2017年
中年期の心疾患の危険因子は高齢期の認知症に繋がる(8月7日)
「高齢者8万人対象に認知症研究 神戸大など」(8月7日)
「亡くなった米NFL元選手、99%に脳疾患CTEの徴候 研究」(7月26日)
幹線道路の近くに住むと認知症になりやすい(1月5日)
2016年
アメリカで認知症の有病率が低下(11月21日)
「認知症予防へ5万人研究 WHOなど神戸で3年間」(9月14日)
大気汚染の粒子がアルツハイマー病の原因?(9月6日)
脳演習”Active"は認知症を遠ざける?(7月25日)
ルクセンブルグはヨーロッパのなかで認知症が少ない(7月14日)
「認知症予防へ大規模調査 生活習慣のリスク探る」(6月22日)
「ニュージーランドラグビー」、脳震盪と認知症の関係を調べる(6月18日)
間違った薬の組み合わせでアルツハイマー病と誤診される恐れ(6月13日)
「特定健診で認知症の診断テスト、全国初の試み 尼崎市が国循と協定締結」(4月23日)
「過去数十年間に低下していた英国の認知症罹患率」(4月20日)
「キリン堂は簡易認知機能確認ツールの取扱を3月下旬より順次開始」(3月18日)
認知症の割合が減っていることは注意が必要な希望(3月9日)
国民保健サービスで補聴器の支給制限をすると認知症が増える恐れ(2月14日)
認知症が減っているらしい―その要因は―(2月11日)
合唱で認知症を防ぐ?(2月4日)
「「脳力トレーニング」の効果が認められずサービス提供企業に約2億円の罰金処分が下される」(1月6日)
2015年

「ジョリー遺伝子」はアルツハイマー病とリンク(11月30日)
NICEは認知症などの予防ガイドラインを提言(10月20日)
「心房細動の罹患が長いほど認知症発症率が高い」(10月7日)
「アルツハイマー病原因?たんぱく質、製剤投与で感染か 英チーム」(9月10日)
アルツハイマー病になりやすい9つの因子(8月23日/アメリカ)
ヨーロッパで認知症は増えていない(8月20日)
アフリカ系アメリカ人でアルツハイマー病が減っている―その原因は?―(8月14日)
認知症:私たちが既に知っていることでリスク管理―大規模な認知症介入予防試験が始まる―(8月7日)
認知症の3人のうち1人は防げる、高血圧が危険因子として増加(7月21日)
大気汚染で脳萎縮(4月23日)
アルツハイマー病予防にMIND食がお勧め(4月22日)
「小児癌生存者、若年認知障害3割で発症【米国癌学会】5年以上生存の7割で軽中等度疾患に罹患」(4月16日)
うつ状態と糖尿病の二疾患あると認知症によりなりやすい(4月15日)
抗コリン作用の薬が認知症発症の危険性を高めるらしい(1月26日)
アルツハイマー病の個人別発病リスクを知る新しいオンラインテスト(1月20日)
2014年
アルツハイマー病リスク評価・介入外来の開設(12月14日)
「牛乳で認知症減少の可能性 明治などが共同研究を発表」(11月27日)
「認知症 前段階も検診可」(8月22日)
ビタミンD欠乏は認知症の発症を高める(8月7日)
「運動と頭の体操一緒に 認知症予防に「コグニサイズ」」(8月5日)
アルツハイマー病予防のささやかなよい知らせ(7月20日)
「アルツハイマー病、生活習慣改善で世界数百万人の発症予防 研究」(7月15日)
喫煙は認知症の発症を高める―最新のWHO冊子―(7月9日)
アルツハイマー病予防の新しい指針(7月6日)
「くらしナビ・医療・健康:食生活改善で認知症予防 福岡県久山町での疫学調査解析」(6月19日)
「認知症予防:毎日緑茶で発症率3分の1に 金沢大研究」(5月15日)
中年期からの身体活動は認知症の発症を抑えるらしい(4月10日)
認知症の医療用食品は科学的な裏付けが乏しい(2月14日)
「糖尿病と認知症…糖代謝異常との関連注目」(1月31日)
殺虫剤はアルツハイマー病の危険因子らしい(1月27日)


認知症予防の過去の情報(1998年~2013年)


資料
参考書
リンク
その他の情報

「認知症は防げるか」6回連載(ブログ「認知症あれこれ、そして」2011年7月24日~8月4日)を書きました。

脳を守る10の方法(アメリカ・アルツハイマー病協会)

資料
○予防 -1次予防から4次予予防-
○ぼけを防ぐ(三宅貴夫)
○痴呆の危険因子(国際アルツハイマー病協会発行Factsheet6の全訳
○12世紀の痴呆ケア⑤痴呆の予防 長谷川和夫(家族の会会報「ぽーれぽーれ」265号より)

痴呆を防ぐ(三宅貴夫 2005年1月)
脳を守る10の方法(アメリカ・アルツハイマー病協会)
○日本神経学会「痴呆疾患治療ガイドライン」の「痴呆の予防と進行抑制」テキスト(2002年)
UStoday(2002年12月17日号)の簡明なアルツハイマー病予防の最新情報(英文)
どうすれば防げるか、痴呆(東京都老人総合研究所痴呆介入研究グループ矢冨直美)
ALZHEIMER DISEASE Can we prevent it? by Kamal KALLAB MD(Arab Conference on Alzheimer Disease March 2-4, 2005 Beirut)ppt300k
Honest Food Guide (pdf)
○認知症予防・支援についての研究班(本間昭主任研究者)作成「認知症予防・支援マニュアル(案)」
マニュアル(pdf2.6M)*
認知症を防ぐー最新情報ー(家族の会京都府支部公開講座2005/08/21)PPT
The Role of Alternative Therapies in the Management of Alzheimer’s Disease and Dementia, by Charles A. Cefalu, MD (Annals of Long-Term Care 2005) Part 1(pdf) Part2(pdf)
オーストラリア・アルツハイマー病協会発行の認知症予防に関する冊子
1.Follow the Mind your Mind signposts(pdf 400K) 日本語版pdf(編者訳)
2.Dementia: Can it be prevented? (pdf 700K)*
○「栄養バランスガイド」(厚生労働省・農林水産省2005年7月)pdf7M*
矢富直美「どうすれば防げるか 痴呆」pdf
○認知症の理解と予防(芦屋あじさいの会10周年記念講演会2005/10/29PPT)
○「認知症に挑む」 新春座談会 認知症は予防できるか(医学書院発行「週間医学界新聞」第2664号 2006年1月2日
○「認知症に挑む」 MCI(mild cognitive impairment;軽度認知機能障害)の概念と 認知症予防としての生活習慣病対策が持つ可能性(医学書院発行「週刊医学界新聞」 第2664号2006年1月2日)
Review Article "Lowering the risk of Alzheimer’s disease: Evidence-based practices emerge from new research"Alzheimer’s & Dementia 1 (2005) 152–160(pdf 154K)
Alzheimer's: It's Not My Fault!(by Richard Taylor at www.agelessdesign.com 04/20/2006)
○「認知症を防ぐ」三宅貴夫(2006年4月25日社団法人認知症の人と家族の会発行会報「ぽ~れぽ~れ」309号~311号)
○「どうすれば防げるか、痴呆」(東京老人総合研究所)
○認知症 予防できるの?(読売新聞 2006年6月7日)
○「『認知症と介護保険』テーマ 『課題』鮮明に ぼけ予防シンポジウム 3会場に計1000人」(2006年12月17日/毎日新聞)
○Preventing Alzheimer’s: The Facts, the Myths(サイト) (英文:Businessweek.com 2006/12/27)
○Preventing Alzheimer’s: The Facts, the Myths(本文) (英文:Businessweek.com 2006/12/27)
Causes of Alzheimer’s Disease(Alzheimer Socity of Canada 2006)
○Taking Charge of Your Brain Health(Alzheimer Socity of Canada 2007)
Dementia: A NICE-SCIE Guideline on supporting people with dementia and their carers in health and social care;6. PREVENTION, EARLY IDENTIFICATION, ASSESSMENT AND DIAGNOSIS OF DEMENTIA(2007) pdf300K
○Healthy Brain Information Sheets(pdf800K) ○Heads Up for Healthier Brains! (pdf3.3M)*(Canada Alzheimer's Society 2008)
○Environmental Threats to Healthy Aging(pdf9M* Greater Boston Physicians for Social ResponsibilityScience and Environmental Health Network」2008)
認知症予防・支援マニュアル(改訂版)(pdf900K)平成21年3月「認知症予防・支援マニュアル」分担研究班
Can Alzheimer's Disease Be Prevented?(pdf1M)(2009年4月)
Can lifestyle prevent Alzheimer’s Henry Brodaty(Global Perspective April 2009Volume 19 No.1)(pdf300K)
Preventing Alzheimer’s Disease What Do We Know? (National Institute on Aging September 2012 pdf1.2M)

参考書

○「アルツハイマー病にならない!」(井原康夫・荒井啓行)朝日新聞社
○The Longevity Bible: 8 Essential Strategies for Keeping Your Mind Sharp and Your Body Young by Gary Small (:Hyperion Books)
○The Memory Bible: An Innovative Strategy for Keeping Your Brain Young by Gary Small (Hyperion Books)
○「ボケを防ぐ」(須貝佑一著)小学館
○128 Ways to Prevent Alzheimer's and Other Dementias by Phyllis Staff (Alzheimersfree. Press)
○「ぼけの予防」(須貝佑一著)岩波書店 
○Can Alzheimer's Disease be Prevented?(Alzheimer's Disease Education & Referral Center)(pdf)
○三宅貴夫訳日本語版「アルツハイマー病は予防できるか?」 pdf版 Word版

○矢富直美監修「痴呆予防のすすめ方:ファシリテートの理論と技法のその事例」 真興交易医書出版部
○山口登著「認知症予防学明治書院
○米山公啓「認知症は予防できる」筑摩書房

リンク
東京都老人総合研究所 認知症予防対策室
NPO認知症予防サポートセンター
PreventAD.com(USA)
Healthy Brain Initiative(Healthy Aging, Centers for Disease Control and Prevention USA)
Alzheimer’s Prevention

その他の情報
その他の認知症の予防に関係する報告①  報告② 報告③ 報告④
動物実験に基づく認知症の予防に関係する報告
認知症の予防に効果がないという論文・見解
認知症の危険因子でも保護因子でもないという論文・見解
Assessment Measures for Alzheimer's Disease Primary Prevention Trials(USA)

第2回認知症予防国際会議(2007年6月9日から12日 アメリカ・ワシントンDC アメリカ・アルツハイマー病協会主催)の報告より
ニュースリース(抄訳付き)
Early Results from Alzheimer’s Neuroimaging Biomarker Project
Late-breaking conference news
Trial results of four possible therapies
Treating heart disease risk factors may slow Alzheimer's
New studies suggest early Alzheimer's detection
Release of first ever brain health road map
Home visits improve willingness to participate in clinical trials
New grant for younger researchers
New worldwide prevalence estimate: 26.6 million

国際会議公式サイトInternational Conference on Prevention of Dementia

関連記事:Cases set to quadruple by 2050, but no cure likely: conference


2017年


中年期の心疾患の危険因子は高齢期の認知症に繋がる(8月7日/アメリカ)
アメリカの研究によると、心臓疾患や脳血管障害の危険因子を持つ中年期の人は、心臓血管系が健康な人より高齢期に認知症になりやすいようです。
前回の研究と同様、今回の研究は、糖尿病、喫煙、高血圧などのいわゆる血管系危険因子が認知症の発症を高めることに関連を見つけました。さらに中年期にすこし血圧が高い状態―前高血圧(prehypertension)(訳注)―が高齢期の認知症の発症を高めることも認めました。
今回の研究の筆頭著者のバルチィモアに在るジョンズ・ホプキンス大学医学部Johns Hopkins University School of Medicineのレベッカ・ゴッテスマンRebecca Gottesman氏(画像)は次のように述べています。
「この研究は相関を示したもので、危険因子を治療することで実際に発症を低下させることを証明したものではありません。そうはいっても、肥満、糖尿病、高血圧を管理すること、また喫煙を止めることが心臓や脳の健康に重要なことを私たちは知っています。これらを時間をかけて管理することは、認知症の発症を低下させるのに役立つようです」
JAMA Neurologyに掲載された論文によると、 研究者はメリーランド、ノースカロライナ、ミシシッピー、ミネソタの各州に在住する成人15744人のデータを調べました。研究開始時、参加者の年齢は44才から66才、平均57才でした。おおよそ25年後、1516人が認知症と診断されました。
この研究で最も高齢の参加者は、最も若い参加者より認知症を発症しやすさは約8倍でした。
アルツハイマー病に関連するAPOEの遺伝子を持つ人は、遺伝子がない人より認知症になしやすさは2倍でした。
中年期の喫煙は、高齢期の認知症の発症を41%高め、糖尿病は77%高めるという相関を認めました。
いわゆる前高血圧―血圧は高いが、高血圧と正式に診断されるほど高くはない状態―は、認知症の発症しやすさを31%高めることに関連しました。完全な高血圧は認知症の発症しやすさを39%高めることに相関しました。
この研究は、中年期の心臓血管系の健康が損なわれることが、またどの程度損なわれることが高齢期の認知症の発症に寄与するかを証明するために計画された対照実験ではありません。
退役軍人ボストン医療システムVA Boston Healthcare Systemの認知・行動神経学の主任でボストン大学Boston Universityの研究員で今回の研究に加わっていないアンドリュー・バドソンAndrew Budson氏は次のように述べています。
「血管系の危険因子が脳血管障害―脳を損傷し認知障害を起こす―を起こすことはありえます。血管系疾患は、認知症の最も多いタイプであるアルツハイマー病に関わる脳の変化を促進させます。喫煙、高血圧、糖尿病といった変更可能な危険因子のほとんどは、血管壁の内側に在る内皮を損傷し、いずれ脳血管障害を発症させます」
カンサス市に在るカンサス大学アルツハイマー病センターUniversity of Kansas Alzheimer’s Disease Centerの共同所長で今回の研究に加わってないジェフリー・バーンズJeffrey Burns氏は次のように述べています。
「中年期の健康な血管は認知機能の低下を防ぐのに役立つようです。今回の発見は、認知症の長期的にみた発症の危険性を減らすために中年期に行動を起こすことの重要性を強調しています」
フロリダのマイアミ大学医学部University of Miami Medical Schoolの神経学研究員で今回の研究に加わってないハンナ・ガーデナーHannah Gardener氏は次のように述べています。
「糖尿病と高血圧という危険因子を減らすための方法として喫煙を止め、食事と運動の習慣を変えることが含まれます」
アメリカ心臓協会American Heart Associationは、心臓血管系疾患を予防するのに役立つ「高血圧を阻止するための食事方法Dietary Approaches To Stop Hypertension (DASH)」による食事、あるいは地中海風食事を推奨しています。両方のダイエットは、不飽和脂肪の野菜オイルで料理すること、ナッツ、果物、野菜、低脂肪の乳製品、全粒穀物、魚、鶏肉を食べること、赤身の肉および添加砂糖と塩を避けることを強調しています。
さらにガーデナー氏は次のように述べています。
「身体運動と地中海風食事のような健康的食事を守ることは、発症の危険性のある人にとって体重を減らし、血圧を下げ、健康的な血糖を維持するのに役立つ強力なやり方です。中年期の前でもこうした危険因子を重要視することは、かなりの高齢になる前に認知症を減らすという目標を持ち、危険因子と治したり変えたりする機会が提供されます」
(Reuters Health AUGUST 8, 2017  Heart disease risk in middle age tied to dementia later)
関連情報: Associations Between Midlife Vascular Risk Factors and 25-Year Incident Dementia in the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Cohort  JAMA Neurol August 7, 2017
訳注:前高血圧症(pre-hypertension)とは65歳未満で血圧が120~139/80~89mmHgの状態。


「高齢者8万人対象に認知症研究 神戸大など」(8月7日/日本経済新聞)
世界保健機関(WHO)神戸センターや神戸大学などは、70歳以上の高齢者約8万人を対象に、認知症の予防や症状の進行を食い止める対策を探る大規模研究を始めた。高リスクの人のうち予防教室に参加した人の効果などを探る。認知症の地域での対策に役立てる。
研究は神戸市と協力して今月から始めた。実施期間は3年。同市が70歳以上の約8万人の市民に実施した調査の結果をもとに、認知機能の低下による将来の介護リスクが高い認知症予備軍を選別。これらの人に生活の質や認知機能の変化を追加調査する。予防トレーニングの効果も探る。
日経電子版 2017年8月7日 原文のまま
関連情報:「WHO神戸センターと神戸大学、認知症の早期発見・早期介入をめざす 「神戸モデル」構築に向けた共同研究が本格開始」(WHO神戸センター)
関連記事:「大規模調査、各地で 住民との信頼関係カギ」(2017/8/7 日本経済新聞)


「亡くなった米NFL元選手、99%に脳疾患CTEの徴候 研究」(7月26日/ AFPBB News )
【7月26日 AFP】アメリカンフットボールの新シーズン開幕が近づく中、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手の死後に提供された脳の99%に変性疾患の徴候がみられたとの研究結果が発表された。この疾患は、頭部に度重なる衝撃が加えられることが原因と考えられている。
米ボストン大学(Boston University)の研究チームが25日の米国医師会雑誌(JAMA)に発表した論文によると、研究のために死後に脳を提供した元NFL選手111人のうち、110人の脳に慢性外傷性脳症(CTE)の顕著な徴候が認められたという。
CTEは、記憶障害、めまい、うつ病、認知症などの症状を引き起こす。こうした症状は、選手が引退してから何年も経った後に現れる可能性がある。
NFLに対してはここ数年、脳振とうや頭部外傷の問題に関連した監視の目がますます厳しくなっており、2015年には神経疾患に見舞われた元選手数千人による訴訟でNFL側と10億ドル(約1120億円)の和解が成立している。
2016年にはNFLの幹部が、アメフト競技とCTEとの間の明確な関連性を初めて認めた。
NFLは近年、脳振とう研究に資金を提供するとともに、試合によって選手の体に及ぶ可能性のある外傷的影響を最小限に抑えるために規制の強化を図っている。(c)AFP
AFPBB News 2017年7月26日 原文のまま
画像:Mike Websterは2002年、50才で死亡後、CTEと診断された最初のNFL選手(USA Today 2017年7月25日より)
関連情報:Clinicopathological Evaluation of Chronic Traumatic Encephalopathy in Players of American Football JAMA. 2017;318(4):360-370. doi:10.1001/jama.2017.8334


幹線道路の近くに住むと認知症になりやすい(1月5日/カナダ)
カナダ・オンタリオ州トロントのオンタリオ公衆保健局Public Health Ontarioのホン・チェンHong Chen氏(写真)らの研究によって幹線道路の近くに住む人は、そうでな人より認知症によりなりやすいことが認められました。
交通量が多い道路から50メートル以内に住むと、7%認知症になりやすい。これまでの多くの研究は交通量が多いことによって過密な車による大気汚染や騒音が脳へ破壊的影響の可能性に関するものでした。
オンタリオ州に住むカナダ人660万人について今回の科学的な追跡によると、交通量が多い道路から50メートル以内に住む人は認知症10事例のうち1事例増えることが認められたことから交通量が多いことに接することが要因だろうとみなされました。
チェン氏は次のように述べています。
「私たちの研究から交通量が多い道路は認知症の発症を高める可能性がある環境要因の一つであることが示唆されました。交通量が多いこと近くに常に居ることと、認知症の発症を高めることに関連して道路に近いということがその影響を考慮すると公衆保健上の問題であることが示されます」
チャン氏らのグループは、オンタリオ州のすべての成人(20才から85才)について2001年から2012年までの10年間の医療記録と郵便番号を調べました。認知症が幹線道路の近くの住人に多いこと、また交通量が多い道路から200メートル以内に住むことが重篤な神経退行性疾患―認知症―の危険性が2%増えることに寄与することが認められました。
この研究は、その他の要因―社会経済状態、教育レベル、BMI(体格指数)、喫煙など―についても検討し、また道路に近くに住むこととパーキンソン病や多発性硬化症を発症することに同様の関連があるかどうかもも調べました。しかし、認知症との場合と異なり、これらの疾患と交通量が多い道路の近くに住むこととの関連は認められませんでした。
世界保健機関WHOによると、世界中で約4750万人が認知症で、その最も多い型はアルツハイマー病です。
11月、イングランド・ウエールズで死因として認知症がトップとなり心疾患を越えました。
認知症―主に高齢者が発病―は、記憶、思考、行動で低下をきたし日常活動の能力が損われます。
さらにチェン氏は次のように述べています。
「認知症の影響が増大しているにもかかわらず、その原因や予防についてはほとんどわかっていません。交通量と認知症の関連を理解するため、とくに交通量とは異なる側面―大気汚染や騒音など―の影響についてさらに研究が必要です」
ユニバーシティカレッジロンドンUniversity College Londonの老年精神医学のロブ・ハワードRob Howard教授は次のように述べています。
「今回の研究は、認知症になる危険性がわずかに高まることが、道路の近くに住むことで直接的に起こるのか、間接的な影響によるものかについて十分に説明したわけではありません。これまでの研究によると認知症の危険性を減らす最善の方法は全般的な健康状態―禁煙、血圧と血糖の管理、運動―に配慮することです。幹線道路の大気汚染が健康全般に悪いことは知っています。因果関係がどうであれ、今回の研究は私たちが街の空気をきれいにしなければならないもう一つの重要な理由を示しています」
Independent 05/01/2017  Living near major roads can increase risk of dementia, says study
関連資料:Living near major roads and the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis: a population-based cohort study (The Lancet 04 January 2017)
サイト内関連記事:大気汚染の粒子がアルツハイマー病の原因?(2016年9月6日)
編者:交通量と認知症の関連ついての研究報告はこれが初めてではない。


2016年


アメリカで認知症の有病率が低下(11月21日/アメリカ)
医学雑誌JAMA Internal Medicineに掲載された論文によると、2000年から2012年の間アメリカで認知症の有病率が低下したが、その要因は不明です。
認知症は記憶や認知機能が低下して自立機能が失われることが多く、アメリカでは毎年400万から500万の人がなっていると推測されています。最近のいくつかの研究によると、過去2,30年、高所得国で年齢階層別の認知症の発病危険性は低下していることが示唆されています。教育レベルの向上が認知症発病の危険性低下の要因かもしれません。教育が脳の向上や機能に直接的に影響し、健康的な行動をとることにも影響するなど多くの過程を通うことになっているかもれません。糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの心臓血管系危険因子の治療の関与が認知症発病の危険性を減らしているかもしれません。
ミシガン大学University of Michiganのケネス・ランガKenneth M. Langa 博士(写真)らは、「健康・退職研究Health and Retirement Study」(2000年と2012年の認知症の有病率を比較するアメリカ成人を代表した全国的大規模グループ)のデータが使われました。この研究に65才以上の2万1000人以上(2000年で成人10,546、2012年で10,511人)が含まれています。
2012年グループの高齢者は、2000年グループより平均して教育を1年間長く受けていました。心臓血管系危険因子の治療の向上が低下になんらかの役割を担ったと研究者は結論付けています。同時にいくつかの研究上の制限も指摘されています。
さらに結論として以下のことが記述されています。
「しかしながら、認知症有病率の低下に関与する社会面・行動面・医療面のすべての要因を明らにすることはできない。認知症の罹患率と有病率の変化を連続的に監視することは、今後数10年間、高齢者数が増えるための確実な将来的な認知症による影響をよりよく判断し、認知機能低下に可能性ある保護因子と危険因子を解明のに重要であろう」
EurekAlert 21-NOV-2016 Decline in prevalence in dementia in United States between 2000-2012
論文:A Comparison of the Prevalence of Dementia in the United States in 2000 and 2012(JAMA Intern Med. Published online November 21, 2016)
サイト内関連記事:「過去数十年間に低下していた英国の認知症罹患率」(2016年4月20日)


「認知症予防へ5万人研究 WHOなど神戸で3年間」(9月14日/日本経済新聞)
世界保健機関(WHO)神戸センターや神戸大病院は、認知症の予防や症状の進行を食い止める対策を見つけようと、70代の神戸市民約5万人から集めたチェックリストを活用した大規模研究を始める。内容を分析し、認知症「予備軍」に脳トレーニングへの参加を勧めるなどして、効果的な対策を探る。
同センターによると、予防策まで含めた認知症の研究としては、世界最大規模。来年にも始め、研究期間は3年を想定している。センターは「いま行政が実施している対策プログラムが予防や早期発見、症状の抑制にどのような効果があるのか調べたい」と説明している。
神戸市は、要介護状態になるリスクを調べるため、70代の偶数年齢の市民に厚生労働省作成の「基本チェックリスト」を配布している。リストは、バスや電車で1人で外出しているか、預貯金の出し入れをしているかなどを尋ね、今年は約5万人の回答があった。研究に参加する同センターや神戸大病院が分析して、予備軍を選別する。
予備軍とされる人は約8千人いる見込みで、近くの医療機関での受診を勧める。予防策としては、市が認知症対策などのため設けている脳トレーニングや生涯学習などの講座などが候補で、参加を呼び掛け、効果を見極める。〔共同〕
日経Web  2016 年9月14日 原文のまま
関連情報:WHO神戸センターと神戸大学、認知症の早期発見・早期介入をめざす 「神戸モデル」構築に向けた共同研究を開始
編者:新たなわが国での介入型予防大規模調査だ。3年で結果が出る?


