介護保険の情報(2010年)



「認知症予防教室が終了 テストで効果確認」(12月18日)
「介護 進む国際化 人手不足、1年で6割増」(12月15日)
「介護職員の医療行為を規定へ…たん吸引など」(12月12日)
「「終わりが見えない」「役に立っているのか」・心病む新人介護職 電話相談や心理士と面談実施」(12月9日)
「宅老所生き生きお年寄り」(12月6日)
「マザアス、都内にグループホーム 認知症高齢者対象」(11月26日)
「4分の3超「介護必要になるかも」=自分と家族の将来に不安−内閣府調査」(11月21日)
「特養介護職員が医療行為、たん吸引「容認」で安心感 研修時間の確保課題、報酬への反映も手探り」(11月19日)
「地域医療のあす : 第4部 (5)ニーズ/退院患者が特養へ 第4部「なぜ、看護師が不足しているのか」 疾病多様化に対応苦慮」(11月12日)
「[介護の日特別編]高齢化社会の「転ばぬ先の杖」」(11月11日)
「「介護の日」でユニークな取り組みを発表―厚労省などがフォーラム」(11月11日)
「特養老人ホーム:「低所得者に個室を」施設長らの7割が回答−連絡会調査」(11月11日)
「地域包括支援センターは今:/上 高齢者見守りに情報の壁/ 中 虐待の把握、難しく/下 自治体の意識に差」(11月10日11日12日)
「認知症を8割以上が脳の病気と認識―オリックス・リビング「介護・意識調査」」(11月10日)
「介護保険料 どう決定?」(11月9日)
「賛否両論の「お泊まりデイサービス」 厚労省の狙いは規制強化か」(11月8日
「見守りカメラ 是か非か 金沢 認知症介護めぐり討論」(11月8日)
「要介護でもサービス利用せず」(10月26日)
「「団塊の世代こそ互助の力の発揮を」―介護保険サミット分科会」(10月22日
「訪問介護、定額制・複数回も可能に…厚労省素案」(10月22日)
「特養 個室重視に反発 秋田県上小阿仁村」(10月22日)
「ホームの93歳女性死亡、77歳男性が暴行容疑」(10月17日)
「「多床室容認でなく、個室ユニット推進の明確化だ」」(10月16日)
「都ケアマネ研究協議会、制度改正へ向け提言書を発表」(10月12日)
「地域包括職員向けに「センター方式」の相談シートなどを公開!」(10月8日)
「特養入所申し込み者、実際の待機は22.5%―厚労省」(10月7日)
「低所得・単身・要介護の高齢者 入所せず在宅の道」(10月6日)
「明日はある…か?:どうする負担増」(9月20日〜24日)
「認知症 調整役配置の方針示す」(8月31日)
「「有料ホーム」急増「特養」の受け皿」(8月23日)
「民族文化尊重し定着 在日コリアンデイサービス」(8月20日)
「男たちの介護―1、追い詰められる男性介護者、2、“暴発”の背景と兆候(上)、3、“暴発”の背景と兆候(下)、4、連帯する介護者―」(8月16日〜19日 )
「認知症高齢者グループホーム「大和園」、横浜市が介護保険指定取り消し」(8月17日
「介護保険、末期がんに対応できず NPO法人調査」(8月17日)
「仕事と介護の両立、半数以上の介護者「できない」」(8月11日)
「「特養待機者42万人の数字の根拠は?」―介護保険部会」(8月2日) 
「介護施設整備、目標の半分 厚労省、2年で8・7万人」(8月2日)
「介護保険利用、最多の468万人=09年度実態調査−厚労省」(7月29日)
ナーシングホームを見分ける方法(7月26日)
「要介護認定は「絶対に必要」―介護1万人市民委シンポ」(7月20日
「相部屋と個室、どちらをえらぶ? 特養ホームの最新事情」(7月4日)
「増床できない特養 財政難や人材難が原因 栃木」(7月4日)
「業界と読む 介護保険制度改正から1年 スタッフの処遇置き去りに」(6月23、24,25日)
「要介護・要支援認定者は過去最多の467万人―08年度介護保険事業状況報告」(6月22日 )
「スプリンクラー設置4割弱 県調査 小型施設わずか2% 認知症グループホーム」(6月12日)
「介護保険10年、家族の3人に1人「良くない」「あまり良くない」」(6月10日)
「介護者を支援する法案を提言―ケアラー連盟の発足集会」(6月7日)
「認知症高齢者グループホーム、1割に建築基準法違反」(6月7日/日本経済新聞)
「要介護認定 新たな仕組みを」(6月5日)
「国と自治体、ユニット型特養の整備で“温度差”」 (6月4日 )
「訪問介護、対象外の要望も ペットの世話・家具移動などダメ」(6月4日)
「【ゆうゆうLife】医療必要な要介護者 厳しい環境」(6月3日)
「草津市:介護サービス利用限度額、10月から引き上げ 重度認知症高齢者対象/滋賀」(6月1日)
「介護福祉士、認知症85歳入所者殴り逮捕 1カ月の重傷負わす」(5月25日)
「切迫」待機者は増加/特養ホーム」(5月21日)
「院内介助への保険適用の有無が、地域の医療格差を招く」( 5月20日)
「【ゆうゆうLife】民間の介護保険 生活資金と別枠で備えたい」(5月20日)
「介護する側を守る法とシステムの確立を」(5月15日)
「空き店舗に高齢者ら預かり施設 介護者を支援 長崎」(5月15日)
「介護施設事故死 4年で48人 「誤嚥」が75% 職員研修強化へ」(5月11日)
「利用者の9割がケアマネに対して満足―居宅介護支援満足調査」(5月10日)
「特養、この4年間で入所待ち9244人増 施設整備追いつかず」(5月10日)
「追跡:札幌の「老老介護」無理心中 認知症、介護支援の壁に」(5月1日)
「「制度外サービス」高い需要浮き彫り 介護保険」(4月28日) 
「昭和の部屋で認知症ケア、福岡の介護施設に再現」(4月27日)
「要介護認定見直しや職員の待遇改善求める―高齢社会をよくする女性の会」(4月26日 )
「介護施設ベテラン不足 勤続6年超わずか3割強 福島」(4月22日)
「絶えぬコール、緊張の夜勤 神戸の特養施設ルポ」(4月20日)
「県レベルで全国初、緊急ショート用病床を確保―富山県」(4月19日)
「特養ホームに対して、身体拘束による県内初の減額措置―滋賀県」(4月14日)
「介護保険「維持できない」市町村87%…読売調査」(4月4日)
「【ゆうゆうLife】福祉用具の価格差、なぜ?」(4月2日)
「「老い」を歩く:/(1 鍵 認知症徘徊で施錠)(2 基準違反 県指導、その場しのぎ)(3 発信器GPSで位置確認)(4 宅老所 家族に見放され)(5止 地域ネット「見守り力」が重要)/群馬」(4月1、2、3、6、7日)
「介護業界で“男の寿退社”が相次ぐワケ 介護福祉士の33歳男性のケース」(3月29日
「誰が担うのか:介護保険10年/1」(3月23・26日)
[介護保険10年](3月19日20日21日)
「[介護保険10年]」(3月16日17日18日)
「老人施設火災で7人死亡 札幌市、女性2人けが」(3月13日)
「グループホーム団体連合会が初の全国フォーラム」(3月11日)
「地域包括ケアの推進へ介護保険担当課長会議」(3月5日)
「認知症のケア 頑張る介護職支えねば」(2月16日)
「にいがた人模様:「うちの実家」代表・河田珪子さん/新潟」(2月14日
「認知症「入所断った」施設が17・9%」( 2月11日)
「「都市型軽費老人ホーム」、4月にも―小規模ホームの参入促す」(2月8日)
「長寿革命  第4部 死生観 [ギャラリー](6)「桐の花」と「夢草堂」…生老病死と向きあう 」(2月1日)
「おおむね是正 『軽い要介護度』見直し 新基準の現場徹底が必要」(1月27日)
「介護施設でのターミナル、ケアマネが意見調整の中心に」(1月25日)
「介護疲れで母親殺害、51歳男を逮捕…神戸」(1月19日)
「不正請求でグループホームの指定取り消し―三重県松阪市」(1月18日
「特養待機者の都道府県別人数を公表―厚労省」(1月18日)
「ひと人えひめ:「デイサービスセンター池さんの管理者」池内大輔さん/愛媛」(1月16日)
「ケアのかたち 超高齢社会に挑む C 私の笑顔が良薬に【子ども】」(1月5日
「飯田の特養 認知症の男性が消毒剤を誤飲」(1月5日)
「安心の支え 住民と専門職結ぶ輪を」(1月5日)
「ケアマネが認知症女性の5千2百万流用か 明石」(1月5日)
「ケアのかたち 超高齢社会に挑む B 自分の島で、最期まで」(1月4日
「国境を越えて山陰(2)支える」(1月3日)
「ケアのかたち 超高齢社会に挑む A 『いい介護』僕流の起業」(1月3日)
「一家5人、島を介護 3児連れ夫婦移住、施設立ち上げ」(1月2日)
「兵庫・伊丹の老人ホームで火災、男性1人死亡」(1月2日)


「認知症予防教室が終了 テストで効果確認」(12月18日/紀伊民報)
和歌山県田辺市が同市龍神村で開催していた認知症予防教室「脳若がえり塾」が終了し、参加した17人が卒業した。教室は県と県立医大脳神経外科が考案したプログラムに基づき、脳を活性化させる方法を学ぶというもので、参加者は毎日、計算問題などが盛り込まれた「脳トレドリル」などに挑戦。認知機能を調べる際の目安となるテストの数値は参加前と比べて向上しており、参加者はそれぞれ手応えを感じた様子だった。
教室が龍神村で開かれたのは今回が初めて。9月30日から12月9日までの計7回、龍神村西の龍神保健センターで、医師による講義を聞いたほか、二つのグループに分かれてウオーキングマップや旅行プランづくりをしたり、個人活動としてペーパークラフトなどに取り組んだりした。また、日常的に脳トレドリルや運動、新聞や小説の音読といった宿題にも挑戦した。
教室では認知機能を調べるテストを行っており、参加前と参加後の結果を比較すると、文章の中から2分間で「あ・い・う・え・お」を拾い上げる「かなひろいテスト」は全員の平均が27・8文字から33・8文字に向上。一対一で保健師らの質問に答えるミニメンタルステイト検査というテストでは、30点満点中、少し認知機能が低下しているとされる24〜27点台の8人の平均が、テスト前の25・1点から27・8点に上がった。
教室に参加した古久保清子さん(69)=龍神村西=は「認知症に気を付けた方がよい年齢かと思って参加した。ドリルなどの宿題で脳が活性化されたと思うし、参加者の皆さんと会えたことが楽しかったので、修了するのが寂しい」。古久保秀夫さん(85)=同=も「最初は続けられるかどうか心配したが、元気で過ごしていくための方法を学ぶことができ、参加してよかったと思う。これからも認知症にならないよう頑張りたい」と笑顔を見せた。
教室を担当していた森本ユリ保健師は「参加前後のテストの結果を比較すると数値は向上しているし、皆さんが毎回教室を楽しみにして来てくれており、有意義な教室だったと思う。教室が終わった後も認知機能を高めるためのトレーニングを続けていただければ」と話した。
AGARA 2010年12月18日 原文のまま
編者:認知症予防の内容はこの程度のものか。認知機能が改善したと思われるだけで認知症が予防されたわけではない。しかも教室の後、どのようになるのかが不明。



「マザアス、都内にグループホーム 認知症高齢者対象」(11月26日/Sankeibiz)
ミサワホームグループで介護・福祉事業のマザアス(東京都新宿区)は、認知症の高齢者を対象とするグループホームを東京都内で事業展開する。第1弾として、杉並区に「マザアスホームだんらん杉並・松庵」(写真)を開設。2011年には世田谷区と武蔵野市に相次いでオープンする。同社は高齢化社会の進展によりグループホームのニーズが高まるとみて、12年以降も杉並区や目黒区、品川区などを中心に、半年に1カ所のペースで開設していく方針だ。
同社のグループホームは、認知症の高齢者が家庭的で落ち着いて暮らすための共同住居で、利用者の個室をはじめ、食堂や浴室などを整備している。運営スタッフの支援のもと、食事の支度や掃除、洗濯などを共同で行うことで、認知症の症状の進行緩和を図る。
「だんらん杉並」は杉並区の地域密着型サービス事業者の指定を受けた。定員18人で、戸建て感覚の外観ながら医療機関・施設との協力体制も充実させている。
マザアスは、これまで主に千葉県で事業を展開。介護付き有料老人ホーム「マザアス南柏」(流山市)を中核にして、県内で3カ所のグループホームや高齢者専用賃貸住宅を運営している。
一方、都内ではケアハウスや訪問介護事業所などで構成された、品川区高齢者複合施設を受託運営してきた。
吉田肇社長は「高齢者が住み慣れた土地で、安心して住み続けられるようにする」をモットーに、都内でも千葉県内と同様の事業に乗り出した。
また、首都圏以外の大都市でも高齢者の一人暮らしが急速に増えていることから、関東地区以外でも事業を展開する。その一環として、自立高齢者や要介護高齢者が対象のシニア対応賃貸マンションを札幌市中央区に建設する。名古屋でも事業化を検討している。
一人暮らしの高齢者がグループホームなどに入居した場合、それまで暮らしていた住宅が空き家になる。このため、ミサワホームグループの事業ノウハウを生かし、既存住居の有効活用を図る。
(SankeiBiz 2010年11月26日 原文のまま)
編者:認知症の人と対象としたグループホームの建物が創るのは簡単だが、相応しい職員の確保、研修はどうすうか。また民間企業によるグループホームの入居費、経費は安くはないだろう。

「4分の3超「介護必要になるかも」=自分と家族の将来に不安−内閣府調査」(11月21日/時事通信)
内閣府は20日、「介護保険制度に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、4人に3人が自分自身が寝たきりや認知症の要介護者になるかもしれないと不安に思っていることが分かった。家族が要介護者となることへの不安も8割近くの人が抱いており、少子高齢化の進行に伴う不安感の拡大がうかがわれる結果となった。
調査は9月16日から10月3日まで、全国の成人男女5000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は65.4%だった。
要介護者となることへの不安は、自分自身について「ある」と答えた人は7年前の前回調査比6.1ポイント増の75.1%で、「ない」は同5.7ポイント減の24.4%。家族について「ある」は同4.1ポイント増の77.6%、「ない」は同7.3ポイント減の18.0%だった。
自分自身に介護が必要となった場合に困ることを聞いた(複数回答)ところ、「家族に肉体的・精神的負担を掛ける」が73.0%で最も多く、「介護費用の負担が大きい」60.1%、「収入がなくなる」32.2%などが続いた。
自分が介護を受けたい場所では、「現在の住まい」を挙げた人が37.3%。次いで「特別養護老人ホームなど介護保険施設」が26.3%、「有料老人ホームや高齢者住宅」が18.9%だった。
(jijicom 2010/11/21 原文のまま
関連情報:「護保険、税負担増容認が43% 内閣府世論調査」(11月20日/47NEWS)
内閣府が20日付で発表した介護保険に関する世論調査によると、保険料増加を抑える方法(複数回答)について「公費(税金)負担割合の引き上げ」が43・1%で最も多かった。「保険料負担の増加はやむを得ない」が35・7%で続き、以下「40歳未満の若年層からも保険料を徴収」29・1%、「自己負担割合の引き上げ」20・1%の順。
厚生労働省12年度に予定している制度改正で高所得者などの自己負担増による保険料抑制案を示しているが、調査結果は介護保険を含め社会保障制度の在り方をめぐる議論に影響を与えそうだ。
介護保険についてはこのほか要介護度が軽い人を保険給付の対象外とする「軽度者の全額自己負担化」を支持する人が15・6%、利用回数など「1人当たりのサービス量を制限」は15・4%だった。
調査は9〜10月に全国の成人男女5千人を対象に面接方式で実施。回答率は65・4%。
47NEWS  2010/11/20  原文のまま

「特養介護職員が医療行為、たん吸引「容認」で安心感 研修時間の確保課題、報酬への反映も手探り」(11月19日/日本経済新聞)
特別養護老人ホーム(特養)の介護職員に、口腔(こうくう)内のたんの吸引など一部医療行為が認められて半年余り。現場では国の“容認”以前から、必要に迫られて実施していた介護職員も多く、看護師による指導など条件付きながら歓迎の声が聞かれる。指導役の看護師の研修も各地で進む。ただ、忙しい現場での研修時間確保策や、労働負荷の高まりにどう報いるかなど課題も見えてきた。
「はい、アーンしてくださいね」。10月下旬、約200人が入所する東京都内の特養。両手にビニール手袋をはめた介護職員が50代の女性入所者のあごを左手で軽く持ち上げる。若年性認知症の症状から体がこわばりがちで、よく開かない口に細い管をさし込んだ。
数秒間、10センチほどさし込んだ管を前後させた後、息苦しくないよういったん外し、再び差し込む作業を繰り返す。「ゴボッゴボッ」。口の中にたまったたんが消毒用アルコール入りの吸引器に取り込まれていく。
高齢化などで医療的ケアが必要な入所者の増加と、現場の人材有効活用の必要性を背景に、厚生労働省は4月に、入所者や家族から同意を取り付けるなど一定の条件を満たせば、介護職員によるたんの吸引を認める通知を出した。
この特養はこれを受け、たん吸引が必要になる入所者の家族から「介護職員が口腔内のたんの吸引を行うことに同意いたします」とする同意書を受け取っている。医師の指示書や、吸引回数などを記載した計画書も作成している。
妻(76)が今春、この特養に入所した無職男性(76)も同意書に署名した。認知症の妻は要介護度5。食事や排せつ、着替えなどほぼすべてで介助が必要だ。まだたん吸引はしていないが、「遅かれ早かれ必要になる。たんが詰まれば息ができなくなるかもしれない」と考え、あらかじめ同意することにした。
通知前から実施
もっともこの特養では、4月以前から介護職員がたん吸引を担っていた。その役割を担うべき看護師は募集してもなかなか集まらず、報酬も高く、経営上も大幅増員は難しい。国が認めていない行為でも、必要に迫られて介護職員が実施していた形だ。
園長は「要介護度が4、5といった重度入所者は増える一方。介護職員にたん吸引を担わせないと成り立たない」と打ち明ける。
実施に際しては独自の研修も採用。看護師の指導の下、新人職員は勤務開始から1〜2カ月後、別の職員と互いに吸引動作を試し、感触を体験。さらに先輩に付き従って入所者からの吸引を数回行った後、独り立ちしてきた。たん吸引に踏み切る場面も、看護師を配置しない夜間や、吸引が必要な入所者が増える昼食時に限定してきたという。
そんな時代を経て、4月から始まった新しい運用だけに、現場では好意的な受け止め方が広がっている。埼玉県のある特養の施設長は「利用者の日常生活の質向上につながるはず」と期待を込める。
厚労省は通知の中で、技術水準確保のために施設内で介護職員が研修を受けることを条件としている。このため同省や都道府県は指導役となる看護師の育成を進めている。
「口を開けてください」「管を洗ってください」。埼玉県は11月上旬、約50人の看護師を集めた研修を実施した。8班に分かれ、看護師、介護職員、入居者の役を交代で演習。看護師役と介護職員役はビニール手袋をはめて機材を操作、たん吸引で必要な管の使い方や洗浄方法を学んだ。
ただ、いざ実施に踏み切ろうとすると課題も見えてくる。班ごとの感想発表では、「人に教えるとなると難しい」「介護職員のレベルも異なり、何から教えるべきか困ってしまう」と戸惑う様子もうかがえた。
指導に14時間?
所属施設で介護職員を指導する際は、職員の忙しさも壁となる。厚労省は「義務ではない」としながらも、モデル事業の指導時間を「14時間」と設定。現場ではこの時間数が目安との受け止め方があり、看護師からは「日常業務に加えどうやって時間を確保するか悩ましい」との声も漏れる。
介護職員側からも「国が通知で認め、職員に安心感が広がった」との評価の一方、「たん吸引が認められたのは口腔内のみ。現場では鼻腔内を求める声もあり不十分」との声もある。医療行為に伴う介護職員の精神的負荷も予想され、心理的ケアも求められそうだ。
淑徳大の結城康博准教授は「新たな業務を認めることは評価できるが、それに見合う報酬を与える仕組みなどの早急な整備が必要だろう。報酬を手当てできないと今でも足りない介護職員や看護師の確保が、さらに難しくなる」と指摘している。
    ◇
厚労省、在宅への拡大検討
厚生労働省は特別養護老人ホームだけでなく、在宅やグループホームで働く介護職員にも一定の条件でたん吸引など一部医療行為を認める検討を進めている。介護職員の業務範囲を広げ、高齢者が暮らしやすい環境を整備する狙いだ。
厚労省が新たに対象にすることを検討しているのは、在宅サービスやグループホーム、有料老人ホームなどで働く介護職員。10月以降、順次モデル事業を実施しており、その結果を受け、来年の通常国会で必要な法改正を目指す。
他方、在宅での業務拡大は、施設とは異なる課題もありそうだ。在宅サービスでは、利用者と介護職員が2人だけになるケースもあり、万一事故が起きた場合の対応や責任問題をどのように考えるかは悩ましい。
医師や看護師が緊急時に訪問できるようなネットワークづくりも欠かせない。看護師のいる施設と在宅で、医療行為を認める基準を変えるなどの工夫が求められる可能性もある。(板垣孝幸)
日本経済新聞 2010年11月19日 原文のまま
編者:介護職による医療行為については課題が多い。編者の見解「介護現場における医療的行為ー医療行為と医療外行為―と留意点」をご一読ください。 

★「地域医療のあす : 第4部 (5)ニーズ/退院患者が特養へ 第4部「なぜ、看護師が不足しているのか」 疾病多様化に対応苦慮」(11月12日/山陰中央新報)
「職安に看護師の求人を出しているが、反応はまったくない」−。出雲市大津町の特別養護老人ホーム(特養)「清流園」で、中山昭美園長(53)は半ばあきらめ顔だ。
入所の80人と、短期入所で最大11人の高齢者を受け入れている。看護師は常勤2人と非常勤4人の計6人。常勤換算で「4人」となる看護師数は、特養の配置基準(入所者51〜130人で3人以上)を満たす。
それでも看護師確保に躍起となるのは、加速する入所者の重度化がある。清流園の入所者の要介護度は平均して「4」と重い。認知症に加えて内臓疾患や末期のがんなど、疾病は多様化し、それに伴うケアには看護の知識や技術が欠かせない。
総合病院を早期退職し、2年半前から働く看護師の原光子さん(58)は「最初は、まるで病院のような状況にとても驚いた」とし、「嘱託医はいるが、緊急時などは自分自身が判断しなければならず、プレッシャーは大きい」と漏らす。
「医療的なケアが必要な対象者が増えており、安心できる介護体制のために、看護師は必要だ」。中山園長の言葉には悲壮感さえ漂う。
   ※  ※
長寿日本一の島根県の介護現場が、深刻な看護師不足に陥っている。
県の資料によると、県内の82特養施設(小規模特養含む総定員数4583人)で勤務する看護職は約330人。5年後の看護職需要は「376人」とはじくが、「現状では無理な数字」と特養関係者は口をそろえる。
特養や老人保健施設、通所介護など介護福祉職場が確保に奔走する看護師の有効求人倍率は、昨年度10・74倍と2けた台に達した。
看護師の配置基準をクリアしても、なお介護現場の不足感がぬぐえない看護職ニーズ。その背景には、国が進める病院の在院日数短縮化がある。
2006年度に導入された病院病棟の看護師配置基準「7対1」(入院患者7人に対して看護師1人)は、急性期から慢性期になった患者に早期退院を迫る。行き場を失った患者は在宅か、介護施設かの選択に悩む。
結果的に、早期退院した患者らの受け皿になっているのが、特養という現実がある。実際、県内の特養待機者は医療施設や在宅からの申込者を含め約6千人にも及ぶ。
   ※  ※
「住み慣れた自宅で最期を迎えたいという人も増えている」
松江市内で訪問看護サービスを提供する「花みずきナースステーション」の高橋京子所長(55)は、将来的な訪問看護ニーズの高まりを予測する。
認知症のお年寄り9人が共同生活するグループホーム「まごころの家」(松江市古志原1丁目)。花みずきの訪問看護を利用する。山田理恵ホーム長(53)は「医療の知識を持つ看護師の週1回の訪問は心強い」と話し、24時間で対応する看護師の役割の大きさを強調する。
だが、県内の訪問看護ステーション数は現在51カ所(昨年4月現在)で、03年ベースより7カ所も減った。「7対1」の余波で、病院運営のステーションが看護師引き揚げで廃止の憂き目にあったのが要因とみられている。
危機的な看護師不足にあえぐようなった介護現場。県は昨年夏、訪問看護支援検討会を設置し、訪問看護の安定供給に向けて、検討を始めた。
果たして有効な対症療法はあるのか。長寿県・島根の介護現場で顕在化してきた看護師の確保難は、医療・福祉・保健の連携で成り立つ地域医療の在り方を問う。
 〜データ〜
福祉分野の看護師求人・求職動向 島根県福祉人材センターが扱う福祉関係職場(特養や老人保健施設、通所介護事業者など)の求人・求職のうち、看護師の有効求人倍率は本年度11・48倍(10月まで)。最近3カ月では10月が求職者9人に対し、求人が106人(倍率11・78倍)、同様に9月が8人に対し104人(13倍)、8月が8人に対し114人(14・25倍)となっている。
山陰中央新報 2010年11月12日 原文のまま


「「介護の日」でユニークな取り組みを発表―厚労省などがフォーラム」(11月11日/キャリアブレイン)
厚生労働省と全国社会福祉協議会は「介護の日」の11月11日、東京都内でフォーラムを開催し、厚労省が募集した介護職員によるユニークな取り組みが紹介された。介護従事者や学生など、主催者発表で600人以上が来場した。
「介護職員による『ユニークな取組み』発表会」では、厚労省に推薦された62施設・事業所のうち4つが選ばれ、それぞれの取り組みを発表した。
介護老人福祉施設花友しらかわ(京都市)の加納恵子氏は、口腔ケアとしてパイナップルジュースを染み込ませたコットンクロスで利用者の舌を洗う取り組みなどを紹介。パイナップルの酵素と繊維によって、舌に付着した細菌や粘膜のかすでできる舌苔が取り除けるとし、このような活動で口腔内を清潔に保ち、誤嚥性肺炎や感染症の予防に効果があると述べた。また、利用者の唇の動きや口腔内に残りやすい食材などを把握できることから、食材を適切な大きさやとろみ加減に調整でき、口腔ケアが食事ケアにもつながるとした。
総合福祉施設修徳(同)のショートステイ事業所の谷内裕樹氏は、認知症の予防・改善のために行っている「学習療法」の教材を廊下に張り出す事例を発表した。難読漢字や世界各国の国旗、計算問題などの問題を廊下に掲示することで、机に置いておくよりも利用者が自然に興味を持ち、利用者同士が問題を話題にして交流するきっかけになる効果もあると指摘した。
サンライフ彦坂(岐阜市)の特別養護老人ホームで働く服部誠司氏は、利用者それぞれの希望をかなえる「個別誕生日会」で、子どもとの交流を望む利用者には職員の子どもを連れて来ることなどを紹介した。服部氏は、誕生日会を通して利用者が最も望んでいることを理解し、会が終わった後に継続して実現していくことが重要だと述べた。
小規模多機能ホームひだまり(福岡県大牟田市)の竹下一樹氏は、空き家を地域住民が交流するサロンに改装して「住民の互助心作り」を進めた結果、家族や介護サービスではカバーし切れない安否確認や食事の提供などを住民同士で行うことができたと説明した。
キャリアブレイン  2010年11月11日 原文のまま

「特養老人ホーム:「低所得者に個室を」施設長らの7割が回答−連絡会調査」(11月11日/毎日新聞)
特別養護老人ホームの整備を巡り、施設長らの7割は低所得者も個室に入所できるようにする対策を求めていることが、各地の91施設でつくる「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」の調査で分かった。低所得者対策に公費負担を求める声も4割に上り、困窮者の個室入所は難しい実態が浮かんだ。
同会は8〜9月、特養と養護老人ホーム約7000カ所に調査用紙を郵送、1638施設の施設長が答えた。「低所得者が個室に入所しやすくする方策」を求める施設長は937人(67%)で、大部屋でやむを得ないと考える351人(25%)を大きく上回った。
特養入居者は介護サービスの1割負担分と食費、居住費を支払う。低所得者に対しては、介護保険で食費と居住費を負担軽減する仕組みがあるが、1割負担分には適用されない。このため低所得者は大部屋を希望するケースが多いとされる。法人による負担軽減制度について、592人(36%)は現状の継続を是認したが、660人(41%)は公費負担すべきだと答えた。【野倉恵】
毎日jp 2010年11月11日 原文のまま
関連情報:全国老人ホーム施設長アンケート結果 速報(pdf600K)

「地域包括支援センターは今」(11月10日・11日/毎日新聞)
「上 高齢者見守りに情報の壁」(11月10日)

高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう支援する「地域包括支援センター」は、全市区町村に設置されている。しかし、導入から4年半たった今も、存在すら知らない住民もいる。認知症や1人暮らしなど自ら支援を求めることのない高齢者が増えるなか、そうした高齢者を見つけ出し、支援に結びつけるセンターの役割は重要になっている。現在進んでいる介護保険法改正の議論でもセンターの相談体制をどう充実させるかがテーマになっている。現場を歩き、課題を探った。【有田浩子】
◇市の協力なく実態不明 職員の努力では限界
「気になる高齢者のお宅を見回りしてください」。熱波が日本列島を襲った今年8月、佐賀市東与賀地域包括支援センターの久保英樹センター長(41)の元に高齢者の熱中症対策を呼びかけるメールが、市高齢福祉課から届いた。しかし、担当地域に見回りが必要になりそうな1人暮らしの高齢者がどこに住んでいるのか、久保さんは知らなかった。市は情報を把握しているが「本人の同意なしには情報は流せない」(高齢福祉課)と、個人情報保護を理由に提供していない。「基礎情報も共有していないのに、どうやって見回れというのか」。メールを見た久保さんは途方に暮れた。
地域包括支援センターは06年の介護保険法改正で新たに高齢者の「よろず相談所」として設けられ、現在では全国4000カ所以上、全市区町村に設置されている。久保さんのセンターは09年4月に佐賀市から委託を受け、旧東与賀町(07年に佐賀市に編入)の地域を担当している。職員は久保さんを含めて3人だが、担当地域の65歳以上の高齢者は約1700人だ。活動開始当初に市がセンターに提供した情報は、センターが介護プランを作成する必要がある要支援1〜2の高齢者と、介護状態になる可能性の高い高齢者など約100人で、担当地域の高齢者の1割にも満たなかった。
センターにかかってくる相談の電話に対応するだけでなく、高齢者宅への訪問などを通じて顔なじみの関係を作り介護サービスに結びつけたり、介護予防事業への参加を促す。久保さんたちはこれまでの活動で老人会や自治会、民生委員らとの会合を重ね、1人暮らしの高齢者などを少しずつ把握していった。
しかし、支援を必要としながらも、声を上げないままの高齢者を見つけるには、個人的なつながりだけでは限界がある。1人暮らしや認知症の高齢者など、支援が必要になる可能性が高い高齢者をきちんと把握した上で訪問ができれば効率的だし、住民のためにもなる。だが、市との間に横たわる「情報の壁」は厚い。
市は高齢者の熱中症対策をセンターだけでなく、民生委員や老人会など関係者に呼びかけており、今夏は幸い、熱中症による犠牲者は出なかった。
個人情報保護を理由に、活動に必要な情報を自治体などから提供されない地域包括支援センターは少なくない。社会福祉に詳しい大阪市立大の岩間伸之准教授(写真)、「情報を提供しないでセンターに『足で稼げ』と言うだけでは、問題の予防や解決は難しい。情報を一律に流せばいいとは思わないが、行政の情報管理には行きすぎた面がある。目的や根拠を明確にしたガイドラインを作った上で対応していくことが重要だ」と指摘する。
◇地域包括支援センター
保健師、社会福祉士、介護福祉士などの専門職が連携し、高齢者の支援を行う総合機関。困りごとの相談や、要支援の高齢者の介護予防プラン作成、住民からの虐待通報を受けての対応などのほか、民生委員やケアマネジャーが対応しきれない事例も担当する。自治体の直営が全体の約3分の1、残りが委託を受けた民間事業者。介護保険の地域支援事業費から委託費が出ている。体制や取り組みには地域差がある。独自の通称を使っているケースもある。
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◇ご意見、感想を募集
連載について、ご意見、感想をお待ちしています。〒100−8051(住所不要)毎日新聞生活報道部「地域包括支援センターは今」まで。ファクスは03・3212・5177、メールはkurashi@mainichi.co.jp
毎日jp 2010年11月10日 原文のまま
「中 虐待の把握、難しく」(11月11日)
◇身内かばう高齢者 情報生かせず死亡事件も
地域包括支援センターは高齢者虐待の通報窓口にもなっている。通報があれば自治体などと協力して対策をとる。虐待は介護で疲れ切った家族によって行われることがあるが、身内をかばって高齢者本人がSOSを出すことは少なく、発見は容易ではない。大阪府内で今年8月に起きた2件の高齢者死亡事件の現場を歩くと、センターが抱える苦悩が浮かび上った。
約1300世帯が暮らす大阪府寝屋川市の団地で8月25日夜、景由綾子さん(当時86歳)が3階の自宅窓から転落し、搬送先の病院で死亡した。長男が「母親を殴った」と話したため逮捕され、長男の妻も数日後に逮捕された。2人は、綾子さんに日常的に暴力を振るっていたという。
「家からドスンという音や悲鳴が聞こえる」。地域を担当する東北地域包括支援センターに、綾子さんの家庭に問題がありそうだと民生委員から連絡が入ったのは、事件3カ月前の5月中旬。市の指示を受けながら、センター職員は実態把握に努めた。
7月7日、センター職員は綾子さんから直接、息子夫婦から暴力を受けていたことを聞く。それまでに4度会っていたが、顔のあざやひっかき傷を「自分でやった」と話していたという。同9日、市と同センターは会議で、綾子さんに対する虐待を認定するが、介護施設などに移して保護することは見送った。「本人におびえた様子がなかった」(寝屋川市)ことなどから緊急性は低いと判断した。
センターの職員は同15日、長男に介護保険によるデイサービスの利用を勧め、長男も「母がそれでいいなら」と同意した。介護の苦労を少しでも和らげることが目的だった。しかし、それ以降、綾子さんとは接触できなくなり、事件は起きた。
警察の調べに長男は「今年1月ごろから、母親の認知症がひどくなった」と話しているというが、市やセンターはそこまで把握していなかった。毎日新聞の調べでは、今年5月末、団地の広場付近で住人が長男に足げりされる綾子さんを見ている。
センターの職員は「この件は、市が一括して説明することになっている。何も話せない」と口を閉ざす。市は「もっと幅広く情報を集めるように指示すべきだった」と反省を口にした。ただ、センターなどが虐待の有無を調査する場合、「あの家庭は虐待があるらしい」などの風評がたつ恐れがあるため、誰にでも話が聞けるわけではないという。
高齢者虐待の大半は家庭内で起きており、全国で毎年20人以上が死亡している。寝屋川市では09年度、高齢者の虐待に関して58件通報があり、24件で虐待を確認。うち11件で高齢者を介護施設などに移して保護した。
大阪府大東市の松本国世さん(当時76歳)は長男=傷害罪で起訴=から暴行を受け、8月30日に死亡した。国世さんは長男と2人暮らしで、近所との付き合いがほとんどなく、住民も虐待を受けていることを知らなかった。しかし、起訴状によると長男は半年前ごろから、ほぼ連日、殴ったりつねったりしていた。国世さんは2年前から認知症だった。
地域を担当していた東部地域包括支援センターの管理者、梶山登美子・主任ケアマネジャーは「近所の人や民生委員からの情報はなかった。申し訳ないが私たちも訪問したことがなかった」と残念そうに唇をかんだ。
東京都内のセンターの職員は「老人会や民生委員を回っているときに入る、虐待かもしれないという情報をフォローしている。介護予防のプラン作りなどで忙しく、自分で問題を発見できるほど余裕はない」と語る。関係者と連携しながらの、虐待の情報が集まりやすいネットワークの構築が不可欠だ。
高齢者虐待に詳しい井上計雄弁護士(写真)は「センターの判断が不十分な場合もあれば、自治体が高齢者の保護などの権限行使に戸惑う場合もある。センターを生かすためにも、弁護士や社会福祉士などの助言を早めに受けたほうがいい」と、専門家との連携も重要だと指摘する。【有田浩子】
毎日jp 2010年11月11日 原文のまま
「下 自治体の意識に差」(11月12日)
◇高齢者把握へ情報共有/独自予算上乗せも
東京都に隣接するベッドタウン埼玉県和光市は、65歳以上の高齢者ほぼ全員の健康状態や食生活などのデータをそろえた介護予防マネジメントシステムがあり、市内4カ所の地域包括支援センターと情報を共有している。センター職員は高齢者宅への訪問などにデータを活用し、効果を上げている。他の自治体からの視察も多く、国は同市を参考に10年度から、57自治体で高齢者把握のモデル事業を始めた。10月のある日、同市の地域包括支援センター職員、安達淑恵さん(40)に同行した。
「以前は、死ぬことばかり考えていました」。最初に訪問した、一戸建てに1人暮らしの女性(89)はそう話した。しかし、表情はとても明るい。
安達さんが女性の自宅を初めて訪問したのは2年前にさかのぼる。市外に住む女性の娘が「母の足腰が弱って、ごみが捨てられない」と市役所を訪れたことがきっかけだった。市から連絡を受けた安達さんはパソコン上で女性のデータを確認した上で訪問した。
ごみがたまった部屋で、娘に付き添われた女性から話を聞いたところ、「尿失禁に悩んで、ずっと外に出られなかった」と告白した。外出がおっくうになったことで、足腰も弱くなってしまったようだ。「どうして話してくれなかったの」と女性の娘は驚き、2人で泣き崩れたという。その後、安達さんは女性を体操など介護予防事業に誘い、今では坂道を上った先のごみ集積所にも通えるようになった。安達さんが紹介したヘルパーが週1回通うなどで、自宅もきれいになった。「かかわった方とは一生のお付き合いです」と安達さんは話す。
この日は1人暮らしの認知症の女性や、糖尿病の男性を自宅に訪ねたほか、デイサービスの施設に通う男性の様子も見て回った。訪問した高齢者の現状を、安達さんは市の介護予防マネジメントシステムに追加する。記録は市の担当者と市内のセンターの職員がパソコンで見ることができる。このため、別の職員もこの日訪ねた人たちの最新の状態を知ることができる。
記録的な暑さとなった今夏、安達さんは同じセンターの職員と手分けをして、担当地域の独居高齢者に電話をかけ、熱中症の予防を呼びかけた。電話で体調が悪いと分かった高齢者宅には訪問して、介護サービスを勧めるなどの対応をとった。こうした活動が迅速にできるのは、介護予防マネジメントシステムがあるからだ。住民基本台帳と連動した同システムは、和光市が05年度から始めた事業で、65歳以上の高齢者全員に毎年行っている心身の健康状態や食生活の実態調査に基づいている。
安達さんが介護予防のプラン作成や、定期訪問でかかわる高齢者は現在100人を超える。台帳を参考に、時々電話して様子を確認する人を含めると数百人になる。
また、地域包括支援センターの存在が周知されるにつれて相談は増え続けており、内容は多岐にわたる。借金や病気、障害に関する相談など、介護だけでは解決できないケースも飛び込んでくる。生活保護や障害者にかかわる案件では、市の担当課と連携する。高齢者や家族とともに、医者や弁護士を訪れることもある。「私たちにはここまでしかできない、とは言えない。すべてセンターで抱え込まないように連携体制をとっていきたい」と安達さんは語る。
河合克義・明治学院大教授(写真右上)は「センターの活動内容は、理念としては福祉の幅広い領域を含んでいる。しかし高齢者の孤独死や所在不明高齢者問題などは深刻で、十分機能しているとはいえない」と話す。
昨年、関西地区560のセンターに調査(回答数167)を行った小川栄二・立命館大教授(写真右下)は「自治体からの委託費は保健師など専門職3人で平均1500万円。ベテラン職員を置く人件費としては足りない。対象となる高齢者の数に比べ職員数は少なく、職員は熱意を持って仕事をしているのに、やれるところまでしか手が出せないのが現状」と指摘する。地域包括支援センターの活動には、介護保険の地域支援事業費があてられているが、独自予算を上乗せする自治体もあり、自治体間で活動内容は大きく異なっている。「どのように人材を養成し、財源を確保していくのか。自治体の考えが問われている」(小川教授)といえる。【有田浩子】
毎日jp 2010年11月12日 原文のまま

