認知症の情報(海外)2013年


ますます多くのフィンランド人が認知症で死亡(12月31日)
タイはアルツハイマー病ケアのリーダとして現れる(12月30日)
「認知症の定期検診、ベネフィットはあるのか」(12月26日)
プーケットで行方不明のアルツハイマー病の中国人観光客見つかる(12月14日)
「英で認知症対策サミット 研究費の大幅増合意」(12月11日)
「「G8・認知症サミット」初の開催へ」(12月11日)
ニュージーランドアルツハイマー病協会がG8認知症サミットに要望(12月10日)
認知症ケアで先駆的なプリマスへ日本から視察団(12月9日)
アルツハイマー病の人が外出中に銃殺される(12月7日)
認知症治療に運動がよい(12月4日)
アルツハイマー病関連団体は認知症G8サミットに地球規模の計画の合意を要望(12月2日)
「詩の朗読が認知症患者の記憶に好刺激、英施設で実践」(11月28日)
病院での認知症ケアは相変わらず悪い(11月21日)
あらゆる分野でアルツハイマー病と戦う(11月19日)
認知症に優しい大学づくり(11月17日)
認知症の人へデイセンターの支援(11月16日)
道化師が認知症の人に尊厳をもたらす試み(11月15日)
ドバイ保健局が認知症介護者の集いを主催(11月13日)
新しい認知症ケアの取り組み(11月11日)
生物学者スズキ氏、テレビ番組で初めてアルツハイマー病を取り上げる(11月9日)
アルツハイマー病への効率的な改革の道筋が急務(11月6日)
知られてない認知症の疾患―加齢性海馬硬化症―の新しい研究(11月5日)
警察署長の提案「認知症のデーターベースを要望」で議論(11月3日)
認知症の人と子供の安楽死を合法化する動き(10月31日)
LINEで行方不明のアルツハイマー病の人を保護(10月31日)
大学病院の新たな「認知症サービスセンター」の試み(10月30日)
認知症の人の性に関する施設の方針は急務(10月28日)
国民は認知症ケアのためにに多くの募金(10月20日)
アルツハイマー「病」の終焉(10月18日)
認知症のMOOCで世界の9300人が学習(10月14日)
ミャンマーで健康に生きる:運動はアルツハイマー病を防ぐ(10月13日)
認知症の人にGPSを付けることの問題(10月11日)
私が「認知症フレンズ」になった訳(10月8日)
再婚は認知症介護を困難にする(10月4日)
介護者の認知症活動で受賞(10月3日)
要望:もっと認知症ケアを(10月1日)
認知症のゲイらLGBTIの人へ新たな取り組み(9月26日)
認知症はEU最大の優先すべき健康課題(9月25日)
訪問サービスは認知症の人と介護者を支える(9月25日)
論説:カナダは国家認知症戦略を推進すべきだ(9月22日)
台湾の認知症国家計画が公表(9月14日)
アミロイドイメージングはアルツハイマー病の診断・治療に役立つ(9月13日)
総合病院の職員のための革新的な認知症研修(9月11日)
政府主導の認知症キャンペーンは認知症の過剰診断に繋がると批判(9月10日)
「医療器具で8人がヤコブ病感染の可能性 米」(9月6日)
多くの精神科医や看護師は認知症の人に嘘を言うことを是認(9月4日)
バディプログラムでアルツハイマー病の人が医学生を指導(9月3日)
ヤンキースが「世界アルツハイマー病月間」を立ち上げ―アルツハイマー病のサミット氏も応援―(9月1日
「NFL後遺症訴訟 750億円で和解」(8月30日)
認知症の人の失禁―頻度とケアの現状―(8月28日)
美術療法の創造的支援が認知症の人の思いと恐れを明かす(8月26日)
デトロイトでメモリーウオークに5000人以上が参加(8月24日)
12月にロンドンで認知症サミット(8月19日)
自殺幇助を受ける計画の認知症の人の妻と息子が逮捕(8月18日)
キャリー・マリガン、BBCで認知症の祖母について語る(8月15日)
アルツハイマー病の社会的背景ある治療を目指す(7月31日)
「療養型病院で火災、ベッドに拘束された認知症患者が死亡」(7月31日)
高齢者の性的行為のケアでヘ際立つヘブライホーム(7月23日)
ナーシングホームに認知症のベビーブーマーの性の予兆(7月22日)
「オランダの「認知症村」に見る介護の最先端」(7月21日)
ミャンマーのメイドが認知症高齢者へ虐待の罪で服役(7月20日)
認知症の人の介護者を支援するネットワーク構築と有効性の評価の試み(7月14日)
急性期病院のスタッフ研修に認知症は必須(7月12日)
認知症の人のための「わすれな草カフェ」オープン(7月10日) 
アルツハイマー病薬の市場―2012年~2017―(7月9日)
イギリスの移民に認知症の陰(7月3日) 
最新版「国家アルツハイマー病計画」(6月30日)
バンクーバーはもっと高齢者と認知症の人にやさしくなりそうだ(6月28日)
認知介護労働者を海外に求める(6月26日)
アルツハイマー病の早期発見の無料スクリーニングの勧め(6月18日)
アルツハイマー病:思い出のひと時(6月13日)
ホーステラピーは認知症の人に役立つ(6月12日)
認知症で日本から学ぶこと(6月11日)
中国の認知症の人は900万人以上(6月7日)
スコットランドの認知症医療の改善に向けた病院行動計画(6月3日)
アルツハイマー病の電話相談始まる(6月3日)
認知症にやさしい街づくりに新しいグループ(6月2日)
イギリスで最初の認知症の人の自殺幇助(5月30日)
アルツハイマー病を負かす方法(5月28日)
古代ギリシャ人は正しい認知症ケアを知っていた(5月27日)
母親を殺したアルコール性認知症の男性に懲役4年(5月25日)
モンテッソーリ方式認知症デイケアセンターがオープン(5月18日)
イギリスはG8で認知症の研究支援に利用する(5月15日)
「認知症の80代の老夫婦、自ら命を絶つ」(5月14日)
アルツハイマー病協会の認知症地域巡回展示始まる(5月12日)
認知症ユニットに意義はあるのか(5月10日)
アルツハイマー病の免疫グロブリン療法の効果認めず(5月7日)
誤嚥性肺炎は認知症高齢者の重要で予防できる死因(5月3日)
アルツハイマー病などの3人が他自殺(5月2日)
行方不明の認知症の人を発見するGPSを使用と警察が主張(5月1日)
アルツハイマー病薬などの臨床試験の最新情報(4月30日)
リスクを伴うアルツハイマー病研究に投資が続く理由(4月15日)
認知症の人による暴力の多くは通報されてない(4月12日)
「認知症は心疾患やがんよりも医療費がかかる! 米研究」(4月9日)
マーガレット・サッチャーの死についての見解―アルツハイマー病協会―(4月8日)
保健大臣が認知症臨床指針の改定を発言(4月5日)
ドイツで認知症が増える(4月5日)
オランダ政府の認知症対策「デルタプラン」(4月5日)
「神経変性疾患の世界市場の大部分を占めるアルツハイマー病およびパーキンソン病の治療」(4月4日)
「中枢神経系(CNS)バイオマーカーの世界市場規模は2017年には50億米ドルを上回る見通し」(4月4日)
認知症ケアはまだら状態―新しい指針―(4月3日)
「米大統領、「脳の地図」作成に1億ドル」(4月3日)
「PhRMAメンバー企業 高齢者向け慢性疾患治療薬465剤を開発中」(3月28日)
抗精神病薬を48%減らして認知症介護が改善(3月24日)
危機が忍び寄る認知症に政府の対策を要望(3月23日)
認知症の人の性的ニーズについて啓発(3月19日)
認知症高齢者がスイスのクリニックで自殺幇助を希望(3月17日)
「認知症アクション連盟」が発足(3月13日)
アルツハイマー病のミュージカルはすばらしい(3月11日)
アルツハイマー病の死亡が増加(3月10日)
認知症治療でパロの有効性の研究計画(3月8日)
性的虐待者は認知症の疑い(3月8日)
認知症の人が2回投票したと告訴のおそれ(3月8日)
ニュージーランド人の高齢化で認知症計画は緊急課題(3月8日)
認知症の人の介護者は自殺を考えることが8倍高い(3月6日)
イギリスは健康改善の失敗で認知症による死亡が増加(3月5日)
認知症の早期スクリーニング検査は有用(2月25日)
認知症が企業に影響(2月23日)
認知症にやさしい病棟作りの指針(2月21日)
NSWで今後7年間で認知症の人が2万3000人増える(2月20日)
「10年で脳の全容解明を…オバマ政権が取り組み」(2月19日) 
増える認知症の囚人に刑務所の体制不備(2月18日)
行方不明の認知症の人を探す新しい制度(2月18日)
「認知症…薬の使用減、介護者支援、住民の協力訴え 「家での暮らし」へ国際シンポ」(2月15日)
介護施設に認知症研修を受けた医療職が必要(2月14日)
公衆保健大臣がアルツハイマー病啓発を推進(2月9日)
FDAはアルツハイマー病薬の臨床試験の規制緩和へ(2月7日)
今後40年間でアルツハイマー病の人が3倍の1380万人―最新報告―(2月6日)
先が見えないアルツハイマー病治療のなかで認知症との戦い(2月4日)
アルツハイマー病を初期で止めると期待される臨床試験始まる(2月2日)
行方不明になる認知症の人に役立てる登録制度始まる(1月30日)
認知症にやさしい観光地づくり(1月29日)
警察官が認知症の研修(1月28日)
工学部の学生が認知症の人に役立つ機器を開発(1月27日
認知症の人にGPS装着承認へ法律改定(1月23日)
「認知症の人は見捨てられている」と保健大臣語る(1月15日)
最新のアルツハイマー病研究報告書―国立保健研究所―(1月14日)
10万人ほどの認知症高齢者が一人暮らし(1月10日)
認知症が増え、よりよい医療が必要と要請(1月9日)
施設や在宅の介護料金の調査結果(1月6日)
終末期の認知症の人の期待を無視(1月4日)
アルツハイマー病の偏見を取り除くキャンペーン(1月2日)



2013年


ますます多くのフィンランド人が認知症で死亡(12月31日/フィンランド)
フィンランド統計Statistics Finlandによると、認知症は、過去5何間でフィンランド人の死因として有意に増加し、認知症に関連した死亡は40%増加しました。
この変化の原因は寿命の増加です。フィンランド人は以前より本当に長く生きています。昨年、死亡した人たちのなかで、3分の2の人は75歳以上、3分の1の人は85歳以上です。
アルツハイマー病など認知症の昨年の死亡は約7000件、全死亡の14%を占めています。
昨年、フィンランドでの全死亡は51737件で、前年の2%増加です。
フィンランドで最も多い死因は、心臓血管系疾患で全死亡のおおよそ40%を占めます。
フィンランドの死因も最も多いものを以下のとおりです。
2012年の総死亡数は5万1737件で、その死因は、
心臓血管系疾患:2万0120 腫瘍:1万0207 認知症とアルツハイマー病:7056 事故:2273  呼吸器系疾患:2026 アルコール関連疾患および急性アルコール中毒事故:1960
自殺:873  その他:5269
Helsinki Times 31 Dec 2013 More and more Finns die of dementia
編者:認知症に関する情報が乏しいフィンランドの数少ない英語ニュースとして紹介。フィンランドに全国レベルのアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Finlandがあり、国際アルツハイマー病協会に以前から加盟している。

タイはアルツハイマー病ケアのリーダとして現れる(12月30日/タイ)
アルツハイマー病の施設入居者は、ヤシの木や風鈴で囲まれた水泳用プールで滝の下で介護職と黄色のボールで遊んだり、笑ったりしています。スザンナ・クタトリSusanna Kuratli氏(写真左上の中央)は、繊細の油絵の画家でしたが、プールを回って泳ぎ、微笑んでいます(写真右上)。
夫のアルリッヒUlrich氏(写真左上の右)が彼女を見守っていますが、心苦しい決断をしました。41年間連れ添った妻をスイスの自宅から5600マイル離れたこの施設で生活させるか、スイスで暮らすかの決断をしました。
スイスは、すべて高齢者を国民として扱いますが、アルリッヒ氏は次のように述べています。
「このタイでは介護費用が高額ではないだけでなく、介護がもっと個別的なのです。スイスでは情が薄い高齢の女性が薬を飲ませたり、休みように話しかけるだけなのです」
クラトリ氏と家族は、チェンマイにあるバーン・カムランチェイBaan Kamlangchayという介護施設―「心からの介護ホームHome for Care from the Heart」―で元ソフトウエア―開発者の歳の夫人と一緒に暮らす間に6カ月かけて決めました。
認知症の人は、タイの地域で個々の家に住み、地元の市場や寺院や食堂に出かけ、常に個別的な介護を受けます。月額3800ドルはスイスで受ける基本的な施設介護の費用の3分1です。
クラトリ氏はスザンナ氏をどのように介護するかまだ決めてはいませんが、タイに生活することになりそうです。かって彼女は自分の絵を載せたよく知られたカレンダー(写真右下2014年版2月)を作っていました。
さらに彼は次のように述べています。
「ときどき、彼女に嫉妬します。妻は私の手を取ろうとしないで、タイの介護者の手を取るのです。妻は穏やかで、幸せそうです。私を見て泣き始めます。多分、私たちがどのように暮らし、どのように理解してきたかを思い出しているのです。しかし、彼女はうまく言葉が出ません」
西洋の国々の家族は、クラトリ氏と同様のジレンマに直面することが多くなっています。アルツハイマー病の人が増えて費用が上昇しているからです。質の高い看護職や施設を提供し続けることが難しくなっています。遠くの国々では不可逆的な記憶障害の人たちに安くて、人によってはよりよい介護を提供しています。
こうした最初の動向は、専門家を狼狽させるもので、彼らはアルツハイマー病の人を根こそぎ切り離すことは、居場所がないとの思いと不安が加わることになると話しています。しかし別の人たちは、介護の質は居場所よりは重要だと述べています。また、病んだ高齢者を外国に送るという考えに困惑し、ドイツのマスコミはこれを「老年学的植民地主義“gerontological colonialism”」と呼んでいます。
そのドイツは既に、数千人の認知症の人や高齢者や病人を東ヨーロッパ、スペイン、ギリシャ、ウクライナに送っています。スイスは認知症の人が送られており、高齢者擁護団体のヘルプエッジインターナショナルHelpAge Internationalや国連人口基金United Nations Population Fundによる指標ではスイスは高齢者医療では今年第1位です。
フィリッピンは、月額3500ドルでアメリカ人に介護を提供しています。マニラに近い退職者コミュニティーを計画しているJ.J.レイスJ.J. Reyes氏によると,現在、約100人のアメリカ人がフィリッピンでの介護を探しています。
タイの施設でも、もっと多くのアメリカの認知症の人を勧誘する準備をしています。チェンマイは山に囲まれた心地よい街ですが、バーンカマランチャイが2014年半ばまでに休暇風の施設を1000万ドルの投資で開設する計画があります。また、元4つ星のリゾートを基盤とした退職者コミュニティーをオープンし、そのなかに小規模のアルツハイマー病棟を作る計画があります。
多くのヨーロッパの国は整備された国民医療保険を持っていますが、これらは必ずしも外国での治療を対象とはしてはいません。
クラトリ氏は次のように述べています。
「スイス政府はスイスで生活するなら妻の介護の費用の3分の2を支払うでしょうが、スイスの富裕層向けの民間診療所は月額1万5000ドル以上の経費がかかり、タイにいるよりより多くを支払うことになります」
バーンカムランチャイは、マーチン・ウーッドトリMartin Woodtli氏(写真左中)によって設立されました。彼は、国境なき医師団Doctors Without Bordersのグループと4年間タイで過ごしたスイス人ですが、アルツハイマー病と診断された母親の介護のために帰国しました。
彼は、母親をチェンマイに連れてゆき、その施設の最初の「客」となりました。ウーッドトリ氏は「患者」という言葉を決して使いません。
その後10年間、52歳の心理学者でソーシャルワーカーが8軒の家を購入したり借りたりして、そこに13人の認知症のスイス人とドイツ人が住んでいます。
アメリカの拠点をおくメイヨークリニックMayo Clinicのアンジェラ・ルンデAngela Lunde氏(写真左下)は次のように述べています。
「一般的に認知症の人は家庭的環境のなかで生活することがよいのですが、そのうち進行した人でも環境にうまく適応できます。積極的な移住は、移動することそのもに影響されることは少なく、むしろ職員や新しい環境が認知症の人にどのように合わせるかがより強く関係すると思います」
記者: デニス・グレイDenis D. Gray(Associated Press)
The Spokesman-Review December 30, 2013 Thailand emerging as Alzheimer’s care leader
編者:認知症高齢者の介護の南北問題か。高所得国の認知症の人が中所得国での安い介護を求めて移住することが世界的な流れになった(低所得国では介護の基盤がない)。この動向のなかで受け入れ国での介護の経費と質が問われる。それにしても中所得国の認知症の人は家族が無償で介護し、認知症の外国人へは有償で介護するという状況が生まれつつあるようだ。日本も既にその動きはあるが規模としては小さいと思われる。

★「認知症の定期検診、ベネフィットはあるのか」(12月26日/QLifePro)
リソース集約的な検診プログラム、導入は慎重に
認知症の早期発見につなげる取り組みとして、症状の有無にかかわらず、特定の集団に対して大規模な定期検診を行うことについて、英ケンブリッジ大学公衆衛生研究所のルイーズ・ラフォーチュン氏(写真)らがシステマティック・レビューを行い、費用対効果とリスクを検討。11月29日付で「The Lancet」オンライン版に報告が掲載された。
レビューの結果、認知症の集団定期検診による臨床的・心理社会的効果およびリスクと、社会的・経済的負担について見極めるためのエビデンスが十分に得られない現状が示され、早期発見を目指した検診の導入のためにも、慎重な評価の必要性を提言している。
効果とリスクについてエビデンス不十分
認知症を患う人の50%が、正式な診断を受けられない、または診断が遅すぎるとされ、早期発見を目指す取り組みの重要性について認識が高まっている。
12,054タイトルから143研究を調査した結果、認知症検診がもたらす認知・身体・精神・情動的健康、社会的機能、プランニングに対する有効性について検討した研究は皆無であった。また、検診の結果によってもたらされる、うつ・不安・スティグマ・独立性の喪失などのリスクについて検討した研究も得られなかったという。
経済的アウトカムについては、5,210タイトルから30研究を調査した結果、検査に要する実質的なリソースの決定要因として、検査対象とする年齢層と、使用するスクリーニング手法の感度、フォローアップ診断への一般開業医による関与の度合い、受診頻度が示唆された。
レビューによる検討の結果、現状では十分な研究報告が得られないことが確認され、「社会的経済的に大きな負担がかかる大規模検診の導入については、慎重な評価が求められる」としている。そして、ベネフィットおよびリスク評価と、ターゲットとすべき高い効果の得られる集団をつきとめるために、研究とデータを精査し、十分なエビデンスを得るべきとしている。(本田 基)
▽外部リンク
A systematic review of costs and benefits of population screening for dementia(The Lancet, Volume 382, Issue , Page S56, 29 November 2013).
http://www.thelancet.com/
QLifePro 2013年12月26日 原文のまま

プーケットで行方不明のアルツハイマー病の中国人観光客見つかる(12月14日/タイ)
アルツハイマー病の中国人観光客(59歳)が今月12日に行方不明になりましたが、昨夜見つかりました。
義理の息子のウイッチ・セイジュWichit Sae-Ju氏(写真右)の話では、デシェン・ザウンDeshen Zhaun氏(写真中央)が最後に目撃されたのは、プーケット町Phuket Townに在るプーケットメルリンホテルPhuket Merlin HotelのマダムマッサージMadam Massageの部屋に入った時でした。
さらに彼は次のように述べています。
「彼を連れ戻そうとその部屋に行くと、従業員が、『彼はタバコに火をつけるためにここを離れた』と話しました。当日、おおよそ午後5時から9時まで義父を探しましたが、どこに居るのかわからなく通報しました」
義父は同じプーケット町に在るジュイ・ツイ廟Jui Tui Shrineの近くで13日の午後9時頃、義理の息子に見つけられました。
Phuket Gazette December 14, 2013  Missing Chinese tourist suffering from Alzheimers found in Phuket Town
編者:アジアの観光地での認知症にまつわる出来事。詳細は不明で警察の協力があったのか、息子一人で探したのか。グループマップで調べるとホテルと廟は直線距離にして約800メートル離れる。

「英で認知症対策サミット 研究費の大幅増合意」(12月11日/日本経済新聞)
【ロンドン=共同】高齢化に伴う認知症の人の増加を世界共通の課題と捉えて国際的な対策を進めようと、初の「主要国(G8)認知症サミット」が11日、ロンドンで開かれた。2025年までに治療法などを特定することを目指し、各国共同で研究費を大幅に増やすことで合意した。
共同声明には、認知症対策の技術開発や研究を進めるための基金創設を検討する方針も盛り込まれた。
サミットは今年のG8議長国である英国のキャメロン首相が認知症対策の重要性を訴え、開催を決めた。G8各国の閣僚級や製薬会社、研究者、市民団体などのほか、認知症の当事者も参加。日本からは土屋品子厚生労働副大臣らが出席した。
土屋副大臣は開幕に先立ち「日本は認知症の先進国。うまくいかなかった政策を含めて経験を提供し、意識を共有したい」と述べ、会議では早期診断の促進などを柱に今年4月から始めた5カ年計画「オレンジプラン」などについて説明した。
研究費増加については、各国が2年に1度、金額を報告し合う。基金は民間からの拠出を想定し、資金集めなどの活動をする「特使」を英国が任命する。
各国の研究内容について情報開示を進め、データを共有するほか、国際的な共同研究に向け行動計画を定める。
サミットに続く国際会議を来年、英国、カナダなどが開き、日本も認知症の介護や予防の新しいモデルづくりに関する会議を予定。次回サミットは15年2月に米国で開く。
日経ウエブ 2013年12月11日 原文のまま
関連情報:合意事項要約
○set an ambition to identify a cure, or a disease-modifying therapy, for dementia by 2025
○significantly increase the amount spent on dementia research
○increase the number of people involved in clinical trials and studies on dementia
○establish a new global envoy for dementia innovation, following in the footsteps of global envoys on HIV and Aids and on Climate Change
○develop an international action plan for research
○share information and data from dementia research studies across the G8 countries to work together and get the best return on investment in research
○encourage open access to all publicly-funded dementia research to make data and results available for further research as quickly as possible.
G8 dementia summit concludes with international agreement to work together 12 December, 2013  Department of Health UKより)
G8 dementia summit declaration(pdf120K)
G8 dementia summit communique(pdf150K)
関連情報:「G8認知症サミットで宣言並びに共同声明に合意」(平成25年12月26日 厚生労働省大臣官房国際課)
関連記事:G8 'will develop dementia cure or treatment by 2025'(11 December 2013 BBC)
編者:G8で認知症を継続課題として連携するとのことだが、低中所得国の認知症の課題はどうするのか。WHOか国連の場で話し合われるのか。それにしても土屋品子氏はこの認知症サミットに日本を代表するに相応しい人なの?国内で認知症に関する彼女の発言は全く聞かない。偉人マンデラ氏の国葬に皇太子が日本の代表?日本の外交力が問われる。今回のG8認知症サミットは提案したキャメロン首相の国内的に政策評価が高い認知症の世界戦略の一環と見ている。

「「G8・認知症サミット」初の開催へ」(12月11日/NHK)
世界で患者が急増すると予測されている認知症について、G8各国が効果的な対策や新薬の開発推進などについて話し合う初めての「認知症サミット」が11日、イギリス・ロンドンで開かれます。
ロンドンで開かれるG8・認知症サミットは、ことしのサミット議長国のイギリスのキャメロン首相の呼びかけで初めて開催されることになったもので、各国の保健担当の閣僚級や、WHO=世界保健機関の責任者、それに研究者や製薬会社の関係者などが出席します。
認知症の患者とその家族を支援する国際的な団体、「国際アルツハイマー病協会」によりますと、認知症の患者は現在、世界全体で4400万人余りと推計されており、今後、各国で高齢化が進み、2050年にはおよそ3倍に急増し、1億3500万人を超えると予測されています。
サミットでは、認知症を世界的な重要課題と位置づけ、患者や家族に対する効果的な支援の在り方や、治療法や新薬の開発推進などについて、国際的な連携や協力をどのように図っていくのか話し合うことになっています。
世界で最も高齢化が進んでいる日本の認知症対策についても関心が寄せられていて、サミットには厚生労働省の土屋副大臣が出席し、厚生労働省が去年初めて策定した認知症対策の5か年計画「オレンジプラン」などについて報告することになっています。
サミットは11日午後まで行われ、会議の成果をまとめた共同声明を採択する見通しです。
NHKNews  2013年12月11日 原文のまま
編者:たった1日だけのサミットか!

ニュージーランドアルツハイマー病協会がG8認知症サミットに要望(12月10日/ニュージーランド)
ニュージーランドアルツハイマー病協会Alzheimers New Zealand(ANZ)はG8認知症サミットG8 Dementia Summitに国際的な認知症計画を進めることを要請しています。
ANZおよび同様の国際団体は、明日ロンドンで開催される初めてのG8認知症サミットの出席者に世界で最も重要で増大する医療課題の一つである認知症に応えるために連携を取ることを要請しています。
この国際的要請に沿って、ANZは、国内でも部局や分野を超えた認知症に関する討議をこの国でも始めることも要請しています。
明日、12月11日、専門的な研究者、製薬企業、OECD代表、アルツハイマー病に関わる団体、およびG8国の保健と科学の担当大臣がロンドンに集まり、認知症に関する地球規模の行動について議論します。
ANZの事務局長のキャサリン・ホールCatherine Hall氏は次のように述べています。
「国際的に認知症の課題が増え続けるなかで、G8認知症サミットは、認知症の状況―ニュージーランドでは2050年までに認知症の人が15万人になると予測―に応えて共同した国際的計画を進めることを優先的に取り上げるべきです。この課題に応えようとするなら国際的な認知症関連分野の連携を改善すべきです。地球規模の戦略が必要であり、国際的に社会資源を共有し、大きな国が大きな分野で作業を担い、小さな先進国は小さな役割を担うべきです。これを支えるために、すべての国で認知症の課題に応える全国的な議論を始める必要があり、ここニュージーランドでも私たちが要請しています。
この議論が政府や地域的、非営利的また民間のサービス提供団体が連携して作業を進め、国家計画を作成することを進めることになり、こぅして認知症の強い影響を受けるだろう人口高齢化に応える必要が求められるサービスの提供、構造かつ資金の各分野での変化を観ていきます」
さらにホール氏は次のように述べています。
「認知症研究への投資の増加は全世界的かつ国家的な認知症計画の双方にとって主要な優先課題とすべきです。予防や治癒の研究は、認知症の人ための医療や介護や支援と同様にきわめて重要であり、世界の認知症の人の生活を改善することになります。まさに今、私たちは認知症について多くのことを知るだけでなく、重要な社会資源が治療と介護と予防についても多くを学ぶことに寄与する必要があります」
先週、国際アルツハイマー病協会Alzheimers Disease International (ADI)は、「2013年~2050年・認知症の世界的影響‘The Global Impact of Dementia 2013-2050」と題する政策要約を公表しました。これには認知症の新たらしい有病率が示されています。新しい数値によると、2050年までに全世界で1億3500万人が認知症になるでしょう。これは先の推計値より17%増えています。
要約の要点は以下のとおりです。
○全世界で認知症の人数は、2013年で4435万人、2030年に7562万人、2050年に1億3546万人と推計される。
○最新の推計数は、「2009年世界アルツハイマー病報告2009 World Alzheimer Report」で報告した元の推計数より2030年について15%、2050年では17%、増える。
○全世界の認知症の人のうちG8の国々に32%が、高所得国(ニュージーランドを含む)に38%が住む。
○全世界の認知症の人のうち62%が低・中所得国に住む。2050年までに、この国々に住む人たちの全世界の71%に増大する。
scoop.co.nz 10 December 2013 Alzheimers NZ Appeals To G8 Dementia Summit
サイト内関連記事:「認知症増大予測で警鐘、対策強化を 国際アルツハイマー病協会が政策提言」(2013年12月5日)
関連情報:World Alzheimer Report 2013 calls for increase in quality of services for people with dementia( 19 September 2013 Alzheimers New Zealand)
編者:G8DSに関連した各国のアルツハイマー病協会の動きとして紹介した。

認知症ケアで先駆的なプリマスへ日本から視察団(12月9日/イギリス)
日本からの視察団が、今月12日、イギリス南西部のプリマスPlymouthを訪問して、認知症ケアの市の先駆的実践を見ることになっています。
視察団は歓迎された後、認知症の人へのサービスや活動が紹介されます。
プリマスは、認知症の人と家族と介護者の生活を向上させた実績に基づく方式がイギリス全土で指導的なこととして認められています。
プリマスは、イギリスの「認知症にやさしい町」の第1号の一つで、既にイギリスで最初の認知症にやさしい大学を立ち上げました。
プリマス市議会Plymouth City Council、プリマス大学Plymouth Universityおよび国民保健サービスNHSは、共同して認知症の啓発と理解を高める多くの計画を先駆的に実施しています。
プリマス大学で認知症の学術的なパートナーで指導者のイーアン・シェリッフIan Sheriff氏(写真左上)は、キャメロン首相が進める「全国認知症チャンピオン」でもありますが次のように述べています。
「認知症の研究とケアの進歩を考える時、人はプリマスを思い浮かべるという状況が速やかに出来上がっています。大学は、革新的な新しい技術や治療については先駆的に取り組み、市との連携において認知症という荒廃する病気に取り組むやり方では国の目標を指導する作業も実施しています。
認知症は、とうとう危機として認識されました。こうしてプリマスは世界の他の地域が見習う標準となったのです」
プリマス市の議長で公衆保健と成人社会ケアの担当閣僚でもあるスー・マックドナルトSue McDonald氏(写真左下)は次のように述べています。
「プリマスへの日本視察団を喜んで歓迎します。私たちの『認知症にやさしい市Dementia Friendly Cities』の実践は全国的に模範と見なされているのです。
『プリマス認知症行動連盟Plymouth Dementia Action Alliance』と私たちのパートナーであるプリマス市議会が共に実践することで、よりよい支援を提供するだけでなく認知症の認識と理解を高めたのです」
世代間の連携を構築することはストークダメレル地域短期大学Stoke Damerel Community Collegeでの認知症実践の最重要課題です。大学での認知症教育が教育課程に取り入れられています。日本の視察団は、大学を訪問してクロケットを楽しむでしょう。そこでは学生が定期的に地域の高齢者と試合をしています。その後、認知症計画の実践に関して学生から報告があるでしょう。
認知症計画を指導するダレン・タワーズDarren Towers氏は次のように述べています。
「認知症に関して先駆的な大学として首相への報告で認められました。独自の教育課程全体が認知症教育の向上と認められたのです。日本の視察団の訪問によって私たちの実践が国際的なレベルとして広がっているとみることでとても興奮します」
私たちの学生と職員は、視察団と学習や経験を共有することを楽しみにし、認知症教育がどれほど教育課程のなかで多くの技術を提供するのに役立っているかを示すだけでなく、認知症については誰もが教育されることの重要性を確信する理由も示すことを是非行いたいのです」
日本の視察団は「脳のために歌うSinging for the Brain」の活動を観ることも予定されています。この活動は、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Society 、メモリーカフェおよびセントバーナバスSt Barnabusの施設で運営されています。その施設には、特別なケア住宅があり、介護と支援を提供するアスターリビングAster Livingが管理し、認知症の人を専門とする職員からなる棟があります。
プリマスのアルツハイマー病協会サービス管理者のテレサ・パーソンズTeresa Parsons氏は次のように述べています。
「多くの記憶を呼び戻すことが難しい場合でも、音楽はときどき、ほんのしばらくの間ですが、思い出すことができます。『脳のために歌う』は、認知症の人がコミュニケーションと持つのを助け、感情を改善し、自分の楽しかった感情を保つのです。実際に、日本からの視察団がこうした活動に参加し直にサービスを観てそのグループと出会うでしょう」
Plymouth Herald December 09, 2013 Plymouth to host Japanese dementia delegation
編者:珍しい記事だ。イギリスの地方紙のサイトで紹介される日本視察団は何だろう?

アルツハイマー病の人が外出中に銃殺される(12月7日/アメリカ)
ジョー・ヘンドリックスJoe Hendrix氏(34歳)は、72歳のロナルド・ウエストブルックRonald Westbrook氏(写真左1)を銃で撃ち殺しました。ウエストブルック氏が深夜午前4時前にヘンドリックス氏の婚約者の家のドアを何度もノックしてからのことで。
ウエストブルック氏の最後の散歩は午前1時前に始まり、ジョージア州北部の自宅から誰も知らないで2匹の犬を連れていました。
警察によると、これは先月のことで、3時間の散歩の後、アルツハイマー病のウエストブルック氏は、暗くて知らない人の家のドアをノックしたのです。その家に居た男性のジョー・ヘンドリックス氏(34歳)は40口径のピストル(写真右上)を持って外に出て調べ彼を撃ちました。恐ろしい間違いでした。
互いに知らない二人の間でのありえない衝突で、一人はかなり混乱して、もう一人は恐怖心を抱いていたのです。この事件は、アルツハイマー病の家族の安全を守ることで介護者が直面する困難さと、銃文化を良しとする州の誤算の両面を示しています。
51年間一緒だった夫人のデアーヌ・ウエストブルックDeanne Westbrook氏(70歳)は、夫がどのように亡くなったのかを理解するのに困惑しています。今週、彼女の家で聖書が横に置かれた長椅子で会見して何が起こったかを話し合いました。
彼女は次のように述べています。
「その男性が夫に恐怖を感じたことは想像できません。驚きました。夫は人を驚かすことが好きではありませんでした。多分とても寒かったのだと思います。男性の家の呼び鈴を鳴らして助けを求めていたのです。ただ誰かが助けてくれるのを望んだと思います」
ヘンドリックス氏は、捜査中として発言を拒んでいます。彼の弁護士のリー・デイヴィスLee Davis氏(写真左2)は、「彼はとても混乱している」と述べています。地区検事長は、先月27日に起きたこの事件について刑事告発するかまだ決めていません。
デイヴィス氏は次のように述べています。
「ヘンドリックス氏は財産を守るために銃保持の権利を主張する活動家ではありません。
とても差し迫った恐怖を信じて、行動を起こさなければならないと思っています」
ナーシングホームで認知症の人を介護しがことがある元看護師のウエストブルック夫人は、アルツハイマー病の伴侶を介護するのに多分、最適な人でした。進行性のこの病気は、記憶、判断、見当識の障害が現れます。
夫が出歩くことがあれば、夫人がわかるようにドアに警報器を設置しました。彼女は、病気が進んで在宅でさらに取り組むべき介護の計画を立てていました。
婦人は次のように述べています。
「怒りを感じてはいません。悲しいだけです。夫のこうした最期を想像したことはありません。症状が悪化するアルツハイマー病の人のため在宅で介護する私の準備をしていました。間違いなくうまくやっていました」
他の人たちが婦人に同情しています。高齢者介護施設「母の居場所A Place for Mom」で地域連携助言者として勤務しているメリーロー・ハーブルMarylou Hable氏(写真左3)は、介護施設と家族をマッチさせる支援をしていますが、次のように述べています。
「施設でアルツハイマー病の人を毎日介護し、私の家族も面倒もみています。夫の叔父が一緒に住むことになった時は困惑しました。あらゆる予防処置を行って叔父を守りましたが、ある真夜中、彼は出歩いきました。私と夫は疲れて警報が聞こえなかったのです。よくアルツハイマー病の人は、過去の記憶に縛られています。叔父は路面電車に乗ってオハイオ州のクリーブランドに帰えろうとしました。その後、彼は殴られ強奪されましたが、幸いなことに病院に行ったことで、警察が夫の接触を取ったのです」
デイヴィス弁護士は次のように述べています。
「この出来事は、命に係わる間違った場面を作ってしまいました。ヘンドリックス氏の婚約者が新しい賃貸住宅に転居してすぐに、一人の男性がドアに現れたのは先月19日の真夜中少し前でした。その男性はドアをドンドンと叩いたのですが、その時家には婚約者と二人の子供だけでした。その男は婚約者のらない人に会いたいと要求したのです」
彼女は、近くに住むヘンドリックス氏に電話しました。彼は911に電話するように伝えました。保安官とヘンドリックス氏が家に着く間、その男性は居なくなりました。
その後、ヘンドリックス氏は自分のアパートに在るグロック拳銃を持ちって婚約者の居る家に行きました。
ウエストブルック夫人は、起きて夫と二匹の犬が行方不明なことに気付きました。しばらくして警察官が来て事件を知らせました。
アラバマ州ウオーカー郡Walker Countyの保安官のステーヴ・ウイルソンSteve Wilson氏(写真左4)は次のように述べています。
「理由がはっきりしませんが、ウエストブルック氏は自宅を出て歩き始めました。保安官が、2時20分頃、彼が道路に居るところを確認し、止まって何をしているか聞きました。
彼は警察官に、郵便物を集めて丘の上にある自宅に帰るつもりだと話したのです。その答はそっけなく会話から保安官に特に警告するようなことはなかったのです」
さらにウイルソン氏は次のように述べています。
「犬が吠える声でヘンドリックス氏と婚約者は午前4時頃、何度も目を覚ましました。ウエストブルック氏は、彼らの家―袋小路の最も奥に在る家(写真右下)―に歩いて行きました。ドアの呼び鈴を鳴らしドアをノックして取手を回そうとしました。ぞっとするような動きのようなでしたが、彼は家の前から離れ姿が見えなくなりました。婚約者は911に電話をし、ヘンドリックス氏は拳銃を持っていたのです。彼女は通信指令室と電話で話している間、ウエストブルック氏が再びドアのところに戻りました」
ヘンドリックス氏は、家から出て、ウエストブルック氏が外の暗闇に居るところを見付けました。彼は警察に「ウエストブルック氏は立ち止まって誰であるか確認できるようして両手を挙げるように命令しましたが無視した」と述べています。
また保安官は「ウエストブルック氏がヘンドリックス氏に近づき4発撃った」と述べています。
またデイヴィス氏は次のように述べています。
「結果論で明らかなことであるが、『何故、彼は家のなかに止まらなかったのか?』『何故、ドアを閉めなかったのか?』」と後から聞くのはとても易しい。しかし現実は、一体誰が自分の家のドアから入ってくるまで長く待つだろうか? 知らない人が婚約者とドアから家に入ると、一体何が起こるでしょう?」
ジョージア大学犯罪防止クリニックCriminal Defense Clinic at the University of Georgiaの所長であるラッセル・ガブリエルRussell Gabriel氏(写真左5)は次のように述べています。
「ジョージア州の法律によれば、切迫した重篤な怪我から自分を守るために発砲する前に人は、起こる可能性のある衝突から回避することは求められていません。
家の中に居る人は自分が攻撃されるであろう合理的な恐れがあれば、無理矢理、家に入ろうとする人を止めるために致命的な力を使うことが認められています。重罪を犯して家に無理矢理入ろうとすることを止めるために人は致命的な力を使うことができます」
さらにガブリエル氏は「何が合理的かの理解は人によって異なるのです。合理性は昔からの陪審の疑問です」と述べています。
USA TODAY December 7, 2013 Suffering from Alzheimer's, Ga. man fatally shot)
サイト内関連記事:アルツハイマー病などの3人が他自殺(2013年5月2日)
編者:アメリカのマスコミで話題となった事件。銃社会のアメリカでの一つの悲劇だ。日本ではありえないのだろうか。

認知症治療に運動がよい(12月4日/イギリス)
コクラン共同計画Cochrane Collaborationは、在宅や施設の認知症の300人以上か参加した8つの運動に関する試験に関する論文を体系的に評価しました。
その結果、運動は認知症の人の感情にはほとんど影響しなかったが、椅子から立つといった日常活動には役立ち、認知機能を高める効果があることが認められました。
こうした効果で生活の質を改善するかどうかは明確ではないにしても有望だと、研究者は述べています。
イギリスには認知症の人が80万人ほどいますが、その数は人が長い生きすることで増えています。2021年までに100万人ほどになるとされています。
認知症の治癒の方法がないなかで、生活の質を改善する方法が重要です。
カナダのアルバータ大学University of Albertaのドロシー・フォーブスDorothy Forbes氏(写真左上)らの研究者はコクランの評価作業を実施し、結果として次のように指摘しています。
「明らかに、医療職が在宅や施設の認知症の人に助言できるような最善で実際的な指針を開発するため更なる研究が必要です。どの程度のレベルと強さ運動が認知症の人に効果的かを理解する必要あります」
この結果についてイギリスアルツハイマー病研究Alzheimer's Research UKのラウラ・フィップスLaura Phipps医師(写真左下)は次のように述べています。
「運動が健康を保つに重要であることはよく知っています。運動が認知症を予防するとは言えないにしても、これまでの証拠から健康的なライフスタイルの一部としての運動が認知症の危険性を減らすだらうと勧めます」
BBC 4 December 2013  Exercise 'is good dementia therapy'
関連情報:Exercise programs for people with dementia Updated  Cochrane Summaries Published Online: December 4, 2013
編者:運動が認知症の予防だけでなく、治療にも効果があるらしいという報告だ。
関連情報:An Intensive Exercise Program Improves Motor Performances in Patients with Dementia: Translational Model of Geriatric Rehabilitation(Journal Journal of Alzheimer's Disease November 05, 2013)

アルツハイマー病関連団体は認知症G8サミットに地球規模の計画の合意を要望(12月2日/イギリス)
世界の大国から保健と科学の担当大臣が来週、ロンドンに集まり、認知症に関して初めてのG8サミットを開催することになり、デーヴィッド・キャメロンDavid Cameron首相(写真)は行動の必要性を要請すると約束しました。
3つの公益的団体-アルツハイマー病協会Alzheimer's Society、イギリスアルツハイマー病研究Alzheimer's Research UK、国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease International―は次のように見解を述べています。
「世界的な指導者は世界の認知症に取り組む有効な計画を作ることを目指すべきです。研究に十分な投資がなされ国家の集合的作業が行われる必要があります。認知症は、現在、全世界で6040億ドルの経費がかかっており、認知症が一つの国とみなせば世界で18番目の経済規模の国となります。私たちが長生きすれば、認知症は管理できないほど増加し医療制度を監禁状態にするでしょう」
これらの団体は、サミットが、全世界のほとんどすべての国で認知症が増えているという深刻さとその割合について徹底的に議論する場として利用されるべきでとらえています。
これら団体のコメントは認知症に関する保健省の一般教書の公表の1週間後以内に発表されました。
その教書によると次のとおりです。
認知症の診断は居住地域によるばらつきがあり、診断を受けてない認知症の人は41万6000人(52%)と推計されています。
ノーサンプトンシャーNorthamptonshire州のコービーCorbyは、診断率が75%と最も高い町で、サウス・タインサイドSouth Tyneside地区が71%でこれに続きます。
対照的に、北東ロンドンLondon地区、ハートフォードシャーHertfordshire州、ハローHarrow地区は共に33%です。
これについてジェリミー・ハントJeremy Hunt保健大臣は次のように述べています。
「問題の一つは、認知症の人が診断を受ける場がないと感じていることであり、このため彼らは必要な支援を受けることがないのです。人口動態的な時限爆弾がありますが、私たちは与えられるべきケアを与えていないわけではありません」
barchester. 02 Dec 2013 Global plan for dementia should be agreed at G8 say charities
関連サイト
G8 dementia summit  Department of Health UK
各団体のコメント
Alzheimer's Society: G8 summit on dementia
Alzheimer's Research UK: Dementia Challenge ? what it means for research (03/06/2013)
ADI:ADI to attend G8 Dementia Summit 20 November 2013
関連資料
Dementia A state of the nation report on dementia care and support in England Department of Health UK  November 2013 (pdf 3M)
編者:ロンドンでの認知症G8サミットは国内的に認知症対策に熱心なキャメロン首相の認知症分野での世界戦略の一端と見ることができる。それにしても中国やインドなどの新興国の認知症問題もここで議論するのか?

★「詩の朗読が認知症患者の記憶に好刺激、英施設で実践」(11月28日/AFPBBnews)
【11月28日 AFP】10代の若者の声が、まどろむ白髪の人たちとその場を包み込んでいた深い静寂を破る──「もしも周囲の全ての人が我を失い、お前を非難してきても、それでもお前が自分を失わずにいられるなら」──。すると、「それでこそお前は、一人前の人間だ、息子よ」と、詩の朗読を聞いていた1人の女性が突然、明瞭な意識を取り戻したかのように最後の一節を朗読した。
アルツハイマー病は、この女性の記憶の大半を盗み取った。しかしそれでもまだ、彼女は何年も前に覚えたラドヤード・キプリング(Rudyard Kipling)の有名なこの詩の一節を思い出すことができる。残酷なこの疾患がもたらす深い霧の中で、明確な意識が取り戻されたまれな瞬間だった。
英国中部、ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の故郷であるストラトフォード・アポン・エイボン(Stratford-upon-Avon)にある老人ホーム「ハイランズ・ハウス(Hylands House)」は、入所者向けに詩の朗読を行っている数多くの施設・病院の1つ。詩を聞くことには、記憶やコミュニケーション能力、基礎的技能の喪失などの認知症の症状を一時的に改善させる効果があるとされている。
高齢者の支援活動を行う団体、「キッシング・イット・ベター(Kissing it Better)」の共同創設者、ジル・フレイザー(Jill Fraser)さんは、詩を読んで聞かせることがアルツハイマー病の治癒につながるわけではないが、よく知られている詩の一節のリズムやペースは、記憶や語感を呼び起こす引き金になることがあると説明する。
□「詩がダムを決壊させた」
アルツハイマー病の入居者たちがいる介護施設は、静かで重苦しい場所になりがちだ。「長いお別れ」とも呼ばれるこの疾患は、人をその人たらしめる全てものを少しずつ奪い取っていく。
しかし、朗読に来ている15歳のボランティアの少女は、この施設で過ごす時間に「ワクワクする」と話す。少女は、「ここに来ると、初めは皆別々に座っている」けど、誰かが大きな声で詩を読み始めると「すぐにみんなが生き生きとした顔になって、笑顔になるのが分かる」とコメントした。
さらに、同じくこのホームで朗読をしているかつてロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(Royal Shakespeare Company、RSC)に在籍した元女優、アニタ・ライト(Anita Wright)さん(81)は「突然、彼らが一緒に一節を朗読するときが素晴らしい」と述べた。
ライトさんによると、男性が恋人に別れを告げる詩を朗読した際、重度の認知症の女性患者が泣き出し、自分の婚約者の死について話し始めたことがあったという。「その人は入所して以来、一言も話したことがなかった。詩がダムを決壊させたのでしょう」
RSCの発声部門主任、リン・ダーンリー(Lyn Darnley)さんはAFPの取材に対し、「詩のリズムは私たちの心の奥深くに刻まれる。感情の記憶だけでなく、言語の持つ深い知覚の記憶にも触れ、それを呼び覚ますことができる」と述べ、詩が非常に強い力を持ち得ることを説明した。
専門家らは、詩の朗読によって認知症の進行が止まることはないと忠告する。だが、患者の生活の質の向上を支援する慈善団体「ディメンシアUK(Dementia UK)」の看護師、デイブ・ベル(Dave Bell)さんは、「患者たちは、何かを思い出せたということで達成感を得たり、自尊心を感じたりすることができる。それが、他者とのつながりを保つことにもつながる」と語った。
英国内における認知症の患者数は約80万人に上るとされている。
AFPBBnews 2013年11月28日 原文のまま
関連記事:Poetry breaks through fog of dementia (22 November 2013 News24)

病院での認知症ケアは相変わらず悪い(11月21日/イギリス)
ケアの質委員会Care Quality Commission (CQC)が11月21日に公表した報告書によると、認知症の人は、相変わらず病院でのケアの結果が最悪です。認知症の人の病院での死亡は、同じような状態で認知症のない人と比べて約30%多く、救急入院では約20%多く、入院期間は約25%長い。
1年間、3万5000事例の調査によると、65歳以上の50万人の患者は、避けられる可能性のある状態-骨折、脱水、肺炎、気道感染症―で救急入院しました。また介護施設の人たちの救急入院は、こうした避けられる可能性のある状態で認知症の人の方がおなじような状態だが認知症のない人と比べ30%多い。
この報告結果についてアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの政策公共担当部長Head of Policy & Public Affairsのジョージ・マクナマラGeorge McNamara氏(写真左)は次のように見解を表明しました。
「認知症の人がこれほどひどく見捨てられていることは国家的に不名誉なことです。入院患者の4分の1の認知症の人と介護施設に暮らす人の80%の認知症の人に対する保健活動や介護を中核的事業とすべきです。今回の結果は、国民保健サービスNHSの指導者に警鐘となり、認知症を最大の優先課題として、職員が認知症の人のための介護の時間と技術を持てるように保証すべきです。また地域で認知症の人は避けられる可能性のある入院や再入院を減らすためよりよい支援が必要です」
(Alzheimer's Society 21 November 2013 Those with dementia continue to have the poorest outcomes in hospitals, a CQC report finds)
関連情報
State of Care report shows ‘avoidable’ emergency admissions are increasing(21/11/2013 CQC)
State of Care infographic(21/11/2013 CQC pdf900K)
関連情報:CQCについては以下の資料が参考になる。
「資料2-3. イギリスにおけるケアの質向上策―評価を中心に」日本福祉大学大学院 医療・福祉マネジメント研究科長近藤克則(pdf 900K)
編者:わが国では考えられない調査であり報告だ。

あらゆる分野でアルツハイマー病と戦う(11月19日/アメリカ)
「ケイティ。ここにおいで、そばに」とグレイスGraceさんが小声で言いました。
ケイトKateさんが母親のところに歩いていくと、母親は「その男の人、誰か知ってる?」と言うのです。
「どの人」とケイトさんが聞きました。
グレイスさんは「ちょうど出て行った人よ」と言います。
ケイトさんは「それはおとうちゃんよ。あなたの夫のジャックJackでしょう」と言います。
グレイスさんは「確かめただけ」と言って、自分をかばうのです。
この場面は、演劇「生き残るグレイスSurviving Grace」からのものです。しかし、よく似た話はアルツハイマー病と診断された500万人以上のアメリカ人、そして全世界の3600万人の家庭で起きています。
アルツハイマー病は非可逆的で致命的な脳の病気で、記憶や思考能力を破壊します。典型的には高齢者に起こる病気ですが、加齢の一部ではありません。
不可解にも、アルツハイマー病の人の約3分の2は女性です。不幸なことに縁起の悪いことが倍増して、1500万人のアルツハイマー病の人の介護者の約70%が女性なのです。無給で24時間365日の仕事は2160億ドル以上給与に相当します。
劇作家のトリッシュ・ヴランデンブルグTrish Vradenburg氏(写真左上)は「これは間違いなく壊れる間違った天井です」と述べ、「生き残ったグレイス」の脚本を書いて、有名な女優のキャロル・バーネットCarol Burnett(写真右上)やマリル・ヘンナーMarilu Henner(写真右中)などを主役として、母親の物語を共有し、研究のための資金を集めようとしています。
さらに「アルツハイマー病に立ち向かう女性ネットワークWomen Against Alzheimer’s Network (WA2)」の共同創設者でもあるヴランデンブルグ氏は「このサイクルが止めたかったのです。だれもこれを近くで見ています。どれほど恐ろしいことか知っています」と述べています。
メリル・カマーMeryl Comer氏(写真左下)は、「ジョフレイビーネアルツハイマー病イニシアティブ財団Geoffrey Beene Foundation Alzheimer’s Initiative」の会長であり、WA2の共同創設者ですが、「アルツハイマー病の病気本人と介護者への影響は破壊的です」と述べています。
実際、介護者5人のうち4人は、ストレス、不安、うつの感情があると報告しています。多くの女性と同様に、カマー氏は、仕事を辞めてアルツハイマー病の家族の主たる介護者となりました。彼女は、40歳代半ばで放送ジャーナリズムの地位を離れて、20年ほど前に若年期アルツハイマー病と診断された夫の介護をしました。そして彼女の関心は、介護しなければという高まる思いと質が欠落した施設介護との選択で他の女性たちも同じことを余儀なくさせられていることです。
さらに彼女は「仕事の場で同じチャンスを得ようと戦う女性の同じ世代が今は辞めることを強いられているのは心配です」と述べています。
またヴァランデンブルグ氏は次のように述べています。
「私たちは成し遂げたことの多くを失い始めています。女性の権利を求めて1960年代後半にデモをしていました。今は後ろ向きにデモをしているように感じます」
ベビーブーマーが高齢化していますが、アルツハイマー病の人数は2050年までにほんど3倍の1380万人になると推測されています。ベビーブーマーは2011年から1日に1万人、年間400万人の割合で65歳以上になり始めました。
さらにカマー氏は「これは長寿社会の暗い側面で、予測したり経済的に準備している人誰もいない」と述べています。
RAND社RAND Corporationの研究によれば、認知症の経済的負担-主に長期の施設介護による―は、2010年に2150億ドルになりました。2040年までにインフレの影響を差し引いても5110億ドルになると報告しています。
昨年、ホワイトハウスは2025年までの「アルツハイマー病に対処する国家計画National Plan to Address Alzheimer’s Disease」で応えましたが、ヴァランデンブルグ氏は「十分ではない」と述べています。2000億ドル以上がアルツハイマー病の治療に年間費やされていますが、この額は治癒方法を見出すために使われている研究費用の400倍です。
ヴァランデンブルグ氏の話によると、アルツハイマー病研究は年間4億5000万ドルの資金を受けていますが、エイズHIV/AIDS研究には30億ドル、心疾患には40億ドル、がんには60億ドルの資金を受けています。
さらに彼女は「クロスワードや魚オイルが問題解決とは思っていません。資金を得て答を得る必要がある」と述べています。
またカマー氏は次のように述べています。
「研究者の最大の疑問の一つは、何故アルツハイマー病が男性より女性に多いのかということです。一般に女性が男性より長生きするとしても、その病気の経過の説明の一部でしかありません。心疾患の診断や治療についての性別による特異的な違いがあります。かってそれは男性の健康上の問題と考えられていましたが、性別による違いを理解するこによって心疾患が女性の最大の殺人者となるのです」
彼女が会長の財団は「なぜ女性は男性よりアルツハイマー病の発病リスクが高いのか」と疑問についてネットを使った地球規模の挑戦に助成しました。65か国の800以上の公にされたプロジェクトグループが応募しました。ニューヨーク科学アカデミ-New York Academy of Scienceで開催された「全地球的CEOiアルツハイマー病サミットGlobal CEOi Alzheimer’s Summit」で入賞者が発表され、複雑なコンピューターの技術を向上させての研究へ5万ドルの革新賞Innovations Awardが授与されました。この研究は、どのような細胞ネットワークが男性と女性でアルツハイマー病とその経過中に予測されるリスクが最も重要であるかを予測するものです。
さらにカマー氏次のように述べています。
「介護者は秘密を持っています。女性にとても重要なことは、アルツハイマー病の人を介護するために前向きに進み優しくすることです。介護者は、しばしば疲れ果てアルツハイマー病の人の尊厳を守ったり擁護することへの関心を失うことがあります。エイズや乳がんを擁護する人たちが公に発言したように、彼らもグループが世に出る時です。アルツハイマー病の人と暮らすという物語を共有することによって、この病気の一般の人たちの認識を高め、同時に解決方法を見出だすことを擁護することになるのです」
その活動とは、議会へ研究資金を要請する手紙を送る、アルツハイマー病という言葉を広める、臨床試験の参加方法を学ぶなどです。さらに介護を希望することに応えられるように、あるいは介護する人たちが、あるいは介護する家族が退職後のための蓄えを使い果たすことにはならないように保証をする必要があります。私たちは破産する現実を知っています。誰も聞きたくなない細かいことも知っています。子供の負担になることを望んでいません。私たちは今活動する必要があり、アルツハイマー病が私たちの将来に受け入れられないと主張する必要もあります。次の世代を助けたいのです」
寄稿者リサ・ワースマンLisa Wirthman氏(写真右下)は、ビジネス、持続可能性、公共政策、女性問題のフリーライターです。彼女の寄稿は次のところで発表されてきました。
Atlantic USA Today, U.S. News & World Report, Fast Company, Investor’s Business Daily, the Denver Post, Denver Business Journal.
Forbes  11/19/2013  Fighting Alzheimer's On All Fronts
編者:社会的に活躍する女性の立場からのアルツハイマー病への関わりを取り上げた女性による興味ある記事だ。アメリカで1960年代に社会的な女性活動家が、今、アルツハイマー病に取り組み始めている。日本ではどうか。

★認知症に優しい大学づくり(11月17日/イギリス)
マンチェスターに在るソルフォード大学University of Salfordは、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyと共同して「認知症に優しい‘dementia-friendly’」を目指し認知症の人の生活の質を向上させようとしています。
現在、イギリスには80万人の認知症の人がいて、今後40年間で2倍になるでしょう。またイギリスの経済への認知症関連経費は年間230億ポンドで、2040年までに500億ポンドになると推測されています。
アルツハイマー病協会がこの課題に対処する一つの方法は、中核的な人と認知症の人が共に認知症にやさしい地域を創ることです。
この活動を通して、認知症についての一般の人の認識を高め、介護者や認知症の人が支援を求めやすいように促し、地域の仕組みを通して人々が認知症の人の自立と生活管理を支援します。
保健・社会ケア、環境構築、芸術、メディア、ロボット工学の専門家らが、大学内で連携し、認知症の人がより長く自立して生活できるように積極的な行動を取りつつ、認知症に関する教育や研究を共有しようします。
この活動の結果の一つとして、博士課程の研究者アントニオ・エスピンガーデイロAntonio Espingardeiro氏(写真左上)のロボット製作です。このロボットは、高齢者が自分たちの服薬や運動を覚えてもらう機能、さらに24時間体制の緊急通報や介護者または一般医GPとビデオ会議またはSMSと通して直接通知する機能を持っています。
大学の研究者は、病棟、自宅、公演といった場で、認知症の人が自立性を高め、不満を軽減することを意図して、日々の生活を支援する環境を創って認知症の人を支援する設計を行っています。
学生や職員は、「認知症フレンド‘dementia friends’」になることが勧められています。これは、認知症の症状を確認すること、認知症を持って生活する姿を理解すること、認知症の人とより長く過ごせる行動を取ることです。また認知症の人を介護している職員や学生を支援することも大切です。
先週、ソルフォード認知症行動連盟Salford Dementia Action Allianceが、メディアシティUK MediaCityUK.で設立されました。連盟の会員は以下のとおりですが、認知症の人の生活を改善するために共同行動を取ることになっています。
ソルフォフォード大学、アルツハイマー病協会、ソルフォードロイヤル国民保健サービス基金Salford Royal NHS Foundation Trust、ハゼル・ブレアーズ国会議員Hazel Blears MP,(写真左中)の事務所、グレイターマンチェスター防火救急サービスGreater Manchester Fire and Rescue Service、労働組合会議Trades Union Congress、地元の介護施設、企業、慈善団体など。
公益担当大学副学長University’s Pro Vice Chancellor for Public Benefitで保健・社会ケア学部部長Dean of the College of Health & Social Careのマギー・パールソンMaggie Pearson教授(写真左下)は連盟の議長になるよていですが、次のようにのべています。
「認知症は治癒方法のない退行性疾患で、質の高い支援やケアが不可欠です。大学が認知症にやさしくなるという活動は、スルフォード地域にとって認知症に関わる改善の持続を保証する重要な一歩です」
click-manchester 17 Nov 2013  Salford to become dementia-friendly university
編者:イギリスでの認知症に優しい地域づくりの一例として紹介した。

★認知症の人へデイセンターの支援(11月16日/香港)
Tsang Chiu-deng曾照登さん(写真左上の中央)の娘、Chan Wai-nang陳偉能さん(同右)は「これ以上、母を介護できない」と話していました。
昨年、陳さんの父親が亡くなった後、彼女は病院の看護師の仕事を辞め、夫と息子を自宅に置いたままで認知症の母親の家に戻りました。
しかし曾さんが夫の死で困惑したこともあり在宅で陳さんは1日24時間の見守ならければならず途方に暮れました。
彼女は次のように話しています。
「母親は深夜に起き上がろうとしたり癇癪を起こしたりします。一度でも認知症の人を介護すると、それがどれほど大変かが理解できるでしょう。一緒に住んでいた弟はもはや何でもできません。医師の助言を受けても、母親を本当に支えることができません」
アルツハイマー病など認知症の人へためのTseung Kwan O(将軍澳)にあるデイセンターで支援を受けることができます。このセンターは「香港認知障礙症協會Hong Kong Alzheimer's Disease Association」が運営しています。
センターの治療師や介護職は、活動―身体的および認知機能的(算数や音楽など)―を提供して、認知症の人の能力が低下するのを遅くするのを助けるようと計画します。
またセンターは、地域での生活訓練も提供し、認知症の人が自己管理、スーパーで買い、バスの利用などでの工夫を提示します。
陳さんの母親は1週間に1回センターに通うようになり、次のように話しています。
「母には大きな改善がありました。とても穏やかで、よく休み、何か専念できること生まれ計画を立てたり社会的活動に加わることができるようになりました。私たち家族にも、ちょっとした休息を取ることができます。センターはとても専門的なところで、認知症を理解し些細なことまで注意を払うように特別に教育された人たちが居ます」
センターのマッギーリーヌガイーMaggie Lee Nga-yee副所長(写真左の左)は次のように述べています。
「センターの役割は認知症の人が自分たちの地域でできるだけ長く生活できるようにすることです。定員は最大1日36人です。ほとんどの人はなんらかの薬をのんでいますが、多くの単純な運動で低下を遅くするのに役立っていることを理解しています。社会的活動は心と体の健康に保つには欠かせません」
センターは1日の利用料は300香港ドル(約3900円)で、多くの労働者階層の家族は支払う余裕のある額ではありません。
サンタクロース運動Operation Santa Clausは、家族が1日100香港ドルでセンターを利用できるよういにするための資金集めです。
South China Morning Post 16 November, 2013 Local centre offers support for those with dementia and Alzheimer's
編者:香港での認知症支援活動の一端を知ることができる。

道化師が認知症の人に尊厳をもたらす試み(11月15日/オーストラリア)
ブリスベーンを拠点とする研究グループは、道化で認知症の人に尊厳をもたらしています。
プレイフルエンゲイジメントプロジェクPlayful Engagement Projectは、グリッフィス大学Griffith University、ウエルスレイミッションWesley Mission および道化師グループのラミントンズThe Lamingtonsと連携して行われます。
最近、このグループが創造的健康研究所Institute for Creative Healthのクイーンズランド州のアート健康部門賞を受賞し、目下、全国規模の受賞―今月18日にキャンベラの国会議事堂のディナーで発表予定―の候補に挙がっています。こ
ラミントンズのクラーク・クリスタルClark Crystal氏(写真左上の右)は次のように述べています。
「良くします。ユーモア、歌、演技で高齢介護施設の認知症の入の社会的孤立や不安を軽減します。最終的にすべての介護施設でこれを取り入れることを望みます」
クリスタル氏は、2000年代初めスコットランドに住んでいる頃、スターリング大学University of Stirlingと連携して認知症への道化を開発しました。
2009年にブリスベーンに移住して、グリフィス大学応用劇場Griffith University's Applied Theatreのマイケル・バルフォーMichael Balfour教授(写真左中)を熱心な支援者にしました。
教授は「それは、たとえ認知症の人として扱われても、人々によい生活、健康的で活発な生活をもたらす」と述べています。
オーストラリア研究委員会Australian Research Councilに補助金を申請して、研究チームに拡げウエスレイミッションと手を組み2011年に研究を始め、最終的な結果は来年になります。
グリフス大学の研究者で健康実践改革センターCentre for Health Practice Innovationのウエンディ・モイルWendy Moyle教授(写真左下)は次のように述べています。
「このプロジェクトは、ナーシングホームの初期から軽度の認知症の人60人を対象にする予定です。基本的に認知症の人の社会的孤立、うつ気分を改善し、主要な狙いは生活の質を改善することです」
ぶかぶかのズボンとやわらかい靴の代わりに、ラミントンのクリスタル氏と同僚のアンナ・イェンAnna Yen氏(写真左上の左)は、認知症の人の記憶に合わせて、1950年代の服装をしています。彼らの唯一の典型的な道化師の小道具は赤い花だけです。認知症の人に合わせて交流するのです。
クリスタル氏は「その時々に認知症の人がなってほしいと望むものになるようにしている」と述べています。
1回20分のセッションを異なる二つの角度から録画、記録されます。
またモイル教授は次のように述べています。
「ビデオで認知症の人の関わりのレベルとその反応を測定し、その間どのような活動が行われたかを記録します。彼らが関わっているのか、幸せなのか、悲しいのか、苦しみや不安の兆候はないのかなどを記録します。基本的に感情の反応がどれくらい長く続いているかを観ます」
またクリスタル氏は次のように述べています。
「認知症の人は、戦争などマイナスの出来事の記憶で内的な動揺をまだ抱いている人たちも含め、多くの認知症の人の用心深さや非難に出くわしました。かれらにより高い状態をもたらし、私たちにノーと言えるように彼らの行為主体性―ナーシングホームで入居者が失ったもの―を提供します」
また研究チームは「高齢の介護職が認知症の人を陽気にすることに関わって経験する楽しみが心地よい副作用として見られる」と見解を述べています。
さらにバルフォー教授は次のように述べています。
「道化が認知症の人にとって長持ちする補完的薬の一つとなることを望んでいます。これは認知機能面、身体面、社会面での自発的活動に関わることで幸せの感覚を増大するようなコミュニケーションを保つことになるのです」
Sydney Morning Herald November 15, 2013 Clowns giving dignity to dementia sufferers)
サイト内関連記事:認知症の人に「笑い」がよい(2011年9月18日)
関連情報:Therapeutic Clowning with Persons with Dementia (Hospital Clown Newsletter May 1998) (pdf400K)
編者:アメリカやヨーロッパでは入院中の小児を対象とした道化師活動は定着しているようだが、オーストラリアで認知症の人への取り組みも普及しつつあるようだ。

★ドバイ保健局が認知症介護者の集いを主催(11月13日/UAE)
ドバイ保健局家族集会センターFamily Gathering Centre at the Dubai Health Authority (DHA)(写真右上)は、高齢の患者への総合的ケアを提供しています。最近、5回目にあたる一連のアルツハイマー病支援グループの集いを開催しました。
集いは毎月第1火曜日に開催され、その目的はアルツハイマー病など認知症の人の家族や友人に精神的、教育的、社会的支援を提供することです。
集いは、ドバイのアルボスタンロタナホテルAl Bostan Rotana Hotel(写真右下)で開催されました。
集いには、UAEの国民と他の首長国から訪れた人たち50人以上が参加し、認知症の人を対応する課題と方法について議論しました。
彼らが直面している問題に関係する経験を交換し、認知症の人への最もよい可能性のある介護を提供する方法を話し合いました。
アルツハイマー病など認知症の人は記憶障害、認知機能の低下、攻撃性、異常な行動、猜疑、不眠、失禁などの症状がありますが、介護者はこれらに対処する工夫を議論しました。
家族集会センターの代理所長のジャッセム・モハメド・カルバンJassem Mohammed Kalban氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病は本人と家族に打撃を与える病気です。家族が直面する最大の苦闘の一つは、介護されている人の困難な行動に対処することです。支援グループは、介護者、友人、家族にとりわけ有用で、自分たちの経験を共有し、必要な精神的社会的支援が提供されます」
家族集会センターの医療部長で上級老年科医であるモハメド・ガミル・エルノアマニMohammed Gamil Elnoamani氏(写真左)は次のように述べています。
「支援グループはとりわけこの病気には必要です。現在、役立つ治癒させる方法がないからです。薬は悪化の速度を遅くするだけです。対処方法や行動療法がこの病気の要です。介護者や医療専門職の役割といて病気を適宜に診断し管理することがとても重要です。支援グループを通しての私たちの目的は、アルツハイマー病など認知症の人の家族や友人への精神的、教育的、社会的な支援を提供して、かれらが認知症の人によりよく支えることができるようにすることです。高齢者のための家族集会センターの患者の70%近くは認知症です。65歳以上では5歳ごとに認知症の危険性は倍増し、85歳以上では50%ほどが認知症です。しかし多くの家族はこの病気の最初の症状に気付きません。症状が年による症状と似ているからです。その症状とは、もの忘れ、孤立、過敏性、猜疑、孤独です。センターは24時間365日、アルツハイマー病電話相談(番号:056-3710077)を今年6月に開設しました。介護者、医療専門職、一般人への信頼できる情報を提供し支援しています。このホットラインで毎日数件の電話を受けており国際電話も多い」
Gulf Today November 13, 2013 DHA holds Alzheimer’s support group meeting in Dubai)
サイト内関連記事:「アルツハイマー病の電話相談始まる」(6月3日/アラブ首長国連邦)
関連情報:Middle East and North Africa Conference of Alzheimer's Disease International Alzheimer’s Disease ? The Global Health Crisis of the 21st Century 8-9 December 2013, Dubai
編者:中東の認知症に関わる情報が乏しいなかで、何故かUAEだけは断片的ながらネットで情報が得られる。ということは取り組んでいるというなのだろう。

★新しい認知症ケアの取り組み(11月11日/ニュージーランド)
ニュージーランド北島のテプケTe Pukeに在る高齢者介護施設者は、行動管理の新しい取り組みを始めてから入居者の薬と攻撃的行動や苦痛が少なくなりました。
新しい取り組みとは、教育と理解を含みますが、重度の認知症の人に対応するカーターハウス・カメリアウイングCamellia Wing at Carter Houseの職員(写真左上)が実践しています。
「高齢者精神保健サービスMental Health Service for Older People(MHSOP)」というチームと連携して、職員は教育を受け、個別に出来事を分析することを勧められ、起きた理由を理解し、再発予防の試みと予防情報を活用するようになりました。
チームリーダーのベヴ・カルニーBev Carnie氏は次のように述べています。
「これは標準的な薬を使うことの替わる方法です。抗精神病薬は出来事の後に投与されることが多く、状況を穏やかにし職員や他の入居者へ起こりそうな攻撃的行動を管理するようにします。代替方法として職員への教育と支援を行い、認知症および進行した認知症の人の行動の理由をよりよく理解するようにしています」
管理者のシュワン・オーウエンSharon Owen氏は、チームが課題となる行動の分析と管理についての新しい方法をすすんで受け入れたことを誇りに思い、次のように述べています。
「とても素晴らしい企画に関わりました。職員は優れて能力があり、認知症については何年もの経験を持っていますが、重い課題となるような行動を示す入居者が私たちの棟に来ることが多くなっています。この企画によって、職員が出来事や薬を減らす方法を実施できるようにしました。企画の段階で、私たちのホームは弁護士や家族の忍耐ある力を喜んで受け入れ企画を学び、関係者へ同意書を提供しました」
sunlive 11th Nov, 2013 New approach to dementia care
編者:簡単な記事で詳細は不明で特に新しいとは言えないようだが、ニュージーランドの施設での取り組みとして紹介した。

