Rokuoh-Sha

Zeiss   SeriesUB f6.3  Tessar
視界角度70度
Zeiss  SeriesTC f4.5  Tessar
視界角度55度
色収差の修正を厳密にした


1902年(明治35年)、テッサーF5.6が 独逸特許をとり、第2類Bテッサー F6.3が製造された。その後第8類 F10  F15、第1類CテッサーF3.5 F4.5が製造された。




テッサー(Tessar)のF6.3は、1902年にツァイスから賣出されたものであつて、トリプレットの最後のレンズを2枚接合レンズとなし、集射接合面を用いて従来のアナスティグマートよりも補正を一層よく行つたものである。絞りの前群は凸レンズの形の空氣レンズを用いて居り、之は擴射作用をすることは既に述べた通りである。このレンズは英吉利のテーラーの設計したトリプレットの模倣のやうに思われるが、よく調べてみるとそうではなくして、ルードルフと其後継者ワンダースレブ(Wandersleb)が前者の既に設計したプロターとウナーの設計に用ひた原理を両方共加味して作つたものである。而してその何れよりも良いばかりでなく、世界で最良の写真レンズを作り出すことが出来たのである。ルードルフが先づプロターで劃時代的の創意を示し、次で設計したウナーには再び嶄新の妙案を示し、テッサーに於て愈々爛熟せる成果を齎したのである。此事柄は發明と云ふことに了解を有つ人々に非常に興味あることである。偖て既に述べたやうにプロターは絞りの前群と後群の接合面の屈折によつて生ずる作用を反對にして非點収差の補正を行ったものであり、ウナーは前群及び後群のの空氣レンズの作用を反對にして此補正を行つたものである。而してテッサーは前群の空氣レンズの作用と後群の接合面の作用を反對にすることによつて此補正を行つたものである。然るに此反對性を実現するに二つの方法がある。一は接合面の作用を負にし、空氣レンズの作用を正にする方法であり、他は接合面の作用を正にし、空氣レンズの作用を負にする方法である。ルードルフとワンダースレブの研究の結果に依れば、テッサーのやうに単レンズの数を4枚に制限すると、第一の方法は良い結果を與へない。之に反して第二の方法はテッサーに應用されたのである。    (昭和10年発行 株式会社 誠文堂新光社 最新写真科学大系 第7回 山田幸五郎著 「写真光学」 より引用)


テッサーはツアイス工場製に係る鏡玉にして、ルドルフ氏及びワンダースレブ氏の設計せるものなり。前玉は2枚の分離せられたるものより成り、後玉は2枚の密着鏡玉なるが、前玉は凹性、後玉は凸性にて互いに甚だしき欠点(収差)を相補う如くせられあり。故にこの鏡玉は前後を別々に用ゆる事能はざるは明らかなり。また他の分離式鏡玉と同じ性質として廣い角度を包括する。  (明治42年 浅沼商会 藤井光蔵 藤井龍蔵 合著 「写真鏡玉」 より引用) 


テッサー鏡玉はルドルフ博士の一大発明にして四個のレンズより成り前後各二枚づつに分れたり。2種ありてひとつはB二類にしてひとつは八類(アポクロマチックテッサー)なり。B二類は写度(明るさ)がA七 類に比して迅速であるが単鏡玉としては使用できない。八類は色収差の修正を完全とし製版用等に用いる。    (明治39年 上田写真機店 鏡玉選択付属品解説 参照)




 


第1類 Cテッサー1番から8番までは活動写真用でF3.5