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2011年
「もがく心:高次脳機能障害の若者たち/上 居場所失い「死にたい」/佐賀」(1月31日)
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2014年


★「インサイト,高次脳機能障害などの認知障害を有した人の生活支援アプリ「あらた」をAndroid版で配信開始」(9月3日/INNERVISION )
(株)インサイトは,脳損傷による記憶障害や注意障害など認知障害に悩む高次脳機能障がい者の様々な日常生活の課題を軽減するため,Androidタブレットで動作する日常生活支援アプリ「あらた?」を開発,2014年9月9日(火)から販売開始する。
「あらた」は,厚生労働省の2013年度「障害者自立支援機器等開発促進事業」として,神戸大学大学院保健学研究科の種村 留美教授と共同研究した製品。2014年5月25日(日)のITヘルスケア学会第8回年次学術大会では製品賞を受賞した。
なお,「あらた」は高次脳機能障害や認知症などの認知障害を有した人だけではなく,高齢者も活用できる。
○開発の背景
事故や脳血管障害などに起因した脳損傷による高次脳機能障がい者の数は,全国で約50万人,新たに毎年約3万人が発症していると推計されている。(※日本リハビリテーション医学会誌, 46(2), 118-125, 2009. 参照)
高次脳機能障害とは,脳損傷が惹き起こす記憶障害,注意障害,遂行機能障害などの様々な神経心理学的症状により,日常生活に制約がある状態をいう。少し前の出来事や約束を思い出せない,順序立てた行動ができない,時間の感覚がはっきりしない,といった様々な症状から起きる生活上の課題により,職場復帰が困難になるなど,日常生活の自立に支障をきたしている。
高齢化の進展で,認知障害を有した人が更に増加すると予測されることから,認知障害に起因するこうした課題を軽減させ,自立生活の後押しを目的とした取り組みへのニーズが高まっている。
○特徴
(1) わかりやすく行動を促す
→障がい者や高齢者に配慮したわかりやすいアクセシブルデザインを採用。
(2) 確認漏れを防ぐ
→予定を知らせるのと同時に,その時に忘れず確認しておくことをチェックリスト表示。しなければならないことの確認漏れを防ぐ。
(3) 必要な時,すぐにメモの作成が可能
→いつでも手軽にメモを作成できる。さらに日付に手書きメモを貼り付ければ,その日にメモがあることを通知する。
○「あらた」とは
「あらた」は,高次脳機能障害など認知障害を有する人が,いきいきと主体的に日常生活を過ごすことをコンセプトに開発した,日常生活課題を軽減するタブレットアプリケーション。主な機能である「スケジュール管理」(写真右上)と「手書きや写真のメモ」(写真右下)に加えて,わかりやすいアイコンを使用していることで,障がい者や高齢者でも直感的な操作を可能としている。
<スケジュール管理>
所定の予定時刻になると,何をするべきかを,文字と読み上げ音声で行動を促すことで,行動予定の健忘や,注意障害,遂行機能障害を補う。
また,その際,忘れずに確認しておく項目がリスト形式で表示されるため,項目チェックで確認漏れを防止する。家族やお世話になっている介護士の声を録音し,読み上げ音声として使用すれば,促し効果が更に期待できる。
<メモ機能>
必要なときに手書きメモを取り,所定の日付に貼り付けができる。その日になると,「今日見るメモ」を通知する。
メモは,カメラで取ることも可能で,顔やモノの名前を忘れたときに効果を発揮する。
【実証試験について】
神戸大学大学院保健学研究科と共同で,岡山,兵庫,東京など6都県で,高次脳機能障がい者と,岡山県や兵庫県などの家族会,川崎医療福祉大学,慶応義塾大学,京都府立医科大学などの協力を得て実証試験を実施した。
家族からも,「本人に直接言わなくてもタブレットに従ってくれるので助かっている」,「タイマー通知により自分で行動してくれるのでガスを使うときなどに目を離しても安心」,「時間の感覚がはっきりしないため,予定時間の2〜3時間前から外出したくてトラブルのもとであったが,タブレットで確認してから外出できるようになってトラブルが減った」など,負担軽減について多くの感謝の言葉があった。
【今後の展開】
まず基本機能から販売し,引き続き,日記機能や就労支援機能など順次機能を追加していく。
さらに,機能追加とともに,高次脳機能障がい者や認知障害を有する人に向けた下記サービスを立ち上げ,共生社会実現に向けて事業を拡大していく。
1) クラウドサービスを使って,発症者と家族が相互に予定行動の変更や確認が遠隔でできるサービス,および家族からの伝言,発症者の安否確認サービスなど
2) 高齢者や認知障害発症者と家族やコミュニティとのコミュニケーションサービス
【販売ルート・料金について】
販売サイト: Google Play
販売開始日: 2014年9月9日(火)
利用料金 : 月額540円(税込)
対応端末 : Android 4.0以上 推奨機種については公式サイト参照
公式サイト: http://aratalife.com
○問い合わせ先
(株)インサイト
システム事業部 広報担当 柏,大屋
TEL 06-6835-1056
E-mail:arata110@aratalife.com
http://www.insite-corp.co.jp
Innavi.net 2014 年9月3日 原文のまま


2013年


2012年


2011年


「もがく心:高次脳機能障害の若者たち/上 居場所失い「死にたい」/佐賀」(1月31日/毎日新聞)
食卓の上に置いてある紙の切れ端に、乱暴に書きつづってある。「死にたい」。佐賀市の野本英美さん(42)の長女(20)の走り書き。英美さんは毎日のようにその言葉を見つけ、泣きそうになる。「どうしたら救ってあげられるのだろう……」
07年12月20日。長女の高校の終業式前夜だった。夕食を共にしようと英美さんがハンバーグを温めていた時、電話が鳴った。バイトの帰り道に長女が事故に遭ったという知らせだった。靴下も履かないまま、搬送先の病院に向かった。
意識不明の重体だった。「手の施しようがない」と診断されたが、未明に奇跡的に回復。年明けに一般病棟に移ることができた。
意識がはっきりするに従い、様子が変調した。「お化けが出た」「私を殺しに来る」。幻覚・幻聴に苦しんで奇声を上げたり、夜中に突然、笑い出したりした。「高次脳機能障害」と判明した。
小さい頃から2人の弟の世話をよくみる、優しい性格だった。新体操をしていて足も速く、運動神経も良かった。歌うのが好きで、将来は子どもの面倒を見る仕事を目指していた。
そんな長女を「赤ん坊から育てなおす、という感覚だった」と英美さん。風呂の入り方、はしの握り方を一から教えた。
リハビリを重ねたことで春には退院、高校に復学することができた。学校側の理解もあり、短大に推薦入学。しかし、周囲になじめず1週間で休学、半年後には退学した。
家庭でも不安定な状態が続いた。部屋に引きこもり、昼夜逆転の生活を送った。短大時代、学校に行くよう注意されたことに腹を立て、雨の中、家から飛び出し「川に飛び込む」と言ったり、夕食のおかずを巡る弟との口論から刃物を持ち出し、警察が駆け付ける事態になったこともある。ささいなことで感情を爆発させていた。
家族会「ぷらむ佐賀」のメンバーを通じ、障害者の作業所に通ったこともある。だが「私は治っている。なんでただ働きみたいなことをしないといけないのか」と主張し、1カ月ほどで辞めた。
ドラッグストアのアルバイトなどの採用試験にも挑戦したが、面接が通らない。
Q あなたのチャームポイントを教えて下さい。
A チャームポイントって何ですか。
こんなやりとりもあった。
体の障害はほとんど残っておらず、容姿も「普通の20歳」(英美さん)。障害を伝えても理解されにくい。
「退屈だ、暇だ」。たびたびつぶやく長女の姿は、英美さんの目には、もがいているように映る。障害を理解し、長女に自覚させ、受け入れてくれる場がほしい。英美さんはそれだけを望んでいる。
 ◇   ◇
外面からは判別しにくく、自覚がない当事者も多い高次脳機能障害は周囲から理解されにくい。この障害のある若者たちが、家庭、学校、職場で、思うようにならない自身にもがきながら生きる姿を通し、当事者の苦悩、家族の重圧、必要な支援のあり方について考える。【蒔田備憲】
□ことば
◇高次脳機能障害
交通事故や水難事故などで後天的に脳にダメージを受け、後遺症として残る障害。記憶障害や注意力低下などの特徴があるが、一人一人症状は異なる。外見では障害があることが分からない人も多い。全国の詳細な実態調査は行われていないが、福岡県内の病院で行った調査から、全国に約6万8000人いると推計されている。
毎日jp 2011年1月31日 原文のまま


