新着情報
資料



2017年
「介護費膨張、3つの温床 25年に20兆円 ムダの解消急務」(9月10日)
「介護受給者数は約614万人に、10年連続増 16年度、厚労省調査」(9月1日)
「特養、入所待機7339人 県調査、新設追いつかず」(8月11日)
「費用がかさむ認知症の介護 関心集める民間保険」(6月21日)
「介護施設、57%が人手不足 県内 特養老人ホームは80%」(6月7日)
「介護保険の「新総合事業」開始で一体何が変わるのか?」(5月24日)
「家族の会「自己負担引き上げは非常に罪深い」 介護の3割導入に反発 実態調査を要請」(4月12日)
「地域デイ 経営難でまた閉所 さらな園 最後の笑顔」(3月31日)
「<生きる支える 心あわせて> 外国人介護職員(上)」(3月29日)
「“老老介護”の80歳夫婦、自宅で死亡」(2月15日)
「介護業界で倒産急増、人手不足が深刻に 昨年は4割増」(2月3日)
「介護輸出 100社・団体連携 アジアに施設」(1月22日)
「混合介護、東京・豊島区で解禁へ  家族向けサービスも一体提供」(1月16日)
2016年
「砂上の安心網 第1部 2030年不都合な未来(3) 認知症、家族に迫る限界 介護保険には頼れない」(12月21日) 
「台湾の要介護者、2026年に100万人 介護士の育成急務」(12月18日)
「国防費の3倍?−急増する中国の社会保障関係費」(11月24日)
「サービス利用控える動き 介護保険見直しで負担増」(10月19日)
「幸せ運ぶ福祉理容室 高齢者ら受け入れ」(10月17日)
「「要早期入所」893人 県内の特養ホーム待機高齢者」(10月15日)
「7人死亡の認知症グループホーム火災 社長に無罪判決」(10月14日)
「新連載:医療・介護のIT化最前線 急増する「訪問看護」とはいったい何か? 日本医療の「惨状」を救えるのか」(10月3日)
「<台風10号>岩泉町 介護サービス需要増」(9月30日)
「普及進む小規模多機能ホーム 県内160超、在宅介護支える」(9月4日)
「認知症の人の家族ら 介護保険制度見直し検討で要望」(8月31日)
「待機老人化回避の境目は月18万〜20万円捻出できるか」(8月22日)
「ライフ ボクらは「貧困強制社会」を生きている 月収16万円、「介護」へ転身した42歳の誤算 正社員だが残業代も休日手当もナシ」(8月16日)
「介護休業 要介護度低い場合も取得しやすく」(7月2日)
「中国人介護に通訳派遣 言葉の壁なくすとNPO」(6月17日)
「ブラック企業に民主主義を!〜6.16札幌恵友会でストライキ」(6月16日)
「パナソニックはなぜ「介護事業」に本気なのか 3年で拠点10倍の大胆目標のワケ」(6月13日)
「【麻薬ビジネスよりも簡単に儲かる】ドイツで大規模な「介護詐欺」が横行中 医療関係者も関与か」(6月10日)
「介護保険料の滞納1万人超え 平成26年度、65歳以上の高齢者」(5月30日)
「「認知症にやさしい地域づくり」推進を検討- 介護保険部会」(5月26日)
「2015年介護保険改定の撤回を求める要望書を提出―認知症の人と家族の会」(5月11日)
「特養と老健の7割、介護療養の8割で積極的な看取りを実施―2015年度介護報酬改定・結果検証2」(3月17日)
「保証人ない高齢者の入所拒否 介護施設に是正指導へ」(3月6日)
「伊達・認知症対応型通所施設の畑作業で自主性尊重」(3月4日)
「絶望の介護業界…平均給与が全産業平均より10万低、重労働&職場ギスギスで若者不足深刻」(2月29日)
「介護の常識・非常識【13】介護離職が加速 介護「軽度」者への給付打ち切りのシワ寄せ」(2月27日)
「川崎老人ホーム連続殺人から金融資本主義の末路が見える」(2月18日)
「65歳以上の高齢障害者、介護保険サービス料減免措置へ」(2月10日)
「トラブル絶えない、無届け老人ホーム 行政指導行き届かず」(2月7日)


過去の情報(1999年〜2015年)


資料
介護保険法全文(2006年4月施行)
介護保険法概要(2000年4月施行の概要)
介護保険制度について(厚生労働省が提供する介護保険の最新情報)
介護保険制度 (制度の仕組みや厚生省案およびこれに対する意見など)
介護家族の意見(家族の会の会員の介護家族の介護保険についての意見を紹介)
基礎からの介護保険 (介護保険についてわかりやすく解説しているサイト)
ドイツの介護保険(ドイツ保健省が介護保険について英文の報告書
介護保険にかかわる納税控除(国税庁)(財務省国税庁が介護保険利用に伴う費用の納税控除について解説)
(例:問2.医療費控除の対象となる介護サービス費)

痴呆性高齢者に係る認定調査の手引き(東京都2001年11月16日全文pdf(3M)
2015年の高齢者介護〜高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜(厚生労働省 2003年6月26日)
シリーズ社会保障・選択のとき・介護保険「認知症のおとしより どう支える?」(朝日新聞2006年3月19日) 
認知症高齢者のグループホームの調査結果についてpdf800K(全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料 2007年2月19日開催)


2017年


★「介護費膨張、3つの温床 25年に20兆円 ムダの解消急務」(9月10日/日本経済新聞)
介護保険が膨張している。介護施設や在宅サービスの給付費は総額約9兆円に上り、2025年度には2倍以上のおよそ20兆円に膨らむ見込みだ。給付の伸びは高齢化だけでは説明しがたく、サービスのムダにつながる3つの温床が浮かび上がってきた。
「お肉はこのくらいでいいですか」。横浜市金沢区の団地。ヘルパーの藤田博美さん(62)が菅野茂さん(81)に尋ねながら料理する。訪問は週2回。「体の状態が悪いとき、言わなくても分かってくれる」と菅野さん。
利用するのは生活援助と呼ぶサービスで、全国の平均的な利用回数は月10回程度。菅野さんのように常識的なケースが多くを占めるが「家政婦代わりに使われて本人の自立につながらない」(神奈川県の中堅介護事業者)との指摘が絶えない。
北海道標茶町101回、大阪市98回……。財務省が6月まとめた調査には生活援助のひと月当たりの利用ケースで驚くような数字が並んだ。介護の取り組みが先進的とされる埼玉県和光市では月平均わずか6.7回で最高利用回数も30回だ。
(1)安い自己負担
標茶町によると、101回利用したお年寄りは軽い認知症を患うなどして手厚い世話が必須だ。こうしたやむを得ないケースもあるが、全国でみれば要介護度や居住環境が同じでも自治体格差が大きく広がっている。
ムダを生む理由の一つは「安さ」だ。例えば生活援助なら1回約2千円。自己負担は原則1割の200円ほど。最低でも1時間925円ほどかかる民間の家事代行サービスより格段に手軽だ。軽い介助が必要な要介護1なら保険給付の月額限度額は17万〜19万円程度で、上限内で何度でも利用可能。コスト意識が甘くなり生活の「援助」に使うという本来の目的を逸脱しやすい。財務省幹部は「あまりにずさんな使い方が増えた。来年度改定で厳格に対応する」という。政府内ではサービス利用の上限制導入などが課題に浮上している。
介護保険の給付費は国や自治体による公費と40歳以上からの保険料(労使折半)でまかなう仕組みだ。健康保険組合連合会によると13年度から17年度にかけて労使を合わせた保険料は7千円近く増え、年9万円に迫る。
15〜25年の要介護の認定者数の伸びは3割強を見込むが、保険からの給付費総額は2倍になる。高齢化で重度の認定者が増える面もあるが、財務省などはムダ遣いなどの非効率が広がってきた影響だと分析している。
(2)規制に抜け道
保険対象の施設などには国の総量規制があるが、ここにも死角がある。その一つがサービス付き高齢者住宅(サ高住)などによる需要の囲い込みだ。サ高住自体は一種の賃貸住宅で保険の枠外。ところが運営者の企業などがサ高住に住むお年寄り向けに自社系列の事業者を使い、頻繁な在宅サービスを供給するケースも急増した。
大阪府が昨年12月公表した調査では、府内のサ高住や有料老人ホームでは給付限度額の9割前後を消化していた。全国平均は約4〜6割だ。この6年で府内にサ高住などの施設数が3倍に拡大した結果、その施設と在宅などのサービスが抱き合わせで増えていたのだ。
(3)監視難しく
では介護サービスの内容を定めるケアプランを厳しくすればいいかといえば、それも困難だ。ここに3つ目のムダの温床がある。介護保険の運営主体の市町村にはプランを精査して見直しを迫る権限がない。介護事業所の経営者は「ケアマネジャーと事業者が結託すれば過剰サービスは防ぎようがない」と明かす。
介護保険には今年度から収入が多い人ほど多く保険料を負担する「総報酬割」が段階導入される。大企業を中心に約1300万人は負担増の見込みで、高所得者を中心に現役へのしわ寄せは拡大の一途だ。
焦点は政府と与党が年末にかけてまとめる来年度の介護報酬改定だ。「要介護度が低い人向けサービスを定額制にしたり、事業者が回数を抑えたりする動機付けが必要」。日本総合研究所の西沢和彦氏は指摘する。例えば現行は状況が改善して要介護度が下がると介護報酬も下がり、事業者の経営が苦しくなる。
そこで自立を後押しした事業者には努力に報いて報酬を上乗せすれば、ムダ遣いを直す余地が生まれる。近年の介護費用の伸び率は医療や団塊の世代が受給し始めた年金を大きく上回る。介護の効率化を進めながら質の高いサービスの担い手のやる気を引き出せるか。介護保険は改革を先送りできないところまで来ている。(小川和広)
日経Web版 2017年9月10日 原文のまま
編者:何をもって「ムダ」とするかは検討すべきだろう。

★「介護受給者数は約614万人に、10年連続増 16年度、厚労省調査」(9月1日/CBnews)
2016年度の介護・介護予防サービス受給者は約614万人で、10年連続で増加したことが、厚生労働省の調査で分かった。受給者数は9年連続で過去最多となった。【松村秀士】
厚労省が公表した16年度の「介護給付費等実態調査」によると、介護サービスと介護予防サービスの受給者は前年度よりも1.4%増加の613万8100人だった。
介護サービスの受給者は497万5500人(前年度比2.8%増)。このうち、居宅サービスは373万5200人(0.8%増)、居宅介護支援は344万5700人(2.8%増)、施設サービスは125万700人(1.5%増)、地域密着型サービスは111万9300人(約2倍)だった。
居宅サービスのうち、受給者数が最も多かったのは福祉用具貸与の223万2200人(4.8%増)。訪問介護も144万500人(1.1%増)で増加した一方、通所介護は153万300人(20.2%減)で減少した。
厚労省の担当者は、「小規模な通所介護事業所の地域密着型サービスへの移行策として、16年度に地域密着型通所介護が創設されたことにより、通所介護の受給者数が減少した」としている。
□地域密着型通所介護、受給者は58万人超
施設サービスの受給者は、介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)が65万6600人(2.6%増)、介護保健施設サービス(介護老人保健施設)が55万2200人(0.8%増)で、それぞれ増えた一方、介護療養施設サービス(介護療養型医療施設)は9万1600人(5.7%減)で減少した。
地域密着型サービスの受給者は、地域密着型通所介護の58万5500人、短期利用を除いた認知症対応型共同生活介護の24万700人(2.6%増)、小規模多機能型居宅介護の12万7500人(6.0%増)などが多かった。
□1人当たりの費用、都道府県別では沖縄が最多
受給者1人当たりの介護サービスの費用額を都道府県別に見ると、最も多かったのが沖縄(20万9400円)で、石川(20万4200円)や鳥取(20万3900円)も多かった。都道府県の平均額は19万1200円。
CBnews 2017年9月1日 原文のまま
関連情報:平成28年度介護給付費等実態調査の概況(平成28年5月審査分〜平成29年4月審査分)

★「特養、入所待機7339人 県調査、新設追いつかず」(8月11日/中日新聞)
(愛知)県内の特別養護老人ホーム(特養)に入所を希望している待機者は本年度当初で、七千三百三十九人に達することが分かった。県が調査結果を公表した。前回二〇一四年度の調査に比べ、五十四人増。高齢化に伴う入所需要増に、特養の新設は依然、追いついていない。
特養には、認知症や寝たきりなどの状態で、食事や排せつ、衣服の脱着などに介助を必要とする高齢者らが暮らす。介護保険の要介護では3、4、5のお年寄りだ。
県は三年に一度、県内の特養に待機者数などを聞き取り。今回は四、五月に全三百六十五施設を調査し、三百三十一施設から回答を得た。
「一年以内」に入所を希望している待機者の総数から、複数の施設に重複して申し込んでいる人や、老人保健施設などに既に入所している人の数などを除くと、七千三百三十九人だった。
内訳は、「要介護5」が二千百五十五人、「4」が二千五百九十八人、「3」が二千五百八十六人。地域別では、名古屋市内が二千四百七十八人で最も多く、東三河南部圏域(豊橋、豊川市など)が七百三十七人、西三河南部東圏域(岡崎市、幸田町)が七百二十五人だった。
県の「高齢者健康福祉計画」によると、社会福祉法人などが特養を新設する際、定員一人あたり三百四十万〜四百八十万円を補助する。
計画では、一七年度末の定員目標は二万八千七百六人だが、四月時点の定員は二万六千五十五人にとどまる。
県高齢福祉課の担当者は「核家族志向が強い都市部で入所希望が増え、製造業が集積する三河では介護人材が不足するなどの課題も表れている。地域の人口の社会増減、年齢構成なども見ながら、計画を進めたい」と話している。(相坂穣)
Chunichi Web  2017年8月11日 原文のまま
編者:昔からの続く話題だ。政治問題化することなく経過してきた。どのように問題が解決された顕在化しないのかの問題意識や分析を知らない。

★「費用がかさむ認知症の介護 関心集める民間保険」(6月21日/東京新聞)
介護保険制度の見直しで利用者の自己負担が増す傾向が強まる中、費用の一部を保障する民間保険商品への関心が高まっている。とりわけ注目されるのが認知症もカバーされる商品だ。認知症の介護では、例えば徘徊(はいかい)に備える見守りサービスは介護保険の適用外。費用がかさみやすいともいわれる認知症の介護が必要になったとき、周囲に迷惑を掛けずにサービスを受けたいというシニア層の願いが、背景にあるようだ。(添田隆典)
愛知県清須市の無職荒木美智子さん(73)は昨年、太陽生命(東京都)の「ひまわり認知症治療保険」に加入した。この保険は、加齢でなく病気などが原因の器質性認知症と診断され、症状が百八十日続いた場合、最大三百万円の一時金が支払われる。荒木さんは、十年の保険期間で月約六千円の保険料を支払うと、一時金二百万円が受け取れる。
加入を決めたのは、認知症の義母を介護した経験から。親族で十年以上世話をしたが、徘徊などで常に目が離せず、サービス利用料は介護保険の支給限度額を超えた。現在、荒木さんは夫と死別して一人暮らし。健康面の不安はないが「離れて暮らす子どもたちに将来、負担を掛けたくない。もし認知症になったら、子どもでなく介護サービスを頼るつもりなので、今から備えたい」。
◇保障、より充実
介護保険の自己負担は、二〇一五年度から収入が一定以上あると二割になり、一八年八月からは「現役並み」の所得があると三割まで引き上げられる。こうした状況も、シニア層の目を民間保険に向けさせる。
生命保険の利用実態を調査する生命保険文化センター(同)によると、介護が必要になった際に一時金や、一定の金額を定期的に年金として受け取れる保険商品は、生命保険各社が提供しており、四月末時点で計四十二商品ある。介護保険制度が始まる前の一九九〇年代からあるが、最近は以前より保障内容を充実させたり、持病があっても加入審査を受けられたりと加入者側のメリットが増す傾向にあるという。
こうした商品は、例えば「要介護3以上で年金六十万円を生涯受けられる」など、要介護度に応じて受給額が決まるのが主流。しかし、認知症でも体が健康と判断されると要介護度が低くなり、保険の限度額も低くなることがある。そこで、要介護度によらず、一時金が受け取れる仕組みの商品もある。
◇費用には個人差
認知症の有無で介護費用が大きく異なるという調査もある。家計経済研究所(同)が一一年、親などを在宅介護する全国四百七十世帯を調査したところ、要介護度が低くても、重い認知症があると、費用が大きく伸びる傾向がみられた=グラフ。調査を担当した田中慶子研究員は、この理由を「常に見守りが必要になり、通所施設やショートステイの回数がかさむため」と分析する。ただ、要介護度が上がるとほぼ寝たきりになり必要なサービスが限られることで、費用が抑えられるケースもある。
しかし、一概に認知症になる可能性がある人は、民間保険の備えが必要ということではない。必要なサービスや身近に介護を頼める人がいるかどうかなどで、費用は大きく異なる。
介護保険に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん(48)=千葉県船橋市=は「まず公的な保険の枠内でどんなサービスが受けられるかよく調べてから、民間の保険に加入するか検討した方が失敗は少ない」と話す。
Tokyo Web 2017年6月21日 原文のまま

★「介護施設、57%が人手不足 県内 特養老人ホームは80%」(6月7日/新潟日報)
県内の介護福祉施設の約6割が職員が足りていない実態が、県社会福祉協議会が6日までにまとめたアンケート調査で明らかになった。特別養護老人ホーム(特養)では8割が人手不足と回答するなど、人材の確保に悩む現場の状況が改めて浮き彫りになった。
調査は県が委託した。特養、ケアハウスなど県内の2290施設から979施設を無作為に選び、1月初旬に調査票を送付。409施設から回答があった。回収率は42%だった。
「職員が足りていない」と答えたのは、57%の234施設。施設別で最も不足との回答が多かったのは特養で、80施設のうち64施設と80%を占めた。介護療養型医療施設は75%、老人短期入所施設も69%が足りないと答えた。
一方、ケアハウス、認知症高齢者グループホームなどは半数以上が「足りている」とした。
人手不足の背景について、県社協は(1)介護施設は過重な勤務に比べて収入が低い(2)子育てとの両立の難しさもあって離職者が多い−などと指摘。特養などが特に深刻なことについては、要介護度が高い人を受け入れて介護職員の負担も比較的重いのが原因とみる。
厚生労働省が示す介護人材の需給推計では、団塊の世代が後期高齢者になる2025年に本県では約4700人が不足するとされており、人材の確保が大きな課題になっている。
調査では、職員の定着に向けた取り組みについても尋ねた。職員が望むキャリア形成に向けた研修の強化や、子どもを伴って勤務できる職場環境の整備などの実例が寄せられた。
調査結果を受けて県福祉保健課は「現場の声や職員確保の取り組みの詳細が見えた。今後の県の施策に生かしたい」としている。
新潟日報モア  2017年6月8日 原文のまま
 
