認知症の情報(海外)2010年


2010年
アルツハイマー病の人が望むように(12月/31日)
美術館をアルツハイマー病の人に役立てる(12月27日)
認知症の監査でみた病院の認知症ケア(12月27日)
スピリチュアリティに根ざしたアルツハイマー病の人(12月25日)
1年後のアルツハイマー病の家族(12月25日)
「暴力的なアルツハイマー病の人」が施設に入居できる(12月24日)
オンブズマンが認知症の人への不適切で介護施設を非難(12月23日)
霧のなかで求めるアルツハイマー病の新しい流れ(12月20日)
認知症の人、多民族社会で孤立に生きる(12月17日)
発信機付きブレスレットで認知症の人を探す(12月15日)
アルツハイマー病と「シルバー津波」にアメリカは準備ができているか(12月14日)
「アルツハイマー病国家プロジェクト法案」上院通過(12月10日)
失明と認知症の両方ある人は10万人(11月30日)
「印ランバクシー:「アリセプト」後発薬、米で29日に販売開始-TV18」(11月29日)
高齢化社会で子供たちはアルツハイマー病に立ち向かう(11月25日)
アルツハイマー病協会への資金集めで生徒を表彰(11月24日)
アルツハイマー病に感謝祭はない(11月24日)
非薬物療法はアルツハイマー病に有用(11月23日)
認知症の妻を射殺(11月23日)
認知症高齢者との性行為の事前同意について判決(11月22日)
アルツハイマー病はラテン系アメリカ人に重い負担(11月21日)
マサチューセッツ州は認知症の人への抗精神病薬過剰投与の軽減を目指す(11月18日
認知症の人への緩和ケアの現状(11月15日)
両親の遠距離介護(11月13日)
94歳の認知症の人が大型冷蔵庫で見つかる(11月13日)
労働者の高齢化に伴う認知症の増加への職場での対応(11月12日)
「韓国 介護施設火災10人死亡」(11月12日)
認知症カフェがまた一つオープン(11月9日)
アルツハイマー病の初期の徴候を探す(11月8日)
認知症の両親の財産管理(11月5日)
認知症への広がる取り組み(11月4日)
1950年代の部屋が認知症の人に相応しい(11月3日)
100種類近いアルツハイマー病の薬、開発中(11月1日)
アルツハイマー病初期の財産問題(10月31日)
「「2010年 世界の精神神経薬市場」調査レポートを発刊! -大型製品の特許失効を迎える精神神経薬市場の新たな成長戦略を探る-」(10月29日)
アルツハイマー病の診断に腰椎穿刺は必要か(10月27日
認知症の人に安全で快適な家にするために(10月25日)
薬物的拘束の禁止に向けた運動(10月25日)
認知症に立ち向かう(10月23日)
アルツハイマー病研究の進歩:成果は間違いないが、進捗は遅い(10月22日)
アルツハイマー病の段階に合わせた個人向けガイド(10月17日)
「韓国:全国ケア労働者大会「ケア労働者の労働権を保証しろ」鍾路普信閣前で全国ケア労働者大会を開催」(10月17日)
女性がアルツハイマー病へ戦いを挑む(10月15日)
認知症―フィリピンから―(10月13日)
先住民の認知症の危険因子(10月13日
栄養不良でアルツハイマー病の人が悪くなる(10月12日
アルツハイマー病の新しい診断基準を提唱(10月10日
アルツハイマー病薬の制限撤廃へ(10月6日)
睡眠時無呼吸症候群の治療で認知機能が改善(10月6日)
増える認知症の人への地域ケアを進めよう(10月4日)
認知症の人の介護職に身体的労災が多い(10月2日)
家族にもできる認知症の早期発見テスト(9月27日)
アルツハイマー病の無慈悲な旅(9月27日)
認知症デイケアセンターに一層の要望(9月27日
メモリーウオークに数千人が参加(9月25日)
ベトナム系カナダ人の思い「親をナーシングホームの入れるなら、死にゆかせるようなものだ」(9月23日
アルツハイマー病の否定的側面に立ち向かう(9月22日)
認知症が増えるのに政府は準備してない(9月21日)
「認知症患者数、世界最多の600万人=受診率は2割未満」(9月21日
アルツハイマー病の二人の母を語る(9月20日)
就労と介護の両立を(9月20日)
抗認知症薬の無料化はまだ(9月19日)
認知症はこれまでの予測より多い(9月19日)
文化的な偏見に立ち向かいアルツハイマー病に取り組むアジア人(9月16日)
フィリッピンアルツハイマー病協会がアルツハイマー病啓発週間に取り組む(9月16日
アルツハイマー病など認知症に有効な非薬物療法(9月10日)
アルツハイマー病の夫とその妻(9月7日
認知症啓発キャンペーン(9月7日)
アルツハイマー病薬の市場は3倍以上に(9月7日) 
心臓死は減ったが、認知症死は増えている(9月7日)
アルツハイマー病薬開発は多角的に(9月1日)
創造的表現は認知症の人に役立つ(8月24日)
アルツハイマー病突破自転車キャンペーン(8月18日
アルツハイマー病薬の臨床試験が中止(8月17日) 
認知リハビリテーションが初期アルツハイマー病の人に有効(8月16日)
認知症薬の使用制限に医師が抗議(8月16日)
認知症予防の国家的戦略を要請(8月10日)
アルツハイマー病に特異的な脳脊髄液の蛋白値(8月9日)
認知症の人に尊厳ある食事を(8月2日)
「スマートフォンで失踪者の申告・検索が可能に」(8月1日)
「エーザイ:高用量製剤「アリセプト」を米承認-ファイザー協力で販売」(7月24日
重度の認知症の人が肺炎になった時(7月23日)
薄気味悪いアイディア:アルツハイマー病を先制攻撃しようとする脳スキャン(7月15日)
「【デンマークの“脱”施設】(1)特養をやめて住宅に(2)判断求められる認知症ケア」(7月9日・16日)
アルツハイマー病の新しい診断基準の提案(7月13日)
「高齢者療養保険:恩恵受けるのは5.7%、日本の3分の1」(7月9日)
「認知症の高齢女性を殺害、介護人を逮捕」(6月30日)
アルツハイマー病に準備が整わないアジア(6月29日
高齢者施設入居者の60%が認知症(6月24日)
アルツハイマー病治療薬の開発には医学的にも多くの課題(6月23日)
アルツハイマー病と闘うトルコの家族(6月19日)
アルツハイマー病:認知症はなくならない(6月17日)
介護制度が崩れかけている(6月13日)
認知症の人の介護家族への「虐待」(6月11日)
ユーモアがアルツハイマー病に最も良い方法(6月8日)
認知症の人の私的な介護者に特別な専門的支援が必要:全国認知症プログラム調査より(6月7日)
介護施設に認知症高齢者が多い(6月7日)
アルツハイマー病治療薬が生まれにくい訳(6月7日)
特別ケアプランはアルツハイマー病の認知機能の低下に影響しない(6月3日)
認知症の人の話を録音して役立てる(6月2日)
スコットランド政府の初めての認知症戦略(6月1日
認知症の人は絵を通して言葉で言えないことを伝える(5月30日)
行方不明の認知症の人の早期発見の方法―機器を装着した靴―(5月29日)
高齢者介護施設の会社がバリデーションを職員研修に採用(5月27日)
ムンバイの認知症デイケアセンター(5月25日)
色や写真が認知症の人の生活を助ける(5月24日)
病院での認知症ケア研修の取り組み(5月19日)
「非悪性疾患にも緩和ケアを―重要疾患は認知症」(5月17日)
「知症患者の5割以上が治療受けられず放置」(5月17日)
認知症介護施設に住民が反対(5月12日)
アリセプトの脳血管性認知症への有効性、証拠不十分(5月6日)
アルツハイマー病の免疫グロブリン製剤―ガンマガード―による臨床試験進む―効果が期待されるが―(5月4日)
抗精神病薬処方の疑問(4月27日)
認知症の子供への影響(4月22日)
アルツハイマー病の人にも楽しい本(4月22日)
認知症の介護施設を住民が拒否(4月21日)
専門家は認知症の将来に楽観的ではない(4月19日)
認知症の人の攻撃的行動の原因は、疼痛、介護負担、介護関係の悪化(4月15日)
アルツハイマー病の人は訪問を受けてよいことがある(4月13日)
アルツハイマー病の人は何年生きられるの―余命推計方式―(4月13日)
アメリカ神経学会が認知症の人の運転に関するガイドラインを発表(4月12日)
認知症の人を介護するフィリピン人家族への支援始まる(4月11日)
デリーにデイケアセンター開設へ(4月11日)
家族性アルツハイマー病の若い妻が出産(4月11日)
認知症看護師(4月9日)
アルツハイマー病の人への新しいプログラム―「再発見への橋」-(4月8日)
記憶障害の人のアクティビティのあり方(4月5日)
夫婦でアルツハイマー病に向かい合う(4月5日)
思い出を助け、豊かにするパソコン(4月4日)
アルツハイマー病の診断後ただちにコリンエステラーゼ阻害剤が処方されるわけではない(3月29日
庭と葡萄酒のオブジェは認知症の恐怖を和らげる(3月29日) 
絶望に立ち向かう:アルツハイマー病支援グループの支えで(3月)
簡便な認知機能自己テスト(3月25日)
医療制度改革に伴う認知症関係の改革を歓迎―アメリカアルツハイマー病財団―(3月23日)
医療制度改革でアルツハイマー病の人に必要なこと―アルツハイマー病協会―(3月22日
退職計画の二つの障壁(3月19日)
アルツハイマー病薬と期待されるバピネオズマブの臨床試験の結論は2012年に延びる(3月18日)
安全のために認知症の人に深夜、軽食を用意(3月16日
香港人は認知症を誤解している(3月13日) 
アルツハイマー病に溺れる―マイノリティーの苦闘―(3月9日
報告書「アルツハイマー病:事実と数値2010年版」公表(3月9日)
アルツハイマー病の新しい仮説(3月8日)
行方不明のアルツハイマー病の姉を探しています(3月7日)
2020年までに認知症の人は4万5000人(3月4日)
アルツハイマー病の新薬と期待されたディメボンの有効性、確認できず(3月3日)
76歳の認知症の人が行方不明(2月27日)
国家アルツハイマー病プロジェクト法案を議会に提出(2月26日
アルツハイマー病―何時、治るようになるのだろう―(2月25日)
アルツハイマー病の人を支える美術館とクリニックとの新たなコラボレーション(2月24日)
病院の認知症ケアの改善に役立つリーフレット(2月23日)
インターネット上のアルツハイマー病研究の文献研究と議論―ARFとSWAN―(2月21日)
FDAは誤解させる広告としてエーザイとファイザーに注意(2月19日)
認知症の人の思い出を守る(2月17日)
抗精神病薬を減らす取り組み(2月15日)
Dementiaという用語の廃止を提案―学会の新診断基準の提案と意見公募―(2月13日)
認知症の人の経管栄養の導入は病院によって異なる(2月10日
認知症臨床研究のためのボランティアを呼び掛け(2月7日)
オバマ政権は介護家族の窮状に理解を示す(2月5日
徘徊で死亡する認知症の人が増えている―その予防の助言―(2月4日)
アルツハイマー病の女性が凍死、GPSの導入につながるか(2月1日)
「40-50代の認知症患者が急増 2002-08年に2.3倍増加」(2月1日
「脳に効く」サプリメント―脳ブスター―について(1月)
「認知症治療テーブル」が普及(1月31日)
「オランダ、氷の中で死体が見つかる」(1月28日)
栄養ドリンクで軽度アルツハイマー病の人の記憶が改善(1月25日
ダボス会議でアルツハイマー病が初めて議論される(1月25日)
介護者へのケア(1月21日)
認知症の人のための刺激になる本(1月20日)
「シリーズ介護:スウェーデンからの報告/上 認知症ケア、専門に研修」(1月19日)
香港で認知症高齢者が増える(1月13日)
FDAの警告後、非定型抗精神病薬の使用が減る(1月11日)
高齢者が一人で食べられる工夫(1月11日
「これからの介護保険(89) 制度改定相次ぐ韓国 12年制定をめざす台湾」(1月10日)
不適切な経管栄養が広がっているか(1月6日)
報告書「上げ潮:カナダ社会への認知症の影響」(1月5日)
オランダで安楽死が増えている(1月3日)


2010年


アルツハイマー病の人が望むように(12月31日/アメリカ)
マーガレット・ナンスMargaret Nanceさん(写真左上)は、控えめに言っても難しいケースでした。ナーシングホームでよく興奮し、喧嘩になりやすく、食べるのを拒み、職員や入居者を殴ったりして、ナーシングホームでは追い出されたのです。しかし、ビーティチューズBeatitudesのナーシングホームは緊急に彼女を受け入れ、すべてが変わりました。
ここでは普通のナーシングホームの規則を無視して、アルツハイマー病で96歳のナンスさんが就寝も入浴も食事も彼女が好きな時―たとえ午前2時でも―にできるようにしたのです。またチョコレートなども無制限に食べられたのです。
さらにナンスさんは赤ちゃん人形をもらいましたが、当初、動きが気にさわるので担当者は反対したのですが、彼女が人形をゆり動かしたり、抱きしめたり、あるいは自分より先に食べさせたりするときに、とても穏やかになることがわかり、人形を持たせることにしました。
ナーシングホームの研究主任のテラ・アロンソTena Alonzo氏(写真右上から1番)は次のように述べています。「ビーティチューズでは認知症の人に、実際、心地よさをもたらすものであれば何でも認めています。夜間の少量のアルコールもよいのです。障害は何であろうと同僚と話し合って決めています。それは安定剤よりいいのです」
通常、ナーシングホームでは見られないこうした姿勢は、最新の科学的証拠に基づいているのです。あう研究によると、アルツハイマー病の人が積極的な情緒面でも経験を積み重ねることで苦痛や問題行動が減るのです。実際のところアルツハイマー病に有効な治療法がないなかで、ほとんどの認知症治療とは家庭やナーシングホームで行われる介護なのです。アメリカではおおよそ1100万人の人がアルツハイマー病の人を介護しています。ナーシングホームでは入居者の3分の2が認知症です。
介護はとっても重要であり、連邦政府や州政府が介護者支援や研修を行っています。今月、上院議員特別加齢委員会Senate Special Committee on Agingはアルツハイマー病介護についてのフォーラムを開催しました。
デューク大学Duke Universityのブライアンアルツハイマー病研究センターBryan Alzheimer’s Disease Research Centerの教育部長のリサ・グウィターLisa P. Gwyther氏(写真右2)は「実際、今までのところアルツハイマー病治療のなかに介護者への介入が有効であるとの証拠があり、有意義な結果をもたらしている」と述べています。
国立加齢研究所National Institute on Agingの人間行動家庭室Individual Behavioral Processes branch の室長のシドニー・スタールSidney M. Stahl氏は次のように述べています。
「国立加齢研究所と政府の高齢者局Administration on Agingは、アルツハイマー病の人と介護者にとってより負担が少い生活についての課題で介護研究に資金的支援をしています。それは望ましい非薬物療法的な技術に関するものです。その技術とは、積極的な気持ちにさせるための食事、日課、美術、音楽、運動が含まれ、こうした技術の一端を利用した活動にアルツハイマー病の人を参加させ、介護者を支援することでより受容的でより効果のあるものにします」
感情を変える
幻覚や攻撃性を和らげるためとして使われてきた抗不安剤や抗精神病薬を止めることが主な取り組みでした。こうした薬は認知症の人に危険を招くことがあり、副作用を起こしやすい人にとっては一層重大です。これらの薬に代わって専門家の多くは、不幸な気分になる認知症の人に投薬することを勧めています。別の専門家たちは、認知症の人の行動や気分に影響するような部屋や建物の外観を変えることを勧めています。
アメリカ医師会雑誌Journal of the American Medical Association(JAMA)に掲載された研究論文によると、認知症施設の照明を上げることで、うつ状態、認知機能低下、身体能低下が軽減したことが認められています。この研究には関わらなかったのですが、認知症ケアにおけるデザインの専門家であるエリザベス・ブロウレイElizabeth C. Brawley氏(写真右3)は次のように述べています。
「照明をより明るくすることで24時間周期のリズムを維持して認知症の人をより支えることでより活発になるのです。施設で何かを変えるとするなら光でしょう」
また、ドイツのナーシングホームでは屋外に本物に似せたバス停を造り、徘徊を防いでいます。認知症の人たちは、来ないバスを待ち、そのうちどこに行きたいのかを忘れて施設に戻ることに同意するのです。(訳注1
ビーティチューズでは、エレベーターが利用できる4階の認知症ユニットでエレベーターの前に長方形の黒い絨毯を敷きました。これを入居者が崖あるいは穴を見間違って、エレベーターに乗って出歩いてしまうことがなくなったのです。これについてアロンソ氏は「彼らは絨毯を避けて端を歩きますが、黒い絨毯には足を踏み入れません」と話しています。
彼女は、他の施設が取り入れているような方法―たとえば出入口に居ると警報が鳴るようなブレスレットを付ける―よりは混乱が少ないことを発見しています。エレベーターのドアが開くと職員は、何気なく前に立って、おおげさに「やー」と認知症の人に話しかけ気をそらすのです。「親しく笑顔で挨拶する人が居る時、人はエレベーターに乗ろうとしないでしょう。これは脳の情緒的な部分への介入です」と説明しています。
また別の新しい研究によると認知障害があっても情緒は残存するようなのです。アイオワ大学University of Iowaの研究チームは、脳の障害でアルツハイマー病のような記憶障害を持った人たちに映画の断片を見てもらって泣いたり、悲しんだり、笑ったり、幸せな気持ちになりました。その6分後に脳障害の人たちは場面を思い出せませんが、30分後、情緒面をみると、通常の記憶の人より脳障害の人は悲しみや幸せな気持ちがより強いことを認め、記憶障害の人たちはより強い情緒活動を維持していることがわかったのです(訳注2)。この研究論文の筆頭執筆者で神経心理学博士課程の学生であるジャスチン・ファインシュタインJustin Feinstein氏(写真右4)は次のように述べています。
「アイオワ大学やハーバード大学でのアルツハイマー病の人の研究でも行動上の問題は、その人が説明できない悲しみや不安から生じていることを示唆しています。記憶がないと漠然とした苦悩のなかに置かれ、訳がわからくなるのです。同じように幸せな気持ちがその原因となった記憶がなくなってもよく残存しているのです」
家族の在宅介護を受けている認知症の人のためのあるプログラムは、昔、楽しんだことがあること―生け花、アルバム作りなど-に関係した活動を用意するのです。このプログラムの開発者であるトーマスジャファーソン大学Thomas Jefferson Universityの社会学者でジョンズホプキンス大学Johns Hopkins Universityの加齢健康センターCenter on Aging and Health の所長に新たに任命されたロウラ・ギトリンLaura N. Gitlin氏(写真右5)は次のように述べています。
「釣りが好きな紳士にはプラスチック製の釣り箱を渡すと、毎日準備します。この試みを始めて4か月後、認知症の人は、より幸せに感じ、より活発になったようで、行動上の問題も少なくなりました。とくに、同じ質問を繰り返すとか、介護者をついて回るとかいった行動が少なくなったのです」
またグウィター氏は「介護者に休息を提供することはとても重要です。研究によると介護者によいことは認知症の人にもよいことがわかった」と述べています。
介護者を助ける
実際、介護者のストレスを軽減させることは、認知症介護でとても重要なこと考えられており、連邦政府も州政府も保健担当部署は介護者研修や情緒面での支援制度を採用しています。ニューヨク大学New York Universityの認知症の専門家であるメアリー・ミッテルマンMary S. Mittelman氏(写真右6)が指導している事業では、認知症の配偶者を介護している人と、この人が危機的状態に陥ってが電話したカウンセラーに対して合計6回のカウンセリングを行ったところ、介護をよりよく行うことができるようになり、さらにナーシングホームへの入居が18カ月遅くなったこともわかりました。ミッテルマン氏は「認知症の人の症状は少なく、変わったのは介護者の反応でした」と話しています。
退役軍人省Veterans Affairs Departmentは、これとは別のプログラムを採用しています。アルツハイマー病介護者健康強化資源Resources for Enhancing Alzheimer’s Caregiver Healthというもので、12回のカウンセリングと5回の電話支援を組み合わせたものです。研究によれば、こうした方法で病院への受診が減り、家族介護者の認知症の人の行動管理を支えていることがわかりました。退役軍人省のケアマネジメントとソーシャルワークコンサルタント主任であるデボラ・アルデュールDeborah Amdur氏(写真右7)は、「介護者サービスと支援へ投資することはとても意義があり、経費の節約にもなり、認知症の人がより長く在宅で生活することができる」と話しています。
ビーティチューズは、約30人の中程度から重度の認知症の人に対して12年前から個人的な介護を重視したプログラムを実施しています。アロンソ氏は「昔、私たちは新聞死亡記事からその人が生存していた時より多くのことを知った」と話しています。その認知症棟の名称はヴァーミリオンクリフスVermillion Cliffsといい、何世紀もかけて浸食でできた色鮮やかな層状の岩を形成したものですが、ビーティチューズのペギー・ムーランPeggy Mullan会長(写真右8)は「風雨にさらされていたとはいえ、同じように認知症で試されているのです。人々は美しく力を持っているということが示さしています。施設自体は施設らしい施設でみすぼらしく、時代遅れです」と話しています。
これに対してフェニックスにあるバナーアルツハイマー病研究所Banner Alzheimer’s Instituteの家族・地域サービス部長のジャン・ドガーティJan Dougherty氏(写真右9)は「それは見た目には見苦しいですが、かれらはとてもよい仕事をしています。実際、そこでは日暮れ症候群がありません」と話しています。日暮れ症候群とは、アルツハイマー病の人で午後や夕方によく見られる興奮を伴う妄想的行動のことです。
ビーティチューズでは、拘束に該当する物は破棄しました。たとえば、立ちあがれないようにした深く座る車椅子といったものです。こうすることで抗精神病薬などの薬を劇的に減らしたのです。アロンソ氏の話によると、それらの薬は職員のためのものでした。
さらに、入居者におむつを使うことをできるだけ避けてきました。認知症の人が自立しているという感覚を維持するようにトイレに連れてゆくのです。アロンソ氏によれば、幾人かの職員は反対しましたが、結果的に時間の節約になり、大変なおむつ交換をしなくてもよくなったのです。
ナンシー・メンデルゾーンNancy Mendelsohn氏(写真左下)は、母親のローズ・タランRose Taran氏(写真左下)がナーシングホームで大声をあげたり警察に電話するために施設から追い出さ、今はビーティチューズで生活していますが、今はとても感謝して、「前の施設では母親におむつを当てられていましたが、失禁など全くありませんでした」と話しています。
アロンソ氏は、「さらに技術を習得したり夜間の仕事ができるように職員にもっと賃金を払いたい。それがその人にあった仕事だからこそ、ここで仕事を続けてもらいたい」と話しています。
認知症の人にとって楽しいことを見つけるために生活歴を把握することで、ルース・アン・クラッパーRuth Ann Clapperという婦人が落ち着かせることができました。ホワイトショルダーWhite Shouldersの香水をつけたのです。彼女の生活歴を調べることでアルツハイマー病になる前に使っていることがわかったのです。
ドガーティ氏は次のように述べています。
「食事はいつでも食べられるようになっており、認知症の人は、みなと一緒に食べる時には食べることにとてもこだわるからです。その後、本当に必要なものが食事だと、とても感情を露わにします」
食事については、栄養豊富で塩分や脂肪が少なく医師が勧める食事は実際のところ食欲を失わせることもあることがわかり、アロンソ氏は、いつもポケットにチョコレートを持ち歩き始めたのです。ドガーティ氏は「好きに食事をとることで行動や感情が改善する」と話しています。ビーティチューズの認知症プログラム主任であるマリベス・ガラガーMaribeth Gallagher氏(写真左右10)は、それぞれの人が好きな食事を知るようにしています。またビーティチューズではアクティビティのプログラムを変えました。ビンゴのようなグループで行う活動は、実際に参加する入居者はわずかであり、これに代わり職員―清掃係も含めて―が、入居者1人に職員1人で活動を進めています。ブロックや絵具を使ったものあれば、簡単な語り合いのこともあります。アロンソ氏は「当初、州の担当者はこれに反対して、『実施していることは適切でなく規則に沿っていない』とも言われた」と話しています。
最近、アリゾナ州の多くの医師、医学生、他のナーシングホームの職員らが、ビーティチューズでの研修を受けに来ました。さらにイリノイ州のいくつかのナーシングホームでもこうした取り組みを取り上げています。ビーティチューズのプログラムはアメリカ高齢者ホーム・サービス協会American Association of Homes and Services for the Agingから賞が贈られましたが、このプログラムを行うことで経費の節約にもなるようです。
アーリン・ワシントンArlene Washington氏(86歳)の家族は、最近、アーリンをこのビーティチューズに転居させました。彼女の夫のウイリアム・ワシントンWilliam Washington氏(86歳)の話によると、前のナーシングホームでは職員の不注意が多く、不適切な介護を受けていたのです。さらに多量の薬を飲まされ経管栄養も行われコミュニケーションは不可能でした。友人のシャラン・ハイバートSharon Hibbert氏は「彼女は生きていないような姿だった」と話しています。
ビーティチューデスの医療面の管理者であるギリアン・ハミルトンGillian Hamilton医師(写真右11)は次のように述べています。
「ワシントン夫人は、薬でかなり鎮静させられていたので、抗精神病薬を止めたところ、次第に経管栄養を止めることができ、現在、彼女は、よく食べており、注射していたインスリンも必要なくなりました。最近は、しっかり目覚めており、讃美歌を歌ったりしていました」
午後、ナンス氏は、車椅子に乗って、幸せそうに、自分の赤ちゃん人形を持って「ベンジャミン」と名付け、何十年も前に自分の息子を育てたことを話していました。アロンソ氏は、当初、赤ちゃん人形などみっともなく品位を落とし、赤ん坊のねんねタオルとみなしていました。しかし、ガラガー氏は、「親になったことのある多くの人にとって喜びは子供の世話なのです。ナンスさんに接するときは、まず赤ん坊人形を見つめることを覚えました。一旦、人形と結びつき、それからナンスさんを見るようにしている」と話しています。彼女はナンスさ氏の前でしゃがみ込み、ベンジャミンの靴を褒めて「あなたは私の知る最高のお母さんです」と語りかけているのです。するとナンス氏は、しっかりうなずいて、「私が世話をしていることを誰かが知ってくれてよかった」と返事しているのです。
NYT  December 31, 2010 Giving Alzheimer’s Patients Their Way, Even Chocolate
訳注1サイト内関連記事「来ないバスを待つ」(2008年3月12日/ドイツ
訳注2サイト内関連記事「アルツハイマー病の人は訪問を受けてよいことがある」(2010年4月13日/アメリカ)
編者:ビーティチューズでの取り組みは、模範的なナーシングホームであるが、既にわが国では常識的なものと思う。記者のパム・ベラックPAM BELLUCK氏(写真左下)は、イギリス生まれのパーソンセンタードケアやアメリカ生まれのバリデーションをご存じないのだろうか。それにしてもアメリカにも素晴らしいナーシングホームもあれば、ひどいナーシングホームがあるようだ。我が国も同様か。

★美術館をアルツハイマー病の人に役立てる(12月27日/アメリカ)
カーネギー美術館Carnegie Museum of Art(CMA)のケイテ・パトリノスKathe Patrinos氏(写真左中)は、高齢者施設からの特別なグループツアーのとき会話を導ていましたが、ある婦人は絵が好きではないと述べていました。
別のとき、オークモントOakmontにあるプレスビテリアンシニアーケアウッドサイドプレイスPresbyterian SeniorCare's Woodside Placeのデイケア参加者による同様のグループのある人は、一枚の宗教画にとても心を奪われ、その夜、自宅で絵のことを話し続けました。
ツアー実施についてCMAと初めて接触したウッドサイドの美術テラピストであるカラ・ベリンガーKara Berringer氏は「絵はとても力を持っているということを私は初めて経験した」と話しています。これは企画「その時にIn the Moment」の明確な視点で、ウッドサイドのアルツハイマー病など認知症の人に毎月開催しているツアーです。
ニューヨークに在る近代美術館でMuseum of Modern Art(MoMA)の認知症の人へのプログラムと手本にし、とてもうまくいったので美術館は企画を拡げています。昨年の秋、アッパーセントクレールUpper St. Clairに在るサンライズシニアリビングSunrise Senior Livingの入居者と月に数回、ツアーを始めました。案内のコーティネーターのメアリー・アン・パーキンスMary Ann Perkins氏は、同じことしたいとその他のグループとも話し合っています。
さらにCMAは、企画「その時に」を認知症の人やその家族、さらには介護者にまで拡大して4月に始めることにしています。MoMAでかなり成功し月に100人が参加した企画「MoMAで私に会う"Meet Me at the MoMA"」のように、12のグループが参加することになっています。
CMAのツアーの料金は2人で10ドルですが、6人の認知症の人と6人の介護者または家族で施設や団体から参加の場合は60ドルです。この美術館の高齢者の標準的入館料は12ドルです。
ピッツバーグ大学University of Pittsburghの医学部精神科に在るアルツハイマー病研究センターAlzheimer Disease Research Centerの教育情報を担っているジェニファー・イングラーJennifer Lingler准教授(写真左下)は「美術鑑賞や美術作成は生活の質へ影響を極めて高い可能性がある」と、広げたプログラムでの研修を希望している案内人と一般の人向けにCMAが開催した最近のワークショプで述べています。
ピッツバーグ大学アルツハイマー病研究センターは、入居中の美術家を含む認知症の人のための美術での小さなプログラム―会話と美術作成を含むツアー―のためアンディ・ウオール美術館Andy Warhol Museumと連携してきたのです。
MoMAのアルツハイマー病プロジェクトMoMA's Alzheimer's Projectの主任であるアミール・パルサAmir Parsa氏(写真左上、案内ボランティアに講義中)は、講師と教育者を兼務していますが、CMAのワークショップとその後のインタヴューで次のように話しています。
「リングラー医師が語ったような機会はとてもたくさんあるのです。メットライフ財団MetLife Foundationの後援によるプログラムによって、専門的な知識が豊富になり、アルツハイマー病の人のための同じような企画が国内的にも国際的にも普及するようになったのです」さらに彼は、MoMAが後援している認知症の人の小さなグループのためのツアーと美術作成のプロジェクトの両方が持っている特別な利益をいくつか挙げました。そのプログラムは、ニューホーク大学医学New York University School of Medicineによって高く評価されたのです。
NYUの研究が示していると、一般的に、ツアーの参加者への効果は、訪問後、1週間は問題が少ない、介護者と認知症の人両者にとって気分がよい、社会的支援が増えると介護者からの報告があり、さらに認知症の人は自己評価が高まるとの報告もあります。
パーキンス氏は「これは素晴らしい経験です。介護者は認知症の人と一緒に絵画を楽しみ、施設の外にいて、介護者は認知症の人とのの思い出を作る」と述べています。
またベーリンガー氏は次のように述べています。
「他の人との繋がりをもち、少し高めに立ち上がり、少し大声で話すようになります。本当に、彼らの行動が美術館を出て地域に戻るときに変わっていると思います。他の旅でも同じようなことが起こってはいますが、美術館では特別です。絵画とのつながりを持って、絵画のなかに自分たちの生活の一部を見ているのです」
パトリオス氏とパルサ氏はともに、認知症の人が自分たちの過去の生活を絵画に結び付けていることを経験しています。
アメリカの画家メアリー・カサットMary Cassattの作品に連れて行かれたグループは、カサットの一人は帽子をかぶって座り、もう一人は帽子がなく立っている絵画(写真右上)を観ました。ある婦人は、既に3つか4つの絵画を観ていましたが、その絵を観て突然に語りはじめたのです。パトリオス氏は圧倒されました。その婦人は、アメリカのデパートのジンベルスGimbelsの仕入れ担当者であったためか、服や帽子についてよく話をしていました。
またパルサ氏は、あるグループをマーク・シャガールMarc Chagallの絵「私と村」(写真右下)を見に行きました。するとアルツハイマー病の人が、母親が葬られた場所について話し始めたのです。その妻はそのようなことを聞いたことはありませんでした。パルサ氏は「それが会話への触媒でなりました。他の環境では起こり得ないでしょう」と話しています。
パルサ氏がワークショップで発表したアルツハイマー病の人の絵画との関わりは以下のとおりです。

○ 自己成長の機会
○ 短期記憶に頼らない考えの交換
○ 長期記憶につながる機会
○ 他の考えや関心への新たな洞察
○ 個人的経験と世界全体との間の関係の模索
○ 仲間との繋がりを形成する社会的環境
○ 身体的心理的な休息

グループで平均15分から20分で4つから5つの絵画を観ます。会話は質問を中心とし、講義形式ではありません。たとえば「ピカソが誰であるか知っている人は?」といった質問のように、あらかじめ美術の知識を持っていると仮定したものでもありません。むしろ、CMAでは、将来ツアーの案内人になるボランティアたちの研修では、すべての人が関われるように、「あなたは何をみていますか」とか「画家が使ったその色をどう思いますか」といった質問をすることが望ましいのです。
またパルサ氏は、「会話は足場が組まれた状態で行われる」とも言っていますが、これは、会話をより実りあるものにするためにいくつかのレベルを通して進められるということです。会話の鍵は、参加者が緊張しなおらず、当然なこととして参加していると感じることであり、美術作品と参加者の解釈とをつなげることです。
気にかけることはアルツハイマー病の人の目でみて行われ、異なる二つのレベルの会話で行われるものではありません。二つのレベルとは介護者のレベルであり、アルツハイマー病の人のレベルです。グループ内では誰もが等しく扱われます。
最後にパルサ氏は次のように述べています。
「そうした人たちは、内気で、あまり予測できませんが、話をするように勧められます。彼らが動かなければならにわけではありませんが。自分たちの椅子に向きをかえるだけでよいのです。おもしろいことに、指示に従いますが、従わないこともあります。しかし、多くの分かち合いがあり笑いがあります」
Pittsburgh Post-Gazette  December 27, 2010 Museum programs for Alzheimer's patients show the power of art as therapy
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編者:認知症の人に対して美術館の積極的な取り組みはニューヨークの近代美術館が最初と思われるが、アメリカ国内の美術館では同様の企画が普及しているようだ。我が国の美術館では認知症の人たちの単なる鑑賞のための企画はあるだろうが、アメリカのような積極的取り組みは知らない。

認知症の監査でみた病院の認知症ケア(12月27日/イギリス)
イングランド・ウエールズに在る206か所の病院の8000人近い認知症の人が受けているケアについての報告書によると、認知症の理解ために職員に強制的な研修を行っている病院はほとんどないこと、多くの認知症の人は健康面も栄養面も評価も行われていないこと、さらに病院の精神科連携診療への紹介がかなり遅れていることが認められました。
臨床面に関する監査、これは「医療の質改善パートナーシップHealthcare Quality Improvement Partnership」の委託で、「イギリス精神科医師会質改善センターRoyal College of Psychiatrists' Centre for Quality Improvement」のプレジェクトチームで実施されたものですが、現在の財政状況からみてその結果は驚くべきものです。国の「監査局National Audit Office」が2007年に報告書(訳注)を公表していますが、各病院が認知症の人を正確に把握し、より適切で適宜なケアを提供し、入院期間を短くし、治療効果を向上させることで年間、平均600万ポンド(訳注:12/29現在、1ポンド=約126円)を節約と指摘しています。
今回の「国民認知症監査中間報告書National Audit Of Dementia Interim Report」によると以下の重要な事柄を挙げることができます。
○ 病院の96%は、認知症の人と適切に接することができるようにすべての職員に対する認知症の認識を向上させるための強制的な研修を行っていない。
○ 認知症の人の約3分の1は、入院中に栄養面の評価が行われていない。
○ 認知症の人の半分以下の人しか、入院時の公式の精神面の検査を受けていない。
○ 病院内の精神科連携診療に紹介された認知症の人の3分の1は紹介後96時間以内には診察を受けていない。
○ 病院の理事会の10のうち1つ以下しか、認知症の人の再入院の資料を調べておらず、移動が遅れた認知症の人の5分の1の事例しか情報を定期に調べていない。
報告書作成実行委員会の議長で、キール大学Keele Universityの老年医学教授で、北スタッフォードシャイアー国民保健サービスNorth Staffordshire NHSの顧問老年科医であるピーター・クロームスPeter Cromes氏(写真左)は次のように述べています。
「改めて今回の報告書によって一般病院における認知症高齢者のケアに明らかな欠陥が指摘されました。患者のなかで最も弱い立場にある認知症の人へのケアを急性期病院の機能の核とすることを受け容れることに臨床医も管理者もいまだに不本意です。これは変革しなければなりません。認知症の人についての適切な評価と治療および介護者への支援によって認知症の人の健康状態や生活の質が改善するだけでなく、入院期間を減らしてNHSおよび社会サービスの経費も減らすことになるのです」
イギリスには認知症の人が75万人いて、病院のベッドの4つに1つは認知症症状のある人に占められています。初めての年次「国民認知症監査中間報告書」は、イングランド・ウエールズの206か所の病院について2009年9月1日から2010年2月28日までの間、退院した7934人の認知症の人へのケアの調査をまとめたものです。
臨床面の監査のための実行グループは、「イギリス精神科医師会Royal College of Psychiatrists」「イギリス看護協会Royal College of Nursing」「イギリス内科医師会Royal College of Physicians」「イギリス一般医GP医師会Royal College of General Practitioners」「イギリス老年医学会British Geriatrics Society」および「アルツハイマー病協会Alzheimer's Society」の代表で構成されています。この調査の最終報告書は、2011年の12月に公表される予定です。
監査は二つから構成されており、一つ目は、関係する病院での認知症の人のケアに関わる方針、ケアの過程、手続きについてのものであり、二つ目は、認知症と診断された人の事例記録から臨床基準に従ってケアが行われているかの証拠について調べられたものです。y病院に関する重要な事実は以下のとおりです。
○ 病院の30%しか 、認知症の人のケアのために適切な個人情報を収集する公式のシステムを持っていない。
○ 病院の理事会のわずか8%しか、認知症の人の再入院についての資料を定期的に調べていない。
○ 病院の理事会の20%は、認知症の人について移動が遅れた情報を定期的に調べていない。
○ 病院の70%は、認知症の人の退院手続きのための審査が行われていない。
○ 病院の69%は、病院内での転倒とその原因について報告を受けた事例で認知症であるかの判断がなされていない。
○ 病院の84%は、認知症の人や高齢者など虚弱な成人を保護するためすべての職員に研修を受けさせていない。
○ 病院の77%は、認知症の人の勤務に重要な技術を確認するような研修計画を持っていない。
○ 病院の95%は、すべての職員に認知症の認識を高めるための強制的な研修を行っていない。
○ 病院のわずか19%しか、病棟の職員が、認知症であることを確認し、どのようにその病気が影響しているか、また必要な情報が認知症の人と接する他の職員にも伝えられているかがわかるような制度を持っていない。
事例報告の審査からの重要な事実
○ 認知症の人の41%は、入院中に標準的な精神状態の検査を受けていた。
○ 病院の90%は、診断、ケアの検討、薬物、適切な退院計画を提供できる精神科連携診療を提供しているにもかかわらず、紹介された事例の49%が48時間以内に診察を受けていうが、36%は96時間後も診察を受けていない。
○ 認知症の人の介護者への病院からの支援の割合はかなり高いが、事例報告の結果からみると、病院の26%は、将来の退院に際しての介護者のニーズについての評価を行っていない。
○ 病院の96%は、認知症の人の栄養評価がなされ方針があるにもかかわらず事例報告の監査によると、国の基準にあたる患者の30%にしか行われていない。
イギリスにおける認知症に関する重要な事実
○ いつも病院の4ベッドのうち1つは、65歳以上の認知症が認められる人で占められている。
○ イギリスには75万人の認知症の人がいるが、このうち65歳未満は1万6000人である。
○ 65歳以上で14の人のうち1人、80歳以上で6人に1人はなんらかの原因による認知症を認める。
○ 経費面からみると認知症の人と同様な経過で入院した人は認知症の人より入院期間が長いことは明らかで、認知症の人が病院に長く居ればいるほでお、認知症の症状と身体面の健康が悪くなる。
Medical news today 27 Dec 2010 Dementia Care In Hospitals: Findings From National Audit Of Dementia Interim Report, UK
訳注:Improving services and support for people with dementia
関連資料:National Audit of Dementia(Care in General Hospitals)(pdf155K)
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編者:イギリスの国の機関である監査局National Audit Officeの中間報告書”Improving Dementia Services in England ? an Interim Report”(pdf100K)が今年の1月に既に発表された。これに関連しRoyal College of Psychiatrists’ Centre for Quality ImprovementのNational Audit of Dementia Teamが新たに調査してまとめた予備的な報告書National Audit of Dementia National Audit of Dementia(Care in General Hospitals)に関する記事である。いろいろな指摘はあるが、認知症の人の急性期身体疾患の治療については指摘がないようだ。いずれにせよイギリスのように公的および民間の認知症の人の医療―認知症の治療と認知症の人の身体治療―について調査、公表、勧告といったことは我が国では望みようがないのか。

スピリチュアリティに根ざしたアルツハイマー病の人(12月25日/アメリカ)
アルツハイマー病と初めで遭遇したブルース・ヴィンセントBruce Vincent氏(右上写真の家族に囲まれた前例左から2人目の人)を信仰が包みました。
ブルース氏は、9年生のとき両親は離婚していました。さらに彼の母親のテレサTheresa氏は、煙草に火をつけては捨て、また別の煙草に火をつけ、あるいは電話に出るが受話器を置いたとたん誰から電話か忘れてしまうといった変わった行動が見られました。この頃、友人がブルース氏をロイヤルレインジャーズRoyal Rangersに参加させました。これは、福音主義協会の少年団体です。彼が10代で混乱していましたが、キャンプ、友愛、祈りによって落ち着きを取り戻しました。
信仰が自らアルツハイマー病による第2の人生のなかで彼を支えたのです。ブルース氏は、通常20歳代からかかる稀な遺伝性疾患と闘う家系の第4世代にあたり約10年遅れて48歳でこの病気に襲われたのです。
アルツハイマー病への信仰の役割につちえは注目されることはほとんどなく、研究者にとって有意義な研究対象とはなっていませんでした。
アルツハイマー病協会マサチューセッツ・ニューハンプシャー支部Massachusetts and New Hampshire chapter of the Alzheimer’s Associationの臨床担当副主任のポウル・ライアPaul Raia氏は次のように話しています。
「誰もが不愉快に感じるので多くを語られることはなく、誰もが政治的に正当であろうと努めているようです。アルツハイマー病の診断を受ける少し前、家族と話し合いましたが、スピリチュアリティを認識して話しあうことは助けになると信じています。しばしば、牧師たちがこうした早い時期の話し合いに加わってきません。聖職者たちは最期のホスピスで関わるのを知っている」
科学からはアルツハイマー病の人に答が提供できなく、スピリチュアリティは多くの人にとって拠り所となり、安らぎの場も提供しています。アルツハイマー病の人は外の世界から引きこもるっているので、家族や友人と一緒に儀式を共有することに喜びを見出すことができます。この病気は、自分たちの信仰を試すことにもなるのです。
ライア氏は、来春の会議を準備していいますが、これに聖職者、ソーシャルワーカー、看護師、介護者が加わり、アルツハイマー病のスピリチュアルな側面について議論することにしています。
ケンブリッジを拠点とする治療者で行動医学の教育者であるオリヴィア・アメス・ホブリッェルOlivia Ames Hoblitzelle氏(写真左下)は、スピリチュアリティとアルツハイマー病について書かれたり話されていることとがとても少ないことに気付きました。1995年、彼女の夫でブランデイスBrandeis大学とColumbia大学の元文学教授で、仏教の瞑想を教えていたホブHob氏(写真左下)がアルツハイマー病と診断されました。
オリヴィア氏は次のように話しています。
「アルツハイマー病は臨床的に扱われていましたが、ホッブと私にとって人生でもっとも重要な時期でした。私たちはスピリチュルなことに関わる者としては異教徒的でした。初めから、仏教的実践が支えであった私たちは、共に病気との交渉の契約を結びました。チベット教育者からそのガイダンスを探したのです。その人から、亡くなる時期の日々はスプーンによる食事と摂るといった最もささやかなことが、信仰と病気のすべてを覆うスピリチュアリティによって満たされる親しみのあることを理解するのを助けてくれました。知的な部分が亡くなっても感情は残り、愛でもって人に近づくことはできます。反応しないかもしれないが本当に心に関わることなのです」
ホッブ氏は2001年に亡くなりました。その後、妻は自分の経験を表した本を自費出版しましたが、有名になり、ターチャー/ペンギンTarcher/Penguinで取り上げられ、新しいタイトル「1万の喜びと1万の悲しみ:アルツハイマー病を通しての二人の旅Ten Thousand Joys and Ten Thousand Sorrows: A Couple’s Journey Through Alzheimer’s」が再出版されました。この本のジャケットに推薦を書いた人のひとりがダライ・ラマDalai Lamaです。
同じようにアルツハイマー病協会のライア氏は、診断を受けた人とその介護家族がアルツハイマー病を通しての「因果のつながり」について話をします。アルツハイマー病は命を掘り崩すものであるが、明らかに多くの命を強化するものでもあるのです。
ライア氏は「病気の進行のなかで多く忘れ得ぬ愛の物語を知っている」と次のような話をしています。
ピーターという94歳の男性の物語です。彼は、アルツハイマー病の最期の段階にある93歳の妻クレステCelesteを介護しました。二人は、小学1年の時知り合い、10代で結婚し、5人の子供を育てました。クレステは発病して多くの機能を失いましたが、裏庭の高いポールの頂に取り付けた20個の餌箱に寄ってくる鳥の様子を見て楽しむことはできたのです。
毎朝、ピーターは、首のまわりに種が入った袋を首の付けけて杖を使ってよろよろとポールからポールへと歩き、ゆっくり梯子を登り箱を餌で満たしていました。
ライダ氏が「ピーターさんは、なぜだれか子供たちに日々の雑用をさせないのですかと聞いたところ、鳥を見るクレステの楽しみは私に与えられた贈り物と答えた」と話しています。
ヴィンセント氏の家族でも同じような贈り物の話があります。
ブルース氏が高校時代の恋人と結婚して29年になる妻のシンディ氏は「私たちは共に過ごすことの重要性を知っている」と話しています。二人には3人の子供がいて、みんな20代ですが、彼らが父親から若年性アルツハイマー病の遺伝子を受け次ぐ確率は50%なのです。
最も年上のジェフ氏(27歳)は警察官ですが、土曜日の夜は父親とバレーボールリーグを観戦するようにしています。ジェフJeff氏の妻のレベッカRebecca氏は、観戦の前、家族に夕食を用意します。
レベッカ氏は「ブルースの指導、温和さ、強さが私たちを引っ張っています。泣く代わりに私たちは笑って過ごしている」と話しています。
シンディー氏は、アルツハイマー病協会から2週間前の休日の集会で啓発のために講演を頼まれました。彼女は、ボストンのプルーデンシャルセンターPrudential Centerで参加者に「この病気は、かっては当たり前と思っていた将来を家族から奪ってしまいました。休日の本当の気持ちは、介護し、分かち合い、家族そして友人に関わることであることを話した」と述べています。
その後、ブライアンBrian氏はブルースの26歳の息子ですが、父から家族のウエストミンスターの食糧品店を引き継ぎ、彼の信仰はアルツハイマー病による「荒れた海」にぶつかってしまったと打ち明け、次のように話しています。
「父は、私にとって長い間スピリチュルな役割の模範でした。寝る前はバイブルからの話を子供に聞かせていました。クリスチャン高等学校に行くように主張もしました。学んだことは、間違ったことから正しい道と、人々をどのように公平に接するかについてです」と語っています。
こういうわけで、ブライアン氏は懸命に働き続けているのですが、さらにブライアン氏は次のように話しています。
「私は、しばしば、愛と平和の神がアルツハイマー病のような恐ろしく治癒しない病気をどのように創造したのか不思議に思います。これは解決のない問題です。私の父のようにすばらしい人が早い時期に潰れてしまう姿が私には理解できません」
ブルース氏はこうしたことになるとは疑いを抱きませんでした。アルツハイマー病と診断されて2年以内に、デジタル時計の読み方や店にあるレジの扱い方といった長く知っていたことを忘れてしまったのです。
しかし教会が日曜の朝に始まるのを待ちながらブライアン氏は、躊躇することなくロイヤルレインジャーズで学んだ最も初期の聖書の一節である信じる人たちのための永遠の生について文章を「神の存在は低いところの流れのようなものです。身体を通してそれはうずきとなる」引用しています。
アルツハイマー病は彼を怖がらせはしないのです。「私は天国に行くでしょう」と。
boston.com  December 25, 2010 Keeping hold on faith
編者:スピリチュアリティという用語は英語のspiritualityの音訳で、霊的なもの、超自然的存在などとされるが広く認められた定義はない。また宗教的なことに限定はされていないようだ。我が国では認知症とスピリチュアリティについての議論や実践は一部でしか行われていようだが、「認知症の人の存在の糧は何か」など認知症にとってスピリチュアリティは重要なテーマと思う。

1年後のアルツハイマー病の家族(12月25日/アメリカ)
昨年、ニュースデイNewsdayは「アルツハイマー病:愛と悲嘆"Alzheimer's: The Love and the Heartbreak"」と題して、アルツハイマー病の異なる状態にある6家族について一連の物語を掲載しました。この受賞した報告(訳注)は、在宅であろうと施設であろうと、アルツハイマー病の人と家族にとって介護に伴う情緒的、身体的、経済的な負担を探りました。1年後、それらの家族が苦労していることが明らかになりました。衰えながら負担を重くなる介護を続けていう人もいれば、アルツハイマー病の人を失ったことの痛みと孤独のなかにいる人もいます。多くの人たちは、いまだに、この特別な病気へどのように対処すればよいか学んでいます。アルツハイマー病の人は、自分を介護いる人への感謝の思いが伝えられず、なかには自分の介護者であることさえ分からなくなっていることもあります。家族のなかには、他人を助けるためにそれまでの知識を役立て、アルツハイマー病に不完全な制度の改革を代弁しようとしている人たちもいます。
グロリア・リッチモンドGloria Richmondさんの場合
クロリアさんは庭いじりはしたことがありません。一粒の種を土に撒くといったことさえしたくなかったのです。しかし、この夏、71歳になったグロリアさんは、ニューヨーク州ホルブルックHolbrookの共同住宅から外に出て、地面に膝まずき土なかに指を入れるようになりました。中庭に隣接する小さい地面に庭を造り、それを「ダヴィッドの庭」と呼んでいます。
グロリアさんは次のように話しています。
「始めてみて、これはよい療法だと思いました。私にそれが出来なかったのです。でも今は外に居ることができる」と話しています。
グロリアさんは夫のダヴィッドさんと24年間の結婚生活を続けましたが、夫が70歳の2009年の6月に亡くなりました。それまでの6年間、ナーシングホームで過ごしました。アルツハイマー病はゆっくりと彼を襲ってきたのです。グロリアさんは、夫を施設に入れるのを嫌っていましたが、自分ひとりでは介護ができなくなったのです。入居してから彼女は、長時間のバスに乗って夫のいるナーシングホームをたびたび訪れ、終日、彼の傍に居ました。彼の介護者であり、代弁者でもあったのです。
夫が亡くなってからグロリアさんは、一人で過ごすことが多くなりました。ダヴィッドさんの介護の間、無視されていましたが、今は自分の健康が最優先です。友人と昼食を一緒にしたり、ハワイで休暇を過ごしたりしています。グロリアさんは「私がもっとくつろぐべきだとも、幸せでまえより笑っているようにみえると言ってくる」と話しています。娘が転居していなくなりグロリアさんは、孤独を感じるが夫の墓を訪ねると安心するのです。
彼女は「花が芽を出すのを一生懸命祈っていた」と話し、花が満開になると切ってカルヴァートン国立墓地Calverton National Cemeteryに持って行き、墓石の根本に置いて「ダビッド、これはあなたの庭からもってきたのよ」と話しかけ、最新の出来ごとを聞かせ祈りの言葉を語ります。
夫が死亡してからグロリアさんは、ナーシングホームでのボランティアに喜びを見つけましたが、職員から入居者にあまり情緒的に関わりすぎないように注意されてから止めたのです。彼女は次のように話しています。
「認知症の人は声を必要とし、家族はアルツハイマー病の情報が必要です。私は代弁者です。しなければならないことはこれです。お金もかからないし、他の人に役立つし、正しい情報を伝えることができます」
Newsday.com December 25, 2010 A year later: Newsday follows Alzheimer's familiesより)
関連サイト:Newsday.com の2007年の特集Alzheimer's : The love and the heartbreak
訳注:本レポートはNew York State Associated Press Association (NYSAPA)の2009-2010 Awardsの3部門で受賞する。
編者:認知症の人の介護を終えた人をどう理解し、どう支えるかも重要な課題だ。紹介記事は6人について報じているが、1人についてのみ紹介した。

★「暴力的なアルツハイマー病の人」が施設に入居できる(12月24日/カナダ)
アルツハイマー病のテド・ラウアーTed Laugher氏(写真)は、最終的に、彼に相応し介護が受けられる施設に入居しました。
ラウアー氏は、13年前、退行性で致命的な疾患であるアルツハイマー病になり、今年の12月初めからオルレアンOrleansに在るマドンナ介護施設Madonna Long-Term Care Residenceに住んでいます。
妻のジーニンJeannine氏(写真)は、夫を介護施設に入れるについての問題が、この2,3カ月間、オタワシチズンOttawa CitizenのコラムのプリックシチズンPublic Citizenに報じられました。
妻の話によると、当初、施設側は、夫が暴力的な行動に出やすいので在宅介護サービスを受ける方向で検討しているとのことで入居が拒否されました。
介護施設は、職場での暴力事故を防ぐための州の新しい法律により、今年の夏、突然、ロウテーさんの施設介護の話が中断したのです。チャプラン地域ケアサクセスセンターChamplain Community Care Access Centre (CCAC)に、テド氏が妻やスタッフに身体的で攻撃的になり暴力をふるうとの報告がありました。この情報が、介護施設に伝えられて、テド氏が21カ月間、待機リストに載ることになったのですが、突然、この秋に施設利用ができたのです。
ジーニン氏は、夫の暴力的で介護職に危険がおよぶ恐れがあるとみなされていたことは、まったく真実ではないと述べています。介護者が彼を入浴時にズボンを脱がそうとしたとき口論になることは知られていましたが、急いですると暴力的になるとのことです。
Ottawa Citizen December 24, 2010 The Public Citizen: Home found for Alzheimer’s patient
編者: カナダでは、職場における暴力や嫌がらせによる労働者の保護のため、認知症の人の暴力もその条件に当てはまり、施設入居を法的に拒むことができる。詳しくはこちらBill168
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オンブズマンが認知症の人への不適切で介護施設を非難(12月23日/イギリス)
エジンバラ・ロチアンの介護施設で認知症高齢者が栄養不良になり重度の脱水状態で死なせたことについて糾弾されています。
スコットランド公的サービスオブズマンScottish Public Services Ombudsmanは、ロチアン国民保健サービスNHSLothianに対して、83歳のマーチン・フィルビンMartin Philbin氏(写真左上)が受けた介護の内容について厳しく非難している家族に謝罪することを要請しました。これに対して、本日、保健担当者が、この事例を教訓とすることを強調しました。
昨年7月、元炭鉱労働者のフィルビン氏は、リビングストンにあるセントジョウンズ病院St John's Hospitalに入院3日後に死亡しました。彼は、マップルヴィラケアホームMaple Villa Care Homeに5年間、住んでいましたが、昨年、彼の家族が介護のレベルがひどいと話しています。
この事例報告のなかでオンブズマンは、家族の不満を取り上げNHSがフィルビン氏が死亡する前に、適切な栄養を受けていたか、あるいは全般的に不適切な介護を受けているか確認してないと指摘しています。
孫娘のクリスチン・マックファーソンKirstine McPherson氏は、フィルビン氏の妻のジャネット氏(写真左上)に代わって鉱山労働者としての彼の生活歴に鼓舞されて不満が述べられたと話しています。
さらにクリスチン氏は次のように話しています。
「祖父は、戦うに値する何かにこだわることを教えてくれました。かれのための報告が遅くなったっても彼は元気はないが誇りに思っているに違いありません。祖父はとても自尊心の高い男性でいつもきれいな服を着ていました。その人がそんなに尊厳が失われることは恐ろしいことです。私たちは現実にこだわるのです。彼が病気で、自分の人生を守らなければならないと予期はしてはいませんでした。もっとよく扱われてよかったはずです」
これは、認知症の人の介護に疑問を呈して一連の事例の最新のものです。今年の初め、エジンバラのイブニングニューズEvening Newsが、認知症の人が家族にロイヤルヴィクトリア認知症棟Royal Victoria dementia wardで死なせないで懇願する様子を報じました。また家族は、リバートン病院Liberton Hospitalでの認知症の人への介護の質について高い関心を抱いていました。
最終的に、フィルビン氏は敗血症と尿路感染症で死亡しましたが、これらは認知症が影響するものです。
保健委員会は、アルツハイマー病のためフィルビン氏への対応が困難な行動のため施設での介護が困難であったと指摘しています。
しかし、オンブズマンの報告書は、ロチアンのNHSの専門職がそうした状態の人に対処することになっていると指摘しています。
さらに報告書は、フィルビン氏の食事や水分の摂取が適切であっかどうか観察されていたという証拠はなく、栄養不良への安全対策がしかるべき基準よりかなり劣っていたと判断しています。
「認知症のためもっと対処困難な状態にある人たちを介護できるとされる専門職による入所施設での介護をフィルビン氏は受けていた」と報告書は結論づけています。このことから、彼の行動は理解されるものであると予期されていたのです。
スコットランド患者協会Scotland Patients Associationの議長であるマーガレット・ワットMargaret Watt氏は「尊厳はとても重要で、私たちが全国のこうした施設において散見していることは信じがたいことです。施設によってはその言葉をさえ聴こうとはしていないようです」と話しています。
リチアンのNHSの看護部長のメラニ-・ホーネットMelanie Hornett氏(写真左下)は次のように述べています。
「NHS健康委員会は謝罪しました。このための家族の苦痛に公に謝罪したいと思います。公式の謝罪の文章を書いています。オブズマンのすべての勧告を受け容れ、すでに改革を実施しています」
News.scotsman.com 23 December 2010 NHS slammed for care home neglect of proud Martin
関連情報:Scottish Public Services OmbudsmanのOmbudsman's Commentary December 2010(pdf80K)に紹介事例についてのコメントがある。
編者:病院や介護施設での認知症の人の人権擁護のためのオンブズマンは日本ではなかなか普及しないようだ。介護保険施設の第3者評価はあるが介護の質を向上にどれだけ効果があるのだろうか。

霧のなかで求めるアルツハイマー病の新しい流れ(12月20日/アメリカ)
プライマリーケア医は、この国の高齢者人口が増え続けるなかで増加しているアルツハイマー病の人への医療で支えようとしています。これには若いアルツハイマー病の人も含まれます。
アルツハイマー病は進行性疾患で、縺れたタウ蛋白が脳全体にからみ必要な栄養素が途絶えた細胞となって脳皮質は萎縮します。海馬はなり萎縮し、脳室は脳脊髄液で充満し拡張します。
脳の萎縮は進み、最終的には、話す、飲み込む、歩くといった基本的な機能が失われます。医師は、認知症の状態が固定する前に診断することができれば薬によって症状の進行を遅らせることはできます。しかし、多くの認知症の人は。治療も受けず薬の服用を始めるのは遅いのです。
アルツハイマー病の専門家は、「問題の一つは、適切な認知症スクリーニングの方法が確立されていない」と述べています。また別の問題は、認知症の人を多く診ているプライマリーケア医がアルツハイマー病を確認し診断するための時間を十分には持っていないことです。
アリゾナ州フェニックスに在るバンナーアルツハイマー病研究所Banner Alzheimer's Instituteの記憶障害センターMemory Disorders Centerのピエール・タリオPierre Tariot所長(写真左上)は「脳は複雑な組織です。脳の機能が衰えると7分や15分では問題を解決できなくなる」と述べています。
厳しい数
我が国の高齢者の人口が今後40年間で2倍以上になり、プライマリーケア医などにとっては大きな課題と予測されます。アメリカ統計局U.S. Census Bureauの最新のデータによると、現在、4020万人の65歳以上の高齢者が2050年までに8850万人になると推計されています。
またアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationによると、現在、アルツハイマー病の人は530万人―65歳未満の20万人が含む―と推測されていますが、2050年までに1350万人になるとされています。
また同協会によると、高齢者の増加にともないアルツハイマー病の人も増えるのです。加齢はアルツハイマー病の最大のリスクなのです。
さらに問題を複雑にしているのは、ほとんどのアルツハイマー病の人は、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を持っていることです。アルツハイマー病の人は、医師の服薬指示や栄養指導がうまくできなくなることが多く疾患の管理が難しいのです。
専門家は、「国民の必要に見合うだけの相応しい数の専門医がいません。アルツハイマー病の人の医療負担はプライマリーケア医にのしかかり続くことになる」と述べています。
タリオ医師は「押し寄せる高潮のようです。医師は、診断、支援、治療を適切に進めるほどには準備できていない」と述べています。既にアルツハイマー病の増加に気付いている医師もいますが、数年前までは、若いアルツハイマー病の人をよく診断していました。
アリゾナ州サンシティに在るバンナーサンヘルス研究所Banner Sun Health Research Instituteの医学研究および臨床研究主任で神経科医のマーワン・サバッグMarwan Sabbagh医師(写真左2番)は次のように述べています。
「重度な記憶障害は単なる加齢による自然経過の一部ではないという認識は広がっています。こうした理解によって若い人での認知機能の低下へ医師は関心を示しています。若年期アルツハイマー病が増加していることはプライマリーケア医に問題を投げかけることになるでしょう(訳注1)。認知症の管理は時間がかかり、認知症の人の医学的に必要なこと、行動面の問題、家族および介護者のストレスなどに対応しなければなりません。プライマリーケア医は、15分から20分でこれらすべてに対応しなければなりません。しなければならないことがあまりに多いのです」
以前行われた調査によると、認知症は、プライマリーケアで診断されていないことが多いのです。2000年の内科学雑誌Archives of Internal Medicineに掲載された研究では、1998年の8月から9月まで間、ホノルルの外来患者の3分の2の認知症が見落として、さらに認知症が軽度のときが最も治療の対象となるのですが患者の91%が見逃されていました(訳注2)。
多くの医師が指導書を求めて、今年の10月1日にデンバーで開催されたアメリカ家庭医学会American Academy of Family Physiciansの年次科学集会で認知症とアルツハイマー病の分科会に参加し、分科会はとても人気があり部屋に医師が入りきれないほどでした。
テキサス州オースチン在住の家庭医であるジル・グリムスJill Grimes医師(写真左3番)はその分科会を取り仕切りましたが、自分たちが診ている患者のなかにアルツハイマー病の初期症状を確かめることに意欲になることを医師に促しました。初期の診断と治療によってアルツハイマー病の進行を遅らせると考えられています。
同時に、同医師は、「アルツハイマー病の診断に際しては介護の課題が始まったということに医師は十分に配慮するべき」と述べています。
アルツハイマー病の診断
ニューヨークに在るノースショアーロングアイランドジューイッシュヘルスシステムNorth Shore-Long Island Jewish Health Systemの老年医学教育主任で内科医兼老年科医であり、アルバートアインシュタイン医科大学Albert Einstein College of Medicineの臨床医学教授でもあるギゼル・ウオルフクラインGisele Wolf-Klein医師(写真左4番)は次のように述べています。
「初期のアルツハイマー病を確認するために、医師は、受診中に患者の医療以外の健康問題について調べておかねばならなりません。受診中に患者の服装を観察することを勧めます。認知機能障害は、季節に相応しくない服を着ていないか、汚れていないか、乱れていないかなどから分かります」
アルツハイマー病協会の医学科学諮問委員会議長であるロン・ペーターソンRon Petersen医師(写真左5番)は次のように述べています。
「医師が認知機能の問題があると疑うと、患者自身が記憶について関心があるかどうか、もしそうであれば、何について心配しているかを聞き取るべきです。医師は家族や介護者のから患者の記憶について変わったことがないかどうかも聞くようにしましょう。家族は、患者からの情報よりもっと信頼性のある事態を話してくれます」
アメリカ神経学会American Academy of Neurologyは、認知機能障害が疑われると認知症の有無を調べることを勧めています。学会は、MMSE(Mini Mental Status Exam)とMIS(Memory Impairment Screen)を使うことを医師が検討することを勧めています(訳注3)。しかし、アメリカ予防サービス特別委員会U.S. Preventive Services Task Forceは、高齢者の認知症のための通常使うスクリーニングとして推奨するに値する十分な証拠があるテストはないとしています。
医学関係者は、アルツハイマー病の病理学や病気の進行についての新知見に基づき、この25年間で初めてアルツハイマー病の診断基準の更新の作業中です。現在提案されているガイドラインには、発病の年齢制限を設けないこと、症状を記憶障害以外にも広げることなどが含まれ、さらに、アルツハイマー病と他の認知機能障害を伴う認知症との鑑別基準も更新作業が行われています。
多くの医師にとって、挑戦はアルツハイマー病を確認することではなく、むしろアルツハイマー病の人や家族に診断を提供することです。
ラスベガスに在るクリーブランドクリニック脳健康ロウルヴォセンターCleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain Healthのジフリー・カミングスJeffrey Cummings所長(写真左6番)は次のように述べています。
「基本的には死に至る診断を与えていることになるのです。アメリカ食品医薬品局Food and Drug Administrationが承認しているアルツハイマー病薬は5種類です。これらの薬はアルツハイマー病の多くの人にとって症状が一時的に改善したり病気の進行を遅らせますが、病気の経過を変えるものではありません」
カミングス医師は、アルツハイマー病の人が診断された後も前向きになるように試み、次のように話しています。
「テストの結果、記憶に関係する部分で脳細胞が減っていますが、こうした過程をアルツハイマー病と呼んでいます。今後、話題になるだろうアルツハイマー病の治療法を私たちは持っています。治療を新たに向上させる臨床試験も行っています」
彼は、介護者は薬を購入し、管理し、副作用を観察する責任があるので、話し合いに介護者を入れることを医師に勧めながら、「介護者は一生涯の挑戦に直面する」と述べています。
加齢と長寿に関する調査機関であるメットライフ熟年市場研究所MetLife Mature Market Instituteの2006年の研究によると、アルツハイマー病の人の介護者は、平均1週間に47時間の介護を行い、32%以上の人がその責任を果たすために健康を害しています。
カミングス医師は、定期的に、アルツハイマー病の人の介護者と会って、彼らの健康を観察しています。ケンタッキー州レキシントンの家庭医であるジョン・リチャードJohn Richard氏(写真左下)は、介護者が自分自身の時間を見つけ、自分の利益や楽しみを追い求めることを勧めています。
アルツハイマー病の人の介護
ウオルフクライン医師は、アルツハイマー病の初期では、自分でお金の管理が出来なくなった時に誰にしてもらうか、ナーシングホームに入居したいかどうかなど詳細にわたる長期的計画を立てることをアルツハイマー病の人に勧め、次のように述べています。
「病気が進行するにしたがい、アルツハイマー病の人の運転能力を話題にすることは介護において最も困難な問題のひとつです。アルツハイマー病の人が運転を止めるように勧められることは、自立を失った人としてみられ本人は困惑することが多く、家族にあらたな負担をかけることになります」
障害のあるドライバーを通報するという医師の法的責任は国によってまちまちですが、アメリカ医師会American Medical Associationによると、6つの州で医療専門職は、その州の運転局Department of Motor Vehicles(訳注:Californiaのサイト)に患者の運転が医学的に相応しいかどうかを報告する義務があります。
またアメリカ医師会は、患者と公衆の安全に重大な危険にあるという明らかな証拠が認められる場合、また医師が運転を止めるように勧めてもそれが無視された場合、医師が患者の医学的にみた障害を交通局に報告することを勧めています。しかし医師会は、患者が運転できないかどうかの定は交通局で行うべきとしています。
カミングス医師は、近い将来、アルツハイマー病の早期診断の検査が開発され、病気の過程を変えるより強力は薬が生まれることを期待しています。しかし、現在のところ、医師は認知障害に関する質問票と一時的に症状を軽快する薬に頼るしかありません。
彼は「医師が望んでいるのではなく、それしか持っていない」と述べています。
Amednews.com  Dec. 20, 2010 Reaching through the fog: A rising tide of Alzheimer's disease
訳注1:若年期アルツハイマー病が増えているという根拠は知らない。
訳注2:論文The Detection of Dementia in the Primary Care Setting Arch Intern Med. 2000;160:2964-2968.
訳注3:MISは1999年に報告された認知症スクリーニングテストであるが、我が国ではほとんど使われていないようだ。テストについての日本語による紹介は「軽度アルツハイマー型認知症に対するスクリーニング・ツール」The 23rd Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2009(.pdf500K)があり、英語の原著はScreening for dementia with the Memory Impairment Screen Neurology January 1, 1999 52:231である。
編者:紹介した記事は主にプライマリーケア医や家庭医向けの啓発的なものである。掲載サイトAmednews.comはアメリカ医師会監修。

認知症の人、多民族社会で孤立に生きる(12月17日/カナダ)
メアリーアン・ビリントンMary-Ann Billingtonさんは、母親がどちらの言語を使うのかまったくわかりません。85歳の脳はアルツハイマー病に侵され言語がごちゃごちゃになるのです。子供の頃の言葉であるオランダ語で質問すると、大人になってから流暢に話せるようになった英語で答えることがあります。一つの文章にオランダ語と英語が混ぜこぜになっていました。母親は自分が理解されていないことに不満になります。
オンタリオ州にあるカナダ統計局Statistics Canadaの調査官であるビリントンさんは「言っていることを理解できていないと、うなづいたり微笑むだけです」と話しています。
すでに暗くなった世界に居ると想像してみましょう。そこで、認知症のために親しいものが見慣れないもになり、そこに居る人たちがあなたを居間や浴室に連れてゆこうとしますが、言葉が理解できないのです。認知症は人を孤立させる障害です。記憶が破壊され子供に戻ったような人は、後から覚えた言語である英語を話す能力もなくなることが多いのです。認知症の有病率がこれから30年間で倍の100万人になると予測されるこの国では、高齢化した人口の20%の人が、英語とフランス語以外の母国語の人たちで、このためよい介護に努める家族に大きな負担が強いられ、わが国の医療サービスに根本的な変革が必要となるでしょう。
ブリティッシュコロンビア大学University of British Columbiaの言語学のジェフ・スモールJeff Small教授(写真左上)は次のように述べています。
「認知症の人の言葉の壁は、社会のあらゆる層で深刻にはとらえられてはいません。食べさせたり、トイレに連れていったり、清潔な服を着せることができるのでしょうか。これを社会としてどこまで負担できえるのでしょうか」
トロントやバンクーバーといった大都市でさえ、スタッフが少数民族の言語を話すことができるナーシングホームのベッド数は不足しており、在宅介護の支援を求める家族は、利用できることは何でもすることがおおいに予測されます。オンタリオ州に在る600以上の介護施設のうち、約80施設は文化的な配慮のあるプログラムを持っています。民族的な料理を用意する所もあれば、特別な民族の人たちのために内装を工夫したところもあります。また単一の文化に限定したサービスを提供する施設も少ないが在ります。
改善の徴候はあるのです。政府の医療担当部署は、いくつかの言語を話すスタッフを雇っており、州によっては基金で、昨年、トロントで韓国人のための開設されたローズオブシャロンRose of Sharonのような施設を支援しています。
しかし、あきらかなギャップも在ります。ある民族のためのベッドがある17施設のうち、都会で増えている南アジア地域の民族を支援している施設はありません。大トロント地区 Greater Toronto Area(GTA)でフランス語を話す人たちは約8万人いますが、フランス語を話すスタッフが必ず居るのはわずか施設全体で37棟です。小さい都市では、少数民族にとって状況はもっと悪いのです。しかし、ブリティッシュコロンビア州のサーレイSurreyは実質的に南アジア人の居住地ですが、わずか一か所の高齢者介護施設があるだけです。しかも認知症の人ための配慮はありません。
革新的文化間地域サービス協会Progressive Intercultural Community Services Societyは、州政府のパートナーとして施設を開設し、認知症に配慮した施設の運動を行ってきましたが、そのCEOであるシャロン・ギルCharan Gill氏(写真左中)は次のように述べています。
「普通、ありふれた介護施設に入れられますが、スタッフはバイリンガルではありません。このため彼らの生活は遮断されるのです。ケアの選択肢が乏しいために、家族は安全よりも家で長く生活させることになり、監視が必要にもかかわらず一人にさせることも多いのです」
トロントの中国人高齢者のためのナーシングホームであるイーホンセンターYee Hong Centreのソーシャルワーカーであるセレナ・ティンSerena Tin氏は次のように述べています。
「介護施設で興奮する人たちは、言語の壁のため苦痛の訳が理解されないまま拘束されていることもあります。怯えているとき、悪い夢をみているとき、一体何が起こっているでしょう。かれらを助けようとする人たちがいるのでしょうが。彼らを安心させる人たちが必要なのです」
スモール教授が指導した最近の研究がスタッフと認知症の人との相互反応を観察するブリティッシュコロンビアの二つの介護施設で行れましたが、それによると介護者が認知症の人と同じ言語を話さないと相互反応は著しく少なくなり、単語やフレーズでもいいのですが同じ言語を話そうと試みると入浴といった実際的な話題に限定された反応が観察されました。この結果について教授は「多くの事例で文化的な違いは、たとえば首を縦に振ることの意味の違いのために混乱を招くことがある」と述べています。
家族のために適切な介護が乏しいことによって受け容れがたい状況に陥ることがあります。たとえば、サーレイに住むデヴィンダー・シャッタDevinder Shattha氏と家族は、母親を英語しか通じない施設に入れることを拒否しました。彼女を常時看るためにうまく予定表を作ってやりくりしました。母親は食べることを忘れ、夜、動き回っていることが多いのです。シャッタ氏は「母はなにもかも失ったようです。目を覗くと混乱していることがわかります。私たちがパンジャブ語を話すと混乱してしまう」と述べています。
トロントの会計士であるシルヴィー・ラボアSylvie Lavoie氏は、2時間かかるウエランドWellandにある施設を選びました。母親が転落して介護施設に移る時に、スタッフがフランス語を話す施設を選んだのです。母親は人生のほとんど時期、英語を自由に話していましたが、認知症が進んで、英語が話せなくなったのです。ラボア氏は、母親が痛みのなかに居て、誰もが助けに来てくれないのではと心配しながら、「誰もが理解できないような所に置くことは本当に残酷だ」と話しています。
今までのところ、カナダで民族グループにサービスを提供している多くの施設は、政府の財政的支援を受けながら地域の草の根的な運動を進め、またその地域に必要であるからと民間施設が認識して生まれきました。ベッドの数以上に人的資源の問題です。多くの医師や看護師が移民社会から出てきています。そうしてギャップを縮めるため、バンクーバーに在るマウントセントジョセフMount Saint Josephを含めた多くの病院が、別個の要求や必要なことを相互に理解するため患者や職員がただちに情報を提供できるようにさまざまな言語による記録や絵を使っています。
在宅ケアと施設入所待ちリストとの二つを協調させようとしているトロント中央地域ケアアクセスセンターToronto Central Community Care Access CentreのCEOであるステイシー・ダウブStacey Daub氏(写真左下)は次のように述べています。
「医療制度は、移民した人たちの移動に合わせようとしています。また退職したときに年齢に相応しい家を選ぶのと同じように、彼らがどこに住むかについても現実的に考えなければなりません。なにかサービスが必要となることがわかれば、そのための計画を立てる」必要があります」
コニー・チャンConnie Chan氏の場合、アルツハイマー病によって在宅介護が不可能になると、娘のカービク・ツェCarbique Tse氏が、英語だけしか通じない施設に母親を入れることに運、不運なのかという疑問を抱きます。ツェ氏がスタッフの手によるジェスチャーで意思疎通を図ろうとし、母をビンゴゲームに参加するように言われました。しかし、「誰も母と話をしていません。母は微笑んで『おはよう』とか『やー』とか言っているだけでした」と思い出しながら話しています。その後、中国人の介護施設イェーホンYee Hongに移りましたが、状態が悪くなってしまいました。チャン氏は、家族に支えられた日々を過ごすことができ、マージャンをとても楽しんでいます。今は車椅子の生活ですが、ツェ氏は「今、母はとても幸せ」と話しています。
The Globe and Mail  Dec. 17, 2010 Dementia: Existing in isolation
編者:高齢化する多民族社会に重くのしかかる課題、とくに認知症の場合の課題だ。我が国では在日韓国人・朝鮮人での認知症の取り組みはあるが、マイナーな課題とされているようだ。

発信機付きブレスレットで認知症の人を探す(12月15日/アメリカ)
ミネソタ州アノカ郡Anoka Countyの郡保安官事務所Sheriff's Officeは、電波を使ってアルツハイマー病など認知症の人を探すことになりました。これらは一時的に華やかで流行りのブレスレットではなく、郡保安官事務所に強力な信号を送るものです。
郡保安官事務所は、現在、アノカ県の住民への新しいサービスを提供し、行方不明になりやすい精神的障害のある人のために電波を発信するブレスレット(写真左)を勧めています。
ブレスレットを製作するプロジェクトファフセイバーインターナショナルProject Lifesaver International(PLI)のスポークスマンであるクリスチン・プラッツChristine Platz氏(写真左)は「これは子供が迷子になるのではと心配をしている母親のためでもなければ、ベビーシッターの道具でもありません」と話しています。
PLIは、アルツハイマー病など認知症や自閉症のために行方不明になる大人や子供たちのための公的な安全担当部署と連携したNPOです。このプログラムの利用者は、腕や足首に電波を発するブレスレットを取りつけます。利用者が行方不明になると、郡保安官事務所に友人や家族が通報し、事務所が行方不明の人の居場所を確定するための特別な器機をもった対応チームに連絡します。
ブレスレットは電波を発しますが、これはGPSでもなく、携帯電話の機能によるものでもありません。
プラッツ氏は次のように話しています。
「多くの場合、人は建物や納戸の中に入ったり通路を通るため、携帯電話やGPSの信号が通じなくなることがあります。そのためラジオ周波数が有効で、行方不明の人をより短時間で居場所を特定できるのです」
郡保安官事務所のシェリー・オーランドShelly Orlando警部補は次のように話しています。
「アノカ県で行方不明になった最新の事例は1年前ですが、認知症の女性高齢者が家から犬を連れて行方不明になりました。その2日後、郡保安官事務所は湿地で混乱した女性を見つけました。これまでは行方不明の場合、警察と消防署の関わり連携するのに2,3日かかっていました。ブレスレットの最大の利点は行方不明者の居場所を特定する時間が短いことです」
PLIは、バージニアで11年前に発足し、現在、アメリカ、カナダ、オーストラリアに1200の事務所が有し、ミネソタ州では44の警察署と郡保安官事務所にサービスを提供しています。
プラッツ氏は「これはバージニア州で始まり拡大し、45州でサービスを提供するまでに急成長しました。こうした問題が増えておりPLIは先取りするようなよい方法であるいこととして知られている」と話しています。
郡保安官事務所は、今年の4月にPLIとの提携し、今月、プログラムを開始しました。送信サービスは、当初は利用者1人あたり300ドルで、これは器機、消耗品、月々のバッテリー交換の費用が含まれています。1年後からの料金は月25ドルです。
オーランド氏は「今までのところ、アノカ郡は一人しか利用者がいません。必要条件として、ブレスレットを着ける人は一人暮らしではないことです。子供や母親が行方不明になっても、ブレスレットは保護するための時間的余裕を私たちに与え、家族には一時の安心を提供することを望む」と話しています。
StarTribune.com December 14, 2010 Bracelets help track missing disabled
編者:ブレスレット方式はいわゆる「徘徊」する認知症の人の保護のための一つの方法であり、これだけで解決するわけではない。日本では地域住民を対象としてシステム作りが取り組まれているが、これだけでも解決するわけではない。いくつかの方法が組み合わされるのがよい。さらに全国的なネットワークも必要だ。なおPLIのブレスレットは外観が腕時計のものがよい。認知症の人が取りはずさないように。

アルツハイマー病と「シルバー津波」にアメリカは準備ができているか(12月14日/アメリカ)
パメラ・ブラウンPamela Brown氏(写真左上)の祖母は、75歳のときアルツハイマー病と診断されました。亡くなるまでの2年間、祖母は、活発で生意気なテキサス人から、子供たちを殴ったり、敵とみなしなすような怒りっぽい女性に変わりました。また以前は、美しく身だしなみもよかったのですが、汚れたブラウスを着て、歯を磨くこともなくなりました。彼女が最も困惑したことは、それでも祖母がまだ明晰さを持っていたのです。しかし、最終的には、「私が誰であるかわかりませんでした」と肩を落としながら語っています。「好きよ」と言うチャンスもありませんでした。
ブラウン氏は、ワシントンDCのニュースキャスターです。彼女の母親のフィリス・ジョージPhyllis George氏(写真左上)は、元ミスアメリカで、スポーツキャスターです。父親は元ケンタッキー州知事のジョン・ブラウンJohn Brown氏です。かれらの財産と人脈からして、アルツハイマー病は屈辱と悲嘆であることが理解できます。
ブラウン氏は「私たちは、他の人たちと同じように、原因が不明で、治癒方法もなく、記憶障害を改善する治療法もないこの病気と国の対応が不十分な介護負担に準備していませんでした」と話しています。
母と娘は共にアルツハイマー病の活動家になりました。ブラウン氏は、アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationのために、このテーマを先取りしようとするジャーナリストの全国記者協会National Press Foundationの後援による会議で講演をしました。
恐ろしいほど数ですが、現在、530万人のアメリカ人がアルツハイマー病であり、2050年までに1600万人に膨れ上がると予測されています。
アルツハイマー病は、普通の加齢現象の一部ではありませんが、年を取ればとるほど発病の危険性は高まります。この国は灰色になってきています。新年の祝杯をあげるとき、この課題を考えてみましょう。それは来年の1月1日の午前12時に始まります。その時、アメリカで第1号のベビーブーマーが65歳になる時で、その人の名前はキャシー・ケイシーキルシュリングKathy Casey-Kirschling氏(写真左下)で、1946年1月1日にフィラデルフィア生まれです。彼女が「シルバー津波silver tsunami」を引き起こすことになるでしょう。その1日で彼女に続き1万人のアメリカ人が65歳になります。危機は深まります。
アルツハイマー病は、既に、アメリカで最も急速に増えている病気で、アルツハイマー病の人には制度上、他の病気の治療に要する以上の負担がかかっています。アルツハイマー病のために数年のうちにアメリカの公的医療制度であるメディケアやメディケが崩壊する可能性があると警告する人もいます。多くの人にとって驚くことですが、メディケアはナーシングホームの費用を負担してはいません。かなり蓄えのある人でも、自分や家族が常時の介護が必要となれば、その蓄えはなくなってしまうかもしれません。
国に必要なことは病気を治癒させることです。アルツハイマー病の治療として承認された薬―アリセプトやナメンダ―は症状を軽減するだけだで、2年後には薬を服用しなかった場合と同じ状態に戻ると指摘されています。アルツハイマー病の進行を確実に止める薬はないのです。
これらのことから新たな疑問「アルツハイマー病は予防できるのか?」という疑問が生まれます。血圧やコレステロールを下げる、地中海風料理を食べる、運動する、魚脂のカプセルをのむ、脳ゲームをする、社会的接触を維持する、ダンスをするなど。こうしたことはどれもアルツハイマー病の発症を遅らせるという証拠がないのです。赤ワインの成分であるレスヴェラトロールResveratrolは政府の研究として臨床試験が行われています。
また、高齢期ではなく中年期の悪い習慣がアルツハイマー病の進展の大きな要因かもしれません。
いくつかの薬が第3相の臨床試験として行われており、それはそれとしてよいのですが、こうした研究の多くが、脳のアミロイド斑が記憶障害の原因とする仮説に基づいて行われていますが、これについても証明されてはいません。
この病気を解明するために研究者にはお金が必要です。がんについては、年間、60億ドルが使われていますが、アルツハイマー病については4億7000万ドル以下です。現在、提出されている法案の目的は、アルツハイマー病の資金として年間、20億ドルを追加することですが、財政が厳しいなかで議会の支援を得られるとは限りません。
困惑させることですが、アメリカは、経済的に裕福な国々のなかでアルツハイマー病を克服する国家戦略を持っていない国の一つです。オーストラリア、イギリス、フランス、韓国は持っています。審議中の法案は、「アルツハイマー病国家戦略法National Alzheimer's Project Act (NAPA)」と呼ばれていますが、この法案はクリスマス前に成立するようですが、資金については全く触れておらず、保健福祉省長官Secretary of Health and Human Servicesに戦略計画の作成責任を強いているだけです。
家族自身が自分たちの計画作成を始め、「お父さん鍵を手渡すときはないでしょうか?」と問いかける時期です。
あなたの家族は、アルツハイマー病の影響を受けていますか。どのように対処していますか。
.cbsnews December 14, 2010 Alzheimer's and the "Silver Tsunami:" Is America Ready?
編者:アメリカのアルツハイマー病に関わる現状をわかりやすいく解説している。

「アルツハイマー病国家プロジェクト法案」上院通過(12月10日/アメリカ)
現在、アメリカでアルツハイマー病の人は500万人以上います。アルツハイマー病は、加齢が関係する進行性神経疾患で、脳細胞が萎縮し、認知症になり、最終的には死に至る病気です。アルツハイマー病の人の数は、ベビーブーマーが来年1月に初めて65歳になり、今後40年間に急上昇すると予測されています。アメリカでは、この広がる病気を克服するための国家的計画を持っていない先進諸国のひとつでした。
今年、12月8日、アメリカ上院議院で「アルツハイマー病国家プロジェクト法案National Alzheimer’s Project Act(NAPA))が採択されました。この法律は、当初、アルツハイマー病の医療、予防、最終的には治癒に向けて社会資源を最善に活かすためように2007年に国家戦略を導入しようとするものでした。
今回の法律の導入を訴えてきたインディアナ州のエバン・ベイEvan Bayh議員(写真左上)とメイン州のスーザン・コリンズSusan Collins議員(写真左下)は次のように述べています。
「今日、アルツハイマー病の人は530万人いますが、その数は1980年の倍以上です。もしこの病気の状況を変えるために何もしなかったら、2050年までに65歳以上のアメリカ人1350万人がアルツハイマー病になるでしょう。さらに、この病気の経過を遅らせるか止めることができなければ、アルツハイマー病のためアメリカで今後40年間に20兆ドルの費用がかかります」
この法案は、現在、下院で移り採決が行われ、その後オバマ大統領が署名して法律となります。
この法律には次のことが含まれることになっています。
○ 連邦政府内でアルツハイマー病を克服するための対策を決定する
○ 保健福祉長官Secretary of Health and Human Servicesと連携をとりアルツハイマー病国家計画National Alzheimer’s Disease Planを進展させる関連機関諮問委員会inter-agency Advisory Councilを設置する
○ アルツハイマー病の研究、ケア、施設サービス、在宅および地域プログラムのため連邦政府が取り組まなければならないことを求める
○ アルツハイマー病を予防し、その進行を食い止めあるいは改善させる研究を加速させる
○ アルツハイマー病の発病の危険性が高い民族や人種の人たちに十分に必要な医療と社会サービスを保障して健康格差を少なくする

アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、アルツハイマー病に関する指導的ボランティアの団体ですが、すべての国民が下院議員とコンタクトを取り法案が議会を通過するような支援を要請しています。同協会のサイトでは、法案が通過するように議会に働きかけ要請文を書くことがオンラインで可能です。
eMaxhealth 2010-12-10 Senate Passes National Alzheimers Project Act
追加情報:2011年1月4日、アルツハイマー病協会はオバマ大統領がNAPAに署名したことを歓迎しました。この法律がこれから押し寄せるアルツハイマー病に打ち勝つための国家戦略を立ち上げることを期待しています。
PRNewswire-USNewswire  Jan. 4, 2011 President Obama Signs Landmark Legislation Laying the Foundation for a National Alzheimer Strategy

