・カザフスタン 0−2 日本(カザフスタン中央競技場)


日本

     高原  平瀬
       ヒデ
中村    稲本 遠藤  明神
   中田浩 宮本 中澤
       曽ヶ端

カザフスタン

       4ガルクーシャ
                 10シェフチェンコ
    9アリエフ
       16アルチョーモフ(ヒデのマンマーカー)
8スマコフ       15トラービン 
    13キチシェンコ
   3クミスベコフ 2コズリン 17ゼムツォフ
          1ロリヤ

 立ち上がり、いい緊張感の日本、稲本のミドルシュートは大きく枠の
上をはずれたがファーストシュートがとれた。
 対するカザフスタンもその直後、唯一の脅威であるシェフチェンコ
がドリブルで持ち上がり、前半で数少ない危険な状態になった。
 予想通り、日本が圧倒的にボールキープをしている。カザフスタン
はヒデに長身FWのアルチョーモフをなんとヒデのマンマーカーに
つける。そして、基本的には4、10、9ぐらいしか攻撃に加わらず、
常にDFに5〜6枚の枚数をかけていた。日本は3バックが後ろでボール
を回した後、稲本、もしくは遠藤に預ける。そこから縦にパスを出すと
完全な数的不利になってしまうのと、グランダーでの細かいパスが
ピッチの悪さから3本以上きれいにとおらない。
 ヒデもマンマーカーがついていることから前に効果的なパスが出せないし
そもそもスペースがない感じだった。
 チャンスは稲本や遠藤がサイドにボールを散らした時である。12分には
稲本から俊輔にスルーパスが通った。俊輔もしくは中田浩二からのファーへ
のセンタリングを平瀬あたりが折り返したこぼれ球狙いが多かったが、それ
ではゴールを割るところまで行かない。
 沈滞ムードを打開したのはヒデだった。カザフDFのクリアボールを
日本が競り合い、前にはじき返した。これを左で高原が中のヒデにヘディング
でパス、ヒデは、マンマーカーがついていて、右横にもカザフの選手
がいて、しかも前には3人のディフェンダーがいる状態で胸トラップ
から荒れたフィールドを少しドリブルした後シュートをなんと左隅に
つきさしたのだ。

 正直、「オマエってヤツは!!」って感じだった。

 この直後にもヒデはペナルティエリアの外からミドルシュートを打って
いる。他の選手ではあそこで多分、シュートという選択をしなかっただろう。
また、シュートが一番多かったのもFWではなくヒデだっただろう。

 この後もカザフはディフェンスに枚数をかけるそのままだったが、日本
はボールの巡りがよくなった。33分には明神からのロングクロスを
高原がキーパーとの競り合いに勝ち、ボールはゴールの方に向かったが
惜しくもディフェンダーにクリアされた。

37分にはヒデが左サイドに展開して俊輔から長いクロス、46分には高原が
左サイド際で粘り俊輔に落として俊輔の早いセンタリング、平瀬がはずした。
このまま前半終了した。

・カザフスタンはシェフチェンコとガルクーシャだけでなんとかしようとして
 いる。シェフチェンコが右サイドから持ち込んだときがチャンスになるのだが
 なんとこれをケアしていたのが、対面になる左の俊輔で、時にはセンターや
 右まで流れてドリブルするシェフチェンコを最後まで追っかけて、ボールに
 アタックしていた。前半のカザフのディフェンスに枚数をかける状態に対して
 どうしても稲本と遠藤が上がり目で勝負するので、中村にかかる負担は相当
 だっただろう。
 香港では自分が一対一をしかけて安易にボールをとられたときですら、
 そのボールを取り返しにも行かなかったのと同じ人間とは思えない。
 前半の陰の功労者は間違いなく中村俊輔だった。

・3バックは安定していたが、3バックから相手FWも来ていないのに安易に
縦に放り込むシーンもあった。ヒデが中澤や宮本に注文をつけていた。

後半、選手交代で9アリエフを14ウラザエフに交代してきた。
このウラザエフが前目でキープできるのと、8スマコフがポジションを中目
に取る事、そして、ディフェンスにかける枚数を必要以上にかけなくなった
事からカザフスタンが攻めの形を作り始める。
50分前後の時間帯では、中盤の安易なミスからシュートまで4,5回
行かれてしまった。前半と同じように前がかりになっていた稲本、遠藤、
よって、中盤と最終ラインの間が開きすぎていた感じもする。
そして、55分すぎには、遠藤と俊輔の疲労がわかるようになる。
遠藤は、味方のパスに対して、出された後でやっと反応するようになり、
また、相手との一対一に負けた時に追いかけようとするが追いかけられない
というぐらい消耗していた。あんな遠藤は正直はじめてみた。
 広大な中盤のスペースを追い回す稲本。中に絞る明神。特に稲本は
凡ミスもあったが、この時間帯耐えて、よくボールを追いかけた。
ウラザエフにミドルシュートを打たれたがいずれも、枠に行かなかった。
逆にあそこで持ち込まれるといやだった。
62分にはヒデのマーカーだった16アルチョーモフを5ウラズバフチン
に交代してきた。15トラービンがヒデのマークにはいる。
この時間帯、俊輔や遠藤をではなく、トルシエが代えたのは前だった。
67分、高原を福田に交代した。沈滞していたFWの動きが活性化する。
前半と違い、サイドの前にスペースがあるので、そこに飛び出す動きも
出てきた。(間に合わなかったりしたが)
68分、背が高いがヘディングをせず、トラップも今ひとつの4ガルクーシャ
    を11ガリッチに交代した。
中盤の負担は相変わらずだったがトルシエは2枚目のカードをやはりFWで
切った。78分、平瀬を小島に交代。小島も積極的な動きで、ヒデも前にパス
が出せるようになり押し返した。
81分にはヒデがドリブルで持ち込みシュートまで行った。
83分、俊輔を本山に交代。後半はばてた俊輔、よくやった。
85分に、またヒデが持ち込み、キーパーを交わそうとし、キーパーに引っかけ
られるが、ファールなし、しかし右CKを得る。ヒデのニアへのライナーの
ボールを稲本が足で合わせたボールはふわっと、キーパーの上を越え、ゴール
左に落ちた。ゴール!!!
後は時間が立つのを待つだけ。ボールを上手く回し時間をかけて、試合終了の
ホイッスルを聞いた。

 

初戦を完勝し、シドニーへ大きく前進した。


・カザフスタンは背は高いがヘディングの競り合いでは日本の方が強く、
 かといって、グランダーのボールを器用にこなせるわけでもない。
 ただし、14ウラザエフは勝手なプレイが多いが、彼と10シェフチェンコ
 が絡むと危険な状態になる。
・日本は、後半、疲労した遠藤、中村ではなく、FWを代えて前半にはなかった
 スペースを使った事で、活路を見いだした。強気の采配だった。
・ヒデはすごい。このフィールドでもしっかりとドリブルで持ち込み、
 シュートを打ち、味方を叱咤激励していた。

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