「認知症を8割以上が脳の病気と認識―オリックス・リビング「介護・意識調査」」(11月10日/ケアマネジメント)
有料老人ホーム・高齢者住宅を運営するオリックス・リビングは、11月11日の「介護の日」に合わせて、全国の40歳以上の男女1,238人を対象に、2008年、2009年に引き続き、「介護に関する意識調査」を実施した。
調査に応じたのは、介護経験者を含む、男性678人、女性560人。未経験者と経験者の数は把握していない。
介護経験者の詳細は、実母の介護36.8%、配偶者の介護20.8%、実父の介護20.2%で全体の約8割を占め、介護期間は1年以上3年未満が29%、3年以上6年未満が26.6%で、3年未満が過半数を占めるものの、6年以上10年未満11.7%、10年以上9.7%とかなりの幅があった。
介護していたときに大変だったのは複数回答で、「精神的な負担」が70.4%と最も高く、次いで「体力的な負担」「排泄など」「自分の時間が取れない」「費用がかかる」「お風呂に入れること」「食事」だった。そのとき行なっていた介護方法(複数回答)は、「デイサービスや訪問介護利用」が圧倒的に多く64.3%、自宅などで介護22.8%、老人保健施設入所13.5%、特別養護老人ホーム入所13.4%、有料老人ホーム入所9.2%、グループホーム入所4.2%となっている。
介護全般に関する意識調査は主に以下のとおり。
1)家族の介護には9割以上、自分の介護には約9割が不安感を感じている
家族を介護する上では、男女とも「精神的な負担」への不安が高く、男性は「費用面」「体力面」の順。一方、女性は「体力面」に次いで、自分が中心となって介護をするという意識から、「日常生活の変化」に不安を感じている。自分の介護には、男性83.8%、女性92.3%と、女性の不安感が1ポイント高かった。
2)将来の自分の介護について、約9割が話し合っていない
将来、自身の介護が必要となったときのことは、「まだ何も考えていない」(51.5%)、「考えているがまだ家族に伝えていない」(37.8%)という回答。漠然とした不安を持っていることがわかった。
3)受けたい介護サービス、男性は配偶者の介護、女性は有料老人ホームを希望
自分が受けたい介護について、過半数が施設を希望。女性は「有料老人ホームに入居」(22.1%)、男性は「自宅で配偶者に介護」(29.1%)がトップ。自宅で介護を受ける場合でも、女性は「外部の介護サービス」(21.6%)を望む割合が高く、男性で「外部の介護サービス」を希望するのは、「配偶者」希望の半分しかいなかった。こうした傾向は昨年も同様だった。

4)有料老人ホームのスタッフへ最も望むのは「相手への心遣い」
介護が必要な家族が利用する有料老人ホームを決める上で、スタッフに望むのは複数回答で、「介護に関する知識・技術」(76.7%)よりも、「介護する相手への心遣い」(84.8%)が8ポイント上回った。
5)認知症は8割以上が脳の病気だと知っている
認知症については、「脳の病気だと知っている」(84.5%)、「物忘れなど、年を取れば誰もがかかる病気だと思う」(13.6%)、「知らない」と答えたのはわずか1.9%だった。認知症を発症する時に相談する相手としては「病医院に行って医師に相談」(83.1%)する人がほとんどという結果となった。
6)高齢者専用賃貸住宅の理解度は1割程度
高専賃については、「詳しく理解している」のは9%で、9割以上が聴いたことはあるものの、まだ詳しく理解してないレベルにとどまった。
ケアマネジメントオンライン 2010年11月10日 原文のまま
関連資料:オリックスリビング「介護に関する意識調査」2010年(pdf200K)

「賛否両論の「お泊まりデイサービス」 厚労省の狙いは規制強化か」(11月8日/東洋経済)
介護を受けている高齢者が日中を過ごすデイサービス(通所介護)。電動ベッドなどの福祉用具レンタルや訪問介護とともに、最も普及している介護保険サービスの一つだ。このデイサービス事業所内の静養室や居間を用いて夜間に高齢者を宿泊させる新サービスの創設をめぐり、賛否両論が渦巻いている。
論争が勃発したのは8月下旬だ。8月23日の社会保障審議会介護保険部会で厚生労働省が配布した資料に「お泊まりデイサービスの創設」という文言が突如、登場。審議会出席者から反対論や慎重論が相次いだが、同30日付の2011年度予算の概算要求で、「家族介護者支援(レスパイトケア)の推進」として「100億円」が盛り込まれた。
家族の介護疲れ解消や冠婚葬祭などの急用に対応するために、通い慣れたデイサービス事業所がお年寄りを一時的に預かるサービスに対する潜在的な需要は大きい――。厚労省はこうした考えに基づき、予算要求を掲げた。破格ともいえる100億円は、全国に8000ベッド分(2000カ所)を宿泊用として確保するための設備改修費用(スプリンクラーの設置など)として投じる。
ところが、こうした方針に反対や懸念の声が続出した。
日本医師会の三上裕司常任理事(写真右上)は9月8日の記者会見で、「要介護高齢者の宿泊には、厳しい施設基準や人員配置基準が必要。病院や老人保健施設など、医療機能を持つ施設のショートステイを活用するべきだ」と語った。
介護保険外で宿泊を提供している宅老所からも懸念の声が持ち上がっている。認知症高齢者への支援で20年の歴史を持つ「宅老所よりあい」(福岡市)は、介護保険に宿泊を組み込むことに反対する意見書を提出。「介護保険内のサービスとして宿泊の単価が点数化された場合、多くの利用者は限度額を超えてしまい、宿泊どころか通所も制限されかねない。その結果、認知症高齢者の在宅生活を支えてきた拠点を潰す結果になりかねない」というのが理由だ。
反対論続出の理由
地域密着型のスタイルで訪問介護と通所介護、宿泊という三つのサービスを提供している「小規模多機能型居宅介護」の事業者からも反対論が続出。「サービス間の整合性が取れなかった場合、(職員配置や設備基準が相対的に厳しい)小規模多機能型の存立は困難になる」(社会福祉法人「泉湧く家」〈東京都豊島区〉の宮長定男理事長)といった指摘が上がっている。
ただ、デイサービスに宿泊機能を持たせるという仕組みが利用者の支持を集めていることも確かだ。
厚労省に先駆けて、東京都は「認知症デイサービスセンター活用事業」と銘打ったモデル事業を09年度から開始。認知症の高齢者に限って、普段通っている認知症対応型の事業所で泊まりや早朝、休日の受け入れを認めた。長妻氏が視察した都内事業所の宿泊付きデイサービスも、都のモデル事業だ。
モデル事業に参加した「年輪デイホーム」(東京都西東京市)。利用する高齢者の家族からは「安心して里帰りすることができた」との声が上がっている。「顔なじみの職員が夜間も一緒にいてくれたことで、認知症の母親は混乱することもなく、宿泊することができた」と、この家族は話している。年輪デイホーム利用者への意向調査では、9割が「利用し続けたい」と答えている。
もっとも、モデル事業で設けられたハードルは低くない。第一に、一般のデイサービスではなく、認知症高齢者に限ったデイサービスであるということ。1回の利用は3連泊までで、通常は二つのベッドに限定。夜勤職員のほかに、宿直職員も配置する手厚い人員体制を敷いた。
「特別養護老人ホームのショートステイ利用が困難な認知症高齢者の事情に配慮した」と東京都の狩野信夫・高齢社会対策部長は語る。
一方、自治体主導の取り組みとは別に、ここ2〜3年の間に、1泊わずか800〜1000円という破格の低料金で高齢者を宿泊させる介護保険外の新サービスを提供する企業が相次いで登場している。
最大手の日本介護福祉グループは、空き民家を借り上げた小規模デイサービス事業(利用定員10人以下)をフランチャイズ(FC)方式で全国展開する。「茶話本舗」と銘打った同社の事業所は直営・FC合計で278カ所に上っている。
1泊800円の真相
それにしても、なぜ800円(茶話本舗の場合)という超低価格で泊めることができるのか。斉藤正行・日本介護福祉グループ副社長(写真右中)は「新たな設備投資が不要なことで低価格を実現した」と語る。その一方で、小規模デイサービスに対する介護保険報酬(昼間の介護に関するもの)を原資に、格安の宿泊料金を実現していることも確か。利用者を早期に集めたうえで高い稼働率を達成するのが前提だ。
民間企業の共通点は、長期にわたる連泊が可能だということ。茶話本舗の場合、要介護3の人が1カ月泊まり続けた場合の総費用は10万円強。特別養護老人ホーム並みに安く抑えている。「生活保護受給者を含めて、家計に余裕のない方も利用できる」(斉藤氏)という。
ただ、格安サービスに対しては「質に問題がある」(ケアマネジャー)との見方も少なくない。斉藤氏はそうした見方を否定したうえで「利用者本位で作った仕組みにもかかわらず、ビジネスモデルに対して否定的な声が少なくない」と嘆く。「インターネットカフェや飲食業など、介護事業の実績のない異業種企業が、当社のビジネスをまねて次々と参入してきている。実績の乏しい企業と一緒くたに見られている」(同氏)。
それでは、民間企業は厚労省が創設する「お泊まりデイサービス」の制度に乗るのだろうか。
斉藤氏は厚労省の新サービス創設を歓迎するとしつつも、「利用日数の制限や高い設備基準が設けられた場合には、制度に乗れない」と説明する。その場合は、今までどおり、保険外での宿泊サービスを継続するという。ただ、新サービス導入とともに小規模通所介護の報酬引き下げが行われた場合、打撃を被る可能性がある。
「厳しい規制を設けると新サービスへの参入は少ない。逆に規制が緩いと高齢者の尊厳が脅かされる。いずれにしても、お泊まりデイサービス創設は、民間企業のビジネス手法を規制する格好の理由付けになった」(小規模多機能型居宅介護拠点・ユアハウス弥生〈東京都文京区〉の飯塚裕久所長)(写真左下)。
厚労省と事業者の攻防の激化はこれからだ。
(岡田広行=週刊東洋経済2010年10月16日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
東洋経済 2010年10月16日 原文のまま
編者:介護保険制度下の施設の不足と入所の需要があれば廉価劣悪の無認可の高齢者施設が生まれる。介護保険施設としてカバーしても、新たにまた安い悪い施設が生まれることになろう。裕福な高齢者は有料老人ホームへ、貧困な高齢者は無認可施設へということになるのか。認知症高齢者は一層、劣悪な施設での生活が強いられる恐れ。

「見守りカメラ 是か非か 金沢 認知症介護めぐり討論」(11月8日/中日新聞)
『技術に不信感』『サイン分かる』
認知症の高齢者の介護に“見守りカメラ”を導入する是非を議論する会合が七日、金沢市の県社会福祉会館であり、見守りカメラの実用化を研究する北陸先端科学技術大学院大の関係者らが意見を交わした。
同大の藤波努准教授らは、認知症のお年寄りを見守る目を増やす狙いなどから、グループホーム内に小型カメラを設置し、モニターで入居者を見るシステムの研究を二〇〇五年度からスタート。製品化を目指した。
しかしグループホームの全国組織が入居者のプライバシーの侵害などを理由に実用化に反対し、製品化は中止になった。藤波准教授(写真右上)らは“見守りカメラ”の是非を検討するため、今年九月に「『社会福祉と情報技術』研究会」を設け、その活動の一環として会合を開いた。
研究者五人が自らの見解を報告し、藤波准教授は「介護現場では人間が人間の世話をするという意識が強く、情報技術の導入に不信感を抱くことが多い」と説明した。
これに対し、森山千賀子・白梅学園大准教授(写真右中)は「見守るという行為自体は、認知症の入居者が示す心のサインを知る手法として重要」と指摘。曽我千春・金沢星稜大准教授(写真右下)は「グループホームでの事故を防ぐには、カメラの導入を考えるより先に、介護する側の増員を議論すべきだ」と主張した。 (榊原崇仁)
CHUNICHI WEB  2010年11月8日 原文のまま
編者:頼もしい意見と姿勢だ。カメラはダメとしても、センサーはどうなのだろう。


★「要介護でもサービス利用せず」(10月26日/NHKニュース)

介護が必要な状態にもかかわらず、介護保険のサービスを利用していない1人暮らしの高齢者が少なくとも3万8500人に上ることが、NHKが行ったアンケート調査で初めてわかりました。厚生労働省は「介護サービスにつなげる対策を探りたい」と話しています。
アンケート調査は高齢者の実態を把握し、必要な介護や医療に結びつける役割を担っている全国の「地域包括支援センター」4160か所を対象に行い、80%に当たる3309のセンターから回答を得ました。その結果、センターが把握している1人暮らしの高齢者はあわせて92万8000人おり、そのうち介護が必要な状態にもかかわらず、介護サービスを利用していない高齢者が少なくとも3万8500人余りに上ることがわかりました。介護サービスを利用していない理由について複数回答であげてもらったところ、最も多かったのは「介護が必要な状態なのに本人が『人の世話にはなれない』と考えている」で、73%、次いで「利用料の1割負担が重いなど経済的な理由」が40%、「認知症のため本人の意思確認が難しい」が26%でした。10年前に始まった介護保険制度は、本人か家族が利用を申し込んで契約しなければなりませんが、1人で暮らす高齢者や認知症を患う人が増加するなか、自分では必要な介護サービスにつながれないケースが広がっているものとみられます。これについて、厚生労働省は「実態を把握したうえで地域包括支援センターの体制を強化し、繰り返し高齢者に働きかけるなど対策を探りたい」と話しています。
(NHKニュース 2010年10月26日 原文のまま)
編者:これは深刻な問題だ。保険制度によらない社会保障による高齢者支援を別枠で作る必要があるようだ。
関連情報:「介護サービスが使えない!認知症気味の夫が「保険料未納」」(10月28日/Jcast)
NHKが今年10年目を迎えた介護保険制度について調べるため、全国の地域包括支援センター4200か所にアンケート調査を実施した。その結果、介護サービスが必要と思われるのに、利用してない(できない)人が少なくとも3万8000人いることがわかった。他人の世話になりたくない、認知症で自分が要介護だと認識できない、経済的な問題――などがその理由として挙げられるという。
「クローズアップ現代」では、レ・ミゼラブルを地でいくようなケースが取り上げられていた。写真店を営んでいた夫婦。約3年前、20歳年上の夫が脳梗塞で倒れた。認知症の兆候もあり、要介護1に認定された。写真店の売り上げは低迷し、借金も抱えて店をたたむことにした。妻は他所で働くことにし、その間、夫をデイサービスに頼もうと思った。
だが、月3万円のデイサービス利用料が払えない。本来は1万円だが、夫が7年間介護保険料を支払っていなかったために、ペナルティ的に負担額が3割負担になってしまう。親族に借金して未納分を払おうとしたが、さかのぼって払えるのは2年分だけだという。
厚労省「むやみに救済できない」
おぼつかない夫をひとり家に残して、彼女は働かなくてはいけない。「なんのための介護保険なのか」「これからどうなっちゃうのか」と泣き崩れる妻。夫はそんな妻を見るが、あまり状況が飲み込めてないようだ。
このVTRを見て、国谷裕子キャスターが「いまのご夫妻ですけど、これはなんとかならないものですか」と取材にあたった記者に問いかけるが、それも詮ないこと。「保険である以上、きちんと保険料を払っている人との公平性を考えると、むやみに救済できない」というのが厚労省のご立派なご見解だそうだ。
10年前、来たる超高齢化社会への切り札的存在として導入された介護保険。しかしその実体は、認知症の夫を抱え、慣れない仕事につかなければいけない、絶望しかかっててもおかしくない人一人助けることもできないユニバーサルサービスなのである。
*NHKクローズアップ現代(2010年10月26日放送「介護保険『置き去り』」3万8000人)
Jcast 2010/10/28 原文のまま

「「団塊の世代こそ互助の力の発揮を」―介護保険サミット分科会」(10月22日/キャリアブレイン )
第11回介護保険推進全国サミットinひがしうらの分科会「地域包括ケアの構築〜ニーズ把握と地域資源の活用〜」が10月21日、愛知県東浦町で開かれた。コーディネーターを務めた慶大大学院の田中滋教授(写真右1番)は、地域包括ケアを充実させ、推進する上で「介護保険はエンジンの一つにすぎない」と指摘。介護保険外のサービスを積極的に活用すると同時に、特に団塊の世代については「地域包括ケアの中で互助の力を発揮してほしい」と呼び掛けた。
片山壽氏(尾道市医師会長)(写真右2番)は、急性期病院と診療所がケアカンファレンスを行い、相互に補完し合う同医師会の取り組みを紹介。また、高齢の障害者の終末期にも対応できる長期継続ケアを実現するため、「現在はばらばらに存在している医療や福祉、介護、保健などの資源を連携させる必要がある」と述べた。
松本均氏(横浜市健康福祉局介護保険課長)は、地域包括ケアを推進する前提として、地域のニーズを的確に把握しなければならないと指摘。また、特に高齢者人口の急増が見込まれる首都圏では、介護インフラの整備が急務とした上で、「高齢者が集住できる住まいと、外付けのサービスの連携を充実させる必要があるのではないか」と述べた
秋山正子氏(白十字訪問看護ステーション統括所長)(写真右3番)は、急性期病院と診療所の連携の必要性を強調する一方、「自分の健康は自分で守るという意識を持った市民を増やす努力が不可欠」と指摘。また、多くの訪問看護ステーションが、利用者は増えたのに収入は減っているとし、「医療保険の方がよいと考えているステーションは多い」と語った。
市原美穂氏(NPO法人ホームホスピス宮崎理事長)(写真右4番)は、「現在ある介護関連施設の多くは病院モデル。“住まい方”を意識した整備が必要」と主張。さらに、「行政だけでなく、住民一人ひとりも自らが主人公として、介護について考える必要がある」と述べた。
オブザーバーとして参加した厚生労働省老健局振興課の川又竹男課長は、「地域とは、人と人とのつながり。住み慣れた地域で過ごせることが理想」とし、24時間地域巡回型サービスなど在宅向けの新たなサービスの検討が進められていることなどを紹介した。また、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の来年の改正に向け、「国土交通省と共通認識を持って勉強会を開催するなどの取り組みを進めている」と述べた。
□「介護予防」「認知症」もテーマに
第11回介護保険推進全国サミットinひがしうらではこのほか、「介護予防〜最新の取り組みで健康長寿〜」と「医療は認知症とどう向き合うのか」のテーマでも分科会が行われた。「介護予防」をテーマにした分科会では、「生活習慣病に取り組むことが一番の介護予防。そのためには医療と福祉の融合が不可欠」「外出しやすい環境が介護予防につながる。地域の活性化と併せ、街づくりから考える必要がある」などの意見が出た。
キャリアブレイン 2010年10月22日 原文のまま



関連情報;暴行死の特養、2人部屋6人寝かす 岡崎市など立ち入りへ(10月19日/中日新聞)
愛知県岡崎市の特別養護老人ホーム「なのはな苑」で入所者の女性が同室の男に死亡させられたとされる傷害致死事件で、施設がこの2人を含む6人を、定員2人の部屋に就寝させていたことが同市の調べで分かった。市は18日、定員順守を定めた老人福祉法に基づく厚生労働省基準に抵触するとして、21日に県と合同で立ち入り検査する方針を決めた。違反があれば特別監査をし、行政指導を検討する。
市長寿課によると、この部屋は3階の介護職員控室近くの21平方メートルの和室。設立時から定員2人と県に届けていた。
施設側は市の調査に対し、男は3泊4日の短期入所で個室を用意していたが、重い認知症があり夜間徘徊(はいかい)することから、職員の目が届きやすい部屋で一般入所者と就寝させたと説明しているという。
今年1月の一般監査では問題なかったといい、同課の鈴木昭芳課長は「基準が守られていなかったことが、事件に結び付いたならば残念。改善指導を徹底する」と話した。施設長代理は中日新聞の取材に「夜間のみ多人数の部屋に就寝させた。基準に抵触しているとの認識はなかった。申し訳ない」と答えた。
岡崎署は18日、傷害容疑で逮捕した同室の無職の男(77)を傷害致死容疑に切り替えて送検した。女性(93)の死因は外傷性くも膜下出血の可能性が高く、外部からの力が加わって死亡したとみられる。
Chunichi Web 2010年10月19日 原文のまま

「「多床室容認でなく、個室ユニット推進の明確化だ」」(10月16日/キャリアブレイン)
【第127回】大森彌さん(社会保障審議会介護給付費分科会会長、東大名誉教授)(写真)
社会保障審議会の介護給付費分科会は、従来型多床室とユニット型個室を合築した特別養護老人ホーム(特養)などの「一部ユニット型施設」について、このほど結論を取りまとめた。今後、多床室とユニット型施設をそれぞれ別施設として指定するほか、国が進める個室ユニット化の推進策を強化する内容だ。「多床室容認」との報道や評価もある今回の取りまとめは、いったいどんな意味を持つのか―。結論の取りまとめに腐心した同分科会会長の大森彌さんに話を聞いた。(外川慎一朗)
○「一部ユニット型施設」をめぐるこれまでの経緯を教えてください。
一部ユニット型施設をめぐり、厚生労働省老健局は2003年に解釈通知を出しました。多床室とユニット型施設を合築した特養について、同年4月2日以降に新設された分は一部ユニット型施設と認めず、ユニット型部分にも従来型の介護報酬を算定するよう求めたものでした。
一方、昨年5月28日に開かれた「全国介護保険担当課長会議」では、「地域の実情を踏まえて、ユニット型施設以外の施設も含めて整備するという判断もある」との資料が示されました。これが自治体には「厚労省が多床室の整備も認めた」と伝わりました。結果として、03年の通知には反していても、課長会議の資料を基にして、都市部を中心とした一部の自治体が新設の合築施設の整備を認め始め、ユニット型部分にも高い報酬が算定されていたのです。国と自治体の間に齟齬(そご)が生じたために起こったことですが、これは「介護報酬上問題があり、過払いになる」との指摘が上がり始めました。これが事の発端です。
一部ユニット型施設という類型は、多床室をユニット型施設に転換する政策を進める上で、過渡期的につくったものですが、この類型がある限り、多床室をめぐる問題が解消されない恐れがあり、この類型自体を廃止するためにも、介護給付費分科会で議論することになりました。そして、自治体担当者や介護事業者らからのヒアリングなど、7月からの計4回の集中的な審議を踏まえて、今回の取りまとめに至ったのです。
○取りまとめには、低所得者対策が明記されました。
自治体や特養の経営者側からはこれまでも、「低所得者は多床室しか利用できない」との声が聞こえていました。現に、厚労省社会・援護局からは、生活保護受給者がユニット型施設を利用できない旨の通知が出されています。低所得者が入所できないのに個室ユニット化ばかりを推進することへの批判もあり、低所得者の扱いをどうするかという論点も加わっています。
この問題を完全に解決しない限り、個室ユニット化を完全に推進することはできません。わたしも介護給付費分科会の場で、生活保護受給者が利用できないという現在の取り扱いを見直すよう発言しました。ユニット型施設を利用できるようにする手だてを講じなければいけません。
○なぜ生活保護受給者はユニット型施設を利用できないのでしょう。
ユニット型施設は多床室より普及していないのに、生活保護受給者が入所するのはいかがなものかという発想なのでしょう。しかし生活保護にも住宅扶助がありますし、生活保護受給者だって介護保険料を支払っている建前になっています。ほかの人と差別をするのはおかしい話です。こう考えると、同じ厚労省でありながら、局が違うと政策に整合性が取れていないようにも感じてしまいます。
○国会で継続審議となっている「地域主権改革推進一括法案」にも言及しています。
地域主権改革推進一括法案で、居室定員の基準は「参酌すべき基準」と規定されています。これは国が省令をどう変えようが自治体の条例に委任されるというもので、非常に悩ましい問題です。
そこで取りまとめでは、居室定員を明記した省令を、現行の「4人以下」から「1人」に改め、国の姿勢を明確に打ち出すよう検討すべきとしました。国が省令で居室定員を1人とするにもかかわらず、自治体が多床室を整備するというなら、それは住民に対する説明責任を伴う自治体の判断ということになります。
○今回の取りまとめを「多床室容認」とする報道もあります。
決してそうではありません。現に多床室は存在し、相当の期間残るわけですから、変わりはありません。それよりも大事なことは、今後も個室ユニット化を推進するという国の立場をこれまで以上に明確に打ち出したということです。12年度以降の整備の在り方については、「ユニット型施設のみに助成を行うことを検討すべき」と明記しています。
○多床室とユニット型施設を別指定とした場合の人員基準も定めました。
今回の取りまとめでは、入所者の処遇に支障がない場合に限り、一部の職種については限定的に兼務を認めました。一方、実際に介護に当たる職員と、「介護職員と同様にケアを行う看護職員」については兼務を認めないこととしました。介護施設には看護職員が不足している現状もあるため、条件を付けた今回の取りまとめがぎりぎりの線だと思います。
ただし、「入所者の処遇に支障がない場合」や「介護職員と同様のケア」の具体例については、どこかの段階で基準を示さないと、また現場や自治体で混乱が起こる可能性があります。今後検討を進め、通知か何かを出すことになるでしょう。
○ユニット型施設の整備は推進されるのでしょうか。
ユニット型施設を整備する方が、経営面でプラスだということを自治体や事業者に伝え、多床室を抱える事業者の転換を促していく必要があるでしょう。「多床室を整備する方が低いコストで済む」と思い込んでいる事業者もあるようですが、介護給付費分科会のヒアリングでもあったように、多床室とユニット型施設との間にコストの差はなく、多床室を整備するインセンティブはほとんどないと言えます。
また、現在も残っている多床室を軽視してはいけませんが、いつかは介護報酬の面でユニット型施設を優先しないといけないかもしれません。差をどのくらいつけるかという問題も今後出てくるのではないでしょうか。
○特養以外の介護老人保健施設(老健)や介護療養型医療施設はいかがですか。
老健は在宅復帰のための中間施設です。最期まで暮らすことを前提にはしていません。ですから施設の性質上、老健をすべてユニット型に転換するのは現実的でないと考えます。介護療養型医療施設も同様です。
今回は主に特養について取りまとめたのですが、老健と介護療養型医療施設も関係しているために言及しました。また、個室ユニット施設の実態についても、真にふさわしいサービスが適切に行われているかどうか、調査・検討が必要だと思います。
□介護報酬、「良貨」のサービスが増えるように
○12年度の介護報酬改定に向け、今後の介護給付費分科会でも課題が山積みですね。
いろいろな課題がある中で、わたしは通所介護に改革の余地が多くあると考えています。サービスの質が高くない一部の事業所では、個別の利用者の状態を見ることなく、相変わらず集団的なケアに終始しています。「子ども扱いされ、尊厳が傷つけられる。二度と行きたくない」などという話もいまだに聞きます。一方で、一人ひとりの利用者の状態を把握し、それぞれに合った1日の過ごし方を計画する質の高いサービスを実践しているところもあります。
こうした質の高いサービスを提供する事業者の介護報酬は、引き上げるべきだと思います。しかし、基本報酬自体を上げると、質が低い事業所の収益も高めてしまいます。そこで、考えられる選択肢は加算による手当てになるのでしょうが、そうすると「制度が複雑で分からない」などと指摘を受けます。例えば、要介護度の改善度合いで定量的に判断するなど、何らかの方法により、高品質のサービスを提供する事業所と、そうでない事業所を区分し、前者だけを報酬面で優遇する仕組みができればいいと思います。「悪貨は良貨を駆逐する」の逆といいますか、介護サービスは「良貨」が増えるようにしたいものです。
○通所介護をめぐっては、来年度予算の概算要求に、宿泊付デイサービス(お泊まりデイサービス)が盛り込まれました。
このサービスを単独でやるべきかどうか一考を要します。現行の小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者グループホームを優先して推進しなければならない時に、新たなサービスを軽々に提案されてしまうと現場は困惑します。何か工夫してサービスの形を作る必要があります。
○介護職員の処遇改善についても見直しを求める声が出ています。
地方へ行くと、「特に要求していないのに給与を上げる必要があるのか」という自治体関係者の声を聞くこともあります。つまり、介護職員の処遇が大きな問題となっているのは、主として全産業平均の所得水準が高い都市部なのです。地域差を是正するため、例えば、介護報酬1単位10円の単価を、都市部の一部地域では十数円まで引き上げるとか、地域区分や地域係数に関して何らかの工夫が必要でしょうね。
○要介護認定制度の廃止論や簡素化論も出ています。
要介護認定制度は廃止も簡素化もすることはないと思います。ただし、認知症のケアサービスの在り方や標準化については検討する必要があります。
また、事務簡素化の観点から要介護認定の手続きで見直すとすれば、二次判定の在り方だと思います。認知症のように別の視点での判定が必要な方については、選択的に二次判定を行ってもいいとは思います。ただ、事務負担を軽減する観点からも、全員を二次判定に掛ける必要はないかもしれない。これを検討してみていいかもしれません。
○介護保険料の負担についてはどのようにお考えですか。
65歳以上の第1号被保険者の介護保険料について、何か政治的な相場感覚として5000円が上限だという議論はおかしいと思います。この数字に明確な根拠はありませんし、第4期介護保険事業計画期間(09−11年度)でも5000円を超えている自治体はあります。利用者のニーズなどを分析し、適切なサービスが提供されるならば、5000円を超えても構わないと思います。社会連帯(共助)としての社会保険方式を崩してはならないと思います。
キャリアブレイン  2010年10月16日 原文のまま
編者:特別養護老人ホームでの個室が望ましいことは当然だが、自己負担できる人しか利用できなく、負担できない低所得者や生活保護受給者が利用でいないのであれば、個室利用の差別化が固定される恐れがある。介護老人保健施設や介護療養型医療施設では個室化は必要ないというのもおかしい。病院での個室化が取り組まれているのに。

「都ケアマネ研究協議会、制度改正へ向け提言書を発表」(10月12日/ケアマネジメント)
東京都介護支援専門員研究協議会は、2012年度の制度改正にむけ、「介護保険制度改正に向けた提言書」をまとめた。
提言書の内容は、同会の現場のケアマネから寄せられた100通以上の現場の声の集約し、まとめたもので、全文は8ページにも及ぶ。主な重点項目は以下のとおり(原文のまま)。
1 養成研修にインターンシップの導入と研修のカリキュラム編成に分権化を
養成研修(実務研修)については、受講後一定レベルのケアマネジメントの習得ができるよう、特定事業所等での一定期間の実習をカリキュラムに含めるなどの大幅な充実を図るべきです。また、研修の全国画一的なカリキュラム内容について、国は一定の基準を示すにとどめ都道府県の裁量を拡大するなどより弾力的なものとすべきです。
2 主任介護支援専門員の質の向上を
居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員の役割の明確化を図るとともに、主任介護支援専門員の質の向上を図るため、フォローアップ研修を制度化すべきです。
3 施設におけるケアマネジメントの向上を
施設(介護保険3施設)におけるケアマネジメントの向上を図るため、施設介護支援専門員を専任とし、適切なケアマネジメントが実施される施設に対し報酬の加算措置を講ずべきです。
4 介護保険サービスが入らないケアプランに評価を
介護保険サービス以外のボランティアなど地域の社会資源のみで支援するケアプランを作成した場合、通常のケアマネジメントと同等の業務を行い自立支援につながったにもかかわらず、報酬上評価されません。退院支援の援助を行ったが実際に退院できなかった場合も同様です。これらについても必要な業務として評価し、報酬の対象とすべきです。
5 介護支援専門員として生活していけるだけの賃金を
全国ベースで約14%程度の引き上げ(要介護3から5の場合で、13,000 円⇒15,000 円)、さらに、家賃や人件費等の運営コストの高い大都市東京においては、地域別単価の是正(当会の試算では全国の1.18 倍程度)が必要です。
6 介護支援専門員の判断の尊重を
同居家族がある場合の生活支援、外出支援、院内介助など給付の適否が不明確であり、また、保険者により解釈が異なります。これらについては、自立支援の観点から介護支援専門員がアセスメントに基づき作成するケアプランについては、専門職としての判断を尊重すべきです。
7 在宅生活の継続支援を
1)ショートステイについて、単独施設の増設など多様な形態で大幅な増床を図り、緊急時の対応も可能にすべきです。
2)デイサービスの時間延長、土日祝日利用の拡大など利用者のニーズにあったサービス提供の充実を図るべきです。
3)ホームヘルプサービスの24時間365日支援の充実に加え、服薬確認、安否確認などのために5 分、10 分の短時間サービス、認知症高齢者の不穏時の見守りなどのための長時間サービスの導入を図るべきです。
8 在宅サービスの充実と併せて、特養を中心とする施設の整備を
1)特別養護老人ホームの待機者解消のため、整備促進は必要、特に用地確保の困難な大都市部の整備促進を図るべきです。
2)介護型有料老人ホームの増床が必要であり、特養待機者の多い地域では総量規制を解除すべきです。
9 難解な介護報酬の改善を
外出支援、独居の範囲など給付の対象となるのか不明確なものが多い。また、独居高齢者加算、認知症加算などサービス種別ごとに多種多様な加算が多く報酬を複雑なものにしています。事業者の負担を軽減し、利用者にも理解のできる簡素、明快な介護報酬とすべきです。
同会は、今回まとめた提言書を10月5日に東京都に、8日に厚生労働省および介護保険部会長宛に提出した。
ケアマネジメントオンライン 2010年10月12日 原文のまま
関連情報:「介護保険制度改正に向けた提言」平成22年10月5日 特定非営利活動法人東京都介護支援専門員研究協議会(pdf140K)

