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主に加害者側のためのQ&A


Q.警察にはどうしても事故届けをしなければいけないのか?

 道交法では、事故の大小、人身、物損に関わらず、警察に届け出しなければならないことが義務づけられています。保険金請求する場合にも交通事故証明書が必要になりますので必ず届けて出るようにしましょう。

[補足]
 軽微な物損事故でどうしても届け出ができない場合は、届け出の出来ない理由を明確にした上で(電話をしても警官が来なかった、とか、「当事者でうまくまとめろ」と○○担当官が取り合ってくれなかったとか)、保険会社に相談すれば大丈夫でしょう。
 しかし、人身事故は例え軽微な怪我と思われても、必ず届け出した方が良いです。全てを自分で処理するのであれば問題ありませんが、後になって保険会社へ話を持ち込んでも相手にされない可能性が非常に高く、トラブルになります。

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Q.修理工場に車を持って行って、修理を始めてもよいのか?

 修理をするかどうかは車の所有者が判断することで、保険会社の担当者が決めることではありませんから、どうしても修理を急ぐ場合には写真などを取ってもらってから着工してもらった方がいいでしょう。
 ただし、事故の報告を受けた保険会社は、修理工場に連絡を取って損害の確認をした後に保険金の支払い範囲を判断しますので、実際的には、修理着工の指示を保険会社の確認後にした方が、なにかと問題がありません。10万、20万円程度の修理費用の場合はあまり問題になりませんが、大きな損害額になると、時価の問題も発生しうるため、保険金の支払いが制限されるおそれがあります。
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Q.過失相殺とはどういうもので、誰が決めるの?

 過失相殺とは、当事者間の損害の公平な分担を目的としています。自動車事故においては、駐車中の車に当てたとか、信号待ちで止まっている車に追突した場合は別として、当事者双方に何らかの過失(責任)がある場合がほとんどと言えます。この場合、賠償すべき損害額を双方の不注意の割合に応じて、減額し合うことになります。
 もし、Aが70%、Bが30%という割合なら、Aの負担はBの損害額の70%、Bの負担はAの損害の30%、となります(Aは自分の車の損害の70%を自己負担、Bは自分の車の損害の30%を自己負担、ともなります)。お互い、相手方の損害に対して、自分の責任割合分を負担する形になる訳です。つまり、相手方の責任分は損害額から減額される(相殺されている)ということです。
 また、過失相殺の割合は、過去の判例によりおおよその基準ができています。保険会社は「別冊判例タイムズ・1991全訂版」に記載されている、過失相殺率認定基準をもとに、過失交渉を行っています。もちろん、この判例タイムズがすべての判断基準ではなく、それを元にして事故当事者双方の事故状況に対する意見を話し合った上で、過失割合は決められています。
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Q.自分が悪いと思ったので、相手方に「全部こちらで負担します。」と言った。保険会社ですべて負担してくれるのか? (全額賠償の約束)

 前述の通り、事故はお互いに過失が発生することがほとんどです。当事者が全面的に悪いと思った事故でも、保険会社から見れば(一般的な見地からは)相手方にも過失責任が発生すると見なされる場合があります。前述の例を取れば、Aは70%を賠償すればよいわけですから、Aの加入する保険会社は70%を負担することとなります。これをAがBに対して全額賠償の約束をしてしまうと、残り30%について当事者A本人が負担しなければならない場合も有り得ます。
 そうなることが望ましい解決策でないのであれば、早急に相手方に連絡を取り、約束の撤回をすることが必要です。

[補足]
事故現場で当事者が、「すみません」、「保険で支払います」などと言ったため、相手当事者が自分に都合良く解釈し、全額支払ってもらえると受け取っている場合があります。この場合も、当事者から相手方に真意(全額賠償するという意味ではない旨)を説明する必要があるでしょう。

[さらに補足]
「全額支払います」とついうっかり言ってしまっても、後で撤回することは出来ます。「賠償について何も知らないまま言ってしまったことで、私が間違ってました。撤回します」で十分でしょう(もちろん、安易な返事をしてしまったことはお詫びしなくちゃいけないでしょうけど)。
また、少々理屈っぽいですが、「全額支払います」というだけでは、何を全額支払うと約束をしたのか明確でないため、法律的には「何の約束をした訳でもない」(つまり約束は無効)と解釈されることが多いらしいです。全額賠償約束(念書もそう)のほとんどはこの手のものであり、厳密な意味では法律的に無効なものが多いと考えても良さそうです。法律的な面で詳しくは専門の弁護士にでも聞いて下さい(苦笑)。

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Q.相手方から代車を出してほしいとの話がありました。どうしたらよいか?