2010年

「軽度脳損傷:初の認定 2000万円賠償命令 東京高裁」(9月12日/毎日新聞)
交通事故により脳に特異な損傷を負う軽度外傷性脳損傷(MTBI)になったかどうかが争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁が「脳に損傷を負った」と認めていたことが分かった。MRI(磁気共鳴画像化装置)の所見がないことなどから従来は否定されてきたケースで、1審もむち打ち症と認定していた。患者団体によると、MTBIを事実上認めた初の司法判断という。【宍戸護】
訴えていたのは東京都世田谷区の無職、五十嵐克典さん(38)(写真)。代理人の菊地真治弁護士は「交通事故による脳損傷の認定条件の変更を促す画期的な判決」と評価している。
9日の高裁判決によると、五十嵐さんは埼玉県内の東北自動車道で03年10月、渋滞停車中にワゴン車に追突され▽両手の握力がほとんどない▽においが分からない▽道に迷う▽寒暖が分からない▽頻尿−−といった症状が残った。事故の衝撃で脳の情報伝達を担う神経線維が所々切れた「軸索損傷」を負ったとしてワゴン車の男性側に約1億5000万円の賠償を求めていた。
同種訴訟では従来(1)事故直後の意識障害(2)脳損傷を示す画像所見(3)受傷直後からの症状−−がそろった場合に脳損傷と認められてきた。だが高裁判決で原田敏章裁判長は、五十嵐さん側の医師意見書を基に「MTBIでは症状が遅れて出ることもあり、脳損傷の画像も必ず見られるわけではない」と指摘。(1)〜(3)は満たしていないが、後遺症に関し「事故以外の原因は考えられず、脳が損傷した事実は否定できない」と結論付けた。
(1)〜(3)を欠くことから1審東京地裁は2月、男性側主張に沿って脳損傷を否定、自賠責の後遺障害等級を14級程度と低く認定し賠償額を約530万円にとどめた。高裁は9級に引き上げ約2000万円の支払いを命じた。
五十嵐さん側は賠償額を不満として上告を検討する方針。男性側は取材に対し「判決内容を検討しておりコメントは差し控えたい」と書面で回答した。
◇同様提訴の男性「希望が見えた」
原告の五十嵐さんは判決について「事実上の病気認定。全国で同じ病気に苦しむ人の励みになれば」と喜び、同様の訴訟を抱える患者からは希望の声が上がった。
MTBIは認知度が低く、五十嵐さんは事故後、心ない医者の対応に不快な思いもした。ある医者はMRIで画像異常がないと伝えた後、「心が弱っているから、精神科の先生にでもみてもらったら」と勧めた。精神科に行くと「うつ病」と診断されて、薬を出すだけだったという。
現在は食べ物がのどをうまく通らない障害が悪化し、最近はゼリー状の栄養剤が手放せない。判決での自賠責後遺障害等級が9級だったことに対しては「あまりに低く見られている。正直不満が残る」と話した。
東京都板橋区の元タクシー運転手の男性(39)は03〜05年に3回交通事故に遭い、頭から首にかけての激痛で休業。補償は07年夏に打ち切られて、年明けから生活保護を受けている。高次脳機能障害などの症状があり、事故相手に損害賠償を求める訴訟を起こしている。男性は「今回の判決で少しだけ希望が見えた」と喜んだ。
◇ことば 軽度外傷性脳損傷(MTBI)
頭部に物理的な力が加わって起きた、急性の脳損傷を外傷性脳損傷(TBI)と呼ぶ。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されるが、国内では軽度の概念がない。欧米では7〜9割が軽度とされ、そのうちの1割が慢性化するとされる。世界保健機関(WHO)は、受傷後に意識混濁または見当識障害などの要件を示している。
毎日jp 2010年9月12日 原文のまま
関連情報:軽度外傷性脳障害友の会

「脳損傷者介護する家族ら支援を 大阪・高槻で「親亡き後」考えるシンポ」(5月23日/産経新聞)
病気や事故などで脳に重い障害を負った人を介護している家族らの高齢化が進むなか、「親亡き後」を考えるシンポジウムが22日、大阪府高槻市の高槻現代劇場で開催された。記憶を保てないなど「見えない障害」ともいわれる「高次脳機能障害」や昏睡(こんすい)状態が続く「遷延(せんえん)性意識障害」の人の家族や関係者、市民らが大勢つめかけた。「頭部外傷や病気による後遺症を持つ若者と家族の会」の主催。
最初に、NPO法人「大阪脳損傷者サポートセンター」(大阪市)などが、高次脳機能障害や遷延性意識障害の人の家族らを対象に実施した調査結果を報告。介護者亡き後に代わりとなる人がいるのは2割弱にとどまっていることなどが紹介された。 続いて、介護する家族や障害の当事者らがマイクを握った。
10年前に交通事故で高次脳機能障害になった息子(45)を介護する父親(73)は、事故後、息子は感情のコントロールができなくなり、他者とのかかわりを築くのが難しい状況を説明した。
外見上は健康なため、周囲に障害が理解されないなど「見えない障害」ゆえの苦労を語り、「親が元気な間は家庭で見守りたいが、私たちも年老いていく。息子が人間としての尊厳を保ちながら日常生活ができる場を切に望む」と訴えた。
また、高次脳機能障害の当事者で認知症高齢者のグループホームの運営にたずさわる女性(40)は、交通事故後に簡単なことも覚えられなくなったが、「自分の障害があるからこそ、認知症の人の気持ちもわかるようになった」と話した。このほか、愛知県にある高次脳機能障害者のためのグループホームの運営状況なども紹介された。
産経関西 2010年5月23日 原文のまま

「高次脳機能障害に理解求め絵画展 長崎市の尾上さん」(3月30日/西日本新聞)
事故や病気による脳の損傷で記憶力や注意力、感情コントロールなどに障害が起きる「高次脳機能障害」を抱える長崎市の尾上憲一さん(33)の初めての絵画展が29日、長崎市西坂町のNHKギャラリーで始まった。支援者に支えられ開催にこぎつけた絵画展。支援者の1人で長崎市の介護施設の島田美佐代所長は「理解されにくい障害を知ってもらうきっかけになれば」と話す。
尾上さんは26歳だった2003年、バイク事故で頭を強打し2週間以上意識不明となった。意識を回復後も右半身にまひが残り失語症も現れた。母親のマサ子さん(64)によると、事故の後で性格が変わり一つのことに固執したり、両親への依存が強まったりするようになったという。
県高次脳機能障害支援センターによると、この障害は(1)すぐ忘れるなどの記憶障害(2)気が散りやすいなどの注意障害(3)状況に合った行動ができないなどの遂行機能障害‐などを伴う。日常・社会生活に困難が生じるが、外見では分かりにくく「性格の問題」と受け取られることもあるという。
尾上さんは事故後のリハビリで約5年前に絵と出会った。まひが残る利き手の右手に代わり左手で描く。事故前はあまり絵に興味がなかった尾上さんの上達ぶりに、マサ子さんも驚いている。
島田さんは、勤める介護施設に同じ障害のある利用者がいたことがきっかけで尾上さんと知り合った。尾上さんの絵に感動し、絵画展を開くよう強く勧め、会場の確保やパンフレット作成など準備全般を尾上さんに代わって進めた。
絵画展は土日を除き、9日まで。尾上さんの作品約50点のほか、同じ障害がある長崎・佐賀県の男性の作品も展示する。問い合わせは、脳外傷『ぷらむ』長崎=0957(26)8118。
西日本新聞 2010/03/30 原文のまま


