TIGERMANIA Special Review

幻の魔豹、吠える


日本国内ではほとんど詳細に報じられることなく、長らく幻の偽タイガーだったマスクマンが、ザ・ジャガーである。正体についてもダニー・デービス説とケン・ウェイン説とがあり、いまだに定まっていない。そもそもリングネーム自体、日本では「ザ・ジャガー」と報じられていたが、「マスクド・ジャガー」ないし単に「ジャガー」と表記している米国サイトもある。このほどその、極めて貴重な試合テープを入手できたので、ここに紹介させていただく。言うまでもなく本邦初公開のもので、このレスラーの映像を発掘したのは当サイトが国内最初にして唯一だろう。なお試合は83年暮れ〜84年初頭の時期、テネシー州メンフィスのCWAエリア(ジェリー・ジャレット派)で収録、ケンタッキー州ルイビルで放送されたものの録画である。

ザ・ジャガー、ボビー・イートン、ダッチ・マンテル、スタガー・リー組

ザ・グラップラーズ、ブルーズ・ブラザーズ組
試合序盤、ハンマーロックでグラップラーズの片割れを攻めるジャガー。グラップラーズは中西部地区などで長く活動した覆面コンビで、正体はリーン・デントンとトニー・アンソニー。デントンの方は後にオレゴン地区でシングル転向、藤波とパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座を争ったのをご記憶の方もおられるだろう。B・ブラザーズはポークチョップ・キャッシュとマッド・ドッグ(後にドリーム・マシーン=正体はトロイ・グラハム=と交代)のコンビ。90年代にオレゴン地区で売り出し、WWFや日本でも活躍したロンとドンのハリス兄弟とは全く別のチームである。
ヒール組のパワーファイトにダウンするジャガー。パートナーのイートンは言うまでもなく後にミッドナイト・エキスプレスを結成したテクニシャン。マンテルは第1次UWF旗揚げ戦で、前田の原爆固めに散ったのが印象深い。またリーは白いマスクを被った黒人レスラーで、正体は後にWWFでも一世を風靡したココ・B・ウェアである。
出ました、(偽)タイガー殺法!小柄なジャガーはこのメンバーに入るとどうしてもやられ役になってしまうが、コーナースローから振り向きざまのフライング・ボディアタックで形勢を逆転する。ここで紹介した以外、この試合でジャガーの見せた技はボディスラム、スリーパー・ホールド、首固め、パンチ連打といったところだった。
そして遂に、この技である。写真では分かりにくいが画面中央、キャッシュのドテっ腹にローリング・ソバットを見舞うジャガー。なおキャッシュはロス地区でトップを張った黒人レスラーで、ボビー・キャッシュ及びポークチョップ・チョイスの名で計2度、新日本マットにも上がった経験がある。
パンチの連打やローリング・ソバットで相手の4人を片っ端から沈めて大活躍のジャガーだったが、ここでロープに飛んでのジャンピング・エルボードロップをグラップラーにかわされ、またもや窮地に。ヒール組のラフファイトに完全につかまってしまう。
試合は乱戦模様となり、この日3発目のローリング・ソバットがグラップラーに炸裂!このマスクを被り、かつこの技を使うのだから、ジャガーはやはり、当時活躍していた初代タイガーのビデオを入手、研究していたのだろう。このソバットは打点が高く、偽タイガーの名に恥じない?ものだ。
得意のジャブの連打をグラップラーに浴びせるジャガー。この後カウンターのスリーパーでキャッシュを追い詰めるが、8選手入り乱れての乱闘の中で切り返され、最後はキャッシュのニースタンプを頭に食らってあえなくピンフォールされてしまった。残念。


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