光による凸版印刷法
重クロム酸カリ又は重クロム酸アンモニウムを加えたゼラチンの光に対する作用を利用し、印刷原版を作る方法。銅板や亜鉛板に左記の感光性ゼラチンを塗り乾かし、その上に画像の陰画を載せ、光を当てた後、暗室にて温湯で洗うと陰画の不透明な部分は光が当たっていないためゼラチン膜が変質していないので溶解し去る。陰画の透明な部分は光が透過しゼラチン膜に達し変質して残留する。次に酸あるいは塩化銀液でゼラチン膜が溶解し去った部分を腐食させる。陰画の透明な部分は凸となりそこにインキを付け印刷する。この方法は線の集合による画像の印刷に適するが濃淡の陰影があるものには適さない。ヘンリー・マセソンは感光性のゼラチンは光に当てないと水を吸収して膨張し、光に当てると水を吸収しなくなり膨張しないことを利用して、ひとつの法を発明した。紙又はガラス板に感光性ゼラチンを塗り陰画を載せ光を当てたあと水に浴するとゼラチン膜は感光の度合いに応じて膨張の度合いを異にし膜に高低ができる。これを枠に固定し石膏を注加して型を取り、その型に蝋を入れるとゼラチン膜と同様の型ができあがる。これに電気鍍銅を施して印刷原板を作る。陰画の透明な部分は凸となりかつ濃淡によってその高低を異にし印刷された画像に陰影が生じ、細微な線や点の集合よりなる画の印刷に適する。また、石膏及び蝋を使用しないで、膨張したゼラチンに黒鉛あるいは金属の細粉を塗って直に鍍銅する方法があるが経験を要する。