独語・空笑 〜日記風に〜


とある病院に勤務していた(現在は某国に逃亡中)精神科医の日常の雑感です。


平成10年3月6日 掲示板の心理学 〜今回の混乱について〜

ここしばらくでネット上に存在する掲示板の怖さを痛感した。
新コーナー立ち上げやリンク集更新どころではなかった(言い訳か?)。
「掲示板」の本体はたかだか数10KBのテキストファイルである。私個人がMESHから借りているサーバー上の一区画に存在する。ファイルの所有者は私YASU-Qだが,最近の風潮ではプロバイダーであるMESHにも一定の管理義務と管理権が認められるようだ。つまりこの時点では,掲示板は私とプロバイダーMESHのもの,と言えるだろう。
ただ,ここに参加者がいろいろな書き込みをすることで問題は複雑になってくる。書き込み内容の著作権はいったい誰のものなんだろう。掲示板ファイルの存在意義は書き込まれ,閲覧されることにあるわけだから,存在意義という観点からは掲示板は書き込み,閲覧する参加者のものである,ということになる。管理者である私が勝手に内容を訂正したり,書き込みを削除したり,書き込み位置を変更したり,また特定の参加者のアクセスを制限するということが許されるのだろうか? 「管理者の介入は最小限度にしたい」という私の考えはここにも由来する。
ただ,参加者にも様々なパーソナリティがあり,極めてobliviousな人もいればhypervigilantな(本来はNPDのサブタイプをあらわす言葉だけど)人もいる。お互いに最初は全く悪意はなくても,レスの付け合いから感情的トラブルに発展することはおおいに有り得ることである。また掲示板上のコミュニケーションは非対面式で言語のみに頼ったやりとりであり,匿名で自室から24時間いつでも書き込めることもあって,その人が本来持っている社会的規範から逸脱しやすい。掲示板そのものは大変公共性の高いものなのに,個々人がそれにアクセスする形態は極めて個人的なのである。結果的に,実際に会って話しているなら絶対にケンカにならないような人たちでも,ささいなことから容易にケンカになってしまう。また,フォローなしでケンカしっ放しになってしまう。
掲示板上のケンカはそれが逐一目に入るだけに大変見苦しいし,見ているものを不快な気分にさせる。ケンカだらけになってしまった掲示板は,もはや本来の機能は果たさず不特定多数の閲覧者を不快にさせるだけであるから,やはり管理者は四の五の言わずに強力に介入するなり,閉鎖してしまうなりの対応をすべきだったのだろう。
しかしここで私は大きなミスをした。私は掲示板の機能を過信しすぎた。トラブルメーカーはいつか自然と淘汰されるだろうと思っていたら,他の人が淘汰されてしまった。最後には完全に掲示板を乗っ取られる形になってしまった。そして他の掲示板にもその状態が広がる様相が出てきた。
それでも,もっともっと長い時間をかければ掲示板も自浄能力を発揮したかもしれないが,そういう状態の掲示板を人の目にさらして放っておくのは管理者のエゴに過ぎず(「治療者の万能感」みたいなものを掲示板に投影しているのかもしれない---本当にこの万能感というヤツはくせものだ),これまでの参加者や閲覧者にあまりに失礼である。
そういう次第で,この3月からは掲示板に積極的に介入し,書き込みの移動や削除を行うことにしました。また,これまでは参加者を制限しないことを身上としていましたが,やむを得ず何人かの方には直接,これ以後の参加をお断りする旨を通告しました。この通告を受ける側の心情を考えると,これは私自身にとっても大変つらい措置でした。「ここまでしなければならないのなら,(掲示板もHPも)いっそ全部やめてしまったほうがいい」と何度も考えましたが,それもまた大変な無責任。ずいぶん悩んだ末に,結局今回のような結果になりました。みなさんどうかご理解下さい。
また,今回の掲示板の混乱,荒廃は全て管理者である私の不手際によります。最近の掲示板を見て不愉快な思いをされた全ての方に深くおわびを申し上げます。

