気象予報に関する法律


 
1、気象予報士と予報業務について

 1)予報業務とは
   予報業務とは、気象、地象(火山活動、地震を除く)、水象の観測の
  結果に基づいて、次に起こる現象を予想して、発表すること。

   気象:大気の諸現象
   地象:地震および火山活動ならびに気象に密接に関係する地面と地中の諸現象
      (地震、火山活動は現状、予報できる技術水準にないため、予報の対象としない)
   水象:気象、地震に密接に関係する、陸水、海洋の諸現象
   予想:自然科学的方法で行うもの → 易や占いは、予想ではない
   発表:予想結果を公衆に知れ渡るような状態にすること 
                   → 気象庁の予報を解説するのはこれにあたらない
   業務:予報、発表を反復・継続して行うこと → 有償、無償に関係ない	

		   ・業務の流れ
		    → 観測 → データの集計 → 現象の予測 → 発表 → 観測 ・・・・


 2)予報業務の許可制度
    気象庁以外の者が予報業務を行おうとする場合、該当する予報業務について気象庁長官の
   許可を得なければならない。
    その際に、行おうとする気象業務の目的と範囲に必要な施設や要員を有していなければ
   なりません。
    さらに、予報業務を行う事業所ごとに、気象予報士を配置しなければなりません

 3)気象予報士の役割
   予報業務の許可を受けた者は、観測から発表までの予報業務のうち、現象の予想については、
  気象予報士に行わせなければなりません。ただし、業務に支障のない範囲で、気象予報士以外の
  補助者を用いることは、差し支えないとされています。

 4)気象予報士になるには
   気象庁長官の行う気象予報士試験に合格し、気象庁長官の行う登録を受けなければなりません。
   
2,警報と注意報
  
 1)警報と注意報
   警報:予想される現象によって重大な災害がおこるおそれのある旨を警告して行う予報
   注意報:予想される現象において、警報を発表する程度に至らない軽度の災害が起こる
       おそれのある旨を注意して行う予報

 2)警報の取り扱いについて
  ・緊急時の情報の混乱を防ぐために、気象庁以外の者は、警報を行うことは禁止されています。
   ただし、以下の場合は例外です
    @通信網の整備状況なごから、津波に関する警報を随時受けることができない地域の
     市町村長は、津波警報を行うことができる
    A水防法の規定によって定められた河川については、建設大臣が気象庁と共同して行う
     水防活動の利用に関する警報
  ・気象業務の許可基準に以下のようなものがある
    気象庁の発表した警報事項を迅速に受けることができる施設と人員を有すること。
    予報業務の利用者に迅速に伝達するように努めなければならない

  ※注意報については、警報のような禁止規定はありませんが、警報に準じた慎重な取り扱いが
   必要です。

3、気象業務法の禁止事項 (重要!!)
  気象業務には下記のような禁止事項があります

 1)一般的な禁止事項
  ・気象庁以外の者は、警報を行ってはならない(ただし、制令で定める場合はこの限りでない)
  ・正当な理由無しで、気象庁などが野外に設置する気象観測機器などを壊したり、移動させたり、
   その他利用を害する行為をしてはならない
  ・気象長官は、気象などの観測を行う必要がある場合は、職員を、国、地方公共団体、又は、
   個人の所有、占有する土地、水面に立ち入らせることができる。
   この立ち入りを拒んだり、妨げたりしてはならない。

 2)予報業務を行おうとする者についての禁止事項
  ・気象庁長官の許可を受けないで、予報業務を行ってはならない

 3)予報業務の許可を受けた者への禁止事項
  ・予報業務に用いる観測機器は、定められた検定に合格したものでなければならない
   (政令に定めるものはこの限りでない)
  ・予報業務の目的、範囲を変更しようとするときは、気象庁長官の許可を受けなければ
   ならない
  ・予報業務のうち、現象の予想については、気象予報士に行わせなければならない
  ・予報業務の利用者に対して、気象庁の警報事項の迅速な伝達に努めなければならない
  ・要員、施設などの認可、認可の基準、条件に適合しなければならない
  ・気象庁長官の業務改善命令もしくは、業務停止命令に服さなければならない
  ・気象庁長官が必要と判断して、業務報告を求められたときは、提出しなければならない
  ・気象庁長官が必要と判断して、職員の事務所などの立ち入り、検査、質問などを行わせる
   場合、これを拒んだり、妨げたりしてはならない
  ・予報業務の、全部または一部を休止、廃止した場合は30日以内に、気象庁長官に、
   届け出さなければならない

 4)気象予報士になろうとしている者についての禁止事項
  ・気象予報士になろうとしている者は、気象庁長官が行う気象予報士試験に合格しなければ
   ならない
  ・気象予報士試験は、不正な手段で受験してはならない
  ・気象予報士の資格を有する者が、気象予報士となるには、気象庁長官の登録を受けなければ
   ならない

 5)気象予報士についての禁止事項
  ・気象予報士登録名簿の変更があった場合は、速やかに、気象庁長官に届け出さなければならない
  ・死亡したとき、または欠格事項に該当することとなった場合、相続人又は、本人が気象庁長官に
   届け出さなければならない

