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経験年数○年の若手(ウソ)精神科医YASU-Qが,その
独断と偏見に基づき「精神科」についてのQ&Aを提供します 統合失調症についてのQ&Aはこちら 新しいQ&A項目の希望はメールかGUEST BOOKで |
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A:最近,TVドラマでもよく「精神科」が出てくるようになりました。以前は精神科というと暗ーいイメージがあって,一般人には最もなじみのうすい診療科だったのが,最近一躍とれんでぃー(死語よね)になって,いろんな人が気軽に相談に来られるようになっています。最近ウツ気味で元気のないおじさん,いつもただただひたすらグチるだけのオバさん,ほとんど食事を受け付けない拒食症の女の子,完全に妄想の世界にひたってるおにーさん...今日もいろんな人が外来に来られます。症状のちょー重い人もいれば,もう全然症状のない人もいます。診断もいろいろです。昔ながらの精神分裂病やうつ病・躁うつ病の方は当然のこと,今はやりの拒食症・過食症やPTSD,パニック障害,アルコール・薬物依存や老人性痴呆の方も来られます。
私たち精神科医はそういった患者さん一人一人に合わせて様々な治療を試みます。ただひたすら話に耳を傾けるだけのこともあれば,いわゆる「精神分析」的治療を行う場合もあります。全く薬を使わないこともあるし,何種類ものトランキライザーや抗うつ剤を併用せざるを得ない場合もあります。症状の重い方やどうしても必要な場合は入院を勧めます。様々な検査が必要になることもあります。まず基礎となる身体の病気の治療が必要なこともあります。また,ご本人よりも家族に対するアプローチが重要な場合もあります。
ただ,精神科医にできることには限りがあります(ここも見て下さい)。治療の主役はあくまで患者さん自身,患者さん自身の「治りたい」という気持ちです。精神科医は経験豊富な「コーチ」として患者さんの努力を支え,方向付けする役目を果たしますが,残念ながらコーチに選手の代わりはできません。主役は選手=患者さんです。
もしあなたが今,こころの中に一人ではどうにもできない問題をかかえているなら,そしてそれを何とかしたいという強い気持ちを持っているなら,遠慮なく最寄りの精神科外来のドアをたたいて下さい。「こんなこと相談したら笑われるかな」とか「本当にプライバシーは守られるのか」という心配はご無用です。ささいなことや,誰も信用しないようなことでも大丈夫です。それがあなたにとって重大問題なら私たちにとってもそうです。
Q:精神科,神経科,心療内科,神経内科...どこがちがうの?
A:日本では精神病者に対する偏見が強く,いまだに「精神科」と聞くだけで後ろ指さされるようなイメージを持つ人がいるかもしれません。大変悲しいことですが,そのために「精神科」と名乗る代わりに「神経科」や「心療内科」「神経内科」と名乗る場合があります。このうち「神経科」は,「精神科」と全く同じものと考えていいでしょう。
「心療内科」は本来内科の1部門であって,心身症(精神的な問題が原因で身体的な病気になってしまうこと。胃潰瘍,過敏性腸炎,喘息,アトピー性皮膚炎などを含む)に対する外来治療を得意としますので,少し精神科とは毛色が違うこともあります。ただ,実際には精神科医が担当している場合も多いので(私も心療内科の外来をやってたことがあります),中身は精神科とほぼ同じと考えていいでしょう。
「神経内科」は脳や神経のどこかに原因となる病変がはっきりしている病気を扱います(パーキンソン病,脳血管障害,痴呆など)。一部の病気については精神科と守備範囲が重なりますが,これも内科の1部門なので,本来は精神科とは異なります。
しかし,心療内科も神経内科ももともとは精神科から派生してできたものですので,精神科の医者はこれらのどの科の病気でも診ることはできます。また,たいていの精神科医は内科の研修もしているので一般の内科もできます。精神科医だからといって普通の医学は何も分からないということはありません。安心して下さい(もちろん得意,不得意はありますけどね ^_^; →ここも見て下さい)。
A:精神科といっても,大学病院にもあれば,総合病院にもありますし,最近はクリニックも増えてきてます。また,いわゆる「精神病院」も多くあります。それらの違いはどこにあるんでしょうか?大学病院は,外来と精神科専門病棟を持ち,設備やマンパワーの面でも充実した治療を受けられるのが利点でしょう。総合病院でもありますので,他に身体の病気がある場合にも安心です。ただ,教育機関を兼ねていますので,いろんな先生に同じ話を何度もしなければならなかったり,検査がやたらと多かったり,担当が若い先生で頻繁に主治医交代があったり.....で,ベテランの先生が一人でじっくりやる治療とは(いい意味でも悪い意味でも)質的に異なる場合があります。精神科専門のケースワーカーやソーシャルワーカーがいない病院も多く,そういうところでは保健所や各種施設など地域との連携は今一つです。また,常に患者さんがあふれていて,外来の待ち時間は長いし,検査待ち・病棟の入院待ちも長い,といったこともよく問題になっています。しかも,長期間じっくり入院させてもらうことは困難な病院が多いようです。
総合病院の精神科外来は,精神科の専門病棟を持たない場合がほとんどで,専門病棟への入院が必要ないような患者さんを主に扱います。入院が必要な場合は,大学病院や精神病院に紹介してもらうことになります。軽いうつ病や不安障害の患者さんは内科などの病棟に入院させてもらえる場合もありますが,基本的には外来治療です。病院により,あるいは担当の先生により得意不得意がある場合もあります。検査機器等の設備は,病院によりますが,最近ではかなり充実してきています。
クリニックも外来治療が中心で,入院が必要な場合は,大学病院や精神病院に紹介となります。オールマイティなクリニックがほとんどですが,ある程度,専門分野を前面に出しているクリニックもあります。ほとんどが予約制になっているようです。機械設備的には限界がありますが,専任のケースワーカー・ソーシャルワーカーがいたり,デイケアを併設していたりと,治療の面では大学病院を大きく凌いでいる所も珍しくありません。
精神病院は,精神科だけの,あるいは精神科中心の外来・病棟でできている病院のことで,これまでどこか汚くて暗いところというイメージがありましたが,最近建てかえをするところが多く,きれいな病院が増えています。検査機械などの設備は病院によって千差万別ですが,人的資源は最も充実しています。精神科専門のケースワーカーやソーシャルワーカーがいて,地域との連携も密接ですし,デイケアや各種作業療法もたいていは併設されています。ベテランの先生がこれらの設備を駆使しながら患者さん一人一人にじっくり取り組む場合が多く,治療する側から言えば,最も治療をやりやすい環境と言えます。入院の際には,精神的に余裕があれば,まず中を見学させてもらうことも可能です。
いずれにせよ,まずはあなたの住んでいるところの近くの精神科に行ってみることです。
Q:精神医学ってどんなもん?
A:はっきり言ってこのテーマで本が何冊もできるくらい難しいテーマです。精神医学は人間の精神を扱うものですから哲学や心理学,人類学,言語学とも関係が深く,もちろん生物学,神経生理学,神経解剖学,生化学や最近では遺伝子生物学とも深くリンクしています。人間に関するあらゆる学問を統括したもの,と考えることも可能でしょう。生物学的な脳の研究が盛んに進められる一方で,精神科医の中には有名な哲学者や小説家もたくさんいます。要するに懐の深い学問なんですね。
Q:精神科医ってどんな人?
