CD紹介      

    梶谷 修 『FOR ONE〜ひとりのために』

 寂しいクリスマスを過ごしたくないあなたに、とっておきのCDをご紹介します。
愛するひとにこのCDを贈れば、きっと彼(彼女)はあなたに逢いたくなるでしょう。
 作曲家 梶谷 修、ピアニスト手塚 真人によるピアノ作品集『FOR ONE〜ひとりのために』です。クラシックというほど堅いものではありません。でもポピュラ−というほど軽いものでもありません。そこにある奥行きと思慮深さをあなたはきっと感じ取ってくれることでしょう。優しく、美しく、温かく、時に哀しく…繊細な19曲はあなたをそっと包み込んで、安らぎの時へ誘ってくれるはずです。  今までのピアノ曲では飽き足りないあなたに、また「ピアノ曲なんて…」というあなたに、そしてひとり静かな夜を過ごしたい大人のあなたにもぜひおすすめのCDです。

 では『FOR ONE〜ひとりのために』の曲目を詳しくご紹介しましょう。CDジャケットに掲載されている【メモとして】から…。

 4月 空の彼方に (1:29)  春霞があたりを覆うと、幻の世界に入ったようだ。  陸も海も空も、そして散り始めた桜の花もひとつになってしまう。  こんな日が続くとぼうっとしてしまう。

 5月 たわむれ (0:49)  森の中を歩いていると面白いことに気づく。  新緑が作る小さな木もれ陽と地面に舞う落葉、奇妙な取り合わせであるが、見ているとこれがなかなか面白い。  常緑樹にとっては今が落葉の季節でもあるのだ。

 6月 遠い日に (2:29)  私は部屋にいた。何もせず、ただ、窓辺に差す久しぶりの陽光を見ていた。  だんだん柔らかく、長くなる光は、私を遠くに連れていき、少年の日の初恋を思い出させた。

 7月 真夜中のピアノ (3:42)  ある夜、変な夢を見た。  何世紀も前に建てられた洋館にポツンと私がいるのだ。そこは大広間みたいだ。大きな柱時計、高そうな調度品、そしてたくさんのフランス人形。  突然、無人のピアノが鳴り始め、フランス人形が私を見る。私はいつしか小さな子供になり、一緒に遊んでいる。  やがてピアノが止み、あたりに眠りがくると、私は目が覚めた。  …午前3時。

 8月 風の流れる橋 (2:06)  この年の夏は特に暑かった。一日中ク−ラ−の中にいると体がだるくなる。それで夕方ウォ−キングをすることにした。目的地は河口にかかる二層橋、車は通れない。  海に近いため、川面は波打っている。  だが、橋の上はいつも静かに風が流れている。

 9月 憂鬱 (ゆううつ)  (1:27)  この月に入ると人は急に秋を感じるようだ。長袖も多くなる。でもまだまだ暑い。  心は秋、体は夏、…この微妙なずれが私を憂鬱にする。

 10月 朽ちる時 (3:57)  人は死ぬ時、愛する人に見取られたいと願う。  動物は死が近づくと、自ら死に場所を捜し、孤独な死を迎えるという。  私の前に立つこの朽ちかけた大木は、誰にも見取られず、どこへも行かず、ゆっくりと大地に帰っていく。

 11月 雨の中で (2:21)  何年か前、雨のセントラルパ−クを散歩した。あまり人もいず静かでよかった。  森のような公園は、私を優しくもてなしてくれた。  今、君はそこにいる。

 12月 街角 (2:00)  世界中が忙しくなる。特に都会では人も車もやたら増える。そしてますます混雑する。みんなイライラする。歩き方も早くなる。  1年の12分の1のこの月だけがどうしてこんなになるのだろう。

 1月 白い朝 (1:43)  朝、雪が積もると外を見なくてもすぐわかる。いつもの音を雪が消していくからだ。  こんな朝もたまにはいい。

 2月 夕暮れ (1:25)  子供の頃、学校から帰ると小さな探検をして遊んだ。みんな腕白で、毎日いろんな所へ行って時間を忘れた。夕暮れになり、村の家々から煙が出ると、みんな一斉にきょうの晩ご飯のことを考えた。でも変わったためしはなかった。

