハイマー病でない認知症の人については、平均39点でした。
この結果から、ブラウン医師らは、TYMが短時間でかつ正確なテストであり、アルツハイマー病のスクリーニングに有用であると結論づけています。
この研究論文は、イギリスの医学雑誌British Medical Journalの電子版6月9日版に掲載されました。
この研究結果について、イギリスのアルツハイマー病研究寄金Alzheimer’s Research Trustのレベッカ・ウッドRebecca Wood,事務局長は、「新しいテストは、認知症の早期の症状の把握することに繋がる大きな一歩です。教育歴、社会的背景に関係なくすべての人に使えるテストであり、多面の認知機能が把握できるようになっています。基金の調査によると、イギリスにいる約70万人の認知症の人のうち3分の2が診断を受けていません。このテストはまだ普及してはいませんが、さらにいろいろ場面での有効性が確かめられ、全国的に使われることになるかもしれない」と述べています。
(Times Online June 10, 2009 “Five-minute test 'could double dementia diagnoses'”および論文”Self
administered cognitive screening test (TYM) for detection of Alzheimer’s
disease: cross sectional study“より)
関連情報:TYM(pdf76K) 三宅訳日本語改定版TYM(pdf135K)
★台湾アルツハイマー病協会が政府に要請(6月8日/台湾)
台湾アルツハイマー病協会Taiwan Alzheimer's Disease Association(TADA)は、6月8日に認知症を医療の最優先課題とする世界的な運動のオンラインによる署名活動を開始すると発表しました。この要望活動の目的は、政府が認知症についての認識を高め、認知症の人の生活の質とケアの質を高めることにあります。
協会は、7日の日曜日に宣伝活動を組織し、台湾の人が世界アルツハイマー病宣言Global Alzheimer’s Disease Charterに署名することを勧めています。日曜日の催しでは、同時にTADAが政府に対して認知症の人のケアにより活発で実際的な取り組みを行うように要請しました。
国立台湾大学病院National Taiwan University Hospitalの神経学科の医師で、TADAの教育広報部副部長のチェン・タフーChen Ta-fu氏は、年齢層ごとの認知症の発病率を、65歳~89歳で1.2%、70歳~74歳で2.2%、75歳~79歳で4.3%、80歳から84歳で8.4%、85歳から89歳で16.3%、90歳以上で30.9%と推計しています。TADAのリ・ミンビンLee
Ming-bing会長(写真左上)によれば、の台湾の認知症の人は約16万人ですが、2056年までに62万人を超えると予測され、毎年1万人増えることになります。
さらにリ会長は、「これは高齢者人口が増えているためであり、青年・中年の100人が支えている高齢者数は現在の14人から75人になる」と話しています。
内政部社会司Department of Social Affairs under the Ministry of the Interiorのフアン・ピーシアHuang Pi-hsia司長によると、現在、65歳以上の高齢者は240万人ですが、このうち10%は障害者であり、5%は認知症の人です。おおよそ2万人の認知症の人はさまざまな団体からケアを受けており、12万人は地域のサービスを利用しています。フアン部長は、特別な区域、デイケア、グループホームを立ち上げ、地域を重視した認知症の人へのサービスとすべきであると提案しています。
TADAのTang Li Yu湯麗玉事務局長(写真左下)は「障害の評価基準は認知症についてはいろいろあり、認知症高齢者は認知症以外では健康なので病気の初期に診断することができません。このため、他の障害のある高齢者とは違うアが必要です」と述べています。
リ会長によれば、今年行われる社会福祉政策の二つの大きな改革は、介護保険制度と国際障害分類が含まれ、ともに認知症の人への福祉にとって有意義な影響となるでしょう。
(Taiwan News 2009-06-08 “Dementia sufferer numbers increasing in Taiwan”より)
編者:TADAは痴呆という用語が不適切であると、わが国で認知症に変更される前から「失智症」という用語を採用し、団体名も台湾失智症協会としている。
★認知症の診断で自殺が増える(6月3日/オーストラリア)
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学University of NSWの精神科のブライアン・ドラッパーBrian Draper准教授(写真左上)は、初期にアルツハイマー病と診断された後、自殺が増えるという研究結果を、オーストラリアのアデレードで6月2日から5日まで開催されているオーストラリアアルツハイマー病協会年次大会2009 Alzheimer's Australia National Conferenceで発表します。
ドラッパー医師は次のように述べています。
「50歳から70歳の間で認知症と診断された人が、一般の人より8倍から10倍、自殺が多い。これまでアルツハイマー病の人は自殺することは少ないと考えられてきましたが、初期の診断が可能となり、それが推奨され、医師から気軽に告知されるが、医師はこの危険性について知っておき、支援することが必要です。患者は、診断後、最初の3ヶ月間は気弱になり、うつ状態にもなります。ベビーブーマーの世代が高齢になり、認知症と診断されることが多くなり始めており、壊滅的な反応が増えるでしょう。両親や親族がこの病気によって衰えてきたのを知っており、この世代は十分に情報を持っています。
私の関心を持っていることは、多くの認知症の人が診断の後、うつ状態になり、ときに自殺しかねないことです。症状のないアルツハイマー病の初期を把握することが可能な検査が導入されることで、ますます難しい課題が生まれるでしょう」と述べています。
デンマークで行われた250万人を対象として10年間の研究の結果が、昨年、アメリカ老年精神医学雑誌American Journal of Geriatric Psychiatryに報告されましたが、これによると、認知症の診断を受けた人の自殺の危険性は、他の高齢者と比べ3倍から10倍高い。
その研究を行ったアネッテ・エルランセンAnnette Erlangsen医師(写真左下)は、「高齢のデンマーク人はこの病気の進行をかなり詳細に知っています。認知症の人は、認知機能が衰え、将来、他の人にきわめて依存的になることを知っている」と述べています。
さらにドラッパー医師は次のように述べています。
「自殺を考えることは『理解できる』反応かもしれないが、必ずしも正当なことではありません。イギリスの代表的な倫理哲学者であるワロノック女男爵Baroness Warnockの意見に同意できません。彼女は、昨年、認知症高齢者は国民保健サービスに負担をかけるので自ら命が絶つことを考えるべきだと述べています。
認知症が恐ろしいほどの苦痛であるという広まった仮説に確固たる証拠はありません。認知症の人は、推測されるより自分の生活や人間関係を前向きに感じています。介護者は認知症の人より自分の生活の質のほうが低いと思う傾向があります。医師は、認知症の人に生活の質を維持することを強調し、将来に具体的な希望を与えることが求められています。」
(Sydney Morning Herald June 3, 2009 Dementia diagnosis may trigger suicides)
関連資料:Annette Erlangsen et al “Hospital-Diagnosed Dementia and Suicide:A Longitudinal
Study Using Prospective, Nationwide Register Data” Am J Geriatr Psychiatry
16:3, March 2008(pdf100K)
サイト内関連記事:自殺は少ないとする報告もある。
編者:関連資料はDraper医師から三宅に個人的に提供を受けた資料である。オーストラリアアルツハイマー病協会の年次大会で同医師が発表する論文が入手できれば紹介したい。認知症、とくにアルツハイマー病の告知については、わが国でも議論されているが、編者は基本的に告知すべきと考えている。単なる告知は有害かもしれない。告知後の支援が不可欠である。
関連論文:Early dementia diagnosis and the risk of suicide and euthanasia
Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association
Volume 6, Issue 1, Pages 75-82 (January 2010)
Brian Draper abc, Carmelle Peisah ab, John Snowdon de, Henry Brodaty abc
Abstract
Background
Diagnosis of dementia is occurring earlier, and much research concerns the identification of predementia states and the hunt for biomarkers of Alzheimer's disease. Reports of suicidal behavior and requests for euthanasia in persons with dementia may be increasing.
Methods
We performed a selective literature review of suicide risk in persons with dementia and the ethical issues associated with euthanasia in this population.
Results
In the absence of any effective treatments for Alzheimer's disease or other types of dementia, there is already evidence that persons with mild cognitive change and early dementia are at risk of suicidal behavior, often in the context of comorbid depression. The ensuing clinical, ethical, and legal dilemmas associated with physician-assisted suicide and euthanasia in the context of dementia are a subject of intense debate. By analogy, the preclinical and early diagnoses of Huntington's disease are associated with an increased risk of suicidal behavior. Thus there is the potential for a preclinical and early diagnosis of Alzheimer's disease (through biomarkers, neuroimaging, and clinical assessment) to result in increased suicide risk and requests for physician-assisted suicide.
Conclusions
Although dementia specialists have long recognized the importance of a sensitive approach to conveying bad news to patients and families and the possibility of depressive reactions, suicidal behavior has not been regarded as a likely outcome. Such preconceptions will need to change, and protocols to monitor and manage suicide risk will need to be developed for this population.
a School of Psychiatry, University of New South Wales, Sydney, New South Wales, Australia
b Academic Department for Old Age Psychiatry, Prince of Wales Hospital, Randwick, New South Wales, Australia
c Dementia Collaborative Research Centre, University of New South Wales, Sydney, New South Wales, Australia
d Discipline of Psychological Medicine, University of Sydney, Sydney, New South Wales, Australia
e Sydney South West Area Health Service, Sydney, New South Wales, Australia
★アルツハイマー病に有効な医療食品が発売(6月2日/アメリカ)
アメリカの食品医薬品局(FDA)により軽度から中程度のアルツハイマー病に有効とされる医療食品Medical Foodとして承認されたアクセラAccera社のアクソナAxona(一般名:caprylidene)が5月に販売されました。
アクソナは、中鎖脂肪酸(medium-chain triglycerides 略称:MCT)が主成分で、そのほか牛乳蛋白、やし油、ひまわり油、ビタミン、ミネラルなどを含みます。作用は、アルツハイマー病における神経細胞の代謝を改善するとされています。この食品は、医師の処方に基づき、1日1回、服用します。
医療食品とは、治療効果が認められるが、医薬品より簡単な臨床試験による効果と少ない副作用が確認され、FDAの承認を得た食品で、比較的新しいグループの食品群です。
(EXAMINER.COM June 2,2009 “New FDA approved medical food product to combat Alzheimer's
Disease”より)
関連情報:Accera社のAxonaのサイト Axonaの説明書(pdf300K) FDAのMedical Foodのページ
編者:アルツハイマー病薬の開発が混乱あるいは足踏み状態のなかで、新しいタイプの医療食品が現れた。効果はアリセプトを凌ぐものではなく限定的のようだ。
★サウジアラビアにアルツハイマー病協会発足(6月2日/サウジアラビア)
サウジアラビアの首都、リヤドで5月31日、「サウジアルツハイマー病協会Saudi Alzheimer’s Association (SAA)」が発足しました。この新しい団体の発足式に出席したアハメド皇太子Prince
Ahmed(写真)はアルツハイマー病協会の名誉会長に指名されましたが、「協会は、王国の高齢者を支援するにふさわしい先駆的な団体です。この慈善団体が、よりよく機能するための寄付金の必要性を強調し、あわせて糖尿病や腎臓病といった慢性的な病気の患者を支援する同じようなボランティア団体が生まれることを希望します。団体が徐々にサービスを湾岸地区のほかの国にも広がるべき、この病気と闘い、アルツハイマー病の人を支援する努力を惜しまないことを望む」と、話しました。
保健大臣のアブドラ・アル・ラビーアAbdullah Al-Rabeeah医師は、王国は国内外のサウジアラビア人に総合的な医療制度を策定したと述べ、社会大臣のユーサフ・アル・オタイミーンYousuf Al-Othaimeen氏は、王国の高齢化社会を助けるための協会の先駆性を推奨しました。
開会式では、アルツハイマー病協会の理事会議長であるサウディ・ビン・カーレドSaud bin Khaled皇太子は以下のことを話しました。
「アルツハイマー病の人が確実に増加している状況のなかで、この団体を立ち上げる必要がありました。研究によると、その数は2050年までに4倍以上になるだろうと付け加えました。1906年、ドイツのアロイス・アルツハイマー医師がこの脳の病気について始めて記載してから、1世紀の間、この病気について多くのことが解明されました。全世界でアルツハイマー病の人は2600万人近くになります。この病気は、脳細胞を破壊し、人の記憶、思考、行動に影響し、仕事や生涯の趣味や社会生活に影響するほど重篤な病気です。サウジアラビアでは、介護、治療、発見、診断、理解といったこの病気のその他の側面と同様に、現在の有病率やケアの費用を推測するふさわしい情報がまったくありません」
採択された宣言によると、サウジアルツハイマー病協会の目的は、アルツハイマー病は病気であり、加齢の一部ではないというメッセージを全国に伝えることです。さらにカーレド議長は、「アルツハイマー病の人は、地域で尊敬されるべきです。アルツハイマー病の人の数が急激に増えるので、ケアマネジメントは近い将来の重要な課題です。したがって、全国規模のプランを提案する必要がある」と述べています。
(Arab News 2 June 2009 Support group formed to help Alzheimer’s patients)
編者:サウジアラビアでもアルツハイマー病が社会的な課題になりつつあるとの印象である。アメリカCIAのサイトThe World Factbookによると、サウジアラビアの人口は2900万人、高齢化率は2,9%、平均寿命は76.3年である(2009年推計)。また、国際アルツハイマー病協会によると、アラブ地域でアルツハイマー病協会がある国は、チュニジア、エジプト、レバノン、シリア、バーレン、イラン、(トルコ、キプロス、パキスタン、イスラエル)である。
★アルツハイマー病薬で徐脈、失神(5月31日/カナダ)
カナダ・トロントにある「臨床評価科学研究所Institute for Clinical Evaluative Sciences」のサディープ・ギルSudeep S. Gill教授(写真)らのグループは、アルツハイマー病薬として広く使われているアリセプトなどのコリンエステラーゼ阻害剤が、副作用として徐脈、それに伴う失神さらには転倒を起こしているが注目されていないと、副作用の実態を調査しました。調査は、カナダのオンタリオ州の健康データベースを使い、2002年4月から2004年の3月までの期間、地域在住の認知症高齢者でコリンエステラーゼ阻害剤を服用している19803人と、対照群として61499人を選びました。
その結果、病院を受診するような失神がコリンエステラーゼ阻害剤を服用している人に多く(1000人1年間で31.5件、対照群18.6件)、その他、対照群より多い症状として、徐脈(同6.3件、4.4件)、永久型ペースメーカーの植え込み(4.7件、3.3件)、大腿骨骨折(22.4件、19.8件)を認めました。この研究論文は、アメリカの内科学雑誌Archives of Internal Medicine May 11, 2009号に掲載されました。
調査結果についてギル教授は、「コリンエステラーゼ阻害剤の重大な副作用は予想以上に多い。コリンエステラーゼ阻害剤はアルツハイマー病薬として有効なのでこの副作用のため中止する必要はないが、患者も介護者も医師も副作用をよく認識して、注意して使われる必要がある」と述べています。(Alzheimer’s Weekly May 31 - June 7, 2009 Side Effects Of Dementia Drugsおよび同論文”Syncope and Its Consequences in Patients With Dementia Receiving Cholinesterase Inhibitors”より)
