2012年の介護保険の情報


2012年
「ケアマネの実務受験要件、法定資格に限定へ- あり方検討会、議論の整理案を了承」(12月27日)
「外国人看護師・介護福祉士」(12月24日)
「「老いてさまよう:鳥かごの家から/1(その1)高齢者囲い込み(その2止)「自宅」扱い、責任不在  2ビリもできず 3話し相手もなく 4介護選択肢なく 5誰とも交わらず(12月24―28日) 
「障害者65歳で要介護者 関係者に戸惑い」(12月23日)
「入所待機者が大幅に減少 田辺市の介護保険施設」(12月19日)
「【社説】介護労働 違法を野放しにせずに」(12月15日)
「在宅介護費用 保険対象外の高負担に」(11月26日)
「優良宅老所に認定証を交付 サービス向上へ」(11月6日)
「ランクI」対策が認知症高齢者軽減のカギになる―ニッセイ研究員レポート」(10月31日)
「5人に1人は要介護、自己負担額は月3万〜5万円」(10月31日)
「介護事業所の人材不足が解消しない理由 「応募が来ない」49%、「望んでいる人材に出会わない」40% -介護保険請求ソフト カイポケビズ会員向け実態調査」(10月30日)
「東大阪の民家で70歳代夫婦死亡…相次ぎ病死か」(10月28日)
「24時間訪問介護 実施、計画まだ8市 埼玉」(10月27日)
「要介護・要支援の割合は65歳以上の18%―介護保険事業状況報告(月報)」(10月18日)
「介護現場の胃ろう利用1140人」(10月2日)
「ひと人えひめ:託老所「あんき」代表者・中矢暁美さん/愛媛」(9月15日)
「特養の7割、「胃瘻患者」入居数に上限 NPO法人調べ」(9月13日)
「療養病床 4年で578床減少」(9月4日)
「同胞NPO ハルモニたちに終の住み家…東大阪にデイ施設」(8月29日)
「デイサービス 「福祉的就労」可能に」(8月23日)
「介護職員の離職率、過去最低に- 介護労働安定センターが調査」(8月20日)
「東日本大震災 【双葉郡8町村の認定者】要介護・支援増加続く 入所待機余儀なく 原発事故前の1.3倍 財政圧迫も深刻」(8月17日)
「徘徊で感染拡大―施設内での結核集団感染について【厚労省事務連絡】」(8月17日) 
「O157:高齢者の死亡4人に 北海道」(8月16日)
「日本の介護事業者.韓国進出第1号!」(8月14日)
「「家族の介護」が理由の離職者、どう防ぐ? 」(8月7日)
「【暮らし】遠距離介護 交通費ずしり 公的支援なし」(8月1日)
「香芝で熱中症、82歳女性死亡 奈良」(7月28日)
「介護保険サービス利用者、初めて5百万人超える」(7月27日)
「ケアマネジャーの担当する要介護者における認知症実態に関する調査結果」(7月25日)
「特養ベッド数追いつかず」(7月8日)
「介護保険給付、初めて7兆円を突破- 10年度の事業状況報告」(7月2日 )
「入所長期化する老健 国は在宅重視、実態と合わず」(6月23日)
「増える有料老人ホーム 特養待機者などの受け皿に」」(6月10日)
「特養入所待ち、静岡県内1万2992人 前年比2498人増」(6月6日)
「認知症ケア、「地域での支援体制が重要」- 介護市民委シンポで与野党議員」(5月30日)
「介護殺人や介護自殺、日本で社会問題に」(5月20日)
「「介護と仕事の両立」、7割弱が勤務先の支援策に不満――第一生命調査」(5月17日)
「課題は採算性と人材確保 24時間訪問介護サービス」(5月12日)
「ALS訴訟 21時間介護受けられる」(4月26日)
「インドネシア人モリナさん、介護福祉士試験に合格」(4月6日)
「孤立する高齢者<上> 問題・不安抱え潜在化<下> 公的なアポなし訪問で救出」(4月4/11日)
「“在宅介護支える”サービス開始」(4月1日)
「保育所併設のグループホームが開所 伊賀地区初 伊賀市安場」(3月30日
「[介護保険料]夫婦で1万円 もう限界」(3月25日)
「老人ホームでカフェ形式の催し人気 舞鶴、外部参加も」(3月14日)
「お金がなくても安心の老後は過ごせるか」(3月11日)
「【千葉】県調査 「お泊まりデイ」121事業所で実施」(3月9日)
「ヘルパー2級の研修変更」(1月23日)
「高齢者施設 立地どこに 山元・梅香園 津波で82人死亡・不明」(1月22日)
「ノロウイルスか 80代女性死亡、9人が発症 旭川の介護施設」(1月20日)
「耐震化していない社福施設、2万7千超- 2割弱が未対応。厚労省が調査」(1月19日)
「特養の居室「複数定員可」条例化へ 県、低所得者に配慮」(1月11日)
「C世代駆ける 第6回老若サバイバル 負担の未来、攻め込む道」(1月8日)
「支え合う・東北の動き:東日本大震災 孤独死防げ 仮設に介護拠点、サロンにも/福島」(1月7日)


「ケアマネの実務受験要件、法定資格に限定へ- あり方検討会、議論の整理案を了承」(12月27日/キャリアブレイン)
厚生労働省は27日、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」(座長=田中滋・慶大大学院教授)に、これまでの議論の整理案を示した。「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験要件を医療や福祉、保健の法定有資格者に限定することや、居宅介護支援事業所の指定業務を都道府県から市町村に移すことなどが盛り込まれている。同検討会では提示された整理案を取りまとめとして了承。これを受け厚労省では、数年以内の事業所の指定業務移行や実務研修の受験要件見直しの実現などを目指し、了承された取りまとめを社会保障審議会介護保険部会に提示する方針だ
厚労省が示した整理案は、これまでの検討会の議論を通じて明らかになったケアマネジャーに関する検討課題として、▽利用者増や課題に応じた適切なアセスメントが必ずしも十分ではない▽サービス担当者会議における多職種協働が十分機能していない▽医療との連携の不十分さ▽介護保険給付以外のサービスのコーディネートや地域のネットワーク化が必ずしも十分ではない−など、10項目を提示。その上で、10項目の課題に対応するための視点として、「ケアマネジメントの質向上」と「保険者機能の強化などによるケアマネジャー支援」を挙げ、それぞれについて対策案を示した。
□研修指導者用のガイドライン作成の推進も提案
「ケアマネジメントの質向上」に関する対策案としては、相談援助業務従事者や介護などの従事者で、一定期間実務を経験した人にも認められている「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験要件について、必要な経過措置などを講じた上で、「医療・福祉・保健に係る法定資格保有者」に限定することを提案した。また、ケアプランで定めた短期目標が達成されたかどうかを検証し、適切なプラン見直しを実現するため、課題抽出のための専用シートなどを活用することも提案されている。研修に関しては、▽実務従事者基礎研修の必修化▽認知症、リハビリテーション、看護、福祉用具などの課目について、必修化も含めて研修内容の充実を図る▽国として研修実施の指導者用のガイドライン作成を推進する−などが提案された。
□地域ケア会議「制度的位置づけの強化を」
「保険者機能の強化などによるケアマネジャー支援」に関する対策案では、居宅介護支援事業者に対する市町村のかかわりを強めるためにも、その指定業務を都道府県ではなく市町村が担当するよう提案。また、適切な介護予防支援を実現するため、地域包括支援センター内に、介護予防を専門とするケアマネジャーを配置することを検討すべきと明記した。地域ケア会議については、「法制度的な位置づけも含め、その制度的位置づけを強化すべき」としている。
このほか、医療との連携促進に関する提案として、ケアマネジャーが市町村から主治医意見書を入手しやすくする取り組みや、ケアマネジャーがケアプランを医師に情報提供する取り組みの推進が提案された。介護保険施設におけるケアマネジャーについては、「生活相談員や支援相談員について、介護支援専門員との現状の役割分担にも留意しながら、介護支援専門員等の資格取得を進めていくべき」としている。【ただ正芳】
CBNews 2012年12月27日 原文のまま

「外国人看護師・介護福祉士」(12月24日/西日本新聞)
国家間の経済連携協定(EPA)のうち労働分野での人材受け入れで、日本の国家試験取得を条件に看護師と介護福祉士の就労を認めた。これまでにインドネシアから看護師候補392人と介護福祉士候補500人、フィリピンから看護師候補232人と介護福祉士候補396人が来日した。日本政府の対応不備のまま制度がスタート。受け入れた病院、社会福祉施設が手探りで日本語指導、国家試験の受験勉強、生活支援に当たっている。看護師国家試験の合格率は2009年が0%、10年は1%、11年が4%、12年が11%と低迷。12年が初の受験となった介護福祉士の試験も38%にとどまった。
アジア人看護師・介護士 試験難関のまま、続々来日
経済連携協定(EPA)による外国人看護師・介護福祉士候補の受け入れが加速している。インドネシアの第5陣、フィリピンの第4陣が11月、九州をはじめ各地の病院や福祉施設に研修のため配属。早ければ来年にもベトナムから受け入れが始まる。制度は拡大の一方だが、日本語による国家試験の壁は厚く、期限内に合格できず失意のうち母国に戻る候補が多い。
これまでに九州に配属されたのは、インドネシアの看護師候補45人と介護福祉士候補21人、フィリピンの看護師候補14人と介護福祉士候補12人の計92人。しかし、国家試験合格は看護師がインドネシアの2人。今年、初受験した介護福祉士はインドネシア第1陣のうち2人の計4人だけだ。
国家試験には難解な漢字や古い言い回しが多いほか、介護保険など固有の制度や社会風習に基づく出題もある。内外の批判を浴びた政府は、難しい漢字に平仮名を付けるなど改善を図ったが、それでも外国人には難関。今春の合格率は看護師が11%、介護福祉士が38%。日本人を含む全体の看護師90%、介護福祉士64%を大きく下回った。
協定では看護師候補は来日から3年以内、介護福祉士候補は4年以内に合格しないと母国に戻る決まり。ここでも批判を受けた政府は、国家試験で一定以上の得点をした候補は在留をそれぞれ1年延長して、もう一回受験できることにした。
しかし、候補は母国で看護師の実務経験があったり、看護大学・短大を卒業したりしており「技能や知識を日本で生かすことはできない」「どんなに努力しても合格は難しい」との思いが強い。
九州では、看護師候補のうち延長しても期限が切れたインドネシアの第1陣14人が帰国。インドネシア第2陣とフィリピン第1陣では延長対象の人を含めて8人が帰国した。残る7人が介護福祉士候補のインドネシア第1陣2人とともに在留を延長した。そうした中、11月に両国合わせて19人が新たに九州の病院と福祉施設に配属された。
西日本新聞 2012年12月24日 原文のまま