★「介護保険の「新総合事業」開始で一体何が変わるのか?」(5月24日/Diamond Online)
寄稿者:浅川澄一(福祉ジャーナリスト、前日本経済新聞社編集委員)
全国一律の介護保険制度からの大転換
この4月から全国の市町村自治体で介護保険の「新総合事業」が始まった。現行の介護保険制度では、財源難と人手不足が深刻になるめ、自治体に一部サービスの運営を委ねることにしたものだ。
運営基準などを個々の自治体が決める。全国一律の介護保険制度からの大転換である。「地域の異なる実情に応じられる」と厚労省は胸を張る。
75歳以上の後期高齢者になると心身に障害が生じるのが一般的で、団塊世代が75歳を超えるのは2025年。その時に備えて着手された。団塊世代は首都圏や近畿圏など大都市部に集中しているが、全自治体が新事業に取り組むというのがいかにも日本的だ。
対象となる高齢者は、比較的元気な要支援1・2の軽度者。軽度者をはずせば従来の制度を維持できると見込んだ。第一弾として、在宅サービスの「訪問介護」と「通所介護(デイサービス)」を介護保険制度から切り離す。
「介護予防・日常生活支援総合事業」と命名され、略して「新しい総合事業」や「新総合事業」と呼ばれている。
4年後の次の次の介護保険改訂時には、訪問リハビリ、福祉用具貸与など他の介護サービスや要介護度1〜5の人へのヘルパーの家事援助も外していくと言われる。
要支援者だけでなく、その前段階の虚弱者を含めて「日常生活で何らかの手助けを必要としている高齢者を普通の地域住民がみんなで支えましょう」、「地域住民が結束し、助け合いの精神で頑張ろう」と耳触りのいいスローガンを打ち出している。
介護関連の資格を持つプロではなく、「困っているときはお互いさま」の心意気で隣近所の地域住民が手を差し伸べてほしい――。
プロの仕事として続けるには財源も人もが足りなくなるから、安価なボランティア的な事業に変えた、という指摘もある。いわば「安上がり」の介護を目指す。これを「互助」と説明する。
つまり、介護保険や医療保険、年金などはいずれも「共助」の仕組み。国の制度として保険方式を取り入れた。そこへ、善意の助け合い、「互助」の仕組みを取り入れようと言うものだ。
互助の担い手は地域住民で、制度説明の中にしきりと「住民主体」「ボランティア」という用語が顔を出す。任意のボランティア団体やNPO法人、あるいは「助け合い」への志の高い有限会社などの地域企業を指す。行政主導できた日本の社会保障で、「住民主体」を正面から打ち出すのはかつてなかった。
ところが、実態は「住民主体」が実践されているとは言い難いようだ。
「新総合事業」の本当の目的は?
現行の訪問介護と通所介護を「訪問型サービス」、「通所型サービス」に名称変更し、それぞ4種類、3種類の異なるサービスに色分けした。
その中身は、
(1)現行を基準緩和したA型
(2)住民主体で運営するB型
(3)短期集中のC型
である。
「訪問型サービス」には
(4)移動支援
が加わる。
住民ボランティアを担い手にした(2)の「住民主体で運営するB型」が「本命」である。国としては、現行の制度を止めたいので、早く(2)に移ってほしいと目論む。だが激変緩和措置として(1)の「現行を基準緩和したA型」を設けたので仕組みがややこしくなってしまった。
いずれ、国は要支援者向けの訪問介護とデイサービスの報酬単価を大幅に下げ、介護保険サービスとしては消していく考えだ。その消去過程を明示しないまま、あいまいな基準緩和型を設けて移行事業に着手したため、現場を混乱させている。
これまで訪問介護とデイサービスを手掛けている既存の事業者などが(1)も運営する。職員は当然ながら雇用労働者であるが、そこへボランティアを含めてもいいとした。ボランティアなら雇用でなく最低賃金法の対象外で、安い給与でもいい。だから、(1)の事業者への報酬はこれまでより下がる。
人員配置やスペースなどの運営基準も従来からかなり緩和してもよいとした。事実、(1)の報酬は、従来の介護保険報酬よりも2〜3割下げられている。
全国の多くの自治体は、この(1)の「現行を基準緩和したA型」だけを実現させて、「新しい総合事業を始めた」と宣言している。形式的にはその通りだが、実は大きな間違いである。「住民同士の助け合い」「住民主導」という本来の目指すべきサービスは、(2)の「住民主体で運営するB型」である。
住民主導、ボランティアが主役の互助は(2)と(4)であり、(1)は共助である。従来型と(1)から(4)をただ順番に並べてしまうと互助と共助の違いがはっきりしない。
厚労省やその代行役となっているシンクタンク、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの説明資料では、(1)から(4)を羅列しているだけ。何が重要か、重点の置き所が分からない。「新総合事業」の本当の目的が理解されないだろう。
よく調べると、「現行サービスと(1)のA型は『共助』で、(2)のB型と(4)が『互助』」と記された資料もあるが、一般的にはあまり使われていない。
「共助」から「互助」への移行を厚労省は市区町村自治体にもっと強調して説明すべきだろう。「共助」のA型に止まっていては、新総合事業を手掛けたとは言えない。意識転換が必要だ。
「互助」がほとんど手がけられていない実態
厚労省の実態調査でも、自治体の間で「互助」への認識が浸透していないことがよく分かる。昨年4月までに「新総合事業」を始めた514市町村を対象に、昨年10月時点で調べた。
それによると、「訪問型サービス」に参入した事業所は全部で3141カ所あった。そのうち、(1)の「現行を基準緩和したA型」は88.9%で、(2)の「住民主体で運営するB型」は3.9%に止まっている。(3)の「短期集中のC型」は6.8%、(4)の「移動支援」は0.4%となった。
「通所型サービス」でも、3330の事業所が参入していたが、(2)の住民主体型は12.9%で、(1)の基準緩和型が71.7%となっている。(3)の短期集中型は15.5%だった。
こうした数字を見て、調査結果を報じた新聞各紙は5月18日の夕刊で、「住民主体型の参入低調」(中日・東京新聞)、「軽度介護 新手法が低調」(日本経済新聞)、「軽度介護 参入低調、『訪問』住民主体は4%」(毎日新聞)と報じた。いずれも、住民主体の「互助」のサービスがほとんど手がけられていないと指摘した。
では、今年に入って肝心の(2)を手掛けている自治体はというと、東京23区では、世田谷、目黒、品川、板橋の4区に過ぎない。首都圏では神奈川県秦野市や千葉県松戸市などが目を引く程度。
地方に比べボランティア活動が盛んで、NPO法人も多い首都圏でも(2)の「住民主体型」は低調だ。その一因として自治体が、(2)を育成する姿勢に欠けることが指摘できる。
例えば、板橋区。この1月から10団体が(2)の「通所型B」に手を挙げ事業を始めたが、同区の基準を満たして補助金を得られたのは3団体。利用者がほとんど集まらなかったためだ。ケアプランを作成して利用者を事業者に紹介する地域包括支援センターが十分に機能していなかったようだ。
注目される「生活支援コーディネーター」の存在
実は、この「サービスB型」を増やすとともに、住民が気軽に立ち寄れるサロンや居場所、コミュニティカフェなどを地域に作っていく新たな仕組みが導入された。「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」と「協議体」である。
地域支援の関係づくりである。これが、「総合事業」と並んで「地域支援事業」の柱として位置づけられている「包括的支援事業」であり、その中の「生活支援体制整備事業」といわれるものである。
地域の元気な中高年ボランティアなどが主役となり、見守りや声掛け、交流サロンの開設、家事援助などの「生活支援・介護予防サービス」を実践してもらう。
「協議体」は地域の「互助」サービスを生み出し、そのリーダーシップをとるのが「生活支援コーディネーター」。市町村内に新設することになった。
それも自治体全域をカバーする「第1層協議体」と中学校区など地域ごとの「第2層協議体」、さらにサービス提供ごとの「第3層協議体」という「ピラミッド」を作らねばならない。協議体の構成員は、自治体をはじめ社会福祉協議会(社協)、地域包括支援センター、企業、NPO、ボランティア団体、それに町内会・自治体などの地縁組織などとされる。
厚労省は、「地域密着の第2層の協議体には意欲のある住民に是非参加してもらいたい」と話す。
ここでまた自治体は複雑な組織づくりを迫られる。着手している自治体からは、「やっと第1層の協議体のメンバーが決まった」「第3層まではとても手がつかない」「第2層のコーディネーターは誰にしたらいいのか」など戸惑いの声が聞こえる。
ここでも厚労省が期待する「ボランティア団体」や「意欲ある住民」よりも、自治体との関係が濃い団体に依存しがちだ。自治体ごとに必ず存在する社協の活用である。
協議体の運営を市や区の社協に委託したり、委ねてしまう自治体が多い。協議体の構成も、社協を中心に町内会や自治体、老人クラブ、民生・児童委員、商店街組合など従来型の団体を集めがちだ。
とりわけ全体のトップに立つ第1層協議体のコーディネーターには、社協の職員が就任するところが多い。日本能率協会総合研究所が調べた第一層のコーディネーターの所属先を見ると、社協が56%と過半数を占めて断然トップ。2番は地域包括支援センターで17%。
第一層の協議体の構成員の所属先でも、社協が44%とトップで、次いで40%の地域包括支援センター、40%の行政職員が3番手につける。第2層のコーディネーターでは社協が59%とここでもトップで、21%と2番手の地域包括支援センターを大きく引き離している。
コーディネーターや協議体が社協主導となっているのは明白だ。
各地の社協は、自治体からの財政支援と天下りで活動しているところが少なくない。自治体の「仲間」であり、「第2自治体」に近い。その社協が、実質的に総合事業と生活支援体制整備事業のリーダーシップを握っている。「住民主体の互助活動」という本来の主旨とはいささか異なるようだ。
いわば社協が今回の「地域支援事業」の実行部隊となっていることが、先の「通所と訪問のB型」が低調であることと繋がる。B型の担い手が新興のボランティア団体やNPO法人なのに対し、社協と関係が深いのは町内会や自治体、民生委員など従来型の地縁組織である。
「お茶会」や「寄り合い」などの名で、近隣の付き合いが盛んな地域がかつての農村部にはある。町内会、自治会、老人会、社協などの昔ながらの地域団体が呼びかけて公民館や自治体の集会所などで開いてきた。
自治体や社協がいくらかの運営費を補助してきたこともあり、自治体からの呼びかけで「通所型サービスB」に移行しやすい。地方で既にスタートしているところはこうした既存活動の延長線上で始めている。だが、例外的だ。
「コミュニティカフェ」の増加
近年、増えてきているのが、従来組織にとらわれないボランティア活動としての「居場所」づくりである。「サロン」「カフェ」「地域の縁側」などさまざまに名乗るが、総称して「コミュニティカフェ」と呼ばれる。高齢者だけでなく、障害者や子供たちまで来訪者は多様だ。
助け合いの気持ちで集う新興の地域支援活動である。最近、急速に広がってきた子ども食堂も、こうしたカフェから生まれてきた。
ところが、自治体にとってはボランティア団体は「苦手」な相手だ。付き合いが薄く、活動もあまり把握してこなかった。行政サービスの枠外の活動者だからだ。行政に文句を言いたてる住民、即ちクレーマーに近い集団との思い込みもある。
「通所型サービスB」の適任団体であるにもかかわらず、自治体は及び腰しになりがちである。今後、都市部を中心にボランティア精神に富んだ住民が、既存の地縁組織を上回る活動を展開していくことを期待したい。
Diamond Online  2017年5月24日 原文のまま
編者:介護保険の動きについてのわかりやすい解説として転載させていただく。

★「家族の会「自己負担引き上げは非常に罪深い」 介護の3割導入に反発 実態調査を要請」(4月12日/ Joint)
介護保険法の改正案を審議している衆議院厚生労働委員会で11日、利用者の支援などにあたる「認知症の人と家族の会」が参考人として意見を述べた。
田部井康夫副代表理事(画像)はこの中で、「一部の高齢者の自己負担を2割にした前回の改正が、利用者・家族に極めて厳しい状況をもたらしている」と問題を提起。「深刻な利用控えなどがかなり起きているのではないか。早急に調べて明らかにして欲しい。それもしないまま3割まで進めようとするのは、どうしても納得できない」と訴えた。
自己負担を2割に引き上げた影響を詳しく調査すべきという声は、民進党など野党からも繰り返し上がっている。厚労省は、「実態を立体的に把握する努力をしていきたい(塩崎恭久厚労相)」などと説明。ただし、2018年8月から3割を導入する方針は変えていない。
家族の会の田部井副代表理事はこの日、「生活を続けていけるかどうかぎりぎりの人まで含めてしまったという意味で、2割の自己負担を入れたことは非常に罪が深い」と批判。「その上さらに3割まで上げようとする法案には到底賛成できない」と主張した。同じく参考人として招かれた国立社会保障・人口問題研究所の遠藤久夫所長(社会保障審議会「介護保険部会」部会長)は、「2割でも3割でも、自己負担を引き上げた影響の精査はやるべきだ。いろいろな視点から分析することは大変重要なこと」と指摘した。
JOINT 2017年4月12日 原文のまま

★「地域デイ 経営難でまた閉所 さらな園 最後の笑顔」(3月31日/中日新聞)
地域福祉の灯がまた一つ消える−。金沢市小立野の地域デイサービス「さらな園」が三十一日、閉所する。十八年間にわたり如来寺境内の施設で心の通ったサービスを提供してきたが、経営難から苦渋の決断をした。三十日は利用者とスタッフが最後のひとときを楽しみ、笑いと涙に包まれた。(小室亜希子)
「知り合えたご縁に感謝します。どうぞお元気で」
施設長の吉田隆一さん(48)がそう語りかけて一人一人に感謝状を手渡すと、こらえ切れなくなった涙をぬぐう利用者が相次いだ。
さらな園は一九九九年、小立野善隣館が市の委託事業として開設した。施設は如来寺境内にある小立野愛児園のホールを改装。お寺にある保育園併設のデイサービスとして、小さいながらもきめ細かなサービスを提供し、地域の高齢者の在宅生活を支えてきた。
二〇〇〇年の介護保険制度導入に伴い市の委託事業は廃止され、民間の事業者と同じ立場になった。最大五十人を数えた利用者は次第に減り、最後は十三人に。ここ数年は預金を崩しながら続けてきたが、「これ以上は難しい」(吉田さん)と判断した。
さらな園では日常的なさまざまなメニューのほかにも、園児や地域の小中学生との交流や、二月の涅槃会(ねはんえ)では副住職でもある吉田さんが法話をするなど、地域密着の企画で多くの人たちを楽しませてきた。兼六園やバラ園などにもしばしば外出し、「来年も元気に来よう」と励みにしてきた。
最後の記念撮影では全員がチャイナドレスやナース服などで仮装し、笑いがあふれた。九年間利用した吉田泰子さん(86)は「いろんなところに連れて行ってくれて、いろんなことを教えてくれた。気持ちはいつもここにある」と涙ぐんだ。
四月からはそれぞれ別の施設を利用するという。
廃業続き 関係者に衝撃
金沢市の地域デイサービスは一九八七年、市が「小さくてもいい。身近な場所で心温かいデイサービスを」と二カ所の善隣館で市の委託事業として始め、最大十五施設まで増えた。近年は企業経営の施設などとの競争にさらされ、この三年間で四施設が廃業した。
地域デイの廃業は運営母体であり、金沢の地域福祉を担ってきた善隣館の活動衰退を招きかねず、関係者の危機感は強い。中でもさらな園を運営する小立野善隣館の吉田昭生理事長(如来寺住職)は地域デイサービス部会の部会長を務めるだけに「衝撃が大きい」(ある施設長)という。
市は新年度、市と善隣館の実務者からなる研究会を設け、地域デイを含めた経営基盤の強化策について検討する。吉田理事長は「新しい視点に立って地域福祉の拠点としての役割を考える時に来ている」と話す。 
Chunichi Web 2017年3月31日 原文のまま
関連情報:「介護事業所の倒産急増 昨年最多108件 介護報酬下げ響く」(2017年2月8日/東京新聞)
編者:介護事業も経営的努力が求められるということなのか。

「<生きる支える 心あわせて> 外国人介護職員(上)」(3月29日/中日新聞)
「私の手、冷たいけど大丈夫?」。まだ寒さが厳しい三月上旬の朝、愛知県半田市の小規模多機能型居宅介護施設「多機能ホーム岩滑(やなべ)北浜」の浴室。スリランカ人の介護職員ヘーママーリ・グルシンハさん(57)(写真)が、重い認知症がある女性の入浴を手伝っていた。指先の冷たさが女性に伝わらないよう、手袋をはめてゆっくりと服を脱がせる。
別の職員と二人で女性を抱え、車いすから浴室内のいすに座らせる。「熱い? ぬるい?」。シャワーが適温か、常に確かめながら髪を洗う。「あーあー」と嫌がる素振りをみせる女性に、「頭洗うの、嫌いだよね。でも洗うと軽くなるよ」。にっこりしながら話しかけると、女性はわれに返ったように、小さな声ながらはっきりと「ごめんね」と声にだした。
全身を洗い終えると、いすごとリフトで持ち上げて湯船へ。風呂から上がるとドライヤーで髪を乾かし、乾燥しやすい背中などにワセリンを塗る。「お疲れさまでした。ありがとう」と声を掛ける。さっぱりした女性がみせる笑顔に、自身も充実感を覚える。
施設で入浴サービスがあるのは月曜から土曜日。多い日は一日に二十人ほどが利用する。ほかの職員も介添えするが、そんな日にヘーママーリさんは朝から夕方まで半袖短パン姿で浴室にこもる。
施設の入浴サービスを利用するのは、足腰が悪くなり、自宅の深い浴槽に入れない人や、風呂を嫌う認知症の人ら。「一人一人、症状や気持ちは違うし、同じ人でも日々変わる。うまく言葉を発せない人もいるし、無理にお風呂へ引っ張り込みたくはない。会話したり、目の動きや表情を見たりして、その場その場でいいやり方を考える」。さまざまな業務の中でも入浴の介添えは、やりがいや楽しさを感じる仕事の一つだ。
ヘーママーリさんは二十四年前、料理人の夫とともに来日。故郷のスリランカは赤道近く。「夜にゆっくりお湯につかる習慣はない」。だから、初めは戸惑った。十年前、別の施設で介護の仕事を始め、入浴の介添えを初めて経験した。「温泉に入ったこともなかったから、利用者の裸を見て、すごい世界に入ってしまったと思った」と振り返る。
実際に仕事を始めると、やはり大変なことは多かった。本来は一人でする入浴を、他人任せにすることに抵抗が強い利用者もいる。加えて、今の勤務先の施設では、ヘーママーリさんが初の外国人職員。「外国人と入りたくない」と直接言われたこともあった。
ホーム長の久野大輔さん(48)は「ヘーママーリさんは言葉に独特のイントネーションがあるし、肌の色も違う。高齢の利用者が受け入れてくれるか、初めは不安はあった」と話す。ただ、体力的にもきつい仕事を、率先して丁寧にする姿勢は利用者に受け入れられると信じ、介助のローテからは外さなかった。
久野さんの判断は正しかった。半田市住吉町の主婦松村あき子さん(71)は、夫の介護で腰を悪くし、週二回、施設で入浴する。「最初は話が通じるか心配だったけど、何度も繰り返して介助してもらっても、対応が雑にならない」と、ヘーママーリさんに信頼を置く。
「一対一になると、普段言えないこと、これまでの人生も話してくれて勉強になる。仕事が嫌になった時はない。せめてこの施設にいる時は安心して過ごしてほしい」。そう願い、今日も浴室のドアを開ける。(出口有紀)
Chunichi Web 2017年3月29日 原文のまま
編者:記事で紹介されるスリランカ人は在日期間が長く、現在問題とされる「外国人介護労働者」とは立場は異なる。

★「“老老介護”の80歳夫婦、自宅で死亡」(2月15日/TBS)
14日午前9時半ごろ、東京・町田市木曽西の住宅で、ともに80歳の伊比井一磨さん・久美子さん夫婦が、それぞれ寝室と玄関先で死亡しているのが見つかりました。
警視庁によりますと、一磨さんには心臓の持病があり、ベッドで寝たきりの久美子さんを介護していたということで、2人に目立った外傷はなく、死後1週間近く経過していたとみられます。
警視庁は、持病が原因で一磨さんが倒れ、外に助けを求めに行こうとした久美子さんが玄関先で力尽き、そのまま亡くなった可能性があるとみて、調べています。
TBS 2017年2月15日 原文のまま
編者:こうした事件、事故が日常化しつつあるようだ。

★「介護業界で倒産急増、人手不足が深刻に 昨年は4割増」(2月3日/日刊工業新聞)
企業倒産の減少傾向が続く中、成長産業とされてきた介護業界で倒産が急増している。東京商工リサーチによると、2016年の老人福祉・介護事業者の倒産は前年比4割増の108件と、00年の調査開始以来、最も多かった。競争激化や人手不足、介護サービスの公定価格に当たる介護報酬の引き下げが背景にあり、今後も厳しい経営が続きそうだ。
負債総額は5割増の94億円。倒産件数の7割は従業員5人未満で、小規模事業者が目立つ。
介護サービス分野では、00年の介護保険法施行を機に、ビジネスチャンス拡大を見込んだ異業種からの新規参入が相次いだ。厚生労働省によると、訪問介護・通所介護の施設・事業所数は15年に7万8229カ所と、00年(1万7870カ所)の4倍以上。生き残り競争は厳しく、16年の倒産の8割が訪問介護や通所介護などの事業者だった。
また体力・精神的にきつく給与水準も低いイメージの介護業界では人手不足が恒常化。サービス提供が困難になり経営が行き詰まったケースもある。
介護報酬改定も経営悪化に拍車を掛けた。介護報酬は介護サービスの対価として事業者が受け取るお金のことで、国が3年ごとに見直す。前回の15年度改定は総額マイナス2・27%。公費支出や利用者の自己負担が減る一方で、介護事業者の収入は減った。
東京商工リサーチは「景気が回復する中、働き手が他業種へ流出しており、人手不足は今後も続く。小規模デイサービスなどの競争も厳しく、介護事業者の倒産件数は高止まりする可能性がある」(関雅史情報本部経済研究室課長)とみている。
ニュースイッチ 2017年2月3日 原文のまま

★「介護輸出 100社・団体連携 アジアに施設」(1月22日/日本経済新聞)
日本の介護サービスをアジアなどに輸出するため政府とパナソニック、三菱商事など100を超える企業や団体が連携する。介護施設を現地につくって人材育成や介護機器など広範な関連ビジネスを提供する。高齢化が進むアジアの介護需要を取り込む。
2月に政府や企業、介護の事業者・業界団体らが参加し「国際・アジア健康構想協議会」を立ち上げる。日本医師会や大手医療法人も参加する。日本の介護サービスを海外展開する構想は昨年、自民党の特命委員会(武見敬三委員長)がまとめた。
医療と介護の連携や、ケアマネジャーの育成といった介護保険制度で蓄積されてきたノウハウが海外でも評価を得られると判断。オールジャパンで市場開拓に取り組む。
介護事業者だけでなく三菱商事などの大手商社も加わる。現地で展開する介護施設に日本語教育施設を併設するなど人材育成にも注力する。日本で研修してもらい、現地の介護施設の幹部職員として戻ってもらう。まず今夏にベトナムやモンゴルに日本語研修の施設を設立する。
パナソニックやオリックス・リビング(東京・港)などは介護ロボットやIT(情報技術)システムの開発などで参加する見通しだ。国際協力機構(JICA)は事業者を資金面で支援する。
アジアの新興国などでは介護のインフラが未整備で、日本の事業者が単独で進出するのは限界がある。政府を後ろ盾にハード、ソフト両面で日本型介護のパッケージ輸出を目指す。官民協議会は社団法人などに転換することも検討する。
日経Web 2017年1月22日 原文のまま
編者:介護ビジネスが国内にとどまらず国外へと展開。