A:意外とフツーです(笑)。他の科の先生よりフツーの人が多いような気がします。もちろん中には変わった(個性的な?)先生もいますが,昔のイメージにある「人嫌いで変人」という先生は見かけません。基本的に「人好き」でないとつとまりませんからねえ。一見気難しそうでも,話してみると実に面白いおっさんやったりします。人生経験の豊富な先生も多く,エリートコースを最短経路で真っ直ぐ育ってきたという先生の方が少数派じゃないでしょうか(最近は結構多くなってる,かな?)。他の科と比べるとあまりもうかる科ではないようです(→ここもご参照に)。ただ,人によってかなり格差があります。平均すると同年代のサラリーマンとほとんど変わらない(と思う)。しかし,他の科の先生がある日突然,「やっぱり精神科医になりたい」と入局してこられることがちょくちょくあります。逆はありません。よっぽど居心地がいいのでしょう(ツブシがきかないという説もある)。
女性の先生が増えています。他にも眼科や小児科など女医さんの多い科はありますが,精神科も決して負けません。身体的な労働条件が比較的マシなこともあるかもしれません。まあその分シンが疲れますけどね。
私のように学生時代から精神科命だった先生もいれば,いよいよ何科に行くか決める時になって何となく精神科医になったという先生もいます。精神科医として必ずしも前者が優れているとは限らないのが面白いところ。
学生時代の成績も,とても良い人ととても悪い人に分かれる傾向があるようです(笑)。もちろん,必ずしも前者が精神科医として優れているとは限りません。こっちも読んでみて下さい。
Q:精神科医にできること/できないこと
できること→
1. 患者さんを診断すること 各種「診断書」を書くことができます(これ,意外に大きい) 2. クスリを処方すること あくまで対症療法に過ぎませんが 3. 患者さんの話を聞くこと 話を聞かないこと,もできます 4. 患者さんの努力に方向付けをすること 行動療法・認知療法などでは精神科医の役割は大きいです 5. 患者さんの努力を評価すること 「評価」あっての方向付けです 6. 身体管理をすること 簡単な内科的治療やクスリの副作用の管理も含めて 7. 入院させること 入院させないこと,もできます 8. 退院させること 退院させないこと,もできます(泣) 9. 周囲の人間関係に介入すること 患者さんの職場の上司さん,学校の担任の先生とお話したり家族療法したり できないこと→
1. 患者さんの病気を「治す」こと 「治る」のは患者さんです 2. クスリをのませること クスリを実際に家でのむのは患者さんです 3. 患者さんの話をどこまでも聞くこと どんなに良心的な医者でも一人の患者さんにかけられる時間には限りがあります 4. 患者さんの代わりに努力すること 努力するのは患者さんです 5. 全ての患者さんに良い評価をもらうこと 絶対にムリです 6. 手術をすること たま〜にできる先生もいますが(外科出身とか) 7. 自分が入院すること たまに自分が入院したくなりますが,長期のお休みはなかなかとれません 8. 全ての患者さんを退院させること 社会が...(以下略) 9. 自分の周囲の人間関係改善 お願い,誰か介入して
Q:精神科の病気って治んの?
A:治ります。ただ,風邪みたいにはいきません。身体の臓器とは違って人間のこころの中に「どこまでは健康でどこからが病的」という線引きをすることは不可能です。どんな精神が健康でどんな精神が病的という定義そのものが本来は無意味です。私たちの中にも「病的」な部分はいっぱいありますし,精神科医より患者さんの方がよっぽどマトモな主張をしていることがままあります。ただ,患者さんが社会の中で生きていく上で苦しみを感じる症状,周囲の人たちがどうしても困る症状は病気として治療することが必要でしょう。しかしこの文脈からも分かる通り,ある人が精神的に病気かどうかは社会の側から規定されるものなのです。本当は患者さんの「個性」とでもいうべきものを,社会の側が勝手に「病気」にしている側面があるのです。その人独自の「表現」であったり「感じ方」であったりするものを社会的なモノサシに照らして「ヘン」だとか「病気」だとか勝手に言っているわけです。したがって社会が患者さんのどこが「病的」であるとするかによって,それが「治る」とも「治らない」とも言えます。
まあそんな難しい考え方をしなくても,一般的に精神科の病気の症状は治ります。ただ,患者さんによっては,何か大きなストレスがかかった時などまた「症状」が出てくる可能性があるかも知れません。そのために他の科よりも長い間通院してもらったり,服薬してもらったりすることは必要となるかも知れません。またその人の生き方や性格自体を長い時間をかけて社会に合わせていけるようにすることも必要となるかも知れません。もっと単純に,しばらく仕事を休んだり,症状を人に話しただけでスッキリ良くなることもよくありますけどね。
Q:精神科の病気って再発しやすいの?
A:残念ながらこの問いには"YES"と答えざるを得ません。もちろん全く再発しないケースも多くありますが,一部に再発をくり返すケースがあるのも確かです。再発の予防や再発の兆候を早く見つけて対処することは精神科医療の重大なテーマの一つでもあります。どうして再発を繰り返すことがあるのか?これにはいくつかの仮説があります。
例えば,一度何らかの原因で発症してしまうと,脳の中に症状の再燃に直結するルートができてしまい,ストレスがたまるとそのルートを通り前回と同じような経過をたどって症状が出てくるというもの(履歴現象と呼ばれたりします)。この仮説によると,再発を繰り返せば繰り返すほどさらに再発が起こりやすくなり(逆耐性現象といいます),逆に再発がおこらなければ徐々に再発は起こりにくくなっていくということになり,比較的実際の臨床にあてはまる感じがあります。
また,病気によっては症状に大きな波があり,振り子が振れる時に位置エネルギーと運動エネルギーの交代が起こるように脳内のエネルギー過程にも周期的な流れがあって,これが症状の再発を促しているのだという仮説もあります。ある種の躁うつ病などでは症状に明らかな周期性を認めることがあります。
症状が起こるにはそれなりの深層心理的なメカニズムがあり,トラウマやコンプレックスなど無意識のメカニズムが内面から自律的に症状を繰り返し繰り返し産生するのだ,という考え方もあります(反復強迫といいます)。神経症や人格障害的な病理に対して応用しやすい仮説です。ただ一番よくある再発のパターンは,本人または周囲に病気の自覚が足りず,おクスリの服用を勝手にやめてしまったり,無理をしてはいけないところで無理をしてしまったりして自ら再発を招いてしまうことです。
自分が精神科の病気を持っていること,決して無理はできない状態であること,おクスリの服用を欠かすことはできないこと,これらを受け止めることはとてもツライことでもあります。病気が落ち着いてすぐなら,自分が調子悪かった時にどんな様子だったかをよく覚えていますが,しばらく経つと(できれば忘れてしまいたいことですし)すっかり忘れてしまうこともあります。精神科の病気なんてもう治ったことにして早く忘れてしまいたい,そういう気持ちも確かによく分ります。しかし,再発の兆候が出たり,前駆症状が出てきているのに,「あれは何かの間違いだったんだ,もう再発なんてしないさ」なんて思って無理をし続けていれば,再発しない方がおかしいでしょう。再発を繰り返すことによって,さらに再発しやすくなったり,だんだん後遺症的な症状がとれなくなっていくこともあります。再発によって失われるものは時間や周囲の信頼だけではありません。どうか自分の病気から目をそらさず,キチンと治療を続けて行きましょう。逃げれば逃げるほど病気はあなたを追って来ます。
Q:精神科の治療ってどんなことすんの?