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平成10年2月19日 掲示板破壊

なるほど,掲示板を破壊するってこういうふうにするわけね...。

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平成10年1月28日 明けまして...近況です

みなさん,明けましておめでとうございます。...なんてあまりにボケすぎてる? 忙しくて,どうしてもどうしても更新する時間と気力がなかったんです。いつもながらですが,どうかご容赦を。
この4月から大学病院に戻り研究生活を再開することになりました。この1年間は臨床の最前線でバリバリ忙しかったけど,総合病院精神医学と神経内科について本当にいい勉強をすることができました。この経験を大学病院でも生かしていきたいと思います。...なんか誰かの「所信表明」みたいやなあ。
大学の脳波室のMACがとうとうぶっつぶれてしまい,ハードディスク録音した音声刺激の処理ができなくなってしまった。愛用のPC9821を中心にしたシステムを新しく組もうとも思ったけど,「98シリーズ」も落ち目だしねえ...。まあNECは当分NXシリーズと平行して生産は続けるとは言ってるけど。ごく一部の人間のために16bitバスを残すのもやっぱり限界があるだろうし。ということで,いよいよ我が脳波室もDOS/V中心になっていきそうです。
ここしばらくの間に,このHP上でもいろんなことがありました(言わずと知れたアノ件です)。水面下でこっそり動くつもりがかなり波風を立たせてしまいました。私の管理能力がないばっかりにご不快の念を抱かれた方もおられると思いますが,どうぞ愛想を尽かさずにこれからもよろしくお願いします。
それから,新コーナー「こんな時どうしたらいいの?」を準備中です。以前,いただいたまま返信できなくなってしまったメールに関して,「このページ上でお答えする」と言ったことを受けての企画です(反応が遅い!)。いただいた相談メールの中から,最もよくあるパターンのもの,最も緊急性がありそうなものなど「こんな時いったいどうしたらいいの!?」と思わず叫んでしまいそうな状況に対して私なりにアドバイスをさせていただくものです。もちろんいただいたメールのプライバシーに関しては完全に守られていますのでご心配なく。

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平成9年10月29日 近況と雑感

またしてもいつの間にかこっそり更新。
最近,愛用のPC9821Xa12/C12のCPUを120MHzペンチから200MHzペンチ(MMXではない素のペンチ。P54C-200ね)に換装し,最近出たばかりのグラフィックボード(これを手に入れるためにどんだけ日本橋をウロウロしたことか)をぶち込んだおかげで,最新のゲームはもうほとんどまともに使えなくなっていたマシンがすっかり生き返った。ベンチの成績も,MMXマシンが出て以来,底辺でウロウロしていたのが,一気にMMX166くらいの数字は出せるようになった。うーん,気分がいい。これでやっと去年の今頃の最速マシン並には追いついたか。(簡単な改造だけど,改造はメーカー保証が全く受けられなくなるので,よい子のみなさんは絶対真似しちゃダメ。でも最近は結構初心者向けの雑誌にも改造記事が載ってるけど...いいのかなあ)
それにしても最近のPC98は型落ちになった時が困る。すぐに型落ちになるくせに改造はヤバイ。どうしても「次は自分でDOS/V機作ろう」と思ってしまう。もうすこしメーカー自身が「アップグレード」を意識してくれないと(でも新しいPC売るのが商売だからねえ...)。
それはそうと,とうとう神戸の事件の審理結果が出た。これに関するコメントは神戸の事件に関する私見にも書いたけど,今回の家庭裁判所の情報公開に関する姿勢はある程度評価できると思う。審理の過程では,ごく一部の情報が非公式にどこからか漏れてくるだけで,この情報の伝搬経路や内容選択について「国家権力の強化をねらう意図が背後に存在する」という憶測すら許す結果となっていた。しかし審理の結果を,「特例として」,かなりの部分公表したことで,それまでのモヤモヤして怪しげだった雑多な情報がかなり整理され,スッキリした。事件について様々に考え今後に役立てるための材料をある程度我々に与えてくれたと思う。
と言っても,このままでは事件はどんどん風化していってしまう。問題は,われわれ精神科医を含め心理や教育の専門家がこの事件から何を学び,どう今後に結びつけていくかである。この事件は少年院・少年法のあり方や思春期症例の扱い方などについて大きな問題提起をした。これらの問題を絶対に放置してはならない。今回の事件は,事件自体は特殊例かもしれないが,事件を起こした少年の心性は決してそれほど特殊ではないと私は思う。
最近,摂食障害の患者さんの受け持ちが増えてやたらと忙しい。力動的精神療法にせよ家族療法にせよ(ほとんど素人のくせに生意気な!)時間がかかる。院内リエゾンも多いし。私自身の体重は減るばかり。患者に食え食え言いながら自分は全然昼メシ食ってなかったり。やっぱり今年も秋はデプるのか。

