開き直りの百姓一揆蹴球術 ウズベキスタン 1−1 日本


■試合前


10月11日現地時間15時(日本時間19時)集合、チケットはなんと 
ぼろぼろのかみっきれである。こんなんで、本当にチケットだとわかるの 
だろうか。  
ホテルからは、10分ぐらいの距離。バフタスコールスタジアムに着いた。
我々がバスからおりるとうれしそうな顔をして取り囲んできた。多分、ただ
珍しいだけだと思う。
UAEの時に比べ、全然出だしが早い。すでにスタジアムは1/3ぐらいの
人がいた。4万人強ぐらいは入る感じ。UAEの時もそうだったが、
日本のたとえば国立だと、フィールドから2mぐらいの高さがあってそこ
から席が斜めにできているが、フィールドの平面と同じ高さから席
ができているので、見た目では小さく見えるが以外とはいるような
気がする。
ちなみに、一次予選の集客力が一番あったのは日本ではなくウズベキ
スタンだったらしい。
 タンタン人はとにかくひまわりの種をみんなほおばっている。
ハムスターか。
 試合前には謎の男がやたら「ウズベキスターン」と大声でマイクで
盛り上げていた。そして、ウエーブは高速。日本の5倍ぐらいの速さ
で人波がすぎていく。私のツアーが座ったのはホームスタンド真ん中
やや右。ちょうどウルトラズの応援と逆の位置だった。近くには
ウズベキスタンの謎の長いラッパを吹き続ける5人組。
日本ちゃちゃちゃをするとまわりのタンタン人にひまわりのたねをぶつ
けられる。中には、ペットボトルを投げつけられている日本人も
いた。

■ウズベキスタン1−1日本


日本
   カズ 呂比須
  名波    森島
相馬  山口   名良橋
  斉藤  秋田
    井原
    川口
またしてもこりずに3−5−2で行く日本。

前半いきなりビッグチャンスがやってきた。3分、FWのオフサイド
ポジションでのサイドへの動きにつられて、真ん中2列目から飛び出
した森島が秋田から縦パスを受け、キーパーと一対一になる。
 外すか???
どれだけビッグチャンスを作っても決めなくては勝てるわけがない。
この後も2,3回森島は決定機を外し続ける。
一つには、森島がスタメンで登場する事自体が久しぶりだったことも
ある。首脳陣が怠ってきた事がこんなところで出るなんて。

 22分、左コーナーキック、相手のクリアのこぼれを山口がシュート
はじいたところを城が決めたがオフサイドを取られる。
 一度副審がおろしてまた上げたように見えて、不可解な感じがしたが
日本に帰ってみたら、全然オフサイドじゃないではないか。
ついてない。

立ち上がり10分を越えたあたりから、ウズベキスタンが明らかに日本
戦以上の出来を見せている事がわかる。4カシモフに深い位置で一度
集め、そこからシュクビリンやシャツキフに出す、このポストを2列目
以降がサイドから信頼をして上がってくる。この連続に日本は次第
にバランスを崩していく。

31分、ウズベキスタンは右からのコーナーをあわせ、シュート、
こぼれだまをカムバラリエフが左サイドに豪快に決める。
異様な歓声がこだまするスタジアム。まわりのタンタン人がこちらを
向いてガッツポーズをする。

このまま前半を終える日本。
・カシモフが異常にうまい。ちょっと処置なし。深い位置でフリー
 にさせすぎ。
・山口は中盤のルーズボールをことごとく競り負ける。1DMF
 の上に、山口はどっかにふらふらいってしまうので、DFの一枚
 が上がってしまい、ほんとにバランスが悪い。

後半開始も、ウズベキスタンペース、これを代えるため、53分には
森島と斉藤を外し、呂比須と中田を入れる。DFを一枚薄くしたが
その意図はからまわり中田を入れると、相手のDFの陣形が崩れるので
入れるだけで意味はある。しかし、中田はスペースをねらいすぎ。
前を向いてスルーパスをねらいすぎ、サイドに簡単に当てる事が
なくなる。名波は消えていく。

ウズベキスタンも絶好機を何度か迎えるが、枠を少し外れたり、川口
のナイスセーブがあったり。何とか耐える。

79分、中西を名波に代えて投入。なんと中西はCBに入り、秋田をFW
にする。そして、放り込みを繰り返す姿に百姓一揆を連想する。
また、これが、DF以外は放り込まずにきれいにパスを通そうとしたり
必ずしも意識はあってなかったが、
89分、井原のロングパスを呂比須が頭であわせ、転々とゴールに
入り込んだ。同点、
後は、大声で逆転を祈った。ロスタイムFKを呂比須の頭であわせたが、
正面に飛んだ。
万事休す。
中央アジアは二引き分けで終わり、自力での2位進出がなくなった。

・秋田をFWで使わなければいけないこと自体が悲劇。
 日本に帰ったら、ストロングヘッダーを入れるべきと
 思ったが願いはかなえられないようだ。
・そう言えば、カズってなんかしたっけ。森島は活躍してたけど決めれず
 代えられた。
・もうDMF1枚はやめてくれ、3バックはやめてくれ。
・山口と中田と名波がみんなばらばらにやってたら中盤は無茶苦茶。
・だいたい、ノートラップでパスがぽんぽんとつながるなんてのは
 ほとんどなくなってしまった。
・アジアのレベルの中で戦う事を決意したようにも見える。モダンサッカー
 を放棄した上に負け試合を見せられるというのはつらい。

・唯一の光明はなりふり構わないと言う雰囲気が出来たこと。そんな
 雰囲気がないと勝てないというのは寂しい限りだが、その百姓一揆
 のようなサッカーを応援するしかない。

試合終了後、天を仰ぎ、首を振る私。ふと横を見ると、一人のウズベキス
タン人が私と同じように天を仰いでいた。ウズベキスタンにとっても、痛い
引き分けである。彼は私の視線に気がついた。目があった。
どちらからともなく握手を交わした。彼の目にたまる涙が忘れられない。

それを見ていた母子連れとも目があった。4,5才ぐらいの
子供と握手した。
母親の口から「スパシーバ」という声が聞こえた。
あの子供がこれからもサッカーを好きであればと思った。

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