 3月 田舎にて (1:12)  私は今都会に住んでいる。いつかは田舎に住みたいと思っている。できれば、人のあまりいない山村に。忘れてしまった四季の音は、私をきっと楽しませてくれるだろう。  春を告げる鶯(うぐいす)、夏の終わりのひぐらし、初冬の百舌(もず)の声…。

 忘れられた島 (3:37)  日本は島国である。だが、住んでいるととても島には思えない。私にとっては、目で見て島と思えるのが島である。その島の頂きに登って見下ろすと、また小さな島が回りにいくつかある。そう、名前のない、忘れられた島が…。

 孤独な輪舞(ロンド)  (4:25)  戦争の傷痕が残るこの村にも、祭りの日がやってきた。  女たちは精一杯のご馳走を作り、着飾る。やがて彼女らは広場に集まり、思い出を相手にひとりだけの孤独な輪舞を始める。かつて、父、夫、息子、恋人としたように…。

 母の祈り (2:47)  私にも母がいる。すべての人にも母がいる。  若い母、老いた母、死んだ母…いろんな母がいろんな愛を持っている。優しい愛、厳しい愛、盲目的な愛、それらは子供への愛であり、祈りでもある。  この曲を私の母と、すべての母に…。

 酒の唄 (2:25)  私の父はアル中だった。母はいつもとんでもない苦労をさせられた。でも私たち子供には愛情はあった。手先が器用なのでいろんなものを作ってくれた。特に私が気に入ったものはソリである。これは、誰よりも速く、どこでも滑ることができた。  それともうひとつ、父はどこで習ったか分からないが、ピアノ、アコ−ディオン、ハ−モニカが上手かった。特にタンゴが好きで、「ラ・クンパルシ−タ」などを結構卒なくこなしていたのを覚えている。  酒が入らなければ、いい父だった。  この曲を今は亡き父に…。

 午後の夢 (1:54)  私は昼寝が得意ではない。飛行機や電車の中で熟睡している人を見ると羨ましい。どうしてあんなに気持ちよさそうに寝られるのだろう。  一度でいいから、よだれをたらすほど寝てみたい。

 ガボット (1:19)  よちよち歩きの子供が公園で遊んでいる。すべてのものに興味があるみたいだ。母親は優しく微笑み、後を追う。私の娘もそうだった。

 クリスマスイブ (4:40)  12月に入ると一斉にクリスマスの色になる。しかし、この華やかさが、ある人には寂しさとなり、絶望となり、死となる。  今、クリスマスイブは愛と死の間にあるのだろうか。

 CDジャケットを美しく飾る写真の数々は、浜松市在住のアマチュアカメラマン 大杉征夫氏(「六三」オ−ナ−)の手によるものです。

《Recording Data》        1996.5.6〜8 秩父ミュ−ズパ−ク音楽堂

        ピアノ/ ニュ−ヨ−クスタインウェイ

         製造/ 日本コロンビア株式会社

     近々、MIDIで1曲ずつご紹介の予定です。どうぞお楽しみに!

 梶谷 修『FOR ONE〜ひとりのために』はヤマハミュ−ジック浜松(TEL053-454-4440) のみの限定販売です。定価¥2、800(税込み)  

梶谷 修  作曲家。編曲家。京都府出身。

 吹奏楽アレンジ、オ−ケストラアレンジを数多く手がける傍ら、指導者と       しても活躍、高い評価を得ている。

手塚 真人 ピアニスト。東京都出身。

 ソロリサイタル、コンチェルトなどコンサ−ト活動の傍ら、指導者としても活躍中。

六三    浜松市山下町(椿テレビ向かい) にある“酒と食事の店”。

    マスタ−の家庭的な料理とおかあさんの温かい笑顔と応対で人気。

      メニュ−の豊富さは毎日通っても飽きないほど。刺身はもちろん、煮物、焼き物、揚げ物、サラダ、自家製漬け物、ご飯ものまで揃っている。

      超おすすめは特製オムライス!この味が忘れられなくて浜松に来る度通う人も多い。


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