「老いてさまよう:鳥かごの家から/1(その1)高齢者囲い込み(その2止)「自宅」扱い、責任不在  2ビリもできず 3話し相手もなく 4介護選択肢なく 5誰とも交わらず(12月24―28日/毎日新聞)
1(その1)高齢者囲い込み
介護が必要になった人が行き場を失い、さまよいたどり着く「家」がある。介護事業者が介護報酬をあてこみ、賃貸住宅に集めて囲い込んでいるのだ。各地で増えているが、高齢者施設とみなされないため、法律の制約は少ない。東京郊外のマンションでは互いの交流もない孤独な生活が続き、生きる意欲も奪われていく。鳥かごのような家で何が起きているのか。記者はこの夏から一室を借りて住むことにした。
◇民間集合住宅、介護報酬目当て 徘徊恐れ、空き缶の警報器
東京・八王子。昨年6月に都内の介護事業者が、不動産会社の管理する古い6階建てマンションの空き室を利用して事業を始めた。今は2階と3階の10室が埋まる。6畳一間にユニットバス・トイレ付き。設備投資はいらない。家賃も入居者10人がそれぞれ負担する。2階の別の1室をヘルパーの詰め所にあて、日中は通常女性2人が「訪問介護」を担当する。夕方からは夜勤1人だけになる。
麦わらさん。記者が心の中でそう呼ぶことにした男性が入居したのは7月12日。記者が住む部屋のはす向かいだ。70代に見える。部屋のドアにヘルパーが空き缶をぶら下げた。その意味はほどなくわかる。
翌日、男性がドアを開けて出ると、缶の音が薄暗い2階の中廊下に響く。麦わら帽子を持って外出しようとしている。年配の女性ヘルパーが詰め所から飛び出してきた。
「どこ行くの?」「下」「階段とか危ないからね。ごめんね」
手を引かれ、部屋に連れ戻された。認知症で、徘徊(はいかい)の心配があるようだ。他に9人の入居者がいるため付き添って散歩に行く余裕はないのだろう。ヘルパーも疲れ切っている。
数分後、再び空き缶の音。ヘルパーが立ちふさがる。「ご飯ができるまで休んでて」「もうずっと休んでるよ」「じゃあテレビ見てて」「いや」「いいじゃない。みんなそうしてるんだから」
次の日、部屋のドアに風鈴もぶら下げられていた。ドアが開くと空き缶と風鈴の音がする。二重の「警報器」なのだ。
廊下にはパイプいすが一つ置かれた。麦わらさんは多い日で40回以上、廊下に出た。麦わら帽子をかぶって日の当たらない廊下を歩き、いすに座る。入居からひと月近くたったころ、記者は「ここの生活はどうですか」と声をかけた。麦わらさんは「慣れるしかないんだよ」と言った。
毎日jp 2012年12月24日 原文のまま
1(その2止)「自宅」扱い、責任不在<1面からつづく>
「鳥かごの家」で暮らす認知症10+件の麦わらさんがふらりと外へ出たのは8月20日夕方のことだった。介護事業者が介護の必要な人たちを囲い込む東京都八王子市の賃貸マンション。部屋のドアを開けたことを知らせる空き缶と風鈴の「警報器」が廊下で鳴ったはずだが、詰め所のヘルパーが聞き逃したらしい。
右足を引きずり、倒れそうになりながら近くの道路を懸命に歩いている。心配してあわてて連れ戻しに行くヘルパー。麦わらさんは記者と目が合うと「どうも」と言って右手を上げた。夏の青空を仰ぎ、陽光を全身に浴びたからか。初めて見る満面の笑みだった。
     ×
この事業者の関連会社は以前、堺市の賃貸マンションに高齢者11人を住まわせていた。徘徊(はいかい)防止のため、非常階段にロープを張った。ほかにも同様のマンションが大阪市内に3カ所。病院を回って高齢者を集める営業用のパンフレットには「24時間見守る体制を整備している」とあった。
堺市が昨年8月、高齢者虐待の疑いで立ち入り調査したのを機に関連会社は大阪から撤退する。事業者の拠点は東京・多摩地区に移った。大阪と同じ方法で入居者を管理すれば再び行政の指導を受けかねない。ロープではなく「警報器」を使うのは、そのためだ。
家賃は、生活保護受給者の利用を想定してか、住宅扶助の上限とほぼ同じ5万2000円。冷凍された食材を温めるだけの食事代3万円などと合わせて月8万円余りかかる。ほかに介護保険の1割を負担すると月に10万円を超える。
麦わらさんは年金でなんとかまかなう。入浴は介助の付く週2回のみ。食堂や集会所のような共有スペースもない。低料金の施設を望む人もいるが順番待ちが多く、空きはなかなか見つからない。この事業者は多摩地区にある計3カ所のマンションで、要介護度1?5の40人近い高齢者を集め、訪問介護事業を展開する。各地を転々とし、ここへ来た男性もいる。行き場のない人たちの「受け皿」になっているのだ。
昨年1月、同じ事業者が運営する別のマンションで男性が未明に入浴中、死亡する事故が起きていた。事業者は「介護中ではなかった」として行政に報告していない。社長(40)が取材に答えた。「ここは施設ではなく自宅。24時間見守る契約ではないし、責任を問われても困る」
毎日jp 2012年12月24日 原文のまま
2リハビリもできず
◇62歳・元すし職人「何やってるんだろう」
「鳥かごの家」でなぜか時折、中廊下を掃きそうじする入居者がいる。サブローさん(62)だ。介護事業者が要介護の人たちを囲い込む東京都八王子市の賃貸マンション。部屋を訪ねた。
「こちらにはいつ?」「わからんね」。記憶はあやふやだ。「お仕事は」と尋ねた時、うれしそうな顔になった。「すし屋だよ」。ノートの表紙に「闘病記」と書いた日記がある。取材と断り、見せてもらった。雪が残る今年1月の寒い朝、通勤途中で脳梗塞(こうそく)になり、半年間リハビリ病院に入院していたらしい。左半分の視野がないという。日記は病院で書き始めた。
<7月11日 記憶のけんさをした。でんたくを使って計算の問題をした>
<7月24日 サンポは気持ちよかったです>
リハビリを重ね、社会復帰をめざす意欲がにじむ。しかし、8月下旬、今のマンションへ移ると日記の内容は一変する。
<何をしたらいいか分かりません。(廊下の)そうじをたのまれたからしたけど、つかれた>
<ここがどこなのかわからない。何をやっているのだろうオレは>
気力が萎えていくように見える。食事の配膳や入浴介助はあるが、病院のようなリハビリ訓練はない。
4歳上の姉が神奈川県西部の町にいた。
サブローさんは岩手県の小さな町で5人きょうだいの末っ子に生まれた。父親が働く鉱山が閉山し、中学を出て都内のすし店に住み込みで働き、結婚して長男をもうけた。店を持ったが、なじみ客や友人に気前よくおごり、従業員にだまされて店を失う。妻子と別れ、すしのチェーン店に雇われてからはアパートで1人暮らしだった。
長年、支援してきたのが姉の夫(71)だ。<(義理の)兄貴にはめんどうばかりかけてすみません>。日記にそう書かれていたことを記者が伝えると、姉夫婦は涙ぐんだ。
家賃を含め約11万円かかる費用は当面、健康保険からの傷病手当金でなんとかまかなえるが、それも1年半で切れる。支える姉夫婦にも限界がある。「弟も将来は施設がいいと思うけれど、家賃は安い方がいい。わたしらも年金生活だから」
毎日jp  2012年12月25日 原文のまま
3話し相手もなく
◇92歳、認知症の女性
掃除のモップをつえ代わりにして、背中の丸まった女性が夜勤ヘルパーのいる詰め所を訪ねてきた。介護の必要な人たちを介護事業者が囲い込む東京都八王子市のマンションは夜になると、職員は1人になる。
「おなかがすいたんですか?」
「だって(夕食を)持って来ないんだもの」
「お魚食べたでしょ、白身の魚」
重い認知症のようだ。「わたしはここにいるけど、家はあるんですから」
「あなたの家はもうないの。家はここ」
入居者10人の多くは家族と疎遠だ。
記者は2階にある女性の部屋を訪ねた。ほとんど物のない6畳間の壁に短冊が1枚飾ってある。ここに来る前に入院していた時に書いたようだ。<みんな一緒に早く元気になって 私も頑張ります>
父親は小学校の校長、自分も北海道の小学校で教師をしていたという。年齢は「88歳」。実際は92歳だ。同じ話を繰り返す。北海道のことだ。「あっちは寒いけど過ごしいいから。それで、あなたはわたしがここにいることがよくわかったわね」
マンションから一歩も出たことはない。窓の外には川沿いの桜並木の向こうに秩父の山並みが見える。「ここから眺めてるだけなの」
何かやりたいことは?と尋ねた時だ。「なにがやりたいもんですか。ベッドの上に縛り付けられて。島流しですよ」
訪ねて来る人はほとんどいない。人と話をしなければ認知症も進行するばかりだ。入居者の中で、日に何回か部屋のドアから顔をのぞかせ、「もしもし、もしもし」と繰り返す認知症の人がいる。ヘルパーを呼んでいるのだ。しかし、気づかれずにあきらめることも多い。日中は通常、ヘルパーは2人だけ。認知症のケアまで手が回らない。
介護保険法は介護状態を軽くしたり、悪化させないようにしたりすることを目的にうたう。だが、要介護度が上がるほど、事業者の介護報酬は上がる。「入居者の状態が重くなれば会社はカネになる」。元社員の一人は幹部の言葉を覚えている。
女性には家族と過ごした小さな家が同じ多摩地区に確かにあった。夫と死別後は独り身の妹を呼び寄せ、2人で暮らしていた。妹はたまに姉の顔を見に行く。「あそこで24時間見てもらって安心しています」。妹も話し相手を失った。近所の人は「妹さんも言動がおかしくなってきたから認知症かもしれない」と心配する。
家のそばには、姉が元気なころに2人で散歩をした多摩川が流れる。
女性の部屋で記者との会話が続く。「それにしてもあなた、ここにわたしがいることがよくわかったわね」
部屋が少し寒いせいなのか、久しぶりの来客で人恋しかったからか。記者のあごひげに手を伸ばし、触れた。
「ここはあったかそうねえ」=つづく
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ご意見、情報をお寄せください。メール(tokuhou@mainichi.co.jp)▽ファクス(03・3212・2813)▽〒100?8051(住所不要)毎日新聞特別報道グループ
毎日jp 2012年12月26日 原文のまま
4介護選択肢なく
◇66歳、左半身まひの男性
「鳥かごの家」に記者が入居して3カ月たった9月末になっても顔を見ない人がいた。介護が必要でも行き場がない人たちがたどりついた東京都八王子市の賃貸マンション。隣室から人の気配を感じるのは、止まっては動くエアコンの室外機の音だけだ。
夕方、隣室を訪ねた。暗闇で声がした。「ベッドから起き上がれないので手を貸してもらえますか」。左半身がまひしている。睡眠導入剤を常用しているせいで寝たり起きたりの繰り返しだ。昼夜の区別もつきにくい。ヒデオさん、66歳。
明かりをつけると、本棚にIT関連の本が100冊近く並んでいた。2台のパソコンはパスワードが思い出せず動かせない。「ネットビジネスで一もうけしたかったけどね」。ここに来る前は都心の池袋にある自宅兼事務所の賃貸マンションでリフォーム会社を経営していた。苦学して有名私立大の大学院を修了し、夢だった起業を果たした。独身を通し、仕事が生きがいだった。3年前の春、脳梗塞(こうそく)で倒れた。収入が絶たれ、蓄えも底をつく。豊島区から生活保護を受けた。
「歩けないから外には出ない。部屋で転んでも立ち上がるのに1時間かかるんだ」。ヒデオさんの部屋と同じ2階に詰め所を置く介護事業者の「訪問介護」で介助を受けるが、足腰が弱った。要介護3。介護プランを立てたのは、この事業者のケアマネジャー。リハビリ訓練をしたいと頼んでも聞いてもらえなかった。
要介護認定されれば本来、リハビリやデイサービスの利用など本人の希望を聞いて介護のプランが作られる。だがここでは、選択肢を与えられていない。ほかの事業者を利用させれば、その分この事業者の介護報酬が減る。ヘルパーは記者に「いずれ寝たきりになるでしょう」と言った。
ヒデオさんをここに紹介したのは豊島区役所だ。役所と事業者のパイプができたのは、社長が営業に来たのがきっかけだった。生活保護を受けるヒデオさんがすぐに入れる施設はない。特別養護老人ホームへの入居を待つ区内の生活保護受給者は今も約100人。区の担当者は「空きがある」という言葉にひかれた。区は社長が訪問介護事業を展開する都内3カ所の賃貸マンションにこれまで5人を紹介している。区の担当者は「本人から目立った不満は聞いていない」と言う。しかしヒデオさんは記者にこう話していた。「ただその日が終わるのを待っているんです」
11月中旬、部屋を再び訪ねた。スナップ写真が飾られていた。記者がかつての同業者仲間を探し、ヒデオさんと一緒に台湾旅行した時の一枚をもらって渡していたものだ。
「また、働きたいね」。声は弱々しく聞き取れないほどだ。誕生日を迎えたこの日、約1時間の訪問中にベッドから起き上がることはなかった。
記者がこのマンションに入居して5カ月たった冬。一度も顔を見ていない人がまだほかに2人いる。=つづく
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毎日jp 2012年12月27日 原文のまま
5誰とも交わらず
◇「天涯孤独」86歳女性
夕方、決まって小さなポリ袋を手にゴミ置き場へ行く女性がいる。前をじっと見すえ、人を寄せつけない。介護が必要になっても行き場のない人たちを介護事業者が囲い込む東京・八王子の賃貸マンション。声をかけても返事がない。
その女性(86)は昨秋、ここへ来た。記者が前の住所を訪ねると、新宿の古い木造2階建てアパートだった。「わたしは天涯孤独だから」。女性はそう言って人と付き合おうとはしなかった。それでも1人、友人がいた。アパートの住人のうち女性が2人だけになった時、友人が心細くなって「頼りにするからお願いね」と女性にあいさつに行ってから少しずつ親しくなった。
女性は下町で生まれ、早くに母を亡くした。幼い兄弟の世話のため学校にもあまり通えなかった。料理屋の仲居をしながら独身を通し、80歳近くまで飲食店でレジ打ちのパートをした。その後は月8万円の年金だけが頼りだった。
友人も夫と死別後は子供に頼らずに1人暮らしを続けている。85歳までチラシ配りのアルバイトをしていたが、貯金もそろそろ底をつく。収入はわずかな年金と、生活が苦しい息子からの仕送り1万円。風呂のない6畳一間の家賃4万8000円と介護保険料を引くと月約3万円で暮らさなければならない。
それでも生活保護の世話にはなりたくない。家賃の安い都営住宅に申し込んでいるが、抽選に外れてばかりだ。
女性も同じだった。昨年9月、布団につまずいて骨折し、入院。退院後、病院の紹介で老人ホームより格安な今のマンションへ移った。「普通のマンションにいるの」。友人に一度だけ電話があったという。その話をしながら、友人は深いしわを刻んだ両手で顔を覆った。「あの人も転んだりしなければ、いまも元気でここにいただろうに。部屋もきちんときれいにしていた人なのよ」
都会の独居高齢者が増える中、収入が少ないと家賃が重い負担になる。この事業者が東京・多摩地区の賃貸マンションを訪問介護の拠点に選んだのも都心より家賃が安く、高齢者を集めやすいのが理由とみられる。
      ×
記者はマンションの女性の部屋を訪ねた。チェーンをかけたままドアが開く。「新宿で同じアパートだったおばあさんが心配されていましたよ」。無表情だった顔が動いた。
「あなたがいなくなって、寂しがっていました」。そう伝えると、目元に笑みが浮かんだ。「そう? あの人、同い年なの」
今は誰とも交わることはない。年金だけでは足りない生活費は、疎遠だった親戚が一部を負担しているが、これ以上の援助は無理だという。
親戚の一人は言う。「あのマンションがおばあさんのついの住み家になると思う」=つづく
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毎日jp 2012年12月28日 原文のまま

★「障害者65歳で要介護者 関係者に戸惑い」(12月23日/佐賀新聞)
障害者が65歳を超えると障害者自立支援サービスより介護保険サービスを優先適用される現行制度に、関係者から戸惑いの声が上がっている。「障害者」から「要支援(介護)者」に枠組みが変わることで、受けられるサービスが半減したケースも。高齢者施設で障害の特性に合わせた支援ができるか、施設変更のストレスをどう軽減するかなど、課題は山積している。
佐賀市の知的障害の女性(69)は10月、「要支援1」の判定を受け、介護保険制度の類似サービス利用に移行。13年間、障害者生活介護支援事業所に通ってきたが、市内の高齢者デイサービス施設に移ることになった。
ただ、通所日数は週5日から3日に減少。両制度ともサービス利用料の1割を負担する仕組みは同じだが、低所得者などに対する減免措置の条件は介護保険制度の方が厳しく、利用日数は削られた。
関係者はサービスの量だけでなく、質も下がりかねないと懸念する。女性はこれまで日常生活のサポートを受けるだけでなく、食事の配膳やトイレ掃除、機織りなどの軽作業にも取り組んできたが、現在はカラオケ、入浴など余暇活動がほとんど。女性が通っていた障害者支援事業所の施設長は「うちは就労支援施設ではないが、働く喜びを重視している。本人も生きがいを感じていたようだったのに」と残念がった。
「介護保険優先」は入所施設などの一部を除き、65歳以上の障害者に適用される。佐賀市の高齢者福祉施設の担当者も、同様のケースを数多く見てきた。発達障害など環境の変化を嫌う傾向が強い人にとって利用施設が替わるストレスは重く、「数カ月かけて移行の準備しても負担感は大きい。言葉や行動で不満を訴えられず、自傷行為に至るケースもある。慣れ親しんだ環境に、そのまま居られる選択肢もあった方がいい」と要望する。
厚労省は2007年に「介護保険サービスに加え、障害福祉サービス固有と認められる生活訓練、就労移行支援などは市町の判断で支給できる」と通知を出している。ただ、佐賀市の担当者は「国は判断を市町に丸投げするだけで、具体的な基準を示していない」と独自に判断する難しさを指摘する。
障害者自立支援法は小泉政権下の06年に施行。全国の障害者が違憲訴訟を起こし、民主党政権が廃止と新法制定を約束して10年に和解した経緯がある。「介護保険優先」の廃止も合意文書に協議事項として盛り込まれたが、具体的な動きはなかった。政権を奪還した自民党の動向が注目される。
□制度は当事者本位で
佐賀大学文化教育学部の松山郁夫准教授(社会福祉学)の話 障害者自立支援制度は介護保険をヒントにつくられ、国は両制度を統合する思惑を当初から持っていた。社会保障費削減が狙いだが、制度の狭間に置かれた当事者の生活の質は大きく低下している。知的障害者は余暇活動だけでは、健常者よりはるかに速いスピードで知的能力が失われる。作業学習を一生続けることが特性上、不可欠だ。こうした事実を障害者施設は体験的に知っており、支援の仕方を試行錯誤してきた。行政はもっと現場の声を聞き、高齢者のケアと根本的に違うことを理解すべきだ。来年4月に施行される障害者総合福祉法で、当事者本位に改善されるか注視している。
佐賀新聞 2012年12月23日 原文のまま

「入所待機者が大幅に減少 田辺市の介護保険施設」(12月19日/紀伊民報)
和歌山県田辺市で特別養護老人ホーム(特養)など介護保険施設への入所を待つ市民が大幅に減少した。今年になって市内に2施設が開所したことが主な要因。しかし、まだ要介護度「3」以上の待機者は約100人もいるため、市は今後、3年に1度だった施設待機者状況調査を半年ごとに行い、長期待機の解消に乗り出す。
市は3年に1度策定する介護保険事業計画に合わせて施設待機者数を調べており、次回は2013年3月の予定だが、施設整備が進んでいる現状から計画とは別に実態を調査した。
10月1日を基準に田辺西牟婁圏内(田辺市、みなべ町、上富田町、白浜町、すさみ町)の介護保険施設への入所申し込み状況を調査した。
ほとんどの待機者は複数の施設に申請を出しており、施設は要介護の重度や家庭の状況から判断して入所者を決定している。
その結果、圏内にある特養、老健、介護療養型医療施設に市民426人から延べ1111件の申請が出ていた。426人のうち144人が介護保険施設に入所、31人がグループホームなどに入所、56人が医療機関に入院していた。待機者で入所資格がない人が12人おり、実質的な待機者は183人だった。
183人の待機者の要介護度は「1」が23人、「2」が48人、「3」が36人、「4」が39人、「5」が37人。要介護の重度である4、5は計76人だった。
10年3月末の待機者は329人だったため、4割以上減少した。要因として今年2月に城山台に老健100床、6月には芳養松原1丁目に特養50床が開所したことが挙げられる。また12〜14年度に整備する計画だったグループホーム54床を10、11年度に前倒しして整備したことも待機者の減少につながっているという。さらに13年度中には中辺路町内に小規模特養29床が整備される予定。
市やすらぎ対策課の木村晃和課長は「詳細な調査を行って待機者状況を分析し、緊急性の高い待機者の解消につなげたい」と話す。
現在、田辺西牟婁圏内で特養は15施設(851床)あり、うち市内には7施設(394床)。老健は田辺西牟婁圏内で6施設(553床)、このうち市内は3施設(288床)。介護療養型医療施設は田辺西牟婁圏内で4施設(214床)、市内は2施設(108床)。
10月1日現在で特養に入所している市民は494人、老健は272人、介護療養型医療施設は115人で計881人が介護保険10+ 件施設に入所。グループホームには143人が入所している。
紀伊民報 2012年12月19日 原文のまま

「【社説】介護労働 違法を野放しにせずに」(12月15日/中日新聞)
全国の介護施設で最低賃金や残業代を支払わず、長時間労働や無理な交代勤務を強いる法令違反が横行している。これでは介護そのものが壊れる。悪質事業者を野放しにせず、監督を徹底すべきだ。
介護現場の苦悩を示すデータがある。「東京介護福祉労組」(東京)が今年、全国の介護職員にブログなどを通じて回答を呼び掛けた「夜勤実態調査」には切実な声が寄せられた。「夜勤は一人で多くの入所者を担当する。休憩が取れない」「夜勤明けは午前中も働いているのに『公休日』として扱われる」「タイムカードがない。時間外や休日労働の労使協定もない」などだ。
東京都内の老人施設で働く二十代の男性職員は、同じ法人が運営する複数施設で勤務を掛け持ちさせられ、同じ日に別の施設で日勤と夜勤をすることがある。調査をまとめた同労組の田原聖子さんは「明らかな労基法違反。働く人がぼろぼろになっている」という。
介護事業所は全国に六万以上あるが、ずさんな労務管理で、経営側の思うままに働かされる例が絶えない。体を壊し、うつ病になる。毎月のように職員が一人、二人と辞めていく施設は珍しくない。都内のある施設は一年で十人すべての職員が入れ替わった。介護を受ける側にとっても、職員が使い捨てのように代わる状況は好ましくない。
介護保険事業を担う自治体も違法な働かせ方を問題とみて、労基署が労働者側から申告を受けた施設を中心に立ち入り検査を行っている。だが、職員不足で監督指導も追いついていないのが現状だ。
厚生労働省が昨年、介護施設も含めた全国の社会福祉施設七千五カ所を対象にした立ち入り検査では、五千三百八十二カ所で違反が見つかった。違反率76%。主な違反は「労働時間管理」(二千百八十件)、「割増賃金の未払い」(二千五十四件)など。書類送検された重大違反は七件あった。
違反を防ぐには、行政が福祉と労働の両面からもっと連携していくことだ。事業を認める時は入居者のサービス管理だけでなく、労働者を守る体制になっているかを問うことで、悪質な事業者は排除されるのではないか。
本来、手助けを必要とする人たちのために働く職員は、余裕を持って、温かみのある仕事をしたいという志を持った人が多い。高齢化への道を突き進む日本社会にとって宝としたい人たちだ。大事に守っていきたい。
中日新聞 2012年12月15日 原文のまま
編者:これは深刻で重大な課題だ。日本の介護制度を支える介護労働者がどう自分たちと支え、支えられるかは重要だ。どうするか?何をなすべきか?

