2017年
「「悪夢のような成年後見制度」役所を訴えた、ある娘の告白 全国初の賠償請求訴訟へ」(10月13日)
「被害者続出「成年後見制度」、弁護士や自治体にまで騙される!」(7月28日)
「成年後見人が足りない! 認知症の財産管理など急務に 介護関係者や民生委員と連携、担い手養成も」(4月21日)
成年後見の不正、見張り人急増 家裁の選任が最多4800件(1月18日)


成年後見制度の過去の情報
2016年
2014年〜2015年
2012〜2013年
1999〜2011年


制度の仕組み
法務省のウェブサイト
東京家庭裁判所 後見サイト
日本司法書士会連合会のウェブサイト
成年後見制度の意見とQ&A」(家族の会会報2001年1月号より)

資料
最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概要~平成18年4月から平成19年3月〜」(pdf900K)

リンク
日本成年後見法学会
日本司法書士会連合会
成年後見ナビ
後見実務相談室




2017年


★「「悪夢のような成年後見制度」役所を訴えた、ある娘の告白 全国初の賠償請求訴訟へ」(10月13日/現代ビジネス)
長谷川 学ジャーナリスト(画像)
全国初の賠償請求訴訟へ
政府が推進する成年後見制度を巡るトラブルが全国各地で続発する中、行政の申し立てで後見人をつけられた母親と、その娘2人が2017年10月中にも、地方自治体を相手取り、国家賠償請求訴訟を起こすことになった。成年後見制度に関する自治体相手の国賠訴訟は全国で初めてだ。
訴えたのは三重県在住の母娘で、被告は桑名市(三重県・伊藤徳宇市長)ほか。
原告の一人(次女)が提訴までの経緯を語ってくれた。
「母と私は、実家で2人で暮らしていました。母には軽い認知症がありましたが、後見人をつけるほどではありませんでした。父は病気の治療の関係で、姉夫婦の家で暮らしています。
母は、軽い認知症だと言っても、会話は普通にできるし、足腰も丈夫でした。もともと散歩をしたり、身体を動かすのが好きな人なので、私はできるだけ家の中では自由にさせていました」
だが、足腰が丈夫とはいえ、高齢者に転倒はつきものだ。24時間ずっと付き切りでいるわけにもいかない。母親は、次女が目を離したすきに転んで、顔を打ったり手足に軽い打撲をしたり、擦り傷を負ったことがあった。
また、重篤な寝たきり症状などではなかったが、次女が母親の世話に疲れてイライラしているときなどには、口喧嘩することもあったという。
だが、高齢者を介護する家庭では、子供たちが「かつては自分の世話をしてくれる存在だった親が、高齢になって次第に自らの身の回りのこともできなくなる」という事態に接して、戸惑ったり、いらついたりして、つい口調が強くなるというのは、よく見られる光景だ。そこに認知症の症状が加われば、なおさらである。
「ところが、桑名市の出先機関である包括支援センターの担当者らは、私が母を虐待したと決めつけたんです。そして、母がデイケア施設を訪問中に『一時保護』の名目で、私や姉、父に無断で、母をどこかに連れ去ってしまいました。
その後、桑名市は、私たちが同意してないのに、津家庭裁判所の四日市支部に対して後見開始審判の申し立てをしてしまったのです」(以下続く
現代ビジネス 2017年10月13日 原文のまま
編者:私は認知症の妻の成年後見制度の利用を検討し申請直後に取り下げた経験がある。この事例の場合、桑名市が何のために申請し、申請することで市にどのようなメリットがあったのだろう?
続報:「精神鑑定せず成年後見審判「違法」 名高裁、取り消し決定」(2017年11月8日/中日新聞)

