ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル:合奏協奏曲 第3番ホ短調 Op.6-3
George Fridric Handel: Concerto Grosso No.3 in E Minor HWV321
ヘンデルの作品6の12曲からなる合奏協奏曲集は、1739年の9月29日から10月30日までのわずか1ヶ月の間に作曲され、『12曲のグランド・コンチェルト』のタイトルで翌年4月にロンドンで出版された。当時、ヘンデルは54歳で、作曲家として油の乗りきった時期である。この合奏協奏曲集は、古典的なコンチェルティーノと呼ばれる独奏楽器群とリピエーノと呼ばれる合奏からなる形式で、コレルリの12曲の合奏協奏曲集と深い関連がある。様式的にはコレルリの流儀にならっているが、シンフォニックな豊かな響きや強弱の鋭い対比、音楽の劇的な転換、即興的な自由さなどが、ヘンデルならではの斬新さといえる。
第3番ホ短調は、短調とはいえ決して暗くない、厳粛・荘厳な調べの中にしっとりとした情感を感じさせる曲である。5楽章から成るが、導入楽章であるラルゲットとアンダンテのフーガは、半終止によってのみ区切られているので、この2つの楽章でフランス風序曲とも考えられる。第3楽章のアレグロは、ヴィヴァルディ的コンチェルト様式によるもの。第4楽章は「ポロネーズ」とあるが、全くポーランド舞曲らしくなくどちらかというとスコットランド的。最終楽章は、オラトリオ「聖セシリアの日のためのオード」序曲用のメヌエットの短調部分の借用とのこと。
アンサンブル・ベルデはこれまで12曲中10曲を取りあげ、今回の第3番で残すは11番のみとなった。