認知症の情報(海外)2011年

モンテッソーリ法は認知症の高齢者に相応しい(12月29日)
地震後、認知症ケア棟のある高齢者ホームが開所(12月21日) 
革新的治療薬で「長い別れ」を短縮(12月21日)
「LTSCアルツハイマー病介護者サポートグループ:「ひとりじゃない」互いに気持ちを共有」(12月13日)
先住民に文化的に配慮された認知症の評価とケア(12月16日)
経管栄養の導入に迷う(12月11日)
認知症支援グループが政党に要望(12月6日)
アルツハイマー病世代:この30年間で学んだこと(12月2日)
多角的非薬物療法が認知症の進行を抑える(12月1日)
認知症サービスの削減を止めるよう(11月29日)
アルツハイマー病の啓発(11月27日)
「行方不明男性、フェイスブックのおかげで発見 フィリピン」(11月24日)
タッチパネルで思い出を語り合う(11月22日)
治らないアルツハイマー病は何もの?(11月21日)
認知症の診断後の自殺(11月17日)
経管栄養は認知症の人の願いと価値観に基づくべき(11月13日)
認知再構成法は認知症の介護家族に有効(11月11日)
「オランダで初めての重度認知症患者に安楽死」(11年9日)
デイケアセンターの資金不足(11月6日)
地震の影響で苦闘する認知症介護家族(11月5日)
「「認知症、介護…日本に学べ」韓国で日本映画話題」(11月5日)
認知症の人への薬物的拘束で医師が服役のおそれ(11月2日)
認知症は国の優先課題(10月26日)
アルツハイマー病の人に白内障手術はよい(10月25日)
アルツハイマー病にはチームアプローチ(10月24日)
高齢者の10人に一人が認知症(10月24日)
アルツハイマー病は残忍だ(10月20日)
「ドラム療法」(10月20日)
介護経験者が現役介護者を支える(10月20日)
キューバのアルツハイマー病の人は2030年までに2倍(10月18日)
認知症サービスの利用待機者が増えている(10月18日)
アルツハイマーカフェはアメリカで少ない(10月16日)
認知症の人たちらが国会にデモ(10月14日)
「【日本版コラム】日本製のアザラシ型ロボット、米国にも浸透中 影木准子の米国ロボット最前線」(10月 13日)
アルツハイマー病協会が運転について話し合うときの情報(10月11日)
アルツハイマー病の進行を左右する要因(10月9日)
「認知症ショップ」オープンへ(10月7日)
「アルツハイマー病最前線 Vol.1:アルツハイマー発症前診断・早期治療に向け、大規模国際研究が加速」(10月6日)
フンボルト郡でのアルツハイマー病ケアの取り組み(10月4日)
抗認知症薬を服用すると施設入居が遅くなるようだ(10月2日)
認知症の人には薬より裏庭がよい(10月1日)
認知症の妻を窒息死させ、夫は入水自殺(9月28日)
「物語を話す」ことは認知症の人の生活の質に良い(9月26日) 
アルツハイマー病ケアがアメリカ経済をダメにするだろう(9月26日)
増えるアルツハイマー病を減らす適宜な行動(9月25日)
認知症について講演(9月24日)
「認知症でも、自分らしくいられる場所」(9月24日)
第5回「全国認知症研究フォーラム」開催(9月22日)
認知症外来の開設が急務(9月22日)
アルツハイマー病の臨床前診断と倫理的課題(9月19日)
認知症の人に「笑い」がよい(9月18日)
世界アルツハイマーデーに併せ啓発活動(9月18日)
認知症の人の小規模グループホームでの介護の質は高い(9月15日)
ハバナで世界アルツハイマーデー(9月7日)
アルツハイマー病治療薬の失敗から学ぶ(9月7日)
「アルツハイマー病をなくすウオーク」への参加の呼びかけ(9月2日)
施設での認知症の人への新たな取り組み(8月29日)
「利用者の満足度を第一に スウェーデンの高齢者福祉施設」(8月24日)
「“眠れる”中国の巨大介護マーケット- 介護企業の海外展開(上)」(8月23日)「海外で介護を受ける時代がやってくる?- 介護企業の海外展開(下)」(8月24日)
アルツハイマー病の間違った概念を改める時(8月16日)
アルツハイマー病の6つの検査の利点・欠点(8月15日)
アルツハイマー病国家戦略についてアルツハイマー病の人や家族らの公聴会(8月14日)
「韓国で介護難民が少ない本当の理由 社会保障制度を分析する―その3「介護」」(8月8日)
介護職の認知症介護の研修―ケアマルタの取り組み―(8月7日/マルタ)
アルツハイマー病の妻と夫の心中(8月5日)
アルツハイマーカフェが孤立を軽減(8月1日)
ホスピスは終末期の認知症の人とその家族に有用(7月29日)
人は、なぜアルツハイマー病になりやすいか(7月25日)
血管性認知症の新しいガイドライン(7月21日)
認知症ケアの改善の取り組み(7月19日)
アルツハイマー病は女性の問題(7月18日)
停滞するアルツハイマー病治療薬の開発(7月18日)
デイサービスは介護家族のストレスを軽減(7月18日)
「コロンビア:中部の貧困の村、見えぬ恐怖 アルツハイマー病遺伝子、6人に1人」(7月14日)
アルツハイマー病の人の治療に演劇(7月13日)
認知症ケア専門士(7月12日)
アルツハイマー病の人に介護と愛情を(7月8日)
アルツハイマー病の遺伝検査と相談の新しいガイドライン(7月7日)
病院と診療所に認知症専門チームを導入(7月4日)
ディルノー委員会は自己負担軽減の高齢者ケア改革を勧告(7月4日)
認知症介護の経済的負担の在り方を検討(6月30日)
ドネペジルとメマンチンの併用が増えている(6月28日)
認知症の人と歌劇団との合同合唱団(6月27日)
認知症の人の安楽死に医師は慎重(6月26日)
宿泊ケアが試行的に始まる(6月26日)
「ピーター・フォークさん死去=「刑事コロンボ」で人気」(6月25日)
在宅介護で高齢者の人権が守られていない(6月21日)
認知症ケアのありふれた鍵(6月17日)
若者が認知症の人との繋がりを見つける(6月14日)
アルツハイマー病薬研究の資金が乏しい(6月14日)
高齢者を介護する人が増加(6月14日)
アルツハイマー病の作家が自殺幇助の映画を擁護(6月14日)
認知症の人に卓球―ゲームそして治療―(6月10日)
認知症地域ロードショウは10万人の家族の命綱(6月10日)
アルツハイマー病の人の追跡器機(6月9日)
「アルツハイマーに効く?介護付き住宅で暮らす人々が子猫セラピーで元気に」(6月6日)
スタンフォード病院の認知症家族への特別な支援プログラム(6月2日)
「虐待老人ホーム…入居者を縛る・殴る・尿飲ませる=河南」(6月2日)
認知症の正しい診断がなされていない(5月31日)
非定型抗精神病薬でアルツハイマー病の人の認知機能が低下(5月28日)
「最期を選ぶ(5)米の指示書 医師が記入も」(5月27日)
認知症の人のケアの「プレゼンス」アプローチの勧め(5月26日)
認知症ケアの向上に『もっと私のことを』計画(5月25日)
入居者が「声出し読書グループ」と一緒に読書(5月23日)
もの忘れへの異常な怖れ(5月21日)
メモリークリニックの現状と役割(5月16日)
入居施設を併設する認知症ケアセンター開設へ(5月16日)
認知症の人を何もできなくなった人ではない(5月15日)
アルツハイマー病とその日その日を好きなように生きる(5月13日)
「【闇の大人たち】第25回:台湾ルポ 迷える老人を探せ!」(5月10日)
「認知症とがんを患う夫婦、息子家族の旅行中に自殺」(5月10日)
アルツハイマー病啓発週間(5月9日)
認知症の人のキーを取り上げるのは難しくはない(5月8日)
認知症高齢者の経管栄養導入についての家族の受け止め(5月6日)
安楽死は終末期の議論の一部に過ぎない(5月3日)
10代の子にも認知症ケアで役割がある(5月3日)
認知症の人の口腔ケアの取り組み(5月1日)
アルツハイマー病の人の精神科病院への強制入院を却下(4月27日)
アルツハイマー病の予防にダンスホールで踊るのもよい(4月25日)
「認知症サービスコーディネーター」の重要な役割(4月20日)
「エディターズ、ロンドン・マラソンを完走」(4月20日)
「認知症の夫の首絞めて殺害した70代拘束」(4月20日)
新しいアルツハイマー病診断基準についての注意(4月19日)
新しいアルツハイマー病の診断基準(4月19日
「メマンチンは軽度アルツハイマー病には無効、中等度に対してもエビデンスが不十分」(4月19日)
政府は忍び寄る認知症危機を認識(4月15日)
「認知症カフェ」またひとつオープン(4月14日)
アルツハイマー病に家族で立ち向かうラテン系アメリカ人(4月11日)
相談「マンションで一人暮らしの認知症の女性に管理委員会は何をすべきか」(4月10日)
お笑いは認知症の人に良い(4月10日)
「米国の専門医の半数以上がサプリを利用」(4月8日)
安全な認知症介護が致命的に欠乏(4月7日)
認知症の人の家族にとって追跡器機は支え(4月6日)
認知症の人の裁判は可能か(4月3日)
認知症は医療制度を壊す(4月2日)
アジアに忍び寄る認知症の急増(3月)
アルツハイマー病に立ち向かうユタ州(3月28日)
向精神薬は高齢者に危険(3月28日)
75歳で認知症チェックを勧める(3月28日)
認知症:アメリカを壊すかもしれない静かな危機(3月24日)
安楽死について議論(3月21日)
認知症の人を介護する人は1500万人、33%にうつ症状(3月)
高齢者の専門的救急医療に取り組む病院(3月14日)
アルツハイマー病の人の介護者の関心事(3月12日)
アルツハイマー病:私の経験(3月7日)
台湾の新しいデイサービスセンター開設(2月25日)
認知症の父親に介護する娘が撃たれる(2月22日)
認知機能障害の高齢者の財務(2月16日)
マサチューセッツ州へのアルツハイマー病協会の働きかけ(2月8日)
認知症高齢者への非定型抗精神病薬の使用が減少(2月7日)
マレーシアの認知症デイケア(2月6日)
アルツハイマー病の研究をする83歳の医師(2月4日)
アルツハイマー病の早期発見の検査は意義があるのか(2月1日)
芸術療法:アルツハイマー病の人の見方と生活を変える(1月28日)
アルツハイマー病診断の進歩と退歩―アミロイドスキャン―(1月28日)
認知症の人の最期を心地よく(1月23日)
アルツハイマー病の二人の親を持つ子供を支える(1月23日
認知症の人を支える地域を(1月19日)
アルツハイマー病薬の使用制限を廃止(1月18日)
アルツハイマー病になるのを恐れる父(1月17日)
アルツハイマー病の女性が隣人に無視され凍死(1月17日)
睡眠剤は高齢者の転倒と認知機能低下を招く(1月13日)
認知症の課題に取り組み始めた中国(1月12日)
アルツハイマー病薬と有望視され第3相臨床試験中の薬で副作用の疑い(1月11日)
認知症の人を地域で支える(1月7日)
「アルツハイマー病の家族を助けてください」(1月7日)
行方不明の男性が低体温で死亡(1月3日)
アルツハイマー病の人の支援に学校訪問(1月2日)
ベビーブーマーが高齢者になる(1月1日)


2011年


★モンテッソーリ法は認知症の高齢者に相応しい(12月29日/カナダ)
認知症の高齢者がレトロな雰囲気なかでアクティビティを熱心に行い、自分が役立っていると感じさています。
リリアン・ケンプLillian Kempさん(写真左上の左)は台所のテーブルに身をかがめ、子供たちを育てた時期に彼女と家族がテーブルを囲んで座っていようにも見えます。
彼女は、洗濯物を分け、靴下を組み合わせ、たたんで洗濯籠のなかに積み重ねます。そして取り出し、また同じことを繰り返しています。また、紙製のコップにマフフィンを詰めるのが好きで、これも繰り返してやっています。
ケンプさんは、カナダ・オンタリオ州のナイアガラにある高齢者施設「アッパーカナダロッジUpper Canada Lodge」(写真右)のレトロな台所に居ます。この内装を新たにしたり、昔の時代に合わせています。このことが認知症の人や記憶障害のある人を支え、過去の記憶を思い出させる雰囲気のなかにいて、心地よいようです。
彼女のアクティビティは、モンテッソーリMontessoriの教育法を反映したものです。この教育法の対象となる子供から高齢者までの年齢幅の片方にあって役立っているのです。認知症の人を活発にし、刺激を与えるというこの方法は、ここ10年の間に、次第に受けいれられてきました。使わないために失われたようなみえる認知症の人の活動性をよみがえらせるのにも役立っています。
チャトーガーデンズChateau Gardensの施設の奥にある小さなラウンジは、1930年代から50年代の様式に似せて作られ、入居者が自分たちにとって最もよく残っている記憶の時代―若い頃や子育ての時代―を思い出させるのです。
部屋の一角に寝室や育児室に似せた家具が置いてあり、乳母車、新生児用ベッド、実物大の赤ちゃん人形や人形服も置かれています。さらに外観が30年代で機能は最新式のラジオがあり、その横に心地よさそうな椅子があります。
デイヴ・バウアーDave Bauer氏―ロッジのプログラム管理者ですが―は、多くの入居者が乳母車を押したり、新生児用ベッドのそばで椅子に座ったりして、ラジオで音楽を聞いたり、人形に気をもんだりしている様子を観ています。
バウアー氏は次のように話しています。
「ご婦人たちは、生きているような赤ちゃん人形をあやしたり、散歩に連れて行ったり、昼寝に赤ちゃん人形をベッドに寝かせたりします。また別の人たちは、部屋に入って座って旧式のラジオで音楽を聴いています。朝、大きな出窓から陽の光のなかで日向ぼっこをしている人もいます」
化粧台では入居者が、服、ハンドバック、帽子などを探せるようになっています。
部屋の反対側は1950年代の台所になっており、耐熱合成樹脂のテーブルやクロムメッキの椅子が備わっています。これに青緑色のビニール製の張り布が張られおり、家族と過ごす一時やパンを焼いた思い出がよみがえるように壁に視覚的に理解できる思い出の光景が書かれています。
入居者には、洗濯物をたたむといった繰り返しできるアクティビティに参加するよう勧められます。こうして若い頃の自分の世界で過ごすことになるのでしょう。
傍のテーブルは、事務所で働いていた人たちのために計算機や、座ってタイプしたことがある人たちのためにタイプライターを用意されています。
大きなラウンジには、入居者とともに職員が使うモンテッソーリ道具が棚に一杯置かれています。アクティビティは、さまざまな運動や記憶能力を網羅して入居者に意味のあることができるようにされています。色や数字で対象物を分類するといった簡単なアクティビティもあります。
一連のアクティビティを職員が行っています。何人かの職員は、マックマスター大学McMaster Universityのギルブレア加齢研究センターGilbrea Centre for Studies in Agingでモンテッソーリ法の研修を受けています。またこうしたアクティビティは、ボランティアや家族らも利用します。
さらにバウアー氏は次のように話しています。
「認知症の人との仕事やアクティビティの鍵は、認知症の人が親しみを覚え日常生活のなかで使ることを対象とすることです。ある入居者は編み物が好きで、何を編むかは問題ではありません。同じ毛糸を何度も使うことができます。こうした運動機能を改善しながら、何か生産的にことをしていると感じることになるでしょう。認知症の人は、特別な運動機能や仕事を再学習したり、繰り返すことを可能とする「手続記憶」は保たれており、たとえば、ある色のゴルフボールをおわんから取り出しては戻すということを繰り返すことでスプーンでスープを飲むために必要な運動機能を改善することができます。あるいは、布を渡して壁の埃を取ったり、箒で床を掃除することもできます。本当のように見えたり、役立っていると感じさせるアクティビティを行うことは、目的なく歩きまわったり、何時間もただ座っているよりはよいのです」
マリア・モンテッソーリMaria Montessori((写真左下)写真右)は、1870年イタリア生まれで、精神医学、教育、人類学の分野で業績があります。彼女は、個々の子供は特別な可能性をもって生まれており、その可能性が発揮できるような環境を作ることで発達すると信じていました。モンテッソーリ法は、五感に根差したもので、日々の生活のなかでの対象に関わり、失敗することも認めながら構造化されたアクティビティの実施を含めています。
この10年間、こうした活動がアルツハイマー病や認知症の人に構造的に取り組まれ、失われた多くの能力―自分で食べという能力も含め―を向上させるのに役立っています。
最後にバウアー氏は次のように話しています。
「多くのアクティビティは入居者をより自立させますが、他の人たちにとっては単に自分によりよい感情を抱くというだけのこともあります。彼らが感じられることをするように促すことで自己評価を高めることも生産的なことなのです」
Niagara Advance 12/29/20110 Montessori methods help seniors suffering from dementia
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日本モンテッソーリ教育綜合研究所
編者:紹介記事の取り組みは回想法に類似し必ずしも真新しい内容ではないが、アクティビティの根拠がモンテッソーリ法である。この方法は我が国で障害児の教育現場で応用されているようだが、認知症ケアの現場での取り組みは聞かない。Activitiesに適切な意訳がないのでアクティビティと音訳した。

地震後、認知症ケア棟のある高齢者ホームが開所(12月21日/ニュージーランド)
クライストチャーチでレストホーム(rest home 「自立型老人ホーム」と訳される)と認知症ケア施設が新たに開所することで、地震後の不足した市のベッドを補うことになると期待されています。
ハルスウエルHalswellにある「アンソニワイルデング退職者ビレッジAnthony Wilding Retirement Village」に、今月19日、新しいレストホームと認知症ケア棟がオープンしました。
600万ドル(1ニュージーランドドル≒70円)の計画により、2月の地震で不足したレストホームの建設が急速に進められたのです。
ライマンヘルスケアRyman Healthcareが所有するビレッジは、全部で148人分のベッドが有り、このうち80ベッドが要介護高齢者用で33ベッドが認知症高齢者用です。
ライマンの最高責任者のサイモン・チャリーズSimon Challies氏(写真)は次のように話しています。
「ベッドの要望がとても高いのです。地震後考えて最初のことは、レストホームと認知症用部屋を優先的に始めることでした。最善の方法と思いました。地震後、閉鎖するところが多く、市から避難された人たちにとって戻る時の選択枝は多くはありませんでした。新しい棟は6カ月間で建て、複合施設として68ベッドを追加しました。メリーハウMairehauに100万ドルかけての新たしい建設を始めたばかりで、レディアイザックLady Isaacビレッジは定員400人ほどの施設になるでしょう。中心施設でも仕事も始めており、120ベッドの認知症ケア用、レストホームおよび要介護高齢者施設ができるでしょう。このビレッジは、来年の早い時期にオープンする予定です」
stuff.co.nz 21/12/2011 Rest home opens with dementia-care wing
参考情報:ブログ「日刊ニュージーランドライフ」に、「ニュージーランドの高齢者施設は主に、Rest home(自立型老人ホーム), Hospital care(要介護老人ホーム), Dementia Unit(認知症ユニット)、Apartment(ケアつき住宅)の4つに分類されます。」と記載あり。

★革新的治療薬で「長い別れ」を短縮(12月21日/アメリカ)
17年前、レーガン元大統領は、「長い別れ」と呼ばれる手紙でアメリカ国民へアルツハイマー病と診断されたことを表明しました。胸が痛くなるほど、この手紙を読んだ人たちに大統領として職務を全うできたことを感謝しました。さらに手紙で「私は、ただ、この痛ましい経験からナンシーを救う方法を願っているだけです」と書きました。
その後、レーガンの国民への別れの思いは、何千人という親や配偶者に私的に伝えられたのです。アルツハイマー病は、現在、治癒はできないのですが、いつの日か予防が可能となり管理され治癒できるところまで発展するとの望みを伴っています。
今日、アルツハイマー病は、医学的状況のなかで突出したものと理解されていますが、私たちは、レーガンの願いを満足させるところの近くにいるのでしょうか。
この自問は重要です。アルツハイマー病は2050年までに全世界で85人に1人がなると推計されています。十分な証拠にもとづくアルツハイマ病関連費用は、全く個人的なこと―祖父は私を誰か分からなくなったとき7歳でしが、その時の戸惑いをまだ覚えています―から、経済的な側面―多くの専門家はアメリカだけで年間約1億ドルの社会的な経費があると推測している―まであるのです。
より希望が持てる研究分野の一つが生物製剤―ワクチンのような―です。これは、高脂血症薬のリピトールのような化学的に合成された薬と比較して、医療では比較的新しい分野で、生きた組織から採取される薬です。科学者は、生物製剤について十分のその可能性を理解し、高く評価し始めたばかりですが、がんや関節炎、そしてアルツハイマー病のように治りにくく多彩な病気に適応されると約束されています。
しかし、医学の発展には十分な革新的開発を受け入れる環境が欠かせません。それは競争と支援に関わる余裕のある管理構造を伴うもうものです。新しい政策で、競合的でかつ創造的な状況を作り、結果的に革新な治療をもたらすものです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、現在、こうした疑問に直面しています。生物製剤の開発に明確な基準を設けるべきことに加え、模倣薬―生物製薬後発品―の普及が避けらないのです。しかし、後発品は合成化学薬とは異なり、厳密に同一薬であるか確認できないのです。生きた組織から抽出した薬は、多くの場合似てはいますが、決しては同じでものではありません。
よく知られているように、後発薬はブランド薬よりかなり廉価です。しかし、化学的薬品と違い、模造した生物製剤の後続品を発展させる課程がはっきりしていません。FDAの問題は、生物製剤類似薬を製造したい会社にどのような安全な課程を認可するのということです。こうした製薬会社は初期研究への投資―通常、数億ドル―をしていていないので、後発薬を安く売れるのです。
3つの課題を指摘できます。
第1は、患者に安全な薬を提供することが重要です。明らかなことですが、生物製剤後発品とオリジナルの生物製剤との間には小さな違いはあるでしょう。患者に害を及ぼさないことを保障する唯一の方法は、後発品にも臨床試験を行うことです。
第2は、EUが2003年に生物製剤後発品の管理手順を制定しましたが、アメリカは、わかりきったことをやり直す必要性はないという利点があるのです。
第3は、私たちは従来の製薬企業から価値があり、ときに痛みのあること学習をしてきました。偽薬という問題があるのです。薬が効果と提供の連鎖に関してのサーベイランスは、偽薬を発見し予防することに役立ち、さらに予期しない副作用の監視にもつながります。生物製剤後発品がアメリカ市場で認可される前に、追跡可能なシステムがあるべきです。
今日、多くの家族が、レーガン元大統領の「長いお別れ」に直面しています。さらに多くのアルツハイマー病の人が、病気によって記憶が奪われるようになって、家族が直面するであろう痛みについて良く知っています。生物製剤が、「長い別れ」を短縮したり、無くするかもしれません。これは私たちの世代での合理的な望みであり目標なのです。しかし新しく開発さえる生物製剤―同じく後発品―が先駆的にかつ全面的に追求することによってアルツハイマー病の人の安全が守られるでしょう。
寄稿者:ジョン・ホルトンJohn Horton氏(写真)はポートランドに在る薬情報提供サイトのレジトスクリプトLegitScriptの会長で、全国医薬品管理政策局U.S. Office of National Drug Control Policyの元局次長で、政府の全国合成薬管理戦略National Synthetic Drug Control Strategyの第一立案者で、2003年から2007年まで大統領の全国薬品管理戦略National Drug Control Strategyの共同立案者でした。
Huffington Post 12/21/11 Medical Innovation and Shortening the Long Goodbye
編者:寄稿者はアルツハイマー病の根本治療薬―その一つの免疫療法薬―の開発に楽観的なようだ。彼の主張は開発されたあとの話である。

先住民に文化的に配慮された認知症の評価とケア(12月16日/カナダ)
カナダ先住民First Nationsで初めての認知症の人に対して医療スタッフが先住民の言葉で話しかけると、介護家族は認知症の人の振る舞いが変わること―穏やかになること―に気付きことが多いのです。
北オンタリオ医科大学Northern Ontario School of Medicineの人間科学部Human Sciences Divisionの医療人類学者のクリスティーン・ジャクリンKristen Jacklin准教授(写真左上)は「これは重要な現象だ」と話しています。
現在、ジャクリン准教授は、オンタリオ州の6地区の12先住民共同体でカナダ先住民がアルツハイマー病と関連疾患についてのどのような知識を持ち、態度を示し、受け止めているかの研究をしています。研究目標は、先住民の人と家族に対して認知症ケアの相応しい受け止めと適切な介入と予防方法を向上させることです。
ジャクソン医師は次のように話しています。
「先住民は、西洋文化とは異なった方法で認知症の経験や症状を明確に説明することを知りました。認知症をより自然にそった見方があるのです」
西洋医学は、記憶障害や徘徊などの認知症の行動を精神的混乱と見なす傾向にありますが、多くの先住民共同体では、老人から子供への「まじない的変転」の旅とみなしているのです。
さらにジャクソン医師は「現実の世界と霊的な世界とを結びつける出入口とみている」と話しています。
先住民地区社会と本流の社会とでは、老化に関する信念の在り方が異なるので、認知症になった先住民に対しては文化的に相応しい診断や介護が受け入れやすいのです。
テームズのオネンダ居留区Oneida Nation of the Thamesでのカナダアルツハイマー病協会Alzheimer Societyの先住民ファーストリンクプログラムFirst Nations First Link (First Link) Programのコーディネーターであるロビン・シャワノーRobin Shawanoo氏(写真左中)は「たとえ些細な変化も違いが生まれます。先住民リンクでは、オンタリオ州のロンドンとミドルセックスの先住民で認知症になった人に相談、教育、研修、啓発、擁護の支援を提供している」と話しています。
先住民リンクでの治療方針は、文化、伝統、スピリチュアリティの要素を取り入れたものです。シュワノー氏は、認知症の人の家を訪問し、認知症をめぐる家族の関心や信念を理解しながら評価するようにしています。病気の治療よりは、認知症の人と家族を全体的に彼のやり方で「まじない的変転」で対応しています。
またシャワノー医師は次のように話しています。
「私は病気という観点から認知症を見ていません。彼らが何を必要としているかを注目するのです。認知症の早期であれば、できるだけ安全な環境にするために何をすべきか考え、病気の進行を遅らせる方法についても検討します。西洋医学的視点から離れて個々人が全体的として―精神的、身体的、霊的、情緒的に―何が必要なのかに目を向けなければなりません。病気というラベルを貼る事を心配しないでよいでしょう。
認知機能を活発にする鍵は、儀式や伝統的な行事に高齢者を参加させることです。二言語を話す人は、なんらかの理由で認知症になる可能性が低いのです。脳を活発にする方法はなにであり文化的な感性を保つようにすることです。自分たちの歌を歌い、自分たちの言語を学び、自分たちの工芸を学ぶのです」
先住民の言語でコミュニケーションをとることは、相互の認識に介在するギャップを埋めることができます。
さらにジャクソン医師は次のように話しています。
「認知症に関する先住民の用語群は、軽度、中程度、重度の症状を具体的に区分するに十分なほど特異なものです。病気の進行というよりは、人が何を経験しているかをより多く言い表しているのです。これらは、認知症の人、介護者、医師、サービス提供者などの間の会話に関係します」
シャワノー氏は、カナダ先住民を評価する文化的に適切な方法を用いています。たとえば、「モントリオール認知機能評価Montreal Cognitive Assessment (MoCA)」の言語認知テストにある「キルトと毛布」の違いを質問するでしょう。彼は、認知症の改定スクリーニングテストが文化的に考慮された方法で医師と先住民とのコミュニケーションに役立つことを希望しています。
さらにシャワノー氏は次のように話しています。
「MoCAの発案者であるジアド・ナスレディンZiad Nasreddine医師(写真左下)との共同作業で、私たちが挑戦した最大の事柄は、アフリカあるいはアジアの三つの動物―サイ、ラクダ、ライオン―の絵を見せる標準的なテストについてです。これらをオネダ居留区では三つの動物―カメと熊と狼―に置き換えました」
Indian Country Today Media Network.com December 16, 2011 Holistic Healing: Addressing the Need for ‘Culturally Competent’ Dementia Assessment and Care
編者:先住民での認知症の課題はオーストラリアで積極的に取り組まれているが、カナダでもがんばっているようだ。先住民の文化的霊的背景への配慮が重要ということだ。

「LTSCアルツハイマー病介護者サポートグループ:「ひとりじゃない」互いに気持ちを共有」(12月13日/ RAFU SHIMPO)
リトル東京サービスセンター(LTSC)は、米国アルツハイマー協会ロサンゼルス支部と協力し、アルツハイマー病患者の介護にあたる家族や友人など、介護者(ケアギバー)のためのサポートグループを毎月、ロサンゼルス郡内3カ所で催している。参加者は、介護におけるさまざまな問題を話し合い、それぞれの経験や意見、情報などを交換。互いに、「ひとりじゃない」と声を掛け合い、気持ちを共有している。
【中村良子、写真も】
米国アルツハイマー協会によると、現在米国内には520万人以上のアルツハイマー病患者がおり、2030年には、加州の55歳から74歳のアルツハイマー病患者数が2倍、ヒスパニック系とアジア系の数は3倍に膨れ上がると言われている。
アルツハイマー病は、「記憶力の減退」「言語障害」「時間と場所の感覚がなくなる」「判断力が鈍る」「性格に変化がみられる」「物事をこなすのが困難になる」―などといった病気の特徴から、患者本人だけでなく、介護をする家族や友人に、精神的、身体的、経済的な負担が大きくのしかかってくる。
LA郡内3カ所でサポートグループ
介護者の負担を少しでも和らげようと、LTSCでは毎月、小東京、サウスベイ、サンファナンドバレーの3カ所で、サポートグループを催している。
3年前にアルツハイマー病と診断された義姉の介護をしている日系2世の女性は、昨年からサポートグループに参加している。「ここに来ると、『私はひとりじゃない』と思え、心強い」
他のケアギバーの話を聞き、多くの患者は病気の進行とともに言動に変化が表れ、暴力的になったり、はいかいしたり大変であると学んだ。「義姉はパーキンソン病を併発していて、車いす生活なので行動の変化は幸いないけれど、イライラすることはしょっちゅう。でも、他の方も皆同じ経験をしていると聞いて、気持ちが少し楽になる」という。
一方ハリー・ナカダさんは、4年前から妻のヘレンさんの介護をしていた。サポートグループには精神的に支えられたといい、「自分の経験が他の人の役にも立てば」と、今年5月にヘレンさんが亡くなった後も、毎月会に顔を出している。
また文化的背景から、家族がアルツハイマー病に罹っていることを恥じたり、助けを求めない人が多いことにも触れ、「恥じることは何もない。互いの経験を分かち合うことで心が少し休まるから、会に足を運んでほしい」と呼びかけた。
この日初めて参加したサウスベイ在住の後藤さんと大川さんは、数人の仲間と一緒に友人女性(82)の介護をしている。女性は、故郷の宮崎県に高齢の姉がいる以外、身寄りはない。
後藤さんによると、「3年ほど前、突然『お金を盗まれた』と言い出して、すぐにアルツハイマー病を疑いました」。以来、待ち合わせの日時を忘れたり、普段行き慣れていた友人宅へたどり着けないことが何度かあり、今年の定期健診でアルツハイマー病と診断されたという。
2人は、友人仲間と一緒に女性宅へ料理を持っていったり、買い物へ行ったり、部屋の片づけを手伝ったり、ほぼ毎日電話で安否を確認したりしている。大川さんは、アルツハイマー病は誰にでも起こることで、「他人事ではない」と言い切る。
最近は症状が進行し、友人だけでの介護が難しくなってきたことから、2人はLTSCへ相談。現在はソーシャルワーカーの援助も加わった。2人は、今後もサポートグループで情報を得て、「大切な友達だから、最後まで私たちにできることはしたい」と話した。
アルツハイマー病の母を15年間介護した日系3世のナオミ・カリヤマさんは、一時休止していたサウスベイのサポートグループの再開を訴えていた1人。「孤独な日々を過ごしている介護者には、気持ちを共有できる場所が必要」と、自身の経験から会の大切さを強調。ボランティアでサポートグループの運営を手助けする。
LTSCでは、ケアギバー・サポートグループの他、「日系ディメンシャ・ケア・ネットワーク」を通じ、ロサンゼルス郡内在住の自宅で介護をしている人を援助するため、ケースマネジメントや地域にある必要なサービス(交通、介護人、法律相談、一時的休養サービスなど)につなげる手伝い、ワークショップやカウンセリングなどさまざまなサービスを提供している。詳細はLTSCの兼田さん、または武田さんまで、電話213・473・3035まで。
ケアギバー・サポートグループ
▽小東京「聖フランシスコザビエル・カトリック教会(旧メリノール教会)」(222 S. Hewitt St.)
毎月第4木曜日
午前10時から11時半
▽サウスベイ「ビクトリー・フェローシップ」(4030 Spencer St. #107, Torrance)
毎月最終土曜日
午前10時から正午
▽サンファナンドバレー「SFV日系コミュニティーセンター」(12953 Brandford St. Pacoima)
毎月第1土曜日
午前10時から正午
RAFU SHIMPO 2011年12月13日 原文のまま

経管栄養の導入に迷う(12月11日/アメリカ)
私の父(写真左)は、大腿骨の手術の翌朝、冷凍コーヒーと甘いものを持ってくるように私に頼みました。フラペチ-ノとドーナツを持って病院に行ったのですが、そのうち一つが父を殺しそうになりました。
父は、息苦しそうになり顔色が青くなってきました。自分の死を怖れが目に現れたのです。母(写真左)と妹が助けを求め、3,4人の看護師と医師が来ました。
医師は父の名前を呼び、看護師の一人はベッドの後ろの吸引チューブを持ち出し、父の喉に挿入し気道をふさいでいた何かを吸引することができました。
こうしたことは稀ではないのです。父のように脳血管障害などの慢性疾患の人が、喉の筋肉が弱っていることを経験から学びました。嚥下障害は、息をすることもが難しく、また飲み込むという単純な行為で危険な状態になってしまうことがあるのです。ほんの少しの食物を肺まで吸い込むと、肺炎を起こしたり、死に至ることもあります。
これとは別に尊厳の問題があります。母は「熟年はそれほど素晴らしいことではない」と話しています。
60歳代の夫が子供のようになって、なすすべもなく母は見守っているだけです。父は、歩いたりトイレに行くのに助けが必要で、食べているときも注意が必要です。
数週間前、父は、退院してナーシングホームに入りました。そこでは、ピューレした食品や濃い液体を食事として食べさせていましたが、父は、しばしば、食べるのを拒み、家に連れて帰ってほしいと言うのです。
できないことを話すのは難しいことです。父にとって選択肢はますます少なくなり、食べられないと経管栄養が唯一の選択肢となることでしょう。
母と妹は、毎日父を訪ねていますが、この問題で疲れきっています。妹は、自分の健康上の問題―卵巣がんで脳転移―を持っており、父に残されたわずかの楽しみが亡くなることを考えると動揺するのです。
何をすべきか、誰が決めるべきなのか?
確かに、父に選択肢を説明できるようにすべきでしょうが、経管栄養がないと父は死んでしまうようです。しかし、管は不愉快であり感染症や合併症を起こす可能性が常にあります。
軽度ではなるが進行している認知症の父が、胃に埋め込まれた管から食物が与えられることの意味を理解できるそうにありません。また父が拒否するとしても、それを決定する能力があるのでしょうか?
こうした場合、事前指示書advance directivesがあるとしても、さまざまな質問をされても簡単に答えられるとは限りません。両親の後見人に相談したところ、事前医療指示書advance health care directiveの書類に両親とも記入していることを知りました。父が本当に何を望んでいるか知りませんでしたが、父が次の項目にチェックしていることを知りました。
私は、次の場合、延命を求めません。
① 比較的短期間のうちに死にいたるような不治で非可逆的な状態にあるとき、あるいは
② 意識がなくなり、合理的で医学的正しく意識は回復しないと判断されるとき、あるいは
③ 治療することで起こりうる危険や負担が、予期される利益を超えるだろうとき。

父がこうした望みに従って自ら決定できない場合、母が代わって決定できる代理人となっています。
父はPOLST (Physicians Orders for Life-Saving Treatment、延命治療医師指示書)として知られる別の種類の指示書には記入していません。POLSTは、より特殊で呼吸器や経管栄養について詳しい支持をするものです。不幸なことに、父が代替治療について十分に検討するとき家族が複雑なこの種の話し合いをしていなかったのです。
「いつ諦める」のかという決定をしなければならない辛い立場に母が置かれているのです。現在の医療指示書では、父のような人を重度で衰弱した状態のままにすることになるのです。これは一般人にとてつもない費用を伴うもので、人間的で情け深い方法といえるのでしょうか。
ある医師は私に次の話してくれました。
この国の細分化された医療制度によって、父が経管栄養を行えるような既に組み込まれた動機が在るのです。医師も病院も費用は支払われ、ナーシングホームも利益を得るでしょう。メディケアでは100日以上の給付を保障しており、家族がこの費用を直接払うわけではありません。唯一損失を受けるのは一般納税者なのです。父もその一人といえます。父は、既に切開され検査を受け、夥しい薬が投与されています。しかしますます病み、憤り、うつ状態になっているのです。
現在、父は、人工関節を付けていますが、ほとんど歩けません。食事が好きなのですが口から食べることはできません。彼の部屋の壁には、どのように飲み込むかの説明書きがあります。
父は明らかに人生の終末に近いのですが、感謝祭のときは笑顔になりました。私の娘を抱いて私たちが家族であることを思い出していたのです。私の弟は「父の尊厳だけを問題とすべきであり、手術もいらない。これ以上の苦しみもいらない。1月に300錠以上の薬もいらない。励ましもいらない。理学療法もいらない。拒否もいらない」と話しています。
妹は泣いていますが母は泣きません。
母は次のように話していました。
「始めたからには止めることができないでしょう。父がまともな人間なら経管栄養は望まないだろう。多分、キリストが彼を連れてゆくのであって私たちがいかなる怖れ多い決定をすべきではないだろう」
次回は、終末期の決定に際しての法的医学的検討課題について読者のためのガイドおよびカリフォルニア州の医師による自殺ほう助が合法化どうかについて見解を述べます。
Los Angeles Times  12/11/2011 A terrible choice to ponder
投稿者のスティーヴ・ロペスSteve Lopezはジャーナリストでコラムニスト(写真右)。
関連資料:Advance Health Care Directive Form Instructions(pdf70K)
編者:アメリカにおける経管栄養の導入の現状を垣間見られるコラムだ。経管栄養で医師も病院もナーシングホームも経営的に潤っており、その負担は一般納税者という指摘は興味深い。

★認知症支援グループが政党に要望(12月6日/ジブラルタル)
ジブラルタルアルツハイマー病・認知症支援グループGibraltar Alzheimer and Dementia Support Group(GADSG)は、先週、次回の選挙で争う3つの政党と話し合いをもち、要望しました。
グループの委員会と家族支援グループのメンバーは、会合に向けて各政党に前以て要望リストを提出しました。このリストには、アルツハイマー病など認知症の人が利用できる施設を速やかに開設すること、家族・介護者・専門職・一般の人たちへの啓発と情報提供、現在および将来の戦略・目標および活動計画などが明示されています。
グループの関係者は次のように述べています。
「各政党は、質問への回答に1時間以上かけ、政党の見解や将来の提案を示しました。私たちの会員は個人的な経験などに基づく関心なことと提案を提出しました。
この病気についてこの地域での認識が一般的に欠けており、全体的にも政策が乏しく、認知症の人が直面している問題に最善に対応するにはどのようにしたらよいかの全体的な政策が乏しいのです。
多くの認知症の人が必要とすることに応えるような医療や施設を設けることが難しいことを認めはしますが、私たちは、3つの政党は認めていることに効果的に応えるためにすべきことは多いと感じています」
GADSGは、話し合いの時間を持ってくれたことで政党に感謝を表し、さらに、この病気が求めることに応えるべき将来の政策や施設を発展させることで3政党が関わり発展させると表明しいうことに喜びを表明しています。
このグループは、毎月第1と第3の木曜日の午後8時から9時半までラインウオール通りLine Wall RoadにあるエミルホステルEmile Hostelのとなりの会議場Conference Centreで集いを行っています。一般の方の参加を歓迎しています。連絡は、伝言メール56001422かEメールgadsg_secretary@hotmail.comで。
Gibraltar Chronicle 6th December 2011 ALZHEIMER AND DEMENTIA GROUP MEET THE POLITICIANS

グループの連絡先:The Gibraltar Alzheimer's and Dementia Support Group, P.O. Box 1196, Gibraltar Tel: +350 2007 1049 Email: adsupportgroup@hotmail.com
編者:人口3万人ほどのイギリス領土ジブラルタルの認知症支援グループの貴重な活動記事。小さい地域での認知症の人と家族への支援活動は容易ではないだろう。

★アルツハイマー病世代:この30年間で学んだこと(12月2日/アメリカ)
1980年代初め、ほとんどのアルツハイマー病の人は単に「老衰」と分類されていました。配偶者や子供たちは、施設介護を受けることナーシングホームに入居するまで、在宅で介護する責任がありました。
その後、アルツハイマー病など記憶障害を伴う疾患の診断、理解、介護についてはおおきな前進がありました。これまでの30年間にやっきた進歩を振り返ることは、今後の数十年間で何を新たに優先すべきかの判断に役立つでしょう。
診断、治療、教育
69秒ごとに新たなアルツハイマー病の人が生まれ、65歳以上の高齢者の8人に1人がこの病気です。30年前、誰もその病名を知りませんでした。1850年から1977年までニューヨークタイムズNew York Timesの記録からアルツハイマー病について調べてみると、この病気は1906年に遡って既に認めらているにもかかわらず、わずか一つの記事しかこの病気について触れていませんでした。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationは、今日、その資源は多くの人にとってかけがえないものですが、1980年に初めて設立されました。1982 年には、ロナルド・レーガンRonald Reaganが、公的な「アルツハイマー病啓発Alzheimer's Awareness」週間を宣言しました。しかし多くの人が混乱や記憶障害は老化の一症状とみていのです。そのため、治療、診断、もっと重要な介護や介護者への関心はほとんどなかったのです。
アルツハイマー病の根本的な治療についてはまだ見通しがありませんが、アメリカ食品医薬品局FDAは5種類の薬を承認していますが、これらは病気の症状を軽減するのに役立つものです。これらは過去20年間に開発されたもので、目下、新しい多くの治療法が研究中です。
介護
1970年代以前は記憶障害の人への社会資源やサービスは実際のところ何もなかったのです。こうした人の介護は、在宅かナーシングホームで行われていました。幸いなことに1980年代に大きな変化が起こりました。ナーシングホームnursing homeで提供される施設内の医療モデルの介護から介護生活共同体assisted living communityでの入居者中心の社会モデルの介護へと移行したのです。
ちょうどこの時期、介護生活共同体の先駆者であり、サンライズシニアーリビングSunrise Senior Livingの創設者でもあるポール・クラーセンPaul Klaassenとテリー・クラーセンTerry Klaassen(写真左上)が入居者―記憶障害の有無に関係なく―を第一とする介護とサービスを創り上げました。最高の生活の質を目指すだけでなく、入居者の希望を尊重し、アイデンティティ、自立、尊厳を促そうとするものでした。
介護生活共同体の企業が成長するなかで、記憶障害のある入居者に特別に専用棟や別個の施設が作られました。その家庭的な仲間は、安全で制限のない生活環境を作り、共同体意識を促しました。その後、建築家は記憶障害のある入居者に、歩く道順を見つけやすく、危ないという感覚を少なくすることが組み込まれた環境の工夫を進めることで見当識感覚を持たせるような設計を注目するようになりました。先駆的な設計は、浴室の自動センサーによる照明とコントラストのある配色、明るくてコントラストが生まれるような明るさ食卓用器具の配置などであり、これらすべてが尊厳と自立をさらに促すのです。
2000年初めまで、わずかの介護生活共同体の企業が、特に軽度認知障害または初期のアルツハイマー病の入居者向けの特別な体制とサービスの必要性を認識していました。こうした体制とは、初期の記憶障害の症状を持つ高齢者を支えて、記憶障害の進行を遅らせることを目的にした認知機能の刺激、社会参加、相互支援、ストレス軽減を勧める活動に関わるように工夫されたものです。最近になってやっと、生涯学習、精神的身体的運動、社会参加、ストレス軽減、適切な栄養が認知機能活動を促す重要な要因であることが研究から示唆されました。
介護の提供
30年前、アルツハイマー病など記憶障害をきたす疾患の人が見当識障害や異なる時と場所のなかで生活しているみえる人たちを支える最善の方法―合意されることはほとんどない―はなかったのです。この状況が1982年に変化したのです。この時、世界的に有名なソーシャルワーカーであるナオミ・フェイルNaomi Feil(写真左下)が、自らのセミナーの成果―「ヴァリデーション:フェイル法」―を出版しました。これは介護者に見当識障害のある高齢者と共感的コミュニケーションを取る方法を紹介しているのです。現在、何千という介護専門職がヴァリデーション技術―認知症の人と内的世界に注意を払う―を使うための研修を受けています。この方法は信頼を生み尊厳を保つ支えとなるものです。
記憶障害の人への介護は、大規模グループからより親密なグループへと変化してきました。こうして共通の趣味に注目し目的意識と親密な感覚を促すことになります。ほとんどの介護は、生活の質を高めるために組み立てられた活動を伴う社会参加が注目されています。
将来
この30年、アルツハイマー病など記憶障害のある疾患の人の介護を改善する方向で進んできたように、将来はさらなる約束されること―特に技術の分野で―見ることになるでしょう。安全志向の器機―運動センサー付き警報機やGPS内蔵靴―がもっと増えて、一層、自立できるでしょう。また科学者は脳画像機器による検査や血液検査によって、より早期の介入が可能となるかもしれません。コンピューターを使った脳健康や家族同士の遠距離コミュニケーションがもっと普及して記憶障害の人たちに社会的な繋がりを維持するのに役立つでしょう。
誰も、今の世代に治癒を見つることを期待しています。今後研究が進展し予防や危険因子管理がより強調されるかもしれません。その時まで、私たちにできる最も重要な進歩とは、アルツハイマー病など記憶障害により影響を受けた人たちへの教育、研修、支援を続けることです。
寄稿者:リタ・アルトマンRita Altman氏(写真右)は看護師でサンライズシニアーリビングSunrise Senior Livingの記憶ケア・企画副部長です。
HuffingtonPost 12/2/11 The Alzheimer's Generation: What We've Learned in 30 Years
編者:アメリカで最王手の高齢者介護施設企業のスタッフの寄稿で施設中心ではあるが、簡潔にまとめられている

多角的非薬物療法が認知症の進行を抑える(12月1日/ドイツ)
ドイツのエアランゲン・ニュールンベルグ・フリードリッヒアレキサンダー大学Friedrich-Alexander University of Erlangen-NUrnbergの精神科のエルマー・グレッセルElmar Graessel教授(写真左上)らのグループは、認知症の人への非薬物療法が認知機能および日常生活活動へどのような効果があるか12カ月間の無作為対照試験―一重盲検―を行いました。
対象者は、ドイツ・バヴァリア州の5カ所のナーシングホームに入居するアルツハイマー病など原発性退行性認知症の人で、介入方法は、1グループ10人のグループに分け第1段階では、すべてのグループでそれまで服用していた抗認知症薬を服用を続け、またナーシングホームの通常の活動を続け、第2段階に入ると介入グループには、標準化された非薬物療法のMAKS法((M:ボーリング、クロケット、バランスなどの運動、A:簡単な食事の用意、ガーデニング、手工芸などの日常生活動作、K:一人またはグループで行うパズルなどの認知機能刺激、S:たとえば幸せについて語り合ったり歌や賛美歌を歌うスピリチュアル的活動)を2人の療法士がプで1週間6日、1日2時間行いました。介入しない対象グループでは通常のケアを受けました。認知機能についてはアルツハイマー病評価スケールAlzheimer's Disease Assessment Scale (ADAS-Cog)で、日常生活活動については拡大版日常生活活動テストErlangen Test of Activities of Daily Living (E-ADL test)で介入開始前と12カ月後に評価を行いました。
その結果、対象者553人のうち、119人が試験を行う条件を満たし、実際には98人が試験を受け、12カ月後までに試験が終えたのは61人でした。
介入グループと非介入グループとを比較すると、12カ月の間に前者で認知機能とADLが安定し、後者では低下していることを認めました。とくに認知症とADLで軽度および中程度の人たちについては介入のよい効果を認めました。
この研究論文は、BMC Medicine の2011年12月1日電子版に掲載されました。
この結果についてグレッセル教授らは次のように述べています。
「特別な介入方法による非薬物療法の方が抗認知症薬による薬物療法より日常活動機能の維持がよく、薬より2倍の有効でした。今回の介入方法はアリセプトなどの薬と比べ認知機能の改善においては少なくとも同等です。この介入方法によって認知症の人の生活の質を高めることを期待しています。さらにこの介入方法が1年以上にわたって認知症の進行をどの程度止めるかどうかを確認したい」
イギリスアルツハイマー病研究Alzheimer’s Research UKの開発部長のマリー・ジャンソンMarie Janson医師(写真左下)は「この結果が大規模な研究で再確認されると、認知症の人の生活をおおいに改善することになるだろう」と述べています。
Telegraph 01 Dec 2011 Puzzles, bowls and singing 'can halt dementia'および論文Non-pharmacological, multicomponent group therapy in patients with degenerative dementia: a 12-month randomised, controlled trial
編者:MSKSの詳しい内容を知りたいが、標準化された多角的非薬物療法が薬物療法と同等かより効果的だという報告である。費用対効果からみても有意義だ。介護の現場―在宅でも施設でも―で普及を試みてもよいのではないか。見方を変えると高価なアリセプトなどの薬物療法が効果があったとしてもこの程度ということになる。なお一重盲検法とは、試験を行う人と判定する人が異なることでこの種の介入試験では、薬の二重盲検の臨床試験―どの患者に試験薬を服用させたか試験する人も判定する人も知らない―は不可能であり、「試験する人の思い」が結果に反映される可能性は否定できないという弱点がある。

認知症サービスの削減を止めるよう(11月29日/イギリス)
83%の人は、認知症の人とその介護者へさらに支援が必要であり、72%の人は、認知症ケアが予算削減によって犠牲になることを恐れています。
これは、「認知症行動連盟Dementia Action Alliance(DAA)」が行った調査による結果の一部で、認知症に対して連携したこの連盟がロンドンで初めて年次会議を開催するときに公表されます。もし、こうした怖れが現実になると、何十万人という人たちが、食事、入浴、排泄といった日常活動に自宅での必要不可欠な介護を受けないままにされることになるでしょう。また必要なとき質の高い施設介護を利用できなくなるでしょう。
現在の状況のなかで、高齢者の社会的ケアの削減(36%減)は、その他の地方自治体が行うサービス―子供向けサービス(18%減)、ゴミ回収(15%減)、図書館(5%減)―より多いことを止めるべきと多くの人が望んでいます。今回の調査は、2000人以上を対象にDAAに代わってYouGovが行ったものです。
DAAは、認知症に関わるサービスを守るために多くのことが実行されるべきと要請しています。
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長(写真左上)は次のようい述べています。
「この調査によって人々がようやく認知症の人の窮状を認識し始めたことが明らかになりました。低水準の支援になることで自分たちの期待が裏切られ、多額の削減を実施されると、状況がより悪くなるだけだと人々が判断しているのです。私たちが置かれている切迫した経済状況を誰もが無視できませんが、質のよい認知症ケアは経済的な理にかなっているということも無視できません。よりよいケアによって入院が必要になったり、必要以上に早期に介護施設に入居することを防ぐことで経済的な有益なのです。もっと重要なことは、よりよいケアによって人々が質の高い生活を営むことができるということです。私たちはまさにこれを獲得しなければなりません」
「成人社会サービス責任者協会Association of Directors of Adult Social Services (ADASS)」のピーター・ハイPeter Hay会長(写真左下)は次のように述べています。
「ADASSは、認知症に関して起こっている私たちに必要なことでの大きな変化に対応するための新しいた取り組みを支え、勧めてきました。虚弱な人々へのサービスの個別化、成人ケア分野での法制度の変化に関しての司法委員会Law Commissionへの助言、および成人社会ケアの資金に関するディルノー委員会Dilnot Commissionの勧告をおおいに歓迎することなどです。21世紀に必要となるケアの新たな制度を創るため、私たちは、緊急に、実行と法律と資源に関しての変革が緊急に必要なのです」
ロンドン在住のダヴィッド・シムズDavid Sims氏(43歳)は、血管性認知症の母親の在宅介護を取り仕切っていますが、次のように述べています。
「母親ができるだけ長く家族の住む家で生活してほしい。毎日、母親の世話―最も欠かせない食事の用意など―のために介護職を雇っています。彼らは、ただ座って母親と話す―これも大切なことですが―だけで時間が過ぎることが多くなるでしょう。母親を訪問している一人の介護職は、自分の決められた仕事時間以外にも訪れ、母がよい状態かどうか確かめています。彼女の支援が無くなることなど考えたくはありません」
DAAは、2010年10月に発足し、慈善団体、公的団体、民間団体などおおよそ80団体から構成されています。認知症へ社会が対応について根本的な変革をもたらし、認知症の人の生活の質を改善することを目指していいます。
Alzheimer's Society  Published 29 November 2011 Dementia services need to be protected from cuts
編者:我が国ではあまり報じられないがイギリス政府は財政再建のために社会サービスの削減を強力に進めている。認知症に関係するイギリスの現状、制度、イギリス英語を正確かつ十分に理解してないことがあるが、イギリスの動きは我が国と関係ないとは言えない。

アルツハイマー病の啓発(11月27日/キプロス)
キプロスアルツハイマー病協会フマグスタ支部Famagusta Branch, Cyprus Alzheimer’s Associationは、昨日、1周年記念を祝いアルツハイマー病の人や家族が直面する問題について公に議論しました。
キプロス神経学遺伝学研究所Cyprus Institute of Neurology and Geneticsのシニアーコンサルタント神経学者のサッヴァス・パパコスタSavvas Papacosta医師の講演がありましたが、これはアルツハイマー病にの啓発のための一連の地方講演の最初のものです。
アルツハイマー病協会のジェニファー・パーソンズJennifer Parsons氏は次のように話しています。
「私たちは小さな集まりですが、活動に関わる人は誰もとても献身的です。電話相談と支援受け付けを始めたばかりです。私たちが本当の望んでいたことで、私たちが支援できることを多くの人に知ってほしいのです」
昨年まで、キプロス東側はアルツハイマー病協会に代表者を出していない唯一の地域でした。この地域のグループは、パラルミニParalmini、パロタラスProtaras、アイアナパAyia Napa区域を担当し、資金獲得とグループ名を周知する組織するメンバーの寄付にのみ財政的に頼っています。
さらにパーソンズ氏は次のように話しています。
「この国で、もっとアルツハイマー病について知ってもうことです。隠すべきことではありません。この病気になる可能性を知れば知れほど、より多くの人がこれについて語るようになるでしょう。それが私たちの目標なのです。私たちは、助言や具体的な支援―毎週数時間の介護者休養など―を提供しています」
このグループには、認知症のさまざまなことについて助言をする有資格で現役の看護師がいます。基金状況が改善すれば、看護師は協会の有給スタッフにしたいとのことです。
アルツハイマー病協会のクリスティーナ・ディプリChristiana Dipli会長は次のように話しています。
「アルツハイマー病で最悪の問題の一つは、教育と知識が乏しいことです。ファマグスタ地区でも多くの人がこの病気の症状を持っていることを知っています。悲しいことに、病気への無視が多いのです。アルツハイマー病の人がいても、家族は年のせい―これは間違った判断―と考えるのです」
アルツハイマー病は、進行性退行性疾患で脳細胞を破壊し情報―特に記憶―を伝達する神経伝達物質が崩壊します。
またパーソンズ氏は次のように話しています。
「認知症の早期の特徴的な症状を知ることが重要です。気分、判断、性格の突然の変化、コミュニケーションや日々の仕事をこなすことが難しくなることなどの症状です。医師によると、状態は時間とともに悪化し、ますます他人の依存的になります。国内外で人口の高齢化が進み、こうした状態は誰もが直面することなのです」
もっとも最近の国の調査によると60歳以上認知症の人が1万4000人で、このうちアルツハイマー病が9500人です(訳注:キプロス共和国の人口は約80万人)。キプロスの人口が高齢化するので、認知症の人は今後急速に増えると推計されています。
パーソンズ氏はさらに次のように話しています。
「保健大臣はキプロスについて支援が乏しいことをよく認識しています。他のヨーロッパ諸国と同じように地域に標準的な支援がないのです。約20人に地域看護師はいますが、この地域には一人もいません。島全体で看護師がほとんどいないことを考えると、利用できる支援がいかに少ないかがわかるでしょう」
昨年、政府は次のような計画を発表しました。
○認知症の人と家族を支援する戦略的計画を創り、連携、多角的および費用効果の視点から問題を取り組む
○早期診断に関する公的および専門家への啓発の改善
○認知症の人への質の高い1次、2次、3次医療の提供
○認知症の人と介護者への在宅、地域および特別介護施設での支援の社会ネットワークの提供
アルツハイマー病協会ファマグスタ支部についてさらに情報を得たい人は、ジェニファー・パーソンズ氏に電話(番号:99-172197)してくださいください。
補足
アルツハイマー病の発症を疑わせる10の症状
1. 日常生活を混乱させるほどのもの忘れがある
2. 計画を立て問題を解決することが困難になる
3. 家、仕事場、レジャーで馴れたことを終わりまで出来にくくなる
4. 時間や場所について混乱する
5. 視覚および空間的関係の理解が難しくなる
6. 話したり書いたりするうえでの言葉の問題が生じる
7. 置き場所を間違え、来た道順を思い出せなくなる
8. 判断力が低下する
9. 仕事や社会的活動から引きこもる
10. 気分や性格が変わる
CyprusMail November 27, 2011 Raising Alzheimer's awareness in the east
関連情報:キプロスアルツハイマー病協会の連絡先
Pancyprian Association of Alzheimer's Disease
Stylianou Lena 47, Flat 1
6021 Larnaca
Cyprus
Tel: +357 24 627 104
Fax: +357 24 627 106
Email: alzhcyprus@cytanet.com.cy
編者:分断国家のキプロスのギリシャ系キプロス共和国にあるキプロスアルツハイマー病協会(ADIに加盟)の活動を同国の認知症の現状の垣間見る記事だ。なお補足の10の症状はアメリカのアルツハイマー病協会の提示したのと同じ内容で本サイトでも紹介している。

「行方不明男性、フェイスブックのおかげで発見 フィリピン」(11月24日/AFPBB News)
【11月24日 AFP】フィリピンで、行方不明になっていた認知症の男性(78)が、フェイスブック(Facebook)のユーザー数万人の助けで2週間ぶりに家族のもとに戻った。男性の娘が23日明らかにした。
ルイス・マティアス(Luis Matias)さんは今月11日、マニラ(Manila)の自宅を出たまま行方がわからなくなった。警察が捜索したが、発見できなかった。
妻のアウレリア(Aurelia Matias)さん(73)は、以来、夫の情報を求め、背中に夫の写真を掲げて街頭に佇むようになった。この物悲しい後ろ姿のモノクロ写真が21日にフェイスブックに掲載されたのが事の始まりだった。
掲載したのは、「Reddie Js」を名乗るアマチュアカメラマン。「あのような形で夫を探している彼女を見て、心が痛んだ。助けようと思いました」と振り返る。
この写真はその後、6万1000回近くシェアされた。そして翌22日、自宅から歩いて30分ほどの場所でフラワーボックスに腰掛けている男性をフェイスブックのユーザーの1人が見つけ、ラジオ局に通報した。
娘のノルマさん(48)はAFPに対し、「わたしたちはフェイスブックの使い方さえ知らないけれど、本当に大きな助けになりました。母さんは希望を失いかけていたんです。母さんを撮影して写真を掲載してくれた方には本当に感謝しています」と述べ、「父さんは母さんの初恋の人だったんですよ」と付け加えた。
AFPBB News 2011年11月24日 原文のまま

タッチパネルで思い出を語り合う(11月22日/イギリス)
スコットランドにあるダンディー大学University of Dundeeの博士課程の学生が、認知症の人が介護者とのコミュニケーションをとりやすくするコンピュータプログラムを開発しました。
ゲンマ・ウエブスターGemma Webster博士(25歳)(写真)は、介護者がタッチスクリーンを触って認知症の人とのさまざまな生活歴が含まれたソフトを創り上げました。
この研究者は、「担当する認知症の人について忙しい介護職が知ることの助けになるだろう」と話しています。
「イギリス研究委員会Research Councils UK」は、この博士が進める「ポートレイトPortrait」プロジェクトを支援する1万ポンドの賞金を与えました。
ソフトウエア―は、認知症の人の人生のなかの重要な出来事をデジタル化した年代記と家系などその他の個人情報が含まれています。
今年の9月に博士課程を修了しましたがウエブスター博士のソフトがコミュニケーションを容易にし、介護者が認知症の人の人生の情報を短時間で知ることができるようになっています。
博士は次のように述べています。
「介護者と認知症の人とのコミュニケーションの方法を確立することで、認知症の人の健康や幸福への重要な関わりを保つことができます。その人の過去を知る事は、興味があったことなど重要な情報を得ることで介護者を助け、コミュニケーションを高めることになります。こうした情報は、認知症の人の記憶と家族との話し合いで得られるものではありません。特に、入院あんど健康状態が最優先され状況では、「ポートレイト」が役立ちます」
ウエブスター博士は、ランカスター大学Lancaster Universityでポストドクターについたばかりで、イギリス研究委員会の助成によってこのソフトが介護施設などで使われるよにすることを希望しています。
BBC 22 November 2011 Software shows dementia patient's biography
編者:我が国で開発された「センター方式」の方が優れいるように思うが、認知症の人の昔の写真などをタッチパネル方式のデスプレイをみながら語り合うのもよい。

治らないアルツハイマー病は何もの?(11月21日/アメリカ)
アルツハイマー病のすべての研究者は、事実、「知性を奪う病気は心が引き裂かれる」ということに同意しています。しかし、治すことも、明らかに進行を遅らせるような薬を生み出してこなかったこの30年間の研究ののち、多くの研究者が、「治癒が在りえない病気とは何なのか」と問うています、もし不幸なことに、それが加齢―皮膚の皺、骨粗鬆症、心疾患など―の一部であり避けられないとすれば、それは何なのか、とも問うています。
アルツハイマー病の雑誌Journal of Alzheimer's Diseaseの今年の12月号に掲載された論文は、南フロリダ大学University of South Floridaのミン・チェンMing Chen医師が指導する研究グループによるもので、グループは「恐ろしいほどの社会的圧力によって、治る病気としてアルツハイマー病に注目するように科学者に圧力がかけえられた」と示唆しています。数多くの研究にもかわわらず、病気の原因が分からないままでも、今なお期待されたような大きな進展はありませんでした。研究者は、アルツハイマー病の治療を放棄するとは言ってはいません。事実はこの反対で、病気の背景にあるあくどい病原体を探すということとから、脳内の神経伝達物質を操作するということまでの努力を、再度、集中して行うべきと信じています。この反対は、治癒への追及を重視しないで、代わりに老化の一部として認知症をとらえ、効果的な予防や治療を追求することです。この考え方をとる研究者は、糖尿病、高血圧などの危険因子―アルツハイマー病になりやすいと信じられる―をよく管理し、社会活動を通して老化する脳を活性化することの重要性を強調しています。
ベビーブーマーが高齢化するなかかで、認知症はより大きな社会的、医療上の問題となるでしょう。科学者が、自分たちの役割と方向性を常に再評価し、資金投入の優先順位を検討してこなかったとすれば、同じ過ちをしてしまうかもしれません。いうまでもなくアルツハイマー病のより効果的な治療を求めるべきです。ある指導的な研究者らは、自分たちが本当に、アルツハイマー病の中核で分子的な変化を遅くすることの近づいていると信じています。ミネソタ州にあるメイヨクリニック・アルツハイマー病研究センター Mayo Clinic's Alzheimer's Disease Research Centerのロナルド・ピーターセンRonald Petersen所長(写真)によると、別の研究者たちは、複合的要因によってアルツハイマー病の発病するのであり難題だと指摘しています。
チェン医師は次のように述べています。
「何年もの間、アルツハイマー病の研究者は、認知症の人が増加することで生じるであろう社会的負担への怖れを抱いて努力してきました。こうして治癒など期待できない道を歩ことになったのです。しかし、病気による怖れはとても強く、これが合理的な動機であることが多かったのです。研究の優先順位について再検討することはよいことです。私が最終的に希望することは、研究者が討論することで方向を変えたり、治癒か予防かという二者択一の選択肢を選ぶことを止めることです。なにか大胆なことを探し求めることは合理的です。人が月に到着し、かっては不治の多くの病気が治るようになりました。しかし、アルツハイマー病が老化の原因によるものとなれば病気ではないのです」
とにかく、まだなにもないのです。
Los Angeles Times November 21, 2011 Alzheimer's: What if there's no cure?
関連情報:Scientific truth or false hope? Understanding Alzheimer's disease from an aging(Journal of Alzheimer's Disease  Volume 24, Number 1, April 2011 3-10)
編者:LATの社説で筆者は不明だがアルツハイマー病研究の現状を簡潔に指摘している。とはいえど、これからどうするの。記事で取り上げたJADの12月号掲載論文が見当たらない。かわりに同じChen医師の2011年4月号掲載論文を紹介する。

★認知症の診断後の自殺(11月17日/アメリカ)
アメリカのミシガン大学精神科Department of Psychiatry, University of Michiganのリサ・セイフライドLisa S. Seyfried医師(写真左上)らのグループは、認知症の人の自殺の要因とその手段について調べ、増加する認知症の人たちなかでの自殺の危険性を減らす方法について役立てるための調査をしました。
退役軍人省の2001年から2005年の間のデータに基づき全国規模で遡る疫学調査で、対象者は、60歳以上の認知症と診断された人(29万4952人)で、このうち241人(0.09%)が自殺しました。
自殺した認知症の人としなかった認知症の人とを比較したところ、白人、うつ状態、精神科病院入院歴、抗うつ剤または抗不安剤の処方歴のある人に多いことを認められました。またナーシングホーム入居歴は自殺の減少要因でしたが、身体的合併症との関係は認められませんでした。自殺の時期は、認知症と診断されて間が無い時期に多いこと(75%)、および、より若い年齢層で多いことも認められました。自殺の手段として銃器がもっとも多いく(73%)、これに服薬または首つりが続きました(共に10%)。
こうした結果から、研究グループは、銃器の管理と状態の評価を認知症高齢者に初めて治療計画を立てるときの重要事柄―特に、うつ状態や不安の症状のある人について―とすることを勧めています。なお本研究は主に男性を対象としたもので、同じことが女性に当てはまらないかもしれないとしています。
この研究論文は、アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの発行する雑誌Alzheimer's & Dementiaの2011年11月号に掲載されています。
この結果についてセイフライド医師らは、「認知症の人でうつ状態の人には適宜な状態確認と介入によって自殺の危険性を軽減することになるでしょう」と話しています。
オーストラリアのシドニーにあるニューサウスウエールズ大学精神科精神科School of Psychiatry University of New South Walesのブライアン・ドレイパーBrian Draper教授(写真左下)は、今回の研究には加わっていませんが、次のように述べています。
「がんと同じように、認知症がどのように捉えられるかその概念を形成し始めなければならないと思います。共に厳しく生命を脅かす病気です。ショックは、多くの場合―アルツハイマー病になるという最悪の恐怖を知り―心理的に乗り越え難い挑戦であり、うつ状態はよくある診断後の反応です。多くの人たちは診断時に軽度にうつ状態になっています。通常、自殺は診断を受けたあとの早い月に行われます。同じことががんの診断後―たとえ予後がそれほど悪くなくても―に見られます」
さらにドレイパー医師は次のように述べています。
「65歳未満の若い人が認知症を発症することは最大の心理的挑戦です。一般的に生命を脅かす病気は若い人の方が大きな課題となり、うつ状態や自殺傾向が相対的に、より多く起こりやすいのです。別な要因として、ベビーブーマーは、その前の世代より、アルツハイマー病や認知症についてよく知っており、診断もより早い時期に行われていことが挙げられます。20年前は、心配で自分から受診する人はほとんどいませんでした。ほとんどの場合、家族や友人が問題に気付いて対応していたのです、現在は、患者自身が記憶などの変化に気付くことが多くなっています。認知症に気づくことによって、状態についてより多くを考えることで、うつ状態や自殺になりやすい傾向が高まっていると思われます。自殺の可能性に、周囲の人たちがもっと気づく必要があり、診断後は、患者が告知により適応できるよう適切な支援体制を保障する必要があります」
Medscape November 17, 2011 Suicide Risk Greatest Early After Dementia Diagnosisおよび論文Predictors of suicide in patients with dementia
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編者:自殺の頻度はかなり低いため,認知症のなかでは必ずしも重要な問題でないかもしれない。しかし我が国での認知症の人の自殺頻度は不明であり、アメリカの数値と同じとすると全般の自殺頻度よりは高い。診断後の支援を念頭に置きながら認知症の告知がなされる必要がある。

経管栄養は認知症の人の願いと価値観に基づくべき(11月13日/アメリカ)
医学研究の証拠によると、経管栄養は精神に影響するだけなく食べる能力にも影響する終末期の認知症の人の生存や総合的にみた結果を改善しないと、長く示唆されてきました。
あなたがアルツハイマー病の人の介護者なら、こうした決定―病気の終末状態を変えることができないような状態のアルツハイマー病の人に経管栄養を行うかどうか―に直面することでしょう。
こうした質問がされたとき、多くの介護者は、自分たちが何を望んでいるかによって反応していることに私は気付いています。この種の質問への答えは「正しいのですか」あるいは「最善の方法なのですか」との問いに沿ったものでしょう。
答え方として、アルツハイマー病の人本人が決定すべきではないのでしょうか。
前以て、アルツハイマー病の人とこの問題について話し合ったことがあるのでしょうか。家族と話したことがあるのでしょうか。
私の場合、母とずっと前に話し合いました。彼女が私たちにしてほしいことを明確に理解できたのです。
もし認知症の人がかなり長く生きられるのなら、生きるために経管栄養が必要です。食べ方を忘れ、飲み込むこともできなくなるからです。
アルツハイマー病の人は自分にされるであろうことを前以て考えてことがあるのでしょうか。必要な法的書類が整っていますか。あるいは、代わって誰かに決定してもらうようにしていますか。
ターミナルケアは患者の願いと価値観を反映したものにすべきである。
ブラウン大学Brown Universityとハーバード大学医学部Harvard Medical Schoolの研究者は、入院している進行した認知症の元ナーシングホーム入居者に経管栄養を行うことについて、その決定方法が改善されることを要請しています。
この研究者の立場は8年間の研究結果によります。彼らは、経管栄養の実施が病院によってまちまちであることに気付きました。さらに全国の急性期病院の25% で、経管栄養が導入されやすい状態の人たちの10人に1人に経管栄養を行われていした。また急性期病院の12%では、経管栄養がまったく行われていなかったのです。
この研究の論文が、アメリカ医師会American Medical Associationの雑誌JAMAの2010年2月10日号に掲載されています。
ブラウン大学ワレンアルパート医学部Warren Alpert Medical School of Brown Universityの地域保健医療科の教授でその論文の筆頭執筆者であるジョン・テノJoan M. Teno氏(写真左上)は「研究結果から、進行した認知症の人での経管栄養の導入決定については認知症の人を支える決定過程がどの病院に入院するかによるということを示唆している」と述べています。
経管栄養の頻度は入院100件に対して0から39までで、平均、入院100件あたり6.5件です。
テノ教授らの研究グループは、2800近くの病院について調査しましたが、さらに2000年から2007年にかけての28万件以上の入院についてメディケアの請求に基づく調査を行い、入院したナーシングホームの入居者で66歳以上の進行した認知症の人における経管栄養の頻度について調べました。この期間に進行した認知症の入居者を少なくとも30件の入院を扱った病院について調べたのです。
その結果、終末期に積極的な延命医療を行う文化的背景のある病院は、経管栄養を行う傾向が3倍近く高く、非営利の大病院にこの傾向を認めています。農村地域にある医学部をもたない小病院では経管栄養を行う頻度は少ないのです。
ハーバード大学医学部の准教授で論文の第2筆頭執筆者であるスーザン・ミッチェルSusan Mitchell氏(写真左下)は、「進行した認知症の人にどのような治療の決定過程があるのかを調べる必要性がある」と指摘しています。
またミッチェル准教授は「急性期病院で、ナーシングホーム入居者で進行した認知症の人の願いや価値観を反映するような決定が保障されているか検討べき」と要望しています。
さらに、テノ教授は次のように話しています。
「認知症の人の宗教的願い反映して経管栄養を始める場合もあり、例外を常に設けるべきです。患者が、結果に関係なくどのような生命維持治療を受けるかという宗教的願いを持っているなら、私たちはそうして希望を尊重するような社会となるべきです。こうした決定が患者の願いと価値観に基づくような保障が必要です」
テノ氏自身、脳血管障害のあと終末状態になり2008年10月15日に亡くなった母親の死を念頭におい次のように話しています。
「母は、もし終末期状態の病気になれば経管栄養は行わないように依頼しました。これは母に医療について説明したのちの願いと価値観であり、医療制度がこうした重要な決定について臨死患者の願いと価値観を考慮することが保障されることを希望します。医療制度を改めながら患者の選択を保障することが鍵なのです」
この研究者グループは、ウエブサイトLTCFocUS.orgで、進行した認知症の人への経管栄養の病院別頻度について公表することになっています。
寄稿者、ボブ・デマルコBob DeMarco 氏(写真右)はサイトAlzheimer's Reading Roomの創設者で、介護経験者です。
Alzheimer's Reading Room November 13, 2011 Are Feeding Tubes a Good Alternative for Dementia Patients?
論文Hospital Characteristics Associated With Feeding Tube Placement in Nursing Home Residents With Advanced Cognitive Impairment
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編者:本サイトで既に昨年2月10日付で本サイトに紹介した調査論文に関連した記事。終末期の認知症の人への経管栄養導入が、たまたま入院した病院によってまちまちであることを明らかにしている。このことは我が国でも経管栄養の在り方について検討されているが、病院でまちまちであることは念頭におく必要がある。

認知再構成法は認知症の介護家族に有効(11月11日/イギリス)
認知症の人を家族の介護はとてもストレスが多い。論文の新しい評価によると、特別な心理療法が介護者のストレス、不安、うつ状態を軽減することがわかりました。
認知症の人の介護家族は、身体的な慢性疾患の介護者よりも、負担が多く、うつ状態になりやすいいことがわかっています。
「証拠に基づく療法」にそった論文評価によると、認知再構成法(cognitive reframing)は認知症の人を介護している家族のストレスを軽減するのに役立つことがわかりました。
認知再構成法は、ネガティブあるいは間違った想定や思考によって異なった考えを抱くことを注視し、適応した行動を促し、不安やうつ状態を軽減するような捉え方にもってゆこうとするものです。また認知再構成法は、典型的には、心理学者などからの研修を受けた精神医療専門職によって行われる認知行動療法cognitive behavioral therapy (CBT)のひとつです。
このたびの評価は、認知症介護への心理社会的介入に注目しながら、認知再構成法の特別な効果に初めて焦点をあてたものです。
この評価の結果は、医学研究を評価する国際組織であるコクランコラボレーションCochrane Collaborationの出版物であるコクランライブラリーCochrane Libraryの最新版に掲載されています。
評価した研究者は、認知症に関する教育を行うなどのさまざまな介入によって介護家族にどのように利益が得られているか、また介護責任を担わなければならないという信念やニーズがどのように変化したかをみました。
オランダのラウトバウト大学ネイメヘン医療センターRadboud University Nijmegen Medical Centreのミラ・ヴェルノイジ‐ダッセンMyrra Vernooij-Dassen教授(写真左上)は「この」療法によって介護者の思考や理解の変化し、多くの人に前向きな感情に変わりストレスが軽減するのに役立つということを知った」と話しています。
研究者は、認知再構成法による介入を受けた介護者は、不安やうつ状態の症状が少なく、介護に関わるストレスや苦悩が少ないと感じることを見つけました。
しかし、認知再構成法が介護者自分のストレス管理に役立つとしても、療法を受けても認知症介護者であるという負担や介護技術が変えるわけでもありません。
にもかかわらず認知再構成法は、認知症の人とのより積極的な関係を生みだすようです。
さらに教授は「介護者が自滅的な状態からより建設的な思考への再構築することができたということは、とてもおおきな変化です」と話しています。
証拠に基づく評価の研究で、7つ論文―認知症の人の介護家族に対する無作為対照試験の結果―を検討しました。どの試験も、認知再構成法に限定したものではなく介入の主な要素として認知再構成法が行われたのです。
アメリカのAlzheimer’s Associationアルツハイマー病協会の医療ソーシャルワーカーのベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真左下)は次のように話しています。
「アルツハイマー病は慢性の進行性で死にいたる病気です、この病気の人を在宅で介護することには多くの困難な課題が伴いますが、それは報われるものです。認知症の人の介護家族のストレスを軽減する方法は今後もっと重要となるでしょう。認知再構成法は、介護家族を個別的に支援する多くの一連の相応しい介入方法の一つです。介護者をよりよく支援し教育する方法についての知識を向上させるため、もっと研究が必要なのです」
また教授は、認知症介護者は一人で負担する必要はないと強調し、「支援のひとつとして認知症についての思考や理解を再構築することで積極的な結果が得られる」と話しています。
psychcentral  November 11, 2011 Psychotherapy Technique, Cognitive Reframing, Aids Dementia Caregivers
関連資料:Cognitive reframing for carers of people with dementia
関連情報:認知再構成法の解説「¥ある状況に対する自分の考え方・受け止め方が、自分の感情や行動をネガティブにしてしまうことがあります。認知再構成法は、そのような考えに対処するアプローチです。状況を客観的に捉え、自分を苦しくさせている「考え」に気づき、バランスの取れた考え方を身につける練習をします」(「ジュンクリニック」のサイトより)
編者:我が国での認知症の人を介護する家族への心理療法の試みは少ないようだ。在宅介護の条件を整えることが介護家族にとって基本的要件であるが、条件を整っていても介護者が心理行動的問題を抱えることはある。その場合の支援の選択肢として認知行動療法が有効かもしれない。しかし、この療法を行える人が圧倒的に少ないと思われる。

「オランダで初めての重度認知症患者に安楽死」(11年9日/ポートフォリオ)
オランダで初めての、重度認知症患者への安楽死が行われていたことがわかった。安楽死が実施されたのは64歳の女性で、以前から「もし重度の認知症となった場合には安楽死を希望する」旨を書面で残していた。
その後この女性は認知症が進み通常の生活を送るのが不可能な状態となっていた。混乱し、怒り、泣き叫ぶ中、この安楽死のみを懇願していた。
女性は公式には自分の意志を伝えられる状況にはなかったが、安楽死認可委員会にて今回の安楽死要請が認められた。
この女性のホームドクター、ド・フリーズ医師によれば、今回の安楽死は、オランダにおける安楽死実施に大きな影響を与えるものだとしている。これまで自分の意志が伝えられない患者には安楽死は実施されなかったが、ある条件の元では可能であることが実証された。
オランダでは安楽死は担当医師が、患者からの安楽死の依頼が真剣でかつ自己の意志によるものであることを確信したときにのみ可能となる。今回の安楽死は、患者がまだ重度の認知症になる前に書面で意志を書き残していたことが、キーとなった。自分の子供を認知できない状態になったとき、それは彼女にとっては悪夢だった。彼女の夫と子供たちは彼女の意志を支持し、3月にこの安楽死が行われた。
Portfolio 2011年11月9日 原文のまま)
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編者:オランダでは認知症の人の安楽死は合法的であり実施されている。通常は意思表示ができる状態であり認知症としては重度でない。この事例は意思表示ができない状態での実施として「初めて」とされている。
関連情報:「認知障害進んだ患者で初の安楽死、オランダ」(11月10日/AFPBB News)
【11月10日 AFP】「オランダ死の権利協会(NVVE)」は9日、オランダで3月に重度のアルツハイマー病の女性(64)に安楽死が行われていたことを明らかにした。オランダで認知障害が進んだ患者に安楽死が行われたのは初めて。
オランダは2002年4月、世界で初めて安楽死を合法化した。オランダで安楽死が認められるには、医師が治療不能と診断した病気で極度の苦痛を受けており、患者本人が完全な知的能力があるときに、安楽死を希望する意思を示していたことなどが条件になっている。
NVVEの広報担当者は、この女性はアルツハイマー病が進行した状態が長期におよんでいたが、数年前から安楽死を希望する意志を示していたことを明らかにし、今回の事例は、患者が明確に安楽死を希望していてもアルツハイマー病が進行した患者の安楽死を拒否してきた医師たちへのメッセージになると述べた。
オランダでは安楽死の事例は全て、安楽死が認められる条件を満たしていたか調べるため、医師や法律家、倫理専門家から構成される5つある委員会のうちの1つに報告される。今回の女性患者がこの手続きを終えているかは明らかになっていない。
オランダでは過去に、安楽死を自殺ほう助とみなして関係者に禁固刑が言い渡された例もあった。
(AFPBB News 2011年11月10日 原文のまま)

デイケアセンターの資金不足(11月6日/グアム)
この2年間、ジェスサ・デュネナスJesusa Duenasさん(80歳)は、バリガダデイケアセンターBarrigada Adult Day Care Centerにバスで通っていました。センターは、身体機能の低下した人や障害のある高齢者が交流、手工芸、ビンゴを楽しむところです。車椅子の乗った彼女は、そこを「職場」と呼び、娘のパッティ・マスガPatty Masgaさんに「今日、仕事に行く」と言っています。デュエナスさんは職場に行くのが好きで、週末は行けないので家族はバリガダセンターまで車に乗せて、誰もいないことを見てもらいます。
しかし、彼女が好きなセンターは、今、難しい時期にあります。島に在る二つのデイケアセンターは、カソリックソーシャルサービスCatholic Social Service(CSS)が運営し、公衆保健・社会サービス局Department of Public Health and Social Servicesが助成しています。CSSのダイアナ・カルヴォDiana Calvo事務局長の話によると、合計で6万ドルの予算削減が行われていますが、同時に、センターは利用者をさらに増やしています。
昨年、バリガダダセンターと、アルツハイマー病など認知症の人をみるグアムギネフリー認知症ケアセンターGuma Ginefli'e Dementia Care Centerは、それぞれ、35人の利用者がいましたが。今年、二つのセンターで、さらに26人を追加してみることになりました。
カルヴォ氏は次のように話しています。
「CSSは、もともと、増加する運営費にみあうだけの予算が与えられていました。しかし、センターは、公衆保健局が費用削減し始めると、契約書の再交渉を強いられ、新契約でデイケアセンターに約6万ドルが減額されました」
デェナスさんは、バリガダセンターの無料のサービスに頼っている42人の高齢者の一人で、それを頼りにしているは高齢者だけではなく、娘さんのマスガさんも同様にセンターに頼っています。センターなくしては、マスガさんも家族のために一人で母親を介護しなければなりません。
マスガさんは「センターなければ、仕事を続けられないだろう」と話しています。
予算削減によって、もっとも必要な物品―ゴム手袋、食器洗剤、トイレットペーパ-、漂白剤など―を節約することになりました。
ギネフリーのプログラム管理者のジュリー・ペレス氏は「私たちはこれ以上用意できるものはない」と話しています。
介護時間を減しながら、すべての利用者の介護することは不可能で、スタッフの勤務時間を削減する代わりに、バリガダセンターのペレス・ティモテオPerez Timoteo氏とマリー・ティモテオMarie Timoteo氏のプログラム管理者は、別の犠牲をしなければなりませでした。
二人は、自分自身の給料を削ったのです。新たに提示されたスタッフの役職―有資格の臨床看護師と認定され、患者の薬を管理ことができるように昇格―でも資金的裏付けがありません。デイケアセンターで薬を患者に渡すという計画は中止になりました。センターで登録看護師を1時間長く置くことができなくなったためです。事務や家事の物品の予算もなくなり、ティッシュ、ゴミ箱などの清掃用品の資金もありません。
公衆保健局の一部署である高齢者課は、高齢者を介護するために数人のサービス請負者を雇っています。同課の公表している数値によると、CSSへの助成のうち14万6000ドルが削減されました。CSSは、デイケアセンターのほかに在宅介護、虐待の緊急保護サービスも行っています。
CSSのジェッセ・キャタヘイJesse Catahay副理事長は「政府が風邪をひいたら、私たちが肺炎になる」と話しています。
公衆保健局のジェームス・ギランJames Gillan局長は「公衆保健局の予算は4年前に4600万ドルから2900万ドルに減額した」と話しています。
最近の政府の総点検によって、すべての政府の部署で予算の15%を保留されるよう要請されていますが、実施は容易ではないでしょう。高齢者へのサービスが最初に削減された項目の一つで、先週、送迎サービスと毎日の食事宅配数の上限を下げると発表されました。
これについて局長は「この削減は総点検によるものではない」と話しています。
保健局は高齢者サービスを削減することを決めました。その他のサービスを削減することによって、政府の助成を失う怖れがあります。高齢者ケアの助成の多くは地域からのもので、連邦政府から高齢者サービスへはわずか40万ドルです。地元からの基金は580万ドルです。
二つのデイケアセンターの他には、この島に身体障害あるいは精神障害の高齢者が利用できるサービスはありません。ただし、セントドミククケアホームSt. Dominic's Senior Care Homeがありますが、待機者がいます。
カルヴォ氏は「昨年、CSSは、少なくとも4人のデイケアセンター利用者をその施設に入居させようとしました。デイケアセンターには相応しくないからでした」と話しています。
デイケアセンターのスタッフは自分らの勤務時間を減らして就労を維持していますが、在宅の補助看護師は、不幸にしてそれができません。彼らは勤務時間を2週間で70時間から68時間にへらされたのです。
CSSの在宅サービスブログラムの管理者のメリー・カマチョMary Camacho氏は「数年前のある時期、毎週フルタイムで80時間の勤務があった」と話しています。
マーベル・アグオンMabel Aguon氏は、16年間、補助看護師として在宅介護を担ってきましたが、彼女は次のように話しています。
「私が担当する高齢者の多くは、一人暮らしで、買い物、清拭に介助が必用です。彼らを支えないのは、とてもかわいそうです。1日7人に利用者がいて、新しい時間短縮で、利用者から利用者までの間を急ぎます。サービスを提供するに十分な時間ではありません。自分のことも考えなければなりません。給与が減額され自分の支払いが難しいのです。私たちの多くは、給料日から給料日までやっとで生活しています」
カマチョ氏は次のように話しています。
「CSSは、32人の補助看護師が在宅ケアに実施しています。彼女らは450人以上を担当しています。利用者の4分の1は、一人暮らしで介護者がいません。サービスへの要望がありますが予算の削減で自分なりのやり方で仕事をしなければなりません」
カルヴォ氏は次のように話しています。
「デイケアセンター、ケースマネジメント、在宅サービスの予算削減を含め、基金の再交渉でほとんど12万ドルの減額となります。基金を補うために、私たち非営利団体は、資金調達を計画しています。このなかには11月末の洗車があります。デイケアセンターに必要な用品のカップ、ペーパータオルといった物品の寄付を受け付けています。また年間の提サービスを支えるために1万9000ドルの寄付を集めなければなりません」
マスガさんは次のように話しています。
「デイケアのニーズなにであれ、私は喜んでもっと支援します。とてもすばらしいしい仕事を続けるスタッフに感謝しており、彼らのことは、目立たないところに置かれるのではなく、社会で広く認知される価値があります」
guampdn.com  Nov. 6, 2011 Adult care centers lose funds
編者:アメリカ領のグアムでの高齢者社会保障の制度は私は知らないが、本土と同様に削減製作が影響している。多くの日本人がグアム観光に行くが、その島での高齢者や認知症の人のデイケア、在宅ケアについて考えたことがないのだろう。日本の経験を生かす場にはならないか。なお、写真の人は文中の人ではない。