★「地域包括職員向けに「センター方式」の相談シートなどを公開!」(10月8日/ケアマネジメント)
全国3カ所に設置されている認知症介護研究・研修センターのうち、大府センター(愛知県大府市)は、「大府センター式」コミュニケーションパックとして、パーソン・センタード・ケアの理念をもとに、地域包括支援センター職員が介護家族との相談場面で活用するツールを公開している。内容は2008年・2009年度の独立行政法人福祉医療機構「長寿・社会福祉基金」助成事業により実施されたものの一部となっている。
「大府センター式」コミュニケーションパックとは、主に介護家族と地域包括支援センター職員が、認知症のご本人の行動の理由を知るために、背景となるいくつかの要因に沿って考え方を整理することができるツール。認知症を取り上げたテレビ番組などでも、認知症家族の新しい介護方法として「パーソン・センタード・ケア」(センター方式)が紹介されるなど、ここにきて一般の介護家族からも急速に注目が集まっている。
公開されているのは、使い方マニュアル、記入例&事例(1)、記入例&事例(2)、相談シートの4つのファイルから成り、いずれもpdfファイルとしてダウンロードが可能。
「相談シート」とは、介護負担を感じている家族に、「本人はどのような気持ちで行動しているのか」を5つの視点から問いかけ、認知症ご本人の行動の背景や思いなどを知ることで、介護家族の視点の転換を図り、介護負担を軽減できることを期待たもので、認知症家族の悩み解決の最も重要なカギとなる。
懇切丁寧な「使い方マニュアル」も付属しており、地域包括支援センターの職員のみならず、認知症のご利用者をかかえるケアマネジャーなど、介護分野の対人支援職にとって、非常に役立つツールとなっている。
「大府センター式」コミュニケーションパック
ケアマネジメントオンライン 2010年10月8日 原文のまま
関連情報:パーソンセンタードケア研究会

「特養入所申し込み者、実際の待機は22.5%―厚労省」(10月7日/キャリアブレイン)
特別養護老人ホーム(特養)の入所申し込み者のうち、実際の待機者(優先入所申し込み者)は22.5%であることが10月7日、厚生労働省のまとめで明らかになった。同省が10月7日の社会保障審議会(社保審)の介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大教授)に示した。
調査は今年9月、入所基準に基づいて待機者を適切に把握している全国の特養15施設を対象に実施した。
調査結果によると、15施設の入所申し込み者の合計は5231人。このうち実際の待機者は1176人で、申し込み者に占める待機者の割合は22.5%だった。施設ごとの待機者の割合を見ると、最も低かったのは福島県の特養で0.8%、最も高かったのは福岡県の特養で76.1%だった。
申し込み者が入所待ちをしている場所は自宅が37.2%、自宅以外が62.8%だった。自宅以外の内訳は、介護老人保健施設が21.7%、医療機関が28.8%、「その他」が12.2%だった。
また、待機者の要介護度を見ると、要介護4、5で64.7%を占め、要介護3以下の35.3%を上回った。
厚労省は今回の調査について、サンプル数が少ないとして、さらに大規模な調査が必要と判断。各都道府県で10施設程度、全国で400−500施設を対象に調査を実施し、年度内をめどに結果を取りまとめる予定だ。
キャリアブレイン 2010年10月07日 原文のまま
編者:実際の待機者の基準がよくわからない。

★「低所得・単身・要介護の高齢者 入所せず在宅の道」(10月6日/東京新聞)
介護が必要な低所得の高齢者を受け入れる施設が都市部を中心に不足する中、東京都台東区のNPO法人「ふるさとの会」の在宅支援活動が注目されている。長年のホームレス支援で培った医療や介護のネットワークを生かし、要介護高齢者を一人暮らしさせる試みだ。介護保険制度のすき間を埋める地域連携を目指している。 (岡村淳司)
生活保護を受ける元ホームレスの男性(65)は昨年八月、簡易宿泊所での生活に見切りを付けて、墨田区東向島のアパートで一人暮らしを始めた。しかし四カ月後、持病の肺気腫が悪化して緊急入院。入院生活は半年にわたり、要介護認定を受けた。
少し動くだけで息苦しくなる。入院中に筋力や骨が衰え、歩行も不自由。医療用酸素濃縮器のチューブを常時装着し、コンロなどの火気に近づけない。
通常なら施設入所が必要なケースだが、男性は在宅生活の強い希望があった。それを可能にしたのは、ふるさとの会が取り組む「日常生活支援」だった。エアコンが壊れたら業者に修理を依頼し、落雷があれば酸素濃縮器に異常がないか確かめるなど、あらゆる相談に乗る。日常の話し相手も務める。目指すのは「家族の代わり」だ。
男性は退院後、一度も外出をしていないものの、「頼れる身内がおらず何もできない自分が、こうして暮らせるのはとてもありがたい」と生活に満足している。
男性は介護保険のサービスを週四回受けるが、時間制なので買い物や洗濯にほとんどを費やすヘルパーと、ゆっくり雑談を交わすこともできない。
男性宅を訪れるヘルパーは「介護保険は利用者のかゆいところに手が届かない」と明かし、同会の取り組みを高く評価する。
ただ、こうした支援が受けられる人はわずかだ。都内で一人暮らしをする高齢者は五十万人以上。ふるさとの会が支える要介護高齢者は、寝たきりを除く約十人にすぎない。同会は、国の補助制度に基づく区のプログラムを活用して委託料を運営費に充てたりしているが、自治体の取り組みはまちまち。広く普及させるには、生活保護の扶助のひとつに加えるなど国の制度化が必要という。
担当者は「生活困難者が自宅で暮らせるようになれば、施設不足を解消でき、医療費抑制にもつながる。われわれのような活動を、社会資源に位置付けてほしい」と訴えている。
Tokyo Web 2010年10月6日 原文のまま

「明日はある…か?:どうする負担増」(9月20日〜24日/毎日新聞)
「1 社員の社会保険料、正直に払えない」(9月20日) 
◇企業、偽装で節減 「退職」「倒産」生き残るため
「まじめに社会保険料を払ってたら、会社がもたないよ」。健康食品会社の女性社長は、いら立ちを抑え、語り始めた。保険料を節減するため手を染めた「偽装工作」。指南したのは、決算を相談していた会計士だった。
手口はこうだ。従業員約10人を表向きには退職させ、厚生年金と健康保険の加入対象から除外。実際には、新たに設立した派遣会社で再雇用し、保険料の会社負担がない国民年金と国民健康保険に移ってもらった。退職させなかった社員4人も給料を半分に過少申告し、年200万円の保険料を節減した。それでも、本業では主力の高級輸入食材の売上高がリーマン・ショックで半減し、09年度は約700万円の赤字に陥った。「悪いことだとは思うけど、やらなきゃつぶれる」
法人企業は厚生年金、健康保険の保険料を従業員と折半で負担しなければならず、個人事業でも常時5人以上が働いていれば加入義務がある。だが、総務省が06年9月に公表した調査結果では、厚生年金に加入すべき事業所のほぼ3割に当たる63万〜70万カ所が加入漏れの可能性があり、これらの従業員は約267万人に上る。東京都内の社会保険労務士は「社会保険料を払わなくて済む抜け道はいくらでもある」と話す。
茨城県で運送業を営む男性(50)は9年前、社会保険料を逃れる手口を「社会保険事務所の職員に耳打ちされた」と証言する。営業を続けながら休業を装い約100人の従業員全員が休職したとする「全喪届」を出し、年4000万円の保険料を浮かした。
従業員のうち30人を「全喪」扱いにしている北海道南部の建築業の男性(63)は別の手も使っている。全喪扱い以外の従業員40人に少人数単位で個人事業主グループを作らせ、それぞれと契約する形にし、多い時で年5000万円の保険料を節減した。休業どころか倒産を装って保険から抜け、別会社で事業を続ける偽装倒産も後を絶たない。
「社員の安心のため社会保険は必要」。ゼネコンの2次下請けで鳶(とび)業を営む都内の男性(40)は、同業者のほとんどが加入していない厚生年金と健康保険に88年の創業時から入っている。保険料負担のない同業者はその分、工事単価を引き下げる体力があり、入札で勝つのは容易ではない。「保険料がさらに上がれば、払っていない会社との差は開くばかり。『社員の安心のため』とはいえ、会社がつぶれたら元も子もない」
会社にとっては生き残りのための保険料節約だが、従業員は将来不安にさらされる。厚生年金から国民年金に替わると、保険料は安くなるが年金の平均給付額は3分の1程度に減ってしまう。機械メーカーと委託販売員の契約を結ぶ東京都八王子市の男性(46)は、勤務実態は正社員と同じだが、個人事業主扱いとされ厚生年金に入れない。「会社は保険料コストを削りたいのだろうが、老後はどうなるんだろう」
会社が保険料を節約する一方、生活苦から国民年金にも国民健康保険にも加入しないケースも多い。従業員が社会保険に入っていない茨城県の建設会社の女性役員(35)は「若い社員は目の前の生活費確保で精いっぱい。保険料を払う余裕はない」と話す。
国民のセーフティーネット(安全網)であるはずの社会保険だが、保険料負担の重さが中小・零細企業や働き手を苦しめ、その役割を果たせなくなりつつある。
◇ ◇ ◇
少子高齢化など社会構造の変化で増え続ける社会保障費。今の日本の社会保障を維持するなら、医療・介護・年金の社会保険料の引き上げか、増税を国民が受け入れるしかない。しかし、「消費税10%」を打ち上げた菅直人首相は、参院選大敗後、沈黙を決め込んでいる。税制論議が進みそうにない中、保険料をさらに引き上げる余地はあるのか。負担にあえぐ、現場を歩いた。
毎日jp 2010年9月20日 原文のまま
「2 介護保険料、日本一の町」(年9月21日)
 ◇安心、高過ぎる対価
 八甲田山のすそ野に開ける青森県十和田市。09年4月、3年ごとに見直される介護保険料が全国市町村で最高になった。65歳以上の人が毎月払う介護保険料は基準額で5770円と全国平均(4160円)を4割近く上回り、最も安い福島県檜枝岐(ひのえまた)村(2265円)の2・5倍に達し、年金暮らしを直撃する。
市中心部の特別養護老人ホーム「八甲荘」には高齢者50人が暮らす。入居費用は月6万〜7万円で、年金生活でも無理をすれば何とかなる。入居前は1人暮らしだった女性(81)は八甲荘での生活が7年目。「家族のように介護してくれて安心」と話すが、介護保険料の負担は重い。
市区町村で運営する介護保険制度が始まった00年度の介護費用は日本全体で3・6兆円だったが、高齢化の進展で09年度は7・7兆円になった。このうち1割は利用者が負担、残りを公費と40歳以上が払う保険料で折半しており、仕組みが変わらない限り、保険料は上がり続ける。
高齢者が多いほど保険料は高いのが普通だが、十和田市は高齢化率が約24%で県内40自治体の下から7番目。それなのに保険料が高いのは、特養など公的施設に入れない高齢者の受け皿として民間施設開設が相次いだためだ。市内には民間高齢者住宅、有料老人ホームが11施設あり、5施設が建設中。民間施設は訪問介護サービスを利用することが多く、コストがかかる。
民間施設の増加で、十和田市では介護認定を受けた人のサービス受給率が95%と全国平均の81・5%を大きく上回る。施設数が追いつかず、なかなか介護を受けられない首都圏に比べ高齢者の安心感は大きいが、民間施設の利用には重い負担への覚悟も必要だ。
有料老人ホームに10年間入所していた母親を昨年、亡くした自営業の男性(56)は、無年金だった母の代わりに月12万円の費用を負担し続けた。「母が亡くなり、もちろんつらかったが、正直ホッとした部分もあった」
十和田市内に住む主婦(61)は、自宅で認知症の母親(96)を介護する。特養や有料老人ホームなどの介護施設に入れるとなると、夫と2人では費用を負担しきれず、「親せきにすがるしかない」。
母も介護保険料を払っているが、介護サービス利用は月4500円の車いすだけ。やり切れない思いは、自分の将来への不安につながる。子どもはなく、寝たきりになっても介護してくれる身内は夫だけ。「受け取れる年金は10万円程度。こんな高い保険料を払っていてもサービスを利用できないかもしれない」
介護保険料が5000円を超えるのは十和田市も含め全国で64自治体。09年度改定で保険料が5568円となり上昇率が61%と全国一だった山梨県早川町は、来年4月オープンの特養の整備に3億円かかったことが急上昇の主因だった。
甲府市内の病院に月2回通院する1人暮らしの女性(78)は「通院費用は月1万円。さらに介護保険料の負担は年金生活には厳しいが、若者がどんどん減る中、高齢者が支え合うしかない」とあきらめ顔だ。
12年度の改定では、全国平均の介護保険料も「5000円を上回りかねない」(厚生労働省)。十和田市の藤田譲・高齢介護課長は「税などで国にもっと負担してもらわないと介護保険制度は崩壊する」と警告を発する。
毎日jp 2010年9月21日 原文のまま
「3 都市の特養、狭き門」(9月22日) 
脳梗塞(こうそく)で倒れ、昨年9月に亡くなった夫を約6年半、老老介護で支えた東京都東村山市の無職女性(69)は今も釈然としない。言語障害と両手両足のまひで要介護度が2番目に重い4となった夫を最初の2年間は自宅で介護したが、「共倒れになる」と不安になり、特別養護老人ホームを探し始めた。
だが、家族と同居していることもあり、入所は後回し。リハビリ主体の介護老人保健施設に入ったが、費用は特養より4万円も高い月15万円だった。特養に入れたのはその2年後で、その間、100万円近く出費がかさんだ。「同じ保険料を払っているのに施設によって負担が違いすぎる」
無職の次男(43)も昨春、脳出血で倒れた。左手にまひが残り、家賃1万4000円の都営団地で一緒に暮らす。自身も手のしびれで訪問サービスの対象になる要支援1と認定された。月15万円の年金に頼る2人暮らしに、介護保険料5676円と介護サービスの自己負担(計1万円弱)は重い。「私が倒れたら、障害を抱えた息子と2人、どうすればいいのか」
特養の入所待機者は09年12月現在、全国で約42万人。しかも、国立社会保障・人口問題研究所によると、25年には75歳以上の後期高齢者が東京都で206万人(現在115万人)になる。神奈川県も147万人(同75万人)、大阪府151万人(05年で65万人)、愛知県115万人(09年で63万人)と、いずれもほぼ2倍に膨らむ。一方、介護施設の整備計画(06〜08年度)の達成状況は、東京44%▽神奈川54%▽大阪64%▽愛知60%。特養に入りたくても入れない人は増えるばかりだ。
施設整備遅れの背景には、都市部の地価の高さに加え、人材集めの難しさがある。
東京・多摩地域で在宅介護を展開する西都保健生活協同組合(東京都清瀬市)の30歳代の女性ヘルパーは、今月10日朝、出くわした光景に体が凍り付いた。独り暮らしの男性(76)が住む団地で呼び鈴を鳴らしても応答がない。ベランダから部屋をのぞくと、トイレから足を投げ出すように倒れ、死亡していた。
介護ヘルパーの仕事は食事、就寝準備がある朝夜に集中する。西都組合の介護利用者は180人。ヘルパーは1日平均4〜5人の自宅を訪れ、約1時間の間に食事の準備から着替えの手伝い、排せつ処理などを済ませる。月給は多くても18万円程度。07年に90人いた職員は70人に減った。宮脇正和副専務理事は「職員の応募はほとんどない。土、日はサービスを断ることもある」と肩を落とす。
平均年収が08年で200万円台と全産業平均を100万円ほど下回る介護職は、働き手が見つからず、有効求人倍率は今年4月時点で全産業(0・42倍)を大きく上回る1・11倍。08年の離職率も18・7%と全産業(14・6%)より高い。
国は25年に介護職を最大で現在の2倍近い255万人まで増やす方針を示しているが、09年に始めた介護職の給与改善策は11年度までの暫定措置。大和総研の鈴木準主任研究員は「このままでは保険料は上昇し続ける。介護施設拡充に必要な人材確保には、税の比重を上げていくしかない」と指摘する。
毎日jp 2010年9月22日 原文のまま
「4 不況が「国保」直撃」(9月23日)
「保険料の滞納中に突然がんになるなんて」。大阪府守口市で自動車部品関連工場を経営する男性(59)は09年3月の早朝、激しい腹痛に襲われた時のことを振り返る。連帯保証していた知人の会社が倒れ、借金約3000万円を肩代わり。景気低迷で受注も減り、07年初めから国民健康保険の保険料(月額約5万円)を滞納。08年10月末以降は保険証がなくなった。
腹痛の原因は直腸がんに伴う大腸破裂で、即刻手術しなくてはならない。滞納分には到底足りないが、なけなしの生活費6万円を市に納め保険証を発行してもらい、間一髪で医療費150万円の全額自己負担を免れた。
現在は所得がほとんどなく、保険料は月3000円に減額されたため、長女(20)のアルバイト代から何とか払っている。「娘の稼ぎをあてにするなんて情けない」。円高もあって工場の仕事が今後、増える見込みはないが、保険料を払えない同業者に比べたら、まだましだ。
市町村が運営する国保は自営業者や退職者など全国で約3600万人が加入。景気悪化で保険料を払えない人が増え、08年度の保険料納付率は前年度より2・14ポイント低い88・35%で過去最低となった。高齢者医療制度の改革で、納付率の高い75歳以上の高齢者が国保加入対象ではなくなったことも、納付率を押し下げた。
この結果、08年度の保険料収入は前年度比7023億円減の2兆8011億円にとどまり、国保の実質収支は2384億円の赤字になった。赤字額自体は前年度の3620億円から改善したが、大企業の健保組合や中小企業でつくる協会けんぽなどから、65〜74歳の前期高齢者医療費向けに2兆円以上の支援を受けた結果で、国保単独では立ち行かない。
国保は1961年、自営業者や農林水産業者向けに全国で導入されたが、08年度の加入世帯に占める自営業者らの割合は約2割と導入当初の7割程度から激減。一方、6〜7%だった無職世帯の割合は08年度で39・6%と全体の4割近い。「失業で健康保険を国保に切り替える人の収入はゼロに近く、保険料軽減措置はあっても負担は重い」(厚生労働省国民健康保険課)
大阪府河内長野市の無職男性(48)は、今年1月から働いていた派遣会社から8月に雇い止めにあった。生活するのがやっとだった1〜3月は国保の保険料を滞納したが、無保険で病院に行けなくなる恐怖から、滞納分の計7万2000円を2年がかりで分納し始めたばかりだった。「派遣の仕事では貯蓄もできない。職を失い、保険料を払う余裕も即座になくなった」
以前、住んでいた奈良県御所市でも滞納経験があり、その時の30万〜40万円も7〜8年かけて分納しており、保険料が多重債務としてのしかかる。「健康を人質にとられて厳しい取り立てにあっているようなもの」
景気低迷の長期化を背景に増加する非正規雇用労働者や失業者のセーフティーネット(安全網)としての役割が増し、国保の財政は厳しくなる一方だ。しかし保険料を引き上げれば、低所得者はますます滞納、未納に追い込まれる。みずほ総合研究所の堀江奈保子・上席主任研究員は「(健康保険組合など)他の保険者からの追加支援や税金投入で、医療の安全網としての国保の役割を確保する必要がある」と指摘している。
毎日jp 2010年9月23日 原文のまま
「5 高齢者医療が健保直撃」(9月24日)
東北有数の温泉レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)。映画「フラガール」のヒットで07年度入場者数は161万人と過去最高となったが、その陰で施設を運営する常磐興産の健康保険組合が09年4月、ひっそり解散した。常磐興産グループはリゾート施設のほか業種が多岐にわたり、企業間の関係が薄い。組合最後の常務理事、下山田敏博さん(50)は「健保組合はグループ企業を結ぶきずな。残したかった」と無念そうに話す。
ハワイアンズ以外の石炭卸売りなどグループ全体の経営は厳しく、1952年の設立時に1万3000人いたグループ社員は2600人に減少。保険料収入も激減し、健保組合は慢性赤字に。追い打ちをかけたのが、健保組合に課せられた高齢者医療向けの拠出金。「拠出金が年間支出の4割以上になり、解散して協会けんぽに移るしかなかった」
日本の医療保険制度は、主に大企業向けで比較的財政に余裕のある健保組合と中小企業が中心の協会けんぽなどが、高齢者医療や自営業者らの国民健康保険を支える。高齢化の進展で健保組合の高齢者医療向けの負担は強まる一方で、保険料収入に占める拠出金の割合は00年度の38・4%から09年度は過去最高の45・6%に達した。
景気悪化で保険料収入も減り、全国1473組合(10年3月末現在)全体で09年度は過去最悪の5235億円の経常赤字で、赤字組合数は8割に上る。赤字組合は保険料率を上げざるを得ず、保険料の半分以上を負担する会社を圧迫する。ここ10年で300組合が次々解散した。日本総研の西沢和彦主任研究員(写真右左)は「国民が嫌がる増税論議を避けてきた結果、健保組合などが過度の負担を強いられている」と指摘する。
「年間支出約7億円の半分近くを高齢者医療への拠出金に取られ、組合員への十分なサービスを維持できなくなった」。今年6月、健保組合を解散した百貨店「井筒屋」(本社・北九州市)の幹部は悔しさをあらわにした。社員・家族は協会けんぽに移行。健保組合の保険料は会社側56%、社員44%の負担だったが、協会けんぽは折半で社員の負担は月800〜1680円増え、組合独自のサービスも受けられなくなった。40代の男性社員は「このご時世、協会けんぽでも、あるだけまし」と話す。
「人間ドック補助、出産一時金付加の廃止」「乳がん検診有料化」。東京都内の派遣社員の女性(42)は今春、「人材派遣健保組合」(約280社加盟)から、健保独自のサービス廃止・縮小と保険料率引き上げを通告された。同組合は02年に複数の派遣会社が共同設立した。
だが、08年度からの高齢者医療向け拠出金などの負担で保険料は上昇。今年度の1人当たりの保険料負担は最も安かった06年度比約3000円増の平均月9500円。女性はこの10年、9社で働いてきたが、「保険料は高いのに、サービスを削られてまで健保組合に入っている意味はない」と考え始めている。
高齢化社会に押しつぶされそうになっている医療、介護、年金。社会保険と税のバランスをどう取るべきか。議論を急ぐべき時にきている。=おわり(田畑悦郎、窪田淳、永井大介、中澤雄大、宇都宮裕一が担当しました)
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毎日jp 2010年9月24日 原文のまま

★「認知症 調整役配置の方針示す」(8月31日/ NHK)
2年後に向けて介護保険制度の見直しを検討している審議会で、厚生労働省は、地域で認知症の高齢者に適切な医療や介護を提供するための調整役となる「認知症コーディネーター」を配置する方針を示しました。
厚生労働省の審議会では30日、認知症の高齢者をどのように支援するかや、要介護認定の認定作業などが議論されました。認知症の高齢者は15年後に現在の1.6倍の323万人にまで増加すると推計され、支援体制が課題となっています。これについて厚生労働省は、認知症の高齢者が適切な医療や介護を受け、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、かかりつけ医と介護施設などの調整役となる「認知症コーディネーター」を配置する方針を示しました。参加した委員からは「コーディネーターを育成するだけでなく、認知症の介護に関わる幅広い人材の育成が必要だ」という意見が出されました。審議会では、こうした新たな支援策について、ことし11月をめどに意見をまとめる方針です。
NHKニュース 2010年8月31日 原文のまま

「「有料ホーム」急増「特養」の受け皿」(8月23日/大分合同新聞)
「有料老人ホーム」が増えている。県内ではこの4年間で、33施設から177施設へと急増。特別養護老人ホームに入れない高齢者の受け皿として、建設業など異業種の参入が相次いでいる。高齢化とともに施設への入所を必要とする高齢者は増えており、「住み慣れた自宅で過ごす」という在宅介護の“限界”も垣間見える。
急増の背景には、有料老人ホームの届け出条件が「入所10人以上」から「1人以上」になったこともあるが、それ以上に大きいのが需要の拡大。県内の定員は今年7月現在、177施設で計4710人と、2年間で約1・8倍になった。
大分市内に住む70歳代の高齢夫婦。妻が認知症になり、暮らしがたちまち立ち行かなくなったという。年金を掛けていなかった夫は生活のため今も働き、昼間は妻一人きり。配食サービスを受けているが、代金の支払いも困難な状態。
担当ケアマネジャー(42)は早急な施設入所が必要と判断したが、特別養護老人ホームはどこも満床。「有料老人ホームしか受け入れ先がなかった」という。
訪問介護事業を展開するNPO法人は今年6月、大分市内のアパートの4部屋を借り、有料老人ホーム「里の風」(8床)を始めた。今村友子理事長は「同居家族がいても日中は一人きりだったり、今は何とか1人で暮らせても、将来に不安を感じている人は多い」と見守りの必要性を強調。
県北地域で活動するケアマネジャー(53)も「自宅での生活が限界に来ている世帯が年々増えていると感じる」と話す。
○自治体、対応に苦慮 100人単位の待機者 数増やせば給付費増
県内の特別養護老人ホーム(特養)は、どこも100人単位の待機者を抱えている。2008年6月の県調査によると、待機者は延べ4298人。介護保険制度に基づき総量規制があるため、施設数や定員は簡単には増やせないのが現状だ。
特養は自治体が認可した施設で、主に要介護3以上の高齢者が入所。いずれも24時間の介護体制が整い、世帯所得に応じた利用料になっているのが特徴。
県の計画によると、08年度の特養は計4851床。11年度の目標値は計5042床で、県全体で増やせるのは191床にすぎない。背景には、介護給付費の伸びを抑えたいという自治体の思惑がある。
65歳以上の高齢者約9万5千人を抱える大分市では、介護保険制度が始まった2000年度からの9年間で、介護給付費はほぼ倍の約232億円になった。市長寿福祉課は「特養を増やせば、それだけ介護給付費が増え、保険料にはね返る。待機者がいても安易に増やせない」と苦しい胸の内を明かす。
▽有料老人ホーム
介護付き、住宅型、健康型の3種類がある。特別養護老人ホームは社会福祉法人しか運営できないのに対し、法人格があれば、一部の介護付きを除き、県への届け出で自由に開設できる。価格設定も自由で、月額数万〜数十万円と幅広い。
Oita-Press 2010年8月23日 原文のまま
編者:これは深刻だ。公的介護保険制度が高齢者を支えきれなくなったのか。

「民族文化尊重し定着 在日コリアンデイサービス」(8月20日/神戸新聞)
在日韓国・朝鮮人らを対象にした神戸市長田区のデイサービスセンター「ハナの会」が今年、開所から5年を迎えた。故郷の文化を尊重した居場所として定着する一方、深刻な高齢化への対応が課題に。運営するNPO法人神戸定住外国人支援センターは「違う国で生きてきた少数者の存在を認める社会であるべきだ」と指摘する。日本が朝鮮半島を植民地とし、在日社会ができる要因となった韓国併合から22日で100年となる。(石沢菜々子)
デイサービスは、1999年から続いていた在日の高齢者と若者が交流する食事会を発展させ、2005年に始まった。今年6月からは平日に加えて土曜も開設し、1日約20人が利用する。
慣れ親しんだ味や文化に安心感を求める人が多く、民族料理の提供や舞踊のレクリエーションがある。利用の大半は女性。貧困や男尊女卑の考えから未就学の女性がおり、識字の時間も設けている。
利用者は市内の広範囲に及ぶが、同センターが採算を考えずに送迎している。国民年金法に82年まで国籍条項があった影響などで、無年金状態の独居者が多い。介護保険を利用した場合の1割負担も生活に響くという。
在日社会の高齢化も進む。同センターは昨年から居宅介護支援事業と訪問介護事業も始め、在宅での生活を支援する。それでも、認知症などで一人暮らしが難しい高齢者が出ている。
「差別を受けることなく、最後まで安心して暮らせるグループホームの必要性も感じている」と同センターの金宣吉(キムソンギル)代表(写真)。在日100年の歴史を踏まえ「今も自分たちで居場所をつくるしかない。多文化共生社会を実現するには、さまざまな文化を尊重する感性が必要だ」と日本社会のあり方を問いかける。
(神戸新聞 2010/08/20 原文のまま)