生物学者スズキ氏、テレビ番組で初めてアルツハイマー病を取り上げる(11月9日/カナダ)
デヴィッド・スズキDavid Suzuki氏(写真左上)の母親とその3人兄弟姉妹が認知症で亡くなりました。彼は、カナダ放送協会(CBC)のシリーズテレビ番組「ネーチャーオブシングスNature of Things(物事の本質)」の次回11月14日の放映「アルツハイマー病のもつれを解くUntangling Alzheimer’s」で司会役を担い、彼にとって個人的で長年の懸案だったアルツハイマー病を取り上げた放映を観ることでしょう。
この番組の最も劇的なことの一つは、彼が経験した30年前の夜の出来事です。この時、スズキ氏の母親がブリティッシュコロンビア女性病院BC Women’s Hospitalからいなくなったのです。スズキ氏の子供5人のうち娘が出産するので家族が病院に集まっていました。この祝いが痛ましい悪夢に変わったのです。母親は何時間も行方不明でした。最終的に、警察がこの病院から南に5キロほどの住宅地であるマーポールMarpoleで母親を見付けました。この婦人が青いフォルクスワーゲンのライトバンに乗り込もうとしていると警察に電話があったのです。彼女の夫、すなわちスズキ氏の父親もアルツハイマー病で同じような経過をたどりました。
現在77歳のスズキ氏は、74歳で亡くなった母親より長く生きています。
彼は次のように述べています。
「私に何か心配な症状をまったく気付いていません。しかし単語が出てこない時があることは認めましょう。特に名前を覚えるのが得意ではありませんでした。今知ったことは言葉がすぐに消えてしまうのです。覚えるように努めなければなりません」
彼は、CBCの番組を30年以上続けてきましたが、アルツハイマー病を取り上げたのは初めてです。
さらに彼は次のように述べています。
「取り上げるのを避けたというのではなく、流行している病気として予測される原因や治療の科学がかなり遅れをとっているためです。流行が人口の高齢化によると思われるのです。未発達なところにあるのです。アルツハイマー病の原因についての合意がなく、何か効果的な治療も無いのです」
このドキュメンタリー番組は北アメリカで行われているいくつかの興味深い研究を探求しています。
また彼は次のように述べています。
「本当の原因を見付けなければなりません。脳の毒性のあるベータアミロイド蛋白の蓄積がアルツハイマー病と強い相関があることは知っていますが、その関係がよく理解されてはいません。この分野の研究は予測がつかないのです」
この番組に先立ってバンクーバーサンVancouver Sunのパメラ・フェヤーマンPamela Fayerman(写真右)が彼とインタビューしました。
彼は次のように述べています。
「一般の人たちが、私なりのアルツハイマー病の情報を提供して私を違って評価するのではということにまったく関心がないわけではありません。アルツハイマー病にまつわる偏見があるかどうかということで特に考えがあるわけではありません。そのことで心配しません。アルツハイマー病について知る人が多ければ、それだけよい情報が増え、よりよく取り組めるのです。ライターでプロデューサーのロベルト・ヴェルデッチャRoberto Verdecchia氏は、母がこの病気で亡くなったことを知っており、私が番組に関わることを希望しました。彼は無理して私に頼むことはなかったのです」
スズキ氏は情報を快く共有しますが、番組の動画で登場する彼の妻は、家族の他の人たちと同様に、正直なところこのことにあまり熱心ではありません。
これについて彼は次のように述べています。
「私は世間の目にさらされて40年以上過ごしてきました。妻はよく『デヴィッド、何故、そのことを話さなければならないの?とても個人的なことです』と言います。しかし私たちの生活はよく知られてきました。私はよろこんでアルツハイマー病の番組に関わりました。私が経験したことを他の人たちが知るというある種の共同体になると思います」
彼は2つの自叙伝を書いていますが、どちらの著書でもアルツハイマー病に関わる家族の経験は触れていません。
このことで彼は次のように述べています。
「アルツハイマー病について語らないと意識的に決定したわけではありません。私は自分の生活に思慮深くはないのです。2冊の自叙伝では、今回の地獄の経験について私の問題として深く掘り下げて考えはいません。多分、3冊目の本で取り上げることになるでしょう」
ドキュメンタリー番組で最も驚きかつ風刺的な場面は、スズキ氏が家族とポイントグレイ通りPoint Grey Roadに在る自宅のキッチンあたりに座っている時、母親の認知症について話し合う場面です。こうした話が初めてでした。
これについて、「事実が隠されたのか」と尋ねられると、彼は「まったくそうではないだろう。そのことで私たちが子供と話し合ったのは初めてです。子供たちは私の母親のことを覚えていません。彼らにとってすべてが初めてだった」と述べています。
遺伝学の教授であったスズキ氏は、娘に聞かれて「多分、遺伝はアルツハイマー病の発病とほとんど関係ないと思う」と述べています。しかし単に保護的な父親として不愉快な可能性のあることを大人になった子供たちに隠したのでしょうか。
彼は次のように述べています。
「いいえ、嘘をつくようなことはしたくありません。ただ遺伝が重要な役割をしているとは当に思わないのです。病気に遺伝が強く関係していることを疑っています。母が遺伝を持っていたという事実からすると私がそれを受け次ぐ可能性は倍になります。そのあとは、偶然によります」
彼の2人の姉妹も発病していません(3人目は死亡)。
しかし彼は、自分がアルツハイマー病になるかもしれないと時々思っているという事実は認めています。また正常より高い危険性があるいかどうかを示す試験は受けたくないのです。
さらに彼は次のように述べています。
「私は現在77歳です。ときどき心配にはなります。それはとても悲しいことです。私が何が原因で認知症になるかわかりません。みんなの負担にはなりたくないのです。心が失われれば、速やかに死ぬことを思います。人生を終わらせる方法が何かあればよいと思います。確実にアルツハイマー病の発病を示す検査があるなら、幸せかもしれません。治療としてできることは何もないのです。困惑することはありません。私が若かくて家族を持ちたいと望んでいたら、検査はひとつの選択で、受ける価値はあるでしょう。しかし恐ろしくも何もすることがない場合、その意義はありますか」
アルツハイマー病は死後解剖でもって確定的に診断されます。しかし実施されることは稀です。特に死亡まえに病気のすべての主な症状が現れている患者で行われることは稀です。1984年に彼の母親が亡くなった時は死後解剖が行われました。
このことについてスズキ氏は次のように述べています。
「いい質問です。パット・マックギーアPat McGeer医師(当時、脳研究者)(写真左下)は、亡くなったすべての認知症の人について100%の死後解剖を行うことにしていました。父親は私に『デヴィッド、彼らは死後解剖をしたいのだが」と尋ねたので、私は「好きなようにしてと伝えて」と返事しました。それはマックギーア氏の利己的なやり方でした。しかし父は、科学に貢献することと強く思っていたのです」
アルツハイマー病やパーキンソン病のような病気に長く取り組んできた科学者が重視することで、マックギーア氏はブリティシュコロンビア大学UBCの脳バンクを設置したという重要な役割を担ったのです。このバンクは現在800個以上の脳を蓄えています。
スズキ氏は「死後解剖によって母親がアルツハイマー病と証明された」と述べています。
スズキ氏や映像班はアメリカの街―ボストン、セントルイス、ウインストンセーラム、プロビデンス―に行き、カナダではトロントとモントリオールの専門家を訪ね、インタビューをしました。
これに関連してスズキ氏は「トロントでの試験的研究―深部脳刺激療法Deep Brain Stimulation (DBS)など―は、最も将来性のある科学的前線です」と述べています。
映像班は、手術室に入りDBSの手術経過を撮影しました。神経外科用ドリルが頭蓋骨を貫通するときも患者は覚醒し会話しているという驚く場面があります。
しかしDBSは別にしてスズキ氏は次のように述べています。
「本当のところ何もありません。何か新しい答が得られるような新しい方向を確実に示すとものは何もありません。アルツハイマー病を糖尿病と関連づけようとする人がいましたが、現時点ではとても不確かな推論にすぎません。個人的には、アルツハイマー病の危険性を抑える方法は、定期的な運動、健康的な食習慣があります。最善の薬は運動です。脳血管障害、糖尿病、そしてアルツハイマー病の危険因子に考えるとら、有意にリスクを下げる確実なことは運動です。これを十分に実践しているわけではありませんが、ジムには。週に3回から4回行っています。そして脳の運動をすればそれだけよいと思います」
Vancouver Sun  November 9, 2013 Family history spurs David Suzuki to examine Alzheimer’s
サイト内関連記事:アルツハイマー病の深部脳刺激療法試験始まる(2012年12月5日)
関連情報:David Suzuki Foundation
編者:スズキ氏は、生物学者、科学番組キャスター、環境問題活動家、BC大学名誉教授で基金David Suzuki Foundationの創立者としてカナダで著名な日系3世。アルツハイマー病プロではない生物学者の指摘は一考に値する。

★アルツハイマー病への効率的な改革の道筋が急務(11月6日/アメリカ)
世界中でアルツハイマー病の負担が増大しているなかで、薬の開発に要する高額な経費とリスクのため、効果的治療の開発が遅れないようにすることに失敗しています。アルツハイマー病薬開発の改革をより有効に実施して、病気の進行を遅らせ、止める薬の承認へ向けて、その費用を減らし、開発のスピードを上げることになるでしょう。2025年までにアルツハイマー病の効果的な予防と治療というアメリカの目標に応えることで、何百万という人の命を救い、生活を向上させ、何十億ドルの医療費を軽減することができます。
これは、今回のアルツハイマー病薬開発に関する報告書の結論です。この開発について「ニューヨーク科学アカデミーNew York Academy of Sciences (the Academy)」で11月6日から7日に開催される「アルツハイマー病サミット:2025年への道筋"Alzheimer's Disease Summit: The Path to 2025"」で、本日、議論されるでしょう。アカデミー開催のサミットは、「アルツハイマー病グローバルCEOイニシアティブGlobal CEO Initiative on Alzheimer's Disease (CEOi)」と「アメリカ国立加齢研究所・国立保健研究所U.S. National Institute on Aging/National Institutes of Health (NIH)」の共催で、政府、学術機関、NGOからの世界的指導者が一堂に会して、次の10年間のアルツハイマー病の研究と開発を促進することになるでしょう。このサミットは、2012年、NIHが開催した初めての「アルツハイマー病研究サミットAlzheimer's Disease Research Summit」に続くものです。
サミットは、アルツハイマー病にとって極めて重要な時期に開催されます。新薬開発の成功への重要な要件は、財政、企業、科学、政府からアルツハイマー病への戦いにおいて世界的な気運のまとまりが創られているからです。この気運を支える新しい報告書「アルツハイマー病の研究と開発を促進する機会に関する経済的分析"Economic Analysis of Opportunities to Accelerate Alzheimer's Research and Development"」は、本日からのサミットでアルツハイマー病の専門家による意見と評価を得る作業草案として提出されます。この報告書は、サイトwww.nyas.org/Pathto2025reportで入手できますが、アカデミーがRTIインターンショナルRTI Internationalに委託したもので、最終版は、2014年の早い時期に「ニューヨーク科学アカデミー紀要Annals of the New York Academy of Sciences」に掲載され、アルツハイマー病の分野で利害関係にある者たちの間でさらに刺激となり役立つことを意図したものです。
報告書草案が解説しているように速やかな活動が非常に必要なのです。ニューヨーク科学アカデミーの会長でCEO のエリス・ルービンシュタインEllis Rubinstein氏(写真左上)は次のように述べています。
「アルツハイマー病は世界的な緊急課題です。人々から最後の数年間、尊厳を奪い、国民経済を弱らせること役を担っているのです。新しい治療法の開発を進めることは、受け入れ難いほど遅いままなのです。アルツハイマー病研究をどのように進めるのかを再考しなければなりません。こうして、この複雑な病気の原因が何であるかを理解することが促進されるでしょう」
会議の招集者でもあるCEOiのジョージ・ヴランデンブルグGeorge Vradenburg氏(写真左下)は次のように述べています。
「企業や政府による世界的な指導や協同は、連携ある行動を促進し、速やかな革新を推進し、アルツハイマー病など認知症の予防および有効な診断、治療、介護の方法を達成するに必要な的を刺激するのに基本的に重要です。現在の薬の開発方法は非効率的であるが、これに応え、2025年までにアルツハイマー病の進行を止めるという目標を達することができるのです」
アルツハイマー病やその他の認知症の人は、現在、全世界で3500万人以上います。2010年の全世界での費用はアルツハイマー病だけで600億ドル以上に達しました。人口の高齢化に伴いアルツハイマー病の人の数は2035年までにおおよそ2倍に、2060年までに3倍になり、この病気による負担は急速に増大すると予測されています。多くの薬の大規模試験にも拘わらず、アルツハイマー病の進行を遅くしたり止める治療がまだ証明されていません。現在の治療は、特定の人たちにとって短期間、症状を良くするだけのものです。こうした危機が地球規模で広がっていることを認識して、2013年12月にロンドンで初めてG8の会議を準備されています。
報告書にある意義ある見解の一つは、効果的なアルツハイマー病治療の特定する際の主要な障害が薬の開発と調査に伴う高額な費用と高いリスクにあるとすることです。とりわけ、単一の薬の試験で複数年かけて数千人の患者による大規模な臨床試験を行うのです。報告書は、効果的なアルツハイマー病治療が市場に出回るに必要な全経費は現在で60億ドルに達すると推計しています。これは薬を開発する企業の平均経費の3倍近くに当たるのです。(ここでいう全経費とは効果的な薬の開発費用とそれ以前の失敗した薬の開発費用も含まれる)。
報告書は、政府機関、専門委員会、その他の組織によってアルツハイマー病薬がどのように開発、試験されるのが能率的か一連の勧告を採用し、その経済的影響も考慮しています。改革の勧告のなかで以下のことが指摘されています。
○異なるアルツハイマー病の人で進行が予測され有効と思われる治療に相応しい人を特定するための信頼できる病気の生体指標を開発すること。
○試験しやすく臨床試験に相応しい参加者に関して地球規模で試験しやすい集団を確保し、異なるリスクをもった集団に同時的に複数の薬の試験が行える実施可能な方法でもって臨床試験をより効果的でより軽減して費用で行えること。
○企業は開発が競合する前の研究結果を共有し、他の科学者がアルツハイマー病の進行を遅くしたり止める方法をより早く学ぶことができるようにデーターを共有する環境を整備すること。
○政府、学術機関、企業、患者擁護団体が、共にアルツハイマー病薬の開発と試験に投資するための情報をプールして公的・私的な連携を推進すること。
この報告書は、アルツハイマー病薬の開発についてこうした改革を実施することで効果的なアルツハイマー病治療の開発を推進する全経費を40億ドル減らせ、成功にいたるアルツハイマー病治療の開発に要する全スケジュールを有意に減らせ、両者を合わせて企業の開発に要する平均経費により近づけると推測しています。勧告された改革案でアルツハイマー病薬開発への私的投資が増えるでしょう。
アルツハイマー病薬が利用できるように促して2025年までに病気の進行を遅らせたり止めることができることは、患者にも医療制度にも計り知れない利益をもたらします。アカデミー委員会の報告によると、集約した勧告に沿ってアルツハイマー病薬開発の望ましい環境を創ることによって年間の700万人の発症を減らし1000億ドルの医療費をアメリカだけで15年間以上、節約できるでしょう。
Science daily Nov. 6, 2013 Reforms Urgently Needed to Streamline Road to Alzheimer's
関連情報
①プログラム:Economic Analysis of Opportunities to Accelerate Alzheimer's Research and Development,(pdf5.1M)
②報告書:Economic Analysis of Opportunities to Accelerate Alzheimer's Research and Development(draft)(pdf1.4M)
編者:足踏み状態のアルツハイマー病薬開発への提言であるが、情報共有が私企業間で可能かどうか疑問だ。また地球規模で効果的な臨床試験が行える集団を確保するとはどういうことか異議を呈したい。このサミットには日本から参加者もいる。

知られてない認知症の疾患―加齢性海馬硬化症―の新しい研究(11月5日/アメリカ)
高齢者人口が増えるなかでケンタッキー大学サンダーブラウン加齢センターUniversity of Kentucky Sanders-Brown Center on Agingの研究者は、専ら超高齢者がなるいくつかの病気の解明に努めています。
同センターのピーターネルソンPeter Nelson教授(写真左上)らは最近の論文で、ほとんど知られてない高齢者の脳疾患-海馬硬化症Hippocampal Sclerosis(加齢性海馬硬化症HS-AGING:HSA)―の背景となる神経病理を探求しています。HSAは、アルツハイマー病ーと同様に高齢者で認知機能低下や記憶障害など認知症の症状の原因となります。アルツハイマー病は、多分、最も知られた認知症の原因ですが、HSAも多くの高齢者の重篤な認知機能障害の原因になっています。
85歳以上の高齢者でHSAはアルツハイマー病と同じほど多い。際立ったことですが、HSAはアルツハイマー病とは全く異なる疾患で、生存中にアルツハイマー病と診断されることがほとんどです。
HSAに関する最初の論文(訳注1)は雑誌Journal of Alzheimer's Diseaseに掲載されたものですが、かなり規模の大きな人口集団によるおもので 現在のところ、すべての認知症の約20%を占め死後解剖で診断され、ほとんどの事例で生前に診断されることはありません。このことは、この病気が在ることを患者を診ている医療職にほとんど知られていないことになります
こうした研究は「全国アルツハイマー病連携センターNational Alzheimer’s Coordinating Center ( NACC)」と協同してのみ行うことができ、ネルソン医師らは連邦政府の助成を受けた多くの全国のアルツハイマー病センターのデータを取り込むことができました。研究は国立加齢研究所National Institute on Agingの助成を受けました。
2番目の研究はタイトルが「Arteriolosclerosis that affects multiple brain regions 複数の脳の部分に影響する動脈硬化」(訳注2)で、最近の雑誌Brainに掲載され、HSAの患者での細血管を観察し、HSAの患者で動脈硬化の特別な変化を認めたと記述しています。この細血管の変化は病気の進行を変える新たな治療上の標的になるかもしれません。この分析も大きなNACCのデータとの連携で進められました。執筆者のジャンナ・ネルトナーJanna Neltner医師(写真左下)は脳のデジタル病理測定で極めて重要な見解を示しました。
最後は、論文「Hippocampal sclerosis of aging, a prevalent and high morbidity brain disease, HSA、その有病率と高い死亡率のル脳疾患」(訳注3)は雑誌Acta Neuropathologicaに掲載され、研究者と患者のためにHSAの概要を示しています。この論文は、関連ある科学論文を検討し、HSAが公衆保健のとても悪う影響を与えうるありふれた病気であることを徹底して指摘しています。
医師や科学者にとって重要なことは、HSA独特の病理を理解し、その他の病気と区別することです。認知機能の低下の症状を示す人を臨床医が治療したいのなら、正確に診断するだけです。こうして現在の研究は、HSAについて基礎的知識に大きく飛躍させ、この重篤だが正当には認知されてない脳疾患の診断と治療を探る新たな可能性の道筋を示しています。
University of Kentucky News Nov 5, 2013  Sanders-Brown Researchers Produce New Research on Little-Understood Brain Disease
訳注1:論文Hippocampal Sclerosis of Aging is a Key Alzheimer’s Disease Mimic: Clinical-Pathologic Correlations and Comparisons with both Alzheimer’s Disease and Non-Tauopathic Frontotemporal Lobar Degeneration (Journal of Alzheimer's Disease Volume 39, Number 3)
訳注2:論文はネット上で見つからない。
訳注3:論文Hippocampal sclerosis of aging, a prevalent and high-morbidity brain disease(Acta Neuropathologica  August 2013, Volume 126, Issue 2
編者:まだ研究段階の疾患概念と思われるが、高齢者の認知症の原因としてアルツハイマー病と区別すべき注目されている疾患の解説記事として紹介した。なお小児の海馬硬化症はてんかんの原因として知られている。

★警察署長の提案「認知症のデーターベースを要望」で議論(11月3日/イギリス)
グレイトマンシェスター警察署Greater Manchester Police の署長ピーター・フェイヒPeter Fahy卿(写真左上)は、認知症の人の情報があると混乱したり興奮した認知症の人への緊急の支援が提供できるだろう述べています。
さらに彼は「電話を受けて、どのように対処するかを決めることでケア担当部署は、よりよいサービスを提供できるでしょう」と述べています。
これについてアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは「解決になるよりはさらに問題を起こすことになる」と見解を表明しています。
イギリスには認知症の人が80万人と推計されていますが、この数はこれからの10年間で100万人以上に増えでしょう。
多くの認知症の人は介護施設より地域で暮らしています。
警察や救急隊が認知症の人に関わる特別な要請の電話を受けると、速やかにその人の背景となる情報を得るために家族に電話します。
グレイトマンチェスター警察署は、イギリスで最大級の警察部隊の一つで、毎年7200人の署員のうち400人相当の人が従来の警察の役割から外されて、精神保健の問題を持つ人たちに対応しています。
精神保健の仕事の一部は認知症の人に関係したものです
さらにピーター卿は次のように述べています。
「これは増大している課題で、認知症の人が行方不明になったり、家で転倒したり、混乱したりして、救急隊に代わって出向く必要があります。1日30回電話をかけてきた認知症の人を知っています。明らかなことですが、こうした電話のそれぞれを深刻なものとして受けとめなければなりません」
気付かれないで
また彼は次のようにも述べています。
「警察業務として、認知症の人がよりよいサービスを受けるよう保障する方法を考えなければなりません。私が知りたいことの一つは全国的なデーターベースです。ここに認知症高齢者の介護者と家族の詳細な情報を入力しておき、警察か救急隊が特別な要請の電話を受けると、直ちにその家族に背景情報を得ることができます。これは市民的自由への脅威であり州としてあまりに多くの情報を持つことになるとみなす人もいるでしょう。こうして実際のところ、ケア担当部署はもっとよいサービスを提供することができるしょう」
しかし、アルツハイマー病協会は、認知症の人へのサービスの向上を求めて運動をしていますが、こうした仕組みにを警戒しています。
同協会の政策部長のジョージ・マクナマラGeorge McNamara氏(写真左下)は次のように述べています。
「現在、あまりに多くの認知症の人が誰にも知らないままに置かれ、必要な医療や社会サービスの利用を見逃しています。警察のような部署は認知症の人と特定できる必要はありますが全国データーベースにアクセスすることは問題を生むかもしれません。かりに警察や社会サービス部署が現在の情報をより有効に共有するのであれば、警察を支援するような有意義な方法を求め、認知症の人が自宅で自立して生きることができるでしょう」
BBCの調査によれば、多くの警察隊は認知症の人が関わる事故の増加を認めています。イギリスの警察隊の約4分の1では、この人たちの事故記録から詳しい調査に基づく人物像を提供できることになっています。
回答したすべての警察隊では、こうした事故が過去2年間で増えていると指摘しています。
例えば、サッセクス警察署Sussex Policeは、イギリス南海岸で人気のある退職者の街を管轄していますが、2010年の682件から2012年の1815件と事故は増えています。
複雑な課題
稀な型の認知症の人は、反社会的行動を取ることがあり、その症状のため、警察と接触することが多くなることがあります。
アンジェラ・ポッターAngela Potterさんの夫は、50歳の時、前頭側頭型認知症と診断されました。この型の認知症は、論理的思考やコミュニケーションの能力が低下します。
ポッター夫人は次のように述べています。
「夫の性格は変わりました。抑えることが出来にくくなったのです。万引するようになり、欲しい物を見ては持ち去るのです。支払うということを理解できません。多くの店から立ち入り禁止となりました」
幸い、北ロンドンの地区の警察官が同情的だったのです。
さら夫人は次のように述べています。
「警察官は夫に会って状況を理解してくれました。喜んで話を聴き、試めし、理解してくれました。必要な時はいつでも彼に電話しました。いつも、とても助かったのです」
ピーター卿は次のように述べています。
「認知症の人や精神保健の問題を扱うことはより警察官を従来の役割から外すことになります。ときどき、私たちにとって罪は繰り返される活動のように感じます。ある程度、犯罪は想定内の単純なものです。侵入窃盗や窃盗犯に何をすべきことは知っています。しかし、認知症の人が関わる複雑な事故に応えることがしばしばあり、医療専門職から支援をどのように得るか迷うこともあり、解決がとても難しいこともあります。ある警察官は、病院での適切な判断を待って、あるいはベッドが見付かるまで5,6時間あるいは7時間もその場に貼り付けになることもあります。明らかに、警察にとってあまりに長い時間です。このことが警察官のモラルに影響し、間違いないことですが、犯罪を減らすという私たちの本来の仕事の能力に影響します」
保健省Department of Healthは声明のなかで次のような見解を表明しています。
「認知症の人の全国的データーベースを導入する計画はありません。こうするためのいかなる決定には、この計画で認知症の人がより自立できるような支援が得られるという明快な証拠がなければなりません。また導入のためには認知症の人と家族の選択で行われなければなりません。認知症の人ができるかで自立した生活を続けることができるように保証したいのです。これが「認知症フレンズDementia Friends」の取り組み―一般人への認知症への啓発と理解を助ける―が重要な理由です」
BBC 3 November 2013  Call for national dementia database
編者:一考に値する議論だ。わが国では認知症の行方不明者については自治体が主体となっているが、機能しているという報告は少ない。「何もやらないよりやった方がよい」というレベルの認識ではないだろうか。日本では警察は認知症を脇にやらないで業務の一部ととらえてほしいが、署長のように警察の従来の業務にどのように影響し、どのように業務を整理するかの議論もほしい。

認知症の人と子供の安楽死を合法化する動き(10月31日/ベルギー)
去る2002年、ベルギーは、18歳以上の人の安楽死を合法化した最初の国の一つになりました。しかし、この権利は若い人には制限されています。現在、政権政党の社会党は安楽死法を子供と認知症の人に拡大する法案を提案しようとしています。
ブリュッセルジーケンフイス大学Universitair Ziekenhuis Brussels病院の小児科のゲルラント・フォン・ベーラエリGerlant van Berlaer医師(写真左上)は次のように述べています。
「子供は物事を頼む方法は異なっていますが、彼らも終末期な病気には大人と同じような疑問に直面します。病院に帰りたくないで、解決を求める弟のことを話す姉がいした。今日、こうした家族がその状況にあることを知っても私たちはかれらを助けることができません。暗い問題となるような方法を取った場合は別です」
ヨーロッパ諸国のなかで安楽死が、現在、合法化されているのはベルギーとオランダとルクセンブルグです。スイスでは自殺幇助が合法で、患者が死亡するためにこの国にやってきています。アメリカでは唯一、オレゴン州が18歳以上の人で自殺幇助が認められています。
ベルギーの医療専門職や議員たちは、現在、子供の安楽死について政府の姿勢を決めるための議論を公開しています。成人の安楽死は倫理に反するが子供は反しないと信じる人もいれば、成人と同様に多くの子供たちが安楽死という概念に苦闘して決定できるほど十分には理解していないとする人もいます。
オックスフォード大学Oxford Universityで医療法などを専門とするチャールス・フォスターCharles Foster氏(写真左中)は次のように述べています。
「人生の早い時期に恐れを抱くような環境にいる人たちは、なおさら、なにかにしがみつくようになります。子供たちは、誰もそうですが、殺されない場合の自分の人生をどのように価値づけてよいか予期できないのです」
2012年12月、聴覚障害者でベルギー男性の双子、マーク・ヴァベッセンMarc Verbessemとエディ・ヴァベッセン Eddy Verbessem(45歳)は、目が見えなくなり始めて自殺幇助を受けることを決めました。安楽死は10年前に合法化されましたが、この二人は、終末的な病気でなく、これは特別な事例です(訳注1)。
イギリスの控訴裁判所Court of Appealsは、最近、二人の障害男性の安楽死を否認しました。彼らは、医師が殺すことに従わなければ「ヨーロッパ人権条約European Convention on Human Rights」に違反すると批判しています(訳注2)。イギリスの司法判断は、安楽死は社会の在り様についての微妙な疑問を根底から呈すると表明しています。
アメリカのカトリック医学協会Catholic Medical Associationのジョン・ブラヘニーJohn Braheny氏(写真左下)は次のように述べています。
「生きていることが必ずしもよいことではない、死ぬことは必ずしも悪いことではないとうことを受け入れるとすれば、それは深い世界観です。世界の多くの人たちは幸せではありません。死を私たちが提示する一つの選択肢とすれば、世界はかなり違った場に見えるでしょう」
medicaldaily  Oct 31, 2013  Belgium May Legalize Euthanasia For Children And Dementia Patients
訳注1:「Euthanasia twins 'had nothing to live for' 」(14 Jan 2013 Telegraph)の記事がある。
訳注2:European Convention on Human Rights(pdf2M)に反する理由がわからない。
サイト内関連記事:「アルツハイマー病の安楽死適応法案(2012年12月18日/ベルギー)
編者:情報が十分ではない。どのような認知症の状態を対象とするのかわからない。

LINEで行方不明のアルツハイマー病の人を保護(10月31日/タイ)
先週の土曜日10月26日に行方不明になったアルツハイマー病の男性は、翌日の日曜日に居場所が確認されました。発見は、警察がよく知られたソーシャルネットワークアプリのLINEのサイトに警察が投稿して数時間内のことでした。
ベンジャワ・ムーンケットBenjawan Moonket氏(29歳)(写真左上:警察に届ける時の写真で右端)は、父親ムアン・ムーンケットMuang Moonket氏(60歳)(写真左上)が行方不明になったと27日午後5時頃、タラーン警察署Thalang Policeに通報しました(記事2013/10/28)。警察官はLineで情報を共有するようにしました(写真右:スマホ表示)。おおよそ3時間後、メッセージ「彼を見付けた。来て、チャロン警察署Chalong Police Stationまで連れて行ってください」と表示されました。
ベンジャワン氏は警察に「父がアルツハイマー病と診断されてからマハサラカムMahasarakamからプーケットPhuketに転居しました」と述べています。
彼女は、元の報告とは違って以下のとおり述べています。
「母は父を家に1人にしないで、診察のためにチェルンタレイヘルスセンターCherng Thalay Health Centerに連れて行きました。母は、父のIDカードを家に忘れたので取りに帰り、父はセンターに1人になりました。母が戻った時、父は既に出歩いていたのです」
タラン警察署のソムキドケウクレイ中将Sub Lt Somkid Kaewkraiは、次のように述べています。
「彼がセンターから出て道路沿いに歩き、バイクタクシーに乗ったと聞きました。お金を持っていませんでした。その結果、運転手が彼を道脇に降ろしました」
ベンジャワン氏と母親は、父親を一晩かけて探しました。当初、二人はチャルンタレイCherng Thalayに在るスーパーマーケットのテスコロ-タスTesco Lotusの近くで父親を見かけたと聞き、そこで探しました。その後、コケウKoh Kaewに居ると知らされたので、そのあたりを探し続けました。次の日に警察に行方不明を届けたのです。
ソムキド警察官は「ムアン氏の様子を知り、チャロンChalongに行って父を保護しましたとベンジャワン氏に知らせた」と述べています。
彼女は「私は援助してくれた警察官にとても感謝しています。父が元気なのでとてもうれしい」と述べています。
Phuket Gazette  October 31, 2013  Social network app helps finds missing Alzheimer’s patient
サイト内関連記事:「アルツハイマー病と生きる」(2008年5月1日/タイ)
編者:当然のことながらタイでも認知症の人の行方不明の事例は多いだろう。警察独自のLineによるシステムを利用して発見された事例と思われる。タイ語の人名、地名は英語表記をそのまま訳したもので正確とは思われない。

大学病院の新たな「認知症サービスセンター」の試み(10月30日/ドイツ)
ドイツでは現在、約130万人の認知症の人がいます。毎年、おおよそ25万人が新たな認知症と診断されていると推計されています。認知症は、高齢者の依存と障害の主要な原因です。この病気は、本人と介護職そして家族に、医学的、心理的、情緒的影響を与えます。また感染や転倒による骨折といった急性あるいは慢性の合併症が認知症の人の入院の多く原因です。
こうした認知症の人、家族および大学の医療システムの特別なニーズに応えるために、「ヨハネスグーテンベルグマンツ大学医療センターMedical Center of Johannes Gutenberg University Mainz(JGU)」は、特別で全国的に珍しいさまざまなサービスを提供しています。「監督、指導、サービス"Supervision, Guidance, and Service"」を標語として、特別に研修を受けた職員が、個々の認知症の人の付添サービスのような院内ケアを提供します。この新しい「認知症サービスセンターDementia Service Center」の一連のサービスには、さらに介護職への特別な研修や医療職への助言も含まれます。このサービスセンターは、現在、プロジェクトとして行われています。大学の医療センターの異なる5カ所の専門外来群と入院治療グループ群から10カ所をモデル施設として選びました。
さらに、認知症は、進行するという宿命の深刻さに加えて、本人とその社会環境に多くの課題があることを示しています。外来と入院の医療システムおよび社会総体として、この認知症という領域で特別な課題に直面しています。認知症の人への幅広いサービスを通して看護と医療の質を改善することを目標とした医療センターは、看護部総長President of the Nursing Boardが指導するプロジェクトとして創設されました。記憶障害や見当識障害のある認知症の人に、外来での検査の付き添いサービスを行い、認知症の人や家族に入院中の組織に関わる支援をします。さらに、認知症の人が最善の支援が得るべきで、治癒過程に認知症の人が積極的に参画するようにします。またサービスセンターの別の重要な役割として、認知機能障害がある認知症の人の治療、監督、支援のための新しい関わり方を開発することです。これは医療センターで関係するすべての職員は、決められた目標に沿って認知症の人とのコミュニケーションの方法を研修から得ることです。
高齢の患者が増えるなかで、医療センターは、認知症にいたるさまざまな認知機能障害のある患者のかなりの入院を知っています。認知症の人にとって入院は異質な環境、周囲の馴染めない人々、普通にはない診療行為とその要請であり、落ち着くことができず怖くもある経験をする可能性があります。このため認知症の患者は、不穏で防衛的反応を示すという問題となる行動を取ることがあります。介護者の視点からして、サービスセンターとその活動は有益です。というのは認知症の人の特別な状況についての知識を持つことで関係するすべての人にこのことが役立つことが証明されているからです。職員が早く気づき、専門職として認知機能障害に対処する方法を知ることで、複雑な診療の状況を乗り越えることがもっとできるのです。
看護部総長のエヴェリン・メレンカンプEvelyn Mőhlenkamp氏(写真左上)は以下のとおり強調します。
「認知症の人への病院看護はすべての職員から要求が多い。サービスセンターの活動範囲は支援システムを構築することです。重要なことは認知症の人や介護者が直接、あるいは速やかに支援を得ることです」
医療センターの精神科・精神療法外来Clinic for Psychiatry and Psychotherapyの認知症研究・認知症医療Director of Dementia Research and Dementia Medical Careの所長で主任医師であるアンドレアス・フェルギーベルAndreas Fellgiebel教授(写真左下)は「サービスセンターで病院における認知症の問題の啓発を高め、医療や社会で認知症にまつわるなおも存在する偏見を軽減しようとします」と説明します。
控えめに見積もっても、入院患者の高齢者のうち少なくとも12%が認知症です。しかし、紹介に際して受けた診断によると入院は、一般的に、その他の身体疾患の治療のたまであり認知症そのもののためではありません
さらに教授は次のように述べています。
「しばしば、認知症に伴う問題とその障害は入院前に既に明らかになっています。たとえ認知症が公的に診断されていなくても同じです。前以て診断された認知症の場合、認知症という診断名が入院中に報告されないことがたびたびあります。いずれにせよ、明らかに認知症への偏見にまるわる何かが関与しています。こうした状況が優位なので私たちは、認知症の人への支援というさらなるニーズが入院治療の始まりと共に過少評価されているという問題に直面しています。このために認知症の人と治療チームの双方への過剰な要求が徐々に生まれるのです。看護師と医師は、いっそう早く限界に到達し、結果として必要な時間と経費が増えることになります」
サービスセンターは、現在、眼科、神経科、整形・外傷外科、泌尿器科、内科Ⅰを対象としてパイロットプロジェクトを行っていますが、その手順として対象者は70歳以上のすべての入院患者で入院する病棟で短時間の評価に実施することを要請しています。
サービスセンターのエヴァ・カックEva Quack所長(写真左下)は次のように述べています。
「センターの最初の経験は、病棟での支援サービスによって病棟で患者と介護職の双方の負担を明らかに軽減しているということです。患者にとっては、入院中に自分たちを理解す新たな職員が付くという機会を得ることと、このため一層の注意が向くということが積極的な側面です。本当に、サービスセンターの支援によって認知症の診療過程での断絶を無くしていることを認識しました」
サービスセンターは、とりあえず2年間活動することになっており、ラインランド・パラチナーテRhineland-Palatinate州の社会・労働・保健・人口省Ministry for Social Affairs, Labor, Health, and Demographicsから総額5万3000ユーロの助成を受けています。プロジェクトは、同時に進められる調査を通して科学的に評価されることになっています。このプロジェクトが積極的な評価を受けられれば、認知症サービスセンターの活動を医療センター全体に拡大することにもなっています。
認知症は、多くの神経退行性疾患の総称です。高齢者の通常の症状がるからといって必ずしも非可逆的な運命、すなわち認知症になるわけではありません。認知症は、持続性で多くの場合、進行性の精神な欠落を呈する状態と理解されますが、この状態は高齢期において明らかに自立的生活の障害となります。認知症の危険性は寿命が延びたことで増大していることは明らかです。60歳から65歳の年齢層ではたった2%の人が認知症ですが、80歳以上になると増加して20%になります。人生の最期の時期に認知症になる危険性は、現在のところ全人口の30%におよんでいます。
newsmedical  October 30, 2013 New Dementia Service Center established as pilot project
編者:認知症対策で遅れている分野として身体疾患で入院する認知症の人の治療である。情報が乏しいドイツでの新しい取り組みは同じ問題を抱えるわが国の大学などの総合病院に参考になりそうだ。

★認知症の人の性に関する施設の方針は急務(10月28日/アメリカ)
アメリカの何百という高齢者施設で働く専門職の団体は、ほとんどの施設で高齢者の性についての方針がないことから、方針を再検討するように施設に要請しています。
「アメリカ医療ディレクター協会American Medical Directors Association(略称:AMDA)は、次のように表明しています。
「アメリカの施設で認知症の人の性について把握されていない問題とその結果について明らかにした記事がブルーバーグニュースに掲載されてから行動を起こしました。多くのナーシングホーム企業は、この報告を考慮して自分たちの方針を既に再検討しています。コチカット州ウエストハートフォードWest Hartfordにある多種の高齢者介護サービスを展開している非営利団体のヘブライヘルスケアーHebrew Health Careは、今年9月に方針と研修を向上させ始めましたが、この団体で認知症介護サービスの部長であるパメラ・アットウッドーPamela Atwood氏(写真左1)は次のように述べています。
「私たちの団体は、親密さや性的なことが当たり前のこととみなしていますが、多くはそうでありません。ベビーブーマーたちの介護を見ていますが、この人たちは過激なフェミニストであり、ピルを普及させました。彼らが本当に性的にならないとは考えられません」
ナーシングホームや介護施設は、多くの場合、性的なことに対応できるだけの準備が出来ていません。その理由の一つとして、管理者、職員、家族が高齢者の性的なことについて話し合いたくもないし、知りたくもないのです。こうした結論はAMDAが全国の高齢者介護施設で働いている医師や医療専門職を対象に行った調査に基づきます。
高まるニーズ
メリーランド州コロンビアを拠点とするAMDAは、次の見解を示しています。
「ベビーブーマーの世代が高齢になると、親密さや性的行動を重視した方針や施設の活動を変えざるをえません。入居者から託されていることを明確に認識してはいますが、この問題については沈黙したり、見ないようにすることが一般的な傾向です」
この調査結果から、この問題についてはほとんどの施設で優先順位が低いのです。調査に応じて回答した人のたった13%が、性的行動について研修を受けた職員がいる施設で勤務していました。明らかに被雇用者の研修が行われていないことの表れとAMDAはみています。調査によると回答者の4分の1以下の人は、勤務している施設では問題に応えるような方針を持っていると回答しています。また回答者のおおよそ半数は、勤務する施設が方針を持っているかどうか知っていません。
性と死
調査を受けた医療専門職の一人は匿名で「性と死、これについて誰も話し合うことを望んでいませんが、話す必要がある」と答えています。
AMDAは、ナーシングホーム、介護付き住宅assisted living facilities、ホスピス、高齢者介護施設で医療に従事する5500人の医師、看護師などの専門職を代表する団体です。全国には1万6000カ所の認可されたナーシングホームがあり、医療ディレクターを置くことが法律で要請されています。
この団体は、ブルームバーグニュースBloomberg Newsの今年7月の記事に応えて121人の高齢の会員と54人の若い会員についての調査を委託して行いました。調査を受けた人の多くは複数の施設で働いており、アメリカのすべての州を網羅しています。AMDAの要請で、ブルームバーグニュースは14の質問のうち3つに項目について助言し反映されています。
初めてのブルームバーニュースの記事は、アイオワ州のナーシングホームで起きた認知症の既婚の87歳の女性との性的交渉を職員に見られた78歳の認知症の離婚男性についてのものです(訳注1)。ホームの管理者は、その接触が合意に基づくと決定しました。しかし州の管理者はこの見解に同意せず、事実を報告しなかったことと表明したのです。管理者と看護部長は解雇され、男性入居者は約2時間かかる他の施設に強制的に移住させられました。
2番目の記事は、ニューヨークのリバーデイル・ヘブライホームHebrew Home at Riverdaleに関するものです(訳注1)。このホームでは1995年から性的なことに関する方針を持っています。なおこのホームは、ウエストハートフォード・ヘブライヘルスケアとは関係ありません。
公的な研修
調査の結果に基づき、AMDAは高齢者介護施設に公的な研修プログラムや方針を導入することについて検討するように要請しています。
ADMAの事務局長のクリストファー・ラクストンChristopher Laxton氏(写真左2)は
「認知症は増えていることは間違いなく、すべてのナーシングホームに少なくとも検討だけでも始めることを勧めたい。このことで現実から目を背けることにならない」と述べています。
国勢調査局Census Bureauによると、アメリカには65歳以上の人が4000万人以上います。1946年から1964年までの間に生まれたベビーブーマーがこの年齢層に入るのです。この高齢者数は2020年までに5600万人になると推計されています。アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationによると、アメリカで500万人以上の人がアルツハイマー病―最も多い認知症の型―です。65歳以上のアルツハイマー病の人は2025年までに710万人になると推計されています。
困難な決定
今回の調査によると、性的に活発な人は70歳代、80歳代でいることが明らかにされました。認知症の人は、家族や友人がわからなくなり、親密さや性的なことが健康的な満足となるのです。連邦政府および州政府は施設に入居者のプライバシー―キス、愛撫、性交、その他の性的活動―の権利を尊重することを要請しています。
医師やその他の介護者は、施設職員や家族に困難な決定が求められるさまざま状況に関与します。例えば、配偶者を忘れてしまった認知症の人が他人に親密さを求め場合、認知症の妻に抵抗されても夫がセックスを求める場合、夫に性的に積極的な妻が浮気したと夫を責める場合などがあります。
ニュージャージー州ブルームフィールドBloomfieldに在るジュニパーコミュニティズJuniper Communitiesは4州に18施設のナーシングホーム、介護付き住宅、メモリーケア施設を展開しています。創始者でCEOのラインネ・カッツマンLynne Katzmann氏(写真左3)は次のように述べています。
「他のホームの方針を分析してジュニパーの施設でグループを重視する提案をする予定です。応えるのが容易いということではありませんが試します」
法的リスク
またカッツマン氏らは「方針を導入することは規制や法的なリスクをはらんでします。というのは認知症のある入居者について同意能力を決定する広く受け入れられた方法がないからです。 多くの州は、高齢者介護施設に起こり得る危険な性的出来事―アイオワ州の事例のように―を報告することを求め、報告しなかった場合は罰金を科したり、またメディケアやメディケイドの償還を削減するといった罰則を伴うのです。
ノースカロライナ州の認知症ケア専門家であるティーパ・スノウTeepa Snow氏(写真左4)は認知症教育とケア提供の仕事をしていますが、「認知症となると多くの謎があると人は怖がります。何をしてもよくないとみられるのです」と述べています。
財政的負担
多くの施設は、政府の補助金の削減により財政的な負担が増し研修の時間を減らしています。
ニュージャージー州ソマーヴィルSomervilleで性教育コンサルタントをしているメラニー・デイヴィスMelanie Davis氏(写真右1)は「性についての方針を取り上げて検討するように管理者に話しましたが、勤務交代時の30分間で研修しなければならなかった」と述べています。
ダグラス・ウォーネルDouglas Wornell氏は、ワシントン州タコマTacomaで老年精神科医として23の施設で勤務しますが、「州の監督者は研修によって利益を得ることができます。確信はないのですが、これは施設の問題です」と述べています。彼の著書「性と認知症“Sexuality and Dementia”」は今年12月に出版されることになっています。
AMDAの調査対象者の71%は「研修教材があると大いに助けとなるでしょう。宗教や倫理など個人的な偏りから性的に接触する者への反応を分けて職員に教えるられるというからみもある」と回答しています。
カンサス州立大学加齢センターCenter on Aging at Kansas State Universityのゲイル・アッペル・ドルGayle Appel Doll所長(写真右2)は次のように述べています。
「相応しい研修を受けた職員は状況に合わせるでしょう。カンサス州の施設のための研修プログラムを開発して彼らの反応にちょっと驚きました。以前だとセックスしている入居者をうっかり入室して見ていたのですが、今は入る前にノックして待つようになりました。また職員は『邪魔しないで“Do Not Disturb”』の表示に渡して、さらに入居者が抱き合えるように床にマットレスを敷くようになったのです」
「ヘフナーの可愛い娘」
カリフォルニア州ローズビルRosevilleの神経心理学者のパトリシア・バッハPatricia Bach氏(写真右3)は、AMDAの調査の集計を助けましたが、次のように述べています。
「全体像として社会が時間をかけて対応する高齢者の性的ニーズをみてないということです。ヒュー・ヘフナーHugh Hefner氏(写真右3)(訳注2)がプレイボーイPlayboyの豪邸で彼の周りを可愛い娘をはいずっているのは何故OKなのでしょう? 介護施設で87歳の人が同じようにすると誰もが「すてき」だとは言わないでしょう」
またオハイオ州の60カ所以上の介護施設で働く医療ディレクターで医師のトーマス・レーナーThomas Lehner氏(写真右4)は次のように述べています。
「こうした人たちが、私たちと同様の情緒的なニーズをもった人間であることを覚えておかなければなりません。すべての関係者に尊厳と尊敬ある正しい環境のなかでこれにどの応えるかを考えなければならないのです」
寄稿者ブライアン・グルレイBryan Gruley氏(写真左5)は1957年生まれで、ピュリッアー賞受賞のジャーナリスト。
クリックするとbloombergの元の図表へ
bloomberg Oct 28, 2013  Sex Among Dementia Patientsni Policies
サイト内関連記事:「ナーシングホームに認知症のベビーブーマーの性の予兆(2013年7月22日)
訳注1:紹介記事はBloombergに連載のGruley氏 寄稿の「Gray Areas: The Pains of Aging」で現在で4回目となる。
Part 1
Boomer Sex With Dementia Foreshadowed in Iowa Nursing Home(本サイトに翻訳紹介済)Jul 22, 2013
Part 2
Sex in Geriatrics Sets Hebrew Home Apart in Elderly Care(本サイト翻訳紹介済)Jul 23, 2013
Part 3
Grandma on Feeding Tube Without Consent Symbolizes Japan(ブルームバーグ日本語版で紹介)Jul 24, 2013
Part 4
Sex Among Demented Spurs Group to Call for Policies(本記事)Oct 28, 2013
訳注2:ヘフナー氏は雑誌Play Boyの創刊者で現在、87歳。昨年末60歳年下の女性と結婚(写真右3)。
関連記事:「認知症入居者の性的交渉めぐり専門家動く-まだ沈黙が支配的」(ブルームバーグ日本語版 2013年10月28日)(抄訳記事)
編者:有名サイトでの指摘で認知症の人の性の課題への取り組みに変化が起こり始めたようだ。調査結果の正式の報告書はネット上見つからないが、Bloomberg制作の図表を載せる。

国民は認知症ケアのためにに多くの募金(10月20日/ノルウェー)
日曜日(20日)、全国でおおよそ10万人のノルウェー人のドアーのベルが鳴りました。
よりよい認知症ケアのために、また脳疾患と記憶障害に取り組む研究のための募金を要請したためです。またノルウェーの移民たちは認知症になると特別な必要性が生じます。成人してから学んだノルウェー語の言語能力を失う危険性があるからです。
ノルウェー放送Norwegian Broadcasting (NRK)は、再度TV-aksjonen(TVaction)という社会的大義を持った毎年開催される全国資金集めを支援していました。今年の募金の受取者は、心疾患および認知症に取り組む公衆保健の全国団体、ボランティア、人道団体でした。
今年のキャンペーンのスローガンは「もう時間はない“Ingen tid å miste” (No time to lose)」で、認知症の人だけでなく、家族も支援することにしています。家族は、認知症の本人が亡くなる前の長い期間、既にその人を失ったような精神的外傷を受けながら生きるのです。
募金運動の反響はとても大きく、ある地域では昨年の2倍の寄付があったと報告されています。多分、多くの人が、友人や家族に認知症の関係する個人的な経験をし、そのことで心痛むことに関わってきたがめでしょう。募金団体は、寄付する者と会って、多くの個人的経験を聞いたこと報告しています。
ノルウェーでは、毎年、7万人が新たに認知症と診断されています。すべてが高齢者というわけではありません。中年期の初期に記憶障害が始まる人もいます。この人たちには特別は課題があり、病気の長期化の恐れもあります。日曜日の募金は、病気の原因と予防の研究資金として、認知症のまつわる誤解を無くすために役立てられるでしょう。
ノルウェーへの移民は、当初の世代は主に中央アジアか南アジアからで、現在、その人たちは高齢化し、多くが認知症になっています。移民の多くは、ノルウェーより寿命が短かく認知症が主要な問題ではなかった国々から来ています。先週、ノルウェーの新聞Dagsavisen(Dailynewpaper) は、彼らがノルウェーで長生きして認知症が多くなったと報じています。
認知症の人と家族および国の支援制度の最大の課題は、彼らがしばしばノルウェー語の言語能力を失うことです。
ノルウェーマイノリティ保健研究センターNorwegian Centre for Minority Health Researchのベルナッテ・クマールBernadette Kumar所長(写真左上)は「人生の比較的遅い時期にノルウェー語を覚えましたので、発病してそれ言語が消える」と述べています。
短期記憶障害は認知症の最初の症状の一つであり、認知症の人が子供や若い頃に覚えた技術や人のことを覚えていることはよくあります。しかし高齢になってからは最近のことを覚えることはすくないのです。このため人生の遅い時期に覚えた言語能力は消えることがあります。
さらにクマール氏は「多くの文化のなかで認知症は恥ずべきこと、神秘なこととみられている」と述べています。
オスロにあるナーシングホームホームのGrünerløkka Sykehjemのメーナクシ・ジョハーMeenakshi Johar氏(写真左下)はこれに同意して「何が起こっているのか理解しないし、それについて話したくないのです」と述べています。
このため乏しい治療に直面しているこから認知症ケアがとても重要ですが、ノルウェーでナーシングホームの職員が不足していることが多く、認知症の人に薬が過剰に投与され、十分に注意が向かないことがあります。在宅で生活している認知症の人の家族は、1日24時間見守り続ける必要があります。今回集まった多額の募金は、こうした家族を援助する制度に向け、より多くの休息ケアや支援システムを求めています。
2億500万ノルウェークローネ(NOK)以上の募金は、日曜日の夜遅くまでに集まりました。多くの人は「国が同じようにもっと資金を提供する必要がある」と要請しています。
しかし多くの人は、認知症の問題がテレビで特別に扱われたことを喜んでいました。日曜日の戸別訪問で募金した一人は「だれも気前よく、ほとんど200か500NOK(33か85USD)の紙幣を募金箱に入れ」と報告しています。
news in english.no October 20, 2013  Nation raises funds for dementia care
編者:ノルウェーの英語版ニースサイトの記事。日本では認知症関連の募金活動は少ないがアメリカのメモリーウオークの街頭活動は募金が重要な目的。ノルウェーも例外ではないが、テレビ局も加わると強力だ。ノルウェーには国レベルのアルツハイマー病協会Nasjonalforeningen Demensforbundetがありヨーロッパアルツハイマー病協会AEに加盟しているが国際アルツハイマー病協会ADIには未加盟。ノルウェーの認知症に関する情報は乏しいが、以下の二つが参考になる。
Dementia Plan 2015(pdf500K)(英文のノルウェーの国家認知症計画)
「ノルウェーでの痴呆ケアを垣間見て」(朝田千惠:グループホーム・オリンピア灘開設準備室 2002.06.28)

アルツハイマー「病」の終焉(10月18日/アメリカ)
愛情のない科学主義や現代の認知症産業の不正な資本主義になにか人間性を再注入する時です。
社会的には亡くなったとされる人たち、本来の自己を保持していると思われる人たち、あるいは既に地域に貢献してはいない人たちをどのように愛し、この人たちにどのように正しいことを実践できるのでしょう。
アルツハイマー病に関して主流の科学的医学的な共同体があるメッセージを送っています。
そのメッセージとは、アルツハイマー病は恐るべき病気である、思考能力を失わせ生活を崩す、経済の健全さを損なう原因となる認知症のなかで最悪のタイプであるというものです。アルツハイマー病というラベルを貼ることで、人類を二つの範疇に分けるという恐怖を創ったのです。二つの範疇とは、発病しないでりっぱに生きている人たち、不幸にして発病して得体の知れない人たちのことです。
こうした区分は、製薬会社と医療専門家に利益をもたらすように仕組まれた錯覚です。すべての人が、年老いて不正な負担や伝統的な介護者―特に女性―への不正な負担を強いることがなく、必要な援助が得られるという保証がなされる社会を再編することが必要なのですが、この分類によってこのことが曖昧にされるのです。
「医療化“Medicalization”」とは、加齢は関連した課題について医学や経済が支配的であることですが、このことによって高齢者の記憶障害へ家族や地域がどのように取り組むかの構想が制限されるのです。病気は、遺伝や分子の障害によるもので、唯一薬だけが軽減できると見られています。そして基本的な目標は、アルツハイマー病を無くする治癒方法を見出すことなのです。こうして、どのような技術的な解決になるのか、その費用はどの程度なのかについて問われることはほとんどないのです。一体、脳をどう治すというのでしょう。それは高齢者だけのことなのでしょうか。
これとは逆に、交流の場に愛と正義を持ち込むことで、道徳的な想像を広げ、社会的・政治的な反応を明確にし、これらが認知症の課題へ実行可能な解決方法になるのです。こうした運動を進めるため、技術・科学に基づく世界観の力とその影響力を理解することから始めなければなりません。その世界観とは、健康を増進する代わりに病気を治すことを重視するものです。
認知症の概念は、人類の文字が生まれて以来、あきらかに在りました。初期エジプト時代やギリシャ時代、高齢者が時間にかかわる記憶―特に新しい出来事の記憶―を失うと指摘されました。医学的ラベルとして認知症は、西ヨーロッパで1800年代中期に生まれました。「アルツハイマー病」は1910年になって初めて発見されたのです。この年にドイツのエミール・クレッペリンEmile Kraepelin(写真左上)が、影響力のある自らの精神医学の教科書に記述されました。そこでは若年者の認知症として挙げられていました。このことは、部下である同僚のアロイス・アルツハイマーAlois Alzheimer(写真左中)にいくぶんかの悔みとなったのです。アルツハイマーは、一つの独立した病気と規定するだけの自信がなかったのですな。
その後の100年以上の間、アルツハイマー病という病名は、科学者や臨床医などによって権威と影響力の網でもって推奨されました。この病名は、世界中の何100万という高齢者に適応拡大されたのです。クレッペリンは、ミュンヘンに在る学部のため名声を求め、疾病分類学として診断分類の枠組みに影響を与え、20世紀初めに出現した脳精神医学の科学を支配することを望んだのです。同じようなことが、21世紀に変わる頃、お粗末な発想と批判の多い「アメリカ精神医学会・診断と統計の手引き第5版“Diagnostic and Statistical Manual V” of the American Psychiatry Association」におって、精神疾患の定義と治療を管理する現代精神医学の狙いに見られます。
二つの動きとも小さな専門家グループの企ては、彼らがうわべだけ奉仕した人たちの多くにラベルを貼るということでした。実際、こうした過程を通して、専門家の社会的影響が増大し、この方法で人を分類することによる利益を得る可能性も増大したのです。
さらに二つの動きは、想像された科学的進歩、専門家による覇権、そして加齢の医療化に関わるものでした。しかし「国立精神保健研究所National Institute of Mental Health」は果敢にも現代精神医学の診断区分は適切な科学に基づくとものであるという主張を否認しています。現代精神医学は、患者中心のケアを示す言語と公正な精神保健を包み込むかもしれませんが、その医学は科学主義と資本主義との不敬な連携に基づいたままなのです。
製薬企業のビジネスモデルは、より多くの人に「精神的に病んでいる」というラベルを貼ることによって製品の市場を拡大することと、適応外処方といった非道徳的で違法な診療に基づいています。精神障害に新しい分類は、最も新しい例として「無症状性アルツハイマー病“Asymptomatic Alzheimer’s disease”」が追加されました。アルツハイマー病の分野では、いまさら議論するに値しない価値あるものとして新しく、いわゆる病気の早期診断が勧められています。しかし、医療費や優先順位からして、このことの意義という最も基本的な疑問を示してはいません。現状としてケアの質を改善することは、新薬と新しい市場を追及するなかで無視されるか優先順位が下げられています。こうして私たちの努力の「機会費用」(訳注)が間違ったことを重視することによって膨大となります。科学的進歩という偏よった幻想は、単に非効率的というだけでなく、不正なのです。
科学的解決が約束したようには実現しなかったらどうなるのでしょうか。
アルツハイマー病のような認知障害を持った人の基本的な希望は、地域の改革、介護のための責任の再配分、責任を誰もが共有すること―女性に期待しない―を保証するような支援構造を財政的にも支援するよい方法を見出すことで叶えられるのです。
こうした状況下で、加齢の自然な姿、社会における科学の役割について考え、知的財産の権利と金銭の役割、そして最後に人類の自然の姿を再考しなければなりません。記憶障害がある人たちは、できるだけ彼らの地域に参画すべきであり、病気だからと隔離されるべきではありません。
こうしたことが実践された成功例は多いのです。その一例が「世代間学校“Intergenerational School”」です。この学校では、「認知症」の人がボランティアで子供たちに読んだり、自分の人生の話を聞かせたりします。2,3年前、学校の「年間ボランティア賞」は、毎週、学校に来ているのですが、そのことを忘れる人に与えられました。なぜ、認知症だからと問題にされるのでしょう。彼女は子供に関わるとき、とても存在感があるのです。
「認知症に優しい」地域つくりの動きは、こうした学校やその他の力を与える団体が加わります。この運動は、目的ある活動、よい食習慣、身体運動を通して脳の健康を増進することを重視します。こうすることで、加齢のよる認知機能の衰えを予防するのに最善の方法です。しかしながら人間の心と体が究極的には限界あることを認識し対処することを学ばなければなりません。私たちだれもが、認知機能と身体な両面で弱い存在であり、死亡する運命にある生き物という現実を共有すべきです。共有された人間性によって、関わりのなかで愛とケアと正義を広めることを重要視することが支援されるべきです。私たちが責任を回避して最新の特効薬に執着しないようにすべきです。
アルツハイマー病に取り組むということは、考え方や活動方法を改革できるのであれば、皮肉なことに多くの良いことを造り上げる手段となるのです。加齢に伴う認知機能の課題を再度、想像することによる利益は計り知れません。ケアする関係性が薬よりよいことにも気づきます。認知機能の課題に直面することを誰もが感謝するようになるのです。私たちにラベルが貼れても、誰もが生きるなかで同じ目的と情熱を認識することが必要なることに感謝します。また優先すべきは遺伝や分子ではなく老いるなかでの環境の改善であることも認識します。将来の高齢者世代がその目的を提示して必要とされることに毅然と立ち向かいます。
認知症に優しい地域では、健康的な食事が得やすく、よりよい移動手段があることで大人にも子供にも優しいのです。このことは私たちが住むこの惑星のもよいのです。高齢者の知恵、限界ある人間であることの認識、そして限りある命であることの重要性を、加齢の認知機能の課題に関わる言語と経験と政策へ再び抱合されなければなりません。こうして。現代の認知症産業という愛情のない科学主義と不正な資本主義から生じる過度で間違った期待による行き過ぎた物質的で、しかも死を否定する世界のなかで失われた人間性のいくらかを再び獲得することができるのです。
寄稿者:ピーターホワイトハウスPeter J. Whitehouse氏はケイスウエスタンリザーブ大学Case Western Reserve Universityの認知科学部Department of Cognitive Science の創設者の一人で神経学教授(写真左下)。
opendemocracy・transformation 18 October 2013  The end of Alzheimer’s “disease”
訳注:機会費用(opportunity cost)についてはウイキペシアを参照されたい。
編者:アメリカでアルツハイマー病に関わる多数派の考え方や現実を批判してきたホワイトハウス氏の対案として紹介した。ホワイト氏は編者の古い友人でサイトthe Myth of Alzheimer’sの管理編集者。

認知症のMOOCで世界の9300人が学習(10月14日/オーストラリア)
オーストラリアのタスマニア大学University of Tasmaniaが開設した「認知症理解Understanding Dementia」のMOOC(Massive open online course:大規模オンライン講義)に60か国から9300人が登録しましたが、11週間の講義がこの度終了しました。このコースは認知症の人の介護者やこの分野で仕事をしている人たちのために企画されたものです。このMOOCは、大学が無料で提供するオンランの「認知症ケア学士Bachelor of Dementia Care」で試したもので、今後、年2回行われ、次回は2014年3月に始まります。大学によると、MOOCの学生の3分の2は4週間のコースを学び、その他の無料オンラインコースと比べ結果は良好だとのことです。
Financial Review 10/14/2013 Dementia study has wide appeal
関連情報:Understanding Dementia MOOC(Wicking Dementia Research and Education Centre, University of Tasmania)
編者:認知症のMOOCではタスマニア大学が最初か。

ミャンマーで健康に生きる:運動はアルツハイマー病を防ぐ(10月13日/ミャンマー)
私が診ている高齢の患者、そして介護者にとって老いることで最も不満を抱くことの一つは、加齢とともに認知機能が同時に低下することです。こうした精神機能の低下で最も進行した形が認知症として診断され、そのうち最も多いのがアルツハイマー病です。
アルツハイマー型認知症は全世界的な問題であり、現在2500万人以上がこの病気ですが、貧しい国々では診断を受けてないために、患者は実際はこれより多いようです。アルツハイマー病の人は、当初、記憶のことで問題を起こします。その後、ゆっくり進行して問題解決やセルフケアあるいは状況処理が困難になります。典型的には患者は混乱し、このため怒るようになり、人間関係が、長く付き合った人でさえ、ぎくしゃくします。この病気に関わる全ての人にとって悲しいことですが、アルツハイマー病は治癒することはなく、なんら効果的な治療法もありません。
しかし、もし私たちがアルツハイマー病になる機会を減らすことができる薬を持っていたらどうなるでしょう? もしその治療が心臓を保護しがんを予防するのに優れていたらどうなるでしょう? 私たちがそうした薬を持っているらしいことが判明したのです。それは健康的なライフスタイルと呼ばれる薬です。
医学研究の蓄積に基づく証拠によると、身体に良いと知っていること―例えば運動やダイエット―は、脳をも守ることになるのです。医学雑誌「ランセットニューロロジーLancet Neurology」に発表されたある研究は、フィンランドで50歳の時から70歳の時までライフスタイルを追跡して調べました。活動的な人―1週間に2回以上1回20分から30分の息切れや発汗するほどの運動をする人―は、アルツハイマー病を発病する危険性を60%低下させました。この研究に参加した人の年齢からして身体的活動を始めるのに遅すぎるということはありません。
健康的な食習慣もアルツハイマー病に成りにくくするようです。前回、地中海風食事とミャンマーでこれに似たことが行える機会があることについて書きました[Issue 687, July 22-28]。そうなのです。地中海風食事―豆、ナッツ、魚、果物、野菜、オリーブオイル、ワイン―に合わせた食事は、アルツハイマー病を発病する危険性を減らせるのです。
脳を働かせるのはどうでしょうか?10年前に医学雑誌New England Journal of Medicineで公表された研究は、趣味の活動と認知症発症の頻度低下との関係を示唆しました。その後の研究によっても「使うか、それとも失うか」の定説が支持され続け、活発な心はアルツハイマー病になりにくくすることを示しています。評価された活動は、多様で、読書、ガーデニング、編み物、継続的教育、音楽、クロスワードパズルーであり、どのような性格の人でも認められた効果的な認知活動がなされるべきことを示唆しています。
しかし私は次のことを強調したい。
「認知症を予防するためにライフスタイルや活動についての研究は、展開中です。確定的な関連を示す研究を完了することは難しいのです。それはライフスタイルの評価が十分ではないためであり、また健康的な行動に関する研究で製薬企業などにとって経済的利益が少ないからでもあります。にも拘わらず、現在の傾向として、運動、ダイエット、認知活動が高齢者の脳機能を保護することは間違いありません。こうしたことがほかの病気からも守るると確信しているので、確かに推奨します。
週ごとの予定にもっと運動を取り入れましょう。もっと野菜や豆類は食べられるような方法を見付けましょう。英語あるいはミャンマー語を向上させたり、創造性が求めらる趣味を始めることを考えましょう。これらは脳と体に今役立つのであり、高齢になったときのも報いられます。
寄稿者のクリストフ・ゲルスドルフChristoph Gelsdorf医師(写真)は「アメリカ家庭医学認定理事会American Board of Family Medicine」の医師で、ヤンゴンとカリフォルニアで診察し、ミャンマー医学会Myanmar Medical Associationの名誉会員です。読者の考えや質問を歓迎します。
(The Myanmar Times  13 October 2013 Living Well in Myanmar - Exercise your ability to prevent Alzheimer’s disease
編者:ミャンマーからの初めての認知症関連情報として紹介した。

認知症の人にGPSを付けることの問題(10月11日/イギリス)
チチェスターChichesterに住むギル・ストーンハムGill Stoneham氏(73歳)(写真左上)は転んで、起き上がれませんでした。夫のバーナードBernard氏(写真左上)は、彼女が11分間動かなかったのを知って、何か悪いことが起きたと分かりました。ギル氏は、血管性認知症で、携帯電話大のGPS機器を持ち歩いていました。この機器によってオンランで夫が彼女の動きを追跡できるのです。警告が鳴ったので夫は、外に出て家の近くの泥だらけの広場で動きがとれなくなっている妻を見付けました。彼女はオリバーOliverという名のコッカースパニエル(写真左上)を散歩に連れている途中に滑ったのです。
ベルナード氏(69歳)は「位置確認機器がないと、どこを探してよいかわからないでしょう。妻はいつもの道から逸れていた」と述べています。
世界保健機関(WHO) によると、全世界に認知症の人は少なくとも3560万人います。研究によると、認知症の人の約40%は道に迷いた経験があり、24時間以上行方不明になった認知症の人の半数は死亡したり重傷を負っています。
このためストーンハム家が使っているようなGPSシステムの需要は増えています。国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease Internationalによると、認知症ケアの費用は全世界で年間約6000億ドルで、2030年までに1.1兆ドルに増加すると予測されています。高所得国では非医療費用―公的介護施設や家族による無償介護に関わる費用―は全費用の85%に達します。
もっと自由を
チチェスター―ローマ時代や中世の教会で知られた街―は、GPS機器を使おうという動きが大きくなっている地域の一つです。この機器によって認知症の人がさらなる自由を約束され介護者の不安をより少なくしようとするのです。ヨーロッパやアメリカでこの機器の使用が広がっていることに高齢者擁護者は関心を高めています。彼らは「この機器で追跡することが高齢者の介護の質の代用とすべきではない」と述べています。
「マインドミーMindMe」社のGPS(写真左上)は4分毎に携帯していう人がどこにいるか特定し、「ケアラインCareline」の地域コールセンターに24時間体制で連動しており、さらに地域の警察や消防とも連絡できます。
企業家アドリアン・ウオルフAdrian Wolfが立ち上げたマインドミーは月額125ポンドで利用でき、さらに14.5ポンド追加すると24時間365日体制のサービスが利用できます。ウオルフ氏は次のように述べています。
「チチェスター市を含めイギリスのいくつかの市でこのGPSが使われています。さらにフィンランドやオランダでも利用されています。イタリアやスイスではケアセンターで採用されています。できるだけ早くヨーロッパやアメリカで拡大する予定です。認知症の人の位置確認機器への要望がとても大きいことを知っているからです」
携帯緊急メール
ケアラインの管理者であるブレンダ・ジャクソンBrenda Jackson氏(写真左中)は次のように述べています。
「マインドミーの新しい機種は認知症の人が大きな丸いボタンを押してケアラインのオペレーターと話すことができます。携帯電話を使ってない高齢者や、混乱して緊急電話番号をダイアルできない高齢者に役立ちます。またこの機種は、知症の人が一定の距離以上に移動すると家族や介護者に緊急メールを送ることもできます」
6年前から認知症のノーマン・マクナマラNorman McNamara氏(写真左下)は次のように述べています。
「私はすぐにGPS機器の使用契約をしましょう。道に迷って栄養不良や脱水で死亡する恐れがあるからです。妻のエレンが24時間の介護をしてくれてはいますが。10月20日に公表さえるGPSサービスを向上させる技術をとても心強く感じています。GPSが私に安心をもたらすだけでなく、私の生活を本当に広げることになりうるのです。休日、私がどうなるかと心配することなく外出したのです。自分で街を歩き、バスやタクシーに乗りたいのです。こうして妻が常に私に関わる必要がなくなるのです」
万能薬はない
介護者と認知症の人はこの機器にあまり信頼を置くべきではありません。それは虐待にもなりえるし高齢者の声を代弁することにもなるのです。
イギリスの全国年金者協議会National Pensioners Conventionの広報担当のニール・ダンカンジョーダンNeil Duncan-Jordan氏(写真右上)は次のように述べています。
「私たちはこの新しい技術が人間によるケアの代替に使われるだろうことに関心があります。とりわけ退職者へのケアの実態が既にひどい状態であるなかで、とりわけ心配しています。いくつかの地方政府は予算削減を行って、その結果、研修を受けてない低給与の労働者が雇われるようになっています。なんらかの介護が必要な退職者100万人はいかなる支援もまったく受けられなくなっています」
バーナード・ストーンハイム氏は次のように述べています。
「妻は4年前までもの忘れ外来に通っていました。その時、予算削減で外来が無くなったのです。地域のロータリークラブRotary Clubが穴埋めをしようとして、教会ツアーやクリームティなどの月々の催し物を行っています」
認知症の人の同意
ストーンハイム氏は「私たちは本当に幸せなことに前向きの議会を持ってはいますが支援には大きなずれがある」と述べています。
ダンカンジョーダン氏によれば、こうした技術を使うことについては同意が課題の一つです。地方担当者は認知症の人の同意を取る必要がありますが、成年後見人の家族の同意でよいとする人もいますが、彼は「個々の人権の視点から適切には管理されてはいない」と述べています。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationは、マインドミーに似た専用機器、携帯電話あるいは車の装着した機器を使ったGPS追跡サービスを提供しています。
同協会のベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真右中)は次のように述べています。
「もっと多くの人たちは腕時計タイプに関心があるようです。ポケットに入れるタイプでは、置いたり忘れたりということが起こりえます」
ダブリンのトリニティ大学Trinity College Dublinの老年医学教授のデスモンド・オニースDesmond O’Neill氏(写真左下)は「GPS機器は、好ましい認知症ケアの中核となる目標―徘徊の原因を理解し対応すること―から目をそらす」と述べ、またイギリス医学雑誌British Medical Journalに「徘徊は病気ではない、一種のコミュニケーションだ」と書いています。
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyによると、認知症の人はストレスや不安、あるいは退屈さや痛みを軽減するために歩いたり徘徊するのです。彼らはさまざまな訳で混乱したり昔のことを探したりするのです。
認知症であり、デボンのトーベイ認知症アクション連盟Torbay Dementia Action Alliance in Devonの創設者であるマクナマラ氏は次のように述べています。
「徘徊することはないが徘徊するかもしれない状態で生きているのが現実です。こうしたGPS制度があるのは私が生きることを救ってくれるでしょう。私たちはこの技術を持っているのです。それを使わない訳はないでしょう」
記者はブルームバーグ所属のキタムラ・マキコMakiko Kitamura氏(写真右)。
Bloomberg  Oct 11, 2013 GPS for Wandering Dog-Walker Shows Dementia Challenge
編者:徘徊対策の一つのGPSを通して認知症の人と介護者のことだけでなくイギリスの政治の一端を見る思いがする簡潔にまとめられた記事だ。