地震の影響で苦闘する認知症介護家族(11月5日/ニュージーランド)
メロディ・ツリアウMelody Tuliauさんは、母親を銀行に連れていくのを諦めました。速やかなしなければならないことに1時間も苦心するのです。母親が自分の名前を書くのに戸惑って涙ぐむのです。
ツリアウさんは「母はとても混乱していました。自分の名前を書けるはずだと思っていたのが書けないからです」と話しています。
母親のジャネット・マウンセルJanet Maunsellさん(63歳)は、アルツハイマー病で状態が悪くなっています。
ツリアウさんは、カンタベリーCanterburyで起こった地震による激変に対処しながら認知症の人を介護している数千人の人たちの一人なのです。
彼女は4人の子供の母親でフルタイムで仕事をしながら、ニューブライトンNew Brightonにある壊れた施設が取り壊されるのか修理されるのかを聞きたいのです。
2月の地震でツリアウさんの家事に大きく混乱し、さらに母親を苦労して介護しているので一層、緊張したのです。
ツリアウさんは次のように話しています。
「家では水がでませんのでシャワーもできないし下水も利用できませんでした。化学的処理によるトイレを母にはわからないので問題でした。母は心身の働きが低下しました。地震でトイレの問題が生まれ、今トイレは利用できますが母の問題はそのままなのです」
ツリアウさんは、母親がアルツハイマー病のより悪化した状態に向かっていると信じています。トイレの問題が解決されないと24時間介護の施設に母親を入れることにしています。
さらにツリアウさんは「母は泣き続けたり、かんしゃくのような大声を上げることが多くなりました。自分でできないとわかると、泣き始めます。また近所を歩き回り始めました」と話しています。
ツリアウさんは、幸運にも、タイムアウトTime Outの介護者が週に1回訪問してくれ、カンバベリーアルツハイマー病協会Alzheimers Canterburyのボランティアが毎週、散歩に連れて行ってくれます。
同協会の管理者のラル・キャンベルDarral Campbell氏は、次のように話しています。
「母親が外に出かけるのはよいことです。家にはすることが多くて母親が困惑するのです。私たちは、もっとボランティアがほしいのです。50人の認知症の人が1人のボランティアの援助を待っています。アルツハイマー病協会は、毎年行っている5月の資金集めの街頭行動を中止しなければなりませんでした。通常、集まる約3万ドルがないなかで確実に増えた業務の増加に対処しています。全体として、地震の影響が介護者に及んでいます。かれらは影の英雄です。介護する自分の荷物が増え、さらに認知症の人のための日々の支援もしなければなりません。協会は、認知症の人が在宅で暮らすことがもっとも幸せであると考え、彼らを地域で支えるための社会資源として貢献しています。一般的に認知症の人は、規則的であること、決まったやり方ですること、親密であることによって、より対処しやすいのです。こうしたことが地震が相当、影響を受けました。決まったやり方ができない、家や人や道が変わった、店がなくなったのです。こうしたことすべてに、誰もが最善だったときいに面食ったのです。これは認知症の人にとっては、とても重大なことです」
stuff.co.nz 05/11/2011 Dementia carers are quake's unsung heroes
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編者:ニュージーランドの地震に影響についての新たな報道だ。日本の3.11にも関連する。

「「認知症、介護…日本に学べ」韓国で日本映画話題」(11月5日/中国新聞) 
【ソウル共同】認知症と介護をテーマにした日本映画「折り梅」(松井久子監督)(写真)が韓国で劇場公開され、話題を呼んでいる。韓国では将来、急速な高齢化の進行が予測され、介護問題や独居老人の増加が深刻化するのは確実。韓国の配給会社は「老いや家族の問題を考えるきっかけにしてほしい」としている。
実際の介護体験記を基にした「折り梅」は、日本では2002年に公開された。アルツハイマー型認知症と診断されたしゅうとめを、同居する嫁が衝突を経ながら理解していく話で、原田美枝子さんや吉行和子さんが出演。日本の観客数は延べ200万人を超えたという。
韓国の配給会社関係者が映画のDVDを入手したのをきっかけに劇場公開が実現。題名を「大切な人」とし、9月からソウルなど各地で順次上映中。高齢者に配慮して字幕ではなく、韓国語の吹き替え版を作った。
韓国統計庁によると、同国の65歳以上の人口割合は10年は11%だが、50年には38%に達する見通し。配給会社チョアの金秀貞理事は「韓国で老いや認知症を正面から取り上げた作品はなかっただけに、多くの人に見てもらいたい」と話す。
松井監督は「時代に左右されない家族の姿を受け止めてほしい」と話している。
中国新聞 2011年11月5日 原文のまま

★認知症の人への薬物的拘束で医師が服役のおそれ(11月2日/イギリス)
医師らは、認知症の人を鎮静させるために死亡する怖れのある「薬物的鎮静」として抗精神病薬を使わないようにする計画によると、最高5年間の服役が科せられることになるでしょう。
ポール・バーストーPaul Burstow保健大臣(写真)は、「毎年、抗精神病薬を服用することで1800人が死亡していると推計され、さらに多くの人が脳血管障害などの重篤な副作用を受けている」と話しています。
介護施設の職員は、興奮したり混乱している認知症高齢者をおとなしくさせるための薬は安易な方法とみましています。
昨年、大臣は、高齢者介護施設の入居者と認知症の人への抗精神病薬の処方件数を今月末までに当時の18万件から6万件ほどに減らすことを目標としていました。しかし、その後の情報から、その見通しが明るくなく目標は失敗との証拠があります。
大臣は「現在の合意された方法で処方を3分の2までに減らすことができないなら、政府は法律を改正して、抗精神病薬の処方を「意思決定能力法Mental Capacity Act」のもとで自由確保の剥奪に相当するだろう」と述べ、本日、リバプールで開催される「第6回イギリス認知症会議6th UK Dementia Congress」(pdf2.3M)の講演でその法律の詳細が報告されるでしょう。
政府の計画によると、医療職は、プライマリケアトラストや地方政府に抗精神病薬を処方するまえに承諾申請が義務付けられているようです。新しい法律では違反に対する罰則は、故意の無視として有罪となった人には最高5年間の服役が科せられるでしょう。
telegraph.co.uk 02 Nov 2011 Dementia doctors may face jail for using chemical cosh
関連情報:Mental Capacity Actの日本語解説
編者:厳しい法律で日本では考えにくい。認知症の人への抗精神病薬が日常的に使われ減少していないと深刻な事態との認識に立ってのことであろう。それにしても抗精神病薬で認知症の人を鎮静させることが自由を奪うとの視点は日本では乏しい。これが薬物的拘束の禁止の理念なのだろう。我が国では抗精神病薬の使用実態も明らかでない。

認知症は国の優先課題(10月26日/ニュージーランド)
ニュージーランドの認知症の人数は次の30年以内に2倍になり、家族と、すでに既に重い負担となっている医療制度への要求が増大します。
オークランド工科大学Auckland University of Technology(AUT)の研究員のグレース・オサリヴァンGrace O’Sullivan氏(写真左上)によると、認知症と診断されたからといって人生が止まるわけではないのです。
彼女は、地域の認知症の人の日常生活を研究していますが、28日にAUTのキャンパスで開催される認知症ケアの会議で認知症の影響について議論します。
オサリヴァン氏は「認知症と診断されると、知らないことへの恐怖と将来への失望に引きつがれることがあります。ニュージーランドでは人口の高齢化が進むなかで認知症と診断された人の生活の質の改善を考えなければなりません」と話しています。
彼女は、作業療法の優れた支持者であり、高齢者には生活の質への権利があるとすることでよく知られた推進者ですが、認知症の人についての彼女の業績が認められ雑誌「ノースアンドサウスNorth and South」で、2010年の「年間ニュージーランド人New Zealander of the Year(保健・医療部門)」に指名され、同じ年「フランチェスルーサーフォールドレクチャーFrances Rutherford Lecture賞」も受賞しました。
現在、認知症はニュージーランドでは65歳以上の死因の第4位です。現在、ニュージーランドには認知症の人が4万1000人以上いますが、2050年までにこの数は2倍になるでしょう。
さらにオサリヴァン氏は次のように話しています。
「認知症は医療の国家的優先課題とすべきです。衰退させるこの病気に人と経済と社会の面での影響についてもっとなされるべき時なのです。認知症と診断されて人生が止まるものではありません。診断を受けた人と家族にとって、生活の在り様は永久に変わってしまいます。認知症を社会がどのように受けとめるかは、認知症の人がどのように自分自身を見なしことに大きな影響を与えます。これは、認知症の衰弱させる症状へどう対処するか、最終的に彼らの人生への影響にどう対処するかその能力をも左右するのです」
ニュージーランドで認知症への財政的費用は7億1200万ニュージーランドドル以上ですが、すべてのOECD諸国の認知症研究への資金面では最下位です。
さらに彼女は「家族がなんらかの支援を受けていると、在宅で認知症の人を介護する必要がある」と話しています。
世界的な認知症の専門家で、スコットランドにある「スターリング大学認知症サービス向上センターStirling University’s Dementia Services Development Centre」の所長のジュン・アンドリュJune Andrew教授(写真左中)は、今回の会議で講演する予定です。彼女は、認知症サービスの改善のため、政府、地方団体および保健サービス団体から世界的に招請されています。最近、ロバート・ティファニー国際賞Robert Tiffany International Awardを受賞し、講演もしています。シドニーの「認知症センターDementia Centre」のコルム・カニンガムColm Cunningham所長(写真左下)も会議で講演する予定です。彼は、書籍「急性期治療における認知症の人のケア‘Caring for People with Dementia in Acute Care Settings」の共同執筆者です。
認知症ケア会議は、10月28日金曜日午前9:00からからAUT(AF会議センターAF Conference Centre)で開催されます。
auckland.scoop October 26, 20110  Dementia rates to double within 30 years, predicts AUT researcher

アルツハイマー病の人に白内障手術はよい(10月25日/フランス)
10月22日から25日までアメリカ・フロリダ州のオーランドで開催された2011年アメリカ眼科学会年次会議American Academy of Ophthalmology (AAO) 2011 Annual Meetingで、フランス・パリのテノン病院Tenon Hospitalのブリジット・ギイラールBrigitte Girard医師(写真左上)が、アルツハイマー病の人の白内障手術がよい影響を及ぼすと発表しました。これは彼女らの研究チームが「アルツハイマー病の視力と生活Life from Vision in Alzheimer Disease (VIVA)」という4カ月におよぶ介入追跡調査によるものです。
ジラール医師は次のように述べています。
「研究の目的は、進行した白内障によって視力障害をもつアルツハイマー病の人にたいして白内障手術を実施することが神経心理学的にどのような利点があるかを評価することです。その際の私たちの仮説は、進行したアルツハイマー病の人では白内障によって認知機能障害を悪化させ、コミュニケーションを困難にするというものです」
調査は、手術後の1カ月と3カ月の時点で評価し、主な評価対照と方法は、患者の行動(Neuropsychiatric Inventory)、介護者の負担、認知機能(MMSE、Alzheimer's Disease Assessment Scale)、自律性(Instrumental Activities、Autonomy questionnaire)、うつ状態(Geriatric Depression Scale, Cornell Scale for Depression in Dementia)としました。
評価の結果、「変化なし」および「改善」は「結果良好」とみなしました。
対象者は、パリに在る老年科外来のアルツハイマー病の人で46人です。手術はすべて同一の病院で行いました。42人には水晶体超音波乳化吸引法( phacoemulsifications)を行い41人には眼内レンズ術を行いました。手術時の興奮について調査の対象外としました。また37人に局所麻酔が必要でした。
対象者は、平均年齢が86歳、85歳以上が23人、90歳以上が9人で、82%が女性でした。
調査の結果、白内障手術で視力が優位に改善し、行動―特に睡眠行動―が改善し、うつ状態が軽減しましたが、これはとくに認知症が軽度の人でみられました。他方、興奮や行動が増えた人もいました。手術後の介護者への負担は25%改善しましたが、25%で悪化がみられ、これは特に興奮が増えたためです。
さらにジラール医師の次のように述べています。
「今回の調査は、世界で初めてのものでアルツハイマー病の人への白内障手術の利益に関するものです。アルツハイマー病の人でも視力は十分に改善しましたが、手術によって認知症全体の状態が変わったわけではありません」
アリゾナ州・ツーソンにあるフィッシュカインド・ベイクウエル・モルツマン・アイケア・手術・センターFishkind, Bakewell & Maltzman Eye Care and Surgery Centerのウリアム・フィッシュカインドWilliam Fishkind所長(写真左中)は次のように述べています。
「これはすばらしい研究です。私たちは、よい日もあれば、よくない日もあり、患者の結果がまちまちだろうと思っていました。しかし、たとえ認知症があっても、生活の質を向上させることができ、介護も改善するということを証明して正しい方向を示した第1歩の研究です。こうしたことが往々にして起こることを知ってうれしい」
ペンジルバニア州コロラドスプリングヘルスパートナーズColorado Springs Health Partners PCのスティーヴン・デウェイSteven Dewey医師(写真左下)は次のように述べています。
「これは対象事例の研究ではありません。白内障手術を受けなかった患者たちを対照とした研究ではないのです。もしそうした研究であれば、白内障手術がアルツハイマー病の人を助けるのに間違いない利益をもたらすと理解できるでしょう。しかし手術を受けない対照群は、多分すべての患者が悪くなることでしょう」
この研究は、パリ公的病院助成Assistance Publique-Hopitaux de Parisの援助によるものです。ジラール医師は、経済的利害関係のある団体ないと公表しました。フィッシュカインド医師は、アボットメディカルオプチックスAbbott Medical Optics、レンズAR LensAR、ティーメメディカルパブリッシャーズThieme Medical Publishersと利害関係があると公表しました。デウエイ医師は、アボットメディカルオプティクスとマイクリサージェリーテクノロジーMicrosurgical Technologyと利害関係があると公表しました。
この論文は、アメリカ眼科学会American Academy of Ophthalmology (AAO)の2011年年次会議2011 Annual Meetingで2011年10月25日に発表され、抄録番号はPA085です。
medscapetoday October, 25, 2011 Cataract Surgery Helps Patients With Alzheimer Disease
関連情報:AAOニュースリリ-スMood, Cognitive Ability and Sleep Patterns Improve in Alzheimer’s Patients After Cataract Surgery
編者:記事の指摘どおり対照群のない調査で主観的介入が入りうるので結果の解釈は慎重でなければならないが、白内障による視力障害のあるアルツハイマー病の人が白内障手術を受けることによるデメリットは少ないとみてよいだろう。なお、この報告は学会の口頭発表で論文自体は見つからない。それにしても通常の医学記事で研究結果のコメントをする人についても利害関係のある団体について公表するようことには驚く。我が国では報告者は利害関係を公表しなければならないが、記事でのコメントまでということはない。

★アルツハイマー病にはチームアプローチ(10月24日/アメリカ)
アルツハイマー病はアメリカの死因の第6位で、障害の主要な原因です。毎年約1830億ドルがアルツハイマー病に関係したケアに使われ、これが2050年までに10兆ドルになると推計されています。
現在進められている研究の標的は、アルツハイマー病の進行を効果的に抑え治療を向上させるために脳の早期変化と早期診断です。しかし、この目標が実現するまではアルツハイマー病の人たちのケアが必要です。
現在、利用できる薬はおだやかな効果しかありません。また試験中の多くの治療法は、アルツハイマー病がアミロイドという脳細胞に毒性がある蛋白の蓄積によって起こるという仮説に基づいて行われています。
しかし、これらの治療法は効果がありません。
慢性的に経過する病気の特性および現在使える薬の効果が限定的であることから、アルツハイマー病には医師、ソーシャルワーカー、その他の専門職による多職種のチームで取り組まれるのがもっとよいのです。
医師は、病気の評価、診断、治療の技術を提供します。ソーシャルワーカーは、アルツハイマー病の人たちを教育し、家族全体を支え、さまざまな地域にある資源の連携を図ります。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationは、家族らへの教育と支援についてはとても重要な資源です。介護者を支えることは、薬と同じぐらい有効です。理学療法士、作業療法士、言語療法士、薬剤師などもアルツハイマー病の人たちを支えます。ホスピスや緩和ケアは病気の最期でとても役立ちます。
アルツハイマー病に関して進歩が続くことを期待します。国家アルツハイマー病プロジェクト法National Alzheimer's Project Act が、最近、法律となりました。その諮問委員会は、この病気の全体像をよりよく理解し、研究やケアの努力へ直接的に支援するために発足されました。
この地域では、レキシントンで初めての加齢と認知症に関するマーケスベリーシンポジウムMarkesbery Symposium on Aging and Dementiaに、全国から集まった研究者が、故ウイリアム・マーケスベリWilliam Markesbery医師―ケッタッキー大学サンダースブラウン加齢センターUniversity of Kentucky Sanders-Brown Center on Agingの長い所長―の貢献に賛辞を寄せました。
寄稿者:グレゴリー・クーパーGregory Cooper医師(写真)は、セントラルバプテスト病院Central Baptist Hospitalのバプテスト神経センターBaptist Neurology Centerの神経科医です。
Kentucky.com Oct 24, 2011 Team approach best for treating, dealing with Alzheimer's
編者:アメリカの一神経科医の簡潔明快なコメントであるが、具体的に病院でどのように取り組まれているか知りたい。

★高齢者の10人に一人が認知症(10月24日/香港)
2008年に行われた調査によると、香港の70歳以上の10人に1人は認知症―記憶、思考、言語、判断が影響を受ける―です。
保健局Department of Healthと香港中文大学Chinese University of Hong Kongが2008年に共同で行った調査には、家族調査として無作為に選ばれた6100人が参加しました。このうち2073人の高齢者が、疑いまたは明らかな認知症の可能性があること判定されました。
この結果が昨日発表され、60歳以上では認知症は7.2%、70歳以上では9.3%でです。
認知障害関連連盟Cognitive Disorders Concern Allianceの議長で神経科医であるヴィンセント・モク・チュントンVincent Mok Chung-tong教授(写真左)は次のように述べています。
「この数値から香港には7万人以上の認知症の人がいることになります。このうちアルツハイマー病が約63%です。この人たちの90%はこの問題を認識をしておらず、病気が進行してしまうまで医療を受けようとはしません」
家族は、症状があきらかなって日常生活を壊れる前に認知症の早期診断の要となります。
56歳の呉氏は、80歳の母を10年間介護することで欲求不満になり、攻撃的行動、感情の起伏、幻覚、いわれのない非難に対処するのが難しいと話しています。母親を介護している彼を助けるために妹さんが8年前ニュージーランドから香港に帰ってきました。
モク医師は「病気が治らないにしても、薬で進行を遅らせたり、介護者の負担を軽減することはできる」と話しています。
フランシス・マク・ユーソウFrancis Mak Yun-sau氏(写真右)は、有名なディスクジョッキーですが、母親が認知症と診断されてから6カ月に67歳で死亡しましたが、次にように述べています。
「母は、1年に4回、行方不明になりました。2004年には3日間行方不明になったのです。電話で私を夕食に呼ぶのを止めた時、何か悪いことがあるのかと思いました。その時電話番号のダイアルを回ることができないことがわかりました」
2006年の国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Internationalのレポートによると、香港の認知症の人数は2005年の6万人で、2050年には33万になると推計されています。
The Standard Monday, October 24, 2011 One in 10 seniors hit by dementia, study finds
関連情報:香港アルツハイマー病協会Hong Kong Alzheimer's Disease Association

アルツハイマー病は残忍だ(10月20日/カナダ)
認知症の人が急増していることは社会政策に困難な課題となるでしょう。
アウグスト・アッハターホルトAugust Achterholtさん(写真左上の左)は、話が好きで、とりとめのない長い話は、家族のちょっとした楽しみでもありましたが、最近の数年間は、笑うこともなくなりました。
アッハターホルトさんは、多くのことを忘れるようになり、家族を名前も忘れ、職業で話しかけるようになりました。母国の言葉―ドイツ語―で話すことが多くなったのです。さらにうつ状態にもなり、ブリティシュコロンビア州(BC)のサレイSurreyに在る自宅で24時間の介護が必要となってしまいました。自宅では55年間連れ添った妻のエリカErikaさん(写真左上の右)が、今年の初め脳血管障害になり世話ができなくなりました。
現在、彼は83歳でまったく話ができません。ツォーニイアルツハイマーセンターCzorny Alzheimer Centreで生活し車椅子で寝ている状態で、妻は彼の手を握り、娘のモニカ・ブランバーダーMonica Brabanderさんが彼についての次のように話しています。
「たった一つの言葉で言い表すと、アルツハイマー病は『残忍』です。ゆっくりと父は混乱し怒るようになり、本当のキツイことでした」
2009年、カナダアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Canadaが発行した報告書「上げ潮:カナダ社会への認知症の影響Rising Tide: The Impact of Dementia on Canadian Society(pdf3.7M)」によると、アッハターホルトさんはカナダの48万人の認知症の人の一人です。2008年の1年間で65歳以上のカナダ人でアルツハイマー病など認知症に新たになった人は10万3700人で、5分毎に1人なっていることになります。しかし2038年までに、その新患者は毎年25万7800人―2分間に1人―になり、2030年までに認知症の人数は112万5000人になると予測しています。
全国的にみると、直接の経済的負担は2008年で99億カナダドルで、2038年には、生産性の損失、労働者の社会からの撤退などを勘定して970億カナダドルの社会的費用が予測されています。
BCでは、現在、認知症の人は7万人ですが、その数は、ベビーブーマーの高齢化で増えるでしょう。この「認知症津波」に準備はできているのでしょうか、一言でいえば「ノー」ですと、BCアルツハイマー病協会Alzheimer Society of B.C.のCEOであるジーン・ブレイクJean Blake氏(写真左中)が話しています。
ツォーニイアルツハイマーセンターは、施設のようには見えないのです。三つのコッテジとラベンダーやマツガサギクの庭、サレイの田舎道にそった建物で、田舎の静養所という印象です。
36床のこの介護施設は、デザイン面でも落ち着いています。施設の構造は、認知症介護に関わる総合的で人中心の視点が反映されています。共同使用のキチン、リビング、暖炉があり、各入居者は部屋の外側に「思い出ボックス」を備え写真や思い出の品を展示しています。猫やウサギがホールで動き回り、中心部では音楽療法、レクレーション、温泉設備、ヘアーサロンで、ホールではピアノがあってダンスもできます。
このセンターの管理者のドリー・フェルスターDorrie Ferster氏は「全くの人中心のケアで、私たちがどのような介護をするかの視点です」と話しています。
家族はその違いに気付き、昨年の冬にアッハターホルトさんがここに移りましたが、娘のブラバンダーさんは「父がここで生活することはとても良いと感じ、私たちにとってセカンドハウスのようなものです」と話しています。
この施設はの2007年にオープンしましたが、寄贈者のマリリーン・スチュワートMarilyn Stewart氏の父のマイケル・ツォーニイMichael Czorny氏の名前が付けられました。彼は9年間、この病気と闘い、その記念として1000万カナダドルと3.2ヘクタールの土地が寄贈されたのです。この施設は、フレイザーヘルスFraser Healthのネットワークの一部ですが、増えた介護の需要に応えて72床に拡張中です。
さらにブレイク氏は次のように話しています。
「ことは圧倒的です。現在、予算上のことを考えるととても大きな問題です。これはカナダだけでなく地球規模の問題です。信じられないほどの家族への影響と社会全体への波及効果を見ることになるでしょう」
アルツハイマー病の基本的に避けられない危険因子は加齢です。2008年、60歳以上のカナダ人でアルツハイマー病の人は7%を占め、90歳以上では49%を占めました。
親や兄弟がアルツハイマー病だと発病の危険性は高まります。その他の危険因子は、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、頭部外傷、うつ状態、肥満です。
若い人もアルツハイマー病になり、65歳未満のアルツハイマー病のカナダ人は7万人います。
BC州の主たる紹介先であるBC大学University of B.C.のアルツハイマー病・関連疾患クリニックAlzheimer Disease and Related Disorders Clinicで臨床准教授で行動神経科医のディーン・フォティDean Foti医師(写真右上)は39歳のアルツハイマー病の人を診た経験があり、次のように話しています。
「50歳未満のアルツハイマー病の人のほとんどは家族歴を持っています。しかし、50歳代および60歳代初めアルツハイマー病の人の多くは家族歴がありません。発病する理由がわかりません。不思議なことです。何故、アルツハイマー病になるのかその原因を私たちは知らないのです」
BC大学の麻酔学・薬学・治療学部Department of Anesthesiology, Pharmacology and Therapeuticsのジェームス・マックラーノンJames McLarnon教授(写真右中)は、アルツハイマー病の秘密を明かそうとしてきましたが、次のように話しています。
「治癒が遥か先にあることを認めています。臨床的に証明された薬物療法の希望が近づいているという事は、現在ないのです」
科学者は治癒を目指して研究していますが、私たちの医療制度を相応しいものにしなければならないでしょう。
ビクトリア大学University of Victoriaの加齢センターCentre on Aging加齢センターの社会学者であるニーマ・チャッペルNeena Chappell教授(写真左下)は次のように話しています。
「制度を根本的に入れ替えなければなりません。医療制度は、現在、高齢化社会に対応できていませんが、まだ若い世代の急性疾患に対処するためのシステムに向かっているのです」
サイモンフレザー大学Simon Fraser Universityの老年学研究センターGerontology Research Centreのグロリア・ガットマンGloria Gutman名誉教授(写真右下)は次のように話しています。
「認知症ケアの専門職の教育では、認知症の人の混乱した行動が脅えと理解できるようにすることが重要です。たとえ研修を受けた職員でも多くの施設が身体を洗う乾かすといった介護のための職員も少なく、彼らは良い介護の証となる人中心のケアといったことに関わる余裕がないのです」
アルツハイマー病:診断と予防
アルツハイマー病の早期診断はとても重要です。もし診断を受けていないと自動車事故、服薬の間違い、金銭の間違い、行方不明などにつながります。
しかし、アルツハイマー病の早期警告の症状はよく理解されてはいません。症状として、断片的な記憶喪失、学習やしなれた作業が困難、集中できない、道に迷う、言葉がでにくい、間違って物を置く、曖昧な判断、気分、行動、性格の変化があります。
病気が進行すると、自分の生活歴、現在の出来事、家族まで忘れ始めます。
アルツハイマー病は元に戻ることはありません。予防は最善の医療です。予防として、上手に食べる、運動する、頭部外傷を防ぐ、社会的知的活動を続ける、禁煙、ストレスや鬱状態を管理する、人との繋がりを保つことがあります。
さらに定期的に医師の診察を受け、記憶や知的機能に関心をもつことです。
診断を受けたあとは支援を求めましょう。
BCアルツハイマー病協会の認知症電話相談1-800-936-6033に電話してみましょう。
または協会のサイトwww.alzheimerbc. org を見て協会が提供している支援について知りましょう。
The Province October 20, 2011 One word: 'brutal')

「ドラム療法」(10月20日/イギリス)
イギリスのロウストフトでは、新しいビジネスとしてドラムがドンドン叩かれています。
人事担当だった人がストレスと軽減し人に自信を与えるようにドラムと叩くという新しいビジネスを始めました。
ロウストフのアヴェニューに住むカチナ・チャップマンKatina Chapman氏(41歳)(写真左)は、自らの精神性に基づくビジネス「光の螺旋Spiral of Light」を始めました。これはドラム療法を通して人々を助けようとするものです。
チャップマン氏は、20年近く個人企業で働き、その後4年近く人事を担当者としてプスイッチのオトレイ大学Otley Collegeで仕事をして、それを辞めて新しい事業を始めたのです。
チャプマン氏は次のように話してします。
「3月に大学を辞め、自分の仕事を始めました。いつも代替療法に関心があり、2006年、結晶療法crystal therapyの研修を受けました。4月にはウイルシャイアーにあるイギリス音療法学院British Academy of Sound Therapyで音療法コースを終了しました。音療法とその実践を多く行ってきました。理想はグループで行うことです。父は92歳で認知症ですが昼食にぶらりと来ては、ドラムを叩き始めました。彼がドラムの片方にいて私が反対側に居てリズムを打ちました」
その後彼女は、地元のデイケアセンターに行き高齢者と一緒に音療法を行いました。
さらに彼女は次にように話しています。
「2つ3つのゲームから始めました。何か活動的なことをするのはよいことだとよく言われます。それは本当に素敵な演奏でした。彼らが椅子に座っているあいだ、できることをしてもらうのでとてもよいのです。施設とコンタクトをとりその反応に驚きました」
彼女は、認知症の人と一緒に行い、数週間後に第2回の演奏のため戻ってきたとき、彼らは「ドラム婦人」と覚えおり、自分たちが演奏したリズムを思い出したのです。
また彼女は、学習障害のあるオトレイ大学の学生と一緒に演奏もしました。
大学のサンドラ・グラントSandra Grant氏は次のように話しています。
「学生は本当にその演奏を楽しんでいました。カチナさんが再び戻ってくることを希望します。彼女は、本当に熱心で効果をもたらす人だからです」
さらにチャプマン氏は次のように話しています。
「大学で演奏は、とてもよく受け入れられたようでした。学生はいろいろな楽器によく反応していました。父が認知症の人と実施するという着想を与えてくれました。良いことに、音楽の才能がなくてもよく楽譜を読めなくてもよいのです。ここから有益なことを見出すことができます。やり遂げようとする点は、人々に自信を持たせることです。私が人事の仕事をしていたとき、ストレスで病気になった人たちをみました。彼らに自分の人生を管理できるよう応援したいと思っていました」
この仕事にについてさらに知りたい人は、サイトwww.spiraloflight.co.ukをみてください。
EDP24(Eastern Daily Press24) October 20 2011 Lowestoft woman starts drum therapy business to help dementia sufferers)
編者:ドラム療法は初めて知った。音楽療法の一つであり、音楽療法の基本かもしれない。日本やアメリカで以下の団体があるが、認知症の人への取り組みはよく分からない。
日本:Rhythm in Life(リズムインライフドラムサークルファシリテーター協会(DCFA
アメリカ:DAD (Drums and Disabilities)

介護経験者が現役介護者を支える(10月20日/イギリス)
認知症の人を介護した経験のある元介護者が、新たに介護することになった人たちを支えという新しい制度が、ロンドンのウオルトハムフォレストWaltham Forestで最近、始まりました。
この「保護企画」は、ウオルトハムフォレスト介護者協会Waltham Forest Carers Association (WFCA)によって始められ、認知症の人と家族を助けるさまざまな方法を追求しています。
WFCAの介護支援者コーディネーターのマジー・プレイルMaggie Playle氏は次のように話しています。
「介護者サポーターは、他のひとにはない特異なことができ、たんに話を聴き、前向きな激励をして、経験や支援を共有できます。このユニークな制度の目的は、新たに介護することになった人が地域で活発に生活する力を高め、これまでにはない異なる生活への挑戦を認識し受容することにあります。最近、認知症の人を介護することになった人は、病気の異なる段階での介護上の問題に直面し、とくに最初の一年間、それに合わせるのがとくに難しいのです。介護経験者が、そうしたときにどのように対処するかを助言します。認知症に合わせ、その変化に対処することは、大変なストレスの原因となり、介護者に大きな負担感を引き起こします。この介護者支援者プログラムは、介護者が対処するのを助ける一つの方法です」
この計画にボランティアとして関心がある元介護者は、短期間の説明会に参加し、情報冊子を利用することができます。
今回の画は、国立保健研究所National Institute of Health Research、国民保健サービス北ロンドン東ロンドントラストNHS North London East London Foundation Trustおよびカレッジロンドン大学University College Londonのよって助成されています。
またWFCAは、介護者の中核となる所と一連の支援グループを作るため委員会から委託されたものです、
thisislocallondon.co.uk/ 20th October 2011 WALTHAM FOREST: Dementia carers support scheme launched
編者:元介護者が現介護者を支えるということは「家族の会」がある程度、実績がある。それをイギリスの一地域でボランティアとして組織化しようとするものらしい。

★キューバのアルツハイマー病の人は2030年までに2倍(10月18日/キューバ)
ハバナ医科大学の神経退行性疾患病理研究所のフアン・リーブレ・デ・リロドリゲスJuan Llibre de Rodriguez所長(写真後列左から2番目)は次のように述べています。
「キューバにはおおよそ13万人のアルツハイマー病がいて、その数は2030年までに2倍になります。キューバは60歳以上の人が人口の17.9%を占め、ラテンアメリカで高齢者が2番目に多い国です。今後10年間でこの数は25%増えます。65歳以上ではアルツハイマー病になる人の割合は5歳ごとに2倍になる傾向があり、85歳では約50%の人がアルツハイマー病です。認知症は、一般的に医療、社会、経済の問題となりつつあり、とくにキューバのように寿命が長い国では問題なのです。このためこの国で予防についても検討すべきです。世界には3600万人の認知症の人がおり、全人口の0.5%ほどを占め、急速に増えています」
ロドリゲス所長は、第5回ラテンアメリカアルツハイマー病会議V Latin American Congress of Alzheimer'sの組織委員会議長でもありますが、会議前会議の一つは、キューバでのあ治療経験からアルツハイマー病の管理に関する理論的実際的なガイドラインの適応がテーマです
18日からキューバで始まる国際会議には、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの20以上の国から研究者が参加します。
cubaheadlines 10 / 18 / 2011 Alzheimer's in Cuba will double for 2030
サイト内関連記事
編者:写真はADIの10/66 dementia research groupのサイトに掲載された2006年の10/66グループの会議のときの写真で、以下の説明がある。
The investigators at Bellagio, 2006 ? Back row Natalya Mikhaylova, Juan Llibre de Rodriguez (Cuba), Daisy Acosta (Dominican Republic), ES Krishnamoorthy (India), Cleusa Ferri (UK), Ana Luisa Sosa (Mexico), Melanie Legg (ADI, UK), Mira Josic de Hernandez (Venezuela), Martin Prince (UK) ? Front Row (Ana Lichatriowicz (BBC, UK), Richard Uwakwe (Alambra, Nigeria), Kathleen Hall (USA/ Nigeria project), Mariella Guerra (Peru), Renata Sousa (UK), Aquiles Salas (Venezuela), Yueqin Huang (China)

認知症サービスの利用待機者が増えている(10月18日/アイルランド)
アイルランドアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Irelandは、認知症サービスの利用待機者が昨年と比べ20%増えていると非難しています。
人口構成の変化と認知症になる高齢者が増えている結果、休息ケア(レスパイトケア)、デイケア、在宅ケアへの要望が増えています。2009年でサービスへの要望は単年で3分1増加したのです。
政府の予算前に受け付ける要望のなかで、アルツハイマー病協会は、アルツハイマー病の人へのケアを提供する団体への政府の資金を一層削減しないことを要請しています。協会は、現在、政府からの1150万ユーロの助成を受けています。
昨年、予算が85万ユーロ分削減されました。協会は、さらに削減されることで年々多くなっている要望に応えられなくなると恐れています。また協会は、政府に2013年までに国家認知症戦略を公表することの約束を要請しました。
認知症は、人口に占める高齢者が増えるにしたがい、人口面の時限爆弾とされてきました。現在、アイルランドに認知症の人は4万4000人(このなかには65歳未満の4000人も含む)いると推計されていますが、この数は2026年までに7万人以上、2036年までに13万になると予測されています。
アルツハイマー病協会の事務局長のモーリス・オコネルMaurice O’Connell氏(写真左)は、「政府が財政的に困難なことは認識しはいますが、将来的にもサービスがうまく提供できるように資金とサービスについては柔軟に対応したい」と話しています。
The Irish Times  October 18, 2011 Dementia waiting lists up by 20% in the last year)
編者:ヨーロッパの国々が財政的に困難な状況にあるなかアイルランドも認知症関連予算が削減されている。日本も例外ではないだろう。これに対して日本も含め各国で認知症の人と家族がどう対処したらよいのだろうか。それにしてもアイルランドアルツハイマー病協会は政府から年間10億円以上の助成を受けている。2007年の年次報告書簡易版(ASIAnnual Report 2007 pdf 1.56 MB)を見ると協会が行うケアサービスの支出にほぼ同額の政府助成があり政府の委託事業を行っているようだ。

★アルツハイマーカフェはアメリカで少ない(10月16日/アメリカ)
アルツハイマーカフェAlzheimer's cafeは、リラックスできる普段の環境のなかで認知症の人と家族を支援します。社会性のあるその環境は、参加者が自分自身であるように支えます。
アルツハイマーカフェは、ユニークな社会性のある環境で、参加者は認知症に関して話し合うことができます。目標とするところは、認知症の人と家族が日々経験していることを犠牲と捉えたりせず軽視しないで受容的な雰囲気を作ることです。カフェは、喫茶店やレストランに作るべきではなく、食事で引く付けるものでもありません。昔ながらの社会性のある親密さ、心地よさ、田舎のカフェの特徴をもった雰囲気が重要なのです。
どこにアルツハイマーカフェの作るか
アルツハイマーカフェは、喫茶店風の雰囲気が必要で、たとえば地域センターや図書館の会議室のようなグループで集まるに相応しい集会室に作ります。学校の教室や教会の社交室も検討してよろしい。集いは毎月、午後か夕方に開くのに相応しいなら地域のレストランでもかまいません。毎月、定期的に使用できる集いの場を見つけましょう。
集いの場所についての特別に注意すべきことは、ナーシングホームや介護付き施設はアルツハイマーカフェに最善でなないということですが、最後の手段としては使ってもよいでしょう。その場合、日課のなかに出かけることを機会も用意しましょう。施設の入居者、家族、介護者が1,2時間、医療施設的な雰囲気から離なれて外出できるようにします。カフェは、支援グループの集いにように社会的な集まりです。
アルツハイマーカフェに用意するもの
トランプ用机や折り畳み式の椅子は催しものに役立ちます。机はテーブルクロスで覆います。ろうそくやテーブルの中央に装飾物を置くのもよろしい。部屋をほの暗くし、ろうそくの火で雰囲気を作るのもよろしい。クラッシク音楽やイージーリスニングのよう軽いバックグランドミュージックを流します。ポンチ、小さいサンドイッチ、クッキーなどの用意するのも望ましい。集いと参加者による共感の集いを始めます。参加者はゲストスピーカーの話を聞いたり小さなグループに分かれて話し合います。短時間の演芸を楽しめるとよい。
アルツハイマーカフェの概念と目的
アメリカ退職者協会American Association of Retired Persons(AARP)の機関誌AARP Bulletinの2011年4月号によると、カフェの普及は14年前のオランダで始まりました。記事のなかでステイシー・ギリアムStacy Gilliam氏は「カフェはアルツハイマー病の人と介護家族に安全な空間を提供し、同じような経験を分かち合い、話し合ってリフレッシュする」と書いています。
オランダアルツハイマー病協会Dutch Alzheimer Societyの冊子「アルツハイマーカフェ:設立のための指針マニュアルThe Alzheimer's Cafe: A Guideline Manual for Setting One Up(pdf76K)」に書かれているようにカフェは次の三つの目的があります。
1. 認知症の医学的心理社会的側面の情報を提供します。
2. アルツハイマーカフェは、認知症の問題について人のなかで話すことの重要さを強調し、しかもカフェが認知され社会的に受け入れられることも重要です。
3. カフェが、認知症の人と家族が孤立するのを防ぎ、解放されるように促します。
アメリカでは普及が遅い
アメリカでアルツハイマーカフェは、ニューメキシコのサンタフェで2008年に初めて開設されました。今日までその考えが受け入れられるのにとてもゆっくりしています。カリフォルニアの新聞「サンタバーバラインディペンデントSanta Barbara Independent」の寄稿者のサム・ルーミスSam Loomis氏(写真左)は、アメリカでの反応が乏しいことにふれ、2011年の7月の記事に次のように書いています
「ペッパーズエステイトPeppers Estateがカリフォルニアで最初のカフェを立ち上げる。
アルツハイマー病の研究やアルツハイマー病の人へのサービスの資金が乏しいことがカフェの普及が遅い原因の一つでしょう。ヨーロッパで普及しているのにアメリカで開設されたとはほとんど聞きません。たった一つのカフェがニューメキシコのサンタフェに在ることを確認しています。540万人のアメリカ人のこの病気のために、アルツハイマー病など認知症の研究と関連団体への資金的支援が乏しいのです」
アルツハイマーカフェは、アルツハイマー病の人、家族、介護者に有効なのでしょうか?
ヨーロッパやイギリスででカフェが普及していることから判断すると、有効なようです。カフェで、アルツハイマー病の死に至る経過を遠慮なく話す、声を出して話すということが容易なのです。集いに参加する人たちは他の人がどのように病気を管理し、どのように同様の経験を共有しているのかもっと学ぶことができます。
カフェの考え方はアメリカでは受けいれられるのでしょうか?時間が経てばわかるでしょう。アルツハイマー病などの認知症に大きな関心を持たれていないようです。個人レベルでも連邦政府レベルでも研究への資金が不足しています。アメリカの高齢者の生活を高め拡張することを意図した前向きなどのような努力のチャンスはあわれなほど、はずかしいほど遅いのです。
参考文献
Dementia Weekly (Online): "The Alzheimer's Cafe" (Edited by Peter Berger, 2010).
AARP Bulletin (Hardcopy) "Alzheimer's Caf: A Place to Recharge" (Stacy Gilliam, April 2011, page 8).
Dutch Alzheimer Society (PDF): "The Alzheimer's Cafe: A Guideline Manual for Setting One Up" (Gemma MM Jones, 2001). Translated from the original document ‘Handleiding Alzheimer Cafe’ by Bere Miesen and Marco Blom(pdf76).
Santa Barbara Independent (Online): Peppers Estate to Host California's First Alzheimer's Cafe" (Sam Loomis, 2011).
(suite101.com  Oct 16, 201 Dementia Support Groups Set New Trend with Alzheimer's Cafe)
サイト内関連記事
編者:アメリカでは普及してないがわが国ではどうか。滋賀県の藤本クリニックの「もの忘れカフェ」は先駆的であるが、それに続くものがないようだ。「もの忘れカフェ」「アルツハイマーカフェ」「認知症カフェ」などと呼ばれる「活動」の知名度と概念が広がらない。また制度的に現行の医療保険、介護保険あるいはその他の制度で導入は可能なのか。それにしても世界で最もアルツハイマー病に関心が高いと思っていたアメリカで、研究も社会的支援も後退していおり、「関心が乏しい」「恥ずかしい」とは意外だ。

認知症の人たちらが国会にデモ(10月14日/オーストラリア)
イタ・バットローゼIta Buttrose氏(写真左上の左)は、政府が認知症の予防、治療、研究のための資金を大幅に増やす運動の一環として自分の「純潔さ」を国会議事堂の芝生に投げ捨てました。これは、昨日、300人以上の認知症の人、介護者、医療専門職ら(写真左下)が旧国会議事堂Old Parliament HouseからフェデレーションモールFederation Mallまで行進した時のことでした。バットローゼ氏は、オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaの会長ですが、自分が抗議行動をしたことがない人ではないことを誇りをもって参加者に「国会議事堂の芝生に自分の純潔さを捨てると思ったことはない」と告白しました。
2050年までに認知症になるオーストラリアはほぼ100万人ですが、その人たちを支援したいという決心でバットローゼ氏はこの運動に参加したのです。
彼女は次のように述べています。
「政府の新しい資金500万ドルが今後5年間にこの増大する病気のために使われる必要があります。しかし最近、連邦政府の予算について認知症サービスや認知症研究に追加的資金がないことを知ってショックありうろたえました。最も関心を持たなければならないことは、政府が2013年以降、認知症イニシアティブDementia Initiativeを終了させるという事実です。我が国で認知症は、もはや優先的に取り上げられる保健上の課題ではないのです。政府はどうしてその決定したのか不可解です。認知症は全国的な保健上の優先課題とすべきです。こうしたわけで、今日、ここでみなさんが選んだ代表―国会議員に、あなたがたに必要だとする意見を議員に代表していないと告げるべきです」
オーストラリア首都特別地区のジララン在住の夫人ジュディー・ウールステンクロフトJudy Woolstencroft氏(写真左上の右)は、パートナーのクリス・ウイルクスChris Wylks氏が56歳のとき2007年にアルツハイマー病と診断されて以来、常時介護してきました。
ウールステンクロフト氏は次のように述べています。
「パートナーは教師で、当初はうつ状態と診断されました。医師は、若いアルツハイマー病と診断したくないと説明し、正しい診断を受けるのにさらに10カ月が必要でした。この間、クリスは適切な治療と援助を受けたり、将来計画が立てられませんでした。こうしたことは他の病気ではありえません。若いアルツハイマー病の人への適切な制度が乏しい」
ウイルクス氏は、月に一泊二日の休息ケアを利用し、オーストラリア首都特別区アルツハイマー病協会Alzheimer's ACTを通して他のサービスを利用しましたが、政府の資金が2013年以降になくなるということは危機的状況に置かれます。
政府の保健高齢者省Department of Health and Ageingの精神保健加齢担当大臣のマーク・バトラーMark Butler氏(写真右)臣は、政府が認知症の人を支えるためにさらになすべきであることを認め、「個人的な視点ですが、認知症についての一般の人たちを啓発し理解させるための運動をもっとすることは、事態をよりよくすることになるでしょう」と語っています。
The Canberra Times 14 Oct, 2011  Buttrose brings star power to dementia funding protest
編者:我が国では「認知症の人と家族の会」が、国会ではなく、政府の厚生労働省に要望、陳情するという形をとってきた。

★「【日本版コラム】日本製のアザラシ型ロボット、米国にも浸透中 影木准子の米国ロボット最前線」(10月 13日/ウオールストリートジャーナル日本版)
これまでこのコラムでは主に米国で開発された、または開発中のロボットについて書いてきた。今日は日本製のロボットが米国において活躍の場が増えている話を紹介したい。そのロボットは「パロ」だ。
パロはアザラシの赤ちゃんをモデルにしたロボットで、体長57センチメートル、体重3キログラム弱。センサーによって、なでられたり抱きかかえられたりする状態を検知し、それに応じて瞬きをしたり頭・手足を動かすなど反応を変えられる自律型ロボットだ。産業技術総合研究所の柴田崇徳主任研究員が開発し、日本では2005年3月に発売された。認知症患者に対するセラピー効果があり、日本では広く報道されているので、ご存知の読者も多いと思う。
米国では2009年9月に米食品医薬品局(FDA)から医療機器としての承認を受け、その年の12月に発売された。知能システム(本社富山県)で手作り生産されたものが、同社の米国法人のPARO Robots U.S.によって輸入販売されている。米国における価格は1体6000ドル。(日本での価格は35万~42万円)。ひと月200ドルのリース制度があり、支払分の残金をまとめて払えば購入することも可能だ。
パロが会話の媒介役
先月、パロをその3か月前に使い始めたというシリコンバレーの病院を、開発者の柴田氏といっしょに訪問する機会があった。メンロパーク市にある退役軍人病院だ。ここの長期滞在ケア施設のアケイディア棟には、第2次世界大戦やイラン・イラク戦争などで従軍した比較的高齢の、中度~重度の認知症を患っている患者14人が住んでいる。
ここでは、作業療法士のキャシー・クレイグ氏とレクリエーション療法士のクリスティーナ・イー氏が主に4~5人の患者に対してほぼ毎日、パロを使って接している。決まった時間に数人の患者の前にパロを置いてやり取りを促すといった使い方だけでなく、「病院を出たいと騒ぎ出した患者にパロを与えると、1時間くらい抱いて落ち着くなど、(緊急時にも)役立っている」とクレイグ氏は言う。
実際にパロを使っている現場を見学させてもらった。
「あー、小さなクマがやってきた。ほー、いいクマだねー」と鳴き声の真似をするボブさん。「いや、これはクマじゃなくてアザラシだよ。かわいいね。ほれシーリー、笑ってー」と応対するスコットさん。1時間前のことを忘れてしまう患者たちにとって、パロの名前は「ホワイティー」、「ブロンディ」、「シーリー」、、、と日替わりだ。
お年寄りたちはパロをなでながら短い会話をする。無言でパロの毛を熱心にくしでとかす人もいる。パロがいなければ、じっとうつむいて1人の世界に閉じこもることが多いお年寄りたちだ。「こんなに彼らが交流する姿は長い間見たことがない」と患者の生活クオリティーの責任者であるレバン・ヘンドリックス氏は驚く。
ここの病院でパロが使われるようになったきっかけを作ったのは、医師で高齢患者を専門とする心理学者のジェフリー・レイン氏だ。同氏が、80代の女性の認知症患者が毎日泣き叫ぶのをなんとか解決したいと考えた。この女性患者を落ち着かせられる唯一の方法が犬を使ったアニマル・セラピーだったが、残念ながら犬が訪問してくる頻度は少なかった。そこで何か代替策はないかとインターネットで検索したところ、パロについて書かれた記事を見つけ、柴田氏とコンタクトを取った。この女性に対するパロの効果はてき面だったという。
医療機関で利用が広がる
米国でパロが発売されてもうすぐ2年だが、これまでの米国における販売台数は約50体だ。日本ではすでに約1700体が販売されているので、それに比べると数はまだ少ない。日本では「ペット代替」としてのニーズが高く、これまで有名百貨店が代理店となってきたことから、7割近くが個人による購入だ。一方、米国ではほぼすべてが医療福祉施設向けであるのが、米国市場の大きな特徴である。
柴田氏によると、各医療福祉施設はパロを導入するにあたって、倫理委員会や感染予防委員会などで審査を行う必要があり、それを通るのに半年から1年ほどがかかる。その後、1~2体を導入して半年から1年間の臨床試験を実施。その結果を踏まえて、予算に応じてパロが導入されている状況で、「たいへんな時間がかかっている」(柴田氏)。また、パロはまだ保険の対象になっていないことから、導入コストは各施設が負担しており、景気が悪いことも影響していると考えられる。
レイン医師は言う。「パロは米国の他の医療施設でも役立つと思うが、高価な機械であり、どういった患者に対して最も効果的であるかについて、もっと研究が行われなければならない」。そこで、メンロパーク市の退役軍人病院では今後、パロを使うことによって患者を落ち着かせるために与える医薬品の量が実際に減っているかどうかを調べるほか、パロの効果を定性的に記録する方法を検討するという。これまでは試験的にパロを使ってきたが、これからは本当の研究に発展させる方法を見つけたいとのことだ。
柴田氏によると退役軍人系の病院ではシリコンバレーのほか、ワシントンでもパロが使われ始め、海・陸・空軍系のそれぞれの高齢者向け施設にも導入済みだ。また、多数のホスピスを運営するイリノイ州のパッセージズ・ホスピスではパロを訪問セラピーに利用しており、2010年8月から1年間で130カ所以上の高齢者向け施設でパロを使ったロボット・セラピーを行った。サービスを受けている施設が、自前でパロを購入するために、募金活動をしていているところもあるという。(米国におけるパロの導入状況については、一覧表がある
パロを使い始めたころ、「最初は看護師の間で、かわいいぬいぐるみだとしか思われていなかった」とレクリエーション療法士のイー氏は振り返る。しかし、「今はそれ以上の効果があるという認識が広がり始めた」(同氏)。米国各地でパロの臨床試験データや利用体験談が蓄積され、それらが徐々に公になれば、ますます利用者が増える可能性が高い。
米国における「導入のハードルは非常に高いが、それだけ真剣に検討をしていただいたうえで導入されており、導入後は積極的に利用して満足していただいている」と柴田氏は語っていた。
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影木准子(かげき・のりこ)(写真右)
北海道大学工学部を卒業後、日本経済新聞社で13年間、記者として働く。うち1997-2001年の4年間は同社シリコンバレー支局勤務。現在はシリコンバレー在住のフリーランス・ジャーナリスト。コンシューマー向けロボットの開発・市場動向に最大の関心があり、この分野の米国を中心とした海外における最新情報をGetRobo Blog(http://www.getrobo.com/getrobo_blog/)などで発信している。
WSJ日本版 2011年10月13日 原文のまま
編者:認知症介護の現場ではロボットへの違和感はあるだらう。認知症の妻の介護のなかで飼っている猫を媒体にした会話は頻繁にある。それがバロでもかまわないと思う。

アルツハイマー病協会が運転について話し合うときの情報(10月11日/アメリカ)
アルツハイマー病の人は100%、最終的に誰もが安全には車の運転ができなくなります。
家族は、いつ、どのように鍵を取り上げるか悩んでいます。
運転には機敏な反応と早急な問題解決が必要です。アルツハイマー病が進行性疾患であることからして、アルツハイマー病の人は誰もが運転できなくなるのです。アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationは、危機的な問題を起こす前に―理想的にはアルツハイマー病の人が話し合いや決定過程に参画できる時に―運転について話し合うことを提案しています。
アルツハイマー病協会の医療ソーシャルワーカーのベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真左上)は次のように話しています。
「運転は人の自律に関係すること多く鍵を渡すことはとても情緒的でストレスの多い過程です。こうした困難ことについての話し合う持つ前に、この問題を選んで自らに学ぶことは関係者にとってその過程を容易なものにするのに役立ちます」
こうした会話を助けるために、アルツハイマー病協会は、運転と認知症に関わる内容の異なる4つの短編ビデオを作りました。ビデオを観ることによって、家族がどのように話し合いを始めるか、アルツハイマー病の人の特別な反応にどう答えるかの考え方を知る事ができるでしょう。あるビデオでは、早期のアルツハイマー病の婦人が、もはや運転が出来なくなった時には子供に介入してもらうという契約を書きます。別のビデオでは、アルツハイマー病の人がかなり抵抗する場合、もはや運転できないことについて助言する医師の処方箋を入手する方法を提示しています
各ビデオの最後に、家族が運転について話し合う時に使えるヒントや技術の一覧があります。このビデオは、アルツハイマー病協会のサイトの「認知症と運転情報センターDementia and Driving Resource Center」のページから自宅で観ることができます。このセンターには、どのような時、運転が安全でないか、別な移動方法を見つける、運転評価を得るなど有用な情報が含まれています。今回の企画は、運輸省全国高速運転安全管理局Department of Transportation's National Highway Traffic Safety Administrationの助成を受けました。
全国高速運転安全局National Highway Traffic Safety Administrationのダヴィッド・スティックDavid Strickland長官(写真左下)は次のように話しています。
「アルツハイマー病の人から鍵を取り上げることについて話し合うことはとても難しいことです。とくに自分の能力が低下したことを認めたくなかったり、あるは認められない場合にそうです。認知症の人が尊厳をもって運転から退くことを支援するためにアルツハイマー病協会とともにこうした重要な教材を作ったことを誇りに思います」
早期のアルツハイマー病の多くの人は運転を続けることができます。しかし、安全性を確かめるための現在の状態を評価する必要があります。アルツハイマー病協会の助言から運転を止めるのはどのような時かを以下に示します。

○なれた場所に移動する仕方を忘れる
○運転表示を見のがす
○渋滞時に判断が遅く不確実になる
○適切でない速度で運転する
○運転中に怒ったり混乱する
○曲がり角にぶつかる
○車線を守もりにくくなる
○交差点で間違いをする
○ブレーキとアクセルのペダルがわからなくなる
○以前とくらべ運転しての帰りが遅くなる
○運転中に目的地を忘れる

アルツハイマー病協会は、運転契約の実例と地域に居る運転評価専門家についての情報を提供しています。認知症と運転についてより詳しくはwww.alz.org/driving
まで。
PRNewswire Oct. 11, 2011 Alzheimer's Association Offers New Tools to Aid Difficult Driving Conversations

アルツハイマー病の進行を左右する要因(10月9日/アメリカ)
研究者によるとアルツハイマー病の人の記憶や認知機能の低下の進み具合は多様です。
○1/3は、最初の5年間は顕著には低下しない
○1/3は、診断を受けてから最初の5年間でかなり低下する
○1/3は、最初の5年間で急速に低下する
○平均して、アルツハイマー病の人は、診断を受けてから8年から10年間生存する。しかし20年ほど生存する人もいる。
関連事項
○アルツハイマー病の女性は同じ病気の男性より長生きする
○アルツハイマー病のアメリカ人はアルツハイマー病のない同年齢の人の半分ほどの期間生存する
○高齢であること、他に健康問題があること、診断までの期間が長いこと、介護のレベルは生存期間を短縮する要因である
ジョンズホプキンス大学医学部Johns Hopkins University School of Medicineの精神科の非常勤准教授であるミッシェル・ミールケMichelle Mielke医師(写真左)らは、特定のアルツハイマー病の人で記憶や認知機能をどのように低下するのか予測する信頼できる方法について研究しています。上のアルツハイマー病の人の分類のどれに該当するかがわかると、家族、介護者、医師にとってよりよい治療や支援ができるでしょう。
ミールケ医師らは、患者の血液中の二つの脂質の割合を計ることに研究しています。その研究論文が「アルツハイマー病雑誌Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載され研究論文の筆頭著者がミールケ医師ですが、「ある脂質とアルツハイマー病の進行との関係があることを確信した」と述べています。
ミールケ医師らは、2年間、アルツハイマー病と診断された100人以上の人の脂肪についての情報を分析したところ、二つの脂肪―スフィンゴミエリンsphingomyelinとセラミドceramide―に注目しました。これらの脂肪は身体全体に在ります。血漿中のスフィンゴミエリンの濃度が高いほど、またセラミドの濃度が低いほど、アルツハイマー病の進行は遅いのです。
これはセラミド、炎症、細胞死との間に何か関係があると推測されました。セラミドが少ないと脳細胞死が少ないのです。こうしてアルツハイマー病の進行が遅くなることの説明になるのです。
ミールケ医師は、既に軽度認知障害の初期の研究で同じような関係を示しました。その場合は、セラミドが高いほど記憶に関係する脳の部位の萎縮が大きかったのです。別な研究者によると、セラミドの濃度がアルツハイマー病斑を作るβアミロイドの濃度に関連していることを示しました。
アルツハイマー病の進行程度を推計するということが、この研究で大きな可能性を示しました。さらに多くの可能性として、アルツハイマー病に挑戦するこれらの脂肪レベルをコントロールする方法を見つけることです。たとえば、スフィンゴミエラーゼと呼ばれる酵素がありますが、スフェンゴミエリンをセラミドに代謝させるのです。このことからスフィンゴミエラーゼ阻害剤がこの過程を阻害し、結果的にアルツハイマー病の進行に介入することになるかもしれません。ミールケ医師は次のように述べています。
「現在まで臨床試験の物質はどれもが何ら利益を示しされませんでした。多分、私たちは見方を変える必要があり、答えは血液中で測定可能なこれらの脂質でしょう」
Alzheimer's Weekly October 9th - October 16th, 2011 How Quickly Does Alzheimer's Progress?
関連情報:論文Plasma Sphingomyelins are Associated with Cognitive Progression in Alzheimer’s Disease Journal of Alzheimer’s Disease Volume 27, Number 2, IN PRESS
編者:アルツハイマー病の新たな研究するに値する領域のようだ。アルツハイマー病治療に繋がる可能性もありそうだ。

「認知症ショップ」オープンへ(10月7日/ドイツ)
認知症の人と介護者ための「認知症ショップDemenzladen」が南ドイツでオープンします。認知症の人が100万人以上いるドイツでは初めてのショップです。
「忘れやすい人を忘れない」をスローガンに、二人の元介護専門職は、スイスで既にオープンして成功してヨーロッパの人たちの関心を集めていますが、南ドイツのフライブルグループで新たにショップを開設する準備をしています。
ヘルムート・マザンダーHelmut Mazander氏(写真左上)とビート・ワイスBeat Wyss氏(写真左下、バーゼル)の二人は、老年学に詳しいく加齢の社会的生理的生物学的特徴についての専門家で、認知症にまつわる偏見を打破することを目的として、この現代的なの話題を慎重に扱うことが緊急に必要であると述べています。
マザンダー氏は次にように述べています。
「何年も認知症のため孤独で恥ずかしく思って人たちを見てきました。彼らの介護者もどこの頼ってよいか知りません。無視されることが多い認知症の影響を受けている人たちの生活の質を高めることを支援したのです」
認知症は、本人にも家族にも悲劇であり、人口が高齢化するなかでありふれたことになるのです。
「ベルリン人口開発研究所Berlin Institute for Population and Development」の2011年の認知症報告書(2011Demenz-Report、pdf2.8M)によると、ドイツには認知症の人が約130万人いて、2030年までに200万人、2050年までに260万になると推計されています。
二人は、9カ月前、最初の認知症ショップをスイスのバーゼルに開所しました。スイスで認知症の人や家族への支援が乏しく、不満が増大していることを知ったからです。
このショップは絶望的なスイス人が利用するだけでなく、ヨーロッパ中の人たちに注目されました。ここでは専門的な知識を提供するたけでなく、個別的な繋がりも作ります。ワイス氏は「みんな平等に扱います」と話しています。
認知症を持ちながら生きるための具体的な生き方を助言したり、ベッドでの排尿を知らせるモニターといった最新器機を提供もします。
こうし器機によって認知症の人の生活に尊厳と快適さを提供すると信じるマザンダー氏は、次のようにも話しています。
「安全のための器機のほかに認知症の本も販売しており、認知症の人に相応しい休暇向けの場所も準備します。認知症の人と介護者と家族に休息を提供し介護ストレスを軽減するものです」
さらに個別の電話相談もドイツ語、英語、スペイン語で利用できます。
またそのショップでは、介護者のための研修会を行いますが、積極的な在宅介護のから失禁対処などいろいろなコースがあります。忙しい病院では受けにくい個別的な対応も行い、研修を受けた介護者チームによる訪問介護も行っています。
州の制度とは別に、二人は自分たちの方法で臨機応変でかつ先駆的活動ができるという自由さを持ち合わせています。マザンダー氏は「なんでもします。私たちが経験したことをもとに最善と思った方法でできる」と話しています。
ドイツの初めての認知症ショップは来年の夏までにオープンの予定です。
The Local (ドイツ版) 7 Oct 11 Dementia shop and advice centre comes to Freiburg
関連情報:Demenzladen Basel
編者:認知症の人と家族のための地域で支える新しい活動のようだ。「認知症なんでもショップ」とでも言えそうだが、民間の経営で有料なのだろう。

「アルツハイマー病最前線 Vol.1:アルツハイマー発症前診断・早期治療に向け、大規模国際研究が加速」(10月6日/日経メディカル)
アルツハイマー病の進行を食い止める「根本治療薬」の誕生が待たれる中、バイオマーカーを使った大規模な国際観察研究(WW-ADNI)が進められており、発症前の脳病態の進行過程が徐々に明らかになってきている。アルツハイマー病研究の最前線についてレポートする。
全文はこちら
NM Online 2011年10月6日 原文のまま

★フンボルト郡でのアルツハイマー病ケアの取り組み(10月4日/アメリカ)
全国的にはオバマ大統領の初めて政策として認知症研究と介護者支援とを共同で行うことにした国家計画が進められていますが、州や地方レベルでアルツハイマー病など認知症で影響受けた人たちを支援し介護するために何が進められているかもっと近くで見ることが大切です。昨年の春、カリフォルニア州が初めてのアルツハイマー病州計画Alzheimer's Disease State Planを発表しました。その計画は、アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationとカリフォルニア州保健社会福祉局California Department of Health and Human Servicesとの官民の連携で進められてきました。その計画には6つの目標と勧告が挙げられ2021年までにアルツハイマー病ケアを改善することを狙ったものです。アルツハイマー病と診断されることによる偏見を少なくすることはなににも増して必要なことです。計画は、一般の人たちへの啓発が必要なことを強調し、偏見を減らすための正しい教材を提供するものです。カリフォルニア州アルツハイマー病・関連疾患諮問委員会California Alzheimer's Disease and Related Disorders Advisory Committee―州計画の背景となる考えに賛同するグループから成る―の委員の一人は、フンボルト郡Humboldt Countyを代表するドレリー・ハイスラーDorelee Heisler氏(写真左上)です。彼女は、アルツハイマー病など認知症と生きる人たちの代弁者だけでなく、彼女自身もアルツハイマー病なのです。ハイスラー氏は自らの経験を次のように述べています。船着き場からボートやカヤックに乗り移ろうとしたことがあるでしょう。片方の脚をボートにもう片方の脚を船着き場に置きます。ボートが動きだすと、ボートと船着き場の両方に脚を置いたままたで懸命になります。私にとってそれはアルツハイマー病の世界なのです。ボートがアルツハイマー病で、船着き場がそれ以外の世界です。私はできるだけ多く二つを持とうと努めましたが疲労困憊しました」
ハイスラー氏は州の計画に賛同して、次のように話しています。
「州の計画は重要です。アルツハイマー病で人が抱いている多くの怖れを少なくするだけでなく、病気とともに生きる家族を支援するためのこれに代わるものとして理解や方法が提示されています」
ハイスラー氏は、地元のフンボルト郡認知症ケア連合Humboldt County Dementia Care Coalitionに参加することで地域の人たちを啓発し支援する計画に取り組んでいます。
フンボルト郡は、いろいろな面で特異で、その一つが認知症ケアへの取り組みです。一例としてのこの連合があり、これがフンボルト高齢者資源センターHumboldt Senior Resource Centerを後援しています。連合は郡全体からの会員で構成され、関心ある地域在住の人、組織、企業家、医療職およびアルツハイマー病の人が含まれます。センターの主な目標は、認知症ケアを改善し、認知症に対応可能な地域づくりを支援することです。
連合は、アルツハイマー病など認知症について地域での啓発の必要性を認識しています。これに応えて、アルツハイマー病など認知症の基礎教育に関心あるグループ―高齢者居住施設、サービス提供団体、診療所、教会―に出向くための講演者局Speakers Bureauを新設しました。教育課程はほぼ終わり、連合の加盟会員は12月に役割を与えられる発表があるでしょう。
認知症ケア連合は、年間をとおして地域の専門職や介護者に研修の機会も提供しています。
この郡には二つのすばらしいデイケア―フンボルト郡高齢者資源センターの一部であるユレカデイサービスEureka Adult Day Health Servicesとマドリバーデイケア―Mad River Adult Day Health Careがあります。これらのセンターは、質の高い認知症介護が得意で、家族と介護施設の要となるパートナーであり、郡の住人に質の高い介護を受けられるようにしています。
デイケアは、利用料平均1時間約15ドルのサービスを提供しますが、地域で利用できる介護に関する選択肢の一つです。デイケアの支援なしに地域で暮らすことはできないでしょう。デイケアのこのプログラムは、精神的身体的に活発にし、孤独を減らし、健康状態を改善し、機能の低下を防ぐものです。内容は、治療目的の活動、ゲーム、健康チェック、社会活動、食事、栄養相談、理学療法、作業療法、言語療法を含みます。
参加者の一人は次のように話しています。
「デイケアは社会との繋がりの機会を提供してくれます。他人がどのように自分たちの問題を乗り越え、どのように生きているかを知ることで私は自信を強くしました。治療面では、将来起こりうることを改善するための希望が与えられます。職員からの介護と心使いは素晴らしい。来た時に気分が悪くても2時間以内に私を笑わせるのです。息子は、看護師などの職員と私が支えている場所を知っているので安心しています」
カリフォルニア州が提示しているデイケアへの助成中止については多く人が注目しています。大きな懸念材料ですが最終的には法廷で決着されることになるでしょう。しかし、地域でサービスを提供するこうしたプログラムを続けるためにあらゆる努力がなされています。
フンボルト郡は、フンボルト高齢者資源センター内でアルツハイマー病情報センターAlzheimer's Resource Center(写真左下)を運営しています。このセンターは、介護者に支援と教育を行い、無料でさまざまな本やビデオを借りられる図書室があり、フンボルト郡とデルノルテDel Norte郡の介護者支援グループも担当しています。初期の記憶障害者のためのフレンズカフェFriends Caf?も開設し、季刊「アルツハイマー病ニュースレターAlzheimer's Newsletter」も発行しています。このセンターは、アルツハイマー病など認知症を伴う旅について家族を方向づける重要な出発点でもあります。
ハイスラー氏は自分の経験とサービスを関連づけて、次のように述べています。
「時とともにボートは波止場からますます遠くへ離れてゆきます。アルツハイマー病というボートに乗らなければならない時がくるでしょう。しかし、残りの世界と繋がったロープがあり、これでできるだけ多くの連絡をとるのに助けとなるでしょう。私にとってロープはアルツハイマー病資源センターとデイケアでしょう」
寄稿者のハッヘルリッグス氏Rachael Riggsは、ハンボルト高齢者情報センターHumboldt Senior Resource Centerにあるアルツハイマー病資源センターAlzheimer's Resource Centerの企画管理者です。詳しくはwww.humsenior.orgのサイトから情報を得てください。高齢者資源センターは、活動、暖かい昼食、宅配、ケアマネジメント、デイケア、アルツハイマー病サービス、介護オンブズマン、月刊機関誌「高齢者ニュース」を提供しています。
Times-Standard 10/04/2011 Looking at Alzheimer's care from a local perspective

★抗認知症薬を服用すると施設入居が遅くなるようだ(10月2日/イギリス)
リヴァプール大学心理保健社会研究所Institute of Psychology, Health and Society Liverpool Universityの精神科医エマド・サリブEmad Salib医師らのグループは、コリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)の服用と施設入居の時期との関係について調べました。セントヘレンスSt Helensにあるピースレイクロス病院Peasley Cross Hospitalの精神科外来の患者で2006年にChEIを処方されていた339人について4年間追跡して介護施設への入居時期を調べました。対象者のうち、作為的に127人はChEI(74%はドネペジル、14%はガランタミン、8%はリバスチグミン、非該当のメマンチンが4%)が処方され、その他の212人については処方されませんでした。
追跡期間中の最初の30カ月間の中間にあたる12カ月目で、服用していた人と服用していなかった人とを比較したところ、前者で施設入居が少ないことがわかりました。しかし、追跡の最終時点でみると、二つのグループで施設入居の可能性について有意の差は認められませんでした。
この研究から2.5カ月間に、ChEIの服用と介護施設への入居時期が遅れることとが関係していると示唆されますが、今回の研究は介入試験ではなく観察試験によるもので、服薬と入居時期との因果関係の因果関係の明らかにされたとはいえません。
この研究論文は王立精神科医会Royal College of Psychiatristsの雑誌The Psychiatrist2011年10月号に掲載されました。
この調査結果についてサリブ医師は次のように述べています。
「認知症の人が介護施設に入居することは、本人にも家族にも苦痛を伴うことです。ほとんどの介護家族は、できるだけ長く自宅で介護したいと希望しています。入居を遅らせることにつながるどのような方法も重要です、証拠が正しいことを確かめなければなりません。こうした理由から「国立臨床研究所National Institute for Health and Clinical Excellence (NICE)」がこの分野でさらなる研究を勧告していることを歓迎します」
MentalHealthy 02/10/2011 Old people's admission to care homes delayed by anti-dementia drugおよび論文Use of anti-dementia drugs and delayed care home placement: an observational study
編者:アリセプトを服用すると施設入居が遅くなるという報告は以前カナダのを読んだことがある。今回の調査は無作為対照試験ではなく、外来診療でChEIを処方したグループとしないグループとで比較したものであり、ChEIが処方されなかった理由が明確ではない。このため結論は効果は示唆するが曖昧である。なおイギリスのNICEは軽度のアルツハイマー病にアリセプトは費用対効果で意義がないとして一時、適応を認めなかったことがある。それにしても1,2年の入居の遅れはChEIの有効性を示すものなのか。

★認知症の人には薬より裏庭がよい(10月1日/オーストラリア)
認知症のマヤ・クズニクMaya Kuznikさん(写真右)が、初めて高齢者介護施設ブパナーウィーBUPA(British United Provident Association)Narweeに着いた時、明らかに興奮して何時も何かすることがないか探していました。
彼女はホールを歩き回り、何を言いいたいのかはっきりしないのに出会う誰にでも話しかけるのです。また物を出したりしまったり、あちこちで椅子に座り、テーブルでナイフやフォークを移し替えたりしていました。
入居2,3週間後、その施設は、認知症の人に相応しい裏庭を利用できるようにし、チョーク、ロープ、土いじり用道具が備えられています。まもなくクズニクさんは、絶え間ない不安からより生産的な趣味を楽しめるようになりました。不安な行動は、頻度の面でも強さの面でも鎮まったのです。しかもこれは彼女だけのことではないのです。
ブパケアサービスBupa Care Servicesは、昨年、施設のうち7カ所で70人の入居者のために裏庭の導入を試みました。導入後6週間で、興奮や攻撃的行為が30%の減少し、うつ状態が平均21%減りました。
認知症の人の90%ほどは、何らかの行動上の混乱―行ったり戻ったりから大声をあげる暴力など―を経験します。オーストラリアのナーシングホームの入居者の28%以上は、こうした症状を抑えるために抗精神病薬が処方されています。
この種の薬は、鎮静、パーキンソン病様震え、転倒、認知機能低下、体重増加、コレステロール、糖尿病、脳血管障害の悪化、さらには死亡といった副作用があります。
理論的には、この薬は最後の手段とすべきですが、「広く使われ、結果的に認知症の人に不利益になっている」と専門家は話しています。
オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaの研究管理者のクリス・ハサーリChris Hatherly氏は、「おとなしくなるのを期待しているのでしょう」と示唆しています。
さらに彼は次にように述べています。
「抗精神病薬は、本来、幻覚、妄想、統合失調症の症状などの精神病的症状の治療のためのものです。抗精神病薬が処方されている認知症の人にはこうした症状はほとんどありません。基本的に、管理のためであり、一種の化学的拘束です。
抗精神病薬を服用した人のわずか16%にしか利益が出ていません。にもかかわらず何故、広く使われているのでしょう」
ハサーリ氏ら専門家は、適切な介護技術に欠けている職員に金をかけず彼らに時間的余裕がないことを非難しています。
今年7月発行のイギリス医師会雑誌BMJに、抗精神病薬や抗うつ薬を含む通常のケアと段階的疼痛管理法の効果を比較したノルウエーの研究結果が載りました(訳注)。352人の中程度から重度の認知症の人にとって鎮痛剤のアセトアミノフェンが、危険で高価な抗精神病薬より行動上の問題―とくに興奮―を減らすのに最も効果的だったのです。8週間で、アセトアミノフェンが認知症の人の70%の行動を改善しました。
痛みは、通常、よく評価されずまた管理もされていません。認知症の人は社会的に受け入れられる方法で自分の不満を表現することができないため興奮や暴力的行動が起こるのです。
ニューサウスウエールズ大学University of NSWの精神科医のブライアン・ドラッパーBrian Draper医師(写真左上)は、認知症や高齢者に関係した心理的課題の専門家ですが、鎮痛剤はまだ緊急的対応の候補薬ではないと警告しています。認知症は状況判断や会話の理解の能力を低下さるので、間違ったコミュニケーションや乏しい理解が多くなるのです。彼は「容易に間違った解釈をしてしまう」と話しています。
たとえば、ある認知症の人にとっては、職員がシャワーをしようとするとそれが恐怖や暴力と思い込み、職員に反撃することになるのです。別の認知症の人は、異性の職員が自分の服を着替えさせようとすると困惑するのです。
さらにドラッパー氏は次のように述べています。
「問題が、日々のどのような活動や状況のなかで生じているか、そのパターンを探し、認知症の人の背景は好みを理解することで、簡単な別個の方法で問題を解決することができることが多いのです」
理想的には、施設が小さいユニットに分割され、十分明るく、認知症の人が道順を見つけやすく、くつろげる多くのスペースがあることが望ましい。ブパが試みている裏庭のような家庭的な雰囲気は、認知症の人を穏やかにし自信を持たせるのに役立ちます。
そしてドラッパー医師は「多くの施設は重度の認知症の人を介護するようには設計されていません。その結果、抗精神病薬が使われる」と話しています。
専門家は次のように指摘しています。
「薬はそれぞれの存在する役割があります。行動上の大きな混乱のある認知症の人にとって薬が唯一の助けになります。特に背景となるきっかけが明らかでない場合です。この場合、脳内の神経伝達物質の変化が原因からもしれないので抗精神病薬が役立つことになるでしょう」
これは、ハサリーとドラッパーおよびNSW大学認知症共同研究センターUNSW's Dementia Collaborative Research Centreのヘンリー・ブロダティHenry Brodaty所長(写真左下)が同じくする見解です。しかし抗精神病薬が必要な場合、認知症の人にできるだけ短期間できるだけ少量で処方されるべきです。さらにブロダティ所長は「治療は定期的に検討されるべきだ」と述べています。さらに彼は「ナーシングホームで認知症の人を診る時、抗精神病薬は中断します。認知症の人があまりに鎮静状態にあり、混乱し、頻繁に転倒するからです」と述べています。
ナーウィーに戻ると、クズニクさんは十分な介護職のなかで、草を集め、洗濯物を干し、卵を拾い、鶏に餌をやっています。落ち着かないということはほとんどなくなっています。
彼女の薬は? 量が減らされました。
ブロダティ医師は満足することでしょう。
The Australian  October 01, 2011  Backyard better than medicine for dementia patients
訳注:論文Efficacy of treating pain to reduce behavioural disturbances in residents of nursing homes with dementia: cluster randomised clinical trial  BMJ 17 July 2011
編者:日本でも常識となっているケアである。しかし不思議なことに我が国の介護施設で抗精神病薬がどのように使われているかのデータや報告を知らないし、学会などからの警告を聞いたことがない。

★認知症の妻を窒息死させ、夫は入水自殺(9月28日/イギリス)
検死官は、「妻を窒息死させた夫の行為は人間を荒廃させる病気の最期にあった妻の尊厳を守るための慈悲の思いからである」と述べています。
2009年11月、北アイルランドのエニスキレンEnniskillenに住むビル・バーブーBill Barbour氏(89歳)は、アルツハイマー病の末期の妻アンAnne(83歳)(写真左上)を殺し、その後、自宅近くの湖に入水自殺しました。
検死官によると、夫人の状態はとても悪く、事件の2009年の11月の後6カ月後には亡くなるようであったとのことです。
夫人は、自分の子供を認識できず、基本的な事柄を思い出せず、近くの公園で混乱して歩いているのを発見されたことがあります。
夫のバーブー氏は、ポルトラ王立学校Portora Royal Schoolの元教師で、主な介護者でした。
夫婦の息子のジェームス・バーボーJames Barbour医師(写真左下)は、夫婦が亡くなる二日前に、「父は、母は施設で世話になるべきだと話していました。また限界が来たようなことを私に相談しのだと思う」と述べています。
11月24日、夫人の死体は友人のシェイラ・フィリップスSheila Philips氏がスリゴ通りSligo Roadにある自宅で発見し警察に電話しました。彼女の夫のジョンJohn氏がバーブー家の裏口の戸に紙が挟まれているのを見つけたのです。その紙にビル氏が「妻は2階に居る」と書いており、夫人が2階に上がるとアン氏の頭がプラスチック製の袋で覆われているのを見つけたのです。
また夫は、前夜いつものチェスクラブの集まりに姿を見せなかったので不思議に思われました。ダイバーのチャールズ・コックセッジCharles Cocksedge警察官は、翌日、湖で水深4メートルところにうつ伏せでになっている夫の死体をを発見しました。
「認知症は誰にとってもとても品位を落とす病気で、無駄なまま病気でいなけれならないのです。長く生き過ぎた」という人もいます。
検死官のブライアン・シェラードBrian Sherrard氏は、夫は慈悲の行為(赦免行為act of mercy)で妻を窒息させたと裁定し、「バーブー夫婦は明らかにプライバシーにも尊厳にもとても気遣っていた」述べています。
バーブー医師は次のように述べています。
「父は母の願いを実行したと信じています。母は、かなり明確に、もし希望のない状況から自分自身を救いだすことができなくなれば、死にたいと思っていました。父はそれを聴いて母の望みにそったことを行ったのです」
BelfastTelegraph 28 September 2011 Man killed dementia-hit wife in 'act of mercy' before drowning himself
サイト内関連記事
編者:この事件は2009年にサイトで紹介した。今頃になって裁判が結審したのだろうか。それにしても今月28日に浜松市で起きた認知症に関わる老夫婦の心中事件と似ているようだ。

「物語を話す」ことは認知症の人の生活の質に良い(9月26日/アメリカ)
私たちは、毎日、認知症について悪いニュースを読みます。アルツハイマー病はまだ治らない、認知症介護の費用はベビーブーマーの高齢化で爆発的に増える、日々の介護のストレスなど。これとは反対に、「タイムスリップスクリエイティヴ物語を話すプロジェクトTimeSlips Creative Storytelling Project(TCSP)」は、認知症の人と家族と介護者にとって珍しくよいニュースを提供しました。このプロジェクトは、新しくて自由で相互的な物語を話すサイトを立ち上げたのです。サイトの開設は、「全国成人デイサービス協会National Adult Day Services Association (NADSA)」の年次会議で行われました。
写真と言葉を使ってサイトの参加者の創造性を引き起こすように刺激します。タイムスリップは、認知症の人が自分たちの想像力を引き出し、他の認知症の人や介護者や家族との繋がりを造り、記憶が欠落したり間違った答えをすることを恥ずかしいと心配することもなく自分を表現できるような楽しく気楽な方法を提供します。この新しいサイトの訪問者は、サイトが用意している思い出ライブラリーにある何百という画像と質問で生まれる物語を、認知症の人と一緒に座り、読み、作り、共有することができるのです。また一緒の物語を、全国にいる家族とオンラインで創ることもできます。
ウンスコンシン大学ミルウオーキー校加齢・地域センターUniversity of Wisconsin Milwaukee's Center on Age & Communityのアンネ・バスチングAnne Basting所長(写真左上)は、NADSAの会議で次のように話しました。
「家族は認知症と格闘して、日々管理的な介護に疲れはてています。この新しいサイトで、病気にのみ集中することから離れ、成長し学び遊びながら一時を過ごすことができるような創造的で積極的な方法を提供します。タイムスリップスは、記憶への関心から想像力を楽しむ機会に代えて、誰もが物語を話す力を生む楽しい経験となります」
タイムスリップスは介護の現場で証明され、今、誰にでも役立つものです。
タイムスリップスの元型は、介護施設で試され、認知症にように認知機能障害をもった人のコミュニケーションを助けるように特別に工夫されたものです。1998年からタイムスリップスは、2000人以上の専門職の研修を行いました。また二人で評価された研究によると、タイムスリップの物語を話すという活動によって認知症の人に日々の生活で得る喜びを増すということが示唆されています。ナーシングホームでは、職員と入居者との社会的関わりを増やすことにも繋がっています。
2011年に発行された著書「アルツハイマー病と診断されてからのよりよい生活Living Well After the Diagnosis of Alzheimer's Disease」の共同執筆者で医療ソーシャルワーカーのリサ・グワイサーLisa P. Gwyther氏(写真左下)は「新しいサイトは、家族が新しい方法で互いに話を一緒の作れるような魅力的で簡便なきっかけを提供している」と話しています。
タイムスリップスで研修を受けることもできます。
サイト訪問者は、タイムスリップスを無料で利用できますが、認知症グループなどさまざまな場でこれを利用する予定のある人nは研修を勧めています。研修を受けた人にTCSPは個人向け、団体向けの認証書を発行しています。
タイムスリップスでのオンライン研修は、認知症の人および高齢者サービス、芸術、教育などの分野の指導者たちに支持されてきました。最近、認知症と診断されたデイヴ・シーハンDave Sheehan氏は、「私は覚えられませんが想像することはできますという啓示は、私の知性と心と魂を祝福した」と述べています。
タイムスリップスについて
最初、TSCSPは、専門向けに制作された遊び、芸術作品、本、そして今はサイトと通して広く物語を共有するように何千という物語を作り、そのメッセージを拡げています。タイムスリップのサイトは、オープンソース、ウエッブデザイン、顧客向けソウトウエアー、大小の会社のウエブサイトやアイデンティティ開発を得意とするスウエイデザインSway Design によって開設されました。
タイムスリップスの創始者のアンネ・バスチング氏は、UWMのペック芸術学部Peck School of the Artsの舞台准教授で、「記憶を忘れる:認知症の人によりよい生活を創るForget Memory: Creating Better Lives for People with Dementia」(ジョンズホプキンス大学出版部Johns Hopkins University Press 2009年発行)の著者で、ごく最近、ソージョンシアターSojourn Theatre およびルーサーマノー Luther Manorと共にペネローププロジェクトPenelope Project の作家であり制作者です。
新しいタイムスリップスのサイトは、ジェイコブ・ヴァレリアランゲロース財団Jacob and Valeria Langeloth Foundation、ピッカー研究所Picker Institute、エクステンドケア財団Extendicare Foundation、ヘレンベイダー財団Helen Bader Foundationおよび退職研究財団Retirement Research Foundationからの支援を得て開発されました。
(MarketWatch  Sep 26, 2011 Good News on Dementia Care: Storytelling Program Improves Quality of Life)
編者:回想法の一環として我が国で問い入れてもよいサイト例だ。「思い出館」と違い、どこでも誰でも楽しめ役立つサイトとなろう。

★アルツハイマー病ケアがアメリカ経済をダメにするだろう(9月26日/アメリカ)
現在、アメリカにはアルツハイマー病の人が540万人います。かれらの脳細胞は破壊され、記憶力と運動機能が低下し、家族や見慣れた物の認識が出来なくなり、自分の行動を理解することがとても困難になり混乱するということになります。
こうした人540万人の人を適切に介護するために、全国のナーシングホームの有給の看護師と同時に、1500万人の無給の介護者―ほとんど家族―が必要です。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、こうしたすべての介護に年間1830億ドルが必要と算出しています。悲しいことに、ほとんどのアルツハイマー病の人、ベッドから起こす、衣服を着せる、食べさせる、トイレに連れて行くといった私たちが当たり前と思っている簡単な行為のために日々の介助が必要なのです。
もし治癒方法が見つからなければ―現在のところその希望はない―、認知症の人の数は、3倍の1500万人になるでしょう、その半数は1日24時間1週間7日間、高くつく介護が必要な人となるでしょう。アルツハイマー病協会は、この病気が身体面から始まり脳の神経細胞の束の間での伝達が阻害されることが多くなるとしています。最終的に、神経細胞の束がある種の斑によって侵入され衰え、いずれは死滅させられるのです。
こうした斑が多くなってとてつもなく高い介護費用がいるにも拘わらず、この病気の研究に向けられるお金は、がん、心疾患、エイズの研究で使われる額のごく一部なのです。国立保健研究所National Institute of Healthは、アルツハイマー病の予防や治癒の研究では遅れていますが、2011年の資金として約4億5000万ドルを向けるとしています。
ジョンズホプキンJohns Hopkins大学の心理学と神経科学の共通分野のマイケラ・ガラガーMichela Gallagher教授(写真左)は次のように述べています。
「国の医学研究の予算削減の怖れは、『治療されない患者の嵐』がやって来ることを意味します。アルツハイマー病は、医学的解決というレーダーにはまだ映っていないのです。
解決方法を見つけるのがとても困難という課題があります。治癒のための臨床試験が行われている療法がほとんどないのです。たとえば、大手製薬企業のイーライリリーEli Lillyは、治療薬の可能性がある候補薬に莫大な額の投資をしましたが、臨床試験第3相で中断しました。薬が患者の状態を良くするのではなく悪くしたのです。
研究者が見つけたことは、アルツハイマー病の早い時期に介入すべきだということです。私たちに時間的余裕はありません」
「メイヨークリニックアルツハイマー病会報Mayo Clinic’s Alzheimer’s Bulletin」は、研究者が脳でどのようにして斑形成を防ぐか免疫細胞を使って見つけようとしていると報じています。斑を除去しようとすると脳細胞も殺すことになるでしょう。メイヨーは、ある薬に似た物質が破壊する蛋白を早く破壊することができると信じています。MRIは、他の神経退行性疾患と比較してアルツハイマー病の早期診断を行うために使われています。
FDAが承認する5つのアルツハイマー病薬がありますが、これらは症状の進み方を一時的―最大6カ月から12カ月間―に遅くすることはできます。もし、アルツハイマー病になる可能性を下げたいなら、煙草を止め、身体的活動を活発にし、肥満や糖尿病を避ける食事を摂り、コレステロールを下げる薬を飲みましょう。しかも今日始めることです。
記事はフォーブのスタッフであるロバート・エンズナーRobert Lenzner氏(写真右)。
Forbes 9/26/2011 Alzheimer's Care Could Well Devastate The US Economy
編者:タイトルのわりには記事の内容は常識的だ。アルツハイマー病の状態の多様性についてよく理解してないように思う。