「男たちの介護―1、追い詰められる男性介護者、2、“暴発”の背景と兆候(上)、3、“暴発”の背景と兆候(下)、4、連帯する介護者―」(8月16日〜19日/キャリアブレイン )
1、追い詰められる男性介護者(8月16日)
現在、この国では100万人余りの男性が、介護者として伴侶や親を支えている。つまり、全介護者の3人に1人は男性ということになる。年々増え続ける男性介護者だが、彼らの中には、介護がもたらす環境の変化に耐え切れず、事件を引き起こす人も少なくない。「男たちの介護」の現実や課題についてレポートする。
□介護殺人の加害者の7割が男性
男性介護者の現実を考えるとき、避けては通れないテーマがある。殺人と虐待だ。
介護者が要介護者を殺す「介護殺人」について研究する日本福祉大の湯原悦子准教授(写真右上)が新聞報道を基に実施した調査によれば、介護が原因と思われる殺人や心中は、1998年から2009年の12年間で454件、昨年には46件発生している。そして、その加害者の約7割が男性介護者だったという。
湯原准教授は、「介護殺人」の特徴について、以下のように語る。
「介護殺人の場合、半分以上は心中型です。つまり加害者である男性も、要介護者を殺さざるを得ないほど追い詰められていたと言えるでしょう」
それだけに、事件後も伴侶や親への思慕の念を持ち続ける男性介護者もいる。
「妻を愛していました。今でも愛しています。仕事のプレッシャーもあり、あの時は善悪を判断する理性が壊れていた。妻に申し訳ない」(09年4月、寝たきりの妻から依頼を断り切れず、殺害に及んだ59歳の男性)
「50年以上の連れ合いですから、好きでした」(09年6月、10数年の介護の末、認知症の妻を絞殺した78歳の男性)
「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」(06年2月、10年余り介護してきた認知症の母と心中を図った男性)
それでも彼らは、自らの手で、守り助けてきた人の命を絶った。
虐待の場合でも、加害者になりやすいのは男性だ。厚生労働省が08年度に全国の市町村に対して行った高齢者虐待の調査によれば、虐待者の割合で最も多いのは要介護者の息子で40.2%。さらに要介護者の夫は17.3%で、息子と夫だけで全体の6割弱を占めた。
□孤立化しやすく、ストレスに弱い男性介護者
なぜ男たちは、慈しみ、守ってきた人を殺し、虐待するほどまで追い込まれてしまうのか。そもそも男性が女性に比べて、加害者になりやすい理由は、どこにあるのか。
自らもケアマネジャーとして活動する立教大の服部万里子教授(写真右中)は、男性介護者の場合、特に身体的な虐待を起こす傾向が強いとした上で、男性が暴力に走る理由として「孤立化しやすく、介護に伴うストレスを受けやすいため」と分析する。
「中高年の男性の場合、普通の家事でもうまくこなせない人が多い。料理も分からなければ、女性の下着など買ったこともない。自分が買い物かごを提げて町内を歩くこと自体に抵抗を感じる人も少なくありません。多くの男性が介護や家事について相談できるプライベートな“人脈”を持ち合わせていない点も、男性介護者のストレスを高める要因となっています」
□介護に“結果”を求め、自らを追い詰める
また、男性介護者と支援者の全国ネットワークで事務局長を務める立命館大の津止正敏教授(写真右下)は、男性の介護に対する姿勢が、自らを追い詰める要因の一つと指摘する。その姿勢とは、仕事と同じように介護に取り組むことだという。
「多くの男性介護者は、弱音を吐かずに誰にも頼らず、一人で抱え込み責任を全うするという『強い市民』を内面に秘めています。そんな彼らだけに、いろいろなメディアで知識を仕入れ、必要な器具をそろえ、全力で介護に打ち込みます。その上、彼らは、仕事と同様、介護にまで“結果”を求めてしまうのです」
この場合の“結果”とは、たとえば排泄はおむつに頼っていた人が、ポータブルトイレを利用できるようになるといった、要介護者の状態の改善を意味する。しかし、要介護者が高齢者である場合、いくら理想的な介護を施しても“結果”が得られることは少ない。むしろ、加齢とともに身体機能は、少しずつ衰えていくのが普通である。
「すると男性は、“結果”が得られない自分に絶望し、いら立つわけです。『強い市民』は『もろい市民』でもあります。それだけに絶望といら立ちが積み重なり、耐え切れなくなったとき、虐待に走ったり、心中する道を選ぶ男性介護者も少なくないのです」
キャリアブレイン  2010年08月16日 原文のまま
2、“暴発”の背景と兆候(上)(8月17日)
男性介護者による介護殺人や虐待が発生すると、周囲の人や介護関係者は、「あんなに献身的に頑張っていたのに」と残念がり、不思議がることが多い。6年間寝たきりの母を献身的に介護した末に殺害してしまった男性の情状酌量を求め、約7600人の署名が集まった2009年の岐阜県関市での事件は、その典型と言える。男たちが“暴発”に至るまでの背景や兆候を探った。
□「介護事件の芽、どんな家庭にも」
「いろいろな介護者と話した経験から考えると、男性介護者など、在宅で介護する家族の介護感情は、希望と絶望、あるいは負担と喜びといった両価性をないまぜにしたような感情交差が特徴と言えそうです」。
そう指摘するのは、「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」の事務局長を務める立命館大の津止正敏教授だ。以下は、津止教授が聞いた男性介護者のある1日の要約である。
朝、なかなか動こうとしない妻を怒鳴り付け、デイサービスの送迎車に引きずるように乗せ、「もう、帰ってこなければいいのに」とまで思った男性が、昼には自らの行動を悔やみ、家事も手に付かない。そして夕方、自分の姿を見て手を振って喜ぶ妻を見ると、今度は何年ぶりかに恋人に会えたような幸せな気持ちになる…。
「こういった話は、男性介護者からよく聞かされます」(津止教授)
一生懸命であるがゆえの憎悪と愛情―。たった一日の間に何度も、両極を激しく揺れ動く男性介護者の感情。ちょっとしたきっかけで、感情の“針”が一気に負の方向へ振れたとき、突発的な虐待が起こる。ところが、気持ちが元に戻ると、今度は自らの行動を悔やみ、自己嫌悪に陥る。
「それだけに、何が起こってもおかしくない。どんな家庭にも介護に伴う事件の芽が広く深く潜んでいると考えてよいでしょう」(津止教授)
□引きこもり、無職の介護者は要注意
ならば、男性介護者が最悪の事態を引き起こす前に、その兆候をとらえることはできないのか―。日本福祉大の湯原悦子准教授は、特に深刻な問題を引き起こしやすい家庭には、特徴があるという。
「介護が始まる前から家族間のコミュニケーションがうまくいっていない家庭は注意が必要です。無職の息子が母親を介護するケースも行き詰まりやすい。特に、その息子が引きこもりがちだったりすると危険です」
実際、2008年7月には愛知県で、引きこもりの男性がおばを介護し切れずに絞殺する事件も発生している。事件の直前、この女性は介護らしい介護はほとんど受けていなかったという。
しかし、津止教授も指摘する通り、虐待や殺人を引き起こすのは問題を抱えた家庭の男たちだけではない。冒頭でも例示したが、要介護者と円満な関係を築いている男性介護者が、事件を起こすことも少なくないのだ。そんな介護者たちの“暴発”の兆候をとらえるのは容易なことではない。
「それでも彼らは、いろいろなエスオーエスを発しています」と指摘するのは、自らもケアマネジャーとして活動する立教大の服部万里子教授だ。
 「例えば、『うるさい』『あなたたちには(自分の苦労を)分かってもらえない』『もうどうでもいい』といった言葉を介護職にぶつけるようなら要注意です」
□介護サービスの拒否は危険信号
服部教授によると、虐待や介護殺人を防ぐ上で決して見逃してはならないサインが、介護サービスを拒否することだという。
「介護者の男女を問わず極めて危険な兆候です。中には、『あとは家族でできます』などと穏やかに申し出てくる場合があるかもしれませんが、そのときの雰囲気に惑わされてはいけません。サービスを断った事実こそが重大なのです」(服部教授)
介護サービスを断ることで、介護者と要介護者は一気に社会から孤立してしまう。その結果、介護者と要介護者がぎりぎりの状況に追い詰められても、誰も気が付かない可能性が生じるのだ。06年2月、認知症の母親と心中を図った京都市の男性も、母親の体調不良を理由にデイサービスに通わなくなった。男性が母親を絞殺し、自らの首に刃をつきたてる数か月前のことだった。
キャリアブレイン  2010年08月17日 原文のまま
3、“暴発”の背景と兆候(下)(8月18日)
虐待や介護殺人を引き起こしそうな兆候をキャッチしたとき、介護職や家族は、どのように男性介護者と向きあえばよいのか。前回に続き、“暴発”に至るまでの背景と兆候について探る。
□ありふれたやり取りに潜む“トラブル”の種
ケアマネジャーとしての経験から、介護サービスの拒絶こそが暴発に直結する危険信号と指摘する立教大の服部万里子教授は、「介護負担がある中で、何の理由もないのにサービスを断る介護者はいません。彼らは、必ずと言ってよいほど、介護サービス担当者との“トラブル”を抱えていたり、サービス担当者の言動に違和感を覚えていたりします」と断言する。
服部教授が言う“トラブル”の種は、ごくありふれたやり取りの中に潜んでいる。
例えば、デイサービスの職員は訪問する前、介護者に薬や着替えの準備をお願いする場合がある。そして、介護者がその注文にこたえきれていないと、多くの職員は、「お薬が準備できていないようですが、次からは用意しておいてください」「これからは着替えの準備もお願いします」と、依頼するのではないだろうか。
一見、常識的な依頼だ。だが、やるべきと分かっていながら、何らかの理由で用意できない介護者にとって、この依頼は苦痛以外の何ものでもない。そして、やりたくてもできない点を指摘され続ければ、介護者は、より追い詰められていき、いずれはサービスを受けること自体が苦痛となる。
「在宅で介護する人の中には、介護に追われ、やりたくてもできないことを抱えた人が多いのです。このことを大前提として忘れてはいけません」(服部教授)。
それでも介護サービスを断わられた場合は、どうすればよいのか。
「当然、ほかの担当者も交えて話し合いをし、その意思を翻してもらうしかありません。でも、そうなる前の配慮や努力の方がずっと大切。例えば介護者に『夜、眠れていますか』『無理なさってはいませんか』といった声を掛けるだけでも、ずいぶん違うはずです」(服部教授)。
□研修で事件を学び、万一に備える
また、日本福祉大の湯原悦子准教授は、男性介護者の“暴発”を未然に防ぐためには、研修などの機会を通じて介護殺人・心中事件について学ぶことが重要と指摘する。
「事件を起こした介護者が支援についてどう受け止めていたのか、何が彼らをそれほど苦しめたのかをより多く知ることで、『こんな介護者の場合、こうなる可能性がある』という”先を読む援助”の視点も身に付くはずです。そうなれば、殺人や心中の兆候もキャッチしやすくなります」(湯原准教授)。
□「職を辞め、介護に専念」することのリスク
ところで「介護サービスを断る」こと以外にも、注意すべき行動がある。「仕事を辞め、介護に専念する」という行動である。
介護に専念するために職を辞した結果、経済的に困窮してしまい、要介護者の殺害に至る男性介護者は多い。2008年4月、認知症の母親と無理心中を図った山形県の男性も、09年10月に左半身がまひした妻を殺害した愛知県の男性も、事件前、介護に専念するために職を辞していた。
いずれにせよ、仕事を辞めることが、経済的なリスクを伴うことは間違いない。それでも職と介護をてんびんに掛けざるをえない男たちを支えるには、どんな手立てがあるのか。
その手立ての一つとして、在宅介護をあきらめ、施設を利用するという選択肢がある。ただ、この選択肢には外しがたい前提がある。「介護者が要介護者の入居を十分に納得した上で」ということだ。「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」で事務局長を務める、立命館大の津止正敏教授はこう指摘する。
「男性介護者の多くは、苦しみの一方で、介護することにやりがいを見いだしてもいます。そして、男性から介護を取り上げることで、その葛藤が解決されることもありません」
実際、男性介護者の中には、周囲の人々が施設に入居させた要介護者を自宅に連れ帰った後、事件を起こしてしまう人もいる。今年1月、認知症の妻を殺害してしまった和歌山県の男性も、そんな男性介護者の一人だった。
キャリアブレイン 2010年08月18日 原文のまま
4、連帯する介護者(8月19日)
不慣れな介護に苦しみ、時には“暴発”してしまう男性介護者たち。今、彼らは、自からの生活を守るため、新たな連帯を求めて動き始めている。【多●正芳】(●は木へんに朶)
□「母を殺すかも」と殴り書きされたはがき
今年6月、「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」で事務局長を務める立命館大の津止正敏教授に、関東の男性介護者から不思議なはがきが届いた。
裏面には、黄色や赤、緑など、さまざまな色のラインが乱雑に描かれている。そして、ところどころに、殴り書きされた「疲れた」「もう、限界」という単語と短い文章。中には、はっきりと「母を殺すかもしれない」という文字も記されていた。
「疲れ切り、もうろうとした意識の中で、書き殴ったのでしょうか」
津止教授は、すぐに記されていた番号に電話した。電話を受けた男性は、話の合間に「私の手紙にはなんと書かれていましたか」と聞き返したという。その後、男性は、長年介護してきた母親を親戚に預けたことや、時には暴力を振るってしまったことなどを涙ながらに語った。
□“語りの場”を設け、集う男性介護者
津止教授に手紙を送った男性のように、在宅介護に疲れ果て、われを失う人も、珍しくなくなった。
そんな男性介護者たちが、苦しみを分かち合い、助け合うための取り組みが各地で始まっている。1994年以来、月に一度の定例会を開いている東京都の「荒川区男性介護者の会・オヤジの会」や、2003年から定期的に“語りの場”を設けている長野県の「シルバーバックの会」などがそれだ。
06年に発足した兵庫県のNPO法人「スマイルウェイ」では、本音で語り合える雰囲気を作るため、銭湯の脱衣所を集いの場として活用するなど、ユニークな活動を展開している。
□全国レベルのネットワークも誕生
そして、各地で動き始めた男性介護者の集いをネットワーク化し、交流を促進する目的で昨年3月に誕生したのが、津止教授が事務局長を務める「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」である。同ネットワークが真っ先に取り組んだのは、男性の介護体験記の募集だった。
「男性たちの介護体験の中にこそ、新しい介護社会や政策への提言が潜んでいると考えたからです」(津止教授)
全部で152通寄せられた体験記には、介護の難しさと要介護者への思慕の念の間で揺れ動く男性介護者の心理が、赤裸々につづられていた。
認知症の妻を7年近く介護した後、施設入居を決断した76歳の男性は、「病気だからと思いながらも、つい声を荒げてしまうこともあり、反省したり後悔の連続でした」と告白した。認知症の妻の介護を続ける70歳の男性は「妻は自分の体を犠牲にして、夫である私が、どう生きなければならないのかを教えてくれたのだと思っております」と書いた。一方、認知症の母親を介護する64歳の男性は、こうつづる。
「母の歩調に合わせた二人三脚、あと何年という区切りはない。ないが正に日々を大切に、自分を大切にしたい。そうすれば介護される方もする方も少しは幸せを見つけられる」
現在、同ネットワークには、44都道府県から約450人の介護者が参加している。今後も定期的なシンポジウムや全国的な交流会などを通し、会員を増やすための努力を続ける方針だという。
「とにかく男性介護者が『苦しんでいるのは自分だけじゃない』と実感できる場を増やす必要があります。根本的解決には程遠いけれど、それでも今日をしのぎ、明日に向かう力にはなりますから」(津止教授)
□「介護者支援法」の制定を目指す動きも
こうした介護者たちの自助努力は、今年に入り、さらに大きなうねりになりつつある。6月の「ケアラー(家族など無償の介護者)連盟」発足は、その象徴といえるだろう。「家族など無償の介護者」すべての権利の擁護を目指すこの連盟では、介護者の実態調査の定期的な実施や、支援のための組織の設置などの内容を盛り込んだ「介護者支援法」(仮称)の制定を提言。実現に向け、各政党などへの働き掛けを開始している。
政府もようやく動き始めた。その表れといえるのが、昨年6月の育児・介護休業法の改正だ。この改正によって、年5日(要介護者が2人以上の場合は年10日)まで休暇を取得できる「介護休暇制度」(従業員数100人以下の企業に対し施行されるのは2012年7月1日以降)が今年6月、施行された。
もちろん、「まだまだ不十分。育児休業・休暇制度と同じような規模と体制、そして社会的承認の中で中高年の介護者を支援できる介護休業・休暇制度を確立すべき」(津止教授)との指摘もある。
それでも「介護者支援」の意識が、政府に芽生えたことは、極めて大きな一歩といえるのではないか。
15年後の2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、75歳以上の人口は2000万人(現在は約1200万人)を超える。15年後、といえばずいぶん先のことと思えるかもしれない。しかし、保険制度にしても法にしても、いったん定まってしまえば、10年、20年先の未来まで拘束する可能性が高い。つまり、15年後に備える時間は、それほど残されていないのだ。
先の見えない介護に疲れ切り、“暴発”する男たちを救うには、どんな工夫と手立てが必要なのか―。国や介護関係者はもちろん、誰もがこの課題と本気で向き合い、知恵を絞らなければならない時が来ている。(了)
キャリアブレイン 2010年08月19日原文のまま

「認知症高齢者グループホーム「大和園」、横浜市が介護保険指定取り消し」(8月17日/神奈川新聞)
横浜市は16日、認知症高齢者グループホーム「心のつどい 大和園」(開設者・有限会社心のつどい、中区大和町)に対し、介護保険指定事業者の指定を9月30日付で取り消すと発表した。介護保険法に基づく監査の結果、指定申請に当たって、土地所有者と賃貸借契約を結んでいないのに、土地賃貸借契約書を偽造し、その写しを提出していたことが発覚したため。
グループホームなど地域密着型サービス事業者の指定取り消しは市内で初めて。同ホームは2009年3月1日付で指定を受けた。40代から90代までの9人が入所しており、市は転居先の確保などサービス継続を指導するとともに、適切な対応が取れるよう支援する。
同ホームでは、建物建設に当たり市の補助金の交付を受けているが、この申請についても土地所有者の同意を得ずに「土地使用権限が確実に見込まれる旨の同意書」を偽造していたという。
市は介護報酬約4300万円(加算金含む)と補助金1500万円の返還を求める。また、連座制を適用し同法人が運営する保土ケ谷区内の「心のつどい 藤塚園」の指定を更新しない。
カナロコ 2010年8月17日 原文のまま

「介護保険、末期がんに対応できず NPO法人調査」(8月17日/神戸新聞) 
末期がん患者が在宅療養で介護保険を利用する際、要介護認定が間に合わず生前に必要なサービスを受けられない例があることが、姫路市のNPO法人の調査で分かった。病状が小康状態の場合、軽度に認定されるなど、約7割の患者の支援に課題があった。40歳以上の末期がん患者は2006年から介護保険の対象だが、終末期を支える制度の不備が浮き彫りになった。
介護サービスを評価するNPO法人「姫路市介護サービス第三者評価機構」が08〜09年、同市内の居宅介護支援事業所全136カ所を対象に実施。06〜08年に末期がん患者の利用者を担当したケアマネジャー135人中89人が答えた。
患者194人のうち、認定に時間がかかったり、要介護度が実態にそぐわなかったりしたのは68%(132人)に達した。認定までに平均3週間かかっており、介護用ベッドがすぐに使えないなどの支障があった。
時間がかかった理由(複数回答)として「訪問調査がすぐに実施されなかった」(40人)、「主治医の意見書の提出が遅れた」(30人)が多かった。訪問調査を待たずに亡くなった患者も10人いた。
また、末期にもかかわらず、最も介護度が低い「要支援」と判定されたのは25人。要支援では、利用できる訪問介護は週2回程度。ベッドや車いすなどの福祉用具を借りる際は本人負担になる。支給限度額を超えたサービスを自己負担で受けた人も5人いた。
調査に加わった近畿大学豊岡短期大学(豊岡市)の武田英樹・准教授(37)(写真)=社会福祉学=は「がん末期は病状が急変しやすい。悪化を考えた認定ができるよう制度改正が必要だ」と話す。
厚生労働省老人保健課は「手続きの迅速化については自治体に求めている。末期がん患者のみ要介護度を上げるのは公平性に欠ける」としている。
(萩原 真)
■末期がん患者の介護サービス
訪問介護や福祉用具の利用、訪問入浴などが介護保険によって提供される。利用申請後、訪問調査を経て審査会で結論が出る前に「暫定ケアプラン」で介護サービスを受けることが可能だが、十分なサービスが提供できない弊害がある。また調査前に亡くなった場合、全額本人負担になる。
神戸新聞 2010年8月17日 原文のまま

「仕事と介護の両立、半数以上の介護者「できない」」(8月11日/キャリアブレイン )
仕事と介護が両立できていると実感している人が仕事を持つ介護者の半分にも満たないことが、8月11日までに厚生労働省の調査で明らかになった。特に認知症の要介護者をケアしている場合では、6割近くが「介護と仕事のどちらかが、おろそかになっている」「いずれもおろそかになっている」と回答。認知症の介護と仕事との両立の難しさが、改めて裏付けられた形だ。
厚労省は今年2月、全国の30―64歳の男女のうち、「65歳以上で、何らかの介護が必要な人が、本人か配偶者の家族にいる人」を抽出。その中から、介護者として家族のケアに当たっている人を選び、就労状況などについてアンケート調査を実施し、3676人から有効回答(在職者2727人、離職者949人)を得た。
在職者を対象に、現在の仕事と介護の両立の度合いについて調べた項目では、「仕事と介護の両方ができている」と答えた人は、全体の半分以下(46.2%)にとどまった。在職者のうち、認知症の家族をケアしている人(1219人)に限定すると、「両方ができている」と回答した人は42.1%にまで減少。6割近くが「介護と仕事のどちらかが、おろそかになっている」「いずれもおろそかになっている」と答えた。一方、認知症でない家族をケアしている人(1508人)では、「両方ができている」と回答した人は61.4%に達した。
過去5年以内に職を辞め、現在は働いていない離職者(949人)を対象に、就職の意向について調べた項目では、「仕事をしたいと思わない」と答えた人は25.3%にとどまり、何らかの形で再就労したいと希望している人が7割余りに達した。
□介護休業制度、ほとんど利用されず
また、介護休業の取得についてアンケートした項目では、「現在、取得しているか、過去にしたことがある」人は、全体の5.8%しかいなかった。しかも「5.8%の中には、介護のために有給休暇を取った人が、介護休業を取得したと誤解した例が含まれている恐れがある」(同省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課)ため、実際の利用率はさらに低い可能性がある。介護休業を取得しない理由については、「制度があることを知らなかった」(32.6%)という答えが最も多く、以下は「年次有給休暇等を取得すれば介護に対処できる」(18.0%)、「収入が減ってしまう」(17.2%)、「同僚に迷惑をかけるのではないかと思う」(15.7%)の順となっている。
キャリアブレイン 2010年08月11日 原文のまま
編者:私の経験からもデイサービスを利用しても認知症の妻の在宅介護と仕事の両立は不可能だ。介護休暇は利用したが手当の額に愕然とした。

★「「特養待機者42万人の数字の根拠は?」―介護保険部会」(8月2日/ケアマネジメントオンライン)
厚生労働省は、7月30日、第27回社会保障審議会介護保険部会を開催し、給付の在り方(施設、住まい)について議論が行われた。
それぞれまとめられた論点は以下のとおり。
(1)今後の介護保険施設の機能や在り方(「介護保険施設の整備方針」、「ユニット型個室と多床室」、「施設類型のあり方」)
(2)有料老人ホーム及び生活支援付き高齢者住宅の在り方
(3)低所得者への配慮(補足給付)の在り方
(4)療養病床再編及び施設の設置主体について
ここでは、最も議論に時間を割いた「今後の介護保険施設の機能や在り方」に関して、それぞれの論点のポイントと、各委員から上がった主な意見を紹介する。
「介護保険施設の整備方針に関する論点」
○特養の入所申込者が42.1万人いるなか、施設の緊急整備、在宅サービスの充実、高齢者住宅の救急促進が必要ではないか
○地域の実情に応じた整備をどのように進めていくか
○施設入所者画重度化し、医療ニーズが高まるなか、各施設の入所者増をどのように考えるか
「ユニット型個室と多床室に関する論点」
○ユニット施設を基本に整備を進める方針を再確認した上で、ユニット型個室の支援策についてどのように考えるか
○ユニット型個室の補足給付のあり方についてどのように考えるか
「施設類型のあり方に関する論点」
○老人保健施設の入所期間が長期化し、機能が特養化しているとの指摘があるなか、リハビリなどの在宅復帰支援機能が十分に果たされなくなっているのではないか
○介護保険施設類型によって医療サービスなどが規定され、外部からのサービス提供に制約があるが、柔軟に医療サービスなどを提供できるようにすべきではないか
○施設における医療サービスについては、内付けで行うべきか、外付けで行うことが可能か、再整理が必要ではないか。たとえば、特養の医師必置規制を緩和し、外部のかかりつけ医の診療を認めるなど
◎各施設の医療ニーズ

全国市長会介護保険対策特別委員会委員長(稲城市長)の石川良一委員
・特養の待機申込者は42万人といわれているが、一人で複数施設に申し込みを行う場合は多い。42万人という数字の根拠は整理されているのか。
日本看護協会副会長の井部俊子委員
・要介護によって何を整備すべきか、改めて見直すべきではないか
・施設における医療ニーズが高まっている一方、「必ず夜勤の看護職員がいる」は1.7%。オンコールで対応するが75.9%と多いが、医療ニーズを判断するという重要なことを医療職がやっていないというのは問題
全国老人保健施設協会会長の川合秀治委員
・各施設でリハビリが行われていないということは断じてないが、医療度の高い人の入居が増えるなか、リハビリが追いついていないということはある
・高齢化が進み、老老介護が増え、医療度の高い人が増えているなか、リハビリを行っていても、地域コミュニティが整っていないのに戻していいのか
UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長の河原四良委員
・3対1の配置基準については多くの方面から見直しを求める意見が出ているのに、実施できないのはなぜか。働いているものの過重労働にもつながっている
鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療福祉学科特任教授の葛原茂樹委員
・介護療養病床が減った場合、在宅のみで対応するのは無理。「○○難民」と呼ばれる人が増えるだろう
・(施設入所者の医療ニーズに対して)家族が行っていることをなぜ、職員ができないのか
・ユニット化については、プライバシー、アメニティの問題のほか、男女の申し込み比率の変動があることを考えると、有効利用という観点でも100%個室のほうがよい
立教大学コミュニティ福祉学部教授の橋本正明委員
・新設の施設だけではなく、従来の多床室をどうユニットにしていくかを考えなければならない。何らかの優遇措置や手当てを設けなければ難しいだろう
高齢社会をよくする女性の会理事の木間昭子委員
・有料老人ホームには都道府県による立ち入り審査があるのに、高専賃にはない。すべての高齢者施設に行政の立ち入り審査、業務改善命令を義務づけるべき
ケアマネジメントオンライン 2010年8月2日 原文のまま

「介護施設整備、目標の半分 厚労省、2年で8・7万人」(8月2日/共同通信)
2009〜11年度までの3年間で全国に16万人分の介護施設整備を進める国の計画に対し、10年度までの2年間で確保されたのは、8万7千人分と、目標の54%にとどまったことが30日、厚生労働省のまとめで分かった。
厚労省は、11年度までに特別養護老人ホームなどの施設で12万人分を整備するとした自治体の事業計画に、交付金と補助金の拡充で4万人上乗せして計16万人の整備目標を掲げている。
09年度は2万7千人分を確保。10年度は6万人分の見込み。厚労省は「09年度補正予算で拡充が決まり、市町村の取り組みが遅れたことが影響した」とみている。今後、特養入所者1人当たりの居室面積基準の引き下げなどで、施設の整備を促す。
都道府県別状況(2年間分)では、東京が7776人分で最多。以下神奈川(6865分)、大阪(6307人分)の順。
同日開かれた12年度の介護保険制度改革に向けた社会保障審議会の介護保険部会で報告された。
この日の介護保険部会では、厚労省が特養の個室化を進めるこれまでの方針を説明。賛成の意見がある一方、特養への入所を望んでも入れない人に配慮し、個室と相部屋の混在型を認める意見も出た。
47News 2010年8月2日 原文のまま) 

「介護保険利用、最多の468万人=09年度実態調査−厚労省」(7月29日/時事通信)
厚生労働省が29日発表した2009年度介護給付費実態調査によると、介護サービスと介護予防サービスの利用者は前年度比17万600人増の468万7100人で、これまで最多の08年度を超え最も多くなった。同省は「高齢化進展に伴う自然増が要因ではないか」(社会統計課)とみている。
利用者の内訳は、介護サービスが同12万400人増の379万700人、介護予防サービスが同2万7200人増の112万6900人(重複を含む)。
利用者1人当たりの費用は月額15万7300円(10年4月審査分)で、前年同月分より6100円増えた。都道府県別で見ると、介護サービスは沖縄の20万9500円が最も高く、高知の20万9000円、佐賀の20万5500円が続く。介護予防サービスは、福井の4万3600円を最高に、沖縄の4万2800円、佐賀の4万2700円の順となった。
jijicom 2010/07/29  原文のまま
関連情報:平成21年度介護給付費実態調査結果の概況(平成21年5月審査分〜平成22年4月審査分)

★ナーシングホームを見分ける方法(7月26日/アメリカ)
母のためにナーシングホームを探しているとき、いつもホームの案内人に、看護補助者nurse’s aideと話したいと頼みました。これは私にとって当然な依頼でした。かれらはみんな女性です。母と一緒に最も長い時間を過ごすだろう人たちです。母は小さな変化に気づき、大きな疑問がわきました。この人たちは、母が世話になっていると感じさせる人たなのです。どこでも「そんなことはしてません」との返事です。
まもなくその訳がわかりました。12か所以上のナーシングホームで玄関や居間での普通の話からは、6カ月以上のその施設で働いていた看護補助者はたった一人でした。介護に関する最も嫌な統計の一つは実際に見たのです。統計によると、看護補助者あるいは有資格看護アシスタントcertified nursing assistantの70%以上が1年以内に転職するのです。
ニュージャージーにあるナーシングホームのマーケティング部長は私の質問に「いいえ」とは言わず、「そんな質問をした人はいません。どうしてと」と聞かれました。彼は、3人の看護補助者に私と話をしたいかと尋ね、かれらはよいと答えました。
私は彼女らに、どれくらい長く働いているか聞きました。一人は12年、一人は8年、もう一人は「まだ始めたばかりで4年です」と答えました。
この話を聞いて私は母の施設を決めました。この女性たちは、ナーシングホームについて話しているときに「私たち」という言葉を使っていました。施設が自分たちのものであるという認識をはっきり持っていたのです。マーケティング部長は彼女らの許可をとってから私に話を許し、休憩室で私たちだけで話してもよいほど彼女らを信用していたのです。
これは10年前のことです。今日、どうなっているか正確には知りませんが、大勢は変わっていません。看護補助者の転職がとても速い理由は、10年前と同じで、低賃金(平均時間給は10.48ドル)、少ない手当、多い怪我、尊敬された仕事なのです。
変化したことといえば、この業界、連邦政府、州政府が転職の割合が高いことを介護の危機とみなしていることです。とりわけ、ベビーブーマー世代が高齢化しするにしたがい、ナーシングホームへの要求が高くなるからです。研究者によると、施設での転職が高いことは介護の質が低くなること―縟創、拘束、管、向精神薬が多くなる―に関係しています。薬や機械に頼ることが多ければ人間関係も希薄になるということです。
介護の第一線での労働力の改善を目指す非営利団体の「医療准専門職研究所Paraprofessional Healthcare Instituteの上級スタッフであるペギー・パウエルPeggy Powell氏(写真左上)は「知らない看護補助者の転職で入居者に混乱が生じ、ケアの質の被害者です」と語っています。
「アメリカ高齢者ホーム・サービス協会American Association of Homes and Services for the Aging」で調査担当の上級副会長のロビン・ストンRobyn Stone氏(写真左下)によると、転職率が高いナーシングホームでは、有資格の看護アシスタントは不適切な研修や複数の病気などをもつ入居者を一度に多くみるにもかかわらず不適切な研修と支援のため3カ月以内に離職する傾向があります。いったん看護補助者が離職すると、ほかの人たちが補わなければならず仕事のストレスは増えます。
よりよい賃金ではなく、よいよい研修を受け責任を持たされ上司から尊敬されることで看護補助者が仕事に満足するようにとの全国のナーシングホームで文化的な変化を目指す企画が進んでいます。
エリカ・ディケンスEricka Dickens氏が母の看護補助者になったとき、9年間その施設で働いていました。母の認知症が悪くなったとき、彼女は母の激しい感情をなだめるための忍耐と経験を持っており、母が弱ったと感じたときにはそれにすぐ気づきました。私は、ときどき、早朝にナーシングホームを訪れるとディケンズ氏が母の傍に座って手を握り話しかけているのをみかけました。
母が6年前に亡くなったあと、しばらくはディケンズ氏に会うことはありませんでした。最近、彼女が同じナーシングホームで働いているか知りたいと電話をしました。彼女は理学療法部に移っていましたが、20年間今もそこで働いていました。訪問したら彼女が入居者を支えている姿をみました。入居者が彼女を見つめながら「おー、エリカ、元気そうだ、いつも元気そうだ、いい友人だ」と話しかけていました。
ディケンズ氏に、その施設で長く仕事をしたいと訳を聞いたら、彼女は、「いつも尊敬され、支えられていると思うからです」と答えました。彼女らを結び付ける入居者との絆があるのです。
さらにディケンズ氏は語りました。
「私たちは、それぞれの人について、どのように愛したかといった思い出を持っています。ある人は家族のようになり、数週間前亡くなりました。同僚と通夜に行き、そこで彼女の娘と会って泣きましたが、とても幸せでした。『私は何かをし、それは私の一部で、本当に充実しています』と告げました」
寄稿者はデイル・ラッサコフDALE RUSSAKOFF氏で母親とのとったのが右の写真。
NYT July 27, 2010 One Way to Judge a Nursing Home
編者:アメリカのナーシングホームと日本の特別養護老人ホームと同じではない。ナーシングホームでは介護を中心に行う看護補助者と補助的な看護業務が行える有資格の看護アシスタントが主なスタッフである。彼女らの社会的評価が低く、低賃金で、仕事に誇りを持てなく、転職が多いという状況は日本と通じる部分もあるようで記事を紹介した。

「要介護認定は「絶対に必要」―介護1万人市民委シンポ」(7月20日/キャリアブレイン )
「介護の社会化を進める1万人市民委員会 2010」は7月18日、次期介護保険法改正、介護報酬改定に向け、活動の再開を記念したシンポジウムを東京都内で開いた。この中で、同委員会呼びかけ人の池田省三氏(龍谷大教授)(写真右上)が講演し、「要介護認定は絶対に必要。世界的にも定評があり、科学的、中立的だ」と述べ、一部の市民団体などから上がっている制度の廃止や簡素化を訴える声を批判した。同委員会では、要介護認定の廃止・簡略化の阻止などを緊急課題として掲げている。
「介護保険の10年とこれからの課題」と題して講演した池田氏は、要介護、要支援の認定区分について、現行の7段階を3段階に簡素化する事例を提示。要支援1、2と要介護1を「軽度」、要介護2、3を「中度」、要介護4、5を「重度」とした場合の問題点として、▽一部の区分の支給限度額が引き下げられる▽要介護度が下がると利用可能なサービス量が大きく減少する―などを挙げた。
また池田氏は、要介護3−5の在宅サービスの利用者のうち、約55%が2種類以下のサービスしか利用していないとのデータを紹介し、「このプランでは在宅生活を支えられない。家族介護の補完物でしかない」「ケアマネジャーが利用者をアセスメントしてサービスを設計できていない」などと批判した。
シンポジウムの冒頭では、同委員会代表の堀田力氏(さわやか福祉財団理事長)があいさつした。堀田氏は、地域包括ケアを推進する上での「2つの抵抗勢力・障害」として、▽要介護認定制度の廃止▽介護施設の多床室新設―を列挙。認定制度については、「認知症の人にも対応した仕組みを作らないといけない」と現状の問題点を指摘する一方で、「認定制度を外せば、保険制度として成り立ち得ない」と訴えた。また、施設の多床室新設についても「一人一人の尊厳を守る方向に逆行している」などと批判した。
□自己決定できる通所介護などを紹介
この日のシンポジウムでは、「私たちが求めるサービス」をテーマに、事業者が進める独自の取り組みが紹介された。
山口県の「夢のみずうみ村」代表の藤原茂氏(写真右中)は、利用者自らがプログラムを決める通所介護の仕組みを紹介し、「利用者本人の意思をどう引き出すかが大切」と述べた。職員の利用者へのかかわり方については、「ひたすらお世話をするのはアマチュア」と指摘。全介助の利用者にも、できそうな動作には介助しない「引き算の介護」と、中・軽度の利用者のできない部分だけを介助する「足し算の介護」の両者の使い分けが重要とし、「(利用者の)できる能力を奪わない介護がプロ」と強調した。
また、岐阜県の「新生メディカル」の石原美智子社長(写真右下)は、今年4月から岐阜県と進めている短時間継続介護を紹介。配食を組み合わせた短時間巡回型の訪問介護サービスにより、▽利用者の在宅志向の継続▽施設待機者の減少▽ホームヘルパーの常勤化、専門性向上―などの効果が予測されると説明した。
キャリアブレイン 2010年07月20日 原文のまま

「相部屋と個室、どちらをえらぶ? 特養ホームの最新事情」(7月4日/日本経済新聞)
「個室」か「相部屋」か――。代表的な介護施設である特別養護老人ホームで、部屋を巡る議論が活発になっている。望ましいのは個室でも、「そればかりだと低所得者が入居できない」との声が出ているためだ。実際、それぞれどんな介護を実施し、費用はどう違うのか。現場を訪ねて検証してみた。
個室、家庭的な雰囲気づくり
鳥取県南部町。JR米子駅から車で15分ほど走ると和風旅館風の建物が現れる。社会福祉法人、伯耆(ほうき)の国が運営する特養ホーム「ゆうらく」だ。定員100人ですべて個室。以前は相部屋の施設だったが、建て替えて2003年5月にオープンした。
単に個室に替えただけではない。入居者を10人前後のグループに分け、一つの生活単位(ユニット)とした。さらにユニットごとに食事やだんらんの場である居間を設けた。個室は居間を囲むように配置。介護職員もユニットごとに置く。少人数ごとに職員が決まっているので、職員は一人ひとりの生活習慣まで把握しやすい。「ユニットケア」と呼ばれる方式で、家庭的な雰囲気で個人に合わせた介護ができる。
以前の施設では大人数の入居者に対し一定数の職員という配置の仕方だったので、個別の入居者に配慮するといったことはできず、介護は流れ作業的だった。食事も入浴も一斉にスタート。その時間になると車いすなどで集まった入居者が廊下に列をつくった。相部屋ではカーテンで仕切った隣接者同士が食事と排せつの世話を受けることすらあった。山野良夫施設長は「前の施設では個人の尊厳などなかった」と振り返る。
入居者の一人、梅原勝子さん(81)は3年前に入居。脳卒中で右半身がまひし、認知症もあってほぼ寝たきりの状態だった。当初は精神的にも不安定だったが、ここに来て穏やかになり、右半身も少し動くようになった。毎朝自分で車いすに乗って同じユニットの人たちのために新聞を取りに行く。家族は「本当に助かっている。費用も本人の年金で賄えるぐらい」と話す。
「個室があり、近くに居間や台所、浴室などが置かれている場所でのユニットケアという方法は今、最も望ましいとされる。認知症の人にも適している」(認知症介護研究・研修東京センターの秋葉都子ユニットケア推進室長)という。
月12万〜13万円
では、費用はどうか。特養ホームへの入居は介護保険を使う。使った介護費の1割が利用者負担なので、これが月2万〜3万円程度かかる。負担額が大きいのは部屋代。ユニットケア方式の個室では、国が示している標準的な部屋代は月約6万円。標準的な食費を足すと費用は合計月12万〜13万円となる。ゆうらくもほぼこの程度だが、大都市部などではさらに高くしているところもある。
低所得者は標準額よりも負担が少なくて済む。例えば収入が公的年金だけといった人は対象になる可能性がある。世帯としては収入が多くても、特養ホームで暮らすようになれば世帯を分けることができるので、低所得者に該当するというケースも珍しくない。この結果、ゆうらくでは入居者の負担は月平均6万〜7万円程度という。
とはいうものの、収入がわずかで身寄りもない人にとっては重い負担であることに違いない。生活保護を受けている人の個室入居を認めない自治体も多い。
個室のユニットケアは「職員の負担が重く、技能が高くないと難しい」という課題もある。ホームの間で質にばらつきもありそうだ。前出の秋葉さんは「見学の際、各ユニットに専属の職員を置いているか、ごはんを各ユニットで炊いているか、入居者が自分用の食器で食事しているか、などが質を見定める一つの目安になる」と話す。
相部屋、グループ介護で質向上
特養ホームの主流は依然として相部屋だ。相部屋でも介護の質を高めようと工夫しているところがある。
神奈川県川崎市にある「金井原苑(かないばらえん)」(運営は社会福祉法人、一広会)は4人部屋中心の従来型ホーム。1フロアに50〜60人の入居者がおり、以前は食事も入浴も同時という流れ作業的な介護をしていた。しかし05年以降、「少人数の顔の見える環境をつくりたい」(依田明子施設長)として、入居者を8つのグループに分け、それぞれに職員を配置する「グループケア」を始めた。ユニットケアに近づいたわけだ。
効果は出た。職員が入居者の体調変化に気づきやすくなり、こじらせて入院するようなケースは減った。少人数グループで買い物に出かけるといった行動も増えた。ある入居者の家族は「うちの母の場合、食事のときは飲み込みやすいようあごをマッサージしてくれるなど、細かなことにも気を掛けてもらっている」と満足げに話す。
月7万〜8万円
こちらの費用はどうか。部屋代が標準で月約1万円。介護保険の1割負担や標準的食費と合わせれば月7万〜8万円程度で暮らせる計算だ。金井原苑は一般所得者には標準額よりも若干高くしているが、相部屋でも低所得者の負担を軽くする仕組みがある。このため、同苑でも雑費などを除けば月5万円程度の負担の人は珍しくない。
個室、相部屋を問わず日本中で特養ホームは満室で、入居待ち状態が続いている。ただ介護の必要度や家族の状況を踏まえて入居が決まるので、意外に早く順番が回ってくることもあるようだ。どんな場所でどのような介護を受けられるのかを事前に知って申し込んでおきたい。
不況で低所得者増 相部屋回帰の動きも
個室でユニットケア方式の特養ホームは2000年ごろから登場し始めた。これが望ましいには違いないだろう。国も03年、「新設するホームはユニット型個室を基本とする」方針を打ち出した。ところが、ここに来て大都市部の自治体中心に「従来の相部屋タイプも柔軟に認めるべきだ」との声が強まっている。
背景にあるのは景気低迷などで低所得の要介護高齢者が増えたこと。09年春に群馬県にあった無届け施設「たまゆら」で起きた火災事故の際、入居者の多くが行き場のなかった東京都内の生活保護受給者だったことも判明した。「個室ばかり増えてもこうした高齢者は入れない」として、都はホームを新設する場合、一部は相部屋タイプにするのを認める緊急措置を講じる。
“相部屋回帰”ともいえる動きには当然批判の声もある。ただし個室は相部屋よりコストがかかるのも事実。理想に近づけるには、この負担をだれがどのように負うのかが問われる。そもそも特養ホームは全国で入居待ち状態。超高齢化社会を前に、どのような高齢者を対象にどのような施設・住宅をどの程度整備していくのか。全体的な見取り図も必要だ。(編集委員 山口聡)