大気汚染の粒子がアルツハイマー病の原因?(9月6日/イギリス)
人の脳で見つかったアルツハイマー病に関連するナノ粒子は体外由来のようです。磁性ナノ粒子が脳で認められ大気汚染はアルツハイマー病と関連するようです。
今年初め世界保健機関(WHO)は、大気汚染が毎年300万人もの死亡を増大させていると警告しました。
認められた粒子は形からして体内で自然に形成されたようではなく体外由来のようです。
ランカスター大学環境磁気学・古地磁気センターCentre for Environmental Magnetism and Palaeomagnetism at the University of Lancasterのバーバラ・マーハーBarbara Maher教授(写真)などイギリスとメキシコの研究者は、このナノ粒子とアルツハイマー病との因果関係があると確信はしていないが、発見にとても強いショックを受けたと述べています。
「イギリス・アルツハイマー病研究Alzheimer’s Research UK」のダヴィッド・レイノルズDavid Reynolds科学技官主任は次のように述べています。
「脳の磁性ナノ粒子の役割や磁性の脳機能への影響についてほとんどわかっていません。脳のこうした物質の存在に進んで研究に興味はありますが、アルツハイマー病やその他の脳疾患の原因と結論付けるに早すぎます。大気汚染が人の健康のある側面に悪い影響を与えることは知っていますが、今回の研究から大気汚染に含まれる磁性ナノ粒子が脳の健康に有害であると結論付けることはできません」
彼は、年齢や遺伝因子がアルツハイマー病について個人の危険性に影響することを重視しています。
アルツハイマー病は脳内で形成されるタンパクが原因です。そのタンパクが脳組織を減らし神経細胞を死滅させ重要な脳内化学物質を減らすのです。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのサイトによると、アルツハイマー病は認知症の主な原因でありイギリスでは52万人以上います。
今回の発見は雑誌Proceedings of the National Academy of Sciencesに掲載されています。
sky news 06 September 2016 Air Pollution Particles Linked To Alzheimer's Found In Human Brain
編者:これまで大気汚染と認知症の疫学的関係の報告はいくつかあるが、今回の報告は物質をより限定して関連を示そうとしたと思われる。外国の多くのニュースサイトで取り上げられいる話題だが、論文がPNASで閲覧できない。削除された?
その後閲覧可能(2016/09/08)→論文:Magnetite pollution nanoparticles in the human brain doi: 10.1073/pnas.1605941113


脳演習 ”Active"は認知症を遠ざける?(7月25日/アメリカ)
スーピードトレイニングspeed training(視覚的に早く情報を処理する訓練)で認知症の発症の危険性を少なくすることができると初めて示した思われる研究が発表されました。ある特別な知能演習は、これまでできなかった認知症を遠ざけるのに役立つかもしれません。
新しい10年間の研究によると、スーピードトレイニングは、記憶と推論の演習memory and reasoning exercisesとしてよく知られた脳トレの方法を乗り越えます。総計11時間から14時間のスーピードトレイニングが10年後に認知症になる危険性を48%減らす可能性があると確認されました。
アルツハイマー病研究者が世界から最も多く集まる「2016年アルツハイマー病協会国際会議Alzheimer’s Association International Conference2016(2016年7月22日~28日、トロント開催)で、今月24日、「元気高齢者向け改良型認知機能トレーニングAdvanced Cognitive Training in Vital Elderly(略称:"Active")の研究結果が発表されました。この研究は、行動的介入 behavioral intervention によって認知症の発症を減らすことができることを最初の示したと
信じられています。多くの人はさまざまな脳トレ brain-training を行い加齢に伴う知能を柔軟にしようと試みています。
"Active"研究の一部として、これまでの研究が公表されています。この3種類の脳トレすべてが、認知機能と日常生活機能―食事を用意するなど―の能力を改善することを示しました。スーピードトレイニングは、車の事故を減らす、あるいは健康悪化を防ぐのに最も良く、またうつ状態を防ぐ唯一の介入方法でした。
この研究に関わっていないクリーブランドクリニックのウエルネス研究所Wellness Institute at the Cleveland Clinicのマイケル・ロイゼンMichael Roizen議長(写真左中)は「もし、この方法で50%近く認知症になるのを減らすことができれば、すごい」と述べています。
この研究は、国立加齢研究所National Institute on Agingと国立看護学研究所National Institute of Nursing Researchの助成によるもので、アメリカの6カ所で65才から94才までの健康な2831人を対象者としました。参加者は、無作為に3種の認知訓練プログラムのグループの一つ、または対象グループ分けられました。指導者の従い、コンピューターを使わない記憶と推理の訓練が行われましたが、認知症の発症する危険性を変えることはできませんでした。またスーピードトレイニングの参加者は、直に指導者がつき5週間以上、10回の1時間の訓練を受けました。1年後と3年後に追加的訓練を受けました人もいます。
初回に10時間の訓練を受けただけの参加者は10年後に認知症になる危険性が平均33%減りました。さらに追加的訓練を受けた人では48%減りました。
これらの研究データーは、まだ論文審査を受けたものではなく医学雑誌にも発表されていません。
南フロリダ大学University of South Floridaの加齢研究部School of Aging Studiesおよびバイードアルツハイマー病研究所Byrd Alzheimer’s Instituteのジェフリー・エドワードズJerri Edwards氏(写真左上)は、今回結果を公表し最近のほとんどの分析を行いましたが、
「研究者はできるだけ早く結果の公表を望んでいる」と述べています。
脳トレは、この数年間大きなビジネスでした。多くの科学者から、製造者の主張―認知機能の低下を減らすか改善する―への科学的な疑いを持って抵抗しています。今年早く連邦取引委員会Federal Trade Commissionは、ラモスラボLumos Labsに200万ドルの詐欺欺広告に対する告訴を決定しました。企業が脳トレプログラムLumosityを認知症および加齢に伴う認知機能の低下を予防するという間違った主張をしていることを非難したのです。
ノースカロラナ州ダラムにあるデューク大学健康システムDuke University Health Systemの神経認知障害科のムラリー・ドレイスワミMurali Doraiswamy科長(写真左下)は次のように述べています
「"Active"の結果は、この分野の信頼性をおおいに高めるでしょう。現在販売されている脳健康商品のほとんどは、派手な売り込みで科学を無視しています。今回の研究からどれほどのスピード訓練が最善であるかに関して新たな疑問を生まれます。こうした結果を再現するさらなる研究が必要でしょう」
WSJ July 25, 2016 Can This Brain Exercise Put Off Dementia?
関連情報:Speed Training は こちらbrainHQ
編者:日本に限らず脳トレは世界的なヒット商品―国産の脳トレも―だが、広く認められた科学的裏付けが乏しい。こうしたなかで今回の10年間にも及ぶスーピードトレイニングで認知症の発症が減ったというのはすごい結果だ。訓練によって、「認知機能予備力」が増大して認知症症状が出にくくなり発症を遅らせていると理解したい。発症を遅らせるだけでも大変な予防効果だ。なお"Active”のネット上の情報が乏しいようだ。


ルクセンブルグはヨーロッパのなかで認知症が少ない(7月14日/ルクセンブルグ)
ルクセンブルグに住む高齢者は、ヨーロッパの同じ高齢者と比べての認知症や記憶障害が少ないようです。
ルクセンブルグ保健研究所Luxembourg Health Instituteは、MemoVie(訳注①)計画の一環として64才以上の438人について調べました。その結果、ルクセンブルグの高齢者の認知症の割合は3.8%で、ヨーロッパの平均6.4%、ラテンアメリカの7.1%、カナダの8%です。
同時に、ルクセンブルグの高齢者のわずか4分の1の人が記憶障害があると報告しています。これまでで記憶障害に関する研究は唯一オーストラリアで、同じ高齢者で3分の1と報告告されています。
計画の管理担当のマガリ・パーキンMagali Perquin医師(写真)氏は次のように述べています。
「ルクセンブルグの高齢者は、多分、認知機能予備力が強い、この能力は生活のなかで認知機能を刺激する活動によるもので脳機能の素晴らしい部分です。これまで若い時期から教育レベルが高い、あるいはいくつかの言語を使うことが多い人は認知機能予備力が向上することが証明されています。こうした人たちにとって認知症による神経退行性の症状が起こることに抵抗すると示されています」
次の研究MemoLingua(訳注②)ではルクセンブルグで多言語使用者と認知機能維持との関係について調べる計画です。
ルクセンブルグの多言語使用者がこの研究に参加することを、とくに64才以上の人に呼びかけています。参加者は質問票にすべて答え、脳画像検査を受けることになるなるでしょう。
参加希望者は以下に電話してください。
26 97 07 44( Dr Perquin)または26 97 07 74( Mrs Caldarelli)
Luxemburger Wort 14 July, 2016 Dementia rates lower in Luxembourg than Europe
訳注
①MemoVie:“Prospective evaluation of neuropsychological and biological characteristics of mild cognitive impairment (MCI) and of associated sub-clinical health problems”
②MemoLingua:“Exploration of the neuroprotective benefit provided by multilingualism acting as proxy for cognitive reserve in the prevention of cognitive impairment and decline”
メディアリリース:Communiqué de presse  Luxembourg Institute of Health  Luxembourg, 14 juillet 2016(pdf500K)
関連論文:: Perquin M, Diederich N, Pastore J, Lair M-L, Stranges S, Vaillant M, et al. (2015) Prevalence of Dementia and Cognitive Complaints in the Context of High Cognitive Reserve: A Population-Based Study. PLoS ONE 10(9): e0138818. doi:10.1371/journal.pone.0138818
編者:疫学調査の論文は昨年発表されている。今回はその要因に関する疫学調査のための呼びかけ。人口約48万人、ドイツ語、フランス語、ルクセンブルグ語が公用語のルクセンブルグで認知症も記憶障害が少ないとする新たな研究に期待したい。ルクセンブルグでは高齢者は64才以上?


「認知症予防へ大規模調査 生活習慣のリスク探る」(6月22日/日本経済新聞)
認知症予防に役立てるため、40歳以上の健康な人にインターネットで登録してもらい、定期的なアンケートを通じて発症に関わる生活習慣のリスクを探る研究を始めると国立精神・神経医療研究センターなどが22日、発表した。
本年度は8千人、5年間で数万人の登録を計画しており、患者ではない人を対象とした初の大規模研究。7月5日からホームページで登録を受け付ける。
認知症の多くは、長期間かけて軽度認知障害などを経て発症し、予防や超早期の発見が課題。食事や運動などの生活習慣が発症に関わる可能性も指摘されている。
希望者は氏名や性別、学歴などの基本情報を登録し、病歴や睡眠、食生活、日常の認知機能などに関する約160項目のアンケートに答える。その後、電話で単語の記憶を確かめる検査も受ける。アンケートと検査は半年ごとに繰り返す。
研究チームは大量に集めたデータを分析。記憶力の低下につながる生活習慣の要因を調べ、発症の予防に役立てることを目指す。
登録者には、認知症に関する最新の医療などの情報が提供され、希望すれば開発中の治療薬や予防薬の治験に参加するための案内も届く。〔共同〕

日経WEB版 2016年6月22日 原文のまま
関連情報:「国立精神・神経医療研究センターが認知症予防のための日本で初めての健常者対象の新オレンジプラン統合レジストリ;『IROOPTM』の運用を開始」(平成 28 年 6 月 22 日 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 国立長寿医療研究センター 日本医療研究開発機構)
編者:こんな調査で何か出てくるの?わが国では久山町のように一定の地域で長期間追跡するのが疫学証左の基本だ。


「ニュージーランドラグビー」、脳震盪と認知症の関係を調べる(6月18日/ニュージーランド)
「ニュージーランドラグビーNew Zealand Rugby(NZR)」は、「ニュージーランド統計局Statistics NZ」と共同してラグビー試合中での持続的な脳震盪concussionが認知症の危険性を高めるかどうかを判断する調査を始めました。
この計画はまだ始まったばかりで、NZRは調査結果が重大な疑問への確かな回答をもたらすことを望んでいます。
この調査のために1950年から1970年にかけてのニュージーランドでの高いレベルのラグビーを行った人達とそうでない人達との間での認知症発病の割合を比較するため公の資料を使うことになります。
NZRは以下の見解を示しています。
「この40年間に大きな変化があったことをよく知っています。現在、認知症の元選手たちは試合をしていましたが、脳震盪に関する一般への啓発、脳震盪性外傷の管理、ラグビーのそのものの性格などが劇的に変化しました」
統計局のデヴィッド・マクノータンDavid McNaughtan氏は次のように述べています。
「調査が進むまでは資料がどれほど意義あるものかわかりませんが、調査を支えるだろうと楽観しています。統計局がこうした企画を受け容れる初めてのことです。認知症に関する別の調査計画がありますが、スポーツに関連したものではありません」
今年3月、当「ニュージーランドヘラルドNZ Herald」は、ラグビーと認知症の関連した連載記事を報じました。1964年のラグビークラブ「タラナキランファリーシールドTaranaki Ranfurly Shield」の少なくとも5人の選手が認知症で死亡するか認知症の症状があったという事実に注目した科学的ではない記事でした。患者の家族は選手が現役時代に脳震盪になったと指摘しました。
そうした選手の一人がネイル・ウォルフNeil Wolfeです。彼は1961年にフランスとの初めての国際試合でプレイした「オールブラックスAll Blacks」で最年少でした。第一ハーフで完全にノックアウトされプレイは続き、彼はハーフタイムにエデンパークEden Parkで覚醒しました。これは現役時代の何度かの質の悪い脳震盪のひとつです。
ウォルフ「現在、ちょっと認知症です。ラグビーのプレイでノックアウトされた時に遡って関係すると思う」と述べています。
この一連の記事にたいして元オールブラックスの選手で認知症症状のある家族や友人から反応がありました。
かれらのなかにマナワトManawatuのオープンプレイしたフォワードのゲォッフ・オールドGeoff Oldがいます。彼は、「氷山の頂点」として記事の事例リストに載っています。また「ベイオブプレンティBay of Plenty」のフルバック、グレッグ・ローランズGreg Rowlands(写真左上。二人の孫と)もリストに載りました。彼は現在、タウランガTaurangaに在る認知症介護施設に居ます。
ローランズの息子ベレントBrentは、「私が10代初めに父が何かおかしいと気づきました。
ラグビーの試合に行くことを何度も忘れていた」と述べています。
別の例として、1967年にイギリスに旅行したオールブラックスの4人も認知症になりました。このなかに伝説的なフランカーであるワカ・ナータンWaka Nathanがいます。
オールブラックスとウエールズの最初の国際試合の前に、ウォルフとナータンはバーバリアンズBarbariansのクラブで週末に会っています。
ブルック・ウォルフBrooke Wolfe―ノエル・ウォルフNeil Wolfeの4人の子供の末っ子―は「NZBが認知症に関する疑問に答えようとしていることは素晴らしいニュースで驚いる」と述べています。
「ワールドラグビーWorld Rugby(WR)」から委託されオークランド工業大学Auckland University of Technologyの研究者が行っている「ラグビー健康スタディーRugby Health Study」の関する公的情報法Official Information Actに基づく断片的なメールをNZヘラルドが受け取ったことで今回のニュースが生まれました。
しかしこの計画はもめています。WRとNZRの関係者がAUTの研究者とのあいだで何を公開すべきか、特に認知症のような長期的な認知機能障害の関する情報で合意に至っていません。一連のメールのなんかで研究主任のパトリア・ヒュームPatria Hume(写真左下)は次のように述べています。
「ラグビー団体が重要な結果を重視することに不本意なので不満が募ります。WRとNZBは問題があるなどとは全く言いたくないのです」
これに関連してNZRとWRは次のようの見解を示しています。
「研究の予備的な結果―事実として示された―は秘密にすべき情報を除くようなことはすこしもしません。AUTともめているのは科学的研究に関わる通常のしっかりした議論の部分のはなしです」
記者:ダイラン・クレーバーDylan Cleaver(写真右)はNZHeraldのスポーツライター。
NZ Herald Jun 18, 2016 NZ Rugby to investigate concussion-dementia link
編者:ニュージーランドでもラグビーと認知症の関係についての調査を始まったということだが調査結果に政治的思惑があるとの指摘だ。


間違った薬の組み合わせでアルツハイマー病と誤診される恐れ(6月13日/カナダ)
3年前、オンタリオ州に住むベティ・ウォールワークBetty Wallwork氏(85歳)(写真左1)は、多くの薬の一覧表を持っていました。白内障手術の治癒を助ける薬、耳の痛みを和らげる薬、足首の腫れを治す薬、長引く咳を伴う風邪を軽減する薬などです。
アルツハイマー病と診断された彼女は、間違った薬の組み合わせで生じる危険性についてみんなに警告しています。
彼女は「気力をなくし、家のまわりをぼんやり歩き、おかしなことを言って、他人と言い争っていました。自分が病気であることを知らないほど病気だった」と述べています。
専門家は「間違った薬の組み合わせで高齢者が予期しない認知機能面で副作用を起こすかもしれません。混乱、記憶障害などでアルツハイマー病と誤診されるかもしれない」と述べています。
ウォールワーク氏の場合、彼女は家庭医に相談し、「頭のなかにナイアガラの滝のような音がする」と話したのです。
医師は薬を調べないでアルツハイマー病の検査を行い、その結果、運転免許証が取り上げられたのです。
このことで彼女は、診療所で怒り、混乱し、泣いたのです。その後、自分で問題を解決しようとしました。
また彼女は「自分はどこも悪くはないことを証明しようとしました。それまでにのんだすべての薬を調べた」と述べています。
何時間もかけてネットで薬の作用を調べて、薬の組み合わせが健康を良くしないどころか、悪くしていることに気づきました。
さらに彼女は「これらの薬をすべて止めて、初めて思い出して『アー、本当にそんなことを言ったのだ、やったのだ、自分ではなかったんだ』と思った」と述べています。
間違った薬の組み合わせは認知症の原因になりうる
カナダアルツハイマー病協会Alzheimer Society of Canadaの科学顧問のラリー・チャンバースLarry Chambers氏(写真左2)は、彼女に起こったことを聞いて驚きませんでした。
彼は次のように述べています。
「認知症の20%ほどは間違った薬の組み合わせによる可能性があります。抗コリン剤や抗ヒスタミン剤は認知障害を起こすのでとても危険です。これとは別におおいに危険な薬は睡眠剤としても使われるベンゾジアゼピンがありまます。認知機能に問題を起こす可能性があるのは処方薬だけではありません、市販の薬でも起こす可能性があります。この種の代表的な三つの薬として、オメガ3魚油、アスピリン、ニンニクがあります。これらは、禁忌として知られ、認知機能に問題を起こす可能性があり、医師が処方するかもしれないある種の心臓の薬と服用すると認知症が起こります。こうして場合、薬を止めるか適切に改めることで認知症を無くすことができます」
こうした理由でチャンバース氏は、高齢者や家族がすべての処方薬および非処方薬を調べ、医師や薬剤師と情報を共有することを勧めます。
カナダの多剤併用の問題
またチャンバー氏は次のように述べています。
「高齢者が間違った組み合わせの薬を服用した後認知症になる危険性は増えています。ますます多くの高齢者がますます多くの薬を服用しているからです。これは多剤併用polypharmacy―多くの薬を同時に服用する(通常5剤以上)―と呼ばれ、65歳以上の人が関係することが多いのです。65歳以上の人は人口の13%を占めていますが、全国で使用されるすべての薬の約40%を高齢者が使っています。医療制度上、処方することがとても簡単なので問題を起こさないようにするための制度が不十分で監視の均衡が保たれていません。薬のこうした大きな課題は、普通の生活を営むことができるのなら問題が生じないよにしなければなりません」
彼は、高齢者が自分たちの薬を変更する前に医師に話すことを勧めています。
パッチワーク状態の州の制度
カナダのほとんどの州で薬の監視制度があり、可能性のある薬の反応について薬剤師に警告します。しかし、こうした制度がどのように機能するかを決めるのは各州にまかされています。
ほとんどの州で、この制度への医師と薬剤師の参画は自由です。また監視制度はブリティッシュコロンビア州やプリンスエドワードアイランド州のように、すべての住民を対象としている州もあれば、特定の住民を対象としている州もあります。
この制度で多くの場合、特定の薬でかつ依存性や路上での転売の危険性のある薬―例えば麻薬―について調べるだけです。
5種類以上の薬を服用している高齢者が増加
また別の問題は、処方の記録が薬剤師の間で共有されていないことです。このため処方が異なる所で発行されてもなんら警告が生じないのです。
ウォールワーク氏が住むオンタリオ州では、特定のグループの人を対象に薬の監視を行っています。そのグループとは、州の薬剤給付制度を利用して薬を服用する人たちです。
しかしオンタリオ州保健省Ontario Healthによると、集められた情報は州で投薬された薬の量と種類について調べるために使われ、副作用に関して警告するためのものではありません。
監視制度
カナダ薬剤師協会Canadian Pharmacists Associationは、各州に監視制度を向上させ薬剤師と病院が患者の完全な服薬記録を利用できるように要望しています。
この制度は、処方薬、非処方薬、自然保健製品natural health productsについて調べるものです。
同協会の広報責任者のマーク・マッコンダッハMark McCondach氏(写真左3)は「しかしながら、政府はよりよい情報を保証し、薬の安全性を高めるために必要は取り組みに投資する必要がある」と述べています。
2001年、連邦政府は独立組織「カナダ保健インフォウエイCanada Health Infoway」を創設し、デジタル医療記録の採用を推進する活動を委託しました。この組織は印刷物でない処方の電子記録を推進しています。
自由党政府は、この政策のための今年の予算4000万ドルを確保しました。
インフォウエイのリンネ・ズッカーLynne Zucker氏(写真左4)は「たとえば、もし個々人に処方された他の薬のすべてを知ることができれば、処方する人がもっとも進んで方法で監視することを強化するとになる」と述べています。
自分の認知検査を知る
ウォールワーク氏は、服薬を止めてから新しい認知検査を受けました。この結果医師は以前の検査で認めた認知症に関連する兆候を何一つ認められませんでした。その後、彼女は運転試験を受け免許証が返却されました。
最後に彼女は「医療制度が患者や家族に間違った薬の組み合わせから生じる問題を警告するのに役立つようになる必要がある」と述べています。
寄稿者:Rosa Marchitelli(写真右) テレビのアンカーで医療関連のライター。
CBC News  Jun 13, 2016  Dangerous mix of medication leads to faulty Alzheimer's diagnosis
編者:わが国では多剤併用による副作用についても厚生労働省が全国一括して情報収取し禁忌あるいは注意事項が流される仕組みとなっているはずだ。


「特定健診で認知症の診断テスト、全国初の試み 尼崎市が国循と協定締結」(4月23日/産経新聞)
兵庫県尼崎市は、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と認知症予防に関する協定を締結した。尼崎市は今年度から特定健診で、認知症の診断テスト「ミニメンタルステート検査(MMSE)」を導入。同センターと共同で検査結果を分析するなどし、市民の認知症の予防に乗り出す。
同センターなどによると、認知症の背景には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が関係しており、「血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症」については、生活習慣病を予防することで、進行が抑えられるという。
同市は今年度から特定健診で、希望者を対象に、30項目の質問に答えて、注意力や計算力を評価するMMSEを実施。市によると、自治体が特定健診でMMSEを行うのは全国初という。
同センターは、MMSEの検査結果を市と共同で分析し、生活習慣病と認知症の関連を調べる。市は、特定健診とMMSEの結果をもとに、生活習慣の改善に向けた保健指導を行う。認知症予備軍と判断すれば、医療機関の受診を呼びかける。
稲村和美市長は「予防できるものは徹底して予防したい。市とセンターの共同研究が、認知症対策に力を添えてくれると思う」と期待を込めた。
写真説明:知症予防に関する協定を締結した尼崎市の稲村和美市長(左)と国立循環器病研究センターの小川久雄理事長=尼崎市東七松町
産経WEST 2016.4.23  原文のまま
編者:この種の「認知症検診」は予防なのか診断なのか位置づけが曖昧だ。また検診後の判定・指導は未だ確立した方法が無い。混乱を招かない準備はできているのか?