 車を修理するために必要な期間については、代車費用が損害項目として認められており、その車の程度は事故車と同程度(国産高級車相当が限度)の車になります。また、代車が本当に必要かどうか、もポイントになります。
 上記の2点を判断する必要がありますので、保険会社に連絡を取ってください。必要と判断した場合、保険会社において相手方と打ち合わせの上、何がしかの手を打ちます。(レンタカーを手配したり、修理工場と掛け合って配車して貰ったり)
 相手の方(もしくは加害者側)が自分でレンタカーを借りて、その実費を請求してきた場合、その請求内容が上記2点と照らし合わせて妥当な金額かどうかが判断され、保険金が支払われます。この場合、事前に保険会社へ相談される方がベターだと思います。

[補足]
 双方に過失責任が発生する場合(つまり、どちらにも事故に対する責任が発生している場合)には、保険会社は相手方に対して代車費用を認めないことがほとんどです。これは、双方の過失責任で事故が発生したのだから、双方お互いに出来るだけ損害を拡大しないように勤める義務がある、と考えているからです。分かり易く言えば「お互い様でしょう?」という感覚でしょうか。損害賠償の考え方には「損害の拡大防止義務」というものがあり、例え被害者であっても出来るだけ自らの損害を押さえるよう自助努力することが求められているのだと思います。

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Q.相手方より「新車にしてほしい」との話があった場合、どうしたらよいか? (新車要求)

 話を聞くだけで何も約束はせず、保険会社と連絡を取り、早急に保険会社から連絡してもらう旨を相手に伝えてください。それ以外の話は無用です。
しつこい場合は、要求を拒否して下さい。理由は以下の通りです。

[参考]
 新車でも、登録・引渡しをすれば、その車の時価(市場価格)は新車価格より2割は落ちると言われています。(ナンバー落ち、新古車などの例から明らか)
すなわち、どんな新しい車でも、賠償として新車を提供するということはまず有り得ません。判例でも認められた例はほとんどありません。少なくとも私は、そんな判例を見た事ありません。もしあったなら教えて欲しいぐらいです。
 逆の言い方をすれば、「そういう裁判例が頻繁に出てくる」のであれば、新車要求も認めて良いのでしょうが、まず無いでしょう。

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Q.相手方より、「将来下取りに出した時、価格が落ちるのでその分を見てほしい。」と言われた場合、どうすればよいか? (格落ち要求、査定落ち要求)

 新車要求のケースと基本的には同じです。基本的には認められていない損害なので、支払いが難しい旨を伝えることが先決です。ただ、新車要求の場合と違うのは、時々認められることもある、ということです。その辺の解釈はケースバイケースで難しいので、保険会社の担当者に良く相談して下さい。

[参考]
 比較的新しい車で、骨格部分まで損傷が及ぶような場合は、価格落ちが認められることがあります。判例では、新規登録後2〜3ヶ月、走行距離3000キロ程度以内の場合に、総修理費の約2〜3割程度までが認められる目安のようです。結構、アバウトです。
 しかし、将来下取りに出すのが何時なのかわからず、また今後大きな事故に遭うとも限らないことなど、将来の下取り時にこの事故でいくらの価格落ちが発生するかは不確定要素が多すぎるため、基本的には応じる必要はないとされています。車は、基本的に、ちゃんと走ればいいのです。上記判例は、修理を行なっても、走行機能、耐久性に問題が起こり得る程の損害を受けた車に対して価格落ちを認めているのです。
 また、こういう言い方は反発があるでしょうが、一見信頼性の高そうないわゆる「ディーラーの見積もった査定落ち」調書というのは、非常に多くの事故において主張されるものですが、それ自体はほとんど考慮するべきところは無いと僕は思っています。事故以前に査定見積もりされていたのが事故によって落ちた、というなら話は別ですが、事故後に見積もられた査定落ちなんて、「そりゃディーラーも商売だから、そういうことを平気で言うわなあ」ぐらいにしか思えないです。「事故車両」は査定が低い、というのは、そりゃ中古車屋さんも商売ですし、何かと理由を付けて買い取り価格を下げるのは当たり前でしょう。

[補足]
 問題は、事故歴を理由に落とされた査定分の全てが「事故による損害」とは限らない、ということでしょう。もともと車の時価というのは事故があろうとなかろうと日に日に(月毎に?)目減りするものですし。

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Q.相手方の車はかなり古く、損害も大きいのですが、「この車を修理するから、修理費を支払ってほしい。」と言われた。どうすればよいか?

