TIGERMANIA Special Review

Check the Checkmate


偽者タイガーマスクの先駆けとも言うべきレスラーがチェックメイト(トニー・チャールス)だ。日本のプロレス・マスコミでは、かつて「週刊ファイト」紙が82年暮れに出した、タイガーマスク特集号で取り上げられたのが恐らく唯一の登場だと思われる。しかし米国の通販サイト「WRESTLING ARCHIVES」で、チェックメイトの4試合を収録したテープを入手できたので、貴重な映像としてここに紹介する。なお試合は82年暮れから83年初頭にかけて、テキサス州WCCWエリアで収録されたものである。

チェックメイト、マジック・ドラゴン組

ケリー・フォン・エリック、ブライアン・アディアス組
黒人マネージャー(名前はアーマン・ハッサンでしたっけ?)を引き連れてリングに立つ、チェックメイトとドラゴン。偽タイガーと米国で組むことになるとは、ドラゴンの胸中も複雑だったろう。なぜか試合の前後に、関係のないキングコング・バンディがマイクアピールをした。
チェックメイトのヘッドシザースを切り返すケリー。「偽虎戦士」対「虎の爪」である。序盤はオーソドックスなグラウンドの攻防が続く。
ショルダークローでアディアスを捕らえ、背中に膝蹴りを連発するチェックメイト。これが得意の攻撃パターンのようで、他の試合でも見せている。いかにもダラスらしく、目を引く大技などはほとんど出ない展開だ。
試合は2人がかりのボディスラムからのニースタンプで、チェックメイトがアディアスをフォール。アディアスは当時ダラスで売り出していたベビーフェイスだが、来日することなく消えてしまった。
チェックメイト、ザ・グレート・カブキ、マジック・ドラゴン組

ブライアン・アディアス、アル・マドリル、バグジー・マグロー組
マグローの顔面をマットに叩きつけるチェックメイト。日本のファンには「ハンセンの右ラリアートでやられた男」というイメージしかないマグローだが、南部マットでは結構人気があった。
チェックメイトのパンチに耐えるマグロー。このあと懐かしの、ぐるぐる回って自分に暗示をかけるパフォーマンスが出た。試合はカブキのダイビング・ニーパットから、ドラゴンがマドリルをピン。
チェックメイト対デビッド・フォン・エリック
なんと、チェックメイトのマスクが変わっている!銀ラメで、かつてザ・スポイラーやグラップラーズが被っていたのと似た、米国のマスクマンによくあるデザインだ。いきなり偽タイガーではなくなってしまった。ツーショルダーのレスリングコスチュームも、白から黒にチェンジしている。
デビッドのショルダースルーを、空中で反転して着地するチェックメイト。ようやくタイガーマスクを彷彿とさせる?動きが出た。このムーブはインパクトがあったのか、スローVTRが2度も流れた。
執拗にデビッドの足を攻める。この試合に限らずチェックメイトというレスラーはかなりオーソドックスで、反則をほとんどしない。中身が正統派のトニー・チャールスだというのも分かる気がする。
苦しくなってマスクに手をかけるデビッド。試合はデビッドのスリーパーが決まったところでマネージャーが乱入し、チェックメイトの負け。なおこの試合、「WRESTLING ARCHIVES」ではチェックメイトの正体を「マーク・ロコ」だとしているが、動きを見る限り違うようだ。
チェックメイト対ザ・グレート・カブキ
この試合でもチェックメイトはグラップラー風のマスク。米国の著名サイト「Kayfabe Memories」では、「チェックメイトはチェス盤と駒をモチーフにした白のマスクを被っていた」と書いているが、これはまた別のマスクのようだ。
カブキのチョップ連打を食らうチェックメイト。こうしたカードが組まれたということは当時、カブキはベビーフェイスに転向していたのだろうか?セコンドにはキングコング・バンディがついていた。
場外に落ちたカブキにボディスラムと手刀3連発を見舞い、KOしてしまったこのレスラーこそトラ・ヤツ、即ち谷津嘉章である。ヤツはダラス入りした直後で、このテープにはインタビューなども収録されている。全日のカブキ、ドラゴンと新日の谷津が米国で絡んだのは当時、ちょっとした話題になったものだ。


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