★私が「認知症フレンズ」になった訳(10月8日/イギリス)
私たちの3人に1人は65歳以上で認知症になるでしょう。2021年までに認知症の人数は100万人近くに増加するでしょう。これにはハッとします。認知症の人と暮らす家族にとって生活は困難で、悲しみや絶望から怒りと不満へと混合した感情が増大します。個々人にとって大変な出費であり、毎年、納税者のお金、230億ポンドを認知症に使っています。
現在、認知症の人と直接に接することがあろうとなかろうと、地域で認知症の人を知ることは間違いないことです。彼らを手助けすることで、自分たちの趣味や社会生活を楽しみ、できるだけ長く自立して生活できるのです。こういう訳で、私はアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyが主導する「認知症フレンズDementia Friends」の誓約書にサインしました。この協会は、病気の影響と地域で認知症の人を支援する方法についてもっと理解を広めるように活動しています。
先月、この協会が、ウエストミンスターで歓迎会を催し、その活動を紹介し、この企画にすべての政党から200人以上の国会議員が支援しました。この活動の目標は、2015年までに全国に100万人の認知症フレンズかならなるネットワークを作ることです。このフレンズは学童から若者さらに高齢者までのすべての年齢層でなることができます。
誓約にサインして私は、アルツハイマー病協会と共に活動して認知症の人への支援を改善し、認知症に関わる偏見に取り組みます。また私は、よりよい認知症ケアのキャンペーンを実施し、選挙区で認知症フレンズの情報に関する集いを開く約束をしました。
認知症の初期症状を知ることだけでも必要な支援が出来るのです。全国的には公に認知症と診断を受けた人は認知症の人の約40%です。ケンブリッジのコロンバス教会Cambridge’s St Columbas Churchのドロップ・イン・センター(訳注)で認知症の人とその介護者に会い、認知症の人へ市が提供するサービスについてもっと多くのことを見つけました。
明らかなことですが、認知症をよりよく理解する鍵は、研究を進めることであり、ここケンブリッジの国立健康研究所生物医学部門National Institute for Health Biomedical Research Unitでより多くの革新的研究を行うことです。この病気がどのように進行するのかを知ることだけでも、認知症の人を介護し治療することができ、最終的に認知症をおそくする治療を向上させ予防方法を開発することになります。
私たちが認知症を知り、支援方法をもっと知るためのわずかな時間があれば、認知症の人がかなりの初期に必要な治療を受けさせることができかもしれません。このことは彼らにとってよりよい生活に繋がり、将来、私たちが支援を必要になるかもしれない私たちにとってのよりよい生活に繋がります。認知症フレンズのサイトwww.dementiafriends.org.ukにアクセスして、もっと知りましょう。
cambridge-news 08 October 2013 Why I signed a pledge from Dementia Friends
訳注:ドロップインン・センターdrop-in centreは立ち寄って相談できるイギリスの公共福祉施設
編者:寄稿者ジュリアン・ハッパートJulian Huppert氏は生物学者で自民党の国会議員(写真)。

再婚は認知症介護を困難にする(10月4日/アメリカ)
アメリカのミシガン大学社会研究所University of Michigan's Institute for Social Researchのケアリー・ウェックスラー・シャーマンCarey Wexler Sherman氏(写真左上)らのグループは、これまでの介護研究では増加している高齢アメリカ人の離婚や複雑な婚姻状態や家族歴について配慮されていなかったとしてら、高齢期の再婚夫人で認知症介護者61人について社会関係や介護支援ネットワークなどについて調査しました。その研究論文が雑誌Journal of Marriage and Familyの電子版2013年9月3日号に、2013年10月号雑誌に掲載されました。
子供たちのおとぎ話では因習的なたとえ話の一つとして意地悪い継母がいます。今回の新しい研究では、この原型話を逆転させています。この研究グループが把握したことは、継子が認知症の継母または継父の生活を複雑にする要因であることです。子供時代に受けたことを「お返しする」という動機が根本的に欠落していることです。
明らかに少ない対象者数ですが、認知症の夫を介護する人について、社会的、積極的あるいは消極的ネットワークのなかでの家族や知人たちの知り合いを浮き彫りにしました。消極的ネットワークの属する人たちの35%が継子でした。このことは介護管理という視点から介護者が消極的な精神状態や重い負担に繋がっています。
シャーマン氏は次のように述べています。
「今回の研究で夫人から学んだことは、複合家族(訳注)で介護に関連した不調和の程度が強い介護者は有意により重い負担とうつ状態を感じているということです」
しかしながら、邪悪な継子のたとえ話が強調され過ぎているかもしれないが、継子によって介護者がよりうつ状態になりやすい要因ではないのです。そもそも継子は介護にまったく関わっていません。
現在、成人している子供たちは、なんらかの方法で親へお返しをしなければと感じ始めます。子供時代の膨大な負債を返済することは不可能ですが、弱った親を介護することは可能です。同時に、親の破局や再婚が増えており、成人した子供が成人の継子となり、新たなにもたらされた親像からは、生物的な親より反射的に抱く思いやりを持つことがはるかに少ないのです。
ニューヨークのシラキュース大学Syracuse Universityの加齢研究主任教授Cantor Professor of Aging Studiesであるメリル・シルバーシュタインMerril Silverstein(写真左下)氏は「ベビーブーマーは両親より複雑は家族構造のなかで高齢化しています。こうした家族構造は必然的に多くの人の親密さの感情に影響する」と述べています。
今回の研究では、離婚したが未亡人で後に再婚した女性について2008年から2010年までの資料を集めました。対象者のほとんどは白人で中産階級、平均年齢は65歳でした。消極的なネットワークにある事例の35%は継子で、さらに3分の2の夫人は自分たちのネットワークから継子を完全に排除していました。
介護者から継子が十分な介護を提供しない、支援しない、最後までやりとおさないということで不満があり。また複雑家族は、介護に関連して干渉し、批判し、介入し、頼んでもいない助言を提供しやすいと報告しています。
アメリカ国勢調査局U.S. Census Bureauによると、すべての結婚のおおよそ3分の1で、人生のなんらかの時点で再婚したパートナーがいます。アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの資料によると、アメリカ人の5%近くの1500万人は認知症の人を介護しています。
さらにシャーマン氏は次のように述べています。
「介護する者の間で平穏な連携は介護するうえでとても重要な一歩です。誰もが自分たちの生活でできる最初の介入は家族と健康や介護について話し合うことです。私たちは、現在、認知症を介護しえいる人と複雑家族のための教育にについて準備中です」
彼女らは、多くの離婚例で介護者の態度全般をよりよく理解するためにさらなる研究が必要と認識し、現在のところ、どのように家族がコミュニケーションや正直な話を勧められる段階に達するだろうかを検討しています。
最後にシャーマン氏は「複合家族でもうまくやっていけると気づくことが重要だ」と述べています。
MedicalDaily  Oct 4, 2013 Remarriages Make Dementia Care Tougher: Why Adult Stepchildren Don’t Want To Helpおよび論文:Dementia Caregiving in the Context of Late-Life Remarriage: Support Networks, Relationship Quality, and Well-being
訳注:複合家族stepfamilyとは「再婚などで血縁のない親子・兄弟姉妹などの関係にある家族」
編者:この種の研究報告は初めてだ。わが国でも無縁な課題ではない。認知症の介護相談で複合家族かどうかを確かめることは助言に役立つ。

介護者の認知症活動で受賞(10月3日/イギリス)
介護者と認知症の啓発活動で顕著な貢献をしたグラスゴーの人が1等を受賞しました。
その人はトミー・ホワイトTommy Whitelaw氏(写真左上)です。
エジンバラにあるスコットランド議事堂Scottish Parliamentでのエッジ・スコットランドAge Scotlandの授賞式で、「キャンペーンと影響に関わるジェス・バロウ賞Jess Barrow Award for Campaigning and Influencing」が授与されました。
この賞は、高齢期の生活やスコットランドの高齢者に関する一般的な通説に挑戦に関わる賞です。もう一人の受賞者は91歳の運動教室のリーダーメイ・ウォーレスMay Wallace氏でした。
2,3年前までトミー氏は、優れた経歴も持ち主でロックやポップスターに代わって公認された商品を売って世界中を回っていました。
しかし母親のジョアンJoan氏(写真左上)が血管性認知症と診断されてからグラスゴーに戻り24時間の住み込み介護者となったのです。
彼は、母親の介護をしながら、スコットランド中でマラソンウオークを実施し、介護者の困難な状況についての啓発し、併せて介護者とアルツハイマー病を宣伝するDVDを作りました。
ジョアン氏は1年前亡くなりましたが、さらにトミー氏は、困難な仕事を続け、イギリス中の何十という異なるグループの人たちにも働きかけています。
彼はブログtommyontourで次のように書いています。
「エッジ・スコットランドから今回、賞を受けたことを誇りに思います。エッジ・スコットランドに感謝し、今回の活動に参加し支援してくれた人たちにも感謝します」
エッジ・スコットランドのブライアン・スロアンBrian Sloan理事長(写真左下)は次のように述べています。
「この賞は本当に価値あるものです。トミー氏のキャンペーンには熱心さと独創性があり、認知症の人とその介護者へ想定と態度を真摯に変えよると支援しました。私たちは受賞の申し込みを見て、その質に圧倒されましたが、どの受賞者もスコットランドの高齢者の生活を豊かさへの活動性と熱心さにおいて抜きん出ていました」
EveningTimes 03/10/2013 Tommy's top award for his dementia care)
編者:在宅介護から始まって啓発活動を展開してきた人は我が国にもいる。

★要望:もっと認知症ケアを(10月1日/インド)
医師は、認知症に取り組む総合的治療holistic treatmentを行うセンターが緊急に必要だと強調しています。
1000万人。これは2050年までに認知症になると推測される人数です。現在は398万人と推測されています。
これは恐ろしいような推計値ですが、専門家は、もっと恐ろしいことは専ら高齢者がなる認知症についての知識と専門的なケアが不足していることだと発言し、総合的治療を行う専門的なセンターが必要で、特にチェンナイのような大都会で必要だと話しています。
チャンナイを拠点とする上級精神科医のナンビS. Nambi医師(写真左上)は次のように述べています。
「認知症は、機能している神経細胞が徐々に失われることで記憶、判断、決定などすべての高度な知的機能が低下する病気です。抑制が無くなり、焦燥的になり、地理的見当識が障害され、家族を認識できなくなり、会話が不適切で暴力的になることもあります。一般の人たちが認知症についての知識を高めることが特に必要です」
「インドアルツハイマー病・関連疾患協会Alzheimer’s and Related Disorders Society of India」の副議長のサチアナタンSathianathan医師(写真左下の左、右は同協会会長でADI議長のロイ医師)は次のように述べています。
「認知症の発現率は、60歳以上でタミル・ナードゥTamil Nadu州(首都チェンナイ)の都市部と農村部を合わせて3~4%です。60歳以上の5%の人が発病の危険性がありますが、80歳以上では20%に跳ね上がります。長生きすればそれだけ、この非伝染性疾患を発症する危険性は高まります。今や認知症は極めて大きな公衆保健上の問題です。アルツハイマー病は認知症の主要な一つのタイプです」
さらに、有病率以上に医師が心配することは、介護者の膨大な不足です。「2013年世界アルツハイマー病報告World Alzheimer’s Report 2013(pdf 3.8M)」によると、アルツハイマー病の流行により介護者と家族が認知症に対処するための支援が不足しています。報告書は、家族の負担を軽減するためのさらなる支援を要請し、認知症は公衆保健の優先課題の一つとする必要があるとしています。
さらにサンチアナタン医師は次のように述べています。
「配偶者が認知症の人を介護していることが多く、このため絶え間ない日々の介護によって介護者が燃え尽き状態になりやすい。政府が設立できるセンターでは認知症の人への総合的なケアを提供し、運動療法士と心理士を置くべきです。言語療法、医療補助、リラクセーションも提供すべきです。センターには精神的刺激があり、定期的に認知症の人と交流する人も置くべきです」
社会性向上専門職のラマー・カシャップRamaa Kashyap氏は介護者でもありますが次のように述べています。
「高齢者のための地域全体のたまり場的なセンターはとても有用です。私は独身で親しい家族はなく、フルタイムの仕事に就いていたので、82歳の母を介護することが難しいとわかりましたが、相応しい介護者を見付けることもできません。母は、少し混乱することがありました。母を介護する人を雇うことはできますが、そうした人を信頼できないことがよくあるのです。ある若い女性を雇いましたが、その女性に頭を叩かれたと母が言うのです。同世代の人たちと会える気軽に寄れるセンターがあるべきです」
またナンビ医師は「2,3の国には認知症センターがある」と話し、カシャップ氏は「政府もNGOも前向きに取り組み、ケア―短期も長期も―を提供する認知症の人のためのセンターを開設すべき」と話しています。
また医師は、初期の記憶障害を把握する必要性と60歳以上の人をスクリーニングで調べる必要性を強調し「ある種の薬は初期の段階で病気を止めるのに役立つ」とも話しています。
the hindu October 1, 2013  Wanted: more care for dementia
編者:膨大な人口を抱えるインドで膨大な高齢者が増え、膨大な認知症の人が増えることは間違いないようだ。どうするインド? なお記事中に合わない数値があるがそのままとした。

★認知症のゲイらLGBTIの人へ新たな取り組み(9月26日/オーストラリア)
今週、メルボルンは、「認知症・性的なこと・LGBTI(訳注)の包括的行動DEMENTIA, SEXUALITY AND GLBTI INCLUSIVE PRACTICE」と題するフォーラムを「認知症啓発週間Dementia Awareness Week」の一環として主催し、認知症のLGBTIの人に必要なことに関してこの分野の専門家や指導者が一堂に会して討議しました。
「若年期認知症準拠集団Younger Onset Dementia Reference Group」のトニー・ウォルシュTony Walsh議長は、認知症のパートナーを持った経験について発言しました。
トニー氏のパートナーであるポウル・ウェンPaul Wenn氏は、8年間に、うつ状態、アルツハイマー病、パーキンソン病あるいはレビー小体型認知症とさまざまな病名が付けられました。2年前、高齢者介護施設に入居し、ほとんど毎日トニー氏が訪問しています。
トニー氏は次のように述べています。
「介護が必要な認知症の人と高齢者は高齢者介護施設で別々の棟に住み、レクレーションの時には一緒にされ、何人かのLGBTIの問題が起きました。高齢で弱い人たちのグループはゲイの人たちに別の態度でした。彼らは1920年代30年代に育った人たちです」
二人は多くの介護施設を訪れ、最終的にポール氏が施設に入ることにしました。明らかなことですが誰も、LGBTIの人と親しくしているということはありませんでした。よく考えてみると、把握できないような反応がありましたが、何年もかけてゲイを見分ける能力である種の感覚を持ったのです。多分、目、身体的メッセージあるいは声―よく分かりませんが―から見分けたのでしょう。私が言いたいことは、ゲイだと親しげに表に出さない方がよいということです。そうしないと何年間もこの状況を観てきた人によって、直ちに窮地に追いやられるからです」
キャサリン・バレットCatherine Barrett医師(写真左)は、「オーストラリア性・健康・社会研究センターAustralian Research Centre in Sex, Health and Society (ARCSHS)」の性的健康・加齢部門Sexual Health and Ageing programの管理者で主任研究員ですが、フォーラムに参加して認知症のLGBTIの高齢者が直面する問題について討議しました。
バレット医師は次のように述べています。
「こうした経験のある多くの人たちは、一緒に仕事をしたことのある認知症で性転換した人の特別な事例について話しました。認知機能が変化したことで外見的に女性になることができにくくなったのです。このためその人にもっと多くの支える職員が必要だったのです。性的なアイデンティティを本当に尊重し維持できる職員が必要だったのです。同時に生じたことは、認知症の症状の一部として自己抑制ができなくなり、通りがかりの人にまでに『私は性転換者です』と話し、そのことでまた自分が傷つきやすくなったのです」
さらにバレット医師は次のように述べています。
「認知症に関係する在宅介護の状況は、LGBTIの人が住処のことで再交渉する必要が生じたあるカップルがいました。一人のパートナーは本当に認知症で二人はいつも一緒にいました。しかし、もう一人のパートナーが認知症になると、訪問護者を獲得しなければなりませんでした。二人は離れなくなりサービスに頼るようになりましたで依存しています。
新しい研究を進めており、認知症のLGBTIの人たちと認知症のLGBTIではない人との違いを理解しギャップを少なくしようとしています。こうしたことは困難な課題ですが状況は良くなっています。「LGBTIを包括したサービスをどのように提供するか」という課題を実践しています。来年、このことが高齢者介護サービスに特別に活かされるでしょう。私たちは、「オーストラリアアルツハイマー病協会ビクトリア支部Alzheimer’s Australia Victoria」と連携しており、この種の認知症サービスが提供されるでしょう。それが今始まろうとしており、多くの利点があります」
star observer September 26, 2013 Unique challenges for LGBTI people with dementia
サイト内関連記事:認知症の非異性愛者(2009年11月24日)
訳注:LGBTIはLesbian(女性同性愛者、レズビアン)、Gay(男性同性愛者、ゲイ)、Bisexuality(両性愛者、バイセクシュアル)、Transgender(性転換者、トランスジェンダー)およびIntersexuality(半陰陽、インターセックス)の各頭文字からなる。
関連資料:チラシDEMENTIA, SEXUALITY AND GLBTI INCLUSIVE PRACTICE(pdf140K)
編者:オーストラリアでは認知症でLGBTIの人への理解と支援が取り組まれている。

認知症はEU最大の優先すべき健康課題(9月25日/EU)
ヨーロッパ連合EU委員会のトニオ・ボルグTonio Borg委員(写真)は次のように論述しています。
ヨーロッパ人口の高齢化により、認知症への戦いは国家およびEUの健康課題として優先的に高いままにすべきです。
ヨーロッパで600万人以上の市民が認知症です。認知症は、悲痛にも個人のアイデンティティと社会活動に影響します。軽度の記憶障害の認知症の人は、明確に話した、歩いたり、日常生活を送ることが出来きにくくなり、社会的交流から次第に排除されていると感じ傷つくやすくなります。
人口の高齢化に伴い、多くのヨーロッパ人が認知症になり、その数は2040年までに2倍になると推測されています。このため、認知症に対応し、認知症になった市民を支えることが国家とヨーロッパの健康課題の最大の課題としなければなりません。
認知症の発症を軽くしあるいは遅らせることが可能であるとした心強い報告があります。イギリスのウエールズ・イングランで行われた研究(訳注1)によると、65歳以上で認知症の有病率が過去2,30年間で8.3%から6.2%に2.1%減少しています。またデンマークの別に研究(訳注2)によると、2010年時点で90歳の人が1998年の同じ年齢の人より知的機能はよいことが明らかにされました。
認知症に対処しようとしている加盟国家を支援するため、2009年、ヨーロッパ委員会は「アルツハイマー病とその他の認知症のヨーロッパ計画"European initiative on Alzheimer's disease and other dementias"」を採択しました。さらに2011年、委員会は加盟国による共同行動企画「アルコーヴAlcove(Alzheimer's Cooperative Valuation in Europe)」を立ち上げ、この企画を具体的な連携行動へ移行させました。この2年間、この共同行動は認知症とその影響についての知識を向上させることを目標としました。同時に、EU内での認知症の人とその介護者の健康、生活の質、尊厳を保つための情報交換を進めました。
喜ばしいことに、今年初め、アルコーヴが保健専門職や保健政策決定者へ一連の勧告を作成しました。これらの勧告は、認知症治療に抗精神病薬の過剰投与を改善することや、家庭医向けの認知症診察の研修が含まれています。
EUの第7研究計画体制(FP7)は、認知症への戦いのもう一つの大きな役割を持っています。2007年以降、FP7は、脳研究に約20億ユーロ投資しました。認知症への効果的な治療に向けた決定的な結果は出ていないにもかかわらず、脳の働きや有効な予防について理解を得るという大きな進歩がありました。実際、定期的な身体運動、教育、健康的な生活様式―禁煙、少量の飲酒など―がある種の認知症の発症を少なくするらしいとの証拠が増えてきました。
認知症に関する画期的な知識を普及させることも進んでいます。今年5月、ヨーロッパ委員会は、初めての「ヨーロッパ脳月間European Month of the Brain」 を立ち上げました。これには、ヨーロッパで120回以上の催し物があり、EUが支援した脳研究の利点、意義、影響についての認識が深まりました。
草の根的に認知症の偏見に取り組むことは、認知症の人の生活をよくすることに役立つでしょう。認知症の人を社会が包括することと思いやることを育てることから、認知症の人の経験についてもっとつつみかくさず語ることを促し、認知症の初期症状の人がより容易に適宜な医療や社会的支援を求めることにもなります。これは国レベルでの知症行動計画の目的でもあります。現在、8カ国で国家認知症計画が採用され、9か国以上で計画に向けての取り組みがあります。すべてのEU加盟国がこの取り組み例を取り入れることを要請します。
希望を持てる理由もあります。医学の発展や脳の理解を深まることで、認知症や他の脳疾患への取り組みで有望な方法の扉を開くことになっています。さらに予防が可能となった取り組みも補助しています。認知症は、今後10年間の最大の優先すべき健康課題の一つであると確信しています。その挑戦を受けて立つでしょう。
ボルグ氏は、マルタ出身でヨーロッパ委員会(国の政府に該当)の保健・消費者政策担当委員。
theparliament.com 25th September 2013 Dementia to remain a top EU health priority, says commissioner
訳注1:サイト内関連記事「イギリスで認知症の有病率が低下(2013年 7月16日)
訳注2:論文Physical and cognitive functioning of people older than 90 years: a comparison of two Danish cohorts born 10 years apart (The Lancet, Early Online Publication, 11 July 2013)
関連情報:アルツハイマー・ヨーロッパAlzheimer Europe
編者:EUでは国を越えてヨーロッパの認知症に関する情報交換、立案、勧告、助成、共同研究が行われているという強みがあるようだ。

訪問サービスは認知症の人と介護者を支える(9月25日/オーストラリア)
リリー・シヴィジク氏Lilly Cvijic (写真左の中)は、母親のマリア・シヴィックMaria Cvijic氏(93歳)(写真左の左)を8年間、介護してきました。いつもベッドのそばで寝ています。
母親は認知症でほとんど寝たきりです。独身のリリー氏と隣に住む妹は母親を施設に入れることなど考えたことがありません。
32万人の認知症のオーストラリア人の家族と同様、パースに住む姉妹はフルタイムの仕事をしており、「支援ケアのパッケージpackage of assisted care」(訳注)と連携し、24時間介護を補っています。彼女らが認知症介護の適宜な助言を得たのは、看護師のカレン・マロンKaren Malone氏(写真左の右)が介入する時があったからです。
マリア氏は次のように述べています。
「カレンさんは母の感覚を刺激する方法を教えてくれ、コミュニケーションボードを作り、歯のことで訪問歯科医を派遣してくれました。最適な歯ブラシも見つけてくれました。認知症の母と住んでいた孤立した世界のドアが突然開かれたように感じました。私は仕事と介護でとても忙しく、ほかに何が役立つものがあるかは知りませんでした」
毎週、1700人のオーストラリア人が認知症と新たに診断されており、これは6分間におおよそ一人の頻度です。今後10年以内に認知症の人は40万人になります。
2011年半ば以降、「マックカスカーアルツハイマー病研究財団McCusker Alzheimer's Research Foundation」は、パースの北部郊外の450人にマロン氏の専門職による無料の支援を提供しています。
家族と老年科医と物忘れ外来の要請によりサービスを拡大する計画が始まったのです。これには農村部や遠隔地の人への電話のよる支援も含まれます。
高齢者介護を提供する「アマナリビングAmana Living」の理事長で看護師配置を共同して支援するレイ・グリックマンRay Glickman氏(写真左下)は次のように述べています。
「家族を介護している人は、精神的で実際的な支援を切望しています。自分たちの状況を理解し、サービスを利用し、答えを示してくれる方法を知っている人に相談するといった援助を求めています」
グリックマン氏は、西オーストラリアの高齢者介護部門のロビー活動グループの議長でもありますが、さらに次のように述べています。
「今度のアボットAbott政府は歯を食いしばって我慢する勇気をもち、オーストラリアの主要な社会的課題の一つに取り組まなければなりません。認知症は、オーストラリアの高齢者の障害で唯一最大の原因です。そうしてこれに対処するに国家障害者保険制度NDIS(National Disability Insurance Scheme:NDIS)(訳注2)型の解決が必要です。前政府は、高齢者ケアでいい仕事をしましたが、緊急性のある私たちの状況に応えはしませんでした。どのくらいかかるのか本当の費用をまだ知りません。「生産性委員会2011報告:オーストラリア高齢者のケアProductivity Commission's 2011 report, Caring for Older Australians」で示されたことを新政府が公約したことを歓迎します。介護施設のベッド数の要求に応えるには、今後7年間、毎週100ベッド規模のナーシングホームを2か所、開設する必要があるでしょう。西オーストラリアだけでも、4000ベッドが不足しています」
またマロン氏は次のように述べています。
「シヴジク夫人のような人を訪問することは、幸福と社会的つながりを高めるのに費用対で効果ある方法です。私は郊外から郊外へ、通りから通り出かけます。認知症の人とその介護者を知っていますが、彼らが隣の通りに住む人が同じ経験をしていることを知りません。認知症はとても孤立した状態になることがあるのです」
The Australian September 25, 2013 An outreach program is helping support dementia carers and patients
訳注1:Extended Aged Care at Home Dementia (EACHD) Packages(Department of Health and Ageing  Australia)
訳注2:National Disability Insurance Scheme (Wikipedia)

★論説:カナダは国家認知症戦略を推進すべきだ(9月22日/カナダ)
認知症の人が増えているにもかかわらずカナダは未だに認知症ケアを管理する計画がありません。
悲しいことですが、私たちだれもがアルツハイマー病など認知症の家族を介護すること伴う社会的情緒的支出をよく知っています。
しかし人を衰弱させるこの病気になる人数が増え続けており、カナダへの影響は財政面からみて重いことは明らかで、大変なものです。
現在、この国の認知症の74万7000人を治療したり介護する総費用は年間、おおよそ330億ドル(訳注:アメリカドルとほぼ同じレート)です。2040年までに、その額は年間3000億ドル近くになると予測されています。これは貴重な保健経費に甚大な負担であり、このほかに疲弊した介護家族の生産性の喪失があります。
カナダが必要としていることは、ゆっくり訪れるこの危機に対処する国家計画です。
その戦略は、医学的研究の計画、医師、アルツハイマー病協会、第一線の介護者の仕事に集約されるでしょう。連邦政府は、カナダアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Canadaなどの団体で湧き上がっている声を聴き、国家戦略を創設すべきです。
先週、同協会のミミ・ロウイヤングMimi Lowi-Young CEO(写真左上)は、カナダ経済クラブEconomic Club of Canadaに、強いが相応しい言葉で「もし、私たちが認知症時限爆弾を解除し始めなければ、この病気は、私たちの経済、国の生産性、生活の質に最大の恐れとなるでしょう」と語りました。
医学雑誌New England Journal of Medicineに掲載された最近の研究によると、アメリカでは認知症ががんや心疾患をしのいで最もお金のかかる病気と結論づけました。カナダでも同様の悲しい現実に直面しています。
キャメロン首相が来る12月に認知症サミットを開催しようとするイギリスのような国々に習うこともなく、カナダは認知症を管理する全体的な計画がありません。実際、高齢者戦略もありません。
アルツハイマー病協会は、独立した非営利の団体で、5年間で3000万ドルをカナダ公衆保健局Public Health Agency of Canadaから助成を受けることを目指しています。同団体は、研究協力、医療職の研修、医療と教育の提供に責任を持っています。このなかには40代、50代の人が発病する認知症の初期症状を把握の取り組みも含まれています。これはとても重要な効果がある価値ある方法です。
いずれほとんどの人が認知症の人を知ることになります。そしてアルツハイマー病の人があらゆることで注目されているにもかかわらず、カナダには総合的な計画がないままであり、認知症の管理に失敗するでしょう。
ハーパーHarper(写真左下)政権は、遅れないように、ことを始める必要があります。
The star.com Sep 22 2013 Canada must develop nation-wide dementia strategy: Editorial)
関連論文:Monetary Costs of Dementia in the United States N Engl J Med  April 4, 2013
編者:カナダの最大手の全国紙Toronto Starの論説記事。医療や介護は州政府の管轄事項であるが国レベルの取り組みの提案とみられる。

台湾の認知症国家計画が公表(9月14日/中華民国)
認知症の人口が増えるという課題に直面して、先月末、保健・福祉省Ministry of Health and Welfare(衛生福利部)、は国家認知症予防・ケア戦略を公表しました。政府による認知症に関する初めての政策の枠組みです。
発表によると、国家計画の目標は、早期診断・介入による認知症の危険性を下げること、認知症の人と家族と介護者に質の高いサービスを提供すること、および認知症の人の尊厳と生活の質を確保することです。地域の総合的ケアネットワークを構築することはこの政策の主要な計画に含まれます。
認知症の人への早期で地域的な介入に関するセミナーで、保健福祉省看護・保健サービス向上部Department of Nursing and Health Services Development(護理及健康照護司)のテン・ス‐ウエンTeng Su-wen (鄧素文)部長(写真左上)は、次のように述べています。
「今年末までに全国に120カ所以上のデイケアセンターと、デイケアセンターが要望されながら数が少ない市や郡の下部地区の30カ所以上に地域ケアサービスセンターができるでしょう。世帯登録事務所(household registration office)と共同して地域ネットワークを強化する計画です。出生率の低下に伴う廃校を地域のために再利用されるでしょう」
台湾アルツハイマー病協会Taiwan Alzheimer’s Disease Association’s (TADA)(台灣失智症協會) のタンリーユーTang Li-yu (湯麗玉)事務局長(写真左下)は「今年5月の最新の調査によると、軽度、中程度および重度の認知症の人は65歳以上の台湾人の5%を占めている」と述べています。
Taipei Times Sep 14, 2013 National plan announced for dementia)
参考資料:「失智症防治照護政策綱領」(2013/08/26 pdf 400K)

★アミロイドイメージングはアルツハイマー病の診断・治療に役立つ(9月13日/アメリカ)
放射性同元素のフッ素を含む検査薬Florbetapir F18(以下FBP18と略す)と使った陽子断層法Positron emission tomography (PET)を行うと87%の患者で少なくとも1回は治療計画が変更されました。
医学雑誌Alzheimer Disease & Associated Disordersに掲載された論文によると、アルツハイマー病に関連する脳のアミロイド蓄積を確認する検査によって認知機能障害の患者の治療や追加的な検査に関して有用な情報を医師に提供しました。
FBP18という検査薬を使ったPETでアルツハイマー病に特徴的な脳のアミロイド斑を観ることができます。
フィラデルフィアにあるアヴィッド放射性薬剤製造Avid Radiopharmaceuticalsのマーク・ミンタンMark Mintun医師(写真)らの研究によると、アミロイドイメージングは、認知機能低下の患者について医師の診断過程、予定していた検査、患者の管理を変えることが明らかになりました。
彼らは、FBP18によるPETが、認知障害の患者の臨床上の管理にどのように影響するかを確かめる実際的な研究を計画しました。この画像検査でアミロイド斑が認められたからといって、アルツハイマー病と断定はできませんが、診断に役立つ、以前は得られなかった証拠の一つが提供されるのです。
神経内科医あるいは原因が確定しない認知機能低下や認知機能障害を判断する専門家によって診察された229人の患者を調べました。FBP18でPETを行う前、医師は、暫定的な診断、診断についての自信の程度、その後の検査や治療の計画を提示しました。画像検査によって229人のうち113人にアミロイド沈着が認められました。画像検査による情報から医師は診断の55%を変更しました。暫定的診断がアルツハイマー病の場合、画像検査の結果で事例の37%において診断が変更されました。画像検査前、認知症の原因が不確かまたはアルツハイマー病ではない場合、その診断の事例の60%以上が変更されました。
また画像検査の結果はどのような治療を進めるかにも有用な情報を提供しました。患者の87%で、検査結果により治療計画に少なくとも1回は変更されたのです。このうち主要な影響として、アルツハイマー病に有効な薬を使うどうかの決定に関わることでした。画像検査の結果は、その後の検査―多くの場合、追加的な脳画像検査や神経心理テスト―の実施についても影響を与えました。
アルツハイマー病は認知症の最も多い原因疾患ですが、その診断は容易ではありません。唯一の確定診断は、死後、脳の剖検に依ります。生前にアルツハイマー病と診断された事例の20%近くは剖検でアルツハイマー病ではないとされ、アルツハイマー病ではない他の疾患による認知症と診断された患者の40%近くが剖検でアルツハイマー病と判明したと報告されています。
FBP18を使ったPETはアメリカ食品医薬品局(FDA)で初めて承認された画像検査で、生体の脳のアミロイド沈着を推測できます。これまでの研究では、この画像検査が剖検時にアルツハイマー病と判断された患者の生前の診断をより正確にします。
今回の研究結果は、FBP18のPETが認知機能障害のある患者の評価において実際的に臨床上の評価に有意な影響―特にアルツハイマー病薬や追加検査に対して―を与えていることが明らかにされました。今後の課題として、FBP18によるアミロイド画像検査を含めた臨床行為が、認知障害があり、あるいはアルツハイマー病と思われる患者により好ましい結果をもたらすかどうかの研究が必要でしょう。
Alzheimer's Weekly September 13, 2013 F18 Alzheimer's Scan Delivers Better Prescriptions & Fewer Tests
論文:Potential Impact of Amyloid Imaging on Diagnosis and Intended Management in Patients With Progressive Cognitive Decline(Alzheimer Disease & Associated Disorders January?March 2013 - Volume 27 - Issue 1 - p 4-15)
写真説明(右上):Flobetapir F 18を使ったPETで上段がアルツハイマー病、下段が正常。
訳注:florbetapir(F18)はフッ素の放射同位元素を含む検査薬で脳のアミロイドと結合してPETでリアルタイムの脳のアミロイド沈着を間接的に把握できる。
編者:検査薬を開発して企業の研究者の報告であるが、FBP18を使ったPETを有意義としている。もっともこの種の検査は高額で、その適応についてアメリカのアルツハイマー病協会からそのガイドラインFirst guidelines published for brain amyloid imaging in Alzheimer'sが示されている。またアメリカの公的医療保険では扱われてはいないことも議論となっている。この種の検査についてはわが国では臨床試験中。

★総合病院の職員のための革新的な認知症研修(9月11日/イギリス)
グレイターマンチェスターGreater Manchesterの学者や医療専門職および認知症の人と介護家族が、チームになって総合病院の職員のための新しい研修を考え出しました。
マンチェスター大学University of Manchester、グレターマンチェスターウエストメンタルヘルスNHS財団トラストGreater Manchester West Mental Health NHS Foundation Trust(GMW-MH-NHSFT)は、ボルトンBolton、サルフォード Salford、セントラルマンチェスターCentral Manchesterの三つのNHSトラストと一緒に、新しい「私を知って"Getting to Know Me"」という総合病院の職員村向けの認知症ケア研修を立ち上げました。
認知症であるマイク・ホワースMike Howorth氏(写真左上)とアン・ジョンソンAnn Johnson氏(写真左中)、妻を介護しているブライアン・ブリッグBrian Briggs氏は、専門家と一緒に仕事をしていますが、彼らも、ダンロードもアクセスも無料の教材を基にして活動しています。
イギリスには80万人以上の認知症の人がいて、常にこの人たちが、総合病院のベッドの約25%を占めています。しかし、看護師など病院の職員は認知症の人へのケアについて必ずしも自信があるわけでなく、能力が優れているとも思っていません。
「私と知って」研修は、こうした問題に応えるために考え出されました。研修によって、総合病院での認知症の人へのケアにおいて職員は知識と自信と能力を高めます。
マンチェスター大学認知症ケアDementia Care at The University of Manchesterの医療業務部MScの部長であり、この研修の関わっているサイモン・バロウSimon Burrow氏は次のように述べています。
「認知症を実際の個人的な体験として持つ人に関わることが、病院でのケアにとても重要だと思いました。このことから職員と患者に関連する研修や教材を作ることが積極的な効果をもたらしました」
マンチェスター大学認知症・加齢研究チームUniversity of Manchester's Dementia, Ageing and Research Team (DART)のジョン・キーディJohn Keady教授(写真左下)は次のように述べています。
「本心から、「私を知って」研修をNHSで働いているより多くの職員が受けることを希望しています。仕事と学習の両方で総合病院での認知症の人と家族へのケアを改善することができます」
現在まで450人以上の職員がこの研修を修了し、その後の評価によると、自信と知識が増えたことが明らかになりました。
GMW-MH-NHSFTのキャスリン・ハーネイKathryn Harney氏は次のように述べています。
「研究と個人的な体験を持った認知症の人と共同して研修を向上させる作業は、とても価値あるものでした。研修に力点を置いた「私を知って」は、病院の職員が認知症の人を個人として治療するのに役立ち、認知症の人と介護者への病院の経験を向上させました」
この研修は、ボルトンNHS財団トラストBolton NHS Foundation Trust、サルフォードロイヤルNHS財団トラストSalford Royal NHS Foundation Trustおよびセントラルマンチェスター大学病院NHS財団トラストCentral Manchester University Hospitals NHS Foundation Trustの専門職からの助言も得ています。
ボルトンNHS財団トラストの高齢者シニアー看護婦Senior Nurse for Older Peopleのパット・ファックスPat Graham氏は次のように述べています。
「職員が認知症の人を、そしてかれらに必要なことに応えるためにできる最善のことは何か理解することは認知症の人にとってとても重要です。研修は、簡単に利用でき、とても柔軟な方法で受けることができます。職員は研修によってとても利益を得て、患者を担当しています」
この企画はグレイターマンチェスターの革新・教員部門Greater Manchester Health, Innovation and Education Cluster (GM-HIEC).
の援助を得ています。
「私を知って」研修の教材は、サイトwww.gmhiec.org.ukから無料でダウンロードできます。
関連サイト情報:A bright IDEA to improve dementia care
提供:University of Manchester
medicalxpress September 11, 2013 New innovative training to improve the care of people with dementia in general hospitals
編者:我が国の認知症対策で総合病院の認知症対応が遅れている。イギリスの取り組みは参考になる。パワーポイントのスライド教材はすぐにでも使えそうだ。

政府主導の認知症キャンペーンは認知症の過剰診断に繋がると批判(9月10日/イギリス)
早期診断を増やそうとする努力のおかげで、患者に不必要な検査を行い80歳以上の3分の2が認知症と過剰診断される恐れがあると、専門家は批判しています。
認知症、老年医学、公衆保健の専門家は、認知症になる危険性のある高齢者へのこの増えている傾向によって過剰診断が増えると批判しています。
イギリス医学雑誌British Medical Journalにイギリスとオーストラリアの専門家が次のような見解を述べています。
「現在の認知症の有病率は、80歳以上で10~30%と考えれていますが、新しい診断基準を採用すると、この年齢層でアルツハイマー病と診断される人は65%以上になり、認知症でない高齢者の23%が認知症と診断されるでしょう」
彼らは、軽度認知障害MCIや前認知症pre-dementiaの人たちをできるだけ早く認知症と確定することで認知症の早期診断を増やすと政府の取り組みを批判しています。これによって一般医GPの診療所へ現金という誘因が働く状態になり、もの忘れの外来のネットワークを確立することにも繋がるだろうとしています。
さらに彼らは次のように批判しています。
「イギリスやアメリカでの早期診断への政治的動機は、利益があるという証拠のない、よくわからない「認知症戦争"war against dementia"」の一部なのです。この戦争は、検査道具を販売する企業に商業的なチャンスを与え、認知症になる危険性のある患者を助けるものではありません」
さらにケンブリッジ大学Cambridge Universityの公衆保健学のキャロル・ブレインCarol Brayne教授(写真左上)らの論文には次のように書かれています。
「CMIの人のたった5から19%しか毎年、認知症になりません。CMIの40から70%の人は認知症にならなないし、認知機能は良くなることもあります」
「CMIの神経病理学的知見によるとほとんどのCMIの人がアルツハイマー病の初期状態であるという見解は支持されません」
早期診断の推進を指示するひとたちは「だれが認知症になるかもしれないという予見により将来のケア計画を立て、財務の課題を整理し、病気の進行を遅らせるだろう健康的な食事をしたり、もっと運動するといった生活習慣を変えることになる」と述べています。
これに対して論文のなかで著者は次のように批判します。
「早期診断によって患者は、認知症の発症を遅らせるために銀杏エキスといった証拠のない治療法を行い、ストレス、苦悩といった状態になり、偏見を被むることもあり、さらには自殺や安楽死を望むことになるかもしれません」
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyはこの分析を非難してジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長(写真左下)は次のように述べています。
「実際、私たちがほかならない総反撃を必要としている時、認知症への「迷惑な戦争'unwanted war'」の話を聞くのは驚きです。認知症の人が診断を受けられるように全国の医師を応援すべきです」
「認知症スクリーニングへの論者の言及は混乱しています。イギリスを網羅する認知症スクリーニング制度は無いし、賛成する人はいません」
「確かに、我慢し、治療も支援もなく人を孤立して暗闇に置き、人生を自分で決定できなくするといった状態は認知症の他にありません」
この協会は、一般医が60歳以上のある種の患者―脳血管障害や糖尿病があり認知症であるかもしれない人たち―を診察することを実施するという事例発見"case finding"の方法を支持しています。
The Guardian 10 September 2013 Dementia campaign could lead to over-diagnosis, say experts
論文:Analysis Too Much Medicine Political drive to screen for pre-dementia: not evidence based and ignores the harms of diagnosis(BMJ 9 September 2013)
反論:'Irrelevant' screening claims distract from need to increase dementia diagnosis(Alzheimer's Society 10 September 2013)
編者:イギリス政府の認知症対策への医学的批判は妥当だろう。アルツハイマー病協会がスクリーニングはないとしてもGPはスクリーニング検査で認知症をふるい分けるおそれはある。BMJに掲載されたこの論文がよりよい政策へのきっかけの一つになろう。記事にあるMCIの医学的解説は有用だ。わが国で先の報じられた「認知症予備軍400万人」は正確は表現ではない。という見解が専門医―編者も?―からなぜか出ていない。

「医療器具で8人がヤコブ病感染の可能性 米」(9月6日/アメリカ)
(CNN) 米ニューハンプシャー州衛生局は4日、医療器具の汚染が原因で、患者8人が難病のクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した可能性があると発表した。
発表によると、同州マンチェスターの病院で患者の神経外科手術に使われた器具から、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因となるプリオン蛋白(たんぱく)が見つかった。通常の滅菌措置ではプリオン蛋白を除去できなかったという。この患者はその後死亡し、クロイツフェルト・ヤコブ病かどうかを確認するため、専門機関で解剖が行われている。
感染した可能性がある8人については、クロイツフェルト・ヤコブ病の症状がないかどうかを見守っている。病院側によれば、「感染のリスクは極めて低い」という。
一般の人や、同病院にかかっている患者や職員などに危険が及ぶことははないと当局は強調している。
同様の事態はアトランタで2004年にも発生し、この時は患者98人に感染の可能性があるとされた。米疾病対策センター(CDC)によると、医療器具の汚染が原因とみられるクロイツフェルト・ヤコブ病の発症例は、1976年以来確認されていない。
クロイツフェルト・ヤコブ病に感染すると認知症などの初期症状が表れ、急激に容体が悪化して死に至る。米国での患者数は年間400人未満だという。
(CNNJapan  2013年9月6日 原文のまま
原文英語記事:Fatal brain disease may have infected 13(CNN September 6, 2013)
編者:クロイツフェルト・ヤコブ病については認知症辞典を参照されたい。

多くの精神科医や看護師は認知症の人に嘘を言うことを是認(9月4日/イギリス)
精神科医の3分の2以上、看護師のほとんどが、調査の質問にたいして認知症の人に嘘をいうことを是認しています。
この研究(論文)によると、医療専門職は、混乱した認知症の人を苦しめないための「治療的虚偽"therapeutic lying"」を行っていると回答しています。
虚偽とは、認知症の人に問われて家族は死んだとは言わないこと、楽に暮らせるように妄想と片づけることなどです。
昨夜、アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyはこの行為を非難し「混乱している認知症の人は支援されるべきであり、「嘘の現実に生きる"live in a false reality"」ようされるべきではない」と見解を述べました。
この研究によると、多くの精神科医や看護師は認知症の人を守るために「罪のない嘘"white lies"」を使うことを是認しています。しかし、容易に虐待に繋がる「すべりやすい坂道(危険な道)"slippery slope" 」になると警告する人もいます。
この研究の事例として、バス停を探す認知症の人のことが紹介されています。その人は介護施設の外に座らされ、想像上のバスを待っていました。
アルツハイマー病協会のジョージ・マクナマラGeorge McNamara政策部長(写真左上)は「質のよい介護とは、認知症の人を嘘の現実に生かせるよりは、その原因を特定したり対応することです。重要なことは、認知症の人が可能なときはいつも自らの生活に関して選択しコントロールする機会を与えることです」と述べています。
しかしながら「混乱した認知症の人が亡くなった家族のことについて聞かれたときに医療職はジレンマに直面します。認知症の人が「厳しい事実"harsh truths"」に繰り返し直面することは、死別の過程を耐えるという状態に置くことになる」と言う専門家もいます。
この調査ではある介護職は「真実を表に出さないで、わざとらしいやり方ではない方法で生きることができる」と述べています。
雑誌Nursing Standardに掲載された今回の論文によると、112人の看護師と介護施設職員は「そうした行為に倫理的疑問があるが、98%の専門職は認知症の人のためによいと嘘を言っている」と回答しています。
ニューキャッスル大学Newcastle Universityとノースウンバーランド・タイン・ウエアーNHS Northumberland Tyne and Wear NHS(NTWNHS)トラストによるこの研究では、76人の精神科医についても調べており、回答のあった医師の70%は治療的虚偽を行ったことがあると答えています。
看護・助産委員会Nursing and Midwifery Council (NMC)の2008年版規格・規約(資料2)によると、「すべての看護師は率直で誠実で、真摯に行動するべきである"open and honest, act with integrity"」とされています。
NMCの広報担当者は「この規約に合致した失敗は、その行動が適切であったか疑問に付されるかもしれない」と述べています。
「認知症UK Dementia UK」のアドミラルナースadmiral nurseであるデイブ・ベルDave Bell氏は「看護師は、嘘を言うかどうかは自分で決めるべきであるが、それが必要かどうかもしっかり考えるべきです」と述べています。
「ニューカッスル挑戦的行動サービスNewcastle Challenging Behaviour Service」(資料2)の代表でNTWNHSの臨床心理学者でもある研究者のアイアン・ジェームスIan James氏(写真左下)は、治療的虚偽を何時使かについては研修が必要であるとし、次のように述べています。
「看護師の技能は、治療的虚偽のいつ使うか、そしてなぜそれが必要なのかを知ることです。しかし、なすべき最善のことは、嘘を言うという倫理的課題に看護師が落ち込まないように認知症の人を混乱させないことです」
保健省Department of Healthの広報担当者は「治療的虚偽の指針を作る計画はありません。専門職はそれを使うかどうかは事例ごとに決めるべきだ」と述べています。
Telegraph 04 Sep 2013 Psychiatrists and nurses admit lying to dementia patients
論文:Therapeutic lying in dementia care  (Nursing Standard Volume 28, Issue 1, 04 September 2013)
資料1:The code: Standards of conduct, performance and ethics for nurses and midwives 1 May 2008 Nursing and Midwifery Council (pdf240K)
資料2:Challenging Behaviour Team (NTWNHS TRUST)(pdf160K)
編者:わが国では認知症の人への虚偽について本人のためならよいのではという認識が一般的だと思われる。倫理的課題との認識はうすいよだが、議論する価値のあるテーマだ。

★バディプログラムでアルツハイマー病の人が医学生を指導(9月3日/アメリカ)
アルツハイマー病について詳しく教室で研修を受ける医学生はほとんどいません。同じく治らない脳を奪い去る病気と診断された人と多くを経験する医学生もほとんどいません。
アメリカには540万人のアルツハイマー病の人がいます。この数は2050年までに3倍になると予測されています。この病気と認め、その症状を治療し、病気の人が介護者とよりよくコミュニケーションを取れるようにする医師への差し迫った必要性があります。そこで「バディプログラムBuddy Program」が登場します(訳注)。
最近の研究によれば、このプログラムは、医学生がアルツハイマー病の知識と親しみを向上させるのに役立ち、その病気の人への感受性と共感を高めるのです。
「バディプログラム」は、1998年、ノースウエスタン大学ファンバーグ医学部Northwestern University Feinberg School of Medicineのダービー・モーハドDarby Morhardt氏(写真左上)によって創設されました。医学生とアルツハイマー病の人(指導者またはメンター)の2人1組で仲間とします。モーハード氏は最近ボストンで開催されたアルツハイマー病協会国際会議2013年アルツハイマー病の国際会議(訳注:AAIC12013)でこのプログラムの結果を報告しました。
同大学の認知神経学アルツハイマー病センターCognitive Neurology and Alzheimer's Disease Centerの研究教授であるモーハード氏は次のように述べています。
「アルツハイマー病に人間的側面を取り込むことはとても重要です。学生は教室で自分たちのほとんどの生活を過ごし、教科書からアルツハイマー病を学んでいます。彼らはこのプログラムからこの病気の人間的側面と病気を持ちながら日々どのように暮らしているかを知ります」
メンターのひとりであるアン・シュランクAnne Shrank氏(写真左下)は、医学生がアルツハイマー病を身近に知ることを手助けしています。
この元生物学教師は61歳の時、初期のアルツハイマー病と診断されました。ノースウエスタン大学のバディプログラムに参加し、このプログラムで1学年の医学生と組み合わせとなりました。
医学生は、アルツハイマー病の人を介護するわけではありません。代わりアルツハイマー病の人が医学生に日々の生活が病気の人にとってどのようなものであるかを教えるのです。
現在、68歳のシュランク氏は「生涯、教育者でした。このプログラムは私自身―誰かを教えることができる人―で在ることになるある一つの方法です」と述べています。
このプログラムでは医学生とメンターは会うこと―毎月、少なくとも4時間―で、病院から外出することを求められます。多くの組み合わせの医師とメンターは、散歩に出かけたり、博物館や動物園に出かけたり、あるいは外で食事をします。
このプログラムは、新たにアルツハイマー病と診断された人を襲う劇的な生活の変化を和らげるのを助けます。
またモーハード氏は次のように述べています。
「この病気で最も難しいところは、新たに診断された時、それまでと同じ能力で働くことができなくなる、あるいはそれまでの活動の多くを不可能となることです。しかし役立つ方法で何かに参加し貢献したいという思いは持っています」
ノースウエスタン大学の医学生であるリー・ハーゲンホースLee Haggenjos氏(写真左下)はシュランク氏と組みました。彼女から多くのことを学んだと次のように述べています。
「アンさんは本当に信じられないほどです。彼女はとても知的で開放的な人です。本当に印象的です。彼女が病気について私を教えるその勇気もとても印象的です。私は将来、私が診るだろう患者を助けることができ、今は彼女に対応しています対処しています」
患者らは医学生に「このプログラムに参加して役立っていると感じ、自意識を無くす前、何か与えるものをまだ持っています。こうして自己尊重あるいは自尊心を高める」と述べています。
さらにシュランク氏は「医学生のメンター役をすることはとても楽しみ」と語り、夫であるボブ・シャンク氏は、プログラムに参加してからの違いを見て、「アンにとって違った人―家族とも友人とも異なる―と少し異なる何かをする機会が生まれました。彼女はとてもよろこんで帰宅する」と述べています。
このプログラムは、名称は異なるが、ボストン大学Boston University、ダートマス大学Dartmouth College、ワシントン大学Washington Universityおよび全国のその他の医学部で似たことが行われています。こうした医学部で多くの医学生は、専門コースでメンターと接触しています。
モーハ-ド教授は「認知症の人が、3、4年後には医学生と認識できなくなることは稀ではありません。その人が亡くなった後、その家族と接触している様子をよく聞きます」と述べています。
またシュランク氏は次のように述べています。
「私にとっては自分の生活をコントロールできる機会でした。うつ状態になっていたかもしれません。自分自身も私の周囲の人たちも本当に惨めになっていたかもしれません。こうにはならなかったでのですが、とにかくどう最善を尽くすかということです」
NBC News  09/03/2013 Alzheimer's patients mentor med students in buddy program
関連情報:People with Early-Stage Alzheimer's Mentor Medical Students to Increase Knowledge and Reduce Stigma (AAIC2013 Press Release BOSTON, July 17, 2013)
関連資料:Alzheimer’s Disease Center Collaboration THE BUDDY PROGRAM Northwestern University THE PAIRSPROGRAM Boston University (2010 pdf 500K)
訳注:わが国で留学生との間などで盛んになりつつあるらしい「バディプログラムBuddy Program」だが、適切な日本語訳がなく、そのままカタカナ英語で使っている。「仲間」を意味する「バディBuddy」が指導助言するMentorメンターの支援を得ながらメンターも学ぶという取り組みを「バディプログラム」と言うようだ。アメリカで10年以上前からアルツハイマー病の人と医学生で試みてよい結果を出しているという記事だ。日本での取り組みは聞かない。

ヤンキースが「世界アルツハイマー病月間」を立ち上げ―アルツハイマー病のサミット氏も応援―(9月1日/アメリカ)
9月1日午後、ニューヨークヤンキースNew York YankeesはバルチモアオリオールズBaltimore Oriolesとの試合前に、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの世界的なアルツハイマー病啓発月間Worldwide Alzheimer’s Awareness Monthの立ち上げを支援しました。
この催しに、テネシー大学女子バスケットボールチームのヴォランティアズVolunteers の名誉ヘッドコーチであるパット・サミットPat Summitt氏(写真)と息子のテイラー氏が加わりました。彼女は、アルツハイマー病協会から「2012年サージェント・.ユーニス・シュライバー尊厳顕著賞2012 Sargent and Eunice Shriver Profiles in Dignity Award」を受賞しています。アルツハイマー病協会の代表もこの催しでグランドに立ちました。
これに先立つ8月30日、サミット氏は次のような意見表明を行いました。
「息子のテイラーと私はニューヨークヤンキースに感謝します。アルツハイマー病への戦いのために啓発し資金を集めることを大々的に強化してくれました。私たちは一般の人たちの啓発の、1カ月におよぶ長い行動を始めるにあたりアルツハイマー病協会とともに彼らとグランドに招待してくれたことを誇りに思います」
サミット氏は、1098試合で勝ち8回のナショナルタイトルを獲得し、ボランディアズと殿堂Hall of Fame入りしました。コーチは61歳の時、若年期認知症と診断され、2012年4月に引退しました。
なおBoston Red Sox, Chicago Cubs, Chicago White Sox, Cincinnati Reds, Los Angeles Angels of Anaheim, Los Angeles Dodgers のMLBの6チームは、アルツハイマー病支援するヤンキースに行動に参画しています。.
NBCSports Sep 1, 2013 Pat Summitt helps the New York Yankees launch Worldwide Alzheimer’s Awareness Month)
サイト内関連記事:支えがあれば初期アルツハイマー病の人は働ける(2011年8月26日)
関連情報:国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Internationalの「世界アルツハイマー病月間World Alzheimer’s Month」
編者:わが国で病気の啓発にプロ野球が参画したことは知らない。なお記事中の Alzheimer’s Associationが行う “Worldwide Alzheimer’s Awareness Month”という名称は同協会のサイトで見当たらない。

「NFL後遺症訴訟 750億円で和解」(8月30日/NHK)
NFL=アメリカプロフットボールの元選手らおよそ4500人が、現役時代のプレーがもとで脳しんとうなどの後遺症が残ったとして、損害賠償を求めた裁判で、NFLが総額で7億6500万ドル(日本円にしておよそ750億円)の和解金を支払うことで合意しました。
この裁判は、NFLのダラス・カウボーイズで活躍し殿堂入りしたトニー・ドーセットさん(写真)ら、NFLの元選手やその家族およそ4500人が、現役時代のプレーがもとで脳しんとうや認知症などの後遺症が出たとして、おととしから相次いでNFLに損害賠償を求めて訴えを起こしていたものです。
NFLによりますと、29日、ペンシルバニア州の裁判所で行われた和解協議で、NFLが治療や検査の費用など、総額で7億6500万ドル(日本円でおよそ750億円)を支払うことで、和解することに合意したということです。
今回の和解合意について、NFLのジェフリー・パッシュ副社長は、「今回の合意は、これまで多大な時間や金を費やした選手やその家族に対し、大きな助けとなるでしょう。今後、より安全に試合ができる努力は惜しまない」というコメントを出しました。
NHKニュース 2013年8月30日 原文のまま
関連英語記事:NFL Reaches Settlement with Former Players Who Suffer from Brain Injuries, Alzheimer’s, Depression August 30, 2013 Democracy Now
サイト内関連記事:アメフト元選手にアルツハイマー病による死亡が多い(2012年9月5日)
反論記事:Despite NFL Settlement, Still no Proof Football Causes Alzheimer's or CTE(8/30/2013 Newswise)
解説記事:Viewpoint: The invisible plague of concussion(BBC 6 September 2013)

★認知症の人の失禁―頻度とケアの現状―(8月28日/イギリス)
イギリスのキングストン大学Kingston Universityとセントジョージロンドン大学St George's, University of Londonと関連する保健・社会ケア・教育学部Faculty of Health, Social Care and Educationのロバート・グラントRobert L. Grant研究員(写真)らのグループは、能力が低下し負担が多い病気である認知症の人の失禁を次のようにみていました。痛ましくもあり介護者に負担をかけ、介護施設への入所決定に影響を及ぼし、認知症の人の失禁をうまく且つ安全に管理することは新たなたな取り組みです。
グループは、60歳から89歳までの認知症の人がプライマリーケアで尿失禁と便失禁が初めて診断される頻度、薬物療法や導尿カテーテルの使用状況について調べることにしました。
調査方法は、イギリスのプライマリーケアのデータベースである「健康改善ネットワークThe Health Improvement Network (THIN)」の2001年から2010年の間に認知症のある60歳から89歳までの5万4816人のデータと、これと年齢と性別で層化標本の認知症のない20万5795人のデータを抽出して使いました。THINには、患者とプライマリーケア医のデータが含まれていますが、患者が介護施設に入居していたかどうかは特定できません。
認知症の人の尿失禁について1000年人あたりで、初めての診断は男性で42.3、女性で33,5でした。認知症のない人では、割合はそれぞれ19.8、18.6でした。初めての診断で便失禁は認知症の人で男性で11.1、女性で10.1であり、認知症のない人でそれぞれ3.1と3.6でした。
認知症のある人と認知症のない人で補正して比較すると、尿失禁については認知症の人の人が認知症のない人より男性で3.2倍、女性で2.7倍、便失禁についてはそれぞれ6.0倍、4.5倍でした。尿失禁への薬物療法は認知症の男女ともに認知症のない男女より2.2倍で、導尿カテーテルの使用は男性で1.6倍、女性で2.3倍でした。
以上のことから、イギリスのプライマリーケアにおいて、認知症だと診断されなかった人と比べ、認知症と診断されて人は、尿失禁の頻度はおよそ3倍多く、便失禁は4倍多いことがわかりました。尿失禁への薬物療法と導尿カテーテルの使用についてその合理性についてさらなる研究が必要と研究グループは結論づけました。
この論文はネット医学雑誌PLOS Medicine2013年8月27日版に掲載されました。
この結果についてグラント氏次のように述べています。
「失禁は地域に住む認知症の人のありふれた問題です。質よいサービスのために失禁が重要な課題であることを強調したい。これには失禁に対応している介護者への助言と支援を含みます。人口高齢化のなかで認知症サービスを提供したり企画する人に失禁が欠かせないレベルの高い課題と予期すべきです。尿失禁の臨床的な管理のさまざまな側面は、認知症のない人と認知症のある人では異なります。こうした人たちへ医療を提供している者はその臨床的合理性についての研究―特にリスクがよく知られているカテーテル導尿の使用について―が必要です」
Health Canal 28/08/2013 Study highlights scale of continence problems among people with dementia 論文:First Diagnosis and Management of Incontinence in Older People with and without Dementia in Primary Care: A Cohort Study Using The Health Improvement Network Primary Care Database
編者:イギリスで認知症の人の失禁が多いこと、薬物療法やカテーテルの使用が多いことを具体的なデータで明らかにした報告で、認知症の人の失禁をどうするかについての示唆はないが、カテーテル導尿の合理性について明らかにする必要性は提案している。

★美術療法の創造的支援が認知症の人の思いと恐れを明かす(8月26日/カナダ)
最近の研究によると、認知症が人が奪われた多くの大切な能力とは美術的能力は異なるようです。このことは、高齢者がさらに高齢になり精神疾患によって創造的な表現がどうしようもなく手の届かないところにいってしまう原因を明かにするようです。
コミュニケーションは、認知症の人が早い時期に無くすものの一つです。同じことを考えたり、同じ恐れを抱きながら病気が進行するにしたがい、考えや感情を伝える能力が失われます。
トロントの「聖マイケル病院St. Michael’s Hospital」の研究から、認知症の人が美術的能力によって家族や病院の給仕職員とコミュニケーションができるという期待を持たせる結果が得られました。
「カナダ神経科学雑誌Canadian Journal of Neurological Sciences」に掲載された論文は、2013年4月に亡くなる前の国際的に名声のある彫刻家メアリー・ヘクトMary Hecht氏(写真右)に関することです。ヘクト氏の美術的能力は認知症になる前、疑う余地のないものでした。しかし医師が興味を惹かれたのは詳細なスケッチや人物画を描くという性癖でした。それらすべて死亡するまでの何年間、記憶に基づいたものでした。アルツハイマー病に似た精神疾患の一つであり脳の血流の減少よる思考能力の低下が特徴的な血管性認知症が重症であるにもかかわらず認められました。
研究論文の筆頭執筆者であるルイス・フォルナッザリLuis Fornazzari医師(写真左上)は、同病院のメモリークリニックMemory Clinicの神経科医ですが、次のように述べています。
「美術は心を開きます。ヘクト氏は、脳が退行し、ありふれた日常的な日々の記憶の能力が失われたにもかかわらず、美術的に能力の保持されている在り様は驚くべきものです」
最近の脳血管障害の発症でヘクト氏は車椅子が欠かせなくなりました。彼女の認知機能はかなり障害されており、時計の絵で正確な時刻を再度描くことができませんでした。またありふれた動物の名前を思い出したり、動物の名前を言うように指示されても多くの言葉を思い出すことができませんでした。しかし記憶のなかから絵を描くことはできたのです。それらは、その前に気前よく書いたもの、外来の研究補助者の詳細な人物画も描きました。
メモリークリニック所長で論文の共同執筆者であるコリーヌ・フィッシャーCorinne Fischer医師(写真左中)は次のように述べています。
「これは外来で診てきた患者の美術的能力が保持されている程度については例外的な事例です。この分野でこれまで行われた研究のほとんどは、その他の認知症―アルツハイマー病や前頭側頭型認知症―の場合で、今回はかなり進行した血管性認知症の患者での認知予備力に関わる事例です」
ヘクト氏に似た事例は、病院での美術療法では多い。この療法によって緩和的効果が実証されましたが、何故、創造的表現がこれほどまでに深い効果があるのか医師は確かな証拠を持っていないのです。
アメリカのアラバマ州に住む神経科医で認知症の専門家であるダニエル・ポッツDaniel Potts医師(写真左下)は次のように述べています。
「美術療法はアルツハイマー病など認知症の人に有用です。コミュニケーションの問題を持つ人が言語的問題を避けて異なる方法でコミュニケーションを取ったり自分を表現することができるからです」
アルツハイマー病はもっともありふれた認知症の型で、脳の神経細胞にアミロイド蛋白が沈着することによるのですが、科学者はこの病気の原因を知りません。こうした沈着斑は、病気の進行にともに脳皮質に拡がり、知的機能が低下し、記憶や認知機能に関係する重要な神経学的な回路を阻害します。美術療法は、こうした方法とは異なるコミュニケーションの回路に切り替えるようです。
またポッツ医師は次のように述べています。
「認知症のいろいろな多くの問題を避けることができる何物かが美術によって作られるようです。美術や音楽は脳の異なる多くの部位から作られるようです」
こうした療法は認知症を治癒させることはできませんが、障害ある状態ながら他の方法では不可能なかなりの成果を得ることができます。これらは、個々人の能力、完成させることの満足感、美術的過程での喜びから来ます。
さらにポッツ医師は次のように述べています。
「それは個々の高齢者に達成感をもたらします。認知機能は失っても、美術療法は創造して何か満足が得らえる方法を提供するのです。ほかの方法ではできない、時に本当の自分を表現することができます」
情報源: Fornazzari L, Ringer T, Ringer L, Fischer C. Preserved Drawing in a Sculptor with Dementia. Canadian Journal of Neurological Sciences. 2013  Online Date August 22, 2013.
Medical Daily Aug 26, 2013 Art Therapy And Dementia: How Creativity Helps Unlock Alzheimer’s Patients’ Thoughts And Fears
関連記事:Art opens the mind and preserves artistic skills despite the onset of vascular dementia in the “remarkable” case of a Canadian sculptor(Newsroom  St. Michael's Hospital August 22, 2013)
編者:認知症の美術療法を自己表現の手段と位置付けている記事内容に特に新しいことはないが、このケースレポートが英語圏の多くのネットニュースで紹介されたので改め紹介した。

★デトロイトでメモリーウオークに5000人以上が参加(8月24日/アメリカ)
ティム・スローマースTim Slomersさんは、祖父のヘリーHarryさんに会ったことはありません。祖父はアルツハイマー病と戦い、彼が生まれる5年前に亡くなったのです。しかし、今日、フォードフィールドFord Fieldで催された「アルツハイマー病を終わらせるウオークWalk to End Alzheimer’s」に祖父のことを思い出して参加しました。
「Team Harry」の書かれたTシャツを着たスローマースさんは「祖父に会ったことはありませんが、祖父のことを思って参加した」と話しています。
フォードフィールドとコメリカパークComerica Parkを回る1マイルのウオークには5000人以上が参加し、少なくとも50万ドルの資金を集めることが目標でした。
アルツハイマー病協会ミシガン支部Alzheimer’s Association’s Michigan chapterの議長であるドン・ローゼンバーグDon Rosenberg氏は式典で「私たちは、アルツハイマー病の挑戦を受けた人たちを思い出してここにいるのです」と述べています。
登録した個々の参加者に風車のような花が渡され、それにアルツハイマー病と戦った友人や家族の名前を書きます。いくつかの花では別々の花びらに違った名前が書かれていました。
ある家族チームを先導したパメラ・ウリックPamela Urickさんは自分たちのことを「治癒への家族の望みFamilies Hope For A Cure 」と呼んでいます。彼女は母親のエルヴィラElveraさんのために参加しました。エルヴィラさんは、5年前、アルツハイマー病と診断され、夫のクラレンスさんと母親のエヴァさんと暮らしていましたが、後の二人は亡くなりました。
9人兄弟姉妹の一人であるウリックさんは「多くの人は、何が起きているのか、どのような発病するのかを本当のことを知りません。ここで多くの人たちに会い、それぞれの物語を聞きます」と話しています。
過去22年間、ウオークはロイヤルオークRoyal Oakにあるデトロイト動物園Detroit Zooで開催されていましたが、初めて下町で開催されました。
ウリックさんは「集まりが大きくなってここに来られるようになったのはともうれしく興奮します。私たちのチームは2000ドルを集めた」と話しています。
1マイルのウオークは、グループによって毎年、行われる大きな資金集めであり、その資金はアルツハイマー病の人のための研究とデイキャンプに使われます。
ウオークに多く参加している人は、アルツハイマー病の人のための診療所やホームで働いている人たちです。彼らは、日々、アルツハイマー病の影響を見ているのです。
マノースサウスゲイトManors Southgateの施設のクリス・ブラウンChris Brownさんは初めてウオーカーとなりましたが、「とてもすばらしい。地域でアルツハイマー病の人について思うことを知った」と話しています。
The Detroit News August 24, 2013  Thousands participate in Alzheimer's fundraiser
編者:今年もアメリカのアルツハイマー病協会が主催する全国各地のメモリーウオークのシーズンだ。この街頭行動はアルツハイマー病の啓発もあるが、それ以上に資金集めを重視しているのが特徴だ。

★12月にロンドンで認知症サミット(8月19日/イギリス)
イギリスは、G8の議長国として初めての地球規模で認知症サミットを開催することになりました。
デービット・キャメロンDavid Cameron首相とジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣(写真左上)は、G8の保健大臣に12月11日にロンドンで開催する会議への参加を呼びかけました。
ハント大臣は認知症を全地球的挑戦と呼んでいます。
現在、全世界に3560万人の認知症の人がいますが、2020年までに7000万人近くになるでしょう。
全世界で認知症ケアに要する費用は2010年で6040億ドル、その70%は西ヨーロッパや北アメリカでの費用です。しかし、認知症の人の60%近くは途上国に居ます。これらの国では人口の増加と高齢化によるサービスと予算の増加の圧力は増すでしょう。
ハント大臣は次のように述べています。
「これは地球規模の挑戦であり、ますます強くなる課題の一つです。将来の治癒を追及しながら、認知症になる年数を減らすことへおおいに注目を払うことが、現在、とても重要なのです。G8が特別な機会を共有して、人が認知症を管理し、より健康的な生活を送れるように支援し、ケアや実質的に経済的な節約を確かに向上させることになるでしょう」
「イギリスアルツハイマー病研究Alzheimer's Research UK」のヒラリー・エバンスHilary Evans氏(写真左下)は次のように述べています。
「困ったことに、2003年以降、認知症の新しい治療がでてありません。既存の治療は控えめな効果しかありません。私たちには、何がなんでも新しい治療と介入―認知症の発症を遅らせる、進行を遅くする、症状を管理するもの―が必要です。研究を盛んにすることを通じてのみ、進歩し、認知症の人に希望を提供できるのです」
BBC 19 August 2013 UK's G8 summit to 'tackle dementia'
編者:認知症サミットの提唱は、国内的に認知症チャレンジを進めているキャメロンの世界戦略とも聞く。