★「被害者続出「成年後見制度」、弁護士や自治体にまで騙される!」(7月28日/ダイアモンド)
「孤立死」「無縁社会」といったキーワードが叫ばれる昨今。認知症や精神的、知的障害などによって判断能力が十分でない人のため、本人に代わって財産管理や介護施設の入居手続きなどをサポートする成年後見制度が注目を集めている。認知症高齢者の増加とともに、制度の利用者も増加しているが、それに伴いトラブルも多発している。その悪どい手法を紹介する。(フリーライター 光浦晋三)
悪徳後見人は1割にも上る!弁護士でもまったく安心できず
成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な成人に代わり、家庭裁判所が選んだ弁護士らが財産管理や契約などを担い保護、支援する制度だ。
たとえば親が認知症になれば、その子どもが財産管理を行うのが自然だろう。しかし近年、家裁は「親族では公私があいまいになる」として、後見人に“士業”の人を選任する傾向にある。後見の質の向上を目指す一般社団法人「後見の杜」の宮内康二代表(画像)はこう語る。
「親族による横領が多いとされますが、『後見の知識不足』や『同居による家計や生活費の混在』が少なからずあり、是正や改善は可能と認識しています。他方、後見に関する知識があることが前提で、自ら家庭裁判所に営業し、家裁から仕事をもらっている士業後見人による横領は悪意しかなく、看過されるべきではありません」
他人である弁護士などが認知症の高齢者を食い物にするとは、まったく許せない話だ。
「守るはずの高齢者の財産を自らの生活費や飲み代に使い込む。それも1人当たりで数千万円規模になりますからね。後見人を監督する家裁を欺くために、虚偽の報告書を提出するというから、最初からだますつもりなのは明らかです。悪徳商法以上に狡猾な弁護士や司法書士後見人は許されません。しかも、このような横領で解任されたり、自ら辞任する悪徳後見人が統計上、1割程度いるというから驚きです」
こうした悪徳弁護士や司法書士の触手は、公の立場で高齢者の生活相談を受ける「地域包括支援センター」や「社会福祉協議会」にまで伸びているという。
東北地区のある70代女性は、子どもがいないため、入院時の保証人や認知症になってからの後見人に不安を抱き、市内の地域包括支援センターへ相談に行ったという。地域包括支援センターの職員から市内の女性弁護士を紹介され、その弁護士と2回しか会っていないのに財産管理や死後事務など4本の契約を結ばされた。契約手数料だけで45万円。しかもその後、何年間もその女性弁護士からの連絡は一切なかったという。
「不安に感じた女性が地域包括支援センターの職員に相談したところ、『弁護士さんはそんなもんですよ』とあっさり言われたそうです。そこで女性は後見制度の専門家に相談して4つの契約書の中身を確認してもらったところ、死んだら財産を弁護士に全部持っていかれる内容であることが発覚しました」
「自治体に騙された…」荒稼ぎする都内某区の後見センター
都内でも同様のケースが起きている。認知症の兄のことで地域包括支援センターに相談に行った70代の妹に対し、ある区内の地域包括支援センター男性職員は「後見人をつけるしかない」「いつもそうやっている」「20件以上の実績がある」と断言。ロクな説明もないまま後見人をつける書類にサインをするよう求められ、妹は家庭裁判所に資料を提出した。
「その後、選任された司法書士に家を売られそうになり、その対策として各方面に相談したというからお気の毒です。これについて地域包括支援センターの男性職員はだんまりを決め込んでいます。介護に加え、悪質な司法書士後見というお荷物を抱えてしまった妹さんは、区を相手に訴訟も辞さない覚悟のようです」
各地域にある「社協」こと社会福祉協議会の後見に関する課題も山積している。被後見人の財産を横領した宮城県の某社協を筆頭に、各地の社協で係争まがいの案件が多発している。
「後見は福祉の知識だけでは対応することが難しい。経済や金融、不動産の知識がないと、簡単に騙されてしまいます。本質的に後見は社会福祉協議会に馴染まないんです。実際、都内某区社協の後見センターは、区の看板と予算を背景に億の売り上げを叩き出していますが、後見の実態を見ると、お抱え不動産業者を経由して被後見人の家を売却し、お抱え老人ホームに被後見人を措置のように入所させるパターンが多いようです。中には後見人が親をどこかへ連れていってしまい、死に目に会えなかったという家族もいました。これでは権利擁護どころか権利侵害です。心ある中堅職員は自暴自棄になり転職を考えているようです」
それでも後見の実績を増やそうと、家族に内緒で、家裁に後見を申請する自治体や社協も増えているようで、「自治体(社協)にやられた」と宮内さんに相談してくる事例は増え続けている。
貯金や不動産があっても、認知症になり、悪質な後見人の食い物にされる可能性があるわけだ。そんな後見制度の利用を促進する「後見制度利用促進法」が議員立法で成立し、昨年5月から施行されている。そもそもこの制度は、司法書士会の後見集団であるリーガルサポートが主導して、民主党政権時代に永田町を練り歩き、数年越しで成立させた法律である。
「当初案は、『行政は後見に予算をつけろ。その予算は弁護士、司法書士、社会福祉士で独立して使う』というものでした。供給者側のお仕着せ法はよくないということで、後見制度の立法を担当した小池信行先生と代案を提唱して回り、ようやく後見される人の視点、後見人と取引する金融機関等の視点、後見人の不正防止の視点などが盛り込まれて施行されました」
後見制度利用促進法により、後見人・被後見人を増やそうというキャンペーンが行政主導で始まったわけだが、介護保険や医療保険と違い、後見費用は、被後見人の全額自己負担であることを忘れてはいけない。高齢者の場合で数百万円、障害者であれば数千万円もの費用を後見人に支払うことになる。家族内で任意後見契約を結んだとしても、任意後見監督人費用は結局、数百万円にのぼる。
一度、後見が始まれば、死亡するまで後見人が付き続けることになる。宮内氏は「それほどの費用をかけて後見人をつける必要があるのか、他人が土足で家計に入ってきてもよいのか、よく考えてから後見制度を利用してほしい」と語っている。
ダイアモンドオンライン 2017年7月28日 原文のまま
編者:制度はますます酷くなっているようだ。被害を防ぐためにどうしたらよいか。家裁の権限を強化することか?しかし家裁が変わるだろうか?結局のところ、自助努力で被害を防ぐしかないというのだろうか。