「過去数十年間に低下していた英国の認知症罹患率」(4月20日/natureasia.com)
英国における認知症の罹患率が1990年代から2011年までに20%低下したという推定結果について報告する論文が、今週掲載される。
Carol Brayne(写真)たちは、1989~1994年にイングランドとウェールズの3つの代表地域であるケンブリッジシャー、ニューカッスル、ノッティンガムで、65歳以上の7,635人に対して面接を行った。そして、参加者の20%に対して実施された標準化診断評価面接に基づいて、1989~1994年の認知症患者数が推定された。その2年後にBrayneたちは、前回面接した者の76%に対して再度面接を行い、認知症罹患率を直接計算した。さらに、Brayneたちは、認知症罹患率の経時変化を調べるため、別の5,288人に対して2年間に2回の面接を行って、2008~2011年の上記3地域における認知症罹患率の分析を別々に実施し、この3地域における認知症症例の発生率が、初回と2回目の分析の間に約20%低下したという推定結果を明らかにした。その主たる原因は、全ての年齢層の男性における罹患率の低下だった。
こうした結果は、英国における認知症の症例数が、高齢化が進む集団について予測されるほど急速に増えていないことを示唆している。これと似た認知症罹患率の低下は、すでに過去の研究で報告されているが、Brayneたちは、新たな参加者コホートを利用できたため、分析方法を変えずに認知症罹患率の経時変化を調べることができた。今回の研究では、認知症罹患率低下の根本原因は特定されていない。
Nature Japan 2016年4月20日 原文のまま
関連論文:A two decade dementia incidence comparison from the Cognitive Function and Ageing Studies I and II NATURE COMMUNICATIONS  9 April 2016
わかりやすい解説記事:UK dementia rates have fallen sharply in men NHS Choices April 20 2016
サイト内関連記事:認知症の割合が減っていることは注意が必要な希望(2016年3月9日)
編者:認知症の罹患率が減っているという報告が増えている。イギリスの報告もその流れだ。わが国のデーターは知らない。


「キリン堂は簡易認知機能確認ツールの取扱を3月下旬より順次開始」(3月18日/財経新聞)
□日本のドラッグストア企業では初めての試み
キリン堂HD<3194>(東1)グループの基幹会社であるキリン堂は、電話による健康相談のティーペックが提供する簡易認知機能確認ツール(以下、あたまの健康チェック)の取り扱いを、日本医学研究所を通じて、3月下旬より、キリン堂グループの調剤薬局で順次開始する。  既に、民間保険会社、自治体や医療機関での検診などで採用が進んでいるが、日本のドラッグストア企業では当社が初めての試みとなる。
ティーペックが、米国で研究・開発されすでに高い評価を得ている「あたまの健康チェック」ツールの日本語版を保有するミレニアと提携し提供する。これまで評価が困難だった微細な認知機能の変化を、10分程度の質問形式のチェックを行うだけで専門家でなくとも客観評価、確認できる。
日本における認知症患者は2012年時点で約462万人、65歳以上高齢者の約7人に1人と推計されている。認知症の前段階とも言われる軽度認知障害(MCI)と推計される約400万人と合わせると、65歳以上高齢者の約4人に1人が認知症またはMCIと推定されている。
MCIの段階でありながらそのまま何もケアをしないでいると5年後には半数が認知症に移行すると言われており、MCIの状態で早期に発見しケアをすることで認知機能の改善などが出来るという調査報告もあり、早期発見の重要性が高まっている。
そのような状況の中で、関西を中心に国内335店舗の薬局・薬店・ドラッグストアを展開する当社が、「あたまの健康チェック」の取り扱いを開始することは、認知症の問題を軽減するための大きな社会貢献といえる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
財経新聞 2016年3月18日 原文のまま
関連情報:
キリン堂グループの調剤薬局にて簡易認知機能確認ツール「あたまの健康チェック」の取扱いを順次開始!キリン堂HDニュースリリース 2016年3月18日(pdf)
簡易認知機能確認スケール「あたまの健康チェック」(T-PEC)
あたまの健康チェック(MCIスクリーン)(ミレニア)
Methods to improve the detection of mild cognitive impairment. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Mar 29;102(13):4919-24. Epub 2005 Mar 21.
編者:ちょっと怪しい眉唾物のサービスだ。競争の激しいドラッグストアチェーン店の客寄せサービス(料金:4000円)か、結果が陽性だと、「予防商品」を勧める戦術なのか。新たな認知症ビジネスだ。「日本医学研究所」は名前だけ聞くとすごいが単なる検診車・医療機器レンタルの会社らしい。知識不足の記者の報道に迷わされないようにしたい。T-PECもミレニアもサイトで診断ツールではないと小さく断りを入れているが「簡易認知機能確認スケール」が「簡易認知症機能診断スケール」にさらには「軽度認知障害診断スケール」に呼び名が替わりかねない。無視できないネット記事なので紹介した。


認知症の割合が減っていることは注意が必要な希望(3月9日/アメリカ)
「アルツハイマー病やその他の認知症の人数は、65歳以上のアメリカ人の数そのものが増え続けているので、毎年、増加するでしょう。ベビーブーマーの世代が高齢化する近い将来、急増するでしょう」
アルツハイマー病協会発行「2015年版アルツハイマー病の事実と数値2015 Alzheimer’s Disease Facts and Figures」より
こうした警告的な予測があるが雑誌New England Journal of Medicine (NEJM)の最新の版に掲載された報告書は、いつくかの励ましの言葉をもたらしました。長期におよぶフラミンガムスタディFramingham studyの研究者は、認知症の割合が30年間、低下していることを認めました。
フラミンガムの研究者は、1975年から男女5000人以上について調べました。研究に参加した人たちは身体的検査―5年ごとの認知症検査を含む―を受けました。研究者は以下の結論を出しました。すなわち5年間で認知症の割合が、1982~1996年で3.6%、1991~1996年で2.8%、1998~2003年で2.2%、2009~2013年で2.0%。さらに、認知症と診断を受けた平均年齢は30年間で80歳から85歳に上がっています。
多少ともハーバード大学医学部医学文化学バーナード・アークマン教授A. Bernard Ackerman Professor of the Culture of Medicine at Harvard Medical Schoolであるダビッド・ジョンズDavid S. Jones氏(写真左上)によると、こうした結果は、アルツハイマー病協会の予測を無視することになるのでしょうか?NEJMの同じ号に、ジョンズ氏とジョンズ・ホプキンス大学医学部Johns Hopkins Medical Schoolのジェレミー・グリーンJeremy A. Greene氏(写真左下)は以下のとおり指摘しています。
「2005年の全国介護調査の資料に基づいた報告でメディケアの受給者のなかで重度の認知機能障害は1982年から1999年の間で有意に減少しています。主たる疾患の割合が目の当たりに減少し始めたのはことが初めてではありません。1964年以降、冠動脈疾患が近い将来、アメリカの高齢者で増加すると予測されましたが、心臓発作死は低下し始めました」
認知症の割合が減少したことの説明
認知症の割合が低下したことは、なんらかの方法で管理ができる二つのこと―教育と心疾患―がおおいに寄与しています。この低下は高等学校の卒業生のみで認められ、フラミンガムの参加者のほとんどはこの人たちです。心臓血管疾患―脳血管障害、心房細動および心不全―の割合も、同じ期間に低下しています。
このことから、研究結果は認知予備力を創るだろう教育が認知症の予防となり、また脳への血流を制限することになる心臓血管疾患が認知症を促進することになるのでしょう。
しかし心臓血管疾患が減っても、フラミンガムの参加者の間で肥満や糖尿病が徐々に増加しています。おの二つはともに心疾患と同様に認知症の危険因子です。これらが持続的に増加することで認知症や心疾患の割合が低下することを減少させたり反転させる可能性があります。
さらにフラミンガムの参加者の圧倒的多数は白人であり中産階級です。この結果が他の人種や民族の人また他の経済階層の人たちに当てはまるのかどうかは今後の課題です。
認知症を予防できるか?
アルツハイマー病協会が予測するように、人が長生きするなかで最終的に認知症の人数は増加するのでしょう。同じくフラミンガムの研究者は「ある種の認知症は予防できるか、すくなくとも遅くすることはできるかもしれない」と注意深い希望を提供しています。
フラミンガムの結果は「心臓によいことは頭にもよい」との見解を指示します。心臓に健康的な生活様式―地中海風食事、1週間150分の穏やかな運動に相当する運動、ストレスの管理、友人や家族と付き合う―を継続するなら、追加的に認知症の危険性を低下させることになるでしょう。
寄稿者:ベヴァリー・メルツBeverly Merz氏(写真右)、ハーバード女性健康監視Harvard Women's Health Watchの編集長。
Harvard Health Blog MARCH 09, 2016 Decline in dementia rate offers “cautious hope”
サイト内関連記事:「認知症が減っているらしい―その要因は―」(2016年2月11日)
編者:先のフラミンガムの報告についての簡潔明解な見解として紹介。


国民保健サービスで補聴器の支給制限をすると認知症が増える恐れ(2月14日/イギリス)
研究者らは「耳が聞こえないことdeafnessで音がないために脳を2倍働かせてなければならない」と述べています。
また保健専門家らは「研究によって聴力低下poor hearingが知的機能の低下の程度を早めることが示されたことから、国民保健サービスNHSで補聴器を支給制限することは認知症の流行を増やすことになるかもしれない」と提言してきました。
イギリスにはおおよそ1000万人が難聴hearing lossですが、NHSは電子回路補聴器の支給を制限しています。
ジョンズホプキンス大学Johns Hopkins Universityのフランク・リンFrank Lin準教授(訳注:分野は老年医学、耳鼻咽喉科および頭頸部外科)(写真左)は、ワシントンでの会議で「人が聞こうと苦労している時、記憶や脳機能が損傷される」と報告しました。
聞こえないことは、音がないために脳を2倍働かせてなければなりません、そして心に過度の負担をかけ精神機能の低下を早めます。
動物実験によると聞こえないことは脳の構造を変え、言語や記憶に関わる部位の灰白質を委縮させる原因となります。
第3の仮説は、聞こえないことは社会的孤立を招くということです。社会的孤立が認知症を増やすことは知られています。
リン医師は、認知症発症の危険性の3分の1は難聴によると信じ、治療でそれがよくなるかどうか新しい臨床試験を始めました。
さらに彼は次のように述べています。
「難聴は加齢によりいっそう多くなります。結果的に、多くの臨床医は典型的に難聴を不可逆的なものとみなしています。その結果、加齢に伴うものはたいしたことはないとみています。さらに重要なことは、難聴と認知機能の低下―認知症―の危険性が増えることに関する研究はこの5年間に始まったばかりです。難聴の問題が結果論的なこととらえることから、聴力のケアをより受けやすくするという選択肢に関してある程度のますます啓発し理解し利用できるという方向に修正することができるでしょう」
主に高齢の約200万人が補聴器を持っていますが、その84%はNHSから支給されています。NHSで聴力検査の経費は49ポンド(訳注:1ポンド=約185円2016年2月15日現在)、補聴器の装着は294ポンド、左右の補聴器で388ポンドです。
民間業者から補聴器を受けることにした7人のうち1人は左右装着して平均3000ポンドを支払います。
介入しない観察的研究によると、補聴器を使うことは認知症発症の危険性を下げることに関連しています。しかし人々が認知機能の低下を減らしたり、避けることができるかどうかを判断するための実際に行われている検査はありません。
2014年に報告された前回の研究でリン医師は、難聴の人の認知機能は正常な人より30から40%早く低下することを認めました。
2011年に行われたおおよそ600人の高齢者に関する研究では、研究を開始した時点で聴力障害の人は正常な成人より認知症になりやすいことを認めました。
実際、聴力障害が強くなればなるほど、ますます認知症になりやすいのです。すなわち、自主的に研究に参加した難聴が軽度、中程度、重度の人は、聴力が正常な人より認知症にそれぞれ2倍、3倍、5倍なりやすい。
現在、リン医師は、800人の高齢者を5年間追跡し認知機能の低下を測る研究を行っています。これ研究では、あるグループは最新の聴力の治療を受け、その他のグループは健康に関する助言を受けるだけとされています。
リン医師は「難聴の治療を受けるとどれほどの違いが生まれるのでしょう。今回の臨床試験が終わる2,3年以内にそのことを話すことができる」と述べています。
記者:テレグラフの科学編集者サラー・ナプトン Sarah Knapton(写真右)
The Telegraph 14 Feb 2016 Rationing of NHS hearing aids may fuel dementia epidemic


認知症が減っているらしい―その要因は―(2月11日/アメリカ)
認知症の有病率はこれからの数十年の間、急上昇します。しかし最近の研究によると、この傾向は反転するようです。その変更にハイテクの医療は必要がないでしょう。
年を取ればとるほど、ますます記憶を失い、思考が混乱します。多くの専門家は、こうした認知機能の低下は長生きすると避けられないと信じています。
しかし医学週刊誌New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載された研究で研究者は、この理論を疑問視しています。長期間のフラミンガム・ハート・スタディFramingham Heart Study(FHS)―1940年代に始まり、元の集団と、その子供たちと孫たちの集団も追跡している―のデータを使って研究者は「認知症の有病率は実際のところ上昇しているよりは下降しているようだ」と述べています。
認知症は、認知機能が全体的に低下し、アルツハイマー病を含む多くの疾患を網羅します。
スーダ・セシャドリSudha Seshadri医師(写真左)らの研究者は、60歳以上で数十年間定期的な認知機能検査を受けた5205人の集団を観察して以下のことを認めました。
○認知症は1970年代から2000年代の間で10年ごとに平均20%に減少している。
○しかし高等教育、それ以上の教育を受けた人だけにこうした減少を認める。
○循環系疾患に関連する認知症はさらに急な低下を示す。
セシャドリ医師は以下のように述べています。
「これらは理にかなったことです。認知症は循環系疾患に関連しているからです。FHSは心臓の危険因子―血圧や脳血管障害などの循環系因子―について調べています。しかし、こうした要因による影響を差し引いても認知症の有病率の低下は有意なままです。このことは、これら以外になにか要因があることを示唆しています。さらに観察する必要です」
言い換えると、1970年代と2000年代の間に、認知症の有病率を下げるなんらかの変化が起きたのです。この間に肥満や糖尿病が増え、両者は認知症を増加させるが、他の流れ―運動と食事―も影響しているのでしょう。
さらに彼女は次のように述べています。
「FHSのデータには1970年代の人々の運動という習慣に関するよい情報が含まれていません。このため身体的活動がどのように変化したか、また認知症の罹患率に影響したかどうかも分析できません」
高血圧のような心疾患の危険因子に注意しながら、身体的運動やダイエットといった生活様式が認知症の予防によい影響を与えてようです。脳血管障害は認知症の大きな危険因子であり、循環器系と心臓を健康な状態に保つことで脳血管障害を少なくします。生活様式の因子が認知症の予防に役割を果たすことを理解することは、多くの研究で示されているようなこれからの認知症の有病率の上向きのカーブを変えることにきわめて重要でしょう。世界保健機関WHOは、現在、認知症の人が全世界で4750万人いて、2050年までに1億3550万人になると見解を示しています。
こうした変化を創りだすことは、ある人達に特別に有用でしょう。アルツハイマー病協会の雑誌Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Associationに掲載された別の研究では、アフリカ系アメリカ人やネイティブアメリカンインデアンのあいだで認知症の有病率が最高であることを研究者が認めました。遺伝的要因が原因の一部ですが、異なる人種や民族の間で健康の差異に関する以前の研究によると社会経済要因―教育、文化的規範、その他の行為など―が同じように重要であることを示しています。認知症の場合、高血圧―認知症に関連しアフリカ系アメリカ人の間で多い―のような状態に対処することは、認知症の要因を下げることにとても重要です。
さらにセシャドリ医師は次のように述べています。
「こうして結果は、認知症が打ち負かせるものであることを強調しています。私たちにはチャンスがあります。治療を観るに必要な熱意をもって予防的研究をも観る必要があります。二つとも重要なのです」
記者:アリス・パークAlice Park (写真左)、TIMEの医療・科学分野の記者。
TIME 02/11/2016 Why Dementia Rates May Be Slowing Down)
論文:Incidence of Dementia over Three Decades in the Framingham Heart Study N Engl J Med 2016; 374:523-532February 11, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1504327
編者:すでにいくつ報告されている実態として認知症の有病率が低下しているという新たな報告だ。なおパーク記者は同サイトの別の記事Fish, Mercury and Alzheimer’s Riskで魚と水銀とアルツハイマー病の関係について論文を紹介している。


合唱で認知症を防ぐ?(2月4日/シンガポール)
国立シンガポール大学National University of Singapore(NUS)の2年間におよぶ研究は、合唱が高齢者の記憶力や集中力をどう保持するかに関するものです。
昨日、ジュロン・ポイントJurong Pointの買物客は、ランチタイムの催しで奮い立たせるチャイニーズ・ニューイヤーの歌を楽しみました。この合唱は認知症研究に参加した人たちによるものです。
合唱することが認知症の予防につながるかどうかを判断するためNUSの研究者は、ジュロン地区の93人の高齢者を募集しました。その半数が合唱グループで、残り半数は対象群として健康教育プログラムを受け、認知症に関係する糖尿病、健康食、運動を管理します。
両群は、1週間に1度、各プログラムで1時間費やして昼食を取ります。この研究は昨年10月に始まりました。
研究者は、認知症の危険性の高い60歳以上の300人について2年間以上研究する予定でさらに多く人を募集しています。
この研究の主任でNUSヨン・ルー・リン医学部NUS Yong Loo Lin School of Medicineのフェン・リーFeng Li 研究準教授(写真左上)は次のように述べています。
「合唱することの効果についてより科学的に調べようとしています。危険性の高い人たちで合唱が認知症の進行を遅らせることができるか、また高齢者の精神的健康を増進できるかを調べます」
認知症はシンガポールの60歳以上の10人に1人です。昨年、4万人の認知症の人がいることがわかりましたが、2020年までに5万3000人、2050年までに18万7000人になると予測されています。
参加者は最初、12か月後、24か月後にそれぞれ評価されます。
免疫系の改善をみるための血液検査、脳細胞の退行指標となる酸化をみるための尿検査、さらに記憶力、集中力、空間認識についての検査も受けます。
両群の結果を比較して合唱が認知機能の低下を遅らせる効果があるか判定します。
今回の研究の着想は、NUS合唱団の一員で産婦人科開業医のモーリン・ツァコックMaurine Tsakok医師(写真左中)によるものです。彼女は10年前の66歳の時、健忘症になりました。ゴルフを楽しみ飛行機に乗っていた間の8時間のことが思い出せませんでした。
彼女は「ゾンビのようだった」と述べています。
彼女は、全健忘で一過性ではあるが短期記憶がすべて崩壊したと診断されました。医師は良性と言ってはいましたが彼女には怖わかったのです。彼女は合唱が認知症にならないようにどのように助けになるかの事例研究を見つけたのです。さらに彼女は「誰も予防について話しませんでしたが関心があった」と述べています。
彼女は2009年NUS合唱団に加わり、自らの知的機能の改善を図ろうとしました。合唱団がその理念にそって歌うことに関心を示していた時、彼女は団員を研究に参加することを促しました。
研究者は、参加者のMRI検査とジュロン・ポンイトからNUSまでの行くバス代に40万ドル(訳注:2月5日現在1シンガポールドルは約84円)を集めました。ジュロン・ポイントで参加者はヨン・シュー・ト大学音楽院Yong Siew Toh Conservatory of Musicの指導者から練習を受けます。現在、研究者は保健省Health Ministryに120万ドルの助成金を申請しています。
この臨床試験は、10年間におよぶ縦断的な「ジュロン加齢スタディJurong Ageing Study」の一環とであり、この研修はジュロン地区の高齢住人のうつ状態と認知症を減らすことを意図しています。
NUS医学部のクア・エ・ヘコKua Ee Heok教授(老年精神医学)(写真左下)は、ジュロン加齢スタディを指導していますが、次のように述べています。
「参加者は、社会的な相互作用を始めたという研究の副次的効果を知りました。多くの高齢者は一人で生きており、孤独感を持っています。一緒に歌い、気を遣い、思いやりを生み社会的なつながりを創っています。合唱が認知症に対して役立つことが証明されるなら、高齢者による合唱はシンガポール中で同じようなのを簡単にいくつもつくれます」
研究に参加するリー・ユム・ルムLee Yum Lum氏(79歳)は、元業務マネージャーですが、次のように述べています。
「歌うこと、NUSに定期的に出かけること、こうした社会的因子を楽しんでいます。会って時事や家族のことを話します。同じような高齢者と一緒に歌うのが好きです」
記者:コ・シン・フィKok Xing Hui(写真右下)
右上写真の説明:昨日ジュロン・ポント開催されたコンサートでのNUS合唱団、ジョイフルボイスJoyful Voices合唱団およびヨン・シュー・ト大学音楽院の学生と高齢者のコーラス。
Straitstimes Singapore Feb.5, 2016 Sing in a choir, keep dementia at bay?)
編者:合唱することが認知症の予防につながるという報告は聞いたことがない。調査結果にいかんい拘わらずシンガポールでの認知症予防の研究の一面を紹介した。


「「脳力トレーニング」の効果が認められずサービス提供企業に約2億円の罰金処分が下される」(1月6日/GIGAZINE)
脳の能力を高めるとして提供されている脳力トレーニング関連のゲームは数多くあり、人気を集めているのですが、アメリカ連邦取引委員会はあるサービスを提供していた企業に対して「科学的裏付けがない」として200万ドル(約2億4000万円)の罰金処分を下しました。処分が下された企業は、罰金の支払いに応じる姿勢を見せています。
この処分を下されたのは、能力トレーニングプログラム「Lumosity」を提供しているLumos Labsです。処分を下した連邦取引委員会は、同社は科学的に認められた効果が存在しないにもかかわらず、Lumosityにはユーザーの仕事や学習を向上させ、年齢に伴う脳の認知能力の低下およびその他の重大な健康上の問題の発生を遅らせる効果があると広告でうたい消費者を欺いたと認め、罰金処分を下しています。処分では同社に対して罰金の支払いが命じられているほか、サービス利用者に対して連邦取引委員会による決定を通知し、契約の自動更新を停止して将来の利用料金の発生を止めるためのわかりやすい方法を提供することが求められています。
連邦取引委員会消費者保護局のディレクターを務めるジェシカ・リッチ氏は処分を行った理由について「Lumosityは、加齢に伴う認知能力の低下に対する消費者の恐怖をあおり、ゲームをプレイすることで記憶力の低下や認知症、アルツハイマー病を食い止めることができると示唆しました。しかし、同社はその効果を裏付けるための科学的な根拠を持っていませんでした」と指摘しています。
連邦取引委員会の発表によれば、Lumosityは脳の特定の部位を鍛えるために考えられた40種類のゲームからなるプログラムで、1回あたり10分から15分、週に2~3回プレイするだけで「人生の全ての要素で最大限のポテンシャルを達成する」とうたっていたとのこと。同社はオンラインとモバイル向けアプリでサービスを有償で提供しており、月額14ドル95セント(約1800円)のプランから一生涯にわたって利用できるメンバーシッププラン(299ドル95セント・約3万6000円)などのプランが提供されています。
これに対し、Lumos LabsはNBC newsの取材の中で、サービス内容の正当性と科学分野、とりわけ認知力研究を促進するための協同プロジェクトであるHuman Cognition Projectを通じた貢献度を主張。その上で「連邦取引委員会の決定および処分内容は、いずれも当社の研究内容の厳しさと商品の品質にふさわしいものではない」と反論し、広告に用いられた表現を「マーケティング用語の反映であり、すでにもう用いられていない」と主張。さらに「企業として私たちの焦点は変わっておらず、これからも変わることはありません。それは、認知力トレーニングの科学を進めることと、その分野および研究に意味のある貢献を行うことににコミットし続けることです」とのコメントを発表しています。
規定された連邦裁判所によって下された処分では、同社の共同設立者でCEOのKunal Sarkar氏および役員のMichael Scanlon氏ら被告人に対し、申し立てを行う際には効果を証明する信頼性のある科学的証拠を提出するように命じています。
なお、Lumosityは日本語でもサービスが提供されています。
GIGAZINE 2016年1月6日 原文のまま
関連情報
Lumosity to Pay $2 Million to Settle FTC Deceptive Advertising Charges for Its “Brain Training” Program | Federal Trade Commission
Lumosity to Pay $2M to Settle FTC Charges Over 'Brain Training' Ads - NBC News
編者:さすがアメリカ? 日本の脳トレは該当しないか?