自殺幇助を受ける計画の認知症の人の妻と息子が逮捕(8月18日/イギリス)
警察は、認知症のイギリス人で年金生活者がスイスにある自殺診療所で自殺を選ぶ知的能力があるかどうか、その妻と息子を逮捕して調べています。
71歳のこの男性とその家族は、スイスに旅行して自殺できる可能性に関して捜査が始めたと受け取っています。
自殺が実行される前に、警察は、認知症の人が自分のことを決定する能力がないなかで、自殺を勧めたか幇助した疑いで65歳の妻と25歳の息子を逮捕しました。
精神科医は、現在、イーストサセックスのチチェスターに住むこの男性を診察して知的能力を評価するでしょう。医師らの見解によっては多分、その男性がその診療所を訪れ、家族に容疑が生じたのです。
現在、「高齢者合理的自殺協会Society for Old Age Rational Suicide」のコーディネーターで元一般医GPのマイケル・アーウインMichael Irwin医師(写真左上)は次のように述べています。
「これはとても重要な事例です。認知症の人が自殺を何時選択できるかが明らかになるからです。大きな疑問は、初期の認知症の人がどの程度の能力があるかということです。私はその答を知りません。ほとんどの認知症はかなりゆっくり進行します。国民保健サービスNHSでは現在、認知症の人の早期診断が話題になっていますが、とてもよいことです。しかし、もし認知症が進行しているが知的能力はあると言われたら、スイスに行って医師の幇助での自殺を選択すべきです」
その認知症の男性と家族は明らかにされていませんが、妻と息子は8月8日に逮捕され尋問された後、さらに尋問される条件で10月8日まで保釈されました。
サセックス警察Sussex Policeの広報担当者は次のように述べています。
「私どもは、イーストサセックスの男女が、スイスのディグニタスDignitasクリニックに虚弱な年金生活者を連れて行き、自殺させる計画しているとの話を知りました。現在、警察官が、その71歳の人の知的能力を評価して自分のことを決断することができるかどうか調べています。『2009年検死官および刑事司法Coroners and Justice Act 2009』に基づくと自殺催促または自殺幇助は不法行為です。彼らが実行しなくても、犯罪を犯したのか、犯したと思われるのかを調べています」
今年5月、82歳の退職したナイト爵でサウスウエストイングランドの物理学教授が、チューリッヒ近くのディグニタス自殺診療所で自殺したことはイギリスで最初の事例となりました。
ジョンと呼べる夫のアンと呼ばれる妻は、夫が死ぬと決め、状態が衰えて妻に世話させるよりは妻が人生を楽しむことができることを希望したのです。
スイスには外国人への自殺幇助を行うクリニックが3か所あります。そのすべてで自殺を希望している人についてはスイス到着時点で知的能力があることをスイスの医師が評価さすると主張しています。
さらにサーレイのギルドフォードGuildford in Surrey近くに住む、アーウイン医師は次のように述べています。
「私は認知症と診断されたら、間違いなくスイスに行くことを希望します。家族や友人にこれ以上の負担をかけたくなりからです。自分が衰えてゆくことを考えたくないのです」
自殺幇助は、イングランド・ウエールズでは犯罪であり最高刑が懲役14年ですが、起訴されると事例ごとに状況によって罰則が決められます。
ケール・スターマーKeir Starmer王室顧問弁護士Queen's Counselで公訴局長官Director of Public Prosecutions(写真左下)は、2010年2月に新しい指針を発表しました。そのなかで、実行できないわかった人の自殺を助けたいとの思いやりで行動することは犯罪ではないと表明されています。
the telegraph 18 Aug 2013 Police assess whether dementia sufferer is capable of choosing to end his own life)
サイト内関連記事:イギリスで最初の認知症の人の自殺幇助(2013年5月30日)
編者:イギリスでの認知症の人の自殺幇助に関する犯罪性に関する新しい動きだ。

★キャリー・マリガン、BBCで認知症の祖母について語る(8月15日/イギリス)
2013年の映画「華麗なるギャツビーThe Great Gatsby」に出演の女優キャリー・マリガンCarey Mulligan(写真左)は、今朝の番組「BBC Breakfast」で認知症の祖母について率直に語りました。
また彼女は、アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの最も重要な資金集め活動である「メモリーウオークMemory Walk」に参加して認知症への戦いに加わることを視聴者に要請しました。
番組司会者のルイス・ミンチンLouise Minchinとチャリー・ステイトCharlie Staytに、彼女は祖母―87歳、ウエールズの介護施設で暮らす「おばあちゃん'Nans'」―のことを次のように話しました。
「祖母は認知症で、ウエールズのポントアルダウエPontardaweのすばらしいホームに居ます。おおよそ12年前、私が15歳か16歳の時に認知症の症状に気付き始めたと思います。
祖母が集中して覚えるだとうと思っていることを忘れやすくなるっているおを知ったのです。
祖母は地理の先生でした。いつも私の教育と私が勉強していることにとても関心がありました。私は自分の成績を取り上げ、勉強していることを祖母に話したのですが、何の科目か覚えようとません。祖母は教えることが好きで私の勉強を喜んでいると思ったのですが、覚えることができなかったのです」
キャリーさんは、祖母が暮らす施設に初めて訪問した時のことを次のようい話しました。
「初めて、そのホームに行って、おばあちゃんと座って話しました。彼女はコミュニケーションがうまく取れませんでした。彼女に話はするのですが、時々、ホームの他の人が私に話しかけ会話を始めようとするのです、私はすぐにイライラして、会話がめちゃくちゃになると思いました。認知症の人に話そうとしてイライラしてちょっと難しいのです。見下したようにすることはしたくありあません。多くの人が見下しているように思います」
アルツハイマー病協会、そして9月に行うメモリーウオークはとても素晴らしいと思います。多くのひとが認知症について語って認識を高めれば、それだか多くの人が安心すると思います。認知症を怖れることはありません」
アルツハイマー病協会のジェレミー・ハーガスJeremy Hughes事務局長も同じ番組にキャリーと出演し次のように話しました。
「全国に認知症の人が80万人居ます。ほとんどの人は自分の家族に認知症あるいは認知症かもしれない人を知っています。メモリーウオークなどのアルツハイマー病協会の活動を通してとてもやっておきたいことは、人々が認知症の兆候や症状にもっと気づくき、一般医GPに受診し、役立つことは何かないかを調べるようなることです」
メモリーウオークはアルツハイマー病協会の重要な資金集めの活動で、9月中、イギリス全土に行われます。3年目の今年のメモリーウオークは、ブーパケアホームズBupa Care Homesと共催で行われることになっています。協会とブーパは、共に集められた大切な資金で認知症の人により支援をすることを意図しています。
メモリーウオークについて知りたい人、登録したい人はmemorywalk.org.ukにアクセスしてください。
alzheimers.org.uk 15 August 2013 Carey Mulligan speaks of her grandma's dementia on BBC Breakfast
関連動画サイト: Carey Mulligan's caring role (BBC Breakfast 15/08/2013 8.40am)
編者:介護体験のある俳優にテレビで語ってもらい企画は参考になる。なおキャリー・マリガンは1985年生まれのイギリス女優(写真右)。

アルツハイマー病の社会的背景ある治療を目指す(7月31日/アメリカ)
医療モデルによるアルツハイマー病(AD)やその他の加齢関連認知性問題Aging Associated Cognitive Challenges (AACC)を治療することは、診断にたいして本当に効果的な反応があるのでしょうか。
雑誌「Journal of Intergenerational Relationships(JIR)」に掲載された論文「The Challenges of Cognitive Aging: Integrating Approaches from Neuroscience to Intergenerational Relationships」のなかで、著者のピーター・ホワイトハウスPeter Whitehouse氏(写真左上)は、アルツハイマー病やその他の認定障害の治療に社会的背景のある方法を示唆し、次のように述べています。
「現代世界は、人口の高齢化、地球規模の気候変動、政治的混乱、経済的不安定の挑戦を受けています。学習や健康に向けての世代間的対応は、こうした困難な時代の人類の繁栄や生き残りに必要な長期的な思考や価値観を育むことができます。
認知症などの慢性疾患の課題への回答は、分子生物学や遺伝子へすべてを還元する考えではなく、高齢者や子供や環境をより効果的に支える共同体を再設計することに見出すでしょう」
世代間関係がADやACCCに伴う社会的な問題の多くにどのように応えるかを示すため、ホワイトハウス医師は、まず初めに、彼が「アルツハイマー病の神話myth of Alzheimer's」と呼ぶもの、あるいはアルツハイマー病や関連疾患の新しい診断基準による医療化(訳注:すべてを医療で解決しようとする方法)の限界があることをどのように示すかに取り組んでいます。そして「世代間学校"The Intergenerational School,"の役割を詳しく説明します。この学校は、200人ほどの小学生、数百人の大人―認知症の人を含む―に学習の機会を提供するオハイオ州に在る成績優秀な公認学校です。
彼はさららに「学校は、社会構成、教育優秀、生涯経験、サービス学習、社会的政治的生活への参画という規範で設立された世代間学習組織です」と説明しています。
その役割は、生涯学習や活気ある市民権を促す技術を学び、経験を得ることに向けて個人を指導する共同体を構築することです。
この雑誌JIRの編集者のサリー・ニューマンSally Newman氏は次のように述べています。
「ホワイト氏の論文は読者にさらなる議論を促すいくつかの考えを提案しています。例えば、病気としてのアルツハイマー病の概念への挑戦、生涯にわたる認知症や認知障害が世代間関係への最大の挑戦―特に、それが人類の次の世代が直面する経済や環境面での挑戦に繋がるとき―であることを示唆しています」
なおホワイトハウス氏の論文は、雑誌Journal of Alzheimer's Diseaseにも同時掲載されました(同誌2013年6月号)。
News-Medical July 31, 2013 Article suggests socially-based approach for treating Alzheimer's, other cognitive disorders
論文:The Challenges of Cognitive Aging: Integrating Approaches from Neuroscience to Intergenerational Relationships," (JIR電子版 29 May 2013)
編者:賛否両論の問題作「アルツハイマー病の神話Myth of Alzheimer's」を2008年に世に問うた友人のホワイトハウス氏だが、世代間あるいは多世代学校の活動が広く認知されているとは言えないとしても、医学中心のアルツハイマー病対策あるいは認知症対策へ社会的背景のある支援を訴えていることは、特にアメリカでは重要だろう。なおThe Intergenerational Schoolの校長は彼の妻のCathyさん。紹介記事だけではよくわからないだろうが、読むべき「ThMyth of Alzheimer's」の訳本は出てないようだ。

「療養型病院で火災、ベッドに拘束された認知症患者が死亡」(7月31日/朝鮮日報)
今月30日午前0時40分ごろ、京畿道抱川市の療養型病院の101号室で火災が発生し、同室に一人でいた患者のAさん(59)が煙で窒息し、死亡した。残りの入院患者18人は避難したが、うち4人が煙を吸い込み軽傷を負った。火が消し止められた午前1時過ぎに遺体で発見されたAさんは、左手が布製の拘束バンドでベッドに縛り付けられた状態で、右手は拘束が解けていた。Aさんは精神疾患と認知症のため5カ月前から入院しており、しばしば発作を起こしていたとされる。
ベッドの横にライターとたばこの箱が落ちていたことから、警察はAさんが右手の拘束を自分で解き、左手もほどくためライターで拘束バンドに火を付けようとして火災が起こった可能性や、たばこによる失火の可能性を念頭に鑑識を行っている。
警察の調べによると、Aさんは火災発生から約2時間前の29日午後11時ごろ、106号室から101号室に移された。病院側は「Aさんが発作を起こし大声で叫んだり足でベッドを蹴ったりしたため、29日午後8時ごろ初めて拘束バンドを付けて鎮静剤を注射し、101号室に移してあらためて拘束バンドで両手を縛った」と説明している。
Aさんは以前に脳の切除手術を受けており、今年3月に同病院に入院した。認知症の症状に加え、てんかんの発作も頻繁に起こしていた。意思表示はできたが、一人で近くの森に入ったり、大声を上げて治療を拒んだりと、扱いづらい患者だったという。
同病院の関係者は「発作を起こしたため拘束バンドを使う必要があると判断し、27日に夫人が見舞いに訪れたとき同意書にサインしてもらった」と話し、対応に問題はなかったとの考えを示した。拘束バンドを使う前にも看護師が夫人に電話で「鎮静剤の注射針が血管を破裂させるといった危険を防ぐための措置だ」と説明し、重ねて同意を求めたとしている。
だが警察は、一人で病室にいたAさんがたばこやライターを所持していたことから、病院の管理が不十分だったとみて調べている。病院側はこれに対し「Aさんが病室を移った後も騒ぎ立てたため、ほかの患者に配慮してドアを締めた。夜間の当直者が何度か訪ねて状態を確認した」と釈明。また「管理が大変だという理由で拘束バンドを使ったわけではなく、危険を防止するための措置だった」と重ねて強調した。
同病院は認知症や老人性・退行性疾患などで長期の療養や看護が必要な患者を受け入れており、院長(85)や看護師、薬剤師、事務員、栄養士、調理師などが勤務している。火災発生時には看護師や准看護師ら女性3人が勤務していた。警察は病院職員を対象に、患者の管理に規定違反や過失がなかったかどうかを調べている。
抱川=権祥銀(クォン・サンウン)記者
朝鮮日報日本語版 2013年7月31日 原文のまま

高齢者の性的行為のケアでヘ際立つヘブライホーム(7月23日/アメリカ)
その看護師は取り乱していました。彼女は、ニューヨークにあるリバーデイルのヘブライホームHebrew Home at Riverdaleの部屋で二人の高齢者が性的行為を見ただけなのです。彼女は、ダニエル・ラインゴールドDaniel Reingold氏(写真左1)―その時はホームの最高経営副責任者―に何をすべきか尋ねました。
彼は「部屋からそっと出てドアを閉めなさい。彼らの邪魔をしないように」と答えたのです。
今日、ラインゴールド氏は、このホームが業界の慣行を止めて高齢の入居者―アルツハイマー病など認知症の人も―の性的行為と親密さを勧めた理由を示すこの19年間の物語を好んで話しました。
ホームは1995年、4ページの方針―この種としては初めて―を採用しました。その方針には、「入居者は性的表現を求める権利がある」と記され、性的表現とは、性的満足の欲求に基づく言葉、身振り、動き、活動です。
ベヴァリー・ヘルゾグBeverly Herzog氏(85歳)(写真左2)は、最近、このホームに入居したのですが「この世界で親密さは最も自然で当たり前のことです。これによって人を若く保ち、楽しみにしていることが得られるのです。冷たいベッドでは簡単ではない」と述べています。
現在、会長でCEOのラインゴールド氏は「無くしてしまったものではなく、人に在るものを尊重する」と述べています。
全国の1万6000カ所の介護護施設のうち、どれほどヘブライホームのような方針を持っているかを誰も知りません。アメリカヘルスケア協会American Health Care Association―同業者グループ-の報道担当のグレグ・クリストGreg Crist氏(写真左3)は「確実なことはわかりません」と述べています。
特別な方針はない
特別な性的表現の方針の代わりに、ナーシングホームで全国的に大きな企業―ジェネシスヘルスケアGenesis HealthCare Corp.(拠点:ペンシルバニア州)や ゴールデンリビングGolden Living (拠点:テキサス州)など―の多くは「個々人の対応を基本とし、より幅広い制度のなかに組み込まれた性的状況に関する研修を行いこの課題に対応している」と見解を表明しています。
キャロット・パターソンCharlotte Patterson氏(写真左4)は、登録看護師でゴールデンリビング―21州で300施設以上のナーシングホームを運営―の副会長であり医療副顧問ですが、次のように述べています。
「規則は縛られたくはないことを縛ることになるので、私たちは堅苦しい規則は持っていません。大切なことは、入居者と施設と職員とが常に話し合い続けられることです」
産業調査会社のIBISワールドIBISWorldによると、年間1206億ドルのナーシングホーム産業は、年率3.6%で成長し2018年までに1440億ドルになると予測されています。この成長は、メディケアやメディケイドの償還払いの削減や在宅サービスの利用増加がなければもっと強いでしょう。
性的により自由に
ヘブライホームの性的表現の方針は一般的ではありません。多くの施設はこの課題に向かうほどの時間も資源も動きもありません。
ラインゴールド氏は「多くのナーシングホームは、まだ知らないふりをしている」と述べています。
ベビーブーマー世代が高齢化することで変化が起きるかもしれません。アメリカ国勢調査局U.S. Census Bureauによると、2030年までに65歳以上の高齢者は現在の4000万人以上から7200万人以上になると予測されています。2011年に高齢者の仲間入りを始めたベビーブーマーは性的により自由で、より長く、バイアグラといった薬も使います。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、医学的革新がなければ65歳以上のアルツハイマー病の人は2025年までに710万人に増えると予測しています。認知症高齢者の介護施設で入居者が法的、倫理的かつモラルの面で困難な介護の課題となるでしょう。施設の介護者はこうした入居者が性的行為に同意する精神的能力を持っているかどうかの判断をしなければならないのです。
親密さの欲望
「インディアナ法律評論Indiana Law Review」の2009年掲載の論文”To Be or to Exist”(編者仮訳:「在ることまたは生きていること」)で、ニューヨークのアルバニー法科大学院Albany Law Schoolのエヴェリン・テネンバウムEvelyn Tenenbaum教授(写真左5)は次のように記述しています。
「認知症の人に親密さの欲望があるとしても、ナーシングホームは入居者の自由な性的関係を許すことはできません。ホームは、安全でなく虐待を起こしかねない関係が生じない保障をするため介入しなければなりません」
ヘブライホームは1917年に設立されました。現在、ハドソン川に沿って32エーカー(1295アール)の草で覆われた斜面に煉瓦造りの棟が配置されています。100歳以上の入居者は23人で、平均年齢は86歳です。
年次予算は1億500万ドルで、1000人以上の職員と著名な弁護士のダビッド・ヴォイエスDavid Boies氏(写真左6)やアメリカンインターナショナルグループAmerican International Groupの元代表のモーリス・グリーンバーグMaurice Greenberg氏(写真左6)らが寄付者で、この業界でより多くの資源を持っているナーシングホームです。(ブルーバーグニュースBloomberg Newsの親会社のブルーバーグLP Bloomberg L.P.もこのホームに何年間か寄付している)
性的行為についてのアンケート
ラインゴールド氏(58歳)は、1990年このホームに就職し、父親がCEOでした。まもなく彼は、入居者が定期的に性的行為をしていることに気付きました。1994年、職員は性的行為への自分たちの姿勢に関するアンケート用紙に書きました。すべて性的行為を止めることを希望する人もいれば、おかしいと思う人もいて、また不愉快とみなす人もいました。
ヘブライホームの性的行為に関する同意の指針
ラインゴールド氏は「この指針は職員の個人的な背景を配慮したものです」と述べています。
11人の職員グループは、8カ月かけて方針が書き、職員が性的な接触を見た場合、その理解に及ぼす個人的、宗教的、倫理的などのばらつきを減らすようにしました。
この方針には「一般的に、入居者の性的表現を支援し容易にすることは職員の機能であり責任でもある」と明記されています。
「親密の部屋」
方針では、入居者にプライバーの空間と同時に、本、雑誌、フイルムなどの性的な内容の資料を受ける取る権利があるとしています。ナーシングホームの調査で、プラバシーの無いことが親密な関係にとって主要な障害になっていることがよく指摘されます。ラインゴールド氏は、ホームに1時間レンタルの「親密の部屋」を提供すべきだとある婦人に冗談で話したことを思い出しました。その婦人は「ラインゴールドさん私の年代では1時間以上は必要です」と答えたとのことです。
ヘブライホームの性的表現の方針
ホームの方針は、「入居者が施設外で楽しめるのと同じことを楽しむ権利を基本的に提供する」という連邦政府の法律に合致することも意図されました。ラインゴールド氏は「性的行為は選挙と同様に市民の権利である」と述べています。
さらに指針は、同意のない性的行為や、自慰行為で他人を不愉快にさせる人前で露わにする行為から保護するという規則も含みます。また方針は、ホームが入居者の性的なことについての定期の説明会や研修を行うことも求めています。
職員は、入居者の親密な関係―手を握るだけなのか、性交があるのか、また一方が不快とする兆候はないか―があると知られた入居者を監視することも挙げています。
例えば、食事、睡眠、浴室での行動のなかで中断することがわかれば、看護師が速やかに入居者にその関係が不幸かどうかを問うことにしています。その関係が望まないものであれば、ホームは中断する方法―攻撃的な入居者へのカウンセリングから別の階に移すことなど―を取ることができます。
家族の介入
ヘブライホームは、認知症の人のための250以上のベッドを有しています。ホームのもともとの方針は、こうした人たちの性的な権利を認知すると同時に、入居者で親密な関係があるときは家族が相談を受けることも求めています。職員は、その関係に利益があるとの視点から家族に相談することもあります。もし家族が止めるように要望したら、ホームはそれに従うことにしていました。
しかし今年4月、ホームは、家族の希望は必ずしもすべての事例で尊重する必要ないとする方針に是正しました。基本的に、ホームは入居者の欲求を受けいれるために、認知症の人が同意する能力があること、反対する根拠がないこと、家族との一緒に働きかけることを予測したものとしています。
たとえ施設外で結婚している入居者でも、ある入居者と性的行為がある場合、ホームはそれが健康的であり合意によるものであれば、関係を支援することがでるとしています。
ヘブライホームの性的権利の教育担当のロビン・デッセルRobin Dessel氏(56歳)(写真左7)は「この施設は病院として造られたものでなく、家として造られたものです。入居者の声が何にもまして重要で、すべてを凌ぐ」と述べています。
以前の合意
しかしながら法律学のテネンバウム教授は次のように述べています。
「認知症は進行性疾患なので、職員は以前の合意に基づく関係が悪用されないよう確信できるように配慮すべきです。ナーシングホームでの認知症の人の合意による関係が何時の時点から非合意になるかを決めるのは難しいでしょう」
さらに彼女は「もっと多くのナーシングホームがヘブライホームを見習うべきだ」と述べ、雑誌「インディアナ法律評論」に次のように書いています。
「高齢者介護施設は混乱させないシグナルを提供することができます。例えば、性感染症の拡大を抑える、コンドームを着ける、膣潤滑剤やバイアグラを使う、入居者が身体的にも性的にも魅力的になるような美容院や化粧サービスを提供するなどです。
ヘブライホームに最近訪れたら、入居者で80歳代のヘルゾグ氏は、赤い口紅と金のバングルを付けてかわいらしく見えました。彼女は「人生で特別な人がほしい。誰かが叩いてほしい。誰かが手と握ってほしい。歳を何ものについても障害とすべきではない」と話していました。
寄稿者:ブライアン・グルレイBryan Gruley氏(写真右下)は1957年生まれでピュリッアー賞を受賞したジャーナリスト。
Bloomberg Jul 23, 2013  Sex in Geriatrics Sets Hebrew Home Apart in Elderly Care
サイト内関連記事:「ナーシングホームに認知症のベビーブーマーの性の予兆(2013年7月22日)

ナーシングホームに認知症のベビーブーマーの性の予兆(7月22日/アメリカ)
2009年、クリスマスの日の午後8時半、アイオワ州コーラルビルCoralvilleにあるナーシングホーム「ウインドミルメナー(風車の館)Windmill Manor」(写真右)で、看護師のティファニー・グーレイTiffany Gourley氏は部屋に呼ばれました。その部屋で彼女は、78歳の男性入居者が87歳の女性入居者と性交をしているのを見たのです。男性は、元大学教授で離婚しており、女性は退職した元秘書で結婚していました。二人とも認知症でした。
この後の話は、ベビーブーマー世代が高齢期に入るに際して、高齢者介護施設が直面する最も複雑で検討されてはない課題の一つを明らかにしています。これは認知症の入居者がセックスに同意する知的能力を持っているかをどのように決めるかという課題でもあります。
ウインドミルメノーの出来事とその長期にわたる影響は、ナーシングホーム、管理、家族がこうした疑問に応える準備ができていないことを示しています。
その時ナーシングホームの所長であったレーン・エッターKaren Etter氏「そのことで私の人生を台無しです」と述べています。
彼女は解雇されたのです。
同じくナーシングホームの管理者であったスチーブ・ドロボトSteve Drobot氏も「それは私が経験したなかで最も難しいことでした」と述べています。
彼もまた、解雇され人生を台無しにしたのです。
グレーな分野―加齢の痛み―
高齢者、とくにアルツハイマー病など認知症の高齢者のセックスは、全国1万6000カ所の高齢者介護施設の多くがほとんど無視できてきた課題です。ベビーブーマーたちが高齢者になり、その多くが1960年代のセックス革命のなかで育った人たちであることからして、もっとも多くの施設や家族が、ウインドミルメナーで生じたような法的、倫理的またモラルの問題に直面することになるでしょう。
産業の成長
アメリカ統計局Census Bureauによると、アメリカの65歳以上の高齢者は4000万人以上です。1946年から1964年の間に生まれたベビーブーマーは、2011年に高齢者の仲間に入り始めました。調査会社「IBISWorld」によると、この人口の移行によって、アメリカのナーシングホームの1206億ドル産業は年平均3.6%の成長を支え、2018年までに1440億ドル産業になるでしょう。この成長はメディケアやメディケイドの償還の減額や在宅サービスの利用の増加がなければ、さらに増額するでしょう。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationによると、アメリカには500万人以上のアルツハイマー病の人がいます。医学的革新がなければ、65歳以上のアルツハイマー病の人は2025年までに710万に増加すると同協会は予測しています。
人間的なふれあい
人間的な欲求は加齢とともに消えることはありません。医学雑誌「New England Journal of Medicine」に2007年掲載された研究によると、65歳から74歳までの人の53%が、また75歳から85歳の人の26%が性的活動をしていると報告しました。性的活動とは、キスなどの性的接触、愛撫あるいは相手との性交です。性的活動のある高齢者の半数は、1か月に2から3回の性交をしていると報告しました。この割合は、性的に自由で、長く生き、バイアグラなどの薬を利用しやすい世代の高齢者で増えるようです。認知症の人にとって、親密さとセックスは、家族や友人の理解が次第に無くなるため、安らぎとなるのです。アルツハイマー病の人では、ふれあいは衰える機能の最後に残る感覚なのです。
アルツハイマー病協会の選挙人部副部長のベス・カルマイアーBeth Kallmyer氏(写真左2)は「アルツハイマー病の最期の段階にある人にマッサージや足治療をすることで反応が得られる」と述べています。
高齢化するベビーブーマー
高齢者介護施設は既に、ベビーブーマーが退職するに従いセックスの関連した変化に直面しています。「疾病管理予防センターCenters for Disease Control and Prevention」によると、2010年から2011年の間に55歳以上の人でクラミジアや淋病の有病率が、まだわずかとはいえ、増えています。HIVあるいはエイズの高齢者の数は、若い世代が高齢になるにしたがい多くなるようです。
ナーシングホームは、被害者のあきらかな同意がないレイプの事例について長く取り組んできました。認知症の人の間でのセックスは、もっと微妙な問題を生じさせます。施設の職員が当局に虐待の可能性のある事例として報告すべきかどうかを判断が困難なのです。報告された多くの事例は、施設や入居者が、州政府と連邦政府のプライバシーの基準に沿って匿名にすることが多いのです。
ウインドミルメナーで起きた話は、関係者からの聞き取りとアイオワ州の取締官や判事が所持する数多くの記録から作られました。ブルームバーグニュースBloomberg Newsは、当人とその家族のプライバシーを尊重して、男性と女性の名前は伏せています。
ウインドミルメナーは、平屋で赤レンガの建物で、アイオワ市の郊外のコーラルビルのインターステイト80号線Interstate 80を見下ろす丘の上にあります。120床のホームは、イリノイ州とネバダ州でナーシングホームを経営しているイリノイ州ガレスバーグGalesburgに在る「RFMS」の一部である「アイオワ・レジテンシャルオールターナティブResidential Alternatives of Iowa」の所有です。ウインドミルメナーの現在の管理者であるスタシー・クレミーンズStacey Cremeens氏は、この語のコメントを断りました。RFMSの職員も面接の要請に応じませんでした。
介護の上司
2000年11月当時、ドロボト氏(51歳)は、ほぼ1年間、ウインドミルメナーの管理者でした。華奢で率直に語るこの男性は、髭をきれにカットし薄いグレーの髪を伸ばしていました。1993年に高齢者の介護施設で仕事を始めました。
今年の5月、アイオワでのインタビューで彼は「率直に言って、高齢者相手の日々の仕事が好きでした。彼らは語るべき偉大な物語を持っているのです」と述べています。
アイオワナーシングホーム監督官局Iowa Board of Nursing Home Administrators―実質の管理組織―への証言なのかで、ドロボト氏とウインドミルメナーで仕事をしていた3人の職員は、介護の困難な仕事でのボスとして称賛しています。彼は食堂で手助けをし、個人的に入居者のコールに応えていました。
元所長のエッター氏も「素晴らしい人です」と述べています。
登録看護師
エッター氏は、1991年に彼女の最初の結婚が終わるのに促されキャリアーを転換して登録看護師になりました。 その後、イリノイ州からアイオワ州に転居し、アルツハイマー病の父親の介護をし、2008年7月、このナーシングホームの所長に就職しました。
彼女は、直ぐに真面目なボスとして評判を得ました。何人かの看護師は州の監督官に「エッター氏は私たちに、ドロボト氏に初めて報告する前に、州の事務官に入居者のいかなる事件を報告することがあれば解雇されると注意した」と報告しています。
エッター氏はインタビューで「ナーシングホームの指揮系統を強化してい」と述べています。
2009年11月17日の午前3半、看護師のスターラ・ウイーロックStarla Wheelock氏は、ウンドミルメナーの認知症ユニットにある女性の寝室をチェックしました。州の監督官の記録によれば、婦人とホールの反対側にある部屋の男性とが、ベッドで話し、腰から下は裸でした。看護師が男性に衣類を着て部屋に戻るように要請したら、その婦人は驚いていました。
状況は、本当に驚くといったようなことではなかったのです。男性が前の週に入居してから、二人は仲がよく、手を握って話をしていました。認知症ユニットの受け持ちは、監督官に「二人は互いに自然と引き寄せられたのです。婦人は男性を自分の夫の名前で呼んでいました。彼が居ることで穏やかでした」と述べています。
性的に強引な人
男性は、退職した大学教授でかつ著述家であり、アイオワ大学のスポーツが好きでした。認知症と結腸がんと関節炎を患っていました。州の記録によれば、州は彼を「性的に強引な人」と呼んでいます。 エッター氏は彼を「夫人たちの男」と呼び、「彼が不適切な人間とは思ったことがありません。とても優しいのです」と述べています。
さらに彼女は「彼の家族―2人の娘と3人の息子を含む―は、ウンドミルメナーに彼が居ることを好んでいました。訪問するのに便利なのです」と述べています。
婦人は元学校の地域担当事務官で、庭が好きでした。彼女は、2009年初め、ウンドミルメナーに入居しました。エッター氏によると、夫は近くに住み、59歳の息子は彼女の後見人で夫より頻繁に訪問していました。
婦人の認知症の人は男性より重度でした。州の記録によれば、彼女の「行動上の問題」は、身体的攻撃性、叫び、服薬拒否、職員を叩くといったことでした。看護師によって改められた介護計画は、話したりオレオクッキーOreoを食べてもらって穏やかにしようとするものでした。
あたりまえのニーズ
11月の事件の日、エッター氏は、ドロボト氏に事件を報告し、そののち男性の娘さんと婦人の息子さんに電話して事件を伝えました。 娘さんは、父親が施設から放り出されるのではとないかと心配しました。エッター氏は娘さんに「性的な出会いは『あたりまえの人間的ニーズ』で、退所させる予定はない」と話しました。
アイオワ州の法律では、ナーシングホームは、身体的または性的な虐待の疑いがある事例を州の査察訴追局Department of Inspections and Appealsに報告することを要請しています。ウンドミルメナーは、同様の明文化した方針を持っています。今回の場合、そうした通報は行われませんでした。強制された証拠も、二人が本当に性行為をしたとの証拠もないと彼女が結論づけたからです。
にもかかわらず、ウンドミルメナーは、15分ごとにチェックするなどして男性の行動を妨げる方法と取りました。エッター氏は次のように述べています。
「定期的なチェックは1週間後に止めました。実施するに十分な職員がいなかったのです。看護師らは、入居者の性に対応できるための多くの研修―行われたとしたら―を受けていません。この11月の事件の後、2,3回の研修が行われました。
研修を受けてない介護職
多くの高齢者介護施設に勤務している老年精神科医のアンドリュー・ローゼンスウエッグAndrew Rosenzweig医師(写真左3)は「こうした研修の不足は一般的です。研修と受けてない介護職は、自分たちの宗教や倫理や個人的な信念に頼る傾向がある」と述べています。
2012年に行ったカンサス州立大学Kansas State Universityの二人の研究者によると、ナーシングホームの入居者のセックスは満たされないニーズの表れというよりは行動上の問題と見なれることが多のです。
アメリカンヘルスケア協会American Health Care Association(AHCA)―企業団体―の広報担当者グレグ・クリストGreg Crist氏(写真左4)は「私どもの団体は、高齢者の性に対応した公的な研修やガイドラインはありません。個々の施設に事例ごとに入居者の権利やニーズを尊重するように任せている」と述べています。
ニューヨークのウエイルコーネル医科大学Weill Cornell Medical Collegeのマーク・ラックスMark Lachs教授(写真左5)は「施設は、メディケイドの削減のなかで基本的サービスを提供することに努め、セックスについては、多分、基本的なサービスのリストには載っていないのでしょう」と述べています。
性にふける
アイオワ州ナーシングホーム監督局の記録によると、クリスマスの夕方早くに、二人の看護師がグーレイ氏に会って、男性と婦人が 男性の部屋で性交にふけっていたと報告しました。二人の看護師-記録には名前が記載されてない―は「男性は勃起し、婦人の背後に立っていました。婦人はベッドの上で真っ裸でした」と述べています。一人の看護師は、その男性のことを「町に行く」と表現しています。グーレイ氏が男性の部屋に入ると、男性がパンツを挙げているのが見えました。グールレイ氏はもう一人の看護師と、婦人を部屋から出そうとすると、その婦人は大声をあげて二人を叩いたり蹴ったりしました。
グールレイ氏は婦人の身体を調べたところ、膣にあたりが発赤していて下肢にはあざがありました。彼女は自宅に居たエッター氏に電話をし、さらにエッター氏はドロボト氏と管理者に電話をし、その後、男性と婦人のそれぞれの家族に連絡を取りました。
双方の合意
エッター氏は、婦人の息子にお母さんが性的交渉をしたことを話し、病院で検査を希望するかどうか尋ねました。息子が州の聴聞で述べたことによると、「二人双方のセックスの合意」だと考え、検査に同意がする気持ちになりました。息子は、父親に何が起きたかを話してはいません。
またエッター氏は男性の娘に「通常業務の記録によると、その男性と母親と再び裸でいるところが見られた」と伝えました。
このためドロボト氏は、州の監察官に報告することを決めました。その時まで彼は、そうした決断に直面したことはありませんでした。認知症の二人がセックスをしたことはほとんど疑問がないので、ドロボト氏-保健管理と社会学を修了している―は、二人が性交渉に同意する能力があるかの判断をしなければなりません。身体的外傷や他の入居者の安全に恐れがなければ、同意のうえの性交渉については報告を求められてはいません。
連邦政府と州政府は、高齢者介護施設が入居者のプライバシーと安全の権利を尊重することを求めています。アイオワなど18州では、結婚している夫婦が部屋を共有したり夫婦としての面会は法的権利として認めています。ミネソタ大学University of Minnesotaの「介護資源センターLong Term Care Resource Center 」によれば、コロラド州は、二人が結婚することを契約上に明記しないで合意に基づく個人的な活動を容認するまでになっています。
決定能力
AHCAの広報担当クリスト氏は「多くの施設では概して 入居者が施設外で何をしようが、他人の権利や安全に関わることがなければ、そのことは容認される権利があると信じている」と述べています。
いくつかの施設―ニューヨークのリヴァデールヘブライホームHebrew Home at Riverdaleのような―は、認知症の入居者がセックスに関して決定能力があると想定しています。870人が暮らすこの施設は、1995年以降、性的表現に関する明文化した方針を持っています。
この施設で性的権利教育担当者のロビン・デッセルRobin Dessel氏は次のように述べています。
「はい、私たちは時々、ソロモンの決定Solomon’s decisions(訳注:賢明な決定)をする必要がありますが、入居者が望む側に立って失敗する必要もあるのです。関係性は総じて個人的な心の問題なのです」
指針はいろいろ
ラックス氏によれば、決定がどのように行うかの法律や指針―かりに在るところで―はさまざまで、彼は「それぞれの事例を個別的に扱わなければならないことにもよる」と述べています。
認知症の人は自分の不動産を分けるほどの頭のよさには欠けていますが、性的に関わることは決定できるでしょう。これについてラックス氏は「『この人とセックスしたいですか』という問いかけには、ほんのわずかの能力が必要なだけだと人は考える」と述べています。
テキサス州のプレイノに在る会社「ゴールデンリビングGolden Living」は、全国に300以上のナーシングホームを運営していますが、その会社で質に関する全国責任者であるエド・マックマーホンEd McMahon氏(写真左6)は「認知症、とくにアルツハイマー型では、連続性が常に変化します。夕方より朝の方が頭の働きはよい」と述べています。
無傷
州の資料を読んでからドロボト氏は、クリスマスの出来事を報告する必要はなかったと結論づけました。怪我もなければ強要の証拠もなかったからです。さらに州の記録から判断して、彼は、婦人が積極的であり、気乗りしなければ自分のことを十分に主張できましたとみなしたのです。
アイオワ病院診療所大学University of Iowa Hospitals and Clinicsで老年医学の専門家であるマーゴ・シッリングMargo Schilling医師(写真左7)は、クリスマスの出来事についてはウンドミルメナーの外部助言者として義務の一部として考察しました。彼女は、今回の物語についてインタビューを受ける気になったのですが、精神科医にも相談したうえ、州の資料から認知症の人は同意する能力がまだあり、二人の関係は「オーケー」だったとみなしています。
ドロボト氏は今回の事件を報告しませんでした。ウンドミルメナーは二人のその後の性的接触を避ける手段を取りました。それは、二人を離し、男性の性的衝動を抑えるための薬を処方したことです。これ以上の性的な出来事の記録はありません。
2010年初め、州の査察訴追局の査察官はウンドミルメナーの別の二つの懸案を聴取したので取り調べを行いました。査察官は、約2週間ドロボト氏と彼の部下から聞き取りました。
退所させられた入居者
翌年5月12日、査察訴追局の事務官は、ドロボト氏を呼び、次のように告げました。
「婦人を男性から守ることができなかったので、ウンドミルメナーは入居者の介護に不適格として『緊急の危機状態』にあり、入居はメディケアやメディケイドで認められません」
ウンドミルメナーの収入のほとんどは政府の制度によるため、これは施設が死ぬ恐れを意味しました。
直ちに施設は、男性を退所させました。5月17日、男性はウンドミルメナーを退所し、別の施設に移りました。州の記録によると、娘の一人は泣いていました。今も父親に訪問するためほとんど2時間かけて運転しなければならないからです。
一週間以内にドロボト氏とエッター氏は解雇されました。その理由は公にされていません。6週間後、査察訴追局は、婦人が「性的に犯され」、ウンドミルメナーはその報告をしなかったと結論づけ、4万7000ドルの罰金を科しました。その後施設は、不正行為を認めないで1万4500ドル支払うことで同意しました。
訴訟の記録
婦人は2010年9月に別の施設で死亡しました。死の数時間前、息子は父親に初めてクリスマスの出来事を話しました。2011年の婦人の家族の訴訟記録によると、夫は妻に「あなたを許します。何もしなかった」と語ったのです。
訴訟文によると、婦人はレイプされ、エッター氏とウンドミルメナーと関連会社のFFMSに責任があるとされました。被告側の弁護士は、婦人は自らの意思でセックスに関わったと反論しました。
1年以上のこの事例の論争は、レイプがあったのかどうかではなく、RFMSに責任があるかについてのものでした。このたび両方の弁護士に問いましたが、コメントを拒みました。
男性は2010年12月に亡くなりました。
免許取り消し
2012年エッター氏は、レイプ訴訟の被告人であるとして解任されました。その時までに彼女は、レンタルの車と家を無くしました。アイオワ州看護局Iowa Board of Nursingは、彼女の看護師免許証を取り消し、ウンドミルメナーで男性と婦人に適切なケアを提供してなかったと結論付けました。またその当局は、彼女が性に関わる出来事を施設の記録に、また家族に正確に報告していないことを確かめたのです。これとは別に、エッター氏は、州の査察に介入した罪については無罪とされました。
彼女は次のように述べています。
「看護師として20年間勤務してきた私ですが、うつ状態のためアイオワ州の今後の免許について意見を述べる場には出ませんでした。整髪も化粧もしません。すべてが崩れるように感じました。州のすべての法律や規則に従って、私は二人が性的関係を強要されたとは思っていません」
現在、彼女は自宅の外で子供向けのデイケアを運営していますが、「高齢の入居者が居なくて寂しい。二人が新しい人生を送っていたということを忘れます。不幸にも、彼らがあるべき尊厳をもって扱われたとは思っていません」と述べています。
貶された感情
ドロボト氏がウンドミルメナーを去ってから10か月後、彼は同じ州のシーダーラピズCedar Rapidsにある介護付き住宅に勤めました。その前に彼は、アイオワ州のナーシングホーム監督局からウンドミルメナーでの性的事件に関連した専門性の欠落、無視および、違反の責任が問われ、2012年6月にその地を去りました。彼が告訴されたことは地方紙に載りましたが、彼は「公に貶されたと感じた」と述べています。
ドロボト氏は、管理者としての免許を失う可能性に直面しました。2012年のほぼ公的な聴聞で、ドロボト氏、数人の看護師、3人の専門家、州の監査官が証言しました。再度、重大な疑問とは婦人が同意する能力があったかどうかというものでした。
監査官とジョン・ドーティJohn Doughty氏(アイオワ州の退役軍人向けナーシングホーム管理者)は「ドロボト氏は11月とクリスマスに遭遇した事を報告すべきでした」と証言しました。私のインタビューのなかで、彼は次のように述べています。
「婦人は自分に何が起こっているかを実感しているとは私は思いません。あるいは相手を夫だと思ったようだと告白しています」
別の二人の専門家はドロボト氏側で証言しました。ロバート・ベンダーRobert Bender医師 (アイオワ州デ・モインDes Moines在住の老年科医)(写真左)は当局に次のように述べています。
「婦人が相手の男性を自分の夫の名前で呼んだかどうかは別にして、自分がセックスを望んでいないかどうかを告げることはできると思います」
さらに医師は私のインタビューで次のように述べています。
「高齢者の性的なことすべてのことは、私たちがもっと多く学ぶ必要がある分野です。人が自然な方法で自分を表現するときにそれを非難するべきだとは思いません」
合意と受益
ニューヨークのアルバニー法科大学Albany Law Schoolの法律学教授、エヴェリン・テネンバウムEvelyn Tenenbaum氏(写真左)は、認知症高齢者の性について論文を書いていますが、ンドミルメナーの事例についてインタビューで「「二人の関係は、二人の幸福への同意と受益のようにみえます。すべての人は、ナーシングホームがその関係を支えるなら利益を受けるでしょう」と述べています。
昨年9月、事件後ほぼ3か月後のことですが、アイオワ州ナーシングホーム局は原則的にドロボト氏を無罪とし、彼はその事件を報告すべきだった、能力がなかったと結論づけることはできなかったとの見解を表明しました。また当局は、セックスが同意であったとする証言により説得力があるとも述べています。そして当局は、ドロボト氏がウンドミルメナーから男性を退所させた手続きは適切でなかったと出頭を命じ、訴訟費用として572.50ドルの支払いが命じられました。
その2か月後、婦人の家族はレイプ訴訟で示談をしました。条件は明らかにされていません。
現在、ドロボト氏はアイオワ州の子供ケアセンターの管理者です。5月に訪ねた時、「ファインディングネモ“Finding Nemo”」というアニメ映画が、色とりどりのおもちゃで一杯の待合室のテレビで放映されていました。ドロボト氏は、エッター氏と同様、「高齢者と仕事ができなくて寂しい」と述べ、さらに「多分、人生が思いがけないことで展開した人たちに同情したい」とも述べています。
合意と受益
ニューヨークのアルバニー法科大学Albany Law Schoolの法律学教授、エヴェリン・テネンバウムEvelyn Tenenbaum氏(写真左)は、認知症高齢者の性について論文を書いていますが、ンドミルメナーの事例についてインタビューで「「二人の関係は、二人の幸福への同意と受益のようにみえます。すべての人は、ナーシングホームがその関係を支えるなら利益を受けるでしょう」と述べています。
昨年9月、事件後ほぼ3か月後のことですが、アイオワ州ナーシングホーム局は原則的にドロボト氏を無罪とし、彼はその事件を報告すべきだった、能力がなかったと結論づけることはできなかったとの見解を表明しました。また当局は、セックスが同意であったとする証言により説得力があるとも述べています。そして当局は、ドロボト氏がウンドミルメナーから男性を退所させた手続きは適切でなかったと出頭を命じ、訴訟費用として572.50ドルの支払いが命じられました。
その2か月後、婦人の家族はレイプ訴訟で示談をしました。条件は明らかにされていません。
現在、ドロボト氏はアイオワ州の子供ケアセンターの管理者です。5月に訪ねた時、「ファインディングネモ“Finding Nemo”」というアニメ映画が、色とりどりのおもちゃで一杯の待合室のテレビで放映されていました。ドロボト氏は、エッター氏と同様、「高齢者と仕事ができなくて寂しい」と述べ、さらに「多分、人生が思いがけないことで展開した人たちに同情したい」とも述べています。
Bloomberg Jul 22, 2013 Boomer Sex With Dementia Foreshadowed in Nursing Home)
寄稿者:ブライアン・グルレイBryan Gruley氏(写真左1)は1957年生まれで。ピュリッアー賞を受賞したジャーナリスト。
関連資料:A Study of Sexuality and Health among Older Adults in the United States(N Engl J Med. 2007 August 23; 357(8): 762-774)
関連記事:Sex in Geriatrics Sets Hebrew Home Apart in Elderly Care(Jul 23, 2013 Bloomberg)
関連記事(翻訳):業界の常識破る高齢者ケアセンター(2013.8.7 Sankeibiz)
編者:紹介記事は認知症と性に関する重要な指摘と提言のある長文で、関連記事のあり、すべてを訳すのに時間がかかり、順次訳して紹介した。なお7月22日のブルームバーグ日本語版に「セックス革命生きた世代に増える認知症-高齢化進む米国」と題する抜粋記事は抜粋で要約ではなく、意図不明の記事で誤解を招きかねない。

「オランダの「認知症村」に見る介護の最先端」(7月21日/オランダ)
オランダ・ウェースプ(CNN) 「カウンターの向こうにいたのが彼女だった。一目で恋に落ちた」。テオ・フィセルさんは、サッカー競技場の売店で店員をしていた妻、コリーさんと出会った時のことを振り返って目を細める。
あれから58年。コリーさんに当時の記憶はない。もし覚えていたとしても、それを口にすることはできない。コリーさんは今、最先端のケアで知られるオランダ・アムステルダム郊外の介護施設「ホフヴェイ」で暮らす。
別名「認知症の村」とも呼ばれるホフヴェイでは152人が生活している。一見ごく普通に暮らしているように見えるが、実際には職員が24時間態勢で見守る。施設内にある飲食店、食料品店、美容院、劇場など運営するのも介護職員だ。
入居者は、街路樹に彩られ、噴水やベンチのある公園のような敷地内を自由に散策できる。ただ、外部とは2階建ての居住棟で仕切られており、外に出ることはできない。出口に近づく入居者がいると、職員が丁寧に声をかけて別の場所へ誘導する。
入居にかかる費用はほかの24時間介護付きの施設に比べて大幅に安く、家族にかかっていた多大な負担やストレスも軽減される。
コリーさんは重度の認知症と診断され、24時間態勢の見守りと支援を必要とする。そうした診断を受けることが、ホフヴェイに入居するための条件となる。
夫のテオさんと娘は、介護の負担を背負い切れなくなり、コリーさんを入居させることにした。「妻にとってこれ以上の場所はない。100%素晴らしい」と話すテオさんは、毎日15キロの距離を通ってきて、何時間も一緒に過ごす。
互いに話はできなくても、一緒に座って手をつなぎ、視線を交わす。コリーさんは笑ったりしてくれることもある。自分が暮らしている場所がどこか分かっていなくても、常に安心して過ごせているという。
ホフヴェイ創設者の1人、イボンヌ・ファンアメロンヘンさん(写真左)はかつて、老人ホームの経営にかかわっていながら、自分の親はそうした施設に入れたくないと思っていたという。
1992年11月、どうすれば老人ホームをもっと快適な生活の場にできるかを同僚と話し合った。
そして2009年に完成した施設は、1.5ヘクタールの敷地に住居棟23棟を配し、それぞれ工芸、文化、宗教、都会暮らしなどライフスタイルに沿った7つのテーマで区切った。
アートをテーマにした居住区では壁に絵画が描かれ、常に音楽が流れる。宗教がテーマの居住区は落ち着いたたたずまいで、壁に十字架がかけられている。
目標は単純だ。個々の入居者のそれまでのライフスタイルを大切にしながら、できる限り普通の生活をしてもらうことにある。
世界保健機関(WHO)によると、認知症をもつ人は世界で3560万人に上り、毎年770万人が新たに認知症と診断される。このペースでいくと、認知症の人の数は2030年までに2倍、2050年までに3倍になる見通しだ。
ホフヴェイの革新的な取り組みには、日本やドイツ、英国、スイスの専門家も注目する。ファンアメロンヘン氏は「個人を大切にし、普通の生活をサポートするというコンセプトはどこでも実行できる」と指摘する。
ホフヴェイの入居者は医薬品の量が少なくなって食欲が増し、寿命も長くなる傾向がある。数字に表すのは難しいが、その表情は生き生きとして見える。
CNN Japan  2013.07.21 原文のまま
関連情報:Verpleeghuis Hogewey
サイト内関連記事:オランダの「認知症ヴィレッジ」がスイスに導入予定(2012年1月21日)
編者:オランダの認知症村がアメリカでも関心を高めているようだ。費用が安いのも関心の理由か。

★ミャンマーのメイドが認知症高齢者へ虐待の罪で服役(7月20日/シンガポール)
ミャンマー人の家事労働者は、雇用者の認知症の母親に危害を加えたとして4週間の拘置されました。
ナウ・トエ・トエ・マルNaw Toe Toe Mar氏(26歳)は、今年の5月16日、テク・ワイエ通りTeck Whye Avenueの公団住宅で77歳のロー・キン・スーLoh Kin Soo氏を引きずり回し、頭を壁に押さえつけ、傷を負わせたことを認めました。また彼女は、手で何度も頭や背中を叩いたことも認めました。
治安判事裁判所は、メイドが約1年間雇用者のために働き、仕事の一部が被害者の世話であったことを知りました。
雇用者のエディウイナ・チャン・ルースEdwina Chan Ruth氏(45歳)は、昨年の7月以降、母親の身体じゅうにあざを認め、メイドに聞くと、どのようにして傷が出来たか知らないと答え、母親も進行した認知症で思い出せません。
このためチャン氏は、ビデオカメラを居間に取り付け、有線テレビの画像で虐待の場面を把握したのです。
thestar July 20, 2013 Maid jailed for abusing boss' mum who suffers from dementia
参考情報
「抵抗のストラティジー ―シンガポールの家庭で就労する外国人家事労働者―」 上野加代子(徳島大学)(pdf500K)
Singapore: Domestic Workers to Get Weekly Day of Rest(HRW March 6, 2012)
編者:シンガポールでは介護を含めた家事はかなり外国人労働者に支えられている。編者がシンガポールの認知症介護施設を見学したとき、ミャンマーからの出稼ぎ労働者が介護を担っているのを見た。彼女らの労働環境―特に密室になりやすい家事労働―の劣悪さが問題視される。

認知症の人の介護者を支援するネットワーク構築と有効性の評価の試み(7月14日/アメリカ)
ジョン・ファビアーノJohn Fabiano氏(67歳)の一家の女性家長で彼の叔母にあたるメアリー・ファビアーノMary Fabiano氏(87歳)は、たわいもなく笑っていますが、彼女は、時々、もの忘れをしますが、血管性認知症による短期記憶障害だと彼は知っています。
叔母の主たる介護者である彼は、ボストン郊外のウォーザンWalthamに住んでいますが、アルツハイマー病など認知症の人の推定1500万人のアメリカの介護者に多い恐れと負担に直面しています。しかし、彼は、他の多くの介護者より認知症に伴う困難な時へよりよく準備しようとしています。これは、彼が加入する医療保険会社「タフツヘルスプランTufts Health Plan」とアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationによる拡大型支援ネットワークのおかげです。
ボストンの三つの医療機関―ボストン退役軍人医療センターBoston Veterans Affairs Medical Center、ボストン医療センターBoston Medical Centerおよびベスイスラエスディアコノス医療センターBeth Israel Deaconess Medical Centerは、現在、家族にどのようなより多くの地域支援活動が認知症の人にも介護者にも幸せを向上させるかについて調査しています。
ファビーノ家の人たちは、加入する保険会社の実験計画に参加しました。この計画は、今年6月により広範囲に呼び掛けられましたが、アルツハイマー病協会のソーシャルワーカーの支援を得ながら定期的な診察を受けるものです。彼らはファビーノ氏に2,3か月に1回、電話し、その後、叔母が診察と助言を受けます。
ボストン大学アルツハイマー病センターBoston University’s Alzheimer’s Disease Centerの神経科教授で今回の研究を指導するアンドリュー・バドソンAndrew Budson医師(写真左上)は次のように述べています。
「介護者は、通常、電話相談の番号を教えられ、医師は度々支援グループで意見を述べます。ちょっとした努力で大きな違いが生まれることもあります。研究対象の人たちの半数はより高いレベルのケアが受けられます。アルツハイマー病協会のソーシャルワーカーは、最初の診察の後に介護者に電話し、定期的な訪問の日付を決めます。そのワーカーは、診察の間に医師とコミュニケーションをとります。こうして介護者を取り巻くより広い支援ネットワークの構築を支援します」
さらにバドソン医師は、次のように述べています。
「介護者の80%になんらかの支援が必要で、病気についてより専門的な知識を持った人たちや介護者自身の知的あるいは情緒的な健康のための支援が必要なのです。しかし2,30分の診察では、医師が介護者に自身を支援し、今後の問題すべてについて準備するための時間を多くはとれません」
こうした資源が今後の準備に役立ったファビアーノ氏は次のように述べています。
います。
「どこで方向転換すべきかわかりません。私たちが『正常』とよぶ状態に叔母がある時、私たちは彼女とつながっておりすべてがよいと感じます。しかし全く突然に、現実離れした叔母の話を聞くことにもあります。ソーシャルワーカーが定期的に関わってくれることを知って安心です」
3つの医療機関が実施する今回の研究によると、医師は患者や介護者をアルツハイマー病協会の支援サービスに紹介することを依頼しています。
今後4年間、バドソンのチームも、介護者と一緒になって認知症の人が、追加的な支援でどのようになるかを、また介護者自身が個人的にどのようであるかをチェックします。こうした追加的なケアを受けるグループとこれまでの通常のケアを受けるグループとが比較されるのです。
タフツヘルスプランの医務部長のポール・カズバPaul Kasuba医師(写真左下)は「会社のプログラムは、ケアを改善することに加え、費用軽減も意図しています。軽減を証明するデータはまだない」と述べています。
またバドソン医師は「介護者の多くは支援ネットワークが必要です。できるだけ多くのネットワークが必要です。認知症の人を一人で介護することは難しい、本当は不可能です」
Boston Globe July 14, 2013 Trying to ease dementia caregivers’ burden )
編者:公的介護制度がないアメリカでは、こうして地域的な支援体制を作る動きがある。しかもただ体制を作るのではなく、予定体制を試験的に実施し―対象試験で?―、その有効性や費用効果などを証明して保険会社と医療グループとがより質の高い商品を売り出そうとしている。

★急性期病院のスタッフ研修に認知症は必須(7月12日/イギリス)
認知症患者の急性期医療の質については引き続き問題があるとイギリス監査局National Audit Officeが明らかにした後、指導的な学識経験者らは、すべての病院のスタッフに認知症啓発のための義務としての研修を受けるべきと提言しています。
第2回認知症監査National Audit of Dementiaの報告書は、イングランドとウエールズで入院患者の4分の1が認知症であるが、10病院の1つ病院でしか看護師や医療補助者への認知症研修を行っていないことを明らかにしました。
さらに、病院の40%は、その他の補助スタッフに認知症啓発のための研修を行っていません。また病院の41%は、新人研修プログラムに認知症を含めていません。
認知症監査作業部会National Audit of Dementia Steering Groupの議長であるピーター・クロームPeter Crome教授(写真左上)は次のように述べています。
「病院の経営陣は、典型的な患者が、若くて短期間の入院患者ではなく、老いて複雑な健康問題を持っていることを認めたがらないのです。かれらは、認知症が最重要な研修項目だと認めるのを躊躇しています。本当は行うべきです。転倒防止のように。すべての補助スタッフには、高い研修を受けた医療の最前線のスタッフと認知症について基本的な認識を共有すべきです」
今月12日に公表された監査報告では、200カ所以上の病院の医療構造と5日間以上入院した認知症のある患者8000人ほどの記録を調べました。
2010年~2011年の第1回認知症監査―向神経薬の処方の減少など―の報告後、注目すべき改善がありました。
しかし、今回の新しい報告は、多くの分野でまだ取り組みが必要なことを確認しました。たとえば、病院の35%にあたるわずか3分の1ほどが認知症の人のために「ケアパスcare pathway」を持っているに過ぎないのです。51%以上の病院は開発中と回答しました。
さらに報告書は次のような勧告をしています。
管理者は、認知症専門看護師を「イギリス看護協会Royal College of Nursing」の指針に沿って雇うべきです。その指針では、年間、認知症患者の入院が300件毎に常勤に相当する認知症専門看護師を少なくとも1名置くこととしています。
また監査報告は、譫妄や精神状態に関する評価が注意しなければならないほど低いと指摘しています。
病院のおおよそ半数は、認知症患者あるいは認知障害のある患者を診察時に、譫妄を評価できるような方針や指針を持っていました。しかし症例記録の3分の2にはその評価記録がありませんでした。
またクローム教授は次のように述べています。
「認知症に関する病院の改善はスタッフに患者情報を広めるために必要なのです。医療機関の団体は症例記録に個人情報記録欄にアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyのしおり「これが私です“This is Me”(pdf90K)」や認知症患者と確認できる「蝶々方式“butterfly” scheme」を導入することはとても重要です。また仕事中心に作られている認知症病棟のレイアウトを改め、認知症の人によりスタッフが関われるような急性期病棟で介護施設に似たケアができるようにします。
「国民保健サービス・イングランドNHS England」は声明のなかで「認知症の人の生活を改善するために関わりつづけていますが、まだ、なすべき取り組みがあるとは認識している」と述べています。
さらにスポークスマンは「認知症行動連盟Dementia Action Allianceと共に、目標を達成するため、臨床医、介護者、患者という広範囲のひとたちと取り組んでいる」と述べています。
アルツハイマー病協会が主催しているこの連盟は、認知症ケアの改善に取り組むイギリスの480以上の団体で構成されています。
同協会の政策部長のジョージ・マクナマラGeorge McNamara氏(写真左中)は次のように述べています。
「認知症ケアが病院の重要な優先課題ではないというのにはあきれました。私たちは病院スタッフが自分たちの認知症ケアの知識を高めたいと望んでいることを知っています。そのためには正しい方法と支援と研修が提供される必要があります」
イギリス看護協会の理事長で事務局長のピーター・カーターPeter Carter氏(写真左下)は追加して次のように述べています。
「この報告書は、研修の改善と認知症の啓発のためにもっとすることがあると明確に示しています。しかし研修と啓発だけで十分ではありません。私たちは、この報告書が認知症専門看護師をすべての病院で雇用されるという勧告を支持します。最近の協会の報告によると、認知症専門看護師が入院期間を短縮し、再入院を防ぎ、他のスタッフに教育と指導を実施しています。認知症専門看護師は最重要な優先課題とすべきです」
Nursing Times 12 July, 2013 Dementia should be 'core element' of training for all acute staff)
関連資料:National Audit of Dementia Care in General Hospitals 2012-13 Second Round Audit Report and Update(pdf1.6M)
編者:イギリスで一般病院の認知症ケアのレベルが高めようとする確実な動きがある。わが国はどうなのか、これを議論する資料もない。精神科病院が話題になるだけだ。わが国一般病院での認知症研修は廉価で重要だが、これについてもどれほど実施されているのか実態が不明だ。認知症の妻がけいれんで一般病院の内科病棟に入院して車椅子のしっかりと縛られて、ひどい目にあった。イギリスの認知症専門看護師がどれほどいるか知らないが、日本看護協会の認定看護師(認知症看護)は2013年7月現在で全国に269名居る。なお認知症ケアパスについてはサイト内「認知症辞典」を参照されたい。

認知症の人のための「わすれな草カフェ」オープン(7月10日/イギリス)
ロンドン西部イーリングEalingの地方議会は、初めての認知症カフェを同地区のアクトンに在るマイケルフランダースセンターMichael Flanders Centreに開所しました。
認知症の人と介護者のための新しいカフェは新たな重要なサービスとして歓迎されました。
今月7日、50人ほどの人たち―認知症の人、介護者、家族ら―がセンター内の「わすれな草カフェForget-me-not cafe」に立ち寄りました。
多くの人たちは「多くのサービスが制限されているなかで、家族や介護者が参加できる唯一の場所と感じた」と述べ、スタッフがプロで、優しく、面倒見がよく、誰とでもよく対応していると褒めました。
センターのスタッフとボランティアで運営される認知症カフェは、経験を共有し、友人となり、地域の公的なサービスについて知り、ゆったと世話を受けられる環境で楽しめむ機会を提供することを意図しています。
日中、生演奏、クイズ、ビュッフェ風ランチなどのアクティビティがあります。
議員のパトリシア・ウオーカーPatricia Walker氏(写真右)は、保健・成人サービスの閣僚ですが、次のように述べています。
「今日、認知症の住民と介護者を支援できたことをうれしく思います。認知症は人々は孤独になるもので、こうした催しはとても重要です。住民や家族が情緒的にも実際面でも友好的で社交的な環境のなかで支援されたいものです。将来、このカフェは定期的に開催させるでしょう」
次回の認知症カフェは、8月18日に開催されます。詳しくは電話020 8825 7875まで。
Ealing Gazette Jul 10 2013  Forget-me-not cafe opens for dementia sufferers
編者:右はアイルランドアルツハイマー病協会のロゴ。

★アルツハイマー病薬の市場―2012年~2017―(7月9日/アメリカ)
リポートリンカーReportlinkerは、アルツハイマー病薬の新しい市場調査の報告書を刊行しました。
アルツハイマー病の人は、人口の高齢化に伴い将来増えると予測されています。
この疾患を修飾させる効果的な薬がなく、市場での大きなニーズに応えられない状況があります。
アルツハイマー病の治療はとても高いリスクを伴うが、市場での高い報酬もあります。現在、市場で使われている薬は既に十分に満たされております。主要な薬の特許は期限を過ぎているか、期限近くにあります。現在の応えられないでいるニーズは、新たな治療法に絞って開発している製薬企業にとって大きなチャンスとなっています。成功すれば、企業は最も有利は価格を付けられ、そのチャンスを活用する立場にあるでしょう。
アルツハイマー病薬のパイプライン―開発初期から販売開始までの開発品―は、豊富で、単に症状に対する治療ではなく、疾患を修飾することができる薬を探求する開発が進められています。しかしながら、いくつかのアルツハイマー病薬で臨床試験の最終段階での最近の失敗は、疾患の原因がわからない領域での疾患を修飾する薬の開発の課題を示しています。疾患の原因の不確かさと、個々人で異なる脳の反応という予期しない副作用が伴い薬の開発に大きな課題が示されています。
今回の報告書は、アルツハイマー病治療のもっとも有望なパイプラインを詳細に観察しています。市場では、病気の進行を遅くしたり元に戻す治療については絶望的です。次の5年間―2012年~2017年―に多くの新しい薬が生まれるでしょう。
報告書の範囲
アルツハイマー病薬について病気の進行、市場に出回っている薬と開発中の薬のさまざまな側面を精力的な検討がなされています。各国での病気の拡がりに対する取り組みと消費者の意識を高めることに関連する課題や指導性についても検討されます。
報告書は、二つの薬―アセチールコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤とNMDA受容体拮抗剤―についてその使用、薬の開発を中心とした地域的な動きと地球規模の動きに焦点を当てています。
報告書の重要な目的は、世界の異なる地域での主要な薬とジェネリックおよび新しい薬の開発で起こりうる展開を明示することです。報告書は、アメリカ、ヨーロッパ、日本の市場でのさまざまな歴史的および将来にわたる流れを検討しています。報告書の調査、分析、洞察には、市場でアルツハイマー病診断で使われる診断目的の検査や放射性医薬品の販売に関しては触れていません。
異なる分野、地域、ブランドを通しての市場予測が2017年まで示されています。2011年がその基礎となる年ですが、実際の数値は公的に利用できる情報から分析されています。特別のことがない限り、数値はアメリカドルで示されています。
主要なブランド医薬品、企業、化学製品を十分に考察しながら報告書はさまざまな段階にある臨床試験で開発中の薬についても詳細な情報を提供しています。
主要な見解
1.「世界アルツハイマー病報告書World Alzheimer Report」は、2010年、全世界で3560万の認知症の人が居ると推計しています。さらに、この数値は2030年までに約2倍の6570万人に、2050年までに1億1540万人になると推計しています。このことはアジア諸国でとりわけ顕著です。
2.市場は、二つの分野―AChE阻害剤とMNDA受容体拮抗剤―に分けられます。AChE阻害剤は市場で優位で、総価格は2011年で41億5800万ドルです。
3. 市場全体では、4つの主要なブランド薬―アリセプト、ナメンダ、エクセロン、エビクサ―が優位です。AChE阻害剤であるアリセプトは2011年で全市場の40%以上を占めていました。
4. アメリカは、2011年のアルツハイマー病薬の最大の市場で全世界の市場の34.5%を占めていました。
5. ブランド薬の特許が切れたことで、新しいジェネリックが、既に市場に参入しています。
6. すべての現存する薬はアルツハイマー病の症状に対するものですが、多くの企業は市場に革新的な治療をもたらそうと競合しています。いくつかの薬は、臨床試験の第1相、第2相あるいは第3相にあります。
7.市場での機会の方が革新的な治療が生まれることに伴う危険性を乗り越えています。アルツハイマー病が増え人口が高齢化して、今後、この疾患の負担がさらに増大するでしょう。
PRNewswire  July 9, 2013 Alzheimer's Drugs Market, 2012 - 2017

★イギリスの移民に認知症の陰(7月3日/イギリス)
ジャビール・ブットJabeer Butt氏(写真左上)は思い出しながら次のように述べています。
「母が50歳代の時、私の結婚式に集まった何百人のインドの親族のために母は裏庭で大きなフライパンで料理をしていました。とても強い女性でした。その後、最期までの数十年間ちかく、認知症のため自分を抑えられなくなり、起床の時刻も着る服もひとりで決められなくなりました。何もかも剥ぎ取られたのです」
ブット氏は「人種平等基金Race Equality Foundation」の事務局次長ですが、目に涙を浮べながら、さらに次のように述べています。
「このことでみんなが一緒になると言えればよいのでしょうが、そんなことはありませんでした。非難され『あなたが十分なことをしてない』と言われました。こんなものなのです。家族が経験していることを理解する必要があります」
また彼は、ある論文で「イギリスで今後数十年に認知症の人種的マイノリティ―アイルランド人、インド人、パキスタン人、カリブ系黒人―危機に直面する」と警告しています。
しかし、この危機は特にアイルランド人にとって緊急なことでしょう。彼らは65歳以上の人が3人に1人なのです。インド人でちょうど8%、カリブ系黒人で14%、後から増えた移民のアフリカ系黒人では2から4%です。また移民は、かってのスラム―アイルランド人のキルバーンKilburnやクリックルウッドCricklewoodあるいは南アジア人のイーストロンドンEast London―に住むということはもはやありません。
「ランニーミドトラストRunnymede Trust」のオマール・カーンOmar Khan氏(写真左下)は、次のように述べています。
「3,4年以内に、イギリスに在住する外国生まれの人の5人に4人は都市部で生活すると予測しています。タワーハムレットTower Hamlets(最も移民が多い地区)がしなければならないことがあります。これは残りの5人に1人が暮らす農村地区でも同じことです」
いつものことですが文化的社会的障壁が既に難しくなった状況をさらに悪化させています。アイルランド人は、一人暮らしか、慢性疾患が多いか、その両方です。インド人やパキスタン人や中国人は羞恥心から認知症を隠す家族が多いのです。
あるパキスタン人の介護者は「母は父が認知症であることを受け入れません。父の状態を理解することを拒み、同じ質問―「彼はどうしてそうした行動をとるの?」-を繰り返えす」と述べています。
イギリスの上院・下院House of Commons/ House of Lordsの報告は「南アジアの言語にはdementiaという言葉がない」と論じています。
監察医のシャフィ・パトリShafi Patoli氏は、妻が若年期認知症で、受診を始めると、親族が受診させるのではなく悪霊を取り払うべきだと言って非難されました。カリブ系黒人の間では、dementiaは頻繁に精神的病気と同じ意味でが、さらに悪いことに、あるカリブ系黒人の介護職は「私の地域では、誰かが悪霊を投げ入れるようなことをしたよく聞きました」と述べています。
よくあることですが、どの人種の移民たちも診断が遅れます。一般医師GPに受診することに躊躇します。あるいは、受診しても適切なに治療を受けられないからです。家族は親を介護施設に入れることを考えたくことが多く、どうしてよいか悩みます。
介護について文化的な感受性が最も重要なこととされました。多くの認知症の人は、英語を第2言語として学習していると英語を自由に使えなくなり、アクセントが混乱します。
ある婦人は、家族の最後の数年間のことを思い出して研究者に次のように述べています。
「彼女は毎日泣いていました。終日、居間に居ました。話し相手がいません。職員も利用者もすべて白人でした。彼女は無視されているように感じました。提供される食べ物に合わせなければなりませんでしたが、食べたく物は食べませんでした。ハラール(イスラム教に従って処理した肉)や菜食主義の食べ物は提供されませんでした。こうして痩せいきました」
Irish Times Jul 3, 2013 Dementia casts long shadow over Britain’s immigrants)
編者:認知症についてアメリカでの黒人やヒスパニックへの取り組みは聞くが、イギリスでは取り組みはどうなのだろう。この紹介記事のように遅れているのだろうか?移民の食習慣に相応しい食事が提供されないとは信じがたい。

最新版「国家アルツハイマー病計画」(6月30日/アメリカ)
国家アルツハイマー病計画National Alzheimer's Plan」は、2012年5月に公表されましたが、これは2010年の連邦議会で満場一致の超党派的に採択された「国家アルツハイマー病プロジェクト法National Alzheimer's Project Act」に沿ったものです。
「アルツハイマー病協会Alzheimer's Association」のCEOであるハリー・ジョンズHarry Johns氏写真左上)は次のように述べています。
「アルツハイマー病協会は保健社会福祉省Department of Health and Human Services:HHSのキャサリーン・セベリウスKathleen Sebelius長官(写真左下)が計画を強力に実現するために継続的に作業していることを称賛します。連邦議会が要請したこの計画は、結果をもたらすことができます。現在、議会は、アルツハイマー病の戦いのため大統領の2014年会計年度の予算に含まれる追加の1億ドルを含めてリーダーシップを持続けれなければなりません」
2013年の新しい計画の詳細は以下のとおり。
○2025年までにアルツハイマー病の予防と効果的治療の目標を達しやすくするために重要な中間の目標を作る
○プライマリー医療を提供している専門職への定まったアルツハイマー病研修教育課程を改善する
○進行した認知症に関する専門家会議を開催し、アルツハイマー病の末期にある人たちの特異的で応えられていないニーズについて点検する
○一般の人たちの努力に沿ってアルツハイマー病の啓発を進め、アルツハイマー病の人と介護者に利用できる資源に繋げる
行動過程
計画の最新版には研究、介護、サービスの分野での新しい目標と達成された進歩の総括が含まれます。最新版の計画で注目すべき点は、HHSと協力団体の以下のように追加された行動過程が含まれることです
○高齢者の虐待や無視を見つけ、対応するようにさらに努力します。これにはアルツハイマー病によって影響を受けた家族や地域を支援する合法的支援グループの開拓支援への非公開される補助金が含まれます
○「認知症対応ツールDementia Capability Toolkit」(拡大版)を改善し地域での認知症サービスの提供を支える。
成果
2013年の最新版計画には以下のように昨年、実施したことの評価も含まれます。
○国立加齢研究所National Institute on Aging (NIA)と連携して「国際アルツハイマー病研究ポートフォリオInternational Alzheimer's Disease Research Portfolio (IADRP)」のデータベースをアルツハイマー病協会が立ち上げた
○国際的協調を推進するという計画の目的に沿って、アルツハイマー病協会とNIAは、2012年7月に開催された「アルツハイマー病協会国際会議Alzheimer's Association International Conference (AAIC)」の会議に共同出資者となった
○世界中の資金提供団体の代表らと定期的な電話会議を招集した
○2013年7月にボストンで開催されるAAICの会議の計画で、引き続き地球規模のアルツハイマー病研究の取り組みをよりよく理解し、資金提供者が計画と連携し、資源を催促し重複を避け新しい連携の機会を確かめた
○アルツハイマー病協会と「疾病管理予防センターCenters for Disease Control and Prevention (CDC)」は、公衆保健上とても重要で不可欠な要素として認知機能の健康を勧めるために一連のロードマップ第2弾を公表する予定である。
ジョン氏は次のように述べています。
「連邦議会は、必要とする資源によってアルツハイマー病への政府の取り組みを加速させ、優先順位を決めることに関わることを知る必要があります。新しい資源なくしては、アルツハイマー病の研究、介護、支援の取り組みは妨害され、何百万人の家族と国家の経済的よい状態を制止させることになるでしょう」
Alzheimer's Weekly June 30, 2013 What's the U.S. Government Doing About Alzheimer's?
編者:国家アルツハイマー病計画が表明されて1年余、まだ成果を論じるには早いが、アルツハイマー病克服の展望が見えにくい。

★バンクーバーはもっと高齢者と認知症の人にやさしくなりそうだ(6月28日/カナダ)
ジム・マンJim Mann氏(写真左上)は、治らない病気になっていとは思われないだろうように語ります。
歩いて話せ、2日前の26日の集まりで市議会に流暢に話していた黒いスーツを着た彼は元気そうにみえました。
その彼は市議会に「でも見かけに騙されることがある」と述べました。
マン氏はアルツハイマー病です。自分の通信会社で働いていた2007年の58歳の時に診断されました。市議会に話をする前、彼がアルツハイマー病であること示す唯一の物は、彼の首の飾り紐です。他人に病気であることを知らせ、我慢してほしいと頼むものです。
さらにマン氏は「診断を受けた時、特にそうした家系でない場合、病気の経験的な知識がないだろうから、ショックでしょう」と述べています。
マン氏は航空関係者としてオッタワに移住する前、バンクーバーで育ちました。
現在、彼はブリティッシュコロンビア州サーレイに住み、26日市役所に移動しました。市の社会政策部長のメアリー・クラーク・ザックMary Clare Zak氏(写真左下)から聞かれた後、彼は議会で話しました。ザック部長は、職員がバンクーバー市をもっと高齢者と認知症の人に優しい街にするために行っていることについて市議員に最新情報を提供しました。
企画の理由は簡単です。2011年、バンクーバーに1万133人の認知症の人が居ましたが、これは高齢者が増えることによるもので、その数が20年以内に2倍以上になると予測されているなおです。
ザック氏は次のように述べています。
「時々、さまざまな認知症―アルツハイマー病が最も多い―市民がいます。認知症の人は介護施設で生活しているというイメージや認識を抱きますがが、半数以上は地域で生活し、自宅に暮らしています」
講演でマン氏は次のように話しました。
「課題があります。認知症の人は外出する必要があり、社会との繋がりを維持し、運動して、よく食べる必要があります。市がそうした方向に向けて学ぶことが重要です。そうした街に簡単になるでしょうか? 地域センターの人たちが理解を示し我慢するでしょうか?」
認知症の人を支援するための市の戦略には高齢者と活動し第一線に居るすべての市職員の研修が含まれます。研修では、認知症という病気、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、言語障害について学びます。
市内の20カ所すべての消防署は、認知症の人―あるいは危機的状態にある人―が安心し、救急援助が受けられ、病院への搬送体制があるような場として利用できることになっています。また市は、認知症の人が行方不明になった時のため、バンクーバー警察部Vancouver Police Departmentとバンクーバー市City of Vancouverの部署の間で協定を結ぶ予定です。
さらに、2014年、地域センターや図書館で高齢者のための行事を予定しており、認知症トークや2014年1月のアルツハイマー病啓発月間Alzheimer awareness monthの宣言などを実施します。
マン氏はこうした企画について感謝し、認知症のため混乱するかもしれない高齢者に対処
し直接に接する人々が我慢することを自分の持ち時間にマイクで発言しました。
さらに彼は述べています。
「アルツハイマー病など認知症に型通りの人はいません。外見から症状がわかることはほとんどありません。それが難しい点でもあるのです。私たちが市の制度や市民にとってアルツハイマー病という課題の人となりつつあると、ときどき認識します」
(Vancouver Courier June 28, 2013 Vancouver looks to become more age and dementia-friendly)
編訳:ブリティッシュコロンビア州での認知症の現状と施策についてはAlzheimer Society of B.C.のサイトが参考になる。それにしてもバンクーバー市に1万133人の認知症の人がいるとする正確な数値はどのようにして把握したのか?