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平成9年9月20日 リンク更新

おすすめリンク集を更新しました。私がこのパゲを始めた昨年9月と比べて精神科関係のページも本当に増えた。情報の質については玉石混交の状態だが,まあそれがインターネットのいいところだし。中には本当に感動的なくらいよくできたサイトもある。いよいよインターネットも本当に実用的になってきたなあ。

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平成9年9月18日 少年A

いつの間にかまたこっそり更新してたりする。
この夏は,特別暑かったわけでもないのに,何故か,世間の人には「理解し難い」センセーショナルな事件が多発した。事件を起こした容疑者が「精神科の患者」という報道も目にした。このような報道に接していると「精神科の患者はみな理解し難い,危険な存在である」という印象を受けてしまう人は多いだろう。本当に「精神科の患者」は「怖い」のか?
これまでにも繰り返し書いているが,もちろん彼らが本当に危険な存在であるわけがない。もしそうなら,精神科医はみな生命保険に入れなくなってしまう。世に殺人事件は多いが,精神科医がそんなにしょっちゅう患者に殺されているという話も聞かない。では,どうして人はそのような「恐怖」を感じてしまうのだろう。
とにかく,最大の原因は「精神科の患者」と非患者・健常者との心理的・物理的距離であろう。神戸の事件に関する私見にも述べたが,我々の現在の社会は構造的に精神科患者を隔離する志向を持っているようである。健常者と精神科患者とは絶望的な距離によって引き裂かれている。多くの人が精神科を訪れ,我々自身もいつ精神科の患者になるかもしれないこの世の中にもかかわらず,いや,そういう世の中だからこそかもしれないが,健常者は精神科の患者を恐れ,自分たちから遠ざけようとする。そこには自分達自身の内の理解しがたい暗い側面を投影し排泄するような機制が構造的にはたらいているのかもしれない。
一口に精神科の患者といっても疾患は様々で,神経症やごく軽い抑うつから統合失調症や老年期痴呆まで本当に多種多様な患者さんがおられる。「精神科の患者」と書いていると,神経症圏の患者さんの中には「統合失調症の患者と一緒にするな」と言いたい人もいるかもしれない。
しかし神経症の患者さんも統合失調症の患者さんも精神科の患者でない人も私もあなたも,その精神に本質的な差異は存在しない(と私は思う。もちろん「全く差異がない」と言っているわけではない)。精神医学の診断は相対的,恣意的なもので,属している文化や診断する精神科医の主観に大きく依存する(ある地では優れたシャーマンとして周りの畏敬を集めている人が,ある地では統合失調症やてんかんと診断されるかもしれない。その逆も然り)。最初から「統合失調症の人」や「神経症の人」がいるわけではない。我々の文化や精神医学が「統合失調症の人」や「神経症の人」を作っているのである。
上述のように,精神科の患者さんの中でも,「私は"うつ病"であって"統合失調症"のような精神病ではない」というような言葉を聞くことがある。精神科の患者さんも,「精神病」や「統合失調症」というコトバに恐怖や不安,攻撃性など自分自身の内のある側面を投影して排泄し,隔離してしまおうとしているのかもしれない。それでは,自分が「統合失調症」と診断された人達はいったいどうしたら良いのだろうか?
話を元に戻そう。健常者は「精神病」を恐れ,「精神科の患者」を危険視しようとする。そこには神戸の事件に関する私見にも述べたような,「理解できない」ものへの本質的・構造的な恐怖や,自分自身の中の「理解できない」ものへの恐怖や不安といった感情を投影している可能性があるようだ。そしてその結果,患者と一般健常者との距離はますます遠くなり,それがさらに上述の志向を強める悪循環になる。
精神病者の中には犯罪者もいるだろうし,犯罪者の中に精神病者もいるだろう。しかし,日常的にくり返される一般犯罪の大部分は精神病とは全く無関係であることを決して忘れてはいけない。
もちろん,精神病が犯罪の発生に大きく関わるような事件もあるだろう(これに関しては現在勉強中。そのうちここで報告します)。それを,「関係者の人権」という名の下に世間から全く見えないうちに処理してしまうことにも問題があるように思う。もちろん患者や関係者の人権は守られなければならないが,事件が完全に闇に葬られてしまっては何も後に残らない。なぜ・どのように精神病が犯罪に結びついたのかが分からなければ,結局は「精神科の患者は怖い」で終わってしまう。
神戸のあの事件についても,一時はあれだけ騒がれたのに,今となっては何となく「精神病的な少年の暴走」で片づけられているような気がしてならない。両親の謝罪がどうのという報道はあっても,少年自身に関することは何となくあまり聞こえてこない。結局は彼の「人権」や「プライバシー」のために事件は闇に葬られてしまうのだろうか...それで本当にいいのだろうか?