A:上記のようにいろんなことをします。たいていは次のいくつかの治療法を併用します。どんな治療を行うかはもちろん患者さんによりますが,主治医によってかなり好みに差があるのは事実です(こんなことバラしてもいいのだろうか ^_^;)。入院患者と外来患者でもだいぶ違います。まず薬物療法から。現在の精神科の治療は薬物療法が中心です。ほとんどの患者さんは何らかのおクスリをもらいます。毎日何回かのまなければならないこともあるし,調子の悪いときだけのむように言われるかもしれません。
ただ同じ精神科医でも,おクスリ使うのが好きな先生もいれば,あんまり好きじゃない先生もいます。患者の立場から言えば,なかなか薬を出してくれないケチな先生も何ですが,頼みもしないのにドッサリ薬を出してくれる先生もちょっと困りもんでしょうね。ただ,場合によっては思い切った量のクスリがどうしても必要なこともあります。おクスリの種類については下のQを参照して下さい。
また,精神科の薬物療法で大事なことは,対症療法的な面が大きいということです。とりあえずおクスリで症状を抑え,あとはこころや身体が自然に立ち直るのを待つ,こんな感じでしょうか。だから症状が治ったと思っても,それはクスリによって抑えられているだけの場合がありますので,勝手におクスリを減らしたり中断したりするのは危険です。また症状がぶり返してしまうかもしれません。精神療法は,単に2−3ヶ月に一回,外来で世話話するだけのレベルから,毎日1時間みっちり夢の分析や自由連想をする古典的な精神分析療法までいろいろなものを含みます。患者さんとドクターの人間的な接触は全て「精神療法」といっていいでしょう。基本は「そこに一緒にいる」ということだけです。全ての精神科医が自然と行っている治療ですが,ドクターによって最も腕の差が出やすいところですし,最も奥の深い難しい治療なのかもしれません。
行動療法は薬物療法や精神療法と組み合わせて行うことで非常に大きな効果をあげることがあります。患者さんの行動に直接はたらきかけるもので,対人行動や社会行動の訓練プログラム(SST)や拒食症・過食症の患者さんに対する入院行動制限療法などが有名なところでしょう。有名な森田療法なんかもある意味で行動療法と言えるでしょう。
社会的なフォローも重要です。日本ではいまだに患者さんへの偏見が強く,患者さんの社会生活への復帰が,患者さん本人とは関係のない社会側の要因で障害されることがあります。施設や福祉サービスをうまく利用して患者さんが社会へ復帰するのを支えるのも私たちの仕事です。
精神科の治療にはこれらの他にもいろいろなメニューがあります。あなたの病状と必要性に応じて,主治医だけではなく看護師さん,薬剤師さん,カウンセラーさんやソーシャルワーカーさん,作業療法士さん...いろいろな人達があなたを助けてくれるはずです。
Q:「カウンセリング」ってナニ?
A:「カウンセリング」というのはとても幅広い言葉です。精神科医もカウンセリングをしますし,もちろん街の心理カウンセラーもカウンセリングをします。最近ではネット上でのオンライン・カウンセリングなんてのもありますし,その他にも,受験カウンセリング,お肌のカウンセリング,ギター速攻上達カウンセリングなんてのも...。要するにカウンセリングというのは,「相談者(クライアントといいます)が持つ何らかの問題の解決をカウンセラーがお手伝いする行為」と言えるでしょう。「何らかの問題」というのは精神的な問題かもしれませんし,受験や就職に関する悩みかもしれませんし,お肌や髪の悩みかもしれませんし,なかなか楽器が上手くならない悩みかもしれません。いろんなカウンセリングがあり得ますが,カウンセラーが実際に問題解決をお手伝いするその手段は共通です。それは「言葉」です。クライアントが語る内容にカウンセラーが耳を傾け,共感し,助言を与えたり行動の指針を示したりする...何らかの小道具を使うカウンセリングもあるかもしれませんが,やはり基本にあるのは「言葉」です。
話を心理カウンセリングにしぼりましょう。
心理カウンセリングにも様々な流派があり,それぞれによって考え方はかなり異なりますが,「クライアントの抱える心理的な問題の解決をカウンセラーがお手伝いする」ことには変わりありません。そしてその主な手段は「言葉のやりとり」です。心理的な問題を言葉によって扱うわけですから,一回のカウンセリングに30分から1時間ぐらいの時間をかけることが普通です。
精神科の治療も,患者さんの精神的な問題の解決を目指しているわけですから,一見とても似ています。ただ,その扱う対象はあくまで「病気」であり「症状」であって,その主な手段はズバリ「おクスリ」です。ですから一回の診察時間は(初診以外は)5分から15分というのが相場でしょう。おクスリだけではあまり効果がないようなケースに限って精神科でも時間をかけたカウンセリングが行われます。
(病院ではない)心理カウンセリングは,おクスリは出しません。また採血やレントゲンなどの病院チックな検査はしません(簡単な心理テストはよく行われます)。時間はたっぷりとってもらえますし,どこも完全予約制なので待ち時間もほとんどありませんが,料金は高い目です(1時間で8000〜15000円ってところでしょうか)。
病院でカウンセリングが行われる場合は,主治医が診察と別に時間をとって行う場合もありますし,病院専属のカウンセラーが主治医の診察とは別に行う場合もあります。いずれも健康保険が適用されるので料金は格安です。以下にカウンセリングと精神科の治療の違いを簡単にまとめておきます。あくまで一般的な話ですので,実際には例外も多いと思いますが,この表を見てもらえば,どういう人が心理カウンセリングに行くべきでどういう人が精神科に行くべきか,自ずから判ってくると思います。
心理カウンセリング 一般的な精神科治療 主な対象 おクスリの必要のない軽症な人
「クライアント」と呼ばれる (カコイイ)軽症から重症までとにかくおクスリの必要な人
「患者」と呼ばれる (イマイチ)その本質は? 問題解決の「援助」 病気の「治療」 主な手段 言葉のやりとり おクスリ+(必要に応じて)言葉のやりとり おクスリの有無 絶対になし ほとんど有 検査の有無 簡単な心理検査のみ レントゲンやら採血やらイロイロされることあり 診断の有無 ハッキリした病名はつけないことが多い 何でも病名をつけてしまう 1回の所要時間
(初回以外)1時間弱 5〜15分ぐらい? 1回の所要費用 だいたい8000〜15000円 おクスリ込みでだいたい500〜3000円
(健康保険3割負担で)待ち時間 30分以内 (予約制) 30分〜4時間 (病院による) 話の内容 クライアントが自分自身や自分の悩みについて
語る。カウンセラーはそれをじっと聴いてること
が多い。症状の有無やおクスリの効き目の話が中心。
ケースによって精神科でも心理カウンセリングを
行うことがある。入院の可否 絶対になし 必要に応じて。時にはムリヤリ(泣 先生の必要資格 なし。「臨床心理士」の資格を持ってる先生も
いるし,ちょっとアヤシゲな先生もいる。医師法による「医師」資格。「精神保健法指定医」
という資格もあるが普通は治療に関係ない。
Q:初めて精神科へ行く時に...