★「成年後見人が足りない! 認知症の財産管理など急務に 介護関係者や民生委員と連携、担い手養成も」(4月21日/日本経済新聞) 
高齢社会を支える車の両輪――。そう期待されてきたのが、介護保険制度と成年後見制度の2つだ。ともに2000年に始まったが、介護保険に比べ、成年後見制度は普及が進んでいない。認知症などで、支援が必要な高齢者は今後さらに増える。どう利用しやすくしていくか。手厚く支援する地域を追った。
「小さいころから絵が好きで」「とてもきれいですね」。2人の女性の間で穏やかな会話が続く。一見、家族のようだが、そうではない。1人は、東京都内にある品川成年後見センター(品川区社会福祉協議会)の職員だ。
区内の有料老人ホームで暮らす女性(77)は16年5月から成年後見制度を利用している。身近に対応できる親族がおらず、社協が法人として後見人となった。なにげないやりとりの中でも女性の様子に目を配る。「優しくしてもらい、本当に頼れる」と女性は話す。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人のための制度だ。本人や家族、市区町村などの申し立てに基づき、家庭裁判所が後見人を選任する。財産を管理するほか、本人の意思をくみ取り暮らしていきやすいよう支援する制度だ。最高裁判所の16年の統計によると、後見人として選任されるのは弁護士や司法書士など専門職が3分の2を占める。
生活に困難を抱えている人ほど、自ら声を上げにくい。周囲が気づいても、医療や介護面の対応だけで終わりがちだ。品川は、センターと区が連携してきめ細かい支援の網を張ってきた。区長による家裁への申し立ても、例年50件ほど。資産の乏しい人でも利用できるよう、後見人の報酬などを助成する社協独自の制度もある。全国的にも手厚く支援する地域の一つとされる。
品川では地域の介護関係者や民生委員らから情報や相談があると、月2回のケース会議で、どうサポートするのがよいかを検討。具体的な方針を定める決定会議、外部の有識者の目で審査する運営委員会で議論を重ねる。
ケースによっては、他の専門家団体などに紹介する。社協自らも後見人を引き受けており、今も約170人を支援している。
冒頭の女性の場合、不安定な時期もあったが、施設や医師と綿密に話し合い、こまめに訪問して信頼関係を築いた。「本人の周りには、福祉や医療などの関係者がいる。そこに後見人となった社協の職員が加わり、チームで暮らしをサポートすることが大切だ」と、センターの斎藤修一所長は話す。
地域で後見人の担い手を増やそうと、品川では06年から市民後見人も養成している。市民が後見人となれば、訪問の回数を増やすなど、見守りを手厚くできる。専門職ではないための負担もあるが、家裁から社協が「後見監督人」に選任され、相談と助言にあたる。市民後見人らでつくる団体も含めれば、約80人を支えている。
元会社員の高橋幸夫さん(64)は16年12月から市民後見人になった。担当しているのは72歳の男性だ。高橋さんは週1回、男性のもとに通う。「その人の暮らしを背負っており、責任は重い。しっかり支えるために、相手のことをよく知りたい」からだ。
男性には認知症があり、どう関係を築くか当初は手探りだった。大相撲の稀勢の里の話題を出したところ「中学高校と相撲をやっていた」などと男性が話し始め、手応えを感じている。
実は高橋さんは14年から15年にかけて、自分の父親の成年後見人も務めた。金融機関から後見人をつけるよう言われたことがきっかけだ。「自分も将来、制度のお世話になるかもしれない。大切な制度と実感した」
老いも認知症も、誰にとっても無縁ではない。地域で様々な担い手を増やしていくことが、多くの人にとって安心につながる。
◇    ◇
海外との差は行政の関与、国も基本計画を策定
成年後見制度の利用者は増えている。2016年12月末現在で、約20万人(最高裁家庭局まとめ)だった。過去最多だが、定着したとはいえない。「制度が必要な人は人口の1%はいるといわれ、あまりに少ない」。日本成年後見法学会理事長で中央大学教授の新井誠氏は話す。
状況を変える動きは出ている。議員立法で16年4月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が成立し、同5月に施行された。今年3月には、政府が「利用促進基本計画」を閣議決定。財産管理だけでなく意思決定支援や身上保護を重視すること、地域でネットワークをつくり、中核となる機関を設置することなどが柱だ。各自治体にも計画をつくるよう働きかける。
いち早く動いた地域もある。埼玉県志木市は3月、利用促進条例を制定。閣議決定の内容を先取りし、計画を練る審議会や中核機関を設けると明記した。
これまで後見制度への取り組みは、地域による温度差が大きかった。きめ細かい対応が期待できる市民後見人の養成やセンターの設置は一部にとどまり、家裁による市民後見人の選任も16年に全国で264件だけだ。財源の確保といった課題はあるが、必要な人が利用しやすい体制づくりが欠かせない。
新井教授は「成年後見制度が普及している海外と日本の大きな違いは、行政の関与の度合い。地域の高齢者らの状況を把握している自治体が果たす役割は大きい」と期待する。「複数の自治体が共同で中核機関を設けるなど、方法はさまざま考えられる。担い手として、親族の後見人をどうバックアップするかなども含め、各自治体で工夫してほしい」と話す。
(編集委員 辻本浩子)[日本経済新聞夕刊2017年4月19日付]
NIKKEI STYLE 日経電子版 2017年4月21日 原文のまま

