「Jack」 〜明日この道の上で〜
   アルバム「No Kidding」 では、Welcome to the Lost Child Club の歌詞を含んだ、スローなテンポからはじまる。
(これは元から同じ曲なのだろうか?)
 この歌詞のJackとは、Jack Kerouac やサルパラダイスのことなのか、それとも若き日の辻仁成のことなのかわからないけど、このスローな前半でJackの幼少期のエピソードがうたわれる。

 アップテンポなメインに入ると、仲間と何かを求めながら成長していくJack。何か足りないもの、それが愛なのか? 

 不器用なJackを見ていると、それは「路上」でのサルパラダイス達が、満たされない心を癒しつつ、ヒッピーさながらにアメリカを横断し、何かを求め続けて旅をしていることを表現しながら、現代の僕たちも彼らと何ら変わりなく、物欲に満たされながらも空虚な時を過ごしていることを気付かされる。

    愛を切らしてる君に
    On the road On the road
    明日この道の上で    (Jack
)


 ライブでは、「Jack」はスローな前奏なしに、いきなりトップスピードで入ってくる。ライブでの輝きと、CDでみる物語性、どちらも捨てがたい。またベストアルバム「GOLD WATER」では、アレンジがライブ寄りとなっていてこれもよい。特にマルガリータにからむ部分のウラのコーラスはとても心地よい。

 この曲「Jack」は、Beat Generation の作家として有名な Jack Kerouac 、もしくはその代表的な著作である「On the road」(邦題「路上」 河出書房刊) に対して捧げられた曲である。若き作家のSal Paradise と変人じみたDean Moriarty がアメリカを旅しながら繰り広げる路上生活はヒッピー文化などに強く影響を与えた。
 「路上」は、仁成が函館時代に影響を受けた本のうちの1冊であったようである。

 僕はそんな仁成にあこがれて、この本を繰り返し読んだ。
 「Jack」 は ECHOES の曲の中でも人気が高く、とても盛り上がる曲であったけど、「路上」を読み終えてから知る「Jack」 の世界観はまた素晴らしいと思う。

 

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