編者:アリセプトの副作用として最も多くてよく知られているのが、嘔気、嘔吐、下痢などの消化器系症状である。また興奮、不穏といった精神症状も稀ではない。今回、指摘された循環器系副作用も無視できない。
★施設における認知症の人の人権擁護を呼びかける(5月28日/イギリス)
イギリスのスコットランド・アルツハイマー病協会Alzheimer Scotlandは、介護施設のおける認知症の人の人権を守るための行動を呼びかけています。これは、スコットランドのケア委員会Care Commissionと精神福祉委員会Mental Welfare Commissionが共同で作成し、このたび発表した報告書「覚えてください。私はまだ私ですRemember, I’m still me」
によるものです。
両委員会は、昨年から今年にかけてスコットランドにある介護施設のうち30施設を訪問し、1335人の入居者について面接調査しました。スコットランドには、約65000人の認知症の人がいますが、その約40%の人が介護施設や病院に居ます。報告書は以下を指摘しています。
○ 施設に入居するまえは、ほとんどの認知症の人は、一般医(GP)や栄養士から適切な医療サービスを受けていたが、入居後は、1年ごとのGPの診察を受けることが稀であり、定期的に薬が見直されていない。
○ 服薬が間違って処方されることがあり、決まった複数の抗精神病薬がセットで出されていたり、危険な薬も処方されている。9つの施設では、違法であるが、認知症の人を管理しやすいように、本人にわからないように食べ物や飲み物に薬が混ぜられてした。
○ 認知症の人のおおよそ半数は、施設から外出することはなく、ごくわずかの人が安全な施設内の庭に出入り程度である。外出は、認知症の人の生活の一部とすべきで、オプションとして行われるべきものではない。
○ 182人の認知症の人について、生活歴がどのように記録されているか個々のケアプランを調べたが、4分の1以下の人でしか詳しい記憶はない。ケアプランの3分の1以上では生活歴がまったくない。
○ ケアプランに認知症の人の好みが記録されていたのは31%しかなく、ほとんどが不完全であった。4分の1以上でプランでは、おもに食事に関しては限定的な情報しかなく、「猫が好き」「ミルクが好き」と書かれているにすぎない。42%の人は、何か好きなのかの詳しい記録がまったくない。個性、好み、生活歴を活かすようなプランはない。
スコットランド・アルツハイマー病協会のヘンリー・サイモンズHenry Simmons事務局長(写真左上)は、「認知症の人は、介護施設内で尊厳、尊敬、自由が与えられるべきです。この報告書によると、認知症の人の50%近くは、外出する機会がありません。これは、不適切な薬や適切に研修を受けてない職員と同様に、認知症の人の生活の質をないがしろにするもんです。こうした問題は、耐え難いものであり、続けてよいわけだありません」と述べています。
公衆保健大臣のショーナ・ロビンソンShona Robison氏(写真左下)は「この報告書で詳しく指摘されている問題は、「大きな目覚ましコール」です。たしかに私は自分のためにも、家族のためにも、また一般の人たちのためにもこうしたことを望みません。よい活動をしている介護施設はあることを強調したいが、介護施設のある実態が明らかにされました。
スコットランド政府は、この報告書の勧告を受け入れ、国民認知症戦略を発展させるために活かしています。職員の研修や診断後の支援を含めてケアを改善するため、すでになんらかの計画が実施される」と述べています。
(BBC 28 May 2009 “Dementia care 'human rights' call”より)
報告書:Remember, I’m still me(pdf2.1M)
編者:日本でも同じことが言えるのだろうか。
★アルツハイマー病の早期発見のための10つの症状(5月17日/アメリカ)
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、これまでの「アルツハイマー病を疑う10の症状10 Warning Signs of Alzheimer’s Disease」を改め、新しく「10の症状を知ろうKnow the 10 Signs」を作成し、アルツハイマー病の早期発見のための教育キャンペーンを始めることを5月17日に公表しました。さらに、このキャンパーンを推進するために、「アルツハイマー病早期発見連盟Alzheimer's Early Detection Alliance (AEDA)」を発足させ、関係団体や企業に参加を呼びかけています。
新たに提案されて「アルツハイマー病の10の症状」は以下のとおりです。
これはアルツハイマー病のもっともありふれた症状です。とくに、初期に多く、最近、覚えたことを忘れます。そのほかの症状は、日付や出来事を忘れる、同じことを何度も聞く、メモや電子機器などの記憶を補うものに頼る、1人で出来ていたことを家族に頼るなどがあります。典型的には、ときどき名前や約束を忘れるが、あとから思い出すといったことがあります。 アルツハイマー病の人は、計画を立てたり、経過をみたり、複数の仕事をこなす能力が変化するかもしれません。それまでなれていた調理をしたり、月々の請求書の記録をつけることに混乱するかもしれません。集中するのが難く、以前より仕事に時間がかかるようかもしれません。典型的には、小切手帳の帳尻を合わせることに誤ることがあります。 アルツハイマー病の人は、毎日の作業の終わりまで行うことが難しくなります。馴れた地域での運転、仕事上の金銭管理、好きなゲームの規則を思い出しにくくなるかもしれません。典型的には、電子レンジの調節やテレビの録画に助けが必要なことがあります。 アルツハイマー病の人は、日付、季節、時の流れがわかににくくなることがあります。直前のことでなければ、理解するのが困難になります。どこにいるのか、どうしてここに来たのかを思い出せないことがあります。典型的には、週の曜日がわからなくなりますが、しばらくすると思い出せます。 アルツハイマー病の人は、視覚的な症状を示すことがあります。読む、距離の判断をする、色やコントラストを決めるのが難しくなることがあります。また、鏡を無視して部屋に誰か居ると思うこともあります。自分が映っていうことがわからないこともあります。典型的には、白内障によると思われるような視覚の変化がある。 アルツハイマー病の人は、会話についていったり加わることが難しくなるかもしれません。会話が途中で止まったり、どのように続けてよいかわからなくなり、同じ話を繰り返すかもしれません。語彙を選ぶのに戸惑ったり、正確な言葉を出てこなかったり、間違った名前でよぶことがあります。典型的には、正確な言葉を見つけにくくなることがあります。 アルツハイマー病の人は、物を普通でない場所に置くことがあります。物を見失ったり、見つけるために、再度、来た順路を引き返すということができないかもしれません。誰かが盗んだと非難することもあり、しかも度々繰り返して起こることです。典型的には、めがねやリモコンの置き場所を間違がえることがあります。 アルツハイマー病の人は、判断や決定することが難しくなるかもしれません。お金を扱ったり、電話ショッピングに注文するときの判断する力が低下するかもしれません。身づくろいや身体を清潔にすることに関心が乏しくなるかもしれません。典型的には、間違った判断を繰り返します。 アルツハイマー病の人は、趣味、社会活動、作業計画、スポーツから身を引こうとするかもしれません。好きなスポーツに楽しんだり、趣味をどのように終らせるたらよいのか思い出しにくくなるかもしれません。こうした変化のため、社会的な活動を避けるかもしれません。典型的には、仕事、家族、社会的役割に疲れを覚えることがあります。 アルツハイマー病の人は、気分や性格が変わることがあります。混乱、疑心、うつ、恐怖、不安になることもあります。家庭、仕事場、友人との関係、なれない場所で、容易に混乱するかもしれません。典型的には、物事をなにか特別な方法で行うかのようになり、馴れたことがうまくいかなく過敏になります。 |
アルツハイマー病協会は、こうした注意すべき症状が複数あれば、医師に受診することを勧めています。気付いた項目を列記し、医師に見せてください。ただし、これらの項目は単なる情報であり、医師らに受診に際して使う検査などの代用ではありません。早期の診断によって、治療、支援、将来計画に最善の機会をもたらします。
資料:Know the 10 Signs(pdf40K)
(Alzheimer's AssociationのAlzheimer News 5/17/2009 “Alzheimer's Association launches new Know the 10 Signs: Early Detection
Matters education campaign”より)
編者:アルツハイマー病協会が2000年に公表した10のサインを改定した理由を、問い合わせたところ、担当のブルースマン氏から返事があった。改定の理由は、利用しやすさと、最近の研究成果を反映したものにするためとのことである。このため医師、研究者、アルツハイマー病の人から意見を聞いて決めた。たとえば、2000年版では第1項目は単に「記憶障害」だけであるが、今回は「日常生活を混乱させるほど記憶が変化する」と、より具体的な項目となっている。また、新たに追加した「視覚的、空間的な関係を理解するのが難しい」は初期症状として重要であると協会の医学科学諮問委員会や初期アルツハイマー病諮問グループによる合意によるものである。
★アルツハイマー病協会の5つの認知症対策の提言(5月12日/オーストラリア)
オーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaのグレン・リースGlenn Rees事務局長(写真)は、オーストラリア政府に対して来年度予算に関連して以下の5つの認知症対策を提言しています。
1.認知症プライマリーケア計画
オーストラリア人は、有効に認知症診断を受け、その後の認知症の人と介護家族への支援に役立つプライマリーケアのシステムが必要です。このため以下のことが必要となります。
○時期を得た正確な診断とその後の管理を受けることで、認知症の人と介護家族を支援を進める医療保険Medicareを提供すること。
○すべての一般医GP、看護師、内科医などの専門職向けに地域などで適切な認知症研修の機会があること。
○すべての年齢の認知症の人が専門職のサービスネットワークを利用することで多職種によるアプローチを推進する推進すること。なおプライマリーケアが乏しい65歳未満の認知症の人がオーストラリアに1万人います。
オーストラリアは、イギリスの国民保健サービスNational Health Serviceが進められていることを見習うべきです。イギリスでは、一般医の認知症に関する診断の研修、また質の高いサービスを提供して、一般医を支援する5年計画を進めています。
2.認知症予防計画
認知症の流行に対する最善の方法は、これから認知症の人の数を減らすことです。認知症は、診断される20年から30年前から病気が始まっています。その結果、その発病の危険性がわかっていれば、効果的な医療の介入によって認知症の発症を遅らせることができるのです。発症を5年、遅らせることができれば、認知症の人の数は半減するでしょう。他の慢性疾患とくらべ、オーストラリアではこの分野の研究助成は少ないのですが、研究をもっと推進することが鍵です。
ライフスタイルを変えることで認知症の危険性を減らすことができます。オーストラリア・アルツハイマー病協会は、「あなたの心に気にかけようMind Your Mind」という一般向けの教育プログラムを持っています。これで、認知症の危険性を減らす可能性のあるライフスタイルをできるだけ早く始めることができます。
3認知症サービスアクセス計画.
自宅で生活することがすべての年齢の認知症の人と介護家族にとって可能であれば、地域ケアが有効に拡充することが必要です。現在、地域でレベルの高いケアが、たった2000人の必要な認知症の人しか行われていません。認知症の人の60は、地域で生活しています。
オーストラリア・アルツハイマー病協会は、地域サービスための国民地域ケアNational Community Careの予算を、今後、40億オーストラリアドルに倍増し、組み合わされたケアを大幅に増やすことを提案しています。
施設サービスは、認知症の人に重要です。多くの介護職は、健康状態が損なわれ、認知症ケアによる期待が大きいにもかかわらず介護を続けることができません。すべての施設ケアは、施設の大多数の人はなんらかの認知症の状態にあるので、認知症を受け入れたケアにすべきです。さらに、認知症があって精神科的な問題のある人を含めた特別のニーズに応えるような認知症の特別なサービスも必要性です。
こうしたサービスは、特別に必要なグループに応えるものであり、とくに65歳未満の認知症のオーストラリア人、先住民、文化的にも言語的にも多様な背景をもった人たちのためのものでなければなりません。
4.認知症受け入れ救急計画
認知症の人にとって病院は危険な場所です。スタッフが認知症について知らないかもしれない異質で混乱をまねく環境です。認知症コーディネーターや、印で認知症の人であることがわかる方法が検討されるべき課題です。
5.消費者指向のケアモデルの採用
オーストラリア・アルツハイマー病協会は、高齢者やその介護家族を元気づけるにはどののようなサービスが必要か、また何時、どこで、どのようにサービスが提供されるかを決めるように、高齢者へのケアに向けて消費者指向ケアConsumer Directed Care (CDC)の導入を、ここ数年間、提案してきました。現在、混乱の時期であっても希望はあります。認知症主導2005-2010Dementia Initiative 2005/2010は、認知症を国民保健最優先National Health Priorityの課題とすることは超党派の支持を得ています。これには流行する認知症のために政府と消費者が利用しやすいように経済的な利益もあります。
(www.abc.net.au 05/12/2009 “Dementia: facing the epidemic”より)
★「記憶・認知治療の世界市場は2014年に360億ドル規模へ」(5月11日/ドリームニュース)
先端分野の市場情報を提供する株式会社グローバル インフォメーション(神奈川県川崎市、代表取締役社長:小野 悟)は、米国調査会社BCC Research発行の最新英文調査報告書「Therapeutics for Memory and Cognition Disorders」の販売を開始いたしました。
米国の産業調査会社BCC Researchhが発行した報告書「Therapeutics for Memory and Cognition Disorders」によると、2008年の世界における記憶治療および認知治療市場は、67億ドルに到達しました。同市場は、2009年には73億ドル規模になると予測され、その後、年率平均37.5%で拡大し、2014年には360億ドル近くに達する見込みです。
この市場は、アルツハイマー病、MCI(軽度認知機能障害)/AAMI(加齢に伴う記憶障害)、血管性認知症、統合失調症、ハンチントン病、HIV関連認知症、レビー小体病、遺伝的疾患に分類されます。現在、アルツハイマー病のセグメントが最大となっており、2008年の収益は39億ドルとなりました。同市場の2009年における収益は44億ドルとなり、2014年には224億ドルに拡大する見込みです。
MCI/AAMIセグメントは、第2位の市場シェアを占めており、2008年において16億ドルとなりました。同市場は、2009年には17億ドル、2014年には71億ドルに達する見込みです。
血管性認知症市場がその後に続き、2008年には9億3200万ドルの市場規模となりました。2009年には9億6000万ドルに、また2014年には42億ドルに到達すると予測されています。
【 英文市場調査報告書 】Therapeutics for Memory and Cognition Disorders 記憶・認知障害の治療動向 出版社BCC Research 出版日2009/04
(ドリームニュース 2009年5月11日 原文のまま)
編注:図は2008年の疾患別市場規模でアルツハイマー病が半額以上。
編者:アルツハイマー病など認知症の治療薬の市場規模が今年で7300億円なるらしい。未だ有効な薬がないにも関わらず大変な金額だ!意味のある出費なのか?なお、報告書も高額で1冊48万円以上。
★認知症予防のサイトを開設(5月6日/アメリカ)
近年、ライフスタイルなど認知症の予防に関する証拠が増えています。アメリカアルツハイマー病基金Alzheimer's Foundation of Americaは、この予防などに関する新しいサイトAlzheimer’s Preventionを開設しました。アルツハイマー病など認知症の危険因子を減らし、健康は加齢のための精神的、身体的な健康を保つための情報を提供します。サイトには、認知症の知識、初期診断のほか、最近の研究、調査、資料、コラムなどを掲載します。
(RNewswire-USNewswire May 6 2009 “Alzheimer's Foundation of America Lays Out Strategies for
Healthy Aging”より)
★ビタミンEと抗消炎剤とコリンエステラーゼ阻害剤の併用はアルツハイマー病の進行を遅らせる(5月5日/アメリカ)
アメリカ・マサチューセッツ総合病院Massachusetts General Hospital (MGH)の神経内科医のアリレザ・アツリAlireza Atri医師(写真左上)とメイン州のニューイングランド大学骨疾患大学University of New England College of Osteopathic Medicineの学生マイケル・フラハーティMichael R. Flaherty氏は、アルツハイマー病の人にビタミンE,非ステロイド性抗炎症剤をコリンエステラーゼ阻害剤に追加して効果をみとところ進行が遅くなるとする研究結果をシカゴで開催されているアメリカ老年医学会American
Geriatrics Societyの年次大会で5月5日に発表しました。
研究は,同総合病院の記憶障害科でアルツハイマー病の540人(男性:216人、女性324人、平均年齢74歳)について調べたものです。患者はすでに、コリンエステラーゼ阻害剤のアリセプト、エクセロン、ガランタミンのどれかひとつを服用していした。540人のうち、208人はビタミンE(1日量:200から2000単位)だけ追加、49人は抗炎症剤だけ追加、177人は両者を追加、106人は追加薬なしとしました。平均3.1年間追跡し6ヶ月ごとに認知機能テストと日常生活機能について評価しました。
この結果、ビタミンEを服用しているグループで進行が中程度遅くなり、しかも後になればなるほど効果が高くなり、抗炎症剤の効果はわずかでしかも長期的に認知機能低下を遅らせる効果は認めませんでした。しかし、3薬併用の長期的効果は認めました。
この種のこれまでの研究は追跡期間が1年と短く、その効果を確かめることができなかったと、フラハーティと述べています。
多量のビタミンE と抗炎症剤の長期服用の副作用については、今後研究する必要があるとしています。
Sharon Brangmanこの研究結果について、ニューヨーク州立大学北部ニューヨーク医科大学SUNY Upstate Medical Universityのシャロン・ブラングマンSharon Brangman教授(写真左下)は、「通常1日400単位以上は処方していないビタミンEの多量を服用する危険性を考慮すると追加療法の効果を勧める意義はわかりません。この研究だけ併用療法を行うに十分な情報は得られていない」と述べています。
(Reuters Health 2009-05-04 “Vitamin E, anti-inflammatories show benefit in Alzheimer's
disease”およびmedscape today May 5, 2009 “AGS 2009: High-Dose Vitamin E Slows Functional Decline in
Alzheimer's Disease”より)
編者:これまで、ビタミンEがアルツハイマー病の予防効果はある程度認められているが、治療効果は否定的である。抗炎症剤の治療効果も否定的であり、副作用を考慮して薦められていない。今回の研究は2重盲検法によるものではないようであり、研究結果を紹介するに止める。
★うねりのような認知症の増加に介護者の増加と地域ケアの充実を(5月5日/オーストラリア)
オーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaの委託を受けた経済コンサルタント会社「アクセス・エコノミクスAccess Economics」の報告書によると、オーストラリアの認知症の人は、2030年までに現在の23.4万人から46.5万人に増えると予測されています。これにともない、現在のケアレベルと維持しようとすると、今後20年の間にさらにさらに76%増やし15万人の介護者―有給介護職も無給の介護家族も―が必要であろうと警告しています。
オーストラリア・アルツハイマー病協会のグレン・リースGlenn Rees事務局長(写真)は、
「これは人口の高齢化によるものであり、また早期診断によるものであります。認知症の人は2030年までに倍になるでしょう。たったの20年です。認知症がうねりのように押し寄せます。このため労働力を大幅に増やし、ケアに要する多くのお金が必要です」と述べています。
報告書では、今後20年間に介護者は有給介護者が6万人、無給の介護家族が9.4万人必要としています。
さらに、リース事務局長は、「こうした人々を確保したり支援することは連邦政府の中心的な業務とすべきです。賃金、労働条件、有給介護者の研修をあらたに改革する必要であり、認知症の人の家族にも新しい支援の方法が提供されるようにすべきです。より安くて可能性のある選択枝を取るべきであり、介護が提供されまま多くの人が、高齢者介護施設を待つという現在の状況は避けるべきです。全オーストラリアで私たちは在宅で生活することを望んでいる人たちでレベルの高いケアが提供されている例が6000以上あり、同時に17万人分の介護施設もあります。もし私たちは施設介護に頼ることを続けるなら2030年までに施設の定員を驚異的に増やさなければなりません。それはとても高価な選択です」と述べています。
報告書によると、多くの認知症の人が公的なケアを求めてなく、その割合は2008年で37%でした。認知症の人の60%以上は地域で生活しています。それに、2050年までにオーストラリアの認知症の人はさらに73万になると予測されています。
(Sydney Morning Herald May 5, 2009版 “Australia facing 'surge' in dementia ”より)
報告書Making choices Future dementia care: projections, problems and preferences
(全文)(pdf1.7M) (抄録)(150K)
★アルツハイマー病の根本治療薬の開発は順調ではない(5月3日/イギリス)
イギリスの製薬やバイオテクノロジーの企業情報などを提供する会社である「ピリボPiribo」は、5月3日、「アルツハイマー病:市場、流通、機会2009Alzheimer's Disease: Markets, Pipeline and
Opportunities 2009」と題する報告書を発表しました。この報告書では以下のことが指摘されています。
現在、アルツハイマー病の治療薬として承認されているものはわずか5種類(注1)にすぎません。2007年、このうち3種類の薬が世界市場の88%を占め、2008年で60億ドルを超える売り上げがあると推測されています。現在、アルツハイマー病の治癒薬はなく、現在の薬はアルツハイマー病の一部の人の症状をある程度軽減するものに過ぎません。望まれている薬は、病気そのものを変えるものです。しかし、候補にあがっているアルツハイマー病の薬の80%は、臨床試験の第1相または第2相の段階です。第3相の臨床試験が行われていた病気そのものを変える有望な薬が、最近、試験が保留されました。新しい世代のアルツハイマー病の薬への比較的希望がもてるのは2、3種類で、最終的な試験の段階にあります。しかし歴史的にみて、神経退行性疾患の治療薬の開発には、かなりのリスクを伴い、失敗する率も高い。病気のものの仕組みに焦点を当てることに努めている企業がある一方、別な戦略として、アルツハイマー病でみられるいくつかの変化が他の疾患でもみられるということから研究から推進されています。
現在進められている第3相の臨床試験の30%は、既に他の適応が認められている薬について新たに調べられているものです。あるいは、現在承認されている薬と新しい薬との併用で臨床試験が行われています。アルツハイマー病の市場は、より効果的な治療が開発されると高い成長が見込めます。この分野での治療は、まだ取り組まれていない医療的ニーズが多いので、ビジネスチャンスはまだ多い。
報告書は、すでに承認されているアルツハイマー病の薬の市場成果を、世界的に、地域的に、またアメリカ国内における状況を多角的に検討しています。またアルツハイマー病の薬の分野で、現在の流通、薬の開発戦略、ビジネスチャンスについても検討されています。
2006年、全世界で2700万人がアルツハイマー病と推計され、もし治癒方法が見つからなければ2050年までに4倍の1億人以上になると推計されています。アメリカにおいてはアルツハイマー病など認知症の直接的・間接的な費用は年間1480億ドル以上で、全世界的には認知症ケアの費用は3150億ドルです。
(Piriboのニュースリリース 2009年5月3日号 Development of Effective Treatments Spurs the Growth
of Alzheimer’s Disease Market)
編者:この報告書はネットで有料(1855ポンド)購入できます。
編者注:ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチンの4種類の間違い。あるいは既に使われていないタクリンを含めて5種類か。
★運動で認知症の人の興奮が少なくなる(4月30日/アメリカ)
アメリカ・ミズリー州にあるセントルイス大学医学部Saint Louis University School of Medicineの学生であるエデリス・アマンEdris Amanさんは、ナーシングホームで重度の認知症の人に週3回、1回30分の運動を行ったところ、興奮が軽減することを認めました。
この研究論文はJournal of the American Medical Directors Associationの電子版4月30日号に掲載されました。
アマン氏は、この成果をアメリカ老年医学会の年次大会で発表しましたが、次のように述べています。
「重度の認知症の人は運動の指導についてゆけないと多くの人は思っています。しかし、この人たちに運動コーチネーターが忍耐強く対応すれば、ついてゆけます。二つのナーシングホームの特別なケアが必要な区域で生活している重度の認知症の人に関わるというユニークな研究と思います。平均年齢79歳の50人の人(男性24%、女性76%)に週3回、1回15分を有酸素運動を、15分をウエイトリフティングを行いました。この運動を3週間行って調べてみると、興奮がはるかに少なくなりました。運動機能、とくに歩行運動も改善しました。運動によってうつ状態は改善しませんでしたが、これは運動がとても軽かったためと思います。運動がうつ状態を改善するという報告は多くあります。重要なことは、運動は全般的に有益であるということです。たとえ、重度の認知症の人でも、耐えられるのであれば、何かを得るものです。」
(Reuters Health Apr 30, 2009 “Exercise calms agitation associated with dementia”およびJournal of the American Medical Directors Association電子版31 March 2009 “Supervised Exercise to Reduce Agitation in Severely Cognitively
Impaired Persons”より)
★「『老人性認知症の基礎知識』 5月2日宮城青葉福祉祭りで講演会」(4月30日/ブラジル)
宮城県人会(中沢宏一会長)の人気行事ひとつ、青葉福祉祭りが、五月二日午前七時から、同県人会会館(聖市リベルダーデ区ファグンデス街一五二番)で行われる。
今回も援協、自閉症支援など福祉グループが参加して健康生活を目指して開催する。
まず、目玉となるものは午後二時半から日本から、リオで開かれる学会に出席する東北大学大学院医学系研究科の目黒謙一教授(写真)を迎えて『老人性認知症の基礎知識』の講演会。
目黒教授は認知症研究者の権威、医療と介護の地域包括的なシステムを目指した田尻プロジェクトを推進。脳血管性認知症研究では第一人者。認知症の判定方法の研究、普及に取り組んでいる。一九九七年に来伯して認知症比較研究を行った。
また前回同様、餅搗き(電話予約にも応じる)、食堂、家紋、バザーのほか、農協婦人部連合会の手芸品、加工品、無農薬野菜類などの即売もある。
また、恒例の青葉祭りは十六、十七の両日(午前七時開場)。
今回から初めてとなるのは『児童絵画教室』を十六日午前九時から正午まで、午後一時から四時までの二回開設した。六歳から十五歳までクレパスを持参すれば、画用紙は県人会が用意する。受講料は無料。五月八日までに同会事務局(電話3835・6775=マルシアさんかマリナさん)に申し込むこと。
講師は五木田綾子さん。
催し物は郷土料理の食堂、有機野菜、大豆加工品ほか産物、武道医術、健康相談、家紋、バザーなど。
二十八日、中沢会長、佐川三郎援協副会長、川守田一省同広報渉外室長、内海千代美農協婦人部連合会会長、飯田正子同企画部長、五木田講師が案内に来社「講演は基礎知識なので分かりやすいと思う。認知症の心配の人や関係者はぜひ、聞きにきて下さい」と呼びかけていた。
(Sao Paulo Shimbun 2009年4月30日 原文のまま)
★アメリカ人の半数以上は周囲にアルツハイマー病の人がいる(4月27日/アメリカ)
アメリカの全国的なケーブルテレビ局Home Box Office(HBO)は、来る5月10日から4回シリーズで「アルツハイマー病プロジェクトALZHEIMER'S PROJECT」と題するアルツハイマー病のドキュメンタリーを放映しますが、これに先立ち、調査会社HARRIS INTERACTIVEとの共同調査の結果について公表しました。
これは、全国18歳以上の1002人に対して今年2月にアルツハイマー病の影響に関して電話調査を行ったものです。その主な結果は、以下のとおりです。
○ アメリカ人の52%、1億人以上が、家族や友人など周囲にアルツハイマー病の人がいるか、いたことがある。2%の人はアルツハイマー病の人自身である。
○ 52%の人が知っているアルツハイマー病の人の47%の人は、既に亡くなっており、19%はアルツハイマー病が重いとみなされている。(図下)
○ 周囲にアルツハイマー病の人がいる人の31%は、アルツハイマー病の人へ友人や家族としての支え、3%が医療専門職として支える。65%は何も支援していない。
○ 支援の内容は、情緒的な支援が88%、実際の介護支援は52%、経済的支援14%である。
○ 介護支援の時間は、月平均16時間で、経済的支援は、月平均で200ドルである。
○ アルツハイマー病でない人の約3分の1は、アルツハイマー病になることを心配しており、この傾向は両親がアルツハイマー病の人の場合に多い。
○ アメリカ人の3分の2は、アルツハイマー病の人をほかの人と共にみることがよいと思い、残りの人は個人的なこととしておきたいと希望している。
○ 周囲にアルツハイマー病の人がいる10人に2人は、アルツハイマー病の人が診断や治療を受けてないようだと思っている。
○ アメリカ人の13%は、正確にアルツハイマー病の人がおおよそ500万人いると知っているが、30%の人は100万人と思っている。
○ ほとんどのアメリカ人は、アルツハイマー病が治らない病気と知っているが、医学的な診断方法については知らない人が半数近くいる。
資料:HBO Alzheimer’s Project/Harris Interactive Census:Examining the Impact of Alzheimer's Disease in America(pdf126K)
HBOの放映予告ページ
(HBOおよびアメリカ・アルツハイマー病協会のサイトおよび報告書概要より)
HBO Alzheimer’s Project(Alzheimer's Association)
★アルツハイマー病の非薬物療法の長期効果は認められていない(4月15日/ドイツ)
ドイツの「医療の質と効果の研究所Institute for Quality and Efficiency in Health Care (略称:IQWiG)」は、3月17日、アルツハイマー病の非薬物療法について行った文献研究の結果について、長期的有効性は確認できなかったと報告しました。この結果は、主に納得させるだけの研究が少ないことによるものです。
研究所によれば、非薬物療法の利益に関する評価の一般的な問題はアルツハイマー病の治療の研究において特に示されており、少ない研究費、未熟な研究方法により信頼できる結果は引き出せないこと、その結果、療法の利益についての証拠を示すことができことです。
○アルツハイマー病の随伴症状を少なくし、日常活動能力を高める
アルツハイマー病の人のニーズは複雑で病気の進行によって変化します。開発されてきた療法は多様です。薬物に加え、非薬物療法が行われています。非薬物療法は、うつ状態、不穏、睡眠障害、攻撃的行動などの随伴症状を軽減し、認知機能や記憶保持能力を改善するために考案されたものです。その他の非薬物療法は、日常生活能力を高め、介護関係を支えることを意図したものです。たとえば、介護者と介護専門職とが一緒になって、アルツハイマー病の人が日常生活をよりよく習得してゆきます。
○さまざまな治療概念にふさわしい研究はない
非薬物療法の長期的利益を評価するため、研究所と外部の専門家は、少なくとも4ヶ月持続された研究について調べました。これに33の研究が該当し総体として3800人のアルツハイマー病の人が対象となりました。研究を4つの主な療法に分類しました。すなわち、介護者研修、主に感情に働きかける介入(バリデーションや回想法)、認知訓練、活動を基本とした介入(身体的活動や心理的活動)の4グループです。このほか多くの治療概念がありましたが、今回の研究は取り上げませんでした。
33の研究のなかには、すでに評価された薬物療法(コリンエステラーゼ阻害剤、メマンチン、銀杏エキス)と非薬物療法とを比較した研究はありませんでした。
研究所は、33の研究のうち29の報告を「劣る」と判定し、これらには先入観が入りやすく、データの解釈が信頼できるものではありませんでした。結局、研究された療法の長期的利益は証明されませんでした。
○介護者研修は比較的よく調べられている。
介護者研修に関する証拠は比較的良好です。33の研究のうち17は、この方法についての研究で、うつ状態や興奮などの随伴する症状に関しても、介護者の生活の質に関しても利益をもたらしています。しかし、たとえ統計的な有意差があっても、アルツハイマー病の人の日常生活に有効なほど十分であるかどうかは明らかではありません。
介護者研修は、認知症の人がナーシングホームに入居するのを明らかに遅らせるようです。しかし、この種の治療は危険の原因にもなることがあります。すなわち研修に参加した介護者の認知症の人は、介護者以上に頻繁に入院したり、救急外来を利用している傾向があるからです。
アルツハイマー病の人は、認知訓練によって利益を得ているようです。研究所は、こうした方法が病気の初期の患者に記憶を改善することを認めています。
○研究所は、ドイツの医療制度のなかでの研究が必要であると考えています。
研究所は、無作為対象試験(RCT)(編者注)が、必要と思っています。こうした研究は複数の分野を含めて行われるべきです。たとえば、二つではなく、いくつかの治療方法をく比較すべきです。また、こうした方法をとることで非薬物療法と薬物療法とを直接で公平に比較検討が可能になるとでしょう。さらに、研究はドイツでも行われるべきです。介護者研修といった非薬物療法について、国民医療制度の特別な組織が重要な役割を果たすでしょう。
研究所の所長であるピーター・ザウイティキーPeter Sawicki教授(写真)は、「今日、医療や社会的な問題が増えています。こうした問題が、将来、薬だけで解決すると期待することはできません。非薬物療法が少しでも可能性があれば利用します。しかし、その可能性を証明する研究がないのです。こうした療法に例外を作って効果が証明されないでリスクを受け入れながら広く利用することは正しくことではありません。
○非薬物療法の研究に必要な方法論のレベルは高い。
研究所によると、非薬物療法の利益を評価する際の一般的な問題は、とくにアルツハイマー病で明らかです。この種の病気への介入はいろいろな要因が複雑に絡んでいるからです。たとえば、治療するスタッフとアルツハイマー病の人との相互作用が薬物的介入以上に重要な役割をするからです。このためこの種の研究の計画や実施にレベルの高い要求があります。
しかし、研究の方法論に関して、非薬物療法は薬物療法より遅れています。この欠点が生じる重要な理由のひとつは、製薬分野と比較して、研究に必要な証明方法に関する研究を進めている権威ある研究者がいないことです。残念ながら、今回のアルツハイマー病に関する研究所の報告書は、このよく知られた欠点について、再度、確認しています。したがって、研究所にとって、製薬産業がかかわる研究の方法論的な質は比較的良好であるからといって驚くことはありません。
○現在の研究の進捗状況は私たちの知識のギャップを埋めるのに役立ちます。
これは次の大きな問題ですが、臨床試験のための資金を得られる可能性は、製薬分野より非薬物療法の分野で一般的に明らかによくありません。たとえば、研究を進める医学的技術をもった会社があったとしても、療法の特許や許可要件に関して実施するという動機やや他の参入の制限が乏しいのです。
所長は、「ドイツで欠けていることは、患者の治療に関わる研究に対して、企業とは独立した公的な研究助成が少ないことです。とりわけ非薬物療法についてこのことが言えます。この種の研究に公的な財政支援を利用できるようにすべきだ」と述べています。
すくなくともアルツハイマー病については、この問題を解決する第1歩を踏むことになるでしょう。2007年末、連邦政府の保健省は、類似する研究の統合的促進制度を始めました。
「証拠に基づいた医療の確保Ensuring evidence-based health care」の領域では、「認知症ライトハウス・プロジェクトLighthouse Project on Dementia」が、最近の科学的な証拠に関する体系的評価を行うための助成を受けています。特に、非薬物療法の無作為対照試験に対して助成されましたが、これは非薬物療法の利益を評価するため研究所が開発した方法が実施されます。
(ScienceDaily Apr. 15, 2009 “Non-drug Treatment Of Alzheimer's Disease? Long-term Benefit Not Proven”および報告書の英文抄録”Non-drug therapies in Alzheimer’s disease”(pdf50K)より)
編者注:RCTはrandomized controlled trialの略称で、無作為対象試験と訳す。新薬の臨床試験はこの方法がとられている。患者の無作為に2つのグループに分け、ひとつのグループには新薬を、他のグループには偽薬をのんでもらい。試験期間後、その変化を判定する。実際には、さらに二重盲検法が加わり、医師も患者がどちらのグループなのか知らないで、判定する人も患者がどちらのグループかわからないような方法をとる。
編者:わが国で回想法、音楽療法などの非薬物療法が広く試みられていますが、その評価については必ずしも一定しません。科学的な研究方法が検討がなされないまま研究されているためと思われる。非薬物療法の有効性を否定するものではないが、認知症の人の治療として正しく定着させ普及させるためにも、わが国でも非薬物療法の長期的効果の研究が待たれる。
★経管栄養が重度の認知症の人に利益になるという証拠はない(4月14日/イギリス)
重度の認知症の人に経管栄養を行うか、行わないかを決めることに葛藤は家族しますが、この問題についてこれまでの文献を新たに検討した結果、満足する証拠はないことがわかりました。
認知症の原因によりますが、多くの認知症の人は食事を摂ることができにくくなります。この場合、重度の認知症の人に、医療専門職は、人工的に食事を補給するようにします。通常、胃瘻による経管栄養を行います。この決定は情緒的でもあり、さまざまな意見があって複雑な倫理的にも検討されます。