★増えるアルツハイマー病を減らす適宜な行動(9月25日/インド)
インドではとてつもない数の370万の人がアルツハイマー病です。この病気は、他の認知症と同様に痛ましい退行性神経疾患です。
インドアルツハイマー病・関連疾患協会Alzheimer’s and Related Disorders Society of India (ARDSI)は、増加しているこの脅威を少なくするために早期診断と早期介入が必要性だと訴えています。アルツハイマー病は2030年までに2倍になると推測されており、限られた時間のなかで必要なことを政府と民間から速やかに注目し行動してこの心配すべき状況に対処しようとしています。全国的に初めての民間団体であるARDSIは、国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease International (ADI)の正式会員で「認知症インド報告Dementia India Report」(pdf3.8M)に驚くべき事実を挙げています。なおADIは、世界76カ国のアルツハイマー病協会の国際的連合組織です。
いくつかの研究によると、アルツハイマー病など認知症の人の現在の治療費はおおよそ1590億ルピー(訳注本日1ルピー=1.6円)ですが、2030年までに3270億ルピーの2倍になると推測されています。ARDSIの全国議長のジェイコブ・ロイ・クリアコーズJacob Roy Kuriakose医師(写真)は「私たちの国では、認知症への認識がとても乏しいのです。推計では、60歳以上の370万人のインド人がこの痛ましい病気で、女性が210万人、男性が150万人がアルツハイマー病など認知症なのです」と話しています。
同協会は報告書で以下のことを指摘しています。
○ 認知症の370万の人数は2030年までに2倍になると予測されている。
○ 治療費は、2030年までに1590億ルピーから3270億ルピーと2倍になると予測されている。
○ 政府もNGOもともに、治療上のとても大きなギャップを埋めるように前進すべきだ。
インドでの治療上の大きなギャップとは、アルツハイマー病など認知症の90%が見過ごされたままであることです。さらに、診断がされたとしても、介護者や家族は病気について知らないままであり、どこで支援を得てよいか知りません。現在行われている9月18日から24日までの「全国認知症啓発週間National Dementia Awareness Week」の行事に関連してジェイコブ医師は、認知症の人と家族が必要なことに応え、問題を軽減するための認知症戦略の発展と政策の形成の集中する必要性を強調し、この社会に多いこのアルツハイマー病など認知症にたいして無視と偏見をなくすために行動計画を作成することが重要であると訴えています。
インドの中央政府も地方政府も、認知症の啓発を高め、介護ための労働力を培い、保健制度を強化するなどさまざまな国家戦略を作成することがこの病気への姿勢です。
実際に受けている介護と必要な介護との間のサービス上の明らかなギャップを埋めるために、ARDSIは、次の計画を要請しています。
○ 認知症に関する全国的な啓発、知識、理解を推進すること
○ 家族と介護者が要となる役割であることを認識し支えること
○ 多角的な認知症ケアモデルを展開すること
○ 認知症の人のための政策と法整備を進めること
○ 政府は今後の5年間計画に認知症ケアを含めること
○ 認知症の人と家族にとって早期発見と医療と社会的支援へアクセスしやすい施設を設けること
○ 地域支援を向上させること
ARDSIは、非宗教性で非営利のボランティア団体で、1992年から認知症の介護、支援、研修、研究を目指してきました。さまざまな集いを通して一般の人たちに認知症についての知識を拡げるための前線に居て、休息ケア、デイケア、施設ケア、メモリークリニック、家族、医師、看護師、ソーシャルワーカーの研修に懸命に取り組み全国事務所と全国14カ所の支部によって全国的な調査を進めています。
merinews 25 September 2011 Timely action required to curb growing prevalence of Alzheimer's
編者:長いお付き合いのロイ医師は来年からADIの議長に就任予定。

認知症について講演(9月24日/バルバドス)
全世界で9月21日は世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Dayで、この日を記念してさまざまな活動が行われました。
バルバドスでも、この日に「認知症のさまざまな姿‘Faces of Dementia’」をテーマに、全国公務員同盟National Union of Public Workers (NUPW)のダルケス本部で講演が行われました。
講演会にはかなりの人々たちが集まり、カナダ・モントリオールにあるユダヤ総合病院Jewish General Hospitalのスーザン・ヴァティクナスSusan Vaitekunas医師が、テーマにそった講演をしました。ヴァティクナス医師は、老年科医であり、認知症―認知症の人や病気の新しい治療の試みなど―について経験が深い医師です。
彼女は、医師がさまざまな型の認知症をどのように診断するか、また症状と進行度および治療などについて話しました。
講演から得られた情報は啓発的なものであり、参加者と相互的な講演で理解しやすいものでした。
ヴァティクナス医師は次にように話しました。
「認知症について理解する一つに方法は玉ねぎを想像するとよい。玉ねぎは、種を植え、成長して大きく成り始めると層を形成します。人間が成長するとき多くの記憶、技術、経験を積みますが、それが層を成して形成され、時とともに外の層から剥がれてゆきます。
認知症は、記憶などの機能が低下することで個々の人の生活に多くの変化を及ぼします。アルツハイマー病は、認知症の一つの型で、次第に悪化します。家族にアルツハイマー病人がいた家族歴があれば、注意することが重要です」
ヴァティクナス医師によると、病気が診断されることで患者だけの問題ではなく、医師は家族、介護者、友人にも告げなければなりません。患者の生活歴は重要であり、患者は忘れているということを周囲の人が覚えていないかもしれないからです。
日日の生活やすることが正確でなくなるかもしれません。認知症の人が、うつ状態になったり譫妄になったりすることで診察が必要なこともあり、身体的な検査、記憶や思考の心理検査、血液検査、CTやMRIの脳画像検査などが行われます。
講演中、参加者にさまざまなスライドを示して認知症の人の脳と健康な人の脳の機能の違いなどを指摘しました。
認知症は、軽度、中等度、重度または終末期への段階的に進みますが、ヴァティクナス医師はこうしたことを少しでも避けるのに役立つ方法があるとして、マリファナやコカインといった「路上の薬」をのまない、よく睡眠をとる、社会的な繋がりを保つこと、多量の酒やたばこを控えることがあると指摘しました。
新しい治療については、すばらしい可能性が生まれつつあります。現在行われている免疫療法試験で、脳内の斑に対する抗体を注射する方法です。これによって病気の原因となる斑に対して免疫系統が反応するのです。
ヴァティクナス医師は「もし斑を取り除くことができて病気を取り払うことができるかどうかいつことは興味深い」と話し、最後に「認知症は認知症の人だけでなく、その人たちを介護する人も支援しなければなならいことを覚えておいてほしい」希望して、講演を終わりました。
(The barbados advocate 9/24/2011 Lecture explores ‘faces of dementia’)
関連情報:国際アルツハイマー病協会の正式会員であるバルバドスアルツハイマー病協会Barbados Alzheimer's Association の連絡先。
Room #3 Bethesda, Black Rock, St Michael, Barbados
Tel: +1 246 438 7111 Fax: +1 246 427 4256
Email: barbadosalzheimersassociation@caribsurf.com
編者:カリブ海でもとイギリス領の小さな島国でも世界アルツハイマーデーの取り組みがある。なぜカナダの老年科医が呼ばれたのかわからないが、玉ねぎの例は私も講演の時よく使った。「人の記憶は玉ねぎが芯から外に向かい、古い記憶から新しい記憶へと層状に形成される。アルツハイマー病になると外の皮から芯に向かって皮が剥がれるように新しい記憶から古い記憶へと失われる」と。

「認知症でも、自分らしくいられる場所」(9月24日/スイス)
高齢化と共に、日本同様、スイスでも認知症患者が増えている。次々に消えていく記憶。思い出せない家族の顔。心に残る大切な思い出も、これまで築いてきたプライドも、認知症は容赦なく奪い去る。
認知症患者に対する最善のケアが模索されている中、多くのメディアから賞賛されている介護施設がチューリヒ郊外にある。
認知症患者専門の介護施設「ゾンヴァイト(Sonnweid)」は不安な心の世界を生きる認知症患者一人ひとりに寄り添った介護を目指し、人の尊厳を最大限に重視している。
光が降り注ぐ大きな窓。気持ちを落ち着かせるような青い廊下。緑に覆われた広い庭にはカラフルな彫刻でできた噴水が心地よい音をたてている。チューリヒ州ヴェチコン(Wetzikon)にあるゾンヴァイトは、まるで素敵な保養所を思わせる。
長期滞在者からデイサービス利用者など約150人の重度認知症患者が利用し、若い人では40代もいる。平均滞在期間は2.5年間。入居者の95%はここで生涯を閉じる。入居者はみんな「住人」と呼ばれ、施設内ならどこでも自由に心赴くまま歩き回れる。使用中のトイレを除けば、カギのかかった部屋は原則的に一つもない上、壁で空間を仕切ることを極力避けたオープンな構造になっている。
スタッフはパートも含め、約240人。コックであろうと、清掃員であろうと、スタッフ全員が認知症患者の介護に関してきちんと教育を受けている。
一人ひとりに合った介護
ゾンヴァイトは認知症の程度によって、グループホーム、ハイム、集中介護部門「オアシス」の3カ所に入居者を分けている。ハイムとオアシスはゾンヴァイトの敷地内にあり、グループホームは車で5分ほど離れた町の住宅地にある。
グループホームは一つの住居に6人から10人規模で共同生活をする場所で、個室があり、台所やリビングなどは共有する。ゾンヴァイトには4つのグループホームがあり、計33人が暮らしている。ここにやってくる人は、手助けさえあれば、料理や電話など大体のことは自分できる人たちだ。スタッフはサポート役として、買い物や食事の手伝いをし、住人ができなくなってしまったことを補う。一緒に何かをやるか、ただその場でみんなの様子を眺めるかは本人次第。ここでの基本は、人とのつながりを持つこと、人のそばにいることだ。
人の話す言葉があまり分からなくなり、社会的能力も失われてしまった人は、ハイムに入居する。基本的に2人部屋で、ゾンヴァイトの住人の大半(約100人)がここで暮らし、一生を終える。歌や工作など、一応のプログラムはあるが、それを一緒にやるかやらないかは住人の自由。スタッフがギターをかき鳴らして歌えば一緒に歌ってみる。興味がなかったらほかのところへ行って、好きなように時間を過ごす。スタッフは良きパートナーとなって、その住人が今という時間を精一杯生きられるよう、最期までサポートする。
認知症のみならず、身体的にも重度の介護が必要な人には「オアシス」がある。現在7人の住人が暮らしている「オアシス」は、120平方メートルと間取りが大きく取られ、その広い天井は、朝は温かみのある太陽の色、夜は星の輝く夜空に人工的に変わる。朝にはコーヒーのいい香りが漂い、寝たきりとなっても朝食の時間だと分かる。個室ではないので、周りに人がいることも感じられる。
家族介護はいずれ限界に
「症状の程度にもよるが、自宅での介護にはいずれ限界が来る。仕事をする傍ら認知症の家族を介護し、満足のいく生活を送れる人などほとんどいない」と施設長のミヒャエル・シュミーダー氏は話す。
実際、夫に週3回面会に来るという初老の女性は、夫がここで暮らしていることに非常に満足していると話す。のんびりとオープンテラスでくつろぐ夫に、女性は聞いてみた。「ここでの暮らしはどう?」。少し間をおいて、男性はゆっくりと答えた。「とっても、いい」
たとえ質問の意味がよく分かっていなくても、また自分の状況を把握していなくても、ただ妻と一緒に外の空気を吸い、お茶を飲むという今の瞬間に、男性は満足している。その事実をこの男性は短い言葉で語ってくれたようだ。
気持ちに寄り添う
ゾンヴァイトが実践する介護の基本は、住人の「ウェルネス」。住人にとって居心地のいい場であるために、住人を「患者」ではなく「パートナー」と見なし、常に住人と同じ高さの「目線で接する。
「私の夫はどこへ行ったの?」と、すでに20年前に亡くなっている配偶者の姿を探す住人には、「ご主人がここにいらっしゃらなくて、寂しいのですか」と声をかけ、住人の悲しい気持ちを認める。決して、主人が亡くなった事実を説得しようとはしない。
「悲しかったり、寂しかったりする気持ちをありのまま認める。それだけで、自分が他人に受け入れられたと安心できる。これは何も認知症患者に限ったことではない。あなたも自分の気持ちが他人に認められたら嬉しいでしょう」とシュミーダー氏は話す。
鏡に映った自分の姿を見て、「あ、お母さん」と言った住人の女性。記憶がごっそりと消え去り、母親が生きていた頃の自分に戻ってしまったという。認知症患者がどんな世界を、いつの時代を生きているのかを把握するのは難しい。だが、シュミーダー氏にとって、それは大した問題ではない。「住人がどんな世界に生きていようと、みんなが求めていることはただ一つ。それは、どこにいようとも、自分が受け入れられていると感じること」
物忘れが激しくなっても、意思疎通ができなくても、「その人に残る心」を大切にし、同じ目線で接する。人の尊厳を重視するゾンヴァイトは、スタッフの養成や外部に向け講義なども行っており、ヨーロッパを中心に世界中から見学者が訪れている。
「人の尊厳を基本にする介護が広まるよう、ゾンヴァイトが認知症介護の原動力になれば嬉しい」と、シュミーダー氏は力強く言った。(鹿島田芙美 ヴェチコンにて)
swissinfo.ch 2011年9月24日 原文のまま

第5回「全国認知症研究フォーラム」開催(9月22日/オーストラリア)
本日、シドニーのウエズレイカンファレンスセンターWesley Conference Centreで第5回「全国認知症研究フォーラムNational Dementia Research Forum」が開催され、認知症の優秀な研究者たちが、最新の研究をアツハイマー病の予防と治療にどのようにつなげるかを論じ学び合うために集まりました。
2日間の会議の第1日目の主要なテーマは、ニューサウスウエールズ大学University of New South Walesに拠点をおく「認知症共同研究センターDementia Collaborative Research Centre」からロンダ・ネイRhonda Nay教授(写真左上)が楽しくも困惑する課題について報告しました。教授は、「ビクトリア・タスマニア研究センターStudy Centre for Victoria and Tasmania」を運営している「認知症タイムTIME for Dementia」の議長でもありますが、
最初、参加者に向かって「今朝、セックスした人はだれ」と尋ね、介護施設における高齢者介護での性的なことについて話し始めました。介護を受ける高齢入居者の立場に立つことを参加者に訴えました。
性と高齢者はデリケートな課題であることを受け入れながら、彼女は、施設の部屋にいる両親がセックスする前に自分の子供の承認を求めますかと問いました。答えは「いいえ」でしょうが、高齢者介護施設の入居者の子供が大人になって親の性交に関わって相談を受ける必要はないと指摘しました。自分の年老いた両親の性的活動について施設職員がその子供に尋ねるべき理由はないのです。
高齢者と性の問題は、これまで、入居者自身に関わることではなく、この問題を議論するのを好まなかった高齢者を介護する職員、医師など医療専門職は嘘は言わないという程度のことでした。
この問題について25年間余り関わってきたネイ教授は「性はどこにでもあることですが、高齢者となると、私たちは問題にして腰を落ちつけて真剣に取り上げることになるのです。
職員―とくに高齢者の性について想像できないような若い職員―はこの問題について話し合うのが難しいそうです」
エイ氏は、4カ所の調象施設で性について人々が話しやすいようにな評価方法―特にセックスする介護を受けている認知症高齢者について―を開発したと発表しました。
この全国フォーラムの開会式でNSW州知事のマリー・ヴァシールMarie Bashir教授(写真左中)が開会であいさつをして、「フォーラムの組織関係者とオーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Australiaへ賛辞を送り、認知症の人と家族の生活に変化をもたらした彼らの情熱とアルツハイマー病が治らないとすれば新たな解決を見出すという貢献について述べました。さらに彼女は、今回のフォーラムの要となる認知症擁護者と実際に従事している人たちとが一体となることの重要性を強調し、「高齢者は忘れてはならない重要な人たちです」とも語りました。
そのあとの開会式では、オーストラリアアルツハイマー病協会の会長でよく知られたメディア関係者で女性実業家のイタ・ブットローゼIta Buttrose(写真左下)氏の講演がありました。ブットローゼ会長は、現在実施されている「認知症啓発週間Dementia Awareness Week」では認知症により多くの資金と政治的活動が必要であり、そのため国家認知症戦略の導入し、認知症と国家保健優先事項National Health Priorityに2013年以降も含めることを要請しました。さらに会長は、「認知症についてよりよい地域的な認識が必要性であり
私からみて認知症への国家的取り組みが長く遅れており、認知症にまつわる問題で高齢者介護は別のものではなく、むしろ医療全体に関わることです」と話しました。
さらに彼女は「残念なことに、オーストラリアアルツハイマー病協会、介護者、認知症の人への関心は、政府からはかなり無視された」と語り、政治家が耳を傾ける行動を要請しました。最後にオーストラリアアルツハイマー病協会はキャンベラの国会議事堂への行進に参加することを出席者に呼び掛けて講演を終えました。この行進は10月3日に行われる予定で、政府が認知症のための投資を現行どおりかそれ以上に増やし、認知症を国家保健優先事項に含めることも要求するものです。
第5回全国フォーラムは、全国に3カ所ある認知症共同研究センターでの研究および診断、治療、管理についての最近の研究結果を報告し、新しい研究者に技術と考えの展開する討論の場を提供するものです。
本日の全体会議では、心と体の運動、運動と認知機能、認知症の合併症などが報告されました。明日は、カナダのマックギル大学McGill Universityのジョン・ブライトナーJohn Breitner精神科教授(写真右)が、「アルツハイマー病の予防―現実的な目標か―」と題して講演します。
australian Ageing agenda 22/09/2011 Sex, dementia, exercise and more

★認知症外来の開設が急務(9月22日/パキスタン)
イスラマバードに在るシファ国際病院Shifa International Hospital(SIH)の著名な神経科医たちは、政府と民間の分野で、認知症外来と介護施設の設立を要請しました。これは世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer’s Dayを記念してSIHの神経科が9月21日に開催した「認知症の多様性Faces of Dementia」と題する会議でこのことを報告しました。
その後会議は、同じくイスラマバードに在るパキスタン医学研究所Pakistan Institute of Medical Sciences(PIMS)のモハマド・タリクMohammad Tariq教授(写真左上)、SIHの神経科長のイスメイル・カトリIsmail Khatri医師(写真左下)およびその他のSIHの神経科医―アルサラン・アハメドArsalan Ahmad医師(写真右上)、アザール・サイードAzhar Saeed医師、マイムーナ・シディキMaimoona Siddiqui医師(写真右下)―などの専門家を含めてQ&A方式で行われ、医師らは質問に詳しく答えていました。
SIHの准教授でコンサルタントの神経科医のアルサラン・アハマドArsalan Ahmad医師は、次のように話しました。
「認知症は、脳のびまんせい性疾患で知性、行動、性格が進行性の衰退し、アルツハイマー病は高齢者に最も多い型の認知症で高齢期の障害の主な原因のひとつです。65歳以降で認知症は5歳ごとに2倍になります」
さらにアハマド医師は次のように述べています。
「2002年、パキスタンには約577.5万人(訳注)の認知症の人がいましたが、全世界では3560万人で、2030年までに6570人になると推計されています。
認知症は脳の進行性退行性疾患群の総称で、記憶、思考、行動、感情が影響を受けます。症状は、記憶障害、適切な言葉が言いにくい、言葉の理解が難しい、なれた仕事が出来にくくなる、性格や感情の変化です。
個々人が違うように、認知症も影響は個々人で異なります。全く同じ経過をたどる認知症の人はいません。性格、全般的な健康状態、社会状況が認知症を決める重要な要因です。
早期診断は有用です。これによって、介護者は病気の進行に対応でき、認知症の人自身が財産や法的課題について自分の能力が低下する前に決める機会を得ることができます。さらに認知症の人自身が、現在ある治療法を受けるよい機会も持つことができるのです」
結論としてアハマド医師は、認知症の認識が人々に広まり、高齢者を診るときに認知症の有無を確かめるように一般の医師の教育が重要としています。
(Tribune September 22, 2011 World Alzheimer’s Day: Govt urged to set up dementia clinics)
訳注:この数値は間違いだろう。2005年にイギリスのマーチン・プリンスらの報告によると、2005年でパキスタンには認知症の人が35万2000人と推計している。詳しくはサイト内記事
関連情報:パキスタンアルツハイマー病協会

アルツハイマー病の臨床前診断と倫理的課題(9月19日/アメリカ)
最近の研究によると、アルツハイマー病を早期に発見できる医学的診断技術が進むことで多くの複雑な問題が生じています。
例えば、
自分が早期のアルツハイマー病であるかどうか知りたいか?
自分のアルツハイマー病の発病リスクがあるかどうか知りたいか?
医師は発病の危険性についてどのように告知すべきか?
症状はないが発病している状態―臨床前―で仕事をしている多くの人が新たに診断されるとどうなるのか?
問題が複雑なのは、アルツハイマー病を早期に発見する技術が在っても、病気の進行を止める有効性が証明されている薬などの介入方法がまだないことにもよります。
ペンシルヴァニア大学医学医療倫理部生命倫理センターCenter for Bioethics, Departments of Medicine and Medical Ethics, University of Pennsylvaniaのジェイソン・カーラウイッシュJason Karlawish教授(写真)は、今回の論文で臨床前アルツハイマー病の診断について安全で効果的な方法の課題について論じています。
この論文は、神経学雑誌Neurologyの電子版9月14日版に掲載され、雑誌では10月11日号に掲載されることになっています。
最近の医学の進歩によて、近い将来、症状のため日常生活の能力に影響を与え始めるような症状が現れる前に、医師が臨床前アルツハイマー病と告げられることになるでしょう。
カーラウイッシュ教授は次のように述べています。
「現在、診断のシステムを開発し、臨床前アルツハイマー病の診断にともなう課題の解決方法を見つけなければなりません。
「コレステロールをコントロールすることで心筋梗塞などの心疾患を防ぐのと同じように、アルツハイマー病の患者になる前にアルツハイマー病を発病するまでの時間的問題だけです。病気が進行すると自立性が奪われるというこの病気の独自の状態が起こり、そうなる危険性があるかどうかを臨床前の診断を受けることで予防方法が必要となります」
個々人のリスクを知りたいという欲求も、またアルツハイマー病の危険性がについて知ることによる反応も、あるいは初期のアルツハイマー病と診断されることへの反応は、とてもまちまちなのです。
多くの事例からわかったことは、アルツハイマー病の生体指標の検査結果によって、人は不安や重いつ状態になるかもしれないのです。
これについてカーラウイッシュ教授は、研究者や臨床医は、臨床前診断に伴う精神的身体面影響を追跡し、対応についての最善の方法と開発し普及させることを勧めています。
こうした問題は、将来、生命倫理の重要な課題となるでしょう。たとえば、有効なアルツハイマー病への介入方法が見つかると、最も利益が得られるであろう人に優先的に利用できるかという課程が生まれます。
予知できるという証拠があって、その人のリスクだけでなく、集団全体でのリスクも評価すべきです。特に、進行を止めることに失敗して影響を受ける人が多くなることもあるのです。
「全国アルツハイマー病教育計画National Alzheimer’s Education Program」が提案されています。この計画は、研究結果を臨床前の人に活かすようにすることです。
さらにカーラウイッシュ氏の次のように述べています。
「アルツハイマー病は障害と同義語ではありません。臨床前アルツハイマー病の人が日々の生活―運転、財務、労働―に消極的になったり、早すぎる時期い制限されるべきではなく、法律や政策は、そうした人たちへの偏見や差別、あるいは発病したときの財産などが奪われるといった搾取から保護されるような改定が必要です。
臨床前アルツハイマー病を見つけることは、アルツハイマー病という津波をどのように予防し、そうした状態を見つけることから生まれた課題に圧倒され何もしないということではありません」
psychcentral 2011年9月19日 Early Detection of Alzheimer’s Presents Ethical Dilemmaおよび論文:Addressing the ethical, policy, and social challenges of preclinical Alzheimer disease
編者:楽観的な見解だ。臨床前アルツハイマー病は病気なのか、患者なのか。アルツハイマー病の発病にいたる過程がまだよく解明されていないし、予防も必ずしも確立してはいあにし、治療薬がないといったなかで前臨床アルツハイマー病と診断してよいのか。差別、偏見を助長するおそれが大だ。あるいは心筋梗塞の予防のためと延々と抗脂血症薬―だれにもが予防できるわけでではない―と同様にアルツハイマー病予防薬を勧めたい製薬企業のためなのか。

★認知症の人に「笑い」がよい(9月18日/オーストラリア)
ナーシングホームの認知症の入居者は、「ユーモア療法士humour therapist」の楽しい訪問を受けたり、「笑いの達人laughter boss」の注意深い監視のもとでの職員の介護を受けたりすると、お堅い介護よりは興奮することが少ないことが分かりました。
認知症の人の感情、興奮度、行動および社会的関わりについてユーモアの効果があるかどうかを確かめるため、ニューサウスウエールズ大学University of NSWの研究者によるスマイルスタディSMILE studyが行われ、この研究に36施設の400人が参加しました。
研究者は、「ユーモア財団Humour Foundation」の共同創設者で、かつ子供病院の患者を元気づける「道化師先生clown doctor」として活躍する「ユーモア療法士」のジャン‐ポール・ベルJean-Paul Bell氏(写真左上)と共同で研究しました。
ベル氏は、子供病院での道化師先生の服装を、エレベータ係に替えて「ユーモアボーイhumour valet」となり、ほとんどが認知症のナーシングホームの入居者の200人に3カ月間関わりました。
ベル氏は、旧式の電話器で架空の人に話しかけながら笑いを誘い、入居者が欲しがるものを聞きながら魔法の杖を振りたりしました。
ナーシングホームの職員も「笑いの達人」になる研修を受け、陽気な雰囲気を保つために日常生活で介護職がユーモアを取り入れるようにしたのです。
研究主任のリー-フエイ・ロウLee-Fay Low医師(写真左下)は次にように話しています。
「ユーモア療法を受けた入居者は、攻撃的行動、徘徊、大声、同じ行動を繰り返すといった興奮が20%減少しました。その結果から、ナーシングホームがもっと勇気づけられ日常活動のなかにもっとユーモアを取り入れることになるでしょう。認知症の人が。ユーモアを体験し、認知症のない人と同じ様に多くの楽しみを経験できるのですが、異なったことに楽しみを見出しいるということがわかりました。多くの施設では、集中してしなければならない仕事が多く、まずは入浴、シャワー、食事、掃除をしなければと考えている職員が多いと思います。彼らはとても忙しくて入居者の医療面や身体面で必要なことに専ら目を向け、情緒的な必要なことに配慮することを度々忘れます。この研究で明らかにした陽気さが情緒的に必要なことの一つと思います」
ベル氏は、「アートヘルス研究所Arts Health Institute」を立ち上げ、高齢者介護の職員にナーシングホームでどのようにユーモアを取り入れるかについて教え、多くの入居者に変化を生じていることに驚いています。
ベル氏の経験。「大人しく座って、一言も話さない入居者がいました。次の12時間以上で、快活になり、ゆっくりと一言、二言、話すようになりました。そしてしばらくして挨拶をして言葉を交わすようになりました。新しエネルギーが彼女なかに再生しのたです」
Sydney Morning Herald.com.au September 18, 2011 Dose of laughter good for dementia: study
関連情報:Humour (laughter) Therapy in Residential Aged Care Facilities by practiceLee-Fay Low(pdf3M)
編者:研究論文は見つからないが記事としての紹介である。介護施設に訓練や研修を受けた専門職や介護職がユーモアと取り入れるのは意義があると思う。私の認知症の妻はテレビで吉本新喜劇を見て笑って機嫌がよくなり穏やかなるのだ。日常的な介護でもユーモアは必要であり有意義だと思う。オーストラリアの介護施設でのこうした取り組みが日本で行われているとは聞かない。テレビで我が国の小児病棟にアメリカで訓練を受けた日本人の道化師が入っているのを観たことがある。その道化師が認知症の人への取り組むことを期待したい。もっとも我が国では認知症への笑いの効果についての研究はあると聞く。

世界アルツハイマーデーに併せ啓発活動(9月18日/台湾)
台湾の医療専門職は、認知症の最も多い型のアルツハイマー病について啓発活動を、毎年9月21日と決っているWorld Alzheimer's Day世界アルツハイマーデーの前夜祭りで、早期に発見し治療することで認知症の人や家族にとって大変な違いがあることを強調しました。
「アルツハイマー病と関連疾患台湾カソリック財団Taiwan Catholic Foundation of Alzheimer's Disease and Related Dementia (CFAD)」のテン・シーシンTeng Shih-hsiung事務局長(写真右中央)は、「現在、世界中にアルツハイマー病の人が3600万人いると推計されている」と話しています。さらにカーディナルチエン病院ヤヨンヒ分院Cardinal Tien Hospital Yonghe branchの管理者でもあるテン氏は「台湾では12万人以上のアルツハイマー病の人がいますが、そのうち3万3700人が診断を受けているにすぎなくて、残りの人は治療をうけていない」と話しています。
アルツハイマー病協会に関して地球の状況の悪くなっているとの視点から、国際的団体である国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease Internationalは、9月を「世界アルツハイマー月間World Alzheimer's Month」と決め、人々が日々この病気との闘いに加わり、その問題について一般人たちの認識を向上させるよう勧めています。
さらにテン氏は次のように話しています。
「アルツハイマー病は、一般に、質問を繰り返す、短気あるいは猜疑的になるなど性格が変わる、判断が衰える、外出でたびたび行方不明になる、日々の作業での認知機能が低下するといった症状が現れます。こうした症状を自然な加齢現象の伴う自然現象とみるなどアルツハイマー病について間違った考えが広がっています。またアルツハイマー病の人には希望がなく諦めるしかないとの間違った考えもあります」
こうした考えから症状を無視して取り組みが遅れることで結果的に、うつ状態、認知障害の進行、人間関係の悪化といったことが生じることがあるのです。
テン氏は、「アルツハイマー病の人の状態とその生活は、早期に治療を受けることが改善することがあり、情緒的にも知的にも安定することになる」と強調しています。
よく知られたエンタテイナーのスン・ユーとエラSun Yueh and Ellaは、アルツハイマー病につての一般の人の認識を高めるための支援活動に加わるボランティアです。
エラさんの話では、86歳の祖母がアルツハイマー病の症状を表わし、5、6年前に家族を他人と間違えたのです。しかし、現在、彼女の状態や家族との関係は、治療と受けることで明らかに改善されました。彼女は、「高齢者の脳は、記憶が溜まったバケツのようなもので、適切な反応をしないと水のように漏れてしまう」と話しています。
さらに、愛情と介護と治療が合わさって、容器のなかの価値ある水が漏れるのを遅くなると、そのやり方を勧めています。
台湾では、アルツハイマー病の人はすべての行方不明者のおおよそ半数を占め家族に不安や怒りを生むことになっています。高齢者福祉を進めている多くの団体の専門家は、効果的に追跡で行方不明の高齢者を探すことができるGPS機能をもった携帯電話や手首バンドを使うことを勧めています。
また専門家は、高齢者に家庭的で温かい雰囲気をつくることで安心感を強め、日々の活動の予定を立て、屋外での活動を一緒に行うことが役立つと話しています。
CFADのテン氏は、アルツハイマー病に関する質問には電話(02) 2332-0992かサイトwww.cfad.org.twで喜んで答えると話しています。
The China Post  September 18,2011 Medical experts promote Alzheimer's awareness
編者:CFADはADIに加盟している台湾失智症協会Taiwan Alzheimer's Disease Association (TADA)とは別団体。

★認知症の人の小規模グループホームでの介護の質は高い(9月15日/オランダ)
オランダのマーストリヒト大学公衆保健プリマリーケア学部保健サービス研究科Department of Health Services Research, School for Public Health and Primary Care, Maastricht Universityのエズラ・ファン・ザデルホッフEzra van Zadelhoff氏(写真)らの研究グループは、オランダで伝統的な認知症の人のナーシングホームが非個別的、受け身的な介護、技術の欠落、身体拘束などの欠点を持っているのに対して、これに代わるものとしてグループホームgroup living homeがあります。しかしそこでの経験についての研究はほとんどありません。このため、認知症の人ためのグループホームの入居者、介護家族、看護職の経験と介護経過につてのその受けて止め方について調べることにしました。
調査は、オランダ南部にある二つのグループホームで、できるだけ実態に沿って自然なかたちで、介護の質的な面についてのデータを6カ月間集めました。日々の生活、介護、活動について系統的で参加型観察実施しました。さらに半構造化面接(訳注1)を、入居者、家族、看護職に対して行い、そのデータは、「トロント・ケア倫理枠組みTronto’s care ethical framework」(訳注2)に沿って帰納法的(訳注3)に分析しました、
グループホームでは、個別的介護、入居者の個人的必要性に注目するためのそれが可能となるような会を設定されていました。入居者のよい状態に注目し、より敏感に受け止めることが増えていることが、よい介護の徴候と見られ、トロント・ケア倫理モデルTronto’s care ethical modelを尊重し大切にした介護を受ける時期に連動していました。しかし誰が介護の責任を担うかの時期には緊張を生じました。すべてではありませんが入居者と家族が責任を担い自己介護を行うことを望むこともできました。結果として、グループホームはよい介護が可能な状況をつくり、注意することと敏感であることを高めていました。そこでの緊張は、責任と業務とが新しい段階にさしかかることに関係していうようでした。この結論が臨床看護に妥当であるかは、必要性や敏感性へ注目することは、ナーシングホームでの認知症の人へのよい介護を行う看護職がとても重要なことがわかりました。
この研究論文は、臨床看護雑誌Journal of Clinical Nursingの2011年9月号に掲載されました。
今回の研究についてザデルホッフ氏は次のように述べています。
「2040年までに全世界で認知症の人が8000万人になると推計されています。現在まで認知症の人への伝統的な介護は大規模なナーシングホームで行われてきました。
しかし、多くの国で小規模なグループホームでの介護を行うことが多くなりました。そこでは普通の生活を近づけ、より家庭的な環境をつくっています。これらがオランダ、ドイツ、スウェーデン、日本でのグループホームの概念です。
私たちの研究は、二つのグループホームのユニットを対象として、おおよど30カ月間、行いました。それぞれのユニットで10人の認知症の人へ介護を行いました。両方とも南オランダの都市部にある伝統的な大規模で非営利のナーシングホームの敷地内に在りました」
ユニットは、共用のリビングとキッチンを中心とした構造で、8人の入居者は自分の家具をそなえた個室で、12人は2人部屋です。ユニットは家庭的な雰囲気を造るような内装を施しています。
すべての入居者は24時間の介護が必要で、これは9人の高齢者ケアの経験がある看護職(20歳から60歳まで)で行いました(フルタイムで7.2人に相当)。看護職は、洗濯、掃除、キッチンでの食事の用意などの家事は認知症の人と一緒に行い、散歩や運動や歌などの活動を計画実施しました。
多職種―医師、心理士、理学療法士、作業療法士―のチームは必要に応じて関わりました。二つのユニットとも、人生の最期まで暮らす入居者と「生活中心のホーム」の考え方から生まれたものです。
研究チームは、8日間に32時間の観察を行い、5人の入居者、4人の家族、4人の看護職に対して詳細な面接を行いました。
重要な指摘事項は次のとおりです。
認知症の人について
入居者は、家に居ると感じており、日中はリビングによく集まり、話をしたり、コーヒーを飲んだり、読書したりしています。日々の活動は安定して混乱を招かないものです。また認知症の人は、家事的活動―テーブルを並べる、皿洗いなど―に参加することができ、このことでアイデンティティを保持し、より家庭にいるとの感じを補っています。
「好きな時に自分の部屋で過ごせますが、そうすることはあまい多くはなく、他の人とリビングに居るのが好きです」
「いつもここで洗濯しますが、家でもいつもしていたことです」
介護家族について
家族は、ナーシングホームよりグループホームの方でよい頻繁に関わることができます。家族は、鍵を持って定期的に面会する傾向があり、訪問者としてよりグループホームの一員として扱われ、個別的な介護や雑事を助けました。介護家族の多くは、こうしたレベルの関わりが困難なことを自覚し、このため緊張が生じたようです。しかし、ほとんどの介護家族は訪問を楽しみ、日々の活動に関わり、必要があれば介護していたことのある入居者の受診予約をしたり、教会や美容院に連れて行きます。
「家に居るようで、とても喜ばしいことです」
「母はここが家とおもっています。伝統的なナーシングホームのユニットでは知らない人が多いのですが、ここでは誰をも知っています」
看護職について
看護職は、入居者とよい関係をつくり必要性にそった個別的介護をすることができます。しかし、看護師がそのことがよい情緒的に接触していると感じており、自分たちの臨床看護や専門的看護との隔たりと妥協しなければなりません。ほとんどの場合、看護職は入居者と一緒に個別的な介護を行うことができましたが、事例によっては、介護の責任を誰が持つべきなのかについては合意が得られませんでした。
「看護職として、通常の介護より関わりが多いと感じました。入居者には関わるがより強くより密接であったと感じます」
「互いに仲良くやり、家政婦のような経験もし、家族のように生活します」
ザデルホッフ氏は次のように話しています。
「私たちの研究で分かったことは、認知症の人のその人中心のケアを行う鍵は、人が自分自身になることができ、家族と普通の日々の活動に関わることができる環境のなかで生活することができるかどうかということです。
しかし、このやり方に問題がないわけではありません。看護職は入居者と関わりが多くなりますが、このことが自分たちの臨床看護や専門的看護との隔たりに葛藤することになります。研究した介護家族は、グループホームの介護にどの程度関わりたいのかということについてはバラつきがあり、このようなあかで緊張が生まれることがあります」
News Medical 15/09/2011 Good care in group home living for people with Small nursing homes for people with dementia provide good quality care, domestic environmentおよび論文Good care in group home living for people with dementia. Experiences of residents, family and nursing staff)
訳注1:面接を次の3つに分類する。構造化面接:調査面接のように質問項目や順序が決められており,それにしたがい面接者が主導して面接を行う。半構造化面接:質問項目は決められているが順序は決められていない面接。非構造化面接:カウンセリングなどのような面接で用いられ質問項目も決まっておらず自由に行う面接。
訳注2:トロント倫理枠組みToronto’s Ethics frameworkについてhttp://www.toronto.ca/ltc/ethics.htm
訳注3:帰納とは、個別的特殊的な事例から一般的普遍的な規則法則を見出そうとする推論方法。
編者:オランダは認知症の人の施設介護への取り組みや早かったが、大規模介護施設への反省から小規模グループホームが見直され、その実態と利点についての研究報告といえる。この記事には日本の名前が載っているが、我が国ではグループホームを経験的に認知症の人によいとされているが、それを証明する研究報告は知らない。なとオランダでの介護施設では看護職の役割は重いようで、介護職の存在と役割についての情報は知らない。

★キューバハバナで世界アルツハイマーデー(9月7日/キューバ)
アルツハイマー病に関する詳しい健康教育が、9月21日の世界アルツハイマーデーWorld Alzheimer's Dayまで旧ハバナ科学文化会館で行われます。これはハバナ製薬博物館Havana Pharmaceutical Museum(元La Reunion Drugstore)が後援します。これは最も意義ある集会の一つで、アルツハイマー病の親を介護する人たちが互いに話し合い、この退行性神経疾患の予防についても話し合われます。
別の分科会は高齢者の健康と自己治療の危険性に関するもので、ハバナ大学医薬食品研究所Pharmacy and Food Institute of the University of Havana(pdf500K)の研究者が講演します。
この分科会は、ハバナ市歴史局Havana City Historian's Officeによって企画された健康計画の一環で、専門家との話を通じて慢性疾患の予防を啓発するのが目的です。
また別の企画は、アルツハイマー病の人の家族が病気について予防と管理をもっと学べるようにするものです。
世界保健機関と国際アルツハイマー病協会によって始まった9月21日の世界アルツハイマーデーは、アルツハイマー病の人の介護について世界中でひろく啓発する日です。
WWW.Cadenagramonte.cu 07 September 2011 Cuba Marks World Alzheimer's Day
編者:キューバのアルツハイマー病協会は国際アルツハイマー病協会の会員で事務局は以下のとおり。
Seccion Cubana de la Enfermedad de Alzheimer, Policlinico Docente Playa, Proyecto Alzheimer, Avenida 68 # 29B y 29F, Playa Ciudad de la Habana, C.P. 11400,Cuba
Tel:+537 220 974 Fax: +537 336 857 Email: mguerra@infomed.sld.cu

★アルツハイマー病治療薬の失敗から学ぶ(9月7日/アメリカ)
ハーバード大学医学部Harvard Medical Schoolおよびブライハム婦人病院Brigham and Women’s Hospitalの神経科教授のデニス・セルケDennis J. Selkoe医師(写真左上)は次のように述べています。
「近年、可能性のあったいくつかのアルツハイマー病薬の試験は失望する結果となりましたが、重要なことをこの失敗から学ぶことができます。研究結果を分析すると、もっともよく調べた薬で鍵となる問題は、人での臨床試験に移る前に研究室での基本的な試験を終えてはいなかったということです。この分野で十分に注意していなかったということは非難されるべきと思います。研究者は最善を尽くしてはいますが、人で試験する前によい薬なのかどうかを十分に考えてすべての動物実験を行っているとは思いません」
セルケ氏のこうした分析論文が雑誌Nature Medicineに本日―2011年9月7日―掲載されています。
その論文のなかで、アルツハイマー病の研究を20年余り行ってきたセルケ氏は、私たちの知識で重要なギャップを他の科学者が理解するのに役立つように、その方法論的課程を整理しています。
セルケ氏が分析した薬の一つは抗炎症剤のR-フラビプロフェンR-flurbiprofenに関することですが、この薬はアルツハイマー病の指標であり、認知症にいたる神経細胞を傷害すると考えられている脳のアミロイド蛋白斑を減らすと期待されていました。
彼は「薬の試験は失敗と報じられよくなかったのです。その薬の効果が現れるほどの脳内の濃度にはいたらなかったことがわかった」と述べています。
期待された別の薬はアルツヘメドAlzhemedでしたが、「動物実験で現れるだろうと思われていたことが起こらないで失敗し」と彼は述べています。
セロケ氏は、エラン社Elanの創設者の一人ですが、この会社はジョンソン&ジョンソンJohnson & JohnsonおよびファイザーPfizerと共同してバピネウズマブBapineuzumab―略称バピBapi―と呼ばれる別の薬の臨床試験を行っています。彼はその会社のコンサルタントです。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの全国本部の医学科学担当主任であるウイリアム・タイスWilliam H. Thies氏(写真左上)は次のように話しています。
「基本的に必要な科学的なことについて完璧ではなかったというセロケ氏に同意します。しかし、問題は科学者にあるのではなく、この研究を進めるための連邦政府の資金が欠けてことにあります。実行することの問題ではなく、資源の問題なのです。脳に侵入する分子の通過あるいは受容体の活性化の意義について知ることができことになる基礎研究に資金が使われていないです。国立保健研究所NIHは、がん研究に年間60億ドル以上、心疾患研究に40億ドル以上、HIV・AIDS研究に30億ドル以上を使っていますが、アルツハイマー病研究には年間で4億8000万ドルなのです。アルツハイマー病はアメリカ人の10位内の死因で予防も治癒も進行を遅らせることもできない唯一の原因疾患なのです。過去50年間、脳を奪い去るこの病気についての理解は進みましたが、科学者はなお基本的な疑問で行き詰まっています。私たちは何が原因でアルツハイマー病を現れ、何が原因で通常の脳から認知症にいたる道を歩むのかを知りません」
本日掲載の論文でセルケ氏は「明らかに人で行う実施する前に、動物や実験室での試験を進めることの重要性については、軽度のアルツハイマー病の症状を示し、あるいはまったく症状がない人で試験を行うことでも同様です」と述べています。
増加している研究者がこの視点を共有し、潜行する病気の進行を遅らせることに影響する最大の可能性は、がん、高血圧、糖尿病といった他の慢性疾患と同様に、初期、あるいは最も治療の可能が高い状態の時期に病気をやっつけることです。
boston.com 09/07/2011 Key lessons in Alzheimer’s drug failures, top Mass researcher saysおよび論文Resolving controversies on the path to Alzheimer's therapeutics
編者:アルツハイマー病アミロイド原因説派の標準的な見解だが、これでうまくいくのだろうか。またアルツハイマー病協会の人も金さえかければ治療に繋がる研究ができると単純な発想に思える。

「アルツハイマー病をなくすウオーク」への参加の呼びかけ(9月2日/アメリカ)
アメリカ・イシノイ州にあるマコンブMacombでは、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationが主催する「アルツハイマー病をなくすウオークWalk To End Alzheimer’s」の一環としてライアネ・ルーベンLynne Ruben氏は、父親と叔母を思い出して、またマコンブ地区AARP (American Association of Retired Persons:アメリカ退職者協会)のチームの一員として毎年行われマックドナーMcDonough郡の第14回ウオークに参加します。催しは、シチズンバンクプラザで9月17日(土)午前10時から始まります。
ルーベン氏は、1995年に「ウオーク委員会Walk Committee」に参加し、当時はマコンブ地区AARPの代表でした。参加することで認知症についてよりよく理解するのに助けになったと話しています。父親が認知症になっただけでなく、彼の姉にあたる叔母も2000年にアルツハイマー病と診断されたのです。
ルーベン氏は「47歳の時から、認知症が介護家族にどのように影響することを知りました。10年間、毎年1回父を訪ねて1月間一緒に暮らし、この間姉が休みを取ることができました。父の記憶障害、運動傷害そして行動の変化を知ることができ」と話しています。
アルツハイマー病は増加し、全国では死因の第6位です。ベビーブーマーが高齢化するなかで、アルツハイマー病の人は急速に増え、現在の540万人以上になるでしょう。
ルーベン氏は、自分の役割をアルツハイマー病協会の目標についてAARPに知ってもらうこととし、いずれはAARPとアルツハイマー病協会がアルツハイマー病の治癒方法を見つけるための資金を増やすために州レベルで共同してウオークを行うことを希望しています。
彼女の父親は15年間認知症で2010年の5月に亡くなり、叔母はそれより2年早く亡くなりました。
「アルツハイマー病をなくすウオーク」は単なるウオーク以上のものです。マコンブ地区で参加者予定の250人以上の人たちは、アルツハイマー病、この病気の原因にどのように関われるのか、認知症の人を擁護する機会、研究の最新情報、臨床試験への参加について学ぶことができます。さらに、3マイルのウオークは、参加者が有意義な催しに参加し、アルツハイマー病の人たちを称える機会でもあります。
本日からアルツハイマー病支部のサイトから、または支部に電話をしてチームと作り、ありは参加を登録できます。100ドルを寄付したすべての参加者に記念のティーシャツがもらえます。
昨年のウオークではマコンブAARPチームが資金集めのトップでした。2006年にウオークに参加して以来、アルツハイマー病に毎年3000ドル以上の資金を集めてきました。ルーベン氏は5年間のうち最近の4年間、ウオークで最高額の資金集めの個人タイトルを持っています。
アルツハイマー病協会セントラルイリノイ支部Alzheimer’s Association Central Illinois Chapterのニッキ・ヴルガリス-ロドリゲスNikki Vulgaris-Rodriguez事務局長は次のように話しています。
「アルツハイマー病協会のウオークに参加することでアルツハイマー病との戦いに、マコンブの市民が参加することはとても大切なことです。資金集めはこの地区に住む2万1500人のアルツハイマー病の人の治療と支援に使われます。さらに極めて重要な病気の研究を進めることにも繋がるのです」
McDonoughVoice.com Sep 02, 2011 Local Alzheimer’s Walk is Sept. 17
編者:アメリカのアルツハイマー病協会が長く行ってきた街頭での啓発、資金集めの運動を今年はWalk To End Alzheimer’sと呼んでいる。国際アルツハイマー病協会の世界アルツハイマー啓発月間と連動して9月に全国各地で行われることが多くなったようだ。我が国ではこのウオークのやり方を真似ているのが千葉県の認知症メモリーウオークである。

施設での認知症の人への新たな取り組み(8月29日/イギリス)
多くの年金生活者が高齢化して、悲しいことに、認知症になる人が増えています。寿命が延びて100歳以上で誕生日を迎える人が増え、認知症の人も増えるということは単純な事実なのです。2038年までにイギリスの認知症の人は今の2倍の140万になると推計されています。もはや自立して生活ができない認知症の人を家族が積極的に支える最善の方法を探さなければならなくなっています。介護施設でも専門職による認知症ケアの要求が増えています。
登録慈善団体のシェフケアSheffCareは、シェフィールドSheffield市内に11か所の介護施設を運営していますが、このうち認知症の入のためにその25%を当てています。先駆的な施設はスプリングフイールドSpringwoodの施設で、ここでグループで初めて専門職による認知症施設を導入し認知症の人に相応しい24室を用意しています。この施設は、居室の他に多くの小部屋があり、いろいろな活動の空間があり家族も一緒に過ごすこともできます。市内南部では、グループのカテライCotleigh居住区内に認知症の人用の施設を造りました。さらにグループで四つの施設を認知症介護用に転用することになっています。
この先駆的なスプリンウッド計画は、管理者のアニタ・ブランドAnita Bland氏(写真左中)によって進められています。彼女は次のように話しています。
「認知症ケアを成功させる鍵は入居者と家族の双方に適切な支援を提供することです。屋外、散歩、買い物、家事などの生活の楽しみを活かすことで入居者らの幸せを維持したのです。入居者の満足感と機能維持が重要です。認知症の人と家族とに関わることを目指しています。私たちの役割は、個々の人を知り、彼らが日々生きるに値するようにして、自分たちの能力を維持し、新しいことも始めるように励まし、目的意識が持てるようにして、家族や友人が一緒に楽しめる訪問のなかで日常的な仕事にも関わるようにしています」
その対策の鍵のひとつは、家族と過ごせる料理室を造る事でした。馴染みのない空間ではなく親しみのある空間でのくつろいだ雰囲気のなかで過ごすことができます。
アニタ氏は次のように指摘しています。
「特に若い人たちに訪問を勧めるときに大切です。家族や友人が質の高い一時を過ごすことがこともまた重要です。日々、誰の訪問もなく寝室で終日過ごすようなことは自然なことではありません。子供たちが違和感を覚えないように、家族料理室―居心地がよく親しみのある家庭的空間―を用意することで誰でもくつろぐことができます」
料理室では入居者がパンを焼いたり花飾りをしたりといった活動が楽しめます。こうしたことは彼らが昔行ったであろうことで、現在の自分の存在感覚を保持するのに助けるとなりえます。
あらにアニタ氏は次のように話しています。
「私が知るある婦人は、『魚と揚げ物店』で長く働いていました。そのため誰よりも早くポテトを揚げることができます。彼女が人生の重要な時期をできるだけ続けるべきことを実感しました。注意しておれば、まったく危険がないこともわかりました。食器を洗う、衣類をすすぐ、外で乾かす、アイロンをかけるといった簡単な日常作業でも同じことです。自宅では認知症の人にとって家事は危険をともなうでしょうが、施設の専門職チームが見守っているなかで簡単な作業は昔同様に日常の一部になるのです」
シェフケアの最高責任者のダンカン・ベルDuncan Bell氏(写真左下)は次にように話しています。
「最近の多くの施設では家事を取り上げることが入居者を助けていると捉えています。しかし実際は、日常生活のすべての面に入居者が参加することで最善の反応あるのです。安全に行うことができています」
さらに先駆的な試みとして「エンパシードルEmpathy Dolls(同情人形)」を取り入れたところ、予期せぬ反応が見られました。
アニタ氏は次のように思い出しながら話しています。
「若い面会者がたまたま人形を置いて帰ったとき、入居者がそれを抱き上げて話しかけたのを観て人形が持っている効果を実感しました。とても静かな紳士がいますが、彼は人形を見せると、自分の子供か孫のように思いやりと記憶がよびさまされました。すばらしい経験でした。人形で第2の子供時代に入るとか、単に人形と遊んでいるというものではありません。人形がしていることは基本的な養育本能を満足させ、抱く、話す、あやすといった接触を提供し、愛情と思いやりを与え、失われた言語的コミュニケーションを刺激するのです。記憶が若い時に戻っているような入居者には、自分を世話をしなければならない子供のある親と思い、子供が帰宅しないと心配することがなくなりました」
さらにスプリングウッドのチームは、仲間同士の交流感覚を呼び覚まし感覚面の刺激や運動をも支えるのに役立つペットと一緒に面会することで、犬療法という積極的な効果も見つけました。
ガーデニングや普通の外出など日々の行為は生き生きした新たな関係を生みだし、認知症の人が散歩に行けなくなるのではという家族の心配を軽減していま。適切な見守りもとで生き生きした刺激を提供する心地よい運動なのです。
スプリングウッドのある男性入居者は、他人を助けるのが好きで、店に買い物に婦人と一緒に行ってバッグを持ったり、タクシーのドアを開けたりしています。
アニタ氏は次のように話しています。
「介護文化の変化を観るべきです。人をもっと見守り、介護のなかで尊厳に注意し、その人中心の介護を行うべきであり、決まり切ったことはしないとことです。病名を知ることだけでなく持続する幸せを目指しています。認知症の人によく水分を摂ってもらい、栄養状態がよく新鮮な空気を吸い、認知症をもった人生のずれを埋めることができると感じています。入居者、職員、家族が一緒に仕事をすることで、私たちは入居者―とくに認知症の人―の日常生活を変えることができます。
雇用年金局Department for Work and Pensionsの報告によると、2011年現在で20歳、50歳、80歳の平均余命を比較しています。20歳では、祖父母より3倍、100歳になり、両親より2倍、100歳になりえます。2011年に生まれた女性は、その3人に1人が100歳を迎え、男性は4人に1人が迎えることができます。1931年生まれの人と比較して2011年生まれの人は100歳になれる可能性は8倍ほどなのです。国立統計局Office for National Statisticsの推計によると、2066年までにイギリスの50万人以上が100歳以上になるとされています。
(The Star 29 August 2011 Sheffield care homes coping
編者:イギリスのある介護施設での認知症ケアの取り組みを紹介した記事だが、この程度のことは日本ではあたりまえになっていると思う。こうした施設が改めて紹介されるということは、イギリスにはまだよくない施設があるということなのだろうか。この30年間で私たちはイギリスからは「パーソンセンタードケア」と「認知症マッピング」を学んだが、当地ではどのように活かされているのだろうか。

★「利用者の満足度を第一に スウェーデンの高齢者福祉施設」(8月24日/佐賀新聞)
高福祉社会として知られるスウェーデン。先日,フィールドワークの一環としてベクショー市内にある市営と民間委託の高齢者福祉施設を訪ねた。どのような人でも,ともに協力しながら生活できる社会を目指す「ノーマライゼーション」。北欧発祥というこの基本理念に即した2つの施設では,高齢者がより豊かに暮らせる工夫が各所にこらされていた。ベクショー市の郊外にある市営の高齢者福祉施設=写真=。「H」の字に配置された建物には,症状や体の機能に応じて緑,青,黄,赤の4部門に分けられた高齢者が入居している。緑と青は,在宅ケアは難しいが,比較的健康な高齢者,黄は認知症,赤は身体障害者の建物を意味する。福祉施設というより,介護付きのアパートだ。
緑と赤,青と黄の間には中庭があり,花や木々が風に揺れていた=写真=。天気が良い時は庭に出てコーヒーを飲んだり,散歩したりするという。施設の外と極力同じように生活する。ノーマライゼーションの理念が体現された空間だ。
黄の建物に入った。認知症の入居者をケアする黄の部門は,この施設で最も基礎的な機能を担う。施設に隣接して高齢者向けアパート=写真右下=が建っており,このアパートに住む高齢者のホームヘルプも行っている。
実際に入居者が生活している部屋を見学できた。1人部屋だが,10畳はありそうな広さで,トイレやソファ,テーブル,キッチンも付いている。「なるべく今までと同じ暮らしができるように」と,家具類はベッドを除いて使いなれたものを持ちこめる。
認知症や身体障害者の入居者がキッチンを使うことは難しいが,設備上の区別があるのはノーマライゼーションの理念に反するため,全ての部屋に一般家庭と同様のコンロや流しが設置されている。家族が訪問した際には料理も作れる。家族の写真や絵も飾られており,入居者にとっては「自分の家」と同然なのだ。
ノーマライゼーションの対象は,入居者や家族だけではない。スタッフも働きやすいように,身体障害者が入居する部屋には寝ながら体を洗えるシャワーベッドがある。「入所者にもスタッフにも快適な環境です」とスタッフは話した。
近くの保育園から園児たちがやって来て入居者と交流したり,入居者にニュースを読み聞かせたりする取り組みもあるなど,ソフト面も充実している。施設では准看護師や介護士の資格を持ったスタッフが働くが,緊急時には医師や看護師がすぐに駆けつけるシステムも導入されている。
ベクショー市内には,民間委託の高齢者福祉施設もあり,資金面で市からの補助を受けている。3階建ての建物のうち,短期滞在型の利用者をケアする1階部分は市営,長期滞在者が入居する2・3階は民間会社が管理しているという。設備や運営コストは市営と変わらない。「市も私たち民間会社も運営する目的が同じなので,上手く協調できています」と,相談役を務める女性チーフは言う。
施設の運営は点数制。利用者の満足度や要望への対応などの項目で採点される。サービスは入居者のものという考え方があるためだ。例えば,民間委託施設の評判が悪いと契約を打ち切って市営にするか,入札をして別の会社に変更する。この施設を運営する民間会社も,近くにある別の施設を落札したばかりという。
一方,民間会社に運営を任せると利益と効率性を求めすぎ,利用者が不利になる場合も出てくる。「利益追求も行いますが,入居者や家族の満足度との両立を第一に考えます。入居者がこの施設から離れてしまわないように努力します」と女性チーフ。
入居者や家族の満足度を高めるために,この民間会社では上品で丈夫な食器を用意したり,家族で誕生日パーティを開ける広い部屋を設けたりしている。施設に入居する最高齢者は99歳。「来年は100歳のパーティがここで開かれるでしょう」と女性チーフは笑う。
もちろん,スウェーデンの高齢者福祉にも課題はある。部屋が不足気味になって,希望する部屋や施設に入れなかったり,スタッフの待遇改善がまだまだ必要だったりするようだ。それでも高い税金を財源にして,新しい施設が設置され続け,スタッフの待遇は5年前に比べて大幅に良くなったという。先ほどの民間委託施設の3階は,実はまだ使われていない。市からの委託が正式に決まれば,入居が始まるという=写真は未入居の部屋=。日本のように「どこを探しても入居できる施設が見つからない」というわけではなさそうだ。
約940万人が暮らすスウェーデンと,1億2000万人がひしめく日本を単純に比較することはできない。しかし,高齢者や施設に対する思いには,日本で参考にできる部分もある。少なくとも上記の2施設では寝たきりの高齢者をひとりも見なかった。なるべく今まで通りの生活ができるように配慮されているからだろう。
利用者の満足度を第一に―――。スウェーデンでの試みはこれからも続く。 (中原 岳)(写真右)
ばってんがサイト 2011年08月24日 原文のまま

「“眠れる”中国の巨大介護マーケット- 介護企業の海外展開(上)」(8月23日/キャリアブレイン)
団塊世代が75歳以上になる2025年に向け、日本国内の介護マーケットは右肩上がりの成長拡大を続ける。高齢化の進展で、介護業界は一見、安泰と思われがちだ。それにもかかわらず、ここにきて中国など海外への進出を試みる介護企業の動きが本格化してきた。介護企業はなぜ、海外を目指すのか―。最新の動きを探った。(外川慎一朗)
埼玉県を中心に認知症高齢者グループホームや介護付有料老人ホームを展開するウイズネット(さいたま市)は、中国東北部の大連市内で介護人材の養成を開始した。
昨年4月、現地企業と合弁で、高齢者施設の職員研修に関するコンサルティング企業を設立。介護人材の研修講座を開き、今年5月には1期生となる10人の修了生が輩出した。カリキュラムはホームヘルパー2級講座をベースとした独自のもので、施設実習はないものの、入浴、排泄、食事のいわゆる「三大介護」を網羅している。
同社が大連市で介護人材の養成を始めたのは、通所介護などを軸とした施設「社区養老サービス」の開設認可を大連市で得たためだ。第1号施設は市の中心部・西岡区で今年10月にオープンさせる予定で、急ピッチで準備を進めている。そこには訪問介護の事業所やショートステイ、福祉用具の展示場も併設する。研修修了者の一部を社員として採用し、サービスの提供に当たる。
今後は、このサービスの積極展開を目指す方針で、まず年内に3か所程度の開設にこぎつけたい考えだ。将来的には、通所介護やショートステイなどをパッケージ化して中国の施設介護サービスである「養老院」に販売することを目指す。高橋行憲社長は「現在は養老院が単独で運営されているが、在宅サービスを併設する形を標準化させ、養老院全体のレベルアップを図っていきたい」と意気込む。
同社が目指しているのは、「現在日本で行われている介護」を中国国内で普及すること。高橋社長はそれを「日式介護」と呼ぶ。日本と同様に、富裕層だけでなく年収80万-200万円程度の中所得層までもターゲットとする。
最大の課題は「具体的な日式介護のイメージが、全くと言っていいほど知られていない」(高橋社長)(写真左上)ことだという。そこで、リフト車による送迎や機械浴、電動ベッドといった日本では既に取り入れられているものを「日式介護」の目玉に据える。「便利だと認識されれば、こうしたものは一気に広まるだろう」(同)との予測の下、「日本の介護レベルの高さ」で中国でのブランディングを目指す。
富裕層ターゲットの戦略も
中国の富裕層をメーンターゲットにした介護ビジネスの展開を目指す企業もある。JASDAQ上場のロングライフホールディング(大阪市)は今年10月5日、中国の青島市内に高級有料老人ホームをオープンする。地上27階建てで、このうち高齢者の居室部分は5階から上の161室。1階から4階には、現地の病院がテナント出店するクリニックのほか、スポーツジム、映画館、中華と和食のレストランといった施設も併設している。日本で高価格帯の有料老人ホームを手掛けている強みを生かし、中国でも高級志向を追求する。
ホームで提供される介護サービスは、現地の企業グループとロングライフが昨年11月に設立した合弁会社が手掛ける。同社は今後10年間で、中国国内に50か所のホームを開設したい考え。当面は10月オープンの第1号施設の成功に全力を傾けるが、青島での第2号、第3号の開設も検討中だという。
同じ富裕層向けサービスでも、居宅サービスの展開を目指す企業もある。全国で通所介護事業所や介護付有料老人ホームを運営するリエイ(千葉県浦安市)は今年5月、中国の北京市に高齢者施設運営のコンサルティングを手掛ける子会社を設立した。「中国では民間の有料老人ホームの建設が始まっているものの、立派な建物だけあって介護サービスのソフト部分が不足している」(経営企画部の田中克幸部長)ことから、まずは介護サービス全般のコンサルティングに取り組むことにした。中国では日本の介護福祉士のような「養老護理員」の養成制度が既にあるため、それに日本式の介護技術に関するカリキュラムを加える形での介護人材の育成を行うという。
さらに今後は、北京大学校病院と上海の企業との3者で合弁企業を設立し、北京市内で通所介護や訪問介護のサービス提供を始める予定。北京では年内、上海では来年の事業開始を目指している。保険外のサービスであるため、基本的には経済的に余裕のある富裕層をターゲットに据えている。
商機も危険性はらむ?
介護企業が海外進出に乗り出し始めた背景について、介護・医療をめぐる海外ビジネスに詳しい多摩大総合リスクマネジメント研究所の真野俊樹教授(写真左上)は、「いずれ日本国内の介護マーケットは伸び悩みの時代を迎えるが、中国は日本と比較にならないほど多くの高齢者が生まれる。これを商機ととらえ、中国が高齢化のピークを迎える前に、地盤固めをしておきたい思惑があるのだろう」と指摘する。
介護分野がまだ開拓されていない中国は、まさに“眠れる”巨大マーケットというわけだ。真野教授はさらにこうした見方も示す。
日本では介護保険制度の創設から10年が経過し、これから介護業界の序列が大きく変わることは考えにくい。海外進出の背景には、国内での自社の成長に限界を感じている面もあるのではないか」
一方で、介護企業の海外展開に詳しい福祉サービスの第三者評価機関「ケアシステムズ」(東京都千代田区)の和田俊一代表は、中国での介護ビジネスは危険性もはらんでいると警鐘を鳴らす。
「中国での事業展開には、高齢者介護に関する高い専門性に加え、地元資本との提携なども必要とされる。コンサルタント的な業務だけにとどまるのか、それとも地に足の着いたビジネスを行うのか、基本的なスタンスを明確にする必要があるだろう。日本のケアマネジメントのシステムはかなり高いレベルではあるが、ノウハウを提供した後に『もう結構です。お引き取りください』などと言われかねないことを覚悟しておくことも必要だ。海外に進出するにしても、現地の人をターゲットとするのではなく、逆に日本人を呼び込んで介護を受けてもらうビジネスの方が現実的なのかもしれない」
キャリアブレイン  2011年08月23日 原文のまま
「海外で介護を受ける時代がやってくる?- 介護企業の海外展開(下)」(8月24日/キャリアブレイン)
海外に進出する介護企業がターゲットとしているのは、何も現地の人だけではない。日本国内の高齢者をターゲットに、海外での介護拠点整備に着手する企業も現れ始めた。(外川慎一朗)
埼玉県を中心に認知症高齢者グループホームや介護付有料老人ホームを展開するウイズネット(さいたま市)の高橋行憲社長は、中国で「日式介護」の普及を目指す理由についてこう語る。
「将来的には、日本の高齢者が中国で暮らしながら十分な介護を受けてもらう、というスタイルもありだなと考えている。日本人が現地にわずか数百人程度では寂しいだろうが、例えば30万人程度いれば、日本人にとって寂しさを感じることのない環境を創出することもできると思う」
同社が目指しているのは、日本人が希望すれば、日本国内だけでなく中国でも十分な介護を受けられること。このため、「親日的」ともいわれる中国東北部の大連市内で日本式の介護サービスの普及を目指し、介護人材の養成や介護基盤の整備などを手掛けている。
日本人向けビジネス、中止も
将来の日本人向けビジネスの足場固めをする企業がある一方で、過去に海外での日本人の高齢者向けビジネスをやめた企業もある。
全国で通所介護事業所や介護付有料老人ホームを運営するリエイ(千葉県浦安市)は2003年、タイのバンコク市内で日本人向けサービスアパートメントの運営事業を始めた。
現地企業と合弁で法人を立ち上げ、看護業務を担う「ナースエイド」の養成課程に介護の独自カリキュラムを組み込み、日本人向けの介護を担えるスタッフ60人を養成した。養成したスタッフが、ロングステイする現地の日本人に介護サービスなどを提供する―。これが、当初同社が描いたビジネスモデルだった。さらに日本とタイの間でEPA(経済連携協定)が早期に結ばれれば、養成した人材を日本の介護現場に送り込めるとの思惑もあった。しかし、この事業は利用者の伸び悩みで収益化に至らなかった上、介護人材の日本への受け入れも実現しなかったため、4年で休止することになった。
ところが同社は、今年8月から同市内で再び介護人材の養成を始めた。年内には第1期生の養成を終え、本格的にビジネスとしてスタートさせることを目指す。病院によるナースエイドの養成課程に介護のカリキュラムを組み込むという、かつてと同じ手法。だが、介護人材を養成する前提がこれまでと異なる。以前はタイでロングステイする日本人向けの人材養成だったが、今回は経済成長を続けるタイの富裕層を対象に訪問介護を担ったり、施設に派遣したりする職員の養成に切り替えた。
「これまでのようなロングステイする日本人向けのビジネスにはあまり期待していない。それより、日本ほどではなくても、タイにも一定数の富裕層はいる。それと同時に、家事を手伝う『お手伝いさん』の文化もある。『介護もできる一段レベルの高いお手伝いさん』を求めるタイの高齢者の需要は高いと判断した」(経営企画部の田中克幸部長)
海外進出に向け「企業と業界は理念の確立を」
福祉サービスの第三者評価機関「ケアシステムズ」(東京都千代田区)の和田俊一代表は、日本人高齢者を対象に介護サービスを提供するビジネススタイルについて、「将来的には一定のニーズが見込める」と指摘する。
「海外で勤務し、海外旅行を楽しむことが現実のものとなった団塊世代には、海外で生活することにあまり抵抗感を持たない人もいる。その上、物価も安いとなれば、余生を海外で過ごそうという人も出てくるはずです」
その一方で和田代表は、物価の安い海外の介護拠点が、所得の低い日本の高齢者の受け皿に位置付けられてしまいかねない点を懸念する。本人の意思とは関係なく、低所得の高齢者が“送り込まれてしまう”危険性をはらんでいるという。
「いずれにせよ、海外における介護拠点の創出は、人の人生にかかわる大事な問題だ。企業や業界全体がどんな理念を持ってやるのか、また、国はどう考えるのかなど、大きな視点で検討を進めることも必要になってくるだろう」
キャリアブレイン  2011年08月24日 原文のまま

アルツハイマー病の間違った概念を改める時(8月16日/アメリカ)
ペンシルバニア州立大学医学部Penn State College of Medicineの人たちの論説によると、
アルツハイマー病の一般的な概念は、原因に関する主流的理論を含め、変更する必要があります。この論説はJournal of Alzheimer’s Diseaseの2011年のVolume 25, Number 4に「アルツハイマー病が変わる:アミロイドボックスの外で考える“」というタイトルで掲載され、論者の一人の同医学部のダニエル・ジョージDaniel George氏(写真左上)は次のように述べています。
「科学者がまもなくアルツハイマー病を克服するだろうという一般的な信頼は間違っています。一般にアルツハイマー病の話を聞くと、いずれ一流のアメリカサクセス物語が表明されることになっているとされるのです。近い将来、バイオテクノロジーによって高齢者を苦しめる地球規模で増加し広がり何10年にも及ぶ記憶を奪う盗人を克服できるだろうと言われているのです。不幸なことですが、この科学的物語は混乱が少し多くなっています」
アルツハイマー病に原因に関する現在の主流の科学的理論とは、脳への毒性があるアミロイド蛋白斑が神経死の原因とするものです。しかし、ジョージ氏と共同論者のフロリダ大学University of Floridaの特別研究員のサイモン・ダルトンSimon D’Alton氏(写真左下)は、「こうした理論は立証できではない前提であることが明らかにされつつある」と述べています。
さらにジョージ氏は次にように話しています。
「脳を悪化させるいわゆる毒性斑が脳に現れる以前に起こる老化に関係した要因があります。アルツハイマー病が毒性蛋白といった一つだけの原因で起こるものではなく、原因は多要因であり、当初考えられていたことよりはるかに複雑であるのです。アルツハイマー病をあたかもウイルスといった単一状態で起こるとして治療を試みることはできません。これは病気に関する正直な素描です
この10年間に、20種類近い薬の臨床試験が失敗したのは、アミロイドボックスという考え方に騙された結果なのです。毒性蛋白が現れる前に起こっている本当の原因に立ち向かうのではなく、結果として現れた蛋白を取り除こうと試みているにすぎないのです。
これは、石油会社が、川に漏れた油を、汚染したり拡大するのを少なくしたり防いだりするといった上流での状態を管理するのではなく、従業員に川岸で油を汲み出すことに限定しているようなものなのです。
実は私たちは、脳におけるアミロイドの役割について知ってはいません。アミロイドが単に毒性があるだけというより、保護的作用が在るとする証拠も多いのです。
アルツハイマー病の発病過程については、実はあまりよく理解されてはいないので、この病気の革新的治療法が今後20年間に生まれないようです。これに代わり、老化する身体のなかで徐々に起こる機能低下に伴う慢性的で多要因的で長期にわたる症候群としてのアルツハイマー病の本来の性質を基とした治療方法に移行する必要があります。こうした老化に伴う多くの変化は、ライフスタイル―健康的食事、身体運動、毒性物質との接触を少なくする、心理社会的ストレスを減らす、目的ある社会的相互作用、外傷性脳損傷の予防と治療―変えることによってかなり減ずることができます。
人々は人生のなかでこうした過程をたどって年を重ねているように、脳を健康に保つチャンスを増やすことができるということを知る必要があります。薬やワクチンという方法は近い将来には実現しそうにないのです。
こうした理解は、老化する脳を愛おしく思いながら生きながら、その脳を守ることに役立つのです。さらに、私たちが老化過程の影響を受けやすいということは、脳の老化による変化が特に強く出た人たちとへの繋がりを感じるべきなのです。その人たちに、衰退過程という病気モデルに伴う偏見、社会的無視、恐怖ではなく、目的を見つけること、価値ある社会的役割、受容といった姿勢でもって私たちが支援することができるのです」
Penn State Live August 16, 2011 Researchers: Time to clear up misconceptions about Alzheimer'sおよび論文Changing Perspectives on Alzheimer’s Disease: Thinking Outside the Amyloid Box
編者:アルツハイマー病の疾病概念の修正を訴えるだけでなく、病者への倫理的姿勢まで論じた内容は、私の友人であるワイトハウス医師が”The Myth of Alzheimer's“で展開していることで同感すうが、医学雑誌に医学者といより医療人類学を専門とするダニエル・ジョージ氏の見解を医学雑誌が取り上げた。

アルツハイマー病の6つの検査の利点・欠点(8月15日/アメリカ)
アルツハイマー病診断のため医師は、いくつかの検査を組み合わせて臨床的な評価をします。しかしアルツハイマー病の診断は、もっぱら除外診断を繰り返して行っています。検査によって、アルツハイマー病でない認知症についても分かることもあります。アルツハイマー病の臨床試験を実施している全国80か所の学術施設の共同体である「アルツハイマー病共同研究Alzheimer's Disease Cooperative Study」の代表で神経科学者であるポール・アイゼンPaul Aisen医師(写真)は「診断にハイテクがいつも必要というわけではありませんが、それを使って診断することが多い」と話しています。
診断のために行われる主な6つの検査を紹介します。

1. 簡便型認知機能スクリーニング検査
これは、診療所でもできる認知機能を評価する心理テストです。
実施内容:簡単の認知機能検査は、問題になる思考機能―軽度認知障害あるいはアルツハイマー病によるもの―があるかどうかを調べます。
ミニメンタルステート検査Mini-Mental Status Exam(略称:MMSE)は最もよく知られた認知機能検査ですが、これに似た検査として以下のものがあります。
Modified Mini-Mental State Exam (MMMSE)
Mini-Cog exam
Montreal Cognitive Assessment (MoCA)
St. Louis Mental Status Exam (SLUMS)
Addenbrooke's Cognitive Examination-Revised (ACE-R)
Computer-Administered Neuropsychological Screen for Mild Cognitive Impairment (CANS-MCI)
Blessed Orientation-Concentration-Memory Test (BCOM)
Cognitive Function Test
7-Minute Screen
利点:こうした簡単な認知機能検査は、5分から15分で行えます。アルツハイマー病が疑わしいとさらに詳しい検査が必要となります。また認知症の人を追跡して認知機能の変化を調べることもできます。
欠点:これらは予備的な検査で簡単な認知機能スクリーニング検査だけでアルツハイマー病の診断はできません。結果な異常であってもアルツハイマー病でないこともあります。教育レベルが高く、知的能力が高い人では認知機能障害を見落とすことがあります。またアルツハイマー病でもっとも障害を受けやすい言語、論理といった機能障害は見分けることができません。
実施場所:ほとんどのプライマリーケア医、老年ソーシャルワーカー、もの忘れ外来で行っています。素人が在宅で行うことができる検査もあります。
料金:記憶関連の精密な検査や診療の費用とは別で低料金か無料です。
2. 神経心理テスト
実施内容:神経心理テストは、口頭での質問と書く、話すといった検査を併せたもので、認知機能の程度を詳しく知ることができます。記憶、言語、空間視覚、注意、運動機能、実行機能などを調べます。臨床医は、複数の検査を行って結果を解釈します。アルツハイマー病の診断のための神経心理検査はとして次のものがあります。
Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status (RBANS)
Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB)
Neuropsychiatric Inventory (NPI)
利点:神経心理テストは、特に初期あるいはわずかな認知機能低下を確認するために特別に行われます。またアルツハイマー病とその他の認知症を鑑別するため、精神機能のどの部分が障害されているかを詳しく確認できます。これらの結果は個々の治療に際して役立ちます。
欠点:テストには2時間から8時間かかり、標準的な神経科的検査や診察とは別に行われます。被験者にとって退屈でまたストレスにもなります。
実施場所:臨床心理士や精神科医などの専門家がいるところで行われ、検査結果の解釈もこの専門家が行います。もの忘れ外来に神経心理士が居ることは少なくありません。
料金:まちまちですが500ドルから5000ドルです。通常、検査料に1時間当たりの臨床医料が加算されます。多くのテストはメディケアや他の医療保険の対象となっています。
3. 脳画像検査
実施内容:CTとMRIでは脳の構造的変化を観ます。PETは脳の代謝面の変化を観ます。
利点:画像検査の主な目的は、記憶障害の原因やその他の認知症の原因―脳外傷、腫瘍、脳血管障害など―の有無を把握することです。PETはアルツハイマー病と前頭側頭型認知症との鑑別に役立ちます。
欠点:脳画像は通常、静脈内に造影剤を注入します。これで副作用を起こすことがあります。MRIは閉所恐怖症的感覚を起こしたり、ペースメーカーなどの器機を装着した人では行えません。
実施場所:CTとMRIは紹介されて大規模病院や脳画像検査センターで行われます。PETは広くは実施されてはいません。
料金:MRIは1500ドルから3000ドル、PETは3000ドルから6000ドルです。これらの検査はメディケアや民間医療保険の対象になっているようです。研究目的の場合は無料です。
4. 遺伝子検査
実施内容:アルツハイマー病の遺伝子検査は、発病の危険性を高めることに関係するいくつかの遺伝子のDNA解析です。遺伝子検査は、記憶に関係する症状があっても基本的検査の一部として行われるものではありません。三つの特別な染色体の単一遺伝変異による遺伝性若年期アルツハイマー病の発病リスクを確かめることができます。また遺伝子検査は、アポリポ蛋白E APOEの三つの型のどれにあたるかについても調べます。人口の4分の1以上の人がAPOE4の変異を持っていますが、高齢期のアルツハイマー病の発病の危険性をわずか上げるものです。
利点:遺伝子検査点は、すべてのアルツハイマー病の約1%にあたる若年期アルツハイマー病の家族歴を持っている人には有益です。三つの変異の一つを持つとアルツハイマー病を発病する危険性が高くあると予知することになります。APOE遺伝子の検査は、一般的に研究対象でその有無で分類するのに有益と考えられています。
欠点:この検査は、高齢期のアルツハイマー病の99%近くの人たちにはあまり意味がありません。APOE4遺伝子変異はアルツハイマー病の発病した人の3分の1に認められますがこの変異を持たない多くの人でもアルツハイマー病なることがあるのです。
実施場所:医師は、遺伝学者―遺伝子専門家と遺伝相談員―に紹介します。国立アルツハイマー病細胞管理所National Cell Repository for Alzheimer's Diseaseでの遺伝子研究に登録して調べることもできます。消費者向けの遺伝子検査会社―23andmeNavigenics―はオンラインで、APOE-4 遺伝子のDNA分析を行っています。
料金:こうした検査は遺伝相談も含め約150ドルです。研究目的の場合は無料です。個人的にオンラインによるDNA分析では200ドルから400ドルです。
5.脳脊髄液検査
実施内容:脳脊髄液は腰椎穿刺で採取されアルツハイマー病の人の脳に在ある生体指標―斑を形成するアミロイド蛋白と神経源線維を形成するタウ蛋白―を測定します。
利点:脳脊髄液検査は生体指標によって、アルツハイマー病の臨床症状が現れる前の状態でもあるかどうか確かめられます。軽度認知障害の人でアミロイド前駆蛋白生体指標(APPPB)があることは80から90%の割合―もっとも研究中の数値ですが―でアルツハイマー病を発病することが予測されます。
欠点:腰椎穿刺は身体に害を及ぼしかねない行為で経験ある専門医が行うものです。穿刺は不愉快で、感染、出血、痛みといった合併用が少なくなりません。検査室の多くはこの新しい専門的な検査を実施できる体制にはありません。生体指標があることが何を意味するのか十分に理解するために長期間の被験者の追跡が行われてはいません。
実施場所:神経科医が居る特別な記憶センターで受けるのが最善です。そこでは神経科医が日常的に腰椎穿刺を行っています。もの忘れ外来では、その結果をどのように理解するか教えられます。検査を行う臨床試験の参加者になることも必要かもしれません。
料金:一回に200ドルから800ドルで、この検査のための予備的検査と専門医料の費用が
加算されます。研究目的では無料です。
6.PETアミロイド検査
実施方法:PETを使った新しい検査が、アルツハイマー病のすべての人の脳に認められるアミロイドと呼ばれる物質を検知するために研究者によって行われています。
利点:この検査は、現在、アミロイドが無い場合はアルツハイマー病でないことと確かめるのに役立っています。いずれこの検査は記憶障害が明らかになる数年前の早期にアルツハイマー病であると正しく確認することができるようになるでしょう。また軽度認知障害の人がアルツハイマー病まで進むかどうかを決めるのにも役立つようです。
欠点:脳のアミロイドを確認するこの検査は、現在、研究目的で行われているにすぎません。診断や治療に役立つことがまだ証明されていないのです。この脳画像検査は高価であり、症状が現れる前のアルツハイマー病の人の発症を遅らせるに役立つのでないならで広く行われる有用な検査とはならないようです。
実施場所:現在のところ、この検査は臨床試験としてのみ行われています。
料金:研究対象者は無料です。

現在、アルツハイマー病の確定診断は死後の脳解剖でのみ可能です。医師は利用可能な検査を行って他の認知症の病気である可能性を除外したのち「アルツハイマー病らしい」と診断しています。
caring.com August 15, 2011 Alzheimer's Tests: Pros and Cons of the 6 Main Options
編者:よくまとまった認知症関係の検査の解説だ。やはりアメリカの検査料金は安くはないが、CTやMRIが大病院にしかないというのに診療所にもある我が国は異常なのだろう。地震国なのに原発を多数持っているのとなにか根は同じ様な気がする。

★アルツハイマー病国家戦略についてアルツハイマー病の人や家族らの公聴会(8月14日/アメリカ)
今週、サンフランシスコのユニオンスクエアーに在るホテルの宴会場は300人ほどの人でいっぱいでした。なんらかのかたちでアルツハイマー病に関係する人たちばかりで、介護者が多かったのですが、初期のアルツハイマー病の人もいました。さらに医学研究や高齢者介護の分野で従事している人、アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの人たちもいました。
その集会は、オバマ大統領が今年1月に署名した新しい法律「アルツハイマー病国家戦略National Alzheimer’s Project Act (NAPA)」に基づく全国の一連の公聴会ツアーの一部でした。
連邦政府から出席した聞き取り役は、保健福祉省Department of Health and Human Servicesの副次官補のドナルド・ムールズDonald Moulds氏(写真左上)でした。
この集会についてはアルツハイマー病協会が新しい法律に施行にあたって主要な人たちを招集したのです。アルツハイマー病でもっとも影響を受ける人たちが自分の言葉で意見を述べ、期待に応えるために政府が行うできことの枠組みを作ことを支援することになります。
発言者の一人は、アルツハイマー病研究者で同じ病気になったレ・リン・バークRae Lyn Burke氏(写真左下)で、彼女は「連邦政府がアルツハイマー病への投資額が少ない」と憤慨し、「NAPAは自分の救うのには遅すぎたが、今後アルツハイマー病と診断されるであろう何百万というベビーブーマーたちにとって希望となる必要がある」と述べました。
もしエイズと同じくらいの金額がアルツハイマー病のための資源に投資されておれば、同様のよい結果がうまれただろうと主張する人も多くいました。エイズは、先進国ではもはや管理可能な病気になっています。
アルツハイマー病の基礎知識が不足しており、プライマリーケア医師の治療についての多くのが話がありましたが、ある医師は「アルツハイマー病の診断と治療は、現行の医療制度の最大の弱点の一つに直面しています。医師は診断するために多くの時間を要しますが、短時間に診て検査の指示することで報酬を得ているのが現状です。これではアルツハイマー病の診断に役立ちません」と意見を述べていました。
介護者の話が最も胸を打ちました。
アルツハイマー病で家族を失い、また失いつつあるというだけでなく、大きな個人的な犠牲のうえにあるのです。社会的資源がほとんどないなかで、24時間365日の孤立した介護をしているのです。ある介護者は「NAPAが介護者を補償する制度を見出してほしい。家族を支えるための介護者は仕事も医療保険も辞めている」と話しています。議論となったことは、納税者にとってアルツハイマー病の人を家で看るみる方がナーシングホームに入れるよりはるかに安いという事実についてでした。
サンフランシスコでの開催された集会は、今後各地で行われる多くの公聴会の最初の一つです。NAPAの狙いは、国家をアルツハイマー病に関する初めての国家戦略の展開に向けようとすることです。公聴会でのすべての意見や情報は収集され、この秋に健康福祉省の幹部に提示される報告書になる予定です。
NBC BAY AREA Aug 14, 2011 The Personal Side of Alzheimer's Disease
関連情報:a short fact sheet on NAPA(Alzheimer's Association)(pdf36K)
訳注:バーク氏は現在63歳で、バイテクの研究者として数社で肝炎やアルツハイマー病のワクチンの開発に従事する。当初、掛算ができなくなり2008年にアルツハイマー病と診断された。
Deseret News  Aug. 13, 2011 Alzheimer's researcher, now a patient, still fights diseaseより)
編者:今年の1月に成立したNAPAが施行される。この法律により、連邦政府にアルツハイマー病年次対策の議会への報告、アルツハイマー病の人と低所得者へのサービスの向上などの年次勧告、連邦政府による研究、医療、社会サービスの年次評価および委員会の開設を行うことになっている。アメリカでのアルツハイマー病対策の新しい展開であるが、現在の財務状況からしてその効果は楽観的ではない。なお、法文では「アルツハイマー病」は「アルツハイマー病とその関連認知症」と意味する。