2015年


「ジョリー遺伝子」はアルツハイマー病とリンク(11月30日/アメリカ)
アルツハイマー病の人は「ジョリー遺伝子」の保有者と似てBRCA1タンパク(訳注)が少ない。科学者は、乳がん、卵巣がんを誘発する「ジョリー遺伝子」がアルツハイマー病とも関係しているらしいことを発見しました。
BRCA1遺伝子は、DNAの修復に不可欠で、がんから保護しますが、女優アンジェリーナ・ジョリーAngeline Jolie(写真右)のように突然変異を持つ人は、腫瘍破壊タンパクを生成しないので発病の危険性がより高いのです。
今日、科学者は、同じタンパクがアルツハイマー病の人で使い果たされていることを発見し、このタンパクが脳細胞の健康を保つにとても重要であることを示唆しています。
BRCA1タンパクを増大する薬を発見することで、神経損傷を防いだり、知的機能の低下を止めたりすることができるかもしれません。
論文の筆頭執筆者でアメリカ・カリフォルニア州に在るグラッドストーン神経疾患研究所Gladstone Institute of Neurological Diseaseのエスサ・サバービエールElsa Suberbielle医師(写真左上)は次のように述べています。
「 当初 BRCA1は、分裂する細胞やがんについて久しく研究されました。したがって私たちは、分裂しなし神経で、また脳細胞が減少することが特徴の神経退行性疾患で重要な働きをすることを知って驚いています」
分裂する細胞においても損傷を受けた時に生じるBRCA1がある種のDNA損傷を修復するのを助けます。
しかしながら脳細胞では、実際のところ損傷は有益であえます。私たちが何か新しいことを学ぶ時、脳細胞は引き裂かれ、配線が作り直されると科学者は結論づけました。しかし細胞が自己修復できないと、もはや記憶は形成されません。
脳細胞にとって BRCA1タンパクがどのように重要か試すため、マウスでこのタンパクを減少させました。修復タンパクがないと損傷したDNAが脳に蓄積され、学習や記憶の障害が起こることを見つけたのです。
アルツハイマー病はよく似た認知障害が関係するので、障害が BRCA1タンパクの欠乏によって引き起こされるだろうと科学者は考えています。アルツハイマー病の人の死後の脳を調べる時、このタンパクが多くの人で75%減少していることを確かめました。
異なる研究によると、そのタンパクは、アルツハイマー病に関連する脳内の粘着性斑であるアミロイドベータが在ると急速に減少することが認められました。
現在、研究者は、マウスで BRCA1を高めることで神経退行性変化や記憶障害を予防することができるか調べています。
グラッドストーン神経学研究所のレナート・ムッケLennart Mucke所長(写真左中)は次のように述べています。
「BRCA1のような修復要因を治療目的で操作することが、最終的にアルツハイマー病の人あるいはその危険性のある人の神経損傷や認知機能の低下を予防するために使われるかもしれません。
またBRCA1のレベルや機能を正常化することによって、過剰なDNA損傷から神経を保護し、多くの有害な過程を予防することが可能かもしれません」
突然変異を持つ女性の65%まで―通常の集団では12%―が、乳がんと卵巣がんを発症するでしょう。このためジョリーは、両方の乳房切除術を受けることを選び、発病しないように卵巣も摘出しました。
BRCA1変異のある人がアルツハイマー病によりなりやすいかどうかは分かっていません。
アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyの研究部長のジェームス・ピケットJames Pickett 氏(写真左下)は次のように述べています。
「今回のマウスでの研究は、 BRCA1遺伝子が脳で多くの役割を持つという興味深い疑問を提示しています。しかしこの遺伝子が、アルツハイマー病とその他の認知症と関連するかどうかを理解するには早すぎます。
BRCA1遺伝子は損傷した身体の異なる多くの部位でDNAの修復するという重要な役割持っています。遺伝子の特異的変化はある種のがんの発達に関係しています。しかし今回の研究から知られる BRCA1の役割は、がんとの関連とはかなり異なったものです。この研究から、がんと認知症の発病の危険性になんらか関連があると結論づけるものではありません。
認知症は遺伝子、環境、生活様式の複合的な相互作用に拠るとする証拠があります。これらの個々の要因についてさらに研究することが、人がなぜ認知症を発病するかをよりよく理解し、効果的な治療を見つけるのに役立つでしょう」
今回の研究論文は雑誌Nature Communicationsに掲載されました。
Telegraph 30 Nov 2015 'Jolie gene' linked to Alzheimer’s disease
論文:DNA repair factor BRCA1 depletion occurs in Alzheimer brains and impairs cognitive function in mice Nature Communications , 30 November 2015
訳注:BRCA1(breast cancer susceptibility gene I)の略称で「乳がん感受性遺伝子I」。


NICEは認知症などの予防ガイドラインを提言(10月20日/イギリス)
「イギリス国立医療技術評価機構National Institute for Health and Care Excellence (NICE)」は、本日10月20日、高齢期の認知症、障害、および虚弱(訳注)の発症を遅らせるか防ぐためのる中年期の取り組みに関する提言を公表しました。
提言の意図は、自立し健康で活発である期間を延ばすことです。
提言でいう中年期の人とは、40歳~64歳の成人、あるいは39歳以下で恵まれない人たちです。この年齢層で不健康に、また複合的な健康問題を抱えてやすいのです。
ガイドライン「高齢期の障害、認知症および虚弱の予防への中年期の取り組み'Disability, Dementia and Frailty in Later Life - Mid-Life Approaches to Prevention'」は、認知症、障害、虚弱の危険性は変更不可能な因子―遺伝や外傷―による場合もあるが、特異的な危険因子や行動を変えることで多くの人に認知症、障害、虚弱の危険性を減らすことは可能としています。
2025年までにイギリスの人口のおおよそ23%が65歳以上になります。長生きはするが、必ずしも健康な状態で過ごせるとはかぎりません。男性では、約8年間、不健康な状態で過ごし、さらに亡くなるまでの7年間は障害を持って生きます。女性では、平均して9年間、不健康で過ごし、さらに亡くなるまでの9年間は障害を持って生きます。
ガイドラインの提言は以下のことを含みます。
○以下の支援をする:喫煙を止める、より活発に過ごす、飲酒を減らす、食事を改善する、必要なら減量し健康的な体重を維持する
○認知症、障害、虚弱の発症につながる非伝染性疾患―糖尿病など―の発病を減らす
○回復力を高める。例えば、社会的、精神的によりよい状態とする。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのジェレミー・ヒューズJeremy Hughes事務局長(写真)は次のように述べています。
「ガイドラインは、公衆保健志向でとても歓迎すべき移行です。認知症の危険性を減らすための中年期の行動と生活様式を変えることの必要性を強調しています。幸せに生きため、また早期に認知症になるのを防ぐために認知症になる恐れのある人たちにこの助言を拡める必要があります。NICEは、心臓血管系の危険因子についてその意義と証拠を正しく強調していますが、心理的、社会的な因子―鬱、社会的孤立、精神的不活発など―のさらなる重要性が見過ごされるべきではありません。こうした因子が重要であることを示すこの分野で十分な研究がなされており、同じように取り扱うべきです」
Alzheimer's Society 20 October 2015 NICE guidelines on delaying and preventing dementia in later life
訳注:英語のfrailtyを「虚弱」と訳した。日本老年医学会は音訳の「フレイル」を推奨している。その根拠はこちら
関連情報:NICE guideline:Dementia, disability and frailty in later life mid-life approaches to delay or prevent onset , 20 October 2015 (pdf280K)


「心房細動の罹患が長いほど認知症発症率が高い」(10月7日/日経メディカル)
オランダの高齢者コホート「ロッテルダム研究」の長期追跡で判明
大西 淳子=医学ジャーナリスト
心房細動は認知症の危険因子であることが報告されているが、オランダの高齢者コホート「ロッテルダム研究」を約20年追跡した研究で、心房細動の罹患期間と認知症の発症率との間に正の相関があることが分かった。オランダErasmus大学Medical CenterのRenee F. A. G. de Bruijn氏らが、JAMA Neurology誌電子版へ2015年9月21日に報告した。
心房細動は様々な経路を通じて、認知症リスクを高めると考えられている。高齢者の慢性疾患について調べた住民ベースの研究であるロッテルダム研究では、認知症患者の心房細動有病率が高いことが示されたが、横断的研究であったために、因果関係は明らかにならなかった。そこで著者らは、ロッテルダム研究に参加した住民を20年間追跡して、心房細動が認知症発症に与える影響を評価することにした。
対象は、1989年7月6日から2010年2月4日までにロッテルダム研究に参加した住民のうち、55歳以上で研究参加時(ベースライン)に認知症では無かった6514人。うち318人(4.9%)が、ベースラインで心房細動を有していた。心房細動の有病者は、より高齢(平均年齢75.7歳)で、降圧薬使用割合が高く、HDLコレステロール値が低く、糖尿病、冠疾患、心不全と診断されている人の割合が高かった。
主要評価項目は、精神疾患の診断・統計マニュアル第3版改訂版(DSM-III-R)とNINCDS-ADRDA Alzheimer's Criteriaを用いて判定した認知症の罹患率。分析には、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。交絡因子として、年齢、性別、糖尿病歴、喫煙習慣、総コレステロール値、HDLコレステロール値、脂質降下薬の使用、血圧、降圧薬の使用、BMI、学歴、冠疾患歴、心不全歴、APOEε4アレル保有の有無、経口抗凝固薬の使用などを考慮した。
8万1483人・年の追跡で、994人(15.3%)が認知症を発症、うち787人(79.2%)がアルツハイマー病だった。ベースラインでの心房細動の有無で検討すると、心房細動の有病者では、認知症の発症率が有意に高いことが判明。AF有病者の認知症罹患の調整ハザード比は1.33(95%信頼区間1.02-1.73)だった。アルツハイマー病に限定すると、調整ハザード比は1.29(0.95-1.75)と、有意ではないが高い傾向を認めた。
次に、ベースラインでは心房細動に罹患しておらず、追跡期間中の心房細動発症の有無が明らかだった6196人(平均年齢68.3歳)について分析した。7万9003人・年の追跡で、723人(11.7%)が心房細動を発症していた。また、932人(15.0%)が認知症を発症し、うち741人(79.5%)がADだった。この分析でも、追跡期間中に心房細動を発症した人では、発症しなかった人より認知症の発症率が高い傾向があった。心房細動を発症しなかった人と比べた認知症罹患の調整ハザード比は1.23(0.98-1.56)で、アルツハイマー病に限定すると1.18(0.91-1.54)になった。
感度解析からは、脳卒中の罹患が、心房細動と認知症の関係に影響を及ぼしていないことが分かった。
心房細動の発症年齢で2群に分けた解析では、解析対象者の年齢中央値である67歳より若年で心房細動に罹患した住民において、認知症罹患率が大きく上昇することが分かった。ベースラインで67歳未満の住民の場合、認知症罹患のハザード比は、ベースラインで心房細動に罹患していると1.91(0.85-1.26)、追跡期間中に心房細動を発症すると1.81(1.11-2.94)になった。一方、67歳以上の住民では、認知症リスクの上昇は有意では無く、ハザード比はそれぞれ1.28(0.97-1.70)と1.12(0.85-1.46)になった(交互作用のP=0.02)。
67歳未満の住民における認知症リスクは、心房細動発症後の追跡期間、すなわち心房細動の罹病期間と強力に関連していた。罹病期間が12年以上の場合、認知症罹患のハザード比は3.30(1.16-9.38、傾向性のP=0.03)だった。一方、67歳以上の住民では、心房細動の罹病期間が12年以上でも、認知症罹患のハザード比は0.25(0.04-1.85、傾向性のP=0.94)だった。年齢の影響は、アルツハイマー病とそれ以外の認知症で同様に認められた。
今回得られた結果について、著者らは「心房細動は、脳卒中とは無関係に、認知症リスクの上昇に関係していた。より若年で心房細動を発症し、心房細動の罹患期間が長い人で、認知症リスク上昇との関連はより強力だった」と総括。今後は、心房細動に対する最適な治療が、認知症発症を遅らせるかどうかを調べる必要があると提言している。
原題は「Association Between Atrial Fibrillation and Dementia in the General Population」、概要は、JAMA Neurology誌のWebサイトで閲覧できる。
日経メディカル 2015年10月7日 原文のまま
サイト内関連記事:心房細動の人は認知機能が低下しやすい(2012年2月27日)


「アルツハイマー病原因?たんぱく質、製剤投与で感染か 英チーム」(9月10日/日本経済新聞)
アルツハイマー病を引き起こすとされる異常なたんぱく質「アミロイドベータ」が、30年ほど前まで使われていた成長ホルモン製剤の投与で人から人へ感染していた可能性があると、英国のチームが9日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
製剤は人間の遺体の脳下垂体から抽出して作られたもので、低身長の子供などに投与されていた。しかし、混入した異常プリオンによる神経難病のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の報告があり、使用が中止された。
英チームが今回、製剤の投与を受けたことがあり、CJDで死亡した36~51歳の患者8人の脳を調べると、6人にアミロイドベータが沈着していた。ただ、投与した製剤にアミロイドベータの種が入っていたかは不明。また、CJDで死亡したためアルツハイマー病を発症するかどうかも分からないという。〔共同〕
日経Web 2015年9月10日 原文のまま
関連記事: 'Transmittable Alzheimer's' concept raised BBC News 10/09/2015
関連論文
Neurodegeneration: Amyloid-β pathology induced in humans Nature 525, 193?194 (10 September 2015) doi:10.1038/525193
感染経路模式図(論文①より)

Evidence for human transmission of amyloid-β pathology and cerebral amyloid angiopathy Nature 525, 247?250 (10 September 2015) doi:10.1038/nature15369
編者:わが国ではドイツ製のヒト屍体由来乾燥硬膜を使った硬膜移植後のプリオン病(硬膜移植後クロイツフェルト・ヤコブ病(dCJD))または医原性プリオン病の患者の発生が続き2013 年 2 月までに 146 例あると報告されている。


アルツハイマー病になりやすい9つの因子(8月23日/アメリカ)
年をとったら保証はないのですが、新しい研究によると、アルツハイマー病に関わる因子に影響するライフスタイルが明らかになりました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校University of California, San Franciscoのチームは、アルツハイマー病の危険因子と保護因子に関するこれまでの何千という研究論文から質の高いデータを示す323の研究を選びました。研究チームは、今日アメリカで500万人以上がなっているアルツハイマー病の危険性を減らすため、私たちが取り入れたり避けたりできる力がまだあるいくつかの鍵となる因子を見つけました。
アルツハイマー病に保護的な要因については、私たちが既に良いことと知っていることが含まれます。それらは健康的な食事―葉酸、ビタミンCとEの摂取―、コーヒー、魚を食べる、適量の飲酒、活発な認知機能です。また、薬とアルツハイマー病の危険性のなんらかの関係―エストロゲン、コレステロール降下剤(スタチン)、血圧降下剤、抗炎症剤(NSAID―も示されました。
アルツハイマー病になりやすい危険性の高い9つの因子は以下のとおりです。
○肥満
○うつ状態
○頸動脈の狭窄
○低い教育歴
○高いホモチスチン値
○高血圧と低血圧
○虚弱
○現在喫煙中(アジア人の場合)
○2型糖尿病(アジア人の場合)
これらの関連の多くは、長らく知られたものですが、新しい大規模な分析でさらに確認されたのです。 もちろん注意しなければならないことは、こうした因子とアルツハイマー病の相関を認めただけであり、これらの因子がアルツハイマー病の原因であったり、予防すると認めたものではないことです。なお遺伝的因子もアルツハイマー病に発病に強い役割があります。とはいえ研究チームは、因果関係(訳注:相関関係ではない)があると仮定すると、これら9つの因子を避けられるとアルツハイマー病の3分の2が避けると述べています。これはとても高い割合です。人は自分たちのために常に良いことができるないとしても、脳に関係することなら、良いことを多くすればするだけ結果はより良いのです。
寄稿者:Alice G. Walton(写真右)
Forbes AUG 23, 2015  The Lifestyle Choices That Affect Alzheimer's Risk
関連情報:論文Meta-analysis of modifiable risk factors for Alzheimer's disease, J Neurol Neurosurg Psychiatry doi:10.1136/jnnp-2015-310548
編者:既に報告され確かめられてきたアルツハイマー病の危険因子と保護因子に関する新たな規模の大きな文献研究の報告である。この研究チームは中国人で構成され筆頭著者はUCSF在籍のJin-Tai Yu医師(写真左)。最近、アルツハイマー病研究分野で中国人研究者の報告が目立つ。


ヨーロッパで認知症は増えていない(8月20日/イギリス・カナダ)
人口の高齢化にもかかわらず、いくつかの西ヨーロッパの国で認知症が減っていると研究者が報告しています。同時に研究者は、認知症予防を軽視しないように忠告しています。
8月20日版の医学雑誌Lancet Neurologyに掲載された政策論文のなかで研究者は、認知症の頻度に関する5つの大規模研究の結果を論じています。これらの大規模研究は、同じ診断方法による過去20年から30年の間にスウェーデン、オランダ、イギリス、スペインで行われたものです。
筆頭著者のキャロル・ブレインCarol Brayne氏(写真)―ケンブリッジ大学University of Cambridge公衆保健医学教授―は「イギリスでの数値では、年齢別の有病率が低下しておりますが、人口の高齢化にもかかわらず認知症の推計数が安定していることになる」と述べています。
イギリスの研究では、1990年に予測した推計数と比べると、2011年での65歳の総有病率が22%減少しています。
示された認知症有病率の減少は、教育や生活環境の改善、またこの数十年間の高血圧やコレステロールなどの危険因子の減少といった保護因子の改善と時期を同じくしています。
安定した傾向ですが、認知症ケアは、今後何年もの間に引き続き課題であるでしょう。とりわけ、85歳以上の人口は年齢群別のなかで急速に増加しているからです。
ブレイン教授は、これらを「再均衡」と呼び、診断方法や薬を過剰に期待することから予防に向けることを意味します。
研究者らは「高齢期の脳の健康は、人生早期の身体的精神的な健康に根差したもので、認知症の予防は全年齢層でもっとも健康な状態にする注意を払うことが礎になっている」と述べています。
地球規模の予測を替えるには早すぎる
さらに論文のなかで研究者は次のように述べています。
「西ヨーロッパの研究からの得られた証拠は、製薬企業の介入を過剰に強調することより、認知症の発症危険性を人生通して少なくするという予防戦略の有効性を再強化するものです。政策立案者は、自分たちの現在の投資計画を起草するとき、こうした可能性を心に留めておく必要があります」
カナダに関してブライアン氏は「同様な傾向があるかを評価する同じような最新のデータはカナダに無い」と述べています。
ベイクレストBaycrestの会長兼CEOで、トロント大学University of Torontoの老年精神医学教授のウイリアム・ライヒマンWilliam Reichman氏(写真左下)は次のように述べています。
「今回の結果は歓迎します。ここから学ぶ最も重要なことは、認知症と認知症予防に望みがないことではないということです。心臓疾患やがんと同じように、今回の結果は人生の早期および中期に実行可能なことで認知症の危険性を減少させるられるということです。
年を取るなかで危険性を完全に無くすことはできないことですが、少なくすることは可能なのです」
またライヒマン氏はこのデータにあまり深読みすることを注意して次のように述べています。
「ここから得ることが多いか?役立つか?もちろんそうですが、これらのデータが、人口の高齢化に伴いながら認知症の公衆保健分野での影響について私たちの予測を劇的に変えるほどとても説得力がありますが、地球上の他の地域で再現できると考えてはいません。
現在、カナダには70万から80万の人が認知症と診断されています。この数は人口の高齢化に伴い多くなると予測されています。
私たちの誰もが望むことは、発病の危険性を減らす治療と介入を利用することができるということです。しかし、この分野で、今後10年間でこの病気を無くすだろうと信じる人はほとんどいません」
写真説明:カナダ・ノバスコチア州のアートギャラリーArt Galleryのエリン・レンデErin Laende氏(左)とアルツハイマー病のジャック・ホーリセイJack Hallisey氏(右)は、今年6月に公表された同州最初の認知症戦略として芸術プロジェクトを実践している。
CBC  Aug 20, 2015  Dementia stabilized in Europe, studies suggest )
関連情報:論文Dementia in western Europe: epidemiological evidence and implications for policy making Published Online: 20 August 2015 Lancet Neurology
サイト内関連記事:アフリカ系アメリカ人でアルツハイマー病が減っている―その原因は?―(2015年8月14日)
編者:最近、認知症が減っているらしいという報告が多い。希望を抱かせる情報で、認知症予防の研究と実践が重要課題となりつつある。論文で1次予防(危険性を減少させ認知機能予備力を増加させる対策)、2次予防(早期発見とスクリーニング)、3次予防(認知症発症後の対策)のなかで1次予防が最重要であると提言されている。


アフリカ系アメリカ人でアルツハイマー病が減っている―その原因は?―(8月14日/アメリカ)
最新の調査によると、過去20年間でアフリカ系アメリカ人のあいだで認知症とアルツハイマー病が有意に減っています。この調査報告はアルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの雑誌Alzheimer's and Dementiaに掲載されました。
驚くべき結果
研究者は、インデアナポリス・イバダン認知症プロジェクトIndianapolis-Ibadan Dementia Projectのグループで、プロジェクトは二つの地域集団―インディアナポリスに住む70歳以上のアフリカ系アメリカ人およびナイジェリア・イバダンIbadanに住む70歳以上のヨルバYoruba族の人―の認知症の有病率、罹患率など健康状態を比較する縦断的調査です。
これらの集団は1992年と2001年にそれぞれ調査参加の登録が始まりました。
インディアナポリスのあるインディアナ大学医学部Indiana University School of Medicineのスーファン・ガオSujuan Gao氏(写真左上)が指導する今回の分析は、1992年と2001年に参加した集団において認知症とアルツハイマー病の年齢別罹患率を比較したものです。
1992年集団は1440人のアフリカ系アメリカ人と1174人のヨルバ族で、2001年集団はそれぞれ1835人と1895人です。登録の際、認知症の症状を認めた人はありません。参加者はともに2009年までに2,3年ごとに評価されました。
1992年集団では、1440人のアフリカ系アメリカ人のうち191人(13.2%)で認知症に、2001年集団では1835人の94人(5.1%)で認知症が認められました。
アフリカ系アメリカ人での認知症の推計年間罹患率は、1992年集団の3.6%から2001年集団の1.4%と半分以下に低下しました。
ヨルバ族では、認知症の有病率は低いままで、1992年集団の1174人のうち108人(0.92%)が、2001年集団の1895人のうち82人(0.43%)が認知症でした。
ヨルバ族での認知症の推計年間罹患率は、1992年集団の1.7%、2001年集団の1.4%でした。
インディアナポリスのレーゲンシュトリーフ研究所Regenstrief Instituteおよびインディアナ大学加齢研究センターIndiana University Center for Aging Researchの論文上席著者のヒュー・ヘンドリーHugh Hendrie氏(写真左中)は次のように述べています。
「ヨルバ族での率は初め低いが、現在、アフリカ系アメリカ人に近くなっています。インディアナポリスのアフリカ系アメリカ人での併存疾患を観ると、2001年集団では高血圧、糖尿病、脳血管障害の割合が1992年集団より高かった。これらはすべて認知症の危険因子とみなされています。しかし認知症とアルツハイマー病の罹患率が低下しています。ヨルバ族ではほぼ同じ状態です。その理由を推計するだけしかできません。併存疾患が増えてはいますが、主だった違いはその治療率です。より多くの高血圧のアフリカ系アメリカ人が抗高血圧剤で治療し、糖尿病の人についても同じです。1992年集団より2001年集団の方が治療を受けている割合が高いのです。このことから、多分、こうした危険因子をよりよく治療することが、認知症とアルツハイマー病の率が低下した原因だろうと推測します。これはとても心強いことです。わずか一つだけの調査の結果です。国内のより多くの場所で同じ結果が再現されることを知りたい」
刺激的な結果
カリフォルニア大学サンディアゴ校University of California, San Diegoの精神医学・神経科学科のデリップ・ジェステDillip V. Jeste教授(写真左下)は次のように述べています。
「新しい結果に驚きました。論文の著者は、アメリカで糖尿病、高血圧、脳血管障害を治療する心臓血管系などの薬の使用が拡大したことが反映したのだろうと仮定しています。こうした示唆は、1992年と2001年の両方の集団でアフリカ系アメリカ人が調査開始の時点でこれらの疾患の割合がともに高いという事実に基づいています。しかし、インディアナポリスの2001年集団は1992年集団と比べ抗高血圧剤、抗糖尿病剤、脂質低下剤による治療率が有意に高いのです。もしこの解釈が正しければ、罹患率を下げることを目指して認知症の発病要因を治療するという予防方法の重要性が示されているかもしれません。もちろん、認知症の罹患率が下がって原因について決定的な結論を下すには時期尚早です。というのは、その他の医学的社会的な要因がその結果に関与しているかもしれないからです。また今回の結果を一般化するには、その他のアフリカ人やアフリカ系アメリカ人の集団で調べなければなりません。さらにアフリカ系アメリカ人のなかに参加拒否の割合が1992年より2001年で高いのです。このことは選択バイアスをもたらしているかもしれません。こうした制限があるとしても、今回の研究結果は刺激的で、その結果を再現し解釈することを目指したさらなる研究を促進するに値します」
ヘンディリー氏とジェステ氏はともに今回の研究に関連する金銭的関係はないと報告しています。
Medscape Medical News  August 14, 2015 Alzheimer's Disease Declining in African Americans および論文Dementia incidence declined in African-Americans but not in Yoruba; Alzheimers Dement. online July 25, 2015
サイト内関連記事
認知症の罹患率が低下―心臓血管疾患対策の成果?―(2013年4月19日)
イギリスで認知症の有病率が低下(2013年7月16日)
編者:またまた出ました。認知症が減っているという証拠。その原因として糖尿病や高血圧の治療を行っていることらしい。どのような結果が出るかわからない長期にわたる地味は疫学研究が認知症予防に光をもたらすかもしれない。