日本経済新聞 2010年7月4日 原文のまま


「業界と読む 介護保険制度改正から1年 スタッフの処遇置き去りに」(6月23、24,25日/ネットアイビーニュース)
(上)(6月23日)
2009年4月、改正介護保険制度がスタートした。06年の大幅改正以来3年ぶりの実施で、とくに大きな改正はなかったというものの、介護従事者の処遇改善の緊急特別対策として介護報酬改定が盛り込まれた。介護報酬に関しては、03年のマイナス改定から数えて実に6年ぶりのプラス改定(全体で3%)となり、関係者の期待を集めた(03年マイナス2.4%、06年マイナス2.3%)。しかしその後、介護スタッフの処遇の改善に大きな変化はもたらしていない。業界は相変わらず人手不足と人材の流動化に悩まされている。原因は何か。改正介護保険制度を検証し、その理由を明らかにする。
<改定分は事業者の利益に>
介護保険における費用負担は、1割を利用者が、9割を保険で負担するという仕組みだ。その費用は、公定価格である介護報酬によって決定されることになるが、報酬が3%上がれば事業者の収入も3%アップすることになる。また、保険で負担する9割部分のうち、一定割合は介護保険料として被保険者の負担となるため、保険料や1割の利用者負担額にも影響がおよぶ。つまり、介護報酬のアップは事業者だけでなく、被保険者にも関係があるということだ。
このような制度の激変による被保険者の負担を軽減するため、国は1,154億円の国庫を拠出し、保険料の上昇を抑えるための制度設計を考えた。国がお金を出して、保険料が急激に上がらないようにする仕組みを制度として組みこんだのだ(図1参照)。国の拠出金は、改定による増額分の約半分に相当した。
仮に、介護報酬改定がなかったとした場合の介護給付費を100と考えると、全体で3%上がるということになれば介護給付費は103になるため、平均したら3%多く負担しなければならなくなる。今までの保険料が100円だったとしたら103円だ。
すると、103円で設定しなければならない保険料を3年間を通して毎年101.5円で設定することができる。また、1年目は上昇幅をゼロにして従来通りの100円に設定し、2年目の2010年度は半分を負担するように101.5円で設定する。3年目は103円をまるまる負担する。これは保険者に任せられているため、段階的に上がる地域もあれば、最初から3年間を通して101.5円とするところもある。保険料の上昇を抑える方法は保険者によって異なるが、いずれにしても被保険者の負担する保険料アップを抑えるための激変緩和措置として採用された。
福岡県では、「3年間を通じて平均的に同額を収める措置が講じられた」(福岡県介護保険課)ようだ。
(つづく)【田代 宏】
NetIB News  2010年6月23日 原文のまま
(中)(6月24日)
昨年改正時の介護報酬改定の第一の目的は、「介護従事者の人材の確保」「介護従事者の処遇改善」だった。たとえば、介護従事者の専門性のキャリアの評価とか、地域間の格差是正という点に3%アップの保険料を充当しようというもの。つまり、一律3%アップということではなく、さまざまな加算が考えられていた。事業者にとっては、サービスの提供の仕方で、改定の影響の大小が生じるということである。
たとえば、資格を持った専門のスタッフや経験を積んだ職員が多ければ、報酬としては上がりやすくなる。通常ならば100円だったものが105円にアップするため、通常よりも高い報酬が得られることになる。
しかしながら、これはあくまで事業所の収入としての話で、事業所で働く個々の介護職員の給与に必ず反映されるというわけではない。給与に関しては、あくまで労使間の問題の範疇で、事業運営のやり方によって事業所ごとに異なるものとされている。報酬アップを給与面で反映させるのか、それともサービス面で質の向上を目指すのか、職員のスキルを磨くのか、さらに職員を増員させるのか、介護機器を購入することで職員の負担を軽減させるのか--最終的な判断は事業者側に委ねられている。行政サイドに立てば、介護報酬を上げることにより事業者にメリットをもたらすとともに、サービスを受ける側にも同様にメリットが生じるはず、という考え方に基づいた制度である。事実上、介護スタッフの処遇は置き去りの格好だ。
介護報酬の加算要件は、事業所の規模によって違ってくる。何しろ数十種類あるといわれる介護サービスのなかで、事業所の規模により膨大な数にのぼる。たとえば通所介護(デイサービス)では、介護福祉士が40%以上配置されていること、訪問介護では3年以上の勤続年数のある者が30%以上配置されていること―などが加算の要件となる。
 そもそも09年4月に行なわれた介護報酬改定は、介護職員の給与を月額2万円アップするという名目のもとに、当時の自公連立政権がとった施策だった。ところがフタをあけてみれば、実際の賃金改善は理想にほど遠かった。さらに、同年10月には緊急雇用対策として月額1万5,000円アップを目指し、介護職員処遇改善交付金なるものが支給された。これは、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、2012年度末までの間、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1万5,000円を交付するというもの。にもかかわらず、介護スタッフの処遇改善に目立った効果はみられなかった。ほとんどの施設が、介護報酬の上乗せ分を経営改善の費用に転用してしまったからだ。
(つづく)【田代 宏】
NetIB News  2010年6月24日 原文のまま
(下)(6月25日)
福岡市内のある介護施設を例にとってみよう。同施設は市内でデイサービスとグループホーム、住宅型有料老人ホームを運営している。老人ホームの入居金は14万円弱で、家賃は4万円半ば。同施設で最も高い賃金を得ているのは、ケアマネージャーの25万円。続いて社会福祉士の22万円、介護福祉士の19万円前後、社会福祉主事の18万円、ヘルパーの16〜17万円と続く。今一番の悩みは、「スタッフの処遇」だと断じてはばからない。「問題なのは、決められた介護報酬のなかでやりくりせざるを得ず、給与が何年間も変わらないこと」だとする。家庭を持ち、子どもが生まれ、その子どもが進学する。「とてもじゃないが、介護スタッフは将来に夢を描けない」。
厚生労働省は今年10月より、介護職員処遇改善交付金「キャリアパス」制度を導入する。同制度も「介護報酬プラス改定」「介護職員処遇改善交付金」同様に、介護人材の確保・定着を図るための施策の1つである。同制度を申請した場合、一定条件を満たした要件とキャリアパスの導入が必須となり、要件を満たせない場合は減額対象となると言われている。そのため、小規模事業所などではキャリアパス要件を満たすことができず、申請を見送っているところもあるという。
前出の事業主は、「導入といっても具体的な要件がはっきりしないため、給与を上げたくても上げられない状況」と冷めた見方をしている。
厚労省の諮問機関である社会保障審議会は、先月、2012年度の診療報酬・介護報酬改定に合わせた制度改正論議を開始した。そこでは、介護保険の公費負担増や被保険者の対象拡大などが論議の焦点になるとも言われている。我が国の介護保険制度は、散発的な弥縫策に終始するのではなく、今こそ抜本的な見直しが問われているのかもしれない。
(了)【田代 宏】
NetIB News  2010年6月25日 原文のまま

「要介護・要支援認定者は過去最多の467万人―08年度介護保険事業状況報告」(6月22日/キャリアブレイン )
厚生労働省は6月22日、「2008年度介護保険事業状況報告(年報)」を発表した。それによると、08年度末時点の要介護・要支援認定者は前年度比14万人(3.2%)増の467万人で、介護保険制度創設以降で最多となった。このうち、65歳以上の第1号被保険者は452万人、40歳以上65歳未満の第2号被保険者は15万人だった。
また、08年度の1か月平均のサービス受給者数は377万人で、前年度に比べて14万人(3.9%)増えた。内訳は、居宅サービスが11万人(4.0%)増の273万人、地域密着型サービスが3万人(15.8%)増の22万人、施設サービスが0.7万人(0.9%)増の83万人。施設サービスに比べて、居宅サービスと地域密着型サービスの伸び率が上回る結果となった。
保険給付で見ると、利用者負担を除く08年度の給付費は、前年度比2584億円(4.2%)増の6兆4185億円だった。
また、特定入所者介護サービス費と高額介護サービス費を除く08年度の1か月平均の給付費は5062億円で、居宅サービスが2519億円、地域密着型サービスが423億円、施設サービスが2119億円だった。
□介護給付費準備基金保有額は4050億円
08年度の全国の保険者の介護保険特別会計は、歳入7兆2351億円、歳出7兆469億円で、差引残額は1882億円。このうち、国庫支出金の精算額を引いた額は1054億円となった。また、年度末時点での介護給付費準備基金の保有額は前年度比872億円(27.4%)増の4050億円となった。
キャリアブレイン 2010年06月22日  原文のまま

「介護保険10年、家族の3人に1人「良くない」「あまり良くない」」(6月10日/信濃毎日新聞)
信濃毎日新聞社は、導入から10年を迎えた介護保険制度の課題を探るため、全国の認知症介護家族、県内の介護施設とケアマネジャーにアンケートを行い、9日、結果をまとめた。現行制度について「良くない」「あまり良くない」との回答が、ケアマネジャー、施設で40%、介護家族も30%をそれぞれ超えた。「認知症はすべて要介護と認定すべきだ」との声は強く、認知症急増の超高齢化社会を見据えた制度改正が迫られる。
2000年4月に始まった介護保険制度は、12年度に改正を予定。厚労相の諮問機関・社会保障審議会介護保険部会は5月末に見直しに向けた議論を始めている。
調査は、4〜5月にかけて実施。現行制度について、認知症介護家族では「良い」(「まあ良い」含む)が59・5%で半数を超えた。「良くない」(「あまり良くない」含む)も33・8%ある。
「サービスの利用で負担が軽くなった」との声が多いものの、「施設が満杯で思うように利用できない」「地域によって保険料やサービス内容に差がある」といった不満も寄せられている。
介護施設の回答は「良い」49・3%、「良くない」44・6%でほぼ二分。「要介護者がサービスを受けるため自宅の外に出るようになった」との評価の半面、「介護報酬が少なく、十分な職員配置ができない」との指摘があった。
ケアマネジャーは「良くない」が49・9%で、「良い」の44・0%を上回った。「経済的に許される範囲でしかサービスを提供できず、必要な支援ができない」と、経済的に困っている世帯への支援の薄さを問題にする声が目立つ。
介護の必要度を7段階に分けている要介護認定は、「現行のままでよい」が40%前後でいずれも最多。ただ、「段階数を減らす」「認定をなくす」といった回答も、家族37・4%、ケアマネジャー35・3%、施設で26・5%あり、見直しを求める声は少なくない。
認知症の人の認定をめぐっては「要介護度が低く出る傾向がある」との指摘がある。「認知症はすべて要介護と認定すべきだ」とした家族は64・4%に上り、そうした不満の多さを裏付けた。利用額の上限は「なくすべきだ」「引き上げるべきだ」も、家族で50・8%と半数を超える。
サービス拡充のために国民負担を増やすことには、そろって「賛成」が「反対」を上回ったが、いずれも「どちらともいえない」が40%前後で最多だった。
国民負担増に「賛成」とした人に「どこで負担を増やすべきか」を聞いたところ(複数回答)、家族と施設で80%以上、ケアマネも80%近くが「国や自治体(税金)」と回答した。その70%以上は、財源確保のための消費税引き上げに「賛成」としている。
制度改正で検討してほしいテーマ(二つまで)では、いずれも「介護職員の待遇改善」が最も多かった。
信毎WEB 2010年6月10日 原文のまま
編者:認知症の妻の介護の経験から「良い」と回答したい。「認知症はすべて要介護と認定すべきだ」の意見には賛成だ。問題は認定されても要介護が低く判定される問題が残る。認知症だと自動的に要介護1以上とするか。

「介護者を支援する法案を提言―ケアラー連盟の発足集会」(6月7日/キャリアブレイン )
介護者の権利擁護を目指す「ケアラー連盟」は、6月7日に東京都内で発足集会を開き、同連盟で成立を目指す「介護者支援の推進に関する法律案」の内容を発表した。案には、介護者の実態調査の定期的な実施や、介護者を支援するための組織の設置といった内容が盛り込まれている。今後、同連盟では法案の成立に向け、各政党などに働き掛けていく方針。
現在の日本では、介護する側が抱える負担や経済的な問題などについては、「社会問題として顕在化していないため、介護者を支援する体制はまだ不十分」(連盟設立発起人の一人で、NPO法人介護者サポートネットワークセンター「アラジン」の牧野史子理事長)(写真)とされる。識者からは、介護者が要介護者を殺したりする“介護殺人”は、「介護者への支援が不十分なことが背景にある」(日本福祉大の湯原悦子准教授)との指摘も上がっていた。
こうした状況を踏まえ、NPO法人関係者や、福祉の研究に携わる大学の研究者の間から、「日本にも、介護する人の権利を保障し、支援を推進するための法的根拠が必要」とする気運が高まり、同法案の成立を目指してケアラー連盟を発足させることが決まった。
発足集会で発表された法案では、「介護者が無理なく介護を続けることができる環境を醸成・整備すること」「(介護者が)介護のために社会から隔離されてしまうような状況に追い込まれることがないよう配慮する」といった基本理念に加え、▽介護者の実態に関する統合的な調査を定期的に実施する▽介護者がいる世帯に対する積極的訪問などを実施する「介護者支援センター」を設置する▽介護者支援に関する基本的施策を具体化した措置を素早く適切に講じるため、介護者支援推進協議会を置く―などの内容が盛り込まれている。
□「わたしたちにも生存権を主張させて」
発足集会では、精神障害や知的障害を抱えた家族をケアした経験者が発言。ケアに疲れた家族が自殺したり、自身が職を辞めざるを得なくなったりしたなどの体験談を語った。認知症の親を介護している家族は、同居家族がいるというだけで受けられないサービスが多過ぎる指摘した上で、「このままでは介護する人の自殺者は増えるばかり。わたしたちにも平等に生存権を主張させてください」と訴えた。
集会では、湯原准教授が「介護疲れ殺人の現実」のテーマで講演。12年間で少なくとも454件の“介護殺人”が発生しているなどの現状を説明した上で、「介護者を支援する法が整備されれば、こうした事件は減らすことができるはず」と訴えた。また、静岡大の三富紀敬教授は、介護を終えた人の再就職を支援する制度など、諸外国の介護者支援制度について紹介した。
キャリアブレイン  2010年06月07日  原文のまま

「認知症高齢者グループホーム、1割に建築基準法違反」(6月7日/日本経済新聞)
認知症高齢者を対象にした全国約1万施設のグループホームの約1割が、着工前後の法定検査を受けなかったり、用途変更の届け出をしなかったりと、建築基準法に違反していることが7日、国土交通省の調査でわかった。火災や地震の際に被害が大きくなる恐れがあり、同省は是正指導を行っている。
調査は、今年3月に7人が死亡した札幌市のグループホーム火災を受けて行われた。この火災では、施設側が住宅を改装して開業する際、より防火・避難設備の基準が厳しい「寄宿舎」への用途変更を行っていなかったことが判明している。
結果によると、違反が見つかったのは約11.2%にあたる1114件。うち建物完工後に検査を受けていなかったケースが578件で最も多く、用途変更の未届けは391件。建物の損傷や腐食の状況について半年〜3年に1度行う定期報告の不備も332件あった。
調査では、同法で定められた避難設備などの設置状況についても聞いた。4月20日までに報告を受けた5951件のうち、14.9%にあたる889件で違反を確認。約5割にあたる427件が停電時に予備電源で足元を照らす照明装置の未設置で、排煙装置や耐火性の高い間仕切り壁の未設置も目立った。
日本経済新聞 2010/6/7  原文のまま

★「要介護認定 新たな仕組みを」(6月5日/ NHK)
介護が必要な度合いを判定する介護保険制度の要介護認定について、認知症の患者や家族でつくる団体は、正しく判定されないケースがあるとして、要介護認定に代わる新たな仕組みの導入を求める提言をまとめました。
この提言は、公益法人の「認知症の人と家族の会」が、5日、京都市で総会を開き、発表しました。それによりますと、介護が必要な度合いを7段階で判定し、介護保険で利用できるサービスの上限額を決める要介護認定について、「特に認知症の患者の中には、正確に判定されなかったため、必要なサービスが利用できない人がいる」としています。そのうえで、「2年後の介護保険制度の見直しでは要介護認定を廃止し、これに代わる新たな仕組みを導入するべきだ」と提言しています。「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「サービスの利用料の1割が自己負担になっている以上、要介護認定を廃止しても、必要のないサービスを野放図に利用しようとする人はいないはずだ。すべての人が必要なサービスを受けられるよう国に求めていきたい」と話しています。
NHK 2010年6月5日 原文のまま
追加情報:「要介護認定の廃止などを提言―認知症の人と家族の会」(6月11日/ケアマネジメントオンライン)
5月31日に公益法人となった認知症の人と家族の会は、6月5日、京都市で開いた総会において、要介護認定に代わる新たな仕組みの導入を求める「介護保険制度改正への提言」を発表した。
提言は、利用者、家族の立場から、介護の社会化の萌芽を実りあるものに育てたいという願いで、2009年6月に発表した「提言・私たちが期待する介護保険 2009年版」の上に成り立っているもの。介護保険制度を今後もさらに充実発展させていくために、「必要なサービスを、誰でも、いつでも、どこでも、利用できる制度」「わかり安い簡潔な制度」「財源を制度の充実のために有効に活用する制度」「必要な財源を、政府、自治体が公的な責任において確保する制度」という4つの方向性を提案。
それを実現するために、2012年度制度改正において、「要介護認定の廃止」「介護サービスの決定は、保険者を加えた新たなサービス担当者会議の合議に委ねる」「介護サービス情報の公表制度の廃止」「介護サービス利用の1割自己負担を堅持」「財源のうち、公費負担率を6割に引き上げる」「介護サービス利用者に、作業報酬の支払いを認める」 の6つを挙げている。
なお、要介護認定の廃止については、まず認定から出発するのではなく、暮らしの中で介護の必要性から出発する制度にすることを訴えている。
また、「提言・私たちが期待する介護保険 2009年版」においては、「認知症があると認められる場合には、要介護1以上の認定とする」「要支援1・2も介護保険給付の対象とし、予防事業は一般財源で行う」などの提案をしている。
ケアマネジメントオンライン 2010年6月11日 原文のまま
関連情報:「介護保険制度改正への提言―要介護認定の廃止など利用者本位の制度に―2010 年6月 公益社団法人 認知症の人と家族の会」(pdf60K)

「国と自治体、ユニット型特養の整備で“温度差”」 (6月4日/キャリアブレイン )
国と地方自治体の間で、介護保険施設のユニット化の推進をめぐり、“温度差”が生じている。国は2006年に示した方針で、特養のユニット型施設の入所定員割合を14年度に70%以上にする整備目標を掲げ、ユニット化を積極的に推し進めている。一方、自治体からはユニット型より従来型多床室の整備を求める声も多く上がる。この温度差が生じる背景には何があるのかを探った。
「機械的に机の上で考えたことを押し付けるのはいかに間違っているか。厚生労働省の一番よくないところは、そういう押し付けを全国一律でやらせようとすること」
5月25日に開かれた関東地方知事会の席上、長野県の村井仁知事はユニット化を推進する国の姿勢をこう糾弾した。会合では、「多床室でも、利用者のベッドとベッドの間に敷居を設けるなどして、そこそこのコミュニケーションとプライバシーが保てるよう工夫されている。こうした工夫を厚労省は認めるべき」(埼玉県の上田清司知事)、「(厚労省がユニット化を推進するのは)役人が、自分が入るときに、どういう施設がいいかと判断しているから。現実に施設に入っている人の実情を全く分かってない」(群馬県の大澤正明知事)など、国と厚労省を批判する声が噴出。多床室とユニット型個室を併設した「一部ユニット型」特養の個室部分について、ユニットケアを評価した介護報酬額を適用するよう国や関係機関に要望することが全会一致で採択された。
また、5月20日には首都圏の4都県知事と5政令市長でつくる「9都県市首脳会議」が、多床室とユニット型個室との合築を認めるなど、地方の実情に応じた柔軟な施設整備を求める要望書を厚労省に提出するなど、特養をはじめとした施設整備をめぐる国と地方の温度差が明らかになっている。
この温度差は、今年2月に発表された「08年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」にも数字として表れている。それによると、08年10月時点でのユニット型個室の整備率は定員ベースで21.2%にとどまる。キャリアブレインが全都道府県に対して聞き取り調査を行った結果で見ると、最も低かったのは高知県の8.7%(今年5月時点)で、高い自治体でも4割程度。国が整備率70%を目指す14年度の目標でさえ、20%台にとどまる自治体もあった。また、地域別に見ると、都市部で比較的高く、逆に東北や九州など地方であまりユニット化が進んでいない傾向が見られた。
その背景には、自治体と利用者の“懐事情”があるようだ。ユニット化率が全国平均に達していない自治体の担当者からは、「ユニット型の整備は自治体にとって持ち出しが大きい。施設を利用する人の負担も大きい」(長崎県)、「県内には離島も多く、低所得者も少なくない。そうした実情に応じ、(多床室の整備についても)柔軟に対応している」(鹿児島県)といった声が聞こえてくる。また、厚労省が5月15日に開いた意見交換会「みんなの介護保険!」に参加した市民からも、「ユニット型は高過ぎる」という意見が相次いだ。
さらに、国の解釈と異なる方法で報酬を算定する自治体も存在する。厚労省は03年3月、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」と題する通知を自治体に向けて発出した。それによると、従来型多床室とユニット型個室が併存する一部ユニット型と認めるのは、同年4月1日時点で現存する施設か、建築中の施設などに限られる。それより後に新設された施設は該当しない。ところが、群馬、埼玉、広島、佐賀にある9施設は、同年4月2日以降に新設された「一部ユニット型」特養にもかかわらず、個室部分にユニット型としての報酬が支払われているという。
こうした施設に対し、国は介護報酬の「過払い」の可能性があるとし、実態調査に乗り出す方針を明らかにしている。長妻昭厚労相(当時)も4月30日の記者会見で、「実態調査を早急にして、おおむね1か月で(結果を)確定させたい」と述べ、施設が指定を受けた経緯や施設での人員配置、ケアの実情などについて調査する方針を示した。
一方で、埼玉県の担当者は「整備を行うに当たって、国にその都度確認してきた」と話す。また、群馬県の担当者も「制度設計する側と運用する側の立場の違い、情報の違いによるミスマッチがある」と指摘する。佐賀県の担当者も、「もし国から、該当施設について指摘や問い合わせがあった場合は、現状を説明し、理解してもらえるよう努める」とし、現在の支払い方法を継続する方針だ。
国も完全に“ユニット一本やり”というわけではない。自治体の介護保険担当者を集めた課長会議などでは、「地域の実情を踏まえて、ユニット型施設以外の施設も含めて整備するという判断もある」と説明している。しかし、特養のユニット型施設の定員ベースで70%を目指すという方針は今も変えていない。
この問題に対し、立教大コミュニティ福祉学部の服部万里子教授(写真)は、「ユニット型が従来型と算定されてしまえば、事業所はますます苦しい経営を迫られる。今は緊急避難的に、ユニットにはユニットの報酬を支払ってもよいのではないか」と提言。また、国がユニット化率70%という目標を掲げ続ける点については、「実態と乖離(かいり)している。そもそも、入居者の住環境を良くするためにユニット化を推進しているとは思えない。介護給付を減らして自費を増やす狙いで進められているのではないか」と批判する。
また、全国新型特養推進協議会の会員施設「しょうじゅの里三保」(横浜市)の繁里弘喜副施設長は、「プライバシーを重視し、利用者の尊厳を守るためにも、個室ユニット化は推進すべき」と指摘する。一方で、「特養という性質上、生活保護の人など低所得者が入れないのは問題。所得で区別されるのはおかしい」と、経済的理由で受けられる介護が異なる現状に疑問を呈している。
キャリアブレイン  2010年06月04日 原文のまま

★「【ゆうゆうLife】医療必要な要介護者 厳しい環境」(6月3日/産経新聞)
病院も特養も行き場なし
要介護の人ががんを患ったり、透析が必要な人が認知症になったりして、病気の治療も身の回りのケアも必要なのが高齢者。しかし、治療が必要だと施設入所を断られたり、認知症だと入院を断られたりすることも。病院も施設も徘徊(はいかい)や通院に「スタッフを1人付ける余裕がない」のが本音。医療と介護を必要とする人に、どんな環境整備が必要だろうか。(佐藤好美)
大阪府に住む主婦、橋本幸子さん(78)=仮名=の夫(80)は認知症で要介護4。昨秋、やっと特別養護老人ホームに入ることができた。
家で介護していたころ、橋本さんは夫の夜間徘徊や失禁の後始末で寝る間もなかった。橋本さん自身、障害3級の要支援2。在宅介護に疲れ果て、特養入所を相談していた折り、夫が膀胱(ぼうこう)がんだと分かった。
ところが、治療が難航した。カテーテルを埋め込む手術が必要なのに、病院から「徘徊する人に常時スタッフを付けられないので、うちでは手術できない」と断られた。別の病院が「何とかやりましょう」と言ってくれたが、「徘徊する人は個室に入ってほしい」と言われ、個室代を払った。
入院中も気は休まらない。夫は「オレは健康なのに何で検査ばかりするのか」と文句を言い、夜中に別の病室の機械に触り、病院から「迎えに来てください」と連絡を受けた。
退院したら、入所できそうだった特養から「がん患者さんの通院に付き添えない」と入所を断られた。
あれこれ探した施設の中には、医療も介護も受けられそうなところもあった。しかし、「月に20万円出せますか」と聞かれて断念した。年金は夫婦合わせて月20万円。20万円払ったら暮らせない。
そんなある日、夫が徘徊から行方不明になった。捜索願を出しに行った警察署で問わず語りに話したら、警察官が「がんで認知症だと施設に入れないなんて、そんなおかしなことはない。何のための施設だ」と、福祉事務所にあたってくれた。それが奏功したのかどうか。別の特養から連絡があり、入所が決まった。
ただ、「通院にはご家族が付き添ってほしい」と言われた。橋本さんは今、タクシーを使い、隔週で夫の通院に付き添う。
悩みは尽きない。特養からは「尿道カテーテルを外せないか」と相談される。夫が外しかねないが、特養は拘束しない方針だからだ。病院で「外せない」と言われ、橋本さんは特養に伝えた。「どうぞ、どうぞ縛ってください。私は文句を言いません」
橋本さんは言う。「こんなことがいつまで続くんでしょうか。施設費と医療費とタクシー代で貯金は底をつきました。認知症でがんでも、落ち着いて治療と介護を受けられる先はないのでしょうか」
人手不足…施設側も苦悩
≪入所に補助金も≫
施設側も悩みは多い。神奈川県のある特養の施設長は「身寄りのない入所者もおり、うちは必要な通院には職員が付き添う。ただ、職員が1人取られるのは正直言って負担。一定数以上になると受けられない」と言う。
しかし、入院日数の短縮化で医療と介護の両方を必要とする高齢者は今後も増える。医療の必要な人が施設に入れない事態を打開しようと、補助金を出す自治体もある。
横浜市は経管栄養をはじめ、点滴▽尿道留置カテーテル▽がん末期の痛みの管理−など11の医療処置を挙げ、これらの処置を受ける人が多い特養に3段階で補助金を出す。
処置の必要な人が入所者の4分の1超なら、施設に月45万円が出る。スタッフを余分に雇えるようにとの配慮だ。
吉田隆彦・同市高齢施設課長は「特養側も手が回らないのが実情。補助金をつけても追いつかないが、本当に施設入所を必要とする人が入れるようにしたい」という。
一方で、本人や家族に必要な治療を見極めてほしいとの声もある。介護保険3施設の一つ、「老人保健施設」の施設長(医師)は「例えば、がんの治療を高齢期にどこまでするかの判断は人による。痛みの緩和程度なら施設内でするが、最後まで積極治療も検査もしたいという判断なら、通院の付き添いは家族にしてほしいのが本音」と漏らす。
徘徊する人が入院を断られるケースについて、厚生労働省は「応招(おうしょう)義務違反に触れる恐れはあるが、病院側に対応する態勢がなければ即座に違反とはいえない」(医政局医事課)とする。「診察治療の要求を医師は拒んではならない」のが理念だが、現実には徹底できないというわけだ。
医療が必要な人の特養入所についても、「入所者に生活の中で必要な医療は提供していく」(老健局高齢者支援課)のが方針。しかし、「個々のケースについては施設の医療環境や方針に応じて、本人や家族と相談して対応してほしい」(同)とする。看護職確保や医師の協力が得られない施設もあるからだ。
理念の前に現実が影を落とす。人手があれば解決する問題も多いが、ふんだんに報酬や補助金を付けられる環境ではない。医療と介護の両方を必要とする人は増えていく。理念を実現するには関係者の合意も費用負担も必要だ。
                   ◇
「認知症の人と家族の会」顧問の三宅貴夫(よしお)医師の話
「医療と介護の必要な人が行き場所に困るのは一般的な現実だ。病院や介護施設によって、最初から受け入れない所と、ちょっとがんばって受け入れようとする所と、当たり外れがある。受け入れる病院や施設が増える環境を作っていかないといけない。
医療側は介護の事情をよく知らず、ベストの医療をしようとする。しかし、教科書通りの治療をするのではなく、高齢者の生活を配慮し、延命の程度は多少減っても本人が不快でないベターな医療に置き換えるとか、柔軟な治療選択が必要だ。
特養が濃厚な医療を必要とする人を受け入れるべきかどうか、長期療養病床をどうするのか。報酬面だけでなく、高齢者や障害者がどこでどう暮らすかをきちんと議論し、医療機関と介護施設の連携、在宅と介護施設の連携を考えないとうまくいかない」
産経ニュース 2010年6月3日 原文のまま



「草津市:介護サービス利用限度額、10月から引き上げ 重度認知症高齢者対象/滋賀」(6月1日/毎日新聞)
草津市は10月から、日常生活に支障がある重度認知症高齢者を対象に、介護保険の在宅介護サービスなどの利用限度額を引き上げる。国が定める限度額を超えた場合、自己負担が1割から全額となる利用者負担を軽減しようという市の独自施策で、県内では初の取り組み。4日開会の6月市議会に、関連条例の改正案を提案する。
市によると、市内の在宅介護サービスの利用者は約1700人でうち自力での着替えや食事が困難な重度認知症高齢者は約240人。25%にあたる約60人が、国の限度額を超えてサービスを利用しており、介護者らが支援を求めていた。
このため、市は対象者の要介護度に合わせて、国の限度額に5万5400円(15・5%)〜3万8700円(23・3%)を上乗せすることにした。事業費は1368万円。
6月市議会には、これを含め、老上中への特別支援教育用の指導教室設置費178万円など約1億5000万円を増額する今年度の一般会計補正予算案など8議案を提案する。一般質問は15、16日。【南文枝】
毎日jp  2010年6月1日 原文のまま

「介護福祉士、認知症85歳入所者殴り逮捕 1カ月の重傷負わす」(5月25日/産経新聞)
勤務先の高齢者介護施設で、入所者の女性を殴るなどして、けがを負わせたとして大阪府警東淀川署は25日、傷害の疑いで大阪市東淀川区西淡路の介護福祉士、犬伏勇作容疑者(23)を逮捕したと発表した。府警によると「深夜1人で勤務していたら、女性がいうことを聞かなかったので腹が立った」と容疑を認めている。
逮捕容疑は昨年10月20日午前1時ごろ、大阪市淀川区加島の高齢者介護施設「ニチイのほほえみ大阪加島」で、認知症で入所していた女性(85)の胸を殴ったうえ、両腕を強く握り締め、胸の打撲や左腕の皮をめくるなどの全治1カ月の重傷を負わせたとしている。
以前に、犬伏容疑者が勤務していた別の業者から今春、「(同容疑者が)入所者にけがを負わせていた」と東淀川署に通報があり、周辺を調べていた。
産経ニュース 2010年5月25日 原文のまま
編者:半年経っての逮捕?!よくわからない事件だが起こりうるのだろう。
続報:「【衝撃事件の核心】認知症の女性に暴行した介護福祉士の実態とは」(6月26日/産経新聞)
勤務先の大阪市内の高齢者介護施設で、入所者の女性を殴るなどしてけがをさせたとして、大阪市東淀川区の介護福祉士の男(23)が傷害容疑で逮捕、起訴された。大阪府警東淀川署によると、夜間の巡回中、認知症の女性に「『部屋から出て行って』と言われ、腹が立った」という身勝手な理由で暴行を加えたとみられる。自らへ向けられる疑いの矛先をかわそうとしたのか、それとも良心がとがめたのか。犯行後、男は第一発見者を装い上司に報告していた。終の棲家で心穏やかな余生を送るはずだった女性に重傷を負わせ、介護に対する信頼を揺るがした男とは…。(吉田智香)
けがへの関与を否定
大阪市淀川区にある現場となった施設は、認知症対応型の2階建ての施設で、約20人の高齢者が職員の介護を受けながら、生活している。
事件が起こったのは、平成21年10月20日午前1時ごろ。2階の個室で、当時84歳だった入所者の女性が腕の皮がめくれるなどのけがをした。人手が少ない時間帯だったこともあり、女性のけがを見つけたという男は「女性がけがをした」と上司に電話で連絡。駆けつけた上司はすぐさま、「巡回中の職員が、入所者がけがをしているのを見つけた」と119番した。
午前2時すぎ、救急車が到着すると、女性は左腕から血を流して痛がっていたという。救急隊員が止血し、大阪市内の救急病院に搬送した。女性は入院の必要こそなかったが、左腕の皮がめくれていたほか、右腕や胸を打撲しており、全治1カ月の重傷だった。
「殴られた」
女性はけがをした直後、施設職員にこう訴えた。施設も暴行の可能性を疑い、第一発見者の男に女性がけがをした理由について尋ねたが、「知らない」と関与を認めなかったという。
施設側は10月20日、22日、23日の3回にわたって事情を聴いたが、男はけがをさせたことをかたくなに否定。このため、施設は男の犯行と見抜けず、警察に通報するという判断には踏み切れなかったという。
入所者に不安を与えてはいけないという施設側の配慮で、男はその後、大阪府内の系列の施設に異動になったが、無断欠勤を続け、12月末で退職したという。
男が浮上したきっかけは、以前に勤務していた別の施設からの通報だった。男が入所者にけがをさせたという情報に基づき、府警東淀川署が男の周辺を捜査する過程で、女性のけがに関与していた疑いが濃厚になったという。
男は、今年5月に逮捕されるまで、府内の別の施設で、何食わぬ顔で働き続けていていたとされる。 
職場を転々
施設の運営会社などによると、男は専門学校を卒業後、平成19年春から介護福祉士として働き始めたとみられる。府内北部のグループホーム、大阪市内の特別養護老人ホームの2カ所で、約1年ずつ勤務したという。
運営会社の大阪支店に契約社員として採用されたのは、平成21年6月。事件のあった大阪市内の施設に配属になった。短期間で職場を渡り歩いてはいるものの、遅刻もなく、上司が注意をすれば素直に受け止めるなど、仕事ぶりは真面目で特に問題はなかったという。担当者は「こんな事件を起こすとは、想像もつかなかった」と漏らす。
男の逮捕を受けて、運営会社は「当時、関与について社内調査をしたが、事実は確認できなかった。社員教育の徹底を図り、再発防止に努める」とコメント。対策として、定期的に実施している研修のマニュアル内容や方法の見直しに取り組むことを検討している。
介護現場の現状
厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」の平成20年度介護労働実態調査では、介護現場の厳しい現状がうかがえる。
介護福祉士やホームヘルパーら介護労働者を対象に、仕事の悩みや不満を尋ねたところ、最も多かったのは、「仕事内容のわりに賃金が低い」で、回答した1万8035人のうち、58・3%が挙げた。続いて、「人手が足りない」(51・0%)、「業務に対する社会的評価が低い」(41・3%)、「身体的負担が大きい」(38・2%)、「精神的にきつい」(36・0%)などと賃金や社会的評価の低さへの不満、心身面での負担を訴える答えが目立った。
介護労働安定センターの担当者は「いかなる理由があろうと、暴力を振るうことは許されない」と前置きしたうえで、「夜間は少人数で介護をするため、担当者にかかる負担やストレスは大きい。資格を持ち、認知症への対応方法について十分に理解していたとしても、若くて経験が少ないと、いらだちを募らせることもありうる」という。
対策として、採用後の一定期間、ベテランの先輩職員を指導役とし、悩みや仕事上の疑問を気軽に相談できるような態勢を整え、ストレスをためないようにする必要があると指摘する。ところが、介護労働者の離職率が18・7%と全産業平均に比べて高く、数年で転職するケースもあり、人材育成や良質な人材の確保が課題になっている事業所も少なくはないという。
大阪府内の施設で働くある介護士は、「認知症と分かっていても、忙しいときにはいらいらすることもあるが、そこで自らの感情に任せて行動するのはプロとして失格。まして、体力差のある女性に暴力を振るうなんて…」と憤りを隠せない。
「うそをついた」
逮捕された男は、府警の調べに、「腹が立ち、胸を1回殴った」と暴行を認め、「女性が向かってきたので、左と右の上腕部を握りしめた」と説明したという。また、男は捜査員の追及に、「施設の調査には、『知らない』とうそをついた」と供述したとされる。
先の調査では、介護の仕事を選んだ理由として、58・1%が「働きがいのある仕事だと思った」、35・4%が「人や社会の役に立ちたい」と回答している。
男も、こうした思いを抱いて介護の道を志したはずではなかったのか。
犯行から半年あまりが経過した。被害者の女性は今も施設で暮らしている。男は今、何を思うのだろうか。
産経ニュース 2010年6月26日 原文のまま

「切迫」待機者は増加/特養ホーム」(5月21日/朝日新聞)
静岡県長寿政策局はこのほど、県内の特別養護老人ホームの入所待機者数(2010年1月1日現在)を発表した。待機者のうち、在宅で6カ月以内の入所を希望しているのは4918人。このうち介護度や家族の状況などから入所の必要性が高いと判断されたのは1488人にのぼり、いずれも昨年を上回った。県は特養を始めとした介護保険施設の整備を進めているが、高齢化のスピードに追いつかず、待機者がなかなか減らない状況が浮き彫りになっている。(冨森揚介)
◇施設整備追いつかず
調査対象は県内にある特養195施設。県の調べによると、介護保険施設(多床室)の入居費用は、特養が月額3万8千〜8万7千円程度であるのに対し、介護老人保健施設(老健)は6万〜12万円、介護療養型病床が10万5千〜18万円ほど。費用が安く済む特養のニーズは依然として高い。
特養の入所希望者は、重複申し込みや死亡者を除いた実人数で1万219人。昨年から91人減ったが、在宅介護中で6カ月以内の入所を希望している人は4918人で、昨年から18人増えた。うち、介護度が高いなど入所の必要性が切迫しているのは、51人増の1488人となった。
介護保険制度がスタートした2000年の県内の特養整備状況をみると、65歳以上の県民1万人あたりの定員(10月1日時点)は、全国平均の135・8人を大きく下回る107・3人で、47都道府県中43番目。その後の施設整備で、08年は全国平均(151・4人)を上回る154・2人になったが、順位は32位にとどまっている。
10年度は、介護保険施設などの定員が2198人増え、同年度の退所見込み数2991人と合わせると5189人の受け入れ枠ができる。しかし、高齢化の進展で入所待機者が減らない状況は今後も続くとみられ、宮城島好史・県長寿政策局長は「特養を始めとする施設整備を一層進めないといけない」と話している。
Asahi.com 2010年5月21日 原文のまま) 