「韓国で介護難民が少ない本当の理由 社会保障制度を分析する―その3「介護」」(8月8日/日経ビジネス)
韓国ではつい最近まで高齢者介護は家族が担うものとされてきました。老人福祉法の第3条には「国家と国民は敬老孝親の美風良俗にともなう健全な家族制度が維持・発展するように努力しなければならない」と規定されています。
これは高齢者介護については「先家庭保護、後社会福祉」という基本方針を提示したもので(※1)、儒教思想に基づく考え方だと言えます。儒教思想の影響を受けている点では、日本も韓国も同じですが、韓国ではその影響が現在でも日本より強く残っています。
しかしそのような韓国でも、家族による高齢者介護は様々な限界に直面しています。日本の介護保険法に相当する、老人長期療養保険法案の提案理由で述べられているように、韓国は世界でも例のないスピードで高齢化が進行しています。急激な高齢化により認知症など日常生活が難しい高齢者が増加し、核家族化や女性の社会進出などにより介護が必要な老人を家庭で世話することが難しくなっています。
家庭の介護費用負担も重くなり、高齢者介護問題は社会全体で解決しなければならない深刻な問題になりました。このため、儒教思想が色濃く残る韓国でも、介護保険を導入することで、高齢者介護を社会で担うことが必要となっているのです。
このシリーズでは、年金、医療保険は、高齢者には厳しく、公費負担はできる限り抑えた制度であることを指摘してきましたが、介護保険はどうでしょうか。結論から言うと、介護保険についてもやはり、総じて高齢者に厳しく、公費負担は少なく抑えられています。
介護保険料は若者含め広く負担
韓国の介護保険(韓国での名称は「老人長期療養保険」ですが、以下では「介護保険」とします)は、2001年8月15日(光復節)に当時の金大中大統領が導入を発表し、2007年に根拠法律が国会を通過し、2008年7月から事業が開始されました。よって介護保険の歴史はまだ3年ほどしかありません。
まずは負担と給付の側面から見ていきますが、その前に保険の運営者について触れます。韓国の介護保険の運営者は、医療保険の運営者でもある国民健康保険公団です。これは市町村、あるいはいくつかの市町村がまとまった広域連合が運営する日本と大きく異なる点です。
次に負担ですが、韓国では健康保険の保険料を負担している者の全てから介護保険料を徴収します。日本の場合は、40歳以上の人から介護保険料を徴収していますが、韓国では保険料の負担を若者まで広く求めていることになります。
介護保険料は健康保険料額に介護保険料率をかけた金額であり、2011年7月時点の介護保険料率は6.55%です。ちなみに医療保険の保険料率は5.64%であるので、標準報酬月額に対する保険料率は0.37%です。日本では全国健保の場合1.19%であり、韓国の介護保険料は低水準と言えます。
また被雇用者以外の平均保険料は2010年12月現在で世帯当たり5046ウォン(389円)であり、夫婦世帯の場合、一人当たりではこの半分の保険料で済んでいると考えられます。一方、日本の65歳以上の人の介護保険料は全国平均で一人当たり4160円であり、物価水準の差を勘案しても韓国の保険料がかなり低水準なことが分かります(※2)。
このように保険料が低水準な理由は、高齢化率が日本ほど高くなく、介護保険給付が本格的に始まっていないこともありますが、広く薄く保険料を徴収していることの影響が大きいと考えられます。つまり保険料負担の観点からは高齢者を中心に比較的高額な保険料を徴収している日本と比べて、韓国の制度は高齢者に優しいと言えそうです。
公費負担は給付総額、負担率両面で抑制
次に公費負担について見ると、国は介護保険収入額の20%を負担することが法律で定められています。日本の場合は半分以上の給付費が公費で賄われているため(※3)、韓国の場合は公費負担比率が低いと言えます(※4)。後で述べるように、日本も韓国も介護保険の給付総額を抑制して公費負担額を減らす努力をしていますが、日本では給付に対する公費負担比率は高水準です。一方、韓国では公費負担率も低く抑えており、給付総額と負担率の両面から公費負担の抑制を図っています。
給付について見てみましょう。介護保険の給付対象は65歳以上の者か認知症など老人性の疾患を持つ64歳以下の国民ですが、給付を受けるためには要介護認定されることが必要です。
認定のためには、まず申請をした上で、国民健康保険公団が訪問調査を行い、市・郡・区の長期療養等級判定委員会で等級の判断をします。保険給付対象者と認定されれば在宅・療養施設と契約を行い、サービスの提供が始まります。等級は、心身の状態に関する調査を受け、(1)身体機能、(2)認知機能、(3)行動変化、(4)介護措置、(5)リハビリの5領域、52項目からなる「長期療養認定点数」(※5)を付けた上で、その総合点にもとづき1次判定を行い、医者の所見を加えて、長期療養等級判定委員会で最終判定を行います。この判定方法は、概ね日本の等級判定方法と同じです(※6)。
等級については、最重症(1等級)、重症(2等級)、中症(3等級)に分かれます(表1)。あえて日韓比較をしますと、1等級は日本の要介護4及び5、また2等級は要介護3、そして3等級は要介護1~2に相当し、日本の要支援に相当する等級はありません。ちなみに2010年における各等級の認定者数を見ると、1等級が4万6994人、2等級が7万3883人、3等級が19万5167人です。1~3等級に認定された人の65歳以上人口(2010年人口センサス)に占める割合を見ると5.8%で、1等級0.9%、2等級1.4%、3等級3.6%です。
さらに具体的な給付水準について見ていきます。まず介護費用の自己負担率ですが、在宅サービスの場合15%、施設サービスの場合は20%です。日本の場合はともに10%ですので韓国の自己負担率は高く設定されており、高齢者あるいは高齢者を抱える家族にとっては厳しい負担と言えます。
また2011年における給付限度額を見ると、施設サービスの場合は、1等級で1日当たり4万8900ウォン(3767円)、2等級で4万5290ウォン(3489円)、3等級で4万1670ウォン(3210円)です(※7)。よって1等級の場合は、1月を30日とすれば11万3000円ほどが上限です。ちなみに日本と同様、食費と居住費は介護保険の対象外で、全額自己負担です。
また在宅サービスの上限額は、1等級は月額114万600ウォン(8万7874円)、2等級は97万1200ウォン(7万4823円)、3等級は81万4700ウォン(6万2766円)です。日本では在宅サービスの支給限度額が、要介護1で16万5800円、要介護2で19万4800円、要介護3で26万7500円、要介護4で30万6000円、要介護5で35万8300円です(※8)。
韓国の1等級が日本の要介護4及び5に相当すると述べましたが、これをもとに日韓比較をすると、韓国の上限額は日本の約3分の1程度と考えられます。ただし公定価格である介護報酬単価が韓国では低く抑えられています。具体的に見ると、訪問介護は約4分の1、デイ・ナイトサービス及びショートスティは約3分の1、施設サービスは半分程度です(※9)。このように、韓国の上限額は低いのですが、介護報酬単価も同程度に低いため、保険が適用される範囲内で受けられるサービスの量にはさほど差はないと考えられます。
待機者問題がほとんどない理由
日韓の介護状況を比較した時最も重要な差は、韓国では日本で起こっているような施設への待機者問題が深刻ではないことです。韓国では介護保険を導入する準備過程で、介護施設が不足することが心配されました。
介護保険が適用される施設サービスを提供する施設(以下「介護施設」とします)には、老人医療福祉施設と老人療養共同生活家庭があります。老人医療福祉施設とは、認知症や中風など老人性疾患などで心身に相当な障害があるため介護を必要とする高齢者を入所させ、給食、療養、その他日常生活に必要な便宜を提供することを目的とする施設です。
また老人療養共同生活家庭は、高齢者が共同生活を営みながら、介護を受ける施設です。2007年9月末には介護施設の定員に対する需要者の比率(施設充足率)は76%でした。しかしその後参入が相次ぎ、2008年12月末には施設充足率は100%になりました。もちろん充足率には地域差があり、待機者がいる地域もありますが、2009年5月末では、待機者数は全国で6498人に過ぎず(※10)、介護難民が42万人とも言われている日本(※11)とは大きく異なる状況です。
これは、介護施設の供給面と需要面の両方に理由があると考えられます。
参入規制が緩く民間事業者が続々参入
供給面については、参入規制が緩いことが挙げられます。日本では介護施設を設立することが可能な法人は自治体、社会福祉法人、医療法人に限られるなど参入規制があります(※12)。一方、韓国では設備基準を満たした上で、介護保険指定者として市郡区長から指定を受ければ、営利法人、社団・財団法人、学校法人、宗教法人でも介護施設を開設できます(※13)。このように、韓国では参入規制が緩く、将来の介護需要増を見越した民間事業者が続々と参入しているのです。
さらに、日本では介護施設の数に総量規制がかけられている一方、韓国にはそのような規制はありません。日本の都道府県は介護保険事業支援計画によって、施設の種類ごとに必要入所定員総数を定め、これを超える施設の設置が申請された場合には拒否できます(※14)。これは地方公共団体が介護給付による財政負担を軽減するために行っている措置と考えられますが、韓国には総量規制はなく、逆に予測される需要に見合った施設を確保するため、国が計画を策定して施設増に努めています。
需要面の要因としては、要介護認定が極めて厳格であり、施設へ入所できる高齢者が限定されていることが考えられます。老人医療福祉施設には、原則として1~2等級の判定を受けた者が入所できます。しかし韓国開発研究院のユンヒスク博士は、要介護認定の基準が厳しいので、そもそも入所資格者が少ない点を指摘しています。さらに、儒教的な価値観もあり、ある程度所得のある家庭では、親を家で介護する傾向が強いとしています(※15)。
また、日本における特別養護老人ホームへの入所待機者数の多さを見て、施設介護の利用を制限するため、施設サービスの自己負担率を、在宅サービスの15%より高い20%としたという見解もあります(※16)。
厳格な認定と高い自己負担率で需要を抑制
韓国で介護難民が少ない理由には参入規制が緩いという点もありますが、要介護認定を厳格にするとともに、施設サービスの自己負担率を高めるなど、需要を制限している点があることも重要です。厳格な要介護認定と高い自己負担率は、介護保険の公費負担をできる限り少なくするための仕組みと考えられます。
日本も韓国も、介護給付の総額を減らし、公費負担をできる限り小さくしようとしていますが、施設サービスで見ると、日本ではサービスの供給を減らすことで、また韓国では需要を減らすことで、負担減を図っていると言えます。その結果、韓国では介護認定の厳格化により施設入所の資格を持つ高齢者が絞られているだけでなく、入所資格があっても負担が大きいために施設介護をあきらめる高齢者も少なくないと考えられます。
韓国では介護保険も、年金や医療保険と同様、高齢者に厳しく財政に優しい制度と言え、高齢者に対する社会保障政策は一貫しています。また、表面上は、施設入所の待機者が少ないなど、高齢者介護が充実しているようにも見えますが、介護保険の公費負担引き下げのため、需要を無理やり抑えている結果でもあります。「韓国では高齢者は誰でも施設介護が受けられる」と、額面どおりに受け取れない現状があることには留意する必要があるでしょう。
程度の差はあれ儒教思想の影響の残る日本と韓国ですが、家庭に過度の負担を押しつけるのは高齢者介護の姿として望ましいあり方ではありません。財政とバランスをとりながら増え続けるニーズに合ったサービスをどう供給していくか。両国ともこの難しい課題に直面し、悩んでいる姿が浮かび上がってくるのは確かです。
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※1 ヒョンウェソン(2008)469ページ
※2 国民生活基礎保障(日本の生活保護に相当)の保険料は免除されている
※3 鈴木(2009)135ページ
※4 ただし国と地方が医療給与受給権者の介護保険給付額などを全額負担することも規定されている。医療給付は前回に説明したが、国民生活基礎保障の受給者などが、低い負担で医療サービスを受けることができる制度である。なおこの規定による公費負担は重く、2009年においては、全収入の31.7%に相当している(国は1.9%、地方29.7%)。よって医療給付を勘案すれば収入に占める公費の比率は41.5%となる
※5 国民健康保険公団のホームページにおける説明によれば、「長期療養認定点数」は施設などで現在サービスを受けている2,200人を対象に心身状態(52ケ認定調査項目)を評価して、サービス量を調べた後、心身状態の類型とサービス提供量との関係を分析して開発したものである。すなわち「長期療養認定点数」は心身状態の類型にともなう「療養必要度」を統計的方法を通して計量化した数値と言える
※6 等級判定基準は若干異なる。韓国では「長期療養認定点数」による点数化を行い等級を判定する。一方、日本では5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計を基に等級が判定される(厚生労働省ホームページ資料)
※7 老人専門療養施設の場合である
※8 これら金額は目安であるが、この数値から大きく逸脱しないと考えられる
※9 林春植・宣賢奎・住居広士(2010)147ページ
※10 パクヌンフ(2010)125、128ページ
※11 鈴木(2010)138ページ
※12 鈴木(2010)136ページ。特別養護老人ホームは自治体、社会福祉法人、老人保健施設は自治体、社会福祉法人、医療法人、療養型病床群は自治体と医療法人のみが設立可能
※13 林春植・宣賢奎・住居広士(2010)41~44ページ
※14 鈴木(2009)139ページ
※15 ユンヒソク博士に対する電話インタビュー結果である
※16 林春植・宣賢奎・住居広士(2010)137ページ
(日本語文献)
鈴木亘(2009)『だまされないための年金・医療・介護入門』東洋経済新報社。
鈴木亘(2010)『社会保障の不都合な真実』日本経済新聞出版社。
林春植・宣賢奎・住居広士(2010)『韓国介護保険制度の創設と展開』ミネルヴァ書房。
(韓国語文献)
パクヌンフ(2010)「老人長期療養サービスの質の管理方案」ユンフェスク編『老人長期療養保険の現況と課題』韓国開発研究院, pp. 118-156。
チョンギョンフェ(2010)「老人長期療養保険制度の導入過程と争点」ユンフェスク編『老人長期療養保険の現況と課題』韓国開発研究院, pp.14-41。
ヒョンウェソン(2008)『韓国社会福祉法制論』ヤンソウォン。
高安 雄一(たかやす・ゆういち)(写真)
大東文化大学経済学部社会経済学科准教授。1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。
日経メディカル 2011年8月8日 原文のまま

★介護職の認知症介護の研修―ケアマルタの取り組み―(8月7日/マルタ)
マルタで指導的に介護を提供しているケアマルトグループCareMalta Groupは、世界的な資格提供団体の「シティ&ガイドCity & Guilds(C&G)」の認可をうけ、今年の10月から認知症啓発のレベル3のC&G認定書および認知症介護のレベル3の認可書を提供することになりました。これらの研修コースは、すでに認知症介護の分野の介護職および高齢者介護の分野の介護職がさらに特別な経歴を持ちたいと希望している人たちのためのものです。このケアマルタは、今後3年間、医療介護分野のC&G認定書および専門職認定書を発行する予定です。このことはケアマルタのナタリー・ブリッファ・ファルジアNatalie Briffa FarrugiaCEO氏(写真左)が、研修センターでの専門コースを修了して新たに資格を取得した介護職への挨拶で公にしました。
この認定書の受賞発表セレモニーでケアマルタグループの32人の介護職がセント・フリアンズSt Julian’sにあるC&G研修センターCare City & Guilds Education Centreで行われた9カ月のコースを修了して受けC&Gの認定が発表されました。セレモニーでは2種類の認定書―医療介護認定書と医療介護特別認定書―が発表されました。これらはマルタ資格委員会Malta Qualifications Councilが決めたマルタ資格規定Malta Qualification Frameworkのレベル3に該当するものです。
同時に16人の介護職には、イギリスのスターリング大学Stirling Universityで指導を受けたミイラ・アゾパリディMyra Azzopardi氏による認知症介護Dementia Careコースのスターリング大学認定書Stirling University Diplomaが授与されました。
またファルージアCEOはケアマルタの計画について話し、専門的な介護職の技術レベルを上げるだけでなく、医療と高齢者介護の研修を行う指導的な民間介護施設になると表明しました。
さらに、CEOは、今年からケアマルタは医療介護分野のC&Gの認定書を取得した人に特別な資格手当を提供し、くわえて介護職に新しい奨励金も始めると明言しました。
Malta Independent Online  07 August 2011 CareMalta to start offering City & Guilds diploma courses in dementia care
写真説明:左下:右は認知症の人、左はケアマルタの認知症啓発指導者,右上:研修風景、右下:ケアマルタのある施設の中庭
関連資料:CARENET special edition 2011 CareMalta Unveils New Brand Identity(pdf2.4M)
編者:マルタは人口40万ほどの地中海の島国家である。WHO の統計によると2010年で60歳以上の割合は20%(日本は29%)である。紹介記事のように、認知症も含め高齢者介護の職員研修に介護ビジネス企業のケアマルタが熱心で、認知症ケアの研究、研修では老舗的なセンターであるスターリング大学認知症サービス向上センターDementia Services Development Centreに準じて質も高いようだ。同国には国際アルツハイマー病協会Malta Dementia Societyはアルツハイマー病協会に加盟している。なおマルタの公用語はマルタ語と英語とのこと。

★アルツハイマー病の妻と夫の心中(8月5日/アメリカ)
アメリカ・ニューヨーク州ウンザーWindsorの自宅でフランク・カウワンFrank Cowanさん(87歳)(写真)は、介護しているアルツハイマー病の妻のドロシーDorothyさん(86歳)(写真)を銃で死亡させ、その後、銃で自殺しました。フランクさんは、肺炎が治ったばかりで、自分が死んだら妻をみる人がいないと心配していました。
家族の話によると、フランクさんの妻への愛情はとても強いもので、彼女の居ない世界は考えられないとことでした。
8月4日、午前7時頃、娘のダイアン・モブレイDianne Mobleyさんが自宅で両親の遺体を発見しました。モブレイさんは「「これは愛による行為です。妻のアルツハイマー病と自分の最近治った病気のことで、思うことは二人で行ってしまうことだけだったのでしょう」
フランクさんは、海軍に勤務し、その後、47年間、ボランティア消防隊として活動しており、ドロシーさんは庭が好きでした。二人は、ほとんど毎朝、ファーストフード店Bojanglesで朝食を食べていました。家庭医のキルク・フィルポットKirk Philpot医師は「かれらは仲の良い夫婦で、いつも相手のことを考えていました。診療所から帰る時は、常に手をつないで歩いていました」
中学2年で知り合った二人は、次の10月で結婚67周年記念を祝う予定でした。
myfox8.  August 5, 2011 Family Calls Elderly Couple Murder-suicide "An act of love"
編者:銃社会のアメリカの老夫婦の介護心中の記事。銃は使えないだろうが日本でも起こりうる話だ。

アルツハイマーカフェが孤立を軽減(8月1日/カナダ)
ナンシー・ブレジーNancy Blezyさんは、アルツハイマー病の人や家族のためノバスコチア州でアルツハイマーカフェを開くと聞いて興味をそそられました。その州の農村地区で登録看護師として、アルツハイマー病と診断された人たちが孤立したり状態が悪くなっているのをたびたび見てきたのです。また母親が認知症になって状態が悪くなり、父親が介護のためストレスが高まり社会的な繋がりを失ってゆくのも見たのです。
ブレジーさんは、アナポリスヴァレイAnnapolis Valleyに在る在宅介護会社の看護管理者ですが、彼女の同僚も、認知症の人や家族のため社会的繋がりが必要なことを認識していましたが、どのようなものがあるのか確信できませんでした。
彼女の住む近くのアンティゴニッシュAntigonishにカナダで初めてのアルツハイマーカフェがあることを知りました。
ケントヴィルKentvilleに住むブレジーさんは次のように話しています。
「それを聞いて、私が探していたものだということが分かり、それを始めたと思いました。認知症の人はコミュニケーションで問題を抱えており、一方的に教えられ選別されてはいないという感じを受けないような場が必要だと思っていまし。周囲の人たちが認知症のことを認識し支援し受容することは、この病気に必ずといってもよいほど伴う孤立や孤独な思いを軽減することはとても重要なことです」
ブレンジーさんらは、ケントヴィルとグリーンウッドGreenwoodに二つのカフェをオープンさせる計画を持っています。アルツハイマーカフェは、1997年にヨーロッパで始まった運動で、北アメリカにも徐々に広がっています。カフェの意図は、認知症の人、家族、介護者、専門家、地域の人たちに施設ではない場を提供して、飲み物、軽食、娯楽、情報を通して交流し合うことです。
セントフランシスザビエル大学St. Francis Xavier Universityのエリザベス・マックギボンElizabeth McGibbon看護学教授(写真)は、看護学生の一人がカフェのアイディアをも提供したことからアンティゴニッシュにカナダで最初のカフェを始めるのを手伝いましたが、「カフェはとてもうちとけたものではあるが、教育的要素も含む」と話しています。彼女らは計6回のカフェを開き、毎回約40人が参加しました。
マックギボン教授は次のように話しています。
「カフェは、昔とても好きだったことに興味が薄れ、うつ状態になり、認知症に関わるストレスや偏見に対処しているという共通の問題をかかえた人たち同士で助言を得ることができます。もっと大切なことは、知的低下を早めることになりかねない認知症による社会との隔絶を少なくすることです。主な目的の一つは、認知症の人と家族がよく経験する孤立を少なくすることで、認知症についてはよく知られているとしても、認知症の人を公の場から排除する社会的な偏見があるので。カフェは心休まる場所です」
ヴァレイにオープン予定のカフェは同じような方法で運営され、普通のカフェと同じように小さいテーブルを備え、地域のありふれた雰囲気を取り入れ、毎月1回、2時間ほど開くことにしています。普通のカフェと違うところは、認知症について研修を受けたスタッフが参加者の間を回り、招待された講師が、毎月、異なるテーマで話をすることです。参加者は、講師に質問できます。
ブレジーさんは次のように話しています。
「人々が心地良く感じることが鍵でです。認知症の人が配偶者を認識できないときにどのような性的関係が相応しいのかといった質問にも応えることができるようにします。心休まり人との繋がりを持つことはとても重要です。介護者自身が介護のストレスによる自身の重大な健康問題を話しすることもできます」
ニュウ・ロッスNew Rossの山荘に住むサンドラ・ダルシーSandra D'Arcyさん(66歳)は、2004年に夫が認知症の一つの型と診断され、2009年には別の型と診断されましたが、次のように話しています。
「77歳の夫は、なお活動的で出歩きます。しかし昔からの趣味への関心は失われ、予期できない行動が起こることがあります。そのため社会的活動を制限せざるをえません。
難しいことに、彼が言っていることや行っていることを他人に理解してもらえないことです。ちょっと困惑します。夫は自分が話していることがまったくわらないのです。
私たちは頻繁には外出できません。友人は理解してはくれますが、理解だけないのです。そのための生活をしているわけではありません。
カフェのことでわくわくしています。9月のケントヴィルのオープニングには参加する予定です。同じことを経験している人たちと話したいし、夫も連れて行きます。普通の支援グループの集まりではないことを楽しみにしています。
同じ病気の人をみている他の人たちに会うことができ、経験してきとことに詳しく知ることができるという単純な理由が私には意味あるのです。私は成長すると思うし、それが必要だとも思います」
さらにマックギボン教授は次のように話しています。
「カフェは、これまでの支援グループとは少し異なります。あきらかに打ち解けた雰囲気でありながら、誰もが参加でき病気について学べます。
イギリスの専門家の援助をえながらカフェを始めたいカナダの人たちのためにマニュアルを作成しています。
「カフェはトロントでも計画されており、他の4つのグループがノバスコチアとオンタリオ州の別なところで始めようとしています。ヨーロッパではカフェは200か所ほどあり、アメリカでもいくつかオープンしています」
またブレジーさんは次のように話しています。
「こうしたカフェが両親のためにあってほしい。5人の子供を育て昔多忙だった母です。農村に住みピアノを教えていました。1999年に診断を受けて以来、話をすることができません。友人たちは、母にどのように接してよいか分かりません。『教会後の昼食ご一緒グループ』から外されました。父は以前にもまして支援のネットワークが必要ですが、友人らとのすべての繋がりから離れてしましました。支援は得ることが父にとってとても重要なのです」
ctvnews Aug. 1, 2011  Alzheimer's cafes hope to lessen patients' isolation
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ホスピスは終末期の認知症の人とその家族に有用(7月29日/アメリカ)
アメリカのブラウン大学Brown University医学部地域保健科教授のジョン・テノJoan Teno医師(写真:右側の人)らのグループは、認知症で亡くなる人へのホスピスの有効性について、亡くなった家族から聞き取り調査をしました。対象は、5つの州で死因を認知症とする死亡診断書に記載された最も近親にあたる家族としました。聞き取り内容は、終末期ケアの質、満足しなかったニーズ、終末期ケアを向上させる機会、認知症の人が亡くなるときの幸福感やその質でした。
回答した538人のうち、260人(48.3%)がホスピスケアを受け、ケアを受けた故人の家族のほぼ半数が、痛みの管理などのニーズは満たされた、ケアの質は満足した、さらに情緒的支援などより質の高いケアを望むと回答しました。また故人がホスピスケアを受けた家族は、受けなかった人の家族よりケアの質および死の質が高いと評価しています。
この研究論文は、アメリカ老年医学会雑誌Journal of the American Geriatrics Societyの電子版2011年7月28日号に掲載されました。
これらの結果を踏まえテノ教授は「人生の最後の日々に医療制度に締め出される人たちがいます。最後の24時間に、救急医療からナーシングホームに移される人もいるのです。起こるべきでないこうした一連の状況に異議が唱えられている」と述べています。
UPI July 29, 2011  Hospice helps dying for dementia patientsおよび論文Does Hospice Improve Quality of Care for Persons Dying from Dementia?
編者:ホスピスケアを受けた認知症の人の家族には満足感が高いとのことであるが、他方こうした支援を全く受けられない人たちがいることも指摘されている。テノ教授は経管栄養についての報告もしている(サイト記事)。

人は、なぜアルツハイマー病になりやすいか(7月25日/アメリカ)
高齢で萎縮する脳は、人が80歳代までに寿命を延ばしたことによる代償かもしれません。
新しい研究から、加齢とともに人間の脳は小さくなりますが、もっとも近い動物であるチンパンジーは脳のまったく小さくならないことが分かりました。
この新しい発見によると、生物の平均的生命の長さである人の平均寿命が、他の哺乳類の平均寿命がただ延びただけではないことが示唆されました。新しい研究は、ワシントンDCに在るジョージワシントン大学George Washington Universityの人類学者のチェット・シャーウードChet Sherwood氏(写真左上)らが行い、人は特別な方法で高齢期を生きているようなのです。
シャーウード氏は「野性のチンパンジーの平均寿命を超えた人間の平均寿命に私たちが認めた衰退する時点があるのです。それは長くなった寿命の結果であると思う」と話しています。
この研究結果は、アメリカ科学アカデミー紀要Proceedings of the National Academy of Sciencesの7月25日版に掲載され、人が、とくにアルツハイマー病など加齢に関係する脳疾患になりやすいのかを解明しています。
チンパンジーと人は、進化の過程で類人猿の仲間として最後の共通の先祖に遡ぼり600万年から800万年の間に分かれました。二つの種は、時とともに明確に少し異なり脳では見えにくい変化の一つが起こり、高齢期に人の脳では全体として10から15%萎縮しますが、同等の年齢にあるチンパンジーでは萎縮はまったく認められないのです。
シャーウード氏らのグループは、MRIで22歳から88歳までの87人の脳、およびアトランタに在る国立イェーケス霊長類研究センターYerkes National Primate Research Centerの69匹のチンパンジー(10歳から45歳)の脳を調べました。51歳で死亡したチンパンジーの脳も調べました。
シャーウード氏は次のように話しています。
「チンパンジーは、野生で、通常、45歳までに死亡します。狩猟共同体の研究からかわったことですが、80歳代半ばが工業化前の人の典型的な寿命です。今回の研究から、チンパンジーと人との進化の過程で認められる予測寿命以上の生存期間と加齢による脳の変化を捉えることができました。
人の脳では最も萎縮しやすい部分の前頭葉と海馬に注目し、ボランティアの脳の加齢による大きさの減少を認めましたが、チンパンジーの脳ではまったく変化がありません。
ただしチンパンジーの脳が加齢とともに全く変化しないというわけではありません。他の研究によると、動物は加齢とともに細胞や構造的変化が起こっていますが、脳の大きさで比較することで、人に何が起こっていようと、萎縮が異常なほど進行することが明らかになったのです」
さらにシャーウード氏は次のように話しています。
「自然界での選択で人の大きな脳による利点を獲得しました人は、これに関連した代償に対処する必要があります。人の脳が発達するに伴い、比較的無力になった幼児、期間が引き延ばされた子供時代があるのです。ほとんどの哺乳類ではメスは、出産できなくなると死亡します。しかし、人の女性は、閉経後40年間生きることができます。こうして長寿が進み祖父母が子育てで子供を助け、自分たちの子供の子供が生きて遺伝子を拡げることになるのです。子育てに祖母や祖父を持つことの代償は、脳の修復機能が修復できないほどに発達してないのでしょう」
もし、寿命がさらに40年伸びると、神経が機能しなくなり最終的に機能を維持することが難しくなるようになるようです」
今回の研究には参加してない国立霊長類研究センターの神経科学者のトッド・プレウスTodd Preuss氏(写真左下)は次のように話しています。
「人が出産可能な有用な時期を超えて長生きしても、脳が速やかに衰退するものではないことは驚くべきことです。
人とチンパンジーの脳との微妙な違いを研究していますが、私たちがチンパンジーからどのように分かれたかについて分子や細胞の変化から理解しようとしています。
もっと多くの顕微鏡的、また生化学的研究を進める機会が残されています。人の脳がアルツハイマー病になりやすいということは、人の脳化学で意外なことが起こっていることを示唆しています」
CBS July 25, 2011 Shrinkage: Now it's our brains 論文:Aging of the cerebral cortex differs between humans and chimpanzees およびWSJ.jp  2011年 7月 26日   高齢化で脳萎縮はヒトだけ―チンパンジーとの比較研究
関連情報:The Myth of Alzheimer's
編者:とても興味深い報告だ。長命になりすぎた人間にとってアルツハイマー病は避けられないという仮説か。アメリカの神経学者のホワイトハウス氏が提唱しているように、高齢期のアルツハイマー病は病気ではなく、加齢性変化なのかもしれない。治療の対象とみない方が正しいのか。

★血管性認知症の新しいガイドライン(7月21日/アメリカ)
7月21日に公表されたアメリカ心臓協会American Heart Associationとアメリカ脳血管障害(脳卒中)協会American Stroke Associationの共同科学声明のよると、先進国では65歳以上の人たちのなかで認知症の割合は0%ほどで、アルツハイマー病の有病率は4.3年ごとに2倍になるのに対し、血管性認知症(脳血管性認知症)vascular dementiaは5.3年ごとに2倍になっています。さらにこの声明によると、アルツハイマー病と血管性認知障害vascular cognitive impairmentは臨床症状や画像所見が似ており、二つの疾患が共存していること―特に高齢期に―があります。
フィリップ・ゴレリックPhilip B. Gorelick医師(写真左上)とアンゲロ・スクテリAngelo Scuteri医師は、今回の声明を作成した作業部会の共同議長ですが、二人は「血管性認知障害、さらにはアルツハイマー病の病理を解明する鍵として神経血管機能の変化が重要な役割をしているとする証拠が増えている」と述べています。
この二つの疾患が重複し共通部分があることによりMRIなどの画像検査は二つの疾患の鑑別に役立ちます。とくに白質高信号域(病変)と深部小梗塞を認める皮質下型の血管性認知障害はよくみかける変化で。
また血管性認知障害の危険因子は脳血管障害と同様であり、心房細動、高血圧、糖尿病、高脂血症です。複雑なことですが、こうした危険因子はアルツハイマー病の危険因子としても認められています。
他方、血管性認知症に関わる特異的な指標が解明されつつあり、それは頸部動脈の内皮と中皮の肥厚、動脈硬化です。今回の声明によるとアメリカ食品医薬品局(FDA)は、血管性認知障害の特別な治療を承認してはいませんが、脳血管障害と心臓血管疾患の危険因子を管理することが血管性認知障害の予防に効果的なようなのです。
イリノイ大学医学部University of Illinois College of Medicineのレベッカ・グリシウイッシRebbeca Grysiewicz医師(写真左下)は次のように話しています。
「血管に関係した認知機能低下のかかわるさまざまな用語として、多発梗塞性認知症multi-infarct dementia、血管性認知症 vascular dementiaおよび脳血管障害後認知症post-stroke dementiaがあります。しかし、血管性認知障害の予防、診断、治療について実地医家へのガイドラインとして声明が利用されるのであれば、作者は用語について検討が必要です。というのは一つの用語に相反する意味があったり同じ意味なのに異なる用語があったりするからです。脳血管障害や外傷による認知機能低下については血管性認知障害というのが総括的用語となります。血管性認知障害の病態が複雑なためその鑑別が困難となっており標準的な用語を導入することでしっかりした神経病理、危険因子、予防、治療の選択および研究構想が可能となります」
声明の作者は「血管性認知障害」を次のように定義しています。
「臨床的あるいは神経放射線学的な所見に基づき脳血管障害あるいは症状が伴わない血管損傷の証拠があり、これが認知機能の少なくとも一つの障害に関連する症候群」
興味深いことに、記憶障害は必ずしも血管性認知障害に必須の症状ではないのです。むしろ実行機能障害に関係することが多い。
さらにグリシウイッシ氏は「42ページにおよぶ声明は知識の広さでは包括的ものですが、血管性の生体指標、予防方法、薬物的および非薬物的治療の効果を確認するためには大規模で前向きの臨床試験が必要だ」と話しています。
MedPage Today July 21, 2011 Vascular Dementia Rate Edges Alzheimer's Disease
関連情報:AHA/ASA Scientific Statement Vascular Contributions to Cognitive Impairment(pdf800K) 
編者:まだまだ少なくはない脳血管性認知症(同義語として血管性認知症)は少なくないにもかかわらず、我が国でもアルツハイマー病と比べ、脳血管障害による認知症およびより広い疾患概念の血管性認知障害について研究はされてはいるが、社会的な認知が低く、情報も多くはないようだ。今回の声明は総括的で有用な情報源だ。日本の学会が作成してもよさそうにも思う。

認知症ケアの改善の取り組み(7月19日/イギリス)
イギリスのダーリントンでは、医療や社会支援による新しい取り組みで認知症の人の生活の質を劇的に改善しました。
ダーリントン認知症コラボDarlington Dementia Collaborativeとして知られる、新しい取り組みは医師、看護師、ソーシャルワーカーなど医療職が加わります。
この組織は、ティース・エスク・ウエアーヴァレイズNHS基金トラストTees, Esk and Wear Valleys NHS Foundation Trustなどをカバーしています。スタッフの連携によって、サービス利用の待機期間と入院期間を短くし、サービス利用を改善し、医師や看護師が認知症の人と過ごす時間を長くすることができました。
過去18カ月で医療および社会サービスの専門職は、ケアの質の改善技術を駆使することで変革をもたらしました。
スタッフは、認知症の人、介護者、同僚と共同した作業を進め、多くの会議で改善のアイディアが考案し、それを実施したのです。
改善の一例として、ダーリントン記念病院Darlington Memorial Hospitalでは毎日の病棟検討会の導入があります。これによって認知症の人への不必要な対応の遅れを無くし、さらに常勤の精神科連携看護師を導入して特別なケアが必要な認知症の人を把握するようにしました。
病棟のすべての職員は、認知症と譫妄に関する患者評価の研修を受けることで混乱している患者をよりよく管理する技術が備わったと報告しています。
改革の結果、病棟の平均入院期間は16日から10日に減少し、入院患者については依頼があるとその日のうちに連携担当の専門看護師が当たるようにしています。
長期にわたる支援が必要な認知症の人はすみやかに該当部署へ紹介され、継続的なケアが必要な認知症の人については依頼後2日以内に何らかの対応がなされます。以前はこのために27日かかっていました。一連の社会的サービスが必要な認知症の人については依頼後15日以内に何らかの対応がなされます。これも以前は54日かかっていました。
追加的な支援が必要な認知症の人については対応する窓口を一本としました。こうして在宅で生活ができる認知症の人については依頼後11日かかっていたのを7日内で対応できるように期間を減らせました。
TEWVのNHS基金トラストの最高責任者のマーチン・バークレイMartin Barkley氏(写真)は「このシステムによってスタッフが変革を起こしました。無駄なところを見つけて無くすことができるようになり、認知症の人の生活の質を改善するために何をすべきかということを重視するようになった」と話しています。
(The Northern Echo 19th July 2011 Care for dementia patients improved)
編者:イギリスの地方で医療と社会サービスの連携による迅速で的確なケアが認知症の人にできるようになった報告ですが詳細は不明。それにしても社会支援が必要な認知症の人にサービスが提供されるまで2月近くかかっていたというのも異常だ。しかしこれがイギリスの平均的状況なのだろう。

★アルツハイマー病は女性の問題(7月18日/フランス)
アメリカ・アルツハイマー病協会主催国際会議2011年Alzheimer's Association International Conference 2011で、7月18日、協会とGEヘルスケアGE Healthcareが合同で「女性とアルツハイマー病:世界的な状況Women and Alzheimer's: A Global Perspective」をテーマのパネルディスカションを開催しました。このパネルでヨーロッパアルツハイマー病協会Alzheimer's Europeやハーバード公衆保健学部Harvard School of Public Healthが委託した調査「知る事の価値調査The Value of Knowing Survey」による新しいデータが明らかにされました。フランス、ドイツ、スペイン、ポーランドおよびアメリカ5カ国で男性と比較して女性へのアルツハイマー病の影響についての特徴が示されました。
現在、全世界で3650万の認知症の人がいると推測されていますが、今回の新しいデータから明らかにされたことは以下のとおりです。
○多くの国で女性は、アルツハイマー病になることを他の病気になることより恐れており、1位のがんについで2位で、フランスの女性は男性よりアルツハイマー病になることを恐れている人は15%多い。
○5カ国で女性は、男性よりアルツハイマー病になった家族への関心が高い。
○アメリカの女性の60%、フランスの女性の50%は、アルツハイマー病が進行性で死に至る病気であることを知っている。
○すべての国の女性―最高はスペインで90%、最低はドイツで70%―は、アルツハイマー病研究への政府の支出を増やすべきと思っている。
○5カ国の女性は、男性より日々の介護に関わりが強い。ポーランドでは、その男女差は10%ほどであった。
○日常的介護の加えて、フランスとポーランドの女性は、アルツハイマー病の人の物事の決定や経済的支援により強く関わっていた。
○男性または女性で自分がアルツハイマー病になるとした場合、回答した大多数は、身近なで責任ある介護者として配偶者を選んだが、妻が夫を選ぶより夫が妻を選ぶ方が6~18%多かった。スペインでは、その差は18%で、興味深いことに、女性の方が男性より多く子供あるいは家族以外の有給介護者を頼るとした。
○病気への怖れや女性が介護者であること多いことに加え、フランスとアメリカの女性はアルツハイマー病の効果的な治療が次の5年間で開発されるだと楽観的で、フランスで71%、アメリカで76%だった。
この結果について、アメリカのアルツハイマー病協会戦略担当主任のアジェラ・ガイガーAngela Geiger氏(写真左上)は次のように述べています。
「これまでの調査結果が一貫して指摘しているように、より多くの女性がアルツハイマー病に関わる生活を送り、アルツハイマー病の人を介護し、男性と不釣り合いなほど女性がこの病気の影響を受けていることは明らかです。こうした結論は、アルツハイマー病の女性への影響がとても強いことを認めた『シュライバー報告:アルツハイマー病への女性の国家的見解The Shriver Report: A Women's Nation Takes on Alzheimer's』の結論を補強しています。こうした調査から知る状況は、アルツハイマー病の流れを変えるため友人、家族、政府関係者とアルツハイマー病についての思慮ある議論が展開されるべきです」
GEヘルスケアメディカルダイアグノスティックスGE Healthcare Medical Diagnosticsの会長でCEOのパスカル・ウイッツPascale Witz氏(写真左中)は次のように述べています。
「アルツハイマー病の人数と介護者への影響を指摘した今回のデータは重大であり、人的、財政的な支出に繋がります。GEヘルスケアは、新しい画像検査用物質、新しい技術および生体指標で早期のアルツハイマー病診断に向けて会社を革新的に運営しています。早期診断は早期治療につながり病気の進行を遅らせる可能性があります」
今回のパネルディスカッションのパネラーは次の人たちでした。
アンジェラ・ガイガー(アメリカ・アルツハイマー病協会)
リンダ・ホッグLynda Hogg(国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease International理事、スコットランドアルツハイマー病Alzheimer Scotland、アルツハイマー病の人)(写真左下)
プリンセス・ヤスミン・アガ・カーンPrincess Yasmin Aga Khan(アメリカ・アルツハイマー病協会理事)(写真右上)
ミイア・キヴィペルトMiia Kivipelto(スウェーデン・カロリンスカ研究所加齢研究センターAging Research Center at the Karolinska Institute、医師)(写真右中)
ナンシー・シンダーマンNancy Snyderman(NBC医療担当主任記者、医師)(写真右下)
パスカル・ウイッツ(GE ヘルスケア)
Alzheimer's Association July 18, 2011 Women at the Center of the Global Alzheimer's Epidemic
編者:AAICあるいはICADはアルツハイマー病の基礎研究、臨床研究の国際的な発表の場であったが、社会的側面についても取り上げるようになったのか。

停滞するアルツハイマー病治療薬の開発(7月18日/アメリカ)
製薬会社と画像検査会社は、フランス・パリで開催中のアルツハイマー病の関連で最大の年次会議である「アルツハイマー病国際会議International Conference on Alzheimer's Disease2011年(ICAD2011)」(アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer's Association主催)で科学的な開発の最新情報を報告するでしょう。
アルツハイマー病は、記憶を奪う進行性の脳疾患で、アルツハイマー病協会によるとアメリカでは540万人居以上の人がなり、2050年までに1600万人がなると予測されています。現在行われている治療は、単に症状を変化させる薬だけで、病気の進行を遅らせたり改善するものはありません。
この3年間、いくつかの注目されていた最終段階の臨床試験が失敗に終わりました。しかし、有効な治療法については地球規模の大きな市場があり、アナリストたちの推測によると200億ドルになる可能性があります。大手製薬会社―ファイザーPfizer、イーライリリーEli Lilly、ジョンソン&ジョンソンJohnson & Johnsonなど―は、アルツハイマー病関連の研究や開発に相当額の投資を行っています。
多くの試験的な治療は、アミロイドと呼ばれる付着性物質に注目したものです。この物資は、アルツハイマー病の人の脳内で蓄積され病気に関与すると考えられています。しかし、アミロイドを標的にした薬で認知機能の改善に繋がったというものは現在までのところないのです。この病気についてのより基礎的で科学的な理解、および現在、実験段階の物質を将来の薬開発へ繋げるべきです。
開発の最終段階であった物質の一つは、ファイザー、J&JおよびエランElanの協同開発になる単クローン抗体のバピネウズマブbapineuzumabです。この物質の臨床試験の初期段階で、この物質が投与された何人かの患者で血管原性の脳浮腫が起こりました。この物質は、脳のアミロイドを除去する働きがあると考えられています。
この副作用はアメリカ食品薬品局Food and Drug Administration(FDA)の関心を引き、アミロイドに関係した画像検査上の異常をどのように発見し監視するかについての業界全体で議論が進められています。この副作用の発見と監視について、先週、新たな勧告がアルツハイマー病協会と企業から共同して発表されました。抗アミロイド物質による副作用についての新しいデータは、他の企業が開発している同様の物質にも広く安全性について情報を提供してその支援を行うことになるでしょう。
今回の国際会議で関心が高いもう一つの試験中の物質は、ブリストルマイヤスキッブBristol-Myers Squibbのガンマーセクレターゼ阻害剤―BMS-708163―です。これはアミロイド斑の形成を阻害する補助作用があると考えられています。昨年、リリーは、この阻害剤―セマゲセスタットsemagacestat―の開発を中断しました。第三相の臨床試験で病気の進行を遅らせることが証明されず、さらに認知機能症状が悪化することも認められたためです。
多くの専門家は、あまりに多くの試験中の物資がアミロイドに集中していると考えており、アルツハイマー病に重要と考えられるその他の物質―ファイザーやアナヴックスファイフサイエンシズAnavex Life Sciencesなど―とその作用についてもっと早い段階でのなんらかのデータに関心が高いようです。
さらに、いくつかの企業―リリー、バイエルBayer、ジェネラルエレクトリックGeneral Electricなど―は、アルツハイマー病の病的状態を生きた人間の脳を画像化するよりよい方法を開発してきましたが、その結果についても今回の会議で発表されるでしょう。こうした脳内でアミロイドに付着する放射性化学物質は脳スキャン検査で特定できるようになっています。これらの方法は、とくにアルツハイマー病の初期でより正確に状態を診断する臨床医の能力を向上させることになるでしょう。
記者:シーレイ・ワンSHIRLEY S. WANG(WSJの医療関係ライター)(写真右)
Wall Street Journal JULY 18, 2011 Alzheimer's Treatment Showcase Is Set
編者:現在のアルツハイマー病の治療と診断の現状を簡潔に報告した記事だ。診断技術は進んでも治療が足踏み状態だ。今回のICAD2011で収穫は何だろう。出席している友人からの報告を待ちたい。

★デイサービスは介護家族のストレスを軽減(7月18日/アメリカ)
アメリカのペンシルヴァニア州立大学人間発達・家族学部Department of Human Development and Family Studies Pennsylvania State Universityのスティーヴン・ザリットSteven H. Zarit教授(写真)らのグループは、認知症の人の介護家族とデイサービスの利用の関係について調査しました。その結果、デイサービスが有意に認知症の人の介護家族のストレスを低下させていることが明らかになりました。
調査は、121人の介護者の日記からの情報を得るようにしました。その24時間の出来ごとを記載する日記には認知症の人がデイサービスに行く日か家に居る日かを明記し、認知症の人の興奮、介護者のストレスの自覚、認知症の人の睡眠障害などを含めた介護者自身と認知症の人の感情についても記載したものです。これをデイサービス利用前と利用後2カ月の間で行いました。デイサービスを利用することで、認知症の人の行動上の問題が少なくなり、睡眠も良好となることを認めました。
この研究論文は、アメリカの老年学雑誌Journals of Gerontology Series B: Psychological and Social Sciences.2011年7月3日号に掲載されています。
ザリット教授は次のように話しています。
「認知症の人を介護して家族のストレスのレベルは高い。それを軽減する方法の一つがデイサービスの利用です。デイサービスによって、介護者は介護責任から予定できる休息を得ることができます。さらに認知症の人にとっても休息となるようです。
これは薬物療法にも匹敵する効果で、しかも副作用がありません」
ザリット教授らは,
現在、デイサービスの生理的影響について研究しており、ストレス指標となるこるコルチゾールの測定をデイサービスの利用の有無で比較する研究も進めています。
(HealthNewsDigest.com Jul 18, 2011 Adult Day Care Services Provide Much-Needed Break To Family Caregiversおよび論文Effects of Adult Day Care on Daily Stress of Caregivers: A Within-Person Approach)
編者:認知症の妻の介護する私の経験から認知症の人と家族がデイサービスを利用することでストレスが減少するが、BPSDの軽減との関連は明確ではない。経験的には自明のことを、数量的に証明したのがこの研究を思われる。介護家族のストレスを軽減する方法はデイサービスの利用以外にもあることは知っておきたい。なお、この論文の筆頭報告者のSteven H. Zarit教授は介護負担度の世界的な標準的なスケールZarit Burden Interviewの開発者だ。日本語版Zarit介護負担尺度(pdf50K)

「コロンビア:中部の貧困の村、見えぬ恐怖 アルツハイマー病遺伝子、6人に1人」(7月14日/毎日新聞)
◇「子孫のため」臨床試験協力
南米コロンビアの中部アンティオキア州に、村民の6人に1人が認知症のアルツハイマー病を引き起こす遺伝子を引き継ぐ村がある。新薬開発に取り組む世界中の医学者や製薬会社が「天然の実験場」と期待を寄せる。遺伝子を保有する村民の発症時期や病状を観察することで、どんな薬をいつ使えば効果が出るか、分かる可能性があるためだ。「自分には間に合わなくとも、子どもたちが発病する前に新薬ができるかもしれない」。政府や地方自治体の公的援助が十分に行き届かない中、住民はわらにもすがる思いで治療薬の臨床試験に協力している。【アンゴストゥラ(コロンビア中部)國枝すみれ】
アンティオキアの州都メデジンから車で北に約3時間行くと、人口約1万2000人の農村アンゴストゥラが姿を現す。道中、馬に乗った農夫たちとすれ違う。一見、近隣村落と大きな変わりはないが、点在する農家のほとんどが、遺伝する家族性アルツハイマー病の患者を抱える。国内で遺伝子を引き継ぐ25家族約5000人のうち約1800人が村に暮らしているのだ。
患者の一人、ハビエルさん(59)は名前を呼ばれると、「あー」と声を出す。だが、2年前から意味の通る会話はできない。発症したのはバスの集金係をしていた10年前。運賃を受け取ったのを忘れて乗客と言い争うようになり職を失った。母親は認知症だった。兄弟姉妹15人のうち3人が認知症の末、死亡し、3人に症状が出ている。
○通常より早く
アンティオキア州出身者はスペイン語で「パイサ」と呼ばれるため、村の患者が持つ遺伝子は「パイサ遺伝子」と名付けられた。平均44~49歳で発症し、通常のアルツハイマー病よりも進行が早い。片親が遺伝子を持っていれば子どもは50%の確率、両親なら75%の確率で受け継ぐ。
「未来が描けるのは40歳まで。その先は病気になるかもしれない」。ハビエルさんの次男エマーソンさん(21)が話す。
一家の年間収入はエマーソンさんが看病の合間に畑で作る豆の売り上げ55万ペソ(約2万5000円)だけ。最低賃金1カ月分(53万5600ペソ)と大差ない。6人暮らしの家には毛布が2枚しかなく、下水道整備率26%のアンゴストゥラ村の中でも困窮世帯だ。
○保険機能せず
患者を抱える家族が貧苦にあえぐ背景には、社会保障システムの未発達もある。公的医療保険制度はあるが、腐敗と非効率な運営が障害となってきちんと機能していない。
エマーソンさんは「政府や村からの公的な援助は一切ない」と語る。
アンゴストゥラ出身で、現在はメデジンに暮らすカルロスさん(54)は7年前に認知症と診断された。祖父と父親は認知症を患った後に他界し、兄弟16人のうちカルロスさんを含む4人が発症した。1年前には歩いたり笑ったりできたカルロスさんだが、今は話すこともできず、自宅のベッドに横たわる。
夫の世話をする妻ネリーさん(43)の母親も認知症となり、昨年亡くなった。50歳の姉は3年前、認知症と診断された。48歳の姉はスープの作り方を忘れ、46歳の姉は子どもが金を盗んだと言い出した。「同じ遺伝子を持っているかもしれないと思うと恐怖にさいなまれる」
ネリーさんは看病に専念するため、自営していた食料品店を手放した。看護師になった長女のナタリアさん(23)が家計を支える。「看病の苦労を子どもにさせたくない。『発病したら老人ホームに入れて』と言ってある」とネリーさん。医療知識のあるナタリアさんは「子どもは産まない」と語る。見えない発病の恐怖が人々の心に巣くっている。
◇ゲリラから血液サンプル死守--来年秋から新薬開発本格化
アンゴストゥラ村では長年、家族性アルツハイマー病は「ボベラ(痴呆)」と呼ばれていた。「魔女の呪い」とされたり、「特別な木に触った」「洞窟に入った」ことなどが理由との迷信が流布していた。遺伝性の病気との認識がないまま、近親者間の結婚・出産が繰り返され、患者が増えた形だ。
パイサ遺伝子を発見したのは、アンティオキア大University of Antioquiaのフランシスコ・ロペラFrancisco Lopera教授(写真右)と看護師ルシア・マドリガルさん(55)。マドリガルさんが患者のいる家族や親族を戸別訪問して血液を集め、ロペラ教授が患者の診察や血液の検査を続けた。地道な調査が実り、95年に原因となる遺伝子の変異を突き止めた。
村や近隣一帯は数年前まで左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)の実効支配下にあった。マドリガルさんは99年、採取した血液を持ち帰る途中、ゲリラに拉致され、1週間、小屋に監禁されたことがある。「血液を冷やしておいて。さもないと、だめになってしまう」とゲリラに訴え、貴重な血液サンプルを死守した。
マドリガルさんもロペラ教授も近隣の出身で、病気は人ごとではない。「患者がいるというので訪ねると、小学校時代の友人のこともある」(マドリガルさん)。ロペラ教授は母親が認知症。「認知症が私を(研究者に)選んだ」と感じている。「運命と諦めていた村人は病気だと納得すると献血に協力してくれた」
ロペラ教授は米国の国立衛生研究所(NIH)やバーナー・アルツハイマー研究所と協力して、12年秋から治療薬の臨床試験を開始する予定だ。治験にはパイサ遺伝子の保有者と非保有者それぞれ200人の参加が必要となる。
アルツハイマー病で薬の効きが悪い理由の一つは投与時期が遅すぎるためと推測されている。パイサ遺伝子の場合、症状が出る数十年前から脳の状態に変化が出るかどうか観察できる。
「いつから認知症の原因となるたんぱく質が脳に蓄積するのか、いつ薬の投与を開始すれば最も効果的かを調べることができる」(ロペラ教授)という。
パイサ遺伝子を持つ家族にとって新薬開発や治療法の研究は「命綱」だ。健康被害のリスクを伴う治験に尻込みせず、積極的に協力する。ネリーさん一家も全員が参加を望んでいる。「一刻も早く治療法を確立してほしい。夫のためには間に合わなくても、子どもたちの役に立てばいい」(ネリーさん)との思いがあるからだ。
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□ことば
◇アルツハイマー病
1901年、ドイツの精神科医アルツハイマー博士が発見した認知症。脳内にたんぱく質の一種である「アミロイドベータ」や「タウ」が蓄積することで引き起こされるとみられる。パイサ遺伝子のように遺伝子が発症を決定する症例は全体の数%で、多くの場合はリスクを高める遺伝子と環境の複合要因で発症する。患者数は世界で約2400万人。20年後には倍増すると予測されている。
毎日jp 2011年7月14日 原文のまま
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関連情報:The Colombian Alzheimer's family testing possible cures(BBC 2011/05/19)
編者:それにしても悲しい村だ。研究結果が住民に還元されるのだろうか。研究に参加するだけでも何がしかの報酬はあるのだろうか。1901年は1906年の間違い。

アルツハイマー病の人の治療に演劇(7月13日/アメリカ)
アルツハイマー病の人は、スイッチを切ったり、電話番号を忘れたり、本の置き間違いなど笑えないことが起こります。しかし、こうした不運な出来事を逆に笑いの落ちにする治療方法があることがわかってきました。
即興のコメディーが初期から中期のアルツハイマー病の人たちの病気を対処する助けになるという考えィ基づいて、ノースウエスタン大学フライバーグ医学部Northwestern University's Feinberg School of Medicineの認知神経学・アルツハイマー病センターCognitive Neurology and Alzheimer's Disease Center とシカゴにあるルッキンググラスシアターカンパニー(訳注「さかさま劇場」)Lookingglass Theatre Companyとが協同で試験が続けられています。
話の筋や物語を覚えておかなくてもよいということは、言葉や思考を心配するアルツハイマー病の人を自由にして自信を与えることになるでしょう。実際、脳の化学物質を刺激してアルツハイマー病の攻撃から自分たちを新たに守ることができるようになるのです。
記憶障害の人たちの生活の質を向上させる可能性を秘めた創造的芸術の役割が全国各地に研究されています。ノースウエスタン大学の「記憶楽団」Northwestern's Memory Ensembleの計画がこの秋に進められますが、それとは別に、この分野でエルムハースト大学Elmhurst Collegeの研究者は、どのような類の演劇が高齢者の脳に影響するかを調べています。ノースフィールドNorthfieldでは、デイサービスセンターが即興的語りを奨励しています。
最近、即興に関しては寸劇が予想外に進展しています。俳優の一人は「自分がしているこがわかりませんが、とても自由だ」と話しています。
スーザン・ワルシュハッガーティSusan Walsh-Haggertyさん(63歳)は、自分の経験を喜んで「自分が想像力に富み、陽気で、創造的であることを知った」と、もっと相応しい言葉を見つけて「ユーモアもある」と話しました。
メアリー・ベス・ロースMary Beth Rothさんは、夫のウオフガング・ロスWolfgang Rothについて「夫はしたことを10分後には忘れていますが、毎日、クラスのあとは心に光が見られ、陽気で積極的になる」と話しています。
ウオフガング・ロスさんは、エヴァンストンEvanstonにあるガレットエヴァンゲリカル神学校Garrett-Evangelical Theological Seminaryの元校長で、退職後、ヘブライ語聖書の研究者でもありましたが、2007年にアルツハイマー病と診断されました。妻は「夫にとっては新しい経験の道が開かれた」と話しています。
さらに彼女は「学生や教師の寸劇の間、夫は、偶然にも間違った言葉を使ってみなが笑います。ユーモアがあって寸劇が別の方向に行ってしまうからです」と話しています。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校University of California, San Franciscoの記憶・加齢センターMemory and Aging Centerのブルース・ミラーBruce Miller所長(写真左1)は、記憶障害の指導的研究者でもありあますが、「即興の演技はとても有望な分野です。こうした試みは認知症の人が認知機能刺激活動の参加し社会的に関わりを持つことで、より質の高い生活を送れ、またつ状態も少なくなることを示した研究に基づいている」と話しています。
ニューヨークにあるイェシヴァ大学アルバートアインシュタイン医学部Yeshiva University's Albert Einstein School of Medicineの神経学の指導的研究者であるジョー・ヴァーゲスJoe Verghese氏(写真左2)は次のように話しています。
「アルツハイマー病の人は認知予備力と呼ばれる機能を持っています。脳の回復力でもあり、病気の発症を遅くしたり止めるようです。例えば、認知機能の予備力が多いアルツハイマー病の人では症状が70歳ではなく75歳から出てくることがあります。
認知症で最も多いアルツハイマー病では斑など蛋白が沈着することで発病すると考えられています。この蛋白が脳内の細胞や神経を損傷し破壊します。この沈着は、通常、記憶をつかさどる脳の特定の部位から始まり、さらには計画、指示、思考に関係して別の部位にも影響します。最終的、沈着は身体機能に関係した部位まで広がるのです。
初期あるいは中期の人は、脳が柔軟であり病気を防ぐ可能性もあり、病気の影響が少ない部分に機能を移行するように新しい神経やシナプスのネットワークを創ります」
ルッキンググラスのクリスチーン・メアリー・ダンワースChristine Mary Dunworth氏との協同プロジェクト創設者で教育担当部長のダービイ・モーハルトDarby Morhardt準教授(写真左3)によると、ノースウエスターンの8週間プロジェクトの参加者は、もっと自信を持って病気に対処することができるようになり、孤独やうつ状態が少なくなったと述べています。
モーハルト氏は次のように話しています。
「アルツハイマー病は、考え、創造し、友人関係を創るという能力を完全に無くすものではありません。アルツハイマー病は老廃させるというイメージがありますた、病気がそのように始まるものでもないのです」
この秋、モーハルト氏とダンワース氏は、即興プログラムが全国的に同じように行われることを期待して、その教育方法の手引き書くことにしています。
エルムハースト大学Elmhurst Collegeの心理学のヘルガ・ノイスHelga Noice教授(写真左4)は「創造的芸術を含めた治療はとりわけ効果的でしょう。意味のある活動、感情および社会的繋がりといった知的な挑戦が含まれているからです」と話しています。
ノイス教授と夫で同じ大学の俳優でもあるトニー・ノイスTony Noice氏(写真左5)は、最近、国立保健研究所NIHから190万ドルの助成金を受け取りました。劇場芸術が高齢者の脳に測定可能な変化をもたらしているかどうか機能性MRIをと使って調べるためものです。
芸術が脳などにどのような影響を与えるかを調べる初めての研究です。これは、記憶障害をよく持っている高齢者に対して演劇教室が認知機能を改善するという以前行った研究に基づくものでもあります
ミルウォーキーにあるウイスコンシン大学University of Wisconsinの加齢・地域センターCenter for Aging and the Communityのアンネ・バスティングAnne Basting準教授(写真左6)は「アルツハイマー病の人にとって特にしっかりした表現方法があります。それによって彼らが聴衆の前に出て、介護する人たちの自分の思いを告げることができるのです」と話しています。
博士号を持っているバスティング氏は、1996年までさかのぼってアルツハイマー病の人を支える芸術について調べ「研究者は回想を通して記憶を改善することに注目していました」と述べ、さらに「記憶を無くして想像に向かうのです。その時々に創造するのです。その時に創れるのであれば人生の流れのなかでを思い出すようなものいらない」とも話しています。
バスティング氏は、タイムスイップスTimeSlipsを創り、それは即興的な共に語るもので、記憶や論理を超えた想像を重視しています。たとえ、アルツハイマー病が進行した人でも音節やジャスチャーの能力は残っています。これらは物語に組み込むことでアルツハイマー病の人が何らかの貢献を可能とし、グループに結びつけるものとなります。
バスティング氏は「繋がりを持ち、なし終えたという感覚や楽しみを感じることができますが、こうしたことはナーシングホームに居る認知症の人に度々起こるものではない」とも話しています。
ノースフイールドにあるウエルカムデイサービスハウスHouse of Welcome Adult Day Services(pdf900K)では、職員がタイムスリップスの方式で研修を受け、最近、記憶障害の人たちの助けで得て本が完成し出版されました。
施設長のジュリー・フランベルチJulie Lamberti氏は「思いや感情および創造的な能力をもった人間として彼らに価値があると思っている」と述べています。
ChicagoTribune July 13, 2011 Laughter is the test medicine
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編者:寸劇や即興劇を応用した認知症の人への非薬物療法的試みの一つだ。我が国では認知症の人が参加したこうした試みは聞かない。

★認知症ケア専門士(7月12日/アメリカ)
Dementia Care Specialists(DCS)は、 ワイオミング州マスケゴ在住のメアリー・ゲンナーマMary Gennerman氏を「認知症有能ケア・療法士Dementia Capable Care/Therapist (DCCT)」の第1号に認定しました。ゲンナーマン氏は、登録作業療法士でもありますが、新たな資格を取得するため必要な研修と終了し、資格取得の基準を満たしました。DCCTの認定は、「危機予防協会Crisis Prevention Institute(CPI)」が行う認知症有能ケアの研修と基礎―質の高い認知症ケアのための基礎―を履修し終えて人に授与されます。
DCCTは、作用療法士Occupational Therapist、作業療法補助者Occupational Therapy Assistants、音声言語療法士Speech-Language Pathologist、理学療法士Physical Therapist、理学療法補助者Physical Therapy Assistantsで、さらにDCPの研修を修了した人にも授与されます。
またDCSは、療法士ではない人にも同様の認定を行っています。認知症有能ケア・パートナーDementia Capable Care/Care Partner (DCCCP)の認証制度は、看護師、看護指導者、看護補助者、アクティビティチーム員、ソーシャルワーカー、管理者も利用できます。
DCSは、第1級の認知症研修および相談を業務とする企業です。認知症ケア研修では60年近い経験の蓄積があり、最新の認知症関連商品、研修、相談を行っています。DCSの研修は、職員の能力とケアの質を改善します。その結果、介護を受ける認知症の人が質の高い生活を送ることができ、介護職は仕事により満足感を得ることができ、さらに業績を改善させます。DCSは、CPIの専門業務部署です。
(Marketwire Jul 12, 2011 Dementia Care Specialists Announces First Recipient of DCCT Recognition )
編者:民間の企業による認知症ケアに関わる専門士認定制度のようだが、どのような研修を行っているのかなど不明だ。60年近い実績があるというにしてはアメリカでの認知度は低い。
我が国では公的な認知症介護専門士制度はないが、日本認知症ケア学会の「認知症ケア専門士」、日本認知症コミュニケーション協議会の「認知症ライフパートナー」、日本看護協会の「認知症看護認定看護師」、認知症介護研究研修センターの「認知症介護指導者」、財団法人職業技能振興会の「認知症ケア指導管理士」がある。

★アルツハイマー病の人に介護と愛情を(7月8日/サウジアラビア)
アメリカでほとんどの高齢者が必要な介護と尊敬を享受しているとき、このサウジアラビア王国では私たちは高齢者に十分な関心を払っていません。日刊アル・ワタンAl-Watan の報告によると、アルツハイマー病になった人たちの状態は、とても痛ましいのです。
アルツハイマー病は、高齢者で最も多い病気であり、病気に打ち勝ち、その破壊をコントロールできる治療が何もないという点でも最も関心のある病気です。
病気の原因はまだ分かっていません。この王国でアルツハイマー病に関する多くの異常な数値から、社会が姿勢を変え、苦労している最中の人々たちに寄りそうことが求められています。
アルツハイマー病は認知症のひとつの型で、記憶、思考、行動の問題が生じます。
アルツハイマー病は進行性の病気で、認知症症状が何年もかけて徐々に悪化します。記憶以外に決定能力、判断、人格の問題などの症状から診断されます。
初期症状は、身近な物の名前が思い出せなくなり、言語障害、置き場所を間違える、通いなれた道で迷う、人格の変化、楽しんでいたことに興味を失うなどです。重度のアルツハイマー病の人では、言葉が理解できず、家族も認識できず、食べる、着る、入浴するといった基本的な生活が営めなくなります。
2009年に発表された国際的な報告書によると、アルツハイマー病の人の数は20年内に2倍になると予測されています。
この病気に関しては、最も優れた家庭・地域医療学のサレム・カーリール・アルダヒSalem Khaleel Al-Dahi医師(写真左上)は次のように話しています。
「アルツハイマー病は人の脳が変化する神経疾患のひとつです。神経細胞内のねじれた蛋白の断片が細胞を阻害し脳神経細胞を破壊します。そのため、徐々に記憶障害が現れます。神経細胞が破壊されると、神経細胞から神経細胞に情報を送るのを助ける神経伝達物質が減少します。その結果、脳の多くの部位の連絡が断たれます。
現在、アルツハイマー病の治療法はありませんが、症状の悪化を遅くする治療法はあります。また研究中ですが、発症を遅らせたり、進行を防ぐ薬もあります。多くの果物と野菜オイルを摂ることはアルツハイマー病の人にとてもよいことです。アルツハイマー病の人を隔離しないことも大切で、社会的活動に参加させたり、家族や親族で一緒に居ることも大切です。家族は、しっかりした仕草、優しい語り、日常的に必要なことをするさいに手を差し伸べることを通して、愛情と尊敬を患者に示すべきです」
この不思議な病気のなった人たちを介護すること、および社会にそれを認識させる努力の一端として、この王国に団体が立ち上げられました。サウジアルツハイマー病協会Saudi Alzheimer’s Disease Associationは先駆的な組織です。もう一つは、アルツハイマー病友好慈善協会Friends Charity Society for Alzheimer’s Diseaseで、これは有名な王国のコラムニストであるシェイキー・ムハマド・サフウェイト・アミーニSheikh Muhammad Safwat Ameeni氏が発足させたものです。彼は、アルツハイマー病だった亡き妻との悲しい経験から設立に関わりました。アルツハイマー病の高齢者が間違って扱われたり無視される事が増えていると指摘しています。
自分の苦い体験からアミニー氏は次のように話しています。
「初めて病気の症状を示してから、妻は徐々に悪化しました。最終的に脳のほとんどの働きを失いました。
私たち家族は、最善で可能な介護を行い関心を示しました。妻に話すのではなく、まず言うたいことを聴くようにしました。彼女はときどき笑うことはありましたが、すぐ泣くようになることが多かったのです。食べることも手伝いました。
昔のメッカ知事であった故アブデル・マジードAbdul Majeed王子(写真左中)の支援を得て協会を立ち上げました。協会の活動を策定するときもメッカ知事のカーレド・アルファイサルKhaled Al-Faisal王子(写真左下)からも支援を得ました。ジェッダのアルビル慈善協会Al-Birr Charitable Societyもまた、一時的な事務局を提供してくれました。
アルツハイマー病の人には在宅介護が重要で、介護と関心を寄せることです」
ARAB NEWS  Jul 8, 2011  All that Alzheimer’s patients need from society is care and affection
編者:サウジアラビアの二つの協会とも国際アルツハイマー病協会には加盟してはいない。
このほかアラブ圏で全国規模のアルツハイマー病協会があるのは、バーレーン、エジプト、ヨルダン、レバノン、シリアで、このうち、エジプト、レバノン、シリアが、国際アルツハイマー病協会(加盟国・地域一覧)に加盟している。

★アルツハイマー病の遺伝検査と相談の新しいガイドライン(7月7日/アメリカ)
アルツハイマー病の遺伝検査は、何時行うのが適切なのでしょうか、発病の危険因子を理解するためにどのような遺伝に関する情報が必要なのでしょうか。
アメリカ医療遺伝学会American College of Medical Genetics (ACMG)の雑誌Genetics in Medicine2011年6月号に、アルツハイマー病の遺伝検査と相談についての新しい実際的なガイドラインGenetic counseling and testing for Alzheimer disease: Joint practice guidelines of the American College of Medical Genetics and the National Society of Genetic Counselors(pdf 800K)が公表されました。
遺伝検査は若年性アルツハイマー病の既往がある家族にとって最も相応しい検査ですが、専門家による遺伝相談が常に備わっているべきです。新しいガイドラインは、ACMGと全国遺伝カウンセラー協会National Society of Genetic Counselorsの会員とによる共同作業で作成されました。筆頭論者は、コロンビア大学医療センター神経科Columbia University Medical Center Department of Neurologyの遺伝カウンセラーのジル・ゴルドマンJill S. Goldman氏(写真)です。
ガイドラインでは以下のことが指摘されています。
遺伝関与の複雑さ
人口の高齢化と直販制遺伝検査が利用できることなどの理由から、多くの人がアルツハイマー病の遺伝検査に関心を示しています。
検査は、アルツハイマー病の原因とされる3つの遺伝子―アルツハイマー病を発病する可能性がかなり高くする―について行えます。しかし、若年性アルツハイマー病の患者の5%ほどが、この3つの遺伝子のどれか一つに変異によるものです。その他の遺伝子および若年性アルツハイマー病の進行に影響する非遺伝性の要因については解明されていません。
アポE APOE は、アルツハイマー病になりやすさに関係するものです。エプシロン4型epsilon-4 (ε4) formを持つ人は発病する危険性が高い。しかし、APOE ε4 遺伝子の影響については、発病遺伝子とくらべてかなり弱く、遺伝検査は、ほとんどの場合、有益な情報とはいえません。APOE ε4の遺伝検査で陰性の人でも、親族にアルツハイマー病の人がいると発病の危険は高まります。
遺伝相談と併用は不可欠
ガイドラインでアルツハイマー病の遺伝検査は、この分野に詳しい人による遺伝相談も含めて行うべきものと強調されています。アルツハイマー病の遺伝検査は、子供や出生前に行うべきではありません。APOEの在宅検査や直販型検査も勧められません。発病の予知についての信頼性が乏しく、危険性を減らす有効な介入方法がないのです。
発病の有力な遺伝子変異によって発病する若年性アルツハイマー病の家族については原因の遺伝検査によって、個人が発病する危険性に関して有益な情報が提供されます。しかし、たとえ検査を受けても、その結果に関係なく、アルツハイマー病の進行の危険性を少なくする薬などの治療法がないことを理解しておかなければなりません。現在、アルツハイマー病の家族がいない場合、検査を受けることはできますが、症状のない家族についての検査は、通常、有益な情報が得られるものではありません。
その他、遺伝検査を受けようとする個人の動機を知っておくことは大切です。どのような検査を受けるべきかについての家族内の不一致がありうることも含め、結果について利害が衝突する可能性があることは告げておくべきです。そのほかの検討すべき重要な事項は、検査による精神的影響、保険(生命保険、介護保険、および障害保険)およびプライバシーについての問題が生じる可能性があることです。
ガイドライン作成者は、アルツハイマー病の遺伝検査が有益な情報を提供されるという状況のなかで行われるわれること、および家族らが結果が何を意味するかについて正確な情報を得ることにガイドラインが役立つことを期待しています。さらに「遺伝検査はその利用者が自分たちの生活の質を高めるために発病の危険性をより正しい推定を知りたいと強く思うようなときにも検討されてよい」とガイドラインには書かれています。
Newswise July 7, 2011 New Guidelines on Genetic Counseling and Testing for Alzheimer Disease
サイト内関連情報
編者:直販型遺伝子検査は別にして、我が国でもアルツハイマー病の遺伝検査は行えるが、どの程度行われているのか、医療関係者はどう対応しているかの情報が乏しく、あまり議論されてはいない。

★病院と診療所に認知症専門チームを導入(7月4日/イギリス)
イギリス・ロンドンの北部のノーフォーク国民保健サービスNHS Norfolkは、認知症を初期の状態で把握するための特別な研修を受けた13人の看護職を採用しました。看護師らは一般医GPの診療所で、認知症の明らかな症状が出る前に診断できるように支援します。
また別の精神保健チームが、ノーウイッチンNorwichとキングスラインKing's Lynnの病院で患者らへの支援するために導入される予定です。
ノーフォーク・ウエイヴェニー精神保健トラストNorfolk and Waveney Mental Health Trustは、ノーフォークで2015年までに2000人患者が増え、「認知症時限爆弾」をかかえていると確信しています。
同トラストのヒューゴ・デウオールHugo Dewal精神科医(写真)は次のように話しています。
「診断の遅れにはいろいろな要因がありますが、その一つがもの忘れは正常な現象とする広く行き渡った考え方です。その考えを払しょくすると嫌がる人がいるかもしれません。でも病気は治療すべきなのです」
認知症積極支援チームDementia Intensive Support Teamが、ノーフォーク・ノーウイッチ大学病院Norfolk and Norwich University Hospital (NNUH)とキングスライン・クイーンエリザベス病院Queen Elizabeth Hospital King's Lynnで、この秋から業務を始めることになっています。経費は45万ポンド(訳注:1ポンド=約130円)。
昨年の11月にNNUHが行なった調査によると、成人患者の4分の1以上に認知症を認めました。
同トラストのゲイリー・ハゼルドンGary Hazeldon氏は「認知症と診断された人と介護者には、積極的な支援チームよって適宜で先を見越した対応によっていくつかの選択肢が選び、早期に自宅に戻ることができる」と話しています。
BBC 4 July 2011 Norfolk nurses hired to spot early signs of dementia

★ディルノ委員会は自己負担軽減の高齢者ケア改革を勧告(7月4日/イギリス)
ディルノ委員会Dilnot Commission on Funding of Care and Supportの高齢者介護の基金について検討されていますがが、ディルノ委員長は、大臣に提案が実施される予定表を作るように催促しています。
エコノミストでもあるアンデュルー・ディルノAndrew Dilnot氏は、次のように話しています。
「私の勧告を政府が実施することを期待しています。この勧告は、収入が中程度以上の人たちに介護費用として合計3万5000ポンドまで支払うことを、国はこれ以上の介護費用の負担を特別枠で20億ポンド負担することを要請しています。ジョージ・オスボーンGeorge Osborne大蔵大臣(写真左上)は新たな負担には関心があるが、新しい制度の導入に取り組もうとはしていません。政府が改革を断行しないなら不愉快なことです。確かに政府にお金の余裕がありません。しかし、利害関係がからんだ世界で新たなことが起こるには長い時間が必要です。政府が改革を始めることを期待しています」
労働党のエド・ミリバンドEd Miliband氏(写真左中)は、亡くなった人の資産への課税で介護の費用を賄うという労働党の提案を示しています。現在、施設介護が必要な場合、資産が2万3250ポンドあると介護費用の全額を支払うことになります。このため10家族のうち1家族の割で65歳以上の高齢者が10万ポンド以上の介護費用の負担に直面しています。
同じく労働党のジョン・ヒーレイJohn Healey氏(写真左下)は次のように話しています。
「労働郎はひろくディルノー氏の提案を支持しています。ただし一人当たり3万5000ポンドまでの負担は累進性ではなく富裕層を守ることになっていることが気にはなります。政府が高齢者のためによりよい制度を導入するようにするのなら、労働党は喜んで一緒に行動をとります」
今回の勧告についてイギリスのアルツハイマー病協会のジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長は、次にように見解を述べています。
「介護を支援する基金についてのディルノー委員会が、本日(7月4日)、社会的ケアの費用負担によって資産を無くすことがないようにする勧告をします。この委員会では、在宅介護や施設介護を受ける成人への財政支援として資産が10万ポンド以下の人では最高3万5000ポンドを公的に負担することが検討されてきました。現在の制度では財政支援は資産が2万3250ポンド以下の人に限定されています。
「この歓迎すべき報告によって大勢を占めてきた『認知症税』という不祥事に終止符を打つことになるでしょう。毎年、何万もの家族が介護費用の全額を支払わされていたのです。認知症以外の病気であれば国民保健サービスNHSで支払われるものです。政府は、今回の生命を破壊するような間違った制度を改める機会を失うべきではありません。
新しい制度のもとでは、住む場所の地方行政によって支援が異なるという地域差別を終わらせなければなりません。委員会は、連立政権に介護に関する国の政策を行うことが示されました。政府が、医療のために行っている方法で社会的介護費用から家族を守りながら家族が介護できるようにすべきです」
guardian.co.uk 3 July 2011  Andrew Dilnot urges tight deadline for reform of care in old ageおよびAlzheimer's Society 4 July 2011 Dilnot Commission recommendations could end Dementia Tax: Alzheimer's Society
サイト内関連記事
編者:アメリカと同様にイギリスでも中所得者以上が介護の面で資産をなくすような高額の負担を強いられてきたらしい。医療では公的支援―民間医療もあるが―が整っているのと比べ、介護についての家族の経済的負担を軽減した社会的保障が望まれている。

認知症介護の経済的負担の在り方を検討(6月30日/イギリス)
イギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは「介護への基金制度を劇的に変革しなければ、人々は介護計画も立てられず、「認知症税Dementia Tax(訳注:認知症の介護に関わる自己負担のこと)」の負担に直面する怖れがある」と警告しています。
報告書「認知症税2011 Dementia Tax 2011(pdf87K)」で明らかにされた認知症の人と介護者の負担に関する調査によると、認知症の人のわずか3%が民間介護保険に加入しています。民間の介護保険を利用していない人の半分以上は、そうした保険があることを知りませんでした。
アルツハイマー病協会は、イギリスの何千という人たちが介護に莫大な経費を払っている「認知症税」を無くするような新たな提案をするかどうかを決めるためには5つの項目からなるチェックを提案しています。その、「介護の質」「介護の早期利用」「簡便性」「公平性」および「介護者への負担軽減」です。
「ディルノ介護・支援の基金委員会Dilnot Commission on Funding of Care and Support」(委員長:Andrew Dilnot(写真左上))が、イギリスの将来の制度として基金を設けることを政府の提言する予定です。これ以前に「認知症税2011」が公表されました。
委員会は国と個人がともに費用を負担するべきとする勧告を行う予定ですが。これは民間の介護保険市場を活性化させ介護利用料金の上限を設け、保健の利用を促進することを狙っています。
アルツハイマー病協会が3700人以上の認知症の人と介護者の対して行った調査によると以下のような回答が明らかになりました。
○認知症の人の4分の1は、介護保険が購入可能であれ買うだろう。
○介護者の52%は、本人と認知症の人が介護費用を負担、あるいは全額負担すべき。
○調査対象者の半数近く(介護者の44%、認知症の人の49%)は、検討しても保険に加入したいとは望んでいない。
○保険に加盟入しない主な理由は、あることを知らない、介護上のその必要性を想定しない、保険を介護費用に役立てることを知らない、である。
委員会は昨年7月に設置され、イギリスの公的ケアための基金制度について検討し、さまざまな状況にある成人に対する購入可能で持続可能な制度をどのように構築すべきかについて政府に勧告します。
アルツハイマー病協会のジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長(写真左下)は次のように述べています。
「介護で支払わなければならない多額の負担に驚く人が多い。目下、民間保険による代替的解決法では、人々は手が届きません。国の支援は不適切です。認知症に関わる数百万の人たちのためにこの厳しい現実を変革でき、役立つ介護制度を発展させる新しい制度が必要です。委員会によって提案されるこの機会を活かすべきです。認知症の人たちに質のよい生活を提供するための質のよい介護を提供することができるはずです。現在の壊れた制度に対して長期的な解決策を持つことは重要です。貧しい質の介護に認知症税を払わさせることを止めなければなりません」アルツハイマー病協会は介護支援同盟Care and Support Allianceの会員です。この同盟は介護・支援制度の根本的な改革を要求しています。その制度の基金の導入にを支持しています。
ウエストヨークシャのハリファックスに住むケヴィン・ジングスKevin Jenningsさん(77歳)は、妻のジョーの介護費用を支払っていましたが、昨年の8月に亡くなりました。
ケヴィンさんは次のように話しています。
「妻の介護費用がとても高く、経済的負担にどう対処するかでストレスが多かった。私が臓発作を発病して在宅介護を止め、妻をナーシングホームに入らなければなりませんでした。そこでは費用は1週間で250万ポンド(訳注:1ポンド=約130円)でした、在宅でみてたときの2倍です。本当に苦闘しました。いくらでもお金があったわけではありません。基本的な介護に家族が多額を払わなければのは公平ではありません」
MedicalNewsToday 30 Jun 2011  Dementia Will Be The New Tax Unless A Charging Revolution Is Achieved - Alzheimer's Society, UK
編者:イギリスではシャッチャー政権以降、医療と同様に介護の民営化が進められ、公的および民間の介護施設、公的介護と民間の介護保険が共存している。我が国の公的介護保険制度がないなかで介護者の自己負担が軽くはない状況があり、公的な制度と民間保険がどのように住み分けるのかが議論されてるようだ。イギリスの認知症ケア制度については、「ひもときねっと」の「海外認知症ケア情報」にある「イギリスの認知症ケア動向Ⅳ 介護サービスの状況」(pdf700K)が参考になる。

★ドネペジルとメマンチンの併用が増えている(6月28日/アメリカ)
製薬と医療分野で世界的に指導的な調査・提言会社の一つであるデシジョンリソーシズDecision Resourcesは、アセチールコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)のドネペジル(アリセプト)とNMDA受容体拮抗剤のメマンチン(メマリー)がアルツハイマー病の承認された治療薬のなかで、新たにアルツハイマー病と診断された人の治療として他よりダントツに広く使われていると報じています。
「アルツハイマー病でのトリートメントアロゴリスムTreatment Algorithms in Alzheimer’s Disease」の分析によるとAChEIが最も多く処方され、同種の薬のグループのなかでドネペジルが他を圧倒して多く処方されています。さらにアメリカでは、中度から重度のアルツハイマー病に治療薬として承認されているメマンチンがAChEIとの併用薬としても広く処方されています。
メマンチンは、第一選択の薬としては15.9%を占めていますが、新たにアルツハイマー病と診断された人の治療開始後1年以内の第2選択薬としては40.9%を占めています。このようにアルツハイマー病の治療として複数の薬を使うこと増加しています。
デシジョンリソーシズのアナリストであるジョージアナ・クールマンGeorgiana L. Kuhlmann氏は次のように述べています。
「多くのアルツハイマー病の人に第1選択としてAChEIで治療が開始され、それが続けられています。病気が進行したり、うつ状態などの合併症があると他の薬が追加されます。第2選択としてメマンチンが追加されて増えますが、これは軽度ではAChEIとの併用が認められていない使用法が増えていることになりますが、患者の状態が悪化していることの反映でしょう。またメマンチンが中程度から重度のアルツハイマー病の治療薬として承認されているので、医師は、メマンチンをこの中程度から重度のこの時期には単独で処方するのが適切とも感じているようです」
BUSINESS WIRE June 28, 2011 Donepezil and Forest Laboratories’ Namenda Lead All Other Therapies Approved for Alzheimer’s Disease by a Wide Margin in Use for Newly Diagnosed Patients
編者:我が国でもメマリー(メマンチン)が承認され、早くもアリセプトとの併用がよいという専門家のお薦めもあり併用療法が増加するだろう。二つ合わせて1日約1000円の薬価だ。1月約3万円。これだけのお金をかけて服用する薬かどうか。ほとんどの医師は処方するだろうから服用が始まると副作用がないかぎり延々とのむことになる。本人の意思というより家族らの意思で。さらにAChEIとして新たに2種の薬が承認された。AChEIの2剤併用はありえないがメマンチンとの組み合わせをあれこれ変えて効果をみることになろう。こうして医師の薬の処方―「これが駄目ならあれ」―でアルツハイマー病の人も家族も振り回されるではないかと危惧する。「中途半端薬」とはいえ、目の前にある薬を使わないわけにはいかないが、適切な薬物療法とともに、本人と家族への精神的支援、介護の工夫、社会的支援の利用などについても医師が関わってほしいものだ。

認知症の人と歌劇団との合同合唱団(6月27日/イギリス)
ウエールズ国立歌劇団Welsh National Operaと認知症の人のユニークな連携が、今晩、1回きりの開催で盛り上がるでしょう。
この3カ月の間、南ウエールズ在住の40人以上の認知症の人のグループが、この歌劇団と一緒に練習をしてきました。
介護者や家族たちは、自分たちの認知症の人について、一緒に活動を続けられて認知症の人の生活がどのようにもどったか話しています。
アルツハイマー病啓発Alzheimer’s Awarenessグループが、カルディフの会場でプッチニのオペラ「ツーランドット」に刺激されて自分たちで作った歌を今晩、披露します。
この企画は、地元のアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyと一緒に進めているもので、昨年のクリスマスに向けた準備の段階で成功した試みから続けられています。
そこでは三つのグループが五つの歌を受け持ち、その最終段階でクリスマス賛歌をコンサートで歌ったのです。
最近の練習は、プッチニのオペラからのもので、作詞作曲や演奏が認知症の人には自分自身を表現する機会となり記憶機能にも影響します。歌と音楽は他の記憶より思い出しやすいと言われています。
歌劇団のコーラスリーダーのケイト・ウールヴェリッジKate Woolveridgeさん(写真左下)は次のように話しています。
「認知症が進行するとコミュニケーションが難しくなる人がいますが、脳は以前に覚えて歌は、今すぐに歌うことができます。それはささやかなことで、長く歌うことに関わっていると信じられないほどの情緒的表現ができるのです。あまりこだわりはなく、ただ楽しいよいひと時を持てればよいのです」
配偶者が認知症のロジー・トーペRosie Tope医師は、アルツハイマー病協会と歌劇団の企画を高く評価して、次のように話しています。
「会話を続けたり、昔覚えた好な歌詞を思い出すのが困難な人にとって、この企画はとてもうれしいことです。音楽と言葉への親密さで、身体で覚えた好きだったことにたどり着けることができるのです。歌って音楽を聴くとき、かれらは手をつかみ互いに腕を回して、踊り出す人もいます。個人的な経験からよく理解できるのですが、多くの介護者にとって認知症の人が自発的になることは稀なものとなるのです。しかし、この企画によって長く大切に保ってきた記憶を呼び戻すことができるのです」
グループは、ウールヴェリッジさんとピアニストのニッキー・ローズNicki Roseさんと一緒に練習をして演奏に磨きをかけていますが、歌劇団のほかのメンバ―大道具、衣装係、オーケストラ、コーラスなの―も関わっています。
妻がアルツハイマー病のアラン・カミングスAlan Cummingsさんは、次のように話しています。
「こうした機会を与えられたことは驚くべきことです。こうした活動の合間にも、もっとも素晴らしい授業を受けているのです。本当に消し難い光景です。妻は、孫のことは別にして、生活のなかで楽しみにできる数少ないことの一つです。ここでは誰もが、とても同情的で同じボートに多くの人が乗っているのです。妻は本当にこうした交流と歌うことへの挑戦を楽しんでいます」
アルツハイマー病協会の渉外部長のシアン・エヴァンスSian Evans氏は、次のように話しています。
「この企画で歌劇団とのコラボレーションはとてもうまくいっています。アルツハイマー病協会は、2003年以降この地区で「脳のために歌うSinging for the Brain」のグループ活動を行ってきました。しかし、専門的なオペラチームとの活動は、認知症の人にとってとても素晴らしい経験です。歌うことは記憶障害の人たちにとって刺激になる楽しい活動です。ウエールズミレニアムセンターWales Millennium Centreで歌劇団との歌の練習に参加することは特別な経験となります。私たちは、将来も、再度実施したいこの企画に活力を届けてくれた歌劇団に心から感謝しています」
「私たちのツーランドット:語りをとおしての音楽Our Turandot: Music Through the Telling」は6月27日午後7:30からカルディフのホワイトチャーチラグビークラブWhitchurch Rugby Clubで開催されます。入場料は無料。
写真左上は認知症の人とウエールズ国立歌劇団員の練習風景
WalesOnline Jun 27 2011 Dementia choir project hailed great success
編者:単なる「音楽療法」以上に意義がある取り組みだ。日本の歌劇団はこうした活動をする理解と余裕があるか、また「家族の会」が連携するだけの力量があるか。

認知症の人の安楽死に医師は慎重(6月26日/オランダ)
オランダの3大学―ユトレヒトUtrecht、フローニンゲンGroningenおよびロッテルダム Rotterdam―の大学病院が実施し、6月25日に公表された全国調査によると、初期認知症に場合に安楽死を行ってもよいとするオランダの医師は33%です。
認知症の人は、初期の限り自分の安楽死への同意を伝えることができます。
後期になると、認知症の人は認知障害のためにインフォードコンセントができなくなります。安楽死にたよる認知症の人の数は2006年に3人だったのが2010年には21人に増えました。
安楽死の全件数も増加しており、2006年に法的評価のもとで行われた安楽死の件数は
1900であるが、2010年では2700に増えています。
Radio Netherlands Worldwide  26 June 2011 Doctors wary of euthanasia for dementia
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編者:33%の医師が安楽死を行ってもよいとすることが、これを慎重と言うのかわからない。初期の認知症ということはアルツハイマー病の初期ということと同じとみてよいが、知的機能がかなり残存しているこの時期に安楽死を選ぶ人―数は少ないとしても―が増えている。

宿泊ケアが試行的に始まる(6月26日/アメリカ)
2006年、スー・ゲイニーSue Gaineyさん(写真左の右)の亡き母親は認知症で、休息ケアrespite care を利用していました。この年にノースカロライナ州保健局福祉は宿泊ケアOvernight careを中止しました。
ゲイニーさんは、母親が家のなかを朝の4時まで歩きまわる時などは一晩中眠れない状態に戻ってしまいました。
デイケアセンターに宿泊の休息ケアを提供することを許可する試行的実施がクリーヴランド郡で始まることになりました。シェルビーShelbyとキングスマウンティンKings Mountainにあるライフエンリッチセンターデイケアセンター・ヘルスサービスLife Enrichment Center Adult Day Care and Health Serviceは州に在る4つの施設のうち2つが試行に参加します。クリーヴランドの共和党のデビー・クレアリーDebbie Clary上院議員(写真左の左)は、26日、シェルビーで以下の声明を発表しました。
「手術を受けなければならないとき、あるいは休暇が欲しいとき、誰が家族の世話をするのでしょう。私たちの今回の試みが成功する、きっと成功するでしょうが、州のほかの地域でも同じようなケアを試みます」
クレアリー議員が支持し提案された上院法案Bill 512 Authorize Overnight Respite Pilot(pdf21K)によると、この試行は各施設で6つのベッドまで持つことができます。さらにこのベッドはデイケアセンターを利用していないクリーヴランド郡の介護者に利用が限定されています。
ゲイニーさんは「家族は24時間365日介護しなければならなくて休息もとれません。今回のことは長年の懸案です」と話しています。
クレアリー議員は「私は11月に州の議員を辞める予定ですが、ロビー活動を通して高齢者の健康問題に関わります」と話しています。
アシュヴィルAshevilleとウルミントンWilmingtonにある各施設でもこの試行に参加することになっています。法案によるとデイケアセンターの4施設が試行を始める前の来年の1月1日までに審査が実施される予定です。
The star Jun 26 2011 Overnight adult care coming to Cleveland County. Shelby, Kings Mountain facilities among 4 pilot sites statewide
編者:日本のショートステイの事だ。試行に関する法案で州内に最大24ベッドが運営され、デイケア利用者は対象外など制限を多い。もともと、公的介護制度が半ば無いなかでの州の新たな制度導入のようだ。アメリカはこの分野では「遅れている」。紹介する意味はあまりないかもしれない。