認知症:私たちが既に知っていることでリスク管理―大規模な認知症介入予防試験が始まる―(8月7日/オーストラリア)
オーストラリアの指導的な認知症研究者の一人であるニューサウスウエールズ大学健康脳加齢センターCentre for Healthy Brain Ageing at the University of NSWの共同所長のヘンリー・ブロダティHenry Brodaty教授(写真左上)は、次のように述べています。
「世界中の何百万の人は、新しい認知症治療の発見を待つより、これまでの医学研究の結果に基づくアドバイスに注意することで認知症を防ぐことができます。
もし高齢者が、これまでより5~19%多く、リスク管理に努めるなら、2,3百万人の人が認知症にならないですみます」
さらに教授は、今年、ランセットThe Lancetに掲載されたフィンランドでの小規模な試み(訳注)の結果を引用して次のように述べています。
「この研究で高齢者は、それまでの研究結果に基づいた健康的な食事指導、運動、脳トレなどのプログラムに実施することで認知機能の低下を遅らせることができました」
本日、高齢化する人口という挑戦に応えることを支援する連邦政府の基金3560万ドルを受理する一人としてブロダティ教授の名前が公表されるでしょう。
またオーストラリアアルツハイマー病協会Alzheimer’s Australiaは、全国保健医学研究委員会National Health and Medical Research Councilの国立認知症研究所National Institute for Dementia Researchに5000万ドルの研究費を設けるための契約を確保しました。6つの認知症研究チームは、この分野に関わる連合体として2億ドルが助成されます。
スーザン・レイSusan Ley保健大臣(写真左下)は次のように述べています。
「ブロダティ教授を代表とするプロジェクトは、認知症のリスクを抑えるためのオンラインによる試験方法で55~75歳の人たちを対象とする世界で最大規模の臨床試験となるでしょう。
現在、認知症を治癒する方法はありません。オーストラリアは効果的な治療に向けた研究と進歩について指導的な位置にいます」
教授のチームは、臨床試験のために1万8000人を登録する予定です。その半数の人たちは危険因子の管理に関する情報が提供され、残りの人たちは医学専門家とオンラインでつながり、相応しい健康的な介入を受けながら特別な支援を得ることになります。
ブラダティ教授は次のように述べています。
「私たちの試験に参加する人たちは、脳にますます多くの病的変化が蓄積するのを防ぐことができるほど若く、次世代の利益になる結果をもたらす研究を実現することができるほど十分に年をとっています。
もし私たちの作業が役立つなら、本当に注目すべきことは、すべてがネットを基盤としネットで配信され拡がりうるということですです。全国レベルさらには国際レベルに拡がる可能性があることなのです」
記者:セーン・パネルSean Parnell(写真右)
THE AUSTRALIAN AUGUST 07, 2015  Dementia: managing risks with what we already know
訳注:A 2 year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring versus control to prevent cognitive decline in at-risk elderly people (FINGER): a randomised controlled trial
編者:ヘンリー教授、いよいよ大仕事に突入。アメリカの新薬に期待する動きと異なる方向性をもった研究に期待したい。


認知症の3人のうち1人は防げる、高血圧が危険因子として増加(7月21日/オランダ)
より健康的な生活を送り、喫煙、糖尿病、高血圧といった避けることができる危険因子を考慮すると、認知症の3人に1人は予防できたかもしれません。近年、特に高血圧が有力な危険因子として注目されました。エラスムス医療センターErasmus MCの研究者たちは、ロッテルダムスタディRotterdam Studyとして知られる大規模で住民の対象として「エラスムスロッテルダム健康スタディErasmus Rotterdam Health Study (ERGO:訳注)」の研究結果を、本日、ワシントンで開催されているアルツハイマー病協会国際会議Alzheimer’s Association International Conferenceで発表する予定です。また研究結果は雑誌BMC Medicineに掲載されました。
認知症は世界的に増大する問題です。人が長生きするようになり、高齢になれば認知症の危険因子が多くなるからです。喫煙、糖尿病、高血圧は、危険因子として知られていますが、今回、エラスムス医療センターの研究者は、初めて、こうした因子が認知症の発症にどのように関わるか、また認知症へのこれらの影響が近年、変化しているのかを調べました。エラスムス医療センターの疫学部Department of Epidemiologyの神経疫学者のアルファン・イクラムArfan Ikram(写真)は次のように述べています。
「結果はとても重要な情報です。標的を決めて予防方法を取ることができるからです。認知症になる危険因子を持つ3人に1人はライフスタイルで予防方法を取ることで防ぐことができるでしょう」
今回の結果は、ロッテルダムのオンモールトOmmoord地区の1万人近い高齢者の健康状態に関する研究によります。
研究結果は、避けることができる危険因子によってもたらされる影響が増えていることを示しています。さらに、これらの危険因子群内で顕著な移行があることを示しています。
さらにイクラムは次のように述べています。
「四半世紀前、喫煙と低い教育レベルが主要な危険因子でした。このことが糖尿病、高コレステロール血症、高血圧の増大に繋がりました。この時期、これらの3つの因子は認知症の発病への役割は小さかったのです。これらの危険因子は合計してこの時期の認知症の人の23%で認められました。この20年間の変化について私たちの分析から、割合は30%に上昇しました。このうち高血圧が最大の犯人で16%を占め、これに低い教育レベルが続きます。高いレベルの教育を受けた人は、認知症になりにくい。高いレベルの教育は認知機能の病的な経過による影響を軽減します。実際こうした人たちは、病気の影響を軽減する多くの予備力を持っています。糖尿病は役割を持ち続けています。こうしたことから認知症の予防はなお広い分野に関わります」
研究者は、今回の研究から喫煙と高コレステロール血症が有意な危険因子ではなくなったことをとても喜んでいます。研究者によるとこの成果は、一部、啓発、予防、治療の改善に起因します。
またイクラムは次のように述べています。
「これらの因子は、もはや私たちの研究で意義ある役割が無くなりました。25年前、ERGOを始めた時、研究への参加者の30%が喫煙していました。この数値は10%に低下しています。さらに、後期の研究への参加者は、10年前の同じ年齢の人と比べると高コレステロール血症を下げる薬の多く服用しているようです。認知症がライフスタイルを改めることで予防できることの証拠としてこのことが役立っています。自分の血圧を監視し、必要であれば下げる方法を取ることで認知症になる危険性を軽減できるのです」
ERGOスタディは、国際的にロッテルダムスタディとして知られていますが、ロッテルダムのオンモールト地区の55歳以上の1万5000以上の人を追跡しています。2015年でこの研究は25年間継続されました。研究の一部として、研究者は、1990年に参加し始めた高齢者のグループと2000年に参加し始めた高齢者のグループとを比較し、両方のグループで10年間のデータを収集しました。両方のグループで似た年齢の人たちを比較し、認知症の発症に関して個人的また集団的に、役割を持ち続けている危険因子を調べました。
エラスムス医療センターは、オランダのもっとも大きく且つ権威ある大学医療センターです。おおよそ1万3000人の職員は、個人的な患者ケアと社会的な医療を継続して改善し、強化しながら患者ケア、教育、科学研究という基本的な作業分野で働いています。職員は、高いレベルの知識を向上させ、その知識を将来の専門家に繋げ、日々の患者ケアに活かそうとしています。次の5年間、エラスムス医療センターは世界中で最善の医療施設の一つに成長することを希望しています。エラスムス医療センターは、オランダ大学医療センター連盟Dutch Federation of University Medical Centers (NFU)の一員です。
(Erasmus MC Press Room 21 July 2015 Dementia avoidable in one in three patientsおよび論文The potential for prevention of dementia across two decades: the prospective, population-based Rotterdam Study)
訳注:オランダ語のErasmus Rotterdam Gezondheid Onderzoekの略称。
編者:質の高いロッテルダムスタディーがまた疫学研究の新たな成果を出した。予防可能を証拠を示したのだ。


大気汚染で脳萎縮(4月23日/アメリカ)
ボストンに在るベス・イスラエル・ディーコネス医療センター・医療部・心臓血管系疫学調査科Cardiovascular Epidemiology Research Unit, Department of Medicine, Beth Israel Deaconess Medical Centerのエリサ・ウイルカーElissa Wilker医師(写真左上)らのグループは、長期に大気汚染に曝されると心臓血管系疾患や認知機能障害に影響が生じるとされているが、脳の構造的変化との関連については不明として疫学調査を行いました。
調査対象者は、フラミンガム子孫研究Framingham Offspring Studyの登録者で年齢が60歳以上、認知症と脳血管障害を認めない900人以上としました。
大気汚染については、微粒子物質(PM2.5)を幹線道路に近い居住区で測定し、脳萎縮については全大脳、海馬、白質高信号域の容積および無症候性脳梗塞をMRIで測定しました。
その結果、PM2.5濃度が高い地域の住人は濃度が高くない地域の住人より大脳容積が少ない相関を認めました。このことから大気汚染が認知症や脳血管障害を認めない人でも脳の構造的な加齢でみられる無症候性の影響があることを示唆したと結論づけました。
この研究論文は医学雑誌STROKEの電子版2015年4月23日版に掲載されました。
この結果についえウイルカー医師は「大気汚染が脳萎縮を起こす仕組みは不明ですが、肺に微細粒子が蓄積することで炎症が起こる」と述べています。
ボストン大学医学部Boston University School of Medicineの神経科サダ・セシャドリSudha Seshadri教授(写真左中)は次のように述べています。
「概して汚染が多い地域に住んでいる人は少ない地域に住んでいる人より脳容積が1歳だけ萎縮します。また無症候性脳血管障害の発症の危険性は46%高くなります。無症候性脳血管障害が症候性脳血管障害、認知症、歩行障害、うつ状態の発症の危険性が高めことが分かっているので今回の結果は需要です」
なお昨年、研究者らは「通勤通学者は、大都市で幹線道路を避けて脇道を使うことで汚染した空気を吸い込むことは半減させよう」と勧告しました。
ロンドン大学クイーン・メアリー校Queen Mary, University of Londonの小児科医で汚染研究者のロッサ・ブルガRossa Brugha医師(写真左下)は「歩行者も道順を少し調整することで健康な状態を保つ利益を得るだろう」と述べています。
The Telegraph 23 Apr 2015 Air pollution could increase risk of dementia 及び論文Long-Term Exposure to Fine Particulate Matter, Residential Proximity to Major Roads and Measures of Brain Structure
サイト内関連記事:大気汚染は認知機能の低下を招く(2012年12月23日)
編者:大気汚染と認知機能の相関に関しての研究報告は既にある。今回の後ろ向きの疫学調査の報告は大気汚染が認知症の発症を高めると指摘したわけではなく、可能性があるとのことだ。それにしても大気汚染から身を守るために車の多い幹線道路ではない道を選ぼうと医師が勧めることには納得し難い。この話は日本では聞かない。


アルツハイマー病予防にMIND食がお勧め(4月22日/アメリカ)
地中海風食事Mediterranean dietについて多分、聞いたことがあるでしょう。この食事は、野菜、全粒穀物、木の実、豆、魚、鶏肉、オリーブ油、控えめなワインを摂ることで、体重や心臓血管系の状態を改善すると示されています。マインドMIND 食は、未だ知らないでしょう。これは地中海風食事から派生したもので、アルツハイマー病の発病を減らすのに役立つなど多くの特徴を共有しています。
新しい研究は、3つの異なる食事―地中海風食事、MIND食とよく知られたダッシュDASH食―を摂り続けることがアルツハイマー病の発病の危険性にどのように影響するか比較しました。約1000人の高齢の男女で5年間追跡しました。その結果、地中海風食事を摂った人が最も効果があること―危険性を54%低下―を認めました。MIND食では53%の低下、DASH食では39%低下することを認めました。こうした効果は、年齢、性別、身体的活動性、肥満とは独立して認められました。
DASH食や地中海風食事を十分に実行できなかった参加者についてはアルツハイマー病の危険性が低下することが認められませんでした。しかし十分に実行できない場合でもMIND食を続けた参加者では35%の危険性を低下が認められました。地中海風食事は続けることが一番簡単なようにみえますが、実施率は約57%、MIND食で49%、DASHでは41%でした。
こうした違いは、食事計画を立てる時に食事制限の程度と持続のしやすさに依存しているようです。DASH食は、毎日のカロリーと飽和脂肪とナトリウムの消費量のみ制限したものですが、MIND食と地中海風食事は、食材とその成分などを制限しません。この結果、DASH食に比べて2種類の食事は守られることが有意に高いのです。食事の推奨が実施するのが耐え難いものなら制限された植字は役に立たないのです。
地中海風食事とMIND食の主な違いは、後者が緑野菜とベリー類を強調していることです。この方法で食べ続ける日々は、さまざまな風味と対照的な食感を伴うめまいがするほどのうまさの探求とまるでしょう。
Fox News April 22, 2015 Preventing Alzheimer's: How to eat on the MIND diet
関連情報
訳注:MINDはMediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delayの略称。DASHはDietary Approaches to Stop Hypertensionの略称。
論文:MIND diet associated with reduced incidence of Alzheimer's disease(Online: February 11, 2015 Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association)
記事:New MIND Diet May Significantly Protect Against Alzheimer’s Disease (March 16, 2015  Press Releases  Rush University Medical Center)


「小児癌生存者、若年認知障害3割で発症【米国癌学会】5年以上生存の7割で軽中等度疾患に罹患」(4月16日/M3.com)
米国癌学会(AACR)は4月1日、小児癌生存者の有病率は増加しており、大多数が慢性疾患を抱えている可能性を報告する研究結果を紹介した。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に掲載。
本研究では、9つの米国レジストリ(Surveillance, Epidemiology, and End Results : SEER)より1975-2011年に記録された癌の発生率と生存データ、および小児癌生存研究(Childhood Cancer Survivor Study: CCSS)のコホートデータを用いて小児癌生存者数を推計した。
その結果、米国の小児癌生存者は38万8501人と推定され、約84%が診断から5年以上生存していた。このうち、70%が軽度から中等度の慢性疾患に罹患、32%が重度の身体障害、または生命に影響する慢性疾患を抱えていると推計された。また、20-49歳の生存者の35%が神経認知機能障害を発症しており、うち13-17%は機能障害や活動制限、精神障害、疼痛、不安や恐怖などを自己報告していた。
結果を受けて研究者は、「癌の治癒のみに集中したのでは小児癌生存者の実態を不完全にしか把握できない」と現状を問題視。その上で、「疾病発症を効果的に予防、遅延するため、小児癌生存者の易罹患性に影響する運動や食事、治療に関する特徴などの多層要因を深く理解する必要がある」と指摘している。
M3.com 2015年4月16日 原文のまま
編者:同記事は当初「認知障害」と認知症と表記した。疑問に思い、原文の英語記事(Number of Childhood Cancer Survivors Increasing, Most Have Morbidities 4/1/2015 AACR)および論文(Survivors of Childhood Cancer in the United States: Prevalence and Burden of Morbidity Cancer Epidemiolgy, Biomarkers & Prevention April 2015)で確認したところ、neurocognitive dysfunctionを間違って認知症と訳した。M3に指摘したら速やかに「認知障害」改めた。もっとも「神経認知機能障害」が適切な訳語だ。


うつ状態と糖尿病の二疾患あると認知症によりなりやすい(4月15日/デンマーク・アメリカ)
うつ状態と糖尿病(2型)は、それぞれ独立して認知症の発症を高める危険因子ですが、二つを合併している場合、危険性はどうかの研究が行われていないとして、アメリカ・シアトルに在るワシントン大学医学部精医学・行動学科Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, University of Washington School of Medicineのディミトリー・デイヴィダウDimitry Davydow医師(写真左上)と、デンマークのオーフス大学公衆保健部総合医療研究科Department of Public Health, Research Unit for General Practice, Aarhus Universityのヘンリク・ペダーセンHenrik Pedersen医師らのグループは、二つが合併した場合と二つともない場合とで認知症(原因疾患は問わない)の危険性を調べました。
調査対象者はデンマークの全人口に基づく245万4532人(訳注:2013年のデンマーク人口約560万人)として集団調査を行いました。このうち、うつ状態の人は47万7133人(19.4%)、糖尿病の人は22万3174人(9.1%)、両方合併する人は9万5691人(3.9%)でした。さらに対象者を50歳以上で生存している認知症のないデンマーク市民(期間:2007年1月1日~2013年12月31日)に限りました。認知症の診断は、デンマーク国民患者登録Danish National Patient Registerまたはデンマーク精神医学センター登録Danish Psychiatric Central Registerによる医師の診断、または/およびデンマーク国民処方箋登録Danish National Prescription Registryによるコリンエステラーゼ阻害剤またはメマンチンの処方で確認しました。
うつ状態は、デンマーク精神医学センターの精神科医の診断またはデンマーク国民処方箋登録の抗うつ剤の処方で確かめました。糖尿病は、国民糖尿病登録National Diabetes Registerで確かめました。
その集計の結果、追跡期間中の1383万4645人・年のうち5万9663人(2.4%)が認知症を発症しました。このうち糖尿病の人は6466人(10.8%)、うつ状態の人は1万5729人(26.4%)、両方合併の人は4022人(6,7%)でした。
糖尿病でもうつ状態でもない人と比較して、認知症発症の調整ハザード比は、うつ状態で1.83、糖尿病で1.20、両方合併で2.17でした。両方合併の人が認知症になる過剰危険性は糖尿病やうつ状態の個々による危険性の合計値より多かった。とりわけ65歳未満の人で顕著でした(ハザード比:4.84)。
この論文はアメリカの医学雑誌JAMA Psychiatryの2015年4月15日のオンライン版に掲載されました。
デイヴィダウ医師は次のように述べています。
「慢性疾患の社会的な負担が増大するなかで、うつ状態と糖尿病とそのを原因とする認知症の発症連関メカニズムを明らかにするため、またこうした恐るべき状態を防ぐための介入方法についてさらなる研究が必要です」
またイギリス・アルツハイマー病協会Alzheimer’s Societyの研究開発部長のドウ・ブラウンDoug Brown医師(写真左下)は次のように述べています。
「この研究は、管理が不十分な糖尿病やうつ状態が認知症の危険性を高めるという多くの証拠を補強するものです。また二つの状態が合わさることで危険性がさらに増すという認二疾患の相互反応を示唆するものです。研究は、公衆保健の改善に役立ちますが、糖尿病やうつ状態の人がこのニュースを知って、自分達がいずれは認知症になると理解しないでほしい。このことに関心を抱くなら、自分達の一般医GPに受診しましょう。他方、認知症になる危険性を減らす最善の方法は、健康的でバランスのとれた食事、多くの運動、健康的な体重維持、そして禁煙であることを銘記しましょう」
Daily mail 15 April 2015 Having depression or diabetes raises the risk of dementia by up to 80% - and even more if you suffer both および論文Effect of Depression and Diabetes Mellitus on the Risk for Dementia  A National Population-Based Cohort Study
編者:糖尿病もうつ状態も認知症の危険因子と広く認められている。二つを合併した場合、認知症発症の危険性は各疾患の相和以上であるとの研究報告である。目新しい研究成果とは思われません。それにしてもデンマークにはいろいろは登録制度があり疫学研究に役立つビックデーターがあることに驚かされる。


抗コリン作用の薬が認知症発症の危険性を高めるらしい(1月26日/アメリカ)
アメリカの医学雑誌JAMA Internal Medicine(2015年1月26日オンライン版)に掲載された論文によると「抗コリン作用」のある薬を多量また長期に使用する高齢者で認知症の発症の危険が高まる可能性があります。しかし専門家は、この種の薬をただちに止める必要はないと注意を促しています。
すべての薬には副作用があり、抗コリンの薬でも副作用があります。この薬はアセチールコリンという神経伝達物質を阻害する薬です。
薬に添付されている患者情報に、口腔乾燥と同様に集中時間が短くまた記憶障害が生じる可能性があると警告されています。
ワシントン大学薬学部University of Washington School of Pharmacyのシェリー・グレイShelly Gray医師(写真左上)は、「こうした薬が認知症になる危険性を高めるかもしれなことは認識しておくべきだ」と述べています。
グレイ医師らのグループは、調査開始時に認知症の症状がなかった65歳以上の3434人の健康状態を追跡しました。医療や薬の記録から、どれだけの人が抗コリン作用のある薬を服用していたか、服用量はどれくらいか、どれほどの頻度に使用したかを、10年間追跡し認知症と診断された人について比較しました。追跡期間に797人が認知症になりました。
最も多く使用された抗コリン作用のある薬は、抗うつ剤、花粉症などのアレルギーの抗ヒスタミン剤、睡眠補助・導入剤、尿失禁の治療薬でした。使用された薬の5分の1近くは処方箋が必要でない店頭販売薬でした。
論文では、ドキセピンdoxepin(抗鬱剤)(訳注1)の少なくとも1日10mg、ジフェンヒドラミンdiphenhydramine(睡眠補助剤)(訳注2)を1日4mg、オキシブチニンoxybutynin(尿失禁剤)(訳注3)を1日5mgを3年間以上服用している人が認知症になる危険性がt高いと推測しました。
さらにグレイ医師は次のように述べています。
「医師や薬剤師が副作用を防ぐ方法をとり代替治療を進めることを望みます。代替治療がない時は、できるだけ短期間に少量を使用とすべきです」
またグレイ医師は「研究に参加した人たちうち何人かは死後解剖に同意しました。脳の病的変化を観て、今回の結論を裏付ける生物学的仕組みを見付けることができるでしょう」と述べています。
イギリス・アルツハイマー病研究機構Alzheimer's Research UKの研究部門代表のサイモン・フィドレイSimon Ridley医師(写真左中)は次のように述べています。
「今回の研究は興味あるが、最終的な結論ではありません。こうした薬が認知症の原因だとする証拠がないのです」
また、イギリスのアルツハイマー病協会Alzheimer's Societyのダグ・ブラウンDoug Brown医師(写真左下)は次のように述べています。
「今回の研究が示したように高齢者が抗コリン作用のある薬を定期的に服用する場合、ある環境で認知症の危険性を高めるということについて関心はありました。しかし、もしそうなら影響は長期間使用か短期間の複数回の使用によるものか明確ではありません。どの薬がより危険性が高いのかを知るためにもっとしっかりした研究が必要です。私たちは、医師や薬剤師にこうした可能性について認識することを推奨し、関心を持って薬を止める前に一般医と話すことを助言したい。協会はこの分野でさらなる研究を助成して認知症になる可能性のあるこうした薬や他の薬との関連をより理解するようにします」
イギリスで臨床で使われている薬の安全性を監視する「イギリス医薬品庁 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency(MHRA)」は「今回の新しい証拠について検討したい」と見解を述べています。
BBC 26 January 2015  A study has linked commonly used medicines, including over-the-counter treatments for conditions such as insomnia and hay-fever, to dementia および論文 Cumulative Use of Strong Anticholinergics and Incident Dementia A Prospective Cohort Study
訳注
1:SSRIの抗うつ剤。わが国では市販されてない。
2:レスタミンコーワ(商品名)がある。睡眠補助剤として使われることは稀。
3:ポラキス(商品名)がある。
編者:大がかりな調査の結論ついてのイギリスで評価は高く無いようだ。認知症の危険因子の可能性がないとはいえない抗コリン作用の薬についての記事と論文を紹介した。