「院内介助への保険適用の有無が、地域の医療格差を招く」( 5月20日/キャリアブレイン)
今年4月、厚生労働省は訪問介護サービスによる医療機関内での介助(院内介助)について、必要に応じて介護報酬上で算定できるといった内容の事務連絡を都道府県などの介護保険担当課などにあてて出した。しかし、院内介助に対する介護報酬については、2003年の通知でも同様の内容が明記されていた。7年経過した今、なぜ厚労省は同じような事務連絡を発したのか。そもそも、院内介助に対する介護報酬の有無は、要介護者にどんな影響を与えるのか―。今年2月、院内介助についてケアマネジャーに聞き取りを実施した淑徳大の結城康博准教授(写真)に話を聞いた。
―今年4月に出た事務連絡と03年の通知では、どこが違うのでしょうか。
基本姿勢が違います。03年の通知では、院内介助について「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により(介護報酬の)算定対象となる」と明記されていました。さらに同年5月には、「ヘルパーの院内の待ち時間は算定できない」などの内容を盛り込んだ厚労省のQ&Aまで出ました。
一方、今回の事務連絡では算定できる要件の一例として、「適切なケアマネジメントが行われている上、院内スタッフらによる対応が難しく、利用者が介助を必要とする心身の状態である」などを提示した上、介助に対し適切に保険を適用している地方自治体の具体例も明示されています。また、文中には「院内介助であることをもって、一概に算定しない取り扱いとすることのないよう願います」というただし書きまで付きました。
―つまり、「院内介助への保険適用は、基本的にNG」という姿勢が、「適用すべき事例には積極的に適用しよう」と変わったわけですね。
その通りです。特に通院が必要な要介護者にとって、この変更は大きい。ただ、これで完璧というわけではありません。100点満点でいえば50点といったところですね。合格点には達していません。
―随分厳しい採点ですね。50点の減点要素は何ですか。
保険が適用できるかどうかの判断を、自治体任せにしている点です。確かに、今回の連絡事項では、判断材料となる条件について提示されている上、自治体の具体的な取り組みも示されています。それでも、こうした条件は「保険適用を判定する基準」として連絡されたのではなく、「参考として活用していただきますよう願います」という姿勢で提示されたにすぎません。
―しかし、保険適用の判断を自治体任せにすることが、なぜ問題なのでしょうか。
判断を自治体に任せていては、院内介助のサービスに対する地域格差が広がる恐れがあるからです。事実、今年2月、12都府県のケアマネジャーやヘルパー26人に、院内介助に対して介護保険がどのように適用されているかといった点や、制度そのものに対する意見などについて、聞き取りを実施した結果、地域によって状況が随分違うことが分かりました。
―具体的には、どんな格差が確認できたのでしょうか。
認知症や車いすが必要な要介護者への院内介助には介護保険を適用する自治体がある一方で、利用者がどんな状態であっても適用を認めない自治体もありました。中には失明し、一人では何もできない状態なのに、保険適用されない場合もあったほどです。また、介助に保険が適用されないため、通院そのものをあきらめてしまったという報告もありました。
―院内介助への保険適用に消極的な地域では、利用者が必要な治療まで自粛せざるを得ないことがある、ということですね。
まさにその通りです。しかも、自粛しているのは利用者ばかりではありません。
−どういうことでしょうか。
例えば、院内介助や通院介助をケアプランに組み込むことを自粛してしまった事業所もありました。さらに、保険適用に消極的な地域の病院では、介助の担い手を確保できないため、認知症の方の通院治療を自粛する例もあります。
こんな状況ですから、聞き取りしたケアマネジャーのほとんどは、院内介助における保険内適用を緩和すべきと訴えていました。具体的には、「1時間程度の介助」「生活保護の受給者」「独自で服薬管理ができない人」といった例については、無条件で保険を適用すべきという声が多かったですね。
―格差解消に向け真っ先に努力すべきなのは、どういう組織や人々でしょうか。
まずは厚労省でしょう。先に述べたような現場の声を参考にして、拘束力を持った明確な判断基準を自治体に向けて提示すべきです。それができなければ、いつまでたっても院内介助の地域格差は解消しません。結果、院内介助への保険適用に消極的な地域では、そこに住んでいるというだけで、必要な治療を断念せざるを得ない要介護者が増え続けるでしょう。
現場のケアマネジャーも、意識を変えるべきです。今年4月の事務連絡で、院内介助に対する国の姿勢が大きく転換したのは間違いありません。この事務連絡を“錦の御旗”とし、行政に対して積極的に保険適用するよう働き掛けましょう。言い換えるなら、ケアマネこそが、介護の現場を知り尽くしたプロフェッショナルであるという自負と責任感を持って行政を動かし、役人を啓発するくらいのつもりで活動してほしいということです。それが専門職としての責務ではないでしょうか。
キャリアブレイン  2010年05月20日 原文のまま

「【ゆうゆうLife】民間の介護保険 生活資金と別枠で備えたい」(5月20日/産経新聞)
介護が必要となったときに備える民間の介護保険が注目を集めている。今年満10年を迎えた公的介護保険より歴史が古く、受け取り方や支払い要件などは保険会社によってさまざま。最近は公的な要介護認定と連動して支払われる商品もある。長生きに備える介護保険の“入り時”はいつ? そして、どんなことをカバーできるのだろう。(牛田久美)
◇予想以上の費用
半身まひの妻を自宅で介護する東京都内の50代会社員、吉田実さん=仮名=は今月も支払い明細書を見てため息をついた。
「公的介護保険で月約3万円を支払えば、満足なサービスを受けられると思っていた」。ところが、実際は看護師や療法士らの訪問などで予想以上に費用がかかる。妻は要介護4で、公的介護保険の限度額は30万6千円(自己負担額は1割)。限度額内に収めるために、「看護師が1回多く来訪する週はヘルパーを2回分削らなければなりません」。
ヘルパーを手配できても時間延長すれば自費。通院の介護タクシーも自費。
「結局、毎月約15万円を介護のために払っている。医療費もかかる。仕事を続けたかったが、介護してくれる人を限度額内で確保するのは難しかったうえ、週末は私ひとりで介護し、疲れが取れないまま月曜に出社する日々に疲れ果て、仕事もあきらめました」
◇なかなか普及せず
生命保険文化センターの平成21年度全国実態調査では、要介護状態になったときに必要とされる介護費は月平均18万円。民間の介護保険は自己負担を軽くする方法として注目を集めている。
ところが、ファイナンシャル・プランナー、竹下さくらさん(なごみFP事務所)によると、注目度が高いにもかかわらず、なかなか普及していないという。
「若いころは生命保険、医療保険が優先。住宅ローンもある。50代になると子供の学費がピークを迎えて家計を圧迫する。子供が成人すると、老後資金の貯蓄が気になり始める。いわゆる“入り時”がない保険です」
保険は住宅の次に高い買い物。決定の主導権を持つ男性が、いずれ自分が妻を介護する可能性があることに気付いていないことも普及が進まない原因だ。
「奥さんが倒れたとき、初めて“内助の功”が金額になって迫ってくる。お金がない、疲れた、精神的にも苦しいとなると大変です。男性は『自分は介護される立場だ』と思いがちですが、そうではなく、もし自分が倒れたら奥さんが困るだろうという視点も持って備えてほしい」
生命保険の介護特約は、本契約が終わると同時に終了するので注意が必要。死亡保障を介護保障に変更できる特約もある。
◇精神的にも安心
新規加入を検討中の人に竹下さんが勧めるのは、退職金のうち100万〜200万円をまとめて支払って加入する方法だ。
「老後の生活資金を貯蓄するとき、介護を想定して別に準備する人はなかなかいません。想定外の出費で生活資金を取り崩すのは大変なストレス。介護資金は生活資金と切り分けて考えたいもの」
竹下さんは「年齢を重ねるごとに確実に介護のリスクも上がる。きちんと備え、保険を利用するにしろ貯蓄するにしろ、介護に備えたファンド(基金)を持っていると精神的に安心」と話し、介護を視野に入れた老後の計画の必要性を強調している。
                   ◇
60歳で支払いを完了し、一生涯保障があるケース
要介護状態になったとき、一時金100万円、年金60万円(月5万円)が支払われる場合、仮に10年間介護をすると計700万円の保険金を受け取ることができる。払込額は約200万円。要介護状態になると分かっていれば安い。
一方、要介護状態にならないかもしれないと考え、保険料支払いの額を貯蓄する方法もある。その場合は、仮に10年間に毎月6千円を積み立てると、10年間に72万円となる(男性の保険料は毎月約3千〜6千円、女性約4千〜8千円として試算)。
                   ◇
≪民間の介護保険≫
介護が必要になったときの備えで、生命保険会社、損害保険会社など十数社が販売している。公的介護保険より歴史が長く、支払い要件などはさまざま。おおむね要介護度4〜5に対応している。公的保険(原則として65歳以上)と異なり、若い人も対象となる。現金で支払われるのがポイントで、利用者は必要なサービスを選ぶことができる。
産経ニュース 2010年5月20日 原文のまま
編者:民間の介護保険を否定はしないが、公的介護保険が人間的な生活を支える介護ミニマムを保障することが基本だ。「お金のある人はよい介護を、ない人はそれなりの介護を」と、障害を持ってから高齢になってからの差別は避けたい。

「介護する側を守る法とシステムの確立を」(5月15日/キャリアブレイン)
【第105回】湯原悦子さん(日本福祉大社会福祉学科教授)(写真)
過去12年間に発生した「介護殺人」は454件。つまり、この国では、介護者が要介護者を殺す事件が、月に3件程度は発生している−。日本福祉大の湯原悦子准教授の調査で明らかになった現実である。高齢化が進行する中、この痛まし過ぎる現実を解決するすべはあるのか。「まずは、介護する側を守る法とシステムの確立が不可欠」と訴える湯原准教授に話を聞いた。【多○正芳】
(【編注】○は木へんに朶)
―12年間に454件もの介護殺人が発生しているとは、想像以上の数でした。
残念ながら、その数ですらも氷山の一角にすぎません。
―どういうことでしょうか。
今回、発表した数字は、新聞報道された事件のうち「被害者は60歳以上。介護が原因で家族や親族によって引き起こされた殺人や心中」だけを集計したものです。しかも心中については、遺書やメモなどで介護が背景にあるとはっきりしたものだけをカウントしました。理由がよく分からない心中も少なくありませんから、現実の介護殺人はもっと多いはずです。
―2000年には介護保険が導入されています。この保険は、介護殺人の発生状況に変化をもたらしているでしょうか。
一時的に減った時期はありますが、最近4年間だけで見ると、年間40−50件もの殺人が発生しています。介護保険が導入されたからといって、介護殺人が減っているわけではないと言えるでしょう。
―介護殺人の特徴について教えてください。
特徴の一つは、半分以上が心中目的であることです。これは、10年以上前から変わりません。また、加害者と被害者の立場で見れば、「息子が親」を殺すパターンと、「夫が妻」を殺すパターンが多いですね。最近はどちらかというと、「夫が妻」を殺すパターンの増加が目に付きます。
男性が加害者となるケースが圧倒的に多いのも特徴です。事実、454件の7割余りは、男性が加害者でした。虐待にしても、かつてはお嫁さんが義理の父母への加害者となるパターンが多かったのですが、今では息子が実の父母を虐待するケースの方が目立ちます。
―なぜ男性の介護者は、殺人や虐待の加害者になりやすいのでしょうか。
男性の場合、介護だけでなく家事でも行き詰まる人が多いからでしょう。例えば、ほとんどすべての女性は、スーパーマーケットでの買い物を苦痛と感じることはありません。ところが、男性は違います。特に現役時代、一定の社会的地位にあった人は、「スーパーで買い物かごを提げた自分」に、たまらないほどのみじめさを感じることもあるようです。
また、比較的高齢の男性では、悩みを他人に相談したり、愚痴をこぼしたりすることを潔しとせず、黙々と介護に取り組む人を多く見掛けます。ちょっとしたことでも友人としゃべり合い、不安や悩みの“重さ”を分かち合う女性とは、まるで違います。このあたりにも、男性が加害者になってしまう原因があると思われます。
「悩みを打ち明けるか、自分の胸にしまっておくか」など、単に生き方の相違で、殺人や虐待を引き起こすような問題ではないと思う方がいるかもしれません。しかし、誰とも悩みや不安を共有せず、一人で頑張り続ける時間が1年、2年、3年…と続いていくとしたら、どうでしょう。どんなに心が強い人でも、心身共に疲労困憊して、うつ状態になり、将来に希望を見いだせなくなるのではないでしょうか。
―すると、虐待や殺人に走りやすいのは「妻の介護を手掛ける夫」ということでしょうか。
確かに「夫が妻」を殺してしまう例は増えています。しかし、それより深刻な問題が発生しやすいケースがあります。「無職の息子が母親を介護する」ケースです。特に、その息子が引きこもりがちだったりすると危険です。こうした男性のほとんどは、介護に関する知識がない上、他の人に助けを求めることが苦手だからです。
例えば08年7月には、引きこもりの男性が介護を必要する母親の面倒を見きれず、絞殺する事件も発生しましたが、この母親は、ほとんど介護を受けていませんでした。殺される直前などは、ほとんど食事を口にしていない状態でした。
―介護殺人や虐待を防ぐには、どうしたらよいでしょうか。
殺人にしろ、虐待にしろ、その兆候となる言動をキャッチすることが発生防止のカギとなります。だからケアマネはもちろん、家族や親せきも、最悪の事態もあり得ることを心に留め、介護者が頑張り過ぎていないか、うつ状態になっていないかなどに注意を払うことが必要です。
―しかし、家族やケアマネの注意力に頼るだけの対策では限界があります。法や制度の改革で、問題を根本的に解決することはできないでしょうか。
まずやるべきは、介護者の権利擁護の根拠となる「介護者法」を制定することでしょう。英国などでは施行されている法律ですが、その理念は「介護役割を引き受けることによって、社会的に孤立したり、余暇が楽しめなくなったり、就労の機会が奪われたりしてはならない」です。
日本の社会では、自らの生活や権利を抑制してでも介護を全うすべき、という雰囲気があるように思えてなりません。その結果、心身共に疲れ果てた介護者が殺人や虐待を引き起こしているのではないでしょうか。そうした雰囲気を変えるためにも、介護者の権利を守る法律を制定することから始めるべきだと思うのです。近日中には、同様の志を持った識者や大学関係者が集まり、介護者の権利を守るための団体を立ち上げ、介護者法の確立に向け運動を進めていく予定です。
―しかし、法を作るだけでは、現実の問題は解決しないのではないでしょうか。
もちろんです。介護者法の成立を目指すと同時に、介護者の心身の状況などを推し量るアセスメント作りにも取り組みたいと考えています。アセスメントについては、まだ検討を始めたばかりなので、多くは語れませんが、例えば「うつ状態」にあるかどうかの検査項目などは、ぜひ盛り込みたいですね。
いずれにせよ、このまま手をこまねいていては、介護殺人も虐待も減ることはありません。一刻も早く、介護者を守る法とシステムを整備する必要があります。
キャリアブレイン 2010年05月15日 原文のまま
編者:介護殺人についてのまとまった貴重な意見だ。介護保険が介護者も守るはずだが、負担が軽減していないとの指摘だ。「介護者法」で問題解決するのか、介護保険が介護者の生活をも守るように改善することが先決と思う。

「利用者の9割がケアマネに対して満足―居宅介護支援満足調査」(5月10日/ケアマネジメントオンライン)
セキュア・テクノロジー・パートナーズ株式会社は、居宅介護支援サービスの利用満足度の調査結果を発表した。
同調査は、4月21日から4月30日まで、SecureTPリサーチに登録している居宅介護支援サービスの利用者および、その家族に対してネットを利用して調査したもので、898人から回答を得ている。
調査によると、「利用している居宅介護支援に満足していますか 」という問いに対しては「大変満足」が29.5%、「満足」が60.5%とあわせて9割が満足している結果となった。一方で、「不満」が8.0%、「大変不満」が2.0%あり、1割が不満を感じている。不満と答えた人のうち、具体的な不満点としては、「担当ケアマネの説明が不十分(理解できなかった、勘違いしていたなど)」が最も多く、42.6%と半数近くに上った。次いで、「担当ケアマネの対応・態度(身だしなみ、言葉遣いも含む)」が30.1%、「担当ケアマネの知識不足」が20.0%と続く。
難解な保険制度を如何に分かりやすく伝えていくかということが、顧客満足度を左右している一つの原因となっている。
ケアマネジメントオンライン 2010-5-10 12:00:00 原文のまま
編者:編者の経験からもケアマネージャーへの満足度は高い。
関連情報:セキュア・テクノロジー・パートナーズ株式会社 10/05/06 ニュース番号:147
【調査結果】CS(顧客満足度)調査:居宅介護支援
【調査概要】
調査目的:居宅介護支援のCS(顧客満足度調査)の実態調査
調査期間:2010年4月21日から2010年4月30日
調査対象:SecureTPリサーチに登録している居宅介護支援サービスの利用者及び、その家族
調査方法:ネットを利用したWeb調査
有効回答数:898人
※小数点第2位以下を四捨五入
【調査結果】
Q1.
利用している居宅介護支援に満足していますか
A1.
大変満足:29.5%
満足:60.5%
不満:8.0%
大変不満:2.0%
Q2.
不満点はなんですか(不満・大変不満と回答した方限定)
A2. (記入式回答を集約)
担当ケアマネの説明が不十分(理解できなかった、勘違いしていた等):42.6%
担当ケアマネの対応・態度(身だしなみ、言葉遣いも含む):30.1%
担当ケアマネの知識不足:20.0%
その他:7.3%

「追跡:札幌の「老老介護」無理心中 認知症、介護支援の壁に」(5月1日/毎日新聞)
札幌市の市営住宅で先月、老夫婦の遺体が見つかった。認知症を患った妻の介護に夫が疲れ果てた末の、無理心中とみられる。2人の死からは、高齢者同士の「老老介護」に対する社会の支援の乏しさも見えてくる。
事件数日前の日中、妻を散髪に連れていく夫の姿を、同じ団地に住む女性(78)が見かけた。手をつなぎ、ゆっくりと歩く2人。「仲がいいな」と感じた。「今思うと、きれいにしてから死のうと思ったのかもしれない」
2人は札幌市厚別区の斉藤清志さん(75)と妻久子さん(78)。4月12日朝、訪問したケアマネジャーの女性(50)が遺体を見つけた。道警によると、久子さんは寝室の布団に寝かされたまま首を絞められ、清志さんは近くの健康器具に掛けたビニールひもで首をつっていた。
居間のテーブルにあった便せんには「こういう形で終わることをお許しください。介護の大変さを知りました」と記されていた。現金や保険証など貴重品一式も、そろえられていたという。
近所の住民によると市営住宅には十数年前に入居。よく猫を連れて2人で散歩していた。子供はおらず、親類ともあまり連絡を取り合っていなかったらしい。
しかし数年前に久子さんが認知症を発症。清志さんも糖尿病を患い、外出の機会はめっきり減った。清志さんが「妻の寝ている間しか、ほかのことができない」と周囲に漏らす時もあったが、深刻さに気づく人はいなかった。久子さんが週1回通っていたデイサービス施設でも、運動機能に大きな問題はなかったため、担当の女性(42)は「特に手がかかる人ではなかった」と振り返る。
北海道警によると、久子さんの認知症は「重度」。訪問介護などさまざまな介護サービスが受けられたはずだが、取材で確認できたのは食事や入浴ができるデイサービスの利用だけだった。「介護保険の1割自己負担が重荷になり、上限までサービスを受けない世帯も多い」と札幌市の担当者。特に認知症は患者が環境の変化を嫌うため、家族が他人に任せず世話をしがちだ。
清志さんも独りで自宅介護を担い、心理的に追い込まれていったのか。「北海道認知症の人を支える家族の会」事務局長の西村敏子さん(62)(写真右)は「2人きりだと関係が行き詰まる。特に介護者が男性だと、慣れない家事でストレスがたまりやすい」と指摘する。
厚生労働省によると、介護が必要な認知症の高齢者は、65歳以上の7・2%に当たる推計208万人。介護保険制度の中では「日常生活自立度」を判定し、要介護認定に反映させているが、身体の障害に比べて症状が見えにくい分、実態に即した支援は難しい。
介護疲れの問題に詳しい藤野善久・産業医科大准教授(公衆衛生学)は「要介護認定は軽度の認知症や介護者が病気を持っているケースを想定していない。家族側の事情への配慮も必要だ」と指摘。津止正敏・立命館大教授(地域福祉論)は「介護保険制度は『家族が面倒をみて当たり前』という考え方から脱却しきれていない。サービスの質と量を高め、経済的にも利用しやすくすべきだ」と訴える。【片平知宏、金子淳】
◇老老介護 厚生労働省の07年国民生活基礎調査によると、要介護者がいる世帯の約6割は同居の家族が介護しており、このうち34%は介護する側も70代以上だった。介護者は6割以上が日常的に悩みやストレスを抱え、老老介護をしている3人に1人は「死にたい」と思った経験があるとの調査結果もある。北海道は昨年度から社会福祉協議会を通じ、初めての老老介護世帯の実態調査に乗り出しており、今秋までに結果をまとめる。
毎日jp 2010年5月1日 原文のまま
編者:低所得世帯には1割負担は重い。このためサービスの利用を制限することになる。これが無理心中の原因のひとつとすれば問題だ。

「「制度外サービス」高い需要浮き彫り 介護保険」(4月28日/神戸新聞) 
介護保険の制度外で生活支援を行っている神戸市内のNPOなど非営利組織10団体が27日、利用実態の調査報告書を公表した。利用の理由は、7割近くが「介護保険のメニューにないサービスがある」とし、公的制度外の生活支援の需要が高いことが分かった。調査は全国的にも珍しいといい、団体側は「制度外サービスを公的なシステムに組み込む必要がある」と提言している。
介護保険制度外の生活支援サービスを有償で提供している「ひょうごん福祉ネット」の加盟団体などが調査委員会をつくり、2008年度に10団体を利用した高齢者約850人を調べた。独居者が約半数で、約7割が高齢世帯。要介護度認定者も34%いた。
利用内容(複数回答)は、食事作りや掃除などの家事援助が約55%と最多で、通院などの外出介助が約46%。「見守り・話し相手」も3割近くを占めた。利用の理由は、使っていない部屋の掃除や病院内での介助など「介護保険のメニューにない」とした人が約65%に上った。介護保険では対象にならない高齢者が生活支援を必要としていることや、要介護者の見えにくいニーズが浮き彫りになった。
また、利用料金は1時間あたり750円〜2000円と幅はあるが、介護保険のサービスに比べると、コストは半分以下になることも分かった。調査委は「効率的なサービスが提供できているにもかかわらず、公的補助がゼロの現状では経済的に利用できない高齢者もいる」と国などに訴える。(石沢菜々子)
神戸新聞 2010年4月28日 原文のまま

★「要介護認定見直しや職員の待遇改善求める―高齢社会をよくする女性の会」(4月26日/ キャリアブレイン )
NPO法人高齢社会をよくする女性の会(樋口恵子理事長)は4月26日、要介護認定制度の見直しや介護職員の待遇改善などを盛り込んだ長妻昭厚生労働相あての要望書を、山井和則政務官に手渡した。
要望書では、要介護認定について「必要だが、見直しはもっと必要」と指摘。要介護、要支援の認定区分を現行の7段階から3段階に簡素化するとともに、将来的には地域包括支援センターなど公的な責任を持つ機関が認定を担うことが望ましいとした。
また、介護職員の待遇について、賃金のアップが介護報酬に影響しない仕組みの構築を求めたほか、保険制度外で高齢者を支える人材が必要と明記した。
さらに、介護保険の財源問題にも言及。公費負担割合を現行の5割から6割に引き上げるほか、低所得者に配慮することなども求めた。
介護施設については「高齢者の尊厳を保つ」ことを重要視し、利用者1人当たりの居住空間を25平方メートル以上にすることや、人員配置基準を見直すことなどを提言した。特別養護老人ホームの多床室化は「時代に逆行する」と批判した。
このほか、▽在宅生活を継続するために支給限度額を引き上げる▽介護を担う家族への支援を充実させる▽生活援助を介護保険から切り離さない―などを提言した。
キャリアブレイン 2010年04月26日  原文のまま

「介護施設ベテラン不足 勤続6年超わずか3割強 福島」(4月22日/河北新報)
福島市で介護施設を運営するNPO法人まごころサービス福島センターは21日、福島県内の介護施設の職員を対象に実施したアンケートの結果を発表した。現在の施設に勤続6年以上のベテランは3割強にとどまり、低賃金や職場の方針との対立などを理由に離職している実態が浮かび上がった。
センターは離職防止策などを探ろうと今年1月、中通り地方の600施設に調査票を送り、148施設の計314人から回答を得た。
現在勤務している施設での勤務年数は0〜2年が34%、3〜5年が32%、6〜10年が25%、11年以上が9%だった。介護職員としての転職経験がある人が44%に上った。
辞めた理由は「家庭の事情」が14%、「給料が足りない」と「経営方針と一致しなかった」が各13%、「重労働」10%、「同僚との関係」9%など。職場環境が原因となるケースが多く、働きやすい職場を求めて勤務先を変わっていることがうかがえる。
勤務を続けるための改善点(複数回答)では、68%が「給料の増額」と回答。安定性や将来性、人員不足の解消、休日増などを求める人も目立った。介護の充実や経営安定に向けた課題としては、職員の創意工夫や地域との連携、介護保険制度の改正などが挙げられた。
センターの須田弘子理事長(写真)は「離職防止のためには、事業者と職員が経営方針や働きがいについて、もっと議論する必要性を感じた」と話している。
Kol Net 2010年04月22日 原文のまま

「絶えぬコール、緊張の夜勤 神戸の特養施設ルポ」(4月20日/神戸新聞)
介護の担い手でありながら、重労働や低賃金などから、施設の介護労働者は「5K」とも呼ばれる。人員が手薄な夜間勤務は、長時間の緊張で神経をすり減らし、十分な休憩時間もとりづらい。神戸市長田区の特別養護老人ホームの一夜を再現する。(萩原 真)
【午後8時45分】
「内出血に気をつけてください」
主任の白井由美さん(30)=仮名=が職員2人から申し送りを受ける。この夜は入居の15人とショートステイの10人を1人で担当。69〜101歳。ほとんどの人に認知症がみられる。
介護施設で深夜帯に入居者の対応をする職員は「夜勤」と呼ばれる。この施設では、翌日の午前9時15分までが勤務時間だ。しかし、ほかの施設では人員不足などから、夕方から夜勤体制に切り替わり、連続で16時間働くことも珍しくない。
【午後9時34分】
翌日の朝食準備をしているとPHSが鳴った。発信場所のトイレに走る。中に入った車いすの女性(94)が、介助を求めてコールボタンを押していた。
【午後10時30分】
朝食準備を終えると、1回目のおむつ交換の時間。シャツがぬれてしまった男性を抱え車いすに乗せると、隣室からPHSが鳴った。女性(99)が室内のポータブルトイレに座ろうとした際、離床をセンサーが感知したようだ。女性の介助を終え男性のもとへ。「寒いのに待たせてごめんね」
特養の介護・看護職員の最低基準は国の省令に基づき、入居者3人につき1人と定められているが、交代勤務の仕事のため、実際の配置はそれを下回る。介護報酬では、夜勤の職員1人あたり入居者20〜30人を担当するのを想定している。
白井さんが働く特養は全室個室、入居定員60人で、定員10人のショートステイを併設している。この夜は上階で2人の職員が約20人ずつを担当。電話や緊急時にのみ対応する宿直者が事務所に1人詰めている。
【午前1時54分】
おむつ交換の途中、PHSに入居女性から着信がある。寂しさからか、夜間は頻繁にコールする。「寝ましょう」と話し部屋を後にしたが、1、2分おきに8回連続の着信。再び女性の部屋に行くと、コールボタンを握りしめたまま眠っていた。
介護労働安定センターの2007年調査では、夜勤は平均月4・5回で、職員1人あたりの担当人数は20〜24人が最多(35%)。25人以上も約26%いた。1人夜勤の約39%が「仮眠はとれない」と回答。08年調査では、入所施設で働く人の約65%が人不足を、半数以上が夜間の事故の不安を感じていた。
【午前3時21分】
巡回と体位交換を終える。廊下では先ほどの女性が車いすでトイレに向かう途中、言葉にならない声を上げていた。
夜間の負担軽減のため、国は09年の介護報酬改定で、夜勤職員を加配した施設に報酬を上積みするようにしたが、「最低基準そのものが低過ぎる」という指摘もある。
【午前7時】
お年寄りを起こし、身支度を手伝っていると、同僚が出勤してきた。この夜で備品補充など20の業務をこなし、PHSへの着信は60回以上に上った。仮眠はおろか、席を温める間もなかったが「何事もなくいつもより平穏でした」。白井さんは安堵(あんど)の笑顔を見せた。
◇負担増加、離職にも 日本介護福祉士会(東京)の石橋真二会長の話
利用者が重度化した上、介護予防からターミナルケアまで職務の幅が広がったことなどで、現場の負担は増し、離職にもつながっている。より専門性が求められるが、研修を受ける時間もない。最低基準はせめて2対1とし、重度者の割合などに応じた基準も必要だ。
神戸新聞 2010/04/20  原文のまま
編者:こうした体験レポートは最近珍しい。相変わらずきつい施設における介護現場を垣間見る思いだ。

「県レベルで全国初、緊急ショート用病床を確保―富山県」(4月19日/ケアマネジメントオンライン)
富山県は、4月12日から県内2カ所の療養型の病院で、緊急にショートステイが必要になった在宅療養者が病床を利用できる事業を開始したと発表した。
目的は介護者が急病や休養などで在宅の療養者の介護ができなくなった場合に備えるもので、市町村レベルでは既に横浜市、川崎市、仙台市などが取り組んでいるものの、都道府県レベルでは全国で初めてだという。
事業を実施するのは、高岡市の光ケ丘病院と黒部市の桜井病院で、それぞれ2床ずつ。人工呼吸器の装着など、特別な医療的管理にも対応できる。利用期間は原則7日以内。介護保険の通常の利用料と食費などが必要で、緊急に利用すべき状況が生じた場合は、ケアマネジャーが利用申し込みを受け付け、主治医などの指示を受けるなどして、居宅サービス計画を作成し、実施医療機関に直接申し込む。
県高齢福祉課は「利用実績が上がれば、富山や砺波医療圏にも広げ、全県を網羅したい」としている。
ケアマネジメントオンライン 2010年4月19日 原文のまま

★「特養ホームに対して、身体拘束による県内初の減額措置―滋賀県」(4月14日/ケアマネジメントオンライン)
滋賀県によると、栗東市出庭の特別養護老人ホーム「淡海荘」で、本人や家族の同意を得ずに利用者の身体拘束をしたことが、昨年7月の県の監査でわかった。既に、介護報酬の減額、改善指導などの処分は完了し、現在、身体拘束は行われていないという。
監査で発覚したのは、ベッドを柵で囲んだり、車椅子を利用する際、Y字型ベルトでの固定するなどの3件。それ以外に、過去の違反例の報告を求めたところ、2006年4月〜昨年7月に計88件の違反がわかった。
同施設が県に昨年8月に提出した改善計画では、身体拘束をすべてやめ、職員を増やし見守りを強化。身体拘束をチェックする委員会で不適正な例が起きないよう努めるとし、3か月後の改善状況の報告で、改善が確認された。
介護保険の指定基準における身体拘束の対象となる行為は、「徘徊しないように、車椅子や椅子、ベッドに体をひもで縛る」「転落しないように、体をベッドにひもで縛る」「自分で降りられないように、ベッドを柵で囲む」「点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひもで縛る」「同じくチューブを抜かないよう、皮膚をかきむしらないよう、ミトン型の手袋をつける」「車椅子や椅子からずり落ちないように、Y字型ベルト、腰ベルト、車椅子テーブルをつける」「おむつをはずさないように、介護衣を着せる」「立ち上がれないような椅子を使用する」「行動を落ち着かせるため、向精神薬を過剰に服用させる」「居室などに隔離する」の11項目。
「切迫性」「非代替性」「一時性」の要件を全て満たした場合のみ例外が認められているが、利用者本人や家族に対して十分理解を得るように努めること、身体拘束の実施内容を記録することなどが求められている。
これらに違反して、一人でも拘束理由を記録していない場合は、改善計画書を提出した翌月から改善が認められるまで、入所者全員の介護報酬を1日5単位減算すると決められている。今回のケースでは改善が認められ、3か月分、40万9,500円の減額となった。
県によると、県内の全67施設を対象に2年後ごとに監査を行っているが、2006年度以降で、記録なしの身体拘束が確認されたのはこれが初めてで、減額請求も初めてだった。
ケアマネジメントオンライン 2010年4月14日 原文のまま


「【ゆうゆうLife】福祉用具の価格差、なぜ?」(4月2日/産経新聞)
福祉用具のレンタル価格が高かった例(横浜市) 
□不要な機能 見直しで節約
介護保険で車椅子(いす)や介護用ベッドなどの福祉用具を借りた場合、同じ用具でもレンタル料の差は5倍以上になるケースもある。しかし、法外に高いレンタル料でも9割は介護保険でカバーされるため、利用者はなかなか高いことに気付かないのが現実だ。どのような点に気を付け、用具を選んだらよいのだろう。(牛田久美)
東京都内の主婦、小林和子さん(45)=仮名=は、布団での寝起きが難しくなった義母(83)のため、介護用ベッドを借りることにした。事業所から「1カ月の料金差はほんの数百円ですから」と勧められ、多機能な介護用ベッドを契約。ところが、すぐに不要な機能が多いことに気付いた。
「ベッドが上下する機能は、寝たきりの人を世話するには腰痛予防に便利。でも、義母は自分で起き上がれる。高さを固定したかったが、ボタン操作も複雑で不用意にボタンを押すと、ベッドが上下してしまったり、背もたれを起こそうとしたら足が上がっちゃったり…」と苦笑い。
複雑なベッド操作に辟易(へきえき)し、数カ月後、背もたれだけが動くベッドに借り換えた。価格は月1700円から1500円に。利用者負担はわずか200円の節約だが、レンタル料の9割は介護保険でカバーされるので、毎月2千円が余分に支払われていた計算になる。
「介護保険にとっては大きな節約ですね。介護度の進行に合わせて交換できるのがレンタルの良いところ。きちんと選ぶのは大切だと思いました」
                 ◇
横浜市が調べたところ、転落防止のためにベッドに取り付ける「ベッド柵(さく)」のレンタル料は神奈川県内の平均で月560円(自己負担は1割)。これに対し、同じ商品を月に3千円で借りている人もおり、レンタル料の差額は最大5・4倍に上った。
同市は県内平均の2倍以上の価格でレンタルしている事業所に事情を確認。1月末には、2倍以上のレンタル料を支払う利用者263人に「利用状況のお知らせ」を発送した。以来、価格を下げる事業所も出ており、「効果が表れ始めている」(横浜市の松本均介護保険課長)という
高額なレンタル料を払う利用者にその旨を通知するなどの取り組みは現在、全国101の自治体に広がっている(準備中を含む)。横浜市の特徴は希望小売価格を知らせたこと。買うと7千円、借りると月2千円のつえは、約3カ月で新品を買えることなどがすぐ分かる。
もう一つの特徴は、通知の対象が「2倍以上」という分かりやすさ。松本課長は「市民に分かりやすいよう、平均の2倍以上を支払う利用者にお知らせしたが、本来、1・9倍でも高い。すべての利用者に、自分がレンタルしている用具の適正価格に関心を持ってほしい」と話している。
                  ◇
□安ければよいわけでもない
同じ福祉用具でも、レンタル料は事業所によって大きく異なる。この差はなぜ生まれるのだろう。
業界最大手「フランスベッド」(東京都新宿区)の大工原(だいくはら)弘さんによると、レンタル料にはモノの価格のほか、搬送、消毒、保管などのサービス価格が含まれる。
中でも価格への影響が大きいのは、新商品が出るまでの期間の長短と、その際に商品入れ替えをするかどうかの企業判断だ。
同社では介護用ベッドの事故を防ぐため、新商品が開発されると、レンタル品もすべて新商品に入れ替える。その費用は億単位に上る。「入れ替えを行うかどうかは、経営者の倫理に委ねられているのが現状です」(大工原さん)
こうした商品交換を行わない会社ではレンタル価格は一般に安くなるが、旧型ベッドがレンタル市場に流通し続ける結果になる。
経済産業省は介護用ベッドの事故が相次いだのを受け、平成19年から重大製品事故の公表を始めた。しかし、誰もがこうした情報をチェックしているわけではない。業者が安全に対する考え方や価格の内訳などを十分に公開しない中、利用者らが安さだけを追い求めることに警鐘を鳴らす声もある。
福祉用具レンタルの実態調査報告(20年、テクノエイド協会)では「利用者にとってサービス内容の分かりやすさと、利用しやすさを両立できる仕組みが重要」と明記。福祉用具のレンタルをめぐる意識改革が急務だ。
産経ニュース 2010年4月2日 原文のまま