失明と認知症の両方ある人は10万人(11月30日/イギリス)
新しい統計によると、イギリスでは75歳以上で認知症と失明の両方の障害をもっている人は10万人以上います。「第1回認知症と失明の全国会議 The First National Dementia and Sight Loss Conference」がロンドンで初めて開催されますが、その議長のサリー・グリーングロスSally Greengross伯爵夫人(写真左上)は、75歳以上の人の2%が両方の障害をもっていると報告します。こうした人たちは、トイレに行く、散歩といった簡単な作業のときに負担に直面します。
全国会議には認知症の分野と失明の分野の100人ほどの専門家が集まり、啓発、政策、実践の向上について議論することになるでしょう。認知症と失明に関心あるグループ「認知症・失明関心グループDementia and Sight Loss Interest Group (DASLIG)」はイギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyなどの慈善団体の連合組織ですが、両方の障害を持った人が増えている状況から啓発活動を指導的に進めることにしています。
アルツハイマー病協会の専門家連携主任のクリーヴ・エヴァースClive Evers氏(写真左中)は、次のように述べています。
「認知症と失明を持った人のニーズについては、認識が乏しくまた適切な対応がなされていません。認知症の専門家は失明の知識が乏しく、失明の専門家もまた認知症の扱いの準備ができていません。こうした人たちは積極的に相互の連携をとっていません。二つの障害をもった10万人の影響は大きな課題です」
認知症と視力障害をもったグラハム・ドゲットGraham Doggett氏は次のように述べています。
「つまずいておかしなことになります。トイレに行くと、ありふれたサインのため女性用トイレに入ることがあります。また多くの鏡があると部屋に多くの人がいるように思えることもあります。しかし私は障害者用トイレに入れるための障害者用レイダーキーRadar keyを持って対応が簡単です」
血管性認知症と失明の母親を介護しているハイレイ・ダイスHilary Dyce氏は次のように述べています。
「異なる部署やサービスの間の連携が乏しい。母の場合、転倒外来、眼科、高齢者医療チームに受診していますが、大変な負担で、困惑しています」
今回の会議に認知症の指導的専門家であるサーベ・バナージーSube Bannerjee教授(写真左下)の講演のあと、両方の障害をもった人や介護者が自分たちの経験についておおいに話すことになっています。また介護施設や各分野のリーダーたちが向上と変革への行動の重要性について議論することにしています。
参考文献:Thomas Pocklington Trust2007年発行冊子“Dementia and serious sight loss”(pdf180K)

(Alzheimer's Society 30 November 2010 Over 100,000 older people have sight loss and dementia)
関連情報:Sight loss and dementia:Developing effective services(Alzheimer Europe Conference 2010 Luxembourg)(pdf100K)
編者:我が国でも認知症と視力障害、あるいは認知症と聴力障害の人たちについて情報も取り組みも知らない。編者が講演のとき手話通訳がついたことがあり、この問題について初めて考えさせられた経験はあるが、そのままである。視力障害や聴力障害のある認知症の人も家族も医療へのアクセスを躊躇したり、医療職や介護職も対応に戸惑うのが現状ではないか。

「印ランバクシー:「アリセプト」後発薬、米で29日に販売開始-TV18」(11月29日/アメリカ)
11月27日(ブルームバーグ):インドの医薬品メーカー、ランバクシー・ラボラトリーズRanbaxy Laboratories Limited (Ranbaxy)は、エーザイのアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」のジェネリック(後発医薬品)の米国での販売を29日に開始する予定だ。インドの経済専門ニュース局CNBC-TV18が27日、ファーマジア・ニューズPharmAasia Newsのリポートを引用して報じた。
ランバクシーの広報担当、クリシュナン・ラマリンガム氏はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、コメントを控えた。
bloomberg.co.jp 2010年11月29日 原文のまま
編者:いよいよアリセプトのジェネリックがアメリカで販売される。有効性が低い割に高価なアリセプトのジェネリックの日本での販売はいつか。

高齢化社会で子供たちはアルツハイマー病に立ち向かう(11月25日/韓国)
彼らは家の周りを前かがみでよちよち歩きし、場所がわからなくなり探し回りっていました。ノ・ヒュンホさんは「痛い」と言いながら地べたに沈み込んでいました。
ユーク・ソウヒンさんは「死にそうだ」とも言っていました。
これらヒュンホさんも、ソウヒンさんも、その他の人たちも、本当に健康な11歳から13歳までの子供であることを思うと、くすくす笑ったりすることはほとんどありませんでした。この子らは、副木が当てられていたり、曇った眼鏡をかけたり、あるいは「ドアノブ経験」や「浴槽経験」のような体験をさせられていました。こうして子供らは、高齢で、病弱で、認知症であることがどのようなことなのか理解しようとしていたのです。
ジョン・ジュヒー(12歳)は学んだことについて「お年寄りが私たちに向いて微笑んでいでも、いついもというわけではありません。記憶を失い、子供に戻っている」と話しています。
これらは、アルツハイマー病や認知症という激増する問題への対応に際立っている韓国の運動の一部です。65歳以上の高齢者が9%近くいる社会で高齢化のスピードが最も早い国のひとつである韓国は「認知症への戦いWar on Dementia」を始め、病気に対してお金を使い、病気に強い光を当て、多くのところでこの病気に伴う恥とか恐れとかを剥がそうとしています。
韓国は、認知症の人の症状や介護について理解を広げるために「認知症サポーターdementia supporters」として子供も含め数千人を研修をしています。たとえば、11歳から13歳までの子供たちは、ソウル郊外にある「加齢フレンドリー総合経験館Aging-Friendly Comprehensive Experience Hall」で学んでいます。加齢刺激訓練とは別に、子供たちは認知症に関するスライドを観て、会館にある認知症体験センターDementia Experience Centerで、ナーシングホームで行うマッサージの訓練も受けます。
記憶傷害について講師は「私の携帯電話で何をしたの。携帯電話は冷蔵庫のなかにある。そのような人たちに会ったことはありますか。この人たちは外に出て行方不明になり路上で亡くなるかもしれない」と教えていました。
別の印象的な映画によると、韓国では治療はまだ十分ではないが早期診断を推進されています。保健福祉省Health and Welfare Ministryの高齢者政策部長のキム・ヒェジンKim Hye-jin氏は「認知症は隠されてきました。まだ偏見があります。でも、こうした殻から抜け出し診断を受けるようにしています。認知症の人の家族が合わせ、在宅での介護が長くできるようにしている」と話しています。
何百という地域の認知症診断センターが開設されました。ナーシングホームは、2008年以降3倍近く増えました。その他の認知症対策としてデイセンターや在宅サービスセンターが2008年以降4倍増え、2万か所近くになり、介護には充分な補助がなされています。また、家族が認知症の人を登録してアイロンで貼れる承認番号票を受けます。出歩いている認知症の人に会った市民はその番号を部署に通報し家族に連絡されます。
この財源として、韓国では介護保険制度を導入して、国民医療保険の保険料が6.6%増加しました。2009年、おおよそ10億ドルの政府と公的保険の財源で認知症の人に使われました。65歳以上の人口が2000年の7%から2018年には14%、2026年には20%になります。認知症は社会的にも経済的にも国が引きずる課題になっています。
マッポMapo地区の社会福祉主任のクワック・ヨンソンKwak Young-soon氏は「少なくとも家族のなかの一人は介護のために仕事を止めなければなりません」と話しています。
韓国では退職年齢を過ぎても働くことが勧められていますが、認知症の人で収入を失うことになります。ほとんどの家族では介護を助けるために一緒に住んでいる世代はありません。多くの施設で入居待機者が増えています。
さらにクワック氏は「ナーシングホームを造り続けることはできません。それは幻想です。ナーシングホームがすべての家族の肩替りをすることになる」をも話しています。
現在、全世界の認知症の人が3000万人と推計され2050年には1億人になると予測されている認知症の世界的な爆発の最前線に韓国があります。韓国の対策は、アメリカより広範囲で「国家アルツハイマー病プロジェクト法National Alzheimer’s Project Act」が今年導入され、独立したアルツハイマー病室が開設され、アルツハイマー病に対応する統合的な計画が作成されました。現在、その案件は委員会で審議されていますが、その支持者として高齢になって夫がアルツハイマー病になったサンドラ・デイ・オッコナーSandra Day O’Connor氏(写真右上)が加わっています。
またクワック氏は「認知症について韓国では以前、『亡霊を見る』とか『二度童子』といった偏見があり、高齢者の尊敬されなくなることがありました。また3年以上親の世話をすると子供としてふさわしくないという言いならわしもある」と話しています。
子供が抱く高齢者への敬虔な気持ちが認知症高齢者にも当てはまるようにすることを当局は推進しています。しかし、韓国の低出生率は家族の介護能力を難しくさせています。
韓国アルツハイマー病協会South Korean Alzheimer’s Associationのイー・スンヒーLee Sung-hee会長(写真右下)は、ナーシングホームの職員だけでなく、高齢者と接する何千という人たち―バスの運転手、銀行の窓口の人、美容師、郵便職員ら―にも研修を行っていますが、「津波が来るように感じ、逃げ出したくなることもあります。しかし、どんな高い山でも心配しただけで動きません。ある場所で石を一つずつ動かし道が開ければ、山全体を動く」と話しています。
韓国は危機をビジネスチャンスにしようとしてきました。加齢フレンドリー館の財源は知的経済省Ministry of Knowledge Economyですが、企業が「シルバービジネス」に参入することを促し、弱った高齢者のための製品―つまめみやすい箸からベッドから人を釣り上げ天井のレールにそって動きトイレやリビングに移動させる自動乗り物まで―を創ることを勧めています。
大学生が、この会館を訪れ、認知症体験ビデオを3D眼鏡をかけて観て、見当識障害のある認知症の人のストレスについて学習します。
全国でリー会長は、認知症サポーターの研修を指導し認知症の人への暴力や無視といった長期におよぶ行為について議論し、認知症の人の残存した技術や自尊心を守るようにしています。たとえば、会長は「認知症の人に『衣類を洗うのを手伝ってください。洗濯物を洗うのに洗濯機は怖い、助けてください』と話しかけながら洗濯桶と洗濯板を渡してみましょう」と助言しています。リー会長は、ナーシングホームでの仕事に関心のある人たちや高齢の市民に講演し、家族には介護助言をしています。
クワック氏は、地方政府の職員ですが、保育園のためにナーシングホームの入居者とゲームを楽しむように計らったりして「認知症の偏見をなくし、昔の戻ることで認知症の人が子供たちと関係を創りやすくなるかもしれない」と話しています。
ソウルにある多くの公的診断センターの一つの所長であるヤン・ドンウオンYang Dong-won医師は、幼稚園を豆腐をもって訪れ「これはとても柔らかく脳のようです」と話しながら壊して「脳は壊れました」と説明しました。
所長は「認知症になることはとてもよくないことです。脳を守りましょう。運動で守ろう。砂糖を摂りすぎるとよくない。あまり飲みすぎないようにと」と語っています。
ワールドカップサッカースタジアムWorld Cup Soccer Stadiumの外での認知症行進Dementia Marchで、子供たちはセンターを標語「脳を笑わそう」「あなたの記憶はどうですか」「マッポで無料診断センター」のプラカードを持って歩きました。
マッポ認知症センターMapo Center for Dementiaは、大学や自然療法のヤギ抽出物を売る店の近くで新旧が混ざり合う賑やかな交叉点に在り、その前には運動器機や笑顔の高齢者の絵が描かれた車があります。
ヤン医師は「症状のない人でも来られます。認知症のない人には2年後に来てくださいと助言しています。話を聞くだけで楽になる」と話しています。
家族はチャ・キョンホCha Kyong-hoさんに検査を受けさせるか迷っていました。娘のチャ・ジョンウンCha Jeong-eunさんは「父のプライドが幼稚園的な経験をすることで傷つくのではと心配だ。でも母が父にカレーライスの材料を買ってほしいと頼んだところマヨネーズを持ってきたのです」と話しています。そこで、ある日、74歳のチャさんは元地下鉄職員ですが、家に帰る道がわからなくなったのです。最終的に、彼はマッポセンターを訪ねテストを受けることにしました。その結果、ヤン医師は「記憶傷害が強く、アルツハイマー病のごく初期の状態だと」と告げ、チャ氏が診断のために公的補助のある脳MRIを受けるように勧め、薬は症状を少し遅らせると説明しました。さらに医師は、マッポでおこなっている無料プログラムの脳細胞刺激方法―屋上で行う花壇療法、日々の物をありのままに描く絵画教室、動悸の似て響くボンゴによる音楽療法―を勧めました。
祖父や祖母が認知症である学生がその介護を勧め、それを地域サービス学習の単位として認めている学校があります。
リー会長が運営するチョンガムCheongamナーシングホームで10代の女生徒が世話をする息子がいない高齢婦人に足マッサージを行います(韓国では伝統的に息子の家族が介護の責任を担うことになっている)。パク・ミンジュンPark Min-jungさん(17歳)は足マッサージをしながら、祖父がタクシーをつかまえ、高齢の隣人と一緒に既に無くなって長い家を探してタクシーを乗りまわした理由が認知症によるものであることを理解することができました。「父は怖い人でした。でも研修を受けて祖父のために何かすることがあると思ったのでしょう」と話しています。
マッサージグループのリーダーのキムミンジュンKim Min-joonさん(16歳)が別れるとある認知症の人が泣き出してたので困惑しました。ソーシャルワーカーから認知症の人に感情を少なめに現わすように助言され、そうして認知症の人にとって心的外傷が少なくてすむと説明を受けました。「100グラムの思いやりがあれば、それは1グラムに分けて切っておき100回の訪問に分ける」と助言されました。しかし、ミンジュンさんは「そのようにうまくコントロールできません」と話していました。
男子高等学校は優秀な生徒をセブナーシングセンターSeobu Nursing Centerでの支援に選びました。そこでは絵画療法やダンスやバローンバトミントンによる運動療法が行われていました。男性生徒は、セブ適応プログラムによる観察を記録しています。学校では、「高齢者とのコミュニケーションの問題と解決」「日常的な運動の改善と実施の方法」などを黒板に書いて議論しました。
キム・ハンビットKim Han-bitさん(16歳)にとって、プログラムはとても個人的なものでした。13歳の時、彼を育てた祖母がアルツハイマー病になったのです。彼は「その時は迷惑で部屋から外に出ました。彼女が何かをしてもは無用です。それをすることがどうしたというのとも思いました。彼女に食べさせ、飲ませ、顔を洗うのは私の責任でしたが、私は拒みました。祖母が亡くなったとき涙が出ませんでした」と話しています。その彼が認知症介護プログラムを受けて「祖母にそうしたことができなかったのだろう。将来、すべての私の間違いを償うべくよりよくすべきと思います。優しい思いで祖母の世話をしたかった」と話しています。
NYT  November 25, 2010 In a Land of the Aging, Children Counter Alzheimer’sより)
編者:韓国の認知症への取り組みは断片的にしか伝わってこない。アメリカのマスコミを通して初めて知ることも少なくない。もっとも情報が正確ではないところもある。この記事はNYTのパム・ベラックPam Belluc記者のもので、彼女の別の記事「アルツハイマー病の初期の徴候を探す」をサイト内で紹介している。
追加関連情報:紹介記事は国際アルツハイマー病協会アジア太平洋地区のメル友の間で高く評価され、またアメリカのサイトMyth of Alzheimersコメント(2010年11月30日)がある。

アルツハイマー病協会への資金集めで生徒を表彰(11月24日/アメリカ)
アメリカのテニシー州にあるホームフェデラール銀行Home Federal Bankは、メアリー・ベーカーMary Bakerさん(写真中央)がホームタウンヒーローHometown Heroの受賞者であると発表し、世の中のための活動に年齢は関係ないとのコメントを付け加えました。
14歳のメアリーさんは、ウイリアムブラウント9年学校William Blount's Ninth Grade Academyの生徒ですが、この受賞により彼女が関係する慈善団体であるアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationに1万2500ドルを寄付することになりました。
メアリーさんは、5歳の時からボランティア活動をしており、過去5年間、アルツハイマー病協会が毎年行っており今年は先週末にマリーヴィルMaryvilleで行われたフットヒスズメモリーウォークFoothills Memory Walkの若年部で最高額の資金集めました。彼女が集めた資金は一人で997ドルでした。
メアリーさんは、両親、兄、祖父母と一緒に出席し、銀行のメルヴィル支店でデール・キースリング Dale Keasling会長(写真右)から表彰されました。
会長の話によると、メアリーさんは候補者175人の1人で、営業地区を代表する審査委員によって8人の地区別受賞者が選ばれましたが、メアリーさんは地区の受賞者であり、同時に全体の最優受賞者でした。会長は「14歳は受賞なかで最も若い。最高齢は92歳です」と報告しました。慈善団体の関係する地区別受賞者には2500ドルの賞金があり、メアリーさんはさらに1万ドルの追加賞金を受けました。
これまでメアリーさんは、アルツハイマー病協会のほかに、アメリカがん協会American Cancer Societyやアメリカ心臓協会American Heart Associationのボランティア活動をしたこともあり、アルモナパブテストArmona Baptist教会のミッション旅行でニューメキシコに行ったこともあります。
さらに会長は次のように述べています。
「今回は、ホームタウンヒーロープロジェクトの最初の年で、二つの理由からヒーローを選びました。第1は、私たちの自信が地元の銀行であり、1924年からここで営業してきまし、この地域は私には素敵なところです。第2は、特別なことをしながら認知されていない多くの人たちがいて、ほかの人たちがそれに関わることを勧めたいのです」
メアリーさんは、いつの日かアメリカ大統領になりたいと思っている生徒ですが、今回の受賞に驚いていいます。
メアリーさんは、曽祖母のルース・クリストファーRuth Christopherさんがアルツハイマー病で苦しめられ、アルツハイマー病協会のため資金集めを始めたのです。庭先セールを行いピンやブレスレットを売りました。また啓発活動や資金集めのための活動も行いました。
メアリーさんは「アルツハイマー病協会は素晴らしい団体です。この病気になる人が増えており、その人たちを助けることが大切なことです」と話しています。
アルツハイマー病協会イーストテネシー支部East Tennessee Chapter of the Alzheimer's Associationのジェニス・ウエドホワイトヘッドJanice Wade-Whitehead事務局長(写真左)は、表彰式に出席しましたが、次のように話しています。
「私たちと一緒に啓発のために歩む多くのヒーローがいます。この人たちは地域社会に不可欠です。このイーストテネシーに住んで驚くことの一つはここの人々です。その人たちを祝うこともまた驚くことです」
The Dailytimes.com November 24. 2010 Heroes among us: Mary Baker earns recognition for making a difference

★アルツハイマー病に感謝祭はない(11月24日/アメリカ)
ラルフ・ホワイトRalph Whiteさん(写真左)は感謝祭の日、自宅のテーブルでは記憶は瞬時に消えてしまいます。フラッシュのように記憶が一瞬に来ては消えてしまい、希望も壊れてしまいます。ヨンスック・キムYong Suk Kimさん(68歳)(写真左)は、4人の孫の顔を覚えてはいますが、それも失われてしまいます。キムさんは、困惑の表情が現れ、一時の認識がその時に奪われ、ふたたび混乱のなかに引き戻されてしまうのです。
キムさんは、「ときどき、私が誰か分からなくなるわ。恐ろしい」と夫にはなします。
夫は、「そうね、誰にも怖いことだね」と返事します。
感謝祭のテーブルの周りでは一緒に食事をしながら、眼に涙を浮かべながら微笑みながら泣いてしまうような話題を避け、失われたものを理解するようにしています。
二人は46年間の結婚生活は、キムさんの方法で過ごしてきました。
ラルフさんが若い兵士の時、韓国でキムさんを知りました。そのとき、キムさんは可愛い少女で美容院の前を彼が通りすぎるとき眼が奪われたのです。
二人はあまり話しをしませんでした。キムさんは韓国語しか話せず、ラルフさんは好きなそぶりをするだけでした。彼女は英語を学び、彼は、英語ダーリンを意味の韓国語のヨボといった言葉などを覚えただけです。
キムさんがアメリカに来て結婚生活を始めましたが、軍人家族として各地を移動しながら子供を育て、1984年にジョージア州グローブタウンで退職生活を始めました。
家族のなかで物事を決めるのは、いつもキムさんでした。彼女は、頑固で、気短であり、笑んだり同意するのが最善のやり方であるとラルフさんは覚えたのです。
夜に出かけて、ダンスをしたり、少しお酒も飲みました。「いい時代でした」とラルフさんは語っています。
変化が始まったのは2005年頃です。家族はカリブ海のクルーズに出かけましたが、状況がよくはなかったのです。ベッドでキムさんのそばにラルフさんが横たわっていると、キムさんが、「誰か人が立っているのが見える」というようなことを言ったのです。ラルフさんは「それは幻覚だ」と返事したのです。
2007年、診察の結果、医師からアルツハイマー病という言葉が出て以来、キムさんの心はゆっくりどこかを旅するようになりました。
二人は、午前6時頃起きて、ラルフさんがポップターツとコーヒーの朝食の用意をして、一緒に食べますが、キムさんは部屋のなかをぼんやりと見つめている様子です。
ラフフさんは「本当に、本当に、きつくて欲求不満になります。妻も気が変になり不満で泣いたり笑ったりです。それまで私たちは泣いたりすることはほとんどありませんでした」と話しています。
食後、ラルフさんは、妻を居間のソファーまで連れてゆき、韓国音楽のカセットを聞かせキムさんを後ろにもたれさせ心をもつれてしまうようになります。その間、ラルフさんは家の外で草を刈ったりビールを飲みます。
来客があると、ラルフさんは、キムさんに化粧をして、ソックスをはかせ歯を磨きます。
彼は妻との会話を試みます。「韓国に居たことを覚えている」と聞いてみると、「韓国へ行ったの」と答え、「2度行ったね」と話すと、「覚えてないよ」と答えるのです。「ううんいいよ。ね」で会話は終わります。
ラルフさんは、今年の感謝祭では何か新しい記憶が生まれることを期待します。家族にとっても最後の機会になるかもしれません。二人はバージニア州のアナンダレに飛行機で行き、そこで最期となるかもしれない感謝祭を、娘のテレサTeresaさん、義理の息子、そして4人の孫と過ごすことにしていました。
テーブルの周りにみんな集まり、キムさんが用意できなかった七面鳥とデコレーションで飾られてしょう。
またラルフさんは「私たちは良い時のことを思い出そうとしています。私たち家族は一緒に生活することになるでしょう。大切なことです」と話しています。
アルツハイマー病協会ジョージア支部Alzheimer's Association Georgia ChapterのオーガスタAugusta地区のプログラム・サービス主任のキャッシー・ターキー氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病に関わる家族にとって感謝祭はほろ苦い時です。介護者とアルツハイマー病の人にとって一体感をもつ大切な機会ではありますが、ストレスと悲しみの時でもあります。雑音や雑踏によってパニックに陥ることもあり、アルツハイマー病の人が穏やかに過ごすようにするには何をしたらよいか悩みます。過去が失われた時、どのように食事を準備したらよいかの悩みもあります。今は、新しい記憶を創るようなものです」
ChronicleAugusta Nov. 24, 2010 Alzheimer's takes no holidaysより)
編者:朝鮮戦争(?)で知り合ったアメリカ青年と韓国(朝鮮)少女のその後の人生。その高齢になった二人にアルツハイマー病が襲う。あまり聞くことのない話題として紹介する。

非薬物療法はアルツハイマー病に有用(11月23日/アメリカ)
アルツハイマー病の人を介護している人たちにとって、今年は困難な年でした。国立保健研究所National Institutes of Healthの委員会が報告された研究をまとめた結果、現在のところ、アルツハイマー病の治癒や長期的療法は無いと結論づけました。製薬会社のイライリリーEli Lillyは、一度は期待されたセマガセスタットSemagacestatの臨床試験でかえって患者の状態を悪化させたため、試験を中断しました。
少しはよいと思われるニュースとして、アルツハイマー病をかなり正確にその発症を予測したりできる生物マーカーや脳画像検査の発見がありますが、その受け止め方はまちまちです。いずれは衰弱し致命的になり、できることがほとんどないこの病気になるかもしれないことを、なぜ知らなければならないのかといった多くの疑問があります。
こうした状況ですが、何かできることはあります。アルツハイマー病など認知症に対応している多くの家族が聞いたことがないかもしれませんが、今、利用できるいくつかの療法があります。これらは生活の質を改善し、できるだけ長く一緒に生活し、生活を幸せにする支援なのです。
非薬物療法または心理社会的介入と呼ばれる療法は薬ではありません。個別的なカウンセリングや作業療法に基づいた療法は、家族を支援し、家族が健康を守り、介護という負担になる要求に応える技術を教え、認知症の人も助けてできるだけ長く自立して安全に暮らすことができるようにするものです。
認知症の人と家族のために生活の質を改善することは基本的な療法の目的なのですが、薬の研究より、いつも関心も資金もはるかに少ないものです。ロザリンカーター介護研究所Rosalynn Carter Institute for Caregivingは、アルツハイマー病の薬より効果的な方法が証明されたことを発表し、さらに介護者に広く利用できるようにしないのでは、先見の明がなく人々の健康にとって最善で基本的なことを侵害することになると付け加えています。
非薬物療法的な介入方法の試みが増えています。そのうち二つは私たちが開発しました。その一つは、ニューヨーク大学ランゴン医療センターNew York University Langone Medical Centerで開発されたもので、この療法は多角的評価、家族内の軋轢を減少しコミュニケーションを改善するための個々人と家族のカウンセリング、電話による追跡的カウンセリングを含みます。「ニューヨーク大学介護者介入NYU Caregiver Intervention(pdf500K)」を受けた認知症の人を介護している配偶者は、社会的支援に満足し、結果的にうつ状態が少なくなり、認知症の人の対応困難な行動による困惑を減らし、身体的により健康を維持し、通常の介護を受けている人たちより長く配偶者が家庭で生活を送ることができるようになりました。
もうひとつのモデルとして、フィラデルフィアにあるトーマスジェファーソン大学Thomas Jefferson Universityの「ジェェファーソン高齢者ケア Jefferson Elder Care」は、作業療法士を採用して認知症の人を評価し介護者に何が必要で残存した能力を確認するものです。家族には、簡単なコミュニケーション技法、自宅の安全の確保、基本的日常生活の維持、認知症の人の意味ある活動への関わり、毎日の管理方法が提供されます。その結果、家族は、もっと自信を持ち、混乱が少なくなり、認知症の人の機能が改善し、対応困難な行動が少なくなりました。
こうしたプログラムは薬物療法と同様の非薬物療法の判定基準を満たし、無作為対照試験で有効性が確かめられています。
2009年、1100万人近い家族など無報酬の介護者が、推定、認知症介護に1250億時間を提供し、これは1440億ドル近い経費にあたる介護です。介護者が燃え尽きたり、病気になるということにならないように国は取り組まなければなりません。
認知症の人がナーシングホームに入居すること―避けられないこともありますが―は、高価であり、混乱や興奮が増え、結果的に早くなく亡くなることにもなります。専門家によって評価された研究論文によると、「ニューヨーク大学介護者介入」によって、平均557日だけ入居を遅らせることが示されています。ナーシングホームの介護経費は年、平均6万5000ドルですが、この介入で認知症の人一人当たり10万ドル節減することになります。トマースジェファーソン大学の作業療法プログラムも費用対効果で有用であり、介護者に1日5時間の余裕を提供することになります。
非薬物療法は費用効効果面で有用であり、雑誌Alzheimer's and Dementia の2009年の論文によると、効果的な介護者介入に資金をつかることができなければ財政的に健全でありえません。
アルツハイマー病は、私たちすべてに起こりうる病気です。記憶、自立能力といった私たちにとって貴重なことの多くが奪われてしまいます。今日、おおよそ500万人のアメリカ人がアルツハイマー病です。その数は2050年までに1350人に増加すると推計されています。私たちは、カウンセリング、技術研修、在宅環境介入、研究への支援の増加、証明された方法による家族への支援の重要性を認識すべきです。現在のところ、こうしたことが誰にも最善の希望となっています。
寄稿者の紹介
メアリー・ミッテルマンMary S. Mittelman氏(写真左上):脳加齢向上センターCenter of Excellence for Brain Agingの心理社会研究支援プログラムPsychosocial Research and Support Program の主任で、ニューヨーク大学ランゴン医療センターの精神科研究教授。
ローラ・ギトリンLaura N. Gitlin氏(写真左下):トーマスジェファーソン大学の加齢・健康応用研究センターCenter for Applied Research on Aging and Health (CARAH) の所長で、ジェファーソン医療専門職部Jefferson School of Health Professionsの作業療法科 Department of Occupational Therapyの教授。
The Huffington Post November 23, 2010  Alzheimer's Treatment: How Non-Drug Therapies Can Help
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編者:ここで紹介されている非薬物療法はマニュアル化した心理社会的介入であり人と時間をかければ有効であることは常識的とも思えるが、それが証明したとされるものである。さまざまな心理的社会的介入の方法で認知症の人と家族への対応が可能だろう。

認知症の妻を射殺(11月23日/アメリカ)
今年の11月21日、ロサンジェルスの近くに在るカウンティヴィアラシールビーチCountry Villa Seal Beachのナーシングホームで、88歳の男性が入居中の認知症の妻を射殺して、逮捕されました。て家族はこれを「安楽死」と話しています。
カリフォルニアハイウエーパトロール、郡保安官および地区の警察官がナーシングホームに駆けつけ、86歳のクララ・レイドClara Lairdさんが頭に単発の銃弾を受けて死亡しているのを発見しました。さらに、夫のロイ・チャールス・レイドRoy Charles Lairdさんは、傍の椅子に座って、38口径の拳銃をポケットに入れていました。彼が逮捕された時、警察官をてこずらせることはありませんでした。
二人の娘さんのキャッシー・パルマティアーKathy Palmateerさん(68歳)は、「ほんの1月前、両親の70回目の結婚記念を祝ったばかりです。射殺は父による「安楽死」と信じています。父は、認知症になって衰えた母を入浴させたり食べさせた世話をしていた」と話しています。
ロイさんは、3カ月前にナーシングホームに妻を入居させることを不本意ながら承諾しました。入居後、クララさんは歩けなくなり、車椅子にも座れなくなり、食事も自分でとれず、周囲の人が誰であるかわからなくなったのです。娘さんは「母はどこかに行ってしまいました」と話しています。
検察は今週に公訴を決めることになっています。
Justicenewsflash.com 2010-11-23  Husband Shoots Dementia-Stricken Wife
編者:銃社会アメリカでのすさまじい光景だが、事件の背景に流れるものは日本と同じように思う。

認知症高齢者との性行為の事前同意について判決(11月22日/カナダ)
彼は静かにドアを閉め妻の居るベッドに滑り込み、額に優しくキスをしました。その囁きは、数十年の結婚生活での二人の性行為への前奏でした。しかし、今は事情が異なっています。男性の妻はアルツハイマー病でナーシングホームに居て、夫である彼が誰だかわからなくなっているのです。認知症の女性は性行為に同意ができるのでしょうか。
これについては回答としてカナダ最高裁判所Supreme Court of Canadaの判断が示されることになっています。長い期間パートナーであった人との性行為に法的裏付けのある事前同意が有りうるのかどうかの2,3カ月後に明らかになるでしょう。
倒錯的性行為よりはるかに多くの影響を与えてきた今回の事件は、高齢者を擁護する人たちの間で警鐘となり、また介護者たちも関心を高めています。
トロントにある高齢者擁護センターAdvocacy Centre for the Elderlyの弁護士であるジャン・メッデュJane Meadus氏(写真左上)は次のように述べています。
「今回の事件のように、みなが関心を示すのは無意識になった人との性行為に事前同意が可能かどうかということです。さらに認知症や昏睡状態で同意ができなくなったとき、配偶者がやって来て妻との性行為がOKなのかどうかということです。そして事前同意が妥当かどうかとうことであり、このことは介護を受けている人にとって影響が及ぶでしょう。
オンタリオ州では、介護施設法Long-Term Care Homes Actによって、ナーシングホームなどの介護施設の入居者の安全が確保されなければならないことになっていますが、同時に性行為の権利も含めプライバシーの権利が守らなければならないのです。ナーシングホームで居るアルツハイマー病の妻を訪問する夫は、妻が性行為にいつも同意していると主張するでしょう。夫婦は親密であることの権利も持っています。しかし、記憶を失うような病気では夫ともはや認識できなくなっていることがあります。妻は恐れを抱くかもしれません。事前同意を取り下げるという能力もないでしょう。妻は夫に従ってしているのに過ぎないかもしれないのです、それが幸せであるとは言えるでしょうか。一般的な考えに依拠することが適切と思いますが、最高裁がこうした場合の事前同意による性行為を認めるとなれば納得できないでしょう」
ブリティッシュコロンビア大学University of British Columbiaの法学教授であるイザベル・グラントIsabel Grant氏は、次のように述べています。
「性行為に同意しかねない精神障害者の夫人についてパラドックスの箱を最高裁が開けることに賛成します。進行した認知症の人が、前以てパートナーとの性行為を了承すると言えるでしょうか。法律によって同意を取り扱うってよいのでしょうか。こうした決定によって性的暴行に関してこの10年間に女性が獲得してきた多くの法的な事柄を覆すことになるかもしれません。たとえば妻への夫のレイプはありえないという長く同意されてきた法的主張は1983年の刑法改正で破棄されたのです。認知機能が低下した女性が前以て同意していると主張することが危険な理由のひとつとして、女性が同意したとか、気持ちが変ったといっても、その程度を知る方法がないことがあります。今、この人と性行為を持ちたいですかということが同意ですが、以前、男性との性行為を持ったという事実から、そを示唆することにはなりません。危険な判例になるのではと思います」
高齢者、とくに介護施設で生活する人たちが性行為を持つとう考えは長くタブー視―聞かなければ話さなくてもよい―とされてきました。
カナダのアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Canadaの教育担当主任のメアリー・シュルツMary Schulz氏は次のように述べています。
「性的な親密さも含め親密であることの必要性は、年齢や認知症に関係なく変わりません。私たちが必要とするものすべて―愛、希望、嫌悪、価値―は、認知症の人が愛し、嫌い、必要とし、望み、価値あるものとすることと同じなのです。認知症だからといってこうしたことが必要なくなるわけでありません。こうした必要性を複雑にしているのは、他の行動と同様に性的行動についての告知と決定および決定の結果を理解する能力についてです」
入居者が本当に性行為に同意し、その結果を認識する能力があるかどうかは、多くの介護施設が取り組んできた課題です。
トロントにある高齢者センターのベイクレストBaycrestでは、個人の安全を守ると同時に、社会的情緒的な必要性に応えることができるような雰囲気を創るために介護施設の入居者の性的活動に関しては感受性豊かに取り扱うようにするガイドラインを委員会が作成しています。
ベイクレストのナーシングホーム(定員472人)のソーシャルワーカーであるローレン・コーラLauren Colla氏は次のように述べています。
「親密さはいろいろな方法で示されます。手を握る、キスをする、そして性交渉もそのひとつです。配偶者やパートナーが施設を訪れるとき、多くの場合、ナーシングホームの構造上でプライバシーを保つ場所を確保するのが問題となります。ドアには鍵がかかりません。夫婦がプライバシーを持つのはとても難しいのです。職員は個々の人について性的活動を評価します。認知症の人では異なるレベルでの機能を持っているからですが、ある事柄について同意が出来ないということを意味するわけではありません」
ベイクレストの臨床倫理学者で性行動ガイドライン委員会の委員長であるマルシア・ソコロウスキーMarcia Sokolowski医師(写真左下)は、介護施設に居る人たちは施設外の社会より高い基準を設けるべきではないと主張し、次のように述べています。
「10代の人が性的関係を持っても、このことについてあまり判断をしてきませんでした。高齢者に対して差別がないことを望んでいます。人間を多面的に理解しなければなりません。施設の職員は、認知症の人が示すだろう非言語的行動の合図を用心深く把握しなければなりません。人が自分自身をうまく表現できないと考えるような時点にあると、実行しないことが安全となるでしょう。ナーシングホームなど介護施設での利点の一つは、職員がとても微妙な方法で入居者を知ることにあります」
今回の事件に関わるオンタリオ在住の70歳代後半の男性にとって、最高裁がどのような判決をしようが、それがどのように解釈されようが問題ではありません。5年前アルツハイマー病で妻が亡くなるまでの数カ月、彼はナーシングホームを訪問するたびに妻を抱きしめ、愛撫し、口づけをしていました。彼が誰なのか妻が分からなくなったことを知っていても続けていたのです。衰えた妻と性的関係を持ち続けるということについて考えたことはありません。彼は「レイプしていることになるのかどうか考えはしましたが、妻にレイプはできません」と語っています。
WinnipegFree Press 22/11/2010 Supreme Court ruling on sexual pre-consent could affect seniors with dementia)
編者:カナダのマニトバ州都のウイニベグで発行されている新聞WinnipegFree Pressのサイトの記事の紹介である。認知症の人の性的行動については語られることはあるが、認知症の人と介護者との性行為についての議論は未だ聞いたことがない。この件について最高裁が判断を示すとは我が国では想像できない。

アルツハイマー病はラテン系アメリカ人に重い負担(11月21日/アメリカ)
アーツロ・レイスArturo Reyesさん(写真左)は、休暇のメキシコ旅行について家族が話し合っている時、静かに座っていましたが、突然、会話に割って入りました。娘のアンジリカ・レイエスサービンAngelica Reyes-Servinさん(写真左)は「それはできない。私たちは違法者です。ここを離れると帰ってこられないかもしれない」と父親に話したのを覚えています。それで静かになりました。
30年以上前に、メキシコからアリゾナへ国境を越えてきたレイエス家族は、20年以上、アメリカ市民でした。
アンジリカさんは「その時、父は病気だったのです。父はもとの父ではありませんでした」と話しています。69歳のアーツロさんはアルツハイマー病です。
アルツハイマー病は、ラテン系アメリカ人に重い負担となっています。ペンシルバニア大学University of Pennsylvaniaとカリフォルニア大学サンフランシスコ校UC San Franciscoの調査によると、白人系アメリカ人より7年進行が早い傾向が認められました。
医療や医療保険の利用が限定され、教育や所得も低く、さらに高血圧や糖尿病のためラテン系アメリカ人の間で、アルツハイマー病のリスクが平均より高いと。専門家は述べています。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、この状況を危機が迫っているにもかかわらず認識されていない医療問題とみなし、ラテン系アメリカ人の高齢者の間でアルツハイマー病などの認知症の人が、現在、20万人居るが、2050年までに130万人に増えると予測しています。
シカゴでは、アメリカでは少ないこの種の団体の一つである「ラテン系アメリカ人アルツハイマー病・記憶障害連盟Latino Alzheimer's & Memory Disorders Alliance」を立ち上げたメキシコから移民したコンスタンティナ・ミシスConstantina Mizisさん(写真右上)による取り組みがあります。
母親がメキシコ人で父親がギリシャ人のミシスさんは次のように話しています。
「私は、いつも、伝統も信念が異なる二つの文化の間で生きてきました。このため、記憶障害のあるラテン系アメリカ人に関わる医療専門職になりました。こうした問題に取り組むには感受性が求められます。農村出身のメキシコ人にとってアルツハイマー病は、罪に対する罰だと信じられています。別のメキシコ人は、認知機能障害は加齢の一部ととらえ、助けを求めることはしないで家族が受け入れなければならないものと信じています」
オリーブビューUCLA医療センターOlive View-UCLA Medical Centerの記憶障害外来でコーディネーターをしている臨床心理士のフレディ・オルティスFreddy Ortizさん(写真右下)によると、少しの認知機能の低下は治療の対象―うつ状態、甲状腺障害、薬の副作など―となりえるのです。
薬でアルツハイマー病の経過を変えることはできませんが、短期間、症状を軽減することはできます。またデイケアなどのサービスは介護者のストレスを少なくすることができます。
しかし、ラテン系アメリカ人の家族にとってデイケアは一種の倉庫のようなものと考えられています。ミシスさんは「そこに親を置くようなことをすれば捨てたとみなされる」と話しています。
ルイサ・エチェバリアLuisa Echevarriaさんのキューバ人の母親であるノラさんにとって認知症は、精神障害であり、恥じるべきことなのです。シカゴのユニヴィジョンUnivisionとテレフツラTeleFuturaのテレビネッテワークの地域担当主任のルイサさんは次のように述べています。
「母の居るところではアルツハイマー病や認知症という言葉を使わないようにとても注意しなければなりません。そうしなければ、母は悲鳴をあげて『私はどこも悪くない。おかしいのはあなたよ』と言うのです」
ルイサさんは、両親との昼食の時、母親が、突然、訳のわからないことを話し始め、パニックに陥り怒ったような目つきをしたのを覚えています。その後、母親は夫をつつき始めました。ルイサさんは、母親に医療が必要だと認識しつつ、心が引き裂かれる思いでした。ルイサさんは「他の誰よりも信頼して、どんな用事でも会いに行く人間である母親を疑がいたくありません。母を裏切ったと感じるとても難しい時期です」と話しています。
評価のため病院で居たノラさんは、年齢を答えるとか箱の絵を書くといったことができないことで、冗談を言いながら医師と話していました。「母は自分の障害を隠すのがとても上手でした」と話しています。
現在、ノラさんは、マイアミにある小規模なラテン系アメリカ人向けの介護施設で生活しています。近くに、夫と親族が住んでいます。
ルイサさんは「母はまだ私の母です。アルツハイマー病によって母を異なった現実に置かれていますが、病気が母であることを変えることはありません」と話しています。
シカゴにあるラッシュ大学医療センターRush University Medical Centerの神経心理学科のマリア・モルキンMaria Marquine医師は次のように述べます。
「アルツハイマー病にとって教育は複雑な要因です。多くのラテン系アメリカ人のように充分な教育を受けていない人は記憶テストで点数が低くなる傾向にあり、それを考慮した是正が必要です。テストがスペイン語に訳される時は、言葉も考慮されなければなりません。多くのラテン系アメリカ人には車はcarroであり、別の人にはautoやautomovilです。記憶テストに使われる訳語に馴染みがないので、高齢者の点数は影響を受けることになります」
アルツロさんの家族にとって、2002年にアルツハイマー病と診断された時は新たしい世界への入り口にいるようなものでした。
両親と住んでいる娘のローラさんは「周囲にアルツハイマー病の人は居なくて、病気について何も知りません」と話しています。父親が銀食器を探して全部の引き出しを開けている姿を覚えています。それから工場の責任者から電話がありました。アーツロさんが次に何をしてよいかわからず、工場の真中に立っていたのです。
現在、ローラさんは母親のことを心配しています。母親は夫のために何でもすると言い張っているのです。父親が自分に起きていることを知っているかどうか、母親はよく分かっていないのです。そんなに昔のことではありませんが、母親は父親が忘れたということを知っているかどうか父親に尋ねていました。これは高齢の父親にはとってショックで、「私は知らない。知らない。知らない」と繰り返していたのです。
Los Angeles Times November 21, 2010 Alzheimer's exacts a heavy toll among Latinos
編者:この記事はシカゴトリビューンChicago TribuneからLATに転載されたもの。認知症の人の理解に異文化への理解も不可欠とのことであり、またアメリカでの医療の格差がアルツハイマー病に影響しているらしいとのことであるが、異論も紹介されている。

マサチューセッツ州は認知症の人への抗精神病薬過剰投与の軽減を目指す(11月18日/アメリカ)
マサチューセッツ州のナーシングホームの監督部署と同州のナーシングホーム企業は、本日、認知症の人への抗精神病薬の不適切な使用を減らキャンペーンを始めました。この薬は認知症の人の生命を危険にするもので他の州より多く使われています。
来年、専門家チームは、抗精神病薬の過剰投与を避けるのに成功していたナーシングホームと薬の削減のための援助を必要としているナーシングホームを特定します。ナーシングホームの職員は、認知症の人がよく示す攻撃的行動や対応困難な行動に対してそれを鎮静させるために抗精神病薬を使わないでどのように対応するかについて研修を受けることになっています。
2009年、マサチューセッツ州のナーシングホームの入居者で抗精神病薬を服用していた人の22%が、この薬の適応と診断を受けてはいませんでした。今年初め、ボストングローブBoston Globeが報道したように、同州は全国の抗精神病薬の不適切使用について12番目に多い州でした。
この5年間に2回、連邦政府の監督部署は、抗精神病薬をアルツハイマー病など認知症の人が服用する際の副作用、ときに致命的な副作用があることを全国的な警告を発しています。
専門家によると、職員が少ないことが背景で認知症の人の行動を管理するために薬の過剰投与が生じ、さらに不適切な使用は、代替方法についての研修が欠けていることによると指摘しています。
マサチューセッツ州の430のナーシングホームの業界団体を代表するマサチューセッツシニアーケアMassachusetts Senior Careで指導的立場にあって老年看護師でもあるロウリー・ハーンドンLaurie Herndon氏(写真左上)は「この種の薬についての知識は第1線の職員―看護師―とブラックボックス警告とにギャップがある」と述べています。ブラックボックス警告とは、薬の処方に際して最も重要な注意事項のことです。
さらにハーンドン氏は「このことについて彼らに話すことが避けたいと思っていましたが、これからは教材を提供する」と述べています。
キャンペーンの詳細は、本日、900人ほどが参加すると予測されるウオースターで開催される団体の年次大会で明らかにされるでしょう。
マサチューセッツ州のナーシングホーム監督主任のアリス・ボナーAlice Bonner氏(写真左中)は次のように述べています。
「ボストングローブが今年の初め報じたように、今回の委員会でナーシングホームでの抗精神病薬の過剰使用について研究し、代替方法を取り入れることを指示しました。委員会には、ナーシングホームの医師、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、さらに高齢者の擁護者、研究者、施設の質を監視する州の監査担当者が参加しています」
州の住民保健局Department of Public Healthの医療安全・質部Bureau of Health Care Safety and Qualityの部長でもあるボナー氏はさらに「予算面での問題はあり州が行うこのキャンペーンのための新たな社会資源はありません。しかし、州議員や次年度予算で新たな資金を獲得するようにパトリックPatrick州知事(写真右)と連携します。業界団体は、この企画の資金として非営利団体からの補助金を充てることを考えている」と述べています。
またハーンドン氏「私たちの企画に誰も多くのお金を出すようなことはありませんが、だからといって止めるべきではありません」と述べています。
ボナー氏もまた次のように述べています
「委員会は、いくつかのナーシングホームで導入されている安くてすむ方法について確かめます。その一つは、入居するとき、もっと注意深く調べることです。すなわち、家族から発病する前の認知症の人の性格について詳しい情報を得ることです。これによって職員は、その人にあった介護やアクティヴィティを行うことができます。認知症になる前の人となり、好きな物、家族の話から穏やかにしたり関われることについて相応しい感覚を獲得できます。抗精神病薬の使用頻度が少ないナーシングホームでは、こうしたプログラムがあることを知ることが多いのです。同じ認知症の人を担当することができるように職員に決まった勤務スケジュールを持っているナーシングホームはうまくいっています。こうすることで、職員が認知症の人をよく知り、トラブルを起こす早い時期にその徴候に気付き、どうしようもない状態に陥ることを防ぐように早期介入することができ、結果的に認知症の人の対応困難な行動が減るのです。決まったスケジュールは、ナーシングホームで職員をより長く確保できるという別な効果も生んでいます。これが定着すると、職員の入れ替わりの人件費が高くつくのですが、その経費が少なくて済むことにもなります」
今回のキャンペーンは、ヴァーモント大学医学部University of Vermont College of Medicineの老年精神科医で精神科准教授のスーザン・ウエリーSusan Wehry医師(写真左下)の研究結果に基づくことになるでしょう。最近、ウエリー医師は、ヴァーモントにある4か所のナーシングホームで9カ月にわたる集中的なパイロットプロジェクトを行いましたが、その結果をまとめています。このプロジェクトは、ナーシングホームのすべての職員―清掃係から医師まで―に、音楽やマッサージといった代替方法によって認知症の人の対応困難な行動を管理することに関する研修です。
ヴェリー医師は次のように述べています。
「このプログラムで、どの代替方法が有効であり、有効でないか、またどの方法が取り組むのに値するかを確認するのに役立ちました。プロジェクトの結果を分析していますが、予備的な発見としてナーシングホームの管理者がすべての研修を職員に強制しているある施設では、抗精神病薬の使用が劇的に少なくなりました。プログラムを始める前は認知症の人の3分の1に抗精神病薬が処方されていましたが、終了時点までに一人も処方されなくなりました。職員と入居者との相互関係という面でも、対応する機敏性の面でもとても改善し、かれらは前より幸せそうです。強制的に研修を受けさせていない別のナーシングホームのデータによると、投薬を受けている認知症の人数の変化はありませんでした。そこでは多くのトラブルが続き、ある医師は抗精神病薬から抗不安剤に処方を変えています。私たちが行おうとするすべてのことが負担となるなら、それは別の新たな問題を創ることになります。私たちの目標は、単に抗精神病薬に頼ることを少なくすることではなく、認知症の人の行動がよくなることなのです」
(boston.com November 18, 2010 Mass. aims to cut drug overuse for dementia)
関連情報:ボストングローブの記事”Nursing home drug use puts many at risk Antipsychotics given to some with dementia”(March 8, 2010)
編者:アメリカの医療、介護制度の詳細は知らないが、我が国の特別養護老人ホームよりより医療施設的であるナーシングホームに対して州レベルでのこうした取り組みを始めたことを知った。我が国で、都道府県による介護施設への取り組みはあまり知らない。第3者評価はあるが。

★認知症の人への緩和ケアの現状(11月15日/アメリカ)
インディアナ大学医学部Indiana University School of Medicineの医学老年医学科のアレキシア・トルケAlexia M. Torke准教授(写真)らの研究グループは、アメリカにおいて重度の認知症の人へのホスピスあるいは非ホスピスでの緩和ケアがどのように実施されているか、また障壁はなにかについて調査しました。調査対象は、全国ホスピス緩和ケア協会National Hospice and Palliative Care Organizationのリストに載った施設で240か所のホスピスと186か所の緩和ケアを行う非ホスピスなどで、各施設長への電話とインターネットによる調査を行いました。
その結果、94%のホスピスと72%の緩和ケアを行う非ホスピスで、過去1年間、主たる疾患が認知症である人を少なくとも一人をケアしてことがわかりました。認知症の人への緩和ケアを提供するに際しての最大の障壁は、家族の緩和ケアへの理解と休養ケアとサービスの償還制度が欠落していることでした。これから必要なこととし、家族への情報提供、介護者の負担への支援、認知症の人の症状の管理でした。認知症の人への緩和ケアがよりよく実施できる不可欠な戦略的要は多職種によるチーム、地域の団体との連携、積極的なターミナルケアに替わるサービスでした。さらに研究チームは、認知症の人への緩和ケアの必要性が高いにもかかわらず適切に利用されていない現状があると指摘しています。
この研究論文はアメリカ老年学会雑誌Journal of the American Geriatrics Societyの2010年11月号に掲載されています。
この研究結果についてトルケ医師は次のように述べています。
「一般の人たちや多くの医師は、認知症は緩和ケアやホスピスケアと関係ないとみなしていますが、認知症は終末的な疾患であり緩和ケアの対象として配慮されるべきです。緩和ケアは病気のすべての過程で必要なことであり、それによって病気が介護者や家族全体に及ぼすストレスを少なくし、よりよい生活の質を保ちながら、うまくコミュニケーションできない人たちに必要なことが提供されます。認知症の人への緩和ケアは、痛み、呼吸困難、倦怠感、嘔気、食欲低下、睡眠困難といった症状を軽減することを重要視しています。ホスピスケアは、人生の最期における緩和ケアを提供します。認知症の人の家で提供することも少なくありません。緩和ケアは、看護師、ソーシャルワーカー、医師、牧師などで構成される多職種によるチームで行われ、医療と連携しながら病気の全過程に関わるものであり、死期を早めるものではありません。緩和ケアを実際に受けている人たちより、もっと多くの人たちがこうしたケアを必要としています。」
ホスピスは、人生の最期の数週間あるいは数カ月の間に緩和ケアを提供します。全国ホスピス緩和ケア協会のデータによると、ホスピスの患者のわずか11%が認知症が主たる疾患です。少ない理由として、認知症の人が終末期のどの時期にあるかを決定するのが難しいことがあります。
しかし1995年の調査と比べ緩和ケアを提供している施設が大幅に増加しています。ホスピス以外での緩和ケアを提供している施設は比較的新しく、ホスピスを利用する前の状態にある人たちが対象となっています。
EurekAlert! 15-Nov-2010 Palliative care for patients with dementia more available but still not adequateおよび論文Palliative Care for Patients with Dementia: A National Survey
編者:我が国のホスピスは数が少ないが、もっぱらがん末期を対象としている。認知症というよりアルツハイマー病の末期で経管栄養による延命を望まない場合がホスピスの対象となりうるだろう。アメリカのアルツハイマー病協会は下記の冊子で、アルツハイマー病のターミナルケアとしてホスピスを勧めているが、実際の利用者が少ないとしている。
関連情報:Dementia Care Practice Recommendations for Assisted Living Residences and Nursing Homes Phase 3 End-of-Life Care(pdf8M)

★両親の遠距離介護(11月13日/アメリカ)
ルイジアナ州マンデヴィルMandevilleのエミリー・ワイヒングEmily Weihingさんは、ニューヨーク州クイーズベリーQueensburyに住む息子さんとは1484マイル(約2400キロ)離れて住んでいます。ルイジアナ州からニューヨーク州までの遠距離が問題ではありません。エミリーさんは息子さんと同じ部屋に居たとしても彼女は遠く離れて居るのです。
息子さんのリッチ・ワイヒングRich Weihingさんは、クイーンズベリー合同メソジスト教会Queensbury United Methodist Churchの牧師ですが、認知症の母親と日々、接することからは物理的には離れて、遠くから世話をしている他の成人した子供と同じように母親の病気がいるも影響を受けていると感じています。
彼は、母親を「素敵な南部夫人」と記憶しており、とても話し上手で社交的に品位がありました。エミリーさんは、いつも教会にはフォーマルな服を着て行き、息子のカジャアルな服装を注意することがありました。
60歳代終わり頃、エミリーさんは、毎日3マイル(約5キロ)からから5マイル(約8キロ)走り、健康的な食事をとっていました。ピアノを弾き、讃美歌やテキサス大学A&M大学Texas A&M Universityの応援歌を歌ったり、リッチさんのギターに合わせて歌ったりすることもありました。
エミリーさんは現在71歳でナーシングホームに居ます。リッチさんが訪れる母親はも同じ心を持った人ではありませんが、彼にも子供たちにとっては愛らしい母で祖母です。
リッチさんは、こうした喪失体験に慣れるまでに2,3年の悲しみの過程を得なければなりませんでした。特に彼の二人の子供―6歳と8歳―がどのように祖母のことを受け止めるかに気になっていました。
リッチさんと妻のキムさんは、祖母の頭が正しく働いてはいないにしても祖母には愛と忍耐で接することが必要であると子供たちに語っています。リッチさんは、昔の母親の生活をについて子供たちに話して聞かせ認知症になる前の母親の気立ての優しい人であったことを分かるようにしています。
今年8月、ナーシングホームに居るエミリーさんと孫たちがルイジアナで会うべきかどうか話し合いましたが、孫たちが居た方が祖母のことをよりよく理解できると感じました。
リッチさんは「子供たちには挑戦に対して自分たちでできる最善のことをしながら成長するということを学ぶよい機会となった」と話しています。
2005年、エミリーさんは、ハリケーンカトリーナ地域を襲った後しばらくして、認知症の症状が現れました。リッチさんの父親は、ダラスに住む二人の息子とリッチさんにエミリーさんだんの混乱の症状を観てくれるように頼みました。その頃、エミリーさんは、ブラックベリーには小さい黒いボール、サラダドレッシングをローションと言っていました。
リッチさんは、その冬、エミリーさんが飛行機で出かけるときにキャンセルしたことでがとても興奮して何か間違ったことが起きたことに初めて気付いたのです。
リッチさんは次のように話しています。
「母の頭はとても整理されていますが、そうしたことで混乱するようになったのでしょう。しかし、涙を流すほどの破壊の状況にはなっていませんでした。この頃から彼女の社会的な能力は次第に低下し、仲間と一緒に食べることが難しくなったのです」
さらにその後、エミリーさんが一人で運転しているときにちょっとした事故を起こし、夫は安全について心配になましたりた。その頃、台風のなかエミリーさんが讃美歌を歌うために車で家を出たところ道からはみ出し溝に落ちてしまいました。
リッチさんは、母親が認知症と何時、診断されたのか正確には覚えていませんが、次のように話しています。
「父が母を説得して神経科医に診てもらうことで困っていました。母はどこも悪くないと何時も拒んでいたのです。父は母の運転を止めることを決めました。私が決めることではなく、最終的に父が決めました。父が困った最大のことは、母が父より身体的に強く、他方精神的には子供のような状態になっていることです。母が隣の家―そこの夫人が寝ていましたが―に入ってしまいましたった。この後、鍵をかけてしまいました。また母は父が車を盗んだと思い込み、隣の人が母を連れてカーディーラーのところに連れて行こうとしました」
ドアをロックすることは安心しますが、同時に、母親が鍵を見つけるかどうか、また火事でもあると安全に家から逃げられるだろうかと心配しています。
ミリーさんは何種類かの薬を飲んでいましたが、その効果はいつまで続くのか、また効果がなくなり興奮しやすくなるかもしれません。電球を割って犬の餌と混ぜようとしましたので、リッチさんの父親はハサミやナイフを隠してしまいました。
リッチさんは笑いながら「母は滑稽なことをしていました。たとえば、ピーナツバター、ジャム、チーズ、レタスでサンドイッチを作ったり、コーヒーの滓でクッキーを焼いたりしていました」と話していました。
父親は、財産プランナーですが、仕事中は1日4時間から8時間の資格のある介護する人を雇いました。昔、父親は祖父の世話を母親にさせていたのです。
リッチさんのお兄さんは、母親がジョギングを止めたためか太ってきたことに気付きました。発病して初めの頃、走っている途中に道に迷うこともありました。母親自身が危険な目に合いたくないと思っていることを知りました。また母がいつものように食事をしながら何時止めてよいか聞たりしていたのです。
リッチさんは、3カ月ごとに両親を訪問しようとしていましたが、毎回、母親の状態が一ますます悪くなっていることに気付きました。
彼は、クイーンズベリーから転居して両親の近くに住むべきか、または今のままで必要に応じて助けるようにしたらよいか自問しました。
リッチさんは次のように話しています。
「こうした問題の解決にはとてもストレスが多い。結局のところ、父親が『おまえの人生を無駄するな。私たちの世話をするためにおまえの家族を台無しにするな。私がお母さんをみる』と父が話したて十分納得しました。不安になるより早く決めよかった。母の失禁が徐々に始まり、父は家に居ることがとてもストレスになりました。母はよい一定の環境が必要だとうことを決めました」
父親は3人の息子と話し合い、エミリーさんをナーシングホームに移すべきだということを決めたのです。
さらにリッチさんは次のように話しています。
「牧師として、私はときどき、こうした困難な道を歩く他の人を助けなければならない立場にありますが、両親の状況に関わるときには別なのです。理性的ではないかもしれませんが、それが現実です。他に選択はありません」
リッチさんは、母親がナーシングホームに入ったとき、他のひとと同じような不安をいだきました。母親がナーシングホームに居るということに対して父親が長く罪の意識を持つのではということ気になりました。父親が一人なり誰も居ないため、子供たちが父親に何かが起っても分からないことを心配しました。
リッチさんは、母親に家族の歴史を書き止めるように頼まなかったのを後悔しています。子供らは母親と共有する細々したことを知っていますが、エミリーさんが歴史のすべてを知っており、こうした記憶が消えてしまったのです。
またリッチさんは、母親が居るナーシングホームの介護の質について考えました。しかし指摘するような悪いことは何もなく、彼と父親は職員がしていることに感謝し、訪問したときには贈り物を持ってゆきます。
リッチさんは、1週間に1,2回、父親に電話で話し、2か月に1回、父親の所に行くようにしています。母親の居るナーシングホームではささやかな礼拝でギターを演奏します。
リッチさんは次のように話しています。
「職業人生のなかで、讃美歌や聖書があるいは感覚的なことが通常の話では伝わらない人々に伝わることを知りました。こうした人たちが、それを受け容れられないときに目の輝きや微笑みの変化があります」
最近、リッチさんは、母親を訪ねて、新しい環境によく順応していると確信しました。興奮したり怒ったりはしないようですが、混乱することはあり、夫や息子の名前は覚えていません。
リッチさんは、共に生きることはできると言っており、「母は心穏やかに安全なところで生きています。日々の生活で決められたことはでき、私の記憶にある母を失っってしまったことに悩むようなことはもはやないでしょう」と話しています。
poststar.com November 13, 2010 Son care for his mother with dementia living miles awayより)
編者:リッチさんがベビーブーマーに該当するかどうかわからないが、親の介護と子供の世話との板挟みの世代のようだ。

★94歳の認知症の人が大型冷蔵庫で見つかる(11月13日/アメリカ)
カフィフォレニア州のカラバサスで、捜査官は、認知症の94歳の女性がどのようにして大型冷蔵庫に迷い込んだかを調べています。
シルヴェラドシニアーリヴィングSilverado Senior Living(写真右)の入居しているモリー・フイシャーMollye Fischerさんは入院後、施設に戻り、現在、健康です。
事件は10月28日に起こりましが、その日、職員はフィシャーさんを見つけることができませんでした。翌日、捜索して、施設内の冷蔵庫で発見されました。
シルヴェラSilveradoのマーク・モストウMark Mostow副会長(写真左)は事故の詳細について話ませんでしたが、二人の職員に矯正措置を取ったと語っています。
最近、この施設は注目を浴びています。そのわけは、男性の元職員が話ができない78歳の女性を殴るなど複数の入居者に身体的虐待を行ってことで有罪になったからです。
この高所得者向けのナーシングホームの年間介護費用は7万ドルほどになりますが、入居している人のほとんどは認知症です。カリフォルニア州社会サービス局California Department of Social Servicesはこの事件について調査し、局のスポークスマンは、施設への行政処分は「良好から閉鎖まで」の範囲にあると語っています。
UPI.com  Nov. 13, 2010 94-year-old woman found in freezer
編者:アメリカの介護施設での職員による虐待は未だ少なくないようだ。職員の労働条件や質などに問題あるらしい。それにしても事件あるいは事故が起こった施設は見かけは立派だ。

★労働者の高齢化に伴う認知症の増加への職場での対応(11月12日/アメリカ)
とりわけ初期に変化は些細なことです。高齢の役員が、一つ二つの約束を忘れたり、前の週の会議で聞いたことを思い出せなかったり、あるいは退職近い医師が突然、長いこと診ていた患者の名前を出なくといったことが起こります。
こうした高齢者のもの忘れは、人が年を取るなかで珍しいことではありませn。しかし、仕事上のことで記憶低下が続き、さらに悪化するようになると、これらは、同僚が見逃せないくか軽くは扱えないアルツハイマー病の危険信号かもしれません。
ニューヨークにあるコロンビア大学Columbia Universityの神経学・精神学・疫学のリチャード・メイヨーRichard Mayeux教授(写真左上)は「アルツハイマー病の人は、70秒毎に新たに一人生まれています。アルツハイマー病の人の全体数も人口の高齢化に伴い増えるでしょう」と述べています。
人口が高齢化と経済的な低迷のため、就労している高齢者はますます長く仕事を続けることになり、問題は深刻になるでしょう。アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、アメリカには500万人以上のアルツハイマー病の人がいて、その数は2050年までに4倍になるでしょう。
今年の5月、ピューリサーチセンターPew Research Centerが行った調査によると、61歳以上の被雇用者の35%は不景気のため退職を遅らせると言っており、50歳代のおおよそ60%も同じことになるだろうと心配しています。
○アルツハイマー病の危険な兆候をに気付く
初期のアルツハイマー病の人は、仕事上、どのようなのでしょうか。セントルイスにあるワシントン大学Washington Universityのアルツハイマー病研究センターAlzheimer's disease research centerのジョン・モーリスJohn C. Morris所長(写真左中)は次のように述べています。
「危険な徴候は、仕事によって異なるでしょうが、役員、医師、建設労働者が受ける影響は共通する傾向にあり、仕事をこなす能力が全般的に低下します。以前のようには仕事ができなくなり、こうした知的能力の変化や低下はわずかなものです。そのため最初は同僚がかばい、『彼の兄が亡くなった事態を乗り越えようとしているところだ』とか『新しいコンピュータ―が入ったからだ』とか言うことがあります。しかし、次第に、責任の程度を下げたり、名前だけの役割を持たされたり、あるいは解雇されることになります」
ロサンゼルスのセダーズサイナイ医療センターCedars-Sinai Medical Centerの神経科のパトリック・ライデンPatrick Lyden科長(写真左下)は次のように述べています。
「合理化や責任を減らすということは、ごくありふれたやり方です。創業者がまだ責任者である場合、こうしたことをもっともよく見かけます。短期記憶障害は、アルツハイマー病の特徴的な初期症状です。この記憶障害は、約束を忘れたり、話を繰り返したり、混乱したり、間違った場所に物を置いたり、会話で適切な言葉が出なかったりということが起こります。やがて障害が誰もが無視できなくなるような状態にると診断を受けることになります。記憶障害が名前や電話番号に止まらず、会議、重要な決定、すでに決まったことを繰り返したり、蒸し返すということになってはじめて私のところに受診します」
しかし、記憶障害が唯一の危険徴候ではありません。技術的な事や新しい仕事ができにくくなる、引き込もったり、あまり話さなくなったりといった性格の変化も徴候です。場合よっては、焦燥的になり、興奮しやすくなり、あるいは不適切な行動をとるということも起こります。
こうした徴候は、職場で最も気づきやすいのです。シカゴにあるラッシュ大学アルツハイマー病クリニックRush University Alzheimer's Disease Clinicのアンア・トレインクマンAnna Treinkman登録看護師(写真右上)は。
「家では現れないことが職場では現れるのです」と述べています。
○支援を得る
今年の初め、医学雑誌NEJM(New England Journal of Medicine)に職場でのアルツハイマー病の症状についての論文を発表したメイヨー医師は「アルツハイマー病の記憶障害などの徴候が持続するならば、まず血液検査、脳MRI,心理テストなどで評価を受ける」と述べています。
メリーランド州のベセスダにある国立加齢研究所National Institute on Agingのアルツハイマー病センター計画Alzheimer's Disease Centers programの副主任であるニーナ・シルヴァーバーグNina Silverberg氏(写真右中)は次のように述べています。
「重要なことは、できるだけ早く医療に関わることです。早期診断によって経過がよくなるでしょう。神経科医、神経心理科医あるいはプライマリーケア医などの専門医による評価を受けましょう。早く見つければ、それだけ治療が効果的です。また神経の損傷が少なければ、それだけ、持っている機能を長く働かせることができるでしょう。アルツハイマー病と診断されたら、一つあるいは二つの薬によって進行を遅らせることに役立つでしょう。しかし、現在の薬は、ある人たちに限り短期間効くだけです」
○職場でアルツハイマー病に対応
アルツハイマー病の症状があるらしい同僚がいると、一緒に座って、決めつけないで心配していることを伝えるのが役立ちます。トレインクマン氏は「なにかもの忘れのようなことに気付いてない?」「このことで心配してない?」あるいは「このことを誰かに話した?」などと話してはと提案しています。家族に電話で伝えるのもよいかもしれません。また看護師は「人が自己防衛的になるとしても、仕事を続けながら評価を受けることは最善です。解雇を免れるからです」とも話しています。被雇用者の多くは、短期障害や長期障害と認定されるでしょう。
最近、社会保障庁Social Security Administrationは、65歳未満で発症する認知症である若年期アルツハイマー病と診断された人については、優先的な手当を承認しました。アルツハイマー病のおおよそ10%が若年期発症です。
ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学Mount Sinai School of Medicineのアルツハイマー病研究センターAlzheimer's disease research centerのメアリー・サノMary Sano所長(写真右下)は、職場で認知症が多くなるという正しい関心は能力ある高齢の従業員になんらかの影響を及ぼすのではと心配し、次のように述べています。
「いずらは機能低下する進行性疾患は、多くの職種で維持されている能力についてなんらかの影響を及ぼすかもしれません。退職年齢を上げることによって労働者のなかで発病する危険性が高まることにつながるかもしれません。しかし、問題としなければならないのは、発病がもっぱら高齢の労働者に多いとい生じるかもしれない偏見です」
Health.com関連情報
25 signs and symptoms of Alzheimer's disease
9 foods that may help save your memory
How to age-proof your memory
Alzheimer's disease: Should I take medicines?
Should you get disability insurance?
CNN  November 12, 2010 Aging workforce means dementia on the job could rise
編者:若年期だけでなく高齢期の労働者の認知症と就労と生活支援のバランスをどう取るかが課題となる。

「韓国 介護施設火災10人死亡」(11月12日/ NHK)
韓国南部で高齢者の介護施設が焼ける火事があり、入居していたお年寄り10人が死亡したほか、17人がけがをしました。警察では電気系統のトラブルの可能性もあるとして、原因を詳しく調べています。
12日午前4時すぎ、韓国南部のポハンにある高齢者の介護施設の1階の事務室から火が出ました。火は2階建ての建物のうち、1階の一部分を焼いて、およそ30分後に消し止められましたが、入居していた70代から90代の女性10人が煙を吸うなどして死亡したほか、17人がけがをして病院に運ばれ、手当てを受けています。病院に搬送された女性は「火が出て大騒ぎになり、驚いて外に出た。部屋が煙でいっぱいになり、息ができなかった」と話していました。この施設には認知症などのお年寄り27人が入居していて、火が出た当時、2人の職員がいましたが、多くのお年寄りは自力で逃げることができず避難が遅れたということです。警察では電気系統のトラブルの可能性もあるとして、原因を詳しく調べています。
NHKニュース 2010年11月12日 原文のまま
追加記事1:「高齢者施設で火災、10人死亡=韓国 」(11月11日/時事通信)
【ソウル時事】聯合ニュースによると、12日午前4時20分ごろ、韓国東海岸の浦項市にある2階建ての高齢者療養施設で火災が発生し、10人が死亡、17人が負傷した。
建物の1階の一部を焼いただけで30分で鎮火したが、死傷者の多くが認知症で逃げられず、煙に巻かれた。
(jijicom 2010年11月12日 原文のまま)
追加記事2:「浦項の老人療養施設で火事、患者10人が死亡」(NOVEMBER 13, 2010/東亜日報)
12日午前4時10分ごろ、慶尚北道浦項市南区仁徳洞(キョンサンブクド・ポハンシ・ナムグ・インドクドン)の仁徳老人療養センター(2階建て)で火が出て、キン・ブンランさん(84・女)ら、70~90代の老人10人が死亡する惨事が発生した。また、チョ・ヨンファさん(75・女)ら17人がけがをして、浦項医療院や浦項セミョン基督病院などに運ばれて治療を受けている。
火は1階にある16.5平方メートル(約5坪)規模の事務室の一部を燃やして30分あまりで鎮火されたが、身動きの不自由な老人らは適時に待避できず人命被害が大きかった。
火を初めて発見した夜間安全管理者のチェ・ソンジャさん(63、女)は、「休憩室で寝ていたところ、火が見えて出てみたら、事務室で火が上がっていた」と話した。警察は1階の事務室の天井の部分がひどく焼けていることなどから、電気短絡によって火が出たものとみて、正確な火事の原因を特定している。
○惨酷な火災現場
同日、火事に見舞われた仁徳老人療養センターの建物は、外見はなんともなかった。1階の事務室だけを少し燃やして鎮火された「小規模火事」だったため。しかし、建物の内部は入ったら、壁面と天井が黒く焼けていて、火災当時の緊迫した状況を伝えていた。壁掛け扇風機など、各種什器は熱気で解けていた。
また、つまむことは熱気にとけていた.また焦げた臭いが鼻を突き、老人らが有毒ガスに窒息した可能性が高いと思われた。焦げた天井や壁面のどこにも火災警報器やスプリンクラーなど消防設備は見当たらなかった。
残念なのは老人らが死亡した1号室や2号室から1階の出入り口までの距離が5~10メートルしか離れていないということ。身動きの不自由な重症の患者でなかったら、火が出た時に十分待避できるはずの距離だった。
○重症患者の多い老人施設、不適切な消防設備規定
慶尚北道消防本部によると、この療養センター(延べ面積387平方メートル、約117坪)は身動きの不自由な中風および痴呆症の患者27人がいる療養施設だが、消防法上、火災警報器を設置しなくてもいい所に分類されている。
「消防施設設置の維持および安全管理に関する法律」施行令に老幼者(老人と子ども)施設の場合、延べ面積400平方メートル(約121坪)以上にのみ火災警報器を設置するようになっているため。また、スプリンクラーは延べ面積600平方メートル(約181坪)以上の場所に限って設置が義務付けられている。
現在、慶北地域には老幼者施設1804ヵ所があるが、このうち火災警報器の設置が義務付けられている延べ面積400平方メートル以上は800ヵ所(44.3%)に過ぎない。専門家らは「重症患者を収容する施設に対しては、規模に関係なく、消防設備など安全施設を強化する措置が必要だ」と口を揃えている。
○119通報もきちんと行われず
療養施設の勤務者による最初の火災発見以後、さらに2段階を経て119通報が受け付けられるなど通報が遅れたのも被害が大きくなった原因と推定される。火事が発生したという通報が慶尚北道消防本部に正式に受け付けられたのは同日午前4時24分ごろ。
火を初めて発見した夜間安全管理者のチェ・ソンジャさん(63、女)は、戸惑ったらしく、建物の外へ走っていって、すぐ隣の建物のポスコ技術研究所の警備室へ行って火災通報をしてくれることを要請した。
ポスコ技術研究室の警備室はすぐ119へ通報せず、ポスコ自体消防署に通報した後、ここでまた慶尚北道消防本部に通報するなど、最初の発見者から2段階を経たため、通報の受付がやや遅れた。
警察の関係者は、「正確な火災経緯に対しては精密調査を行うが、独りでは動けない重症の患者がほとんどだったため、火災規模に比べて人命被害が大きかったと見られる」と説明した。
東亜日報日本語版 2010年11月13日 原文のまま
追加記事3:「【社説】高齢者施設の惨事は全国民の問題」(11月13日/朝鮮日報)
慶尚北道浦項市の女性専用の高齢者施設で火災が発生し、入所者27人のうち10人が死亡、17人が負傷した。入所者の大部分は70-90代で、重度の認知症や脳卒中を患っており、素早い行動ができない上、全員が寝ていたときに火災が発生したため、多くの死傷者を出す結果となった。また、非常時に対応し、入所者を避難させるためのシステムも不十分だった。
韓国では昨年末現在、約6万人の高齢者が、2673カ所の高齢者施設で老後の生活を送っている。高齢者施設は、国や地方自治体が建設した一部の施設を除き、ほとんどは民間企業が営利目的で運営している。施設の位置や利用料、事業計画といった事項は、届け出さえすればよいため、誰でも運営することができ、政府による管理・監督の体制も整っていない。
今年、65歳以上の高齢者の人口は535万人に達し、総人口の11.0%を占めた。高齢者の人口は、2018年に707万人、26年には1021万人にまで増加すると予測されている。08年現在の韓国人の平均寿命は80歳だが、健康寿命(日常的に介護を必要とせず、自立した生活ができる生存期間)は71歳だ。約10年間は病気と闘いながら過ごしていかなければならない、ということになる。しかし、子どもが年老いた両親の面倒を見るという時代は終わりを迎えつつある。ソウル市の調査によると、60歳以上のうち、子どもと同居している人の比率は、07年には60%だったが、昨年には40%まで減少した。年老いた両親と離れて暮らす人も79.4%に達した。
現在の中年世代の大部分は、老後には高齢者施設に入り、そこで一生を終えるしかないことになる。今回、浦項の高齢者施設で起こった悲劇は、入所者たちだけの問題ではなく、すべての国民の問題だ。政府はもとより、個人や市民団体なども、高齢者施設がどう運営されているのか、どう運営していくべきなのか、自分の問題として意識しなければならない。
朝鮮日報日本語版 2010年11月13日 原文のまま

認知症カフェがまた一つオープン(11月9日/イギリス)
変わったカフェがイギリス中部のバースレイBarnsley近くあるペニストンPenistoneにオープンしました。
「メモリーレインMemory Laneカフェ」は認知症の人と介護者のためのもので、イギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyによって開設されました。バースレイでは既に同じようなカフェがあります。こうしたカフェは、くつろげる社交的雰囲気を提供し専門家のアドバイスも受けることができます。
アルツハイマー病協会によると、イギリスには75万人ほどの認知症の人がいますが、2025年までに100万人に増えると推計されています。協会の数字によると、認知症の人の3分の2は地域で生活し、介護家族が毎年60億ポンドにあたる介護を国に提供しているようなものです。
アルツハイマー病協会のアン・シモンズAnn Simmonds 氏は次のように述べています。
「バーンスレイには既にカフェが1か所ありますが、地域の医療専門職らと相談してペニストンも同じサービスを提供することにしました。カフェは、認知症の人、介護家族、介護者のためのもので、同じ立場にある人がくつろいだ雰囲気なかで一緒になる機会が得られます。専門的援助を利用を勧める特別な助言もしています。認知症の人あるいは認知症の人を介護している人は誰でも訪れることができます。」
2030年までに南ヨークシャーの65歳以上の5人に1人が認知症になると推測されています。人口の高齢化に伴い、認知症の人は増加すると予測されます。65歳以上70歳未満で100人のうち1人が、70歳以上80歳未満で25人に一人が、80歳以上では6人に一人が認知症です。
シモンズ氏にさらに次のように述べています。
「カフェが提供するサービスは明らかに必要なものです。バーンスレイのカフェは訪問者がとても多くよく運営され、同じ人が何度も訪れています。できればペニストンも同じようであってほしい。毎月、ペニストンの中心部にあるセントジョンズ地域センターで第2月曜に11時から13時30分までカフェがオープンします。認知症の人、あるいは認知症の人を介護している人は歓迎です」
BBC 9 November 2010 Cafe for dementia sufferers opens in Penistone
編者:イギリスにはいろいろなタイプの認知症カフェあるいはアルツハイマーカフェがあり、その数も多いようだ。我が国で認知症カフェを先駆的に始めた藤本クリニックをはじめいくつかあるが、その数は少ない。

アルツハイマー病の初期の徴候を探す(11月8日/アメリカ)
来年の多くのアルツハイマー病研究は、病気の過去にさかのぼって脳の衰退の変化が何時、どのように始めるかを見つけることでしょう。
アルツハイマー病が記憶障害や認知機能低下が現れる以前に脳が変化していることを科学者は知っています。しかし、その詳細を知ることが重要なのです。症状が既に現れているアルツハイマー病の治療を効果的に薬で行おうとしたことが次々、失敗しているからです。薬を使うのが遅すぎることが問題だと科学者は考えています。セントルイスにあるワシントン大学Washington Universityのアルツハイマー病専門家であるジョン・モーリスJohn C. Morris医師(写真左上)は「とても多くの脳細胞が損傷を受け、損傷を受けたばかりの脳を治療しようとしている」と述べています。
脳の特別な生物学的変化や生物指標(バイオマーカ)に合わせて、早期に薬が投与されれば、治療や、予防までもがもっとうまくいくはずなのです。
国立加齢研究所National Institute on Agingの認知症部Dementias of Aging branchのニール・バックホルツNeil Buckholtz医師(写真左中)は「アルツハイマー病の経過のもっと初期に到達しようとしています。病気がどのような過程をえて、それぞれの過程にどのような指標があるかを調べてようとしている」と述べています。
いくつかのの研究プロジェクトが来年、前進すると予測されています。
一つのプロジェクトは、世界で最も多くアルツハイマー病になる家族の関わるものです。コロンビアに住む約5000人の一族です。通常40歳代で発病する確かな突然変異を遺伝する種族です。これらのコロンビア人は普通のアルツハイマー病と同じ過程をたどります。アメリカとコロンビアの合同チームは、アルツハイマー病になると決定づけられているが症状がない30代後半から40代初めの人たちについて予防できるか発症を遅らせることができるかを調べることにしています。治療については別のグループが行い、神経細胞の間に蓄積して斑を形成するに関連した蛋白であるベータアミロイドを対する薬やワクチンで行います。このプロジェクトの代表で、フェニックスのバナーアルツハイマー病研究所Banner Alzheimer’s Instituteのエリック・レイマンEric Reiman所長(写真左下)は次にように述べています。
「750人の突然変異を持つ人も含め2000人近い人について調べるのは、来年か2012年初めに始めるでしょう。それまでの間、今年、脳が変化を始める最も若い年齢を見つけようと、脳画像、脳脊髄液および記憶テストを18歳から26歳までの44家族について行われ、興味深い結果を得ました。突然変異と持った人についてアルツハイマー病に関係したバイオマーカーがあることの証拠があります。脳の機能性MRI(fMRI)がより若い家族―8歳から17歳―に対して行われるでしょう。画像検査によって突然変異を持つ子供がアルツハイマー病のように異常―新しい記憶の関係する海馬の萎縮など―があることが明らかにできれば、症状が現れる数十年前に脳に変化が出始めていると示唆することになります。ベータアミロイドが何時、蓄積し始めるかを調べるためにさらに18歳以上の50人についてアミロイド画像化検査を行うでしょう」
レイマン医師のチームは、別のグループで薬物治療を試みる計画も持っています。異なる稀な特性―アルツハイマー病の原因ではないが発病の危険性を高めるアポE4の対遺伝子―を持つ60歳から80歳代のアメリカ人について試験を行う予定です。
これとば別に、モーリス医師は「優性遺伝性アルツハイマー病ネットワークDominantly Inherited Alzheimer Network(DIAN)」を運営しています。平均年齢46歳で認知症の原因になる突然変異を持つアメリカ、オーストラリア、イギリスの家族について調べています。このDIANには18歳以上の100人が参加していますが、その両親がアルツハイマー病の原因となる突然変異を持ってはいるが症状が未だ現れていない人たちです。計画によると300人ほどが参加します。バイオマーカーの変化は、症状が初めて現れる前、少なくとも10年、あるいは20年前に起こるらしいことが発見されています。
モーリス医師は愚痴のように述べています。
「DIANでは、できれば3年以内に登録者に薬物試験を行う予定ですが、関心があり試験する薬が症状のない健康な人に行う試験に投資する価値があり、かつ危険を伴うことを保障する企業と話し合っています。コロンビアとDIANのプロジェクトは共に企業が関与した初めてのプロジェクトです。アルツハイマー病はとても複雑で薬を組み合わせて複数のバイマーカーを見ながら行う必要があるでしょう」
初期の徴候を見つけようとする別のプロジェクトが「アルツハイマー病神経画像計画Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)」です。これは政府と企業が連携してアメリカとカナダの55か所の機関の科学者が参加しています。約6年間、おおよそ800人について追跡し、海馬に有意な変化を認めています。PETでアルツハイマー病関連の蛋白や脳脊髄液検査のスクリーニングも行ってきました。
ADNIは、軽度認知障害と呼ばれる初期に記憶障害のある人も含め、さらに550人以上が登録することになっています。
NYT November 8, 2010 For Edge on Alzheimer’s, Hunting Its Early Signs
右上写真解説:コロンビアの研究で突然変異を有するとされるアルツハイマー病のCarlos Alberto Villegasさんと妻のBlanca Nelly Betancurさん。
編者:既に行われているANDIとは別にアルツハイマー病の超早期の病変とその発見方法について別の研究が始まっている。その結果がでるのに数年かかり、さらに課題の多い発症前の薬物臨床試験に数年かかるとなれば、研究がうまくいったとしても結果がでるのに10年以上かかるようだ。膨大な経費と長期にわたって参加する人が必要だ。研究の方向性は正しいのか疑問が残るが、行うしかないのだろう。なお、この記事を書いたパム・ベビラックPAM BELLUCK氏(写真右下)はニューヨークタイムズの記者である。最近、NYTはアルツハイマー病をよく取り上げている。

認知症の両親の財産管理(11月5日/アメリカ)
私の祖父はアルツハイマー病になり、心が、初めはゆっくり、その後は急に、消えてゆくにしたがい、自分で安心するように試み、祖父は「大切なことを覚えている」と言いたそうでした。大統領がオバマであることは記憶にありませんでしたが、家族のことは覚えていました。
金銭管理はこれとは別のことでした。病気の初期、小さい停止信号が現れたようでした。彼のフロリダにあるコンドミアムの組合費を支払っていなかったのです。そのうち、ほとんどの財産管理の責任は、私の母か祖母に譲らなければなりませんでした。祖父はとても幸運で小さな間違いから重大な事態になる前に、彼のことを思って介入する人が傍にいたのです。
家族は、財産を管理する新しい役割をどのように実施するか慎重に考えなければなりませんでした。成人の子供にとって役割交代の始まりで、請求に対して支払うといったありふれた役割を行うことになります。この時期は両親の死亡や自分自身の死についても考え始めなければなりません。
認知症の人にとって、自立を失うことは壊滅的なことです。アラバマ大学バーミンガム校University of Alabama at Birminghamの神経心理学者でアルツハイマー病センターAlzheimer’s Disease Centerのダニエル・マーソンDaniel C. Marson所長(写真左1番)は、「認知症の高齢者はますます自尊心を失い、うつ状態になりやすく、非活動的になる」と話しています。このため、財産については慎重に扱わなければならないので、財産の内容が明らかになる前に各人は月に1回調べる必要があるかどうかは別にして、財務担当者が必要ですが、その方法は以下のとおりです。
話し合いをする
あらゆる面で話し合いを進めるなかで、知的能力が低下している人と金銭的なことについて話し合うことは最大の課題です。マーソン医師は「これは家族の行動および高齢者の障害の程度、性格、財産への満足度にかかっている」と話しています
話し合いを始める最善の場所は診察室でしょう。ニューヨークにある自助地域サービスSelfhelp Community Servicesの高齢者情報プログラムSenior Source program の責任者のベッキ・ビジオBecky Bigio氏(写真左2番)は「支え理解してくれる医療専門職のところに行きなさい。会話は何が必要なのかを確しかめることを含めておくことで、それ以上悪くすることはないでしょう」と話しています。
認知症の人にとって必要なことは時とともに変化します。このため財産担当者の役割が進展しなければなりません。経過がゆっくりしていると助かるかもしれません。
オハイオ州のコランバスで財務プラナーをしているトム・ダヴィソンTom Davison氏(写真左3番)は「まず『請求に対して支払うだけ十分なお金を持っていますか』から始め、『払ってよいですね』さらに『今すぐに支払います』と言って関わるのがよい」と話しています。
安全装置を整える
両親の財産については傍に住んでいなくても監視したり目立たない方法で確認しておく方法がいくつかあります。自動的に請求に対して支払う方法を始めるのがわかりしやすいでしょう。請求に対して支払う両親のために、支払いが遅くなっても損をしないような救済方法のあるサービスを利用する方法もあります。
多くの主要銀行は、間違った支払いや不自然な動きを簡単に見抜けるようにする文書―モーゲッジ、ローン、クレジットカードなどに関する―を第3者が受け取れることを認めています。ジョンハンコックJohn HancockやゲンワースGenworthなどの介護保険も、請求の期限が過ぎたり、給付の欠落があるかどうかとの情報を別の人が得ることを保険契約者に認めています。また支払いが遅いことを自動的にメールで知らせる方法を導入するのも簡単でよいでしょう。
法的書類の扱い
正式な法的慮類はしかるべき場所に保管すべきです。永続委任状durable power of attorneyによって、ある人が両親の財産に介入し取り扱うことができます。ほとんどの銀行は、委任の方法については注意しており不正行為や虐待の防止の機会を持っています。
信託という方法で銀行口座を開設して1人または複数の被委託人が決定や管理の権限を与えられます。取り消しが可能な生前信託でも同じで口座や財産は信託者名義となります。
ダヴィソン氏は「信託は同時に二人以上の被委託人がいて、それぞれあるいは一緒に業務をこなすことができます。柔軟性があり個人の特別な状況に応じて文書を書くこともできます」と話しています。
生前信託の財産は、死後、遺言を確認するという作業を省略するという利点があります。
手順を単純化し準備する
財産の管理している人や高齢者が複数の口座より、それを統合することを勧めます。専門家は、手順を計画する際、高齢者が何がきっかけで不安になかを知ることを勧めています。短期記憶障害のあるダヴィソン氏の高齢の叔母にとってメールが不安のきっかけになりました。彼女の帳簿を細かく収支を記録していた元経営者と同じくメールで混乱しました。
そこで、ダヴィソン氏は叔母に毎日メールをフォルダーにしまっておくように助言しました。毎週、週末に彼は訪問してメールを叔母と一緒に読みようにしました。
ダヴィソン氏は「きっかけが何か知り、それを和らげる方法を試していみます。簡単に解決できるとは限りませんが、不安を少なくすることはできます。3か月前役立った方法が今は役立つとは限りません」と話しています。
援助を得る
値打ちのあるものを扱って簡単にだまし取られる時、調べる必要があります。調査できる場がいくつかあります。その一つアメリカ退職者協会American Association of Retired Persons (AARP)は、低所得者向けの金銭管理プログラムを提供しています。また財産を扱う会計士を雇うのも一つの方法です。アメリカデイリーマネーマネージャー協会American Association of Daily Money Managersも利用してもよい団体です。認知症の人を支援した経験を持つ会計士を頼むことができるでしょう。高齢者の特別な要望に応える会社もあります。ウェルスフアーゴ個人銀行Wells Fargo Private Bankは、投資資産が100万ドル以上の条件で、高齢者サービスを提供しています。そのサービスとは、医療面の要求や猫のことから、ベジタリアンや請求額の支払いまで多様なサービスを調整します。他方、詐欺活動がないか口座を詳しく調べることもします。こうしたサービスについてもっと知るようになればよいと期待します。これは富裕層だけのためのもんではありません。
今、計画する
理想的には、健康な時期に、すべての家族が可能性のある事柄について準備すべきです。しかし老年学者で心理学者でもありコンサルタントのキン・ダイチャトワルトKen Dychtwald氏(写真左4番)によれば、家族が応えなければならない三つの質問があります。「財産は誰が管理しているか」「介護に関する個人の好みはなにか」「そのためにどれくらい支払うか」です。
ダイチャトワルト氏は次にように述べています。
「高齢になるについて人が抱く最大の心配は家族への負担です。皮肉なことですが、負担が必要となる前にそれを考えていないことで、負担になるだけでなく、それに伴う経済的、情緒的被害がたびたび生じます」
私の母は、退職する人は誰にとっても金銭に関する話し合いは通過儀式であると信じています。この話し合いは早すぎるということはありません。
寄稿者:タラ・シーゲル・ベルナールTARA SIEGEL BERNARD氏(写真右)は、ニューヨークタイムズ紙の財務レポーターです。
NYT  November 5, 2010  Stepping in for Parent With Alzheimer’s
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編者:社会保障が乏しいアメリカでは個人財産の管理、運営は関心が高いようだ。アメリカの財務、法律に詳しくなく誤訳を避けたつもりだ。

★認知症への広がる取り組み(11月4日/カナダ)
ボブさんが介護施設に居る妻のエレノーさんを訪ねた時は、よく公園のベンチで過ごしたり、車で出かけたりします。ある日、二人は娘さんが住んでいる古い農家を訪ねました。、家族で楽しかった時を思い出しながら午後の一時を過ごしました。
80歳のボブさんは「これが妻への最良の治療だと思います。妻はそれを望んでいるのです。妻は思い出すことができることを話します」と語っています。
75歳のエレノーは、3年前、アルツハイマー病と診断されました。しかし、振り返れば10年ほど前から病気の徴候がありました。エレノーさんのようにアルツハイマー病は遺伝することもあります。彼女の家系には、二人にアルツハイマー病の症状が認められました。多くの疾患で記憶、思考、行動、日常生活機能の障害が現れる認知症のなかで、アルツハイマー病は原因として最も多いのです。
ボブさんの話によると、最初、妻は引き込もりがちで、外交的ではありませんでした。穀物会社に勤めながら、家では4人の子供を育てました。
ボブさんは「私は彼女の友人、知人たちに明らかに分かる前にその症状に気付いた」と話しています。
そのうち、エレノーさんは物忘れが進み、孫の名前などを思い出せなくなりました。診断を受けた頃、徘徊するようになりました。最初は、美容院へ行くと言ってアパートを出ましたが、6時間後、美容院の隣の家の長椅子に座っているところを発見されました。2回目は、二人で息子に会うためトロントに行いったとき、通りの反対側の建築中の家を見ると家から出て、8キロ先で発見されました。
ボブさんは「この時期、私が妻のそばに居なければなりません」と話しています。
その後しばらくして、ボブさんは自分が近くにいないと妻に何が起こるかわからないと心配になり、エレノーさんを年間3万ドルかかるスプルースロッジSpruce Lodgeの個室に移り住みました。ボブさんは自分の家の管理しながら一人で暮らすことになりました。
ボブさんは笑いながら「独身男性のように満足に暮らしています。もちろん、それで幸せとは言えませんが、自分がやらなければならにことをしている」と話しています。
アルツハイマー病などの認知症の診断件数は増え、主な研究機関や支援団体は、常に増加している認知症に関わる要望に応える医療制度の新戦略を全国から地方まですべてレベルの行政機関に要請しています
今年9月国際アルツハイマー病協会かAlzheimer’s Disease Internationalら発表された報告書は、この病気に関わる個人的、経済的、社会的費用が急増することを警告しています。報告書の勧告には、政府がアルツハイマー病を最優先課題とする、国家計画を作成する、資金を増額する、ケアに関わる政策や計画を策定することが含まれています。
「世界アルツハイマー病レポート2010 World Alzheimer Report 2010」によると、全世界の認知症の関わる費用は2010年で6000億ドル、その後増加すると推計されています。
また報告書によると、現在、全世界で認知症の人は3560万人で、2030年には2倍、2050年には3倍以上になると推計されています。
オンタリオ州では、認知症の経済的負担の総額は次の10年間で7億7000万ドル(訳注:カナダドルとアメリカドルのレートはほぼ同じ)以上増えると推測されています。
カナダ・アルツハイマー病協会パース県支部Alzheimer Society of Perth Countyのデビー・デイシェルDebbie Deichert 事務局長(写真)は次のように述べています。
「アルツハイマー病など認知症は、私たちが行動を起こさなければ、医療制度を破壊する力を持っています。支部として、昨年、300件以上の相談を受けました。アルツハイマー病など認知症になる確率は65歳以上ではるかに増えますが、50歳の若さで診断される人もいます。若い人も認知症になることが知られ認知症への認識が高まりました。パース県で、アルツハイマー病など認知症の人は1600人以上いると推計しています。もしこの傾向が続けば、現在の政府の資金では不十分です。現状のままでは今後2年後には要求に応えられなくなるでしょう」
協会の支部の現在の主な目標は、来訪希望者にはすべて1日以内に面会し、待機リストを最小限にすることです。
アルツハイマー病協会パース県支部には9人のスタッフがいますが、管理や資金集めのパートの人も含まれています。 昨年、スタッフは2000件以上の相談と訪問支援を行いました。このほかに定期的な介護家族支援の集い、学習会、教育活動も行いました。
診断を受ける前、ボブさんとエレノーさんは、協会支部から支援を受けようとしました。スタッフは、夫婦のアパートを訪問し、危険の可能性のあることを確認し、病気が進行するなかで最善の方法を助言しました。エリノーさんがスプルースロッジで生活するようになってから、ボブさんは支援グループに参加し、また子供の要望にそって現状のなかでどのようによりよい対応があるのかを知るため精神科的評価も受けました。
ボブさんは次のように述べています。
「当然ですが、私はまだ安定していると思っています。しかし、ときどき、どうかすと、失望の思いを抱くこともあります。妻の病気の原因の一部が自分にないか自問しています」
緊急の課題にもかかわらず、支部への州政府からの助成は過去3年間でわずか2倍以上で年間約48万ドルの予算が68%増額したにすぎません。
デイシェル氏は次のように述べています。
「まだ道半ばです。地域のサービス提供者に資金を助成する南西地域保健連携ネットワークSouth West Local Health Integration Networkのなかで協会が他の団体に近い助成を受けるようになれるかどうかですが、私たちへの助成には感謝しています。予算は資金集めに依存しており、現在の不安定は経済状況では増額は難しい、これまでの寄付者や後援者に依存が強くなっています」
カナダ・アルツハイマー病協会Alzheimer Society of Canadaおよびオンタリオ・アルツハイマー病協会Alzheimer Society of Ontarioによって、最近、発表された二つの似た報告書(訳注:関連情報参照)が続いて公表されました。オンタリオの協会の報告の表題は10 by 20: Ontario action plan for dementiaで、認知症に対するオンタリオ行動計画として2020年までに取るべき10の段階を提案しています。それらは認知症の予防、認知症の人のケアの質の向上などです。報告書によれば、2009年のオンタリオでの調査から93%の人が地域の介護と支援サービスの拡充が必要としています。
デイシェル氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病協会や関連するVON (Victorian Order of Nurses)といった団体、あるいは高齢者在宅戦略Aging at Home Strategyでもっと資金が利用できれば、地域でのよりよいケアが提供され、ひいては、介護施設に入らなければならない人が少なくなるでしょう。サービスや制度をより早く利用することで在宅でよりながく介護できるでしょう」
また報告書は、学際的研究への資金の増額、およびその結果を早く実施することを要請しています。現在の問題の一つは、政府が多くの資金を問題に使うことを差し控えていることです。利用できるはずの薬は、アルツハイマー病など認知症の人のうちわずかしか使っていません。
ボブさんは次のように述べています。
「私たちは大製薬企業が治す責任があるとみています。正しい治療方法のテストを推進することです。認知症が現れるまえに、利用できる低額の治療を知りたいと思っています。できるだけ多くまたあらゆる分野で研究されているかどうか心配です」
政府の活動を期待している人たちへの希望もあります。研究、早期診断、予防、地域ケアといった領域で勧められている対策や、アルツハイマー病など認知症の人について毎年報告しているアルツハイマー病諮問委員会Alzheimer Advisory Councilや地域での戦略を創ることを呼び掛けている議会への個人的な政策案があります。
来年3月、トロントで第26回国際アルツハイマー病協会国際会議26th Conference of Alzheimer’s Disease Internationalが開かれ世界中から指導的な研究者らが集まります。
この地域については、デイシェル氏は次のように述べています。
「昨年、アルツハイマー病協会は州政府のから資金を得ることができました。これは、新たに診断された人への早期介入と早期接触のサービスモデルを支援するものです。協会は、地域でのアルツハイマー病など認知症について啓発を行い、また診断や事後紹介などについて医療専門職へ教育するためのコーディネーターへの資金を獲得しました。しかし、早期診断の課題の一つは、なんらかの精神疾患に対する偏見を克服することです。私は人々が理解していないか恐れを抱いているからだと思います」
ボブさんは次のように述べています。
「妻が診断された後、友人や家族が訪ねることが少なくなり遠のきました。彼女にどう接してよいかわからないので避けたようです。何かよいことはできないかとは思わず、自分を傷つけたくないとの思うのです。それは彼らにとって重い負担なのです。妻が私の顔をわからなくなるかもしれないことについては準備できています。今と同じように、これからの私の思い出をしっかり持ちたいと思います。私たちはいつも活発な二人でした。すばらしい人生でした」
StratfordGazette November 4, 2010 Growing challenges with Alzheimer's and dementiaより)
関連情報
カナダアルツハイマー病協会の報告書:Rising Tide ・The Impact of Dementia on Canadian Society(pdf3.8M)
オンタリオアルツハイマー病協会の報告書:10 by 20: Ontario action plan for dementia(pdf600K)
編者:カナダの一地方から見た認知症問題。カナダの認知症の関わる現状については詳しくは知らない。エレノーさんが高額な有料施設に入居した理由は公的な介護施設が不足しているのか?カナダの一地方のアルツハイマー病協会の支部に職員が9人で、年間予算が48万ドル?!