「ピーター・フォークさん死去=「刑事コロンボ」で人気」(6月25日/時事通信)
【ロサンゼルス時事】米人気テレビドラマ「刑事コロンボ」で知られる俳優ピーター・フォークさんが23日、ロサンゼルス近郊の自宅で死去した。83歳だった。家族の話として米メディアが伝えた。死因は不明だが、2008年にアルツハイマー病と判明、後見人を得て闘病中だった。
ニューヨーク州出身。1950年代に舞台や映画で頭角を現し、シリアスな役柄からコミカルな中年役まで幅広く演じた。映画「ポケット一杯の幸福」(61年)などでアカデミー賞助演男優賞候補に2回入った。
68年に始まり、大ヒットした「刑事コロンボ」で米テレビ界最高の栄誉、エミー賞を4回受賞。日本でも70年代から放映され、俳優・声優の故小池朝雄さんらの吹き替えで人気を博した。よれよれのレインコート姿で粘り強く犯人を追い詰める刑事を熱演し、決まり文句の「うちのかみさんがね」が流行語となった。
Jijicom 2011/06/25 原文のまま

在宅介護で高齢者の人権が守られていない(6月21日/イギリス)
平等・人権委員会Equality and Human Rights Commission(EHRC)が20日に中間報告した最新の調査結果によると、在宅介護で高齢者の基本的人権が見過ごされていることがわかりました。現在、委員会は、在宅介護について大がかりな調査を行っていますが、この調査は、イギリスでの在宅介護や支援システムが65歳以上の高齢者の人権がどのように守られているかを調べるものです。最終報告書は今年の11月に発行される予定です。
今回の調査で明らかにされた気になる以下のような事例が明からかにされました。
○ ベッドで生活している人の訪問と訪問の間は17間以上である。
○ 定期的に身体を洗ったり必要な飲食の介助が十分に行われていない。
○ 長期間、汚れたベッドと衣類のままで過ごしている。
○ 職員の回転が速くて介護を受けている多くの人は、清拭や着衣といった身体にじかに触れるような行為でも多くの別々の介護者で行われている。ある事例では、ひとりの女性に2週間以上で32人の異なる介護者が担当した。
今回の調査で在宅介護制度のなかで委員会の注目を引いた主な事は以下のとおりです。
□介護の時間が適切でない
在宅介護の訪問時のほんのわずかな時間―多くの事例で15分間―のため、適切に行わなければならない基本的な行為さえも行えていない。その結果、料理をするか洗濯をするかを決めなければならなくなる。また短時間の訪問のため介護職は洗濯や着衣といった行為を急いで行うことになる。高齢者も介護職も共に、不満足や欲求不満になる。
□介護訪問のタイミングの管理が欠落する
多くの高齢者は介護訪問が何時あるのかわからないことが多い。その結果、午後5時にベッドに寝かされ翌日の午前10時に初めて起こされる―この間17時間、ベットに寝かされたまま―といくことを聞いている。
□適切な在宅介護が行われてない
無視の報告が多い。たとえば、 訪問の後も不潔なナイトウエアーを着てベッドに寝かされ、そのまま数週間、身体を洗ったり洗髪するということないことがある。
□スタッフの学習や訓練が行われていない
多くの高齢者は、プライバシーや尊厳が尊重されていないと感じていると語っている。たとえば、ある高齢者は、介護職によっていつも平屋の窓の前で衣類を脱がされたと話している。別な人は、家族から離れてではなく家族の前で衣類を脱がされると話している。充分な研修があると介護職がこうした基本的な間違いをしにようになる必要で簡単な第1歩になるだろう。
□職員の入れ替わり多い
職員の入れ替わりが多いことが高齢者に影響する。多数の別々の介護職が身体を洗ったり衣類を着せられ、あるいは自宅に新しい介護職が来るたびに頻繁に個人的情報が明かされるこという情緒的な影響が述べられている。委員会では介護職の入れ替わりが多い理由と介護職自身の経験について調べる予定である。
□不満もなければ期待も少ない
広く行われているおそれのある人権侵害の不満を訴えたくても、恐ろしさのため、また、高齢者自分が利用する権利がある在宅介護の質について余り期待してないために人権侵害が隠ぺいされているようだ。証拠となる事柄の回答を要請した5人の高齢者のうち一人は、「不満がない」と答えている。彼らは、状況の認識がないか、訴えたことによる反動が怖いためとも話している。さらに、貧弱な、あるいは虐待的な行為を明かしたいと望んでいる告発する者にとってどのような保護や支援が必要なのかについて検討している。
委員会で集めた証拠
人権に関して証言を要請したのは、高齢者、家族、介護職、NGOで、一般の人たちからものと、政府、関係部署、その他の関係組織からの証言を要請しました。さらに地方自治体、医療提供組織、在宅介護提供団体からの調査も行っています。地方自治体のうち54%が、また250の在宅介護提供団体が今回の調査に参加しています。人権侵害の証拠についての要請に対して全部で503の文書での回答を受けとっています。
このうち、344は、個人(高齢者、その友人と家族)からのもの、58は、団体からのもの、101は、在宅介護職からのものです。
EHRCの委員のグリーングロスGreengross男爵婦人(写真左上)は次のように述べています。
「国のいたるところで多くの高齢者は、献身的で尊敬に値する介護職からのよい質の介護を受けています。しかし、私たちが把握した証拠からみて、多くの所で介護職はしなければならないことが多く、時間はほとんどなく、適切な研修も受けないという状況に直面していることが分かります。このため標準的な介護が行われず高齢者のプライバシーと自律、と尊厳が、ときにとても深刻な形で、危険に陥っています」
EHRCについて
2006年成立の平等法Equality Act 2006によって設立された法的な組織です。以前の人種平等委員会Commission for Racial Equality、障害者権利保護委員会Disability Rights Commissionおよび雇用機会均等委員会Equal Opportunities Commissionの責務を受け継いだものです。イギリスでの平等と人権のための独立した擁護組織です。不平等を減らし、差別をなくし、人々のよい関係を強化し、人権を向上し保護することがその目的です。委員会は、年齢、障害、性別、人種、宗教、信念、同性あるいはトランスジェンダーの状態で侵されることがない平等のための法律を強化します。さらに人権法との整合性を強化します。また企業、ボランティアおよび公的分野での助言と指針を提供します。
今回の公表についてイギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyの渉外部長のアンドリュ・ケッテリンガムAndrew Ketteringham氏(写真左下)は次のような見解を述べています。
「今回の報告は、既に私たちが行った調査結果に似ています。私たちの調査から、多くの価値ある人たちが必要としていることに社会的ケア制度が応えていないことがわかりました。この社会的ケアの最大の利用者は認知症の人なのです。現在、地域で生活している50万人ほどの認知症の人は、食べる、飲む、トイレに行くといった日々的行為を支えることが必要です。今回の調査では、かなりひどい無視についての事例が強調されています。介護職は、よい仕事をしたいと望んではいますが、質のよい介護を提供するための研修、支援、時間が必要なことをよく知っています。この報告は、制度を支える実行可能な社会的ケアのための緊急に必要なことを明らかにしています」
EHRC 20 June 2011 Inquiry reveals failure to protect the rights of older people receiving care at homeおよびAlzheimer's Society 21 June 2011 Alzheimer's Society comment on EHRC report
編者:こうした無視は、我が国のヘルパーによる在宅介護で考えにくい。訪問介護が無資格無研修の外国労働者が行っているのだろうか。そもそもイギリスでは介護職の国家資格はないと聞いている。他方、EHRCについては日本ではこうした公的組織はないようだ。法務省人権擁護局という部署はあるが、何をしているのか見えてこないし、問題が起きて初めて動くのではないだろうか。「高齢者虐待防止法」についても管轄は法務省ではなく、厚生労働省だ。

★認知症ケアのありふれた鍵(6月17日/ニュージーランド)
マルチナ・ムゲリッジMartina Muggeridgeさん(写真左上)は、父親が競馬の賭けごとを止めた日、何かおかしいと気付きました。父親のエリック・ベネットEric Bennettさん(72歳)(写真左上)は認知症と診断されました。ベネットさんはオークランドに住み妻のキャサリンKathleenさんと娘さんがこれまで6年間、介護していました。
ムゲリッジさんは「本当に絶え間のない戦いです。やることを決めてやってきました」と話しています。
先月、政府は、次の4年間で認知症ケアに4400万ニュージーランドドル(1NZ$=約63円)を支出すると発表しました。
さらに彼女は「認知症を現実的な疾患として認めていることはとてもよいことです。過去、政府はほとんど認識していません」と話しています。
政府の支出は、主に介護施設の定員や職員を増やすためのものです。
ニュージーランドのエッジコンサーンAge Concernマヌカウ支部のウエンディ・ブレムナWendy Bremner最高責任者(写真左中)は、次にように述べています。
「もっと重大な事例―認知症―に支出するにしては、十分な額ではまだありません。認知症に多くのお金が使われることはとてもよい知らせですが、介護者が社会に関わっていることの価値を認識しなければなりません。介護者は、しばしば高齢の家族を介護するために自分の仕事を辞めなければなりません。労働・所得局Work and Incomeの手当が得られたとしても、とても十分とは言えません」
ムゲリッジさんは、父親が認知症と診断されたとき、両親と一緒に住んで母親と一緒に予約を取るようにしています。
彼女は「幸運にも、母も私もとても健康です。一人であるいは配偶者と二人で親を介護している人の話を聞きますが、こうした人たちが24時間365日どのように介護しているのか想像できません」と話しています。
今月、40団体以上のNPOが、介護者のための「We Care」キャンペーンを始めました。全国的な啓発活動では、政府に介護者への手当や支援をもっと提供することを要求しています。
ニュージーランド介護者連盟NZ Carers Allianceのジョン・フォーマンJohn Forman議長(写真左下)は次のように述べています。
「介護者はニュージーランドの最大の医療従事者で、かれらの無給の労働は年間で経済的価値は70億NZ$以上です。介護の役割は何にも替えがたい社会的家族的な価値があり、もはや当たり前とみなされることはできない有意義な経済的価値があるのです」
ベネットさんの状態はこの2年間で悪化してきました。ムゲリッジさんは、「将来何が起こるか思いめぐらすことはできません。きつい役目ですが、今この時に生きていることを思うようにしましょう」と話しています。
(Stuff.co.nz/ 17/06/2011 Routine key for dementia care)
編者:日本のケアラー連盟はニュージーランドなどにある介護者連盟をモデルにしているのか。活動の一環として他団体と共同して介護者のための全国キャンペーンも興味ある。

★若者が認知症の人との繋がりを見つける(6月14日/アメリカ)

「おばあちゃんは62歳ですが、家の鍵の置き場所を忘れ、2,3の通りを隔ててある食料品店からの帰り道を忘れました。さらに刺繍の仕方を忘れて突然に混乱して縫い目を数えられなくなります。しゃがみ座り込んでしまうのです」
「おばあちゃんは、庭をどのように手入れすればよか忘れ、オーブンの使い方も、息子の電話番号も、電話のかけ方も、フォークの使い方も忘れ、自分の名前も書けなくなりました。今、おばあちゃんは、ほとんどのことを忘れていますが、笑顔や笑いは忘れてはいません」


トム・ガンネルスTom Gunnelsさん(写真左上)は、彼が10代のとき祖母のバーバラ・ガンネルスBarbara Gunnelsさん(写真左中)の変化を観察し始めました。彼女の通常の人間から確実に離れてゆくという気配はほとんどなかったのですが、州立グランドバレー大学Grand Valley State University(GVSU)のコミュニケーション学科の23歳の学生トムさんは、その変化が認知症によるものであることを知りました。
悲しいことですがめげずに彼は、子供の頃から好きだった祖母との楽しかった密接な絆を維持する方法を探し、そして見つけました。彼の努力は、アルツハイマー病になった家族を若い人が、とりわけ初めての時、どのように接したらよいのかという課題をほかの人たちが知ることになりました。彼は、自分の経験が、若い人たちが、自分たちが知っていた人とは違う人になった高齢の家族とよい関係を維持するのに役立つことを望んでいます。
アルツハイマー病の友人や家族がいる若い人のこうした問題が、ノンフィクションのワークショップのためにフリント地区生まれの人たちが祖父母について書く8000字物語の中心テーマでした。クリエイティブノンフィクションの2010年ノーマンメイラー大学ライティング賞2010 Norman Mailer College Writing Awards for Creative Nonfictionの全国優勝候補5人の一人にトムさんが選ばれ、その物語がミシガンの医療関係者の注目を浴びました。
本文で斜め文字はこの物語からの引用です。
GVSUの看護学科のシンディ・ビール・ベイツCindy Beel-Bates準教授(写真左下)は、看護学課程の健康加齢の二つ時間でトムさんに物語を読んでもらい質疑応答を行うことを要請しています。
トムさんの話によると、空の祖母を診ているミシガン大学University of Michiganの神経科医から物語のコピーが欲しいとの依頼があり、祖父の友人や医療専門職の間でも同様の依頼があるとのことです。
アルツハイマー病など認知症の人の成人した子供のための支援グループは多くありますが、認知症の高齢者にどう付き合うかについて10代の子供たちが学べる支援グループはほとんどありません。
クラーク退職者コミュニティClark Retirement Community―これはリハビリテーション施設継続ケア認定委員会認定認知担当部会Commission on Accreditation of Rehabilitation Facilities-Continuing Care Accreditation Commissionからで認知症サービスに関して全国で初めて認定を受けた組織ですが―の5つのプログラムの認知症サービスコーディネーターであるクリス・サイモンズChris Simons氏は次のように話しています。
「10代の子供たちが学ぶことは重要です。アルツハイマー病は80ほどある認知症の一つであり、最も多い原因です。若い人―30歳代、40歳代―でなる人もあります。これから記憶障害をもった人の数は2倍、3倍になるでしょう。圧倒されそうです」

「おじいちゃんは、料理、洗濯、買い物をすることが多くなりました。また彼は、あまり釣れなかったり、眠れないと泣くことが多くなりました。毎晩、眠る時、妻のことがますますわからなくなっています。今、おばあちゃんを風呂に入れて、トイレで紙を使わせるようにさせています。夜、彼女がナイフを持って「ここは私の家。出て行け」と叫ぶ時は、おばあちゃんに自分が誰であるか思い出せるようにしています」

祖父のポウル・ガンネルさんPaul Gunnels(75歳)(写真左中)は次のように話しています。
「孫がこれほど認知症によって家族が影響を受けていることをよく観察していることは実際のところ知りませんでした。その物語によって孫のトムや息子のデイビスDavisの家族と私とが密接になりました」
バーバラさん(72歳)は、技能があり創造的な裁縫する人でフィントにある教会の牧師の個人秘書でもありました。60代半ばに認知症の症状が出始めたのです。その時10代だったトムさんはどう接してよいかわかりませんでした。
彼は「おばあちゃんが通常から外れたことをしていたら静かにしていているだけでどう対応してよいかわかりませんでした。しばらくじっとおとなしくしているだけでした」と話しています。
さらに彼の話によると、家族はアルツハイマー病ではないいかと思い始めましたが、オープンに話し合ったわけでありませんでした。
彼は、ついには、これを話題にすべきだと思うようになったのです。
さらにトムさんは「最も大事なことの一つは、誰もがそれについて語り合える時に達することです」と話しています。
またポールさんは「問題の一部は、症状が始まって6年が経過するまで58歳の妻に何が起こっているのか医師が確定的な診断をしなかったことです」と話しています。
その医師は、いまだアルツハイマー病と確定的には言えないと話しています。
ポールさんは彼が次のように話しています。
「妻の症状は1999年以降、進行しています。しかし、ミシガン州ヒューロン湖の岸辺に在る私たちの家に孫息子がやってくると、とてもよく反応するのです。彼女は彼を見て、何かの理由でほんの一瞬で、彼を認識し、態度のすべてが変化するのです。ひとつの要因は、私たち二人とも子供の頃からトムの近くで生活していたことです。私が退職する年に彼は生まれました。私たちは彼のベビーシッターとして多くの一緒の時間を過ごしました」
トムさんは、祖父母をよく訪ねたことを楽しく覚えています。祖父と釣りをしたり、川で二人が小屋を作るのを手伝ったりしました。祖母が認知症の人になってからは、できるだけ毎年、夏に多くの時間を過ごすようにしました。
妻への最も身近な介護者であるポールさんは「孫が書いた物語は、この問題について家族がもとオープンになることに役立ちっており、当初感じていたよりは有益なことです。介護者としてときどき、一人ぼっちだと感じます。認知症で変わってしまったために失った友人を信じることはできないが、理解してついてくる人もいます。それは信じられないほどの激励なのです」

「おばあちゃんとおじいちゃんの家で北に向かってキッチンテーブルの回りに私たち4人が座ります。妹は私の向かいに座り自分の膝を見つめています。おばあちゃんとおじいちゃんは両脇に座っています。妹の背後にはヒューロン湖の波が岸にいつまでも打ち寄せています。二つの空っぽになったピザの箱がテーブルに上にあり、各自の皿に屑が残っています。おばあちゃんは何かつぶやきながら、ダイニングルームを通って居間まで歩き、さらに廊下を取ってキッチンの裏までぐるりと回って歩きます。これを彼女は、毎日、何回となく繰り返しています。家のまわりを丸く歩き、歩き終わったとたんそれを忘れて、また歩き始めます。『私の家から出てくれ』とつぶやきながら」

クラーク退職者コミュニティのサイモンさんは次のように話しています。
「10代の子供の価値は、熱意と興奮です。自分たちが熱心にしていることを分担できるのです。認知症になって打ちひしがれている人たちへ、必要な喜びの一時を提供しています。10代の子供たちは、祖父母のためにビデオで録画したり、音楽も聞けるアイポッドを持っていたり、スカイプやインターネットで話しもできます。こうしたことのどれもが関わることの大切さに気づけば彼らにはすぐにできることです」
最も重要な要素は愛と尊敬の気持ちです。
さらにサイモンさんは「介護を通して高齢者に敬意を表します。高齢者は大人の生活を送っておりしており、私たちはそれを維持し、必要があれば単純化することができます」と話しています。
トムさんは、基本的に参考として父親のやり方を信頼していますが、「父は、おばあちゃんがどんなことをしても怒りも興奮もしないのです。彼女を第一にすることにとても慣れている」と話しています。
またトムさんは、書くことを通して自分の経験をほかの人たちと共有し続けるつもりで、次のように話しています。
「認知症にどう対応するかを理解するのを支援することでよくなると感じています。たとえ話したくなくても、認知症について話さなければなりません。こうしてとても重い負担が軽くなるのです」

「おじいちゃんは、おばあちゃんの頬にキスしようとします。多分、いつの日か、彼女はキスをゆるすでしょうが、今は、ほとんどゆるしていません。彼は、最後のキスと試みています。しかし、それは無いかもしれません。彼はもたれかかりながら最後のキスを試みますが、彼女は『あなたは誰』と言うでしょう。それが彼の最後となることでしょう。彼女は、夫の前で横たわったまま行ってしまいます。彼が『さよなら、バーバラ』と言うこともなく」

mlive.com June 14, 2011 Young people find ways to stay connected to loved ones with dementia
編者:祖父の心理、認知症の祖母の心理をよく観察し理解している孫の大学生だ。10歳代の子供で認知症の人―祖父母や親―と一緒に生活している子供たちへの認知症の理解は大切だが系統だった啓発活動は我が国でも少ない。「認知症の人と家族の会」で製作した子供向けサイト「おばあちゃんどうしたの」が参考になる。

アルツハイマー病薬研究の資金が乏しい(6月14日/イギリス)
アルツハイマー病の数100万人は、精神科医が警告しているような研究資金の危機的状況のため大切な新しい治療を受けることができないかもしれません。
パーキンソン病、うつ状態、統合失調症などの神経、精神疾患についても同様になるかもしれません。大手の製薬会社は、がんのようにもっと金になる分野に研究が集中して、脳疾患の研究を止めてきています。
さらに、精神疾患にまつわる偏見のため一般の人たちが、がん治療に関わる団体へ寄付と同様な寄付を精神疾患の研究支援団体に寄付しないと専門家は警告しています。
ヨーロッパ神経心理薬理学会European College of Neuropsychopharmacology(ECNP)は次のように報告しています。
「緊急行動をとられないと、どの世代も生活を改善するに必要な薬が手に入らなくなり家族が将来への希望を持てなくなる可能性があります。アルツハイマー病など認知症ではイギリスで80万以上の人たち―その数は1世代に2倍になる―がその生活を損なうことになります。
しかし、認知症の薬は市場にわずかしかなく、しかもこれらの薬は病気から少しの救う程度のものです。年間、ヨーロッパで神経疾患のために―アルツハイマー病からうつ状態―で3500億ポンド(訳注:1ポンド=約130円)を使っていますが、これは心疾患やがんよりはるかに多額なのです。がんの費用は脳疾患の半額なのですが、ヨーロッパ各国の研究費は倍なのです。
研究資金のほとんど―80%近く―は、伝統的に製薬会社のものです。こうした会社が脳疾患への関心を急速に失ってきています。
神経疾患の原因について私たちの知ることがまだ乏しく、がんや心疾患の開発よりもっと時間がかかるので自分たちの資金を使うのを嫌っているのです。
役所仕事のため研究中の薬の開発を妨げ、製薬会社が脳の副作用で訴えられるのを恐れています。
さらに脳疾患の薬は、抗がん剤のように生命の長さ増加させるのではなく、生活の質を改善することで見逃されやすいのかもしれません。
グラクソースミスクラインGlaxoSmithKlineやアストラゼネカAstra Zenecaはともに脳研究から撤退しました。メルク Merck は、南スコットランドの神経科学施設を閉鎖し、ファイザーPfizerは、イギリスケント州のサントウイックにある研究開発部門を閉鎖する予定です」
オックスフォード大学Oxford Universityの精神科医のガイ・グードウインGuy Goodwin氏(写真左1)は次のように述べています。
「疾患のために創る物がないということは、ヨーロッパにとって重大な医学的経済的科学的に重要な物についての訓練は研究の能力にとって大きな世代的な危機といくことになるでしょう」
王立ロンドン大学Imperial College Londonのダヴィッド・ナットDavid Nutt教授(写真左2)は次のように述べています。
「脳科学にとって暗い日々です。忘れてはならにことは、こうした研究をもし中断すると20年から30年の空白が生まれるので本当に無謀なことです。現在、抗うつ剤は患者のおおよそ3分の2の人たちに役だっています。ということは残り3分の1は約50万人のイギリス人には薬が役立っていないのです。ECNPの積極的な解決策は、製薬会社を説得し、大学の専門家と中断された脳研究を共有し、さらには脳疾患に関わる偏見を取り除くために病名を変えることも行わなければなりません」
日本では精神分裂病Schizophreniaを統合失調症Neurocognitive syndrome(訳注)と名前を替え、オーストラリアの慈善団体はうつ状態を「黒い犬black dog」と呼び変えています。
ヨーロッパ脳委員会European Brain Councilのアラステール・ベンボウAlastair Benbow事務局長(写真左3)は次のように述べています。
「今、官民ともに研究と投資の促進対策を取らないと、この領域ではまさしく損害を受けることになります。ヨーロッパの長期的な精神保健のためのはこうした結果によってかならずマイナスになるでしょう」
イギリスパーキンソン病協会Parkinson’s UKのキーラン・ブリーンKieran Breen医師(写真左4)は「脳については、がんや心疾患よりかなり低くみられている」と述べています。
彼の慈善団体への年間研究寄付はちょうど500万ポンドですが、これはイギリス心臓財団British Heart Foundationへの約8000万ポンド、イギリスがん研究協会Cancer Research UKへの約1億ポンドとくらべるととても少ないのです。
さらにブリーン医師は「アルツハイマ病が高齢者の病気で、加齢の一部であるとの先入観のために、新薬への投資し使用の認可の動きがとられなくなるおそれがある」と述べています。
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyの研究部長のクリーヴ・バラードClive Ballard教授(写真左5)は次のように述べています。
「ENCPの見解にはとても関心があります。投資が遅れることで生命を犠牲にし、既に限界となっている社会制度を圧迫することになるでしょう。65歳以上の3分の1人が認知症をもって死亡していますが、イギリスの認知症研究費は一人当たりでフランスやドイツより少ないのです。しかし、最近、認知症研究への投資に積極的な対策がありました。たとえば『認知症研究に関する大臣諮問グループMinisterial Advisory Group on Dementia Research』がその一例です。しかし、さらなる行動が必要です。現在の勢いに載せて、その他の疾患に使われると同程度の費用を認知症に使えるようにする保障させるのです。イギリスではがん研究の8分の1の投資しか認知症研究にしていません。認知症研究が製薬会社にとって魅力になることがとても重要です。現在が認知症研究の投資する唯一で最大のチャンスです。失敗は許されません」
DailyMail 14th June 2011 Millions of Alzheimer's sufferers could be denied new treatment as funding focus switches to more 'lucrative' diseases like cancer
関連情報
報告書:ECNP SUMMIT REPORT ECNP Summit on the future of CNS drug research in Europe 2011(pdf166K)
ニュースリリース:Funding crisis threatens development of new treatments for mental illness ? urgent action needed (ECNP) 14 June 2011 (pdf160K)
訳注:日本での精神分裂病から統合失調症への疾患名称変更の事例が紹介されているようだがneurocognitive syndromeという英語からして痴呆から認知症の変更のことではないかと思われる。
編者:ヨーロッパでこうした状況が進行しているとは知らなかった。確かに抗がん剤とくらべ神経疾患、精神疾患の治療薬分野で革新的なものが最近余り世に出ていない(アリセプトがアメリカで承認されて以降、これ以上に有効な薬がこの20年近く出ていないしdem出そうにない)。またこの種の薬の効果の判定が容易ではない(アリセプトは統計的に有効とされるが実際の効果はわずかだ)。さらに薬剤の副作用による賠償問題に企業は敏感になる。神経・精神疾患の人にとって薬がすべてではないにしても新薬は重要である。

高齢者を介護する人が増加(6月14日/アメリカ)
高齢者を介護する人が急増しており、多くのベビーブーマーの健康面と経済面で負担となっています。
仕事をしながら親を介護している高齢の介護者は、同世代の他の労働者より、うつ状態や慢性疾患を含め健康を害していると訴えることが多い。介護に集中する結果、かなり健康問題があることが、この度の新しい報告書で述べています。
アメリカの保健退職スタディU.S. Health and Retirement Studyの新しい分析によると、親を介護している成人の子供の割合は、1994年と比べると2008年で3倍になり、50歳以上の介護者は1000万人近くになっています。この研究は、50歳以上の人について経済および健康面のデータがミシガン大学University of Michiganで集められ。サンプル数は少なくともひとりの親と同居する50歳以上人で1112人です。
50歳以上の介護者の経済的損失は、一人当たり平均約30万ドルで、親の介護のため早期退職により将来にわたる賃金の損失、個人年金および社会保障手当を含みます。男性では約28万ドル、女性では約32万ドル(損失賃金14万ドル、損失社会保障手当が13万ドル、損失個人年金5万ドル)です。
メットライフMetLife Incの一つの研究部門であるメットライフ成人市場研究所MetLife Mature Market Instituteは、全国介護連盟National Alliance for Caregivingおよびニューヨーク医科大学介護研究政策センターNew York Medical College's Center for Long-Term-Care Research and Policyとで調査を行っていますが、サンドラ・ティマーマンSandra Timmermann所長(写真左上)は次のように述べています。
「今回の調査によって、介護が経済的な保障として何がよいかと考えることが重要です。50歳以上の年代は収入が最も高くなります。しかし介護に向けての余裕はないでしょう」
昨年、メットライフと連盟から公表された別の報告書では、うつ状態、高血圧、糖尿病、呼吸器疾患が介護者のあいだで多い健康問題です。介護者は、ストレスが多く喫煙や飲酒も多く、乳がん検診などの健診を受けることが少ない。
スージー・バトラーSusie Butlerさん(54歳)は、83歳の母親―認知症の未亡人―を介護している唯一の子供で、メディケアの介護者プログラムの主任としてフルタイムの仕事もしています。彼女は「認知症の人を介護するとなると、命を数年間縮めることになります。とてもストレスが多い」と話しています。
彼女は、母親の状態が悪く仕事を中断して3回、母親の居場所を移し、最終的に自分の家に近い介護付き施設にしました。しかし今年の1月、母親が追跡用ブレスレットを外して訪問してきたボーイスカートの人たちと一緒にバスに乗ろうとしたので、引き続き施設に居るかどうかについて話し合わなければならなくなりました。
バトラーさんは次のように述べています。
「仕事中にいつ電話がかかり、時間を取って親のことで親のために何をするころまったくわかりません。さらに月々、施設の利用料5500ドルと時々ある看護職のケアで1日150ドルが必要です。母親の蓄えでとても早い時期に食いつくすことになるでしょう」
今回の調査から、雇用者がよく働く介護している従業員で仕事がよりよくできるようにして退職させないようにすること、ストレスマネジメントや無料の介護の社会資源を利用することが勧められています。また、介護者が有給の家族休暇手当を利用し、もっと多くの州で労働者賠償基金を利用するようにすることも提案しています。
全国介護連盟の最高責任者のゲイル・ハントGail Hunt氏(写真左下)は「人々は長生きしています。慢性疾患を持ちながらです。だれかが介護をしなければならなくなるのです。それは私たちなのです」と述べています。
Wall Street Journal UNE 14, 2011 Toll of Caring for Elderly Increases
関連情報:The MetLife Study of Caregiving--Costs to Working Caregivers Double Jeopardy for Baby Boomers Caring for Their Parents --June 2011(pdf660k)
編者:記事の内容で新しいことはないが、公的介護保険がないアメリカでの高齢者介護は家族への経済的精神的負担がなお重い。記事へのコメントに「民間の介護保険に加入すること勧めている記事だ」というのがある。

アルツハイマー病の作家が自殺幇助の映画を擁護(6月14日/イギリス)
今月8日から12日までイギリスで開催された「シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭Sheffield International Doc/Fest 2011」で上映された自殺幇助の映画を、テリー・プラチェットTerry Pratchett卿(63歳)(写真)が支持しました。この映画は、運動神経疾患の大富豪のホテル経営者ピーター・メッドレイPeter Smedley氏(71歳)の死を記録したものです。
BBC Twoのドキュメンタリー番組でアルツハイマー病の作家プラチェト氏はスイスのディグニタスDignitasの診療所に行き、そこで致死量の鎮静剤のバービーツレイトが投与されているのを観たのです。
BBC Breakfastの番組でコミックファンタジーDiscworldの作家でもあるプラチェット氏は、映画を製作した理由について聞かれて次のように答えています。
「私が現在の状況に愕然としたからです。自殺幇助はヨーロッパ4カ国(スイス、ベルギー、ルクセンブルグ、オランダ)およびアメリカの州で行われていることを知っています。政府は、このことについて常に背を向けています。イギリス人が、自分が希望するサービスを受けるため、かなりの費用をかけてスイスまで無理をして行かなければならないのは恥ずかしいことです。ドキュメンタリー映画『死を選んでIn Choosing To Die」は、メッドレイ氏がイギリス海峡にあるガーンジーの自宅からスイスのディグニタスの診療所に行くまでを追跡したもので、その診療所ではこの12年間で1100人の死が幇助されました。
さらにテリー卿は次のように話しています。
「ピーターさんは、世界に何が起っており、何故それを選んだかを示したかったのです。彼が毒薬を飲んでからの状況の不合理に驚きました。彼は私に『よい人生を』と話しかけ、それから製作アシスタントのロブさんとも握手をして、『よい人生を。私も』と言いました。それから彼が亡くなりつつある間、撮影クルーのメンバーにも感謝し始めたのです。最期に、サウンド担当の名前が思い出さないと彼は困惑していました。みなさんはこの映画から『これがどれほどイギリス的なのか』と考え、感動したと言うことがでるでしょう。状況の不合理がみなさんを襲います。死ぬことは悪いことなのですが、死を望むことはよいことです」
Irishtimes.com June 14, 2011 Writer defends assisted suicide filmおよびTorontoSun JUNE 12, 2011 British author requests paperwork for assisted suicide )
サイト内関連記事:イギリス オランダ ベルギー オーストラリア
編者:自殺幇助と安楽死は異なる。意思決定できる初期あるいは軽度の認知症の時は自殺幇助が可能だろうが、意思が曖昧になると安楽死を選ぶことになろう。アルツハイマー病の人の自殺幇助の議論はイギリスでも続いているが、オーストラリアで展開されている議論の方が日本には相応しいと思う。記事にある運動神経疾患とは筋萎縮性側索硬化症(ALS)のことか。
関連情報:放映後、BBCに898の安楽死反対意見が殺到(6月14日/イギリス)
BBCは次のように報告しています。
「放映内容に賛成する人もいたが898人が不満を表しています。この問題について議論を始めるための番組です。すべての映画が完全に中立であるということは不可能です」
ロチェスターの元司教マイケル・ナジールアリ Michael Nazir-Al氏(写真左)は次のように述べています。
「ドキュメンタリーは一方的なプロパガンダです。ホスピスの運動を行って心やすらぐ死を選んでいる人たちがいますが、そうしたことは番組でほとんど触れていません。命は与えられたもので無限の価値があります。それを左右する権限はないのです。私たちが持ってよい期待は、好ましく、人々が関わり、痛みがなく、そして心安らぐ死なのです」
反安楽死主義者は、BBCが関心の高いテーマについて、誠実な議論でななく理想化した映像を流したと非難し、同じような方法で死を希望する人が増えることを警戒しています。
「殺さないケアCare Not Killing」の団体は、BBCが放映したような自殺幇助や関連する自殺について緊急の調査を要求しています。
Daily Mail 14th June 2011 Anti-euthanasia backlash hits BBC after 900 viewers complain about Terry Pratchett documentary showing death at Dignitasより)
右写真説明:放映された一場面、意識がなくなったテリーさん、その隣は診療所の医師、左は妻クリスティーンさん(60歳)

★認知症の人に卓球―ゲームそして治療―(6月10日/アメリカ)
ロサンゼルスにあるアーサーギルバート卓球センターArthur Gilbert Table Tennis Centerの創設者マイケル・ザレツキーMikhail Zaretskyさん(写真左1)は、身体機能の敏捷性とバランスと協調性に大きな変化を起こすプログラムを用意しています。
部屋の周囲にあるテレビのスクリーンには、中国の卓球選手が動き回り飛び跳ねていますが、ベティ・シュタインBetty Steinさん(写真左2)はそれには関心がありません。
彼女は、自分に来る球のことで頭がいっぱいであり、集中して10回、20回、30回も、ウクライナ出身の熱心なベラ・リヴシンBella Livshinコーチ(写真左3)の球を打ち返しています。
リヴシンさんは「すごい!すばらしい!バックハンド、フォアハンド、フォアハンド、バックハンド。早く。どれほどスムーズで、どれほど流れているかよく見なさい。才能がある」と叫んでいます。
最近、シュタインさんは、あまりは話しませ。アルツハイマー病か薬かあるいは軽いうつ状態ためかどうか誰も知りません。原因が何であろうと髪をなで、上手に着飾った92歳のスタインさんは沈黙を守っていますが、卓球台でゆっくりすることはありません。
レヴシンさんが「疲れていませんか」と尋ねたりします。スタインさんは肩をすくめて返事をします。
高い、孤をえがく球を受けそこなって、次の一打もうまくゆかず、3回目にかけます。
ロサンゼルスホロコースト博物館Los Angeles Museum of the Holocaustに展示されている写真の強制収容所の生存者であるシュタインさんは、卓球の時でも優雅に振る舞いっています。ときに昼下がりの紅茶のビスケットを求める侯爵夫人のように手を高く上げています。ふたたびレヴシンさんの球を振り子時計の振り子のようにしっかりと続けて受けています。
スタインさんは、もともととても社交的で、多くの友人がいてユダヤ人社会のなかで活発な人でした。
ミドウイルシャイアMid-Wilshire地区にあるこの卓球センターに彼女を紹介した介護者のフロール・ナルヴェスFlor Narvaezさん「彼女はいろいろと夢を語っていた」と話しています。
約1年前からアルツハイマー病など認知症の人に卓球教室が始められました。ステッキをもって歩いていたシュタインさんも初めは拒んでいました。転ぶのが怖くて、また卓球については何も知りませんでした。
部屋一杯にある卓球台が見える小さい事務所から、卓球センター長のマイケル・ザレツキーさんは身を乗り出して、「ベティさん、最高」と叫んでいます。
彼女は少し微笑んで、彼に素早く投げキスを送って、ゲームを続けます。
ザレスキーさん(49歳)は、積極的な卓球の支持者で、2003年にこのセンターを設立しました。ここではロサンゼルスの数少ない練習場で選手たちが熱心に練習しています。
彼の提唱するアルツハイマー病プログラムは、センターといくつかの高齢者施設で行われていますが、現在100人ほどの参加者がいます。30分までが25ドルで段階的に料金が上がり決して安くはありません。彼は「しかし、練習熱心な人は敏捷、バランス、協調の運動機能で大いに向上することを体験している」と話しています。そして選手たちは予期しない楽しみを見つけますが、病気がなくなるわけではありません。
ザレツキーさんは「球がどこにゆくか予測し、距離に応じて動き、時間にも敏感でなければなりません」と話しています。
ベラルーシュ出身のザレツキーさんは、若いとき卓球で優勝したことがあり、後にコーチになりました。ソ連のグラスノスチによって、ユダヤ人にもドアが開かれ、1988年国を離れて人生で熱中できる卓球が追いやられて地下室にあるこの街にやって来ました。
彼は、デリカテッセンでモップ拭きをし、車も売りました。好きだったささやかなことで多くを得ることを知りました。ハリウッドが華やかな頃、この移民は億万長者と偶然に知り合いになりました。
アーサー・ギルバートArthur Gilbert氏(当時80歳)(写真左4)は卓球もうできませんでしたが、熱心で闘争心が持ち合わせていました。卓球のことで弁護士と衝突することになりコーチを探してトレーニングセンターに電話をして「ロシア人かね、中国人かね」と聞いたのです。
ザレツキーさんは、精神障害者施設で夜働いていましたが、ビバリーヒルズにあるギルバート氏のテラスで1週間に3,4回の教えることになりました。彼はディナーによく出るようになり、その場で政治やハリウッドでのギルバート氏の仲間らと飲んでいました。
ザレツキーさんは次のように話しています。
「ギルバートさんは何時も私に居てほしいと思っていました。練習しなくても社交行事でいてほしいと望んでしました。『ベラルーシュの国民的な卓球チャンピオンのようにいてほしい』と言っていました」
ギルバートの期待に応えザレツキーさんはロサンゼルスに国際的な卓球協議会を組織しました。1996年から1998年までギルバートカップGilbert Cupの国際試合を開催しました。しかし健康が衰えて世界的な美術コレクションへの欲求のためにこの企画は終わりました。
ジルバート氏はイブニングドレスで儲け、不動産でもひと財産を作りました。1996年、彼は2億ドルかけて金製煙草入れなどの装飾品のコレクションをロサンゼルス郡美術館Los Angeles County Museum of Artから収集し、適宜、展示しないでイギリスに送ったのです。代わりに美術館は、卓球の上着を着たギルバートのロウ人形を生まれた街のロンドンで展示されました。1999年、エリザベス女王は彼にナイト爵に与えました。
その2年後、ギルバート伯爵は亡くなりました。ギルバート基金からザレツキーさんに授与されたお金で、2003年に「アーサーギルバート卓球センター」を開設したのです。ウエストサイドユダヤ人地域センターWestside Jewish Community Centerを拠点にした7つの卓球台と二つの球マシーンには多くの高齢の後援者がいます。
センターでエリ・ボイヤーEli Boyerさん(91歳)(写真左5)は「ハーイ、私の女の子がいます。本当にかわいい。可愛い女の子が好きです。かわいい女の子です」と興奮して大声で話しています。この元公認会計士は足を引きずって歩いています。彼は認知症で、ときどき意味のわからない終わることのない歌を歌っています。でもコーチのエリー・ザイナブディノヴァElie Zainabudinovaさん(写真左6)は、背が高く活発な元カザフスタンナショナルチームの一員ですが、彼女が来ると彼は明晰になります。彼は「キスはどう、素敵」と声をかけるのです。
ザイナブディノヴァさんは、笑いながら、勢いのある球に集中してできるだけ長く打てるようにしています。得点ではなくプレーすることがすべてなのです。
ボイヤーさんと50年間一緒に暮らしてきた妻は感謝しています。彫刻家で元舞踏家でもあるその妻は次のように話しています。
「たぶん、夫は卓球をしているときはもっと頭を使っています。その後、もっとエネルギーを保持して、もっとたくさん話し、2倍も早く歩くのです。びっくりします」
卓球がアルツハイマー病など認知症の人に治療効果もあるかどうかまだわかっていません。
1997年の日本での研究によると、効果はあるらしいのです。全世界でおおよそ3億人が卓球を楽しんでおり、数が多い日本人に対して研究が十分できるのです。しかし、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、特に卓球について回答をもっているわけではありませんが、認知症に対しての戦いとして確実な証拠はまだ見つかっていないと見解を述べています。協会の医学科学関係連携部長であり神経科学者であるマリア・カリーヨMaria Carrillo医師(写真左7)は次のように述べています。
「アルツハイマー病など認知症の発症の危険性の減らすことで私たちが持っている最大の証拠は定期的な身体的運動です。しかしアルツハイマー病の危険性を減らすため、どのような活動が最善なのか、どれほど長いあるいは強い運動が必要なのかについては特別な方針をまだ知っていません」
ロサンゼルスの老年精神科のダニエル・プロトキンDaniel Plotkin医師(写真左8)は懐疑的であるが希望も持って次のように述べています。
「主流となる医学では認知症の人へ提供できるものは多くはありません。しかし、認知症の人が生きること、そしてかなにか意味と目的を感じ取るような機会を提供しなければなりません」
こうして、UCLAアルツハイマー病クリニックUCLA's Alzheimer's clinicの創設者で前所長のプロトキン医師は、認知症の人に乗馬、ピアノ、美術そして卓球を勧めてきました。
さらに彼は次のように述べています。
「そうしたことで必ずしも脳が変化したり、病気の進行が遅れたり、あるいは他の方法では不可能な何か特別なこと起こるとは思っていませんが、これもまた信じらてよいことではないかもしれません」
プロトキン医師は、ザレツキーさんが2007年に創設したNPOのスポーツ芸術教育財団Sport and Art Educational Foundationの顧問の一人です。
ザレウツキーさんの団体は、まず障害のある子どもたちを助けることに集中し、その後アルツハイマー病の人に行うことにています。彼は自分のお金を使いましたが、卓球用具の会社などから寄付が役立っています。
プロトキン医師は自分の多くの患者を卓球のプログラムに紹介してきました。ある元外科医は機敏性が失われて困っていて当初はプログラムに懐疑的でしたが、その後楽しむようになりました。
またプロトキン医師は次のように述べています。
「その元医師は違いを感じ取っています。どのように球を打つかが好きなのです。その日の残りの時間、彼はすこしばかり自信を抱くようになります。インストラクターから大いに楽しんでいるのです。私たちが知らない何か不思議な方法でとても支えになります」
不可思議なことに、エリ・ボイヤーさんは頭を悩ますことはありません。
中国人が完成させたがアメリカではあまり見かけない握力を使うやり方で、彼はザイナブディノヴァさんと長く強く一緒に楽しんでいます。子供のとき地下室に卓球台を持っていました。妻は「夫は今も覚えていることはない」と話しています。
漠然とした音楽的で意味のない言葉を中断して、ザイナブディノヴァさんは「ベザミムーショ」を歌うように頼みます。すると彼はりっぱなスペイン語で球を打ち返しながら歌います。ビートルズの歌も一緒に歌うことがあります。
ボイヤーさんはパーティーでは欠かせない人だった時期がありました。誰かピアノで演奏すると、部屋のみんなに歌うように促す青年でした。今でもたえず3ヶ国語で冗談を言い、ロシア語で子守唄を彼女と歌うこともよく知られています。
彼女は「多くは覚えてはいないようですが、どのように口説くかは忘れていません」と話しています。
Los Angeles Times June 10, 2011 For Alzheimer's and dementia patients, pingpong is a game ? and therapy
編者:卓球をめぐる面白い話だ。卓球と認知症の関係について我が国では森照明医師(湯布院厚生年金病院院長)(写真右)らの多くの研究があり関心が高いようだ。記事で紹介された1997年の論文(英文タイトル:The Effectiveness of Exercise Intervention on Brain Disease Patients: Utilizing Table Tennis as a Rehabilitation Program)はネットで見つからないが、森医師の卓球に関する対談「卓球は脳に素晴らしい影響を与える」が卓球用具会社「バタフライ」のサイト http://www.butterfly.co.jp/report/contents04.html で紹介されている。なお今回はロサンゼルスタイムズの記事であるが、今年3月、ニューヨークタイムズのMilt Freudenheim氏から同じく卓球と認知症について編者に問い合わせたがあった。

認知症地域ロードショウは10万人の家族の命綱(6月10日/イギリス)
6月14日、イギリスアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyとスコットランドアルツハイマー病協会Alzheimer Scotlandおよびスーパーマーケット会社のテスコTescoがイギリスで初めての「認知症地域ロードショウDementia Community Roadshow」を開催します(訳注)。
2021年に診断を受けないで認知症の人が100万人以上いることになると予測されており、今回のロードショウは認知症に関する多くの必要な情報や助言を提供するとても大切な一歩となります。
今年3月に1年間におよぶチャリティの提携を行い、認知症ギャップマッピングMapping the Dementia Gapの共同研究で明らかになった認知症の診断を受けている人数のバラつきがとてもあることが示されました。全体として、イギリスの認知症の人の60%ほどが診断を受けていません。このため多くの人が支援も求めるのが遅くれています。認知症の症状や治療の認識が乏しかったり自立が失われることへの怖れのためと考えられます。しかし、正式に診断を受けることは認知症の人にとって不可欠です。診断によって認知症の人が病気を持ちながら生きてゆけるための薬、支援、助言を得ることができるのです。
認知症地域ロードショウは、今後3年間で10万人の人たちに出会うことを目指しており、全国にあるテスコの駐車場で、各店舗で2日を開催します。ロードショウは、認知症への認識を高め、有用な情報と助言を提供し、地域のサービスを受けられるようにし、そして診断を受けるように記憶についての関心を抱くように勧めます。
映画俳優で元ボンドガールでアルツハイマー病協会の後援者であるブリット・エクランドBritt Ekland(写真左上)は、6月14日、ベルファストで最初のロードショウに出ます。
エクランドさんは次のように話しています。
「母は50歳代初めにアルツハイマー病と診断されました。当時は、今のようには理解されませんでした。ロードショウが認知症にまつわるタブーを取り払い、認知症に疑問がある人がサイトを見て、自分たちの街でロードショウが何時あるのか分かります」
アルツハイマー病協会のジェレミー・ハーゲスJeremy Hughes事務局長(写真左中)は次のように話しています。
「もっとも心配なことは、認知症の人の60%が必要な支援を受けていないことです。提携したタスコのおかげで、実際に先駆的なロードショウを始めることができます。私たちが地域に出かけるのを支え認知症の啓発して偏見に戦い、記憶を心配している人たちが一般医に受診するのを勧めることになるでしょう」
タスコのダヴィッド・ライドDavid Reid会長(写真左下)は次のように話しています。
「イギリス全国の私たちの店舗でアルツハイマー病協会とスコットランドアルツハイマー病協会の認知症啓発活動を支援できることはうれしく思います。従業員と顧客のおおよそ半数は、家族や友人に認知症の人がいます。顧客がロードショウをみる機会を持ち、一緒になって認知症の人へのよりよい未来を作り上げたいと希望します」
サイトwww.alzheimers-tesco.org.ukで認知症地域ロードショウが自分たちの地域で何時行われるか知ることができ、また地域のテスコの店舗にロードショウが訪問することを依頼できます。記憶について心配していたり、あるいは認知症になっているが、ロードショウが自分たちの地域にまもなく行く予定がない場合、同サイトで認知症の情報や助言をえることもできます。
アルツハイマー病協会とスコットランドアルツハイマー病協会は、2011年のテスコチャリティ団体です。一緒になって500万ポンド(訳注:1£=約130円)を集め、毎日300人の認知症の人のよりよい生活のための支えとなることを目指します。資金は、新しい研究と支援専門家による認知症の人の支援に当てます。
( Alzheimer's Society 10 Jun 2011 Dementia Community Roadshow Provides Lifeline To 100,000 Families, UK)
訳注:わが国でロードショウというと一定の映画館での封切を指すが、もとの意味は演劇の宣伝のために一部を路上で紹介した演劇のことである。
編者:テスコはイギリスの老舗大手スーパー(日本にも店舗がある)とイギリスの二つのアルツハイマー病協会(歴史的なイングランドとスコットランドの関係のなかで、この2団体も未だ統合されない)との提携による全国規模の認知症チャリティーキャンペーンだ。自社店舗の駐車場を使えるようにした企業とNGOのユニークな試みだ。日本で「家族の会」とイオンで行えるだろうか。

アルツハイマー病の人の追跡器機(6月9日/アメリカ)
盗難車を追跡したり車の方向を指示するのに使われるのと同じ技術が南フロリダのアルツハイマー病の人の追跡のために使われる例が増えています。
この地域には、おおよそ15万人のアルツハイマー病などの認知症の人が暮らしています。民間会社やNPOが、ブレスレット型、腕時計型、携帯電話型の数多くのハイテク追跡器機を提供しています。
車のセキュリティの会社であるロジャックLoJackは、セイフティネットSafetyNetと同じラジオ周波数のブレスレット方式を、先月、マイアミダイド郡Miami-Dade Countyに利用区域を広げた後、南フロリダのすべてをカバーできるようになっています。さらにウエストパームビーチWest Palm BeachにあるNPOのアルツハイマー病地域ケアAlzheimer's Community Careは、エミファインダーズEmFindersと提携することになっています。この会社は、携帯電話の信号を使った腕バンド型の追跡器機を提供しています。
この地域ケアの会長でCEOのメアリー・バーナーズMary Barnes氏(写真左)はエミファインダーズとのプロジェクトを開始すると述べています。
マーチン郡では15人に認知症の人がエミファインダーズのブレスレットを使っています。アルツハイマー病の専門家は、アルツハイマー病の人に本人証明書やモニターを付けることを勧めています。ある調査によると、徘徊する人の少なくとも60%は、自宅や施設からであることがわかっています。しかし、こうしたハイテク追跡器機がどの程度の市場なのがよくわかっていません。こうした会社などは、登録数や収益額については明らかにしていません。
アルツハイマー病ケアの専門家は「GPSなどによる追跡器機を購入する前に、どれば合うか調べるべきだ。一機種ですべてカバーできるわけではない」と述べています。
ローラ・ジョンズLaura Jones氏の話しによると、アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationを通して提供されたカンファトゾーンComfort Zoneのポケット型の器機(写真右)が合っていました。夫のジェイ・ジョンズ氏(52歳)はアルツハイマー病の初期で住んでいるライトハウスポイントLighthouse Point近辺で一人で移動することができるので、カンファトゾンが追跡に適っているのです。
この追跡器機はサイトSunSentinel.com/lojackでみることができます。
Sun Sentinel June 9, 2011 High-tech devices rolled out to track South Florida Alzheimer's patients
編者:認知症の人が増えるに従い「徘徊追跡器機」が商品となる可能性があるのだろう。

「アルツハイマーに効く?介護付き住宅で暮らす人々が子猫セラピーで元気に」(6月6日/ PetPress.Jp)
動物愛護協会とカリフォルニア州北部にある生活介護付き住居施設がチームを組み、入居している3人の女性に世話が必要な子猫の世話を頼み、お互いに成果をあげているという。
その介護住居施設はテハチャピ・メイナーと言う。施設の中ではアルツハイマー型認知症を発症している居住者が多く、数人の居住者がハブ・ア・ハート動物愛護協会(以下HHHS)から子猫を預かって育てているという。
このプログラムはほんの3週間前にスタートしたばかりと説明してくれたのはテハチャピ・メイナーで介護士として働くロリ・ハープさん。彼女はオレンジ色の毛色をしている子猫のサニーを抱えて現れた。
「愛情と世話が欠かせない子猫の世話をするのはこの施設に住んでいる老齢の女性たちにもいいことに違いないと思ったの。」とハープさん。
“子猫セラピー”は大いに役立っているだけでなくとても楽しいものだとハープさんは語った。特にテハチャピ・メイナーで暮らす3人の女性たち、エルマ、ベブ、ジェーンにとってはとても有意義なものになっている。
「施設で暮らしている誰もが子猫の世話をしたがっているわ。子猫に食事をさせ、安全を確かめ、愛されていると子猫にわかってもらうのは世話をしている人々にも良い影響を与えていると確信しています。」
『優しいおばあちゃん』というニックネームを進呈されたエルマ・ダイさんは特に体の小さな子猫の世話を楽しんでいる。「日がな一日中丸くなって眠っているこのコを見ているのが大好きなの。」
ハープさんは語る。「子猫の世話が彼女たちの大きな助けになっています。日中の間だけでも小さな命を守り育て愛情を注ぐことが生きがいなのです。」
子猫のサニーはテハチャピ・メイナーの居住者に忘れていた感情を思い出させてくれる役割を果たしてくれると語るのはハープさん。
「現在何が起こっているのか覚えていられない居住者の方々でさえ、ささいな事がきっかけで思い出すのです。楽しかったこと、大笑いしたことなどを。それがアルツハイマーの患者さんにはとても重要なことだと考えています。彼らは感じることを忘れてしまっているわけではないのです。」
HHHSにとってもこのプログラムの成功は大きいという。エルマさんがサニー、あるいはトムと呼ぶ子猫は来週新しい家庭に引き取られることが決まっている。
「行き場のない子猫や仔犬を育てることは動物施設に収容できない動物を救うだけでなく、あなたが住んでいる地域の大きな助けになります。こういった共同プログラムは徐々に増えていくと思います。」と語るのはHHHSの責任者シェリー・キットミラーさん。
テハチャピ・メイナーとHHHSの最終的な目標は、子猫が人間に慣れ親しみ、成長したら温かい家庭に引き取られることだ。そして徐々に目標は達成にされつつある。
サニーは温かい家庭に引き取られることが決まったが、“新入り”が2匹やってくる。新入り2匹も施設で“アイドル”になることは間違いない。
(PetPress.Jp 2011年6月6日 原文のまま
編者:紹介記事は、いわゆるペット療法であるが、我が国でも導入されている介護施設はある。認知機能を改善するというより情緒的安定が得られることある。実は、編者の家でもねこ(写真)を飼っているが認知症の妻の介護におおいに役立っている。なお記事中の「ハブ・ア・ハート動物愛護協会(HHHS)」のサイトが見つからず、記事の出典も不明だが、怪しい記事ではない。

スタンフォード病院の認知症家族への特別な支援プログラム(6月2日/アメリカ)
スタンフォード病院認知症支援Stanford Hospital’s Dementia Supportプログラムの概要は以下のとおりです。
○ 認知症の人と家族への一連の特別な支援を行う。
○ 認知症の診断に伴う広く深い影響を理解し実際的で複合的な提言をする。
認知症のベヴァーリー・ホワイトBeverlee White氏(85歳)と家族は、このプログラムによる自宅訪問、教育、環境の変化についての助言、訓練を受けた介護者による支援で利益を得ています。
リタ・ガータクRita Ghatak氏(写真左1)はホワイト氏に身をのりだして「何か特別に必要なことや関心のあることはありませんか」と尋ねると、ホワイト氏はとても健康そうに見えました。クパチーノに在るタウンハウスで気持ちよく座って、とても綺麗に身づくろいしていましたが、すぐに不満なことを話し始めました。浴室で倒れたこと、運転免許を取り上げられることになった自動車事故、計算のトラブルなどです。
さらにホワイト氏は「私の記憶は完全ではない」と話しました。
2,3フィート離れて娘さんは、母親を心配そうな表情で見つめていました。彼女も兄弟姉妹も母親が長くもっていた心の鋭さがすっかり失われてしまったと思いました。最近、スタンフォード病院の神経科医が、娘さんに母親は軽度だが進行性の認知機能障害があると話しました。その診断によると、加齢に伴ってある以上の機能低下とされる認知症は、母親にあって、何十年も大切にしてきた自立した生活を送る能力が侵され始めたとの警鐘だそうです。
心理学博士で高齢者ケアの専門家であるガータク氏は、スタンフォード病院の高齢者部門の部長でもあり、スタンフォード認知症支援プログラム―その範囲でも深さでもでユニークで全国的に有名なった方法―による支援を提供してきました。
その第一段は、自宅訪問でホワイト氏と話を進めることでした。
ゴダーク氏はホワイト氏へ「自宅で聴かせてもらいますが、あなたが何を望んでいるか知りたいのです」と問いかけると、ホワイト氏はとても直接的に「以前は老人などでは決してありませんでした。でも、ほとんどいつも、これから先どうなるかわからなくなります」と答えています。
ガータク氏は、他の家族にも毎週、今回のような訪問をして、家族を支援するために欠かせない情報を集めてきました。約3年前、スタンフォード病院・診療所Stanford Hospital & Clinicsの高齢者部のオフィスに、認知症の診断を受けた人がますます多く訪れました。あるいは、救急室に呼ばれ、そこでは、危機状態に置かれた認知症の人を家族が連れてきていました。
ガータク氏は次のように話しています。
「人々は疲れ果て絶望していました。支援と指示、そして認知症の症状や行動の変化への理解が必要でした。そうした家族への支援は重要でありながら語られることがなかったニーズだったのです」
ガータク氏は、大きな手術後で退院したばかりの人たちへの追跡的ケアや関節炎などの慢性疾患の管理といった比較的短期的な問題を扱うのにとても優れた実践家なのです。
彼女は「認知症という病気の場合は、さらに何かが必要なのです。持続的なケアと家族の立場にたった支援です」と話しています。
問題の広がりと重要性が明確になってきました。ガータク氏は、まず数を調べてみると、2008年、全世界でおおよそ3000万人が認知症で、そのうち1000万人以上の人が介護を受けていました。しかし介護者のなかで医学的な研修を受けたひとはわずかです。認知症と診断されたあとの家族に相応しい支援を行うプログラムを持っている病院はほとんどありませんでした。
スタンフォード病院の管理者の全面的な支援を得て、ガータク氏は、多層的で多職種による認知症支援プログラムを構築しました。発足以来、330以上の家族が、このプログラムによる支援を得てきました。このプログラムの革新的な一連の支援―教育、相談、自宅訪問、家族の集い、介護連携―はその総合的な支援からして貴重です。現在、ガータク氏は、全国的にも世界的にもその仕組みを成功した取り組みを話しています。
このプログラムの優れたところは、認知症診断の影響が認知症の個人を超えて広がるという認識によっているところです。
スタンフォード記憶障害センターStanford Center for Memory Disordersのマイケル・グリーシウスMichael Greicius所長(写真左2)は次のように述べています。
「認知症は信じがたいほど荒廃させる疾患です。個人レベルだけでなく、親しい家族や隣人へも多大な波及的影響を及ぼします。毎日、毎週、介護者は数多くの壁と心配ごとに直面します。在宅で認知症の人をどれだけ長くみられる保障が重要であり、在宅ではもはやみれないことからくる不可避的な罪の意識が生まれます。介護者に本当に重い情緒的な落ち込みがあります。ガータク氏のような人を知りることとプログラムはとても重要です」
スタンフォード病院の神経心理学の専門家であるペネローペ・ザイフェルトPenelope Zeifert氏(写真左3)は次のように述べています。
「スタンフォード病院のプログラムは、何をすべきか認知し、それもとづき支援することで認知症の人と家族には新たなものをもたらします。とても多くの悲しみや嘆きがあります。何をすべきかを知り、それを行うために支援されることで、もっと早く病気と和解することができるのです」
ホワイト氏の家族が直面するジレンマは、母親―障害が極端に悪くはないが自宅で安全に暮らす能力が侵されている女性―をどう尊重してゆくかということです。
ガータク氏は次のように話しています。
「こうしたニュアンスの類への理解も支援プログラムが最善なことを行うための一部です。認知症支援プログラムの目的は、かれらの病気という旅をよりよくするため、彼らに資源と介護戦略を提供するための創造的でかつ繊細な支援です。いつも、そのためにすべき何かがあり、認知症の人と家族をよりよく理解すればするほど、もっと支援ができるのです」
スタンフォード病院の行動神経科のジョフレイ・カーチナーGeoffrey Kerchner医師(写真左4)は次のように述べています。
「ガータク氏とそのチームはとても有益な仕事をしています。具体的な支援について家族との話し合うやり方はとてもよいからだと思います。実際的で選択肢のある資源をとてもたくさん用意できます」
ガータク氏はさらに次のように話しています。
「支援プログラムでは、まず教育に重視します。家族が経験した行動に名前をつけます。病気をよく理解し、疾患の進行過程の理解は次です。最初の段階では、家族が病気のすべてを受け容れ、認知症によって異なる経過があることも理解することです。認知症の人の日常生活を詳細に聴くことから始め、病気によって何が起きているかがわかります。どれほどの支援が認知症の人に必要なのかも理解でるでしょう。多くの認知症の人は、とてもよい生活を送ることができます。支援があることでよい状態に保つことができます」
ガータク氏が行う自宅訪問によってどのような支援と体制が必要なのかを教えてくれるでしょう。それから、そのための資源―たとえば特別な補装具―を家族と一緒に引き出します。また別の家族は認知症の人に対応できる専門的な介護者やデイサービスが必要かもしれません。
ガータク氏がよく勧めているのは環境の変化についてです。認知症の人には、大きな雑音や日課の変更で混乱することがあります。そこで日常してきたことを大切にし、会話は低い声で行うようにします。意見を正すのではなく、認知症の人の反応を認めるような間接的会話であると興奮は軽減できます。
ガータク氏は、ときどき、薬のマイナスの影響を認めています。
サンフランシスコ近辺のベイエリアに住むジル・フライデンリッヒJill Freidenrich氏は、94歳の母親が手術から回復して新しい薬も含めた術後ケアを受けるときに、ガータク氏に電話で相談しました。母親の軽度の認知症が、突然、とても恐ろしい状態になったからです。彼は「目の前で、母が消えかかったようでした」と話していいます。
ガータク氏は、新しい薬と行動面での劇的変化との関係を認め。家族にスタンフォード病院の神経・老年科外来で薬の管理について助言を得るため医師にと話すように勧めました。
薬を変更して母親の状態は改善し、家族はガータク氏の環境ケアの助言に従っています。
フライデンリッヒ氏は「そのプログラムの指針がないと病気と旅をすることはできません。プログラムは私たちにとても重要だ」と話しています。
ガータク氏は認知症支援のためのスタンフォード方式がもっとありふれたものになってほしいと期待しています。
そしてガータク氏は次のように話しています。
「ほとんどの病院は、現在、家族支援に関わる十分な数のソーシャルワーカーがいません。スタンフォード病院では、このプログラムのすべての分野の資源―心理社会的、身体的など―の介護連携があります。そして、医師にフィードバックすることもでき、だれもが理解して最善の結果を得るように共に仕事をしています」
insurancenewsnet.com  June 02, 2011 Inside Dementia: Stanford Hospital Offers Families Unique Support
編者:スタンフォード病院が取り入れているプログラムは、我が国の認知症疾患医療センターに近いと思われるが、診断→相談→関係機関への紹介に終わっているところが多いよようで、自宅訪問、家族研修などの広範囲な取り組みにはなっていない。スタンフォード病院から学ぶこともあるようだ。

「虐待老人ホーム…入居者を縛る・殴る・尿飲ませる=河南」(6月2日/サーチナ)
河南省鄭州市政府は6日午後8時、市内の老人ホーム「暢楽園」の職員が入居者に対する虐待を繰り返していたことが確認されたとして、関係者の処罰・処分に乗り出したことを明らかにした。職員らは入居者を椅子やベッドに縛りつけたり、殴るなどで負傷させることが常態化していた。のどの渇きを訴えた入居者に尿を飲ませることもあった。中国新聞社が報じた。
地元テレビ局がスクープした。5月30日の番組放送を受け、市政府が調査し、「虐待は基本的に事実だった」と確認した。番組では、看護師が入居者を午前3時ごろに起床させ、嫌がる場合には殴る様子を紹介。のどの渇きを訴えた入居者には、入居者自身の尿を与え、抵抗すると殴った。
看護師は「小さなことで騒がないでほしい。痴呆症(認知症)の老人を世話する場合、過激なことをする場合もある」などと説明。午前3時に無理やり起床させることについては「夜に小便の回数が多いから」、「尿を入れる袋があふれる。ふとんがぬれたら気持ち悪いはずだ。私も服を変えさせたり洗濯するのが大変だ」などと述べ、取材者がさらに追及すると「老人を起床させれば早く勤務交替できるからだ」などと認めた。
「暢楽園」は「尊老・敬老・愛老…暢楽園はお年寄りに暖かい家を提供します」、「天下の人の子と心を分かち合い、人の子にかわって孝行をつくします」などの標語を壁に大きく書いていた。
実際には、居室は汚れた衣服などが乱雑に散らばるなど、「心を込めた孝行」の痕跡はなかった。職員のひとりによると「皆が、楽をすることを考えている。反抗的な老人はベッドや椅子にしばりつけた」と述べた。
「暢楽園」を所管する鄭州市中原区民政局の李志剛紀律検査チーム長はテレビ局の取材に対して「とくに悪意はないだろう。ベッドからの転落防止のためにしばったと聞いている」などと述べた。実際には多くの老人の体に、長時間縛られたためにできたと見られる傷があった。
鄭州市政府は鄭州市中原区民政局の幹部複数を解雇・解任処分、「暢楽園」の法定代表人と虐待の事実が明らかになった職員を、治安拘留処分にした。入居していた高齢者は、区内の別の施設に移したという。(編集担当:如月隼人)
Searchina  2011年6月2日 原文のまま
編者:やはりという事件だ。いわゆる途上国や新興国で認知症の人の人権は無視、軽視されがちだ。アルツハイマー病国際会議などでも認知症の人の身体拘束や虐待など人権についてはこれらの国々からの参加者の関心が薄いとの印象である。ニュースになることで認識、改善へ向かってほしい。我が国でもこうした時期があったはずだ。

認知症の正しい診断がなされていない(5月31日/スウェーデン)
多くの患者は間違った認知症の診断を受けていることが、スウェーデン・ルンド大学Lund Universityの神経病理学の研究者の調査で明らかになりました。
研究を行ったエリザベート・エングルンドElisabet Englund准教授(写真)とハンス・ブルンシュトロームHans Brunnstr?m医師(写真)は「認知症の原因となる約70種類の疾患があることをに知っていますが、今回の結果にはショックを受けています。研究を始めたとき、認知症が正確に診断されていたと思っていた」と話しています。
研究した対象者は176人で、ほとんどはルンドかマルメのからのものです。対象者はすべて1996年から2006年までの間、老年精神科で検査を受け認知症の原因疾患について診断されました。死後、脳を顕微鏡的にも調べ原因疾患が正確に特定されました。
その結果、対象者の49%は臨床診断と神経病理学的診断とが合致しました。14%は臨床診断については部分的に合致し、その他の神経学的変化を伴っていました。39%は臨床診断と病理診断が全く異なりました。最も正確な臨床診断は、前頭側頭型認知症の場合で、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症では診断の正確さはかなり低かった。
この研究結果について、博士課程の今回のテーマで論文を提出したブルンシュトローム医師は次のように述べています。
「結果の数値は予想外です。とくに専門医によって検査を受け診断された患者であることを考えるとやはり予想外です。こうした疾患の多くは、現在、治癒方法がないのですが、病気の進行を抑えたり症状を改善する薬物療法などがあり、適切な医療方法を決めるためには正確な診断を受けなければなりません」
エングルンド准教授は、次のように述べています。
「こうした疾患には遺伝的要因があり、認知症の家族歴を親族がもつことから認知症の原因疾患を診断すべきです。診断する専門医チームに強い信頼を寄せています。こうしたチームでの医療を行うように努力していますが、なお改善の余地があります」
さらに上記二人は次のように追加しています。
「神経病理学科から臨床によりよいフィードバックが行われるべきであり、こうした疾患の知識をプライマリー医療などの広範囲な医療活動に知らされ受け継がれるべきです。認知症の原因疾患の多くは評価が困難ですが、認知症と診断されてから6年間から8年間、場合によっては20年以上、その病気を持って生きなければならことから、検査は慎重に行われ正確な診断を受けることは重要です」
News medical May 31, 2011 Many patients receive an incorrect dementia diagnosis: Lund study
報告書:Neuropathological findings and staging in dementia(pdf3M)
編者:論文はルンド大学の学位論文として本年5月6日に公表されたもの。のなかのアルツハイマー病の場合の臨床診断と病理診断については、病理学的にはアルツハイマー病または他の疾患が合併したアルツハイマー病で臨床的にアルツハイマー病と診断される割合SENSITIVITY(感度性)は46%で、病理学的にアルツハイマー病でないのをアルツハイマー病でないと臨床的も同様に診断される割合SPECIFICITY(特異性)は88%。血管性認知症、レビー小体型認知症もほぼ同じ傾向だ。これまでアルツハイマー病の臨床診断は90%ほど正確と言われてきたが、今回の低い数値はにわかには信じがたいが尊重しなければならない。アルツハイマー病の初期であればあるほどますます診断が難しくなる。間違って診断しないにしても見落とすことが多くなると思われる。

★非定型抗精神病薬でアルツハイマー病の人の認知機能が低下(5月28日/アメリカ)
南カリフォルニア大学作業科学作業療法学部USC Division of Occupational Science and Occupational Therapyのチェリル・ヴィゲンCheryl Vigen氏(写真左上)らの研究グループは、臨床的にその効果が確認されないまま認知症の人に広く使われている非定型抗精神病薬がアルツハイマー病の人の認知機能にどのように影響するかを調べました。この研究は、アルツハイマー病の抗精神病薬の介入効果臨床試験研究Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness-Alzheimer's Disease study (CATIE-AD)の一環として神経心理機能への経時的な治療効果を評価するものでした。
この研究にはアルツハイマー病および精神病的症状または興奮・攻撃的行動を認める421人の外来患者が参加しました。この人たちに、無作為に、さまざまな用量の3種類の非定型抗精神病薬のolanzapine(商品名:ジプレキサ), quetiapine (商品名:セロクエル)または risperidone (商品名:リスパダール)および偽薬を投与しました。対象者を担当する臨床医の判断に基づき、試験中に元の薬を中止したり、無作為に選んだ他の薬を投与することができるようにしました。患者は36週間追跡され、試験開始時、12週後、24週後、および36週後に認知機能が評価されました。少なくとも2週間、薬または偽薬を服用したのちに開始時および少なくとも1回、認知機能の評価を受けた357人の患者の結果を分析しました。その結果は、全般的に、患者は認知機能のすべての面で経時的に確実にかつ有意な低下を認めました。ミニメンタルステート検査Mini-Mental State Examination(MMSE)でみると36週間で2.4ポイント低下し、アルツハイマー病評価スケールAlzheimer's Disease Assessment Scaleの下位の認知機能スケールでみると4.4ポイント低下しました。その他の複数の認知機能検査でみると、偽薬を服用していた人より非定型抗精神病薬を服用していたアルツハイマー病の人の方が認知機能の明らかな低下を認めました(図)。このことから非定型抗精神病薬による追加的な認知機能低下の恐れがありアルツハイマー病の人の治療として非定型抗精神病薬と投与は検討すべきと結論づけています。
この研究論文は、アメリカ精神医学会雑誌American Journal of Psychiatryの2011年5月15日電子版に掲載されました。
この研究結果について、Psych Centralの創始者でCEOのジョン・グロホルJohn Grohol医師(写真左下)は次のように論評しています。
アルツハイマー病の人は、疾患による機能低下の影響だけでなく、2次的な心理的影響を受けること多い。幻覚や妄想は、アルツハイマー病の人の50%近くに見られ、70%ほどの人が興奮や攻撃的行動を見せます。介護者や家族はこうした症状に苦しみ、誰もが抗精神病薬の治療に期待したくなるものです。これまで高齢者での抗精神病薬に関するよい研究がなされてきたわけではありません。アルツハイマー病のような病気についても同じです。また研究されてもその結果はつまらないことが多いのです。今回のヴィゲン氏らによる最新の研究でも、最新の非定型抗精神病薬について行われたよくできた研究では、非定型抗精神病薬を服用している患者は、偽薬を使ったグループと比べて、いくかの認知機能のテスト結果が統計的にも臨床的にも有意に低下していました。抗精神病薬による認知機能の低下とその他の副作用があることは認めるにしても、アルツハイマー病の人の興奮や攻撃的行動に対して個別的な事例ではこの種の薬を使うことが適切な場合もあります。ある患者に最善の薬が何かを選択するために、認知機能に関しての相対的な副作用についてさらに研究が求められています。これには注意能力、心理運動機能、実行機能の評価を含みます。今回の勧告は驚くほどのものではありません。研究に関する開示文書がありますが、この研究には13人の研究者が参加していますが、そのうち7人が研究結果との利害関係があることを表明しています。非定型抗精神病薬はアルツハイマー病の人の攻撃的行動を相応しい薬として使ってよいのでしょうか。私は使えるものと信じています。しかしこの種の薬は高齢者に多くの問題を生じさせる可能性があり治療の第1選択とすることはできません。その他の試みがうまくいかなくて、使うに充分な理由があるほど行動が激しいときに限り使うべきというのが私の意見です。
PsychCentral May 28, 2011 Atypical Antipsychotic Medications Not a Good Choice for Alzheimer’sおよび論文Cognitive Effects of Atypical Antipsychotic Medications in Patients With Alzheimer's Disease: Outcomes From CATIE-AD
編者:認知症の人の行動心理症状(BPSD)に対する非定型抗精神病薬の有効性については疑問視または否定的な見解が強くなっているとはいえなお議論が続いており、広く使われている現実がある。副作用については心疾患、脳血管障害、死亡がリスクが高いとされていたが、今回の研究ではアルツハイマー病の人の認知機能の低下が疾患の進行に追加されて低下するという事実が示された。とはいえ非定型抗精神病薬がまったく無効で使われなくなることはないとグロホル氏は見解を述べる。

「最期を選ぶ(5)米の指示書 医師が記入も」(5月27日/読売新聞)
米国では、最期に受けたい医療を医師にどう伝えているのか。記者(藤田勝)は、終末期医療に関心を持つ札幌市の内科医、宮本礼子さんらに同行、米国でも特に患者の自己決定権を尊重する意識が強いオレゴン州のポートランド市を訪れた。
緑の多い公園のような敷地が広がる老人ホーム。個室に暮らすミリー・ミラーさん(96)は、読書会や施設運営費の募金活動などをして毎日を楽しく過ごす。延命医療について尋ねると「何もしてもらわなくていい。それが楽でしょ」。
ミラーさんが最期に受けたい医療は、ピンク色のA4判のカードに書き込まれている。「生命維持治療のための医師の指示書」。英語を略して「POLST」(ポルスト)と呼ばれる。
米国では、終末期医療の意向を伝える事前指示書が法的効力を持ち、大人の2~3割が持っている。だが近年、普及率は頭打ちだ。患者本人が書いて自分で保管するため、肝心な時に置き場所が分からなかったり、内容があいまいだったりすることが多いという。
これに対してポルストは、医師が書くのが特徴だ。
心臓や呼吸が止まった時の蘇生、管を使った水分・栄養補給、抗菌薬の使用――。カードに記載されているこれらの治療を患者に十分説明した上で、終末期に実施するかどうか、希望を聞いて記録する。患者に判断力がなければ、代理人と相談して決めてもいい。
現地事情に詳しい札幌医大緩和医療学講座特任講師の岩本喜久子さんによると、カードの現物は患者に渡すが、もし見つからなくても問題はない。カードの有無や内容は電子カルテにも記録されるため、救急搬送先が同じ電子カルテを使えれば即座に確認できるし、施設や主治医からコピーを送ってもらうこともできる。
ポルストは、オレゴン州で20年前に開発された。同州では老人施設に入る際、ほぼ全員が作成を求められる。医師は重症患者を診る際、ポルストの有無を確認するよう訓練されている。
ミラーさんは今年1月、重い肺炎で入院した。高齢でもあり、命に関わる可能性もあったが、医師は彼女のポルストに従い、最小限の処置をして退院させた。幸い、体調は回復した。
今では米国の11州がポルストを導入。計画中を含めると30州を超える。
数多くの認知症患者を診療する宮本さんは「事前指示書は本人が認知症になると書けないが、ポルストは本人の同席のもと、医師が代理人の意見を聞いて書ける。意に反した過剰な延命処置を避けられるのではないか」と話している。
情報プラス
ポルストの最新情報やサンプルなどは、以下のホームページ(英語)にあります。
http://www.ohsu.edu/polst/index.htm
「Programs」→「POLST Paradigm Forms」で各州のサンプルがみられます。
「Programs」 → 「International Information」で日本語訳もみられます。
Yomiuri Online 2011年5月27日 原文のまま

★認知症の人のケアの「プレゼンス」アプローチの勧め(5月26日/アメリカ)
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの2011年の報告による、アルツハイマー病など認知症の人の介護者の43%は、介護の身体的精神的ストレスがとても強いと告げています。この身体的精神的影響によりアメリカで医療費を79億ドル増やしていると推測されています。
また認知症の人の介護家族(61%)にとって、介護の精神的ストレスが「高い」または「とても高い」のです。さらに介護家族の33%はうつ状態で、経済的負担(56%)と家族関係上の負担(53%)がとても重いと告げています。
認知症の人の介護者(75%)は、介護を始めてから自分の健康維持にとても関心が高くなり、介護しない人より健康状態がまずまずか、悪いと、他の高齢者の介護者より介護によって健康を害していると告げています。
認知症の人の介護者は、介護者でない人より身体的健康状態の低下―ストレスホルモンの上昇、免疫機能の低下、遅い傷の回復、高血圧や冠動脈性心疾患の新たな発病、心臓血管疾患リスクを増加させる血管内皮機能の障害など―させる心理的変化を持っています。
認知症のために入院した人の介護配偶者は、他の疾患で入院した人の介護配偶者より、その年齢を考慮しても、死亡しやすいようです。
現在、介護パートナーに提供される支援は充分ではありません。この支援とは情報の共有、介護技術の研修、ストレスマネジメントの習得、介護者同士の支え合い、行動改善法などです。介護者にとって、これらの外的介入は重要ではあるが、支えるにはいたっていません。また介護者を長期に支えられる内的介入がまだ提供できていないのです。介護者の基本的な姿勢に変化はなく内的介入が必要です。
認知症の人の介護への「プレゼンスの基づくアプローチPresence-based approach」(関連情報1)とは、その時その時に人が生まれながらにして持っている能力や、マインドフルネスmindfulness(関連情報2)とされる能力を養成することを強調します。さらに、記憶障害の人の現実世界を賢明に理解し、心遣いのある介護共同体を構築するものです。介護パートナーの態度を革新的で永続できるように改めることを目指します。また、介護パートナーがもっともうまく関わり、今の現実を忘れやすい人に相応しくします。
プレゼンスアプローチは、いくつかの証拠からその正当性は承認されています。
第1は、ジョン・カバトジンJon Kabat-Zinn氏(写真左1)の「マインドフルネスに基づくストレス軽減法mindfulness-based stress reduction (MBSR)」の臨床的に証拠のある訓練を行うことです。マインドフルネスの実践を通して一般人でもストレスを軽減できます。
第2は、高齢者ケアにおいて文化的変革を起こした人々―クリスチン・ブランデンChristine Bryden(訳注:日本でも有名な認知症の人でその立場から積極的に発言している。写真左2)、リチャード・テイラーRichard Taylor(訳注:心理学者でアルツハイマー病の人。写真左3)、オリヴィア・エイメス・ホブィリッゼOlivia Ames Hoblitzelle(訳注:瞑想、ヨガ、認知療法などの療法士。写真左4)、ナンシー・パースNancy Pearce(訳注:老年ソーシャルワーカー。写真左5)、ビル・トーマズBill Thomas(訳注:その人中心のケアモデルを提唱。メリーランド大学バルチモアーカウンティー校エリクソン学部University of Maryland, Baltimore County Erickson School教授。写真右1)、アレン・パウワーAllen Power(ロチェスター大学University of Rochester医学部臨床老年医学准教授。写真右2)、ネイダー・シャバハンギNader Shabahangi(エッジソングシニアーコミュニティAgeSong Senior Communitiesの創始者右3)など―の先駆的業績があります。この人たちは、人間の全体像が持続することを強調しています。記憶障害のあることによって得る多くの物にも注目しています。
第3は、禅ホスピスZen Hospiceのモデルです。それは、マインドフルな介護を実践するためにはマインドフルな介護の共同体と環境の構築の重要性を強調します。こうしたアプローチによって、介護パートナーにとっても、記憶障害で介護を受けている人にとってもその幸福度が劇的に改善するという証拠があります。
しかし、今のところ、一般の人が身近にプレゼンスの訓練を受けることができないので、一人でできる次の3段階の方法を勧めます。
1. 上記のMBSRの研修に出席するか、ヴィパッサナーVipassana瞑想法(関連情報3)を教わってマインドフルネスを実践する。地元で指導が受けられなければオンラインで学習することもできる。
2. 認知症の人自身から介護に必要なことを賢明に学ぶために次の本を読む。
"Dementia Beyond Drugs"(Allen Power)
"Alzheimer's from the Inside Out"(Richard Taylor)
"10,000 Joys and 10,000 Sorrows"(Olivia Ames Hoblitzelle)
"Inside Alzheimer's"(Nancy Pearce)
3. 家族、友人、介護パートナーと一緒に、マインドフル介護共同体を立ち上げます。彼らにマンドフルネスの共に研修することを誘う。また関連の本を読むことも勧め、共に座り瞑想し喜びや悲しみを共有する。

寄稿者マルゲリート・マントーラオMarguerite Manteau-Rao(写真右4)は、心理療法士、臨床ソーシャルワーカーなどの肩書がある。プレセンスプロジェクトPresence Projectの一人で、これはアレン・パワーAllen Power医師、ネイダー・チャバハンギ氏およびレスリー・ロスLeslie Ross(カリフォルニア大学サンフランシスコ校保健加齢研究所UCSF Institute for Health & Agingの研究員)が参画しています。
The Huffington Post 5/26/11 The 'Presence' Approach to Care With Alzheimer's and Other Types of Dementia
関連情報1:「日本ハコミ・エデュケーション・ネットワーク(JHEN)」のサイトにラビング・プレゼンスLoving Presenceについて以下の解説がある。
その根底にあるのは、相手に何かを与えようとするよりも、むしろスピリチュアルなレベルでの、目には見えない「糧」を相手から積極的に受け取ることを通じて、自らを深く満たしてあげようとする行為です。そうすることに伴って、相手の存在を尊重し、受け入れようとする姿勢が自ずと生まれ、深い信頼感に裏打ちされた関係性の場が、無理なく自然に創られていきます。すなわち、「相手にあわせようとする」ことからではなく、まずは「自らを満たそうと試みる」ことから、関係性の場が創られるという逆転の発想です。ラビング・プレゼンスは、心理療法の分野だけに留まらず様々な日常の人間関係にも応用可能で、日々の生活の中で常に自分の心を深く満たし、かつ人とのより豊かな関係性を築いていくための大きな助けともなります。
関連情報2:熊野宏昭所長(早稲田大学重点領域研究機構応用脳科学研究所)のマインドフルネスについての以下の解説がある。
今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情には捉われないでいる心の持ち方、存在の有様。
われわれが通常対象を知覚する際には、ほぼ自動的に解釈したり評価する思考が起こり、それと同時に好き嫌いなどの感情も加わった上で認識が成立している。しかし、その解釈、評価、感情のほとんどが個人的(集団的、文化的、本能的)なバイアスに由来しているため、現実をありのまま知覚することは非常に困難になっている。
つまり、思考(自己イメージも含む)や感情は現実や自分そのものではなく心の中の一過性の出来事にすぎないのであるが、そういったものが自分と対象との間に割り込んでくるために、対象をあるがままに体験できなくなり、そのことが限りない誤解や苦しみを生む原因になっていると考えるのである。
関連情報3:日本ヴィパッサナー協会のサイトで以下の解説がある。
「ものごとをありのままに見る」という意味のヴィパッサナーは、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2500年以上も昔、インドで、人間すべてに共通する病のための普遍的な治療法、すなわち「生きる技」として指導されました。
編者:「プレゼンス」や「マインドフルネス」などの概念が今一つ理解できないが、仏教的思想も関与しているようだ。最近、我が国でもこの概念にもとづく心理療法などが普及しつつあるらしい。認知症の人の介護にこの概念とその実践をどのように取り入れるかはこらからの課題か。この記事も寄稿者の提唱でありアメリカでも実践例はまだのようだ。

認知症ケアの向上に『もっと私のことを』計画(5月25日/イギリス)
ノーフォークNorfolk病院では認知症の人のケアを改善するための先駆的プロジェクトのシンボルは小さい青い花―勿忘草―です。
マトロン・ベリー・ピンクニーMatron Barry Pinkney氏(写真左上)は、認知症の人のケアがどれほど重要であるか知っています。最近、彼は、ジェームスパジェット大学病院James Paget University Hospitalの23床の病棟で15人の認知症の人を受け持ちました。
ピンクニー氏は、認知症ケア向上のためにゴーレストンGorlestonを拠点とする病院でプロジェクトリーダーをしてきました。
この6カ月間、『もっと私のことを‘More About Me’』計画は、とてもうまくいき革新賞と職員研修の助成を受けました。
この計画は、アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyと王立看護協会Royal College of Nursingが作成した『これが私です“This is Me”』の冊子に基づいて行われました。
この冊子は簡単で実用的で病院に受診する人にとって職員に認知症の理解を助けます。さらに認知症の人の写真を添え、認知症の人に必要なこと、好み、得手不得手、興味など個人情報も提供します。
しかし、ピンククニー氏は次のように話しています。
「実際には、冊子は他の資料と一緒にされ置き忘れられたり見落とされたりしています。この計画のアイディアから、冊子をもっと見られるようにしました」
病院は、現在、フイルム加工したカードを使っており患者の個人情報シートは挿入されています。カードは、個々の認知症の人のベッドサイドにはっきりわかるようにしています。こうして、すべての職員がすぐに患者の状態や簡単に知ることができ、ケアしている人に役立つ情報となっています。カード表面に勿忘草の柄があり、職員が認知症の人に特に注意しなければならないことを知ってもらうようにし、よく食べよく飲んで脱水状態や体重減少にならないようにしています。
さらにピンクニー氏は「これは個人個人の理解に役立ちます。たとえば、名前はジョージで、もと大工だったといった事がわかる」と話しています。
『もっと私のことを』のやり方を試みている病棟では、職員1名が認知症優秀者と指定され、勿忘草のバッジをつけて、家族にもすぐにわかるようにしています。
レトロな物が一杯の思い出箱が置かれており、これは認知症の人が思い出したり、親しみのない病棟で親しみを持ってもらうのに役立ちます。
認知症計画の推進者で病棟看護師のアリ・サイネAli Thayne氏(写真左上)は次のように話しています。
「実際、私は、家族、認知症の人、それに職員からも積極的なよい反応を得ています。これで大きな変化をもたらしました。看護師が認知症の人たちの生活を変えたいと思うなら同じことをすべきです。職員に認知症の人に歌いかけることを勧めてきました。認知症の人は歌や踊りや動きによく反応することを知っているからです。この度のロイヤルウエディングでは、私たちは万国旗で飾り、職員は帽子をかぶりましたが、それを認知症の人は好み、昔の経験や過去のロイヤルウエディングについて話すことができました。記憶と個人的な経験を引き出すことがとても重要です」
現在、このチームは病院に療養環境を変えることを検討しています。たとえば、明るくコントラストのある色を使って認知症の人が対象をはっきりの認識できるようにしたり、便座を赤くしてバスルームへ簡単に行けるようにするといったことです。
ノーフォーク・サフォーク認知症連盟Norfolk and Suffolk Dementia Allianceのウイリー・クルイックシャンクWillie Cruickshank氏(写真左下)は次のように話しています。
「『もっと私のことを』計画は、少しばかりの簡単なアイディアが導入されることでケアに劇的な変化をもたらすことができるという一つの例です。本当に、これは認知症の認識を高めます。連盟が行うべきことの一つとして『もっと私のことを』で成功したこの計画をこの地域でケアの専門職らで共有することを支援することです」
Eastern Daily Press (EDP)24 May 25, 2011 Norfolk hospital’s drive to improve dementia care
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編者:我が国の医療施設でも介護施設でも導入を検討してもよい取り組みだ。