2009年


「高次脳機能障害の無料電話相談、毎週木曜に開設」(7月2日/ケアマネジメントオンライン)
高次脳機能障害者の社会参加を支援するNPO法人VIVD(ヴィヴィ)は、6月から電話相談窓口「高次脳機能障害なんでも相談」を開設した。
高次脳機能障害は、事故や病気をきっかけに起こる脳障害。新しいことが覚えにくくい、感情のコントロールが難しい、同じミスを繰り返す、効率的に家事や仕事を進められない、といった症状が現れる。これらは急性期治療後、家や職場に復帰してから表面化するのが特徴。そのため、似た状況に直面した経験を持つ当事者や家族、地域での支援者たちのアドバイスが参考になることが多い。認知症も広く高次脳機能障害に含まれる。
「もしかしたら高次脳機能障害では?」と不安な本人や家族、また周囲に心当たりがある人向けにも、高次脳機能障害を的確に知り受診とリハビリにつなげる窓口となる。
電話相談は毎週木曜13:00〜15:00、相談専用電話番号は03-6380-2015。
面接相談についても上記番号から予約ができ、面接日は毎月第2土曜、第4土曜。両相談についての問い合わせ先は、下記のVIVD事務局まで。
□問い合わせ
VIVD事務局
TEL・FAX 03-5849-4831
東京都新宿歌舞伎町2-19-13 ASKビル601
http://www.vivid.or.jp
ケアマネジメントオンライン 2009年7月2日 原文のまま)

「ひと:高次脳機能障害者の全国調査をする 東川悦子さん」(4月28日/毎日新聞)
長男(41)は25歳で交通事故に遭い意識不明の重体になった。50日後、写真を逆さに持たせると、片手で正しく直した。意識が戻った瞬間の喜びは忘れない。しかし、退院時に医師が100から7ずつ引く質問をすると86で止まった。体は右半身にまひが残る程度だが、得意のカラオケも歌わず、行動が一変した。テニスコーチへの復帰を断念。就職もままならなかった。
脳の損傷で記憶や判断に障害が残る「高次脳機能障害」。患者数30万人とされるが、当時は実態すら不明。「交通事故などでいつでも起こる障害なのになぜ。国への働きかけには患者会のつながりが必要だ」。00年4月、3地域の脳外傷友の会で連合会を設立。現在は39団体が加盟する。
「障害として認知してほしい」。会の訴えは実り、自治体に拠点施設もできつつある。だが、今国会に提出された障害者自立支援法改正案でも支援対象として明記されていない。「明文化されれば特に地方で認識は変わったのに……」。会は製薬会社の助成を受け、6月から全国3000人を目標に生活実態を調べる。厚生労働省の支援プログラムなどを検証し、さらに進んだ対策を求めていくためだ。
「頭の中身が変わる」という障害だけに前と違う自分を受け入れることが一番つらい。「『生きていることに意味がある』と言ってくれる誰かがいれば」。患者と家族の苦闘が続く。【柴田真理子】
【略歴】東川悦子(ひがしかわ・えつこ)さん(写真) 神奈川県平塚市在住。東京学芸大卒。NPO法人日本脳外傷友の会(ファクス0463・31・7676)理事長。69歳。
毎日jp 2009年4月28日 原文のまま)


2008年

★「高次脳機能障害の相談窓口設置 佐賀大病院」(11月9日/佐賀新聞)
交通事故や脳卒中などによる脳損傷で、記憶や思考機能が低下する「高次脳機能障害」の相談窓口が、佐賀大医学部付属病院に設置された。県内で同障害を対象にした窓口の設置は初めてで、障害者手帳の交付に必要な書類なども、入手可能になった。開設から約9カ月で20人が相談に訪れ、リハビリなどに取り組んでいる。
高次脳機能障害は、脳の損傷による後遺症の一つ。外見上は健康な人と変わらないため病気と分かりにくい。集中力や記憶力の低下、ケースによっては感情の起伏が激しくなり人間関係のトラブル、離職や離婚に至るケースもあるという。
同大医学部付属病院は2007年度、同障害者支援拠点病院指定を受け、今年1月末に相談窓口を開設した。医師や作業療法士ら、延べ13人でチームを組み、診断やリハビリテーション、就学・就業支援の相談を受けている。
9カ月間で10−60代の約20人が相談、多くが30代までの若い患者だった。「交通事故に遭い様子がおかしいと感じたが、相談できる場所が分からず困っていたという家族の訴えも多い」(リハビリテーション部)という。
同部の浅見豊子診療教授は「家族の運転でしか来院できなかった患者が、トレーニングを続け、いまは一人で通院できるようになった例もある。リハビリだけでなく就業や生活の支援という複数の視点でサポートしていきたい」と話す。
(ひびの佐賀新聞 11月09日版 原文のまま)

「高次脳機能障害、和歌山県が支援拠点を開設」(11月6日/産経新聞)
病気や事故による脳の損傷で記憶や感情などの機能に障害が生じる「高次脳機能障害」の当事者や家族をサポートしようと、県は5日、和歌山市毛見の県子ども・障害者相談センター内に支援拠点を開設した。医療や福祉サービス、就労などに関する相談を受け付けるほか、医療機関や市町村などとの支援ネットワーク構築に取り組む。
高次脳機能障害は全国で30万人以上の当事者がおり、同センターによると県内では年間25〜30人の発症が推計されるという。外傷性脳損傷や脳血管障害により、場所や人の名前などが覚えられない「記憶障害」▽集中力が持続できなくなる「注意障害」▽急に怒ったり気持ちが沈んだりする「社会行動障害」−などを引き起こすが、外見からは症状が分かりにくいために周囲の理解を得られず孤立しがちで、適切な診断と社会的支援が課題となっている。
電話相談は、祝日と年末年始を除く月・水曜日が午前10時〜午後4時、金曜日が午前10時〜午後6時。来所相談は事前に予約が必要。いずれも((電)073・441・7070)で受け付ける。
MSN産経ニュース 2008年11月6日 原文のまま)

「高次脳機能障害者支援ネットが発足 医師らが参加/大阪」(7月31日/毎日新聞)
脳の損傷が原因で言語、記憶、感情面に問題が生じる「高次脳機能障害」の当事者と家族を支えるネットワークの発足会議が30日、大阪市内で開かれ、府内から医師や福祉関係者など約220人が参加、連携の必要性を確かめ合った。
同障害は府内で年間約1100人が発症しているとされるが、診断がつきにくく「見えない障害」と言われている。会議では、医師らが「リハビリ後の受け皿がなく、孤立化を招いている」「復職の相談が増えているが、解決は容易ではない」などと実態を報告。
高山佳洋・府医療監は「ネットワークへの期待の大きさが分かった。行政でできることは、すぐに対応したい」と話した。【福田隆】
毎日jp 2008年7月31日 原文のまま)