 まず修理見積もりを出してみて、時価額をオーバーしないかどうかを確認する必要があります。もし、修理費用が車の時価額をオーバーするようなら、修理費を全額支払う必要がない(時価額を支払えば良い)、と多くの裁判例が判示しています。

[参考]
 一般的に事故車に対する損害賠償としては、その機能と財産的価値を回復すればよいと考えられており、修理額が基本です。
 しかし、修理額がその時点での車の値段(時価額)を上回っている場合は、いわゆる経済的全損となり、賠償は時価額限度となります。(修理自体が不能の場合、絶対全損となります)
 質問の場合、修理する、しない、は相手方の自由判断ですが、賠償はあくまで時価額限度となります。
修理額<時価額・・・・修理額を賠償
修理額>時価額・・・・時価額を賠償

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Q.相手より、「保険会社は話しにならないから直接話をする。」と言ってきた。どうすればよいか?

 保険会社が当事者に代わって交渉している以上、責任を持って出来るだけ解決に努めるでしょう。しかし、相手によっては法外な要求などを直接当事者に話を持っていく人がいるのも現実です。法外な要求は保険会社に通らないからですね。また、まっとうな要求でも、「とにかく保険屋とは話したくない」という奇特な?方もいらっしゃいます。
 相手方から交渉を拒否された場合、基本的に(約款上)、保険会社は交渉の窓口になれなくなっています。(この約款は、建前にすぎないのが現実だが)
 そういう場合には今後の対応を検討する必要がありますので、保険会社担当者に至急連絡し、協議して下さい。再度、担当者より相手と交渉窓口の交渉をするなり、相手の出方によっては、保険会社が保険の費用で弁護士をつけてくれたりしますから。
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Q.治療費の請求があった場合、どうしたらよいか?

 保険会社の担当者が病院に直接連絡をとり、被害者と打ち合わせの上、解決するでしょうから、保険会社に連絡して下さい。
 また緊急に立替をする場合には、病院の発行する領収書、あるいは相手からの領収書を貰った上で立て替えて下さい。後程、保険会社から保険金として支払われます。
 ただしこれは、人身事故の扱いで保険会社が対応している場合、の話です。免停、罰金を逃れるために人身事故扱いにしていない場合は(多いケースだな)、ご自分で被害者に払ってから(領収書を忘れずに)自賠責保険に直接請求する手続きをすることになります。
 自賠責保険の請求手続きは、ご自分の車の自賠責保険会社へ行けば、窓口で手続き方法を教えてくれます。パンフレットもたくさん置いて有ります。書類を取り付けたりするのが面倒ですが、請求手続き自体は意外と簡単です。
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Q.当座の生活費などの請求を受けた場合、どうしたらよいでしょうか?

 保険会社の担当者が被害者の怪我の状態、休業状態等を確認し、必要性が認められれば、保険会社より直接被害者に内払いされます。(対人保険で対応中なら)
しかし、事故が起こってすぐの場合など、場合によっては加害者に立替してもらわないといけないケースもあります。その場合は領収書等を必ず取り付けてから支払うようにして下さい。また、あまり高額な金額を支払うことはない(しない方が良い)でしょうが、目安としては被害者の給与月額1ヵ月分ぐらいが限度でしょうか。その内に保険会社側の手続きも進みますから。

[補足]
 賠償の対象とならないものまで立替してしまうと、後日、保険会社から支払いのできないことがあります。必ず、立替えの前に保険会社の担当者と打ち合わせた方が良いです。

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Q.被害者への対応はどうすればよいですか?

 まず、被害者への道義的責任をはたすことが円満解決への第一歩です。被害者を訪問したり、電話をするなどして、十分誠意を尽くすようにして下さい。誠意、というのは非常に難しいですが、取りあえず金品よりも「マメな連絡」だと考えて下さい。連絡が途絶えることに、被害者は大変反発します。
 それに、「たまには連絡しろ」という被害者はいても、「何か持ってこい」という被害者はあまりいないです。そういうことを言う被害者には、逆に警戒しなければなりません。

 賠償の話は、保険会社が加害者に代わって行いますが、お見舞いについては加害者本人がやらねばなりません。訪問しづらい、電話しづらい等、加害者としては全てを保険会社に任せたいところでしょうが、そういう訳にはいかないのです。これについては徹底してください。「事故を起こしておいて、お見舞いにも来ないなんて、まったく誠意が感じられない」と被害者が感情的になり、まとまる話もまとまらないのです。逆の場合には、多少不満があろうとも、被害者の方がスムーズに示談に応じてくれることが多い、ということです。

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Q.交通事故でも健康保険が使えるのですか?