1950年代の部屋が認知症の人に相応しい(11月3日/イギリス)
ある介護施設では、入居している認知症高齢者の昔のよき時代を思い出すために1950年代の部屋に作り変えてました。
マールボローにあるクームベエンドコートCoombe End Courtは、当時の本物の家具をそろえた「思い出の部屋Reminiscence room」に模様替えをしました。
スー・シンスレイSue Linsley施設長は次のように述べています。
「多くの入居者にとって、子供を育て、自宅で生活していたときのように居間がみえるでしょう。これらの部屋は役割をもっており、単なる展示品ではありません。職員は介護の一部としてこれらを利用しています。この施設はオーダーズオブセントジョンケアトラストOrders of St John Care Trustが運営しており、60人の入居者が居ますが、そのうち3分の1は重度の認知症です」
シンスレー氏は、30年間、認知症介護に携わってきましたが、1950年代の部屋が入居者にその時代の思い出を引き出すのに役立つと信じています。
リンスレー氏はさらに次のように述べています。
「蓄音器、ベークライト製電話など、こうした物について入居者は思い出すことができます。それらは子供を育てた頃の幸せな時代の思い出を呼びさまし、その時代のついての会話が弾みます」
居間を一新するために、介護施設は1950年代の家具の寄贈を求めました。そのなかには、飛ぶカモ、真空掃除機、戦後の乳母車などがありました。
施設の一棟の管理者であるクレール・ウオーターズClaire Waters氏は次のように述べています。
「私たちは乳母車を手に入れ、人形テラピーのための4つの人形の赤ん坊も手に入れました。入居者は赤子を抱くのが好きです。天気がよいと、外に乳母車を持って出て散歩します」
1950年代の事務所には、机、手動タイプライター、スタンド式の帽子掛けがあり、昔の記憶に戻る旅のきっかけになります。
ウオーターズ氏はされに次のように述べます。
「数年前、夜間、ある入居者が混乱し困惑していると薬が与えられました。でも現在は、こうした部屋に連れて行き話しをします。私たちは入居者の生活歴を調べており、1時間以内に、彼らは完全に穏やかになり、幸せな気持ちになります」
リンスレイ氏は次のように述べています。
「私たちは薬を減らすことができるようになりました。このスペースから抗精神病薬は常に使う必要がないことがを明らかです」
BBC 3 November 2010 A 1950s room is helping dementia
編者:イギリスで回想法に基づく施設の改装の試みがあることはわかるが、どの程度、普及しているか不明だ。筆者が1980年代中頃、ロンドンの精神病院を視察した時、医師から回想法について聞いたことがある。

100種類近いアルツハイマー病の薬、開発中(11月1日/アメリカ)
今年の大みそか、シャンパンのコルクがはじけ飛ぶとき、アメリカのベビーブーマーが初めて65歳になります。アメリカの政治や文化を変えてきたこの集団は、新たな重大な変化―アルツハイマー病の人の急増―の先がけとなるでしょう。
アルツハイマー病は加齢に伴う自然な状態ではありませんが、アルツハイマー病と診断される大部分の人は65歳以上です。アメリカの高齢者人口は、今から2050年の間に2倍以上の8850万人になるに伴い、治療法や予防法が見つからないとアルツハイマー病の人の数も2倍以上になるでしょう。
アメリカ研究製薬工業協会Pharmaceutical Research and Manufacturers of America (PhRMA)の会長でCEOのジョン・カステラニJohn Castellani氏(写真左上)は、次のように述べています。
「アルツハイマー病と診断される1350万人という数のアメリカ人は受け入れがたく、その費用はもたないでしょう。既に何百万にアメリカの家庭でアルツハイマー病が危機をもたらしています。予測されるアルツハイマー病の人の増加は、個人的な痛みや悲しみだけでなく、国家的な危機を予告しています」
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、医学的進歩がないとアルツハイマー病の人のケアにかかる費用は2050年までに1兆800億ドルに増加するでしょう。これはアメリカ国防省U.S. Department of Defenseの予算より多いのです。アメリカ国土安全保障省Department of Homeland Securityの今年の予算の25倍近くの額です。
望みは新しい治療にあります。本日PhRMAから発表された報告書「2010 Report Medicines in Development for Alzheimer’s Disease(pdf200K)」によると、アメリカの製薬会社は98種類の認知症治療薬―ほとんどがアルツハイマー病治療薬―の研究をしています。98種類はすべてアメリカ食品医薬品局Food and Drug Administration (FDA)の許可を得て行われているか審査中のものです。アルツハイマー病の新薬の研究開発費用は平均して10億ドル以上でし。
アルツハイマー病の患者擁護団体である「アメリカアゲンストアルツハイマー病USAgainstAlzheimer's」の議長であるジョージ・ヴランデンブルグGeorge Vradenburg氏(写真左下)は次のように述べています。
「アルツハイマー病は私たちの世代および子供たちの世代にとって医療の危機となります。1000万人のアメリカのベビーブーマーがこの病気で死亡するでしょう。メディケアやメディケイドは運動を起こさないと崩壊するでしょう。アルツハイマー病のケアの費用は増加しており、現在から2020年までの累積で2兆ドルというとてつもない額になるでしょう。その後は支えきれないほどの割合で増えるでしょう。民間および公的資源を治癒の研究に投資すれば2020年までにアルツハイマー病を止めることができると研究者は語っています」
これまでは、100年以上前に確認されたこの脳の病気は科学者の解決に向けた研究を通り抜けてきました。今日、大変な努力にもかかわらずFDAが認めた薬は5つだけです。これらの薬はある人に限り一時的に症状を改善するが病気の進行を変えるものでなく、最終的には死に至るのです。
しかし、アルツハイマー病の神秘は以前より早いスピードで明らかにされつつあります。最大の進歩の一つは人の脳で病気の進行を示すバイオマーカ(生体指標)が特定できるようになったことです。
脳にどのように近づき解明するかが難しいためアルツハイマー病の研究は妨害されてきたのです。しかし、この2,3年、PETなどの画像検査技術の進歩によって、アルツハイマー病の理解が大きく進展しました。アルツハイマー病に関係する変化を反映する画像化能力がとても進歩したのです。特に、「アルツハイマー病神経画像計画Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative」から縦断的および横断的なデータを得ることができるようになりました。この計画は2004年に始まり、数年かけて生物製薬会社、非営利団体、大学、国立保健研究所National Institutes of Health(NIH)、FDAの共同で研究が進められています。
さらに、アルツハイマー病の脳のアミロイド斑や神経原線維変化に至る複雑な過程をよりよく理解できるようになり、製薬会社の研究者に新しい標的が提供されています。
ほとんどのアメリカ人は、アメリカの高齢化が社会保障など国の制度に与える影響については知っていますが、アルツハイマー病の人が大幅に増加することに伴う危機についてはほとんど注意を払っていませんでした。これに対してヨーロッパの13カ国は、アルツハイマー病の対する国家計画を持っていたり、取り組んでいます。たとえば、フランスは22億ドルの計画を立てて国中に介護者連携センターを設け、これまでにない研究を行うことを公約しています。
カステラニ会長は「医学改革に対する一般の人たちの認識と関与がアルツハイマー病への戦いの要です」と話しています。新しい発見への希望が科学者や研究者が動かすのです。
ファイザーPfizer, Incのアルツハイマー病研究の事務局長で臨床疾患分野エキスパートでもあるラッヘル・シンドラーRachel J. Schindler医師は次のように述べています。
「すべての病気が重要ですが、アルツハイマー病は特異的で恐ろしい何を持っています。記憶が失われることは人間としてのアイデンティティを失うことです。私はアルツハイマー病を治療するために何か発見すること以上に医学的に有意義なことはないと思っています」
アメリカ研究製薬工業協会Pharmaceutical Research and Manufacturers of America (PhRMA):全国的に先駆的な製薬研究とバイオテクノロジーの会社を代表し、患者がより長く、より健康に、より生産的な生活を送ることができるような医薬品の発明に寄与しています。加盟する会社の新しい治癒に向けた研究を指導しています。会員は、新しい薬の発見と開発のため2009年で推計458億ドルを資をしています。業界全体では2009年にこれまでの最高の653億ドルの研究と投資を記録しました。
Forbes 11/01/20140 Nearly 100 Medicines in Development for Alzheimer's
編者:臨床試験中の薬のなかには画像検査用の試験薬も含まれている。アルツハイマー病薬開発の足踏み状態についてPhRMAは触れていない。

アルツハイマー病初期の財産問題(10月31日/アメリカ)
レニー・パッケルRenee Packelさん(写真左)は郊外で生活を送っていました。夫のアーサーArthurさん(写真左)は弁護士で保険販売もしていました。二人はフィラデルフィア郊外のタウンハウスに住んでいましたが、レニーさんは家と家族の面倒を見ていました。
ある日、すべてが音をたてて崩れてしまいました。
家主協会からの電話で会費を払うように催促されました。レニーさんが驚いたことに、夫が支払いを止めていたのです。夫は債権者への小切手を書くことも止めていたのです。
アーサーさんはアルツハイマー病になり金銭管理を忘れてしまっていたことが判明しました。レニーさんは請求に支払いをしようとし会計士の支援を得ましたが、夫婦二人のお金をほとんど見つけることはできませんでした。「無くなっていました」とレニーさんは話します。
アルツハイマー病の専門家らは、「この夫婦に起こったことはとてもありふれたことだ」と話しています。最近の研究によると、認知症なり始めの最初の症状の一つが、金銭、クレジット、契約と同意などについてよく理解ができなくなることです。この影響を受けるのは家族だけではなく、財務アドバイザーや弁護士も顧客の知的能力が衰えたときに困るのです。
金融取引業規制機構Financial Industry Regulatory Authority(FIRA)は、アメリカで営業する最大の保障会社で非政府団体ですが、最近、個人向け財務サービスの会社やアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationと共同で、記憶障害、論理障害をもった顧客をどう扱うかのガイドラインを決めることにしました。人口の高齢化の伴い以前からあった問題ですが増えているのです。
事は簡単ではありません。
ペンシルバニア大学University of Pennsylvaniaの医学・医療倫理学のジェイソン・カーラウイッシュJason Karlawish准教授(写真右上)は次のように述べています。
「能力ある成人の決定したことは尊重されるべきことは広く認知されています。しかし、ある人は十分に決定能力が持っているというとき、それは何を意味するのでしょうか?法律、心理学、財務に関わる人はこの決定能力の問題に気づいています」
医師らがますます早期にアルツハイマー病と診断するようになったのでこの課題は一層、複雑になりました。新しい脳画像診断技術で認知症になっている徴候を認めた患者は監視しなければなりません。あるいは財務や法的な決定をする能力を制限することになるかもしれません。
財務会社は、顧客が財務や将来計画についての重大な決定をすることができるのかどうか決めなければならないとき不確定な状況に置かれることになります。
FIRAで金融取引や投資に関する教育を担当している上級副社長のジョン・ガノンJohn M. Gannon氏(写真右中)は「医師でさえ、そのことを把握するのは難しい」と話しています。
アラバマ大学バーミンガム校University of Alabama, Birminghamの神経心理学科のダニエル・マーソンDaniel C. Marson医師によると、認知症になり始めると、金銭や財務について混乱しますが、これはもっとも重要でもっとも起こりうる機能の変化なのです。
弁護士にとって、主な疑問は、どの時点で顧客が遺言状などの書類を書く能力が欠如しているかを誰が判定するのかということです。弁護士がそうした顧客に催促して書かせるとその文書に異議が申し立てられるでしょう。
弁護士は、2005年発行のガイドラインを持っています。これには、記憶障害、コミュニケーションの問題、計算能力の問題など能力低下に注意すべき徴候についての記載があります。このガイドラインでは、弁護士に寄付するなど特別な状況での能力に関して法的な必要事項を把握するように指示されています。しかし、アメリカ弁護士協会American Bar Associationの「法律と加齢委員会Commission on Law and Aging」の議長であるチャールス・サバチーノCharles P. Sabatino氏(写真右下)は「多くの疑問が残っています。裁判所は能力の原則や定義についていつも考えあぐねているのです。能力の定義は州によって異なるのです」と話しています。
財務に関する書類を書いたり判断したりする能力が低下している人はとても多いのですが、彼らを保護する人がいないのです。間違った決定をすると悪い結果になります。
レニーさんは、夫の仕事を止めて自宅を弁護士と債権者への支払いのために売らなければならなくなりました。現在、夫婦でフィラデルフィアのベッドルーム一部屋のアパートに住んでいます。75歳のレニーさんは受付係として働き自分と夫を支え、アーサーさんはデイケアセンターに通っています。レニーさんは「全く180度変わってしまいました。夫はとても明るい人でしたが、認知症が悪化するにしたがい、金銭の管理の仕方を忘れたのです。どこにお金が消えたのか分かりません」と話しています。
昨年、フィデリティインベストメンツFidelity Investmentsが、350人の投資アドバイザーについて調べました。アドバイザーは、自分の顧客がアルツハイマー病と疑ったことがあるかかどうか、またその時どうするかについて質問されました。アドバイザーは、その問題について顧客と話すかどうかも聞かれました。
ほとんど―84%―が、アルツハイマー病かアルツハイマー病の症状のある顧客を持ったことがあると答えました。96%は、そうした顧客に対応する準備ができているとは思わなかったと答えています。半数の人は、認知症を問題を取り上げても満足はしてないと答えています。顧客の知的能力について間違ってはいないかとアドバイザーは心配しています。顧客の評価や支援についてどこに紹介してよいか、何をするのがよいのかも知らないのです。
この調査がきっかけとなって、投資アドバイザー、アルツハイマー病協会、金融取引業規制機官庁を含めた会議が行われたことを、フィデリティの取締副社長のダビッド・カンタDavid Canter氏は話しています。
弁護士は、認知症問題の別の側面を知っていますが、明確な解決はないという状況におかれています。
カリフォルニア州パロアルトの弁護士であるロバート・グラントRobert Grant氏はカリフォルニアで起こっていることについて次のように説明しています。
「弁護士の最初の任務は顧客に対応することです。顧客を守るために任務があります。顧客が物事を扱う能力があるかどうかについて家族と話し合うことがあります。しかし、許可なしに顧客の情報を開示することは禁止されています。顧客が認知症のために疑い深く、忘れっぽく、混乱しやすいのですが、顧客は認知症を否定し、弁護士が家族と一緒に自分の行動について話し合うことを希望しないでしょう。正直なところ、多くの例外があります。弁護士は、顧客に能力があると自ら決定しなければなりません。弁護士が顧客が能力がないと決定すると、顧客が書類を書くと言い張る場合、法律によって弁護士が代理できないのです。能力のない顧客の代理を引き受けないことが顧客にとって最善の利益になるかどうかの疑問が生まれます」
弁護士協会が出版した弁護士のためのハンドブックは、アメリカ心理学会American Psychological Associationが書いたものですが、指針を示していいます。しかし、ハンドブックは、遺言書を書く、契約を行う、財産を譲るといった能力が顧客にあるかどうかを決めるのは容易ではないと認めています。
サバチーノ氏は次のように述べています。
「法律はハイかイイエの答えを求めています。しかし、医学的評価は灰色の結果で論理と知的能力においてその強さや弱さを検討します。評価は連続的にとらえ、ハイかイイエの答えを出すことを好みません。弁護士協会のハンドブックが認めているように、顧客を説得して医学的評価を受けさせることは難しいことです。臨床医へ紹介するには、顧客の同意が必要であり、顧客にとっては心理的外傷となるでしょう。弁護士と顧客の関係を乱し、高くつくことにもなることはハンドブックにも述べられています」
マイアミで一人で住んでいた産婦人科のマックス・ゴメスMax Gomez医師は、財務と法的書類について問題を持っていました。彼の息子が気付くまでゴメス医師はすべてを失っていたのです。医師は、近くの総合診療所の所長として勤務していました。息子の名前もマックスですが、CBSニュースの医療関係の記者でニューヨークに住んでいます。
息子のゴメス氏によると、ゴメス医師はもはや診察はしていませんでしたが、診療所は通う場所と仕事を提供していました。ゴメス医師の免許証によって診療所が運営されていたのです。ゴメス医師が5、6か所の診療所の所長で、確認してサインをしていたのか、前に出される書類にただサインをしていたのか、本当のところははっきりしませんでした。
少なくとも、一か所の診療所はゴメス医師のメディケアやメディケイドの承認番号を利用して診療に伴う物やサービスに関わる数百万ドルを詐欺請求していました。これは連邦捜査局FBIから情報です。
息子のゴメス氏に父の分譲アパート共同管理組合から電話があり、料金を支払っていないことがわかりました。ゴメス氏は診療所が支払っていると思われていましたが、止められていたのです。
その後、診療所は閉鎖されましたが、ゴメス医師はそのことがわかっていませんでした。医師が車で診療所に行くと、ドアは閉まっいたので、週末だろうと思い、その日は帰宅しました。
ゴメス氏は、診療所が彼のためにアパートを買い住居を提供していると思っていましたが、ゴメス医師が所有者であることが分かりました。このため診療所が閉鎖されると、診療所もアパートもともに貸付金を取り上げられて、ゴメス医師は二つ貸付金の債務者だったので、銀行が抵当権を行使したのです。
息子のゴメス氏は、この混乱を解決しようとしましたが、父の銀行口座からある女性に引き出されていることを見つけました。父のゴメス医師のサインされた女性宛ての小切手があったのですが、別人の手書きによる小切手でした。
唯一ゴメス医師の社会保障からの給付が残っていましたが、これは銀行口座に振り込まれていたのですが、ゴメス医師は忘れていました。
さらに混乱は大きくなりました。息子のゴメス氏は、銀行から父が5万ドルを借りている通知を受け取ったのです。ゴメス医師が診療所の役員でありローンの個人保証人としてリストに載っていたのです。銀行の人は「代理人に既に話してある」と主張しましたが、息子は「それはひどい。銀行ローンの個人保証人として誰もサインはしていない」と訴えました。ゴメス医師の資産はなくなりました。
ゴメス氏は次のように述べています。
「現在、父はニューヨークの介護付き施設に住んでおり満足しているようです。マイアミでのことはほとんど忘れてしまったようです。これから混乱するでしょう。父は誇り高い男性で、注文を取るより、よく注文していました。悲しい話です。でも、こうしたことが稀ではないのではと心配になります」
New York Times October 30, 2010 Money Woes Can Be Early Clue to Alzheimer’sより)
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編者:日本では認知症高齢者の財産が第3者の詐欺や家族によって取り上げられている状況が注目されているが、成年後見制度や日常生活支援事業だけでは対応しきれない状況もある。軽度あるいは早期の認知症と診断された人が増える中で、病名だけで判断するのではなく、残っている判断尿力をどう評価するのかが課題だ。訴訟社会といわれ法的なネットワークが緻密なはずのアメリカが認知症に関連した財産管理の問題に直面している。どこから手をつけたらよいのだろう。

「「2010年 世界の精神神経薬市場」調査レポートを発刊! -大型製品の特許失効を迎える精神神経薬市場の新たな成長戦略を探る-」(10月29日/ドリームニュース) 
2009年度の日・米・欧3極の精神神経薬の市場規模は約5兆2,432億円。日本では、「ジプレキサ」「セロクエル」「エビリファイ」が大型化している。欧州では、アルツハイマー病治療薬が伸長している。一方、米国では抗うつ薬と抗てんかん薬が後発品に浸食されている。 当資料では、日・米・欧3極の精神神経薬の市場分析と各社の製品展開、開発・販売状況及び今後の戦略をレポートしている。
○概要
精神神経薬の2009年度の市場規模は、日・米・欧3極でおよそ5兆2,432億円となっている。
日本では、抗精神病薬市場で「ジプレキサ」、「セロクエル」、「エビリファイ」が大型化している。また、抗うつ薬もNaSSAの「リフレックス」/「レメロン」や新規SNRIの「サインバルタ」の上市で市場が活況。さらに、アルツハイマー病治療薬市場では2010年2月に「Exelon Patch」、「Razadyne」/「Reminyl」、メマンチン塩酸塩が一斉に承認申請され、独占的地位を得てきた「アリセプト」との競合が注目される。
米国では、抗うつ薬と抗てんかん薬が後発品の浸食で落ち込む一方、抗精神病薬市場は「Seroquel」や「Abilify」が双極性障害におけるうつ症状やうつ病(補助療法)などの適応追加で新規シェアを掘り起こしている。また、アルツハイマー病治療薬市場ではトップ製品の「Aricept」が2010年11月に物質特許を失効する予定。同剤のLCMが売上の維持に結びつくかが焦点となっている。
欧州では、アルツハイマー病治療薬市場が「Exelon Patch」と「Ebixa」/「Axura」の伸長で拡大。また、抗てんかん薬市場では「Vimpat」や「Zebinix」など新薬の上市が進んでいる。さらに、抗パーキンソン病薬市場でも新規MAO-B阻害剤の「Azilect」が成長を牽引している。
当資料では、抗精神病薬の市場および開発動向を日・米・欧3極を中心に調査・分析し、さらに参入各社の製品展開、開発状況、今後の戦略をレポートしている。
TPCマーケットレポート
「2010年 世界の精神神経薬市場」http://www.tpc-osaka.com/detail.php?prod_code=mr0100044
発刊日2010年10月4日 体裁:A4判 162頁 頒価:製本版91,350円(税込)、CD-ROM版10,500円(税込)株式会社総合企画センター大阪 http://www.tpc-osaka.com
ドリームニュース 2010年10月29日 原文のまま

アルツハイマー病の診断に腰椎穿刺は必要か(10月27日/アメリカ)
アルツハイマー病の診断のために脳脊髄液(CSF)検査は、臨床的にどのような場合に行うべきなにでしょうか。
最近の医学関係の論評によると、神経科医はアルツハイマー病の診断を正確にするため、腰椎穿刺を行ってCSFを採取すべきと勧められています。CSF検査は ベータアミロイド1-42(AB1-42)とリン酸化タウ蛋白181 (P-tau 181P)の二つの物質について同時に行われます。「アルツハイマー病神経画像計画Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative (ADNI)」から得られたでーたと統合し、診断を確実なものにしようとするものです。検査の感受性はアルツハイマー病で90%、軽度認知障害で72%、病気のないグループで36%です。これに対して検査の特異性は62%に過ぎません。
CSFのベータアミロイドとタウ蛋白を測定してアルツハイマー病を診断するための商品化された分析方法は10年以上前から行われてきました。アメリカの500万人以上のアルツハイマー病の人と、さらに数百万人と推計されている予備軍がいるにもかかわらず、CSF検査が神経科医によって広く行われているまでにはいたっていません。控えめにみて、アルツハイマー病の日常的な診断のためにCSF検査が推奨されるのですが、その前に二つの疑問を示します。
第1の疑問は、CSF検査は臨床診断の正確さを向上させるということです。現在、アルツハイマー病の診断は、「国立神経伝染性疾患・脳血管障害研究所National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke」と「アルツハイマー病と関連疾患協会Alzheimer's Disease and Related Disorders Association(現:Alzheimer’s Association)」(NINCDS-ADRDA)の基準が標準的に使われ、確定診断は死後の剖検によりますが、生存時の臨床的診断の精度は85% です。臨床的にアルツハイマー病の証拠がある人についてCSF検査が陽性であるからといって正確さが向上するかどうかはっきりしないのです。とはいえCSF検査は早期診断の精度を高めるかもしれません。
第2の疑問は、CSF検査によって提供される情報が診断の正確さを向上させることがほんとうに重要なのかということです。臨床的には、アルツハイマー病に診断のために検査室の検査は早期のアルツハイマー病では確定的ではないこと、クロイツフェルトヤコブ病、前頭側頭型認知症、正常圧水頭症、パーキンソン型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、鬱状態のようにアルツハイマー病に似た症状を呈することがあるために、CSF検査が診断を高めることになるのでしょうか。こうした疾患のなかには、直ちに診断して早期に効果的な治療ができるものがあります。正常圧水頭症ではシャント術、鬱状態では抗鬱剤があります。
臨床的にCSF検査が本当に有効かどうかの議論には、アルツハイマー病の進行を止めたり、遅らせるような病気を実際に変えるか方法があるかどうかにかかっています。しかし、アルツハイマー病を予防する手品のような弾丸もなければ、そもそもそうした弾丸などはないのです。現在の治療は、最善でも、少しばかり一時的に症状を改善するにすぎません。アルツハイマー病を発症すると考えられている軽度認知障害のほとんどの人に、詳しい生活歴を聞き、身体面や神経学的な診察および、適切な期間をおいて行う臨床的追跡が、現実的であり費用効果面でも有効なのです。
認知症になると、金銭面の将来計画を立たり、ターミナルケアの指示をすることができなくなります。アルツハイマー病の診断は進行してからではなく、早期に診断されることで将来のことについてより自ら決めることができるのです。しかし、アルツハイマー病の早期診断によって、確実に忘却に向かっている人が、今、考えなければならないのですが、目下、十分に仕事ができているためにマイナスの心理的影響を受けることになるかもしれません。その結果、早期診断については賛成や反対があり、診断を確証する検査を行うまえに各人に慎重に関わる必要があります。
アルツハイマー病の臨床試験をうまく進めるためには、病気の可能性のある人についてCSFなど検査を行うことは検討すべきで、生物的マーカーを含めたアルツハイマー病の研究の基準を改めることが提案されています。
現在のところ、アルツハイマー病の診断のためにCSFなどのマーカーの検査は、診断が迷っている人、認知症と疑われているがアルツハイマー病らしいと診断されている人、および臨床試験に参加している人に限定されるべきです。
アルツハイマー病を変える治療の可能性が生まれると、アルツハイマー病の早期診断や診断のための検査は、患者や神経科医におおいに受け入れられるでしょう。その時点で、アルツハイマー病のCSF検査などの検査の相対的な利益と不利益―患者の満足と費用も含む―について評価されなければなりません。その他の検査とは、遺伝検査、神経心理検査、MRI、FDG‐PET、アミロイド可視化するBiP検査、SPECTおよびこれらの複数合わせた検査です。こうしたことは遠くないかもしれません。政府管理のclinicaltrials.govでは現在進行中の多くの臨床試験薬を知ることができますが、神経科医は、しばらく、腰椎穿刺の器具を手元に置ておくことでよいでしょう。
寄稿者:アンドリュー・ウイルナーAndrew N. Wilner医師(写真)は、コネチカット州にあるローレンスメモリアル病院Lawrence and Memorial Hospitalの神経科医であり、医学関係のフリーのジャーナリストです。
Medscape October 27, 2010 Alzheimer's CSF Test: Useful or Useless?
編者:やや専門的な寄稿であるが、現在の認知症医療に批判的で妥当な主張と判断し紹介する。

認知症の人に安全で快適な家にするために(10月25日/アメリカ)
「ニューヨーク訪問看護サービスVisiting Nurse Service of New York」の会員の「ケアのパートナー Partners in Care」の専門認知症介護者Professional Dementia Caregiver with」からの以下のような助言をしています。
認知症の人と一緒に生活するとき、家族は安全について考慮しなければなりません。
認知症に優しい環境とは
認知症の進行に伴い次のような鍵となることがらが生じます。
○判断:たとえば、家にある器具の使い方を忘れる
○時間と場所の感覚:たとえば、道で迷う、自宅の場所がわからなくなる
○行動:容易に混乱し、疑い深くなり、恐れる
○身体能力:バランスが難しくなり、歩行器や車椅子に頼るようになる
○感覚:視力、聴力、温度感覚、深部知覚の変化が起こる
ケアのパートナーPartners in Careは、こうした変化が長い期間をかけて起こること、あるいは一度に起こることも知っています。こうした変化には予定表というものがないのです。
あらゆる困難さに家を変えてゆかなければなりません。予定していても認知症の人のニーズは変化するのです。
ケアのパートナーは、認知症に優しい家のための5つのステップを提案しています。
1.家の評価:怪我をさせるような物はないか? 危険性のある空間を確認する。外出は簡単か、台所、ガレージ、地下といった危険な場所に簡単に近づけるか?
2.教えるより適応できるように合わせる:認知症の人に安全について何度も教えるよりは、危険なものを確認し、前以て注意する。
3.単純な活動にする:事故の多く、とくに在宅での介護では、認知症の人が急かされたときによく起こる。活動を単純な作業に分け、成し遂げるために十分な時間をかける。
4.必要なことは支える:在宅では自立、社会活動、意味のある活動を促す。
5.限界を認める:すべても問題を防ぐことはできない。危険な物や動きに常に注意を払い、常識を尊重する。
よりよい活動のための個別的計画を立てる
家を建てるときには注意ぶかい計画や専門的技術が必要です。認知症の人の常に変化するニーズに合わせた家づくりも同じく必要です。
個々人にあった計画を立てることは認知症の人の安全にとても重要です。計画を立てるときに、何かが起こる前に、個々人にどのようなきっかけがあるかを考え、予防につながる環境のあり方を探りましょう。きっかけを知ることで実際に問題が起こる前の予防ができるのです。
認知症の人が、動き回るようならドアに警報機を付けることが解決の一つとなります。独創的な考えで、本棚のように見える壁紙を貼っておくと外に出られるドアの隠すことになるでしょう。個々の認知症の人のニーズを考え弾力的に解決方法を見つける4つの要的要素があります。これはケアのパートナーが、個別的な計画を支援し成功するよに勧めています。
1.整理整頓された環境:間違った誘導につながる物を取り除くこと、背景に聞こえる騒音を少なくする、使わない物は置かないこと。
2.効果的なコミュニケーション:介護者の反応や接し方について言語的、非言語的なものすべてを改めること。
3.作業の単純化:たとえば、認知症の人が歯磨きをするのが困難なとき、認知症の人に模範を示し、水や歯磨きをつけた歯ブラシを用意する。
4.よりよい状態を維持:認知症の人が退屈したり、うつ状態になったり、興奮したりしないように試みること。
物理的環境を超えるものとしての活動
意味があり目的を伴った活動で、認知症の人が家に居るようになります。認知症の人が、家のなかでできる定期的な活動が続けられるようにすべきです。たとえば、食事の準備のためのテーブルの設定、洗濯と手伝いなどです。こうした活動によって認知症の人が常に家族の役立つ一員として自覚することになります。
ケアのパートナーでの私の経験から、脳機能を維持するために認知症に優しい家作りが重要なことと思っています。訪問している方の一人ですが、95歳の一人暮らしの女性は。おびただしい量のナットやボルトを収集し分類していました。その活動には数カ月を要し彼女に楽しみと目的を与えることになりました。
活動の手がかりを得るために個々の生活歴を知っておきましょう。エンドウ豆の豆を取りとうもろこしのさやを取ることは、農場で育ったり、大家族のために食事を用意したことのある女性にとっては心地よく、親しみを覚えます。その人に活動を合わせ、診断は個性を消し去るわけではないことを覚えましょう。活動が、個人にとって意味と目的を伴うものであるかぎり、介護者はナットやボルトの分類やエンドウ豆の豆を取ることが必要かは問題ではありません。
家の安全を維持する
家の安全のためにリストを作ることで必要な家具などを運び込むのに役立ちます。ケアのパートナーが勧める部屋別の指針は以下のとおりです。
台所:廃棄物処理器機の電源は切る。ナイフなどを刃物は隠す。トースターやミキサーなど小型の器機はしまう。電子レンジなどの大型器機のコンセントをはず。ストーブの取っ手を取る。消火器は近くに置く。冷蔵庫は定期的に整理する。
浴室:浴槽の水は49℃以下にする。手すりをつける。すべりやすい個所には滑り止めを置く。ヘアードライアー、カールアイロン、電気カミソリの状態を確認する。浴室のドアの鍵ははずす。薬箱から危険な薬は取り出す。
寝室:電気布団の状態を確認する。寝室と浴室の間には夜間の電灯を置く。
ガレージ:ドリル、斧、のこぎり、つるはしなどは鍵をかけてしまう。芝刈り機、雪かき機などの大型機械に触れないようにする。ペンキや殺虫剤などの危険な化学物質は鍵をかけてしまう。
家のなか:外に出るドアを隠し差し金で差す。小さい敷物やカーペットは取り除くかテープで止める。大きな窓やスライド式のガラス戸にはカラーのステッカーを貼る。玄関、階段などには同じ明るさの灯を付ける。歩行の邪魔になる物は取り除く。拳銃などは取り上げるか使えないようにする。
家の外:グリル用ガスの接続部をはずす。フェンスの出入り口は鍵をかける。車の鍵は見つからないように隠す。
介護者のために
介護者が休養を取ることはとても重要なことを自覚しましょう。介護者自身が休養が必要なことなことを認識していなかったり、認識していても取らないと、介護者も認知症の人も危険な状態に陥るでしょう。介護者の燃え尽きは、見えにくくとても多い危険なことです。滑り止めマットが多く敷かれドアの警報機が多く取り付けられていても、休養とならない介護者は認知症の人のニーズに応えられないことがあるのです。
認知症の人に確実に合わせることによって家族全体の生活を送りやすくなります。助けが必要なとき家族全員が一緒に物事を決定し行動計画の一端を担います。
ケアのパートナーは、認知症の人の自立と介護者のストレスの軽減が目標と認識しています。アルツハイマー病など認知症の人の介護と安全を守ることは慎重に取り上げるべきことです。在宅でできるだけ長く介護することは好まし選択です。詳しくはケアのパートナーwww.partnersincareny.orgをご覧ください。
寄稿者レナタ・ゲルマンRenata Gelman氏(写真):登録看護師、看護学士、およびケアのパートナの臨床分野の管理者です。ケアのパートナーに8147人の在宅医療補助者が勤めニューヨーク地区では最も高く評価されているケア提供団体です。
(HealthNewsDigest.com Oct 25, 2010 Making the Home Safe and Comfortable for Dementia Patients)
編者:寄稿内容は常識的ではあるが参考のために紹介した。

薬物的拘束の禁止に向けた運動(10月25日/イギリス)
認知症の人に拘束のための薬物を使うことを禁止し、認知症の人を病院から退院させるようと45団体からなるこれまでにない連合団体が宣言しました。
イギリス政府が後援して進められている認知症医療の改革の一部として、慈善団体、公的団体、民間企業はなどが認知症の人の生活を改善するため個々の宣言もしました。こうしたなかで保健省Department of Healthといくつかの介護施設グループは、認知症の人を拘束するための抗精神病薬の使用を減らすことを約束しました。
認知症の専門家はこの種の薬を非難しており、研究によると死亡事例が増えています。おおよそ14万4000人の認知症の人に抗精神病薬が使われ、介護施設では認知症の人をおとなしくさせるために使われており、毎年1800人ほどの死亡があると推計されています。保健省は薬の使用について監視することになるでしょう。
「認知症行動連合Dementia Action Alliance」は、一般医医師会Royal College of GPs、精神科医師会Royal College of Psychiatrists、イギリス高齢者協会Age UK、国立医療技術評価機構 NICE、アルツハイマー病研究財団Alzheimer’s Research Trust、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Society、介護施設グループなどで構成されています。
これらの団体に所属する25人―ポール・バーストウPaul Burstow社会サービス大臣(写真左上)も含め―の連名による文書がデイリーテレグラフThe Daily Telegraphに寄せられましたが、緊急行動を要請し「これについては、イギリスにいる75万人の認知症の人と毎年200億ポンドの経費がかかり、直ちに行動しなければならない」と述べています。この宣言を、国民的行動計画の礎とし「目標は、早期に診断を受け、必要な支援を受け、最終的には治癒が可能な将来に置いている」と付け加えています。
イギリスでは認知症の人は15年以内に100万人になり、人口の高齢化に伴い2051年までに170万人になると推計されています。
連合に加盟する団体は認知症の人と介護者に向けて7つの目標を明記しています。これには、認知症の人自身が自分の決定についてもっと関わること、人間として価値があり他人から理解されていると感じること、社会共同体の一員であること、研究が進展していることを知ることなどを含みます。
さらに団体は、個々に宣言を出しており、このなかには、できるだけ長く自分の家で生活できるようにケアを改善する、「認知症介護チャンピオンdementia champions」と導入すること、政策と研究に認知症が最優先となる運動を行うことなどが含まれています。
しかし、もっとも効果があるとみなされているように思える抗精神病薬を減らすこともこうした団体の約束です。昨年の報告書によると、この種の薬が処方されている認知症の人のうち5人に4人は投与されるべきではないのです。5人に1人にとってはなんらかの意義が認められたにすぎません。
アルツハイマー病協会の最高責任者であるルース・サザーランドRuth Sutherland氏(写真左中)は次のように述べています。
「抗精神病薬を使うことは認知症の人にとっては背信行為です。過剰処方を大幅に減らすべきです。現在まで、こうした問題には個別に対処してきましたが、暗闇のなかでジグソーパズルをしているようなものでした。初めて、ばらばらな団体が一緒になって運動することで、死亡、脳血管障害、危険な転倒を防ぐことができるでしょう。介護施設、病院、在宅での何千と人として価値ある人間にとって助けとなるでしょう。認知症は時限爆弾を抱えたようなものです。医療制度や社会制度が崩壊するのを避けようとするなら、その危険を取り除くため私たちはあらゆることをしなければなりません。この大がかりな作業は一つの省庁、一つの医療団体、あるいは一つの慈善団体でできるものではありません」
認知症の本人であるピーター・アシュレイPeter Ashley氏(写真左下)はこの連合を支持し、「認知症という津波が到来しています。人々が目覚め、コーヒの香りを嗅ぐ時です。いずれ、壊れた制度に対して私のように戦う人が多く出るだろう」と述べています。
薬物的拘束を減らすことは、認知症を優先している政府の4つの約束の一つです。そのほかの約束として、早期診断、よりよい入院医療、介護施設の生活の質の改善があります。
社会サービス担当のバーストウ大臣は「認知症の人は医療以上の問題です。私たちの時代の社会的課題の一つです。人口の高齢化に伴い、私たちの社会に与える認知症の影響に対して準備しなければならない」と述べています。
Telegraph.co.uk 25 Oct 2010 'Chemical cosh' will be cut for dementia sufferers
編者:認知症サポーター100万人キャンペーンもよいが、イギリスのこうした運動も有意義だ。それにしても政府と民間団体が共同して運動するというのがよく理解できない。

認知症に立ち向かう(10月23日/マレーシア)
マレーシアの認知症の人の数は10年以内に倍になると推測され、この病気に治療にもっと注目される必要があります。
ダツク・セリ・リョウ・ティオン・ライDatuk Seri Liow Tiong Lai保健大臣は(写真)、10月23日、第13回国際アルツハイマー病協会アジア太平洋地域会議13th Asia-Pacific Regional Conference of Alzheimer’s Disease Internationalの会場で次のように報告しました。
「マレーシアには、現在、6万3000人の認知症の人がいるが、その数は2020年には12万7000人になると推計されています。人口が高齢化しているので、加齢に関係する多くの病気がもっと多くなります。一般の人が認知症の人を早期に受診させ、心理行動上の問題が出現するまで待たないように勧めます。早期診断はとても重要で、記憶障害の原因のなかで治るものを見つけることにもます。さらに早期の教育や認知症の人と家族が将来に向けて準備することができます。
マレーシアには13人の老年科医しかいません。2800万人の人口で560人が必要です。保健省は、もっと多くの老年科医を育て、すべての分野の従事者に公的な教育プログラムの導入し、今年、『認知症マネジメント臨床実施ガイドラインClinical Practice Guidelines on the Management of Dementia』(pdf140K)を作成しました。
早期発見の改善のために、認知機能スクリーニングが全国のプライマリー医療センターで60歳以上の人が利用できるようにしました。
今日、世界中で2430万人の認知症の人がいて、毎年460万人の増加があり、7秒に1人の認知症の人が新たに生まれていると推計されています。認知症の人の多くは途上国に住んでおり、その増加の割合は2001年から2040年の間で100%ですが、インド、中国、南アジア、西太平洋地域では300%と推計されています」
the star October 23, 2010  Wake up to dementia

アルツハイマー病研究の進歩:成果は間違いないが、進捗は遅い(10月22日/アメリカ)
アメリカ食品医薬品局FDAが、アルツハイマー病の新しい治療薬を承認してから10年近くが経ちます。多くの初期段階の研究から多くの成果が約束されつつありますが、アルツハイマー病の進行のように、予防や治療の研究はゆっくりしていると研究者は述べています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校加齢センターCenter on Aging University of California-Los Angelesのゲイリー・スモールGary Small所長(写真左1番)は「課題は多い。病気を変える治療法をまだ持っていない」と述べています。
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、FDAは、記憶障害などアルツハイマー病の認知症状を改善する2種類の薬を承認したにすぎません。病気の進行を止めたり、改善させる治療法はないのです。
同協会によると、問題は、研究への参加者が十分でないこともあり、また臨床試験への資金が十分でないためでもあるのです。がん研究に60億ドルが、心臓疾患に40億ドルが使われているのに対してアルツハイマー病にたった5億ドルです。
多くの専門家が指摘するのは、問題の一部は、可能性のある治療を研究するのに脳のどの機能に焦点を当てればよいかよくわかっていないことです。
アルバートアインシュタイン医科大学Albert Einstein College of Medicineの神経学教授のチャード・リプトンRichard Lipton医師(写真左上2番)は「アルツハイマー病の脳を調べると多くの変化が起きていますが、どの変化が最も早期に最も重要であるか確実なことがわかっていない」と述べています。
ほとんどの研究はアルツハイマー病が進行するにつれて脳に形成されるベータアミロイド斑を標的にしています。
スモール医師は次のように述べています。
「アミロイドを強調しすぎているわけではありませんが、この研究では成果が見えていません。アルツハイマー病の脳に同じく形成されるタウ蛋白も治療研究の重要な鍵になっています。また脳の炎症が病気の引き金である可能性もあります。病気の過程は複雑ですが、研究を進めるために、また事実を知るためにも、同時に唯一のメカニズムに焦点を置いて研究すべきです」
カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部University of California-San Diego School of Medicineのアルツハイマー病共同研究Alzheimer's Disease Cooperative Studyの代表であるポール・アイゼンPaul Aisen医師(写真左上3番)は次のように述べています。
「研究は正しい方向に向いています。身体症状が現れる前に病気を早期に見つけることが、治療の重要な一歩です。まだ治療まには至っていませんが、近いところに居ます。近年、もっと楽観的な展望を持たせる多くの進歩があります」
多くの初期段階の研究から治療が約束されつつあります。神経成長因子や神経細胞を保存し回復させる蛋白の試験などがあります。
神経細胞をコントロールする神経成長因子について研究を行っている神経回復センターCenter for Neural RepairUCSDの所長である神経科学教授のマーク・ツジンスキーMark Tuszynki医師(写真左4番)は次のように述べています。
「脳の細胞死を防ぎ、残った細胞の機能を刺激するようなアルツハイマー病の新しい可能性のある薬について研究しています。細胞死はかなり予防できます。現在までのところ、神経成長因子は動物実験で有効です。現在行っている臨床試験に効果があれば、病気を変える可能性のある治療法として証明されまでに少なくとも5年は掛かりるでしょう」
この間、介護者は病気に対処する別の方法を考えます。
ウイスコンシン州マディソン在住のビル・ホワイト氏は、アルツハイマー病の母親を亡くなるまで10年近く介護し、現在、アルツハイマー病の人の家族の脳を追跡調査する臨床試験に参加していますが、次のように述べています。
「病気の間、母を助けたのは薬ではなく、兄弟姉妹の支援でした。忍耐のセンス、多くの違いをもたらす愛のセンスです」
専門家は画期的な進歩は少ないと述べていますが、ホワイト氏のように、病気について多くのことを知らせる多くの情報を得ようとしています。
さらにホワイト氏は「私は、病気について知識を得るようになり、症状をどのように治療するかについて知るなかからアルツハイマー病の治癒については希望を持っていない」と述べています。
ABCnews  Oct. 22, 2010 Alzheimer's Advances: Promising But Slow-Goingより)
編者:解説的な記事であるが、味踏み状態のアルツハイマー病研究の一端を知る。アルツハイマー病協会が要求するように研究費を増額しても、どのような研究を行うかの方向性が見えてこない。

アルツハイマー病の段階に合わせた個人向けガイド(10月17日/アメリカ)
ウエブサイトCaring.com は、アルツハイマー病の人を介護する家族に、病気の段階に合わせた個人向けの情報提供を始めました。アルツハイマー病は、話し合わなければならない葛藤の多い、消えてしまわない病気です。多くの家族にとって診断を受けるときに葛藤があります。また、症状から病気の段階と治療について知ることがストレスの要因になるとも言われています。
こうしたことに関心を向けて、サイトCaring.comは、初めて介護家族のためアルツハイマー病の個人向け情報提供を始めました。サイト内の"Steps & Stages"では利用者と提供者の相互性のあるガイドがあり、個人向けのニュースレターを提供し、個々の段階にあった助言をします。
Caring.comの共同創設者でで最高責任者であるアンディ・コーエンAndy Cohen氏(写真)は次のように話しています。
「多くの家族は、アルツハイマー病の人が亡くなるまで平均7年の間、病気と闘っていることを知りました。私たちは、こうした家族に助言して、7年間の旅のどこに今居るのか、次に進む段階はどうなのかについて理解をしてもらうようにしています。180家族の経験から、同じ経験している家族の介護に役立てようとするものです」
Seattle Times October 17, 2010 Care guide focuses on stages of Alzheimer's )
編者:Caring.comは北アメリカでよく利用されえいる介護、健康などに関するサイトのようだ。今回は、介護されているアルツハイマー病人の病気の段階を自分で判定できるようになっており、それにあわせたケアの助言が得られる仕組みだ。多くの医師の協力で作られたそうである。英語だけでアルツハイマー病に限定されてはいるが試しに利用してもよいサイドだ。

「韓国:全国ケア労働者大会「ケア労働者の労働権を保証しろ」鍾路普信閣前で全国ケア労働者大会を開催」(10月17日/レイバーネット日本)
活動補助人、療養保護士、介護人、保育教師などのケア労働者が一か所に集まり、劣悪な労働条件の改善と社会サービスの公共性確保を口を揃えて要求した
障害者活動補助権利の会、社会サービス市場化阻止共同対策委員会、全国療養保護士協会、公共労組保育分科、公共労組医療連帯ソウル/大邱/忠北地域支部 看病分会が10月16日午後2時、鍾路普信閣の前で全国ケア労働者大会を開いた。
この日の大会で城北障害者自立生活センターを通じ重症障害者活動補助の仕事 をするペ・ジョンハク活動補助人は「障害者の闘争で障害者活動補助支援事業 が始まって3年半が過ぎたが、予算不足による新規申請禁止、本人負担金値上げ、 障害等級審査によるサービス脱落など、利用者の権利はますます悪くなったが、 これは活動補助人も同じ」と話した。
ペ活動補助人は「この3年半の間、活動補助人の時給は一度も上がらず6000ウォ ンに固定され、働きたくても利用者とうまくつながらない時も多く、結局、生計を維持するには活動補助人の仕事をしながら違った仕事をしなければならない」と劣悪な現実を説明し「それで3月に活動補助人権利の会を作り、これから障害 者当事者と連帯して、利用者の権利と活動補助人の労働権を保証させるために 積極的に闘争する」と強調した。
活動補助人だけでなく、療養保護士、介護人、保育教師など他のケア労働者も 劣悪な労働条件で働いているのは同じだった。
全国療養保護士協会のチョン・グムジャ会長は「老人長期療養保険制度は国家が老人を助けるために作った制度だが、民間営利団体に委任したので市場化され、組織は『受給者1人にいくら』という調子で金で受給者を取り引きしている」とし「地方自治体が直接運営する療養施設を増やすなど、制度の公共性を確保 することで、組織の便法、不法運営を防がなければならない」と要求した。
ソウル大学病院で働くチャ・グムビ介護人は、「介護人は病院で絶対に必要な人だが、週6日、昼夜なく働かなければ生活賃金を稼げず、患者を助けるためによく夜中に目が覚め、免疫力が弱まり、疾病に露出している」とし「だが病院 は派遣業者を通じて介護人を管理しながら何の責任も負わず、昨年新型インフ ルエンザの予防接種の時には介護人が職員ではないという理由で除き、私たち が抗議して予防接種を受けることができた」と糾弾した。
発言の代わりに文を送ってきたある保育教師は「院長が教師に宗教行事への参 加を強要するなど、院長一人に独善的な運営を任せる制度と低い賃金、IPTVの 出演者として暮さなければならない現実では、希望ではなく絶望しかない。これを訴える所もない」と糾弾した。
連帯発言をした進歩新党チョ・スンス代表は「活動補助人、療養保護士、介護 人、保育教師などは韓国社会に絶対必要な労働者で、雇用があっても暮らせる 賃金や人間らしい生活を送れる環境は提供されていない」と指摘し「これは、 労働者個人の問題でなく、韓国社会の問題だからこれを制度的に変えるために 努力しなければならない」と強調した。
大会の参加者は最後に『ケア労働者労働権争奪のための2010年全国ケア労働者 大会』宣言文を朗読した。ケア労働者たちは宣言文で「今日の大会以後、われ われは政府と直接対話する」とし「われわれは人間として、労働者として尊重 され、権利が保証されるまで、共に叫び、また共に行動する」と強調した。
一方、この日の大会では障害者歌グループ・シソンの歌と公共労組保育分科の 風物公演、公共労組医療連帯ソウル地域支部看病分会と社会進歩連帯、全国学 生行進のダンス公演など、多彩な文化イベントが参加者の大きな呼応の中で 繰り広げられた。ホン・クォンホ記者 (記事提携=ビーマイナー)
レイバーネット日本 2010年10月17日 原文のまま

★女性がアルツハイマー病へ戦いを挑む(10月15日/アメリカ)
今日、全国に感じられている地震の揺れはカリフォルニアから始まりました。地球規模ではないが、地殻は裂けてきました。カリフォルニア州のファーストレディのマリア・シュライバーMaria Shriver氏(写真左)は、年次カリフォルニア女性大会California Women’s Conferenceを社会的文化的面で女性の新たな運動を全国的なものとしました。ここに画期的な報告書が公表されました。報告書はアルツハイマー病の増加と女性への不釣り合いな影響に焦点を当てものです。
「シュライバー報告書:女性国民がアルツハイマー病を引き受ける(Shriver Report :A Woman’s Nation Takes on Alzheimer’s)」は、アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationとの共同作業で作成されたものですが、アメリカでは1000万人の女性がアルツハイマー病など認知症に関わされていると報告しています。
アルツハイマー病と診断された500万人上のうち3分の2は女性です。さらに、こうした人の介護家族の60%にあたる670万人が女性です。女性はアメリカの全就業者の半分を占めており、アルツハイマー病が職場、医療制度、家族生活へ状態な影響を与えかつ影響は増大しています。
アルツハイマー病協会は、70秒ごとに一人ずつアルツハイマー病なっていると推計していますが、大きな問題はアルツハイマー病の50%が診断を受けていないのです。
この病気が女性に犠牲を強いていることはよく認識されていません。女性介護者の3分の1はアルツハイマー病の家族を常に介護しています。そのおおよそ半数は1週間に40時間以上の介護を行っています。すなわち就労している介護家族の女性は、生活費を稼いだうえ、さらに介護というフルタイムの仕事を在宅でしているのです。
仕事と生活のバランスに考えると、女性の介護者は不安定な渡り綱の上を歩いているようなものです。就労している介護者の10人中7人は、アルツハイマー病の家族の介護のために、出勤を遅くする、早く退社する、休暇をとるなどして仕事と両立させなければなりません。さらに、シュライバーレポートに回答した女性の46%は、休暇を取りたいが取れないのです。
女性は、燃え尽きや理解のない上司に直面しながら、さらに将来、破たんするかもしれない危険に置かれています。レポートでは、アルツハイマー病の人一人当たりの年間費用は5万6800ドルと推計していますが、このうち65%は家族が負担しています。
現在、このレポートを読んでなおアルツハイマー病が自分の生活や家族に影響することはないと思っている人がいれば、次のことを考えてみてくささい。
アメリカ人の約30%は、家族にアルツハイマー病の人がいます。アメリカ人の50%は、周囲にこの病気の人を知っています。また糖尿病や心臓血管系疾患とアルツハイマー病との危険因子は関連しているという研究もあります。
2050年までに、ベビーブーマー人口の高齢化によって、アルツハイマー病の人は1600万人になり、その半数は65歳以上の女性と推計されています。
アルツハイマー病は死因の第6位で、心臓疾患、がんより下位ですが、7800万人のベビーブーマーが60歳以上になるとアルツハイマー病が速やかに重大な死因となるでしょう。
ほとんどの人は65歳以上になってからアルツハイマー病と診断されますが、注意しなければならない症状はその数年前から現れていることがあります。現在、アルツハイマー病は他の慢性疾患と同じくらい有病率が高いわけではありませんが、ベビーブーマー人口の高齢化とともに、この病気に社会に忍び寄り、不動の地位を確保するでしょう。
シュライバーレポートが推測している状況からヒントをえながら、暗い曇りがちな知らせから明るい解決へと向かってみましょう。
○症状を知る
アルツハイマー病協会はアルツハイマー病の初期の注意すべき10の症状10 Early Warning Signsを挙げています。この病気の治療法は現在のところありませんが、早期診断を受けるかどうかの話合いに加わり家族の将来の介護計画を立てるのにこれは役立つでしょう。
○ストレスを測る
アルツハイマー病協会のサイトで介護者ストレステストCaregiver Stress Testを利用できます。護者がどれくらいのストレスを感じているかを理解するのに役立ちます。この情報は、かかりつけ医と共有すべきものです。ストレスは、高血圧、心疾患などの慢性疾患の危険因子になりうるからです。
○支援を得る
支援グループや他の重要なサービスや情報へリンクされたアルツハイマー病関連のサイトがあります。さらに、Caring.comなどの介護者サイトは役立つ情報を提供しています。事実、Caring.comのサイトは、ステップとステージSteps and Stagesを立ち上げたばかりですが、「長い別れ」としても言われるアルツハイマー病の介護者の旅について役立つ、自分いあった社会資源の利用方法や重要な情報を提供しています。
さらに、アルツハイマー病協会はアルツハイマー病と診断された人に合わせた530万人のアメリカ人に、アルツハイマー病の世界を取り除くための擁護者として運動に参加することを要請しています。
私たちカリフォルニア人がこうした大きな事柄に備え、その病気になった時のための一式の緊急準備を持ち続けながら、誰もが介護計画を共有することは賢明なことです、
アルツハイマー病、他の慢性疾患、あるいはアメリカ人口の高齢化という事実のどれであろうが、介護は人生に避けられないこととして準備することを知りましょう。そして準備することによって、介護で押しつぶされるのではなく、介護で報われることへ変えて行けるという大きな違いがあるのです。
寄稿者シェリー・スネリングSherri Snelling(写真右):Caregiving Clubの創設者で代表であり、全国的にアメリカの6500万人の介護家族の専門家として知られている。
WOWOWOW 10/15/2010 Women Warriors Face Their Next Fight: Alzheimer's Diseaseより)
編者:Shriver Reportは10月19日に公表され、ネットで入手できる。認知症がアメリカでは主に女性にとっての大きな課題として認識されているようだ。我が国では男性介護者が注目されてはいるが、再度、認知症が女性の課題として見直してもよいかもしれない。否、男性、女性、両者共通の課題だ。
アメリカ・アルツハイマー病協会のサイトの介護者ストレステストは簡単だが、さらにストレスになる状態に合わせた解決方法も示唆されており有用だ。

認知症―フィリピンから―(10月13日/フィリッピン)
フィリッピン認知症学会Dementia Society of the Philippines(DSP)の会長のシメオン・マラシガンSIMEON Marasigan医師(写真)は、1980年代、同僚からアルツハイマー病になぜ関心があるのか尋ねられたことを笑いながら思い出しました。
今日、アルツハイマー病は巷で人々が使う言葉となりましたが、誤解も少なくありません。医療専門職の間では、アルツハイマー病だけへの関心でなく、認知症をめぐるさまざまなことにも関心を持っています。先週、ダバオ市で開催されたDSPの年次会議で認知症の社会文化的の側面についての講演がありました。マラシガン医師は二人の神経科医―ジャックリン・ドミンゲスJacqueline Dominguez医師とダーウン・ダシグDarwin Dasig医師―と語り合い、地方の状況について深い理解を得ることができました。
以下の認知症の4つの通説や誤解について述べます。
○ 認知症は、昔はないか、稀だった。
○ 認知症は、物忘れのことで、高齢者の正常な加齢の一部である。
○ 認知症は、予防できない。
○ 認知症は、治せない。
新しい病気なの
ますます多くのフィリッピンの家族がアルツハイマー病の人を介護するようになって病気が新しく増えたのかと尋ねられます。マラシガン医師によると、アルツハイマー病が初めて報告されたのは1906年で、そのずーと前からこの病気はありました。最近、アルツハイマー病が増加したのは高齢者が急速に増えたためで、多くの人がアルツハイマー病を発病するほど長生きしているのです。第2の理由は、報告事例が増加することによりますが、これは医療専門職がアルツハイマー病など認知症について理解し診断することが多いなったことによります。昔は、アルツハイマー病の人は多分、別の病気―たとえば、うつ状態―と診断されていました。一般の人にとって、認知症と診断されラベルを貼られることはさらに悪化して狂気になるかもしれないと受け取られています。マラシガン医師の経験から、1980年代、地方の上流階級でこの病気のうわさが広がることで力のある政治家の狂った姉妹として噂話が急に広がったことがあります。
多分、アルツハイマー病など認知症にまつわる偏見は、この病気による変わった行動から生まれるのでしょう。家族はこうした症状のある親族について隠すのです。また家族は病人自身がアルツハイマー病など認知症についてのかなり否定的な先入観を持っているので病気について話さないようです。
Ulyanin
第2の通説についてですが、Dementiaという言葉はまだ多くのフィリッピン人になじみがありません。フィリッピン人が使うのはulyaninやlimutinといった言葉で、もの忘れを強調した言葉であり、加齢に伴い避けられないという意味の言葉とみなされています。フィリッピン人は、もの忘れについては複雑な思いをもっており、正常とみている半面、家族が変わってしまうと不満を抱くのです。この相反する家族の気持ちは、私たちがulyaninという言葉を使うことに反映され、からかったり激憤したりします。
今日、医学用語のdementiaは中立的であり、一つの疾患ではなく、知的機能や社会的機能が低下し、日常生活機能がかなり障害されている状態を示す用語です。認知症は脳機能に影響して記憶障害だけではありません。思考、判断、コミュニケーション能力といった機能が低下します。
DSPは、フィリッピンで20万人の認知症の人がいると推計しています。最も多いのがアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症で、これらの病気が併発することもあります。
アルツハイマー病とレビー小体型認知症は死後の剖検で脳のある蛋白体を認めることで、最終的な診断がなされます。アルツハイマー病は、記憶障害のほかに論理や性格の変化を伴います。レビー小体型認知症は、アルツハイマー病と同じ症状もありますが、初期には幻視、妄想、亡くなった人と会話するといった症状があります。また筋肉の硬直や震戦といったパーキンソン病に似た症状もあります。
血管性認知症は、脳血管や脳血流の障害によって起こります。脳の一部の血流が阻害されて脳血管障害によって起こります。症状かないか極めて軽い場合には発症を気づかないことさえあります。フィリッピンでは高血圧が多いが治療を受けていないことがあります。このため血管性認知症はとても多いと考えられます。血管性認知症とアルツハイマー病を併発した人は記憶障害にくわえ歩行障害などを認めます。
認知症は、通常、高齢者に多いのですが、若い世代にも起こります。フィリッピンでは51歳のアルツハイマー病の事例が最初ですが、早発性アルツハイマー病と晩発性アルツハイマー病とはそれぞれの特徴があります。
若年期では、認知症の原因によっては回復することがあります。たとえば、アルコール症は一時的に認知症になることがありますが、飲酒を止めると回復するのです。多発性硬化症、髄膜炎、高血圧といった病気と関連して認知症が起こることもあります。
Philippine Daily Inquirer 10/13/2010 Pinoy Kasi Dementiaより)
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★先住民の認知症の危険因子(10月13日/オーストラリア)
西オーストラリア大学医学薬学部University of Western School of Medicine and Pharmacologyの西オーストラリア保健・加齢センターWestern Australian Centre for Health and Ageingのケイト・スミスKate Smith医師らのグループは、世界で最も認知症が多いと言われているオーストラリア先住民Aboriginal Australianの認知症の危険因子について調査しました。
調査対象は、西オーストラリアのキムバレに住む先住民の45歳以上の363人でした。調査項目は、年齢、性別、教育歴、喫煙、煙草ガム、飲酒、頭部外傷、心疾患、高血圧、糖尿病、脳血管障害の既往、てんかん、転倒、移動性、失禁、尿路系障害、視力、聴力ですがキンバレイ先住民認知機能評価Kimberley Indigenous Cognitive Assessmentと専門家による面接および医療記録から情報を得ました。
その結果、認知症の危険因子は、高齢、男性、公的教育歴なし、現在の喫煙、脳血管障害の既往、てんかん、頭部外傷、移動性の低下、失禁、転倒であることを確認しました。
この調査結果から、研究グループは、今回確認されたコントロール可能な危険因子を管理し予防することでオーストラリア先住民の認知症の発症リスクを減らすことができれかもしれないと結論づけています。
この論文はオーストラリア・ニュージーランド精神医学雑誌Australian and New Zealand Journal of Psychiatry 2010年10月号に掲載されました。
ScienceAlert 13 October 2010 Remote Abl. risk dementiaおよび論文Factors associated with dementia in Aboriginal Australiansより)
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栄養不良でアルツハイマー病の人が悪くなる(10月12日/イギリス)
全国ケア提供協会National Association of Care Catering (NACC)は、今週、イギリスで10人にうち1人が栄養不良の危険にあると報告しました。栄養不良状態のため多くの高齢者が介護施設に入居させられおり、イギリス中の高齢者がサービスの運次第のケアに直面しています。この報告は、地域食事週間Community Meals Week(10月11日から17日)の一環として発表されました。NACCとイギリスダイエット協会British Dietetic Associationは、地域での食事サービスを提供する団体への基準として示されている新しい栄養基準Nutrition Standardを政府が守ることを要求しています。
この報告についてイギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは以下の見解を公表しました。
「私たちは、バランスのとれた食事が健康維持にとても重要なことを知っています。 特に、このことは認知症の人に大切なことです。栄養不良は認知症の症状にとても重大な影響を与え、結果的に、早期に入院したり施設入所することになるのです。栄養不良と貧弱なケアは、認知症の人と家族にとって苦痛なだけでなく、既に莫大になった医療や社会サービス制度の不必要な支出をもたらします。人が地域でよい生活を送るために支援することによって財政的な負担を軽減することに役立ち、また生活の質をとても改善します。よい栄養はケアの要です」
Alzheimer's Society 12 October 2010 Malnutrition can cause people with Alzheimer's disease to deteriorate
関連情報SHOCKING NEW REPORT HIGHLIGHTS OLDER PEOPLE ARE AT SERIOUS RISK FROM MALNUTRITION(pdf100K)
編者:在宅の高齢者の栄養状態は我が国でも必ずしもよいとは言えないと思われるが、情報がないようだ。

アルツハイマー病の新しい診断基準を提唱(10月10日/フランスなど)
フランスのパリにあるサルプトリエール病院Salpetriere Hospitalのブルーノ・デュボアBruno Dubois医師(写真左上)ら20人からなる「アルツハイマー病診断の新研究基準の国際作業グループInternational Working Group for New Research Criteria for the Diagnosis of Alzheimer's Disease」は、臨床医はアルツハイマー病やその可能性のある人の診断にバイオマーカーをもっと取り入れるべきだと勧告しています。脳脊髄液のベータアミロイドやタウ蛋白の濃度、あるいはMRIの画像やアミロイドを標的にした物質を使ったPETの画像をアルツハイマー病関連疾患の鑑別診断の一部とすべきとも提唱しています。アメリカのグループの提案よりもっとバイオマーカーが臨床的に重要な役割を担うべきものとした今回の勧告は神経学雑誌Lancet Neurologyの電子版2010年10月9日版に掲載されました。
この作業グループは、アルツハイマー病に関連する状態を6つの診断範疇―定型型typical, 非定形型atypical, 混合型mixed, 前駆症状型prodromal, アルツハイマー病前症状型preclinical Alzheimer's diseaseおよび軽度認知障害mild cognitive impairment―に分けました。これらはアルツハイマー病の診断分類だけでなく、アルツハイマー病の進行に関わる分岐点としても提案されています。
デュボア医師らは、バイオマーカーは、軽度認知障害以外では、多くの場合、これらの状態の診断するに際して臨床医が使ってよいもと推奨し、「アルツハイマー病のバイオマーカーによる信頼性の判定によってアルツハイマー病の概念や診断に大きな変化が生まれました。この病気の臨床症状の特徴や生体での生物学的特徴が診断過程で統合されるからです。試験室と画像からなるバイオマーカーはアルツハイマー病の神経病理的な所見とわめてよく関連している」と指摘しています。
同じ雑誌の論説で、ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学University of Southern Californiaのロン・チュナイダ-Lon S. Schneider医師(写真左下)は、バイオマーカーは日常的な臨床ではまだ使えないと異議を唱えています。さらに同医師は「この診断基準に関してバイオマーカーの重要性を認めるとしても、またいくつかのバイオマーカーがアルツハイマー病の神経病理学的変化、症状、進行度と相関しているとしても、今回の基準は妥当ではない」と反論しています。
シュナイダー医師は、バイオマーカーを臨床試験で使われるのはよいとしても、日常臨床での実際的な有用性には疑問があると述べ、「臨床医が腰椎穿刺や脳画像検査について行うかどうか検討する前に認知機能の評価を行うでしょう。症状がなかったり、明らかな臨床所見がない人に腰椎穿刺を行いたくはないはずです。こうした診断基準が概念的な興味を引くとしても、実際面で診断基準が臨床面や研究面で効果的に機能するかどうか確立される必要がある」と結論づけています。
国際作業グループの提案は、今年7月にアメリカの国立加齢研究所National Institute on Aging (NIA)とアメリカ・アルツハイマー病協会U.S. Alzheimer's Association (USAA)からなる作業グループのガイドラインを越えています。アメリカのグループのガイドラインでは3つの範疇に分け、完璧なアルツハイマー病full-blown Alzheimer's disease、軽度認知障害mild cognitive impairment、およびアルツハイマー病臨床前状態preclinical Alzheimer stateとに分けています。このガイドラインは、脳画像検査や脳脊髄液検査のバイオマーカーは臨床診断に使われるとしても、正確さを改善するためのもんとしています。これに対してデュボアらのグループはこれらの検査が不可欠なものであると提案しているのです。
アルツハイマー病の6つの範疇に分けています。
○定形型アルツハイマー病Typical Alzheimer's disease
一般的な実行機能、集中、言葉想起の異常を伴うエピソ-ド記憶が進行性に悪化する状態
○非定形型アルツハイマー病
剖検で確かめられたアルツハイマー病で定形型とは異なるよく知られた症状がある状態。これには、非健忘性限局性皮質症候群non-amnestic focal cortical syndromes―原発性進行性非流暢失語症primary progressive nonfluent aphasia、喚語困難性失語症logopenic aphasia、後頭皮質性萎縮posterior cortical atrophy、前頭異形性アルツハイマー病frontal variant Alzheimer―を含む。
○混合型Mixed disease
脳血管障害やレビー小体などその他の原因による認知症と合併する定形型または非定形型アルツハイマー病。
○前駆症状型アルツハイマー病Prodromal disease
初期から海馬によるエピソード記憶障害であるが認知症とは診断できない状態でアルツハイマー病に関連したバイオマーカーが陽性である状態
○臨床前非症状性アルツハイマー病Preclinical-asymptomatic disease
臨床的には正常であるがアルツハイマー病に関連したバイオマーカーが陽性の状態
○軽度認知障害Mild cognitive impairment
認知機能の変化を含むがアルツハイマー病前駆症状に似てるかもしれないし、似てないかもしれないが、バイオマーカーが陰性の状態
腰椎穿刺や高額でハイテクの画像検査を認知機能の障害のあるすべての人に行えるものではなく、医療保険上の承認や還付が認められない場合であることを作業グループは認識しています。また提唱は臨床研究の場で速やかに実施されるべきであるとしています。さらに臨床医ができるだけ速やかに実施できるようにすべきと指摘しています。こうした範疇を提唱した目的の一つとして、バイオマーカーの利用が向上し近い将来に承認されて発展する分野として明確な見通しを臨床医に示すことにもあるとしています。
またデュボア医師らは「アルツハイマー病の研究と臨床面があまりにかけ離れることがないようにする必要がある」とも述べています。
しかし、シュナイダー医師は、脳脊髄液や脳画像のバイオマーカーが日常的な行為としてどの程度、臨床的に利用できるのか、費用と患者の受諾面から疑問視しています。
デュボア医師らも、こうした研究が暫定的であり、提案は改定され、科学進歩により新しいものになると指摘しています。
なお、デュボア医師らが提唱する診断基準にはアポ蛋白Eの遺伝子の役割は含まれていません。
medpage Today  October 10, 2010 Panel Calls for Biomarkers in Routine Clinical AD Diagnosisおよび論文論文Revising the definition of Alzheimer's disease: a new lexiconより)
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編者:編者には新しく提唱されたアルツハイマー病の診断基準の意義がよく理解できない。アルツハイマー病を早期に把握する必要があるとする薬の臨床試験サイドからの要請に応じたものかもしれない。
関連情報:ピーターホワイトハウス医師の反論(10月12日)
アルツハイマー病の新しい診断基準とアルツハイマー病薬の支払いについてイギリスNICEの勧告、この二つの発表について考えてみてください。診断基準についての新しい論文はランセットに載っており、アメリカで提案されたガイドラインを補完するものです。しかし、それは誰にためのガイドラインなのでしょうか。この問題について、ジョンホプキンス大学の前学部長でアルツハイマー病ガイドライングループの議長でもあるガイ・マッケーンと私が議論したとき、彼はガイドラインの草案は臨床分野か研究分野かのどちらに意図されたものか混乱していると見解を示しました。現在、彼は研究のためだけのものであると述べていますが、臨床面にもおおいに影響すると私はみています。MCIガイドライングループの議長であるマリリーン・アルバートは、勤務先の国立保健研究所で前認知症状態とラベルを貼るために使う用語は人間にとって大きな課題であると驚きを表明した私はその報告会にガイと一緒に参加しました。しかし、言葉は、政治的力の分布や個人的な災難に関連しています。このことは、ますます混乱しているアルツハイマー病領域で鍵となります。このブログで私がもともと苦言を呈していたことは、私からみてもガイドラインは実地面でもなんら価値がないということです。複数の適切なバイオマーカーの意義に関する研究や関連する治療経験はありません。また、提案されている検査は高価であり、さらに情報を提供することもほとんどなく、ますます臨床面での混乱が増すことになるでしょう。私の幾人かの専門家の友人はこれに同意しており、ガイドラインを発表することで欲求不満なバイオマーカー分野とアメリカ・アルツハイマー病協会から圧力が生じていると彼らは話しています。画像専門家はさらなる研究のためにもっとお金が欲しいのです。アルツハイマー病協会はもっと注目を集めてワシントンからのお金を増やすために進歩しているという雰囲気づくりをしているのです。アルツハイマー病薬のために支払われるかどうか、また何時支払われるのかというイギリスの課題が、予定している2週間のイギリス旅行のテーマになるでしょう。
(The myth of Alzheimers blog October 12, 2010  Guidelines for whom; costs and benefits to whom)
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アルツハイマー病薬の制限撤廃へ(10月6日/イギリス)
初期アルツハイマー病の数十万人の人はイギリスとウエールズでの提案されるガイドラインの変更によって薬を使えるようになるでしょう。
イギリス国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence: NICE)は、軽度のアルツハイマー病の症状に対して薬が使える証拠を提示しています。ガイドラインの草案により、国民保健サービスNHSの医師が、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン、リバスチグミンの処方制限が撤回されるでしょう。
薬の使用制限撤廃の運動を進めてきた人たちには決定の提示は画期的な日にあるでしょう。
イギリスには46万5000人ほどのアルツハイマー病の人がいます。人口の高齢化に伴い増加すると予測されています。NHSの薬の使用条件については、この10年ほどの間の議論の的でした。薬が症状を軽減し生活の質の高めるという証拠がありながら、どのようなアルツハイマー病の人に、またどの程度の期間、薬がどの程度の改善をもたらすか必ずしも正確に明らかにされてはいませんでした。
2005年、薬を監視しているNICEは、NHSでこの薬を誰もが使用すべきではないと決めましたが、その1年後、中程度のアルツハイマー病の人は薬を使えるようになりました。しかし、軽度のアルツハイマー病の人は使えなかったのです。
NHSで使える薬が金銭的にどの程度の価値があるのかを計算するNICEの秘密の数式は、その後、イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyと製薬会社によって裁判活動の対象となりました。この件は貴族院でも取り上げられ、その後、NICEは数式を開示することを命じられ、技術的に不正確な数式であると認められ修正されましたが、その結果は同じものでした。
新しい評価は、軽度のアルツハイマー病の人が薬を使えることを目的としており、初期アルツハイマー病の人―記憶障害があり混乱はあるが、日常活動では介護者に依存してはいない人―を対象としています。
第4の薬であるメマンチンについては最初からもっと進行したアルツハイマー病の人に使えることも提案されています。
NICEの最高責任者のアンドリュ・ディロンAndrew Dillon卿(写真左上)は次のように述べています。
「これらの三つの薬の有効性を示すために臨床試験が続けられてきました。これらの薬が軽度から中程度のアルツハイマー病の人が使うことに関する利益・費用についての私たちの自信は増しており、その結果、軽度アルツハイマー病の人が使うるように前向きな勧告をすることができました。」
なお、スコットランドでもNICEの同じ方針になるでしょう。
アルツハイマー病協会の臨時最高責任者であるルース・スザーランドRuth Sutherland氏(写真左中)は、次のように述べています。
「これは画期的な日となります。毎年、この病気を発症する6万2000人のおおよそ半分の人たちはこの薬による恩恵を受けることになります。毎日、一人当たり約2.80ポンド(1£=131円)の掛かる薬は、奇跡的な治癒をもたらすものではありませんが、人々の生活に重大な違いをもたらしてきました。コーヒ一杯の値段で、自分の家族を認識できるのか、孫と遊べるのかとの違いがあります。今回の決定草案を実現することとアルツハイマー病のすべての人が利益を受ける機会が与えられることが重要です」
アルツハイマー病協会の研究部長のクリーブ・バラードClive Ballard教授(写真左下)は
「このガイドラインが提出されるなら医師はもはや治療することができないで衰えてゆくアルツハイマー病の人をただ見守ということはなくなるでしょう」と話しています。
また、バースにある高齢者ケア研究所Research Institute for the Care of Older Peopleのロイ・ジョンズRoy Jones教授は、「この決定が重要な一里です。早期の診断と薬を利用できることで、アルツハイマー病の人、家族、介護者の快適な状態を維持するための短期的、長期的影響を軽減することにとって重要です」と話しています。
BBC 6 October 2010  Groups hail dementia drug U-turn by health watchdog
関連情報:エーザイのニュースリリース「英国NICEが軽度アルツハイマー型認知症患者様にとって重要な提案を行う- 新ガイダンス(案)の提示」「pdf版(200K)」
イギリス・アルツハイマー病協会の見解:Hundreds of thousands could gain access to Alzheimer’s treatments
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編者:イギリスではNICEの評価によりアルツハイマー病薬の費用効果を検討した結果、軽度のアルツハイマー病の人に使う意義はないと結論づけ、NHSでの使用が制限されていたが、今回のこの見解を変更したことであるが、その根拠の情報がない。エーザイの情報によると以下の提案がされている。現在、アルツハイマー病薬の使用制限をしている国などへの影響があるかもしれない。それにしても、アルツハイマー病の薬がないなかで限定的な過渡的薬のアリセプトがいつまで使われるのだろう。否、アルツハイマー病の根本治療薬が開発されたも生き残る薬かもしれない。
NICEの新ガイダンス(案)の概要
3種類のアセチルコリン・エステラーゼ(AChE)阻害剤(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)は、以下の条件の下に、軽度および中等度アルツハイマー型認知症(AD)に対する治療選択肢として推薦されています。
○認知症ケア専門医のみが治療を開始できること。
○上記の治療薬が認知症状、全般的な症状、機能的症状、行動上の症状に対する良好な改善効果を示す場合に限って、治療を継続すること。
○上記の治療薬の服用を継続する患者様については、認知、全体、機能、行動評価を用いて、最低6カ月に1度治療を見直すこと。
○AChE阻害剤を処方する場合は、1日の投与量、保険適応後の1回の価格を配慮した上で、入手価格が最も低い治療薬から開始すること。ただし、有害事象プロファイル、投薬遵守に対する期待、併存疾患、薬物相互作用の可能性および服用プロファイルを考慮した上で適切と思われる場合に限って、代替のAChE阻害剤の処方が可能であること。