アルツハイマー病の個人別発病リスクを知る新しいオンラインテスト(1月20日/イギリス)
20日からオンラインで利用でき15から20分で済むテストは、中年からの致命的な脳の状態―アルツハイマー病―になる個人別のリスクを評価し、発病の危険性を減らす方法を示します。
アルツハイマー病でイギリスの指導的な権威たちの一人であるオックスフォード大学のデヴィット・スミスDavid Smith教授(写真左上)と慈善団体「脳のための食品Food For The Brain(FFTB)」の支援で開発されたテストです。
スミス教授は次のように述べています。
「このテストで長期的な発病の危険性を少なくするための積極的な予防を始めるだけでなく、食事や生活様式を変えることが認知機能にどのように影響するかを毎年、追跡することもできます。またこのテストを実施する何十万の人たちの結果が、国家的予防戦略を支援する重要な情報源となることを希望します」
現在、アルツハイマー病の薬による治癒はなく、期待される薬もありません。このため現在、この病気と闘う唯一の方法は生活様式を変えて発病の危険性を減らすことです。
認知症の権威は、認知症の危険因子の半数以上は変えることが可能と推測します。遺伝子そのものによって発病することは100分の1に過ぎません。理論的には特別な食事や生活様式を変えることで危険性を半減することができるかもしれないのです.
新しいオンランによる「認知機能テストCognitive Function Test(CFT)」は、できるだけ早期に記憶機能の些細な変化を追跡して発病の危険性のある人を特定するという予備試験に20万人が参加し、一般医の診療所と専門医のもの忘れ外来で標準的なテストと比較、検討されました。
このテストは、15分から20分で終了するもので、信号機の警告システムを使って将来の危険性を予測する三つの記憶機能―エピソード記憶(出来事を覚える機能)、実行機能、および処理速度―を測定する双方向性のテストが含まれています。
テストには10分後にイメージを思い出す能力や二つの文字の並びが同じか違うかを判断する力も含まれます。
また。食事や生活様式に関する37項目の質問があり、これは発病の危険性を少なくするために必要な個々人の危険性が高い因子などを評価します。
どのような生活様式と食事がアルツハイマー病の発病の危険性に直接に影響する理解を向上させるためにこのテストは利用できます。これは生活様式に関する何千という回答とその評価を照合することで作成されました。またテストから個人が実施できる個別的な健康計画も提供します。
このテストは、ニューヨークに在るコーネル大学医療センターCornell University’s Medical Centreの専門家によって試験されています。彼らは、アルツハイマー病の危険性を予測する早期の認知機能の変化を拾い上げる研究にこのテストを使っています。
パトリック・ホルフォードPatrick Holford氏(写真左下)は、栄養と精神保健の専門家ですが、FFTBの広報担当しており、次のように述べています。
「積極的な予防方法を始める人を推奨し、さらに今後、記憶機能を追跡することで、何十万人の人たちが特別な食事や生活様式を改善することでどの程度、認知機能の低下を止めたり遅らせるかを知ることを希望します。50歳以上の誰もが積極的な予防方法を、遅すぎないうちに、今、始めることを勧めたいのです。50歳から毎年、感度の優れた記憶テストを受け始めることで発病の危険性を少なくする可能性のある行動が取れるようにチャンスを最大限に活かすことにつながるでしょう。脳は、遅くとも50歳から萎縮が始まります。言い換えれば、80歳代で突然にアルツハイマー病になるわけではありません。脳はもっと早い時期に萎縮が始まっています。アルツハイマー型認知症になるまでに30年から40年の経過があります。60歳以上の人では5人に2人で脳萎縮が加速し、アルツハイマー病になる危険性がとても高いのです」
さらにホルフォード氏は次のように述べています。
「質問表を試した20万人以上の人たちのうち8%が危険性の高い「赤」、7%が「オレンジ」(中間)、85%がグリーンの認知機能が正常でした。テストを受けた人の多くは自分の記憶が悪化すると心配していましたが、実際は正常と知った人が多いのです。このテストの利点は、具体的に不安を和らげ、多くの人の両親がアルツハイマー病で、次は自分で、することは何もないと思い込んでいます。『赤』に該当した人は登録している一般医に受診し、記憶障害の要因はないかを話し合うように勧めます」
50歳以上の4人に1人はアルツハイマー病になる予測されます。この病気は不可逆的で認知症の最も多い型で、イギリスに85万人います。
アルツハイマー病の人の5人に1人はビタミンB群―特に、動物性食品由来のB12―が少ない、高齢者では吸収しにくくサプリメントを必要とすることが多い。
またアメリカの研究によると、5人に1人は、オメガ3脂肪が少なく、魚を食べることが少ないのです。
他の発病の危険因子として、ポロフェノ-ルを多く含む野菜や果物の摂取が少ないこと、運動不足、社会的で知的な刺激のある活動が少ないことがあります。
さらに、砂糖や精精製された炭水化物を多く摂ることや糖尿病も危険性を高めます。
コーヒーより緑茶の飲むことが、長期的に危険性を下げるようです。
新しいCFTは、どのタイプのコンピューターやノート型パソコンでも使えますが、携帯電話やスマホでは使えません。
またスクリーニング用テストで、診断のためのテストではありません。記憶機能をとても深刻に気にされている人は一般医に受診することが勧められます。
テストの詳細は、次のサイトwww.foodforthebrain.orgに載っています。
Eexpress January 20, 2015 Breakthrough test gives new hope of cutting Alzheimer's risk
編者: CFTをオンラインで試した。結果は「赤」のMCIで、予防面は何故かビタミンサプリメントがお勧めと出た。テストが科学的に正しいと保証できないが、試みてよいテストと思う。このテストの利点は予防方法を提示と受験者が自ら追跡できることだとう。こうした多くの情報を収集することでより正確で科学的なテストと予防方法が開発されるかもしれない。


2014年


アルツハイマー病リスク評価・介入外来の開設(12月14日/アメリカ)
神経内科医のダヴィッド・ゲルドマッハーDavid Geldmacher医師(写真)は、アラバマ大学バーミンガム校記憶障害科University of Alabama at Birmingham Division of Memory Disordersの科長で、多くの記憶障害、認知症、アルツハイマー病の高齢患者を診ています。彼は、また、こうした人たちの介護者―配偶者や成人した子供が多い―も知っています。
ゲルドマッハー医師は次のように述べています。
「記憶障害のある人たちに対応する際、多くの時間が記憶障害ない人たちにどう予防するのかに関わる助言に費やされています。認知症の発症リスクを評価する外来が必要なことに認識しました」
認知症の危険因子を調べる国際的な研究を基に、彼は、アラバマ大学バーミンガム校アルツハイマー病リスク評価・介入外来UAB Alzheimer's Risk Assessment and Intervention Clinicを創設しました。こうした外来は我が国では初めてです。患者は、詳細で個別的な評価を受けますが、この評価は家族歴、詳細な記憶能力歴、認知機能検査、基本的なMRI検査を含みます。得られた情報が現行のリスク予知モデルに当てはめられます。このモデルは、正確なリスク評価のため20年間、何千という患者を追跡した研究によって意義ありとされたものです。
さらに彼は次のように述べています。
「詳細な危険因子の過去の情報を集めるのに1時間半ほどかかります。変更可能な危険因子を重視しますが、認知症に直面する多くの人たちは、「年取った」「私の父や母は認知症だった」といった変更不可能な危険因子を重視するのです。これらは変えることができません。身体活動の程度、コレステロール値、血圧値といったことは変えることはできます。
いくつかの研究から、一つあるいはそれ以上の危険因子を減らすことがアルツハイマー病を発病する機会を減らすことに意義ある効果と示されています。
ほとんどの人にとってアルツハイマー病は生きている時の病気の一つで、死因ではありません。個々人のリスクをよりよく理解することで、重篤な記憶障害になるリスクを最小限にする方法があるのです。短期的および長期的なリスクの課題の一つは、心臓血管系の健康状態です。これはライフスタイルを変え服薬といった方法でなんとか管理が可能なのです」
ゲルドマッハー医師は仮定の患者を提示して次のように説明しています。
「患者は50歳代の女性で、認知症の家族歴があり、軽度の肥満と心臓血管系の複数の問題を持っているとします。彼女は三つのこと―体重の減らす、コレステロールの管理する、血圧の正常に維持する―の一つを変えることで、発病のリスクを半減でき、三つとも変えるとリスクをさらに半分にすることができます」
ジョン・クリングJon Kling氏は実際の患者です。彼の母親が認知症で、母親の4人姉妹はすべて認知症でした。彼は72歳で、半ば退職した資産運用専門家ですが、ほぼ健康です。しかし認知症のリスクを心配しています。新しい外来でゲルドマッハー医師の診察を受けた最初の患者の一人です。
クリング氏は次のように述べています。
「今、私が基本的にどのような状態なのかを明確にすることをとても希望しています。特別なリスクがあり、未知の過程を下っているように感じてはいません。ただ、私が現在どのような状態にあるのか知りたいのです」
クリング氏は、いい知らせを聞きました。認知症になるリスクはかなり低いのです。ゲルドマッハー医師による評価は、リスクをどのように少なくするかの提案―身体運動を高め、適切な食事を摂ることを含む―が入っています。クリング氏は、すでにこうした提案を実行しているのです。
さらにクリング氏は「歩くこと、軽い仕事といった身体活動、こうしたことを何年もやってきました。評価は、まさに私が正しいことをしていたこと、および、それを持続することを補強するものです」と述べています。
またゲルドマッハー医師は次のように述べています。
「研究のモデルから、40代後半から50代の人たちに関する20年間の長期的リスク評価を提供し、高齢者については6年間の評価を提供します。クリング氏は、評価することで啓発と教育になるとの認識で支えと信じています。
もし、私が理想体重について質問すると、その体重を正確に答えることができるでしょう。しかし認知症やアルツハイマー病の3つあるいは4つのリスクが何か名前を訪ねると、答えられるでしょうか。実際、ほとんどの人は知りません。こうしたことで必要とされる啓発のかなりのことが提供されることになります」
ゲルドマッハー医師にとって、認知症の進行の予防や減速はとでも重要です。
続けて彼は次のように述べています。
「2014年の時点で、さらには近い将来、アルツハイマー病に至る脳で起きている変化を有意にたたく薬を持っていません。私たちは、まだアルツハイマー病の原因を理解していないのです。薬による予防は遠い目標です。研究室や臨床試験で毎日なんらかのことをしてはいますが、明日、あるいは来週に解明されるというものではありません」
クリング氏にとって評価を受けることと、現在の状態を知ることは励みになります。
そして彼は次のように述べています。
「リスクを知ることで心が和みます。アラバマ州バーミンガムのここホームグランドでこうした支援があることを知ってすばらしい。ゲルドマッハー医師と彼のプログラムが提供するこの種の専門的なリスク評価があることはすばらしい。とても有益だと思います」
受診者は、ゲルドマッハー医師とスタッフを受診する二つの外来があることになるでしょう。第一は、受診者のこれまでの経過をまとめることと検査です。第二は、個別的な治療計画―生活様式を変えることを支援する資源を利用する方法と教育的な材料を見付けられる場所―を決めるものです。また外来では、個々人あるいは家族の認知症の負担を軽減するために取り上げられる方法を支援するでしょう。これら二つの外来受診は、個別支払方式でMRIを含めると総額1000ドルほどとなるでしょう。
ゲルドマッハー医師は次のように予測しています。
「リスク評価外来は、最終的に記憶障害の危険因子を下げるような薬や治療方法の発見を目指したプロジェクトの研究への入り口として役立つでしょう」
News Medical Net December 14, 2014 UAB neurologist creates clinic to offer personalized Alzheimer's risk assessment service
関連情報:UAB Alzheimer's Risk Assessment and Intervention Clinic(pdf2M)
編者:新しい実験的外来が有意義かどうかの評価が定まるには時間が必要だ。認知症の危険因子について介入試験の成果が乏しい。もの忘れ外来とことなり、どの病院でも直ぐに始められる外来でなく、開設するとなれば慎重に行なうべきだと思う。


「牛乳で認知症減少の可能性 明治などが共同研究を発表」(11月27日/産経新聞)
明治は27日、牛乳や乳製品を食事に多く取り入れた人がアルツハイマー型認知症になる確率が、そうでない人に比べて約4割減少したとの研究結果を発表した。九州大大学院の清原裕教授が代表理事を務める久山生活習慣病研究所(福岡県久山町)と共同で研究した。
人口約8300人の久山町では、九州大大学院と久山生活習慣病研究所が主導して、住民を対象にした脳卒中や認知症の研究が1960年代から行われている。今回の研究は、60歳以上の住民約千人から約17年間の食事の内容を聞き、牛乳や乳製品に関して調べた。
明治によると、取り入れた量の多いグループと多くないグループを分けて、アルツハイマー型認知症の発症の確率を調べると、多いグループが目立って低下したという。
産経ニュース 2014年11月27日 原文のまま
関連情報:「牛乳・乳製品の摂取が認知症予防に及ぼす新たな知見を確認 11月27日 明治)
編者:牛乳および乳製品を摂取するような食習慣が認知症の保護因子であろうとみた方がよい。


「認知症 前段階も検診可」(8月22日/読売新聞)
JA長野厚生連は、がん発見のための高精度な画像診断装置「PET/CT」を用いた認知症検診を9月から、「長野PET・画像診断センター」(長野市若里)で始める。導入は県内では2例目、東北信地域では初めて。がん検診の際に利用でき、1週間から10日間で結果が通知される。上野恭一センター長(66)(写真)は「認知症の前段階の症状も検診できるので、早期診断で健やかな暮らしにつなげてほしい」と話している。
PET/CTは、陽電子放射断層撮影(PET)と、コンピューター断層撮影法(CT)を組み合わせた診断装置で、病巣の正確な位置と活性度を調べられる。
PET検診では通常、がん細胞が正常細胞よりブドウ糖を多く消費するという特性に着目。ブドウ糖と放射性物質を合成した薬剤を注入すると、薬剤はがん細胞のある部分に集まり、放射線を出す。その様子を撮影してがんを見つける。
代謝の高さでがん細胞を見つけるのに対し、認知症検診では、代謝の低さから異常を見つける。
脳は体内で最もブドウ糖を消費する器官。また、神経細胞間で情報を交換する神経伝達物質や受容体がある。脳の血流やエネルギー代謝は、神経細胞の活動が盛んな部分で高く、活動が衰えた部分では低くなる。
検診では、数百人分の正常な人の脳の画像をデータ化した画像統計解析システムを活用する。ブドウ糖を含んだ薬剤を注射し、糖代謝の低下状況を画像化。システム内の正常な脳と比べることで脳の機能低下や認知症の種別を診断できる。
がんドック検診(税別9万9000円)のオプション(同2500円)として利用できる。対象は原則60歳以上で1日4人まで(完全予約制)。問い合わせは同センター(0120・780・336)へ。
県の推計によると、認知症高齢者は2010年の5万4000人から、25年には8万2000人に増え、65歳以上の人口比も9・5%から12・8%に高まる見通し。早期発見で進行を遅らせたり、改善させることができると言われる。
Yomiuri Online 2014年08月22日 原文のまま
編者:この種の「認知症健診」の意義は曖昧だ。何を見付け、何ができるのかが不明なのだ。往々にして高価な医療機器を遊ばせておかないで経営的に有効利用しようとの意図がある。問題提起として記事を紹介した。


ビタミンD欠乏は認知症の発症を高める(8月7日/イギリス)
この度の研究によって、ビタミンDが重度に欠乏している高齢者は認知症を発症する危険性が高いことが、示唆されました。この研究結果は雑誌Neurologyに掲載されました。
これはビタミンDと認知症の関係を示唆する初めての研究ではありませんが、研究者は「これまでで最も規模が大きく、最もしっかりした調査だ」と述べています。
しかしながら、専門家は「高齢者にとってビタミンDが予防目的の治療とみなすにはまだ早すぎる」と述べています。
高齢者の皮膚は日光浴でビタミンDに変換する効率が悪いので、効果的で信頼できる他の方法でビタミンDを産生させなければなりません。
エクスター大学医学部University of Exeter Medical Schoolのデヴィッド・レーウェリンDavid Llewellyn医師(写真左上)らの国際的研究グループは65歳以上の高齢者1650人を6年間追跡しました。
追跡開始時点で、すべての高齢者には認知症、心臓血管系疾患、脳血管障害を認めませんでした。追跡終了時点で以下のことが認められました。
追跡対象者でビタミンDの血中濃度が良好なレベルの1169人では10人に1人が認知症になり、重度に欠乏した70人では5人に約1人が認知症になりました。
この結果についてレーウェリン医師は次のように述べています。
「血中の低い濃度のビタミンDと認知症およびアルツハイマー病の発症の危険性との相関があることを予期しましたが、結果は驚くほどで、予期したより相関の程度が2倍強いのです。
油の多い魚のようなビタミンDが多い食品を食べる、あるいはビタミンDのサプリメントを摂るといったことがアルツハイマー病や認知症の発症を遅らせたり予防することができるかどうかを確かめるためのさらなる研究が必要です。
こうした初期の研究過程での結果については慎重でなければなりません。今回の最も新しい結果から低レベルのビタミンDが認知症の原因だと私たちが証明したわけではありません。しかし結果はとても自信を与えるもので、数少ないビタミンDが欠乏している人たちに限定した利益だとしても、多くの人々の健康への影響がこの破壊的で高くつく認知症を変えることになるでしょう」
クレール・ウオルトンClare Walton医師(写真左下)―アルツハイマー病協会Alzheimer's Society の研究交渉係―は次のように述べています
「こうした研究によって、ビタミンDの欠乏が認知症の原因かどうかを示すことはできあません。現在、二つの状態がどのように相関するか、また人が認知症と低レベルのビタミンDとの二つの状態になる別の要因があるのか、についてははっきりしません。
そうだとすれば、ビタミンDの濃度を高めるたにサプリメントを使ったり、日光浴をすることが認知症やアルツハイマー病の進展に影響することはないでしょう。ビタミンDのレベルを高めることが65歳以上の認知症を減らすよい方法であるかどうか、大規模な臨床試験で直接確かめることが必要です」
BBC 7 August 2014 Low vitamin D 'boosts dementia risk'
論文:Vitamin D and the risk of dementia and Alzheimer disease (Online August 6, 2014, Neurology)
サイト内関連記事:「運動、茶、ビタミンDが認知症を予防するらしい」(2010年7月11日)
編者:大規模な介入的疫学研究を行わないことには結論が出ないことは当然であるが、この種の研究は極めて困難だ。今回の観察的疫学研究の結果を尊重することでよいと思う。


「運動と頭の体操一緒に 認知症予防に「コグニサイズ」」(8月5日/東京新聞)
認知症予防に向け、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が運動と、頭の体操を組み合わせ、日常生活で簡単にできるトレーニング法を開発した。「コグニサイズ」と命名し、方法やメニューを解説した冊子を七月に作成。今後、全都道府県に配布し、普及を呼び掛けていく。 (山本真嗣)
お年寄りたちが声を出して数字を数えながら、リズムよく左右にステップを踏む。三の倍数になると、声は出さずに両手でパンッ。小気味よい拍手が会場に響き渡った。
大府市の高齢者たちが毎週一回、自主的に開く運動教室。ステップを前後に変えたり、手をたたく数字を五の倍数に変えたり。コグニサイズで、三十分ほど汗を流した。代表の溝口輝芳さん(70)は「始めてから頭がすっきりして、集中力もついた」と喜ぶ。
コグニサイズは認知、認識を意味するcognition(コグニション)と、運動のexercise(エクササイズ)を組み合わせた造語。ステップやウオーキングなどの軽い運動と、計算やしりとりなどの「認知課題」を同時に行い、認知機能の向上を目指す。
「二つの課題を同時にこなすことが大切」。同センター生活機能賦活研究部長の島田裕之さん(43)(写真)は言う。認知症の大半を占めるアルツハイマー病は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積して神経細胞が死滅し、脳が萎縮する。運動すると、脳の神経を成長させる「脳由来神経栄養因子」というタンパク質が、記憶をつかさどる海馬で多く分泌される。さらに計算などで脳が刺激され、新しい神経細胞がつながりやすくなると推測する。
同センターが二〇一〇年に大府市で、軽い認知機能障害のある六十五歳以上の百人を調査した結果、コグニサイズを取り入れた運動教室の参加者の八割で、記憶力向上などの改善がみられた。これらの研究成果を基に、誰でも自宅や運動教室で気軽にトレーニングできる方法を冊子にまとめた。
ポイントは体と脳への適度な負荷と、短時間でいいので毎日実施し、習慣にすること。運動はステップやストレッチ、ウオーキングなど異なる内容のトレーニングを複数取り組む。強度は「楽」か「ややきつい」と感じる程度で、決して無理はしない。十~十五分から始め、慣れてきたら少しずつ増やす。認知課題は同じことを繰り返すと慣れるので、頻繁に変える。
コグニサイズの効果に着目し、介護や認知症の予防事業として活用する自治体も出てきた。「健康寿命日本一」を目標に掲げる神奈川県は五、六月に県内全市町村の職員を対象に研修会を実施。八月から小田原市や箱根町など県西部の二市八町で、物忘れが気になる高齢者約百八十人がコグニサイズに取り組む。
島田さんは「活動的なライフスタイルを身に付けることは認知症だけでなく、転んで骨折するなど加齢が原因で生じる老年症候群の予防にもつながる」と話す。冊子は同センターのホームページ(「コグニサイズ」で検索)からダウンロードできる。
☆主なコグニサイズ
・声に出して数字を数えながら右横、左横にステップを踏み、3の倍数は数えずに拍手
・3人1組で踏み台昇降をしながら、順番に好きな食べ物や動物などのしりとり。ただし、前の2人が言った単語も記憶し、繰り返してから自分の単語を言う
・床にテープなどでますを描き、規則に従って足踏みする
・しりとりや計算をしながらウオーキング(自動車の来ない安全な場所で)
(国立長寿医療研究センターの冊子から)
(TOKYOWEB 2014年8月5日 原文のまま
関連情報:冊子「認知症予防に向けた運動 コグニサイズ」(国立長寿医療研究センター)(pdf4.7MK)


アルツハイマー病予防のささやかなよい知らせ(7月20日/スウェーデン・フィンランド)
アルツハイマー病協会国際会議2014 AAIC 2014で、スウェーデンのカロリンスリカ研究所Karolinska Institutetの教授でフィンランドの国立保健福祉研究所National Institute for Health and Welfareのミイア・キヴィペルトMiia Kivipelto氏(写真)らは、「フィンガースタディFINGER Study」の結果を報告しました。この研究は、認知機能障害とアルツハイマー病の変更可能な危険因子を持つ60歳から77歳までの1260人について無作為対照の2年間の追跡試験です。
参加者は二つのグループに分けられました。一つのグループは、栄養指導、身体運動、認知機能訓練、社会的活動、心臓疾患の危険因子の管理などの介入を受けました。もう一つのグループは通常の健康相談を受けました。2年後、介入グループは、複合的認知機能で、対照グループより有意に良好でした。介入グループは、全般的に実行能力が良いことにくわえ、ある種の記憶検査、実行機能(計画、判断、問題解決といった複雑な思考)および認知機能の速度で対象グループより有意に良好でした。
キヴィペルト氏は次のように述べています。
「これは、危険因子を持つ高齢者に多面的な介入をすることで認知機能の低下を防ぐことが可能であることを示した初めての無作為対照試験です。結果から、いくつかの認知機能を改善させる複数の危険因子の対処することの価値を示しています。参加者は、自分たちの経験がとても前向きだと私たちに述べており、2年間で脱落率はわずか11%でした」
この研究者らは、さらに7年間の追跡調査を行う計画で、認知症とアルツハイマー病の罹患率、MRIやPETなどによる生体指標も調べることにしています。
Alzheimer's & Dementia Weekly July 20, 2014 Glimmers of Good News on Preventing Alzheimer's
抄録:A Multidomain Two-Year Randomized Controlled Trial to Prevent Cognitive Impairment - the FINGER study
編者:アルツハイマー病の非薬物的予防介入の理想的な臨床試験であり結果は貴重だ。介入しないグループの倫理的課題はどう対処しているのか?
Lancet掲載論文:A 2 year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring versus control to prevent cognitive decline in at-risk elderly people (FINGER): a randomised controlled trial(Published Online: 11 March 2015)


「アルツハイマー病、生活習慣改善で世界数百万人の発症予防 研究」(7月15日/AFPBB)
【7月15日 AFP】生活習慣の見直しと改善により、世界の数百万人がアルツハイマー病の発症を予防できるとした研究論文が、14日の英医学専門誌「ランセット・ニューロロジー(Lancet Neurology)」に掲載された。
アルツハイマー病について専門家の間では、遺伝子と環境の両方と関係があると考えられている。
人口の急増と高齢化によって、2010年に約3000万人だったアルツハイマー患者は、2050年までに1億600万人以上に達すると予想されている。
英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のキャロル・ブレイン(Carol Brayne)教授(公衆衛生)(写真)率いる研究チームは、この病気との強い関連性が示されている、糖尿病、中年期の高血圧および肥満、運動不足、うつ病、喫煙、低学歴といった7つのリスク要因に着目した。
研究では、これら各要因をそれぞれ10%軽減できれば、2050年の世界のアルツハイマー病有病率は8.5%減少、900万人の発症を防ぐことができるとした。
2011年の予想では、アルツハイマー病患者のおよそ半数は、生活習慣の改善などで発症を未然に防ぐことができるとしていたが、今回の研究では、これらリスク要因が複雑に絡み合っているとして、この予想値は楽観的過ぎるとしている。
例えば、糖尿病や高血圧、肥満は、運動不足と関連しており、さらにこれら全ての項目は低学歴によってもたらされた可能性がある、といった具合だ。
ケンブリッジ大が発行したプレスリリースで、ブレイン教授は「認知症を防ぐ画一された方法はないが、高齢期の認知症の発症リスクを減らすために策を講じることは可能だ」と述べ、「運動不足を改善することで、肥満や高血圧、糖尿病の発症リスクを軽減できる。またその一部で認知症の発症を防ぐことができるかもしれない。何一つ悪いことはない」と説明している。(c)AFP
(AFPBB News日本語版 2014年7月15日 原文のまま
論文:Potential for primary prevention of Alzheimer's disease: an analysis of population-based data The Lancet Neurology, Volume 13, Issue 8, Pages 788 - 794, August 2014