入居者が「声出し読書グループ」と一緒に読書(5月23日/イギリス)
バパBupaは、民間団体の「読者協会The Reader Organisation(TRO)」と共に介護施設で入居者に特別に声出してし読書することを勧めています。
「読書の勧めGet into Reading」のグループを、今年4月から6カ月間、8か所のプパの介護施設で導入するでしょう。この目的は、医療や介護の施設で声を出して読みことと社会的相互活動による効果を出すことです。
読書グループは、1週間に1時間、「読者協会」からの指導者のもと読書を共有し楽しむことになるでしょう。グループでは、一緒に何を読むかを議論し、家族、職員、地域の人たちも参加することを歓迎します。研究によれば、文学作品は読者を癒したり治療効果があり、本のなかでの性格や状況を確認し、物語によって自分の枠から出るのを助けます。
「読者団体」の経験では、短い物語や詩が認知症の人にもっとも効果があることが確かめられています。今回のプロジェクトでは、バパの施設職員が声を出して読みグループを立ち上げるための研修を受けることになっています。この取り組みを行っている施設での評価によっては、プパが企業主導の活動プログラムの一環として全国305か所の施設で読書グループを導入する計画をもっています。
バパケアサービスBupa Care Servicesの地域マネージャーであるシブハン・ドレインSiobhan Drane氏は次にように話しています。
「読書の勧めを実施するために読者団体と一緒に仕事ができることをうれしく思っています。声を出して読むことで、入居者の文学への思いを再燃させ、新たな関心を生み、思い出を高めることを提供できるようにしたい。入居者が文学の幸せへの積極的な効果を得ると信じています」
TROの創始者で議長であるジェーン・デイヴィスJane Davis氏(写真)は追加して次のように述べています。
「バパとの試験的な活動は、「読書の勧め」の効果を広め、介護施設での文化の心に読書を共有する大きな機会になります。2006年以降、介護施設での読書グループを支援した評価から、グループでは気分が改善し興奮が少なくなり、集中力と社会的な相互活動を高めること明らかになりました。
PRNewswire  May 23, 2011 Bupa Care Home Residents Set to 'Get into Reading' With Special Reading Aloud Groups
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編者:読書を認知症介護や予防の方法と一つとしての位置づけが海外の文献、記事に散見されるが、我が国での位置づけは知らない。イギリスには読書団体があり、読書を介護や予防の取り組みがあるようだ。

★もの忘れへの異常な怖れ(5月21日/アメリカ)
わたしたちの過剰過認知機能社会において、もの忘れへの恐れが精神世界に深く浸透しています。鍵の置き忘れは、以前でうっかりしたこととして受け止められていましたが、今は病気の臨床症状であり、成人の技術的な不適切を伴う記憶障害とみなされるのです。
単なる記憶障害が認めれても、中年期の労働者が定期的に、また年齢を理由に定期的に、また不法に解雇されるといった不安定な経済状況のなかでは恐るべき結果をもたらすのです。記憶障害に関わる不安の広がりは強く、多くの高齢者が日常的なもの忘れ―以前なら普通とみなされていた―への助けを求めています。
アルツハイマー病については一般の人たちの認識はかなり広がっていますが、この病気に関して無視や偏見は減ってはいません。2010年のメットライフ財団MetLife Foundationの調査では、55歳以上のひとたちでアルツハイマー病が最も恐れられています。
病気の経過があまりに恐ろしいで自殺を考える人たちもいます。知人のライターは、母親がアルツハイマー病で、薬を貯め込んでいると話していました。ある大学の教官は、自分は「自分の心を失う前に」自殺するのを助けてくれる人を見つけたと私に話しています。
擁護団体、いわゆるアンチエイジング商品の会社、新しいメディアは、いろいろな理由で、患者数と病気の怖さを誇張する傾向がありました。これに医師も加担して認知障害を透析など生命維持治療を辞める条件とすることの議論をしています。
そして、私たちの文化のなかの多くの声も、こうした感傷を増幅しています。劇作家のトニー・クシュナーTony Kushner氏(写真左上)は、最近のオッフブロードウエOff Broadway向けの作品“The Intelligent Homosexual’s Guide to Capitalism and Socialism With a Key to the Scriptures”(「聖書への鍵となる資本主義と社会主義の知的同性愛者のガイド」)でアルツハイマー病を自殺にリンクさせています。
その72歳の主役である、ガス・マルカントニオGus Marcantonioは、引退した組合組織者ですが、集まった家族に、「アルツハイマー病らしく、家を売って、週末に自殺することを望む」と語っています。しかしガスは流暢で熱意があり心打つ話のなかで、一度きりのもの忘れ以外に聴衆が理解できるような症状はありません。
韓国のリー・チャンドンLee Chang-dong監督(写真左中)の映画“Poetry”(「詩」)は、昨年、カンヌ映画祭で最優秀脚本賞を受けましたが、上品で共感的のそのヒロインは66歳ですが、アルツハイマー病と診断されました。でも彼女は「バス乗り場」という言葉を一度だけ忘れること以上の症状はありません。映画なかで彼女は橋を飛び越えるのです。
アルツハイマー病の人は自らの生命を終える恐れのほかの動機―おもに自責の念―を語ります。こうした筋書きのなかで、とりわけ目立ってアルツハイマー病が持ち出されるのです。これは多分、自殺する動機として聴衆にもっともらしくみえるためでしょう、
私たち国民の会話のなかでアルツハイマー病が語られることがとても多いのですが、病気の診断は、実際には難しいのです。名前や「バス乗り場」のような言葉を忘れることが退行性疾患の発症の指標であるかどうかを予測できる検査などはありません。多くの高齢者は、固有名詞を覚える能力は低下していても、会話のなかで他の多くの機能低下が進行することは決してありせん。
ほとんどのもの忘れは、アルツハイマー病でも認知症でもなく、また認知機能障害の症状であるとは限りません。そして、障害された機能から予言されることは人々の自己意識を傷つけます。彼らは、子供のよう扱われて治療され、幼児会話で相手にされるか棄てられるでしょう。私の母は、96歳で昨年亡くなるまで生活していた介護付き施設で、看護部長が多くの人はアルツハイマー病を伝染するとみていると私に話しました。誤診による犠牲者は子供から退けられ、借金して負担となり、自我を失うことになるのです。
こうした道をたどる必要はありません。認知機能障害の人は、家族と長く幸せに生活できます。私の母は記憶障害で混乱はありましたが、忘れることのよい面も見つけました。ブッシュ大統領の名前だけでなく昔からの恨みも忘れてしまいました。私たちは一緒に歌い、母や好きな詩を歌い、その詩の新しい素材に私は驚きました。私たちは豊かで親しむ時を持っていました。自殺が彼女の心を過ることはありませんでした。
心には包容力があります。多くの知的あるいは情緒的な機能は、単なる記憶障害があっても残っています。
実際、ケアでの改革―少なくとも記憶障害に代わる物語のなかで―は、ゆっくり根付いているようです。
イギリスの心理学者で認知症ケア分野のパイオニアであるトーマス・キットウーズThomas Kitwood(写真左下)は、1998年に亡くなりましたが、彼は本のなかで、衰えではなく、人間性を強調していますが、その影響が現在まで続いています。
エール大学Yale Universityの演劇科のエリノール・フアックスElinor Fuchs教授(写真右上)は作品「“Making an Exit”(退出する)」で、彼女の母親が進行したアルツハイマー病のとき、その会話のパターンを調べています。
ウンスコンシン大学University of Wisconsinの「加齢・地域センターCenter on Age and Community」のアン・バスティングAnne Basting所長(写真右中)は、アルツハイマー病の人が創った詩から戯曲を書いていますが、「記憶を忘れよう、想像を働かせよう“Forget Memory. Try Imagination”」というスローガンの持ち主です。
誰しもがこうした姿勢を共有することで、どれほどの違いが生まれるでしょうか。認知機能の関わる恐れを抱きやすいことを恥ずかしく思い、そうしたことは稀であるとして、終末期ケアの議論を盛んに行い、治療方式を改善し、高齢者と集団的に密接になり、どの年齢であろうと認知機能が障害されている人たちとの関係を容易くし、絶望ではなく希望をもって人が喜んで年が取れるようにしたいものです。
寄稿者マーガレット・モーガノロース・グレッテMargaret Morganroth Gullette氏(写真右下)は、ブランデイス大学女性研究センターWomen’s Studies Research Center at Brandeis Universityの研究者で「Agewise: Fighting the New Ageism in America(「エイジワイズ:アメリカの新しい年齢差別と戦う」の著者です。
NYT May 21, 2011 Our Irrational Fear of Forgetting
編者:アルツハイマー病など認知機能障害に肯定的で前向きな考えだ。彼女の著書のAgewiseは聞きなれない英語だが、「上手に年をとる」「年をとることの良さ」といった意味だろう。

メモリークリニックの現状と役割(5月16日/アイルランド)
アイルランドのセントジョーンズ病院St James’s Hospitalの老年科医で、トリニティ大学ダブリン医療老年科Department of Medical Gerontology, Trinity College Dublinの講師でもあるコナル・カニングアムConal Cunningham医師は(写真左1)は次のように述べています。
「認知症の人が最善のケアを受けられるためにはアイルランドでのサービスと資源の一層の連携が必要です。認知症の人たちへのケアを最善にする方法の一つは全国にあるメモリークリニックがそのネットワークのなかで行われることです。
私たちの病院のメモリークリニックは、この国で1991年に最初にでき、デイビス・コークレイDavis Coakley教授(写真左2)によって設置されました。現在、メモリークリニックは全国に10か所以上あります。問題は、こうしたクリニックのやり方がまちまちであり、サービスの内容が少しずつ異なっています。メモリークリニックはその性格して多職種で行われるものです。
メモリークリニックは、1970年代にアメリカで最初に始まりました。アルツハイマー病研究センターが外来患者の診断、治療、助言を行っていました。これらのセンターは当初、研究施設として開設されたのです。イギリスでは、1983年、ロンドンのセントパンクラス病院St Pancras Hospitalで初めてのメモリークリニックが始まりました。当初、イギリスのメモリークリニックは処方もし、薬の臨床試験にも関わっていました。
私たちのメモリークリニックは、当初、認知症を含む記憶障害の診断、検査、治療など臨床の改善が目的でした。
クリニックでは記憶障害の初期診断と治療に関心がありました。アルツハイマー病などの認知症の早期診断によって、適切な治療、後見の決定、サービスの計画、支援資源の利用など財務的法的な管理にとても重要です。初期の認知症の人へのサービスに注目することが、認知症サービスとメモリークリニックとの特徴的な違いです。
クリニックは、初期の認知症や軽度認知障害の診断と、そして必要あれば治療にもっとも相応しいものです。軽度認知障害はクリニックで見つかるもっともありふれた状態です。
認知症を初期に発見することで認知症の人と介護者の生活の質の改善でき、最終的にナーシングホームへの入居や経費が必要な状態になるのを遅らせることによってケアの総経費を少なくできるのです。アイルランドでは2006年1年間で認知症ケアの経費は少なくとも4億ユーロほどでした。
アイルランドでのサービスの種類は多様ですが、最近始まった記憶障害を心配する人とその家族に多職種によるサービスが提供されています。メモリークリニックは、評価、診断と治療、情報提供を行います。ほとんどのクリニックでは、老年科医や老年精神科医を含む医師、看護師、心理士、神経心理士を置いています。またいくつかのクリニックでは、ソーシャルワーカーも居ます。一般的に、疑わしい人は一般医GPからメモリークリニックに紹介されます。
クリニックでは、脳画像検査が普通に行われ、さらに記憶や認知機能障害の発病に関与する危険因子や治療可能な原因を調べるための血液検査も行われます。こうした検査すべてが全般的なスクリーニング的検査の基本でその結果が診断に役立ちます。
認知機能の評価
神経心理学的評価は、記憶や認知機能のさまざまな面を調べるものです。ほとんどのメモリークリニックでは診断と同時に薬物的あるいは非薬物的治療も行います。言語理解、発語能力、集中力、情報保持、運動機能も現わす形の描写、日付や時間の理解を示す見当識能力、エピソード記憶、事実の知識、意味理解、遠隔記憶についての検査を行います。
MRI,PETなどの画像検査も行いますが、MRIでは、局所的な萎縮や脳全体の萎縮を調べ、PETでは、脳の代謝活動の低下を調べます。これはMRIより感度がよく、最近、わたしたちの病院に導入されました。
脳脊髄液検査では生物学的マーカーが今後、大きく発展すると思われますが、まだ広く使われているものではありません。個人レベルでもその結果にかなりばらつきがあります。
認知症と診断されたら、本人は通常、もっとも相応しい外来診療科に紹介されます。純粋に心理的問題であれば老年精神科へ紹介され身体的問題があれば老年科へも紹介します。
治療
記憶障害の要因のうち治療可能なものがないか調べます。たとえば、うつ状態は心理検査の点数に影響することがあります。小さい脳梗塞も同じく影響することがあります。この場合、高血圧、高脂血症、喫煙、飲酒といった状態に対処することが重要となります。一過性脳虚血発作がさらに障害を起こすことがあるからです。
アイルランドでは、毎年、約4000人の新しい認知症の問題をもった人が見つかっていますが、すべての軽度認知障害の半数の人は、なんら悪化することはありません。そこで私たちは治療可能なところを見つけて、進行させる危険因子を少なくするようにしています。必要があれば認知症の人に抗認知症薬を処方し、運転など将来の計画を立てられるよう支援します。
しかし4000人の人のうちのわずかの人にしかメモリークリニックを利用できていないので、進行を止めたり治療するため早期に問題を見つけることが重要です。セントジョーンズ病院では、約400人を毎年見ており、最初の評価後の状態が安定しているか進行しているかを見分けるため継続的に監視も行っています。
メモリークリニックは外来診療で、通常、入院して診療を行うことはありません。一般的にメモリークリニックに来る人についての評価の結果を持ち帰ってもらいます。診断が確定すれば認知症の人の希望に沿って話し合いもします。
この種のサービスでもうひとつ重要なことは、受診した人に必ず支援と情報提供を行うことです。典型的には、認知機能状態を改善したり維持する方法、記憶障害の原因の解明、鑑別診断も含めた診断、記憶障害のある人を対象とした一般的な生活上の工夫、抗認知症薬の効果についての助言などの治療上の情報提供です。またクリニックでは、運転や就労を続けてよいかどうか、また趣味を生かした活動についても助言します」

わが国のメモリークリニックは、連携と標準化を目指して、マーサー成功的加齢研究所Mercer’s Institute for Successful Ageingと認知症サービス情報・発達センターDementia Services Information and Development Centreが主催して今年の5月、ダブリンにあるギネスストアハウスGuinness Storehouseで第1回のメモリークリニック全国会議National Memory Clinic ConferenceがルンドベックLundbeck (Ireland) Ltd.の助成得られて開催されました。

さらにカニングアム医師は次のように話しています。
「診断や認知症の人のケアについて国内外の専門家が参集し自分たちの知識や経験を共有しました。この会議には予想以上の150人ほどが出席した大きく成功した会議でした。
多くの議論があり、それらはメモリークリニックにも関係があり、証拠に基づく研究を行いって最善の診療を進めます。さらに、メモリークリニックの全国ネットワークを創る第一歩となりました。
異なる専門職が出席し、メモリークリニックの多職種性―老年科医、精神科医、神経科医、心理士、看護師、ソーシャルワーカーなど記憶障害と認知症に特に関心のある人たち―の特徴も反映しました。アイルランドアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Irelandの代表者も参加しました。
基調講演は、著名な老年精神科医でイギリスの認知症国家戦略National Dementia Strategyを推進した人たちのひとりであるサーベ・バナージーSube Banerjee教授(写真左3)が行いました。この講演では、早期に認知症が診断されることで認知症の人と家族がよりよく生きるために必要な治療、介護、支援を受けられるように要請しています。
他の講演者としては、ハンバ-精神保健教育NHSトラストHumber Mental Health Teaching NHS Trustの臨床心理学者であるエスミ・モニッズクックEsme Moniz-Cook教授(写真左4)が心理社会的介入について話しました。またマーサー加齢研究所Mercer’s Institute for Research on Ageingの神経心理学者のロバート・コーエンRobert Coen医師(写真左5)がメモリークリニックでの神経心理学的検査とその評価について発表しました。ダブリンなどアイルランドのメモリークリニックからの発表もありました。
毎年の頻度でさらにメモリークリニック会議を開きたいものです」
イギリスでは、保健省Department of Healthが、認知症国家戦略National Dementia Strategyの一環として全国で国民が利用できるメモリークリニックの数を増やすことを決めています。今後5年間で、メモリークリニックがイングランドのすべての町と市で利用できりょうにすることが期待されています。
我が国では認知症の人が増加し認知症の人自身がどこの行って自分の機能を調べるべきかを考えるようになっている事実があるにもかかわらず、イギリスと同じようなサービスの計画はまだありません。
バラバラの状態
またカニングアム医師は次のように述べています。
「メモリークリニックは、アイルランドではまだあまり注目されていません。おおまかに言って、クリニックの資金的裏付けがなく 全国の保健局Health Service Executive (HSE)の認知症サービスはうまく連携されていなく、ひどくバラバラです。私たちが知っていることは、インフラ―老年科医、老年精神科医、CTやMRIの利用など―は一般的に改善されていますが、サービスについての病院間での連携がなく資源を最大限に利用してはいません。
3月の全国会議では連携して行動を起こし、私たちの行っていることを比較し対照化してアイルランドでのメモリークリニックで行われることの標準化を目指しました。ケアにばらつきがあることは一般的には悪いことではありませんが、できれば、新しいHSEの臨床部長が変化をもたらし改善されることを期待したい」
Irish Medical Times May 16, 2011 Keeping memory in mind
編者:メモリークリニックについてのまとまった記事なので紹介した。アイルランドではその数が少ないとはいえ全国会議を開き、質の向上、診療内容の統一、連携が模索されている。これにくらべ我が国はもの忘れ外来は無秩序だ。どの診療所でも病院でも、始めるといえばもの忘れ外来ができ、質も問われないし、内容もまちまちで、連携もない。利用しやすいとはいえ、患者にとっては当たり外れが起こる。こうしたことは認知症に限らず我が国のどの医療分野でもみられ、それが日本医療の利点であり欠点でもある。

入居施設を併設する認知症ケアセンター開設へ(5月16日/インド)
ムンバイ近郊のヴィサイVasaiで250ベッドの閉鎖中の複数の専門科のある病院が、アルツハイマー病など認知症およびパーキンソン病の人のケアセンターに改編されました。
2階建てのシュリーラジェンドクマールアガールワル病院Shree Rajendrakumar Agarwal Hospitalは約8年前に地域の労働者のために設立されましたが、内部紛争や管理の失敗のために閉鎖されました。
病院はシュリージーヴァンディープ医療トラストShree Jeevandeep Medical Trustに買収され、現在は、ナラソパラNalasoparaでアナンドリハビリテーションセンターAnand Rehabilitation Centreを運営しているソーシャルワーカーのR.ゴパラクリシュナンR Gopalakrishnan氏(写真左上)に譲渡されています。
ゴパラクリシュナン氏は「入居施設がある介護センターは認知症の人に今、必要です」と話しています。ムンバイではディグニティ基金Dignity Foundationが認知症の人ためのデイケアセンターを運営していますが、ダダーDadarやバンドラBandra近辺の人たちのためのものです。全国にはわずか6か所ほどのデイケアセンターしかありません。今回の新しいケアセンターは、この種の施設としてはインド最大となるでしょう。
ゴパクリシュナン氏は次のように話しています。
「センターは家族が認知症の人をほっておかために認知症の人を入居させる前、家族と面談します。家族が定期的に認知症の人と必ず一緒に居るようにさせます。1カ月の15日ごとに、家族は私たちに面談することにしています。またセンターは、認知症の人の介護は24時間のことが多い家族にレスパイトケアも提供することにしています」
基金のプラティープ・テフルカールPradeep Tendulkar会長は利用料について以下のとおり説明しています。
「自立している人は、返金可能な手付金として3万ルピーと1日300ルピーの料金、部分介助の人は手付金4万ルピーに1日400ルピーの料金で、全介助の人は手付金4万ルピーに1日500ルピーの料金です。料金は入居と食事を含みます」
バークリヴェダンタBhaktivedanta病院(写真右)の精神科医でセンターの訪問医師のデヴェンドラ・サーヴェDevendra Save医師(写真左下)は、「認知症の人のためのデイケアセンターの要望は毎日のようにあり、ヴアイサのセンターは大きな支えとなるだろう」と話しています。
The Times of India May 16, 2011 Care centre for dementia patients opens in Vasai
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編者:記事にあるとおりインドでは認知症デイケアセンターが少しずつ普及しているが、インドで初めてらっしムンバイ近郊に入居機能も持つ認知症センターが開設される。ただし利用料からみて中高額所得層向けのようだ(1ルピー=約1.8円。2011/05/15)。

認知症の人を何もできなくなった人ではない(5月15日/アメリカ)
認知症の人が最期の状態になりつつあるのを見守るのは辛いことですが、意味ある絆を保つことを諦めることはありません。
認知症の人の記憶が薄らぎ、働きが衰えても、家族や友人はその人と関わる活動を見つけることができます。認知症の人が昔からの楽しみにしていたことを試み、音楽を聴いたり演奏したり、あるいはもっと新しいことも試みてみることができます。絵を描いたり、釣りに行ったりと新たに試みることもできます。その鍵は、活動内容が簡単で単純で認知症の人と一緒にできるこということです。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationのベス・カルマイヤーBeth Kallmyer氏(写真左上)は次のように話しています。
「認知症の人に対するとき人は恐れ、『何を話し何をしてよいかわからない』と思い込んでいます。認知症の人は発病前の様に反応することはないでしょうが、まだ交わりや刺激を求めています。認知症の人の目が明るいのを見ることがあります。微笑み、冗談を言い、びっくりするようなやり方で関わることもできるのです」
2008年の終わり頃、アンドレア・ケイAndrea Kay氏(写真左中)の父親が、急速に機能低下を始めたとき、彼女は彼に近づく方法を見つけ、一緒に過ごせる時間をできるだけ長く持つことを希望しました。
コネチカット州で専門のコンサルタントであり著述家でもあるケイ氏は次のように話しています。
「私が父を訪ねた時、話すのが一層難しくなっていました。2009年のはじめ、スケッチブックを持って父親の姿を描きたいと話しました。これは私が人生の初めの頃にしていたことで、父は同意して新たな日常的な行為が始まりました。よく父に注目していると父はそれが好きでした。誰かを描いているときは、その人の目を見つめているのです。この行為はその人が好きだということを意味しており、父の顔を時をみつめることで彼を魅了して父が振り返えしさえするのです」
またケイ氏は、父親が穏やかに彼女の作品を批評しました。それは、以前の彼の特徴が現れているのです。彼女は30ほどの絵を集めて、父親の変わっていく姿と表情について文章も書いています。2009年8月にその父親が亡くなってから、ケイ氏は作品をフラッターバイFlutterbyと呼ぶ絵画展と公演に出展しましたが、その名前はケイ氏が蝶を親に示したとき、彼女が小さい時にflutterbysフラッターバイズと呼んだことを父親が思い出したことからきています。
さらにケイ氏は次のように話しています。
「死が近くにある人やはコミュニケーションが困難な人にどのようにして一緒に居るかが理解することは私たちに必要なことです。周囲ではなく一緒にいるとうことを私が発見した方法で、そうして居ることによって、たとえ以前のやり方では意思疎通ができなくても人と人との関係を維持することはできるいのです」
ベビーブーマーの世代が高齢者になることで、もっと多くの家族が同じような変化に直面するでしょう。アルツハイマー病協会のよると、昨年、約1500万人の家族や友人がアルツハイマー病など認知症の人を介護し、170億時間の無給の介護が行われたのです。2050年までに、認知症の人の数は現在の540万から1600万人に急増すると予測されています。
またカルマイヤー氏は次のように話しています。
「一緒に同じ活動をすることは、通常、あまり多くの努力は必要ありません。認知症の人が以前、料理や皿洗いが好きだった、食材を混ぜたりプレートをごしごし洗うといった作業は彼らが家族と関われるのに役立つのです。こうして対応が難しい行動を少なくするのに役立ちます。ちょっと注意するだけでキッチンで役に立っているという感覚を抱くような活動はとてもよいのです」
有資格の音楽療法士であるサンディエゴのカット・ファルトンKat Fulton氏(写真左下)は多くの認知症の高齢者の仕事をしています。楽器を演奏したり歌うことで認知症に伴うことが多い興奮を和らげることができることがあります。2,3カ月前、有資格者による看護施設のある高齢の婦人は、ファルトン氏が日本のバンド「ティン・パン・アレイーTin Pan Alley」の歌を歌うまでは全く話せないと思われていたのですが、その婦人は歌を聞いてから言葉を発しながら喜びのしぐさをして仲間に加わりました。
ファルトン氏の次のように話しています。
「この婦人にとって音楽が安心してコミュニケーションできると感じる機会を提供したのです。家族の場合、自分たちのやり方で音楽療法を行うことができます。認知症の人が若い頃にどのような音楽が流行って、どのような歌がヒットチャートにあがっていたかを知っておき、それを一緒に演奏したり歌いのがよい。たぶん、認知症の人は、引っ込み思案で踊れないとか、恥ずかしがりやで歌ったりドラムを叩いたり手を打つことができないかもしれませんが、今は新しい人に優しく接するのがよい。多くの認知症の人は抑制が取り除かれているからです。アルツハイマー病の人に何か新しいことを教えるのに遅すぎるということはありません。特に、同じことを繰り返すようなことがよく、音楽がよい」
アルツハイマー病協会は24時間無料の電話相談(1-800-272-3900)を行っています。電話してみましょう。認知症の人と繋がりを創る方法について素晴らしいアイディアが得られるかもしれません。
(Wall Street Journal  MAY 15, 2011 Don't Write Off Dementia Patients)
編者:内容は常識的なことかもしれないが、アメリカの専門家による貴重で具体的な指摘だ。寄稿者クリステン・ギレンチャーKRISTEN GERENCHER氏(写真右)は医療関係にライター。

アルツハイマー病とその日その日を好きなように生きる(5月13日/ニュージーランド)
スエ・タインガフエSue Taingahueさん(写真左)は、ほほえましい笑顔でトランプ遊びをしています。人を追いかけている目はやや虚ろです。
北島のタラナキ地区のオカトOkato出身で86歳のスエさんは、ニュージーランドにいる4万3000人の認知症の人の一人です。人口の高齢化により2026年までに、その数は2倍になるでしょう。
スエさんの娘のジャッキーJackieさん(写真左)は、いつも母親を介護していますが、次のように話しています。
「病気が進み、いずれは信じられないほど悲しい状態になります。母で最も困ることは、目を覚ますと歩ける自分のことはできると思いこむ朝です。母はよく躓きます」
スエさんは約4年前に診断れましたが、それまでは年齢のせいだろうと家族は思っていました。ジャッキーさんが家族のなかで初めて病気について知ったのです。
さらにジャッキーさんは「最初の頃は、他の高齢者と同じように忘れをしていましたが、難しいところですが、病気によることを知ることが大切です。その日その日を好きなように生きていますが同じ日ということはない」と話しています。
スエさんは、同じことを毎時間ごとに繰り返していましたが、進んだ今は、数秒内に繰り返しています。スエさんは、同じことを繰り返すことは控えることもありましたが、今は、何でも話します。
もとはジャッキーさんの姉が母親をみていましたが、昨年の間、24時間の介護を引き受けました。彼女は「後のことを考えて姉はよくやっていましたが、彼女に子供が生まれたので代わりました。私はそのことを気にはとめません。母は私の面倒をよくみてくれていました」と話しています。
スエさんが家族の顔を思い出すことができるのがジャッキーさんにはとても幸せな思いです。しかし、スエさんは人前に居ると楽しくはなく、多くの人の周りをさまよい歩きまわったりします。
ジャッキーさんはときどき一時休止が自分の心の健康のために必要だと言っています。
さらに「もし母が言い争いたいと、話しても止まらないでしょう。歩いて出ることになるので母親を助けなければなりません」とも話しています。
こんための簡単な方法は、話題を変えてユーモアでゆくことです。二人で盛んに冗談を言い合います。
母親を助けるために最も必要なことは彼女の脳を活発にすることで、トランプや言葉探をします。
しかしジャッキーさんは病気は分かってから経済的な負担が増えました。
無職なので母親の介護はできますが、勝手口に傾斜をつけたり、特別なベッドを買ったり、浴室の改修もしました。
彼女にとって地域からの支援がとても助かると話し、さらに「人々は病気の徴候を知る必要があります。母親が元気に元に戻るわけではありませんが」と付け加えています。
娘が別れる時、スエさんは涙を拭いていました。
ジャッキーさんは、私たちの取材班に次のように注意しました。
「母親の表情が悪い写真は取らないでください。その日その日を好きないように生き、明日を思いわずらわないことから得たユーモアのセンスが役立ちます」
今週はアルツハイマー病啓発Alzheimer's Awareness週間です。タラナキアルツハイマー病協会Alzheimer's Taranakiは5月17日の夜、資金集めのための映画を開催します。チケットは15ドルで協会事務所で購入できます(電話:769 6916, メール: alzheimers.taranaki@xtra.co.nz)。
Taranaki Daily News 13/05/2011 Sue lives one day at a time with Alzheimer's
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編者:ニュージーランドの一地方に住む先住民マオリ族の家族がアルツハイマー病になった話。

「【闇の大人たち】第25回:台湾ルポ 迷える老人を探せ!」(5月10日/ロケットニュース24)
日本に次いで高齢化のスピードが早い国。それが台湾だ!
認知症で前後不覚のまま町をさまよい、姿を消してしまう沢山のお年寄りたち。台湾では人通りの多い繁華街や駅の近くに大抵、失踪老人を探すポスターが貼ってある。ポスターには最新失踪者の無修正顔写真と、名前・身長・特徴・口癖・持病などのデータが細かく記されている(写真)。
……で、もっと興味のある人は、ポスター下部のURLから公式サイト『失蹤老人協尋中心』に接続。膨大な記録にアクセスすることも可能である。で、このサイトが半端無く衝撃的なんですよ!
深い事情でもあるんだろうか? 失踪時の年齢が70オーバーにも関わらず、登録された顔写真が若かりし20代の白黒写真だったり、清朝末期の時代劇風な人も……。どんだけ写真が嫌いなんだ!
行き倒れコーナーに登録された名前のわからないお年寄りなど、姓名欄に10桁のシリアルナンバー。これじゃまるで工業製品だよ……。
基本プロフィール以外の情報も、マニアックなまでに詳細である。失踪時の持ち物、識字力の有無に始まり、無目的遊走(徘徊?)、自言自語(独り言)などの病歴も漏れなく網羅。えーと、脱衣服って露出癖のこと?
あまりにあけすけで、我々の感覚では居たたまれないサイトだが、日本と違って多言語国家の台湾。台湾語も普通語(北京語)も理解できず、中国奥地の方言や原住民語(原文ママ)しかわからないというややこしい失踪者も少なくなく、やむを得ない処置なのかもしれない。色々な意味で考えさせられるサイトでした。
(取材・文・写真=クーロン黒沢)
コロケットニュース24 2011年5月10日 原文のまま
編者:行方不明になった認知症の人の捜索目的のサイトは世界中で台湾だけのようだ。プライバシーなど人権に関わることだ。これについて台湾アルツハイマー病協会(台湾失智症協会)に聞いてみよう。
追加情報:協会の湯麗玉Li-Yu Tang事務局長から「センターの方法は以前から行われ有効であるが、プライバシーの保護は難しい。探す出すことを優先している。またGPSが公費負担の働きかけもしている」との返事があった。

「認知症とがんを患う夫婦、息子家族の旅行中に自殺」(5月10日/朝鮮日報)
「私たちが死ねば、もっと幸せに暮らせる」との遺書
「迷惑をかけてすまない。お前たちには重荷になるだろう。私たちが死ねば、もっと幸せに暮らせるのではないか。今まで本当にありがとう」
「父母の日」の今月8日、認知症とがんを患う60代の夫婦が、このような遺書を残して自殺した。夫婦は先週末、同居していた息子夫婦と孫たちが済州島へ旅行に出掛けた隙に自ら命を絶った。
8日午後5時30分ごろ、京畿道竜仁市水枝区新鳳洞のマンションで、Jさん(69)とNさん(62)の夫婦が死んでいるのを警備員が発見し、警察に届け出た。妻のNさんはベランダの天井で首を吊り、夫のJさんは寝室の床に横たわった状態で、首には絞められたあとがあった。
現場には、Nさんが息子夫婦や孫に宛てた自筆の遺書5枚が見つかった。
遺書には「ありがとう。すまない。お父さんとお母さんは一緒に死ななければいけないと思った。片方が先に死ねば、重荷になるはずだ」「お父さんの介護はとても大変だ。何回も(自殺する)準備をしてきたが、今や死ぬときが来た」といったことが書かれていたとい。
警察によると、ソウルの名門大学出身のJさんは会社に勤めていたが、法曹人になれなかったことを悲観して極度のストレスに苦しみ、30年前から精神科の治療を受けてきたという。さらに昨年からは重度の老人性認知症を患い、日常生活に不便をきたしていたとのことだ。
また、妻のNさんは認知症を患う夫の介護をしてきたが、7カ月前に乳がんの手術を受けたほか、うつ病の症状も現れ、夫の介護が困難になるほど健康状態が悪化していたという。
警察の関係者は「うつ病を患ったNさんが、息子たちに苦労をかけたくないと考え、夫を道連れに自殺したものとみられるが、夫のJさんには首を絞められたあとがあるため、正確な死因について確認するため、国立科学捜査研究院に解剖を依頼する予定だ」と話した。
竜仁=ハン・スヨン記者
朝鮮日報日本語版 2011/05/10  原文のまま
編者:韓国にも認知症に関わる「病病介護」による夫婦の心中があるのだ。

アルツハイマー病啓発週間(5月9日/ニュージーランド)
ニュージーランドでは認知症は死因の第4位です。現在、4万3000の人が認知症であり、高齢化人口のために2026までにその数は2倍になるでしょう。しかし、認知症について語る時まず心に響くのは、統計上の数だけでなく、認知症の人たち、家族、介護者への破壊的影響です。認知症は実際どのような姿をしているのでしょう。この病気が私たちの社会にどのような影響を及ぼしているのでしょう。
現在、ニュージーランドアルツハイマー病協会Alzheimers New Zealandは、毎年行っている啓発週間活動で「認知症の姿‘Faces of Dementia’」を示します。協会は、病気についての認識を高め、認知症の人のよりよい生活のために資金を集めます。こうした運動の重要なところは、病気についての一般の人たちの理解を高め、社会が認知症の影響とその影響をどのように少なくするかということについて理解を深めることです。2008年、協会は、認知症の社会的、経済的影響について詳しく調べるために委託・作成された報告書を公表しました。その報告書によると、その時で認知症の人は4万746人で、その数値は2011年に4万3000人、さらに20年ごとに2倍増え、2026年には7万4821人、2050年には14万6699人になると推計されています。
認知症の1人を介護するために7人の両手が必要です。介護者は、事実上、自分の普通の生活を諦め認知症の人を介護しており、職業、社会的交流、財政的安定を犠牲にすることがあります。アルツハイマー病協会は、認知症によって影響を受けるすべての人たちを支えるために設立されたもので、今年、25周年を祝います。
1885年、ニュージーランドアルツハイマー病協会は、もともとカンタベリー地区での認知症のサービスを立ち上げるための地域的な支援団体でしたが、その後、全国的な団体になり現在23の地区にアルツハイマー病協会が在ります。この協会のサービスで1万5000人以上の認知症の人とその家族が支えられており、協会は認知症の分野では信頼されている団体となりました。この分野では全国的に、指導性、情報、擁護などの活動を通して、また各地では、在宅ケア、支援グループ、情報、教育、活動、デイケア、助言などを通して支えています。
過去25年間、協会は成長し地域の要求に応えてサービスを提供するようになりました。その活動は多様で、より総合的なサービスを提供し、政府に対しては認知症を国民保健の優先課題とするように要請する「認知症国民戦略National Dementia Strategy」といったプロジェクトを始めており、ニュージーランドにおける認知症ケアの流れを変革することに寄与しました。協会が関心を示す動きの一つは、認知症の罹患率に関するものです。認知症の人が20年ごとに2倍になりますが、協会は、新たに戦略を取り上げてこの要求に応えられるような受け皿を用意しなければなりません。このための最大の壁は資金です。
各地のアルツハイマー病協会は管轄の地域保健局District Health Boardから資金を得て、それに基づくサービスを提供しています。協会は資金として、後援や選別による賞金も受けています。
2011年の啓発活動は、認知症の人とその家族が利用できるどのようなサービスがあるか、また地域のアルツハイマー病協会が認知症の人の対応が困難な変化にどのように対応するのかについてもっと理解できるように工夫されています。
毎年のキャンペーンで、今年全国8か所のセンターで行われ、一連の教育的社会的イベントがあり資金集めも行われます。「クッパCuppa(訳注:一杯のコーヒあるいは紅茶のこと)」という活動として、9月末まで全国の23のアルツハイマー病協会で教育セミナーを続けられ、9月には世界アルツハイマーデーWorld Alzheimers Dayとアルツハイマー病の25周年記念が開催されます。
ニュージーランドアルツハイマー病協会のジョアン・ヴォスJohan Vos事務局長(写真)は次のように話しています。
「私たちは全国各地のアルツハイマー病協会を支援する活動をしています。こうして私たちがよい仕事を今日も将来も続けることができています。すべての認知症の人の生がよりよくなることを約束しています。23地区のアルツハイマー病協会はそれぞれの地域での活動を継続するために緊急の援が必要です。私たちが恐れていることは、認知症をもって自らの旅を通して苦労ながら、自分たちや家族に受けるにふさわしい情熱と尊厳がないなかで夥しい損害を積み重ねることになるだろうことです。
みなさんの住む地区で計画中の催しを見つけたり寄付をする場合、協会のサイトwww.alzheimers.org.nzを見てください。
認知症は、通常、一連の症状から診断されます。アルツハイマー病は、最も多い認知症のタイプで、行動の変化、記憶や認知機能の低下および矛盾するような感情を認めます。認知症は神経系の疾患で脳に作られている重要な繋りが侵され、最終的には断ち切られるのです。病気の進行はゆっくりしているようにみえますが、衰えは早く診断から死亡まで8年から15年ほどです。治癒させる方法はまだありません。
最近、認知症の人の認知的行動の変化に対して、以前よりもっと早くそうして変化についての医学的助言を求めることになるでしょう。早期診断は、認知症に伴う多くの変化に家族が適応することになり、薬物的治療のチャンスもあり、ライフスタイルの変えることで病気の進行を遅くすることもできます。
認知症は、高齢者の病気のように見られていますが、65歳未満の認知症の人数が有意に増えています(訳注:根拠は)。こうした人たちでは家族も若く、借金もあり、仕事もあります。認知症の生活に合わせるということは、すべての家族に完璧なまでの激動とくことです。
ニュージーランドアルツハイマー病協会は、こうした認知症の人たちに助言し、地域全体を支えながら、人々が十分に生き、生活を豊かにし、適切かつ熱心に支援します。
scoop 9 May 2011 Alzheimers New Zealand Awareness Week
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認知症の人のキーを取り上げるのは難しくはない(5月8日/アメリカ)
アルツハイマー病など認知症の人に対して家族が取り組まなければならない大きな課題の一つは、車の運転がとても危なくなってから、いつ、どのようにキーを取り上げるかということです。
ヤノスキーさん夫婦(Nick and Cheryl Yanosky)(写真)は高校時代の恋人同士で、新婚旅行に東海岸までドライブしました。しかし40年連れ添ってきた今、アルツハイマー病と最近診断されてから妻のチェリーさんが運転しています。
「何時も彼女に運転させるのはどう?」と聞くと「怖いね」と夫のニックさんが答えて笑っていました。
怖くても怖くなくても、ニックさんには助手席に座ってもらうように決めるましたが、それまでは、よく道順を忘れてしまいました。
「しっかり者でしたが、今は、つまらない人間です」とニックさんが話すと、「そんなことはありませよ」とチェリーさんは答えています。
キーを取り上げることは、認知症の人の自立を取り上げることと同じなのですが、介護者が悪者になる必要はありません。
認知症についてアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの電話相談(1.800.272.3900)にかけると、近くにある評価センターを教えてくれます。第3者機関のセンターが運転能力を評価しています。
メリデンにあるイースターシールズモービリティーセンターEaster Seals Mobility Centerで、さまざまな視覚テストや認知テストを受け、ビデオを見て反応する運転シミュレーターも受けます。
イースターシールズセントラルコネチカットEaster Seals of Central Connecticutの有資格の運転リハビリテーション専門家であるトリチア・パッサリーヨTricia Passariello氏は次のように話しています。
「道路で重要な標識―標語や光―を本当に見落としていると他車への反応が遅れ、それは赤信号です。道路での実技試験のあと、運転の継続に関する勧告について座って話し合います。家族が居て、支えてくるようであり『私たちが助けます』と言うようであれば、すすんで運転する考えがあり準備します」
ヤノスキー夫婦は、現在も旅行しており、あらたに適応した生活を送っています。
妻は「これは生活のなかで些細なことですが、夫にとっては大きなことです。私たちはA地点からB地点までなら運転でき、それを楽しんでいます」と話し、これに夫のニックさんは「彼女は最高だ」と返事していました。
Alzheimers Weekly May 8 - May 15, 2011 Giving Up The Car Keys Does Not Have To Be So Hard
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編者:認知症の人の運転への介護者の対応は難しいことが多いが、紹介記事はうまくいっている事例だ。コネチカット州のテレビ局WNTHが放映したもので番組はこちらで観れる。

★認知症高齢者の経管栄養導入についての家族の受け止め(5月6日/アメリカ)
アメリカ・ブラウン大学Brown Universityの地域保健学科教授のジョン・テノJoan M. Teno医師(写真)らのグループは、経管栄養を決定およびその結果についての家族の受け止めに調査しました。調査対象者は、アメリカ5州のナーシングホーム、病院および介護施設assisted living facilitiesで認知症により死亡した入居者9652人の家族を無作為で選んだ486人で、経管栄養に関連した検討、決定、およびその結果について質問し回答を得ました。
対象のうち10.8%の家族の認知症高齢者が経管栄養を受け、17.6%が経管栄養を受けない決定をし、71.6%が経管栄養についてなにも決定しなかったと回答しました。さらに経管栄養を受けて認知症高齢者の家族について以下のことが分かりました。
13.7%:初めから検討なしに医療者が経管栄養を始めた
11.2%:医師から経管栄養の導入について圧力を感じた
51.8%:医師が経管栄養に強く賛成していると感じた
41.6%:経管栄養の導入に関する検討が15分以内である
39.3%:経管栄養のリスクについて検討していない。
さらに、事前意思表示で指名されているか、重度の認知症の人の代理決定をする人として確認されているのは、ほとんどが息子か娘です。また、認知症高齢者は死亡前に身体的拘束(25.9%)または薬物的拘束(29.2%)が行われました。回答した家族は、経管栄養したままで死亡した場合の方がしなかった場合よりエンドオブライフケアend-of-life careが優れていたと報告してはいません。
この論文はアメリカ老年医学会雑誌Journal of the American Geriatrics Societyの電子版2011年5月3日版に掲載されました。
報告した研究者は、経管栄養を始めるについてのインフォームドコンセントの情報が乏しいことを認めています。進行した認知症で終末状態にある場合、食べる能力が影響を受けますが、経管栄養が重度の認知症高齢者の生存率や生活の質を改善することはないとの証拠があるにも関わらず(訳注)、経管栄養が行われ、しかもその頻度は州によってばらつきがあります。今回は頻度が高い州(テキサス、アラバマ、フロリダ)と、かなり低い州(マサチューセッツ、ミネソタ)を選びました。
テノ教授は「私たちの結果から、経管栄養の高い割合の州では、決定過程を改善し患者の意思が引き出しされ尊重する過程が必要です」と述べています。他方、経管栄養の意義を疑問視する研究にもかかわらず、対象者の32.9%は経管栄養により生活の質を良くなったと回答しており、経管栄養の導入を後悔している23.4%より高いのです。
しかしこれについてテノ教授は、「家族が思い出して感じる自己満足には賛成できず、こうしたことは充分なインフォームドコンセントのない場合に多いのです。本当に困難な決定をする人たちが、自分の決定したことと和解しなければならないということにたどり続けるためとみている」と述べています。
Medical News Today  06 May 2011 Feeding Tubes For Elderly Dementia Patientsおよび論文Decision-Making and Outcomes of Feeding Tube Insertion: A Five-State Study
訳注:これについては定まってはいない。Cochrane Collaboration Enteral tube feeding for older people with advanced dementia(2009)(pdf300K)が参考になる。
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編者:我が国でも議論が続いている認知症の人の経管栄養についてアメリカの報告を紹介した。私の経験からすると経管栄養は余命を伸ばすが生活の質を高めることにならないと感じている。認知症の人の生存の長さと生存の質とが相反するなかで行うか行わないかの家族の選択は難しい。本人の意思表示が最優先であることは当然だが、それがない場合、情報を提供して家族に選択を求めることが基本である。しかし、決定した後の家族の不安、後悔の思いに寄りそう姿勢が医療職などに必要だ。しかし、病院が長期入院を避け退院させるために経管栄養を勧めていることも少なくなく、経管栄養の選択には社会的要因もあることも認識しておきたい。

安楽死は終末期の議論の一部に過ぎない(5月3日/オーストラリア)
本日、オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Australiaから公表された報告書「認知症の人の終末期の計画“Planning for the End of Life for People with Dementia”」は、安楽死の課題に注目し、認知症に関係する人たちの議論―賛成も反対も―を解明しようとしたものです。
議論のためのこの報告書は、アルツハイマー病協会の全国消費者諮問委員会National Consumer Advisory Committeeが委託して、サザンクロス大学Southern Cross Universityの高齢者サービス学習・研究コラボレーションAged Services Learning and Research Collaboration (ASLaRC)の所長であるコリーン・カートライトColleen Cartwright教授(写真左上)がまとめたものです。
アルツハイマー病協会の会長のイタ・ブットローズIta Buttrose氏(写真左中)は次のように述べています。
「協会は安楽死について一定の意見をもってはいません。安楽死の議論については混乱しているとみています。この報告書の意図するところは、人々がどのような見方をすべきかを述べるのではなく、議論を進めるための明確な情報を提供し、認知症で顕在化する安楽死の複雑な問題についてのその概要を示したものです」
介護家族のリズ・フェンウイックLiz Fenwick氏は、報告書を委託した消費者ワーキンググループの議長ですが、次のように述べています。
「私の個人的な経験から終末期ケアの計画を立てることについて現在のシステムは混乱しています。どこで計画を始めてよいか知らない人にとって課題であることを知っています。私の場合、こうした準備なしに決定をしなければならないことに直面してショックを受けました。この討論用の報告書と合わせて、地域で事前指示や緩和ケアといった合法的に利用できる選択肢をもっとよく知っておく必要があります」
カートライト教授は次のように述べています。
「終末期の問題は、複雑で、個人的で、また微妙なのです。終末期のある個人の願いを適切に理解できない、かなえさせられないこと―とりわけ認知症の人の場合―がもっと困難なことです。私たちの社会では終末期の問題について話合うことに寛容ではありません」
報告書では 検討された課題の多くは、一般的にすべてのオーストラリア人のためのものであり、とりわけ認知症の人に相応しい課題です。
さらにカートライト教授は次のように述べています。
「もっと議論と地域的な研究が必要であり、より複雑で特異的な認知症の場合の課題も取り上げる必要があります。たとえ自発的な安楽死が合法化されても、決定能力も前以て意思表明する能力もない人に終末期には法律は当てはまりません。しかし、認知症の人が自らの生命を終わらせたいと前以て意思表示していた時点に一旦戻ってその人の介助を伴う自発的な安楽死を尊重されるべきかということが検討されるとなると問題はさらに複雑になるのです。困難なことのひとつは、認知症の人がその時の自分の意思を持ち続けたていることをどう確かまめるかということです。
追加して教授は以下のように述べています。
「安楽死の議論では使われる用語に関連して混乱があります。用語の定義、安楽死や医師幇助自殺が何を意味するか理解していない人が多いのです。余命を短くするような鎮痛剤の投与、治療拒否の患者権利の尊重、効果のない生命維持装置の持続または中止、あるいは終末期の持続的鎮静剤投与は、現在、合法的であり、これらはどれも安楽死には該当しないのです」
最近の調査によると、オーストラリア人の2人にほぼ1人は自分の決定能力がなくなる場合の準備をまったく行っていません。42%の人が遺言の作成準備をしています。
オーストラリアアルツハイマー病協会のCEOのグレン・リースGlenn Rees(写真左下)は次のように述べています。
「私たちが関心あることは、現在、個々人が合法的に利用できる選択肢について知り、病気の最期の段階の計画を立てることを促すことです。もし現在の制度が認知症の人と家族によりよく役立つようにするのであれば、地域で利用できる緩和ケアのためにもっと社会資源が必要です。認知症の人にとって充分な施設介護の場所あるか、事前ケア指示を含め終末期の計画を進めるための大きな投資があるかを確かめる必要があります」
終末期に関するワークショップは、ブリスベーンコンベンションセンターBrisbane Convention Centreで開催されるオーストラリアアルツハイマー病協会第14回全国会議Alzheimer’s Australia 14th National Conferenceで5月18日の午後に行われることになっています。
公表資料:Planning for the End of Life for People with Dementia Part 1 (pdf171M) Part 2(pdf250K)
Alzheimer’s Australia 03 May, 2011  Euthanasia is only one part of the end-of-life debate
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編者:わが国の終末期ケアについては、1970年代後半からイギリスやアメリカからの考えや方法が直に導入されてきた経緯があり、Terminal はターミナル、end of life はエンドオブライフとカタカナ表記で使っているが、それぞれの意味や違いがはっきりとしないので、両者とも「終末期」という日本語を使うことを提案し勧めたい。

10代の子にも認知症ケアで役割がある(5月3日/アメリカ)
アリッサ・アンダーエッグAlissa Andereggさん(写真左上)は、幼い女の子の頃、祖母が自分の名前を覚えていなかったり、あまり話をしない訳が理解できませんでした。その祖母は怒りが嵩じて混乱し彼女に向かうこともありました。
今、17歳になったアンダーエッグさんは、「同時は自分がなにか間違っていると思い感情を傷つけられた」と話しています。
祖母がアルツハイマー病と診断されて、その病気のために祖母の性格、記憶、コミュニケーション能力を変化したことを初めて教わったのです。祖母のメアリー・フランMary Franおばあちゃんと通じ合う方法を探して、有意義な関係を作りだすように試み始めました。
彼女は10代の人間として、祖母のケアに役立つことを見つけました。
今年の5月2日、アンダーレッグさんは、カルヴィン大学Calvin Collegeのプリンス会議場Prince Conference Centerで開催された認知症ケアの会議で発表しました。この介護者のための会議は、クラークリタイアメントコミュニティClark Retirement Communityの後援と、認知症ケアオプティマルライフデザインズOptimal Life Designs in Dementia Careとアルツハイマー病協会Alzheimer´s Associationの協賛で行われました。
サンフランシスコから来た高校生のアンダーエッグさんは、マリア・シュライバーMaria Shriver(写真左下)らの製作になるアメリカ最大のケーブルテレビのHBOの「アルツハイマー病プロジェクトThe Alzheimer's Project」で紹介されていました。彼女は、一般の人たちに話をしたり、フェースブックグループAlz4Kidz & Alz4Teenz: Resources for kids about Alzheimer'sで発言したりして、アルツハイマー病の啓発に努めています。
彼女は、アルツハイマー病の最期の段階にある祖母を定期的に訪問しています。試行錯誤しながら、年齢とアルツハイマー病による二人のギャップの埋めるいくつかの方法を見つけました。そのうちにいくつかは以下のとおりです。
タイミング
訪問は通常、昼食のあとにします。祖母が目覚めて注意を向けることができるからです。
音楽
ミュージカルの優れた女優だった祖母のために好きな昔の歌―国歌や「虹のかなたにSomewhere Over the Rainbow」―を歌います。彼女は、安らかに歌えない人たちにはアイポッドを持っていくことは提案し、「イヤホン一つを高齢者の耳に、もう一つはわたしたちの耳に付けて、口ずさむように歌うのがよい」と話しています。
熱意
他の大人に対してと同じ尊敬の気持ちで祖母と話していますが、特別な熱意と喜びがアンダーエッグさんの声に備わるのです。「祖母がそれに気付き、積極的な姿勢です」と話しています。
古い写真
たとえば祖母の結婚式の写真などを祖母に見てもらい昔のことを語ります。
話題を取り上げる
祖母は共和党の女性グループで積極的なボランティアでありメンバーであったことをアンダーエッグさんは知っているので、地域での祖母の関わりについて話します。かって祖母が、前のファーストレディのローラ・ブッシュ氏が参加したことのある行事について話した時、祖母の目が反応し輝いているのを認めて彼女はうれしくなりました。
人間的な接触
祖母の手を握り、目を見つめます。
アンダーエッグさんは次にように話しています。
「重要なことがじっと耐えることであり、ある一人の役立ったことが別の人には役立たないとこともあることを知ることです。通じ合うまでに優に20分かかることが多いのです。祖母との一時をもつことに価値があるのです」
父親のジム・アンダーエッグJim Andereggさんは次のように話しています。
「娘の訪問は私の場合とは大変違うのです。アリッサでは私ではないことが起るのです。こうした祖母との関係は娘にも役立っています。こうして娘が成長したと思っています」
さらにアンダーエッグさんは次のように話しています。
「アルツハイマー病の人を持って家族はびくびくします。認知症の人が衰えて行くことを理解するには若すぎることもあります。行動を起こすことで恐怖に立ち向かうことができます。10歳代の人たちに資金集めウオークに参加したり、祖父母のいる施設でボランティアになることを勧めています。私は本当に触発されました。関わるためにできることは何でも試みます」
mlive.com May 03, 2011 Teens can play valuable role in caring for loved ones with dementia, 17-year-old says at Grand Rapids conference

認知症の人の口腔ケアの取り組み(5月1日/アメリカ)
認知症の人をみている看護師は、自らの責任として口腔保健に相応しい取り組みをしています。ペンシルバニア州立大学看護学部School of Nursing at The Pennsylvania State Universityのリタ・ジャブロンスキーRita A. Jablonski准教授(写真)は次のように話しています。
「口腔保健が乏しいと歯周囲病にくわえ、肺炎や心臓血管疾患になりやすいのです。もっともこれらの病気がいつも口腔の状態に関係するわけではありません。また認知症の人は、恐れを感じてケアに抵抗します。一般に、認知症の人は自分ではケアできないで支援が必用です。」
ジャブロンスキー氏らのチームは、恐怖感を低減して行う口腔保健管理Managing Oral Hygiene Using Threat Reduction (MOUTh)という口腔保健の方法をとりわけ認知症の人に導入しました。治療前および治療中に認知症の人が心地よく感じることに焦点を当てる方法を雑誌「Special Care in Dentistry」の最新号で掲載されています。
さらにジャブロンスキー氏は次のようにはなしています。
「私たちは15の方法を考え出しました。恐れへの感受性を下げるやり方です。たとえば認知症の人が座っていると同じ目線に合わせ、双方から反応し、ジェスチャーを試み、認知症の人の手の看護師の手を載せ導くようにし、自分でできることは自分でするようにします。
認知症の人は、たびたび、恐怖が無いか低い場合と高い場合の区別ができなくなります。恐れの感受をコントロール―とくに闘争・攻撃・逃避反応―を司とる脳の部分が退化してこうした状態が起こるのです。大脳の扁桃は恐怖反応を受け止める脳の部分で、海馬と脳皮質は刺激を受け、それを扁桃に送る仕組みがあります。海馬、扁桃、大脳皮質という森のなかにいると考えると、認知症の人は森の小道が回転草でふさがれ皮質や海馬からの情報が扁桃に到達しなくなるのです。言いかえれば、認知症の人は看護師の歯磨きを感受される恐怖と同じ程度に親しみあるものとして反応することも少なくありません。
過去30年、ナーシングホームの入居者で自分の歯をもつ人の数が有意に増えています。こうした人たちは、自分の歯の保健について身体の他の部分と同様に支援が必要なのです」
ジョブロンスキー氏らのチームは、認知症が中程度または高度の7人の人について研究し、2週間にこれらの人にMOUThを実施し口腔の状態や反応について記録しました。
最初、7人すべてが口腔保健のかなり悪い状態で口腔保健評価法Oral Health Assessment Tool(pdf2M)で数量化しました。この評価法は口腔保健に関係する舌、歯、歯肉など7つの状態について、0、1、2と分類し点数が少ないほどよい状態です。今回の研究開始時は平均値は7.29でしたが終了時は1.00と改善しました。
ジェブロンスキー氏「私の知る範囲では、認知症の人―抵抗したり噛んだりすることがある―の口腔ケアを改善する方法を見出してきた我が国では唯一の看護師たちです。私たちは、認知症の人が抵抗する行動は感じ取った恐怖によるものとみなしており、ユニークだと思う」と話しています。
HealthCanal 1-May-2011 Dirty mouths lead to broken hearts
編者:今一つ具体的にケアの内容がわかりにくい記事だ。編者は認知症の人の口腔ケアについてはよく知らないが、我が国ではかなり実践されているようだ。たとえば日本医学歯学情報機構の「認知症高齢者の口腔ケア」は参考になる。

★アルツハイマー病の人の精神科病院への強制入院を却下(4月27日/アメリカ)
公的にとても重要な問題の一つに関して、ウイスコンシン地方控訴裁判所District II Wisconsin Court of Appealsは、本日、アルツハイマー病の人は法律に治療やリハビリテーションのためとして強制入院はできないと結論づけました。
ウイスコンシン州のフォンデュラック郡Fond du lac Countyは、2010年4月にアルツハイマー病の女性(85歳、ヘレンHelen氏)の対して州法第51章(アルコール、薬物中毒、発達障害および精神保健の法律STATE ALCOHOL, DRUG ABUSE, DEVELOPMENTAL DISABILITIES AND MENTAL HEALTH ACT)(関連情報1)による強制入院の訴訟手続きを行いました。ヘレン氏は、認知症でナーシングホームに入居していましたが言語的コミュニケーションが困難でした。
一般的には州法51章は、州の各郡に、かなり自傷他害の恐れがある精神疾患、薬物中毒、発達障害の人については強制的な入院や治療の申し立てを認めています。
ヘレン氏の行動が破壊的で攻撃的なときに職員が病院に連れて行きました。その少し後、郡は強制入院の手続きを申請しました。治療で彼女の認知症が治らないにしても攻撃的行動はコントロールできるだろうと主張しました。精神科医は、彼女の興奮や攻撃性が鎮静効果のある薬で治るかどうか試すことにしました。
最終的に、巡回裁判所がヘレン氏の強制入院と薬物治療の必要性を認め郡の申請を承認しました。しかしこの過程を理解し意味ある参加は不可能だろうとされていましたが、ヘレン氏がこれらすべての手続きに関わることが認められているとして裁判所が認定した州選弁護人が上告したのです。
その結果、2011年4月27日付けで、控訴裁判所がアルツハイマー病のような退行的脳疾患の人は州法第51章に基づく治療やリハビリテーションのための強制入院は承認できないと判決を覆しました。
しかし、ダニエル・アンダーソンDaniel Anderson判事(写真)は判決理由で、アルツハイマー病の人が施設介護や監視のため強制入所は認められ問題となる行動を管理するための強制的な向神経薬投与も認めていまが、第51章によるアルツハイマー病の人の治療のための強制入院は認められまないとしています。
控訴裁判所は、報告書「手錠をかけられて:アルツハイマー病の問題となる行動についての調査特別委員会レポートHandcuffed: A Report of the Alzheimer’s Challenging Behaviors Task Force」(関連情報3)について述べていますが、この報告書によるとウイスコンシン州には約11万人のアルツハイマー病の人がいます。
特別委員会は、認知症の末期であったリチャード・ペーターソンRichard Peterson氏(男性、85歳)の死亡後に召集されたものです。この男性は、問題となる行動のために緊急の拘束が行われ、さらにミルウーキー郡行動保健部Milwaukee County Behavioral Health Divisionに移されました。そこで、「家族は彼がジャケットや靴をつけないで車椅子に縛られているを発見した」と報告書に記述されています。その後、彼は肺炎を起こして死亡したのです。
裁判所は、アルツハイマー病の人を保護することの重要性について述べながら、「あまりに頻繁に」第51章を使って施設から精神病院に入居者を移しているか、向神経薬を使うかしており、その結果、外傷、合併症、あるいは死亡につながると見解を述べています。報告書では、より期待すべきは問題となる行動を管理する施設を支援することであると述べられています。
アンダーソン判事は判決理由に「私たちの社会の偉大さを測る方法のひとつは、私たちが最も弱い人たちをどのように扱っているかをみることです」と、また特別委員会報告の基づき、ウイスコンシン州内の郡ではアルツハイマー病の人への第51章の扱いが一様ではないとも述べています。
さらに判事は「ヘレン氏の事例は第51章の望ましい適応を明確にし、アルツハイマー病など認知症の人に対する法律を郡によって適応がさまざまであることを取り除く機会となった」と書いています。
控訴裁判所の見解によれば、アルツハイマー病は退行性脳疾患であり、これは強制入院の申請するに相応しい精神状態とはいえません。
さらに裁判所は、たとえ第51章では、自傷他害の可能性があることを証明し、精神障害、薬物依存、発達障害の人の強制入院を認めているとしても、退行性脳疾患は精神障害あるいは発達障害に該当しないと結論づけています。
裁判所は、また、リハビリテーションは必要な治療の一部であるがアルツハイマー病のリハビリテーションに関わる技術な無いことからアルツハイマー病の人は第51章で規定される治療を行うことはできなにとしています。
要するに、裁判所は、ヘレン氏は強制入院や治療の相応しい対象ではなかったとしており、結論として、アルツハイマー病による行動の結果としても第51章のよる強制入院を何人にもできなにと決定しました。
一般的に、人の保護に関する第55章(関連情報2)については裁判所は、自身のケアや保護ができなくなり、結果的に重大な自傷他害を起こす危険性が高い人について施設ケアや拘束の必要性がある人については保護的な入所を認めています。
したがって、強制入院の対象となりやすい人について第55章のようには、第51章では退行性脳疾患の人について特に述べていないのです。このことからアルツハイマー病の人が強制的な薬物投与も含む施設ケアのため強制入所の対象になりやすいのです。
State of Wisconsin  April 27, 2011 Those with Alzheimer’s disease cannot be committed involuntarily, appeals court says
関連情報
1.CHAPTER51:STATE ALCOHOL, DRUG ABUSE, DEVELOPMENTAL DISABILITIES AND MENTAL HEALTH ACT(pdf600K)
2.CHAPTER 55: PROTECTIVE SERVICE SYSTEM (pdf200K)
3.Handcuffed: A Report of the Alzheimer’s Challenging Behaviors Task Force(pdf1.1M)
編者:アメリカの裁判制度や精神保健制度についてほとんど知らないが、介護施設で認知症の人で「問題行動」があり職員が対応困難でかつ「自傷他害」の恐れのあっても治療やリハビリテーションを名目とした強制入院は認めないという裁判所の明快な判断は学びたい。そもそも日本では認知症の人の状態、手続き、精神科病院への入院について裁判所の介入は知らない。裁判所というと介護殺人の家族が情状酌量を含めた判決がなされるくらいでないだろうか。また精神科病院への入院ついても人権という視点があまりに乏しいと言わざるをえない。

★アルツハイマー病の予防にダンスホールで踊るのもよい(4月25日/フィリッピン)
ダンスホールで踊るとアルツハイマー病が防げると、著名な神経科医が医療研究分野の人たちの全国集会で話しました。講演したのは、ケソン市にあるセントルカ医療センターSt. Luke’s Medical Centerの記憶センターMemory Centerのセンター長であるジャクリーヌ・ドミンゲスJacqueline C. Dominguez医師(写真)です。
現在、フィリッピンには40万人以上のアルツハイマー病が居ると考えられますが、その人たちは自分の病気を知らないようです。人を衰えさせるこの病気の診断を受けていないフィリッピン人が多いのです。
ドミンゲス医師は、フィリッピン保健研究向開発委員会Philippine Council on Health Research and Development (PCHRD)の年次科学会議で次のような報告をしました
「フィリッピンの認知症の有病率は、60歳~69歳で9.68%、70歳以上では15.68%です。65歳以上の認知症になりやすいハイリスの人は400万人で、その数は2015年で490万人、2020年で620万人、2030年で960人です(訳注1)。全世界では、神経精神疾患は、伝染性・寄生虫疾患についで障害による負担は第2位であり、認知症による疾患の負担は、マラリア、破傷風、乳がん、薬物中毒、戦争による負担を超えています」
予防可能な因子としては、低い教育歴、頭部外傷、不適切な食事、運動しないことです。またドミンゲス医師の次のように話しています。
「ダンスホールで踊る事は、知的能力を維持しようとする人のためのことがすべてが含まれます。レジャーや社会的活動もアルツハイマー病を防ぎます。実際、高価でなく簡単なアルツハイマー病予防方法があるのです。予防としては、野菜や果物などの色のついた食物、1週間に3回の30分の運動、高血圧、糖尿病など心臓血管系危険因子の管理、クロスワーズ、スドク、麻雀、コンーピュターゲームなどの認知機能運動があります」(訳注2
セントルカ神経科学研究所St. Luke’s Institute of Neurosciencesの認知症研究グループDementia Research Groupのグループ長でもあるドモンゲス医師は、さらに次のように話しています。
「『脳は使えば失わない』と言われます、最終的には幸福であることであり、それ以上のものはありません。現在、驚くような治療法はなく、次の10年間も新しい薬は期待できません。自分たちの記憶を保ちたいためなら人は何でもするので薬は魅力があります。しかし今在る薬は、特にアルツハイマー病の初期の状態を効果があるが、誰もが使えるわけではありせん(訳注3)。薬に頼らない自宅の拠点とした認知症戦略の利点は、家族、介護者、地域保健担当者によって実施できるのです。しかし非薬物的介入にも課題が多いのです。科学として研究されないで医学的文献は多くはありません。医学に関係ない人たちによって行われていることが多いのです。さらに課題として、アルツハイマー病の人のスクリーニングです。認知症のすべての事例が報告されているわけではありません。報告されていない、あるいは診断もされていない認知症がフィリッピンにもあります。さらに課題として、認知症についての認識が乏しい、認知症は加齢の一部であるという間違った考え、社会的偏見、専門職への適切な研修が行われていない、家族介護者への支援が乏しいことなどです」
アルツハイマー病を見つけるための標準的なスクリーニングテストは欧米で行われているものを重視しなければなりません。たとえ地域で保健担当者が使うたねの限定的なテストを開発する場合でもいえます。
神経科学研究所の臨床心理学士のメアリー・グレース・セラーニヤMary Grace M. Seranillaは、フィリッピンに合わせたテストを開発しています。
科学技術省Department of Science and TechnologyのPCHRDによる助成による今回の研究は、マリキナMarikina地区の1490人を対象に今年始まります
セラーニヤ氏は次のように話しています。
「このテストは軽度から中程度の認知症のためのもので保健担当者によって使えるものです。必要あればさらにテストで詳しく調べることになります。フィリッピン人にために作られたテストで有効性が高くなるように文化に配慮したものです」
Business Insight Malaya  APRIL 25, 2011 Want to prevent Alzheimer’s? Don’t forget ballroom dancing
訳注1:60歳~69歳の有病率9.68%は高すぎる。我が国では1%程度。本人か記者の間違いか。また認知症になりやすいハイリスクグループの定義が不明。
訳注2:断言してよいものではない。
訳注3:アリセプトはフィリッピンで高い。5mg1錠3ドル以下ではないはずだ。一人当たりのGDPは我が国の約10分の1。

「認知症サービスコーディネーター」の重要な役割(4月20日/イギリス)
地域に根差した認知症推進者、アバタウイ保健局Abertawe(英語:Swansea) Health Boardの管轄地域で、研修を受けたのちアルツハイマー病などの認知症の人と家族を支援します。
この地域にはおおよそ6000人の認知症の人がいますが、その多くは高齢者です。人が長生きするようになって、認知症の人はイギリス全体でも増えています。
新しい「認知症サービスコーディネーターDementia Service Coordinator」は、地域に在る8つの高齢者地域精神保健チームOlder Persons Community Mental Health Teamのそれぞれに5月から登場します。このコーディネーターは、認知症と診断がなされると直ちに本人や家族と接触し最期まで支援することになっています。
ジル・ラックエウエルJill Luckwell氏は、高齢者精神保健部Older People’s Mental Health ServiceのサービスマネージャーService Managerですが、次のように話しています。
「私たちの新しい認知症サービスコーディネーターの役割はとても重要です。認知症の人や家族を支援するだけでなく、認知症の人をよりよい状態にするための公的・私的な介護者を助けます。これは認知症の人が自分の家でできるだけ長く生活し自立を保とうとするものです。多くの家族にとっても重要なものとなるでしょう」
老年精神医学のコンサルタントのプラヴィール・プラサドPravir Prasad医師は次のように話しています。
「認知症は診断のなかで最悪の一つです。進行性に低下する病気であり多くの支援が必要です。常に、引き続き生きているなかで支援の方法を変えなえかければなりません。今回の新しい社会的投資は正しい方向のステップの一つです。地域の認知症サービスコーディネーターは、認知症の人と家族が的確なサービスを受けられるように支えるために利用されるものです。これはとても困難なときにこを認知症の人を支える有用な方法です」
NnewsWales  20 Apr 2011 More help for dementia patients and their families
編者:短い記事で認知症サービスコーディネーターについてよくわからないが、興味ある専門職だ。我が国の地域包括支援センターのスタッフもこうした役割があると思うが、認知症との診断されたらその結果が医療機関から伝わる仕組みは最初から違う。

「エディターズ、ロンドン・マラソンを完走」(4月20日/ BARKS)
エディターズのトム・スミス(Vo)とラッセル・リーチ(B)が、週末(4月17日)開催されたロンドン・マラソンに出場、42.195キロを完走した。
2人はチャリティーOxfamへの寄付金を募るために出場し、5,465ポンド(約74万円)集めたという。タイムは4時間15分だったらしい。
そして残念だったのが、あと一歩のところであきらめざるを得なかったカイザー・チーフスのリッキー・ウィルソン。ゴールまであと3キロというところで倒れて込んでしまい、医療スタッフの手当てを受けたという。
リッキー・ウィルソンは、バンド・メイトのニック・ホジソン(Dr)の父親が認知症と診断されたのを受け、認知症患者支援団体への寄付金集めを目的にマラソンへ出場した。
リッキー・ウィルソンはその後、「3時間20分後、24マイルのところで倒れてしまった。ものすごく残念だ! 週末前に終わらせてみせるよ」とツイートしている。
英国ではチャリティーを目的にマラソンへ出場する人が少なくない。あらかじめ、友人などに完走したら寄付金を出してくれるよう依頼しておき、チャレンジに挑む。(Ako Suzuki, London)
BARKS 2011年4月20日 原文のまま
編者:記事の認知症患者団体とはAlzheimer's Societyのことで、同協会は資金獲得活動としてマラソンが盛んだ(ページ参照)。

★「認知症の夫の首絞めて殺害した70代拘束」(4月20日/innolife.net)
京畿龍仁東部警察署は認知症の夫を殺害した疑いで70歳の妻を逮捕した。
妻は1月17日夕方6時頃、龍仁市の自宅で、77歳の夫が使用済みのおむつを顔に投げたため、瞬間的に頭に来て、夫の首を絞めて殺害した疑いだ。
警察は夫の死因が「首を絞めたことによる窒息死」という国立科学捜査研究院の解剖結果をうけて、これを土台に犯行一体の自白を受けた。
innolife.net 2011年4月20日 原文のまま
編者:介護殺人は認知症の人を介護する家族にとってどの国でも共通の課題だ。

新しいアルツハイマー病診断基準についての注意(4月19日/カナダ)
カナダアルツハイマー病協会Alzheimer Society of CanadaのCEOであるデビー・ベンツコフスキーDebbie Benczkowski氏(写真左上)は次のように話しています。
「医師が現在の診断基準で判定しているより10年前にアルツハイマー病と早期に警告できるようになった新しいアメリカの診断基準に従う前に、私たちはよく考えておくべきです。
より早期に診断が可能となったアメリカの診断基準は、決してアルツハイマー病にならない人までラベルを貼って偏見をもたらすことになるでしょう。症状が現れる前の診断しても必ずしも認知症にならないことを知っています」
新しい診断基準は、4月19日、アメリカ・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationの雑誌「Alzheimer’s and Dementia」に発表され、27年前の基準を更新しました。この間、アルツハイマー病の原因や進行についてのより深い理解が生まれ、現在、50万人のカナダ人がアルツハイマー病で影響を受けています。とりわけ、あきらかな認知機能障害が現れる10年以上も前から病気が始まっていることは知られており、脳画像検査や血液や脳脊髄液の生物指標を使って時間的な経過を把握できるというようになりました。
アメリカ国立加齢研究所U.S. National Institute on Agingのリチャード・ホデスRichard Hodes所長(写真左下)は、新しい基準を作成に関与しましたが、「アルツハイマー病の研究の進歩に合わせた新しい診断基準は、必要なものであり患者に利益をもたらし研究のペースをさらに速めることになる」と発表のなかで語っています。
しかし、ベンツコフスキー氏は、次にように見解を述べています。
「早期診断は、発病することが運命づけられている告げられた患者が一層心配することになるでしょう。この種の症状前診断は、治療法がないなかではもっと慎重に検討される必要がある倫理的問題があります。私たちが新しいカナダの基準を決める際に関わることになるカナダのアルツハイマー病協会は、世界でのアメリカの地位を考慮しますが、この問題については5月まで公にしないことにしています。協会は、研究者や利害関係者を含めた大きなグループでも賛成でもあり反対でもあることを公表することを決めました」
アルツハイマー病の従来の診断基準が1984年に発表されたとき、研究者はアルツハイマー病は経過はひとつであり、重度の記憶障害や性格の変化といった破滅的な認知機能障害によって発病が特徴づけられると考えていました。今日は神経を徐々に破壊する斑の形成に到る連続的な生理学的変化が起っていると考えられています。
この連続を有効に止める薬がないなかで、健康的な生活や食事がその変化を遅くすることはよく知られています。ベンツコフスキー氏は、早期診断によって運動、禁煙、よりよい食事を始めることを誰にも納得させるのに役立つことは認めています。
( thestar.com April 19, 2011 Caution urged over U.S. Alzheimer's guidelines)
編者:隣のカナダの妥当な批判だ。

新しいアルツハイマー病の診断基準(4月19日/アメリカ)
アルツハイマー病の診断基準が示されて27年になりますが、1984年以降、研究によってアルツハイマー病は認知症の状態になる10、20年まえから始まっていることがわかってきました。
アメリカ国立加齢研究所National Institute on Agingとアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationからなる診断基準作成委員会は、アルツハイマー病を次の3段階に分けました。
アルツハイマー病による認知症Dementia:アルツハイマー病の診断に不可欠だったより軽度の知的障害を含み、記憶障害は必須な状態ではありません。
アルツハイマー病による軽度認知障害Mild cognitive impairment:新しい概念で、記憶や思考の変化した状態をいいますが日常生活に支障をきたすほどものではありません。アルツハイマー病に進展することが強調されます。
症状のないアルツハイマー病Preclinical Alzheimer's disease:この新しい基準では、アルツハイマー病は症状を現れる前から始まっていとしていますが、現在のところ、この状態のアルツハイマー病を示すに十分なよい検査はありません。
ガリー・ケネディーGary Kennedy医師(写真)は、ニューヨークにあるモンテフィオーレ医療センターMontefiore Medical Centerでアルツハイマー病の治療する専門とする老年精神科医で、今回の委員会の委員ではありませんが次のように話しています。
「多分、最大の変化は、アルツハイマー病ではなく、アルツハイマー型認知症と診断することになることで、この認知症であるために記憶障害を必ずしも認める必要はないのです。認知症の基準が徐々に変化し、計画を立てる困難、環境の変化に適応できない問題、他人との社会的関わりを難しくする間違いがあれば、記憶が悪くなくてもアルツハイマー型認知症となるようです」
また新しい診断基準では、軽度認知障害を判定することが可能になり、それが悪化した症状をアルツハイマー病の初期状態としています。
軽度認知障害の診断基準は、本人、家族、友人、医師によって知的機能の変化があると認められることで、この知的機能とは記憶、論理的思考、問題解決、言語、視覚空間機能、注意機能のことです。さらに客観的証拠として通常は検査結果が、これらの知的機能の変化の一つ以上を認めることが加わります。しかし軽度認知障害の人は自立でき日常生活を営むことができます。そして認知症ではない状態です。
さらにケネディ医師は次のように話しています。
「軽度認知障害の軽度とは社会生活上の障害がないが、本人が問題の在る事は知っており、また家族や友人が気づいていることです。多くの軽度認知障害の人は問題があることについて否定するという問題はあります。新しい基準は改善が必要です。暫定的な診断とは言い難く最終的なもののようです。基準は生物指標を強調しており、軽度認知障害がいつか将来認知症になるという道標なのです」
生物指標は病気の進行を把握する検査です。たとえて言えば、心疾患を予測するためのコレステロールの検査があり、糖尿病を予測するための血糖の検査があり、これらと同じものです。しかしアルツハイマー病については生物指標が開発されてはきましたが、特別な場合を除き、臨床的に使える有用な検査はないことを委員会は強調しています。
いくつかのアルツハイマー病生物指標が研究されていますが、現在、二つの方法が熱心に開発されています。
脳脊髄液CSF検査:ベータアミロイドという蛋白はアルツハイマー病の初期に脳に蓄積され、その蛋白はCSFに移行します。このテストでは髄液を採取してこの蛋白の値を調べます。PET、SPECT,MRIの画像検査で脳内のベータアミロイドの蓄積、アルツハイマー病に特異的な脳の指標を把握することはできます
しかし新しい基準では、こうした検査のどれもが十分に有効ではなく、アルツハイマー病の人と正常の人との明確に区分する基準がないことが強調されています。
アルツハイマー病を治癒させる方法がないのに、なぜ早期把握が強調されるのでしょうか。
これについてケネディ医師は次のように説明しています。
「アルツハイマー病を早く把握すればするほど、できることが多くなります。10年前、アルツハイマー病に治療法はないと言っていました。それは現在、正しくはありません、糖尿病のように治していしまうことはできませんが、病気の進行を遅くしたり、この病気に関連する障害が出てくるのを遅くすることはできます。アルツハイマー病の人が食事や運動に積極的になり、別の病気の薬をのみ、知的な関わりを続けるように助言しています」
今回の新しい診断基準は、アルツハイマー病協会の雑誌「Alzheimer's & Dementia」の2011年4月19日号オンラインに掲載されています。
WebMD  April 19, 2011 New Alzheimer's Guidelines Stress Early Diagnosis
新診断基準の勧告(Alzheimer's & Dementia
Introduction to the recommendations(pdf250K)
The diagnosis of dementia due to Alzheimer’s disease(pdf280K)
The diagnosis of mild cognitive impairment due to Alzheimer’s disease(pdf320K)
The diagnosis of mild cognitive impairment due to Alzheimer’s disease(pdf810K0)
サイト内関連記事

アルツハイマー型認知症の診断基準作業部会の素案(2010年7月)

認知症およびアルツハイマー型認知症の診断基準案の概要
認知症の診断基準案
認知症は以下の認知機能と行動症状があることで診断される。
○仕事や通常の社会生活に影響をおよぼす
○機能や実行面で以前より低下している
○せん妄やその他の精神疾患によるもんではない
○認知障害は経過、情報、認知機能評価を組み合わせて行われる
○次の症状うち少なくとも2つを認める。
 ・新しい情報を得たり覚える機能が低下する
 ・理論的考察や複雑な仕事をこなすことが障害され判断が低下する
 ・視覚空間や能力が障害されている
 ・言語的機能が障害される
 ・性格の変化し自発性や独創性が障害される
アルツハイマー病型認知症の診断基準案
○いつとはなしに発症する
○明らかな認知機能の悪化が確認できる
○次の二つのうち一つで経過と検査によって認知機能の低下があきらかである。
 ・記憶障害がある場合:学習および最近記憶した情報の想起の障害がある
 ・記憶障害のない場合:言語障害、視覚障害、実行機能障害がある

関連情報:Are there hidden benefits to the new Alzheimer’s disease guidelines?
編者:アルツハイマー型認知症の診断に記憶障害が必須でなくなったのは大きな変化だ。広く認知機能の障害として規定される。今回の基準は昨年7月に原案が発表された。ところで臨床症状のない状態の基準まで設けようとするが、やはり今後開発されるアルツハイマー病薬を幅広く使いたい条件づくりをしたい製薬会社の思惑もあるようだ。今回の診断基準はやや煩雑であり、再来年に公表予定で現在作業が進められているアメリカ精神医学会の新診断基準―DSM-Ⅴ―に期待したい(サイト内記事)。

「メマンチンは軽度アルツハイマー病には無効、中等度に対してもエビデンスが不十分」(4月19日/健康美容EXPO)
アルツハイマー病の一般的な処方薬であるメマンチン塩酸塩(日本国内商品名;メマリ―)は、軽度のアルツハイマー病患者には無効である可能性が、新しい研究によって示された。
同薬は、Mini-Mental State Examination(MMSE)におけるスコア16以下の中等度および重度のアルツハイマー病患者に対する適応が米国食品医薬品局(FDA)により承認されているが、軽度アルツハイマー病患者にもオフラベル(適応外)で処方されることが多い。同薬はNMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗薬の1つで、脳細胞のNMDA受容体と結合することにより、過剰になると重要な神経細胞を死滅させる神経伝達物質であるグルタミンの活動を遮断し、脳活動の異常を軽減するが、他剤と同様、疾患の治癒や進行の抑止は望めない。
米南カリフォルニア大学(ロサンゼルス)ケックKeck医学部精神医学・神経学・老年医学教授のLon S. Schneider博士(写真左上)らは、メタ分析でメマンチン塩酸塩の軽度アルツハイマー病患者に対する有効性を検討。軽度アルツハイマー病患者計431例と中等度アルツハイマー病患者697例を含む3件の臨床試験を特定し、いくつかの測定法を用いて認知力や行動変化、正常に機能する能力を評価した。
各研究を個別に検討、または3件の研究データを統合して検討した場合に、同薬またはプラセボを服用した軽度アルツハイマー病患者における効果に有意差は認められなかった。中等度の患者では、個別の研究では同薬とプラセボ使用に有意差は認められなかったが、3件の研究を統計学的に統合すると、有意な効果が認められた。
Schneider氏らは、それでも中等度アルツハイマー病患者におけるメマンチン塩酸塩の有効性のエビデンス(科学的根拠)は“不十分(meager)”であり、早期アルツハイマー病における同薬の単剤使用または他剤併用での有効性をさらに検討する前向き研究が必要であるとしている。同氏は「メマンチン塩酸塩は有効であるが、より軽度のアルツハイマー病患者に対する使用は、おそらく有効性の面でより慎重になる必要がある」と述べている。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のGreg M. Cole氏(写真左下)は「メマンチン塩酸塩に良好な反応を示す患者もいるが、良好な反応を示す患者のサブセットが特定されるまでは平均的な反応(average response)で考える必要がある。残念ながら、今回の研究は軽度から中等度のアルツハイマー病では平均的な反応がそれほどよくないことを示している」と述べている。研究結果は、医学誌「Archives of Neurology(神経学)」オンライン版に4月11日掲載された。(HealthDay News 4月11日)
英語原文:Drug Memantine Ineffective for Mild Alzheimer's, Study Finds
健康美容EXPO  2011年4月19日 原文のまま
関連情報:原著論文Lack of Evidence for the Efficacy of Memantine in Mild Alzheimer Disease
編者:我が国で承認されたメマンチンも中程度から高度のアルツハイマー病と対象としてうるので、もともと軽度は適応ではないが、報告者は、中程度では有効ではあるが、その効果は少ないとしている。アルツハイマー病薬のひとつのメマンチンも有効性が曖昧な程度の薬と考えた方がよさそうだ。

★政府は忍び寄る認知症危機を認識(4月15日/ニュージーランド)
トニー・ライアルTony Ryall保健大臣(写真左上)は、4月13日のエッジコンサーンAged Concern  New Zealandの 会議の開会式で、認知症分野でニーズが増大し、それを支援する政府投資が必要であるとの認識を示しました。大臣は、認知症が増加して流行性疾患となってくるという忍び寄る危機を認めて、早期診断と心地よく安全にできるだけながく自らの生活環境のなかで生きることへの支援の重要性を確認しました。さらに大臣は「これを成し遂げるうえで大切なことのひとつは、在宅で認知症高齢者を介護している人たちをもよりよく支援することだ」と話しています。
ニュージーランド・アルツハイマー病協会Alzheimers New Zealandは認知症に関わる指導的団体ですが、在宅介護によりよい支援の必要性を大臣が認識していることを支持しています。
協会のジョハン・ヴォスJohan Vos全国事務局長(写真左中)は次のように話しています。
「『認知症の経済的影響報告書(2008年) Dementia Economic Impact Report (2008)』(pdf4.8M)」によると、認知症の人が高齢者施設に入るのを3カ月遅らせることで、6230万ドル(訳注)を政府が節約できます。高齢化社会に関わる適切な戦略の一環として、認知症の人を在宅で介護する人たちへのよりよい支援を擁護してきました。政府に、認知症分野に適切に資金が使われ、認知症の人ができるだけ長く在宅で生活することができるように認知症を国民の保健に関する優先課題とすることを要求しています。また認知症は、地域保健局District Health Boardでも保健の目標として取り扱われる必要があります」
認知症の破壊的な影響については、雑誌「リスナーListener」の特集として取り扱われてきましたが、その特集でケイト・クラークKate Clarkさんと夫のアル・モリソンAl Morrisonさん(写真左下)が、若年期認知症の問題について語っています。彼らは、認知症の多くの人ができるだけ長く自分の家に居たいという希望に言及しています。妻のクラークさんは、雑誌リスナーで自分にとって最も重要なことは、普通していることをすることができるということなのです。彼女が最も恐れるのは、馴染みのない場所に行くことです。
認知症国家戦略National Dementia Strategy(2010-2015)は、昨年の5月に国会で採択され、認知症の人と介護者へのよりよい支援のための明確な行動を確立しました。この権威ある文書は、認知症とともに生きるという日々の挑戦に立ち向かっている人々だけでなく認知症に関係した人たちの意見を交えて作られたものです。戦略は、早期診断や病気の管理を含などの分野に必要な投資すべきこと、最善の介護などの適切なサービス、および在宅介護者へのよりよい支援の重要性を確認しています。また戦略は、最善の活動を評価し、介護の質の基準を作ることを目的とし、最終的に、認知症の人の生活の条件と質とを向上させることにあります。認知症国家戦略は、認知症の社会経済的影響についての政府の認識および認知症を国家の保健優先課題とすることに左右されます。
協会にヴォス氏はさらに次のように話しています。
「在宅を基本とする介護と、これを支援するに必要な投資の重要性をライル大臣が認識していることは正しい方向へ進むための第1歩です。政府が関わる事柄を実現するためにニュージーランドアルツハイマー病協会は引き続き活動を続けます。このことは認知症の将来の影響に備え、国中の地域で既に起きている好ましい活動を支援します」
ニュージーランドアルツハイマー病協会発行の「認知症経済影響報告書2008年」によると、現在、認知症の人はニュージーランドに4万3000人以上いて、この数は20年ごとに2倍になると推測されています。認知症には治癒がありません。
アルツハイマー病について
認知症は、脳の器質的変化によって起こり、記憶、思考、行動、情緒に影響します。ニュージーランドには4万3000人以上が認知症です。アルツハイマー病は認知症の最も多いタイプです(50から70%)。2026年までに認知症の人は7万4821人、2050年までに14万6699人となるでしょう。人々が長生きするようになった高齢化社会によるこの数は劇的に増えています。認知症は若い年齢―50歳の例も―人にもあります。治癒がありません。
Scoop 15 April 2011 Government recognises looming dementia crisis
訳注:1ニュージーランドドル=約66円(2011/4/16)