A:特別に必要なモノはないです。普通の病院へ行くときと同じで,基本的には保険証と財布だけ持っていけばいいでしょう。特別キレイな格好をする必要もありませんし,大金も要りません(1万円前後持っていけばまず足りないことはないと思います→お金についてはこちらも見て)。身体的な診察もされることがあるので下着は着替えていきましょう。病院によっては初診でも予約が必要なことがあるので,確認が必要です。せっかく勇気をふりしぼって出かけたのに「予約がないから出直して」などと言われたらそれだけで逝ってしまいたくなるかもしれません。
紹介状を持っている場合は忘れずに持参。持ってない場合は,大体次のことは確実に尋ねられますので,答えられる心の準備をしておくといいでしょう。まあ多分,紹介状を持ってても改めて訊かれるとは思いますが。
- 一番困ってること・症状は何か
- それはいつからあるか
- 悪くなってきてるのか,マシになってきてるのか,変わらないのか
- 社会的機能(仕事・学校など)にどのくらい影響が出てるか
- きっかけはあったか
- その症状に対してあなた自身はどのように受け止め,対応してきたか
- その結果はどうだったか
- 周囲の人/家族はどのように受け止めているか
- 症状に対して悪影響を及ぼしている因子には何があるか
- どういう風に治療して行きたいか,あなた自身に特別な希望があるか
これらが一番大事なことで,次は補足的な情報です。
- あなたのこれまでの略歴(生い立ち,教育歴,職歴など)
- 既往歴(これまでに心身の大きな病気をしたことがあるか)
- 家族歴(家族構成,家族の既往歴など)
- 薬剤アレルギーなど特異体質の有無
主治医にもよりますが,結構根掘り葉掘り訊かれます。大学病院などではこれを2回やられることも。
でも,どうしても答えたくないこと,言いたくないことは黙秘権行使OKです。主治医としてはなるべく多くの情報が欲しいのが正直なところですが,あまりムリに答える必要はありません。そのうちゆっくり話して下さい。(→これについてはこちらも参照)
口頭で答えるのが難しければ,メモを用意して行くことをお勧めします。また,あまりしんどければムリに一人で行こうとせず,家族や事情を知っている友人につきそってもらうのがベターです。初診の場合は,すぐ呼ばれる病院とかなり待たされる病院があります。念のため時間つぶしにちょっとした文庫本か雑誌ぐらいは持っていった方がいいでしょう。すぐに32条の申請などをする必要がある人は書類や認め印も持参のこと。
最初に「問診票」というアンケートみたいなモノを書かされたり,簡単な心理検査をされることもよくあります(→こちらも参照)。
ケータイのスイッチは切っときましょう。精神科には命に関わる精密医療機器なんてまあないですが,待合室でベラベラしゃべられたり急に呼び出し音が鳴ったりしたら他の患者さんに迷惑,かもしれないでしょ。
当然ながら,ヒマだからって待合室で彼氏や彼女とイチャイチャしないように。先生怒りますよ,本当に。なぜか,紹介状はないのに精神科のおクスリをすでに持っていて服用している場合は,正直にこれを持参して見せましょう(薬剤情報の紙があればそれでもいいです)。2重投薬になった場合はマジ危険なこともあるからです。ここでたいてい「前医からの紹介状が必要〜」と言われますので,これに対する言い訳は各自考えておいて下さい。ただし,いろんな先生の所からいろんなおクスリをゲットして自己調剤カクテルを楽しんだり,スニッフしたり(もう今どきいないか,そんなヤツ)は絶対にヤメておくこと。しつこいようだがマジで危険なことあるから。
初診の診察時間はだいたい30分から1時間ぐらいかな。でもアッという間に終わると思います。診察が済んだら支払いを済ませて薬局でおクスリもらってハイ終わりです。どうです?心配したほどのことではなかったでしょ?
最後に一つ。別に「いい患者さん」を演じる必要はありません。診察室では正直なあなたのままを診させて下さい。
Q:身体の症状なのに精神科へ行けと言われた...
A:身体の症状で内科など身体の診療科に行ったのに,検査ではどこにも異常がなく「精神科へ行きなさい」と言われて仕方なく来ました...と怪訝な顔で紹介状を持って精神科へ来られる患者さんは結構おられます(特に総合病院で)。中には「めっちゃ心外や」とプンスカ怒りながら来られる方もいて,とりあえず「まあまあ」となだめなければ話に入れないこともあります。患者さんが身体のどこかに痛みや痺れなど何らかの不快感を訴える背景にはいくつかの原因が考えられます。
- 実際に物理的な病変が存在し(器質的異常と言います),感覚神経を介して不快感を感じている場合。通常のケガや病気による痛みなどがこれにあてはまります
- 器質的・機能的異常は存在するが,精神的な原因により実際に存在するよりもはるかに強い不快感を感じている場合。具体的な病名はありませんが,臨床的にはしばしば見られます
- 器質的異常はないが,精神的な原因で自律神経系を介して一時的に機能的な異常を起こし,それによって不快感を感じている場合。(狭義の)自律神経失調症や過敏性腸症候群などがこれにあたります
- 器質的・機能的異常は何もないが,精神的な原因で実際に不快感を感じている場合。転換性障害・転換性ヒステリー・身体化障害などと呼ばれます
- 器質的異常はなく実際には不快感もほとんど感じていないが,精神的な原因により不快感を訴えてしまう場合(自分でも本当はウソと自覚しているがなぜウソをつくのかは分っていない)。通常は病者の役割を演じ他者の関心や同情を得ることが隠れた動機となっています。虚偽性障害と呼ばれます
- 器質的異常はなく実際には不快感もほとんど感じていないが,保険金や訴訟など外的な理由(疾病利得と言います)のために不快感を訴えている場合(自分でもウソと自覚しているしなぜウソをつくのかもよく分っている)。詐病と呼ばれます
これらを表にすれば下記のようになります。
○・・・アリ, ×・・・ナシ, △・・・○と×の中間, - ・・・関係ナシ
器質的異常 機能的異常 精神的要因 不快感の有無 ウソの自覚 ウソの理由の自覚 病名の例 1 ○ ○ × ○ - - 通常のケガ・病気 2 △ △ ○ ○ - - 3 × ○ ○ ○ - - 自律神経失調症 4 × × ○ ○ - - 転換性障害 5 × × ○ × ○ - 虚偽性障害 6 × × △ × ○ ○ 詐病 1は実際の病気,2は現存する病気の症状が精神的要因で修飾されているものと考えられ,いずれも身体的な検査に異常が出るので,ここでの話からははずれます。したがって,「身体の症状なのに検査で異常が検出されず精神科を紹介されるケース」は3から6のいずれかになります。
このうち3と4のケースは,実際に痛みなどの不快感が存在するのに「精神科受診を勧められた」ということで,「気のせいだ」と判断されたように感じて非常に傷ついておられることがあります。
5や6のケースでは,実際には不快感は存在せず,自分でウソを言っていることは分かっているのでかえって精神科受診に抵抗が強く(「ウソがバレるんじゃないか...」という気持ちから?),最初から精神科医に強い敵意を抱いているようなこともあります。特に6のケースでは反社会性人格障害の診断基準を満たすような怖〜い方も時におられます。精神科以外の身体科の先生方の中には,器質的な異常がなければ不快感も存在しないはずだと頭から思い込んでいて,検査で異常がなければ即「精神的なものだ」と診断してよく説明もしないまま精神科へ紹介してしまう先生もおられます。また患者さん自身も同様の思い込みをしていて,「検査で異常が見つからないのは検査が足りないからだ」「検査の種類が違うからだ」「検査の技術が悪いだけだ」と,「異常値」「異常所見」を探し求めて病院めぐり・医者めぐりをする方もおられます。
検査でみつかるような病気が何も存在しなくても,精神的な要因だけで強い痛みなどの不快感を感じることはあり得ます。「精神的なもの」というのはあなたの痛みが「ウソだ」というのとイコールではありません(少なくとも精神科医にとっては)。決してあなたの症状を疑っているわけではないのです。またそのような症状があるということを恥じる必要もありません。これは誰にでもあり得る病態です。
誰でも自分の精神面に何らかの問題を認めることは辛く,難しいことです。しかし精神的な要因を否定し続け,ひたすら「病気」や「異常値」を求めて病院をさすらうのもまた辛いことであるはずです。精神科医や心療内科医はあなたの症状を疑わずに扱うことができます。軽いおクスリが著効する場合もありますし,難しく長い治療になる場合もありますが,どうか怒らずに精神科を受診してみて下さい。
Q:精神科のおクスリって?