認知介護労働者を海外に求める(6月26日/オーストラリア)
オーストラリアで認知症医療の危機が増大するため、医療関係者は介護の困難な分野で働きたい人を探すために海外に目を向けることが多くなっています。
毎年、新たに発病するアルツハイマー病の人のためにさらに9000ベッド、この人たちをみる数万人の新たな介護者が必要となります。
マイラ・マルティネスMyra Martinez氏は、1989年、フィリッピンからオーストラリアに来ました。彼女は、高齢者介護分野の労働力のギャップの埋める重要な役割を担う増加する移民の一人です。
彼女は次のように述べています。
「5年前始めたこの仕事は高齢者介護施設で認知症の人を介護することですが、とでも大変です。フィリッピンでは高齢者の介護施設を知りません。老いた親をみていましたが、今は親から離れています。高齢者を介護するのは好きです」
最新の調査によれば、高齢者サービス労働者の75%は移民で、その3分の1以上は5年以下の滞在期間です。
「オーストラリア高齢者地域サービスAged and Community Services Australia」の事務局長であるジョン・ケリーJohn Kelly氏(写真左上)は次のように述べています。
「募集方法を変えました。雇用者が募集するに際して、とくに外国の人の場合、現在、ある程度の繊細さが必要なのです。ベッドや介護者への要望は増える一方です。全国で毎月、認知症の人のために新たに750ベッドが必要と推測されています」
オーストラリアは、2029年までに認知症の人の有給と無給の介護者が15万人不足することになるでしょう。
この問題は、労働力の高齢化によっていっそう増大されます。オーストラリアでは高齢者介護労働者の96%は45歳以上です。
労働者がより高給でストレスが少ない仕事に転職するのを止めることは難しい。
さらにケリー事務局長は「ちょうど一世代で、労働力として活用できる人の数は、多分、今の3分の1ほどでしょう」と述べています。
増加する認知症による負担の下に置かれている高齢者介護施設とは別に、全国で20万人ほどの人が、在宅で認知症の人をフルタイムで直接介護しています。
西オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer's Australia WAの事務局長のロンダ・パーカーRhonda Parker氏(写真左下)は次のように述べています。
「介護者の燃え尽きはとても大きな問題です。認知症の人の介護者の精神的、社会的、身体的な課題と要求を過少評価すべきではありません。オーストラリアでは、毎週、新たに1700件の認知症が診断されてます。認知症はますます多くの人たちの生活に影響すると予測されます」
abc news 06/26/2013 Healthcare providers look overseas for dementia carers as crisis grows)
編者:オーストラリアでは認知症政策でこうした数値が示されるようだ。日本では一体、認知症介護職が何人不足しているのかその数値を知らない。わからないと政策が立てようがない。先の認知症高齢者の推計数が厚生労働省の数値より多いからといっ政策が変わったとは聞かない。

アルツハイマー病の早期発見の無料スクリーニングの勧め(6月18日/インド)
アルツハイマー病は、多くの人たちにとって認知症の原因ですが、本人だけでなく介護者にも、困難な旅です。シヴァニ・ロイShivani Roy氏の祖父は、10年以上もの間、アルツハイマー病でした。2001年1月、外出して行方不明になり、家族が最善を尽くしたのですが、居場所を突き止められませんでした。
街中で行方不明になることはアルツハイマー病の人にはありふれたことですが、しっかり監視していると見つけることができます。
シヴァニ氏は次のように述べています。
「記憶障害は最悪の症状ではありません。付添人を雇って彼の世話をしてもらい、頻回で長い散歩にも付いてもらいました。しかし記憶障害を伴った行動のパターンがすっかり変わってしまうのです。祖父は、家政婦、隣人たちにも激怒することがありました。祖父が私たちと同居する時、状態は既にかなり進行していました。病院に連れてゆけないので、医師に自宅まで連れてきて、友人だとだましました。もの忘れの症状を見逃さないことが重要で、通常の高齢者の症状と混同しないことです」
アルツハイマー病協会デリー支部Alzheimer's Society Delhi Chapterには、おおよそ800人の認知症の人が登録されています。
支部長のコル・カンナCol V K Khanna氏は「正確な数を知りませんが、デリーには2万5000人から3万人のアルツハイマー病の人いるとみています」と述べています。
国立脳研究センターNational Brain Research Centre (NBRC)は、最近、研究プロジェクトを始めました。アルツハイマー病になりやすい人の傾向を予測することができるというものです。脳の海馬の化学的変化を画像検査で見つけて、どの人がアルツハイマー病になりやすいかを判断します。この2年間、250人が検査を受け、このうち100人以上が初期アルツハイマー病でした。この検査でアルツハイマー病の症状がある最も若い人は39歳でした。
NBRCのプラヴァト・マンダルPravat Mandal教授(写真)は、ジョンホプキンス医科大学John's Hopkins School Medicineの非常勤准教授でもありますが、次のように述べています。
「早期発見は、病気をよりよく管理するのを助けることができます。私はもっと多くの人がこのスクリーニング検査を受けることを希望します。これはアルツハイマー病、パーキンソン病、脳に同様の変化を伴う認知症を解明する現在の研究を助け、同時に予防に役立つでしょう。MRI検査は無料です」
MRIで病気の危険因子である脳のアルカリ性の程度がわかります。
さらにマンダル氏は「驚くことに、アルツハイマー病の罹患率は長生きにだけで増えているわけではなく、脳の酸性ストレスも関与する」と述べています。
メリアム・ウエブスターMerriam-Webstar の辞書によると酸性ストレスとは、「抗酸化物質で不適切に中和されたフリーラディカルによって生じる蓄積された損傷が原因で起こる身体の生理的ストレス」です。
またマンダル氏は「酸性ストレスはとても重要な危険な因子で、人が直面する社会的経済的問題です」と述べています。
こうした危険因子を持っていることがわかれば、病気の進行を遅くするために薬を処方する神経科医をマンダル氏は紹介します。
高齢者では早期症状を加齢による症状と見間違うことが多い。このため介護者、友人、家族は、疑わしい人の行動に注目して特別に注意し速やか対応しなければなりません。
the times of india Jun 18, 2013 Free screening to detect Alzheimer's early)
編者:インドのサイトには時々聞きなれない怪しい情報がある。検査を受けた250人のうち100人が初期アルツハイマー病? 脳の酸度とアルツハイマー病との関係は聞かないし、脳の酸性ストレスも聞かないが、インドの現状を報じる記事として紹介した。

★アルツハイマー病:思い出のひと時(6月13日/オマーン)
「あなたは誰?」は、アルツハイマー病の人が自分の子供に言う質問です。アルツハイマー病は、本人の生活とともに介護している人たちの生活も変えます。これは脳の器質的な障害で65歳で徐々に進行します。高齢になればなるほど、アルツハイマー病になる機会が増えます。病気は軽度、中等度、重度に3段階に分かれます。
主要な原因は分かっていませんが、高齢、頭部外傷、特別な遺伝子などが原因とみられてきました。症状は、通常、加齢の一部と見間違いますが、病気の最も知られた症状は記憶障害です。アルツハイマー病の人は、日付、名前を忘れやすくなります。
また、息子や娘など親しい家族が自分の持ち物が盗んだとか、関係あるといった妄想を持つことがあります。皿を洗う、夕食のテーブルを準備するといった簡単な作業や日常生活を営むことが難しくなります。例えば、アルツハイマー病の人は家から出て歩き回り、迷い、道がわからなくなり、危険な状態になることがあります。
このためアルツハイマー病の人の新しい写真を身に付け、警察に伝えておくことが重要です。家ではドアに鍵を掛けます。状況を明確に判断できないので、アルツハイマー病の人は自分自身や他人を危険な状態に置きます。例えば、アルツハイマー病の人は、疲れて帰宅したいとして他人の車に乗るかもしれません。
アルツハイマー病の別な症状は、請求書や貯金といった財産管理ができなくなることです。物を無くしたり、間違った場所に置いたり、置いた場所を忘れ、誰かが盗んだと思って家族まで責めることはよくある症状です。
気分や行動の急激に変化することあり、落ち着かなくなり、気分がすぐに落ち込むこともあります。こうした症状は病気の経過で重症化して増えます。
残念ながらアルツハイマー病を治す方法はまだありません。症状を軽減する薬はあります。
アルツハイマー病の人を介護しているなら、その病気の最新知識―病気はどのようなのか、別の段階ではどうなのかを理解する―が必要でしょう。次の段階への準備もします。
以下、アルツハイマー病の人を介護するためのいくつかの助言です。
○病気を十分かつ定期的に評価するのが必要なときはいつでも医療の支援を求めます。
○穏やかで安全で統一のとれた環境に整えます。
○家は明るく、鋭利は物は取り除きます。
○衣類や鍵などの物はいつも同じように同じ場所に置きます。
○理解できるようにはっきり対応します。
○過去の経験の思い出を共有します。
○楽しめて夢中になれ幻覚や妄想を抱かないような活動を勧めます。例えば、編み物、ジグソーパズル、運動、絵画、ガーデニング。
○間違いを正したり、同じ質問や話を繰り返していると言わないようにします。
○叫ばない、怒らない、言葉による攻撃を取り合わない。もし身体的な攻撃があればその場から離れ、気持ちを静めます。
○行っていることは病気によるのだと思い出します。病気が進むことを理解します。
○最終的に自分が介護者であることを忘れない。
○家族や医療職の支援を得ます。
○支援グループに参加し、自分の経験を語り、感情を表します。
オマーンアルツハイマー病協会Oman Alzheimer’s Societyは、最近、設立されましたが、本人と介護者に応えています。同協会は支援グループもあり、メールsenawi@squ.edu.omで連絡が取れます。
このことで詳しい情報はカタバにメールhealth@apexmedia.co.omで問い合わせてください。
theweek  June 13, 2013 Alzheimer: A Time to Remember
写真:今年4月に首都マスカットで開催されたアルツハイマー病啓発運動の場面。
関連記事
A united front to fight Alzheimer’s(April 07, 2013)
Big Turnout for Ageing & Dementia Group Walkathon(Apr 14, 2013)
編者:アラビア半島の南東に在る絶対君主国のオマーンにアルツハイマー病協会が今年の4月に設立されたことを初めて知る。同協会はSultan Qaboos UniversityのAgeing and Dementia Research Groupが立ち上げた。協会のサイトはまだない。紹介記事は、これに関連した介護者向けの簡潔な助言である。日本でも通用する内容だ。アラブ諸国でも認知症への問題意識が高まり協会設立の動きが広がっている。

ホーステラピーは認知症の人に役立つ(6月12日/アメリカ)
「ホーステラピー:馬療法Horse therapy」は、アルツハイマー病など認知症の人の為になっています。
ロングアイランドのウエストバリーWestburyにある.「ブリスタル介護付き住居コミュニティBristal Assisted Living Communities」の8人の入居者は、ニューヨーク州立大学オールドウエストバリー校SUNY College at Old Westburyの構内にある「ホースアビリティHorseAbility」の馬小屋での特別なプログラムに参加しています。
入居者―84歳から93歳まで―はこのプログラムで思い出を語り、軽い身体活動に参加します。
このブリストルのケイト・シュナイダーKate Schneider氏は「思い出は大切なことで、覚えていることでうまくやるのが素晴らしい」と述べています。
専門家らは次のように述べています。
「この療法は、馬との特別に作られた繋がりによって、認知症の人が不安やうつ状態を乗り越え、自信をつけ、身体の協調・バランス・筋力を増し、人間関係の改善することを助けます」
88歳の認知症の人でステラStellaという人はCBS New Yorkのラジオ番組1010WINSのモナリヴェラMona Rivera氏(写真)に次のように語りました。
「子供の時、父の友人がオハイオに農場を持っており、訪れました。そこでは馬など一緒に夏を過ごしたのです。それで私は動物が好きなのです」
またブリスタルの職員は次のように述べています。
「このプログラムに参加した入居者の変化に気付きました。社会的能力、我慢、信頼、思いやり、チームワークなどがよくなります」
(CBSNewYork June 12, 2013 Horse Therapy Helps Dementia, Alzheimer’s Patients On Long Island
編者:HorseAbilityは既に、障害のある子供たちへの馬による療法を行ってきた実績があり、今回新たに認知症の人に試みて成果を認めたとする記事だ。ホーステラピーはアニマルテラピーの一部と考えられるが、犬とは異なり大型動物の馬にため独自のプログラムが必要だろう。馬を使った試みは日本では聞かないので簡単すぎる記事だが紹介した。

認知症で日本から学ぶこと(6月11日/イギリス)
ジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣(写真左下)が最近日本を訪れましたことはイギリスではほとんど知られていません。彼は阿部首相や田村厚生労働大臣と話し合ったことは、つぎの10年間の社会政策に重要となるだろう問題―認知症ケア―についてです。現在、日本の人口の4人に1人は65歳以上で、2050年までにその割合は40%になるでしょう。日本には既に認知症の人が460万人います。イギリスでは65歳以上の人口が1000万人で認知症の人は80万人です。認知症関連の直接経費は年間の国家財政のうちの102億ポンド以上です。2050年までにイギリスでは認知症の人が約170万人になると予測されています。
驚くことではなく、この状況はこれまでの政策立案者に重要な関心事となってきました。2009年、労働党政権は、意欲的な認知症戦略を発表しました。それは社会の理解をさらに高め、サービスの改善を通して認知症の人と介護者の生活の質を向上することを意図したものでした。また昨年、連立政権も認知症ケアの改善の必要性を強調し、キャメロン首相は「認知症挑戦"challenge on dementia"」を立ち上げ、3つの主要な目標―医療と介護の改善、認知症に優しい地域"dementia-friendly"の育成、研究の向上―を提示しました。
認知症ケアにおけるプライマリ医療への助成を実質的に増額させた当初の成功はありましたが、それに続く政府の経費節減によって認知症への助成が減額されました(話題となった向神経薬に一層依存しないこととなる)。新しく費用対効果のある計画につての政府の議論を日本の経験から教わりました。日本では政治家と政策立案者が、一般の人への教育を重視し(dementiaという言葉も追放)、ボランティアの認知症サポーターを採用し動員していてきました。また国の新しい強制的介護保険制度を導入し、認知症の人へのサービスを改善して提供してきました。
この考えから日本では2005年に始まって7年間で400万に近い人が、各地の認知症の人を支援するボランティアとして研修を終えています。現在の目標は2017年までにサポーターを600万人にすることです。
介護保険制度は2000年に導入されまれましたが、できるだけ多くの認知症の人に対応することを意図して認知症の人の医療面と社会的の必要性に応えようとしています。
この新しい制度の別枠の追加資金―税と保険による―は、認知症の人への有資格者のケアが向上し、理論的にはより公正に利用できることを保証することを狙っています。利用者は決められた料金の10%の利用料を払います。いわゆるグループホーム―拡張家族に似て支持的な環境のあんかで活発な生活を送る―が普及しています。この制度の重要な要は、「ケアナビゲーターcare navigator(訳注:ケアマネのこと)」であり、彼らは医療や介護を統合し、24時間体制の在宅介護、訪問看護、デイケアセンター、グループホーム、休息ケア、リハビリテーションを利用できるように保障することです。制度全体を補強するのは、整備されたデイケアセンター―認知症介護専門施設を含む―(一人当たりで世界で最良)のネットワークです。
労働政権も連立政権も、日本の取り組みのいくつかの側面を拝借しようとしてきました。認知症ケアを強化する廉価な方法を求めることは、ほぼ間違いなくキャメロン首相の「なかよし」方法―日本の認知症サポーターを明らかにモデルにしたものですが―が最大の注目となってきました。今年の2月明らかにされましたが、この計画の狙いは2015年までに100万人のボランティアの「認知症フレンズ"dementia friends"」を採用しようとするもので、彼自身も早い時期のボランティアですが、その計画を「認知症にやさしい地域」―彼の認知症挑戦の柱の一つ―の中心に置ことしています。
しかしボランティアであるフレンズが、イギリスが必要とすることにどれほど相応しいのかという専門職の疑問があります。多くの専門職は、「アドミラムナースAdmiral nurses」(ガン医療の専門看護師のマックミランナースMacmillan nursesに似る)という現在の制度を好みます。このナースは、認知症の人への専門職的看護を提供し介護者を支援します。高度な教育を受け比較的費用が掛かっているこれらの看護師は国民保健サービスNHSに就労していますが、その人数は公的経費削減の影響を受けてきました。
認知症という時限爆弾を管理することにおいて日本がイギリスにモデルを提供できると思い込むことは見当違いでしょう。とても重要なことですが、日本は介護の質を評価するしっかした制度を取り入れていません。逆に、イギリスの取り組みは徹底的な査察を強調しました。認知症UK Dementia UKや介護者トラストCarers Trustといった団体は、認知症の人のよい生活の質を保証するために認知症介護者への適切な支援の必要性を繰り返し強調しています。明らかにこれに相当する介護者支援ネットワークを、日本はまだ構築していません。
反対に典型的ですが、日本の選挙人はどのような介護を助成すべきかについては円熟した視点を明らかにしています。その考えとは、質の高いサービスには資金は支払われるべきであるということです。こうした高い同意が強制的な保険制度を広く支援してきたことに反映されています。しかしながらイギリスでは、認知症介護の重要な部分を形成する社会要因を支援するための直接税を増やすことを避けてきました。同様に日本で知られているとおり、利用可能なすべての介護制度は適切に助成すべきであり、政府(税金)と一般社会(保険)の間の費用分担をすべきことは定着しています。このことがイギリスが役立てるのに検討に値するだろう学習です。
寄稿者の林真由美Mayumi Hayashi氏(写真左上)はキングスカレッジロンドン老年学研究所Institute of Gerontology, King’s College Londonのフェローです。
(The Guardian 11 June 2013 The lessons Japan has for the UK on dementia)
編注:右の写真は紹介記事に添えられた日本で撮影されたもの。
編者:ロンドン在住の日本人研究者による認知症ケアでイギリスと日本を比較した優れた寄稿だ。イギリスは日本から間違っても何かを学ぼうとしていると指摘するが、日本がイギリスから学ぶことは何もないのか?

中国の認知症の人は900万人以上(6月7日/中国)
エジンバラ大学医学部University of Edinburgh Medical Schoolのイゴール・ルーダン Igor Rudan教授(写真左上)らのグループは、中国が非伝染性疾患の負担がますます重くなっているという課題に直面していることから、アルツハイマー病やその他の認知症の疫学調査を行ってより正しい推計をすることが、高齢化が急速に進む中国に今日的な保健政策の決定に役立つ情報を提供するために調査を行いました。
調査として1990年から2010年までの間、英語と中国語で発表された中国のアルツハイマー病や認知症の論文を系統的に評価する方法を行いました。対象となった論文は、中国の「中國知識資源総庫China National Knowledge Infrastructure」と「万方Wanfang」およびアメリカ国立保健研究所の「PubMed」のデーターベースから集めました。
採用するにあたって、国際的に認められた認知症の定義を使っていない研究、推測数値を伴わない研究、中国大陸で行われてない研究の論文は採用しませんでした。
調査した論文は1万2642件で、このうち89論文が基準に合致しました。この論文で扱われた認知症件数は34万247で、このうちアルツハイマー病6357件でした。その他の認知症が25万4367件で、このうち3543人が血管性認知症、または前頭側頭型認知症、またはレビー小体型認知症でした。1990年で、すべての認知症の有病率は、65歳から69歳で1.8%、95歳から99歳で42.1%でした。2010年で、それぞれ2.6%、60.5%でした。
中国の認知症の人の数は1990年で368万人、2000年で562万人、2010年で919万人と推計しました。この同じ期間に、アルツハイマー病は1990年で193万人、2000年で371万人、2010年で569万人と、中国が世界で最もアルツハイマー病が多い国でした。認知症の罹患率は、年間1000人あたり9.87件でした。罹患率はアルツハイマー病で6.25件、血管性認知症で2.42件、その他の稀は認知症で0.46件でした。
以上の結果は、これまで国際的に推測されていた数値より増加の速度が早いことあ明らかになり、緊急かつ効果的な政府の対応が低および中所得国での認知症に取り組むために必要です。
この研究論文は医学雑誌The Lancet(Volume 381, Issue 9882, Pages 2016-2023 2013年6月8日版)に掲載されました。
この結果についてルーダン教授は次のように述べています。
「認知症の増加の一部は人口の増加によるものです。中国の人は20年前よりはるかに長生きしています。以前、低中所得国では認知症になる年齢―通常75歳以上―まで生きることは稀でした。突然、高齢人口の爆発があり、これが認知症の事例増加に反映しています。しかし人口構成の変化が罹患率の増加の要因の一部です。以前より今日、より広く認知症が把握され記録されているという可能性も否定できません」
この論文は中国の備えの在り方はおおきな疑問を呈しています。西側の国々がごく最近、認知症の人を支えるため、とてつもなく高額な請求書を実感し始めています。
今回の研究者は、中国の女性の方が男性より認知症が多いことも認めていますが、これは、中国で女性が男性より長生きし85歳以上の高齢者の75%が女性であることから来ているので、このしたことが保健政策へ大きな影響を与えます。
オーストラリア・パースのエディス・コワン医科大学Edith Cowan Medical Universityおよび北京の首都医科大学Capital, Medical Universityの王嵬 Wei Wang教授(写真左下)は次のように述べています。
「増えるこの問題に取り組むためには国、地方、家族、個人のレベルで適切な資源が提供されるべきです。人々への啓発運動は、認知症についての一般的な誤解―『認知症は中国人たちにとても多いというわけではない』『認知症は通常の加齢の一部である』『認知症についてはできることな何もないので知らない方がよい』など―を少なくする必要があります」
Channel Newsasia 07 Jun 2013 More than 9 million people in China with dementia および論文Epidemiology of Alzheimer's disease and other forms of dementia in China, 1990?2010: a systematic review and analysis
サイト内関連記事:2040年に全世界で認知症の人は8100万人に(2005年12月16日)
編者:919万人という数値は驚くに値しない。既に2005年、イギリスのマーチン氏らのグループが2020年の世界国別の認知症推計件数を中国は1020万と同じランセットに発表している(Global prevalence of dementia: a Delphi consensus study :The Lancet 2005; 366:2112-2117)。国別認知症の人の推計数2005-2020-2050(エクセル)

★スコットランドの認知症医療の改善に向けた病院行動計画(6月3日/イギリス)
病院での医療の改善計画がスコットランドの最新版の認知症戦略に含まれています。
スコットランド政府は、2010年に国家的なケア基準に着手し、新しい指針作成のためにこの間の進展について評価しました。
これには入院中の患者の尊厳を守るための作業や指名支援ワーカーnamed support workerが含まれます。
現在、スコットランドには認知症の人が約8万6000人いますが、その多くはアルツハイマー病です。
保健大臣のアレックス・ネイルAlex Neil氏(写真左上)は、グラスゴーで開催されたスコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer Scotland(AS)の年次会議で次の段階の戦略の概要を次のように報告しました。
「病院行動計画の目標は、認知症の人が不必要に病院に行くことを防ぐこと、入院中はよりよい医療を受けられるようにすること、退院できるようになればできるだけ速やかに自宅に戻れるようすることを支援することです」
政府の報告によると、現在、認知症チャンピオンdementia championが300人以上いて、保健局health boardsに「AS認知症看護師AS Dementia Nurses(ASDN)」がいて、スコットランドの国家的ケア基準があります。
さらにネイル大臣は次のように述べています。
「今年の4月から診断を受けたすべての認知症の人は指名支援ワーカーに紹介され、ワーカーは認知症の人と家族が共に病気を理解し、その症状を管理し、将来のケア計画を立てることを支援します。これはASが世界トップレベルの介入とみなしています。しかし、されになすべきことがあります。それは一般病院での認知症の人への医療の改善などです。保健局health boards、ASDNコンサルタント、研修中の300人以上の認知症チャンピオンがこれを支援します。こうした人たちは、認知症の人が急性期一般病院への入院が避けられないとき、彼らの尊厳と尊敬と必要ケアが受けられことを保証するものです」
ASの事務局長のヘンリー・ サイモンズHenry Simmons氏(写真左下)は次のように述べています。
「状況は前進していますが、できるだけ早く個々の病院で認知症改善計画を立てることがとても重要です。認知症の人と家族の人的損失は簡単には受け入れられません。何もしないことによる経済的費用も受け入れられません。こうしたことに関係する資源をもっとよりよく使うことができます。改善戦略を向上させることで、きわめて困難な課題に取り組むことで意義ある前進がなされるでしょう」
一般病院での行動計画の鍵は、入院と退院の準備、家族・友人・介護職の関わりなどがあります。
2010年6月に立ち上げられた当初の戦略の時点では、年間医療費の認知症関連経費は17億ポンドと推計されました。
BBC 3 June 2013 Hospital 'action plan' to improve dementia care in Scotland
編者:認知症対策が進んでいるわが国でも国レベルで一般病院の認知症対策が曖昧なままであり、個々の病院の取り組みに委ねられている。なお本記事のcareに広く該当する日本語はなく文脈のなかで近い日本語―介護と医療―とし、またはやむなくケアに置き換えた。

アルツハイマー病の電話相談始まる(6月3日/アラブ首長国連邦)
ドバイ発:アルツハイマー病の人のための24時間体制の電話相談Helplineが6月3日にドバイ保健局Dubai Health Authorityによって開設されました。
アラブ首長国連邦UAEの電話相談(番号:056 3710077)でアルツハイマー病の人や介護者は、治療方法の助言だけでなく病気についの情報を得ることができることになっています。
電話相談とは別に、アルマムザールAl Mamzarの高齢者地域センターCommunity Centre for the Elderlyは、アルツハイマー病の支援グループの立ち上げたと公表しました。「アルツハイマー病の人のフレンズFriends of Alzheimer’s Patients」は、毎月第1水曜日に集いを開催することにしています。
同センターの上級老年医学専門医で医療部長であるモハメッド・ガミル・アル・ノアマニMohammad Gamil Al Noamani医師は次のように述べています。
「アルツハイマー病に関する認識が低いことを改善する必要があります。アルツハイマー病は非可逆的で進行性の脳疾患で、脳の機能低下を示す認知症の最も多い原因です。センターでは、認知症の人の入院患者の70%がこの病気です。治ることはありませんが、薬で状態が進むのを遅くすることが可能なことがあります。症状は、記憶障害、見当識障害、人格や行動の変化などです。症状によっては、アルツハイマー病の人は身体的精神的な両方の介護が必要です。コミュニケーションが難しくなり、アルツハイマー病の人は通常の生活を送ること、意味ある関係を維持すること、一般的に周囲を理解することが難しくなります。電話相談は、アルツハイマー病の人が方針、治療、介護選択について学ぶことができるようにな支援を保証します」
NPOの4get-me-not.orgの創設者でCEOのデジリー・ヴレッケンDesiree Vlekken氏(写真)は、父親がアルツハイマー病と診断されてから介護をしましたが、次のように述べています。
「アルツハイマー病には偏見があります。電話相談はコミュニケーションを持ち支援を求める一つの方法です。アルツハイマー病についての認識が低く、文化的規範によるためらいのため進んで外に支援を求めようとしないのです」
メディアに同地域センターの取締役代行のジャセム・モハメマド・カルバンJasem Mohammad Kalban氏は「現在、薬でアルツハイマー病の人の機能低下の速度を遅くすることができるだけです。このため介護者や医療職の役割は適宜な診断と管理のために極めて重要だ」と述べています。
(gulfnews.com June 3, 2013 Helpline for Alzheimer’s disease launched)
関連記事:Mohammed visits Elderly Centre in Al Mamzar (August 16, 2012 emirates247)(写真右)
編者:ペルシャ湾岸国でアルツハイマー病協会があるのはバーレーン、サウジアラビア、イランである。

認知症にやさしい街づくりに新しいグループ(6月2日/イギリス)
認知症の人の自立と自宅での生活が支えられるでしょう。これは新しいクロウリーCrawley の診療委託グループClinical Commissioning Group(CCG)による新しい連携の公約です。
このグループは、今年4月1日に町の保健サービスの多くの運営が委譲され、そのうち重要な項目の一つは、町の高齢化人口に対する将来計画を立てることです。
クロウリー認知症連盟Crawley Dementia Alliance(写真)は、5月20日に発足しましたが認知症の人が自立して生活でき支援の方法を検討しており、当時に認知症の啓発と寛容を広めまようとするものです。
リークロフト診療所Leacroft Medical Practiceの地区一般医(GP)であるロウラ・ヒルLaura Hill医師は、この計画を指導していますが、次のように述べています。
「私たちは、認知症の人がよい状態で自立して生活でききるように支援する街を創りたいのです。その街では、認知症の人が、楽に暮らし町のなかで活動的にとても重要な役割を担い続けられるでしょう。グループの目標である認知症に優しい街にすることは、単に認識を改善することでもよく、認知症の人が支援―たとえば買物の間の―は単に理解を必要とすることで支援が得られるのです」
現在、クロウリーには認知症と診断された人が約1200人住んでいますが、さらに住民の5人に1人は一生の間、認知症になるでしょう。
CCGは首相が提唱する認知症挑戦基金Dementia Challenge Fundから12万5000ポンドの助成金を受けることになりました。
thisissussex June 02, 2013 New alliance will make Crawley "dementia friendly")関連情報:CCGなどについては2012 年3 月に可決されたイギリス国民健康サービス(NHS)の改革目的の「Health and Social Care Act 2012」について日本総研の概論「英国の医療制度改革」(2012年7月27日)(pdf300K)がある。認知症対策が民活的に地域の資源を活用する方向でも進めらているようだ。イギリス南部のクロウリーもこうした動きの一環と思われる。

イギリスで最初の認知症の人の自殺幇助(5月30日/イギリス)
イギリス人が、認知症という理由でスイスのあるセンターで自分の生命を絶つことを選んだ最初の報告事例が生まれました。
この83歳の男性は、神経退行性疾患の初期段階と考えられています。
精神科医の評価によると、彼は決定能力はあると認められました。
彼はスイスのチューリッヒにあるディグニタスDignitasという施設に訪れ、家族の支援で決定したと報じられています。
認知症は、脳の機能が次第に低下して、記憶が失われ、自分の周りで起こっていることを理解できなくなります。イギリスには80万人います。
この事例の詳しい情報を公表されていませんが、家族はマイケル・アーウインMichael Irwin医師(写真左上)から電話で指示を受けました。この医師は自らの自殺幇助の見方から「死の医者Dr Death」として知られる元一般医GPです。
アーウイン医師は次のように述べています。
「その男性は、精神的能力はかなり通常の認知症初期の状態でした。彼は、認知症がどのように進行するか知り、そうした状態になりなくないと望んでいました。さらに彼は家族にそうした姿を確実に見せたくないたくないと望んでいました」
今回の事例が、認知症の人がこの方法を選んだ最初であるとは厳密には言えませんが、詳細が明らかになった最初の事例です。
さらにアーウイン医師は次のように述べています。
「終末的病気の人よりこうした認知症の人の方が自殺幇助を強い希望があります。認知症のような慢性的に衰弱する状態があり、医師にとってはるかに重篤な医療的問題である時、余命2か月の終末的病気と診断だれた人より認知症の人にははるかに重い苦しみがあるのです」
「殺さないケア同盟Care Not Killing Alliance」の事務局長であるピーター・サンダースPeter Saunders医師(写真左下)は次のように述べています。
「今回の事例はとても注意を向けさせるもので、この国で法律を変えて自殺幇助を認めるようになると、既にオランダで起こっているように必ずや、さらに圧力が認知症の人に次第に広がるでしょう。弱い立場の人たちは、家族の負担になることを恐れて、自分の命を絶つことを強いられていると感じるだろうし、この圧力は、とくわけ多くの家族が生活をやりくりしているような経済的不況の今日に強く感じることでしょう」
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは次のような見解を示しています。
「認知症の人の誰もが貧しい質の生活を受け入れるべきではありません。替わりに、だれもが今日のよい質の生活を楽しめるような基準を向上させる必要があります。いよいよとなれば、認知症の人は相応しい尊厳ある死とよい質の終末ケアを受けるに値するのです」
BBC 30 May 2013 'First' UK assisted suicide for dementia
サイト内関連記事:「認知症高齢者がスイスのクリニックで自殺幇助を希望」(2013年3月17日/イギリス)
編者:自殺幇助が合法的でないイギリスでは認知症の人の自殺幇助の議論が続いている。自殺補助は人間の尊厳を尊重する選択肢かもしれないが、法制化されたり肯定する意見が多くなると認知症の人に自殺幇助を選択させる暗黙が圧力にある恐れには注意しなければならない。
関連記事①―アーウイン医師の寄稿―私がディグニタスで認知症の人の死を助けた訳(5月30日/イギリス)
人口の高齢化のともない、高齢者の問題にどう対処するかについて考えることがますます欠かせなくなっています。人が年取るなかで、重大な医療問題がますますありふたこととあり、たとえば重症の変形性関節症で普通の活動が制限され、年取ることが既に喜びではなくなり能力やエネルギーが低下という課題が生まれているのです。
認知症は、こうした医療問題と異なることはありません。こうした問題を持ちながら精神的能力が維持されてはいるが、普通の年月を過ごせなくなる人―80歳代あるいはそれ以上の人―は、自分で希望する時に亡くなることを決めることができるようにすべきです。こうして私は、イギリスの年金生活者が、スイスのディグニタスDignitasという自殺幇助診療所(写真)で亡くなるように支援しました。彼はこうした死を選んだ最初にイギリス人です。
2002年、ヨーロッパ人権裁判所European Court of Human Rightsは以下の見解を示しました。
「平均余命が延びることと医療が高度化する時代にあって、多くの人は、高齢期をただ生き残り、身体的あるいは精神的にかなり老い衰えた状態―これはしっかり保持する個別意識とアイデンティティとの葛藤する―でいることを強制されるべきではないことに関心があります」
これはとても強い声明であり、あらゆる形の死ぬ権利が、現実的に基本的人権であるとしているのです。人が自律する権利は高齢期の合理的な自殺の権利を求めることになるのです。
これは身体的医学的状態の場合に限定すべきです。認知症が身体的問題であり精神科的医学的状態ではないことを強調しなければなりません。私は、精神科的状態の人たちのいかなる自殺補助には強く反対します。決定する精神的能力が保たれておれば、自分が生きたいと願う期間より長く生き続けることは強制されるべきではありません。
認知症の場合、精神機能の低下という特殊な問題があります。このため認知症の人では決定能力が制限されます。ほとんどの認知症―アルツハイマー病、血管性認知症など―は、ゆっくり進行します。うれしいことに「国民保健サービスNHS」は、現在、認知症の早期発見を重要視し始めました。家族がもっと早く認知症に気付くようになり、たとえば高齢者が分別のないことをしたり、同じことを繰り返すといったことで、そうして高齢者の心がどのように機能しているのかわからなくなると、「一般医GP」にかかることができます。診断を受けて、認知症か、まったく異なる状態かが明らかにされます。認知症なら、早期に診断されることで、医師の幇助による自殺か自発的な安楽死を選ぶかどうかを決めるに十分な精神的能力が1年、1年半あるいは2年あるかもしれないのです。
Telegraph 30 May 2013 Why I helped a dementia sufferer to die at Dignitas)
編者:アーウイン氏は死ぬ権利を人権の一つと見なしている。認知症が身体疾患であるから本人の意思決定で自殺幇助は許されるとしている。うつ状態などの精神的状態はこの対象外としている。
関連記事②スイスの自殺クリニックでアルツハイマー病の人の死(6月7日/アメリカ)
幇助された自殺の論理は、実際的な要望に応えた死への抵抗しがたい重力でもって押し通されます。
病気を軽減するとして、なすことが多分、何もないと思っている人のため切迫した終末期の気の人のために医師の処方による自殺を認めることへの擁護が始まっています。しかし、オレゴン州やワシントン州で見てきたように、幇助自殺が実施する唯一の鍵なのです。管理できないで具体的に把握できる病気であることが要件とされるが、これが適応さることは実施されてはいません。
一旦、社会が病気のおおくの事例で受容できる回答として殺人を広く受け入れると、オランダやベルギーの例で知っているように文化的な腫瘍が転移して、慢性疾患、障害、精神疾患、さらには生きることに疲れた高齢者までもが対象となっています。
現在、スイスでは、将来発病する恐れが幇助自殺の合法的な理由となっています。初期のアルツハイマー病の人がスイスへ死の片道旅行が受け取ったのです。
以下、イギリス医師会雑誌BMJに掲載された物語の引用。
「83歳の男性は、認知症と診断されたため、スイスにあるディグニタスの幇助自殺センターで生を絶った初めて知られたイギリス人です。認知症の初期状態にある。その男性は、今年の3月に妻とチューリッヒに旅をしましたが、彼の死が現在、公にされたのです。元一般医GPで医師による幇助自殺の法制化の運動家でもあるマイケル・アーウイン医師は、次のように述べています。
「友人の精神科医に、その男性の状態を評価し、意思決定するだけの精神的能力―これはディグニタスの要件―を保持しているか診てもらいました。その医師は『彼は83歳で、認知症が自分自身や家族にどのようなことを意味するか推測してそのすべてよく知っている』と話しました」
もし医師が今後5年間にアルツハイマー病の治癒を考え出したとすれば、どうなのでしょう。それでも彼らは幇助自殺を続けるのでしょう。もしそうであるなら、貧困な客の周りにいいことはないでしょう。
私は、1990年代のサンフランシスコでエイズのあらゆる現象を見ました。その時、エイズは破局な病気でした。通りを歩いていると必ず目の前で起こっている悲劇が目に入りました。
この時、エイズの活動家は自殺幇助を文化として実践し、被災者は目の前で自殺し、友人が助けたりもしました。私はこうした行為に対して公然と非難し議論しました。死を勧める医師と対立することも度々ありました。その後、突然、薬による治療が出現し、人々は本当に難しい死の寸前に居たのですが、十分な活力が戻ったのです。生きていた人誰もが革新的な恩恵を受けたのです。かれらは既に自殺幇助で亡くなっていたかもしれないのです。
そうした自殺に愕然としましたが、本当なのでしょうか。道徳的な支持を行う人たちは、公然と自分たちが死につつある人たち―生きていたかもしれない―を支援してきたことを後悔しました。みんな集団的に肩をすくめていることを見たのです。
生きていたかもしれない人たちが亡くなるということ、あるいはよい時間を過ごすことができたかもしれない人が亡くなったということを気にしているひとは明らかに少ないかたのです。
本当の間違いは、西洋社会が虚無主義のなかに浮遊していることだと思います。もしそうなら、安楽死は一つの症状であって信念ではないのです。カナダのジャーナリストが、ローバート・ラティマーRobert Latimer氏が障害のある娘を殺したこと(訳注)を支援して次のように書いています(訳注)。
「何も信じない社会は、死を反対する議論さえ提供できません。生きることに自信を無くした文化は、なぜ生きることを耐えるべきかを理解できません」
寄稿者のウエスレリ・スミスWesley Smith氏は、2929年生まれで、法律家、作家、「デスカバリー研究所人間例外的存在センターDiscovery Institute's Center on Human Exceptionalism」のシニアーフェロー。
National Review Online June 7, 2013 Alzheimer's Death in Swiss Suicide Clinic)
訳注:1993年のこの事件をきっかけにカナダで安楽死の議論が盛んになる。事件は英文ウイキペディアRobert Latimerに詳しい。
編者:今回の事例への反論寄稿である。近い将来、治癒が見つかることがあるので幇助自殺は合理的でないとエイズを例にした論旨はやや説得力に欠けるが聴くに値する。なおHuman Exceptionalism(人間例外的存在主義) あるいはAnthropocentrism(人間中心主義)など人間は他の動物とはまったく異なる生物であるとする主義はわが国ではあまり聞かないがキリスト教に関係する、またはキリスト教を支える思想として受け入れられているのだろう。

アルツハイマー病を負かす方法(5月28日/アメリカ)
幸運にも80歳まで生きることができる人は、亡くなる前、その50%の人はアルツハイマー病や他の認知症になるチャンスがあるでしょう。現在、認知症のなる見込みを減らしたり、知的機能の崩壊を遅くする方法がわかっていません。この薄気味悪い事実は、既にこの病気のアメリカ人500万人にとっては現実なのです。
革新的な治療がなければ、2050年までに1400万人のアメリカ人が認知症になり、その費用は年間1兆2000億ドルになると推計されています。アルツハイマー病の効果的な治療や予防が発見されるとこの膨大で高額な医療の災難を変えるのに役立つかもしれません。しかし過去2,3年の間、既に、認知症薬の開発や必要な臨床試験を行う資金がほとんどなくなっています。
現在までのところ、認知症治療の薬について製薬企業は臨床試験の結果に失望しています。こうした繰り返される挫折や、さらに失敗する恐れのため、多くの製薬企業はこうした分野の研究を劇的に削減したり中断しています。
臨床試験の成果がほとんどなかったことにはいくつかの理由があります。例えば、アルツハイマー病の複雑さ、発病過程に関して製薬企業の教条主義的な関心―私見ではあるが、そのほとんどはアルツハイマー病には関係ないようだ―があります。あまり複雑ではない病気で行った作業技術に関心があったのですが、それは神経退行性疾患では効果的でないことが明らかになっています。
歴史的にみると、医学研究の革新的業績のほとんどは、国立保健研究所National Institutes of Health(NIH)の支援を受けた大学や研究所から生まれています。しかし、NIHは必要とされるレベルの研究に資金を提供するようには取り組んできていません。現在、NIHの資金のわずか1.6%しか認知症関連の研究に使われているに過ぎないのです。10%はAIDSですが、AIDSの原因のウイルスHIVをもった人の5倍のアメリカン人が認知症です。
望みのない資金計画に介入することなくして改善させることはないようです。その訳の一部として、予算削減があります。さらに複数の専門家による評価システムは、失敗の危険性を尊重することで、ますます保守的になり、アルツハイマー病薬の開発といった分野での革新的研究の支援し繋がりにくくなっています。
さらに有力な手がかりを持つ候補薬が決まると、人での臨床試験を行わないことには有効性を知る方法がありません。アルツハイマー病については、臨床試験の初期段階の一連の毒性試験の必要経費は約150万ドル、その後の第1相と2相の臨床試験で約2500万ドル、第3相ではさらに高額になります
過去2,30年の間、初めての二つのアルツハイマー病薬の臨床試験に関連した費用の多くは投資家によるものです。もし成功すると、候補薬は製薬企業に売られ、その企業が第3相試験を行います。しかし、臨床試験が失敗を繰り返すなかで製薬企業がしり込みしており、投資家は革新的な認知症薬の開発資金の危険性のため気が進まなくなっています。
アルツハイマー病薬研究の代替的資金は財団や慈善団体からですが、こうした団体は臨床試験前での仕事におおいに支援していますが、ほとんど場合、臨床試験に必要な資金を持ってはいないのです。もし資金提供をするとなれば、より保守的な方法に支援することになるのです。
現時点で、保守的な対応では結果をもたらさないようで、新しい認知症薬の開発には革新的になる必要があることは明白です。認知症研究への資金については残念な状態ではあるが革新的科学には革新的資金が必要でしょう。
薬の開発を支援する新しい資金源について枠にはまらない考えがあります。連邦政府は認知症薬の臨床試験を支援する投資手段を立ち上げます。危険性を伴わないということはなくアメリカ人がなんらかの形で投資することになるのです。こうした冒険に使われる研究資金を支援するのです。その資金で最後に効果的な薬が生まれるのであれば、政府はアメリカの高齢者の医療費を節約し、数兆ドルのレベルでの見返りがあるのです。
別な考えは、大学や研究所が目標を決めた減税を伴う寄付を要請するというものです。これは臨床試験が可能で特に約束された候補薬の研究に資金を提供することを狙ったものです。
アルツハイマー病や加齢に関係する認知症の薬の開発資金に関する今のやり方は機能していません。よりよい考えを思いついて私たちすべてが利益を得るのです。方法はどうであれアメリカ人が治癒を見つけるという集団的意思がなければなりません。認知症は私たちの最大の医学的課題です。連邦政府食品医薬品局FDAはアメリカの病気の臨床試験をより目的にかなったものにする役割があります。私たちは資金問題を解決しなければなりません。
寄稿者:ダビッド・シューベルトDavid Schubert氏(写真)は認知症研究者でソーク生物学研究所Salk Institute for Biological Studiesの教授で、過去にNIHの資金を受けたことがある。
Los Angeles Times May 28, 2013 How to defeat Alzheimer's
編者:アルツハイマー病薬の臨床試験の失敗が繰り返されるなかで、こうした議論がアメリカのネットでは多い。今回の寄稿者の意見はとても参考になる。臨床試験に投資家がからんでいるとは初めて知ったが金融資本主義のアメリカらしい現象だ。また日常的になった学術誌のpeer-reviewでは革新的研究が育ちにくいのではとの寄稿者の意見は鋭い。それにしても日本を代表する新聞社のサイトの以下の記事は楽観的で無批判的で倫理的課題を無視したおそまつだ。メールで意見を送った。
「アルツハイマー予防、日米で治験へ 脳の蓄積物質で診断」(5月28日/朝日新聞digital)
【行方史郎=ワシントン、編集委員・田村建二】アルツハイマー病が発病する前から診断や治療を行い、予防を目指す前例のない臨床研究や臨床試験(治験)が日米で始まる。「症状が出る前なら予防可能」という考えに基づく。うまくいけば、治療の大きな転換点となる。
アルツハイマー病は、β(ベータ)アミロイドと呼ばれるたんぱく質が脳に異常に蓄積することが発症に関わっている。だが、蓄積が始まってから、物忘れなどの初期症状が現れるまでには5~10年かかる。
これまでもβアミロイドを狙う薬は開発されているが、症状のある患者を対象にした試験では期待された効果は出ていない。現在は病気の進行を抑える薬しかなく、根本的な治療法はない。
だが陽電子放射断層撮影(PET)など画像診断を利用すれば、βアミロイドの蓄積が始まっているかどうかがわかる。それで「陽性」と判定された人を対象に予防的な治療を行う考えが出てきた。
症状がなくても高血圧や高脂血症の人に薬を飲んでもらい、心臓病や脳卒中などを防ぐのと同じ発想だ。
米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院(ボストン)などのチームは、症状のない65~85歳の1500人を対象に治験を秋にも始める。βアミロイドの蓄積を抑える米製薬大手イーライリリーが開発中の新薬ソラネズマブを注射して3年間ほどかけて予防効果を調べる。
陽性でも発症するとは限らないが、同病院アルツハイマー病研究治療センターのスパーリング所長は「将来、発症を5年でも遅らせることができれば社会的には十分インパクトがある」と語る。
ただ、治験で予防効果が確認されたとしても、一般の人に使うには、米食品医薬品局(FDA)の承認が必要となる。
一方、バナー・アルツハイマー病研究所(アリゾナ州)のグループは、40代で発症する特異な遺伝子変異を持つ南米コロンビアの住民約300人を対象に、年内にも治験を始める。予防治療の有効性が判定しやすい利点があるといい、米ジェネンテック社が開発中の薬が使われる。
日本での臨床研究は、東京大や大阪大、国立長寿医療研究センター、九州大など41施設が参加して6月にも始まる。
発症していない高齢者約千人に協力を求め、画像診断などでβアミロイドができていないか、ほかの健康状態はどうかを詳しく調べ、その後の経過を3年間追跡する。異常なたんぱく質のほかにどんな要因があると発病しやすいのかを見極めるためだ。
日本の臨床研究を統括する東京大の岩坪威教授は「症状が出る前の超早期に患者を見分けて薬を使えば、根本治療につながるかも知れない」と話す。
米国はアルツハイマー病対策を国家的課題と位置づけ、2025年までに有効な予防法や治療法の確立を目標に掲げている。
     ◇
〈アルツハイマー病〉 脳の神経細胞が本来の老化よりも早く減ることで起こる。年齢を追うごとに発症率が高まり、65~69歳では1・5%と言われているが、85歳では約3割に達する。国内の認知症高齢者は、2012年で305万人と推定され、20年には、410万人と予想される。認知症の中で、アルツハイマー病は約半数を占める。根本的な治療法はまだなく、薬によってもの忘れなどの症状を和らげる治療が行われている。

★古代ギリシャ人は正しい認知症ケアを知っていた(5月27日/アメリカ)
アメリカのベビーブーマーたちは、急速に低下する両親の健康状態―視力の低下、うっ血性心不全、転倒の恐れなど―で身動きが取れません。そのなかで認知症は暗黙の恐怖です。私たちは、家族や友人に認知症が広がっていることを知っています。医療の現場では認知症の人への心地よさや解決が何も提供されていないことをよく知っています。認知症は最も静かな殺人者であり、うねりのような悲劇を議論しても、希望のある願いに向かうほど評価できることがないようです。
しかし、認知症の予期しなかった地の底に在って、「西洋文学で初めて詳しく死に至る病がどのように描かれただろうか」と問うことは有益なことです。
初めて描かれた病はハンセン氏病、がん、ポリオ、心不全ではんなく、それは認知症なのです。その本とは叙事詩「オディセイ」です。このなかでオデュッセウスの父ラーエルテースがこの病の被害者だったのです。
著者のホメロスは、認知症がとても身近なので、彼の口述の筆記者に、記述するに値するが議論するほどのものではないとしています。認知症は、私たちの世代では聖書のなかの呪いのようですが、はっきりと診断されたのは19世紀になってからです。認知症になるほどの平均余命よりは短かった3000年前は、このため認知症にならないですんだのです。このおそるべき病気へ療や家族がなんとか取り組んでいるなかでギリシャの祖先から何かを学ぶことができるでしょうか。
「イタケーのラーエルテース王は、若い頃、おおかたのうわさでは活き活きとした英雄的な姿であり、有名なカレドニア豚の捕獲に参加したアルゴナウテースでもありました。しかし、息子のオデュッセウスがトロイ戦争に出かける前、この王は息子に王冠を渡すということが平和的にすすめられることが決っていました。高齢でも男性は身体的に活発でした。オデュッセウスが20年不在の間、王は山羊の小屋で暮らし、ぼろ布を着て、家族の介護を受けていたことを知っています。王は、義理の娘ペネロペの苦境―多くの求婚者が財産を横領すること―に気付かないでいたのです。王は自分の作物や家畜のことで頭がいっぱいで、宮殿での争いには関心がなかったのです。
ラーエルテース王は、長期記憶と仲間から扱われ方に価値があると考えたのです。彼は宮殿より納屋や庭で日中を過ごすことを選びました。王が明らかに子供時代の心地よく楽しい思い出が経験できる場所だったのです。孫息子テレマクスは、ちょっとした旅から帰った時、その知らせで動転しないように配慮しました。孫息子は、王が自分の帰宅と長く帰らっていない父オディセイの帰宅とを混同するのではということに関心がありました。最終的に20年後、オディセイは、トロイから帰宅して自分を息子であると確認させたようとした時、子供の頃の傷跡を指したり、何十年も前に庭で一緒に植えた木を数えなおすことで確かめさせたのです。この二つの記憶はラーエルテース王にとっては長期記憶のなかでは確実なことなのです。
認知症の人に必要なことや介護のモデルについてこの古代の詩から何を学ぶことができるのでしょうか。私は、この15年間、記憶ケアコミュニティmemory care communitiesを運営してきましたが、会社は介護の管理的モデルを維持してきました。その基本的で重要視する対応とは、入居者を安全、清潔、十分な食事です。さらに先見の明があれば、コンピューターゲーム、ニューエイジ音楽New Age music、数独、外国語教室といった刺激になる新しい要素の組み合わせで管理的モデルを高めるでしょう。このやり方は、ホメロスとはかなり異質でしょう。
認知症ケアについては成人した子供が間違った選択をすることがあります。在宅で頭が悪いと親を嘆き入所させてビンゴやウイーを遊ぶことで記憶障害を阻止しようと無駄な努力をすることがあるのです。ギリシャ人にとって介護を試す試金石は長期記憶でした。この現在という中に認知症の人を置こうと努力するよりは、ギリシャ人は認知症の人が過去にさまよい驚くままとするのです。意味があり思いやりのある記憶障害ケアの要です。気まぐれなタイムトラベラーのように認知症の人を騙して2013年に戻そうとすることは自己破壊的なのです。
認知症の人の介護は、長期記憶が持つ統制力を受けいれることだけではありません。こうした記憶を受け入れ高めるべきです。さらにスピリチュアリティは基本的なやり方です。これは魂を救うだけではく、すべての伝統的な宗教が長期記憶の要素となっているからです。私が入居者から聞いたことですが、バラックオバマの話を聞いたこともない彼らはポーランド語のロザリオやイディッシュ語のユダヤ教テキストについて話すのです。
寄稿者:スティーブン・バウマンStephen Bowman氏は、ニューヨーク州のシラキュースを拠点とするペレグリンヘルスマネージメント社Peregrine Health Management Coの会長。同社は、ニューヨーク、コネチカット、ミシガン、メリーランド、ジョージアで記憶ケアコミュニティを展開する。
Syracuse.com May 27, 2013 The Ancient Greeks had the right approach to dementia careより)
編者:認知症は古代ギリシャ時代からあったという話は聞いたことがあるが、それがホメロスのオディセイによるらしいことを初めて知った。この叙事詩をよく知る人にこの記事は面白いかもしれない。

母親を殺したアルコール性認知症の男性に懲役4年(5月25日/オーストラリア)
2011年の暖かい2月の夕方、74歳のベヴァリー・ケインBeverly Kain氏のこざっぱりしたレンガ作りの家に警察官が着いた時、息子のテレンス・ダビッド・ケインTerrence David Kain氏(48歳)はガレージのドアの傍で待っていました。
その男性は警察官に「私が死なせました。寝室で」と話しました。
警察官は、ニューサウスウエールズNSW州のゴールバーンGoulburnに住むケイン氏がベッドの上で喉が絞められ横たわって死亡していたのを発見しました。頭の下に枕が置かれていました。
今週の金曜日、ケイン氏はその犯罪で4年間の懲役刑の判決が下されました。裁判官は、彼がアルコールによる認知症alcohol-induced dementia(訳注)に罹っており、高齢の女性を殺したことの認識がなく、またその記憶がない状態が続いたことを知っていました。
NSW州最高裁判所NSW Supreme Courtは、ベヴァリー・ケイン氏が死亡する前の週にケイン氏の夫人と息子がますます激しくなる口論に巻き込まれるたことを聴き取っていました。ケイン氏が頻繁に飲み過ぎることで、ベヴァリー・ケイン氏は息子のタバコが原因で夫が食道がんで亡くなったと信じていることも事実でした。
警察官の聴取にケイン氏は「母を殺す少し前、母は何度も私を非難し大きな声と罵倒でした」と話しています。
彼が寝室のドアを押して、ドアまで負った母親が床へ転倒しました。
彼は続けて「興奮して、自己規制ができなくなった」と警察官に述べています。
さらに彼は「その後、何が起こったのか思い出せませんでした。母がベッドに横たわり、脈がないことをそのすぐ後に知りました」と述べています。
彼は、そのように感じるので母親の首を絞めたようだと思っているのです。
ケイン氏は殺人で告訴され、今年の2月に、陪審員は彼が限定責任能力に基づく過失致死罪に当たると結論づけました。
判決を下したマイケル・アダムスMichael Adams裁判官(写真左)は次のように述べています。
「ケイン氏は何年もアルコール依存症で、10代の初めから飲んでいました。このためアルコール性認知症になり記憶や認知機能にかなり影響を受けたのです。ケイン氏はうつ状態にもなり、何度も自傷行為がありました。1991年には、自分の脚を撃ち、結果的に切断にとなった行為もありました。ケイン氏の認知機能検査から脳の前の部分に損傷の影響がみられました。この部位は理性的な思考に関わる脳の部分です」
ケイン氏は決して母親に暴力的になることは決してありませんでした。しかしその夜、彼は自己統制が出来なくなったと問題になっているのです。
アダムス裁判官は決定的なことに、次のことを知りました。
「ケイン氏は自分の母親をかなり激しく傷つけたとの認識はあります。彼の脳の損傷はとてもひどく、彼が意図的に殺したのか、激しく身体を傷つけたと結論づけることはできません。もし法律違反者がそうした状態でなければ、彼が実際に行ったようには行動しないことが本当にありうると思います。実際に母親を殺そうとしたことを疑う理由があるとの思いをいだきます。かれは心の状態から行動によって起こりうる結果を理解できないようでした。ケイン氏はとても後悔しており、社会にとって危険ということはありません。服役期間が終われば、2015年2月に仮出所する資格が生まれるでしょう」
Sydney Morning Herald  May 25, 2013  Man with alcoholic dementia jailed for killing mother
関連情報:アルコール性認知症の診断基準についてはDSM-ⅣSubstance-Induced Persisting Dementia Diagnostic criteria for Substance-Induced Persisting Dementiaがある。
編者:日本では認知症のない介護者が認知症の人を殺す事件はあるが、認知症の人が家族を殺すということはあまり聞かない。しかし認認介護で認知症の人が認知症の人を殺す防ぐよい手立てが見つからない。

モンテッソーリ方式認知症デイケアセンターがオープン(5月18日/アメリカ)
アフィニティデイケアセンターAffinity Adult Day Care(AADC)センターは、モンテッソーリMontessori方式の認知症プログラムを提供するジョージア州で初めての施設がオープンします。
ジョージア州アトランタの郊外のグレイソンGraysonにあるセンターの創設者でCEOのステファニー・スミスStephanie Smith氏(写真左)にとって、子供向けのモンテッソーリ学校Montessori Schoolの建物を利用して高齢者介護を提供することは自然な成り行きです。
彼女は次のように述べています。
「いつも地域の高齢者に親しみを抱いていました。4人の子供がこの学校から卒業したとき、これはやってよいことと思いました。センターはすでに開設されていますが、施設入居者の人が毎日集まるまで少し時間がかかるでしょう。高齢者が認知症プログラムのどの過程に参加するか正確に知るためには特別な評価が必要です。こうしてどのような介護が必要か知るのです。センターは、月曜から金曜、毎日午前7時から午後6時まで昼間に利用できます。入居者がセンターにあふれ生活能力を維持する支援だけでな彼らを熱中させるようなアクティビティを提供します」
センターのサイトによれば、モンテッソーリ式認知症プログラムMontessori-Based Dementia Programming (MBDP)は教育者マリア・モンテッソーリ(写真右上)によって開発され、キャメロン・キャンプCameron J. Camp氏(写真右下)らによって14年以上研究されてきました。
同サイトによれば、MBDP方法は、認知症の治療に向けたリハビリテーション的な方法で、活動は高齢者を熱中させる以上のものを提供し、高齢者の思考や繊細な運動機能を改善するように仕組まれています。一例としてアクティビティは、食べる、着る、入浴するといった基本的な行動能力を高めるのに役立つように行われます。こうして自立、自助を高める、MBDPがすべての人の尊敬と尊厳を提供するような環境作りにつながり、さらに認知症の人、家族、介護を提供するスタッフのための本当の共同体への発展を促します。
スミス氏は「数年前、経済が悪化して、近くのスネルヴィルSnellvilleに在るモンテッソーリの入学前教室を一つにまとめた」と述べています。
このためグレイソンの建物に空きができ、私たちが所有する物に一つ家があり、彼女は誰か買うだろうと希望しましたが、そこが24時間体制の高齢者施設になりました。
さらにスミス氏は「こうして彼らは、昼間、このデイケアセンターに参加することで24時間体制の施設で介護の休息の時間が生まれるでしょう」と述べています。
AADCはグレイソンのパインギローブ通りPine Grove Ave 420に在ります。
当局者によると、AADCにごく近くに在るグレイソン郵便局Grayson Post Officeの建物に別の高齢者介護施設が設けられる定ですが、これはより看護が必要な入居者のためのものです。
loganvillepatch 05/18/2013 Montessori-Based Dementia Daycare Center Opens in Grayson
サイト内関記事:「モンテッソーリ法は認知症の高齢者に相応しい」(2011年12月29日 カナダ)
関連情報:モンテッソーリ教育について(才能開発教育研究財団日本モンテッソーリ教育綜合研究所 )
モンテッソーリ関連訳本:「痴呆性老人の機能改善のための援助―モンテッソーリ法と間隔伸張法を用いた―」(2002年 三輪書店)
編者:認知症高齢者向けのデイケアセンターに関する地方紙の記事だ。モンテッソーリ方式の認知症介護はアメリカで静かに普及しているようだが日本では例外的とみている。またその有効性や成果はまだ知らない。

イギリスはG8で認知症の研究支援に利用する(5月15日/イギリス)
デビッド・キャメロンDavid Cameron首相(写真左上)は、認知症研究を推進する新しい国際的活動の先頭に立つためイギリスがG8の議長国という立場を利用する計画を立てています。
イギリスとアメリカは、認知症の治療薬開発のための共同計画を設立することで合意しています。
今日、首相はニューヨークを訪問している間に「アルツハイマー病などの認知症がある何十万という高齢者が症状を軽減するのに役立つ支援を受けないで生活している」と述べることにしています。
政府筋によると、首相は2015年までに認知症の診断率を67%―現在は45%-までに増やそうとしています。イギリスには認知症の人が67万人いると推測されていますが、そのうち35万人は診断を受けておらず、その結果として支援も得てないのです。
首相は、「認知症が速やかに全世界のケアシステムへの最大の圧力源となるだろう」と警告するでしょう。全世界で認知症の人は3560万人とされ、その数は2030年には6570万人、2050年には1億1540万人になると予測されています。G8の認知症サミットは、今年の9月にロンドンで開催され、医療や製薬の専門家を伴った保健大臣や科学大臣が参加することになっています。
昨日、キャメロン氏は次のように述べています。
「認知症は、本人だけでなく家族や友人にとっても破壊的な病気です。長生きすることで、認知症が、私たちが直面する最大の社会的で医療上の課題の一つに速やかになっています。認知症の人が増えることによる家族、地域、医療制度、予算がますます緊急の課題をなり、認知症の研究、診断、治療を改善するためできるだけのことをする必要があります」
ジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣(写真左下)は追加して次のように述べています。
「あまりにも長い間、診断率は驚くほど低いままでした。このため多くの認知症の人が暗闇での生活を強いられ診断を受けてないことで必要な支援を得ることができないままで、恐るべき状態に対処してきたのです。認知症は深刻で増大する問題であり、明らかに多くの人たちを認知され支援が得られるようにする果敢な取り組みは大きな前進です」
Independent 15 May 2013 Britain will use G8 to aid dementia research
関連情報:GOV.UK Press release:UK to use G8 to target global effort on dementia(15 May 2013)
編者:認知症をG8の議題なることは望ましいのだろう。その主導権を議長国という立場から確保しようとする賢い戦略だ。イギリスでは認知症国家戦略の柱の一つとして研究やシステムで優位に立ち、世界戦略も意図しており、今回はその第一歩か。

★「認知症の80代の老夫婦、自ら命を絶つ」(5月14日/ 韓国)
認知症の妻の世話をしていた80代の老人が、妻を車に乗せて貯水池に飛び込み命を絶った。
昨日午後4時半頃、慶北青松郡富南面の貯水池に、乗用車が落ちているのを山火事監視員が発見して警察に通報した。車の中ではイ某さん(88)とチェ某さん(83)夫婦が遺体で発見され、イさんの自宅からは遺書が発見された。イさんは4年前から認知症を患う妻を世話してうたが、妻より先に死亡するかと心配していたと分かった。
Innolife.net  2013年5月14日 原文のまま

