ミサイルキック

コーナーポスト上段からのドロップキックで、今日ではごく普通の技だが、2代目タイガーのそれは独特なものだった(写真上)。そもそもJ・鶴田が得意とするなど全日系の技であり、初代らはそれほど多用していなかったと思う。
2代目の場合は両足で踏み切っての正面跳びであり、両手を左右に広げての空中姿勢は素顔の三沢となってからも変わらない。これなら仮に相手にかわされても、そのまま着地すればいいのだろう。しかし華麗さにはいまひとつ欠けており、飛距離や高度から言えば、「飛ぶ」というより「落ちる」という感じがしないでもない。

(01年1月10日追記)初代タイガーのこの技で印象的だったのは、82年2月5日、札幌中島体育センターでのWWFジュニアヘビー級選手権試合で、Bre・ハートに決めた一撃である(写真下)。ロープに飛んだハートに対し、エプロンからワンステップでコーナーにジャンプアップし、カウンターで横殴り式に顔面に炸裂させたもの。今風に言えば一種のスワンダイブ式である。空中姿勢を上の2代目のそれと比較すると興味深い。その衝撃度は凄まじく、ハートは続く人間風車であえなくフォールされてしまったが、控室で見ていた猪木が「あれほど完璧に決まったのだからスープレックスは不要だ」とタイガーを叱ったというエピソードがある。
また83年7月7日、大阪府立体育会館でのNWA世界ジュニアヘビー級選手権試合で、寺西に見舞った一撃も強烈だった。蹴りを中心にしたスタイルに移行していた時期であり、この試合で初代はあまり空中殺法を見せておらず、それだけにインパクトが強かったシーンだ(紫竜さん、Lucky Starさんからの指摘)