A:精神科で処方されるクスリは大きく4種類くらいに分類されます。メジャー・トランキライザー,マイナー・トランキライザー,抗うつ薬,抗てんかん薬です。メジャー・トランキライザーは抗精神病薬とも言われ,幻覚・妄想といった精神病特有の症状を抑える他,強力な精神安定作用ゆえに躁病や頑固な不眠症にも用いられます。
マイナー・トランキライザーは抗不安薬とも言われ,不安やイライラなどに広く使われます。眠気をさそうはたらきがあるため,睡眠薬としても広く使われています。内科の先生もよく処方されます。
抗うつ薬はうつ状態に対するお薬です。単に悩み事があって落ち込んでるとかではダメですが,本格的なうつ病に対しては劇的に効くことがあります。ただ,効き始めるまでに1−2週間もかかるのが欠点です。強迫症状に効くものや睡眠薬代わりに使われるものもあります。
抗てんかん薬はてんかんの発作を抑えるほか,衝動性のコントロールや睡眠薬としても使われます。気分を安定させるために使われることもあります。
その他に躁病に特異的に効くリチウムや,メジャー・トランキライザーの副作用止めである抗コリン剤もよく使います。
精神科のおクスリで大事なことは,その効き目は対症療法的な面が大きいということです。症状が治ったと思っても,それはクスリによって一時的に抑えられているだけの場合がありますので,勝手におクスリを中断したり減量したりするのは危険です。どうかおクスリの調整は主治医にお任せ下さい。
クスリには副作用がつきものですが,精神科のクスリに関しては眠気や便秘などの軽い(?)副作用ばかりで,のみ始めや増量時に一時的に出る場合がほとんどです。たいていはしばらくすれば自然に治まるものですから,どうか勝手に自分の判断でクスリを止めないで下さい。ただし,まれにはもっと別の副作用がでることもありますので,おかしいな,とか不安に思ったらすぐに主治医に相談することです。(→副作用については次のQも見てね)
Q:これっておクスリの副作用?
A:精神科のおクスリも,薬物である以上,副作用と無縁ではありません。それどころか軽い副作用に限って言えば,むしろ副作用が出る頻度はかなり高いと言っていいでしょう。また,おクスリの効果が治療上極めて重要な場合が多いので,副作用が出ていてもある程度我慢して服用を続けなければならないこともあります。精神科で処方されるおクスリの主な副作用(実際にありがちな副作用)について次にあげておきます。ただ,これはあくまで一般的な副作用ですので,ここの症状にあてはまるからといって勝手に服薬を止めたりせず,副作用が疑わしい場合は必ず主治医に相談してください。
分類名 お薬の例 症状名 症状の具体例 メジャートランキライザー
(抗精神病薬)セレネース・コントミンなど 過鎮静 眠くて仕方がない 脱力症状 ふらつく・ロレツが回らない パーキンソン症状 手の震え,身体のこわばり 抗コリン症状 便秘・口渇 アカシジア 足がむずむずして
じっとしていられない急性ジストニア 眼球が上転して白目になってしまう 抗うつ薬
(三環・四環系)トフラニール・アナフラニールなど 抗コリン症状 便秘・口渇 過鎮静 眠くて仕方がない 抗うつ薬
(SSRI・SNRI系)ルボックス・トレドミン・パキシルなど 消化器症状 食欲不振・悪心・嘔吐 マイナートランキライザー
(抗不安薬・眠剤)ソラナックス・レキソタン・デパス・
セルシンなど過鎮静 眠くて仕方がない
翌朝起きれない脱力症状 ふらつく・ロレツが回らない 気分安定剤と
抗てんかん薬テグレトール・リーマス・デパケンなど 過鎮静 眠くて仕方がない 脱力・失調症状 ふらつく・ロレツが回らない 抗コリン剤 アキネトン・タスモリン・ピレチアなど 抗コリン作用 便秘・口渇 いずれの副作用もたいていは一時的なもので,減薬や対症療法的なおクスリを追加することで対処でき,あとに後遺症を残すような怖い副作用はありません。また,通常の服用法であれば依存性や習慣性もありません。決して気持ちのいいもんじゃないとは分っていますが,どうか安心して服用を続けて下さい。
最近はここにあげたような副作用がかなり軽減された優れたメジャートランキライザー(リスパダール・ジプレキサなど)も出ていますが,体重増加や糖尿病の悪化などの新しい副作用が患者さんや主治医を悩ませています。これに対しては今のところ減薬・変薬・ダイエットぐらいしか対処法はありません。
ここに入らない稀な副作用として「悪性症候群」や「薬疹」というのもあります。これらは精神科のおクスリに限らず幅広いお薬で起こる可能性があります。おクスリをのんでいて(特に処方が変わった後)急に高熱が出たり,ブツブツがいっぱい出てきた場合はすぐ主治医に相談しましょう。
Q:精神科のおクスリをのんでいるとバカになりますか?
