96年質問番号1.インターネットの有用性

質 問 インターネットが騒がれていますが、学生にとってその有用性がわか らないのですが

回 答

1.私は、この情報システム論のQ&Aをインターネットのホームページに載せています。理由は、

(1)授業中では、すべての質問に答えられない。

(2)授業中では、質問を頻繁に受けられない。

(3)卒業生にもフォローアップしてあげたい。情報システム論は、実践して始めて理解できるから。

このように、より情報を正確に公平に通知したいと思う人が世界にはたくさんいて、色々な情報をインターネットで発信している。それを自分で利用しない手はない。疑問も知識欲もない人はインターネットは不要である。本を読むと大抵著者はE−MAILアドレスを記入している。インターネットで著者に直接質問ができる。

2.今年くらいまでは、インターネットに加入し、情報を集めているというと面接で優位になる。近大でも、貴社の「ホームページを作りたい」といって第一志望会社に入れた学生がいる。

これも今年までは通用する手であると思うが。

3.あとは、自分ののめり込むものがあれば、仲間が増える。パソコン通信と違って国際的に広げることができるし、マルチメディアなので自分で作曲した音楽だって送れる。

以上が学生がインターネットに加入したときのメリットである。就職の面接でインターネットについてどう思うという質問が必ずあると予想されるが、経験している者の答は重みがある。

96質問番号2.インターネットとパソコン通信の違い

質 問パソコン通信とインターネットの違い

回 答;1。次の比較表を見て欲しい

比較項目

インターネット

パソコン通信

1。接続しているコンピュータの数

世界各国にまたがる数万台が、同じ通信規約(プロトコル)でつながっている。

パソコン通信会社内の集中型システムである。したがって接続しているコンピュータは、論理的には1台である。今は、ゲートウェイを使ってインターネットとも接続されている。しかし、使用上制限がある。

2。通信できる相手

上記のコンピュータに接続しているすべての人、約3000万人とメールのやり取りやファイルのやり取りが可能、接続できる人は、今でも増加している

同じパソコン通信の仲間とだけ可能。ただし、現在はゲートウェイ使ってインターネットにも接続している。

3。マルチメディア

文字は勿論、画像、CG、音声、動画等すべて取り扱い可能

原則、文字だけ

4。取り扱い易さ

WWWは、ブラウザー(表示操作用ソフト)によりハイパーテキスト(芋蔓式関連付け)方式で読めるので操作は簡単である。

操作用のソフトが提供されているが、基本は「コマンドの打ち込み」であり、操作は難しい。

5。費用

電話代と基本料金、基本時間をオーバーした時は、従量制による使用料世界の情報を見るという点からすると安い。

電話代と従量制の使用料およびデータベース検索を行うと別使用料

6。機能

メール、News(=フォーラム)、ファイル検索、WWWリモートコンピューティング、ファイル転送、チャット(音声込み)、電話、マルチメディア、太字が他にないもの

メール、フォーラム、データベース検索、掲示板、チャット、ファイル転送、太字が他にないもの

96年質問番号3.インターネットの費用

質 問;インターネットを導入する費用は

回 答:

1。初期費用

1)パソコン代 100MhzCPU28.8Kのモデム メインメモリ16MB新品20万円

2)電話線 ジャック付きの電話があれば良い  あるとして  0円 

3)ソフト 新品のパソコンの場合はついている 0円

4)インターネット加入代 無料のところもある 0円

5)セットアップ代 お店に頼むと高い  友人にお茶一杯で頼む 1千円

初期費 20万1千円

2。月間費用

1)使用料

プロバイダー(インターネットサービス業者)により異なる

例えばMeshNetは月15時間まで               2千円

2)電話代

市内局番のプロバイダーを選ぶと 3分10円 15時間まで 3千円

と基本料金1.8千円                      約2千円

3)雑費

雑誌を買いたくなる(付録のCD−ROMが欲しい)     2千円

合計月間費用                              9千円

学生にとっては、月々の費用が高いですが、少し御小遣いをこちらに廻して頑張ってください。

96年質問番号4.プロバイダーとかモデム

質 問:プロバイダーとかモデムとか説明がよく分からなかった

回 答;

1。プロバイダーというのは、インターネットへの接続業者です。インターネットは世界共通のアドレスが必要です。そのアドレスがあればコンピュータは何台かを接続でき、1台当たり約20名位は同時に使用できます。プロバイダーはアドレスとコンピュータをもって、他のインターネットに接続してネットワークを確立した上で加入者を募っている業者です。アドレスは接続の度に割り当てて貰うのです。(ダイアル接続の場合)