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平成9年7月28日 メールカウンセリング挫折

みなさま大変ご無沙汰しております。いつの間にかこっそり更新しました。って誰も更新に気づいてくれないかも。
4月から勤務している新しい職場にもなんとか適応でき,どうにかこうにかがんばっております。暖かいはげましのメールを送って下さった方々,本当にありがとうございました。
長い間全く音信不通で,このHPも放置しておりましたが,今後また少しずつ更新していきたいと思います。どうかよろしくお願いします。ただ,「お知らせとおわび」にも書いた通り,種々の事情から,個人的な相談には一切返信できません。どうかどうかご了承下さい。みなさんからいただくメールにはこのHP上で答えていきたいと思います。
自分のHPを持っている方ならお分かりだと思いますが,HPを作り常に更新していくことは結構エネルギーを要します。さらに寄せられる大量のメール一つ一つに誠実に対応しようとすることは,よほど時間と気持ちに余裕がなければできない,私のような人間にはとても不可能なことだと思い知りました。しかし,「おすすめリンク集」に紹介してあるサイトの中にはこの「不可能に近いこと」を個人の努力で遂行している所があります。本当に素晴らしいことです。どうか私のようにぶっつぶれてしまわないよう,無理をせずがんばって欲しいと思います。
ところで..........
最近またぶっそうな事件が頻発し,容疑者の心理に対する興味からか,世間では人間の「こころ」に対する関心が高まっているように感じる。しかし相変わらず,「このような犯罪を犯す人間は精神障害者に違いない」という論点から,彼らを自分たち「健常者」とは違う異次元の別世界の住人として扱い,「いかに自分たち健常者の世界を彼らから守るか」「自分たちの子供が彼らのようにならないためにはどうしたらいいのか」「少年法の対象であっても彼らを長期間隔離したり制裁を加えることはできるはずだ」というような内容のものばかりで本当に悲しくなってしまう。しかも有名なジャーナリストや学者がマスメディアやこのネット上でこぞって堂々とそういう発言をするから,ますます「精神障害者=犯罪者,犯罪者予備軍」ということになってしまう。犯罪者の中にも精神障害者はいるかもしれない。でも精神障害者の中で犯罪者の占める割合はごく一部だということ(「健常者」の中の割合より少ないと思う)は奇妙にも無視されている。確かに言論や表現の自由は最大限に尊重されなければならないと思うが,「声の大きな人」はもっと自分の発言に慎重さを持って欲しい。
神戸のあの事件についてはこちらへ。私の感想です。

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平成9年3月26日 疲れた...