喫煙は認知症の発症を高める―最新のWHO冊子―(7月9日/国際アルツハイマー病協会)
本日出版された世界保健機関WHOと国際アルツハイマー病協会ADIの冊子によると、喫煙者は非喫煙者より認知症を発症する危険性は45%高い。WHOが検討した証拠によると、喫煙と認知症の発症の危険性の間には強い相関があり、喫煙が多ければ多いほど、発症の危険性が高まります。全世界のアルツハイマー病の14%は、喫煙が関係している可能性があると推測されます。
WHOは、受動喫煙も認知症の危険性を高めるようだと警告しています。
WHOの精神保健・物質乱用部Department for Mental Health and Substance Abuseのシェカール・サヘナShekhar Saxena部長(写真左上)は次のように述べています。
「現在のところ、認知症を治す方法は無いので、喫煙といった変更可能な危険因子を変えることで予防する公衆保健的介入は力点を置く必要があります。今回の研究で、喫煙を減らすことが将来の認知症の負担をかなりの軽減することにつながるようだと分かりました」
タバコは、非伝染性疾患(NCDs)の4つのグループ―がん、心臓血管系疾患、慢性肺疾患、糖尿病―に共通の危険因子とみなされました。
WHOの非伝染性疾患予防部Department for Prevention of Noncommunicable Diseasesのダグラス・ベッチャーDouglas Bettcher部長(写真左下)は次のように述べています。
「タバコは、世界が直面する公衆保健の最大の脅威の一つで、年間、600万近くの人が亡くなっています。WHOは、各国政府に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約WHO Framework Convention on Tobacco Control」の対策―とりわけ禁煙環境の関する法律とタバコ中断のめの支援の利用―を積極的に実施し強化することを要請しています」
タバコ規制の枠組み協定連盟Framework Convention Alliance (FCA) for Tobacco Controlのローレント・フーバーLaurent Huber会長(写真右上)は次のように述べています。
「こうした発見から喫煙が認知症の主要な危険因子であることを認めることは驚くほどのことではありません。多くのタバコの破壊的な結果のリストに新たに一項目を追加することになり、喫煙を止めることを支援する個別的公的な保健活動をさらに進める理由となるのです」
ADI医学科学諮問委員会ADI’s Medical Scientific Advisory Panelのサージ・ゴウチィエSerge Gauthier議長(写真右中)は次のように述べています。
「また研究によると、人生の後半に喫煙を止めることは有益であり、現在の喫煙者に喫煙を推進することに繋がります」
全世界で4400万の人が認知症で、そのおおよそ3分の2は低・中所得国の人たちです。
ADIのマーク・ワルトマンMarc Wortmann事務局長(写真右下)は次のように述べています。
「毎年、770万の人が新たに認知症になっています。2010年で、全世界の費用は6040億アメリカドルと推計されています。これは全世界の国内総生産GDPの1%にあたります。今回の新しい情報を国家計画と保健制度の取り組みに連携させ、喫煙を減らし、NCDを抑える機会であることを各国政府は無視できません」
ADIは、この情報が各国での脳の健康と認知症の危険に関する情報となり公衆保健の反喫煙対策や介入に付け加わる礎になると確信します。
ADI 9 July 2014  Smoking increases risk of dementia
関連資料:TOBACCO USE & DEMENTIA June 2014 WHO(pdf400K)
編者:喫煙が認知症の危険因子とする研究報告は以前から多い。新しいものとしてサイト内記事「喫煙は認知症の危険因子の可能性(2013年1月9日)」がある。今回はWHOが喫煙を認知症の危険因子と公認したということだ。


アルツハイマー病予防の新しい指針(7月6日/アメリカ)
2013年7月19日から20日までワシントンDCで開催された「栄養と脳の国際会議International Conference on Nutrition and the Brain」で会議で発言者は、アルツハイマー病予防のために可能性のある食事とライフスタイルの指針について自らの意見の提供するように要請されました。指針は以下の三つの原則に基づき改善されました。すなわち、①効果をもたらすことを示唆する、②なんら害をもたらさない、③さらに改良されることが示唆されるという証拠に基づくべきとしました。
その結果、アルツハイマー病予防のための食事とライフスタイルによる介入可能な以下の7項目の指針が公表されました。
1.飽和脂肪とトランス脂肪の摂取は最小限にすべきである。
飽和脂肪は、酪農製品、肉、ココナツやヤシ油などのある種のオイルに多く含まれます。トランス脂肪は、部分的に水素化された植物油で多くの軽食用ペストリー生地や揚げ物などの加工食品に含まれます。飽和脂肪もトランス脂肪は心臓血管系疾患に関連し、さらにアルツハイマー病の危険性を高める因子ともなります。
2.野菜、豆類、果物、全粒の摂取を増やして、主要な食品として肉や乳製品にとって替えるべきである。
こうした食品の抗酸化剤は、アルツハイマー病の危険性を高めることに関連する酸化性ストレスを抑えます。
3.ビタミンEは栄養補助食品からではなく、食事から摂取されるべきである。
ビタミンEのよい摂取源は、種、ナッツ、青葉野菜、全粒です。現在のビタミンEの推奨栄養所要量は1日15mgです。
4.ビタミンB12は、推奨1日所要量が成人で最少2.4ugを栄養補強食品や栄養補助食品として経口で摂取すべきである。
ビタミンB12は認知機能の基本的栄養とみなされています。
5.総合ビタミン剤は摂取するのであれば鉄や銅を含まないものにすべきである。
鉄補助剤は医師の指示がある時に限り摂取すべきです。鉄と銅はアルツハイマー病の危険性を高める因子と関連しています。
6.アルミニウムがアルツハイマー病の危険性を高まめる有害性については明確でない。この金属を避けることが有益であると示唆する証拠はある。
この金属を含む多くの食品成分あるいは調理器具あるいは消費財は避けることが望ましいかもしれない。(アルミニウムはおおくの食品成分に認められる)
7.1週間3回の1回40分の早歩きに相当する強さの身体運動を行う。
非介入研究によれば身体的に活発な人たちはアルツハイマー病の危険性が低いことが示されています。
編者:デビット・リュDavid Liu教授
foodconsumer 07/06/2014  New guidelines for Alzheimers disease prevention
論文:Dietary and lifestyle guidelines for the prevention of Alzheimer's disease, (Neurobiology of Aging, Volume 35, Supplement 2, September 2014, Pages S74-S78)
編者:1985年に発足した「責任ある医療への医者の委員会Physicians Committee for Responsible Medicine(PCRM)」の会員の意見をまとめたアルツハイマー病予防の勧告である。現在、科学的検討を加えられた最新の予防法とみることができよう。なお同委員会は、非営利団体で、菜食主義、予防医学、代替動物実験、研究の倫理と効率の基準、栄養の出前教育を推進している。筆頭執筆者のニール・バーナードNeal D. Barnard氏(写真左上)はジョージワシントン大学医学健康科学部George Washington University School of Medicine and Health Sciencesの非常勤准教授でPCRMの初代会長。記事の編者のデビット・リウDavid Liu氏(写真左下)は中国系アメリカ人(41歳)でハーバード大学化学・生物化学科教授Professor of Chemistry and Chemical Biology Department of Chemistry and Chemical Biology Harvard University


「くらしナビ・医療・健康:食生活改善で認知症予防 福岡県久山町での疫学調査解析」(6月19日/毎日新聞)
認知症の予防に有効な食事パターンがある??。九州大が福岡県久山町で進める疫学調査「久山町研究」の解析から明らかになってきた。解析した九大久山町研究室学術研究員の小沢未央さん(30)(写真)は「運動や食生活を改善することが認知症の予防に重要」と指摘する。
久山町は福岡市の東に隣接し、人口8339人(1日現在)の町だ。住民の年齢、職業構成は半世紀前から全国平均とほとんど変わらない。このため日本人の標準的なデータが得られるとして九大は同町に研究室を設置し、1961年から生活習慣病の疫学調査を積み重ねてきた。疫学調査とは、地域や特定の集団を対象に、病気の発生と要因の関連性を、統計的に明らかにすることだ。
○米控えめで発症抑制
認知症に関する調査を始めたのは85年。同研究室が60歳以上の高齢者1193人を対象に17年間収集したデータを解析したところ、高齢者が生涯に認知症になる確率は約55%に上った。
認知症の症状が出ていない60?80歳の計1006人の食事内容を17年間、追跡調査。そのうち計271人が認知症になり(うちアルツハイマー病144人、脳血管性認知症88人)、小沢さんは米、パン、麺、芋類、大豆、みそなどの摂取量と認知症の発症の関連を調べた。
その結果、野菜▽牛乳・乳製品▽大豆・大豆製品??などの摂取量が多く、米を控えめにする食事パターンが認知症の発症を抑えていることが判明した。さらに、これらの食品摂取量との関係から認知症予防の影響度を数値化した=表。
米は「減らすとよい」との結果になったが、米だけで調べると認知症の発症と関連はなかった。小沢さんは「一定の摂取カロリーの中で、米の摂取量が多くなると、野菜などおかずの量が減り、発症の危険度が上がるのではないか」と分析する。
○乳製品の効果確認
また、「増やすとよい」となった牛乳・乳製品の成分と摂取量を検証したところ、牛乳・乳製品に含まれるカルシウムやマグネシウムに予防効果があることが分かった。またアルツハイマー病の原因物質の一つと考えられている酸化代謝物「ホモシステイン酸」を下げる作用のあるビタミンB12が豊富に含まれ、アルツハイマー病を含む認知症の発症率が下がったという。
久山町研究の主任研究者、清原裕(ゆたか)教授(環境医学)は「認知症は治療法が確立しておらず、予防薬もない。疫学調査で認知症の実態を把握し、危険因子をさらに明らかにして予防につなげたい」と話す。【関東晋慈】
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◇久山町研究
久山町の40歳以上の住民を対象に「健康診断事業」として実施され、九大と地元の開業医が協力し医療相談、追跡調査を実施する。受診率は80%以上。町の協力で町外に転居した人にも協力を求め、追跡率は99%とされる。当初は脳卒中が研究の中心だったが、現在は認知症や糖尿病など生活習慣病全体に広がった。死亡後も80%以上の住民が解剖に応じて死因や病巣を確認しており、世界でも類を見ない疫学調査として知られる。認知症の場合も生前は専門医が診断し、死亡後も高い割合で病理解剖によって認知症を確認している。
毎日jp 2014年6月19日 原文のまま


「認知症予防:毎日緑茶で発症率3分の1に 金沢大研究」(5月15日/毎日新聞)
金沢大の山田正仁(まさひと)教授(神経内科学)(写真)らの研究グループが、毎日緑茶を飲む習慣のある人は軽度も含めた認知症の発症率が、全く飲まない人の3分の1にとどまることを突き止めた。コーヒーや紅茶を飲む習慣と発症抑制との関連は見られず、緑茶にだけ認知症の予防効果がみられたという。成果は15日の米科学誌プロスワン電子版に掲載された。
研究グループは2007?13年、石川県七尾市中島町の60歳以上の住民を対象に調査を実施。07?08年の初回調査時に認知機能が正常で11?13年に再調査ができた490人について、飲茶の習慣と、認知症やその前段階の軽度認知障害の発症を分析した。
その結果、毎日緑茶を飲む157人のうち発症したのが18人だったのに対し、全く飲まない138人では43人が発症していた。発症率はそれぞれ11.5%と31.2%で、毎日飲むグループは発症リスクが3分の1にとどまった。週1?6日飲むグループも発症率は14.9%と低めで、リスクは半分以下に抑えられた。
山田教授は「今後緑茶のどの成分が作用しているのかを解明し、予防法を確立したい」と話している。【横田美晴】
(毎日jp 2014年5月15日 原文のまま
論文:Consumption of Green Tea, but Not Black Tea or Coffee, Is Associated with Reduced Risk of Cognitive Decline (May 14, 2014 Plos One)
サイト内関連記事:緑茶のアルツハイマー病予防効果を示唆―最近の4つの研究―(2013年6月30日)
編者:緑茶の認知症あるいはアルツハイマー病の保護効果についての報告は多い。山田らの新たな疫学調査結果の意義がよく理解できない。


中年期からの身体活動は認知症の発症を抑えるらしい(4月10日/フィンランド)
フィンランドのクオピオに在る「西フィンランド大学神経学科Department of Neurology, University of Eastern Finland」のアンナ・マイヤ・トルパネンAnna-Maija Tolppanen講師(写真)らのグープは、中年期から高齢期にかけて「余暇で行う身体活動leisure-time physical activity (LTPA)」と認知症発症の危険性との相関、および肥満度(BMI)、性別、よびアポE蛋白遺伝子との関わりについて追跡して調べました。これは、同学科とヘルシンキに在る「国立健康福祉研究所 National Institute of Health and Welfare」およびスウェーデンのストックホルに在る「カロリンスリランカカ研究所加齢センターAging Research Center, Karolinska Institutet」とが共同で28年間追跡調査を行っている「心臓血管系危険因子・加齢・認知症計画(Cardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia:CAIDE) project」の一環として行われたものです。
参加者から無作為に選ばれた人たち(数:1511、平均年齢:78.8歳)について認知機能が評価されました。CAIDEの総参加者(数:3559)の認知症およびアルツハイマー病の診断は全国登録記録で確認されました。
その結果、中年期に中程度から低程度のLTPAを行ったグループは、高程度のグループ(週に少なくとも2回)より、認知症の発症がそれぞれ1.46倍および1.39倍高いという相関を認めました。さらに男性、肥満およびアポE蛋白遺伝子e4の遺伝子を持たないグループで認知症の発症がより少ないという相関を認めました。また中年期以降も高いLTPAを維持していること、あるいは中年期以降にLTPAを高めることは、認知症発症の危険性が低いことと相関しました。これらの傾向はアルツハイマー病についても同様でした。
中年期から高齢期にかけての身体活動が認知症およびアルツハイマー病の予防的介入として有効とする可能性があると結論づけられます。
この研究論文はアメリカのアルツハイマー病協会の雑誌Alzheimer's& Dementiaの電子版2014年4月9日号に掲載されました。
PsychCentral April 10, 2014 Middle Age Workouts Can Lower Dementia Risk 論文Leisure-time physical activity from mid- to late life, body mass index, and risk of dementia. Alzheimer's and Dementia
編者:中年期から身体活動を高めても認知症の予防効果がありそうだとする報告だが、肥満の方がよいとのは相関は興味深い。LTPAの1回の運動量が不明であるが、常識的な量なのだろう。


認知症の医療用食品は科学的な裏付けが乏しい(2月14日/イギリス)
認知症と栄養に関する本格的な報告書「Nutrition and dementia: a review of available research’」によると、認知症の予防や治療に有効として出回っている人気な栄養サプリメントや医療用食品は、現在のところ科学的な証拠で裏付けられたものではありません。
ロンドン・キングスカレッジKing’s College in Londonのマーチン・プリンスMartin Prince教授(写真左上)が主導した報告書は「サプリメントの市場は大きいが臨床試験によって証明された物はありません。アメリカの成人についての最近の調査によると、500万人が、とりわけ認知機能障害の予防や治療のためにサプリメントを使っている」と報じています。
ニューサウスウエールズ大学健康脳加齢センターCentre for Healthy Brain Ageing at UNSWの共同センター長であるヘンリー・ブロダティHenry Brodaty教授(写真左下)は、この国際的な報告書を歓迎し、次のように述べています。
「この報告書は一般の人が最新の証拠を理解するのに役立つでしょう。認知症を予防するサプリメントやダイエットについて語られることが多いが、科学的根拠がない主張が多く、これは危険であり弊害となります」
国際アルツハイマー病協会Alzheimer’s Disease InternationalとコンパスグループCompass Groupが委託した報告書は、「栄養サプリメントに関する明確で、一貫性があり、それぞれ独立した証拠に基づく助言は、認知症になる危険性のある人や既に認知症になった人に役立つ」と勧告しています。
さらに報告書は次のように報じています。
「アルツハイマー病の治療に有効として現在、市場にあるどのような医療用食品を使うことを推奨するにたる十分な証拠が現在のところありません。また医療用食品が臨床的に有益ではないことを示唆するいくつかの証拠があります。またビタミンが認知症の経過を変えることが可能であるとの証拠も現在のところありません。ビタミンB12や葉酸といったいくつかのビタミンの役割についてさらに研究が必要です」
また報告書の著者は「現在までのところ最も強く最も一貫性のある証拠は、地中海料理―穀類、果物、魚、野菜が多い食事―が認知機能の低下や認知症の危険性を下げる利益があるというものです」と報じています。
食事に伴うサプリメントに加えて、報告書は認知症の人の栄養不良という課題へ注意を向け、ケアの一部として栄養基準を導入することを要請しています。
さらに報告書の著者は次のように表明しています。
「すべての認知症の人の体重と栄養状態は定期的に監視されるべきであり、ケアの一部として栄養士の支援を求めるべきです。認知症と体重減少の相関があるという証拠は説得力があります。またいくつかの疫学的研究から、高所得国も中低所得国でも高齢の認知症の人では有意に明らかな体重減少が経験されることが確かめられています」
(AustralianAgeingAgenda February 14, 2014 Dementia ‘medical foods’ lack science: report
関連情報:‘Nutrition and dementia: a review of available research’.(pdf1M)
編者:文献研究に基づく明快な勧告だ。サプリメント効果について否定的ななかでお勧めが地中海料理とはおもしろい。サプリメントより複合的な要素からなる食事が基本なのだろう。


「糖尿病と認知症…糖代謝異常との関連注目」(1月31日/読売新聞)
ものを記憶し、考え、周囲とコミュニケーションをとるのが難しくなる認知症。社会の高齢化に伴い、特にアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の患者が急増している。糖尿病の増加がその一因で、アルツハイマー病と糖尿病には共通点も多い。糖尿病を防ぐことは、認知症の予防にもつながる。

脳の血管、神経にダメージ
福岡市に隣接する人口約8400人の久山町。九州大が1961年から続けている住民の追跡調査で、認知症の急増が裏付けられた。2012年には65歳以上の認知症の割合は17・9%。この数字から全国の認知症高齢者数を推計すると550万人で、20年前の6倍になった。アルツハイマー病はその69%を占める。
久山町の調査で、糖尿病の患者はアルツハイマー病のリスクが2・1倍だった。40歳以上の住民で、糖尿病などの糖代謝異常の割合は大幅に増えており、アルツハイマー病が急増した原因と考えられている。
アルツハイマー病と糖尿病の共通点も、久山町の調査で浮かび上がってきた。
九州大主幹教授(脳機能制御学)の中別府雄作さんらが、亡くなった住民88人の脳を調べたところ、アルツハイマー病の患者では、記憶をつかさどる海馬で1387個の遺伝子の働きに、特徴的な変化があることがわかった。その中には、インスリンを作ったり利用したりするのに必要な複数の遺伝子が含まれ、働きが大幅に低下していた。アルツハイマー病の原因となるアミロイドβと呼ばれる異常なたんぱく質の蓄積が、その引き金にもなっているらしい。
インスリンは、糖を細胞に取り込んで、エネルギーとして利用するのに必要なホルモン。インスリンが作れなかったり(1型)、上手に利用できなかったり(2型)するのが糖尿病だ。インスリンは主に膵臓すいぞうで作られるが、脳でも少し作られ、糖を取り込み、神経細胞を保護している。
中別府さんは「アルツハイマー病は『第三の糖尿病』とも言える。患者の脳は糖を十分に利用できず、様々なストレスに弱くなっている。このような状況で糖尿病を発症すると、ストレスが増え、アルツハイマー病がさらに進行する悪循環に陥る」と説明する。
糖尿病は、アルツハイマー病だけでなく、認知症を複合的に悪化させる。糖尿病は血管を傷め、脳の血管が詰まることなどで発症する脳血管性認知症のリスクを高める。糖尿病で血糖値が高いと集中力や注意力が落ちる。
東京医大教授(高齢診療科)の羽生春夫さんは「糖尿病は、合わせ技で悪さをする。糖尿病の患者では、認知機能の余力が失われているため、病変が進んでいない初期から認知症の症状が出る。40、50歳代から生活習慣に気を付け、糖尿病を防ぐのが、認知症の予防にも重要」と強調する。
インスリンの効き目を良くし、糖尿病を予防する最も簡単な方法として、羽生さんは運動を勧める。久山町の調査でも、運動や、和食と乳製品を中心とした食事が、糖尿病だけでなく認知症のリスクを減らすことがわかっている。
順天堂大特任教授(代謝内科)の河盛隆造さんは「糖尿病は放置せず、早期に治療するのが大切。どんな治療が認知症の予防に効果的か、検証する必要がある」と話す。(杉森純)
Yomiuri Online 2014年1月30日 原文のまま


殺虫剤はアルツハイマー病の危険因子らしい(1月27日/アメリカ)
アメリカでは1940年代から1972年までマラリアの原因となる蚊を殺すためDDT (dichlorodiphenyltrichloroethane)が広く使われていましたが、野生生物への危険性に関心が高まって、1972年、環境保護庁Environmental Protection Agencyによって禁止されました。
DDTは人体内でDDE(dichlorodiphenyldichloroethylene)と呼ばれる物質に変わります。研究者は、この物質の血中レベルを調べ、アルツハイマー病の人の86%がDDTと接触し、アルツハイマー病でない人では79%と推測しました。
ラトガース・ニュージャージ州立大学のロバート・ウッド・ジョンソン医学部環境労働医学科Department of Environmental & Occupational Medicine Robert Wood Johnson Medical Schoolの准教授で、今日、JAMA Neurologyに掲載されました論文の筆頭執筆者であるジェイソン・リチャードソンJason Richardson医師(写真左)は次のように述べています。
「生存中にはアルツハイマー病の人に記憶検査を行い、死後は剖検でアルツハイマー病と確定しました。平均で、DDEの血中レベルは、アルツハイマー病のない人と比べて、アルツハイマー病の人は4倍近く高いのです」
さらにリチャードソン医師は次のように述べています。
「DDTは、環境、人の血液や組織に残ります。多くの人は、今回の研究で見られたような値と近いレベルです。過去の接触と現在の接触―汚染された魚や肉や乳製品を食べることによる―によるものです」
DDTは、現在も多くの国でマラリア対策として使われており、2006年、世界保健機関WHOは再導入を承認しました。
リチャードソン氏は「DDTに接触することがそのものがアルツハイマー病の原因とはみなされてはいないようだ」と述べています。
今回の研究で、記憶と論理のテストで最悪の点数だったアルツハイマー病の人は2つの危険因子―DDTの接触が高いおよびAPOE遺伝子の変異型―をもった人で認められました。
アルツハイマー病協会Alzheimer's Associationの医学科学活動部長のハーサー・シンダーHeather Snyder氏(写真右上)は次のように述べています。
「研究方法のため、この研究ヵらはDDTがアルツハイマー病を起こすと証明できません。、二つの状態の相関を示すことができるだけです」
アルツハイマー病協会によると、アメリカでアルツハイマー病は死因の第6位で、520万人以上の人がこの病気です。国が高齢化することで、アルツハイマー病の人は2025年までに40%増えます。
医学雑誌の関連評論で、医学者のステーヴン・デコスキーSteven DeKosky(写真右中) とサム・ガンディSam Gandy氏(写真右下)は以下のように指摘しています。
「リチャードソンの結論は、別箇の研究で確認されるまでは予備的な見解とみなすべきです。殺虫剤はパーキンソン病や他の神経疾患の危険因子としてもどうも関連しているようです。アルツハイマー病と環境との繋がりをもっと時間をかけて調べるべきです。アルツハイマー病の遺伝的要因にさらに大きな革新を起こすかもしれません」
またデコスキー氏は次のように述べています。
「何万という人を調べた後、この危険因子が強く影響するもっと多くの遺伝子があるのなら、今日までにそれは見つかったでしょう。アルツハイマー病の危険性を高める20の遺伝子が見付っていますた、APOEは最もアルツハイマー病の発病に影響し、この変異型をもった人は10から12倍の発病の危険性が高まるのです。その他のほとんどの遺伝子はアルツハイマー病の危険性をほんのわずか高めるだけです」
またシンダー氏は「ある種のライフスタイルを変えること―運動、禁煙、健康的でバランスのとれた食事―で、アルツハイマー病の発病の危険性を下げることができことを示唆するよい資料がある」と述べています。
またリチャードソン氏は「環境暴露の研究によって、科学者がもっとアルツハイマー病を理解するのを助けます。それが重要なのです。環境での接触は対策があるのです」
USA TODAY  January 27, 2014 A DDT exposure linked to Alzheimer's disease
論文:Elevated Serum Pesticide Levels and Risk for Alzheimer Disease (JAMA Neurol. January 27, 2014)
サイト内関連記事:殺虫剤は認知症の危険因子かもしれない(2010年12月2日)
編者:殺虫剤が認知症あるいはアルツハイマー病の危険因子ではないかとする報告はすでにあり、今回の報告は必ずしも新しいものではない。