★「成年後見の不正、見張り人急増 家裁の選任が最多4800件」(1月18日/日本経済新聞)
認知症で判断力が低下した高齢者の財産などを管理する成年後見人の不正を監視する「後見監督人」の選任件数が急増している。全国の家裁が2015年に選任したのは過去最多の約4800件。後見人となる親族らが財産を着服するなどの不正が横行し、家裁が職権で選ぶケースが増えているためだ。専門家は「監督人だけに頼らず、地域全体での後見人のサポートが必要」と話す。
「通常は年に3、4回、就任当初は月1回、通帳などをチェックする。監督人がつくことで後見人の不正を予防できる」。司法書士で成年後見監督人を務める「成年後見センター・リーガルサポート東京支部」の福島秀郎専務副支部長は強調する。
後見人に財産目録、収支状況、出納記録の書き方を指導するほか、不動産売却などの財産管理の相談にも応じる。「監督というより相談役として頼ってもらっている」と話す。
最高裁の統計によると、後見人の業務をチェックし不正を未然に防ぐ監督人が15年に選任されたのは過去最多の4882件。05年は282件にすぎず右肩上がりで増え続けている。
かつては本人や後見人からの求めに応じて選ぶことが多かったが、最近は後見される人の財産が多額だったり、財産を巡って親族間で争いがあったりする場合などに家裁が職権で選任するケースが大半を占める。
背景にあるのは、後見人による財産の着服などの不正の横行だ。最高裁によると、15年に報告された後見制度を巡る不正は521件で被害総額は約30億円。大半が親族後見人によるものだが、弁護士、司法書士など専門職後見人による不正も頻発する。
都内の元弁護士は、後見人として管理していた高齢女性の預金口座から約1300万円を引き出して着服したとして業務上横領罪で起訴された。15年の不正のうち37件(被害総額約1億1千万円)が専門職によるものだった。
一方、後見人側が監督人への報酬費用の負担に不満を抱いたり、「不正を疑われている」として監督人とトラブルになったりしたケースも少なくないという。
日本成年後見法学会理事長の新井誠・中央大教授(民法)は「高齢化に伴い後見される人の増加がより見込まれ、不正防止のために監督人を選ぶのは人材的にも限界があり、根本的解決にはならない」と指摘する。
昨年5月、成年後見制度の一層の活用を目指した成年後見制度利用促進法が施行。内閣府を司令塔に基本計画を策定し、3年以内をめどに具体策を講じることが定められた。新井教授は「監督人だけに頼らない地域のネットワークで後見人を支援する仕組みづくりが求められており、法的なアドバイスをするなど、同法を生かし地域全体で不正を防止するよう見守ることが重要だ」としている。
▽成年後見制度 認知症や知的障害などで判断能力が十分にない場合に親族や弁護士、司法書士らが後見人として本人に代わって財産管理や契約などを行う制度。後見人は家裁が本人や家族などの申し立てを受けて選任される。財産を適切に管理しているか、定期的に家裁に報告する義務を負う。2015年の申し立ては約3万4千件で、親族が選ばれたのが約30%、弁護士など第三者は約70%だった。
日経WEB 2017年1月18日 原文のまま
編者:監督人にも財産から報酬が支払われることになっている。東京家裁などの見解として管理財産額が5000万円以下の場合は月額1万円〜2万円、5000万円を超える場合は月額2万5000円〜3万円。成年後見制度はお金のかかる制度で、中途半端な財産では利用しずらい。