精神科の先生って「変わり者」が多いの?


某病院の壁新聞に載せてもらった駄文です。割に好評だったので再掲しました。


精神科の先生は変わり者が多いの?とよく聞かれます。私も精神科に入る前は「どんな先生達がいるのだろう」とちょっとワクワクしたり不安に思ったりしていましたが、実際に精神科に入ると、案外普通の先生が多くて、ちょっとガッカリしたりホッとしたりしたものです。内科や神経内科で仕事をしたこともありますが、なんだかむしろそういう他の科の先生方の方が変わった先生が目立ったような気がします(私自身が一番変わり者かもしれませんが...)。

確かに、とっても個性的な先生はおられます。でもなぜか精神科ではそういう先生が「変わった」感じがしないのです。とするとやっぱり、「みんな変わり者ばかりなので少々では目立たない」ということなのでしょうか? いえ、どうも単純にそういうわけではないようです。

私が思うに、精神科の世界と言うのは細かいところまで治療法が確立されているわけではなく、治療はあくまで患者さん個人を主体に、主治医と患者さんとの個人的な共同作業になります。これはいわば「個性と個性の出会い」ですので、その個性が他の一般と比べて変わっているかどうかということは全く問われません。むしろそういう個人的な治療関係が世間から隔絶した「ヘンな」世界に流れて行ってしまわないよう、精神科医には「普通の」「俗っぽい」感覚が強く必要とされているような気がします。うちの医局にも週刊誌やスポーツ新聞があり、私も日夜「普通の」感覚を養うように努力(?)しています。

みなさんはどう思われますか? あなたの主治医は変わった先生ですか?普通っぽい先生ですか? いずれにしても、精神科の先生は「変わっている」だけではないですし、「普通な」だけでもないはずです。あなたもぜひ自分の「主治医ウォッチング」をしてみて下さい。主治医の先生の個性がより感じられるようになるかもしれませんよ。

医局 YASU-Q
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某病院某病棟の壁新聞,平成11年秋号より

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