「「老い」を歩く:/1 鍵 認知症徘徊で施錠/群馬」(4月1日/毎日新聞)
◇火災時の危険抱えたままの入所施設
夕食の後かたづけをしていた時、近くの住民が血相を変えて怒鳴り込んできた。「お宅の人が、うちの庭に入って木の葉をむしって食べてたんだよ。なんでちゃんと面倒を見ないんだ」
5年前の夏。7人が入居する前橋市内の老人施設から、一人の男性(75)が抜け出した。職員がキッチンで皿洗いしている一瞬のすきに、鍵がかかっていない出入り口のノブを回していた。男性は重度の認知症。職員が慌てて駆け付けると、パジャマ姿の男性は裸足で立ちつくしていた。口の周りはかみ砕いた葉で緑色に染まっていた。
「どうしたの?」
「おなかが減ったんだよ」
この施設はこれまで入所者の徘徊(はいかい)に職員が寄り添い、一緒に歩く介護を実践してきた。しかし、この「事件」を契機に、出入り口には鍵をかけるようになった。施設の男性経営者(50)は振り返る。「認知症の人の徘徊に悪意はない。でも、周りに迷惑をかけるわけにはいかない」
徘徊した入所者に理由を尋ねても、「子供を迎えに行く時間だから」「間違えて刑務所に入れられてしまったから逃げた」など、慣れない人には理解できない言葉が返ってくることがある。
昨年3月、火災で入所者10人が死亡した渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」では、入所者の夜間の徘徊防止を理由に、3カ所で施錠していた。簡単には外せないこの鍵が、犠牲者増を招いた一因と県警渋川署捜査本部はみている。
「徘徊の人は施錠しなければ危険がある。苦しい立場だった」。たまゆらを運営していた「彩経会」の責任者で、初公判を待つ高桑五郎被告(85)=業務上過失致死罪で起訴=は保釈後の3月中旬、毎日新聞の取材に語った。
入所者の夜の徘徊を機に、日中も鍵をかけることになった施設の経営者は高桑被告に同情を寄せる。「どんな施設でも鍵をかけざるを得ない。それが現実なんです」。夜間当直は多くの類似施設と同じで一人だけ。火災が起きた場合、全員を助け出すのは無理かもしれないと考えている。
親をこの施設に預けようと訪れる人に、経営者はこう説明して理解を求める。「お年寄りの骨はチョークのように軟らかい。鍵をかけたほうが安全なんです。一定の覚悟をしてください」
厚生労働省によると、認知症の高齢者は全国で約150万人(02年)。1年後をめどに最新の認知症患者数をまとめる予定だが、5年後には約250万人に達するとの推計もある。【鳥井真平】
   □
間もなく戦後65年。日本を高度経済成長へと導き、社会の土台を築いてきた高齢者を、どう支えていけばいいのか。誰もが迎える「老い」の現場を記者が歩いた。=つづく
毎日jp 2010年4月1日 原文のまま
「「老い」を歩く:/2 基準違反 県指導、その場しのぎ/群馬」(4月2日/毎日新聞)
◇施設は維持運営に精いっぱい
「駄目ですよ、これ」。県職員が白い内壁を拳でたたいた。薄っぺらな壁は、建築基準法が定める耐火基準を満たしていなかった。施設内に火災報知機はなく、居室がある2階には非常階段もない。廊下の広さは国の指針(最低1・4メートル)を下回る約1・2メートル。車椅子がやっと通れる幅だった。
昨年春、県が立ち入り調査に入ったのは県央地域のアパート。NPO法人が2階建ての4世帯が暮らせるアパートを借り、65歳から99歳までの高齢者9人(要介護度4〜2)が入所する。このうち4人は、外出に車椅子が必要だったり、入浴などの介助が必要な要介護4だ。
「基準を満たしていない。9人も暮らしているので、まず有料老人ホームの届け出をしてほしい」。県は迫った。施設基準については「改修するか、違う場所に移るか考えてほしい」。
「福祉アパート」としてこの施設を開業したのは07年10月。最初に入居したのは19歳の知的障害者の少女だった。有料老人ホームにする意図はなかった。しかし、口コミで行き場を失った高齢者が次々集まってきた。いつのまにか、お年寄りだけの「無届け有料老人ホーム」になっていた。そこに、10人が死亡した老人施設「静養ホームたまゆら」の火災が起きる。県の立ち入り調査が入ったのは、火災から1カ月余りたった昨年4月のことだった。
入所者から徴収する費用は月9万3000円。基準違反を指摘されても、維持運営に精いっぱいで、築後数十年とみられる建物の改修はためらわれた。
3カ月後。2度目の立ち入り調査を受ける。「この施設ではだめです」。県の指導に施設の男性経営者(40)は切り返した。
「じゃあ、施設をやめるので、そっちで引き取ってくださいよ」
「それはできません。家族がどうしたいかの問題なので」
押し問答になり、結局、経営者はこの施設を引き払うことを決めた。しかし、基準を満たした移転先に入居できるのは今年11月。この間、火災が起きないとは限らない。施設長の女性(38)が県に移転計画を伝えると、県の担当者は「そういうことであれば、廊下に避難灯だけでも設置してほしい」。
階段踊り場の壁には今、直径約10センチのスポットライトのような避難灯が一つ設置されている。人が通り過ぎるとセンサーが反応し、階段を照らす。県の担当者の一人は「ケース・バイ・ケースで現実的な対応を指導している」と話す。一方、施設長は自嘲(じちょう)気味に話した。「これで夜の安全が担保されるとは思えない。その場しのぎにすらならない」【鳥井真平】=つづく
毎日jp 2010年4月2日 原文のまま
「「老い」を歩く:/3 発信器GPSで位置確認/群馬(4月3日/毎日新聞)
◇徘徊対策でニーズ高まる
「いつでも、どこでも、誰でも恩恵が受けられる」を意味する「ユビキタス」。情報通信技術の発達がもたらした「ユビキタス社会」は、高齢者の世界にも浸透しようとしている。
「こんなもん、何でつけるんだよ!」。県内の高齢者施設に入居する男性(74)の首に、ひもでつるした小型GPS(全地球測位システム)発信器が取り付けられた。GPSは、子供の安全のために持たせるICタグなどと並ぶユビキタス社会の一ツール。男性はこの発信器を首から外そうともがいた。「安全のためのお守りだからね。仕方ないよね」。施設長を務める女性ヘルパー(38)がなだめると、男性は押し黙った。
昨年10月。男性は朝食を済ませると、姿を消した。冷え込んだ朝だった。パトカーに乗って戻ってきたのは約1時間後。施設から約1キロ離れた和菓子屋でショーウインドー越しに、商品を見ていたところを警察官に保護された。
男性は東京都内のホテルを定年退職後、古里の三重県鳥羽市の離島で1人暮らしを続けていた。前橋市に住む長男が呼び寄せ一緒に暮らし始めたが、軽度ながら認知症が進むと、この施設に預けられた。
「すみませんね。すみません。反省してます」。部屋着姿のまま施設を出た男性は、震えながら繰り返した。数日後、発信器がつるされた。充電する時以外は始終、外してはいけないルールに合意した。「かわいそうですよね。でも、安全のためですから」。ヘルパーは説明する。
GPSは高齢者施設での「標準装備」になろうとしている。
前橋市内の養護老人ホーム。ここでも入所者数十人のうち3人がGPS内蔵の発信器を身に着ける。施設関係者は「職員の数も少なく、いつも見守ることはできない。ある程度は頼りにしている」と話す。
山梨県は全県域が総務省の「ユビキタス特区」に選ばれた。1人暮らしの高齢者や軽度障害者に携帯電話を無償で貸し出す。外出した認知症の高齢者が、帰り道に迷った時、ボタンを押すだけでコールセンターに助けを求めることができたり、GPS機能で位置確認が可能となる。8月から社会実験を始める。同県長寿社会課の小林健造課長補佐は「認知症高齢者の徘徊(はいかい)対策としてニーズは高いはずだ。実用化してほしい」と期待する。
計算機科学が専門でユビキタスに詳しい立命館大の西尾信彦教授は「機械は施設の職員の作業を軽減するものにすぎない。見守りが重要であることに変わりはないということをもっと認識する必要がある」と指摘する。
「仕方ないよね。おれがふらふらしたら、みんな困るんだよね」。施設で男性は、発信器を見つめながら、記者に語った。【鳥井真平】=つづく
   ◇
□ご意見、ご感想をお寄せください
〒371−0026 前橋市大手町3の6の4 毎日新聞前橋支局 ファクス(027・231・5667)、Eメール(maebashi@mainichi.co.jp)
毎日jp 2010年4月3日 原文のまま
「「老い」を歩く:/4 宅老所 家族に見放され/群馬」(4月6日/毎日新聞)
◇法改正で弱者の居場所少なく
重度の認知症の女性(80代)を預かったのがきっかけだった。
5年前。前橋市内のデイサービス施設の職員が、車でこの女性を自宅に送り届けた。施設がオープンしてまだ3日。家は真っ暗で、玄関には鍵がかかっていた。チャイムを押してしばらくすると、扉越しに怒気を含んだ長男の声が返ってきた。
「(家の中に)来させないでくれ。面倒を見るのは限界なんだ」
この施設では、男性経営者(50)が、かつて接骨院だった2階建ての建物を借り、高齢者のショートステイを受け入れたり、食事サービスを提供していた。しかし、この女性の家族は預けたきり。数日後の夜、職員が再び女性を連れてこの家を訪ねても、明かりはともっていなかった。長男の妻の携帯電話を鳴らした。
「何時なら自宅にいらっしゃいますか」
「……」
「あしたも(デイサービスで)迎えにきますので、とにかくお母さんを家に入れさせてください」
「……。今晩は、そちらに泊めていただけませんか」
認知症の女性が着る白色のパジャマは、汚れで茶色に染まっていた。入浴から遠ざかっていたとみられ、振りまく体臭が施設内に漂った。女性の口癖は「何か食べさせて」。認知症が重く、家族の手に負えないのは明白だった。この女性以外にも、預けられたまま家に戻れない利用者が2人いた。「この施設で引き取ろう」。経営者は決断した。
施設オープンの1カ月後。お年寄りが入所する個人経営の「宅老所」に衣替えした。経営者は振り返る。「自分が育てた子供に見放され、あまりにもふびんだった」
一方、預けた家族側の言い分は違う。認知症の祖母を県内の別施設に預けたという女性(39)は「火の始末に神経を使うなど、家族は気が休まらない。症状は悪くなる一方で、未来も見えない日々が続いた」と話す。
宅老所を巡っては06年4月、老人福祉法が改正され、経営環境が一変した。従来、10人未満の施設は届け出の必要はなく、法令に定義がない宅老所として全国各地に根付いていた。しかし、「入所者保護のため法の網をかける」(厚労省)のを目的に、サービスを受ける高齢者が1人でもいれば、有料老人ホームとしての届け出が義務づけられた。
この宅老所は県の指導で07年に有料老人ホームとして届け出た。しかし、経営者によると、基準を満たせずに廃業した宅老所は、知っているだけで県内で約20軒。「家族に見放された人の居場所が少なくなった」と指摘する。県介護高齢課は「本県に宅老所の定義はない。(このような施設は)原則有料老人ホームになる」。
一方、佐賀県は宅老所設置に最大500万円の補助金を出し、03年度に11件あった宅老所は、09年度に109件に増えた。同県地域福祉課の松永康明主査は「介護保険制度のみでは高齢者を救えない」と説明する。
対応の違いは、あまりにも大きい。【鳥井真平】=つづく
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毎日jp  2010年4月6日 原文のまま
「「老い」を歩く:/5止 地域ネット「見守り力」が重要/群馬」(4月7日/毎日新聞)
◇認知症でも普通に暮らせる社会に
沼田市久屋原町で認知症ケアに力を入れる「いきいきクリニック」にある日、息子が父を連れてきた。「おまえは誰だ?」「おれの息子は何十年も前に死んでるんだが」。父の認知症は、発症から数年経過しているとみられ、我が子を認識できないほど進んでいた。息子は困り果て、追いつめられた末に、診療所のドアをたたいた。
田中志子(ゆきこ)院長によると、血のつながりが深いほど、認知症という事実を認めようとしない傾向があるという。人によっては「恥ずかしい」との思いにとらわれ、治療開始が遅れる。
物忘れ、徘徊(はいかい)、幻覚……。手に負えなくなると、子供の多くは親の受け入れ先を探す。しかし、厚生労働省によると、特別養護老人ホームに入所待ちの高齢者は全国で約42万人(昨年末)。田中院長は「認知症のお年寄りが、地域で当たり前に暮らせる社会に」と考える。そのために必要なのが、認知症患者の世界を理解することだという。
例えば、幻覚や幻視が伴う「レビー小体型認知症」の場合。飛ぶハエをつまむような動きをするが、本人には実際にハエが見えており、そのハエを追いかけ懐中電灯で照らす。この時、「そんなの見えないよ」と責めてもけんかになるだけ。話に合わせて殺虫剤をまいてあげたりすると、本人の気持ちが落ち着くという。
03年12月。沼田市に隣接する昭和村で、認知症の80代の女性が行方不明になった。徘徊に出たまま、今も行方知れずだ。この事件がきっかけで05年、同市や市社会福祉協議会、市在宅介護支援センター協議会でつくる「沼田市認知症にやさしい地域づくりネットワーク運営協議会」が発足。田中院長はアドバイザーを務める。高齢者が行方不明になると、警察から行方不明者の服装や特徴、過去の徘徊歴などが記載されたファクスが、郵便局やコンビニエンスストアなど約100事業所に送られ、「FM OZE」で放送される。
   □
昨年10月初め。沼田市内の夕暮れ時は、小雨に煙っていた。市役所から北東に約3キロ。家族で温泉につかろうと車で出掛けた介護福祉士、市原幸(みゆき)さん(34)は、小走りに歩く白髪の男性が目にとまった。黒っぽいトレーナーと紺のジャージー姿。傘を差していなかった。
2時間後の帰り道。同じ男性が沿道を歩いていた。市原さんは、ネットワークに参加する知人に連絡、男性は保護された。認知症だった。市原さんはこの出来事を機に、行方不明情報がメールで届くネットワーク会員に登録した。
ネットワーク設立から今年3月末までに発信された行方不明情報は89人分。86人が発見されたが、7人は山に迷い込んで行き倒れになるなど既に死亡していた。3人は行方不明のままだ。「地域の『見守り力』が重要だ」。同協議会の木村敬史事務局長は指摘する。
田中院長は語る。「認知症は誰にでも起こりうるし、悲しいことでも、恥ずかしいことでもない。隠す必要もない。徘徊する人がいれば、地域のみんなが真剣に探してくれる街を作ることが大切だと思う」【鳥井真平】=おわり
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毎日jp 2010年4月7日 原文のまま

「介護業界で“男の寿退社”が相次ぐワケ 介護福祉士の33歳男性のケース」(3月29日/日経ビジネスオンライン)
小林 美希 【プロフィール
「結婚を機に、仕事を辞めた。最後はまるで、寿退社のようだった」
介護福祉士の川上圭一さん(仮名、33歳)は、2年前、結婚を機に「これ以上、給与が上がることはないだろう」と介護業界から去った。結婚し、子どもができた時に家計を維持してはいけないと思ったからだ。そんな“現代版・男の寿退社”が、介護業界では数年前から囁かれている。
圭一さんは高校卒業後、介護専門学校を出て入所型の介護施設で働き始めた。圭一さんが就職した頃は、2000年に介護保険制度がスタートしたばかりで業界に勢いがあり、介護の世界に魅力を感じて就職した若者が多かった。
ずっと働けるか、不安になった
就職してから、24時間対応型の訪問介護ステーションで働くホームヘルパーの清美さん(仮名、29歳)との交際が始まった。結婚が視野に入った時に、圭一さんと清美さんは、「このまま結婚して、やっていけるか」という強い不安にかられた。
圭一さんの月給は手取り20万円。ボーナスは年に基本給の2カ月分程度で年収は約320万円。清美さんの給与もほぼ同じ額で、2人の収入を合わせれば、世帯収入は年600万円程度となる。2人がずっと働き続けることができれば、贅沢しなければ、やってはいける。
ただ、圭一さんの周囲でも清美さんの周囲でも、妊娠が分かった後で流産したり、切迫流産や切迫早産となって仕事を続けられなくなったりする女性が何人もいた。同じ心配をして辞める同僚の女性もいたため、その心配が頭から離れなかった。万年人手不足とも言える介護業界の中で、妊娠したからといって業務負担が軽減されることがなく、無理を強いられる場面が少なくないからだ。
清美さんの職場では、経費削減のため1人当たりの夜勤回数が増えたり、2人で回っていた夜勤のシフトが1人になったりするなど、負担が増していた。訪問介護は入所型の施設より賃金が低く、休日も取りにくいため、特に人が入ってこない。
個人加盟労組のUIゼンセン同盟の日本介護クラフトユニオン(訪問介護が半数を占め組合員数は約5万4000人)の「就業意識実態調査」(2008年度)では、月給制の組合員の平均月収は「15万円以上〜17万5000円未満」が最も多い22.9%を占めている。また、1年間の有給休暇の取得状況について、月給制で23%、時給制で27.4%が「0日」と答えた。
夜勤労働者や寝たきりの高齢者の体を支えるなどする「重筋作業」の多い介護職は一般労働者より流産の危険にさらされている。日本医療労働組合連合会の「介護・福祉労働者の労働実態調査報告書」(2008年7月)によると、介護職の24.7%、つまり4人に1人が「切迫流産」を経験しており、全産業平均の19.2%(全国労働組合総連合調べ)より高いことが分かる。
また、2007年5月の産業衛生学会で報告された「介護労働者の月経関連症状および妊娠異常について」では、介護職の妊娠異常の高さが分かる。この調査では全国402の介護事業所、4262人の女性から回答を得た。この調査に携わった、滋賀医科大学の北原照代講師によれば、「回答者から45歳未満の女性を抽出し、妊娠経験者374人のうち156人が切迫流産や流産の経験をしており、その率は42%に上った」と言う。
夜勤に規制がない介護職
夜勤について、介護職の場合は看護師と違って、規制がかけられていない。例えば、看護では、診療報酬(入院基本料)の中で看護配置基準の「7対1」(患者7人に対して看護師1人)の基準をクリアする項目に「月平均夜勤時間72時間以内」などの規制がかけられており、管理者側にある程度の抑制が働く。しかし、介護職の場合、介護報酬制度でなんの夜勤制限もかけられていないため、野放し状態の原因となってしまう。
さらに、無事に出産に至った場合でも、育児との両立が困難となり辞めていくのは、介護業界でも他の業界でも同様だ。売り手市場と思われる介護職でも、いったん職場に出れば「一人前」としてカウントされる。人手不足だからこそ、いっそう、マンパワーとしての期待がかかってしまう。
津市立三重短期大学の長友薫輝准教授が2009年4〜5月に実施した「津市生活ケア実態調査報告」(津市内の373事業所、383人に配布、回答率62.1%)によれば、育児や介護・看護中の職員に対しての夜勤など所定外労働の免除についての問いに対し、約30%が「ない」とされた。
こうした状況下、圭一さんは「子どもができて無事な出産を願えば、清美は仕事を辞めざるを得ない。そうなれば、自分の収入だけで当面の生活を支えなければならない」と確信した。しかし、土日もなく、毎日、深夜まで働いているのに、ボーナスは毎年少しづつ減っていた。腰痛がひどくなり、「このままでは、自分が介護されるようになる」という恐怖さえ覚えた。
やりがいがあっても生活ができない
介護・福祉分野や医療の現場では寝たきりの大人の体を動かすことが多く、「重筋作業」をすることになる。厚生労働省の指針「職場における腰痛予防対策の推進について」(1994年)では、重量物取り扱い作業が規定されている。これは、介護作業などを行う労働者も対象となっており、満18歳以上の男子労働者が人力で扱う重量は55キログラム以下、体重の約40%以下。同女子の場合は、持ち上げ能力は男性の60%程度とされている。また、重量を超える場合は2人以上で行うよう努め、小休止・休息を取るよう求められているが、人手不足の現場では、そうはいかない。
圭一さんはキャリアアップを図り、ケアマネジャーの資格も取得したが、給与は上がらなかった。他の法人に転職したところで、同じ業界内では大幅な賃金アップを期待できないだろうと、圭一さんは結婚を機に異業種への転職を考え始めた。これが、“現代版・男の寿退社”の現実だ。
「介護の仕事のやりがいを一度、知ったら辞められない。利用者とのコミュニケーションは、人としての幸せを実感できる。けれど、それを捨てて、この業界から出ていかなければいけない現実が切ない」(圭一さん)。
自分が介護することで、利用者が元気になることもあれば、人生の先輩でもある利用者に教えられることがたくさんある。強く他人と関わり合い、その人の最後の人生を支えて、よりよい生活を支援していく介護の仕事を圭一さんは一生続けたいと思っていた。
しかし、それでは現実の自分の人生が成り立たなくなってしまう。断腸の思いで、「結婚するので、退職します」と、食品会社の営業職に転職した。年収400万円からのスタート。「これなら、もし清美が仕事をできなくなっても、なんとかなるだろう。清美も、妊娠中や産後、フルタイムの正社員では負担が重いがせめてパートでもできれば収入が少しは安定する」と思えたが、後ろ髪を引かれる思いでいっぱいだ。
年収250万円でいいのか?
介護保険制度が始まった2000年以降に介護業界に就職した若者たちが今、ちょうど結婚・出産・子育て適齢期に入っている。圭一さんのように、仕事のやりがいは感じているものの、賃金の低さや労働環境の悪さが、自身の家族形成を阻み、現場で戦力となる層の離職につながっている。
介護労働安定センターの「介護労働実態調査」(2008年度)によれば、事業所からの調査結果では所定内賃金は全体平均で月給21万6489円、介護労働者側からの調査結果では税込みの平均月収が18万700円。全産業の平均は29万9100円(「賃金構造基本調査」2008年)と比べ、月額で10万円近くも低い水準だ。1年以内の離職率は18.7%に上る。同センターによれば「介護職員自らが主たる生計維持者という割合は約3分の1に過ぎない」という。
その一方で、介護労働や賃金に関する国の委員会などのメンバーになっている大学教授は「介護職で共働きを原則とすれば、夫婦で年収500万円以上を得ることは可能。世帯年収が500万円あれば、ぎりぎりだが子ども1〜2人は育てられる。これは、現行の介護報酬制度下でも可能な賃金水準だ」と言及している。
この言葉を委員会の中で聞いた、ある介護施設経営者は「それは、介護職は年収250万円で構わないということか」と憤った。その学者に対し、介護職の適性な賃金水準について問うと「介護職は看護師じゃないからね。介護職の賃金が安くてもしかたない。収入を上げたければ、職種転換するしかない。そのための支援策は必要だ」と答えたという。
入所施設、訪問介護、病院など介護のニーズが高い中で売り手市場のはずが、介護職の賃金水準が低く、長時間労働も余儀なくされ、ボランティア精神を頼みにしているような状況だ。その中で、妊娠期や子育て期に安心して働きづらい現実があるにもかかわらず、夫婦共働きを前提にした家計を想定するのは、あまりに現実を見ていないのではないだろうか。政策決定過程に影響力のある識者の見解が「介護職は年収250万円でいい」ということだからといって、それを認めてしまっていいものだろうか。
厚労省は介護職の賃金の改善を図り、2009年4月から介護報酬を3%引き上げた。さらに、昨年10月から、経済危機対策として介護職員処遇改善交付金の補正予算が組まれた。厚労省が2010年3月3日に発表した「平成21年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護従事者の給与などの引き上げ状況について、2009年4月から9月の間に何らかの引き上げを実施した施設・事業所は全体の68.9%で、10月以降に実施する予定を含めると81.6%となっている。月給は前年同月比で平均で約8900円増加したという。
圭一さんの元いた職場でも、月給が1万円引き上げられたが、圭一さんは「だからと言って、思いとどまることはなかっただろう。もっと明確に収入が上がるなら復帰も考えたが・・・」と落胆する。
本来は、介護報酬引き上げや交付金により「3万円アップ」と言われていたものだが、一言に報酬の3%アップといっても、「介護福祉士が30%以上配置されていること」「3年以上の勤続年数のある者が30%以上配置されていること」など前提条件が多岐にわたり、すべてが当てはまるわけではないため、引き上げ幅は限定された。
神奈川県内で介護施設を運営する社会福祉法人理事長は「保険請求するための書類の処理が複雑になり、それだけのために事務員を雇わなければならなくなった。3%分全部が得られるわけでもなく、報酬や交付金で職員の賃金引き上げにはほとんどつながらない」と嘆く。介護従事者に直接、報酬や補助金が配分される仕組みが必要だ。
成長産業としての介護だけでは不十分
2012年度は、介護報酬と診療報酬が同時改定となる。高齢化による自然増で、介護と医療の費用増は避けられない。保険制度では、報酬を引き上げれば利用者負担も増加するため利用が手控えられて、収入減に直結する矛盾も抱えている。
高齢者や単身世帯が増加する中で、介護はこの国に欠かせないセーフティネットであるはず。そこで働く者を無視しては、成り立たない。予防介護や予防医療をセットにして財政圧迫を避ける手立てを推し進めながら、職員の労働条件や労働環境を改善する必要がある。
介護や医療は、成長産業としてだけ見ては、富裕層だけのものとなってしまう。ビジネスという視点ではなく、「国にとって必要なものだから」という視点で再構築していかなければならないのではないか。
□変更履歴
記事掲載当初、1ページ本文中で「3人に1人が「切迫流産」を経験」としていましたが、正しくは「4人に1人」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2010/03/29 17:00]
日経ビジネスオンライン 2010年3月29日 原文のまま

「誰が担うのか:介護保険10年」(3月23・26日/毎日新聞)
(その1) 頼みの特養、42万人待機
<コムスンがいいとは思いません。でも介護保険は問題が多すぎる。制度の不備を業者や利用者に押しつけている>
訪問介護最大手だったコムスンの不正が報じられた07年6月。介護福祉会社社長(52)が毎日新聞にメールを寄せた。<借金や負担が多い。せめて職員には年収200万円出したくてやりくりしていますが、人件費率が7割近い。民間では考えられません>。経営状況の厳しさがにじむ。
その社長が営む札幌市のグループホーム「みらい とんでん」で13日未明、入居者とみられる7人が焼死した。社長は医療や福祉の現場に携わり二十余年。「まじめで利益に執着しない人」とも評されるが、防火対策の不備が指摘されている。
少人数のグループホームは認知症ケアに理想的で、介護保険の目玉ともされてきた。初期投資が少ないため異業種が次々と参入し、約1万カ所まで増えた。一方で収益を上げにくい仕組みが劣悪なものも生んでいる。
入居者の重度化も進む。札幌の火災の犠牲者も半数以上が自力で歩けなかった。利用料が安く看護師もいる特別養護老人ホームに申し込み、グループホームで最期を迎える人もいる。42万人に上る特養待機者の一部だ。
施設より住み慣れた地域で暮らそう。国はそんな高齢社会を描くが、高齢者や家族の施設志向は高まる。
    □
おむつを交換中、介護士が首から下げたPHSが鳴り続ける。東京都内の特養。入所者の体が少しでもベッドから出るとセンサーが感知し、PHSに部屋番号が表示される。ナースコールを鳴らせる人はほとんどいない。
特養では重度の人が優先されるよう、待機者を点数化している。ここの待機者は300人を切ることはない。リストの上位には要介護度や医療ニーズの高い人がずらりと並ぶ。
施設長は打ち明ける。「心が痛むが、上から順に入所させれば職員が精神的につぶれてしまう」。介護士がたんの吸引などの医療行為をすることには不安がつきまとう。さらに特養から病院に入ると退院までベッドを空けていなければならない。「経営悪化は職員の待遇に響き、今以上に重度の人を入れにくくなる」
制度導入の背景には、高齢化で急増する医療費を抑える狙いがあった。国は長期入院用の療養病床を削減、自宅やグループホームで介護を受けながら暮らせると考えた。だが病院を出された人の多くは特養を頼らざるを得なかった。「早めに申し込んでおかなければ入れない」との不安が、さらに待機者を膨らませていく。
    □
介護保険制度が始まり4月で10年。超高齢社会を目前に、「社会が担う」「利用者が選ぶ」との理念は現実からなお遠い。
毎日jp 2010年3月23日 原文のまま
(その2) 受け皿は認可外施設
◇独居、貧困、親族・近隣と疎遠−−−−
団地のドアを開けたとたん、異臭が鼻を突いた。食べ残しや生活ごみが山を成し、その真ん中に敷かれた布団は排せつ物が染み込み変色していた。
医療関係の仕事をしてきた50代男性は、都心の独居高齢者たちの現実を目の当たりにしてきた。親族とのつながりは希薄になり、貧困化も進む。認知症になっても、近所付き合いの乏しさから発見は遅れがちだ。
「何とかしなければ」と06年に民間会社を設立、東京23区内で一軒家を借り上げ、要介護1〜5の生活困窮者を24時間世話する高齢者向け共同住宅を営む。部屋を仕切った3畳分の個室に12人。ほとんどが認知症だ。
この共同住宅には課題がある。実態としては介護施設に近いが、財政上広い面積の家を借りられないため、老人福祉法上の有料老人ホームなどの施設になれないのだ。入居者全員に食事や24時間介護を提供することはできず、配食や介護サービスは入居者が外部の法人と個別に契約している。
その結果、使える介護サービスは限られる。例えば訪問したヘルパーの目の前でベッドから落ちそうな人がいても、原則として介助はできない。経費も特別養護老人ホーム(特養)より割高だ。入居者のほとんどが月14万円の利用料を生活保護でまかなうが、特養に移れば保護費は2万円余りですむ。
84歳の女性入居者は最も重い「要介護5」。子はなく夫に先立たれ、アパートで1人暮らしするうちに徘徊(はいかい)が始まった。疎遠だった兄夫婦に近所から連絡が行ったが、兄も病弱で、福祉関係者のつてでここに来た。兄が亡くなると義姉は「他人の世話はしない」と、女性の通帳をスタッフに渡した。
入居者のほぼ半数は特養への入所を申請し、4年以上待つ人もいる。でも「入れる人はまれ」。ここで身寄りのない人をみとることもある。遺体をきれいにふき、新しい下着をつけ、火葬場に送り出す。
この区では独居高齢者が毎年1500人以上増えている。同様の共同住宅などは10カ所を超え、区の担当者は「こうした受け皿を頼らざるを得ない」と漏らす。現状を生み出しているのは、高齢社会を支える政策のいびつさに他ならない。
    □
日本の高齢化はこれからが本番だ。特に都市部ではスピード、規模とも世界で例がないとされる。重度になっても1人暮らしを続けられる支えは脆弱(ぜいじゃく)だが、都内で特養を建てるには土地代だけで20億〜30億円かかり、事業者任せでは進まない。
群馬県渋川市の無届け施設「静養ホームたまゆら」の火災(昨年3月)で、都内に受け皿のない生活保護受給者らが犠牲になったことを受け、都は低所得者向け小規模ホームの整備に着手した。3年間で2400人分の「都型ケアハウス(軽費老人ホーム)」を整備する予定で、10年度は11億円をつぎ込む。
事業者向け説明会に参加したNPO法人「ふるさとの会」(台東区)も、介護などが必要な生活困窮者を支えている。滝脇憲理事は「単にハコを増やすだけでは現状に追いつかない。専門職がネットワークを築き地域で支える仕組み作りにも、もっと公費を投じるべきだ」と訴える。
毎日jp 2010年3月23日 原文のまま
(その3止) 山井和則・厚労政務官に聞く
◇家族が安心できる体制に
鳩山政権は介護保険制度の現状をどう考えているのか。高齢者政策を担う山井和則・厚生労働政務官(民主)に聞いた。
−−介護保険が掲げた理念は実現したか。
◇点数をつければ落第点ではないけれど60点。介護を社会が担い、要介護状態になっても在宅生活が送れるよう目指してきたが、まだまだ頼りない。理想は在宅か施設かを本人・家族が選べるようになること。在宅でも困った時には施設で預かってくれたり、夜でもヘルパーや看護師が自宅に来てくれるなど、家族が安心できる体制にしないといけない。
−−特養の整備は進めるのか。
◇06〜08年度に整備された介護施設は8万人分。09〜11年度はその3倍の速さで施設と高齢者住宅計24万人分を整備したい。要介護5や4で重度にもかかわらず在宅で特養入所を待つ人が約7万人。心中や虐待も多く、家族の負担は限界に来ている。最も切実な人のため早急に対応する。
−−介護している家族への支援も必要で、手当を給付すべきだとの声もあるが。
◇現時点では検討していない。限られた財源を投じるなら在宅サービス充実が先だ。
−−札幌でまた、グループホームの火災が起きました。
◇根本的な課題を抱えている。数は増えたが経営者や職員の質により差が開いている。ケアの水準を上げるためにも、介護報酬などで待遇改善を図れるかが課題だ。
−−民主党はマニフェストで介護職員の賃金4万円アップをうたっているが、実現するのか。
◇09年の介護報酬アップで9000円、介護職員処遇改善交付金で1万5000円が上がるはずで、あと1万6000円をどうするかだ。介護報酬で上げれば国民が払う保険料と自己負担にはねかえり、交付金でアップを図ると対象者が制限される。これから方法を検討したい。
毎日jp 2010年3月23日 原文のまま
4止 「福祉」「自助」重い選択」(3月26日/毎日新聞)
「いまの食事で、おうちでもやっていけますか」。埼玉県三郷市のみさと協立病院(180床)の生田利夫院長は、入院患者に丁寧に声をかけて回診する。介護も必要な高齢者向けの療養病床が38床。目を患う男性(76)は2人暮らしだったが、妻の認知症が進み入院を余儀なくされた。男性のような症状の安定した患者を受け入れると病院の収入は減る仕組みになっている。療養病床を減らしたい国の誘導策だが、生田院長は「男性の転院先が見つからない」と漏らす。
療養病床の削減は06年、小泉政権の時に決まった。介護保険適用の介護型(12万床)を12年度中に全廃、医療保険の医療型(25万床)を6割減らし、医療費を年間4000億円圧縮する腹だった。ところが、鳩山政権はこの方針の「凍結」を打ち出しながら、長妻昭厚生労働相が「廃止の方向は変わらない」と話すなどふらついている。
126床の介護型療養病床を抱える東京都八王子市の上川病院。入院患者の要介護度は平均4・5と高い。「要介護度が高い人は適切な医療ケアが不可欠」と吉岡充理事長は言う。理事長らの試算では、計画通り療養病床を削減すると、約11万人が行き場を失うという。
医療と介護は不可分−−。療養病床はそうした介護保険創設時の理念に沿ったものだ。旧政権の削減方針の扱いにたじろぐ姿は、鳩山政権の介護への無策ぶりを象徴している。
高齢化は介護保険財政を圧迫する。12年度からの次期制度改革は、介護サービスの利用が増えて膨らむ給付費を増税でまかなうのか、それとも保険料アップでしのぐのかが重い課題となる。いま、税と保険料の比率は5対5。「福祉」色を強めるのか、「自助」にかじを切るのか。山井和則厚労政務官(民主党)は「国がもっと後押しする必要がある」とは言うが、「税か保険か」には明言を避けている。
介護保険の制度設計にかかわった元厚労省老健局長、堤修三・大阪大教授(社会保障政策)は住民が参加し給付率を9〜7割(自己負担1〜3割)の範囲で市町村ごとに決められる仕組みを提案する。「税の割合を高くすると(財政当局から)締め付けられる。みんなが納得する形で保険料を決められる仕組みも必要だ」と指摘している。
社会保障分野は後期高齢者医療制度の廃止、年金改革、子ども手当と課題が山積し、政権内で介護の優先度は低い。民主党が声高に叫んでいた介護職員の待遇改善は、前政権の「月給1万5000円相当引き上げ」を継承しただけ。衆院選マニフェストでうたわれた「月額4万円の引き上げ」も具体化していない。
    ×
この企画は有田浩子、遠藤和行(生活報道部)、佐藤丈一(政治部)、佐藤浩(社会部)が担当しました。
毎日jp 2010年3月26日 原文のまま