「認知症カフェ」またひとつオープン(4月14日/イギリス)
5万ポンドの経費がかかる認知症カフェのネットワークが、イングランド中部の特別区boroughのサンドウエルSandwell にオープンし、ここに住む何千という認知症の人を支援します。
サンドウエル議会Sandwell Councilは、アコーソハウジング協会Accord Housing Associationなど地域の団体と共同で6つの町に認知症カフェを開設しました。
特別区には3200人の認知症の人がいますが、これは人口の1%を超えており、その数は増えると推測されています。
認知症は、記憶、言語、判断などの知的機能が低下した多様な状態の名称です。
2時間開いている溜まり場的なカフェは、さまざまな場所、いろいろな時間帯―夕方、週末など―に毎月オープンし、まとめ役も参加します。
議会の保健・高齢者安全監視委員会が、病院でないところで地域社会や自宅での高齢者介護が増える傾向を知ってから、認知症カフェの動きが始まったのです。
認知症の人とその介護者にインフォーマルな支援や助言あるいは他の人と会う機会を提供しようとするものです。
1997年にオランダの臨床心理学者によって始められた認知症カフェが、ここイギリスに広まっているのです。
監視委員会の議長のメアリ・グリフィンMary Griffin氏(写真左上)は、最近、ティプトンTiptonにあるスワローフィールズ(エクストラケア)Swallowfields (Extra Care) の認知症カフェを訪問しました。そこでは15人の人が利用しゲストスピーカーが年金や手当について話していました。
彼女は次のように話しています。
「サンドウエルで最初の認知症カフェにとても誇りに思います。これはアコードなどの団体が企画を実現するのに助けてくれたことに感謝申し上げます。カフェは、開いている時はいつでも自分が望むときに出かけ、リラックスした環境で仲間と一時を楽しみ、助言を受けたり活動に参加したりする機会を提供しています。可能なさまざまな方法で認知症の人を支えることが重要です。特にこうした形のケアは病院から離れてしまい、認知症の人たちの孤立や孤独の危険性が増しています。認知症の人を介護し、認知症の人からの肉体的あるいは言葉による虐待のようか特別な問題に直面している多くの称賛されない英雄たちを忘れることはできません」
アコードの保健福祉マネージャーのニコル・ビーチングNicole Beeching氏(写真左下)は次にように話しています。
「認知症のために差別され社会的に孤立している人が多くいます。彼らが訪れるこうしたカフェのようなものを作ることはとても重要です。どのカフェでも暖かく歓迎し、そこでは誰もが認知症についてよく知っているので、困惑したり恥ずかしがる必要はありません」
認知症は国の保健分野で優先されるべきもので、「認知症を持ちながら幸せに生きる'Living Well With Dementia'」をテーマとする国家戦略は保健省で2009年に作られました。
この企画に参加したその他の団体は、Sandwell Mind, Options for Life, the West Bromwich African Caribbean Resource Centre 、BUDSです。
Halesowen News 14th April 2011 Dementia cafes being launched in Sandwell
編者:我が国では藤本クリニックの認知症カフェが先駆的だ。
関連情報:国際アルツハイマー病協会ADIワルトマン事務局長に認知症カフェがオランダで始まったのは事実かと問い合わせたところ、以下の返事がありました。
アルツハイマーカフェは、オランダのライデンで、ある心理学者とオランダアルツハイマー病協会支部とで始まりました。現在、全国に約180か所で毎月開催され協会の50支部とボランティアで運営されています。集いは、認知症の人、介護家族、医療職、学生など誰でも参加でき、平均して50人が参加しています。この活動について多くの研究が行われており、ADIトロント国際会議でもワークショップがありました。参考資料:Alzheimer Cafes in the Netherlands-Growth, support and structure-(Marco Blom, director Research and Policy, Toronto, March 28, 2011)(ppt17.M)

アルツハイマー病に家族で立ち向かうラテン系アメリカ人(4月11日/アメリカ)
アルツハイマー病はラテン系アメリカ人の間では3倍多くなるので、サンフランシスコ湾地区のある家族は、この未知の病気の恐怖を克服しようとしています。
弟のマルコ・ガルシアMarco Garciaさん(38歳)と兄のオスカー・ガルシアOscar Garciaさん(44歳)(写真左上)は、数年前、2家族一緒にして高齢の両親と住むという稀な決断をした時、どのような問題が起こるか考えてもいませんでした。
父親のフェリッペ・ガルシアFelipe Garciaさん(79歳)(写真左中)のアルツハイマー病の状態が心配なほど進み、母親のマニュエラ・ガルシアManuela Garciaさん(写真左中)の糖尿病と心臓病にために身体機能が低下して自分だけで二人をみるのが難しくなりました。マルコさんは「正直に言って、簡単でもなければ楽しくもありませんでした」と語っています。オスカーさんは、「後悔するような人生を送りたくありません。私の両親と子供が一緒に暮らして思い出を作るチャンスにもなる」と話しています。フェリッペさんは、成人した子供と孫のため、彼のアステカ魂が誘発されて出来た芸術作品や彼が特別に焼いた山羊の匂いを含む記憶が形作られるかもしれません。
フェリップさんがアルツハイマー病と診断されてから、家族が食卓につくと自分たちの介護上の課題について最近よく話すようになりました。
多くのラテン系アメリカ人は、家族のなかにアルツハイマー病の人がいると恥ずかしい、怖いといった思いを経験するように、当初、ガルシアさんたちも父親の状態を秘密にしてていました。実際、彼らは親族や近隣の人たちの非難を感じていたのです。多くの親族や隣人たちは、アルツハイマー病を持って生きることの日々の難しさにの本当の姿に無知なのです。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationとカリフォルニア州保健社会福祉局California Department of Health and Human Servicesによると、アルツハイマー病は不治であり、2030年までにアメリカで新たに診断される人数は2倍になり、ラテン系アメリカ人やアジア人ではアルツハイマー病など認知症になる人は3倍になると推計されています。
報告書「カリフォルニア州アルツハイマー病計画:2011年―2021年行動計画“California’s State Plan For Alzheimer’s Disease: An Action Plan for 2011-2021”(pdf600K)(Summary pdf240K)」によると、もし州が多方面的な対応をしなければ、家族、地域医療体制、被雇用者の介護による生産性低下、予算などアルツハイマー病による問題に州の準備が不十分なのです。
この報告書によると、アルツハイマー病は脳を殺してしまう影響が目には見えないので、アルツハイマー病の人は必要な同情や介護が得られていません。さらに「アルツハイマー病に関しては高齢者の差別、認知機能障害の人への偏見、認識不足が混在しています。このことがアルツハイマー病の人とその家族への差別にもかかわってゆく」と報告しています。
その日すべてが変わった
ガルシア家の人たちは、8年前、フェリッペさんの診断に恐れと誤解で応じたことを認めています。マルコさんは、その日にすべてが変わったことを思い出します。その変化によって最終的には自分と兄のオスカーさんが近づけことになったのです。
隣人が、フェリッペさんが歩きまわり道に迷い混乱して、自分たちの家の車道に入ってくると言ってきたので、マウンテンヴューで警察官をしているマルコさんは、父親を医師に連れて行き、スペイン語と英語の通訳もしました。その日、フェリッペさんはアルツハイマー病と診断されたのです。
マルコさんは「少し動転しました。父が行方不明になるので部屋に鍵をかけてよいかどうかわかりませんでした」と話しています。
兄のオスカーさんは、現在、マウンテンヴュー商工会議所Mountain View Chamber of Commerceの会長兼CEOですが、既に父親が心臓発作とバイパス術で生き伸びているのを知っておりましたが、事は違っていました。
オスカーさんは「アルツハイマー病は発病してから死亡するまで3年から20年であり『ゆっくりした別れ』と私は呼んでいる」と話しています。彼はアルツハイマー病協会北カリフォルニア支部Northern California chapter of the Alzheimer’s Associationの理事でもあります。
最初、マルコさんの妻のエレナElenaさんは、フェリッペさんとマニュエルさんの毎日の薬をすすんで管理しました。マニュエルさんは、料理や家事の面でも混乱が多くなっていました。アルツハイマー病のフェリッペさんの介護とマニュエルさんの健康上の問題からくる欲求が多くなり、両親の賃貸住宅を売りに出すことにし、息子さんが6人のためのベットルームがある家屋―3世代にしては十分大きな家―を再建するように決定しました。
エレナさんは「他の人が理解するのは難しいと思います。責任と互いの援助が可能なように私たちが一緒に何をすべきか決めなければなりません」と話しています。
オスカーさんとマルコさんは、簡単に両親を介護施設に入居させられると考えていましたが、二人は反対のことをしたのです。
マルコスさんは「両親が長い間どれだけ多くの友人や親せきを持ってきたかを知って、親を片づけることは収監させるようなものだった」と話しています。
家族の秘密
ガルシア家は、現在は悔んでいる別の決定をしたのです。フィリッペさんのアルツハイマー病のことを秘密にしたのです。
オスカーさんは次のように話しています。
「ラテン系アメリカ人の社会ではアルツハイマー病についてのまだ多くの無知や誤解があると思います。当初、私たちの感じ方はショックであり恐れでした。ラテン系アメリカ人の家族は、しばしば、恐れを抱くようになるので、アルツハイマー病の診断されないまま長くほっておくこともあるのです」
またマルコさんは「みなは知らないことを恐れているのです。助言や支援を求めて親戚などにはっきりと話して頼むことができないのです」と話し、フェリッペさんに大声をあげ、家族を怒ったことがあると思い出しています。
ガルシア家は、各人の予定にあわせた介護―薬の管理、受診予約、子供の世話など―を分担しました。
ウークデーは、フィリップさんとマヌエルさんはアヴェニーダス高齢者センターAvenidas senior centerにあるデイケアセンターに午後の2時半まで居ます。信頼できる隣人に州の在宅支援サービス制度を利用して5時まで在宅で介護してもらい、その手当を支払っています。しかし、これら二つの制度は州の財政危機のために削減されました。
ガルシア家の家族は、マルコさん、エレナさん、息子のエサイEsaiさん(1歳)、娘のマリナMarinaさん(2歳)、前妻の娘のイヴェッテYvetteさん(17歳)です(写真左下)。オスカーさんは複雑な家族事情により離婚し、二人の10代の子供に会いにいってます。
マリナさんはいつもというわけではありませんが、スキンシップを祖父に求めますが、マルコさんは、「両親はそばに孫がいるのを喜んでいます。子供がいると、母はベッドから離れた居間で一緒に遊び、父は机の椅子に座って眺めています。このため二人を活発になっている」と話しています。
フェリップさんの芸術
2009年、ガルシア家に二つのことがありました。一つのアルツハイマー病について学んだこと、もう一つのフィリッペさんのことをオープンにするようにしたことです。
アルツハイマー病協会北カリフォルニア支部は、マンテンヴュー商工会議所に接触した商業界との繋がりをよくしました。ほぼ同時期に、アヴェニーダス高齢者センターは、フィリッペさんの絵画教室から作品を選んで支部の資金集めのため、年次記念大会でオークションにかけました。作品はアステカ風のモチーフで色鮮やかな抽象的絵柄でした。
息子さんの話では、父親は以前、ペンを持ったことはありませんが、このことを知ってとても誇りにしているのです。
マルコさんは次のように話しています。
「父の隠れた芸術的才能は若い頃の仕事―故郷のメキシコでの精肉業―に関連していると信じています。若い頃、カリフォルニアでフィリッペさんが皿洗いとして働いていましたが、自分の職能を忘れることはありませんでした。父はいつも決まった方法でステーキを作り、決まった方法で4分の1に切り、正確に決まった切り方で運ぶことにとてもこだわっていました」
フェリッペさんの料理技術は、最近、新しい意味をもちました。彼の2月の誕生日が近付く頃、マルコさんに肉職人でたった頃の話をしました。マルコさんが母親に父親が話しかけてくるがはっきりしないと言うと、母親はあなたに何かを話そうとしてるに違いないと教えていました。
フェリッペさんの誕生日に、マリコさんとオスカーさんは彼をギルロイにある食肉処理場に車で連れて行きましたが、そこで彼は山羊を拾い解体を助けました。
マルコさんは次にように話しています。
「父が車から降りてどこに居るのか知った時の表情を忘れることはできません。それ以外のことは関係ないようですが、彼にとって誕生日はとても幸せな日でした。私たちにとって素晴らしい思い出となるでしょう」
The Bay Citizen  April 11, 2011  Facing Alzheimer's as a Family

相談「マンションで一人暮らしの認知症の女性に管理委員会は何をすべきか」(4月10日/カナダ)
質問
私が住むマンションにある問題があります。一人暮らしの認知症の高齢者がいるのです。彼女の家族は問題について知り、母親を支援しようとしていますが、うまくいっていません。その婦人は素敵な人で身体的に活発なのですが適切でないことを頻繁に行っています。とても天気が悪い時に、相応しくない服装で出かけ、交通信号を無視して通りを横断し、マンションには受け容れがたい物を持ちこむのです。買いだめやコソ泥もして警察さたになることが多い。話し合いをしてもちょっとした暴力になってしまいます。彼女の個人的安全を心配し、率直に言って、マンションの火災も心配なのです。私たちはマンション管理委員会であって社会サービスを行うものではありません。限度をわきまえながら倫理的に何ができるでしょうか、教えてください。
回答
隣人であるその婦人は一人で暮らすべきではありません。訪問介護者がいる施設が必要です。そこでは出入りがチェックされ、食事が提供され、24時間監視で安全が保障されます。実際、まだ話し合っていませんが、話し合っても、なんら変化はないでしょう。彼女は自分の行動は不適切とは思っていないのです。彼女が頑固な理由は複雑です。何か悪いことをしているとは信じてはいないし、あなた方が「自分をいじめている」と思い込んでいるでしょう。
家族とマンションン管理委員会とが会うようにしましょう。家族は、自分たちのやり方では効果がないと言ってくるでしょうが、こうした状況に置かれた多くの家族は無力感を抱いています。母親が「自分はどうもない」と言い張り、家族が問題を指摘すると混乱します。家族は、適切でない行動を直接には見ていないかもしれません。認知症の人のなかには、ちょっと芝居をすることがあります。管理委員会は家族と会って問題を詳しく説明します。これは家族の母親への関心を高めるためであり、マンションの都合ではないことを確認しておきます。指摘しているように警察が関わるようなことがあれば、警察の地域相談担当者との話し合いに参加できるかどうか接触してみましょう。この場合、問題を重くするように担当者が征服で来ることはありません。
家族会議で話題にすべき社会資源は、地元にある地域ケアセンターCommunity Care Access Centre(CCAC)です。CCACの職員の仕事は、今回のケースのような状況に関わること、何をすべきかを評価すること、地域にある社会資源の紹介や推薦などです。
家族、警察、マンション関係者など誰でもCCACを利用できます。ただしCCACの職員は通常、ある人を強制的に施設に入居させることはできません。最終的に、誰か―家族望ましい―を納得させる必要があります。それがうまくいかないと、安全面の理由で入居させる必要があります。地元のCCACはグルール検索で見つけられ、職員はあなたの問題の解決のためにけてくれます。
人の自己決定という権利と社会の構成員の安全を守るという社会的制度や地域による制限との間に倫理的緊張関係があります。あなたの相談からすると、あなたは前者より後者を重視しているように思え、干渉ではないかと考えます。しかし、明日のToronto Starでその婦人が市街電車にひかれたというニュースを読むであろうよりは、干渉はベターです。
助言者:ケン・ガリンガー Ken Gallinger氏(写真)は倫理コラムニスト。
thestar.com  Apr 10 2011 Gallinger: A woman living alone in a condo has dementia. What should the condo board do?
編者:サイトで相談事例だが日本でも起こりうるので紹介した。カナダのCCACについては、以下の文献が参考になる。
国立社会保障・人口問題研究所発行「海外社会保障研究」162号No.162 2008年3月発行【特集:地域包括ケアシステムをめぐる国際的動向】和田耕治・鹿熊律子・川越雅弘「カナダ東部の地域包括ケアシステムの現状と課題」(pdf960K)

★お笑いは認知症の人に良い(4月10日/イギリス)
認知症ユニットDementia Unitで認知症の人の環境を改善することで薬を減らす効果が認められました。
認知症などの評価施設のギルライスGill Rise訳注)で地元のウルバーストーンで有名なコメディアンのスタン・ローレルStan Laurel氏とオリバー・ハーディOliver Hardy氏を描いた挿絵(写真左上)は認知症の人の会話や議論を促すに役立つ事項に含まれていました。また、見当識障害や興奮を減らすために、廊下やドアは明るい色で塗られています。
スターリング大学University of Stirlingの認知症研究者の勧めで、こうしたことが15床の認知症施設で実践され薬が減り全般的な幸福度を高める治療的環境に役立っています。
ギルライスは、数百万ポンドのプロジェクトの一環としてDane Garthに転居して、バロウユニットBarrow unitを精神保健向上センターに移行することになっています。このギルライスでの改善は新しい認知症ユニットのモデルとなるでしょう。
看護コンサルタントでプロジェクトチームの一員であるヴァレリー・ポロヴァンValerie Provan氏(写真左下)は次にように話しています。
「プロジェクトは初めから終わりまで素晴らし過程で、すべての人にとってとても多くのことを学ぶ機会になりました。チームではデザインについてスタッフ、認知症の人、家族のアイディアが組み込まれ、多くの課題が突き付けられながら、緊密に作業を勧めました。最初、学んだように、芸術によってすべての人のニーズや好みを満たすことはありませんが、交流を進めるためのテーマであり、成し遂げようとする目的でもありました。規則によって、施設内に私たちが希望したデザインのいくつかは削除せざるをえませんでしたが、私たちが成し遂げが新たにユニットに入る認知症の人たちに違ったものを提供することになるでしょう。私たちの次の挑戦は、バロウユニットで芸術をさらに確実に良いものとして学んだことを役立てることです」
North West Evening News 10 April 2011 Stan and Oliie’s laughter cure for dementia patients
訳注:ギルライスは、認知症など器質的精神疾患の患者の評価ユニットです。ガンブリアの南湖水地区のウルヴァーストンに在る20床の高齢者、器質疾患ユニットです。全県から入院が可能です。ユニットは、行動上の問題がある器質性精神疾患の認知症の人に多職種による評価を行うことを目的としています。ユニットには評価に基づいて多角的チームがいて、精神的問題をもつ人が自分自身の生活環境に住み続けることが困難な時の治療を行い、プライバシーと尊厳に配慮した安全で支持的環境のなかで個別的ケアを行い治療計画を立てます。最終的な目的は、その人の最大限の自立を再構築し、退院時には支援が行えるようにしています。
編者:記事だけでは理解できないことがあるが、認知症棟に笑いや芸術的要素を取り入れることで認知症の症状が改善される報告であろう。なお認知症評価ユニットは興味深い。スコットランドにあるスターリング大学のDementia Services Development Centreは認知症に関する先駆的なセンターと聞いている。

★「米国の専門医の半数以上がサプリを利用」(4月8日/健康メディア.com)
健康産業新聞(4月6日号)の「海外情報」の頁にこのような見出しの記事が紹介された。「東京ヘルスコレクション(6月7、8、9日)」を開催するに当たり、サプリメントのしっかりとした支持基盤を確立するには、米国のように、医師や看護師、薬剤師などの有資格者によるサプリメントの理解と利用の拡大が不可欠だというのが開催趣旨の一つだった。今回の調査でも、予想以上に多くの医療関係者がサプリを自ら利用し、且つ多くの患者にアドバイスしているという実態が、米国CRNの調査で判明し「Nutrition Journal」に紹介された。
これによると認知症専門医の75%は医師本人もサプリのユーザーで、66%の医師が患者にもサプリの利用を提案していた。循環器系専門医では57%がユーザーであり、75%の医師が患者に利用を提案、関節炎専門医では73%がユーザーで91%が患者に提案していたなどで、利用しているサプリも、マルチビタミンに限らずなど魚油サプリ、ボタニカルなど広がりを見せていることも明らかに。また、多くの専門医が継続利用しており、半数は利用歴が4~10年などで、長期に使用している状況も報告されている。米国での市場の確実な成長は、こうした医療関係者の理解に支えられていることも大きな要因で、我が国の医師会や薬剤師会の対応とは随分に異なる。
「東京ヘルスコレクション」は、6月の開催でWeb登録を再開したが、医療関係、介護関係、栄養関係、美容関係などの資格を持つ人々(栄養士、薬剤師、医師、サプリメントアドバイザーなどの方々)が入場登録、セミナー登録を進めてくれているが、これらの人々が、サプリメントを理解してくれる場所であり、多くのセミナー、学術発表などが用意されており、将来の健全な市場を形成するきっかけになればありがたいと考えている。今回の米国の調査は、そのことを教えてくれるデーターだともいえそうだ。
健康メディア.com 2011/4/ 6 原文のまま
関連情報:Use of dietary supplements by cardiologists, dermatologists and orthopedists: report of a survey(Nutrition Journal: 3 March 2011)
編者:現在のアルツハイマー病薬の効果が不確かなことも背景だろうか。サプリメントはさらに効果が不確かなはずだが。

安全な認知症介護が致命的に欠乏(4月7日/ニュージーランド)
ニュージーランド・南カンタベリー地区では安全な認知症介護が危機的に不足しており12人の認知症の人が地区外に移住されるか地区内で介護されています。南カンタベリ地区には42人分の認知症介護ベットドありますが、すべて満床で認知症の6は、地区から離れた安全なレストホームの認知症ユニットに移住させられベッドが空くまで6人は地域で介護を受けてきました。
南カンタベリー地区保健局South Canterbury District Health Board (SCDHB)の臨時事務局長のニゲル・トレイノーNigel Trainor氏は次のように話しています。
「地区外に移住させられた認知症の人は地区内に優先的に帰されます。現在、これに該当する人は6人です。地区外にいる認知症の人は認知症用ベッドが利用できれば最も優先的に帰ることができます。しかし選択肢があり、すべての認知症の人が必ずしも南カンタベリー地区に帰る必要はありません。クライストチャーチ地震によって南カンタベリー地区の認知症用ベッドの利用状況に影響が出ておりません。クライストチャーチではレストホームに居た約300人の同市の外に移住させられましたが、30人が南カンタベリー地区に移住するでしょう。地震のあと認知症介護が必要な人でクライストチャーチからチマルに移送された人はいません。全体としてニュージーランド南島では認知症用ベッドの利用状況は地震前とほとんど同じです」
南カンタベリーアルツハイマー病協会Alzheimers South Canterburyの地域連携担当のカレン・マッケンジーKaren McKenzie氏は、現状に心痛め、ベッドを待っているあいだに地区外に移された認知症の人と家族を支えてきた彼女は、次にように話しています。
「現在の役割を担ったこの3年間、何時も問題で、解決してはいません。もっとベッドが整えられた条件で地区外に認知症の人を移住させるかどうかは家族にまかせます。レストハウスに認知症ユニットを設けるニーズはあります。南カンタベリー地区で2か所、設置も目指しています。これは費用対効果の問題ではありません」
SCDHBの事務局長のクリス・フレミングChris Fleming氏(写真)は、全国の保健局の高齢者保健の指導的議長でもありますが、今回の問題はとても重要であると次のように述べています。
「高齢者施設ケアについての全国調査を昨年行いました。その結果、認知症介護が最優先課題であることが確認されました。すべての保健局ができるだけ身近なところで適切な介護が受けられることを希望しています」
The Timaru Herald 07/04/2011 ‘Critical' shortage of secure dementia care
編者:先のクライストチャーチ地震に関連した認知症介護の記事だ。ニュージーランドの高齢者福祉については「静岡福祉大学紀要 第3 号(2007 年1月)63「オーストラリア・ニュージーランド高齢者福祉比較」角谷 裕子(pdf55K)」が参考になる。

認知症の人の家族にとって追跡器機は支え(4月6日/アメリカ)
ジェームス・シールズJames Sealsさん(写真左)が腕に付けている小さいコンピューター(写真右)のおかげで、先週、テキサス州パールランドで、彼は家族と速やかに再開できました。またガン・ブ・キムGang Bu Kimさん(71歳)は、行方不明になって2日半後に脱水状態で発見され、キムさんの息子さんは父親の移動を追跡できる同じ器機を付けることを考えています。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、認知症の人の少なくとも60%の人が1回は徘徊をしています。追跡器機をもっていても幸い再会できる場合もあり、不幸な状態で発見されたり、行方不明のままということもあります。
セセリア・シールズCecelia Sealsさん(写真左)は、生まれたばかりの孫のために一週間ほどパールランドを訪れていましたが、その時、夫が散歩に出かけて20分しても帰宅しなかったのです。
セセリアさんは「夫は歩くのが好きで、よく歩いていました。歩くことでなにか自立しているという感覚を持っていたようです。ここでは少し混乱するようで、違った道で帰ろうとしたようです」と話しています。
ジェームスさんを探すために家族が出かけましたが、パールランドの警察から電話連絡があり居場所を教えてくれました。ジェームズさんが腕に付けているエムシーQ EmSeeQという器機が妻の携帯電話番号が登録されているコールセンターに繋がるようにしていました。
彼は21マイル(約34キロ)移動していましたので。
さらにセセリアさんは次のように話しています。
「警察の話によると夫は少し混乱して自分で居場所が分からなくなっていました。彼の名前と記憶障害あることを記入した医療用警報ブレスレットのほかに彼が誰であるか示すものは所持していませんでした。夫は自分で道がわからなくなったことは理解していました」セセリアさんは、3カ月前、カリフォルニアで夫が兄弟の家から出てしまった時、ロングビーチの警察から個人用追跡システムについて教えられていました。
1カ月前には、その器機のおかげで、夫がカルフォリニアのモレノヴァレーにある自宅から外出した時は10分か15分で夫の居場所を確認できました。
認知症の人の家族はGPSなどの器機を持った認知症の人を追跡することができます。このような器機は自閉症の子供や発達障害や神経疾患を持った人たちに販売されているものです。
キムさんの家族はリアルタイムで追跡できる器機を求め、息子さんでロングヴィユーに住んでいるジュン・キョン・キムJun Kyeong Kimさんは「私たちが防水性で地域限定でない器機を探しています。不幸にして、私たちがこうした器機を懸命に検討しなければならなくなった出来ごとがありました」と話しています。
キムさんは2月前、韓国で初期のアルツハイマー病と診断されました。高齢の父親と母親はサイパンから移りアメリカに永住しておりハリス郡の北西にある息子さの家で生活しています。英語がほとんど話せない父親は、木曜日の夕方に散歩に出かけ、結果的に日曜日の午前8時まえに居場所が確認できました。
ジュン・キョン・キムさんは「父はなにか落ち着かない様子でした。散歩が好きですがこんなに遠くへいった初めてのことです」と話しています。
キムさんは少し切り傷と打ち見がありましたが、月曜日の午後には家で安心して休んでいました。
アルツハイマー病協会ヒューストン・南東テキサス支部Houston and Southeast Texas chapter of the Alzheimer's Associationの家族支援担当のミッシェル・ソニーMichelle Sonnier氏は「本人確認用ブレスレットのように簡単な物でも警察が発見するのに助けになります。家族にこうした器機を使う計画を立てるように強く促しています。誰が徘徊するかわからないのです」と話しています。
2009年10月に、アルツハイマー病協会は、認知症の人に特別に工夫された地域的居場所確認システムであるカンファートゾーンComfort Zoneのような登録をさらに超えた幅広い選択ができる居場所確認方法を勧めています。
この制度では、家族がある地域あるいは「安心地域」を決め、認知症の人がその範囲を超えた場合に警報が鳴る仕組みになっています。付ける器機は、ポケットベルあるいは携帯電話に似ており、ウエブサイトかコールセンターで認知症の人の居場所がわかるようになっています。
セセリアさんの夫は追跡器機で2回とも安全に帰宅できましたが、セセリアさんはさらに警報システムを追加したものを使うことにしました。
現在、夫婦はパールランドに居るときは一緒に散歩しています。
CHRONICLE.com April 6, 2011 For dementia patients’ families, tracking devices prove a godsend

★認知症の人の裁判は可能か(4月3日/アメリカ
当局の話によると、ナーシングホームに住む72歳の認知症の人が同じ階に住む70歳の人の頭をドアに叩きつけて殺しましたが、容疑者に他殺の罪を問えるかどうかはっきりしません。レイ・ダンマイヤー・ジュニアRay Dunmyer Jr氏は過激な暴行の件で告訴され別の施設に移されています。
トルーパ・ケネス・ダービン州警察官は「ナーシングホームの二人の看護補助者がショウ氏が自分の流れ出た血の上に横たわっているおり、ダンマイヤー氏が重い木のドアに彼の頭をぶつけ、さらに一人の看護補助者の顔を叩き、もの一人の看護補助者の背中を殴ったダンマイヤー氏をやっと押さえられた」と話しています。
今月6日、カンブリア郡の検視官は、ショウ氏の死亡は他殺によるものと判定し、ドアに打ちつけられた頭部外傷による死亡としています。また打撲による全身の傷も認めています。
ダンマイヤー氏を訴追する場合の問題は。起訴に必要な能力に関するものです。何年もかけて裁判所は、起訴されるに要する能力を決める基準を改定してきました。ペンシルヴァニア州の裁判所は、精神能力に関する法的な要件を満たすかどうかを決める鑑定については、「正しいか過ちか」を知るための精神状態の基準ではなく、殺人を問われる人が自分が置かれている立場を理解する能力、あるいは弁護士の一緒になって論理的な弁護の能力であるとしています。
しかしこの基準は、最終的には、「刑事責任にいたる能力の欠落および弁護する刑事的責任の欠如」という規則が立法府によって法文化さています。
その規則では能力がないことについて次のように定義しています。
「犯罪責任があるとされるえる人が、実質的にその人についての記録の性質と目的を理解ができない,あるいは弁護を支援することができないときはいつでも、その無能力状態が続く限り、裁判が行われ有罪とされ刑が執行されるに必要な能力がないとみなされる状態」
ダンマイヤー氏は、自分に対する罪について理解することがほとんどできなく、また自らを弁護する能力も低下しているようです。州が告訴するなら裁判所、検察官、弁護士はその人が裁判を受ける能力についての鑑定を要請するでしょう。能力がないとみなされると、強制的治療が指示されることになります。
現在、この過程は一層複雑になり、個人の自由が刑法上失うことがありうる場合に関与することにもなります。この問題について質問があれば、経験ある刑事事件弁護士と接触することを勧めます。
US Politic Today 03 April 2011 Dementia Patient Mentally Competent to Stand Trial?)
編者:我が国での認知症の人の裁判事例をよく知らない。精神科医による精神鑑定で裁判能力があるかどうかを判定しているようだ。

★認知症は医療制度を壊す(4月2日/オーストラリア)
科学者は、21世紀の慢性疾患である認知症と戦うために研究費を4倍にすることを要請しています。認知症、そしてもっとも多い原因疾患であるアルツハイマー病に意義のある介入がなければオーストラリアの医療やケアの制度を壊してしまうと予測されています。
精神保健高齢大臣Mental Health and Aging Ministerのマーク・バトラーMark Butler氏は(写真左上)、認知症に関わる費用が現在の推計数より2倍になるだろうことは認識しています。多くの認知症の臨床医や擁護者らは、認知症によってオーストラリアは年間50億オーストラリアドル(訳者:為替はアメリカドルとほぼ同じ)の費用がかかっていると述べています。
しかし、最近、イギリスの主な報告書によると、認知症には多額の隠れた費用―無給の在宅介護など―が算出されています。こうした費用をオーストラリアで追加すると年間経費は2倍になる可能性があることも大臣は否定していません。
バトラー大臣は次のように述べています。
「オーストラリアはイギリスと同じようなシステムであり人口構成も似ており家族による経費も加えてイギリスのような国と比較できるでしょう。家族の経費が社会的に意味ある費用であることは認識しています」
認知症の増加は既に進んであおり、戦後のベビーブーマーが65歳以上になり始めた現在、認知症に関わる費用が休息に増えると専門家はみています。現在、オーストラリアでは約25万人が認知症であり、その数は今後20年で2倍になります。
オーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer's Australiaの常務理事のグレン・リースGlenn Rees氏(写真左中)は次のように述べています。
「認知症の人の増加は想像を超えています。人々が実際のところ社会的にも経済的にもオーストラリアにどのように影響を及ぼすかよく解しているとは思いません」
ニューサウスウエーズ(NSW)州の高齢者担当部署は、患者の75%は認知症か行動障害を伴うと推測しています。
NSW高齢者ケア協会NSW Association of Aged Careのチャールス・ウフフCharles Wurf氏(写真左下)は次のように述べています。
「社会制度は、虚弱で、高齢で、病めるオーストラリア人のためものとしてあります。オーストラリア人は長生きするようになり、制度はそれに対処できるようにされている以上に認知症がはるかに増えているのです」
オーストラリアで指導的な医師らはオーストラリアが認知症の増加に対処するように準備が出来ていないと話しています。
メルボルンにあるオースティンヘルスAustin Healthの高齢者ケア部長であるマイケル・ウッズワードMichael Woodward医師(写真右上)は次にように述べています。
「たとえて言えば地面に向かって急降下する飛行機で、酸素マスクがまだ落ちてこないし、準備すうように飛行機のアナウンスもまだしてない状態です。直面しているとてつもない悲劇に人々は気付いていないのです」
アルツハイマー病協会のリース氏は次ように述べています。
「オーストラリアでは認知症を正常な加齢の一部ととらえてきたようですが、これは改めなければなりません。認知症の最大の危険因子は加齢ですが、85歳でも4人に3人は認知症ではないのです。私たちは他の慢性疾患と同じように認知症を取り組むべき慢性疾患と見なければなりません」
NSWとビクトリア州の3人のトップクラスの研究者は、認知症研究の資金を大幅に増額することを求めてきました。
その一人はワードウッド医師、一人はオースチン病院Austin HospitalのPETスキャンセンターPET Scan Centreの核医学部長のクリス・ロウ氏Chris Rowe医師(写真右中)です。もう一人はNSW大学UNSWの老年精神科のヘンリー・ブロダティHenry Brodaty教授(写真右下)です。彼らは、連邦政府に年間1億ドルの研究資金を要望しています。現在、認知症研究の資金はその4分の1です。
これに対してバトラー大臣は次のように述べています。
「それは不可能です。現在利用できるお金は認知症研究のためだけものではありません。認知症への取り組みの程度と、がんや多発性硬化症などの研究分野での取り組みの程度を比較して疑問が残ります。後者についても研究資金が少ないとの議論があるのです」
ABC 4/2/2011 Dementia tipped to overwhelm health system
編者:紹介記事のようにオーストラリアで認知症研究の資金が少ない、認知症が医療制度を破壊しかねない重荷になるといった議論が少なくない。アメリカでも同様だ。なぜか日本ではこうした議論が全く起こらない。

★アジアに忍び寄る認知症の急増(3月/WHO)
認知症はアジアで急速に増えています。介護者―主に家族―へとても大きな負担となっています。ジェーン・パリーJane Parry氏(写真右下)とチュイ・ワイユアンCui Weiyuan氏は認知症がどのように認識され始めたかのレポートを紹介します。
イン・ジリアンYin Jiliangさん(73歳)(写真右上)は、妻のス・ジインSu Zhiyingさん(76歳)(写真右中)と労働の成果でゆったりした時である退職を楽しみにしていました。しかし、彼は、別のフルタイムの仕事―妻の介護―をしなければならなくなりました。スさんが2001年に認知症と診断されたのです。
インさんは次のように話しています。
「毎朝、6時に起き、したくを済ませ、妻を7時に起こします。まずトイレに連れて行きます。もはやひとりではトイレが使えません。自立してない妻の歯磨き、手洗い、散歩、食事の介助をします。食事のとき妻はとてもゆっくり食べます。1回に平均1時間かかります。食べている間に、すわったままうたた寝することもあります。毎日深夜3時半に妻を起こして排尿させます。そのあと私が眠れなくなることがあります。最も困っていることは充分に睡眠ができないことです」
幸いスさんは、愛する夫が世話をしてくれ、子供たち、家族、友人が同情して支えてくれます。また北京に住んでいると、夫婦は北京大学精神保健研究所Peking University’s Institute of Mental Healthの認知症ケア・研究センターDementia Care and Research Centreの特別なケアを受けることができます。
さらにインさんは次のように話しています。
「他の家族を知り、語り合い、経験を共有できることはよいことです。多くの家族は、介護している連れ合いがとても対応が難しいと不満を語っています。ある意味で、私は運がよいのでしょう。妻はほとんどトラブルを起こさないのです」
中国の人口は急速に高齢化しています。平均寿命は、1990年に68.4歳でしたが、2008年に73.8歳です。さらに、一人っ子政策によってさらに上昇し、次の10年間で大幅な人口学的移行が起こります。高齢者支援比率とは、65歳以上の人口と15歳から64歳までの人口との比のことですが、中国人口研究局China’s Population Research Bureauの推計では、2010年に1:9ですが、2050年までに1:3になります。また経済協力開発機構Organisation for Economic Co-operation and Development(OECD)のデータによると、中国の総人口における65歳以上の人口比は2005年の7.8%から2030年の16.3%になります。
中国で認知症が、人口の高齢化に伴う大きな問題となり、また現在の戦略を急増する要求に応えるため拡充しなければならないだろうとの認識はあります。しかし現在まで、認知症による負担がどの程度なのかの全国的な数値がありません。
中国アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease Chinese (ADC)の副会長兼副事務局長のフアリ・ワンHuali Wang医師(写真左1番)は次のように述べています。
「保健政策の重要項目に認知症を追加することは大きな課題ですが、過去10年間、あまり多くのことが実行されていません。協会は、認知症の研究と擁護する団体ですが、国が保健政策課題に認知症を追加することを働きかけています。アルツハイマー病は認知症の最も多い原因ですが、認知症になるいくつかの状態を総称する言葉としても使われることが多いのです。認知症ケアは、精神保健計画2002-2010 Mental Health Plan 2002-2010のなかで精神保健サービスの優先課題の一つでしたが、協会は、現在、この後の精神保健計画に認知症が入るように医療と共同して働きかけています。政府は、認知症による負担については認識していますが、私たちは全体的な状態を推計を得るための行動をとる必要があり、またメディアや政府への啓発活動ももっと必要です」
こうした公衆保健問題での中国の経験は、アジアの多くの国での経験の一つにすぎません。現在、認知症の人は、全世界で3500万人いますが、その58%は低所得および中所得の国々に住んでいます。この割合は2050年までに71%になると推測されています。国際アルツハイマー病協会Alzheimer Disease International (ADI)の研究によると、東アジアおよび南アジアでの認知症の増加率は次の20年間で2倍になり、ラテンアメリカでは134%~146%増、北アフリカと中東では125%増となると推計されています。
高所得国では、すでに認知症の費用負担の実感をすでに持っています。2010年、北アメリカと西ヨーロッパが全世界で認知症の推計経費6040億ドルの3分の2を占め、これは、ほぼ同額の私的な介護の間接的経費と医療や社会サービスの直接的経費を合わせたものです。これ以外の国々では、私的な介護者が負担を直接に担っており、医療と社会サービスの支援は進んでないか、無いに等しいのですが、忍び寄る認知症の急増については、まだ広く認識されていません。
アジア太平洋地域でみると、オーストラリア、日本、韓国にかぎり認知症負担に直接限定した公衆保健政策が策定されています。しかし、中国やインドはこの地域での認知症の数が最大の国とみなされており、中国とインドが同じようにこの問題について自覚しつつあります。
インドアルツハイマー病と関連疾患協会Alzheimer and Related Disorders Society of Indiaの全国代表であるジェイコブ・ロイJacob Roy医師(写真左2番)は次のように話しています。
「政府から支援が得られる条件のリストに認知症を含めることの必要性について役人に納得させるのにかなりの時間がかかりました。私たちの目標は、認知症を国家の保健優先課題をすることであり、1億人以上60歳以上の人がいて370万人が認知症であるという事実を考慮させることです」
ADIのマーク・ワルトマンMarc Wortmann常任理事(写真左3番)は次のように話しています。
「問題は、認知症がまだプライマリーケアの一部として含められていないことであり、含める必要があります。認知症の症状を示す高齢者を見つける作業は、通常、家族が担っています。これは特に、プライマリ医療が進んでいない国や、認知機能低下をスクリーニングで見つける仕組みが制度化されていない国々でみられます。世界のほとんどのところで、認知症の人が診断を受けていません。そして途上国の問題の一つはプライマリーケアの制度そのものもがまだ乏しいことです」
最近のWHOが、精神保健問題へ関心をもっと向けるように国々に働きかけるために行った企画である精神保健ギャップアクション制度mental health Gap Action Programme (mhGAP)があります
WHOのmhGAP介入ガイドは2010年の10月に発表されました。これは認知症を含む精神障害の分野で管理にあたる医療従事者が使うためのものです。簡単な手順とフローチャートがあり、診断と介護者も含め心理社会的介入の記述方法についてその過程の手引きを提供しています。この制度の導入は、エチオピア、ヨルダン、ナイジェリア、パナマ、シラレオーネなどの数カ国で始まりました。
WHOの精神と脳の障害の証拠・研究・行動部Evidence, Research and Action on Mental and Brain Disorders unit.の医系技官のタルン・ヂュアTarun Dua医師(写真左4番)は次のように話しています。
「低所得および中所得国々では専門職の数が充足するようすではありません。認知症ケアは、地域を拠点とする制度のなかで地域保健職やプライマリーケアの医師や看護師を巻き込む必要があります」
アルツハイマー病という用語は、1910年にエミル・クレペリンEmil Kraepelin(写真左5番)が彼の同僚のアロイス・アルツハイマーAlois Alzheimer(写真左6番)にちなんで新たに名付けられたものです。ドイツのフランクフルトにある州立精神病院の医師であったアルツハイマーは、アウグステ・デッテーAuguste Deter(写真左7番)という名前の51歳の女性について調べていました。彼女は認知障害と言語障害があり、幻覚や妄想の症状により被害妄想的で攻撃的な状態になりました。5年後、死亡した彼女の脳が調べられ顕著な萎縮と細胞内外に異常が認められました。
さらにワルトマン氏の次のように話しています。
「地球全体で認知症の広がりの規模には圧倒されますが、草の根レベルでの反応はひろく楽観主義的です。創造的な介入の試みが広がり発展しています。香港特別地区の子供たちは学校で自分たちの祖父母の認知症についての学習をしていますし。インドでは費用が安い在宅での介入し、地域で利用できる資源を使って認知症の人の家族を支援しています。私は楽観的ですが、これは私たちが考える以上に多くのことができているという事実に基づいています。人々によりよい質の生活をもたらす心理社会的介入を行うことができます。そして、製薬会社との十分なパイプもあり医学研究によって何かを発見することを想定しています。しかし、認知症政策を発展させるということについて、そのほとんどの行動がヨーロッパに限定されています。インドでの発展は有益でありますが、アジアでもっと多くのことをする必要があります。一般の人たちの啓発は進んでいますが、ほとんどの国の政府はそれを取り上げたり、制度化することを始めようとはしていないのです」
WHO Bulletin Volume 89, Number 3, March 2011 Looming dementia epidemic in Asia(pdf600K)

★アルツハイマー病に立ち向かうユタ州(3月28日/アメリカ)
2025年までに認知症と診断される人数の増加が全国的に最も高いと予測されるユタ州で、アルツハイマー病に立ち向かう計画を作成しなければらないと国と31州に仲間入りしました。
コットンウッズハイツ出の上院少数党幹事であるカレン・モーガンKaren Morgan氏(写真左上)は、アルツハイマー病に関連して急増する費用とその責任に州がどのように対処するかを検討する20人からなる特別委員会を立ち上げました。
モーガン氏は次にように話しています。
「これを医療危機と呼んできました。私がやるべきことが第1は一般の人たちの教育です。次にアルツハイマー病の発症を遅らせるために何をすべきことを明らかにすることです。私の母は昨年8月に亡くなりましたが、この病気に関連した会議にたままた参加した時はまだ初期でした。多くの情報を得、また地元のアルツハイマー病協会ユタ支部Alzheimer’s Association Utah Chapterとも接触しました。家族がアルツハイマー病になると、いやおうなしにこの病気について学びます」
新しい法律のもとで州の高齢成人サービス部Division of Aging and Adult Servicesの特別委員会が4月初めから開催され、少なくとも6回会議を持つことになるでしょう。委員会は高まるサービスや社会資源の必要性に応えた勧告を出すことになり、9月の州議会の立法暫定委員会に合わせた報告が準備されるでしょう。
この特別委員会の委員は、多くの事項を検討しなければなりません。
アルツハイマー病は、治癒することがない脳の進行疾患で記憶障害を起こし最終的に亡くなります。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの新しい報告書によると、現在、アルツハイマー病の人は全国で540万人いますが、ユタ州では3万2000人以上です。またアルツハイマー病など認知症の人の介護者は、ハチの巣州(ユタ州の愛称)に13万2000人以上います。かれらは2010年の1年間で、1億5100万時間の無給介護を提供し、その価値は18億ドルです。アルツハイマー病になる人は2050年までに1600万人と推計されています。さらに同報告書によると、1000万人のベビーブーマーがアルツハイマー病で死亡するか、この病気を合併した他の病気で亡くなると推計されています。それに要する費用は全国で20兆ドル費用と推計されています。
アルツハイマー病は診断される10年以上前から始まっていることがありますが、モーガン氏の母親は、稀な早く進むタイプのアルツハイマー病でした。モーガン氏は「発病すると崖から落ちたようになる人もいる」と話しています。
こうしたアルツハイマー病に関する危機状況に加え、アルツハイマー病協会ユタ支部のプログラム・擁護部長のニック・ズロNick Zullo氏(写真左中)は次のように話しています。
「現在、この病気の本当の原因が見つけられていないし、進行を遅らせる方法もないのです。新しいアルツハイマー病薬が承認されて既に9年近くたちます。また約1500万人のアメリカ人がアルツハイマー病と診断されないままできました。脳の変化があても記憶障害に気付かないのです」
ユタ大学アルツハイマー病ケア・画像・研究センターUniversity of Utah’s Center for Alzheimer’s Care, Imaging & Researchの所長で神経科教授のノーマン・フォスターNorman Foster氏(写真左下)は今月初めに専門家向けのセミナーで次のように指摘します。
「メディケアは多くの認知症ケアを給付対象としていません。デイケアセンターを利用して病気の進行を遅らせたり、ストレスで疲れ切った介護者に休息がとれることになり、個人払いによって長期的には家族や州の出費を守ることになるはずではあるが、多くのアルツハイマー病デイケアセンターに関心が薄く閉鎖されてきました」
またセミナーの参加者の一人は次のようにはなしています。
「多くのプラマリーケア医師はアルツハイマー病の人をどのように評価してよいか知りません。州のヘルプラインの相談件数の22%は、認知症ケアにもっと関心がある別の医師を見つけたいという人々からのものです」
アルツハイマー病協会ユタ支部の常任理事のジャック・ジェンクスJack Jenks氏は、シンポジウムで次のように話しました。
「ユタ州の家族はこの問題ついてより率直に話すようになってきました。協会はこの1年努めてアルツハイマー病に一人で立ち向かうべきではないことを理解してもらうように活動しました」
しかし、ソルトレイクヴァリーに住むレオナルト・ロムニーLeonard Romney氏は「私の経験からして不満のレベルはとても高い。偏見はひどいものです。誰もすすんで話そうとはしません」と話しています。
妻のキャサリーン氏が2009年にアルツハイマー病と診断されてから今回、初めて人前に出る決心をしました。しかし現在でも、アルツハイマー病の人や家族は自分たちの心配について、勇気を奮い立たせながら話しており、友人たちはとても用心深いのです。
キャサリーン・レオナルド氏は「そのことを人々に話すことで幸せになります。率直に語ることで恐怖が消えてしまうのです」と話しています。
The Salt Lake Tribune Mar 28, 2011 Utah to plan for Alzheimer’s disease onslaught
編者:ユタ州に特徴的な状況かどうかわからないが、アルツハイマー病についてまだ偏見、差別、誤解があり率直に語り合えない状況がアメリカにあることのは意外だ。また認知症向けのデイケアが成り立ちにくいのも理解しがたい。アメリカは研究面では世界のトップを行くが、社会教育はサービス面で遅れているのか。巨大組織のアルツハイマー病協会があるにも拘わらず。

★向精神薬は高齢者に危険(3月28日/カナダ)
ハーバード医学大学Harvard Medical Schoolのブライハム・ウーメンズ病院Brigham and Women's Hospitalの医学部Department of Medicineの薬物疫学・薬物経済科Division of Pharmacoepidemiology and Pharmacoeconomicsのクリスタ・ヒュブレヒツKrista F. Huybrechts氏(写真)らの研究グループは、高齢者とくに認知症高齢者の行動症状の管理するために向精神薬が多く使われていることに関連して、ナーシングホームでのいくつか異なる向精神薬の相対的な安全性について調べました。
1996年から2006年まで期間、カナダのブリティシュコロンビアのナーシングホームに入居し向精神薬を服用していた65歳以上の高齢者(平均年齢約84歳)を調査対象としました。薬投与後の180日内の死亡や入院など医療状態について比較しました。この間ナーシングホームに入居した人は1万900人ですが、このうち非定形抗精神病薬が1942人に、定形型抗精神病薬が1902人に、抗うつ剤が2169人に、抗不安剤のベンゾジアゼピンが4887人に投与されていました。
異なる向精神薬を服用した高齢者を比較したところ、非定型抗精神病薬の服用者に対して、死亡危険度が定形型抗精神病薬の服用者で1.47倍高く、抗うつ剤の服用者で1.20倍高く、また大腿骨骨折危険度はそれぞれ1.61倍、1.29倍高いことを認めました。同様に非定型抗精神病薬服用者に対してベンゾジアゼピンの服用者は死亡危険度が1.28倍、心不全が1.54倍、肺炎が0.85倍高いことを認めました。
この結果から、非定型抗精神病薬と服用している人とくらべ、定形型抗精神病薬、抗うつ剤、ベンゾジアゼピンの服用者は、死亡、大腿骨骨折の発症危険性が高いことが認められました。
この論文は、カナダ医師会雑誌Journal of Canadian Medical Association電子版の2011年3月28日号に掲載されました。
非定型抗精神病薬についてはアメリカのFDAの同様にカナダのヘルスカナダHealth Canadaは、脳血管障害や一過性脳虚血発作の危険性が高まると警告していますが、これについてヒュブレヒツ氏らは「定形型も非定型も抗精神病薬が死亡を高めるため、これに代わるものとしての向精神薬が高齢者の行動症状を管理するために処方されています」と述べています。こうしたなかで2000年から2006年と1996年から2000年の期間で比較すると、定形型抗精神病薬の処方事例のうち3分の2は1990年代初めに始まり、非定型抗精神病の処方事例の4分3は2000年以降です。抗うつ剤の処方は調査期間中に変化がありませんが、ベンゾジアゼピンの処方事例の55%は調査期間の前半のあたる時期に処方されています。死亡例については、非定型抗精神病薬を処方された181人が、追跡期間中に664.3人年の頻度で死亡していましたが、これは1人1年あたり27.3人が死亡したことになります。
ヒュブレヒツ氏らは、今回の調査結果の解釈について注意が必要であると、次のように述べています。
「調査が、対象者を追跡してゆく前向きのものではなく、過去の事例を調べる後ろ向きの調査でること、また集団の特性を考慮した比較調査ではなく、ナーシングホーム入居者という集団について調べてた調査であること、死亡以外の状態を確認するのに必ずしも正確ではないこと、処方された薬が服用されたかどうか確かではないこと、同じ薬を服用していたとしても服薬量については考慮してないことなどのため、調査結果の解釈には制限があり注意が必要です」
MedPage Today March 28, 2011 Some Psychotropics Risky in Older Patientsおよび論文Risk of death and hospital admission for major medical events after initiation of psychotropic medications in older adults admitted to nursing homesより)
訳注:非定型抗精神病薬はリスパダーなど、定形型抗精神病薬はハロペリドールなどである。
編者:この結果だけみると非定型抗精神病薬が安全な薬のような印象を受けるが、向精神薬のいずれも高齢者にとって死亡事例もふくめ安全ではないと理解した方がよいだろう。あるいは行動症状で向精神薬でコントロールしなければならないような高齢者は既に死亡や転倒などを併発しやすいのかもしれない。編者は向精神薬に過度な期待は持つべきではないが、少量で試み的に使ってもよいと考えている。

75歳で認知症チェックを勧める(3月28日/イギリス)
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyは、国民保健サービスNHSが住民が75歳になると認知症の有無をチェックすべきであると勧めています。
協会によると、認知症の人の半数以下の人しか診断を受けておらず、必要なケアや支援が受けられないでいます。
イギリス国民スクリーニング委員会UK National Screening Committeeは、NHSに認知症に関する検査と治療の改善が必要であると指摘しています。
またイギリス医師会British Medical Associationは、チェックをすることで認知症の人がサービスを受けるまでに時間がこれまでより短くなるとみています。
アルツハイマー病協会は、イギリスには約75万人の認知症の人がいて、その数は2021年までに100万人になると推計し、支援が必要とする人たちを把握することが最も基本的なこととみなしています。
アルツハイマー病協会の研究部長であるクリーヴ・バアラードClive Ballard教授(写真左上)は、以下のとおり述べています。
「診断が適切な治療、支援、介護に繋がる基本です。実際、認知症であることを確認することを改めるために効果的なスクリーニングが必要であり、認知症が増える75歳以上に時期に行われるのに相応しいだろう。一般医GPの診療所で認知機能テストが実施されることを提案しています。このテストは、月日、場所、記憶、理解に関するものです。テストには家族や介護者から情報を補うこともできます。認知症が疑われると、さらに詳しい臨床的評価のために専門医に紹介されるでしょう。認知症と診断されると、薬物療法や認知機能の低下を遅くするためのライフスタイルの改善、さらに将来計画を立てることなどが可能となります」
南ロンドンの一般医のシャバーナ・ショーダリーShabana Chaudhari氏(写真左中)は次のように述べています。
「私の場合、既に認知機能テストを行っていますが、認知症のスクリーニングには特別な問題があります。テストをする理由を説明しなければなりません。またなんらかの障害がある場合、その人が検査の結果を知りたいのかどうかも聞いておかなければなりません。知りたくない人もいるのです。さらに家族や友人がその結果について知りたいのかもその人に聞いておかなければなりません」
イギリス医師会のローレンス・バックマンLaurence Buckman氏(写真左下)は次のように述べています。
「認知症スクリーニングは意義があり、多くのGPはすすんで実施するでしょう。しかしそのための時間を見いだすのが簡単ではありません。検査には1時間ほどかかります。この時間があると5人の患者の診察ができます。イギリスの経済事情からして、NHSに莫大な能率性が求められており、認知症の活動以外に有益な活動と競合し、患者や公的立場からどのサービスが優先されるべきかの議論が必要です」
認知症のスクリーニングに導入については、国民スクリーニング委員会が2009年までに検討して大臣とNHSに助言しています。
その委員会の委員長であるアン・マッキーAnne Mackie医師は次のように述べています。
「初回のチェックが十分に信頼できるものではありせん。認知症が見逃され、他方で不正確に認知症らしいと告げられ、結果的に不必要な不安をもたらす恐れがあることが心配です。しばらくは、スクリーニングの費用を、研究、よりよい治療法の開発、介護者への支援に使われた方がよいと提言したい」
BBC 28 March 2011 Dementia checks at 75 urged by Alzheimer's Society
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編者:認知症スクリーニングについては賛否両論ある。早期発見によるメリットはあるが、見落としが少なく把握率が高いスクリーニング検査がまだない。このためスクリーニングによる見落しおよび間違って認知症と判定するとによるデメリットもある。また検査結果をどう告げるかの課題もある。紹介記事のとおりイギリスでは議論されているが、我が国では議論があまり起こっていないようだ。しかもスクリーニングの有効性、メリット・デメリットの検討なしに、いくつかの市町村で通常の健診のなかで実施されている。

★認知症:アメリカを壊すかもしれない静かな危機(3月24日/アメリカ)
私たちは、認知症になって自分の心がゆっくり衰えてゆかないことを望んでいます。しかし、その勝ち目は期待するよりはもっと悪いのです。実際のところ80歳代までに生きていると脳が自滅する可能性はその世代40%ほどで起こるのです。認知症になるチャンスは年を重ねるとともに間違いなく増えます。
65歳以上の人たちのおおよそ13%の人は、既に認知症の原因として最も多いアルツハイマー病になっています。ベビーブーマーたちが年を取るにしたがい、認知症になる人の数は天文学的数値として増加するでしょう。
この前例のなり到来は、個人、家族、医療制度、財政に大きな負担となると恐れられています。数年前、私たちはHIVとAIDSに対して大規模研究を支援するキャンペーンを行って治療や予防の戦略をうまく作り上げました。もし、認知症による迫りくる災難を避けようとするなら同じ方法で研究資金を増やさなければなりません。
エイズの流行が最も多かった時に60万人から90万人のアメリカ人がこの病気に罹患していました。現在、540万人以上のアメリカ人がアルツハイマー病であることはわかっています。尤も、認知症の多くの人が診断を受けてはいません。またアルツハイマー病はアメリカ人の死因の第6位です。
多くの人は、「認知症の人自身は自分たちに何が起きているのか知らない」ので、認知症は恵みのある体験であると信じています。真実は、こうしたものではありません。神経退行性疾患は人間の心を破壊します。はるか昔のことは別にして、昨日のことは消え失せ、恐怖という監獄に隔絶された生活を送るのです。記憶をなくして道に迷い、自分が誰であるかわからなくなります。ゆっくりと、なされるままの状態になります。
認知症になって救い難い安心できない不満の多い世界に連れて行かれ、そこでは物事を自分で確認できなくなるので最も簡単なこともできにくくなります。アルツハイマー病であり著書もあるトーマス・デバジオThomas DeBaggio氏(写真左上)(訳注)は「ゆっくりと苦悶する死の病であり、頭のなかでは秘密の拷問が行われる」と書いています。
アルツハイマー病は最終的に、沈黙に陥り介護者へ依存します。介護する人の都合と時間で合わせ、おむつ交換も食事も入浴もゆだねることになります。怯えている認知症の人は子供のように扱われることが多いのです。偏見が待たれるこの退化した状態のため、認知症の人は日々、屈辱を受けやすいのです。
誰もこの耐え忍ぶ病気になることはありませんが、悲しいことに、80歳以上まで生きている人たちの40%は耐え忍ばなければならないのです。
沈黙と依存に陥りにしたがい認知症の人に責任を持つのは介護者であり、若い中年の家族なのです。認知症の人が亡くなるまで自分の生命と生活を犠牲にすることになるでしょう。雑誌「老年学者The Gerontologist」に掲載された2006年の研究によると、介護者の72%は認知症の人が亡くなって安堵を感じています。アルツハイマー病の初期、家族は毎週21時間の無報酬の介護を行っています。最期になると1日24時間の介護が必要となり、家族は勤務時間を減らしたり無給の休暇を取ったり、あるいは仕事を辞めることが強いられます。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによると、2011年、アメリカの認知症の人への医療費は1830億ドルを超え、家族などによる無報酬の介護の費用は2010億ドル、合計して3850億ドルかかると推計しています。
効果的な治療法や予防法がないと、2050年までにアメリカの認知症の人は3倍の1600万人になり、介護に要する費用は年間1兆1000億ドル近くになると推計されていますが、この額は現在のメディケア予算の2倍以上です。
アメリカ国立保健研究所National Institutes of Healthは、年間、がんの研究に60億ドル、心疾患の研究に40億ドル、HIV/AIDSの研究に30億ドルを使っていますが、アルツハイマー病の研究にはわずか4億8000万ドルなのです。カリフォルニア大学サンフランシスコ校University of California-San Franciscoのブルース・ミラーBruce Miller教授(写真左中)やコロンビア大学Columbia Universityのオッタヴィオ・アランシオOttavio Arancio教授(写真左下)など指導的な研究者によると、この額が次の10年間で毎年10億ドル増額するならば認知症の多くの原因疾患の医療、予防、治癒の方法を開発するのに十分だろとしています。しかし研究費が増えてからといって、なからずしも成果が出るわけではありませんが、かなり少ない資金による研究では明らかに成果をあげる妨げになるでしょう。成果が遅れることによって、毎年、治療と介護に数千万ドルが費やされてしまいます。
医療費の爆発的な増加は、国の健全財政にとって単一として最大の脅威です。しかしこの時期に予算の獲得はきわめて困難であり、退行性神経疾患の治療と予防の方法を発見するに充分な資源がただちに確保できないならベビーブーマーが納税者にとっても家族にとって極めて重い負担となるでしょう。財政面で若者を壊滅させ若者自身も壊されるでしょう。
必要な事は急を要し、残された時間が少ないのです。
寄稿者のルース・ベッテルハイムRuth Bettelheim氏(写真右)は心理療法士でりコラムニストです。
(the huffington post March 24, 2011 Dementia: A Silent Crisis That May Bankrupt America)
訳注:Losing My Mind(訳本:アルツハイマー病と戦う)、When It Gets Darkなどの著書あり。
編者:新しい情報や視点はないがアメリカの現状を簡潔に言い表しているので紹介した。認知症ケアに莫大な金がかかる。これを防ぐには治療と予防の確立だとする論評はアメリカに多い。治療や予防は認知症対策の最重要課題であるがそのほかにやることは多いはずだ。アルツハイマー病の研究費が少ないとの指摘も多いが、がん、心疾患、エイズの研究者も既得権を簡単には手放さないだろうから、アルツハイマー病研究費がすぐには増えはしないだろうし、それ以上に困難な課題は研究の方向性が定まっていいことだと思う。

安楽死について議論(3月21日/オーストラリア)
合法的な安楽死Euthanasiaについての議論が―反対であろうとなかろうと―がとても活発です。
オーストラリア・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Australiaが進めた「ファイザー保健レポートPfizer Health Report」(pdf2.6M)の調査結果によると、オーストラリア人の42%は終末的状態になると安楽死が行えるようにすべきとしています。
アルツハイマー協会のCEOのグレン・リースGlenn Rees氏(写真)は次のように述べています。
「安楽死に賛成の人が統計的に高いことは事実ですが、多くの人は実際には選択肢の一つとして希望しているのです。オーストラリア人の42%は高いとは思いません。今回の調査で人生の最期にいくつかの選択を望んでいると思っています。
現行の法律内で選択できる方法をとるか、安楽死が合法化すればそれを選ぶかは別問題です。安楽死も問題は、アルツハイマー病協会にとって初めてのことで、協会がこの問題について一般人に問うのは初めてです。『多くの人はなぜ、今なのか』と問うかもしれませんが、すでにこの問題で議論が始まっているからです。
この問題を避けるなら認知症の人にそのことについて知らせないことになるでしょう。私は安楽死に賛成でも反対でもない立場をとってはいません。私たちが議論に参加して、認知症の人が自分自身で選択を決めることができるようにしたいのです。
こうした問題は極めて個人的なことであり、治療拒否も含め現行の法律を超えた選択を私たちが持つべきかどうかの議論が必要です。安楽死という選択は、終末期における決定の幅広い課題の一部です。
今回、2500人のオーストラリアの成人を対象に行った認知症に関連した調査の26項目に安楽死の質問が含まれています。その質問とは、後2,3週間しか生きられないほど終末期の状態になったときに、どのような医療の選択をするかというものです。
おおよそ55%の人は、ケア事前意思表示advance care directivesによって自分たちに最も相応しいケアの選択を決めることに賛成すると回答しています。53%の人は、たとえいずれは死ぬとしても、すべての治療を拒否できるという選択に賛成しています。9%の人は、たとえ人工栄養や水分の補給などによる医療を受けながらできるだけ長く生きることを望んでいます。
オーストラリア人の49%が、将来、何かのことで自ら決定出来なくなった場合にそなえ何かの行動をとることはなかったことも調査で明らかになりました。逆に行動をとった人たちの42%は遺言を作成しています。今回の調査で明らかになった重要なことは、明確な行動を取っていない人たちの調整をどう進めるか容易ではないということです。人はなんらかの選択を望んでいたとしても、大多数の人は決定能力がなくなるかもしれない場合の準備のための行動をまったくとっていないのです。
認知症については、事前意思表示advance directiveを作成するのに余りに遅く決定する余裕はありません。相応しい方法で議論について知らせておくべきです。もし援助できれば、私たちは擁護団体としてそれをすべきです」
アルツハイマー病協会はこの課題についてさらに議論を深めるために、5月に認知症に関する討論資料の提供します。5月17日から20日までのオーストラリアアルツハイマー病協会全国会議Alzheimer’s Australia Conferenceのワークショップで議論されることになっています。
さらにリース氏は次のように述べています。
「間違いなく、安楽死に関係した課題は一般の人より認知症の人にとってより複雑なものです。たとえば、認知症の人が事前指示を書いており、もはや能力が無くなったときに、法的に指名された人は認知症の人の意思がとても明確でなければ自らいやいや決定することになるでしょう。
もし認知症の人が事前意思表示をしていなければ、その人が何を望んでいるか知る術はないでしょう。言い換えると、認知症の人が自分のために決定したいと思うことについて人々はあまりに知らなさすぎると感じるでしょう。
こうしたことが討議資料に載っているいくつかの検討課題なのです」
Australianageingagenda  21/03/2011  Euthanasia: The debate is happening!)
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編者:オーストラリアのアルツハイマー病協会は認知症の人の終末期の意思決定に安楽死を含めて議論を始める。オランダなどでは認知症が安楽死の条件として合法化されているが、他の国―日本も含め―で議論は知らない。

認知症の人を介護する人は1500万人、33%にうつ症状(3月/アメリカ)
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer’s Associationは、今年3月に2011年版報告書「アルツハイマー病の事実と数値 2011 Alzheimer’s Disease Facts and Figures.(pdf1.1M)」を発表しました。
その主な内容は以下のとおりです。
無給の介護者とストレス
アメリカにはアルツハイマー病などの認知症の人を介護する1500万人近い人が、2020億ドルに値する170億時間の無給の介護を提供しています。介護者は、精神的にも身体的にも病んでいます。介護の代償として自分自身の健康のために認知症の人の介護者は、2010年に医療に79億ドルを使っています。また介護家族の60%以上は長期におよぶ介護のためにストレスが強く、33%の介護家族にうつ症状があります。
アルツハイマー病による死亡
アルツハイマー病は、アメリカ人の死因の第6位で。上位10位のなかで予防も治療も進行を遅らせることもできない唯一の疾患です。2000年から2008年までの死因統計によると、心疾患やがんなどの主要な死因は減少しているのにアルツハイマー病は死因として66%増加しています。
Alzheimer’s Association 2011年3月 原文のまま

編者:この報告は毎年、発行されている。2010年版はこちら

高齢者の専門的救急医療に取り組む病院(3月14日/アメリカ)
多くの病院は、小児専門の救急治療室(ER)も運営していますが、混乱や喧騒がなく少し快適な高齢者のために特別なERを始める病院が増えています。
これはまだ始まったばかりの動きで急速に高齢化する社会のなかで一層増えることが期待されています。しかしそうした施設が本当に医療の改善につながるかどうかの問題はあります。
アメリカ救急医師会American College of Emergency Physiciansの高齢者医療部門の議長であるダヴィッド・ジョンDavid John医師は次のように述べています。
「高齢者は、たんにしわの多い大人ではありません。まったく異なったニーズがあります。現代のERは、ピストルや車による外傷などの危機状態に対処できるように整備されていますが、高齢者に多い複数の病気を時間をかけて調べるためのものではありません」
高齢患者は、若い人と同じ症状を持っていないかもしれません。心臓発作に伴う胸痛を訴えないことも少なくありません。かわりに、めまいや嘔気といった漠然とした症状を示すのです。尿路感染症でも、認知症と間違うような混乱を示すことがあります。
今年の1月に発表された研究によると、多くの高齢患者にとってせん妄や認知症を「見えない危険」と呼ばれています。ERであまりはっきりはしない認知機能の問題を、通常チェックすることがないからです。こうした患者は、正確に症状を告げることができず自宅で何があったかも理解できないことがあります。
高齢者は、毎年、1700万人がERに運ばれ、2030年までにアメリカ人の5人に1人が65歳以上になります。
ニュージャージー州のパターソンにあるセントジョゼフ地域医療センターSt. Joseph's Regional Medical Centerの救急医療部長のマーク・ローゼンバーグMark Rosenberg医師は次のように述べています。
「2年前、14ベッドの高齢者集中治療センターを開設し、この秋にはさらにセンターを拡大する計画です。センターは慌ただしいところですが、病気の救急部門の状況から比べると混乱は少ない」
高齢者ERの背後となる考え方は、高齢患者のチーム医療は少し穏やかなところで高齢者も診ることで、彼らが運ばれる原因を治すというだけでなく、元からある問題―うつ状態から認知症まで―を明らかにするためでもあります。
ローゼンバーグ医師は、センターからの退院した高齢者の状態を把握するために、退院後の電話で把握するようにしてから高齢者の再入院件数はおおいに減少したとの報告しています。
公的な数字はありませんが、2008年のメリーランド州のシルヴァースプリングにある聖十字架病院Holy Cross Hospital以降、全国で少なくとも12か所の自称している「高齢者ER」が開設されています。ミシガン州のノヴィにあるカトリック系の医療グループのトリニティヘルスTrinity Health でも開設されています。こうしたERは、今年の後半にアイオワ州に2か所、その他の州でも開設を予定しています。
ERはどのように運営されているかというと、まず高齢者は、通常のERに入りますが、そこでは重症度判定看護師(triage nurses)が生命に関わる状態であるかどうかを判定します。患者は、従来のなにもかもそろっているERにそのままいることもあり、高齢者向けのERを選択することもできます。
ミシガン州のリヴォニアにあるトリニティヘルスのセントメアリーマーシー病院St. Mary Mercy Hospitalの高齢者ERの室長しているナースプラクチショナーのnurse practitionerであるミッシェル・モッシアMichelle Moccia看護師(写真)は「とても保護的な環境だ」と話しています。カーテンではなくドアで仕切られたベッドがあり、不安、混乱、コミュニケーション低下の原因となる騒音を少なくできます。看護師は、小型の拡声器をヘッドホーンに接続した「ポケットトーカーpocket talkers」を持ち歩き、聴力低下のある高齢者に大声で話す必要がなくなります。マットレスは厚く、仰向けになる必要のない患者には、柔らかいリクライニングの椅子を使うことができます。
さらにモッシア看護師は次のように話しています。
「立てる人はもっと気分がよいでしょう。滑り止めした床は転倒を防ぎます。書類は大きな活字で印刷され、患者が自宅に帰るとき自分の治療指針が読みやすくなります。薬剤師は、自ずと患者の薬剤に危険な相互反応を起こす恐れはないか調べます。老年科ソーシャルワーカーは、配食サービスMeals on Wheelsなどのサービスを準備します」
ミシガン州のホワイトレイクに住むベッティ・ベリーBetty Barry氏(87歳)は、最近、骨盤痛でトリニティの別の高齢者ERに入院しましたが「高齢者ユニットでは、スタッフはとても優しい」と話しています。
またモッシア氏は「本当の変革が来ました。看護師も医師も患者の生活を深く探る訓練を受けました。検査結果や治療を待つ間、すべての高齢者がうつ状態、認知症、せん妄の徴候がないか調べられる」と話しています。
メリーランド大学バルチモア郡校University of Maryland Baltimore Countyの老年科医のビル・トーマスBill Thomas医師はノヴィのトリニティヘルスの高齢者ERに対して助言をしていますが、次のように話しています。
「たとえば、糖尿病の人は通常のERでは低下した血糖の治療をだけを受けます。しかし1,2週間後、その人は再び受診しなければならなくなります。しかし新しい高齢者ERでは認知症のためにインスリンの量を間違えたことを明らかにし、再度、問題を起こさないようにします」
ローゼンバーグ医師は、全般的に高齢者についてのよりよい理解とその鍵について学ぶことを呼び掛けていますが、「高齢者医療を改善するための分離したERの開設までには至ってはいません。昨年、センターは患者が15%増加している」と話しています。
The Washington Post March 14, 2011 Some hospitals open ERs just for graying patients
編者:我が国では高齢者ERは聞かない。アメリカと同様にERには高齢者が多いだろう。しかし、老年医学的な専門的高齢者救急が行われているわけではない。 認知症高齢者が安心して受診できるERが望まれる。

アルツハイマー病の人の介護者の関心事(3月12日/アメリカ)
アルツハイマー病の人の専門の介護者ではない介護者524人を対象に全国調査を行ったところ、アルツハイマー病の人の記憶障害、安全、混乱が最大の関心事であることがわかりました。調査を受けた介護者の67%の人は、アルツハイマー病の人の認知機能の症状の変化が主な関心事でもあると回答しています。この調査は、アメリカアルツハイマー病財団Alzheimer’s Foundation of America (AFA)と連携して、エーザイEisai IncとファイザーPfizer IncのためにハリスインターアクティヴHarris Interactiveが最近行いました。
調査を受けた介護者の多くは、アルツハイマー病に関係する話し合いや決定を先を見越して参加しています。介護者の75%は、医療職とのコミュニケーションに「満足している」「とても満足している」と回答していますが、4分の1は、「いくぶん満足」あるいは「全く満足というわけではない」と回答し、話し合いに改善する余地があることを示しています。
AFAの会長でCEOのエリック・ハルEric J. Hall氏(写真)は次のように述べています。
「介護家族は、とりわけアルツハイマー病の人の症状が変化するときに病気が進んだかもしれないと気付く最初の人です。このため介護者にとって、前以て、医療職とこうした変化にふさわしい支援について話し合いに参加することがとても重要です。また家族が集まったとき、しばらくぶりにアルツハイマー病の人に会って目立った変化を知る機会にもなります」
アルツハイマー病などの情報はこちらwww.alzfdn.orgをご観ください
主な調査結果
* 介護者の55%は、介護によって自らの健康を犠牲にしている。
* 介護者の60%は、介護に負担を感じている。
* 重度のアルツハイマー病の人の介護者の84%、中程度の68%、軽度の67%は、介護のために自分たちが楽しみとする活動をたびたび中断している。
* 介護者の3大関心事は、アルツハイマー病の人の記憶障害(41%)、個人的な安全(33%)、混乱(27%)である。
* 介護者の67%は、アルツハイマー病の人の認知機能症状の変化を主な関心事である。
KXO Radio 12 March 2011  National Survey Sheds Light On Top Concerns Of Alzheimer’s Disease Caregivers
編者:調査報告書そのものがネット上、見つからない。

アルツハイマー病:私の経験(3月7日/イギリス)
アルツハイマー病の初期症状を見つけるための新しい脳画像検査が国民保健サービス(NHS)のクリニックで試験的に始まりました。
新しい検査は、初期の状態のアルツハイマー病を見つけ、進行を遅させる可能性のある治療などが進むものと期待されています。現在、初期のアルツハイマー病の診断はとても難しいのです。
BBCニュースのサイトを観ている方々からアルツハイマー病の経験談が届けられてこの新しい検査について意見が寄せられています。
ロザリンド・マーサーRosalind Mercerさん(写真左)
アルツハイマー病の初期症状を見つけることはよいことです。イギリスではこの病気は刻々と近づく時限爆弾のようなものです。
高齢化社会のなかで、多くの人たちが認知症と診断を受けており、この問題についての認識を今、高めなければなりません。
私の夫は、現在65歳で、若年性アルツハイマー病です。2年前、診断されましたが、症状はさらに3年ほど前に始まっていました。
今、夫はとてもひどい病的状態であり、アルツハイマー病と前頭葉型認知症とが合併しています。
アルツハイマー病を正確に見つけるアデンブルック認知機能テストAddenbrooke's Cognitive Examination(訳注)を彼に受けさせなければなりませんでした。もともと夫は、軽度認知障害(MCI)と診断を受けていました。
MCIの15%がアルツハイマー病になりますが、不幸なことに夫はその一人でした。
機能の衰えは早かった。
2010年8月まで、彼は入院しており、混乱し、幻覚があり、暴力的でした。抗精神病薬が処方されました。退院後、NHSの施設に入りましたが、そこで終日歩きまわり座ろうとせず、歩きながらでも食事をしていました。今は、失禁して私が誰だかまったくわかりません。さらに徐々に痩せきています。
多くの人たちは、アルツハイマー病を高齢者の病気と思っていますが、実際は、若い患者も多いのです。彼らには子供があり、両親もいて、経済的に困っています。夫は年金を受ける年齢ではなく、働くこともまったくできません。
さらに悲しいことに、この病気は患者の性格も変えてしまいます。夫は温厚な人でしたが、今は違います。彼の身体に異星人が乗り移ったようなものです。
友人でありパートナーであり連れ合いである夫を、そしてこれまで抱き続けた信頼をも失ってしましました。
サラ・レイネスSarah Rainesさん(写真左)
初期アルツハイマー病を判定することで薬により病気による精神状態の荒廃をほんの少し長く防ぐことになります。夫はアリセプトを服用していました。この薬が2,3年の間、彼にはより質の高い生活を送れたと信じています。彼は、この1年以上の間、介護施設のいます。その施設が素晴らしいのですが、かれの状態はとても悪く、2000年にバルバドスで夫と結婚しましたが、今となっては遠い記憶のなかにあります。週1回、面会にゆきますが、いつも彼が期待していた将来が無くなったことをとても悲しく思います。次の4月の最終日に年金を受け取ることになっていました。また彼は退職する日を楽しみにしていましたが、その日が来ることはもうありません。
今彼は自分自身の小さな世界に生きています。介護者はとてもよいのですが、彼が持っていた脳機能を持ちながら人生を楽しむべきでした。今年末頃、息子の結婚をみるのを誇りに思ったり、イギリスのFAカップでマンチェスターユナイテッドとクローリーが試合するの興奮して観たり、ガーデニングを楽しんだりすべきだったのです。
彼は、今、魂を失ってしますが、アルツハイマー病の本当の悲劇です。
ジョンJohnさん
今回の新しい進歩をうれしく思います。
私の母はアルツハイマー病で亡くなりましたが、次の私の記憶が失われるのではと心配し始めています。アルツハイマー病の初期症状があるかどうかの検査を受けたいと思います。母は施設で介護を受けていますが、毎週日曜日の昼食は私たちの家で一緒にとっていました。ある日の午後、私がちょっとの間、部屋を離れたとき、彼女は食物を喉に詰めてしまい、食べていることを忘れ口のなかに多くの食物を入れようとしたのです。ただちに救急車を呼び、一命は取り留めたものの、4年半、昏睡状態が続き、最終的に、肺水腫が治らず、亡くなりました。アルツハイマー病で、予期しない結果でした。
直接の死因ではありませんが、母はアルツハイマー病で亡くなったのです。
カレン・サールビイKaren Thirlbyさん(写真左)
新しいシステムは素晴らしいように思います。母も検査を受けることができらとも考えます。
父は以前からアルツハイマー病ですが、母が同じ病気にな打撃です。今のところ、検査が速やかに決定的な結果を出すとは感じれらませんが、家族がアルツハイマー病であると言われました。父は約8年前にアルツハイマー病と診断され、毎日薬を服用しており、現在のところ、かなり安定していますが、かなり混乱することがあります。
父は、いつも母に頼ってきました。その母は彼のために料理をつくり、掃除洗濯をしています。父の状態では現在のところ対応できていますが、過去2年間、母が混乱することがありました。
母は、食材を忘れ、料理を作らないことがあります。これが父に影響しています。現在、週3回の昼食時に介護者による社会サービスを受けています。
母は脳画像検査を受け、メモリー外来で質の高い診察を受けましたが、単なるもの忘れと診断されました。
しかし、母は悪くなっておりクリニックに連れて行くつもりです。新しい検査はいつでも利用できるようですが、安全性と最終診断が行えるかどうかについて常に心配しています。
アンマリー・ミッチェルAnne-Marie Mitchellさん(写真左の右側)
私は、この科学的進歩をとてもうれしく思います。
診断を受けることによって、直ちにその他の疾患である可能性が除外され、家族が介護に専念できるようになります。何が悪いのかわからまま心配する必要がなくなります。一度、診断を受けることで、将来の準備ができます。
2年前に、発病後10年の間アルツハイマー病であった母を亡くしました。母は早期診断を受けませんでしたが、初めて母は薬を飲み始めました。母に幻覚が出始めましたが、薬による反応か病気によるものかまだ分かっていません。
同時に、弟も診断を受けましたが、脳腫瘍であることが発見され手術を受けました。彼は、母の第一の介護者で、手術後も引きつづいて介護してきました。
彼が自分の人生を母の介護に奉仕しているようなものと思っています。さらにこのことが彼の回復を早めました。私たちの近くある母を介護施設に移しました。そうすることと決定することは難しかったのですが、在宅介護が十分の支援のもとで行われてはいないように思います。
私自分自身を恐れ、私がもしアルツハイマー病になれば何ができるだろうかとたびたび思いめぐらしています。息子も配偶者も居るからです。私が母が病気で経験したことをたどることは望みません。
BBC 7 March 2011 Alzheimer's disease: Your experiences
訳注:我が国では馴染みがない認知症の心理テストであるAddenbrooke's Cognitive Examinationについての参考サイト(pdf500K)
編者:マーサーさんの言葉「私の友人であり、パートナーであり、連れ合いである夫を、そして抱いてきた信頼をも失いました」にまったく共感する。

★台湾の新しいデイサービスセンター開設(2月25日/台湾)
台湾アルツハイマー病協会Taiwan Alzheimer’s Disease Association(TADA)は、昨日、陳水扁Chen Shui-bian前大統領(写真右上)の自宅を利用したデイサービスセンターを開所しました。陳前大統領の息子で高雄市市議の陳致中Chen Chih-chung氏(写真右中)が、家主と立場で開所式に参加しました。
彼の母親の呉淑珍Wu Shu-jen(写真右下)氏は下半身が麻痺していますが、 陳市議は次のように話しています。
「家は身体障害のある人たちにも利用しやすく、アルツハイマー病の高齢者も同じようなニーズがあるとして、全国30以上のグループからTADAの利用が決まりました。その協会は無料で期限なしに使うことができます。水光熱費は負担してもらいます」。
TADAの事務局長の湯麗玉Tang Li-yu 氏(写真左下)は次のように話しています。
「利用できる人はアルツハイマー病の人で、家族がセンターまで1週間に1回連れてこられる場合です。センターでは、ガーデニン、運動、麻雀、歌を一緒に行います。この間、家族は休息が取れ、また他の介護家族らと話しをすることもできます。こうした介護負担を軽減することに役立つでしょう」
同協会によれば、現在、台湾にはアルツハイマー病の人が17万人います。
なお陳前大統領は大統領任期中に二つの汚職事件で昨年12月から19年間の刑期で拘置中です。
Taipeitimes Feb 25, 2011 Alzheimer’s patients given use of Chen’s house
参考資料:中華民国経済部「中華民国台湾投資通信」の「台湾のシルバー産業」(2005年)(pdf50K)
編者:紹介記事のデイサービスは例外的なものだろうが、台湾(中華民国)の高齢者向けおよび認知症の人向けのデイサービススの全体事情が分からない。上記の関連資料からみると少ないようだ。なお台湾ではフィリピンなどから出稼ぎ無資格の介護者が在宅介護の一端を担っている。

認知症の父親に介護する娘が撃たれる(2月22日/アメリカ)
認知症の男性フリーマン・スタフォードFreeman Staffordさん(91歳)は、自分を介護している娘のトリシア・スタフォード・クラルPatricia Stafford Crullさん(61歳)が浴室へ連れていってくれている時、彼女の腹部を撃ちました。現在、クラルさんは、テネシー州・ナシュヴィルにあるヴァンダービルト大学医療センターVanderbilt University Medical Centerで治療を受けています。今月22日の午前1時頃、彼女は父親にポータブル尿器をあてがっている時に撃たれたのです。捜査官によると、発砲のとき口論も怒りもなく、認知症によって混乱していてただ銃を手にしただけとのことです。家族によると、スタフォードさんは軍隊に勤務し第2次世界大戦時、優れた狙撃兵だったとのことです。
クラルさんは、父親の主たる介護者として一緒に住んでいましたが、撃たれたことを警察に電話で伝えましたが、そのときに父親が認知症であることも話していました。警察と救急隊が到着したとき、彼は自分が何をしたのか、また発砲したことも記憶に無かったようでした。22口径の拳銃がベッドわきの靴入れで見つかりましたが、それは25年前に息子から貰ったものです。家族はこの7年間、銃を見たこともなく、持っていることも知りませんでした。スタフォードスさんは精神科病人に診断と治療のために入院していますが、捜査官は罪に問われることはないだろうと話しています。
DailyMail 22nd February 2011 World War Two vet with dementia shoots his caregiver daughter in the stomach and he has no idea what he did
編者:銃社会の凄まじい事件、事故だ。

認知機能障害の高齢者の財務(2月16日/アメリカ)
アメリカのアラバマ大学バーミンガム校University of Alabama at Birmingham(UAB)医学部神経学科およびアルツハイマー病研究センターAlzheimer's Disease Research Centerのダニエル・マーソンDaniel Marson教授(写真)らは、アメリカ医師会雑誌Journal of the American Medical Association(JAMA)の2011年2月16日号に臨床医向けの連載「高齢患者のケア―証拠から活動へ―Care of the Aging Patient: From Evidence to Action」の一環として「認知機能の低下した高齢者の財務Finances in the Older Patient With Cognitive Impairment」と題する寄稿をしました。
この寄稿でマーソン教授らは次のように述べています。
財務能力とは、個々の利益に相応しい方法で財産に関しての独立した能力です。財務は、社会において独立するために個々人に必要不可欠なことです。しかし、アルツハイマー病など進行性認知症は、最終的には財務が完全に不能となります。認知機能障害の人と家族は、財務能力が障害されているときに支援をかかりつけ医に指導を期待していますが、ほとんどの医師はその役割を理解していないし、どのように支援してよいか知りません。認知機能障害をもった高齢者の財務能力が低下する頻度や影響について調べました。その結果、プリマリーケア医の役割は以下のとおりです。
① 高齢者と家族に前以て財務計画の必要性を教育する。
② 財務能力が障害されている可能がある症状について確認する。
③ 認知機能障害のある高齢者の財務能力を評価する。
④ 財務面での独立性が維持できるように支援することを勧めます。
⑤ 医療的や法的に紹介すべき人は誰で何時なのかを判断します。
財務障害を確認するための臨床医の役割を明確にすることは、高齢者と家族が有効な財務保護ができ、認知症の人と家族へ財務能力低下による経済的、心理的、法的な苦しみを軽減し経済的虐待を防ぐことになるでしょう。
多くのアメリカ人は、高齢の両親や祖父母から車のキーを取り上げることに苦労しています。しかし小切手帳を何時どのように取り上げているのでしょうか。
マーソン教授は同寄稿で「医師は、アルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)の人と家族を支援し、高齢者自身が財務管理の能力を喪失する時期を確かめる必要がある」と述べています。
2000年以降、マーソン教授らのグループは、アルツハイマー病の人の財務能力障害について多くの経験的研究結果を発表してきました。2009年には、このグループが、MCIがアルツハイマー病にいたる過程での財務野力低下に関する重要な報告書を発表しました。これは、財務能力評価法Financial Capacity Instrument(FCI)とよばれるUABで開発した方法です。これには、銀行取引明細書の理解、小切手帳の収支管理、郵送代の請求書の準備、貨幣や紙幣の勘定が含まれます。
マーソン教授は次のようじ話しています。
「財務能力の低下は、MCIとアルツハイマー病の進行を知るよい指標です。私たちの以前の研究によれば、小切手の管理能力の低下がMCIから初期アルツハイマー病への進行の前触れであることがわかりました。財務能力と判断の低下の状態は、初期認知症の人にみられる最初の機能面の変化です。判断低下や詐欺などによっておこる可能性のある多額の財産損失を避けるため高齢者の財務能力の変化について家族、介護者、医療者が注意することが重要です。介護者が、高齢者の小切手処理を監視し、2度払いなどの不正行為がないか調べるため高齢者が利用している銀行と接触し、あるいは、一定額を超えた小切手にはサインが必要であり口座の連帯保証人になることを勧めます。またオンラインの銀行や領収書サービスも家族が利用してより別の方法です」
medicalnewstoday 16 Feb 2011 Financial Incapacity May Signal Worsening Dementiaおよび寄稿文Finances in the Older Patient With Cognitive Impairment
関連論文:Assessing Financial Capacity in Patients With Alzheimer Disease: A Conceptual Model and Prototype Instrument(ARCH NEUROL/VOL 57, JUNE 2000)(pdf200K)
編者:軽度認知障害や認知症の人の財務管理に医師が積極的に関わることは、我が国ではすくないと思う。医師が早期あるいは初期の認知症を診断したときには、本人や家族らに助言することは必要だ。