睡眠時無呼吸症候群の治療で認知機能が改善(10月6日/アメリカ)
アメリカのメイヨクリニックMayo Clinicのアルツハイマー病の専門医であるロナルド・ペーターセンRonald Petersen医師(写真左上)の診察を受けた60歳代の婦人は、「ものごとに集中できない」と訴えていました。ピーターセン医医師は「彼女は集中力が低下して、テレビ番組についてゆけないし、会話中に集中することができない」と話していました。
婦人が認知症にかもしれないと、経過を聞きましたが、いつものように睡眠の様子を聞いたのですが、婦人は一人暮らしのため問題の状態に気付くかなかったのです。しかし息子さんは、予約の時間に彼女を車で連れて行くため、前の晩に泊まった時「貨物列車のような音を出していびきをかいた」と話しました。
一晩の睡眠テストから夫人が閉塞性睡眠時無呼吸症候群であることが判明しました。この病気は、夜間、呼吸が中断されて脳への酸素が減り、深い睡眠を阻害します。その中断は1時間に10回以上あり高齢者にはとてもありふれた病気です。これは認知症のような状態になったり、認知症を悪化させたりすることがあります。
持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure 略称:CPAP)は睡眠中に口や鼻にマスクをする行う方法ですが、これによって婦人の睡眠は速やか改善し、神経心理テストの結果も正常に戻りました。1年後、再診察したピーターセン医師は「何も異常はなかった」と話しています。
すべての認知機能の障害―とくに高齢者でーが、睡眠時無呼吸症候群の治療で治るわけではありません。しかし、CPAPによって多くの人がかなり改善していることを研究でわかっています。
メイヨクリニックの神経科のブラドレイ・ベーヴェBradley Boeve医師(写真左中)は「治療を受けると、日中にうとうとしたり、行動が緩慢ということはありません。生活の質は改善します」と話しています。
介護者にとって、生活が楽になり、ナーシングホームに入らないですむかもしれません。
この無呼吸症候群はかなり多いにもかかわらず、とくに高齢者では認識が低いようです。高齢者での睡眠時無呼吸症候群の頻度については、定義がまちまちなこともあり一定しませんが、いずれにせよ驚くほど高い頻度です。
カリフォルニア大学サンディエゴ校University of California, San Diegoの精神科のソニア・アンコリ‐イスラエスSonia Ancoli-Israel教授(写真左下)は、30年、この病気を研究しており、教授は、高齢者のほぼ半数近くに、程度の差はあれこの症候群を認めていると報告しています。認知症の人ではこの頻度はさらに高いのです。
教授は次のように述べています。
「すべての年齢でこの病気の認識が低いのです。高齢者で、この病気を常に認識している医師は少ない。理由はわかりませんが、若年者の無呼吸症候群では肥満と併発していることが多いのですが、高齢者で認めることは少ない。いびきの音が大きくても高齢者で一人暮らしであると気付かないようです。また高齢者は日中にねむたくなるものだと信じられています。実際、高齢者はこうしたことはなく、高齢者や介護者がもっとこの病気と認知機能低下のとの関係が最近、明らかになったことを十部に認識してほしい。もし夜、何百回も起きることがあれば、脳に十分な酸素が得られなく、その影響は明らかです」
アンコリ‐イスラエス教授の研究グループは、2008年、アメリカ老年医学会雑誌Journal of the American Geriatrics Societyに研究論文を発表しましたが、それはアルツハイマー病の人を無作為に2グループに分け、一つのグループには数週間、CPAPの器機を使い、他のグループは偽の器機を使いました。この治療によって、中程度で統計的に有意な改善を認め、とくに集中力や実行機能の面での改善を認めました。
教授は「私たちは認知症を治すことはできません。しかし、以前より悪いなることはありません。数か月間、追跡すると、すべてのアルツハイマー病の人で認知機能が低下していましたが、CPAPを受けた人での低下の仕方はよりゆるやかでした」と話しています。
認知症の人がこうした器機を使えるのかどうか疑問に思っている医師がいます。無呼吸症構文の若い人でもCPAPのマスクは不愉快で、睡眠中に外し、使わなくなることが多いのです。しかし最近の研究では、アルツハイマー病の高齢者もこの器機が使えます。もっとも医師が期待するほど長さの時間で使えませんが、十分な時間で使えています。
現在、アンコリ-イスラエス教授は、CPAPがパーキンソン病の人の認知障害を軽減するのに有効かどうかの研究をしています。
教授は「パーキンソン病はアルツハイマー病とは違いますが、いずれ認知症の症状が出て、睡眠時無呼吸症候群について検討するときがあり、かかりつけ医師と相談すべきです」と話しています。
注意しなければならないことですが、この病気の診断は簡単ではありません。睡眠センターに一晩泊る必要があります。無呼吸の問題が認められると、技師がCPAPの器機を設定し、個人用のマスクを作らなければなりません。こうした手順は、認知障害がある人にとっては難しいことです。睡眠センターは、アメリカ睡眠医学会American Academy of Sleep Medicineか全国睡眠財団National Sleep Foundationに問い合わせてください。
ベーヴェ医師は「無呼吸症候群の人がその治療を受けると、その効果は1カ月かそこらで、人によっては1週間内に認める」と述べています。
New York Times October 6, 2010 When Sleep Apnea Masquerades as Dementia
関連情報:紹介論文Cognitive Effects of Treating Obstructive Sleep Apnea in Alzheimer's Disease: A Randomized Controlled Study Journal of the American Geriatrics Society
Volume 56, Issue 11, pages 2076-2081, November 2008
編者:この治療法はあくまでも睡眠時無呼吸症候群(あるいは閉塞性無呼吸症候群)のある認知症の人の治療に該当するのであって、この症候群のなり認知症の人には効果はないようだ。

★増える認知症の人への地域ケアを進めよう(10月4日/ニュージーランド)
認知症へまだ取り組んでないとした先週のトニー・ライルTony Ryall保健大臣(写真左上)のコメントは、正しい方向への第1歩ですが、施設介護と在宅介護家族を支援することを強調することは、今後増える認知症の人への取り組みにつながります。
ニュージーランド・アルツハイマー病協会Alzheimers New Zealandが公表した「認知症経済影響レポート2008年版 Dementia Economic Impact Report 2008(pdf4.7M)」によると、認知症の人のおおよそ50%は在宅で介護を受けています。現在、ニュージーランドでは認知症の人は4万3000人ですが、2050年までに14万6000人になると推計されています。
今年の5月、国会で保健大臣に提出された「認知症国家戦略National Dementia Strategy(pdf500K)」では、できるだけ在宅で認知症の人の介護が続けられるようにするため適切な在宅支援に向け資金を増やすことが提案されています。この支援とは、情報、教育、研修が含まれます。
ニュージーランド・アルツハイマー病協会の全国議長のジョアン・ヴォスJohan Vos氏(写真左下)は次のように述べています。
「多くの場合、支援が整っていれば認知症の人は在宅での生活を希望しています。適切な地域支援によって、認知症の人と介護家族の生活の質は改善するのです。介護家族は休みもなく、常に介護を強いられ、その結果、身体的健康が損なわれ、うつ状態に直面することが多いのです。個人的な介護家族が適切に支援されていないと、保健制度の費用を増やすことになるでしょう。認知症経済影響レポートの簡単な分析によると、認知症の人の施設入所が3カ月遅れると6200万ニュージーランドドル(NZD)節約になるのです」
ニュージーランドアルツハイマー病協会は介護家族戦略を擁護しています。この戦略は、将来にむけて介護提供ができるように個人的な介護家族への財政的支援と教育の改善を目指したものです。
ある介護者の物語
ニュージーランドの北島にあるタラナキのストラットフォードに住むクレニア・ソーレンセンCrenia Sorensen氏(75歳)は、自分の健康を保ち我慢して、8年前に認知症と診断された夫のホルドーHaldor氏(81歳)の介護をこなしています。
ソレンセン氏は次のように話しています。
「適切な支援を受けて休息ができるように介護家族のニーズを地域保健局が十分に評価する必要があります。地域保健局がもっと自分たちと接触してほしい。危機的な状況にあるよにも感じ、本当に孤独に思います。常に介護している家族として私はとても疲れてはいるがいつも家に居なければなりません。人との付き合いがないのです。もはや、夫は前の夫ではありません。自分が介護できなくなると、夫を施設に入居させることを考えるかもしれません。私たちは55年間、同じ家で生活してきました。すべてに親しみを覚えるのです。夫にとって家を離れるということは大変なことでしょう。私も施設に入れるたくありません。でも夫が自分でできなくなると、私がしなければなりませんが、その方が幸せです。介護家族の状況をもっとよく理解する必要があります」
nzDoctor.co.nz 04 October 2010 Push for community care for dementia epidemic
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編者:ニュージーランドでは在宅介護の支援も乏しいのか。なお1ニュージーランドドルNZD=62円(10月4日現在)。

認知症の人の介護職に身体的労災が多い(10月2日/カナダ)
デラ・マックガウDella McGaw氏は、27年間、認知症高齢者を介護してきた経歴を振り返り、どのように問題を乗り越えてきのか不思議に思うのです。
もちろん、よい日もありました。認知症の人から感謝され、自然に抱かれたりキスをされたりしました。しかし、悲しい日もありました。暴力や攻撃の直面しなければならなかったのです。
マックガウ氏は、何年も、認知症の人に叩かれたり、押されたり、蹴られたり、殴られたり、顔を叩かれたこともあります。認知症の人は、認知症のためとても混乱していたのです。
彼女のこの経験は特別なものではありません。
実際、今日、多くの医療職や介護職は、仕事場で暴力を受けるのは普通のことなのです。
カナダ・ブリディシュコロンビアBritish Columbia州の病院労働組合Hospital Employees’ Unionに現在、所属に加盟しているマックガウ氏は「認知症の人を直接に介護している多くの職員は、どのような業務であろうと日常的に暴行とみなされる被害を受けている」と述べています。
ブリティッシュコロンビア州の労働安全局WorkSafeBCの情報によると、暴力による業務上の重大な外傷は他の職種とくらべ医療介護労働者にはるかに多いのです。暴力による休職の労災申請の全体の54%が医療分野で起こっています。小売業および教育が7%、公務が4%です。このなかには法的処罰も受けたものもあります。医療介護分野では、労災の原因の第3番目が暴力です。これには過労の次ぎ、主に患者からの行為によるものです。
労働安全局企業・労働部長のヴィンセント・ラッセルVincent Russell氏(写真)は「その数はとても多い」と話しています。
ラッセル氏の部署で7年間、医療介護業務上の暴力による労災申請を扱ってきましたが、彼は「こうした外傷は、人口の高齢化と介護を必要とする人が増えて、増加傾向にある」と話しています。
医療介護分野での暴力は、複合医療や介護施設で起こることが最も多く(39%)、これに急性期医療(21%)、さらに短期医療(21%)と相談中(8%)となっています。
患者や来談者による暴力がおどろくほど多い原因となり、全報告事故の68%を占めています。
ラッセル氏は次のように述べています。
「患者が攻撃的になる状況はさまざまです。介護施設では、患者が馴染んでないところで新しい介護職が受けやすい。また入浴させるといった時にも起こります。あるいは患者が望んでいないことをされる時も起こります。暴力による外傷は、骨折、打撲傷、肩、首、背部の損傷などです。5日に開く会議のテーマは、医療介護職が仕事上どのように外傷を避けることができるかということで、暴力的行動が生じる原因や危険を取り除くことも含みます。私たちの基本的なメッセージは、『介護職なくして介護はないということであり、介護職自身を自分を守らなければなりません」
人は年をとると認知症になる危険性が高まります。65歳以上では20人に1人が、85歳以上では3人に1人が認知症になります。
マックガウ氏は次のように述べています。
「介護には危険を伴いますが、報われる仕事です。恐ろしい仕事のように思われることを望んではいません。しかし、より安全にするためにすべきことがあるはずです」
The Vancouver Sun  October 2, 2010 Caregivers for dementia patients face greater risk of physical injuries while on the job: WorkSafeBC
関連情報:Health Care & Social Assistance Statistics for 2009(WorkSafeBC)
編者:介護職に業務上外傷が多いということは初めて聞いた。我が国でのこうした情報や統計は皆無のようだ。個人的な経験であるが、認知症の妻が通っているデイサービスセンターで介護職が妻から暴力を振るわれて外傷を受けた。認知症の人の暴力は多要因であり、いくら介護の工夫をしても介護職が暴力を受けることが避けられないようだ。

家族にもできる認知症の早期発見テスト(9月27日/アメリカ)
アメリカのセントルイスにあるワシントン大学医学部Washington University School of MedicineのチャールスF・ジョアンナイトアルツハイマー病研究センターCharles F. and Joanne Knight Alzheimer’s Disease Research Centerのジェイムス・ガルバンJames E. Galvin准教授(写真左上)らの研究グループは、既に開発されているAD8という簡単なアルツハイマー病のスクリーニングテストの有効性について、ミニメンタルステート検査(MMSE)や脳脊髄液中のバイオマーカーおよび脳のアミロイドベータを画像化するPittsburgh compound Bによる画像検査を使って検証しました。
対象者数は257人で平均年齢は75.2歳、平均教育年数は15.1年でした。対象者をAD8の点数で2つのグループに分けました。点数が0か1の陰性グループ(137人)と2以上の陽性グループ(120人)。陽性グループは陰性グループとくらべ、画像検査および脳脊髄液のマーカーの異常を認めました。その結果AD8は、MMSEより初期の認知症を判定する優れた感度を有していることがわかりました。その理由として、症状がない時期にも進行するアルツハイマー病の早期の状態についてはMMSEのような個人によるテストより、客観的情報に基づいた評価の方が優れていると思われます。バイマーカーや画像検査ができない場合、AD8は地域での認知症の早期発見に有効で簡便な方法です。また臨床試験でも症状がない人が加わるのに有効は手段となるでしょう。
この研究論文は、雑誌Brainの2010年9月10日の電子版に掲載されました。
AD8(Ascertain Dementia 8)は、たった2分でできる8つの質問からなるテストで質問項目は、その人をよく知る家族や友人が提供者となり、認知機能の変化がその人の日々の活動の困難さの原因になっているかどうかをみるものです。
質問項目は次の8つです。
○ 金銭的な決定などの判断に問題がある
○ 趣味などに関心が少なくなる
○ 質問、話を繰り返す
○ テレビのリモコンや電子レンジなどの器機の使い方を覚えるのに混乱する
○ 月や年を忘れる
○ 小切手の収支など複雑な金銭的なことを扱うのが難しい
○ 約束を覚えるのが難しい
○ 考えたり、覚えたりすることで常に問題がある

これらの質問に「はい」か「いいえ」で答えます。「はい」が2つ以上あると認知症の有無についてのされに調べる必要があります。
この研究結果について、ワシントン大学のアルツハイマー病研究センターのジョン・モーリスJohn C. Morris所長(写真左下)は次のように述べています。
「AD8は、アルツハイマー病のスクリーニングとしてこれまでのものより経済的に有用であるだけではありません。この認知症スクリーニングでは情報提供者に数分しか時間がとりません。また本当にアルツハイマー病の症状があるかどうかを決めるための追跡をする必要があるかどうかも決められる簡便でとても安価な方法です。
モールス所長によると、従来の早期認知症のスクリーニングの困難な要因は、テストされる時点のその人の認知機能をみているだけなのです。その人に知的機能が変化しているかと聞かれても正確な情報が得られるとは限りません。初期の認知症の人は自分に問題があるかどうかの自覚に欠けることが多いからです。テストを受ける人に常に接している情報提供者は正確な評価を提供することになります。
さらにモーリス所長は次のように述べています。
「知的機能が明らかに低下しているかどうかを知るためには、情報提供者がテスト前の状態を教えてくれます。AD8は、初期の認知症の状態を把握する能力において従来のテストより優れています。テストから認知症がアルツハイマー病によるかどうかはわかりませんが、原因疾患を調べるためより詳しい検査をどの時点で行うかも教えてくれます」
このテストが開発されて以来、既に数ヶ国語に訳されており、世界中の臨床の場で使われています。
EureAlert! September 27, 2010 Friends, family detect early Alzheimer’s signs better than traditional tests および論文Relationship of dementia screening tests with biomarkers of Alzheimer’s disease
サイト内関連記事 AD8 Dementia Screening Interview(pdf40K)
編者:AD8は2005年に発表されているThe AD8: A brief informant interview to detect dementia(Neurology, Aug 2005)。今回は、アルツハイマー病の早期発見で注目されている脳脊髄液中のバイオマーカーと脳アミロイドの画像検査との相関を調べて、AD8の有効性を認めたとするものだ。AD8は認知症と判定するものではなく、疑いの判定をするものであるが、我が国ではほとんど使われていないようだ。

★アルツハイマー病の無慈悲な旅(9月27日/アメリカ)
ジョディ・ニコルソンJody Nicholsonさんは、夫のノックス・ニコルソンKnox Nicholsonさんの頬にやさしく手を当て、ゆっくり頭をまっすぐにして、小さいコップのミルクを飲ませます。夫が飲むと、「いいですか」とやさしく尋ねると、夫は笑顔をちょっと見せながら口をもぐもぐさせています。
この絶妙なコミュニケーションは、71歳のニコルソン夫人が30年間、進行したアルツハイマー病の夫にしたただ一つのことです。
夫人はほとんど毎朝、カリフォルニア州のヴセリアにあるケイルパークリタイアメントヴィレッジQuail Park Retirement Villageの認知症のターミナルケアを行っているローレルコートLaurel Courtに居る夫を訪ねます。日曜日は夫人にとって自由時間としており、進行して今後どれほどの期間がかかわるかわからないこの病気から少し休みを取るようにしています。
夫人は「本当に坂を転げ落ちています。夫が死につつあるという思い常に抱いています。もちろん、私たちだれもが死ぬのですが、彼にとって何かよいことを考え出すことはできません」と話しています。
81歳の夫は、最近、ホスピスへ移ったばかりです。アルツハイマー病の最期にある彼がとまどいながら残された時間はありません。彼は食べれなくなっています。夫人は、食事を促すために午前中、訪れ、ローレルコートの人が食べさせるより、ほんの少し多く食べるようにしています。夫婦のあいだで、きらめくことも、コミュニケーションもわずかしかないようです。
夫は、ローレルコートのホールを終日歩き回っています。彼は歩くことはでき、ときどき、数分間、窓の外をぼんやりとみて、それから椅子に座るように促されます。夫人は、「農民の夫は座りつづけるような人では決してありません。歩くことが彼には慰めになっているように思う」と話しています。
1997年、北カリフォルニアの山間部にニコルソン家族が移住したとき、その病気が始まりました。夫は夫人にたいしてやさしく、認知症のような症状はなにもありませんでした。しかし、しだいに夫人が夫の代わりをすることが多くなり、夫の機能はゆっくり低下してゆきましたが、変な行動や忘れやすさは病気ではない別の理由と安易に考えていました。
夫を一人家に置けないとわかって、さらに電子レンジを使い方がわからなくなった理由を知るべきだと決めました。
2006年、医師が夫はアルツハイマー病であると診断しました。夫にはなかった妄想や攻撃的行動に医師は薬を出しました。
診断を受けてからまもなく夫人は夫を介護施設に入れることを決めました。
夫人は次のように話しています。
「それは24時間365日でした。私は彼から離れられないのです。夫が出歩くからではなく、私がいるところを忘れるからです。もちろん、施設に入れることを決めたことは大変なことでした」
夫人を認識できない人間にまでになった夫の退行現象によって、たとえ肉体的に夫が居ても夫人はさびしくなりました。さらに夫が自宅から完全に居なくなると、さらに別の孤独が生まれたのです。
夫人は前の夫との間に4人の子供がおり、夫は前の夫人との間に4人の子供が居て、みんな夫人を支えています。その支えは、困難な決定をするとき助けになりました。ローレルコートのベッドが空いていると電話を受けると、娘が喜んで泊まりに行きます。
今は、ただ待っている日々です。夫人は自分にできる最善のこととして夫を訪ね、また毎週の支援グループの集いに参加しています。この支援グループは施設で開かれており、その場で夫人はとても心穏やかになります。
また夫人は次のように話しています。
「このグループを通して夫のような人は世界にたった一人ではないことを認識しました。家で安心していることもできず、身動きがとれないと感じます。グループに参加して、誰もが同じ思いをしていることを知りました」
Visalia Times-delta  September 27, 2010  Cruel journey of Alzheimer's diseaseより)

認知症デイケアセンターに一層の要望(9月27日/ニュージーランド)
認知症の関わる急増した保健上の危機が、パルマーストンノースPalmerston NorthにあるマリオンケネディセンターMarion Kennedy Centreのドアを叩いています。
開設して20年にあるこのデイケアセンターは、定員一杯で運営されており、47人の認知症の人の介護と介護者の休養のために平日利用されています。
このセンターには20人の待機者がいますが、ニュージーランドアルツハイマー病協会マナワツ支部Alzheimer's Society Manawatuのパートの地域担当者、テレサ・ベグレイTheresa Begleyさんは自宅で認知症の人を介護している家族を支援するこれ以上のことはできないのです。
ベグレイさんは「家族が自宅でかかえている夜間まで及ぶこともある介護の困難さにはしばしば驚いています。この困難さは認知症の人には理解できません」と話しています。
センターを利用して昼間、休息することで家族は介護を続けられ、認知症の人はより長く自宅での生活でき、施設に過ごすより経費が安くすむのです。
ニュージーランドの国家認知症戦略によると、2008年の認知症費用は7億1200万ドルと推測され、認知症の人の人数が今後16年間で4万3000人から6万4000人に増えると推計されています。
ミドセントラル地区保健部MidCentral District Health Boardの高齢者担当のブラド・グリマーBrad Grimmer氏は次のように述べています。
「認知症の人が増えること対して国がどのように施設の定員を増やそうとするのかわかりません。しかしそれは私たちがとる最初の戦略ではありません。この地域では認知症の人の施設定員は174で、この数で対処しています。認知症高齢者の増加を将来の課題とみていますが、政府からの新しい投資がないと、急にニーズが増えたことに対して十分な社会資源を提供することは難しいでしょう。マリオンケネディセンターのようなサービスは認知症の人の入所を遅らせるのに重要な役割ともっています」
ニュージーランドアルツハイマー病協会Alzheimer's New Zealandは、認知症の人の入所が3カ月遅れて在宅で生活するように支援されると、年間6200万NZDが節約されると推計しています。
デイケアセンターは特別な資金を要望しており、これにより長い時間センターを開きセンターでの介護の費用を賄い、さらに地域活動スタッフの勤務時間も延長できるのです。
さらにグリマー氏は次のように述べています。
「さらに保健部はセンターを支援したいのですが、市外の広範な地区ですべきことも多くもっと地域活動スタッフの増やすような支援をしたい。現在のところ、現在の予算内でやってゆかなければなりません。経費節約の方法を探り、在宅で生活を続ける人たちへのより強い支えとなるサービスパッケージに再投資します」
.stuff.co.nz 27/09/2010 Dementia care demand puts strain on centre)
編者:9月27日現在、1ニュージーランドドルNZDは約62円。

メモリーウオークに数千人が参加(9月25日/アメリカ)
インディアナ州フォートウエインFort Wayneでは数千人の人が、毎年行われるアルツハイマー病協会のメモリーウオークAlzheimer’s Association Memory Walkに参加し530万人のアメリカのアルツハイマー病の人のために寄付を募りました。催しは25日の午前11時から12時まで歩くことで行われました。
アルツハイマー病はアメリカの死因の第7位で増加する流行病です。70秒に一人がアルツハイマー病になり、今世紀の半ばには33秒に一人がアルツハイマー病になると推測されています。
アルツハイマー病協会グレートインディアナ支部Greater Indiana Chapter of the Alzheimer's Associationのメリッサ・バリールMelissa Barile氏は次のように述べています。
「市民がメモリーウオークに加わりアルツハイマー病に対して戦うことの必要性がこれほど高くなったことはありませんでした。寄付を集めることがインディアナ州12万人のアルツハイマー病の人への支援にもなり研究にとても必要な貢献にもなります」
アルツハイマー病協会は、アルツハイマー病の研究と支援で世界的に指導的立場にあります。1800近い研究プロジェクトに2億6500万ドル以上の助成を行い、協会はアルツハイマー病研究の最大の民間基金です。協会の目標は「アルツハイマー病のない世界」です。
wane.com 25 Sep 2010 Thousands show up for Memory Walk Sat

ベトナム系カナダ人の思い「親をナーシングホームの入れるなら、死にゆかせるようなものだ」(9月23日/カナダ)
ツエット・グエンTuyet Nguyenさん(80歳)(写真左)は、2008年の脳血管障害を発症してから認知症になりました。彼女の娘ツイ・グエン-クロウフォードThuy Nguyen-Crawfordさん(写真右)は母親の世話をしています。ツイさんは、「ベトナム系カナダ人は、危険を伴うことがなければ、認知症の人の在宅介護を困難でも施設入所はとても嫌いです」と話しています。
母の寝室の目覚まし時計で、ツイさんは何度も起きています。何か悪いことが起こってないかを確かめるために起きているのです。母親は時間を混乱することが度々あり、深夜なのに朝だ思っているのです。窓の外が暗闇であるかどうか確かめたりはしません。
トイレに間に合わないこともあります。ツイさんは疲れきってシーツを交換します。3人の幼い子供の世話と同じです。
また母親は、早朝の目覚めたときに、幻覚を示すことがあります。外で猫が捕まった、娘がベッドの端に座っているなどです。ある、夏の日、ツイさんの父親が街灯にのぼっていると言うので、母親をなだめて、「これでいいのよ。私が行っておろしてくるわ」と話して、寝かせるようにしました。ところが次の朝、母はそのことを覚えており「お父さんはどうもない」と聞きました。「お父さんは元気よ。そんなことを二度としないように言いました」と返事をしておきました。
母親を一日中みなくてもて苦労は多いものですが、認知症と診断されてから家族にどのような介護をしたらよいのか、将来何が起こるのかといったことで日々緊張します。ツイさんは、母親を長年みて、不潔な世話もしてきた82歳の父親に介護しながら自分の役目をこなしています。
両親は彼女の兄の家に自分たちの居住空間を持っていますが、みんなが働きに出ているときに両親に何が起こるか彼女は心配です。父親は外からの援助を拒んでします。ベトナム文化では、家族の世話は自分たちの仕事なのです。しかし、父親持ち健康問題も持っており、2年前、出血性潰瘍のため自宅で意識を失いました。このときは母親がツイに応援を頼んだのです。ツイさんは、「現在、母は電話できません。もし、今日、こうしたことが起これば父は出血して死亡したでしょう」と話しています。
ツイさんは、ある時点で、ナーシングホームに入ることを考えなければならないことは知っていますが、これは兄弟姉妹で話し合える簡単な話題ではありません。ベトナムでは、「親をナーシングホームに入れるなら、死なせゆくようなものだ」と言われるのです。
同時に、ホームで1日中テレビをみていることは血管性認知症の人にはよくありません。彼らに精神的刺激が必要です。というわけで、ツイさんは、母親に夕食用のニンジンを切ってもらったり、孫のサッカーや水泳に連れて行くのです。
ツエット・グエンさんは、2008年11月、重い脳血管障害になった後、認知症と診断されました。母親が孫とテレビ番組Survivorを一緒にみてきたときのことです。ツイさんは当時1歳のローリンのためにキッチンにいました。ときどき母の方を見ていましたが、奇妙にもぼんやりと空中を見つめているのを発見しました。名前を呼んでも答えないが、周囲のことが分かっているようでした。言葉がはっきりせず、手は震えていました。義理の息子のダレン・クロウフォードDarren Crawfordさんが救急車をよび、ツエさんは2日間病院の母親のベッドのそばに居ました。母が一命をとりとめたこがわかり、医師がテストをするとき通訳をしました。
ベトナムからボートピープルとして脱出し1980年の冬にカナダに着いた兄弟姉妹のなかでツイさんは最も若かったのです。彼女は母親ととても緊密でした。
母親が記憶テストを受けているときに家の形を書くのに困っている姿を見てショックを受けました。ツイさんは「図なしで編み物ができる母だったのに」と思いました。病医で一命は取り留めたものの軽度の多発性脳血管障害を起こしていることを知りました。このため軽度の記憶障害を起こしたのです。母親は、もはや、自分で着ることができず、執拗に自分の髪を引っ張ってはげを作りました。
母親がスプーンを持つとか、手を洗うとかいった単純な作業をどのようにするかを再び学ぶようにしました。しかし、母親は、変な動作を始めるようになりました。床のカーペットから糸くずを拾ったり、夕食ときにティシュペパーにつばを吐くといったことをするのです。さらに、甘い物をしきりにほしがり、かっては、とびぬけてうまく調理したベトナム風スープを嫌いになりました。今でも、母はツイさんに勧められないと食べることも忘れることがあります。ツイさんは、8種類の小料理を用意して母親が十分に食べるのを確かめています。
また母親は、急に孫を叩くことがあります。「なんとて悪い女。嫌い」と3歳のローリンに言うのです。ツイさんは「おばーちゃんは病気で、わからないの」と訳を話さなければなりませんでした。ツイさんは、子供にそれぞれ仕事を割り振りました。ローリンには祖母の靴とスリッパの用意すること、6歳のタイラーには夕食にテーブルまで連れてくること、9歳のトリスタンには栄養補助剤の瓶を開けることとしました。
ツイさんは、母親との多くの関係を失ったことをさみしく思っています。もはや母親から家族のためにどのように料理がよいかアドバイスを受けられないことに心が痛むのです。家では母親はツエさんおそばを離れようとしません。ツイさんは「どちらかといえば、この病気のよって私たちを緊密になりました。私がいないと、母はいつも探しています」と話しています。
しかし、認知症は予期できない病気です。今年の8月、食糧品店に買い物に行ったとき、母の歩き方がおかしと気付きました。店に入ると混乱したようで、肉屋のまえで、母親は身体がこわばり、手を変な形に曲がりました。母親をすぐさま病院に連れて行き、看護師が話を聞いていると大きなけいれんを起こしました。ツイさんと父は救急外来に受診させました。母の病気は進行したようで、母親は前よりもっと混乱し夜間しばしば起き上がり、失禁します。食事はとても時間がかかるようになりました。
難しい将来についての話し合いは先に延ばしましたが、「私は母をできるだけ活発にさせたい。最善を望みます」ツイさんは話しています。
The Globe and Mail Sep. 23, 2010 ‘If you send your parents to a nursing home, you are sending them to die’
編者:ベトナム人の認知症についての情報はほとんどないので、カナダでの実態の記事を紹介した。認知症にからんだベトナム人の家族の絆の一端を知ることができる。なお、カナダが受け入れたベトナム難民は約13万人と言われている。

アルツハイマー病の否定的側面に立ち向かう(9月22日/アメリカ)
アルツハイマー病と診断を受ける最初の打撃に対処するだけでも本当に難しいことです。この病気にまつわりつく偏見に直面しなければならないのが第2のトラウマです。初期認知症の人による全国各地で行われたタウンミーティグでアメリカアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationは次のことに知りました。
アルツハイマー病に関わるネガティブな連想によって、認知症の人と接触しようとした多くの人たちと認知症の人との関係に直接的な影響を及ぼしたのです。医療の領域と同様に、家族、友人、同僚との関係に変化が生じたのです。多くのの人は、病気と病気になることによって社会的に隔離されるというネガティブな社会的受け入れ方への恐れを抱き、アルツハイマー病の人を受け入れることに躊躇を示しました。
アルツハイマー病についての多くの研究や著述は、たとえ最善からのものであっても、脳機能の損失とか問題行動への最善の対処方法について関心が向いています。アルツハイマー病の脳の画像を説明するときは、常に、病気によるネガティブな影響を指摘することが多いのです。アルツハイマー病になった脳ではあるが、まだ残存んした機能を見つけるような努力が足りなく、認知症の人にとって欲求不満が生まれます。こうしたネガティブなことは、dementiaという言葉の語源にも関係します。Dementiaはラテン語でdemensといい。Deは外、mensは心を意味します。
こうしたことから私は、多くの人が抱く病気に対する歪められた思考について検討に値すると思うようになりした。アルツハイマー病はその病気になった個人にとって感受性ある神経に触るだけでなく、私たちの社会全体―とくに医療や科学の分野―が感受性ある神経を触るのです。アルツハイマー病は、私たちの自己中心的で自らを守ろうとする感覚にとって恐れを抱かぜ、病気になった人たちから距離を置くようなります。
アルツハイマー病は、私たちの今日的な機能不全を広げて見える鏡のような役割をしています。この病気は、私たちに我慢と緩慢さを求めています。この病気は、独創的ではないが簡単な感的経験やただ愛するという個人的な贈り物を届けてくれます。この病気は、自己という私たちのもつ不確かな感覚を捨て、その時々に自分を再発見することを求めています。この病気は、死という現実へ、ゆっくり、情け容赦なく直面させます。この病気は自立という私たちの思いに挑戦し、ケアという領域に頼ることを強要します。この病気は、精神的真空状態に私たちを追いやるのです。
このことを知ったのちに私たちは道を選びます。アルツハイマー病の人たちへ向かうことを決め、歓迎すべき教師として彼らの近づくことができるのです。私たちはこれまでとは違った方向に向かうこともできます。最初の選択は容易ではありませんが、長期的にみてこの方向が取り上げるに値する唯一の方法なのです。
アルツハイマー病はあなたに何をもたらしていますか?
寄稿者:マルゲリーテ・マント‐ラオMarguerite Manteau-Rao(写真)
The Huffington Post September 22, 2010 Overcoming the Alzheimer's Negativity Bias
編者:認知症の人と周囲の人との簡単には埋まらない「溝」についての貴重な寄稿なので紹介した。寄稿者のManteau-Rao氏は瞑想を重視したMindfulness-Based Stress Reductionの教育者であり、これに基づく臨床心理士でもある。

認知症が増えるのに政府は準備してない(9月21日/アイルランド)
認知症の人は2036年までに10万4000人と2倍以上になるという研究があります。認知症の人が劇的に増加するのに、政府は、まったく準備してないと、アイルランアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Irelandは指摘しています。
世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Dayに合わせ、アイルランドアルツハイマー病協会は、今日、「認知症という隠れた保健の危機」に対処する緊急の行動が必要であると警告しています。
国際アルツハイマー病協会Alzheimer Disease Internationalの新しい報告書によると、認知症の経済的社会的負担は全世界のGDPの1%と推計されています。認知症はとても高くつく病気ですが、研究と投資のについて他の主な病気と比べてとても低いのです。協会の最高責任者のモーリス・オコネルMaurice O’Connell氏(写真)は次のように話しています。
「報告書は政府が認知症の病気の負担を理解するのに役立ちます。私たちはこの25年間に全国からのおびただしい電話相談を受けましたが、この国では認知症の人が利用できる情報と支援が不足していることは明らかです。アイルランドの介護者が限界にあることははっきりしており、他のヨーロッパの国のように政府はもっと認知症の人の声を聞きき国家認知症戦略を実施すべきです」
協会は、早期診断が病気の対処するための重要な第1歩であると指摘していますが、協会の最近の調査によると、家族に症状が出てから診断を受けるまでには2年かかっています。ちなみに、ドイツではおおよそ平均9カ月、イタリアでは平均13カ月です。早期診断の障壁を取り除くには、一般の人たちへの啓発活動、よりよい情報提供そして一般医の教育が必要と協会はしています。さらに、この国で利用できるサービスや支援が分断されており、これらの統合に向けた取り組みを要望しています。
協会の調査によると、介護者の20%は、自分が魂を破壊しているようだとみています。この国の危機の規模からいって、直ちに活動することを呼び掛けています。
協会の全国電話相談の件数は先月は、昨年の同じ月とくらべて49%増加しています。広く情報を提供するため協会は、今夕、ダブリンとコークで「アルツハイマー病啓発の夕べ」を開催します。ここでは臨床医、介護者、ボランティア、法律専門家らが疑問に答えてくれるでしょう。
The Irish Times  September 21, 2010 Government 'unprepared' for increase in dementia cases
編者:アイルランドアルツハイマー病協会は1982年に設立された歴史ある団体で、オコネル氏も個人的に知っているが、この記事からは認知症への国の取り組みが十分でないようだ。

「認知症患者数、世界最多の600万人=受診率は2割未満」(9月21日/中国)
2010年9月19日、中国の認知症患者は世界最多の600万人以上に上るが、うち適切な治療を受けている人は2割にも満たないことが分かった。上海紙・新聞晩報が伝えた。
9月21日は世界アルツハイマーデー。国際アルツハイマー病協会中国委員会(ADI-CHINA)の統計によると、中国の認知症患者の発生率は65才以上で平均6.6%に上り、5年ごとに倍増している。80歳以上では22%を超えており、中国全土に600万人以上の患者がいると推計されている。うちアルツハイマー型(AD)認知症患者の増加が目立っており、高齢者の死因としては心臓病、がん、脳卒中に次ぐ4番目に挙げられている。
上海市精神衛生センター老年科の肖世富(シャオ・シーフー)主任(写真)は、受診率が低い理由について「多くの人がアルツハイマー型認知症の初期症状に気づかないか、放置しているため」と指摘。同主任によると、上海市でも患者の家族のうち「多少の『ボケ』は年をとったため」だと考えている割合は半数近くに上るという。(翻訳・編集/NN)
Record China 2010-09-21  原文のまま
編者:イギリスのプリンスらの推計によると中国の認知症の人の推計数は2005年5,98万人、2020年1020万人、2040年2250万人としている。(サイト内関連記事)
ADI-Chinaの連絡先:Alzheimer's Disease Chinese, Department of Neurology, First Hospital Peking University, Beijing 100034 China Tel: +8610 6521 2012 Fax: +8610 6521 2386 Email: wyhbdyy@gmail.com

★アルツハイマー病の二人の母を語る(9月20日/イギリス)
明日は世界アルツハイマーデーです。リンダ・ベリンハムLynda Bellingham(写真左)は人生に破壊的な影響を与えた病気について語ります。
ベリンハムはBBCの番組Strictlyなどテレビや映画でよく知られた女優です。最近、このカナダ生まれの女優はブロードキャスターは難しい役目をこなしています。5年前、彼女は養母のルースRuthをアルツハイマー病で失いました。その1年後、実母のマージョリーMarjorieが同じ病気であることを知りました。そしてベリンハム、はイギリスの60万人の認知症の人を介護している人たちの窮状を啓発する活動を行ってきました。
ベリンハムは次のように語っています。
「認知症という言葉を聞くと人は死の恐れをいだきますが、イギリスでは3分ごとに認知症と診断されています。少なくとも75万人が認知症の人に毎年230億ポンドの費用がかかっています。がんの2倍、心臓疾患の3倍です。しかし2007年から2008年にかけてがんの研究費は2億482万ポンドでしたが、認知症は3234万ポンドでした。研究対象として魅力がないのでしょう」
ベリンハムは、アルツハイマー病について熱心に語りますが、その病気が彼女自身の波乱にみちた人生に深く影響したからです。彼女は、生後4カ月のときにイギリスの夫婦の養子になりました。10代のとき、自分が馴染めると感じたことはなかったのです。最初の結婚では性的な交わりはありませんでした。2回目の結婚では情緒的虐待で傷つきました。3回目はマイケル・パテモーレMichael Pattemoreとの結婚した60歳前にようやく落ち着きました(写真右)。しかし、この10年間、アルツハイマー病になった養母と実母の両方を看なければなりませんでした。
2000年、ベリンハムは、妹のバーバラから、73歳の養母のルースが洗濯機を使えなくなったことを知りました。「それはちょっとした心の問題だろう」と思っていましたが、医師から初期のアルツハイマー病との話を聞いたのです。
ベリンハムの義父は元パイロットのドンDonはそれを否定しました。ルースと結婚を長く楽しみ 田舎に住んでいました。幸い、妹のバーバラが近くに住んでいました
ベリンハムは次のように述べています。
「母は、記憶は薄れて、どうしてよいかわからなくなり、普通の家事ができなくなり、自分のことも夫のこともできなくなりました。私は、罪の意識にかられました。バーバラがもっぱら世話をしていたのです。私はロンドンに住み二人の息子がいました。もう一人の妹のジーンJeanもロンドンに住んでいました。私は母を看るためによく出かけ、一度に3日から4日過ごしていました。ささやかな休息のひとときの生活でした」
最初、ルースは社会サービスの支援で在宅介護を受けていました。
さらにベリンハムは次のように語っています。
「ルースの夫が畑の事故で首の骨を折ったときに本当に大変でした。彼はもはや私の母を抱き上げたり入浴させたりできなくなったのです。民間の看護師に頼んで夜間居てもらうようにしましたが、看護師はその仕事を嫌いました。母のために一時的に滞在するホームを見つけましたが、そこでは多くの鎮静剤が使われ、率直に、その施設を信頼できませんでした。さらに、そこで母は大腿骨を骨折しました」
ついには、母を介護施設で最期で送るという苦しい決定をしました。さいわいその施設はよくて、田舎の家から40分ほどの所にありました。その時のことをベリンハムは覚えています。
「ぞっとしました。養母は行きたくなかったのです。母はその施設から何時連れ出されるのかと父の方を向いていました。『あなたは私を愛しているのに、どうして私を連れて行かないのか』と」
最悪のことは、ルースは彼女の記憶の破壊され、遠くへ行ってしまったような姿になりました。
またベリンハムは次のように語っています。
「これは認知症の人の介護者にとって特別な問題です。家族が毎日のように消えているようなものです。父はとても理解のある人でしたが、40年間、愛してきたルースについては別でした。ある日、私が施設を訪れたとき、老年の男が来て頭を彼女の肩にのせると、母は『それは私の男ではないが、今はそれは問題ではない』と話したのです」
養父母は共に2007年に亡くなりました。その1年後、新しいショックなことが起こりました。実母のマージョリー(88歳)がカナダから電話をかけてきて、「アルツハイマー病と診断された」と告げたのです。
バプテストの牧師の娘のマージョリーは、アメリカの船員との間で身ごもりましたが、その男性は知らないと言ったのです。屈辱を避けるため、彼女は赤子を誰かの養子にすることに決めました。これでベリンハムは、1948年新しい両親のもとにイギリスに来たのです。何年も後、マージョリーのことを調べ、1990年初めて会いに行きました。彼女は現在、介護施設で生活しておりますが、娘の記憶はほとんどありません。
ベリンハムに関心なことは、彼女を産んだ母の病気―アルツハイマー病―に、彼女と彼女の二人の息子がなる危険性があるのではということです。遺伝子によってアルツハイマー病になる危険性は確かにあるが、それを正確に予測する方法はほとんど分かっていません。
ベリンハムは次のように語っています。
「養母のルースとは生物学的に分離されてはいますが、血のつながりを強く意識します。祖母も同じ病気であったことをマルジョリーから聞きました。そのことでこれから20年間、心配して過ごしたくないのです。言葉や名前を忘れるとちょっとパニックになります」
脳の健康に保つことに関心を高め飲酒を辞めました。女優として脳を働かせてセリフを覚えなければならないと感じているのです。
心理学的に悲痛な側面をもったこの病気とよりよく対処することができるようにもっと多くの基金が必要と彼女は感じています。
最後に、「私の人生哲学は『やるべきことはすぐやる』です。私に何が起ころうと高齢であることを喜んで受け入れたいのです。この特別に難しい病気に対処できるようための支援に私の能力を使うことにしました」と語っています。
Telegraph.co.uk 20 Sep 2010 Lynda Bellingham on her mother's Alzheimer's

就労と介護の両立を(9月20日/オランダ)
オランダでは認知症の人の数は40年以内に2倍の50万人になります。世界アルツハイマーレポート2010年版 World Alzheimer Report 2010によると、費用は750万ユーロから1500万ユーロと2倍になります。
オランダアルツハイマー病協会 Alzheimer Netherlands の広報担当者は次のように述べています。
「ほとんどの認知症の原因は加齢に関係しています。人が長生きしているので、ほとんどすべての型の認知症も同時に増加しいています。介護者5人のうち4人が過労状態で、ストレスを少なくするための専門的氏支援が必要です。介護者は本当に過労であり、実際的で情緒的な支援があれば、より長く介護することができるでしょう」
同協会の最高経営責任者のギア・ブレッケマGea Broekema氏(写真)は次のように述べています。
「同じような状況にあれば認知症の人は、結局、早めに入院することになるでしょう。介護者を支援することでケアに要する費用の7から10%を節減できるのです。」と話しています。雇用者は家族を介護している従業員のニーズを考慮すべきです。従業員の8人のうち1人は病気の家族を在宅で介護をしています。ほとんどの雇用者はこの事実を知りません。介護者が仕事と介護を両立できるように支援するためのことがあまり行われていません。もし雇用者が従業員の話を聞き、臨機応変に、時々の自宅勤務を認めるなら、事情は違ってきます」
Radio Netherlands Worldwide 20 September 2010 Number of Dutch dementia patients doubles
編者:短い記事からオランダの認知症の介護事情の一端を知る。アルツハイマー病協会が雇用者に就労と介護の両立への支援を求めている。我が国にはない発想だ。

★抗認知症薬の無料化はまだ(9月19日/マルタ)
マルタのジョ・セイザーJoe Cassar保健大臣(写真左上)は次のように述べています。
「認知症を遅らせる薬は改定される無料化対象の薬の規定に含まることになりそうですが、何時認知症の人がこの制度の利益を得るかは決まっていません。規定5V Schedule Vは常に改定され、無料化される病気のリストは変わってきています。私たちは明らかに持続可能な制度であることをみる必要あります」
ヨーロッパではマルタとラトビアの2カ国だけがアルツハイマー病など認知症の人が病気の進行を遅らせる薬の公的給付が認められていません。その額は一人当たり月額150ユーロです。
この状況は、欧州委員会に提出した議会質問のなかで労働党の欧州議会のルイス・グレッチLouis Grech議員(写真左中)が指摘しています。このなかで、彼は「マルタの認知症の人の権利とニーズを侵すものである」と述べ、ヨーロッパの国の認知症の人を同様に治療と薬が利用できるようにマルタが規定Vを見直し改定するのを促すことを欧州委員会に要請しました。ヨーロッパの資料に基づいて、マルタ医療新聞Malta Medical Journalはマルタには約4500人の認知症の人がいて、人口の高齢化に伴い2035年までに2倍になると推計しています。
9月21日と決められている世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Dayは、そのテーマが「認知症、活動の時だ」であり、マルタの認知症の人は差別されていると感じています。
薬の無料化は国民認知症戦略グループNational Dementia Strategy Groupが要求してきたもので、認知症の人、とくに年金生活者は余裕がなく、薬の服用しないままでいました。
これは、今年1月にグループの議長であるチャールス・セリCharles Scerri医師(写真左下)が政府に提出した科学的研究にもとづく戦略に掲げた10の勧告の一つです。アルツハイマー病ヨーロッパAlzheimer Europeによると、アルツハイマー病などの認知症を治癒させる薬物はありませんが、抗認知症薬は一時的に認知症の進行を遅らせることができ、抗精神病薬は行動や精神症状をコントロールでききます。
最近の政策報告では、Alzheimer Europeアルツハイマー病ヨーロッパはヨーロッパの認知症の人に関わる団体の中心的な関心事であるアルツハイマー病など認知症の治療を平等に利用できるかどうかについて調査しました。
セリ医師は「規定Vに挙げられている病気は1980年に更新されたものです。この時期、認知症についてはほとんど認識されておらず治療について話題になることはありません」と述べています。
研究によると、認知症の人の費用の月額は400ユーロ以上で、このうち薬が最大に経費になっています。この財政的な側面によって、政府は認知症を改訂された規定Vに含まれる疾患とすることに躊躇しています。
保健省のスポークスマンは「改革にはとても費用がかかるが、無料化は国民認知症戦略の枠内で検討している」と述べています。
保健省はEU委員会の国家改革プログラムに、病気になりやすい集団である高齢者のニーズに応じるように認知症に対して特別に重視する案を提出しました。予算前の資料によると、この戦略は既に草稿ができており2011年に始めるとされています。認知症の人が特別な関心と治療が必要であり、家族が国家に重い負担を強いるものであることを報告書は認めています。
保健省のある職員は次のように述べています。
「戦略にはグループの報告書の有意義な作業が含まれるでしょう。しかし、必要な経費について検討する詳しい研究が必要で、草稿はごく初期もものです。これは情緒的課題で耐えられないと理解してはいますが、一晩で事は変わりません。どれほどの経費がかかるのかは、イギリスの医療制度を参考にすると、おおよそ年間400万ユーロほどです。しかし、正確な費用を予測するのに十分なデータがないことを強調しておきたい」
セリ医師は次のように述べています。
「介護者向けに適切な介護をどのように行うか、また専門職と一般の人向けにどのように病気の診断を速やかに行うかについての地域サービスと教育の二つは国民戦略でとても重要な要素と信じています。薬の無料化はこれらの戦略の重要な要因ですが、最善の治療はできるだけ早期に自分が病気を知ることができることです」
Timesofmalta.com 19th September 2010 Still no date for free dementia drugs
関連情報:マルタアルツハイマー病協会Malta Dementia Society のサイト
サイト内関連記事
編者:マルタも、アリセプトなどアセチールコリンエステラーゼ阻害剤の公費負担について制限している国の一つだ。既に、イギリス、ニュージーランド、台湾、カナダ(州)などがある。

認知症はこれまでの予測より多い(9月19日/南アフリカ)
南アフリカで認知症の有病率の調査が初めて行われ、都市部の黒人層で、以前予測されたより有病率が多いことが明らかになりました。自由州大学University of Free Stateの行動科学部専門研修・サービス科Unit for Professional Training and Service in the Behaviour Sciencesと南アフリカアルツハイマー病協会Alzheimer's South Africaによるパイロットスタディが行われました。現在は調査で認められた認知症を確証するために臨床的な試験が行われています。
同大学のリクスファンデルペールRikus van der Poel氏は次のように話しています。
「この研究によって都市部の黒人層の65歳以上の高齢者の6%に認知症を認めました。以前の推計値は2.1%でした。この有病率は2040年までに70%以上増えると推計されています。2005年、アフリカ全体での認知症の推計有病数はおおよそ50万人でしたが、別の研究では125万人と推計しています。どちらら正しいにせよ、確実に増加して社会経済的影響も大きくなる」と話しています。
ある研究によると全世界の認知症の人の66%は低開発国か開発途上国に住んでいる推計されています。
この研究に関わったマラン・ハインズMalan Heyns教授は、「今回のパイロットスタディの結果から認知症の啓発を高かめることに役立つでしょう」と話しています。
timeslive  Sep 19, 2010  Dementia higher and rising
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文化的な偏見に立ち向かいアルツハイマー病に取り組むアジア人(9月16日/アメリカ)
「アジア文化圏では高齢者の世話をしたいと望む人に同意しない人はいない」と話すのは
中国人社会に奉仕するために創られたワシントン州コロンビアColumbia市を拠点とする高齢者ケア団体のキンオンKin On(健安)の最高責任者で創立メンバーの一人であるサムワンSam Wan氏(写真左上)です。
ワン氏は次のように述べています。
「キンオンを創設し発展させたことは中国人社会によい影響を与えてきましたが、反対がなかったわけではありません。高齢者介護施設という概念は家族が高齢者を世話をするという中国人の根強い伝統に反することなのです」
こうしたことを知りながら社会が必要とすることに応えるという絶えざる願いを持ちながらキンオンのスタッフはキノオン地域ケアネットワークKin On Community Care Network、在宅介護、自宅で高齢者を世話したという家族のための教育プログラムを行ってきました。
グラクソスミスクラインGlaxoSmithKlineの助成を得て、キンオンは在宅介護サービス、介護者支援システム、ホスピスサービスも展開してきました。さらにキンオンケアネットワークはアルツハイマー病と認知症プログラムを加えましたが、それはノースウエスト地区での民族的プログラムなかに先駆的なものでした。
認知症とアルツハイマー病に関して異った理解があることは適切な介護を提供する施設にとって障壁をなることが多いのです。国立加齢研究所National Institute on Aging(NIA)によると、中国人にとって病気の診断や治療に言語的文化的価値観が介入しているのです。
NIAの報告書には次のように指摘しています。
「認知症に該当する中国語が英訳されると『バカとか愚かな』といった意味になります。同様に、認知症に関連した漢字は『気が狂った』という意味になるのです。アルツハイマー病はしばしば中国人社会では特別な疾患ではなく精神疾患として広く受け止められています」
キムオン地域ケアネットワークの社会サービス部長のジェン・ウオンJane Wong氏は次のように述べています。
「中国人がその病気を受け入れるのは難しいことです。より中国人の伝統的な思考ではそれが何であるかを知らないのです。病気と見なしていません」
キング県King Countyでは、2003年から2007年までアルツハイマー病は死因の第4位で、脳血管障害の次でした。アジア太平洋諸島群の人Asian/Pacific Islandersの間では第7位です。アジア系アメリカ人は他の民族より平均寿命が最っとも高く(女性で87.4歳、男性で82,1歳)、アルツハイマー病は80歳以上で劇的に増えています。しかし、キング県の公衆保健局によると、この県ではアジア人のアルツハイマー病による死亡率は人口全体の値の半数よりわずか高い程度です。
キムオン地域ケアネットワークは、アルツハイマー病と認知症の支援Alzheimer’s and Dementia Supportプログラムを通して発展しました。ネットワークは情報提供、教育的支援および訪問を行っています。ウオン氏は、毎月、キング県全体で21人を対象に訪問を行い、介護者への支援と家族の健康上の必要性の評価をしています。
こうした活動の最大のハードルは言葉です。キンオンの職員のほとんどは英語と中国語を話しますが、情報の多くは英語からのものです。
ナーシングホームはアルツハイマー病の人にための新たに設備を用意しました。
ワン氏は「アルツハイマー病の人にとって私たちが施設の一員として扱っっているということが重要と思う」と述べています。
施設では、アルツハイマー病の人が混乱しにように長い繰り返しの多い廊下に換えて色を変えたり、外回りも風景を変化をもたせるようにしています。施設はスタッフの入れ替わりは少なく、アルツハイマー病の人の介護に重要な一貫性も持ち合わせています。
25周年記念が近いので、地域に必要なことに合わせて活動を発展させています。
ワン氏は「クリス・グレゴアールChris Gregoire知事(写真左下)が予算削減案を拒否したので深い傷を避けることができましたが、近年の補助金は低下している」と述べています。
キンオンの基金は入居者からのもので主にメディケアやメディケイドの償還により、州、助成金、一般からの寄付によります。州からの償還は減額しておりますがキンオンの施設の空きベッドはありません。
地域ケアネットワークの資金はディケイドやメディケアによる支払で賄われています。ワン氏は「センターが地域に必要なサービスを提供するなら、支援は必ずあるものです」と話しています。
こうした努力が続くなかで、ワン氏は50人定員の高齢者用住居プロジェクトを始める計画でいます。また、コロンビア市にある介護施設の周辺に健康加齢センターHealthy Aging Centerも設立する計画も持っています。
Northwest Asian Weekly 16 September 2010 Asians overcome cultural stigmas in order to treat Alzheimer’s

フィリッピンアルツハイマー病協会がアルツハイマー病啓発週間に取り組む(9月16日/フィリッピン)
認知症は加齢の一部とみている人が多いが、これは事実ではありません。間違った考えによって、適切な医療を受けようとせず、することは何もないと考えられています。しかし支援を求めようとしても正しい知識をもって認知症に対処することを教えてくれる医療職はほとんどいません、
フィリッピンアルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease Association of the Philippines (ADAP)の会長のソコロ・マツチネスSocorro Martinez医師によると、2030年までに140万人(編者注)のフィリッピン人がアルツハイマー病など認知症になる恐れがあります。
この増える疾患に、今、活動を始めなければなりません。必要なことは認知症とくにアルツハイマー病についての正しい知識を持つことです。
アルツハイマー病協会は、常にこの病気に対する社会的啓発を重視し誤解を排除し偏見を正してきました。
フィリッピン大統領令1130により毎年9月の第3週を「国民アルツハイマー病週間National Alzheimer’s Awareness Week」と決められて以来、セブ、イシコスノルテ、バギオで地方政府、介護家族、医療関係者との相互関係が作られました。今年は、ラグナに活動を絞りました。何時もの年の目的のほかに、協会の支部を設立し、先駆的なスタッフが置かれるでしょう。
9月13日、ロスバーニョス地域認知症ケアLos Banos Community-Based Dementia Careプロジェクトの中核的メンバーに認知症の鑑別方法についてのワークショップを開催しました。このプロジェクトは、明日、サンタクルスで発足し認知症ケアと地域のプロイマリーケアとの連携を目的としています。
ADAPは、本人だけでなく介護家族の生活の質を改善するための擁護活動を展開しています。認知症の人の介護のため多くの時間がとられて家族の生産性が失われているのです。
アルツハイマー病は本人と家族の両方が犠牲となる特異な病気で、そのための治療が必要なのです。介護ストレスのため、介護者はしばしばうつ状態になったり、身体の病気になりやすいのです。このため協会は、認知症の人を介護する家族が働きに出られるように支援するため、ロスバーニョス地域認知症ケアプロジェクトとして介護施設を開設する計があります。認知症の人の支えるのに適切な介護が重要なのです。協会は全国のさまざまな地域にこうした施設を開設する計画です。
ロスバーニョスプロジェクトの発足とは別に、ADAPはラグナで医療職のための認知症基礎研修を行うことにしています。これはラクナ政府とラブナ医師会Laguna Medical Societyとの共催で行います。午後は、ラグナのプライマリー医師と看護師の卒後研修も開催されます。この研修には「アルツハイマー病の診断・予防・治療に関するADAPの勧めAlzheimer’s Disease Association of the Philippines Recommendation on Diagnosis, Prevention and Treatment of Alzheimers Disease”」のテキストを元に行われます。ラグナ支部の先駆的スタッフの紹介のあと、新しい「世界アルツハイマー病報告書World Alzheimer’s Report」の説明があります。
今週の土曜日に、メモリーウオークMemory Walk活動があり、一般の人への啓発と、一般の人と政府にすべきことについて要請します。その後、サンタクルースの文化センターでCultural Centerで地元に人を対象とした一般向けの認知症フォーラムが開催されます。会場では記憶、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症の市民向け検診も行われます。
多国籍製薬会社のノバルティスヘルスケアフィリッピンNovartis Healthcare PhilippinesはADAPを支援を通してアルツハイマー病の人への質の高い医療を提供しています。
The Philippine Star  September 16, 2010  ADAP to mark Alzheimer's Awareness Week in Laguna
編者:記事の140万人は間違いを思われる。DEMENTIA IN THE ASIA PACIFIC REGION: THE EPIDEMIC IS HERE ADI2006(pdf400K)の報告によるとフィリッピンの認知症の推計値は17.0万人(2005年) 31.6万人(2020年)、115.9万人(2050年)としている。

アルツハイマー病など認知症に有効な非薬物療法(9月10日/スペインほか)
スペインのマリアウォルフ財団Maria Wolff Foundationのハヴィエ・オラザラナJavier Olazarana医師(写真左上)およびイギリス、アメリカ、オーストラリア、香港などの22人の研究者からなる研究グループは、アルツハイマー病など認知症への非薬物療法の有効性についてこれまで発表された研究論文を評価する作業を行い、その結果を報告しました。
評価対象となる論文は、主要な電子データに保存され、無作為比較試験(RCT)で行われた介入試験で、2008年9月15日までに発表された論文です。取り上げた論文数は1313で、このうちRCTが行われ研究グループの基準に合致した179論文が評価の対象となりました評価の段階づけは、証拠に基づく医学に関するオックスフォードセンターOxford Center for Evidence-Based Medicineの基準によりました。
その結果、グレードA(強く勧められる)に該当する非薬物療法は介護者への多角的介入で施設入所の遅れが認められました。次にグレードB(勧められる)に該当する非薬物療法は多角的介入、認知機能訓練、認知機能刺激、日常生活動作訓練、行動介入、介護者研修で、認知症の人の認知機能、日常生活動作、行動、感情、拘束予防、生活の質の改善が認められました。同じくグレードB(勧められる)に該当する非薬物療法は、多角的介入、介護者教育、介護者支援、認知機能刺激、介護者の気分、精神的によい状態、生活の質の改善が認められました。
研究者は、非薬物療法は有益で、多様に利用でき、費用対効果の効果があり、認知症の人と介護者の生活の質の改善などに役立つと結論づけています。
この論文はDementia and Geriatric Cognitive Disordersの2010年30巻2号の電子版に掲載されています。
さらに研究グループは、アルツハイマー病の治癒方法はなく、薬物療法は限定的あり、薬非薬物療法が認知症の人と介護者の生活の有意に改善するので、政府がこうした有用な非薬物療法をおおいに利用することを要請しています。さらに研究グループは、こうした非薬物療法は効果的だけでなく、開発や研究も相対的に安いと指摘しています。これまでこれほど有効な薬物療法はありません。また薬のように副作用がありません。現在服用している薬とは関係なく有効なのです。薬と併用するともっと効果的かもしれません。
イギリスでは、国立医療技術評価機構National Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)によって非薬物療法に関して公的なガイドラインで最善の方法が示されており、政府が医療と社会サービスとボランティアの連携といった社会的インフラを改善することで認知症の人と介護者へのよい有効な非薬物療法が普及するでしょう。
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの研究部長のクリーブ・バラードClive Ballard教授(写真左下)は「今回の研究によって簡単に使える治療法によって認知症の人と介護者の生活を変えられることを示されました。協会はこうした治療法が広く普及することを要望する」と述べています。
なお、多角的加入とは、個別的対応、介護者と認知症の人と家族の多面的評価、家族と社会的状況への介入、研修、教育、デイケア、支援グループ、介護休養などの社会資源の活用および組織的家族支援をいいます。
science 2.0  September 10 2010 Non-Pharmacological Therapies For Alzheimer's Disease Need Be Made Widely Available-Studyおよび論文Nonpharmacological Therapies in Alzheimer’s Disease: A Systematic Review of Efficacyより)
編者:非薬物療法は経験的に有効性を認めるが、有効性に関するRCTによる研究は少ない。今回は複数の国の研究者によるこれまでのRCTによる研究論文の評価から、強く勧められる非薬物療法が一つ多角的介入だけ、しかも効果は施設入所が遅くなるというだけ、ちょとがっかりだ。次に、勧められるが複数指摘された。多角的介入の効果も経験的に有効と思われる。なお今回紹介した論文では日本の研究者による以下の3つの論文が取り上げられている。
○Kawashima R, Okita K, Yamazaki R, Tajima N, Yoshida H, Taira M, et al: Reading aloud and arithmetic calculation improve frontal function of people with dementia. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2005; 60A:380?384.
○Tadaka E, Kanagawa K: A randomized controlled trial of a group care program for community-dwelling elderly people with dementia. Jpn J Nurs Sci 2004; 1: 19?25
○Meguro M, Kasai M, Akanuma K, Ishii H,Yamaguchi S, Meguro K: Comprehensive approach of donepezil and psychosocial interventions on cognitive function and quality
of life for Alzheimer’s disease: the Osaki-Tajiri Project. Age Ageing 2008; 37: 469?473.

アルツハイマー病の夫とその妻(9月7日/アメリカ)
アメリカ・マサチューセッツ州のブレインツリーBraintreeに住むジョン・バートンJohn Bartonと妻のルーシルLucille(写真)はともに最期の時を平安のなかに過ごしています。
ジョンは2年前からアルツハイマー病の迷路のなかに深く迷い込んでいしまいましたが、妻は常にそばにいて微笑みを忘れません。
ジョンの旅は8年前から始まりました。海軍の退役軍人でP&Gの販売管理者でしたが、夜の盗人のように、アルツハイマー病がこっそりと彼に近づいてき、脳から神経細胞と神経伝達物質も一緒に取り上げたのです。
神経細胞は何十億とあるので、こうした不意打ちがあってもその結果は気づかれないようにゆっくりと現れてくるのです。8年前から小切手帳の収支がわからなくなってきました。
ルーシルは「ジョンはいつも小切手帳を気にかけていて、私が触ることはありません」と話しています。
その時ルーシルはロス学校Ross Schoolの4年生を受け持っており、14年間勤めて9年前に退職しました。
その頃、ジョンはブレーンツリー市民ゴルフコースBraintree Municipal Golf Courseでゴルフをしているとき、熱中症のような症状になりました。
スーシルが気にしていた心理テストの結果でかかりつけ医師にジョンをボストン大学医学部Boston University School of Medicineに紹介してもらいました。
それは70歳のときで、アルツハイマー病と診断されました。
脳に影響して、記憶、言語、思考の能力を荒廃させるこの病気の暴挙を食い止める戦いが始まったのです。
ジョンとルーシルはこの病気に真正面から立ち向かいました。3人の息子と友人たちの直ちに病気のことを話しました。
ルーシルは「家族と友人はとても素晴らしかった。その訳のひとつは隠さないことでした。友人が知ってくれることで、ジョンの生活が楽になったのです」と話しています。
最初の頃、ジョンは「アルツハイマー病であることで困惑してはなりません。隠してもだめです。知ってもらうことで、ゴルフコースやビリヤードで間違いをしても、他人が役に立ち、受け入れ、理解してくれる」と話していました。
ジョンはすぐ参加できるすべての研究に参加するサインをしました。ルーシルはネットで病気に関する最新情報を探しました。ボストン大学医学部の医師が勧めるアルツハイマー病のあらゆる研究に参加しました。研究のために脳を提供することも約束しました。
またアルツハイマー病協会マサチューセツ支部Massachusetts Chapter of the Alzheimer’s Associationが製作したビデオにも協力しました。それは初期のアルツハイマー病の人が自分の病気について話しをするものでした。
彼は、まずアリセプトから始めて、入手できるあらゆる新しい薬をのみました。このため少しよくなったのです。彼女はメマンチンというドイツの新薬をみつけ、アメリカ食品医薬品局FDAが承認する前から服用させていました。ホモシスチンの研究にも協力し、その結果、血液中のホモシスチンが高いと、アルツハイマー病のリスクも高くなることがわかりました。初期アルツハイマー病のレシチン研究にも参加しました。
ルーシルは「ひとつのドアが閉まると、別のドアを開ける」と話しています。
ジョンが研究に貢献する二つの理由を持っていました。かれ自身にとって可能な限りこの病気の凶暴から免れたいと望んでいたからです。もうひとつの理由ですが、「私たちが受けた支援に応える私のやり方です」と話していました。
こうした治療はジョンにどのように影響したのでしょうか。ルーシルは「私は知りません。これらなくして彼がどうであったかはわかりません」と話しています。
彼女が知っていることは、この6年の間、病気は情け容赦もなくジョンの力強さと認知機能をはぎ取ってきたということです。
ジョンのいろいろな能力が低下する一方で、ルーシルは支援グループを通して自分自身を強くしました。
最初、夫婦は初期アルツハイマー病の人と介護者のためにミルトン高齢者協議会Milton Council on Agingの支援グループに参加しました。他の夫婦も参加していました。
ルーシルは次のように話しています。
「野外活動やワークショップに参加し、介護者の集まりと患者の集まりがあり、思いを共有することができました。互いの経験から学び、異なった状況が話題となりました。これから来るだろう突風をどう対処したらよいかを学びました。いつも、次に起こることを知りたいと望んでおり、準備もできました。支援グループで扱う初期のことは介護者にとって単純なことでした。たとえば、黒い敷物はアルツハイマー病の人が穴と思い違いしてドアの前で止まる、皿の色は重要で白の皿にトマトをのせると混乱させる、困惑しないように床は単調のものがよいなどです」
ノーウエル訪問看護協会とホスピスNorwell Visiting Nurses Association and Hospiceは、アルツハイマー病が進行した場合の支援グループを運営していました。ルーシルは最も誠意ある会員の一人で何年も集いを欠席したことはありません。
ルーシルはできるだけ長くジョンを自宅に置きたかったのです。
5年半前、デイケア―ヒンハムHinghamにあるアクティブデイActive Day―を見つけました。朝、車で迎えに来て、夜、家まで送ってくれます。足が弱ったジョンは週に3回から5回通っていました。
さらにルーシルは次のように話しています。
「思いがけない贈り物でした。退役軍人サービスがデイケアの支払いに支援してくれました。ジョンは朝鮮戦争とベトナム戦争に参戦しました。ジョンにはデイケアではとてもよかった。彼もそれが好きなようでした。この安楽なデイケアのおかげで、怒ることは全くなく、徘徊もなかったのです」
ジョンは3年半、デイケアに通いましが、もっと介護が必要になりました。
この時期に、ルーシルは大腸がんの手術と両膝の人工関節置換術を受けましたが、彼女を夫から遠ざけるものではありませんでした。
ルーシルは「本当に恵まれています。神が私を見守ってくれている」と話しています。
さらにルーシルはそれまでと同様に熱心にナーシングホームを探しました。キンシーQuincyにあるジョンアダムスナーシングホームJohn Adams Nursing Homeに決めました。
ナーシングホームでジョンは歩けなくなり、話もできなくなりました。ルーシルが訪れるときは彼は目を開けているだけですが、時折、窓はあります。彼の5歳の孫娘のアレクサAlexaが最近、訪ねたとき、ジョンは「とてもかわいい幼い女の子だ」とはっきり言ったのです。
ルーシルは「その窓は贈り物です。もう孫のことはわからなくなってはいるが、孫たちはおじいちゃんが愛してくれていることが理解している」と話しています。
ルーシルはとても忙しくしています。何年もの間、ブレインツリー女性クラブBraintree Women’s ClubとガーデナーズガイドGardeners’ Guildに所属し、セントクラーレ教会St. Clare’s Churchの敬虔な奉仕者です。
しかし、どんなことがあっても、毎日、ジョンの昼食の時に訪ねています。
ルーシルは「最もはっきりしていて、最も相互の反応が起こるときなのです。彼は食事が好きです」と話しています。
ジョンは最後の旅を歩いています。
最後にルーシルは次のように話しています。
「彼は、一生、温厚な人でした。満足しており、世話をうまく受けています。ナーシングホームの誰もが彼を好きなのです。私は何が起きてもよいように準備ができています。私たちはとても恵まれています」
wickedlocal braintree Sep 07, 2010 A couple’s love lights the way of an Alzheimer’s patient

認知症啓発キャンペーン(9月7日/シンガポール)
健康増進委員会Health Promotion Board (HPB)は、認知症の初期の危険サインを認識することで介護計画を立てることができ、認知症の人と家族の生活の質を高めため認知症啓発キャンペーンを始めました。
タン・エウェ・フーンTan Ewe Hoon氏(88歳)は8年前に認知症と診断されましたが、妻のエミリー・タンEmily Tan氏(81歳)はこの病気にどのように対処するかを早い時期に知りました。
タン夫人は次のように話しています。
「夫が深夜に好んで起き上がり、私の引き出しを探しまわします。必ずしも必要ではないもの―古い本、古い写真など―を引き出しや食器棚に入れておきました。夫はそれに数時間、熱中するので、その間、私の心は休まります」
タン夫人の経験は、シンガポールの認知症の人2万2000人の家族に共通するでしょう。
認知症を国民に広く啓発するため、HPBのキャンペーンは短編の映画に製作しました。
製作に関わったロイストンンRoyston Tan氏は次のように話しています。
「友人の祖父に教えられました。彼は鶏の商売をしていましたが、認知症になりました。
彼の家を訪れ、起こっていることは住宅開発委員会Housing & Development Board(HDB)のアパートで鶏に餌をやってるようにみえました。実際、鶏はいません。初めてそれを見てとても心打たれました。祖父を変えようとするのではなく、彼の素晴らしい人生を受け入れているのです」
映画の縮小版はメディアコープMediaCorpのチェンネル8Channel 8、スリアSuria 、ヴァサンタム Vasanthamで9月26日から2週間放映されます。完全版はYouTubeで見られるでしょう。
HPBは、キャンペーンと通して家族に認知症の危険サイン―日々の生活に影響するもの忘れ、やりなれた仕事ができにくくなる、場所や時間がわかりにくくなるなど―を国民が認識することを期待しています。
認知症の人の生活の質を改善するために、HPBは介護者が家庭で使えるようなセットを開発しています。認知症の人と一緒に使えるカードゲームや歌のようなものが入ったものになるでしょう。
HPBの心理学者のスン・ヤン・リンSng Yan Ling氏は次のように話しています。
「認知症の人にとって病気によってその人の内面が変わるわけではありません。介護者が認知症の人の行動を変えようとするのではなく、手をさしのべ、絆を作ることを望んでいます」
介護者用セットは年末までには入手できるでしょう。
channelnewsasia.com 07 September 2010 Campaign to raise dementia awareness

アルツハイマー病薬の市場は3倍以上に(9月7日/アメリカ)
調査会社のデシジョンリソーシズDecision Resourcesの報告によれば、イーライリリーEli Lillyおよびジョンソン&ジョンソン・ファイザーJohnson & Johnson/ Pfizer共同の新しい化学物質が加わりアルツハイマー病薬の市場は2019年に3倍以上になります。アルツハイマー病薬の市場は2019年にアメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、日本の市場で、2005年の43億ドルから133億ドルに増える報告しています。
この増加は、主に、イライリリー開発の化学物質ソラナズマブsolanezumabとジョンソン&ジョウソン・ファイザー共同開発の化学物質バピネウズマブbapineuzumabによると推測しています。
ソラネズマブは、人の抗体で軽度から中程度のアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性のある治療法として研究されてきました。バピネウズマブは、人の単クローン抗体で神経系に作用し、アルツハイマー病治療の可能性があります。アメリカ食品医薬品局から初めて認可を受け、ファイザ・ジョンソン&ジョンソンで開発されたものです。
調査会社によると、こうした抗ベータアミロイド単クロナール抗体(MAbs)は神経退行や認知機能の低下を遅らせる可能性があり、2019年には、製薬会社にとって全世界の主な市場で69億ドル以上の収入があるでしょう。
現在のところ、アルツハイマー病の治療はアセチールコリンエステラーゼ阻害剤(AChEIs)が主流ですが、アルツハイマー病の進行を変えるものではなく、認知症状を良くするだけです。
専門家によれば、抗ベータアミロイドMAbsがアルツハイマー病に臨床的にも商業的にも最も期待されていますが、症状治療のAChEIも今後10年間は続けて使われるでしょう。
調査会社の重役ベサニー・キールマンBethany Kiernan氏(写真)は「ジェネリックの競争が激しくなり、より高価でかつ効果的な薬が市場に出すにもかかわらず、AChEIの販売は2019年までに続くでしょう。これは薬物治療の患者数が増えることによる市場拡大と、新しいブランドのAchEIが市場に出ることによるものです」と述べています。
International Business Times  September 7, 2010 New biological agents to help triple Alzheimer drug market
編者:この調査会社はアルツハイマー病の免疫療法が将来有望であるとしている。たとえこれらの根本治療薬が使用されるようになっても、アリセプトなどのAchEIはなお有効な薬として生き残るとの指摘は正しいようだ。

心臓死は減ったが、認知症死は増えている(9月7日/スイス)
スイス連邦政府統計局Federal Statistics Officeによる9月7日の報告によると、スイスでは、心臓疾患で死亡する人は減っていますが、認知症に関連した死亡は増え、がんによる死亡は少し増えています。ただし死因の第1位は心臓疾患で、第2位はがんであることに変わりはありません。
最新のデータによると、2008年、スイスで心臓血管疾患による死亡数は2万2231人です。これは全死亡の36%を占めていますが、10年前の41%と比べると減少しています。がんによる死亡は同年で1万5953人で、全死亡の26%を占め、10年前より800人増えています。
しかし、この間、人口は増えていることを考慮すると、人口10万人当たりのがん死の割合は1998年の162人から2008年の142人に減っています。このうち最も多いのは肺がんによる死亡でがん死の19%を占めています。
認知症に関係する疾患による死亡は約4300人で、1998年と比べおおよそ2倍になっています。この急増は、医師が認知症を把握することが多くなったことと、人口の高齢化によると考えています。
交通関係死は10年前より40%少なく、エイズによる死亡もよい治療薬によって70%減りました。
統計局の報告によると、スイスでは毎年約6万人が死亡しており、この数は次の15年で8万5000人に増えると推測されています。
swissinfo.ch  Sep 7, 2010 Heart disease kills fewer but dementia rises
編者:スイスの総人口は7,568,000人(2008年)。なお我が国ではこうした統計はないようだ。なお、厚生労働省の死因統計によると2007年でアルツハイマー病による死亡は 2 592人。

アルツハイマー病薬開発は多角的に(9月1日/アメリカ)
NIリサーチNI Researchは、月刊雑誌ニューロインベストメントNeuroInvestmentの9月号を発行しましたが、アルツハイマー病治療薬でつぎつぎと不成功の終わっている製薬会社の臨床試験について多面的な分析を示しました。
報告書は次のように指摘しています。
「アルツハイマー病がどのよう疾患かを知っているという幻想を捨て去ることはまだ難しい。アミロイドとアルツハイマー病の関係に関する何千という助成やベンチャーキャピタルの要請がまだ続いています。少なくとも、これまで言われてきたよりはもっと複雑な疾患です。神経疾患の領域ではその仕組みについては早期の状態について解明されたものはほとんどないのです」
9月号では、これまでのアルツハイマー病の効果的治療の研究で、行われた、あるいは行われつつあるとても高価な過ちを注目しています。アルツハイマー病のアミロイドモデルは完全に信用を失ったというわけではありませんが、人を対象としたデータからいえることは、アミロイドの役割およびアミロイドを安全に標的にすることの難しさを完全ではないが理解しています。知られたアルツハイマー病のセクレターゼ阻害戦略はセマガセルタットの第3相の臨床試験で失敗に終わり患者に有害を与えました。
複雑なアルツハイマー病への道程を再検定する必要があります。これにはタウ蛋白、金属結合、神経活性といった別のメカニズムの利用した治療法につながります。
アルツハイマー病治療の目標をリセットしてもよいでしょう。アルツハイマー病を変えるというとらえどころのない目標よりは、もっと安全で実行可能の方法があるでしょう。より効果的で脳機能の自立を助ける方法が、認知機能の向上を標的とするニコチンやムスカリン受容体や5HT-6やH3の拮抗物資から生まれるかもしれません。
この報告書では、110社の180以上の治療企画について分析しています。失敗したか失敗しつつある巨大な治療法―JNJ/Pfizer/Elanのbapineuzumab、Lillyの semagacestat、Pfizer/MedivationのDimebon―から、Allon Therapeutics、Targacept、Ceregene、 EnVivo Pharmaceuticals、Pranaなどのごく初期の臨床試験データまで、さらにAxerion、Cortex Pharmaceuticals、AgeneBio、NsGene、Synosia Therapeuticsの検討中の企画まで評価しています。
また9月号では、アルツハイマー病のマーカーの初期の研究や臨床的にどの時期が最適であるかについても検討しています。Vanda Pharmaceuticals、Somaxon、Jazz Pharmaceuticalsの明確ではない治療法やCypress Biosciencesが共同開発している中枢神経系薬の拡大適応、あるいはデンマークの神経作用専門の会社であるNsGeneについての分析も含まれています。
なおNeuroInvestment は神経治療についての独立した調査に関しては主導的な出版社のNI Researchが1995年から出版している神経治療分野の独立系の月刊分析雑誌です。月号はS$425で単独購入できます。
MARKETWIRE Sept. 1, 2010 Alzheimer's Therapeutics Reviewed by NeuroInvestment
編者:もともの投資関係の雑誌のNeuroInvestmentで医学的にどれだけ正確、客観的に分析、評価できているか知らないが、記事を読む限りかなり包括的で的確な評価がされているようだ。


★創造的表現は認知症の人に役立つ(8月24日/アメリカ)
それほど前のことではありませんが、創造性と認知症の話題が取り上げられました。とても興味ある分野で、私たちは各自なんらかの方法―料理、ガーデニング、ダンス、詩、音楽、発明、装飾、ファッション、絵画、文章、語り部、陶芸など―で創造的になれます。
昨年、亡くなったジーン・コーエンGene Cohen医師(写真左上)は、ジョージワシントン大学George Washington Universityの加齢・健康・人間性センターCenter on Aging, Health & Humanitiesの初代の所長でしたが、そこで彼は、医療科学と精神医学および行動科学の教授でした。彼はその創造性と加齢研究でよく知られ、尊敬されていました。彼は「創造的表現の潜在的な力は人生を通して存在する」と述べています。彼の研究から、脳が一人のうちで変化しても、神経の新しい繋りを創るという可塑性を高齢者は持っておりその創造性を促進すると考えられています。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校University of California San Franciscoのブルース・ミラーBruce Miller医師(写真左下)は、前頭側頭型認知症の人の創造的能力に注目した中心的人物でした。彼は、左脳の退行変性は言語を制限されており、音楽や芸術の能力を高め表現することができることを確かめる研究の先駆者です。その後、かれは認知症の人の創造性に関する研究に移っています。「たとえ脳の加齢現象があっても創造能力がなくなったことにならない」と彼は話しています。
過去10年間、多くの研究によって、高齢者、とくにアルツハイマー病などで認知機能が低下した人に対して芸術の利点が明らかになってきました。2006年11月にウンスコンシン大学University of Wisconsinで行われてフォーラムで、創造性の分野での研究がもっと必要であるが、認知症の人の創造性の利点は否定できないことが確認されました。
その利点とは、積極的な感情反応、興奮の減退、社会的相互反応の増加、認知過程の改善、食事の増加、身体的強さやバランスの増強、感情や注意する時間の改善、ストレスの減少、生活の質の改善などです。
言語的表現やコミュニケーションが少なくなるアルツハイマー病のような疾患では創造性を活かしてその欠点を埋める方法があります。言葉でうまく表現できなくても、美術や音楽あるいはダンスなどによって物語を話し、思いを表し、思い出を創るなど表現の媒体となるのです。
私は、創造的活動をしている認知症の人の表情をじかに見ました。かれらは楽しみ、笑い、自信をもち、平安の感覚でもって満足を表すというありふれた状態にあります。自己表現の他の手段がないか誤解されているとき、芸術と創造性によって情緒を外に出すことになりうるようです。
ヨガ教室で、私は軽度認知障害の人に教えていましたが、動作を通して創造的表現があることを知りました。生徒は言語的および視覚的な手掛かりにして、自分のポーズ、動作、流れが思い通りであることを知ることのことになります。
この創造的表現のヨガの形は穏やかな感覚や高い自己評価や受容の育くむことになります。介護者、家族、友人らが認知症の人に創造的活動を始めるようにする役割があり、表現する残った能力の活かるようにさせましょう。
「ダンスを見ることは心を聞くこと」(インドのことわざ)
本記事の寄稿者のアンジェラ・ルンデAngela Lunde氏(写真右)はメイヨークリニックのアルツハイマー病研究センターの教育担当主任です。
Mayo Clinic com Aug. 24, 2010 Creative expression helpful to those with dementia
編者:認知症の人への創造的活動の意義と利点についての総括的な記事だ。基本的に異議はないが、活動の方法と利点について具体的な証拠が乏しいが、おおいに試みてよいだろう。わが国でも認知症の人への芸術療法などによる創造的活動の取り組みがある。

アルツハイマー病突破自転車キャンペーン(8月18日/アメリカ)
この夏、55人以上の研究者が全国を巡るアルツハイマー病突破自転車キャンペーンAlzheimer's Breakthrough Rideに参加しました。この運動は、アルツハイマー病を国家の優先課題にするため議会に要請する署名集めです。この要請活動への一般の反応はとても高く8月18日時点で自転車ライダ-はサンフランシスコからワシントンDCまでの67日間の中間点にいますが、目標の5万の署名の80%以上を得ています。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationと研究者は、9月21日の世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer's Dayの日に議会に10万の署名を提出することを目指しています。
アメリカ人が長生きしてアルツハイマー病は21世紀の国民保健の危機です。
現在、アメリカに530万人のアルツハイマー病の人いると推計されており、2050年までには1600万人になると推計されています。
今年、アルツハイマー病の人のケアの年間総額は1720億ドルで、これは今世紀半ばまでに1兆ドルを超すと推測されています。このうちメディケアの経費は600%、メディケイドは400%増えます。
数値が示しているように、国はアルツハイマー病の流行にもう余裕はありません。連邦政府のアルツハイマー病の人のケアに使う2万5000ドルに対してアルツハイマー病の研究にはたったの100ドルなのです。
この自転車キャンペーンで乗っている研究者は、アルツハイマー病を阻止することをライフワークとしてきましたが、一人ではできません。ウォーク・オブ・フェイムで自転車を走らせているとハリウッド大通りで喝采を受け、ニューメキシコの学校の子供たちからの喝采を受けました。キャンペーンは全国のすべての年代の人々に注目と支援を得ています。
アルツハイマー病協会のCEOのハリー・ジョーンズHarry Johns会長(写真左上)は、自転車に乗って参加していますが、次のように話しています。
「アルツハイマー病協会とアルツハイマー病突破自転車キャンペーンの参加者は多大な支援に元気づけられています。この請願の署名を書いた数万のアメリカ人から明らかなに言えることは、国民としてアルツハイマー病は国家の保健危機ととらえています。連邦政府はアルツハイマー病研究に長期間、投資を抑えてきたことを改めるべきで、これからの新たに発病や財政的破綻を防ぐために戦略的な国家計画を創るべきです」
アルツハイマー病突破自転車キャンペーンは、アルツハイマー病研究者であるブルース・ランブBruce Lamb医師(写真左下)の発想です。彼は、昨年の夏、いつものとおり自転車に乗っているとき、アルツハイマー病研究に相応しい連邦政府の資金を得ることの難かしさについて考えていましたが、研究者自身が病気と闘うことへ支援するためのもっとすべきことをしなければならないと認識しました。このことからアルツハイマー病協会と共同でアルツハイマー病への支援を得る全国自転車旅行を考えたのです。そして、目下、全国の研究者が道路に出てきました。55人以上のライダーがおおよそ4500マイル(約7000キロ)を走りました。
自転車キャンペーンは、既にカリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコを通過し、本日、中間地点のオクラホマ市にいます。さらにカンサス、ミズリー、イリノイ、ウイスコンシン、インディアナ、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニアを通過し、9月21日の世界アルツハイマーデーに首都に到着します。
クリーブランド診療所レーナー研究所神経学部Department of Neurosciences at the Lerner Research Institute of the Cleveland Clinic の研究者であるランブ医師は次のように話しています。
「自転車キャンペーンの沿道で聞いた個人的な話から議会への要請のためワシントンに向かい確実にまた早く乗って到達したいということに勇気づけられました。議会に提出する署名を集めるのにくわえ、私たちはアルツハイマー病で影響を受けている個人、家族、地域のためにも乗っているのです」
アルツハイマー病協会の報告書「2010年アルツハイマー病:事実と数値2010 Alzheimer's Disease Facts & Figures」では以下のことが指摘されています。
○アルツハイマー病はアメリカの死因の第7位である。
○2000年から2006年までにアルツハイマー病による死亡は46.1%増えている。これにたいして、心疾患は11.1%減少、乳がんは2.6%減少、前立腺がんは8.7%減少、脳血管障害は18.2%減少、エイズは16.3%減少しているのです。
○2009年、1100万人近いアメリカの家族や友人がアルツハイマー病など認知症の人に介護を提供しました。介護者は125億時間で1440億ドルに相当する無給の介護を提供しました。この額はアルツハイマー病など認知症の人に支払われたメディケアやメディケイドを併せた連邦政府の額より多いのです。
○アルツハイマー病など認知症のない人とくらべ、ある人へのメディケイドの支払い平均額は9倍、メディケアで3倍、民間保険の支払いは26%でした。
アルツハイマー病突破自転車キャンペーンの参加者はキャピトルヒルに向けて移動しながら、アルツハイマー病を国家の優先課題とするためのオンラインで署名するか、道路で署名イベントに参加するように期待されています。みなさんの地域で行われるイベントを知るためにサイトwww.alz.org/breakthroughrideにアクセスしてください。
アルツハイマー病協会はアルツハイマー病のケア、支援、研究に関する全国的で指導的なボランティア団体です。使命は研究を通してアルツハイマー病を撲滅すること、アルツハイマー病の人への介護と支援を提供し強化すること、脳の健康促進を通して認知症のリスクを下げることです。将来ビジョンはアルツハイマー病のない世界です。アルツハイマー病協会について詳しくはwww.alz.orgにアクセスしてください。
PRNewswire-USNewswire Aug. 18,2010 Alzheimer's Breakthrough Ride(SM) Kicks Into High Gear at Halfway Pointより)
編者:研究者からの発想で研究者も参加する全国キャンペーン活動だ。