アルツハイマー病協会の認知症地域巡回展示始まる(5月12日/イギリス)
アルツハイマー病協会主催認知症地域巡回展示Alzheimer's Society Dementia Community Roadshowの車が、11日、ロンドン巡回の一環としてサットンのオールドフィールド通りにあるスーパーテスコTescoの前に止まりました。
協会のスタッフとボランティアに国会議員のポール・バーストウPaul Burstow氏(写真左)が加わりました。認知症の人、家族、友人らに予約なして参加するように呼びかけていました。100人以上の人が助言を受け、39人の人が特別な部屋で相談を希望しました。
昨年、サットンとメルトンで1586人が新たに認知症と診断されています。協会は750万ポンドの寄付を募り、認知症の人の生活を向上させ、研究を支援しようとしています。
バーストウ議員は「スーパーの外で地域のアルツハイマー病協会の人たちの出会うことはよいことです。認知症の情報を得て、質問することができることで大きな違いが生まれる」と述べています。
サットン地区のアルツハイマー病協会支援サービス担当者のデビー・ブレナンDebbie Brennan氏は「巡回展示で出かけてロンドン中で人たちに会い、認知症の偏見に立ち向かい啓発するとても素晴しい方法です。もの忘れ心配なら、GPに受診できるように、あるいはもっと利用可能な支援を見つけるためにアルツハイマー病協会と接触することを勧める」と述べています。
thisislocallondon 12th May 2013 Hundreds visit Alzheimer's Society Dementia Community Roadshow
関連情報:Dementia Community Roadshow
編者:移動車で地域に出かける啓発相談活動は参考になる

★認知症ユニットに意義はあるのか(5月10日/アメリカ)
持って回ったような名前――「記憶介護ユニットMemory Care Unit」「思い出ご近所 Reminiscence Neighborhood」「邸宅Homestead」―が認知症ユニットであることは知っているでしょう。
認知症の入居者のための特別なユニットは、アメリカのナーシングホーム産業に普及し、ナーシングホームの16%以上にこうしたユニットがあります。
立派な考から、典型的なナーシングホームでの強い刺激と少ない職員から認知症の人を隔離された棟に移すとうことになるのです。そこでは穏やかで安全な環境があり、よく研修を受けた職員がふさわしいアクティビティを提供し問題行動に対処しさらに大切な支援を行うというのです。
しかし私は、いつも、こうしたユニットが実際は彼らがいう約束とより高い料金に応えているか疑ってきました。競合するナーシングホーム市場で、料金を払う消費者に優れたものとして提供しているのかもしれません。しかし、よりよい介護が提供されているのでしょうか、あるいはほとんど安心させる名前だけで鍵のかかるドアだけのユニットではないのでしょうか。
研究から興味深い多くの結果が出ていますが、悲しいことに、出歩き、攻撃的になり、あるいは荒々しくなり、もっと注意が必要な認知症の人たちにとって、ユニットが解決方法であると家族が納得するようなはっきしして合意できるような結果は出てはいないのです。
1990年代初期あるいは中期に、ある研究チームが4つの州の8万人近いナーシングホームの入居者を追跡し、機能の能力と機動性について観察しました。1年後、アメリカ医師会雑誌Journal of the American Medical Associationに、認知症ユニットの入居者は、従来のナーシングホームの認知症の入居者と比べて、有意によい状態であり、あるいは機能の低下がより遅いということは認めなかったと報告されました。
その研究の執筆者のひとりである北カリフォルニア大学チャペルヒル校University of North Carolina at Chapel Hillの家庭医学のフィリップ・スロエンPhilip Sloane教授(写真左上)は次のように述べています。
「特別な介護によって進行性神経疾患による機能の低下が止まることへの期待が多く寄せられましたが、私たちの大規模な調査経験では、ほとんどの認知症ユニットに指導者とスタッフがいるが、認知症管理で多くの利用できる代替方法についてとてもよく知っているわけでもなく最新情報を得てはいないということを知りました」
さっと10年後のことになりますが、トロントにある女子大学研究所Women’s College Research Instituteの保健科学者であるアンドレア・グルニエールAndrea Gruneir氏(写真左中)は、認知症ユニットで実践されていることは、標準的なナーシングホームでの実践と比べ、たとえ認知障害が同じレベルとしても測定できるほどの違いがあること認めました。
彼女らが2008年に報告したことは、特別ユニットではベッド柵(転倒や外傷に関わる)および経管栄養(合併症を起こし延命効果はない)の使用が有意に少なく、ブリーフやおむつに頼らず、計画的に排せつさせ入浴を促しています。
さらにグニエール氏は「失禁に対処する労働がより必要な方法ですが、入居者の尊厳と生活の質を優先したものです」と述べています。
しかし、認知症ユニットの入居者で明らかに抗精神病薬の服用が多いかったようです。スタッフが研修を受けているということから薬は少ないと期待されました。
またグリエール氏はこの薬について「薬ははっきり記載された副作用がありますが、問題行動に対処するのに多くのよい代替方法がないと言われている」と述べています。
こうしたユニットを評価するには、両面を観ることが必要です。グルニエー氏らは、認知症ユニットのある施設では入院が少ないと認めています。
さらにグルニエー氏は次のように述べています。
「できれば認知症ユニットが入院を必要とすることにならないようにし、症状のすべてを理解し、適切な介護を提供することができることが望まれます。多くの入居者がより積極的な介護による利益を得ることはないだろことを彼らは知っています。しかし、入院率が低いことはすべてのナーシングホーム―認知症のない入居者も含め―で認められることで特別ユニットだけではありません」
さらに彼女は、特別ユニットに設けるナーシングホームは、多分、他のことでもよりよいことを実践していると理論付けし、「特別な部門の投資することはその施設のすべての人たちの利益にもなっているようだ」と述べています。
こうした複雑さ様相にさらに、最近のミネソタ全州での調査によると、認知症ユニットは認知症の人と家族のとても関係した要因―生活の質―に影響することが示唆されています。
その州で行った面接調査では、認知症ユニットの入居者は、快適さ、自律性、意義ある活動、環境といった面でみた生活の質の面が、従来のナーシングホームのユニットでの認知機能の障害のある入居者と比較してと、高いと報告されています。
その研究の筆頭著者であるウエスタンケンタッキー大学Western Kentucky Universityの公衆保健の専門家であるキャサリーン・エイブラハムソンKathleen Abrahamson氏(写真左下)は「特別介護ユニットではとても積極的な多くのことが生まれている」と述べていますが、入居者はうつ状態の診断で気分面での評価が低いのです。これについて彼女は。「多分、うつ状態と診断受けてない入居者が多いのかもしれない」と示唆しています。
認知症ユニットをどう考えたらよいのでしょうか。
グルニエール氏は「認知症ユニットについては混在した状態があり、ときにはある事柄でよいことがあるように見えるが、別の時には、全く異なるように見える」と述べています。
こうしたことから認知症ユニットが提供する内容と対象者に関しての基準も規制もほとんどないのかもしれません。認知症の人ですばらしい状態にあることもあれば、他方、ただ鍵を掛けられているに過ぎないかもしれないのです。さらに事態を複雑にしているのは、多くの介護付き住宅assisted living facilitiesに認知症の特別なユニットがあることです。
とはいえ最終な結論として、認知症の人のためにナーシングホームを探している家族は、自ら適正な評価を行わなければならないのです。具体的に、1日のうちの異なる時に訪問する、質問する、メディケアのサイトmedicare.govで評価を知る、他の入居者の家族に話すといったことです。
特別な認知症ユニットがよりよい介護をしているとみなすことはできません。しかも施設によって、とても違うということはないのです。
寄稿者:ポウラ・スパンPaula Span氏 (写真右下)は「その時が来た時:高齢の両親がいる家族は闘いと解決を共有する“When the Time Comes: Families With Aging Parents Share Their Struggles and Solutions”」の著者。
NYT May 10, 2013  Studies Find Mixed Results for Dementia Units
関連資料:Effects of Residence in Alzheimer Disease Special Care Units on Functional Outcomes(JAMA October 22, 1997) Is Dementia Special Care Really Special? A New Look at an Old Question ( Journal of the American Geriatrics Society 27 DEC 2007) Does Cognitive Impairment Influence Quality of Life Among Nursing Home Residents?(
The Gerontologist January 9, 2012)

編者:わが国で介護保険制度に取り入れられ急速に普及したグループホームの有意性についての「科学的評価」はあまり聞かない。なにでも科学的評価が行われるアメリカと違い、日本では経験的情緒的な基準で評価されていないか。

アルツハイマー病の免疫グロブリン療法の効果認めず(5月7日/アメリカ)
アルツハイマー病治療が後退しているなかで、バクスターインターナショナルBaxter Internationalは、今月7日、ガンマガードGammagardのよるアルツハイマー病の知的機能の低下を阻止するかどうかの最終的な臨床試験で失敗したと、発表しました。
昨年、この薬を最大量使った4人のアルツハイマー病の人で認知機能と日常生活能力に関する評価値が3年間低下を認めなかったと発表して、この薬になんらかの効果があるのではという可能性が光っていました。
しかし、よくあることですが、いくつかの事例による有効性の証拠があっても、偽薬と比較する大規模で無作為試験を行った結果、可能性がなくなったのです。
7日、バクスターは次のように報告しました。
「免疫グロブリン療法に使われているガンマガードは、偽薬と比較して認知機能でも日常生活機能でもその低下を有意に阻止したという証拠は認められませんでした」
この臨床試験は、軽度から中程度のアルツハイマー病の人390人で18か月間行われました。
さらに会社は「アルツハイマー病治療の同じ薬による別の臨床試験も中止する」と発表しました。
バックスターの生科学事業のあるルードウイッヒ・ハントソンLudwig Hantson会長(写真)は7日に開催された分析に関する電話会議で次のように述べています。
「現在、どう対応するかの再評価を進めています。会社が全く諦めたというわけではありません。異なる二つの投与量での試験では投与量が多いグループで軽度のアルツハイマー病の人より中程度の人になんらかの影響を認めました。またアルツハイマー病の発症の危険性を高めるアポE4の遺伝子を持った人でも同様の結果でした。会社としてはMRIによる脳萎縮や血液中や脳脊髄液中のアミロイドタンパク値といったアルツハイマー病の生体指標を参考に、まだ分析が終わっていないデータを評価します。今後、小さい集団のアルツハイマー病の人で新たな臨床試験を行うことを決定するでしょう」
バクスターの株は、7日の取引開始から3%下落しています。
今回のバクスターの発表は、昨年のファイザーPfizerとジョンソン&ジョンソンJohnson & Johnsonが開発したバピネウズマブbapineuzumabとイーライリリーEli Lilly & Company.が開発したソラネスマブsolanezumabの二つのアルツハイマー病薬の第3相臨床試験での失敗に次ぐものです。
リリーは、同社の薬の試験を、中程度ではなく軽度のアルツハイマー病の人で続けています。これはバクスターの発表とは逆です。
昨年、失敗した二つの薬は、アルツハイマー病の脳内に認められる毒性を持ったタンパクのアミロイドベータを標的にしたものです。
こうれに対してバクスターの治療が有効であるとしても、どのように作用しているのかよく知られていません。静脈注射用免疫グリンあるいはIVIGとして知られている免疫グロブリンは、健康のボランティアから採取した人の血漿から製造されます。
ガンマガードは、既に別の疾患の治療薬として市場に出回っており、多くの医師はそれを適応外であるアルツハイマー病治療に使っているのです。
バクスターの役員らは「そうした適応外の薬の使用は、月額数千ドルになり費用が高くその使用は制限されている」と述べています。
この治療法は、2週間ごとに静脈注射を行う必要があります。
たとえ、バクスターの薬が臨床試験で効果があるとしても、十分な人の血漿を集めるという課題があり、その治療法が現実的であるかという疑問が残るのです。
現在、免疫グロブリンは、稀な免疫学的・神経学的な疾患の数万人の人に使われていると推計されています。これとは異なり、アルツハイマー病の人はアメリカに数百万人いますさらにその数は人口の高齢化に伴う増加すると予測されているのです。
NYT May 7, 2013 Promising Alzheimer’s Treatment Fails, Drug Maker Says
サイト内関連記事:「アルツハイマー病免疫療法の臨床試験結果」(2012年7月17日)
編者:NYTビジネス欄に載った記事を紹介だ。ガンマガードにわずかな期待はあったが、これも消え去ったようだ。またガンマガードはもし有効だとしても、とてつもなく多い需要に供給が追い付かず、富裕層の薬になりうるという倫理的課題が生まれ開発を手放しには支持できないと記者はみているのだ。

★誤嚥性肺炎は認知症高齢者の重要で予防できる死因(5月3日/中華民国)
アルツハイマー病など認知症の人は誤嚥性肺炎で亡くなる危険性が、女性より男性に高く、高齢者で85歳以上よりより若い層で高いことが死亡診断書の調査で明らかになりました。
台湾の台南市にある「国立成功大学公衆保健学部Department of Public Health 、National Cheng Kung University」の呂宗學Tsung-Hsueh Lu教授(写真左上)が、4月18日から20日まで台北で開催された「国際アルツハイマー病協会第28回国際会議Alzheimer's Disease International (ADI) 28th International Conference」でこの分析結果を発表しました。
死亡診断書には、直接死につながる病気や状態が記載され、その次に死因に関連する要因を記載されますが、後者は原因として無視されることが多いのです。
例えば、死亡診断書で直接死因を敗血症として記載される場合、誤嚥性肺炎やアルツハイマー病が要因が記載されていても、敗血症が人口動態統計の目的にそって死因とされるかもしれません。そこで彼らは、誤嚥性肺炎が挙げられて頻度を調べました。これは認知症の人の早期死亡の予防可能な原因でありえるのです。
2002年から2009年までの間、アメリカでの死亡診断書の6%、台湾での3.6%で死因として認知症が誤嚥性肺炎を原因として挙げられています。
アメリカの男性で認知症があると誤嚥性肺炎の発症危険性は女性より78%で高く、同様に台湾では71%高い。
アメリカの65歳から74歳の年齢層をより高齢の年齢層と比較すると、認知症の人は誤嚥性肺炎の発症の危険性が低く、台湾では加齢とともに有意ではないが危険性が減少している―原因を説明できない―とLu医師は述べています。
両国で嚥性肺炎と認知症で亡くなる人の割合は、ともに調査期間中に減少しています。
Lu医師は次のように忠告しています。
「誤嚥性肺炎は死亡原因として報告されないこともあり、死亡診断書によるよりも、実際はもっと多いと思われるろうと忠告しています。アメリカでは、州によって死因の報告や決定が州によって異なるようです」
さらにLu医師は次のように助言します。
「食物の誤嚥が肺炎の大きな原因ですが、この危険性は減らすことができます。言語療法士は、嚥下訓練や早期期死亡の予防のため嚥下能力を評価し、嚥下訓練や食物の準備について相談を受けられるようにすべきです」
この会議の分科会の司会を務めたダヴィッド・トロキセルDavid Troxel氏(写真左下)は、公衆保健学修士でカリフォルニア州サクラメントを拠点とした介護コンサルタントで認知症分野の執筆者ですが、次のように述べています。
「嚥下と食物誤嚥は、認知症高齢者の大きな問題として認識されていますが、取り組みが遅れているのは、家族が医療言語聴覚士を知らないということです。医師は、患者を評価し支援するこの専門職に紹介することを考えないようです。家庭で、どのように食事を用意し、いろいろな形でゼリー状の食事を用意するかについて多くの知識があると思いません。こうした分野で家族は大きな支援を得ていないと思います。これが問題で、高齢者介護の専門職は医師と誤嚥の要因の問題をともに認識し、医療言語聴覚士への紹介などを医師と相談することを勧めます。食物について「べし・べからず集」について家族にもっと教育することを認識しましょう」
Medscape Today May 03, 2013  Aspiration Pneumonia Risks Premature Death in Alzheimer's
抄録:RISK OF DYING FROM ASPIRATION PNEUMONIA IN PATIENTS DIED WITH ALZHEIMER’S DISEASE AND RELATED DEMENTIA IN US AND TAIWAN: AN ANALYSIS OF MULTIPLE-CAUSE MORTALITY FILES
T.-H. Lu 1,M.-C. Pai 2 1Department of Public Health, National Cheng Kung University, 2Department of Neurology and Alzheimer’s Disease Research Center, National Cheng Kung University Hospital, Tainan, Taiwan
Objectives: Dysphagia is common in patients with Alzheimer’s disease and related dementia (ADRD) and will increase risk of aspiration pneumonia (AP) and mortality. The aim of this study was to determine the frequency of reporting AP as a cause of death among death certificate with mention ADRD in US and Taiwan.
Methods: We used multiple-cause mortality files for years 2002-2009 to identify death certificates with mention ADRD (ICD-10 code G30 or F03) and AP (ICD-10 code J69) for analysis. The adjusted odds ratio (OR) and 95% confidence interval (95% CI) of reporting AP by year, sex and age was estimated based on multiple logistic regression models.
Results: The frequency of reporting AP on death certificate with mention ADRD was 6.0% (120,034/2,002,957) in US and 3.6% (330/9143) in Taiwan. The OR (95% CI) of reporting AP in 2008-09 versus 2002-03 was 0.72 (0.70-0.75) in US (5.0% versus 6.9%) and 0.86 (0.63-1.17) in Taiwan (3.5% versus 3.9%). The OR (95% CI) among male deceased versus female deceased was 1.78 (1.76-1.80) in US (8.4% versus 4.8%) and 1.71 (1.36-2.14) in Taiwan (4.5% versus 2.8%). The OR (95% CI) among deceased aged 85 years or above versus deceased aged 65-74 years was 0.84 (0.82-0.86) in US (5.5% versus 7.5%) and 1.27 (0.86-1.89) in Taiwan (3.6% versus 3.2%).
Conclusion: Assume that the underreporting bias did not change during the study period in two countries, the risk of dying from AP in patients with ADRD decreased with years and was higher among males in both countries. Efforts are needed to further reduce the number of deaths from AP, an avoidable cause of death.
Disclosure of Interest: None Declared
Alzheimer's Disease International (ADI) 28th International Conference. Abstract OC024. Presented April 19, 2013 OC024 Session: Quality of Life
編者:経験的に誤嚥性肺炎は認知症高齢者の死因として重要だが、この種の統計数値をわが国では知らない。

アルツハイマー病などの3人が他自殺(5月2日/アメリカ)
カリフォルニア州ロサンゼル県のハチエンダハイツHacienda Heightsで、明らかに他殺と自殺した3人に慢性的な病気があったと、親族が語りました。
5月1日、ジム・クラブトリーJim Crabtree氏は、ニュースで3人の殺人を報道で知り、ロサンゼル県ハチエンダハイツHacienda Heightsのレイディスミス通りLadysmith Streetの15900区画にある親の家に行きました。
彼は次のように語っています。
「リタ・デレハンティRita Delehanty(62歳)と結婚しており、彼女は義父のドン・クラブトリー(84歳)と義母のキャロル・クラブトリーCarol Crabtree(80歳)と一緒いました。3人とも慢性的な病気があり、妻と父はアルツハイマー病、母は慢性的な関節痛で車椅子が欠かせません。終末的病気を持った3人の昔からある最期の姿です。妻が若年期アルツハイマー病と診断されてから、6年間、毎日、親の家に彼女を送ってきました。妻は私のことを25年間わからないままでした」
警察によると、5月2日午前9時、最高齢のドン氏が妻を寝室で銃を撃ち、それから居間にいる義理の娘にも銃で撃ちました。それから裏庭で自分に銃を撃ちました。彼は病院に搬送中に死亡しました。ピストルとショットガンが裏庭で見つかっています。
検視官は3人と確認し、3日に剖検を行うだろうと述べています。
Los Angeles Times May 2, 2013 3 in murder-suicide had Alzheimer's, chronic pain, relative says
編者:銃社会アメリカでの陰惨な事件だ。長期間、家族だけで自助努力してきたようだ。しかも若年期アルツハイマー病の妻を夫が老いた両親に、朝、預けて、仕事に出かけ、夕方、迎えにくるという生活を繰り返していたのだろう。

★行方不明の認知症の人を発見するGPSを使用と警察が主張(5月1日/イギリス)
イギリス南部のサッセックスの警察当局は行方不明になる人を探す費用と時間を節約するために6個のGPS 機能付き機器を購入したとして、非難されました。
「全国年金者協議会National Pensioners Convention」は、機器の導入を野蛮で、そうした人たちに偏見差別を抱き犯罪者として扱われるとしています。
しかしスージー・ミッチェルSuzie Mitchell巡査部長は次のように述べています。
「この制度でサセックスの警察は、行方不明になった人を探すための時間と人と起こりうる危険、さらには家族の不安と心配と比較すると、わずか2,300ポンドの経費でうまくいくのです」
「マインドミーMindme」のGPS(写真右)は、チチェスターChichester地方議会が運営するチチェスターケアラインChichester Carelineが監視し、1日24時間、弱者を支えています。
機器は、家の鍵に付けたり首の掛けるたりして、居場所が不明になった人をウエッブやケアラインと通して家族が見つけることができるようになっています。
付けている人が移動型発信機を持っているかぎり、世界中でどこに居るか分かるのです。居場所情報は、セキュリティーが確認された後、介護者や家族に限って知らされます。
機器は警察を援助する方法の一つとみなされ、認知症の人を探す場合、通常警察が呼び出されます。
しかし、年金者協議会のドット・ギブソンDot Gibson事務総長(写真左上)は次のように述べています。
「直ちに撤回すべきだと思います。罪を犯して人と認知症の人を同一視することは全く間違っています。内閣の閣僚の誰が親が認知症のとき、この方法を取りたいと思っているか疑います」
安上がりの方法でケアしようとする当局を非難して、さらに彼女は述べています。
「問題を間違って見ているのです。地域に、夜間に行方不明になって身が安全でないほど悪い状況にある人がいるなら適切に介護されるべきです。ラベルを付けるべきではありません。もっと詳細にわたる対応が必要な問題であれば監視は粗野な方法です。安直なやり方です」
現在、イギリスには80万人以上の認知症の人がいるとされています。多くの地方当局はすでに同様の方法で機器を使っていますが、警察が使うのは初めてのことと思われています。
機器は月額27.50ポンド(訳注:現在のレートで約4000円)で、これには毎日、24時間体制で行うチチェスターケララインの監視も含みます。
チチェスター地方議会のアイリーン・リンティルEileen Lintill氏(写真左下)は次のように述べています。
「全国で数十万人が認知症です。今回の解決方法は、認知症の人と家族に必要とする信頼と安心を提供するものです。最新モデルの機器は利用者がボタンを押すことで直接に話ができるようになっています。自立を維持したい人なら誰もが使うことができ、支えられるようにいつも誰かがまわりに居るという安心感をもたらします」
the guardian  1 May 2013  Police defend use of GPS locators to find dementia patients who wander off
編者:警察が経費軽減のためGPSを投入するのは短絡的、イギリスで倫理的議論となっているようだ。これに替わるものとして何が提供されているよくわからない。行方不明になる認知症の人を地域で支えるためにイギリスでどのような対応や制度があるのかはアルツハイマー病協会のサイトのFactsheets "Moving and walking about"が参考になる。

アルツハイマー病薬などの臨床試験の最新情報(4月30日/ アメリカ)
「国立加齢研究所National Institute on Aging (NIA)」のサービス部門の「アルツハイマー病教育情報センターAlzheimer’s Disease Education and Referral (ADEAR) Center」が配信するe-Update4月号で、アルツハイマー病などの新しい臨床試験―治療薬、脳画像検査、認知ケア―の最新情報の提供し、ボランティアの参加を呼び掛けています。こうした臨床試験や研究にはボランティアが必要で、以下の試験等は最近、NIAのリストに挙がったものです。詳しい情報は項目をクリックするか、参加については地元の研究コーディネーターに連絡してください。
その他の臨床試験や研究についてはADEAR Centerのサイトwww.nia.nih.gov/alzheimers/clinical-trialsを見るか、電話(1-800-438-4380)してください。
薬の臨床試験
アルツハイマー病
AC-1204:対象は軽度から中程度のアルツハイマー病(実施地域:Long Beach, CA; San Diego, CA; Tampa, FL)
AZD3293:対象はアルツハイマー病(実施地域:Glendale, CA)
MK-8931:対象は軽度から中程度のアルツハイマー病(実施地域:多数)
TRx0237:軽度のアルツハイマー病(実施地域:多数)
非アルツハイマー型認知症
タウ病理神経画像計画(4回実施)4 Repeat Tauopathy Neuroimaging Initiative(実施地域:San Francisco, CA)
その他の臨床試験
ナーシングホームでの終末期認知症ケアの改善のための教育ビデオEducational Video to Improve Nursing Home Care in End-Stage Dementia(実施地域:Boston, MA)
術後高齢者の記憶と思考の障害Memory and Thinking Problems in Older Adults After Surgery (実施地域Gainesville, FL)
予防に関する試験
将来にわたる研究の参加することに関心ある方は、「アルツハイマー病予防登録Alzheimer’s Prevention Registry」 (www.endalznow.org)にサインアップするか電話(1-888-786-7259)して、将来にわたるアルツハイマー病予防の試験に参加することについての情報を得てください。18歳以上では誰でも参加できます。アルツハイマー病予防登録の関する詳しい情報はこちらです Alzheimer’s Prevention Registry
その他の主要な研究でも参加を募っています
「アルツハイマー病神経画像計画2 Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative 2 (ADNI2)」は、65歳から90歳までの記憶力にはっきしした関心はあるが認知機能障害のない人、初期の軽度認知障害の人、軽度のアルツハイマー病の人がこの革新的な研究に参加するボランティアとして募っています(実施地域:アメリカとカナダで多数)。
「優性遺伝性アルツハイマー病ネットワークDominantly Inherited Alzheimer’s Network (DIAN)」は、アルツハイマー病で知られている優性の遺伝変異を持つ生物学的な親を持つ18歳以上の人を探しています(実施地域:多数)
「収縮期血圧を管理して低下した高血圧の人の記憶と認知機能試験Systolic Blood Pressure Intervention Trial, Memory and Cognition in Decreased Hypertension (SPRINT-MIND)」は、高血圧(収縮期血圧が少なくとも130)で心疾患や慢性腎疾患あるいは心疾患の危険性の病歴を持ってはいるが糖尿病や脳血管障害の病歴のない50歳以上のボランティアを募集しています。(実施地域:多数)
上記のことおよびアルツハイマー病の臨床試験に関する情報については、「アルツハイマー病臨床試験」www.nia.nih.gov/alzheimers/clinical-trialsをご覧ください。あるいはADEAR Center(電話無料:1-800-438-4380 )またはメール(adear@nia.nih.gov)でお尋ねください。
(ADEAR Centerの2013年4月30日のメール情報4月号より)
編者:日本でのこうした試験情報は限定的だ。

リスクを伴うアルツハイマー病研究に投資が続く理由(4月15日/アメリカ)
アルツハイマー病研究にとって、フランスの会社サノフィSanofiのCEOが、今週、この病気への投資はリスクを負う価値はないと発言は、ひろく打撃となりました。
CEOのクリス・ヴィーバッハーChris Viehbacher氏(写真)は次のように述べています。
「もっと基礎科学を進めないと、研究への企業資本を投じるにはリスクがあまりに大きのいです。実際、私たちは最善でも、この病気の原因を部分的にしか理解していません。ノースカロライナ州ダーラムを拠点にしたカラクシースCuraxisは、11年間で8000万ドルを治療研究のために使い、結果的に昨年7月に倒産してしまいました」
見かけ上、役にたたない取り組みに毎年、何百万ドルを使っても払い戻しがほとんどなくことからして、「なぜ投資を続けるの?」という大きな疑問が生じます。
昨年、専門家にこの質問をしたところ、簡単に「それはお金」と答えました。
もし、企業が答を見つけた時、年間、アルツハイマー病の人に既に使われている推計864億ドルの一部を獲ることになるでしょう(同サイト参照記事:Curaxis is not alone in failing on Alzheimer’s)。
アルツハイマー病が研究者のとりわけ根強い課題である理由については当サイトの記事(Breaking brain’s barrier a tough challenge for scientists)に情報があります。
ブルームバーグは、アルツハイマー病の分野で1998年から101件の失敗があったと報じています。このなかには昨年のファイザーPfizer、ジョンソン&ジョンソンJohnson & Johnson、エランElan Corporationの最終段階の臨床試験で挫折も含まれます。
Triangle Business Journal Apr 15, 2013 Why risky Alzheimer’s research investing persists
編者:原因が解明されてないアルツハイマー病の治療研究は企業的には危険分野とのことだが、説得力ある記事だが、どうする。

★認知症の人による暴力の多くは通報されてない(4月12日/オーストラリア)
高齢者介護の提供企業は、認知症などの認知機能障害がある人による暴力を報告することが要請されていません。
オーストラリアのABCのテレビ番組「レイトラインLateline」は、暴力を含む重度の行動障害を認める少なくとも5000人の認知症の人が、オーストラリアの2000ほどのナーシングホームでの処遇が変更されていきました。また多くの介護提供企業が職員に事故防衛のための研修を受けさせています。
危険な抗精神病薬の間違った使用を止めるという新たな要請のもとで、ナーシングホームの管理者にとって驚くべき事実が生じており、介護提供企業はナーシングホームでより多くの暴力が起こりうると関心を示しています。
心理学者でもあるスーザン・ヘンダーソンSusan Henderson氏(写真左上)は次のような事件を述べています。
「ビクトリア州のナーシングホームに入居している母が、ある夜、ベッドで寝ているところに、84歳の男性入居者に襲われました。看護師は彼女の叫ぶ声を聴いて、部屋へ急いでゆくと、男が乗りかかり一方の手で彼女の胸を叩き、もう一方の手で枕で窒息させようとしているのを見つけました」
これにヘンダーソン氏は驚き、同じ男性が他の入居者をも襲っていることを知りました。窒息させられようとした人もいたのです。
こうしたことが起こったにも拘わらず、母親が受ける危険について彼女が知らされていませんでした。ナーシングホームでの暴力は、公的に通報されることのないのです。
ナーシングホームの管理者が「双方とも認知症なので警察に報告することはない」と言ったので、彼女は、管理者が意味することは、母への暴力の事実が消えてしまうことになり、無かったことのようになると、思いました。
心理学者のヘンダーソン氏は、母親へ暴力をふるった男性への処遇が気になりましたが、暴力が些細な事件として扱われることに憤慨したのです。
さらに彼女は次のように述べています。
「母は死んでいたかもしれないのです。妄想的で暴力的で攻撃的な認知症高齢者で暴力をふるったことのある人に何もせず、認知症棟に鍵をかけて閉じ込めておくこともしません。さっぱり理解できない。施設はこの男性に必要なことにも、その人権にも、そして施設に居る他の人のニーズや人権にも応えていません。全体として、徹頭徹尾、入居者の安全が無視されています」
以下、ナーシングホームの管理者とヘンダーソン氏の会話
管理者:その男性を移すことができません。彼をよく監視するために一対一の介護を行います。
ヘンダーソン氏:その後、管理者とおどろくほど対立しました。
管理者:お母さんを自宅に連れて帰りたくありませんか。
これにショックを受けたヘンダーソン氏:もちろん家には帰しません。母はレベルの高い介護が必要で、私は看ることがでないので認知症棟に居るのです。
管理者::母親を安全にするための24時間監視に超過料金を払う気はありませんか。 
ヘンダーソン氏:払いません。母は何も悪いことはしていません。この問題を起こしたのでは彼女ではないのです。母が超過料金を払うべきとは思いません。私も払いません。母を介護する施設の義務があるということから逸脱しています。
管理者:何をしてほしいのですか。
ヘンダーソン氏:母が安全であることを確かめたいのです。睡眠中に窒息させられることないということを知りたいのです。
管理者:私たちができることは唯、あなたが入居できるようにすることです。
ナーシングホームで事件を起こした男性は、母親の部屋から2つ目の部屋にまだ居ます。こうしたことは稀なことではありません。
ほんの10年間で、オーストラリアのナーシングホームは急増する認知症の人で占められるようになりました。
そのうちわずかの割合の人が暴力的なのですが、他方、「レイトラン」は、約5000人の認知症の人に極端な行動や心理的混乱があり、ナーシングホームが対応できないことを認識して高齢者介護施設の間を移動していると事実を知りました。
平均的にナーシングホームの2,3%で起きていることですが、家族はこうした人たちによる危険にいて何も聞いていません。
オーストラリアで指導的な認知症介護の提供企業の一つの「ハモンドケアHammondCare」の統括マネージャーであるアンジェラ・レイガスAngela Raguz氏(写真左中)ですが、その企業は連邦政府と基準の改善する作業を進めています。
レイガス氏の推計では、5000人は控えめな数値で、もっと多い可能性がるでしょう。
しかし、彼女が確信するには、ほとんどのナーシングホームではそうした人への治療について専門的知識を持っていません。
彼女は次のように述べています。
「制度についてあれこれ検討はされているが、現行制度ではどこかのナーシングホームで薬漬けにされたり、拘束されたり、あるいは不適切な介護を受けるしかないのです。事件を起こす人は認知症なので、暴力があっても警察や行政に通報されるべきではありません。しかし、昨年、260件ほどの重大な暴力が通報されました。どれほど暴力事件が起こっているのか誰も知りませんが、増えているということは知っています。全国で毎日、多くの事件が起きていることを知っていることは話しておかなければなりません。事件は、少なくとも、数百件はあるでしょう。あるいは暴力件数は数万になるかもしれません」
困難な状況に加えて、ナーシングホームの企業は、現在、薬物的拘束に関する新しい制限に直面しています。
昨年「レイトライン」は、何千という認知症の人が、広く間違って使われる抗精神病薬のために早死にしていると報道しました。
現在、「コクランコラボレーションCochrane Collaboration(国際的に影響力のある医療評価団体)」は、医師に、わずかな急性事例を除き抗精神病薬の処方を止めることを勧告しています。
しかし、既に企業は、よく教育された職員が本当に少ないため、このことは負担をなり、いくつかのナーシングホームは、さらに暴力が増えることになるのではと抗精神病薬の使用中止を心配しています。
「レイトラン」は、多くのナーシングホームで、現在も職員に攻撃的な認知症の人に対処する自己防衛の研修を行っている事実を知りました。
レイガス氏は「ただ薬を減らすだけなら、なんの解決にもなりません。もっと多くの暴力を無くそうと命じるのなら、全体的な答が環境整備であることを確信しなければなりません」と述べています。
「ハモンドケア」のような認知症サービスが一つの解決方法です。
よく設計された施設で専門的職員が、「その人中心の介護」に集中することで、驚くべき結果をもたらすことができると、言われています。
ある認知症の人は、深刻な暴力のために13回入院しましたが、ケースマネージャーはその認知症の人が仕事をする必要があると認識しました。
その男性は、「ハモンドケア」のランドリー部で仕事を与えられ、毎日、わずかの支払いを貯蓄することが許さるようになってから暴力が無くなったのです。
レイガス氏は「実際、ソーシャルワーカーの人が意味ある機会を用意して価値と幸福の感覚を与えることで、行動が少なくなり、うまくいくのです」と述べています。
しかし、この種の優れたケースマネージメントには、さらに多くの良い研修を受けた職員とよく設計された施設が欠かせません。
現在、平均的なナーシングホームでは入居者7人に1人の介護職がつき、毎週の個別的な介護は約20時間に過ぎません。
レイガス氏は、「現在、オーストラリアのナーシングホームの10%以下ほどでしか適切な介護を行っていない」と推測しています。
ヘンダーソン氏は、母親がこうした制度のもとで見捨てられたと感じ、次のように述べています。
「援助を求めるとき、首相の部屋の職員によって軽視されました。州や連邦政府の人たちからの反応で、自由党も労働党も同じです。基本的に、母は投票することはないので彼らがするようなことはないのです」
精神保健高齢者大臣Minister for Mental Health and Ageingのマーク・バトラーMark Butler氏(写真左下)は、次のように述べています。
「ヘンダーソン氏の母親の状況は信じがたいほど痛ましく、悲しいことです。こうした事件が起こっているという事実ですが、状況はとても複雑です。簡単に解決する方法がありません。介護施設には認知症の人が少なくとも10万人います。複数の柱からなる戦略が必要です。一つの方法で解決することがあることは無視しませんが、よい投薬管理制度を整え、よい環境設計が必要です。「ハモンドケア」が実施しているような環境設計組織の型があります。こうして認知症の人が穏やかになり興奮することがなくなるのでしょう。高齢者介護施設の職員にはより行動管理が必要です。職員は、ヘンダーソン夫人が悲しいか取り組まなければならなくなったある種の暴力に落ち込む前に、興奮、攻撃といった兆候を知らなければなりません」
Abc.net.au 04/12/2013 Hundreds of dementia assaults going unreported
編者:わが国では「高齢者虐待防止法」で施設での職員の高齢者に対する暴力が通報されることがあるが、認知症の人が職員や入居者への暴力はどう扱われているのだろう。物理的身体拘束、薬物的身体拘束、あるいは精神科病院へ治療のためとして送る?わが国ではオーストラリアにように実態があまり伝わってこない。それにしてもオーストラリアでもいい施設もあれば、そうでない施設もあることは日本と同じか。

「認知症は心疾患やがんよりも医療費がかかる! 米研究」(4月9日/MTPro)
1人当たり年間4万ドル超える
わが国をはじめとして,認知症は増加の一途をたどっており,大きな社会問題となっているが,いまだ根治薬は開発されていない。米ランド研究所のMichael D. Hurd氏(写真)らは,このほど認知症にかかる医療費を調査し,米国では認知症1人当たり年間,少なくとも4万1,689ドルの医療費がかかることを発表した(N Engl J Med 2013; 368: 1326-1334)。認知症は,医療費が最も高い疾患の1つとして知られているが,同氏らの報告によりそれがあらためて浮き彫りとなった。同時期に行われた他の調査と比べると,心疾患やがんと同等以上に高額だという。
介護による医療負担が増加
対象は,51歳以上を対象とした米国の大規模長期追跡研究Health and Retirement Study(HRS)から抽出した856例。HRSでは認知症を直接評価する調査項目がないため,Hurd氏らは,加齢・人口統計・記憶研究(ADAMS)の一環として,856例に対しそれぞれ3~4時間の在宅調査を行い,認知機能調査を行った。
対象者の医療費の自己負担額の算出は,医療消費者物価指数を基に,2010年当時の米ドル換算で行った。なお,これらの医療費の内訳には,介護にかかる費用も含まれており,専門の介護士による有償介護に加え,家族などによる無償介護も人件費として医療費に計上された。また,認知症患者は,非認知症患者と比較して脳卒中など併存疾患が多いことから,重回帰モデルを用いて認知症単独にかかる医療費を検討した。
その結果,非白人(人種),女性(性),独身(結婚歴),高齢(年齢),低学歴(学歴),低所得(所得)が認知症と有意に関連していた(P<0.001)。また,日常生活動作(ADL)や手段的ADL(IADL)に1つ以上の制限があること,あるいは脳卒中,心疾患,精神疾患の既往歴も認知症との関連が有意に高かった(P<0.001)。一方,がんの既往の有無は,認知症との関連が見られなかった。
併存疾患,人口統計的要因で調整後の認知症1人当たりにかかる医療費は,4万1,689ドル(95%CI 3万1,017~5万2,362ドル)であった。このうち,再調達原価を考慮した無償介護の人件費は49%であり,医療費のほぼ半数を占めた。
高齢化により,30年後には認知症の医療費が2倍に
Hurd氏らは,856例を対象とした今回の認知機能のデータをHRSの5回の調査(2000~08年)のうち70歳以上の全員に当てはめた。それを基にすると,2010年では米国の70歳以上の高齢者のうち14.7%が認知症であり,認知症にかかる医療費は1,090億ドル(無償介護の人件費を含むと総額1,570億~2,150億ドル)にのぼると報告している。
心疾患の医療費(2008年:960億ドル,2010年:1,020億ドル)や,がんの医療費(2008年:720億ドル,2010年:770億ドル)との比較から,同氏らは「認知症はこれらの疾患と比較して介護の必要性がより高く,無償介護の人件費も含めると心疾患やがんよりも医療費が高くなる可能性がある」としている。
また,同氏らによると,1人当たりの医療費が同水準だと仮定すると,米国では2040年までに,高齢化による患者増のため,認知症全体の医療費が2倍近くまで増加する見込みだという。
(MTMedical Tribune 2013年4月9日 原文のまま
編者:医療費が高いアメリカで介護費用も高くつく。アルツハイマー病の診断にPETなどの高額検査を制限する動きもある。また公的介護保険が乏しい国で民間介護保険は伸びるかもしれない。なお、この論文が発表されたのうは4月4日でアメリカでは大きく取り上げられたが、翻訳の手間を避け、翻訳紹介記事を待っていた。

マーガレット・サッチャーの死についての見解―アルツハイマー病協会―(4月8日/イギリス)
元首相のサッチャー女性男爵Baroness Thatcherが今日、4月8日に亡くなったと報じられました。
サッチャー女性男爵は最後の数年間、認知症であったことはよく知られています。認知症は脳の病気で起こりますが、アルツハイマー病と脳血管性認知症が最も多い。65歳以上では3人に1人が認知症になりますが、認知症は、あまりに長く日の当たらない所に置かれ、家族は孤立して戦ってきました。
今日、国中でサッチャー女性男爵の思い出を分かち合うでしょう。この時、私たちはみなさんが認知症が人生に与える影響についてよく考えることを希望します。認知症の影響について率直に話すことで、私たちは認知症のまつわるいくつかの偏見に立ち向かい、認知症の人が受けるに値する支援を得られるようになるでしょう。
アルツハイマー病協会 事務局長
ジェレミー・ハーゲス Jeremy Hughes(写真右)
Alzheimer’s Society  8 April 2013 Alzheimer’s Society comments on the death of Margaret Thatcher
編者:わが国では認知症と思われる皇室の方が亡くなった時、「家族の会」も見解を表明すべきだったのだろうか。

保健大臣が認知症臨床指針の改定を発言(4月5日/シンガポール)
シンガポール保健省Singapore's Ministry of Healthは、2007年に改定された認知症臨床指針Dementia Clinical Practice Guidelinesを改定しました。今後の認知症の管理の課題に応えるものです。
第3回国際神経認知機能シンポジウムInternational Neurocognitive Symposiumで、ガン・キム・ヨンGan Kim Yong保健大臣(写真左)は「改訂版は軽度認知障害の診断についての検討、認知症に関わる倫理的・法的事項、および若年期認知症の管理についても指針を示しています。狙いは認知症のケアの向上を支援することです」と述べています。
国立神経科学研究所National Neuroscience Institute のナゲンドラン・カンディアNagaendran Kandiah医師(写真右)は次のように述べています。
「多くの認知症の人や家族は認知症を治らないと見なしています。認知症は絶望的病気なのです。しかし、全く正しいということではありません。認知症の人たちに伝えたいことは、これからも認知症の人たちを支援するためにできる多くの方法があるということです。認知症は終末的な病気ではなく、10年あるいは15年間続く慢性的な病気なのです。この慢性的疾患をどう管理するか、早期の診断、早期の支援介護、早期の相談、こうした支援で家族が共に歩みながら認知症の人を支援するのです」
ガン保健大臣は次のように述べています。
「シンガポールの人口は高齢化して、認知症の人数は増加すると予測されます。推計によると、シンガポールは、現在、60歳以上の認知症の人が約2万8000人います。2030年までにその数は2倍以上の8万人になると推計されています。医療専門職が進歩する認知症ケアの最新のデータを知ることが重要です」
大臣は、認知症のため地域精神保健サービスを提供し、増える要望に応えるためにその許容能力を拡大する支援組織と共に行動しています。
昨年、二つの「認知症ケア担当チームDementia Shared Care Team」発足しました。これらのチームは、専門家、関連の保健専門職、心理士からなり、プライマリーケア医師と共に活動して、認知症の人の評価、治療、支援を行います。
また、保健省は「もの忘れ外来」の受け入れ能力を増やし、2016年までに少なくとも60%拡大します。今後2か月間、このチームは、二つの外来―ゲイランGeylang地区とオウトラムOutram地区に在る―で試みます。この活動は、今年末までにさらに2つの外来に拡大されるでしょう。
Channel News Asia 05/04/2013 MOH launches revised set of Dementia Clinical Practice Guidelines)
編者:シンガポール政府が認知症対策で少しずつ動き出しているようだ。

ドイツで認知症が増える(4月5日/ドイツ)
ドイツで認知症が増加しており、毎日、新たに少なくとも100人が認知症となっていると報じられています。研究者の予測によると、EUで最も人口の多いドイツで認知症の人数は2050年までに2倍になります。
ラインポストRheinische Post紙がドイツアルツハイマー病協会German Alzheimer Societyの数値を引用して、5日に報じたところによると、毎年、認知症の総数はが全国で4万人ずつ増えます。
現在、ドイツでアルツハイマー病など認知症の人数は約140万人ですが、毎年、新たに診断される人は約30万人です。こうして新しい認知症の人数が、亡くなる認知症の人を明らかに上回るので、結果的に認知症の人数が増え続けるのです。
人口構成と新たな革新的な研究成果がないため、専門家は認知症の人数は2050年までに2倍の約300万人になると予測しています。
ヨーロッパアルツハイマー病共同プロジェクトEuropean Alzheimer's cooperation project(Alcove)のデータによると、ヨーロッパ大陸全体で、アルツハイマー病で65歳以上の人は630万人いますが、その数が2040年までに1000万人に増加すると研究者は予測しています。
ドイツでは、認知症の3分の2は最も多い認知症の型であるアルツハイマー病で、この病気は高齢者に多く、思考や、言語、見当識といった知的能力の低下をきたします。その正確な原因は分かっていません。
Deutsche Welle  05.04.2013 Germany sees increase of dementia cases
編者:ドイツでも認知症が増えるという記事に過ぎないが紹介した。ドイツでの国的な対策を知りたい。ヨーロッパアルツハイマー病協会Alzheimer Europeサイトによるとドイツでは国家戦略はなく各省で取り組まれているとのとである。なおAlcoveはEU加盟国の研究者のグループで情報交換、健康、生活の質、自律、認知症の人と介護者の尊厳の向上に目指しています。

★オランダ政府の認知症対策「デルタプラン」(4月5日/オランダ)
オランダ政府は、4月3日、国会で認知症対策のいわゆる「デルタプランDelta plan」を公表しました。認知症研究計画に3250万ユーロを投資することになっています。
保健福祉スポーツ省Ministry of Health, Welfare and Sport エディス・シッパースEdith Schippers大臣(写真左)は「認知症は政府だけの問題だけではなく、誰にも影響します。この計画の強みは多くの政党が関わり、国際的な研究に連携していることです」と述べています。
認知症は世界中の高齢者にとって大きくなる問題で、オランダには現在、25万6000人の認知症の人が居て、その数は2040年に倍増します。
オランダの認知症の人の介護費用は年間40億ユーロで、全医療費の約5%です。認知症の人が大幅に増加することで毎年平均2.7%介護費用が増加することになります。
オランダアルツハイマー病協会Alzheimer Netherlandsのゲア・ブレケマ‐プロチャズカGea Broekema-Prochazka会長(写真右)は、デルタプランは必要なものとみなしていますが、つぎのように述べています。
「私たちは、この大きな社会的問題に何年かけて注目することを要請してきました。誰もが将来、かかえなければならない問題です。力を結集しなければなりません。以前エイズで示しましたが、連携が当面、現状打破を行う唯一の方法です」
認知症デルタプランの意図するところは、現在の認知症の人の介護を改善することであり、将来の認知症の人の解決方法として認知症を予防したり遅らせることです。
政府からの3250万ユーロの助成は、これから8年間で完了する計画には十分ではありません。オランダアルツハイマー病協会は1250万ユーロを助成します。
NZweek 05/04/2013  Dutch gov’t presents “Delta plan” to fight dementia

「神経変性疾患の世界市場の大部分を占めるアルツハイマー病およびパーキンソン病の治療」(4月4日/ News2u.net)
株式会社グローバル インフォメーションは、米国の市場調査会社GBI Researchが発行した報告書「Neurodegenerative Diseases Market to 2018 - New product entries in both niche and broader Parkinson's disease treatment will boost market despite patent cliff (2018年までの神経変性疾患市場:ニッチおよび広範なパーキンソン病治療における新製品の登場が、パテントクリフにもかかわらず市場を後押し)」の販売を開始しました。
ハンチントン病(HS)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、罹患率が比較的低いことから、市場としては小規模です。神経変性疾患市場全体の大部分を占めているのが、パーキンソン病(PD)とアルツハイマー病(AD)です。予測期間内には多数の競合治療法が承認されることが予想されているため、PDの市場は2018年までには神経変性疾患市場においてさらに拡大する見込みです。
神経変性疾患の世界市場は、2012年の88億米ドルから、2018年には110億ドルと穏やかに成長すると見られ、複合年間成長率は2012~2015年に1.8%、2015~2018年は5.9%と予想されます。予測期間内には、多くの特許の有効期限が切れることから、上述の4つの疾患すべてで新しい市場参入者が見込まれています。さらに、7つの主要市場において65歳以上人口が増加することも、成長の活性要素となります。市場参入者による影響は、2015年以降に明らかになると見られます。
アルツハイマー病の治療薬であるバピヌズマブや、さらにはソラネズマブなどの、注目を浴びた治験の失敗が数多くあったにも関わらず、神経変性疾患のパイプラインは依然として強固です。神経変性疾患には678のパイプライン製品があり、その多くはアルツハイマー病やパーキンソン病の治療薬として開発されています。フェーズ1やフェーズ2には比較的様々な分子が存在しているのに対し、フェーズ3の段階には製品はほとんどありません。分子の数でいうともっとも大きな開発段階は臨床前で、この段階で特定される分子が288あり、パイプラインの42%を占めています。
市場調査レポート: 2018年までの神経変性疾患市場:ニッチおよび広範なパーキンソン病治療における新製品の登場が、パテントクリフにもかかわらず市場を後押し
Neurodegenerative Diseases Market to 2018 - New product entries in both niche and broader Parkinson's disease treatment will boost market despite patent cliff
出版日: 2013年03月20日
発行: GBI Research
【本件に関するお問合せは下記まで】
株式会社グローバルインフォメーション
Tel:044-952-0102
e-mail:jp-info@gii.co.jp
URL:http://www.gii.co.jp/topics/PH20_jp.shtml
〒215-0004 神奈川県川崎市麻生区万福寺1-2-3 アーシスビル7F
News2u.net 2013年4月4日 原文のまま

★「中枢神経系(CNS)バイオマーカーの世界市場規模は2017年には50億米ドルを上回る見通し」(4月4日/ News2u.net)
株式会社グローバル インフォメーションは、米国の市場調査会社BCC Researchが発行した報告書「Central Nervous System (CNS) Biomarkers: Technologies and Global Markets (中枢神経系(CNS)バイオマーカー:技術および世界市場)」の販売を開始しました。
2012年の世界における中枢神経系(CNS)バイオマーカー市場は、およそ20億米ドルとなりました。同市場は今後、20.7%の年複利成長率(CAGR) で拡大し、2017年には51億米ドル近くに達することが予測されています。この活発な成長率は、政府支援による官民提携の増加、医療費を低く抑えるという圧力、高齢者人口の増加、およびゲノム・プロテオミック技術の急速な進歩といった、CNSバイオマーカー領域に影響を及ぼすいくつかの要因に促進されています。
CNSバイオマーカーの発見、創薬、および分子診断セグメントは、2012年に132億米ドル規模となったバイオマーカー市場全体の15.1%(約20億米ドル)に相当します。世界のバイオマーカー市場は、2017年までに321億米ドル以上に成長することが予測されており、またCNSバイオマーカーセグメントは51億米ドルに達し、バイオマーカー市場全体に占めるシェアを16.1%に拡大する見通しです。
CNSバイオマーカー収益の成長予測は、2012年から2017年の予測期間中に、CNSバイオマーカーの試験および評価が成功裏に完了し、またFDA認可を得ると見込まれる、開発の初期段階にあるCNSバイオマーカー数の予測に基づいています。
CNS分子診断市場は最大の成長が予測されており、2012年の1億9600万米ドルからCAGR49.6%で拡大し、2017年までに15億米ドルに達する見込みです。これは企業パイプラインにおける診断試験数の大幅な増加によるものです。アルツハイマー病、統合失調症、および多発性硬化症向けの検査は今後数年以内に商業化されることが予測されています。これらの障害は大きな市場を示しており、診断および治療の双方におけるアンメットニーズを有しています。
2012年以前の創薬向けCNSバイオマーカー市場における成長は、緩やかなものでした。より多くのバイオマーカーが患者の区分および治験の有効性の評価に利用可能となったため、同市場は5年間の予測期間にわたって大幅な成長を示し始める見込みです。2012年における同セグメントの収益は1億9400万米ドルが予測され、今後CAGR32%で拡大し、2017年までに7億7600万米ドルへ達すると予測されています。
CNSバイオマーカー市場の創薬セグメントは、主要なCNS疾患の経路に関与するタンパク質の多くが発見されることも一因となり、今後5年間にわたって緩やかな成長を示す見込みです。しかし、将来見込まれる新しい発見はプロテオミクス研究の進歩によるものです。2012年におけるCNSバイオマーカー発見の収益は約16億米ドルが予測され、今後はCAGR12.3%で拡大し、2017年末までに29億米ドルに達すると予測されています。
市場調査レポート: 中枢神経系(CNS)バイオマーカー:技術および世界市場 Central Nervous System (CNS) Biomarkers: Technologies and Global Markets
出版日: 2013年03月25日
発行: BCC Research
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〒215-0004
神奈川県川崎市麻生区万福寺1-2-3 アーシスビル7F
News2u.net 2013年4月4日 原文のまま
編者:治らないアルツハイマー病の検査に関わる医療費は高騰するのだろう。

認知症ケアはまだら状態―新しい指針―(4月3日/イギリス)
国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence略称:NICE)は今月3日に公表した認知症ケアに関する指針で次のように見解を述べています。
「認知症の人へ提供される標準的なケアがまだら状態―良いところもあれば悪いところもある―です。多くの認知症の人は基本的な介護も受けていません。介護サービスは認知症への遅れを取り戻しているのが現状です」
NICEが明らかにしたイギリス(イングランド)の認知症ケアの新しい基準―住宅から余暇サービスを含む―は警告となっています。
指針は、拡大諮問委員会の委託を受けたNICEが初めて作成したものです。
これまでNICEは、国民保健サービスNHSに関わる勧告や健康的な生活様式を推奨することが関心の的でした。
しかし、NHSは変革されるなかで地方議会や介護施設が提供する介護や支援に関して指針を示すことに責任を持つことになりました。
NICEの認知症指針は介護分野で期待される10項目(訳注)からなっています。
期待されることとして、認知症の人が自分たちの必要性に見合った住宅に住めることを挙げています。また余暇的な活動を利用できるように支援されるべきとしています。また別に、認知症の人が地域での生活に関わり続けられ、歯科や眼鏡技師などのサービスを利用できるよう保障することも重視しています。
NICEの事務局次長のギリアン・レングGillian Leng教授(写真左上)は次のように述べています。
「実際、よいところがあることは知っていますが、いつもというわけではありません。個人的な見方ですが、認知症の人が劇的に増加するなかで、私たちみんなが追い上げているというのが現状です」
現在、イギリス(イングランド)には約67万人の認知症の人がいて、65歳以上では3人に1人が認知症になると予測されています。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのジョイージ・マクナマラGeorge McNamara氏(写真左下)は次のように述べています。
「認知症の人は過ごすに値する生活の質が否定されています。今回の基準は介護分野に有用で役立ち、認知症の人と介護者が何を期待しているのかを示しています。しかし基準は義務ではありません。指針によって実際にどのような変化が起こるのか、単なる指針なのかは静観したい」
BBC News 3 April 2013 Dementia care 'patchy'
訳注:10項目とは以下の通り。1 Introduction 2 Case for change 3 Integrated commissioning 4 Assessing service levels for people with dementia 5 Specifying the care of people with dementia 5.1 Improving early identification, assessment and diagnosis 5.2 Living well with dementia 5.3 Supporting carers of people with dementia 6 The commissioning tool 7 Topic advisory group: dementia
関連資料:Support for commissioning dementia care (NICE 01 April 2013)
編者:アリセプトの使用制限を提唱し、その後撤回したことのあるNICEが、今回、認知症ケアに関する広範囲にわたる提言を行った。この記事も英語のcareにあたる日本語を選ぶのが難しい。

★「米大統領、「脳の地図」作成に1億ドル」(4月3日/AFPBB News)
【4月3日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は2日、アルツハイマー病などの病気の治療を目的として、人間の脳の複雑で謎に満ちた内部の「地図」を作成する予算1億ドルの国家プロジェクト「BRAIN」を開始すると発表した。
「世界一高性能のコンピューターでも、直感力という点ではわれわれの脳には及ばない」とオバマ大統領はホワイトハウス(White House)で述べた。「これほど膨大な謎が、解明されるのを待っている。BRAINプロジェクトは、活動中の脳を動的に把握するために必要なツールを科学者に提供することで、こうした状況を変えるにちがいない」
BRAIN (Brain Research through Advancing Innovative Neurotechnologies、高度で革新的な神経科学による脳研究)と題して実施されるプロジェクトは、てんかんやアルツハイマー病などの脳疾患を治療・予防する新しい方法の開発を目的としており、来週議会に提出される2014会計年度の予算教書に1億ドル(約93億円)の予算が盛り込まれる。
研究者らは、個々の脳細胞と神経回路がどのように機能し、どのような相互作用を行っているかを明らかにし、膨大な情報を脳がどのように記録、使用、検索しているかを解明する、脳内部の複雑な地図の作成を目指す。
プロジェクトは、米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)、米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)、全米科学財団(National Science Foundation、NFS)が共同で進める。
AFPBB News 2013年4月3日 原文のまま
関連情報:①Fact Sheet: BRAIN Initiative (White House Immediate Release April 02, 2013) ②Brain Research through Advancing Innovative Neurotechnologies (BRAIN) Initiative (NIH )

「PhRMAメンバー企業 高齢者向け慢性疾患治療薬465剤を開発中」(3月28日/ミクスOnline)
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のメンバー企業は、現在、65歳以上の高齢者向けの慢性疾患治療薬を合計465剤開発中(申請中含む)であることが分かった。PhRMAが3月20日発表した「米国人高齢者向けに開発中の薬剤」(TheMedicinesinDevelopmentforOlderAmericans)と題する報告書で明らかになった。同報告書によると、465剤の内訳は、65歳以上の米国人1090万人が罹患しているという糖尿病治療薬が142剤、1240万人が罹患していると見られる関節リウマチおよび変形性関節症治療薬が92剤、新たな治療法あるいは予防法が発見されないと2030年までに約800万人が罹患するとされるアルツハイマー病治療薬が82剤、心不全(580万人)および虚血性心疾患治療薬が48剤...(以下略)
ミクスOnline 2013年3月28日 原文のまま
関連情報:More Than 400 Innovative Medicines in Development For Top Chronic Diseases Affecting Older Americans (PhRMA March 20, 2013)
Report 2013:Medicines in Develo pment Older Americans The Medicare Population and Leading Chronic Diseases(pdf800K)
編者:PhRMAのニュースリリース(2013年3月20日付け)の訳文の一部のみを転載紹介する。現在、アメリカで臨床試験が行われているアルツハイマー病治療薬が82種類とのこと。

★抗精神病薬を48%減らして認知症介護が改善(3月24日/イギリス)
イギリスの介護企業の「フォーシンズンズヘルスケアFour Seasons Health Care(FSHC)」は、今月、抗精神病薬の使用を減らすことで7つのよい効果が得られたと報告書を公表し、そのなかで同企業の「パール認知症介護プログラムPEARL (Positively Enriching And enhancing Residents Lives)Dementia Care Program」で予想以上の効果について論じています。
認知症専門介護施設の入居者の新しい研究では、抗精神病薬が必要と思われた事例で平均48%投薬を減らすことできました。同時にその他の薬の使用も劇的に減少し、さらに研究に参加した人の幸福度も改善しました。
FSHCが開発したこの特別な認知症介護プログラムを行った16施設のデータを分析すると、抗精神病薬の使用の減少に加え、以下のことが認められました。
○抗不安剤の使用が40%減少
○うつ評価指数が入居者で39%減少、抗精神病薬の使用者では19%減
○睡眠導入剤が必要性な事例が44%減少
○幸福度の改善が入居者の46%で観られる
○認知症の人は通常、体重減少がみられるが42%で体重増加
○転倒が25%減少。この減少は、抗精神病薬などの薬の減少および幸福度の改善の結果、覚醒状態が良くなったことによるかもしれない
以上とは反対に増加している唯一の薬は鎮痛剤で、10%増加しました。抗精神病薬が減少するなかで、鎮痛剤は増加したのです。認知症介護のなかでは、痛みが低く認識されているためかもしれません。通常の介護棟では入居者の40%が鎮痛剤を服用しています。反対に、認知症専門棟では入居者の0~10%が鎮痛剤を服用しています。
抗精神病薬の使用が平均して48%減少しましたが、最も減少した施設では84%でした。これはFSHCの認知症専門施設での第2回目の研究結果ですが、2010年に行った8か所の施設での初めての調査結果―50%減少―と同じ傾向を示しています。この違いは、第2回目の研究の対象施設の多くで専門的な認知症介護が既に実施されたことによるためかもしれません。
FSHCの「と認知症介護課Quality & Dementia Care」のキャロリン・ベイカーCaroline Baker課長(写真)は次のように述べています。
「認知症の人が苦しみの反応を示しているとき、痛みか不快を経験しているかもしれませんが、それを確かめたり軽減しようとするより、不必要にも穏やかにしたり、おとなしくさせるために抗精神病薬が使われることが多いのです。抗精神病薬の使用を減らすことは全国的な優先課題です。私たちの認知症介護施設での2回にわたる研究結果から、認知症の人をどのように介護するかについてのよりよく理解することで、抗精神病薬―その他の薬も―の必要性を減少させ、さらに幸福感を高めることができると確認できました」
FSHは、第2回認知症介護研究の概要報告書2013 Pearl Dementia Care Report(pdf1.6M)を公表しています。
Alzheimer's Weekly  March 24, 2013 48% Cut in Antipsychotics Improves Dementia Care
関連情報:FSHC PEARL Dementia Care Brochure(pdf1.7M) Antipsychotic drugs in dementia: a best practice guide. spring 2012(pdf2.2M)
編者:イギリスの富裕層を顧客にしていると思われる民間の介護事業者で施設介護の条件が恵まれているとはいえ、その取り組みは学びたい。

危機が忍び寄る認知症に政府の対策を要望(3月23日/中華民国)
国会議員たちは「2056年までに台湾人の4%が認知症になると推計されているにもかかわらず、政府は認知症への対応があまりに狭い」と述べています。
今年4月
今年4月18日から20日まで台北で開催される第28回国際アルツハイマー病協会国際会議28th International Conference on Alzheimer’s Diseaseを前にして、本日、台湾失智症協会(英語名:Taiwan Alzheimer’s Disease Association (TADA))は次のような見解を公表しました。
「アルツハイマー病に関わる予防や治療について適宜な国家計画は未だにほとんどありません。認知症の台湾国民の今年の20万人から2056年までに72万人になるだろう。政府が、認知症を国家的保健課題として取り上げ、「台湾認知症計画“Taiwan Dementia Plan”」を強力に要請します。この計画は、協会の調査に基づくアルツハイマー病の影響に応える国家戦略を要望します」
同協会のタン・リーユーTang Li-yu (湯麗玉)事務局長(写真前列右端)は次のように述べています。
「我が国の高齢化は急速に進み、アルツハイマー病の人も増えています。2056年までに認知症に台湾人の100人に4人がなると推計されています。韓国政府は、最近、この問題に対処し始めましたが、私たちの政府はなんら具体的な進展がまだみられません」
TADAが提案する計画は、予防、治療、ケアおよび保護の4つの分野を網羅し、それぞれの主要な目標を設定し連携して取り組み、現在の政策の総点検の重要性を強調しています。
二つの主要な政党の5人の国会議員も、この要請に賛同し署名し認知症の人や国全体として直面している切迫した状況について見解を述べています。
民主進歩党Democratic Progressive Party (DPP)のチン・チュージュChen Chieh-ju (陳節如)議員(写真前列左から2人目)は「高齢者のデイケアセンターが認知症の人とそうでない人とに分化していません。専門的なケアセンターの導入に政府の必要な支援が乏しい」と述べています。
さらにDPPのユー・メイヌYu Mei-nu (尤美女)議員(写真前列左端)と中国国民党Chinese Nationalist Party (KMT)のヤン・ユーシンYang Yu-hsin (楊玉欣)議員(写真前列右から2人目)は「認知症、その影響、可能な治療や予防方法の啓発を進めるためもっと政府の活動が必要です」と述べています。
台北退役軍人総合病院Taipei Veterans General Hospitalの神経内科医のフ・チュンリンFu Chung-ling (傅中玲)医師(写真右)は「啓発が貧弱なため、推計20万人の認知症の人の、わずか3万人しか認知症の人向けの政府監修冊子を持っていない」と述べています。
DPPのリュ・チンクオLiu Chien-kuo (劉建國)議員(写真後列左端)とティン・チュチン氏Tien Chiu-chin (田秋?)議員(写真後列左から2人目)は、「政府は、認知症の人のケアに対策を絞っていますが、ほとんどうまくいってはいません。必要なのは認知症の4つの分野に対策を広げることであり、緊迫したアルツハイマー病による危機的問題に対処するための省庁間のグループを立ち上げることです」と述べています。
Taipei Times Mar 23, 2013 Alzheimer’s group calls for action as crisis looms
編者:台湾の認知症対策に国会議員が動き出したようだ。

認知症の人の性的ニーズについて啓発(3月19日/オーストラリア)
80歳の看護師は、認知症の人の性的ニーズsexual needsで場合によってはセックスワーカーsex workerを利用する必要がある啓発活動を進めています。
オーストラリアには32万2000人の認知症の人がいると推計され、その数は劇的に増え、高齢化する国の重要な健康課題になると予測されています。
認知症の人は認知機能は低下しますが、性的なことsexualityが無くなるわけではありません。この課題の擁護者は、多くの場合、認知症の人の満たされない性欲sexual urgeに対応する方法としてセックスワーカーを利用することを認める議論をしています。
登録看護師のエレン・ホワイトElaine White氏(写真左上)は次のように述べています。
「私はベルトの下のこと―膀胱と腸と性的なこと―を専門とします。人は毎日したことを覚えてないかもしれないが昔の親密な出会いについては話すものです」
彼女は、ニューサウスウエールズ(NSW)州のニューキャッスルNewcastleのナーシングホームを訪問して性について話すことにしています。
彼女の活動は、人権に関することであり、どんな人でも親密さは必要なことと理解することです。
さらに彼女は次のように述べています。
「性的なことは誰にとっても生得なことであり、人間存在の絆でもあり、生から死まで続くものです。認知症の人は朝食で何を食べたか覚えてないかもしれんがい、人生のなかで経験した愛しくも暖かい出会いについてはよく語ることができます」
NSWのハンターHunterにある「ガーデンサバーブ高齢者ケアGarden Suburb Aged Careのケアサービス部長のインデル・コーエンLyndell Cohen氏は次のようい述べています。
「認知症と診断されたからといって、親密さへのニーズが無くなるわけではありません。むしろニーズは高まります。その感情を失なうことはなく、人間として誰もが接触が必要なのです。結婚して65年間の後に施設に入ると、ハグしたりキスしたり、あるいは握手したりすることで親密な時を持つことができないということは言えません。止めるべきとも思いません。それが続けられる適切な場所を間違いなく提供します」
コーエン氏は、ホワイト氏の認知症の人への専門的対応技能を支持して、さらに次のように述べています。
「施設に居るヘザーHeatherさんは、最近、しかも一日中、何度となく服を脱ぎます。こおことで面会に来る人や施設で暮らす人にいくつかの問題を起こし始めました。日中、彼女に服を着せますが、施設の広い場所に行って脱いで下着姿になります。彼女の抑制する能力が無くなったのです」
ホワイト氏は「高齢者介護施設の入居者については入居時に生活歴―性的な頃も含め―を記録することで行動に対応するのに必要なヒントが提供されるでしょう」と述べ、さらに次のように主張しています。
「親密さが得られない場合、治療目的のマッサージが役立つことがありますが、場合によってはセックスワーカーが必要です。代理のパートナーのサービスを利用したのなら、引き続き関わることができます。多くの人は、性的に露骨なDVDや雑誌を見たがります。女性の場合、性的な経歴―補助具に使用も含め―を必ず聞きます」
セックスワーカーのラッヘル・ウオットンRachel Wotton氏(写真左中)はドキュメンタリー「スカーレットロードScarlet Road」に出演しており、「障害をもった人とその人たちとの性的な関わりに伴う固定観念とよくある誤解を打ち壊すことができる」と語りたいと述べています。
ウオットン氏は、友人で同じセックスワーカーのサウル・イスビスターSaul Isbister氏(写真左下)と一緒に、「タッチングベイスTouching Base」という慈善団体を結成しました。その団体は、障害者―認知症の人も含め―がセックスワーカーのサービスを利用できるように支援します。
イスビスター氏は、団体の会長ですが、次のように述べています。
「こうしたサービスの要望は増えています。大切なことは、利用者に「説明と同意informed consent」を行っていることを知ることです。「性とは何か」「セックスワーカーが訪問すること」「新たに個人的なパートナーと会うことではないこと」を理解することが重要です。個人的な関係ではなく専門職との関係なのです」
ABCNews March 19, 2013 Nurse campaigns for sexual needs of dementia patients
訳注:オーストラリアのセックスワーカーが認知症の人にどのように関わっているか詳しくは知らないが、ブログ「今回も話題を3つ―「ショートステイ」と「ミナミ」と「セックスワーカー」― 」(「認知症あれこれ、そして」2012/02/18 )でセックスワーカ―について見解を述べている。
参考情報
Sexualities and Dementia Dementia
Learning Lectures Training Study Centre 
Guest lecture presented by Dr. Cindy Jones(写真右) at QUT Kelvin Grove on 26 February 2013