 一般の怪我や病気と同じように健康保険給付の対象となります。特に被害者の方に過失があるような場合、健康保険を使用することで、被害者の自己負担が軽減され円満解決の第一歩となります。なお、健康保険を使用しても治療内容に影響はありません(あったらまずいよなあ)。国民健康保険、共済保険、労災保険等も同様です。
 ただし、事故で健康保険(社会保険)を使う、という届け出が必要です(第三者行為傷病届)。国民健康保険なら、役所。組合健康保険なら会社の組合。労災保険ならば職場の手続きにおまかせ。どれにしても、さほど難しい手続きではありません。

 病院の窓口で保険証を提示すること(してもらうこと)をお忘れなく(苦笑)。

 時々、「交通事故では健康保険証は使えません!」と堂々とおっしゃる病院があります。そういう病院がどんな病院か……これ以上は書きませんが、まあいろんな意味で注意した方がいいですね。第三者行為傷病届けはキチンと手続きするから、と言えば大体大丈夫だと思いますけど、それでも受け付けなかったら地元の社会保険事務所に訴えて病院の保険医資格に異議を唱える、という強行手段もあるかも(余談)。実際にコレをやった保険会社の担当者もいたりします(苦笑)。

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Q.自分が信号待ちの相手の車に追突し、自分が怪我をして人身事故となった。自分の治療費は相手の保険か、自分の保険で支払ってもらえるのか?

 残念ながら治療費はどこからも払ってもらえず、自分で負担するしかありません。そのため、前述にあるように健康保険等の使用を早急に検討し、治療費の負担を軽減させましょう。また、この場合、搭乗者傷害保険金・自損事故保険金の請求ができますから、任意保険会社に相談することが大事です。請求が認められれば、通院(入院)1日に対していくら、という形で保険金が支払われます。

[補足]
 最近では「人身傷害保険」なる保険商品が発売されています。これは、自動車の事故によって怪我をした契約者(あるいは被保険者)の治療費実費やら休業補償やら慰謝料相当額までが、過失の有無に関係なく自分の保険から支払ってもらえる保険商品です(その代わり、自損保険・無保険車傷害保険が適用されない)。車両保険の人身版、という感じでしょうか。保険料が高くなりますけど、これからはこういう保障の時代なんでしょう。良い保険商品ですから、ご加入の保険会社に聞いて見てください。

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Q.示談を早く済ませたいのですが、その時期は?

 示談は被害者の損害額が確定した時に行うものとされています。たとえば、傷害事故の場合は被害者が治癒または治療を打ち切った段階で、金額交渉の上、示談書を取り交わすことになります。
 時々、仮示談書という形で中途の段階で示談書を取り交わし、加害者の刑事責任を軽くするために使われるようですが、保険会社では出来ない示談(交渉)ですので、当事者で行う必要があります。(内容は、これからしっかり賠償します、みたいなもんでしょうか)
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Q.搭乗者傷害保険は通院した日がすべて支払い対象日数になるのですか?

 事故による怪我により「生活機能または業務能力の滅失または減少した期間」が対象になります。つまり、一日の活動の大半を占めている活動、すなわち有職者なら職業行為、主婦ならば家事など、学生ならば学業、幼児ならば遊戯などがまったくできないか、できても相当程度制限的である場合をいいます。
 また、自己判断だけで通院、欠勤を続ける場合などは、いくら実績があっても支払いの対象になりません。やはり、基本は医者の判断でしょう。それに保険会社の上記判断が加わり、支払い日数が協定されます。
 近頃は特に「頚椎捻挫、腰椎捻挫」という診断名の怪我に対して非常に厳しくなっていますので、こういう怪我の場合は日数の認定も厳しくなっているようです。

[補足]
 余談ですが、厳しい保険会社は「休業損害証明書」まで提出させるところもあるそうです。保障期間を仕事を休んだ期間に限定しようとする趣旨なんでしょうか?業界現場に身を置く私でも「そこまでやるのか?減少期間の認定はどうするんだろ?」と思いますけど、ね。その辺はうまく調整しているんでしょうけどね。

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作成 1996.11.3
改訂 1997.5.25
さらに改訂 2000.4.30

Kazutaka Mitani
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