★「「見えない障害」救済を 言語や記憶に後遺症 高次脳機能障害」(7月10日/毎日新聞)
高次脳機能障害:「見えない障害」救済を 言語や記憶に後遺症 /奈良
◇認定条件欠きながら、勝訴も
交通事故で脳が傷つき、怒りっぽくなったり聞いたことをすぐ忘れるなど、さまざまな症状が現れる高次脳機能障害は、周りから障害を負ったように見えず、「見えない障害」とも呼ばれている。昨年12月末、札幌市の20代の女性が交通事故で高次脳機能障害を負ったとして、トラックを運転していた男性に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は男性側の上告を退け、約1億1800万円の支払いを命じた判決が確定した。女性は脳の損傷の痕跡がないなど、障害認定の条件を欠きながらも、症状から事故で障害を負ったと判断された。県内でも同様に、条件を欠きながらも障害認定を求めて裁判で争っている人たちがいる。原告の中には、家族や仕事を失い、経済的に追いつめられている人たちも多い。当事者らに思いを聞いた。【石田奈津子】
札幌市の女性の裁判では、女性が97年に母親が運転する軽乗用車に乗った際、市内の交差点で男性が運転するトラックに追突され、記憶力や集中力が著しく低下する高次脳機能障害になったとして、加害男性に損害賠償を求めた。
1審はMRI(磁気共鳴画像化装置)で脳の萎縮(いしゅく)が見られないなど、女性が障害認定の条件を欠いていたことなどから訴えを退けた。
2審は事故後の症状や日常行動から同障害と認め、男性に約1億1800万円の支払いを命じた。最高裁は加害男性の上告を棄却し、2審の判決が確定した。
「時々死にたいと思うことがありますよ」。上牧町緑ケ丘1、無職、森英樹さん(57)はつぶやく。
森さんは03年6月、最寄り駅のJR王寺駅前からミニバイクで自宅に帰宅途中、交差点で男性が運転するミニバイクと衝突した。頭部外傷、首のねんざなどの後遺症の他、失語症や記憶障害などの症状が現れた。しかし、自賠責法に基づく後遺障害認定では、労働能力の5%が失われたなどとする「14級」にとどまり、高次脳機能障害など、精神面に関する障害は認められなかった。
「事故後、私は以前の私とは大きく変わりました」と森さんは話す。勤務していた金融機関で客との約束を忘れてしまう、筋道を立てて話せない、感情を抑えられない--といった症状に悩まされ始めた。
「自分にとって衝撃だった」のは、事故後、勤務先でとった自分の行動。周りからは「温厚な性格」といわれてきたという森さんだが、仕事上のちょっとした口論から5歳年上の男性の先輩を怒鳴りつけ、突き飛ばした。「感情が高ぶってコントロールできなかった。今までなら考えられないことだった」と振り返る。
家族との関係も壊れた。事故当時、森さんは妻と長男夫婦らと同居していた。05年4月、復職を巡って妻と口論。頭を殴り、床に転倒させてしまった。幸いけがはなかったが、妻とはその後、協議離婚した。
仕事も辞めざるを得なかった。今は、障害基礎年金などを受給し、一人で暮らしている。「次男の子どもがこの先月生まれたのに、何もしてやれない。働けるのなら働きたいが…」と話す。
森さんは、このような症状は高次脳機能障害の特徴で、自分の後遺障害は5級以上だとして、昨年4月、男性を相手に損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。男性側は「事故と障害との因果関係はない」として争っている。
最高裁へ上告し、認定を求めていた女性もいる。御所市、無職、根比恵美子さん(59)。06年1月、最高裁で敗訴が確定した。「悔しい。あの事故で私の人生は変わったのに…」とため息をつく。
根比さんは95年6月、自らが経営する喫茶店の前で、高専生が運転するミニバイクにはねられた。深夜、客を見送っていたところだった。救急車で県立医科大に運ばれ、後日、別の医院で歩行障害、味覚・きゅう覚低下などの診断を受けた。
事故で根比さんはさまざまな障害を負った。右手の握力が失われ、タバコを持つ手もふらつく。きゅう覚と味覚が失われたため、何を食べてもおいしいと思わなくなったという。
他にも変化が出てきた。新しい言葉を覚えられない、自分がしたことを忘れてしまう--などだ。「やかんを火にかけていても、そのことを忘れる。きゅう覚も味覚もないから、気づいたらやかんが真っ黒」。何十人といる僧侶がお経を唱える夢を何度も見るようになった。今は精神安定剤や睡眠薬など1日12錠の薬を飲んで眠る。
根比さんも事故後、自賠責法に基づく後遺障害の認定を求めた。認定は労働能力の14%が失われたなどとする「12級」にとどまった。根比さんは高次脳機能障害で7級が妥当として、2000年12月に奈良地裁葛城支部に提訴。以来、裁判で争ってきたが、結果は最高裁での棄却だった。問題点は「意識障害が軽度など、高次脳機能障害の判定基準に当てはまらない」という点だった。
高次脳機能障害は、脳が事故の衝撃で傷つき、認知障害や人格変化を起こす。典型的なな症状としては、注意力や集中力の低下、新しいことが覚えられない、感情や行動の抑制が効かなくなる、的確な言葉が出にくいなどがある。
高次脳機能障害の認定には3条件あり、(1)MRIやCT(コンピューター断層撮影)などの画像で、交通事故による脳の損傷が認められる(2)事故後、刺激を受けても反応しないなど、意識障害が一定時間継続した(3)現在、高次脳機能障害に当たる症状がある---のすべての条件を満たす必要がある。
同障害の患者を多く診てきた「やまぐちクリニック」(大阪府高槻市)の山口研一郎医師は「高次脳機能障害は時に、MRIなどの所見に表れないこともある」と主張する。山口医師が今までに診てきた患者約270人のうち約30人は(1)(2)の症状がなかったという。
根比さんのケースも同様だ。「頭を強く打ち、傷はないにもかかわらず、事故後様子がおかしいという人がいる。私の検査結果を全国に広げて考えると、事故後、障害が生じても、高次脳機能障害と認められていない人は10%ほどいるのではないか」と話す。毎日jp 2008年7月10日 原文のまま)