しかし、経管栄養が本当に退行性疾患である認知症の人に有益なのでしょうか。ロンドンにあるコクラン・コラボレーションCochrane Collaborationでは文献の新たな再検討で経管栄養が有益であるという証拠を追求しました。
再検討の主任であるエリザベス・サンプソンElizabeth Sampson医師(写真左上))は、「経管栄養が重度の認知症の人の余命を長くしたり、生活の質を改善するという証拠を認めることはできませんでした。また、いくつかの研究からは、むしろ経管栄養が、死亡率を高め、疾患を新たに併発し、生活の質を下げるようです」と述べています。
この再検討の結果は、コクラン・コラボレーションの出版物であるコクラン・ライブラリーThe Cochrane Libraryの最新号「Cochrane Database of Systematic Reviews 2009, Issue 2」に論文”Enteral
tube feeding for older people with advanced dementia”と題して掲載されています。コクラン・ライブラリーは、国際的な団体で、医療に関するあらゆる分野の研究を評価しています。体系的な再検討は、テーマに関して、現在試みられている医療の内容と質について考察し、証拠の基づく結論を導き出し、その結果を公表しています。
サンプソン医師は、「個々の人が経管栄養でなんらかの利益を得ているかどうか直感では見抜けません。さらに、摂った栄養を身体が役立てる方法は複雑です。ある種の認知症では、適切に栄養を代謝することができないかもしれません。家族の苦悩は、食事が十分に摂れないことからくる認知症の人の空腹や口渇が長引くことの苦しみに関わることです。進行がんの終末期で食事が摂れない患者に関する研究によると、空腹や口渇の苦しみ痛みという感覚的経験は稀です。もし痛みがあれば、水を飲むといった簡単な方法で軽減するでしょう。情け深い看護や医療は、ホスピス運動の思想の背景にあるもので、多くの苦しみを軽減しており、認知症の人にも利用されるべきです」と述べています。
サンプソン医師は、王立自由総合大学医学部Royal Free and University College Medical Schoolのマリー・キューリ緩和ケア研究部Marie Curie Palliative Care Research Unitに所属しています。
今回の研究は、7つのデータベースにある452の論文について再検討したものです。全体として、1821人の認知症の人について調べたことになり、このうち409人がなんらかの経管栄養を受け、1497人は受けていません。無作為対照的な研究はありませんでしたが、望ましい基準で研究が行われたかどうかについて配慮しました。
サンプソン医師は「認知症の人にとって経管栄養が利益になるという十分な証拠を見つけることはできなかったということは、重度の認知症の人にとって経管栄養が間違った決定であることを意味するものではありません。経管栄養に関する事例は個別的に考えられるべきものです。重度の認知症の人にとっての経管栄養の利点と欠点を家族がわかりやすく説明を受けたと思うことが望まれます」と述べています。
ストニー・ブルック大学Stony Brook Universityの予防医学のステファン・ポストStephen Post教授(写真左下)は、「認知症の人が人工的に食事が与えられるというのは、比較的新しい現象です。経皮的内視鏡下胃瘻造設術percutaneous
endoscopic gastrostomy (略称:PEG)による経管栄養は、1980年初めに開発されました。この治療法の本来の意図は、重い疾患の小児が十分に発達するまでの栄養補給でした。しかし、1985年までに胃瘻による経管栄養が、食事を与える職員が十分でないナーシングホームで経費を軽減する方法として広く行われるようになりました。サンプソン医師が指摘しているように、重度の認知症の人にとって経管栄養が有益であるという証拠はありません。実際、彼女が論文で詳しく指摘しているように、胃瘻による経管栄養を行わないという選択もあります。しかし、行わないというもっとも重要な理由は、恐るべきことですが、身体拘束が行われていることです。実際、ある研究によると、経管栄養を受けている重度の認知症の人の71%が身体拘束を受けていました。死に近い患者の消化器系統は機能が悪く経管栄養によって苦痛が生じる可能性があります。胃瘻による経管栄養を行うかどうかは選択の問題です」と述べています。
ポスト教授は、「限りない愛の研究所Institute for Research on Unlimited Love」の所長で、アルツハイマー病の倫理的な課題についての本も著しています。
ポスト教授は、「重度の認知症の人に第3の選択―補助された経口摂取―があります。私の祖母は、1970年代にアルツハイマー病で、私は定期的にりんごソースのような柔らかい食事を摂れるように手伝ったり、何か飲めるようにしました。認知症の人ができる最も重要なことは、補助された経口摂取であり、これを30分を続けることです。こうした行為は情緒的なつながりができ、介護している者へ計り知れない利点があります。最も人間的な行為は補助された経口摂取で、私は心に神聖な質をもったものを抱くのです」と述べています。
(Health Behavior News Service 14-Apr-2009 “Review: Do Feeding Tubes Help or Harm in Advanced Dementia?”および論文”Enteral tube feeding for older people with advanced dementia“(pdf300K)より)
編者:国際的に評価の高いコクランの文献研究で重度の認知症の人にとって経管栄養が有益であるという証拠は認められなかった。薬の臨床試験のように二重盲検法で確認することは倫理的にできない以上、経管栄養は有益ではないと結論づけてよいだろう。もっとも経管栄養を行うかどうかは家族が決めることが多く、その決定は情緒的、倫理的課題であり、一概に行わない方がよいとは言えない。しかし往々にして、認知症の人本人というより家族のために行われている側面もある。さらに注意しなけばならいことは、より人間的で苦痛を避けた口から食べるという試みを十分に試みた結果として経管栄養が選択されたかどうかということと思う。
★アルツハイマー病の免疫療法の第3相臨床試験、一部変更(4月2日/アイルランド・アメリカ)
アルツハイマー病の根本治療と期待される免疫療法の薬バピネオズマブbapineuzumabの第3相臨床試験の一部を変更すると、4月2日、共同開発している製薬会社のエランElanとワイスWyethが発表しました。
両社は、2007年から、アメリカ、ヨーロッパなどで4000人ほどの軽度から中程度のアルツハイマー病の人を対象に、アポE4の遺伝子を持つグループと持たないグループに分けて、さらに投与量を3種類に分けて臨床試験を行っています。
今回、アポE4遺伝子を持たない最大投与量のグループで、MRIで血管性の脳浮腫を認め、症状はないが、副作用として臨床試験を中止することにしました。より少ない投与量の他のグループの試験はつづけるとのことです。
(WSJ APRIL 2, 2009 “Elan, Wyeth Slide On Alzheimer's Drug Setback”およびエランElanとワイスWyethのニュースリリース 2 April 2009 “Elan and Wyeth Plan to Amend Bapineuzumab Phase
3 Protocols”より)
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★高齢者に認知障害を起こす薬(4月2日/アメリカ)
アメリカの市民団体である「パブリックシチズンPublic Citizen」の保健調査グループPublic Citizen's Health Research Groupは、4月2日管理編集するサイトWorstpills, Best Pillsで高齢者に認知障害を起こしうる薬136種類を公表しました。薬は以下の2グループに分けています。
抗コリン作用による認知障害を起こす薬グループ(一般名と商品名ともに英語表記)
せん妄や認知症が生じる認知障害を起こす薬グループ(一般名と商品名ともに英語表記)
(USA TODAY 04/01/2009 “Drugs cause confusion in elderly”より)
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編者:日本で使われていない薬もありますが、参考までに紹介しました。誤訳がないように薬は英語名のままとしました。なお、日本老年医学会は、高齢者に注意して使うべき薬「高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト(pdf200K)」を紹介しています。
★認知症の人の死因は気管支肺炎と虚血性心疾患が多い(4月1日/スウェーデン)
スウェーデンのルンド大学病院Lund University Hospitalの病理学部のエリザベート・エングルンドElisabet Englund医師(写真)らは、認知症の人の寿命やターミナルケアの向上のため、その死亡原因のより正確な情報を得るため、認知症の人の病理解剖の報告書を調べました。1974年から2004年まで臨床的にも神経病理学的にも認知症と診断されルンド大学病院に行われた病理解剖524例(女性55.3%、平均年齢80歳)について調べました。その結果、もっとも多い原因は気管支肺炎(38.4%)で、次に虚血性心疾患(23.1%)で、がんなどの新生物は少なかった(3.8%)。さらにアルツハイマー病の人の死因については、循環器疾患が23.2%、呼吸器疾患が55.5%で、血管性認知症の人ではそれぞれ、54.8%、33.1%でした。一般高齢者では死亡原因は、気管支肺炎は2.8%、虚血性心疾患は22.0%、新生物は21.3%でした。エングルンド医師らは、こうした結果が認知症の人のターミナルケアのあり方に反映され、適切な摂食の管理が困難であると結論づけています。
この論文は、ヨーロッパ神経学雑誌European Journal of Neurologyの2009年1月26日の電子版および雑誌2009年4月号に掲載されました。
(論文”Cause of death in patients with dementia disorders”より)
編者:日本のデータは知らない。
★アルツハイマー病研究者、世界トップ100(3月/スイス・アメリカ)

国際的なインターネット情報提供などを行う会社の「コレクシス・ホールディング社Collexis Holdings, Inc.,」(本社:アメリカ)のライフサイエンス部門(スイス)のアーロン・ソーレンソンAaron A. Sorensen氏は、1985年から2008年までのインターネット上の文献検索サイトのPubMed や WoSで論文数などを調べ、その論文数などから、アルツハイマー病研究で優れた研究者として100人を挙げました。このなかには、日本から
新井平伊氏(順天堂大学医学部)(写真左)、岩坪威氏(東京大学大学院薬学系)(写真右)、池田研二氏(東京都精神医学総合研究所)の3名が含まれています。この報告書は、アルツハイマー病専門雑誌Journal of Alzheimer’s Diseaseの2009年3月号に掲載されています。
(論文“Alzheimer’s Disease Research: Scientific Productivity and Impact of the
Top 100 Investigators in the Field“(pdf200K)より)
編者:インターネット上の情報提供する会社の業務の一環として調査した報告書と思われ、研究者の格付けにどれだけの意味があるのか疑問だが、参考までに紹介した。
★アルツハイマー病について知っておきたい10項目(3月25日/アメリカ)
アルツハイマー病など認知症は心と体に多くの影響を与え、家族にとって健康面でも経済的にも大きな被害を与えます。アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationが、最近、公表した「アルツハイマー病:事実と数値2009 20092009 Alzheimer’s Disease Facts and Figures」(pdf)は、この病気の多面的な影響を明らかにしています。現在、アメリカに530万人のアルツハイマー病の人がいて、70秒に1人新たにアルツハイマー病になっています。さらに、すべてのベビーブーマーが65歳以上になる今世紀半ばには、アルツハイマー病の人の発症の割合は膨れ上がって33秒に1人になるでしょう。アルツハイマー病による負担が増加しているため各州の医療のインフラが害を受けることになるでしょう。州によっては2025年までにアルツハイマー病の人が80%以上増加します。USNewsは、アルツハイマー病協会の戦略担当主任のアンジェラ・ガイガーAngela Geiger氏に依頼して、新しい報告についての以下のとおりより詳細に論じてもらいました。
1)アルツハイマー病はもの忘れだけではない。
アルツハイマー病にもの忘れは不可欠な症状です。しかしこの病気の傷はもっと深いのです。「身体がどのように働くかも忘れてしまう」と、ガイガー氏は説明します。事実、アルツハイマー病は、死亡の原因にもなります。病気が進むと、動いたり、飲み込んだりといった基本的な働きも損なうことになるのです。
2)早期診断はよりよいケアにつながるかもしれない。
雑誌「アルツハイマー病と認知症Alzheimer's and Dementia」に掲載された2009年の調査報告によると、医師からアルツハイマー病あるいは認知症と告げられ、認識しているか、知っている家族をもっている70歳以上の人は、さらに医師との接触が多く、入院する期間が短い傾向があります。しかし、早期診断によって、アルツハイマー病の人や家族に生活に質を高めるに意義ある影響を与えるケアプランを立てることにつながりますが、いつも望みどおりというわけはありません。「私たちは、病気の初期症状についてまだ十分には知ってはいません」とガイガー氏は語っています。気分や行動の変化は、アルツハイマー病の初期症状ですが、うつ状態と誤診されることもあります。
3)アルツハイマー病の人は医療の自己負担が多い。
今回の報告書によると、65歳以上のアルツハイマー病など認知症の人は、認知症のない人より医療費の自己負担は30%多い。
4)アルツハイマー病の家族には医療費の総額はきわめて高い。
今回の報告によると、アルツハイマー病など認知症の65歳以上の人についてみると、メディケアやメディケイド、さらに民間保険を含め、さまざまな方法で医療費が支払われていますが、アルツハイマー病のない人より3倍の負担をしています。「病気が進行するにしたがい、費用はますます多くなる」とガイガー氏は説明しています。それに伴い一貫した特別なケアが必要となり、典型的には、24時間介護のナーシングホームを利用することになります。
5)併発疾患によって状況は複雑になる。
「保健政策と臨床ダートマウス研究所Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical Practice」の今年の1月の報告書によると、アルツハイマー病など認知症の人の多くは、認知症以外に少なくともひとつ以上の疾患を持っています。たとえば、60%の人は高血圧を、26%の人は冠動脈疾患を、23%の人は糖尿病、18%の人は骨粗鬆症をもっています。アルツハイマー病など認知症があることによって、こうした疾患の管理が難しくなります。糖尿病を適切に管理するために、血糖測定やインスリンの投与、食事の選択など、毎日、注意深い管理が必要となると、ガイガー氏は指摘しています。
6)入院することが多くなる。
65歳以上でアルツハイマー病など認知症があると、認知症のない人とくらべ入院期間が長くなると、ダートマウス研究所の報告書で述べています。この頻度は介護者にまで及びます。2008年の「総合医学雑誌Journal of General Internal Medicine」に掲載された調査によると、アルツハイマー病など認知症の人の配偶者の4人に1人ほどは救急外来か入院を必要としているのです。
7)介護家族はそれぞれ健康障害をもつ。
多くの研究によると、アルツハイマー病など認知症に人への介護家族などの無給の介護者は、介護してない人より、ストレスに関係したホルモンが多く、免疫機能が低下し、高血圧や心疾患になりやすいことが明らかになっています。ガイガー氏は、「私たちは、孤独を打破したい」と、自分たちのストレスを軽減する工夫が必要であると強調しています。彼女は、介護者が地域での顔を突き合わせて話せる支援グループや、希望すれば匿名でインターネットの掲示板に参加することを勧めています。
8)介護家族は長い道のりに直面している。
アルツハイマー病など認知症は、通常、ゆっくり進行します。そのため、家族介護は長期の課題です。2004年のアルツハイマー病協会と全国介護連盟National Alliance for Caregivingの報告によると、常に、おおよそ3分の1の介護者は5年以上の介護を続け、40%ちかくの介護者は1年から4年の介護を続けています。
9)介護家族は無給の労働をしている。
アルツハイマー病協会は、2008年、子供などを含めた家族、友人、近隣者を含めた990万人の介護者が85億時間の無給の介護を行っていると推計しました。これは、940億ドルに相当します。アルツハイマー病協会と全国介護連盟の2004年の報告によると、このうえ、平均、月に219ドルの自己負担を介護家族はしています。
10)州は負担を増えていると感じるだろう。
2025年までに、ワシントン、オレゴン、ネバダ、アイダホ、ユタ、モンタナ、ワイオミング、コロラド、アラスカの西側の州では2000年とくらべ、アルツハイマー病の人が81%から127%増えると、アルツハイマー病協会の報告書では推計しています。また、カリフォルニア、フロリダでは、2025年までに、50万人以上がアルツハイマー病になり、全国で最多数となるでしょう。
(.usnews. March 25, 2009 “10 Things You Should Know About Alzheimer's Disease”より)
★アルツハイマー病に関する最新の報告書(3月24日/アメリカ)
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、3月24日、アルツハイマー病についての最新の報告書「アルツハイマー病:事実と数値2009(2009 Alzheimer's Disease
Facts and Figures)」を公表しました。
この報告書によると、アメリカのアルツハイマー病の人数は530万人、70秒に1人アルツハイマー病になっている、アルツハイマー病が死亡の原因疾患の第6位、65歳以上の医療費でみるとアルツハイマー病など認知症の人は認知症のない人より3倍、アルツハイマー病による公的な医療保険のメディケアやメディケイドなど費用は年間1480億ドルなどです。詳しくは報告書2009 Alzheimer’s Disease Facts and Figures(英文pdf1.5M)をご覧ください。
(Alzheimer's Association Alzheimer News 3/24/2009より)
★認知症による死亡が増加(3月23日/スイス)
スイスでは、2007年の1年間で6.1万人が死亡しました。死因で多いは、心臓血管系疾患、がん、認知症です。スイス連邦政府統計局Federal Statistical Officeの3月23日の発表によると、一昨年、スイスの人口は1.4%増加して770万人です。人口は増えていますが、死亡数は大きな変動ななく、死亡率は減少しています。死因の3つに1つは心臓血管系疾患ですが、昨年、減少しています。つぎにがんによる死亡が多く、認知症による死亡は全死亡の7%で増加しています。
(Swissinfo.ch March 23, 2009 “Mortality rate continues to fall”より)
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編者:スイスではアルツハイマー病など認知症を原因とする死亡が、死因の第3位を占めて、かなり多いようだが、死因と判定方法、死亡診断書の書き方、統計の取り方の違いによるものと思われる。ちなみに、世界保健機関WHOの2002年の死亡統計(2004年公表)によると、アルツハイマー病など認知症による死亡率は人口10万対でスイスが40.0、アメリカが32.0、日本が4,1。