アルツハイマー病薬の臨床試験が中止(8月17日/アメリカ)
イーライリリーEli Lillyは、アルツハイマー病の治療薬として行っている第3相臨床試験を中止しました。患者の症状が悪化し、皮膚がんのリスクを高まることを認めたためです。ダウジョーンズニュースワイアーDow Jones Newswiresは、今年初め、ファイザーPfizerとメディベイションMedivationによるアルツハイマー病薬の候補であったメディボンの臨床試験が失敗に終わり失望したのと同様に、アルツハイマー病の新しい治療薬を開発することが難しいことを示してたことになると報じています。
その理由について、今回の臨床試験の助言者でもあるデューク大学Duke Universityの精神科教授のムラリー・ドレイスワミーMurali Doraiswamy医師(写真)に聞いてみました。
教授は次のように述べいます。
「アルツハイマー病の人の脳にみられるアミロイド斑とタウ繊維の役割を科学者は十分に理解していません。アルツハイマー病を班と繊維の存在で病気を規定しています。アミロイド班が家族性アルツハイマー病では重要な役割をしている有力な証拠はあります。動物実験ではアミロイドの毒性も証明されています。しかし、私たちが理解してないことはアミロイド斑とタウ繊維との相互作用です。炎症や酸化作用のあるストレスといった他のものとの相互作用については理解していません」
今日、薬の開発はアミロイド斑に集中しており、班を産生させなかったり、除去することでアルツハイマー病の記憶や認知機能に影響を与えると期待しているのです。リリーが試験を中止した薬は、セマガセスタットsemagacestatで、アミロイド斑の形成に関与する酵素のγセクレターセを阻害するものです。もうひとつのアミロイド斑の抗体作用のあるソラネズマブsolanezumabの第3相の臨床試験は継続されます。
トロワイワミー教授は次のように述べています。
「何を何時標的にすべきかが新たな難問です。臨床試験での一般的な合意されていることは、病気の進展のなかで遅い時期にアミロイド斑を標的にすることは効果がないということです。後期には多角的なアプローチが必要です。アミロイド斑を除去するだけでは不十分で、結果的にできた脳の損傷を改善しなければなりません。脳の一部を選択的に標的にすることは必要かもしれません。今回のリリーの薬の作用はアミロイドに限定されているわけではありません。他の20の蛋白に関与する物質です。各試験から病気のシステムの複雑さを理解することになります」
教授は、失敗かどうかは別にして、臨床試験からのデータを利用して科学者がその複雑さについて理解することを望んでいます。
さらに教授は、「会社がまた別の誤りを繰り返すなら、残念なことです」と語っています。
Wall Street Journal  August 17, 2010 Alzheimer’s Drug Development a Tough Road, Lilly News ShowsおよニュースリリースLilly Halts Development of Semagacestat for Alzheimer's Disease Based on Preliminary Results of Phase III Clinical Trials(pdf13K)より)

認知リハビリテーションが初期アルツハイマー病の人に有効(8月16日/イギリス)
イギリス、ウエールズのバンゴー大学Bangor University心理学部のリンダ・クラーレLinda Clare教授(写真左上)らのグループは、初期のアルツハイマー病の人に行う認知リハビリテーションが臨床的に効果があるかについて研究しました。研究の参加者は地域在住の外来通院者69人(女性41人、男性28人、平均年齢77.78歳)で、アルツハイマー病、アルツハイマー病と脳血管障害の混合型でMMSEの点数が18点以上でコリンエステラーゼ阻害剤を服用している人としました。対象者は、リラクセーション療法を取り入れた認知リハビリテーションを受けたグループと治療を受けないグループに分け、療法に参加しない人が判定する1重盲検法で比較しました。
認知リハビリテーションは個人的に8週間行いました。
認知リハビリテーションでは、認知症の人が医療専門職と一緒に作業し個人的な目標を設定し、それを達成するための計画を作成します。目標は各人のあわせたもので、家の周りでした仕事の詳細を思いだす、料理するとき集中力を維持する、携帯電話を使い方を学ぶ、クラスの人の名前を覚えるなどが行われます。
認知症リハビリテーションの結果は、目標達成や満足感に関する調査票、気分や生活の質、介護者の疲労に関する質問表、および簡単な神経心理テストで確認しました。また参加者の一部は機能的MRI を受けました。
その結果は、認知リハビリテーションを受けたグループは有意に目標達成と満足面で改善しましたが、他のグループでは変化はありませんでした。この結果から、認知リハビリテーションは、初期アルツハイマー病の人と介護家族を支援する方法であることを認めました。
この研究論文はアメリカ老年精神医学会雑誌American Journal of Geriatric Psychiatryの2010年8月号に掲載されています。
イギリスアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの研究部長のスーザン・ソーレンセンSusanne Sorensen医師(写真左下)は次のように述べています。
「この有意義は研究は、認知症リハビリテーション法の効果について評価した最初のものです。驚くべき結果は個人的な目標を達成することは認知症の人の気持ちをより自立したものとし、日々の仕事を行うことに自信を持つことになります。初期の認知症の人や介護家族を支援する方法として認知リハビリテーションの大規模な研究を進めることになるでしょう。次の10年間で100万人の新たな認知症の人が増えます。認知症の人が病気をもちながらよい生活を過ごせるように、こうした分野のさらなる研究ねお資金的支援が必要です」
クラーレ教授は次のように述べます。
「認知リハビリテーションを受けた参加者の脳が介入の後、異なった反応をすることを知りました。このことから、リハビリテーションが脳のある領域の活動やネットワークを刺激しているようですあり、またアルツハイマー病のため機能が低下している領域を再活性させているように思われます」
Medicalnewstoday  16 Aug 2010  Achieving Goals Empowers People With Dementiaおよび論文Goal-Oriented Cognitive Rehabilitation for People With Early-Stage Alzheimer Disease: A Single-Blind Randomized Controlled Trial of Clinical Efficacyより)
認知リハビリテーション研究会
編者:認知リハビリテーションは、わが国ではもっぱら高次脳機能障害に対して行われているようだ。もっとも老人保健施設などでは認知症短期集中リハビリテーションが行われている。

認知症薬の使用制限に医師が抗議(8月16日/台湾)
台湾国民健康保険Taiwan National Health Insurance (NHI)は、来月から認知症の薬の費用を保険で負担することにしましたが、多くの認知症の人はこの薬を使えないようです。
昨日、医師らが、健康保険局の薬の使用制限案はとても厳しく、患者を愚弄していると抗議しました。
専門家によれば、健康保険によるこの薬の処方は患者の状態に基づく厳格な規則があり薬を使うことがほとんど不可能なのです。全額自己負担するしかありません。
台湾には認知症の人が約17万人います(訳注:人口2300万人、高齢化率10%)。高齢人口が確実に増えており、毎年1万人が認知症になっていると推計されています。認知症は差し迫った課題になのです。
台湾アルツハイマー病協会Taiwan Alzheimer's Disease Association(訳注:国内名称は「台湾失智症協会」)の湯麗玉(Tang Li-yu)事務局長(写真)は次のように話しています。
「認知症の人は認知症薬の処方を受けるため、毎年、テストを受けなければなりません。患者の認知機能が前年より2点低下すると健康保険での薬の支払いは止められます。こおため、家族はとても検査に敏感になり、検査の前に、認知症症状を軽減するためにカードなどを使って練習しています。介護の多くの負担を強いられている家族にとって新たなストレスになっています」
林口にあるチャングン記念病院Chang Gung Memorial Hospitalのアルツハイマー病センターAlzheimer's Disease Center長のフス・ウェンチュンHsu Wen-chun,医師は次のように述べています。
「こうした規則は他の病気の薬にはありません。健康保険で、高血圧の薬である値以下まで血圧まで下がったら支払いを止めるとすると想像してみてください。以前、検査で血圧が高いと発見されると、健康保険局は処方を増やすか高血圧を治す他の方法を決めていたのです。認知症の人がそれぞれ違った治療を受けるとは非常識なことです」
来月の9月、健康保険局はアリセプトの薬代を負担をする計画です。これで助かる人もいれば、寝たきりとか動けない認知症の人には支払わないので助けになりません。また、別の薬も飲んでいてもこの薬は使えません。
保険局へのこうした苦情に対して、シーン・マオティンSheen Mao-ting部長は次のように述べています。
「局の予算はきつく、病気に早くて確認できる効果のある薬の処方を優先しなければなりません。アリセプトは病気を治すのではなく、進行を遅くするにすぎません。アリセプトの価格は一錠180台湾ドルです(訳注:1台湾ドル=2.7円)。保険局は認知症の薬で2億台湾ドルの予算を見積もっています。さらに使用範囲を広げるとなると、毎年、780万台湾ドルを追加しなければなりません」
The China Post August 16, 2010  Doctors decry strict rules for dementia drugs
編者:効果の不確かなアリセプトの公的負担の制限はイギリスやニュージーランドでもあるが、台湾でもこの政策が取られている。なお台湾アルツハイマー病協会は国内的には、わが国で痴呆を認知症に変える前から、「台湾失智症協会」との名乗っている。

認知症予防の国家戦略を要請(8月10日/オーストラリア)
オーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaは、オーストラリア政府に対して、2050年までに認知症の人が100万人になるという推計人数を減らすための国家的な予防的キャンペーンを始めるべきだとする報告書を発表しました。
報告書「全国認知症予防健康戦略に向けてTowards a National Dementia Preventative Health Strategy(pdf400K)」のなかで、現在進められている心疾患、糖尿病、肥満対策に認知症を連動した連邦政府の活動が緊急に必要なことを指摘しています。
さらに報告書は以下のことも指摘しています。
「今、実施しないと認知症は予測どおり増加し、オーストラリアの社会と健康と経済に影響を及ぼします。国家的な既存の予防保健戦略に認知症予防を統合させることによる利点は既にある心疾患の改善など多くの国家的な健康目標を支援することにもなります。高齢化社会のなかで認知症予防戦略が全年齢の心身の健康を保つ国家計画の一部にする必要があります」
報告は、心疾患、糖尿病、脳血管障害を含めた主な慢性疾患と関連する病気の危険因子は認知症の危険因子でもあり予防キャンペーンは将来的に認知症の発症を少なくする最も可能性のある方法の一つとして見なしています。
オーストラリアアルツハイマー病協会は、認知症の危険因子を減らす啓発を推進するため「心に注意しようMind Your Mind」企画について政府に資金を要請しました。
アルツハイマー病協会のCEAであるグレン・レスGlenn Rees氏(写真)は次のように述べています。
「この企画はオーストラリア人にとって特別に健康的なライフスタイルをとることによって認知症の危険因子を少なくすることを知ってもらうことになるでしょう。私たちはこの運動のために今後3年間に450万オーストラリアドル(8月11日現在1オーストラリアドルは77円)を獲得しようとしています。これは啓発を進めてオーストラリア人に認知症の危険因子を少なくする教育するために使われます。認知症ケアの費用は他の健康問題の場合より増えており、新しい戦略は認知症の人を少なくするだけでなく、医療費にも必ずよい影響を与えるでしょう。アルツハイマー病協会は他の慢性疾患とくらべて少ない研究費についても特別な増額を要請しました。オーストラリアでも他の国でもがんへの恐れによって医学研究へかなりの投資をして撲滅しようという姿勢に変わってです。これは現在流行している認知症に対しても同じ姿勢が必要です」
Australian Ageing Agenda 10/08/2010 Towards a preventative dementia campaign
編者:科学的に必ずしもまだ十分な証拠があるとは言えない認知症予防を国家戦略にすべきと要請しているのはオーストラリアアルツハイマー病協会が初めてだ。わが国でも、科学的予防方の研究も含め専門家による検討をえながら国家戦略の一つにすべきだろう。

★アルツハイマー病に特異的な脳脊髄液の蛋白値(8月9日/アメリカ・スウェーデン・ベルギー)
アメリカのペンシルバニア大学医学部University of Pennsylvania School of Medicineのアルツハイマー病センターAlzheimer's Disease Centerのジョン・トロヤノウスキーJohn Q. Trojanowski所長(写真)は、アルツハイマー病神経画像研究Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiativeの一環として、スウェーデンとベルギーの研究者と共同で脳脊髄液中の蛋白の分析からアルツハイマー病の正確な診断方法を開発したとアメリカの神経学雑誌Archives of Neurologyの2010年8月号で報告しました。
この国際的な研究は70歳代の記憶障害のない人114人、軽度認知障害の人200人、アルツハイマー病の人102人について、脳脊髄液中のアミロイドベータ蛋白1-42、総タウ蛋白、およびリン酸化タウ蛋白181Pの濃度を調べました。臨床診断には二つの方法で行われその一つは死後の剖検で確かめました。その結果、アミロイドベータ蛋白1-42とリン酸化タウ蛋白181Pとの一定の割合の指標を示す例がアルツハイマー病で90%、軽度認知障害で72%、記憶障害のない人で36%を示しました。アルツハイマー病型の指標を示すが記憶障害のない人の多くはアポプロテインE4遺伝子を持つ人たちでした。アルツハイマー病と剖検で確認した研究では68人中64人がアルツハイマー病型の指標を示しました。別の研究では、軽度認知障害の57人について5年追跡したところアルツハイマー病型の指標もつ人は全員アルツハイマー病になりました。
この研究成果は、アルツハイマー病と診断された人の診断をより正確なものにする以上に、症状が出る以前のアルツハイマー病を発見する方法として期待されています。現在のアルツハイマー病薬の研究は既に症状のある人について行われており、成果はあがっておらず、症状のが出る前のアルツハイマー病を対象とした薬の臨床試験が模索されているなかでアルツハイマー病を臨床的ではなく脳脊髄液検査で把握できる方法として今回の研究結果は期待されます。
NYT August 9, 2010 Spinal-Fluid Test Is Found to Predict Alzheimer’sおよび論文Diagnosis-Independent Alzheimer Disease Biomarker Signature in Cognitively Normal Elderly Peopleより)
編者:アルツハイマー病の臨床前診断の方法についての研究はPETによるアミロイド斑の画像研究と脳脊髄液のマーカーの研究があるが、今回の報告はかなり精度の高い診断方法のようだ。もっとも症状のない「健康な人」に100%安全ではない腰椎穿刺で脳脊髄液を採取する方法には問題がある。

認知症の人に尊厳ある食事を(8月2日/アメリカ)
ローズマリー・デフェリスRosemary DeFeliceさんは、話すことも、移動することも、自立もアルツハイマー病で奪われてしまいました。そのとき彼女は75歳で、食べる力もありませんでした。
彼女の娘のシンディ・ヴィヴェイロスCyndy Viveirosさんは「母は、食べ物を噛み続け、咳をし、口のなかの物を吹き飛ばし、吐き出して、呑み込むことがほとんどできません」と話しています。重度の認知症の人を介護する多くの家族とおなじように、ヴィヴェイロスさんは経管栄養を始めるかどうかを決めなければなりませんでした。
脳の食事中枢の部分がアルツハイマー病で破壊され始めたとき、病気の終末期のジレンマは、食事を食べさえるか食べさせないかの選択をしなければならないことです。
こうしたなかでソーシャルワーカーは彼女に別な方法を提案しました。それは、注意して手でもって食べ物を口に運び、食べられる量だけ食べてもらい、息苦しそうになり興奮すると止めるというものです。
ヴィヴェイロスさんは次のように話しています。
「私はこの現実的な方法を取りました。私たちが何をしようと母は決してよくはなりません。避けられないことを先に延ばしているようなもので、辛いことを母にさせていたのです。母はすでに死にかけていました。アルツハイマー病の終末です。これは止めることはできません」
その8カ月後、母親のデフェリスさんは亡くなりました。
医師は、緩和ケアとしてこの新しい方法―快適な食事だけComfort Feeding Only―を勧めています。アメリカ老年医学会雑誌Journal of the American Geriatrics Societyの最近の報告によると、経管栄養は重度の認知症の人の命を必ずしも延ばしてはいないこと、およびナーシングホームのほとんどの人は経管栄養で生きるより死を望んでいるとのことです。
しかし、人工的に水分や栄養を取らないという医療方針は、患者に経管栄養を行わないということになりますが、これは食事を提供されないと理解されることが多いのです。こうして衰弱して亡くなるという考え方に耐えられる家族は少ないのです。
ブラウン大学Brown University医学部の地域医療のジョアン・テノJoan Teno教授(写真左上)は次のように述べています。
「私たちは注意深い手による食事は認知症の人を介護する人のより人間的な方法であり、認知症の人の尊厳を守ります。食事を通して人間的な交流や親密な接触が生まれます。認知症の人と交流し、話しかけ、食べるきっかけをつくることを想像してみましょう。そうではなく、ベッドのそばを歩き経管栄養の瓶に食事を流しこんでいる人も想像していましょう」
ニューヨークにあるハスチングセンターHastings Centerの生命倫理研究者のナンシー・バーリンガーNancy Berlinger氏(写真左下)は次のように述べています。
「経管栄養のジレンマは、幼いころ食べさせてくれた母親を思い出す人々が直面することです。食事は楽しいことで愛と栄養に関係します。もし経管栄養は始めるのですか、食事を止めるのですかということは、『母親を愛していますか』という質問とほとんど同じことなのです」
経管栄養はすべてのナーシングホームで生活する重度の認知症の人の約3分の1に行われています。入居者の体重が減るようなことがあると監査を受けなければなるかもしれないという背景もあります。手で食事介助するのは時間がかかります。またカトリック司教全米協議会United States Conference of Catholic Bishopsは、昨年、指針を出し カトリックの医療施設は、経口で食事が取れない人に医療的な栄養や水分を含む食事や水分を患者に与える義務があるというものです。
しかし研究によって、経管栄養にはかならずしも延命効果がありません。また自分の唾液で誤嚥するおそれがあり嚥下障害のある人の誤嚥性肺炎を経管栄養で予防できるわけでもありません。
さらに、チューブはとても不愉快で、抜かないように認知症の人は身体拘束されるか薬でおとなしくされます。
アメリカでは510万人のアルツハイマー病の人がいます。その数はベビーブーマーの世代が年をとるにしたがい増えると予測されています。何年もかかりますが、アルツハイマー病は進行し終末期になります。アメリカではアルツハイマー病が死因の第6位で、毎年7万1000人が死亡していますが、数字が少ないとみる専門家もいます。
ときにアルツハイマー病の初期に食べる力が低下することがありますが、死が近いわけではありません。介護家族のセイムール・ゲフィナーSeymour Geffnerさん(86歳)は「それが、63歳の妻のブロッサムBlossomに何か悪いことが始まったという最初の兆候でした」
と話しています。彼は4年前から食事を介助し始めましたが、原因について一連の検査を受けました。現在、妻はブロンクスにあるシェービエーナーシングケアセンターSchervier Nursing Care Centerに居ます。彼は毎日そこで過ごし3度の食事を手で介助しています。1回に45分から1時間かかります。
彼は「いい日もあれば、悪い日もあります。食事はミキサーにかけてもので、用意した全部を食べることはできません。でも、少なくとも毎日バナナ半分と季節のイチゴを食べさせています。最低限、妻が空腹にならないようにしています。今日はとても表情はよい」と話しています。
NYT  August 2, 2010 Feeding Dementia Patients With Dignity
サイト内関連記事: 記事1 記事2
編者:経管栄養がなお広く行われているなかで、経管栄養以外の新たな取り組み―心地よい食事―が進んでいるようだ。認知症の人によっては経口栄養は負担を与えるので不愉快でない口から摂ってもらう工夫が必要だ。

「スマートフォンで失踪者の申告・検索が可能に」(8月1日/韓国)
警察庁はスマートフォンに失踪した児童や知的障害者、老人性痴呆などを検索したり申告できるモバイルウェブを、早ければ今月中旬から運営することにした。
このモバイルウェブは失踪者の申告と検索、全国保護施設の案内、失踪児童の182センター紹介などの項目で構成されていて、失踪者の発見率向上とアクセス便宜性向上に寄与するものと警察庁は説明した。
これとともに警察は別途のツイッターアカウントを作って、失踪者の写真や特徴、服装などを表示することによって、積極的な申告を誘発する計画だ。
innolife.net 2010年8月1日 原文のまま

「エーザイ:高用量製剤「アリセプト」を米承認-ファイザー協力で販売」(7月24日/ブルームバーグ)
エーザイは24日、米子会社のエーザイ・インク米国食品医薬品局(FDA)から中等度・高度アルツハイマー型認知症(AD)治療薬の高用量製剤「アリセプト錠23mg」の承認を得たと発表した。8月初旬に新発売される予定で、米ファイザー社の協力を得て販売を行う。同薬には3年間のデータ保護期間が付与されるという。
発表によると、「アリセプト」は米国ではすでに5mg、10mgの錠剤が販売されている。1996年11月に米国で承認された後、現在90カ国以上で承認されているという。AD患者数は米国では2050年までに約1350万人まで増加し、そのうち約77%が中等度もしくは高度まで症状が進行すると推定されるという。
エーザイは、アリセプトの世界売上高の60%を米国で稼いでいるが、今年11月に特許が切れることから米国市場の同薬の売上高が2012年3月期に約50%減少するとの見方を3月示していた。
Bloomberg.co.jp  2010年7月24日 原文のまま
エーザイニュースリリース:中等度・高度アルツハイマー型認知症に対する高用量製剤「アリセプト?錠23mg」米国で承認を取得(pdf40K)
編者:今度は23mg。いずれ日本でも承認、販売されるのだろう。1錠1000円以上か。)

重度の認知症の人が肺炎になった時(7月23日/アメリカ)
アメリカ・ボストン周辺の22のナーシングホームの323人の入居者は、認知症の末期状態でした。ヘブライシニアーライフ加齢研究所Hebrew SeniorLife Institute for Aging Researchの老年科医の研究者のジェンー・ギィヴェンスJane Givens医師(写真左)は「この人たちは家族の顔も分かりません。言葉は6つまでしか話せません。しかもねたきり状態です。介助なしてでは水を飲めませんし、失禁状態です。平均年齢は86歳で、肺炎になったのです」と話しています。
これはありふれたことで、認知症の人の最後の3カ月間に重度の認知症の3分お1以上の人は肺炎になります。問題は、家族や医療職が、どのように対処するかということです。もし、認知症の人が抗生物質治療を受け入れるなら、これは肺炎の標準的な治療ですが、かれらは安楽に過ごせるのでしょうか。長く生きるのでしょうか、両方、それともどちらでもないのでしょうか。
ギヴェンス医師ら研究グループが行った研究の論文は、内科学雑誌Archives of Internal Medicineの2010年7月12日号に掲載されていますが、この複雑な判断について家族の難しい対応を助けることができるとしています。ほとんどの高齢者は事前指示書を持っておらず重度の認知症の人たちは自分の思いを語ることもできないため家族らが決定しなければなりません。
ギヴェンス医師は「病気の経過を理解するのも難く複雑なことです。記憶障害が加わります。認知症になると、そのほかのことは健康だとよく言いますが、認知症の人で健康な人はいません。認知機能の症状だけでなく、身体的な症状もあります。縟創、感染、痛み、嚥下障害などです。どれも致命的な状態です」と話しています。
抗生物質が使われるかどうかは複雑な過程の決定です。研究対象の認知症の人の90%以上の人を亡くなるまでの平均18カ月間、2003年から2009年の間、追跡しました。抗生物質を使って延命効果はありました。
ギヴェンス医師は「抗生物質を使った人は、使わない人より少なくとも6カ月長く生きました。この人たちのうちおおよそ20%の人はより積極的な治療―病院でもナーシングホームでも点滴による抗生物質の投与―を受けました。しかし、抗生物質で認知症の人を安楽に感じることはなく、痛ましい終末期の症状―痛み、息切れ、恐れ、興奮―を把握するスケールを看護師が使って判定すると、抗生物質によって安楽は改善しません。認知症の人が最も積極的な治療を受けても安楽感は最悪でした」と話しています。
どのような積極的な治療が必要かを考える際、これは驚くことではありません。静脈に針を刺して、その針を抜かないように認知症の人を拘束します。必要なら、衰弱してどこにいるかわからなくなった認知症の人を騒々しい病院に移して再度、針を刺します。
「これがよくある一連の流れです」とギヴァンス医師は話しています。
たぶん、認知症で荒廃する前、多くの人はどんなことがあろうと生き長らえさせてほしいとの希望を家族に伝えます。事例によっては家族が抗生物質を容認するのは理にかなっています。しかし、認知症の人や家族が安楽であることを希望するなら、この研究結果から明らかなように、抗生物質は生き長らえることはできるが、安楽にはしないのです。
薬がどのように投与されているかにもよりますが、投与されればますます安楽を失うことになるかもしれません。
ギヴェンス医師は「他の薬や酸素吸入によって延命効果はありませんが、肺炎のよる呼吸困難を和らげより安楽に感じることを助けることはできます。最も積極的な治療について考えたこともなく、そうした治療を受けないこともありますが、こうしたとき何をしたらよいのでしょうか」と問いかけています。
寄稿者のパウラ・スパンPaula Span氏(写真右)は、「そのときが来た時:高齢の両親と挑戦と解決を共にする家族“When the Time Comes: Families With Aging Parents Share Their Struggles and Solutions.”」の著者です。
NYT July 23, 2010 When Pneumonia Follows Severe Dementia および論文Survival and Comfort After Treatment of Pneumonia in Advanced Dementiaより)
編者:認知症のターミナルケアを認知症の人の視点から観た研究だ。ターミナルケアのあり方を考えるうえで参考になる。胃瘻による経管栄養の場合は本人はどうなのだろう。

薄気味悪いアイディア:アルツハイマー病を先制攻撃しようとする脳スキャン(7月15日/アメリカ)
「元気で何も症状はありませんが、あなたの脳はゆっくり冒されています。私たちにできることは何もありません。お元気で」
アルツハイマー病のトップクラスの専門家グループが勧めている「臨床前アルツハイマー病」の診断基準が採用されると、2,3年以内で医師からこうした話を聞くかもしれません。
この専門家検討グループ、人の病気の診断に症状は必ずしも必要ないことが広く認められることについて議論し、臨床前アルツハイマー病という奇妙な概念を提案しています。これによって症状が出る数年前に全くと健康と思われる人について診断されるものかもしれません。
アルツハイマー病の新しい二つの概念を作りあげましたが、これはアメリカの医療でもっと多くの人を病気にしたいという混乱した傾向のひとつです。
この考えは、脳スキャンを使い、また他の検査をして、現在は死後解剖でしかわからない発病に危険性があるとされているアミロイド斑を見つけようというものです。心臓疾患のためにコレステロールを検査しようとするのと似ていますが、アルツハイマー病にも希望を持たせようとするものです。現在、検討グループは、研究目的に限って新しい診断基準を使うことを話し合っています。
問題:脳スキャンによるアミロイド斑の検査が承認されると、次は、ささいな記憶や認知機能の問題の兆候を持った人にこれを使い始めるだろうということは容易に想像できます。何万というベビーブーマーを怪しげな根拠で病気にしてしまうことになるでしょう。
科学は不確かなものであり、脳のアミロイド斑についても研究者はアルツハイマー病の原因なのか、結果―墓石のようなもの―なのかについてまだ確信がありません。病気でない人の脳でも、ほかの病気で亡くなった人の脳でもアミロイド斑をよく見つけることがあるのですが、その理由も不確かなのです。検討委員会は、十分に価値あるものと認めることなく、新しい試験を推進させることにとても急いでいるようです。
確かなことは、アミロイド斑スキャンによってイライリリー、ファイザー、エラン、ジョンソンアンドジョンソンEli Lilly, Pfizer, Elan and Johnson & Johnsonはアルツハイマー病薬の臨床試験を行っている会社ですが、これらを助けることになるでしょう。またアルツハイマー病の脳スキャンでアミロイド斑を見つける物質を開発をしている大企業のジェネラルエレクトリックGeneral Electricや小企業のアヴィッドラディオファルマティカルズAvid Radiopharmaceuticalsの二つの会社に膨大なり利益をもたらします。イーライリリーの社員が新しい勧告を作る検討グループに参加しています。
アルツハイマー病の専門家であるロン・デュナイダーLon Schneider氏(写真左上)は、新しいアルツハイマー病の診断概念について次のような別の矛盾を指摘しています。
「アミロイド斑スキャンは、一方で、症状のない人にとって危険因子を見つけるためとされ、他方で、すでに発病している人の診断補助として提案されているのです。こうしたことはありえません。概念的に多くのことがごっちゃになっています。研究者がアルツハイマー病の生物学的検査を開発させる方向でおおいに発展させようとしながらも、私たちはまだそこまでに至っていないのです」
検討グループは、今日まで多くのアルツハイマー病薬が試験結果がとても悪いことへの不満から生まれたようなものです。そのグループは、病気の発病過程で早く治療すればするほど、薬がより有効であろうとの理論に立っています。そうかもしれないが、病気の原因について研究者の理論が間違っているかもしれません。彼らの証拠の多くはぐるぐる回っているだけのようです。
ケースウエスタンリザーブ大学Case-Western Reserve Universityのマーク・スミスMark Smith氏(写真左下)は現在の仮説に懐疑的な人ですが、「アルツハイマー病薬は使うのが遅すぎたから失敗というものではありません」と述べています。スミス氏は、イーライリリーとファイザーの開発するアミロイド斑阻害薬は有効でないと考えている一人です。
病気を早く見つけるには、慢性白血病の血液検査のように病気の初期に見つける検査が確実で信頼性のあるものでなければなりません。しかし、何十年後に起こるかもしれない病気に不確かな予見的価値しか持っていない脳スキャンはとても危険です。
記者のロバート・ラングレスRobert Langreth氏(写真右)は医療関係に責任のあるフォーブスの上級編集者。
Forbes  July 15, 2010 A Scary Idea: Pre-emptive Brain Scans For Alzheimer's.)
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編者:説得力のある記事だ。

「【デンマークの“脱”施設】(1)特養をやめて住宅に(2)判断求められる認知症ケア」(7月9日・16日/産経新聞)
(1)特養をやめて住宅に」(7月9日)
私はデンマークに渡って43年。今はデンマーク第2の島、フュン島北西部の海岸沿いの町、ボーゲンセで日本からの福祉研修を受け入れる「日欧文化交流学院」の学院長をしています。
43年前にデンマークに行ったときは、16~20平方メートルくらいの個室のある施設「プライエム」が高齢者に提供されていました。日本の高齢者施設では、1部屋に多人数が一緒に住んでいた時代です。すごいと思ったものです。
ですが、デンマークでは1980年代に「今後、特養ホームを作らない」と決め、今はこうした施設はなくなっています。
高齢者らは今、平均65平方メートルのキッチン付き2DKや1LDKに住んでいる。郵便屋さんも戸口まで来る「住宅」です。それが、だいたい9軒集まって1ユニット。それがさらに4ユニットくらい集まったものが「プライヤセンター」と呼ばれます。いわば「高齢者センター」でしょうか。
住居のほか、高齢者センターにはヘルパー詰め所や高齢者らが趣味にいそしむ「アクティビティルーム」があり、スタッフが新聞を読んであげたり、雑談したりする。リハビリ訓練所やカフェテリアも併設されています。
かつて、高齢者らは特養の食堂で同じ時間に同じ物を食べていた。高齢者センターに住むようになり、起きたいときに起き、食べたいときに食べたいものを食べるようになりました。自己決定の原則に従い、高齢者も普通の人と同じような住宅に住むべきだと言うのがデンマークの基本政策です。(談 千葉忠夫・日欧文化交流学院学院長)(写真)
産経ニュース 2010年7月9日 原文のまま
(2)判断求められる認知症ケア (7月16日)
デンマークでケアが必要な高齢者は、高齢者センターにある約65平方メートルの住宅などに住んでいます。
認知症の人にこれだけの広さが必要かという意見もあり、中には35平方メートルくらいの住まいを作っている自治体もある。そういう場合も、アクティビティールームなどを足せば頭割りで65平方メートルになるよう配慮されています。
認知症の人とそうでない人の住宅が交じるユニットも、認知症の人ばかりというユニットもあります。分ければ、認知症の専門家がケアでき、ほかの住民とのトラブルも避けられる。特に、認知症の中でも常軌を逸した行動を取る病気の場合は、分けた方がいいという意見が優勢です。
認知症の人のケアには適切な判断力が大切です。例えば、キッチンに電熱器のある住宅もある。電熱器は本来、キッチンにはそぐわない。ですが、認知症の人に火の管理は危ない。とはいえ、キッチンを取ったら住宅と認められないので、高齢者は住宅援助金が受けられません。だから、電熱器が置いてある。やや、ゴマカシ的ですが、そういう自治体もあります。
住宅には基本的な機能がいる。しかし、ケアを受ける人が常に火を使える環境を作るかどうかはバランスの問題です。認知症の人に、住宅でたばこは吸わないでくれとか、部屋でロウソクをともさないでくれとか、判断が必要なことは多々あります。
自由は制限されず、保障される。しかし、本人や施設が焼け野原になるなら、責任者や支援要員が元電源を切っておくのは正しい措置だと思います。(談 千葉忠夫・日欧文化交流学院学院長)
産経ニュース 2010年7月16日 原文のまま

アルツハイマー病の新しい診断基準の提案(7月13日/アメリカ)
国立加齢研究所National Institute on Aging(NIA)とアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの専門家らはアルツハイマー病などの診断基準を新たに提案しました。
アルツハイマー病協会の医学科学担当主任のウリアム・タイスWilliam Thies医師(写真右上)は「最初のアルツハイマー病診断基準-National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS)/Alzheimer's Disease and Related Disorders Association (ADRDA)-は1984年に提案しました。その後アルツハイマー病についえ多くのことがわかり、新しい診断基準を作ることになったのです」と述べています。
新しい提案はホノルルで開催されているアルツハイマー病協会国際アルツハイマー病国際会議2010Alzheimer's Association International Conference on Alzheimer's Disease (AAICAD)2010で発表されました。
新しい基準は、アルツハイマー病をよくよく、より早く発見するためのもので、3つの段階―症状のない臨床前状態、軽度認知障害、および最終的なアルツハイマー病型認知症―を含むものです。
セントルイのワシントン大学Washington Universityのアルツハイマー病研究センターAlzheimer's Disease Research Centerのジョン・モリスJohn Morris所長(写真右下)は「現在、私たちは生きた人で脳の病理の指標を持っています。多くの生物学的指標はアミロイドの画像検査です。また脳脊髄液の指標も知っています。これらはアルツハイマー病の診断を正確にします。遺伝子は若年期アルツハイマー病の関係ある遺伝子、高齢期アルツハイマー病に関係するある種のアポE遺伝子の検査がアルツハイマー病の診断に有用です」と述べています。
アルツハイマー病協会とNIAは、新しいサイトRecommendations to Update Diagnostic Criteria を立ち上げ、専門家から意見を聞きます。今年9月まで意見を聞き、最終的な診断基準が報告されるでしょう。
提案
Proposed criteria for Alzheimer’s disease dementia(pdf150K)
Proposed criteria for mild cognitive impairment due to Alzheimer’s disease(Pdf160K)
Proposed criteria for preclinical Alzheimer’s disease(pdf450K)

認知症およびアルツハイマー型認知症の診断基準案の概要
認知症の診断基準案
認知症は以下の認知機能と行動症状があることで診断される。
○仕事や通常の社会生活に影響をおよぼす
○機能や実行面で以前より低下している
○せん妄やその他の精神疾患によるもんではない
○認知障害は経過、情報、認知機能評価を組み合わせて行われる
○次の症状うち少なくとも2つを認める。
 ・新しい情報を得たり覚える機能が低下する
 ・理論的考察や複雑な仕事をこなすことが障害され判断が低下する
 ・視覚空間や能力が障害されている
 ・言語的機能が障害される
 ・性格の変化し自発性や独創性が障害される
アルツハイマー病型認知症の診断基準案
○いつとはなしに発症する
○明らかな認知機能の悪化が確認できる
○次の二つのうち一つで経過と検査によって認知機能の低下があきらかである。
 ・記憶障害がある場合:学習および最近記憶した情報の想起の障害がある
 ・記憶障害のない場合:言語障害、視覚障害、実行機能障害がある

WebMD Health News July 13, 2010 New Recommendations for Alzheimer's DiagnosisおよびAAICAD 2010  July 13, 2010 National Institute on Aging and Alzheimer's Association Lead Effort to Update Diagnostic Criteria for Alzheimer's Disease
編者:アメリカ精神医学会も認知症やアルツハイマー病の新しい診断基準を検討しており、1013年に提案される予定

「高齢者療養保険:恩恵受けるのは5.7%、日本の3分の1」(7月9日/朝鮮日報)
解決すべき課題とは  保険適用認定までの手続きが複雑で、常駐の医師も不在
「保護はあっても医療がない」
ソウル市松坡区に住むキムさん(女)=75=は、妄想や幻聴の症状でたびたび徘徊(はいかい)し、時には嫁(51)に激しい暴言を吐くこともある。2008年7月には、病院から認知症(痴ほう)の診断も受けた。そのため今年始めに、健康保険公団が提供する高齢者長期療養保険の適用認定を申請したが、審査で脱落した。
その理由は、認知症の症状は認められるが、自力での歩行が可能なため、身体的に問題がないということだった。現行の規定では、長期療養保険の適用が認められるには、身体面と精神面で52の項目について審査を受け、100点満点中55点以上の3等級以内に入らなければならない。そのため、認知症の症状が多少見られるとしても、自分で歩くことができる、あるいは歩くことが困難でも他人を見分けられる程度なら、3等級以内と認定されるのは難しい。
キムさんの息子は、「母は少しでも目を離すとすぐ外に出て、道に迷ってしまう。誰かが一日中そばに付いて世話をしなければならないが、保険の適用が受けられないため、これからどうすればいいか分からない」と頭を抱えている。
今年で施行から丸2年を迎える高齢者長期療養保険制度は、「国が息子の代わりに親孝行を」というスローガンを掲げているが、解決すべき課題は多い。
まず、保険の適用を受けること自体が難しい。審査が非常に複雑で厳しいからだ。昨年は59万件の申請があったが、そのうち3等級以内の判定を受け、保険適用が認められたのは28万件(47%)に過ぎない。少しばかりの認知症程度では、保険の対象者となるのは難しい。施行から2年で保険の適用が認められた高齢者の数は、2010年6月の時点で全体の5.7%だが、同じような制度を持つ日本やドイツでは、それぞれ16.8%、11%だ。そのため韓国では、まだこの制度の運用が不十分と言わざるを得ない。
こうした状況を受け、保健福祉部では近く「4等級」を新たに設けることを検討している。認知症の症状が部分的に認められ、異常な行動をたまに起こすようなケースでも、保険の適用を受けられるようにするということだ。
問題は財源だ。4等級まで新設された場合、3万4000人以上が追加で保険の適用を受けられるとみられているが、これに必要な予算は年間で3500億ウォン(約253億円)を上回る。国民一人当たりに対し、600ウォン(約43円)近い保険料を追加で負担しなければならなくなる計算だ。
また、現行の高齢者療養保険制度では、医療サービスを受けることができない。そのため「保護はあっても医療がない」という指摘が相次いでいる。療養施設に医師が常駐するケースはほとんどなく、月に2-3回、嘱託の医師が訪問する程度だ。保健福祉部は今後、1-2人の専門医が10カ所程度の療養施設を担当し、サービスを行う「療養施設専門主治医制度」を導入することで、この問題の解決を目指す方針だ。
李仁烈(イ・インヨル)記者
朝鮮日報日本語版 2010年7月9日 原文のまま
編者:わが国で2000年に介護保険が導入される頃の状況に似ている。身体介護中心の介護保険で認知症介護の実態が無視されていた。
関連情報:「高齢者療養保険:子供の責任から国の責任へ(上)」(7月9日/朝鮮日報)
導入から2年、国が看病を引き受け、子供の代わりに「親孝行」
慶尚南道昌原で農業を営むキム・ギョンスンさん(63)は、ここ5年にわたり、戦場の兵士のような目まぐるしい生活を送ってきた。今年3月に89歳で死去したしゅうとめが、認知症(痴ほう)や肝疾患などで寝たきりだった上に、実家の母親(82)まで認知症を発症し、徘徊(はいかい)を始めたからだ。
介護疲れで限界を感じたキムさんは、健康保険公団が提供する高齢者長期療養保険制度があることを知った。高齢者施設の利用料は、1カ月に一人当たり129万ウォン(約9万3000円)から151万ウォン(約10万9000円)だが、キムさんはこの制度を利用し、施設利用料の20%を負担するだけで、二人の母を施設に預けることができた。しかも施設には看護士、療養保護士(ヘルパー)、調理師が常駐している。両親を施設に預けることについて申し訳ない気持ちもあったが、キムさん本人も60代と高齢なため、すでに体力の限界を超えていた。キムさんは「しゅうとめは床ずれも起こさず安らかに亡くなった。わたしが介護を続けるよりも、二人ともずっと幸せだったと思う」と話す。
高齢者長期療養保険制度が導入されてからすでに2年が過ぎた。2010年6月の時点で65歳以上の高齢者は536万人に上るが、そのうち30万人が療養等級(介護等級)の認定を受け、さらにその中の26万人が療養(介護)サービスを利用している。つまり、高齢者の20人に一人がこの制度の恩恵を受けていることになる。
この制度が導入されるまで、高齢者の介護は完全に個人に任されていた。介護のために仕事を失ったり、世話をする子供が介護疲れで逆に病気になるケースも少なくなかった。
ソウル大学社会福祉学科の崔聖載(チェ・ソンジェ)教授(写真)は、「高齢者長期療養保険は韓国人の生活スタイルが根本的に変わっていることを示す制度だ」と語る。高齢者が増え、高齢期が長くなっている一方、子供の世代は以前にも増して忙しい生活に追われている。そのため、高齢者の面倒を見る責任が個人から国家へと変わりつつあるというわけだ。高齢者本人や子供にとっても、親孝行か親不孝かという話とは別に、寝たきりになったとき、人間として最低限の生活が保障される制度が必要になったのだ。
ソウル市銅雀区に住むキム・ジョンユンさん(48)は、14年にわたりしゅうとめ(90)の世話をしながら、4人の子供を大学に行かせた。しゅうとめは以前から嫁のキムさんを実の娘のようにかわいがっていたが、7-8年前から認知症の症状が出始め、一度気分を害すると、3-4日は夜も眠らずに激しい暴言を浴びせた。キムさんは「始めはびっくりしたが、数日過ぎると子供のように大人しくなって、手を握りながら感謝の言葉を繰り返す。その様子を見ると、逆にかわいそうに思えてくる」と述べた。
朝鮮日報日本語版 2010年7月9日 原文のまま
「高齢者療養保険:子供の責任から国の責任へ(下)」(7月9日/朝鮮日報)
導入から2年、国が看病を引き受け、子供の代わりに「親孝行」
キムさんはしゅうとめの世話をしながら介護の資格を取得し、2008年9月からは療養保護士(ヘルパー)として働きながら、同じ町内に住む5人の高齢者の世話をしている。今年5月に肝臓がんのため87歳で亡くなったAさん(男性)は、毎週1回、キムさんが自宅を訪問するたびに、本当の娘が来たかのように喜んだ。キムさんはAさんを風呂に入れ、マッサージをして、自宅から持参したおかずを食べさせた。葬儀の際、Aさんの実の娘はキムさんに対し、「子供ができなかったことをよくやってくださいました」と頭を下げ、感謝の思いを伝えた。
慶尚南道昌原にある「美しい療養院」では、看護士、療養保護士、社会福祉士、調理師など11人のスタッフが一つのチームを作り、60-90代の高齢者17人の世話をしている。たくさんの木が植えられた広い敷地(3300平方メートル)に、レンガ造り(495平方メートル)と韓国式(264平方メートル)の建物が並んでいる。入所者たちは、1部屋に2-4人ずつ生活しながら、日課に従って食事、運動、入浴、ゲームなどをしながら一日を過ごす。
カン・ジョンジャさん(女)=82=は長男家族と同居していたが、長男の事業が失敗して以来、3年前からこの施設で生活するようになった。施設利用料、おやつ代、薬代、おむつ代など、1カ月50万ウォン(約3万4000円)ほどの費用は、次男と娘が負担している。カンさんが入所した当初、子供たちは二度と顔も合わせないとののしり合うほど険悪な雰囲気だった。長男は「関節炎、腰痛、高血圧、認知症を患う母の世話を、これまで自分だけが引き受けてきた。弟や妹たちは知らんぷりだった」と主張し、弟や妹たちは、「兄さんは親の財産を独り占めにしてきたくせに、今になって施設の利用料を自分たちに要求するのか」と言い返した。しかし、カンさんが施設での生活に慣れてくると、子供たちの仲も徐々に修復していった。
延世大学看護学科のイ・テファ教授(写真)が保健福祉部の依頼を受け、高齢者長期療養保険制度を利用する高齢者2万2725人を対象に調査したところ、高齢者たちはサービスを受けることで意思疎通がスムーズになり(25.59%→19.18%)、年間の入院日数も二日以上減ったことが分かった。カトリック大学のキム・チャンウ教授が同制度利用者の保護者1000人を対象にアンケート調査を行ったところ、10人中8人(75.9%)が「家族関係が良くなった」と回答した。
「美しい療養院」のキム・ヨンヒ院長(55)は、「入所者の家族は、最初は自分が世話をしようと誰もが考えていたが、実際にやってみるととても大変で、結局はここに来ることを選んだという人たちばかりだ」と語る。ここに入所するまでに、家族同士のトラブルを経験したケースも少なくない。キム院長は「入所者の健康状態が回復すると、子供たちとの関係も良くなる」と語る。キム院長も、しゅうとめが心筋梗塞(こうそく)で倒れ(2006年に87歳で死亡)、実の母も脳卒中で倒れた(07年に85歳で死亡)経験を持つが、看病の際には兄弟たちともめ事が絶えなかったという。
崔聖載教授は「欧米でも1970-80年代には、“高齢者の世話をする施設が定着すれば、子供の責任感が弱まり誰もが親を施設に入れようとする”という懸念の声があった。しかし実際はそうではないことが明らかになっている」「韓国でも同じように、まずは国が高齢者の介護に1次的な責任を持ち、子供が国の役割を補うという傾向に変わりつつある」と述べた。
金秀恵(キム・スヘ)記者
金慶和(キム・ギョンファ)記者
朝鮮日報日本語版 2010年7月9日 原文のまま

「認知症の高齢女性を殺害、介護人を逮捕」(6月30日/朝鮮日報)
「部屋を散らかし暴言を吐いたためカッとなった」
認知症(痴ほう)の高齢女性が悪態をつき、言うことを聞かなかったため、胸を踏みつけ死亡させたとして、介護をしていた50代の女性が逮捕された。
ソウル中部警察署は18日9時ごろ、ソウル市中区新堂洞のウさん(85歳)の自宅で、寝ていたウさんの胸を数回踏みつけて死亡させたとして、介護人のチョ容疑者を傷害致死の疑いで逮捕した、と29日発表した。
警察の調べによると、チョ容疑者は今年3月からウさんの自宅で、住み込みの介護人として働いていた。ウさんは、夫と韓国戦争(朝鮮戦争)で離別し、その後一人で暮らしていた。チョ容疑者は、ウさんのおいが雇用し、ある介護人協会が発行する資格証を保持していたという。チョ容疑者には、政府からの補助金80万ウォン(約5万8000円)、ウさんのおいから100万ウォン(約7万3000円)が支払われていた。
チョ容疑者は、18日にウさんが片付けた物を散らかし暴言を吐いたため、カッとなって犯行に及んだと供述した。チョ容疑者は、ウさんが死亡したため警察に電話をし、「介護人だが、おばあさんが死亡した」と通報、天安市の実家に逃亡したという。
司法解剖の結果、肋骨が15本骨折するなど外部からの衝撃により死亡したことが分かった。そのため警察は、チョ容疑者を逮捕した。警察は、「チョ容疑者は最初は犯行を否定していたが、司法解剖の結果を伝えたところ、自白した」と説明した。
チョ容疑者は警察の調べで、「介護で2-3日眠れない状態でウさんが暴言を吐いたため、カッとなって暴行を加えた」と供述した。李恵云(イ・ヘウン)記者
Chosun Online日本語版 2010/06/30 原文のまま
編者:昔、日本で比較的裕福な家庭で住み込みの家政婦を雇って高齢者の介護にあたっていたのと同じ状況なのだろうか。

アルツハイマー病に準備が整わないアジア(6月29日/香港)
急速に高齢化が進むアジアは、40年以内に世界の認知症の人の半数以上が居ることになり、とりわけ中国は重い荷物を背負うことになります。アジアでは、専門的なナーシングホームやデイケアセンターは少なく、増設するという計画もなく、特別な介護が必要な人たちが急速に増えることに対して準備が遅れていると言われています。
香港アルツハイマー病協会Hong Kong Alzheimer's Disease Associationのコーディネーターで老年学者のダヴィッド・ダイDavid Dai氏は、「アジアは、特に高齢者がとても多くなる中国は重い負担を背負うことになるでしょう。私たちには準備ができていません。東南アジア全体も同じです」と語っています。
国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease International (ADI)によると、アルツハイマー病など認知症の人は、現在、全世界で3500万人以上で、2030年までにほぼ2倍になり、2050年までに1億1500万人以上になると推計されています。アジアでは。2005年に認知症の人が1370万人いましたが、2020年までに2370万人に、2050年までには6460万人になると推計されています。同じくADIによれば、中国は2050年までに2700万人が認知症になり、インドでは1600万人になるでしょう。70歳代で約10%の人が、80歳代では30%の人が認知症になります。
香港理工大学Hong Kong Polytechnic Universityの公共政策研究所Public Policy Research Instituteのピーター・ユアンPeter Yuen所長(写真左上)は「認知症は誰も、どの家族も経験することでしょう。80歳代まで生きるならありふれた病気なのです」と述べています。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによれば、アメリカでアルツハイマー病に対して、政府と民間保険と個人とが年間使う費用は、2050年までに現在の6倍の1兆800億ドルになると推計されています。
アルツハイマー病の母を持っているユアン氏は、香港で開催されたアルツハイマー病シンポジウムで次のように報告しています。
「香港では、認知症の人が、デイケアセンターを4年間利用し、ナーシングホームの入居介護を2年間利用すると一人あたり54万香港ドル(6万9000アメリカドル)になる。。
しかし、4年前アルツハイマー病と診断された82歳のオ・ベクサムAw Bek-sum氏は少なく見積もっても、彼の子供らが母の介護のために毎月1万5000香港ドル(1920アメリカドル)を払っています。この費用は、デイケア、外来受診、家事手伝いと在宅介護の総計です。アルツハイマー病の人がいる家族にとってはこれは壊滅的です。十分な支援がないのです。長期的な財政、あるいは支払い能力が認定され、必要なサービスを受けることができるような慢性的な疾患の人のために共有する形の保険制度を提案したい」
香港には11万人の認知症の人がいますが、4つのデイケアセンターの299人の定員しかありあません。専門の入居介護施設はありません。多くの認知症の人は終末期になって初めてナーシングホームに、しかも特別な研修を受けてはいない職員しかいない一般的なナーシングホームに入ります。
ダイ氏は、「ナーシングホームでは、認知症の人は、通常、拘束されており、社会的接触はなく、早く亡くなります」と述べています。
マレーシアでは、5万人の認知症の人がいると推計されています。
マレーシア大学University Malayaの老年医学Geriatric Medicine科長のフィリップ・ポイPhilip Poi教授(写真左下)は次のように述べています。
「いくつかのホームは、たとえ行動上の問題があってもわずかですがアルツハイマー病の人を受け入れますが、アルツハイマー病の人を介護するように工夫されている民間のナーシングホームはほとんどありません。マレーシアは認知症に関する問題があると認識し始めています。現在、介護はもっぱら配偶者や子供といったインフォーマルな介護者で行われています」
中国は、800万人ほどの認知症の人がいますが、特別な認知症棟をもった病院はほとんどありません。この国では2030年までに4人に1人が60歳以上になります。
北京老年病院Beijing Geriatric Hospitalの認知症棟の副棟長のザン・ショウジZhang Shouzi氏は次のように述べています
「中国の人口高齢化のため政府は、高齢者の介護施設や医療施設への要望が強いと認識しています。今後2,3年で高齢者や認知症の人のための多くの施設や組織を作ることになるでしょう」。
(Reuters June 29,2010 Alzheimer's scourge hangs over ill-prepared Asia)
サイト内関連記事
編者:日本の話が出てないが、かなり深刻な問題だ。認知症に関する我が国の経験を伝えて参考にしてほしい。なお、マレーシアのPoi教授は友人だ。今年、10月20日から24日までクアラルンプールで開催される13th Asia-Pacific Regional Conference of Alzheimer's Disease Internationalの科学委員会議長を務めている。

高齢者施設入居者の60%が認知症(6月24日/オーストラリア)
6月23日、オーストラリア政府保健福祉研究所Australian Institute of Health and Welfareが発表した「オーストラリアの保健2010年版 Australia's health 2010」によると、2008年で、認知症の人の数は、男性73,682人、女性127,03人、合計200,716人(このうち18歳以上64歳の人は9,474人)です。2009年で高齢者介護施設に入居者数は、138,302人ですが、そのうち認知症の人は59.2%を占めています。医療の利用状況は、2008年から2009年で一般医への受診件数は認知症の人が約65万件で、入院は約12万件です。認知症の人の57%が地域で暮らし、施設で生活している人は43%です。地域で生活している認知症の人の97%には何らか支援が必要で、最も多い支援は医療および障害への支援です。
AustralianAgeingAgenda 24/06/2010 Report highlights role of dementiaおよび報告書Australia's health 2010(pdf5.7M)のうち認知症Dementiaの項(pdf150K)より)

アルツハイマー病治療薬の開発には医学的にも多くの課題(6月23日/スウェーデン)
スウェーデンのカロリンスカ研究所アルツハイマー病研究センターKarolinska Institute Alzheimer Disease Research Centerのベングト・ウインブラドBengt Winblad教授(写真)らのグループは、アルツハイマー病治療薬の現状について、文献研究を行い、その論文Alzheimer's disease: clinical trials and drug developmentがイギリスの医学雑誌Lancet Neurologyの電子版に掲載されました。
グループは、コリン作動性剤、抗アミロイド剤、タウ蛋白作用性剤、ミトコンドリア作用性剤、神経栄養因子剤などについて研究論文を評価し、その結果、次のように述べています。
アルツハイマー病治療薬の研究は症状の治療にはある程度の成功をおさめたが、病気を変える治療には失敗している。アルツハイマー病の効果的な治療にどれほど近づいているのか推測するのが困難であり、最近の臨床試験の結果からみて、ただちに問題が解決するといった以前の楽観的な予測をすることはできません。治療薬の研究や開発には、アルツハイマー病が一つの物質で起こるといった単純な理解ではなく発病過程の多面的、複合的な理解が求められています。または、治療薬の臨床試験前の薬物動態などの研究は進んでいますが、臨床試験を行う際、対象者の患者の選別、生物指標を含めた結果を評価する方法などの改善が必要です。新しい薬の開発の方法として、作用の異なる物質の複合剤を検討する価値はあります。
Lancet Neurology 2010年6月23日 論文Alzheimer's disease: clinical trials and drug development(pdf300K)
編者:本日、国際アルツハイマー病協会事務局長からウインブラッド教授の了解を得て提供されたアルツハイマー病治療薬の現状の総括的論文として貴重だ。専門的な論文で十分な理解が伴っているとは思わないが、結論として、アルツハイマー病薬の開発がますます混迷し、時間がかかり、お金がかかってしまうとの思いだ。

アルツハイマー病と闘うトルコの家族(6月19日/トルコ)
5年前、医師は私の父が「アルツハイマー病のような認知症」であると診断しましたが、そのとき私は震えました。家族が、突然ばらばらになって浮かぶ氷の上に立っているように感じたのです。父が私たちからゆっくり離れて立っているように思いました。
それは悪夢のようで、本当ではない、医師の診断が間違っているとしばらく信じたい気持ちでした。不幸にも医師は間違っていなかったのです。別の診断を求めていくつかの病院にいってみましたが無駄でした。結果的に、最初の医師の診断が正しいことがわかり、父は病院の老年科と神経科に通院することになりました。これで家族すべての生活に変わることになり、新しいことを学び、新たな責任を担い、新しい犠牲を生むことになったのです。
最初、私たちはこれから起こり直面しなければならないないであろう事を聞いてショックを受けました。診断への不信や病気の否定の期間は短かったのですが、病気の進行を止めものではありませんでした。むしろ病気が進み、後になって医師から知ったのですが父のアルツハイマー病は中程度の時期でした。このことから無慈悲で先を見通せないこの病気に対応することができました。
残念なことですが、病気の進行を遅らせるために必要な知識について知ったのはあまりに遅かったのです。トルコアルツハイマー病協会・基金Turkish Alzheimer Society & Foundationのメルシン支部Mersin branchの創設者で会長のセラミ・ゲディクSelami Gedik氏(写真左上)は、早期から母に適切な対応を行ったのです。彼は、病気を知ってから熱心な本を読み、アルツハイマー病に発症のときから母の行動の変化に気づくことができたのです。
ゲディク氏は「私たちはすぐに薬の服用を始め、10年にかけて進行を遅らせることができました。今母は88歳ですが、医師によると幸いにも病気の7段階のうち5段階の状態です」と話しています。
啓発と早期の診断の重要性を強く信じているゲディク氏は、メルシン支部の活動に熱心で、とりわけアルツハイマー病の人のためのデイケアセンターの開設プロジェクトを推し進めています。
父が病気になって、私はアンカラにそうした施設がないか探しました。幼稚園のような「高齢者園」があるべきだと思っていました。そこではアルツハイマー病の人がさまざまな作業して時間を過ごすのです。こうしたセンターはパーキンソン病の母から過度に反応し叫ぶ父を離すのに役立つでしょう。アンカラにはこうした「高齢者園」はまだありません、トルコ全体でも2,3か所です。世界保健機関の数値によれば、現在、アルツハイマー病の人は全国で35万人いると推計さているこの国でのことです。父の主治医のアハメト・ツラン・イシクAhmet Turan Işık医師(写真左下)によると、これは単なる推計にすぎず、この問題についてのまだ役立つ調査は行われていません。
アルツハイマー病を専門とする准教授で老年科医のイシク医師によると、わずか5分の1の人しか医療を受けておらず、彼らの多くは中期になって初めて薬を服用しています。家族だけでなく医師の多くもその病気についてよく教育されていません。
イシク医師は次のように述べています。
「アルツハイマー病は、マーガレット・サッチャー、アイリス・マードック、チャールトン・ヘストン、ロナルド・レーガンなど有名な人がアルツハイマー病になったこの5年から10年の間によく知られるようになりました。しかしこの問題についてもっと多くの人たちを啓発するには長い道のりがあります。トルコアルツハイマー病協会・基金のような関連した多くのNGOを通して私たちが行ってきました。医師を含め多くの人たちは治療法を開発させアルツハイマー病の人を支援する活動をしていますが、政府からの支援は何もありません」
アルツハイマー病の人や家族によい知らせがあります。アルツハイマー病治療法を発見した医師として長く知られたイシク医師は、最近、開発中のカレー成分について有望な実験も行っています。薬として使うにはさらに研究が必要であると述べています。また骨髄移植による治療も試みており、この研究についてイシク医師は、今年7月にハワイのホノルルで開催される2010年アルツハイマー病国際会議2010 International Conference on Alzheimer’s Diseaseでの報告を招待されています。
さらにイリス医師は次のように述べています。
「なぜ、私たちはアルツハイマー病を治したり無くしたりする薬を開発できないのでしょうか。研究への信念をもち、父のいない父の日を早くも過ごさなければならない他の不幸な子供を救う薬があると信じています。私の父はこの1月に平安のうちに亡くなりました」
寄稿者:MERAL ÇİYAN ŞENERDİ
Hurriyet Daily News June 19, 2010 A Turkish family's struggle with Alzheimer's disease
トルコアルツハイマー病協会・基金のサイト
編者:トルコにアルツハイマー病協会・基金があり、イスタンブールで2005年に国際アルツハイマー病協会国際会議が開催されたが、編者は出席しなかった。トルコの認知症の人と家族の現状を知る情報として紹介した。イシク医師のカレー成分や骨髄移植の治療法についてはよくわからない。

アルツハイマー病:認知症はなくならない(6月17日/アメリカ)
10年前、アルツハイマー病と止められると確信ともって語られましたが、現在、どのように考えてよいかわからなくなっています。
製薬会社の秘密主義は有名ですが、特許が承認されて秘密を長く守っていれば収益はよいのです。しかし製薬会社は効果がないと見捨てられた薬の臨床試験の結果について共有することを発表しましたが、一体何が起きているのでしょうか。6月11日、大製薬会社は自らの11の臨床試験のおおよそ4000人のプロフィールについて公表し互いの失敗から学ぼうとしています。自己中心的行動は取れなくなったのです。
アルツハイマー病は、むしろ政策立案者が背を向けている分野のひとつで、高齢者の古典的な病気です。身体的な弱さは予測でき、対処可能ですが。精神的弱さは本人にも辛く、介護者にはもっと負担になります。また出費が嵩み、アルツハイマー病はアメリカだけで、年間おおよそ1700億ドルの経費がかかっています。平均寿命が延びて、この病気はありふれた病気となり、アルツハイマー病の人の数は2050年までに3倍になると予測されています。効果的な治療法は患者も社会もおおいに歓迎します。効果的なアルツハイマー病薬は製薬会社の多大の収益をもたらし、これが会社の動機にもなっているのです。しかし現在のところそうした薬を提供するにはいたっていません。
今世紀に入る頃、アルツハイマー病の研究には希望があったようです。症状を軽減する薬が市場に出回り、研究者は原因についてより深く知ることができると確信をもって取り組んでいました。
研究者は、治癒は可能と信じていました。今もそうかもしれませんが、現実は、期待されたようなアルツハイマー病についての理解には至っていません。その結果、世に出るはずの薬を開発した企業は多額の経費を負担し最後の臨床試験で失敗しています。そのなかで最新のものがファイザーのデメボンで、3月までに試験は止め、研究と開発に7億2500万ドルが使われたのです。
アルツハイマー病を起こすのは何かの疑問は底が深い。1906年、アルツハイマーが指摘した病気の物質的兆候はベータアミロイドとして知られる一種の蛋白の斑とタウ蛋白とよぶ神経細胞を巻き込んだもつれでした。1991年から、アルツハイマー病はこの斑によるものであり、もつれはその結果であるとする仮説に盛んに資金が投入されました。ここ20年、アルツハイマー病の脳からアミロイド斑を取り除く薬の開発にもっとも注目が注がれたのです。しかし、これまで5種類の薬の臨床試験が行われましたが、結果は期待したものではありません。
その結果、アミロイド斑説は衰えています。多くの研究者は、ベータアミロイドが犯人と信じていますが、斑の蛋白ではなく、自由に動く蛋白が原因ではないかと信じられつつあります。この考えは神経学雑誌Annals of Neurologyの4月号に発表された研究によって指支持されています。その研究によると、斑はないが流動するアミロイドベータのあるマウスは、両方あるマウスより病気による機能低下が同じでした。もし、これが人でも正しいなら、現在行われている臨床試験の多くの薬は効果がないことになります。
また別の基本的な問題は、アルツハイマー病の原因がなにであろうと、治療を始めるのが遅いということです。もの忘れといった症状が現れるまでに、脳はすでに明らかに修復困難な状態に陥っているということです。治癒が失われた機能を回復することにはならないようなのです。病気の進行を示す生化学マーカーは、早期に治療を始めることが望ましい人を特定するのに役立つかもしれません。また加齢に伴う軽いもの忘れとアルツハイマー病によるもの忘れとを区別するのに役立つでしょう。こうしたマーカーは臨床試験を管理している人に有益でしょう。薬が効いているかどうかを簡単に知ることができるかもしれないからです。
このためアルツハイマー病神経画像研究Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative (ADNI)が、アメリカの国立保健研究所National Institutes of Health (NIH)によって2004年に発足し、アルツハイマー病かもしれない人やアルツハイマー病に進むかもしれない人の脳脊髄液のある蛋白量を調べています。この研究はまだ長くかかりますが、病気の初期に診断する検査の開発を助けることになります。
ADNIと似たDIANは、アルツハイマー病優性遺伝ネットワークDominantly Inherited Alzheimer Networkのことですが、セントルイスにあるワシントン大学Washington Universityを拠点に生物マーカーの課題に取り組んでします。その研究者たちは、若年期アルツハイマー病を起こす遺伝子変異をもった家族について調べています。恐ろしいことに、家族のどの人がアルツハイマー病になる運命にあるかを予知することが可能なので、変異をもっていない家族との生化学的に比較することができます。
しかし、製薬会社が告白するように、現在のところ開発より研究が強調されていますが、これはかなりこたえる打撃です。さらに悪いことに研究費が削減されています。将来、3倍に増えるアルツハイマー病の人にはとても費用がかかります。アルツハイマー病研究は、NIHだけでも2006年に6億4300万ドルでしたが2011年には4億8000万ドルに減ります。この削減は特別扱いされたものではなく、政府の経費削減の一環です。将来、分別のない「徘徊」する高齢者がどれほど多くなるかわかりません。
Economist Jun 17th 2010 Alzheimer's disease No end to dementia
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編者:最近、アメリカでアルツハイマー病のアミロイド説に基づく新薬開発を疑問視する記事増えている。エコノミストまで取り上げた。さらに、民間の製薬会社の莫大な研究開発費が無駄になるおそれから開発の共同化も企画され、同時に公的研究機関の研究費が削減されている。アルツハイマー病の新たな治療薬開発の目途は、いつ、どのように立つのだろうか。

介護制度が崩れかけている(6月13日/カナダ)
介護施設に入るのに200日待たされる。カナダ・オンタリオ州の介護施設は機能が低下し最も入居が必要な人に対応できていません。州にある600か所以上の政府補助による介護施設は、虚弱な高齢者に質が高く24時間の介護を提供すると思われていますが、トロントのメトロランド特別報告書Metroland Special Repor(pdf1,4M)tによると、待機者名簿には高齢者で一杯で官僚機構と絡み、高齢者の権利を踏みにじる方針が押し付けられているようです。
ゲルフGuelphに住む認知症のジョンハリソンJohn Harrisonさん(91歳)(写真の左側)はよい性格ですが、不公平で需要を満たさない介護制度にため彼の尊厳を冒したと娘のジャン・グラッフJan Graffさん(写真の右側)は述べています。
グラッフさんは「みんな父のことをよく知っています。冗談を言い、楽しい人です。父が怒ったのをみたことはありません」と話しています。
グラッフさんは、ゲルフの退職者ですが、彼女の父や母(グレィディスGladys)が、あまりに待機期間が長く役に立たなくなった介護制度では支えきれない状況に置かれたことに、とても憤慨しています。その制度は、民間や半民間の施設を利用できる人にとって不公平にも役だっているようなのです。
ハリソンさんは、現役のころはプロのカメラマンでしたが、基本的な介護施設以外の施設を利用するに支払うのには財産が足りません。地域の介護施設が必要なとに利用できないのです。
娘さんは次のように話しています。
「まったく悪夢でした。父は10年前から認知症の症状が出て短期記憶が失われ始めました。それから性格も変わったのです。父はこれまでの人生で攻撃的なことはありませんでしたが、攻撃的になり始めたのです。母にとっては恐ろしいことでした。攻撃的なことが増え、外に出かけて行方不明にもなりました。自分の家でもう生活はできません。母は介護するにはあまりにも負担が重いのです。
ハリソンさんには24時間体制で管理するナーシングホームが必要であると決めました。
政府による地域のどこで介護を受けるかということを担当する公的な地域介護相談センターCommunity Care Access Centreに相談に行きました。3つの介護施設で彼を受け入れることになりましたが、どこも待機リストに載せられただけです。
オンタリオ州の介護施設は3種類あり、基本的で標準的な施設、政府から推薦された半民間施設、同じく推薦された民間施設です。
さらに娘さんは次のように話しています。
「私たちは基本的施設を探していました。母も利用できるからです。両親は年金だけで生活しているのです。待機中の1年以上の間、ハリソンさんは衰え、状態は悪くなりました。結婚して60年間一緒に暮らした母には耐えがたい負担です。母にも支えが必要です。自分のために自宅にいたわけではありません。父が高価な施設に入ることができれば、そうしたでしょう」
状況は破局的なところまで達し、自宅から65キロ離れた遠くの施設に入るしか選択の余地はありませんでした。そこで父は6カ月生活しました。その後、今年2月に地元のナーシングホームに入りましたが、そこで半個室の追加料金を支払わなければなりませんでしたが、娘さんは怒り、次のように述べています。
「母に話して、地元に帰えるのだろうか、半個室の部屋に入るのだろうかと地域介護相談センターの職員に聞いたら違う返事がありました。ハリソンさんは地元の介護施設で半個室の部屋に入りました。全くお金次第です。お金を持っていれば利用でき、なければ待たなければならないのです」
オンタリオ州の保健省Ontario Health Ministryは、入居者の支払い能力が公的な施設の待機期間に影響するかどうかについては回答しませんでしたが、今週中に見解を述べることになっています。オンタリオ州で増えている虚弱な人が必要とする施設を見つけることがほとんどできない介護制度なのです。その制度は破綻しかけ、これには役所仕事が絡んでいます。
デブ・マチューズDeb Matthews保健大臣(写真左上)は、「問題があることは認めていますが、制度を改革するには時間が必要だ」と述べています。
州政府認可の公的なナーシングホームに使われている年間30億ドルによって、オンタリオ州の強弱で医療が必要な入居者に質の高いケアが提供されることになっています。
メトロランド特別報告―その危機的状況―によると、制度が麻痺し、オンタリオ州で利用できるのはわずか100床だけで、多くの地域で平均待機期間は200日です。在宅支援が広く利用できるように3年前始まった新たな11億ドルの政府のプログラムは、問題を少し解決したようです。
しかし同時に待機リストの待機者が多くなり、介護が必要な多くの高齢者を在宅に置くことで何千という人が行くところがないと病院のベッドを占めているのです。2007年から2009年までの間に、オンタリオ州のナーシングホームへの平均待機期間は49日から109日まで2倍になりました。州全体での待機者は2万5000人で、2005年の1万2000人の2倍になっています。州政府は、新しいベッドの提供をなかば止め、今後24カ月間で、わずか900程度のナーシングホームで追加される予定で、地元ゲルフでは状況はいくらか改善しますがこの秋に96ベッドが追加されます。
大臣は次のように述べています。
「介護施設が利用しやすいようにもっと拡充しなければならないことは理解しています。
介護施設の入るのに人々が長く待っていることも知っています。しかし、政府に投資は在宅により長く生活できるようにするためのものです。最終的な解決は在宅での介護がもっと可能となり、ショートステイ用ベッドをもっと増やすことです。今年の2月までオンタリオ州では、ショートステイ用813のベッドをナーシングホーム、病院、病院管理下の施設に設けましたがもっと増やす計画です。こうすることで高齢者が自分の生きる力を強め、より健康になり、実際多くの人が家に帰っています。こうしたサービスがなければこれらの人たちは介護施設に入ったでしょう」
コンサルタントのロン・ベルカウRon Bercaw氏(写真左下)は次のように述べています。
「トヨタの組み立てライン方式にように州の高齢者が病院からナーシングホームに入っているようなものです。車の部品を欠かないように工場の「スリム技術」を取り入れることについて、この2年半で、州の30の病院と地域介護相談センターで研修をしました。医療管理者は高齢者がナーシングホームへ自由に流れるのを防ぐための必要のないステップを発見するように支援しました。ミシサウガMississaugaのトリリウム医療センターTrillium Health Centreの診療事務局長のスーザン・ビセロンSusan Bisaillon診療事務長は、次のように述べています。
「スリム方式は無駄を知るのに役立ちました。2009年、トリリウム医療センターでは病棟と救急外来はいつも一杯でナーシングホームに行くことになっている131人の高齢者がいました。職員にカラーのノートを壁に貼り介護施設に入るのか在宅に帰るのか患者の方針のステップを検討したのです。このうち82人がナーシングホームで、わずか16人が在宅でした。これはセンターの全体を損なうと実感し、大きな見直しが必要だと思いつきがありました」
高齢者がどこで生活するかの確保には、州の規制のなく、不定期の研修、責任をとることの欠如、苦労が多い作業スピードを課される疲弊した個人的支援をしている職員らによるものなのです。ナーシングホームの職員は限界まで来ており、何年にもわたる職員不足や高齢者や病気の入居者の絶えず入居しているためです。
この10年間で、ベビーブーマーの最初の世代が75歳になるでしょう。2036年までにオンタリオ州の75歳以上の人は、現在の85万人から220万人に増えるでしょう。来月、新しい規制が発効し2003年からの介護規制の部分になんらかの新しい規制となります。保健省の役人は規制が意義ある変化をもたらすことを望んでいます。
オンタリオ州医療の質委員会Ontario Health Quality Councilの2009年の調査によれば、制度的欠陥があるにもかかわらず、多くの介護施設で、ほとんどの入居者が介護は満足していると回答しています。未処理の課題が大きくなるにしたがい病院ではもはや急性期治療を必要としなくなったが他の介護施設に移れない人による停滞を打ち破ることはなお難しいでしょう。こうした人たちを医療隠語では「ベッド占領者」です。急性期医療病院のベッドの20%近くはこうした人たちで占められています。公的な相互ケアレベルAlternate Level of Careの必要性と認識され、オンタリオ州の病院のベッドを占領している相互レベルケアの患者の69%は介護施設の入居を待っています。
news.guelphmercury.com  June 13, 2010 Long-term care system ‘overwhelmed’)
編者:カナダの医療制度や介護制度について詳しくはないが、認知症などの高齢者が介護施設の空きがないために、病院に長く入院し、また介護施設に入居するには支払い能力が関係する。また在宅での生活を支援するためショートステイの制度も導入されているが、かならずしも政府が期待するような成果はあげていないらしい。我が国に共通する課題も少なくないようだ。

認知症の人の介護家族への「虐待」(6月11日/イギリス)
イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンUniversity College London(UCL)の精神保健科学部Department of Mental Health Sciencesのクラウディア・クーパーClaudia Cooper医師らのグループは、認知症の人が介護家族へ大声を上げる、暴力をふるいといった「虐待」について調べましたが、虐待的行為は家族が思う報われない介護関係があり、そのことからくる介護の方法によって起こるのではないかと考え、調査を行います。
クーパー医師らは、5つのイギリス地域精神保健チームUK Community Mental Health Teamsから紹介され1週間に少なくとも4時間介護する220人の介護家族について面接しました。面接には、虐待を測る改訂版葛藤対処スケールModified Conflict Tactics Scaleと関係報償スケールRelationship Rewards Scaleを使いました。
認知症の人から過去3カ月間、ときどき虐待を受けたと報告したのは介護者うち82人(37.3%)でした。心理的虐待は80人(36.4%)、身体的虐待は13人(5.9%)でした。現在の介護者が報われていると思う介護関係は発病前のレベルより低下していました。虐待が多いことと介護が報われていると思って行う対処方法―気分のはけ口、薬や飲酒、情緒的援助、具体的援助、状況の受容、将来計画など―が働いていないことと関係を認めました。現在、報われていると思う介護関係は、過去のよい関係、認知症の人の少ない虐待およびよく行われている対処法と関係していました。結論として、介護者が認知症の人への対処法を変え介入によって認知症の人の虐待的行動が少なくなるかもしれません。
この論文は、イギリスの医学雑誌Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatryの2010年6月号に掲載されました。
クーパー医師らは、今後、役立つ対処法を介護者に教育することに関する調査を検討しています。しかし、こうした対処法の支援が認知症の人からの虐待を減らすことになるかどうかはわからないとしています。すなわち相応しくない対処法は介護者が受けている虐待の結果かもしれないからです。
ところでこの微妙な問題について介護者が本当のことを答えることは難しいでしょう。家族によっては認知症の人からの虐待を認めたくないかもしれません。じっさい、調査に参加を依頼された人の約31%は接触がとれないか参加していません。認知症の人による虐待について話したくないのでしょう。介護者が認知症の人から大声をあげられる、罵られるなど困惑する行為を経験しても、それは病気による症状であって介護者への個人的な行為ではありません。そうした経験はあなた一人ではないのです。しかし、ひとりで対処することは容易ではないのです。
どうしらよいか医師に相談しましょう。家庭による支援、休息ケア、治療法の変更などが提案されるかもしれません。あるいはアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyをとおして他の介護者と話すのも役立つでしょう。同協会のサイトでも攻撃的行動への対処法など介護者に役立つ情報を得ることができます。
guardian.co.uk Friday 11 June How do dementia carers cope with abusive behaviour? および論文Abusive behaviour experienced by family carers from people with dementia: the CARD (caring for relatives with dementia) studyより)
編者:虐待といえば介護者から認知症の人への行為と思っていたが、認知症の人の暴力を介護者への「虐待」とみることには違和感がある。認知症の人は明らかに立場が弱く介護者と同等ではない。

ユーモアがアルツハイマー病に最も良い方法(6月8日/イギリス)
古いことわざ「笑わないなら、泣くしかない」は、クリスチーン・ロスChristine Rossさんと夫のサムSamさんにはぴったりです。
7年前、サムさんはアルツハイマー病と診断されました。
彼の記憶は衰え、深夜、妻のクリスティーンさんを起こして、妻に「誰ですか」を尋ねるのです。クリスティーンは次のように話しています。
「朝の3時、夫が私の腕を叩くので起きたところ「あなた誰」「私はどこにいるの」と夫が聞くのです。しばらくして彼は同じことを繰り返しました。『昨夜、パブであなたが私をひろったのよ』と言いっておきした。そうすると彼は『そう』と言って休みました。それで幸せそうでした。できるならユーモアを使う必要があることを本当に知りました」
アルツハイマー病のほとんどの人は65歳以上です。防衛省自動車修理工だったサムさんは、60歳の誕生日の数日前にアルツハイマー病であるという破壊的なことを知らされました。
前から彼はよくもの忘れしていましたが、バスの大きな修理をしたという記憶がないことで警告されたものです。
さらに妻のクリスティーンさん(54歳)は「そのことを知ったとき頭が真っ白になりました。私たちの将来計画は反故にしなければなりませんでした。夫も仕事を辞めざるをえず収入は大幅に減りました」と話しています。
最初、サムさんは病気を否定しアルツハイマー病を受け入れるのに数か月かかりました。しかし、二人はその状態にどう対処したらよいか学び、夫の混乱と誤解に対処するユーモアを持ち合わせていました。夫婦は状況が悪くなるだろうと知っていました。アルツハイマー病が治ることはなく、将来24時間の介護が必要なことも知っていました。
またクリスティーンさんは次のように次のように話しています。
「最悪と最良のシナリオを知っています。この間のある段階にある夫について良く考え、くよくよはしません。夫のモットーは、『今日生きて、明日は明日の吹く』です」
サムさんは、自分の状態を冷静にみて次にように話しています。
「最初、自分に何も悪いことはないと言い続けました。6カ月後、病気を受け入れました。このことで私は変わり、よい人間になり、おおらかになりました。『よろしく』とか『ありがとう』と言って、不測の事態が起こることも予測します。のんびり暮らしています。毎日、目覚めることそれが贈り物です」
認知症の人10人のうち4人が介護施設か病院に居ます。
夫婦は在宅で頑張っています。しかし、これは容易なことではありません。クリスティーンさんは、海軍基地のフルタイムの仕事をしています。アルツハイマー病の人は子供のようなところがあり、クリスティーンさんは母親役の戻ったように感じています。サムさんは、子供のように何度も「なぜ」と尋ねるのです。スリッパをはいたまま外に出ることも度々ありました。
クリスティーンさんは次のように話しています。
「言い争いを始めるよりは、『すみません、思いました』言うようにしています。論争し不和になっても夫はそのことを忘れてしまいます。彼を見ながら座って、笑顔で振り返り、『コ―ヒを飲みます』と尋ねるようにしています。夫を怒ることはできません。『今日何の日』とか『今日すること』と思い出せるように玄関のドアにそばにピンで止めたホワイトボードを使うよういしいます。毎日、仕事に行く前にホワイトボードを改め、気軽な夫にジョークを言います。さらにボードには『手や顔を洗ってひげをそる』『起きたら電話をする』、ある日などは犬を飼っていないのに『犬と散歩する』とも書きました。すると夫が犬がいるかどうか電話で私に尋ねてきました。笑うことができるようになる必要があります。私はユーモアで多くのことをうまくやっています。これが私の介護方法です」
サムさんは、クリスティーンさんがどれほど大変なのか知っています。認知症啓発週間Dementia Awareness Weekのときに「私は本当に妻に感謝しています。彼女はほんとうに素晴らしい。もし、私が彼女に10点満点の点数をつけるとすれば、20点です」と話しています。
二人は、1994年、独身者クラブで知り合いました。彼の生意気でカリスマ的な性格に彼女は心を打ち、10ヶ月後に結婚しました。
続けてクリスティーンさんは次のように話します。
「彼はとてもユーモアセンスを持っていました、素晴らしい人柄でとても面白い。不幸にして、認知症で少し変わりました。私はささやかな変化を気付き。それはまだ続いています。先月、67歳のサムさんは野卒中が疑われ3週間入院しました。それから杖を使わなければなりませんでした」
家族からの愛と励ましにくわえ、夫婦は、スコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer Scotlandの新しい認知症資源センターDementia Resource Centreからの支援なくしてはやっていけません。夫婦は、そこのサービスを高く評価し、センターのボランティアにもなりました。
クリスティーンさんは付け加え話します。
「アルツハイマー病協会はとても大きな支えです。同じ思いの人たちに話すことができるようになりました。私の言いたいことは『一人ではありません。同じ境遇の人がほかにも居ます』ということです」
先週の金曜日、サムさんは、アルツハイマー病協会の会議で招待講演をしました。病気の認識を高めることに熱心で、アルツハイマー病協会の宣伝活動の顔になることに同意しました。
アルツハイマー病協会のジーン・アルミタージュJean Armitage氏は次のように述べています。
「クリスティーンさんとサムさんは、一日中、また一週間とおしてユーモアを使っています。すべての悪い状況を変え人生に前向きな展望を持っています。かれらは愛情をもった関係です。サムさんは立って『私はこの病気になりましたが、戦って毎日、自分にとって最善を努めて生きます』と述べました。希望を持って前向きになり必要な情報や助言を得るように他人を助けるようにしたい。支援のため、情報や認知症やアルツハイマー病についての確信もてるようにスコットランドアルツハイマー病協会の24時間の電話相談に電話くださるか、ウエブサイトを見てください」
(DailyRecord.co.uk Jun 8 2010 Humour is best defence against Alzheimer's diseaseより)

認知症の人の私的な介護者に特別な専門的支援が必要:全国認知症プログラム調査より(6月7日/オランダ)
オランダでは認知症の人とその私的な介護者への統合されたケアを改善するため、保健福祉スポーツ省Ministry of Health, Welfare and Sportが働きかけて、オランダアルツハイマー病協会Dutch Alzheimer's Association、医療の質研究所Institute of Quality of Healthcare (CBO)、および加齢に関する情報センターKnowledge Centre on Ageing (Vilans)との質の高い共同作業で、全国認知症プログラムNational Dementia Programmeがあります。このプログラムは、私的な介護者を支援することによって介護者の状態を改善し、ひいては認知症の人の施設入所を遅らせることを重要な目的としています。このプログラムの活動の一環として、認知症の人の私的な介護者の利用することおよび必要性について調査して、その報告書がこのたび公表されました。
調査は、2006年4月から2007年1月までに間、プログラムが作成した質問票で行い984人の私的な介護者が回答し、公的な介護者によるさらなる専門的支援の利用とその必要性の関係―私的な介護者(配偶者、子供、義理の子供)の特徴と支援の必要性との関係、また認知症の人(在宅、ナーシングホーム、高齢者ホームに住む)の生活状況と支援の必要性との関係―を評価するため質問表の内容を分析をしました。
その結果、ほとんどすべての私的な介護者(92.6%)は、既になんらかの専門的支援を受けていましたが、約3分の2(67.4%)の人は、さらにひとつ、あるいはそれ以上の専門的な支援が必要と指摘しています。私的な介護者は、家族が認知症の人を怖がり混乱している状態を怒ったりするときに何をしたらよいかのさらなる専門的助言が必要としました。配偶者は子供の場合とは異なる必要性を指摘し、配偶者の介護者は頻繁な情緒的支援を必要とし、子供の介護者は認知症ケアの情報や連携を必要としています。
調査の結果として、私的な介護者は、認知症の人の行動上の問題への対処方法、病気の進行、情緒的支援や認知症ケアの連携などについてのさらなる情報や助言を必要とすると指摘しました。今後の支援の在り方としては、ケースマネージメントの分野で公的な介護者による特別なニーズに対処すべきとしています。
7thspace.com 2010-06-07 Informal caregivers of persons with dementia, their use of and needs for specific professional support: a survey of the National Dementia Programmeより)
編者:この記事だけだとわかりにくい。National Dementia Plans(英文Words)廣瀬真理子「オランダにおける最近の地域福祉改革の動向と課題」(海外社会保障研究Spring 2008 No.162特集:地域包括ケアシステムをめぐる国際的動向)(pdf900K)を読むと理解が少し深まる。なお、同国にもアルツハイマー病協会Alzheimer Nederlandがある。余談であるが、元オランダアルツハイマー病協会の事務局長で、現在、国際アルツハイマー病協会の事務局長であるマーク・ワルトマンMarc Wortmann氏が2010年6月7日わが家を訪れた。

介護施設に認知症高齢者が多い(6月7日/スイス)
7日、スイス連邦政府統計局Federal Statistics Officeが公表した施設にいる高齢者の健康と生活状況に関する報告書によると、介護施設の高齢者の75%以上の人に健康上の問題があり、5人うち2人が認知症です。67%の人に食べる、着るといった日常機能がかなり困難です。また77%の人に6か月以上つづく健康上の問題があり、39%の人は認知症で、26%はうつ状態です。その他健康上の問題として心臓疾患、高血圧、糖尿病、リウマチがあります。調査対象者の平均年齢は83歳でした。
さらに報告書によれば、介護施設の入居者の多くは定期的な家族や友人の電話や訪問があります。おおよそ55%の人は少なくとも1週間に1回の訪問を受けており、12%の人は毎日、訪問を受けています。わずか2%の人が外部からの接触がまったくありません。
swissinfo.ch Jun 7, 2010  High number of home residents have dementiaより)
編者:スイスの認知症高齢者に関する日本語の情報を乏しい。なお同国にアルツハイマー病協会Association Alzheimer Suisseがある。

アルツハイマー病治療薬が生まれにくい訳(6月7日/アメリカ)
65歳以上のアメリカ人の8人に1人がアルツハイマー病です。有効な薬があれば治療できる病気を悪化させています。どうしてよりよい薬を発見しようとしないのでしょうか。その訳は簡単です。新薬を創るのに大きな障碍があるからです。薬の研究と開発は、とても経費がかかり、時間もかかり、リスクも伴います。
新薬発見への投資は、一層、不確定なことなのです。結局のところ、ケンプリッジからハーバードやMITの素晴らしい学術センターとおり、多くの新しい大学や企業の研究センター、さらに一見華やかな生物医薬品領域を、さらにボストンの表面下にある将来を見ると、重要な新薬の発見と開発にはますます障碍が増えていることを容易に認めるでしょう。
まず費用の全額ですが、アメリカで新薬の開発は驚くほどの額で、優に10億ドルを超えます。さらに、最初に思いつきからアメリカ食品医薬品局US Food and Drug Administrationの承認を得るまでに優に10年以上かかります。最後に、細胞、動物、そして患者での試験の厳格な過程をえて始めて市場に出る薬は100種のうち1種類以下しかないと推測されています。
増加する費用、長期化するスケジュール、拡大するリスクは新薬発見への投資におおいに影響しています。ウオールストリートの投資家、製薬会社そして小規模はバイテクを見てみすと、規模の大きな製薬会社の株価収益率からみて、平均的な投資家の新薬発見への投資の関心はちょうど10年前の3分の1であることを示唆しています。
製薬会社の場合は予測が可能です。製薬会社は、盛んに合併し、優に研究や開発の費用を減らし、新薬発見に限定しないで多様化しています。その結果、ボストンや全国の多くのバイテク会社では、社員数を減らすか閉鎖し、新薬の研究や開発を支える資金を増やすことができなくなっています。忘れないでください、バイテクでは初めての製品を出すまで優に10億ドル以上の資金を用意する必要があります。
私たちのほとんどが、いずれは重篤な病気になるでしょう。もし薬の開発への投資の興味が衰えることになれば、アルツハイマー病になったとき有効な薬がないことになるでしょう。この障碍を減らすことで効果的な新薬の開発の可能性を改めることができます。新薬の発見の長期化と危険性の高まりは、現在広がりつつある要件に基づいています。たとえば、食品医薬品局のガイドラインによれば、アルツハイマー病の新しい薬の承認を得るに必要な期間を延長すると、そのため数百人の患者に新たな試験が求められます。実際、この段階だけで数億ドルの経費がかかり、試験に何年もかかります。新薬承認の障碍は、20年前より現在の方が高くなっています。
重要な新薬を早く、高価でない価格で使えることによる利益があります。とりわけ、このことはアルツハイマー病のような現在の適切な治療がない壊滅的な病気に言えることです。第一に、エイズ危機のとき、適切な治療法がなく時間もないなかで薬剤を監督する者がより早く臨床試験を行い、より早く承認することから多くのことを学びました。より小規模でより短期間の臨床試験を進めること、および新薬承認の後長い期間、患者に密着することで実現したのです。
第二に、国立保健研究所National Institutes of Healthおよびマサチューセッツ生命科学センターMassachusetts Life Sciences Centerのような地域の指導的なセンターによる新薬発見の公的な支持が増えるでしょう。第三に、新薬発見における労働と費用に関わる大きな最初の段階の多くは、インドや中国のような国々に移行することが増えるでしょう。新薬発見のために現在の障碍を減らすための簡単な解決方法はありませんが、こうした方向性で重篤な疾患のためより多くのよりよい薬の開発が促進されることになるでしょう。
招待コラムニストのクリストフ・ウエストファールChristoph Westphal氏(写真)はバイテクの起業家でロングウッドファンダーズ財団Longwood Founders Fundの共同経営者です。
Boston.com June 7, 2010 Why cures are so hard to come byより)
編者:アルツハイマー病の根本治療薬が生まれるようでなかなか生まれない経済的制度的背景を簡潔に論じた寄稿である。新薬開発の先端をゆくアメリカでの状況から明るい見通しが持ちにくい。また、たとえ新薬が世に出ても極めて高価であれば医療格差をますます広げることになりかねない。誰もが安価で使えるアルツハイマー病薬をいつになったら手にすることになるのだろうか。