「混合介護、東京・豊島区で解禁へ  家族向けサービスも一体提供」(1月16日/日本経済新聞)
介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」が2017年度中にも東京都豊島区で解禁される見通しとなった。地域限定で規制緩和する国家戦略特区の制度を活用し、豊島区が月内にも事業計画をまとめ、国に提案する。実現すれば全国で初めてとなる。介護と一体的に多様な業務を認め、職員の賃金や生産性の引き上げにつなげたい考えだ。
介護保険のサービスは、原則1割の負担で利用できるが、保険外のサービスとは同時・一体的に提供できない。混合介護は、介護が必要な利用者本人だけでなく、その家族向けにも調理や炊事・洗濯などを事業者が同時に提供できる仕組みだ。
簡単な庭掃除や草むしりなども訪問介護の時に一緒に提供できる。家族はいつも利用する顔見知りの事業者に別のサービスも頼めるため、事業者の収入の機会が増える。介護職員の平均給与は全産業平均より低く、事業者の経営や職員の待遇の改善が課題だった。
豊島区は近く有識者会議を設置し、事業者が満たす要件などを詰める。政府も国家戦略特区ワーキンググループと厚生労働省が解禁に向け協議に入る。保険と保険外のサービスを「明確に区分すべきだ」とする厚労省見解を見直す方向だ。
東京都の小池百合子知事は昨年、混合介護の推進を表明した。都が保険制度の運営主体である市区町村と協議を始め、知事が国会議員時代に地盤だった豊島区が最初に手を挙げた形だ。他の自治体も水面下で関心を示しており、豊島区の事例を参考に追随しそうだ。
介護を手掛ける民間事業者や社会福祉法人の期待も強い。最大手のニチイ学館は混合介護を「成長機会」とにらむ。SOMPOホールディングスやベネッセスタイルケア(東京・新宿)など他の大手からも解禁へ準備する企業が出てきそうだ。
一方、混合介護が解禁されると事業者が保険外の高額なサービスを優先し、保険内の介護を十分に提供しない懸念もある。悪意のある事業者が不当に高いサービスを提供したり、高齢者が過度に介護サービスに依存して自立支援を妨げたりする、との指摘もある。
政府は利用者保護のため一定の規制を設け、基準を満たさない事業者に混合介護を認めない方針。豊島区の混合介護では、事業者に「保険内サービスを単体で一定割合以上こなす」との要件を課す案が浮上している。
日経WEB 2017年1月16日 原文のまま
編者:危ない制度の導入だ。すでに有料老人ホームで経験済みだが。既存の公的介護保険をどう優先するか。


2016年


★「砂上の安心網 第1部 2030年不都合な未来(3) 認知症、家族に迫る限界 介護保険には頼れない」(12月21日/日本経済新聞) 
11月22日。森義弘さん(68)の10年に及ぶ認知症介護が終わった。この夜、妻の敏子さんが亡くなった。72歳だった。
敏子さんは62歳で認知症に。森さんは仕事を辞め在宅介護に専念した。食事、入浴、排せつのケア。「夜中に13回、起こされたことも」。心と体が追い詰められる夜を幾度も重ねた。
今、森さんは喪失感に襲われている。「さみしい」。笑顔に癒やされ、予想外の言動にいらだった。介護は生活そのものだった。
□要介護度がネック
認知症大国・日本。462万人(2012年)の認知症の人は、団塊の世代が80代になる30年、多いシナリオで830万人に。森さんが体験した介護の日々は、多くの人の日常になる。
2000年に始まった介護保険。家族は楽になるはずだった。だが……。
「物忘れがひどくなってきた。いずれは施設なのかな」。東京都世田谷区の奈良慶子さんは悩む。
生後半年の娘を抱え、認知症の父親(85)を介護する。「ダブルケアは負担が大きい」。施設を頼ろうにも、特別養護老人ホーム(特養)への入所には、父親の要介護度がネックになる。
今は生活の一部に介助がいる要介護1。15年の介護保険法改正で、要介護1と2は原則、入所対象外に。認知症の特例はあるが、区内には2000人近い待機者がおりメドがたたない。
「認知症は介護が大変なのに要介護度が低い」。青森県で特養を営む中山辰巳さん(64)は嘆く。
介護保険は身体機能の衰えへの支えを重視する。妄想や問題行動は体が元気でも出るため、要介護度と介護の大変さが一致しない例もある。「そもそも介護保険の成立時、認知症の激増は前提ではなかった」
家族の負担はすでに重い。認知症の人を1人介護するのに、年382万円も家族は無償で負担している――。慶応大学が出した試算だ。自らする介護、離職での収入減など負担は計6兆円。30年には9兆円になる。
□地域互助に活路
介護保険の給付額は15年時点で約10兆円。25年には19.8兆円に膨らむ。財政が厳しいなか、老夫婦のみや単身の世帯が増え、家族の介護力は弱まっていく。
頼みは地域の互助力だ。住民が訓練を重ね、認知症の行方不明者を発見した実績を持つ福岡県大牟田市。だが「ここまでに10年かかった」(同市の白川病院)。急がねば間に合わない。
たとえ認知症でも、介護保険だけに頼るのはますます厳しくなる。そんな未来を見据え、自ら備える意識も広がる。太陽生命保険の「ひまわり認知症治療保険」。認知症になると300万円を給付する。3月の発売後、予想を上回る約14万6千件の契約を集めた。
介護保険料を払う40歳以上の人は21年をピークに減る。財源が限られるなか、公助・共助の役割をどう定め、互助や自助の力をどう引き出すのか。難題から目を背けても、830万人を支える未来は逃げてはくれない。
日経Web版 2016年12月21日 原文のまま
関連記事:砂上の安心網第一部 2030年 不都合な未来
(1)チェックなき膨張 社会保障債務 2000兆円に(2016/12/19)
(2)超高額薬時代の序章 「革命」に揺らぐ皆保険(2016/12/20)

★「台湾の要介護者、2026年に100万人 介護士の育成急務」(12月18日/フォーカス台湾)
(台北 18日 中央社)高齢化の進む台湾。2026年には要介護者が100万3000人に達する一方で、介護士は5万7000人に留まるとされ、深刻な人材不足に専門家が警鐘を鳴らしている。
台湾は2018年にも65歳以上の高齢者が人口全体の14%を占める高齢社会に突入する見込みだ。だが、介護士の育成は進んでおらず、2021年には1人で18人の認知症患者を世話する必要が出てくると話すのは、中華民国身心障礙聯盟の滕西華秘書長(写真)。現状のままでは「やり遂げるのは不可能だ」と目前に迫った危機に懸念を示す。
将来介護の現場を支える学生を取り巻く環境も明るいものではない。仕事の内容について社会から軽視され正当な評価を受けなかったり、待遇が低かったりと不安が尽きないからだ。
台北護理健康大学に通う侯瀞恵さんは、かつて毎日8〜12時間介護の現場で働いた際の月収は2万台湾元(約7万4000円)強だったと語る。また、要介護者の家族からは「被雇用者」として軽く扱われ、調理や掃除など介護とは関係のない家事をするよう求められたこともあったという。
滕秘書長は、介護士には女性が多く、体重の重い要介護者の世話をする際に思わぬけがをしたりセクハラの被害に遭う可能性もあると指摘。問題の解決には、社会全体の意識を変え、調理や掃除を別の企業が代行する仕組みを整えるべきだと訴えている。(陳偉テイ/編集:齊藤啓介)
フォーカス台湾 2016年12月18日 原文のまま
関連情報:デロイトトーマツ「台湾における介護マーケットの現状と介護保険導入の動向」(第1回:2016.05.20 第2回:2016.07.22) 
編者:台湾の高齢者介護に関しては外国人介護労働者の存在が無視できない。

「国防費の3倍?−急増する中国の社会保障関係費」(11月24日/ニッセイ基礎研究所)
保険研究部 准主任研究員 片山 ゆき(写真)
□要旨
○中国では、少子高齢化の進展、それに伴う社会保障制度の整備が進む中で、医療や年金などの社会保障関係費が増加している。
2015年の社会保障関係費は3兆972億元で、一般公共予算支出のうち17.6%を占め、最も大きい支出項目となった。
○中国では、中央と地方財政が明確な役割分担をしており、国防費は中央財政が、社会保障については地方財政がその多くを担っている。社会保障関係費は、地方財政の支出が増加しており、2015年は、地方財政が7割、中央からの財政移転が3割を負担した。
○財政の支出構造の変化をみると、社会保障関係費の割合は一貫して増加している。また、社会保障関係費は支出規模が最も大きいのに加えて、増加幅も前年比18.5%増と大きく、その動向が財政に与えるインパクトは大きい。
中国の財政支出については、国防費が何かと注目されるが、社会保障関係費の支出規模はその3倍にあたり、直近2015年の増加率もそれを遙かに凌いでいる。
○政府は2016年6月に、介護保険制度のパイロット地区として15都市を発表し、2020年を目途に全国導入を目指すとした。
ただし、制度運営に必要な財源の確保については課題もあり、国民にも給付に応じた負担を求めていく必要がありそうだ。
ニッセイ基礎研究所レポート 2016年11月24日 原文の要旨
関連資料:「国防費の 3 倍?−急増する中国の社会保障関係費」(pdf970K)
編者:中国で介護保険導入の動きとして紹介する。

★「サービス利用控える動き 介護保険見直しで負担増」(10月19日/中日新聞)
昨年の介護保険見直しで一部利用者の自己負担が増加したのに伴って、介護サービスを抑制する動きが出始めた。「利用料が高くなり、生活が成り立たない」というのがその理由。高齢者のそんな声をよそに、国ではさらなる負担増が議論されている。
◇「生活成りたたぬ」特養退去も
認知症で要介護5の岩下美子さん(76)=茨城県古河市=は、四年間暮らした特別養護老人ホームを三月末に退去し、自宅で暮らし始めた。
一人で介護する夫の太郎さん(67)によると、美子さんの収入は月十六万円の年金。特養の費用九万円に、診察代や薬代などがかかっても、夫婦が別々に生活するのが可能だった。
ところが昨年八月に補足給付が厳格化され、食費と住居費が全額自己負担に。特養利用料は月額九万円台から十六万円台に増加し、美子さんの診察代や薬代などは、太郎さんの月十六万円の年金で賄わざるを得なくなった。「これまでは年金で何とかやりくりしていたが、負担増でいずれ生活が立ちゆかなくなる」と退去を判断した。
美子さんは九年前に認知症と診断され、意思の疎通が難しい。車いすが必要で、トイレや着替えなど全面的な介助が欠かせない。特養からの退去後は週四回のデイサービスのみに切り替え、費用は月三万円台に抑えた。太郎さんは数年前、ホームヘルパー二級の資格を取得し、前向きに介護しようとしている。太郎さんは「私たちには子どもがいない。自分が健康を崩せば、妻も共倒れになる心配は尽きない」と話す。
一方、名古屋市内に住む認知症の男性(91)も、介護サービス利用料が二割負担となり、週四回通うデイサービスの利用料が月三万円に倍増した。介護する妻(85)は「夫は家では自室に閉じこもりがち。それを防ぐためにも、生活は苦しいが利用回数は減らせない」と負担増を受け入れるしかなかったという。
利用抑制の動きが表面化したことで、公益社団法人「認知症の人と家族の会」(京都市)は四、八月、二割負担への引き上げ撤回や、補足給付の要件を元に戻すことなどを盛り込んだ要望書を国に提出した。
しかし、国は社会保障審議会で、二〇一八年度の制度見直しに向け、さらに負担を増やすかどうか議論を進めている。論点は、医療保険との比較。医療では七十歳以上でも現役並みの所得がある人は三割、それ以外も年齢によって二割を負担している。委員から「医療保険との整合性を図るべきだ」と、所得がある人のさらなる負担増を求める意見が出されている。
厚生労働省介護保険計画課は「保険料が右肩上がりの中で、利用者負担だけそのままで公平と言えるのか、考えないといけない」としている。 (出口有紀、添田隆典)
◇さらなる負担は尚早
介護保険に詳しい東洋大の高野龍昭准教授(高齢者福祉)の話 所得水準を考えると、二割負担となった家計へのしわ寄せは厳しく、長期的な利用控えに伴う心身の状態の悪化などが心配される。影響を十分検証しないまま、国が財政難のみを理由にさらなる負担増を議論するのは尚早だ。
<介護保険の見直し> 給付費の抑制などを目的に、従来1割だった自己負担が、一定以上の所得がある人は2割に引き上げられた。65歳以上の夫婦だと年金収入とその他の合計所得金額が年346万円以上。厚労省によると、対象者は今年6月時点で59万人。さらに、自己負担が原則の特養の食費と住居費に関して、国は低所得者(本人が住民税非課税など)に補足給付として一部を補助してきたが、夫婦で2000万円を超える預貯金があったり、配偶者の所得が課税基準を満たしたりしていれば給付を受けられなくなった。
画像説明:妻の美子さん(右)を自宅で介護する岩下太郎さん=茨城県古河市で
Chunichi Web 2016年10月19日 原文のまま
サイト内関連記事:「認知症の人の家族ら 介護保険制度見直し検討で要望」(2016年8月31日)
編者:認知症の妻を在宅介護しているが、介護保険利用に伴う自己負担は重い。現在、デイサービス(週3回)、ショートステイ(月2泊3日個室利用)、介護器機(車椅子と歩行器)利用に伴う自己負担額は、月おおよそ各2.0万円、2.6万円、0.1万円である。さらに紙パンツ(1日4回)代0.9万円が加わる。どうすればよいか?

★「幸せ運ぶ福祉理容室 高齢者ら受け入れ」(10月17日/河北新報)
高齢者や知的障害者といった特別な配慮が必要な人を受け入れる理容店が、秋田市将軍野にある。今年1月に開店した「福祉理容店 幸のとり」だ。1人で接客する店長の村田薫さん(47)は「言葉が通じない利用者でも、カットや顔そりをしてきれいになると、笑顔になる。その瞬間が私にとって幸せ」と話す。
閑静な住宅街に立つ理容店に、理髪用の椅子は1台のみ。木目調の壁に小鳥をモチーフにした雑貨を飾り、居心地の良さを演出した。店名は鳥好きだったことに加え、「店にいる少しの間も幸せな時間にしたい」(村田さん)との願いを込めて付けた。
村田さんが福祉理容に興味を持ったのは、歯科衛生士として市内の歯科医院で働いていた1993年ごろ。往診先の介護施設で、理容師が利用者の顔そりをしている風景が目に留まった。「これができれば、家族の老後も自分で世話ができる」と、96年に理容師の免許を取得。市内の病院にある理容室で約10年経験を積んだ。
独立を決めたのは、病院で働く中で「もっと利用者のニーズに応えたい」と思ったからだ。車椅子のまま洗髪できるように椅子のないシャンプー台を設けたほか、介助者に休んでもらえるスペースを用意するなど、病院で得たアイデアを生かした。福祉理容を専門に掲げる店は全国的にも珍しいという。店は口コミで人気を集め、月に20件ほどの予約が入る。
毎月1回訪れる同市の無職長谷川次郎さん(89)は足腰が悪いため、村田さんの送迎を利用して来店する。「以前はタクシーで一般の理容室に行っていたが、料金が高くて困っていた。ここは送迎してもらえるので気兼ねなく利用できるし、村田さんとの会話も楽しみ」と笑う。
利用者は、認知症で十分なコミュニケーションが取れない高齢者や寝たきりの患者らさまざまだ。村田さんは「利用者一人一人と丁寧に向き合っていきたい」と話す。
午前9時〜午後6時。不定休で完全予約制。自宅や病院に出向く訪問理容も行っている。カット3000円など。連絡先は同店018(807)0184。
画像説明:利用者と和やかに話しながら手を動かす村田さん(右)
河北新報 2016年10月17日 原文のまま
編者:認知症の妻の在宅介護を始めた頃、対応してくれる美容院を見つけるのに困ったことがある。現在は3月1回ほど近くに美容院に車で連れていく。スタッフの対応もよく安心している。理解ある美容院、理容院がない、車がなく困っている本人・家族は少なくないだろう。こうした本人・家族への「訪問美容・理容」はありがたい。しかし「福祉」がつく理由がわからない。介護保険サービスのひとつ「訪問入浴」を「福祉入浴」とは言わない。なおこの分野の活動を拡げている「NPO法人日本理美容福祉協会」がある。

★「「要早期入所」893人 県内の特養ホーム待機高齢者」(10月15日/岩手日報)
県内の特別養護老人ホーム(特養)に早期入所が必要な高齢者が4月1日時点で893人いることが県のまとめで分かった。前年同期に比べ65人減少したが、高齢化に伴って伸び続けるニーズに施設整備が追いつかない状況が続いている。県は今後も施設整備を進めるとともに、自宅で必要なケアを受けられる在宅介護の充実に力を入れる。
県によると県内の入所申込者は4406人で、うち1410人が自宅で入所待ちの状況。このうち早期入所が必要と市町村が判断した人は893人に上る。圏域別では早期入所が必要な在宅待機者が最も多いのは、岩手中部圏域(花巻市、北上市、遠野市、西和賀町)の196人。次いで両磐圏域(一関市、平泉町)が153人、盛岡圏域(盛岡市、雫石町、滝沢市、紫波町、矢巾町、岩手町、葛巻町、八幡平市)が148人で続く。
県内の特養ベッド数は2015年度末時点で8207床。前年同期より220床増えたが、17年度末の特養利用者は8978人に達する見込みで、このままだと771人が入所できない見通しだ。
県は、消費税増税分を基にした地域医療介護総合確保基金などを活用して施設整備を後押ししているが、介護職員の人材不足や資材高騰がネックとなって整備が進まないケースもある。一方で、特養利用者が増えれば介護保険料の負担増につながるだけに、計画的に施設整備を進める考えだ。
岩手日報WebNews 2016/10/15  原文のまま
編者:この種の報告、報道は昔からあるが、なぜか大きな社会問題とされることはなかった。介護保険導入後も。問題がどこでどのように姑息的にせよ解決されているという報告や報道は聞かない。学術的な調査研究はあると思われるが、知らない。

★「7人死亡の認知症グループホーム火災 社長に無罪判決」(10月14日/NHK)
6年前、札幌市で認知症のお年寄りが入居していたグループホームが焼けて7人が死亡した火災で、業務上過失致死の罪に問われた施設の運営会社の社長に、札幌地方裁判所は「火災の原因についての検察の主張は不自然で、原因が認定できない以上、社長の過失は問えない」として無罪を言い渡しました。
平成22年3月、札幌市北区にあった認知症のお年寄りのためのグループホーム「みらいとんでん」が全焼して、入居していた男女7人が死亡した火災では、施設の運営会社の谷口道徳社長(58)が十分な防火対策をしていなかったとして、業務上過失致死の罪に問われました。
裁判の中で、検察は、火元のストーブがあった部屋で寝起きしていた認知症の男性入居者がパジャマをストーブに置いたのが火災の原因だと主張し、弁護側は「男性入居者は1人で歩くことが難しかった」などとして無罪を主張していました。
14日の判決で札幌地方裁判所の金子大作裁判長は、「男性入居者を日常的に診療していた医師や施設の従業員の証言から、男性は1人で歩ける状態だったとは考えにくく、検察の主張は不自然だ」と指摘しました。そのうえで、「火災の原因が認定できない以上、社長の過失を問うことはできない」として、谷口社長に無罪を言い渡しました。
裁判では、検察と弁護団の主張が対立し、争点を絞り込む「公判前整理手続き」が21回にわたって行われるなど、火災の発生から判決までおよそ6年半かかりました。
「重大な結果 責任を痛感」
判決について、業務上過失致死の罪に問われた谷口道徳社長の代理人を務める三木明弁護士は「検察側がパジャマをストーブの上に置いたと主張した入居者は施設で生活して4年にわたり火災の原因になるような行動を取ったことは一度もなく、自分の力でベッドから立ち上がり、歩行し、立ち続けることは不可能だった。一方、ストーブの火力はとても小さくパジャマが置かれても燃え上がることはなかった。このような事実はないものとして捜査が行われ、起訴されたことは極めて不当で無罪判決は当然だ」と話していました。
また、谷口社長は「判決の結論はともあれ、このような重大な結果を生じさせた責任を痛感しています。亡くなられた方、ご遺族の方に深くおわび申し上げます」というコメントを出しました。
札幌地方検察庁の山口英幸次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議した上で適切に対応したい」とのコメントを発表しました。
NHKNewsWeb 2016年10月14日 原文のまま