A:麻薬か何かと勘違いされているのでしょうか? 今でもこういう人,結構います。「精神科のクスリなんかのんでるとバカになるぞ,廃人になるぞ,絶対に止めとけ。クスリなんかに頼るな,精神力で治せ。人間は気合だ。」とか。確かに,おクスリだけで全て良くなる,何でも治るというのは完璧に間違いです。しかしたとえ対症療法的なものであっても,おクスリが極めて有効な局面もあります。自己治癒力に期待するとしても,ある程度心身に余裕がないと自己治癒機能もはたらきません。一時的に心身に余裕を取り戻させるためにはおクスリも十分有効です。
精神症状を抑えるために抗精神病薬を大量に使わざるを得ないケースなどでは,患者さんがボーっとした反応のにぶい状態になることもあります。これは副作用というよりそのおクスリの主作用である静穏作用・鎮静作用が強く出ているためで,もちろん「バカになった」わけではありません。経過に伴っておクスリを減量していけば元に戻ります。見た目の状態が服用前と劇的に異なるため,家族や友人が大変ショックを受けて主治医に猛烈に抗議されることもありますが(その気持ちはとてもよく分かります),患者さんに余裕を取り戻してもらうために主治医もやむを得ず強いおクスリを処方していることが多いのです。「クスリをのんでよけい悪くなった」この言葉は我々精神科医が責任を持って受け止め,誤解が解けるまで十分な説明がなされなければなりません。
重い精神病状態などの時は,少量のおクスリを少しずつ使うよりも,最初から十分な量のおクスリを使った方が,結局は患者さんが早く落ち着くことができます。また,興奮や自殺願望("希死念慮"といいます)が強いケースでは,早く患者さんを落ち着かせないと危険です。少量のおクスリをチビチビ使って様子を見ている余裕はありません。
精神科で現在用いられるおクスリの中で,長期連用によって知能が低下するなどの副作用を持つものは存在しません。病状が良くなれば必ずおクスリは減ります。今はどうか安心しておクスリを利用して下さい。
Q:精神科のおクスリをのんでると中毒になりますか?
A:こういう心配をされる方も結構います。確かに,古い精神科のおクスリのうち一部には依存性があり,長期連用していると効きにくくなったり("耐性ができる"といいます),急に服用を止めると離脱症状(古い言葉でいうと"禁断症状")が出たりするものもあります。
こういったちょっと問題のあるおクスリには,バルビタール系の睡眠剤と,抗うつ剤として使われることのある中枢興奮剤("リタリン"です)があります。これらは確かによく効くおクスリではありますが,一歩使い方を間違えると依存や乱用を招きかねない危険なものです。したがって実際に精神科で処方されることは少なくなっています。くれぐれも,ため込んで自己調剤カクテルやスニッフを楽しんだりしないように。私自身も,リタリンの自己調剤を楽しんでいるうちに本格的な依存・乱用になってしまい,薬を手に入れるため犯罪スレスレのことまでしていたケースを知っています。
「薬物依存」には厳密に言うと2種類あって,「身体的依存」と「精神的依存」と呼ばれます。「身体的依存」というのはある薬物に対して身体全体が本格的に依存状態になってしまうことで,常にその薬物が体内にないと身体の諸機能がうまくはたらかなくなります。薬物の効果が切れると強い離脱症状が現れるため,ますますその薬物にのめり込むことになります。こうなると入院治療が必要です。上記のバルビタールやリタリンはモロに身体的依存になります。「精神的依存」は,ここまでは行きませんが,薬が切れると精神的に不安定になってしまうためやはり薬を止めることができません。薬の効き目とはあまり関係がないこともあるので,いかなるおクスリに対しても精神的依存にはなり得ます。
これら以外に,広く使われているマイナートランキライザー(抗不安薬や普通の睡眠剤)も人によって依存性が問題になることがあります。ずっと連用していると耐性ができることはありますし,弱い身体的依存を形成することもあります。ただ,こういうことが生じる背景にはたいてい,自分で勝手に処方を増やしてのんだりカクテルを楽しんだりといった行為が存在します。普通に精神科医の指示通りに服用している限りはあまり依存の問題を心配する必要はありません。
おクスリは症状をコントロールするために利用するもので,「楽しむ」ためのものではありません。どうか主治医の指示を守って服用して下さい。効果が不十分な時など,ごく一時的に自分で処方を増やさざるを得ない場合もありますが,長期に増量が必要な場合は必ず主治医に相談して下さい。おクスリをいろいろ楽しみたい,自己責任で試してみたい,こういう気持ちは分ります。ただ,それはあなたが思っているよりずっと危険な行為です。医師がごちゃごちゃうるさいことを言うのはその危険性を知っているからです。実際に大変なことになったケースを知っているからです。医師としてのプライドがどうとか,権威主義がどうとか,ケチだとか言う問題ではありません。
主治医の指示を守っていても,なかなか症状が治まらないためにおクスリがどんどん増えていってしまうことはあります。もちろんおクスリは少ないに越したことはありませんが,症状を抑えるためある程度の量や種類を要することもあります。おクスリが増えることについて不安があったらどんどん主治医に伝えて下さいね。おクスリが増えることでさらに不安になってしまったら意味ないですから。主治医にはおクスリについて患者さんが納得いくまで説明する義務があります。
Q:精神科に入院!!?
A:精神科の入院っていうと「強制入院」のイメージが強いかもしれませんが,現在では患者さんの人権の観点から入院に関して細かい法律の規定があり,患者さんが自分で希望して入院する「任意入院」が入院治療の中心になりつつあります。しかし患者さんに「病識」がなく(自分で病気とは思ってないこと)一定の経験を積んだ「精神保健法指定医」の診察の結果,知らないうちに自分自身や周囲の人を傷つけてしまう可能性が高いと判断された場合は,患者さんの保護のため強制的に入院してもらう(「医療保護入院」)こともあります。(→「指定医」についてはこちらもご参照に)入院治療はなんといってもストレスのかかる状況から離れて安全な環境のもとで治療に専念できるのがメリットです。ドクターの方も安心していろんな治療を行うことができます。
最初は他の患者さんになじめなかったり,病院の生活に不便を感じることもあるかもしれませんが,あなたの病気が良くなるにつれてきっと病棟が一生忘れられない第2の故郷になると思います。文字通りそこで生まれ変わるようなもんですからね。他の患者さんもきっとあなたの良き友人やアドバイザーになってくれます。
Q:精神科の病棟って怖い!?
A:精神科の患者さんが入院する場合,一般病棟に入院する場合と精神科病棟へ入院する場合があります。一般病棟は文字通り他の内科や外科の病棟と同じ病棟です。軽いうつ状態や神経症の患者さんは一般病棟の入院で十分な場合があります。しかし最近は一般病棟を精神科病棟的に使って神経症や摂食障害の患者さんの行動療法を行う場合もあります。精神科病棟は一般に開放病棟と閉鎖病棟に分けられます。病院によってはさらに半開放病棟があったり,女性病棟と男性病棟に分けてあったりします。
開放病棟は基本的に夜間以外は出入り自由で,病院外へも自由に出れる場合があります(たいていは一応主治医の許可が要りますが)。ある程度自立した入院生活が送れる軽症患者さん向きでしょう。
閉鎖病棟は,主治医の許可がないかぎり病棟外へ出ることはできません(もちろん許可があればOK)。病棟の出入り口には必ず鍵がかかっています。ただし,病棟内の生活は案外自由で,慣れるとそんなに息苦しいものではないでしょう。開放病棟に比べてスタッフの目が行き届いてますし,格段に保護的で安全な環境ではあります。精神症状のために落ち着けない患者さんや自傷・自殺の危険がある患者さんは閉鎖病棟の方が安全にじっくり治療を受けられます。昔は窓に必ず鉄格子がはまってましたが T_T),今ではそういうところは減ってきています。
精神科の医療は少しずつ入院中心から外来中心へ,閉鎖病棟中心から開放病棟中心へと変化していますが,どうしても治療が必要なのに患者さん本人に病気の自覚が全くなく,治療を強く拒むような患者さんに対しては今のところまだ閉鎖病棟は必要なのでしょう(周囲や家族が困るからという理由でむりやり治療を受けさせることが道徳的・人権的に許されるのかどうか,医者の努力不足ではないのかという声もありますが)。
私の実家の近所には大きな精神病院があり,子供のころ,鉄格子からこちらをじっと見ている患者さんに対して怖さと好奇心の入り交じった独特の気持ちを抱きました。精神科に縁のない「一般の」方はおそらく精神科の病棟や患者さんに対して同じような感情を持っていると思います。しかし実際に病棟に入って患者さんに会ってみると,けっこう「何でこんな(フツーの)人がこんな所にいるんだろう」という印象を持たれるのではないでしょうか。「一般の」人も,精神科の患者さんも,精神科の医者も,きっとあなたも,中身にたいした違いはないんじゃないでしょうか。
Q:精神科でどんな検査するの?