「在宅介護費用 保険対象外の高負担に」(11月26日/NHK)
在宅で親を介護したとき、どれくらいのお金がかかるのか、要介護度ごとに調べた調査結果がまとまり、最も負担が大きい要介護4でおよそ7万円、平均でおよそ4万4000円となりました。
いずれの要介護度でも、介護保険で賄えない費用の割合が高いのが目立ちました。
この調査は去年10月、家計経済研究所が在宅で親を介護している全国の470世帯を対象に行い、26日、都内で開かれた親の介護を考える講演会で発表されました。
それによりますと、介護保険給付の対象として支払われた費用は、平均で1か月間に要介護4が1万6317円、介護度が最も高い5では2万1779円でした。
また、介護保険では賄えない費用について尋ねたところ、医療費やおむつ、流動食、配食のサービスなどにかかる費用は、1か月間に要介護4が3万2908円で、要介護5で2万3185円となるなど、いずれの要介護度でも、介護保険給付の対象として支払われた費用よりも負担が大きいことが分かりました。
このほか、介護保険の支給限度額を上回った場合の費用も加わり、在宅での親の介護にかかる費用は、1か月間に要介護4が6万9558円、要介護5が6万8216円、すべての要介護度の平均で4万4470円となりました。
調査に協力した慶應義塾大学の山田篤裕教授は、新たに介護保険で賄えるサービスも出てきたので負担が減ることを期待したいとしたうえで、「重い負担を抱える家族もいるので行政は、そうした人のケアに力を入れることが必要だ。収入などに応じて負担を軽減する制度もあるのでよく知ってほしい」と話しています。
NHKニュース 2012年11月26日 原文のまま

「優良宅老所に認定証を交付 サービス向上へ」(11月6日/佐賀新聞)
佐賀県宅老所連絡会(西田京子代表世話人)(写真右上)は11月末から、質の高いサービスに取り組む事業所に“お墨付き”を与える「認定宅老所制度」を始める。介護保険が適用されない事業を行っている施設を対象にスタッフの人員や接し方など介護状況をチェックし、優良施設に認定証を交付する。利用者の施設選びに役立ててもらうとともに、サービス向上につなげていく。
宅老所は既存の民家などを活用し、家庭的な雰囲気でケアする小規模事業所。通所介護や短期宿泊などが主で、介護保険の適用事業は外部評価を受けるが、適用外については連絡会から運営面の助言を受けるにとどまっていた。
検討中の認定制度は各事業所が自己評価を行い、連絡会に提出。連絡会の関係者が確認した後、地域住民や民生委員、学識経験者らが審査する。審査基準は「利用者3人に対してスタッフ1人を付ける」「在宅介護を支える機能を重視している」など約50項目を盛り込む予定。7割以上の達成で認定証を交付する。
県内の宅老所は、1994年に第1号が開設。有料老人ホーム登録を求められた時期もあったが、国が「宿泊付きデイサービス」を認め、2003年から県が普及を支援している。現在、約200施設があり、103施設が連絡会に所属している。
西田代表世話人は「施設の増加に伴い、経営至上主義で福祉の理念をおろそかにする事業所も出てきた。利用者や行政、ケアマネジャーにきちんとした事業所を知らせたい」と導入の狙いを話す。
西九州大学社会福祉学科の倉田康路教授(高齢者福祉)(写真右下)は「宅老所の先進地である佐賀で、業界が自主的にチェック制度をつくる意義は大きい」と評価。その上で客観的な審査の重要性を強調し、「信頼される制度にするため、認定基準や審査員は利用者の視点で決め、結果も公表すべき」と提言する。
佐賀新聞 2012年11月6日 原文のまま
編者:佐賀県に宅老所が200余箇所もあるとは知らなかった。

「ランクI」対策が認知症高齢者軽減のカギになる―ニッセイ研究員レポート」(10月31日/ケアマネジメント)
ニッセイ基礎研究所の山梨恵子研究員(写真)は、9月11日、厚労省が6月に発表した認知症施策を受け、同研究所のレポート「研究員の眼」に、今後さらに増え続ける認知症高齢者数についての記事を寄稿している。
これによると、いくつかの自治体関係者の話を聞く限り、今回厚生労働省が発表した認知症高齢者の推計値が示す数の多さにあわてふためくことはなく、むしろ、ようやく実態に近づいてきたという反応が多いと感じたという。そして、地域の実情に応じた支援策を引き続き着実に遂行していくことが最も重要であると考えているとした。
特に着目しているのが、今回の推計には示されていない認知症高齢者の日常生活自立度「ランクI」に該当する人の数だ。以前から認知症ケアにおける早期診断・早期対応の重要性が様々に言われてきたにもかかわらず、前回も今回も、「ランクI」の該当者数についての情報は示されていない。
「ランクI」とは、何らかの認知症を有するが、日常生活ではほぼ自立している人たちのことで、今後、認知機能等が衰えた場合は、急激な状態変化が生じてくる可能性が高い。そうした人たちに対して、「認知症の中核症状が進んでしまう前に、生活上のストレスを軽減し、不安や混乱を予防したり、QOLの維持・向上を図っていくことは、認知症の重度化を予防していく上でも重要な取り組みとなる」と指摘する。
そして、認知症という診断結果を突きつけられたまま将来の不安を抱えて過ごしている「ランクI」の人たちに対して、「この時期にこそやらなければならない支援が必ずあるはずだ」と、山梨研究員は強く訴える。
また、認知症の人の多さや支援不足に気づきながら具体的な支援策につなげられない自治体の行き詰まり感がある中、『第5期市町村介護保険事業計画の策定過程に、地域診断の結果を反映できている地域は全体の2割』という調査結果にも注目している。
地域で把握した情報をいかに支援策に結び付けていくか、その施策を機能させるためにどのような仕掛けを講じていくのか、それが第6期介護保険事業の要になるのではないか。そして、「もしかしたら、ランクIの認知症の人を施策の対象に含めていくことが、認知症の困難なケースを減らしていく“近道”になるのかもしれない」と締めくくっている。
ケアマネジメントオンライン 2012年10月31日 原文のまま
関連情報:「認知症高齢者数の将来推計 早期対応に本気で取り組むとしたら・・・」(pdf200K)
編者:山梨研究員の提言は一考に値するが、実際どうするかは難しい。「介護予防」だけでは無理だろう。それにしても厚生労働省の認知症高齢者の推計数はいいかげんなものだ。

「5人に1人は要介護、自己負担額は月3万〜5万円」(10月31日/日本経済新聞)
介護に必要なお金がどのくらいか、事前に調べておく人は少ないようです。しかし、厚生労働省の「介護給付費実態調査」(2012年4月審査分)によると、75歳以上の5人に1人は要介護。要支援を含めると、4人に1人となり、単純に計算すると父母と義父母のうち1人は該当することになります。さらに、準備が必要なのは親の介護だけではありません。将来必要になる「自分の介護」についても、あらかじめ考えておきたいところです。そこで、介護のお金に関する解説を3回にわたって掲載します。1回目の今回採り上げるのは、保険。公的保険のほか、民間介護保険について上手に活用するポイントを紹介します。

「見えないところで山のようにおカネがかかる」。20年にわたり祖母の介護を在宅で続ける50代男性はため息をつく。介護はこれからいくらかかるか、いつまで続くか──。子育て費用と違い、介護のおカネは見えにくい。
介護費用を手当てする基本となるのは自己資金、そして公的介護保険を柱とする社会保障だ。 
介護費用の自己負担は「月3万〜5万円が目安」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの山田静江さん。介護保険でサービスを受けると、自己負担は1割。これに全額自己負担となる介護サービスを頼んだ場合の合計額だ。
例えば「要介護2」で保険を最大限利用すると、個人負担は月約2万円。これに加えて、介護保険の上限を超えてヘルパー派遣を頼んだり、保険外の介護タクシー、家事代行サービスなどを利用したりした場合は100%自己負担となる。
では介護期間はどのくらいか。生命保険文化センター調査によると、平均介護期間は4年7カ月。年間60万円と仮定すると、約5年で300万円。そこで「介護費用として、1人300万円をめどに準備しておくといい」(山田さん)。
施設に入る場合、介護費用は自宅介護と同程度だが生活費が加わる。地域やタイプにより月約10万円から数十万円までと差が大きいが月20万円前後が多い。
公的支援で最大限活用したいのが、介護保険。医療保険とは違い、市区町村に「申請」して「認定」を受けないと使えない。そこで「主治医の意見書、家族の介護日記など、一次判定で正しく認定されるための準備が必要だ」と社会保険労務士の井戸美枝さんは助言する。認定次第で受けられるサービス、自己負担が変わってくる。
介護保険は在宅介護を重視しており、家庭に介護者がいることを前提に設計されている。そこで働きながら介護をするなど家族で介護に人手が割けない場合は、公的サービスだけでは乗り切れず自費負担が膨らみがちだ。中には月数十万円掛かる人もいる。

申請主義の介護保険を使いこなし、いかにケアプランを立てるか。どんな施設を使うか。情報の差が介護費用を左右する。有効に活用したい。
□民間介護保険は活用すべきか
一方、介護に必要な資金を保険金や年金形式で保障する民間の介護保険がある。将来の介護費用の準備に民間介護保険を活用すべきだろうか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんに話を聞いた。
内藤さんは、「介護費用は貯蓄で備えるべきだ」と強調する。誰もが要介護状態になるわけではない上、民間介護保険は「要介護2」など保険会社が定める介護状態にならないと保障を受け取れない。これらを考慮すると、「保険より貯蓄で用意する方が合理的」というのが内藤さんの考えだ。
こうしたアドバイスを頭に入れても、やはり民間の介護保険に入りたいという場合にどうするか。まず要介護になる確率が低い若い時期から保険料を月払いするのではなく、60代になってから退職金の一部などを活用して保険料一括払いで加入する。
商品選びでは介護保障を受けない場合も考え、貯蓄性からも魅力的かどうかを見る。例えば70歳や80歳で解約返戻金をどの程度もらえるのか、などだ。
下の表は、貯蓄性のある代表的な介護保険商品で、60歳男性が介護もしくは死亡保障額600万円に加入した場合の一括払いの保険料と、70歳と80歳の解約返戻金を比較したもの。80歳で解約した場合、年間利回りはソニー生命保険の商品が約0.5%と最も優れ、70歳での場合は アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の商品が0.3%で優れている。
利回りで大差はないと見るなら、保障内容に目を向けてみる。ソニー生命の商品は、例えば公的保険の「要介護2」と自力で立ち上がったり歩いたりできない状態などに合致している限り、介護年金が支払われる。アフラックはそれより軽い「要支援」でも支給されるが、受取総額に限度がある。(日経マネー 野村浩子・真弓重孝)
[日経マネー2012年11月号の記事を基に再構成]


日本経済新聞web版 2012年10月31日 原文のまま
編者:公的医療保険と同様に公的介護保険はタダではないので家計対策が必要となり、こうした分析と助言が出るのだろう。認知症の妻は介護でショートステイを毎月1週間、利用している老人保健施設は全室個室でよろしいが部屋代が1日3000円。それ以上に介護がいつまで続くのかわからないので資産の使い方が迷うが、今を大切にして使い無くなればそのとき考えることにしている。

「介護事業所の人材不足が解消しない理由 「応募が来ない」49%、「望んでいる人材に出会わない」40% -介護保険請求ソフト カイポケビズ会員向け実態調査」(10月30日/産経新聞)
SMS株式会社エス・エム・エス(本社所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:諸藤周平)が運営する「カイポケビズ」(http://www.kaipoke.biz/)では、約10,000の介護事業所の会員を対象に、従事者の不足状況に関する実態調査を実施いたしました。
その結果、アンケートに回答した約半数の介護事業者が人材不足の状況であり、かつサービス種類で従事者の不足状況に違いがある事がわかりました。また、不足状況に応じて従事者を募集しているものの、人材不足が解消しない理由として「募集をかけても応募が来ない」を挙げた事業所が49%と最も多く、次いで多かった理由は「望んでいる人材に出会わない」が40%でした。
□従事者の不足状況について
【介護事業所の50%が従事者不足と回答!従事者不足の理由は「利用者の増加」が
 44%!】
アンケートに回答した介護事業所の50%が、従事者が「不足している」「非常に不 足している」と回答しています。特に訪問介護事業所では81%が「不足している」「非常に不足している」と回答しています。他のサービス種類では、居宅介護支援事業所では25%、通所介護事業所では50%、その他(福祉用具貸与事業など)では47%が「不足している」「非常に不足している」と回答しています。
従事者が不足している背景としては、「利用者の増加」と回答した割合が44%と高く、特に居宅介護支援事業所では55%、訪問介護事業所では49%と高い傾向がみられました。その他には、「早朝、夜間、深夜等の特別時間帯や土日祝日における人員配置が必要」や「従事者の高齢化により後任の育成が必要」などの回答がありました。
□従事者の募集状況について
【従事者の不足は「応募が来ない」ことが主要因!】
アンケートに回答した介護事業者において、従事者を募集しているにも係わらず、人
材不足が解消しない理由として、「応募が来ない」が49%、「望んでいる人材に出会わない」が40%と回答した割合が高く、「人材が定着しない」と回答した割合は総じて低い結果でした。その他の理由としては、勤務条件が合わない、求人にかける予算不足といった回答がありました。
□調査実施概要
・調査対象:カイポケビズ会員
・有効回答数:412
・調査方法:カイポケビズサイト内
□カイポケビズについて
カイポケビズは、介護事業所の多くを占める「中小介護事業所」を対象に、月額1,980 円(税込)からご利用いただける介護保険請求ソフトです。
計画書の作成、サービス予定実績の管理、国保連や利用者への請求書作成、伝送機能などを搭載し、サポートやバージョンアップも無料で対応いたします。低価格で業務を効率化できるということで、全国で9,200 事業所(2012 年6 月時点)に導入されています。無料体験、資料請求のお問い合わせをウェブサイトまたはお電話にて受け付けております。
□本件に関する問い合わせ先
株式会社エス・エム・エス 介護ビジネスポータル事業部
住所   :東京都千代田区神田須田町1-23-1 住友不動産神田ビル2 号館
電話番号 :03-5295-7393(カイポケビズ担当)
e-mail :info2@kaipoke.biz
URL :http://www.kaipoke.biz/
産経ニュース 2012年10月30日 原文のまま。但し図省略


「要介護・要支援の割合は65歳以上の18%―介護保険事業状況報告(月報)」(10月18日/ケアマネジメント)
厚生労働省は、「介護保険事業状況報告(暫定)」の2012年6月分を報告した。
これによると、65歳以上の人数にあたる「第1号被保険者数」は3,002万人。このうち、要介護もしくは要支援の認定者数は539.5万人で、第1号被保険者のおよそ18.0%を占めた。
前年同月期の第1号被保険者数は2,909万人、要介護・要支援認定者数は512.8万人で、いずれも増加。また、第1号被保険者数に対する割合も、前年同月期は約17.6%であり、0.4ポイント増加している。
サービス別に利用状況をみると、「居宅(介護予防)サービス受給者数」は328.4万人、「地域密着型(介護予防)サービス受給者数」は31.1万人、「施設サービス受給者数」は86.2万人(いずれも現物給付4月サービス分、償還給付5月支出決定分)。施設サービス受給者のうち、「介護老人福祉施設」は45.6万人、「介護老人保健施設」は33.4万人、「介護療養型医療施設」は7.6万人だった。
前年同月期のサービス別の利用状況は、「居宅(介護予防)サービス受給者数」が310.1万人、「地域密着型(介護予防)サービス受給者数」が28.2万人、「施設サービス受給者数」が84.8万人で、いずれも増えているが、なかでも地域密着型(介護予防)サービス受給者数の伸びが大きかった。
また、保険給付費は、居宅(介護予防)サービス分が3,240億円、地域密着型(介護予防)サービス分が625億円、施設サービス分が2,242億円だった。

ケアマネジメントオンライン 2012年10月18日 原文のまま
関連情報:厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定) 平成24年6月分」

「介護現場の胃ろう利用1140人」(10月2日/中国新聞)
島根県は1日、胃に通したチューブから栄養を取る胃ろうの患者が、特別養護老人ホーム(特養)など高齢者の介護現場で1140人(昨年10月末)に上るとする初の調査結果を明らかにした。調査対象者の4・1%に達しており、県は「決して少なくない数字」と、胃ろうを処置できる介護職員の育成支援に乗り出す。
従来の医師と看護師に加え、介護職員にも胃ろう患者の処置を認める4月施行の法改正に合わせて調べた。特養、老人保健施設やグループホームなど介護保険が適用される275施設の入所者と、一般家庭の要介護者計2万7219人を対象とした。
回答があった245施設のうち、胃ろうなど口の代わりにチューブを通じて栄養を取る患者は114施設の955人。在宅要介護者の326人も含め、計1281人に上った。内訳は、胃ろうが最多の1140人と89・0%。鼻を通じた経鼻栄養が111人(8・7%)腸を通じた腸ろうが30人(2・3%)と続いた。
県によると、県内の介護職員計約2千人に対し、胃ろうの処置資格を得る研修の受講希望者は約470人に上る。11月までに約400万円を投じて3回の研修を開き、160人を受講させる。県高齢者福祉課は「職員不足を理由に患者の入所を断る施設もある。胃ろうには賛否あるが、受け皿を整備することは重要」としている。
中国新聞 2012年10月2日 原文のまま
編者:すさまじい数だ。福祉医療機構のサイト情報によると2012年3月末現在で要介護者数は全国で約530万人、島根県の頻度4.1%を掛けると全国に約22万人いることになる。介護現場以外では?