★投稿「認知症になったら、薬は無視しよう」(3月19日/アメリカ)
アルツハイマー病などの認知症の人は増えています。わずかの効果しかない薬に何10億ドルというお金が使われています。代わりに、人間的な視点でお金を使いたいものです。
イギリスのロックバンドのザ・フー(The Who)のピート・タウンゼントPete Townshendは、ベビーブーマーへの賛歌である「私の世代My Generation」のなかで「年ととる前に、死にたい」と歌っています。私もベビーブーマーの世代ですが、この世代の人たちはその望みを抱いているかもしれません。
私は62歳です。401K年金を受けるには十分な年ですが、メディケアを受けるには若すぎます。そして認知症の崖っぷちに仲間と立っています。
アルツハイマー病など認知症は、アメリカでは500万以上の人がなり、全世界では2600万人がなっています。国立保健研究所NIHよると、2050年までにベビーブーマーと高齢になるX世代とY世代(注1)で、アルツハイマー病だけで1300万人になるかもしれません。いくつかの報告によると、今世紀中ごろまでに世界中でのアルツハイマー病の人は1億人ほどになります。アメリカの会計監査官は、認知症の治療を含め高齢者への長期ケアの費用は年間で2050年までに今の4倍の3790億ドルになると推測しています。
オバマ大統領と彼の医療政策決定者は、現在の制度を変えようとしていますが、私たちの世代の将来をどのように準備すべきでしょう。私の経験では、認知症の治療のおける強すぎる薬への依存を終わらせる方法を見つけることもでるはずです。
私はナーシングホームで働いている心理学者ですが、多くの入居者がアメリカ食品薬品局FDAで承認されている認知症の薬の一種類かそれ以上を服用していることをよく知っています。その薬とは、ドネペジルとメマンチンです。これらふたつで認知症薬市場の90%以上を占めています。この薬のよく知られた商品名は、アリセプトAriceptとナメンダNamendaで、市場の75%を占めています。
こうした薬がとてつもない費用で使われ、しかも費用は増加しています。アリセプトでみると、全世界で年間30億ドル、ナメンダでみると5億ドル以上です。さらに製薬会社は、数十億ドルを薬の研究開発に使っています。
アリセプトを承認したFDAの資料を調べると、壊れそうな葦の上にこの薬の帝国のような世界が築かれたかを知ることができるでしょう。この薬によって得られた得点は70項目ある認知機能評価のうち平均して3項目にすぎません。それは4%の違いであり、積極的な改善というより悪化するのをより緩やかにしたにすぎません。そして、この違いは薬を止めると無くなります。このことは、症状の背景となっている病気を変えているわけではないことを示しています。効果が最善としても、それは14世紀に流行した黒死病に使われたにんにくよりほんのわずか効いたことにすぎないでしょう。
こうした薬の研究や観察から私たちが知っていることは、ドネペジルやメマンチンといった薬は治癒や満足を得るにはほど遠いということです。アリセプトのサイトでみても、薬の効果についての説明は不完全なもので、「アリセプトを服用している人々は、砂糖の錠剤を服用した人より思考テスト結果がよかった」と述べているにすぎません。どの程度よいかについて会社の説明はありません。
認知症の薬の効果に関する多くの研究によると、統計的に有意であると述べてはいますが、統計的に有意であるといっても、その違いが意味のある内容ではなく、過大評価されています。とても近視な私の妻を例にすると、薬によって妻がめがねなしで視力表の一番の上にある大きなEという文字を読めるようになったとしても、小さな文字は読めません。彼女の視力は統計的に有意に改善したことにはなりますが、わたしよりはるかに運転がうまい妻がめがねをかけないで運転する車に私は乗らないでしょう。認知症の薬も同じようなものです。
2004年、イギリスのバーミンガム大学University of Birminghamのリチャード・グレイRichard Grayは、アリセプトまたは偽薬を服用したもらった数百人の軽度から中程度の認知症の人について比較検討しました。アリセプトによって精神機能は改善しましたが、その違いはがっかりするほどわずかでなもので、60点満点の評価で1点改善したにすぎません。さらに重要なことは、認知症の進行を遅らせたわけでもなく、認知症の人が施設入所する割合を少なくしたわけでもありません。そして、認知症の人の気分や行動や介護費用にはなんら違いはなかったのです。
こうした結果に基づき、イギリスの国立医療技術評価機構National Institute for Clinical Excellence―アメリカのFDAと同等の機能をもった機関―は、2005年、イギリスの国民保健サービスNational Health Serviceで、認知症の薬の使用をかなり制限する勧告を出しました。すなわちドネペジルは精神科医や神経内科医に限って処方でき、しかもその使用は軽度から中程度の認知症に限定され、重度には使えないようにしました。メマンチンは試験的な場合に限ってしか使えません。
1人の認知症の人に毎年使われる薬の費用の数千ドル、全体では数十億ドルがもっとよい使われ方はないものでしょうか。
グレイ氏は「医師や医療費に関係する人たちは、こうした高価な薬に莫大なお金を使うより、もっと多くの医師や看護師に投資することや、よりよい社会的支援に投資することを自問してみる必要がある」と述べています。
カイザー財団Kaiser Foundationが、2002年に行った調査によると、典型的なナーシングホームの職員は、入居者に1日2時間20分過ごしていないことがわかりました。残りの21時間40分、入居者は意思にまかされ、薬をのまされています。
薬物療法を支持する多くの人たちは、失望させるような薬の効果の結果にもかかわらず、薬は多くのひとたちにとって症状を悪くするのを遅らせていると主張します。しかし、虚弱で高齢な人の施設では、さまざまな問題にとって薬は第一の頼みであり、第二、第三の頼みでもあることが多いのです。
2004年の報告書によれば、アメリカでは、65歳以上の人は全処方薬の30%を消費しています。ナーシングホームの認知症の人はドネペジルやメマンチンだけでなく、うつ、不安、精神病あるいは単に怒りっぽいという症状にこの問題の薬が使われています。認知症でない多くの人でも、知能や気分を変えるさまざまな薬が使われています。個々の認知症の人に関わるよりは薬を使ったほうが容易なのです。また、ナーシングホームでは、薬物的拘束ができないとなると、物理的な拘束に戻っています。
しかし、薬物療法の失敗がなぜ受け入れられないのでしょうか。薬の代わりに認知症の人と家族に直接に関わる職員に数十億ドルは使えないのでしょうか。愛情をこめた世話にくわえい、費用にくらべて効果のない薬を止めることから生まれるお金を、統計的に有意で、意味ある効果があり、大きな改善を見込め、さらに治癒につながるより基本的な研究に振る向けすことができないのだろうか。
私たちは、中世の先祖のように信頼することから生じる満足感を持っています。真珠色のドネペジルの錠剤のように、明らかに特効薬はないが何かよいことがあるだろうという単に信念による満足感があります。しかし薬の代わりに、多くの認知症の人は、あなたの腕を握りたいという思いを誰かが語ることを望んでいるということを最後に主張します。
投稿者のアイラ・ロソフスキーIra Rosofsky氏(写真)は、心理学者で、"Nasty, Brutish, and Long: Adventures in Old Age and the World of Eldercare."と題する本の著者です。
(Los Angeles Times March 19, 2009 ”Opinion; When it comes to dementia, forget the drugs”より)
編者注1:Y世代とは23歳未満、X世代とは23~37歳、Boomersとは38~57歳のこと。
編者:認知症ケアの現場を知っている臨床心理学者の貴重な意見として紹介した。次世代の有効な薬が出るまで、わずかの効果しかないアリセプトに多額の医療費を使ってよいのだろうか。論者が主張するように認知症介護の現場の改善に使われるべきではないだろうか。しかし,アリセプトを無視したり、使用制限もできない難しい課題だ。
★アルツハイマー病の新薬が出ないと悲惨な事態(3月19日/イギリス)
アルツハイマー病の進行を遅くする新薬が、今後5年の間に使えるかもしれません。しかし、もしイギリスで新薬が使えないと、確実に悲惨な事態に襲われるだろうと、科学者たちが警告しています。
イギリスには認知症の人が約70万人いますが、このひとたちを助ける有効な薬を発見する時期が、これまで以上に近くなっていると、研究者たちは話しています。11種類の薬について最終的な臨床試験が行われており、80種類以上の薬について予備的な試験が行われています。アルツハイマー病の進行を左右する鍵となる生物学的な過程に関与する新しい薬によって、症状を軽くするのには役立っているが脳のほとんどを破壊するアルツハイマー病の進行を防ぐものではない現在の薬による治療から劇的に変わるでしょう。
ロンドンで行われた大きな会議(注1)に参加して専門家は、現在進められている新しい製薬ついての希望の話を聞きました。
ロンドン・キングスカレッジKing's College Londonの精神医学研究所Institute of Psychiatryのサイモン・ラブストンSimon Lovestone教授(写真)は、「今後5年か10年の間に、アルツハイマー病のスピードを遅くするような治療を手に入れるチャンスがあります。しかし、これに失敗すると、もっとも苦痛を伴う悲惨な状況に遭遇することになるでしょう。私たちは役立つ薬が必要なのです」と述べています。
現在、イギリスの約70万人の認知症人の60%がアルツハイマー病です。このまま続くとすれば、今後30年間に、その数は140万になります。イギリスでの認知症に要する費用は、薬、介護、労働の喪失を含めて年間170億から500億ポンドと推計されています。
イギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのネイル・ハントNeil Hunt事務局長は、「認知症は加齢の一部ではありません。脳の病気であり、人々の生活を奪いう」と語っています。
(Telegraph.co.uk 19 Mar 2009 “Disaster looms unless new Alzheimer's drugs work, scientists
warn”より)
編者注1:アルツハイマー病研究基金20周年会議のこと。
★チャールズ皇太子が認知症について警告(3月17日/イギリス)
イギリスのチャールズCharles皇太子(写真)は、今月19日と20日に開催され、イギリスの200人以上の主な研究者が参加することになっているアルツハイマー病研究基金Alzheimer's Research Trust10周年記念会議に書面で意見を伝えています。このなかでチャールズ皇太子は、以下のように述べています。
「イギリスは、認知症の恐れを抑えることができないままにしておくならば、将来、破滅的な負担に直面するでしょう。認知症の人の生活および彼らを介護している人々へのこの病気のおおきな影響について知っています。こうした認知症にたいしてイギリスの科学者の研究を高く評価します。この病気にまつわる神秘のベールを取り払う役割をもった慈善的活動とそれを支えている人たちをすばらしく思っています。イギリスの70万人の認知症の人は、効果的な治療の望みをたくしながら生きています。これらの人たちは、自分たちの目のまえで家族や友人が消え去ってゆくのを見るという辛い状況に直面しています。悲しいことですが、人々が長生きすることで、将来、認知症によりなりやすくという重荷を認知症は持っているのです。そしてこの恐れを抑えることができなければ、私たちが直面する精神的、社会的、経済的な負担はとてつもなく大きなものとなるでしょう。認知症によって描かれる荒涼とした将来に立ち向かう共通の戦いのなかで、アルツハイマー病研究基金の業績とその助成による研究者を本当にすばらしいものと思っています。病気の研究にたいする助成によって、慈善活動は、現在そして将来に希望をもたらそうとしています。研究の究極的な目標は治癒ですが、診断、効果的な治療、そして認知症になる危険性にかかわる生活のあり方についてのよりよい知識は、どれも重要です」
(Press Association 03/17/2009 “Charles warns of dementia 'burden'”より)
編者:わが国の皇室からこうした発言は期待できないかもしれないが、認知症の人と家族の会のスローガンである「認知症になっても安心して暮らせる社会」とアメリカ・アルツハイマー病協会のスローガンである「アルツハイマー病のない世界」は共に正しい。
★介護施設でパーソン・センタード・ケアは認知症の人の興奮に有効(3月11日/オーストラリア)
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州にあるシドニー工科大学University of Technology Sydneyの看護・助産・保健学部Faculty of Nursing, Midwifery and Healthのライン・チェノウェスLynn Chenoweth教授(写真)らのグループは、認知症ケアの方法であるパーソン・センタード・ケアPerson-Centred Careと認知症ケアマッピングDementia-Care Mappingの施設での有効性について調査研究を行い、認知症の人の興奮を少なくすることに有効であると認めました。この研究論文はイギリスの神経学の医学雑誌The Lancet Neurologyの電子版の3月12日号に掲載されました。
パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピングは、すでに広く行われている方法ですが、その有効性については観察方式や記述方式によるもので、無作為・盲検法による数量方式では証明されてはいませんでした。
調査研究グループは、「介護施設における認知症高齢者のケアの研究Caring for Aged Dementia Care Resident Study
(CADRES)」を実施し、これらふたつのケア方法の有効性、生活の質の改善、認知症に伴う行動障害の減少、向精神薬の使用の減少、および事故や外傷の減少につながるかどうかについて無作為的介入を行い、その結果を盲検的に数量化して評価しました。
この調査研究は、シドニーにある15の介護施設で60歳以上の認知症の人289人を対象に行われました。289人を、無作為にパーソン・センタード・ケア、認知症ケアマッピングまたは通常のケアの3グループに振り分けました。介護職は、パーソン・センタード・ケアまたは認知症ケアマッピングに必要な研修や支援を受け、またはこれまでどおりの介護を行いました。介入前に認知症の人の状態を評価し、4ヶ月間の介入終了直後、およびさらに4ヶ月後に再度、評価しました。評価する人は認知症の人にどの方法が行われたかは知らされていません。
結果は、パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピングを受けた認知症の人はともに興奮が少なくなり、その効果は、介入終了後も続きました。しかし、生活の質での改善も、うつ状態や幻覚などの神経精神症状の減少も認めませんでした。また、向精神薬の使用は少なくなりませんでしたが、認知症ケアマッピングでは転倒が減少し、パーソン・センタード・ケアでは転倒が増加しました。さらに、認知症ケアマッピングよりパーソン・センタード・ケアの方が費用は少なくてすみました。認知症ケアマッピングは、資格をもった人による研修が必要であり作業量が増え、多くの施設で日常的に行うことは難しく、これに対してパーソン・センタード・ケアは習得することが容易で、施設の標準的なケアとして導入されるべきであると、研究グループは推奨しています。その理由は、入居者の負担を軽減するだけだなく、職員が入居者の満たしていない心理社会的なニーズを確認して、それに応えることにつながるからです。
この調査結果について、ロンドンキングズカレッジKing's College Londonのクリーブ・バラードClive Ballardとダグ・アースランドDag Aarslandの両氏は、「今回の研究は日常的なケアに大きな影響を与えるとても重要な試みです。しかし、施設において全体的な生活の質を改善、神経精神症状や不必要な向精神薬の処方の減少につながるアプローチの開発のためのさらなる研究を求めたい」と述べています。
(DGNews March 11, 2009 “Person-Centred Care Reduces Agitation in People With
Dementia in Care Homes”および論文”Caring for Aged Dementia Care Resident Study
(CADRES) of person-centred care, dementia-care mapping, and usual care
in dementia: a cluster-randomised trial“より)
編者:わが国では、パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピングを既に導入している介護施設はあるが、こうした評価が行われたとは聞かない。今回の調査研究によって二つの方式のある程度の有効性が認めらと思う。しかし、こうしたケアの評価は、観察方式や記述方式でもよいのではないだろうか。なお、パーソン・センタード・ケアと認知症ケアマッピングについては、編者の「認知症辞典」に簡単に解説しているが、パーソン・センタード・ケアについては「認知症介護情報ネットワーク」の「パーソン・センタード・ケア(その人を中心としたケア)について」、認知症ケアマッピングについては「NHK福祉ネットワーク」の「シリーズ 認知症をみつめる 第2回“その人らしいケア”を求めて~認知症ケアマッピング~」を参考にされたい。
★コリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンの併用療法はアルツハイマー病の症状を遅らせる(3月3日/アメリカ)
メマンチンmemantineは、アメリカで中程度から重度のアルツハイマー病の薬と使われていますが、最近報告された二つの研究によると、コリンエステラーゼ阻害剤(例:アリセプト)とメマンチンの併用療法で、アルツハイマー病のすべての段階において効果があることを示唆しています。
アルツハイマー病を治癒させる薬はありませんが、この併用療法が生活の質の面で機能低下を遅らせる最善の方法とみなしている医師はいます。
メマンチン(アメリカでのフォレスト社Forest Laboratories Incから発売され商品名はナメンダNamenda)は、コリンエステラーゼ阻害剤とは異なりグルタミン酸による脳の異常活性を抑える作用があります。メマンチンは、軽度のアルツハイマー病への適応としてはアメリカ食品医薬品局FDAで承認されていません。さらに、メマンチン単独での有効性についてはなお証拠が乏しいとされています。
ハーバード大学Harvard Universityとピッツバーグ大学University of Pittsburghの最近の研究は、メマンチンの併用療法はアルツハイマー病のどの段階でも有効な治療法であることを示唆しています。国立保健研究所NIHの助成を受けた今回の長年の研究は、併用療法は、偽薬とも、またコリンエステラーゼ阻害剤単独よりも有効であることを示しています。
ニューヨーク大学医学部New York University School of Medicineのフィッシャーアルツハイマー病プログラムFisher Alzheimer's Disease Programのベリー・ライスバーグBarry Reisberg所長(写真左上)は、「今回の結果には歓迎したい。これから、いつ、どのようにメマンチンを使うかの議論が新たに起こる」と述べています。ライスバーグ医師は、メマンチンを販売しているフォレスト社などの製薬会社から研究助成を受けています。ライスバーグ医師などの医師たちは、軽度のアルツハイマー病の人にも併用療法を始めています。その他の医師らは1、2年待ち、アルツハイマー病が進行してからメマンチンを処方しています。