★認知症高齢者がスイスのクリニックで自殺幇助を希望(3月17日/イギリス)
マイケル・アーウインMichael Irwin氏(80歳)(写真左上)は、83歳で認知症のイギリス人がスイスの自殺幇助を行うディグニタスDignitasクリニックで亡くなることを計画していると、本日、公表しました。
その人は、認知症というだけの理由でそのクリニックで自殺幇助での死を選択する最初のイギリス人になるかもしれません。
アーウイン氏は、「死の医師Dr Death」とあだ名がついた運動家ですが、ディグニタスで少なくとも25人が亡くなるのを支援し、さらに多くの人にどのように自らの命を絶つかについて助言したと主張しています。
アーウイン氏は公表することで、警察や検察当局が自殺幇助の罪で彼を逮捕し起訴することになるかもしれません。罰則は懲役14年間に該当します。
おおおよそ150人のイギリス人がそのクリニックで亡くなったと考えられていますが、これは自殺助死に関するスイスの法律を勝手に活用されたのです。これらの人のなかに、終病気が末期ではない多くの人も含まれています。特にこのなかに試合中の外傷で四肢麻痺になったラグビーのプロ選手、ダニエル・ジェームスDaniel James氏(23歳)(写真左中)(訳注1)や指揮者のエドワード・ダウンズEdward Downes卿(写真左下)(訳注2)がいます。
認知症の人が自らの命を絶つためにディグニタスを利用するという決定はアルツハイマー病やそれに近い状態の人が自殺を考えるべきと示唆することになり、障害と生きる権利の両方の運動に警鐘を鳴らすことになるでしょう。
今回の人は、認知症の人の初期で、精神科医の報告―自殺することを選択する知的能力が備わっているという意見表明―を得ていると言われています。
アーウイン氏は、元一般医GPで、「自発的安楽死協会Voluntary Euthanasia Society」の会長をしたこともあります。協会は、現在は「死の尊厳Dignity in Dying」という団体名称として知られています。
彼は次のように述べています。
「高齢での合理的自殺に関するこの話題は、今日、オープンに議論すべきです。自殺幇助を合法化する意図は、自らの手で終末期疾患を死に至らしめることを承認ことだけです。重度な障害がある人や医学的な問題をもった人は、とりわけ高齢化社会において今日、等しく議論されるべきです。家族への負担をなくすことや経済的無駄を避けたいという希望は、孫の将来の教育に使うことが良いこととすることは、とりわけ無益で不快な生命の延長を止めたいという望みと合体することで最終的に利他的行動となるのです」
アーウイン氏は、自分が多くの自殺幇助に関わったが、その人たちのことをよく知ってはいないことを認めています。
公訴局長官Director of Public Prosecutionsのカイアー・スターマーKeir Starmer氏(写真右上)の方針によると、こうした要素は起訴しやすくなります。
アーウイン氏は、過去にも捜査されたことがありますが起訴されはしませんでした。彼を批判する人は、彼が自分たちの運動グループと目標を公にするためテストケースとして盛り上げようとしていると、信じています。
ディグニタスでの死亡について幇助のため起訴された人はいません。スターマー長官の指針は2009年に導入されましたのですが、起訴しにいようです。
グループ「殺さないケアCare Not Killing」のピーター・サンダースPeter Saunders医師(写真右下)は次のように述べています。
「安楽死を合法化しているヨーロッパの国々で、いかなる状況とはいえ一旦認めると、どのような人を対象とするかの範囲が広がることは避けられないことがわかっています。今回の事例からこの国で法律を改めることになると、認知症の人に適応されるという圧力が生じるでしょう。これは既にオランダで起こっています」
Daily Mail 17 March 2013 British man, 83, intends to be first person with dementia to die at Dignitas clinic)
サイト内関連記事:認知症の人に「死ぬ権利」を(2008年9月19日/イギリス)
訳注1:Daniel James' GP knew he would go to Dignitas but did not tell police(Telegraph 25 May2011)
訳注2:致命的な病気というわけではないものの、長年ダウンズは段々と難聴になり、視力もほぼ完全に失っていた。人工股関節の施術の後で健康が衰えると、夫人に頼りっぱなしも同然であった。そこへもってダウンズ卿夫人が末期の膵臓癌に侵されていて、病魔が肝臓にも転移しており、余命は数週間であることが明らかになった。
ダウンズ夫人は、身内に宛てた手紙の中で、治療に対する自分の決意を次のように打ち明けている。
しなければならなかった計画は、すべて実行してきました。いま私は、言っておかねばなりません。たとえもし、あとほんの少ししかこの世にいられないとしても、死ぬことは全然怖くないのだと。自分は無宗教だし、自分に関する限り宗教は興味ありません。だからそのことをちょっと考えた人は、もう心配しないでね。愉快で面白い人生でしたから、何の後悔もありません。あとどれだけ生きられるか分からないけど、あなたたちと、ご家族みんなに愛を送ります。生ある限り人生を楽しんで下さいね。 愛情をこめて ジョーン
2009年7月10日にダウンズ夫妻は、チューリヒの安楽死団体「ディグニタス」の幇助によって、ともに自ら命を絶った[8]。二人の自殺はイギリスのマスメディアによって重大事として報道された。(日本版ウイキペディア「エドワード・ダウンズ」より)
編者:認知症の人の置かれいる状況―医師との関係など―からしてわが国で認知症の人の自殺幇助の合法化は考えられない。サンダース医師の見解にも同意する。

「認知症アクション連盟」が発足(3月13日/イギリス)
イギリス南部のダートマスDartmouth(訳注:人口約5000人)で、地域的な「ダートマス認知症アクション連盟Dartmouth Dementia Action Alliance」(Dartmouth DAA)が発足し、この地域がまもなく「認知症に優しく‘Dementia Friendly’」なるでしょう。
「ダートマスケアリングDartmouth Caring」は、アルツハイマー病協会Alzheimer’s SocietyとダーマスメディカルDartmouth Medical Practiceの支援を得て、連盟の結成を呼びかけました。その目標は町内外での認知症―混乱、記憶障害、多くのストレスを起こす原因となる状態―の啓発です。
連盟は、全国に在る150の会社や組織が連携した組織―認知症アクション連盟Dementia Action Alliance―の全国キャンペーンの一部です。地域的なDAAの結成によって地域内なネットワークを造り、認知症の人の生活を改善しようとするものです。
この地域的なDAAに加盟しているのは、ダートマス観光情報センターDartmouth Tourist Information Centre、ナットウエストダートマス支店Dartmouth branch of Nat West、ブーツダートマス支店Dartmouth branch of Boots, ダートマスデンタルDartmouth Dental、ダートマス警察署Dartmouth PoliceおよびダートマスアカデミーDartmouth Academy、ダートマスビジネスフォーラムDartmouth’s Business Forumです。その他の企業や団体も申込みを続けており連盟は地域での利益を向上させます。
すべての地域的なDAAは、全国認知症宣言National Dementia Declaration―認知症の人の個別的な選択権利、理解、支援を含む基本的な7つの権利―に署名し、全国連盟のメンバーはこれを誓約します。
この連盟に加盟するすべての組織や企業は、今年遅く発表される予定の新しい「認知症に優しいロゴ」を表示することになっており、一般の人たちがその組織が宣言に加盟していることを知り、必要な理解と支援が提供されることになっています。
加盟しているメンバーの団体は、「認知症フレンズチャンピオンDementia Friend Champions」になる研修を受け、このチャンピオンは町内外で認知症の人に必要なことを一般の人に知ってもらう研修を行うことを意図しています。
ダートマスのDAAのグループは、既に啓発のための行動を始めています。たとえば、地域支援警察官Police Community Support Officerのビリー・モーリスBilly Morris氏やナットウエスト銀行支店長のアリソン・ボストックAlison Bostock氏は、ダートマスケアリングのメモリーカフェにDartmouth Caring’s Memory Cafeに参加しています。このカフェは、認知症の人とその家族のための支援グループであり、また社会的集いの場でもあります。そこでは認知症の人にどのように支援することができるかを知ることができます。
ダートマスの連盟は、認知症の問題を人々がより広く知ることを希望し、地域での認知症の人の問題と必要なことについて理解されることを希望しています。
ダートマスケアリングのサービスが提供される地域には認知症の人100人近くがいますが、さらに多くの認知症の人がいると考えられています。この町で認知症の問題が増えるでしょう。65歳以上の人の10人に1人が認知症になり、ダートマスの人口は2015年までに65歳以上の人が50%を占めることになからです。ダートマスだけで認知症の人数は公的な数値よりさらに多くなる可能性があります。
ダートマスケアリングのディ・ナットDee Nutt会長(写真)は次のように述べています。
「連盟が一緒になって、さらに多くのグループ、組織、企業に参加を促します。ダートマスやその周囲の村のすべてのグループや組織に加盟を希望します。この企画はとても重要です。私たちは高齢化する人たちであり、この地域にもっと多くの認知症の人を見ることになるからです。認知症および認知症になることが、本人や家族にどのように影響するかを理解することを希望しているだけです。また私たちは、認知症の人たちのためによりよい環境を構築することも支援し、もっと多くの人が認知症に関わることを希望します」
ダートマスDAAに加盟したい人は、ダートマスケアリングに電話(番号:01803 839354)してください。
( This is SouthDevon March 13, 2013 Dartmouth Dementia Action Alliance takes step forward)
編者:イギリス政府が進める認知症に優しい街づくりの運動がイギリス南部の小都市でも進められているという地方メディアの記事だ。

アルツハイマー病のミュージカルはすばらしい(3月11日/アメリカ)
ミュージカルコメディでアルツハイマー病を扱うことはとても説得が難しいことがあります。
「タイムオブユアーライフプレイヤーズTime of Your Life Players」の代表のエイヴラム・クラウゼAvrum Krause氏(写真左上)は初期のアルツハイマー病のロックギタリストについてのミュージカルコメディを書くことを思いつきましたが、「完全にクレイジーにならなければならないと思った」と述べています。
クラウゼ氏がアルツハイマー病協会グレイターイリノイ支部Alzheimer's Association's Greater Illinois Chapterのサービスプログアムのメラニー・チャヴィンMelanie Chavin副部長とミュージカルについて話し合ったとき、彼女は「彼の気がおかしいのではと彼を見つめていた」と述べています。
その彼女が意見を変えたのです。協会支部は、昨年秋、そのミュージカルの実演にとても心打たれ、劇団にさらに公演を続けるように激励しました。そのミュージカルは今年の2月27日に開演し、公演が終わってから観客と話し合いを試みています。
しかし、「ロックンロールAD "Rock 'n' Roll AD"」(写真右中がポスター)というミュージカルは、観客の関心を引くように努めてきました。いくつかの高齢者のグループはその劇団の公演をよく観に来ているのですが、今回はチケットを買いませんでした。
この公演は病気に関するミュージカルという視点はありません。観客は、前立腺がんの手術を受ける人に関する劇団のミュージカルであり、たじろいだりはしませんでした。
これは病気なの、あるいはアルツハイマー病のユーモア治療なの?
ボブ・ホウレイBob Hawley氏(70歳)(写真左中)は「絶対に、もっとアップビートがあれば、もっとよかったのに」と述べています。彼は、シカゴカツチャーセンターChicago Cultural Centerで開催されたショウを先週、観にいったグループの一人です。彼らは「警告のなしにWithout Warning」というラッシュ大学医療センターRush University Medical Centerに所属する支援グループで、若年期アルツハイマー病の人とその家族が参加しています。
アルツハイマー病になるという課程は、いずれにせよ、人生を楽しむために最善のことをするということです。
ホウレイ氏は「いつも歯ぎしりをしながらベッドの下に隠れたい思いですが、そうすることはありません。アルツハイマー病の人らのためにショウはヒットした」と述べています。
「水曜日の2時"Tuesdays at Two"」という歌は、アルツハイマー病の支援グループについてものでしょうか?グループでは自分自身の経験を尊重します。 「臨床試験"Clinical Trial"」という歌は二人の婦人による頌歌ですが、その婦人は25mgと書かれたTシャツを着て錠剤のように服装でした。本当に面白いのです。
「診断のための検査"Diagnostic Test"」という歌もとても具体的です。白衣を着た人たちは、主人公のロイRoyにとても多くの神経学的質問を浴びせます。「大統領は誰」「あなたのお住まいは」「この州の名前は}「今日は何日」「ブロックを積みなさい」「時計を書きなさい」などと。こうした話が、欲求不満になり応えることができないほどめまいがするように歌に混ざっているのです。
さらにホウレイ氏は「それが何かのようは感じはしますが、苦しめられている」と述べています。
アルツハイマー病は、その劇団の自然な話題のようにみえるでしょう。確かに55歳以上の俳優でなる劇団は、もし4階にあるリハーサする空間で報われることができれば、かれらは冗談に、まだ中途半端とからかいながら、高齢者の関心に注目しています。確かに場合によってありうるのです。
代表のクラウゼ氏は「前立腺がんをもって生きてきたようなものです」と述べていますが、経験から多くのユーモアのあるショウに変えたのですが、患者にカテーテルを挿入する男性看護師の歌も歌われます。
アルツハイマー病についてですが、この劇団のすべての俳優はこの病気になった家族を持っています。
エレキギターのジム・カスラーJim Casler氏は、父親、叔母、祖母がこの病気で亡くなっています。
このことがあったかといって、彼らがアルツハイマー病についてミュージカルで伝えようとしたわけではありません。
マイケル・リーバーMichael Lieber氏は、いくつかの役を演じ、アコーディオンを演奏しましたが、「とても懐疑的です。アルツハイマー病のショウ? 人を落ち込ませることになるのではと思った」と述べています。
アニー・コンタクAnnie Kontak氏は、主人公のロイの代理人の役ですが、「困惑しました。誰も招待したくなかったのです。アルツハイマー病、それは高齢者のことと考え、私たちはまだ高齢だとは思っていない」と述べています。
ロイ役のラリー・ハザードLarry Hazard氏(写真右上の中央)はユウーモアについて悩んでいて「アルツハイマー病の人を笑うようなことを望んではいないでしょう」と述べています。
彼は、ローレン・クラウゼLauren Krause氏(写真左下)―言語聴覚士でアベルム・クラウゼ氏の妻―の歌詞を読んで心配しなくなり、「彼らは優れて、本当に思いやりがある」と述べています。
コンタクKontak氏は、このショウを観に来た人たちが心動かされ、招待した何人かの友人や隣人のうち何人かの人が泣いているのを見ました
彼女の困惑しなくなり、元気に「本当にバカでした」と述べています。
エイヴェルム・クライゼ氏は次のように述べています。
「本当に優れたエンターテイメントです。人々は、何かを学ぶでしょう。アルツハイマー病の人がそんなに狂ってはいないことも理解するでしょう。自分たちが演技のなかでこの病気をどう扱い、どのように人生のなかで続けていくかを示しています」
先週、最後のショウでは、アルツハイマー病支援グループのメンバーの人が舞台に上がり、自分たちが人生のなかでどのように続けてきたかを語りました。
アルツハイマー病のホウレイ氏は次のように述べています。
「あなたは運動します。活動的な事をします。できそうなことはすべてしましょう。こうして物事を覚えます。そして成長しない自分自身を許しましょう」
ショウは終演し喝采が跳ね返ってきました。
「ロックンロールAD」は、シカゴの西ベルモント通り1225番地1225 W. Belmont Aveに在る「ステージ773Stage 773」で3月29日まで開催しています。情報は、電話773-327-5252またはサイトstage773.com にアクセスしてください。
記者:バーバラ・ブロトマンBarbara Brotman氏はシカゴトリビューンの所属(
写真右下)
Chicago Tribune March 11, 2013  Alzheimer's musical surprises and moves

★アルツハイマー病の死亡が増加(3月10日/イスラエル)
10日に公表されたイスラエル保健省Israel’s Health Ministryの死亡統計によると、ユダヤ国民にとってよいニュースと悪いニュースがありました。
がんは、死因として過去2年間、1位のままで、2位は心疾患です。
しかし2008年から2010年の間、心疾患、慢性下気道疾患および事故はその前の10年間―1991年から2001年―と比べて少なくとも死亡率が25%減少しています。
同時に、肺炎やインフルエンザによる死亡率は有意に増加し、さらにアルツハイマー病による死亡率も40%以上増加しています。
統計を深読みすると、人が高齢になればなるほど、まず心臓が衰えるようです。
保健省の健康情報局Department of Health Informationの最新のデータによると、2005年から2007年の間で75歳以上のイスラエル人の死因の第1位は心疾患です。
その10年下の65歳から74歳の年齢層では、がんが死因の第1位です。
糖尿病は65歳から74歳の年齢層で最大の死因ですが、75歳では脳血管障害が死因の第3位です。75歳以降では糖尿病は死因の第4位です。
この貴重な統計によると、アラブ人の死亡率―男女とも―に関しては、糖尿病のよる死亡率がユダヤ人の2倍以上です。
Israelnationalnews 3/10/2013 Cancer #1 Killer in Israel, Alzheimer’s Deaths Rising)

認知症治療でパロの有効性の研究計画(3月8日/オーストラリア)
グリフス大学グリフィス保健研究所Griffith Health Instituteのウエンディ・モイルWendy Moyle教授(写真左上)らのグループは、認知症の治療での動物ロボットの費用対効果を明らかにする研究を行っています。
グループは、先の研究で、ロボットあざらしのパロParoと接することが、認知症高齢者に多くの積極的効果、さらに不安の軽減や気分の改善をもたらすことを認めました。
日本の技術者が開発し、既に数か国で販売されているパロは、価格が5000ドルほどですが、接触、光、声、温度に反応し、位置センサーが装備され人や環境を把握することもできます。
現在、グループはさらなる助成を求めて、より大規模の研究を計画しており、ポロの十分な評価を行うとしています。
その計画によると、おおよそ30カ所のナーシングホームの400人ほどに参加してもらいます。
モイル教授は次のように話しています。
「パロは、認知症の人の治療にとても素晴らしい利益をもたらしていますが、私たちは個々の認知症の人の感情への効果と薬物を減らせる費用面での利益について調べる大規模で量的評価は未だ行っておりません。うまく助成を受けられると、次の研究でこのことを実施します。研究グループも拡充して、興奮といった認知症の人の感情面をビデオ観察と使った評価や生理的反応の評価も行うことにしています。私たちが得る統計学的証拠によって介護施設でのポロの費用対効果と薬物療法の費用とを比較することになるでしょう。例えば、パロを使うことで向精神薬を10%減らすことができること、あるいは介護施設に入らないで在宅に長く留まることを示すことができれば、直接的な費用効果を伴うすばらしい結果が得られるでしょう」
パロは日本の科学者のシバタタカノリTakanori Shibata教授(写真左下)(訳注:産業技術総合研究所柴田崇徳氏)は次のように述べています。
「このロボットがオーストラリア市場で価値あると証明される自信があります。パロは、徐々に世界中で認知症治療の手段として受け止められています。2009年にはアメリカの FDAが医療機器として認めており、同じことがオーストラリアでもうまくいくことを希望しています」
News-Medical March 8, 2013 Animal robots help treat dementia)
編者:研究計画の記事であるが、パロの評価は日本より外国で高い?その評価も費用対効果でみる視点が興味深い。

性的虐待者は認知症の疑い(3月8日/アイルランド)
性的虐待で歴史的に高額な470万ユーロの罰金を命じられた元会社社長のジョセフ・カラックJoseph Carrick氏(72歳)(写真右上)は、認知症かもしれないと高等法院High Courtが本日、報告しました。
このため、被害者がその罰金を受け取ることができるか疑問が生じました。また法院は500万ユーロ以下の彼の資産や銀行口座を減額することを禁じる命令も出しました。
しかし、判事のエリザンベス・ダンElizabeth Dunne氏(写真左上)が本日、「罰金の支払いの保留申請がされるかもしれない」と言いました。
ジャクリーン・オツイールJacqueline O'Toole氏(写真右中)は、キャリック氏にレイプされ妊娠しました。彼女は、昨年11月、高等法院の陪審員は損害罰金として記録的な400万ユーロを受けることになりました。
彼女のいとこで最も親しい友人のジェラルディン・ノーランGeraldine Nolan氏(写真右下)も彼にレイプされ虐待を受け、別の陪審員で損害に70万ユーロの罰金が判定されました。
ダブリン州ブラックロックのカリスフォート・ウッズCarysfort Woods in Blackrock, Co Dublinに住むカリック氏は、この裁定に意義を唱えませんでした。彼は支払うことができないと述べた弁護士をクラック氏は解雇し、裁定は彼不在のままで行われたのです。
裁定と財産凍結命令の後、彼は新しい弁護士を雇いました。カリック氏の新しい弁護人のジョン・ロジャーズJohn Rodgers氏(写真左中)からの申し出により、本日、ダン判事は
「カラック氏の知的能力に重大な疑問があると言われた」と話しています。
ロジャー弁護士は「カラック氏を診察した精神科医よる供述書を申請したい」と述べ、数年前のカラック氏の代理権に関わる署名をも含めて新たな審理を要求しています。カラック氏はがんになり生存するかどうかの疑問が生じて代理権が設定されたのです。
さらにロジャー弁護士は次のように述べています。
「クラック氏の事務弁護人は、現在、とても難しい立場にあります。彼が認知症らしいからです。この事例を弁護しない場合は裁定を保留するという裁判の規則があります」
二人の女性の弁護を担当する法学士のルディ・ニューマンRudi Newman氏(写真左下)は「カリック氏が最初の事務弁護士を解雇したときに、知的能力についてはふれず、支払い能力がないと言われたことに、二人の女性は驚いている」と話しています。
ダン判事はこの展開に驚きを示していますが、次のように述べています。
「裁定がなされているので罰金が戻る保証はないという状態はありえないということではありません。しかし、訴訟に関連する決定を認知症の人が行えるかどうかの問題はあります。裁定をそのままにしておくという疑問を現段階で検討されてはいませんが、すべての事柄は本格的な審理で取り扱うのがふさわしい。二人の被害者のために医学専門家がカリック氏を診察させるという申請があるかもしれません」
判事は、2週間の休会を指示しました。
Irish Times March 8, 2013 Sex abuser 'may have dementia')
編者:アイルランドでは話題になっている事件らしい。認知症、レイプ、高額罰金がらみで。

★認知症の人が2回投票したと告訴のおそれ(3月8日/アメリカ)
ミネソタ在住の86歳のマーガレット・シュナイダーMargaret Schneider氏(写真左上)は認知症ですが、たまたま2回投票したととして2重投票の罪で告訴されるかもしれません。
彼女は次のように話しています。
「11月に投票所へ行った時、不在者投票をしたことを忘れていました。なにもかも覚えておくことはとても難しいことです。誇りあるアメリカ人だと思っており、選挙には必ず投票していきました。かなり年を取ってからでもいつも投票してきましたが、今回のことは特に驚いています」
彼女の刑事告訴によると、昨年7月に不在者投票をした記録があり、今回、投票場で選挙人登録名簿に彼女の名前の後にABと書かれており、既に不在者投票をしたことを示すものです。
このことで彼女は不満を以って「なぜ、私に帰るように言わなかったのでしょう」と話しています。
郡の弁護士のミッシェル・ゼンダー・フィッシャーMichelle Zehnder Fischer氏(写真左下)は、選挙本部に次のように述べています。
「シュナイダーさんを告訴せざるを得ませんでした。彼女は投票しないと自分の責務を果たさなかったことになると思っているのです。収監することに関心はありません。彼女はこの事件がすぐに解決することを希望しています」
シュナイダー氏は「私は意図的に2回投票するつもりはありませんでした。それをしたら違法です」と話しています。
FoxNews March 08, 2013 86-year-old woman with dementia faces felony voting fraud charge for voting twice
サイト内関連記事:アルツハイマー病の人は投票所へ行けるか?(2012年10月28日)
編者:多くのネットニュースが取り上げている事件だが、よくわからない。シュナイダー氏は認知症なのかもあやしい。認知症でなくても記憶障害で2重投票があったとは日本は聞かない。投票場の担当者のミスと扱われないのか。

ニュージーランド人の高齢化で認知症計画は緊急課題(3月8日/ニュージーランド)
3月6日に公表された「2010年国際疾患負荷Global Burden of Disease (GBD) 2010」の国別データによると、ニュージーランド(GBD PROFILE: NEW ZEALAND pdf220K)については1990年から2010年の間にアルツハイマー病による死亡が346%増加します。
1990年、ニュージーランドでアルツハイマー病は死因の16位でしたが、2010年には5位に跳ね上がり、年間1463人がこの病気で死亡しています。
ワシントン大学健康計量評価研究所University of Washington's Institute for Health Metrics and Evaluation(IHME)でGDBの研究を指導したクリス・マーレイChris Murray医師(写真左上)は次のように述べています。
「ニュージーランドのアルツハイマー病の割合の増加が世界的な傾向に似ており、オーストラリアで241%、アメリカで485%増加します。多分、この増加は平均余命の増加によるものであり、また正確な診断が増えたためでしょう」
ニュージーランドアルツハイマー病協会Alzheimer's New Zealandのキャサリン・ホールCatherine Hall事務局長は次のように述べています。
「ニュージーランドには認知症の人が約5万人いますが、そのうちアルツハイマー病が50から70%を占めます。協会が委託した最近の報告書「ニュージーランドのおける認知症の経済的影響ECONOMIC IMPACT OF DEMENTIA IN NEW ZEALAND 2012」(pdf220K)によると、2011年の認知症関連の総経費は9億5480万ドルです。2050年までに認知症の人は15万人に増加すると推測されており、国への甚大な挑戦です。これは人口の高齢化という事実に大いに関連し、また人が長生きすることで認知症もより多くなるのです。この20年間に認知症への関心は高まり、多くことが実施されてきました。診断もよくなっています」
ニュージーランドの人口予測データによると、2051年までに15歳以上の人口は500万人になり、この年齢層の33人に1人が認知症になるのです。
さらにハル氏は「認知症の診断、治療および治癒方法を見つけためにより多くの研究が必要であり、政府は認知症の人へ十分な支援を保障するための資金が必要です」と述べいます。
保健省Ministry of Healthの医系技官主任のドン・マッキーDon Mackie氏(写真左下)は
「人口の高齢化、長命化でアルツハイマー病はもっと多いと予測される」と述べています。
保健省はデータを検討しており、その結果は既に知られたこと一致しました。ニュージーランドの4大死因は20年前と同じで、2010年も心疾患、がん、閉塞性肺疾患(COPD)および脳血管障害です。
GBDの報告によると、オーストラリアはニュージーランドより平均して8か月余命がながい推測されていますが、マッキー医師は「この小さな違いの要因を解明することは難しい。ニュージーランドでの平均余命と健康余命は現在も改善しており、ニュージーランドとオーストラリアとの平均余命の違いはこの30年間で少なくなっている」と述べています。
stuff.co.nz 08/03/2013 Dementia plan urged as Kiwis age
編者:GBD2010で日本(GBD PROFILE: JAPAN pdf220K)についてはアルツハイマー病の病名が挙がっていない。診断書の書き方の違いによるものだろう。主たる病気がアルツハイマー病でも、直接の死因が肺炎だと、医師は診断書に肺炎と書きアルツハイマー病が死因として記録されない。

認知症の人の介護者は自殺を考えることが8倍高い(3月6日/オーストラリア)
グリフィス大学Griffith Universityのシオバン・オッドワヤーSiobhan O'Dwyer氏は、オーストラリアとアメリカの認知症の人の介護者120人に自殺について聞き取り調査をしたところ、自殺について考えることが一般の人より8倍高いことを認めたと発表しました。
さらに、昨年、1回以上自殺について考えた介護者は4人に1人で、この人たちのうち約3分の1は将来、自殺するかもしれないと述べています。
現在、オーストラリアに約30万の認知症の人がいますが、その多くはナーシングホームではなく、在宅で配偶者や子供に介護されています。
自殺防止の支援や情報を得たい読者はライフラインLifeline(電話:13 11 14)に電話しましょう。
Sky News March 6, 2013 Suicide risk for dementia carers
論文:Suicidal ideation in family carers of people with dementia: a pilot study(Siobhan T. O'Dwyer, Wendy Moyle, Melanie Zimmer-Gembeck,Diego De Leo. Article first published online: 4 MAR 2013 DOI: 10.1002/gps.3941 International Journal of Geriatric Psychiatry)
関連情報:Watershed research on suicide risk among carers(Aug/Sep 2011 Aged Care Insite)
編者:認知症の妻を介護する者として自殺を考えることが多いことは納得でき、常識だろう。

イギリスは健康改善の失敗で認知症による死亡が増加(3月5日/イギリス)
医学雑誌ランセットThe Lancetの3月5日オンライン版に掲載された論文によると、アルツハイマー病など認知症で死亡するイギリス人(Briton)の数は、この20年間に急速に増えています。このことはイギリス(UK)が、多くの病気で長寿を全うしないで亡くなる(病死)(premature death)という残念な記録を持っていることになるのです。
この論文によると、この60年間にわたる無料医療制度、タバコ管理、がん検診によってもイギリス(UK)の全般健康状態を改善することに失敗したということです。イギリス(Britain)は、オーストラリア、カナダ、ノルウエー、アメリカだけでなくEUの他の14か国と比べると死亡については劣るのです。研究者は、2010年に発表された「世界疾患負担研究Global Burden of Disease Study」のデータを使って認知症とアルツハイマー病がイギリスの1990年の死亡原因の24位からこの20年間で10位になったことを示しました。
この増加は、イギリス(Britain)の急速な人口の高齢化と認知症が死因として報告されることが増えたことによるみなされてきたと考えられています。自立して食べたり動いたりできなくなった認知症の人は感染症としての尿路感染や肺炎、また栄養不良や脱水といった医学的状態によって死亡することがあります。
活動家は、この数値は警告であると話し、認知症と診断された人の数は現在の80万人から2051年の170万に増えとの予測を警告しました。
また活動家は、資金が乏しいことを非難し、全世界に花粉症の臨床試験は現在23あるのに血管性認知症や前頭側頭型認知症―認知症で最も多い3つの型の2つ―についてはわずか17の臨床試験しかない事実を強調しました。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは「イギリス(Britain)の健康関係機関は緊急の行動を取る必要ある」と述べています。
65歳以上で3人に1人がなる認知症は、年間230億ポンド以上の経費がかかっています。
同協会の対外部長のアンドリュー・チドゲイAndrew Chidgey氏(写真左上)は「認知症研究への資金は、がんなどのよりはるかに少ない。認知症が急速に増え、その経費が3倍になっており、より効果的な治療を見つけるため緊急の行動を始める必要がある」と述べています。
今回の研究は、イギリス(UK)で1990年と2010年の間で寿命が平均して4.2歳増え79.9歳になったことを示していますが、これは医療費が同程度レベルの他の国と比較すると、増加傾向は低下しています。
20年前、イギリス(Britain)では10万人あたりの死亡者数―病死を示す標準的な表現方法―について19か国のうち10位でしたが、2010年までに14位に落ちています。
今回の研究は、肝硬変、薬物起因障害がイギリス(UK)での病死の原因として増加したことを示しています。タバコは死亡原因のトップで、疾患負荷の12%を占め、これに高血圧、肥満関連疾患と続きます。
公衆保健会Faculty of Public Healthのエドムンド・ジョソップEdmund Jessop氏(写真左下)は「政治家や国が大胆な行動を取る余地は多い」と述べています。
Independent 05 March 2013 Dementia death toll soars as UK fails in battle to improve health および論文UK health performance: findings of the Global Burden of Disease Study 2010
編者:認知症に限らずイギリス人の健康状態への危惧を表明した論文のようだ。

★認知症の早期スクリーニング検査は有用(2月25日/アメリカ)
認知症のスクリーニングによって認知症と判断されるとその後のケアが改善されます。
認知症の治癒方法はなく、あってもわずかため、専門家は、認知症のスクリーニングの意義について長く議論してきました。しかし新しい研究は、高齢者で通常の認知症検査の利点は、起こりうる害より多きだろうと示唆しています。認知症の障害が軽度の時点で問題を把握することは、危機的状況―人生を破壊したり、秩序ある対応ができなかったり、介護者に過剰な負担を強いるといった―を回避することにつながるかもしれないのです。
アメリカの医療保険メディケアでは、「毎年の健康訪問annual wellness visit」が給付されることになっています。この給付には、認知症発症の危険性を示す認知機能障害、あるいは無視できないほどの思考能力、特に記憶の変化を把握することが含まれます。一旦、認知症と診断されると、家族支援、薬物管理、進行を遅らせるのに役立つ脳ゲームなどの支援を受けることができます(訳注1)。
アメリカ連邦政府諮問の予防作業部会U.S. Preventive Services Task Forceは、最近、2003年の認知症スクリーニング指針(訳注2)を再評価しています。
この時の指針では、高齢者に対して通常の認知症スクリーニングについて賛成あるいは反対を勧告できるほどの十分な証拠がないとされました。
認知症は一つの病気というよりは、症状群で日常生活に影響するほど重症の場合もあります。もっとも多いのはアメリカで540万人がなっているアルツハイマー病ですが、脳血管障害やパーキンソン病などのその他の加齢に関係する認知症もあります。アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、人口の高齢化に伴いすべての型を含む認知症の年間発病率は2050年までに2倍になると予測されています。
しかし、認知症の基準を満たす人の82%ほどは診断を受けてないという報告もあります。バイヤー医科大学Baylor College of Medicine(BCM)の研究者の行った調査によると、2009年で認知症の診断が見逃されたか遅れた理由として、医師が別の疾患で高齢者を治療している際、記憶障害についての注目してないことが明らかになりました。医師は知ったつもりでも患者への負担を避けたいと認知症の診断を保留していることがあります。
最近、アルツハイマー病協会は、診察の際、認知機能障害を評価しやすいような方法を勧告しました。これは本人と介護者に混乱し記憶障害が悪化しているかを聞き5分以内で終わる広く利用できる認知機能スクリーニング検査が含まれます。医師は、その結果で患者がより詳しい評価を受ける必要があるかどうか決めることができます。
またBCMの研究は、引き続き個別的でオーダーメイドのケアマネジメントによって認知症の人と介護者が共に生活の質を高められることも示しています。注目されているモデルとして、ケアマネジメントへのチーム対応を行う「健やか加齢脳Healthy Aging Brain(HAB)」―インディアナ大学加齢研究センターIndiana University Center for Aging Researchと非営利研究組織のレーゲンストリーフ研究所Regenstrief Instituteが共同して開発― という制度があります。
二つが連携した健康システムの中心的制度によると年間のケアマネジメントを受ける認知症の人のグループと、受けない人とのグループで比較すると救急外来の受信を45%、入院を54%減りました。
この研究後、2008年、インディアナ大学と連携した医療機関の「ウイシャードヘルスサービスWishard Health Services」は、HABセンターHAB Centerを開設しました。ここでは、患者が総合的な診断―神経学的検査や脳画像検査を含む―を受けることができます。認知症と確定されれば、センターの看護師、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーが介護家族やプライマリーケア医師と緊密に支援し、ケアプラン、薬を調べ高齢者の脳に有害な薬の使用を減らすといった特別なサービスを行います。また、加齢脳ソフトウエアーを使って症状や介護者のストレスレベルを把握し認知症の人の目標と必要事項にどのように応えられているかを監視します。
連邦政府のメディケア・メディケイド給付センターCenters for Medicare and Medicaid Servicesからの助成で、インディアナ大学とレーゲンストリーフの研究者のマラス・ブスタニMalaz Boustani准教授(写真左上)が指導するチームは、その制度をウイシャードが運営する11カ所の約2000人までに拡大しました。HABセンターの副所長でもあるブスタニ医師は次のように述べています。
「他の州の医療制度と共同して私たちの制度と同じものを作り国レベルまでにこのモデルを無理のない範囲で広げることを目指しています。この国では現在、認知症の人は次善的な対象と見なされており、このモデルは個々の認知症の人や家族や医療支払団体に精神的にも経済的にも負担が少なくてすみます」
さらに彼は次のように警告しています。
「認知症の単純なスクリーニングだけで十分ではありません。質問票によるスクリーニングで陽性になった人の少なくとも20%は認知機能が正常なのです。認知症の人の不安やうつ状態を防ぎ、健康であるためにカウンセリングやケアマネジメントが必要です」
またブスタニ医師は次のように述べています。
「この制度が成功するための大きなハードルの一つは、認知症に関わるなんらかの偏見や恐れを克服するように認知症の人や家族に働きかけることです。家族は否定し、記憶障害は加齢にともなう正常はものと思うかもしれません。また認知症の人は自立して生きる能力を失う恐れを抱くかもしれません」
しかし彼の研究によると、ほとんどの高齢者は機会があれば、スクリーニングを進んで受けるのです。
ベッティ・クロウイBetty Crowe夫人の3人の子供は、2010年遅くに現在81歳の母親が短期記憶の障害があり、同じことを繰り返すことに気付くました。インディアナポリス出身の元教師でカウンセラーの彼女は、自立生活の施設内で自分のアパートを持ち、問題があるとは思っていないと話していました。しかし、家族の友人がHABセンターを勧め、2011年5月にボウスタニ医師を受診することに同意しました。複雑な評価―彼女自身と家族への面接、神経学的検査、心理学的検査、脳画像検査、血液検査―の後、彼女はアルツハイマー病の初期にあたる軽度認知障害と診断されました。さらに1年以内に再度検査が勧められました。
病気を進行させないようにと、毎日60分の脳運動、中程度の身体運動、状態を悪化させる薬は避けることが勧められました。
2012年5月、彼女は検査や面接を受けて、アルツハイマー病と診断され、HABセンターの自宅支援制度に加わり、彼女の症状管理と家族支援を受けることになりました。
彼女の子供は、たびたび訪問しながら医療チームと接触を保ち、子供たちの間で責任を分担しています。インディアナポリスの警察官のラリー・クロウイLarry Crowe氏は、母親の受診予約を、警察本部長補佐のロイド・クロウイLloyd Crowe氏は、財産管理を担当しています。妹のリンダ・クロウイ・ナイトLinda Crowe-Knight氏は、受付の仕事をしますが、母親の薬の管理を担当しています。
母親は、作業療法士と理学療法士の定期的な訪問を受け、パズル、問題解決型ゲーム、運動―歩行、ストレッチング、下肢運動、軽いウエイトトレーニング―が提供されています。
ロイド・クロウイウー氏は「母は、その気になるといつでもアパート中で踊っている」と話し、ブストニ医師は家族に「母親はまだグリーンゾーンで、多くの日常生活を自分で管理できる」と説明しており、ラリー・クロウイ氏は「目標はできるだけ長く今居るところで暮らすということです」と話しています。
これに対して母親は次のように述べています。
「私は支援がなくても元気です。もっとも車の運転ができなくなると動揺するでしょう。守りたいことは自立です。まだ困難に出くわしていません」
彼女は幸せで自分の家に住んでいて、HAB制度に感謝しています。同じ診断を受けた他の 仲間よりはもっといい状態です。
記者のロウラ・ランドロLaura Landro氏(写真左下)はWSJ専属の健康や医療関係のコラムニスト。
Wall Street Journal February 25, 2013 New Push For Early Testing, Treatment for Dementia
訳注1:New Recommendations for the Detection of Cognitive Impairment during the Medicare Annual Wellness Visit(Alzheimer's Association)
訳注2:U.S. Preventive Services Task Force Screening for Dementia 2003
訳注3:New videos demonstrate how to assess cognition and disclose an Alzheimer’s disease diagnosis in the primary care setting(Alzheimer's Association)
編者:HABセンターの取り組みは、わが国で来年度から試験的に行われる「認知症初期集中支援チーム」に似た部分があるようだが、アメリカの医療制度になかでどのように普及するのだろうか。

認知症が企業に影響(2月23日/アメリカ)
働いているあなたに配偶者、親、高齢の家族がいると、この話は聞きたくないでしょう。あなたが会社を経営していても聞きたくないでしょう。
この話題について議論したい人は、ほとんどないでしょうが議論は必要なのです。今すぐに。あなたの健康と経歴と財布に影響するのです。会社経営者なら損益に影響します。
参考記事①As Alzheimer's rate soars, concern rises over costs
参考記事②At Work: Treat internships as a tryout
アルツハイマー病など認知症はアメリカの労働生産性へ損害を及ぼしています。
65歳以上のアメリカ人の8人に1人がアルツハイマー病です。さらに数百万人が別の型の認知症です(訳注)。2025年までに―わずか12年後ですが―さらも30%アルツハイマー病の人が増えるでしょう。
認知症の有病率は人口の高齢化により急速に増えています。
参考記事③Caregivers get TLC and advice with new online tools
参考記事④Working with Alzheimer's is possible, healthy
こうした人を誰が介護しているのでしょう。多くの場合、成人した子供、配偶者、パートナーです。
認知症の労働力への影響についての最近の全国調査( National Poll Reveals New Look at the Impact of Dementia on U.S. Workforce )によると、アメリカ人労働者の7人に1人以上はアルツハイマー病などの認知症の人の現役の介護者か元介護者でした。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationと共同してワークプレイスオプションズWorkplace Optionsが委託したこの調査によると、介護をしながら働いているあるいは働いていた人たちの70%近くは、自分の日程を変更しなければならなかった。遅く出勤して早退するか、日中に休みを取りました。
その他の調査結果
* 32%:休暇を取る。
* 26%:負担の軽い仕事に転職。
* 23%:フルタイムからパートタイムに変えた。
* 29%:「解雇されかねないほど職務遂行能力が低下した」と話す。
* 24%:完全に退職。
就労している介護者での別の問題は、身体的疲労困憊とうつ状態や不安などの精神的問題です。介護が第2の仕事のような人もいましたが。
アルツハイマー病など認知症の人を介護するなかで親の予期しない行動によってストレスの多いという問題もあります。
ニューヨークに在るアルバニー大学の公衆保健学部School of Public Health at the University of Albanyの保健労働研究センターCenter for Health Workforce Studies (CHWS)The Impact of the Aging Population on the Health Workforce in the United States:Summary of Key Findings(March 2006)(pdf264K)」によると、なんらかの病気の親を介護する女性の経済的に次のような影響があります。
30% 近くの人は、昇格、研修、役職を辞退し、社会保障手当での一生涯の平均損失が2万5494ドル、年金損失が6万7202ドル、さらに介護を有給労働とみなすとその賃金は56万6433ドルに相当すると推計。
またギャラップビジネスジャーナルGallup Business Journalの記事The Cost of Caregiving to the U.S. Economyは、フルタイム労働している介護者の常習的欠勤によるアメリカの企業損失は年間250億ドル以上と推測します。
多くの会社は、これが介護に伴う無給または有給休暇、あるいは病気休暇の関わる事と認識しながら、常習的欠勤を減らすのに最も有効な方法を提供している会社はほとんどありません。
投資によるハイリターンとなる給付として次のものがあります。
○ 介護付き住宅やナーシングホームの利用について話し合うカウンセラー
○ 支援グループのネットワーク
○ 精神的苦痛を話し合う被雇用者支援制度
○ 介護を受けている人についての質問に答えるカウンセラー
被雇用者支援を行っているワークプレイスオプションズの最高責任者のディン・デバナDeanDebnam最高責任者(写真左中)は「ビジネスでもっと得策なことは、こうした事実が現在起こっているとことを理解し準備することです。こうして被雇用者が仕事場で仕事に集中できるでしょう」と話しています。
私たちは長生きしており、アルツハイマー病の人数は増えるでしょう。
アルツハイマー病協会の最高戦略責任者のアンジェラ・ゲイガーAngela Geiger氏(写真左下)は「会社に無給の介護をする人の数も増え続けるでしょう」と話しています。
あなたに何時、このことが影響するかはわかりません。
会社や労働者はこのことについて議論する必要があります、今すぐに、後からではありません。
寄稿者:職業コンサルタントのアンドレア・ケイAndrea Kay氏(写真左上)は、「人生は厳しい、経歴を変えよう:臆病な自分から将来にかける9つのステップLife's a Bitch and Then You Change Careers: 9 steps to get out of your funk and on to your future」の著者。
USATODAY February 23, 2013 At Work: Dementia affects companies
訳注:これは正確ではない。
編者:USATODAYのMoneyのサイトに掲載された記事だが、日本にも似た問題があり。

認知症にやさしい病棟作りの指針(2月21日/イギリス)
スターリング大学認知症サービス開発センターDementia Services Development Centre at University of Stirlingのジュン・アンドリュースJune Andrews所長(写真)の「認知症にやさしい病棟作りの指針A guide to creating a dementia-friendly ward」と題する論文が「ナーシングタイムズNursing Times」のサイト2013年2月21日号に掲載されました。論文は以下の5つを鍵として論じています。
1.認知症と診断を受けていない人にとって入院は、避けることができる損傷を受ける機会になることがある。
2. よく設計された病院は、認知症に伴うケアの負担を減らすことができる。
3.管理の技術によって、患者を観察する必要性が減る。
4.すべてのトイレのドアは、統一し明るくコントラスのある色にすべきだ。
5。食事空間をカフェやダイニングのような作りにすると多くの認知症の人はよく食べる。
入院時の認知症の診断の有無
入院は認知症と診断されてない人を把握する機会になります。認知症と診断を受けてないと、認知症の人はとても重要な支援を受ける機会を失うだけでなく、入院患者として通常の入院生活を送さされることになり、外来や救急外来に歩いて行き、危険に陥ることになります。病院が避けることができる損傷と及ぼすことになるかもしれません。
入院時に、認知症、うつ状態、譫妄といった状態を簡単な認知機能評価を行うことがないと、苦痛、外傷、合併症を受けやすくなります。
急性期病院に入院したあと、認知症の人は元の状態に戻らないかもしれません。その原因の一部として病院の設計や体制―職員の行動も含め―がありえます。こうした患者は可能な限り認知症と把握することは、効果的なケアを受けるのに不可欠です。
よい設計の病院の利点
しかし、どのようなよく設計された環境でも病院のよくない組織や乏しい知識しかない職員によって低く評価される可能性があります。他方、ケアが優れていると設計が不適切でも実践されることもありますが、設計がよいと介護者の負担は軽減されます。設計ミスによって職員が 繰り返し必要のない仕事を強いられ疲れきってしまうでしょう。
認知症と診断されないままで入院する人が増加することは、認知症の人に個別的なケアを提供しにくくなるのですがDSDCが推奨する基本的な認知症にやさしい変革は認知症の人を保護することにつながります。
監視技術を駆使
認知症に優しい設計を技術が支えています。支援的技術とは個人的に利用する機器の総称ですが、障害をもった人がより自立して動けるように身体的、感覚的、認知機能な能力を高めるためにこの機器が使われます。
かっては患者を監視しやすいように部屋のレイアウトが変られ病棟のどこにいても患者を監視していましが、信頼できる電気監視機器によって今はいかなる場面でもこの機器が使われるようになりました。支援的技術を利用する方法は無料でDSDCの指針をダウンロードできます(Telecare and dementia: using telecare effectively in the support of people with dementia - Free download)。
バランスのとれたリスク管理
火災、感染管理、食品中毒といった特別に危険な状態の責任は、病院組織の異なる部署で担います。このため認知症の人の特異的な危険性と一般的な危険性とのバランスをとることは難しいことがあります。
たとえば、火災時の指針によると火災非常口がはっきり見えるように明確に「出口」と表示されるでしょう。しあkし、認知症の人にとっては単なる出口の表示と見え、職員はその対応を繰り返すという問題が生じ、認知症の人にとっても危険をなるでしょう。認知症に相応しい設計で一部の火災扉を開かないようにすると、あらたに危険性が生じるかもしれません。
認知症にやさしい環境に沿った多くの勧告は、イギリスの規制に反するものではなく、規制がないだけです。改革するには認知症の研修を受け、証拠を示した研究に基づいたチームに必要です。
以下に掲げる一般的な助言はDSDCのサイトからさらに詳しい情報が得られます。
認知症に優しい居住環境
床は統一した一定の色にすべきです。変化させると認知症の人が歩く時に間違うことがあるからです。つやのある床はすべりやすいと受け取られるでしょう。音の吸収も大切です。
床と壁の境ははっきりさせておきます。床のカバーが壁に跳ね上がっているところは、できるだけ低くしてコントラストのはっきりさせておきます。
手すりは壁とコントラスとを付けるべきで、手すりが端は取っ手をつけるなどしてわかるようにします。
病院でカーペットや布を使うことが難しい場合、音の吸収に天井が最善です。吸音性タイルは部屋の周囲の雑音の反射音を減らします。また天井は明るい色で光が反射するようにすべきです。
ドアは行き先を決めるのに重要な部分です。職員専用ドアはすべて壁と同じ色にすべきです。一方、認知症の人が使うドアは、壁とコントラストのある色にすべきです。
引き戸は使い方が難しい。ドアに窓枠があると中が見られます。ベッドルームは例外で睡眠やプライバシーのため窓枠は付けません。ドアが均一であれば目立つ表示を付けましょう。すべてのトイレのドアも同じようにして明るくコントラストのある色にします。
表示の位置はどこでも同じ高さ1.2m未満とし、壁やドアと明確にコントラストを付け、大文字・小文字で書きイラストもいれます。
時計は、大きくてわかりやすいもので時刻は正確でアナログがよく、どのベッドからも見えるようにすべきです。時計が譫妄に役立つという証拠があるのです。
照明は明るくしておくべきです。人は、75歳ほどになるまでに通常の標準勧告値より2倍ほど明るくする必要があり、さらに十分に見えるように20歳の人の場合の4倍近くがよい。介護環境では通常照明の2倍が必要で、照明レベルは高齢者が決められるべきです(DSDC:The importance of lighting)。昼間の光はできるだけ取り入れます。ベッド上や椅子での作業用照明では眩しい光を避けることがとても重要です。食事や飲み物の時の適切な照明は認知症の人が物を確かめて口に入れるのに役立ちます。
職員は認知症の人を観察するために適切な照明が必要ですが、夜間、部屋をまっ暗にすることは睡眠のためにはよいでしょう。ゆっくり動ける人が安全になすことができるように十分に長く照明を続けておく必要があります。照明のスイッチはコントラストのある色で見やすくします。
ブザー、電話、おしゃべりの音も含めた音は最小限にすべきです。洗える防音パネルを壁や天井に設置します。
椅子席などの家具は床と区別できるような色でコントラストを付けます。ベッドは床にすぐ降りられるようにして横板は付けません。テーブルカバーやとテーブルマットは皿とコントラストを付け食事がよく見えるようにすべきです。
自分の姿を認識できなくなっている認知症の人にとって鏡は問題を起こすことがあります。「窓から私をみる知らない人は誰」と不思議がるかもしれません。鏡にカバーを掛けるか、ドアを付けましょう。
ナースコールは、認知症の人にとって音がどこから来ているのか、何の音なのかが理解できないで警告と受け取られることがあります。通知は職員のポケットベルのバイブレーションで伝え、音や光による警告よりはよい。呼び出しボタンははっきり表示しておきます。
ナースステーションは雑音や動きの中心となり、認知症の人に注目させることになることがあります。いくつかの小さな受付カウンターがあることが望ましい。できれば患者用の座る空間があり患者の近くで記録が書ける場所があるとよい。こうすることで、職員が一緒に集まって会話に邪魔されるより、個々の看護師が落ちついて記録を書くことができるのです。さらに患者用の椅子があると看護師と患者は互いに穏やかな関係ができて看護師が患者が観察しながら管理的作業を行うことができるでしょう。
認知症の人が個室に居て、宿泊用の心地よいリクライニング椅子、折り畳み式ベッドあるいは長椅子が備わっていると、親族がよりよく介助できます。安心させるような慣れ親しんだ声が聞こえると、認知症の人が夜間、起きたり、どこにいるのか迷うときに、とてもよい影響を及ぼします。認知症の人が総室にいる場合、親族用の部屋が傍にあると最もよい。病棟の通常の業務は親族がよく支援できるように弾力的に行うべきです。
告知板や冊子棚は混乱の原因になることがあり、最新の状態にしておき、古い物は除きます。
トイレの椅子や手すりは、壁や床とコントラスを付けます。フラッシュ栓、蛇口、液体石鹸容器、トイレットペーパー、乾燥機器は簡単にわかるように古い様式にすべきです。狙いは家庭的な雰囲気づくりです。
浴室やシャワールームはコントラストのはっきりした色を使い、使いなれた物品を揃えます。シャワーは、水が直接に頭から床に流れるようにしておくと、びっくりすることがあり、高さが調節でき、取り外しできるシャワーヘッドであるとゆっくり水に濡れるようになるのでよい。
理学療法室や作業療法室は多くの使わない機器を置いていることがあります。
日常生活能力を評価するためのキッチンは、認知症のやさしい作りにすべきで、すでに述べた床、壁、照明、音の指針を適応します。
追加的活動のためのデイルームは、とても大切な場です。親族と座る、食べる、話すのに使えます。認知症の人の多くはカフェやダイニングルームのようだと、よりよく食べます。活動することで退屈さを軽減し、部屋はコミュニケーションが難しい認知症の人との一対一の作業にも相応しい。
外が見えること―さらに陽の光あるいは直射日光を浴びること―は、認知症の人の回復に有意なことと示されています。病院のマスタープランを立てるときに入院患者の設備を優先すべきです。研究によれば、外に簡単に出られるようにすることで攻撃的行動が減ることがわかっています。
ドアが簡単に見えて使いやすくすべきです。内と外の床はあまり強いコントラストを付けるべきではありません。ドアからすぐに見える所に椅子を置くのがよい。ロビーに吸水性のマットを使います。外部スペースは、埋め込まれ頑丈で滑らない舗装をして、花壇、丈夫な椅子、見て楽しいオブジェを備え、いくつかの場所では風、雨、日光にから守る作りにします。
結論
この論文での助言は認知症に優しいデザインの基本を概観したものですが、看護師は将来さらによい多くのアイディアを考えるでしょう。重要なことは、導入するという挑戦に私たちが考えを共有しエネルギーを集中することです。こうすることで認知症の人の安全な入院が可能となるのです。
Nursingtimes.net 21 February, 2013 A guide to creating a dementia-friendly ward)
英文記事:A guide to creating a dementia-friendly ward
参考資料:Acute awareness Improving hospital care for people with dementia (The NHS Confederation 2010)(pdf900K)
編者:わが国でも急性期病院での認知症の人へ対応が問われているので紹介した。指針は主に病棟のデザインの関するものが多く、急性期医療の選択―点滴チューブを抜くので経口に切り替えるとか、治療を控えるなど―も重要なテーマだが触れてない。この点について同じイギリスで2010年にNHSが発行した参考資料は参考になる。

★NSWで今後7年間で認知症の人が2万3000人増える(2月20日/オーストラリア)
オーストラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州の認知症の人は、今後、7年以内に約2万3000人増えるとする新しい数値が示されました。
これらはオーストラリア保健福祉研究所Australian Institute of Health and Welfareがオーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaにために示された数値で、現在NSWには認知症の人が10万9000人いると推測され、2020年までに20%増加して約13万2000人になります。
オーストラリアアルツハイマー病協会NSW 支部Alzheimer's Australia NSWの理事長のジョン・ワトキンJohn Watkins氏(写真)は次のように述べています。
「これらの数値は警告で、州政府に2013‐14年予算で認知症サービスの枠組みでの実行計画に十分に資金を講じるように新たに要請します。この計画は、よく調べされ多面的なアプローチで州全体の認知症に対応しようとするものです」
この計画は、認知症の人と介護者への診断、管理、支援を取り上げ、さらに入院、高齢者施設ケア、緩和ケアも対象としています。
さらにワトキンス理事長は「州政府が計画を向上させていることは称賛されるべきですが、今、私たちはより多くの資金を投じるように州政府が新たなステップへと進むことを見まもる必要があります」
オーストラリア全体で32万人以上が認知症で、2030年までに50万人以上に増えると予測されています。
the australian February 20, 2013 23,000 more dementia sufferers for NSW )
訳注:NSW の人口 (2010年)約720万人
編者:NSW州の新しい認知症計画の具体的な内容が不明だが、州レベルでアルツハイマー病協会が政府に数値を根拠に働きかけていることはわかる。わが国はどうか。ところでワトキンス氏は元州の副首相の経歴があり、半民半官的なオーストラリアのアルツハイマー病協会のポストに就くことはオーストラリアではありふれたことらしい。結果的に政府とのパイプもできやすいようだ。

「10年で脳の全容解明を…オバマ政権が取り組み」(2月19日/読売新聞)
【ボストン(米マサチューセッツ州)=中島達雄】米紙ニューヨーク・タイムズは18日、オバマ政権が人間の脳機能の全容解明を目指し、今後10年かけて政府と民間による新たな共同研究に取り組むことを計画中だと報じた。
早ければ3月に正式発表されるという。
脳神経ごとの役割を解明し、「脳の活動地図」を作るというプロジェクトで、アルツハイマー病やパーキンソン病の原因究明、うつ病など精神疾患の治療法の開発、人工知能(AI)の発展につながることが期待されるという。人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)解読プロジェクトに次ぐ、大規模研究になるとみられる。
オバマ米大統領は12日の一般教書演説で、ヒトゲノム研究の経済効果について、「1ドルごとの投資に140ドルのリターンがあった」と紹介。その上で「現在は脳活動地図の作成が重要。1960年代の宇宙開発競争に匹敵する、高度な研究開発のために投資すべきだ」と訴えていた。
Yomiuri Online 2013年2月19日 原文のまま
関連情報:Obama Seeking to Boost Study of Human Brain( New York Times February 17, 2013)

増える認知症の囚人に刑務所の体制不備(2月18日/イギリス)
「精神保健財団Mental Health Foundation」の調査報告書(訳注)は、認知症の囚人が増えている事実に有効に対処するため刑務所がより多くの職員研修と外部からの支援が必要と指摘しています。
刑務所は認知症の囚人が増えている事実に対処する体制が乏しく、職員研修、日常的な高齢者の状態把握、および外部からの支援に資金を投ずる必要があると勧めています。
これは、今日、発行された同財団の報告書で指摘されたもので、刑務所のなかには適切な実践を行っている事例で、認知症の囚人を支援する取り組みに関する国際的な調査研究からの結論です。
政府の数値によると、この10年間でイングランド・ウエールズでの50歳以上で判決を受けた囚人数は74%増え、ほぼ1万人です。より厳格な判決政策の流れによるものです。また囚人は、監禁による精神的身体的影響や、収監前の物質誤用などのため歴年齢より生理学的に加齢が進みやすく、一般人より認知症に早くなりやすいのです。
しかし、認知症は隠された問題のままです。というのは、ほとんどの囚人は収監時に認知機能障害について検査はなく、看守は認知症と思われる状態を把握する能力がほとんどないのです。認知症の人は、自分から症状を報告することはなく、精神保健サービス部門がとても問題となるような行動がある囚人に注目することが多いのです。
適切な実践例
研究者は、イングランド(8カ所)、アメリカ(4カ所)、ベルギー(1カ所)、日本(1カ所)
で調査し、認知症の囚人を支援する以下のような適切な実践を知ることができました。
○8カ所の刑務所では高齢の囚人向けの特別な評価方法を開発してきたし開発した。このうち7カ所ではMMSEのような認知症スクリーニング検査が使われている。
○一つの刑務所‐イギリス・ウエイト島刑務所HMP Isle of Wight-は、刑務所の記憶関連方式"memory services prison pathway"を立ち上げ、職員が記憶障害を疑う囚人を精神保健チーム、または記憶評価のために診療所に紹介できるようにした。
○別の刑務所―イギリス・スタフォード刑務所HMP Stafford―は、出所する2カ月前に地域の介護サービス利用の評価を行う関係部署に検査結果を紹介する。
○ほとんどの刑務所は、高齢の犯罪者に指導者を指定するが、指導者のなかで自分たちの役割のため研修を受けた。
○刑務所は、警備員らに加齢に関係する研修を受けさせた。
○10カ所の刑務所は、介護者を雇い、また囚人が囚人を支えるという仲間方式で身体障害や認知機能障害のある高齢の囚人を介護するようにした。
○刑務所は、認知症の囚人への支援向上のために必要な事項を報告した。例えば、認知症の啓発、職員向けの研修手引き、看護能力の強化と適応向上のための経費増額。
勧告
報告書は5分野で勧告を行い、以下のような認知症の囚人をよりよく支援する刑務所を支援するものです。
○基本的な認知機能スクリーニングをすべての50歳以上の新しく収監された人に行うべきである。点数が低い人についてはより複雑な検査を行い、少なくとも1年1回の頻度で再評価を行うべきである。
○認知症啓発の基本的な研修をすべての職員に行うべきである。刑務所で高齢者を指導する物は刑務所内の医療職チームから任命されるべきである。
○認知症ケアを専門とする外部の部署や団体‐囚人にサービスを提供できる慈善団体や医療提供者‐とのより強力な業務関係を構築すべきである。
○刑務所は、認知機能障害を疑うとき迅速な診断を受けられるようにより明確は紹介方法を必要とする。
○刑務所は、認知症の囚人のためのよりよい居住環境に改めるべきである、例えば、わかりやすい絵が載った明解な標識、あるいは運動場に簡単に行ける道順の設けるようにする。
(communitycare 18 February 2013 Prisons 'ill-equipped to deal with rising dementia population')
訳注:"Losing Track of Time: Dementia and the ageing prison population: treatment challenges and examples of good practice"(pdf320K)
サイト内関連記事:刑務所で認知症高齢者が増える(2012年2月25日/アメリカ)
編者:貴重な調査報告書と思われる。このなかで日本の尾道刑務所が紹介されているが、わが国で囚人の高齢化は指摘されてきたが、認知症で高齢の囚人の実態は明らかにされていないし、入所中および退所後の対応についての議論は聞かない。

行方不明の認知症の人を探す新しい制度(2月18日/イギリス)
ロンドンの北に在るノーサムプトンシャーNorthamptonshireで行方不明になる認知症の人を探す新しい制度が始まりました。
今月15日に「ご近所帰宅Neighbourhood Return」制度が始まり260人以上が登録しました。
宝くじの助成で設立されたこの制度は、認知症の人の介護者を登録するもので、行方不明になった時、捜索に協力できるボランティアも登録します。
この企画を進めているデボラ・ジンスDeborah Ginns氏(写真左の右。左はキャメロン首相)は次のように説明します。
「以前からある「ご近所見守りNeighbourhood Watch」の制度を拡大して始めました。ボランティアは、携帯電話の番号を知らせておくだけで、いつも電源が入っている状態にしてもらい、速やかに連絡がとれるようにします。多くの人が登録して誰かの命を守る場合以外に電話されることはありません。この制度で介護者が自分の周囲に地域があると実感するのにも役立ち、認知症の人がより長く自分に家に住むことができるでしょう」
Barchester. 18 Feb 2013 Support for scheme to help search for missing dementia patients
関連情報:Moving and walking about(Alzheimer's Society UK)
サイト内関連情報:「行方不明者の早期発見に!福島市メール配信サービスに“SOS徘徊情報”を追加」(1012年12月30日)
編者:イギリスでは行方不明になった認知症の人の早期発見体制をよく知らない。Neighbourhood ReturnはMPOの地域的な取り組みのようだ。登録ボランティアの携帯電話を使う方法だが、これを取り入れている自治体は日本にもある。

「認知症…薬の使用減、介護者支援、住民の協力訴え 「家での暮らし」へ国際シンポ」(2月15日/産経新聞)
認知症の人が、人生の最後まで地域で暮らすには何が必要か-。認知症の人の増加が各国共通の課題となる中、5カ国から施策のキーパーソンが集い、「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」(東京都医学総合研究所主催)が1月末、東京都内で開かれた。(佐藤好美)
英国、フランス、豪州、デンマーク、オランダの政府関係者や支援団体の担当者らは「家での暮らしを支援する」で一致。抗精神病薬の使用減、介護者への支援、地域住民の協力などを訴えた。
◇ケアは「人の対応」
英国保健省で認知症施策にあたるアリスター・バーンズ氏は「認知症の人への抗精神病薬処方を、できる限り減らさなければならない」と訴えた。英国では、2006年には約6万人だった認知症の人が診断率の上昇で11年には14万人超。一方で、抗精神病薬の処方割合は17.05%から6.80%に下げることができた。認知症の人のケアが「薬で静かにさせる」ことから、「人の対応」に移っていることを示した。
抗精神病薬の高齢者への使用では、死亡率を高めるとの報告や、認知症の人への処方で急性心筋梗塞のリスクを高めるなどの研究結果もある。バーンズ氏は「(英国では)処方そのものを禁止しようとの意見もあったが、良いケアを推進することが重要。抗精神病薬の利用割合は、認知症の人にどんなケアをしているかのバロメーターになる」と指摘した。
◇どこで暮らすか
オランダでは70~80年代に、高齢者の施設入居率が欧州で最高だったが、現在は約25万人の認知症の人の7~8割が家で暮らし、半数が1人暮らし。約6万人がナーシングホームなどで暮らす。同国アルツハイマー病協会のジュリー・メアフェルトさんは「認知症だからといって病院で生活する人はいない。以前は施設介護が前提だったが、今は在宅ケアの重要性が認識されてきた」と、「脱病院」「脱施設」の流れを解説した。
こうした施策の背景には、入院や入所が多かれ少なかれ当人の生活の制約になるとの認識がある。
「夜の10時に不穏になる認知症の人には、病院では薬が使われるかもしれない。しかし、その人はひょっとしたら、いつもその時間に帰ってきた夫のために食事を作ろうと思っているかもしれないのです」(バーンズ氏)
長期入院に注ぐ目も厳しい。「アルツハイマー病患者のほとんどは在宅で暮らす。10万人未満が精神科病院にいるが、入院期間は2カ月程度」(フランス)。「精神科病院に入院する人は非常に少なくなってきた。抗精神病薬の使用も減らし、肉体的にも精神的にも拘束のない環境の実現を目指している」(豪州)。「問題行動があっても、ケアは自宅や施設で当事者中心。精神科病院での治療はほとんど外来で行われる」(デンマーク)
ただ、豪州保健高齢化省のラッセル・ド・バーグ次長は家での暮らしを推奨しつつ、「精神科病院などの閉鎖後、進行した認知症の人が施設に入居しており、そこで問題があることは否定できない」と課題も指摘した。
◇家族への支援
オランダでは施策に先だち、患者や介護者の調査を実施。「いつまでも家で暮らしたい」という声を受けて環境を整えてきた。このため、介護者への支援も厚い。
取り組みは地域にもよるが、介護者が匿名性を維持しながら情報交換できる。「アルツハイマーカフェ」は20カ所から220カ所に増加。介護する人を支援するセンターでは専門家の情報提供、介護者のコンサルティングも行う。メアフェルトさんは「在宅の介護者の負担が重い。より望ましい状態で家族をケアできるようにすることが必要です」と指摘した。
  ◇
日本の取り組み サポーター養成講座に注目
日本の取り組みは、厚生労働省の原勝則老健局長が紹介した。原局長は現状について、「認知症と気づかずに放置し、問題行動が現れてから医療機関に駆け込むケースが多い。早期受診、早期対応ができずに症状悪化を招いている」と指摘。精神科への入院では「治療が済めば地域へ帰れるのに、帰れないまま入院している人も多い。一般病院で医療従事者が認知症を理解しておらず、入院を拒否されるケースもある」と、率直に課題を述べた。
日本では、認知症の人の約14%(38万人)が入院している。精神科入院は約5万人とされるが、入院日数は長く、血管性認知症などで治療病棟に入院する人で700日弱。アルツハイマー病でも300日超に上る。
一方、日本独自で注目されたのは「認知症サポーター制度」。自治体や企業などが行う90分の養成講座を終了すると、サポーターになれる。今や小学生から高齢者まで約336万人がサポーター。講座では、認知症の人が何に困り、どんな手助けが必要かを学ぶ。周囲の助けで認知症の人が地域で暮らせるようにするのが狙いだ。
豪州でも、認知症の人との接点がある救急隊員、消防、警察、小売業、銀行、公共交通機関のスタッフなどには教育研修が行われるという。同国のバーグ次長は「一般の人が認知症の人に優しくでき、不安を軽減できればいい。認知症の人への支援は単に政府の責任ではない。研究者、介護者、家族、地域社会、雇用者、企業、教育機関などが協調して対応していくことが必要です」と指摘した。
産経ニュース 2013年2月15日 原文のまま
編者:認知症国家戦略をテーマにした国際会議の開催はあらかじめ知らなかった。今どき主催者は何の目的で、どうして人選して、開催したのか知りたい。人選によっては各国の報告や評価に偏りが生じることがある。記事で紹介された各国の報告は断片的だが偏った内容間違った内容ではないと思う。
関連情報1:認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウムを開催いたしました(2013.1.29)(東京都医学総合研究所) プログラム(pdf950K)
関連情報2:認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム(東京都総合医学医学総合研究所)日本語 英語

★介護施設に認知症研修を受けた医療職が必要(2月14日/イギリス)
私の義理の母が居た介護施設の職員は、混乱した母に適切な認知症介護ができなかったことを心配して、別の施設の認知症専門棟に移すことに決めました。これは簡単に準備してできましたが、母のためというより経済的理由で行ったことです。前の施設の所有者が必至に料金が払える入居者を確保しようとしていたのです。
公的サービスがあるにもかかわらず最終的に先週末、母を移しました。ありがたいことに、義母はすぐに新しい施設に馴れ、もっと安全な環境でいることが保障されたのです。「バーケスターBarchester」が運営するこの施設では研修を受けた職員が誠意をもって介護しています。
100万人の認知症フレンズDementia Friendsを教育しようとする計画を持った政府の観点からすると、専門的に研修を受けた職員が認知症高齢者を介護することにはまだなっていません。
現在の規制では、研修を受けた看護師が介護施設には必要がないのです。気分を改善する薬を医学知識を持ってない介護者が恣意的にのませているという事実があるにも拘わらず、こうしたことが施設で認められてよいのでしょうか?高齢の入居者―車椅子に座らされていることが多い―が食べさせられる食事が虚弱な消化器をもった高齢者に相応しくあるべきでしょう。確かに、どの介護施設もバーチェスターの指導を受け、バランスのとれた栄養を提供するようにメニューが利用者に合わせられるべきでしょう。義母が居た前の施設で利用料金が上がって職員数は減り食事の質はいつも最低でした。「介護の質委員会Care Quality Commission」の最近に報告によると、施設介護を提供する事業者の4分の1は質と安全性の面で国の5つのすべての基準を満たしてはいません。
「認知症UK Dementia UK」は、高齢者や認知症高齢者に仕事とし接する人たちに研修を提供しています。この団体は、認知症介護で最善の実践を行い知識を共有することに役立つよう二つの公開講座―「認知症ネットワークのための高等教育Higher Education for Dementia Network(HEDN)」と「認知症教育研修ネットワークDementia Education Training Network(DETN)」―を主催しています。HEDNは、認知症介護について関心あるか責任を持たされる人たちのための「高等教育機関Higher Education Institutions」の一環として認知症ケアの登録制課程です。DETNは、同じく関心あるか責任ある人のためのロンドン限定の認知症ケア教育・研修向上の課程です。
私は、とても雄弁なリンダ・ベリンガムLynda Bellingham(訳注:イギリスの女優、ブロードキャスター、作家)(写真左下)に同意します。彼女は、政府の認知症フレンズ運動を支援することでBBCブレックファーストBBC Breakfastのインタビューで次のように述べています。
「もっと多くの人たちが私たちの同胞を知る必要があります。スーパーマーケットであなたのカートにぶつかった時、バスに乗って方角がわからなくなった人がいた時、あるいは徘徊する人が通り道を横切った時、すぐに非難する必要はありません」
だれもが認知症になる可能性があるのですが、その事実をまだ知らないのでしょう。認知症の人への私たちの反応を改める必要があります。保健大臣は「認知症の人は日常活動から疎外されていると感じるべきではない」と述べています。
「認知症フレンズチャンピオンDementia Friends Champions」―認知症フレンズになりたいと思う人を指導する人―に向けて研修を受ける人たちがこうした改革を始めることを希望します。イギリス中でゆっくり、次々と新たなカフェが開設されており、認知症の人と介護者の参加を歓迎します。認知症の人を取り込むのであって除外するのではありません。
しかし政府が、「アドミラルナースAdmiral Nurses」―認知症ケアを専門とする看護師の研修を受け認知症UKが支援する精神保健看護師―にも、認知症フレンズへの資金のいくらかを転用することを考えているのか疑問です。今のところ、こうした専門看護師は、ロンドンなど限られた地区でした従事していませんが、この専門看護師が増えると、すべての介護施設で専任のアドミラルナースを確保できるかもしれません。こうすることで研修を受けていない介護職が、さまざまな程度の認知症や多様な認知症の入居者にどう働きかけ刺激するかについて指導を受けることができるでしょう。その結果、認知症の人が起きている間いつも大きな音のするテレビの傍の椅子に座らせたままということは無くなるでしょう。
「認知症UK」の資金獲得キャンペーン―スローガン「クッパのための時間Time For A Cuppa」(訳注)―は、「この国の何千という家族のライフラインを提供するアドミラルナースを支援し増やすための資金獲得で3月の1日から8日まで実施されます。
その認知症UKは「家での小さなティーパーティから大きな地域活動や仕事場でのお茶の時間まですべてで獲得したお金で違いが生まれる」と訴えています。
キャンペーンへの登録の詳細や負担のない資金集めパックの利用方法については、「クッパのための時間」のサイトにアクセスします。地元のアドミラルナースの居場所については、「認知症UK」のサイトにアクセスします。支援や助言がほしい場合、「アドミラルダイレクトAdmiral Direct」に電話(0845 257 9406)するか、メール(direct@dementiauk.or)しましょう。
認知症フレンズになるか認知症フレンズ運動に関心があれば、「認知症フレンズ」のサイトにアクセスします。このサイトでは、すでに実施されている研修課程の情報一覧を見ることができます。日本で初めてこの構想が実施され300万人のボランティアが参加しました。
胸を痛める進行性の病気になる人が増えることに対処するには「認知症フレンズ」と「アドミラルナース」の両方が必要だと思います。
The Telegraph February 14th, 2013 Dementia: shouldn't we be concentrating on getting trained medical staff in our care homes?
寄稿者:ジュディス・ポッツJudith Potts氏(写真左上)は、元女優で現在は声・行動・発表に関する指導者。既婚で2人の子供と3人の継子、2人の孫息子を誇りにする祖母。西ロンドンとヨークシャーに住む。2008年乳がん診断される。
訳注:Cuppaは a cup of teaのイギリス口語。
編者:寄稿者は認知症の義母の経験からイギリスで地域の認知症ケアの向上と同時に施設での認知症ケアの向上も重要だと指摘、併せて認知症UKのキャンペーンを紹介。

