温帯低気圧



 太陽からの放射量 (単位面積あたり)...北半球では
  高緯度・・・少ない
  低緯度・・・多い
   
  高緯度(北) ・・・ 冷たい
  低緯度(南) ・・・ 暖かい

 偏西風を地衡風とした場合温度風の関係により
 偏西風は、高さが高くなるほど、風が強くなる
   
  鉛直シアがある限界を超えると、偏西風は南北に波打ち始める
   
 傾圧不安定波(数千Kmの波長)
 (温帯低気圧)

 すなわち、南北の温度差を解消する為に温帯低気圧が発生、発達する



発達中の低気圧
・上層の気圧の谷は、地上の低気圧の西側
   (渦管は西に傾いている)

   
・軸の 東側・・・上昇流
    西側・・・下降流

・低気圧の 東側・・・暖気移流
      西側・・・寒気移流

   

・渦管:各高度で気圧が極小となる点を結んだ軸
    (気圧の谷)
    西傾していると、低気圧は発達中
    渦管が西傾している  層厚 東・・・厚い(密度が低い)温度が高い
                   西・・・薄い

すなわち
 気圧の谷の軸の東側  暖気が上昇
        西側  寒気が下降

           

  有効位置エネルギーから、運動エネルギーへの転換がおこる

  ・温帯低気圧の運動エネルギーは、水平温度傾度に起因する
   (有効)位置エネルギーが転換されたものである

 温暖前線や寒冷前線は...
       もともと存在している南北の水平温度傾度が
       水平収束や変形を伴う温帯低気圧の流れの為、
       東西の水平温度傾度に移行、さらに、幅100km
       程度の狭い範囲で強化されたものである

  温帯低気圧の発達によって前線が強化され、温度傾度が強化される
            しかし。。。
  (温帯低気圧は)熱を南から北に運ぶことによって、温度場をかき混ぜ、
          全体として南北の温度傾度を弱める

・閉塞過程に入ると、渦管は直立する 発達終了

・渦度方程式  発散域 ・・・ 正の渦度減少
        収束域 ・・・ 正の渦度増加(低気圧発達中)

・積雲対流群による凝結の潜熱の放出が温帯低気圧の発達に寄与する場合がある



・発達中の温帯低気圧の特徴
 地上天気図
   寒冷前線と温暖前線に挟まれた温度の高い域がある
                  
                成層が不安定
                天気も不安定
  風の鉛直シア
    温暖前線のすぐ東側 ・・・ 地上から上空に向かって、時計回りに変化暖気移流を示す
    寒冷前線のすぐ西側 ・・・ 地上から上空に向かって、反時計回りに変化寒気移流を示す
  850hPa
    等温線を横切る風が強い
     低気圧の前面 : 暖気移流が顕著
     低気圧の後面 : 寒気移流が顕著
  500hPa
    気圧の谷の東側 : 南西風が強まって、暖気移流
    気圧の谷の西側 : 西風が強まって、寒気移流
  渦度図
    温帯低気圧の下層 : 中心が正の渦度の極大域
    温帯低気圧の上層 : 中心よりやや西側に正の渦度の極大域
   渦管は西に傾いている!!
  赤外画像
    発達中の低気圧は、、、
     地上の低気圧の中心の東側にある雲域は、北縁が寒気側に膨らんでいる(バルジ

   

<<ポイント>>
・温帯低気圧の立体構造
  地上低気圧と500hPaのトラフとの位置関係

   

  渦管が西傾(北西)

   
 850hPaの温度場、風の関係 ・・・ 寒気移流と下降流
                     暖気移流と上昇流



・ライフサイクルのステージ
   


・温帯低気圧の発達
  渦管が、西傾
  前面に、暖気移流上昇流
  後面に、寒気移流下降流

・低気圧の発生を示唆する特徴
  低気圧性循環の存在
  湿潤域の存在 (正の渦度の移流)
  下記を示唆する兆候
   渦管の西傾
   暖気、寒気移流
   暖気の上昇、寒気の下降

ω方程式の各項の物理的な意味
  500hPa 正の渦度移流  上昇流 (負の渦度移流  下降流)
  850hPa 暖気移流    上昇流 (寒気移流  下降流)
  降水域の極大域        上昇流 (冷却  下降流)
   (凝結の潜熱の放出による加熱)

  各項の意味
   渦度移流
   温度移流
   加熱


前線の特定
  等圧線(等高度線)が混んでいる    (南側)
  風のシアがある            (南側)
  等温位線(等相当温位線)が混んでいる (南側)
  強風軸がある             (南側)
  渦度0線がある            (南側)


・強雨
  850hPaで高温多湿な気層の流入
   (相当温位図で、340K以上の気層 、湿舌
  700hPaで上昇流
  地上風/下層風で水平収束
  地形効果
  降水の特徴  対流性である
  顕著な上昇流

・雨? 雪?
  状態曲線から見る 下層で雪が融けない(0℃以上)
  各地域別の判別
    850hPaで−6℃以下(太平洋側)
    輪島500hPaで、−35℃以下で大雪(日本海側)
  気温/湿度の判別 →乾燥していると雪になる可能性あり

          なぜ?
           下層の気温が0℃以上でも、乾燥していると
          雪粒が昇華し気温が下がり、融けずに落下する

・中部山岳の地形効果
   関東における風と雨の地域的な特徴
   関東における、雨域の南下の遅れ
   フェーン現象による関東の昇温
        (700hPa、下降流と乾燥)