★「新連載:医療・介護のIT化最前線 急増する「訪問看護」とはいったい何か? 日本医療の「惨状」を救えるのか」(10月3日/ビジネス+IT)
ここ数年で急激にその数を伸ばし、今や在宅医療の中核を担うことを期待されている「訪問看護」。訪問「介護」と勘違いされることもあるが、医療サービスを手がけるのが最大の特徴で、超高齢社会の現代日本にはなくてはならない存在になりつつある。そもそも訪問看護とはどんなサービスで、なぜ日本の医療に必要なのか。高齢患者の受け皿として、また医療費抑制の手段として期待される訪問看護について、その理由と役割、そしてビジネスとしての魅力を解説する。さらに、諸外国の訪問看護の現状から、日本の今後の展開を占ってみたい。そこには、進む高齢化とそれによる医療費の増大にあえぐ日本の医療の窮状があった。
執筆:インキュベクス 代表取締役 上村 隆幸
株式会社が経営する医療ビジネス、訪問看護
訪問看護とは、看護師などが利用者(患者)の住まいを訪問し、看護を提供するサービスである。介護予防支援や生活の介助から健康状態のチェック、リハビリ、医療的な処置、家族へのアドバイス、看取りに至るまで多様なサービスを提供し、利用者が望む生活をできる限り質の高い状態で支える。こうした訪問看護を提供する事業所は、訪問看護ステーションと呼ばれる。
耳慣れない方も多いと思うが、実際、訪問看護が増え始めたのは最近の話だ。訪問看護ステーションの数は2000年から10年間ほど5,000か所程度で横ばいの時期が続いた。転機が訪れたのは2012年の報酬改定で、当時6,298か所だったものが2016年4月には9,070か所にまで急増した。
急激な拠点数の伸びにも表れているように、一部の企業と経営者が訪問看護へのビジネスチャンスを感じ始めたのが2012年だった。算定できる単位が他の介護サービスに比べ高めに設定されたからだ。これを機に報酬以外の魅力も着目され、特に民間企業(株式会社)による新規参入が加速した。
訪問看護は売上のほとんどが保険によるもので、売上の回収リスクが低く、在宅医療介護の中核を担うことで社会的な貢献度も高い。また、医療保険(健康保険)と介護保険の両方を扱う極めて珍しいサービスであるが、営利法人(株式会社)でも開業できる。
こうした背景により株式会社の訪問看護参入が爆発的に増加したが、それでもなお、在宅医療のニーズは満たされていないため、市場の拡大は継続している。さらに、企業の一部が先導する形で人材育成や業務管理、インフラ等のイノベーションも発生しており、注目度は高い。ただし、医療ビジネスというイメージがハードルとなるせいか、一般の関心はまだそれほどでもない。
訪問看護は「介護」か?「医療」か?
訪問看護はしばしば「訪問介護」と混同・勘違いされる。訪問介護が訪問看護よりも圧倒的にポピュラーなほか、訪問看護でも介護保険が使われることや、業務も入浴や排泄の介助、清拭など、一部類似しているなど、紛らわしい部分もあるためだ。
2つの違いはいくつかあるが、まず訪問介護ではホームヘルパー(訪問介護員)が訪問するのに対して、訪問看護では看護師などが訪問することが挙げられる。また、訪問介護は介護保険を使うが、訪問看護は医療保険と介護保険の両方を使い、算定できる報酬の単位も高いといった特徴がある。
このように、訪問看護には「医療」の要素だけでなく「介護」の要素もある。訪問看護を提供するにはかかりつけ医の「訪問看護指示書」が必要だが、これは「医療」の要素だ。指示書は、医療保険、介護保険、どちらの場合も必要だ。介護保険の場合にはさらにケアマネージャー(介護支援専門員)が作る「ケアプラン」も必要になる。これはもちろん「介護」の要素である。
厳密に言えば、訪問看護は「医療」と考えるのが自然だが、実態は「2つの中間」というのが正確だ。訪問看護と訪問介護を比べると、例えば同じ入浴や排便の介助を行う場合でも、訪問看護はより医療的な専門性の高い介助や処置が可能だ。
看護師は、介護職では提供が禁止されている医療行為の一部を提供できるため、より重い症状の利用者に対応できる。そして介護の領域も一部カバーすることで、「医療」と「介護」のシームレスな提供に貢献している。
これまでの医療の中心は病院であり、その業務も医師を中心として、看護師、理学療法士、作業療法士といったリハビリ職、薬剤師などが周囲を固める構造だった。新たに医療の中心になりつつある在宅では、医療の各専門家はバラバラの事業所に散らばっている。
もちろん在宅でも医師の指示書は必要だが、少数の医師がバラバラの事業所をまとめることは難しい。そこで、機動力があり「医療」の領域にも「介護」の領域にも係る訪問看護ステーションが、地域の医療介護関係者の連携と調和を図る、中心的な役割を期待されている。
「待ったなし」医療の惨状
ではなぜ、医療の中心は病院から在宅へと移行しつつあるのだろうか?そこには止まらない高齢化の中で逼迫する我が国の医療費の問題がある。
高齢化が進むこの状況をみなさんは「高齢化社会」と呼ぶかもしれないが、それは間違いである。日本は1970年の段階で既に「高齢化社会」となっており、1995年には「高齢社会」に、2007年には「超高齢社会」に突入している。2013年には25%を超え、国民の4人に1人が高齢者となり、さらに2035年には3人に1人が高齢者となる世界でも類を見ない状況が迫っている。
特に、人口の多い「団塊の世代」の高齢化には強い危機感がある。既に65歳以上の高齢者となった団塊の世代は、2025年には75歳以上の後期高齢者となり要介護者の大幅増加も予想される。これを「2025年問題」と言うが、これはもう目前のことだ。
激しい高齢化は医療費を含む社会保障費を増大させ、財政を逼迫させている。2010年代手前から医療費の増加速度が急速になり、GDPの増加を上回るペースで増大している。2012年の医療支出は34.6兆円、介護支出は8.4兆円であるが、2025年には、医療支出が54兆円、介護支出が19兆円にまで膨らむと言われている。
こうした医療費を抑制するために、国は病院から在宅への転換と、医療から介護への転換を進めている。病床数とそこでの医療費を削減するために、長期退院の抑制・早期退院の推進と、療養の在宅へのシフトが推進されている。また、高齢者の療養を高度で高額な医療から負担の軽い介護へとシフトさせようとしている。
病院から在宅、医療から介護のどちらの潮流においても、訪問看護は重要な役割を担う。高齢者への対応はもちろん、医療費を抑制する期待も高い。
追いつけるか?世界の最先端訪問看護
高齢化の問題は、もちろん日本に限ったことではない。日本以外の先進諸国も高齢化に悩むが、そこでもやはり訪問看護への期待は高い。日本との違いはどこにあり、どのように高齢化へと立ち向かっているのだろうか?
米国の訪問看護の歴史は古く、南北戦争が終結した19世紀末にまで遡る。摩天楼が建ち始めたニューヨークで、渋滞を避けるためビルの屋上を伝ってリリアンという看護師が訪問を行っていた。これが現在、世界でも最大級の規模を誇る訪問看護サービスVNSNY(Visting Nurse Service of New York)の草創期である。VNSNYなどの米国の訪問看護ではサービスの質評価による報酬の算定を取り入れている。その前提として包括払い制度も導入されており、日本のような出来高払いよりも無駄な医療費が削減されているという。
また、米国ではナース・プラクティショナーと呼ばれる新職種も誕生している。これは従来医師が行っていた検査オーダーや処方の一部を看護師が担うもので、やはり医療費の抑制や人材不足への効果が期待されている。医師がいなくても現場の看護師が迅速に判断を下せるほか、高い医療費を用いずに済む効果もある。
オランダの訪問看護は世界中の注目を集めている。ビュートゾルフという訪問看護、介護、リハビリを合わせた在宅ケア組織は、2007年にたった4人の地域看護師のチームでスタートしたが、7年間で、約750チーム(約8,000人)が活躍し、年間7万人の在宅患者をケアするオランダ国内シェア60%以上の巨大組織へと急成長した。ビュートゾルフは機能別に分業せず、フラットな組織でトータルケアを提供している。本部もレセプトなどバックオフィス機能だけに絞込み、それも極限までムダを排除してコンパクトにしている。
こうした諸外国の事例を、日本でも真剣に追いかけている。米国が実践している医療の質評価や包括払い制度は日本でも検討が進んでおり、ナース・プラクティショナーのような権限委譲は「特定行為研修」という形で開始された。
オランダのビュートゾルフの研究も進んでいる。特にフラットな組織運営と徹底したバックオフィスの省力化を実現しているIT活用については注目度が高い。ビュートゾルフは、レセプトなどの業務データなどを共有・議論するコミュニティシステム、数値データの管理や比較・検討ができる業務管理システム、ケアの質管理システムといった独自のシステムを複数併用することで、スムーズでムダが少なく質の高い在宅医療を実現している。
日本の在宅医療の現場は歴史が浅く、小規模の事業者が多いこともあって、IT化は諸外国ほど進んでいない。日本は訪問看護による在宅医療の充実の中で、同時にそのIT化も推進していく必要がある。
諸外国の医療の中核を担い、大きなイノベーションを起こしてきた訪問看護が今、日本の医療にも大きな変革を発生させようとしている。今後、本連載では私が籍を置く産業技術大学院大学・池本研究室で身に付けた「ものづくり」の知見も織り交ぜつつ、こうした医療・介護のIT化の可能性を解き明かしていきたい。
インキュベクス 代表取締役 上村 隆幸
インキュベクス 代表取締役。1965年神奈川県横浜市生まれ、産業技術大学院大学在籍。1998年、起業コンサルタント業を開始し、以来2500社を超える起業支援を手がける。さらに、在宅医療のニーズの高まりを受け、2012年から訪問看護ステーション開業運営支援を開始。その支援先は民間企業から介護事業者まで全国600社以上。超高齢社会における幸福な将来ビジョンを描くことを目指している。
画像説明:指定訪問看護ステーション数の推移(出典:一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査」)
ビジネス+IT 2016年10月3日 原文のまま
編者:あまり話題にならない訪問看護についての寄稿として紹介した。

★「<台風10号>岩泉町 介護サービス需要増」(9月30日/河北新報)
台風10号の豪雨被害に遭った岩手県岩泉町で、介護サービスの需要が高まっている。家族が被災して世話できなくなるなどしたためだ。東日本大震災の被災地では避難生活の長期化に伴い、要介護認定される高齢者らが増えた。30日で災害発生から1カ月。高齢化率が4割を超える岩泉町でも今後、大きな課題となることが予想される。
岩泉町尼額(あまびたい)地区の農業山崎定富さん(63)は、同居する義母(93)を町唯一の特別養護老人ホーム「百楽苑」に受け入れてもらっている。床上1メートル40センチ浸水した自宅2階で生活しながら、洗浄や消毒に追われる。
義母は認知症があり、通所や短期入所サービスを利用していた。増水した川に行こうとするなど、目が離せない。「本当に助かる」と山崎さん。住宅再建のめどが立たない中、グループホームへの入所を待つ。
被災後、百楽苑は世話が必要な高齢者の緊急入所先となった。定員120人はほぼ満床だったが、最大約30人を受け入れた。他の介護施設や訪問介護が再開して人数は減ったが、定員を上回る状況が続く。
自宅の被災や道路寸断で通勤できないスタッフもいて人員不足に直面。県内の介護施設や全国の系列施設の応援を得て、職員の負担軽減を図ってきた。
震災では岩手、宮城、福島3県の要介護・要支援認定者数が2010年9月からの5年間で約20〜25%増加。東北の他県より増加率が高かった。仮設住宅などで長引く避難生活が一因とみられる。
台風10号後も、避難所で入浴介助が必要となったり、都市部の家族の元に身を寄せて外出しなくなり、身体機能が衰えたりする高齢者が出始めているという。
町の高齢化率は県平均と比べ約10ポイントも高く、高齢の独居や夫婦世帯も多い。介護施設関係者は「もともと家庭の介護力が低下していた」と指摘する。
町長寿支援室の担当者は「環境変化は高齢者に好ましくなく、要介護認定の申請が増えるのではないか」と話す。町は隣接自治体にも受け入れ協力を求める。
写真説明:入所者の食事を介助する応援スタッフたち=23日、岩手県岩泉町の特別養護老人ホーム「百楽苑」
河北新報 2016年9月30日 原文のまま

★「普及進む小規模多機能ホーム 県内160超、在宅介護支える」(9月4日/山陽新聞)
通い(デイサービス)、宿泊(ショートステイ)、訪問介護を組み合わせて提供する「小規模多機能型居宅介護事業所」(小規模多機能ホーム)が、介護保険サービスとして創設されて10年。国が在宅医療・介護を推進する中、超高齢社会の在宅を支える施設として岡山県内でも普及が進んでいる。一方で、社会的にはそのメリットや機能がまだ十分には理解されておらず、必要な人にサービスが届いていない懸念もある。
「通いも宿泊も使いたい時に使えるのが助かる」。小規模多機能ホーム「たんぽぽ」(岡山市南区豊浜町)で利用者家族の50代女性が笑顔を見せる。
2人で暮らす父親(87)が昨秋、肺炎で入院したのを機に寝たきりとなった。会社勤めの女性が父親の在宅復帰を諦めかけた時、かかりつけ医に偶然教えられたのが同施設だった。
父親は退院直後から宿泊サービスを活用し、リハビリで歩けるまで回復。現在は通いに切り替え、時に宿泊も使う。「利用形態を変えても職員が同じなので父も安心感があるみたい」と女性は言う。
担当ケアマネジャーで女性看護師(46)は「ここでは終末期でもケアが可能。最期まで在宅で過ごせるよう本人と家族を支援したい」と話す。
柔軟にプラン変更 
小規模多機能ホームは2006年に導入された24時間無休の地域密着型サービス。介護保険制度導入前から民家などで高齢者に介護や支援を提供していた「宅老所」をモデルに事業化したとされる。
少人数登録制による家庭的な雰囲気で、専任のケアマネがプランを柔軟に変更できるのが強みだ。利用料は食費や宿泊費を除き、要介護度に応じた毎月の定額制となる。
県によると、4月1日現在の県内事業所数は165施設で年間10〜20施設のペースで増加。利用者は同日現在で2763人おり、25年には約5千人と2倍近くに増えると想定している。
半数が赤字経営 
課題は社会的な認知度の低さだ。
福祉施設の経営サポートなどを行う独立行政法人・福祉医療機構(東京)によると、小規模多機能ホームの半数は利用者が少ないために赤字経営といい、「市民だけでなく、ケアマネやソーシャルワーカーら連携機関の中でさえ、役割やメリットが十分に知られていない」と指摘する。
デイサービスなど他サービスに比べ、「複合型」のため、仕組みが分かりづらい上、事業所ごとにサービス提供の方針が異なるのも複雑さに拍車を掛ける。認知症や医療的なケアの程度による受け入れ態勢、看(み)取りまで対応できるかなどは施設ごとに確認が必要だ。
12年には訪問看護にも対応した看護小規模多機能ホームも登場しており、高齢者福祉に詳しい県立大保健福祉学部の山本浩史准教授は「在宅支援の中核を担うと期待される利便性の高いサービスだが、患者や家族がその内容を熟知するのは難しい。まず地域の関係機関が正しく理解し、必要とする人に提案できる体制づくりが急務だ」と話している。
写真説明:小規模多機能ホーム「たんぽぽ」で食卓を囲む利用者とスタッフ。家庭的な雰囲気の中、個々に応じたサービスが提供される
サンデジ 2016年9月4日 原文のまま

★「認知症の人の家族ら 介護保険制度見直し検討で要望」(8月31日/NHK)
急速な高齢化によって介護にかかる費用が増え続けるなか、介護サービスの一部を自己負担にするなど制度の見直しが検討されていることについて、認知症の人の家族などの団体が「負担が増加し、生活が立ちゆかなくなる」として、国に対して慎重に議論を進めるよう求めました。
厚生労働省は、介護の必要性が比較的低い高齢者が利用する掃除や調理などの生活援助サービスを自己負担にするなど、介護保険制度の見直しを検討しています。
これについて「認知症の人と家族の会」のメンバーらが厚生労働省を訪れ、蒲原基道老健局長に要望書を手渡しました。
この中で、「認知症の場合、日常生活に支障があっても歩行などに問題が無いとして、介護の必要性が低いと判定されることが多く、負担が増加すれば生活が立ちゆかなくなる」として、慎重に議論を進めるよう求めています。
また、特別養護老人ホームに入居できる要件が、去年4月から原則、要介護3以上の高齢者に限られていることについて、「家族が仕事を辞めて介護するしかない」などとして、要件を撤廃するよう訴えました。
認知症の人と家族の会」の鈴木森夫常任理事は「認知症になっても安心して暮らせる社会の実現に向けて、国は介護保険制度をもっと充実させてほしい」と話しています。
NHKNewsWeb 2016年8月31日 原文のまま
関連資料:認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2016 年版)(pdf500K)

★「待機老人化回避の境目は月18万〜20万円捻出できるか」(8月22日/NEWSポストセブン)
厚労省の最新の発表では、全国の特別養護老人ホーム(特養)への入所申込者は約52万人にのぼる(2014年3月発表)。同省が約2万人と公表する待機児童の数よりはるかに多い数字だ。
この7月には、「特養の待機者が急減した」とのニュースが各メディアで報じられた。東京都高齢者福祉施設協議会が都内の特養に対して行なったアンケート調査の結果が公表され、〈1施設当たりの平均待機者数は2013年11月の360.0人から2015年同月には296.3人と17.7%減っていた〉(朝日新聞、7月2日付)というのだ。
この“急減”にはカラクリがある。特養の入所要件が厳格化されたのである。
介護保険法の改正に伴い、2015年4月から「原則として要介護度3以上の人以外は、特養に入所できない」という通達が厚労省から出された。特養に入る資格を持つ人が減ったから、待機者も減ったという数字のマジックである。
この通達については、“これまで、重度の要介護者なのに在宅生活を続けなくてはいけない人が多かったので、そうした人を優先的に入居させるための改正”との説明がされているが、問題は施設への入所の緊急性は、要介護度だけでは計れないことだ。
首都圏の老人ホーム情報を紹介するフリーペーパー『月刊あいらいふ』編集長の佐藤恒伯氏の説明。
「たとえば認知症を患っている方の場合、要介護度が低くて自分で動き回れる人のほうが、徘徊リスクなどがあり、在宅でケアするには家族の負担が大きくなる。そうした家族のニーズは、今回の通達で切り捨てられることになりかねません。弊社にも、“要介護度2で認知症を患っている父は、どうすればいいのか”といった問い合わせが相次いでいます」
問題が根深いのは、カネがあるかないかで最期の迎えた方に大きな違いが出る、「死に方」格差ともいえる状況が生まれていることだ。
まとまった貯蓄や十分な年金収入があれば、特養の順番待ちをせずとも、民間の有料老人ホームに入る選択肢が出てくる。
「行き場を失う待機老人になるかのボーダーラインは、月額18万〜20万円を捻出できるかだと思います。そのくらいあれば首都圏の有料老人ホームでもそれなりの施設で空きが見つけられます」(前出・佐藤氏)
年金支給額は、国民年金が平均月額で約5万4000円、厚生年金は約14万8000円だ(平成26年度、「厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。佐藤氏の示した数字は、決して低いハードルではない。※週刊ポスト2016年9月2日号
NEWSポストセブン 2016年8月22日 原文のまま
編者:認知症の妻の介護でショートステイとデイサービスと介護器機を利用しているが毎月の自己負担は年金生活者には重い負担だ。

