「統合失調症」についてもっと勉強したい人に


YASU-Qの研究テーマに戻る

「統合失調症(精神分裂病)」は精神医学の中心テーマといえる疾患で,様々な分野からのアプローチがなされ,様々な文献が出回っています。そのなかからおすすめのものをいくつかご紹介しましょう。

まずは入門編から

1.「病める心の記録」西丸四方,中公新書:統合失調症の少年の手記とスケッチをもとに構成された,統合失調症の世界を知るのに最も適した書。分かりやすく,思わず中に引き込まれてしまう。

2.「初期分裂病」中安信夫,星和書店:専門家向きとはとても思えない平易な文章。診断の難しい初期の統合失調症に新たな光を投げかけるとともに,統合失調症そのものを知るためにも格好の入門書になっている。

3.「分裂病入門」アリエティ,星和書店:私の受け持ちの統合失調症患者さんが「これが一番事実に近い」とすすめてくれた。

次に精神病理学

1.「自明性の喪失」ブランケンブルグ,木村敏他訳,みすず書房:統合失調症の病理学を勉強する人は絶対に読まなければならない。

2.「精神分裂病T,U」ビンスワンガー,木村敏他訳,みすず書房:これも読んでおかないと話についていけない。ただし現在絶版。どこかの図書館か病院に行かないとない。

3.「分裂病の現象学」木村敏,弘文堂:ドイツ語圏のいわゆる現象学的な病理学から著者独自の間主観的病理理論に至る。総論的に読むととても勉強になる。

4.「安永浩著作集T,U」安永浩,金剛出版:著者独自の「ファントム理論」が展開される。難解だが一種の現象学と思って読むと分かりやすい。

5.「中井久夫著作集T,U」中井久夫,金剛出版:統合失調症の経過や治療に新たな側面を開いた著者の著作集。精神科医はぜひ一度読むべき。

6.「無意識の病理学」新宮一成,金剛出版:対象は統合失調症に限らないが,ラカニアンとして日本を代表する著者の臨床的な理論展開の書。ラカンになじみのない人はまず同じ著者の「ラカンの精神分析」(講談社現代新書)を読むといい。

生物学的な分野から

1.「認知機能からみた精神病理学」日本生物学的精神医学会編,学会出版センター:私のボスも共著者として寄稿しています。認知科学的な観点から分裂病にせまっている。ただし専門書。

2.「精神分裂病はどこまで分かったか」町山幸輝他編,星和書店:統合失調症に関する生物学的,認知科学的研究の最近の成果をまとめている。


ホームページへ

Copyright (C) by YASU−Q