7.試合を終えて−トルシエのGood Jobとエースストライカー考


大活躍のサッカーダイジェスト

 稲本のゴールが決まった瞬間、カザフの皆さんの何割かは帰途に
つきはじめた。私の近くに座っていたカザフの少年二人連れが、日本
人側に来ようとして、軍隊の親父と口論していたので、半分なだめる
ためにサッカーダイジェストを貸してあげた。喜んで、夢中になって
見る二人、特にカザフ代表のカラーページには、なんだか、ペチャクチャ
と反応していた。中にはヒデのポスターがついていて、「いいなあ」って
顔でぴらぴらさせていた。また中澤が、髪型がわかるようで、フィールド
を指さしてなんだかかんだか言っていた。
 そんなに喜ぶんならと思い、二人にその本をあげるよというポーズを
とると、すごく感謝された。少年たちと握手を交わした。
 今頃あの少年たちは友達に、サッカーダイジェストを友達に見せて得意げ
になっている事だろう。そして、ヒデのポスターは彼らの家の中に張られて
いるかもしれない。

手を振るカザフな人たち

 帰りのバスに乗るとき、カザフ人にまとわりつかれて、国旗を持ち逃げ
される日本人もいたが、だいたいは、「コングラチュレーション」と英語
で話しかける人だった。お互いに手を振りあった。
 そう言えば、ハーフタイムに話しかけていたお姉さんも英語を普通にしゃ
べっていた。教育が盛んだと言っていたガイドさんの言葉を思い出した。
意外に英語教育がはやっているのかもしれない。
 バスが市内を走りだすときも、カザフ人は手を振っていた。
(中にはにやにやしながら中指を立てている子供もいたが ^^;;)

晩御飯

ホテルに戻ると、18時すぎ、すぐにバザールに向かった。19時には閉店
するお店も18時すぎではまだ活気を持ってやっていた。あっこさんは
チーズを300g買うことに成功。
(チーズの固まりを300gに切ってもらうようにお願いするのって難し
 かったのだ)
ビールを買ってホテルに帰った。昼に買っていたパンとナスの炒め物と
チーズをパクついた。ナスの炒め物、おいしかった。また、カザフスタンの
ウオッカも飲んだ。(って言っても私はちょっと飲んだだけだけど)
心地よい勝利とビールで横になって、今回の五輪チームの事をぼーっと
考えた。

トルシエのGood Job

 今回の試合には、トルシエのGood Jobを感じた。あの清雲が監督をやっ
ていた、サッカーセンスだけでやっていたユースの頃、このチームの選手
はすごくいいけど、そのうちつぶれるかもと心配していたものだが。
 しかし、今日のチームには、近代的なフォーメーションと高いモチベー
ションそして、一対一でもうまいだけではなくてたくましさを感じさせる
プレイを見せてくれた。
 試合に入るまでのチーム作りでは、こと五輪チームに関して言うと、
完璧にこなしてくれた。そして、柳沢をはずしたという事に関しても
評価が出来る。それまでの実績に関係なくその時調子の悪い選手は
はずす、こんな当たり前の事が、それまでの代表監督には出来なかった。
 ただし、トルシエの試合に入った時の采配に関しては、よく言えば積極
的、悪く言えば、ギャンブルをしすぎるところもあると思う。今回も、
FW2枚を代えて成功したが、私には最善だとは感じられなかった。

さて、エースストライカーであるはずの柳沢敦。11人の中のバランスを
追求したがる彼がシュートとゴールにこだわる選手になる事が、五輪代表
には求められると思う。今回出場のFWもよく競り合ったが、しかしシュート
まで持っていくシーンは高原ぐらいだった。シュートを一番よく打っていた
のはヒデだった。能力から考えても柳沢にはシュートまで持っていく事が
出来る。彼のコンディションが整う事が、シドニーでのベスト4につながる
と思う。11人でいかにがんばるかばかりを話す彼がエースストライカーの
自覚を持つ事が必要だ。

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