◇居心地の良さ最優先 地域と密着、暮らし重点松山・託老所「あんき」代表者、中矢暁美さん(65)
認知症のお年寄りをデイサービスする託老所「あんき」(松山市西垣生町)が97年に誕生して15年。古い木造民家を改造した施設では、お年寄りたちが地域のコミュニティーにも囲まれ、穏やかに過ごしている。代表者の中矢暁美さん(65)に取り組みや思いを聞いた。【栗田亨】
??自宅みたいですね。
病院は治療が終われば帰れるところだが、施設は暮らしが重点。病院とあまり変わらない環境ではお年寄りにつらい。日本人は畳にふすま、障子が落ち着く。そういう居心地がいいしつらえを重視し、継続することを一番優先しています。
??始めるきっかけは。
松山市のホームヘルパーをしていた時、低所得者のお年寄りの家を回りました。裕福でなくても、自宅にいる人はあたふたしていなかった。心が落ち着いていると、年を取っても豊かに暮らせるのではと感じました。
??地域との付き合い方は。
地域の人が入りやすくすることが大事です。漁師さんが「生きの良い魚を持って行ってやろうか」という気持ちになれる施設でないと。地域の人が中をのぞいて、自分の老いた時の選択肢を考えてもらえればいい。
??15年たって変化はありましたか。
開設当時は託老所はなく、未知のものだった。その後、介護保険制度ができて介護が社会化したのはいいことですが、料金を払っているのだから施設で介護して当たり前、という考えが出てきました。その結果、施設側が事故を恐れ、リスクのあることをお年寄りにさせなくなりました。
??海に近く、海抜の低い地域。津波など災害時の避難は。
東日本大震災の前から、寝たきりの人を毛布にくるんでまず車に乗せて逃がし、歩ける人は一緒に逃げるという避難訓練を毎年続けています。その際、地域の人と避難方法を話し合っています。今月30日に津波をテーマに訓練する予定です。
==============
□人物略歴 
病院や特別養護老人ホームの看護師、ホームヘルパーを経て、97年に託老所「あんき」を開設。現在は中矢さんを含めてスタッフが7人。利用者は認知症20+件の60代?90代のお年寄り25人で、3分の1が松山市西垣生地区の住民という。「あんき」とは松山弁で「気楽」という意味。
毎日jp 2012年9月15日 原文のまま
編者:昔、デイサービスが普及し始めた時、日本語として「託児所」をヒントに「託老所」を提案したが、人気なく「宅老所」が採用されることが多かった。中矢氏は「託老所」を守っているのでうれしい。「宅老所」は日本語ではないと思う。もっとも高齢者でない認知症の人もいるので、カタカナ英語の「デイサービス」でよいだろう。

「特養の7割、「胃瘻患者」入居数に上限 NPO法人調べ」(9月13日/日本経済新聞)
おなかの表面に穴を開けてチューブを通して胃に栄養を送り込む胃瘻(いろう)を導入する患者の受け入れに上限を設けている特別養護老人ホームが7割に上ることが12日、特定非営利活動法人(NPO法人)の調査で分かった。胃瘻が必要なのは常時介護が欠かせない認知症の高齢者が多く、受け入れには施設側の負担が大きい実態が浮き彫りになった。
NPO法人「特養ホームを良くする市民の会」(東京・新宿)が2011年10月〜今年7月、全国の特養ホーム1008施設を対象にアンケートを実施。465施設から有効回答を得た。
胃瘻を導入した患者の受け入れに上限を設けているのは330施設で約7割を占めた。このうち入居定員に占める上限の程度は「1割」と答えたのがほぼ半数の166施設で最も多く、「2割」が72施設で続いた。
胃瘻の患者の平均年齢は80代超が8割近くに上り、疾病別では脳血管障害の患者がいる施設が9割、認知症の患者がいる施設は7割。患者の身体状態に関する質問(複数回答)では「体位変換が必要」「寝返りができない」「意思決定・伝達ができない」と3つの回答がそれぞれ9割前後を占め、大半が常時介護が必要とみられる状態だった。
今年度から医師や看護師との連携を前提として国が定める研修を受けた介護職員に、たんの吸引など一部の医療行為が認められた。だが、今回の調査で施設側からは「医療行為が認められた職員には限りがあり、無責任な受け入れはできない」「病院との連携が十分ではなく受け入れできない」などといった意見が寄せられた。
全日本病院協会(東京・千代田)が昨年3月にまとめた調査によると、特養ホームで胃瘻を受けているのは推計3万6千人。「特養ホームを良くする市民の会」の本間郁子理事長(写真)は「特養ホームが医療の受け皿のようになり、施設側の負担が増している。胃瘻の患者の受け入れは今後も増えるとみられ、国は対策が必要だ」と話している。
日本経済新聞 2012年9月13日 原文のまま

「療養病床 4年で578床減少」(9月4日/沖縄タイムス)
医療費削減を目指す国の方針を受け、慢性疾患の高齢者らが長期入院する「療養病床」の数が、今年7月時点で、2008年から578床減の3100床になっていることが3日、分かった。療養病床の平均在院日数も年々減少しており、医療機関への入院を減らし、介護施設などで高齢者を受け入れる「医療から介護へ」の流れが進んでいる。一方、識者は介護の受け入れ態勢が不足しているとし、「病床削減が先行して高齢者や家族の負担が増している」と指摘している。(新崎哲史)
同日、県庁で開かれた県医療費適正化計画検討委員会で県国民健康保険課が明らかにした。
療養病床は、医師や看護師の配置が介護施設より多く、国は低コストとなる介護保険施設への転換・削減を基本方針としている。
県内では、08年の3678床から578床減少したが、うち介護保険施設へ転換したのは半数以下の215床にとどまる。
委員会では、県内の人口当たりの訪問看護ステーション数や在宅療養支援診療所数が、全国平均を大きく下回る現状も報告。看護や介護、医師らの委員からは「在宅医療・介護を支える体制が整っていない」との指摘が相次いだ。
国は療養病床のうち、医療の必要性が低い患者に対し、診療報酬を低く設定。その影響から平均在院日数は05年度の257日から10年度には185日に減少した。
「介護を考える女性の会」の堀川美智子代表は、療養病床の削減で、特別養護老人ホームや介護老人保健施設に重度障がいの高齢者が集中していると語り、「病院は患者に退院を促すが介護保険施設は満杯で、行き場がない。低所得者層の人でも割高な老人ホームを利用している」と指摘。
質も一定で、自己負担の割合も定まっている医療と比べ、介護は質も利用料もまちまちだとして、「特養の増設など、安心して介護できる体制づくりが急務だ」と訴えている。
沖縄タイムス 2012年9月4日 原文のまま

「同胞NPO ハルモニたちに終の住み家…東大阪にデイ施設」(8月29日/民団新聞)
【大阪】在日同胞高齢者の介護や日常生活の支援、機能訓練などを行うデイサービス施設「さらんばん」がこのほど、東大阪市岸田堂西にオープンした。開所式には関係者80人余りがお祝いに駆けつけた。
施設は敷地面積391・4平方メートル(約118坪)、延べ床面積268・9平方メートル(約81・5坪)。「さらんばん」を運営するNPO法人「うり・そだん」(鄭貴美理事長)が、棟続きの古民家3軒を買い取った。利用者の多くは長栄夜間中学校と太平寺夜間中学校を卒業したハルモニたちだ。同施設は両校に挟まれた場所に立地している。
両夜間中学に通うハルモニたちと出会った鄭理事長は10年前から、ハルモニたちの自立維持を目的に民家を借りて街かどデイハウス「さらんばん」と「あんぱん」を立ち上げた。老いを重ねるハルモニたちを見てからは5年前から介護保険サービスに取り組んできた。以来、自前の施設でハルモニたちと最後まで一緒に過ごしたいというのが、念願だった。
開所式で鄭理事長は、「新規施設の開館をいちばん喜んでくれたのはハルモニたちでした。私たち2世、3世は1世たちに教わることがまだまだたくさんあります。健康で長生きして、2世たちにたくさんのことを教えてください」とあいさつした。
民団新聞 2012.8.29 原文のまま
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「介護職員の離職率、過去最低に- 介護労働安定センターが調査」(8月20日/キャリアブレイン)
介護労働安定センターは、2011年度の介護労働実態調査の結果を発表した。それによると昨年の介護職員の離職率は16.1%で、04年度の調査開始以来、最低を記録。一方、従業員不足に悩む事業所は、2年連続で半数を超えた。
調査は昨年11月、全国の介護保険サービス事業所を対象に実施(調査対象日は10月1日)。7070事業所(有効回答率41.2%)から有効回答を得た。
その結果、過去1年間の介護職員全体の離職率は16.1%(前年度は17.8%)となり、04年度の調査開始以来、最低を記録した。同センターの担当者は離職率改善の背景について、同調査で「新人の指導担当・アドバイザーを置いている」「労働時間の希望を聞いている」といった早期離職防止や定着促進の対策に乗り出す事業所が前年度に比べて増加している点も明らかになったことから、「各事業所の地道な取り組みで職員満足度が向上したことが要因ではないか」としている。
□従業員不足に悩む事業所、2年連続で半数超に
介護従事者の過不足の状況について尋ねた質問では、「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所が合わせて53.1%(同50.3%、前々年度は46.8%)で、昨年度から3ポイント近く増加。また、「大いに不足」「不足」「やや不足」と答えた事業所に、複数回答でその理由を尋ねたところ、66.0%の事業所が「採用が困難であること」を理由に挙げた一方、「離職率が高い(定着率が低い)」は19.8%、「事業を拡大したいが人材が確保できない」は26.2%だった。
そのほか、介護サービスを運営する上での問題点を尋ねた質問(複数回答)では、「良質な人材の確保が難しい」が50.4%で最も多く、以下、「今の介護報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を支払えない」(49.8%)、「指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で、時間に追われてしまう」(32.6%)、「教育・研修の時間が十分に取れない」(27.6%)、「経営(収支)が苦しく、労働条件や労働環境の改善をしたくてもできない」(26.3%)などが多かった。同センターの担当者は、これらの結果から「離職の多さより、新たな人材確保の難しさこそが、介護従事者不足の原因と言えるのではないか」と分析している。
キャリアブレインニュース 2012年08月20日 原文のまま
関連情報:「平成23年度 介護労働実態調査結果について」(2012/08/17介護労働安定センター)

「東日本大震災 【双葉郡8町村の認定者】要介護・支援増加続く 入所待機余儀なく 原発事故前の1.3倍 財政圧迫も深刻」(8月17日/福島民報)
東京電力福島第一原発事故に伴う被災者の避難生活が1年5カ月を超える中、双葉郡8町村の要介護・要支援者は増え続け、5月末現在で原発事故前の1.30倍に上ることが県のまとめで分かった。介護施設が満杯で待機を強いられたり、町村の財政が圧迫されるなどの問題が深刻化している。国は避難者と町村の財政支援を目的に保険料やサービス利用料を減免し、町村に減免分を補助しているが、来年度も継続されるかどうかは不透明だ。県や関係町村は、支援がなくなれば介護事業が立ち行かなくなるとして予算確保を求めている。
□体調悪化 
大熊町は5月末現在、532人で昨年1月末の1.46倍に達している。次いで葛尾村が135人で1.42倍に増えている。8町村全体では計3811人で原発事故前の1.30倍。県全体は1.07倍で、双葉郡の伸び幅が大きい。
仮設住宅などに長く暮らし、体調を崩して新たに要介護・要支援者に認定されるケースが目立つ。葛尾村の担当者は「本来は農作業に従事するなどして元気だったのに避難生活が長期化して運動不足に陥り、支援が必要になる高齢者が多い」と話す。
□飽和状態 
「どこの介護施設も満杯。どうすればいいのか」。大熊町の担当者はため息をつく。避難先のいわき市には約100人の認定者がいる。このうち半数以上が施設への入所を希望しているが、大半が待機を余儀なくされている。
介護従事者の人手不足も深刻だ。1人1人の状態に応じて介護サービスの内容を組み立てる町のケアマネジャーは現在、いわき市に1人しかいない。担当者は「さらに認定者が増えれば、支援の手が十分に行き届かなくなる恐れがある」と懸念する。しかし、全町民が県内外に避難している中、新たな人材確保は難しい状況だ。
□足りない補助金 
県によると、介護サービスの利用者は年々増えている。これに伴い、第5期(平成24〜26年度)の保険料改定で59市町村のうち49市町村が増額したが、双葉郡8町村は改定作業に手が回らず、いずれも保険料を据え置いた。これが財政を圧迫する要因の1つになっている。
国は双葉郡8町村をはじめ避難区域などを抱える市町村を対象に65歳以上の被保険者の保険料と介護サービス利用料を全額免除する一方、免除分に相当する補助金を市町村に交付している。しかし、補助額は現行の保険料に基づき算定されるため、介護サービスの増加分を補い切れないのが実情だ。富岡町は介護保険関連基金を取り崩してやり繰りしており、担当者は「このままでは基金はいずれ底を突く。しかし、保険料を引き上げれば避難者の負担が増す。減免措置の継続と、保険料の差額を埋める国の新たな支援が必要」と訴える。
これに対し、厚生労働省介護保険計画課は減免措置の継続について「現段階では未定」としている。県、双葉郡8町村は大詰めを迎える来年度予算の概算要求を見据えて今後、予算確保に向けた要望を強めたいとしている。
背景
国は原発事故に伴い避難区域や特定避難勧奨地点に指定された計13市町村の65歳以上の住民に対して昨年度と今年度の2年間、保険料とサービス利用料の減免措置を設けた。要介護・要支援の認定者増に伴い双葉郡8町村と南相馬市以外は今年度、いずれも保険料を引き上げた。南相馬市は来年度に向けて改定作業を進めているが、双葉郡8町村は県内外に避難する住民のニーズ把握などが困難なことなどから改定作業に取り掛かれていない。
福島民報 2012/08/17 原文のまま

「徘徊で感染拡大―施設内での結核集団感染について【厚労省事務連絡】」(8月17日/ケアマネジメント)
厚生労働省は7月30日、全国の老人施設に向け、「精神科病院(認知症病棟)における結核集団感染事例の発生をふまえた高齢者介護施設等における結核対策について」事務連絡を行った。
内容は、東京都内の精神科病棟(認知症病棟)にて、結核の集団感染があったことから、高齢者施設における感染拡大防止のため、普及啓発に努める旨、周知したもの。
集団感染を起こした精神科病棟(認知症病棟)では、初発患者を含む10名の発病者(内3人死亡)及び68名が感染した。 今回は、初発患者が認知症で症状の訴えが少なく発見が遅れたこと、また徘徊行為があり多数の入院患者及び病院職員と接触していたことなどが感染拡大の一因になったものと考えられる。
高齢者が入居する施設ではこの事例と共通する感染拡大要因が想定されるため、「結核院内(施設内)感染予防の手引き」の内容について、運営者および現場職員等は十分周知しし、結核に関する普及啓発に努めるよう促している。
結核院内(施設内)感染予防の手引きについて
ケアマネジメントオンライン 2012年8月17日 原文のまま