マサチューセッツ州へのアルツハイマー病協会の働きかけ(2月8日/アメリカ)
マサチューセッツ州のボックスフォードに住むミリエ・ロミトMillie Romitoさんは、63歳の時にアルツハイマー病と診断されました。彼女は、医師が診断を確定するまで長くその病気であることを知っていました。
それまでの数年間、昨日のことを思い出そうとしても。名前、顔、車の鍵の置き場所など日々の生活上の事を思い出すのが難しかったのです。
「それまで長い間、病気を黙認していましたが、病気にはなりなくなかった」とロミトさんは、マサチューセッツ・ニューハンパシャイアーアルツハイマー病協会Alzheimer’s Association Massachusetts and New Hampshire Chapterが提出している3つの法案に関係して州議会のロビー活動に来ていた擁護者だけでなく、州議員たちにも話しました。
現在、彼女は、66歳で、5人の息子さんがいて二人の孫と遊べなくなった時のことを恐れ「孫が生まれた時、お泊まり会やティーパーティを楽しみにしていました。アルツハイマー病が私の大切な記憶と生活を奪う日が来るかもしれない」と話しています。
ロミトさんは、他のアルツハイマー病の人や家族が支援を得るのをただ待つことを望んではいません。ロビー活動に参加し立法者にアルツハイマー病協会の提案した法案を通過さえるように働きかけ、州に居る12万人のアルツハイマー病について話したいのです。
彼女は、「病気の経過を変える治療法がありません。私がそうしてことを言わざるを得ないことの苦痛について想像してみてください。治癒を望まない日などありません」と話しています。
アルツハイマー病協会の会長でCEOのジェームス・ウエスラーJames Wessler氏(写真左上)は次のように述べています。
「州が、今年、15億ドルの赤字が予測されるなかで新しいプログラムに助成することの難しさは認識していますが、次の5年から7年にかけての難しい時期にこそ計画を実施する時です。現在、州は多くの投資をしてはいませんが、実施してほしい多くのことには最小限の経費ですむのです。ベビーブーマーが高齢になるにしたがいアルツハイマー病の人の数はこの州で17%増えると予測されています」
アルツハイマー病協会によれば、全国的にはアルツハイマー病の人は約530万人ですが、今後10年間でその数は2000万人になると推測されています。
アルツハイマー病協会が提案している法案の一つは、アルツハイマー病介護に専門とするナーシングホームの介護基準の設定です。この法案は、ケンブリッジの民主党議員のアリス・ウォルフAlice Wolf氏(写真左中)が推薦していますが、8年間以上の間、議会で保留され擁護者やボランティアが議会に話をして自分たちの家族の物語を語るようにウォルフ氏が要請しています。擁護者らは、認知症の人への適切な介護を規定する州の特別な基準はないと話しています。アルツハイマー病協会の擁護および公的政策の担当者であるジニファー・カーターJennifer Carter氏は「ほとんどのナーシングホームはとてもよくやっていますが、そうでないところもあります。もし特別なケアユニットを必要なら特別な基準も必要なのです」と話しています。
もうひとつの法案は、「マサチューセッツ州アルツハイマー病プロジェクト法Massachusetts Alzheimer’s Project Act」と呼ばれるものですが、保健人間サービス局Office of Health and Human Services内に別の事務所を設け、アルツハイマー病の人と家族に診断から終末期までの介護について連携あるケアを支援するものです。事務所は、診断を受けたのちの病気の進行を遅くすることも意図しています。
州議員のジョン・シバックJohn Scibak氏(写真左下)は、もう一つの法案の推薦者ですが、次のように述べています。
「多くの人がアルツハイマー病になるなかで州はそれに関わる人たちを支援する計画を立てる必要があります。病気がとても多く、実際、多くの家族がその影響を受けているという状況で、世代を超えて家族に影響を及ぼしています。啓発を始めるために私たちができることは何かを考えています。人々は診断はよく受けてはいますが、自分たちが利用できる資源についてよく理解していません」
さらに第3の法案は、アルツハイマー病の人の後見に関するもので州を越えて後見の委譲ができるようにして家族に容易に提案できるよういするものです。
boston.com February 8, 2011 Alzheimer’s bills ask state aid
編者:州レベルでのアルツハイマー病協会の取り組みの一例と思われる。

認知症高齢者への非定型抗精神病薬の使用が減少(2月7日/アメリカ)
アメリカのミシガン大学医学部University of Michigan Medical Schoolの精神科准教授でアンアーボー退役軍人医療システムVA Ann Arbor Healthcare Systemの研究者であるヘレン・ケイレスHelen C. Kales医師(写真)らのグループは、認知症高齢者への非定型抗精神病薬(第2世代抗精神病薬)の処方頻度について調査し、その減少傾向について報告しました。
非定型抗精神病薬は、定型抗精神病薬よりパーキンソン症状などの副作用が少ないと1990年代に認知症の随伴症状に対して使用が急増しました。しかし、2002年かこの薬の有効性と副作用について検討され始め、2004年にアメリカ食品医薬品局US Food and Drug Administrationが副作用として死亡率が上昇するとの警告を発しました。その後の非定型抗精神病薬および定型抗精神病薬の使用状況を1999年から2007年までに外来で調べました。
調査は、退役軍人局Department of Veterans Affairsのデータを使用し、警告前期(1999年~2003年)、早期警告期(2003年~2005年)、重大警告black box warning期(2005年~2007年)に時期を分けて、対象者は外来受診の65歳以上の認知症高齢者(25万4564人)でした。
その結果、1999年には非定型抗精神病薬および定型抗精神病薬が認知症高齢者の約18%に使用され、全体の使用頻度は警告前に減少し始めました。重大警告後も減少は続き、警告と重大警告の間で有意に減少しています。重大警告後はさらに早く減少し約12%になりました。非定型抗精神病薬のオランザピンOlanzapine(商品名:ジプレキサなど)、レスペリドンrisperidone(同:リスパダールなど)、クエチアピンquetiapine(同:セロクエルなど)の使用頻度は重大警告後に減少しました。この間、抗けいれん剤の使用が増えました(訳注)。
この調査報告は、精神医学雑誌Archives of General Psychiatryの2011年2月7日号に掲載されています。
対象となった認知症高齢者の患者は、第2次世界大戦や朝鮮戦争の退役軍人で1999年の約3万人から2007年の10万人の3倍に増えています。
この結果についてケイレス准教授は、次のように述べています。
「重大警告の歴史をみると、警告が有効なこともあれば、なかったこともあります。子供が抗うつ剤を服用する場合は顕著に減少しましたが、大きな変化がなかった事例もありません。非定型抗精神病薬の場合、薬剤提供企業がすみやかに反応したようです。しかし危険であり効果も限定的にもかかわらず、医師も疲れ切った家族も非定型抗精神病薬に替わる薬がほとんどありません。今回明らかにした減少は唯一の理由ではなく、医師やメディアが致命的な副作用について関心を示し始めたことも要因でしょう。重要なことは、家族は慎重に医師と話し合い起こりうる利点と危険についての情報を得ることが必要なのです。認知症による行動は介護家族に大きな負担をもたらしますが、特効薬がないのが現状です」
EurekAlert 7-Feb-2011 Early warnings lowered use of antipsychotic medications for dementia, study findsおよび論文Trends in Antipsychotic Use in Dementia 1999-2007
訳注:抗けいれん剤のカルバマゼピン(商品名:テグレトールなど)が認知症の随伴症状に使われることがあるらしいが編者は経験がない。
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編者:そもそも認知症の随伴症状に非定型抗精神病薬が有効との臨床試験結果はなく、副作用は確実にあるなかで、政府の重大警告などにより非定型抗精神病薬の使用が減少したとのことであるが減少は18%から12%と少なく、2007年でなお12%の使用頻度は少なくはないと思う。しかし我が国ではこの種のデータは知らないし、野放しで医師の裁量にまかされている。

マレーシアの認知症デイケア(2月6日/マレーシア)
マレーシアでは仕事のために子供をデイケアセンターに送るのは普通のことです。家族が働いているので親の介護ができないと高齢の親をナーシングホームに入居させることは気が重いことです。このため成人向けのデイケアセンターはよい選択枝ですが、これは比較的新しいサービスです。デイケアセンターには3つのタイプがあります。
○社会的活動、食事、レクレーション、健康管理などを提供するデイケアセンター
○医療上の問題やナーシングホームに入居する恐れのある人への積極的な保健、治療、社会サービスを提供するデイケアセンター
○アルツハイマー病などの認知症の人だけのための社会的医療的なサービスを提供する認知症専門のデイケアセンター
認知症専門のデイケアセンターは、介護者が仕事を続けたり休息を取れるように日中に限り認知症の人の介護をします。マレーシアでは高齢者が増加し。こうしたサービスへの欲求が増えています。人口の高齢化に伴い加齢関係の慢性疾患をもった人が急激に増えると予測されます。
認知症は慢性疾患の一つで、65歳以上で10人に1人、85歳以上では4人に1人です。認知症介護に要する直接的間接的な経費はかなり増えます。認知症は、進行性疾患であり個々人とその介護者の経過にあわせ幅広いサービスが求められます。認知症のあらゆる時期に相応しい多様なプログラムをもった認知症デイケアセンターが理想ですが、わが国ではこの分野のサービスはまだ初期段階です。デイケアは、在宅の介護者に休息を提供しながらそのほかのさまざまな在宅サービスと連携されたものでなければなりません。マレーシアでは、マレーシアアルツハイマー病財団Alzheimer’s Disease Foundation Malaysia(ADFM)、ペラク認知症協会Dementia Society Perak、およびジョホールバルアルツハイマー病協会Johore Bharu Alzheimer’s Disease Association(JOBADA)のNGOがこうしたサービスを提供しています。
認知症デイケアセンターとは何か?
認知症デイケアセンターは、認知機能障害の高齢者専門に組織的な活動を提供するためのものです。安全で保護的環境のなかで、食事と軽食を含む医療と社会サービスを提供し、名前のどおり日中だけのサービスで住居の提供はありせん。職員は認知症介護について特別に研修を受けています。センターのサービスは認知症の初期から中期までの人に合わせたものです。
初期では認知症の人は、かなりの認知機能や社会生活能力を保持しています。認知症の人にとってセンターに適応することは容易です。デイケアセンターでの認知症初期の人への刺激が認知機能の低下を遅らせるという証拠があります。
中期では介護負担が重く介護者へのストレスが増し認知症の人にとってデイケアはより有益なものです。治療的レクレーションと家族支援を提供することが重要視されます。この時期は、職員は認知症に特異的課題となる行動に忍耐と技術で対応しなければなりません。
デイケアセンターで提供されるサービスは?
センターは、専門的な看護と、理学、作業、言語の療法が提供され、さらに社会的サービスやレクレーションや社会的活動も提供します。
センターは、教材を備え、認知症の人と家族に栄養面や心理面の相談にも応じるべきです。理想的にはデイケアセンターが自宅からセンターまでの送迎を行うべきです。
プログラムは、認知症の人のニーズに応じた取り組みが必要で、基本的には午前8時から午後5時まで介護サービスが行われ、夕方にすべての認知症の人が帰宅します。認知症の人は、毎日、あるいは1週間に数回、あるいは1回通い、誕生会や祭りのような特別な催しにも参加します。
認知症の人は、清潔で安全な環境のなかで保健と社会サービスが提供されます。家族的雰囲気のなかで介護を受けている間、介護者がセンターで日々の仕事を続けたり、用事をすませることもできます。こうして介護者が、認知症の人に積極的の介護にも関わることができるようにしています。またセンターでは、現役あるいは退職した看護師が医師の指示に従い薬の管理もします。
介護者への利点は?
認知症デイケアは、介護者に多くの休息を提供します。定期的にとれる休息時間によって介護者は、個人的なニーズによって用を済ませたり、ストレスを軽減することができます。
介護者は、屋外の世界と接触を保ち、同時に生計を得ることともできます。こうして認知症の人を施設に入れるという自責の思いを防ぐこともできます。高齢の介護者(配偶者のことが多い)の場合、デイケアは認知症の人の身体面の介護も行います。
研究によると、こうしたデイケアの支援サービスは介護者のストレスやうつ状態を軽減します。介護のほかに典型的なデイケアでは、教育、家族相談、家族研修、対処困難な行動への介護方法の学習なども提供します。
認知症の人にとっての利点は?
認知症デイケアは、専門的な介護や看護を受けることで認知症の人が家族と在宅での生活を続けられるようにし、入院を減さすことができます。
認知症の人は、刺激ある活動を続け同じような認知症の人との社会的接触を持ち、自宅以外で介護者と一緒に過ごすこともできます。
理学療法や言語療法といった治療を受けて日常生活機能を維持する活動も受けます。こうして認知機能の低下を遅らせ自立した生活を長くすることになります。
さまざまな活動
認知症の重症度に応じて特別な活動が適切に行われます。
小グループ、あるいは研修を受けた職員の監督のもとに個別に行われるさまざまな活動があります。回想、感覚刺激、レクレーション、運動、音楽、映画の鑑賞、水彩絵の具やクレヨンを使った絵画などです。これらの活動は認知症の人のニーズに応じた個々に特別なものでなければなりません。
認知症の人が、時間、年月日、場所、人についての見当識獲得を獲得するため活動は日々行われる最初のものです。記憶障害や見当識障害を持った人に表示や案内などで自分と周囲の事実を思い出すことを助けるものです。
回想法は、認知症の人にとって積極的で意義のある過去も経験―仕事、家族休暇、結婚など―を思い出させることですが、グループであるいは個々人で行われます。回想法の利点は、認知症の人の幸福感を高め、喜びや認知機能を刺激し、社会的な相互反応、自身の世話、動機を高め、行動を改善します。
芸術療法は、認知症のすべての時期に相応しい治療法として推薦されています。有意義な刺激を与え社会的相互反応を改善し自尊心を高めます。絵を描くといった活動は自己表現の機会を与え創造する色やテーマについて選択する機会も提供するのです。
カード、ビンゴ、ドミノ、麻雀、多様な色や形を当てたり揃えるといったゲームなどは認知機能を刺激し認知症の人の同士の相互反応を改善します。
音楽鑑賞は、最期の時期の認知症の人にも有益で、認知機能の刺激を効果的に行います。個々人の好みにあった音楽や歌、あるいは刺激になる自然な音は、認知症の人の敵意、不安、焦燥、興奮を軽減し、睡眠の助けとなりとても有益です。音楽療法は、認知症の人が歌ったり、楽器を奏でたり、あるいは歌や音楽を聴くだけといったものです。最近流行のカラオケは、音楽が好きな認知症の人にはとても価値があります。幸福感や自伝的記憶を改善し社会的相互活動を高めます。
デイケアセンターで適度に運動を行うこと重要です。認知症の人が標準的な運動をすることは可能です。身体運動は、筋肉と骨の強さ、バランス、柔軟性を改善し、転倒や骨折を減らすことになります。また、運動は、認知機能の低下の速度を遅くし、気分や自信を改善します。さらに日中の興奮や夜間の不穏を軽減し睡眠を促すことになります。
ダンス療法は、認知症の人の相互運動で他人との関わりを得られるようにします。性的でない身体接触の欲求を満足させ認知症の人が癒されます。
さらにデイケアセンターに周りにある庭で楽しむことは、認知症の人に草木の世話するように促して有益です。認知症の人は、花が咲き、木に実がなるのを見て満足と完成の感覚を抱くでしょう。
美術館や公園など地域で楽しめる場所に出かけることは、認知機能の刺激になりセンターのプログラムに取り入れることができます。
日本などの国々では、認知症デイケアセンターが子供のデイケアセンターとつながっています。世代間交流の利点は、子供たちに年を取ることと高齢者について理解を助けます。子供は楽しみの大きな源であり、認知症の人が子供と交わることで刺激的な活動に関わりことは容易なのです。
今、私たちのどこにいるのか?
隣国のシンガポールには人口500万人で9つの認知症デイケアセンターがあります。わが国は人口2825万人で3つの認知症デイケアセンターしかありません。それらはすべてNGOで運営されています。私たちと経験を共有することに熱心なシンガポールの同世代の人たちから学ぶ必要があります。マレーシアアルツハイマー病財団は、デイケア、ワークショップ、セミナー、国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease Internationalの国際会議を通して認知症の人に質の高い介護を提供するという大きな仕事をしています。
認知症デイケアが必要な人はどなたでも以下に電話してください。
ADFM(Petaling Jaya)電話:03-79562008
JOBADA (Johor Bahru)電話:07-2224016
TDS(Ipoh)電話: 016-5608147
thestar February 6, 2011 Caring in dementia
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関連情報:13th Asia-Pacific Regional Conference of Alzheimer's Disease International(October 22nd to 24th, 2010 Kuala Lumpur MALAYSIA)
編者:寄稿者は医師でADFM医学諮問委員会委員のESTHER EBENEZER。記事を読む限り認知症デイケアの理論と計画に問題はなく、われわれと同じレベルだが、センターをどう増やし、スタッフをどう養成するかの課題については触れていない。またマレーシアに在る3か所の認知症デイケアセンターの経営基盤は何なのかが触れていない。利用者の自己負担と一般の寄付で運営されているのだろう。

アルツハイマー病の研究をする83歳の医師(2月4日/カナダ)
83歳のパトリック・マックギーアPatrick McGeer医師(写真)は、アルツハイマー病と戦っています。といっても、彼がアルツハイマー病ではなく、心身ともに健康です。ブリティッシュコロンビア州の大臣だったこともあるマックギーア医師は、医学研究者として朝の7時半から夕方の5時半まで毎日、妻のエディス・マックギーアEdith McGeer医師と(写真)とブリティッシュコロンビア大学のキンスメン神経学研究室Kinsmen Laboratory of Neurological Research で仕事をし、テニスやスキーも楽しみ、仕事や観光でいろいろな所に旅行をしています。63年前にはオリンピックのバスケットボール選手で現在も同じ体重を保っています。
マックギーア医師は、私たちのためにアルツハイマー病と戦い、カナダ認知症行動ネットワークCanadian Dementia Action Network (CDAN)の率直な代表であり、研究の指導者でもあります。
「アルツハイマー病を無くすること」と「5年以内に有効な治療を開発すること」についての会話では、明確に勝つために戦っているのです。彼は「なくすることができ、またなくなる邪悪な病気だ」と主張しています。脳のアミロイド斑に関連して次のように説明しています。
「目標が何であるか知っています。どの生化学物質が目標に到達し病気を無くするかはわかりませんが、無くすことになるということは分かっています。これは生化学的視点からは難しいことではなく熱心に追求しています。CDANがこれを達成できれば、カナダが世界に貢献できるこれ以上のことはありません。その経費はF18戦闘機一機分の費用でよいのです」
全世界に認知症の人は3560万人いて、カナダでは50万人です。これは65歳以上のカナダ人8人に1人に割合であり、85歳以上では2人に1人です。認知症の人を介護する費用はカナダだけで1日で5000万ドルと推計されています。全世界では年間6億400万ドルと推計されています。
さらにマックギーア医師は「社会的な悲劇がどの程度のものか推測しようとはしませんが、本人より介護者にとって辛いことは誰もが知っている」と話しています。
現在、研究されている90種類以上の薬の一つ、さらにもう一つは、アルツハイマー病のアミロイド斑と神経原線維変化を防ぐか、除去することが解明されており、年をとるにしたがなりやすいこの病気を防ぐためにできる何かがあるでしょうか。
実は多くはないのです。昨年4月にアメリカ国立保健研究所National Institutes of Healthが報告したように、アルツハイマー病の発病の危険性を減らすことに関係する変更可能な要因のうち根拠がしっかりしたものはありませんでした。
アルツハイマー病の少なくとも4つに一つは優性遺伝変異によって起こると考えられています。確認されていませんが、もっと多くの遺伝的関与があるらしいのです(訳注1)。
マックギーア医師は、予防できるという強い証拠がないということには同意していますが、「脳をより長く健康に保つ方法はある」と述べています。事実、死後の剖検でアルツハイマー病みみられるアミロイド斑が認められた多くの人は、生前に認知機能の低下の徴候がまったくありません。
そこで彼は「すべての臓器のなかで、脳は最高によりよく年を取りますが、配慮はしなければなりません。明らかにできること、すべきことがある」と述べています。
たとえば、頭部外傷を防ぐことです。頭部外傷が認知症の危険性を高めるという明らかな証拠があり、サッカーのヘディングでさえその危険性を高めます。ノルウエーの研究によると、サッカー選手は一般人より認知症になる危険性が2倍高いのです(訳注2)。
脳の血流の障害、とりわけ小さい脳血管障害、によって起こる血管性認知症の危険性は有意に減らせることははっきりしています。神経退行性疾患の発症を遅くしたり、予防するために脳の健康をどのように保つことができるのでしょうか。以下のような一般的な健康維持が出発点とされています。
○ 野菜や果物が多い地中海風食事
○ 適度な運動
○ 適度な睡眠
○ ストレス管理
○ 望ましい体重維持
さらに、高血圧や糖尿病は血管性認知症の危険性を有意に高めるので、こうした疾患の診断、治療、管理が重要です。事実、心疾患や脳血管障害の危険性を少なくするすべてのことが認知症―とくに血管性認知症―の危険性につても当てはまります。しかし、心疾患が常に予防できるとは限らないように、認知症についてもすべてならないというわけにはいきません。
このことは、老年精神科医のステフェン・キレリStephen Kiraly医師が助言しているように、両者の危険性を減らすためにできることがそれほと多くはないということではありません。キレリ医師の本「あなたの健康の脳Your Healthy Brain」は、マックギーア医師も脳の健康に関する最善の本として推進しています。
キレリ医師は次のように述べています。
「遺伝子を変えることはできませんが、危険性を変えることでアルツハイマー病の発病を遅くするはできるという多くの証拠があります。心臓を健康に保ち、身体や脳の循環をよくすることは脳にとって有害な要因を防ぐのです」
またマックギーア医師は、2009年のスカンジナビアでの研究でコーヒーがアルツハイマー病など認知症の発病を少なくするという報告もあり、予防としてコーヒーを勧め、自身も毎日、3杯飲んでいます。彼は冗談に「スターバックスはどの製薬会社よりパーキンソン病のために多くのことをしてきた」と話しています。さらにキレイ医師は、抗酸化物のフラボノイドを多く含むココア―紅茶より4,5倍、緑茶より2,3倍、赤ワインより2倍―がよいと勧めています。
さらに脳トレについてキレイ医師は「いくつかの研究の結論が異なっており断定的なことは言えませんが、クロスワードのような特別な脳トレが認知機能の低下を防ぐことは認められておりません。むしろ日常生活での日々の知的な刺激―読書、社会活動などーがないことが認知機能の低下要因になっている」と述べています。専門家は、脳の運動より重要なことは身体の運動であると勧めています。
healthzone.ca  February 4, 2011 Alzheimer’s ‘can and will be eliminated,’ researcher says
訳注1:アルツハイマー病の遺伝的要因は複数見つかっているが、それによって発病する例は限定的とするのが定説である。4例に1例は多すぎる。
訳注2サイト内関連記事 関連情報:Soccer & Dementia
サイト内関連記事:アルツハイマー病の予防の根拠の程度を分析(2010年4月28日/アメリカ)
編者:それにしても83歳でなおアルツハイマー病の研究に打ち込んでいるマックギーア研究者には敬服したい。マックギーア医師の研究室のサイトで日本人、中国、韓国からの研究者が居ることを知った。

アルツハイマー病の早期発見の検査は意義があるのか(2月1日/アメリカ)
アメリカ・バーミンガムに在るアラバマ大学バーミンガム校University of Alabama at Birminghamの生命倫理学者のグレッグ・ペンスGreg Pence氏(写真左上)は、バーミンガムニュースBirmingham Newsに「生命倫理の歴史のなかで最も最近の学習項目は、恐ろしい病気を予防したり改善したりする方法がない場合の検査は何のために行われるのか?」と書いています。同氏は、アルツハイマー病という脳と人格を破壊する恐ろしさに特別な関心を持っています。
先週、アメリカ食品薬品局Food and Drug Administrationの専門家委員会が、アヴィッド放射性製薬Avid Radiopharmaceuticalsで開発され、アルツハイマー病に関連する脳のアミロイド蛋白斑の存在を検出できる新しい検査の承認を勧告しました。この検査では、アミロイド斑の付着する放射性物質を使い、その物質がPETで検出できるのです。
別の研究者は、脊髄液中のアミロイドなどの蛋白の量を測定する検査を開発しています。アルツハイマー病と診断された患者の90%にこの種の蛋白を確認したと報告しています。さらに、軽度認知障害の人で72%、認知機能が正常な人で36%を認めています。脊髄液を採取することは安全ではありません。またカリフォルニア大学サンフランシスコ校University of California, San Franciscoの研究者はアルツハイマー病の発病を予測する血液検査を研究しています。
脊髄液の研究で最も興味深いことは、アルツハイマー病の特徴をもってはいるが認知機能が正常な多くの人がアポ蛋白E (APOE4)遺伝子の一つのタイプの保持者であることです。APOE4の遺伝子のうち一つの複製を持った人はアルツハイマー病になる危険性は平均よあり3倍高く、二つの複製を持った人は12倍リスクが高いのです。研究者は「認知機能が正常は人の3分の1以上でアルツハイマー病の特徴をもっており、アルツハイマー病の病理的変化が起きており、以前考えられていたより早期に検知できると示唆している」と指摘しています。検査によって最終的には発病することになるらしい人を前以て特定できるというのです。
一般向けのいくつかの遺伝子検査会社は、現在、APOE 遺伝子検査も行っています。稀なAPOE 2の遺伝子の保持者は発病しにくく、APOE 3遺伝子保持者の発病のリスクは高くも低くもありません。65歳以上でアルツハイマー病の発病の危険性は女性でおおよそ5人に1人、男性でおおよそ10人に1人です。一般向けの遺伝子検査会社は、ペンス氏の生命倫理の疑問、治癒できなに病気の検査を行うことの意味についてのコンセンサスが得られていないことを無視しています。
なぜ、そんなに多くの生命倫理学者がそうような検査に反対しているのでしょうか。その主な理由は、悪い知らによっては、差し迫った運命を恐れるあまり永遠に生活を歪めてしまうことになるかもしれない人たちの不安を助長することになるからというものです。しかし、本当にそうなのでしょうか?2009年の研究によると、APOE 遺伝子の状態を告げられた人たちが、それを知らない人たちよりも不安のレベルが高くはないということがわかりました。この研究者は「APOE遺伝子を明らかにすることで、親がアルツハイマー病の子供にとって意義ある短期的には心理面での危険を持たない」と結論づけています。
こうした結果は、医学雑誌New England Journal of Medicineの今年の1月12日電子版に掲載された別の研究論文(訳注1)でも指示されています。カリフォルニアのラホーラにあるスクリップストランスレーショナル科学研究所Scripps Translational Science Institute訳注2)のトランスレーショナル遺伝解析translational genomicsのエリック・トポールEric Topol教授(写真左中)らのグループは、3600人についてナヴィジェニックスNavigenicsの遺伝タイプのスクリーニング検査を実施しました。この検査は、乳がん、大腸がん、心臓疾患、糖尿病、およびAPOE を含む23種類の疾患のリスクに影響する異形遺伝子を発見しようとするものです。研究者は、参加者を追跡し遺伝子リスクの情報が彼らの不安を高め、健康的な習慣に戻ることを促すかどうかを調査しました。その結果、「短期的な心理面での健康、食事や運動など行動面での変化は認めなかった。この検査によって暗い不安を起こすこともなく、基本的には同じ生活を続けている」と報じられました。
1998年、スタンフォード大学Stanford Universityに集った著名な生命倫理学者の会議は、「ほとんどの女性は乳がんに関係するBRCA1とBRCA2の新しい検査を受けるべきでない」と勧告しました。ボストン大学Boston Universityの生命倫理学者であるジョージ・アナスGeorge Annas氏(写真左下)は「この病気を防ぐ方法がないのに、将来、そうなるかもしれないと知ることに何かよいことがあるのか?したがって遺伝子検査を受ける女性が、その結果―陽性であろうが陰性であろうが―に関連した心理的問題に直面するかもしなない」と案じていました。しかし、再度、生命倫理学者の心配していた消費者の心理的弱さは間違いであることがわかりました。2008年の研究によると、BRCAの検査を受けた4年後の女性の2次的な心理的影響はなかったのです
国立がん研究所National Cancer Instituteは、BRCA1またはBRCA2の変異遺伝子を持っている女性が一生の間に乳がんになる危険性は約60%で、卵巣がんになる危険性は15から40%の範囲であると推測しています。なお、女性が一生の間に乳がんになる危険性は平均、約12%です。その15年後、アメリカ自由人権協会American Civil Liberties Union (ACLU)は、BRCA検査の利用を制限すべきだけでなく、検査を受けることは女性の権利であると主張しています。遺伝子検査の特許権を持っているミリアドジェテックスMyriad Geneticsに対する訴訟でACLUは、「遺伝に関する特許によって医療情報や治療の利用が阻害され個々の患者の人権が侵害されている」と訴えています。かって制限されていたことも現在は権利となっているのです。数年後には同じことがアルツハイマー病の検査でも起こるでしょう。
「アルツハイマー病のように治癒できない病気の検査をなぜするのか?」というペンス氏の疑問への答えはさまざまです。現在、検査は受けることができ早い時期にアルツハイマー病になる危険性を持った人が特定でき、病気がどのように進行するかを明らかにする研究のためにこうした人たちに参加してもらっています。また、病気の予防を目的として新薬の早期からの臨床試験の対象者としても参加してもらうことになるでしょう。
検査は、治療のためだけではないのです。人々は、自分の将来計画を立てるための情報として使うことができます。自分自身についてのことを整理し発病したときのよいケアを受けられるようにするでしょう。もちろん、本当のところ知りたくない人もいるでしょう。こうした場合でも、完全に自由意思で検査を受けないのです。検査結果に緊張しすぎて対処できないような人は生命倫理学者でだけかもしれません。
寄稿者のロナルド・バイレイRonald Bailey氏(写真右)は「自由の生物学:バイテク革命における科学と倫理の課題Liberation Biology: The Scientific and Moral Case for the Biotech Revolution 」の著者です。
reason.com  February 1, 2011 Bioethicists Can't Handle the Truth
訳注1:論文Effect of Direct-to-Consumer Genomewide Profiling to Assess Disease Risk
訳注2:translational medicineは我が国ではまだ馴染みが薄い用語で「トランスレーショナル医療」などと訳される。ちなみに大阪大学医学部未来医療センターはMedical Center for Translational Researchとの英語表記だ。「トランスレーショナル医療」とは、基礎研究の成果を可及的に臨床に応用し、また臨床面で必要性が高い課題を速やかに基礎研究で行うような医療と理解する。
編者:生命倫理学者をやや揶揄した記事である。たしかに治癒できない病気の情報もそれなりに意義はある。知るか知らないかは個人の自由であろう。もっとも多分安価ではない検査費用により、経済的余裕のある人しか情報にアクセスできないという生命倫理的課題が残る。

芸術療法:アルツハイマー病の人の見方と生活を変える(1月28日/アメリカ)
大恐慌時代の農場や製材所で修行しながら成長したレスターポッツLester Potts氏(写真左上)は、難しい仕事をこなす誠実な男性でした。地域にしっかり溶け込み、友人、隣人、それに知らない人までよろこんで助けるような寛大な人でした。
人生の後半、彼は、妻と農村での生活を止めて、アラバマ州のタスカルーサTuscaloosaに転居しましたが、そこは息子で医師のダニエル・ポッツDaniel Potts氏(写真左)の家族に近いところでした。レスター氏は、木材会社を退職し、神経科医の息子の診療所の駐車場で働きました。
レスター氏のこうした変化が、病気を進めることになったかを知ることはできませんが、しばらくして認知症の最初の症状が出るようになりました。だれにでもある自然な加齢によるものとは違う、些細な行動の変化、同じ質問を繰り返す、もの忘れが進むといった問題が生じたのです。車を置き場所が間違ったり、駐車場で何処に居るのかわからなくなったりしました。また帰宅途中に事故を起こしことは一回ではすみませんでした。
こうした過失のために解雇されました、それは家族が反省しなければならない日だったのです。医師の息子はアルツハイマー病の患者を何度となく診てきましたが父親の姿を見て病気を否定できなくなりました。
認知症は家族にとって特別な課題です。家族にとって少しずつ、ゆっくり、しかし確実に失ってゆくことに直面し、知った人が消え去っていくようにもみえるのです。自分自身のことができなくあり、自分の身の安全を守れなく一人にしておけなくなり、不満と悲しみが絶望に変わってゆきます。
息子のダニエル氏は、初めて、自分が父親を必要としている以上に父親が自分を必要としていると認識しました。父親は、自尊心、生きる目的、自分以外の人にたいする役割を失い、自分自身が壊れていったのです。
母親はこの変化に戸惑い、自宅だけの生活がますます困難になってきました。家族に休養になるようなものを求めて、ダニエル氏は父親を認知症の人のためのデイサービスに参加させました。そこの介護者の一人が、レスター氏に絵具を差出しましたが、家族は休養以上のものを発見することになったのです。本当に驚くことを発見しました。レスター氏は芸術という贈り物を持っていたのです。
父親は、壁やフェンスを塗ったりするほかは筆を持ったことはありませんでした。それ、アルツハイマー病の抑圧を乗り越え自分自身を表現する新しい方法を発見しました。ダニエル氏は、父親の絵の一つを初めて見たときに感じたことを述べています。
「まったく驚きました。芸術的才能を示したことはなかった人です。座って何か描くということはありませんでした。しかし、抑圧という壁が落ち、言語による自己概念がなくなっても新たな想像が解放されたのです」
それは時間つぶしのような遊び以上のもので、描くことによって父のすべてを変えました。
さらにダニエル氏は次のように述べています。
「デイサービスの芸術プログラムに参加し始めたその日から、父の表情や物腰が変わりました。かれの誇りに思うことが戻ってきたのです。芸術は、すべてを守り、周りの人たちが彼の内的な美を再発見できるようにしました。父はアルツハイマー病だからそのようにゆくとは思っていませんでした」
芸術が、レスター氏の全人生のなかで新たな領域を提供しました。アルツハイマー病がもたらすはずの絶望以上のまったく異なる感情を伴う人生になりました。
その後、予想されたように、レスター氏は、病気に負け、絵がだんだん単純になり、洗練されないものになりましたが、彼が亡くなる2007年までの最後の数年間、彼には自己表現の貴重な方法が提供されました。これことが人間の心にどれほと重要であるか忘れるべきでありません。
ダニエル氏は父の経験に触発されて、認知症の人の生活の質を改善するために芸術を使うための「認知ダイナミックCognitive Dynamics」という非営利団体を立ち上げました。詳しくはサイトwww.cognitivedynamics.orgとご覧ください。
このコラムニストのジェフレイ・クッチャーJeffrey Kutcher医師(写真左下)は、ミシガン大学University of Michiganのスポーツ神経科医で、ミシガンニューロスポーツMichigan NeuroSport の所長であり、アメリカ神経学会American Academy of Neurologyのスポーツ神経学Sports Neurology部門の議長です。
Petoskey News January 28, 2011 Art therapy: Changing perspectives, lives of Alzheimer's patients
関連情報:American Academy of Neurology のサイトに投稿したダニエル医師の寄稿Pleading the Cause(December 15, 2008)このサイトに掲載されているレスター氏の絵(上からアルツハイマー病中期、中期から末期、末期のもの)

アルツハイマー病診断の進歩と退歩―アミロイドスキャン―(1月28日/アメリカ)
私が医学生のとき、賢明な臨床医は、患者がアルツハイマー病かどうか知りたいなら、簡単に「車をどこに止めましたか?」と質問してみるのがよいと話しました。すなわち患者が「私は、正確に第4ブロック下がったところで消火栓から二つ目のところです」と答えるなら、初期のアルツハイマー病とみなしてよいとのことです。それに対して「知りません」と答えれば、多分、うつ状態とみてよいとみなしてよいということです。当時、私には何のことがまったくわかりませんでした。彼の理論によると、アルツハイマー病の患者は自分の記憶障害を補なおうと過剰に反応するが、一般にアルツハイマー病とよく似ているうつ状態の患者は、あまりに関心がなく関わろうとはしないのです。
ある意味で、こうした臨床的判断は、アルツハイマー病の見分ける方法として現在まで続いています。今日、多くの臨床医は、12ほどの疾患を除外するために一連の検査を行っても、診断できないことがあるのです。
先週、食品薬品局FDAの諮問委員会が全員一致で、脳スキャンに使う検査薬の承認を勧告しました(訳注)。これは脳に蓄積するアミロイドの量を直接測ることができるという物です。これまで、脳の中を覗き込み情報を得る方法がなかったことからいえば画期的なことです。診断には、患者が亡くなり私のような神経病理学者が剖検を行うのを待たなければなりませんでした。
この検査はすごいことですが、落とし穴もあります。アルツハイマー病については不都合なやや細かい話ですが、アルツハイマー病の人の脳を観ている私たちが、何年も前から話題にしていることがあります。それは、多くの人が考えているよりアミロイド斑はアルツハイマー病の指標としての価値は低いことです。さらに説明すると、人が年を取るに従い、アミロイドが蓄積することはごく当り前なことで、神経病理学者は生理的現象とみなしています。事実、アミロイドの量はアルツハイマー病でない人でも多く、アルツハイマー病の人で見られるようなものと区別することはほとんどできません。反対に、生前、重度のアルツハイマー病と診断された人で死後の剖検でアミロイドのレベルがとても低い人もたくさんいます。こうしたばらつきがあるため、アミロイドスキャンの結果を臨床医が解釈することはとても難しいことです。
明らかに問題になる可能性があることを指摘しましょう。それは、とても多くの高齢者は、私たちが加齢関連記憶障害と呼んでいる状態を経験します。この人たちが、アルツハイマー病になることはほとんどありませんが、関心があってスキャンを受ける人が多くなるでしょう。多くの正常な人でかなりのアミロイド沈着があるので、たとえスキャンで陽性の結果が出ても重視することはないでしょう。同じく、多くのアルツハイマー病の人はアミロイドがとても少ないので(病気の初期であればあるほど少ない)、陰性の結果が出てもあまり意味がないでしょう。さらに、アルツハイマー病の治療はとても限定的であり、スキャンで答えを出そうとするのは時間の無駄になるようです。
しかし、混乱のなかから明るさがみてくるでしょう。普通、情報は多ければ多いほどよいのです。アミロイドスキャンでみられるばらつきは、アルツハイマー病の研究の進展を促すことになり、すべてのアルツハイマー病が同じではなく、アルツハイマー病の原因はさまざまであることを受け容れることになるのです。退行性神経疾患を生じさせる多くの要因についてさらに理解を深めることで、私たちがアルツハイマー病と呼ぶ病気を効果的に克服することができるでしょう。アミロイドスキャンはアルツハイマー病を分類するのを助ける重要な役割をするでしょう。
スキャンのさらなる積極的な効果は薬の開発分野で見られるでしょう。スキャンによって薬の臨床試験のなかでアミロイド標的治療への患者の反応を測定することができるでしょう。こうすることで薬の開発のスピードがおおいに進むでしょう。
さらに、私たちは最終的にアルツハイマー病への戦いに進歩があると楽観的であるべきです。前向きにとらえるべき主な問題は、資金提供における政治家の危機に対して私たちの無言の反応です。
寄稿者のジョン・クレリーJohn Crary氏(写真)は、コロンビア大学医療センタColumbia University Medical Centerの病理・細胞生物学科Department of Pathology and Cell Biologyの准教授です。
AOL Health   Jan 28 2011 Progress (and Setbacks) in Diagnosing Alzheimer's
訳注:Eli LillyとAvidが開発した検査薬Florbetapir( Amyvid)のこと(サイト内関連記事
関連情報:Statement from Lilly and Avid on FDA Advisory Committee Recommendation for Amyvid™ (Florbetapir) NDA
編者:生体でのアミロイドスキャンが日常的に認知症の診療の場で行わるようになるようだが、その検査の限界と可能性についてわかりやすく解説した記事だ。

認知症の人の最期を心地よく(1月23日/アメリカ)
ブライアン・ル・ブランBryan Le Blanc氏の母親(93歳)は、今月初めに亡くなるまでの4年間を、イリノイ州グリーンビュー郊外に在るメアリーヘブンナーシングアンドリハビリテーションセンターMaryhaven Nursing & Rehabilitation Centerのアルツハイマー病ユニットで生活しました。
最後の2年間以上、ル・ブラン氏は、母の日常生活―鎮痛剤の服用、睡眠、食事、テレビ観賞を含むーのほとんどあらゆる面での変化を観ました。母親が居るユニットのなかまで入る、職員が母親の手や足をマッサージする、アロマテラピーを行うといったことは彼にとっては普通のことではなかったのです。
ル・ブラン氏は次にように述べています。
「母はとても上品なイギリス婦人でした。だれもが自分の家族が尊厳をもって亡くなることを望んでいます。こうした生活の質を重視したケアは正しいやり方です。親が生きているベビーブーマーの友人たちの誰に会っても、こうした人たちの多くは同じような経験をするでしょう」
2008年以降メアリーヘブンは、アルツハイマー病など認知症の入居者にどのようなケアをするかについて再検討するための研究の一部になっています。4月に終了するこの研究は、エンドオブライフ(終末期)の過程でもっと生きるにふさわしく、より意味ある生活を送るために、入居者に対する旧態然たる決まり切ったやり方の多くを放棄することを主張しています。
アメリカのアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationによれば65歳以上のアルツハイマー病のアメリカ人は既に510万人いますが、2030年には1.5倍の770万人に達すると予測されていますが、こうした取り組みはとても重要です。
この研究の報告者の一人のアルツハイマー病協会のグレイターイリノイ支部Alzheimer's Association Greater Illinois Chapterの緩和ケア専門家であるジーンナイン・フォレストJeannine Forrest氏(写真)は、「目標は、ナーシングホームでの文化を変革することで、利益がほとんどない積極的な治療よりは心地よくさせるケアを重視することにある」と述べています。
フォレスト氏は、同僚で医療ソーシャルワーカーのダニエル・クーンDaniel Kuhn氏(写真)と共同研究をしていますが、さらに次のように述べています。
「アルツハイマー病は終末的疾患です。アルツハイマー病の人が、あと3年生きられるとしたられ、夕食時にチョコレートを食べたい、讃美歌アメイジンググレイスAmazing Graceと歌いたい、好きな時に起きていたいと望むなら、そうさせない理由はないでしょう。私たちはそうした方法を創り、認知症が重度のとき、より心地よくすることができ、州の監督者とナーシングホームでの管理が硬直的にならないようにすることを希望しています。たとえば、州の規則では、ナーシングホームの認知症の入居者に1日の決められたカロリーが与えられることが求められています。しかし、身体的に終末にあるのなら、従来の伝統的な方法で決まり切った内容の食事を与えても、必要とするカロリーを満たすことは難しいでしょう。心地よくすることが目標なら、1日1200カロリーのピューレ状の食事やまずい補助食品を弱った婦人が食べると思って与えるべきではありません。その婦人がマカロニ、チーズ、チョコレートプリンを食べてカロリーを得られるのなら、そうすべきでしょう。もし、食事の制限がなければ、好みで食物を選び、空腹とのときに軽食に摂ることで体重減少を防ぎ、攻撃的な行動を少なくなるでしょう。心地よいケアを考えるとなれば、誰―州の監督者、ナーシングホーム管理者、介護者、家族―もが自分の哲学を変えなけばならないでしょう」
今回の研究の間、メリーへブンのほか、イリノイ州ノースレイクに在るビラスカラブリニナーシングホームアンドリハビリテーションセンターVilla Scalabrini Nursing and Rehabilitation Center、同州パークリッジに在るレインボーホスピスアンド緩和ケアRainbow Hospice and Palliative Careの医療職は、6週間の研修を受けました。
また今回の研究の考えは、アリゾナ州フェニックスにあるビーティチューズキャンパスBeatitudes Campusと呼ばれる、ナーシングホームを訪問したことから生まれました、このナーシングホームでは、約10年前にこうした変革を導入して、積極的な結果を得るようになったのです。
Chicago Tribune January 23, 2011 Making Alzheimer's patients comfortable
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編者:アメリカではアルツハイマー病を終末的疾患terminal diseaseとよぶことが少なくないが、私には違和感がおぼえる。現在の医療や介護でもってしても、病気の経過を変えることはできない必ず死にいたる病気という意味なのだろうか。なお、記事にあるクーン氏は私の友人で、彼の著書”Alzheimer’s Early Stage“の訳本「認知症がはじまった?」(発行:クリエイツかもがわ)の監修を私がした。

アルツハイマー病の二人の親を持つ子供を支える(1月23日/アメリカ)
1年ほど前、ヴィッキ・ヴィンザントVicki Vinzantさん(45歳)の父親ライル・ロバーツLyle Robertsさん(74歳)は、もの忘れがはじまりました。ライルさんは、車の修理業を止め、アコーディオンの演奏も止め、とても混乱して暴力的になり、どこにいるわからなくなることが多くなりました。とても疑い深くなり「子供は?」と問うと、訪問中のヴィッキさんは子供を連れ出さなければなりません。
母親のアイワン・ロバーツIone Robertsさん(76歳)も、もの忘れをします。ときどき駐車場で迷い、車をどこに置いたか思い出せず、ヴィッキさんが呼び出されることもありました。
現在、ロバーツ夫妻は、自分たちがアルツハイマー病の全過程の異なる時期にあることを知っています。ライルさんは中期の状態で、アイワンさんは初期の状態です。ヴィッキさんは、この病気の最期に向けて避けることができない変化する二人の親の世話をしています。
ヴィッキさんは「とても恐ろしいことですが、二人のどちらかが亡くなれば、悲しむことはしても落ち着けます。しかし、今のままでは、自分を失いながらも生き続けるでしょう」と話しています。
ヴィッキさんのように介護者が一人で重荷を負担することによる精神的、身体的な喪失はとりわけ耐えがたいことです。ここにダニ・ケブシュルDani Kebschullさん(52歳)(写真)のような人が存在する理由があります。「全国家族介護者支援プログラムNational Family Caregivers Support Program」の地域コーディネーターのダニさんは、ソルドトナ高齢者市民センターSoldotna Senior Citizens Centerと、ブアジモールBlazy Mallに在る彼女の事務所から出ての仕事をして、ヴィッキさんと同じような状況になる人たちに相談、介護者研修、休息、支援グループ、医療といった必要なサービスに繋げるようにしています。
ダニさんは、仕事上、支援する人たちについて「私が家族と会うのは、通常、彼らが万事休すといった状態の時です。男性も女性もいますがかれらは泣きながら、何をしてよいかわからなないと私のところに来るのです」と話しています。
先週、ダニさんは、インターネットによる介護者支援と情報源でもあるmmlearn.orgから賞を受けました。彼女の介護面での努力と介護に関する情報提供の決断が認められたのです。そのサイトは、インターネットで介護者研修や教育を求めている人たちへ学習する機会を提供しています。
ヴィッキさんとダニさんは、約1年前、ソルドトナリトルリーグビンゴSoldota Little League Bingoで会いました。ヴィッキさんは、そこで7年間、週末にボランティアをしていました。何気ない会話から、ダニさんに父の認知症のことで直面している問題について信頼して援助を頼みました。
ヴィッキさんは「泣きながらダニさんのところに行って、この地域にあるいろいろな介護施設、アルツハイマー病、認知症、薬について情報をくれた」と話しています。
ヴィッキさんの父親は、長くアルコール依存症でした。アルツハイマー病薬を服用しているときは飲酒しないように厳格な指示があったにもあっかわらず、飲み続けました。この飲酒と頻繁な暴力的行動のため最終的に昨年の11月の半ばに入院することになりました。
その病院は、結局のところライルさんを自宅に戻れると退院させることにしました。
これについてヴィッキさんは「これほど理解に苦しむことはありません。父が自宅に戻れるなどと決して話すべきではありません。二度と自宅には戻れません」と話しています。
結果的に、ライルさんは、同じ地域の施設で介護を受けるということで退院しました。その施設とは、実はただの住宅で家族が一緒に住みながら自分のことができなくなった数人の人の世話をしるのです。
ヴィッキさんは「その日に父から離れて歩き、その家に父を置いてきたことには心が引き裂かれる思いでした」と話しています。
ヴィッキさんの母親もまた、まもなく一人では生活できなり、ヴィッキさん、夫のダニエルさん、3人の子供たちが住む家から数マイル離れた今の家から出なければならなくなるだろうことをよく認識していました。
アルツハイマー病のような病気におそわれ、いずれは治るか改善するとの希望がなく、悪くなるだけです。一時的に止める薬はありますが、治癒することはなく、この病気について分かっていないことがたくさんあります。
ダニさんは「恐ろしい病気です。病気になった人だけでなく、常にストレスでまいってしまうので介護者にとってもです」と話しています。
ヴィッキさんは、高齢者市民センターでダニさんが月に2回開いている支援の集いに通い始めました。介護に分野でのあらゆる問題について指示し支援する定期的な資源としてダニさんをみています。
ヴィッキさんは「ダニさんは大きな心を持っています。実際、自分が関わった人たちを支援しています。本当なのです、彼女は人を助けるために全力を尽くしてます」と話しています。
そしてダニさんは、次のように話しています。
「ヴィッキさんのような多くの人たちを助け、支え、回答を得られるように利用できることを知らせたいのです。介護者が支援を得るための主な障碍は、自分自身のことをよく知らないことです。自分たちが介護者であることの自覚を持っていない人が多くいます。家族内ですますべきものではありません。隣人や友人になる人たちがいます。そして支援を得るために必要なたった1枚の様式に書くだけでよいのです。悲しい多くの話があります。彼らのためにもっと多くのことができるはずです。なんであれ心を持った人であれば彼らを助けたいと望むものです。私はただ、もっと与えることができればと思っているだけです」
TriValleyCentral.com January 23, 2011 Children of parents with Alzheimer’s find help in Alaska
編者:アラスカでの認知症に関わる記事であるが、広大な辺地をもつアメリカ、カナダ、オーストラリアなどでの遠隔地、人口が少なく散在している地域での認知症問題も無視できない。我が国では離島などでの問題が考えられるが、あまり話題にならないし情報が乏しいようだ。インターネットの活用は解決策の一つだろう。それにしても両親二人ともアルツハイマー病の娘さんは大変だ。

認知症の人を支える地域を(1月19日/カナダ)
今月17日の早朝、オンタリオ州スカボロScarborough郊外で自宅から2,3百メートルの歩道でジュディ・タク・フォン・チュJudy Tak Fong Lam Chiuさん(66歳)の凍死体が発見されました。
その6日前、モントリオールのカルティエビルCartierville地区のナーシングホームに住んでいたアンドレ・マーチャンドAndr? Marchandさん(88歳)が、プレーリー川Rivire-des-Prairiesの川岸で凍死体が発見されました。
チュさんとマーチャンドさんは、ともにアルツハイマー病で、徘徊する傾向がありました。
このありふれた問題は、アルツハイマー病など認知症の人の介護者にはとても不幸なことです。24時間、毎日そばにいる介護者が、一瞬、目を離したり、ちょっとうたた寝をすると、認知症の人が急に居なくなってしまうのです。真冬の午前4時に、こうしたことが起こると死に至ります。
毎年、警察の事件記録簿にはこうした事例が何百、否、何千とありますが、一部しか報道されません。チュさもマーチャンドさんも明らかに一般人の悲劇がマイノリティで起こったに過ぎないからです。
しかし、実際に死亡し不安ないきさつがあるとき、どのような反応が生じるかは予想でき、こうした貧しい心であるがために、よりよい技術を求めています。
たとえば、なぜアルツハイマー病の人にブレスレットのGPSを付けないのでしょうか。自宅軟禁状態の犯罪者が付けているのと同じです。モントリオール警察は、行方不明になったアルツハイマー病の人を効率的に探すための方法を真剣に検討しています。なぜ、認知症の人に追跡可能な電波を発信する器機を内蔵した腕バンドを付けないのでしょう。この器機は、人里離れたところでスキヤーが雪崩に埋まったときのために身につけています。プロジェクトライフセーバーProject Lifesaverは非営利団体ですが、こうしたバンドを300ドルで販売しており、カナダにもいくつかの支店があります。その他、家の周りで人の動きを追跡するセンサー、遠隔ビデオモニター、ドアの警報機、コンピューターで作動する薬箱などもあります。その他、アンバーアラートAmber Alertを手本にしたシルバーアラートSilver Alertのサービスもあり認知症の人が行方不明になったとき役立ちます。
さらにカナダのアルツハイマー病協会Alzheimer Society of CanadaもセイフリーホームSafely Homeの制度も持っており、技術的には簡単なIDブレスレットに全国警察データーベースの番号を打ったものです。
こうした器機や制度はよくできていて、たびたび役立つこともあります。統計によると、徘徊する認知症の人の約半分は12時間以上見つからないと死亡しています。追跡器機はその時間を短くすることができます。
私たちの目と耳は常に周りに使うようにすべきではないのでしょうか?とくに、よわよわしい者に対してすべきでないでしょうか?このことは市民であることに不可欠なことではないのでしょうか。
チュさんの話の最も痛ましいことのひとつは、彼女が低体温に倒れる前に、助けを求めて叫び、隣家に入ろうと試み、死体が発見された場所にあった車のドアに引っ掻いたことです。どうして小柄な年老いた婦人がコートを着ないで叫び声をあげているのか、どうしてドアをガタガタさせていたのか確かめようと誰も出なかったし、警察に電話もしなかったのです。
トロント巡査部長のダビッド・デュベDavid Dub?氏はこの問題について率直に「地域communityとして私たちはお互いにみる義務がある」と語っています。
人々が忙しかったことは想像できます。テレビを観ていたか、パソコンを扱っていたか、電話で話していたのかもしれません。日常生活の不協和音のため心の叫びに慣れていたのかもしれません。
しかしながら、こうした叫びはますます大きくなり、ますます頻繁になるでしょう。アルツハイマー病など認知症の人は、今日、約50万人いますが、2038年までに110万になると予測されています。私たちはどれほど長く、こうした人たちの存在とそのニーズに対してわざと目を閉じたままでいるのでしょうか。
チュさんとマーチャンドさんの死から、今日、多くの人たちにとって本質的いって隣人が居ないということを思い起こさせるのです。隣人とは、単に無名の居住者にすぎないのです。孤立することは、とくに、虚弱な高齢者、認知症の人、介護者にとって厳しいものです。こうした人たちは、繋がっているという感覚が必要な人たちなのです。逆説的ですが、私たちのネエットワーク社会は、1日24時間、携帯電話のバックベリズBlackBerrysのような器機で繋がっていますが、本当の繋がりを地域で構築することがますます難しくなっています。
しかし、「地域」とは何でしょうか
シカゴにあるノースウエスタン大学Northwestern Universityの「地域」研究の責任者で、重要な作品「軽率な社会:地域とその偽りThe Careless Society: Community and Its Counterfeits」の著者であるジョン・マックナイトJohn McKnight教授(写真左上)は、「ある人には地域は感覚であり、別の人には関係であり、ある人には場所であり、別の人には施設です」と述べていますが、教授が好む定義とは、「地域は人が優勢な場所」としています。
地域を作り上げるのは努力です。時間、お金、努力そして社会的接触があるという確信が必要です。そこには、駐車場、娯楽センター、教会、学校があり、隣人に自分を紹介するささやかな身ぶりがあふれています。また、地域に投資することは価値あることで、高齢者がよく見えるところで凍って死亡するようことはありません。
統合失調症のような精神の病気の人、自閉症のような発達障害の人と同様に、認知症のような脳の病気の人は私たちの生活と地域の一部であり、それはこれからますます増えるだろうことを認識しなければなりません。
電気器機で追跡したり鍵で閉じ込める必要はありません。むしろ、かれらが市民として参加できるように助ける必要があります。必要な権利と責任で持って各自が行動する必要があるのです。技術は地域にとって代わる物ではないのです。
Globe and Mail Jan. 19, 2011 Community, not technology, is what people with dementia need
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編者:筆者Andre Picard(写真左下)は保健関係に詳しい記者で、いくつかの賞を受けている。この記事から、カナダでの地域社会の崩壊の間に認知症の人と家族が置かれていることによる悲劇を指摘している。認知症の人間は人間が地域で支えなければならないのだ。我が国にも当てはまる話だ。

アルツハイマー病薬の使用制限を廃止(1月18日/イギリス)
イギリスの国立医療技術評価機構National Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)は、今月18日、国民保健サービスNational Health Service (NHS)でアルツハイマー病薬―ドネペジル(一般名:アリセプト)、レミニール(同ガランタミン)、エクセロン(同リバスチグミン)―の使用制限を今年3月から廃止する計画であることを発表しました。
イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyによるとイギリスには現在、75万人ほどの認知症の人がいますが、その半数以上はアルツハイマー病です。2025年までに100万人以上になると推計されています。
この薬の適応拡大とは、アルツハイマー病の軽度、中程度の場合でもNHSによる公的な費用で薬代が支払われることになります。これまでは重度のアルツハイマー病にのみ使用が認められていました。
またNICEは、現在、臨床試験でしか使われていないエビクサEbixa(一般名:メマンチン)についても、中程度から重度のアルツハイマー病の人に使うことも勧告しました。
NICEのアンドリュー・ディロンAndrew Dillon最高責任者(写真)は、「3種の薬が軽度から中程度までのアルツハイマー病に人に、また別の薬が中程度から重度で使うことを勧告できてうれしく思う」と述べています。
草案は、昨年の10月に検討され、公表され、すみやけに採用されることになっていました。
NICEは、最終のガイドラインを今年の3月に発表され、それまでは2007年の制限付きの勧告が有効としています。
アリセプトなど3種の薬は抗コリンエステラーゼゼ剤ですが、薬代は1日1人あたり2,80ポンド(4.40ドル)で、一部のアルツハイマー病の人に効果がありますが、治癒させるものではありません。
2007年のNICEの評価では、こうした薬の利益に対して経費がかかりすぎるというものでした。しかし、ディロン氏は、「ここ2.3年の臨床試験の多くのデータから、薬の積極的な効果が示されており、臨床的な有効性の不確実なところは減りました。アルツハイマー病を持ち治療しながら生きることの方がその経費よりは多くものを得ていることがわかりガイドラインの変更を決めることにした」と述べています。
世界的な活動を進めている国際アルツハイマー病協会Alzheimer's Disease International (ADI)の昨年の報告書によると、認知症に要する費用は2010年で全世界で6040億ドルで、全世界のGDPの1%を超えており、さらに2050年までに認知症の人数は3倍になると推計しています。
(Reuters Jan 18, 2011 UK cost agency to extend use of Alzheimer's drugs)
関連情報:エーザイ「軽度アルツハイマー型認知症患者様の治療・介護を改善する英国NICEの推奨最終案」(2011年1月18日)
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アルツハイマー病になるのを恐れる父(1月17日/アメリカ)
私の父はアルツハイマー病が近づいてくると思っていました。彼のレーダーにその病気が映っているのです。彼の父親がこの病気で亡くなりました。ダグラス・カッカーサー大将のためにおおいに仕事をこなし優れたその男が劇的に崩壊するのを見た私が恐れる父は神経科医になることを鼓舞されたようです。多分、医学の研究をすることで遺伝的な事柄も避けることができると信じていたようです。その恐れを思い出させるように、彼は机の上の瓶に萎縮した脳を置いていました。
父は中年期にさしかかる頃、ダイエット用栄養補助食品を使って自分で実験を始めました。60歳までに、1日78錠をのんでいたのです。彼は、脳細胞を保護し、フリーラディカルを破壊するといわれる物は何でも見つけ出しました。オメガ3s,6s,9s、ビタミンE,ビタミンC,銀杏エキス、ローズマリー、セージ、葉酸、亜麻種子です。
フロリダ州のネイブルスで神経科医を引退した後、彼は、数学を始め1日何時間も過ごしていました。訪問したときでさえ、革製のリクライニングで静かに計算機を使って行った計算が正しさか確かめていたのです。
「お父さん、何のために知能を守ろうとする。ここで父と話すのを待っているのに」と私は不思議に思うことが度々です。突然、頭を上げて私を見つめ、彼は「もし私が父のような姿で終えるようなら頭に拳銃を当てるだろう」ととても真面目に話していました。
バージニアの農家の壁に便を塗っている彼の父の姿を見た男はどの反応するのでしょう。抵当してまで彼はフロリダ州で最初のCTスキャンを買ったのです。
彼は、拳銃を収集して鍵をかけて保管していました。私に使い方を教えていたので、私が拳銃を打てることをきることを知っていました。
数年後、父は、ヴーモントの私の家に、サプリメントでいっぱいのスーツケースを持ってやってきました。 毎食後すぐにのめるように、その週の薬を包装から取り出し、使い捨ての紙コップに分けていました。
父は「おまえも、のむむべきだ」と言うので、「どおして」と聞くと、「遺伝子のコピーをもっているから」と答えていました。
確かに、私たち二人は、身体的にも性格の特性もとても似ていました。背が高く、唇が大きく、目が青く、関節が緩く、そばかすの皮膚、不安にさいなまれるベルコウ家の人間です。男性と女性の染色体を以外は、ほとんど似た者同士だったのです。
だれもアポE遺伝子の一つのコピーをそれぞれ、両親から受け継ぐと父は説明しました。この遺伝子はアルツハイマー病の遺伝的リスクのかかりやすさを示しています。アポE2は、比較的稀ですが、アルツハイマー病の発症を保護する作用があるようです。アポE3は、最も多いタイプで中立的役割をもっており、アポE4は危険性を高めます。
「私はまだ34歳です。そのことについて考えられません」と返事すると、父は首を横に振っていました。
フロリダに戻った父は、遺伝子検査キットを私に送ってきました。私のかかりつけ医の診察室で血液を採り、その結果は父のところに伝えるように指示しました。結果的に、私も父と同じよくアポE3の遺伝子をもっていることが分かりました。病気になるかもしれないし、ならないかもしれないということです。
私は、どうなるかわからず、待つしかないでしょう。2009年、71歳になった父は、MRIを受け、アルツハイマー病に似た萎縮があることが指摘されました。その画像フイルムを見て父は混乱しました。
最近、母が手術を受ける間、私は父と一緒の時間を過ごしました。毎日、入院している母のところに父を連れて行きました。帰宅するときに、5分間ごとに母の名前を呼ぶようなこがありましたが、止めさせました。決まった時間に、夕食と薬を用意しました。
ある日の午後、父がテレビで野球の試合を見ている時、私は彼の寝室に入りサプリメントが壁のように置いてあるのを見つけました。どの本棚にも、メモラルMemoral やシャープマインドSharp Mindといた名前の薬でいっぱいでした。彼の拳銃を入れた飾棚も見ました。
私の訪問の最後の朝、父は声を震わせて「おまえが私の世話のためにきてくれて、ありがたく思っている」と話しました。私は、すこし間を置いて「嬉しいわ。もう世話をする必要はないでしょう」と答えました。私たちは歩きながら、父はこの最後の言葉を5分ごとに繰り返していました。そして最後に、私は話すこともなく、一人ぼっちでした。
NYT January 17, 2011 When All Isn’t Enough to Foil Alzheimer’s
編者:寄稿者は作家ナンシー・スターナーズ・ベルコウNancy Stearns Bercaw氏(写真)。我が国にもこうした「アルツハイマー病恐怖症」の人がいるのだろう。

アルツハイマー病の女性が隣人に無視され凍死(1月17日/カナダ)
アルツハイマー病の高齢女性(66歳)が、自宅の近くの車道に倒れ凍死しました。隣人らは彼女の声を聞いたのですが、誰も様子をみようとせず警察に電話もしませんでした。
今月の16日から17日にかけて夜間の気温はマイナス20度で、当時、トロントには異常低温警報が出されていました。
新聞配達の人が、17日の朝6時少し前、家の車道に横たわっていた女性を見つけました。
女性の夫は、深夜に起きて、2時頃、妻が外に出たことに気付きました。しばらく探しても見つからないので警察に電話しました。
警察官が女性が発見された現場に到着したとき、彼女が立ちあがろうとした時の車道の表示に汚れた指の痕を発見し、家のドアにもこすった痕がありました。女性は助けを求めて叫んで隣人はその声を聞いていたのですが、誰も外に出て彼女を助けたり、電話したりしなかったのです。
トロント警察署のダヴィド・デューブDavid Dube氏は次のように報告しました。
「捜索によると2時頃、2組の隣人が彼女の叫び声を聞いていました。不法行為はなかったと判断しています。彼女は混乱して助けを求めていたと思います。隣人は困っている彼女の姿を見ていましたが、何が起きているのかわからず電話をしてこなかったようです」
彼女が発見された時、脈は触れず、救急救命士は、身体が凍てついていたので心肺蘇生術ができませんでした。直ちに病院に搬送されましたが、午前7時に死亡が確認されました。
デューブ警察官は「地域住民であれば、隣人の様子を見たり、正しいことをする義務があると思います。だれか警察にただちに電話していれば、結果は違ったでしょう」と話しています。
CityNews Toronto 2011/01/17 Woman Freezes To Death After Cries Ignored)
編者:厳冬のなかでの悲惨な事故だ。マイナス20度では、ねまきで1時間居たら凍死するだろうが、隣人の支援で助かったかもしれない。我が国ではどうだろう。なお記事からは午前2時から6時までの経過がよくわからない。

★睡眠剤は高齢者の転倒と認知機能低下を招く(1月13日/アメリカ)
アメリカ・ブルダーBoulderに在るコロラド大学University of Coloradoの統合生理学のケネス・ライト准教授Associate Professor Kenneth Wright(写真)ら研究グループは、睡眠剤と転倒および認知機能の関係について試験を行いました。
研究グループは、睡眠剤zolpidem(訳注1)を服用したグループと偽薬を服用したグループ、および服用しないグループで、睡眠中に覚醒したときの歩行の安定性と認知機能を調べました。この試験には健康な12人の高齢者と13人の若年者が参加しました。
試験は、予定した睡眠の10分前に5mgのzolpidemと偽薬を2重盲検法で服用してもらった2グループと、通常の就床時の1グループとで比較しました。
測定は、床の上のレーン(形状:5m×15cm)の上を歩くこと、およびコンビューターを使った認知機能検査を行いました。試験時間は最長120分でした。試験前にレーンから踏み外した人はいませでした。睡眠剤を服用してない10人についてはレーンから踏み外した人はいませんでした。睡眠剤を服用した高齢者12人のうち7人は踏み外しましたが、偽薬を服用した人で踏み外す人はいませんでした。若年者ではこれより少ないが、睡眠剤を服用した人のうち3人が外れ、偽薬を服用した人では1人で、覚醒した人では0人でした。
認知機能については、睡眠剤を服用した高齢者は、服用しなかった高齢者および若年者とくらべ有意に低下したことを認めました。
結果的に、睡眠剤Zolpidemは、睡眠後の覚醒時にバランスや認知機能の低下を認め、このことから不安定な歩行が転倒や大腿骨骨折につながり、また認知障害も安全に関連していており、以前考えられていたより、Zolpidemのような非ベンゾヂアゼピン系の睡眠剤(訳注2)は高齢者の健康と安全に重大を結果を招く恐れがあるかもしれないとしています。
この論文はアメリカ老年医学会雑誌Journal of the American Geriatric Societyの2011年1月号に掲載されています。
この結果についてライト氏は次のように述べています。
「睡眠剤を服用しようがしまいが不眠症そのものが転倒の危険を増します。しかし睡眠剤を服用することでその危険性が増加することになります。睡眠剤を使うべきであると主張はしているわけではありません。不眠症に必要な薬なのですが、今回の結果を睡眠剤を服用するときに参考にしてほしい」
colorado news center January 13, 2011 Older adults taking popular sleep medicine at risk for falls and cognitive impairment, study finds および論文Influence of Zolpidem and Sleep Inertia on Balance and Cognition During Nighttime Awakening: A Randomized Placebo-Controlled Trial
訳注1:日本での商品名はマイスリー
訳注2:ベンゾジアゼンピン系睡眠剤としてはデバス、ダルメート、サイレース(共に商品名)などがある。
編者:経験的に高齢者が睡眠剤を服用すると覚醒時に転倒が起こりやすいことは知っているが、症例数が少ないが2重盲検法で、しかも健康な高齢者と若年者とで比較試験をして認められた。さらに睡眠剤によると思われる認知機能の低下も転倒に関与していることも明らかにした。

認知症の課題に取り組み始めた中国(1月12日/中国)
昨年、高額な赤レンガの複合住居が上海にオープンしました。この住居には、美容室、映画室、おもちゃが一杯の部屋、カラオケスイートルームが備わっています。ここに入居する人は都会派の中国人でなく、アルツハイマー病など認知症の高齢者で、急増する高齢者の対する中国の新しい試みの最前線の一つといえます。
49歳の上海のバス運転手のミャオ・ユーキアンMiao Yuqiang氏は、81歳の母親はこの施設で生活させていますが、「ここは最善の場所だと思います。この施設を見つけるまで、とても困っていました」と話しています。
多くの国で急速に高齢化する人口に取り組んでいるなかで、中国は、今後30年以内に60歳以上の人口が4億人近くになると予測されています。これは一人っ子政策のためでもあり、高齢者を介護する労働年齢人口が減るためでもあります。
将来の難しい問題を認識して中国は、認知症に関する一般向けにの、また医療関係者向けの教育を始め、さらに大都市では上海の第3高齢者ホームShanghai No. 3 Elderly Homeのような新しい施設の建設計画を立てています
この態度の変化は特記すべきものです。というのは10年前までは、多くの家族は高齢者がそうした病気になることを恥ずかしいとみなしていたのです。この病気についての知識が乏しかったために、多くの認知症の人は、病院のなかで窓に鉄格子のある精神科病棟に入れられていたのです。
しかし今日、困り果てて高齢者を介護施設に入れる家族が増えていますが、施設が不十分であることが問題だと医療専門家は指摘しています。今後、国と働ける家族への重い負担が予測されています。しかも、この負担がアルツハイマー病など認知症への理解不足―医療専門職の間でも―によって複雑なものとなっているようです。
ボストン大学医学部Boston University School of Medicineのローダ・オRhoda Au准教授は「これは中国にとって切迫した医療問題であり、一人っ子政策のためアメリカで起こるより以上のことが起こるかもしれない」と述べています。
上海―中国で最も豊かで、最もダイナミックな都市―では、アルツハイマー病など認知症の人が12万人いると推計されています。しかし、市当局は、認知症の人の介護の研修を受けた介護施設はほんの一握りしか確認していないのです。
増加する高齢者の心配は、「4-2-1問題」と呼ばれる状況によってさらに増大しているのです。一人っ子政策により、一人が二人親と4人の祖父母を支えることになるのです。さらに、高齢者が長生きすることによりお金のかかる認知症介護が一層広がることになるようです。
著しく不足する介護施設について、上海は、「90-7-3計画」と呼ばれる計画を提案することでしょう。高齢者の90%は専ら在宅で家族の介護を受け、7%は地域のセンターに通所し、3%は介護施設で生活する必要があるとするものです。上海市民局Shanghai Civil Affairs Bureauの社会福祉副部長ザン・ファンZhang Fan氏は「すべての地区に少なくとも1か所、認知症の人の介護施設を作る予定です。毎年、少なくとも5000人分の施設が必要だ」と話しています。
もっとも困難な課題の一つは、専門的な認知症介護を誰が負担するかということが不明瞭なままになっていることです。1990年、中国は、国家による「ゆりかごから墓場まで」の財政的支援である旧来の「古い鉄製のご飯茶碗」制度を放棄したのです。これは市場中心経済への移行の一部ですが、国民の社会的セイフティーネットが弱くなり、高齢者介護に資金が不足することになってです。
現在、ボストン大学は、中国の認知症の発病頻度とリスクを増大させる要因についての研究を進めています。この研究目的は、認知症の発症を遅らせ、重く負担となる医療費を軽減することにあります。
新しい施策の速やかな実施への圧力があります。中国人は、高齢者を家で介護する伝統を持っていましたが、大都市の家族はこうした束縛に不満を抱いているのです。
リュ・ペイユLu Peiyu氏は、元会計士の夫(63歳)が3年前に認知症と診断されたため施設を懸命に探してきましたが、見つかりません。彼の世話する人がいない家でただ座っているだけの状態です。ペイユ氏の義理の息子さんは次のように述べています。
「お父さんを病院に入れることも考えましたが、2年間に2回も外に出てしまいました。義父に相応しい介護施設が一つもないことが問題です。専門病院では空きベッドがなく、民間の介護施設は入所に適さないとされてきました」
ミャオ・ユーキアン氏は、認知症の人を介護できる施設を見つけられた幸運な人といえます。こうした彼の家族の苦しい体験は、上海ではありふれたことです。2年前、高齢の母親が家の外の舗装道路で頭を打って、1カ月入院しました。末っ子、ミャオ氏、妻、夫婦の息子さん(当時20歳)の住む自宅に戻る時、母親に重い記憶障害の症状が現れ始めたのです。
彼女の義理の娘さんのリュオ・ユキンLuo Yuqin氏は、「お母さんは道で迷ったりするようになり、ストーブの上で沸騰したお湯を移すことも忘れてしまった」と話しています。
今日、ユーキャン氏の母親は、上海第3高齢者ホームに居て車椅子で生活しています。ユーキャ氏によれば、彼女は話すこともできなくなり、感情的に興奮しやすくなっています。
1週間に2回、面会にいっていますが、数週間前の土曜日、彼は、軽食とゆで卵を入れたプラスチック製の袋をもって面会に行きました。ミルクの入った小さいお椀で母親に飲ませながら「お母さん、うまくいっている?」と聞きました。妻は「ここの職員はよく母親を看てくれています。私たち夫婦はともに働いて、何時間もバスの運転をしているのです。この施設がなければどうなったことでしょう」と話しています。
上海第3高齢者ホームの会長であるザアン・ナイジZhang Naizi医師は次のように述べています。
「この施設では、ヨーロッパで開発された個別的に関心をもつシステムを認知症の人の介護に試みています。そのシステムは、認知症の人を記憶ゲームで活発にし、看護師が常に認知症の人と手による接触をとることでより安心できます。新しい施設にはマツチメディア室があり、上海の通りや入居者の認知症の人の近隣の画像を映すこともできます。こうした自宅に居るような思いにさせることができると思います。また多くの認知症の人はGPSの腕バンドを付けてもらい職員に居場所が確認できるようにしています。認知症の人の最初の専門的なセンターであることはうれしい。私たちが全国で初めてなのです。10年前は、認知症の人は精神科病棟に入れられていました。今は、状況は違います」
New York Times January 12, 2011 China, in a Shift, Takes On Its Alzheimer’s Problem
編者:中国、特に上海での認知症問題の分かりやすいレポートだ。国際アルツハイマー病協会の報告によると、中国では認知症の人が2020年に1020万人、2040年に2250万人になると推計している。なお上海での高齢者介護については田中元氏の「中国上海現地レポート」(けあコミュニティ)がある。

アルツハイマー病薬と有望視され第3相臨床試験中の薬で副作用の疑い(1月11日/アメリカ)
イーライリリーEli LillyのCEOのレヒライターLechleiter氏(写真)は、「臨床試験中の自社のアルツハイマー病薬のソネズマブsolanezumabであるが、一人の患者が一時的に脳浮腫を発症したが、その人が服用したのは試験薬か偽薬かは不明である」と報告しました。
副作用の可能性がある脳浮腫については、同じくファイザーPfizerとジョウソンアンドジョンソンJohnson & Johnsonの臨床試験中であるライバル的薬のバピウネズマブbapineuzumabの高量投与でも見られたものですが、ソラネズマブの承認につい疑問が生じたことになります。
レヒライター氏は、1月11日、サンフランシスコで開催されたJPモルガンヘルスケア会議JPMorgan Healthcare Conferenceの年次会議の場で、このことを投資者に報告して、さらに「最終的に二つの臨床試験に約2000人の患者のエントリーが終了し安全性については問題ない」とも報告しました。進行中の二つの臨床試験は、二重盲検法であり、患者の候補薬か偽薬を服用したかどうかわかないのです。
このレヒライター氏の報告はインターネットでも流されましたが、一人の患者の変化が無症候性血管性浮腫または脳内液の増加によるものであり、追跡して行った脳画像検査ではその変化は認められていないので、その患者についても臨床試験を続けることにしたと報告されています。
さらに、ライヒライター氏は「データ監視委員会は、基本的に3カ月ごとに開催さますが、現在の臨床試験を変更する必要ないと助言している」と述べています。この委員会は、通常、重大な安全性に問題が生じたとき、あるいはデータから薬が有効か無効かが明らかになったときに臨床試験を停止させるものです。イーライリリーの役員は、近い将来、脳浮腫の件でさらにコメントすることはないでしょう。
ライヒライター氏は、「会社のもう一つの経口アルツハイマー病治療薬候補のセマガセスタットsemagacestatは、昨年の夏、第3相で患者の症状が悪化したために中止したが、注射薬のソネズマブについては鋭意取り組む」と述べています。
セマガセスタットの失敗は、たとえ会社が初期の臨床試験段階にある別の治療法があるにせよ、ソネズマブがアルツハイマー病に挑戦する最善の希望とみなされているのです。二つの薬は異なる作用機序ではあるが、アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイド斑の形成を阻害するものです。
イーライリリーは、ソラネズマブおよび他の試験中の薬が、承認され、今後3年間、ジェネリックの対抗薬に直面するに際して売上最大の薬品の販売促進を補うような収入を生むものと期待しています。
同社は、売上最大商品のアメリカでの特許保護を失うことになっています。統合失調症治療薬で最大売上、年間50億ドルのジプレキサZyprexaが今年の10月に、抗うつ剤治療薬で売上第2位、年間35億ドルのシムバルタCymbaltaが2013年にジェネリックが販売され、骨粗鬆症治療薬のエビスタEvistaが、まもなくおなじくジェネリックが販売されることになっています。
(Reuters Jan 11, 2011 Lilly says brain swelling seen in Alzheimer's study)
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編者:イーライリリーのもう一つの第3相臨床試験中のアルツハイマー病候補薬も承認が危ぶまれるのか。

認知症の人を地域で支える(1月7日/カナダ)
デニス・マーチンDennis Martin氏(写真上)は、これまでは顧客のことで医師に連絡はしていましたが、今は市に伝えています。彼は、オンタリオ州のナイアガラフォールズNiagara Fallsに在るショッパードラッグマートShopper’s Drug Martの薬剤師でありオーナーですが、カナダで初めての高齢者向けの「隣人見守りNeighbourhood Watch」プログラムの一役を担っているのです。マーチン氏のために宅配をしているドライバーは、よく混乱した高齢者のお客に出会うのです。彼らは、薄汚い家で暮らし、暖房が切られ暗いなかでふるえていました。このプログラムは、彼らに元気を取り戻すため、郵便配達人から銀行の窓口係さらに市立公園の職員までのさまざまな人が、こうした高齢者を見守り、認知症の症状が観察するのです。その情報がサービスを提供する市職員の伝わることになっています。
このプログラムによって誰が認知症なのかを確認して在宅支援を提供することが市民の良識になっています。カナダでは50万人以上の人がアルツハイマー病など認知症ですが、その数は20年以内に倍増すると予測されています。そうした状態にある人たちを知り速やかに市が最低限の保証することが重要視されています。こうすることで介護施設に入る必要な高齢者が減り、また重い怪我を防ぎ、虐待されていた能力が低下した高齢者を市職員が無視したという非難を避けられるようになりました。
「ゲイトキーパーGatekeeper(門番)プログラム」を管轄しているナイアガラ地区の職員のジェニー・シックルナJenny Shickluna氏(写真中)は「人々は、よく私に『私を施設に入れようとしているの?』と言います。私は、むしろ在宅で安全に生活をしてほしいと思いる」と述べています。この地域のボランティアは、1996年にナイアガラゲイトキーパーNiagara Gatekeepersを始めました。2009年には、これが州の補助金による公的な市の制度となりシックルナ氏も手当を受けとるようになりました。ナイアガラフォールズのほか4つの地域でも同様の公的制度があり、これらの地域では65歳以上の人口が20%を超えています。
この春、地域の市の管理者と職員は、この制度のための研修を受けることになっています。
この取り組み以降、カナダ国内の多くの市で増加する虚弱な高齢者に住居を提供する計画があるために、同じような制度の導入を検討しています。昨年の12月、トロント市のオンブズマンは、市は認知症の人に必要なことに応えられるようにアルツハイマー病協会Alzheimer Societyと連携して政策を遂行すべきと勧告しています。
高齢の女性の息子が、認知症の母親の財産である木を市の財務担当の職員が勝手に切ったと訴えたため監査が入ったのです。市の管理者は、今年の3月までに認知症政策の草案を明らかにし、すべての職員―交換手からごみ回収者まで―が自分の仕事のなかで認知症の人に出会うことがあることを認識できるようにすると約束しました。
トロントの監査部長のランス・キューバーチLance Cumberbatch氏は「公的な部署と関係するグループを除外しないように慎重に扱います。明らかに政策を強化する必要がある課題であり、最終的には市にとってよりよいものとなる」と述べています。
これまで、高齢者に関して市が指導的に行ったことは、物理的なインフラで、公園のベンチを増やす、市のサイトでのフォントを大きくするといったことでした。
ウオータールー大学University of Waterlooの計画学部のジョン・レーウィスJohn Lewis教授(写真下)は、高齢者にやさしい市作りのチェックリストを作成するため州の基金に応募していますが、「認知症に関しての扱いはもっと難しい課題があり、扱いにくい計画の分野です。本当にどのように取り組むのかをよく理解はしていない」と述べています。
トロントでキューバーチさんは次のように述べています。
「市の何百という職員が研修に参加しなければなりません。認知症の症状をどのように把握するかを学び支援につなげてゆくことになるでしょう。多分、条例を強化すことで訓練を受ける職員が自分たちがそれを扱うことにあまり期待されることを望まないでしょう。むしろ認知症高齢者に支援が必要なとき、その分野の専門家に連絡するというネットワークを作りたいのです」
さらに彼はオッタワやサンフランシスコで行われているプログラムを学びました。その市の職員が弱者の大人たちを助けているのです。さらにほかの市での実態についても調査を続けるそうです。
ナイアガラゲイトキーパーのモデルは、1970年代のアメリカ・ワシントン州のスポ-ケンSpokaneで導入された初めてのプログラムに基づいています。この市で長期的な評価をしたところ、年を重ねるにしたがい介護施設入居が必要な地域在住の高齢者数が減り、入院数も自殺も減少したのです。
ナイアガラでは、ゲイトキーパープログラムの応募する人の名前はナイアガラ地域ケアアクセスセンターCommunity Care Access Centre Niagaraのデータベースの登録され、電話をかけて1300人の常勤の職員がいる高齢者サービス担当を呼び出すようにします。
シックルナ氏は、プライバシーが認知症など健康を扱う際の課題でありとして「高齢者の同意がないといかなるサービスも始まりません。高齢者を強引に関わることできません。実際、『もしなにか必要なことがあれば、ここにいます』と話してドアをノックするだけなのです」と話しています。市の職員や一般市民から、高齢者について本人に黙って躊躇しながら報告できる条件をプログラムではどうのようになっているか疑問が示されています。
マーチン氏の薬局の顧客の70%は65歳以上ですが、彼は別の意見を持っています。毎月処方箋を持ってくる高齢者にとって初めての公的な接触者が自分であることを認識し、従業員から顧客が困っていると知ると話しかけることは自分の責任を感じているのです。彼には地域支援システムの力を信じる理由があり、ますます自分にとって明確になっているのです。そして「子供がいない人としてそれを重要なプログラムです。とても重要です」と話しています。
Globe and Mail Jan. 07, 2011 Lending a helping hand to dementia sufferers
編者:認知症高齢者などを地域で支える住民と市職員による公的なシステムの構築の記事だ。我が国の認知症サポーターを似ているところもあらが、最終的に市が管理するシステムであり、問題を抱えていると思われる高齢者が市に紹介されるところが違う。しかし、このシステムにはプライバシーの問題もあるが柔らかなシステムとして機能するのが望ましいと思う。我が国の自治体でも導入を検討してよいと思う。「消えて高齢者」問題の解決のためにも。1970年代からのスポーケン市の取り組み―施設入居や入院も減ったという―は知らなかった。その後の経過も知りたい。

「アルツハイマー病の家族を助けてください」(1月7日/アメリカ)
アルツハイマー病で、医療および社会保障制度の間に置かれた父親を介護する献身的な二人の子供を助けるチャンスがあります。
そのアルツハイマー病の人はフロリダ州のサンカルロスパークに住むウイリアム・ハリス・ジュニアWilliam Harris(59歳)(写真)さんです。かれの唯一の介護者は献身的な息子さんであるウリアム・ハリス三世(23歳)(写真)と娘さんのジュリー・ハリスさん(21歳)(写真)です。
家族は支援が必要です。ウイリアムさんは、障害が2年間経過していないので障害者と高齢者向けの公的医療保険のメディケアに該当しないのです。また、障害の程度から、低所得者と障害者向けの公的医療保険であるメディケイドのも該当しないのです。さらに、食糧配給券もデイケアも利用できません。家族の不動産業はこの間の不動産不況に影響され、母親は昨年自殺しています。
こうした類の問題は、親や配偶者がアルツハイマー病になって、安全ネットからはずされた時にアメリカ中で家族の直面することです。多くの家族と同様に、ハリス家の人たちは父親の助けるためにまとまり、また、自分たちで支えようとするのです。
ウイリアムジュニアーさんはフロリダガルフコースト大学Florida Gulf Coast University(FGCU)を先月、卒業し、行政学を学ぶために大学院に進む計画でした。またジュリーさんはこの春に同じ大学を卒業する予定です。
私たちはこれら若者の経歴が、この逆境によってダメにならないことを希望していますが、
子供らは父親を最優先していることが、とても敬服しています。
もし支援してくださる人がおられれば、小切手をウリアムハリスジュニア氏の口座あてに振り出してくださるか、TIB銀行に送ってください。
news-press.com January 7, 2011 Editorial: Help family dealing with Alzheimer's
編者:アメリカ・フロリダ州の地方紙に掲載されたアルツハイマー病の家族への募金を呼び掛ける記事。アルツハイマー病に関わるアメリカの家族のなかにはこうした状況もあるので紹介した。アルツハイマー病の研究は世界最先端であり、富裕層向けの認知症の人のすばらしい施設もあるが、制度の間に置かれたアルツハイマー病の人と家族の困難な状況は日本以下かもしれない。

行方不明の男性が低体温で死亡(1月3日/アメリカ)
エドワード・ベトレイEdward Betley氏(87才、男性)は認知症で今月2日の午後、ミズリー州モンロー郡の自宅近くの溝で死亡してところを発見されました。家族から行方として3日に通報があり、郡保安官と家族で午後3時頃から捜索を始めました。
家族が、ベトレイ氏の自宅に2日午後1半頃寄ったところ、ドアは開いたままで不在でした。それまで家族は、毎日、父親が居ることが確かめていました。
2日ヘリコプターと2匹の警察犬で捜査を始めたところ、ベトレイ氏は自宅から数件南の溝にはまっていたのを発見されました。死後どの程度時間がたっていたかわかりません。彼が人と最後に会のは今月1日の午後6時頃でした。郡の監察医が調べたところ低体温による死亡が断定され偶発的な事故とされました。
Freep.com Jan. 3, 2011  Missing Monroe County man died of hypothermia
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編者:CNNで調べると4日のモンローの気温は一日中0度前後である。アメリカではインターネットに行方不明の記事がよく載るが、冬季は危険だ。我が国では、警察庁の報告によると、2004年中に屋外で徘徊中に死亡したり行方不明の高齢者は全国で905人。その内死亡が548人、行方不明のままが357人であるが、ネット上の記事になることは何故か稀だ。

アルツハイマー病の人の支援に学校訪問(1月2日/サウジアラビア)
サウジアラビア・リヤドに在るサウジアルツハイマー病協会Saudi Alzheimer's Disease Association (SADA)は、市内の学校を訪問して、リーダーシップの導入とボランティア活動の意義について説明しました。同協会のボランティア委員会は、「私たちの家のアルツハイマー病の人」と題する短編物語コンペを実施すると発表しました。このコンペでは、参加校の100から400の生徒たちの応募を期待しています。
協会は、アルツハイマー病の人