公衆保健大臣がアルツハイマー病啓発を推進(2月9日/タイ)
公衆保健省Public Health Ministryは、アルツハイマー病の情報を国民に提供して啓発を進めています。今月の中旬、アルツハイマー病を判定するチェック票が公表されるでしょう。
チョランナン・シュリケウChonlanan Srikaew公衆保健副大臣(写真左上)は次のように述べています。
「本省とタイアルツハイマー病財団Alzheimer Foundation of Thailand(AFT)(訳注)とタイ生命科学拠点センターThailand Center of Excellence for Life Sciences (TCELS)が2月15日に公衆保健省の公園でアルツハイマー病啓発行事を開催します。
少なくとも世界中に2500万人のアルツハイマー病の人がいて毎年、500万人増えています。現在、タイにはおおよそ100万人のアルツハイマー病の人がいます」
AFTによれば、アルツハイマー病は認知症の一つの型で、記憶、思考、行動の問題を起こします。通常、症状はゆっくり進み、次第に悪化し、日常生活の影響するほどひどくなります。
あらに副大臣は次のように述べています。
「技術な助け―計算機、リマインダー、スマートフォーンなど―を若い時から使っている人は脳を十分には働かせないのでアルツハイマー病になる危険性があります。子供には本を読み、暗算し、記憶で歌うことを勧めます。一方、高齢者は算数問題に取り組みのがよいでしょう」
AFTのユース・バデャラミクYuth Bodharamik会長(写真左下)は「性交はエンドルフィンを遊離し、これが認知症の予防になります。他方、算数問題やカードゲームなども脳を働かせます。また運動や健康食も認知症の予防のよい活動です」と述べています。
AFTとTCELSは、アルツハイマー病テスト票をiPadやアンドロイドを使っている人のためにも公やけにします。これで自分の状態を知り病気の情報も得られます。この企画は今月15日に始められ、より詳しい情報はwww.alz.or.thまたはwww.tcels.or.thから無料でタンロードできます。
Pattaya Mail 09 February 2013 Public Health promotes awareness on Alzheimer’s disease )
訳注:Alzheimer Foundation of Thailandは国際アルツハイマー病協会に加盟しているAlzheimer's and Related Disorders Association of Thailandとは別団体。
編者:性交が認知症の予防になる?など科学的に間違った内容がある。これがタイのメディアだけでなくトップのクラスの人たちのレベルなのだろうか。それともpattayamailがあやしいメディアなのか。まずはこの人たちから啓発が重要だ。問題の多い内容の記事だがタイの現状を示唆すると思われ紹介した。

FDAはアルツハイマー病薬の臨床試験の規制緩和へ(2月7日/アメリカ)
アメリカ食品医薬品局U.S. Food and Drug Administration(FDA)は、認知症になる前の段階で薬の試験が行えるようにし、南アメリカのコロンビアで家族性アルツハイマー病の人への薬の予防的な研究ができ、2025年までに効果的なアルツハイマー病の治療法を見つけることを意図しています。
FDAから提案されたガイドラインは、製薬会社が初期のアルツハイマー病の人で試験を行えるようにするもので、それは薬が最も有効と科学者が考える時期です。
ガイドラインの草案は、FDAから今月5日に提出されましたが、アルツハイマー病に関する科学者の理解が変化したことを反映するものです。アルツハイマー病は、症状が現れる少なくとも10年前に始まっていると信じられています。
ラッセル・カッツRussell Katz医師(FDA薬品評価研究センター神経系製品Division of Neurology Products in the FDA's Center for Drug Evaluation and Research部長)(写真左上)は次のように述べています。
「科学者のグループとFDAは、アルツハイマー病で脳の損傷が非可逆的すぎる前のかなり早い時期の患者を特定し、薬の研究を行うことが重要と信じています」
現在のアルツハイマー病薬は症状を変化させるだけで確実にかつ破壊的なアルツハイマー病の経過―人の記憶を自立を奪う―を阻止するものはありません。
ポール・アイセンPaul Aisen医師(南カリフォルニア大学サンディエゴ校University of Southern California San Diegoの教授でアルツハイマー病の最も初期に病気の証拠を特定するための大学と国立加齢研究所National Institute on Agingの共同作業であるアルツハイマー病共同研究Alzheimer's Disease Cooperative Study(ADCS)の議長)(写真左中)は次のように述べています。
「これは製薬企業にとても有用になるでしょう。草案は、製薬企業が認知症になる前―アルツハイマー病の前駆的疾患の状態―の人で臨床試験を計画するのを支援することになるでしょう。前駆的な時期に軽度の認知機能の変化が起こり、アルツハイマー病に関連した変化を示唆するいくつかの生体指標―脳スキャンなどによる―があります」
新しい治療の必要性はとても高くなっています。今月6日に発表された研究によると、アルツハイマー病のアメリカン人の数は2050年までに3倍の1380万人になると推測されています。
製薬企業は何年もの間、いわゆる「病気を修飾する薬」の開発してきましたが、ほとんど成功はしていません。
昨年の夏、期待されたバピネウズマブbapineuzumabと呼ばれる薬は、ジョンソンアンドジョンソンJohnson & JohnsonとファイザーPfizerとエランElanで開発されたものですが、軽度から中程度のアルツハイマー病の人での大規模な臨床試験で有効性を示されませんでした。
また、イライリリーEli Lillyは、ソランズマブsolanezumabと呼ばれる薬を二つの大規模な臨床試験を行いますが、当初の有効性の目標を満たすことはできませんでした。しかし、二つの試験を合わせてみると軽度の人でわずかな有効性が認められました。
現在、研究者は、リリーの薬を初期のアルツハイマー病の人で臨床試験を行う計画を立てています。これには「A4予防研究"A4" prevention study」として知られる臨床試験が含まれます。この研究では、あきらかな記憶障害はなく、発症前の状態の70歳から85歳までの1000人のボランティアで行われる予定です。
この試験は、アイセン教授の指導のもとADCSが管理することになっています。
いくつかのいわゆる予防研究は、若年期にアルツハイマー病を発症する遺伝的素因がある人たちで薬を試すものです。その一つはコロンビアの大家族の人たちがクレネズマブcrenezumabとして知られるロッシュホールディングAG Roche Holding AGのジェネンテック Genentechが開発した薬を試すものです。
早期にアルツハイマー病と特定する新しいガイドラインをNIAと合作したアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationのマリア・カリロMaria Carrillo氏(写真左下)は「提案された改定草案は予防的試験の作業を考えている人たちに広くドアを開けることになります」と述べています。
またFDAは以下の見解を表しています。
「今回の動きは、昨年、オバマ大統領President Obamaによって署名された国家アルツハイマー病協計画National Alzheimer's Planのなかでアルツハイマー病へ対応しようとする政府の努力の一部です。この計画は2025年までにアルツハイマー病を効果的に予防し治療する方法を見出すことを狙っています」
(Reuters Feb 7 2013 U.S. FDA outlines path to test Alzheimer's drugs earlier)
関連資料:Guidance for Industry Alzheimer’s Disease: Developing Drugs for the Treatment of Early Stage Disease (February 2013 FDA)(pdf250K)
編者:FDAが環境整備してアルツハイマー病薬の臨床試験がいよいよ新たな段階に移行しようとしている。

今後40年間でアルツハイマー病の人が3倍の1380万人―最新報告―(2月6日/アメリカ)
アメリカ神経学会American Academy of Neurologyの学会誌Neurologyのオンライン2013年2月6日号に掲載された論文によると、アメリカのアルツハイマー病の人は今後40年間で3倍になると予測されます。
シカゴにあるラッシユ大学医療センターRush University Medical Centerのラッシュ健康加齢研究所Rush Institute for Healthy Agingのジェニファー・ウーヴェJennifer Weuve准教授(写真)は、論文の共同執筆者の一人ですが、次のように述べています。
「明らかになった増加は高齢化するベビーブーマー世代によるものです。この増加は社会にとても負担になるでしょう。アルツハイマー病で障害を持つ人が増え、介護者の問題であり、医療や社会のセイフティネットの重荷ともなるでしょう。私たちの研究によってアルツハイマー病の流行を少なくするため、もっと研究と治療と予防の戦略が緊急に必要なであることが注目されるでしょう」
今回の研究では、1993年から2011年の間、シカゴに在住した65歳以上の1万802人のアフリカ系アメリカ人とコーカサス系の人について分析しました。調査参加者は3年ごとに面接と評価を受け、年齢、人種、教育レベルが分析で考慮されました。
さらにアメリカ統計局US Census Bureauの死亡率、教育、現在および将来の人口推計を使いました。
その結果、アルツハイマー型認知症の人数は2010年の470万人から2050年に1380万人と予測されました。2050年のアルツハイマー病の人のうち700万人は85歳以上と推計されます。
さらに准教授は次のように述べています。
「詳細な推計には最新のデータを使いましたが、推計数は数10年前の予測と類似したものです。予測数は将来アルツハイマー病の人が劇的に増加する未来を予測させるもので準備をしなければならないでしょう」
なお研究はアルツハイマー病協会Alzheimer's Association および国立保健研究所の国立加齢研究所National Institute on Aging of the National Institutes of Healthの助成を受けました。
ScienceDaily Feb. 6, 2013  Number of People With Alzheimer's Disease in U.S. May Triple by 2050
関連論文:Alzheimer disease in the United States (2010?2050) estimated using the 2010 census
編者:アメリカのアルツハイマー病協会発行の「2012 Alzheimer’s Disease Facts and Figures(pdf1.3M」によると、現在、アルツハイマー病の人は540万(65歳以上:520万人、65歳未満20万人)で2050年までに1600万人と推測され、今回の研究の推計数に近い。ヒスパニックを含めるともっと増えるのだろうか。もっとも同協会から助成金を受けた研究であることをどう解釈すればよいか。ところでわが国の科学的調査による認知症の推計数は?

先が見えないアルツハイマー病治療のなかで認知症との戦い(2月4日/ヨーロッパ)
イギリスの保守党でヨーロッパ議会議員(member of the European Parliament:MEP)のマリア・ヤンナクダキスMarina Yannakoudakis氏(写真)は次のように書いています。
「私は、ヨーロッパアルツハイマー病連合European Alzheimer's Alliance(EAA)の副議長に指名されましたことを喜びとします。ベルギーのフリーダ・ブレペールスFrieda Brepoels議員がヨーロッパ議会議員からビルゼン市長Mayor of Bilzenになったことにより引き継ぎました。またヨーロッパ議会の環境・公衆保健委員会European Parliament's Environment and Public Health Committeeの議員として、保守党のヨーロッパ保健担当も引き継ぎました。こうしてアルツハイマー病を含む認知症の課題をしばらく監視します。
長くEAAの活動を支援してきました。アルツハイマー病に向けての国際的な共同計画だけでなく、アルツハイマー病のケアについてEU加盟国間で最善の取り組みを交換する作業を高く評価しています。アルツハイマー病は病気であって加齢の一部ではないのですが、認知症は高齢化人口のなかでもっと増えます。認知症は本人だけでなく、家族や友人や介護に専念する人たちにも影響するのです。
加盟国は、共にアルツハイマー病に挑み、各国の保健政策を尊重しながら治療へ取り組む必要があります。研究は現在在る資源に付加価値をつける分野の一つであり、ヨーロッパ委員会European Commissionの第7組織はアルツハイマー病と含む神経退行性疾患の研究に6億ユーロ以上の予算があります。病気の挑戦に応えるために多面的な取り組み―予防、診断、治療、治癒の4つのテーマ―が必要です。イギリスでとりわけ取り組んでいる分野の一つが病気の早期発見です。
私のロンドンの選挙区だけでも6万8000人の認知症の人がいます。さらに首都の別の4万人は認知症であることを知りません。認知症の人の50%弱は診断を受けていません。診断を受けた人がとても少ないのです。家族に認知症の症状に気付くことを勧めています。イギリスアルツハイマー病研究財団Alzheimer's Research UKの科学者は、うっかりしていることと病気の発症との違いを、鍵の置き場所を忘れないことと何の鍵か忘れること比較して示しました。
現在、アルツハイマー病の治癒が不可能だからといって診断に無感心でよいことにはなりません。アルツハイマー病薬は病気を数年間止めておくのに役立ちます。家族がアルツハイマー病になる危険性がある場合、地元の医師の診察を受け記憶検査を依頼することを勧めています。こうしてアルツハイマー病の人が支援、介護、医療に繋がり、病気でありながらよい生活を送れるようになります。治癒が可能になるまでアルツハイマー病の科学的研究への助成を増額する必要があります。
既にヨーロッパでの研究について述べました。研究―医学と技術の革新的分野―はEUの助成が増額されると考える数少ない分野の一つです。イギリスでは、認知症への助成を増やしました。イギリスのジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣は、昨年末、政府は21分野の先駆的な認知症研究に2200万ポンドを助成すると表明しました。この計画は認知症に関するすべての科学的活動の分野―介護、治癒、原因、予防―包括するものです。
認知症は医療分野最大の挑戦であり、今世紀に私たちが直面することになるでしょう。これには複合的で多国的な取り組みが必要であり、この分野でEAAは重要な役割があり、私は副議長として新しい役割を担うことになりました。EAAがEU全域の1000万人のアルツハイマー病の人の期待を正当に評価し応えることができることを希望します」
publicserviceeurope 04 February 2013 The elusive cure for Alzheimer's and battling dementia
編者:EUでのアルツハイマー病の課題への取り組みを理解する一端になる記事だ。なおEuropean Alzheimer's AllianceはEU議会内の組織で民間団体のAlzheimer Europeとは別組織。

★アルツハイマー病を初期で止めると期待される臨床試験始まる(2月2日/アメリカ
ローズマリー・ナヴァロRosemary Navarro氏(写真左上)は、カリフォルニア州のラハブラLa Habraに住む二人子供の母親ですが、何か不吉はことがいつも家族を破壊してきたことを知っていました。
彼女は「『とても悲しい』『とても邪悪な病気』と呼んでいます。その病気は私が知った人たちと連れ去ってしまう」と述べています。
彼女の叔母、叔父、いとこがその病気にかかりました。この人たちは40歳代で発病し心を失い始めました。その後、彼女の母親も発病したのです。
ナヴァロ氏は「母は40歳のときに発病し、ひどいもの忘れでした。41歳までに仕事が続けられなくなり道に迷うようになりました。母はただ立っているだけという状態でした」と述べています。
ナヴァロ氏の母親を診たUCLAのジョン・リングマンJohn Ringman医師(写真左下)は、母親が初期のアルツハイマー病と診断しました。
彼は「その型の遺伝子が受け継ぐと同じ病気になるのはほぼ間違いありません。親が遺伝子を持っていると、その子供が遺伝子を受けつぐ可能性は50%です」と述べています。
遺伝についての答を求めてリングマン医師はメキシコのハリスコJaliscoに調査に出かけました。
医師は次のように述べています。
「私が診察している多くの家族はメキシコの同じ地域にルーツがあり、結局、彼らが同じ変異遺伝子を持っているとわかりました。これらの人たちすべてが多分100年前の一つの最初の遺伝子から受け継いだものです。男女すべての子孫に引き継がれたのです」
ローズマリー氏の最大の心配ごとは、彼女も同じ遺伝子を持っているのかどうかということで、「自分のことに関心があります。また私の将来は、現時点で二人の子供たちのことでもある」と述べています。
彼女は検査を受け、結果に動揺しました。彼女は同じ遺伝子を持っていることがわかったのです。さらに、子供たちが50%の確率で同じ遺伝子を持つことになるのです。
子供たちのため、彼女自身のために、ナヴァロ氏は治癒方法を見つける、病気を追い越しる方法を見つけたいと思っています。
現在、彼女に症状はありませんが、アルツハイマー病を予防すると期待される薬の投与を受けるため2,3か月ごとに検査目的でUCLAを訪れます。
まもなく彼女は、アルツハイマー病の発病予防の方法と見出す新しい薬の臨床試験を始めます。彼女は特異な遺伝子を持っているのでこの臨床試験を受ける資格があるのです0。
またリングマン医師は次のように述べています。
「この遺伝子を持つ人たちは、アルツハイマー病に確実に100%なると予測できます。さらにどの年齢で症状が現われるのかについてもしっかりした考えを持っています。こうして、薬の有効性を高めることができます。アルツハイマー病治療の最初の流れは、脳に蓄積する分子に対する抗体を体外から投与するか、免疫機能を刺激して抗体をつくるかの方法で、身体からその分子を除去し、病気を引き起こす過程を止めるというものです」
治療は脳に蓄積しアルツハイマー病を引き起こすと考えられているアミロイドタンパクに対する抗体を静脈注射で投与し、3か月ごとに注射を繰り返します。この臨床試験が成功すれば、アルツハイマー病発病の危険性のあるその他の人たち治療の様子を変えることになるでしょう。
ローズマリー氏は「これからの何年の間、子供のために元気でいたい。私が彼らの唯一の遺伝子提供者なのです。また私は子供たちの治療方法を提供する人でなければなりません。私ができる間、子供たちが私に試験を受ける元気を与えてくれるのです」
臨床試験に関する家族向けの情報DIAN Expanded Registry
UCLAのアルツハイマー病研究情報Mary S. Easton Center for Alzheimer's Disease Research at UCLA (UCLA-Easton Center)
NBCLosAngeles Feb 2, 2013 UCLA Drug Trial Hopes to Keep Early Alzheimer's at Bay)
編者:アルツハイマー病の症状が出てからの免疫療法の有効性が確認されなかったことから、遺伝的に確実にアルツハイマー病を発病する人に限り症状が出る前の超早期に免疫療法を行おうとするもので、アルツハイマー病であっても発病をコントロールできると期待される臨床試験がいよいよ始まった。

行方不明になる認知症の人に役立てる登録制度始まる(1月30日/中国)
中国・天津市で新しいデータ登録制度を始めましたが、これは認知症の高齢者が自宅に戻れるように役立てる制度を始めました。
天津?童老年公益基金会Tianjin Hetong Elderly Welfare AssociationのLiu Guoliang副事務長によると、天津市の人で認知症と診断された人が無料で登録できます。登録された高齢者は個人が特定できる特別なブレスレットを付けます。この活動は天津市南開区の市民課と共催で行われます。登録されたデータは、行方不明になった時だけでなく、認知症の人の介護経験を共有するためのコミュニケーションの場にも利用されます。
現在、中国には1000万人の認知症の人がいますが、これは全世界の5分の1にあたり、高齢化する中国で増加しています。2011年時点で中国には60歳以上の人がおおよそ1億8500万人いて、こえは総人口の14%にあたります。2053年までにその数は4億8700万人、人口の35%になると推計されています。
GlobalTimes 2013-1-30 New database to help elderly return home)

認知症にやさしい観光地づくり(1月29日/イギリス)
研究者は、認知症にやさしい観光の新しい計画を練っています。
行方不明になる、トイレの場所がわからなくなる、誤解されるなどの恐れのために、認知症の人と介護家族は休日の出かけることを止めます。
認知症の人にとって、ちょっとした日帰り旅行でさえ多くの危険に遭遇するので、家族は「家に居るのが楽」とよく言います。
しかし新しく開設されたボーンマス大学認知症研究所Bournemouth University Dementia Institute(BUDI)はこれを変えたいと望んでいます。
研究所のアンセア・インネスAnthea Innes教授(写真左上)は「私たちにはビジョンがあります。将来、ボーンマスが認知症にやさしい観光地になるでしょう」と述べています。
医療や社会サービスを研究する専門家である教授は、大学の観光学部BU's School of Tourismのステファン・ページStephen Page教授(写真左下)と共同して認知症にやさしい観光地―認知症の人が安全と感じ容易に楽しめるところ―に向けた先駆的な研究を立ち上げます。
政府の公約―2015年までに20カ所の認知症にやさしい街づくり―の後押しもありインネス教授は、こうした施設が最も必要とする人たちと緊密に作業を進めています。
教授は次のように述べています。
「私たちの目的は、観光がどのように認知症の人や介護者が必要とすることに対応するかを知ることであり、かれらが観光の楽しみや楽しめる施設を利用できるのかどうか、またその理由を見出すことです。イギリス南部の観光を楽しみ、施設設備やリゾートが活用されることを望んでいます」
地域の予備計画が始まるなかで、教授は、研究を国内外に広げることを目指して次のように述べています。
「現在、認知症にやさしい地域に向けて、いろいろな作業―安全なATM、職員や警察官の研修など―が進められています」
認知症の人の家族との教授の初期のグループは、ボランティア団体、国民保健サービス部門、企業が絡むでしょう。BUDIの計画―地域で専門的な認知症ケアのための研修―を広めることにしています。調査の過程で、BUDIのチームは、多くの観光の目玉―オセアナリウムOceanariumなどボーンマスの海岸沿いのリゾート―や喫茶店、ギャラリー、劇場、博物館などの施設に関して聞き取りと行うでしょう。
南イギリスに在るドーセットDorset県は、イギリスで最も高齢化が進んでいる地域の一つで、こうした活動を始めるのに最適な地域です。またドーセットは、もっとも認知症の診断を受ける率が低いところです。これは認知症の人の少ないというわけではありません。さらにインネス教授は次のように述べています。
「この地域の認知症の人の4人に1人しか診断を受けてないと推測しています。ショッキングな統計数値です。イギリスの他の地域では認知症の人の約半数が診断を受けています。もし診断を受けてないと、サービスや支援を利用することができません。認知症の人と家族は将来計画も立てられないので、危機的状態に陥るかもしれません」
ときどき一般医GPは、地域のサービスが乏しいために診断したがらないことがあります。また認知症と見なされると、家族や地域の偏見に会うことになるかもしれません。このため認知症という問題を受け入れたくないのです。ときに、高齢者は既に介護施設に入っていることもあり、認知症と正規の診断を受けるよりは、むしろ「愛想のよい混乱状態」とみなされているのです。
観光施設を改善するために心強い投資対効果検討書があります。専門家は、認知症の人数が次の30年間で2倍になるだろうと予測しています。現在、イギリスは経済的に認知症に1900万ポンドを使っていると推計されています。
またインネス教授は次のように述べています。
「どこかで認知症にやさしいと知られるとこの地の企業や関係者にはよいことです。職員はよく認知症について訓練され、よく知ることになり全体的mなサービスレベルがよくなるのです」
参考文献:Innes, A, Kelly, F and McCabe, L (2012) (eds) Dementia in the 21st Century: Theory, policy and practice. London: Jessica Kingsley
ScienceDaily Jan. 29, 2013 Accessible Tourism and Dementia
編者:認知症時代の新しいビジネスだ。地元の認知症ケアのレベルも上げようとしている。

警察官が認知症の研修(1月28日/アメリカ)
インディアナ州ウォバシュWabashの警察署長であるチャールス・スミスCharles Smith氏とウォバシユ郡の郡保安官のボブ・ランドBob Land氏(写真左上)は、ともに新しい制度に賛成しています。その制度とは、警察官がアルツハイマー病や認知症の人に対応できるように研修を受けるというものです。
州の共和党議員、ビル・フレンドBill Friend氏(写真左中)が導入した新しい制度は、今週、インディアナ州議会を満場一致で採択されました。
スミス氏は次のように述べています。
「研修は警察官にとって有益でしょう。かれらは家族内問題としてアルツハイマー病が疑われる人を扱うことがあるからです。本人にも警察官にもきっと有益になると思います。より多くの警察官がさまざまな状況で対応できるように準備していることはもっとよくなるでしょう」
ランド氏も次のように述べています。
「新しい研修義務化は警察官に有益となるでしょう。私どもの警察官はアルツハイマー病の人にそれほど多く接しているわけではありませんが、たまにそうした事例に当たるというものでもありません。結構、頻繁に扱っています」
フレンド議員の法案は2012年6月に起きた事件の後に提出されたものです。この事件では、ペルーにあるナーシングホーム「ミラーズメリーマナーMiller’s Merry Manor」に入居していた進行したアルツハイマー病でジェームス・ハワードJames Howard氏(64歳)が、救急車に乗るのを拒み、警察官の指示に従わなかったとしてテイザー銃が5回発射されたのです。報告によれば、ハワード氏は施設の職員や警察官に攻撃的で、彼を抑えるためにテイザー銃が使われたのです。しかしその後の捜査で、ペルーの警察官のグレゴリー・マーチンGregory Martin氏は過剰な行動をとったとして懲戒免職となりました。
州議会法案1044は、アルツハイマー病の人、認知症の高齢者、および危険な状態にある行方不明の成人を扱う研修を義務づけることになるでしょう。警察官はインディアナ警察学校Indiana Law Enforcement Academyに出向いてアルツハイマー病の人に適切に接する方法は学ぶことになるでしょう。
フレンド共和党議員は、ハワード氏の家族が彼に面会しアルツハイマー病の人を扱う研修を義務付ける厳しい法律を要請した後、この法案を起草しました。
同議員は「この病気は広がっています。この法案は警察官がアルツハイマー病の人と接する時に適切な行動がとれる助けることになるでしょう」と述べています。
アルツハイマー病研修は、現在、警察官が研修を受けている、自閉症、精神発達遅滞、精神障害、依存性疾患、発達障害の状態リストに追加されることになるでしょう。
インディアナ法Indiana Codeの修正提案によると、アルツハイマー病に関する研修時間は6時間と要請されています。
マイク・カリッコフMike Karickhoff共和党議員(写真左下)は、この法案の共同起草者ですが、次のように述べています。
「市民は、警察官が最善の利益を求め対応する適切に研修を受けることを知って安心すべきなのです。この法案は尊敬され介護されてしかるべき市民たちと保護する重要な新たな蓄えなのです」
PoliceOne.com January 28, 2013  Ind. police to receive dementia training
編者:認知症の人に遭遇することが多い警察官の研修は日本であるが、インディアナ州ではそれを義務付けようとしている。「認知症にやさしい街づくり」に不可欠と取り組みだろう。

★工学部の学生が認知症の人の役立つ機器を開発(1月27日/アメリカ)
ペンシルバニア州立大学デュボア校Penn State DuBoisの工学部の新入生グループのおかげで、認知症の人が安心な時を過ごしています。最近、学生たちは、工学のノウハウを活かしてアルツハイマー病や認知症の人たちの心を刺激する機器を開発しました。それらの機器は、現在、デュボアにあるクライストザキングマノーナーシングホームChrist the King Manor Nursing Homeで毎日使われています。
工学部の学生全員によって設計、制作されたものですが、機器はさまざまで認知症の人のアクティビティや刺激となりっています。その一つは、やわらかい毛布にLED光とMP3機器が縫い込まれており認知症の人の目、耳、皮膚を同時に刺激します。別な機器は、光があてられ水で満ちたチューブのなかで空気ポンプによる泡が動くようになっています。また別な機器は、ボタンやファスナーといったいろいろな物が取り付けられた台で認知症の人が細かい運動機能を使いようにしたものです。さらにアクリル樹脂のテーブルは下から光があてられ、認知症の人が砂で絵を描けるようにしたものです。結局、入居者がこうした機器を使って、見る、聞く、触るといった刺激により明晰さと鋭敏さの感覚を呼び起こすのです。
クライストザキングマノーの記憶支援指導者のマーシャ・マイルズMarsha Miles氏は次のように述べています。
「認知症の人が心を奪われ、もっと活き活きとし、目覚めます。入居者はこうした活動をしている間は、意識がはっきりして満足します。学生が入居者のために創ったアクティビイは穏やかにする効果があります」
この計画を担当した工学部のダウディ・ウォーヨーバDaudi Waryoba准教授(写真右)は次のように述べています。
「学生にとってすばらしい経験というだけでなく、素晴らしい地域社会活動への参加となりました。秋学期の主要な計画が、認知症の高齢者を刺激するシステムの設計と開発としました。学生はあらゆる素材を使うことができ、自由に自分で計画を練り発展させ、教室や研究室を使い、必要とする人たちのために地域でおおいに使えるようにしたのです」
学生によれば、ウオーヨーバの計画の最終目的は達せられました。
マリオンセンターMarion Center在住の学生コディ・ウードCody Wood氏(写真左の右端)―光を当てる泡発生機器を作ったグループに属す―は、次のように述べています。
「どのような素材を使えるのか調べるのに長時間かかりました。さまざまな実験を試みました。これは多くの工学研究過程と同じことを示しているので本当に助かりました」
さらに彼は入居者のために特別なことをする満足感を楽しんで、「正当な理由があるといのはすばらしい考えです。人を助ける人と仕事をすることはすばらしい思いです」
クライストザキングの専門職によると、学生の計画は入居者を本当に助けています。
マイルス氏は「学生にとても感銘を受けました。こうした計画で学生が持っているものをすべてを提供したと信じています。独創的に考え、よい仕事をしました」と述べています。
Gant Daily  January 27, 2013 Engineering Students Create Therapy Devices for Dementia Patients
編者:日本の大学の工学部でこうした取り組みはあると思われるが聞かない。

アルツハイマー病発病の可能性の検査は必要か(1月26日/アメリカ)
キャスリン・ベッカーKathryn Becker(66歳)(写真右上の右)氏は、自分の母親のように自分や娘のことがわからなくなってしまうのか知りたいと思っています。
彼女は退役海軍技師で、二つのコンピュータープログラム言語を学んでいますが、自分の将来を明らかにする検査―脳脊髄液検査と脳画像検査―を受けることを決心しました。この検査はアルツハイマー病の原因となるらしい生物学的素因を明らかにするものです。
彼女が早期診断を受けたのは、ATMを使い、食器を収める正しい引き出しを見つけることが難しくなるほどの記憶障害があり、本当にアルツハイマー病のなってしまうのか知りたいためでしたから。しかしこの検査で最終的な状態が解明されるわけでもなく、進行を止める効果があると証明された薬もなく、治癒することもないアルツハイマー病で、現在アメリカには540万人がなっています。
医師や科学者は、何時、診断をすべきか、また誰にすべきかを議論していますが、国立加齢研究所National Institute on Aging (NIA)のスタッフは「病気の進展が不確かなということは、最初期の臨床症状前の状態は、アルツハイマー病の症状が現れる前に治療を目的とする臨床試験の期間中にのみ意味がある」と述べています。
既に記憶障害や認知機能の障害がある人は、臨床前状態よい完全なアルツハイマー病になる機会は増えます。しかし多くの科学者は次のように主張しています。
「症状のない前臨床の状態では、たとえ検査結果が陽性だとしても、その結果を告知されるべきではない」
NIAのアルツハイマー病センター制度Alzheimer's Disease Centers Programのクライトン・フェルプスCreighton Phelps部長(写真左上)は次のように述べています。
「結果が陽性だからといって、アルツハイマー病になるわけではありません。なる確率がより高いというだけなのです。そのことを私たちが話すことはできません。まだその意味について確信が持てないでいるからです」
診断はギロチンにようにみえるかもしれません。車の鍵を無くすと、実際になるのではとおもえるかもしれません。しかし、カリフォルニア州のキャマリロCamarilloに住むベッカー氏は、自分が将来、直面するかもしれないことに役立つのではと思っています。
彼女は9年前、進行度4の結腸がんと診断されてから、記憶が衰えてきたのです。がんの化学療法で2年間使った薬剤が記憶障害に関係すると思っていましたが、医師の検査を受けましたが原因はわかりませんでした。
昨年、神経科医がアルツハイマー病の過程かもしれないと彼女に告げました。この病気は母親ルーズ・バークハートRuth Burkhart氏の記憶を奪った同じ病気ですが、母親は食事介護付き施設board-and-care facilityで亡くなりました。
ベッカー氏は思い出して「母が私だと知っていたとは思いません。しばらくは、うつろな表情でした。生きることの喜びもなく、ただそこに在るだけです。私はそうした生き方をしたくないのです」と話しています。
ベッカー氏は、アルツハイマー病の発症前段階での試験を受けました。受けることでBIIB037(訳注)と呼ばれる試験的薬剤の臨床試験に参加することができたのです。
医師は彼女に「既に認知障害の症状があるので結果が陽性だと完全なアルツハイマー病になる可能性は高い」と告げています。
彼女は、毎月、神経科医を受診し、試験薬剤が点滴で注入されました。偽薬かもしれないですがベッカー氏はそうは思いませんでした。治療を受けて6年間、がんがない状態で過ごしてきたので、治ることを信じています。
ベッカー氏は、自宅で娘Jennifer Martinジェニファー・マーチン氏(写真左下の右)と義理の息子と二人の子供と一緒に暮らしていますが、次のように述べています。
「何が問題かを知ることで、もっと治癒を見つけるための多くの機会が生まれるのです。私は、とても前向きに考えながら何かが起こると思っています。そうならなければまた別なものを探します」
脳の変化
神経科医は、早期試験で脳脊髄液を調べ脳画像検査を行い、タウという蛋白とベータアミロイドと言われる斑を見つけようとします。こうした生体指標は、アルツハイマー病で必ず見られる脳の斑と縺れで引き起こるのですが、発病との関係について十分に理解されているわけではありません。
また神経科医は、認知機能試験とMRI画像検査とを組み合わせて行いますがMRIでは記憶を整理し体系化し蓄える機能がある部分の脳の萎縮を観察します。
既に明らかな記憶障害を示している人では、検査結果によっては完全なアルツハイマー病になることを示唆しますが、症状がほとんどない人で検査結果が陽性でも発病にいたるだろうと臨床前の結果では判断できず、検査結果の価値が明確ではないのです。前臨床状態と診断された多くの人が完全なアルツハイマー病にはならないのです。
フェルプス医師は次のように述べています。
「症状がなく検査結果が陽性の人たちは、多分、他の人よりは発病の危険性が高いのでしょうが、アルツハイマー病に必ずなるというものではありません。高齢で亡くなった人の30%の脳にアミロイドがあるのですがアルツハイマー病の症状は無いのです」
遺伝子検査も発病の危険性を示すことができます。最終段階の完全なアルツハイマー病に試みた薬物療法が失敗したことによって、この種の検査の必要性が高まっています。現在、薬剤の効果を評価するための臨床試験で遺伝子検査が行われることになっています。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校UC Santa Barbaraでアルツハイマー病を研究しているケン・コシクKen Kosik氏(写真左中)は「私たちはあまりにも遅い時期のアルツハイマー病を治療しようとしてきたのです。治癒を見つけようとするのなら発症前の早い時期に始めなければなりません」と述べています。
多くの臨床試験はなんらかの認知機能障害―通常は記憶障害―があるか、またはだアルツハイマー病ではない人の参加が必要です。このことについてオックスナードOxnardの神経科医で二つの臨床試験に加わっているジェイムス・サットンJames Sutton医師(写真右中の左)は「認知症の人に向かっている人かもしれませんが、現在の医療ができることはほとんど何もありません。臨床前のアルツハイマー病を診断し生きるために何をするか考えるようにさせています」と述べています。
危険性に向き合う
サットン医師は「ステージゼロStage Zero」という支援グループを結成し、人がアルツハイマー病に対処することを支えています。最初の会合では、テーブルを挟んで活発な会話が続き、なぜ人はアルツハイマー病になるのかどうかを知りたくなることが説明されました。
母親が完全なアルツハイマー病のある婦人は「知識は力です」と話しました。
また退職した電気技師は「聞きたくはない将来のことの答を得るかもしれないが、私は全ての人生を解決してきました。これはすべてに言えることですが、解決方法は無いといわれることもあります」と話し、会合の後も会話は続いて「アルツハイマー病になったとき妻に負担をかけたくないので介護レベルの高い高齢者コミュニティで生活する計画を立てたい」と話し、さらに「私の名前を出さないでほしい。アルツハイマー病の危険性があるとわかると保険に加入できなくなりたくなるのです」と話しました。
これは一般的に関心が高いことですが、連邦政府の医療改革では、健康保険加盟時、加盟前の状態で拒否は禁止されています。しかし、この原則は、ナーシングホームなどの介護施設への入居給付についての介護保険制度には適応されないのです。
さらに悪いことに、オックスナードの50歳代の男性はパジャマズボンをはいたまま私の早朝の聞き取りの間、座ったままでした。私が自宅訪問することを忘れていたのです。彼は次のように述べています。
「残こされた人生の時を有効に使いたいので検査を受けました。検査から私が本当に知りたいことは、自分が何処に居て、何処に行くのか、またそのスピードに関するデーターを知りたいのです」
そう言う彼も「自分の名前を使わないでほしい」と私は頼まれました。
彼は、既に記憶障害のために仕事を無くして闘っていますが、この種の検査のニュースを知って、見つかるかもしれない雇い主に追い払われるでしょう。
サットン医師は、NIA勧告―臨床試験でもっとも早い臨床前状態を見つける―を引用しながら「パンドラの箱を開けるようなものですが、私たちは少し開けようとしているだけ」と述べています。
多分、明らかな記憶障害があるか、認知機能に関わる脳損傷がある人については、将来、アルツハイマー病がなるかどうかを知るべきです。しかし症状のない人を検査することは倫理的な地雷となります。
なん人かの神経科医は「アルツハイマー病が潜んでいると考える正当な理由がある患者について画像検査や遺伝検査を行うでしょう。しかしその答は完全でも絶対的なものでもないことを説明しておかなければならない」と述べています。
またUCSBのコシク神経科医は次のように述べています。
「正しい理由を持つと期待したい。家族がなんらかの状態の正確さを期待し、また自分の将来を一揃いのトランプで考えようとしているのなら検査を行いました。こうして、ほかの人よりは可能性が高い自分の将来に不気味に迫るだろうという発病の確かさを知ることになるのです」
同時に、医師に「知りたいの?」と同じ質問を自身にすることとになるのです。
コシク医師は自分の答を望まないで「その質問に簡単に反応するにはあまりに多くの微妙な違いがこめられたシナリオです」と述べています。
サットン医師の答えは「ノー」です。彼は、自分が将来、アルツハイマー病になるか他の健康上の不都合になるかもしれないことを知っています。その時までに向き合う準備ができていいないと言いながら彼は「私は何か悪いことが起こるだろうと信じたくないなのです。将来には、非合理的な楽観主義です」
準備みる
テレサ・ヴォルコTeresa Valko氏(46歳)の記憶はとてもよい。カリフォルニア州のニューベリパークNewbury Parkから来た、この出不精な母親は アルツハイマー病の症状はありません。しかし、彼女の母親が2年前にアルツハイマー病と診断され、叔母も同じ病気で、叔父もこの病気で亡くなっています。
ヴォルコ氏は、母親がなったのでアルツハイマー病に関連あるとされアポE4ApoE4の遺伝子の検査を受けましうた。この検査が陽性とでたからといって、アルツハイマー病になるわけではありません。発病の危険性が高いくなることを意味するだけです。
彼女は、脳脊髄液検査、脳画像検査などを受けることを考えながら、「将来を準備するには分別ある決定が必要です。経済的な準備をしておきたいのです。私の家族に準備をさせたいのです」と述べています。
彼女は既に、アルツハイマー病になると運命づけられていると確信しており、それを確かめるために検査を受けようとしています。これは臨床試験に参加する一つの道かもしれません。臨床試験によって、彼女自身を助けることにはならないが、子供たちを守ることになるかもしれません。
彼女は、「知識は助けになるだろう。たとえ知識が悪い知らせと不確かさをもたらすとしても助けになるでしょう。知識は恐れを軽くすると思います」と述べています。
アルツハイマー病に関する早期検査の情報は以下から得られます。
Earlier Diagnosis(Alzheimer's Association)
Alzheimer's Disease Education and Referral (ADEAR) Center
Vcstar.com January 26, 2013  Doctors, scientists argue over tests that may foreshadow Alzheimer's
訳注BIIB037Single Ascending Dose Study of BIIB037 in Subjects With Alzheimer's Disease
編者:アルツハイマー病の早期検査についてよくまとめられ充実した記事だ。カリフォルニア州の地方メディアであるVentura County Starの記者のトム・キスケンTom Kisken氏(写真左下)の記事だ。

★認知症の人にGPS装着、承認へ(1月23日/ノルウェー)
ノルウェー政府は、ケア上必要なら認知症の人にGPSを装着することを医療職に認めることを提案をしています。
ジョナス・ガールショトーレJonas Gahr Store保健大臣(写真)の提案は、法律を変更して認知症の人の同意がなくても装着できることになります。
認知症の人に親しい医療職が、居場所を確認できる機器を付けることで積極的な利益があるかどうかで決めることになります。
大臣はネット新聞Aftenpostenに次のように述べています。
「法律の改定が承認されれば、限定的な資格を持ち賢明な医療職によって機器を使うかどうか決定することになろう。個人のプライバシーや法的権利は、ノルウェー社会で礎となる事柄であり適切に保障されなければなりません。GPSの代替的な方法として、ドアに鍵をかけて認知症の人が自由に移動することが制限されています。認知症の人はGPSを付けられることで、より自由になることでしょう。しかしながら、あくまでも現在提供されている看護や介護にGPSが補完的なものであることを強調しておきたい」
ネット情報によれば、科学者らは「認知症の人も家族もGPSによって、安全、自由および質の高い生活が保障されることでより多くの利益を得る」と述べています。
トロンデハイムTrondheim市のクララ・ボーゲンKlara Borgen氏は次のように述べています。
「認知症の初期症状を把握する技術を利用することはとても差し出がましいことが多いのですが、GPSは使う人にとって自由、移動、自立がもたらされます。とはいえこれは強要すべきものではありません」
5市と複数の企業による共同調査の計画に、約50人の認知症の人が参加し、GPSが数週間から1年間までGPSが装着されます。
TheForeigner  23rd January, 2013  People suffering from dementia could be tagged
編者:ノルウェーのネット情報サイトAftenpostenの記事を同国の情報を提供する英語情報サイトのForeignerが紹介して記事だ。
驚いた。ノルウェーでは認知症の人にGPSを装着することは人権侵害にあたる恐れがあるとして法的に承認されていない。わが国も含め多くの国でGPS装着の法的問題についての議論は乏しい。本人のため、家族のため、介護職のためで装着は黙認されている。人権侵害という視点はない。ノルウェーで法的改定が必要なのは医師などの専門職が行う装着であって介護家族が装着することは法的問題でないとみるが、どうか。
ノルウェーの認知症ケアの情報は乏しい。なおネットで2002.06.28更新の「ノルウェーでの痴呆ケアを垣間見て」(朝田 千惠(グループホーム・オリンピア灘開設準備室))という簡単な報告がある。
同国に国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Internationalには加盟してないが、ヨーロッパアルツハイマー連合Alzheimer Europeには加盟する全国認知症協会連合Nasjonalforeningen Demensforbundetがある。
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Support grows for GPS dementia care January 24, 2013 Views and News from Norway
A GPS system that can track the location of patients suffering from dementia may become a reality in Norway if the health minister gets his way. Such a system, it’s believed, will give these patients more freedom to get out more often, and the state agency charged withensuring Norwegians’ right to privacy now supports the project.
The director of Norway’s Data Protection Authority (Datatilsynet) has been among those studying the project since it was first proposed, and says it has won the agency’s backing. “This can be wise if the patient gets a better quality of life,” Bj?rn Erik Thon told newspaper Aftenposten on Thursday. While some politicians question the human dignity of equipping dement persons with a GPS transmitter, others claim it can relieve worries about patients’ ability to find their way home, and provide reassurance for their families. Thon says it also can allow patients to remain in their own homes longer, postponing the need to put them in care facilities.
“Patients who have used a GPS (tracking system) experience more freedom and increased quality of life,” Health Minister Jonas Gahr St?re told Aftenposten, referring to a research project presented on Wednesday. “For patients, nurses and families, much uncertainty is removed.”
Freedom and safety
Around 70,000 Norwegians are suffering from dementia, a number that is estimated to double within 30 years. Fully 80 percent of all patients in Norwegian nursing homes also suffer from dementia.
The health minister is now suggesting changes to the law so that all dementia patients can enjoy the benefits of a GPS tracking system.
The plan calls for patients to be given the tracking device even if they do not give their consent. St?re suggests that health care officials who know the patient will make the decision about whether they should be equipped with a GPS.
Thon said the system will demand “good processes” for determining who decides the use of GPS tracking, and Trine Skei Grande, a Member of Parliament and head of the Liberal Party (Venstre) wants families to be involved in the decision.
Alternative to confinement
St?re says the alternative to GPS is to lock the patients up, or at best limit their movements. “With a GPS, the patient has greater freedom,” St?re says, adding that the system would supplement and not replace traditional care and services.
A research project where people with dementia have used a GPS over a period of a few weeks to a year showed that it contributed to the patient feeling safer, more free while also increasing both patients’ and families’ quality of life. Many patients have said they feelsafer knowing their families can find them if they get lost.
During the research project, several patients were localized and tracked down by the GPS tracking system after they went missing or failed to show up at a certain place. In one incident, a patient was found at night, far away from his home, after being out all day.
However, the GPS may provide a false sense of security if the technology fails to work or is used incorrectly. The organization of the service may also not function to the best standard or alarms may not go off, the research showed.


最新のアルツハイマー病研究報告書―国立保健研究所―(1月14日/アメリカ)
国立保健研究所National Institutes of Health (NIH)の下部組織National Institute of Aging(NIA)は、1月14日研究所が助成したアルツハイマー病の最新の研究をまとめた報告書「2011‐2012年アルツハイマー病研究の進展報告書―研究を強化する―2011-2012 Alzheimer’s Disease Progress Report: Intensifying the Research Effort」を公表しました。
報告書の概要は以下のとおりです。
NIHは、アルツハイマー病の生物、臨床応用translational、臨床、行動、社会的側面の均衡がとれた多様な研究を進め支援しています。その方針は、アルツハイマー病と加齢に関連する認知機能低下についての新しい視点を開拓し、その複雑さを解明するのに役立つ科学的手段と方法をもたらします。特にこの2,3年、技術的な進歩により研究者はおびただしい情報を獲得し処理し分析できるようになり、アルツハイマー病に関連した変化を生きた脳で観ることができるようになり、病気の発症や進行を把握する生物的画像的な検査を向上させました。
2011年および2012年の前半、研究の進歩を重要な分野でみることができました。
アルツハイマー病の生物的背景の理解
異常なレベルのアミロイドやタウ―アルツハイマー病の二つの指標―は、研究者の強い関心事です。こうしたタンパクおよび他の要因がどのように病気に関わるかを知ることは、可能性のある新治療の発展には不可欠です。ごく最近、研究者は80歳代、90歳代の認知機能が正常な人たちの脳の半数近くにアルツハイマー病に関連する変化や、その他の神経退行性変化があることを知りました。こうした人たちが、なぜある人は認知機能が正常であるが、正常でない人もいることについて理解できていません。興味深いことに、マウスでの研究で異常のタウが脳のある部位から別の部位に広がり神経源線維変化をもたらしシナップスを破壊することを突き止められました。タウが、ミトコンドリア―細胞のエネルギー源―を破壊することを示した研究からアルツハイマー病の新たらしい有意義な解明につながります。
アルツハイマー病の遺伝子の役割
国際的研究チームは、アルツハイマー病の危険因子や進行に関わる遺伝子変異を特定する研究を共同で行っています。例えば、プレセニリン1と呼ばれる遺伝子は、アミロイドのレベルを調整する役割がありますが、シナップスの柔軟性にも影響し、シナップ間のつながりを弱めたり強めたりすることが発見されました。この機能は学習や記憶に重要です。
認知機能の低下とアルツハイマー病の危険因子
加齢や遺伝子が認知症や認知機能の低下に関わるよく知られた危険因子ですが、人の生活歴や健康に関する事柄も病気の発症に影響することもよく知られています。例えば、睡眠時無呼吸症が認知機能の低下に関与しているらしいことも発見されました。
目標を特定する治療の向上
臨床応用的研究は幅広い専門家を巻き込み研究室で見つけたことを治療の改善に生かすという過程です。アルツハイマー病に関連する脳細胞の変化を阻止する物質や薬が目標とされます。効果のある薬の発見や臨床試験前の研究が進んでいます。また臨床応用的研究は、アルツハイマー病や認知機能低下に応用できるかもしれない他の疾患での効果が証明されている薬の研究につながります。最近、抗がん剤のパクレタクセルpaclitaxelが動物のタウレベルを一定することが見つかりました。マウスでアミロイドのレベルを下げる効果を期待できるがん治療について詳しく調べることにしています。
アルツハイマー病の把握と診断
アルツハイマー病に関連する脳の変化の最も初期の兆候を見つける信頼できる方法を探しています。症状が発現前の治療は最終的に疾患の予防を狙っています。脳を画像化し糖尿病に関係するブドウ糖の取り込みの低下や脳の構造的変化が 認知機能が正常な高齢者のアルツハイマー病の生体指標として見つけました。画像技術は、フロールベタピーアflorbetapirと呼ばれる簡単に使えてとても効果的なアミロイドの画像化に向上に役立っています。
現在の進行中の臨床試験
NIHの助成でアルツハイマー病や認知機能低下の予防から治療までの幅広い臨床試験が現在行われています。新しい予防的試験は、アルツハイマー病に最もなりやすい人たちを対象としたものです。多くの可能性のある治療―アミロイドを除去する薬、有酸素フィットネス、糖尿病薬など―が認知機能が正常な高齢者の認知機能あるいは軽度認知障害の人の認知機能を改善するかどうか調べています。
Alzheimer's Disease Education and Referral (ADEAR) Center  January 14, 2013  Latest NIH Alzheimer’s research progress report available
編者:新鮮味の乏しい報告書だ。NIHもアルツハイマー病研究の新たな展望を持ち得ていないようだ。

「認知症の人は見捨てられている」と保健大臣語る(1月15日/イギリス
ジェレミー・ハントJeremy Hunt保健大臣(写真左上)は、本紙への書簡のなかで次にように述べています。
「認知症の症状について医療職のなかに無視および不治の脳疾患に関わる『ぞっとする宿命論』とが合わさって、何十万人の認知症の人が診断を受けないままにされています。これは社会的に恥ずべきであり、地域よって診断率がひどくばらついていることについては一般医GPを非難すべきです」
今日アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyから公表された数値によると、地域によっては10人のうち7人が診断を受けていません。こうした人たちは医療の支援なしに認知症と闘わされています。
さらにハント氏は次のように述べています。
「 かってのがんと同様に、多くの医療職は認知症の症状を知りません。多くの専門職は、効果的な治癒方法がないので記憶検査を受けさせる不安にさせるのは無意味だと信じ込んでいます。薬によって数年間同じ状態を保つことができるのです。排除すべきは『ぞっとするような宿命論』です。このことは医療サービスだけでなく社会全体でもいえることで、医師がもっと病気の初期症状に気付いてほしい」
このことで専門家らは次のように述べています。
「早期診断によって認知症の人のケアは改善するでしょう。医療職は、認知症を精神保健サービスに簡単にゆだねるようなことをしないで、自分たちの中核的な仕事とみる必要があります」
しかしGPは、かなり進んだ認知症の人の治療を改善することに国民保健サービスNHSが集中すべきと思っています。
アルツハイマー病協会の調査によると、認知症の診断率はベルファーストBelfastの75.5%からヨークシャーイースロライディングEast Riding of Yorkshireの31.6%までの違いがあります。全国的には、2人に1人以下の割合で正規の診断を受けていません。診断率は2011年の42%から46%に増えました。
認知症の人が80万人と推計されていますが、そのうち約42万8000人は病気として診断を受けていません。
これについて保健大臣は次のように述べています。
「病名を告げられることは本当に悪夢かもしれませんが認知症の人の46%しか確認されていないという結果はショックです。正しい薬と介護者への支援を利用することで、より幸せで健康的に在宅で長く生活できます。現在のNHSが余りに多くの人にこのことを否定していることを恥ずべきです」
大臣は過去のがんについての状況―以前、がんという言葉は人を怖がらせ不安にさせた―と比較して次のように述べています。
「1970年代以前、がん治療は未発達で予後は悪く偏見がはびこっていました。行動することが必要です。がんのように認知症は病名であって宣告ではありません(訳注)」
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyのジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長(写真左下)は次のように述べています。
「低い診断率は最善の医療の壁です。診断を受けないと認知症であってもよりよく生きるための支援や利益や医療が利用できないのです」
ドミニク・ビャッティDominic Battyさん(84歳)は、9年前、認知症でもっとも多いアルツハイマー病と診断されました。
妻のジルJillさんは次のように述べています。
「幸い早期の診断を受けました。夫は引退した歯科医で医療のことを知っていました。夫自身が初めて自分の記憶がおかしいと心配しました。いったん診断を受けてアルツハイマー病協会とコンタクトをとり、多くの支援や情報を得ました。早期に診断されたことで必要な支援を得るチャンスとなりました」
エンマ・レイニッシュEmma Reynish教授は、認知症の専門家でイギリス老年医学会British Geriatric Societyの会員ですが、次のように述べています。
「早期に正規の診断を受けることで認知症の人と介護家族の生活の質を改善できます。よりよい病院の医療にも繋がります。一般病院の入院患者の少なくとも20%は認知症ですが、その半数しか診断を受けていません。急性期病院の医療は認知症を効果的に把握し管理するには十分な体制になっていないという事実は受け入れがたい。文化的な変化が必要です。病院の職員が認知症を精神保健サービスの責任とするのではなく、自分たちの中核的な仕事とみなることもこれに含まれます」
ウイガンWiganのGPであるアレック・タンバルAlec Turnbull医師(写真右上)は、とくに認知症に関心があり次のように述べています。
「診断によって将来のよりよい計画を立てることができます。何がよりよいことか―家族の近いところに移るか、地域にとどまるかなど―を家族とオープンに語ることもできます。これは初期の認知症であればより容易です。しかし今のところは、受診して『自分の記憶が心配です』」と自ら語る人に頼っています。こうしたことはよくあるというものではありません」
しかし多くのGPは、ハント大臣の診断率にこだわることは見当はずれだと思っています。
アイオナ・ヒースIona Heath医師は、イギリスGP協会Royal College of General Practitionersの元会長ですが、次のように述べています。
「1980年代の鬱にかんするキャンペーンを思い出します。多くの事例が見逃され、耐え難い被害を受けていると言われました。その後、すばらしい調査があり、比較的軽い鬱に限り見逃されていることがわかったのです。軽い鬱は自ら治るものです。明らかな認知症の人にもっと投資や支援が必要なのです。大臣が提案していることは、薬を売りたい会社のためであり、何かしているとみられなければならない政治家のためでもあります」
マーチン・バーネットMartin Brunet医師(写真右下)は、サーレイSurrey在住のGPですが、次のように述べています。
「現在の認知症薬が何年も同じ状態のとどめるというのは明らかに間違いです。この種の薬は認知機能の少し良くするだけです。広く合意されていることですが、約6か月間以前の状態に戻すというだけのことです。早期の認知症の人に病気を告げることは、よいことというよりは危ない。診断が役立つのかどうか個別的に考える必要があります。役立つこともあるでしょうが、とても初期の事例では役立たないこともあります。こうした人に薬は必要なく、ケアが必要なだけです。『初期の初期』の事例を見つけることは、かれらを支援することが無いのなら何の役にも立ちません」
The Telegraph 15 Jan 2013 Dementia sufferers 'abandoned', says Jeremy Hunt)
関連情報:Dementia prevalence and diagnosis rates
訳注:"dementia, like cancer, is a word and not a sentence"に訳であるがイギリス系カナダ人の医師でコメディアンで作家であったRobert Buckmanが2006年に"Cancer is a Word, Not a Sentence ”と題する本を出版している。
編者:興味深い議論を展開させている記事だ。

10万人ほどの認知症高齢者が一人暮らし(1月10日/韓国)
韓国カソリック大学ソウル聖母病院Catholic University of Korea, Seoul St.Mary's Hospitalの神経科教授のヤン・ドンウオンYang Dong-won医師(写真)らの研究チームは、65歳以上の2388人(男性789人。女性1599人)の認知症の人について調査を行いました。これらの人は全国45カ所の病院で認知症の人と診断を受けた人たちです。988人(41.4%)の人が一人暮らしであることがわかりました。
保健福祉省Ministry of Health and Welfareによると、全国に58万人の認知症高齢者がいます。このうち14万人は介護施設に入居するか、公的福祉制度による訪問介護者の支援を受けています。
医療コンサルタントはよると、約10万人の認知症高齢者が一人暮らしですが、14万人のなかには家族の支援を受けている人もいます。
ヤン教授は次のように述べています。
「これほど多くの認知症高齢者が一人暮らしとは驚くべき実態です。この人たちの世話をする人たちが周りに居ないのです。緊急に対応する必要がある問題です」
The Chosun Ilbo  Jan. 10, 2013 Some 100,000 Dementia Patients 'Live Alone')

編者:病院で把握した認知症高齢者についてであって、実際はこれより多いのではと考える。それにしてもひとり暮らしの高齢者が認知症でどのように受診したのだろうか。

認知症が増え、よりよい医療が必要と要請(1月9日/中華民国)
昨日、消費者文教基金会Consumers’ Foundationは高齢者の認知症の有病率が増えていると警告し、当局に対して、認知症が増加するのを遅らせ認知症の人の医療を改善する対策を要請しました。
台湾失智症協会Taiwan Alzheimer’s Disease Associationの資料を基に同基金会は、台湾の総人口2330万人のなかで65歳未満の認知症の人が約2万人いると報告します。
また65歳以上の認知症高齢者の数は約17万人ですが、有病率が効果的に減少させないと、将来、社会資源が枯渇する恐れがあると警告しています。
協会が行った調査によると、年齢階層別の認知症の有病率は、65-69歳代で1.2% 70-74歳代で2.2%、75-79歳代で4.3%、80-84歳代で8.4%、85-89歳代で16.3%、90歳代で30.9%です。この数値からわかるとおり年齢階層別有病率はグループが上がるごとに、おおよそ2倍になります。
基金会は「全国19万人の認知症の人のうち75%は早い時期に診断を受けていません。このため症状を遅らせるだろう治療を受ける最善のチャンスを失っている」と報じてします。台湾失智協会のタン・リーユ事務局長Tang Li-yu (湯麗玉)(写真)は次のように述べています。
「認知症の早期の診断と治療によって実質的に認知症の人を減らせます。早期に症状に気付くことで退行性変化も遅らせます。しかし、衛生署国民健康局Bureau of Health Promotion at the Department of Healthは認知症の予防や管理の施策の提言や対策を行っていません。認知症の人は医療や保健だけでなく、身体的精神的運動を推進する介護者が必要ですが、公的介護制度はそうしたサービスを提供していません。認知症ががんにつぐ重要な疾患になることを推測すうと、急速に高齢化が進むなかで将来の社会的資源を大半を使ってしまうことになるでしょう」
タン氏は、当局が深刻にこの問題を取り上げることを要請しました。
Taipei Times 01/09/2013 Dementia is rising, better healthcare needed: foundation

施設や在宅の介護料金の調査結果(1月6日/アメリカ
2012年版「ナーシングホーム、介護付き住宅、デイサービスおよび在宅介護の費用に関するメットライフ市場調査報告2012 MetLife Market Survey of Nursing Home, Assisted Living, Adult Day Services, and Home Care Costs」(pdf2.2M)を見ると、2013年の介護費用を理解できるでしょう。
メットライフ熟年市場研究所MetLife Mature Market Instituteの市場調査によると、介護費用の全国平均は、ほとんどの分野で上昇していることがわかります(表)。
介護サービス別の情報
ナーシングホーム:アメリカ国勢調査局U.S. Census Bureauによると2011年のナーシングホームの入居者の66%は女性、中間年齢は82.6歳、16%は65歳未満、施設の86%は独立型、11%は介護付き住宅を併設。
介護付き住宅:入居者の平均年齢は86.4歳。施設は州政府と連邦政府の監督を受ける。52%の施設はアルツハイマー病や認知症向けの介護を提供。施設の86%は追加料金を設定。
デイサービス:全国デイサービス協会National Adult Day Services Associationの推計によると、全国に5000カ所以上のデイサービスセンターがあり、26万人以上の本人と家族が利用。63%は送迎サービスがあり、その半数で送迎は有料、有料の平均料金な送迎それぞれ10ドル以下。
在宅サービス:高齢者は何年も自宅で過ごすことを選択するようだ。多くの人は慢性的疾患や障害がある。在宅介護サービス会社の68%は従業員にアルツハイマー病の研修を受けさせ、98%はアルツハイマー病の人に追加料金は請求しない。
調査方法:メットライフ熟年市場研究所が委託したライフプランズLifePlansが50州とDCのナーシングホーム2078カ所、介護付き住宅1513カ所、デイサービスセンター1363カ所、在宅介護サービス会社1732社に2012年4月から8月までの期間に電話で聞き取り調査を行う。
Alzheimer's Weekly  January 6, 2013 How Much Will Professional Care Cost in 2013 ?

終末期の認知症の人の期待を無視(1月4日/イギリス
認知症の人が家族に取り巻かれて自分のベッドで死にたいという最期の希望が無視され、ケアが失敗したという事例が、今日、公表された報告書で知らされました。
認知症の女性の娘は、母親の死にかかわる環境が完全に混乱し介護施設の間違いにより母親との貴重な時を過ごすことができなかったと述べています。
ウエールズ公共サービスオンブズマンPublic Services Ombudsman for Wales(PSMW)が厳しく指摘した報告書によると、この介護施設ではその母親を9か月に11回しか入浴させてない、ベジタリアンにも拘わらず定期に通常の食事を与えられました。
報告者ではX夫人としか呼ばれていない女性は、2009年4月から2010年の1月の死亡時までウエールズのアネウリンベヴァン地域保健部Aneurin Bevan Local Health Board(ABLHB)が運営するモンモスシャーMonmouthshireに在る認知症介護を専門とする施設に居ました。
X夫人は、乏しい介護のなかで、ケアプランにはパスタ、魚、カレーを食べないというベジタリアンされていたのですが、毎週の食事表には肉、スパゲッティ、カレーが多く、ベジタリアン向けの食事は一つしか選択できませんでした。
介護施設での9か月間、X夫人に多くの怪我も認めまれました、施設がそれを教訓にしたという証拠はなく、またこうした情報が娘―報告書ではA嬢―に伝えられたという証拠もありませんでした。
ケアプランでX夫人の終末期ケアの希望についての記録はなく、介護施設の記録にもありませんでした、
2010年、X夫人が胸の症状を訴えたため、翌日、一般医GPを受診することになっていました。施設の職員は、夜間、1時間半ごとに観察することになっていたのですが、全体的な観察しか行われなかったという記録しかありませんでした。
次の日、X夫人の状態が悪化し病院に紹介されました。A嬢は、病院の職員に母親の終末期計画では介護施設に留まることになっていると伝えましたので、この記録はないが治療を控える責任があると病院の職員は話しました。
担当の医師は「X夫人は介護施設に戻されるだろう」と述べたのですが、介護施設の管理者は「それはできない。地域看護師がそのために必要な処置を行う訓練を受けてない」と述べました。こうしてX夫人は2010年1月12日に病院で亡くなりました。
A嬢は次のように述べています。
「母の最期の日々の環境は、嘆かわしく、許し難く、また完全に混乱していました。介護施設へ戻れるかどうかが混乱し不確実であったため母親は最期の数時間、質の高い時を過ごすことができなかったのです」
PSMWのピーター・ティンダルPeter Tyndall氏(写真左上)は次のように述べています。
「代わりの証拠がないが、私はX夫人の栄養、衛生、安全に応えるケアプランが無視され夫人の幸福と選択が軽視されたということに関心を示さざるを得ません。こうした失敗はX夫人のケアと尊厳という基本課題に有害な影響を及ぼします」
またA嬢は次のように述べています。
「母は親しみのある環境で親しく世話をしてくれた人たちに囲まれて施設の自分のベッドに死にたいと希望していました。入院はしたくなかったのです。しかし母の終末期ケアの希望が記録されていなかったことが重大な間違いです。適切な記録があれば母の終末期の希望は当然なこととして見なされたでしょう」
オンブズマンは、ウエールズ介護社会サービス監視部Care and Social Services Inspectorate Wales(CSSIW)の監視に対するA嬢の不満を支持し、彼女に対してCSSIWから250ポンド、保健部から500ポンドが支払われるよう勧告しました。
さらにオンブズマンは同時に、適応除外ケアcontracted out careに関する方針と手順Policies and Proceduresを含む多くの勧告もしました。
これらについてABLHBのアンドリュー・グーダルAndrew Goodall部長(写真左下)は次のように述べています。
「ABLHBはオンブズマンの見解を受け入れ、報告にある失敗について家族に対して心から謝りたい。報告にある多くのことはABLHB設立前の2009年10月までことであるが、報告がにある加害について認識しており、指摘のある方針と手続き、および組織として全般的な取り組みを改善して応えてきました。ABLHBはオンブズマンの勧告を実施して、将来、介護施設の入居者への介護をさらに改善し続けます。事務局長としてオンブズマンの会ってこの特別な事例また勧告への対応について話し合いました」
WalesOnline Jan 4 2013 Dementia patient's dying wishes ignored due to care failings
編者:イギリスの介護に関する公的なオンブズマン制度の一端を見る思いだ。わが国の介護制度にはこうしたオンブズマンが皆無に近い。

アルツハイマー病の偏見を取り除くキャンペーン(1月2日/カナダ
スーザン・パリッシュSusan Parish氏(62歳)(写真左上)は、認知症にまつわる偏見を取り除くことを決心しました。
オンタリオ州リンジーLindsayに住む彼女は59歳のとき稀な認知症である後部皮質萎縮症(posterior cortical atrophy:PCA)と言われた時、その病気で自分の生活をどのように変え、家族や友情にどう影響するか気がかりでした。
パリッシュ氏は、家に閉じこもって悩むのではなく、みんなのところ出かけ地元の新聞に自分の病気の話を売り込むことにしました。
彼女は「私のことを知ることになる人たちのなかで間違いをしたり、何か愚かなことをしながらも心地よかった」と話しています。
元看護師のパリシュ氏は、こうした精力的な積み重ねのなかで近隣の人たちが認知症の人を知り寛容になれるようにしているのです。
認知症と認知症の人の認識を広げる努力のなかで、カナダ・アルツハイマー病協会Alzheimer Societyは今年も全国的なキャンペーン「病気ではなく私を見て“See me, not my disease”」を始めます。
国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease Internationalの最近の調査によると、認知症の人の40%は、診断を受けたあと、人から避けられ今までとは違った扱いをされているのです。
74万人以上のカナダ人が認知症で、この数は今後20年間で倍の140万人になると予測されています。
進行性脳障害は人によってその影響は異なります。パリッシュ氏は現在、ATMのボタンを押すといった動作を完全に行うことができなくなりました。
リンジーの雇用主らは、彼女が不治の病気で影響を受けたことで病気のことを認識したと言っています。
リンジーに在るレストランのピタパントリーPita Pantryのジェイク・ノリスJake Norris氏は「以前、知りたくて『何が問題なの?』と話しかけたと思います。しかし、今は、少しを我慢して、問題への理解が深まった」と述べています。
カナダ・アルツハイマー病協会の教育部長のメアリー・シュルツMary Schulz氏(写真左下)は次のように述べています。
「アルツハイマー病の人は、よく誤解されます。固定観念に傷つきやすいのです。認知症と診断受けた人が、自ずから突然何もすることができなくなり、同じような人間では無くなるとされるのです。これは間違った考えです」
また同協会は次のような見解を表明しています。
「認知症への社会的な姿勢を改めるのに役立つ多くのやり方があります。例えば、病気の実態を学ぶ、病気を軽視しない、認知症の人と関係を維持する―とくに病気が進行したとき―などです」
今日、パリッシュ氏は夫のブライアンBrian氏と二人の娘、そして病気を知ってもらって気にかけてくれている友人―これらは彼女の命綱―を信頼しています。
中東、中央アメリカ、東アフリカを夫と一緒に旅行して人生を最大限楽しんでいます。
彼女は、定期的にリンジーのアルツハイマー病協会支部のために話をして、デンマークに似た小規模なナーシングホームの導入に向けて協会と共に擁護活動もしてきました。彼女の最終目標は、アルツハイマー病協会と一緒になってカナダに「認知症にやさしい」地域作りをすることです。
パリッシュ氏は、政府が認知症に直面するであろう「人間の津波」に応えるような国家戦略を速やかに作ることを要請しています。
最後に彼女は次のように述べています。
「国の誰もがアルツハイマー病とは何か、アルツハイマー病にどう対処しどう付き合うかについて理解すべきです。アルツハイマー病を持ちながら生きており、この病気では死ぬことはないでしょう」
CTVnews  Jan. 2, 2013 Ontario woman aims to end stigma of Alzheimer's disease)
関連情報:Alzheimer Awareness Month (January 2013 Canada)
訳注:後部皮質萎縮症(posterior cortical atrophy)については以下の解説がある。
BRAIN and NERVE 62巻7号(2010.07)Posterior cortical atrophyの概念と症候
Posterior cortical atrophy(PCA)は,視空間機能の障害を主徴とした変性疾患の総称である。これは1988年にBensonらが,大脳後方の萎縮とともにGerstmann症候群,Balint症候群,超皮質性感覚性失語などの機能低下を示す一方で,記憶障害や病識の低下がみられないなどの共通の特徴を示す5症例を記述する際に提唱された概念である。提唱された当初からアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)との相違や,疾患や症候の独自性に疑問が持たれていたが,その後の検討によって,その多くはADを病理学的な背景とすることが明らかとなった。しかし,症候,形態,病変の分布において,典型的なADとは異なった病態である。なおPCAという用語以外にも,病変をより限局的に表現するprogressive biparietal atrophyや,早期には萎縮が明らかではないため,progressive posterior cortical dysfunction,posterior cortical dementiaなどの用語が用いられることもある。また,視覚変異型AD(visual variant of Alzheimer's disease)と言い換えられることも多いが,剖検がなされない限りはADの診断が難しいことから,そのような表現には慎重な立場もある。