とにかくちょっと疲れました。しばらく休ませて下さい。新しい職場にも慣れなければなりませんので。

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平成9年3月17日 患者さん大暴れ

先週の外来はボーダーライン的な患者さんがこぞって調子を崩していて,手首切ってたり,体重減りまくってたり,挙げ句の果ては外来で「入院させろ」と暴れて私の目の前でガラスをたたき割った患者さんまでいて,とっても疲れた。原因は多分,その前の週の外来で私自身のコンディションが良くなかった(花粉症のため)せいだと思う。通常の人たちとは比べものにならないくらい繊細で敏感な神経の持ち主たちだから,いつもより若干dullな私の反応に見捨てられ抑うつを高めて,先週になってacting outしたのだろう。私の転勤の話もどこからか漏れていて,それも影響しているかもしれない。
先週からは新しいクスリに変えたためだいぶ花粉症はマシになったが(一日一回服用でいいのだが,朝うっかりのみ忘れて症状が出てしまうともう全然効かない),今週の外来では転勤と主治医引き継ぎの話もせねばならず,本当に気が重い。私の側にもどこか彼女たちを手放したくない,自分こそが何とかしてあげたいという感情があるのかもしれないが,うっかりこのような逆転移感情を何らかの形で表出してしまうと事態はさらにややこしいものになる。気分を入れ替え頭の中を整理してビシッと行かねば。
あ,そうそう,「からくちNET」という雑誌にこのパゲが紹介されました。もし良ければ読んでみて下さい(心理学関係のページです)。25日には「こころの臨床アラカルト」という雑誌に私の書いたインターネット関係の文が載ります(なんと顔写真付きだ!)。こちらは一般の書店には並んでませんが,大きい書店に行くか予約すれば手に入るかも(誰がそこまでするか)。あと,読売新聞にもちょっと私のコメントが出るかもしれません。
なんか本職よりもこちらの活動がメインになってきてしまった...複雑な気分。あまりパブリックになってしまうと好きなことが書けなくなるし。

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平成9年3月9日 ミスチルの新作

リンク集の更新を済ませてホッと一息。それにしてもこの半年ほどの間に精神医学関係のHPが本当に増えた。Yahooで検索かけてもいっぱい出力されてくる(このパゲはYahooには登録されてない−−−なぜかって? これ以上相談のメールが増えると死んでしまうから)。これは非常に喜ばしいことだが,単に「HP作ってみました」程度のモノもあり,いくら見かけが格好良くても提供する情報に独自性がなければ淘汰されるようになるだろう(私のリンク集で紹介しているパゲは私が内容をよく吟味しています)。このパゲも,もっともっと内容に磨きをかけていかなアカンなあ。
ミスチルの新作はなかなか良い。これまでのシングルヒットが収録されると聞いて「軽いモノになるのでは」と心配していたが(余計なお世話だ),前作「深海」に比べても負けないくらいのヘビーさだ。これまでのシングル曲"Everybody goes"や"Tomorrow never knows"も,一連の文脈の流れで聴くことができる。
「現実」とは常に混沌とし不安に満ちたものだが,人間は言語(認識)によってしかそれをとらえることはできない。しかし言語もまた「現実」に裏打ちされたものである以上,自分の成立基盤である「現実」を正確に語りつくすことは論理的にいっても不可能である。人間の精神は常に「現実」の海に投げ出され溺れているが,自分から現実に触れることはできない。ただもがきながら流されるだけなのである。言語によってそれをとらえ理解しようとする試みは常に空を掴む結果となる。
過去や未来には一定の流れがあるように感じるかもしれない。しかし「過去」とは言語を通じて変形された現実の残骸であり,「未来」とは空に言語を投げかけているだけの幻影に過ぎない。そこに一定の流れを感じるのは言語のはたらきのなせる技に他ならない。歴史を通じて人間の目の前にあるのは常に混乱の「現実」であり,いつでも「現代」は混沌とし不安に満ちたものであったに違いないのだ。
...なんてミスチルを聴きながらラカン的とも現象学的ともいえないようなことを考えてました。
嫁さんは「育児日記」をなかなか書いてくれない。口だけでなかなか実行に移せないのは夫に似たのか? 両親がこれでは子供も先が思いやられる。
2月から3月にかけて相談のメールが大変多かったために返信がかなり遅れています。まだ2月20日前後の分を書いているところです。返事をお待ちの方,メールはじっくり読ませていただいてますのでもう少しお待ち下さい。

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平成9年2月26日 MS−DOS

新しいノートPCを購入しました。最新のMMXペンチ166MHzだー。早いんだこれが ^_^)v。
早速お気に入りのゲーム"IndyCar Racing U"をインストールしてやってみたが(そんなことしてていいのか?),120MHzペンチのデスクトップ機と比べても全然別のゲームみたい。技術の進歩って本当に恐ろしい。
しかし,嫁さんがワープロ代わりに使うというので,昔の98ノート(i386 20MHz)をひっぱり出してきて一太郎のver5(なんとDOS版のやつ)が動くようにドライバやら何やら再セットアップしたら,これがまた案外使える。ワープロに使ったりニフティーへつなぐだけなら今でもMS-DOSだけで十分なんですなあ。何でもかんでもWIN95の昨今だけど,config.sysをシコシコいじってメモリのセットアップしてた頃の方がある意味で面白かったなあ(俺も年だなあ)。今のPCやOSは高性能なオートマ車みたいで,すごい走りをするけど車が勝手に走っている感じ。MACほど使い勝手に徹していないし。
なんか下手なパソコン雑誌のエッセイのようになってしまった...。早くメールの返事を書こっと。