「O157:高齢者の死亡4人に 北海道」(8月16日/毎日新聞)
病原性大腸菌O157による北海道の集団食中毒で、道は原因食材と断定された「岩井食品」(札幌市西区)の浅漬け「白菜きりづけ」が提供されていた高齢者施設の90代女性2人が16日朝、死亡したと発表した。2人とも便からO157が検出されなかったが、道は1日に食べた浅漬けによる食中毒が原因の可能性があるとみて調べている。今回の問題による高齢者の死亡は計4人になった。
道食品衛生課によると、2人は江別保健所管内の同じ介護保険20+件サービス事業所に入所していた。1人は5日から血便などの症状を訴え、6日に入院したが、肺炎で死亡した。もう1人は6日に発症し、7日に入院。溶血性尿毒症症候群(HUS)で死亡した。HUSはO157による重い合併症の一つとされる。【岸川弘明】
毎日jp 2012年7月16日 原文のまま

「日本の介護事業者.韓国進出第1号!」(8月14日/介護ニュース)
韓国の高齢化に挑戦
社会福祉法人木犀会は茨城県下で介護・福祉事業を手がけている。この度、グループ会社として韓国で現地法人を設立、現地での介護事業を展開することとなった。
日本の介護事業者による韓国での事業展開は、木犀会グループが第1号となる。
現地法人である株式会社モクセイコリアは、木犀会グループの法人企業である有限会社ブリッジの100%子会社として設立され、資本金は2億ウォン。
今年の4月に、韓国ソウル市にて設立し、経験豊富な現地の看護師を中心とした中核メンバー6名を採用し、事業開始に備えて準備を進めている。
韓国での介護事業
韓国では、2008年に介護保険制度(長期療養保険制度)がスタート、日本と同じく高齢化に備えた社会インフラの構築が急務となっている。少子・高齢化が深刻な社会問題で、今後の高齢者の社会福祉の問題などが懸念されている。
韓国での介護事業は、「HUE&SENIOR」というブランド名とし、お年寄りをきめ細かくサポートする訪問介護事業を中心に、シニア層の社会活動を、高品質のサービスを通じてサポートしていくことをコンセプトとしている。サービス開始は9月頃を予定。
介護ニュース 2012年8月14日 原文のまま
関連情報:社会福祉法人木犀会グループのプレスリリース

★「「家族の介護」が理由の離職者、どう防ぐ? 」(8月7日/日本経済新聞)
家族の介護などを理由に退職する人は年間14万人に上るという。背景にあるのは働きながら介護を続ける難しさだ。子育てと比べると法制度も職場も介護支援策は見劣りする。高齢社会を迎え、介護問題はこれからますます深刻になる。短時間勤務など柔軟な働き方を導入する動きがようやく広がってきた。
□短時間勤務の利用で退職まぬがれる
「一時は退職も覚悟した」。明治安田生命保険に勤務する50代女性はこう話す。2011年10月に母(83)が体調を崩して緊急入院。集中治療室に運び込まれた。幸い1カ月ほどで病状は落ち着き、退院することになったが、食事ができず点滴は外せない。「母と長年2人暮らし。自宅に一人きりにはできない」と会社を休んで在宅介護を続けた。
病状はわずかずつだが回復。それでも以前の元気な母には戻らず、見守りは必要だ。会社は法定を上回る1年1カ月の休業を認めているが、休み続けていると職場に迷惑をかける。そんなとき上司に午前9時〜午後4時の短時間勤務を勧められた。近所に住む姉も手を貸してくれるというし、午後4時に仕事が終われば帰宅後に病院に連れて行ける。「担当業務も軽くしてもらえた。短時間勤務がなければ仕事と介護、どちらかを選ばなければいけなかった」
突然訪れる老親の介護。育児・介護休業法は介護休業をすべての企業に義務付けている。ただその上限は通算93日。病院の付き添いや看病のために仕事を休める介護休暇年5日を加えても、自ら在宅介護するにはあまりに心もとない。そこで企業の中には短時間勤務など独自制度を設ける動きが徐々に広がっている。
□「社員誰もが直面する可能性」
明治安田生命保険もその一つだ。08年4月に介護のための短時間勤務を導入。11年度は70人が利用した。「介護は子育てと違い、社員誰もが直面する可能性のある課題。介護を理由に貴重な人材を失いたくない」と人事部ダイバーシティ推進室の浅野芳一室長は説明する。
双日は11年4月に導入した。通算3年間、1日の勤務時間を最大2時間15分短縮できるほか、1日の勤務時間は変えずに週3〜4日勤務も選べる。「介護問題に直面するのは主に50代。仕事上の経験もスキルも豊富で中には管理職もおり、介護で退職されては会社の損失が大きい」(ダイバーシティ推進課)
介護をしながら働くことは本人にとっても大切だ。帝人の製薬技術研究所に勤めるA子さん(25)は11年1月〜6月に短時間勤務を利用した。母(62)が大病で入院、父(65)とともに主治医に呼ばれ「最悪の事態を覚悟してください」と告げられた。24時間体制の介護が始まった。
定年退職していた父が主に病院に詰めた。A子さんは朝8時半に出社し、午後3時に退社。その足で病院に向かい、入れ替わりで父は自宅に帰り休養した後、午後10時に病院に戻ってきて娘と交代する。A子さんは帰宅後に洗濯や掃除など家事をこなし、就寝は深夜だ。「何度も現実から逃げたくなった。でも職場にいる間は介護を忘れられ、リフレッシュできた。介護だけだったらつらすぎて続かなかったかもしれない」
□柔軟な働き方の整備重要に
東京大学社会科学研究所は昨年40歳以上の男女会社員約2千人を対象に介護ニーズ調査を実施した。現在介護をしている社員が40代10.2%、50代20.3%に上った。調査を担当した佐藤博樹教授(写真)は「出産と違い、当事者も職場で介護を話題にしないため潜在化しているが、かなりの社員が仕事と介護の両立の問題を抱えている」と説明する。
団塊世代が高齢期に入り、老親の介護は今後さらに増加する。介護保険制度もあるが、過大に期待はできない。財政支出を抑制するために施設介護よりも在宅介護を重視するように制度改正を重ねており、介護保険を利用するにしても家族の手は欠かせないからだ。
日本ユニシスは06年から毎年社員向けにワークライフバランス(仕事と生活の調和)セミナーを開いている。当初は子育てが主なテーマだったが、10年から介護問題に切り替えた。社員から要望が増えたからだ。短時間勤務やフレックスタイム制度、在宅勤務など介護のための様々な支援メニューも整えた。利用者も徐々に増えている。「でも本番はこれから。今年度は社員に介護実態調査を実施し、さらなる課題を探る予定」(広報部)だという。
東京大学の佐藤教授は「いつまで続くか分からない介護に長期間仕事を休んで向き合うのは現実的ではない。かといって一度離職してしまうと年齢的に再就職も難しい。短時間勤務など柔軟な働き方を整備することが有効だ」と指摘する。
□子育て支援制度との格差大きい
働きながら子育てや介護をしやすくするための支援策は育児・介護休業法などで決められている。ただ両者の格差は大きい。内容が同一なのは休暇制度くらい。例えば休業制度だと育児休業は子どもが原則1歳になるまで取得可能だが、介護休業は介護が必要な家族1人に付き通算93日だ。
休業中の所得補償も育児は賃金月額の5割を支給するが、介護は4割。以前はともに4割だったが、少子化対策として育児休業給付金を拡充する一方で介護は据え置かれたままだ。
休業中の社会保険料の支払いが免除されるのも育児休業だけ。さらに育児休業は免除期間も厚生年金の保険料を払ったものと見なすので将来受け取る年金額も減額はない。
短時間勤務(1日6時間勤務)は子どもが3歳になるまで取得できる。一方、介護目的の短時間勤務は企業に制度化を義務付けていない。短時間勤務やフレックスタイム、始業終業時間の繰り上げ繰り下げ、介護費用の助成などの中でいずれか一つを実施すればよい。その利用期間も介護休業の取得日数と合算して最低93日間認めれば構わない。つまり介護休業を93日取った場合、そのほかの支援策を会社は提供しなくても問題はない。(編集委員 石塚由紀夫)
日本経済新聞 2012年8月7日 原文のまま

★「【暮らし】遠距離介護 交通費ずしり 公的支援なし」(8月1日/東京新聞)
地方に住む親の介護に、都市部から子どもが通う。そんな「遠距離介護」が増える中、当事者にとって重い負担となるのが往復の交通費だ。介護目的の割引制度があるのは航空路線のみ。当事者は節約を重ねながら、行き来を続けている。 (杉戸祐子)
「交通費負担は帰省の障壁になりますね」。東京都杉並区のファイナンシャルプランナー河村修一さん(46)は約十年前から月一回のペースで、故郷山口県内で暮らす七十代の両親のもとに帰省している。母は脳卒中の後遺症で要介護5の認定を受け、老人保健施設に入っている。父は自宅にいるが「地域との関わりがない上、判断能力が落ちているようで心配」と、都内に住む兄(47)と分担して様子を見に通う。
よく利用するのは航空会社の早期割引。普通運賃は片道約三万五千円だが、早く予約すれば一万円台に抑えられる。介護に特化した「介護帰省割引」は二万数千円なので早期割引の方が安い。「予定を立てて帰る時は早期割引、急に駆けつける時は介護割引と使い分ける」。他に宿泊とセットになった旅行会社のパッケージツアーが安ければ利用する。
両親を東京に呼び寄せようとしたが、父の賛同を得られなかった。河村さんは「両親の状態が安定している時期は帰る頻度を減らす。長く続くので計画的に考えないと」と語る。
介護保険などの公的制度に遠距離介護の交通費支援はない。帰省の足のうち、航空路線では全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)などが割引制度を導入している。ANAの場合、対象は要介護・要支援と認定された人の二親等以内の親族など。ほぼ全路線で基本料金の35%引き。二〇一一年度は約二万六千人が登録し、約一万五千人が利用した。
主な鉄道路線、高速道路に介護帰省に特化した割引制度はない。そこで、二百一キロ以上の利用で割引を受けられる「大人の休日倶楽部」(JR東日本)などに入会したり、株主優待券やパッケージツアーを活用して出費を抑える人もいる。年代的に子の教育費や住宅ローンなどの負担を抱えながら、帰省の交通費を捻出しているのが実態だ。
遠距離介護をテーマに活動するNPO法人「パオッコ」の調査(子世代二百十七人が回答)で、困りごとで最も多かったのは交通費。理事長の太田差恵子さん(写真右上)は「親が介護施設にいても、急な体調不良などで駆けつけないといけない場面はある。費用は確実にかさむ」と指摘する。
◇「負担は親」が理想
相続などに詳しい行政書士・社会福祉士の竹本美恵子さん(写真右下)は「できれば親自身が負担する形が良い」と提案する。親子の経済状況によるが、太田さんも「親が負担する例は少なくない。特に実の親の介護に通う娘の交通費を親が負担することは多い」。竹本さんは「介護が必要になる前に家族で話し合い、親の経済状況を把握した上で決めておいて」と助言する。
増える遠距離介護。交通費負担をあくまで「自助」と位置付けるのか、それとも社会で支えるのか、議論が必要だ。
TOKYO Web 2012年8月1日 原文のまま
関連情報:介護規制制度(日本航空)(全日空

「香芝で熱中症、82歳女性死亡 奈良」(7月28日/産経新聞)
27日午前7時50分ごろ、香芝市の女性(82)が自宅のベッドでぐったりとなってうめき声を上げているのを、訪れた介護士が発見、女性は病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。熱中症とみられる。
奈良地方気象台によると、最高気温は奈良市で午後に35・8度を記録。今夏一番の暑さだった。
県によると、女性は一人暮らし。歩行困難で軽度の認知症だった。発見された際、エアコンはあったが使用されておらず、窓も閉まっており、室内は高温だった。病院到着時、女性の体温は41度で意識障害を起こしていた。
産経ニュース 2012年7月28日 原文のまま
編者:死亡する恐れが高いケースだが、対応が後手になったのではなかろうか。

「ケアマネジャーの担当する要介護者における認知症実態に関する調査結果」(7月25日/産経新聞)
株式会社インターネットインフィニティー(本社:東京都中央区、代表取締役社長別宮圭一、http://iif.jp/)は、同社が運営するケアマネジャー※向けポータルサイト「ケアマネジメント・オンライン(http://www.caremanagement.jp/ )」において介護現場における実態を把握することを目的に毎月調査を実施しております。
2012年6月実施の最新調査(有効回答数555人)における主な結果は以下の通りです。
※ケアマネジャー・・介護保険法において要支援・要介護認定を受けた人からの相談を受け、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、他の介護サービス事業者との連絡、調整等を取りまとめる都道府県認定の公的資格を有する専門職
□主な調査結果
1)要介護者における認知症患者実態について
・在宅系サービス利用の要介護者の4割弱、施設系サービス利用の要介護者の6割以上が認知症状を有していた
・在宅系要介護者の120万以上、施設系要介護者の65万人以上が認知症状を有していると推計された
・在宅系/施設系共に、認知症状を有している要介護者の1割以上は通院せず診断を受けていなかった
在宅介護サービスを提供するケアマネジャー(n=444)が担当する要介護者(合計12,070名)のうち39.8%は、認知症状を有していた。
厚生労働省による平成24年3月審査結果によると在宅サービスを利用する要介護者は308万人のため、同比率を元に拡大集計を行った場合122万人の要介護者が認知症状を有していると推計された。
また、施設介護サービスを提供するケアマネジャー(n=75)が担当する要介護者(合計3,099名)のうち63.6%は、認知症状を有していた。
厚生労働省による平成24年3月審査結果によると施設サービスを利用する要介護者は103万人のため、同比率を元に拡大集計を行った場合65.5万人の要介護者が認知症状を有していると推計された。
また認知症状を有している要介護者のうち在宅サービス利用者では10.2%、施設サービス利用者では11.8%が通院していないことが判明した。
2)認知症状を有する要介護者が服用している医療用医薬品について
・認知症状を有する要介護者において、在宅系利用者の5割以上、施設系利用者の3割以上がアリセプトを服用
・ケアマネジャーが、服用している医薬品を認識できていない要介護者は在宅系/施設系共に約3%に留まった
・認知症状を有しているにも関わらず医療用医薬品を服用していない要介護者は在宅系で1割強、施設系で2割強認知症状を有する要介護者が現在服用している医療用医薬品で最も多いのは、在宅系/施設系ともにアリセプト(在宅系:51.0%、施設系:31.5%)だった。また、現在の服用薬が不明な要介護者は在宅系3.2%、施設系3.0%だった。
医療機関の治療薬を服用していない要介護者は在宅系で11.5%、施設系で20.8%だった。
□調査概要
・調査目的:ケアマネジャーの疾患ニーズと担当する要介護者の各疾患の罹患状況ならびに治療状況の把握
・調査対象:介護支援専門員(ケアマネジャー)
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2012年6月21日〜6月30日
・有効回答数:555名(担当する要介護者数の合計:15,799名)
・回答者属性<年代>30歳以下:1.1%、31〜40歳:23.4%、41〜50歳:35.9%、50〜60歳:31.7%、61歳以上:8.0%
<勤務先区分>在宅系:80.0%、施設系:13.5%、その他:6.5%
<<株式会社インターネットインフィニティーについて>>
株式会社インターネットインフィニティーは、介護業界の最上位資格である「ケアマネジャー」に特化した会員制情報サイト「ケアマネジメント・オンライン」を運営しています。
ケアマネジャー会員登録数は60,527人(2012年4月30日現在)で、毎月会員が増え続けているサイトです。
当社は「日本の介護を幸せなものにする」という経営理念を掲げ、インターネットと介護を融合することにより、新しい介護の在り方・価値を創造して参りたいと思っています。
会社名:株式会社インターネットインフィニティー
代表者:代表取締役社長 別宮圭一
設立:2001年5月7日
資本金:99,625,500円(2011年3月末現在)
従業員数:364名(2011年4月現在)
URL:http://iif.jp
所在地:東京都中央区築地5-6-10
電話番号:03-5148-2345 begin_of_the_skype_highlighting 無料 03-5148-2345 end_of_the_skype_highlighting(代表)
事業内容:介護情報提供事業/福利厚生事業/介護事業所運営支援事業/老人ホーム紹介事業/介護サービス事業
介護者向けサイト「わかるかいご」: https://wakarukaigo.jp/
産経ニュース 2012年7月25日 原文のまま
編者:本文の「認知症状」は正確には「認知症症状」とすべき。なお、発表報告の資料が見当たらない。

「介護保険給付、初めて7兆円を突破- 10年度の事業状況報告」(7月2日/キャリアブレイン )
利用者負担を除く2010年度の介護給付費が、前年度に比べ5.6%増の7兆2536億円になったことが、厚生労働省の「2010年度介護保険事業状況報告(年報)」で分かった。介護保険制度創設以来、初めて7兆円を突破した。
1か月平均の給付費(高額介護サービス費などを除く)は、5700億円だった。サービスごとの内訳は、居宅サービスが7.7%増の2955億円(構成比率は51.8%)、地域密着型サービスが9.9%増の520億円(同9.1%)。一方、施設サービスは1.2%増の2225億円(同39.0%)で、構成割合は初めて4割を下回った。
また、10年度末時点の65歳以上の第1号被保険者数は、前年度比0.6%増の2910万人だった。要介護・要支援認定者は4.3%増の506万人で、初めて500万人を超えた。
1か月平均のサービス受給者数は413万人で、前年度に比べ5.1%増えた。サービス別では、居宅サービスが5.6%増の302万人(同73.2%)、地域密着型サービスが8.3%増の26万人(同6.4%)、施設サービスが1.2%増の84万人(同20.4%)となった。
このほか、保険者が積み立てている介護給付費準備基金の10年度末時点での保有額合計は、前年度比10.5%減の3962億円となった。【外川慎一朗】
キャリアブレインニュース 2012年7月2日 原文のまま

