ちょっと今日はいつもと毛色の違う話を。
私が働いているNECのR&Dでは、近頃はめっきり日本の各企業
が取り組まなくなってきたような、基礎研究の分野があります。
そこでの活動の一つにカーボンナノチューブの研究があります。
カーボンナノチューブに携わる研究者はその世界では世界的な権威でして、
先日、英国王立研究所において
このカーボンナノチューブの研究について講義をしてきたそうな。
で、ココでの話は本論のカーボンナノチューブの話ではなくて、その前
の話です。
炭素がとる原子の配列の形式にはダイヤモンドをはじめいくつかある
がその中の一つにC60というのがあるのをアメリカの研究者が理論的
に発表したそうな。C60というのは、炭素原子がちょうど6角形20個
と5角形12個からなるサッカーボールの各頂点に1個ずつある形です。
原子の世界は、1メートルの千分の1である1ミリメートルの千分の1
である1ミクロメートルのさらに千分の1であるナノメートルの世界。
要はすごいちっさいと言うこと。
その原子60個が規則的なしかもサッカー
ボールの形状になるなんてなんと大胆な。
実は、NECの研究者は、炭素原子の並びが規則的になっているものを
電子顕微鏡による観察の中から、正6角形以外に正5角形のものが12個
あることをその発表の5年ぐらい前に予測してたそうな。
予測するに当たって、幾何学?にオイラーの法則というのがあって、
正6角形はいくつあってもいいけど、
(正5角形の数)=(正7角形の数)+12 であり、
しかも正7角形が存在しないと(ほんまか、怪しいかもしれん。)正5角形が
12個存在するからという理由だったらしい。
結局のところ、理論屋さんの発表に対して、電子顕微鏡なんかで直接
原子の状態を見る活動をしてるうちの研究者なんかもふくめて、いろんな
人がC60(極微細サッカーボール)の存在を確認した。
でサッカーボールを最初に発表したアメリカの研究者が最近ノーベル賞
をとったそうな。
うちの研究者は
「12個はわかってたがそれをサッカーボールと気づくかどうか
がノーベル賞の分かれ目か」と笑いながら
講演で話してました。それを聞いて私は、