★「ライフ ボクらは「貧困強制社会」を生きている 月収16万円、「介護」へ転身した42歳の誤算 正社員だが残業代も休日手当もナシ」(8月16日/東洋経済)
藤田 和恵 :ジャーナリスト(写真右)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしていく。
3年目、テツヤさん(42歳、仮名)(写真左)は「ど素人」として介護の世界に飛び込んだ。今、彼の名刺にはすでに「管理者」「生活相談員」といった肩書が並ぶ。上司や先輩たちがうつ病になったり、仕事になじめなかったりして次々と辞めていく中、気がつくと、札幌市内のある高齢者施設の責任者になっていたという。
介護保険関係の計算や収支の管理、スタッフのシフト調整といったデスクワークはもちろん、小さな施設なので、利用者のクルマでの送迎、食事や排せつの介助といった介護業務もこなす。夜間の呼び出しに備えて自宅などで待機する「オンコール」は、原則、管理者の担当なので、体調を崩した夜勤スタッフから呼び出されて急きょシフトを代わることもあるし、夜勤明けからそのまま日勤に入ることもある。
残業代も、休日手当も付いたことがない
正社員である。が、毎月の手取り額は約16万円。残業代も、休日手当も付いたためしがないというから、実際の労働時間を時給に換算したら、ひょっとすると北海道の最低賃金764円を下回っているかもしれない。
介護業界の待遇の悪さや離職率の高さは耳にしていたが、介護福祉士でも、ケアマネジャーでもないテツヤさんにいきなり施設管理を任せる無茶振りに、こう言って苦笑する。
「事務仕事は引き継ぎらしい引き継ぎもなくて、ネットで調べたり、市役所に電話したりして死に物狂いで勉強しました。覚悟はしていましが、給料の安さはやっぱり異常です」
テツヤさんが働いているのは、住宅街にある一戸建てを利用したデイサービス施設だが、同時に入居を希望する高齢者も受け入れる、いわゆる「無届け老人ホーム」も兼ねている。
本来、有料老人ホームは自治体への届け出が必要で、消防設備や職員配置における基準があるほか、介護中の事故や集団感染の報告が義務づけられているのに対し、無届け老人ホームにはこうした縛りがないため、サービスの質が低下するといった指摘がある。一方、利用料は一般的な有料老人ホームの半分から3分の1で、特別養護老人ホームの空き待ちをしたり、高額施設には入れなかったりする高齢者にとっては、なくてはならない受け皿でもあり、こうした無届け老人ホームは全国で急増している。
テツヤさんが働く施設はデイサービスを併設し、そこから得られる介護報酬でホームの運営費をねん出することにより入居料を安く抑えているが、有料老人ホームで提供するサービスを基準以下の人員と財源で賄うのだから、大規模な社会福祉法人や医療法人による施設と比べても職員たちの負担は重くなるし、適切とはいえない運営を余儀なくされることもある。
たとえば、このデイサービス施設では、運営母体である株式会社の社長は自らを「生活相談員」として登録しているが、勤務実態はない。人員不足を補うための、いわゆる名義貸しである。また、夜勤は複数人の非正規スタッフで回しているが、全員がダブルワークをしているという。このため、シフトはいつも直前まで調整がつかない綱渡り状態で、テツヤさんの悩みの種のひとつである。
また、くだんの社長は、いくら残業代を支払うよう促しても「もう少し稼働率が上がったら考える」「内部留保がたまったら払う」とかわすばかりだし、周囲のスタッフの話では、職員の賃金を上げるための「介護職員処遇改善加算」も、かつては別の用途に使ってしまったこともあるようだ。
グレーどころか、完全に違法な運用が横行しているわけだが、この施設や、社長が特別に悪質というわけではない。介護保険制度の開始により事実上、事業者に利益を上げることを許しながら、その後のチェック体制をおざなりにし、介護労働者の劣悪な待遇を放置し、揚げ句の果てに、行き場のない高齢者の受け入れをこうした小規模な無届けホームに頼っている、国側の政策のほうが問題なのだ。
20代で年収は550万円ほどあった
「介護の世界に理想を抱いて転職したわけではないという」と言う。
もともとは大型貨物船の船員だった。「エンジン場」といわれる発電機やボイラーを管理する部署の担当で、一度出港すると3カ月は乗船したまま。当時の年収は550万円ほどあった。20代後半になり、なんとなく「陸で働きたい」と思い立ち、名古屋に住まいを移し、鉄鋼業や福祉器具メーカーなど複数の仕事に就いた。社交的で、どんな仕事もある程度要領よくこなせるからなのか、どこで働いても待遇や人間関係は悪くなく、年収はおおむね450万〜500万円をキープすることができた。結婚したのもこの頃である。
ただ、最後に勤めた会社だけが、仕事そのものはやりがいがあったのだが、長時間労働と残業代の未払いがひどかった。当時、なかなか子どもができなかったこともあり、夫婦で話し合った末、いったん会社勤めと子づくりのプレッシャーから解放されようと、テツヤさんの生まれ故郷の札幌に戻り、「収入は減ってもいいから、2人でゆったり過ごす」ことを決めたという。
このとき、介護の仕事を選んだのは「40歳からのスタートでも、社会福祉士やケアマネジャーの資格を取って行けば、ある程度キャリアアップができる業界」だと思ったからだ。
子どもができたことがわかったのは、まさに引っ越し先と転職先を決めた矢先。このときの驚きを、テツヤさんは「すごくうれしかった。でも同時に、うわあ、計画とずいぶん違っちゃったなとも思いました」と振り返る。
やっと授かった子どもは少し体が弱く、妻はまだ働きに出ることができずにいる。テツヤさんの手取り16万円で家族3人を養うことは難しい。
節約生活で何がいちばんつらいかと尋ねると、テツヤさんは「晩酌のビールを発泡酒に変えたことです」と冗談めかして笑う。船員時代に日本酒なら2升はいけたという左党にとって、発泡酒は焼酎の味しかしないという。同じく船員時代、1日で70万円勝ったこともあるパチンコも子どもができてからはぴたりとやめたと、なぜか胸を張る。
「毎日の生活のいたるところで我慢をしています。つねに“自動ブレーキシステム”を作動させているような感じです」
ペットボトルのアイスコーヒーを水増し
本当はとりのもも肉が好きだが、妻が食卓に上げるのはもっぱら価格の安い胸肉だし、昼食は家から持参するおにぎりと袋めんで済ませ、飲み物は1リットル入りのペットボトルのアイスコーヒーを2日間に分けて飲む。ときどき、ペットボトルに水道水を足して水増ししていると、同僚たちの視線を感じるが、気にしない。ずいぶん前に奥歯の詰め物が取れたが、治療費を浮かせるために放置していたところ、最近、傷んだ歯の周囲が欠け始めたが、これも気にしない。本州にある妻の実家への里帰りも交通費のことを考えると、年に1度、妻と子どもだけを帰すのが精いっぱいだ。
どんなに自動ブレーキシステムを利かせても、家計は赤字である。介護の仕事に就いて以来、毎年150万円ほどの貯金を切り崩すことでなんとか生活しているが、「この業界にいるかぎり、僕の年収が船員時代の550万を超えることはないと思いますから、仕方ないです」と屈託がない。自らの「貧乏話」をしているのに、テツヤさんにはどこか余裕がある。その理由を、彼は「若い頃に人並みに稼いで、やりたいことはひととおりやってきた、というのがあるからじゃないでしょうか」という。もちろん、家族がいることや、資格を取るという目標、今はまだある程度の蓄えがあることも、彼が余裕を持てる理由だろう。
何を聞いても朗らかで、打てば響く受け答えだったテツヤさんが、ただ一度だけ、表情をこわばらせた瞬間がある。それは、話題が2人目の子どもに及んだときのことだ。
テツヤさんは、子どもは1人を育てるのが限界だと考えているのに対し、妻はもう1人、望んでいるという。互いに歩み寄って決めた落としどころは「出生前診断を受けて子どもに障害があるとわかった場合は中絶する」ということだった。
夫婦ともに40歳前後であることを考えると、2人目の子どもに障害がある可能性は、また決して低くはない。その場合、共働きは難しくなるだろう。恋愛時代も含めると長い付き合いになる妻が、障害を持った子どもも普通に産み育てたいと考えていることはわかっていた。そんな彼女に、障害があるとわかった時点での中絶を約束させることほど、酷なことはなかった。
「こんな話を妻と詰めたくはありませんでした。おカネがないばかりに、こんな我慢を強いられるとは思ってもみなかった」
テツヤさんにとっての誤算とは……
話を聞いたのは、テツヤさんの非番の日だったが、彼は私に失礼にならない程度に時間を気にしているように見えた。聞けば、この日は利用者が近くの公園に出掛けるレクリエーションの予定があり、それが滞りなく行われているかが気掛かりなのだという。
テツヤさんにとっての「うれしい誤算」は、子どもができたことと、もうひとつ、介護の仕事が思いのほかやりがいがあるとわかったことだ。
「僕らの計画や対応次第で、利用者さんのその後の人生の質が変わってくるんです」。彼らの人生の最終ステージを豊かにできるかどうかが、自分たちの頑張りにかかっている――。この3年間で、とびきり幸せな経験もしたし、忘れたくても忘れられない苦い経験もした。
取材を終えたテツヤさんはこれから施設に顔を出すという。どうしても、スタッフからレクリエーションの報告を受け、入居者の様子を直接確認したいというのだ。言うまでもなく、休日手当も残業代もつかない。
介護労働の劣悪ぶりが社会問題になって久しいが、事態が改善される気配はいまだにない。この先、テツヤさんが予定どおり資格を取ったとしても、期待どおりに給与がアップするとはかぎらない。それでも、彼はこう言うのだ。
「今は修行中だと思うことにしています。(妻と子どもには)もう少し待っていてほしい」
東洋経済Online 2016年8月16日 原文のまま

★「介護休業 要介護度低い場合も取得しやすく」(7月2日/NHK)
介護のため仕事を辞める「介護離職」をする人が年間10万人に上るなか、厚生労働省は、介護する家族の要介護度が低い場合でも一定の介助の必要があれば介護休業が取れるように改めることにしました。
会社などで働いている人で、介護が必要な家族がいる場合は、家族1人につき最長93日間の「介護休業」を取得できますが、利用率は3%余りにとどまっています。
こうしたことを受けて、厚生労働省は、介護休業を取りやすいよう要件を緩和することにしました。
これまでは、介護する家族の状態が要介護2から3程度に該当する条件に合っていなければ介護休業は取得できませんでしたが、「要介護2以上は取得できる」と明確化します。
さらに、要介護1以下でも歩行や食事、着替えなど定められた12の項目のうち1つの項目で全面的に介助が必要か、2つの項目で一部介助が必要な場合は介護休業が取得できるように改めることにしました。
厚生労働省によりますと、ことし4月の時点で要介護1の人は全国で122万人に上り、要介護度が低くても認知症のため介助が必要な場合など介護休業の対象が大きく広がることになります。
こうした要件の緩和について、厚生労働省は来週、有識者による研究会で取りまとめることにしています。
厚生労働省は「介護の状態で一目で判断できて分かりやすくなるので、介護休業が取りやすくなると期待している。介護休業の制度自体を知らない人も多いので、企業や働く人に周知を図っていきたい」と話しています。
要介護認定は
介護サービスを提供する際の基準となる要介護度は、要支援1から最も重い要介護5までの7段階に分かれています。
要支援1や2は、身の回りの世話などに何らかの手助けが必要なものの、常に介護が必要とは言えない状態。
要介護1は、例えば身の回りの世話に部分的な手助けを必要とするなどの状態。
要介護2は、さらに立ち上がりや歩行に支えなどが必要とされます。
要介護3は、身の回りの世話を自分で行うのは難しく、立ち上がりや歩行に全面的な支えが必要とされます。
要介護4や5では、介護なしでは生活することが難しい状態とされています。
要介護度が低い場合の条件は
今回の要件の緩和では、家族の要介護度が低くても介護休業の取得が認められる可能性が広がります。
新たな基準では、定められた12の項目のうち、1つの項目で全面的に介助が必要か、2つの項目で一部介助が必要な場合は介護休業が取得できます。
この12の項目は、歩行や車いすの乗り降りなど動作に関わるもののほか、「外出すると戻れない」とか「周囲の人が対応を取らなければならないほどの物忘れがある」といった認知症に関係する項目もあります。
例えば、「外出すると戻れない」ことが「ときどきあり」、「薬の内服」で「一部介助、見守りが必要」であれば、介護休業の取得対象となります。
認知症がある程度、進んでいても体が丈夫なため要介護度が低く、これまで介護休業を取れなかったケースでも、今後は取得できるようになる可能性があります。
介護休業 来年から分割取得も
介護休業については、法律が改正され、来月から介護休業を取っている間に支給される給付金が賃金の40%から67%に引き上げられるほか、来年1月からは3回まで分割して取得できるようになります。
介護離職の経験者は
埼玉県の和氣美枝さん(44)(写真)は、7年前、母親の介護を理由に正社員として勤めていた不動産会社を退職しました。
和氣さんは、病院のデイケアを利用するなどして働きながら介護をしていましたが、母親の認知症が進み、薬を誤って飲んだり物忘れがひどくなったりして目が離せなくなりました。
当時は介護休業の制度を知らず、有給休暇を使って介護を続けましたが、職場に迷惑をかけていると感じ、「介護離職」しました。
今も76歳になる母親の介護をしながら、介護の負担を抱えて働く人や企業からの相談に応じる活動をしています。
1日は川崎市の会社に招かれ、家族を介護している社員が働き続ける環境をどう作ればいいか、人事担当者にアドバイスしていました。
今回の要件の緩和について、和氣さんは「介護する人や会社の人事担当者にも分かりやすくなった点は評価できる。ただ、従業員が介護休業を利用するには、企業の環境整備も欠かせない。介護をしながら仕事を続けられるのが当たり前な社会にしていく必要がある」と話しています。
NHKNewsWeb 2017年7月2日 原文のまま
編者:2008年の話であるが、認知症の妻の在宅介護を試みるため介護休業制度を利用した。給付金が少なく期間3か月と限定付きで利用価値がほとんどなく正式に退職した。

★「中国人介護に通訳派遣 言葉の壁なくすとNPO」(6月17日/産経新聞)
中国人のお年寄りにも満足のいく介護サービスを−。言葉の壁により、介護保険制度を利用したくてもできない中国人を支援しようと、名古屋市のNPO法人が「介護通訳」の養成と無料派遣を始めた。代表の王栄さん(51)は「日本人と外国人が同じように暮らせる社会を実現したい」と力を込める。
外国人は日本に3カ月以上居住し、住民基本台帳に登録があれば、介護保険法に基づくサービスを受けられる。ただ利用方法が分からず、事業者と意思疎通ができないケースがある。介護通訳はこうした外国人や事業者に立ち会い、要介護認定調査や訪問介護を助けるのが仕事だ。
「専門用語が多く、外国人が理解するのは難しい」。きっかけは、中国生まれの日本人でパーキンソン病を患う父親(70)の介護だった。
父親は終戦直前に旧満州で生まれ、1982年に王さんらを連れて日本へ。50代で発症し介護が必要となった。中国人の母親は日本語の日常会話はできるが、読み書きは難しい。サービスを受けようにも用意された書類を読めなかった
この時、通訳をした経験から平成26年8月にNPO法人「東海外国人生活サポートセンター」を立ち上げた。
5日間の養成研修ではケアマネジャーから介護保険制度を学ぶほか、ケアプランの作成などを想定した通訳の練習もする。18人が修了し、今年4月に始めた派遣は5月末までに8件の利用があった。王さんは「認知症の場合など介護実務の対応が課題」と話す。
法務省によると、65歳以上の在留外国人は約15万4千人(昨年末時点)。現在は派遣先を名古屋市内とし、中国語に限った取り組みだが「外国人の高齢化はこれから。この経験を他の言語にも生かしたい」と支援の拡大を見据えている。
写真説明:名古屋市で行われた「介護通訳」の養成研修(王栄さん提供)
産経WEST 2016年6月17日 原文のまま

★「ブラック企業に民主主義を!〜6.16札幌恵友会でストライキ」(6月16日/レイバーネット日本)
社会福祉法人札幌恵友会の民主化闘争は、理事長と専務理事を退陣へ追い込んだものの、その後、さらに怪しい連中が理事に入りました。これを操るのは1千万円の架空請求による保険医停止処分をくらった藤井伸一Drです。まるで、法人の健全化を目指した道庁による改善命令を、あざ笑うかのようです。しかしこういう連中は闘争を大いに盛り上げてくれるに違いない。第2ラウンド開始のゴングが鳴ったのです!
6月16日、社会福祉法人札幌恵友会においてストライキ支援集会を開催しました。系統の違う労働組合も多数駆けつけてくれました。強風の中で旗が良くなびきました。全国に前例がない4回目の改善命令を受けたばかりの理事会は、改善命令を履行できないままですが、組合のストに「強く抗議する」だって。組合が争議行為として設置した懸垂幕や10本ののぼり旗は、夜になって全て撤去されてしまいました。組合が前理事長と専務理事を追い出したあと、新たに投入された理事らは、なかなか強気のご様子。益々ブラック企業化する札幌恵友会ですが、この悪徳経営者をいかにして追い出すか見ていてください。団結の“剣”を使って、ブラック企業に民主主義を持ち込みます。
不祥事がずっと続いてきた社会福祉法人が3月に出された道の改善命令によって健全化できるのか、今後も悪徳経営者に牛耳られていくのか、いま、札幌恵友会は岐路に立っています。介護施設の職員自らが民主主義を職場に確立しようとする闘いを、ぜひ支援してください!札幌地域労組・鈴木一
レイバーネット 2016年6月16日 原文のまま
編者:運動の実態を知らないが介護分野の労働運動の一つと思われ紹介する。

★「パナソニックはなぜ「介護事業」に本気なのか 3年で拠点10倍の大胆目標のワケ」(6月13日/ビジネス+IT)
家電大手のパナソニックが「介護」を手がけているというと、イメージがわかないかもしれない。だが、2000年の介護保険制度発足より前、18年前の1998年に事業子会社を設立し、在宅介護、施設介護、介護用品・設備の開発・販売、介護ショップの運営などを行っている。4月1日には、4つの関連会社を統合して新会社「パナソニックエイジフリー」が発足。今後の売上目標は、2018年が750億円、2025年が2000億円で、倍々の高成長を期待して重点投資を始めている。
介護関連事業を新会社に統合
パナソニックの2016年3月期連結決算は、売上高は2.1%減ながら営業利益は8.8%増、税引前利益は19.0%増、当期純利益は7.7%増の増益決算。2期前と比較すると売上高営業利益率は3.9%から5.5%に、売上高最終利益率は1.5%から2.5%に改善し、利益を重視した構造改革の効果は着実に出ていた。
2013年3月期までの連続最終赤字の傷あとは薄れつつあり、津賀一宏社長は「各事業部で利益貢献を明確な目標として取り組む」と話している。今期、パナソニックはあらためて攻めに出ていく。
重点を置く戦略分野の軸は「住宅と自動車」で変わらないが、住宅関連分野の中でリフォームとともに今期は「介護」に先行投資する姿勢が、より鮮明になっている。
今年3月31日に発表した2016年度の事業方針では、売上、利益成長をけん引する高成長事業にリソースを集中して積極的に先行投資する対象として、住宅部門ではリフォームと並んで「エイジフリー(介護事業)の拠点拡大」を挙げている。
電機メーカーのパナソニックが介護の分野に取り組むと言えば、技術力を活かした介護用製品の開発がまず連想されるかもしれない。たとえば電動ケアベッド、ポータブルトイレ、高齢者にとって安全なユニットバス、バリアフリー住宅など。
そんな「ケアプロダクツ」の開発、製造だけでなく、在宅介護サービスを提供したり、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け賃貸住宅(サ高住)のような施設を運営する「ライフサポート」や、介護用品の販売・レンタルや住宅リフォームの相談・受注窓口になる拠点店舗を運営する「リテールサポート」も、全国規模で展開している。そのように事業領域は幅広く、ほぼフルラインで介護に関わっている。
「介護がわかる住まいの会社として、介護を必要とする方のくらしをトータルにサポートする」と、パナホームの実績をもとに「介護サービス」「介護用品」「住宅設備」「リフォーム」「住宅・介護施設」のすべてをトータルに提供できる点を、介護事業での自社の強みとして挙げている。
現状では、在宅介護サービス拠点125ヵ所のうち6割近くの72ヵ所、施設・住宅28ヵ所のうち8割近い22ヵ所がパナソニックの「ホームグラウンド」とも言える近畿地方に集中しているため、中京圏や首都圏など近畿以外の地域での介護事業の知名度はあまり高くないが、そのあゆみは2000年の公的介護保険制度発足以前にさかのぼる。
介護機器の開発は1997年、当時の松下電器産業本体に「エイジフリー事業推進部」が設立された頃から本格化した。1998年には同じく本体に「介護ショップ事業推進部」が設立され、1999年には直営ショップの事業会社が設立されている。在宅介護は1998年に関連会社が設立されてサービスが始まり、施設介護は1998年7月に大阪府に第1号の有料老人ホームが開所している。
それら介護関連事業は、パナソニックの4つの関連会社がそれぞれ個別に担当していたが、2016年4月1日、パナソニックエコソリューションズ社(分社)の傘下で新会社「パナソニックエイジフリー」(和久定信社長/パナソニックが資本金5000万円を全額出資)1社に統合された。旧4社の事業は「ケアプロダクツ」「ライフサポート」「リテールサポート」の3事業部に改編されている。同社はパナソニックグループの重要な戦略事業会社として旧4社の経営資源を統合し、その組織が強化された。
拠点数を3年で10倍以上にする大胆な成長目標
パナソニックは介護ビジネスについて、少子高齢化が急速に進む日本ではその役割はきわめて重要だと認識している。2015年時点で日本の高齢化率は26.8%で、介護保険の要介護認定を受けている人は約560万人だが、2025年には「団塊の世代」の大部分が75歳以上の後期高齢者になり、高齢化率は30.3%、要介護認定は約700万人になると推計されている。
その時に備えて介護の分野を充実させることで、社会の要請に応え、社会に貢献できる。それが今、介護に注力しているベーシックな理由である。パナソニックエイジフリーの発足時の規模は、在宅介護サービスが125拠点、174事業所、介護施設・住宅が28拠点、介護ショップが118店舗となっている。
中でも今後、重点的に投資して拠点の急拡大を図るのが、同社が「エイジフリー拠点」と呼んでいる介護施設・住宅分野。現状は近畿と関東のエリアだけだが、これを全国レベルに広げる。
2018年度までの3年間で介護施設は介護付き有料老人ホーム3ヵ所から、ショートステイ施設を併設する「介護サービスセンター」も含めて200拠点にする。また、2014年に参入したサービス付き高齢者向け賃貸住宅(サ高住)は、「小規模・多機能」のコンセプトを推進しながら25ヵ所から150ヵ所に増やす。合計すると、拠点数は28ヵ所から350ヵ所へ、3年間で12.5倍にするという大胆な成長目標を立てている。
在宅介護サービスの拠点数は2018年度までに125ヵ所から255ヵ所へ約2倍に増やす計画で、介護ショップ店舗を通じたリフォームの工事件数は、2014年度の年約3万件から2018年度は年約6万件へ倍増させる計画になっている。2018年度末には、全国津々浦々に「パナソニックのエイジフリー」の看板が立つことになりそうだ。
統合前の旧4社の2014年度の売上高合計は約280億円だったが、パナソニックエイジフリー全体の売上高の数値目標は、今年度は370億円。3年後の2018年度は750億円、10年後の2025年度は2000億円で、それぞれ2014年度に比べると2.6倍、7.1倍と、年平均で前年比2倍以上のペース。パナソニックの事業全体を見渡しでも、向こう10年でこれだけ急速な成長を見込む分野はない。(図右上)
今後3年間で1万人の新規採用
当然ながら、施設の建設でも、サービスの強化でも、人材の採用・育成でも、グループをあげて経営資源を投入する。
投資を先行させているために現状、介護事業の損益は赤字で、エコソリューションズ社の吉岡民夫社長は今年5月の事業説明会で「2018年度までは投資を先行させるため、2019年度に全体でブレークイーブン(損益均衡)になるとみている」と説明している。
それはつまり、中・長期的視野に立ち、将来いつか実を結ぶことを信じて当面の赤字覚悟で事業に取り組む「健全な赤字部門」であることを意味している。近年の日本の産業界でそんな分野は、本当に少なくなった。
パナソニックエイジフリーの在宅介護や施設介護を担う現場ではいま、人材を確保しようと活発に採用活動を行っている。従業員数は4月1日現在で3100人あまりだったが、2018年度までの3年間でパートタイマーなども含め約1万人を新規採用する計画。毎年約2割に達するという介護職場の高い離職率を考慮しても、2018年度末には従業員数は3倍程度まで増える計算になる。
その採用では「パナソニック」の看板が物を言うだろう。介護の最前線では「きつい、給料が安い」と人材が定着せず、忌まわしい事件も起きて労務管理の問題も指摘されているが、応募者も「天下のパナソニックなら、ひどいことはしないだろう」と考える。
パナソニックが介護に参入する理由としては、市場の成長性以外に、「A Better Life, A Better World」という企業コンセプトに沿って、日々の生活をサポートできるというイメージの良さもある。従業員の待遇が悪くてES(従業員満足度)が低下し、サービスの低下、CS(顧客満足度)の低下につながったりしたら、その良いイメージを自らの手で壊してしまう。介護事業を将来、国内だけでなく海外でも展開しようと思ったら、それは絶対に避けたいところだろう。
エコソリューションズ社の吉岡民夫社長は5月に「課題は離職率をどう抑えていくかだ」と挙げて、従業員が定着せずES、CSが低下していくのを防ぐために、ICTやIoTを活用して労働環境の改善に取り組む考えを示している。
バイタルセンサーによる「見守り」にしても、記録業務のIT化にしても、それはパナソニックの“本業”とのコラボレーション。介護職員の負担を軽減できる介助ロボット、排泄ケアロボット、歩行アシストロボットの開発も進めている。介護施設やサ高住の建設、介護ショップで扱うリフォーム工事では、バリアフリーで快適な居住空間を創造してきたパナホームの技術力が活かされている。
介護の現場は、その声を製品の企画や開発に活かせるという点ではパナソニックの技術開発にとって必要不可欠なフィールド。それはニーズをつかみ介護用品を開発して技術を蓄積する「エコシステム」の一部をなしている。
介護事業4社の統合の目的には「介護サービス提供の現場と介護用品開発部門の一体化により、在宅介護や介護施設でのニーズに即応する製品の企画・開発を加速する」も入っている。それはまさに、パナソニックの津賀一宏社長が強調する新しい価値創造「Cross-Value Innovation」そのものだろう。
サ高住など施設介護中心の損保ジャパン(SOMPOケアネクスト、SOMPOケアメッセージ)は昨年、果敢なM&Aで彗星のように現れ、たちまちニチイ学館に次ぐ介護業界第2位になったが、パナソニックはM&Aという手段を完全には否定していないものの、基本的には自前の投資によって短期間のうちにこの業界の大手にのし上がろうとしている。
目標は、2025年度に要介護認定約700万人のうち1割の70万人に貢献し、市場規模(介護保険費用総額)が現在の約2倍の21兆円になると推計される介護業界の「ナンバーワン企業」になることである。
リスクとして国の介護行政や「人」の問題が横たわる
パナソニックでは、介護業界で今後求められることとして、自治体には地域の実情に応じた政策と「医介連携」など地域連携の強化、介護事業者には多様なニーズへの対応と経営の効率化、介護を受ける本人サイドには自費負担の拡大と介護予防、リハビリのニーズの増加を挙げている。
それはそのまま、パナソニックの介護事業のリスクと言い換えることもできるだろう。企業努力だけでなく、地方行政、医療機関などとの連携、本人の意識などがうまく連動していかないと、思い描いた高成長のシナリオ通りにはいかなくなる、と認識している。
だが、過去の経緯からすると、最大のリスク要因は「政府の政策」かもしれない。
公的介護保険の発足以後、介護事業者の経営の「生命線」とも言える介護報酬は2003年度にマイナス2.3%、2005年度にマイナス1.9%、2006年度にマイナス0.5%と、たて続けに下方改定された。
そのために介護現場の待遇が悪化し退職者が相次いで人手が集まらなくなると、政府は介護報酬を2009年度にプラス3.0%、2012年度にプラス1.2%上方改定して改善を図った。しかし、2014年4月の消費増税時にマイナス0.63%自動的に下方改定された後、2015年度はマイナス2.27%の大幅な下方改定が実施された。介護業界はそのたびに政策に振り回されてきた。
安倍内閣は「新・三本の矢」で「介護離職ゼロ」をうたい、今年5月18日に発表した「ニッポン一億総活躍プラン」には「2025年度までに介護離職をゼロにする。2017年度から介護職員の平均給与を月額で1万円引き上げる」という文言が盛り込まれた。
しかしそれで、「介護報酬の下方改定は、もうできないだろう」とみていいのかどうか。6月1日に消費税率の再引き上げが延期されたことを考えると、財源の問題もあり、プラン通りにそれが実施されるかどうか、決して油断はできないだろう。
それに関連して人材不足、人手不足も、介護ビジネスの大きなリスク要因である。介護保険は基本的に現役世代が高齢世代を金銭で支えるしくみだが、カネで支えるだけでなく、15〜64歳の現役世代の一部が介護業界に入って働くことで介護の担い手になり、65歳以上の高齢世代をその「手」で支えるというしくみもそこに含まれている。
16年前の制度導入時に盛んに言われていた「家族による介護の外部化」である。だが、カネがいくらあっても肝心の「手」が不足したら、公的介護保険制度は成り立たない。その現役世代の人口は今後、徐々に減っていく。
「平成26年高齢社会白書」によると、2013年から2025年までに、日本の高齢者人口は3190万人から3658万人へ14.6%増えるが、現役世代の人口は逆に7901万人から7084万人へ10.3%減少すると推計されている。介護業界がますます人手不足になっていくことは、この数字を見ただけでも明らかだ。(図右下)
「一億総活躍」で介護業界で働く人の待遇が多少改善しようとも、現役世代の人口が減る問題は避けて通れない。そのため介護ビジネスを手がける企業は、人がうまく採用できるかどうかへの依存度が高まっていく。
人を採るにも、人を育てるにも、やはりカネがいる。その人件費支出を抑えたままだと「採用できない」「採用できても質の問題がある」「教育効果が出ない」「すぐやめる」といった状況が続き、現役世代の人口減によってますます人を採用しにくくなる。
一方、待遇を良くすれば人を採用しやすくなり、人材の質の問題も改善され、教育効果が上がり定着率も良くなるが、今度は人件費のコスト増で固定費が上昇して損益分岐点が高くなり、利益を出しにくくなるという採算の問題が生じる。従業員の教育研修に力を入れると生産性が向上してコストダウンするという効果は、人が相手のサービス業ではメーカーほどは明確でない。
そんなトレードオフの関係はどこの業界でも存在するが、介護ビジネスは普通のサービス業以上に「人次第」の部分が色濃く出てくるので、よりいっそう悩ましい。現場のトップはこの点で難しい舵取りを迫られそうだ。
家電メーカーという異業種から参入し、介護を高成長分野だと期待し、グループの未来を託す戦略分野と位置づけたパナソニックが、この「人」の問題をうまく乗り越えられるかどうか、これから注目される。
執筆:経済ジャーナリスト 寺尾 淳(写真右)
経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。
ビジネス+IT 2016年6月13日 原文のまま