二つの研究は軽度から重度までのさまざまなアルツハイマー病の人について調べています。ピッツパーグ大学の研究は943人を対象とし5年間の追跡調査期間中、併用療法はコリンエステラーゼ阻害剤単独より、ナーシングホームへの入居が3分の1少なかった。この結果論文は、医学雑誌Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatryの電子版2月9日版に掲載されています
またハーバード大学の研究では、382人のアルツハイマー病の人を対象とし、併用療法は日常生活機能と認知機能の低下を遅らせることを示しています。たとえば、併用療法の人は、コリンエステラーゼ阻害剤単独の人より37の簡単な質問をするテストで平均2つ以上正確に回答し、4年後では、併用療法の人は、単独療法の人よりほぼ5つ以上を正確に答えていると、マサチューセッツ州にあるエディス・ノース・ロジャーズ記念退役軍人病院Edith Nourse Rogers Memorial Veterans Hospitalの特別認知症ユニットSpecial Dementia Unitの所長であるハーバード大学のアリレザ・アツリAlireza Atri講師は報告しています。なお同医師はフォレスト社など製薬会社から顧問料を受けています。
メイヨークリニックMayo Clinicの医師で、アルツハイマー病協会医学科学諮問委員会Alzheimer Association's Medical and Scientific Advisory Councilの委員長であるロナルド・ピーターセンRonald C. Petersen氏(写真左下)は、「これらの研究は、アルツハイマー病の初期に併用療法としてメマンチンが使われることを支持することにはなるが、この薬を初期のアルツハイマー病に使うことには注意が必要です。そのわけは、高い薬で年間1800ドル以上し、軽度のアルツハイマー病には保険で使えません」と述べています。
これらの新しい研究に関係はしてないフォレスト社は、「これらの研究は、医療に新たな情報を提供して研究を進めることになりますが、軽度のアルツハイマー病にメマンチンを使うことを支持することにはならない」と見解を述べています。
メマンチンは、コリンエステラーゼ阻害剤の副作用である胃腸症状を起こしませんが、めまい、不眠、ときに混乱を起こすことがあるとペーターセン医師は述べています。
(Wall Street Journal March 3, 2009 “Drug Cocktail May Slow Alzheimer's Article”および上記のピッツバーグ大学の論文”Memantine
augments the effects of cholinesterase inhibition in the treatment of Alzheimer’s
disease”より)
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編者:併用療法の効果は限定的で、高価な二つの薬を併用する意味はあるのだろうか。日本ではメマンチンは臨床試験中と聞いており、現在は、あいかわらずアリセプトのみ。
★全国シルバーアラート法が採択(2月15日/アメリカ)
アメリカ下院で、行方不明の高齢者を速やかに探し保護する制度を促す法律が2月10日に採択されました。アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、アルツハイマー病高齢者の60%以上が自宅または介護施設から徘徊することがあります。徘徊への対応は、現在、市、や州のレベルで行われてきましたが、この法律は連邦政府による初めての全国を対象とした制度です。「全国高齢者緊急保護法National
Silver Alert Act」(以下、シルバー・アラート法とする)は、ロイド・ドゲットLloyd Doggett下院議員(写真)により提案され議会で採択されました。
アメリカ介護施設協会Assisted Living Federation of America(ALFA)のリチャード・グリムスRichard P. Grimes会長兼CEOは、「ドゲット議員のリーダーシップを高く評価します。この法律は、アルツハイマー病など認知症の高齢者を守ることに貢献する」と、述べています。
この法律は、行方不明になった子供を発見するための「アンバー・アラートAmber Alert (America's Missing: Broadcasting Emergency Response Alert)」をもとに行方不明になった高齢者を探すための任意の全国規模の制度を作るためのものです。法律によると、法務省に新らたにシルバー・アラート法の調整官を置き、他の連邦政府の部署と協議し、シルバー・アラート制度を最適なものとして実施することになりました。この法律では、シルバー・アラート制度を新設し運営するために州への助成金が最大1000万ドルとなります。
ドゲット議員は、自らのニュースリリースで、「全国シルバー・アラート制度は、行方不明の高齢者の安全のため、確実に助ける有効な方法です。今後、多くのアメリカ人が高齢者となり、シルバー・アラートが彼らにとってなんらかの保障になるでしょう。行方不明になった高齢者と家族が再会できるためには、早急に連携のとれた対応が欠かせません。現行の対策では対応できないギャップを埋めるため連邦政府による十分な支援です」と述べています。
(Alzheimer's Weekly February 15 - February 21, 2009 ”"National Silver Alert Program"
Passes Vote”)
関連情報サイト
以下、アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの見解(Alzheimer News 1/29/09)を紹介します。
アルツハイマー病協会は、下院議院で採択された全国シルバー・アラート法の導入に関して、ロイド・ドゲット下院議員(民主党テキサス州)とガス・ビリラキスGus Bilirakis下院議員(共和党フロリダ州)を高く評価します。シルバー・アラート法は、危険にさらされる行方不明の高齢者を居場所を確認の方法を家族に伝えるシステムを作りあげようとするものです。
アルツハイマー病協会は、520万人と推計されているアルツハイマー病のアメリカ人に影響する重要な課題を取り上げた彼らのリーダーシップを称えます。今日、アルツハイマー病の人の10人に6人は病気の進行にしたがい、いつかの時点で、自宅や介護施設から徘徊することがあるのです。24時間以内に発見されないと、半数の人が重大な外傷を受けたり死にいたります。近隣やよく知った場所でも、アルツハイマー病の人は混乱し、居場所がわからなくなります。徘徊するアルツハイマー病の人の94%は、自宅、介護施設、あるいは最後に目撃された場所からからおおよそ1マイル(1.6キロメーター)以内で発見されています。
アルツハイマー病協会は、認知症の人や家族の要望に応えるシステム作りに多様なアプローチが必要と考えています。このアプローチとは、徘徊を予防するだけでなく、家族、介護者、地域の担当者との連携のとれた努力をより強めるための認知症研修を法的に強制力のある公的資金を使って行うことも含めます。このシステムは、既存のメデックアラートMedicAlertとアルツハイマー病協会のセイフリターンSafe
Return?と相互利用可能なもんとする必要があります。メディックアラート+セイフリターン(注)は、全国規模の確認、支援、登録の業務を通して、アルツハイマー病など認知症の人が徘徊したり、その地域で発見されず遠くに居る場合にも支援しています。この制度では、徘徊した人を助けるだけでなく、自らの情報を伝えられないアルツハイマー病の人の治療に必要な重要な病歴を最初に診た人に提供することもできます。
アルツハイマー病の恐怖は多くの人々の生活に関わるり続けるので、アルツハイマー病など認知症の人の安全と保障は私たち大いなる関心事であり続けるでしょう。人口の高齢化が進むなかで、アルツハイマー病協会は、認知機能が低下した人たちにこそ必要と認識し連邦政府および州政府がアルツハイマー病に関連した安全の課題を取り上げることを確実なものにするよう政策決定者との共同作業に関わってゆきます。もっとも効果的な制度は、家族、全国と州と地域の政府、アルツハイマー病協会のように地域で支える団体とのコラボレーションと連携を取り込んだものでなければなりません。
注:1993年に始まったセイフリターンと、50年以上の実績があるメデックアラートが2007年の新たな連携を作り、それ以降の登録者数は16万人、発見数は1.6万件。
(アルツハイマー病協会Alzheimer News 1/29/09 “Association statement on National Silver
Alert Act”より)
編者:市町村レベルでは行われているところもあるが、全国規模の認知症の人の早期発見・保護体制の構築がわが国にも望まれる。
★「認知症国家戦略」最終報告書が発表される(2月12日/イギリス)
イギリス保健省は、これまで国民の意見のもとづき検討してきた「認知症国家戦略National Dementia Strategy 」の最終報告書を2月12日に発表しました。この戦略の基本は、「認知症認識の向上」「早期診断と早期介入」および「ケアの質の向上」ですが、より具体的に以下の17の項目について取り組むとしています。
1.認知症についての国民と専門職の認識の向上
2.すべての人へ質の高い早期診断と介入
3.認知症の人と介護者への良質の情報提供
4.診断後、容易にえることができるケア、支援、助言
5.当事者同士の援助と学習のネットワークの構築
6.地域的で個人的な支援の改善
7.介護者への支援
8.一般病院におけるケアの質の向上
9.認知症へのデイケアなどの改善
10.認知症の人と介護者を支援するための在宅支援
11.介護施設で認知症でも安心できる生活
12.認知症の人の終末ケアの改善
13.認知症の人への有効な情報提供
14.認知症に関わる専門職や団体等の連携
15.認知症の人と介護者のために医療・介護サービスおよびその評価と管理
16.調査にもとつく必要性のある計画立案
17.戦略の実現に向けた国および地方からの効果的支援
(国際アルツハイマー病協会の事務局長からのメールなどによる)
報告書:Living well with dementia: A National Dementia Strategy(pdf900K)
その他の報告書
イギリス・アルツハイマー病の見解(英文pdf140K)
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参考資料:イギリスの認知症ケア動向ⅥNational Dementia Strategy(認知症国家戦略)の開発(ニッセイ基礎研究所 pdf500K)
★「宮腰講堂を予防医学の拠点に=憩の園=日系社会に福祉広げる=県人会等に活用呼びかけ」(2月11日/ニッケイ新聞)
アルツハイマーや認知症などの予防医学に力を入れ、入園者に限らず、地域住民や日系コムニダーデ一般に福祉の輪を広げる――。昨年五十周年を迎えた日系老人ホーム「憩の園」が、そんな新しい方針を掲げた活動を開始した。運営団体である救済会の事務所で四日に記者会見を行い、大きな転換点であることを強調。昨年完成した宮腰千葉太講堂を有効に活用して、月々の活動費支援をしてくれる地域協力員組織を再編成するきっかけにしたいとの抱負が説明された。
昨年の伯国社会における六十歳以上の人口は八%のみだが、二〇五〇年には三〇%近くなるという統計グラフを見せながら、本田泉理事は「高齢化社会ではいくら施設を増設しても足りない。これからは施設に入らなくて済むような予防医学が重要になる。五十周年で建設した宮腰講堂は、そのための拠点として活用する」と説明した。
続けて、「まずは日系企業や団体に、憩の園を気軽に見に来て欲しい」と呼びかけた。
憩の園には約八十八人が入園しているが、うち約七十人が要介護。残りが自立者だ。特に要介護者向け施設は常に満員。吉安園子理事によれば「毎年四百人から五百人の入居希望者が相談にくるが、まったく応えられない状態」という。
施設改築を繰り返すたびに特養施設を増設して職員も増やし、福祉施設の理想ともいえる園生一人に一職員の体制を築いてきた。園生の平均年齢は八十六歳。職員の一人は「他のブラジルの施設では一週間に一人、入寮者が亡くなるところもあるが、憩の園は長期入園者が多いので空きが少ない」と説明した。
施設運営費の半額以上は寄付や慈善バザーなどのイベント収入でまかなっており、固定収入である入居者の寮費は三八%、協力員の会費は一五%に過ぎない。今後の安定運営を考えた時、固定収入である協力員の会費収入を増やすことが最大の悲願だ。
この協力員は八六年頃が最も多く、八千二百四十四人を数えた。その後、協力員の高齢化、デカセギなどにより激減、九八年には二千三百四十一人、昨年には一千人を切る状態になっている。
支援の目標額に関し、吉岡黎明会長は「月々最低給分の支援をしてくれる協力員二百六十三人の企業・個人を求めている」という。一最低給分を十五人で割れば月々三十一レアル、二十三人で割れば二十レアルとなり、そのような形に取りまとめてもらい、支援を受けることも可能。
本田理事は「運営費を援助するという発想でなく、予防医学を実行するための投資として支援して欲しい」と強調する。
吉安理事は「宮腰講堂を使って、昨年来られた日野原重明先生の『新老人の会』と連動した活動を展開していきたい」と語り、伝統ある福祉施設が始めた新しい考え方に理解を求めた。
訪問希望者は憩の園事務所(11・3208・7248、3209・0215)まで連絡を。
(ニッケイ新聞 2009年2月11日 原文のまま)
注:ニッケイ新聞はブラジル・サンパウロ市で発行されている日本語新聞
★初期アルツハイマー病の高齢者の運転能力は低下(2月9日/アメリカ)
アメリカ・アイオワ大学公衆保健学部University of Iowa College of Public Health神経学科のジェフリー・ドウソンJeffrey D. Dawson准教授(写真)らのグループは、初期アルツハイマー病の高齢者とアルツハイマー病でない高齢者とで、運転能力について比較分析をし前者において能力の低下を認めたとする論文が、アメリカ神経学会雑誌NEUROLOGYの2月10日号に掲載されました。
ドウソン医師らの研究グループは、50人の初期アルツハイマー病の高齢者(MMSEの平均値26.5)と神経疾患を認めない115人の高齢者について、認知機能、視覚機能、運動機能、および都市部および農村部の一般的な道路でフォードのワゴン車を使って35マイル(約56キロメートル)路上運転のテストを行いました。運転中、ペダルを踏む反応、目と頭の動きをカメラで撮影しビデオに記録し、その結果を専門家に評価してもらいました。
その結果、運転能力では、アルツハイマー病のない人の方が有意に高くいことが判明し(路上運転ではアルツハイマー病の人が平均42回の間違いがあったのに対して、アルツハイマー病でない人は33回)、最も多いエラーは、路上ラインをはみ出す操作でした。また、年齢が高くなるに従い、エラーも増えました。さらに、アルツハイマー病の人は認知機能のほか、視覚機能の低下も認めました。こうした研究結果から、アルツハイマー病の人の運転能力については、診断名だけでなく、路上で行わない各種テスト(Auditory Verbal Learning Test、Block Design subtest、Benton Visual Retention Test、Complex Figure Test、Judgment of Line Orientation、Trail-Making Test)を組み合わせて運転機能を予測することができるとしています。
アメリカでは、ほとんどの州でアルツハイマー病の診断結果を交通当局に通知することを義務づけてはいません。
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの医学科学担当部長のマリア・カリーヨMaria Carrillo氏は、「ほとんどの場合、家族、介護者、アルツハイマー病の人自身が運転を続けるべきかどうかを決めています。私達は、アルツハイマー病を理由に運転する権利を無差別に取り上げることに反対です。初期のアルツハイマー病の人でも安全に運転できるからです。鍵を取り上げて、自立性まで取り上げることは、とても情緒的な問題です。アルツハイマー病の人がGPS機器を利用するのもよいでしょう。また家族が認知症に関係した運転上の問題があることに気づいたら、本人や家庭医と話し合うことを勧めます。あるいは運転能力を評価する運転リハビリテーションの専門家に相談するのもよいでしょう。病院やリハビリテーション施設で作業療法士から助言も得られるでしょう。あるいはアメリカ作業療法士協会American Occupational Therapy Associationのページolderdriver からも情報を得ることができる」と述べています。
(USA TODAY 02/09/2009 “Early Alzheimer's can erode driving skills”および論文
“Predictors of driving safety in early Alzheimer disease”より)
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編者:日本では道路交通法で認知症の病名だけで運転免許証が取り上げられる。また本年6月から始まる免許更新時の認知機能テストで認知症の疑いを拾い上げしようとしている。アメリカでは、病名ではなく運転能力で判断しようとしている。
関連記事:アルツハイマー病の人が運転を止めさせる時期は多面的に判断すべき(4月7日/アメリカ)
初期アルツハイマー病の人に運転を止めさせるのは何時がよいかを示すテストを科学者たちが開発しています。運転を止めさせることは、家族にとって最も判断に苦しむことがらのひとつです。アルツハイマー病が早い時期に診断されることが多くなり、運転の危険な状態に何時なるかについて話すことは家族にも難しいことです。
公共交通が乏しいアメリカでは、運転を止めなくてもよければ数年間もよい状態にあるだろう人に、むやみに運転を止めさせることは人間としての独立性を制限することになるのです。
アイオワ大学University of Iowaの神経学科のジェフリー・ダウソンJeffrey Dawson教授(写真)は、「運転を止めさせることは、個人、家族、社会に実質的に費用がかかることになります。しかし、安全なドライバーとして独立した個人と道路上の他人に被害をおよぼすという二律背反を抱えている」と述べています。
アルツハイマー病の人の多くは、混雑した道路、夜間、左折の交差点での運転を避けるなどしながら運転することが次第に少なくなります。アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの助言者であるスー・ピンダーSue Pinderさん(58歳)は、最近、大都市での運転をあきらめました。その結果、ダラスの娘のところを訪れることがほとんどなくなることになりました。ピンダーさんは、2004年に、アルツハイマー病と診断を受けてすぐ、運転するのを何時止めるかを夫が決めるような指示書に署名しました。ピンダーさんの夫は、妻の誕生日にGPS機器を渡しました。夫婦は娘の近くに居たく、ルイジアナ州ウエストモンローに転居したとき、この機器がピンダーさんがなれない通りを確かめるのに役立ちました。「私がどこに居るかと心配することがなくなり、とても助かり、どの方向に行くかも迷うことはなく運転に集中できる」とピンダーさんは話しています。
同じようなアルツハイマー病の人を支援する方法を研究しているアイオワ大学のダウソン教授らのグループは、車上で行う複雑な試験を開発しています。それは派手なフォードのタウルスで農村地区、住宅地区、都市地区の道路での35マイル(56キロ)の運転試験を行い、ドライバーが行うあらゆる動作を記録するシステムで、飛行機のブラックボックスのようなものです。小型のビデオカメラで接近する交通状況も記録します。
研究グループは、40人の初期アルツハイマー病の人で道路テストを受けて免許証を保持している人たちと、対照として115人の認知症のない高齢ドライバーに同じ道順で運転してもらいました。
その研究結果は、神経学雑誌Neurologyの2009年2月号に掲載されましたが、驚くべき内容です。平均すると、アルツハイマー病のドライバーは、安全上のミスを42回起こしていますが、健常なドライバーは33回でした。他の車が近づくときに、センターラインを避けるかそれに沿って走るといったライン違反に関することがらがアルツハイマー病の人にとって最大の問題で、健常者より50%も成績が悪かった。全体的な運転間違いは、年齢とともに多くなり、5歳増すごとに2.5、間違いが増え、ドライバーがアルツハイマー病であるかないかは関係ありませんでした。
