寒冷渦/寒冷低気圧
寒冷渦
上層の気圧の谷の発達に伴い、ジェット気流が南北に大きく蛇行した結果、
元の流れから切り離されて生じた低気圧
(特徴)
移動する速度が遅い
等高線、等温線は、円形に閉じている
中心部は強い寒気が孤立 下層は密度が高い
上空は、圏界面が下降して温度が高い 上空は密度が小さい
上空ほど明瞭(500hPa)
寒冷渦周辺の雲域は強い正渦度移流域(500hPa)により
総観規模の上昇流域である
+
動きが遅い
↓
周辺の南東側では強い南よりの風が持続する
(下層で高温多湿な空気の流入)
(高相当温位)
↓
成層の不安定が維持される
対流活動が活発
↓
積乱雲を含む雲域が形成、維持される
↓
大雨に注意
例
大陸からシベリア気団の寒気が持続的に日本海に流入
(寒気の吹き出し)
↓
日本海を通過中に変質 + 寒冷渦発生
↓
日本海沿岸地方に大雪(里雪型)
寒冷渦は、不安定になりやすい
↓
大気の安定度を見る → SSI T500−Ta
(500hpaの観測値 −
850hpaの空気塊を500hpa
まで持ち上げた時の温度)
夏の場合など、ー3℃以下で雷雨の可能性あり
SSIで見る
ポーラーロー
→ 寒冷渦の中心付近の下層に比較的小さい規模の雲渦が衛星で観測される
メソスケール 100〜200km
数値予報の格子間隔 20km(領域モデル)
1波長あたり5格子程度以上あると、数値予報モデルで実質的に表現可能
(以下のケースは、パラメタリゼーションにて表現)
寒冷渦周辺 → 対流活動活発
↓
積乱雲が放出する凝結の潜熱による加熱
↓
上昇流 → 下層の渦が強化される
メソスケールの低気圧が発達(CISK:第2種条件付き不安定)
防災上警戒すべき現象
中心付近 : 落雷、突風、降雹、短時間強雨
→上層の強い寒気により大気の成層が不安定となり、積乱雲が発生しやすい
周辺付近 : 大雨
(特に南東側)
→寒冷渦は動きが遅く、同じ地域で下層に、高温多湿な空気の流入により、
対流性の雨が繰り返すため