★「【麻薬ビジネスよりも簡単に儲かる】ドイツで大規模な「介護詐欺」が横行中 医療関係者も関与か」(6月10日/現代ビジネス)
川口マーン惠美(写真右)「シュトゥットガルト通信」 
一人暮らしの老人が狙われる
ドイツ統計局の調べでは、2013年末、介護が必要な人の数は263万人に上った(ドイツの人口は8000万弱)。うち76万4000人が施設におり、残りは在宅介護。介護に使われているお金は全部で年間200億ユーロ。しかも、介護が必要な人の数はこれから急激に増えていくはずなので、介護はまさに巨大ビジネスに成長中だという。
4月、ロシアおよび旧ソ連邦の複数の介護関連会社が、ドイツ全域で大がかりな詐欺行為を展開していることが連邦検察庁の調べで分かった(旧ソ連邦の中には、EU国も多く含まれる)。 
同庁によれば、これらの詐欺行為で医療、及び介護保険が受けている損害は、年間少なく見積もっても10億ユーロ(現在のレートで1,200億円強)というから半端ではない。介護で動く年間200億ユーロのお金のうち、5パーセントが犯罪組織に吸い取られていることになる。麻薬よりも簡単で、利ざやが大きいらしい。
今回、摘発されたのは、主に訪問介護にまつわる違法行為だ。
介護の必要な人のところには、介護士やヘルパーが保険によって援助要員として派遣される。週に1、2回、シャワーを浴びるのを手伝ったり、毎日、朝と晩だけ包帯を取り替えたりといったことだが、ここで大々的な不正が行われているという。つまり、医療保険、介護保険といった国民の財産が侵食されているわけで、れっきとした国富の損失である。
ただ、難しいのは、この詐欺がいかにも簡単にできてしまうことだ。週に3度しか訪問していないのに、毎日訪問していることにしたり、介護の内容を水増ししたり、介護の専門職が行う単価の高い処置を資格のない人にやらせたり……。中には、医者の処方が必要なのにそれが見当たらないケースもあるため、医療関係者の関与さえ疑われている。
特に、一人暮らしの老人が狙われる。そもそも、いろいろな意味で自立できないから、ヘルパーが来るのである。その老人に、自分が受けられるはずの介護内容と、実際に受けているそれが合致しているかどうかちゃんと確認しろと言っても無理な相談だ。書類など見るのは煩わしくて、よく内容を理解せずにサインをしてしまう私も、20年後には立派なカモになるだろう。
しわ寄せはいつも「立場の弱い人」へ
介護士の中には、そんな詐欺まがいのことはしたくないと思っている人も少なくないらしいが、彼女たちも雇われの身だ。会社に抗議をしたら、すぐにクビになったという報告も出ていた。
高齢化社会ドイツの抱える問題は、日本のそれとよく似ている。介護の必要な老人は増える一方なのに、老人ホームは圧倒的に不足している。しかも、ホーム代が高いため、家で一人で親の介護に明け暮れ、あまりの大変さに自分も倒れてしまうというケースも問題化している。
そこで、ドイツの多くの家庭ではヘルパーを雇う。家が広くて、お金に余裕があれば、住み込みのヘルパーを雇って老人の介護を任せる。今では、そういう住み込みの女性を斡旋する業者が、浜辺の砂の数ほどに増えている。
ドイツの介護の世界は、住み込みにしろ、病院勤めにしろ、あるいは、訪問介護にしろ、いまやほとんどすべてを東欧の女性が担っている。圧倒的に多いのが、ルーマニア人、ポーランド人、ブルガリア人、旧ユーゴスラビアのクロアチア人などだ。
こういう女性を雇って家で介護をすれば、老人ホームよりはずっと安くすむ。ドイツ政府も同じく、「年寄りが快適なのは、施設よりも自宅」というスタンスを固辞している。なぜなら、政府にしてみても、この方が格段に安く上がるからだ。
ただ、当然のことながら、雇用者には心優しい人もいれば、吝嗇で冷たい人もいる。昨今の子供の虐待でもわかるように、家庭というのは、暖かい場所であるはずだが、密室なだけに闇が渦巻く場所にもなりうる。
いったん出稼ぎの女性が家庭に入ってしまえば、労働条件規定など、あってないようなものだ。監視システムもないので、24時間、老人と同じ部屋で過ごさなければならなかったり、休憩時間がなかったり、地下室に住まわされたり、休暇がもらえなかったり、しわ寄せはしばしば立場の弱い人のところへ行く。
雇用者の方が斡旋業者にクレームを出せば、人員の交代が容易に行われるが、ヘルパーの方が出すクレームは効果をもたらさない。それがわかっているから、過酷な条件で働かされても文句を言えない人は多いのではないか。母国には職がなく、ぜひともドイツで働きたいという東欧女性はたくさんいるので、住み込みヘルパーは買い手市場なのである。
対策はいろいろ模索されているが…
ただ、多くのところで搾取まがいのことが行われていることがわかっていても、今のところメスが入れられることは稀だ。なぜかというと、老人を抱える家庭と、お金の足りない行政の両方が、すでにこの女性たちに深く依存してしまっているからだ。
彼女たちが低賃金で働いてくれなくなると、皆がたちまち困る。結局、現在、介護の負担は家族やヘルパーに伸し掛かっているが、政府はなるべく見て見ぬふりをしている。
「老人介護は社会の任務」という認識は定着しているが、急速な人口形態の変化もあり、実際にはそれが追いつかない。老人ホームを増設して医療や介護を増やしていくと、人件費や医療費の支出が膨大に増える。それを回収できるほどホーム代や医療保険費を高くするわけにはもちろんいかない。
一番良いのは、自宅介護システムを政府が支援し、家庭にあまり負担のかからない良い形で促進することだが、それがなかなか進まない。
北欧では、医者と看護師と介護士をフルに動員し、老人がなるべく家で老後を過ごせるよう、全面的に支援している。1日に介護士が4回通ったにしろ、老人ホームの運営費用に比べれば国庫の負担が少ないし、老人も幸せという考え方だ。
ただ、画面の中に映る幸せそうな老人の姿は、なるほど理想的には見えるが、どの老人もが立派にテレビ出演して、自分の幸せを語れるわけではないだろう。その後のこと、あるいは、それ以外の老人はどうなっているのか? 北欧礼賛の報道では、そこらへんがすっぽり抜け落ちているという感が否めない。
いずれにしても、昔のように、家の中に古い家具のごとく、当たり前のように老人がいて、その老人が寝たきりになったら、家族みんなで手分けして看るという時代は、ドイツでも日本でも終わってしまったのだ。
2014年の統計によると、ドイツでは65歳以上の人が人口の20.8パーセントになった。これも十分に高いが、日本はさらに高い(26%、2015年)。
増え続けるはずの老人を、将来、いったい誰が介護するのか? 対策はいろいろ模索されているものの、そもそも、世話をしてもらう人間のほうが、世話をする人間よりも多く、保健費を支払う人間が、受ける人間よりも少ないのだ。
それを考え始めると、大洪水に向かってじわじわと水位が上がっていく川の様子を、なすすべもなく見つめているような、そんな恐ろしい気分になる。
現代ビジネス 2016年6月10日 原文のまま
編者:介護制度では必ずしも進んではいないと思われたドイツの現状をそこに暮らす日本人が観て書いた報告だ。なお川口氏はドイツの現状を踏まえて「原発稼働容認すべきとの立場」だそうだ。

★「介護保険料の滞納1万人超え 平成26年度、65歳以上の高齢者」(5月30日/産経新聞)
介護保険料を滞納し、市区町村から資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者が、平成26年度に初めて1万人を超えたことが厚生労働省の調査で分かった。保険料が上昇を続ける中、支払いに困る高齢者が増加しているとみられる。
厚労省が同24年度から全国の市区町村を対象に調査。26年度は517市区町村で1万118人が処分を受けた。大阪市の404人が最も多く、長崎市347人、横浜市293人、長野県飯田市278人、広島市272人が続いた。
65歳以上が納める介護保険料は、公的年金からの天引きが原則だが、受給額が年18万円未満だと市区町村に直接支払う。滞納は低年金で天引きされない人が大半とみられ、預貯金などの十分な資産がない人も多い。26年度に処分を受けた1万118人のうち、実際に財産を処分されたのは計6305人にとどまった。
産経ニュース 2016年5月30日 原文のまま

★「「認知症にやさしい地域づくり」推進を検討- 介護保険部会」(5月26日/キャリアブレイン)
25日の社会保障審議会介護保険部会では、厚生労働省が認知症施策に関する論点も示した。徘徊の結果、行方不明になったり、交通事故に巻き込まれたりして命を落としたりする認知症の人が相次いでいる上、虐待などの事件も後を絶たないことを受け、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進が盛り込まれている。【ただ正芳】
2012年には約462万人だった国内の認知症の人の数は、25年には約700万人まで増加すると予測されることから、国は昨年1月、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定し、厚労省をはじめとした12省庁による横断的な取り組みが始まっている。
こうした状況を踏まえ、厚労省は、認知症施策のうち、介護保険部会で議論すべき論点として、▽認知症初期集中支援チームや認知症地域支援推進員の役割、都道府県の関わり方▽介護者への支援▽若年性認知症施策の強化―などを提示した。
また、認知症に向き合うことをきっかけに地域のつながりを再生するという観点も踏まえた「認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進」も論点として掲げた。具体的には、市民後見人の育成や活動の支援、認知症の人が地域で暮らす上で継続的な支援が提供される体制の整備などが挙げられている。
□徘徊からの事故、防ぐカギは「SOSネットワーク」の構築―鈴木委員
論点の提示を受けた議論では、内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)が、認知症サポーターに対するステップアップのための研修に加えて、介護サービスなどを提供する事業者や従事者に対する教育や研修も必要と指摘した。また、鈴木隆雄委員(桜美林大大学院教授)は、徘徊は、認知症の人であれば誰にでも起こり得ることと改めて指摘。徘徊した人の安全を確保するためには、市町村が地域の生活関連団体などと協力し、速やかに行方不明者を発見・保護する「SOSネットワーク」を構築し、稼働できる状態としておくことが大切と述べた。
キャリアブレインニュース 2016年5月26日 原文のまま
編者:介護保険制度からも認知症にやさしい地域づくりを検討しているとのようだ。

★「2015年介護保険改定の撤回を求める要望書を提出―認知症の人と家族の会」(5月11日/ケアマネジメントオンライン)
公益社団法人認知症の人と家族の会は、4月22日、厚生労働大臣あてに2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書を提出した。
同会が、2015年介護保険制度・介護報酬改定の影響について会員の利用者や家族にアンケートを実施したところ、200を超える回答があり、「このまま負担が増えると生活が成り立たなくなる」「消費税を増税しながら、負担が増え、サービスも低下している」「今回の改定は介護を続ける気力さえ失わせる」など厳しい状況が伝わる声が寄せられた。
こうした意見から、「介護報酬引き下げによって認知症の人が多く利用する小規模事業所などの経営状況が悪化している」と分析。使い慣れた事業所が閉鎖して当惑している人や、利用料の2割への引き上げや補足給付の厳格化によって毎月の介護費が5〜10万円増え、やむなく施設を退所せざるを得なかったという悲痛な声もあがっているという。
同会ではこれらの意見を受け、下記の項目を要望している。
・要支援の人に対する訪問介護、通所介護を介護保険から外すことを撤回し、引き続介護保険の給付の対象とする。
・利用料の2割負担(年金収入280万円以上)への引き上げを撤回する。
・特別養護老人ホーム入所対象者を要介護3以上に限定しない。
・施設入所者の食費・部屋代補助(補足給付)の要件を2015年7月以前に戻す。
認知症の人と家族の会 2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書
ケアマナジメントオンライン 2016年5月11日 原文のまま

★「特養と老健の7割、介護療養の8割で積極的な看取りを実施―2015年度介護報酬改定・結果検証2」(3月17日/メディ・ウオッチ)
「8割の施設では、看取り期に入った入所者に対して看取りが行われており、その場合、特養ホームと老健施設の8割で看取り計画が立てられている―。
こうした状況が、16日の社会保障審議会・介護給付費分科会「介護報酬改定検証・研究委員会」に厚生労働省が提出した2015年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(2015年度調査)結果から明らかになりました。
特養と老健では老衰による死亡が大半だが、介護療養では肺炎による死亡も多い
お伝えしたように、介護報酬についても2015年度報酬改定の効果・影響について調査が行われています(関連記事はこちら)。今回は、「介護保険施設等における利用者等の医療ニーズ」の状況に焦点を合わせてみましょう。
まず介護保険3施設における定員100名当たりの死亡対象者数を見ると、特養ホームでは4.8名、老健施設では3.9名、介護療養では16.6名という状況です。ちなみに医療療養では20対1で29.6名、25対1で31.0人となっています。
また退所者に占める死亡退所者の割合を見ると、老健施設では20%未満の施設が8割弱なのに対し、特養ホームでは80%以上の施設が5割弱となっていることが分かりました。ただし、特養ホームでは「病院に入院しても3か月以内に退院が見込める場合には退所と扱わない」旨が厚労省令(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準)で定められているため(病院に入院して死亡した入所者も死亡退所者にカウントされる)、割合が高くなっている点も考慮する必要があります。
なお、死因(主たるもの)について見ていると、特養ホームと老健施設では老衰が58.3%、47.2%と最も多くなっていますが、介護療養では肺炎(25.5%)と老衰(25.4%)が多くなっており、若干の違いがあります。
計画に沿った看取りの実施は、特養と老健の半数程度、介護療養の25%程度
このように介護保険施設で人生の最期を迎える方も一定程度いるわけですが、各施設において看取りの状況はどのようになっているのでしょう。
今般の調査結果からは、特養ホームの76.1%、老健施設の64.0%、介護療養の81.9%で「看取り期に入った入所者に対して看取りを行っている」実態が明らかになりました。前年度(2016年度)調査に比べて、看取り実施の割合が高まっています。
また、看取りを実施している場合に「全員に看取り実施計画を策定している」施設の割合は、特養ホームで51.1%、老健施設で45.2%、介護療養で25.4%となっています。ただし在宅復帰機能強化型の介護療養では看取り計画を立てていない施設の割合は5.9%(介護療養全体では31.5%)に止まっています。
看護職員から見た「在宅生活がふさわしい利用者」、老健では55.2%
次に、介護保険施設に勤務する看護職員が、「利用者に必要な医療」「利用者の必要な介護」「最も適切な生活・療養の場」をどう考えているのか、を見てみましょう。
介護保険3施設別に、入所者のうち「在宅医療・外来医療で対応可能な人」がどの程度いるのかを見ると、特養ホームでは43.2%(在宅11.7%、外来31.5%)、老健施設では55.2%(在宅22.6%、外来32.6%)、介護療養では26.5%となっています。
また入所者のうち「在宅の介護サービスで対応可能な人」がどれだけいるのかを見ると、特養ホームでは5.4%、老健施設では27.4%、介護療養では11.8%となっています。
さらに、自宅での生活・療養がふさわしいと考えられる入所者の割合については、特養ホーム5.7%、老健施設23.5%、介護療養7.5%という状況です。
こうした数字を見ると「老健施設には医療・介護の必要性が低く、自宅に戻れるにもかかわらず入所している人が多い」と考えてしまいますが、そもそも老健施設は在宅復帰を目指す施設であり、リハビリなどによって「在宅復帰が見えてきた」利用者が多いと考えるべきでしょう。老健施設が「本来の機能」を果たしていると言えます。
医療療養の医療区分1患者、在宅・外来で対応可能な人は5割程度
また、介護保険3施設における医療区分1の入所者(診療報酬上の医療区分)の状況を見ると、「自宅での生活・療養がふさわしい」人(看護職員の判断)は、特養ホームで5.9%、老健施設で26.1%、介護療養で9.1%、医療療養で23.6%となっています。
ここで、現在、各都道府県で策定が進められている「地域医療構想」では、「医療療養に入院する医療区分1の患者の7割は、在宅医療等で対応する」ことになります(厚労省の地域医療構想策定ガイドライン)。
調査結果を眺めると、医療療養の入院患者にとって、最もふさわしい生活・療養の場は、自宅23.6%、特養ホーム16.0%、老健施設10.6%、医療療養24.1%、介護療養14.9%などとなっており、「医療療養でなければ対応できない患者」の割合は地域医療構想と合致していると見ることもできます。
ただし、必要な医療については、入院40.4%、在宅37.4%、外来14.9%などとなっており、「7割を在宅医療等で対応する」ことが適切かどうか、改めて検証する必要もありそうです。
在宅強化型・加算型の老健、訪問指導や情報共有に積極的
ところで、老健施設については2012年度の前回介護報酬改定で「在宅強化型」(基本報酬が高く設定されている)と「加算型」(在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定)が新設され、2015年度改定でも評価の充実が行われました(関連記事はこちら)。
この在宅強化型・加算型と従来型を比べてみると、在宅強化型・加算型では、「入所前後訪問指導」「入退所前後以外における自宅などへの訪問」「入院・入所1週間以内の退所・退院調整」「在宅復帰を見据えた家族への指導・助言」「退所・退院計画の入所者・家族との共有」などを実施している割合が高いことが明確となりました。
裏を返せば、利用者宅の訪問や利用者・家族との情報共有などが、在宅復帰にとって極めて有効であるとも考えられます。
急性期入院医療でも平均在院日数の短縮と、そのための退院支援の充実が大きなテーマとなっており(関連記事はこちらとこちら)、老健施設の取り組みも重要な参考情報となりそうです。
メディ・ウオッチ 2016年3月17日 原文のまま
関連記事:通所リハの90.4%が医師と連携しているが、通所介護では17.2%に止まる―2015年度介護報酬改定・結果検証1(2016年3月16日)