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平成9年2月14日 とりあえず生きてます

えー!もう2月ですか!? いったい1ヶ月間何をしてたんやろ...。
とりあえず原稿も送ったし,仕事は無事にやってるし,まあまあってとこですか。人間て いくら忙しくても死ぬことはないのね,ということが分かった1ヶ月でした。絶対に体調を崩せないというプレッシャーから過食気味となり体重がかえって増えました。
以前は忙しい忙しいといいながらもこのHPのアップはしてたけど,とうとうそれすらもできず,メールの返信も最長3週間くらい溜めたからなあ。せっぱつまって相談のメールをして下さった方には本当に申し訳ないです。
VDも縁がなくなったなあ。例年患者さんからいくつかもらうだけだし。昔は...いや昔も そんなもんだったか。うちの嫁さんも昔は手作りチョコくれたけど,今は市販品だし...トホホ。
うちの息子(現在8ヶ月)は親に似ず男前(親バカ?)なので将来モテるだろうなあ。うらやましい。そういえばうちの嫁さんがこのHPの中に育児日記のコーナーを作ろうかと言っておりますが,みなさんどうでしょうか。「精神科医の家庭の育児」見てみたいという方はリクエストのメールを下さい(私あてでOK)。
春からの行き先も決まりました。某総合病院の精神神経科の外来です。精神科病棟がないので,電波系のお友達とはしばらくあまり会えませんが,今よりは時間ができるので,空いた時間を注いでしっかり勉強したいと思います。

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平成9年1月13日 明けましておめでとうございます

みなさま明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。って遅すぎるー!
昨年末の書き込み(↓)があまりに暗い内容だったため、心配や励ましのメールを何通もいただきました。本当にありがとうございます。おかげさまで,カゼもひかず元気に年を越してがんばっております。

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平成8年12月27日 人はなぜ「ホームページ」を作るのだろう

人はなぜ「ホームページ」を作るのだろう。
自己顕示? 存在の証明? どうしても伝えたい主張があるから? 趣味? 商売? ...。
私はなぜこのHPを作ったのだろう。なぜ単なる個人ページではなく「精神科医」という看板をつけたのだろう。本当に「精神科医」のHPとしての存在価値があるのだろうか。単なる思い上がった自己顕示だけではないのだろうか。くだらない発言で人を傷つけたり,「ボランティア」などと書いておきながら2週間も返事を書かなかったり,リンクの許可をいただきながらそのままになっていたりすることが許されるのだろうか。かえって自分のみならず精神科医療全体のイメージを落とすようなことばかりやっているのではないか。
ここ2・3日,HPを出してネットに参加することの意味を考えさせられたり,自分自身の無能さを思い知らされる出来事が重なっていささか疲れ気味。当直のため,現実感を取り戻させてくれる唯一の存在である自分の家庭にも帰れない。
明日も外来。どんなに自分がくだらない医者であっても患者さんは来る。患者さんを受け持っているうちは何とか生きていないと。みんなしんどいんだから...。

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平成8年12月22日 研究と臨床

忙しい忙しいと言いながら自分がどうしてもやりたいことはちゃっかりやっているというイイ性格。
人間の脳や精神の機能をめぐる新しい研究には本当に興味がつきない。自分でもやってみたいアイデアが次から次へ出てくる。あれもやりたい,これも面白そうなんて考えてるうちに今日ももう寝る時間がない...。メールの返信も書かなくては。
しかし臨床も奥が深い。最近,超重症から超軽症まで様々なレベルの患者さんを診ているから,しんどいのはしんどいけど臨床が面白くてしょうがない(そんなことを言ったら患者さんに失礼だが)。やっと少しこれまでより深いところが見えるようになってきたのかなあ。まあ,まだまだ限りなくヤブに近いだろうけど。
しかし身体は一つ。頭の中では自分の研究と臨床は折り合いがついてるけど,現実にはどちらかにしか時間は使えない。実証的な(科学的な)研究と現実の臨床とはまだまだ距離があるしなあ。