2.モデムというのは、ネットワークを使ってデータを送るための装置です。ネットワークでデータを送るとき電話回線を使いますが、電話回線ではコンピュータの「0」と「1」のディジタル信号では送れませんので、電磁波の波形(アナログ信号)に変えて送ります。受けたところでまた今度は波形(アナログ信号)をコンピュータが処理できるディジタル信号に戻します。そのための装置がモデムです。

ISDNというのは、データをディジタル信号のまま送れる伝信用の線のことです。電話線より伝送のスピードも早くて、家庭用でも1秒間に6,400文字送れます。モデムだとと早い28.8bpsのモデムでも1秒間に2800文字です。

bpsは、Bit Per Secondの略で、1秒間に何ビット送れるかという単位です。

96年質問番号5.インターネットの今後

質 問:インターネットは、数年で衰退するという記事もあるが、どうですか

回 答;

1.マルチメディアを交換できる技術とネットワークを隣と繋ぎさえすれば後は「無料」という便利さから言って、衰退するとは思えない。

2.「機密保持」「信頼性」が高まれば、オンラインショピングがマルチメディをよって可能になるし、企業にとっても「商品販売」だけでなく、「サンプル提供」「製品取扱い要領」「オンラインヘルプサービス」「ユーザサービス情報」等用途は広がる。

「メディア媒体(新聞、テレビ、放送)」としてインターネットを使った新規事業もでてくると思う。

3.「通信速度の向上」と「需要と供給」の関係で「遅くて高くて使いものにならない」となればひろがらない。

4.学者用のネットワークから始まったが、商用が盛んになり、学者は別のネットワークを開設した。インターネットも分解し、THE INTERNET ではなくて Internet になるかもしれない。即ち、専門別のネットワークに分裂すること。

5.情報化社会が今は「オープン化」に進んでいるが、「クローズ化」になった時は、THE INTERNET は不要になる。

96年質問番号6.インターネットのセキュリティとオンラインショッピング

質 問:インターネットによるオンラインショッピングは進展するのか、セキュリティはどうなのか。

回 答;

1.オンラインショッピングは、マルチメディアが可能なのでインターネットは得意とするところである。ある調査によるとインターネットに加入している人の38%はオンラインショピングの経験者である。  

2.問題は、「機密保持」と「信頼性」つまりセキュリティである。

3.「機密保持」は、2つの問題がある。

支払するクレジット番号などを送ったときの「電文の盗聴」が起こらないか

・「電文の盗聴」には、2つの方法で対応している。内容の秘密化とユーザ認証である。

(1)電文自身を「暗号化」する方法:暗号化も相手に「暗号鍵」を渡さなければならない「秘密鍵方式」と、鍵は公開しておいて、公開鍵で暗号化した暗号文を手持ちの秘密鍵で読む「公開鍵方式」が検討されている。

(2)署名を暗号化した署名「ディジタル署名」にして「発信者をわからなくする方法」:電文の発信者はわからなければ、暗号の解読には2重の防御になるし、本人の認証も確実になる。知らない人に、クレジットカード番号を盗用されることもない。

今、これらの方法による暗号化の標準化が進められている。クレジットカードの決済手順では、VISAが提唱した「SET方式」が標準になった。電子メールでは、「PEM(Privacy Enhanced Mail)方式」が一応標準になっている。

WWWは、HTTPーS と SSL が標準を争っている。

4.インターネットの悪質侵入者から「自分のシステム」を守るためには、「自分のシステム」と「インターネット」の間に「ファイヤ・ウオール(防火壁)システム」を挿入します。

5.暗号技術で覚えておく必要があるのは、「暗号技術は輸出規制対象品」ということです。今、アメリカは40ビット以上を使った暗号技術は輸出禁止しています。したがって、米国内での文章は外国では読めない事態がおきるのです。

96年質問番号7.インターネットの利点、欠点

質 問:インターネットの利点、欠点

回 答;簡単に述べます。

利点

欠点

1。ネットワークの利用が非常に安い。原則、次の接続点までの費用を負担すればよい。

1。まだ、機密保持が確立されていない。

2。同一通信規約(TCP/IP)で結ばれているので接続の垣根がない。また、操作も共通化が可能である。

2。加入者が多すぎて「処理が遅い」し、「欲しい情報の在り場所が解らない」

3。マルチメディアが扱える。

3。まだ、加入者が片寄っている。(女性は数%)