★「保証人ない高齢者の入所拒否 介護施設に是正指導へ」(3月6日/東京新聞)
身寄りのない高齢者が保証人がいないことを理由に、介護施設への入所を断られるケースが絶えないことから、厚生労働省は、国が定めた運営基準を順守し、正当な理由がないのにサービス提供を拒否しないよう、自治体を通じて施設側への指導を強化する。七日、都道府県や政令市の担当者を集めた会議で伝える。
身元保証を肩代わりする事業をしていた公益財団法人「日本ライフ協会」で、巨額の預託金流用が発覚したことを受けた措置。事業が拡大した背景に保証人を施設入所の要件とする慣行があり、厚労省は、介護が必要な高齢者の住まい確保の妨げとならないよう介護保険担当者に注意を促す。
厚労省高齢者支援課によると、特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設の運営基準は「正当な理由なく、介護福祉施設サービスの提供を拒んではならない」と規定。「保証人がいないこと」だけを理由に入所申し込みを拒むことはできず、この原則は都道府県の条例などにも盛り込むこととされている。
しかし、介護保険制度が始まった二〇〇〇年以降、介護施設への入所が行政の「措置」から利用者と施設の契約に切り替わり、保証人を求めることが一般的になるとともに、保証人のいない高齢者の入所を拒む施設も増えたとみられる。有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅を含めると、一三年には保証人を求めるとする施設のうち30%超が入所を認めていないとの民間調査もある。
高齢者支援課は「保証人を求めること自体は問題ないが、いないことを理由に入所を断るのは条例違反の可能性がある」として、悪質な場合は自治体に申し出るよう呼び掛けている。
ライフ協会は、約四億八千万円の預託金流用が発覚し、内閣府が公益財団法人の認定取り消しを公益認定等委員会から勧告された。身元保証業務を行う事業者は、日常生活支援や死後の手続きなども受託して多額の預託金を受け取ることが多く、第三者による十分なチェックの必要性が指摘されている。
TokyoWeb 2016年3月6日 原文のまま
編者:知らなかった。これはひどい!

★「伊達・認知症対応型通所施設の畑作業で自主性尊重」(3月4日/室蘭民報)
伊達市中稀府町の畑のただ中にある三角屋根の一軒家。玄関を入ってすぐの明るい洋間で、認知症のある高齢の男性、女性が昼食に箸をのばす。料理に使われるトマトやダイコン、ホウレンソウなどは、全て自分たちが畑で育てた手作りだ。
市内と登別市で福祉事業などを展開するラ・ファエル(伊達市)が運営する「ライフカレッジ家風」。外見は一般住宅だが、認知症対応型の通所介護(デイサービス)のほか、空き部屋をコミュニティースペースとして無料で貸し出す。利用者本人の経験や記憶を生かした活動を展開し畑作業、花、手芸が3本柱。中でも人気なのは畑作業だ。
施設の横に広がるテニスコート大の畑に、野菜を植え始めたのは昨年5月。道具を用意すると、家庭菜園の経験者が多かったこともあって1人、また1人と畑に足を運ぶようになった。中には育て方のこつを施設スタッフにアドバイスする人も。育てる野菜は40種を超える。収穫したての野菜は、スタッフが調理して昼食に出る。「これは私が育てたの」「取れたてはおいしいね」と笑顔が広がる。
利用者の多くは認知に関わる何らかの症状を抱えている。ある利用者は、徘徊(はいかい)などの傾向があるために、他の施設からここに移ってきて笑顔が増えた。畑作業に夢中になり通所回数が増えた人もいる。
同施設は利用者に適切な対応ができず一時、休業した苦い過去がある。反省を踏まえ昨年4月に再開したときに掲げたのが、利用者の自主性の尊重だった。
施設管理者の日景学さんは「畑作業は引きこもりの防止にもつながっている。地域包括ケアシステムや日本版CCRCの実現が叫ばれる中、受け身のデイサービスからの脱却を図りたかった」と話す。施設では朝夕の送迎に合わせた安否確認などのサービスにも取り組んでいて、今後も利用者の自主性を尊重した取り組みを進めるという。
(野村英史)
写真説明:収穫を終えた畑の一角で土を起こす施設利用者=施設提供
室蘭民報web版 2016年3月4日 原文のまま

★「絶望の介護業界…平均給与が全産業平均より10万低、重労働&職場ギスギスで若者不足深刻」(2月29日/ビジネスジャーナル)
安倍晋三政権が打ち出した「介護離職ゼロ」が現状では砂上の楼閣にすぎないことは、介護事業者がもっとも深く認識している。要介護者を支える介護職を大幅に確保しない限り、介護離職ゼロは現実的な政策になりえない。
厚生労働省(平成26年度雇用動向調査)と財団法人介護労働安定センター(平成26年度介護労働実態調査)の集計によると、介護職員(常勤)の離職率は16.3%で、全産業平均の12.2%を4%上回った。事業所規模別に見ると、介護職員の離職率が10%未満の事業所が約半数を占め、30%以上の事業所が約2割となっている。雇用環境が整備されている事業所と劣悪な事業所に二極分化しているのだ。
こうしたデータからは、離職率が高いことには違いないが、飛び抜けて高い業種とはいえない。事業所にもよるが、人員確保でおしなべて直面しているのは、むしろ採用である。平成21年度から26年度にかけて実施した介護労働安定センターの調査でも、従業員が不足している理由で「採用が困難である」が72.2%を占め、「離職率が高い」は17.0%にすぎなかった。
採用難はとくに地方で深刻化している。求人サイトや求人広告では介護職の応募がなく、やむなく人材紹介会社に頼る例も少なくない。紹介手数料は予定年収の20〜30%で、かりに年間に10人の紹介を受ければ、600万円前後の支払いになるケースもあるという。
支払いの原資は介護報酬、つまり公費である。公費が本来の使途である介護サービス強化や人件費でなく、紹介会社への支払いに使われてしまっている。健全な紹介会社への支払いなら割り切れても、なかにはそうではない紹介会社もあるようだ。
「紹介会社経由で採用した職員が3カ月以内で退職した場合は、手数料が返還される契約が一般的。3カ月が過ぎた頃、紹介会社から本人にアフターフォローの電話が入るのだが、本人が何かしら悩みや愚痴を話すと『もっと良い求人が見つかりました』と言って転職を促してくる。3カ月以降の退職なら手数料を返還しなくてすむため、最初から人材を回転させる意図なのではないだろうか」(社会福祉法人事務長)
紹介会社の真意はわからないが、介護事業者は懐疑的になりながらも活用せざるを得ない現状にある。
○浸透するイメージ
介護職の供給不足は、最大の供給源である介護福祉士養成の専門学校にも表れている。厚労省の調査では、平成18年に405校(平均定員充足率71.8%)だったが、26年には378校(同56.6%)へと減少した。学校数が減り続け、定員割れの状況も悪化の一途を辿っているのだ。運営している学校には、ITなどほかの学科を併設して経営をやりくりしている例も少なくない。
しかも福祉専門学校は、高校で開かれる進路説明会にも呼ばれなくなった例もあるという。
「ほかの専門学校と違って福祉には入学希望者がいないという理由で、説明会の参加リストから外されてしまった」(福祉専門学校校長)
低賃金で重労働というイメージは、もはや覆しようもないほど浸透し切ってしまったが、とくに賃金水準の低さは著しい。「平成26年賃金構造基本統計調査」(対象:常勤労働者)を見てみよう。全産業の平均給与(基本給+諸手当)は、42歳平均で32万9000円である。これに対してホームヘルパー22万円(44歳平均)、福祉施設介護員21万9000円(39歳平均)。全産業平均よりも10万円低い。
政府も対策を打ち、平成27年4月の介護報酬改定で月1万2000円の介護職員処遇改善加算を設けた。この措置に対して、当初は「地方では給与が20万円に満たない介護職も多いから、月1万2000円の増収は大きい」(介護コンサルタント)と期待されていたが、そうはならなかったようだ。
「職員たちにとって、月1万2000円では給与が増えたという実感は得られない。3〜5万円は増えないと、処遇が改善されたという実感は持てないだろう」(東北地方の社会福祉法人理事)
○金銭的インセンティブ
こうした状況で「介護離職ゼロ」政策はどこまで現実的なのだろか。政府は平成27年度補正予算で介護職確保に444億円を投入し、2020年代初頭までに約25万人を増員する計画を策定した。確保策の柱は次の3つである。
(1)離職した介護人材の呼び戻し
(2)学生および中高年の新規参入
(3)離職防止・定着促進、生産性向上
目玉は金銭的インセンティブの創設だ。(1)については、再就職準備金として上限20万円を貸し付け、2年勤務すれば返済を免除する事業を実施し、(2)については介護福祉士を目指す学生を対象に、学費として上限80万円を2年にわたり貸し付ける。こちらは5年勤務すれば返済が免除される。
さらに地域医療介護総合確保基金(平成28年度予算案で90億円)を活用して、合同就職説明会実施、キャリアアップ研修支援、未経験者への研修支援、潜在介護福祉士の再就業促進、介護ロボット導入支援などを実施する計画である。
新たな政策がどこまで実を結ぶかは不透明だが、結局は、求職者の最大母数である若年層にとって、夢を描ける業界に変身できるかどうか。どの業界でも同じだが、人材確保の成否はこれに尽きる。政府がどんな施策を打ったところで、業界が刷新されない限り、いっこうに展望は開けない。
○最大の問題は組織運営
その意味で、現下の介護業界で問題視すべきは、賃金よりも組織運営である。介護職の離職理由のうち、実は賃金は4番目の理由である。
「平成24年度社会福祉士・介護福祉士就労状況調査」(財団法人社会福祉振興・試験センター)によると、離職理由は多い順に「結婚、出産・育児」「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」「収入が少なかった」。以下「心身の不調(腰痛を除く)、高齢」「労働時間・休日・勤務体制があわなかった」「腰痛」とランクされた。前出の介護コンサルタントは次のように指摘する。
「崇高な理念を掲げていても経営者が収益至上主義に走って、理念とのギャップに嫌気が差して辞めてしまう職員が続いている。人間関係でよく問題になるのは、管理職が働かないで、部下にどんどん仕事を押しつけてしまう風潮があることだ」
職場での人間関係については、次のような実態もある。
「利用者と家族に対して、あれだけ心優しく接している職員たちが、職員同士となるとギスギスした関係になってしまう。聞くに堪えないような言葉で陰口を言い合う光景を目にしたこともある。組織人としての教育が不十分なのか、どうも未熟な人が多いように思う」(介護老人保健施設・施設長)
一方、社会保障費の伸びが抑制されていくなかで、介護業界全体の経営マインドも変革が迫られている。次回の介護報酬改定は18年4月だが、国の財源不足から厳しい改定内容になることは避けられない。現場からは「介護離職ゼロを目指すのだから介護報酬を引き上げるか、処遇改善の基金や交付金を政府に開設して手当てほしい」(同上・老健施設長)というような意見が数多く聞かれる。
なぜ人件費の原資を公費に求めるのか。介護事業は市場原理の働かない“準市場”で営まれる制度ビジネスで、顧客の1番目は行政、利用者は2番目という側面がある。この準市場では、都道府県と市区町村が介護保険事業計画を3年ごとに策定する過程で、施設系・在宅系それぞれのサービス供給体制・供給量をマーケティングし、サービス内容と報酬単価は全国一律に設定される。
新サービス開発競争も価格競争もなく、しかも収入は公費から支払われるため(利用者の自己負担率は1〜2割)、焦げ付きが発生しない。事業の実態は経営というよりも運営に近く、いわば行政の規制と保護で成り立っている業界である。この成り立ちに由来するのか、極端にいえば社会保障制度にぶら下がり、他業界に比べて事業者の自己責任意識が希薄であることは否めない。
しかし、事業主体が社会福祉法人であれ株式会社であれ、民間事業者である以上、経営の原則は自己責任である。とかく社会福祉法人関係者は、異業種から介護に参入する企業について「介護の世界は、収益が目的の一般産業とは違う」などと批判的に見る傾向にあるが、市場原理に揉まれた異業種組には、親方日の丸の業界体質がぬるい業界に映るのだ。この業界体質が規制緩和とは別の意味で参入ハードルを下げ、社会保障費を食いものにする劣悪な事業者をも招いている。
介護離職ゼロ政策を推進するには、政策の実効性もさることながら、介護業界の体質改善が欠かせない。 (文=福田憲次郎/福祉ジャーナリスト)
Business Journal  2016年2月29日 原文のまま
編者:絶望か!絶望しても何も生まれない。「最大の問題は組織運営」の指摘は貴重だ。社会福祉法人が運営しているから良心的にやっているだろうとの思い込みがあるのか。確かにそうでない社会福祉法人もあると聞く。

★「介護の常識・非常識【13】介護離職が加速 介護「軽度」者への給付打ち切りのシワ寄せ」(2月27日/PRESIDENT Online)
相沢光一=文
自力歩行できない人に「料理、掃除しろ」
年明け早々の1月20日、厚生労働省が「介護保険制度の適用見直し」を検討していることが報道されました。要介護1と2の「軽度者」に対してホームヘルパーが訪問介護で行っていた買い物、調理、掃除といった生活援助サービスを介護保険の給付対象から外すというものです。
見直しの背景には、膨らみ続ける社会保障費の問題があります。
介護保険制度がスタートした2000年。年間3.6兆円だった介護給付費が現在は10兆円を超えました。要介護1と2の人すべてが生活援助サービスを利用しているわけではありませんが(要介護1と2の認定者は現在約181万人いて、そのうちの4割が調理、2割が買い物のサービスを利用)、これを給付から外せば、年に1100億円の削減が見込めるとのことです。
生活援助サービスは以前から「ホームヘルパーを家政婦がわりに使っている」という批判がありました。また、「軽度者」という言葉の響きから、調理などの援助がなくても生活していけるのでは? という考えを持つ人もいました。新聞などで今回の報道を目にした時、「見直しも仕方がない」と思った方は少ないかもしれません。
しかし、介護現場の事情をよく知る人たちからは「あり得ないこと」と反発の声が上がっているようです。ケアマネージャーのFさんは言います。
「(“要介護”より軽度の)“要支援”の方にも生活援助サービスを利用しているケースがあって、そこが給付除外になるのはやむを得ないといえます。でも、要介護1と2を除外対象にするのはひどいですよ。その方たちがどんな状態か、考えてみてください」
ここで、要介護度の目安を見てみましょう。

要介護1=立ち上がりや歩行が不安定。排せつや入浴に一部介助が必要となることが多い。
要介護2=立ち上がりや歩行が自力ではできず介助が必要。排せつや入浴に一部介助が必要
となっています。
「立ち上がって歩くことが難しくなっている人が買い物に行ったり、食事を用意したりすることはできないですよね。だからこその生活援助です。給付対象から外れるようなことになったら、独居の方や、家族が仕事に行って日中はひとりになる方は途方に暮れてしまいますよ」(Fさん)
業者の弁当を「自腹で購入しろ」が国の本音か
この改定論には、民間の業者が行っている高齢者向けの配食サービスがあるのだから、調理の援助の代わりにそちらを利用すればいい、という含みもあるようです。
配食サービスは1食500円から700円程度。高齢者向けに栄養バランスや消化の良さも考えられています。また、手渡しする、玄関先まで来るのが困難な人にはテーブルまで持って行くことを原則としている業者もあるようです。
そうすることで安否確認をし、コミュニケーションをとることで孤立も防げるというわけです。このサービス内容を聞けば、生活援助の調理より金銭的負担はやや大きくなるものの、いいこと尽くめという印象を持ちます。
「しかし、現実にはそこまで行き届いたサービスをしている業者は少ない」とFさんは言います。続けて、その理由をこう語ります。
▽理由1
「都市部では配食のクルマを停めるのが難しい場所も多い。配達する人は、できるだけ早く届けてクルマに戻りたいという意識がまずあるわけです」
▽理由2
「また、当然ドアには鍵がかかっている。チャイムを押して玄関先まで鍵を開けに来てもらわなければならず、要介護2の方には困難です。それに認知症の方もおられます」
鍵を開けてもらって食事を手渡しして安否確認、コミュニケーション、というのは理想ですが、配達の人は介護のプロではありませんし、本当はそこまで踏み込みたくないというのです。
「運営する会社だって採算ギリギリでやっていますから、そうしたサービスはできるだけしたくないというのが本音なんです。地域によっては民生委員などがボランティアで配食業者と連携して配達するケースもあるようです。民生委員なら利用者さんと信頼関係がありますから鍵を預かるなどして家に入れますし、会話を通して様子をチェックできますが、民間の業者の場合はさまざまなハードルがあって十分な配慮ができないんです」
つまり、要介護1と2の人をひとくくりにして“生活援助のかわりに配食サービスを利用すればいい”というのは乱暴過ぎるというわけです。
さらに介護離職者が増えるのは確実
同時に、要介護1・2への生活援助サービスを外すことで大きな影響を受けるのが確実なのは、家族です。すでに大問題となっている介護離職がさらに増えるリスクがあります。
「これまではホームヘルパーの生活援助を頼ることで仕事を辞めずに済んでいた人もいました。しかしそれが介護給付から外されると、その部分を自分が担わなければならず、離職を選ばざるを得なくなるでしょう。国は介護離職者ゼロを目指すという方針を掲げながら、逆に増やす結果につながるようなことをしようとしているんです」
▽「報道されていない」介護保険適用除外も
続けてFさんは、こんな「聞き捨てならない」話をしてくれました。
「今回は報道されていませんが、実はもうひとつ、軽度者に対する保険適用除外が検討されているものがあるんです」
聞けば、その保険適用除外品というのは、介護用ベッド、車いす、スロープ、歩行器といった福祉用具の貸与や手すりをつけるといった住宅改修とのこと。このことが検討されていることは、一般の人はほとんど知りませんが、介護業界では全員が知っていて危機感を持っているそうです。
「これ(軽度者に対する保険適用除外)って普通に考えて変なんです。要介護3以上の重度者は寝たきりだったり、在宅での介護は難しくて施設に入所せざるを得なかったりという状態です。ベッドは別としても、車いすや歩行器を借りたり手すりをつけても使えなかったりする人たちです。要するに、車いすや歩行器などは、(要介護3未満の)まだなんとか立ち上がったり歩けたりする軽度者にこそ必要なもの。それを給付から除外するというんですからわけが分かりません。重度者はほとんど利用していない現状に加えて、軽度者も結果的に利用できなくなれば、介護費用を大削減できると考えているのかもしれません」
これが介護給付適用除外になると大変なことになるそうです。要介護1と2の軽度者は重度者になる前に踏ん張っている状態。手すりや歩行器の助けを借りて歩くことで状態が回復する可能性もあります。
また、介護の利便性を追求して進化した福祉用具によって家族などの介護者が助かっている部分も大きい。私も父親の介護を通して実感しましたが、電動で寝床を上下できたり、上体を起こせたりといった機能によって不慣れな介護が、無理なく、よりスムーズにできたという感覚があります
ベッド、車いすが介護保険対象外になる
そうした福祉用具が介護保険の給付から外され、自己負担になったら……。大半の家庭は、経済的にも維持することが難しく、用具を返品するしかなくなるでしょう。
となるとどうなるか?
介護保険適用で成り立っていた福祉用具レンタル会社の経営が窮地に陥ります。より良い介護のために知恵を絞った福祉用具の開発もストップがかかるかもしれません。
また付随することですが、福祉用具レンタル会社では返品されるであろう大量の用具をどう保管するか、あるいは処理するかで頭を悩ませているそうです。
肝心の要介護者が置かれる状況も心配です。
たとえば、介護の利便性が満載された介護用ベッドが使えなくなったら、寝床に寝かされるわけです。上体も起こせず、上下動もできない寝床では十分な介護はできません。レンタルできる福祉用具には床ずれ防止のマットもありますが、それもなくなれば床ずれの心配もあります。
福祉用具とそれを利用する家族によるサポートでなんとか軽度者でとどまっていた人が重度化する状況に置かれるリスクがあるのです。財源が厳しいからといって、こんなことになったら本末転倒ではないでしょうか。
実はFさんにこの話を聞いていた時、長年のつきあいのあるTさんというケアマネージャーが同席していました。Tさんは、この話にとどまらないといった感じで加わりました。
「軽度者といわれる要介護1と2の人たちは、もし今回の改正案が実施されたら、介護保険料を払ってきて何でこんな目に遭わなきゃなんないんだと思うでしょうね。国の財源が厳しいのはわかっています。が、それでこれまで受けてきたサービスが受けられなくなるのは辛過ぎます」(Tさん)
「国は介護保険料を上げる意義を説明すべき」
では、どうしたらいいのか?
「削減ではなく財源を増やすことを考えるしかないのでは、と思います。つまり、介護保険料を上げる決断をする。介護保険料は40歳以上が払っていますが、プラス1000円、あるいは500円でも大分違う。政府は社会保障費として消費税を上げていますから、そんなことを言い出したら大ブーイングでしょう。『消費税を上げておいて、介護保険料もかよ』と。でも、必要な介護サービスが受けられなくなる現実があるのですから、国民に頭を下げ、福祉財政が厳しいので応分の負担をお願いしますと言ってほしい」(Tさん)
介護は、今の日本の大きな課題。
反発は覚悟の上で、「国民全体が支えなければならない」ということをアピールするためにもあえて介護保険料を上げるということを政府がやらなければならないのではないか。と、考えるTさんだが、「そんなことを(政治家が)言うと選挙に負けるからなあ。無理か……」。
でも、ただ単に要介護の軽度の人に対しての援助や支援を打ち切れば、高齢者世代だけでなく、その子ども世代からも総スカンを食らうことを政府や国はよく考えるべきではないか。
何はともあれ「軽度者」という表現にごまかされてはいけないということです。
先ほども述べた通り、実際の症状は決して軽度とは言えませんし、また軽度だからといって介護保険から除外される流れには疑いの目を持った方がよさそうです。
PRESIDENT Online 2016年2月27日 原文のまま
編者:意見に異論はないが、財源の検討が弱い。介護保険制度のなかで財源が適切に使用されているかの検討も必要だ。なお不足なら保険料や税金で支えるしかないだろう。国民的検討が必要だが、防衛分野と比べ社会保障分野ではこれが弱い。結局、厚生労働省と財務省の官僚の議論で決まるのだろう。