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平成8年11月26日 カウンター直りました

なんやーこのカウンター変やんけ。フレームから抜け出せへんやないか。...というわけでもとのカウンターに戻りました。ドつぼにはまって抜け出すのに苦労した方,えらいすいませんでした。
その代わりに,やっと書き込みコーナーができました。みなさん,どんどん書き込んで討論して下さいね。
それはそうと某雑誌からの依頼原稿がぜんぜんできてない。背筋が寒い。メールの返信もめちゃめちゃ滞ってる。あー何とかせんと。

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平成8年11月24日 よくこれで生きてるなあ

なかなか動かなかったCGIのカウンターがやっと動くようになったー!!CGI工房さんありがとうございます。
もうすぐ「書き込みカンファレンスルーム(討論室)」という名の簡易BBSをアップします。テーマは今考えているところです。 みなさんどうぞガンガン書き込んで下さい。
相変わらずいろんなことをやっているため超多忙。ラカンの勉強会,ビンスワンガー・ハイデッガー関係の講義,CGIとPerlのお勉強,メールカウンセリングの返事書き(ちゃんとやってますって),新しい論文の草稿練り×2,新しい実験のメンテ・データ整理,子供(生後5ヶ月)のおむつ換え・嫁さんのご機嫌とり,あー!英会話に1ヶ月以上行ってない!
よくこれで生きてるなあ。

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平成8年11月19日 もっと時間をくれー

表紙のページを少し見やすくしました。と言っても表組にしただけやけど。こんなことしてる暇あったらメールの返事を書かんと。
なんだか12月からさらに忙しくなるとかいう恐ろしい話が入って来た。いくらでも金払うからもっと時間をくれー。

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平成8年11月10日 カウンター4桁

明日は11月11日かあ。子供の頃はこの日の11時11分には大騒ぎをしたもんだが, 平成11年のこの日には大人もいっぱい切符売り場に並ぶんだろうなあ。どうでもいいけど。
久しぶりの更新やなあ。いつの間にかアクセスも4ケタいってたし(でもカウンターって ウソ多いらしいよね。すごい水増ししてたり,いつ見ても同じ数字だったり。うちのはバカ正直だけど)。これを読んで下さってるあなた。アクセス本当にありがとうございます。精神科医って,なんか神秘的っていうか,変人っていうか,とにかく普通じゃないように見られがちですけど,(何科の先生ですかって訊かれて「精神科です」って言うと,だいたいみんな「えっ!?」ていう顔して絶句するもんなあ。)これ読んでると,疲れたり落ち込んだりもする普通の人間なんだってこと分かるでしょう?

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平成8年10月28日 また新潟

今週はまた新潟だ。今度は脳波・筋電図学会。もう絶対バスでは行かんぞ。新幹線でゆーっくり行きます。ついでに一泊してスシでも食って来よう。
おかげさまで「私設カウンセリングルーム」は大変好評です。ただ,なかなか返信メールが書けない...m(_ _)m。結構,濃い相談が多いのでどうしても返信が滞ってしまう。真面目にやればやるほど遅れてしまうというジレンマ。
リンク集もだんだん充実してきました。しばらく見てない人はいろいろ新しいのも入ってますので,また見てね。

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平成8年10月21日 医学博士ねえ...

前回デプっていると書いたので(デプる=うつ状態になる,depressionの略)御心配おかけしましたが,おかげさまでなんとか生きとります。メールの返事も少しずつ書いてますので,「まだか?」と思ってる方,もう少しだけお待ち下さい。
2つの論文が相次いで雑誌に掲載され,やっと学位(博士号)がとれる目鼻が付きほっと一息。しかしこのような「科学的な」研究の論文が雑誌に載るたび空しい気分になるのは何で?「科学的な研究」という名の下に,患者さんに無理を言って協力してもらったり,多数の実験動物の脳ミソを切り刻んで得られた結果がどれほど役に立つというのか?いったい僕は何をやってるのか。もっと他に患者さんのためにやるべきことがあるんとちゃうのか...いかん,やっぱりまだデプっている。
部屋が寒いけどまだ暖房入れるほどではないので,ズブロッカで作った特濃スクリュードライバーで暖まってます。普通のウオッカよりこっちの方が好き。中に入ってる草のにおいがいい。