「高次脳機能障害者実態調査結果まとまる」(5月15日/東京都)
東京都は、高次脳機能障害者の実態を把握するため、昨年10月に東京都高次脳機能障害者実態調査検討委員会(会長:渡邉修 首都大学東京大学院教授)を設置し、本年1月に医療機関等の協力を得て実態調査を実施しました。
今般、委員会から調査結果について報告がありましたのでお知らせします。
調査概要
1 医療機関調査(通院患者調査、入院患者調査、退院患者調査)
 (対象)都内全病院 全651か所 回収数 419件(64.4%)
 診療所 287か所 回収数 194件(67.6%)
 (方法)医療機関を通じて主治医に自記式調査票を配布、郵送回答
2 本人調査
 (対象)医療機関を受診している高次脳機能障害者 938人
 回答件数 198人(21.1%)
 (方法)医療機関を通じて本人または家族に調査票を配布、郵送回答
主な結果
 詳しくは、別紙「調査結果のポイント(概要)」を参照)
1 医療機関調査結果から
(1) 通院患者調査結果から
高次脳機能障害者は、男性が女性よりも多く、また、年代別では60歳以上の者が67.2%であった。
発症の原因は、脳血管障害が81.6%、脳外傷が10.0%であった。年代別にみると、30歳代以上は脳血管障害の割合が脳外傷より高くなっており、60歳以上では脳血管障害者が89.9%を占めていた。
障害の内容では、行動と感情の障害44.5%(意欲の障害、抑うつ状態、不安、興奮状態など)、記憶障害42.5%、注意障害40.5%、失語症40.4%が多くみられた。
(2) 退院患者調査結果から
 都内の高次脳機能障害者数を約49,000人と推計した。
2 本人調査結果から
障害者手帳を1種類以上取得している者が82.3%であった。
障害者手帳の種類別では、身体障害者手帳73.2%、精神障害者保健福祉手帳20.2%、愛の手帳1.5%であった。また、全体の44.9%が介護保険の認定を受けていた。
公的支援(年金、手当、生活保護)のいずれかを受給している者が81.8%で、平均受給額は月額151,540円であった。
今後是非必要とする支援サービスについては、相談支援、自立訓練、就労継続支援、ケアマネジメント、地域活動支援センターの順にニーズが高かった。
発症時に就労していた者は62.6%で、現在も就労している者は10.1%であった。また、現在就労していない者のうち、50.3%が就労を希望していた。
今後の就労支援として、「職場に障害を理解してもらうための支援を望む」が43.9%と最も多く、次いで「職業訓練を受けられる機関を望む」が39.9%であった。
【高次脳機能障害】
 高次脳機能障害とは、病気や交通事故など様々な原因で、脳が部分的に損傷を受けたために生ずる、言語や記憶など知的な障害をいいます。新しいことが覚えられない、注意力や集中力の低下、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの精神・心理的症状が出現し、周囲の状況にあった適切な行動が選べなくなり、生活に支障を来たすようになります。
【主な症状】
記憶障害・・・新しいことが覚えられない
注意障害・・・気が散りやすい、集中できない
遂行機能障害・・・手際よく作業ができない
行動と感情の障害・・・怒りやすい、幼稚、引きこもり、意欲がわかない
失語症・・・言葉が話せない、理解できない
失認症・・・見えているのに認識できない
失行症・・・一連の動作の手順がわからない
地誌的障害・・・よく知ってる場所でも道に迷う、いる場所がわからない
半測空間無視・・・片側の空間を認識できない
半測身体失認・・・麻痺側を認識できない
※障害は、重複していることが多く、障害の状態は一人ひとり異なります。
【障害者自立支援法における障害福祉サービス】
 障害者自立支援法における障害福祉サービスについては、障害者手帳の他にも、自立支援医療(精神通院医療)受給者証、医師の診断書(高次脳機能障害診断基準に該当することが確認できるもの)を添えてお住まいの区市町村に申請することができます。
※ 別紙
高次脳機能障害実態調査結果のポイント(概要)
高次脳機能障害者実態調査報告書 概要版(PDF形式:3.9MB)*
東京都高次脳機能障害者実態調査検討委員会」名簿
問い合わせ先
福祉保健局障害者施策推進部精神保健・医療課 電話 03−5320−4464
(東京都 報道発表資料 原文のまま)

「別人になった夫:高次脳機能障害」(3月20日−24日/毎日新聞)
上(その1) いつかは元に、かなわぬ思い/宮城
 ◇失われた45年の人生
「私は、主人の外見ではなく『脳』を愛したのです。でも、今も大切な人」「愛した人が『別人』になってしまった時、あなたはどうやって一緒に生活しますか」−−
仙台市近郊に住む坂下智子さん(42)=仮名=の夫健(たけし)さん(53)=同=が脳出血で倒れたのは99年11月8日。健さんはその日、記憶など45年の人生で積み重ねたすべてを失った。健康な体と家族だけが残った。
健さんは同日朝、いつものように、「行ってきます」と買ったばかりのマイホームを出たが、なぜかその日は、玄関の戸を30センチほど開けて再び顔をのぞかせた。「体を大事にしろよ。お前はいつも笑っていてくれ」。いつになく真剣な表情で言った。それが智子さんが「昔の」健さんを見た最後だった。
それから3時間ほどたった午前11時ごろ、健さんは突然帰宅し、和室で頭を抱えて転げ回った。智子さんが呼んだ救急車で仙台市内の脳神経外科に運ばれ、そのまま約2時間の緊急手術を受けた。生死の境をさまよい約1カ月半後、奇跡的に意識が回復。両目の右半分が見えない視覚障害以外、体には、まひなどの後遺症は残らなかった。
意識が戻る時、うわ言のように長女(当時5歳)と次女(同1歳半)の名前を呼んだが、見舞いに来た長女を見ても、「すごく可愛い子ですね」と他人のよう。智子さんとも敬語で話し、見舞いに来た智子さんの父親に、智子さんは本当に自分の妻なのかと何度も尋ねた。それでも、智子さんは時間がたてば以前の夫に戻ると信じていた。
  ◇
健さんは東北学院大経済学部卒業後、市内の広告代理店に営業マンとして勤務。職場で出会った智子さんと結婚して2女をもうけ、倒れた当時、智子さんのおなかには妊娠5カ月の長男がいた。
「取引先に不快感を与えては営業マン失格」。倒れる前の健さんは毎朝、しわの無いスーツに身を包み、ポケットには携帯用靴磨き。取引先の大手企業幹部らと酒を飲み交わし、帰宅は午後10時を回る日々。時間があればマーケティングリサーチの本を読んだ。
休日もじっとしておらず、庭で子供たちのために木で滑り台を手作り。レンガで囲んだ畑に、智子さんの好きなハーブを10種類以上植えた。家族にとって自慢の夫であり、父親だった。
  ◇
意識が戻ってから身体機能の回復は著しく、歩行訓練を始めた翌日に歩けるようになった。見た目は以前と変わらない。智子さんが出産を控えていたこともあり、健さんは入院から2カ月で自宅に戻った。
しかし、帰ってみると何かがおかしい。何度行ってもトイレの場所が覚えられず、テレビのリモコンの使い方も分からない。着替えでは、上着のどこから頭を出せばいいのか悩む。過去の記憶だけでなく、新しい記憶もとどめることができなくなっていた。早ければ5分ほど前の出来事も忘れてしまった。
最初のうちはゆっくりではあるが改善が見られたが、自宅に帰って半年ほどすると目に見える回復はなくなった。気分も変わりやすく、ささいなことで声を荒らげる。力の加減が分からず、子供と手をつないだ時に強く握り過ぎてしまうこともある。
「いつかは、元の健さんに」。その思いは、かなえられない夢だと、徐々に気付かされていった。(毎日jp 2008年3月20日 原文のまま)

上(その2) 見えない障害、支援届かず /宮城
 ◇社会の認知度、依然低く
体に障害がないのに社会生活をうまく送れなくなる「高次脳機能障害」は、外見や短時間の会話では障害があることが分かりにくく「見えない障害」とも呼ばれる。長い間、医療・福祉制度から抜け落ちる「狭間(はざま)の障害」だった。
近年、国が対策に乗り出し制度面は整いつつあるが、社会の認知度は依然低い。医療関係者の間でも認識に差があるといい、適切な診断やリハビリに結びつかなかったり、社会復帰しても、周囲の理解が得られず退職や退学に追い込まれがちなのが現状だ。
厚生労働省は04年、全国の高次脳機能障害者は約30万人と推計。だが、全国規模の実態調査は行われておらず全体像は不明。県内で同障害の支援に取り組む東北厚生年金病院の遠藤実副院長(神経内科)は、東京都の99年の実態調査を基に、県内に少なくとも500人いると推測する。
体の傷が回復すると、外科病院から退院を迫られるが、身体障害、知的障害、精神障害のいずれにもぴたりと当てはまらないため、縦割り行政の狭間で必要な福祉サービスを受けられないこともあったという。
家族団体の働きかけもあり、同省は01〜05年度、宮城県を含む12道府県を対象に「高次脳機能障害支援モデル事業」を実施。県内では、医療拠点に同厚生年金病院、福祉支援の拠点に県リハビリテーション支援センターが指定された。
この5年間で診断基準が作成され、「高次脳機能障害」と診断されれば精神保健福祉手帳を取得できるようになった。医療機関と支援機関などを橋渡しする「コーディネーター」も各都道府県に配置され始めた。だが、宮城以外の東北5県では、まだ拠点病院が決まっていない県もあり、地域間の“格差”は残っている。
また、制度整備が進む一方、医療・福祉関係者らの認知度をどうやって上げるかには今も課題が多い。病院退院後、「受け入れた例がないので、対応できない」と授産施設などに断られ、行き先が見つからずに苦しむ当事者や家族は少なくないという。【山寺香】
==============
□ことば
◇高次脳機能障害
交通事故による頭部外傷や、脳卒中、脳出血などの脳血管障害などが原因で、(1)記憶(2)注意(3)易疲労性(疲れやすい)(4)判断力の低下(5)脱抑制・易怒性(感情のコントロールが利かず怒りやすい)(6)発動性の低下(自分から物事を始められない)(7)失語症(言葉を理解したり表現できない)−−などさまざまな後遺症が残る障害。
認知症などとは違い、能力が全般的に低下するのではなく、歯が欠けるように部分的に欠落するのが特徴。原則としてMRI(磁気共鳴画像化装置)などで脳の損傷が確認できることが診断の条件だが、確認できないケースも多い。
毎日jp 2008年3月20日 原文のまま)