特別ケアプランはアルツハイマー病の認知機能の低下に影響しない(6月3日/フランス)
フランス・ツルーズにあるCHU Purpan-Casselarditの内科・老年科外来Service de M?decine Interne et de G?rontologie Cliniqueのファティ・ヌールアシェミFati Nourhashemi医師らの研究グループは、地域在住の軽度から中程度のアルツハイマー病の人に総合的で特別ケアプラン(注)の効果について調査した結果、認知機能低下を抑えないと結論づけました。
この調査は、フランス全国の50か所のもの忘れ外来memory clinicsで行われました。調査に参加者した人は1131人で、このうち574人は26か所の外来で特別ケアプランによる介入が行われ、557人は24か所の外来で通常ケアが行われました。2グループの外来の選別は無作為で行われました。特別ケアプランによる介入は、総合的で標準化されたもので年2回のアルツハイマー病の人と介護者への助言などによるものです。12カ月と24カ月後に日常生活動作や施設入所や死亡の頻度でも評価しました。その結果、2年後、介入グループでは58.4%の人が、対象群では61.6%が評価できました。2年間の認知機能の低下の程度は二つのグループで違いはありませんでした。特別ケアプランはの効果は認められなかったが、専門医によるもの忘れ外来ではなく、一般医による直接的な介入の効果を調べる調査が必要と提言しています。
この論文は、イギリス医師会雑誌British Medical Journal 電子版2010年6月3日号に掲載されました。
この結果についてヌールアシェミ医師らは次のように述べています。
「この結果の要因として、特別ケアプランによる広範囲な介入は日常生活動作などになんら利益をもたらさないで国民の保健面で価値がほとんどないことがわかりました。介入方法は、認知機能の低下の恐れのある人に限定して介入するべきではないかと思い、そのためより効果的な介入方法を開発しなければなりません」
注:特別ケアプラン
アルツハイマー病の人への特別ケアプランは、2001年、フランス政府によるアルツハイマー病への初めての活動として保健省French Ministry of Healthから要請により神経科医、老年科医、精神科医、一般医の多職種による作業グループで開発されました。これは作業グループの委員の個人的な経験と科学的文献のデータに基づき、さらにフランスアルツハイマー病協会French Alzheimer Association、医療分野、社会サービス分野、介護分野の代表者の意見や経験に考慮されて作られたものです。アルツハイマー病の人と家族への年2回の標準化された助言と問題に関する標準化されたガイドラインによって以下の2段階で介入するものです。
第1段階
アルツハイマー病の経過のなかで、もの忘れ外来での6カ月に1回の総合的で標準化されたガイドラインを利用します。このガイドラインには認知機能評価などの評価が含まれます。特別ケアプランにはアルツハイマー病の人および介護者のアルツハイマー病についての知識―依存的になる機能、進行する認知機能低下、コリンエステラーゼ阻害剤やメマンチンの評価、栄養状態、歩行障害、行動症状、介護者の心理的身体的健康、安全と法的問題―が考慮されます。認知機能はMMSEで、活動は日常生活動作と手段的日常生活動作で、栄養はミニ栄養評価で、行動障害は神経精神評価で、歩行障害は単脚バランステストで評価されます。さらに介護者の負担はザリト負担評価Zarit burden interviewが使われます。
第2段階
評価された分野では、総合的評価に基づき行われるべき標準化された管理方法の詳しい内容はhttp://cm2r.enamax.net/onra/images/stories/fiches_plasa.pdf(240kkフランス語)に示されています。実際のケアプランは6か月ごとに標準化された様式に医師が記録します。アルツハイマー病の特別ケアプランは特殊な薬以外は、非薬物的介入を主とし、評価された各分野で異なるタイプの支援方法が検討されます。文書化された資料は研究者のためのもので、評価方法、解釈、非薬物的管理の可能性、必要であれば薬物的介入の可能性について詳細に評価されます。研究グループは、ケアプランのCD-ROMを作成し、これは医師の研修の資料として利用され、各もの忘れ外来に提供されました。もう一つの文書化された資料は、介護者や家族のためのもので、アルツハイマー病の知識や理解を向上させ問題の解決方法を提供するものです。介入グループの属する医師は、調査前に特別ケアプランについての研修を受け、介入が始まってからも受けました。もの忘れ外来間で介入を標準化した評価方法の使用することと標準化されたケアガイドラインが示されました。
従来のケア
フランスではもの忘れ外来は、当初、一般医がアルツハイマー病と診断するのを助けるために導入されました。研究期間中、各外来での通常のケアは組織的な追跡は行わず診断や助言が毎年まとめられました。
Eurekalert 3-Jun-2010 Special care plan does not slow decline in patients with Alzheimer'sおよび論文Effectiveness of a specific care plan in patients with Alzheimer’s disease: cluster randomised trial (PLASA study)より)
編者:編者はフランスの医療制度や介護制度について詳しく知らない。さらにフランス語をよく理解しないので本報告の詳細を理解できない。ただし論文よれば、フランスでは政府の要請により専門家の作業グループによってアルツハイマー病の人や家族への標準的なケアプランが作成された。今回の論文はそのケアプランの有効性についての評価であり、現行のケアプランはアルツハイマー病の人の認知機能の低下を抑えるには有効ではないと結論づけられた。ケアプランは我が国の介護保険の介護プランとは異なり医療的側面が強い医療プランのようだ。

認知症の人の話を録音して役立てる(6月2日/アメリカ)
クライド・モーガンClyde Morgan氏は、妻のグロリアGloria氏がアルツハイマー病になる前の自分たちの人生をできるだけ多くの記憶を守り記録するため、40分を過ごしました。彼はこうした機会が与えられたことに感謝しています。
66歳のクライド氏は妻のただ一人の介護者で自営の外交員ですが、「私とアルツハイマー病、話したことが彼女そのものです」と語っています。
モーガン夫婦は、ストリーコープスStoryCorps(物語隊)のメモリーロスイニシアティブ Memory Loss Initiativeの活動の一部として、先週、特別で有意義な人生につい話を記録したアルツハイマー病の6組の家族のひとつです。このストリーコープスは、アルツハイマー病協会グレーターイシノイ支部Alzheimer's Association, Greater Illinois Chapterが共同出資している非営利団体です。
この活動では、アルツハイマー病の人の家族―配偶者や子供たち―がインタビューを受けますが、クライド氏が知ったように、その過程は簡単なものではありませんでした。33年間の結婚、求婚時期、妻の仕事―オーロラ学校Aurora schoolの校長として受章など―といったことをまとめる努力はしたものの、妻の病気のためにぶつかり合うこともありました。クライド氏は次のように述べています。
「妻は現在68歳ですが、2000年にアルツハイマー病と診断されました。昨年、劇的に変化がありました。彼女とコミュニケーションがあまりとれなくなったのです。さびしいことです。しかし、営業電話のように話すと、妻とのいくつかの会話を楽しむことができます。また運転中、神や彼女に共有するわずかの言葉で話をしました。妻によってはよい人生のようでした」
ラジオ放送レベルの技術で記録できることが、人生に関するイニシアティブの重要なところです。ブルックリンを拠点とするストリーコープスの目的は、背景を踏まえながら確信をもってアメリカ人の物語を録音記録し保存し、その記録を共有することです。2006年から記憶障害の人たちの物語を保存する特別な活動を始めました。
この団体の人によると、この活動は家族を助けるそうです。しかし記録をとるまでの過程は順調というわけではありません。介護者を重視して言葉によって歴史を明らかにし共有したいとの高い期待があります。
アルツハイマー病協会のよると、現在530万人がアルツハイマー病で、死因の第7位です。次の2年間でベビーブーマーが65歳になることにより、この病気の家族への影響は強くなるでしょう。
コープスのメラニー・チャビンMelanie Chavin副代表は次のように話しています。
「これはとてつもなく大きな国民的危機です。アルツハイマー病協会とともにイリノイ州のウイズアウトウオーニンWithout Warningも共同出資しています。この団体は、ラッシュアルツハイマー病センターRush Alzheimer's Disease Centerとノースウエスタン大学ファインバーグ医学部Northwestern University's Feinberg School of Medicineの認知神経学アルツハイマー病センターCognitive Neurology and Alzheimer's Disease Centerによって運営されている若年期アルツハイマー病支援グループです」
同センターのダービー・モーハードDarby Morhardt准教授(写真)は次のように述べています。
「この活動はアルツハイマー病の人に有意義です。一端、アルツハイマー病と診断されると偏見と無視のなかに置かれていると感じることが多いからです。病気が現れ方は人まちまちで、ここ数年、私は、多くの人が病気をもちながら生きているという経験を語りたと望んでいることを学びました」
(ChicagoTribune June 2, 2010 StoryCorps deploys to capture Alzheimer patients' memories)
編者:興味ある取り組みが、認知症の人や家族の記憶を写真や文章で記録することはよく行われているが、話ことばを記録するのもまたよい。

★スコットランド政府の初めての認知症戦略(6月1日/イギリス)
スコットランド政府Scottish government.は最初の認知症戦略を今日発表する予定です。この戦略は、認知症対策にスコットランド政府が関わり、認知症の介護および診断や治療の改善を目指したものです。また認知症と診断されたあとなかば無視されている認知症の人によりよい制度を導入しようとするものです。
現在、スコットランドには認知症の人が約7万1000人いますが、今後25年以内に2倍になると推計されています。また医療に毎年170億ポンド使っており、この経費の削減も意図しています。また経費を補うため宝くじのビックロテリーファンドBig Lottery Fundからの支出も計画しています。
新しい認知症戦略のなかで重要な二つの対策があり、ひとつは認知症の人と家族が診断の受けたあと適切な支援を受けること、そしてもう一つは、研修や啓発を通して病院の改善です。さらに認知症の人の攻撃的行動などを抑えるために過剰に使われている「化学的拘束」と呼ばれる抗精神病薬の使用を減らすことも重要視されています。
ショーナ・ロビンソンShona Robison公衆保健大臣(写真左上)は次のように述べています。
「この新しい戦略は必要不可欠なものです。世界に通用するスコットランドの新しいケアの基準を設け、認知症の人の尊敬、尊厳、自己決定が保障される新しい時代を迎えます。診断についてはおおくは一般医GPに任されていますが、診断後のことが無視されており、悪化して初めてサービスを利用するということが多いのです。診断を受けた認知症の人を支え、できるだけ在宅や地域で生活ができるようにします。法律にもとづくサービスとボランティア的なサービスについてはエジンバラ市議会Edinburgh City Councilの政策が有用です。高齢者が自らが技術を学び自分自身でできることをしようとするものです。また、フォースバレー国民保健サービスNHS Forth Valleyの新たな取り組みは大いに参考になります。これは救急外来から認知症の人が入院するのを40%減らしたのです。在宅に戻れる機会があるのにそれを失い病院のベッドで毎日過ごしているということが多く、また退院後は介護施設へ送られることが多いかったのですが、よりよい計画を立て代替的な方法を選びました。これは認知症の人にとっても、財政的にも望ましいことです。さらに社会資源として病院が救急外来でも入院面でもよい有効に利用されることになります。抗精神病薬については、これに頼らない別のやり方で認知症の人の困難の行動へ対象することができるように職員らを支援します」
スコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer Scotlandのヘンリー・シモンズHenry Simmons事務局長(写真左下)は次のように述べています。
「今回の政府の戦略を歓迎します。認知症の人や家族が経験する困難さを解決する前向で有意義な第1歩です。この戦略は力強い出発点であり、認知症への真の活動が始まるときが来たと思います。医療や社会サービスの専門職やスコットランドのあらゆる地域でのサービスを担う人が認知症を理解し認知症の人の生活を改善するためにその役割を担ことができるようにしたい。しかし残念なことです、経済状況が不確かななかで政府がやっと認知症を優先的に取り上げることになったのです」
BBC 31 May 2010 Scotland's first dementia strategy beginsおよびHeraldScotland 1 Jun 2010 Eight-point plan against rising tide of dementiaより)
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編者:正式な認知症戦略の報告書は知らない。イギリス政府もすでに認知症国家戦略を掲げたが実態が伴わないようだ。スコットランドではどうなるだろう。認知症対策を進めることでその支出を抑え、社会的資源をよい有効に活用するとする政策は検討に値すると思う。
関連情報:6月2日スコットランド政府から報告書が公表「Scotland’s National Dementia Strategy(pdf300K)」された。戦略の主要目標は以下のとおり。
○ 認知症ケアの基準を開発し導入する
○ 医療や社会サービス分野の職員の技術と知識を改善する
○ 地域において総合的な支援を提供する
○ 診断を受けよりよい情報を支援を利用できる認知症の人を増やす
○ 介護されている人がすべての場で治療や適切な支援を利用できるようにし、不適切な抗精神病薬の使用を減らす
○ 認知症研究を引きつづき支援する
○ 診断を受けたあと、認知症の人と家族への優れた支援と情報を提供する
○ 一般病院で認知症への対応を改善し、入院に変わる方法や退院の計画を立てる
なお、この戦略は認知症戦略実施監視グループDementia Strategy Implementation and Monitoring Groupによって追跡され2011年6月ご2012年6月に年次報告を発表する。戦略には長期的目標があるが、直ちに行動を起こせるもの3年かけて行う。2013年6月までに監視グループによる最終報告にもとづき戦略を見直す。

認知症の人は絵を通して言葉で言えないことを伝える(5月30日/アメリカ)
ハウアード・サウンダーズHoward Saunders氏(写真)は、もともと図案家でしたが引退して何年にもなります。現在88歳で、この6年間、週に1回、午後に絵筆をとって創造的な絵を描いています。サウンダーズ氏は、メモリーズインザメイキングMemories in the Makingという芸術プログラムに参加していますが、このプログラムは、アルツハイマー病など認知症の人にたいして芸術を使って記憶をさかのぼり、つなぎ合わせようとするものです。アルツハイマー病協会北カリフォルニア支部Alzheimer's Association, Northern Californiaは、この活動を10年以上続けており、現在、ベイエリアの30か所の施設やデイケアセンターでこのプログラムが行われています。その管理者の一人は「この活動は何年も隠れていた記憶を刺激し、コミュニケーション能力を獲得するのを助けています」と話しています。
ライブオークアダルトデイサービスLive Oak Adult Day Servicesでプログラムを進めているチャーリー・ニーマイヤーCharlie Niemeyer氏は次のように述べています。
「プログラムの背景にある考えは、アルツハイマー病の人が言葉を見つけるのに、また言いたいことに困惑しているとき、自分を表現する方法を提供することです。プログラムは簡単で参加者に座って一人で集中できるひと時を用意しています。これは集中するとてもよい方法です」
サウンダーズ氏の娘のナンシー・ボイルNancy Boyle氏は次のように述べています。
「芸術教室は父にとって不可欠なものです。父は、人生でペンと鉛筆を多く使った図案家で、常に芸術的なセンスを持っていました。これは本当に彼のためによいことです。彼がしていることで記憶が戻るようで、有意義なことです。これはかれに生活の一部となっています。この活動が、父が入居している施設の介護者や看護者との関係から生じる不満から離れるに必要な休みのひと時です」
プログラムは、いくつかの施設間で順番の行われ、すべての年齢のすべての段階の認知症の人が参加できます。また脳血管障害やパーキンソン病の人も参加しています。
アルツハイマー病協会北カリフォルニア支部のCEOのウイリアム・フィッシャーWilliam Fisher氏は次のように述べています。
「プログラム参加者は、芸術家から筆を持ったことがない人までさまざまです。プログラムはコミュニケーションや記憶の回復に優れた方法です。描いた絵は保存され、年々比較して、参加者の進歩を示し、その時々に考えていたことや伝えようとしたことが反映されています。参加者の多くは、能力、生活のつながり、相互に活動すること失った人たちでで、言語能力が後退するのを知って絵を描くことで多くの思い出を呼びさまします」
ニーマイヤー氏はさらに次のように述べています。
「この教室では、参加者はすでに材料が用意されている静かな部屋に入ります。前に描いた絵を机の上に置き、何かを思い浮かべたり、記憶を引き起こさせるようにしています。認知症の人は、始めるときに援助が必要で何をしようとしているか説明します」
ヨランダ・スカルシアYolanda Squarcia氏は、この6年間以上、ライブオークの芸術教室に83歳の母親を連れてきていますが、「母が絵を描けるとは思っていませんでした。昔は主婦であり美容師でしたが、芸術的な表現をするような人ではありませんでした」と語っています。
さらにニーマイヤー氏は次のように述べています。
「プログラムは、壊れていっている人を見ることの辛さを経験している家族にとってとても価値ある方法です。この芸術教室は、父や祖父を違った視点から見ること家族に知らせます。失われた記憶や考えが言葉か紙の上に現れることがあります。1時間の絵を描くことで40年間住んでいた忘れた家の記憶が復活するかもしれません。家族が聞いたことないような記憶はどこからともなく飛び出てくることがよくあります」
プログラムコーディネータのシュワナ・サカンShawna Sacan氏は「水彩画は、仕事が簡単でもっともはやく結果を出します。安全で充実あるものです。私たちは芸術家が使う材料を使用しているので、簡単に退色することはありません」と述べています。
最後にニーマイヤー氏は次のように述べています。
「作品ではなく制作過程が大切です。簡単で負担の少ない活動で、傑作を作ろうとは誰も思っていません。紙に色をながすことができるだけで素晴らしことです。私たちが望む最終的なことは、だれもが不満や不適切な思いをしていると感じることです」
またサカン氏は「自分の物語を語ることができないことを表現することができます。何年もかかって初めて認識されるかもしれません」と述べています。
芸術家はこの絵画プログラムに貢献しています。アルツハイマー病協会は、毎年、プログラムの資金集めのためにいくつかの作品をオークションに出しており、今年は11万ドルが集まりました。
Alzheimers Weekly  May 30th - June 6th Dementia Patients Paint What They Can't Say
関連情報:日本臨床美術協会

行方不明の認知症の人の早期発見の方法―機器を装着した靴―(5月29日/アメリカ)
「アルツハイマー病の人が行方不明です。助けてください」という通報がアルツハイマー病協会支部と捜査担当者に送られました。アルツハイマー病の86歳の女性は近くの友人宅へ行くあいだに行方不明になったのです。女性は車で家を出て道を間違え混乱したようです。2日間、方向を間違えジグザグしながら隣の州をまで行ってしまいました。その娘のスーザンさんは「母は携帯を持ってはいたのですが、オンにしていませんでした。悪夢のようでした」と話しています。スーザンさんがアルツハイマー病協会に電話して母が行方不明になったと伝えました。24時間体制で全国の徘徊する人への緊急サービスを提供している「メディックアラート+セイフリターンMedicAlert + Safe Return」に連絡し通報がないか調べるように依頼しました。その女性は車でサンディエゴの方向に運転し、その後、アリゾナ州まで移動したのです。最終的には道路にわきに車を止め、アリゾナ州の警察官にカリフォルニアに行く道を聞き、その警官は高速道路の道順を示し、数時間後、カリフォルニアハイウエーパトロールの人に車を止められ家族と連絡が取れました。スーザンさんは「母は今はしっかりしています。もちろんのこと、車も免許証も取り上げました」と話しています。
この物語はハッピーエンドでしたが、行方不明になった高齢者は発見できないことが多いのです。アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、アルツハイマー病の人の60%以上は少なくとも1回は徘徊を経験します。このうち70%近くの人は1回以上徘徊しています。ある研究によると、24時間以内に発見されない人の半数近くは脱水、けがなどで亡くなっています。
カリフォルニア大学アービン校UC Irvineの老年科のリサ・ギッブッズLisa Gibbs医師(写真左上)は、「高齢者のための健康評価プログラムHealth Assessment Program for Seniors」の部長でもありますが、「徘徊は家族にとってやっかいな問題です。行方不明になるとけがをすることが多く、かれらを探そうとする人にとても辛いことです」と話しています。
セイフリターンは、家族に行方不明になった人を追跡する方法を提供しています。こうした商品は最近急に現われたものです数多くの機器があり、新しい商品がつぎつぎ出ています。もっとも優れた追跡機器はGPSを利用したもので、カーナビと同じ技術を使っています。
これらは家族追跡機器を呼ばれありふれたものですが、もともとは外出中に行方不明にならないように子供を心配する両親のためのものでした。小さい機器は子供でもポケット、財布、バックパックに収まります。ある機器は手首に取り付けられます。値段は100ドルから400ドルで追跡料金は月80ドルほどです。こうした機器のなかでセイフリターンはアルツハイマー病協会が推薦する高くはないサービスです。名前を記入したブレスレットやペンダントレットで本人の情報を書かれています。バンド記入された電話番号で呼び出すと地域の支援ネットワークに連絡が入り家族と行方不明者と連絡がとれるようになっています。費用はコース設定に24.96ドル、追加料金が年間25ドルです。
アルツハイマー病協会のジェーン・ディキソンJane Dickinson氏によるとセイフリターンによってカリフォルニア州南部で160人が見つかりました。そのサービスはアルツハイマー病協会が行うメール警告システムも含まれています。
協会が推薦する別の商品のコンフォート・ゾーンComfort ZoneはGPSによる機器に近く、もっぱら認知症の人のためものです。家族はいくつかのコースを選べますが、病気の初期には、車に設置した機器により追跡し、進行すると、ブレスレットに換えることができます。発見の連絡はパソコンを通して家族に知らされます。費用は機器が199ドルから299ドル、月当りの追跡費用が45ドルから79.99ドルです。
バージニア州のジョージメイソン大学George Mason Universityの准教授で、加齢や高齢者住宅の専門家であるアンドリュー・カーレAndrew Carle氏(写真左下)は次のように述べています。
「アルツハイマー病の人の追跡や援助が簡単ではないのは、子供とちがい、彼らが呼び出しに応えなかったり、自分から助けを求めて電話することもないことです。彼らはおびえて隠れたりすることが多く、ますます探すのが困難になります。こうした機器の多くの問題は、認知症の人が機器を体から外すことです。これは病気による妄想症状ですが、自分たちに親しみのない物を外そうとします。同じく機器をオフにするので、発見が難しくなります」
現在出回っている機器のなかでカーレ氏が個人的に勧めるのは、この夏に発売予定の靴―GPSシューズ―です。この靴は、www.foot.comで購入できることになっていますが、小さい追跡機器を靴に装着したもので、履いた人がセットしておいた地域より遠くに行くと電話やパソコンで警報を得ることができます。「アエトレックスアンビュレイターGPSシューズAetrex Ambulator GPS Shoeは、200ドルから300ドルで月当たり22.95ドルから39.95ドルで追跡する」と、この靴を開発したGTX のパトリック・バータグナPatrick Bertagna社長は話しています。
この機器は、携帯電話が使える場所ならどこでも利用できます。800キロ移動したスーザンの母親がこの靴を履いていたら、もっと早く発見できたでしょう。
Los Angeles Times May 29, 2010 Keeping track of seniors with Alzheimer's
編者:認知症の人の介護で最も困難で苦労するのが「徘徊」だ。わが国では市区町村単位での地域的取り組みがあり、ある程度効果をあげているが、これがすべての市区町村で整備されるまで待てない。また認知症の人が市区町村内に限定して徘徊するとは限らない。このためGPSを利用した機器も必要性で、靴に取り付けるのは良案だ。わが国でも試作品はあるようだが、一般には販売されているとは聞かない。靴といえば、編者が勧める簡単な方法は、靴の側面に連絡先の電話番号を書くこと。

高齢者介護施設の会社がバリデーションを職員研修に採用(5月27日/アメリカ)
アメリカの高齢者介護施設の大手運営会社であるサンライズシニアーリビングSunrise Senior Livingは職員の介護研修にバリデーション方式Validation Methodを採用すること決め、バリデーショントレーニング協会Validation Training Instituteから「バリデーション認定団体Authorized Validation Organization」に認められました。研究所は、アルツハイマー病など認知症の人の介護にバリデーション方式の研修と認定を行っている非営利団体です。
今後2,3カ月で、サンライズは全国360か所以上の介護施設でバリデーション方式の資格取得のための職員研修を始める予定で、研修を受けた介護職の数を大幅に増やすことにしています。
サンライズのCEOのマーク・オーダンMark Ordan氏(写真左上)は、次のように述べています。
「サンライズが長年にわたり行ってきた記憶に関する優れたケアとレベルの高い研修を受けた職員とが必ずしも並行関係にはありません。会社が今回、職員に資格を与えることで介護施設で、それた新しい標準的な介護となり、そのことで高齢者とその家族が当然受ける尊厳と尊敬を提供することになります」
世界的に認められたバリデーション方式は、1982年に「バリデーション:ナオミ方式Validation: The Feil Method」の本を書いた有資格ソーシャルワーカーのナオミ・フェイル氏(写真左下)が開発してものです。この認知症ケアの大きな進展は認知症の人に全体的に関わろうとするもので、認知症の人が示す普通にはない行動が認知面、身体面および社会面で機能低下が混在していることによって生じるものであり、認知症の人にとって解決しない感情を現わすということを理解することが基本にあります。介護者が、認知症の人のコミュニケーションへの欲求に共感することによって安らぎ、喜び、尊厳を提供することができるのです。
フェイル氏は次のように述べています。
「サンライズを新たに認定することはアメリカでのバリデーション方式の大きな展開となります。彼らのリーダーシップによって記憶障害のある高齢者の介護の質と介護者の研修の質に積極的で大きな影響を与えることになるでしょう」
サンライズは、職員の研修と入居者のためにバリデーション方式に基づく技術を長い間、実施してきましたが、今回の新たな認定の機会に、介護専門職がバリデーション方式の理解を深め、家族への教育と支援および入居者の介護能力を高めることになるでしょう。
サンライズが最も重要とする回想法Reminiscenceと呼ばれる記憶ケアプログラムでは、尊敬が高まるような活動を認知症の人が楽しめるように安全で刺激的な環境を提供しています。最近、初期の認知症の人に相応しいテラスクラブTerrace Clubを、進行した認知症の人にエドナパレスEdna's Placeを設けました。
サンライズの記憶ケアサービス部Memory Care Services for Sunriseの全国の部長であるリタ・アルトマンRita Altman氏は、世界でバリデーションマイスターValidation Masterの称号を持つ4人のうちの一人ですが、次のように述べています。
「ナオミ氏と緊密に仕事ができるのはとても素晴らしいことです。彼女の画期的な仕事は、認知症の人へ共感しながら傾聴することが明らかに人間性を大いに共有することであることを私たちに教えています。認知症の人を介護することへの不満や不安の多くは、コミュニケーションの絆をどのように再構築するかを理解しさえすれば無くすことができます。バリデーション方式は、サンライズのサービスの基本―自立の促進、選択の自由、尊厳の保持、個性の尊重、精神の育成、家族や友人の関与―に一致し、入居者の生活の質を真に改善させようとするサンライズの確立された課題をさらに促すことになるでしょう」
2009年、サンライズは、各施設にライフエンリチメントマネージャー(生活充実管理者)Life Enrichment Manageという新しい役職を導入しました。この管理者の責務は、記憶ケアを受ける入居者と家族の生活を豊かにし、認知機能を活発にする活動を創造することです。
さらにアルトマン氏は「私たちの唯一の焦点は、入居者のニーズにこたえる最善のサービスを提供することです。これには、職員の持続的な自己評価、改革そして研修が不可欠です」と述べています。
「サンライズシニアーリビング」の関する情報
サンライズは、バージイア州マックリーンを拠点とする企業で、約4万人の従業員がいます。2010年3月現在で、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリスに365か所の施設―利用者約36600人―を運営しています。サンライズは、あらゆる面で個別的な高齢者生活支援を行っており、自立生活施設、アルツハイマー病など記憶障害のある人の介護生活施設、看護サービス、リハビリテーションサービスなどを提供しています。サンライズの高齢者生活サービスは、自立、尊厳の保持、選択の自由、プライバシーの保護を促すように教育された職員が提供しています。サンライズに詳しく知りたい方は同社のサイトwww.sunriseseniorliving.comをご覧ください。
Senior Housing News May 27th, 2010  Sunrise Announces New Training Program Through Validation Method for Dementia Careなどより)
編者:バリデーションは「確証」「妥当性確認」という意味の英語validationの音訳で認知症の人とのコミュニケーションの一方法であり、理解できない不思議に思えるような認知症の人の言動にはそれぞれ意味があり、それを共感的に受容し理解することを基本とすると理解している。わが国では「公認日本バリデーション協会」がバリデーションの普及を行っている。

ムンバイの認知症デイケアセンター(5月25日/インド)
ムンバイの認知症デイケアセンターでは音楽や訓練された動物の吠える声でとてもにぎやかで、このセンターが日中、認知症高齢者を支えています。この特に認知症高齢者のための施設は、革新的な方法で認知症の人や介護家族を援助しています。
ムンバイのグラントロードにあるデイケアセンターを運営する「尊厳財団Dignity Foundation」の創始者で会長のシェイル・スレーンニヴァサンSheilu Sreenivasan医師(写真)は次のように述べています。
「研究によれば、デイケアセンターは認知症の人と家族の生活に有意義な役割を果しています。私たちは高齢者を介護し、その間、家族は働きます。認知症は治ることはないが、多彩なプログラムを行っています。センターは11時にオープンし、ヨガ、祈り、作業療法、高齢者のための治療目的のゲームを行います。動物を使った治療も行いますが、これは顕著な効果があります。認知症の人が犬と遊び、餌を与え、一緒に歩きます。これは認知症の人をリラックスさえるだけでなく、社会的役割を促しているのです」
センターでは、カウンセラー、医師、ボランティア、家族からなる支援グループも作っています。ボランティアの一人のカリアニ・サハスラブーデKalyani Sahasrabudhe氏は次のように述べています。
「私たちは月1回会合をもち、家族やボランティアがテーマを一緒になって課題について考えます。見当識障害や不眠などの認知症の人の問題にどのように対処するか、心理学者、カウンセラー、医師からの助言を得るようにしています。認知症の人の反応はまちまちです。ある人は自分のオフィスに居ると思い、ある人はジムに来ていると思い、またある人は高齢者クラブだと思っています」
カウンセラーであるネーア・シャーNeha Shah氏は次のように述べています。
「センターの目的は、認知症の人ができるだけ長く規則的な生活を送り、社会との接触を保つのを支援することです。かれらの満足度はもっとも重要な指標で、このためにコーディネーター、ボランティア、介護職が有意義な役割を果たしています。認知症の人はデイケアセンターを利用するようになってから認知症の進行を遅くなります。改善をみるようこともあります」
シャー氏は、家族しか理解できなかった認知症の人の事例を紹介しています。この人はデイケアセンターを利用するようになってから、100まで数えることができ、月や週の名前も言えるようになりました。
DNA May 25, 2010 At this dementia day care in Mumbai, pets keep seniors on their toes
編者:インドでは認知症デイケアセンターの目的、意義、プログラム、効果などについての認識は確立しているようだ。今後は、センターの増加、低所得者の利用などの課題にどう取り組むかだろう。インドでの認知症への取り組みについては、インドアルツハイマー病協会Alzheimer's and Related Disorders Society of Indiaのサイトで知ることができる。

色や写真が認知症の人の生活を助ける(5月24日/マルタ)
彩がある部屋でベッドに写真が貼ってあると認知症の人に見当識をつけるのに役立つように、新たに900万ユーロで建設した施設、セントヴィンセントデパウルレジデンスSt Vincent De Paul Residenceが昨日開所しました。この施設は、3階建てでルカLuqaにある高齢者施設に増築したもので24の部屋と家に144人が生活しますが、一階はマルタで最初の認知症の人専用の施設です。
開所式で、高齢者担当国会事務局Parliamentary Secretary for the Elderlyのマリオ・ガレMario Galea氏(写真左上)は次のように述べました。
「新しい施設で高齢者がどのような生活を送っているか知ることができます。認知症を専門とするイギリスのスターリング大学Stirling Universityの助言に得て施設は設計されましたが、将来は高齢者のすべての施設が認知症に優しいものになるべきです」
施設の看護担当事務のレイモンド・チェツクッチRaymond Chetcuti氏は次のように説明しました。
「これまでの典型的なまっ白い棟は認知症の人に混乱を与え、自分がどこにいるのかわかりにくくなり、自分の棟を探し回ることが多いのです。新しい棟は認知症の人のために色で壁や部屋が区分だれ認知症の人の記憶を助けるように設計されています。部屋の入り口には自分の名前書いた物や写真を貼っています」
ジョセフ・カッサーJoseph Cassar保健大臣(写真左中)は次のように述べています。
「新しい棟が意図するのは入居者ができるだけ家にいるような思いにすることです。環境を整えて個々の高齢者が家や地域で生活できるような支援することが私たちの義務でありい、政府は健康的な生活を保障するように努めてきました」
またロレンス・ゴンジLawrence Gonzi首相(写真左下)は、次のように述べています。
「政府は、高齢者が質のよい生活を送れるように支援することに関わります。さらにゼジツン?ejtunに初めての高齢者用夜間専用の施設を開所する予定です。この施設は昼間地域で生活して夜間は休むところです。高齢者の知恵や経験は計り知れない財産で、大切にべきです。高齢者への尊敬と感謝の文化に立つべきで、何年も間働き、そして犠牲となることかれ得た利益を私たちが得ているのです」
Timesofmalta.Com 24th May 2010 Colours, photos make life easier for dementia patients
編者:マルタの認知症対策を垣間見る記事を紹介した。なお、アメリカCIAのWorld Factbookによると2010年でマルタの人口は約41万人、高齢化率は15.1%である。

★病院での認知症ケア研修の取り組み(5月19日/アメリカ)
グレンコーヴ病院Glen Cove Hospitalは、アメリカ全国の病院のなかで認知症ケア専門職の資格を持った者が最も多い。この病院は、アルツハイマー病など認知症の患者が入院することで不安や混乱がよく生じること知り、アメリカアルツハイマー病財団Alzheimer’s Foundation of America (AFA)と共同して、老年科病棟の看護師らのケアを高めるかための研修を行いました。
病院のデニス・コノーズDennis Connors事務局長は(写真左上)「AFAで開発された認知症ケアの特別な研修を、私どもの病院がこの国で最も多くの職員が受けた病院であることを誇りに思う」と述べています。また、AFAの組織の一部である「アメリカ認知症ケア専門職Dementia Care Professionals of America (DCPA)」による資格取得した看護師や患者介護補助者に対してコノーズ氏はセレモニーで「研修を修了したことは本当に名誉なことです。地域の認知症の人へ感受性があり質の高いケアを提供しようとする視点と関わろうとする献身性のある看護師や介護職を褒めたいとと思います」と述べています。
AFAによればDCPAは、アメリカで増加している次のような問題に取り組んでいます。
現在450万人ほどのアルツハイマー病の人がいますが、今後40年以内にアルツハイマー病になる人は1600万人以上になると予測されています。しかし、医療専門職のアルツハイマー病に関する知識、治療の選択、認知刺激療法、コミュニケーション技術および実際の問題に直面したときの問題解決能力の知識は、アルツハイマー病の人を適切にケアするために、また家族を支援するために必要なことにはほど遠いのです。
AFAの会長でCROのエリック・ホールEric J. Hall氏(写真左下)は次のように述べています。
「私たちは、入院した認知症の人に相応しい環境を作り、認知症の特別研修をうけた老年科看護師を送り出そうと努力しているグレンコーヴ病院を高く評価します。我が国の多くの病院にAFAが認定する専門職や認知症ケア提供者が居ることを求めていますがグレンコーヴ病院はその先例なのです。他の病院がこれに続き、地域で認知症の人とその家族が受けることのできる最高のケアと熱意を提供することに挑戦しています」
グレンコ-ヴ病院老年科病棟の27人の看護師と18人の介護補助者は、DCPAを通して学科と実習の研修を修了しました。DCPAは、医療専門職に役立つ資格を与え、研修および継続教育を提供しており、多角的な主にDVDによる研修を完全に終了した職員は、AFAが授与する認知症ケア提供者および専門職の資格を得ることができます。資格取得のために患者介護補助者は8時間の、看護師は16時間の研修を受けます。
DCPAの研修プログラムは3年前ほどに始まりました。このとき、ニューヨークのシドジャクソンユダヤ地域センターセンターSid Jacobson Jewish Community Centerがそのプログラムをグレンコーヴ病院に勧めたのです。このセンターは、認知症の人と家族が必要とする支援のための高齢者のログラムとサービスおよび患者擁護の取り組みでは広く認められていました。
グレンコーヴ病院老年科病棟の看護師で看護マネージャーのエレーヌ・エバンゲロ・ソトElaine Evangelou Soto氏は、病院の認知症研修を担当していますが、次のように述べています。
「高齢者は一般的に、肺炎、心不全、感染症などで入院しますが、アルツハイマー病を併せ持っていることが多い。アルツハイマー病など認知症がある患者のケアには一連の特別の技術が必要で、病気の経過や症状をよく知っておく必要があり、こうして看護師らは彼らと効果的なコミュニケーションを持ち、治療を適切に進めることができるのです。老年科病棟に変化をもたらし、アルツハイマー病の人にとってより快適なものにしてきました。たとえばAFAの専門家に相談して、病室の内装はやわらかい淡いピンク色にし、きつい光は避けました。臨床的な技術のほかに、環境全体を変えることで看護師らがアルツハイマー病をもつ患者に必要なケアを提供することができるのです。老年科病棟の最終的目標は、患者・家族中心の認知症ケアを提供することです」
2004年に設立されたDCPAは、全国で4000人以上の認知症ケア専門職の研修を行いました。この研修を受けたのは在宅医療補助者、有資格看護補助者、ソーシャルワーカー、看護師、医師らです。この研修プログラムは、認知症教育研修プログラムDementia Education and Training Programに基づいたものでアラバマ州では公的に承認された研修プログラムとなっています。
(HealthNewsDigest.com May 19, 2010 Nurses,Staff Improve Alzheimer’s Care)
編者:高齢者の入院が確実に増えるなかで認知症はありふれた状態である。このため医師、看護師などの病院職員が認知症についてに理解を深めることは不可欠だが、わが国では認知症の研修が医療機関に任されているのが現状である。紹介記事は、アメリカのある病院での取り組みを紹介したものであるが、具体的な研修内容がわからなく、またアメリカ全体で医療機関での認知症研修の現状もよくわからない。
なおDementia Education and Training ProgramのサイトALZBRAIN.ORGは豊富な研修用教材などを提供している。

「非悪性疾患にも緩和ケアを―重要疾患は認知症」(5月17日/週刊医学界新聞)
第8回英国緩和ケア関連学会(8th Palliative Care Congress)が,2010年3月10-12日の3日間,英国南部のボーンマウス国際会議場で開催された。同学会はAssociation for Palliative Medicine of Great Britain and Ireland(以下APM),The Palliative Care Research Society (PCRS),Royal College of Nursing Palliative Nursingの共催で行われた。同学会は隔年でEuropean Association for Palliative Care(以下EAPC)と交互に開催されている。
今回の参加者は約500人で,日本からの出席は筆者1人であった(2008年,グラスゴーで開催された第7回大会には,日本からは10人近くが参加していた)。また,参加者はウガンダからのゲストスピーカーによる招聘講演「International Initiative:Learning from Developing Country」をはじめとして,発展途上国を含めた世界的な広がりを見せていた。
日本の緩和医療に関連するいくつかの学会(研究会)では,参加者が3000人を越えることが多いが,英国では参加者が少ない。その理由を,APM創設者の一人Richard Hillier氏に聞いたところ,その答えは以下の通りであった。「英国では緩和医療が専門領域として認められ教育の体系が整ったので,無理に学会そのものに参加しなくても十分な情報とキャリアアップが可能となっているからでしょう」。
非悪性疾患にも緩和ケアを――重要疾患は認知症
今回の学会の特徴は,これまでにも増して「悪性疾患から非悪性疾患へ」の流れをより加速するものであった(ここで言う「非悪性疾患」とは,治療を望めなくなった疾患のうち,がん以外のものを指す)。その流れは開会宣言直後の全体講演(Plenary)の演題「Having the last laugh-using the performing arts in improving quality of life and well-being in dementia care」(写真)に象徴的に表れていた。特に強調されていたのは,高齢化する成熟社会の課題を「認知症」とし,学会が,今後の主な対象疾患を「認知症の緩和ケア」に当てたことであった。これは,本学会本部の意図であることは前述のHillier氏も認めていたところである。
この動きは,1997年以来,英国緩和ケア協議会National Council for Palliative Careが推進してきた「緩和ケアを非悪性疾患に拡大する」方針のもと,2005年英国国会で可決された「自己決定能力を失った人の意思を尊重する法」ともいうべきMental Capacity Actや,英国のDepartment of Healthが発行した『End of Life Care Strategy』(2008年)の影響を受けたものである。
学会内容で注目すべきは,会全体を通して,自分で意思決定できなくなる前に作成する自分のケア計画であるAdvance Care Planning(米国で言うところのAdvanced directive )に関する講演や発表が多かったことである。この課題は,「認知症の人たちへの告知」という難問と深くかかわりがあるゆえに,現場の医師たち,とりわけ認知症の患者を長期にわたり診療する一般医(General Practitioner)と,当局の政策立案者の間に意図の乖離があることが話題に上り,現実的運用の困難さが浮き彫りになっていた。その状況は,1960年代後半に近代ホスピス運動が開始され,「がんの告知」がさまざまな議論を呼んだ時期と酷似しているように感じられた。
また,認知症患者の緩和ケアの実践法としては,神経内科や老年科との連携のもと,これまでの「がんの緩和ケア」の知識・態度・技能が十分活用可能であることが報告された。これは,認知症患者のニーズは(その評価が難しいのだが),先行きに対する不安,孤独などを取り除くコミュニケーションや,痛み,皮膚や外陰部の不快さなどを和らげる疼痛管理などであり,「がんの緩和ケア」と共通点が多いためであるという。
一方,がんの緩和ケアの領域では,Break Through Painにフェンタニルの経鼻投与が,そしてオピオイドの便秘対策としてナロキソンの内服薬が紹介されたこと以外,新規なものはなかった。しかし,研究方法論のセッションの多さも目立った(今回は「サービス利用者の研究への参加」が主題)。
Good Deathを包括した公衆衛生的アプローチ
そのほか,パーキンソン病,腎臓病,脳卒中の緩和ケアの特別講演が企画され,これらの疾患の患者が持つ緩和ケアニーズの解析と対策立案が「公衆衛生的アプローチ」として議論された。とりわけ印象的だったのは次の2点が参加した専門職の共通の意見だったことである。1つ目は,これらの慢性疾患が,時には医療的介入により一時的に改善する可能性があるために,積極的医療などの適応を含めたケアのあり方の判断根拠(Evidence)を明確にすることが急務であること。もう1つは,家族・医療者双方の「想い」の調整が,がんの緩和ケアに比して格段に難しいことがである。
ところで,今回の学会の伏線として,死のとらえ方をめぐる,社会教育および医療の観点からの議論を喚起する必要性の認識が高まっていたことがある。彼らがめざしているのは,医療の中でこれまでタブー視されてきた「死」を「誰にも訪れる必定」ととらえ直すこと,そして,これまでのCureをめざす医療をGood Deathを包括する医療へと転換していくことである。
I. Higginsonは,医療の第1のパラダイムシフトは近代医学の発展による感染症の克服であり,第2は近代ホスピス運動の開始である(ひたすらCureを追求し,人間を生物学的モデルのみとして扱い,医療現場から人間性を剥奪してきた近代医学に対するアンチテーゼ)と語る。それならば,「終末期ケアの非悪性疾患への拡大」は,死を“Good Death”として医療対象化した第3のパラダイムシフトにほかならない。
新しい医療文化としての緩和ケアと世界的優位性の確保戦略
英国で緩和ケアが専門性領域として認知された直後の1991年,筆者は英国領事館(The British Council)主催の緩和ケア講習会(1週間にわたりSt Christopher’s Hospiceで開催)に参加したが,その場には東欧諸国をはじめ,南米,アフリカ,アジア各国から50人近くの参加者がみられ,英国が世界の緩和ケアの頂点に立ったかのような状況だった。なお,その年には『Textbook of Palliative Medicine』初版(Oxford University Press)が刊行され,また,英国緩和医療学会の全国統一公式カリキュラムが完成・発表され,講習会場で大々的に公表されている。
あれから19年,今回の学会の直前に,最も古い緩和医療誌であり,かつEAPCの機関誌である“Palliative Medicine”誌が,第24巻1号よりAPMの公式機関誌としても承認され,その最新号(第24巻2号)は本学会の抄録集も兼ねている。この動きは,英国が文字通りヨーロッパと世界の緩和ケアの牽引役となったことにほかならない。
この点を踏まえて考えると,発展途上国からのゲストの招聘などの今回のさまざまな企画は,英国医学界が,緩和ケアの新しい潮流を前面に押し出し,その困難さを乗り越える姿勢を示し,緩和ケアという新しい医療文化において世界的優位性を確保しようとする文化的戦略として受け止めることができるだろう。
日本の緩和ケア関連諸団体は協働して今後の方向性の議論を
日本は,近々,団塊の世代が大量に高齢化し,世界に前例のない社会的・医療的問題を抱えようとしている。その中で,いま,われわれ緩和ケア当事者に問われていることは,緩和ケアの対象をがんから解き放ち,すべての疾患に普遍化することができるよう,医療者と社会の教育戦略を練り直すことであろう。とりわけ,認知症はすべての人にとって発症しうる疾患であることを呼びかけ,認知症早期の段階から「公と個と地域社会による対策」を優先的に講じる必要があろう。
日本にはいくつかの緩和ケア関連団体があるが,残念ながら彼らは問題を共有し,共同して解決する場を持たない。したがって,それらの年次集会では,同様の事柄が,あちこちで,ばらばらに語られることが多い(筆者の個人的見解かもしれないが)。これは,「社会的・文化的表象形態としての医療」の変革者として存在しうる「緩和ケアの歴史的役割」に対する関連諸団体の認識と今後の戦略性の現状を物語る。
今後,日本の緩和ケア諸団体が一つのテーブルにつき,現状を語り,これからの方策を共に模索するよう期待したい。英国の緩和ケア史はその好例を提示している。
*紙幅の都合上詳細な文献的考察を表記することができなかった。興味のある方は,かとう内科並木通り診療所のWebサイト「資料集」をご参照ください。URL:http://www.kato-namiki.or.jp/

加藤恒夫氏 (写真)
1973年岡山大医学部卒。2003年より岡山大医学部臨床教授。93-09年日本プライマリ・ケア学会評議員,07-09年日本緩和医療学会評議員などを務める。2000年緩和ケア岡山モデルを発表。在宅サポートチームを運用し,プライマリ・ケア担当者支援を実践している。
週刊医学界新聞 2010年5月17日 【寄稿】第8回英国緩和ケア関連学会報告 緩和ケアをすべての疾患に拡大する医療における第3のパラダイムシフト より)

「知症患者の5割以上が治療受けられず放置」(5月17日/東亜日報)
認知症患者の半分以上が治療を受けられず、放置されている。
保健福祉部(福祉部)は16日、最近調査を行った結果、昨年認知症の疑いがある65歳以上の約44万5000人のうち、42.9%に当たる約18万9900人だけが治療を受けたことが明らかになったと発表した。
07年には認知症を患う高齢者40万人余りのうち13万4668人(33.4%)、08年は42万1000人のうち17万5218人(41.6%)だけが受診をしていた。
福祉部・老人政策課の金ヘジン課長は、「認知症の患者が自ら早期検診を受けることもなく、家族も症状が重くなるまでは病院を訪れない」とし「毎年受診率が高くなってはいるが、まだ放置されるケースが多い」と述べた。
認知症と診断された患者の中でも、治療剤を服用している人は07年=3万7818人(28.1%)、08年=5万8976人(33.7%)、09年=8万4808人(44.7%)に過ぎなかった。
政府は現在、60歳以上の高齢者なら誰でも保険所で認知症の無料検診を受けられるようにし、月3万ウォンの治療代を支援しているが、「認知症患者の放置」はなかなか改善していない。
東亜日報日本語版 MAY 17, 2010 原文のまま

認知症介護施設に住民が反対(5月12日/アメリカ)
アメリカ・ミネソタ州のウードバリーWoodburyに、認知症の人の介施施設(assisted living facility)が計画されていますが、隣接するストーンミルファームズStonemill Farmsの居住者が激しく反対しています。
地域の新しい介護施設については駐車や交通などに関心が高まることがありますが。今回の場合、これまでにないことですが、空き室が多い商店街を45ユニットの施設に換えることに、子供たちに被害の恐れがあるからと反対しているいのです。
この論争について、当地ミネアポリスのスタートリビューン Star Tribuneのコラムニストのジョン・テルビンJon Tevlin氏(写真左上)の以下のような記事があります。
「新しい高齢者世代New Old Ageの読者のために少し立ち止まって考えましょう。この人たちには認知症の両親や認知症の専門施設を身近に体験している人が多いのです。わずか50人ほどの人が計画を拒否するために市への請願文に署名しており、約75人が反対集会に参加しました。少し立ち止まって認識しなおしましょう。
ストーンミルファームズは600戸近い新しい住宅を所有しており、ここには高齢で病弱な人たちを知らない人が住んでおり、道路を渡たり、近くのデイケアセンター(この所有者は新しい施設に賛成)のそばを通る小学生が危険だとして、介護がもっと必要な人たちの15のアパートの計画に反対しています。
市の計画課への大量のメール―私も見ることができる―のなかから、担当者は開発が「過密で監禁された施設」と見なされていることにショックを受けたと表明しています。
こうした建物が、隣人を略奪するかもしれない高齢者から守るためではなく、徘徊する認知症の人の危険を防ぐように造られていることを理解していません。計画中のアパートでは5人に一人の職員が付く45ユニットがあり、また10人に一人の職員が付くユニットがありますが、これが介護施設としては比較的望ましい規模であることも理解していません。
メールの送り主は、認知症介護施設がどのようにコーヒーショップやドライクリーニング店を想定した開発に相応しくないかを述べています。
もっとも多いのは子供についてです。
ある夫婦は『毎日のように、身体的、性的に攻撃される恐れに幼い子供たちが出会うことを望んでいますか。子供のそばに性的犯罪人を住まわせない法律がありますが、こうした人たちもその危険を冒す恐れがあります』と書いています。
また、ある母親は『子供たちに施設の住人から不適切なことを見、聞きするかもしれない』と書いています。
また別の両親は『したいほうだいの服を脱ぐ、叩く、咬む、蹴る、外で放尿するかもしれない。子供の目から見て、毎日、登校中にそうした建物のそばを通ることを希望しますか。子供が自転車で遊び場までその建物のそばを通ることを望みますか』と書いています」
若い人たちと年老いた人たちの世代間の接触の機会は多くの人を感激させますが、ここの人たちは違います。
しかし、ここでは一体何が起こっているのでしょうか。不動産市場の影響で、通常の住宅所有者が財産の価値を心配しすぎているのでしょうか。ストンミルファーマーズの人たちは、認知症の経験を持つにはあまりにも若すぎるというだけなのでしょうか。自分たちの両親をくらべ、いつの日か自分たちが近くにこうした施設があることによる利益を予測するには若すぎということなのでしょうか。
ウードバリーのビル・ハーギスBill Hargis市長(写真左中)は「若者は、アルツハイマー病に関わるまでには至っていないのです。知らないことへの恐れがあるだけなのです」と話しています。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationで10年近く役員をしたことのある臨床ソーシャルワーカーのベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真左下)の次のように述べています。
「認知症の認知症の人への影響はさまざまです。少数の人ですが、介護している人について混乱して、抑えたり、叩いたり、襲いかかったりすることがあります。入浴を手伝い食事を用意するなど親密に介護している人に対して認知症の人がこうした行動をとることがあります。鍵のかかった施設の外の通りがかりの自転車に乗る子供にはこうしたことは起きないのです。光景や音が混乱してしまった人々のほとんどは外ではなく内に向かって行動します。外に向かうとしても監視されます。誤解した話を聞きますが、両親が心配であれば協会が行っている24時間電話相談に電話をして情報を得てほしいものです」
開発業者のジョゼフ・バウマンJoseph Baumann氏は、アルツハイマー病の伯父の後見人ですが、プロジェクトを進めたいと希望していますが、ウードバリーの計画担当者が施設の改善を勧告したので町内の委員会は計画を拒否できます。
地域の集会で施設の住人が窓の前で裸になるのを子供が見るかもしれないと非難していますが、集会に呼ばれたバウマン氏は「それでは窓に色で塗りましょう」と答えましたが、これは問題の解決にはなりません。
寄稿者のプウラ・スパンPaula Span氏(写真左)は、本「When the Time Comes: Families With Aging Parents Share Their Struggles and Solutions(その時が来るとき:高齢な両親をもつ家族の戦いと解決策)」の著者です。
New York Times  2010年5月12日版 A Danger to the Community?より)
編者:少し信じ難いが、アメリカ人の間、とくに若い人たちの間で認知症への無理解、誤解が少なくのだろうか。他民族国家でも少数民族や障害者への偏見、差別を持つ人も少なくないのだろうか。認知症への誤解は日本でもあるかもしれないが、認知症サポーターキャン-ンはこうした誤解を少なくするのに役立っているようだ。
サイト内関連記事(イギリスの場合)

アリセプトの脳血管性認知症への有効性、証拠不十分(5月6日/アメリカ)
アメリカ・テキサス大学医学部神経学科Department of Neurology, School of Medicine, University of Texasのグスタフ・ロマンGustavo C. Roman医師(写真)らの研究グループは、アルツハイマー病薬のアリセプト(塩酸ドネペジル)が脳血管性認知症に有効がどうかの大規模な無作為二重盲検法による臨床試験を行い、一部、認知機能の改善を認めたが、有効性の証拠は不十分でした。
試験は、9カ国の111医療機関で脳血管性認知症の974人(平均年齢73歳)を対象に2003年3月から2005年8月までの期間、1日1回、アリセプト5mgを24週間服用するグループと偽薬のグループとに分けて行われました。対象者は、試験開始前、少なくとも3カ月間脳血管障害を発症せず、またコリンエステラーゼ阻害剤およびメマンチンを過去6週間服用なく、医学的に安定した状態の人としました。脳血管性認知症に診断基準はNINDS-AIREN(訳注1)の基準によりました。
試験の結果は、ADAS-cog(訳注2)およびCIBIC plus(訳注3)および介護者または医師の観察で判定しました。その結果、アリセプト服用グループは認知機能での若干の改善は認めたが、全般的機能では改善を認めませんでした。また海馬の委縮との関係では、委縮がある場合、アリセプト服用グループでは安定し、偽薬グループでは悪化しました。委縮のない場合、アリセプト服用グループは偽薬グループより改善を認めました。副作用は両グループとも嘔気や下痢などで頻度は同じで一時的でしたが、死亡例はアリセプト服用グループ11例あり、偽薬グループではありませんでした。
研究グループはこの結果から、1日5mgのアリセプトで脳血管性認知症に人の認知機能の改善はあるが、全般的機能の改善は認めなかった不一致が、海馬の大きさと関係するかについては画像検査を使ってより詳しい研究が必要であるとしています。
この論文は、アメリカの脳血管障害専門学術雑誌Strokeの電子版2010年4月15日号に掲載されました。
この結果についてロマン医師は次のように述べています。
「アリセプトが脳血管性認知症の有効と結論づけるにこれで十分な証拠と思いますが、『いいように見えけれど、まだ十分ではない。もっと満足できる結果がほしい』という人たちがいるようです。アリセプトによる脳血管性認知症の臨床試験は今回は3度目で、前回も、認知機能の改善はあるが全般的機能の改善が認められないという矛盾した結果が出ています。前回の試験ではアリセプト10mgでは副作用が多かったので今回は使いませんでした。全般的機能は、介護者または医師による、睡眠、気分、日常生活への参加についての主観的な印象を答えるものです。しかし介護者にとって認知症の人がよくなったかどうかの知るのは本当に難しく、よい日もあれば悪い日もあるのです。海馬委縮を認める脳血管性認知症の人はアルツハイマー病でもあるかもしれません。今回の参加者の多くは70歳代半ばの人でアルツハイマー病だけという人を見つけるのは難しいく、アルツハイマー病の変化がなく脳血管性認知症だけのいう人を見つけるのも難しいのです。アリセプト服用グループに11人の死亡があり、このうち3人はアリセプトが関係しているかもしれませんが、この頻度は想定外ではありません。むしろ偽薬グループで死亡例がないことは極めて稀です。有効性に関する二つの基準(ADAS-cogおよびCIBIC plus)をともに満たしていないので当局から適応の承認を未だ得られていないのです」
Medscape today May 6, 2010 Donepezil Improves Cognition But Not Global Function in Vascular Dementiaおよび論文Randomized, Placebo-Controlled, Clinical Trial of Donepezil in Vascular Dementia. Differential Effects by Hippocampal Sizeより)
関連情報:エーザイのニュースリリース「海外における塩酸ドネペジルの脳血管性痴呆臨床試験の結果について」(2006年3月16日)
編者:この報告は既に第3回目の臨床試験結果について2006年3月16日にエーザイから公表されているものの追加論文として、時間がたって学術雑誌に掲載された。後期高齢期ではアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症とが混在する可能性があり、海馬の委縮との関係を合わせて調べたもののようだ。記事にあるとおりADAS-cogとCIBIC plusの両方で有意差を認められないので未だに欧米では脳血管性認知症を適応症との承認を受けられないままとなっている。この論文でアリセプト服用グループで死亡例があり、偽薬グループでは全くない違いは気になるが、エーザイの報告によればこの試験の前2回と合わせてみると有意に高いとはいえないとしている。それにしてもインド、ニュージーランド、フィリピン、ルーマニア、韓国、タイで、なぜか脳血管性認知症がアリセプトの適応症となっている。
訳注1:National Institute of Neurological Disorders and Stroke and the Association Internationale pour la Recherche et l'Enseignement en Neurosciences Criteriaの略語脳血管性認知症の診断基準の一つ。脳血管障害および認知機能障害(記憶障害、見当識、注意力、言語技能、視覚空間認知能力、計算力、実行機能、運動制御、習慣、抽象概念、判断力など)と、これら二つの関連性により判断する。
訳注2:Alzheimer's Disease Assessment Scale cognitive subscaleの略語。認知機能の評価尺度。記憶、見当識、言語、理解などの領域での認知障害を評価するための11項目からなる尺度。スコアは0~70ポイントの範囲で、スコアが高いほど重度の認知障害であることを示す。なお、11項目とは、単語再生、口頭言語能力、言語の聴覚的理解、自発話における喚語困難、口頭命令に従う、手指および物品呼称、構成行為、観念運動、見当識、単語再認、テスト教示の再生能力である。
訳注3:Clinician's Interview-Based Impression of Change plusの略語。全般臨床症状の評価尺度。介護者や家族と面談した後、患者本人と面談することにより包括的な評価を行う。評価項目は全般、認知、行動および日常生活動作の4分野で、投与前の状態とそれぞれ比較する。評価は、著明改善(1)、改善(2)、軽度改善(3)、不変(4)、軽度悪化(5)、悪化(6)、著明悪化(7)の7段階で行われる。
(ともにエーザイのサイトから)

アルツハイマー病の免疫グロブリン製剤―ガンマガード―による臨床試験進む―効果が期待されるが―(5月4日/アメリカ)
ここ数十年、アルツハイマー病の治療法の発見と失敗したいくつかの試みがありましたが、製薬会社はこの病気の進行を遅くしたり止める薬の開発の重大な局面に入りつつあります。
製薬会社は、人口の高齢化により莫大な利益をあげる可能性があるとみています。アメリカ疾病管理予防センターCenters for Disease Control and Preventionによると、アルツハイマー病は500万人以上のアメリカ人がなっており、主要な死因の一つでもあります。市場としての患者は全世界的で2010年に3000万人ですが2050年までに1億2000万人になると推計され、製品の販売で数10億ドルの金を手にしつつあります。
現在、新たにアメリカで5つの薬が病気の経過を変えようと最終段階の第3相の臨床試験が静かに進められています。薬が承認されれば、こうした病気への「介入薬」は、アルツハイマー病の症状を一時的に変えるのに広く使われてきたファイザーのアリセプトを含む現在使える薬とは画期的に異なるものとなるでしょう。
こうした臨床試験中の薬のひとつでも、アメリカ食品医薬品局U.S. Food and Drug Administrationに承認を何時申請するのかはっきりしないし、消費者―患者―の手に届くという保証もないのです。しかし、研究者や何人かのウオール街のアナリストは、病気を変える製品が5年以内にアメリカ市場に現れると推測しています。
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの医学科学担当主任のウイリアム・ティースWilliam Thies氏は次のように述べています。
「これは商品を市場に出す直前の科学研究の最終段階です。これまで研究がどれほど進んでいるかの重要な指標です。アルツハイマー病の第2世代の薬の開発の初めての完成を今見ようとしています」
詳しく観られている製品のひとつとして、免疫障害に使われているバクスターインターナショナル社Baxter International Inc.が販売している血漿から造られた生物的薬品があります。
先月、ニューヨークプレスビテリアン病院/ウエイルコーネル医療センターNew York-Presbyterian Hospital/Weill Cornell Medical Centerのノーマン・レルキンNorman Relkin医師(写真左上)が指導する研究は、24人の患者についての報告(記事)ですが、その報告によると、バクスターのガンマガードGammagardという薬がアルツハイマー病患者に効果がある治療として期待されることを示しましたのです。研究者は、ガンマガードを静脈内に投与したうち16人の患者で脳の委縮が少なく思考能力が改善したとしています。バクスターは、アメリカでの最終的な臨床試験の研究に移る計画を立てています。
バクスターのこの薬は、人の免疫機能を助けてアルツハイマー病の発症や進行の鍵と考えられている粘着性の斑状物質であるアミロイドを脳から除去しようとするものです。
ニューヨークに住むジェイソン・マーダーJason Marderさん(67歳)は妻のカリンKarinさんとレルキン医師の患者として臨床試験に参加し月2回ガンマガードの静脈注射を2006年から受けるようになってから病気の進行を遅くなったと信じています。
結婚して17年になる妻のカリンさんは「信じられないほどですが、夫の病気のあまり進行しません」と話しています。
マーダー夫妻は、活発な日常生活の楽しむことができるのはこの薬のよるとは誰も信じないことを理解しています。また、医師から言われたことですが、高齢者では心臓発作や脳血管障害など危険性があり、発疹、血圧の変化といった副作用も知っています。
マーダー夫婦は、40歳代後半で死亡した夫の兄がアルツハイマー病で破壊的な影響を受けたことを知っており、こうした危険を受け入れています。
妻のカリンさんは次のようは話をしています。
「通常の加齢によるものではないことが夫に起こっていることを知りました。彼と一緒にいたのですが、『昨夜、とてもいい映画を観にゆかなかったかな』と聞くので、私は『昨夜、映画には行っていない』と返事します。夫は同じようなもの忘れに伴う会話を繰り返し続けていました。以前はこうしたことがもっと頻繁でしたが、ガンマガードの投与を受けなければもっと自立してはいなかったでしょう。アルツハイマー病と診断されて7年、夫はマンハッタンの家から地下鉄に乗り、自分のために食料品を買って食事を準備します。彼の兄のミッチェルの近くにいました。病気の進行を知っています。本当に人間を破壊していました。衰えていくのを観たのです。でも夫にはこうした衰えがありません。今日、アルツハイマー病はベビーブーマーには流行病となっています。何かしなければなりません」
バクスターの最高経営責任者ボブ・パーキンソンRobert Parkinson氏(写真左下)は、ガンマガード・アルツハイマー病プロジェクトを、一種の「ワイルドカード」(訳注)と呼んでいます。この会社のアナリストは、ガンマガードがいつかは年間売上が10億ドル以上もたらす大ヒット商品になる可能性があるとみています。
しかしバクスターは慎重に計画を進めております。わずかの患者によるガンマガードの試験ではあるが可能性を保障するアナリストもいます。国内24カ所以上の医療機関で360人の大規模な試験と最近発表されたこの2,3年の研究結果から、アルツハイマー病の治療薬としてガンマガードの将来が明らかになるでしょう。
シカゴにある投資銀行のウイリアムブレヤ-社William Blair & Co.のアナリストであるベン・アンドリューBen Andrew氏は次のように述べています。
「第2相の結果が、わずかな治療の選択枝しかない患者には励ましになりますが、試験の規模が小さいく、臨床的に利益をもたらすかどうか明確な証拠を得る第3相試験の結果を待たなければなりません」
今後起こるかもしれない失敗を考慮しながら研究者は、ガンマガードがアルツハイマー病の進行にどのように影響するかをもっと理解するために研究を続けるとしています。バクスターの薬を使ったウエイルコーネル医療センターでの試験では、患者の脳をMRIで調べ全般的には脳の委縮が少ないことを示す結果を得ています。
レルキン医師は次のように述べています。
「MRIを使うことで、臨床試験の結果と脳画像からの情報による生物的指標を合わせることでアルツハイマー病の臨床試験を促進できるという利点があります。MRIは臨床試験の精度を高めるでしょう」
The Los Angeles Times May 4, 2010 Drug makers enter crucial phase in search for Alzheimer's disease treatments より)
訳注:wild cardは、英辞郎によると、トランプのどんなカードとしても使えるカード、決め手となる人[物]、予測不能な出来事、万能策などと訳されている。
記事:Press releases: Baxter and New York-Presbyterian/Weill Cornell Announce 18-Month Data from Phase II Study of GAMMAGARD in Patients with Alzheimer's Disease (April 13, 2010 Baxter International Inc.)
編者:アメリカでは先月に公表されたガンマガードの効果が話題になっているが、これに関する適切な記事を本日初めて読んだので紹介する。ガンマガードは、わが国でも重症感染症や低ガンマールグロブリン血症などの治療薬と使われる人の血漿から精製されたガンマーグロブリンを多く含む薬品。このガンマーグロブリンがアルツハイマー病の原因とされるアミロイドに抗体として作用しその働きを抑えアルツハイマー病に進行に遅らせると考えられている。既に使われている薬をアルツハイマー病に適応拡大しようとしている。紹介した記事には経済アナリストの見解などが紹介されるており、アルツハイマー病治療薬が単に医療の問題だけではなく、株や投資の関係者には一攫千金的な期待もあるようだ。また最近の新薬はどれも高価だが、ガンマガードは既に免疫疾患に使われている薬なので、それほど高価にはならないと思われるが、効果あるとしても人の血漿から精製される薬のため供給には限度があり莫大な数の患者にすべて行き渡るのかが懸念される。

抗精神病薬処方の疑問(4月27日/アメリカ)
アメリカ医師会雑誌Journal of the American Medical Association(JAMA)のライターで,レキシントンヘラルドリーダーLexington Herald-Leaderのレポータでもあるブリジェト・キューンBridget M. Kuehn氏(写真)は、向精神薬の処方が増えていることについて同雑誌2010年4月28日号に以下の内容の寄稿をしました。
アメリカでの抗精神病薬の使用について調べた最近の調査(注)によると、重篤な心疾患や代謝障害の危険性と関係があるにもかかわらず、非定型抗精神病薬が、しかも効果を証明するデータがほとんどない適応外に広く使用されています。また医師は、こうした危険を少なくすため前以て注意することがあまりないのです。
調査によると、医師の処方行動やリスクを最小限にするための警告の効果について新しい見方が生まれています。調査で認められたことから、抗精神病薬の適応外の使用の国民の健康や費用への影響を改めて考えさせました。 
製薬のデータの収集・分析する会社であるIMS Healthの報告によると、2008年で抗精神病薬はアメリカでもっとも売れている薬のひとつで、高脂血症薬や胃潰瘍薬PPIとほぼ同等です。
JAMA.  April 28, 2010号 Questionable Antipsychotic Prescribing Remains Common, Despite Serious Risks
編者注
Arch Intern Med. 2010;170(1):89-95.Unexplained Variation Across US Nursing Homes in Antipsychotic Prescribing Rates
Yong Chen; Becky A. Briesacher; Terry S. Field; Jennifer Tjia; Denys T. Lau; Jerry H. Gurwitz

Arch Intern Med. 2010;170(1):96-103.Impact of FDA Black Box Advisory on Antipsychotic Medication Use
E. Ray Dorsey; Atonu Rabbani; Sarah A. Gallagher; Rena M. Conti; G. Caleb Alexander

サイト内関連記事
編者:アメリカで抗精神病薬があいかわらず広く処方され、しかも適応外の認知症に使用されている。抗精神病薬の処方が減っているという報告もあるが、今後も増えるとする予測もある。わが国ではどうか。
関連記事:「アルツハイマー病の攻撃的な行動を抑えるリスパダールなど30品目は、安全上の問題などから必要性が認められなかった」(109医薬品「早期承認を」 厚労省検討会が必要性認定 2010年4月28日/読売新聞より)

認知症の子供への影響(4月22日/イギリス)
マイクMike (仮名)は、17歳のとき、父親を常に介護することになりました。父親は47歳で若年期認知症と診断されていました。彼は、現在、大人になってその経験がいかに大変であったか次のように書いています。
「父が初めて失禁して汚したときが最悪でした。私はどうしてよいかわからなく、嘔吐はするし始末するのに2時間かかりました。その後はうまくできるようになり、身体を洗って15分以内で服を着せられるようになりました」
マイクは、深夜、家から出ようとする父親の新しい行動にどう対処してよいかに困惑していました。マイクのパン屋での仕事は昼食時に終わりますが、彼の介護上の責任から相応しことでした。上司の許可をえて自転車で2,3時間ごとに家に帰り、父親の状態を確かめていました。会社のとのどの人はマイクの状況に気づかず、彼は孤立していました。
マイクは「一人ぼっちでした。二人の友人は私のことを知っており、夜、一緒にテレビを観ていました」と話しています。
ジャーキー・ウイーチJakey Weechも家族が認知症のために影響を受けています。彼の祖母のポウリンPaulineはアルツハイマー病で、ジャーキーと彼の母親のカレンは、2年前、スカボローScarboroughにある祖母の家に移り介護してきました。ジャーキーは、祖母がときどき行方不明になり探している母親を助けました。
カレンは「鍵は状況を理解することです。人体に関する本を持っており、脳についてのページを読んでいます。祖母の脳はほかの人にようには働いていませんと他人に話しています。彼女の記憶も働いていないのですと」話しています。ジャーキーにとってマイナス効果は、祖母が怒っているのをみることや、ときどき母親に注目してもらうために戦わなければならにことなどです。
また彼は祖母の認知症を自分にとって有益なものとしました。カレンは「彼にとって訓練などありません」と話しています。昨年の6月の休暇のあと、祖母の行動がとても破壊的だったので、祖母のために介護施設を探し、ジャーキーと母親は面会にたびたび行っています。
子供への教育について
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyで専門職の連携を担当する主任のクリーブ・エバースClive Evers氏(写真)は次のように述べています。
「若い人たちは認知症について間違った観念を持つことが多い。ときどき若い子供は、行いが悪かったから認知症になったと思い込んでいます。彼らの恐怖として自分たちもその病気になるのではと思うことです。若い人はかならずしも自分たちが恐れていることを話すとは限りません。あるいは、大人がストレスに苦しんでいるのを知っていると、自分の思いを話したがりません。子供らの苦しみによる症状として、不眠、人目をひく行動などがあります。学業が低下することもあります」
認知症は家族全体に影響を与えていると、子供にとって身体的にも精神的にも親が居ないということによる影響があります。若い人にとって重要なことは、愛されているというと確かめられるように助けることです。
子供に何を話すか
アルツハイマー病協会は子供と認知症についてどのように話すか、以下のような助言をしています
○認知症について率直に語ろう。
○ユーモアーであることを恐れることはない。状況をともに笑うことができれば助けになる。
○その人のできないことではなくできることに注目しよう。
○認知症の人と過ごす時が楽しいことを確かめましょう。物を分けたり、スクラップブックと作ったりするのもよい。
○病気であってもよい時があることを子供に教えよう。
○ちょっとしたことでも若い人が対応できることを確かめない限り一人で任せないことです。
communitycare.co.uk  22 April 2010 The impact of dementia on children
編者:記事の事例はわが国でもありそうなことだ。日本でも認知症と子供の関係についての問題意識はあるが、どのようにすべきかについての指針があるようでないようだ。

アルツハイマー病の人にも楽しい本(4月22日/アメリカ)
アルツハイマー病の人が音楽に反応することはこれまで認めらられてきましたが、今回、文が書かれた本がこうした人に同じようの影響を与えることがわかりました。
研究者によると読書がアルツハイマー病の人の生活の質を改善する多くの研究があります。書かれた文章は、たとえ言語的な交流が難しい人でも理解され、ときに適切な速やかな反応もあります。アルツハイマー病によって読書能力がすべて破壊されたわけではないということを介護者は驚くかもしれません。
オハイオ州立大学Ohio State Universityで発語や聴覚の科学的研究をしているミッシェル・ブルジョアMichelle S. Bourgeois教授(写真左上)は「私の研究では、読み書きできる人は認知症の最期まで読む能力が維持することが認められました」と述べています。
ニューヨーク大学New York Universityの精神科教授でフィッシャーアルツハイマー病プログラムFisher Alzheimer’s program代表であるベリー・ライスバーグBarry Reisberg医師は「アルツハイマー病の初期で多くの読み書きできる人は読書を楽しむことができるでしょう」と述べています。活字が大きな本は末期のアルツハイマー病の人が読むのに助けになります。この病気の末期でも多くの人は本から影響を受けているのです。
ニューヨークのビジネスウーマンのリディア・バーディクLydia Burdick氏(写真左中)は、母親がアルツハイマー病でかなり末期ですが、本を読み聞かせることでこれまでなかったような反応を発見しました。
ある日の午後、彼女は母に一つの文章「私は太陽を顔に感じるのが好きです」と聞かせて「どのような感じですか」と質問しましたら、母親は笑顔を浮かべながら「温かい」と答えたのです。このことがあってバーディックさんは、介護者が声を出して読む記憶問題を抱えている大人向けの三つの本を書くことにしました、
子供や青少年のための本は読みやすいが、アルツハイマー病の人には嫌悪感を抱かせるかもしれません。ライスバーグ教授は「子供っぽいものにみなされるそれを嫌います」と述べています。
バーディク氏の本のイラストは、彼女の友人で画家のジェンー・フリーマンJane Freeman氏が白髪の男性と女性とその家族がありありと水彩画で描かれたものです。本のメッセージは明快で楽天的です。たとえば「11月、多くのことに感謝します」とか「12月、休暇を楽しみ、歌を歌いましょう」(写真右)といったものです。
バーディック氏は「本はただ何かを読むといったものであってはなりません。その人にとって個人的に相応しいものでなければなりません。活字はよく見えるほどの大きさがよい」と述べています。会話の方法や各ページに相応しい歌についての助言が巻末に一覧で載っています。
ニューヨークを拠点にする女優のジル・アイケンベリーJill Eikenberry氏(写真左下)は。
「認知症がすすんだ母のために動物の大きな絵と大きな字の子供用の本を買ったことがあります。今は、日没を楽しむように椅子に座った母の年にふさわしい絵と言葉の本を得ることができました。本当に素晴らしいアイデアです」と述べています。
ジョンズホプキンス医科大学Johns Hopkins School of Medicineの老年精神科長のピーターラビンスPeter V. Rabins医師は「人が互いに反応しやすい物は本人にも家族にも有益です。その本はアルツハイマー病の人に孫や幼い子供とが相互に反応する機会を提供するでしょう。これは相方にとって前向きなやり方です」と述べています。
(NYT April 22, 2010 Many Alzheimer’s Patients Find Comfort in Books
編者:記事で紹介された本は以下のとおりで国内でも入手できる。
The Sunshine on My Face: A Read-Aloud Book for Memory-Challenged(2004年)
Happy New Year to You!: A Read-Aloud Book for Memory-Challenged Adults(2006年)
Wishing on a Star: A Read-aloud Book for Memory-challenged Adults(2009年)
最初の本は2004年に発行されているが初めて知った。この種の本がわが国にあるのだろうか、知らない。なければ出してほしいものだ。なお本の有効性が科学的に証明しているというBourgeois教授の論文を読んだことはないが、2007年発行の著書Memory Books And Other Graphic Cuing Systems: Practical Communication And Memory Aids For Adults With Dementiaを購読しよう。

認知症の介護施設を住民が拒否(4月21日/イギリス)
30人定員の認知症介護施設の提案が拒否されました。ロンドンの北東にあるグレートホーランドGreat Hollandのカービィーロードに建設予定されていた介護施設については計画を実施すべきとの勧告があったにもかかわらすデンドリングTendring議会の計画委員会は昨夜反対決議をしました。反対派は、道路の安全に対する不安など施設に反対する理由のリストを作成していました。また施設をどのような人が利用するのかについても関心がありました。施設を運営してすることになっていたインテグリティケアサービスIntegrity Care Servicesは入居者は攻撃的ではなく混乱している人だと話しました。
Clacton Gazette 21st April 2010 Dementia care home plans rejected
編者:わが国でもグループホームの建設が住民に反対されることがあるが、イギリスでも同じ?気になるニュースなので紹介した。イギリスのアルツハイマー病協会に聞いてみよう。
関連記事:認知症ケアセンターの計画が反対される(4月23日/イギリス)
イギリス・ロンドンの南西にあるWestcountryウエストカントリーの退職者ホームや認知症介護施設に関わる600万ポンドの計画が住民の反対にあっています。退職者ホームを専門とする企業のアークストンライフスタイルホームズArchstone Lifestyle Homesは、55歳以上の人の対象とした24の施設、一つのナーシングホーム、一つの認知症デイケアセンターが旧モートンハンプステッドロードMoretonhampstead Roadから離れた土地に建設が予定されています。しかし住民からの反対の70通ほどの手紙がテインブリッジ地域議会Teignbridge District Councilに提出されています。開発によって町のダートモーアゲイトウエイDartmoor gatewayのブランドの保つことにならず、野生動物の生息地を破壊し、交通量が増え、すでに乏しいインフラの地区に人口過密が生じるだろうとのことです。
アークストンが提案している概要は既に取り下げた前計画に代わるものです。しかし、住民や地域の議員は計画そのものに反対することに変わりはないと話しています。計画に反対する手紙になかで、ボベイトレイシー小学校Bovey Tracey Primary Schoolのジュリー・ダイアーJulie Dyer校長は「さらに交通量が増え、子供や親の登下校に危険になります。これにより歩行者や自転車に乗っている人に危険が増すでしょう」と述べています。退職したある住民は、名前を出さないということで、交通量の増加、人口の過剰、よその町での大規模計画が検討されるべきといったことに関心があると述べています。ボベイトレイシー町議会Bovey Tracey Town Councilは、テインブリッジ地域議会の開発管理委員会が来月検討するとき計画が否決されるように勧告しています。
thisiswesternmorningnews.co.uk April 23, 2010 Dementia care centre plan hits opposition
編者:イギリスでは高齢者の介護施設への住民の拒否反応は根深いのか。アルツハイマー病協会に問い合わせたが返事はまだ。

★専門家は認知症の将来に楽観的ではない(4月19日/イギリス)
ほとんどの指導的認知症研究者は、研究の進展によりアルツハイマー病など認知症の人が認知機能面で重度な障害なく長生きできると信じていますが、アルツハイマー病はなお少なくとも50年はつきあうことになおろうと危惧しています。
多くの認知症専門家は、将来開発される治療で認知症の発症を1,2年遅らせることができ、専門家の4分の1は、おおよそ5年発症を遅らせる治療も可能としています。
アルツハイマー病研究基金Alzheimer’s Research Trustが委託し、ロンドン経済大学London School of Economicsが行ったデルフィDelphi研究が雑誌International Psychogeriatricsに今月掲載される予定です。
基金のレベッカ・ウーズRebecca Wood事務局長(写真左上)は、次のように述べています。
「イギリスでは82万人の認知症の人がいます。毎年、230億ポンドの費用がかかっています。アルツハイマー病の発症を5年遅らせば、認知症をもちながら亡くなる人の数は半減するでしょう。認知症研究への適切な投資により新しい効果的な治療が可能な時期にあり、近い将来、進展した治癒方法が確立します。今回の研究が示しているように、ほとんどの専門家は、研究の進展により認知症の進行を遅らせる可能性がとても高いと信じています。現在、がん研究への投資の12分の1という認知症研究の投資でとても乏しいなかで研究者は認知症の研究によって数万の認知症の人の生活が改善すると信じています。認知症の研究に適切な投資がなされれば、画期的な研究の可能性がとてつもなく高いのです」
ロンドン経済大学の研究フェローのアデリーナ・コマスヘレラAdelina Comas-Herrera氏(写真左下)は次のように述べています。
「認知症をよりよくコントロールできるだろうということが、認知症研究者のあいだでの心底からの楽観視があります。認知症の研究の将来性についてはもっと幅があることがわかりました。ある研究者は控えめであり、ある研究者は革新的に見ています。効果的で新しい治療が速やかに洗われるチャンスを最大限に活かそうとするための認知症研究への投資を今後も増加する必要があるとしています」
アルツハイマー病研究基金とロンドン経済大学の研究から認知症専門家は次のことを信じているようです。
○新らたに生まれる治療によって認知症の人が中程度から重度の症状なく1、2年長く生きることができるだろう。
○将来の治療により認知症の発症を少なくとも1,2年遅らせることができるだろう。専門家の4分の1は、将来の治療により認知症の発症を5年遅らせるだろうと信じている。
○アルツハイマー病は、なお50年以内はあり続けるだろう。
○介護職は、より専門的な認知症研修を受け、それの伴う手当を受けるだろう。
Alzheimer’s Research Trust 19th April 2010  Experts cautiously optimistic on dementia prospects
編者:調査の内容がはっきりしないが、かなり悲観的な予測だ。この記事で認知症の発症が1,2年遅らせることがそんなに重大なのかよくわからない。それより認知症が重症化しない方法があるとするのはよい。

認知症の人の攻撃的行動の原因は、疼痛、介護負担、介護関係の悪化(4月15日/アメリカ)
アメリカのマイケルドバキイ退職軍人医療センターMichael E. DeBakey VA Medical Centerの精神科教授であるマーク・クニクMark E. Kunik医師(写真)らのグループは、認知症の人によくみかける攻撃的行動の要因について調べました。
対象者は、地域在住で退役軍人医療センターにかかる60歳以上で調査前年に認知症と診断され診断後で調査開始前までに攻撃的行動を認めなかった認知症の人とその介護者です。調査は24カ月間行われ4カ月間ごとに、攻撃的行動の頻度や強さ、うつ状態、身体的疼痛、認知症の人と介護者の関係の質、楽しい活動への参加、介護者の負担について評価しました。攻撃的行動とは、暴言やののしるなど言語的行動、自分や他人を傷つけたりする身体的行動、物品の破壊、不適切な言語的身体的な性的行動としました。認知症の人と介護者の関係の質とは、コミュニケーションの頻度、思いやり、情緒的支援を含む認知症の人と介護者との関係としました。調査は2003年9月5日から2005年6月10日まで行われました。
その結果、215人の認知症の人のうち89人(41%)に攻撃的行動が認めました。その要因については、調査開始時の認知症の人と介護者のよい相互関係は攻撃的行動を少なくし、調査開始後の介護者のうつ状態、本人の身体的疼痛、認知症の人と介護者の相互関係の低下は攻撃的行動を多くしました。
この論文はJournal of Clinical Psychiatryの電子版2010年3月9日版に掲載されました。
クニク医師は「歴史的に、攻撃的行動など認知症の人の問題行動はその原因を把握しないで精神安定剤を処方していました。薬物は効果がないばかりか、予期せぬ副作用がある」と述べています。
研究グループは、攻撃的行動を起こす原因の理解して非薬物療法的介入により攻撃的行動が悪化したり、またその予防に効果的な治療を勧めたいとしています
さらにクニク医師は「介護者自身がほとんどの攻撃的行動を起こすのに重要な役割をしていますが、だからといって介護者を非難することではありません。原因が、ひどいストレスであり、介護者は孤立しながらも支援を求める術がとがほとんどないということです」と述べています。
この研究は、に認知症の人の痛みがないか調べて適切な治療が必要なことも医師に示唆しています。攻撃的行動を予防する最善の方法は、鎮痛剤の処方かものこともあるかもしれません。しかし、認知症の人は、認知症による言語的問題のため自分の痛みを認識し伝えるのが難しいのです。また医師は、介護者のストレスを知り、助言し、地域で利用できるアルツハイマー病協会などの社会資源についての情報を提供すべきです。
最後にクニク医師は「攻撃的行動の原因を特定し、それを積極的に予防することはこうした行動への対処の基本です」と述べています。
TheCypressTimes 04/15/2010 VA STUDY IDENTIFIES CAUSES OF AGGRESSION IN DEMENTIA PATIENTSおよび論文Causes of Aggressive Behavior in Patients With Dementia
編者:認知症の人の攻撃的行動については、漠然と介護負担などが原因だろうと推測してきたが、この報告はその要因を科学的に確認したものとして貴重だ。

★アルツハイマー病の人は訪問を受けてよいことがある(4月13日/アメリカ)
アルツハイマー病の人はすぐに忘れてしまいますが、訪問することは、その人に幸せ感が長く残ることを科学的に認められました。忘れることが多い認知症高齢者を訪問したり電話をかけたることが本当に本人にとって意義があるのか家族は疑問をいだきます。
アメリカのアイオワ大学University of Iowaの神経学部行動神経学・認知神経科学科Department of Neurology Division of Behavioral Neurology and Cognitive Neuroscienceで研究員のジャスチン・ファインシュタインJustin Feinstein医師(写真)らは、短期記憶を長期記憶として蓄積するのに重要な脳の海馬が損傷された神経疾患の5人の患者について調べました。このタイプの記憶障害はアルツハイマー病の初期に多いのです。対象となった人は幸福感や悲しみをもたらす感情的に強い20分間の映画を観ました。この間、彼らは、大いに笑いまた悲しみの涙までみせるといった相応しい感情的反応を示しました。映画のあと、彼らは何を観たかは忘れましたが、感情面では、映画のカットを見せることで感情が引き起こされました。
ファインシュタイン氏は「この発見はアルツハイマー病にも関係する」と述べています。
こうした研究者らは、会った家族のことは覚えてはいない認知症の人に心温まる感情や生きる価値があるとする感覚が残るであろうことを確認したのです。
ファインシュタン医師は次のように述べています。
「ナーシングホームのスタッフによる日常的な無視によって認知症の人に悲しみ、不満、孤独の感情を起こしているかもしれません。アルツハイマー病の人を尊敬と尊厳をもって接することの理由は単に人のモラルを超えたものであるとする証拠を示したと思います。
家族による単なる訪問や電話はアルツハイマー病の人がそのことをすぐに忘れても、その人の幸福に長く影響するものをもたらすようです。今回のの研究は、記憶障害のある人をどのように介護するかについて科学的な根拠のある基準を決めなければならないことを示唆しています。
この研究論文は、Proceedings of the National Academy of Scienceの電子版2010年4月12日版に掲載されました。
Mail online 13th April 2010 Why Alzheimer's victims DO feel benefit of visitsおよび論文Sustained experience of emotion after loss of memory in patients with amnesia
編者:これは貴重な報告だ。2,3分前のことを忘れる認知症の人を自宅や施設に訪問することの意義の根拠が曖昧だった。訪問するとかえって混乱するのではとの心配もあった。あるいは訪問する人自身のためということもないわけではなかった。この報告によって、認知症の人が事実は忘れても、心地よい感情がしばらく残るという効果があるとのことだ。このためには訪問する人の配慮と期待を再検討する必要があるようだ。