4、災害対策の枠組み
 1)中央防災会議
  ・災害対策の統合性を確保するために、内閣総理大臣を会長とする中央防災会議が総理府に
   置かれている
  ・役割
    防災業務計画や地域防災計画の作成の基準となる、防災基本計画の作成・実施の推進
    非常災害時の緊急措置計画の作成・実施の推進
    関係行政機関にたいする協力要請
    地方防災会議に対する勧告、指示を行う

 2)指定行政機関の役割
  ・内閣総理大臣が指定する指定行政機関は防災基本計画に基づいて、以下のことを行う
    所管事務に関する防災業務計画の作成・実施
    地域防災計画の作成・実施についての地方自治団体への勧告・指示

 3)災害対策本部
  ・非常災害対策本部
    緊急災害が発生した場合においては、災害の規模などから必要な場合は、総理府に措かれる
    以下のようなことを行います。
      各機関が実施する災害応急対策の総合調整
      非常災害に際して作成される緊急措置計画の実施
  ・緊急災害対策本部
    さらに、災害が特に異常、甚大で災害緊急事態が布告された場合、設置されます

 4)地方自治体の災害対策体制
  ・都道府県災害対策会議(都道府県知事を会長とする)
    地域防災計画の作成・実施の推進
    災害応急対策や災害復旧に関する各機関の連絡調整
    非常災害時の緊急措置計画の作成・実施
  ・市町村災害対策会議(市町村長を会長とする)
    都道府県災害対策会議に準じた対応をする
  ・災害対策本部
    都道府県、市町村において、災害の発生またはそのおそれのあるときに、
                           防災の必要があるとき設置される。
    地方防災会議との連携のもと、災害予防、災害応急対策をおこなう

 5)公共機関の災害対策体制
   公益事業を営む法人で、内閣総理大臣が指定した者は、指定公共機関として、
     防災業務計画を作成、実施する
     防災計画の作成・実施が円滑に行われるように、都道府県などに協力します
   ・指定公共機関
     日本電信電話株式会社(NTT)
     日本銀行
     日本赤十字社
     日本放送協会(NHK)
      ほか、電気、ガス、輸送。通信などの事業を営む法人

5、水防法、消防法と防災情報

 1)水防法
    洪水または高潮に際して公共の安全を保持することを目的とした法律
 2)洪水予報
   ・気象などの状況によって洪水または高潮のおそれがあると認められた場合、気象庁長官は、
   その状況を建設大臣、関係都道府県知事に通知し、報道機関の協力により一般に周知させます。
   ・気象業務法でも、規定されていて、これに対応する警報は
      大雨注意報・警報
      高潮注意報・警報
      洪水注意報・警報
   です。
   ・2つ以上の県などにまたがる河川で、洪水による重大な損害を生じるおそれがある場合は、
   気象庁長官と、建設大臣が共同してその状況を関係都道府県に通達し、報道機関の
   協力により一般に周知させます。
 3)水防警報
   ・建設大臣が行う水防警報
     洪水、高潮により、国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあると認めて指定した河川、
     湖沼、海岸
   ・都道府県知事が行う水防警報
     建設大臣が指定した以外の、河川、湖沼、海岸
 4)消防法
    火災を予防・警戒してまたは、鎮圧して国民の生命・身体財産を保護することを目的とした法律
 5)火災警報
   ・気象の状況が火災の予防上危険であると認められる場合、気象庁長官は、その状況を
    都道府県知事に通報し、さらに、市町村長に通報され、市町村長はこの通報に基づいて、
    あるいは、自らの判断で火災警報をだす。
   ・この警報が出されると、火気の使用などが制限されます

6、災害対策基本法

  防災計画・災害予防・災害応急対策などの災害対策には、国の機関や、地方自治体などが
  いくつも関わり、その実効性を確保するには総合的な指針が必要である。
  その方針となるものが災害対策法である

 1)防災計画
  ・中央防災会議   :防災基本計画を作成
  ・指定行政機関、指定公共機関:防災業務計画を作成
  ・地方公共団体:地域防災計画を作成

  ・防災基本計画
     防災業務計画、地域防災計画の作成基準となる
  ・防災業務計画
     それぞれの機関の業務について作成するもの
  ・地域防災計画
     地域の防災に関する自治体、行政機関、公共機関の業務
     災害応急対策および、災害復旧に関する計画
 2)災害予防
   ・災害の発生を未然に防止するために、防災に関する組織の整備、防災訓練、
    防災に関する物資の備蓄・整備・点検を行うこと。
   ・指定行政機関や、地方公共団体などは、法令、防災計画に基づいてこれらの災害予防を行う
 3)災害対応対策
   ・災害の発生、拡大を防ぐために警報の発令・伝達、避難の勧告。指示、消防・水防の応急処置、
    被害者の救難・救助、施設・設備の応急復旧などを行う
   ・災害発生時には、現地にもっとも近い市町村長が第一次的な責任者として災害応急活動を
    実施します
   ・そのため、市町村長は人命保護のための立ち退き勧告・指示、消防機関などに対する出動命令、
    被害の拡大防止にための設備の除去などの指示といった、広範囲な権限が付与されています。 
 
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