認知症予防の過去の情報
2012年~2013年
2010年~2011年
2008年~2009年
1998年~2007年


三宅論文

予防 -1次予防から4次予予防-(三宅)

 予防医学では予防を1次、2次、3次、4次に分けて考えます。ぼけの予防もこの四つの分けることができます。
1次予防 
 1予防とは、発病しない方法をいいます。肺ガンにならないために喫煙しないことがその例です。従ってぼけの1次予防とはアルツハイマー病や脳血管障害による痴呆にならないことです。アルツハイマー病については、年齢、性、遺伝、アルミニウム、頭部打撲などが危険因子とされていますが、このうち年齢や性や遺伝は予防にはつながりません。アルミニウムの極端に多量の摂取がない限りアルツハイマー病に発病することがないので、アルミの鍋やアルミ缶の飲料物を控えるたからアルツハイマー病が防げるというものではありません。予防として確からしいのは頭部打撲です。ボクシングが避けた方がよいでしょうし、頻繁に頭を打つような仕事も避けて方がよいでしょう。また一時的に意識を失うような頭部打撲を受けないように交通事故の予防などに注意した方がよい。しかしアルツハイマー病の予防については医学的裏付けがまだまだ十分でないのが現状です。
 脳血管障害によるぼけ(脳血管性痴呆)の予防は脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)予防することです。脳梗塞や脳出血については、その危険因子である高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、不整脈(心房細動)を早期発見し、食事や運動に注意し、薬による治療を受けて予防します。また脱水状態が脳梗塞を引き起こしやすいので特に老人のなかで高齢の人が注意します。こうして脳梗塞や脳出血が予防できればぼけの予防につながるはずです。くも膜下出血については、予防はよくわかっていません。脳ドックでくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を見つけてもそれを手術で取るかどうかの基準がはっきりしていないのです。まが脳血管障害のなかの何割の人がぼけになるわけで、どのような脳血管障害がぼけにつながるのか、脳血管性痴呆の予防についてもまだよく分かっていません。より確かの予防のための今後の研究が待たれるところです。
 この他、少ないがぼけの原因となうるアルコールの多量摂取、エイズ、クロイツフェルト・ヤコブ病などがそれぞれの病気にならにことがぼけの予防につながります。

2次予防
 2次予防とは病気の早期発見で、病気を早期に発見し病気を軽い時期に早く治してしまてしまおうとする予防方法です。胃癌検診で早期の胃癌の発見して癌を治療しようとするのがその例です。
ぼけの場合、アルツハイマー病を早期に発見しも病気の進行そのものを抑えることにつながるものではなく、予防の面ではあまり意味がないでしょう。脳血管性痴呆 については、ぼけが軽度かぼけが認められない時期に脳梗塞-単発性または多発性-が発見されると、ぼけが治すことが可能なこともあり、またぼけの症状も身体症状もでていない「無症候性脳梗塞」であり、その危険因子-高血圧、糖尿病など-があればその治療を進めることが脳梗塞の進行を防ぐことになり、たとえMRIで脳梗塞が認められてもぼけの症状がでるのを防ぐことはできます。

 3次予防
 3次予防とは病気の治癒につながる治療のことを言います。乳ガンでも治療して完全に治す治療がこの一例です。
 ぼけの3次予防については、アルツハイマー病の根本的な治療方法はなく、脳血管性痴呆については良くなることはあても治癒につながる治療が残念ながらありません。例外的かもしれませんが、老人にある慢性硬膜下血腫は早期に発見して早期に脳外科的な治療をすることでぼけが完全に治ることがあります。これも3次予防です。

4次予防
 4次予防とはもとの病気は治癒したが、後遺症をできるだけ少なく障害があてってよいよく生活するための援助であり、リハビリテーションのことです。喉頭癌で発語ができなくなった人が発語訓練をして少しでも言葉によるコミニケーションをとれるようにすることがその一例です。
 ぼけのぼけそのものが治癒はしていにので4次予防はないとの考えられます。しかしぼけを進ませない、良くするということが4次予防と考えるなら、脳血管障害の進行の防止、ぼけの2次要因である身体状態、精神状態、生活環境状態を改善してぼけを進行を予防し、良くするする方法はいろいろあります。


ぼけを防ぐ(三宅) 

1.はじめに
 誰しも年を取るともの忘れが気にになり、ぼけ(痴呆)になるのではないかを心配になります。もの忘れする人がすべてぼけになるわけではありませんが、ぼけという病気になる人は確かにいます。ぼけにならないためにはまずぼけとう病気の原因を知っておかなければなりません。

2.ぼけの原因
 このようなぼけの原因は大きくわけて次の3つの病気から来ます。
1)脳卒中
 脳卒中(脳血管障害)でぼけが出てきます。脳卒中は、脳の血管が詰まる脳梗塞や、脳の血管が破れる脳出血があります。脳卒中でぼけのある場合を「脳血管性痴呆」とよびます。日本人のぼけのおおよそ半分を占めると言われています。脳卒中に発病して最初からぼけになることは少なく、脳卒中を繰り返すなかでぼけになることが少なくありません。従って脳卒中になりやすい病気-高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、不整脈(心房細動)-があれば治療することでぼけを防げるし、たとえ脳卒中になっても再発を防ぐことでぼけが防げるのです。この脳卒中によるぼけはいったんなってしまうと治療は難しいのですが予防もでき進行を抑えることができるぼけなのです。 
2)アルツハイマー病
 1900年の初め、ドイツのアルツハイマー医師が報告した病気から、その医師の名前がつけれた病気です。以前は比較的若い人のぼけの病気としてみられていましたが、最近でもお年寄りにも少なくないぼけの原因とみられています。脳の神経細胞が働きが悪くなったり、少なくなり死滅してしまうことからぼけになります。このぼけをアルツハイマー型痴呆とよびます。アメリカの前大統領のレーガンさんがこの病気になっています。日本ではぼけの約半数がこの病気によると言われています。原因については年齢、ホルモン、頭を強く打つこと、遺伝、アルミニウムなどが関係しているらしいと言われますが詳しいことは分かっていません。また治療について最近発売され保険診療でも使えるアリセプトという薬がありますが、その効果は一部のアルツハイマー病の人に効果がありますが効いている期間は限られ、根本的な治療薬ではありません。予防の方法も治療の方法もよくわかっていないのがアルツハイマー病です。

3)その他
 上の二つと比べると多くはありませんが、その他いくつかの頭の病気でぼけになることがあります。このなかには治るぼけのあれば、進行しないぼけ、進行してしまうぼけもあります。例えば「慢性硬膜下血腫」があります。これは転んで頭を打った後、頭蓋骨の内側の硬膜の下に血腫ができ脳が圧迫するけがのひとつです。打った当初がどうもないが1週間か1月たってもの忘れが目立つことがあります。これは脳外科の治療を受け血腫を早い時期に取り除けばぼけがすっかり治ります。代表的な治るぼけです。
 またぼけは、こうした頭の病気やけがだけで決まるものではありません。ぼけの人の身体や精神の状態、生活環境もぼけを左右するこのです。

3.ぼけを防ぐ方法
1)脳卒中を防ぐ
 ぼけのうちの約半数を占める脳卒中によるぼけにならないためには、脳卒中を防ぐことです。脳卒中は主に脳梗塞、脳出血のことですが、この脳卒中のなりやすい人は、高血圧、糖尿病、高コレステロール症、ある種の不整脈(心房細動)のある人です。これらの病気を治療することが脳卒中の予防になりぼけの予防になります。
(1)成人病健診を受ける
 高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、心房細動のある人が脳卒中になりやすいとしても、こうした病気はほとんど自覚症状がなく病気になっていてもそれを知らない人が少なくありません。このために年一回の成人病健診を受け、こうした病気があるかないかを知っておきましょう。これらの病気がない人は心配はありませんが、これらの病気が見つかれば、精密検査を受けて病気の状態をより正しく知ることです。
(2)高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、心房細動を治療する
 これらの病気の状態にもよりますが、まず食事療法から始めます。高血圧では塩分を控える、糖尿病では食べ過ぎに注意する、高コレステロール血症では動物性脂肪を控えるなどの食事の注意をします。また肥満の人が減量に努め、身体を動かす運動療法も毎日の生活に取り入れたいものです。これでも血圧、血糖が、コレステロールが高いとなれば薬による治療を始めます。こうした病気をしっかし治療をすることで脳卒中のかなりは防ぐことができ、ぼけにならないですむわけです。
 心房細動の治療はこれらと異なります。心房細動は不整脈の一種で、心臓の鼓動を感じることもあれば、全く自覚症状がなく、たまたま心電図の検査で見つかることが少なくありません。この心房細動があると血栓が脳の飛んで脳卒中を起こすことがあります。心房細動のある人すべてがなるわけではありませんが、心房細動の状態によっては治療が受けた方がよいでしょう。血栓ができにくいような薬をのみます。血栓ができるのを防ぎ、脳卒中を予防して、ぼけにならないですみます。
(3)脱水にならないように注意する
 高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、心房細動がなくても脳卒中を起こすことがあります。特にお年寄りのなかでもさらにお年寄りの人-例えば80才以上の人-で見かけます。老化のための脳の動脈硬化が進んでいるところに脱水状態が加わって脳梗塞になり、ぼけになることがあります。またすでに脳梗塞になっている人でも脱水状態が脳梗塞の再発につながりかねません。脱水状態では血液の粘りが高まり脳梗塞を起こしやすいなるのです。特に水分を制限しなければならない病気でない限り、水分は十分とるように心掛けます。食欲がなくても水分だけは十分に取りましょう。暑い日が続いたり、下痢をしたときにはさらに水分は大切です。

2)ぼけが疑わしいと早く受診しましょう
 ぼけはアルツハイマー病や脳卒中でなることが多く、こうした病気に一度ぼけになると治療が難しい。しかしぼけのなかには治るぼけもあり、ぼけを年のせいにしてしないで必ず早めに受診するようにしましょう。他の病気と同様にぼけにも早期発見・早期治療が大切です。どの病院・診療所で診てくれるのかは地域のよって異なりますが、総合病院の神経内科、老年科、精神科、脳神経外科なんどで診てくれます。病院によっては「痴呆外来」「もの忘れ外来」で診ていることもあり、「老人性痴呆疾患センター」でも対応してくれます。
 診察の結果、たとえ治らないぼけとしてもぼけの原因が脳卒中かアルツハイマー病かの診断を受けておくことが意味があります。その後のぼけの経過が異なり、お世話の仕方が違うのです。
また本人や家族がぼけと思っていても、うつ状態など他の心の病気であるの場合があります。うつ状態の人をぼけと見間違うことはよくありません。

4.「頭を使って」ぼけは防げるか
 脳卒中と違いぼけの約半分を占めるアルツハイマー病は、残念ながら予防の方法がよく分かっていません。あまり頭を打たないようにするのがよいといった程度のことしか分かっていないのです。頭を使えばアルツハイマー病が防げるといったものではないのです。
「ぼけないために頭を使おう」「趣味を持てばぼけない」といったことが言われことがありますが、これ科学的な根拠は乏しいのです。趣味をもっていてもアルツハイマー病になる人がいますし、趣味をもっていなくてもアルツハイマー病にならない人はたくさんいます。
 しかし「頭を使うこと」はアルツハイマー病の予防に無関係ですが、頭を使うことはそれなりの意味はあります。人は身体を動かし使わないと身体が衰えるように、人の知的な働きも使わないと低下します。電卓が使い初めて暗算ができにくくなった、ワープロを始めて漢字が書きにくくなったという話を聞きます。このように人は、その人にあった方法で家庭での仕事、趣味を活かした交流、地域のボランティア活動などを通して頭を使う生活を送ることは知的な働きを保つのに大いに役立ちます。

5.アルツハイマー病とアルミニウム
 ところでアルツハイマー病の原因としてアルミニウムが注目されています。確かに多量のアルミニウムに摂ることでぼけになったとの報告はあります。しかし普通の日常生活のなかで使われるアルミニウムの量ではアルツハイマー病になることはまずありません。料理にで使うアルミニウムの鍋をあえて鉄の鍋に変える必要はありません。

農林漁業団体職員共済組合発行「農林年金」2000年6月号より)


アメリカ・アルツハイマー病協会が提唱する 脳を守る10の方法

1. 頭が第一
健康は脳からです。最も大切な身体の一部である脳を大切にしよう。
2.脳の健康は心臓から
心臓によいことは脳にもよい。心臓病、高血圧、糖尿病、脳卒中にならないように、できることを毎日続けよう。これらの病気があるとアルツハイマー病になりやすいのです。
3.自分の値を知ろう
体重、血圧、コレステロール、血糖を望ましい値に保とう。
4. 脳に栄養を
脂肪が少なく抗酸化物(ビタミンEなど)の多い食品を摂ろう。
5. 体を動かす
身体の運動は血液の流れをよくし、脳細胞を刺激することになるかもしれない。1日30分歩くなど心と体を活き活きさせるためにできることをしよう。
6.心のジョギングを
あなたの脳を活き活きさせ、ものごとに関心をもつことによって、脳の活力を高め、脳細胞とそのつながりの余力が生まれます。読む、書く、ゲームをする、新しいことを学ぶ、クロスワードパズルをしてみよう。
7.他の人とのつながりを
身体と心と社会の要素を組み合わせた余暇活動は、痴呆を防ぐ最もよい方法かもしれません。人と付き合い、会話を交わし、ボランティアをし、クラブに加わり、学習してみよう。
8.頭の怪我をしない
頭の怪我をしないように注意しよう。シートベルトを使い、転ばないように家の中を整頓し、自転車に乗るときはヘルメットをかぶろう。
9. 健康な習慣を
不健康な習慣を避け、タバコを止め、飲み過ぎないようにし、麻薬を使わないようにしよう。
10.前向けに考え今日から始めよう
あなたの明日を守るために今日からできることをしよう。

10 Ways to Maintain Your Brain

1. Head first
Good health starts with your brain. It's one of the most vital body organs, and it needs care and maintenance.
2. Take brain health to heart
What's good for the heart is good for the brain. Do something every day to prevent heart disease, high blood pressure, diabetes and stroke ? all of which can increase your risk of Alzheimer's.
3. Your numbers count
Keep your body weight, blood pressure, cholesterol and blood sugar levels within recommended ranges.
4. Feed your brain
Eat less fat and more antioxidant-rich foods.
5. Work your body
Physical exercise keeps the blood flowing and may encourage new brain cells. Do what you can ? like walking 30 minutes a day ? to keep both body and mind active.
6. Jog your mind
Keeping your brain active and engaged increases its vitality and builds reserves of brain cells and connections. Read, write, play games, learn new things, do crossword puzzles.
7. Connect with others
Leisure activities that combine physical, mental and social elements may be most likely to prevent dementia. Be social, converse, volunteer, join a club or take a class.
8. Heads up! Protect your brain
Take precautions against head injuries. Use your car seat belts; unclutter your house to avoid falls; and wear a helmet when cycling or rollerblading.
9. Use your head
Avoid unhealthy habits. Don't smoke, drink excessive alcohol or use street drugs.
10. Think ahead - start today!
You can do something today to protect your tomorrow.

04/20/2006 http://www.agelessdesign.com/default.asp   

Alzheimer's: It's Not My Fault!

Greetings and congratulations on passing another milestone in your quest to become the premier web-based clearing house for information on Alzheimer's disease.

As I wander around the web and find promising or interesting bits of new information concerning the disease I almost always run across them in the same day's issue of your Newsletter, plus lots and lots more information that I missed and you found!

I am however concerned that you not be drawn on to the slippery slope of causality that was created when the National Alzheimer's Association decided the quest for a "Healthy Brain" an appropriate topic for them to add to their still unrealized vision/mission of creating a world without Alzheimer's and meeting the needs of those who have the disease. They have elevated interest in "Healthy Brains" when in fact no one knows what is and is not a healthy brain. People throw around the words like everyone agreed and knew what they meant. The current misunderstanding alert for what causes or prevents Alzheimer's has been elevated to bright, bright RED. People who should know better now claim this or that causes the disease, and this or that prevents the disease. This is a most unhealthy situation.

Professional journalists don't seem to mind misleading people with the claim that this or that causes or prevents onset of Alzheimer's disease. As any one of the 9+ million Americans who are already living with the diagnosis of Alzheimer's disease. We now know that people who are 30 or 40 or 50 or 60 and up are increasingly at risk for the disease. We don't believe age by itself causes the disease. We do know that the older you become the higher the chances of getting it becomes. Is there some factor which comes along with aging which causes the disease? We just don't know.

Eating, drinking, thinking, pills, smoking, wishing, sticking your head in the ground or up any place which is dark, etc., cannot prevent someone from getting Alzheimer's disease.

Your recent headline goes beyond implying there may be a connection between what we eat and drink and if we get the disease. Reading the article the researcher is careful to clearly state there is an association between the diet and the disease, but he can't say one prevents or causes the other.

All sorts of associations are being discovered between the disease and other factors, but none thus far actually proves one causes or prevents the other from happening. Unfortunately these studies are being reported as "links" between the disease and some identified variable, when in fact "links" is too strong a word to use. It more than implies a connection so if you pull hard enough on the link (eat tons of broccoli, take five consecutive yoga classes, turn your teeth and fingers blue from eating nothing but blueberries, etc.) the pulling inevitably produces an impact on the disease to which it is "linked."

Unfortunately, such is not the case. In studies, both large and small, long and short, many associations are revealeded. But there remain many, many other factors in these studies which are not identified. Yet people still insist on reporting and/or responding based on the size and the length of the study, not its comprehensiveness.

Perhaps those who drink two glasses of wine each day may also make love twice a day? Which one "causes" the absence of Alzheimer's disease - sex or drinking. We forgot to ask everyone how often they had sex, or how many children they had, or how tall they were, or the color of their eyes, or how much money they made, or what was their religion, or do they brush their teeth once or twice or not at all every day, or how many got hit hard on their head one or more times. Were they all living in France? Did they also exercise or not exercise? What other medications were each of them taking? What other diseases were they currently dealing with? The list of silly and possibly interesting questions, responses and variables goes on and on and on.

When you report on these studies would you do a service to us all and remind us this is an interesting association which has been identified, but no claim is made that if you adopt the identified behavior(s) as a part of your life style it will in any way assure you that you won't get Alzheimer's disease? Indeed can you have a "Healthy Brain" for most of your life and still get Alzheimer's disease? Yep!

For those of us living with the disease the flip side to this slippery slope is the assumption that I could have prevented the disease. It is my fault that I "caught it." Perhaps I didn't lead the right life style; I didn't eat the right things; or maybe I should have had more or less sex. In fact, many of us did most of what is being reported as a daily behavior associated with healthy brains and people.

"Getting the disease" for most of us has nothing to do with our genes, or life styles, or breakfast, or any other identifiable and controllable behavior in our lives. It just happens!

As of this moment there is NO way to avoid it. Period. If it is gonna happen, it is gonna happen. There is no science, research, or person on the Earth who knows how to avoid this from happening. We can slow down it's progress in some people, for some time. We don't know ahead of time who this will work on or not work on. So we all try it. It's not our "fault" or under our control if we will or will not get it, or will or will not be able to slow it down.

The cosmic convergence between my brain and the disease is (except for a very small percentage of genetically caused disease) still a complete mystery to even the smartest of minds and the richest of drug companies.

Please, please use your sizable influence and exposure to occasionally remind people who are understandably looking for someone or thing to blame and/or control the disease, and that searching for fault is the wrong path to take. Asking for a plan with a guarantee to avoid the disease is the wrong message to take from these articles.

We just don't know how to answer these questions, so why bother wasting time and energy asking? These are questions which are being researched, but no one, no one has the answers yet.

Thanks,

Richard Taylor

上記の手紙への意見2006年4月21日~22日

Alzheimer's - It's Not My Fault
Richard Taylor wrote: "'Getting the disease' for most of us has nothing to do with our genes, or life styles, or breakfast, or any other identifiable and controllable behavior in our lives. It just happens!"
"As of this moment there is NO way to avoid it. Period. If it is gonna happen, it is gonna happen. There is no science, research, or person on the Earth who knows how to avoid this from happening. We can slow down it's progress in some people, for some time. We don't know ahead of time who this will work on or not work on. So we all try it. It's not our "fault" or under our control if we will or will not get it, or will or will not be able to slow it down."
"Please, please use your sizable influence and exposure to occasionally remind people who are understandably looking for someone or thing to blame and/or control the disease, and that searching for fault is the wrong path to take. Asking for a plan with a guarantee to avoid the disease is the wrong message to take from these articles."
"We just don't know how to answer these questions, so why bother wasting time and energy asking? These are questions which are being researched, but no one, no one has the answers yet."
I would like to respond:
1. Alzheimer's disease doesn't "just happen." There are many, albeit mostly unidentified, factors involved, including eating habits, exercise habits, genetics, and so on. We may not be able to Alzheimer's-proof our lives, but we CAN make an effort to live wisely - eat natural foods, get exercise, keep your mind active.
2. Please, please, PLEASE don't pass on the mindset of "We don't know how to fix it or deal with it, so just forget about 'wasting' time and energy trying to learn more, and trying to live as healthy as we know how to." Make positive lifestyle choices, and keep up with current health knowledge. The world is learning new things everyday about how to make our bodies happy and healthy. There is so much information out there! It is up to each and every person out there to choose to make an effort to learn. While this will not 100% prevent disease, it makes a big difference!
Rachel Lemme

Alzheimer's - It's Not My Fault
Please thank Richard Taylor for expressing what many of us have been thinking for some time. It seems that every day there is a new 'link' between some behavior and some disease, not just Alzheimer's. Not long ago there was some disease of later life that apparently was affected by some food or beverage (I can't remember the details) that was consumed by girls between the ages of 3 and 5. Please! Let's be real!
I really appreciate your newsletter, which is an excellent source of information about the (real) research being done, and about methods of coping with the disease and associated caregiving responsibilities. However, I hope all the readers take some of the articles with many grains of salt!
Maren Harrison, daughter of an Alzheimer's mother.


Alzheimer's - It's Not My Fault
I read with great interest the remarks about why Alzheimer's disease invades certain people and not others. I researched far and wide and I truly believe that it is a fallacy that only those who were educated, used their minds, and ate healthily were exempt.
Not so... in my almost 30 years in healthcare, I have taken care of physicians, nurses, bankers, CPA's - the most affluent and the poorest. There is no playing favorites. Chances are: if there has been a strain of the disease in your family tree, you are susceptible.
I believe that we are grasping at straws, and to no avail. My mother is in her tenth year ... sliding day by day. All her life she was active and ate healthy. In her family there are many men and women who we discovered had the disease. My father lived until age 93 with no signs of AD.
Doctors and/or researchers cannot give us at this time, a definitive reason why some people do and some do not contract it.
Pat Paterick

Alzheimer's - It's Not My Fault
Richard Taylor's critique of the media was right on target. I too, am tired of the implication that because a healthy lifestyle can lower the risk of certain types of disease, the people who have those diseases must have brought it on themselves through their own negligence. This way of thinking simply provides another excuse for the healthy members of our society to exclude persons with dementia and to feel superior to them.
"Alzheimer's" is the term the media has adopted to describe all types of dementia, and their use of the word "prevention" is imprecise at best. When the media reports that diet and exercise can prevent Alzheimer's, what they are telling us is that these things promote cardiovascular health, which reduces the risk of vascular dementia. When they report that keeping the brain active prevents Alzheimer's, what they are telling us is that an active brain may be more resilient as the disease progresses. In our age of prescription drug commercials, people want to believe that there is a "silver bullet" for every illness, and the media indulges them. The unfortunate truth is, however, that even people who do everything right still get sick.
Joel Eatmon

Alzheimer's - It's Not My Fault
What does that say about the many, many people who ate healthy, exercised all their lives, were highly educated and continued to remain mentally stimulated but still got Alzheimer's disease? Now, of course I think it is a good thing to try to live a mentally and physically healthy lifestyle, but there is no guarantee that doing so will ward off Alzheimer's. Nobody - especially Alzheimer's-related organizations should mislead the public by stating that there is anything that can prevent this terrible disease.
Carol Hillman

Alzheimer's - It's Not My Fault
The world is learning new things everyday about how to make our bodies happy and healthy. There is so much information out there! It is up to each and every person to choose to make an effort to learn. While this will not 100% prevent disease, it makes a big difference!
Rachel Lemme