アルツハイマー病の人は何年生きられるの―余命推計方式―(4月13日/アメリカ)
ケッタッキー大学University of Kentuckyの神経学准教授のグレゴリ・ジチャGregory A. Jicha医師(写真上)は、アルツハイマー病と診断を受けた人の最初に質問は「あと何年生きられるのですか」と話しています。
今までは答はゲームのようなにあてになりませんでしたが、ジチャ医師らの研究グループは、アルツハイマー病の人の性別、診断時の年齢と認知機能から比較的正確に余命を推測する簡単数式を開発しました。
ジチャ医師は「アルツハイマー病の人がどれくらい生きられるのかを知ることで、本人が家族が将来のよりよい計画を立てることになる」と述べています。
この推計方法についてはトロントで開催中のアメリカ神経学会American Academy of Neurology年次総会で同医師は報告しました。
ジチャ医師は次のように述べています。
「診断してから22年間生きたアルツハイマー病の人の治療をしてからこの方法を開発しようと思いました。アルツハイマー病を進行が早い病気と思っていますが、新しく診断された人には6年から8年の余裕をもって告げ、実際は神のみぞ知ると話しています」
ジチャ医師らのグループは、病院でアルツハイマー病と診断された男女1300人ほどの記録を詳細に調べ、記憶障害の症状が出てからアルツハイマー病の人が1年から26年間生きていることもわかりました。このデータから、アルツハイマー病の人の余命を決める要因を統計的手法で決めました。
ジチャ医師は次のように述べています。
「年齢、教育、家族歴、高血圧や心疾患などの危険因子の遺伝などについて調べました。その結果、わずか3つの要因で余命を決ますことがわかりました。発症時の年齢(高齢者は早く亡くなる)、性別(男性はやや早く亡くなる)、診断時の障害の程度です。他の要因を加えたても基本的に変化はありませんでした」
この三つの要因を使って、アルツハイマー病の人の死亡の危険性を予測する簡単な数式を開発しました。
一例として、82歳の女性で軽度から中程度の認知症の人は、診断後、5年生存すると推測できます。診断時63歳の軽度の認知症の人は7年生きるでしょう。
ジチャ医師は「余命が2年と4年の違いは、家族にとって経済的にとても重要ことです。アルツハイマー病の人が長く生きるのであれば、在宅でもっと長く介護したいと思うでしょう。病気の進行が早いと知ると、ナーシングホームなど施設へ早く入所させる計画を立てるかもしれません」述べています。
ブラウン大学Brown Universityの神経学教授のステファン・サロウエイStephen Salloway医師(写真下)は「このモデルが科学的であるのでなんらかの意義をもたらすでしょう。私たちは特別な立場にあるわけではないのです。アルツハイマー病の人に、たとえば『あなたの年齢と状態の多くのアルツハイマー病の人は5年から7年生きると推測されています」と、ちょっと話すだけでよいのです。これ以上正確な数字は言えないでしょう」
ジチャ医師も「あなたにはいつも忠告が必要でしょう。最善の推計見積もりです」
と同意しています。
WebMD Health News  April 13, 2010 Formula Predicts Alzheimer's Longevity
編者:アルツハイマー病にはいろいろ研究課題があるものだ。アルツハイマー病の人の余命を推計する数式。確かに、これまで曖昧にされてきた進行性神経疾患のアルツハイマー病の余命については、医師が「いろいろあります。わかりません」とか「2,3年の人もいれば、20年の人もいます」で答えることがあるが、これでは回答にならない。聞かれれば科学的根拠のある余命を答えてもよいだろう。学会で報告されたばかりで論文が読めないのでどのような数式かわからない。それにしても年齢、性別、認知機能だけできまるのだろうか。よい介護すれば余命も長くなると漠然と思っているが。また余命を告知したあとの対応をどうするかの課題もある。

アメリカ神経学会が認知症の人の運転に関するガイドラインを発表(4月12日/アメリカ)
アメリカ神経学会American Academy of Neurologyは、認知症テストと家族の情報などからアルツハイマー病など認知症の人が運転するかどうかの決定をするための実用的なガイドラインを発表しました。
研究によると、運転に関しの決定では家族の評価が患者自身の意見よりより正確であることが明らかにされています。ガイドラインを作成するためアルツハイマー病など認知症と運転に関する422の研究の結果を分析し、研究の質と根拠の強さにに基づき検討項目の推奨度をレベルA,B,Cの3段階(Aが最もお奨め)にランク付けしました。
車に乗っての運転試験を受けることができなかった人について判断する際の最大の決定要因は、認知症について臨床的に記憶、判断、作業能力を評価するのに使われる臨床認知症評価Clinical Dementia Ratingが1また1以上であることでした(レベルA)。0は障害なしで、0.5は比較的軽度の認知症を、1は軽度の認知症、2や3は中程度から重度の認知症を表します。
このガイドラインの作成主任でカリフォルニアのハムボルド神経医療グループHumboldt Neurological Medical Groupの神経科医であるドナル・アイバーソンDonald Iverson医師(写真左上)は次のように述べています。
「家族や介護者の意見はとても役立ち、患者自身の評価は信頼できません。ある研究によると、認知症の人の運転が安全でないと評価した介護者の多くは正しいが、アルツハイマー病の人の94%は自分は安全運転をしているとみなしていても、そのうち41%の人が試験に合格しています。だれが安全に運転できるかを決めることは難しい。最近の研究によると、軽度の認知症の人の76%ほどの人は同乗運転試験に合格することはできますが、別の研究では認知症の運転手は事故を起こす可能性が高いことを認めています。これらのことから、多くの認知症の人はまだ安全に運転することができるようであり、少なくとも病気の初期には運転できるようです。認知症の人は安全運転できないリスクが高いグループですが、彼らの多く―ほとんどではありません―は道路にでると安全な運転手になります。、認知症の人はだれも運転すべきでないという人たちもいます。しかし、試験を受けた認知症の人の76%ほどは合格しています。認知症は運転すべきでないと言うことはあまりに固定観念によるようです」
このガイドラインは、4月12日、Neurologyのオンラインで公表され、トロントで開催されるアメリカ神経学会年次総会AAN 2010 Annual Meetingでも12日に発表されました。
危険サインとして、衝突の既往、呼び出しの経験、運転距離の減少、夜間、降雨など条件による運転中止、攻撃的あるは衝動的性格傾向、MMSEの低い点数(レベルC)です。
メイヨークリニックMayo Clinic の神経学教授のダビッド・ノップマンDavid Knopman医師(写真左下)は次のように述べます。
「運転は、自立と生活の質にとても重要であり、運転中止は容易ではありません。記憶障害に加え、アルツハイマー病では見当識障害、遅い反応時間、ゆっくりした思考時間が問題を起こします。認知症の人は自分がどこを走っているか定かでなく、交差点で躊躇したり、方向を急に変えたりしやすいのです。こうして事故が起りやすくなるのです。アルツハイマー病による脳の変化でその人は問題があるかどうかに気付きかないかもしれません。判断の間違いはこの病気のありふれた症状です。医師として、私は家族の観察を最も信頼しています。脳によって行動とその可能性について洞察する能力が支えられていますが、アルツハイマー病では衰えます。いくつかの州では運転能力に障害があるかもしれないとする医師の報告書が義務づけています。アルツハイマー病の人を治療している私たちすべてが、運転中止について話し合って本人を困惑させた経験があります。彼らは自分の運転技術は優れていると思っているのです」
 BussinessWeek April 12, 2010  Docs Issue Guidelines for Drivers With Dementia
学会のガイドライン:Practice Parameter update: Evaluation and management of driving risk in dementia(英語)(pdf500K)。このガイドラインの「認知症の人の運転に関する評価と管理の手順」(日本語訳)(pdf90K)
関連資料:Clinical Dementia Rating(CDR)(日本語版)(pdf300K)
編者:わが国では認知症と診断されたら運転できないが、アメリカでは認知症だというだけで運転を辞めさせるべきでない、その運転能力を評価すべきとの視点からなる新しいガイドラインを示している。

認知症の人を介護するフィリピン人家族への支援始まる(4月11日/アメリカ)
アルツハイマー病の人を介護していませんか、アルツハイマー病の人を知りませんか。自分の健康を無視していると感じませんか、アルツハイマー病の人を介護して自分の時間が必要だと感じませんか。
アジア太平洋医療ベンチャー社Asia Pacific Health Care Venture(APHCV), Inc.は、新しいプログラム―フィリピン人家族介護者プログラムFilipino Family Caregiver Program―を立ち上げました、このAPHCVが介護家族の負担やストレスを軽くする支援をしてくれるでしょう。新しいプログラムは、アルツハイマー病など認知症の人を介護している家族の知識を提供し、支え、直接援助することを目的とした新しいプロジェクトです。
ワインバーグ財団Weingberg Foundationによって設立され、アルツハイマー病協会南部カリフォルニア支部Alzheimer’s Association California Southland Chapterやアジア太平洋島民認知症ケアネットワークAsia Pacific Islander (API) Dementia Care Networkと連携したこのプログラムの目標はフィリピン人社会において介護者支援を普及することです。
アルツハイマー病など認知症の人を介護している低中所得の家族へのプログラムは以下のことが含まれています。
レスパイトケア、情報、支援の提供、法的サービスへの紹介、家庭訪問、診断のための医療機関への紹介、カウンセリングや支援グループホームへの紹介、事例マネジメント。
APHCVのCEOであるシバタ・カズエさん(写真の左)は「医療制度上、彼らには病気の予防が重要です。アルツハイマー病など認知症の人を介護することは、絶えず何かしなければならず、ストレスが多く、消耗します。このため介護者が自分の健康を無視することになりやすい」と述べています。
ケアアドボケイトCare Advocateのパーラ・ライエスPerla Reyesさん(写真の右)は、アルツハイマー病を発病することは個人的なことではあるが、家族全体に犠牲を強いることになる」と話しています。
アルツハイマー病協会Alzheimer’’s Associationによると、アルツハイマー病など認知症の人の70%は家族により自宅で介護を受けています。そうした家族は、重い肉体的、情緒的、経済的問題を抱えやすいのです。
さらにレイエスさんは「フィリピン人家族が強い絆で結ばれ、utang na loob(耽溺)という文化的価値のためこうしたことがとりわけ事実となります。またフィリピン人家族がアルツハイマー病など認知症の人を一人以上介護していることは珍しくはない」と話しています。
もし認知症のフィリピン人やアルツハイマー病など認知症の人を自から介護しいる家族を知っていたら、APHCVまで電話(323) 644-3880 ext. 341またはメールpreyes@aphcv.orgをください。
Aasian Journal 11 April 2010 Filipino family caregiver program launched
編者:多民族国家のアメリカのカリフォルニアではこれまでアルツハイマー病協会支部の取り組みもあるが、フィリピン人に絞った認知症支援体制が始まったようだ。

★デリーにデイケアセンター開設へ(4月11日/インド)
インドの首都デリーのワリアA K Walia財務大臣(写真)は、11日、アルツハイマー病の人のためのデイケアセンターをデリーに開設すると発表しました。
財務大臣は、デリーには高齢者向けの施設もアルツハイマー病の人向けのデイケアセンタもないと指摘し「最優先課題としてこれを取り上げ、デリーの中心にアルツハイマー病の人のためのデイケアセンターをまもなく開設することを約束する」と述べています。
アルツハイマー病の人をケアに取り組んでいる民間の研究団体であるHope Ek A.S.H.A.がその役を担っていました。
さらに大臣は「認知症の人は寿命がとても延びるに従い増えています。問題の解決のためデリー市はアルツハイマー病デイケアセンターを必要としている」と述べてます。
認知症やアルツハイマー病は脳の進行性疾患で高齢者が主になります。脳細胞が通常より早く損傷され死滅して人が通常の機能を失い始めます。
現在、インドには600万人以上の認知症の人がいます。
ZeeNews.com April 11, 2010  Day-care centre for Alzheimer's patients soon in Delhi
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家族性アルツハイマー病の若い妻が出産(4月11日/オーストラリア)
オーストラリアのシドニーに住む進行した家族性アルツハイマー病の女性が出産しました。
レベッカ・ドイグRebecca Doigさん(31歳)(写真)は、4月8日、健康な女児(2820グラム)を帝王切開で出産しましたが、娘に無関心で、出産のことを覚えれおらず、抱くこともできませんでした。
レベッカさんは、記憶障害で検査を受けているとき妊娠していることがわかりました。
夫のスコットさん(写真)は、この9カ月間に妻が衰えていくのをみていただけに出産を奇跡のように思い、「子供は完全でとてもきれいで健やかだ」と述べています。
レベッカさんは、昨年8月に稀な型の家族性(遺伝性)アルツハイマー病と診断されました。スコットさんは「これからはとても大変でしょうが、道は一つです。私たちにあまり多くことはできません。病気をかかえて生きてゆきます。妻とそして今は小さな女の子と一緒に」と述べています。
スコットさんは、娘にミルクの飲ませ方など育児について勉強しています。レベッカさんは母性に欠け育児をすることはできないのです。レベッカさんの両親が育児を手助けします。
レベッカさんは、アルツハイマー病と診断されるまでは自立し社交的で明るい若い女性でした。
夫は「妻が失われていくのを見るのは辛いのですが、彼女は私の人生です。諦めません」と話しています。
二人は2003年に結婚しました。2006年から2007年にかけて、レベッカさんはもの忘れ、バックをなくす、ぼんやりするといった症状がありましたが、何が起きているのか二人には理解できませんでした。最初、うつ状態と診断され治療を受けましたが、症状は進み、仕事での間違いが多くなり解雇されました。
二人には住宅ローンがあり、レベッカさんは障害年金が認められませんでした。
レベッカドイグ基金Rebecca Doig Trust Fund への募金を呼びかけています。
なお、生まれた女児には家族性アルツハイマー病の遺伝子は認められていません。
Sunday Herald Sun  April 11, 2010 Tragedy of world-first Alzheimer's mumなどより)

認知症看護師(4月9日/イギリス)
介護家族のストレスを見つけるよに研修を受た看護師が認知症の人の家族を支援しています。
「私の経験から、認知症の人の介護家族は、長い時間、認知症の人のことでいらいらし、完全な介護ができないと悩んでいます。認知症介護にすぐにハンドブックがあるわけではありません。周囲の人がそれを見つけるまで、どのように対応してよいかわからないのです」と話すのは、バーキングとダゲンアハムのアドミラスナースAdmiral Nurseのチームリーダーであるプレット・ウンチャスタージョゼフPaulette Winchester-Josephさんは(写真左)は、その第一役割は認知症の人の家族を支援し必要なサービスを利用できるように紹介することです。
彼女がおもに臨床面での役割をもっていますが、とても広い範囲での実践面の信念をももっています。次のように述べています。
「私の女性のクライエントは、最近、デイケアセンターへ夫を連れてゆくのを辞めました。夫が身体を洗うのを拒否した数週間後に、周りの人が臭いのことを言いだし困惑しただけでなく夫を自分が適切にみてないとの罪の意識のためでした。2時間ほど話合って、最終的に入浴を受け入れて、夫婦の重要な関係を取り戻すころができました」
精神保健について研修を受けたイギリスのアドミラルナースはたった75人で、その一人であるポレットさんは介護家族のうつ状態やストレスのサインが出たらいつでもそれを少なくするように準備はできており、同時に、認知症の人が最善の介護を受けることができるように支援しています。
さらにポレットさんは次のように述べています。
「70ケース以上扱ってきましたが、毎週、クライエントと会うことに決めてはいません。何カ月も何杯もの紅茶を飲みながら介護者が限界きたとき私たちは家族との関係を創ってきました。緊密な関係にある家族より公平に観察する者として、私はレスパイトケアについて穏やかに話し始め、ときに困惑する人がなければ長期介護施設への入所を提案することもあります」
クライエントには大きな変化で苦しむことはないことを強調しながら、ときどき施設介護が最善の選択のこともあることを慎重に話すようにしています。
国民保険サービスNHSのなかで、特別認知症看護師として働き、ポレットさんは同じ地域のその他の病院のスタッフに実際的な助言をしています。
ポレットさんの話。
「病棟の看護師は認知症の人が食べれなくなると心配しますが、嚥下反射がなくなったためと簡単に説明します。認知症の人は大人であり、今後のことについて選択できるようにしなかればならないと認識しながら、病棟看護師には摂食について具体的に説明します」
認知症は高齢者に多い状態ですが、アドミラルナースは若い認知症の人にも取り組んでいます。ポレットさんの話。
「最近のケースですが、37歳で子供を持った母親が認知症と診断されましたが、とても痛ましいことです。その家族を知り、またかれらがどのように対応するかを知ることによって、最も必要なときに有意義な支援や指導を私たちは行います」
Independent 9 April 2010 Profile: The Dementia Nurse
編者:1994年に設立されたイギリスの民間団体Dementia UKが認知症専門の看護師Admiral Nursesを養成している。詳しいことは分からないが、日本看護協会の認知症看護認定看護師とは異なるようだ。ただどちらも数が少なく認知症看護の中核的役割を担ってはいないようだ。

アルツハイマー病の人への新しいプログラム―「再発見への橋」-(4月8日/アメリカ)
「再発見への橋Bridge to Rediscovery」は、革新的な認知症ケアプログラムでアルツハイマー病など認知症の人の周りの世界のなかで本人たちがより活発になるのを支援します。
「ファイブスターリビングFive Star Senior Living」のアルツハイマー病賞を受けたプログラムである「再発見への橋」は、アルツハイマー病など認知症の人を支援し、再び自分たちの周りの世界に関わり、日々の生活の喜びを見出すようにします。
ファイブスターリビングと全国医療報告National Medical Reportは、最近、共同して「再発見への橋」によって改善した認知症の人の家族が登場するビデオを作製しました。
アメリカには500万人以上のアルツハイマー病の人がいます。その家族らにとってアルツハイマー病は破壊的な病気です。アルツハイマー病の経過のなかで記憶障害、その他の認知機能障害、失語症などが現れます。このため行動面での症状があり、過敏になったり、攻撃的になることがあります。
アルツハイマー病を治癒させる方法はなく、症状を変える治療があるだけです。アメリカ全土にあるファイブスターリビングでは、「再発見への橋」によって、こうした症状を革新的方法で取り組み、アルツハイマー病の人の支え日々の些細なことに努力しながら小さな成功を喜ぶようにすることで、再び自分たちの目的を見出すことを助けています。家族の関心の程度に合わせプログラムでは、家族に働きかけ、個人的な活動に参加し、ケアに直接加わってもらいます。
「再発見への橋」の臨床プログラムの主任のロバート・ブレンナンRobert Brennan氏は次のように述べます。
「私たちの理念は、入居者が本当はどのような人なのかを知り、今あるその人たちを形成させた彼らの周囲の特別な物や人生についてスタッフが知るようにしています。こうして重要なこと、夢、望みを知ると、私たちは日々彼らのかかわり意味ある生活が送れるようにするのです」
「再発見への橋」ではスタッフと家族は、アルツハイマー病の人の感覚をよい相互に通じるものとし理解できるようになることを確信しています。このプログラムを活用している高齢者施設では、多くの逸話がありその有効性が認められ、足早に歩くとか徘徊といった行動症状が減っています。またわずか例ですが、失われた機能の回復した人もいます。
「再発見への橋」の理念と活動は、子供の世界でうまく成功した教育方法である「モンテッソーリ方式」のよって啓発されたものです。モンテッソーリ方式から「再発見への橋」では個人に注目し、意味ある実践的な活動を通して認知症の人たちが学べるようにします。「再発見への橋」にかかわるスタッフは、モンテッソーリ方式に基づいた認知症プログラムの研修ではモンテッソーリ方式の資格ある指導者の研修を受けます。
日々の活動に加えて、「再発見への橋」はアルツハイマー病など認知症の人の個別で特別な夕食を用意することがあります。レストラン風にして常時手伝うバトラーによるサービスと家族的夕食をとります。今日の多くの高齢者にとって、どのように食事をとっていたのかを心地よく思い出すことになります。アルツハイマー病にもかかわらず、こうして彼らはサービスを提供する者たちと相互に反応することが促されるのです。
「再発見への橋」によって全国27州の62以上の施設で、ファイブスターリビングはアツハイマー病などの認知症の人に変化をもたらしてきました。プログラムはアルツハイマー病の初期、中期、後期の高齢者に合わせたものです。
ファイブスタークオリティーケア社Five Star Quality Care, Inc.は、高齢者の生活と医療を提供する会社で、全国30州にある22905ユニットをもつ217カ所のファイブスターリビングを所有し、リースし、管理しています。施設として、自立した高齢者住宅、介助施設、ナーシングホームがあります。さらに5か所の薬局、二つのリハビリテーション病院を運営しています。ファイブスターリビングはマサチューセッツ州ニュートンに本部があります。
PRWEB April 8, 2010 Unique Alzheimer's Program Improves Quality Of Life And Provides Purpose
「プログラムの目標」―ファイブスターリビングの「再発見への橋」より―
○入居者の生活している環境のなかで関わること
○受容しているという雰囲気を作り出すこと
○入居者に意味がある目的が明確な活動を準備すること
○個々の入居者にあった特別な活動を創ること
○家族が学びプログラムに参加して、もっと意味のある訪問のあり方は発見してもらうこと
○入居者が積極的に反応し最高の可能性に到達するようにすること
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編者:わが国であまり知られていないモンテッソーリ方式は認知症ケアに参考になりそうだ。ネットで検索すると「モンテッソーリ法と間隔伸張法を用いた 痴呆性老人の機能改善のための援助」という訳本がある。

記憶障害の人のアクティビティのあり方(4月5日/アメリカ)
ニューヨークのマウントサイナイ医療センターMount Sinai Medical Centerの精神科臨床准教授である臨床心理学者のシンティア・グリーンCynthia Green医師(写真)から、認知症の友人を訪ねることが難しいといった悲しみや、一緒に楽しく意義ある時を過ごしたいがどのようにしたらよいかわからないとった悩みについて以下のとおり助言を得ました。
家族や友人のだれかが記憶障害の診断を受けると、通常、私たちは真っ先に疑いもせず管理する役割を担い、どこかへ移住させる必要かあるかどうかといった日常生活にとても重大なことをこっそり決定しています。
舞い上がった埃が落ち着いてから、私たちは基本的なことを決めますが、これまでにない問題に直面します。母や父は何ができるのだろう? どのように自分の時間を過ごすのだろう? 何かしてもらったよいのだろう?など。
ある友人は介護者がかかえるこうしたジレンマを夜の遊び友達とでまとめましたが、母親がしているアクティビティ―活動―は管理できないと嘆いていました。
その友人は「母を読書が好きでしたが、今はできません。集中することもでないのです。また母はあまり歩いたりしていないで、助けなしには外出できないのです。何もしないで座っているので、私の心は張り裂けそうです」と話しています。
記憶障害のある高齢者にアクティビティを見出そうとするとやる気がなくなりそうですが、私たちが関わってこうした高齢者の日々の生活を豊かにする方法はあるのです。
記憶の問題を持った人が何かすることを持つことは、コミュニケーションや目的意識を抱く機会にもなり社会的活動を通して精神的刺激を見るけることにもなります。研究によると、高齢者にも介護者にも有益なことがあるということがますます証明されています。たとえば、加齢と活動について研究した故ジーン・コーエンGene Cohen博士は、ナーシングホームを訪れたとき、家族と回想ゲームを楽しむ高齢者は、何もしない家族よりとても有意義に時間を過ごしていることを認めています。
親にできることに関わるような活動を見出すことがコツです。たぶん、親は前と同じようには趣味を楽しむことはできないでしょうが、何かを期待して変わり楽しみを見出すことができるでしょう。長い間やってきた夕食のすべての料理をすることはできないかもしれませんが、アップルソースのためにリンゴをつぶすことはできるでしょう。賢い読書家であった人は新しいミステリーに集中できないでしょうが音声による読者は可能です。
そうしたアクティビティを見つけるために、いくつかの簡単な方法を提案します。
第1は、親は何を楽しんでいますか? 新しい活動は不可能ですが、以前に関心があったことを行うことは難しいかもしれません。ゴルフが好きだった人にはゴルフのビデオを見たり、孫にパットを教えたりすることで喜ぶかもしれません。
第2は、親が関心を示すように趣味の方法を少し変えてみることです。多くのアクティビティはあまりに複雑になりましたが、言語にたよらないで複数の感覚を使って満足できる方法を見つけることは可能です。母親が美しい花の庭におおにに誇りをもっているのなら、小さな植木鉢で花を植えたり、ガーデンブック―できれば大きなテーブルの上でーを一緒に見たり、あるいは小さい袋にポプリを混ぜるのを手伝ったりできるでしょう。
第3は、アクティビティは管理可能なようにしておきますが、あまりに簡単だったりあまりに子供っぽいことは避けましょう。
第4は、やり方についての計画を立てます。新しいアクティビティは始めるためには静かな時間帯と気が散らない場所を選びます。家族に話す時は「3C方式―穏やかにcalm一貫してconsistent簡潔なconcise―」で行いましょう。
第5は、もし家族に不満があるようなら、別のことを試してみます。歌を歌う、抱く、軽食を取るといったことです。何が難しくしているのかを理解するようにしましょう。アルツハイマー病が複雑すぎないか?会話にたよりすぎていないか?そうして再度、試してみましょう。
最後は、こうした関わりによって、私たちに共通の場や再び訪れる場所などの基礎的情報を提供でき、過去の記憶を共有し、新しい絆さえ作ることができるのです。お互いに活動することによって病気で決定づけられた関係を乗り越え、簡単に楽しめる別の交わりが可能になる新たな世界に到達することになるのです。
みなさんが、認知症の親や親族と過ごすための効果的な新たな方法を見つけたら、その情報を共有しましょう。
NYT April 5, 2010 Finding Activities for Parents With Memory Loss
編者:グリーン医師が指摘していることは認知症ケアの常識といえば常識であるが、ケアの要点を簡潔で分かりやすく前向きに解説している。

夫婦でアルツハイマー病に向かい合う(4月5日/アメリカ)
ボブ・ブラックウエルBob Blackwelさん妻のキャロルCarolさん(写真左上)は、カフェで紅茶とクッキーを楽しむことにしています。二人は、親切で、何かに気にかけ、気前のよいみなさんの祖父母のように生活を楽しんでいるようです。しかし、先月中旬の午後、ちょっと疲れました。記憶を壊してしまうアルツハイマー病対策の擁護のために首都ワシントンでの忙しい1週間を終えたばかりだったのです。夫のボブさんは、2006年、64歳の時にアルツハイマー病と診断されました。これは多くの人がなるより10年以上も早いのです。その週は、議会へ行動し、病気の啓発向上と研究資金の増額のため政治家を訪問しました。さらにアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの初期アルツハイマー病の諮問委員会委員との会合、ろうそくを灯しての行動、協会の年次特別ディナーがありました。
ボブさんは「地元の何人かの議員の職員と彼らの事務所で30分ほど話し合いをしました」と述べています。
アルツハイマー病の専門家でデューク大学医療センターDuke University Medical Center.の精神科教授であるムラリ・ドライスワミイMurali Doraiswamy医師(写真右上)は次のように述べています。
「アルツハイマー病は三つの時期―初期、中期、末期―に分けることができ、すべての患者が同じ道をたどるわけではありませんが、余命は診断を受けて約7年です。最後は、脳は活動を停止し、食べることも呼吸することもできなくなります」
シカゴの本部のアルツハイマー病協会の選挙対策部長のベス・カルマヤーBeth Kallmyer氏(写真右下)は次のように述べています。
「協会に調査によれば、1100万人近い家族や友人がアルツハイマー病の人を在宅で介護しています。病気の進行の程度は診断を受ける時期によっても異なります。病気は人によって異なります。介護者への病気の影響は、以前から彼らの人間関係によります。病気が直線的には進行しないというも最大の問題となります。
キャロル婦人は次のように述べます。
「最初、診断を受けた時、ショックで混乱しました。その後、夫への理解の仕方が変わったのです。日によって彼が突然、異星人になることはなく、夫は自分のことは自分で決めていました。私は、今を大切にするようにしています。私たちの生活は少し早く先に行ってしまったようです。私たちは庭で仕事し、会話が楽しんで一緒に笑います」
実際、ボブさんは庭の手入れをし、運動も続けています。教室にも出席し、朝食のとき友人と会っています。二人は昨年、ロシアへ行きました。ボブさんはCIAで長く勤務したとき専門としていた国なのです。好きな趣味は自然観察の写真でたくさん持っており(写真左下)、今月、地元の美術工芸展で写真を売ることにしています。
しかし、時とともに、二人は生活の細かいところで調整しなければなりません。2年前よりボブは話したい言葉を探すのに迷うようになりました。好きなテレビ番組について話す時、出演者の名前を覚えるのが少し難しくなり、「彼」とか「彼女」とかいった言い方になります。話す時に相手の突然の手の動きにも驚くようになりました。
キャロルさんは次のように述べています。
「夫は最近、教室に出かけるのにときの運転を迷うようになりました。彼は交差点で方向を変えるのですが、どの道を行ったらようかわからなくなります。家に帰る道はわかりますが、今は、私が彼を連れていっています。こうしたことで、その日の予定を確認するためのホワイトボードを使うようにしました。私たちの関係の変化を示すこととして、夫は思い出すのが難しいことを聞かれると、頻繁に私の方を向くようになりました。しかし彼はまだ幸せで、私が仕事をしている時は、自分のことをしておればよいのです。また最近、私がおばの葬式で街から離れたとき、夫は自分の食事を用意しました。だたし、薬を飲んだかどうは電話で確認しました」
アルツハイマー病の末期の状態では生活する介護者にとって課題はもっと大きくなります。
カルマイヤー氏は「中期に状態になると、ヒゲを剃るといった生活での助けが必要となり、服を脱がせなければならなくなります」と述べています。
カッシー・ハトフィールドKathy Hatfieldさんは、ノースカロライナ州に住んでいますが、81歳の父を介護していますが、次のように述べています。
「ユーモアと忍耐が、11年間、アルツハイマー病の父との変わってしまった生活のなかで自分を支えたのです。たとえば、父に失禁が多くなると、定期的にバスルームを使うよにしましたが、この時、父にはドライブに行こうと話して、これが動機となって父はトイレに入りました」
ハットフィールドさんも、アルツハイマー病の生活についてブログを書いていますが、彼女は子供とのときニューヨークの株仲買人の父に近づくことは少なかったが、困難な時でも父との関係を大切にしました。彼女は「父はこの世で最もやさしい人」と話しています。
ドライスワミー医師は次のように述べています。
「家族介護者は、友人、親族、医療職に頼るべきです。特別な介護と安全が必要なときがあることも注意しておくべきです。予期しない出来事は家族によって異なりますが、近所で行方不明になることもあります。アルツハイマー病の人は病気を選ぶことはできませんが、介護者は自分の態度を変えることはできます。誰もが落ち込むときがありますが、頻繁に落ち込むことがあると、アルツハイマー病に負けます」
USA TODAY 04/05/2010 Husband and wife cope with Alzheimer's progression
関連情報:ブラックウェル夫婦のブログ
編者:最近、英語圏でアルツハイマー病の夫婦の話題が多い。関心が高まっているのだろう。

思い出を助け、豊かにするパソコン(4月4日/イギリス)
ケン・リディングトンKen Riddington(写真左上)は、優れたテレビプロデュサーでいくつかの作品で多くの賞を受けたり推薦されました。彼はテレビが好きで75歳までBBCで働いていました。しかし、3年前、重い認知症になり、昨年、87歳でナーシングホームに入らなければならなくなりました。妻のリズ(写真左上)は引退した女優ですが、ケンの記憶が薄らいで会話を続けるのが難しくなったと話しています。
専門家によると、認知症の人は絵や音で過去の経験を話すことができ記憶を呼び覚ますことができるそうです。
ケンはイギリスの研究者が開発した新しいパソコンシステムを使って効果があり、彼が生活するナーシングホームに導入されました。
これは、「コンピューター相互回想会話補助機Computer Interactive Reminiscence and Conversation Aid (CIRCA)」というシステムで、認知症の人のために慎重に選んだ音や画像を使うことで思い出を呼び覚ますのを助けます。
リズは、つぎのように話しています。
「スポーツが好きな夫がこれをとても楽しみにしています。AVの材料夫がよく反応するのを見てうれしい。ブリテンフェスティバルFestival of Britainの催しを見ながら、突然、そのなかのあることについて思い出したのです。夫はとても王室の関心があっても優れた王政主義者ではありませんが、バルコニーに立つ王室の人たちの写真を見るのが好きで、それによって思い出が蘇ります。夫とのつながりを持つことはとても貴重なことです」
これとは別に「その時を生きるLiving in the Moment (LIM)というシステムもありますが、これは人を引き付けて相互的に活動しながら簡単なゲームや壺に絵を描くといった技術や創造性を促すものです。
これら二つのシステムは、セントアンドリュースSt Andrews大学とダンディDundee大学のチームよって10年かけた開発されたものです。セントアンドリュース大学心理学部のアーリーネ・アステルArlene Astell講師(写真左下)は次のように述べています。
「パソコンがとても身近になり、これを使う特別な訓練や経験がなくてもよく、マウスやキーボードも必要なくなりました。スクリーンに触れるだけでよいのです。もっとも多いタイプの認知症では、新しいことを覚えるのが難しく、こうしたパソコンが使えるようにしました。このシステムにはかなりの数の切り抜き、画像、映像が含まれており、だれでも利用できます。オックスフォードシャイアーの介護施設にいるあるグラスゴー出身者を知っていますが、彼は、鳩が映っているトラファルガー広場の写真を見たところ、フィリッピンからの来た介護職に家で鳩を飼っていたことを話し始めました。さらにどのようにセキセイインコを飼ったか、その一羽が籠を開けて歩いたことも話しました。これらはその一枚の写真から派生した話なのです。そのほか20人の人がそうした写真を見て、異なる思い出を語りました。私たちの研究によって、一般的な内容の方が人の記憶をより刺激することがわかりました。特別な場所で決まった年の撮った家族の写真は何が正しいか決まった個人的な内容であり、もし認知症の人がその記憶を詳しく思いだせなければ、本人も家族も困惑することになります。正しい答のない一般的なものでは、各人が自分の方法で語ることができるのです」
このシステムは既に一部の介護施設に貸し出されており、アステル講師らはほかの施設でも使われることを希望しています。
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのアンデュルー・チドゲイAndrew Chidgeyは次のように述べています。
「回想法は認知症の人を自身を持たせる強力な方法です。このシステムはコミュニケーションを促す多くの方法の一つで予期しないほどの鮮明に過去を思い出すことがあります。記憶を呼び覚ますための写真、音楽、映像などを使ったマルチメディアはこうした技術を使うことで行えます。65歳以上の3人に1人はいずれは認知症をもちながら亡くなります。私たちはこうした状況のなかでよりよく生きることができるあらゆる方法を模索することが重要です」
ロンドンにあるホーソングリーンHawthorn Green介護施設で生活するケンの介護職セセリア・オウスCecelia Owusuは、次のように述べています。
「このシステムを使うことでスタッフの経験も豊かになりました。施設での生活は日課に従っていますが、CIRCAはケンとの新たな関係を付け加えました。私が知らないこと―蒸気機関車、昔の映画、これまでの優れたスポーツ選手など―についてよく教えてくれます」
BBC 4 April 2010 Technology is helping unlock Ken's dementia memories
編者:認知症ケアで回想法がよく知られているわが国では、この記事の内容はとりわけ新しいくもなく知らない話題ではないと思う。ただし記憶を呼び覚ますのに個人的な材料より一般的な材料の方が有効だとする見解は興味ある。

アルツハイマー病の診断後ただちにコリンエステラーゼ阻害剤が処方されるわけではない(3月29日/アメリカ)
ディシジョンリソーシズDecision Resources社の新しい報告書によると、アルツハイマー病と診断されても認知機能の低下に対してではなく併発するうつ状態に有効と医師は知っているのでこれが最初に処方されることが多い。
もっぱら製薬会社や医療問題について調査し提言する世界的な企業のディシジョンリソーシズ社の報告書では、医師が診た新たにアルツハイマー病と診断された人の約70%が軽度から中程度ですが、コリンエステラーゼ阻害剤を最初から処方する医師は52.2%、最初から抗うつ剤を処方する医師は28.1%でした。報告書は「アルツハイマー病治療のアルゴリズムTreatment Algorithms in Alzheimer's Disease」と題するもので、単一治療薬剤として患者の65.8%に抗うつ剤が処方されていると報告書では指摘しています。
第一選択として抗うつ剤が使われる理由は、プライマリーケア医によるものです。調査したプライマリーケア医師の45%が単一治療薬剤として抗うつ剤を使うが、神経科医では27%でした。
デシジョンリソーシズ社のアナリストであるマティウ・ウイントンMatthew Winton氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病の第一選択として抗うつ剤を処方することは、アルツハイマー病とうつ状態の併発が高いことが強調されているだけでなく、さらに重要こととして医師と患者が診断されたアルツハイマー病の人のうつ状態を治療することを優先していることを意味してということです。認知機能の低下ではなくうつ状態に対して治療に効果があると医師が認めているのです」
また報告書は、アルツハイマー病の診断と治療開始との期間が比較的長いことも指摘しています。患者レベルの苦情として、患者の34.9%が最初にアルツハイマー病と診断を受けて1年以内に治療を開始していることです。新たに診断されたアルツハイマー病の人へのゆっくりした治療開始の理由として、患者自身の気が進まないことによる可能性もあります。
PRNewswire March 29,2010 Many Newly Diagnosed Alzheimer's Disease Patients Do Not Receive Alzheimer's Drugs As First-Line Therapy
編者:報告書が入手できなく、記事の紹介のみとした。それにしてもアメリカの医師の処方行動はわが国とかなり違うようだ。日本では速やかにアリセプトを処方するだろうし、疑わしものまで処方しているようだ。もっと、アルツハイマー病の初期をうつ状態を誤診してうつ剤を服用していたという話は家族からよく聞く。

庭と葡萄酒のオブジェは認知症の恐怖を和らげる(3月29日/オーストラリア)
庭や古い型の物ほしで認知症の人が穏やかになることを気づきました。そこで、多くのナーシングホームでは、現在、昔風の物を取り入ることで長く失われた幸せの時と呼び覚ますように刺激しようとしています。
認知症は、人口が高齢化にしたがい、重く高価な課題として現れてきています。バパオーストラリアBupa Australiaのヘルスグループによると、現在、ナーシングホームでは連邦政府から補助の20%多く職員や経費が必要となっています。
しばしば問題を起こす認知症の入居者の生活を向上させるための取り組みとしてバパは「認知症ガーデン」を取り入れ、1950から60年にかけての家具などをホームに備え、入居者に自分の若い頃扱ったことのある親しみある品々を提供しています。
昔の物としては、キッチンのラミネート製のテーブル、横に開くトースターなどです。子供の頃よく使った木製の洗濯バサミもあります。男性みは修理用の道具小屋やバーベキューなどで、庭では植物を掘り起こしたり植え治したりできます。
バパグループの看護部長であるメールアリアン・カリーMaryann Curry氏は、「昔の親しみのある物を提供することで利用者が落ち着きている」と話しています。バパは、興奮したり攻撃的になる人にこうした試みがどのように効果があるか調べました。
カリー氏は次のように述べています。
「観察したところ、楽しい経験では1分から2分間続き、その幸福さは別の新たな感覚が入って重複するまでしばらく残ります。表情が本当に変わるのです。その瞬間の喜んだ顔にみることはとても多い。バーベキューのとき、かれらはその瞬間には心地よいのですが、歩いて離れるとそのことを忘れてはいますが、心地よい感覚は残っています」
バパの調査によれば、高齢者介護を受けている人の50%以上は何らかの程度の認知症があり、公的な診断を受けてない人を含めるともっと多い。いわゆる「重い問題の行動」とは、親しい人や身近な物が分からず、落ち着きがなく、興奮するといったことを含めますが、これが頻繁にあり、時間をかけなければらない見守りのために政府が認めた助成の規定以上の職員数を置いています。
ナーシングホームでは、認知症がなく特別な介護が必要でない入居者に支払われる約29.70オーストラリアドル(編者:1日の額?)の助成と同じレベルしか受け取れません。このためバパは政府に助成の増額を要求しています。
smh.com.au March 29, 2010 Gardens and vintage objects help soothe dementia fears
編者:わが国のグループホームではなかば常識となっている回想法的ケアの導入例だ。

絶望に立ち向かう:アルツハイマー病支援グループの支えで(3月/アメリカ)
寄稿:個々の人に親しく個別に応じる (テッド・コメットTed Comet,写真左上)
「私は自分の正気を守り、孤独と絶望に立ち向かいます。支援グループは、私の痛み、失ったこと、怒りをおおっぴらに表わし、有意義な指摘と方向を得ることができる唯一の場です」
これは、アルツハイマー病配偶者の介護者支援グループのメンバーが毎週の集いから得ていることを生き生きと言い表しています。またこれは、配偶者である介護者として私たちの状況の自暴自棄的状況とアルツハイマー病協会ニューヨーク支部Alzheimer’s Association, New York City Chapterが提供する大いに価値ある癒しの経験との両方をうまく言い伝えています。
こうした集いが有益なものにするのは何でしょうか。まず挙げることは、友人がいかに同情的であっても、日に日に衰えてゆく配偶者の姿―活発な人から何もできなくなる、良きパートナーかららせん状に落ちて子供のように依存的になる―を見ることの恐ろしさのすべてを把握することは友人にはできないということを知ることです。それは結婚の死であり、悲しみをともにできないという死なのです。
支援グループは、介護者の痛みによって結ばれた家族のようになります。グループの詩的なメンバーは私たちを「ひと束の精神的挫折者」と表現しました。安心し理解あるなかで、私たちは悲しみ、驚き、困ったこと、欲求不満を容易に共有します。私にとって泣くことができる唯一の場なのです。
しかし、グループには感情を出したり慰められたりすることを超えたものがあります。私たちメンバーはそれぞれ異なった段階にいます。私は、妻を10年間、介護してグループなかではベテランの一人です。そのことによる共有する助言があり、新しいメンバーには具体的な助言も将来への見通しも話します。
支援グループをなにか特別なものにするものは、それがもっぱら介護者に向けたものであって、病む配偶者に向けたものではないことです。私たちは自分自身をケアしなければなりません、自分のためだけでなく、ますます増してくる配偶者の複雑なニーズに対応できるような状態にしなければなりません。これはとても重要なことです。2年間の支援グループのおかげで私は介護者を雇うことにしました。これは私の人生の大きな変化でした。
私の経験が価値あると言える最大の要因は、支援グループのシャロン・ショウSharon Shawさんという卓越したリーダーの専門的な技量です。彼女の力量、感受性、介入すべき時と話しを聞き出す方法を知る能力は本当に驚くべきものです。彼女は尊敬されもし愛されもしています。
最後に、アルツハイマー病の人のための研究やービスに限らず活動し、かつ介護者をケアしなければならないことをようく認識しているアルツハイマー病協会に私たちの支援グループの深い感謝の気持ちを伝えたいのです。伝統的な言い方では「生活を守ることは世界を守ること」ですが、これに私は「生活の質を守ることは世界の質を守ること」を追加したいと思います。
寄稿:娘の介護物語 (アミィー・リーの娘Amy Lee,写真左下 Daughter)
数年前までは私にとってアルツハイマー病は、心の中にまったくなかったものです。ニュースで話を聞くことはありましたが別世界の話で、個人的にも何も繋がりはありませんでした。
それが、2007年1月に突然変わったのです。私の父が中国から電話をかけてこちらに行きたいと言うのです。中国でアルツハイマー病のいくつかの検査は受けていましたが、父は恐れや不確かさのなかで何をしてよいかわかりませんでした。結局、ニューヨークに来て一番年下の娘の私と暮らすことを決めたのです。
私は父を迷路のような認知面と身体面の検査を受け、2007年3月にアルツハイマー病と診断されました。私は経済的にも精神的にも準備ができておらず、父の病気にどう対処してよいかわかりませんでした。父も同じでした。尊敬する父が、言葉に迷い自分のことを十分できなくなることを見るととても気持ちが動転しました。
私は働かなければならず、ニューヨークに助けてくれる友人も親族もいませんでした。父は、これといった日常活動がなく、一人で居ることが多く、気持ちが落ち込み孤独でした。週毎にますます悪くなり、食欲が低下し、体重も明らかに減りました。ベッドから出るのを嫌がったりして、見るからに衰えているように思いました。これにどうしたらよいかの対策もありませんでした。買い物や料理のために父をいつも一緒に家にいることはできませんでした
医師に聞たり、図書館はネットでアルツハイマー病について徹底的に調べたところ、アルツハイマー病協会ニューヨーク支部が最も優れていることを知りました。でも、すぐにコンタクトをとるのに躊躇しました。助けを求めるには忙しいすぎ疲れていましたのです。
最終的に、ある夜、やけになってアルツハイマー病協会支部にメールを送りました。多くの顔が見えない、あちこちに回される団体と違い、次の朝、すばらしいソーシャルワーカーのマット・クディシュMatt Kudishさんと話すことができました。マットさんは、私たちのひどい状況を的確に理解していました。1週間以内に、支部は私の父に二つのさやかだがとても役立つ給付を提供してくれました。ひとつは、父が引き続き薬を服用できることでメディケイドに加入するまで中断することなく続けられることでした。もうひとつは、父が1週に24時間以内の介護を施設で利用できるレスパイトケアの給付でした。これは家族に休養とリフレッシュを可能にしました。
こうした経過のなかでお役所仕事的なことはまったくありませんでした。マットさんとは常に相談でき、とても思いやりがあり、どんな場合でも常に安らぎを支えを提供してくれました。
アルツハイマー病協会ニューヨーク支部は、とびぬけて一連の多くの資源を持っています。マットさんを通して、私は支援グループに参加し、とても実用的で役立つセミナー(認知症の理解、経済的法的な計画、メディケイドの在宅ケア)に出席し、メディケイドを父が利用できなくなった時、法律相談所を紹介されました。
アルツハイマー病協会からの多くの支援によって私の家族は父を上手に支えることができています。現在、父はメディケイドの給付を受けデイケアに通い、在宅介護も受けています。父はとても幸せで持続的な精神的肉体的な活動をしています。
ごく最近、父はボストンでの孫娘ステファニーの結婚式に出席し、弟のダビッドとカナダを旅行しました。私の姉のウエンディはイリノイ州からよく来ています。シカゴで姉は地元のアルツハイマー病協会支部からよく支援を得ています。
アルツハイマー病協会は、とても事態が悪くなる重大な時に私たちを助けてくれました。そして父は自分の状態にあわせてうまく過ごし、家族や友人はみんな適切かつ優しく父を支えることができています。
Alzheimer’s Association New York City Chapter Spring 2010 Newsletter First Person Countering Despair: The Impact of Alzheimer’s Support Groups — Meet Some Very Special People up Close and PersonalおよびA Daughter’s Tale: A Story of Caring
編者:アメリカのアルツハイマー病協会の支部が具体的に介護家族をどう支えているかよく理解できる寄稿文だ。わが国の家族の会はどうだろうか。

簡便な認知機能自己テスト(3月25日/アメリカ)
オハイオ州立大学医学部Ohio State University Medical Centerの神経学科のダグラス・シャーレDouglas Scharre医師(写真)らの研究グループは、一人でも15分以内でできる簡便な認知機能自己テストSelf-Administered Gerocognitive Examination (SAGE)を開発し、その研究論文が医学雑誌Alzheimer Disease and Associated Disordersの2010年1月/3月号に掲載されました。
研究グループは、59歳の以上の254人について検査を行い、そのうち無作為に選んだ63人については詳しい神経学的検査を行いました。その結果、特異性は95%、感受性は79%で、言い換えると、軽度の思考や記憶の障害を持った人ではそのうち79%がテストで見つかり、認知機能が正常なひとでは95%の人がテストで正常と判定されました。これは汎用されているMMSEと比べても劣らず、軽度認知障害と正常の区別についてはむしろ優れていました。
シャーレ医師は次のように述べています。
「多忙な医師が診察室で他のテストより短時間で終え、患者が待合室で行うこともできます。初期に診断のために受診することは本人も家族も躊躇します。もっとも恐れている診断を受けたいとは思わないからです。しかし、現在使っている薬は早期に始めるとよりよい経過になるので残念なことです」
テスト用紙と説明書は無料でSAGE testから無料でダウンロードできます。
Ohio State University Medical Center 3/25/2010  OSU Researchers Design Self-Test for Memory Disorders および論文Self-administered Gerocognitive Examination (SAGE): A Brief Cognitive Assessment Instrument for Mild Cognitive Impairment (MCI) and Early Dementia

★医療制度改革に伴う認知症関係の改革を歓迎―アメリカアルツハイマー病財団―(3月23日/アメリカ)
アメリカアルツハイマー病財団Alzheimer's Foundation of America (AFA)は、本日オバマ大統領によって署名された医療改革法について以下のような声明を発表しました。
「財団は、上下院を通過し、今朝、オバマ大統領が著名した歴史的な医療改革が、私たちに有意義な多くの改革を含んでおり、アルツハイマー病など認知症の人と介護家族の生活に質を改善する前兆となることを喜んでいます。人々が日々、直面している具体系かつ経済的な要望を多く取り上げ、予防的なことにまでふれ、また認知症介護の専門職の研修を支持していることに感謝し、以下のようにあらたに取り入れられる有意義な給付を強く擁護します」
○ メディケアの給付のための毎年行う健康診査に認知障害の発見を含めることになること。
○ メディケアとメディケイドで年間750億ドルを受給している1600か所近いナーシングホームの介護の質に関する情報を家族が得やすくし、よりよい介護のための職員研修を確実に行うこと。
○ メディケアの給付に関して在宅を中心とした連携あるケアを提供すること。
○ 地域や施設での虐待や無視に関する調査のネットワークを強化し、介護オンブズマンや州政府の監視員の研修を改善して無視や虐待の報告を求めること。
○ 介護施設の事情を調べるなかに以前の犯罪や虐待に関して職員を調査することになり、家族が施設の安全性について確認すること。
○ 地域生活支援サービス法(Community Living Assistance Services and Supports Act)
により、地域で生活し参加するために障害者にもっと選択と機会を提供するように必要な給付を提供すること。
○ 3年間、助成することで介護職に新しい研修の機会を提供すること。
○ 医療専門学校や介護家族に老年医学、慢性疾患の介護管理、介護研修を支援し、老年医学の教育課程を向上し、上級実践看護師、臨床ソーシャルワーカー、薬剤師、心理学者に老年医学の奨学金を拡大し、老年看護における上級教育看護学位のための研修生制度を確立するための老年医学教育センターを助成すること。
○ 臨床試験は個人が臨床試験に参加するかどうかを選ぶものであり、生命を脅かすような疾患の治療のための臨床試験に登録することで通常の介護給付を禁止しないこと。
○ 以前からある疾患、健康状態、性別に基づいて給付を差別したり拒否する保険会社の行為は終わらせること。
○ 予防的なメディケアの給付に関する自己負担を廃止すること。
PRNewswire-USNewswire  March 23,2010 Alzheimer's Foundation of America Hails Significant Provisions for Dementia Community in Health Reform Law
編者:オバマ大統領が署名した画期的といわれる医療保険改革の詳細は知らないが、AFAがこの改革を歓迎した記事が紹介する。医療保険改革に関連した法律も編者はよく知らないので、わかりずらい不完全な翻訳となった。いずれにせよオバマの医療保険改革がアメリカの認知症の医療、介護にもよい影響を及ぼすことになるらしい。22日のアルツハイマー病協会の見解の方がわかりやすい。

医療制度改革でアルツハイマー病の人に必要なこと―アルツハイマー病協会―(3月22日/アメリカ)
アルツハイマー病に関して主導的な立場でケア、研究、擁護の活動を行っているアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、アルツハイマー病が増加する社会における医療を指向したこの度の医療制度改革によって有意義な制度が含まれていることで議会を高く評価します。医療改革すべての支持しているわけではありませんが、協会は、検討されている法案がこの国の500万人以上のアルツハイマー病の人の問題に対して重要な給付が確実に含まれるように運動してきました。いくつかの新たな制度によって、アルツハイマー病など認知症の人や介護者に実質的な給付が行われることになるでしょう。
アルツハイマー病協会の社会政策擁護部副部長のロバート・エッゲRobert Egge氏は次のように述べています。
「医療改革法制定は、アルツハイマー病の関係する人たちにとても有益なものとなるでしょう。特に、ケア連携、移行期ケアおよび長期介護の促進を通して医療提供が改善されることをうれしく思います」
ほとんどのアルツハイマー病の人は、冠疾患、心疾患、糖尿病のような複数の慢性疾患の管理し、一つや二つの重篤な疾患を持っています。このためケアの連携は重要です。認知障害によってこうした疾患管理は複雑になり、アルツハイマー病のない人より入院が多く、入院期間が長く、医療費も高くなります。事実、メディケアはアルツハイマー病のない人より3倍、メディケイドでは9倍高くなっています。
医療改革法は、以下のように状況を変えようとしています。
○ アルツハイマー病の家族は、CLASS(Community Living Assistance Services and Supports)として知られる国民の自発的な保険制度の創設によって助かるでしょう。その制度は、レスパイトケア、在宅介護、移送といった長期介護サービスのための給付を行います。新しい保険制度がアルツハイマー病の人を助け、自分の家や地域でできるだけ長く自立した生活ができるようになるでしょう。長期介護の問題を取り上げたり家族を支援することは重要な第1歩でしょう。
○ 先駆的センターInnovation Centerとして知られる新しい情報提供機関を創設することで、アルツハイマー病など認知症の人を含むメディケイドにおけるケアの協調を指導することになること。エッゲ氏は「ケアの協調は医療や介護の提供者間での効果的なコミュニケーションを保証し、必要なサービスを個人や家族を結びつける過程となります。先駆的センターは、新しいプログラムを指導し、どのような作業が認知症の人に相応しいのか確かめることになるでしょう」と話しています。
○ 認知障害のある人や再入院する人などリスクが高い高齢者への移行期ケアを提供する制度をメディケアが指導することになること。エッゲ氏は「アルツハイマー病などによる認知障害によってケアの移行や急性期後のケアの複雑さが増し、服薬の間違いや再入院のリスクを高めます。アルツハイマー病の家族は退院や急性期後の計画と管理―在宅治療の監視や支援も含むーに伴う援助を必要としている」と話しています。
アルツハイマー病協会は、65歳未満の若年期アルツハイマー病の人―民間の医療保険に加盟することが難しい―も対象となることを評価します。現在、若年期アルツハイマー病の人の29%近くは、医療保険がなく、家族へ重い経済的負担をかけています。医療保険改革は民間の医療保険を以前から疾患があっても利用できるようになるでしょう。また加盟についての保証や継続更新にも役立つでしょう。
エッゲ氏は「若年期アルツハイマー病の人が医療保険に簡単に加盟し継続することができる法律であることを知ってとてもうれしい」と話しています。
医療制度改革に含まれるこうしたさまざまな制度が、増加しているアルツハイマー病家族にとても有益であることを協会は喜んでします。しかし、家族、仕事、メディケア、メディケイドおよび国民全体への及ぼすアルツハイマー病危機を最終的に解決するためにはアルツハイマー病を予防し阻止し治癒させる効果的な治療を開発する研究への投資です。医療制度改革がこうした課題に応えるものではありませんが、治癒促進ネットワークCures Acceleration Networkと呼ばれる重要な取り組みは有意義です。これにかける5億ドルの研究は、アルツハイマー病など必要性の高い疾患の治療と治癒を開発することを目的とし、研究室の発見と実際の治療との溝に橋渡しすることを大切な役割としていいます。
Alzheimer’s Association Alzheimer News 03/22/10 Needs of Alzheimer population addressed in healthcare reform legislation
編者:AFAの声明より分かりやすいAAの見解だ。

退職計画の二つの障壁(3月19日/アメリカ)
退職の時に考えなければならないことは多い。税率、地震、薬の相互作用などだ。しかし、専門家に言わせると、多くの人が遅かれ早かれ直面しなければならないだろう二つの大きな象がいます。アルツハイマー病と減る貯蓄です。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、現在、おおよそ530万人の人がアルツハイマー病です。この病気は死因の第7位で、無給の介護者が約1000万人います。さらに悪いことに、めどが立たない病気なのです。アルツハイマー病は、2000年から2025年までに80%以上増えると予測され、2050年までに約1900万のアメリカ人がアルツハイマー病になるでしょう。
それぞれの家系をみると、それほど昔でなくてもこの病気の近くにいることを知ることになります。筆者の親族の場合でも、少なくとも3人のアルツハイマー病か認知症の人を知っています。すべて女性です。この病気は女性に多いのです。
この象に向かい合うには少なくともどのようにすべきでしょうか。
クリスクーパーカンパニーChris Cooper & Company, Inc.とエルダーケアアドボケイツElderCare Advocatesのクリス・クーパーChris Cooper会長(写真)は、アルツハイマー病協会オハイオ州委員会Ohio Council of the Alzheimer's Associationの前会長でもありましたが、次のように述べています。
「アルツハイマー病は退職の最大の泥棒です。ゆっくり進行し、身体的には健康でも精神的に劣るため身体ばかりが丈夫という状態になる。アメリカ人は60歳代後半から70歳代にかけてアルツハイマー病と診断されることが多いのですが、それより前のこともあります。多くのアメリカ人はこの病気のための計画は作れません。アルツハイマー病と診断されると、家族は情報を集め回り、いくつかのインチキ療法に関わるようになることが多い。
インチキ療法には3つの型があり、医学的、経済的、法的なものです。まず、効果が証明されていないで危険なこともある医療を求めるでしょう。また法的で経済的なやり方に関わることもあります。金を使い果たす恐れがあるとか、親のナーシングホームでの介護に政府が支払える唯一の方法だと称して騙されるかもしれません。また多くの場合、介護者が贈与計画を立てると、盗んだと非難されることがあります。アルツハイマー病は診断から死亡まで3年から20年という長い期間があるので、退職計画は困難です。自分の財産を扱い、自分のために決定し、介護を受託者することになる他人に頼ることになる可能性のある20年間の計画を立てなければならないのです。しかし、それは困難だからといってそれを避けることはすべきでありません。かわりに、立ち向かわねばなりません。寿命が長くなるにしたがい、こうしたことにますます多くの人が直面することになるのです」
MarketWatch March 19, 2010 Two major barriers to your retirement plansより)
編者:記事のうちアルツハイマー病に関する部分を翻訳、紹介した。社会保障が乏しいアメリカでの多くの平均的なアメリカ人の悩みだろう。社会保障が不完全な日本の私たちも無縁ではないと思う。

アルツハイマー病薬と期待されるバピネオズマブの臨床試験の結論は2012年に延びる(3月18日/アメリカ)
アルツハイマー病薬として最も期待される臨床試験が当初の予定より2年遅れることになりました。昨年、ジョンソンアンドジョンソンJohnson & Johnson(J&J)が、バピネオズマブbapineuzumabの計画をエラン社Elan Corpから買い取り、開発を受け継ぎました。J&Jのジャンセンアルツハイマー病免疫療法部Janssen Alzheimer Immunotherapy unitの臨床主任のエリック・ユエンEric Yuen氏は、「臨床試験への患者の登録が続いている」と述べています。以前、エランは、最初の18カ月の試験の登録は2008年末に締め切られ、今年、できるだけ早く結果を出すと話していました。ファイザー社Pfizer Inc.は、この治療を共同で開発しており独自の試験を進めています。
今回の遅れは、J&Jがなお患者を登録させているためです。ほかの3つの試験も登録者を集めています。ユエン氏は、「それぞれの試験は、最後の登録者が18カ月の試験を終える時には別々に結論が出るでることになろう」と語っています。
ロンドンのユービーエスUBSのアナリストのギラウメ・フアン・レンテルグヘムGuillaume van Renterghem氏は、次のように述べています。
「これは悪いニュースです。できるだけ早くデータが出ることを希望していました。エランが2007年に試験を始めたとき、全世界で130億ドルの売り上げがなると話していました。多分、もっと多いでしょう」このアナリストは、エラン株には中立的評価をしています。
またエランのスポークスマンのボブ・パーセルBob Purcell氏は次のように述べています。
「ダブリンを拠点とする会社はアルツハイマー病計画についてもうコメントできません。エランがJ&Jに売却したアルツハイマー病免疫療法計画の出資金の49.9%を保持しています」
ユエン氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病については過去最大の試験を行っています。これが完了したとき、バピネオズマブが臨床に及ぼす影響についてさまざまな理解ができる期待しています」
アルツハイマー病は、進行性の疾患で軽いもの忘れから始まり、記憶が失われ、自立して生活ができなくなります。ロンドンを拠点とする団体である国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease Internationalによると、全世界で3000万人の患者がおり、その数は2050年までに1億人を超すと予測されています。現在、使われている薬は症状を軽減するだけで、病気を治すものではありません。
ニューヨークを拠点とするフォレストラボラトリーズ社Forest Laboratories Inc.の2003年に承認されたナメンダNamenda以降、アルツハイマー病の新しい薬はありません。ブルームバーグBloombergの調べでは、12種類ほどの薬が臨床試験の中期から最終期で失敗しています。
昨年、ファイザーPfizerが買収したエランとワイスElan and Wyethは、2007年にバピネオズマブの第3期および最終の試験を始めました。会社は、できるだけ早く患者に薬を提供したいと中間試験の結果が得られる前の6カ月間の試験を始めました。
UBSのフアン・レンテルグヘム氏は「第2相の結果の前に試験を始めるなど会社はとても積極的でした」と述べています。
J&Jは、患者を2年半追跡するため301と302として知られる2つのアメリカでの重要な拡大試験を始めました。302の試験の主な部分はアルツハイマー病の遺伝的素質を持った人についてのもので、より多く登録させて脳の画像を扱う患者として追加されています。ユエン氏は次のように述べています。
「ファイザーのこの2つの試験は、アメリカ以外での試験管理者が登録の始まる前に以前の結果を調査することを要請したため進行が遅れています。世界中で4000人におよぶ4つの試験は、当初、北アメリカとその他の患者とを別々に観察するように計画されていました。しかし現在、ヨーロッパの患者は北アメリカの試験の登録され、わずかですがアメリカ人が他の試験に登録されています」
ダブリンのグッドボディストックブローカーズGoodbody Stockbrokersのアナリストの一人であるイアン・ハンターIan Hunter氏は次のように述べています。
「もし北アメリカの部分がより早く結論を出せるなら、アメリカ食品医薬品局U.S. Food and Drug Administrationに提出することができるように試験を分けて行うように計画しました。試験を混在しているので十分な患者を登録させるのが困難になっているかもしれません。アルツハイマー病に関してなんらかの発展を期待している患者や医師にとってこれは不幸なことですが、当然の成りゆきです」
フアン・レンテルグヘム氏は、「薬に可能性があるとは言い難い」と述べ、なりそうにもないが薬が世界中で販売されるようになると、年間の売り上げは80億ドルを推計しています。
さらに彼は次のように述べています。
「この薬が病気を変える効果を示すことができなければ死んだのも同然です。もし効果があり病気の進行をたとえ4年でも遅らせるなら、またアルツハイマー病の患者が治療にどれくらい費用をかけているかを知るなら、そうしたことは圧倒的ともいえることです。この質問に答えを見出すことが鍵なのです」
Bloomberg  March 18, 2010 Alzheimer Drug Test Result From J&J May Be Pushed Back to 2012
編者:アルツハイマー病薬としてもっとも期待され、もっとも早く承認されるかもしれないバピネオズマブが苦戦している。

安全のために認知症の人に深夜、軽食を用意(3月16日/アメリカ)
ニューヨークにあるパーカーユダヤインスティチュートParker Jewish Instituteでは、他の多くのナーシングホームと同様に、夜間、歩き回る認知症の人の問題をかかえていました。スタッフは認知症の人の転倒を心配していましたが、もっと抗精神病薬を使うことを望みはしませんでした。その薬が認知症の人を眠たくさせ転倒の危険が増えることを知っていたのです。ホームの42人の入居者のうち8人から10人が常に歩き回っていました。
2007年のある夜、資格のある看護補助者が、偶然、ある解決方法に気づきました。
彼女の上司でホームの管理者であるアルラ・ゴルドンAura Gordon氏は、シカゴで開催されているアメリカ加齢会議Aging in America conferenceでこのことを報告しました。
ある愛らしい認知症の人は、習慣として、午前2時頃ベッドから起き、新聞を取り、ホールの方に降ります。彼は「市場に行くため」の準備をしていました。それは彼が仕事をしていたときの習慣でした。その看護師は、彼が仕事に行くと思っているなら何か少し食べるべきと理解し、一切れのケーキ一と一杯のコーヒーを用意したところ、彼はケーキを食べコーヒーを飲んでからベッドに行って休みました。
こうして深夜の軽食を用意することがホームの一つのユニットで始まりました。2008年までに、夜間、歩き回る認知症の人のために軽食―ケーキ、サンドイッチ、クッキー、プリン、ジッロ、ジュース、コーヒー―を用意するようゴードン氏は依頼しました。ある認知症の女性は、ホームの食事には毒が入っていると言って食べなくてとても興奮していましたが、バナナを食べるとすぐ穏やかになったのをスタッフが知ったのでバナナも追加しました。なぜかその訳はスタッフにもわかりませんが、いつもバナナを用意しています。糖尿病の人には砂糖の入っていない軽食も用意しています。
ゴードン氏は次のように報告しました。
「認知症の人は時間がよくわからなくて、いつも起きて出かけようとする人がいます。彼らは混乱し、ときには暴力的になり、部屋に急いで戻されベッドに連れてゆかれます。軽食を用意するようになってから転倒や関連するけがは半分に減り、縟創も少なくなりました」
これは厳密に科学的な研究ではありませんが、この方法を始めたユニットでは認知症の人はいつもそれまで以上に穏やかになったのです。
National Public Radio(NPR) March 16, 2010 Midnight Munchies Keep Elderly Safer In NY Nursing Home
編者:こうしことは日本のグループホームなどでも取り組まれているはずだ。単に軽食が効果あったのではなく、こうした取り組みをしているスタッフの観察、理解、対応が効果の理由と考えたい。

香港人は認知症を誤解している(3月13日/香港)
香港人は、認知症の人についての知識に欠け、認知症の人の状態やニーズについて誤解していることが、新しい調査で認められました。
保健省Department of Healthと中国認知症研究会Chinese Dementia Research Associationの合同調査で、約760人の人に聞き取りをしました。そのうち半数以上の人が、家族の認知症になると軽蔑するだろうと回答しています。また40%近くの人が、認知症の人と付き合いたくないと、無駄な介護サービスの需要が増えるとしても、高齢者施設で生活すべきだと答えています。
多くの人は、認知症の人が記憶障害や認知機能が低下のほかに、気分、心理、行動の問題を持っていることを知りません。またそうした症状にどの対処するかも知りません。
家族高齢者局Family & Elderly Health Servicesの副局長のチャン・ワイマンChan Wai-man医師は、次のように述べています。
「人口の高齢化に伴い香港の認知症の有病率は増えると予測されています。政府統計局Census and Statistics Departmentは、香港の高齢者がこの20年間で90万人から200万人近くまで増えると予測しています。認知症の症状、治療、地域で利用できる資源についてもっと知ることは、早期の診断や治療につながるだけでなく、認知症の人や介護者の支援にもなります。」
チャン医師は、家族が認知症介護のために地域で利用できる支援サービス―たとえばデイケアセンター―について知り、また認知症の人の感情や行動の問題に対象する技術を身につけることで認知症高齢者との衝突や言い争いを最小限にするように勧めています。
さらにチャン医師は次のように述べています。
「家族が心理面で認知症に適応することでストレスによりよく管理し、自分自身の精神的健康の改善ひいては認知症の人の介護の質を高めることになります。保健省は、認知症に関する地域啓発や知識の向上に役立つ冊子、パンフレット、ビデオなどの保健教材を提供しています。高齢者保健訪問サービスVisiting Elderly Health Serviceのチームは、知識と技術を高めるために定期的に認知症に関する保健教育や研修を高齢者や介護者を対象に行っています。受容、コミュニケーション、そして安全と尊厳のために認知症の人を支えることは、すべての高齢者の残された人生をより豊かに、そして家族にとって悔いのないようにするために不可欠です」
.news.gov.hk March 13, 2010 HK people misunderstand dementia: survey
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アルツハイマー病に溺れる―マイノリティーの苦闘―(3月9日/アメリカ)
先に公表されたアメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの報告書2010 Alzheimer's Facts and Figuresによると、フランシスカ・テラザスFrancisca Terrazasさん(写真右)のようなマイノリティーは、アルツハイマー病の危険がとても高いのです。アフリカ系アメリカ人は約2倍、ヒスパニックは1.5倍アルツハイマー病など認知症のなりやすいのです。
マイノリティーの危険性が高い理由ははっきりしませんが、遺伝によるとは信じられていません。
アルツハイマー病協会の戦略事務主任のアンジェラ・ガイガーAngela Geiger氏は次のように述べています。
「この病気は、脳細胞が破壊されるにしたがい、誰をも荒廃させ、記憶や人格を奪いますが、マイノリティーのアルツハイマー病からは特別な挑戦を受けるのです。社会経済的な格差によって、医療へのアクセス、早期発見、高血圧や糖尿病などの疾患の適切な管理が阻害されるのです。アフリカ系アメリカ人らは、アルツハイマー病などの認知症であることを認識することが少ないので、生活に質にとって重大な影響を及ぼします」
スタンフォード大学医学部Stanford University School of Medicineの精神医学行動科学のドローレス・ガラガートンプソンDolores Gallagher-Thompson教授は次のように述べています。
「行動の変化やもの忘れといった症状を無視する家族は多い。彼らの文化により高齢者を尊敬するあまり、高齢者の欠陥を隠そうとすることによるのです」
報告書によると、薬がもっと効果的になり患者が計画を立てることができるようになったときでも、マイノリティーは早期の治療を受けたがらないかもしれません。診察室では、言葉の壁や複雑な医療制度を適切に選ぶことが困難さと思う人が多いのです。
フランシスカさんの娘のベアトリス・テラザスBeatriz Terrazasさん(写真左)は、家族のこうした側面を知っています。彼女の実母のほかに義母もアルツハイマー病です。ときどき、彼女はアルツハイマー病の溺れそうな気持になります。
義母は白人で教育をよく受けおり、経済的にも恵まれ民間の保険にも加入しており、現在、介護施設で生活しています。
実母は80歳で6年間の教育を受けただけで、メディケイドの給付を受け、テキサス州のエルパソで下の娘さんと生活しています。常に見守りが必要で、デイケアに行っており、メディケイドによるホームヘルパーの援助を受けています。誰も介護する人がいないと、フランシスカさんが代わりにみています。「母はあたかも生まれ変わった赤子のようんです」とベアトリスさんは語っています。
アルツハイマー病協会は、1100万人のアメリカ人が年間125億時間の無休の介護を家族にしていると推計しています。
ベアトリスさんは、テキサス州ダラスの近くに住んでおり、ときどき、母の第1介護者である妹を助けに行きます。彼女と兄弟姉妹は、母のアルツハイマー病について2007年に学習してからは同じ認識です。かれらは、母をナーシングホームに入れたくないのです。
ベアトリスさんは、自分のブログ”My Mother's Brain”に「私の家族はまだ心底、メキシコ人です。母をナーシングホームに入れることは、私の文化と家族の歴史の一部を放棄するようなものです」と書いています。
またベアトリスさんは「メキシコでは、大家族が近所で生活しています。家族内の高齢者が病気になると、家族全体―伯父、伯母、兄弟姉妹、従兄―が、懸命に病人を介護する」と話しています。
しかし、テラザスさんの大家族の人たちは、メキシコやアメリカに分散し住んでいます。このため在宅介護は大家族より個人的な責任で行われるのです。
文化的な信念にくわえ、テラザスさんの家族は高所得者向けの施設を利用できなくメディケイドの給付内容は彼ら希望を満たしていないと心配しています。
スタンフォード老年教育センターStanford Geriatric Education Centerの所長でもあるガラガートンプソン教授は次のように述べています。
「マイノリティーの家族は、しばしば在宅で高齢者を介護するのに子供として限界を感じることが多い。ナーシングホームやアシストリビングへ入れることへのとても強い文化的なタブーです。家族がすべてと考え方なのです。家族は家族を在宅に居なければならないのです。介護がいかに困難であってもです」
しかし、介護のストレスは大変なもので、多くの家族(サンドイッチ世代とも呼ばれる)はフルタイムで働きながら子供を育てます。
主にヒスパニック高齢者のためのエルパソにあるセンターのニューホリゾンデイケアNew Horizons Adult Day Careの所有者であるベッティ・マルケスBetty Marquez氏はデイケアに親を預けた家族の話として次のように述べています。
「かれらは裏切ったと感じています。母、父、両親の期待を裏切ったように感じます。しかし、かれらはとても満足しています。アルツハイマー病の人の介護を始めて昼間の時間を持てなかったのです。1日24時間、1週間7日の介護なのです。仕事をしながらの介護は不可能です」
フランシスカさんは、ときどき、ぼんやりと長女を眺め、彼女がだれと聞くのです。
ベアトリスは次のように述べています。
「神よ、私は、いつか、母に助言を尋ね、母がもはや覚えていない家族の歴史を共有し、笑い、泣くことができるようになるには何をしたらよいのでしょう。ときどき、母は何もない空中から何か思い出すでしょう。神経細胞の末端に火がつき、再び働くようになるでしょう」
CNN March 9, 2010 'Drowning in Alzheimer's': Minorities struggle with dementiaより)
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報告書「アルツハイマー病:事実と数値2010年版」公表(3月9日/アメリカ)
アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは3月9日、「2010年版アルツハイマー病:事実を数値2010Alzheimer's Facts and Figures」を公表しました。この報告書によると、アルツハイマー病の人は530万人、年間の費用は1720億ドル、死亡原因の第7位、1090万人の無給の介護者がいることのほか、アフリカ系アメリカ人は白人とくらべアルツハイマー病になる危険性が約2倍高く、ヒスパニックは1.5倍高い。その原因として遺伝的な影響ではなく、高血圧、糖尿病などの健康状態や、白人とくらべ診断を受けることが少ないことが考えられています。また2000年から2006年の間、アルツハイマー病による死亡は46.1%増加しおり、その他の疾患による死亡が減少しているのと大きな違いであり、今後、アルツハイマー病へのさまざまな投資が必要としています。なお報告書は、全国および州ことの有病率、死亡率、費用、介護について推計値を示しています。
Alzheimer’s Association 2010年3月9日 ニュースAlzheimer's Facts and Figuresより)
報告書:2010 Alzheimer's Disease Facts and Figures (pdf1.5M)

アルツハイマー病の新しい仮説(3月8日/アメリカ)
アルツハイマー病の長い間の支配的な説では、神経が正しく働かないようにする機能のないごみであるとするものでした。その物質は、ベータアミロイドと呼ばれる蛋白で神経間のシグナルを壊す強固な斑に溜まります。それによって人は記憶を失い、性格が変わり、友人や家族がわからなくなるというのです。
しかし最近、ハーバード大学の研究者は、その蛋白が予期しなかった機能を持っていることを示唆しています。細菌などの微生物が侵入することから脳を正常に守る一部かもしれないというのです。最近、PLoS Oneに発表されたこの発見は興味深いと言う研究者もいますが、アルツハイマー病の予防や治療の新しい方向につながるかどうかははっきりしません。
この新説は、ハーバード大学医学部Harvard Medical Schoolの研究室で、2007年の夏の金曜日の夕方遅くに生まれました。主任研究者のルドルフ・タンジRudolph E. Tanzi医師は神経学の教授であり、マサチューセッツ総合病院Massachusetts General Hospitalの遺伝と加齢部門の部長ですが、アルツハイマー病に関係すると思われる一群の遺伝子を観察していました。
彼が驚いたことに、アルツハイマー病に関係する多くの遺伝子は、感染と闘う身体の一群の蛋白からなる免疫機構に関係する遺伝子とよく似ていることに気づいたのです。脳を守る血管脳関門を抗体が通過できないので、この仕組みは脳にはとくに重要で、脳が感染したとき、脳は防御する免疫機構に頼ります。
その日の夕方、研究室での週末ビールの時間の後、タンジ医師は若い研究者のロバート・モアールRobert D. Moir氏の部屋に入り、「何か見える」と話すとモアール医師は彼の方を向いて、「うん、これを見ています」と返事しました。彼は、集計表をタンジ医師に渡しましたが、それはベータアミロイドが良く知られた免疫機構であるLL37と比較した表でした。二つは不思議なほど似ていました。
二つの蛋白は構造が似ており、ベータアミロイドのようにLL37も凝固して固い小さなボールになる傾向があります。
ネズミなどの齧歯動物ではLL37に該当する物質が脳の感染を防御する働きがあります。LL37のレベルが低い人では重篤な感染症になる危険性が高まり、アテローム性動脈硬化の斑が増え血液の流れを阻害する動脈硬化が多くなります。
このことから科学者は、LL37に似たベータアミロイドも微生物を殺す働きがあると考えるのが自然でしょうないでしょう。ベータアミロイドはLL37が殺すと知られるリステリア菌、ぶどう球菌、シュードモナス菌などの微生物とについても同じであるとみなされます。
タンジ医師は「何年もこの研究を行ってきたので正確に分析してきました。ベータアミロイドはLL37と同等か、場合によってはそれ以上の力がありました」と述べています。
研究者は、髄膜炎の主な原因である真菌の一種のカンジダ・アルビカンスを、アルツハイマー病で死亡した人と死亡したとき認知症ではない人との、それぞれの海馬の脳組織に接触させました。
アルツハイマー病の人の脳組織は認知症のない人の脳組織より24%細菌を死滅させる活性がありました。またベータアミロイドを阻止する抗体を初めて投与された人の脳組織では、真菌を殺すことでは認知症のない人の脳組織よりよい結果はでませんでした。
また免疫機構は、脳外傷、脳血管障害また脳の血流を低下させる動脈硬化によっても同様に変化します。また免疫機構は炎症によっても刺激され、アルツハイマー病の人は脳に炎症が起っていることはよく知られていますが、ベータアミロイドの蓄積が炎症の原因なのか結果かははっきりしませんでした。
さらにタンジ医師は、「多分、ベータアミロイドのレベルは免疫機構の反応に結果として上昇します。既に知られた感染症に対する脳の反応のひとつでしょう」と述べています。
しかし、アルツハイマー病が感染症に対する脳の過剰反応によって生じたとみてよいのでしょうか?
タンジ医師は「ベータアミロイドは通常より多くなる外傷や炎症や遺伝子への反応に伴って生じる可能性があると思う」と述べています。
しかし、「ベータアミロイド免疫機構仮説」の論文は十分ではないと言う研究者もいます。
ニューヨークプレスビテリアン/ワイルコーネルNewYork-Presbyterian/Weill Cornell 病院の記憶障害科のノーマン・レルキンNorman Relkin部長は「その説は問題なく魅力的だが、証拠が少し弱い」と述べています。
また、バージニア大学医学部University of Virginia School of Medicineの部長で副学長でありアルツハイマー病研究者のステーブン・デコスキーSteven T. DeKosky医師は「科学者は、アルツハイマー病と感染を結びつける証拠を長く探し求めてきたが、これませで成果はなかった」と指摘しています。
ベータアミロイドが免疫機構の一部とするタンジ医師が正しいとすれば、脳から蛋白を取り除こうとする治療について疑問が生じることになります。
これについてタンジ氏は「ベータアミロイドを大きなハンマーで壊さそうと思わないことです。必要なことは脳にとって、血中の脂質を下げるスタチンと同じような物質が必要だということです。実際、少なくすることはできても無くすことはできない」と述べています。(タンジ医師は、プラナバイトテクノロジーPrana Biotechnologyとニュロジェネティク製薬Neurogenetic Pharmaceuticalの二つの会社の共同創設者で、この会社でベータアミロイドを少なくする実験を行っている)
レルキン医師は次のように述べています。
「ベータアミロイドが免疫機構の一部ではないとしても、脳にできた斑という固いボールと共にそれをすべて取ってしまうのはよい考えではないでしょう。かって科学者は、班は病的なものと思っていました。現在は、ゲティスバーグの戦場で砲弾を掘り起こすことのように斑を取り除こくこととみなしています。その場所に砲弾が多ければおおいほど戦いが激しかっことを示しているのです。しかし、砲弾を掘り起こしたからといって砲弾の成果を変えることはできません。多くの人は脳から斑を取り除くことが究極の目的であるとは信じていません」
しかし、この発見と関係ない科学者は驚いています。カリフォルニア大学サンディエゴ校University of California San Diegoの実験神経病理研究所のエリーザー・マスリアEliezer Masliah医師は「この発見はアルツハイマー病の考えを変えます。ベータアミロイドに可能性があることを考えい」と述べています。
さらにマスリア医師は、アミロイドベータの塊が同じ仕組みで脳細胞と細菌を殺すかもしれないとする考えに興味をそそられ、タンジ医師がのちに正しいとされるアルツハイマー病の予想外の説にたどり着く実績を持っていると指摘し、「彼が何か重要なことに到達していると思う」と述べています。
(New York Times  March 8, 2010 Infection Defense May Spur Alzheimer’sより)
原著論文:The Alzheimer's Disease-Associated Amyloid β-Protein Is an Antimicrobial Peptide
編者:画期的な仮説だ。編者は原著を批判的に読む力量はないが、NYTの解説記事は強い興味を持つ。これまでのアミロイド説とは全く逆の発想になるが、以前、アルツハイマー病の免疫療法の臨床試験で脳炎が発症したこと、抗炎剤がアルツハイマー病の予防に有とする研究結果、高血圧、糖尿病、高脂血症、頭部外傷がアルツハイマー病の危険因子とする報告などの解釈に有効と思われる。さらにアミロイド仮説に基づく治療薬の開発は「ベータアミロイド免疫機構仮説」によると危険な治療となるのか。影響の大きい仮説なのでネット上の学術誌のPLoS Oneに発表されたのかもしれない。

行方不明のアルツハイマー病の姉を探しています(3月7日/マレーシア)
マレーシアのクアラルンプール近郊に住む65歳の女性の方が、今月5日に行方不明になった姉を探しています。5日、レギーナ・ダスさん(76歳)はアルツハイマー病ですが、妹のバーバラ・ダスさんの夫であるリチャード・リム(66歳)さんに連れられてケバンサーンマレーシア大学病院Universiti Kebang-saan Malaysia Hos-pitalの眼科に行きました。リムさんが診察室に呼ばれたとき、レギーナさんはトイレに立ちました。午後1時半、リムさんが予約を取り終えたとき、レギーナさんの姿がなく探しましたが、見つかりませんでした。
バーバラさんは次のように述べています。
「午後5時半、夫は病院のなかにある警察巡回所で報告書を提出しました。姉は自分を確認するものは何も持っていません。ミネラルウオータ―のビンと傘の入ったプラスチック製のバッグを持ち歩いています。姉は最近のことは忘れるので私たちの電話番号を覚えてはいません」
レギーナさんは、身長約150センチ、短い白髪で、当日は、黒のズボンに黄色と青のブラウスを着ていました。レギーナさんを見かけた方は、バーバラさん(電話:017-3286722)、かニコラスさん(019-3598060)または警察巡回所(03-91455999.)まで連絡ください。
asiaone Mar 07, 2010 Woman looking for her missing sister
マレーシアに関するサイト内記事:記事1 記事2
編者:当たり前だろうが、マレーシアでも行方不明になる認知症の人がいる。どのような対策が取られているのだろうか。

2020年までに認知症の人は4万5000人(3月4日/シンガポール)
シンガポールのカウ・ブーン・ワンKhaw Boon Wan保健大臣(写真)は、2020年までに認知症の人は2倍の4万5000人になるとの推計を公にました。
現在、シンガポールでは認知症の人は約2万人で、65歳以上の高齢者の5.7%を占めていますが、この割合は、オーストラリアの6.5%、北アメリカの6.9%、日本の8.5%と比べて少ない。
3日の国会で議員の質問に対してカウ大臣が次のように答えました。
「認知症は通常の加齢によるものではなく、血管性認知症、アルツハイマー病が主な原因です。血管性認知症の危険因子は、脳血管障害や心疾患と同じです。今後の問題には多面的に取り組まなければなりません。若い時期から健康的な生活様式を進めることによる予防、認知症ケアを一層受けやすくすること、地域の強化、介護者への休息サービス、需要に応えるサービスと施設の保障などです。保健省Health Ministryは、ナーシングホームのベッドの増加、研修を受けた予備の医療専門職の活用、老年医学研修の改善、専門職に準ずる資格のある者の導入に取り組みます」
Straits times  Mar 4, 2010版 45,000 dementia cases by 2020より)
編者注:CIAのWorld Factbook によると、2009 年のシンガポールの人口は約470万人、高齢化率は8.9%)

アルツハイマー病の新薬と期待されたディメボンの有効性、確認できず(3月3日/アメリカ)
メディベイション社Medivation Incは、アルツハイマー病の新薬と期待されたディメボンDimebon (商品名latrepirdine)の第3相の最終臨床試験で、有効性を確認できなかったと3月3日に発表しました。
南北アメリカとヨーロッパの63か所で軽度から中程度のアルツハイマー病の人598人(平均年齢74歳)に6ヶ月間行った無作為対照臨床試験(20mgを1日3回、5mgを1日3回および偽薬の3つのグループに分ける)で記憶、思考、行動、日常生活機能、全般的機能の評価において3つのグループに有意な改善が認められませんでした。
メディベイション社の最高責任者のダビット・ハンDavid Hung(写真)は、「この研究で何が起きたのか分かりません。今回のデータについて共同開発したファイザーPfizerと分析を行っている」と述べています。
第3相の試験は、すべてロシアで小規模に行われ有効性が確認された第2相と同じ方法で行われました。この薬は、1980年代初めにロシアで抗ヒスタミン剤として使われていたもので、細胞内のミトコンドリアの維持、活性化の作用があり脳細胞に重要なのエネルギーを提供する働きがあるとされています。
関連サイト:ディメボンの公式サイトwww.dimebontrials.com
Wall Street Journal MARCH 3, 2010版 Alzheimer's Drug Falls Shortおよびメディベイション社のニュースPfizer And Medivation Announce Results From Two Phase 3 Studies In Dimebon (latrepirdine*) Alzheimer's Disease Clinical Development Programより)
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関連記事:Dimebon Disappoints: Is There Hope for Novel Alzheimer's Agent? medscape March 12, 2010
編者:アミロイド説とは異なるが作用機序がはっきりしないアルツハイマー病新薬の候補がまた一つ消えそうだ。

76歳の認知症の人が行方不明(2月27日/ニュージーランド)
ニュージーランドのクライストチャーチに住むエディ・モリソンEddie Morrison氏が自宅から行方不明になりました。モリソン氏は76歳で、認知症があります。警察によると、モリソン氏は身体的には健康で、市内のリッチモンドの自分の家から市内のどこにでも歩いてゆけます。以前、モリソン氏は市内にある昔の住所に向かったことがあります。服装はグレーのTシャツとグレーのズボンをはいており、メガネもかけています。クライストチャーチのコミュニケーションセンターは目撃情報を求めています。電話番号は3637400。
Newstalk ZB 27/02/2010  76-year-old man missing in Christchurch
関連情報:ニュージーランド・アルツハイマー病協会Alzheimers New Zealand2007年発行冊子Wandering(pdf140K)
編者:あたりまえだろうが、ニュージーランドでも認知症の人の行方不明が起こっている。この国ではどのような対策がとれているのだろうか。上記の冊子では、家から出て行ってしまったら、落ちつくこと、家に周囲を探すこと、写真を添えて警察に連絡すること、連絡用に誰か家に居てもらうこと、タクシー会社に連絡することなどが勧められている。特別な早期発見のネットワーク体制はないようだ。

国家アルツハイマー病プロジェクト法案を議会に提出(2月26日/アメリカ)
アメリカ議会の両院両党によるアルツハイマー病作業部会Bipartisan, Bicameral Task Force on Alzheimer's Diseaseの共同議長である民主党エドワード・マーキーEdward J. Markey議員(写真左上)と共和党クリス・スミスChris Smith議員(写真左下)は、本日、「国家アルツハイマー病プロジェクト法National Alzheimer’s Project Act (N.A.P.A.)」の提案を発表しました。
この法案によると、保健人間サービス省Department of Health and Human Servicesにアルツハイマー病プロジェクト局National Alzheimer’s Project Officeが設置され、病気の治療と予防への取り組み政府内の連携と監督を行います。
マーキー議員は次のように述べています。
「この法案は、アメリカの第7番目の死亡原因でなっているアルツハイマー病の治療と予防の推進を目指したもので、アルツハイマー病に関するすべての研究や医療制度のよりよい連携を進めるでしょう。研究によってこの病気の治療や予防の方法が見いだせないとすると、2050年までに1600万人の人がアルツハイマー病になるでしょう。アルツハイマー病は、この病気の人をもつ家族を途方に暮れさせ、メディケア、メディケイドなど政府の医療制度による医療のため何10億ドルが必要となります」
またスミス議員は次のように述べています。
「友人のマーキー議員とこの法案を一緒に提出できることはうれしい。アメリカではアルツハイマー病の人は500万人以上おり、毎年45万人の人がアルツハイマー病になっています。もし、何も行わなければ膨大な経費がかかり、身体的にも精神的にも負担が重く、国家の資源を完全に飲み込むほどアルツハイマー病は特異は病気です。プロジェクト局が国内的にも国際的にも関係者とアルツハイマー病対策を連携させるのに必要なのがこの法案です。プロジェクト局はアルツハイマー病への取り組みための戦略計画を提供し連携を進めるでしょう」
関連した法案が民主党エバン・バイEvan Bayh上院議員と共和党スーザン・コリンズSusan Collins上院議員からも既に提出されています。
マーキー議員らの法案:National Alzheimer’s Project Act(pdf40K)
wickedlocalwatertown Feb 26, 2010 Markey, Smith introduce National Alzheimer's Project Act
サイト内関連記事
編者:わが国にも国家認知症戦略法のようなものがあっても良いと思う。