「入所長期化する老健 国は在宅重視、実態と合わず」(6月23日/神戸新聞)
医療機関で急性期治療を終えた人らを対象に、在宅復帰を目標にリハビリテーションを提供する介護老人保健施設(老健)。在宅復帰率の低さや入所の長期化などから「第2の特養(特別養護老人ホーム)」と批判されて久しいが、入所者の年齢や家庭事情を考えるほど、数字上の指摘だけで語れない部分がある。現状を取材した。(黒川裕生)
脳卒中や骨折などで入院後、状態が安定した人が短期集中のリハビリをする場が、そもそもの老健の位置づけ。医療機関と自宅のつなぎのような中間施設だが、厚生労働省の統計(2010年)を見ると、平均在所日数は329・2日。在宅復帰率は23・8%と4人に1人以下にとどまる。
退所後の行き先は(1)医療機関(48・9%)(2)家庭(23・8%)(3)介護老人福祉施設(9・3%)。「退所が近づくと、別の老健の紹介を求める家族も少なくない」と話す関係者も。実際、退所後に別の老健に移る割合は6・6%に上る。
なぜ、このような事態が生じているのか。
「国や自治体は在宅復帰をうたうが、要介護度の高い人を帰すのは難しい。まして老老介護や身寄りのない利用者も増えており、在宅復帰できる人は限られる」と話すのは、多可赤十字老健(多可町)の医師志賀周郎さん(76)だ。
1987年4月開所の同老健は、国内の草分け。志賀さんは立ち上げ時から運営に携わったが、安定期の人を受け入れ、家庭に戻すというサイクルが働いたのは最初の数年だったという。
「高齢化が進み、認知症やパーキンソン病など治療を要する人、要介護度の高い人もどんどん入所するようになった。症状の軽い人が退所すると、老健には結局在宅復帰の難しい重度の人や、介護を担える家族のいない人が残る」
  □
今年4月の介護保険の報酬改定で、老健から在宅復帰した際の加算が新設され、国は在宅重視の姿勢を一層強めている。12年度の改定率はプラス1・2%だったが、内訳は在宅1・0%、施設0・2%だ。
「入所が長期化するのは家庭に戻れない事情を抱えているからという側面もある。施設軽視の姿勢は疑問」と神戸市内のある老健スタッフ。入所の際に「できるだけ長いことお願いします」と頼み込む家族もいる。
改定では、老健に在宅復帰・在宅療養支援機能加算が新設された。家庭に戻った利用者の割合やベッド回転率の高さで加算される仕組みだ。
老健みなと(神戸市中央区)(写真)事務部長吹田由喜雄さん(54)は「老健本来の機能を強化しようという理屈は分かるが、実態に合っていない」と指摘する。みなとは入所者約70人の平均年齢が86歳。平均在所日数は509日で、在宅復帰率は10%を切るという。
「80代や90代の人がリハビリをしても自宅に戻れるほど改善することはまれ。現状維持の意味合いの方が強い」
吹田さんによると、在宅復帰の数字だけを上げるのは実はたやすい。入所の時点で退所時期を設定したケアプランを作り、期限が来れば利用者や家族の事情に関係なく出てもらうのだ。「だが、そんな施設はあり得ないはず」
当初の理念と現状が埋めようもないほどかけ離れてしまった老健。「もう在宅復帰にこだわらなくてもいいのではないか。国には、長期のリハビリで症状が安定していることも自立支援の一環として評価してもらいたい」と吹田さんは話した。
(神戸新聞 2012/06/23  原文のまま)

★「増える有料老人ホーム 特養待機者などの受け皿に」」(6月10日/佐賀新聞)
佐賀県内の有料老人ホームは80施設となり、この5年間で4倍超に急増している。社会福祉法人や医療法人だけでなく、高齢人口の増加を受けて企業も参入。特別養護老人ホームなどの施設待機者の受け皿にもなっている。
県によると、2003〜07年度までに設置された有料老人ホームは18施設だったが、08年度に12施設、09年度に11施設、10年度に7施設が開設した。昨年度は過去最多の19施設、本年度も2カ月で13施設の新規届け出があった。
要介護者に対する施設居住系サービス(特養など)の整備率(09年度)は50%と佐賀県が全国トップだが、それでも特養の待機者は4千人と推計される。09年度にオープンした佐賀市のシニアケア佐賀は「開設当初は特養に空きが出るまでの一時入居が目立った。廃止の方針が打ち出された介護療養型医療施設の受け皿にもなった」と話す。
増加の背景には開設ハードルの低さもある。介護保険が適用されない住宅型有料老人ホームは特養や老人保健施設と異なり、設備の広さや職員数などの規制がない。このため、特養を開設できる社会福祉法人、老健を運営する医療法人だけでなく、不動産業など異業種も参入している。
佐賀市の経営者は「施設福祉は在宅福祉より4倍以上のコストがかかり、特養や老健を増やせば介護保険料が上がってしまう。民間施設で代用したい国の思惑もあるのだろう」と語る。
有料老人ホームは、入居前払い金に数百万円が必要で高所得者向けというイメージが強いが、県内では幅広い客層の獲得を目指す動きもある。シニアケア佐賀は前払い金ゼロ、月額利用料は14万円に設定。佐賀市のナーシングホーム華は前払い金10万円、月額利用料は6万9千円からで、同社担当者は「建物は既存の旅館や民家を改築、コメは農協から買い付けるなどコストを削減している」という。
有料老人ホームの増加について、西九州大学社会福祉学科の倉田康路教授(高齢者福祉)(写真)は「佐賀は都市圏と比べて土地があり、物価も安い。団塊の世代が65歳となり、今後10年は確実にニーズがあることも大きい」と分析。今後の課題として「開設の規制がないだけにサービスに差が出る恐れがある。経営の安定、職員の定着が重要になる」と指摘する。
佐賀新聞 2012年06月10日 原文のまま

「特養入所待ち、静岡県内1万2992人 前年比2498人増」(6月6日/静岡新聞)
利用者負担が少ない特別養護老人ホーム(特養)の入所を希望する高齢者が増え続け、行政の高齢者施設整備が追い付かない。
県が今年1月1日時点でまとめた入所待ちの特養待機高齢者は1万2992人。前年同期に比べて2498人増加し、4年連続で1万人を超えた。不足分を一気に整備すれば待機者は解消するが、介護保険料が跳ね上がる。公費負担増で財政も圧迫するだけに、県や市町は難しい判断を迫られ続けている。
県の試算では人口10万人規模の市が特養を100床整備すると、65歳以上の月額保険料は200円強上がり、市の年間負担額も約3500万円増額する。
まとめによると、待機高齢者のうち、6カ月以内の早期入所を希望する在宅の高齢者は5705人で、半数近くを占める。特に、早期入所希望者の中で「県指定介護老人福祉施設優先入所指針」に照らし、入所の必要性が高いとされる1人暮らしなどの高齢者が前年比253人増の1792人を占め、県介護保険課は「特養の入所ニーズが高い状況は続いている」としている。
高齢者が入所できる施設には有料老人ホームなどもあるが、費用が高く、公費負担により比較的負担が軽い特養への入所を希望する高齢者は多い。同課の村松由隆課長は「各市町にニーズに沿った計画を立ててもらい、特養の整備を進めていきたい」と説明。同時に低所得者が特養以外の施設も利用できるよう、制度の改善や支援の拡充などを国に働き掛けていくという。調査は県内210の特養を対象に行った。調査を開始した2005年から待機高齢者は減少を続けたが、09年から増加傾向に転じている。
特別養護老人ホーム(特養) 在宅生活が困難で、要介護認定が重度の高齢者が多く入所する施設で、県や市町、社会福祉法人が整備する。今年1月1日時点で県内の特養の定員は1万4775人。県は2012年度、特養で581人、介護老人保健施設で429人、認知症高齢者グループホームで324人分を新たに整備するなどして、計1496人の定員増を図る。
県介護保険課によると、昨年1年間の特養退所者は3364人だった。うち78.8%が死亡で退所した。12月までの1年間の退所者を約3500人として整備分を合わせれば、6カ月以内の早期入所を望む高齢者を中心とした一定の受け皿になると想定している。
アットエス 2012年6月6日 原文のまま
編者:入所待機者が多いことは何度も議論されてきた。結局は在宅支援の充実を施設整備の両方を行うしかないだろう。それにしても待機者自身、その家族はなぜこうもおとなしいのだろう。

「認知症ケア、「地域での支援体制が重要」- 介護市民委シンポで与野党議員」(5月30日/キャリアブレイン)
シンポジウム「認知症の人に精神老健はいらない」(主催=介護の社会化を進める1万人市民委員会2010)が30日、東京都内で開かれ、与野党の国会議員が認知症ケアの在るべき姿を中心に意見交換した。出席議員からは、認知症の人を地域で支援する体制の重要性を指摘する声が相次いだ。
民主党の山崎摩耶衆院議員は、周辺症状のある認知症の人への対応について、「(症状が)手に負えないときは精神科(病院)に1か月程度入院し、改善したら自宅に帰ることは可能」と指摘し、「『収容』よりも、地域でどう受け皿を作るかが重要」と訴えた。また、「地域でのケアサービスが少なく、家族をサポートし切れていない」と述べ、介護者支援の必要性も強調した。
公明党の渡辺孝男参院議員は、「認知症の人をすぐ、長期間入院させるのは問題」とした上で、「地域で見てあげる形がふさわしい」と指摘。認知症の人が地域で生活するため、インフラの整備やケア人材の確保、市民に対する啓発などが必要と主張した。認知症の人への医師や看護師らによる訪問支援の必要性も訴えた。
□介護保険の創設、間違いだった」―自民・阿部議員
一方、自民党の阿部俊子衆院議員は、認知症施策をめぐる問題点の一つとして「厚生労働省の縦割り」を挙げ、「介護保険と医療保険(の報酬改定)をばらばらにやっている意味が全く分からない」と指摘。その上で、「介護保険の創設そのものが間違いだった」との認識を示した。また、後期高齢者医療制度についても、「(制度を)縦切りにしていくのは、非常に患者にとって良くない」と述べた。
□1万人市民委、精神型老健に反対姿勢
シンポジウムでは、1万人市民委員会政策委員の池田省三氏(地域政策ネットワーク研究主幹)が、日本精神科病院協会(日精協)が打ち出している「介護精神型老人保健施設」(精神型老健)構想について、「対象が統合失調症であれ、認知症であれ、新しい類型のベッドをつくるべきではない」とけん制。「(精神型老健で)認知症が対象でないとされている点は結構だが、現実がそう動くかは疑問」とも述べた。
精神科医の上野秀樹氏(海上寮診療所副院長)は、「障害がある人を地域に移行させる、という世界の流れに大きく反するものになる」と批判。また、「精神科病院の単なる看板の付け替えに終わる可能性が高い」とも指摘した。
精神型老健は、日精協が検討を進めている「精神医療の将来ビジョン」の一環。精神症状の程度は重度ではないものの、生活上の介護や支援が必要な高齢の精神障害者が生活する施設で、日精協では既存病棟の転換による整備を提案している。【外川慎一朗】
キャリアブレインニュース 2012年05月30日 原文のまま
関連情報:「将来ビジョン戦略会議2−4 生活施設検討チーム報告書」(日本精神科病院協会)(pdf2.5M)

「介護殺人や介護自殺、日本で社会問題に」(5月20日/朝鮮日報)
長い介護生活に疲れて親や配偶者を殺害する、いわゆる「介護殺人」事件が日本で年間40−50件ほど発生している。だが、裁判所は大半の場合、介護の苦痛を理由に執行猶予を付けるなど、比較的軽い刑を科している。昨年、日本の裁判所は寝たきりだった92歳の母親を殺害した長男(66)に対し、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。裁判官は情状酌量の理由について「献身的な介護を10年以上続けており、被害者に対し、深い愛情をもって接していたことに疑いの余地はない」と説明した。被告は法廷で「回復が見込めない母親をこれ以上苦しませたくなかった」と証言した。
介護殺人を犯した人の大半は警察に自首するか、自殺を図る傾向にある。今月10日には東京で、10年間寝たきりだった妻(64)の首を絞めて殺害した容疑で、夫(68)が逮捕された。自殺しようとしたが失敗して自首した夫は、警察で「介護に疲れた。何もかも早く終わらせたかった」と供述した。
介護に疲れて自ら命を絶つ「介護自殺」も、日本で年間300件を超える。終わりの見えない介護でうつ病などを患い、自殺するケースだ。芸能人も例外ではない。2009年には、かつて歌手や女優として活躍した清水由貴子さん(49)が父親の墓前で自殺しているのが見つかり、人々に衝撃を与えた。遺体の横では、車いすに座った母親が意識を失っていたという。清水さんは一人暮らしをする母親の面倒を見るため、06年に芸能界を引退して面倒を見てきたが、いつ終わるとも知れない介護生活に耐えられなかったようだ。
日本で先ごろ、親や配偶者の介護をしている8500人を対象に調査した結果、4人に1人はうつ状態で、65歳以上の30%は自殺したいと答えた。
親の介護で結婚をあきらめ、独身のまま暮らす人も急増している。その中には、会社勤めが難しいため、アルバイトなどで生計を立てている人もいる。また、自由になる時間がないため、異性と出会うチャンスもない。こうした人々は、貧困と介護、孤独という三重苦にさいなまされ、自殺に追い込まれる可能性が高い、と専門家たちは警鐘を鳴らしている。
日本政府は2000年4月、高齢者の介護を支援するための介護保険を導入し、在宅介護、施設での介護など高齢者福祉に取り組んでいる。だが、急速な高齢化で高齢者が急増し、施設入所待機者も大幅に増えている。日本政府は介護問題による社会的損失を防ぐため、一定額を払えば回数や時間の制限なく訪問介護を受けられる制度を4月から導入した。だが、ヘルパーの人材不足に加え財源の捻出も難しいため、制度の適正な運営態勢が十分に確保されていない。東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報日本語版 2012年5月20日 原文のまま
編者:介護自殺や介護殺人は日本に限ったことではないが、相対的に多いようだ。韓国ではどうなのだろう。

「「介護と仕事の両立」、7割弱が勤務先の支援策に不満――第一生命調査」(5月17日/ケアマネジメント)
第一生命保険経済研究所は、4月12日、全国の親の介護経験がある正社員953 名を対象に実施した「介護と仕事との両立に関するアンケート調査」の結果を発表した。
同調査によると、介護のために仕事を辞めたいと思うことがある人のうち、69.0%が「勤務先の両立支援制度」に、51.2%が「家族の中での介護分担」に不満を感じていることがわかった。また、実際に介護休業制度を利用する人は2割にも達しないことも明らかになった。こうした結果から、「職員の介護事情に合わせて利用できる両立支援制度等の充実、またそれらを利用しやすいような職場環境づくり、介護をしながらでも働き続けやすい社会の早期実現が望まれる」と分析している。
調査は昨年9月22日〜10月2日にかけて行われた。調査の対象は企業に正社員として働く20-69歳のうち、現在もしくは過去に、自分か配偶者の親の介護を経験した人で、849人(男性551人、女性298人)を分析対象としている。
□介護のために仕事を辞めたいと思うか
男性は「辞めたいと思うことがある」割合は25.0%、女性は33.9%であり、女性のほうが「辞めたいと思う」割合が高い。「家族の中での介護の分担」と「利用している介護サービス」についても、「辞めたいと思う」人の方がそうでない人よりも「満足している」の割合が低い。
□介護のために仕事を辞めたいと思う理由
第1位は「働きながら、在宅介護は難しいから」(39.5%)、第2位「親のため、介護のため介護に専念したいから」(30.2%)。特に女性は、普段から家事や子育ての不安もあり、それに加えて介護をしながら働くことの負担の大きさを感じている人が多い。男性の場合は、現状の働き方を維持することの難しさを感じている人が多いことがうかがえる。
□介護生活における不安や悩み
「介護生活がいつまで続くのか不安である」が80.2%と最多で、「介護のために自分の自由な時間がない」(65.1%)が続いた。
□介護中の実際の働き方
「なるべく残業をしない」(52.2%)で、「たびたび有給休暇を取得する」 (32.5%)などして、介護との両立生活を乗り切っている人が多い。その他、「一定の範囲において出社・退社時刻を自由に決める(フレックスタイム)」(23.8%)、「一日の所定労働時間を短くする」(20.8%)などが続いた。「介護休業の取得」は18.8%にとどまった。
□介護中の希望する働き方
男性の第1位は「フレックスタイム」(19.2%)、女性の第1位は「介護休業を取得する」(19.5%)。
□介護と仕事の両立に関する意識
「会社は親の介護をしていることに理解をしてくれる」「勤務先の介護との両立支援制度は従事している」と思っている人の方が、そうでもない人よりも「自分は介護と仕事との両立ができている」と思っている割合が高い。
□介護と仕事の両立のために必要な施策
第1位は「介護保険制度における介護施設の充実」(57.8%)、第2位は「介護保険制度における在宅介護サービスの充実」(43.6%)で、多くの人がまずは介護を支える制度の充実を期待しており、介護サービスの活用により、仕事との両立生活を乗り切りたいと思っている。その一方、介護休業制度や休暇制度の充実を希望する回答は、施設やサービスの充実を望む回答の半分以下だった。
ケアマネジメントオンライン 2012年5月17日 原文のまま
関連情報:ニュースリリース「全国の親の介護経験がある正社員953 名に聞いた『介護と仕事との両立に関するアンケート調査』〜介護と仕事との両立の条件とは?〜」(4月10日)(pdf400K)
編者:アンケートも必要だが、両立に必要な条件をどう構築するかの展望や運動も欠かせない。