中 「なんで助けた」深まる絶望 /宮城
◇新生活、苦難の連続
「こんなわけの分からない頭になるなら死んだ方がましだった。何で助けたんだ」
99年に脳出血に襲われた仙台市近郊の元営業マン、坂下健(たけし)さん(53)=仮名=は、倒れてから半年ほどたつと、献身的に介護を続ける妻智子さん(42)=同=をなじるようになった。それは、自分自身への絶望の表れのようだった。
倒れた後の混濁状態から約1カ月後、意識は奇跡的に回復し、周囲は喜びに包まれた。体にも、ほとんど後遺症は残らなかった。だが……
過去の記憶はよみがえらない。新しい出来事も長時間記憶できない。子供たちが楽しみに取っておいたケーキを我慢できず食べてしまうような「幼さ」と、智子さんが注意するとかっとなって怒り出す大人の男としてのプライドが共存する。まるで歯が欠けるように、大切なものが欠けていた。
  ◇
「夫に何が起きたのか」。救急車で運び込まれた病院では、後遺症についての説明は無かった。夫の変化には理由があるはずと、智子さんは1年後、再びその病院を訪ねた。
相談した医師からは明確な回答は得られなかったが、対応してくれたソーシャルワーカーが「最近分かってきた障害」と断りつつ、初めて聞く障害名を口にした。「コウ・ジ・ノウ……」
間もなく、訪ねた別の総合病院の診察室前で、智子さんと健さんは、ドア越しに医師の激しい論争を耳にすることになる。
まず訪れたリハビリテーション科は「診断書は精神科医でなくては書けない」。精神科で診察を受けて、ドア前で待つ際、その激しい声が聞こえてきた。
「高次脳機能障害は精神科ではない」「どうして精神科で診断書を書かなくてはいけないんだ」。医学界でも認識に差があることを如実に知らされた。
結局、高次脳機能障害の診断を正式に受けたのは、倒れてから1年半以上がたってからだった。
診断を受けたことで、ようやく精神保健福祉手帳(1級)と障害年金(2級)の認定を受けたが、小学生と幼稚園の娘と生まれたばかりの長男を抱える一家は、購入したばかりのマイホームのローンが払えなくなり、智子さんの実家がある県北地方に転居した。
「常に前向きで、さっそうとした営業マン」(元会社関係者)だった健さん。勤務していた広告代理店は、復帰のめどが立たず退職。「居場所」を求めて夫婦で精神障害者や知的障害者の施設を数十カ所見学した。
高次脳機能障害者専用の福祉施設はほとんど無い。07年までに4カ所の福祉作業所を転々としたが、なじむことはできなかった。健さんは自宅に閉じこもることが増えた。
  ◇
「私は今のお父さんの方が好き。前は仕事でいらいらしていたけれど、今の方がずっと優しいもん」。お父さん子だった長女は、呪文のように繰り返していた。
だが、昨年夏。「昔のお父さんは、もう死んでしまったと思っている」と泣いた。まだ12歳の長女が父親の障害を受け入れようと7年間も苦しんでいたことを智子さんは知った。
  ◇
06年2月、仙台市青葉区に高次脳機能障害者のための就労支援施設「ほっぷ」が開設された。智子さんは昨年6月からほっぷで、同じ境遇の家族の悩みを聞くピアカウンセラーとして働き出した。健さんも脳機能回復のための訓練として、簡単な計算問題や書き取り訓練を開始した。
「回復はあきらめた方がいい」と病院で言われたことがある「能力」が、少しずつよみがえり出した。
==============
□背景
◇医療と行政に「ねじれ」
高次脳機能障害は、交通事故や脳血管障害が要因となるため、最初に外科に運び込まれる。だが、以前は、同障害の診断は主に精神科医が行っており、外科段階では、この障害が見過ごされることもあった。また、精神科医の間でも認識に差があった。
さらに、国が高次脳機能障害支援モデル事業(01〜05年度)で、身体障害のリハビリ専門病院を「拠点病院」に指定する一方、同障害者を「精神保健福祉手帳」の交付対象と位置づけ、行政窓口を精神保健部門としたことも、医療と行政の「ねじれ」を生む結果となった。
当事者や家族の中には、頭部外傷などが原因なのに「精神障害」と認定されることに違和感を持つ人は多く、独自の障害手帳の創設を求める動きもある。
県内の拠点病院「東北厚生年金病院」のコーディネーターらによると、東北地方で同障害の診断を受けた人のうち精神保健福祉手帳を取得するのは半数以下。交付を受けても、精神障害への無理解や誤った先入観に耐えかね、返納を申し出る人も少なくないという。
毎日jp 2008年3月21日 原文のまま)