アルツハイマー病―何時、治るようになるのだろう―(2月25日/アメリカ)
現在、アメリカでアルツハイマー病の人は550万人で、来年末には介護者1000万人になるでしょう。この病気の予防方法が見出せないと、2030年までに800万人、2050年までには1600万人になると推計されています。アルツハイマー病は経済的にも精神的にも重い負担となり、国立加齢研究所National Institute on Agingによるとこの病気による直接、間接の支出は年間1000億ドル以上です。
この病気についてこれまれ一体、何をしてきたのでしょう?1906年、ドイツのアルツハイマー医師がこの病気を報告して以来、1世紀以上がたちました。この破滅的な病気の治療やや予防ができないままにされるのでしょうか?本記事は、レイモンド・バーグロウRaymond Barglow氏(写真右上)がカリフォルニア大学バークレー校UC Berkeleyなどの科学者たちと話し合い、現在、アルツハイマー病について何を知り、何が分かっていないかによりよく理解して報告したものです。
アルツハイマー病が細菌によるものであれば、治療はもっと簡単かもしれません。細菌は人間に身近な敵のひとつであり伝統的な医療方法で対処できます。しかしアルツハイマー病はもっと複雑な相手です。脳の特別な変化を画像技術で観ることができますが、どこに原因があるかについて特定するにいたっていません。
アルツハイマー病の最も説得力があり広く受け入れらている仮説は、アミロイドベータという蛋白が脳に蓄積されるのが根本的関係であるとするものです。この蛋白はひとつ、または複数の長い紐状のアミノ酸ででき、酵素やその他の分子の働きで形成され、折れたり、折れなかったりします。酵素は、蛋白の紐を分断し、最終的にアルツハイマー病の進行に関わるような作用を持つのです。ベータセクレターゼとガンマセクレターゼという二つの酵素は、より大きくて全く正常な分子であるアミロイド前駆蛋白を切断してアミロイドベータを産生します。切断された部分は溶解性で沈着して斑を形成し、神経やシナップスに障害を与えます。
アミロイドベータ蓄積がアルツハイマー病の基本であることが治療の明解な目標となります。最終的に脳の機能を奪うアミロイド関連の流れ―いわゆる「アミロイド滝amyloid cascade」仮説―に対していくつかのところで介入できます。ベータセクレターゼやガンマセクレターゼによる前駆蛋白の切断を止めたり、阻止する可能性のある物質が追求されています。また別の方法は、アミロイドベータが沈着するのを阻害することで、いったん形成された沈着物を脳から消し去るのも別の方法です。
こうしたことは単純明快のようであり1990年代の初め、アミロイド滝仮説の詳細が明らかにされると、アルツハイマー病の一見確立したと思われる過程を阻害できるという楽観論がありました。
しかし、この10年間は、多くの人が予期していたよりは話はもっと複雑になりました。アルツハイマー病は、複数で相互作用的な分子レベルに原因がある病気らしいと理解が変わったのです。とはいえ、アミロイド滝仮説は病気の重要な役割をしており、多くの科学者はそれを解明しようとしています。
ここ、カリフォルニア大学バークレー校では、テレサ・ヘッド・ゴードンTeresa Head-Gordon氏(写真左最上)らの生物工学グループは、蛋白の自己形成動態の研究をしています。これによってアルツハイマー病など多くの病気の神秘を解き明かすかもしれません。ランディ・シェクマンRandy Schekman氏(写真左2番目)と大学院生のレギナ・チョイRegina Choy氏(写真左3番目)の研究室では、アルツハイマー病にいたると考えられている前駆物質の研究をしています。ローレンスバークレー国立研究所Lawrence-Berkeley National Laboratoryでは、ビン・ジャップBing Jap氏(写真左4番目)らのグループが、細胞膜内で活性化するガンマ―セクレターゼを含む蛋白の研究をしています。
こうした研究は、アルツハイマー病に特異的な分子プロセスについて多くのことを明らかにしました。しかし、病気の効果的な治療の発見に向けては生きた人間を対象にする研究も必要です。しかし、病気の初期を追求する研究はこれまで困難でした。記憶障害など病気の明らかな症状が出るまで多くの神経学的損傷が起こってしまっているのです。病気の症状がそろう数年前のもっと川上での病気の状態を観察することができるように進歩しました。バークレー校の公衆保健学部UC Berkeley School of Public Healthやヘレンウイリアム神経科学研究所Helen Wills Neuroscience Instituteのウイリアム・ジャガストWilliam Jagust氏(写真左最下)の研究室では、PETやMRIを使ってアミロイド沈着を観察しています。こうした情報から現在は認知機能が正常でも、アミロイドレベルや神経や行動を調べることでアルツハイマー病になる危険性の判定に役立ちます。病気にいたる神経学的な変化についてもっと多くのことを知るためにこうして個別的に研究が徐々に進められています。
アルツハイマー病になりやすい人は、どのような予防方法が有効かそうでないかを探る臨床試験の最善の対象者です。しかし、この種の臨床試験は10年以上もかかり、とても経費がかかり、これまで以上の助成が必要です。
アルツハイマー病が国民の医療制度を破壊しかねないのですが、この病気の研究への現在の助成はとても低い。国立保健研究所アルツハイマー病研究部NIH Office of Alzheimer’s Disease Researchの元部長であり、NIHアルツハイマー病プログラムの創設者であるザヴィン・ハチャトーリアンZaven Khachaturian氏(写真右下)は、「アルツハイマー病研究への助成額は同じが、実際には減っています」と述べています。NIHの2009年の研究助成は5億ドル以下です。がん研究ではこの13倍以上です。
アルツハイマー病研究の助成を増やす動きがあります。国会作業部会Congressional Task Forceが、アルツハイマー病研究グループを立ち上げました。これは2009年に提案されたもので、アルツハイマー病の克服プロジェクトを緊急の国家優先課題とするもので、アルツハイマー病解決局オフィスAlzheimer’s Solutions Project Officeが連邦政府内に設置されました。
さらにハチャトーリアンは「私たちの努力はマンハッタン計画やアポロ計画と同等かそれ以上にすることです。オバマ大統領に、20年内、2020年までにこの種の病気を予防するための政府の介入を頼む」と述べています。この種の病気の経済的支出だけを考えても、緊急な課題ととらえることが適切なことです。しかし、現在、医療についての論議が解決されても、アルツハイマー病が克服されなければ医療改革は失敗するでしょう。
なお報告者のバーグロウ氏は、バークレー教員ネットワークBerkeley Tutors Networkの創始者です。
berkeleydailyplanet  February 25, 2010  Alzheimer’s Disease ? How Long Before We Find a Cure?より)
編者:報告者は心理学者で医療関係者ではないが、バークレーからアルツハイマー病研究の問題点をわかりやすく指摘している記事なので紹介した。研究費も重要だが、アミロイド滝仮説を乗り越えるアルツハイマー病の病因論が生まれなければならないのか、まったく別に視点が必要なのか。それにしてもアルツハイマー病研究のわが国の動きが見えない。国家戦略はあるか。研究者まかせ、企業まかせ、成り行きまかせではないか。

アルツハイマー病の人を支える美術館とクリニックとの新たなコラボレーション(2月24日/アメリカ)
アルツハイマー病は、記憶障害から始まり、脳の細胞が破壊され思考や行動での障害もお起こします。しかし、初期から中期にかけては、感情、感性、創造を司る脳の部分は変化はありません。こうした脳の障害されていない部分でアルツハイマー病の人は、日々の世界とのつながりが失われていても、視覚的な美術や音楽に反応します。
美術が認知症の人の支えるためのシンポジウムが本日開催され、街にある貴重な二つの施設―クリーブランド美術館Cleveland Museum of ArtとクリーブランドクリニックCleveland Clinic―が新しいコラボレーションを始めることになりました。
ワークショップの一つでは、美術館とクリニックのガイド40人が認知症の人の合わせたツアーのあり方について学びます。クリニックにも3500の作品があり、独自に学芸員やガイドがいて、この夏に特別なツアーを始めることにしています。
クリニックの芸術と医療機関Clinic's Arts and Medicine Instituteの医師のイバ・ファットリーニIva Fattorini事務局長(写真左上)は「クリニックの医師が認知症の人や家族にそのツアーに参加するように勧める」と述べています。このツアーはニューヨークの近代美術館Museum of Modern Artが行っている方法を模範としています。
ラスベガスにあるクリニック関連のロウルボ脳健康センターLou Ruvo Center for Brain Healthのランドルフ・シッファーRandolph Schiffer所長(写真左中)は、「神経学的に病気について考えると、優れたものです。美術は、健康な脳の部分につながってその働きを維持する方法です」と述べています。
アルツハイマー病の人の治療はほとんどありません。科学者は、原因などこの病気の根本的な質問にまだ答えてはいないのです。
アルツハイマー病と診断された人は次の2,30年で急激に増えると予測され、今年末にはオハイオ州では23万人になるでしょう。
シンポジウムの演者でもあるシュニッファー医師は次のように述べています。
「シンポジウムでは医学的以外の方法でアルツハイマー病にアプローチしている医師たちの試みに焦点を当てます。もはや認知症の人に服を脱ぐようには言いません。彼らに話し、彼らが誰であるかにこだわるようにしています。私たちは、できるだけ彼らと長く一緒にいることを支え、さらに病気の進行にも対応します」
美術や音楽にアルツハイマー病の人が反応することを証明した研究が多くはありませんが、シッファー医師らは反応するとみているのです。ケースウエスタンリザーブ大学Case Western Reserve Universityの神経学の教授で大学病院の記憶と認知センターUniversity Hospital Memory and Cognition Centerのアラン・レーナーAlan Lerner所長(写真左下)は「人々は、癒しの手段のように、治療として美術を使っている」と述べています。この大学病院は今回の協賛団体です。
新しいコラボレーションには遠隔学習プログラムも含まれており、クリニックの患者―市内や市外―が美術館の専門家による美術講義に出席することができます。
美術館のデール・ヒルトンDale Hilton氏は次のように述べています。
「このパートナーシップによって視覚的な美術が美的な楽しみを以上の役割を果たすことができることを示しています。毎回、私は違った参加者と仕事をして、美術作品が人にどのように有意義であるかについて多くを学んでします」
アメリカ・アルツハイマー病協会クリーブランド地区支部Alzheimer's Association Cleveland area chapterのナンシー・ウデルソンNancy Udelson事務局長は、次のように述べています。
「アルツハイマー病初期の人は美術ツアーで最も利益を受ける人たちで、幸せで、満ち溢れ、豊かな生活をつながることを期待しています。しかし多くの人にはこうしたことは不可能ですが、別にすることがあり、家族は一緒にできることを探しています。こうした試みの先頭にクリーブランドが在ることは素晴らしいことです」
州内から200人近いガイド、家族、医療関係者がシンポジウムに登録しており、既に締め切られました。
cleveland.com  February 24, 2010 New collaboration between Cleveland Clinic, art museum to help Alzheimer's patientsより)
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病院の認知症ケアの改善に役立つリーフレット(2月23日/イギリス)
俳優でイギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの大使であるケヴィン・ウェイトリーKevin Whately(写真左上)は、協会がイギリス看護師協会Royal College of Nursingと共同で作成した質が悪い病院の認知症ケアの改善に役立つ新しいリーフレット「これが私'This is me'」の利用を呼び掛けています。
リーフレットは、認知症の人が入院するとき、趣味、習慣、好きな物や嫌いな物などを記入し写真を添えて職員に渡すものです。これは認知症の人のケアが病院間でばらつきがあることを指摘した昨年11月の報告書「見通しをつけるCounting the Cost」に続くものです。リーフレットは、職員が認知症の人の必要なことに適切に対応することができ、興奮や苦痛を減らすのに役立ちます。たとえば、認知症の人は馴染みのない場所で興奮したり混乱することがありますが、看護師が適切に対応することで防ぐことができる行動です。
ウェイトリーは次のように述べています。
「私の母は認知症で入院中にとても具合が悪くなりました。彼女のところに食事を持っていっても手をつけませんでした。食べることを忘れてしまっていたのです。もし、職員がこうしたリーフレットを持って、母には食べように働きかけが必要なことを理解してくれれば、そんなに弱くなることはなかったでしょう」
アルツハイマー病協会の対外担当のアンドリュ・ケッタリングハムAndrew Ketteringham氏(写真左下)は述べています。
「認知症の人は入院が長く、退院時には入院した時より悪くなっているのです。質が悪い仕事をするために看護師になる人はいません。認知症の人を看護する準備ができていないのです。このリーフレットが、個々の認知症の人を知り、必要なことを理解してその人中心の看護ができるのに役立ってほしい」
(Alzheimer's Society 23 February 2010 Leaflet launched to help hospital staff improve care to people with dementia
リーフレット'This is me'(pdf14K)
編者:これは日本で大いに参考になり有用なリーフレットだ。

インターネット上のアルツハイマー病研究の文献研究と議論―ARFとSWAN―(2月21日/アメリカ)
アルツハイマー病研究フォーラム(Alzheimer Research Forum:ARF))は、1996年に創設されサイトは、インターネット上でアルツハイマー病などの疾患についての理解を向上させることを目指した最も活発は科学的コミュニティーです。このサイトwww.alzforum.orgにはだれもが自由にアクセスできます。さらにARFは、SWANと略される「神経医学における有意義なウエッブ上の提言Semantic Web Applications in Neuromedicine」に発展させ、アルツハイマー病などの分野における科学的知識が交錯するコミュニティーとして運営されています。
毎週、アルツハイマー病の研究者が関心ある論文はおおよそ100編が発表されます。たとえば、2004年、ARF内の「週の論文Papers of the Week」のデーターベースに載った二人以上で評価されている雑誌に発表された6178の論文が確認されています。これは平均、1週間に120近い論文数となります。一人の科学者がすべての論文の読み、吸収することは不可能でしょう。
ARFは、論文に関する読者の見解―ARFのフィードバックであり、賞賛、注意、興奮などとして―も紹介しています。2004年、ARFは、全論文の5%にあたる291論文について見解を表明しました。さらにそのうち134の論文を評価し、2%にあたる論文にARF推奨と表示を付けました。しかし、その年のアルツハイマー病に関するすべての論文のうち、たった11の論文しか画期的な論文(Milestone papers)―アルツハイマー病の原因や進行について相当な変化をもたらすような研究や発見―とみなされませんでした。
ARFは、病気に関する研究や発見について考える科学者や専門家による人間的努力の集積です。またARFコミュニティーは、全体として、アルツハイマー病論文のすべてを検討し考察することからとても意義ある論文を確認し注目するという利益を得ているのです。ことから以前のデータを再検討し、考え方を変え、将来、より効率的な実験を計画するのに役立つことになります。
ARFから発展的に分かれたアルツハイマー病スワン(AlzSWAN)は確かな可能性があるとみてよい。人間的な努力は、科学的論文の一群を機械的に仕分けた多くの情報や自動的な分類した情報とは異なるものです。自動化によって科学的な理解を知識に新たな価値を見つけることができるでしょうか?
AlzSWANは、アルツハイマー病に関するすべての論文のすべての発見について監視するものではありません。実質的な変化をもたらす発見や全く奇抜なアプローチを監視しているのです。AlzSWANは、アルツハイマー病の原因や進行に関する仮説―遺伝子、蛋白、病気の仕組みなどに関する―発見を管理し、現在、研究され注目されていることにて焦点を当て、新しい発見がこれまでの発見と一致するか否かを確認する場なのです。
Alzheimer's Weekly February 21st - February 28th,2010 SWAN: The Powerful Research Organizer
編者:ARFは、アルツハイマー病などの疾患に関する科学論文の紹介と評価と同時に、テーマを決めて議論を展開している。かなり専門的な内容で、編者も理解できなことが少なくないが、インターネット上で最も幅広く、最新で、レベルの高い情報と議論が提供されている。アメリカ在住の日本人の科学者でジャーナリストのJune Kinoshita氏(写真左上)がARFの創設に関わり、現在、編集長をしている。また、理化学研究所の高島明彦氏(写真左下)が助言者になっている。

FDAは誤解させる広告としてエーザイとファイザーに注意(2月19日/アメリカ)
アメリカ食品医薬品局Food and Drug Administration(FAD)は、2月19日、エーザイEisaiとファイザーPfizerが製造するアルツハイマー病薬のアリセプトの2つのテレビコマ―シャルが、データの基づかない劇的な効果があると誤解を招くとして手紙で注意しました。すでにFDAは、2月3日の手紙で臨床試験では認められていないアルツハイマー病の人の行動面でアリセプトが劇的な変化をもたらすように伝えらコマ―シャルを指摘しました。
FDAは次のように指摘しています。
「字幕の『個人によって異なる』は誤解を招くコマ―シャルの内容を軽減するものではありません。二つのコマ―シャルでは、両親と子供たちが医師をアリセプトについて話し合い、その後、家族と患者が言い合っている場面に変わり、さらにすぐに、ガーデニングやペットに餌をやっていつといった光景に場面が変わります。こうした表現は、アリセプトの効果を過剰に示し誤解を与えるもので、臨床試験での証拠による効果より大きいものです」
問題となる広告がある場合、製薬会社などの会社への一連の注意の最後の方法が手紙です。、こうした注意はオバマ政権になって増えています。多くは、代理店と製薬会社との間で解決され、それ以上、問題となることはありませんが、FDAはこうした経過を速やかに公表するようになってきました。
手紙でFDAは、エーザイが2月18日までに文書で代理店に返答することを要請しています。エーザイはFDAの指摘を重視し、しばらくはコマーシャルを中止することを表明していますが、アリセプトの共同製造のファイザーはまだ反応はしていはいません。
(Reuters Feb 19,2010 US FDA says Eisai, Pfizer Alzheimer ads misleadingより)
YouTubeの動画
編者:アメリカでアリセプトのコマ―シャルがテレビで流されていることは知らなかった。製薬会社としてはやや過剰ぎみのコマ―シャルを流したいだろう。わが国のサプリメントのコマ―シャルのように。

認知症の人の思い出を守る(2月17日/カナダ)
私たちは思い出に関わることでコミュニケーションがとれ、コミュニケーションによって認知症の人の存在を尊び、その努力を支えることができるのです。
カナダの高齢化人口は、ベビーブーマーたちが75歳以上になる2025年から2045年の間にピークに達します。また80歳以上の4人に1人は、アルツハイマー病など72種類以上の疾患による認知症になると推測されています。このことは医療制度や高齢者支援サービスに重い負担を強いることになります。認知症は、いくつかの認知機能や知的機能の低下が進んだ状態で新しく覚えたり、既に覚えた情報を保持することができなくなります。
この医学的状態の治癒方法を見出そうと研究者が競争していますが、それが発見されるまで、一般大衆や認知症に関心ある専門家らは高齢者のこの状態を受け入れる必要があり、きるだけ有意義な生活をかれらに提供する必要があります。これは容易な作業ではありません。認知症に対応するには教育と研修が欠かせません。認知症の人への積極的関与の鍵は臨機応変であることです。認知症は各段階で異なり、それに介護を合わさなければなりません。病気が進行するにしたがい、精神的、身体的、社会的に生じる事態への理解も求められます。
身体面の清潔や医療といった基本的なケアとともに認知症の人に対してはその人を全体としてみて、持っている認知機能や身体機能、身体的活動、そてい心と魂を刺激し、励まし、支援する活動が必要なのです。
認知症は予測がすることが不可能な医学的状態で、現在の感情、思想、欲望にも関わりながら一時的に過去に生きることもあります。
認知症の人と私たちと一緒にいて、認知症の人の思い出を運び、私たちの世界で認知症の人を取り込むさまざまな努力をしなければなりません。また認知症の人が家族にとって手の届かないような世界に消えているようになることで、介護者とその人たちの痛みや不満をよく理解する必要があります。
認知症の人は、徐々に家族や医療に依存的になり、認知症の人に起こりうることに応え、かれらに変化を求めることなく援助しなければならないのです。医療とともに、認知症の人とのコミュニケーションを勧め、生活の質に尊重する有意義な活動ができるようにすべきです。いくつかの有意義な活動は、認知症の人に自己実現の機会を与えることは創造的表現方法のなかに見つけることができます。
介護施設で認知症の人が、なんども「家に帰る」といったことを言います。物理的にその人の家はもう無いことを知っているので、その言葉を文字どおり受け取ることは間違いでしょう。しかし、「家に帰る」が何を意味しているか自問してみると、過去への憧れという深い感情を象徴していることを理解することができるでしょう。多分、今は、一人であり、」昔、親しく、愛されたすべてのことから孤立しているのです。彼らの言葉の行間を読み、理解して、全く意味をなさないことがあっても認知症の人に従う必要があるのです。かれらの過去の生活、職業、趣味、成し遂げたことなど消えた思い出を運ぶ器に私たちはならなければなりません。このことから現在、こうした情報を得ることでコミュニケーションを取れるのです。
出来事の日付や詳細を思い出すといった特別な記憶は重要ではありません。認知症の人にとって親しい感情や考えや願いを思い出し、隣に座っている人がその思い出を取り上げてくれるかもしれないのです。
表情や身体での表現が伴うわずかな言葉による会話に関わって、認知症の人とコミュニケーションがとれるのです。歌ったり、踊ったり、思い出を語ったり、物語を話したり、絵を描いたり、庭いじりをしたり、動物の世話をしたり、詩を書いたりすることで認知症の人と関わって、彼らの晴れ晴れとした日々を送ることができるのです。認知症の人がいま持っている能力を受け入れることで、私たちはかれらの存在を尊び、その価値を見出すのです。
介護者の介護経験をもとにして、認知症の人に関わることで新しい関係を切り開くかもしれません。ある認知症の人は、困惑する過去から抜け出だした世界にゆっくり入ります。別の認知症の人は、絵を描いたり、音楽を作るといった新しい才能を開発するかもしれません。これは神経学者のブルース・ミラーBruce Miller医師が、前頭葉型認知症の研究で見出したことです。多くの認知症の人にとって認知症の時期に応じて、失われた思い出に対処する最善の方法により私たちがかれらを助けることができます。
私たちはどうように認知症の人と介護者を助けることができるでしょうか。ある地域的な団体である「認知症介護のアートのための協会Society for the Arts in Dementia Care」 は、認知症介護における創造的表現のため多分野からの関わりを持つ場を提供し、また学術的な研究や実践的な知識を提供して医療専門職と創造的アートとのコラボレーションを勧めています。
想像的表現能力Creative-Expressive Abilitiesのツールはそうしてもののひとつですが、総創造的活動プログラムに関りながら認知症の人を評価します。ブリティッシュコロンビア医療財団B.C. Medical Services Foundation.の助成を受けて、協会の会員はブリティシュコロンビアのデイケア施設における創造的プログラムの調査を行っています。
会議やワークショップの参加者から反応をみて、この道を進む必要があることがわかりました。協会は、医療職と一般の人を対象に今年の9月30日から10月2日までペンチクトンPentictonで第5回の国際会議The 5th International CECD Conferenceを開催します。
寄稿者のダリア・ゴットリーベタナカDalia Gottlieb-Tanaka(写真)は、ブリティシュコロンビア大学の住民健康増進研究センターCentre for Population Health Promotion Research at the University of British Columbia(訳注)の教授です。
(Vancouver Sun  February 17, 2010 We are the vessel that carries the memories of those with dementiaより)
訳注:このセンターは不明
編者:具体的に十分な理解ができないがタナカ教授が推奨するのは、わが国で取り組まれている認知症の人への臨床美術療法に近いものと思われる。

★抗精神病薬を減らす取り組み(2月15日/イギリス)
マンチェスターの近くにあるウイスロウを拠点とするフォーシーズンズヘルスケアFour Seasons Health Careは、認知症の人に抗精神病薬をできるだけ使わないでよりより認知症の人の近くでの実践的な介護をめざすパイオニアとみられることを望んでいます。ホロウイックにあるセントキャサリンケアホームSt Catherine's Care Homeは、パールPEARL(入居者の生活を積極的に豊かにし高める活動Positively Enriching and Enhancing Residents' Lives)の承認状が与えられる分野で最初の施設です。さらにクルーにあるロズデイルマノーRosedale ManorとマッケルスフィールドにあるウエストンパークWeston Parkもこの承認を受ける準備をしています。2009年、フォーシーズンズは、認知症介護での最善の活動と認知症介護のサービスと質の向上によって、向上財団Improvement Foundationのガイローサーハム賞Guy Rotherham Awardを受けました。
2007年、この企業は、抗精神病薬をできるだけ使わない取り組みを始めました。これは政府が認知症の人に不必要に抗精神病薬が処方されていると報告する2年前のことです。
アルツハイマー病研究基金Alzheimer's Research Trustは、最近、イギリスに82万人の認知症の人がおり、その数は昨年より17%増えていると発表しました。同基金は、国全体で認知症に年間340億ポンドが支出されおり、これはがんと心疾患と合わせた額より多く、しかも認知症の人は2025年までに100万人以上になると推測しています。
このことは政府が支出で莫大な負担をすることになり、これによって民間の介護施設を運営している企業にとってチャンスであり、競争を勝ち抜く方法の一つとしてPEARL承認を満たすようにしています。
フォーシーズンズは認可を受けた19の施設を所有しており、それらは143の基準項目―国立保健臨床向上研究所National Institute for Health and Clinical Excellenceのガイドライン―に満たしています。各施設には特別な研修を受けた職員が二人いて、かららの役割は入居者に何が必要かを確認し薬を最小限に使うように共感することです。
フォーシーズンズの認知症サービス部長のキャロライン・ベイカーCaroline Baker氏(写真)は次のように述べています。
「私たちの施設への大きな期待があります。職員は入居経験と研修を受け、一対一の接触によって認知症になることはどういうことかを理解するようにします。感覚障害を持つとはどういうことかを体験して理解することで、そうした人たちに共感することができます。研修を2007年に10の施設で行い、8つの施設では抗精神病薬の使用が52%減りました。施設介護はこの方向に進んでおり、できるならこうした薬は使いたくないのです。BBC で昨年放映された番組「ゲリーロビンソンは認知症介護施設を定着させられるか?Can Gerry Robinson Fix Dementia Care Homes?」は企業の貧困な基準を公にしたが積極的な取り組みを取り上げていなくて失望しました。私たちの目的は、個々の認知症の人を助け、持っている可能性を十二分に発揮し、自立を維持することです。精神面でも身体面でも認知症の人と家族を支えてゆきます」
昨年の12月、このフォーシーズンズは多額の負債を抱え、主要な貸手がロイヤルスコットランド銀行Royal Bank of Scotlandでしたが,8億ポンドの債務を株式化によって売却を免れ、負債の3億ポンドは回収不能とし、40%を出資しました。
競争相手であるバーチャスターヘルスケアBarchester Healthcareは、全国に認知症介護施設を持っていますが、マンチェスターの近くにも二つの施設もあり、個々人にあった認知症介護tailor-made dementia careがとても重要だとしています。
その報道担当者の次のように述べています。
「私たちの方法と介護提供の特性と哲学からして、人が第一なのです。すたわち、認知症をみる前に、その人をみ続けます。この出発点からその人の能力と必要なことから個々の介護プランを立てます。変化するにしたがい、介護計画も順次調整します。PEARL計画では、2010年までに全国で認知症介護について承認した施設を169か所にします」
Cain’s Manchester Business February 15, 2010 New approach to dementia treatmentより)
編者:イギリスでは企業による介護施設がある。日本の有料老人ホームと異なり、認知症の人や高齢者だけでなく若年者や子供の介護も行っているが、認知症の人の需要が増えるにしたがい介護の質を競っているようだ。

★Dementiaという用語の廃止を提案―学会の新診断基準の提案と意見公募―(2月13日/アメリカ)
アメリカ精神医学会American Psychiatric Association(APA)は、2000年に提唱し精神障害の診断基準であるDSM-IV-TR (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders精神障害の診断と統計マニュアル第4版の改定版)をDSM-Vに改定する作業を進め、2013年に決定、提唱する予定です。この作業に伴い一般からの意見公募を4月20日まで受け付けています。
「せん妄、認知症、健忘症、その他の認知障害Delirium, Dementia, Amnestic and Other Cognitive Disorders」に関する神経認知作業部会Neurocognitive Disorders Work Groupでは、これらの障害を、せん妄Delirium、大神経認知障害Major Neurocognitive Disorder、小神経認知障害Minor Neurocognitive Disorderの3つに分類する案を慎重に検討し、他の診断を担当する部会とも認知機能に関して議論しています。神経認知作業部会は、患者や家族らからの意見を聞くため、神経認知障害の診断基準を以下の提案について強い関心を示しています。
① 認知症(Dementia)という用語を廃止し、大神経認知障害Major Neurocognitive Disordersとする。
② 小神経認知障害Minor Neurocognitive Disordersを追加する。
③ 神経認知障害の伴う精神病やうつ状態の症状行動障害の分類を追加する。
④ 認知機能障害の重症度分類とその基準を設ける。
The Myth of Alzheimer's February 13, 2010 DSM V-”Removing the term “Dementia” and adding “Major Neurocognitive Disorders””およびAPAのDSM-5: The Future of Psychiatric DiagnosisDelirium, Dementia, Amnestic, and Other Cognitive Disordersより)
編者:来年に提唱されるはずだったDSM-Ⅴの決定が遅れているようだ。Dementiaという用語が廃止するという提案は画期的だ。先にわが国が痴呆を認知症に変更したような背景によると思われる。詳細は不明だが大神経認知障害は認知症などを、小神経認知障害は軽度認知障害などを含むのかもしれない。Dementiaがなくなると認知症もなくなる?

認知症の人の経管栄養の導入は病院によって異なる(2月10日/アメリカ)
アメリカのブラウン大学ワレンアルパート医学部Warren Alpert School of Medicine, Brown Universityの老年学医療研究センターCenter for Gerontology and Health Care Researchのジョアン・テノJoan M. Teno医師(写真左上)らの研究グループは、ナーシングホームに入居する重度の認知症の人にとって経管栄養の利益には疑問があり、経管栄養の3分の2は急性期医療病院の入院中に行われている事実に基づき、病院によって経管栄養の導入の違いの要因について調べました。
2000年から2007年まで急性期医療病院に入院した重度の認知障害の66歳以上のナーシングホームの高齢者を対象としました。経管栄養導入の頻度はメディケアのデータのうち20%に基づき、調査期間中の入院件数が30以上の病院としました。病院をベッド数、所有者、立地場所、併設医学部の有無など経管栄養に直接関係のない要因で病院を比較しました。選ばれた病院での重篤な慢性疾患の患者の医療行為、集中治療病棟ICU、ホスピス、プライマリーケア医師primary care physiciansと専門医の数の比率、および患者の年齢や性別などの特性について調べました。経管栄養の導入は、入院中の内視鏡または開腹手術による胃瘻チューブの挿入としました。
以上のデータを分析したところ、2797か所の急性期医療病院に入院した重度の認知障害があるナーシングホーム入居者は16万3022人で、この間に28万0869回の入院がありました。経管栄養の導入は、病院によって異なり100回の入院に対して0件から38.9件まででした。導入件数は年によっても異なり100回の入院に対して2000年は7.9回、2006年は6.2回でした。経管栄養導入が多い病院は、営利目的の所有者と政府所有の病院で比較すると入院100回に対して8.5:5.5、ベッド数310以上の病院と100以下の病院で比較すると8.0:4.3、最期の6カ月間にICUの利用頻度でみると利用頻度が高い病院と低い病院とで比較すると10.1:4.3でした。こうした違いは患者の特性を同じとしても認められました。プライマリーケア医師と専門医の比率は導入の頻度と関係が認められませんでした。この結果から研究グループは、急性期医療病院に入院するナーシングホームの重度の認知障害の入居者について経管栄養の導入は、営利目的の所有者、病気の規模が大きいこと、ICUの使用頻度が高い病院ほど多い傾向があるとしました。
この調査論文はアメリカ医師会雑誌Journal of the American Medical Associationsの2010年2月10日号に掲載されています。
この結果についてテノ医師は次のように述べています。
「経管栄養に延命効果はなく危険を伴う行為です。またチューブを外さないように身体拘束をしたり鎮静剤が投与されることがあります。ナーシングホームでは重度の認知症の人の3分の1は経管栄養をしています。そのうち3分の2は入院中に始められています。調査期間中、12%の病院では一人も経管栄養を始めていませんが、入院患者の40%近くに始めている病院もありました。認知症が身体的にも精神的にも終末を迎える疾患であることの認識は高まっています。食べられなくなることはこの病気の最終段階にあるのです。こうした人にとって経管栄養より、人の手で食べさせることは安全であり快適なのですが、スタッフに時間と努力が必要です」
今回の結果について、アトランタにあるエモリー救急医療センターEmory Center for Critical Careのティモシー・バッチマンTimothy Buchmanセンター長(写真左下)は次のように述べています。
「患者の家族は、一人で食べられなくなると経管栄養を希望することが多い。この家族の気持は理解できます。これは人間的な基本的な要望を満たすものと思います。認知症の人に口から安全に食べさるには多くの時間と努力が必要でありその試みは大変なものです」
エモリー大学病院Emory University Hospitalでは、2006年から2007年までの間、重度の認知症の人への経管栄養は100回の入院で24件でしたが、この数字についてコメントは避けたい。私は2009年7月からこの病院で仕事をしているからです」
フロリダ州のレイクウッド地域医療センター・心臓研究所Lakewood Regional Medical Center & Heart Instituteの救急医療部長のシンディ・ノリスCindy Norris氏は次のように述べています。なおこのセンターはテノ医師の調査によると重度お認知症の人に経管栄養を導入する割合が最も高い病院で、2006年から2007年の入院100回に37.5件でした。
「家族が重度の認知症の人に経管栄養を受けさせるかどうか決めます。最近のデータはもっていないが、調査結果の高い割合についてのコメントは避けたい。患者の意思が不明なとき、病院のスタッフは家族と方針を話し合います。生命を維持するためにあらゆる方法を取ることを好むなら、その希望にそって治療します。患者の治療には栄養は重要です。総括的な勧告は、重度の認知症の人が経管栄養を受けるべきかどうかの判断には役立ちません。私たちは個別的にみているのです」
テノ医師は、さらに次のように述べています。
「今回の調査は、経管栄養の選択の理由についてのものではありませんが、コスト意識が要因の一つのようです。高齢者のほとんどはメディケアやメディケイドを利用しており、診療報酬上、認知症の人が病気になったときナーシングホームから入院させやすいのです。また病院はできるだけ早くナーシングホームに戻すようにします。経管栄養は患者を早く退院させることを可能にし、ナーシングホームにとっては経管栄養は口から食べさせるより時間がかからないのです。こうした病院に認知症の人を入院させるのが役立っているのかどうか疑問です。認知症の苦しみのなかにある人を急性期医療病院に入院させることは大変は混乱とストレスともたらします。拘束が少ない環境に居たりナーシングホームで治療するように努めるより、経済的な意向によってこうした病院に入院させることに深い関心を持っています。重度の認知症の人にとって食べることが難しくなることは、止まって私の話を聞いてくださいというサインなのです。認知症の人の希望や将来の医療の価値について話す必要があります。家族らが認知症の人にとって最善なことを決定をすることを支えることはとても重要です」
Reuters Health Feb 10, 2010 Feeding tubes may be overused in demented patientsおよび論文Hospital Characteristics Associated With Feeding Tube Placement in Nursing Home Residents With Advanced Cognitive Impairmentより)
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認知症臨床研究のためのボランティアを呼び掛け(2月7日/イギリス)
スコットランドでの乏しい認知症研究のためのボランティアの参加が呼び掛けられています。「スコットランド認知症臨床研究ネットワークScottish Dementia Clinical Research Network (SDCRN)」は、2011年7月に現在の資金が終わるまでに登録者数を3倍にしたいとしています。このネットワークは、「スコットランドチーフサイエンスオフィスScotland Chief Scientist’s Office」からの100万ポンドの援助をもとに2008年8月に設立されました。ネットワークには研究者に必要な病気を診断された人のデーターベースを集めて認知症研究のための中間管理的な役割が担わされています。すでに350人以上が登録していますが、ネットワークの管理者であるエンマ・ロウEmma Law氏は、来年の夏までに少なくとも1000人になることを希望しています。
ロウ氏はつぎのように述べています。
「私たちは競技場のトラックに立っているようなものです。登録状況は都市によってことありエジンバラのようにうまくいっているところもあれば、グラスゴーのように苦労しているところもあります。ネットワークが全国的なものであり伝統的な都市部の学術的センターを超えた企画することを望んでいます。私たちは同時に6つの研究を始めています。これには200人前後の認知症の人が参加していますが、研究者がもっと多くの人が必要と認識しています」
認知症と診断された人は、ネットワークに尋ねてボランティアになり、知的機能などの検査を受けて、詳細な情報が蓄えられ、相応しい研究に参加するように要請されます。
ネットワークのピーター・コネリーPeter Connelly議長はつぎのように述べます。
「スコットランドでは、認知症研究分野で以前と同様に何もしていないようなものです。認知症の人たちが接するのは製薬会社や個別の研究者ですが、そこでは研究がうまくいっているかどうかよくわかりませんでした。ネットワークが始めた最初の年は大きな変化でした。ネットワークでの研究は、治療薬の臨床試験やDNA サンプルから認知症の人への簡単な聞きとりまでさまざまです。多くの薬の臨床試験が進行中です。18カ月間のワクチン療法―アルツハイマー病発症に重要な役割をすると考えられている脳のベータアミロイドたんぱくの作用を抑えると期待される―はエジンバラで始まりました」
登録用紙は、同様の組織である「認知症と神経退行疾患研究ネットワークDeNDRoN (Dementias and Neurodegenerative Diseases Research Network)」でも複製されています。
先週、アルツハイマー病研究基金Alzeimer’s Research Trustが強調した数字ですが、がんや心臓疾患の病気と比べ資金が乏しい認知症研究は、現状を超えに認知症に変化をもたらす重要な役割があると信じられています。イギリスでは認知症研究に対する政府と寄付は、がん研究の12分の1です。認知症の経費はイギリスで実に年間230億ポンドで、がんの2倍になっているにもかかわらずです。スコットランドの7万3000人の認知症の人に年間10億ボンドの経費がかかっており、認知症の人は2031人までに74%増えると予測されています。スコットランドでの研究投資が必要なのです。
エジンバラ大学Edinburgh Universityの医療遺伝学科での遺伝子研究はすでに飛躍的に期待を持たせるものです。学科長のダッビト・ポーテウスDavid Porteous教授(写真左上)はつぎのように述べています。
「長い間大きな問題だったことをすこしずつ解している研究成果に興奮しています。科学全体に資金が保証されていないにくわえ、資金そのものが乏しくことでは進歩を止まります。しかし、研究の質と量が増えることで資金は付いてくると信じています。とても有望な指導があり、よく指導されて自分の価値を明らかにするチャンスが与えられ発見を期待される輝かしい若い研究者がいます」
スコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer Scotlandのヘンリー・シモンズHenry Simmons事務局長(写真左下)はつぎのように述べています・
「今まさにチャンスです。スコットランドでは能力があります。要なのことは研究が続けされる保証となる多くの社会資源を獲得することです」
heraldscotland 7 Feb 2010 Scottish dementia network in call for more volunteers
編者:わが国では認知症研究で認知症の人の協力を得るのに苦労している。研究者の個人的な努力によっているところが少なくなり。製薬会社が関わる臨床試験でも患者さんの協力が得にくい現状がある。アメリカでは研究所などで認知症の人やボランティアの参加が得やすい体制が取られていると聞く。わが国でも認知症研究をより効率的に行えるようにスコットランドの取り組みから学んでもよいと思う。この場合、研究者と認知症の人と家族あるいはボランティアが理解を共有することが不可欠だ。

★オバマ政権は介護家族の窮状に理解を示す(2月5日/アメリカ)
チェリルさんの母親は中程度のアルツハイマー病で、チェリルさんとチェリルさんの妹と一緒に住んでいます。アメリカアルツハイマー病財団Alzheimer's Foundation of Americaの社会事業チームへの最近のメールのなかで、チェリルさんは次のように書いています。
「私たち二人は仕事をしています。母は転倒しやすく、転んでも誰も呼べないような一人にしているのが辛い。母は転倒してもライフラインに助けを求めようと思う状態にはありません。家庭の経済状態はとても良いとはいえず、1週間に1時間から1時間半のヘルパーの支援を受けるのも不可能です」
チェリルさんのような人を誰もが知っているでしょう。あなた自身が同じような経験をしているかもしれません。あるいは、何の援助もなく、もっと多くの問題をかかえた経験をしているかもしれません、
介護者は悪戦苦闘しており、支援への期待はこれまでにないレベルに達しています。この2日間に受け取ったメールのなかから、無作為に10通を引き出して読んでみました。チェリルさんとは別に、「非常に絶望的な状態」と分類したくなる事例が7つありました。こうした介護者は途方に暮れ、ただ日々の問題と経済的な負担と格闘しているのです。
こうした介護者や声も出せない数知れない障害者のために、1年前にオバマ大統領President Obamaが任命し、バイデン副大統領Vice President Joseph R. Biden Jr.(写真左上)が議長を務めるホワイトハウスの中産階級問題作業部会White House's Middle Class Task Forceの勧告が歓迎すべき知らせです。
大統領と副大統領が政策についての作業部会を開いたあと、2月1日、アメリカにとって初めての勧告が公表されました。オバマ大統領は、中産階級の窮状は国の重要課題と表明しました。
この勧告によって家族が仕事と介護のバランスを取る助けになるでしょう。さらに高齢者の介護への経済的支援も含まれています。同時に、子供と親とを同時に介護している「サンドイッチ世代」の中産階級も、新しい政策によって高齢者の介護と介護者の休養への支援を得ることになるでしょう。
1億250万ドルにのぼる作業部会による「介護者イニシアティブ"Caregiver Initiative"」は、私が毎日のように聞かされている必要不可欠なことが提案されています。すなわち、レスパイトケア、カウンセリング、社会資源への紹介などの介護者支援制度や、デイケア、移送およびアメリカの家族の責任の負担を軽減する日常生活機能の支援などのその他の在宅サービスが含まれています。
アルツハイマー病については、この病気の70%の人が在宅で生活しており、家族が介護のすくなくとも75%を担っています。
アルツハイマー病の夫の介護を4年間してきたバーバラさんは、この支援が助けとなるでしょう。夫の症状は最近悪くなり、夜、眠らないで最初の2時間は2,3分ごとに起きています。バーバラさんは「毎日、夕方には疲れてしまいます。何をすべきかどこに頼ってよいかもわかりません」と話しています。
介護の苦労を自覚してないような人たちはこうした援助を得るのが難しい。アメリカアルツハイマー病財団が2007年に行った調査によると、回答した70%の人はストレスがどれほどあるか理解してないのです。
感謝すべきことですが、オバマとバイデン政権は、介護者の窮状に理解を示し、この問題について総合的に取り組んでいます。チェリルさんやバーバラさんのような推定3800万人にアメリカ人は、年老いた家族に無償の介護をしています。国民の医療制度のなかでこうした人たちが重要な役割を果たしているのです。その人たちが居なかったらアルツハイマー病の人はどうなるのか考えてみてください。
HealthCentral  February, 05, 2010 Obama Administration Recognizes Plight of Family Caregivers
寄稿者:エリック・ハルEric J. Hall(写真左下)(アメリカアルツハイマー病財団会長で、作業部会で証言している)
関連情報:White House's Middle Class Task Forceの勧告「Caring for Caregivers」など
編者:アメリカは医療制度でも介護制度でも日本の後にある途上国?オバマ大統領への期待は大きい。

徘徊で死亡する認知症の人が増えている―その予防の助言―(2月4日/アメリカ)
この2週間の間だけでも、アメリカとカナダで施設や自宅から出て不幸な事故にあう報道が増えています。認知症の人が自動車にぶつかり死亡したり凍死という悲劇になっています。ロジャック社LoJack Corporationは、認知症の人のこうした事故を防ぐために介護者へ助言する専門家がいます。ロジャックセフティネット LoJack SafetyNetの統括マネージャーのジョン・ポール・マロシーJohn Paul Marosy氏(写真)は、高齢者介護の専門家で介護に関するいくつかの本が書いていますが、次のように助言しています。
「認知症の人の徘徊を防ぐ唯一つの方法というものはありません。認知症の人を守り、介護者の心を安心させるような方法をいくつかの方法を組み合わせるのが最善です」
マロシー氏が勧める10の工夫
捜査と救出のための情報提供
○地域の警察に報告する
書類に必要事項を記入し警察に提出します。書かれた情報に基づき警察は認知症の人を緊急かつ特別な支援を必要とするものとします。また初期の担当者や徘徊にあたる捜査や救出を担当者には詳しい情報を書いたチラシも渡します。
○近隣者の知らせる
近隣者に同じようなチラシを渡し、これには行方不明になった認知症の人の写真、身体特徴、緊急時の連絡先を書いておきます。認知症の人の嫌いなものや趣味も書きくわえ、コミュニケーションや落ち着かせる方法も説明しておきます。近隣者の家の外で認知症の人が歩いていると直ちに自分に連絡してくれるように頼みます。
○個人情報札を付ける
靴に付けた札や衣類に緊急連絡先を書きます。
家の内外に安全装置を付ける
○外出を促すような物は隠す
認知症の人が外に出たがるようにするかもしれない帽子、コート、靴、スカーフ、鍵、スーツケースなどは隠しておきます。
○ ドアに「立入禁止」と書いた表示板を掛けておく
この表示は認知症の人がドアを開けて外に出たい気持ちを少なくすることになるでしょう。
○自宅の周囲にフェンスを設置する
門の外側に掛け金を付け、認知症の人がそれに手が届かないようにします。
○簡単なモニターを付けリモコンの警報器や鍵を付ける
ドアが開く作動するモニターを付けドアが開いたときに介護者のチャイム警報器が鳴るようにします。玄関、ガレージ、地下室などすべてのドアにロックします。
安全に救出する制度に登録する
○認知症の人について登録する
全国シルバー警報プログラムNational Silver Alert Programなど安全のためのデータベースに登録された情報があり、緊急時に担当する人が徘徊や緊急医療の場合の基本的な情報が提供されます。
○本人確認ブレスレットについて検討する
「アルツハイマー病協会とメディックカラート共同の安全帰宅Alzheimer's Association's MedicAlert + Safe Return」で提供されるIDブレスレットは、警察や理解ある通りがかりの人たちが認知症の人を安全に家に帰れるようにしてくれたり、必要な医療を受けるのに助けになります。
○人追跡機器を提供するサービスについて検討する
「ロジャックセイフティネットLoJack SafetyNet」など人を追跡する機器を使ったサービスは、認知症の人が徘徊していても介護者が安心でき、認知症の人を保護したり居場所を特定するのによい方法です。ラジオ発振機器は、徘徊する人にとって理想的です。GPSと違い、水や森林やコンクリートや鉄鋼建築物を通過するほど強力な信号を出すからです。
PRNewswire Feb. 4,2010 Across The Country, Numerous Incidents Reported of People with Alzheimer's Wandering Off and Tragically Dyingより)
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編者:認知症の人が出歩いて行方不明になる場合のアメリカでの制度やサービスが簡潔に紹介されている。わが国でもっぱら市区町村の地域的な発見システムが実施されているが「徘徊」のありようをみると全国を網羅する制度やサービスが必要だ。個人的にはGPS機能の携帯電話が役立つが、これだけで解決できるものではない。

★アルツハイマー病の女性が凍死、GPSの導入につながるか(2月1日/カナダ)
カナダのモントリオールで1月31日の日曜日の朝、81歳のアルツハイマー病の女性が道路で凍死しているのが発見されました。女性はナイトガウンを着ただけで自宅から外出したのです。モントリオール警察のヤニック・ウイメYannick Ouimet警官は、「息子さんは隣の部屋で寝ていて、朝の4時半に居ないのに気付きました。警察に連絡するまでの1時間、自分で探していました」と述べています。
当日の温度は零下20度で、冷たい風が吹いていました。
婦人の死によって追跡用GPSブレスレットを認知症の人に使うかどうかの議論が高まるでしょう。このシステムはヨーロッパでは既に行われていますが、モントリオール警察は検討しているとのことです。
今回は、モントリオールで徘徊中の死亡発見された2人目のアルツハイマー病の人です。12月にはマリア・デル・カルメン・セラーノMaria del Carmen Serranoさん(73歳)が道路で死亡しているのが発見されました。この女性は、前日、家を出たのです。モントリオールで初めての吹雪のなか低体温で死亡しました。
ケベック州の高齢者担当大臣のマルゲリート・ブレMarguerite Blais氏(写真)は「GPSは問題解決の一つですが、認知症の人の人権と尊厳も尊重されなければならない」と語っています。
アルツハイマー病の人の介護者の支援グループであるバルションアルツハイマー病協会Baluchon-Alzheimersのアラン・ゴウティエAlain Gauthier氏は、「GPSブレスレットは今回の事故のような女性を助けるのには役立たないかもしれません。寝ているときはそれを外していたのです。アルツハイマー病は介護者にとってとても難しい病気です。介護者は絶えざる見守りのために疲れ果てるのです。彼らに休む場所となにも心配しなくてよいことが必要なのです」と話しています。
examiner.com February 1,2010 Woman with Alzheimer's found frozen to deathより)
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★「40-50代の認知症患者が急増 2002-08年に2.3倍増加」(2月1日/朝鮮日報)
高齢者の病気だと考えられがちな認知症(痴ほう)が最近、40-50代の人たちの間でも大幅に増えていることが分かった。
国民健康保険公団は先月31日、医療機関で認知症の診断を受けた患者が、2008年には17万5749人に達し、02年(4万7747人)に比べ3.68倍に増えた、と発表した。このうち、大半を占めたのは65歳以上の患者で、08年(15万9699人)は02年(3万9589人)に比べ4.03倍に増えたが、40-50代の患者も08年には8266人に達し、02年(3546人)に比べ2.3倍も増えたという。
同公団の関係者は、「40-50代の中壮年層は多くのストレスを受け、高血圧や糖尿病などの生活習慣病患者が増えるが、これによって認知症を発症する年齢を引き下げていると考えられる」と話した。なお、認知症のほか、パーキンソン病や脳血管障害など、大脳基底核(運動調節・認知機能・学習機能などを担う部位)の退化をもたらす「老人性疾患」の治療を受けた患者は、08年には95万2000人に達し、02年(49万9000人)に比べ90.8%も増えたことが分かった。このうち、脳血管障害の治療を受けた人が、約75万7000人で最も多かった。
また、特に65歳以上の老人性疾患の患者の増加が目立っており、02年(26万3000人)から08年(60万7000人)の間に130.8%も増えた。
一方、人口10万人当たりの老人性疾患の有病率(患者の比率)は、02年の1039人から、08年には1884人に増え、特に65歳以上に限定した場合、同期間に6906人から1万1935人に急増したことが分かった。
金慶和(キム・ギョンファ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2010年2月1日 原文のまま
編者:患者が増えたのではなく、顕在化しただけと考えるのが妥当だ。

「脳に効く」サプリメント―脳ブスター―について(1月/アメリカ)
サプリメントや栄養ドリンクで売り上げを伸ばしているいくつかの「脳ブスター」は、思考力を高め、もの忘れを予防し治すとして脳機能を高める万能薬のように販売されています。ほとんどの消費者にとって、こうした宣伝文句から作り話と事実とを分けることは難しい。アルツハイマー病の現在の治療が限定的であり、期待されている薬の臨床試験が滞っており、多くの人が脳活性化を期待してサプリメントを求めています。現在入手可能な脳ブスターのタイプなどについて概観してみます。
○サプリメントと栄養補助食品
健康食品店や他の流通で見つけられる多くの脳ブスターは、アルツハイマー病の人に期待された効果は認めないが、ビタミンやハーブなど個々に研究された物の混合品です。たとえば、多くの脳ブスターは、オメガ3脂肪酸や銀杏エキスを含みますが、このどちらもアルツハイマー病に有効性をしっかり計画された大規模な臨床試験で確かめられたものではありません。こうした成分の混合品がより好ましい結果をもたらすかどうかは明らかではありません。またサプリメントは高価であり、消費者は注意しなければなりません。
アメリカ食品医薬品局Food and Drug Administration (FDA) は、栄養サプリメントや栄養補助食品nutraceuticalの効果についてのデータを調べているわけではありません。栄養サプリメントのメーカーは、商品の安全性や有意な治療効果の証拠をFDAに提出する必要はありません。したがって、消費者は、全く研究されていないか、あるいは少し研究されただけの結果に基づく宣伝文句にそそのかされるかもしれません。サプリメントのメーカーは、証拠がないので商品がアルツハイマー病など病気を治療できると消費者に助言できませんが、記憶機能や脳の健康に補助的な効果があると主張することはできるのです。
こうした混乱にくわえて、ある物質がアルツハイマー病治療の有効性を示すために臨床試験が行われているかもしれません。しかし、否定的な結果が出るとFDAの承認が必要ないサプリメントとして販売されるかもしれません。たとえば、アルツヘメドAlzhemedは、アルツハイマー病治療の有効性と安全性について大規模でしっかりした臨床試験が行われましたが、偽薬と比べて有意な効果は証明されず、治療薬としては承認されませんでした。メーカーは、アルツヘメドをビビマインドVivimindというサプリメント―脳ブスター―とし、カナダやネットで売られています。
FDAの監視がないのでサプリメントや栄養補助食品の純度や有効性は商品間でかなり異なります。現在のところ、アルツハイマー病の人にこうしたサプリメントについて科学的に裏付けられた推奨用量というものはありません。
天然のものであれば有害ではないと思う人は多いでしょう。しかし、サプリメントのなかには副作用があったり、他の薬との相互作用で健康を害しかねないものもあります。
サプリメントの反応には個人差があります。機敏になり元気になったと感じてサプリメントによって利益を得ていると感じる人もいるかもしれません。もっとも脳に役立つかもしれないとの思いから、気分や考えの変化を感じるのかもしれません。しかし現在まで、市販の脳ブスターが、アルツハイマー病の経過や症状を有意に変化させるという科学的な証拠は限られており、アルツハイマー病を治癒させるサプリメントはないことは確かです。
ある商品の有効性について知りたいと思うでしょうし、また使ってよい結果を経験したかもしれません。サプリメントと使うかどうかは個人が決めることですが、医師らに栄養サプリメントと服用していることが伝えておくことは重要です。そうすることでその効果を監視できるのです。
○医療用食品
FDAが定義する範疇の医療用食品Medical Foodsは、特別な病気の治療として市販されており、通常の食品の摂取では期待されない治療のための栄養を補給することを意図したものです。たとえば、エネルギー源としての脳の糖濃度はアルツハイマー病では低下しています。アクソナAxonaとよばれる商品は水と混ぜる粉末状の飲み物ですが、脳の代替エネルギーを補給することを意図した商品で、アルツハイマー病の治療のための医療用食品として市販されています。アルツハイマー病の人について、アクソナの対照臨床試験では、90日で認知機能の改善があるらことが示唆されましたが、180日後は効果ははっきりしませんでした。医療用食品は、医師の処方箋が必要で、FDAで管理され、一般的に安全と認められている成分から成っておりある程度、安全性が確認されています。しかし、薬のように安全性と有効性についてのしっかりした臨床試験は行われる必要がないのです。現在、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、アルツハイマー病の治療にアクソナの使用を支持してはいませんが、医師のなかには有効な可能性があるだろうとこの医療用食品を処方し始めています。なおアクソナには下痢などの副作用があり、医療的な監視は必要です。
アルツハイマー病治療を目指した新しい医療用食品が近い将来利用できるでしょう。DHAと抗酸化剤などの成分からなる1日1回のミルクセーキのような飲み物のスベナイドSouvenaidの臨床試験が進められていますが、脳の神経細胞と神経細胞間のシナップスをよい状態に保つのに役立つと言われています。
大切なことは、こうした商品の危険性と有効性いついて医師と相談することです。栄養補助食品か医療用食品を使っているとアルツハイマー病の治療や進行を遅らせることを意図した臨床試験に参加することが難しいかもしれません。このためアルツハイマー病の代替的な療法を始める時は注意して自分で決めるようにしましょう。
(カリフォルニア大学サンディゴ校アルツハイマー病研究センターAlzheimer's Disease Research Center, University of California, San Diego発行の季刊誌”Perspectives A Newsletter for Individuals with Alzheimer’s or a Related Disorder(Volume 15, Number 2 November- January, 2010pf 800K)”掲載のUnderstanding the Booming Business of “Brain Boosters”より)
編者:この季刊誌は認知症の人自身のための刊行物であるが、最新号が2月下旬にメールで知らされた。脳に効くとするサプリメントについてのわかりやすく役立つ記事なので紹介した。わが国でも同じような効果をうたうサプリメントがあるが、その評価、医療面での適応、使用上での注意などに関して認知症専門医の間でも関心が低くいようだ。

「認知症治療テーブル」が普及(1月31日/イギリス)
イギリス東部の二人の看護師が認知症の人のために考案された「気晴らし療法distraction therapy」が普及しています。これは開発された「ティプツリーボックスTiptree Box」と呼ばれるもので、患者の生活の質を改善させるとして、NHSイノベーションイーストNHS Innovations Eastの選考によるサービス提供の部で優勝しました。
このボックスは、アクティビティ用のテーブルで、コルチャスター総合病院Colchester General Hospitalで研究され、認知症の人や混乱した人の気晴らしになる物―コイン、ペン、ドミノ、封筒、計算機、ぞうきんなど―とから成っています。ボックスは、2006年、コルチェスター総合病院のカリー・テイラーCarrie Tyler氏(写真前左)とヘレン・ラングソンHelen Langthorne氏(写真前右)が考案しました。
テイラー氏はつぎのように述べています。
「認知症の人が馴染みの環境から離され、知らない病院に来たとき、混乱することは頻繁にあり、自分が引き離されたと感じとても不安になり病棟の歩き回るようになります。この状態は、転倒、脱水、食欲低下、他の患者からの苦情をもたらすことになりやすいのです。ボックスの道具類は、日々の生活で馴染みのある物で、認知症の人が安全に座れるテーブルとセットでできており、ベッドサイドでのみ使うものではありません。このセットで認知症の人たちは刺激を得、関係を作りだすのです」
最近、ボックスはファイブスタックスナーシングホームFive Stacks Nursing Homeで試され、成果を上げています。
ナーシングホームのサマンサ・ドンホウSamantha Donhou氏は次のように述べています。
「ボックスは入居者にとてもよい影響をもたらしています。多くの人に利用され、心地よさと安心と刺激になっています。また、通常ではコミュニケーションができない入居者が他の入居者と一緒に椅子に座り穏やかにしている様子を見ます。ボックスが彼らに心地よさと交流を促しています」
さらにテイラーさんも次のように述べています。
「ヘレンと私は、ナーシングホームでの試みの成果にとても喜んでいます。アイデアは、急性混乱状態にある人や病棟を歩き回わる人との対応から生まれました。馴染めない急性期病院の環境に重度疾患で入院することが常態を悪化させ、本人にも、他の患者や職員にも負担となっていました。テーブルは、患者が座って寛げる場であり、カフェにいるような社会的記憶を呼び覚ますことになっています」
NHSイノベーションイーストの、改革管理者のアンナ・カパッソAnna Capasso氏は次のように述べています。
「カリエとヘレンが受賞するようなアイデイアによって患者や介護者の生活の改善に役立ってことはうれしい。ナーシングホームでの成果をあげた試みから、さらにもっと多くの人たちに利益がもたされるようにボックスが試みられるでしょう」
BBC 31 January 2010 Dementia therapy table rolled out およびHealth Enterprise East Winning Idea is Now a Winner with Patientsより)
編者:回想法的な要素がある道具のようだ。これに近い試みはわが国でも介護施設で実施されていると思われる。

「オランダ、氷の中で死体が見つかる」(1月28日/ポルトフォリオ)
フリースランドの村ハレイプ(Garijp)で66歳の男性の死体が見つかった。警察によればこの男性は自然死したものと見られている。
死体は凍った運河に半身がつかり上半身は土手の上に出ている状態だった。「おそらく途中で具合が悪くなり倒れてそのまま亡くなったのでは」と警察。
この男性はレーワーデンにある施設から3週間前に姿を消してから行方不明であった。認知症を患い会話ができない状態だったという。
Portfolio 2010/01/28 原文のまま
編者:オランダでも認知症の人の同じような悲惨な事故があることを知った。どのような対策が行われているのだろう。

★栄養ドリンクで軽度アルツハイマー病の人の記憶が改善(1月25日/オランダ)
オランダ・アムステルダムにあるVU大学医療センターVU(Vrije Universiteit) University Medical Centerのフィリップ・シェルテンスPhilip Scheltens教授(写真)らの研究グループは、記憶改善栄養ドリンクとして市販されているSouvenaid(注)が軽度のアルツハイマー病の人に認知機能の効果について調べました。
対象者は、薬を服用していないアルツハイマー病の人225人を無作為に二つのグループに分け、効果が期待されるSouvenaidを飲むグループと、Souvenaidを含まないが外見や味や臭いが同じドリンク剤を12週間服用してもらう二重盲検法で行い、効果は、改訂版ウェクスラー記憶スケールWechsler Memory Scaleの言語想起テストと改定版アルツハイマー病評価スケールAlzheimer's Disease Assessment Scaleで12週目に判定しました。
その結果、言語想起テストではSouvenaidを飲んだグループは対象グループより有意に改善が認められましたが、その他のテストでは変化認められませんでした。また対象グループでは改善も悪化も認めませんでした。Souvenaidの服用について問題はありませんでした。研究グループは、Souvenaidの限定的の効果を認め、さらに臨床試験が行われれもよいと結論づけています。
この研究論文はアメリカ・アルツハイマー病協会発行の雑誌Alzheimer's & Dementia.2010年1月号に掲載されています。
ヨーロッパでの研究結果を受けてアメリカのラッシュ大学医療センターRush University Medical Center では軽度から中程度のアルツハイマー病の人の認知機能のSouvenaidの効果について臨床試験を行うことにしています。この試験を指導するラッシュもの忘れ外来Rush Memory Clinicのラジ・シャーRaj Shah所長によると、アメリカではアルツハイマー病の治療薬を服用している500人を対象に無作為二重盲検法で全国40施設で行い、試験期間は24週間とする予定です。この研究には、アメリカでのSouvenaid発売元のニュツリシアNutriciaから資金を受けます。
ScienceDaily Jan. 25, 2010 Nutritional Drink for Alzheimer's Patients Evaluated in Clinical Trialおよび論文Efficacy of a medical food in mild Alzheimer's disease: A randomized, controlled trialより)
編者:NutriciaのサイトによるとSouvenaidは、オメガ3脂肪酸、コリン、ウリジン一リン酸、抗酸化物質、ビタミンBを含む1日1回の服用の医療用栄養ドリンク。商品の日本語表現はスブネ、スベネイドあるいはほかの呼び名か不明。

ダボス会議でアルツハイマー病が初めて議論される(1月25日/スイス)
アルツハイマー病が、今年の世界経済フォーラムWorld Economic Forum(ダボス会議)で初めて議題になります。世界の71の国のアルツハイマー病団体からなるロンドンを拠点とする非営利国際組織である国際アルツハイマー病協会Alzheimer's disease International (ADI)が発表した「世界アルツハイマー病報告書World Alzheimer's Report」によると、現在、全世界に認知症の人が3500万人いて、20年ごとにその数は2倍になり、2030年までに6570万人に、2050年までに1億1540万人になると推計されています。
このダボス会議の進行役で国際長寿センター International Longevity Centerの会長であるロバート・バトラーRobert N. Butler医師(写真左上)は次のように述べています。
「アルツハイマー病が急速に増加することによって、経済、社会、個人生活に負担が強いられています。私たちは、現在まさにこの状況に統合的に取りくんでいるのです。政府、企業、市民代表による今日の会議は、緊急に行動すべき重要な第1歩となります」
国際アルツハイマー病協会のマーク・ワルトマンMarc Wortmann事務局長(写真左中)は、次のように述べています。
「歯止めがないと、アルツハイマー病など認知症は、個人、家族、医療制度、産業、世界経済に多大な負担をもたらすでしょう。よりよい治療のための研究への支援、認知症ケアを資金面で支え改善するための活動に希望があります。私たちは、利用できる治療、介護、支援を今日でも変えることができるという認識を高める必要があります」
会議のパネリストであるファイザーPfizerのプライマリーケアビジネス部Primary Care Business Unitの部長のオリビエ・ブランディクールOlivier Brandicourt氏(写真左下)は次のように述べています。
「アルツハイマー病は、地球規模の対策を学んだエイズと同じ課題を持っています。私たちは、分野、企業、国を越えてアルツハイマー病の人に声を届ける仕事をするパートナーを見つけ、破滅的な影響を変えるような進歩を促すための機会を今日持つのです」
アルツハイマー病に対する制度を展開している国は、オーストラリア、イギリス、韓国、ノルウエー、カナダ、フランス、ドイツ、日本、スウェーデンです。
2009年の世界アルツハイマー病報告書によると、認知症の有病率の増加は、主に低中所得国での認知症の人が増えることによります。調査によると、現在、世界の認知症の人の57.7%は低中所得国に住み、2050年までにその割合は70.5%に増えると推計されています。次の20年間に、認知症の人の増加は、高所得国と比べ低中所得国が際立つでしょう。報告書の推計によると、ヨーロッパで40%、北アメリカで63%、南ラテンアメリカで77%、アジア太平洋の先進国地域で89%増えます。これに対して、東アジアで117%、南アジアで107%、その他のラテンアメリカで134~146%、北アフリカと中東で125%増えます。
世界的には、認知症の経費は年間、3150億アメリカドルと推計されています。認知症の人1人の年間経費は、低所得国では1521ドル、中所得国では4588ドル、高所得国では1万7964ドルと推計されています(注)。
注:Anders Wimo, et al. "An Estimate of the Total Worldwide Societal Costs of Dementia in 2005." Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association. Volume 3, Issue 2, April 2007
PRNewswire  January 25,2010 First Alzheimer's Discussion at World Economic Forum Major Step Forward より)
プログラム予告:Rethinking the Global Response to Alzheimer’s Disease
編者:会議の発言内容が分かれば追加報告したい。

介護者へのケア(1月21日/アメリカ)
その男性は90歳近くで視力は失われ軽度の認知症の症状がありました。腹部の検査のあと、私は、彼の下着をもとに戻そうと手探りで手伝おうとしました。この数秒の無駄のあと、患者の中年の息子がドアの近くから駆け寄って、手際よくボタン、ファスナー、ベルトをもとに戻し始めたのです。
彼は、指でボタンをすばやく穴に通しながら、優しく小声で話しかけました。「お父さん、いつもならこんなことは自分でできるのに」。彼は、老人のベルトを締め腰のくびれのひだを軽く叩きながら父親をなだめながら「スプーンに食べ物をとってあげたら、自分で食べるのにね」とも話しかけていました。その老人は、ぼんやりとうなずき、天井の蛍光灯の下で微笑み、垂れ下がった口に指をあてていました。私は、毎朝、繰り返されているであろう光景見ていているような思いでした。
そのあと、診察室の外で息子さんは、私を廊下のわきへ引っ張りました。そこで彼の目の周りのくまに気付き、「あなたは疲れているのでは」と聞きました。
その男性の目は涙であふれそうになったのです。私は、すぐに、なかば反射的に、老人のために私ができなかったことを謝ろうとしました。しかし、彼は私を止めて、「ちがいます、ちがいます。そうではないのです。そんなことは全くありません」と、彼は手の甲で涙をぬぐいながら云いました。少し休んで、まだ部屋のテーブルの上に横になり蛍光灯の方に向かって微笑んでいる父親の方を見ていました。
「これまで私が疲れているかどうか聞いた医者はいません」と言いました。
実際、私は数年前、私も弱った人の世話をしている時期があったことを思い起こさせました。私たちがしていることが重要だと主張して、家庭で患者の世話をしている家族について認識することに専門職の医師である私たちは遅かったのです。
介護家族は、複雑で身体的に負担になり、自分ではできなくなった傷口の処置、薬の服用、食事、入浴、着替えといった患者の全般的によい状態につながる仕事をしています。こうした介護の多くは、かっては医師や看護師の仕事でした。しかし、前世紀まえから、こうした役割はほとんどあるいはまったく訓練を受けていない人たちの仕事となりました。医師や看護師さえもより重要でないと家族の介護の仕事に移したのです。
現在、医師が、自分の家族の介護に直面することがなければ、家族介護がしなければならないことについて学ぶことがほとんどなくなったことは驚くにことではありません。私たち医師は、部屋から出た後、患者の介護がどのように行われているかを知り気づくということはほとんどありません。言い換えれば、3700万人の患者のために家族や配偶者や友人や隣人が必要な医療を受けるように支えているのであって、私たちが行っている最善の医療とはこの程度ものなのです。
ハーバード大学医学部Harvard Medical Schoolの医療人類学と精神医学の教授であり、現在は介護家族でもあるアーサー・クラインマンArthur Kleinman医師(写真左中)は、みずからの経験から次のように語っています。
「もし実際の介護にかかわることに直面すると医師はとても謙虚な態度になるでしょう。私たちは優れた診断と問題を整理する注意ぶかい視点を持ってきました。しかし、いったん問題が整理され薬物療法が実施されると、たとえ、在宅医療の支援を探すとか、ソーシャルワーカーによる評価してもらうといった単純なことであっても、その後の介護で残ったことについて関心も知識もないのです」
しかし、私たち専門職のこうした無関心は、過去のことになってほしいものです。
今月、アメリカ内科学会American College of Physiciansは全国的で指導的な専門職団体ですが、介護者との作業の在り方について初めての指針を発表しました。これは、その他の10の医学専門職団体の承認を得て、雑誌Journal of General Internal Medicineに掲載されました。これは、患者、医師、介護者の複雑な相互作用から生じる問題に焦点をあて、最善の医療を提供するためのガイドラインを提供しています。
患者の権利、尊厳、価値を尊重しもっとも注目することの必要性というおおまかな原則ののっとり、指針は患者―医師―介護者の関係のなかで生じるような特別な問題について検討しています。たとえば、医師は遠くに離れた介護者にどのように対応すべきか、終末期患者の介護者と仕事をするときに何を配慮すべきか、自分が十分にはできなかったと告白した介護者をどう最善に支援すべきか?など。
アメリカ内科学会の「倫理・専門性・人権委員会Ethics, Professionalism and Human Rights Committee」の委員長で、指針の著者の一人でもあるバージニア・フードVirginia L. Hood医師(写真左下)は次のように述べています。
「倫理的視点から、通常、だれも患者、患者の自律性、患者の関心に重視するものです。しかし、介護家族も医療チームに重要な人たちです。私たちは、こうした介護者が、たまたま車椅子を押していた人にすぎないというのではなく、もっとしっかり評価し、かれらが必要とすることについて考慮し、患者の医療の中心にどのように置くかを考える必要があります」
介護が、医療問題の新しい分野―介護者の問題―としてどのように取り上げてゆくか理解しておくことがとくに重要です。介護の義務によって非情なほどのストレスをもたらします。こうしたストレスのすべてが、身体的、情緒的とは限りません。
さらにフード医師は述べます。
「3700万人から4000万人の家族介護者の多くは、患者の介護のために自分の仕事を辞めています。彼らは自分の退職のためにお金を別に取っとくことができないのです。誰が、将来、彼らを介護をしたり、医療に関わるのでしょうか?」
よい多くの人の介護に関わることは、既に精一杯働いて患者のためにさらに追加する時間がない医師には難しいことでしょう。
フード医師は述べます。
「医師が費やす時間と医療費補償の難しい問題は解決されるべきです。もし、医師が患者にとってよりよく患者や介護者との時間をとる必要があれば、そうすべきです。これはすべて患者に関わることなのです」
どのような介護が家族や医師やその他の臨床専門職によって提供されるかに関しては、私たちが介護をどのように定義するかにかかっています。
また、クラインマン医師はつぎのように述べます。
「介護は道徳的な仕事です。介護は、その場にいること、その人と共にいること、そして関わることなのです。できることが何もないときでも、私たちは『見てください、私はこの体験であなたとともにいます。そして最後まで』と言えなければならないのです」
New York Times  January 21, 2010 Offering Care for the Caregiverより)
関連資料:Journal of General Internal Medicineの2010年1月9日電子版掲載のFamily Caregivers, Patients and Physicians: Ethical Guidance to Optimize Relationshipsの抄録訳や以下のとおり。
「家族介護者、患者、医師:関係を最善にするための倫理指針」(抄録)
介護家族は、急性疾患や慢性疾患の3000万以上の患者の健康と生活の質を最大限にするために重要な役割をはたしている。患者は、日常活動、複雑なケアの管理、医療制度の調査、医療専門職との疎通などの支援で介護家族に頼っています。身体的、情緒的、経済的負担のため介護者は外傷や疾患を受けやすくなります。地理的に離れた介護家族と介護家族的な役割を担わされる医療専門職はより重い負担を経験するかもしれません。医師が、介護の役割の価値の認識することで積極的介護に貢献して患者の入院や施設入所を減らすことになるでしょう。しかし、医師は、患者―医師の関係の有意性を保ちながら患者と家族介護者の協力者という倫理的課題に直面するでしょう。アメリカ内科学会は10の専門職団体との同意を得て、患者―医師―介護者の関係の相互的支援を発展させるための医師の倫理指針を提供する。
編者:医療における家族介護あるいは介護家族の役割についての医師の投稿である。確かに、わが国でも医療と介護を別々のこととしてとらえる傾向があり、医療における家族ああるいは家族による介護をもっと積極的で有意義で相互作用のあるものとして捉えなおす必要があろう。認知症の人の介護家族についても、介護の負担が多い重いという視点だけでなく、その家族の積極的な役割を認識した支援が求められていると思う。なお、寄稿者のPauline W. Chen医師(写真左上)は外科医であるが、編者は読んではいないが2007年出版の「FINAL EXAM:A Surgeon’s Reflections on Mortality(日本語訳本表題:人はいつか死ぬものだから―これからの終末期ケアを考える)」の著者でもある。

★認知症の人のための刺激になる本(1月20日/イギリス)
最近、認知症サービスが注目されており、介護施設の職員は革新的な新しい本が認知症高齢者に有益なことを見出しています。海から遠いコンベントリーにある介護施設のチャーンウッドハウスCharnwood Houseの多くの入居者は、このまえは、ラウンジで椅子に座ったまま、靴を脱いで砂のなかに足指を入れて小刻みに動かしビーチボールで遊んでいました。
施設長のダウン・ハンコックスDawn Hancox氏は、57人の入居者をテレビの前に座りっぱなしにするような人ではなく、次のように語っています。
「入居者に海辺をもってくることにしたのです。思考を刺激してその人中心の活動を行っています。ビンゴゲームなどはしません」
先週、イギリス監査局National Audit Officeが、政府を批判する報告書を発表し(訳注1)、認知症の早期診断や認知症の人の介護者への支援を改善する計画など野心的な認知症国民戦略5カ年計画に高い優先順位をつけていないとしています。
しかし、チャーンウッドハウスでは、新しいシリーズの本が施設長や職員に価値ある活動を提供しています。この介護施設は、高齢者向けの五つのメソジストホームMethodist Homes for the Agedの一つで、認知症の人と介護者のための「分ち合う絵Pictures to Share」(訳注2)を試みています。この「分ち合う絵」は、楽しかった昔の楽しかった経験の記憶を刺激するようにデザインされ数行の大きな活字と絵や写真との組み合わせた本です。そのシリーズの本の一つが「海辺でBeside the Seaside」というものであり、これによって活動をしていたのです。
今日は、カーペットはけばけばしい装飾はなく、コーディネーターのイザベル・シーアIsabelle Sear氏は、マイケル・ゴリーさん(84歳)からいくつかの記憶を引き出す本を使っています。作家のグラハム・グリーンGraham GreeneがブライトンロックBrighton Rockを書いていた時ころに撮られた埠頭の大きな車輪は、彼に笑顔をもたらします。
ポーラン・ハルセイさん(81歳)は、幼い少女のように彼女が持っているカメについての思い出をしだいに引き出されるようにしています。こうした場合の刺激は「分ち合う絵」のなかの「ペットPets」と呼ばれる本から選びます。
ハンコックス施設長は次のように述べています。
「絵によって入居者の物語を作り上げることができます。入居者の親戚に話すと、ときどき、聞いたことがないという物語もありました」
このシリーズでもっともよく選別された本は「面白い昔の世界A Funny Old World」と題するもので、ダイアモンドの形をした靴下の上に先のとがったひと組の靴、赤ん坊をだきしめる母親、袋とび競争をする父親、超現実的な豹のコートを着た婦人の部屋のカーペットに寝ているライオンの絵(写真)などがあります。
これらの本の創作者は建築家でイラストレーターのヘレン・ベイトHelen Bate氏(写真)で、彼女による基準で注意深く選らばれたものです。彼女は次のように説明しています。
「『認知症の革新Innovations in Dementia』と呼ばれる会社の支援をえて、私が多く研究しました。写真は見る人に直ちに関わるような明快さが求められます。会話を刺激するような説明も必要です。あまり多くのことを同時に進めることはできません。ある婦人がアイスクリーム車の周りの子供の写真を見て、アイスクリームをつかんでいる手がどの子供のかが分からなかったので驚きました。認知症の人は広い背景のイメージを好みます」
彼女の母親は70代に認知症になりました。ベイト氏はその思い出を語っています。
「私は建築家として仕事をしていました。父は私の子供とスクラップブックを作っていたのを覚えています。私の10歳の子供に座って話しかけていましたのです」
この経験が彼女にアイデアを提供しました。3年前、父が亡くなったとき、ベイト氏は大学に戻りイラストの学位を取りました。さまざまの慈善団体から資金を得て、彼女は「分ち合う絵」を、こうした材料が必要と認め地域の利益を優先して考える会社として立ち上げました。さらに、彼女は、「私たちの子供たちの何千という本をもっていますが、大人の材料として相応しくありません。現在まで、認知症の人に有益な本はほとんどありません」と語っています。
The Guardian 20 January 2010 Books stimulate pictures of health for dementia sufferers
訳注1:報告書Improving dementia services in England - an interim report(pdf600K)
訳注2:「Pictures to Share」のサイトでは多くの本が紹介されているが、各本のサンプルも見ることができる。

「シリーズ介護:スウェーデンからの報告/上 認知症ケア、専門に研修」(1月19日/毎日新聞)
高齢化が世界的に進み、認知症とどう向き合っていくかが各国共通の課題となっている。福祉先進国と言われるスウェーデンではどう取り組んでいるのか。首都ストックホルムの福祉現場を訪ねた。【細川貴代】
◇多彩なメニュー、費用は雇用主負担で
◇国がガイドライン策定へ 医療との連携、課題
「グッモーロン(おはよう)」。午前9時半過ぎ、送迎バスに乗ったお年寄りたちがデイケアにやってきた。ストックホルム郊外、ドロットニングホルム宮殿近くの住宅街に建つ「シルビアホーム」。シルビアシスターと呼ばれる介護スタッフがお年寄りたちを笑顔で迎え、太陽の光が降り注ぐリビングでティータイムが始まった。
同ホームは母親が認知症と診断されたシルビア王妃の発案で、認知症ケアの専門スタッフ養成のため96年に開設された。病が進行しても患者本人の残された能力を維持し、最期まで自分らしく生きる「緩和ケア」を理念に掲げている。
他の部屋では福祉サービスを提供する自治体(コミューン)の認知症ケアチームが研修を受けていた。ケアチームとは、認知症患者を担当する介護職などで構成される組織で、医療と福祉の連携や家族支援を担う。講師の話を聞く参加者の目は真剣だった。
介護が必要な高齢者の中でも、認知症の人に対しては特別な専門性が求められる。周囲の対応次第で徘徊(はいかい)や妄想がひどくなったり緩和されるためだ。
専門研修では、自治体・施設の介護職、ケアチームのスタッフらが医学的な知識やチームワーク、家族支援の方法などを学ぶ。インターネットを使った2年間の専門教育も実施。シルビアシスターとは、この教育を修了した人に与えられる特別な称号だ。彼らは認知症ケアのリーダーとして各地域で活動することが期待されている。
同ホームでの短期研修にとどまらず、スウェーデンでは行政主催の研修や大学での短期コースなど、介護現場で働く人への専門教育の機会が多く用意されている。受講にかかる費用は雇用主が負担。国も専門研修を後押しし、ネット学習などで仕事を続けながら学べる環境も整っている。
別の施設で准看護師として働くペイビー・グレイスさんもそうした一人。昨年秋、同ホームのネット課程の受講を始めた。「学び直すことで認知症に関する新しい知識を得たかった」という。
さまざまな取り組みの結果、認知症ケア現場で働く職員の約8割が1年間で何らかの研修を受けたとの報告(02年)もある。
    □
スウェーデンで認知症が社会的に認識され始めたのは70年代後半。現在でも病気への理解促進は重要な課題の一つだ。このため08年、ストックホルムに非営利組織「全国認知症センター」が設立された。国の補助金で運営され、研究者ら7人が認知症ケア分野の情報収集や研究、広報などを行っている。
さらに国は今年、ケアの質を高めるために「認知症ケアガイドライン」を発表する予定だ。同センターではこのガイドラインに沿って認知症ケアを学ぶ、インターネット上の学習システム「認知症ABC」の構築を進めている。クイズ形式で医学的な知識や家族支援策の学習、個別ケースの事例研究などができる仕組みだ。全10章で構成し、すべてを修了すればセンターから認定証がもらえる。
対象は現場スタッフだが、一般の人も学べる。同センターのメディア・ウェブ担当、オルガ・シャシコさんは「これらの教育が介護分野で働く人たちへの最低限の知識となることを目指したい」と意気込む。
    □
専門職の養成や病気への理解促進には日本も既に取り組んでいる。介護職を対象にした認知症ケア研修が都道府県や政令市単位で行われ、01~08年度に約16万人が受講。また、国は05年から患者が地域で暮らしやすいよう病気への理解を広げる「認知症サポーター」の養成に取り組み、講習会の受講者は昨年12月末に146万人を突破した。
では両国のどこが違うのか。千葉県浦安市内でスウェーデン式の有料老人ホームを営む「舞浜倶楽部」の総支配人、グスタフ・ストランデルさん(36)はこう指摘する。「スウェーデンでは、家族が認知症になったことを隠す人はいない。日本でもここ10年で進んではきたものの、依然として偏見が根強い。脳の病気であって恥ずべきものではないという認識が広まれば、早期診断や家族支援にもつながるはず」
とはいえ、福祉先進国スウェーデンも認知症対策はまだ十分とはいえないようだ。シルビアホームCEO(最高経営責任者)を務めるウィルヘルミーナ・ホフマン医師は「研究や専門医は他の病気と比べて少なく、医療と介護の連携にも課題はある。日本や他国の方が進んでいるところもあるだろう。良いところは互いに学んでいきたい」と話した。
◇高福祉支える高負担
スウェーデンの人口は約930万人。65歳以上の割合(高齢化率)は05年で17.3%。20年には21.2%と予測されている。07年の報告書では認知症患者は約14万2000人。
豊かな福祉制度を支えるのは税金だ。所得税は約30%。食料品などを除く一般の消費税は25%で、国民負担率(06年)は66.2%(日本は09年度が38.9%)と突出する。
高齢者介護の責任はコミューン(日本の市町村に相当)、医療はランスティング(県に相当)にある。サービス内容は各自治体で異なるが、社会サービス法で最高負担額と最低保障額が決められており、低所得者でも必要な介護を受けられる。
毎日jp 2010年1月19日 原文のまま

香港で認知症高齢者が増える(1月13日/香港)
香港政府は、1月13日、人口の高齢化が進むにしたがい認知症高齢者がもっと増えると推測されると発表しました。政府統計局Census and Statistics Departmentは香港の70歳以上高齢者の人口が2019年までに83万人に増えると推計しています(2008年の人口は約700万人)。また衛生署 Department of Healthと香港中文大学Chinese Universityの2006年の共同研究で、70歳以上のなかで認知症は9.3%を占めていると推計され、現在は6万3000人の70歳以上の認知症高齢者がいると推計されています。
労働・福祉局長のマッチュー・チュンMatthew Cheung氏(写真)は次のように述べています。
「現在の認知症の発病率に基づくと、2019年までに70歳以上の認知症高齢者は7万7000人になると推計されます。こうした状況の対策として香港政庁は、近年、認知症高齢者と介護者への支援を含めた介護サービスを向上させるための特別な資源を配分をしました。
現在、政庁は、認知症の人のための長期介護が必要な認知症の人のために多様な介護サービスの助成を行っています。このなかには、施設介護、通所介護、在宅介護が含まれます。それぞれの待機期間は、約24か月、7か月、2か月です。
高齢者サービスへの公的支出は1997年の16億2000万香港ドルで、今年は39億8000香港ドルです(1月14日で1香港ドル=約12円)。
Chinaview 2010-01-13 Hong Kong to have more elders with dementia: officialより)

★FDAの警告後、非定型抗精神病薬の使用が減る(1月11日/アメリカ)
アメリカ食品医薬品局Food and Drug Administration (FDA)が2005年に認知症高齢者に非定型抗精神病薬を処方する危険性に関する警告の後、認知症高齢者に使われる非定型抗精神病薬の使用が減少しているとする論文が、アメリカ医師会の内科学雑誌Archives of Internal Medicineの2010年1月11日号に掲載されました。
コラザピンClozapineは第2世代または非定型抗精神病薬として1989年にアメリカで使用されるようになりました。その後、risperidone(商品名:リスバダール)、olanzapine(商品名:ジプレキサ)、paliperidoneなどこれに類する数種類の薬剤が使用されるようになりました。従来の抗精神病薬または定型抗精神病薬とくらべ神経学的副作用が少ないとされている非定型抗精神病薬が脳血管障害、糖尿病など重篤な副作用があるする報告があります。2005年4月、FDAは、認知症高齢者の行動症状の治療に非定型抗精神病薬を使用することで死亡が増える危険性があるとする特別の警告のラベルを貼ることを製薬会社に要請しました。
ニューヨークのロチェスター大学医療センターUniversity of Rochester Medical Centerのロイ・ドーセイE. Ray Dorsey医師(写真)らのグループは、2003年から2008年の間、非定型抗精神病薬の使用頻度を全国を代表するIMS Health's National Disease and Therapeutic Indexのデータを分析しました。この全国疾患治療指標に参加している医師は、診断、治療、患者の特徴を記録、報告しています。
分析の結果、FDAの傾向前の2003年1月から2005年3月までの間、非定型抗精神病薬の処方は34%増え、認知症の人については16%増えました。約80万人の認知症の人にこの薬を処方されていたことになります。FDAの警告1年後、非定型抗精神病薬の処方は全体で2%、認知症の人で19%減り、2008年までに認知症の人については50%減りました。
非定型抗精神病薬の利益が不明確で減少しているとはいえ、2008年末までに認知症高齢者に処方される薬の9%を占めています。
この結果についてドーセイ医師らは「この減少がFDAの警告のみの影響かどうかの疑問は残る」としています。
Newswise 1/11/2010 FDA Warnings Reduced Antipsychotic Use in Older Adults With Dementiaおよび論文 Impact of FDA Black Box Advisory on Antipsychotic Medication Useより)
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編者:非定型抗精神病薬がナーシングホームではなお多く使われているとする以下の記事(businessweek January 11, 2010 Antipsychotics Still Widely Used in U.S. Nursing Homes Off-label use to control behavior seems to be part of the 'culture' at some centers, one study finds)があり、またナーシングホームにおける抗精神病薬に使用状況に関する論文(Archives of Internal Medicine January 11, 2010 Unexplained Variation Across US Nursing Homes in Antipsychotic Prescribing Rates)もある。
それにしてもわが国でも適応でないにかかわらず認知症の人に非定型抗精神病薬が無制限無原則に使われてはいないか。調査も報告もない。

高齢者が一人で食べられる工夫(1月11日/イギリス)
デザイナーのグレゴー・ティムリンGregor Timlin氏(写真)の祖母は、家族の強い支えでした。祖母にとって