オホ・デ・ティグレ
偽者タイガーマスクの草分けといってもいい存在で、83年ごろ出現したルード。リングネームはスペイン語で「虎の眼」を意味し、英語に直せば「アイ・オブ・ザ・タイガー」。つまりサバイバーが歌った映画「ロッキーIII」の主題歌(後にスーパー・タイガーやタイガーキングの入場テーマ曲としても使われた)に引っかけたものである。
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フェリーノ
一連の偽者タイガーとしてはもっとも成功した例といえよう。父はペペ、兄にネグロ、弟にカネロ(ヘビー・メタル)を持つ名門カサス一家の次男で、82年にベビー・カサスとしてデビューした。89年にEMLLでフェリーノに変身。CMLL世界とナショナルの両ウェルター級王座を制覇した。ユニバーサルやIWAジャパン、WARに来日経験があり、97年にはEMLLの日本ツアー「ルチャ・フィエスタ」にも参加、そのままCMLLジャパンの常連となるなど、日本でもすっかりお馴染みとなった強豪だ。96年7月29日、アレナ・メヒコでのインターナショナル・グランプリ・トーナメント1回戦では4代目タイガーとの猫系マスクマン対決が実現、一蹴している。
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ティグレマン
93年ごろ、AAAに出現。初代タイガーそのものの外見であり、ここまで徹底した偽者も例がない。日本の専門誌には1度紹介されたきりで詳細は不明だが、ファイトスタイルもタイガーを真似ていたというからたいしたものだ。現在は消息が聞かれない。
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ウルトラ・タイガー 92年2月からWWAで修行に入ったFMWの上野幸秀(現・フリー)が正体。すなわち、後にWARにも上がった超電戦士バトレンジャー(超電戦士バトレンジャーZ)であり、大阪プロのポリスメ〜ンでもある。上野は当初、「カミカゼ・ニンジャ」を名乗ったが、同年4月にスペル・ムニェコとのマスカラ・コントラ・マスカラに敗れ、5月15日のティファナ大会でこのスタイルに再変身、タッグでサンボ浅子(引退)と対戦した。一応、耳も白毛も表現されてはいるが、いかにも安っぽいマスクである。コスチュームはシューティング・スタイルで、蹴りを多用したファイトだったという。現地ではアミーゴ・ウルトラ(帰ってきたウルトラマン、ダミアン)、ウルトラ・タロウと「ウルトラ・ファミリー」なるトリオを組んでいたとか。 | |
ティグレ・オリエンタル
これも日本人だが、現地デビュー組だ。初マットは93年8月、米ロス。本名は宮下和也といい、広島電機大学付属高のレスリング部で獣神サンダー・ライガーの1年先輩に当たる人物という。当時のマスクはエル・アセルティホや上記のウルトラ・タイガーに似たチープな印象のデザインで、額に日の丸をあしらい、ボアを付けたものだった。
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エル・ティグレ・デ・トーキョー リングネームは「東京の虎」の意。92年、当時ユニバーサル・プロレス(後のFULL)所属だった巌鉄魁(本名佐藤茂樹、現・ディック東郷=フリー)がマスクマンのSATOとしてメキシコに遠征していた際、グァテマラでプロモーターの要請により一時的に名乗ったという。パンフレットには初代タイガーと佐山の写真が載っており、リンピオとして大人気だったといい、やむを得ず初代タイガーの動きを再現して喝采を受けたとのことだ。マスクはかなり本格的なタイガーマスク・スタイルで、額に目の模様をあしらうなど、上記のオホ・デ・ティグレのものに似ている。 | |
キング・リー
新日本プロレスの金本浩二は92年、エキジビションなどで4試合、3代目タイガーマスクを経験。その後は素顔で闘っていたが翌年1月、メキシコUWAへ初の武者修行に出発し、このマスクマンに変身したものである。ジムでのトレーニングを経て同月30日、パチューカ大会でザ・キングと組み、エンヘンドロ、ウリセス組との対戦でデビュー。以後、G・浜田やSATO(現D・東郷)らと組み連日、トップでファイトした。試合スタイルはローリング・ソバット、サマーソルト・キック、スピニング・レッグロックなど正に初代タイガーそのものであり、客席からは「サヤマ!」との声援も飛んだという。マスクは本人が日本で「タイガーとU・ドラゴンをミックスし、より複雑に」と注文・製作し、持参したもので、スマートさはいま一つだがかなり凝ったデザインだった。
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ブラック・タイガー(メキシコ版初代)/ザ・タイガー(メキシコ版)
99年秋に確認されたリンピオのマスクマンで、中身は恐らく無名の地元選手ではないかという。アレナ・プエブラでは前座試合に登場し、ベテランのネグロ・ナバーロと対戦。グラウンドではキャリアの浅さを露呈し翻弄されたものの、スタンドではなかなかの動きを見せたとのことだ。メインエベントのアトランティス対ビジャノIII戦ではセコンドにもついていたとかで、今後が期待される(写真及び情報提供:スポーツ冒険家maxxさん)。虎縞地のマスク=写真左=は耳も白毛もないが、初代タイガーの「伝説」タイプを模したものと思われる。
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ブラック・タイガー(メキシコ版2代目/新日本版3代目)
01年6月15日、EMLLの殿堂アレナ・メヒコに出現した最新のマスクマンだ。日本からやってきたと称し、2週続けてドクトル・ワグナーJrとタッグで対戦した。正体はシルバー・キングだと言われており、兄弟で抗争していたことになる。写真はその折のもので、マスクはタイガーキングのそれをモチーフにした感じだが、非常に凝ったデザイン。コスチュームもなかなか完成度の高いものである。日本へは同年11月、新日本プロレスに登場。好ファイトが評価されてタイトル挑戦も実現するなど、ジュニア戦線の常連となっている。02年5月2日の東京ドーム大会では、4代目タイガーとの対戦も実現した。
その他 |
詳しく言及はしないが、初代タイガーが「ティグレ・エンマスカラド」として人気を集めたこともあり、覆面王国メキシコにはタイガーの影響を受けたと思われる猫系・虎系マスクマンが多数出現している。古いところではエル・アセルティホという選手がいたし、日本でもおなじみのパンテーラ、ブルー・パンテル、ティグレ・ブランコなどもタイガーに似たデザインのマスクを被っている。こうした傾向は現在もなお続いており、無名の者も含めれば枚挙に暇がない。たとえば上述の4代目タイガーらの96年のメキシコ遠征の際にはティグレ・ロホ(写真左)、アンヘル・プラタ(同右)という2選手が確認されている。
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