A:これもいろいろです。脳波や頭のCT,MRIはよくやります。通常の血液検査ももちろんやります。精神症状の影に身体の病気が隠れていることがあるからです。SPECTという頭の血の巡りをはかる検査もあります。これらとは別に心理検査(簡単な作業をやって性格や心理状態をつかむもの)もするかもしれません。
いずれにせよ,内科や外科でやるような内視鏡とか胃の造影とかのようなシンドイ検査はありません。また初診時にいっぺんにあれこれ検査することもあまりありません。たいていは予約をとって後日検査することになるでしょう。
Q:精神科の通院ってお金がかかる?
A:他の科と比べて特にたくさんかかるということはありません。むしろ他の科と比べると若干安い目じゃないかと思います。カウンセリングも病院で行われるものならば健康保険の適応になりますし,よほど特殊な検査でもされない限りは支払い額でビックリすることはあまりないでしょう。あ,でも初診は結構かかることもありますが。ただ他の科と比べて,扱う病気の性質上,通院期間は長めになりがちです。また病気の症状のために仕事を続けることが困難になることもありますので,そう高くないと言っても通院が大きな経済的負担になることはあり得ます。
そのため患者さんの通院や生活を援助する目的で様々な制度があります。主なものを表にしておきます。
制度名 通称 メリット デメリット 精神保健福祉法32条に基づく通院医療費公費負担制度 "32条" 外来でかかる診療費が自己負担5%のみに(無料になる地域も) ・複数の病院で同時には利用できない
・外来診療のみ(入院には適用されない)精神障害者保健福祉手帳 "手帳" 公共の施設・交通機関がタダか割引
減税制度もアリ・いちいち手帳を人に見せるのがウザイ
・金額的にはそれほど得か?という声多し障害年金制度 "年金" 障害の等級に応じて毎月障害年金が支給される ・等級の判定に納得いかないことがある
・制度が複雑で理解しにくい(ケースワーカーさんに任せましょう)これら全てに共通するデメリットとしては,医師の診断書が必要,つまり診断書料を払わなければならないということです。これが結構高いので要注意です。お金がないから申請するのにどうしてこんなに診断書料をとるんだ,と怒る患者さんもたまにおられますがその気持ちはよく分かります。でも病院で決められた額なので勤務医個人ではどうにもできません...。また,窓口が統一されていないので,複数の制度を利用しようとすると,保健所や市町村役場などあちこち行かねばならないケースもあります。
他にも高額医療費制度や健康保険の傷病手当,失業保険や生活保護なども対象になることがあります。どうぞ主治医かケースワーカーさん,医事課の担当者などに相談してみて下さい。これらの制度を利用することによって精神科へ通院していることがバレるのではと心配される方もおられますが,その心配はありません(→こちらも参照)。利用できるもんは利用しちゃいましょう。
また,もっと細かいことを知りたい場合は「精神科医療関係リンク集」にある他のサイトも調べてみて下さい。
Q:仕事/学校を休みたいのですが,診断書ってすぐもらえます?
A:あなたを診察させていただいて,実際に休むことが必要であれば,すぐその場で休職/休学用の診断書を書きます。診断名はあなた自身と相談の上,当り障りのない病名(例えば「自律神経失調症」とか「不眠症」とか「抑うつ状態」とか)にすることもできます(→これに関してはココもご参照に)。休む期間については主治医の判断になりますが,とりあえず2週間とか1ヶ月とかにすることが多いでしょう。診断書料は1通につき2000円から5000円ぐらいが相場でしょう(病院によって決まっています)。精神科の病気では「休む」ことは非常に重要です。場合によっては,あなたが「まだがんばれる,休みたくはない」と思っていても休むことを勧められるかもしれません。あなたがすでに病気の症状として「休めない」「休んではいけない」と思い込んでいる場合もあるからです。
「休む」ことは「怠ける」ことではありません。心と身体を休養させ,余裕を取り戻させるだけです。おクスリはあなたの症状を抑えてはくれますが,完全に取り去ることはできません。治るのはあなた自身の心と身体です。心と身体に十分な余裕がなければ自己治癒力はうまく働きません。不十分な状態で中途半端にムリを重ねても,ちゃんとした仕事/勉強はできませんし,あなたの健康を害するばかりです。
別に何もしなくてゴロゴロしているだけでもいいのです。最初は「何もしないでいる」ということが苦痛かもしれません。しかし次第に「何もしないでいること」を楽しめるようになってくると思います。こうなってくればむしろシメたものです。逆に,休むなガンバレ,と言われるケースもあるかもしれません(かなり少ないと思いますが)。これはあなたの病状にとって,仕事や学校を休んでひきこもってしまうことがかえって良くないと主治医が判断したためと思われます。どうか納得のいくまで主治医と話し合って,最善の方向性を見出して下さい。主治医にはあなたが納得するまで十分に話し合う義務があります。
Q:自分じゃなくて,家族/知人のことなんですが...
A:自分ではなくて,家族や周囲の知人・友人が調子が悪いようで困っている......こんな人も多いと思います。まず,知人・友人の場合。
身寄りが全くないなどよほど特殊な事情でない限り,まず保護者に知らせ,あなたはそれ以上関わらない方が良いと思います。こころの問題に第三者が介入する場合,かなりの覚悟が要ります。こころの問題は意外な広がりと意外な重さを持ちます。善意の第三者が一生懸命問題に取り組むほど問題が複雑になったり,拡大してしまうことすらよくあります。
本人が「保護者には連絡してくれるな」と希望している場合でも,場合によっては躊躇すべきではないでしょう。仮にその人との関係が一時的に悪くなったとしても,あなたが本当にその人のことを心配しているのなら連絡すべきです。また,学生なら学校の学生課などに事情を伝えるのも手です。とにかくあなた一人で問題を抱え込まないことです。次に,あなたの家族が調子が悪い場合です。
あなた自身も直接・間接に影響を受けますので本当に大変なことだと思います。精神科的な問題かどうかわからなくても,疑わしければ,まず何としても本人を精神科に連れて行くのが一番です。とにかくご本人が来てくれれば,場合によっては診察室以外の場所でも診察はできますし,その結果必要であればそのまま入院していただくことも可能です。その病院・クリニックで入院が不可能ならば,入院できるところを紹介してもらえると思います。ご本人がテコでも動かないという場合は,とりあえず家族の方だけでも受診して(診断の精度は落ちますが),おクスリを処方してもらうことは可能です。もっともこういうケースでは,ご本人がおクスリなど真っ平ゴメンというのがたいていなので,抗精神病薬の水薬(「セレネース液」といいます。味も臭いもありません。料理や飲み物に入れて服用してもらいます)を処方されるかもしれません。ただこの場合,ご本人が知らないうちに勝手にクスリを入れられるわけですので,ケースによっては後々,家族関係・精神医療者との関係に深刻な傷跡を残してしまうこともありますし,素人である家族の方に治療をさせるという倫理的な面にも大きな問題があります。副作用が出た場合の対応も困難です。
最近になって,どうしても病院を受診してくれない患者さんを,入院を前提に「移送する」制度が法的に整備され,実用化しつつあります。これは保健所や精神保健福祉総合センターというところが窓口になっていますので,「どうしても」という場合は相談してみると良いかもしれません(TEL番号はイエローページで)。ただ,地域によってはまだ実用化されていなかったり,対象が極めて限られているかもしれません。
やはり家族の方で何とかして(場合によってはウソをついてでも)病院に連れてきていただくのがベストということになります。本当に家族を想う気持ちがあれば,ウソがバレても,患者さんは最終的には理解してくれるはずです。
Q:うつの家族/知人に「がんばれ」って言っちゃいけないの?