下 「何だってできる」 /宮城
◇次女の一言で気付いた 現実受容し家族再生
「お父さんは何だってできるよ。手もつないでくれるし、おんぶだってしてくれるもん」
過去の記憶を無くし、「別人」になってしまった夫。仙台市近郊に住む坂下智子さん(42)=仮名=は、その現実を受け入れることに苦しんでいた。気付かせてくれたのは、夫が倒れた時、わずか1歳半だった次女の一言だった。
   ◇
元営業マンの夫健(たけし)さん(53)=同=は99年に脳出血で倒れ、約1年半後に高次脳機能障害の診断を受けた。
智子さんは必死だった。「昔の」健さんを取り戻したかった。読み、書き、計算、外出、いつかは仕事復帰……。できないことばかりが気になった。腹立たしさを感じたこともあった。
そんな愚痴をつい、子供たちの前で口にした。「お父さんは昔、何だってできたんだよ」
まだ、幼稚園児だった次女は、むっとした表情で、「お父さん」のできることを数え上げた。手をつなぐこと。おんぶすること−−。
母として恥ずかしかった。
殻に閉じこもりがちだった智子さんは、それ以来自分から外に出るようになり、県北の実家から同市近郊に居宅を移した。
  ◇
智子さんと健さんは昨年6月から、高次脳機能障害者のための就労支援施設「ほっぷ」(青葉区)に週5日通っている。智子さんは同じ悩みを持つ家族の相談相手に。健さんは午前10時から午後4時まで、計算ドリルを解いたり、記憶を補うために自分の行動を細かく記録する「メモリーノート」を書くなど、訓練を続ける。
この冬何度目かの雪の朝、智子さんはほっぷに出勤した際、いつもとは別の駐車場に車を止めた。昼、健さんに車からお弁当を取ってくるよう頼んだが、30分たっても帰ってこない。でも、やがて、お弁当を持った健さんが戻った。
以前なら、別の場所に止めると、間違えていつもの場所に行ってあきらめてしまうが、初めて自分で別の駐車場を思い出すことができた。そんな小さな変化の積み重ねだが、健さんの脳は着実に機能を取り戻しつつあるように感じる。
「新しい主人を受け入れ、新しい家族として前よりももっと深いきずなを築いていきたい」。県が昨年から各地の保健所で開催する同障害の家族交流会で、智子さんは、同じ不安を抱える家族に向かって、そう語り続けている。
   ◇
健さんが倒れた11月がやって来ると智子さんは毎年、以前の健さんに会いたくてたまらなく切なくなる。智子さん自身、今も、健さんの障害を100%受け入れられたわけではない。
「私が好きなのは昔の健さん。悪いけど、今は健さんの片思いよ。変な三角関係だね」。智子さんがいたずらっぽく笑うと、「あいつはどこにいったんだべなぁ」と健さんが隣でほほ笑む。
5人家族がテーブルを囲むと、子供たちから「昔のお父さんはね……」という言葉が飛び交う。はたから見ると父親が2人いる再婚家庭のようだ。“普通”ではないかもしれないが、家族それぞれが、障害を受け入れ切れない自分自身も受け入れ、たどり着いた新しい家族の形だ。
  ◇
「今一番会いたい人は?」。智子さんの質問に、健さんは「以前の自分」と答えたことがある。「こんな頭になるなら生きていたくなかった」と、ぶちまけたこともある。だが、最近こう言った。
「子供もかわいいし、やっぱり生きていてよかったな」(この企画は、文は山寺香、写真は手塚耕一郎が担当しました)
==============
□背景
◇若者の復学・復職支援も必要
高次脳機能障害は、事故による頭部外傷も要因となるため、10〜20代の若者にもみられる。リハビリなどの医療支援だけでなく、復学・復職に向けた支援も必要とされている。
同障害は、計画を立てて実行する「遂行機能」に障害が残ることが多く仕事の段取りをつけられず、ぼおっとしているように見られることがある。復職しても「やる気がない」と誤解され、退職に追い込まれるケースも少なくないという。受け入れる職場側の障害への理解が不可欠で、企業への啓発も必要だ。
また、見た目と実際にできることのギャップが大きく、当事者だけでなく家族も周囲の理解が得られず苦しんでいる。家族支援も今後の重要な課題となる。県は07年度、同障害者支援普及事業の一環として塩釜、栗原、石巻地域の保健所で「家族交流会」を開催。今後も継続的に開催し家族の孤立解消を目指す。(毎日jp 2008年3月22日 原文のまま)

東北厚生年金病院・遠藤副院長に聞く /宮城
3月24日19時1分配信 毎日新聞
◇交通事故、労災でも発生−−早期診断が肝心
◇「誰もが予備軍」認識を
事故や脳出血などによる脳の損傷が原因で記憶や注意力などに障害が残る「高次脳機能障害」。この障害で「別人になった夫」や「別人になった父」と暮らす家族は、県内にも多数いる。医療・行政機関は支援に動き出しているが、医療関係者間でも認識に差があるなど課題は多い。01年度に県から同障害の拠点病院に指定された東北厚生年金病院の遠藤実副院長(神経内科)は、「誰もが同障害者予備軍。人ごとではない」と指摘する。遠藤副院長に同障害の現状と課題を聞いた。【聞き手・山寺香】
――一番の問題点は
体に麻痺(まひ)などが無く、「見えない障害」ということ。本人が「困った」と言っても周囲が理解できないし、本人にも病識が無いケースも多い。
例えば、もともとIQ(知能指数)130の人が100にまで落ちた場合、周りの人は「普通よりも高いからいい」と思うかもしれないが、本人にとっては以前のように生活できないのだから大変な障害といえる。
「見えない」ために評価が難しく、実態調査が行われていないことも、支援体制が遅れている要因だ。
――なぜ支援が必要か
この障害は交通事故や労働災害でも起こる。そのため若い男性に特に多く、社会的損失も大きい。復学や復職のための支援が不可欠だ。一般的に時間がたつと改善しにくいとされ、できるだけ早期の診断・リハビリの開始が肝心だ。
――早期に診断を受けるには
この障害は短時間で評価するのが難しく、定義も医師の間で認識に差がある。そのため東北厚生年金病院では、チェックリスト式の診断書を作成し、県内の保健福祉事務所や病院に配布している。
また、障害が見過ごされたまま、長期間ひきこもりがちになっている人らの支援につなげるため、県の福祉拠点に指定されている県リハビリテーション支援センターが中心となって県内7カ所の保健福祉事務所で保健師を対象とした研修会を開催している。保健師の役割は大切。支援の窓口的役割を担ってもらう「宮城県方式」として提唱したい。「同障害かもしれない」と思ったら、身近な保健師に相談してほしい。
――医師の認識の差をなくすためには
問題意識を共有するため、同障害にかかわる神経内科、脳外科、リハビリテーション科、精神科、小児科などの医師が集まる研究会を、08年度に県内で立ち上げたいと考えている。他県では同障害を持つ子供の対策が進んでいるところもあり、県内でも今後、対応が必要になる。
――退院してからの福祉の受け皿がないとの指摘がある
障害者自立支援法が施行されてから、障害認定の種別にかかわらず、すべての福祉施設を利用できるようになり、制度の形は整いつつある。だけど、「この障害を受け入れた経験がない」「対応の仕方が分からない」などの理由で作業所などに受け入れを断られるケースもあると聞く。現場が制度についてきていないのが現状だ。
………………………………………………………………………………………………………
◇県内の主な相談先
高次脳機能障害に関する県内の主な相談先は以下の通り。
▽医療=東北厚生年金病院(仙台市宮城野区、電話022・259・1221)▽福祉=県リハビリテーション支援センター(同市若林区、電話022・286・3222)▽同障害者を主な対象とした福祉施設には、仙台市青葉区本町3の5の22の県管工事会館2階、「ほっぷ」(電話022・797・8801)などがある。
毎日jp 2008年3月24日 原文のまま)