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平成8年10月17日 精神科医はツライよ

どうもこの頃ウツってるんです。
先週めちゃめちゃ忙しかった反動か,今週も引き続き忙しいからか,はてまた急に寒くなったからか...どうもおかしい。これは久しぶりにまたアレが来たかななどと思っている今日この頃。そういえば外来のうつ系の患者さんもこぞって調子悪いもんなあ。
精神科医って自分の調子が悪い時は本当につらいわ。こっちが泣きたくなるような気分の時に泣きたくなるようなお話をいっぱい聴いたら,どうしても「ああ,人生って...」って気分になってしまうでしょ。本当は自分に何があっても,患者さんに対しては常に不動の存在であり,基本的に一定の態度を保たなくてはならないんやけど。
メールのお返事も滞ってます。すいません m(_~_)m 。そのぶんじっくり読んでますので,どうかもうしばらくお待ち下さい。

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平成8年10月11日 忙しいぞ

忙しいぞ!
10月に入ってから家で寝たのは4回しかない。あとはずっと当直だー(バスで寝たのもあったっけ)。毎月上旬はこんなペース。いい加減身体がもたんぜ。当直先では夜中に起こされるし(当たり前やけど)。20代後半はまだ平気やったけどさすがに30代になってからこれはキツイ。早く足洗わんと本当に壊れてしまう...。
来週から某大学のラカンの勉強会に行くんだいっ!その次の週からは大学の特別講座でビンスワンガーのお勉強するんだいっ!英会話もやっとレベルアップするんだいっ(やっと向こうで生活できるレベルになるそうな)!10月末には脳波筋電図学会で発表だいっ!忙しくて死にそうだいっ!!

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平成8年10月3日 新潟は遠かった

遠いぞ!新潟は!
夜行バスで向こうに着いたときはもうすでにフラフラ。不覚にも大事な演題の最中に何度も意識が遠のいてしまった。それでもまあすごい面白かったけど。帰りの新幹線の中でもほとんど意識なかったけど,行って良かった。
勉強会も無事終わりました。一応,言語学理論の精神医学への応用ということで,ソシュールの概念を用いた(わりに単純な)患者の言表の解釈とラカン(出たー!)の紹介をしました。みんな寝てしまうかと思ったら,いやー結構いるんですねえ「隠れラカニアン」が。「お前のラカン理解は表層的だ」と批判され,結構議論が盛り上がりました(一部の人間の間だけでやけど)。
メールが滞っててすいません m(_ _)m。明日からまた地獄の3日連続当直やけど,必ず来週の月曜には全部返信しますのでしばらくお待ちを...。

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平成8年9月25日 「精神病理学会」

来週は新潟で開かれる「精神病理学会」に行って来ます。前から一度行きたかった学会なので ワクワクもんです。しかし,とにかく難しい話が多いんで頭がついていけるかどうか...。 本当は一日目の丹羽先生の話を聞きたかったんやけどお仕事の都合で二日目からしか行けない(;_;)。
精神病理の世界でも去年あたりからさかんに生物学的精神医学との提携を模索していて, とても面白い方向に向かってると思います。それぞれお互いに「敬して遠ざける」関係であっては,いつまでたってもそれぞれの限界を抱えたままでしょう。今度は我々生物学的研究をしている者がもっと精神病理なり分析なりの考えに近づくようなアプローチを模索しなければならないでしょう。
それにしても新潟は遠い。京都からだと5時間くらいかかる。行っても市内にはあまり面白そうな場所はないし...。何か面白いスポットがあったらどなたかぜひ教えて下さい。実は10月末に脳波筋電図学会が開かれるのがまた新潟なので。一気に新潟通になってしまいそうだ。
いや,本当はそんなことよりも医局勉強会の発表のネタを早う何とかせんと。何にしようかなあ..ラカンにしようかなあ..でも自分が全然分かってないから少し突っ込まれたらお手上げやし。あーもう1週間しかないのにどうしよー。

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