A:これは定説です。どうして「がんばれ」とか励ましの言葉をかけちゃいけないのか?
それは,典型的な抑うつ状態の人は,既にギリギリのところまでがんばっていることが多いからです。見た目はそうは見えなくても,まだ余裕がありそうに見えても,本当にギリギリの状態なんです。「がんばらなくちゃ...がんばらなくちゃ...」と自分をどんどん追い詰めている人に「もっとがんばれ」と言ったらどうなるでしょうか? たとえ悪気は全然なくても結果としてその人をさらに追い込むことになりますよね。
○○さんに励まされる→「今日は○○さんが励ましてくれた。期待に応えないと...」と思いもっとがんばってみるけどもう限界→「周囲の期待に応えられない自分は最低」→「自分は周りに迷惑ばかりかけている」→「自分は生きている価値がない」→・・・などと最悪の思考パターンをたどりかねません。だから,励ますよりもむしろ「ムリしなくてもいいよ」「休んでもいいよ」と言ってあげる方が正解なのです。
ただ,「がんばれ」にもいろいろな「がんばれ」があります。
違う人が違う言い方で「がんばれ」を口にすると正反対の意味になることもあります。
「もっともっとがんばれ」という激励調ニュアンスの「がんばれ」もありますが,もっとソフトに本人の現状を「とてもがんばってるね」と認めてあげる「がんばってね」もあるわけです。全てのケースで全ての「がんばれ」が厳禁ということではなくて,場合によっては「がんばれ」がとても有効なこともあり得ます。でも,この使い分けはとてもビミョーです。
精神科医も「がんばれ系」の言葉をあえて口にすることがありますが,かなり神経を使いますし,患者さんの様子をしっかりモニターできる場合に限られます。場合によってはとても危険な言葉だからです。しっかりとした治療関係ができている場合のみ,慎重に使われる高度なテクニック(笑)と言えるでしょう。ですから家族や知人の方が,自分の判断で,自分の感情で「がんばれ」と言ってしまうのは,やはり控えた方がいいでしょう。
でも患者さんの近くにいて,どうしても「がんばれ」と言いたくなる状況もあるかもしれません。どういう時,どういう場合に,どういう立場の人が「がんばれ」と言ってもいいのか...これはまさにケースバイケースとしか言いようがありません。患者さんへの対応の仕方で分らないことは,ささいなことでもどんどん遠慮せず主治医に訊きましょう。
Q:いい先生・いい病院の見つけ方は?
A:そんな難しいこと訊かれても...(^_^;ゞ。「良い」という言葉がどのようなことを指すのかはその人によるでしょうし,相性というのもあるでしょうし...。ただ,こういう先生はあまりお勧めできないな,というのはあるかもしれません。例えば,
1. 初診で15分かからない・・・・・早すぎます。どんなに予診や問診票があっても(前もって他の先生に大体の話をしたり,紙に書いたりする),情報を整理したり,診断や薬の説明をしたりすれば普通は30分くらいすぐに経ってしまいます。
2. おクスリがやたらと多い・・・・・あまりケチなのも困りますが,頼みもしないおクスリを最初からどっさりくれる先生もいます。その先生なりの処方についての考え方もあるでしょうが,お金儲け主義と疑われても仕方ないでしょう。
3. どうでもいいことをやたらとよくしゃべる・・・・・こちらの言うことはあまり聞いてません,きっと。
4. やたらと優しい・・・・・依存させるだけさせておいて,いざという時には,他の病院を紹介してくれます。きっと。やたらと冷たい先生...まあ,これも論外ですが。
5. 評判の良くない先生,病院・・・・・やはりそれなりの理由があることが多いようです。
・・・・・初診からチョー速攻で,おクスリたくさん出してくれて,どうでもいい雑談ばっかりでやたらと優しい,評判のあんまり良くない先生。
こういう先生が好きっていう人も意外にいそうだけど逆に,一般的には「迷医」と言われる次のような先生方は,必ずしもそうとは限らないこともあります。
1. おクスリの副作用の説明を詳しくしない・・・・・病状があまり良くない患者さんで,なおかつ精神科のおクスリに抵抗感が強いような場合,おクスリをキチンとのんでもらうために,副作用の詳細な説明はしたくてもできないケースが精神科ではあります。もちろん,御家族が一緒に来られていれば家族の方にお話ししますし,いずれにせよ何かあればすぐ病棟や救急で対応できることが前提となりますが。
2. 診断名を言わない・・・・こちらのQ&Aにもありますが,精神科領域では最初からはっきりとした診断名をつけるのは困難で,かつこれを避けるべき場合すらあります。もちろんある程度の範囲を持った「診立て」を行い,これに基づいた治療をしていくわけですので,診断が何もないというわけではありません。ただこの「診立て」というのは他の科のような「病名」診断ではなく,「抑うつ状態」のような「状態像」診断であることが多いのです。
3. (初診以外の)診察が短い・・・・・多くの精神科医にとって診察は時間との戦いでもあります。決まった時間内に全ての患者さんの診察をしなければなりませんし,病院勤務医ならば,診察中でも病棟からの呼び出しなどに対応しなければならないこともあります。最近は予約制の外来が多くなりましたが,予約を守って来ている患者さんを長時間待たせるわけにもいきません。初診に時間がかかるのは仕方ありませんし,調子の不安定な患者さんの診察にもどうしても時間がかかります。こうして,安定した患者さんの診察時間は短くなるわけです。
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保健所や精神保健福祉センターに問い合わせても,先生個人や病院の詳しい評判まではなかなか教えてもらえません。ネット上の情報というのも(詳細・地域的な情報になると)アテになるようでならないもんです。精神科となると,御近所に相談もしにくいでしょうから,やはり候補をいくつか上げて実際に行ってみるより他はないでしょう。また,入院の可能性がありそうな場合は,必ず病棟を見学させてもらうことです。その時できれば入院患者さんにこっそり「どうよ,ここ?」って訊いてみるといいでしょう。
ただ,行ってみて「こりゃダメだ」と思っても,最低でも3〜4回は通院してみることをお勧めします。何回か行ってみないと分からないことも多いからです(→こちらもご参考に)。