2007年

「脳損傷で記憶・注意力低下 「見えぬ障害」支援へ調査」(6月4日/朝日新聞)
交通事故や脳卒中などの後遺障害で、記憶が損なわれたり注意力が低下したりする「高次脳機能障害」について、厚生労働省の研究班が実態調査に乗り出す。脳の機能が損傷して生じるこの障害は、外見ではわからないことが多く、「見えない障害」ともいわれる。毎年の新規患者数の推計や回復状況の追跡調査を、支援態勢づくりにつなげる考えだ。
高次脳機能障害は、ものごとの計画を立てられない▽目的地に行けない▽感情がコントロールできない――などの障害として現れることもある。研究班で主任研究者をつとめる中島八十一・国立身体障害者リハビリテーションセンター学院長らが01年度に実施した調査では、全国に約30万人いると推計された。
しかし、当時はこの障害の診断基準が定まっておらず、交通事故や脳卒中にかかわる救命医療が進んだ分、後遺症のある人は増えているとの予測もあり、詳しい調査の必要性が指摘されていた。また、厚労省は昨年10月から、都道府県に高次脳機能障害の人の支援・相談窓口を最低1カ所は設けるよう求めているが、自治体からは「対象者数も把握できない状況では予算要求もできない」といった声が上がっていた。
実態調査は、診断基準をつくった国のモデル事業(01〜05年度)に参加した福岡県で実施する。リハビリ科や神経内科などがある県内の全病院約50カ所に協力を依頼。今年4月から来年3月に脳を損傷した人で3〜4カ月後に高次脳機能障害と診断された人を対象とし、年齢や障害の状態などを登録し、規模などを把握する。
このうち北九州市内の8病院で登録された人については1年後に臨床心理士らが訪問して追跡調査も実施。障害の改善状況や社会生活への影響などについても評価する。
調査結果をもとに研究班は、人口比の「発生率」などから都道府県ごとの患者数の規模をつかめるようにする。さらに、患者が受けたリハビリや職業訓練と回復具合との関係も分析し、効果的な支援のあり方も探るという。
患者や家族でつくるNPO法人日本脳外傷友の会会長の東川悦子さん(67)は「調査で実態把握が進み、支援が進むようになってほしい」と期待しながらも、「追跡調査の期間が1年間では短すぎる」と話す。
外見上は健康な人と変わらない高次脳機能障害の人の場合、事故や病気の発症から数年たつと周囲から障害への理解が得られなくなり、退職を余儀なくされるようなケースが多いという。東川さんは「最低でも5年間は調査しないと、支援からこぼれ落ちている実態は把握できない」と指摘している。
    ◇
〈高次脳機能障害〉脳の機能の一部が損傷したことで記憶力が低下するなどし、社会生活に支障が出る。診断基準は、事故によるけがや病気が確認できる▽原因と考えられる異常がMRIやCT、脳波などの検査で確認できるなど。医師の診断書があれば精神障害者保健福祉手帳を取得できるが、十分に認知されていないこともあり、誤診されたり福祉サービスを受けられなかったりしている人は少なくないとされる。
(2007年06月04日 朝日新聞 原文のまま)

「高次脳機能障害支援で京都府と懇談」(1月22日/京都民報
 21日、コミュニテイ嵯峨野で、「頭部外傷や病気による後遺症を持つ若者と家族の会」京都支部が主催した「高次脳機能障害支援普及事業」説明&懇談会に70人を超える参加がありました。
 田中明会長から、「当事者と家族は一日千秋の思いで公的支援を待っている。自分の知るところだけでもこの間、二人が命を絶った。介護疲れで離婚や一家離散においこまれた家族もある。京都府の支援事業により再びそのような犠牲者が出ないように大きな期待をかけている」とあいさつ。
 京都府の堀本朋之障害者支援副室長から府の取り組みについての報告後、参加者との活発な懇談が行われました。参加者からは、「国のモデル事業の実績をいかして、支援拠点の整備をはじめ、京都府での早急な具体化をしてほしい」「どこにいけば診断ができるのか、医療機関の情報がほしい」「北部には高次脳機能障害が診れる医療機関もリハビリの施設もない。相談をうけても支援へつなぐことができず、支援センターの職員自身が悩んでいる」「当事者は若者もおおく就労が大きな課題。働く場の確保やジョブコーチなどの支援体制を」など切実な声が相次ぎました。
 府は、国の制度活用を進めながら、相談支援コーデイネーターの確保や啓発事業、研修などを考えていること、この障害の診断治療など基準をみたす医療機関のアンケートを行ってきたがこれらのリストの公表などを検討していると答えました。支援拠点の整備について、「各圏域で医療生活を支援できる適切なところで体制を構築していきたい」とのべました。(島田けい子)(1月22日 京都民報 原文のまま)
編者注:高次脳機能障害については「認知症辞典」をお読みください。


2005年

高次脳機能障害の治療-早急に公的支援体制を-(9月6日/山口研一郎氏)
  朝日新聞大阪本社版2005年9月6日号掲載文(pdf)
付記:山口医師は「頭部外傷や病気による後遺症をもつ若者と家族の会」の顧問です。
本サイト内の関連情報
高次脳機能障害に診断基準 精神障害とし社会復帰支援
高次脳機能障害の診断基準示される

高次脳機能障害に診断基準 精神障害とし社会復帰支援(7月29日/厚生労働省)
厚生労働省は28日、交通事故の後遺症などで記憶力や思考力が落ちる「高次脳機能障害」に新たに診断基準を設け精神障害の認定を容易にし、国会審議中の障害者自立支援法案に盛り込まれた福祉サービスを利用できるようにする方針を決めた。地域に支援コーディネーターなどを置き、診断からリハビリ、社会復帰につながる支援体制を整備する方針。法案が成立すれば来年1月から利用が可能になる。
高次脳機能障害は、新しいことを覚えられない、会話がかみ合わない、などの症状があるが、外見からは分かりにくく、多くの人は支援を受けていない。救急医療の進歩で一命を取り留める人の増加に伴い、増えており、厚労省は全国で30万人に上ると推計している。
診断基準は(1)記憶障害、社会的行動障害などで日常生活や社会生活に制約がある(2)脳の器質的病変が認められる(3)先天性疾患、進行性疾患などは除外-などを満たした場合とし、脳の損傷などによる「器質的精神障害」に分類する。
現在でも精神障害の認定を受けることは可能だが、その数は少ない。精神障害者は現在の支援費制度での福祉サービスを受けられないことなどが影響しているとみられる。
自立支援法案では、精神障害者も身体、知的障害者と同じサービスが受けられるようになる。
共同通信社 2005年7月29日 原文のまま)



2003年

★高次脳機能障害支援モデル事業の中間報告書を公表(4月10日/厚生労働省)
厚生労働省は4月10日、2001年度から3年間の予定で実施している「高次脳機能障害支援モデル事業」の中間報告書を公表しました。
 外傷性脳損傷や脳血管障害などの器質性脳病変の後遺症として、「ぼんやりしてミスが多い」「自分で計画を立てて物事を実行できない」など、一見して障害とみなすことが難しい症状が表われることがある。しばしば、「人が変わった」「仮病を使っている」などと誤解され、自身や家族が苦しみ、就労の障害にもなっていた。
モデル事業は、痴呆ではないこうした後遺障害を「高次脳機能障害」として認知し、障害の特性に合った支援サービスを提供するため、行政、医療、福祉など各方面が連携して取り組む体制の構築を目指しています。
中間報告書では、12の自治体と国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、324人を対象とした試行的な支援で得られたデータを基に、診断基準案、標準的訓練プログラム案、支援ニーズ判定表案などを提案しています。リハビリテーションの結果では、記憶障害の改善は見られなかったが、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害については、5〜10%の人に改善が見られたとしています。
高次脳機能障害は、国際的に見ても診断基準が確立されているとは言い難いこと、患者が地域に復帰してからの支援サービスが重要であることなどから、同省では今後の課題として、
1.発症(受傷)から地域生活に至るまでの支援サービスの流れの体系化、
2.医療・福祉分野での対応法のまとめ、
3.国民や行政、医療、福祉関係者への情報提供など
を掲げています。
今後、同省では、救急医学会、リハビリテーション医学会、脳外科学会などにも働きかけ、診断や治療、訓練などの基準策定を進める考えです。なお、6月18日から札幌市で開催される第40回日本リハビリテーション医学会総会では、本モデル事業に関連して、6月18日の3時から「高次脳機能障害者支援をめぐる慰労と施策」と題したシンポジウムが開催される予定です。(Nikkei BP Network Med Wave 2003.4.11より)


資料
高次脳機能障害 診断基準ガイドラインpdf200K


リンク
東京高次脳機能障害協議会
頭部外傷や病気による後遺症を持つ若者と家族の会
高次脳機能障害若者の会「ハイリハ東京」
高次脳機能障害者と家族の会
サークルエコー
日本高次脳機能障害学会
高次脳機能障害支援モデル事業(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
NPO法人VIVID(高次脳機能障害とともに)
日本脳外傷後遺症リハビリテーション支援ユニオン