「課題は採算性と人材確保 24時間訪問介護サービス」(5月12日/佐賀新聞)
24時間訪問介護サービスは人口が密集する都市部に比べ、地方では需要や採算性、人材確保などが障壁となっている。早期に普及する見通しは立たず、利用者からは在宅介護の地域間格差拡大を懸念する声も上がっている。
福祉施設で働きながら、認知症の母(92)を10年間自宅で介護している小城市の女性(59)は「やっと制度ができたかという感じ。始まれば、ぜひ利用してみたい」と新サービスに期待を寄せる。
現在は訪問介護を午前6時から午後10時まで利用。介護保険の適用時間を超えるため、個別にヘルパーと契約しており、1週間で10万円の料金は全額自己負担。新サービスの定額制は魅力で、「母の年金で何とか賄えるから仕事を辞めずに済んだが、資金面で苦しい人は多いはず。都会では実施されるだろうが、県内はどうだろうか」と地域間格差の拡大を心配する。
マンションや団地などが多い都市部と違い、県内は戸建てが主流で移動に時間がかかる。効率性の低さはコスト増につながり、採算面で難色を示す事業者は多い。佐賀県は訪問介護より施設介護の割合が高い点も普及が難しい要因になっている。
県老人福祉施設協議会の松永宣子会長は「新サービスの内容は評価できるが、理想的すぎて現実に合わない。慢性的な人手不足を解消できないのに、新たな人材確保も難しい。山間部や過疎地域を抱える地方の現状を考慮しておらず、計画があっても事業参入は厳しいのでは」とみる。
新サービスは電話を受けるオペレーター、夜間に待機するヘルパーが必要。参入を見送る佐賀市の事業者は「利用者が最低10人いないと人件費だけで赤字になる」、市内の別の事業者も「単独ではリスクが大きい。医療機関と業務提携しなければ現実的には難しいだろう」と話す。
同協議会ヘルパー委員会の吉原喜美子委員長は「国の方針には従いたいし、利用者の要望にも応えたいのだが…」と複雑な表情を浮かべた。
在宅療養の充実に取り組む市民団体「在宅ネット・さが」事務局の矢ケ部伸也医師(写真)は「老老介護や独居の方にとって理想的なサービスだが、現行制度では佐賀の現況にそぐわない。だからこそ訪問診療や訪問薬剤指導などと連携を深め、より利用者に即した対応をしていきたい」と話した。
佐賀新聞 2012年05月12日 原文のまま

「孤立する高齢者」
<上> 問題・不安抱え潜在化」(4月4日/東京新聞)

相次ぐ高齢者の孤立死。防ぐには周りの目が不可欠だが、親族や地域とつながりを持たず、介護保険や生活保護などの制度も利用していない人も多い。介護保険制度が今月改正され、国は高齢者が地域で暮らし続ける体制づくりに注力するが、孤立の実態は−。 (杉戸祐子)
「介護保険サービスでヘルパーに家に入ってほしいのだが…」。東京都内の会社員男性(53)は、要介護2の認定を受けている独り暮らしの母親(84)についてこう嘆く。
母親は脳梗塞の後遺症で脚が不自由。男性は車で二十分ほどの距離に住み、週に数回様子を見に行くが、食材が尽きてバナナで空腹をしのいでいることも。ホームヘルパーによる買い物や掃除などの援助を受けるよう何度か勧めたが、母親は「他人に自宅に入られたくない」「対応が面倒」と受け入れない。
民間業者の配食サービスを頼んだこともあるが、数カ月でやめてしまった。男性は「世間と定期的に関われば刺激になるし、家族も安心なのだが…」と悩みを深めている。
援助の必要な高齢者を社会で支えるのが介護保険制度だが、利用者には不安がつきまとう。第一生命経済研究所の調査(十八〜六十九歳の男女三千人対象、二〇一〇年)では、「満足なサービスが受けられるか不安」(43%)、「外部の人が家庭に入ることに抵抗感」(31%)などの回答があった。制度開始直後の〇一年調査とほぼ同じ結果だった。
「介護保険サービスや生活保護などを利用せず、孤立状態にある高齢者は大量にいる。家族や地域とのつながり方が変わる中で、その潜在化が深刻になっている」。明治学院大の河合克義教授(社会福祉論)(写真)は指摘する。
同教授らが昨年、東京都港区の独り暮らしの六十五歳以上の全男女五千六百五十六人対象の調査で、「病気など緊急時にすぐに支援してくれる人がいるか」の問いに、17%が「いない」と答えた。男女別では男性が29%、女性が15%と男性が多い。独り暮らしの高齢者男性の三、四人に一人が孤立状態といえる。「正月三が日を過ごした相手」では、全体の33%が「独り」と答えた。
介護保険サービスは「利用していない」が82%。要介護認定の申請をしていない人が半数以上だった。区の福祉サービス(緊急通報や配食サービスなど)は63%が利用なし。趣味のサークルや自治会など社会参加活動は47%が不参加だった。
経済状況を見ると、年収が単身高齢者世帯の生活保護基準の目安となる百五十万円を下回るのは全体の32%で、実際に生活保護を受給しているのはその21%。河合教授は「生活保護基準以下の生活をしている独り暮らしの高齢者が多数いるが、その八割は、生活保護と無縁の生活をしている」と話す。
同教授らによる横浜市鶴見区での調査(〇六年)でも、緊急時の支援者がいない独居高齢者は27%で、そのうち介護保険サービスの利用者は10%。独居高齢者全体の利用率は15%で、支援者がいない人の方が利用率が低かった。
もちろん、高齢者の誰もに援助が必要なわけではない。自力で安定した生活を送る高齢者もいるが、河合教授は「孤立している高齢者は問題を抱えながらも控えめで、介護保険などの制度利用とは縁遠い生活態度の持ち主だ」と、実態が表面化しない理由を指摘する。
東京新聞 2012年4月4日 原文のまま
編者:申請主義の介護保険へのアクセスという重要な課題だ。
「<下> 公的なアポなし訪問で救出」(4月11日/東京新聞)
血縁や地縁がなく、介護保険などの制度とも結び付かずに孤立する高齢者。前回(四日付)、孤立が潜在化している実態を報告したが、閉ざされた家の中で何が起きているのか。事態を改善する有効な対策はあるのだろうか−。 (杉戸祐子)
「初回の相談時点で生活や健康が極端に悪化しており、緊急性の高い事例の経験がある」が65%−。立命館大の小川栄二教授(社会福祉援助技術論)(写真右)らが二〇〇九年、近畿地方(大阪府、兵庫県など二府四県)の全地域包括支援センター五百六十施設を対象に行った調査の結果だ。具体的には「ごみ屋敷状態」「尿や便の汚染の中で寝たきり」「脱水状態で緊急受診が必要」などの回答があった。
さらに「できる限り早期に手だてが必要な事例の経験がある」が30%。つまりほぼすべての施設が、緊急または早期の対応が必要な事例を経験していた。また、七割近くが「担当地域で孤立死を経験した」と回答した。
小川教授らによる、介護支援専門員(ケアマネジャー)を対象とした調査(〇五年)でも「初回面接で高齢者の介護・生活問題が深刻で対処に困った経験がある」のは73%。さらに「介護や援助が必要にもかかわらず本人が拒否した例」を71%が体験していた。
小川教授は「援助の必要な高齢者が家に潜伏し、生活が悪化している状態はレアケースではない」と指摘し、「発見されないまま潜在化すれば、緊急事態となって初めて顕在化するか、孤立死の状態で発見される可能性がある」と分析する。
◇緊急性高い「潜伏」 日常的に
対策として注目されているのが「アウトリーチ」だ。英語で「手を伸ばす」という意味で、福祉などの現場では「関係者が出向いて支援する」という意味合いで用いられる。
東京都港区では昨年六月から区内の一部地区で、介護保険を利用しておらず、区の高齢者サービス(家事援助、配食、緊急通報システムなど)にも無縁の独り暮らしの高齢者をリストアップし、全戸訪問する「ふれあい相談員」の取り組みを始めた。
港区によると、対象地区に住む独居高齢者は約二千七百人で、うち約千七百人が訪問の対象。昨年十二月末までの七カ月間で約九百人を訪問した。問題のないケースが多かったが、介護保険の認定申請に結び付いたケースが七件、受診した例が四件、ごみの訪問収集を行った例が三件あったほか、高齢者サービスの利用を開始した例が三十一件あった。
地域包括支援センターで看護師として勤務していた相談員の近藤朋美さん(53)は「訪問して嫌がられたことはほとんどなく、自分から周りや制度とつながる意思のない人を結び付けられるケースがあった」と話し、「引きこもりがちな高齢者が自分で相談に出向くのは難しい。相談員がアポなしで訪ねるのは非常に有効」と実感を語る。港区では今月から全区域で実施する。
小川教授は「専門職が接触すれば健康や生活の状態が把握しやすいし、継続的に粘り強くかかわれば、解決に結び付く」と力を込める。さらに「地域の見守り活動などで住民同士が顔の見える関係を築くことに加え、引きこもりがちな高齢者には、公的な専門職による戸別訪問を組み合わせる必要がある」と指摘する。
中日新聞 2012年4月11日 原文のまま

「“在宅介護支える”サービス開始」(4月1日/NHK)
介護保険制度の下で高齢者の在宅生活を支える新しい介護サービスが始まりました。
新しいサービスは、介護度が重い人でも住み慣れた家で暮らし続けられるために作られましたが、サービスの提供体制が十分整っていないため、1日から実際にサービスを受けられる地域は限られるとみられます。
サービスを提供する会社では、「在宅生活をきめ細かく支援できると思うので、少しずつ広げていきたい」と話しています。
新しいサービスは「定期巡回・随時対応サービス」と呼ばれ、ヘルパーや看護師が一日に何回か定期的に自宅を訪問し、必要なケアを短時間で行います。
東京・新宿区に住む多賀郁哉さん(81)は、介護保険制度の下で1日からこのサービスを使い始めました。
多賀さんは認知症で、介護する妻のマツエさん(78)も目や耳が不自由なため、新しいサービスを使うことにしました。
ヘルパーが朝と夜の2回訪問し、排せつや着替えの介助、薬を飲んだかの確認を20分ほどで行います。
新しいサービスでは、急な場合に備えて、事業所は24時間態勢で対応することになっていて、多賀さんの自宅には事業所と連絡が取れる端末が置かれています。
利用料は介護度に応じた定額制で、月に何回利用しても同じ額です。妻のマツエさんは、「1人で面倒を見ていたが、ヘルパーに何度も来てもらえて助かります」と話していました。
サービスを提供する会社「ジャパンケアサービス」の山崎直樹さんは、「在宅生活をきめ細かく支援できるサービスだと思うので、少しずつ広げていきたい」と話しています。
新しいサービスは、介護度が重い人でも住み慣れた家で暮らし続けられるために作られましたが、サービスの提供体制が十分整っていないため、1日から実際にサービスを受けられる地域は限られるとみられます。
NHKニュース 2012年4月1日 原文のまま

「保育所併設のグループホームが開所 伊賀地区初 伊賀市安場」(3月30日/伊賀タウン情報YOU)
保育所を併設したグループホーム「あんだんて」(伊藤賢志管理者)の開所式が3月30日、伊賀市安場で開かれた。保育施設を同じ敷地に持つグループホームは県内では珍しく、伊賀地区では初めて。
運営は貸し切りバスやタクシーなど旅客運輸業を主要事業にする株式会社キタモリ(本社・同市古郡)。式典には約30人が出席した。オープンは4月1日で、ケアマネジャーや看護師、保育士などの資格を持つ職員15人を雇用した。
認知症高齢者が共同生活する同グループホームの定員は9人。木造2階建ての施設には、入居者の個室の他、食堂や台所、浴室、トイレなどの共同設備があり、延床面積は約480平方メートル。
併設する保育施設「ポコ・ア・ポコ」は同社で働く従業員約110人が利用できるよう設けられた。対象は0歳児から就学前の幼児で、定員は10人。砂場や遊具などがある園庭も整備した=写真右。
同社の北森浩貴社長は「子どもを預けるところを確保できれば、従業員も安心して仕事に打ち込める。グループホームに入居するお年寄りの方も、子どもたちの声がいつも間近に聞こえる家庭的な環境のなか、成長を見守ってもらい、生きがいにつながれば」と話した。
伊賀タウン情報YOU 2012年3月30日 原文のまま

「[介護保険料]夫婦で1万円 もう限界」(3月25日/沖縄タイムス)
65歳以上の高齢者が支払う介護保険料が、4月から月額5千円を超える。
介護保険制度が始まった2000年度、2911円だった保険料は、青天井で推移し、とうとう「負担の限界」と言われる5千円を突破する。
収入が年金だけの高齢者世代で夫婦合わせて1万円を超える出費は、家計に重い。これ以上は耐えられない、という悲鳴が聞こえてきそうだ。
介護給付費の財源は、加入者の保険料で半分を、残り半分を国と地方自治体が負担している。65歳以上の保険料は、3年ごとに改定され、12年度から5期目に入る。
共同通信が県庁所在市と政令指定都市の計52市区を対象に、4月からの保険料を調査したところ、4分の3強の40地区で5千円台に引き上げられることが分かった。52市区の平均は5263円。那覇市は平均を上回る5647円となっている。
本紙の調査でも、竹富町、北中城村、南大東村、北大東村を除く37市町村が5千円を超え、うち16市町村は6千円台に達している。
前期より1800円増の5600円となった多良間村は「短期入所サービスを充実させた」ため。1600円増の6400円となった宮古島市は「通所系の事業所を増やした」ことが保険料を押し上げた。
保険料引き上げで負担が増えれば、個人は必要なサービスを抑制せざるを得なくなり、施設を整備し必要なサービスを整えれば保険料に跳ね返るというジレンマを抱える。
介護保険制度がスタートした当初、利用者は約149万人で、給付費は約3兆2千億円だった。それが500万人、8兆円に迫る勢いで増え続けている。
保険料の上昇は、介護を必要とする要介護認定者が増えているからで、団塊世代の高齢化によって、さらなるアップが予測できる。このままの仕組みでいけば、いずれ保険料が1万円を超えると推計する自治体もあるほどだ。
必要なサービスと負担の議論は避けては通れないが、間もなくやってくる「四人に一人が高齢者」という時代に、給付を抑制するのは容易なことではない。
加えて高齢者の16%が一人暮らしで、世帯人員が減少する中、家族による介護も限界が見えている。  
公費投入を求める声は強く、「誰がどれだけ負担するのか」という財源問題と向き合わなければ、遠くない将来、制度は破綻する。
生活に困窮し行き場のない東京の高齢者が、地方の無届けの老人施設に入所し、火災で亡くなる事故があった。都会では低所得者が入れる施設がなかったのだ。
「老老介護」の果ての痛ましい事件も繰り返される。
介護保険制度は、家族を“介護地獄”から救おうと介護の社会化をうたって導入された。12年たって、制度は高齢者の独居化、貧困化にも向き合わなければならなくなった。
国は財政上の問題から費用が抑えられる在宅介護へと舵(かじ)を切るが、むしろ今必要なのは「社会化」の拡大である。
沖縄タイムス 2012年3月25日 原文のまま