4。パソコン以外でも接続できる。もう少しすれば、テレビにインターネットの接続装置が内蔵される。

4。標準化ができていない。技術が日々変化して、それを追っかけるだけで労力を費やす。

96年質問番号8.コンピュータができない人はだめですか

質 問:コンピュータができない人は本当にだめか、ワープロと表計算だけでよいか

回 答;

1.コンピュータが全くできない人は、会社に入っても困るでしょう。今や、手書きの報告書を見てくれる上司はすくない(字が特別上手なら違うかも)。メールや報告書は「ディジタル・ファイル」するためのグループウエアが導入されだしたので、ほんとに「朝から晩まで」困る。

2.ワープロと表計算ができれば、まずはOKです。会社の仕事はそんなに高度な仕事ばかりではありません。ほとんどがワープロと表計算で終わりです。

しかし、なんでもそうですが、自分でできない欠点は必ず他の方法で補って下さい。インターネットなど難しくて触れない人は、インターネットが持つ人脈の広さや知識の広さを「他人との飲み付き合い」や「本」や「図書館」で補ってください。情報力はこれからのサラリーマンの実力の差になります。どこに何の情報があるか、情報さえ手にいれればあとは表計算とワープロです。

96年質問番号9.CALS

質 問: CALSのことがよくわからない

回 答;

1.CALSとは、Continuous Acquisition Life-cycle Supportの略で生産・調達・運用支援統合情報システムです。もう一つ、Commerce At Light Speed 光速度の商取引とも言われています。

2.目的は、物を製造するときに、その製品に関わる設計、製造、運用の関係者が部品のメーカまで入れて情報を共有して「製造コスト削減」「工期短縮」「品質向上」を図ることです。従来は製品のすべての仕様が決まって部品メーカに頼んだあと、難しいため製作不可能な場合もあるし、完成して運用会社に渡して始めて点検場所が複雑で点検に膨大な費用がかかることがわかることもあった。それを情報を共有して「コンカレント(同時並行)」に開発、製造、運用を行えばあらゆる事が改善されると考えて実行された方法です。「コンカレント」とは、同時並行的(サシミ状)に行うことである。

3.したがって B777は従来だと7〜8年かかっていたのを4年で初飛行ができたといわれている。

クライスラーのネオンは2000CCで137万円〜180万円で発売できた。

4.日本でも、「自動車」「宇宙産業」「鉄鋼設備」「建設」「航空機」「電子機器」「プロセスプラント」「ソフトウェア」「造船」「石油化学」「玩具」「流通」「旅行」「文紙事務器」「建材」「鉄鋼製品」「医療機器」「出版」「広告」で実験が始められている。

5.CALSとEC(Electronic Commerce:電子取引)の差は、ECは個々の商取引の電子化であり、CALSは設計・製造・運用工程をカバーするシステムである。CALSの中に当然ECは含まれるが、関連会社との製造的要素少ない業種では、ECに絞って検討されている。「出版」「鉄鋼製品」「広告」

96年質問番号10イントラネット

質 問:イントラネットとインターネットの違いは。イントラネットはどうなる。

回 答:

1.イントラネットはインターネットの技術を社内で使用するものです。

2.技術的には同じでも、適用内容は大きく違います。

私の会社では、社員に通知するすべての文書をWWWページに掲示します。また、スケジュールや教育などもWWWにする積もりです。理由は、従来はグループウエアソフトウェアで行おうとしていたのですが、グループウエアは、文書しか扱えないし、伝送量が多く、ネットワークの負担が大きい。また、すべての端末にグループウェアの高価なソフトが必要です。WWWは、安い(無料のもある)ブラウザーソフト1種類でOKです。

3.また、これからは、社内のクライアントサーバ・システムといわれたものは、すべてイントラネットに変わっていくと思います。理由は、クライアントサーバ・システムはクライアント(パソコン側)で沢山のプログラムを開発しているが、メンテナンスも運用も大変であることがわかったからです。イントラネットなら、プログラムは原則、サーバの上で集中して管理されます。

一ケ所で修正すればプログラムの配布といった面倒なことをしなくても、すべての人に行き渡ります。また、ソフトもパソコンのOSやそのヴァージョンとも独立的であるので、DOS/VからMACに変更しても「ブラウザー」さえ変更すればそ中身のプログラムは書き直す必要はなくOKです。 すべてのパソコンに共通なソフトが出来るのです。