「老人施設火災で7人死亡 札幌市、女性2人けが」(3月13日/共同通信)
13日午前2時25分ごろ、札幌市北区屯田4条2丁目のグループホーム「みらいとんでん」から出火、木造2階建て約250平方メートルのうち約150平方メートルを焼き、入居者の男女7人が死亡した。
ほかに20代の女性職員1人と女性入居者1人も病院に搬送された。2人とものどにやけど。命に別条はないという。
札幌市消防局や道警によると「一階のストーブから出火した。燃え広がっている」と女性の声で119番通報があった。認知症の高齢者を対象とした施設で、死亡した7人はいずれも出火当時、建物内にいた。
現場はJR札幌駅から北に約7キロ離れた住宅地の一角。
JPNNews47 2010/03/13  原文のまま)(写真は毎日jpより)
編者:また認知症高齢者が焼き殺された!
続報1:「当直1人、誘導困難 消防計画や点検報告せず」(3月13日/東京新聞)
札幌市北区の認知症対応型グループホーム「みらい とんでん」の火災は、七人の入居者が犠牲となった。高齢者向け施設は、体が自由に動かない入居者も多く、素早く避難することが難しい実情もあり、過去にも多数の死者を出す火災が起きている。 
群馬県渋川市の老人施設「たまゆら」では昨年三月の火災で、入居者十人が死亡。二〇〇六年一月には長崎県大村市でも、今回と同じ認知症対応型のグループホームで七人が犠牲になっており、いずれも出火当時の当直は一人だけだった。
北海道警や札幌市消防局によると、「とんでん」も出火当時は入居者八人に対して当直は女性職員一人だけ。八人のうち、自力歩行が可能なのは二人だけで、この職員が入居者全員を屋外に連れ出すことは困難だったとみられる。
また、同施設は消防法で義務付けられている消防計画や消防設備の点検報告を提出しておらず、市消防局の行政指導を受けていた。現時点で違法ではないが、〇九年四月の消防法施行令改正で一二年三月末までの設置が義務付けられた自動火災報知設備などもなかった。
「たまゆら」の火災では、避難訓練の実施や消防設備改善などの注意義務を怠ったとして、業務上過失致死容疑で同施設を運営するNPO法人理事長らが逮捕されている。
北海道警は「とんでん」の防火設備などに不備がなかったか調べている。
Tokyo Web 2010年3月13日 原文のまま

続報3:「札幌ホーム火災:未明の惨事、誘導難しく」(3月13日/毎日新聞)
認知症高齢者を対象としたグループホームは90年代初めごろから導入が進んだ。国は97年度から運営費補助を始め、00年の介護保険開始後は在宅サービス事業の一つに認めたが、火災への対応は後手に回っている。
06年1月に長崎県大村市のグループホームで7人が死亡した火災を受けて、スプリンクラーの設置を義務づける福祉施設の基準を「延べ面積1000平方メートル以上」から「同275平方メートル以上」に拡大する改正消防法施行令が09年4月に施行された。しかし、既存施設には12年3月末までの猶予期間が設けられ、NPO法人北海道認知症高齢者グループホーム協議会(札幌市)によると、会員420施設のうち2割に当たる約80施設がスプリンクラーの設置に着手したばかりという。加藤和也副会長は「面積が対象外であっても自主的に設置するよう会員に呼び掛けているところだった」と話す。
また、人手不足も深刻だ。介護保険法は夜勤を「1人以上」と定めているが、経営的な理由で多くの施設は1人しかおけないという。グループホーム「のどか」(札幌市北区)の介護主任、安藤裕啓さんは「火事などの緊急時、昼なら3人いるからなんとかなるだろうが、(今回の火災のように)夜に1人で8人ものお年寄りを誘導するのは、困難だと思う。手順は分かっていても動転して避難誘導はどうにもならないのではないか」と言う。また、北区のグループホーム「ポプラ」の管理者、八島亜沙美さん(26)は「すぐにできることをやらないといけない。中には喫煙者もいるので灰皿の使用方法や台所周りのガスの点検を厳しくするなど、管理を徹底しなくては」と話した。【仲田力行、大谷津統一、中川紗矢子】
毎日jp 2010年3月13日 原文のまま
続報4:「札幌・グループホーム火災:高いニーズ、入居待ちも 札幌は200カ所以上/北海道」(3月14日/毎日新聞)
◇7人死亡火災
札幌市北区屯田4の2の認知症高齢者グループホーム「みらい とんでん」で13日未明、入居者7人が火災で死亡した。防災対策の遅れが明らかになっているが、少子高齢化が進む中、札幌では入居待ちの状態が続くなどホームへのニーズは高い。【鈴木勝一】
ホームは80年代に北欧で設置が始まり、日本では90年代初めごろからスウェーデンにならって導入が進んだ。認知症の高齢者が介護を受けながら地域の中で共同生活するスタイルが療養に効果があるとされる。
市介護保険課によると、市内で指定されたホームは2000年4月時点で9カ所(定員計101人)だったが、翌年は17カ所(同175人)、04年には一気に136カ所(同2056人)まで急増した。昨年は232カ所(同3796人)になり、「そのほとんどが定員を満たし、入居待ちの人がいる状態」(同課)。10、11年度も新たに指定する予定が既にあるという。
「みらい とんでん」の運営主体である有限会社「みらい25」は00年、NPO法人「ケアグループみらい」を設立。05年にホームの指定を受け、定員を満たしていた。同時に障害者・高齢者向け下宿など福祉事業を幅広く展開。だが、谷口道徳社長を知る関係者は「まじめな人柄で利益に執着しない半面、経営が苦しいことをこぼしていた」と話す。経済的な理由で防災対策が後回しになったともみられるが、東区のホームで働く介護福祉士の50代女性は「防火意識の甘い管理者の下では恐ろしくて働けない。行政の指導も甘かったのではないか」と、同社、行政の双方を批判した。
毎日jp 2010年3月14日 原文のまま

続報6:「「宿直1人で避難困難」 防火設備充実を」(3月17日/朝日新聞)
札幌市のグループホームで7人が死亡した火災を受け、県内の施設でも消防署が立ち入り検査や訓練を始めている。16日には徳島市のグループホームで検査と訓練があり、夜の火災を想定して入居者を避難させた。だが、1人の宿直職員だけでは人手が足りないことが改めて浮き彫りに。消防関係者からは「1人では現実問題として不可能。スプリンクラーなどの設備に頼らざるを得ない」との声も出ている。(花房吾早子)
徳島市佐古六番町の佐古グループホーム。この日、徳島市西消防署の指導で、施設には認知症のお年寄りの入居者9人と職員1人しかしないと仮定して火災避難訓練をした。当直役の介護福祉士・原マス子さん(63)は「火事です」と叫びながら、車いすを担いだり体の両脇を抱えたりして入居者を外へ避難させる。周りで見守っていた職員6人が見かねた様子で手伝い始め、約10分で完了した。
原さんは「訓練とわかっていても自分も入居者もパニックになるし、1人で助け出すのは大変」と話した。
佐古グループホームは2階建てで入居者18人、職員22人。午後8時〜午前7時半の宿直は、各階に1人ずつ。夜間の非常時には、車で約20分かかる系列のホームに救援を頼むしかないという。
美波町西の地のグループホームやすらぎは、入居者9人に対し職員7人。午後7時〜午前7時は宿直1人になる。火災などの緊急時は、敷地内にある特別養護老人ホームの夜勤職員3人に協力してもらうという。
那賀町平野のグループホーム平野のどかの里は、入居者9人、職員9人。宿直は2人だがこれ以上増やせない。住民と行事を通して交流しながら、いざという時に駆けつけてもらえる連絡網を作っている。「地域の人も何かあった時のことを心配してくれている」。運営している町社会福祉協議会の長江春雄事務局長は言う。
こうしたホームの現状に対して、阿南市消防本部予防課の担当者は「防火設備で早期発見、初期消火を徹底することが大切」と指摘する。
平野のどかの里は昨年7月、スプリンクラーを付けた。531万円かかるところを、行政から448万円の補助金が出たからだ。長江さんは「補助がなければ出費が大きすぎる」と話す。
補助金は、国の地域介護・福祉空間整備等交付金。2009年4月、消防法で延べ床面積275平方メートル以上の福祉施設にスプリンクラーの設置が義務づけられたのを受け、補助対象になった。県長寿社会課によると、県内のグループホームは131(09年4月現在)。設置義務のある117施設のうち、85施設が補助金でスプリンクラーを付けている(申請中含む)。
Asahi.com 2010年3月17日 原文のまま

「グループホーム団体連合会が初の全国フォーラム」(3月11日/キャリアブレイン)
17都道府県のグループホームの関係団体で構成する「全国グループホーム団体連合会」は3月10日、昨年の設立後初の全国フォーラムを東京都内で開いた。シンポジウムでは、グループホームが地域の中で果たすべき役割などを話し合った。
フォーラムの冒頭に同連合会代表世話人の和田行男氏があいさつし、「施設の中に閉じこもって生活をするしかなかった認知症の人たちが、グループホームができることによって地域社会とつながって生きる姿を取り戻すことができた」とグループホームの意義を強調した。また、同連合会の設立目的について、▽認知症の人が安心して暮らし続けられる社会を目指す▽グループホームが安定的に運営できる―の2点を挙げた上で、「一緒になってグループホームを健全に育成していこう」と呼び掛けた。
「グループホームの未来へ向けて」と題したシンポジウムでは、「認知症の人と家族の会」代表理事の高見国生氏が、認知症の人が国内に約200万人いるとの推計を示した上で、「圧倒的な人がグループホームに入っていない」と指摘。グループホームが果たすべき役割については、ケアの考え方や方法などの「経験」を地域住民や介護家族に対して広めることが重要とした。
また、「人手の厚さ」がグループホームの最大の特長とした一方で、現行の人員配置基準については「非常に少ない」と述べ、今後は人員配置を手厚くすべきと訴えた。
NHKアナウンサーの町永俊雄氏は、認知症の人が地域で生き生きと暮らすためには、グループホームで働く職員が「自己犠牲をしなくて済む」制度や仕組みが必要と指摘した。
また、厚生労働省老健局認知症・虐待防止対策推進室室長補佐の田仲教泰氏は、認知症を早期に発見し、行動・心理症状(BPSD)を最小限に抑えられるよう適切なケアに結び付けることが重要と述べた。
キャリアブレイン 2010/03/11 原文のまま
編者:既にある「全国認知症グループホーム協会」との関係は?

「地域包括ケアの推進へ介護保険担当課長会議」(3月5日/キャリアブレイン)
厚生労働省は3月5日、都道府県の担当者らを対象にした全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を開催し、地域包括ケアの推進に向けた方策などを説明した。
宮島俊彦老健局長(写真)はあいさつの中で、地域包括ケアシステムの概要を説明。地域の高齢者ケアでは介護を中心として、在宅医療や訪問看護を組み合わせる必要があるとしたほか、福祉分野が見守りや配食、緊急時通報など介護保険制度に収まり切らない分野をカバーすることや、高齢者の働く場や文化・教養などのアクティビティーの提供など、幅広いサービスが必要になるのではと述べた。また、高齢者の住宅を整備し、訪問看護や訪問介護などを外部から提供するといったことが、特に都市部で求められるとした。
宮島局長は今後議論すべき論点として、▽地域の中での介護サービス提供(在宅支援の強化や施設の多機能化)▽在宅療養支援診療所や訪問看護などの医療提供体制の強化▽高齢者の住まいの確保▽介護職員の資質向上▽認知症者に対するサービス確保―を挙げた。
介護保険計画課では、地域包括ケアを推進するに当たり、地域の課題や実情に応じて優先的に取り組むべき事項を市町村が選択し、2012年度からの第5期介護保険事業で位置付けるなどの方策も検討しているとした。
厚労省では、第5期事業計画策定に向けた介護サービスの見込み量の算出に伴い、地域や高齢者の課題を把握する「日常生活圏域ニーズ把握手法」について検討しており、09年度から新潟県妙高市など3保険者で、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)のハイリスク要因などの生活実態調査を先行的に実施している。介護保険計画課では、10年度に調査対象を約50保険者に広げると説明した。
振興課では来年度から「市町村地域包括ケア推進事業」を実施し、地域包括支援センターなどを活用しながら、地域におけるコーディネート機能を高める。このうち、「地域包括支援センター等機能強化事業」では、地域包括支援センターなどに「地域コーディネーター」(仮称)を配置する。コーディネーターについては、配食や見守り活動などのサービスや高齢者住宅などの情報を収集し、ケアマネジャーや住民に情報発信していくほか、専門職と連携しながら地域包括ケアに関する勉強会や講座を設けることなども想定しているという。
また地域の実情に応じて、地域包括支援センターなどがNPOなどと連携しながら、家族介護者へのサポートや高齢者を対象としたサロンの設置・運営などを行う事業も予定している。
このほか、集合住宅に住む要介護者などに24時間365日対応する窓口を設け、関係事業者が連携して緊急時対応や相談援助などのサービスを提供し、孤独死の防止や利用者の安心につなげるための事業も予定している。

キャリアブレイン 2010/03/05 原文のまま

「認知症のケア 頑張る介護職支えねば」(2月16日/信濃毎日新聞)
介護施設の2割弱が認知症の人の利用を断ったことがある。暴力や徘徊(はいかい)などの症状に、職員が対応しきれないのが主な理由という。
認知症のケアをめぐり、信濃毎日新聞社が県内のおよそ1900の介護保険施設に行ったアンケートの結果である。4割近い736施設から回答を得た。
一方で、7割近い施設が利用を断っていないことを心に留めたい。重労働と低賃金による慢性的な人手不足のなかで、介護に力を尽くす職員たちがいる。
認知症の人を抱える家族にとって、介護施設は頼みの綱だ。なのに、利用者には心細い現実が浮かび上がる。
職員の頑張りに任せていては続かない。職員の態勢そのものを厚くすることが大事だ。それには待遇の改善が欠かせない。安定して働ける環境を整えたい。
認知症の人が歩き回ったり暴力を振るったりしてしまうのは、本人なりの理由がある。職員の側にそれをくみ取り、対応できるゆとりがあれば、多くの場合、本人も落ち着きを取り戻せる。
アンケートで気になるのは、ショートステイの42%が利用を断った経験があることだ。ショートステイは在宅介護を支える柱の一つである。これでは介護者が追い詰められてしまう。
認知症の人が「ついのすみか」を見つけるのは簡単ではない。特別養護老人ホームもグループホームも、ともに21%が断っている。認知症の対応を専門とするグループホームでさえ、十分な受け皿となり得ていない。
介護職の待遇改善は、前政権からの課題である。たび重なる支援策も効果は薄い。現場の実情に合っていないためだ。
例えば、昨年秋から始まった月1万5千円の賃上げを図る「介護職員処遇改善交付金」。2年半の時限措置で、介護職員が対象だ。
現場では、介護職だけでなく看護職、事務職など、さまざまな職種がチームを組んでいる。対象を広げることを考えたい。
さらに問題なのは、この交付金では手厚いケアが評価されにくいことだ。介護保険の収入を基に算出されるため、少人数の利用者に職員を厚く配する小規模の事業者は不利になる。小さな事業所も収入増となるよう工夫が要る。
昨年春には介護報酬がプラス改定されたものの、賃上げの動きは鈍い。介護職の経済的、社会的地位を引き上げるには、制度を大胆に見直す必要がある。負担に切り込む論議を求める。
信毎Web 2010年2月16日 原文のまま
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「にいがた人模様:「うちの実家」代表・河田珪子さん/新潟」(2月14日/毎日新聞)
◇誰でも立ち寄れる場を−−河田珪子さん(65)(写真)
新潟市東区粟山4の静かな住宅街にある民家。玄関先には「うちの実家」と大きな表札が置かれている。おしゃべりする近所の人、習字をする認知症のおじいさん、手芸に没頭する精神障害者の女性。笑い声が弾む16畳ほどの居間で、思い思いに過ごしている。
年齢や障害の有無を問わず誰でも実家のように自由に立ち寄れる地域の「茶の間」をと、03年に空き家を借りて「うちの実家」を始めた。こうした「茶の間」は全国に広がり昨年11月、先駆者としてコミュニティーカフェ全国連絡会の代表に就任した。
38歳の時、子育てが一段落したのを機に、当時暮らしていた大阪府の特別養護老人ホームで働き始めた。そんななか、新潟にいた義母が認知症になった。夫は転勤で神奈川におり、一人で帰郷した。
食事、洗濯、おむつ替え。徘徊(はいかい)するため24時間、目が離せない。一人での介護に限界を感じた。「このままだといらいらしてつらくあたってしまうかもしれない。『鬼嫁』になりたくない」
90年、手助けが欲しい人と労力を提供できる人が会費を払って運営する住民互助の有償ボランティア組織「まごごろヘルプ」を設立した。「介護をする側もされる側も誇りを持って生きたい」という思いは共感を広げ、会員は2000人を超えた。
一方でこうした活動で孤独なお年寄りが目につくようになった。「入浴補助や配食サービスだけでなく、話し相手も求めているのでは」。好きなときに誰でも立ち寄れる場をと、97年に市内の公民館を借り「地域の茶の間」を月1回で試行的に始めた。参加者は予想以上に増え、常設型の「うちの実家」に至った。
「うちの実家」でコーヒーを飲む時は、みな紙コップを使う。世話をする側とされる側という関係をつくらないため、洗う必要があるコップは置かない。障害を持った人がいれば、周りの人が自然と紙コップにコーヒーをついでくれる。「いろんな人がいるからこそ、『これなら私も手伝える』と思える。さまざまな木が生えているからこそほっとできる、森のような空間を目指したい」【岡田英】
==============
□人物略歴
◇かわだ・けいこ
1944年、新発田市生まれ。西新発田高校卒業後、19歳で結婚。子どもは3人で現在は新潟市内で夫と2人暮らし。住民参加型福祉の草分けとして講演などもしている。
毎日jp 2010年2月14日 原文のまま

★「認知症「入所断った」施設が17・9%」( 2月11日/信濃毎日新聞)
信濃毎日新聞社は認知症介護を担う施設の状況を探るため、「県内施設アンケート」を行い、10日、結果をまとめた。17・9%が「認知症の症状を理由に利用や入所を断ったことがある」と回答した。
在宅介護を支えるショートステイ(短期入所)で42・9%、認知症を想定したグループホームでも21・1%に上り、暴力や徘徊(はいかい)といった認知症特有の症状に対応しきれていない実情が明らかになった
信毎WEB 2010年2月11日 原文のまま
編者:グループホームでもお断り?! 詳しい調査結果を知りたい。

「「都市型軽費老人ホーム」、4月にも―小規模ホームの参入促す」(2月8日/キャリアプレイン) 
地価の高い都市部でも軽費老人ホームを建てられるよう、厚生労働省は「都市型軽費老人ホーム」の設備・運営基準を設け、4月にも施行する。新基準では定員は20人以下で、居室面積は認知症グループホームと同じ7.43平方メートル以上。また、職員配置の基準も緩和することにより、小規模ホームの参入を促す。厚労省は3月7日まで、パブリックコメントを募集している。
厚労省が「都市型軽費老人ホーム」を設ける背景には、昨年3月に群馬県の「静養ホームたまゆら」で起きた火災により、都市部の高齢者が住み慣れた地域で暮らせない実態が明らかになったほか、7月には東京都が、都内の高齢者住宅や施設の家賃が高額となり、高齢者の住まいが不足しているとして、施設基準の見直しを求める要望書を厚労省と国土交通省に提出したことなどがある。また、厚労省は来年度、都市部を中心に見守り機能を備えた軽費老人ホームの整備に助成する新規事業を行う予定だ。
「都市型軽費老人ホーム」の整備は原則として、首都圏、近畿圏、中部圏などの「既成市街地等」を対象とする。新基準では定員は20人以下。居室は原則個室で、面積も7.43平方メートル以上と、現行のケアハウス(21.6平方メートル以上)の約3分の1。これまで必須だった「談話室、娯楽室又は集会室」の設置も不要としている。
職員配置では、施設長が常勤であることに変わりはないが、施設の管理上、支障がない場合、ホームにおける他の職務のほか、同一敷地内の他の事業所の職務に従事できるとしている。
また、サービスに支障がなければ、事務員や栄養士も必須ではないなどとしている。
パブリックコメントの募集は政府のホームページ
キャリアブレイン 2010/02/08 原文のまま

「おおむね是正 『軽い要介護度』見直し 新基準の現場徹底が必要」(1月27日/中日新聞)
介護保険の要介護度の判定が実際より軽くなりやすいとして、昨年十月に修正された要介護認定の新基準を検証していた厚生労働省の「要介護認定見直し検証・検討会」が十五日、軽度に判定される傾向は新基準でおおむね是正されたと結論づけた。今後は、新基準の現場への周知や、一層の改善が求められる。 (佐橋大)
厚労省の調査では、要介護認定の一次判定で、介護サービスを全く受けられない「非該当」になる人の割合は、昨年四〜九月の旧基準での7・3%から、十月以降の新基準では4・0%に減少。二次判定での「非該当」の割合も2・3%から1・1%に半減した。
新基準で「非該当」になる人の割合を昨年三月以前と比べると、一次、二次判定ともにまだ若干高く、検証・検討会では、「昨年三月以前よりは、まだ判定が(実態より)軽くなっているのでは」(淑徳大准教授の結城康博委員)など異論も出た。
結城委員が昨年十〜十一月、東京都など四都府県の要介護審査委員三百十人を対象に実施した調査でも、昨年三月以前に比べ、一次判定が軽くなっていると感じている委員が64%もいた。
こうした懸念に、同省は「新基準が認定の現場に徹底されていないのが原因」と分析。介護サービス希望者から聞き取りをする調査員や、調査員の書いた資料を基に要介護度を決める認定審査委員の研修が徹底している自治体では是正が進んでいると説明した。
認知症の人と家族の会代表の高見国生委員は「昨年四月に導入した基準に対しては、寝たきりの人を『自立』とし、間違った物を買っても『買い物ができる』とする非常識さに、現場は怒った。しかし、その後の厚労省の姿勢は誠実だった」とし、新基準に理解を示した。
今後は、現場への新基準の徹底を含め、認定の地域格差がなくなるような対応を進めるとともに、要介護認定が特に難しい認知症の人の状態をこれまで以上に反映させるなど、改善も必要だ。
今回の検討会では、新基準を是認したが、現場には、抜本的な見直しを求める声も少なくない。
前出の結城委員の調査では、「当面の改正は不要」とする審査委員が37・1%いた一方で、「問題が多く、早急な抜本改正が必要」が25・5%、「次回(二〇一二年見込み)の改正時で大幅に見直すべきだ」も22・3%を占め、改正時期はともかく、大幅な見直しが必要と考える人が半数近くに及んだ。
調査で、新基準について聞いたところ「一次判定で在宅が軽度、施設が重度に出る傾向がある」「軽度の動ける認知症の人の介護の手間が、一次判定では反映されていない」などの意見が現場の審査委員から挙がっている。
○要介護認定
介護の必要度を示す尺度。要支援1、2、要介護1〜5の7段階あり、それぞれ1カ月間に受けられるサービスの限度額が決まっている。市町村の調査員の1次判定後、専門家らの認定審査会が2次判定する。厚労省は昨年4月、従来の認定基準では、調査員の解釈の違いで判定される要介護度にばらつきが出るとして基準を改定。しかし、実際より介護度が軽く出る傾向があることが分かり、同10月に基準を大幅に修正した。介護度を軽く判定されると、必要なサービスが受けられなくなるなど弊害が出る。
Chunichi Web 2010年1月27日 原文のまま

「介護施設でのターミナル、ケアマネが意見調整の中心に」(1月25日/キャリアブレイン)
東京都介護支援専門員研究協議会はこのほど、研修会を開き、介護施設におけるターミナルケアの状況を報告した。シンポジウムでは、職員の果たすべき役割などが話し合われた。
ターミナルケアについて、特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症グループホーム、有料老人ホームの職員がそれぞれ報告し、医療体制が十分でないことや、スタッフの教育などが不足していることを問題点として挙げた。
有料老人ホーム「グランヴィ歳王」の西岡伸介氏は、ターミナル期のケアマネジメントの反省点として、▽本人や家族との意思疎通が十分だったか▽職員に不安はなかったか▽状態変化などに対するカンファレンスは適切だったか▽プライバシーに配慮できていたか−などを挙げた。
介護老人保健施設「めぐみ」の福田英二氏は、末期がんの男性患者を受け入れた際に、妻の希望をできるだけ聞こうとしたが、妻が頻繁に差し入れをしたり、夫を勝手に連れ出したりするなどの行動が目立ち、スタッフとの間に摩擦が生じた事例を紹介し、信頼関係を築く難しさを語った。また福田氏は、ターミナルケアではマニュアル化できないことも多く、末期がん患者の場合も、余命宣告の3か月を過ぎた後が「本当の勝負だった」と振り返った。
台東区立特別養護老人ホーム谷中」の千葉明子氏は、契約時に最期をどう過ごしたいのかを本人と話し合うほか、死期が近づいた場合は、家族、医師・看護師を交えて、どこでどのように過ごすかをケアマネジャーが中心となって話し合うとした。
また、ターミナルケアを終えた後は、スタッフが集まって反省会を開き、職員がそれぞれ思いを吐露できる場面を設けたことは、気持ちを整理する上でもよかったという。
認知症グループホーム「ニチイのほほえみ瑞江」の熊谷恵津子氏も、入居時に本人の意思や家族の思いを確認することが重要と指摘。ただし、家族の意見がそろわない場合は、ターミナルケアを受けるのはリスクが高く、「その後の対応が困難な状況も想定できるので、お断りしている」という。その一方で、本人や家族の意思決定を引き出せるように最大限の情報を提供する努力が必要と語った。
コーディネーターの「旭川荘結びの杜ホーム」の森繁樹所長は、「われわれは答えが分からない中で(ターミナルケアを)やっている。だから意見調整も必要だし、覚悟も必要。その際に中心になるのは、施設の場合はケアマネジャーではないか」と指摘した。
キャリアブレイン 2010/01/25 原文のまま

「不正請求でグループホームの指定取り消し―三重県松阪市」(1月18日/キャリアブレイン)
三重県松阪市はこのほど、指定管理者として市の認知症グループホーム施設「グループホームいいたか」を運営する「社会福祉法人いいたか」が、介護報酬を不正に受給していたとして、7月1日付で指定を取り消すと発表した。
市によれば、同法人はグループホームに介護支援専門員を配置していると偽り、実際は資格を持たない介護計画の作成担当者が2ユニット、18人分の利用者の介護計画をすべて作成していた。さらに、計画作成担当者が不在の期間もあったという。
 グループホームの運営基準では、ユニットごとに計画作成担当者を置く必要がある。また、2ユニットの場合はそのうち1人は介護支援専門員を充てなければならない。
市は同法人に対し、社会福祉法人となった2008年1月から09年7月までの不正受給分と課徴金合わせて約8043万円の返還を求める。また、今年7月1日付で同施設のグループホーム指定と同法人の指定管理者指定を取り消すまでに、新たな指定管理者を選定する方針だ。
キャリアブレイン 2010/01/18 原文のまま

「特養待機者の都道府県別人数を公表―厚労省」(1月18日/キャリアブレイン)
厚生労働省は1月15日、特別養護老人ホームへの待機者(入所申し込み者)について、都道府県別の人数を発表した=表=。東京が4万3746人と最も多く、佐賀が1317人で最も少なかった。ただし、佐賀など7県が在宅のみの人数を集計しているなど、一部の府県での集計方法が異なっているため、厚労省では「都道府県間の単純な比較はできない」としている。
特養への入所申し込み者数をめぐっては、厚労省が昨年12月に全国で約42万1000人に上るとの集計結果を発表しており、今回は都道府県別の人数を示した。
東京以外で多かったのは、兵庫(2万5100人)、神奈川(2万2865人)、北海道(2万2420人)など。また、佐賀以外で少なかったのは、徳島(1462人)、富山(1489人)、石川(1611人)などだった。
厚労省は現在、入所申し込み者の性別や年齢、認知症の程度、家族の状況などを含めた詳細な抽出調査を全国の特養で実施しており、4月をめどに公表する予定だという。
キャリアブレイン 2010/01/18  原文のまま
資料1:特別養護老人ホームへの入所申込状況調べ(都道府県別)(pdf100K) 都道府県別集計方法(pdf100K
資料2:特別養護老人ホームの入所申込者の状況(2009年12月22日)(pdf100K )

「ひと人えひめ:「デイサービスセンター池さんの管理者」池内大輔さん/愛媛」(1月16日/愛媛毎日新聞)
◇人生に寄り添う介護を ボーイから福祉職へ大転換−−池内大輔さん(27)
大阪・北新地のボーイから福祉職へ−−。デイサービスセンター池さん(西条市小松町南川)の管理者、池内大輔さん(27)はその経歴の持ち主だ。池さんの中に一歩踏み入れると、職員と利用者の笑顔と笑い声が響き、認知症の利用者も生き生きとしているようだ。池内さんに取り組みの状況や今後の目標などを聞いた。【村田拓也】
−−福祉職を始めたきっかけは。
高校を卒業後の01年から2年ほど大阪で高級クラブのボーイとして働きました。しかしそこで私が得るものはもうないと思い、実家に戻りました。人のために働こうと思い、近くの老人保健施設で働き始めました。
−−その施設を辞めて、デイサービスを始めたのはなぜですか。
利用者に対し介護のメニューをこなすだけの介護に疑問を感じるようになりました。もっと人として、利用者のことを間近で見る介護をするには、デイサービスの方が良いと思ったからです。今は、食事や入浴などのサービスをしています。利用者の希望によっては、外出に同行したりします。
−−経営は初めからうまくいったのでしょうか。
利用者は始めてから半年間くらい、一日に2、3人しかおらずとても苦しかったです。しかし不思議とデイサービスの職員たちは笑顔が絶えませんでした。徐々に利用者が増え、自分たちがやっている介護は間違ってはいないんだと思うようになりました。今では近所の人や友人、小学校の児童が遊びに来てくれる地域の憩いの場のようになっています。
−−今後はどのような介護をしたいですか。
モットーは「明日死んでも良いように」です。利用者にそう思ってもらえるように、利用者が最後までやりたいことをして思い切って生きることができる環境を作りたい。一人一人の生き方に寄り添うような介護をしたいです。
==============
□人物略歴
1982年、西条市生まれ。老人保健施設で働いた後の2005年11月、人々が年をとってからも住み慣れた家で暮らす支援をしようと、「デイサービスセンター池さん」を発足させた。一人一人の人生に寄り添った介護を心掛けている。
毎日jp 2010年1月16日 原文のまま

★「飯田の特養 認知症の男性が消毒剤を誤飲」(1月5日/信濃毎日新聞)
飯田市設置の特別養護老人ホーム「遠山荘」(飯田市南信濃和田)で2日、入所している認知症の70代男性が塩素系消毒剤を誤って飲む事故があったと、同荘を管理する同市社会福祉協議会が4日、発表した。男性は下伊那郡内の病院に運ばれたが、命に別条はないという。
市社協によると、事故は2日午後3時ごろ発生。浴室内で入浴の順番を待っていた車いすの男性が、消毒剤の容器を口に当てているのを、別の施設利用者を入浴介助中だった職員が見つけた。男性の口の中には液体が残っており、看護師が吸引や胃の洗浄など応急処置をしたという。
消毒剤は、利用者の衣類を洗濯前に殺菌消毒するため、普段は浴室の向かい側にある洗濯室に置いてあるが、事故時は浴室内のシャンプーなどを置く台にあった。また、利用者の入浴時には浴室に常時2人の職員がいる決まりだったが、事故時は別の利用者を迎えに行っており、浴室には1人しかいなかった。
消毒剤を置く場所が違っていたことや、入浴介助の職員配置がなぜ守られていなかったのか、4日時点では分かっていない。市社協は「原因究明をして、二度と起こらないように対策を検討したい」としている。
市社協が管理する同市の別の特養ホームでは2008年5月、短期入所の女性が入浴中におぼれ、一時意識不明になる事故があった。
信毎WEB  2010年1月5日 原文のまま

「安心の支え 住民と専門職結ぶ輪を」(1月5日/中国新聞
認知症や末期がんになっても、住み慣れた自宅で人生を全うしたい。そんな願いを持つ人は多かろう。しかし現実となると、なかなか難しい。介護や医療など安心を支えるかたちを、どう地域にはぐくめばいいのだろうか。
歴史的な町並みで知られる福山市鞆町で始まった試みがヒントになろう。民間の介護施設を核にしてできたネットワークだ。
住民の4割が高齢者で、その半数は75歳以上。半世紀後の日本を先取りする地域に、古い造酢場を再生してオープンしたのが「鞆の浦・さくらホーム」である。
従来型のグループホームやデイサービスに「小規模多機能ケア」を加える。通所と宿泊、スタッフによる訪問を柔軟に組み合わせて24時間365日見守る、というサービスだ。
ある一人暮らしの認知症の女性は、徘徊(はいかい)を繰り返していた。自宅はごみ屋敷同然。ほっとけない、と近所の人がホームに相談した。
スタッフが訪問したり、弁当を毎日届けたりするうちに、落ち着きを取り戻してきた。何度も自宅に足を運び、徘徊の道順を確かめたのはスタッフだが、それを側面から支えたのは住民だった。
徘徊しているのを見かけたら声を掛ける。ホームに連絡する。そんな見守りのネットワークがつくられていったからこそ「在宅」が続けられた。
ただ自然発生的にできたのではない。ホームの側から、近所の人がお茶を飲んだりする場を設け、気軽に立ち寄れる雰囲気をつくっていった。スタッフも町内の店や「たまり場」に出向いて、話の輪に加わる。
双方に「顔なじみ」の関係ができる。住民に安心感が生まれ、地域の意識を変えるきっかけになりそうだ。
医療側が核になったネットワークで注目されるのは尾道市だ。
主治医となる開業医が中心になったチームをつくっている。薬剤師や看護師、介護スタッフ、民生委員らと連携しながら、在宅緩和ケアやリハビリなどに、24時間365日の対応をする。末期患者であっても自宅で家族に囲まれて過ごせるのは、こんな後ろ盾があるからだろう。
状況に応じて、本人や家族と専門職が顔をそろえる「ケアカンファレンス」を開くユニークな方式も心強い。
地域には、子育てに悩む母親や生きづらさを抱えている若者もいる。ネットワークがさらに広がりこうした人たちも視野に入ってくるようになれば、地域での安心感はさらに広がるに違いない。
ネットワークがうまく機能するかどうかは、核になる人次第である。経済的に報われないようでは精神的な疲れも出てこよう。
昨年は介護報酬が3%引き上げられたが、まだ不十分だ。診療報酬は今年、10年ぶりにプラス改定される見通しで、後期高齢者医療制度に替わる新しい青写真も議論される。国による下支えが必要なことは言うまでもない。
【写真説明】なじみの人と場が地域のお年寄りを支える(福山市鞆町)
中国新聞 2010年1月5日 原文のまま
関連サイト:「尾道市医師会DDプロジェクト(認知症早期診断プロジェクト)」

★「ケアマネが認知症女性の5千2百万流用か 明石」(1月5日/神戸新聞)
認知症や寝たきりの姉妹の口座から多額の現金を引き出した疑いがあるとして、特定医療法人が運営する「明舞中央病院」(明石市松が丘4)がケアマネジャーの男性(61)を懲戒解雇していたことが関係者への取材で分かった。口座から約5200万円が引き出され、男性は土地や住宅の購入などに充てていたという。姉妹らは兵庫県警に横領容疑などで刑事告訴することを検討している。
同病院によると、この男性は同病院のケアマネジャーとして、病院内の居宅介護支援事業所に所属。2002年ごろから同市内で2人暮らしの姉妹を担当していた。姉(92)は寝たきりで、妹(86)は認知症の症状が進んでいる。
問題が発覚したのは昨年11月上旬。姉妹宅を訪問した民生委員が気付き、同市に通報した。
病院が男性から事情を聴いたところ、現金引き出しを認めたという。少なくとも姉妹の預貯金から5200万円が引き出されていたが、「姉妹から(現金を)あげるといわれた。管理のため一時的に預かっていた分もある」と話したという。
同病院は、不適切と判断し、12月5日付で懲戒解雇処分にした。病院は同市の居宅介護支援事業を受託しているため、県と同市は同月11日、不正な業務運営の可能性があるとして、立ち入り監査を実施、現在も調査を継続しているという。
同病院は姉妹に現金約3400万円を返還。男性が購入した土地や住宅を売却し、残額も返還するという。同病院の元原利光事務部長は神戸新聞社の取材に対し「当院のケアマネジャーが利用者から不適切な金銭を授受し、大変申し訳ない。ただ、利用者の説明と食い違いがあるため、調査を続け真相を明らかにしたい」と話している。(飯田 憲)
(神戸新聞 2010年1月5 日 原文のまま)