生物統計学が専門のダイソン教授は、何人かのアルツハイマー病の人は、健常な人とまったく同じように運転したことを強調しています。ここにこの課題の鍵があり、研究グループは、神経心理学的なテストも前もって行いどのテストによって運転がよくないか正確に予期するかを調べています。
合格点を決める簡易記憶テストでは両者の違いはありませんでした。緊急に決定する場合、認知機能、視力、運動機能を総合的に働かせるかどうかを評価する神経心理学的なテストもあります。このなかにはアルツハイマー病の人に2,3秒間幾何学模様を見せて、隠したあとその形を描かせるテストもあります。
「こうした記述型のテストで平均がそれ以上の結果をだすアルツハイマー病の人は、健常な高齢ドライバーより車上での運転が悪いということはありません。しかし、平均以下の人では、路上では50%以上の間違いが起こる傾向にある」と、ダウソン教授は語っています。
今後、さらに研究が必要であるが、最終的な目標は、運転を何時止めるかを決める補助になって医師が診察室で簡単に行えるテストを開発することにあるとのことです。
国立加齢研究所National Institute on Agingによると、毎年健康上の理由で60万人の高齢者が運転を止めています。しかし、およそ200万人いると推計されている初期アルツハイマー病の人についての明確な指針はありません。しかも、アルツハイマー病は人口高齢化にともない今後20年で爆発的に増えます。
アメリカの州によっては、高齢者について免許証の更新に際しての路上テストを行ってどの時期を合格とするかの法律はまちまちです。しかも、アルツハイマー病を視野に入れたものはほどんどありません。カリフォルニア州では、アルツハイマー病の診断の報告を義務付け、運転できるかどうかが評価されます。アルツハイマー病協会は、家族に危険な運転の兆候について知らせています。
「しかし、アルツハイマー病が進むと、自分の運転は危険であることを激しく否定することがある」と、ニューヨークのモンテフィオーレ医療センターMontefiore Medical Centerの老年精神科長のグレイ・ケネディGary Kennedy医師は語っています。ケネディ医師は、ときどき「私が悪者になろう」と家族に話し、運転試験のため州の自動車局にアルツハイマー病の人であることを報告したり、家族に運転できないようにさせる助言もしています。
「運転をあきらめることは、ナーシングホームに行くこととは違います。運転できなくても自動車に乗れるように家族や友人を探してはどうでしょう。また社会として、運転が危険であると認識するなら、それに代わるものを提供する必要がある」と、ケネディ医師は話します。
参考サイト:
* アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Association:
* 運転リハビリテーション専門家を探すFind a driving rehabilitation specialist:
* 保険研究所の高速道路免許法Licensing laws from Insurance Institute for Highway Safety:
(Associated Press 04/07/2009 “When should Alzheimer's patients stop driving”より)
編者:アメリカでは免許証を取り上げられ運転できなくなることは、日本以上に日常生活や個人の独立に関わる重大な事柄であり、運転を止めさせる判断は慎重にすべきとの認識がある。この紹介した記事と論文によると、アルツハイマー病の人でも健常の人と同様にかなり安全に運転ができ機能が残っており、運転中止は多角的総合的に判断されるべきでとされ、たんにアルツハイマー病との診断名だけでの判断は控えるべきと注意を促している。このためにも、よい簡便な判断方法が開発されることを期待したい。わが国では、この6月から行われる認知テストのように対応はきわめて短絡的と言わざるをえない。
★認知症の人の行動の問題で介護者を支援(2月7日/オーストラリア)
オーストラリアのクーンズランド・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Australia (Qld)では、介護者にとって問題となる認知症の行動へ対応する新しいサービスを始めました。クーンズランド州の認知症の人の41.7%はブリスベーンに住んでいます。この州の人に、無料のサービスを提供して認知症の介護が困難な行動へ対応する支援を得ることができるようになりました。
「認知症の行動対応の助言サービス(Dementia Behaviour Management Advisory Service:DBMAS)」は、クーンズランド・アルツハイマー病協会が運営しており、行動面で対応が難しくなった認知症の人を介護している人たちを支援しています。このサービスは、介護家族、臨床医、地域ケア管理者、高齢者施設の職員で構成され、認知症の人のためによりよい理解と介護を助言しています。
このサービスを2月前に始めて以来、DBMASは、認知症の人による介護が困難な行動について介護者が対処するのを助けるため州に住むすべての介護者を支えるのが方針です。
クーンズランド・アルツハイマー病協会CEOのジャン・サミュエルスJan Samuels氏(写真)は、以下のとおり述べています。
「クーンズランドに、現在、認知症の人が4万人いますが、2050年までに17.1万人増えと推測されています。これは、家族にとっても有給で働いている介護専門職にとっても大変重い挑戦となります。この人たちは、認知症の人の行動が、介護者に苦悩をもたらし、その行動を理解するのが困難であることを知っているからです。DBMASは、こうした介護者を助けて、早急には決断しない専門的な訓練を受けているスタッフが、状況を評価して助言しながら介護者も認知症の人も支えるようにしています。個々の介護状況はまちまちで、ニーズを検討して、もっともふさわしい支援を提供しています。多くの例では、私たちはそれぞれ異なった「家具」を提供し、より家庭的な雰囲気を作り出し、日常生活の活動を管理する方法を助言し、より安心しより信念をもてるように支援しています」
DBMASは、オーストラリア政府が「認知症イニシアティブDementia Initiative」により助成しており、クーンズランド・アルツハイマー病協会が雇う認知症介護の複雑さを理解している経験ある医療専門職によってこのサービスが提供されています。
介護者は、昼夜を問わず、いつでも電話(1800-699799)でサービスにアクセスできます。状況の専門的な評価は無料で、他のふさわしいサービスを紹介されることもあります。
「これまで12カ月このサービスを通して私たちは数百人の家族を支援してきました。私たちの直接の経験から、また情報や専門家の助言や支援によって人々の生活を大きく変えてきたことを知っています。また多くの利用者は、私たちのサービスが彼らと共同することで自分たちが信じられないほど変わり、自分一人でないことを知ることでどれだけ救われたことを話している」とジャン氏は述べています。
(WESTENDER 02/07/2009 Help for dementia carers)
★すべての病院と施設に認知症の専門家を置く(2月3日/イギリス)
イギリスでの認知症の診断と治療を改善するため政府が行おうとしている施策の一つとして、認知症ケアの監督するために経験ある医師をすべての病院に置くことにしました。
アラン・ジョンソンAlan Johnson保健大臣(写真左上)とフィル・ホープPhil Hopeケアサービス大臣(写真左下)は、昨日、待望された「認知症国家戦略National Dementia Strategy」の一環として臨床およびケアでの遅れに取り組むことを明らかにしました。
保健大臣による17の勧告のなかに、認知症の人のニーズに応えるため、すべての病院と介護施設に経験ある臨床医を置くことが含まれています。
この他の施策として、認知症の人のためにもの忘れ外来を多く開設して、行動療法や介護者支援を提供すること、および一般医への研修が含まれています。
ジョンソン大臣は、介護施設への認知症の人の入所を少なくしたり遅らせたりするため介護者をもっと支援する計画も明らかにしましが、介護施設での認知症の人へのケアについてもっとも議論されている抗精神病薬の使用についての評価の内容は春まで公表がされないようです。
この戦略は、70万人以上の認知症―その多くはアルツハイマー病―の人への効果的な診断や治療が乏しいことに関心が高まったことから生まれました。認知症の人の数は、人々が長生きすることで、今後30年に2倍になると予測されています。イングランドの認知症の人は57.5万人と推測されていますが、そのうち22万人が国民保健サービスNHSや社会サービスSocial Careに登録されているに過ぎません。
ジョンソン氏は、認知症をとりまく偏見や「無慈悲なユーモア」をなくすため、状況についてもっと広く議論すべきだと語っています。
イギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyのネイル・ハントNeil Hunt事務局長(写真右上)は、困難な状況のなかで生きている認知症の人たちの生活を改善し、国民保健サービスや社会的ケアに大きな負担を及ぼしかねない危機的状況を改善するための革新的な5ヵ年計画として戦略を評価しています。
ハント氏は、「暗黒の時代から認知症ケアを引き出す長い道程があります。今回の公表はその大きなきっかけです。家族から認知症と対決するために取り残されているという話を本当によく聞ききます。病院や介護施設に指導的な臨床医を置くという計画は何10万人という認知症の人の生活を改善することになるでしょう。介護施設の3人に2人は認知症です。介護を改善することは入院を減らし、入院期間を短縮し、介護の質を高めることになります。65歳の3人に1人は認知症の状態で死亡しています。しかし、イギリスではよい認知症ケアを提供することに「組織的な失敗」がある」と述べています。
アルツハイマー病研究基金Alzheimer’s Research Trustは、この戦略を歓迎していますが、認知症研究にはほとんど関心を示していないとの見解を述べています。
基金のレベッカ・ウッドRebecca Wood事務局長(写真右中)は、「それは「第一歩」にすぎません。しなければならないことは沢山残されています。認知症研究がこの戦略の根本的な要素でないことは驚きです。また、抗精神病薬の評価が再び遅れていることは失望です。さらにこの戦略に盛り込まれていることを実施するに十分な予算的裏づけがあるか明らかではない」と述べています。
保健省の報道官は、「認知症は高齢化社会に重要な課題のひとつであり、戦略は、よりよい研修、より早い介入、認知症の人と家族への有効な支援を通して、サービスをいかに改善するかに貢献する」と述べて
います。
Bupa(British United Provident Association)は、国内で運営している300の施設で7000人の認知症の人をみており、その75%は国の資金で行われています。
Bupa ケアサービスの精神保健部長のグラハム・ストークスGraham Stokes医師(写真右下)は、「会社はアルツハイマー病協会とともに活動して、2009年中に介護施設の認知症指導者に専門家を提供します。私は、戦略の基本を歓迎するが、政府はなお認知症の人と家族を見捨てるおそれがあります。早期診断は歓迎しますが、このことはより多く、より長期に認知症の人を認めることになることになります。認知症の人と家族は、認知症戦略の変革をとおして適切な支援を得るように専門家から支援を必要としています。もし、計画されたケアの段階的な変化を提供するのであれば、特別な資源と新しい活動が必要です。危険なことは、一貫性がなく十分な予算的裏づけのない戦略では、政府が、状況評価が少なく見て、認知症の人への尊厳を高めることに失敗するという危険がある」と、述べています。
(The Time Online February 3, 2009 “Every hospital in England to get senior dementia specialist”より)
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★「北欧人ヘビー級元王者のヨハンソン氏死去」(2月1日/スウェーデン)
ボクシングの元世界ヘビー級王者インゲマル・ヨハンソンIngemar Johansson氏(スウェーデン)(写真)が1月30日深夜、スウェーデン西海岸にあるクングスパッカKungsbacka市の療養院nursing homeで死去した。76歳だった。死因は明かされていないが、肺炎で入院後、療養院に戻ってきたばかりだった。10年ほど前からアルツハイマー病と診断されていた。ヨハンソン氏は1959年6月にフロイド・パターソンFloyd Patterson(故人)を破り、米国出身者以外では5人目のヘビー級王者になった。1年後の再戦で5回KO負けで王座から陥落。以降、83年9月にゲリー・コーツィー(南ア)がWBA王座を奪取するまで、白人の世界ヘビー級王者は20年以上も誕生しなかった。生涯戦績は26勝(17KO)2敗。
(日刊スポーツ 2009年2月1日 原文のまま)
編者:APの記事”Former heavyweight champ Ingemar Johansson dies”も参考にして編者が英語を入れた。なお、瀕回の頭部打撲はアルツハイマー病の危険因子であり、ヨハンソン氏のアルツハイマー病とボクシングの因果関係は不明だが、気になる記事なので取り上げた。
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★認知症の人の自殺は少ない(1月31日/イギリス)
イギリスのマンチャスター大学University of Manchesterの地域医療学部School of Community Based Medicineのニッティン・プランデールNitin Purandare医師らのグループは、イングランド・ウエールズの9年間の自殺者11512人のデータから認知症の人の自殺者が118人ありました。118人のグループと年齢・性別を条件を同じとした492人の認知症でない人の自殺者の対照グループとを比較・分析しました。
その結果、認知症の人の自殺方法は、服薬自殺が最も多く、これに溺水自殺、首吊り自殺が続きました。認知症の人の自殺全体のなかで認知症と診断されて1年以内の自殺も少なく、また、認知症の人は自傷、精神症状、精神科病院入院歴も少なかった。
この研究グループは、認知症の人の自殺が認知症の悪化に伴うものか、医師の精神症状を過小評価したためなのかについて調べる必要があると述べています。
この調査報告は、イギリス精神医学雑誌British Journal of Psychiatryの2009年2月号に掲載されています。
(論文”Suicide in dementia: 9-year national clinical survey in England and Wales”より)
編者:認知症と自殺の関係についての論文は知らない。認知症の告知によって自殺が増えるとの意見もあるが、今回の論文はこれについて否定的である。
★介護者への電話支援グループ発足へ(1月23日/アメリカ)
従来の支援グループSupport groupの集いは、認知症の人の介護者への身体的にも精神的にもよい影響を与えていますが、地域的なこの集いに参加できない介護者もいます。アルツハイマー病協会は、新しく電話による支援グループを立ち上げることでこうした介護者が参加しやすくすることにしました。
「調査によれば、支援グループへの参加は介護者だけでなく、認知症の人自身にもよい影響およぼしています。介護者のストレスを少なくし、心身ともによりよい状態をもたらすだけでなく、病気を知ることでナーシングホームへの入居を遅らせることができることがわかっている」と、アルツハイマー病協会マサチュセッツ・ニューハンプシャー支部Alzheimer's Association, MA/NH Chapterの患者・家族支援副部長のポール・ライアPaul Raia医師(写真)は述べています。
アルツハイマー病協会の目的のひとつは、参加する意思があれば、すべての介護者が支援グループにアクセスできるようにすることです。認知症の人を在宅介護して家から出られない、あるいは参加する交通手段がない介護者は、「電話グループtele-group」に参加することで支援が得られます。アルツハイマー病協会は、このグループが特に農村地域で有効と考えています。農村地域では、従来の支援グループを作るには地理的に難しいからです。
この電話支援グループは2月に発足する予定で、参加費も電話代も無料です。参加を予定している人は、グループを運営する人に電話をかけ、その後、電話による集いについての情報を得るための会議に参加することになっています。
同支部では、既に24時間365日開設の電話相談Helplineを行っており、そのほか、支援グループ、家族教育、専門職研修なども行っています。
(BUSINESS WIRE Jan 23, 2009 “Alzheimer's Association Offers Tele-Group for Caregivers
in Massachusetts and New Hampshire”より)
編者:わが国でも、介護家族間の情報交換はインターネットの掲示板での取り組みはあるが少ない。インターネットが苦手か使えない介護家族が電話による情報交換は個人的グループで行われてはいるが、組織的に行うには経費、運営面で課題が多いと思われる。
★抗精神病薬は認知症の人の死亡率を高める(1月9日/イギリス)
イギリスで認知症の人に鎮静剤が広く処方されていることを、専門家は非難しています。
3年
間の研究によって、アルツハイマー病の人が長期間、この薬を服用していると死亡率が2倍になるとする論文が「ランセット神経学」The Lancet Neurologyの電子版2008年1月9日版で紹介されました。
イギリスでは10万ほどの認知症の人の攻撃的行動や不穏などに対して抗精神病薬が日常的に処方されています。
保健大臣は、認知症ケアにこうした薬を使うことについて検討すると語っています。
現在のガイドラインでは、抗精神病薬はひどい興奮や暴力に対して短期間に限り使用することができます。しかし、実際は、過剰投与、あるいは平均1年から2年間の長期投与が行われています。
今回の研究は、認知症の人への抗精神病薬が危険であることを証明した最初のものではありません。
2005年のアメリカでの研究から、アメリカ食品薬品局FDAが認知症の人に関して抗精神病薬の使用について重大な警告ラベルを貼ることを義務づけました。
今回の研究は2007年のある会議で最初に報告されましたが、オックシフォードシャイアー、タインサイド、ロンドン、エジンバラOxfordshire,
Tyneside, London ,Edinburghの介護施設で生活するアルツハイマー病の人165人について行ったものです。
既に、抗精神病薬(thioridazine(日本の商品名:メレリル)、 chlorpromazine(同:ウインタミン)、 haloperidol(同:セレネース)trifluoperazine(同:トリフロペラジン) risperidone(同:リスパダール))を服用している人を、無作為に2グループに分け、1年間、同じ薬を服用し続けるか、中止して偽薬に変更するかにしました。なお、生存の有無は電話で確認し、死因は死亡診断書で確かめました。
抗精
神病薬の服用と死亡との関係を分析したところ、1年間の追跡中に抗精神病薬を服用している人の死亡率が有意に高いことを認めました。さらに2年間追跡すると、抗精神病薬を服用している人は46%が生存していましたが、偽薬の人では71%でした。調査開始後3年、抗精神病薬を服用している人は3分1以下が生存していましたが、偽薬の人は3分の2が生存していました。
この論文の研究者は、認知症の人の攻撃的行動は一定の期間に限られており、いずれはなくなるものであり、介護職へのよりよい教育によって薬が必要でなくなると述べています。
主任研究者のロンドン・キングスカレッジKing's College Londonのクリーブ・バラードClive Ballard教授(写真左上)は、「この種の薬は、きわめて攻撃的な人で短期間使うことのは適切です。しかし、私たちの研究によって明らかになった抗精神病薬の重大なことは、不必要に長期におよんで使っていることを止めることが緊急に必要であることを強く示している」と、述べています。