「老人ホームでカフェ形式の催し人気 舞鶴、外部参加も」(3月14日/京都新聞)
京都府舞鶴市布敷の特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」が毎月開く、カフェ形式の人類学講座やダンスワークショップなどユニークな催しが人気を呼んでいる。当初は施設職員向けの企画だったが、テーマの面白さから外部の参加が増えた。同ホームは「特別な場所でなく、多様な人が交流できる空間にしたい」としている。
「老人ホームで学ぶ−シリーズとつとつ」と銘打った取り組み。2010年春に京都市のダンサー砂連尾理(じゃれおおさむ)さんを招いてダンス公演を行ったのがきっかけで、翌月から職員や入所者を対象にダンスのワークショップや勉強会を続けてきた。
地域の学童保育の場でもある1階交流スペースで、舞鶴市在住の研究者豊平豪さんが進行役を務める「文化人類学カフェ」▽看護師で臨床哲学者の西川勝・大阪大教授が言葉について話す「とつとつ勉強会」▽砂連尾さんのワークショップ、の3企画を毎月の主に平日夜に不定期で開く。
先月開かれた人類学カフェには、舞鶴高専生や会社員、小学校教員など幅広い世代の男女15人が参加。「空気を読む?」をテーマに約2時間ざっくばらんに話し合った。
豊平さんは「自分と異なる文化や生活習慣を理解しようとするのが文化人類学。認知症も一種の『異文化』と捉えれば、コミュニケーションにも役立つのでは」と話す。
淡路由紀子施設長は「いろんな感性や人生経験を持つ人と接することが介護の質を高める。閉鎖的になりがちなホームの中に、誰もが入りやすい『縁側』のような空間がつくれれば」としている。
次回の人類学カフェは16日午後7時から。無料、予約不要。問い合わせは同ホームTEL0773(75)7121。
京都新聞 2012年03月14日 原文のまま

「お金がなくても安心の老後は過ごせるか」(3月11日/日本経済新聞)
年老いたとき、どこでどう暮らすかは年齢を重ねるほど切実な問題。超高齢化国、日本では特に問題だ。亡くなる直前まで元気ならそう心配はない。しかし体が弱ってきて、身の回りのことが自分ではできにくくなってきたら、認知症の兆しが出てきたりしたら、どうすればいいのだろうか。
世話をしてくれる家族と同居しているなら心配は減る。ところが2020年には、日本の全世帯の4分の1が高齢者の一人暮らし世帯、もしくは老夫婦だけの世帯となってしまう。家族には頼りにくい。
□家族の手助けを前提とする介護保険
常に介護が必要な状態となれば、「特別養護老人ホーム」という施設に入所することができる。これは社会福祉法人や自治体が運営する公的な面が強い施設で費用も安い。相部屋か個室かによって異なるが、月5万〜15万円ほどで食事から介護まですべての面倒を見てもらえる。建設の際などに税金による大きな補助が出るからこそできる価格設定。ただ問題は数が足りないこと。入所待ちが多く、すぐ入れるわけではない。
民間企業が運営する「有料老人ホーム」という手もある。ただし、ここは概して費用が高い。月に20万〜30万円もしくはそれ以上かかり、入居一時金で数百万〜数千万円といった例も珍しくない
ならば今まで暮らしてきた自宅でそのままといきたい。介護保険制度を使って、ヘルパーさんに来てもらえば、一人暮らしでもなんとかなるだろうと思いたい。ところが現実は甘くない。介護保険では介護の必要度が最も高いと判定された人で月に約36万円相当の介護サービスが使えることになっているが、昼夜ともに十分なサービスや見守りを受けようと思うと、この額ではまったく足りない。全額自己負担のサービスも併用して月に70万円かかるという試算もあるほど。介護保険は実は家族など誰か見守ってくれる人がいることを前提に設計されているのだ
□「サ付き住宅」という選択
このような状況の中、2011年の法改正によって登場したのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ付き住宅)」。一見したところ、ワンルームタイプの賃貸住宅などとそう変わらない。違うのは、見守りやちょっとした困り事に対応するためのスタッフが住宅内に常駐していること。要するに家族の代わりとなる人がいるわけだ。この部分が「サービス付き」の意味だ。建設補助金も出るので様々な民間企業が参入し始めている。資産家でもない限り、自分専用の見守りスタッフは雇えない。でも集合住宅なら入居者1人あたりの負担を抑えてスタッフを雇うことは可能。こういう基礎的な環境が整ったうえで、介護が必要ならば介護保険を使ってヘルパーさんに来てもらい、うまくいけば、そのまま最期まで暮らせるかもしれない。
「サ付き住宅」なら費用もそんなにかからず、自宅にいるより安心で、老後の住まい問題が解決されたと思いたいところ。でも現実はそうでもない。やはり大きな問題は価格だ。東京近辺なら家賃・管理費・サービス費などで月10万円台半ば程度の費用がかかり、食費やその他もろもろ合わせると毎月20万円以上かかるというケースも珍しくない。様々な工夫や努力で低価格を実現している事業者もいるが、政府が介護保険制度の見直しを実施すれば継続は難しそうな工夫も見受けられる。そもそも介護の現場で働く人たちの給料はほかの産業に比べ低く、人件費は切り詰めにくい。簡単には低価格は実現しない。
今の高齢者は若い世代に比べれば資産も多いというが、高齢世代内での貧富の格差は大きい。厚労省の国民生活基礎調査で高齢者世帯の所得を見ると、年150万〜200万円という所得の世帯が最も多い。また若い世代ほど年金も減っていき、資産も少なくなる。「サ付き住宅」の価格帯が今のままなら、入るのは難しい人が今後も増えそうだ。
□「助け合い」の老後
ではいったいどうすればよいのか。その答えの一つは「非営利」「互助」を活用して、なるべく余計なお金がかからない仕組みをつくることだろう。明治大学の園田真理子教授(写真左下)は「現在もしくは将来見守りが付いた住宅に住みたい人たち自身が出資し非営利事業としてサービス付き住宅をつくる」ことを提案している。一定の地域内でそのような住宅のネットワークをつくれば、見守りスタッフを効率的に雇うこともできる。幸いなことに地域に貢献するビジネスを立ち上げようという若者らも増えつつある。このような動きとも連携した地域づくりが求められる。余計な間接費がかかる大規模な事業体よりも、小規模な非営利団体(NPO)などのほうが活躍の余地は大きいともいえる。
友達同士や目的を共有した仲間で一緒に住まうという試みはすでにある。そういう住まいでは住民同士の助け合いも期待できる。時には一緒に食卓を囲み、外出もする。そうすることで身体的にも精神的にも衰えを防げる面もあるといわれる。
老後の不安をただ嘆いていても仕方ない。立ち上がって仲間を募れば、展望は開けるかもしれない。(編集委員 山口聡)
日本経済新聞web 版 2012年3月11日 原文のまま

「【千葉】県調査 「お泊まりデイ」121事業所で実施」(3月9日/東京新聞)
デイサービスの利用者をそのまま宿泊させる「お泊まりデイサービス」を実施している施設が県内に少なくとも百二十一事業所あることが八日、分かった。県議会健康福祉常任委員会で、丸山慎一氏(共産)の質問に県が明らかにした。
県が昨年九月に約千二百事業所を調査したところ、実施済みの百二十一事業所のほか、五十九事業所が実施を予定と回答した。利用者が最も長く宿泊している日数では、三十一事業所が二十一〜三十一日間と答えたほか、最長四年と答えた事業所もあったという。
デイサービス施設に宿泊させるのは介護保険の対象外。施設の自主サービスで違法ではない。ショートステイ施設などが不足しているため需要があるとみられる。東京都は独自の基準を設け、届け出制にしているという。
丸山氏は「劣悪な環境下で寝泊まりしているケースもあり、対策が必要だ」と指摘。県は「国も実態を調査しており、慎重に対応を検討したい」とした。 (小川直人)
TOKYO Web 2012年3月9日 原文のまま


「ノロウイルスか 80代女性死亡、9人が発症 旭川の介護施設」(1月20日/北海道新聞)
【旭川】旭川市保健所は20日、旭川市内の介護保険20+ 件施設で、入所者10人が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴え、80代の女性1人が18日に急性腎不全で死亡したと発表した。同保健所はノロウイルスの集団感染とみている。
入所者10人は70〜100歳代で、死亡した女性を除く9人は、快方に向かっているという。
Doshin 2012年1月21日 原文のまま

「耐震化していない社福施設、2万7千超- 2割弱が未対応。厚労省が調査」(1月19日/キャリアブレイン)
全国の社会福祉施設のうち、耐震化されていない施設は2万7000余りに達することが、19日までの厚生労働省の調べで明らかになった。社会福祉施設全体の2割近くが耐震化されていないことになる。厚労省では各自治体に対し、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金や安心こども基金、介護基盤緊急整備等臨時特例基金などを積極的に活用し、古い施設の耐震化を推進するよう呼び掛けている。
社会福祉施設は、要介護の高齢者や障害者など、災害発生時には自力で避難することが難しい人が数多く利用している。そのため厚労省では、都道府県、政令指定都市、中核市を通じ、社会福祉施設の2010年4月段階の耐震化の実情について調査を実施。具体的には、1981年の建築基準法改正で導入された現行基準(震度6強程度の地震でも、人命に危害を及ぼすような倒壊被害を生じない)を満たしているかどうかを基準に調査した。
その結果、全国の社会福祉施設14万6221施設のうち、耐震化されていない施設は2万7376施設で、耐震化率(全体の施設数に対し、耐震化されている施設の割合)は81.3%にとどまった。
種類別の耐震化率は、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなど「老健局関係施設」が91.2%、障害福祉サービス事業所など「障害保健福祉部関係施設」が76.5%、保育所などの「雇用均等・児童家庭局関係施設」が71.4%、救護施設などの「社会・援護局関係施設」が60.7%となった。老健局関係施設の耐震化が進んでいる理由については、「他の施設に比べ、比較的新しい施設が多いためではないか」(厚労省社会・援護局福祉基盤課)としている。
キャリアブレインニュース 12012年01月19日 原文のまま
関連情報:厚生労働省「社会福祉施設等の耐震化状況調査の調査結果について」(2012年1月19日)

「特養の居室「複数定員可」条例化へ 県、低所得者に配慮」(1月11日/岐阜新聞
在宅生活が困難で常時介護が必要な高齢者らが入所する特別養護老人ホームの施設基準について、県は10日、国基準で1人とされた居室の定員について現行通り2〜4人でも認める方針を示した。個室か多床室かを利用者が選択できるようにする狙いで、低所得者層にも配慮する。一般への意見募集を経て独自基準を定めた条例案を9月県議会に提出、来年1月施行を目指す。
地域主権一括法の施行により、特養の居室の定員は都道府県の裁量で国とは異なる基準も定めることができるようになった。特養の個室化を推進する厚生労働省は昨年10月、従来は4人以下も認めていた省令を改め、1人に限定、都道府県などに基準設定の参考として示している。
従来型の特養で入所者が負担する居住費の標準額は、個室が1日1150円で、2〜4人の多床室の同320円の3倍以上。特養などでつくる県老人福祉施設協議会は「低所得者層へのセーフティーネットの構築推進のため」として4人以下の継続を要望していた。同協議会の若山宏副会長は「多床室の方が見守りがしやすく、あえて個室化しない方が良い、という声もある。要望を反映した案だ」と評価している。
県が独自基準を定めずに国基準に従った場合、社会福祉法人が特養を新設する際、個室以外は県の設置認可が受けられず介護保険19 件の適用も受けられない。
岐阜新聞 2012年1月11日  原文のまま
編者:基本的には個室がよいのだろが、個室料を請求される条件だと低所得者が実質的に排除されることになる。1人部屋か2人部屋の混合が現実的だろう。4人部屋は賛同できない。

「C世代駆ける 第6回老若サバイバル 負担の未来、攻め込む道」(1月8日/日本経済新聞)
高齢社会ニッポン。20年前、高齢者1人を現役世代5.8人で支える構図だった。今は2.7人。20年後は1.8人だという。実感が湧かない。取材班の記者(27)は特別養護老人ホーム「新横浜パークサイドホーム」に泊まり込んだ。

まさに目が回るほど忙しい。食事を渋る認知症の女性の口にスプーンを運び、休む間もなく別の男性のトイレに付き添う。記者が密着した介護福祉士、河原弘明(27)は朝8時半から夕方5時半まで一度も足を止めなかった。「お兄さん、お部屋へ連れてって」。サキヨ(仮名、87)の車椅子を押しながら自分の老後を想像する。

「日本はもう成長しない。年金制度も当てにできない」。千葉県八千代市に住む横田直樹(仮名、33)はアジアに生活基盤を移す覚悟を決めた。
大阪府の「グローバル人材育成プログラム」に応募、通れば長期の研修に旅立つ。今は空港サービス会社で働いているが「給料も上がらず、20年後の自分の姿を想像したくない」。仕事にも日本にも未練はない。
平均的な20代後半の男性の人生を金融広報中央委員会のサイト「知るぽると」でシミュレートした。年収366万円、30歳で結婚し子供は2人。3500万円の住宅を買っても老後はしのげる。ただ、52歳まで給与が右肩上がりで年金は夫婦で月額27万円という前提。そんな「人生すごろく」はこの先も有効か。
年の瀬の12月27日、都内で開いた「お金の教養講座」に20人が集まった。熱心にメモを取った男性(36)は「賢さを磨いてなんとかサバイバルしたい」。講師の村山彩(33)によると学生の受講者も来る。「少しかわいそうな気もするが、若いうちから『守り』を意識せざるを得ない時代だ」

午前2時。入居者の徘徊(はいかい)に対応したミリアム(27)は「フィリピンより日本の方がずっと働きやすい」と笑顔を絶やさない。ここでは15人のフィリピン人とインドネシア人が働く。「すごく気が利く」「自分の孫みたい」と、すこぶる評判が良い。
日本の高齢化は自力で立ち向かえる水準を超え、外国人の介添えは欠かせなくなる。ただ、力を借りる一方で、世界に提供しうるノウハウを日本は豊富に蓄えている。
介護・医療の人材紹介を手掛けるSMS。昨年2月、介護を担う家政婦の人材紹介を中国で始めた。現地で人材を募ると登録希望者があっという間に千人集まった。
これから視野に入れるのは韓国、インドネシア、インド……。「30年にアジアでナンバーワンの介護情報会社を目指す」。中国事業の責任者、坂梨仁哉(31)は「日本の蓄積を現地のやり方に合わせれば、必ず立派なビジネスとして成り立つ」。

入浴に立ち会った山本邦雄(77)が詩を教えてくれた。「年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ」。自らに言い聞かせたのか、私へのメッセージか。不覚にも涙が止まらなくなった。

川添高志(29)がワンコイン健康診断のケアプロを立ち上げたのは3年前。慶大在学中、医療コンサルタント会社を手伝い、卒業後は東大病院で看護師に。糖尿病患者の「もっと簡単に健診を受けられたら……」という声に一念発起した。
フリーターや主婦ら健康診断の機会がない「健診弱者」を500円で診断し、生活習慣病の予防に役立て、膨張する医療費を抑える。川添は「目指すのはビジネスで社会を変えること。もうかるかだけではなく、社会が必要としているモデルかどうか」と話す。
重い課題には需要が潜む。C世代が広げる選択に、期待していいのではと思った。(敬称略)
日本経済新聞 2012年1月8日 原文のまま

「支え合う・東北の動き:東日本大震災 孤独死防げ 仮設に介護拠点、サロンにも/福島」(1月7日/毎日新聞)
◇「活動のきっかけに」
東日本大震災で被災した高齢者の孤立や孤独死を防ごうと、仮設住宅に介護サービス拠点の整備が進んでいる。阪神大震災で仮設住宅での孤独死が相次いだ反省を踏まえた。国の交付金で各自治体が設置しており、仮設住宅で暮らす人たちにデイサービスや交流サロンを提供する。【長野宏美】
「はい深呼吸して」。高齢者が天井からつるされた赤いひもを使って体を曲げ伸ばしする。飯舘村の住民が避難する福島市松川町の仮設住宅。昨年11月に開所した松川サポートセンターで、「介護予防」の運動に参加した北里テルコさん(84)は「気分も体も軽くなる」と笑顔を見せた。
センターは利用者が多く見込まれる仮設住宅に設けられ、社会福祉法人やNPOが運営する。介護認定の有無や避難先に関係なく、誰でも利用できる。
おしゃべりができるコタツもあり、交流サロンとして毎日開放。赤石沢ハツイさん(79)は「みんなとお茶を飲みながら話ができて楽しい」。震災後、要介護認定を受けた。隣に息子が入居しているが、仮設住宅では1人暮らし。村では畑仕事をしていたが、「今はやることがなく、あまり外出しなくなった」と語る。
飯舘村では昨年4〜10月に新規で要介護認定を受けた人は131人(前年同67人)。同センターでもデイサービス利用者約30人のうち、3分の1が初めての人だ。事務長代行の奥出直樹さん(37)は「避難先を転々とし、家に閉じこもってストレスを感じる中、運動機能が低下してしまう。前向きに活動するきっかけを提供したい」と語る。
浪江町の人が避難する本宮市高木の仮設住宅では、昨年10月にサポートセンターができた。「開設から1カ月後には、発想の転換が必要になった」と安斎光男所長(34)は語る。町からは「介護保険を受けた高齢者が山ほどいる」と説明を受け、自炊が難しい人向けの配食サービスも用意した。だが、希望者はおらず、デイサービスの登録者も14人。介護が必要な人は開所まで待てず、既に他を利用しているという。一方、お祭りを開いたところ、仮設入居者の2倍に当たる約90人が訪れた。「ニーズに合わせ、交流の場としての機能を強化したい」と語った。
(毎日jp 2012年1月7日 原文のまま)