★「川崎老人ホーム連続殺人から金融資本主義の末路が見える」(2月18日/DIAMOND ONLINE)
「山田厚史の「世界かわら版」」【第103回】 山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
値動きの荒い株式市場、安定しない外国為替、マイナス金利に嵌った金融。騒然とする市場の陰で、有料介護施設「Sアミーユ川崎幸町」の捜査が進んでいた。転落死は一転して連続殺人事件になった。「清原逮捕」を上回る衝撃は16日から始まった「日銀のマイナス金利」など霞ませるに十分だった。
ジャニーズのSMAP解散騒動、ベッキーの不倫、甘利大臣の斡旋収賄容疑が浮上し、イクメン議員の不倫まで発覚。社会面を賑わすスキャンダルが立て続けに起きたが、「Sアミーユ」を舞台にする連続殺人は現代の深い闇を投影している。老人の終末、格差社会、若者の閉塞感、社会保障の崩壊。事件は深いところで「市場の混乱」とつながっていないか。有料老人ホームで起きた事件から地球規模に広がるマネー資本主義の病理を考える。
入居費は高額、職員は薄給 高級老人ホームは「格差の館」
殺人の疑いで逮捕された今井隼人容疑者は、高校を卒業し医療系専門学校で救命救急士の資格を取って2014年4月からSアミーユ川崎幸町で働いていた。この施設は認知症など要支援1以上の利用者を対象にする介護施設だが、介護士の資格がない人も雇っていた。
高齢化の進展で老人施設は2015年に全国で1万2400ヵ所に増えたが、介護人材の確保が追い付かない。人が足りなければ給与が上がるのが経済原則だが、介護職場は低賃金労働で知られている。
「男性職員に寿退職が目立つのが特徴です。結婚して家庭を持てば、介護職では共働きでも家族を養うのは無理というのが実情です」
職場経験のある人は言う。介護には体力も必要だ。一人身でいる若いうちはできても、長く続けられるか。気持ちだけでは続かない仕事でもある。
似た構造が幼児を預かる保育所でも指摘され、一部の施設で暴力やネグレクトが問題になっている。だが未来のある幼児には特有の愛らしさがあるが、日々衰えていく老人向けの施設には未来への明るさがない。
認知症や寝たきり老人を支える仕事は精神的にも辛い。暴言を浴びたり、認知症患者への対応は心が折れる時がある、という。
「介護は気持ちが表れる仕事なので入居者との人間関係が大事です。経験が足りないと面食らい、相手の人格を尊重できなくなり問題行動が起きる」と前出の関係者はいう。入浴の世話や、オムツ換え、苦情の対応、と忙しく立ち働いているうちに、老人の人格が見えなくなり、自分を追い詰める「厄介者」と映ることもある。肉体的にもつらい環境の中で精神のバランスを崩す職員は少なくない。
介護は「きつい、つらい、安い仕事」とさえ言われているが、政府は昨年、介護保険から支払われる介護報酬を減額した。税と社会保障の一体改革の一環。緊縮財政が職員給与を押し下げる力となっている。
逮捕された今井容疑者は、介護士の資格がない。仕事に就いたばかりで、手取り給与は20万円足らず。「辛かった」と供述している夜勤は月に5回はある。深夜にコールが鳴り、オムツ換えやトイレの付き添いに走り回っても、あちこちから苦情が出る。そんな夜勤の日に事件は起きた。
Sアミューズ川崎幸町のホームページによると、入居資格は要支援1以上の障がいがある人。「入居頭金ゼロ」で7畳ほどの個室に入れるのが売りだが、月の費用は22万1700円(賃料・管理費・食費)。この上にさまざまな経費が上乗せされる。等級ごとに介護保険の1割負担があり、被害者の丑沢さんの場合、月額2万2726円。医療費・薬代、おむつ代、行事参加費などが加算され、おおむね月に30万円程度の費用が必要だ。
これだけの費用を年金で賄える人は稀だろう。サラリーマンなら年収1500万円は必要だ。十分な貯蓄や首都圏に持ち家があったり、経済力ある親族がいるなど恵まれた条件がなければ個室の介護施設に入所できない。
Sアミーユ川崎幸町は、豊かな老人を薄給の若者が介護する「格差の館」でもあった。
親から子へ「格差の固定化」で日本は次第に階級社会へ?
NHKで放送中の英国ドラマ「ダウントン・アービー」は第一次大戦前後の貴族の暮らしを描いたものだ。人に序列があり立ち居振る舞いまで異なる英国では、階級による差別は社会秩序に組み込まれている。戦後民主主義で高度成長を駆け上がった日本は、いま「一億総中流」の崩壊があちこちにひずみを生じている。所得や教育の差が、子世代に受け継がれる「格差の固定化」である。
階級社会では下層の市民が裕福な貴族に仕えるが、Sアミーユのような現象は、日本も次第に階級社会へと進んでいることの現れかもしれない。少子化・高齢化が進めば、次は外国人労働者を受け入れて介護や家事労働を担ってもらうことになる
農業や漁業の現場で便利に使われている外国人研修生のように、「外国人だから(口実は研修生だから)安く使える」という人の差別化が始まろうとしている。
介護職は安い労働と位置付けられ、就くのは低所得層か外国人という階層化が進むかもしれない。
企業経営者なら「今更の話ではない」と思うだろう。日本の製造業は安い労働力を求めてアジアや中国に進出した。国際競争を勝ち抜くため、人件費の安い国に生産を移転させた。その結果、国内の労働者が外国の安い労働力と競争させられた。高い賃上げを要求すると、外国に職場を奪われる。自動車・家電などが次々と日本から離れる産業の国際化は国内賃金を抑え込み、GDPの6割あまりを占める個人消費を湿らせた。
それが不況の主因ということに、安倍首相は今になって気づいた。企業が儲けても賃金として支払われなければ国内消費は盛り上がらない。生産が増えなければカネは国内に回らない。首相は「賃上げと設備投資を」と財界に要請している。だが、経営者には企業の論理がある。一時、収益が好転したからといって賃金水準を上げると、将来の重荷になる。景気の変化に対応できる柔軟性を確保するには、賃上げは避けたい。好況の時は非正規社員を増やし、不況になったら雇い止めできるようにするのが合理的だ、と考えている。
経営者の立場ならそうだろう。政権はその言い分を聞いて「改正労働者派遣法」など、財界が望む政策を行ってきた。その結果、非正規労働者が全従業員の40%に広がり、正社員になれない若者が増えた。正社員と非正規社員の生涯給与は倍以上の開きがあり、若者世代に将来不安を広げた。
経済政策は大企業の後押しばかり 社会構造の変化には手当てなし
労働者の立場が悪い現実は、介護職場でも待遇改善まで妨げている。
長引く不況の主因は国内消費が振るわず、カネが国内に回らないことにある。「お願い」ではなく、若者が将来に希望を描けるような安定した雇用をたくさん作ることが政治の目標であるはずだ。
強い企業は世界展開することで儲ける。グローバル化に伴い国内はリストラされた。その被害を受けたのは一部の高齢者と若者である。退職に応じても条件のいい再就職先はない。健康な時はいいが、体調を崩したりすると暮らしはたちまち変調する。企業に長く勤めることを前提に制度ができている日本の社会福祉は、企業から離れると支えを失う。「下流老人」という層が長期停滞の中で形成された。この間、企業経営はひたすら人減らしで経営の好転を目指した。手っ取り早い方法が新規採用の絞り込みである。穴が開いた職場は非正規で埋める。高齢化社会を支える重要な役割を担うべき若者世代は、粗略な扱いを受けたのである。
15日の朝日新聞が報じていたが、法人減税の恩恵を受けているのは海外展開に力を入れる大企業ばかり。国内で雇用を維持しているのは中小企業やサービス業である。にもかかわらず政府の産業政策は、高度成長の名残を引きずる大企業の後押しだ。
貯蓄を持つ老人は消費者として活躍してもらわなければならない。高齢者市場が大きくなれば若者の雇用も広がる。社会構造の変化に対応する政策はなく、安倍首相が採用したのは日銀が国債を買い上げ銀行に資金を注入する「異次元の金融緩和」だった。
お手本はまたアメリカだ。2008年に住宅バブルが弾けたアメリカの、窮余の一策が「金融の量的緩和」だった。資金繰りが危うくなった銀行や企業を救済するため、中央銀行であるFRBが3度にわたり計3兆ドルを超える資金を放出した。
この資金は米国の銀行を通じ中南米やアジア、中国などに流れ込み、新興国への投資ブームを起こした。経済が落ち込んだら金融を緩和すれば景気はよくなる、という古典的な経済原理に沿った政策だが、先進国への効果は鈍くなっている。
金融緩和はカネが不足している経済には効くが、カネ余りが常態化する地域には効き目が薄い。典型が日本だ。前回にも書いたが2013年に始まった黒田緩和で200兆円を超える日銀マネーが放出されが、ほとんどが日銀の中に溜まっている。銀行が資金決済する当座預金に預けたままになっているのだ。だから当座預金の金利をマイナスにして追い出しにかかったのが今回の措置だ。
金融資本主義は早晩行き詰まる 日本がとるべき道は一つ
まともな資金需要がないからカネがあっても貸せない。そんな現象が日本で起きているのは二つの理由がある。ドルのように世界で流通する基軸通貨ではない「円の限界」。もう一つが「バブルの教訓」である。
1980年代に起きた金融バブルを体験した人たちが経営トップに居る。日銀マネーが注入されようが危ない融資はできない、という節度がまだある。
アメリカはそうではない。リーマンショックで懲りてはいない。危ない貸し先こそおいしい。バブルが弾けるギリギリまで儲け話に食らいつき、弾けそうになったらいち早く逃げる。それが金融の醍醐味と考えるマネーハンターが少なくない。
発展の余地のある途上国で有効需要を創り出せば世界経済は活性化する、という作戦は当たったが、一方で危ない事業や投機にカネが流れた。ハイリスク投資は経済が回っているうちは高いリターンが得られる。リーマンショックの引き金を引いたサブプライムローンのような、金融工学を駆使した怪しげな金融商品が隠れているのだろう。
金融緩和が長く続くと必ず不良債権が増える。それは過去の実績が物語っている。緩和マネーは使い道を選ばない。ハイリスク投資はカネが付いてくる限り損害は表に出ない。金融が締まり、資金が逆流すると一気に表面化する。
FRBは金融緩和が危険水域に入ったから量的緩和を止め、金利引き締めに転じた。だが、まだ本格的な引き締めには踏み込めない。緩和の副作用が噴き出せば、今でさえ不安定な世界経済の屋台骨が揺らぐことを心配している。
リーマンショックの余波は終わっていない。米国の金融緩和と中国の財政出動で世界の需要を支えたが、その無理がいま反動となって世界を揺さぶっている。市場の値動きが大きいのは投資家がおろおろしていることの表れだ。
金融は痛みを和らげることはできても、経済を変えることはできない。黒田緩和の失敗が物語っている。アメリカ発のマネーが新興国で焦げ付くのは時間の問題だろう。中国での調整も始まった。
問題はマネーで解決できる、という拝金的な経済政策が世界規模で行き詰まっているのだ。日本が取るべき道は一つ。国内にカネを回すこと。そのためには労働者の賃金を上げ、若者が暮らしの安定と将来の希望を見出せる社会をつくることだ。
Sアミーユが見せつけた悲惨な現実は、格差を広げる成長戦略より分配構造の見直しが大事だ、という警鐘と受け止めたい。
金融頼みで失敗したアベノミクスは終わった。次の政権の課題が見えてきたように思う。
DIAMONE ONLINE 2016年2月18日 原文のまま
編者:説得力ある論説だ。「川崎有料老人ホーム3人殺人事件」を政治経済的に捉えている。金融資本主義をどうするのか?末路まで行っちゃう?事件そのものについては現在多くのマスコミが情報を流している。もう少し情報が揃って論評したい。

★「65歳以上の高齢障害者、介護保険サービス料減免措置へ」(2月10日/SUUMO介護)
厚生労働省は1月20日、65歳以上の障害者が介護保険サービスを利用する際に支払う料金について、減免措置を行う方針を決めました。今国会に提出する障害者総合支援法の改正案に盛り込まれ、成立すれば2018年度から実施される予定です。
障害者総合支援法とは
「障害者総合支援法」とは、障害者の日常生活および社会生活を支援するための法律で、2013年に施行されました。
共生社会実現を目標に掲げ、個々の障害のある人の障害支援区分や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住などの状況)をふまえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」を行っています。
障害福祉サービスは、「介護給付(入浴、食事、排せつの介護など)」と「訓練等給付(就労に必要な知識及び、能力の向上のために必要な訓練を行うなど)」があります。利用者が20歳以上の場合、所得などに配慮した負担 (応能負担)とされています。利用したサービス量にかかわらず、生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯は0円、収入がおおむね600万円以下の世帯は9300円、それ以外の世帯は3万7200円が月額となり、それ以上の負担は発生しません。また療養介護を利用する場合、医療費と食費の減免などが行われます。
介護保険サービスと障害者施策などで共通するサービスについては、介護保険サービスの給付が優先的に適用されます(=介護保険優先原則)。65歳以上の障害者で要介護または要支援である人は、介護保険サービスを受けることになります。そのため、64歳まで無料で利用できていたサービスに、65歳以上になると約1割の自己負担が発生していました。このような状況をうけ、以前から障害者団体が介護保険優先のルールを撤廃するよう求めていたのです。今回の方針では、介護保険優先原則は維持されるものの、減免措置が行われるようになります。
高齢者割合の高い身体障害者
厚生労働省の「生活のしづらさなどに関する調査(平成23年)」によると、身体障害者は393.7万人、知的障害者74.1万人、精神障害者320.1万人となっています。そのうち、在宅の障害者手帳所持者は推定で約479.2万人だそう。身体障害者の65歳以上の高齢者率は約70%に相当します。65歳以上になると「買い物をする」、「身の回りの整理整頓をする」、「食事の支度や後片付けをする」、「洗濯をする」といった日常生活関連動作における介助が、より必要となることが分かります。
介護利用料免除は問題改善となるか
平成27年「社会保障審議会障害者部会(第77回)」によると、介護保険サービス移行前月の平均自己負担月額は767円。一方、介護保険サービス移行翌月の平均自己負担月額は7183円でした。約9倍の負担がかかり、急激な負担増を不服とし、障害者が訴訟を起こす事例も発生しています。具体的な軽減幅や、新たなる財源などの詳細は明確ではありませんが、こういった事態の改善につながるか、注目が集まります。
【参考資料(ニュースソース)】
▽障害者の介護利用料を減免=総合支援法改正で−厚労省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016012000602&g=eco
▽厚生労働省 障害福祉サービス等
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/index.html
▽厚生労働省 障害福祉サービスの利用について 平成27年4月版
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000059663.pdf
▽厚生労働省 介護保険サービスと障害者サービスの関係
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0426-6c7.html
【グラフ元】
厚生労働省 「生活のしづらさなどに関する調査(平成23年)」
図表2 年齢階層別障害者数の推移(身体障害児・者・在宅)
http://www8.cao.go.jp/shougai/data/data_h26/zuhyo02.html
SUUMO介護 2016年02月10日 原文のまま

★「トラブル絶えない、無届け老人ホーム 行政指導行き届かず」(2月7日/東京新聞)
東京都内で無届けの有料老人ホームを運営する会社が四日、全国で初めて警視庁に摘発された。無届けホームは、二〇〇九年三月に群馬県渋川市で身寄りがない高齢者ら十人が死亡した火災をきっかけに、存在が表面化したが、その後も増加し、トラブルも起きている。低所得の高齢者の受け皿となっている側面もあり、問題の根は深い。 (北川成史)
警視庁が老人福祉法違反などの疑いで書類送検したのは、練馬区のマンションで無届けホームを運営していた会社と社長(52)。
警視庁によると、施設には少なくとも七十〜九十代の六人が入所し、利用料は月十六万〜十八万円。自動火災報知機は設置されておらず、社長は「金をかけたくなかった」と容疑を認めているという。
老人福祉法の規定では、高齢者を入居させ、食事の提供などをする施設は有料老人ホームに当たり、都道府県などへの届け出義務がある。消火設備が必要で、部屋の広さなどは、厚生労働省などが定める指針を守らなければならない。無届けの場合、罰金三十万円以下の罰則がある。
同省の調査では、〇九年十月末の全国の無届けは三百八十九施設、届け出済みは四千八百六十四施設。一四年十月末には届け出は九千九百四十一施設になったが、無届けも九百六十一施設に増えた。担当者は無届けの増加について「高齢化で施設が増え、実態把握が進んだため」としつつ、「届け出制なので行政の関与は必要最低限になっている」と指導が行き届いていない実態を認める。
児玉善郎・日本福祉大社会福祉学部長(福祉住環境)(写真右下)は「認知症などの症状で受け入れを嫌がられたり、経済的事情で届け出施設に入れない高齢者は多い。家族にとって無届けで劣悪な環境でも、入れるだけでありがたい」とみる。
届け出済みの有料老人ホームでは、介護付きの施設だと利用料が月五十万円を超えるケースもあるが、無届けホームの場合、利用料が月十万円ほどの施設もある。一方で一四年十一月に東京都北区の無届けホームで、入居者をベルトでベッドに固定する虐待が判明するなど問題は絶えない。
厚労省は指針を見直し、昨年七月から廊下の幅など施設基準を緩和し、届け出を促す取り組みを始めた。だが児玉氏は「無届けでも入居者が集まるため、届け出の動機づけにならない。国は運営者が必ず認可を受けないと事業ができない法律を作った上で、低所得者が入居しやすいように施設への公的な支援を行う必要がある」と話している。
◇八王子のホーム 広さ基準未満、運営主体も宙に浮き
板で間仕切りされた室内で、寝たきり状態の高齢者がベッドに横たわっていた。東京都八王子市のビル2、3階に入居する無届けホームに介護業者の案内で入った。居住スペースは14あるが、うち4カ所はもともとの部屋を仕切っただけ。広さは厚労省や市が指針で下限とする13平方メートルに満たない。この施設は運営主体が宙に浮いている。
関係者によると、七十〜八十代の男女九人が暮らす。要介護度別では、寝たきり状態の要介護5が三人。生活保護受給者は五人いて、うち数人はホームレスだった。九人は民間の紹介所を通すなどして入所。利用料は月約十一万円で、届け出施設と比べ格安だ。
施設は山梨県内の老人ホーム事業者が二〇〇七年に開所したが、一三年に第三者が運営を引き継ぐという理由で、施設の運営会社を解散した。しかし、この第三者と、施設で実際に高齢者の世話をする介護業者の話し合いがつかず、昨秋、引き継ぎは頓挫した。
どこが運営主体になるのか山梨県の事業者と介護業者の間の交渉は進まず、入居するビルの賃貸契約も昨年七月に切れ、立ち退きになってもおかしくない。
介護業者は「毎月約三十万円の運営の赤字を肩代わりしてきた。精算が先だ」と主張。山梨県の事業者は「ビルの家賃を負担するなどしており、赤字は理解できない」と反論する。
八王子市の担当者は「昨年五月に施設を現地調査し、基準より面積が狭いと指摘し、届け出を求めた。その後も指導しているが、運営主体がはっきりせず、解決が難しい」と漏らす。
右上写真説明:間仕切りされたスペースで暮らす高齢者。広さは基準に満たない=東京都八王子市で(一部画像処理)
Tokyoweb 2016年2月6日 原文のまま


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