共同研究者で老年精神医学の専門家であるオックスフォード大学University of Oxfordのロビン・ジャコビイRobin Jacoby教授(写真左下)は、「大多数はまったく正当な理由なしに服用させられている」と語っています。
「これは教育が問われている」
教授は、「なぜ死亡の危険性が高まるかのはすべて明らかになったわけではありませんが、ひとつの説明として、抗精神病薬を服用している人は不活発になり肺炎などを発病する危険性が高まることによるのだろう」と話しています。
アルツ
ハイマー病研究基金Alzheimer's Research Trustのレベッカ・ウッドRebecca Wood理事長は、「この研究結果は『めざましコール』です。私たちは、こうした薬を服用しなければもっとよくなる人たちへの危険性が高い「化学的な棍棒」とでもいう薬の使用は止めるべきだ」と述べています。
イギリス政府は、抗精神病薬について再検討を進め、長期間にかけて間もなく公けにされるイギリスの「認知症国家戦略」の一環としてこの課題が取り上げられると表明しています。
ケアサービスCare services minister大臣のフィル・ホープPhil Hope氏は「薬物の不適切な使用は、まったく受け入れがたいことです。医療専門職や介護職へのガイドラインはとても明快であって、抗精神病薬は最善の医療の一部として適切であるときに限り使われるべきです。しかし、こうした薬が過剰に使われていることを示す確かな証拠がある」と話しています。
王室大学ヘルスケア国民保健サービス基金Imperial College Healthcare NHS Trustの神経学者のリチャード・ペリーRichard Perry医師は、「この研究は、認知症での行動症状に対する代替的な薬物療法、あるいは非薬物療法を開発し評価する必要性が差し迫っていることを明らかにしている」と語っています。
また、国立医療技術評価機構National Institute of Health and Clinical Excellence (NICE)で認知症のガイドラインを作ったティム・ケンダルTim Kendall医師は、「これらの薬が「例外的に」使われることを勧め、「能力を奪われ、とても依存的になっている人たちのために今回の調査で明らかにしたような証拠を医師たちは無視することが多いなら、このことがとても重要なこととみなすべきである」と述べています。
(BBC 9 January 2009 “Dementia drug death risk warning”および論文”The dementia antipsychotic
withdrawal trial (DART-AD): long-term follow-up of a randomised placebo-controlled
trial”より)
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編者:このイギリスの調査は、アルツハイマー病の人を無作為に分けて、抗精神病薬を服用するグループと偽薬のグループとに分けた介入試験である。今回の研究でも原因は解明されてはいないが、抗精神病薬そのものが死亡率を高めていると解釈できる報告であり、わが国でも再検討されるべきが、老年精神医学会などではこうした再評価の動きを知らない。認知症の人への「問題行動」あるいは認知症の行動と心理症状(BPSD)に対する抗精神病薬の適応外使用が野放し状態だ。
★オバマ新大統領への声明(1月8日/アメリカ)
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、オバマ新大統領へアルツハイマー病に関する声明を提出することにし、署名活動を始めました。
要望の呼びかけ文は以下のとおりです。
私たちの大統領として、あなたはアルツハイマー病を過去のことするために国を導くべきです。
アメリカでは71秒に1人、誰かがアルツハイマー病になっています。あなたの指導力がないと、アルツハイマー病は7800万人のベビーブーマーたちの8人に1人から記憶と自立と生活を奪うことになります。
アルツハイマー病は、本人にとって壊滅的なだけでなく、家族や友人や介護者にとって破壊的な病気です。アルツハイマー病による経費は生産性の喪失によって数10億ドルにおよび、私たちの医療制度に重大な影響をますます与えます。すべてが悪くなるばかりなのです。
何百万というアメリカ人は、次の質問へのあなたの返事を待っています。
「私たちの国が直面するこの公な医療脅威に立ち向かうためのあなたはどのような計画をもっていますか?」
あなたの計画には次の内容を含むと私たちは信じています。
○ 連邦政府の助成による医学研究を推進すること。
○ 65歳未満のアルツハイマー病の人のために公的医療制度が利用できるようにすること。
○ アルツハイマー病や他の認知症の人の特別なニーズをもっと応えるようなメディケアに改めること。
○ アルツハイマー病の人と介護者のために介護者支援サービスおよび長期介護制度を拡充すること。
アルツハイマー病を代弁する人たちは、現在、あなたにアルツハイマー病を終焉させるための責任ある計画を作るように要望しています。
(Alzheimer’s Association 2009年1月8日 ENews - Proclamation to the President より)
編者:アメリカのアルツハイマー病協会のスローガンは「world without Alzheimer's アルツハイマー病のない世界」であることから、アルツハイマー病を終わらせるというやや非現実的な内容を含む声明が出てくるのだろう。
追加情報:Response To President Obama's Address To Congress
http://www.medicalnewstoday.com Date: 27 Feb 2009
In his first address to a joint session of Congress last night, President Obama laid out the significant challenges facing the nation - from a weakened economy, to rising unemployment, to increasing health care costs, acknowledging that "comprehensive health care reform is the best way to strengthen Medicare for years to come."
The Alzheimer's Association believes one way to strengthen Medicare and save billions is to immediately confront the growing Alzheimer crisis. In 2011, the first wave of baby boomers begins turning 65 - which is not only the age of Medicare eligibility, it is also the age of greatest risk for developing Alzheimer's disease. There is no clearer, more predictable public health crisis facing the United States today that will directly impact Medicare and Medicaid than Alzheimer's. And yet no plan to deal with the crisis that will impact the lives of 10 million baby boomers.
In 2005, total Medicare costs for beneficiaries age 65 and older with Alzheimer's disease and other dementias amounted to an estimated $91 billion; and state and federal Medicaid spending for nursing home care for people with Alzheimer's and other dementias was estimated at $21 billion. With an aging baby boomer population, this escalating epidemic will continue to touch more lives and increase costs for Medicare and Medicaid. Experts predict that by 2030, Medicare spending on those individuals with Alzheimer's alone will cost nearly $400 billion - nearly as much as today's total Medicare spending.
By 2010, nearly a half million new cases of Alzheimer's disease will develop each year and by 2050, a million new cases will develop per year. The nation's health and long-term care systems will be incapable of sustaining sufficient support for a baby boomer population where one in eight individuals will develop Alzheimer's or another dementia. For an already overtaxed health care system fraught with skyrocketing costs, the nation simply cannot afford to have an Alzheimer epidemic.
In these turbulent financial times, it is even more important to make sound fiscal decisions. In President Obama's speech last night he stated: "The answers to our problems don't lie beyond our reach." And he is correct. We have the opportunity to change the trajectory of this disease now. Today's scientific landscape is rich with a variety of possible disease-modifying treatments, but a shrinking investment in Alzheimer research threatens these breakthroughs. Investing in research to end Alzheimer's is one of the most prudent decisions that the government can make. It not only saves lives, it also saves money by reducing the burden on Medicare and Medicaid programs.
Leadership from the top is vital, but we all need a heightened level of commitment to address this crisis. America understands this - which is why over 60,000 Americans signed a call to action urging President Obama to make Alzheimer's a thing of the past.
We are delivering this call to action and our recommendations to President Obama on how best to address the escalating Alzheimer epidemic. These recommendations include developing a national strategy to address Alzheimer's and accelerating Alzheimer research. Alzheimer's disease is an issue that will require the collective effort, innovative ideas and collaborative spirit President Obama has implored the nation to harness. If the Obama Administration and Congress want to save lives and control health costs, Alzheimer's disease is certainly the best place to begin.
The Alzheimer's Association welcomes President Obama's commitment to health care issues and looks forward to working with his Administration to advance health care reform and making Alzheimer's a national priority.
★65歳未満の認知症は7.1万人以上(1月5日/カナダ)
アルツハイマー病など認知症の人は、130万人になろうとしています。
まもなく、アルツハイマー病など認知症は、私たちの両親の問題だけではなく、私たち自身の問題となります。
この新しい推計数は、「アルツハイマー病啓発月間」を始めるに際して、本日、公表されたもので、65歳未満のアルツハイマー病など認知症のカナダ人が7.1万人以上いることも認めました。
これは、リスクアナリティカRiskAnalyticaとカナダ・アルツハイマー病協会Alzheimer Society of Canadaが共同して行った調査結果の一部で、認知症の発病率に関するこの新しい数値は、カナダ社会へ認知症が及ぼす現在および将来の影響について新たな課題なあることを示したといえます。
「認知症の人のなかには65歳未満の人がおおよそ15%います。このことは、大きな負担となっている医療や社会制度の問題だけではありません。現実に、ベビーブーマーの世代―指導者や助言者の世代―が認知症に影響を受け、商業や工業の分野でも影響を受けることになるのです」と、カナダ・アルツハイマー病協会のCEOであるスコット・ダジョンScott
Dudgeon氏(写真の左端)が述べています。
「新たな潮流:カナダ社会への認知症の影響Rising Tide: The Impact of Dementia on Canadian Society」(注)の調査結果について今回初めて明らかにした主な情報は以下のとおりです。
○ カナダにアルツハイマー病など認知症の人がおおよそ50万人いる。
○ 50万人のうち7.1万人は65歳未満で、約5万人は60歳未満である。
○ 65歳以上の11人に1人は認知症がある。
○ アルツハイマー病のカナダ人の72%以上は女性である。
○ 5年以内に、新たに25万人の認知症のカナダ人が生まれる。
○ 1世代(25年)内で、認知症の人の数は、100万人から130万人になるであろう。
「現状でのままでは、アルツハイマー病など認知症の人の数は1世代の間で倍以上になるでしょう。この新しい調査結果によって、認知症が、国家にとって関心が高まるだけでなく、今日、改革をしなければ、カナダの医療制度に多大な負担をもたらす流行性疾患であることを強調しています」と、カナダ・アルツハイマー病協会のボランディアであるレイ・コジョンRay
Congdon会長(写真の右から2人目)は話しています。
アルツハイマー病協会は、今月、すべてのカナダ人に行動を起こすことを呼びかけ、また認知症の流れを変えるために、またその影響を少なくするために、できることを行うように要請しています。こうした行動は、重要な研究への支援のための寄付、国会に声を寄せること、認知症になる危険因子を少なくためにできることをすることを含みます。
「すべてのカナダ人は介護する理由があります。アルツハイマー病などの認知症が現実のものとなっているカナダの家族の数は急速に増えています。今、行動すべき時です」と、58歳でアルツハイマー病と診断されたアルツハイマー病代弁者であるジム・マンJim Mann氏は述べています。
アルツハイマー病などの認知症は、重要な脳細胞を破壊する進行性で退行性の病気です。
これは正常な加齢の一部ではありません。アルツハイマー病は最も多い認知症で、カナダのすべての認知症のおおよそ64%を占めています。関連する認知症は、それぞれ独自の状態があり、徐々に進行する記憶低下、判断や論理および気分や行動の変化、馴れた作業をできなくなることが現れます。
カナダ・アルツハイマー病協会は、カナダで認知症により影響を受けた人たちの指導的な全国的団体です。協会は、アルツハイマー病の研究や研修の主な助成団体であり、アルツハイマー病の人、家族、介護者へ優れた介護と支援を提供し、政府のあらゆるレベルで重要な声を届けています。活動は、カナダ全土140以上の地域で行われており、また協会は、認知症と戦う国際的な行動の最前線にある国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Internationalでも重要な役割を担っています。
「2009年啓発行動2009 Awareness Campaign」は、Pfizer Canada Inc., CN, Medicine Shoppe Pharmacy, Janssen-Ortho Inc., Genworth Financial Canadaのご支援により実施することができました。
「Rising Tide: The Impact of Dementia on Canadian Society」の概要はこちらのページをご覧ください。なお決定版は今年の6月に発行する予定です。
(カナダ・アルツハイマー病協会 2009年1月5日版メディア向け情報 “Statistics Show Dementia Affects More Than 71,000 Canadians Under Age 65”より)
編者:カナダ・アルツハイマー病協会の今回の報告によると、認知症の人は130万人、若年期認知症の人は7.1万人と推計されている。アメリカCIAのWorld Factbookによると2008年7月現在のカナダ人口は3300万人、高齢化率は14.9%と推計している。
★「上海市、認知症の65歳以上高齢者、推定で19万人」(1月1日/エクスプロア上海)
上海市疾病予防コントロールセンター(写真)によると、上海市の65歳以上の人口がすでに200万人を突破しているが、このうち約19万人が認知症とみられており、20年前の11万人と比較すると大幅に増加しているようだ。
これは、上海市内長寧区・閔行区・嘉定区の3区の1.5万人を対象とした調査によるもので、このうち認知症判定の陽性率は9.9%となった。これは、20年前の平均5%と比較しても大幅に増えている。
さらに、調査では認知症の発病は、女性の方が男性より高く、年齢の増加に伴い、発病率が高まる傾向にある。また、学歴が高いほど発病率は下がり、離婚・未婚・夫婦別居・死別などの場合で発病率があがるとしている。一方で子どもとの同居よりも、夫婦同居の方が発病率が下がる傾向にあることも分かった。
(エクスプロア上海 2009年01月01日 原文のまま)
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